1: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/02/15(金) 14:00:43.55 ID:WZZv7XDn0
知っていますか?こんな話……







死んだハズの人間が何故か生きていて、その人間達で作られた軍団が、夜な夜な、学園都市内に住んでいる宇宙人を相手に、生きるか死ぬかの戦争ゲームを行っていると言う噂……







何でもその人達は、死ぬ寸前に選ばれ、どこにでもありそうなマンションの一室に強制的に集められ、そこから宇宙人との戦いへと送り込まれるのだそうです……






そして、その一室には戦いへの参加者を支配する、謎の黒い球体があるんだとか……







誰が最初に名付けたのかはわからない。




しかし、参加者達は、その黒い球体を畏怖を込めてこう呼んでいるそうです……












『GANTZ』と……


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1360904443

引用元: 上条「……GANTZ?」御坂「黒い球体の部屋?」 




とある魔術の禁書目録(インデックス)(21) (ガンガンコミックス)
鎌池和馬 近木野中哉
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2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 14:06:32.56 ID:WZZv7XDn0
禁書とGANTZのクロスになります。

GANTZの主力メンバーは今のところ出す気はありません。

ですが、もしかしたら出るかもしれません。要するに未定です。

星人は、本編のモノもあれば、オリジナルのモノも予定してます。

武器も本編のがメインですけど、少しオリジナルのモノを足して行きたいです。


拙い話ですが、よろしくお願いします。

4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 14:16:16.07 ID:WZZv7XDn0
7月21日




学園都市 第7学区 とあるファミレス




御坂「」ポカーン


白井「」ポカーン


初春「」ポカーン





佐天「…………あれ?皆さん、反応が薄いですね?」



学校の授業が終わり、それぞれが思い思いの放課後を過ごす中、とあるファミレスで、佐天以外の3人がポカンとした表情を浮かべている。

5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 14:24:02.79 ID:WZZv7XDn0
初春「はぁ……佐天さん、また都市伝説ですか?どこから仕入れてくるんですか?そんなぶっ飛んでる噂」


白井「ツッコミどころがあまりにも多すぎて、ツッコむ気にもなれませんの……」



佐天と同じ学校、同じクラスの友人、初春。
そして、学校は違えど、同じ学年の友人、白井が溜め息をつきながら佐天の都市伝説話の感想を述べる。



佐天「えー!?何でですか?面白そうじゃないですかー!!死者で作られた謎の軍団!!そして、それに敵対する謎の宇宙人達!!
彼らは人類を守る正義の味方なのか!?はたまた人類の敵なのか!?こんなロマンのある話、最初っから否定するなんてつまんないですよー!!ねー?御坂さん!?」


佐天は、一つ上の先輩であり、友人の御坂へと訪ねる。

7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 14:35:02.07 ID:WZZv7XDn0
御坂「…………」ポカーン

佐天「……御坂さん?」



御坂は何やら呆然としているようだ。




御坂「ハッ!?あ、ゴメンゴメン、ちょっと考え事しててさ」アハハ……



佐天「もー、しっかりしてくださいよー御坂さん!!私の話、ちゃんと聞いてましたか?」


御坂「も、もちろん聞いてはいたわよ?んー、流石に色々と無茶苦茶な話よねー。まぁ、面白そうとは思うけど」


佐天「でしょー!?やっぱり御坂さんならこの話の面白さがわかると思いましたよー!!」


御坂に同調され、佐天のテンションが更に上がっていく。

8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 14:36:37.82 ID:WZZv7XDn0
白井「あらお姉様。いけませんわ!!常盤台のエースともあろう方が、こんな突拍子もない話を真に受けては!!」



御坂「べ、別に真に受けてはないじゃないの!!少し面白そうと思っただけよ!!……それで佐天さん。他にもその黒い球体の話ってないの?」



佐天「お!?御坂さん、食いついて来ましたねー!!
実は、この黒い球体の部屋の話について、色々考察があったから、片っ端から資料をプリントして来たんです!!先ずは、こちらをご覧ください!!」バンッ!!




佐天が、テーブルの上に何枚かの資料を叩きつける。

9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 14:39:58.11 ID:WZZv7XDn0
御坂「ブーッ!!!!!」


白井「ァァァアアア?ア?ッ!!!!お姉様の!!お姉様の吹き出したジュースが黒子の顔面へとォォォォオオオ!!!」バシャァアアッ!!!




その資料を見た瞬間、御坂は飲んでいたジュースを思いっきり白井の顔面へと吹き出した。

白井は何故か、恍惚の表情を浮かべている。




初春「み、御坂さん!?大丈夫ですか!?」


御坂「ゲホッ!!ゲホッ!!だ、大丈夫よ……ちょっと喉に詰まっただけ……」


佐天「気をつけてくださいねー?吹き出した先が白井さんだったからいいモノを」


佐天の目の前では、至福の表情を浮かべた白井の姿が見えるが、いつものことなので、特に気にしないことにした。

10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 14:47:06.86 ID:WZZv7XDn0
佐天「それでは、本題に入りますね?これは、2日前の……『重力子(グラビトン)事件』関連の犯人が捕まった日の、次の日の朝の写真なんですけどね?」




佐天が出した写真には、どこかの住宅地の路地のような場所が写っていた。
しかし、写っていたのは明らかに普通の光景ではない。



初春「うわー……派手に壊れちゃってますねー……いろんなところが」


白井「こ、こんな……どんな能力を使えば、このような破壊を行うことができるのでしょうか?」



御坂「…………」

11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 14:51:23.51 ID:WZZv7XDn0
写真には、そこら中の塀や道路、車や建物などが、そこら一帯破壊され尽くした光景が写されていた。


ここは学園都市。能力者の溢れる都市である。


しかし、写真に見る、このような破壊は今まで見たことがない。




佐天「これは、この第7学区のとある路地で撮影されたものらしいです。もちろん、前日の最終下校時間前には、このような事にはなってませんでした。

近所の方曰く、何やら深夜に突然、大きな音が聞こえてきて、何事かと外を見ても、既に外には誰も居なかったんだとか」

12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 14:53:33.33 ID:WZZv7XDn0
初春「それで、その犯人が、宇宙人や死者の軍団ってことですか?
んー……流石に色々無理があるような……確かにこの事件自体は凄いことですけどね」



白井「しかし、この写真、2日前と言うのに、私達風紀委員(ジャッジメント)には、何の情報もおりてませんの!!
一体警備員(アンチスキル)はちゃんと仕事してるんですの!?」



佐天「……御坂さん?どうしたんですか?黙りこくっちゃって。
あれ?そういえば、2日前の事件の時、セブンスミストで爆発が起きた後、御坂さん次の日まで姿を見ませんでしたよね?」

13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 14:56:33.51 ID:WZZv7XDn0
初春「あ!?そうです!!忘れてましたよ!!御坂さん、あの爆発から私とあの女の子を守ってくれたあと、どこに行ってたんですか!?
すごく心配したんですよ!!白井さんなんて、夜中に発狂しかけたくらい!!」



御坂「え!?え、えぇ、そういえばそうね。あの時、ちょっと急ぎの用があったからね……」アハハ……


御坂美琴は、苦笑いでこの場を誤魔化そうとしている。















この話の真実は御坂美琴と共にある。


しかし、この真実は言えないのだ。


例え、自分の大事な後輩にも、その友達にも。


それが、自分に強制的に嵌められた、首輪の制約(ルール)なのだから。








そして、自分のせいで、アイツにもその首輪が……



20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 19:41:04.91 ID:WZZv7XDn0
2日前








7月19日


セブンスミスト





コォォォォオオオオオオオッ……


御坂「ぬいぐるみが爆弾に!?くっ!!」スッ……


ポロッ……


御坂が、自身の必殺の能力『超電磁砲』を、とある能力により、爆弾と化したぬいぐるみに放とうと、コインを構える。


しかし、焦りからか、誤って弾丸であるコインを落としてしまった。

21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 19:44:45.15 ID:WZZv7XDn0
御坂「ダメ、間に合わない……せめて、初春さんとあの女の子だけでも……」



御坂が死を決意し、一緒に行動していた初春と、女の子の盾になろうとした瞬間、一つの大きな影が御坂に立ち塞がった。



御坂「あ、アンタは!?」


ギュッ!!!


影は、爆弾に立ち塞がる御坂の前に更に立ち塞がり、御坂を強く抱きしめることで、自身を御坂達の盾と化した。



御坂「……あっ……」ギュッ!!!


それを知ってか知らずか、御坂も相手を思いっきり抱きしめる。








温かい……


私、死んじゃうのかな……コイツと一緒に……


ゴメンね、パパ、ママ、黒子、皆…………





カッ!!!!!


そして、無情にも、爆発が御坂達を襲う。

22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 19:46:51.07 ID:WZZv7XDn0
…………







初春「ゴホッ、ゴホッ……アレ?私生きてる……この子も無事……御坂さんは?」



爆煙が徐々に晴れてきた。


女の子を守るように抱えていた初春は、どうやら無事なようだ。



しかし、初春と共にいた、御坂の姿が見えない。
見たくもないが、死体すら見えない。





爆煙が全て晴れるころ、初春は、己のいた空間だけが、奇跡的に爆発を逃れたことを知る。



その空間は、一人の勇気ある女子中学生と一人のお節介な男子高校生が、文字通り、命を賭けて、守り抜いたものだとは、初春と女の子は知らない。

23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 19:54:00.23 ID:WZZv7XDn0
…………





あれ?


私は確か、セブンスミストで初春さんと一緒にいて……



そしたら、小さな女の子がぬいぐるみを持ってこっちにきて、そのぬいぐるみが急に圧縮し始めて……


超電磁砲で投げ捨てたぬいぐるみを貫こうとしたけど、失敗して……

それから……確かアイツが突然現れて、私を守ろうとして……私の身体を……ギュッて……





??「…リ……ビリビリ……おい……」

24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 19:56:49.47 ID:WZZv7XDn0
あれ?アイツが何で……私の目の前に……ビリビリ?




??「ビリビリッ!!おい!?目を覚ませビリビリッ!!」


御坂「だからビリビリっていうなやぁぁぁぁあああっ!!!
!!」ガバァッ!!



ガンッ!!!


??「グハァッ!!!」ドサァッ!!



御坂は、勢いよく身体を起こし、声の主の顔面に頭突きを喰らわせる。



御坂「アイタタタタ……あれ?ここドコ?」





身体を起こして、周りを見渡した御坂の目に映ったのは、どこかのマンションの一部屋のような少し広い空間であった。

25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 20:16:21.31 ID:WZZv7XDn0
部屋自体に関して、強いて妙と言うならば、窓が一つも見当たらないことだろうか。



部屋には、どこかで見たような学園都市の学生と思われる者や、研究者と思わしき者。普通の大人。果ては、何故かヤクザのような者もいた。




そして、何より目立ったモノは……






御坂「な……何よ……あの真っ黒な球体は……」























部屋の端の方で圧倒的な存在感を放つ、真円と言えそうな程、完璧な黒い球体が御坂の視界に映った。

26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 20:17:23.50 ID:WZZv7XDn0
??「イテテテテッ……あの黒い玉から、お前は出てきたんだよ。俺もらしいけど」



御坂が頭突きをかましたツンツン頭の人物が、御坂へと黒い球体の説明をしてきた。



御坂「あの球体から出てきた?イマイチどーいうことかわからないわね……そして、何でアンタがここにいるのよ!!」



御坂はツンツン頭の人物に向かって吠える。




何故彼が、自分と共に、こんな訳のわからない場所にいるのか。




上条「上条さんだってわかりませんよ……セブンスミストにいたハズなのに、気がついたらココにいたんですから」



ツンツン頭の人物、上条当麻が困った表情で、御坂の問いに答えた。

27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 20:30:13.08 ID:WZZv7XDn0
御坂「私もセブンスミストに初春さん達といたハズなのよ……そして、爆弾魔が初春さんを狙っているって情報が入って……それで……」



御坂はその後が思い出せない。


いや、覚えているが、心がそれを認めようとしていないのだろう。







研究者「死んだんだろ?君も、そこの男も。そこの女の子は第三位の御坂美琴さんかな?これは驚いた」




突然、研究者のような格好をした男が、御坂や上条へと尋ねた。

28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 20:34:23.64 ID:WZZv7XDn0
御坂「……へ?し、死んだって……何言ってるのよ貴方!!どこをどう見ても、生きてるじゃない!?私もこいつも!!」



研究者「確かに、今私達は、生きていると感じているだろう。しかし、君には無いのかい?先ほど自分が死んだ記憶が」



御坂「うっ……」



御坂は言葉を詰まらせる。

心が必死に否定し、隠していたことを、ズバリ研究者の男に言われてしまったからだ。

そして、全てを思い出した。



あの時、セブンスミストで自分は、超電磁砲を外し、恐らく爆発をモロに受け、死んだのだろう。
しかも、目の前の男、上条当麻に守られるように、抱きかかえられながら。




思い出したトコロで、御坂の顔が密かに赤くなっていった。

29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 20:37:39.60 ID:WZZv7XDn0
御坂「(まさかアイツは私を助けようとして死んだの?しかも、あんなに必死に……あんなに強く抱きしめながら私を……)」カーッ///



研究者「それに、そこの彼は見たハズだ。その女の子が、どのようにしてこの部屋に現れたのか。
あんな現れ方、学園都市の科学を持ってしても、説明が出来ないのだよ」



上条「…………」



上条は、ただ黙っている。



御坂「現れ方?何よ……一体どんな現れ方をしたってのよ私が!!」


上条「……すぐにお前もわかるさビリビリ……次のお客さんが到着だ」



御坂「だからビリビリって言う……何これ?」

30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 20:41:06.56 ID:WZZv7XDn0
御坂は目をしっかりと見開いて、目の前の現象を注視している。




黒い球体から放たれたレーザーのようなモノの先から、人間の履いている靴が創り出されているのだ。



それは、例えるならば、FAXのようなものであろうか?



少しずつ、レーザーが足首から上の部分を創り出していく。


まず、ジーパンが見えた。どうやら、この創り出されているモノは男のようだ。


次に、橙色のジャージ。上下合わせると、よくスキルアウトなどが着ていそうな服装である。




最後に顔の部分。
金髪でピアスを付けた、完全にスキルアウト風の男が創り出され、その瞬間、男は辺りを見回した。

31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 20:49:27.43 ID:WZZv7XDn0
??「あれ!?ここはどこだ!?確か俺は、今の今まで、他のスキルアウトのチームと一戦交えていたハズじゃ……」キョロキョロ




学生「おいおい……今度はスキルアウトかよ……」



ヤクザ「何やあの兄ちゃんは?あれが今時の不良なんか?俺らの時とは全然違うのぅ……」



研究者「ちっ、無能力のクズか……使えなさそうだな……」ボソッ……



部屋に居た人物達が、男の感想をそれぞれ述べている。

32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 20:52:45.58 ID:WZZv7XDn0
御坂「な……い、今のって……」


上条「お前もあんな風に出てきたんだよビリビリ。多分、ここにいる全員な。
よぉ、アンタは俺と同じくらいの年だろ?俺は上条当麻だ。よろしくな」


上条が、スキルアウト風の男に声をかける。



??「ん?お、おぉ。俺は浜面仕上だ。よくわからんがよろしくな。
ところで上条……だったよな?早速聞きたいことだらけなんだが……ここは一体どこなんだ?」




上条は、自分の知っていることを全て浜面に話した。

周りのモノは、浜面がスキルアウトに見えることで、誰も話しかけようともしなかった。

まぁ、ヤクザのようなおっちゃんがいるのに何を今更だが。


その間、ヤクザ以外の人間は、御坂への質問タイムになっていた。

33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 20:55:19.66 ID:WZZv7XDn0
浜面「なるほど……つまり俺は……いや、ここに居るヤツは、皆死んだ記憶があって、訳のわからん方法で、あの黒い球体から創り出されたってことか。

…………全然意味がわかんねぇ」



上条「上条さんもあまり頭がよろしくないもので……まぁ、とにかく、俺らは本当に死んで、ここはあの世なのか?
それとも、死ぬ寸前に、未知の技術でここに運ばれたのか?

このどちらかなんだろうな……出来れば死んでてほしくはないが。ちなみに、お前は何で死んだんだ?浜面」

35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 20:57:28.57 ID:WZZv7XDn0
浜面「俺は、見た目通りスキルアウトでな。まぁ、よくある話さ。

スキルアウト同士の抗争の中で、勢い余って死亡。詳細はよく覚えちゃいねぇが、どうせそんなもんだろう。我ながら、つまらない死に方だな。

お前みたいに、女の子を守って死ぬような、かっこいい死に方がよかったよ。俺は」



上条「結局守りきれてなかったみたいだけどな、アイツもここにいるってことは。
アイツは俺等と違って、常盤台のエースだ。慕ってくれる子達も沢山居ただろうに……不甲斐ない話さ」



上条や浜面は、御坂の方を遠い目で見ている。



そんな時、不意に黒い球体から、どこかで聞き覚えのある音楽が流れてきた。


















あーたーーらしーいーあーさがきたー、きーぼーーのあーーさーーが











36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 21:01:27.94 ID:WZZv7XDn0
学生「な、何だ?何の曲だこれは」


ヤクザ「なんや。最近のガキは、ラジオ体操もしらんのか?せやからそんなモヤシみたいな身体なんや」


学生「う、うるさい!!僕をバカにするな!!殺すぞ!?」


メガネをかけた、貧相な学生が、ヤクザに喰ってかかる。


ヤクザ「威勢だけはいい兄ちゃんやな。そんなヒョロい身体でそれだけプライドが高いと、学生生活も難儀やろ?」


学生「うるさい黙れ!!殺す!!お前は僕が必ず殺してやる!!」


ヤクザ「おー怖い怖い」





上条「ていうか、何でラジオ体操が……」


浜面「悪ふざけにしては不気味すぎるな……」


御坂「あ、見て!!何か、球体に、文字が浮かんできたわよ!?」


37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 21:14:23.98 ID:WZZv7XDn0
●『てめぇたちの命はなくなりました』



『新しい命をどう使おうが 私の勝手だす』





黒い球体に浮かんだ文字に、一同が騒然とする。




御坂「命は無くなりましたってことは……やっぱり私達……」


御坂の顔がどんどん青ざめていく。
やはり、自分はあの時、爆発に呑まれて死んでしまったのだろうか。



上条「まてよビリビリ……まだ諦めるのは早いんじゃないか?」


御坂「え?」


上条が、黒い球体の文字の一文を指す。

38: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 21:26:01.91 ID:WZZv7XDn0
上条「ここに新しい命って書いてあるだろ?これは、俺たちには今、新しい命があるってことじゃないのか?

確かに俺たちは一度死んでしまったのかもしれないが、希望が一欠片でもあるのなら、それを掴むしかないだろ」



御坂「アンタ……そうね、確かにそうだわ。諦めるにはまだ早い。それで?これからどうすればいいの!?」



御坂は、黒い球体に向かって怒鳴りつける。



すると、黒い球体の表示していた文字が、別のモノに変わっていった。

39: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 21:29:38.30 ID:WZZv7XDn0
●『こいつらを倒してくだちい』







『ネギ星人』


特徴 つよい くちい

好きなもの ネギ

口癖 ネギだけで十分ですよ







浜面「ネギ星人?何だこれ?宇宙人ってか?」



上条「倒してくだ……さいか?これ?倒せってどーいうこと何だ?」



御坂「好きなものネギって……ひねりも何もないわね」




各々が、画面を見て感想を述べる。


数十秒も経つと、表示されていた文字などは消えてしまった。


代わりに次の変化が現れる。

40: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 21:33:01.53 ID:WZZv7XDn0
●>>ドンッ!!!!!


御坂「きゃっ!?」


<<●>>ドンッ!!!!!


上条「へぶっ!?」ドカァッ!!!



