上条「……GANTZ?」御坂「黒い球体の部屋?」 前編

507: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/13(土) 07:05:10.97 ID:0mwd+Ne00
学園都市 第19地区




第19地区。
それは、学園都市において、再開発に失敗し、昭和から平成初期の匂いが漂う、木造建築のアパートや建物など、古い時代の街並みが残されている地区である。


真空管などの研究所が立ち並ぶが、現在もそういうレトロな生活を好む人達が多く住んでおり、古き良き街として残されている。




新約 とある魔術の禁書目録(21) (電撃文庫)
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508: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/13(土) 07:18:41.48 ID:0mwd+Ne00
ジジジジジジジジッ……



御坂「あ、来た来た。こっちは女性陣や子どもの着替えも終わったし、準備万端よ?今浜面さんと偏光能力さんがスーツに着替えてるとこ」


黒いスーツに着替えた御坂や9900号が、最後に転送された上条を出迎える。



上条「そうか。……今のところ、星人は見当たらないのか?」


御坂「うん。この辺りには居ないみたいね。今から前回みたいにこのレーダーで探すつもりだけど」


上条「わかった。じゃあ星人を探すのは頼むな。俺はちょっとその辺を見てくる」スッ……


上条は、浜面と共に持って来た銃の山の中から、捕獲用のYガンを手に取り、御坂達から少し離れていった。

509: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/13(土) 07:29:16.86 ID:0mwd+Ne00
上条「何か学園都市では見ない街並みだな……何ていうか……昭和って感じが漂う……嫌いじゃないけどなーこういうのも」


上条が歩きながら周りを見渡すと、木造のアパートなどが多く見られる。

コンクリートの建物も多いが、今時珍しく木造アパートが嫌でも目についてしまう。


上条「確か19学区がこういう古い街並みって聞いたことあるな。こういうところだったんだなー」キョロキョロッ……


上条が再び周りを見渡すと、少し離れたところに人影が見えた。

510: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/13(土) 07:36:56.29 ID:0mwd+Ne00
上条「!?……星人か?いや、こっからでは普通に人に見えるけど……」


少し離れているせいか、人影はまだこちらには気づいていないようだ。


上条「どうする……撃つか?でももし人だったら……」パキィッ!!



突如、上条の足元から、乾いた高い音が鳴り響く。
どうやら落ちていた木の枝を踏んでしまったようだ。



上条の前を歩く人影が止まった。

511: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/13(土) 07:47:00.39 ID:0mwd+Ne00
…………


9900号「これはナビですか?学園都市の軍用ナビと比べても、凄い高性能ですね。
と、ミサカは未知の機械に興味深々です」


御坂「……近くに星人が1体いるわ……方角は……!?ね、ねぇ、アイツさっき、どっちに歩いていったっけ?」

御坂が恐る恐る9900号に問う。


9900号「彼ですか?彼ならあちら側に……東の方へと向かいましたね。どこまで行ったのでしょう?
と、ミサカは団体行動が出来ないあのウニに対して溜息を漏らします」ハァッ……


御坂「!?東……だとしたらこの星人の近くにいる反応は……」


御坂がレーダーをじっと見つめる。

そこには、星人を示す青い点のすぐ近くに、メンバーを示す赤い点が表示されていた。

512: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/13(土) 07:56:09.22 ID:0mwd+Ne00
…………





上条「(……暗くてよく見えねぇ……どっちだ?人間か?星人か?)」



上条は、右手に握りしめたYガンを背後に隠し、じっと前方の人影を見つめていた。


前方の人影がゆっくりこちらに近づいてくる。


同時に、上条の心拍数が、一気に跳ね上がっていく。




ドクンッ!!ドクンッ!!!

上条「(落ち着け……落ち着け……大丈夫だ。俺はあのステイルとかいう魔術師にも勝ったし、神裂ともやり合えた。
このスーツさえ着ていれば、落ち着けば勝てるハズだ。ネギ星人にも勝てたし……)」



思考する上条の頭に、一つの言葉がよぎる。

513: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/13(土) 07:58:09.94 ID:0mwd+Ne00
天井『今回のミッションは比較的楽……というより簡単過ぎるミッションだ。
酷い時には、戦いなれたメンバー十数人が、8割方殺られたこともあったからな。アレは酷かった』










ドクンッ……ドクンッ!!!


上条「(大丈夫……大丈夫だ……俺なら出来る……俺なら倒せる……)ウッ!?」ビクゥッ!!!








田中星人『…………』ジーッ……











不安と戦う上条のすぐ目の前に、いつの間にか、街灯に姿をハッキリ照らされている人物……いや、『星人』の姿があった。

532: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/20(土) 19:12:50.78 ID:RAJ4l9jq0
…………



偏光能力「たくっ……何でこんな格好しなきゃなんねーんだよ俺が……」


浜面「まぁそういうな。コレさえ着とけば、かなり違うみたいだからな。それは前回、嫌ってほど思い知ったんだ」



愚痴をこぼす偏光能力を、浜面がなだめる。
自業自得とはいえ、すでに3人死んでいる。

浜面「これ以上、人が死ぬのは見たくねぇしな……ま、我慢してくれよ。
おーい、そっちの婆さんと嬢ちゃんはもう着替えたかー?」

533: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/20(土) 19:14:35.88 ID:RAJ4l9jq0
浜面が転送地点に戻り、持ってきた銃を装備すると、新しいメンバーのお婆さんと、帽子を被った綺麗な金髪の小さな女の子に声をかける。





お婆さん「あ、あの……何が何だかわからないんですが……大丈夫なんでしょうか?特にこの子は……」



浜面「ん?あ、あぁ……悪い、正直俺もまだ何とも言えないんだ。
……だけど、出来る限り、婆さんとその子を守ってみるよ。特に、その子は必ずだ。
婆さんの孫なんだろ?金髪で外人っぽいけど……ハーフか何かか?」


浜面は、女の子を見ながらお婆さんに問いかける。
女の子は、お婆さんの後ろで隠れているようだ。

534: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/20(土) 19:17:48.02 ID:RAJ4l9jq0
お婆さん「いえ……私はこの学園都市の『置き去り』の子や、訳あって預けられた子供達を預かる園の、園長をしてるのです。
それで、この子のお姉さんに、今日から園にしばらくと預けられたのですが……こんなことになって……」



どうやら、この女の子には姉がおり、やむ終えない事情によって、姉から預けられたそうだ。


浜面「そうか……よーし、嬢ちゃん!!お兄ちゃんがな!!悪いヤツらを皆やっつけてやるからな!!
嬢ちゃんは、お婆ちゃんや、あのお姉ちゃん達と一緒にいるんだぞ?皆が守ってくれるからな」

535: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/20(土) 19:24:01.99 ID:RAJ4l9jq0
女の子「!?……うん……大体わかった……にゃあ……」ニコッ……


浜面「ん。やっと少しだけ笑ったな。やっぱ女の子は笑ってなくちゃな!!」ポンポンッ


女の子は、お婆さんの後ろから答え、浜面は女の子の頭へと、ポンポンと手を乗せる。
どうやら、少しは浜面に打ち解けてくれたようだ。











その直後、御坂達が血相変えて、こちらに走ってくる。


御坂「浜面さん!!アイツが……当麻が星人のすぐ近くに……」

536: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/20(土) 19:27:23.44 ID:RAJ4l9jq0
…………




その姿は、シルエットこそ人間だが、明らかに人間ではない。

一言で言えば、某ファストフードに置いてあるカー○ルさんやドナル○のように、表面の滑らかな、人形みたいなロボットである。

ちなみに、その表情は、わりと爽やかな印象の笑顔である。



距離にして、3mも離れていない。本当にすぐ目の前である。



田中星人『…………』ジーッ……


上条「な……が……あ……」ガタガタッ……


上条は不意の事で酷く驚き、内心はかなり取り乱している。
あまりに突然過ぎる星人との近距離での遭遇に、脳が処理に追いついていないのだ。

537: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/20(土) 19:35:11.26 ID:RAJ4l9jq0
上条「(ど、どうする?このまま銃で撃つか?だけど俺はまだこの銃を撃ったことがない。ちゃんと当たるのか?)」



脳の処理が追いつき、少しづつ頭で考えられるようになってきたが、この銃を使ったことがないという不安が上条を襲う。



このYガンが、捕獲用の銃ということは天井から聞いている。使い方も。


それでも使ったことのないモノに、命を預けるというのは、とてつも無く不安なのだ。


そんな考えを巡らす中、突如、人形のようなロボットのような外見で、わりと爽やかな印象の笑顔で、田中星人の口が開いた。

538: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/20(土) 19:53:23.73 ID:RAJ4l9jq0












田中星人『雄三くん?』






上条「……へ?」








上条の頭は、再び混乱し始める。

539: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/20(土) 19:56:49.85 ID:RAJ4l9jq0
上条「(だ……誰だ?雄三くんって?……俺に聞いてきたんだよな?
もしかしてまだ俺の事を、自分を倒しにきた人間だって気づいてないのか?だとしたらここは、何て返せばいいんだ?)」




ネギ星人の時もそうだったが、星人はどうやら言葉を発することは出来るようだ。


日本語を発音することも出来る。



しかし、基本的に言ってる意味が、全くわからないのだ。



上条は、意を決して田中星人の問いに答える。

540: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/20(土) 20:04:21.63 ID:RAJ4l9jq0
上条「い、いえ……違います……」


上条の出した答えは、正直に人違いと答えることであった。




田中星人『…………』ジー……


上条「(……ジッと見られてる……今の答えでよかったのか?)」ドキドキドキドキ……



田中星人『…………』クルッ

スタッ、スタッ、スタッ、スタッ



田中星人は、特に何のリアクションもせず、そのまま振り返ってゆっくり歩いていく。

541: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/20(土) 20:23:37.10 ID:RAJ4l9jq0
上条「よ、よかったのか?今ので……それにしても、背後ガラ空きだな……今の内に撃ってみるか?」チャキッ……


上条が、前方を歩いていく田中星人へと、Yガンを構える。


上条「えっと……このモニターで照準を合わして……な、何だ?コイツ……」


Yガンについているモニターで、田中星人を覗くと、そこには、ロボットのような田中星人の『中身』が映っていた。


その『中身』は、確実に人間の構造ではない。では何かと問われれば、鳥類を少し連想させるモノだ。

542: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/20(土) 20:34:07.71 ID:RAJ4l9jq0
上条「コイツ……ロボットじゃねぇのか?アレはスーツみたいなモンで、本体はあの中か?」グググッ……


上条の指が、Yガンのトリガーにかかる。






ピタッ……








田中星人「」クルッ!!


上条「ゲッ!?」ビクッ!!


その瞬間、田中星人が、上条の方へと不意に振り返る。
驚いた上条は、とっさに銃を隠した。

543: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/20(土) 20:56:11.87 ID:RAJ4l9jq0
田中星人「…………」ウィィッ、ウィィンッ……


上条「も、もしかして……怒ってらっしゃるのでせうか?あの顔は……」



田中星人の今まで爽やかな印象の笑顔が、機械音と共に少し怒ったような表情に変わっていく。

顔文字で表すと、大体(^∇^)→(`ω´ )な感じである。



田中星人「」ガシャッ、ガシャッ!ガシャッ!!ガシャッ!!!


