1 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 01:15:25 ID:cwIv7TTE
巫女「……」キョロキョロ
巫女「いない……」ショボン
男「お待たせ!」
巫女「!」
巫女「こ、こんに……ちは!」
男「こんにちは」
男「じゃ、散歩でもしよっか」
巫女「は…はい!」
図解 巫女 (F-Files No.028)
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2 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 01:17:46 ID:cwIv7TTE
トボトボ
男「今日も綺麗にしてるね」
巫女「えっ……あ……いや……そ、そんな…」
男「落ち葉1つないよ」
巫女「あ………そう…ですね…」
男「でも相変わらず人少ないねぇ……」
巫女「……」コク
3 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 01:20:41 ID:cwIv7TTE
男「場所は離れてるけどいいところなのに…」
巫女「そ……そうです……よね」
男「縁結びだっけ?ここ」
巫女「は、はい…」
男「おかげで巫女さんにも会えたし……」
巫女「」ポッ
男「なんで人来ないんだろ……」
巫女「……あ、あの!」
男「ん?」
5 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 01:24:31 ID:cwIv7TTE
巫女「人間……って………」
巫女「いたほうが……嬉しい……ですか?」
男「まぁいたほうが賑やかだよね」
巫女「です…よね」ショボン
男「でもこうして一緒にいられるのも人がいないおかげだけどね」
男「人がいっぱい来たらもう会う時間なくなりそうだし…」
巫女「…///」
男「もう3ヶ月か……」
6 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 01:27:02 ID:cwIv7TTE
男「大学でて出会いもなくて、藁にもすがる思いだったなぁ……」
巫女「……必死……でしたよね……?」
男「うん」
男「君を初めて見たらビビッと来たよ」
男「こんな可愛い子がいるなんてね」
巫女「……顔ですか?」
男「あ、いや…そういうことじゃなくて……」
巫女「……」ジー
7 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 01:33:07 ID:cwIv7TTE
男「……ごめん、最初は顔だった」
巫女「…ひどい…です」
男「でもさ、あんなオドオドしてるのをみて守ってあげたくなったんだ」
男「なんでかな」
巫女「……」
男「でもよかったよ、振られなくて」
巫女「…//」
巫女「わ……わたしも………一目惚れだったんで……す」
巫女「でも………」
男「ん?」
8 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 01:37:42 ID:cwIv7TTE
巫女「でも……わたし………」
男「あ!」
巫女「」ビクッ
男「こら!あっち行け!」タタタタ
巫女「??」タタタタ
子狐「クゥゥン?」
男「シッシ!」
巫女「あっ……」
子狐「」タタタタタタタタ
男「ったく……こんな綺麗なところに狐なんか……」
巫女「あ……あの」
男「…?」
巫女「狐……はお嫌いです…か?」
男「うん……だってあんななんだよ?」
巫女「………そ、そうですか……」
10 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 01:40:51 ID:cwIv7TTE
男「あ…日が暮れてきたな」
男「じゃ、また明日」
巫女「……」
男「?」
男「またね?」
巫女「……」コク
巫女「また……ね」
11 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 01:45:32 ID:cwIv7TTE
―――真夜中
巫女「……ねぇ…」
巫女「わたし……どうしたらいいかな……」
?「辛くなったら戻っておいで」
巫女「でも……男さんが……」
?「それはあなたが決めること」
?「ただね、どうしても……どうしても無理だったら……ね?」
巫女「うん……ありがとう……お母さん」
?「神様から貰った身体、大切にね」
巫女「うん…」
12 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 01:48:26 ID:cwIv7TTE
―――翌日
巫女「……でね」
子狐「クゥゥン」
男「おはよ……あ!また!」
巫女「!」
巫女「あ…あ、あの……この子は……その」
男「シッシ!」
子狐「グルルルル」
男「なんだ?人間様に逆らうのか?」バシッ
子狐「キャンキャン!」タタタタ
巫女「あ…!」
男「ふー……」
男「大丈夫だった?」
巫女「な、な……なに…するんで……すか!」
男「え?」
13 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 01:51:49 ID:cwIv7TTE
巫女「あの子……が何を……何をしたんですか!」
男「ちょ、ちょ……」
男「だって……あのままだったら怪我してたかも……」
巫女「するわけ……ありません!」
男「でも……」
巫女「帰って……帰って……ください!」
男「え……」
巫女「ハヤク!」
男「」ゾッ
男「あ……う、うん……」タタタタ
巫女「………グスッ……」
15 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 01:54:48 ID:cwIv7TTE
巫女「やっぱり……」
巫女「やっぱり無理なんだ……」
巫女「……うぅ……」ポロポロ
―――――
男「なんであんな……」
男「……そう言えば昨日なにか言いかけてたような……」
男「関係あるのかな……あそこまで怒るのも……おかしいし」
ガサガサ
男「ん?」
子狐「クゥゥン」
男「お前は……」
16 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 01:58:23 ID:cwIv7TTE
男宅
男「ごめんな……」
フキフキ
子狐「?」
男「なんで…叩いちゃったんだろ…」
ヨシヨシ
子狐「」ノビノビ
男「…あ、お前男だろ」
男「動物なんかに嫉妬してたのかよ……」
子狐「」グイグイ
男「お、おい……」トットット
17 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 02:04:54 ID:cwIv7TTE
ガララ
子狐「」グイグイ
男「これは……」
男「あの場所の…特集?」
ペラ
『最後の大祭りです!』
『日本最古の神社、取り壊し』
男「え……?」
子狐「」タタタタ
男「あ、おい!」タタタタ
18 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 02:11:05 ID:cwIv7TTE