突如、黒い球体の両サイドが勢いよく開き、側にいた上条が部屋の隅に追いやられる。


浜面「何だ……これ?銃?」


球体の両サイドに開いた中には、見たこともない、恐らくは銃であろうモノが、数種類入っている。



学生「ほ、他にもケースみたいなモノが入ってるぞ?名前みたいなのが書いてある」



学生が、ケースを一つずつ取り出していった。ケースには、それぞれあだ名のようなモノが書かれてある。

41: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 21:34:56.89 ID:WZZv7XDn0
『やくぢ』



ヤクザ「……これは俺のケースのようやな……」



『センセー』



男「ぼ、僕のケースですかね?これ」




『キャシャリン(笑)』



学生「誰がキャシャリンだ!!僕には介……いや、何でもない……くそぉ!!せめてメガネとかでいいだろ!!」




『天サン』


研究者「…………」スッ……


研究者の男は、黙ってケースを持ち、部屋をから廊下へと出て行った。

42: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 21:36:13.17 ID:WZZv7XDn0
『はーまづらぁ』



浜面「……何だ?何か急に寒気が……」ブルッ……




『ビリビリ』


御坂「ちょっと!!何でこれにまでビリビリって書かれてんのよ!!アンタのせいよ!!!」



『そげぶっ!!』


上条「上条さんに当たらないでください!!それにしても何だ?そげぶっ!!って?本当に俺のケースなのかこれ?」


各々が自分のケースを持ち、開ける。




上条「これは……全身タイツのスーツか?何かところどころに機械がついてるけど……」



御坂「アンタのにも同じの入ってるの?てっきりバトルロワイヤルみたいに、ランダムでいろんなモノが入ってると思ったのに」

43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 21:37:57.73 ID:WZZv7XDn0
各々が、スーツをケースの中から取り出している。



くだらないとスーツを放り投げる者。

不思議そうにスーツを見ている者。

スーツそっちのけで、銃のようなモノを物色している者。


反応は様々であった。





上条「どうするこのスーツ……着るか?」

御坂「な、何で私に聞くのよ!?着たいなら勝手に着ればいいじゃない!!」

浜面「俺は流石にこれはちょっとなぁ……」



上条達は、スーツに対しての意見がまとまりそうにないようだ。

44: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 21:39:30.89 ID:WZZv7XDn0
上条「でも、わざわざ名前まで付けて、ケースに入ってたモノだしなぁ……うーん……」


御坂「わ、私はアンタがどうしても着たいって言うのなら付き合ってあげてもいいけど……」


浜面「俺はパスだ。それよりも、あっちの銃の方が興味深いぜ。何個か種類もあるみたいだしな」



浜面は、銃を物色しに、黒い球体へと向かっていった。




その時



男「うわぁぁぁぁぁあああ!!!な、何だこれはぁぁああっ!!」

45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 21:42:02.31 ID:WZZv7XDn0
突如、センセーとケースに書かれていた男が叫び声を挙げる。

見てみるとそこには、ヤクザと書かれていた男が、頭からどんどん姿を消していっている光景が見えた。


それは、例えるならこの部屋に来た時の逆再生のような映像である。




上条「な、何だ何だ!?一体何が起きてるんでせうか?」


御坂「知らないわよ!!……ってアレ?私も何か……ちょ、ちょっとどこよココ!!」ジジジジジ…………



ヤクザの男が完全に姿を消すと、今度は御坂が頭から姿を消し始めている。



どうやら、ランダムに何処かへと送られているようだ。

46: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 21:43:33.58 ID:WZZv7XDn0
研究者「…………」カチャカチャッ……



ふと、上条は天サンと書かれていた研究者の男の方を見る。

どうやら、球体の中から、銃を幾つか取り出しているようだ。
白衣を着たその下には、タイツスーツがチラリと見える。



上条「……やっぱりこれ着ていくか……ん?あれ?コレってすんげぇピチピチだな……シャツもパンツも脱がないと着れないのか?」ヌギヌギ



上条は、廊下で全裸になって、自分のスーツを着始めた。
しかし、かなり着るのに手こずっている。そうこうしている内に、上条の目の前の光景が変わっていく。



上条「ちょ、ちょっと待って!!上条さんの上条さんがまだ完全には……」ジジジジジ…………




そして、黒い球体のある部屋の中には、誰も居なくなった。

47: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/15(金) 21:45:10.40 ID:WZZv7XDn0
…………






ブゥゥゥウウウン……










●『いってくだちい』










『1:00:00』ピッ



57: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/16(土) 21:12:47.17 ID:UGk2rVod0
0:00





学園都市 第7学区 とある路地



御坂「外に出たのかしら……それにしても、いつの間にか夜になっていたのね。あの部屋、窓がなかったからわからなかったわ」


早めに黒い球体によって転送された御坂は、あちこちを見回していた。


どうやらここは、第7学区のようだ。よく帰り道に、自販機からジュースを奪……もとい、買って帰る公園が近くに見える。

58: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/16(土) 21:15:12.59 ID:UGk2rVod0
御坂「それにしてもどうやってあの部屋から移動したのかしら?
空間移動とかとは、また別みたいだし……んー、機械ではまだ、テレポートみたいな能力は再現できないハズだけどねぇ」



御坂が色々と頭の中で状況を整理している中、次々とあの部屋に居た者達が、転送されてきた。



そして、最後に、御坂がよく知るツンツン頭のお節介の顔が見えた。



上条「ゲッ!?ビリビリ!!」ジジジジジ……



御坂「ビリビリ言うな!!ようやく来たわね……ホラ、早くあのネギ星人ってのを探すわよ!!」

59: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/16(土) 21:17:49.46 ID:UGk2rVod0
上条「ちょ、ちょっと待てビリビリ!!少し向こう向いててもらえませんか?上条さん、今非常にマズイ状況なのですが……」ジジジジジ……



御坂「何訳のわからないこと言ってんのよ!!今以上にマズイ状況がそうそうあるわけ……」




転送されてきた、上条の姿を見て御坂が固まる。

スーツへの着替えが間に合わず、上条の上条が露出したままになっていたのだ。



御坂「あ……あ……」バチバチバチッ……

60: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/16(土) 21:24:10.36 ID:UGk2rVod0
御坂の身体から、紫電が走り出す。


学園都市第3位の超能力者。


常盤台の電撃姫。


『超電磁砲』御坂美琴14歳



そう、どれだけ強力な力を持とうが、彼女は14歳の女の子なのだ。


常盤台という、お嬢様学校に通っているため、もちろんそういった経験は皆無である。





したがって、こうなる。








御坂「フギャァァァアアアアアアッ!!!!!!」バチバチバチバチバチバチッ!!!!!


上条「ギャァァアアアアアアアアッ!!!!!!」バリバリバリバリバリバリッ!!!!!







上条の持っている切り札は、本来、御坂の電撃を物ともしないともしないモノである。


しかし、必死でスーツを着ようとしていた上条は、不幸にも手が完全に塞がっており、切り札を使うことができなかった。


結果、電撃の強烈な閃光と共に、二人の悲鳴が真夜中の路地に響き渡る。

61: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/16(土) 21:55:39.20 ID:UGk2rVod0
御坂「信じらんない!!あんなモノ女子中学生に見せるなんて!!トラウマになったらどうしてくれんのよ!!」


上条「だから向こう向いててくれって言っただろうが!!こっちだって危うく、一度も使わずに死ぬところだったんだよ!!


御坂「使うって何をよ!?」


上条「ナニだよ!!」



二人は引き続き、大声で言い合っている。



浜面「おいおい、お前らちょっと静かにしろよ!!こんな真夜中に、家が密集しているところでそんな大声出したら、人が集まってくるだろ!!」シーッ!!



浜面が、騒ぐ二人をどうにか鎮める。とは言っても、先ほどの御坂の悲鳴と閃光で、人が集まってきてもおかしくないのだが。


おかしくないのだが、辺りは整然としている。窓から顔を覗く者すら見つからない。





浜面「…………まぁ、いいか。ホラ、早くネギ星人とやらを見つけるぞ。まずは見つけなきゃ、先に進まないんだ」

62: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/16(土) 22:00:24.51 ID:UGk2rVod0
男「……本当ですか?その話は……」


ヤクザ「これがアンタらの実験とかいうモノなんか?」



研究者「えぇ、そうです。死後の世界という非現実、そこから更に極限状態に追い込まれた人間が、敵として設定された未知の目標に対してどう対応するかっていう実験なんですがね」


男「何の意味があるんですかその実験……ということは、僕らの死の記憶ってのは……」


研究者「えぇ。こちらで若干、記憶を操作させていただいています。つまり貴方達はまだ生きているんですよ。申し訳ありませんね」

63: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/16(土) 22:03:54.78 ID:UGk2rVod0
学生「どうして、それを僕達に教えるんだ?実験なんだろ?」




研究者「貴方達がこの場を離れ、それぞれ帰路に向かっていたからですよ。止むを得ず、説明して、この場に留まって頂く為です。

今のところ、私達以外の三人の子供達が、実験内容を知らずに進めています。

実験は、彼らメインで行うとして、内容を知っている貴方達には、彼らが目標へとスムーズに辿り着けるようにサポートしていただきたいのですよ。

もちろん、謝礼は致しますよ?実験終了の暁には、納得のいく額をお支払いいたします」

64: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/16(土) 22:11:24.05 ID:UGk2rVod0
学生「僕は金なんかいらない!!金があってもしばらく使いようがないんだ!!」



研究者「そういえば、貴方は……そうですね。それでは貴方には、恩赦として、刑の減刑をプレゼント致しましょう。
我々の研究に協力するという名目があれば、直ぐにでも保釈されますよ。確か介旅君……でしたかな?」



介旅「!?……どうしてそれを……」



研究者「……被験者の情報くらい、把握しておりますよ。と言っても、私のような末端には名前しか伝えられてませんがね」



介旅「……忘れないでくれよ、その条件」

65: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/16(土) 22:12:41.33 ID:UGk2rVod0
ヤクザ「それで?俺らはどうすりゃえぇんや?」



研究者「貴方達には、彼らを目標まで誘導してもらいます。
こちらが、目標の現在地を記したレーダーになってます。これを使い、彼らと共に、目標へと向かってください」



研究者の男は、ヤクザに小型のレーダーのようなモノを渡した。
レーダーにはここら一帯の地図が表示されており、そこに、赤い点が7つ、3つの青い点が、表示されている。


どうやら、この青い点が、目標のようだ。

66: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/16(土) 22:17:42.42 ID:UGk2rVod0
ヤクザ「ん?どうやって使うんや?コレ」


介旅「貸してくれ!!僕がやってみる!!」カチカチッ



研究者「それでは、よろしくお願いいたします。私は上司への現状報告後、直ぐに合流させていただきますので」




研究者がそう告げると、他の3人は一目散に、目標へと走って行った。
















研究者「……さて……」バチバチバチッ……



フッ……




3人がその場から去ったことを確認すると、研究者は何かの機械を操作し、バチバチと火花を散らしながら、その姿を完全に消した。

73: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/17(日) 13:10:28.39 ID:N+mwo/NV0
『00:40:50』



浜面「そっちはいたか?上条」



上条「いーや、それらしきヤツは見なかったな。この辺はスキルアウトも居ないのか、人っ子一人会わなかったぜ?」



御坂「繁華街ならわかるけど、住宅街だからねー、この辺りは。それに深夜だし、皆寝てるんでしょう」



浜面「クソ!!流石に闇雲に探しても見つからねぇか。仕方ない、もうちょっと探してくる」ダッ!!



浜面は再び、目標であるネギ星人を探しに走って行った。

74: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/17(日) 13:14:17.02 ID:N+mwo/NV0
上条「あんな情報だけで、探し出すのも難儀な話だよな……もっと何か手掛かりみたいなモノはないのか?」



御坂「うーん……ん?ちょっとアンタ、そのスーツについてる機械は何なの?」



御坂は、上条のスーツからコードの伸びたデバイスに目を付けた。



上条「ん?何だコレ?全然気づきませんでしたよ」チャキッ



御坂「ちょっと見せて……今まで見たことない機械ね……えーっと……」カチカチッ、カチカチッ



ピッ

75: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/17(日) 13:39:04.34 ID:N+mwo/NV0
御坂「あ、何か地図みたいなのが出た。……どうやらこの辺りの拡大地図みたいね。縮小は……これかな」カチッ


御坂がボタンを弄ると、周辺がわかるくらいまでに縮小された地図が、デバイスに表示された。


デバイスには、赤い点が7つ。それと、青い点が3つほど表示されている。



御坂「赤い点が7つ……確か、あの部屋にいたのも7人よね?
この私達がいる辺りの地点に、2つ赤い点があるし、赤い点は、私たちのことみたいね。
となると、この一人で行動してるのは、浜面さんかな?

だったら青い点が……目標のネギ星人ってことなのかしら?」

76: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/17(日) 13:40:21.55 ID:N+mwo/NV0
青い点は、全部で3つ。2つは、ここからかなり離れたところで共に行動しており、残った1つは、どこかのアパートの一室に表示されている。



上条「恐らくそうだろうな。凄いじゃないか御坂!!これで一気に事が進みそうだ」


御坂「だからビリビリって言う……え?今ちゃんと御坂って……」


突然、ちゃんと自分の名を呼んでもらえた為、御坂は少し戸惑っている。


上条「ん?どうした御坂?」


御坂「へ?い、いや別に……何でもないわよ……」

77: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/17(日) 13:41:19.04 ID:N+mwo/NV0
御坂「(なんだろ?ただちゃんと御坂って呼ばれただけなのに……ちょっと認められた感じがして嬉しいかも……)」


上条「お?浜面が3つの赤い点と合流したみたいだ。
そんで、そのまま1つだけある、青い点の場所に向かっているようだな。俺達も行こうぜ御坂」ダッ


御坂「へ?あ、ちょっと待ってよ!!」ダッ


上条と御坂は、アパートの中にいる青い点の元へと、仲間と合流すべく向かう。


78: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/17(日) 13:52:08.75 ID:N+mwo/NV0
…………



アパートの前



浜面「ここにネギ星人がいるのか?」


介旅「あぁ、間違いないね。このデバイスには、そう表示されている」



介旅、ヤクザ、センセーと書かれていた男。
そして、途中で彼らに出会い、半ば強制的に合流させられた浜面は、青い点の反応が1つだけあったアパートの前まで来ていた。



ヤクザ「こんな普通のアパートに宇宙人なんざおるんか?」


介旅「しょうがないだろ!?そう表示されているんだから!!」


男「ほ、本当に居たらどうしましょうかね……」ブルブル


浜面「そ、そうだな……倒せなんて言われても、どうすればいいのやら……」

80: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/17(日) 14:08:23.26 ID:N+mwo/NV0












介旅「そんなこと、簡単じゃないか。殺せばいいんだろ?この銃で」




メガネをかけた華奢な学生、介旅が、さらりとした口調で言った。









81: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/17(日) 14:09:56.22 ID:N+mwo/NV0
浜面「こ、殺すって……お前、そんな簡単に……」



介旅「なんだよ?別に間違ってないだろ何も。だってそれが目的なんだから」



ヤクザ「最近のガキは……よくもまぁ、そんなポンポンと殺す殺す言えるもんやなぁ」


介旅「さっきからうるさいんだよオッサン!!アンタなんざ、僕の能力を使えば、木っ端微塵なんだぞ!?」



ヤクザ「ハイハイ、凄いな兄ちゃんは」



ヤクザは、介旅の罵倒をまるで相手にしない。

82: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/17(日) 14:10:58.74 ID:N+mwo/NV0
介旅「クソゥ……どいつもこいつも僕をバカにして……見てろ?僕が速攻でケリをつけてやるよ!!」ダッ!!


介旅が、アパートの階段を登っていく。


男「ちょ、ちょっと!!君が事を進めてどうするんだよ!!」


浜面「ん?アイツが宇宙人に会うとマズイのか?」


男「あ、いや……どうしましょう、ヤクザさん……」ボソボソ


ヤクザ「別にどうもこうも、なるようにしかならへんやろ。報酬が無くなって恨むんなら、あの暴走しがちなモヤシを恨むんやな」ボソボソ



浜面「?」



そうこうしている内に、介旅が部屋の玄関の前に着いた。



85: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/17(日) 14:32:50.23 ID:N+mwo/NV0
ドンドンドンドンッ!!!!!



介旅「オラァッ!!出て来いよ宇宙人!!僕がぶっ殺してやる!!」



ドンドンドンドンッ!!!!!







ガチャッ……





介旅が乱暴なノックで中の住人を呼び出すと、不意にドアが開いた。





男「へ?」

ヤクザ「あぁん?」

浜面「……あれがネギ星人……なのか?」



アパートの下から様子を見ていた三人が、揃って頭に?を浮かべる。

86: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/17(日) 14:56:20.06 ID:N+mwo/NV0
介旅「…………お前がネギ星人なのか?」


ネギ星人「…………?」




目の前には、子どもほどの大きさの、少し顔色が白っぽく、細長い人物がいた。

髪の毛は逆立った緑色で、顔と合わせると白ネギを連想させる。



介旅「答えろよ!!お前がネギ星人なのか!?」チャキッ!!


介旅が銃を子どものネギ星人に向ける。



ネギ星人「ネ、ネギだけで十分ですよ」


子どものネギ星人は、驚いた様子で、よく意味のわからない言葉を返した。

87: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/17(日) 15:08:39.57 ID:N+mwo/NV0
介旅「あぁ?何言ってるんだよお前!!バカにしてんのか!?」


ネギ星人「ネ、ネギだけで!!ネギだけで十分ですよ!!」ドンッ!!


介旅「うわっ!?」ガシャンッ!!



ネギ星人が介旅を突き飛ばし、勢いよく部屋から飛び出した。



介旅「このっ……ぶっ殺してやる!!!」ジャキッ!!


カチッ!!


介旅が、銃をネギ星人へと向け、何故か二つあるウチのトリガーの一つを引いた。

88: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/17(日) 15:13:04.25 ID:N+mwo/NV0
……



介旅「あれ?この銃、弾とか何か出てこないのか!?」


介旅が、何も変化の起こらない銃をくまなく調べる。


その時、何かの拍子で、二つのトリガーを介旅が同時に引く。


その瞬間









ギョーンッ!!!!!







介旅「わっ!?」

浜面「おぉ、何か銃が光った!!」

男「でも弾とかは出ないんですかね?やはり、実験用のオモチャ……いえ、何でもありません」



その場に居た人間全てが、その銃から放たれた光に注目する。
ネギ星人に向けられていた銃は、青白い発光を上げたと思いきや、その光はすぐに消えた。

89: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/17(日) 15:19:55.77 ID:N+mwo/NV0
3



それと同時に、ネギ星人の子どもは、アパートの2階廊下から飛び降り、着地。そのまま逃走をはかる。



2


浜面「うぉっ!?降りて来た!!く、来るなら来やがれ!!」チャキッ!!


浜面は、驚きながらネギ星人へと持っていた銃を向ける。



1


ネギ星人「ネギ!!ネギあげますから!!ネギあげますから!!」ポロッ……

浜面「なっ!?……泣いてるのか?」スッ……



ネギ星人は、涙を流しながら、浜面へ何かを訴えかける。
それは、怯えた子供が、訳のわからぬまま、許しをこうような姿に見えた。




0


浜面「な、なぁ皆。やっぱりこんなの」


浜面が、他のメンバーに何かを訴えかけようとしたその瞬間

90: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/17(日) 15:21:25.15 ID:N+mwo/NV0

グチャアッ!!!!!



ベチャッ!!!




浜面「…………へ?」




ネギ星人「ギャァァアアアッ!!!」



突然、ネギ星人の腕が、内側から破裂するように爆発した。
それと共に、浜面にネギ星人の血が大量に降りかかり、ネギ星人は、爆ぜた腕の痛みにより絶叫した。





介旅「す……凄い!!凄いぞこの銃!!!何だ!?今の破壊力は!?」


その様子を見て、介旅が子供のようにはしゃいでいる。

91: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/17(日) 15:57:28.54 ID:N+mwo/NV0
男「な……なんだ?いきなり破裂……いや、爆発したのか……?」ガタガタ


ヤクザ「お、おいクソガキ!!お前一体何をやったんや!!」


介旅「何をって、ただこの銃で撃っただけだよ。何か問題でもあったのか?」



介旅が、階段を下り、こちらへと向かってくる。
その目は完全に血走っており、一言で言えば、イカレた殺人鬼のように見える。



浜面「な……あ……」ガタガタ……


浜面は、訳のわからぬまま震えている。

突然、目の前で人間の子供のようなモノの腕が爆ぜ、その血が大量に降りかかってきたのだ。まともな人間なら無理もない。

94: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/17(日) 16:53:28.91 ID:N+mwo/NV0
ギョーンッ!!!