田中星人が、徐々にスピードを上げながら、こっちへと近づいてくる。

544: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/20(土) 20:59:56.60 ID:RAJ4l9jq0
上条「こ、ここは……一旦逃げた方がいいかもな!!」ダッ!!


上条が、御坂達のいる地点へと戻ろうと、振り返って走り出す。


田中星人「」ガシャッ!!ガシャッ!!!ガシャッ!!!!ガシャッ!!!!!



それに追いつくように、田中星人のスピードが更に上がる。距離はすぐさま縮まり、差は2mほどとなった。


田中星人が速いのもあるが、それ以上に上条の足が不自然に遅い。
しかし、その理由はすぐにわかった。

545: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/20(土) 21:02:00.94 ID:RAJ4l9jq0
上条「」ニィッ……


ザザァッ!!!


田中星人「!?」キキキィィィイイッ!!!


突如、逃げる上条が急ブレーキをかける。そしてその勢いのまま、後ろを振り向きつつ、拳に力を溜める。



田中星人もそれに合わせて急ブレーキをかけるが、速度が速い為、田中はすぐには止まれない。



上条「わざわざアイツ等を、危険な目に合わせるわけねぇだろ……お前はここで!!俺がぶっ飛ばしてやるっ!!」ブンッ!!


渾身の力を込めた上条の右ストレートが、田中星人へと真っ直ぐ突き出される。

546: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/20(土) 21:07:37.43 ID:RAJ4l9jq0
田中星人「」サッ!!


上条「!?なっ……」


しかし、その右ストレートは虚しく宙を切る。

避けられてしまったのだ。いともたやすく。

そして、田中星人が姿を消し、上条が辺りを見回す。


上条「……そんなのアリかよ……飛ぶなんて」


上条が頭上を見上げると、地面から3mほどの高さで浮いている田中星人が見えた。


どういう原理か全くわからないが、田中星人は宙を自由に移動することが出来るようだ。

548: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/20(土) 21:12:51.59 ID:RAJ4l9jq0
上条「飛ばれたら、流石に拳じゃかなわねぇな……やっぱりコレを使うしかねぇか!!」チャキッ!!



バシュッ!!



上条がYガンを構えて、宙に浮かぶ田中星人を狙い撃つ。



Yガンから放たれた3つのロケットのような弾丸は、互いをレーザーのようなモノで結び合い、それを用いて、網のように標的を絡め取ろうと突き進む。

549: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/20(土) 21:17:17.12 ID:RAJ4l9jq0
田中星人「」サッ!!


上条「くっ!!やっぱ銃なんて使ったことねぇから、全然当たんねぇ!!」バシュッ!!バシュッ!!バシュッ!!!


田中星人に向かってYガンを撃ち続けるも、ことごとく田中星人はそれを避けていく。

どうやら、回避に関しては、かなりの高レベルの星人のようだ。




シュンッ!!

ガシィッ!!!


上条「グッ!!いつの間に後ろに……クソッ!!離せよこの野郎っ!!!」グググッ!!

551: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/20(土) 21:30:16.27 ID:RAJ4l9jq0
上条の背後へと、素早く移動した田中星人は、上条へと後ろから抱きつき、上条の動きを止める。


その抱きつきの締め付け力はかなりのモノで、上条の力では振りほどけない。



上条「クソッ!!クソッ!!!何でスーツの力が出せないんだ!?
ネギ星人の時も、神裂の時も、上手く力を引き出せたじゃねーか!!」グッ!!グッ!!!


何故か、スーツの強大な力を出せない上条が焦る。


実は、スーツの力を引き出すには、精神力。すなわち、強い想いが必要となるの
だが、上条はそれを知らない。

552: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/20(土) 21:32:09.09 ID:RAJ4l9jq0
元々、強い心を持った彼は、ネギ星人の時も、神裂の時も、強敵に挑む覚悟と、守る為の強い覚悟を持って、戦いに挑んだ。

その為、無意識にスーツが反応したのだ。



今の彼には、スーツの力が出せないという、『焦り』の感情という感情に支配され、スーツの力を引き出すには少々想いの力が足りないのだ。




田中星人「」コォォォォォォ…………



上条「!?な、何だ?何をするつもりだお前!!」グッ!!グッ!!



突如、背後で大きく口を開いた田中星人から、奇妙な音と光が発生される。

まるで、何かエネルギーを溜め込んでいるような。

553: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/20(土) 21:35:50.20 ID:RAJ4l9jq0
田中星人「ギョェェェェェェェェエエエエエエエエッ!!!!!」カッ!!!


何らかのエネルギーが溜められた口内から、耳をつんざくような叫び声が発せられる。


ピキピキッ……

パリィンッ!!
パリィンッ!!!
パリィンッ!!!!


周囲の電灯や、建物の窓ガラスが次々に割れていく。

どうやら、田中星人の発した超音波のようなモノが、周囲に破壊をもたらしているようだ。




554: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/20(土) 21:43:28.31 ID:RAJ4l9jq0





ビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビッ!!!!!



上条「グッ!?ガァァァァアアッ!!!」



ビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビッ!!!!!




バッシャァァァアアアッ!!!!!



超音波の標的となった上条は、凄まじい破壊のエネルギーをモロに受け、そのまま側を流れている川の中へと吹き飛ばされた。



田中星人「ギョェェェェェエエエエエッ!!!」バッ!!



バッシャァァァアアアッ!!!!!




そして、後を追うように、田中星人も川の中へと飛びこんでいった。

565: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/24(水) 21:08:49.51 ID:VdjiV8X30
浜面「あぁ!?ックソ、御坂!!お前等はこのまま上条の所に向かえ!!
俺はあの婆さんと女の子を探しに行く!!アッチも下手すりゃ死んじまうからな!!」ザザァッ!!


ダッ!!!


浜面は、身を翻し、元来た道を引き返していく。



御坂「ちょ、ちょっと浜面さん!!探すって貴方、貴方はレーダーの使い方まだ知らないんじゃ……あー、もう!!仕方ない!!私達はこのままアイツの元へ向かうわよ!!」


9900号「お婆さん達はよろしいのですか?と、ミサカはお姉様の判断に対し、確認をとります」

566: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/24(水) 21:10:31.23 ID:VdjiV8X30
御坂「今の時点で緊急性が高いのは、アイツの方よ!!さっさと助けて、すぐにお婆さん達を迎えに行く!!これが最善策よ!!
……万が一の時、向こうは、浜面さんを信じるしかないわ」ギリッ!!



歯を噛み締めながら、御坂は上条の元へと走る。



9900号「……わかりました。と、ミサカは内心気が気じゃないお姉様を心配しながら着いて行きます」



偏光能力「全然心配してるようには見えないけどな。マジで何なんだ?お前は」

568: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/24(水) 21:15:49.71 ID:VdjiV8X30
…………



ゴポゴポゴポゴポゴポゴポッ……


上条「…………ッ!?」ゴポォッ!!



田中星人の放った超音波によって、近くを流れる川に落とされた上条は、水中で意識を取り戻し、立ち上がる。


どうやら、足が着く深さのようだ。



ザパァッ!!!



上条「ップハァッ!!!クソ、何だったんだ今のは!?
アイツが急に叫びだしたと思ったら、凄ぇ衝撃みたいのが……そうだ!!アイツは何処に行った!?」キョロキョロッ!!



上条が、川の中から辺りを見回す。




田中星人の姿が見えない。

569: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/24(水) 21:17:20.92 ID:VdjiV8X30
上条「逃げたのか?……いや、状況はアイツに有利だったんだ。しかも、アイツは自分から攻めてくるくらいには好戦的だ。
今の状況で逃げるなんてことは……」ゾクッ!!



上条は考えてしまった。



もし、田中星人もこの川の中にいるとしたら。



身動きの取りづらい水中では、格好の餌食である。




上条「やべぇ!!さっさとこの川から出ねぇと……」ザパァッ!!ザパァッ!!!



上条が急いで川から出ようと、派手に水音を鳴らしながら動き出す。







『狩る側』としては、丸見えである。

570: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/24(水) 21:21:00.70 ID:VdjiV8X30
田中星人「」ザパァッ!!!

コォォォォォォッ!!!



上条「!?」



突如、上条の背後の水中から、田中星人が現れる。

上条がその姿を確認した時には、先程と同じように、口内にエネルギーを溜め込んでいた。



上条「クッ!!」バッ!!


上条が咄嗟に右手を拡げて、前に出す。





田中星人「ギョェェェェェェェェエエエエエエエエッ!!!!」カッ!!


次の瞬間には、田中星人の強烈な叫び声が発せられた。

571: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/24(水) 21:22:53.77 ID:VdjiV8X30
ビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビッ!!!!



上条「グッ!!何でだ……右手で防ぎきれねぇ……ガァァァァアアッ!!!」



ビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビッ!!!!




ドパァァァァァァアアアアンッ!!!!!




再びモロに田中星人の超音波を喰らった上条は、大きな水柱と共に、水中に沈んだ。



どんな能力も、どんな魔術も。
終いには、神の加護すら消し飛ばしてしまう、上条だけが持つ右手『幻想殺し』。



上条は、田中星人の超音波を、能力や魔術に似たモノと認識し、咄嗟に右手で防ごうとするが、彼の右手は機能しなかった。

572: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/24(水) 21:24:54.86 ID:VdjiV8X30
それもそのハズだ。



田中星人の出す強烈な超音波は、学園都市の開発している能力でも、魔術師が使う魔術でもない。



田中星人が着ている人型スーツによって、単なる叫び声の威力を増幅させた、田中星人自身の力なのだ。




上条が打ち消せる力の類いでは無い。



故に、これまでに、様々な危機を脱してきた『幻想殺し』の力は、田中星人には通用しないのだ。

573: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/24(水) 21:27:36.03 ID:VdjiV8X30
ゴポゴポゴポゴポッ……



上条「(幻想殺しは通用しねぇ……だったらどうする……御坂みてぇに能力の無い俺に、いったい何が出来る……)」ゴポォ……






再び水中で、上条が考える。

どうすれば、田中星人を倒すことが出来るのか。




グググッ……



上条が、右手を強く握り締め、決意を固める。



ビキビキビキッ!!!



決意に呼応するように、上条のスーツが静かに機能し始める。





決まってる。


今の自分には……もう、これしか無いのだ。

574: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/24(水) 21:30:38.39 ID:VdjiV8X30
田中星人「」コォォォォォォッ!!!


水中に沈む上条の目の前には、再度エネルギーを溜め込む田中星人の姿が。



上条「(今の俺にはこれしかねぇだろうが!!)」ゴポォッ!!!











田中星人「さーわーやーかーなっ!!!」カッ!!


上条「オゥルァァァァァァァァァアアアアアアッ!!!!」ブンッ!!!






田中星人の叫びと共に、上条が、渾身の力を込めた右アッパーを繰り出した。


575: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/24(水) 21:33:22.21 ID:VdjiV8X30
…………



御坂「着いた!!レーダーでは、この辺りにアイツと星人が居るハズよ!!
反応が二つあるから、まだどっちも生きてるハズ」キョロキョロッ!!


