1 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/18(木) 18:42:06 ID:z8NyzTaw
男「あり、寝ちまいましたか」
許嫁「おはよう、あなた」
男「おはようございます」
許嫁「朝食の支度ができているわ」
男「そうですか」
許嫁協定(1) (角川コミックス・エース)
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2 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/18(木) 18:42:50 ID:z8NyzTaw
男「おお、こりゃまた朝から豪勢な」
許嫁「いつもと同じよ、あなた」
男「そうですか?」
許嫁「ええ」
男「だけど、こう言うと豪勢な気がしてきませんか」
許嫁「そうかしら」
男「許嫁さん、醤油をとってくれますか」
許嫁「はい、あなた」
男「ありがとうございます」
3 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/18(木) 18:44:16 ID:z8NyzTaw
男「さて、学校に行きましょうか」
許嫁「はい、あなた。お弁当」
男「あ、こりゃどうも。いつもありがとうございます」
許嫁「あなた、いつもはコンビニに行ってるでしょう」
男「はて、そうでしたか」
許嫁「ええ」
男「こりゃ一本とられた」
4 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/18(木) 18:44:58 ID:z8NyzTaw
許嫁「ねえ、あなた」
男「へえ、どうしました」
許嫁「手くらい握ってもいいのよ」
男「あいにくと両手の野郎がね?ふさがっていまして。へえ、どうも」
許嫁「そう」
5 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/18(木) 18:46:22 ID:z8NyzTaw
許嫁「あなた」
男「♪~」
許嫁「お尻を触るのはやめてちょうだい」
男「♪~」
許嫁「あなた?」
男「許嫁さん、言いがかりはいけねぇや」
許嫁「私のお尻ならいいのよ」
許嫁「でも、他の女の子のお尻を触るのはいけないわ」
6 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/18(木) 18:47:17 ID:z8NyzTaw
男「いけませんか」
許嫁「ええ」
男「そりゃまたどうして」
許嫁「あなたの評判が悪くなるわ」
男「別に構いませんでしょう」
許嫁「私の評判も悪くなるの」
男「そいつは困りますね、やめましょう」
7 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/18(木) 18:48:46 ID:z8NyzTaw
許嫁「私のお尻ならいいのよ」
男「そうですか、じゃあ遠慮なく」
許嫁「あなた」
男「♪~」
許嫁「肩を抱けとは言っていないわ」
男「♪~」
許嫁「あなた?」
男「お尻を触るのは手が疲れるでしょう」
許嫁「撫でろと言ったわけじゃないのよ、あなた」
男「こりゃまた一本とられた」
8 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/18(木) 18:49:24 ID:z8NyzTaw
許嫁「あなた、ラブレターの返事はきちんとしなくてはだめよ」
男「♪~」
許嫁「あなた?」
男「だめですか?」
許嫁「ええ」
男「そりゃまたどうして」
許嫁「私の評判が悪くなるわ」
男「そいつはいけねぇや」
9 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/18(木) 18:51:19 ID:z8NyzTaw
男「許嫁さん、その、許嫁さんの評判が悪くなるってぇのはやめてもらえませんか」
許嫁「あら、いけないかしら」
男「だって、許嫁さんは」
男「あたしの評判なんてどうでもいいんでしょう?」
許嫁「……そうね。卑怯だったわ」
男「なにも卑怯だなんて」
許嫁「そういう言い方は卑怯よ、あなた」
男「いや許嫁さんには頭が上がりませんね、まったく」
10 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/18(木) 18:52:07 ID:z8NyzTaw
友「よっ、ご両人!」
男「おや、友さん」
許嫁「おはようございます。夫がいつもお世話になっております」
友「あ、こいつはまたご丁寧にどうも」
男「や、許嫁さん。友さんなんぞに頭下げてちゃいけません」
友「言ったな、この」
11 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/18(木) 18:54:23 ID:z8NyzTaw
許嫁「あなた、挨拶は大事よ」
男「そうですか?」
許嫁「そうよ」
友「そうよ」
男「友さん、そういうのはよくねぇよ」
友「そうかい?」
男「そうだよ」
12 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/18(木) 18:56:15 ID:z8NyzTaw
友「時に男さん、ちょいと顔貸してくれませんか」
男「へえ、まぁ構いませんが」
許嫁「あなた、今日はお鍋よ」
男「へえ、肝に銘じておきます」