ギョーンッ!!!




不意に、再びあの銃の発射音のようなモノが聞こえてきた。
全員が、振り返ると、介旅が再びネギ星人に撃っている。




3



ヤクザ「クソガキィ……」

浜面「……お前……まさか……」



2


介旅「なんだよ……もしかして実験の心配か?それならもう、このスキルアウトの結果は出ただろ。
この無能力者のクズは、ビビって何も出来ませんでしたってさ」



1



浜面「テメェ!!何が実験だ!!訳のわからねぇこと言ってんじゃねぇ!!」



浜面が介旅に激昂する。

95: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/17(日) 16:55:01.76 ID:N+mwo/NV0
ネギ星人「ね、ネギ……」


浜面「!?」



その時、ネギ星人が、手に持っていたネギを浜面に差し出しながら、こう言った。




0



ネギ星人「ネギあげますから……助けてくださ」




グチャアッ!!!!!

ドォォォォオオオンッ!!!!!





ドサァッ!!!

96: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/17(日) 17:01:00.45 ID:N+mwo/NV0
上半身が、完全に爆ぜたネギ星人の子供は、確認するまでもなく、そのまま死んでいった。


一発は外したのか、道路のアスファルトが派手に破壊されている。



浜面「あっ…………」


浜面は、言葉も出ず、ただその様子をジッと見ていた。

そして、全員の視線は、そのまま介旅へと移る。




介旅「なんだよ……文句あんのか?お前ら……」チャキッ!!


介旅は、今度は浜面達に向かって銃を向ける。

97: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/17(日) 17:03:43.89 ID:N+mwo/NV0
ヤクザ「このクソガキィ……ようそんな簡単に人を殺せるのぉ?」


介旅「何言ってんだ?さっきのガキは、どう見ても人間じゃないだろ?大方、学園都市が作った変な生き物さ。

それに僕は、既に能力で人を殺してるんだ。誰も僕の力を認めようとしないからな!!1人2人増えようが、別に大した差はないさ」



ヤクザ「何寝言言っとんのじゃ、この……」




ヤクザと介旅が殺気立つ中、ふと全員の視線が一箇所に集中する。

98: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/17(日) 17:05:24.31 ID:N+mwo/NV0
学生「…………」ジー


ふと、アパートの一室から、学生らしき男の子がこちらを見ている。


浜面「!?オイ、アンタ!!警備員を呼んでくれ!!」


介旅「な!?お前!!」チャキッ!!


介旅は浜面に銃を向ける。


しかし、その銃が浜面に発射されることは無かった。



学生「す、スゲー!!何かスゲー道路が壊れてるよ!!写メっとこっと!!」ピロリンッ



学生は、写メを撮ると、そのまま部屋の中へと戻っていった。

99: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/17(日) 17:11:09.52 ID:N+mwo/NV0
浜面「…………」

介旅「…………」


ヤクザ「どういうことや……」

男「見えてましたよね?私達……なのに気づかれてないような……」


4人は、不思議そうに呆然としている。



介旅「……クッ、ククッ……」


ヤクザ「何や?何がおかしいんや?」



介旅「シックスセンスって映画のオチ……知ってるか?まさに今の僕らのようだ……やっぱりこれは、実験なんかじゃなく……僕らは本当に……」





死んでいる。




介旅がそう、言い終わる前に、背後からただならぬ気配を感じた。

100: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/17(日) 17:12:18.97 ID:N+mwo/NV0
背後には、大きな影と、それより少し小さな影が見える。




ネギ星人父「…………」

ネギ星人母「ア……ア……」



影の正体は、ネギ星人と同じような配色をした、2mほどの大男と、エプロンをかけた170cmほどの女性?であった。



二人とも、目からは涙のようなモノを流している。子供のネギ星人の両親なのだろうか。




介旅「あのガキの親か?どっちも化け物みたいな顔しやがって……」チャキッ!!



介旅が銃を二体に向ける。

101: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/17(日) 17:17:06.54 ID:N+mwo/NV0
ネギ星人父「ォォォオオオオオッ!!!!」

ネギ星人母「ァァァアアアアアッ!!!!」


二体のネギ星人が声を揃えて吠える。

自分の子供を殺されたのだ。人間も星人も、その悲しさや怨みは共通するのだろう。


そして、強烈な殺意の篭った視線を、4人に向ける。



男「あ…あぁ……」ガタガタ


ヤクザ「……おい、そこの兄ちゃん……お前はこっから早よぅ逃げろや」


浜面「そ、……そんなこと……出来るわけ……」ガタガタ



浜面やセンセーは、その強烈な殺気に当てられ震えている。

102: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/17(日) 17:18:26.45 ID:N+mwo/NV0
ヤクザ「お前はあのクソガキと違うて、少しは聞き分けのありそうなガキやからな……。
それに、これはお前らを利用して、金を得ようとした俺らへの罰みたいなもんや……」



浜面「利用?何だよそれ!?そんなこと言われても俺だけ逃げるなんざ」



ヤクザ「えぇからさっさとこっから去ねや!!!」


浜面「!?」ビクゥッ!!


ヤクザの恫喝に、浜面が驚いて固まる。



浜面「……わかったよ……すぐに頼りになりそうな助けを呼んで来てやるからな!!」ダッ!!



浜面は、走ってその場を後にした。

103: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/17(日) 17:20:24.44 ID:N+mwo/NV0
男「ヒ……ヒ……」ガタガタ


ヤクザ「何や、大の男が情けない……アンタ教師なんやろ?」


男「え、えぇ……一応小学生の……だってこんな状況ですよ?貴方は怖くないんですか?」ガタガタ


ヤクザ「……俺かて怖いわ……でもな、大人やったらガキを守る為に踏ん張らなあかん時があんのや……それに、それが教師ってもんやろ」



男「!?ま、まさか貴方も……」



ヤクザ「……俺も教師や。見た目でようヤクザに間違われるけどな……ほら、アンタも少しは教師としての根性出したらんかい!!」チャキッ!!


ヤクザもとい、ヤクザ風の教師が、浜面の逃走路を塞ぐように、銃を構え、ネギ星人夫妻に立ち塞がる。

104: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/17(日) 17:22:51.03 ID:N+mwo/NV0
介旅「……くだらない……たかがスキルアウトのクズ風情にムキになって……お前ら全員くだらないんだよぉぉぉおおおっ!!!」ジャキッ!!


その様子を見ていた介旅が、銃の2つのトリガーに指をかける。


狙いなんてどうでもいい。

実験なんてどうでもいい。

この場にいるモノ全てを殺してしまえばそれで終わりだ。





ネギ星人夫妻「「ォォォォォォオオオオオオッ!!!!!」」ダッ!!!



その瞬間、ネギ星人夫妻が、声を荒げながら、それぞれ動き出した。

119: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/18(月) 22:09:51.53 ID:rTtIc1mM0
『0:20:36』



タッ、タッ、タッ、タッ


浜面「クソッ!!クソォッ!!情けねぇ!!逃げるしか俺には出来ねぇのか!?」タッ、タッ、タッ、タッ



浜面は、ネギ星人夫妻のいたアパート周辺からひたすら逃げる。




正直、あの二体のネギ星人を見た瞬間、自分は心底怯えていた。


まるで、柱に括り付けられて、飢えた猛獣の前に差しだされたような気分。


自分は確実に、アレに殺されると確信してしまったのだ。


そして今、アレから逃げているこの瞬間にも、悔しさと共に、心から安堵している自分がいる。

120: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/18(月) 22:12:28.07 ID:rTtIc1mM0
浜面「……最低だ……俺は……」



自分のような、ただのスキルアウトには、どうすることもできない。

今、自分にできることは1つしかないのだ。




浜面「ハァッ、ハァッ、見つけたぞ!!お前ら……」ゼェッ、ゼェッ



ネギ星人のアパートまで向かって行った道を戻り、目的の人物とようやく合流する。


コイツなら何とかしてくれるハズだ……無能力者の自分とは違う、超能力者……学園都市第3位の実力者であるコイツなら……

121: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/18(月) 22:18:38.31 ID:rTtIc1mM0
御坂「浜面さん!!どうしたの!?そんなに息を切らして!!」


上条「俺たちも、お前らと合流しようとそっちに向かってたんだが……何かあったのか!?」



ただならぬ様子の浜面に、アパートへと向かっていた上条と御坂が声をかける。



浜面「ハァッ、ハァッ、頼む御坂……あの人達を……あのオッサンを助けてやってくれ……頼む!!」

122: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/18(月) 22:22:28.66 ID:rTtIc1mM0


『00:18:01』




…………



『実験終了です。皆さん、お疲れ様でしたー』



男「ん?あれ?ネギ星人は?」



『大丈夫、ネギ星人なんていませんよ。これは、実験です。作りモノだったんですよ。今までの事は』



男「そ、そうか……そうだったんだ……」



『怖い思いをさせてすいませんね。これはささやかな謝礼です』



男「よかった……全部作りモノだったんだ……よかった……」





センセーとケースに書かれていた男は安堵した表情で、天を仰ぎながら笑みを見せていた。


















もちろん、これは夢でも作りモノでもない。

123: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/18(月) 22:33:47.02 ID:rTtIc1mM0
男「全部……全部夢だったんだ……よかった……」ブシュゥゥウウッ!!!



男の両腕は、鋭利な刃物のようなモノで切断され、そこから血が止めどなく溢れている。


もはや立ち上がる力すら残っていないだろう。




……いや、立ち上がる心が、彼には欠片も残っていないだろう。

逃避した夢の中で、ゆっくりとセンセーは笑みを浮かべながら、意識を失っていった。

124: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/18(月) 22:36:30.96 ID:rTtIc1mM0
『00:14:03』




介旅「クソォッ、クソォッ!!!何で僕がこんな目に!!!」ドクドクッ……



介旅は、先ほどまでとは、数百メートルほど離れた、別のアパートの駐輪場スペースで、息を殺して隠れていた。

今日は、燃えないゴミの日なのか、近くのゴミ捨て場には、ビンや空き缶などのが捨てられている。




浜面逃走後、残る3人に襲いかかってきたネギ星人夫妻は、まず、銃を構えていたセンセーの両腕を引き裂いた。


彼らの手に生えた爪は、さながら日本刀のような斬れ味を持っており、人間の身体を簡単に斬り刻む。



あっと言う間にセンセーは血飛沫をあげて倒れ、ネギ星人父が介旅へ。

そして、ネギ星人母がヤクザへと向かって行った。

125: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/18(月) 22:43:17.34 ID:rTtIc1mM0
その後、介旅は逃げながら銃をネギ星人父に撃ち続けたが、周囲を破壊するだけで、ネギ星人父には当たらない。


彼の怯えと焦りが、照準を大きく狂わせているのだ。


己の器に合わない力など、いざという時には何の役にもたたない。

『レベルアッパー』と言う、安易な能力アップの手段に手を出す彼には、決して理解できないことだろう。


仮初めの力というモノが、どれだけ酷く脆いモノだということを。

126: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/18(月) 22:48:02.59 ID:rTtIc1mM0
介旅「クソォッ!!この銃が不良品なんだ!!全然あの化け物に当たらないじゃないか!!」ガシャンッ!!



介旅が、銃を思いっきり壁に投げつける。


ザッ、ザッ、ザッ、ザッ



すると、その音に釣られたのか、誰かがこっちに向かってくる足音が聞こえてきた。


介旅「ッ!?お、落ち着け……そうだ、あの逃げた腰抜け達かもしれないじゃないか……デバイスで、確認すれば……」ピッ

127: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/18(月) 22:54:05.53 ID:rTtIc1mM0
介旅「~~~~~!?」



デバイスを確認した瞬間、介旅に絶望が訪れる。



青い点が……星人が自分のいる場所のすぐそこまで来ているのだ。




ネギ星人父「…………」キョロキョロ


ネギ星人父が、介旅が隠れているアパートのすぐ前で辺りを見回している。



介旅「(どうする!?どうやってアイツから逃げ切る!?クソ、アイツらの誰かが近くを通ってくれれば、そっちに気を取られている内に逃げられるのに……)」

128: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/18(月) 23:00:36.15 ID:rTtIc1mM0
自分から仕掛けておいて、自分勝手極まりない考えしか、介旅には思い浮かばない。


どうにか魔法のようにアイツから……魔法?



介旅「そうだよ……僕には力があるじゃないか……あんなクズ達とは違う力が……」



介旅の目には、ゴミ捨て場に捨てられている空き缶が映っている。






メキィッ!!!


ネギ星人父「!?」バッ!!


突然、鳴り響く乾いた音に、ネギ星人父が反応する。



目の前には、燃えないゴミ袋が。

129: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/18(月) 23:05:10.01 ID:rTtIc1mM0
よく見ていると、中に入っている空き缶が、次々と圧縮されているように見えた。


ネギ星人父には、何が起こっているのか理解できていない。




介旅「僕には力があるんだ……あんなクズ共何かとは違う……」



介旅が、学園都市の能力開発にて得た『量子変速』という能力。

それは、簡単に言えば、アルミを爆弾へと変える力。


レベルアッパーで強化された今の彼ならば、アルミさえあれば、遠隔操作で強力な爆弾を作れる。


彼が爆弾の材料にしたのは、ネギ星人父のすぐ近くにあるゴミ袋の中身。




アルミの空き缶である。







介旅「僕以外の何もかも……みんな消し飛んじまえ!!!」




カッ!!!!!




その瞬間、辺りに爆音が響き渡り、爆炎が闇を照らした。

140: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/19(火) 18:55:04.09 ID:f21HmSBQ0
『00:17:32』



ネギ星人のアパート前



ネギ星人母「ォォォォォォオオオオオオッ!!!!!」


ネギ星人母は、子供を失った悲しみを、天に向かって、耳を劈くような叫びで表している。



ヤクザ「ガハッ……これは……もうアカンな……俺は……」ドクドクッ……



傍らには、ヤクザもとい、ヤクザ風教師の男が、壁に寄りかかるように倒れている。

腕や背中からは、大量に血が流れているようだ。



浜面が逃走してからおよそ3分足らず。

たったそれだけで、あの場に居た3人は、それぞれ瀕死の状態になっていた。

141: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/19(火) 19:00:21.21 ID:f21HmSBQ0
ヤクザ「あの兄ちゃんはちゃんと逃げたんかな……俺らが命張って逃がしたんや……逃げ切ってくれな怨むでホンマ……」ゲホッ、ゲホッ!!



ネギ星人母「!?」ユラァッ……



咳に反応したネギ星人母が、ヤクザにトドメを刺そうと、ゆっくり近づいていく。


ヤクザ「そうやろな……アンタにしたら、自分の子供を殺されたんや……俺ら皆殺しにしても、気が晴れんやろな……」



ネギ星人母「…………」ザッ、ザッ、ザッ

142: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/19(火) 19:03:06.76 ID:f21HmSBQ0
ヤクザ「俺には子供はおらんが……アンタの気持ちはわかるつもりや。好きにしたらえぇ……。
せやけど、できればそれは、俺で終わりにしてくれや……」


ヤクザは、力が抜けたように、ネギ星人母へと懇願する。



「終わらせないわよ……貴方みたいな人は死なせない!!」バチバチバチバチッ!!!




ネギ星人母「!?」


バチバチバチバチッ!!!!!




次の瞬間、ヤクザへと歩みを進めるネギ星人母へと、強烈な電撃の槍が叩き込まれた。


ネギ星人母は、そのまま電撃の衝撃により、数メートルほど、くの字に吹き飛ばされる。

143: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/19(火) 19:09:44.46 ID:f21HmSBQ0
ヤクザ「これは……」


ヤクザは目の前で起きた出来事に目を見開いている。



浜面「オッサン!!大丈夫かオッサン!?」


ヤクザ「お前……アホが……何で戻って……」ゲホッ、ゴホッ!!


浜面「ひでぇ怪我だ……もう喋るなオッサン!!」ビリビリィッ!!!


浜面は、上着のジャージを脱ぎ、包帯代わりにすることで、ヤクザの止血を行う。




バチバチバチバチッ……バチバチバチバチッ……


御坂「間に合ったのかしら……酷い怪我……」バチバチバチバチッ……

144: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/19(火) 19:13:48.46 ID:f21HmSBQ0
ネギ星人母に電撃の槍を叩き込んだ張本人、『電撃姫』御坂美琴が、遠目からヤクザの様子を心配そうに見ている。



御坂と上条は、浜面から大体の事情は聞いている。



介旅が、子供のネギ星人を殺してしまったこと。

それに怒り狂って、ネギ星人の両親が現れたこと。


御坂「……この人は間に合わなかったか……」スッ……



御坂が、既に事切れているセンセーの元へとしゃがみ込む。


そして、ゆっくりと、センセーの目を閉じさせた。

145: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/19(火) 19:15:42.54 ID:f21HmSBQ0
御坂「さっきのがネギ星人の母親か……いくら宇宙人っていっても、あの電撃をまともに喰らえば……」スッ……






立ち上がれないハズ。


御坂はそう願っていたが、そう簡単にはいかない。



ネギ星人母「…………」スッ……



転倒していたネギ星人母がゆっくりと立ち上がる。
どうやら、身につけているエプロンが多少焦げた程度で、さほどダメージは受けていないようだ。



ヤクザ「嬢ちゃん……気をつけぃ……ヤツの爪はナイフみたいに……」ゲホッ、ゴホッ!!


浜面「だから喋るなって!!大丈夫だ!!あの子は学園都市第3位だぜ?」



ネギ星人母「ガァァァァアアアアッ!!!!」ダッ!!



叫びながら、ネギ星人母が御坂へと突進してくる。
手の爪は、刀のような斬れ味を持ち、御坂の柔らかい身体など、容易く斬り刻むだろう。




近づければの話だが。

146: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/19(火) 19:17:07.47 ID:f21HmSBQ0
ピィンッ!!


御坂が、一枚のコインを宙に飛ばす。


御坂「ごめんなさい……どう考えても悪いのはこっちだってのはわかってる……」スッ……


バチバチッ、バチバチッ!!


御坂は、右腕をネギ星人母の方へと真っ直ぐ伸ばす。

指先には、電気が集まっている。





御坂「だから……ごめんなさい……」バチバチバチバチッ!!






キィンッ!!!


そのまま、落ちてきたコインを、右手の指で弾く。

その瞬間、凄まじい速度とパワーで、ネギ星人母へとコインが飛んでいった。

147: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/19(火) 19:23:12.77 ID:f21HmSBQ0
ゴォォォォォォォォオオオオオオオオッ!!!!!



コイン自体は僅か数メートルほどで、あまりのエネルギー量に耐えられず消滅するだろう。
しかし、発生したエネルギーは、そのまま目標へと突き進む。



御坂美琴の代名詞である、必殺の能力『超電磁砲』が、向かってくるネギ星人母を、容赦無く襲う。

148: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/19(火) 19:36:01.90 ID:f21HmSBQ0
…………




シュゥゥゥゥウウッ……



御坂「加減は十分にしてるわ……しばらく倒れてて頂戴」



眩い光と、凄まじい轟音・衝撃が静まると、そこには数十メートルほど吹き飛ばされ、倒れ伏している黒焦げのネギ星人母の姿があった。


本来の威力ならば、いくら宇宙人とはいえ、跡形も無く粉砕出来るハズだが、御坂にはその覚悟は未だ無い。



無くてもいい覚悟なのだ。殺す覚悟など。



そんな覚悟、本来の女子中学生『御坂美琴』ならば。

149: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/19(火) 19:39:21.50 ID:f21HmSBQ0
ヤクザ「ハッ……途轍もない嬢ちゃんやな……恐れいるでぇ……」


浜面「御坂!!大丈夫か!?」


御坂「えぇ、私は平気。……気分は最悪だけどね……」





カッ!!


ドゴォォォオオオオオオオオッ!!!!!