御坂達が川を跨ぐ小さな橋の上に着くと、御坂は辺りを見渡す。


レーダーを見る限り、すぐ側にいるハズなのだ。


しかし、上条も田中星人らしきモノも見つからない。



偏光能力「オイオイ、本当にココで合ってんのか?誰もいねぇじゃねぇか」


御坂「そんなハズない!!確かにレーダーではここに……」



御坂が涙目になりながら、言葉を返そうとした瞬間









上条「ァァァァァァァァァアアアアアアッ!!!!!」ザパァァァァァァァァァァアアアアアアッ!!!!!!


田中星人「ギョェェェェェェェェエエエエエエエエッ!!!!」グシャァァアアッ!!!



雄叫びを上げながら、水中から拳を振り上げる上条と、ロボット部分の顔面を、完全に破壊された田中星人が、御坂達の目の前に現れた。

585: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/30(火) 20:49:14.32 ID:lrUrOIOa0
御坂「!?あ……当麻!!当麻ぁぁあっ!!!よかった……無事だった……」ヘタリ……


橋の上から、川の中にいる上条を見つけ、安堵と共に、御坂の膝が崩れ落ちる。



偏光能力「ハッ!!散々人を急かしといて。結局無事なんじゃねぇか。
それにしても、一瞬見えた人形みたいなヤツ……ありゃ一体何なんだ?あれが星人なのか?」



9900号「お姉様。彼の安全がわかれば、次はあのお婆さんの所へ。っと、ミサカはあちら側の安否を心配します」

586: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/30(火) 20:56:47.42 ID:lrUrOIOa0
御坂「へ?……あ、あぁ、そうね。ゴメン」ゴソゴソ




御坂が、お婆さん達の位置を確かめようと、レーダーを取り出し、操作する。




ピッ!ピッ!!




御坂「……えっ!?」

587: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/30(火) 20:57:44.65 ID:lrUrOIOa0
上条「ハァッ……ハァッ……あっぶねぇ……今のはマジでギリギリじゃねぇか……」ゼェッ、ゼェッ



息を切らしながら、上条が前方で水中に沈んだ田中星人の方を見る。



一か八かの賭けであった。



田中星人の超音波が発せられる寸前に、発射口である口に向かって、渾身の一撃を叩き込んだのだ。


ようやく機能し始めたスーツで、強化された腕力により、その破壊力は凄まじいモノになっただろう。



田中星人は、いまだに水の中から出てこない。



上条「……終わったのか?今の一撃で?」


上条は少しホッとした様子を見せる。




御坂「当麻ぁぁあっ!!!気をつけて!!まだ終わってないわよ!!」

590: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/30(火) 21:28:21.82 ID:lrUrOIOa0
上条「っ!?み、御坂?何でここに!!それに終わってないって、まだ生きてるのか?アイツは……」





ザバァァァァァアアアアアッ!!!!



田中星人「ギョェェェェェェェェエエエエエエエエッ!!!!」コォォォォォォッ!!!!!


御坂の声が上条に届いた瞬間、顔面が崩壊した田中星人が、水中から勢いよく飛び出てくる。


しかも既に、超音波のエネルギーを、放出寸前までに溜め込んでいるようだ。






攻撃まで残り数秒も無い。

591: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/30(火) 21:32:56.32 ID:lrUrOIOa0
御坂「当麻ぁぁあっ!!!今すぐ思いっきり、そこから飛び上がって!!」バチバチバチッ!!!



バチバチッと、自らの能力で、身体から電気を発電させながら、御坂が上条に叫ぶ。



上条「っ!?わかった!!」グググッ!!


ザバァァァァァアアアアアッ!!!


ガシッ!!


スーツの力により、水中からでも5m程の高さまで飛び上がった上条は、そのまま御坂達の居る小さな橋の淵にしがみつく。




田中星人「ギョェェェェェェェェエエエエエエエエッ!!!!」コォォォォォォッ!!!




田中星人も、上条の後を追うように飛び上がろうとした瞬間

592: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/30(火) 21:37:24.30 ID:lrUrOIOa0
御坂「アンタはお呼びじゃないってのよぉぉぉぉぉおおおおっ!!!!!」バチバチバチバチバチバチバチバチバチッ!!!!!



田中星人「ギョェェァァァァァアアア"ア"ア"ア"ア"ッ!!!!!!」バチバチバチバチバチバチバチバチバチッ!!!!!



御坂によって、川に向かって放たれた強烈な電撃が、川の中にいた田中星人を襲った。

593: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/30(火) 22:01:56.59 ID:lrUrOIOa0
田中星人「ア"……ア……ァ…………」シュゥゥゥゥゥウウッ…………



バシャァァアッ!!!



御坂「ハァッ……ハァッ……咄嗟だったけど……何とかなったのかしら?」ゼェッ……ゼェッ……


御坂のほぼ最大出力の電撃を受け、断末魔と共に黒焦げになった田中星人は、そのまま川の中へと沈んでいった。



御坂「ハァッ……ハァッ……私……また殺しちゃったのかしら……人間じゃないとはいえ……星人とはいえ、生き物を……」ゼェッ……ゼェッ……

594: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/30(火) 22:21:44.14 ID:lrUrOIOa0
上条の危機に、全く手加減無しで撃った電撃により、再び命を奪ったかもしれないという罪の意識に、再び御坂が囚われる。


上条「御坂……そこまで深く考えないでくれよ。お前のお陰で俺は助かったんだ。どうしよもなかったんだよ、今回は」



気を落とす御坂に、上条が声を掛ける。



偏光能力「……!?お、オイ!!まだ動いてるぞ!?あの人形みてぇなの!!」



不意に偏光能力が川を見下ろしながら、叫ぶ。

595: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/30(火) 22:38:29.05 ID:lrUrOIOa0
シュゥゥゥゥゥウウッ……


田中星人「……ギ……ギッ……」グググッ……



御坂「!?そ、そんな……全く加減なんて出来なかったのに……」


上条「……ネギ星人で最低レベルの星人か……天井の言うとおり、俺たちは前回、余程楽な戦いだったんだな……」



黒焦げになりながらも。

田中星人の、人を形どったスーツのようなモノの表面がドロドロに溶け、ちょっとしたホラー映画のような姿になっても。

なお、田中星人は立ち上がってきた。

596: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/30(火) 22:39:41.18 ID:lrUrOIOa0
上条「クッ……!?そうだ!!今なら俺でも、この銃で……」チャキッ!!


上条が、膝のホルスターに入れておいた捕獲銃、Yガンを構え、田中星人を狙う。


上条「モニターでしっかり照準を合わせて……今だ!!」カチッ!!




バシュウッ!!




トリガーを引くと共に、3つの弾丸が、レーザーのような捕獲網を纏いながら、田中星人へと突き進む。



田中星人「ッ!?ギョェェエエッ!!」グググッ!!!



そして見事に、捕獲網が田中星人を捉えた。

といっても、これで外せば流石に下手くそというレベルすら超越してしまうのだが。

597: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/30(火) 22:40:58.77 ID:lrUrOIOa0
上条「よしっ!!これであとは、もう一回トリガーを引けば……」カチッ!!



中星人「」ジジジジジジジジジッ……



田中星人の頭の部分が、GANTZの転送の時のように、少しずつ消えていく。



御坂「これが捕獲か……どこに行くんだろうね……」



上条「さぁな……天井は、『上に送った』としか言わなかったし。……そこまで考えたらキリがないさ……」




人「」ジジジジジジジジジッ……



少しずつ、ゆっくりと転送され、とうとう田中星人の姿が完全に消えた。

598: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/30(火) 22:45:11.43 ID:lrUrOIOa0
上条「……ふぅ……終わったか。あー、疲れた……」



御坂「全く……大体アンタが勝手に1人で動くから、こんな事になってんでしょうが!!
私らだってまだまだあの部屋の初心者なんだから、1人で動くんじゃないわよ!!死にたいの!?」



上条「うぅ……返す言葉もございません……不幸だ……」



確かに、1人で星人と早々に遭遇するとは、流石上条さんといったところだろう。

599: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/30(火) 22:47:02.83 ID:lrUrOIOa0
偏光能力「……なぁ……アレが星人か?……あんなんがこの学園都市にぞろぞろいやがんのか?」



上条「あぁ……みたいだな……天井の話だと学園都市の外にも居るみたいだけどな」



偏光能力「そうか……なぁ、お前等。今さっきの星人は、死んでないんだよな?何処かに送ったって」



上条「あぁ。それがどうかしたのか?」



偏光能力が、神妙な顔つきで、上条に問いかける。





偏光能力「お前等……これから先、あんなバケモンを全部、殺さずにやり過ごすつもりなのか?」

600: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/30(火) 22:51:24.02 ID:lrUrOIOa0
上条「!?」

御坂「な!?なによ!?どういうことよ!!」


偏光能力が言葉を続ける。



偏光能力「どうもこうもねぇだろ。お前等を見てると、殺す殺さないにえらくこだわってるみたいだけどよ……向こうはこっちを殺す気満々なんだろ?

しかも、普通の人間じゃあ手も足も出ないようなバケモンばかりときた。コッチも殺す気でいかなきゃ、簡単に殺されちまうんじゃねぇのか?」



偏光能力が、上条と御坂の弱点を、ズバリ言い当てた。

601: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/30(火) 22:52:16.74 ID:lrUrOIOa0
この闘いは、言わばGANTZに呼ばれた人間と、星人の生き残りを賭けた戦争である。


戦争の最中、相手を生かすか殺すか……そんな事に迷っていては、簡単に相手に殺されるのだ。


何故なら相手に迷いは、全く無いのだから。




御坂「そんな……そんな事わかってるけど……でも……」



偏光能力「……まぁ、好きにすればいいさ。自分の命、自分の生き方だ。
だけど、一つだけ言えるぜ?こんなイカれた世界で一番生き残れるのはな。

あの天井とか言う、情の欠片も無いようなイカレ野郎って事だ」

602: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/30(火) 23:15:16.84 ID:lrUrOIOa0
…………





不良A「ヒッ……ヒィッ……」ガタガタッ……



田中星人×3「「「」」」シュゥゥゥゥゥウウッ……



尻もちをついて、怯える不良Aの前には、Xガンによって爆散した、田中星人達の死骸が転がっていた。



天井「ふぅ……今のところは、まだスーツも無事なようだな……」チャキッ……



その側で、Xガンを片手に、天井が佇んでいる。



天井「さぁて……それでは次の標的を探すとしようか。引き続き、君には囮役をお願いしようかな」スッ……



天井がにこやかに、不良Aへと手を差し伸べる。

603: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/30(火) 23:16:55.09 ID:lrUrOIOa0
不良A「も、もう勘弁してくれ!!こんなヤツ等相手に囮なんて、今度こそ死んじまうよ!!」



不良Aは、天井に対して、取り乱しながら叫ぶ。


どうやら、この3体の田中星人を倒す為に、天井に囮として使われたようだ。





チャキッ……



そんな不良Aに、天井がXガンを突きつける。




天井「心配するな。人はいつか死ぬものさ。今、君に残された選択肢は三つ。


今、ここで私に撃たれて死ぬか。

田中星人の囮となって死ぬか。

そして、囮役をこなして生き延びるかだ。好きな道を選ぶがいい」ニィィッ……



もはや、不良Aの事など使い捨ての道具程度にしか認識していないのであろう。
不良Aに対し、天井に慈悲という感情は存在しない。



天井「まぁ、今回はアレも持ってきてるんだ。この程度ならば、何とかなると思うがね」

604: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/30(火) 23:18:43.13 ID:lrUrOIOa0