許嫁「そう言っていつも朝方に帰ってくるのはだぁれ?」
男「これだもんな、やんなっちゃうよ」
13 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/18(木) 18:57:56 ID:z8NyzTaw
女「許嫁さん、おはよう!」
許嫁「おはよう、女さん」
女「男くん……またどっか行ったの?」
許嫁「ええ」
女「出席日数…足りるの?」
許嫁「足りないでしょうね」
女「卒業は…?」
許嫁「さあ。あの人、ああいう人だから」
14 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/18(木) 18:59:02 ID:z8NyzTaw
女「ねえ、許嫁さん」
許嫁「なにかしら」
女「イヤじゃないの?」
許嫁「何が?」
女「男くんと許嫁って」
許嫁「嫌だなんてとんでもないわ」
女「だって…おかしいよ」
女「知ってるよ?男くん、女の子に片っ端から声かけて浮気しまくってるって」
許嫁「ええ、そうみたいね」
女「許嫁さん、こんなにいい子なのに……男くんはひどいよ!」
許嫁「そうかしら」
女「そうだよ!おかしいよ!」
15 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/18(木) 19:01:48 ID:z8NyzTaw
許嫁「でも、あの人、必ず家に帰ってくるのよ」
女「へ?」
許嫁「それで十分じゃないかしら」
女「あのね、いくら許嫁って言ったって将来は夫婦になるんでしょ?」
許嫁「そうね」
女「だったら、浮気なんて絶対ヘンだよ!」
許嫁「でもね、あの人……浮気は誰とでもするけど」
許嫁「本気は私だけって言うのよ」
女「そんなの、誰にでも言ってるに決まってるよ」
許嫁「それでもいいわ」
女「へ?」
16 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/18(木) 19:03:43 ID:z8NyzTaw
許嫁「あの人が毎日家に帰ってきて…いいえ、毎日でなくていい」
許嫁「どんなに悪いことをしようが、どんなに汚れていようが」
許嫁「家に帰ってきて、私の隣で休んでくれたら……」
許嫁「それで十分だと思うの」
女「…………」
許嫁「私、そんなに変かしら」
女「変だよ!絶対変だよ!」
17 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/18(木) 19:04:51 ID:z8NyzTaw
許嫁「そうかしら」
女「とにかく、もう少し厳しくした方が男くんの為にもなると思うよ」
許嫁「そうかしら?」
女「そうだよ!だって、就職とかできないよ?」
許嫁「…っ…うふふ……」
女「どうしたの?」
許嫁「あの人ね、月に一度……お金を持って帰るのよ、30万円くらい」
女「え!?」
許嫁「おもしろいのよ。先月は、動物園の象の耳の裏に挟まってたのをくすねてきたって、うふふ」
18 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/18(木) 19:05:33 ID:z8NyzTaw
女「それって…ウソだよね?」
許嫁「でしょうね。パトロンのような女性(ひと)がいるのだと思うわ」
女「…………」
許嫁「だけど、そのお金を私にくれるのよ。かわいらしいと思わない?」
許嫁「……きっとね、そういうところに惚れてるのよ、私」ポッ
女(ダメだコイツ)
19 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/18(木) 19:07:32 ID:z8NyzTaw
女「許嫁さん、男くんを愛してるんだね」
許嫁「それは違うと思うわ」
女「え?」
許嫁「私はあの人が好きなだけ。ただそれだけよ」
女「ただ好きなのと愛してるのって違うの?」
許嫁「そうね、違うと思うわ」
許嫁「愛というのは、もっと大変なことだと思うの」
許嫁「人類愛と言うのかしら、誰にでも分け隔てなく優しくて、時に厳しくて……」
許嫁「そういうことができるのは、きっと本当にすばらしい人なのだと思うわ」
20 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/18(木) 19:08:12 ID:z8NyzTaw
許嫁「私はそんなにできた女じゃないの」
許嫁「どこの誰かも知らない人なんて、どうだっていいの」
許嫁「ただ……あの人さえいてくれれば、それでいいのよ」
女「そんなもんかなぁ」
許嫁「恋をすればきっとわかるわ、あなたにも」
女「ぐぬぬ」
21 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/18(木) 19:10:07 ID:z8NyzTaw
女「…じゃあさ、許嫁さんが浮気してみれば!?」
許嫁「どういうことかしら」
女「だから、許嫁さんが浮気をしたら、きっと男くんも必死になるんじゃないかな!」
許嫁「だめよ……第一、相手がいないわ」
女「相手なんて、許嫁さんが色目使えば誰でもイチコロだよ!」
許嫁「そうじゃないのよ」
22 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/18(木) 19:11:50 ID:z8NyzTaw
許嫁「この人の子どもが欲しい、って思える人がいないの。あの人以外」
許嫁「きっと、男の人は浮気をするのが当たり前なのだと思うわ」