―――――
子狐「クゥゥン」
男「はぁ…はぁ……」
巫女「!」
巫女「おとこ……さん?」
子狐「」タタタタ
男「あ……まて…」
巫女「おとこさん…?」
巫女「おとこさん!?」
19 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 02:14:12 ID:cwIv7TTE
……………
?「この方が?」
巫女「うん」
男「う、うー…ん……」パチ
?「あ」
巫女「お、おとこさん!」
男「…巫女…さん?」
男「…ん?……う、うぁぁぁぁ!?」
?「あらやだ、顔みて叫ぶなんて」
男「しゃべったぁぁぁ!?」
男「」ガクッ
巫女「あ……」
20 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 02:16:54 ID:cwIv7TTE
?「でもこの子…走っただけで倒れるなんて…」
巫女「肺が1つないんだって」
?「え?それで生きれるの?」
巫女「無理……だと思う…」
?「じゃあ……あら?」
?「これ……」
巫女「……ここだね……20年前の……」
21 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 02:20:04 ID:cwIv7TTE
?「………あ!」
巫女「」ビクッ
?「この子……多分あなたと同じよ」
巫女「え?」
?「ここみて」
『取り壊しの様子を写真に―――』
?「この写真の奥、建物よ」
巫女「…あ!」
?「ね?多分ここにこの子がいたんだわ」
?「それであなたみたいに……」
22 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 02:21:47 ID:cwIv7TTE
男「う、うーん……」
巫女「あ、また気絶しちゃうから向こうに」
?「はいはい」
?「この事……言うの?」
巫女「……うん」
?「殺されないようにね」
巫女「うん」
男「はっ」
巫女「おき……ました?」
23 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 02:23:46 ID:cwIv7TTE
男「あ……巫女さん……」
巫女「あの……まずは謝らせて……ください」
巫女「失礼なことをいって……申し訳ないです……」
男「う、ううん……俺も悪かったし……」
男「そ、それよりさっき喋る狐が……」
巫女「おとこさん…」
巫女「その事で……お話が……あります」
24 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 02:25:28 ID:cwIv7TTE
巫女「さっきのは……わたしの母です」
男「え……?え?」
男「でも……君は…人間の……」
巫女「あなたは……覚えてま……すか?」
巫女「20年…前のこと……」
男「20年前のこと……?」
25 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 02:29:41 ID:cwIv7TTE
男「………?」
巫女「記憶が……ないのですね」
巫女「20年前……恐らくあなたは死にました……」
男「!?」
巫女「そして神様によって甦った……んだと」
男「…は、話が…」
男「神様に?じゃあなんで君は知ってるの?」
巫女「わたしも……神様によって新たに生まれ……変わったからです」
男「??」
26 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 02:33:04 ID:cwIv7TTE
巫女「わたしは……狐でした…」
巫女「あの時……わたしは人間……に憧れていました」
巫女「楽しそうだな……面白そうだな……」
巫女「そこで……わたしは神様にお願いした……のです」
男「な……なんで……ていうか……狐!?」
巫女「…はい……これがあの時言いたかった……言葉です……」
27 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 02:35:07 ID:cwIv7TTE
男「じゃあ…あの時に言わなかったのh」
男「…!」
巫女「…狐がお嫌い……と仰った…からです」
巫女「わたし……初めて好きに……なった人に……」
巫女「嫌われ…たくなかったん…です」
男「……そうか……だから君はあの時もあんなに……」
28 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 02:39:00 ID:cwIv7TTE
巫女「……神様はわたしの願いを…聞き入れてくれました」
巫女「巫女になること……境内から出ないこと……これを条件にわたしは……人間になりました」
男「……」
巫女「あなたも……条件…があるはずです」
巫女「恐らく…肺が1つしかない……のと、記憶の…消去」
男「そう……なんだ…」
29 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 02:41:12 ID:cwIv7TTE
巫女「……さて、なんで……わたしがこんな話を…したのか」
巫女「わかりますか?」
男「いや……」
巫女「わたしは…今日でここを…去ります」
男「なっ!」
巫女「だから…あなたにだけは…全てを知っといてもらい…たかったんです」
男「いや……いやだ…」
巫女「では……」スタスタ
30 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 02:45:02 ID:cwIv7TTE
男「いやだ!待ってくれ!」
男「離れたくない!いやだ!」
男「お願いだ…!一緒に……一緒にいてくれ……」
男「狐をあまり好きじゃないのは……確かだ」
男「でも…でも……人間としての君が好きなんだ!」
男「頼む……いかないでくれ…」ポロポロ
巫女「」ニコッ
巫女「ありがとう……」
巫女「そして……ごめんなさい…」
31 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 02:47:36 ID:cwIv7TTE
パチン
男「あっ…」ガクッ
―――――翌日
「大丈夫かぁ!」
「いつからここに…」
「瓦礫を退かせー!」
男「……」
―――――
母狐「もうあの子はここに来れないわね」
巫女「うん……」
母狐「良かったの?」
巫女「うん……」
32 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 02:51:17 ID:cwIv7TTE
巫女「おとこさん……」
巫女「短い間でしたが……ありがとうございました」
巫女「また…来世ぐらいに会いましょう…」
巫女「さようなら…」
子狐「ねーちゃんはやく!」
巫女「あ、うん」タタタタ
その後、男の3ヶ月の記憶は消えた
今では新しい彼女も出来、幸せな毎日を送っている
終わり
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