…………



偏光能力は、GANTZの部屋にて行われた虐殺を振り返る。



一切の迷いも無く、利用するものは全て利用し、ただただ自分に仇なす相手を殺す。


そんな天井こそ、最もこういうイカレた世界で生き残れる人種なのだ。


事実、天井は一年以上、この部屋で戦い続けている。



上条「……わかってんだよ、そんなこと……」


偏光能力「あ?」


上条「わかってんだよ!!『殺らなきゃ殺られる』ってことくらい!!前回でなぁ!!
だけど、そんな簡単に割り切れるもんじゃねぇだろ!?人間だろうが星人だろうが命は命だ!!簡単に奪えるもんじゃねぇんだよ!!」


偏光能力の問いに、上条は答える。

605: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/30(火) 23:20:23.73 ID:lrUrOIOa0
偏光能力「……まぁ、それで自分が死んだら世話ねぇがな。俺は決めたぜ?星人は全部殺す。殺される前に、殺してやる」チャキッ……



偏光能力は、Xガンを構える。




御坂「……貴女はどうするの?えっと……妹!!」


上条「お前……妹にそんまま妹って……どんな仲なんだよ……」



御坂「い、いいでしょ!?ほっときなさいよ!!で、どうするの?」



9900号「……ミサカには、皆さんの言う命の定義がわかりません……ミサカの元の命は消え、生きる目的と言うのも既に果たしてしまいましたし……。
と、ミサカはお姉様に答えます」



9900号はそう、単調に御坂へと答えた。

606: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/30(火) 23:21:30.77 ID:lrUrOIOa0
御坂「そう……」


9900号「ただ……」


御坂「?ただ?」


9900号「新しくミサカに与えられたこの命というのは……どのように使えばいいのか迷っています。

この命を使って何が出来るのかと。と、ミサカは今まで考えたら事もない考えが、次々とミサカから溢れてきていることに驚きます。
まるで、何かがミサカの中から生まれてくるような……」



上条「?」

偏光能力「ん?どういうことだ?」


上条と偏光能力は全く9900号の言葉を理解していないようだ。

607: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/30(火) 23:23:51.21 ID:lrUrOIOa0
御坂「…………」


しかし、御坂はその言葉から、何かを感じとっていた。


自分には妹は居ない。それは間違いない。


しかし、この自分にそっくりな子は、自分を姉と呼ぶ。


そして何故か、他人のような気はしないのだ。
少なくとも、何らかの能力で化けていたり、学園都市の技術による変装や整形などではない。


では、この子は一体何なのか。


それは今の御坂にはわからない。


わからないけれど、この子が姉と自分を慕うのなら、姉として言うべきことがある。

608: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/30(火) 23:24:59.95 ID:lrUrOIOa0
御坂「貴女は……貴女は貴女よ。今、ココにいるのが貴女。新しい命だとか、そんなの関係ないの。
今、ココにある命が貴女よ。他に貴女の代わりはいない」



9900号「ミサカの代わりはいない……ミサカだけの命……」



御坂「そう。だから、貴女はその命を使って、貴女の思うように生きなさい。
誰かの言うことなんて聞かなくてもいい。自分の思うように、進みたいように進むの。わかった?」



御坂は、9900号の目を真っ直ぐ見つめながら、語りかける。



9900号は、その言葉を受け、何か考えているようだ。

609: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/30(火) 23:25:48.42 ID:lrUrOIOa0
上条「……さ、辛気臭いのも何だし、そろそろ動こうぜ?
そういえば浜面やあの婆さんと女の子はどこにいるんだ?転送されたところで待ってんのか?」



上条が、この場に居ない人間について、御坂に問いかける。


御坂「え?……あっ!!そうだ!!浜面さんやあのお婆さん達を探さないと!!えっとレーダーはっと……」ピッ、ピッ!!


御坂がレーダーで、浜面達の居場所を探そうとする。










御坂「…………え?」



しかし、レーダーを見た瞬間、自分に置かれた状況を理解する。

610: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/30(火) 23:26:33.15 ID:lrUrOIOa0
上条「?御坂?どうしたんだ……」



上条が、御坂に問いかけた瞬間





ダンッ!!!



ダンッ!!!



ダンッ!!!




田中星人×3「「「…………」」」ウィィィンッ……

611: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/30(火) 23:27:37.37 ID:lrUrOIOa0
偏光能力「なっ!?まだいやがったのかコイツ!?しかも3匹も……」



偏光能力が辺りを見渡すと、自分達がいる橋の周辺に、3体の怒った顔つきの田中星人が、どこからか現れるのが見えた。



上条「クッ!!……だけど3体だ!!こっちは全員スーツ着てるし、銃もある!!御坂!!お前は妹と一緒に先に逃」




御坂「違う……3体じゃない……」ガタガタッ……




御坂は、青冷めた顔で答える。

612: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/30(火) 23:29:01.44 ID:lrUrOIOa0
ダンッ!!!


ダンッ!!!


ダンッ!!!


ダンッ!!!


ダンッ!!!


ダンッ!!!


ダンッ!!!!!





更に、どこからか、田中星人達が現れる。



上条「なっ!?何だコイツら……急にこんなに……」キョロッ、キョロッ!!


上条が辺りを見渡す。




御坂が、力無い声で、呟く。










御坂「私達の周りに表示された青い点……星人の反応は、全部で10体よ……」ガタガタッ……







その言葉を聞いた瞬間、上条からも明らかに血の気が引いていくのが、誰から見ても感じた。

624: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 20:11:46.86 ID:w6S41xEd0
時は少し遡り、その頃浜面は……




浜面「ハァッ、ハァッ、クッ、どこ行ったんだあの子と婆さんは!!」ゼェッ、ゼェッ



浜面がガンツに転送された地点に戻ると、そこには誰もいなかった。

どうやら、途中までは皆に着いてきていたようだ。そして、何らかの理由ではぐれたのだろう。



浜面「参ったな……何処をどう探すか……そうだ!!御坂がスーツにナビみたいなのがついてるって言ってたな。
えっと……お、コレだな?婆さん達の反応はっと……」ポチットナ



浜面が、使い方のわからないレーダーのデバイスを適当に操作する。

625: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 20:12:40.90 ID:w6S41xEd0
バチバチバチバチバチッ…………




すると、何を押したのか浜面の身体が、カメレオンのように周囲に同化していった。



浜面「おわっ!?な、何だこれ!?……あっ!!まさか天井のヤツ、こうやって姿を消してたのか!?」ポチットナ



バチバチバチバチバチッ…………



再びデバイスを操作すると、同化が解け、浜面の姿が現れる。

626: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 20:13:49.86 ID:w6S41xEd0
浜面「あ、戻った。でも、これで少しは心強いな……今は1人だし、闘いにも慣れてないから、極力星人との闘いは避けたいし。
……って、肝心のナビはどうやって使うんだよ……あ、またコレか!!」バチバチバチバチバチッ……



意味も無く、再び同化を始めた浜面。どうやら、初めて触る機械には、少し弱いようだ。



しかし、天性の器用さなのか、少しずつデバイスの操作に慣れてくると、様々な機能を網羅しながら、ようやくナビの機能に辿り着いた。

627: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 20:15:13.15 ID:w6S41xEd0
浜面「えっと……今星人と、1人でぶつかってんのが上条だろ?

そんでこのちょっと離れたところで3体の星人とぶつかってるヤツは……どうせ天井だろうな。まぁ、コイツはほっといても死なないか。

問題はあの婆さんと女の子だ。一体何処にいったのかなっと……この近くに2人分の反応。コレだな!!」



浜面がレーダーで2人の場所を突き止める。
どうやらここから、そう離れては居ないようだ。



浜面「!?……これはヤベェな……早く向かわねぇと!!」ダッ!!


浜面がデバイスをしまい、お婆さんと女の子の元へと走る。





デバイスのレーダーには、2人の近くに、青い点が1つ点滅していた。

628: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 20:18:43.22 ID:w6S41xEd0
…………




浜面「……何とか2人を見つけたが……一体どういう状況なんだこれは?」



数分後。


浜面は、古いアパートの側にある駐車場で、お婆さんと女の子を見つけた。そして、浜面が見た光景とは……














田中星人A『かんたろ~~~、はい、一緒にー!!』( ´ ▽ ` )ノウィン、ウィン




女の子「かんたろ~~~!!」フリフリ






何故か、今回の標的である田中星人と、女の子が、一緒に遊んでいるように見えた。

629: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 21:16:20.28 ID:w6S41xEd0
浜面「……と、とにかく、今は無害でもいきなり襲ってくるかもしれねぇ……どうにかあの子や婆さんをヤツから離さなねぇと」



無邪気に田中星人と遊ぶ女の子の側では、お婆さんが不安そうな顔で女の子を見守っている。
どうやらお婆さんもどうしたらいいかわからないようだ。



浜面「……さり気なくあの中に入って、さり気なく2人と一緒にヤツから離れる……だいぶアバウトだが、これで行くしかねぇよな?」ソォッ……



浜面が意を決して、女の子達の側に向かおうとしたその時

630: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 21:17:28.38 ID:w6S41xEd0
トントンッ



背後から、誰かが浜面の肩を叩く。





浜面「んだよ?今ちょっと大事な場面……ってうおっ!!」ビクゥッ!!






田中星人×2『『雄三くん?』』ジーッ……





浜面が振り向くと、そこには別個体の田中星人が2体、爽やかな笑顔で立っていた。

632: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 21:44:28.12 ID:w6S41xEd0
浜面「な……あ……(落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け俺!!
あの子と遊んでいるのを見る限り、こいつ等はすぐに襲ってくるわけじゃねぇ。

ここは、こっちに敵意が無いことをこいつ等に示すことが出来れば……。
ていうか雄三くんって何だ?雄三くんになりきればいいのか?)」ダラダラダラダラッ……



全身から、凄まじい勢いで冷や汗が流れ、浜面は今の状況を混乱しながらも考える。






浜面「は……はい。雄三です……」




そして、田中星人の問いに答えた。

634: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 22:01:26.79 ID:w6S41xEd0
浜面「(さぁ、これでどうなる?まさかいきなり襲ってくることはないよな?)」ダラダラダラダラッ……



田中星人BC『『…………』』



田中星人は、少しの間動きが止まる。そして、再び口を開いた。




田中星人B「すいかの名産地?」



浜面「へ?」



田中星人C「さわやかな……?」



浜面「えっ?」



田中星人B「友達ができた?」



浜面「えぇ!?」



田中星人C「ヘイヘイヘ~イ」




浜面は更に混乱した。

635: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 22:27:37.41 ID:w6S41xEd0
浜面「え……えっと……」



浜面はどう答えたらいいかわからず、言葉に詰まっている。



田中星人BC「…………」(`∧´)ウィッ、ウィィンッ



中々答えない浜面に痺れを切らしたのか、田中星人の顔が、少しずつ険しくなる。



浜面「(やべぇ……何か怒ってるよ……だってどうすりゃいいんだよこんなの!!)」



浜面が悪化する事態を打破しようと、考える中、更に事態は悪化していく。

636: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 22:28:18.12 ID:w6S41xEd0
『ギョェェェェェェエエエエエエッ!!!!!』




浜面「!?な、何だ今の叫び声みたいなのは!?」




浜面は知る由もないが、この時、少し離れた所で天井が田中星人×3と交戦しており、そのうちの一体の断末魔が、この辺りまで届いたのだ。





田中星人B「」コォォォォォォオオッ……



当然、それを聞いた田中星人達は、戦闘態勢に移る。

637: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 22:29:30.84 ID:w6S41xEd0
浜面「オイオイ……何かいかにもヤバそうじゃねぇか……。
クソッ!!四の五言ってる場合じゃねぇ!!今すぐあの子と婆さんをここから……」ダッ!!