浜面「わっ!?」

御坂「きゃっ!?」




突如、数百メートルほど離れたところで、爆発が起きる。

規模はそこまで大きくなさそうだが、爆音がここまで響いてきたようだ。

150: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/19(火) 19:49:25.65 ID:f21HmSBQ0
御坂「何よ今の爆発……」


浜面「……介旅だ、多分。多分、アイツの能力による爆発だろう」



浜面と御坂は、爆発の起きた方向をジッと見ている。



浜面「大丈夫なのか?アイツも俺と同じ無能力者だろ?」


浜面は、もう一つの青い反応へと向かった男の身を案じる。


御坂「大丈夫よ、アイツなら。何たってアイツは……」


御坂は、真っ直ぐ爆発の方向を見つめている。
そして、ふと浜面の方へと顔を向ける。それはそれは、何ら不安を匂わせない笑みで。



御坂「何たってアイツは、第3位のこの私より、遥かに強いんだから。しっかりあのバカに、お灸を据えてくれるわよ」ニコッ

151: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/19(火) 19:54:33.07 ID:f21HmSBQ0
『00:10:03』



介旅潜伏アパート前



介旅「……ヒヒッ……キヒヒッ……」プルプルッ……


ネギ星人父「…………」プスプスッ……


ヒュォォォォォォオオッ…………



介旅の能力による、爆発が起きたこの場所には、倒れ伏すネギ星人父とそれを見下ろす介旅の姿があった。




介旅「アッハッハッハッハッハッ!!!ざまぁみろ!!何がネギ星人だこの野郎!!
僕にこんな傷までつけやがって!!この野郎!!この野郎ォ!!」ゲシッ!!ゲシッ!!



介旅は、倒れているネギ星人父に、更に蹴りを喰らわせている。

152: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/19(火) 20:02:20.48 ID:f21HmSBQ0
介旅「痛ってぇ……固ぇんだよテメェ!!コンクリートみてぇな身体しやがって!!僕の足が怪我したらどうしてくれんだよ!!」ゲシッ!!ゲシッ!!



ネギ星人父「…………」



人間より遥かに固い身体を持つネギ星人に、文句を垂れながら、介旅は更に蹴りを喰らわせていく。



介旅「ハァッ、ハァッ、あー疲れた。もういいや。飽きちまった」ジャキッ!!



介旅が、拾いあげた銃を、ネギ星人の頭に付けるように構える。



介旅「じゃあな、宇宙人。親子共々、お前等みたいなクズが、僕に殺されるだけでも光栄に思えよ」グッ……


そして、二つのトリガーを同時に引……

153: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/19(火) 20:07:54.51 ID:f21HmSBQ0
ガシッ!!


ギョーンッ!!!



……引く寸前に、無理やり銃口を逸らされた。




介旅「な……あ……」ガタガタッ……


ネギ星人父「…………ッ!!」ググググッ……



突如、ネギ星人父の手が銃口を掴み、無理やり逸らしたのだ。
介旅の能力で起こした爆発程度では、ネギ星人を仕留めることはできなかったのである。

154: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/19(火) 20:18:16.85 ID:f21HmSBQ0
ドォォォオオンッ!!!



突如、ネギ星人父の側の道路が爆発する。先程の銃の効果のようだ。


そのままネギ星人父は、ゆっくりと立ち上がり、介旅から銃を取り上げ、投げ捨てた。



介旅「ひ……ヒィッ……」ガタガタッ……



介旅は心の底から震えあがる。



何故だ。


何故僕の能力が通用しない。


レベルアッパーで強化した僕の能力が……









理由は簡単。


今の介旅には、レベルアッパーの加護は存在しないからである。

155: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/19(火) 20:33:27.80 ID:f21HmSBQ0
話は少し遡る。





御坂や上条が遭遇した、セブンスミストの爆発事件。
これは実は、介旅が起こしたモノなのだ。


しかし、その際に、現場付近に居た所を警備員に捕捉され、髪の長い肉付きのよい、長身の女性の警備員の誘導尋問によって、まんまと自白同様の証言をしてしまい、逮捕となった。



絶望した彼は、留置場内での自殺を試みるが、意識を失う寸前に、黒い球体の部屋へと転送されてしまう。

156: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/19(火) 20:36:35.81 ID:f21HmSBQ0
ここからが本題である。





介旅が使っていたレベルアッパー。



文字通り、聞くことで、簡単に能力レベルが上がる音楽ファイル。



後に明らかになることだが、これは、音楽ファイルを利用して、使用者の脳波を操作し、使用者の複数の脳を纏めて、ネットワークを作り、それを一つの高性能スーパーコンピュータとして活用しようとした、とある女性の副産物なのである。



要するに、介旅らレベルアッパーの使用者は、他の人間の脳も使うことで、自らの能力の強度を高めていたのだ。




しかし介旅は、黒い球体に転送される際、脳にとある処置をされた為、脳波が正常に戻り、レベルアッパーのネットワークから外れてしまったのだ。



先程の爆発も、見た目自体は派手だったのかもしれないが、威力は、セブンスミストを爆破した時に比べれば、対したことはない。



これが、レベルアッパーという、仮初めの力に、最後まですがっていた男の、哀れな末路である。

157: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/19(火) 20:43:47.74 ID:f21HmSBQ0
ネギ星人父「ォォォオオオオオッ!!!」ブンッ!!



介旅「ヒィッ、ヒィヤァァァアアアッ!!!」



子を殺された父親の、容赦の無い一撃が、介旅に振り下ろされる。









ガシィッ!!!



ネギ星人父「ッ!?」


介旅「アアアアアッ!!!ア、ア……?」



介旅は、身体のあらゆる穴から色々なモノを垂れ流しながら、唖然とする。



目の前には、彼がクズと罵る、1人の無能力者の男が、ネギ星人の腕を掴み取っていたのだ。

158: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/19(火) 20:55:30.98 ID:f21HmSBQ0
上条「…………」


研究者の男を除いて、ただ1人、球体の中に入っていたスーツを着ている男。

上条当麻が。







上条「…………」ググググッ!!!


ネギ星人父「グ、グォォオオッ!!!」ビキビキビキッ!!!


上条がネギ星人父の腕を握り締めると、ネギ星人父は、苦痛の表情を浮かべる。



威力は弱くとも、通常の人間なら悪くて重傷。
足元くらいの至近距離なら死に至るほどの爆発を、モノともしなかったネギ星人が、ただの人間の握力に掴まれただけでこれほど苦しむとは。



先程まで死の恐怖に震えていた介旅には、これ以上ない僥倖である。

159: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/19(火) 21:01:45.88 ID:f21HmSBQ0
介旅「い、いいぞ!!いいぞお前!!やるじゃないか!!ほら、そのままヤっちまえ!!」



上条「…………」ブンッ!!



ネギ星人父「ォォォオオオオオッ!!!」ギュォォオオッ!!


ドォンッ!!!



ネギ星人父「ガッ……」


ガラガラッ!!



上条は、そのまま腕を掴んだまま、思いっきりネギ星人父を壁に叩きつけた。

叩きつけられた壁は、あまりの衝撃に崩れ落ちていく。

160: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/19(火) 21:03:06.65 ID:f21HmSBQ0
ネギ星人父「ォォ……ォォォオオオオオッ!!!!」バッ!!


ネギ星人父が立ち上がり、両手を広げながら、上条へと再度襲いかかる。



斬れ味抜群の爪が、上条の両サイドから振り下ろされる。




上条「………悪い……」ザッ!!



爪が上条へと振り下ろされる前に、上条が一歩前に出て、ネギ星人の懐に踏み込む。




上条「ウォォォォォオオオオオッ!!!」ブンッ!!



そのまま力任せに、右拳をネギ星人父へと振り上げた。

162: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/19(火) 21:05:20.77 ID:f21HmSBQ0
バキィィィィィイイイッ!!!!!



ネギ星人父「ッ………」



上条に思いっきり殴られたネギ星人父が、宙を舞う。



ズザァァアアッ!!!


そして、10メートルほど吹き飛ばされた後、地面へと落下した。



介旅「ハ、ハハ、やるじゃないかお前!!無能力者のクセに!!」バンバンッ!!


上条「…………」


介旅が上条に近づき、乱暴に背中を叩く。

164: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/19(火) 21:07:13.96 ID:f21HmSBQ0
ネギ星人父「ネ……ネギ……」グググッ……



上条「!?」



ネギ星人父が、ゆっくりと上体を起こし、上条に何かを懇願している。


ネギ星人父「ネギあげますから……許してください……」


ネギ星人父は、涙を流しながら上条にそう呟いた。



介旅「ハッハッハッ!!ネギあげますだってさ!!いらねぇよンなもん!!
ほら、譲ってやるからさっさとトドメ刺して来いよ無能力者!!」バンバンッ!!



上条「…………」


クルッ

165: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/19(火) 21:09:22.20 ID:f21HmSBQ0
介旅「ん?どうしたんだよ?早くやれよ、無能力者」



上条は、ネギ星人父ではなく、介旅の方へと向かう。



介旅「?おいおい、まさかビビッてんのか?たく、これだから無能り」



ブンッ!!

バキィィィィィイイイッ!!!!!




次の瞬間、介旅が宙高く舞い上がり、そのまま落ちた。




介旅「~~~~ッ!?」



上条「……ふざけてんじゃねぇぞこのクソ野郎……」


上条は、高く上に伸ばした右拳を引いて、殴り飛ばした介旅の元へと歩く。

166: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/19(火) 21:11:18.89 ID:f21HmSBQ0
介旅「アッ……ガッ……」プルプルッ……


介旅は何か言おうとしているが喋れない。どうやら、上条に殴られたことで、顎が完全に砕けているようだ。

その前にそもそも、目の焦点が全く合っていない。




上条「宇宙人だかネギ星人だか知らないけどなぁ……。
あんな人間みたいなヤツを殺せ殺せってよぉ……頭おかしいんじゃねぇのか?お前」グイッ!!


上条が、介旅の襟を右手で掴み、無理矢理身体を引き寄せる。

167: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/19(火) 21:12:55.68 ID:f21HmSBQ0
介旅「ガッ……アッ……」


上条「しかも無抵抗の子供のネギ星人を撃ち殺したんだってなぁ……お前も一回撃たれてみるか?なぁ?」チャキッ……


上条が手にした小さめの銃を、介旅の腕に押しつける。




介旅「ガッ……アッ……」



上条「あ?聞こえねーよ。ネギあげますから許してくださいって言えよ。そうしたら離してやる」ググッ……



上条は、襟を更に強く絞める。



介旅「!?ギッ……ガッ……」

168: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/19(火) 21:15:01.27 ID:f21HmSBQ0
何でだ?


何で僕はこんな無能力者に殴られてんだ?


僕は何も悪いことなんざしてないじゃないか。


悪いのはいつも……悪いのはいつも、力も無いクセに徒党を組んでいい気になってるお前ら無能力者じゃないか!!





ふと、介旅は、上条のすぐ背後に落ちている数本の空き缶を見る。



先程起こした爆発で、爆破されなかったモノだろう。




アルミの空き缶だ。







無能力者なんざ……


お前らクズなんざ、黙って僕たち能力者の踏み台になってればいいんだよ!!!

169: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/19(火) 21:16:36.37 ID:f21HmSBQ0
メキィッ!!!


コォォォォォォォォオオオオオオオオッ…………





上条「!?」


突然、上条の足元の、数本の空き缶が、圧縮を始めた。






介旅「ギッ……ギヒッ!!ギヒヒィッ!!ギヒヒヒヒヒヒッ!!!」ニタァッ……





砕けた顎で、介旅が笑う。









『死ね』









カッ!!!




再び、爆発による爆風・爆音と閃光が、辺りに轟いた。

186: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 20:30:39.16 ID:gUjsk8Cd0
『00:05:21』




ォォォオオオオオッ…………




介旅「……ガッ……アッ……」ガタガタッ……



上条を殺そうと、自らも至近距離で爆発に巻き込まれた介旅は、ところどころ火傷を負いながら何とか生き延びていた。

少しでも、爆発がギリギリ自分までこないように制御したお陰であろう。


レベルアッパーを使わずとも、介旅は、自身の力を一歩前進させたのだ。


もっと早く、レベルアッパーに頼らなくても、人間は成長できることに気づいていれば、こんなことにはならなかっただろうに。

187: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 20:32:28.18 ID:gUjsk8Cd0
しかし、そんなことなど考えさせない出来事が、介旅の目の前で起こっていた。



介旅の襟には、先程と何ら変わらず、右手が襟を引き寄せ、締め付けているのだ。



『何故だ!?何故生きている!!あの至近距離で……お前は死んでなければいけないんだ!!』





『なのに、何故無傷なんだ!?』





上条「……反省する気は全くない……ってことでいいのか?今のは……」ォォォオオオオオッ……

188: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 21:06:36.74 ID:gUjsk8Cd0
介旅の目の前には、先程と何ら変わらず、火傷どころか、スーツに焦げ一つ無い、上条の姿があった。


その目は、怒りを完全に通り過ぎ、酷く冷めた目をしている。


上条「それが答えなら……俺にはもう、お前の歪な幻想は壊せねぇ……救えねぇ……。
だからせめて、お前には、もう一発味合わせてやる……お前が殺した人間や、ネギ星人の痛みをなぁ!!」ブンッ!!



上条が、今度は左手で。それも、全力で介旅を殴りつける。

189: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 21:10:51.24 ID:gUjsk8Cd0
バチバチィッ……



ガシィッ!!!



その瞬間、上条の左腕を、何者かが掴んだ。



上条「!?なっ……」グググッ……



上条は、その掴んだ手を見て言葉を失った。


何も無い空間から、手だけが出てきているのだ。



「君は優しいな……だが甘い。そんな甘い君に、こんな男の命を背負わせるわけにはいかないな……」バチバチッ!!!バチバチッ!!!


聞き覚えのある声と共に、火花が目の前の空間に散る。


火花は電気のようなモノに。


そして何も無かった空間から、上条の左腕を掴む手の、持ち主が姿を現した。

190: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 21:17:28.66 ID:gUjsk8Cd0
研究員「まぁこの先、嫌でも命を奪わなければならない事が待っているんだが……それはまた、先の話でいいだろう……」バチッ……バチバチッ……



上条「アンタは……あの部屋に居た……」



それは、あの部屋に来て、始めて上条達に話しかけて来た、どこぞの研究者のような格好をした男だった。




ドサァッ!!


介旅「」ピクピクッ……

上条が襟を離すと、介旅はそのまま地面に倒れ伏した。
どうやら気絶しているようだ。

191: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 21:23:51.29 ID:gUjsk8Cd0
研究者「醜いモノだな。力にすがりついた男の末路といったところだ。まぁ、私も人の事は言えないがね」


上条「アンタ……何者なんだ……」


研究者「私か?……あぁ、そういえば自己紹介していなかったな。『天井亜雄』だ、よろしくな。無能力者の勇者君」スッ……


研究者……もとい、天井は、そう言って、上条に握手を求めた。



パシィッ!!

そしてそれを、上条が跳ね除ける。




上条「ふざけんな……アンタ、この訳のわからない今の状況の事、何か知ってるんだろ?」

195: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 21:40:42.68 ID:gUjsk8Cd0
天井「……どうしてそう思ったのかね?」



上条「……1つは、たった今アンタが見せた事だ。一体どうやったらそんな消えたり現れたりする事出来んだよ?能力者じゃないんだろ?アンタ」



天井「ん?これかい?知りたいなら後でやり方を教えてあげよう。さっき色々弄ってたら偶然見つけて……」



上条「2つ目だ。アンタ、あの黒い玉が開いてから、迷わずスーツと銃を取り出していたな。
まぁ、その様子を見て、俺もスーツに着替えたんだけどな……あまりにも行動が、この状況に慣れているんだよ、アンタだけ」



上条は、天井の言葉を遮るように話続けた。

197: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 21:42:54.08 ID:gUjsk8Cd0
天井「……見事だ。ちゃんと見ていたんだな、君は。
初めてあの部屋に来た人間への、ヒントのつもりであーやってテキパキ動いてたんだが、大概の人は気づかなくてなぁ……いや、お見事」パチパチッ……


天井が上条に拍手を贈る。



上条「ふざけんな!!最初からアンタが色々説明していれば、こんな事には」


天井「ストップだ勇者君。そろそろ時間だ。終わらせなければな」チャキッ……


天井は、銃口が3つある銃を取り出し、ネギ星人父へと向ける。

198: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 21:45:39.06 ID:gUjsk8Cd0
上条「な!?ちょっと待」


天井「安心しろ。殺しはしないさ。今回はな」カチッ!!




ドシュンッ!!!


天井が2つのトリガーを引いた瞬間、3つの銃口から、小型のロケットのようなモノがそれぞれの銃口から飛び出した。


3つのロケットは、レーザーのような線で繋がっており、三角形を作って飛行している。


そしてそのレーザーがネギ星人に当たると、ネギ星人を縛り付けるようにグルグルと回転し、そのままロケットが、アンカーのように地面に突き刺さり、ネギ星人を捕縛した状態で固定した。

199: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 21:47:34.02 ID:gUjsk8Cd0
上条「な、何だあの弾は……」


天井「後で教えてあげよう。生きていれば、君の仲間にもな」カチッ!!



天井がもう一度、トリガーを引く。



ネギ星人「…………」ジジジジジッ……



その瞬間、ネギ星人が、黒い玉に転送される時のように、頭から徐々に消えていった。



上条「!?どうしたんだ?あのネギ星人は」


天井「私もそこまではわからないな。上に送った、と言うべきなのか……」


上条「上……」


上条が上を見上げる。


そこには、深夜に輝く月や星しか見えなかった。

200: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 21:50:28.59 ID:gUjsk8Cd0
天井「さて、これで転送が始まればいいんだが……どうやらあと一体残っているみたいだな」スッ


天井は、スーツにつけられたデバイスを覗く。

釣られて上条も、デバイスを覗いた。



上条「!?……御坂……浜面……!!」


デバイスには、御坂と浜面とあと1人の反応。





それと、青い点が1つあった。

201: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 21:52:25.44 ID:gUjsk8Cd0
『00:07:53』



御坂「フゥ……何とか血は止まったみたいね……これで何とかなりそうだわ……」


浜面「スゲェな……今時のお嬢様ってのは、こんな大怪我の応急処置もできんのか?」


御坂「授業で習うのよ。要救助者への各種応急処置みたいなの。
それで興味あったし、暇だから医学書色々見てたら覚えちゃったのよね」


浜面「これが学園都市第3位の頭脳か……凄まじいな……」



能力以外でも、超能力者の恐ろしさの一角を垣間見た浜面であった。

202: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 21:54:09.13 ID:gUjsk8Cd0
ヤクザ「……助かったんか……ありがとな、嬢ちゃん。ホンマなら、俺がお前らを助けなあかんのになぁ……」


御坂「いえ、いいんです。それに貴方は、浜面さんを命懸けで逃がしたんですから……とても立派な方ですよ」


浜面「そうだよオッチャン……俺は逃がしてもらった恩を返しただけだ。まぁ、実際に倒したのは御坂だけどな」


ヤクザ「ハッ……頼もしいのか情けないのか……ようわからん奴やのぉ、兄ちゃんは……」

203: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 21:56:06.69 ID:gUjsk8Cd0
御坂「本当よね。必殺人任せ!!って感じだったもんね、浜面さん」クスクス


ヤクザは笑みをこぼしながら浜面をからかう。


御坂は、それに便乗して笑っている。



浜面「何だよ、ヒデェな二人と……も……」



浜面の顔が、一気に青ざめる。
























ォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオッ…………





ネギ星人母「…………」ユラァッ……





ォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオッ…………

204: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 21:58:01.63 ID:gUjsk8Cd0
いつの間にかネギ星人母が、御坂のすぐ後ろに立っていたのだ。



御坂とヤクザはそれに気づいていない。




ネギ星人母は、超電磁砲をマトモに喰らい、黒焦げになりながらも立ち上がり、鬼のような形相で御坂を睨んでいる。



そしてそのまま、鋭い爪を振り上げ、御坂へと振り下ろした。





浜面「危ねぇっ!!!」ドンッ!!

御坂「キャッ!!」



ズシュウッ!!!



浜面「グァアッ!!!」ブシュウウウッ!!!

205: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 21:59:47.59 ID:gUjsk8Cd0
咄嗟に浜面が御坂を突き飛ばし、その爪はモロに、浜面の背中を斬り裂いた。


その斬り口はかなり深い。



御坂「浜面さん!!!」バッ!!



御坂は咄嗟に、負傷した浜面の元へと駆け寄る。

しかし、側ではネギ星人母が、御坂に二撃目を繰り出そうとはして、腕を振り上げている。




ヤクザ「アホんだらぁっ!!!」バッ!!




グサァッ!!!