許嫁「たくさん子孫を残すようになっているのよ、遺伝子かなにかで」
許嫁「でも、女は……身籠ったら、十月十日は動けない」
許嫁「だから女は結婚したがるのね、自分を守ってもらわないといけないから」
23 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/18(木) 19:13:15 ID:z8NyzTaw
女「ちょ!ちょ!」
女「○○すればいいんじゃ…?」
許嫁「どうしたって、できる時はできるでしょう?」
許嫁「私、あの人にだけはうそをつきたくないの」
許嫁「○○していたから許して、だなんて……そんなの、うそよ。許されない」
許嫁「女はね、浮気に向かないのよ、きっと」
女「ぐぬぬ」
24 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/18(木) 19:14:48 ID:z8NyzTaw
許嫁「私には、あの人しかいないの」
許嫁「あの人が……私の作った夕食を食べて、おいしいって言ってくれるのが」
許嫁「とってもうれしいの。それだけでいいの」
25 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/18(木) 19:15:51 ID:z8NyzTaw
女「おやおや?さっきは隣にいてくれるだけでいいって言ってませんでしたー?」
許嫁「あら…そうだったかしら」
女「そうですよー?」
許嫁「……だめね、私ったら。すぐ欲張って」
許嫁「困っちゃうわ……あの人、私のこと……嫌いになったりしないかしら」ウル
26 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/18(木) 19:16:27 ID:z8NyzTaw
女「え!?ちょ」
許嫁「ごめんなさい…みっともないわよね…」グス
女「あああ!おっ、男くんはきっと大丈夫だと思いますよ!」オロオロ
許嫁「そうかしら……」メソメソ
女「はい!きっと気にしないですよ!ズバリ間違いないです!」
27 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/18(木) 19:17:31 ID:z8NyzTaw
許嫁「なんてね、うふふ」パッ
女「は!?」
許嫁「うふふ、うそよ。うそ泣き」
女「あ、え、あーっ、うそ泣き!これはずるい!」
許嫁「うふふ、ごめんなさい」
許嫁「本当はね、知ってるの」
許嫁「このくらいで嫌いになったりしない人だって」
許嫁「あの人……男さんは、本当に大きな人なの」
許嫁「本当に……本当に大きな……」ポー
女(泣きたい)
28 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/18(木) 19:19:55 ID:z8NyzTaw
その夜
許嫁「……………」ウトウト
男「……………」ソーッ
許嫁「……あなた」
男「あり、起きてましたか」
許嫁「あなた、お帰りなさい」
男「へえ、ただいま帰りました」
許嫁「お夕飯にしますか?」
男「そうしてくれますか」
許嫁「すぐ、用意するわ」
29 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/18(木) 19:20:34 ID:z8NyzTaw
男「許嫁さん、女さんに何か吹き込みましたか」
許嫁「さあ…思いつかないけれど」
許嫁「どうかしたの?」
男「いやね、帰り際に待ち伏せされて」
男「ついさっきまでこっぴどく叱られてまして」
許嫁「そう」
男「ええ」
30 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/18(木) 19:21:11 ID:z8NyzTaw
許嫁「何て叱られたの?」
男「いやね、ふらふらするなだの、学校に来いだの、つまんねぇことなんですが」
許嫁「そう」
男「ええ」
許嫁「他には?」
男「他というと」
許嫁「他には何か言っていなかった?」
男「あ、そうそう。許嫁さんを大事にしなさいと言われましたね」
許嫁「そう」
男「ええ」
31 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/18(木) 19:21:53 ID:z8NyzTaw
許嫁「…あなたは」
許嫁「あなたは、どう思ったの?」
男「何をで?」
許嫁「女さんにお説教していただいて」
男「へえ、これといって特には、何も」
許嫁「そう」
男「ええ」
32 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/18(木) 19:22:29 ID:z8NyzTaw
許嫁「……あなた」
男「♪~」
許嫁「あなた?」
男「どうしました」
許嫁「食事中にそういうのはよくないわ」
男「そういうのとは?」
許嫁「●○を○○だり、お尻を○○たり」
男「いけませんか」
許嫁「いけないわ」
男「そうですか」
33 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/10/18(木) 19:23:14 ID:z8NyzTaw
許嫁「ん…もう、だめったら」
男「あたしはね、いけないことが好きなんです」
男「許嫁さんはどうですか」
許嫁「…………」
許嫁「もう…しょうのないひと……」
終わり
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