浜面が、駐車場にいる女の子やお婆さん達の側へと走っていく。



側にいるのは田中星人1体のハズだ。
勢いをつけて、思いっきり蹴り飛ばせば、このスーツの力なら吹き飛ばせるハズ。



女の子「あ、さっきのお兄ちゃん!!大体こっちにゃあ」フリフリ



女の子が浜面に気づき、無邪気に手を振る。

638: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 22:30:36.18 ID:w6S41xEd0
側にいたお婆さんは、浜面の異様な様子に気づき、すかさず女の子を抱きかかえた。



浜面「うぉぉぉぉぉぉぉおおおおっ!!!」ダンッ!!



全力で走りながら、勢いよく飛んだ浜面は、そのまま女の子の側にいる田中星人Aに飛び蹴りを放つ。



田中星人Aはまだ、浜面の方を振り向いていない。






浜面「喰らっとけぇぇぇぇえええ!!!」ゴォォォオオオッ!!!





浜面が田中星人Aに飛び蹴りを喰らわせる瞬間

639: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 22:54:13.15 ID:w6S41xEd0
田中星人C『ギョェェェェェェエエエエエエッ!!!!」ゴォォォオオオッ!!!!



浜面「なっ!?グァッ!!」ガシィィィイッ!!!




ガッシャァァァァァアアアアアンッ!!!



横から弾丸のように、田中星人Cが浜面にタックルし、しがみついてきた。



そのまま浜面と田中星人Cは、駐車場に止めてあった古ぼけた車に、勢いよく激突し、そのまま車内に飛び込んだ。

640: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 22:55:13.00 ID:w6S41xEd0
浜面「ガァッ!!!クッ、嬢ちゃん!!婆さん!!早く逃げろぉぉおおっ!!」グググッ……


田中星人C「」グググッ……



大破した車の中で、浜面と田中星人Cが互いにせめぎ合う。






女の子「え?何で……このおじちゃん、大体優しくて、面白かったのに……」


田中星人A「」(`∧´)ウィィィンッ、ウィンッ


女の子が目の前の光景に驚いていると、背後に、いままで一緒に遊んでいた田中星人Aが立っていた。





怒った顔で。

641: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 23:16:53.59 ID:w6S41xEd0
お婆さん「フレメアちゃん!!」ガバァッ!!


田中星人A『!?』ドサァッ!!



すかさずお婆さんが、田中星人Aに体当たりし、動きを封じる。
スーツが機能している為、老人でも田中星人を抑える程の力が出せているのだ。



フレメア「お、お婆ちゃん?」


フレメアと呼ばれた女の子が、泣きそうな顔で、お婆さんを見つめる。



お婆さん「フレメアちゃん!!早く逃げなさい!!お婆ちゃんが悪い人皆、やっつけちゃうから!!」グググッ……

642: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 23:18:04.28 ID:w6S41xEd0
田中星人A「」コォォォォォォオオッ……

ダンッ!!!

田中星人B「」コォォォォォォオオッ……




田中星人Aを抑えつけるお婆さんの側に、田中星人Bが近づき、口内でエネルギーを溜め出す。


同時に、抑えつけられている田中星人Aも、エネルギーを溜め出している。



フレメア「そんな……何で……おじちゃん……」ブルブルッ……


フレメアは、豹変した田中星人に怯え、その場で震えている。




お婆さん「フレメアちゃん!!!逃げなさい!!!早く!!!」

643: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 23:20:54.73 ID:w6S41xEd0
フレメア「!?」ダッ!!!


そして、お婆さんの叫びと同時に、フレメアは全力でその場から逃げて行った。







田中星人A「」コォォォォォォオオッ!!!
田中星人B「」コォォォォォォオオッ!!!


二体の田中星人が、同時にお婆さんへと何かを発射しようとしている。




浜面「グッ……オイオイよせ……よせよ!!よしてくれ婆さん!!
早くそっから離れろよ!!嬢ちゃんと一緒に逃げてくれ!!」グググッ……


田中星人Cと取っ組み合いながら、浜面がお婆さんに叫ぶ。









お婆さん「……あの子を……フレメアちゃんを無事に、お姉さんの所に帰してあげてくださいね?お願いします」ニコッ……


浜面「なっ!?」グググッ……


お婆さんは、浜面に優しい笑顔でそう頼んだ。




その瞬間


644: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 23:22:13.29 ID:w6S41xEd0
田中星人A『ギョェェェェエエエエエッ!!!!』カッ!!
田中星人B『ギョェェェェエエエエエッ!!!!』カッ!!




ブシュゥゥゥゥゥゥゥウウウッ!!!!!



ドサァッ!!






浜面「あ……」



浜面の目の前で、2体の田中星人の側から、大量の血が噴き出し、お婆さんが息絶えていくのが見えた。

645: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 23:24:08.20 ID:w6S41xEd0
浜面「…………」グググッ……


田中星人C「」コォォォォォォオオッ……



大破した車の中では、未だに浜面と田中星人Cが取っ組み合っている。

そして痺れを切らしたのか、田中星人Cが口内にエネルギーを溜め出した。
お婆さんを殺した超音波による攻撃を、浜面にも行うようだ。








浜面「……けよ……」グググッ!!

田中星人C「!?」メキメキッ……
コォォォォォォオオッ!!!



田中星人Cの纏っているスーツの、浜面が掴んでいる腕の部分から、軋むような音が聞こえてくる。


それでも、田中星人Cは、エネルギーを溜める事をやめない。



そして、エネルギーが溜まり、攻撃へと移行する。

646: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 23:28:53.27 ID:w6S41xEd0
田中星人C「ギョ…」カッ!!



田中星人が、超音波を発射しようとしたその瞬間









浜面「どけぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええっ!!!!!」グググッ!!!




グシャアッ!!!!!





その瞬間、田中星人Cの両腕が、浜面にもぎ取られた。

647: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 23:39:18.53 ID:w6S41xEd0
田中星人C『ギッ……ギョェェェェェェエエエエエエッ!!!』カッ!!



田中星人Cは、スーツの腕を取られたことに驚き、一瞬戸惑うが、再度、浜面に超音波の攻撃を放とうとする。




ギョーンッ!!!



しかし、その前に、Xガンの銃声が車内に鳴り響く。



3


浜面「悪いな……先に撃っちまった……よっ!!!」グググッ!!



バキィィィィイイイイッ!!!



浜面が思いっきり、車内から田中星人Cを蹴り出す。

648: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 23:40:11.27 ID:w6S41xEd0
2



田中星人C「ギッ……ギッ……」グググッ……

田中星人が、ゆっくりと立ち上がる。



1


田中星人C「」コォォォォォォオオッ!!!

そして、再び口内にエネルギーを溜め込み、超音波の発射準備が整った。



0





田中星人C『ギョェェェェェェエ』カッ!!!



グシャァァァァアアアアッ!!!!




そして、Xガン発射からキッチリ3秒後。

田中星人Cは、爆散し、スーツとその中身の肉片が辺りに飛び散った。

649: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 23:43:30.54 ID:w6S41xEd0
田中星人AB『!?』ウィィンッ、ウィンッ



仲間が弾け飛び、残りの田中星人2体が、お婆さんの死体から離れ、浜面のいた大破した車の方を向く。




しかし、浜面の姿は既に車内にはない。





田中星人A『』キョロキョロ

田中星人B『』キョロキョロ



田中星人達は、辺りを見渡し、浜面を探す。



しかし、浜面が何処にもいないのだ。先ほどまでそこにいたハズなのに。

650: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 23:44:18.75 ID:w6S41xEd0
バチバチバチバチバチッ……



浜面「どこ見てんだよ……このクソ野郎ぉ!!」ブンッ!!


不意に、田中星人Bの側からバチバチと火花が走り、浜面の姿が現れる。



田中星人B『!?』


バキィィィィイイイイッ!!!!



田中星人B『ギョェェェエエエッ!!』ズザァァアアッ!!



そして、そのまま思いっきり田中星人Bを殴りつけた。
スーツにより強化されたパンチは強烈で、田中星人Bは起き上がれない。

651: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 23:46:05.44 ID:w6S41xEd0
田中星人A『』コォォォォォォオオッ……


浜面の姿を確認した田中星人Aが、すかさず超音波の発射準備を行う。



浜面「ッ!?」ブンッ!!

ガシィィィイッ!!



浜面は、すかさず田中星人Aを掴んだ。




田中星人A『ギョ……』カッ!!

そして、田中星人Aが、浜面に超音波を発射しようとした瞬間







浜面「テメェはこっちに顔を向けてろぉぉおっ!!!」グンッ!!


ガシャァァアッ!!!


そのまま、田中星人Aの顔を、田中星人Bの側へと叩きつけ、発射口を無理矢理押し付けた。

652: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 23:49:22.29 ID:w6S41xEd0
田中星人A『ェェェェェェエエエエエエッ!!!!!』カッ!!!


発射を止めることが出来ず、田中星人Aは、そのまま超音波を発射する。




浜面「グッ……うぉぉぉぉおおおっ!!!」ビビビビッ!!!


田中星人B『ウギョォォォォォォオ"オ"オ"オ"ッ!!!!』ビビビビビビビビビビッ!!!!




ブシュゥゥゥゥゥゥゥウウウッ!!!!!




超音波をモロに受けた田中星人Bは、お婆さんと同じように、身体の内側から破壊され、スーツから体液が垂れ流れてきた。

653: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 23:51:28.15 ID:w6S41xEd0
ゲシィッ!!!

チャキッ!!!



そのまま、浜面が田中星人Aを踏みつけ、Xガンを構える。


浜面「このクソッタレがぁぁぁぁぁああっ!!!!」ギョーンッ!!ギョーンッ!!!ギョーンッ!!!!ギョーンッ!!!!!


叫びながら、浜面はひたすらXガンを田中星人Aに発射する。




浜面「チクショォォォォオオオオオッ!!!!!」ギョーンッ!!ギョーンッ!!!ギョーンッ!!!!ギョーンッ!!!!!