再び、今度はヤクザに御坂は突き飛ばされた。

206: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 22:02:25.68 ID:gUjsk8Cd0
御坂「あっ……あぁっ……」ガタガタッ……



ネギ星人母「ォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオッ!!!!!」




ヤクザ「グッ……ガハァッ……」ボタボタボタッ!!!




ネギ星人母の手刀が、御坂を庇ったヤクザの腹を貫いている。



ボタボタボタッ!!!



ネギ星人の腕からは、ヤクザの血が凄まじい勢いで流れていっている。




ヤクザ「や……やりやがったな……俺は……死なねぇ……俺は……」グググッ……



朦朧とした意識の中、ヤクザが最後の力を振り絞る。




ヤクザ「俺はタダじゃ死なねぇぞォ!?ウォォォオオオオオッ!!!!!」ガシィッ!!!



ネギ星人母「!?」



ヤクザが、腹を貫いた腕と、もう一本の腕を押さえつけ、ネギ星人を捕らえた。

207: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 22:03:58.87 ID:gUjsk8Cd0
ヤクザ「い、今や……お前らぁ……はよ殺れぇ……」ゴポォッ……



御坂「あ、あ……」ガタガタッ……



御坂はただただ震えている。


自分のせいで2人も……自分が油断していたせいで、2人も自分の為に、傷つけてしまった。



御坂「ゴメン……なさい……ゴメンなさい……」ガタガタッ……



とうとう御坂は泣いてしまった。心が折れたのだ。



ヤクザ「嬢……ちゃん……気にしたら……アカン……やっぱり俺は……ここで死ぬ運命やったんや……せやから……早く……」ドクドクドクッ……

208: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 22:05:25.28 ID:gUjsk8Cd0
ヤクザからは、絶え間なく血が流れている。


ここまで、意識がある事が、既に奇跡であろう。




ヤクザ「せやから早く!!……早く俺ごとコイツを殺らんかい!!!」



御坂「!?ウ、ウァァァアアアアアアアッ!!!!!!!」バチバチバチバチッ!!!!!




ヤクザの最期の恫喝と共に、御坂が叫ぶ。



叫びと共に生まれた超高電圧の電撃は、全てを消し炭に変えるだろう。



その電撃を纏めた槍を、ネギ星人とヤクザに飛ばす。

209: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 22:11:46.74 ID:gUjsk8Cd0
ネギ星人母「ォォ……ォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオッ!!!!!」



ヤクザ「ゴホォッ!!……悪いな……俺も着いてって……アンタと子供に謝るさかい……あのガキ等は勘弁してくれや……」









バチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチッ!!!!!







電撃の槍が、ネギ星人とヤクザを飲み込んだ。

210: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 22:13:31.31 ID:gUjsk8Cd0
『00:01:06』




タッ、タッ、タッ、タッ、タッ!!




上条「御坂!!浜面!!……なっ……」



天井「ほう……流石だな……流石第3位……これがオリジナルか……」ボソッ……




辿り着いた上条達が見た光景は、そこら一帯黒焦げの道が出来た路地であった。



壁や道路は焦げるどころか、あまりの放電による熱量で、所々溶けている。

211: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 22:15:09.89 ID:gUjsk8Cd0
御坂「…………」



御坂は、この焼け焦げた路地で、1人座り込んでいる。


近くには、浜面が転がっている。



浜面「グッ……オッチャン……チクショウ……」ポロポロッ……


涙を流し、何か呟いている。どうやらまだ、息はあるようだ。




上条「2人だけ……ネギ星人は倒したとしても、残るあと1人は……まさか……」キョロキョロッ



天井「……どうやらゲームセットのようだな……デバイスを見てみろ」

212: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/20(水) 22:16:55.71 ID:gUjsk8Cd0
上条「何?……時計のカウントダウンが止まってる……」



天井「ミッションクリアだ。戻るぞ、あの部屋に」ジジジジジッ……



そう天井が呟くと、天井が頭から転送されていく。




上条「あの部屋?まさかまたあの部屋に……ってうわ!!」ジジジジジッ……




次に上条が頭から転送されていく。



一足早く部屋に戻った上条の目には、こんな光景が映っていた。























●『おつかれちまでした。それではちいてんをはじめます』

228: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/21(木) 20:47:52.13 ID:Uj0J0F7d0
ジジジジジッ……



御坂「…………」ジジジジジッ……


上条「御坂……」


放心状態の御坂が、黒い球体の部屋に転送されてくる。
上条は、何があったのかもわからず、ただその様子を見ていることしか出来なかった。


上条「なぁ、浜面。一体あの場所で何があったんだ?御坂のヤツ、さっきからずっとあの調子なんだが」



浜面「……今はそっとしてやったほうがいいと思う。後で話してやるからさ……」

229: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/21(木) 20:51:11.56 ID:Uj0J0F7d0
先程、ネギ星人に背中をバッサリと斬られていた浜面は、この部屋に帰ってくた時には、既にその傷は無かった。


どうやら、この部屋に転送される時は、どんな傷も元に戻るようだ。


天井「生きてさえいれば……だがな。あの場で死んだモノは、転送されてこない。死体も何処かへ消えてしまうのさ」



天井が横から一つ付け加える。
明らかにこの男は、この部屋の事について……この宇宙人との戦いについて、知っているようだ。



介旅「…………」ガタガタッ、ガタガタッ!!



部屋の隅では、介旅が震えながら座っている。
先程の仕置きがよほど身に応えたのだろうか、ただただ上条に怯えているようだ。



もはや、上条も浜面も、御坂も介旅の事など見ていない。




彼らの視線は、ある一点に集まっていた。

230: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/21(木) 20:52:14.35 ID:Uj0J0F7d0
●『ちいてん中……ちいてん中……』




黒い球体に表示された、ちいてん。恐らくは、採点のことだろう。


この部屋に戻って数分、黒い球体は、ずっとこの表示を続けている。



上条「えっと……天井サン?今これはどういう状況なんだ?」


天井「見たままの状況さ。採点してるんだよ。今回の成績をな。
GANTZ(ガンツ)の指定した宇宙人を倒せば、その宇宙人に設定された点数が手に入るんだよ」



上条「採点?点数?一体なんの為に……いや、ちょっと待て。その前に……GANTZ?」



上条は、聞き慣れぬ言葉に疑問を抱く。

231: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/21(木) 20:53:31.37 ID:Uj0J0F7d0
天井「あの黒い球の名前だよ。誰が付けたか知らないが、ずっと昔からそう言われているそうだ。
ほら、そろそろ結果が出るぞ?」




天井の言葉と共に、ガンツと呼ばれる黒い球体の表示が変わる。











●『おまたせしました。結果発表です』

232: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/21(木) 20:54:35.06 ID:Uj0J0F7d0
『キャシャリン(笑)』1点



弱いモノいじめしすぎ。

強いモノにビビりすぎ。


あと99点。



介旅「!?…………グッ……」ガタガタッ……ガタガタッ……




キャシャリンこと介旅の結果が表示される。


名前の下の一言の意味はともかく、介旅には、1点加算されていた。




浜面「……あのネギ星人の子供が1点ってことか……」



介旅の殺戮を見ていた浜面は、ネギ星人の子供の事を思い出す。

そもそもの原因は、介旅が子供を殺したせいなのだ。アイツさえ居なければ……

233: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/21(木) 20:55:55.83 ID:Uj0J0F7d0
天井「気持ちはわからんでもないが、例えあの男が居なくても、誰かがミッションの全ての星人を倒さなければならない。

そうしなければ、いずれ我々が死ぬんだからな」



浜面「!?……クソッ……」



心を読まれたかのように、天井に浜面が釘を刺される。









『はーまづらぁ』0点



ビリビリに頼りすぎ。


無能力者風情がカッコつけてんじゃねぇぞぉぉおお!!はーまづらぁっ!!


お・し・お・き、確定ね。




残り100点

237: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/21(木) 21:47:50.92 ID:Uj0J0F7d0
浜面「0点か…………何で俺だけ口調が違うんだ?何で最後が女なんだ?」



天井「気のせいだろう。気にするほどのモノでもない」



浜面「いや、気のせいじゃないだろ。しかも何か、寒気がするんだよ……あの口調の文を見ると……」ブルブルッ……





『そげぶ!!』0点


キレ過ぎ。

補正効き過ぎ。


初そげぶおめでとう!!(祝)


残り100点




上条「……だからそげぶって何だよ……」

238: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/21(木) 21:49:49.43 ID:Uj0J0F7d0
『ビリビリ』3点



そげぶ見過ぎ。

頼りがいあり過ぎ。

油断し過ぎ。



残り97点。



御坂「……別に見てないし……頼りがいもないわよ……」


気分的に、かなり落ち込んでいる為か、特にテンパることも無く、御坂は反応している。






『天サン』3点


淡々とし過ぎ。

1人で行動し過ぎ。


残り5点



天井「チッ、たったの3点か……」

239: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/21(木) 21:54:33.16 ID:Uj0J0F7d0
上条「残り5点って……アンタ何回こんな事を繰り返してんだよ……」



天井「そうだな……もう一年ちょっとは続けているかな。私以外で生き残ったのは、大体二ヶ月ぶりだ。
それも、初参加でこれだけ生き残ったことなんか初めてかもな」


浜面「一年!?一年も、こんな殺し合いを続けているのかアンタ!?」


天井「まぁ、そういうことになるな。今回のミッションなんてかなり優しいレベルだぞ?
酷い時には、ある程度戦いに慣れた十数人のメンバーでも、8割殺されたことだってあったんだからな。いやー、アレは酷かった」

241: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/21(木) 21:59:19.91 ID:Uj0J0F7d0
浜面「そ、そんな中で生き延びてきたのかアンタは……」


天井「別に真っ正面から戦うだけが能じゃない。時には、他のメンバーを犠牲にしてでも敵を仕留めることもあったよ。

そう……第3位、御坂美琴さん……だったかな?今回の君のようにね」



御坂「!?」ギリッ!!



怨念の篭った目つきで、御坂が天井を睨む。


上条「!?」

浜面「おい、アンタ!!そんな言い方……」


天井「別に責めているわけじゃない。そうしなければならなかった……そういう事もあるのだよ、この戦いにはね」


御坂「……ゥゥウ……」ポロポロ

御坂は、再び涙を流し始めた。

242: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/21(木) 22:00:23.11 ID:Uj0J0F7d0
介旅「……うっとおしいな……メソメソしてんじゃねぇよ。これだからガキは……」


上条「何か言ったか?」


介旅「!?……いや、何でも……」ブルブルッ……


介旅の心無い一言に対し、すぐさま上条が釘を刺す。



天井「あぁ、そういえば、この部屋のドア。もう開くようになってるよ。帰りたければ好きにしたらいい」



介旅「!?く、クソォッ!!覚えてろよクズ共!!次に会った時にはお前等皆ぶっ殺してやるからな!!」バッ!!



介旅は、側にあった銃を持つと、部屋から逃げる様に飛び出していった。

245: クククッ…… 2013/02/21(木) 22:05:41.64 ID:Uj0J0F7d0
浜面「……最後まで小物だったな、アイツは」


天井「おや、これから色々と説明しようと思っていたのにな」クスクス


天井が邪悪な笑みを浮かべて笑っている。


上条「……アンタわざとこのタイミングで出口が開いてること言っただろ?」


天井「さて?何のことかな?では、君たちに、この戦いを生き延びる術を教えようか。
そこの泣いている第3位。君も聞いておくことだ。でなければ、せっかくあの男に救われた命を次の戦いで捨てる事になる。必ずな」


御坂「ウグッ……グスッ……」スッ……


泣きながら、御坂が部屋の中央へと歩いて行く。


何食わぬ顔で、天井がこの部屋にあった銃やスーツなどを集め、説明を始めた。

246: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/21(木) 22:06:58.50 ID:Uj0J0F7d0
天井が、拳銃サイズの銃を手に取る。



天井「まずは、これがXガンと呼ばれるモノだ。由来は知らんが、銃についているモニターを見ると、レントゲンの様に透けて見えるだろう?
これに因んだと思われるが、まぁそれはどうでもいい。本題はここからだ」


天井がXガンを構える。



天井「コイツで撃つと、その対象は3秒後に爆発する。破裂とも言えるかな?実際にその様子を見た者もいるだろう?」



浜面「…………」

247: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/21(木) 22:08:01.43 ID:Uj0J0F7d0
天井「使う時には気をつけることだな。一度発射されれば、標的になったモノは回避出来ない。
まぁ、実際の銃と同じように、照準から逃れればいいだけだがな。せいぜい同士討ちに気をつけることだ」ニヤリ



上条「……こんな銃、聞いたこともないんだが。これも学園都市の兵器なのか?」


天井「いや、こんなモノ私も聞いたことがない。これは完全なオーバーテクノロジーだよ。
まぁ、そういうものとして割り切ることだ。ココには理解不能なモノが多すぎるからな」



天井が説明を続ける。

248: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/21(木) 22:09:23.59 ID:Uj0J0F7d0
天井「この大きな銃もXガンと基本は同じだ。威力や射程が強化されたようなモノだな。Xショットガンとでも呼んでくれ。

あと、この三つ銃口がついているモノが、Yガンと言うモノだ。

この銃に殺傷能力はない。三つの弾丸が発射されると、三点を繋ぐようにレーザー網が発生し、標的を捕らえる。
そして捕獲後に、再度トリガーを引くことで、対象を転送することが出来る。何処に転送するかは、勝手に想像してくれ」



天井「そして最後……このスーツが肝心だ。これが無ければ、生存は絶望的。
今回着ていない二人は、ただ運が良かっただけだ。よかったな、生きてて」



御坂「……」

浜面「……」



天井が説明を続ける。

249: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/21(木) 22:10:59.63 ID:Uj0J0F7d0
天井「このスーツを着ることで、着た者は、超人的な運動能力と防御能力を得ることが出来る。

上条君は体験しただろう?ネギ星人を圧倒する力。あの男の能力による爆発などビクともしない防御力。

この戦いは、このスーツの力が基本となるのだ。着ていない人間など、足手まといでしかない。

大体説明はこんなモノだ。何か質問はあるかな?」


天井が、3人に対して質問を呼びかける。



御坂「……一つだけあるわ……」


泣き止んだ御坂が、天井を睨みながら質問する。

250: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/21(木) 22:12:32.22 ID:Uj0J0F7d0
天井「ん?どーぞ」


御坂「何で私達に、このスーツのことを教えてくれなかったの?これさえ着ていれば、今回の戦いは皆生き延びれたんじゃないの?」



御坂は、3人が一番疑問に思っていた事を、天井にストレートに問う。



天井「……彼ら星人達が……いや、捕食者が一番油断する瞬間が何か知っているかい?」



天井が問う。



浜面「油断?」


上条「……まさか……」


御坂「アンタ……」




天井が、邪悪な笑みで問いに答える。
















天井「それは獲物を捉えた時さ……敵と認識した者を八つ裂きにしている時、彼らは面白い程隙だらけになる」ニィィ……




プツンッ……


次の瞬間、3人の何かが同時に切れた。

251: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/21(木) 22:15:53.79 ID:Uj0J0F7d0
御坂「ふっ……ざけんなぁぁぁぁあああっ!!!」バチバチバチッ!!!


浜面「このクソ野郎が!!」チャキッ!!


上条「ウォォォォォォオオオッ!!!」ブンッ!!!



御坂は電撃を発し、浜面はXガンを構え、上条は全力で天井に殴りかかる。





天井「フッ……」スッ……


ガシッ!!

グシャアッ!!!


上条「ガッ……」


しかし、殴りかかった上条は天井に腕を取られ、そのまま床に叩きつけられる。



ジャキッ!!



そのまま、上条を足蹴にし、二丁のXガンを御坂と浜面、それぞれに向けて構えた。

252: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/21(木) 22:20:19.26 ID:Uj0J0F7d0
御坂「こっちは2人よ?勝てると思ってるの?」バチバチバチッ!!


浜面「銃を下ろせ!!今なら腕一本吹き飛ばすだけで許してやる!!」


御坂と浜面が、天井に降伏するように促す。



天井「確かに、君たちがスーツを着ていたら私の負けだろう。しかし、君たちは着ていない。
すなわち、この銃で撃つだけで簡単に殺すことが出来るんだ。
君たちの負けだよ、素直に引き下がるがいい……でなければ、ココで君たち3人は全員死ぬ」




上条以外スーツを着ていない為、天井は簡単に御坂と浜面を殺せる。


逆に天井はスーツを着ている為、Xガンも御坂の電撃も、ある程度耐える事が出来る。



この場で天井に勝てる者は、誰1人居ないのだ。

253: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/21(木) 22:22:22.08 ID:Uj0J0F7d0
バチバチバチッ……



御坂「な!?」


浜面「き、消えた……」


突如、天井が完全に姿を消した。


上条「く……さっきのヤツか……」ググッ……


押さえつけられていた上条が、ゆっくりと立ち上がる。






天井「しかし、君たち3人に組まれて命を狙われると厄介だな……ここで1人殺しておくか?」



上条御坂浜面「!?」



天井「ククッ……冗談だよ。それでは私はこのまま失礼する。
あ、ちなみに今日のことは誰にも言わないことだ。
GANTZに頭に爆弾を埋め込まれているからな。人に話そうとするとボンッ!!だ」



3人の顔が青ざめる。




天井「それではまた次のミッションの日まで……ご機嫌よう」スッ……



そう言うと、部屋から天井の気配が消えた。

273: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/22(金) 20:43:13.82 ID:zNl7B7Jf0
…………




介旅「クソォ……見てろよあいつ等!!この銃さえあれば、僕は無敵なんだ……使いこなせるようになったら、あいつ等全員始末してやる!!」



黒い球体の部屋から逃げるように飛び出し、部屋のある、第7学区のとある高層マンションから出てきた介旅は、深夜の路地裏を1人歩いていた。


何故路地裏をわざわざ通っていたかと言うと、彼は爆破事件の犯人として、警備員に拘束されていた為、現在脱獄犯の扱いになっているからである。

274: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/22(金) 20:45:35.34 ID:zNl7B7Jf0
介旅「まずは、何処か身を隠せる場所を探さないとな……スキルアウトのクズ共のたまり場でも使うとするか。
あんなクズ共の1人や2人居なくなったところで、不審に思うヤツも居ないだろ」


介旅は、手に持つ銃を使い、スキルアウトを標的にしようとしているようだ。


撃ったモノが爆発する銃。こんなモノは誰も知らないだろう。
例え死体が発見されても、警備員も原因がわからないハズだ。



人を人と思わない、歪んだ介旅にとって、このXガンは最高の遊び道具となるだろう。


介旅はそのまま、人気のない路地裏の歩いて行く。

275: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/22(金) 20:47:02.78 ID:zNl7B7Jf0
グシャッ……


突如、何かを踏んだような感触を介旅が覚える。


介旅「ん?何だコレ……」ピカッ!!

介旅が、携帯のライトで足元を確認する。


介旅「!?な、何だよコレ……」



その足元にあったモノは……










いや、足元だけではない。


そこら中に散乱しているモノは、人間の……格好からして、女子中学生の無残な死体であった。



あるモノは腕が無く、あるモノは脚が無く、あるモノは顔が吹き飛んでいる。



これだけでも、十分非現実的な光景だったのだが、更にこの大量の死体にはある共通点があった。

278: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/22(金) 20:55:12.97 ID:zNl7B7Jf0
介旅「コイツ等……全員あの女と……あの第3位の女と同じ顔してやがる……何なんだコレは!?」




死体は全て、学園都市第3位『御坂美琴』の顔をしているのだ。


似てるとかそういう次元ではない。


同じなのだ。



この異常な空間に介旅がうろたえる中、暗闇の中から突如声が聞こえてきた。













「なんだァ?このその他大勢みてェなツラしたヤツは。オイオイまさか部外者かよ。こういう場合はどうすりゃいいンだ?」



介旅の目の前。

暗闇から現れたのは、真っ白な髪、真っ白な顔、そして真っ赤な目をした1人の少年だった。

282: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/22(金) 21:00:08.39 ID:zNl7B7Jf0

介旅「な、何だお前は!?ま、まさかお前がコイツ等を殺したのか?」ブルブルッ……



「あァ?この人形の事か?まぁ、殺したっちゃ殺したなァ。といっても、指先でチョン。と触れるだけで、皆弾け飛んじまったんだがよォ」




白い少年は、何か問題でもあるのか?とでも言いたげに介旅の問いに答える。



「しかし困ったな……やっぱこういう場合……目撃者は消せってヤツなのかァ?」ニィィッ……



白い少年が、悪魔のような笑みを介旅に向ける。

283: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/22(金) 21:02:01.81 ID:zNl7B7Jf0
介旅「ふ、ふざけるなぁ!!お前みたいなクズに、僕が殺されてたまるかぁ!!」ジャキッ!!