何度も。

何度も。

何度も。

何度も。










グシャァァァァアアアアッ……

654: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/01(水) 23:53:40.64 ID:w6S41xEd0
浜面「ハァッ……ハァッ……クソッ……婆さん……」ゼェッ、ゼェッ……



三体の田中星人を倒した浜面は、息を切らしながらお婆さんの死体に近づく。

田中星人の超音波によって、身体を内部から破壊され、見るも無惨な姿になっていたが、浜面は丁重に駐車場の隅に運び、手を合わした。



浜面「ゴメンよ婆さん……守れなくて。
だけど……フレメアって言ってたっけな?あの子は必ず……必ず守るから」スッ……



ピッ、ピッ



浜面は立ち上がり、デバイスでフレメアの居場所を探す。


どうやら、近くのアパートの中に居るようだ。




浜面「!?……待ってろよフレメア……必ず助けてやるからな……」チャキッ……




しかし、そのアパートには、フレメアの反応の他にも、5体の星人の反応があった。

669: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/02(木) 19:22:16.44 ID:bNi8vRlb0
時は少しだけ遡る。


丁度浜面が、駐車場の車の中に、田中星人と共に突っ込んだ時




…………





上条「……なぁ、御坂。お前の能力でこいつ等一気に倒せたりしないかな?レベル5だろ?お前」


御坂「無理ね……さっき結構な出力で電撃撃ったけど、アイツまだ動いてたし……超電磁砲も、一方向しか狙えないし、アイツ等飛べるし結構素早いから外しそう」


上条「そうか……じゃあかなりヤベェよな、この状況……」





田中星人×10「」(`∧´)ウィィィンッ、ウィンッ

671: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/02(木) 19:51:01.31 ID:bNi8vRlb0
先程、上条の奮起と、御坂とのコンビネーションにより、ようやく一体撃破した田中星人。



絶望的に強いという訳ではない。
しかし、普通の人間が到底太刀打ち出来るレベルの相手ではない。



事実、上条は既に、田中星人から人間には致命的なダメージを2度喰らっているのだ。



それが同時に10体。しかも囲まれている。



まさに、絶体絶命のピンチである。

672: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/02(木) 20:01:48.87 ID:bNi8vRlb0
偏光能力「よぉ、どうするよ?大将に第3位様。さっきのバケモンが大量に出てきたけどよぉ?何か打つ手でもあんのか?」


上条「いーや。いくら上条さんでも、こんだけの不幸は経験したことねぇからな。お手上げだよ全く」ハッハッハッ


上条は苦笑いしながら、お手上げと言うジェスチャーで偏光能力に答える。


9900号「どうしますか?お姉様。と、ミサカは必要であれば、1人で敵を惹きつけますが?と、いわゆる囮を提案します」



御坂「んなことさせる訳ないでしょ!!ちょっと待って!!今考えてるから!!」

673: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/02(木) 20:04:11.81 ID:bNi8vRlb0
御坂「(くっ、考えがまとまらない!!私が囮になって他のメンバーを逃がすにしても、他のメンバーを追って行かない保証がないし、私自身がまず助からない……)」



この絶体絶命の状況を如何にして切り抜けるか。


学園都市第三位の能力を操る頭脳を持って、あらゆる戦法をシミュレーションするが、確実な一手が見つからない。



御坂「(あーもー!!何の為の学園都市第三位なのよ!!たった3人の命も守れないなんて、レベル5の名折れもいいところだわ!!
こうなったらやっぱり、一番応用の効く私が囮になって、出来るだけ星人を引き寄せて、残りは皆に任せるしか……)」










上条「……やっぱこうするしかねぇか……仕方ねぇよな」スッ……


上条が、他3人の背後に立つ。

674: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/02(木) 20:08:52.38 ID:bNi8vRlb0
御坂「へっ?キャアッ!!」ドンッ!!


9900号「ん?」ドンッ!!


偏光能力「あぁ?ってうぉ!?」ドンッ!!



ザッバァァァァァアアアアンッ!!!!





御坂「プハァッ!!な、いきなり何すんのよアンタ!!」



突如、橋の上から上条が3人を突き落とした。

675: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/02(木) 20:20:27.61 ID:bNi8vRlb0
上条「いやー……どうやらこれしか方法ないみたいだからなぁ、文句言われる前に即実行って訳なんですよー」ハッハッハッ


上条は橋の上から笑いながら答える。



御坂「こんな時に何馬鹿なこと言ってんのよ!!早く逃げないと星人が……!?まさか……アンタ……」



御坂が、上条の行動の意図に感づいた。何故なら自分もやろうとしていた事だからだ。






上条「…………じゃあな、御坂。お前は死ぬなよ?
まぁ、上条さんは短い人生で不幸な事ばっかだったけど、それなりに楽しかったよ」フリフリ



上条が、橋の上から手を振る。




その橋の両サイドからは、5体ずつ田中星人がゆっくりと迫っている。








上条という『囮』に群がるように。

676: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/02(木) 20:31:34.78 ID:bNi8vRlb0
御坂「ふ……ふざけんなぁぁぁああ!!!」バシャァアアッ!!!



御坂が、川の中から橋の上へと飛び上がろうとする。



上条「偏光能力ォォォオオッ!!」


偏光能力「!?くっ!!」ガシィィィイッ!!!

それを防ぐように、偏光能力が御坂を羽交い締めにして、9900号と共に、少しずつ橋から離れていく。




御坂「離せ!!離してよ!!離せっつってんでしょ!!
ふざけんじゃないわよこの馬鹿ッ!!アンタより、力の応用が効く私の方が、こういうのは適任でしょ!?
一体どんだけカッコつければ気が済むのよ!!死んじゃうのよ!?」

677: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/02(木) 20:46:55.13 ID:bNi8vRlb0
偏光能力「よせ馬鹿!!星人がこっち向いたらどうすんだ!?アイツの覚悟を無駄にしてぇのか!?」


御坂「だって!!だってアイツが!!このままじゃ当麻が!!」


御坂が泣きそうな顔をしながら取り乱す。





田中星人×5「」コォォォォォォオオッ……


上条「あー……馬鹿なことやっちまったなー……何かっこつけてんでしょーか上条さんは……」ポリポリッ……


田中星人×5「」コォォォォォォオオッ……




合計10体の田中星人に挟まれた上条は、頭を掻きながら橋の下の御坂達を見ている。

678: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/02(木) 20:58:28.17 ID:bNi8vRlb0
上条「腹減ってんだろうなぁ、インデックスのヤツ。ゴメンな、お前の事も守れなくて……」ハァッ……


上条は、家で帰りを待っているであろうインデックスの顔を思い浮かべながら、力無く項垂れる。











インデックス『じゃあ、私と一緒に地獄の底までついて来てくれる?』











上条「ッ!?……」チャキッ……



そして、おもむろに両サイドの腰のホルスターに入れていた2丁のYガンを取り出す。

679: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/02(木) 21:02:03.13 ID:bNi8vRlb0
上条「……やっぱヤメだ……俺がいなかったら、誰があの暴食シスターに飯食わしてやれんだよ……誰がアイツを守ってやんだよ!!」バッ!!



上条が、橋の真ん中で、両サイドの田中星人の群れに、それぞれYガンを向ける。



田中星人達は、もうすぐエネルギーのチャージが終わりそうだ。
あの超音波が四方八方から飛んでくるだろう。




上条「地獄の底からでも、必ずアイツを助け出すって決めたんだ!!
まだ何も終わってねぇのに、こんな所で死んでたまるかぁぁぁあああっ!!!」





上条が、田中星人達に向けて、Yガンを撃とうとしたその瞬間

680: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/02(木) 21:08:40.64 ID:bNi8vRlb0
上条達のいる橋が見下ろせる建物の屋上にて







カタカタッ、カタカタ



天井「全く……だったら何故そんな真似をするのか理解に苦しむ……。
まぁ、別に嫌いではないんだがね。君みたいな馬鹿は」カタカタッ、カタカタッ



天井がその様子を見ながら、何やらパソコンで操作している。


天井の側には、パソコンにUSBケーブルで繋がれた、XガンやYガンとはまた違う、大きな銃が置かれていた。



天井「よし……これで10体分の得点か。次はどのようなオモチャが手に入るのやら……」カチッ!!



天井が、パソコンのEnterキーを押した。













ドゴォォォォォォォォォォオオオオオオオオッ!!!!!






その瞬間、凄まじい地響きと破壊音が、辺りに響き渡った。

681: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/02(木) 21:20:31.87 ID:bNi8vRlb0
御坂「……え?……え?」


9900号「な、なんじゃこりゃあ。と、ミサカはあの人風に呟いてみます」


偏光能力「アイツ……一体今度は何やらかしやがったんだ?」




川の中にいる御坂達は、全員が橋の方を見て呆然としている。





一体何が起こったのか!?



我らが主人公、上条が何かとんでもないことをやったのか!?





上条「……こ、これは一体どういう状況なのでせうか……?」ポカーン




そんなことはなかった!!

682: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/02(木) 21:22:10.02 ID:bNi8vRlb0
上条「ていうか本当に何が起こったんだよ……どうなってんだ?これ」キョロキョロ



上条は、左右をキョロキョロと見渡す。



先程まで、上条のいる橋の両サイドに、大量の田中星人が居たのだが、それも今はいない。




いや。むしろ、田中星人が居た周辺がゴッソリ消えているのだ。



橋の両端ごと。



それはそれは、綺麗に抉り取られるように。

683: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/02(木) 21:29:23.34 ID:bNi8vRlb0
上条「アイツとはまた違う星人?いや、でもそれならどうして田中星人だけ標的に……まさか……」キョロキョロッ


上条は誰の仕業か感づいたようだ。



星人。つまり、ガンツの標的。得点の対象。


それを貪欲に狙い、尚且つこんな未知の力を行使する者。

未だに、その実力の全容が見えない男。

684: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/02(木) 21:32:04.91 ID:bNi8vRlb0
ザバァァァアアアッ!!!



御坂「当麻!!大丈夫!?怪我してない!?平気!?」オロオロッ



川の中から御坂達が飛び上がってきて、御坂が泣きそうな顔で上条の心配をしている。


9900号「落ち着いてくださいお姉様。こういう時は深呼吸です。ホラ、ヒッヒッフー。ヒッヒッフー。
と、ミサカは自身も今の状況に動揺しながらお姉様を落ち着かせます」ヒッヒッフー


御坂「ヒッヒッフー、ヒッヒッフー」ヒッヒッフー

685: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/02(木) 21:34:22.48 ID:bNi8vRlb0
偏光能力「そんな顔してても中身はしっかり動揺してんだな。よくわかった。
で?一体こりゃあどういう状況なんだぁ?お前が何かやったのか?上条」



混乱している姉妹に代わり、偏光能力が上条に問いかける。



上条「まさか。流石に上条さんも今のは正直死ぬかと思いましたよ。……天井だろうな、多分」



上条がふと、両サイドの消失したこの橋を見下ろす建物の屋上を見る。


しかし、そこには誰も居なかった。

686: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/02(木) 21:37:06.50 ID:bNi8vRlb0
…………





天井「指定した攻撃範囲、威力、共に誤差無しか。やはりこの組み合わせは中々使えるな。流石はクリア武器といったところか」



先程とは、また別の建物に移動した天井は、パソコンと大型の見慣れぬ銃を持ちながら、満足そうな顔をしていた。



天井「攻撃超特化型で、対象を圧殺するZガン。武器やデバイスに接続することで、武器に秘められた様々な機能を使うことが出来るパソコンか。

クククッ、次は何が出るのだろうな?既に60点以上稼いだハズだろうし、元々90点以上持っているんだ。
次とその次の武器……今回は100点以上を目指してみるか。囮もまだまだ大量にいることだしな」スッ……



ピッ、ピッ


天井は、デバイスで自分の周辺の反応を調べる。

688: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/02(木) 21:45:09.97 ID:bNi8vRlb0

バサァッ!!


バサァッ!!


バサァッ!!!


バサァッ!!!!





天井「……チッ、どうやら大物のようだな。やはり人間、欲張るとロクなことにはならんらしい……」スッ……




天井はデバイスを戻す。使う必要が無くなったからだ。




何故なら、わざわざ自分の目の前に、自ら大物が現れてくれたのだから。

689: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/02(木) 21:46:14.80 ID:bNi8vRlb0
…………



御坂「全く!!無事だったから良かったモノを!!次あんな勝手な真似をしたら承知しないわよ!?」バチバチッ……



上条「はい……存じております……すんませんでした……」シュゥゥウウッ……



一方その頃、ヒッヒッフーによって、平静を取り戻した御坂によって、上条は黒焦げにされていた。



偏光能力「なぁ……このスーツって耐久があるとか言ってたよな?大丈夫なのか?アレ」


9900号「そんな小さな事、男が気にしてんじゃねーよ。と、ミサカは毒混じりに答えます」

690: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/02(木) 21:51:17.38 ID:bNi8vRlb0
御坂「さて。気も済んだ事だし、早く浜面さん達の所に行かないとね。
えっとレーダーでは……転送地点から少し離れた建物の中に2人分の反応があるわ。だけど……」



御坂は険しい顔で、デバイスを見つめる。



御坂「だけど、星人の反応もある。5体分。しかも、2人分って事は既に1人はもう……」



間に合わなかったのだ。

少なくとも、浜面を含めたあの3人の内、誰か1人、既に死んでいる。




上条「……行くぞ。まだ生きてるヤツがいるんだ。そいつ等を助けねぇとな」ポンッ



上条が、御坂の頭に手を置き、奮起を促す。




御坂「……えぇ、そうね。必ずこの2人は助けてみせる……」ダッ!!




そう呟くと、御坂はナビを見ながら先導して走り出した。

727: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/28(火) 09:43:41.34 ID:E3kFNwPx0
上条達が田中星人の群れに囲まれた頃






浜面「このアパートの中か……あの子、何でよりによってこのアパートの中に逃げ込んだんだよ……」ピッ


先ほど、紙一重で3体の田中星人を退けた浜面は、デバイスに表示された、フレメアの反応のあるアパートの入口付近に立っていた。



アパートの中。

恐らく2階から、フレメアの反応の他に、星人の反応が5つほど表示されている。




浜面「……絶対に助け出すんだ。死んだあの婆さんの為にも……」スッ……



浜面は、デバイスをしまい、アパートの屋根部分を見上げる。

728: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/28(火) 09:45:23.97 ID:E3kFNwPx0
…………



アパートの中






フレメア「グスッ……グスッ……」



アパートの二階へと登る階段の一番上。


フレメアは、そこに座り込んで泣いていた。



フレメア「グスッ……お婆ちゃん……あのおじちゃんもどうして……」グスッ……



一緒に遊んでいた田中星人が、突如変貌し、お婆さんや、浜面。
果てには自分にまで襲いかかってきた事で、フレメアは酷く混乱していた。


更に、自分に逃げるように促したお婆さんの安否もわからない。


……いや、いくら子供とはいえ、恐らくはもう理解しているだろう。


お婆さんに二度と会うことは無いという事を。

729: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/28(火) 09:50:29.97 ID:E3kFNwPx0
フレメア「グスッ……隠れていなきゃ……あのおじちゃん達に見つからないように……」スッ……



フレメアが立ち上がり、2階の廊下を進み出したその時













田中星人A「」ガチャッ!



田中星人B「」ガチャッ!



田中星人C「」ガチャッ!!



田中星人D「」ガチャッ!!




フレメア「アッ……」ビクゥッ!!





2階にある5つの部屋の内、4つの部屋から、田中星人がそれぞれ出てきた。





フレメアを囲むような形で。

730: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/28(火) 11:10:26.61 ID:E3kFNwPx0
フレメア「アッ……アァッ……」ガタガタッ……



フレメアの表情が、恐怖に染まる。



田中星人×4「」ジーッ……



4人の田中星人は、爽やかな顔でフレメアをジッと見ている。
どうやら、まだフレメアを敵として認識していないようだ。







田中星人A「雄三くん?」

フレメア「!?ヒッ……」ビクッ!!

田中星人B「雄三くん?」

フレメア「ヒャッ!?」ビクッ!!

田中星人C「雄三くん?」

田中星人D「雄三くん?」

731: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/28(火) 11:41:19.25 ID:E3kFNwPx0
「雄三くん?」


「雄三くん?」


「雄三くん?」


「雄三くん?」


「雄三くん?」


「雄三くん?」


「雄三くん?」


「雄三くん?」

732: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/28(火) 11:58:05.22 ID:E3kFNwPx0
フレメアを囲むように、田中星人達による、雄三くん?攻めが絶え間無く押し寄せる。


一切表情を変える事なく。


同じトーンで。

同じ声量で。

絶え間無く続く雄三くん?攻め。






フレメア「ウッ……ウワァァァァアアアアンッ!!!!もう嫌にゃぁぁあああ!!!お婆ちゃぁぁああん!!!お姉ちゃぁぁぁあああん!!!」



大人でもすくみ上がる重圧に耐えられず、とうとうフレメアが泣き喚き出した。



田中星人×4「」ウィィンッ、ウィンッ


田中星人達の表情が、少しづつ険しい表情になっていく。


どうやらフレメアを敵と認識し始めたようだ。



フレメア「お姉ちゃぁぁぁあああん!!!助けてお姉ちゃぁぁああん!!!!」


フレメアは泣き叫ぶ。
いつも自分を守ってくれていた年の離れた姉を思いながら。



しかし、その叫び声は姉には決して届かない。


733: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/28(火) 12:12:43.40 ID:E3kFNwPx0
田中星人×4「」コォォォォォォォォオオオオッ……



田中星人達が、口内にエネルギーを溜め出す。子供相手とはいえ、敵に対して一切の加減は無いようだ。




フレメア「ウゥッ……ヤダ……ヤダよぉ……」グスッ、グスッ


その様子を見て、フレメアは更に怯える。


薄々気づいているのだろう。自分がもうすぐ殺されるという事を。






フレメア「ヤダ……助けてよぉ……お婆ちゃん……お姉ちゃん……誰か……誰か……」ヒグッ……グスッ……




フレメアはある男の事を思い出す。

734: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/28(火) 12:32:14.62 ID:E3kFNwPx0
『そうか……よーし、嬢ちゃん!!お兄ちゃんがな!!悪いヤツらを皆やっつけてやるからな!!
嬢ちゃんは、お婆ちゃんや、あのお姉ちゃん達と一緒にいるんだぞ?皆が守ってくれるからな』





フレメア「助けて……」


田中星人×4「」コォォォォォォォォオオオオッ!!!!



田中星人の口から、あらゆるモノを破壊する超音波が、今にも発せられようとしている。











フレメア「助けてお兄ちゃんっ!!!!!」







フレメアが全力で、助けを求めて叫ぶ。

735: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/28(火) 12:35:25.36 ID:E3kFNwPx0
ドォォォォォォォォォォオオオオンッ!!!!!!



フレメア「!?」



ズンッ!!!



次の瞬間、フレメアの真上のアパートの屋根に穴が空き、その穴から人が降ってきた。




ギュッ!!!



フレメア「えっ!?」



そして、その人物は、フレメアを守るように抱き抱え、耳元でフレメアに呟く。









浜面「心配すんな。絶対お兄ちゃんが助けてやるからよ」ギュッ!!!




田中星人×4「ギョェェェェェエエエエエッ!!!!!」カッ!!!




フレメアを外敵から守るように、抱き抱えた浜面の周囲からは、田中星人達の超音波が容赦無く発せられた。

742: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/28(火) 20:36:35.94 ID:E3kFNwPx0
田中星人×4「ギョェェェェェエエエエエッ!!!!!」ビビビビビビビビッ!!!!!!



浜面「グッ!!!グァァァァアッ!!!!!」ビビビビビビビビッ!!!!!!



四方から発せられる田中星人の超音波が、フレメアを守る浜面に、容赦なく浴びせられる。


例えスーツを着ていようと、その凄まじい破壊の力の全てを防ぎきれているわけではない。


浜面「クッ……ソッ……」ビビビビビビビビッ!!!!!



スーツが吸収しきれていない衝撃が、浜面を襲う。






そしてまた、スーツの耐久力も無限ではない。

743: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/28(火) 20:39:52.63 ID:E3kFNwPx0
キュゥゥゥウン……


浜面「!?」ビビビビッ!!!!!



スーツの至る部分についている機械から、次々にシステムが落ちたような音が聞こえてくる。


スーツの耐久力が、ドンドン削られているのだ。
完全な機能停止まで、そう時間は無いだろう。




浜面「クッ……ウォォォォォォォオオオオッ!!!!」ググググッ!!!


浜面が力を振り絞って、フレメアを抱き抱えたまま、足に力を込める。




メキィッ!!!……




直後、アパートの床を踏み砕くような音が響いた瞬間、浜面の姿が消えた。

744: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/28(火) 21:32:13.25 ID:E3kFNwPx0
パリィィィィィィイイイインッ!!!!




田中星人×4「!?」バッ!!



そしてその瞬間、2階の廊下の、外へと繋がる窓ガラスが割れる音が鳴り響き、田中星人達がそちらを向く。



しかしそこには、既に誰もいなかった。

745: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/28(火) 21:37:21.08 ID:E3kFNwPx0
…………




浜面「ハァッ……ハァッ……大丈夫か?お嬢ちゃん……」


フレメア「う、うん。大体大丈夫。にゃあ」



アパートの外の道路では、浜面が下になって、フレメアを落下の衝撃から守るように倒れている。




脱出したのだ。



フレメアを抱え、凄まじい破壊の力の衝撃に耐えながら。


浜面は、田中星人達の包囲を突破し、一瞬でアパートの2階から外へと飛び出した。

747: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/28(火) 21:41:41.33 ID:E3kFNwPx0
田中星人×4「」ジーッ……



浜面が飛び出した窓から、田中星人達が浜面達を覗いている。




フレメア「!?お、お兄ちゃん!!あのおじちゃん達がこっち見てるにゃあ!!早く逃げないと……お兄ちゃん?」



フレメアは、早く逃げようと浜面を急かすが、浜面の異変に気付く。




浜面「悪ぃ……お嬢ちゃん。ちょっと今は身体が動きそうにねぇや……」キュゥゥゥウン……




浜面のスーツの、様々な箇所に付けられた機械の部分からは、システムがダウンしたような音が鳴っている。



更に、吸収しきれなかった超音波の衝撃により、浜面の意識も朦朧としているようだ。

748: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/28(火) 21:54:10.40 ID:E3kFNwPx0
浜面「……お嬢ちゃん、よく聞けよ?今すぐここから離れろ。そして、他のお兄ちゃんやお姉ちゃん達を探して一緒にいるんだ。
大丈夫、向こうもお嬢ちゃんを探しているハズさ。すぐに見つけてくれる」


フレメア「お兄ちゃんは?お兄ちゃんはどうするの?」



浜面「俺は…………お兄ちゃんは、少し休んで悪い人達をやっつけてから追いつくよ。心配すんなって。ちゃんと行くからさ」ポンポンッ……



浜面は、フレメアの帽子の上から、撫でるように手を乗せる。

749: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/28(火) 21:55:22.90 ID:E3kFNwPx0
浜面「さっ、早く行ってくれ嬢ちゃん。大丈夫、悪い人達はもう他にはいないさ。ホラ、行った行った」



フレメア「……わかった。にゃあ。……絶対追いついて来てくれるよね?」



フレメアは、浜面の顔を真っ直ぐ見つめながら問いかける。



浜面「ハハハッ、大丈夫大丈夫。お兄ちゃんは強いからな、平気平気。さ、行くんだ嬢ちゃん」



浜面が笑いながら答えると、フレメアは安心したのか、そのまま走っていった。



その姿は、すぐに見えなくなる。

750: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/28(火) 22:00:26.18 ID:E3kFNwPx0
浜面「……さてと。ナビで見る限りは、上条達もこっちに向かってるみたいだし、あの嬢ちゃんは大丈夫だろ。
そんで俺はっと……」スッ……



少し体力が回復したのか、浜面が立ち上がる。




ダンッ!!