介旅は白い少年に、黒い球体の部屋で手に入れた銃を向ける。




ギョーンッ!!!




そして、一切躊躇すること無く、トリガーを引いた。

285: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/22(金) 21:06:08.82 ID:zNl7B7Jf0
3




「あ?何だそのオモチャは?」



介旅「ハッハッハッ!!これでお前は終わりだ!!コイツで撃てば、3秒後くらいにその標的は爆発する!!

3秒後には、そこらに散らばっている死体のように、グチャグチャな死体の出来上がりだ!!」





2



「……へェ……面白いじゃねェか。じゃあ数えてみるか?あと2秒か」



介旅「ハッ!!そうやって余裕を見せてろよ!!僕はお前がグチャグチャになる瞬間を、笑いながら迎えてやるさ!!」

286: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/22(金) 21:08:37.96 ID:zNl7B7Jf0
1




「1秒。あっ、1つ言い忘れてた事があるンだった。俺の能力はなァ……あらゆるエネルギーのベクトルを操作することだ。

デフォルトでは、あらゆるモノを反射するンだわ。発射された元の方向にな」






介旅「ハッハッハッハッハッ!!!……は?」



介旅の笑いが止まる。








0



「0だ。じゃあなァ」フリフリッ



白い少年が悪魔の笑みを浮かべて介旅に手を振る。

287: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/22(金) 21:14:12.12 ID:zNl7B7Jf0
介旅「そ……そんなバキャッ!!!」グシャアッ!!!




ドシャアッ……








介旅の予告通り、キッカリ3秒後に1つの死体が出来上がった。


死体は上半身が完全に弾け飛び、元が誰なのか判断つかないだろう。





「オー、スゲースゲー。本当に弾け飛びやがったなァ。おい、どっかに居るンだろ?人形共。
お前等の死体と一緒に、コイツも処理しておけ。見つかると面倒になるだろォしよ。ま、俺はどーでもいいが」



そう言うと、白い少年は、再び暗闇の中へと歩みを進め、消えていった。

302: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 14:50:13.63 ID:yU+PIu7l0
…………



時は再び戻り



7月21日



ファミレス内



御坂『(アレから私達は、部屋を出た後、それぞれ自分の家へと帰っていった。
寮にコッソリ戻ってきた私は、部屋に入り、黒子の泣き疲れた(発狂し疲れた)寝顔を見た瞬間、私も泣いちゃったんだっけな……帰ってこれてよかったってさ……)』



御坂は、まるで何年も前のことを思い出すかのように、二日前のことを思い出す。


それほど、彼女にとっては長い夜だったのだろう。

303: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 15:18:25.83 ID:yU+PIu7l0
「……坂さ……御坂……ん……」





御坂『(それにしても、昨日の夕方くらいに、アイツにお礼の1つでも言ってあげようと寮まで行ってみたら、アイツの部屋の前周辺だけ火事にあったように黒焦げだったし……あの馬鹿一体、今度は何をやってんだろうな……)』




佐天「御坂さんっ!?」



御坂「ひゃいっ!?」ビクゥッ!!




突然の佐天の呼び声に、御坂は心臓が止まる勢いで驚く。

304: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 15:26:52.53 ID:yU+PIu7l0
佐天「食べないんですか?パフェ。さっきから何か考えちゃって……初春が横でジッと狙ってましたよ?パフェを」



初春「さ、佐天さん!!何をデタラメを……私そんなに食い意地張ってません!!」ダラダラッ……


言葉とは裏腹に、初春はパフェをジッと見ている。涎が今にも垂れそうな勢いだ。



御坂「あ……いいわよ初春さん。これ上げるわ」スッ



初春「え!?いいんですか!?いやー何か佐天さんのせいで申し訳ないですねー」

305: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 15:42:18.83 ID:yU+PIu7l0
佐天「おい初春。それは酷いんじゃないかい?……それはさておき、どうしたんですか?御坂さん。何か考え事しちゃって」


御坂「え?う、ううん。何でもないの」アハハ……



佐天「その反応……まさか御坂さん……恋でもしてるんですか?」



御坂「へ?ち、違」



白井「そんなこと!!断じてありませんのぉ!!!
お姉様に殿方など……この黒子を差し置いて、そんな事あってはならないことですのォォォォオオオッ!!!」バンッ!!



御坂が反応するより先に、白井が過剰に反応した。

306: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 15:52:40.30 ID:yU+PIu7l0
御坂「何でアンタにそこまで言われなきゃいけないのよ!!」


白井「他に取られるなら……いっそうこの場で黒子が、お姉様の純潔をォォォオオオッ!!!」


御坂「いいから黙れ!!この変態!!!」ゴンッ!!



御坂は白井の頭をガッシリ掴むと、思いっきりテーブルへと打ち付けた。



白井「」シュゥゥゥウウッ……



初春「ブレませんねぇ、白井さん」モグモグ


307: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 16:05:19.25 ID:yU+PIu7l0
佐天「さて。それで、さっきの黒い球体の話の続きなんですけどね?
これまでに、学園都市中で似たような破壊は、かなりの数が発見されてるんですよ。

しかも、この学園都市の外でも……つまり世界中でも、目撃者の無い、原因不明の破壊は発見されているんです。ここ数年は特に頻繁に。
てことは、これがこの黒い球体の部屋の仕業だとすれば、黒い球体の部屋は、世界中に点在することになります。一体誰がこの黒い球体の部屋を作り、世界中に置いたのか?

それは神か?それとも人間か?はたまた宇宙人か?興味深いと思いませんか?」




佐天は再度、黒い球体の話を行う。

308: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 16:21:02.61 ID:yU+PIu7l0
御坂はその真実を知っている。


と言っても、ホンの一欠片ほどの真実なのだが。



それは、その黒い球体の部屋は実在するということ。


宇宙人との戦いが、実際に行われているということ。




今すぐ、自分が経験した全てを、この場で打ち明けたい。


しかし、あの部屋を出る間際に言った、天井の言葉が脳裏によぎる。











『ちなみに今日のことは誰にも言わないことだ。

GANTZに頭へ爆弾を埋め込まれているからな。話そうとするとボンッ!!だ』

309: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 16:38:10.31 ID:yU+PIu7l0
御坂「……」ゾクゥッ!!



御坂の顔が青ざめる。天井の話が本当だとすれば、自分の頭には、爆弾が仕掛けられている。



あの部屋から出た今も、自由は取り戻せていないのだ。




白井「お姉様?顔が青ざめておりますが……大丈夫ですの?」


白井が心配そうに御坂に尋ねる。

御坂「へ?あ、うん。大丈夫よ。全然大丈夫……」.


白井「そうですの?もう、佐天さん!!そんな野蛮な話ばかりするから、お姉様が気分を害されたではありませんか!!
もっと違うお話に致して下さいですの!!」


佐天「アハハー、少し刺激が強すぎましたかねー?すいません。
じゃあ、次の話題ですが……この間言ってたレベルアッパーの話ですけどね?……」



佐天は、先日入手したモノを披露しようと、話題を変える。

310: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 18:51:21.88 ID:yU+PIu7l0
…………





「とうまー!!ご飯の時間なんだよ!?」


上条「お前さっき食べたばっかりだろうが!!」


「あんなジャパニーズOKAYUじゃあ、私の胃袋は1mm足りとも満足しないんだよ!!」


上条「我慢しろ!!お前は怪我人なんだ。傷が塞がったとはいえ、今日明日くらいは、身体に優しいモノを食べておいたほうがいいんだよ!!」



「むー……しょうがない、少しは我慢してあげるんだよ!!でも治ったら、お腹いっぱい食べさせてくれると嬉しいかも」


上条「ハイハイ、わかったから、今日はゆっくり休んどけ。汗かいたら、小萌先生に借りたパジャマの替え出してやるから」

312: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 19:11:00.15 ID:yU+PIu7l0
あの黒い球体の部屋での出来事から二日後。



上条当麻の部屋には、何故か銀髪の少女が床に伏せていた。




事情は長くなるので割愛するが、彼女の名前はインデックス。



空から降ってきて、自分の部屋のベランダに引っかかった、イギリス教会のシスターである女の子だ。



その後、魔術師だの、魔術だのなんやかんやあって、彼女は今、上条の部屋で怪我の静養中である。




なんやかんやは


なんやかんやです!!

313: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 19:18:24.57 ID:yU+PIu7l0
上条「しかし、あの魔術師……ステイルだっけか?アイツの話だと、インデックスの背中を斬ったもう1人の追手がいるんだよな?
しかも、あの魔術師よりも強力な……念の為に持って帰ってきてよかったのかもな……アレ」チラッ




上条は、ふと衣装タンスの方へと視線を向ける。

314: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 19:19:31.30 ID:yU+PIu7l0
7月24日 昼




高速道路



木山「どうした?レベル5と言ってもそんなモノかい?」



御坂「多重能力……まさか実在するとはね……それもレベルアッパーで集めた能力者の恩恵ってヤツなのかしら?」




ォォォォォォォォオオオオオッ……



木山「もう止めにしないかい?私はある事柄について調べたいだけなんだ……それが終われば、昏睡している能力者は全員解放する」


御坂「ふざんけんじゃないわよ!!あれだけの人を巻き込んでおいて……人の心を弄んでおいて、見過ごせるわけないでしょうがぁっ!!!」

315: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 19:20:42.19 ID:yU+PIu7l0
ォォォォォォォォオオオオオッ……




御坂「0距離からの電撃……あのバカには効かなかったけど、いくらなんでもあんなトンデモ能力までは持ってないわよねぇ!?」バチバチッ!!




ォォォォォォォォオオオオオッ……




木山「私はあの子達を!!もう一度あの子達を目覚めさせる為なら何だってする!!この街全てを敵に回しても……止めるはいかないんだァァァァァアアアッ!!!」







ォォォォォォォォオオオオオッ……





『オギャァァァァァァァァアアアアアアッ!!!!!』




御坂「何あれ……アレは……胎児?」

316: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 19:24:04.66 ID:yU+PIu7l0
ォォォォォォォォオオオオオッ……





御坂「ゴメンね……気付いてあげられなくて……頑張りたかったんだよね……。

でもさ……もう一度頑張ってみようよ……自分に嘘つかないで……もう一度……」バチバチッ……



バチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチッ!!!!!…………





ォォォォォォォォオオオオオッ……




木山「君はコレから……近い内にどうしよもない現実を突きつけられるだろう。この学園都市の闇を……己の罪を。
それにどう立ち向かうか……楽しみにしているよ、『超電磁砲』御坂美琴……」



御坂「学園都市の闇……私の罪……何なのよ、一体……」

317: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 19:25:13.63 ID:yU+PIu7l0
7月24日 夜




立体歩道橋下



上条「……インデックス?どこに行った?」キョロキョロ



御坂美琴が人知れず、学園都市全域を巻き込んだ事件を解決したその夜。


夏の暑い夜に、何故か長袖のカッターシャツを着ている上条は、怪我が回復した居候シスター、インデックスと銭湯に向かっていた。



しかし、いつの間にかインデックスの姿がどこにも見当たらない。




……いや、インデックスどころの話ではない。

318: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 19:28:56.46 ID:yU+PIu7l0
誰も居ないのだ。人っ子1人、誰も。



車すら通らない、異常に静寂な空間に1人、上条は立っている。







「人払いのルーンを使用しているだけです。この場所には、貴方と私以外、誰も近づくことができません」コッ、コッ、コッ、コッ






辺りを見回す上条の前に、1人の長身長髪黒髪の女性が姿を現した。

手には、2mほどだろうか?かなり刃の長い刀を携えている。




上条「テメェは……」



神裂「初めまして。神裂火織と申します。貴方が保護しているインデックスを追っている者ですよ」

319: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 19:36:46.31 ID:yU+PIu7l0
上条「テメェか……インデックスの背中を斬ったヤツは……」グググッ……



上条は拳を握る。



神裂「あれは事故のようなモノです。彼女の着ている修道服は、あらゆる攻撃から彼女の身を守る『歩く教会』という霊装でしてね……。
何故かその機能が停止していた為、結果としてあの様なことに」


上条は、あの時か……と考える。

上条は、インデックスと出会ってすぐ、自身の右手に宿る力で、インデックスの霊装の効力を、消し去ってしまったのだ。


つまり、インデックスが怪我した原因は、上条にもある。



しかし……

320: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 19:38:19.81 ID:yU+PIu7l0
上条「それでも、テメェがインデックスを後ろから斬った、という事実は何ら変わらないだろ!?」



神裂「……その点に関して、貴方と論争する気はありません。私が問うのはただ一つ……インデックスを保護させて頂きたいのですが……」チャキッ……



神裂は、刀を鞘に納めたまま、高い位置で刀を構える独特の構えを見せた。



上条「テメェ等なんぞに、インデックスは渡せねぇ……お引き取り願おうか」

321: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 19:41:48.57 ID:yU+PIu7l0
神裂「止むを得ませんね……それでは、わかって頂くまで、何度でも問いましょう……貴方が動けなくなるまで」スッ……





「七閃」




ドドドドドドドッ!!!!!


上条「なっ!?」




……………




神裂が呟いた瞬間、地を這うように、斬撃のようなモノが上条へと襲いかかっていった。

322: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 19:43:27.04 ID:yU+PIu7l0
神裂「もう一度聞きます……インデックスを保護させてもらえませんか?沈黙はYESと取ります……」


辺りは舞い上がった土煙のようなモノで覆われ、視界が悪く、前が見えない。


しかし、恐らく上条は倒れ、気絶しているハズだ。




この『七閃』は、一瞬と呼ばれる時間に七回殺すことができる技……その攻撃の全てを、死なない程度にぶつけた。



神裂『(悪く思わないで下さい……私達は、どうしてもあの子を保護しなければならないのです……名目通り、命を救う為に……)』



神裂が、この場を立ち去ろうとした瞬間、聞こえるハズのない言葉が、煙の向こう側から聞こえてきた。

323: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 19:46:31.39 ID:yU+PIu7l0
ォォォォォォォォオオオオオッ……



上条「答えはNOだ……インデックスはテメェ等なんかには絶対渡さねぇ……」



神裂「なっ!?なぜ……何故無傷なのですか!?確かに直撃したハズなのに……」




煙が風に乗って晴れていく。



その先には、カッターシャツがところどころ斬れてはいるが、傷一つ負っていない上条の姿があった。



上条「いいぜ魔術師……お前が俺を倒してでもインデックスを連れ去ろうってんなら……」グググッ……



上条が思いっきり拳を握りしめる。
それと共に、神裂には上条の身体がホンの少し大きくなったように見えた。

324: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 19:47:23.08 ID:yU+PIu7l0
神裂は知らない。



上条がカッターシャツの下に着ている黒のスーツの存在を。



このスーツは強い意志によって、着用者の身体能力を爆発的に向上させる効果があることを。




上条「まずは、そのふざけた幻想をぶち殺す!!!」ダッ!!



通常の人間ではありえない程の瞬発力で、上条が神裂の懐へと潜り込んだ。

326: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 20:00:17.86 ID:yU+PIu7l0
バキィィィィィイイイッ!!!



強烈な炸裂音が、誰も居ない夜の街に鳴り響く。



神裂「グッ……この力……この速さ……貴方、本当に人間ですか!?」グググッ…。


神裂は、上条の殴りつけてきた拳を掴んで驚いている。



上条「それはこっちのセリフだ……魔術師ってのは、肉弾戦には弱いってのが、相場じゃねーのかよ?
格闘までできる魔術師なんざ、反則だろうが!!」グググッ……




上条が力を振り絞っても、そこから拳はビクともしない。


ネギ星人すら圧倒したスーツの力が、人間に……しかも女に防がれているのだ。

327: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 20:13:12.37 ID:yU+PIu7l0
神裂「私は、ただの人間ではありません。神の力の片鱗を身に宿した人間……『聖人』と呼ばれる存在です。

その力は、普通の人間とは一線を画すモノ……貴方が異常なのですよ!!」バッ!!


上条の拳を払い、神裂が距離を取る。




上条「『聖人』だと?そんなモノがいるとはな……だけど、俺は神様だろうが何だろうが、インデックスを守らなきゃならない!!
それが、アイツを地獄の底から引き上げる事になるのならなぁ!!」ダッ!!



再度、上条が神裂へと高速で突進する。

328: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 20:15:00.18 ID:yU+PIu7l0
神裂「……『七閃』!!」


ドドドドドドドッ!!!



再び、神裂から七つの斬撃が発せられる。




上条「ウォォォォォオオオッ!!!!」ギィンッ!!ギィンッ!!!



腕で防御するように、上条はお構い無しに前に進む。



再び、上条が神裂の懐に入った。



上条「もらったぁっ!!!」ブンッ!!



上条が右手で、神裂に振り上げるように殴りつける。



神裂「クッ……」



ギィィィィィィイイイインッ!!!




今度は、刀の鞘で拳を受け止められる。

329: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 20:21:23.07 ID:yU+PIu7l0
ピキピキッ……


受け止めた鞘には、亀裂が入り始めた。




神裂「!?な、『七閃』!!」



三度、神裂が七閃を放つ。



ドドドドドドドッ!!!!!



上条「…………」シュゥゥゥウウッ……



しかし、上条は未だ無傷である。



上条「ようやくその斬撃の正体がわかったぜ……3本だけ掴んでやった……」スッ……



上条が両手に握り込んでいたモノを神裂に見せる。




神裂「!?貴方は……一体どこまで……」



そこには、3本のワイヤーのようなモノが、無理矢理引き千切られたような姿で掌に乗っていた。

330: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 20:30:29.25 ID:yU+PIu7l0
上条「どうやら、その刀による斬撃では無く、その刀の動作に合わせて、このワイヤーを飛ばして攻撃を行っていたようだな。

魔術とかは全然わからんが、これは魔術とやらじゃない……技術だ。三回も喰らって、ようやくホンの少しだけ見切ることができた」




神裂の手には、4本のワイヤーと、もはや使い物にならない3本の引き千切られたワイヤーが見える。



神裂「……どうやら、小手先だけの技が通用する相手じゃないのですね……見くびってました」

331: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 20:50:58.66 ID:yU+PIu7l0
上条「いーや。いつもの上条さんになら、一発でアウトですよ。
……だけどな……今日の上条さんは、一味も二味も違うのさ。さぁ、ネタは見破った。出来ればこのまま引き下がって欲しいんだがな?」



上条が、神裂に対して再度構える。



神裂「……わかりました。では私も、先程までとは一味も二味も違うモノをお見せ致しましょう」スッ……



神裂が、高く刀を構える構えから、腰に刀を持っていき、そのまま深く身体を沈めるような構えに変えた。

332: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 20:52:08.53 ID:yU+PIu7l0
上条「交渉決裂か……だったら、力づくだ!!」ダッ!!


どこかで……確か、時代劇のような映画で見た覚えのある構えに似ている……


突撃しながら上条は、頭の片隅でそんな事を考えていた。




神裂に上条が高速で迫る。











神裂「……『唯閃』」チャキッ!!


キィンッ!!!!!



神裂「…………」チャキッ……



神裂が、目にも止まらぬ速さで、一瞬の動作を起こした。

333: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 20:53:21.54 ID:yU+PIu7l0
上条「……な……何だよソレ……ズリーな……オイ……」ドロドロドロッ……




いつの間にか、上条が神裂の目と鼻の先まで迫っていた。


しかし、そこから上条は動こうとしない。


そして何やら、上条の全身からドロドロした液体が流れ出しているのが見える。



神裂「……ズルくなどありません。聖人の力をフルに使用して放つ、神速の抜刀から放つ、居合いの一撃の剣……これが私の力です。ご覧に頂けましたか?」



上条「悪いな……全く見えなかったよ……チクショウ……」ゴポォ……

上条の口から血が溢れ出す。

334: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 20:55:18.03 ID:yU+PIu7l0
ドスッ!!




上条が、血を吐きながら両膝を地面につける。


肋骨が折れ、その骨片が内臓に突き刺さり、上条の身体の中を荒らしている。






それでも上条は、決して倒れない。






神裂「今の『唯閃』は峰打ちです。……本当に、ここまでするつもりは全くありませんでした……。
貴方には本当に申し訳ありませんが、これで終わりです。これもインデックスを救う為……さらばです」クルッ……




神裂は、上条に別れを告げ、この場から立ち去ろうとする。

335: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 21:03:12.76 ID:yU+PIu7l0
上条「……待てよこの野郎……」




上条が力無く呟く。




神裂「!?…………」カッ、カッ、カッ、カッ!!




神裂が、足早に上条の元へと引き返す。そして、両膝をついた上条の襟を引き寄せる。



神裂「もういいでしょう……何が貴方をそこまで駆り立てるのですか!?
あの子との約束?出会って数日のあの子に対して、そこまでする義理もないでしょう!?」


神裂が、声を荒げて上条に怒鳴りつける。




上条「さぁ、何でだろうな?わかんねぇや……だけど、ただ一つ言えることは……」

336: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 21:03:59.92 ID:yU+PIu7l0












上条「……あんな女の子によってたかって……終いには背中から斬りつけて……そんなテメェ等が気に食わねぇ……」










337: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 21:06:05.99 ID:yU+PIu7l0
神裂「ッ!?」ギリッ……




上条「さっきから救う為救う為……綺麗な言葉ばっか並べてよぉ……やってることはただの暴漢じゃねぇか」



神裂「……黙りなさい……」



上条「そんだけの力がありながら、お前等がやってるのはただ女の子を追い詰めるだけだ……助けたいのなら、何故守ろうとしねぇんだ……」



神裂「……うるさい……」プルプルッ……











上条「本当にあの子を救いたいのなら……正面切って、あの子と向き合いやがれぇっ!!!!!」



神裂「うるせぇっつってんだよド素人がァァァァァアアアアッ!!!!!」チャキッ!!!



神裂が、怒声と共に、刀を握りしめ、上条に向かって振り抜いた。













しかし、その刀は虚しく、宙を斬るのみであった。

338: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/02/23(土) 21:08:49.46 ID:yU+PIu7l0
神裂「な!?……消えた……?一体どこに……どうやって……」




突如、目の前にいた上条が、一瞬にして神裂の前から消えたのだ。
肋骨が折れ、マトモに動けないハズなのに。




神裂は辺りを見回す。

どうやらこの近くにいるわけではなさそうだ。




神裂「……好都合です。今の内に、さっさとインデックスを回収するとしましょ……」スッ……



神裂は、自分の帰りを待つステイルの元へと歩みを進める。



そして、ふと歩みを止める。








『本当にあの子を救いたいのなら……正面切って、あの子と向き合いやがれぇっ!!!!!』



神裂「私だって……私だって好きでこんな事をやっているわけでは……」プルプルッ……





ウァァァァァァアアアッ!!!!!





夜の街に1人、神裂の叫び声が木霊した。

398: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/09(火) 21:22:25.77 ID:GEu52usq0
『うるせぇっつってんだよド素人がァァァァァアアアアッ!!!!!』



上条『(神裂……だっけな?アイツ最後に、あんな顔しやがって……まるで俺が悪者みたいじゃねーか……)』




「……タ……ね……」



上条『(インデックスを救う……アイツ等の話が正しければ、それはアイツ等も俺も共通する目的だ……だけど何から?

俺はアイツ等魔術師からインデックスを救おうとしたけど、アイツ等は何からインデックスを救おうとしているんだ?)』

399: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/09(火) 21:28:18.69 ID:GEu52usq0
「ねぇ……ちょ……アンタ……」



上条『(ちゃんと話を聞いておけばよかったな……アイツ等の目的を……俺もインデックスも知らない、何か別の脅威をアイツ等が知っているのかも……)』スゥ……



上条が、閉じていた瞼をゆっくりと開けていく。




御坂「ちょっと!!起きてよ!!……と、と、とと、とうまー」カァァァッ……


上条「……何やってんだビリビリ?」


目の前にはかなりの至近距離で、倒れている自分を見下ろすように、御坂が顔を真っ赤にしながら、自分の名を読んでいた。

400: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/09(火) 21:33:18.45 ID:GEu52usq0
御坂「!?…………起きてんの?」


上条「あぁ、今起きた」


御坂「……聞いた?」


上条「ん?あぁ、何か俺の名前を呼んでたのは聞」


バチィィィィッ!!!「ギャァァァァアアアアッ!!!」



次の瞬間、完全に無防備な上条に対し、御坂の電撃が放たれる。


数分後、全身の痺れと共に目覚めた上条は、今黒い球体の部屋に転送されて来たばかりと御坂に丸めこまれた。

401: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/09(火) 21:45:29.36 ID:GEu52usq0
…………




上条「またこの部屋に呼ばれちまったのか……こっちは一刻も争う事態だってのに……」


御坂「ん?どうしたの?……何かあったの?」


上条「いや……ちょっとな、待たせてるヤツがいるんだ」


上条は、自分の部屋に居候している、白いシスターの姿を思い浮かべる。

402: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/09(火) 22:03:16.72 ID:GEu52usq0
この部屋は異常だ。いや、異常なんて言葉では片付けられない。

それはもう、前回ここに初めて来た時に、痛いほどわかっている。


天井の話では、前回のネギ星人は、難易度としてはとても優しいモノだったらしい。今回のミッションではどんな星人が選ばれるかわからない。


下手すれば、今度こそ死んでしまうかもしれない。




上条「それでも俺は、帰らなくちゃいけないんだ……アイツを地獄の底から救ってやる為に」



この世で最も地獄に近い場所。



この黒い球の部屋に囚われながらも、上条は更なる地獄の底に囚われているであろう、インデックスの身を案じていた。

403: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/09(火) 22:11:33.82 ID:GEu52usq0
ジジジジジジジジジッ……



御坂「あ、また誰か転送されてくるみたいよ?」


黒い球から、レーザーのようなモノが伸び、FAXのように人間が転送されてくる。


新たな犠牲者が、この部屋にやってきたのだ。



??「んだぁ?ここは。確か俺は、風紀委員のガキに捕まった後……ダメだ、思い出せねぇ……ん?誰だテメェ等?」


転送されてきたのは、見るからにガラの悪そうな男である。

タンクトップに黒いズボン。

頭は金髪のオールバックで、歯はところどころ欠けている。

404: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/09(火) 22:16:20.71 ID:GEu52usq0
上条「アンタ……スキルアウトか?名前は何ていうんだ?」


??「あぁ?いきなりなんだよ?なんでテメェなんぞに名乗らなきゃいけねぇんだ?」


御坂「いいから名前くらい言いなさいよ。面倒なヤツねぇ」


??「あん…だとクソガキィィィィイイッ!!!」ダッ!!


金髪の男が御坂に向かって殴りかかる。


上条「うわ、馬鹿よせっ!!」


バチィィィィイイイッ!!!


「ギャァァァァァァァァアアアッ!!!」


しかし、案の定、御坂の電撃によって、容易く返り討ちにされる。

405: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/09(火) 22:20:41.44 ID:GEu52usq0
御坂「で?アンタ名前は?」ゴゴゴゴゴゴッ……


背後から効果音が出そうな勢いで、腕を組み、踏ん反り返った御坂が再度、倒れている男に名を聞く。


??「グッ……名前なんざテメェ等に教えるつもりはねぇ。『偏光能力』(トリックアート)とでも呼んでろ」



御坂「偏光能力?それはアンタの能力名かしら?どんな能力なの?」


偏光能力「んなもん、そうホイホイと教える訳ねぇだろうが!!勝手に想像してろ!!
で、今度はこっちの質問だ。何なんだこの部屋は?どうなってんだ?」







ジジジジジジジジジッ…………

406: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/09(火) 22:27:45.82 ID:GEu52usq0
上条「その話は、全員揃ってからにしようか。どうやらまだまだ転送されて来そうなんでな」



御坂「そうね。……あ、この脚は女の子ね。スカートはいてるし」



偏光能力「あぁ?来るって何が……なんだこりゃあ!?」


偏光能力の背後。
部屋の隅にある黒い球から、再び誰かが脚元からゆっくりと転送されてくる。








御坂「…………へ?」



全身が転送され、その『誰か』の姿を見た瞬間、御坂美琴は完全に思考停止状態になる。

407: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/09(火) 22:31:57.07 ID:GEu52usq0
上条「な……み、御坂さん?貴女双子だったんでせうか?」


偏光能力「常盤台の第3位が双子……聞いたことねぇな。どういうことだぁ?」


御坂「……ど……どういうことよ……どういうことよ!!誰よ貴女!?」




双子が居たのかと問いかける上条の声など、全く入らないようだ。
御坂が、転送されてきた人物に対して、物凄い剣幕で話しかける。



自分の名前は御坂美琴。

両親である、御坂美鈴と御坂旅掛との間に生まれた一人娘。


そう。


『一人娘』なのだ。自分には姉妹がいるなど聞いたことがない。


第一両親は、そんなことを隠すような人間では無い。



では、目の前に居る彼女は一体何者なのだ?

408: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/09(火) 22:34:19.06 ID:GEu52usq0
『……ここは……ここは一体どこなのでしょうか?』



転送されてきた少女が、丁寧な口調で、御坂や上条達に問いかけてくる。



『と、『ミサカ』は、いつの間にか目の前に居る、見ず知らずの方々に問いかけます』


続けて、えらく個性的な口調が飛びだした。



その少女は今、ハッキリと言ったのだ。『ミサカ』と。



御坂「質問に答えて!!誰なのよ貴女は!!そんな格好して……そんな顔をして、一体どういうつもりなのよ!?」


御坂が、更に追撃を行う。



どうやら、御坂はその少女の見た目が気に食わないようだ。


いや、気に食わないという訳ではない。
あり得ないのだ。どう考えても。



『ミサカは……ミサカは9900号です。と、ミサカは自分の検体番号を名乗ります』



少女は、御坂美琴と全く同じ顔、姿形、服装をしていた。

416: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/10(水) 18:44:09.00 ID:SyACJiuE0
上条「9900号……こ、これはまた変わったお名前だ事で……」


偏光能力「いや、明らかに名前じゃねぇだろ。まるで、どっかの実験体みてぇな……」


御坂「私にそっくりな時点で、おかしいのよ明らかに!!
私に姉妹はいない!!適当な事言ってないで誰なのかハッキリさせなさいよ!!」ガシッ!!



御坂が、9900号と名乗る少女の肩を掴み、少女に強く問いかける。

417: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/10(水) 19:05:34.78 ID:SyACJiuE0
9900号「貴女は……なるほど。貴女はミサカ達のお姉様なのですね。初めましてお姉様。
と、ミサカは丁寧にお姉様にお辞儀をします」ペコッ



上条「ほら、御坂の事お姉様だって言ってんじゃん。仲が悪いかもしれないけど、姉妹なんだから仲良くしろよな」



御坂「だから違うって言ってんでしょうが!!初めましてって今言ったし!!
あぁ、もういい!!アンタ!!ちょっとこっち来なさい!!」グイッ!!



御坂は少女の腕を掴むと、黒い玉のある部屋から引っ張り出し、現時点では開くことの出来ない玄関の前に連れて来た。

418: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/10(水) 19:12:48.13 ID:SyACJiuE0
御坂「はぁ……で?ホントにアンタは何者なのよ。私には姉妹はいない。パパとママの一人娘よ。
いい?妹なんていないの。変装だか能力だか知らないけど、人の姿形を勝手に使って……理由次第じゃタダじゃおかないわよ?
……それで?貴女は誰なの?正直に答えなさい!!」



9900号「失礼ですが、お姉様は実験の関係者ですか?
と、ミサカはお姉様に符丁の確認をとります。『ZXC741ASD852QWE963』」



突如、9900号が御坂に対し、何かの合言葉のような言葉を問いかけて来た。

419: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/10(水) 19:14:33.09 ID:SyACJiuE0
御坂「へ?え、えっと……」



9900号「……どうやらお姉様は実験の関係者では無いようですね。それでは、お姉様の問いに答えるわけにはいきません。
と、ミサカはミサカのことについて、黙秘を行うことを密かに宣言します」



御坂「じ、実験って……アンタ何か実験やらされてるの?何の実験よ!!私の姿で一体何をやってるの!?」



9900号「実験の内容については黙秘します。と、ミサカはこれ以上、実験について聞いても無駄だ。と、お姉様に宣言します」

420: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/10(水) 19:28:55.99 ID:SyACJiuE0
御坂「この……だ、大体何で私がお姉様なのよ!!化けてるだけの赤の他人に、お姉様なんて呼ばれる筋合いないわよ!!」


9900号「いえ。御坂美琴、学園都市第3位のレベル5。貴女は紛れもなく、ミサカ達のお姉様です。
と、ミサカは初めて会うお姉様に少々緊張気味に話しかけます」



しかし、目の前の少女は全くの無表情である。緊張感の欠片も見当たらない。



そもそも、感情と言うモノが感じられないのだ。

421: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/10(水) 19:49:28.77 ID:SyACJiuE0
御坂「はぁ……もういいわ。今はそれどころじゃないし。今回のミッションが終わったら、じっくりお話を聞かせてもらうからね!!」


9900号「お話ですか。と、ミサカはお姉様との初めてのガールズトークに、胸をときめかせます」


御坂「お話の意味が違うわよ!!……はぁ、とりあえず貴女。どうやったかわからないけど、私と顔も姿形もカブってるから周りから判断しづらいのよ。
髪ゴムあげるから、これで後ろ髪を留めといて。これから起こることを考えると、とっさの時に貴女と私で間違えられて、酷いことになるかもしれないしね」



御坂がゴムを渡すと9900号は、御坂同様女の子にしては少し短い後ろ髪を、ゴムで束ねた。

これで、少し見分けがつくようになったようだ。

422: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/10(水) 20:11:32.96 ID:SyACJiuE0
9900号「ちなみにお姉様。これから起こる事というのはどういうことなのでしょうか?それに、ここは一体何処なのでしょうか?
と、ミサカはお姉様に現状を教えて欲しいとおねだりします」


御坂「ミサカはとかおねだりとかいちいち言わなくていいのよ!!」


9900号「ほう……お姉様は、ミサカ達のただ一つの個性を奪うつもりですか?
と、ミサカはお姉様に個性を奪うつもりならば容赦はしないと宣言します」

423: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/10(水) 20:15:32.16 ID:SyACJiuE0
御坂「何よその個性……まぁいいわ。ちなみにここは何処かって質問に答えるとね。
学園都市の第7学区の高層マンションの一室よ。現時点では外に出られないんだけどね」ツルッ、ツルッ


御坂は玄関のドアノブに手をかけようとするが、反発しあう磁石のように、ドアノブに触れないことを9900号に伝える。


9900号「開かないのでは無く、その前に触れないのですか。不思議ですね。
と、ミサカは驚愕を隠せない表情で返します」

424: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/10(水) 20:16:34.20 ID:SyACJiuE0
御坂「いや、さっきからずっと変わらず無表情だけどね貴女。
それと、これから起こることなんだけど……んー、なんて言ったらいいかなー……」


9900号「言葉が見つからないのですか?と、ミサカはお姉様のボキャブラリーの少なさに、落胆の溜息を密かに落とします」ハァッ……


御坂「隠しきれてないわよ。ケンカ売ってんのアンタ?
……まぁ、例えるならこんな感じかしら。これから起こることはね……」



御坂は、少し遠い目をして、数日前の事を思い出しながら、9900号へと口を開いた。










「……この世の地獄ってヤツよ。あの光景には、それが一番しっくりくる言葉ね」

435: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 10:52:53.04 ID:ZXI1RqZJ0
ジジジジジジジジッ…………



上条「お、今度は浜面か。元気にしてたか?」


偏光能力「また人間が出てきやがった……何なんだ?あの黒い玉は。学園都市が作った兵器とかか?」


部屋の壁にもたれかかるように、座り込んでいる2人の目の前に、前回共に生き残った男、浜面仕上が転送されてきた。



どうやらスキルアウトの仲間内で酒を呑んでいたらしく、手には缶ビールが握られていた。


浜面「オイオイ……またこの部屋かよ……何か寒気がしてトイレに入り込んだら、いきなり転送されていくし、呑んでる時くらい勘弁してくれよな……」

436: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 11:04:30.92 ID:ZXI1RqZJ0
上条「お前らと同じ、スキルアウトの浜面だ。知り合いだったりするか?」


偏光能力「知らねぇよ。何でスキルアウトが全員知り合いって前提なんだよお前は」


浜面「ん?隣のヤツは、もしかして新顔か?スキルアウトみてぇだが、お前も死んじまったのか?」


浜面が、偏光能力に近づいて挨拶代りに言葉を交わす。


偏光能力「さぁな。あんまし記憶がねぇんだ。
覚えてんのは、空間移動を使う風紀委員に殺されかけて、警備員に捕まって牢屋に入ってたってくらいだ。
そんで気がついてたらこの部屋さ。もう訳がわかんねぇよ」


偏光能力は、欠けた歯を口元から見せながら、自嘲するように微笑む。

437: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 11:28:49.83 ID:ZXI1RqZJ0
浜面「その歯……お前クスリやってんだろ?バカだなぁ。あんなモン、ヤっても得する事なんざ欠片もねぇのに。大方それで捕まったんだろ?」


偏光能力「うっせぇんだよ!!大体、俺が捕まったのは別件だ。『レベルアッパー』ってヤツ関連でな。
お前らみてぇな無能力者やあのレベル5のガキには関係ねぇ話だがな」



上条「レベルアッパー?何だそれ?」



上条が、浜面に聞く。

438: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 11:59:14.64 ID:ZXI1RqZJ0
浜面「知らねぇのか?聞くだけで能力が強化されるって噂の音楽ソフトだよ。

本当にそんな便利なモンがあんのかは知らねぇが、コイツがそれ関連で捕まったって事は、存在するってことじゃねぇのか?」


偏光能力「あぁ、レベルアッパーは存在するぜ?何しろ、実際に能力を強化し、それをネタに色々やってたからなぁ。俺は」


偏光能力が、またも自嘲気味な笑みを浮かべる。

439: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 12:12:29.18 ID:ZXI1RqZJ0
上条「あぁ、やっぱしお前悪いヤツだったんだな。ま、捕まっちまったみたいだし、特にどうこう言う気もないけどよ。

で、そんなヤツがどうして死んじまったんだ?この部屋は、死んだヤツが集まる部屋らしいぞ」


偏光能力「死んだヤツが……ハッ、じゃあここはあの世って訳か。こんな普通の部屋がよぉ」


浜面「いや、厳密にはまだ生きてるみたいなんだけどな。俺らにもよくわからんが」


偏光能力「あぁ?今死んだヤツが集まるって言ったじゃねぇか!!意味わかんねぇんだよ!!」

440: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 12:13:55.80 ID:ZXI1RqZJ0
上条「落ち着けよ。俺らだってこの部屋はまだ2回目なんだ。詳しいヤツが1人いるからソイツに……噂をすればアイツだ」



ジジジジジジジジッ……





上条達の目の前に、再び転送されてくる人間が現れた。


その人間は、白衣を着た研究員のような男である。





天井「……おや、久しぶりだな。上条君と……浜面君だったか。それに新顔もいるようだな」




過去一年以上、この異常な部屋で生き延びてきた男、天井。




最早、ライフワークと言わんばかりに、彼はこの異常な部屋においても平然としていた。

446: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 19:29:47.52 ID:ZXI1RqZJ0
…………





御坂「さて……そろそろ部屋に戻ろうかしらね。もしかしたら、他のメンバーも来てるかもしれないし。
あの天井とか言うヤツがいれば、わかりやすくこの部屋について説明してくれるかもしれないしね。」



9900号「死者が集まる部屋ですか……ミサカも、1人の人間としての魂があったということでしょうか?
と、ミサカはボソリと呟きます」ボソッ……


御坂「ん?何か言った?」



御坂と9900号は、再び黒い玉のある部屋へと戻った。

447: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 19:32:29.00 ID:ZXI1RqZJ0
ガチャッ……



天井「何故私が毎回説明しなければいけないんだ?
前回君達に説明したのは君達が久しぶりに生還した人間で、少なからず好感が持てたからだ。
そんなに説明したければ、君達が自分でやればいい」


浜面「んなこと言わずに代わりに説明してくれよ。俺らの頭じゃ難しいんだよここの部屋の事は。
新しく婆さんに小さい子供、今時珍しい暴走族とかも居るんだしよぉ」



御坂が部屋の扉を開けると、先ほどとは違って浜面や天井が増えていた。


更に、お婆さんやその孫と思われる子供。更には今時珍しい特攻服を着た、暴走族風の不良が4人、新しく転送されてきたようだ。

448: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 19:35:36.64 ID:ZXI1RqZJ0
不良A「んだよココはよぉ!!何で俺らこんなとこにいんだよ!!」


子供「おばーちゃーん!!怖いよおばーちゃーん!!!」


不良B「うっせぇんだよクソガキィ!!ババァッ!!今すぐ泣き止ませないとぶっ殺すぞ!!!」



御坂「おーおー……特攻服とか。学園都市にも、今時あんな不良がいるのねぇ……」

9900号「最早、絶滅したと学びましたがいるところにはいるのですね。
と、ミサカは珍獣を見る目で彼らを見ます」

449: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 19:38:18.02 ID:ZXI1RqZJ0
浜面「お?御坂か!!丁度よかった。お前なら上手く説明出来るだろ?何とかこの部屋の事、説明してやってくれよ!!」


天井「おや、第3位か。噂によれば、今日はあのレベルアッパーの件で、大活躍のようだな……ッ!?」


部屋に入ってきた御坂とその側にいる9900号を見た瞬間、天井の顔が一瞬驚愕したようなになる。


天井「……流石レベル5と言ったところかな?」


しかし、すぐさま元の表情に戻った。

450: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 19:42:03.85 ID:ZXI1RqZJ0
上条「…………」

偏光能力「…………」



しかし、その変化を見逃さなかった人間が2人いた。


1人は、前回の事もあって、常に天井を警戒している男。

もう1人は、比較的裏に近い世界を歩んできた者として何かしらわかるのだろう。

両者共に、天井の危険性を感じ取った者が、天井の僅かに変化した表情を見逃さなかった。

451: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 19:45:53.50 ID:ZXI1RqZJ0
偏光能力「……上条っつったか?あの天井って白衣のヤロー……」


上条「あぁ……御坂を。いや、あの御坂の妹?を見た瞬間、一瞬表情が固まった。
しかも、すぐに表情を戻して、妹の事にすぐには触れないところを見ると……あの妹について、何か知ってるみたいだな。
普通なら真っ先にあの妹について突っ込むだろ?レベル5にそっくりの妹だぞ?」


上条が、天井の不審な行動について考える。


現に、今浜面が御坂に隣の少女について、いろいろ聞いている。

452: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 19:49:57.80 ID:ZXI1RqZJ0
偏光能力「ハッ、中々注意力があるじゃねぇか。ただの無能力者と思ってたがなぁ」


上条「お前こそ、天井のこと殆ど知らねぇハズなのに、何でそんな注意深く見てたんだよ」


偏光能力「臭えんだよ、あの白衣のヤロー。俺と同じ、小悪党の嘘臭ぇ匂いがプンプンすんだよ」


上条「……違いねぇな……」




上条達が見つめる中、御坂が新メンバーへの説明など、対応に困っていると、突如、あの場違い過ぎて不気味な曲が流れてきた。

453: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 19:50:59.18 ID:ZXI1RqZJ0
●<あーたーーらしーいーあーさがきたー、きーぼーーうのーーあーさーがーー










子供「ヒィッ!?おばーちゃん!!何この歌!?」

婆さん「あら、懐かしいわねー。おばあちゃんも子供の時に、この曲で毎朝体操してたのよ?」





曲が終わると、黒い玉に文字が表示される。




●『てめぇたちの命はなくなりました』


『新しい命をどう使おうが 私の勝手だす』





黒い玉に浮かんだ文字に、新たに部屋のメンバーとなった一同が騒然とする。

454: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 19:53:49.12 ID:ZXI1RqZJ0
偏光能力「ふ……ふざけんな!!俺の命は俺のモンだ!!俺だけが好き勝手にできんだ!!こんな変な玉に好き勝手されてたまるか!!」


9900号「新しい命……実験体としてのミサカの命は無くなり、新しい命が今ミサカには……と、ミサカは今まで感じたことの無い何かを、微かに胸に感じ取ります」ボソッ……



激昂する偏光能力とは対象的に、9900号はとても冷静に、黒い玉に表示された文字を見ている。


そして、その様子を見ている1人の男がいた。

455: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 19:54:36.11 ID:ZXI1RqZJ0
天井「……まさか……な。実験体は所詮実験体のハズだ。感情など……」ボソッ……



天井は、9900号の様子をチラチラと見ている。




上条「…………」




そして、そんな天井を上条がジッと見ていた。

456: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 19:57:34.35 ID:ZXI1RqZJ0
浜面「さて……前回と一緒なら、そろそろ星人の情報が出てくるころだよな……鬼が出るか蛇が出るか……」


御坂「どちらでも無いでしょ、星人が出るのよ」


浜面「いや……そういう訳じゃ……お、出た出た!!」


黒い玉に映されていた文字が消え、別の映像が表れる。










●『こいつらを倒してくだちい』








『田中星人』




特徴 つよい ちわやか とり


好きなもの ちょこぼうル


口癖 ハァーハァーハァー




457: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 20:00:24.45 ID:ZXI1RqZJ0
浜面「田中星人……何だろう?どっか遠い昔に見た気が……」


天井「君らの世代では知っている方がおかしいだろ」


御坂「好きなモノチョコボールって……星人もお菓子が好きなのかしら?」


上条「ネギ星人もネギ好きだったしなぁ。何かこの星人と関係あるんだろうか?」


ミッション経験者達は、画面を見てそれぞれ思い思いの感想を述べる。


そして、初参戦のメンバーは、戸惑っていた。

458: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 20:01:55.18 ID:ZXI1RqZJ0
偏光能力「オイ。お前らだけで話してないで、こっちにも説明しねぇか!!」


9900号「一体今の映像は何だったのでしょうか?と、ミサカは内心物凄く戸惑いながら、平然を装い問いかけます」


御坂「全然戸惑ってるようには見えないけどね。そこまでいくと凄いわね、貴女。
えっと……確かそろそろ……あ、その玉の周辺に居る人達。危ないわよ?」


御坂が、玉の周辺にいる人間に注意を促す。

459: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 20:02:50.25 ID:ZXI1RqZJ0
●>>ドンッ!!!


不良A「うぉっ!?」


ドンッ!!!<<●>>


上条「へぶっ!!」グシャッ!!



黒い玉の両サイドが開き、中から様々な銃やスーツケースが出てくる。



御坂「……アンタ前回も挟まってたわよね?何してんの?馬鹿なの?」



上条「ゆ、油断してました……不幸だ……」

460: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 20:09:00.55 ID:ZXI1RqZJ0
各々が、スーツケースや銃を取り出していく。


御坂「銃は絶対人に向けて撃たないでねー。あと、自分のスーツは必ず着ること。
時間が無いから理由は後で話すけど、とにかくスーツだけは着ておいて。もう一回死にたくなかったらね」


御坂が新メンバーにスーツを着るように、注意を促す。



上条「そういえば……よかった。俺のスーツは無事みたいだな」




上条が、制服のカッターシャツの下に着ているスーツを確認して安堵する。

461: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 20:11:07.69 ID:ZXI1RqZJ0
神裂との戦いで、破壊されたハズだったのだが、どういうわけか元に戻っているようだ。
そういえば、折れたハズの肋骨も内臓の損傷も、いつの間にか治っている。



天井「転送される前の怪我やスーツの破損は、この部屋に転送された時点で全て元通りになる。
その様子だと、さっそくスーツを壊したようだな?
車にはねられても、銃に撃たれても、ミッション以外で壊すことなど殆ど無いハズだが……一体君はどういう日常を送ってるのやら……」



上条「ハ、ハハッ……上条さんの日常に、安息の時などないのですよ……不幸だ……」ガクッ……

471: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 22:04:48.07 ID:ZXI1RqZJ0
不良C「ハッ!!そんなオタクみてぇなコスプレするわけねぇだろうが!!」


御坂「……別にいいわよ?着たくなければ着なくても。ただし、着なかったら間違い無くアンタ達は死ぬわよ?
何しろ、前回はレベル5である私が殺されかけたくらいなんだからね……」



不良B「れ、レベル5!?まさかテメェ、第3位の……」



御坂が、冷静に不良達を諭す。


不良A「お、おい。どうするよ?レベル5のヤツが殺されかけたって言うんだぜ?」


不良B「ば、馬鹿野郎!!ビビってんじゃねぇよ!!相手はただの中学生のガキだぜ?」


不良C「いや、でもレベル5つったら相当の……さっきから何やってんだ?D」


不良Cは、さっきからXガンをいじりまわしている不良Dに話しかける。

472: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 22:07:43.23 ID:ZXI1RqZJ0
不良D「いや……さっきから見てんだけど、どうやって撃つのかなコレ……トリガー引いても何にも何ねぇし……」カチャカチャッ……



不良DがXガンを構えて、色々と銃をいじっている。



その銃口の先には、天井が。








ギョーーンッ!!!

473: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 22:09:41.86 ID:ZXI1RqZJ0
天井「!?なっ……」



不良D「お、何か光った。でもこれ弾出ねぇじゃん。つまんねぇな」カチャカチャッ……




御坂の注意にも関わらず、突如、不良DがXガンの二つのトリガーを引いたことにより、天井に向かって発射されたのだ。




一度照準が合ったまま、発射されたXガンからは、決して逃れられない。





天井の命は、残り3秒となる。

474: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 22:12:19.51 ID:ZXI1RqZJ0
上条「バッ……」


御坂「そ、そんな……」


浜面「馬鹿野郎っ!!この銃を人に向けんなって言っただろうが!!何てことしてんだテメェは!!!」ガシッ!!



あまりにも突然の事に、驚愕する上条と御坂に対し、浜面が真っ先に不良Dに掴みかかる。



不良D「あぁ!?んだテメェは!!何か文句でもあんのかコラァッ!!!」


浜面「うるせぇっ!!テメェは今とんでもない事をやっちまったんだぞ!?人1人殺しちまったんだぞ!?」

475: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 22:13:51.37 ID:ZXI1RqZJ0
前回のミッションにより、自分を庇い、更には御坂を庇い、ネギ星人と共に命を落としたヤクザの影響で、浜面自身、命に対する考え方が大きく変化したようだ。


例え、冷酷な天井に対してでも、命をないがしろにするべきではないと考えたのだろう。



不良C「何寝言言ってんだテメェは!!弾も出てねえし、何にも起きてねぇだろうが!!!」バキィッ!!!


不良Cが横から浜面を殴り、浜面はその場に倒れこむ。


浜面「ぐっ!!痛っ……あの銃にはなぁ!!時間差があって」









天井「それぐらいにしておけ、浜面君」スッ……

476: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 22:16:22.97 ID:ZXI1RqZJ0
御坂「へ!?あれ!?だってもう3秒以上……」


浜面「天井……あ、アンタ何でまだ生きて……」


浜面を制止したのは、Xガンで撃たれたハズの天井であった。


Xガンに撃たれた標的は、その箇所が爆散する。



それに例外は無い。




不良C「ほら、何ともねぇじゃねぇか。何ビビってんだよテメェ。ダセェ男だなぁオイ」


不良D「オラ、立てやコラァッ!!俺に掴みかかったからには覚悟出来てんだろなぁオイッ!!」バキィッ!!



不良Dが倒れている浜面に蹴りを打ち込む。

477: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 22:17:48.17 ID:ZXI1RqZJ0






ギョーンッ!!!


上条「!?」


御坂「え!?」


浜面「な……」







その瞬間、再びXガンの発射される音が鳴り響いた。

478: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 22:20:00.73 ID:ZXI1RqZJ0
3




不良D「あ?……おいコラ、テメェオッサン!!何俺に銃向けてんだコラァッ!!!」


天井「何をビビっているんだ?弾は出ないし、人に向けても問題ないんだろ?この銃は」スッ……


天井が銃を下ろす。




2



不良C「おいオッサン!!調子乗ってんじゃねぇぞ!!!」


不良B「オッサン舐めてんだろ俺らを?わからせてやっからちょっとこっちこいやコラ」グイッ


不良B・Cが、天井に掴みかかっていく。




1



天井「あぁ……そこの御婦人……」

天井が、孫を守るように抱き寄せるお婆さんに対して、冷静に話しかける。





天井「その子を連れて、廊下に出るといい。今から起こる事は、小さな子供が見るモノじゃあない……」

479: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 22:22:50.28 ID:ZXI1RqZJ0
0



上条「!?婆さん!!早く部屋の外に!!」


何かに気づいた上条が天井達への視界を防ぐように、子供の前に立つ。





不良D「テメェッ!!何シカトしでンデボボボボ」









グシャッ!!!



ビチャビチャッ!!!!!



ドサァッ!!!

480: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 22:27:07.37 ID:ZXI1RqZJ0
不良C「…………へ?」





突如、不良Dが内側から破裂するように爆散し、その肉片や血が、部屋中に飛び散った。



御坂「い……イヤァァァァァァァァアアアアアアッ!!!!!」

浜面「う……ウプッ……」


部屋中に、御坂の悲鳴が響き渡り、浜面はあまりの惨劇に、吐き気を催している。









不良B「ひ……ひ……」ガタガタッ……


天井「……どうした?ビビっているのか?この程度で……」スッ……



叫びが声にならない不良Bの背後に、天井がいつの間にか忍びよる。

481: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 22:29:40.12 ID:ZXI1RqZJ0
不良B「う、ウワァァァァアアアアッ!!!」ブンッ!!!



ガシッ!!



不良Bが、背後の天井へと、錯乱気味に腕を振り回すが、その腕を天井に取られる。




メキメキィッ!!!

不良B「ガァァァァァァアアアアッ!!!折れる!!折れるって!!!」



そのまま、不良Bの腕が折れるか折れないかの微妙な力加減で握り続ける。

下手に折るよりも、よほど苦痛が続くようである。

482: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 22:30:42.66 ID:ZXI1RqZJ0
不良C「し、死ねぇぇぇぇぇぇえええっ!!!!」チャキッ!!


天井「!?」バッ!!!



不良Cが天井にXガンを構えるが、その瞬間、天井は不良Bを盾にする。



不良C「ウォォォォォォォォオオオオッ!!!」



ギョーンッ!!!

ギョーンッ!!!

ギョーンッ!!!




天井「…………」チャキッ!!

ギョーンッ!!!

483: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 22:33:24.44 ID:ZXI1RqZJ0
3



不良B「ヒッ……おい……もしかして俺今撃たれたのか?」ガタガタッ……



天井「ん?あぁ、撃たれたよ。何発も。盾代りご苦労」



2



不良B「て、テメェ!!C!!何で撃ちやがった!!」


不良C「う、うるせぇ!!邪魔なんだよテメェ!!」



1



不良B「や、嫌だ!!嫌だっ!!!死にたくねぇ!!どうすりゃいいんだオッサン!!」


天井「どうするも何も……死ぬのさ、君はね」ニッコリ


天井が、笑みを浮かべて答える。






0



不良B「ウワァァァァアアアアッ!!!助けてくれ!!誰か助げべババババ」


グシャッ!!!!









グシャッ!!!!

484: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 22:35:24.82 ID:ZXI1RqZJ0
不良C「ギャァァァァァアアアアアッ!!!!う、腕が!!俺の腕がぁぁぁあああ!!!」ブシュゥゥゥウウッ!!!



不良Bが爆散すると共に、不良Cの銃を持った右腕が弾け飛ぶ。


どうやらさっきの攻防で、天井に撃たれていたようだ。



天井「ククッ……私に銃を向けて、無事に済むと思ったのか?君らこそ、私を舐めていたのではないのかな?」



天井が倒れこんだ不良Cに、ゆっくりと近づいていく。

485: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 22:37:45.22 ID:ZXI1RqZJ0
不良C「ァ……ア……た、助けて……助けてください……」



天井「君を助けることで、私にどんな益があるんだい?ん?」チャキッ!!

ギョーンッ!!!


天井がにこやかに、不良Cの頭へ至近距離から撃ち込んだ。




3

2

1


不良C「助けてくれぇ……助けてくれぇぇぇぇええ!!!!」


0






グシャッ!!!

486: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 22:40:08.17 ID:ZXI1RqZJ0
御坂「…………」ガタガタッ……


ギュッ……

9900号「…………」



浜面「ウ……オェ……」


浜面は心底気持ち悪そうに。

御坂は、妹と名乗る9900号を抱きしめるように、天井の起こした惨状から目を背けていた。




偏光能力「ここまでやるかよ……」



不良A「ひっ……ヒィ……」ガタガタッ……



天井「……おや……まだ生き残りがいたのか。1人では心細いだろ?」チャキッ!!



天井が怯える不良Aへと、Xガンを向ける。

487: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 22:42:38.61 ID:ZXI1RqZJ0
上条「待てよ。もう十分だろ……」


上条が、不良Aの前に立ち塞がる。



天井「十分などではないよ。君ならわかるだろう?Xガンで撃たれたのにも関わらず、まだ私が生きている理由が。

コイツらは、私の生存率を著しく削ったんだ。生かしておく理由がないよ」




天井が未だに無事な理由。


それは、天井が既に、あらゆる攻撃を防ぐ、スーツを着ていたからである。

そして、上条は知っている。


このスーツの耐久力には、限りがあると言うことを。

488: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 22:45:24.24 ID:ZXI1RqZJ0
すなわち、天井のスーツの耐久力は、不良Dの撃ったXガンによって、大きく削られているのだ。


これから、星人との戦いがあるという中では、かなりの痛手である。



上条「だからと言って、これ以上殺す理由もないだろ?この場は退けよ天井。やるなら後は、俺が相手になる」



天井「……やれやれ、君は正義感が強すぎるな。そんなんじゃ、いつか足元を救われるぞ?」チャキッ……


天井が上条の頭に照準を向ける。



上条「アンタに心配されるほどじゃないさ」


上条は、天井をじっと睨みつけている。

489: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 22:52:42.98 ID:ZXI1RqZJ0
天井「……フッ……ガンツ。私を一番始めに転送してくれ。それと、転送先に『アレ』を置いててくれ。
あ、ついでにミッションが終わるまでに、この部屋の掃除よろしく」スッ……



ジジジジジジジジッ…………



天井が銃を下ろすと、直後、天井の身体が転送されていく。
どうやら、ミッションスタートのようだ。



天井「今回は……私も少しだけ本気でいくよ。まだ死ぬわけにはいかないからね……」ジジジジッ……

490: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 22:55:51.69 ID:ZXI1RqZJ0
偏光能力「あの野郎が消えた……てうおっ!?俺の身体もかよ!!どうなってんだ!!」ジジジジジジジジッ……



上条「御坂!!浜面!!しっかりしろ!!天井が非協力的なんだ。俺たちが引っ張らなきゃ皆死んじまうぞ!?」



御坂「!?……そう……よね……皆!!自分のスーツケースは持った!?時間がないから、着替えるのは向こうで着替えるわよ!!
それと、アンタと浜面さんは、銃を持ってきて!!前回天井さんに教えてもらったヤツ全部よ!!出来るだけ多くね!!」ジジジジジジジジッ…………

491: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 22:57:02.84 ID:ZXI1RqZJ0
上条「わかった!!」


浜面「了解!!片っ端から持っていってやるよ!!」


御坂が転送されながらも、浜面と上条へと指示を出す。


スーツと武器。


この異常な部屋で生き残るには、この二つが不可欠だ。




浜面「上条!!お前スーツケースは!?」ジジジジジジジジッ……


上条「俺はもう着込んでる!!俺は心配しなくていいから、自分の心配をしろ!!向こうに着いていきなり殺られるかもしれないんだからな!!」ジジジジジジジジッ……





そして、間も無く全員が、この黒い球体の部屋から転送された。








『2ndミッションスタート』

492: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/11(木) 22:57:58.94 ID:ZXI1RqZJ0












●<『いってくだちぃ』










『01:00:00』ピッ




次回 上条「……GANTZ?」御坂「黒い球体の部屋?」 後編