ダンッ!!


ダンッ!!


ダンッ!!



田中星人×4「」ウィンッ、ウィィンッ




そこに、4体の田中星人が降り立つ。




浜面「あの子がアイツ等と合流するまでの時間稼ぎか……死ぬかもな、こりゃあ……」チャキッ……




浜面は、Xガンを片手に、力無く項垂れた。

751: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/28(火) 22:06:13.49 ID:E3kFNwPx0
…………



フレメア「ハァッ、ハァッ……」タッ、タッ、タッ、タッ




フレメアがアパートから逃げ出して、3分も経たない頃。




上条「!?オイ!!あの女の子って……」



9980号「あの子は……浜面さんが助けに行った女の子ですね。と、ミサカはあの野郎一体何やってんだ?と不満を漏らします」


御坂「ニアミスしたのかしら?無事でホントよかったけど。オーイ!!こっちこっち!!」



フレメア「!?」



ナビの反応を追いかけてきた御坂達が、フレメアに呼びかけ、ようやくフレメアと上条達が合流した。

752: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/28(火) 22:57:13.88 ID:E3kFNwPx0
…………




浜面「ハァッ……ハァッ……そろそろあの子は合流したか?」ドロドロドロドロッ……



田中星人×2「」ウィンッ、ウィィンッ



田中星人(死体)×2「」シュゥゥゥウウウッ……





フレメアを逃がしてから数分後。



浜面は未だ闘っていた。



いや、かろうじて生き延びていたと言うのが正しいのか。




2体の田中星人の死体と側で佇む浜面のスーツからは、ドロドロとした液体が流れている。

753: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/28(火) 23:00:46.60 ID:E3kFNwPx0
浜面「ハァッ、ハァッ……それにしても、何か嫌な感じがするな……このスーツ。もしかして……」ゼェッ、ゼェッ



浜面は、今までの田中星人との戦いを振り返る。






お婆さんが死んだ駐車場での戦いで、一発。


フレメア救出時に受けた超音波が、四発分。


この2体の田中星人を撃破するまでに二発。





これだけの攻撃を、浜面は田中星人から受けている。




その全てが、スーツを着てない状態ならば、容易く致命傷になるほどの攻撃だ。



そして、スーツには耐久力がある。



そこから考えられる今の状況は……

754: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/28(火) 23:03:44.68 ID:E3kFNwPx0
浜面「スーツが……スーツがオシャカになっちまったのか?」ドロドロドロドロッ……



現在、浜面は生身の人間と、なんら変わらないという事である。



そう。



星人の攻撃を一撃喰らえば、致命傷のただの人間と。





田中星人×2「」コォォォォォォォォオオオオッ……


田中星人達が、超音波のエネルギーを溜め出す。





浜面「ッ!?ヤベェ!!このままじゃマジで死んじまう!!」ダッ!!!



それを見た瞬間、浜面は全力でその場から逃げ出した。


浜面「もうあの嬢ちゃんは合流したよな?あとは俺が生き延びるだけだ!!」ダッ、ダッ、ダッ



田中星人×2「ギョェェェェェエエエエエッ!!!!!」ダンッ!!!


そして、それを後ろから、田中星人達が空を飛んで追いかけて行く。

755: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/28(火) 23:06:08.40 ID:E3kFNwPx0
…………




アパートの前




浜面のスーツが壊れ、逃げ出した数分後。






ドォォォォォオオオオンッ!!!!!




突如、破壊音と共に、アパートの屋根を突き破って、何かが飛び出した。




???「ッグルォォォァアアアアアアアッ!!!!!」バサァッ!!!!バサァッ!!!!




その飛び出した何かは、けたたましい咆哮を上げると、颯爽と真夜中の19学区の空へと、飛び去って行った。

766: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/29(水) 20:08:22.93 ID:QxHtEV9p0
…………




浜面「ハァッ、ハァッ、クソッ!!まだ追ってきてんのか!?」ダッ、ダッ、ダッ



田中星人×2「ギョェェェェェエエエエエッ!!!!!」ビューン



スーツが壊れた事で、アパートの前から逃げ出すも、田中星人達はしつこく追ってくる。


スーツが壊れた今、田中星人に追いつかれれば、それは死を意味する事となるだろう。



浜面「アイツ等に……アイツ等と合流出来れば、何とかなるハズなんだ……」ダッ、ダッ、ダッ






学園都市第3位の『電撃姫』


規格外の力を宿したレベル0の無能力者




あの二人と会うことが出来れば、何とかなるハズ。

そう信じて浜面が必死で走っているその瞬間

767: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/29(水) 20:17:56.92 ID:QxHtEV9p0
田中星人A「ギョェェェェェエエエエエッ!!!!!」カッ!!!



追いかけてきている田中星人の一体が、かなり離れた位置から超音波を発射してきた。



浜面「な!?あんなところから……」ビビビッ……



スーツを着ている状態ならば、この距離での超音波攻撃は、そう大した脅威ではない。


というより、攻撃力はほぼ無いに等しい。



しかし、今の浜面はスーツが機能していない。



すなわち、どんな些細な威力だろうが……

768: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/29(水) 20:48:29.26 ID:QxHtEV9p0
浜面「グッ……音が……耳の奥で……」ダッ、ダッ、ダッ



「おわっ!?」ズルッ!!!



ズザァァァァァアアアッ!!!



人間の鼓膜にある、三半規管にダメージを与え、平行感覚を狂わせるには、十分なのだ。



既に体力をかなり消耗していた浜面は、足が縺れて転倒する。






ヒュンッ!!

ヒュンッ!!



田中星人A「」ダンッ!!!


浜面「クッ!?」チャキッ!!


田中星人B「」ダンッ!!!




側に着地した田中星人に向かって、浜面がXガンを構える。

769: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/29(水) 21:09:48.01 ID:QxHtEV9p0

浜面「クソッ!!クソッ!!!離しやがれこの野郎!!!」グッ!!グッ!!!



浜面がいくら抵抗しようと、ビクともしない。


並の人間の力では、星人には対抗出来ないのだ。




田中星人AB「」コォォォォォォォォオオオオッ……




浜面が必死で脱出を図る中、浜面を押さえつける二体の田中星人が、口内にエネルギーを溜め始める。

770: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/29(水) 21:11:35.01 ID:QxHtEV9p0
浜面「クソッ!!クソッ!!!チクショォォォオオオッ!!!どけよテメェ等!!俺は行かなきゃいけねぇんだよ!!!」グッ!!グッ!!!



その様子をすぐ目の前で見ている浜面は、田中星人へと力の限り叫び、抵抗する。



しかし、その抵抗は決して敵わない。




浜面「あの子と約束したんだ!!必ず追いつくって!!
婆さんに誓ったんだ!!必ずあの子を姉の元に帰すって!!!それをテメェ等に……テメェ等なんかに……」グググッ……



浜面が、右手に持つXガンの向きを、ホンの少しずつ変えていく。



その照準は田中星人ではない。



自分が今這いつくばっている地面だ。

771: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/29(水) 21:13:23.99 ID:QxHtEV9p0
浜面「テメェ等なんかに邪魔されてたまるかぁぁぁあああっ!!!!!」ギョーン!!ギョーン!!ギョーン!!!ギョーンッ!!!!






浜面が、自分の右手のすぐ下にある地面に向けて、トリガーを引く。




何回も。




何回も。




何回も。

772: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/29(水) 21:17:02.10 ID:QxHtEV9p0
田中星人AB「」コォォォォォォォォオオオオッ!!!!!




目の前では、田中星人の超音波が今にも発射されようとしている。



しかし、浜面は目を瞑り、全力で歯を食いしばっている。




3


浜面「テメェ等にこのまま殺られるくらいなら……腕の一本くらい捨ててやる……」



2


浜面「腕一本捨てて、生き残る可能性がホンの少しでもあるなら……」



1






浜面「あの子と婆さんの約束が守れるなら安い買い物だろうがクソッたれがァァァアア"ア"ア"ッ!!!!!!」









0

773: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/29(水) 21:19:37.18 ID:QxHtEV9p0
田中星人AB「ギョッ…」カッ!!!






田中星人達が、浜面にトドメを刺そうした瞬間










ドォォォォォオオオオンッ!!!!!!


ドォォォォォオオオオンッ!!!!!!

ドォォォォォオオオオンッ!!!!!!
ドォォォォォオオオオンッ!!!!!!
ドォォォォォオオオオンッ!!!!!!





浜面がXガンで撃った地面が爆発し、浜面と田中星人達は、その爆風によって吹き飛ばされた。

















爆心地には、浜面の千切れた右腕が、ポツンと落ちている。

774: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/29(水) 21:22:46.24 ID:QxHtEV9p0
…………





ドォォォォォオオオオンッ……

ドォォォォォオオオオンッ……





偏光能力「オイッ、何か爆発音みてぇなの聞こえなかったか今?」



浜面のいる地点へと向かう偏光能力が、一緒に行動している他のメンバーに問いかける。



9980号「えぇ、確かに聞こえました。と、ミサカは爆発音のした方向を確認します。
あの方向は、浜面さんと星人がいる方向では?」カチャカチャッ……


9980号は、Xショットガンの照準やダイヤルのようなモノを調節しながら、何やら色々と試しているようだ。




偏光能力「マジかよ……生きてんのかアイツは?」

776: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/29(水) 21:26:20.74 ID:QxHtEV9p0
フレメア「お兄ちゃんは生きてる!!にゃあ!!大体絶対追いついてくるって約束したもん!!」



偏光能力に、フレメアが怒鳴りつける。



涙目のフレメアに、銃器を下ろした9980号が、フレメアの目線に合わせるように、しゃがんで答える。



9980号「大丈夫です。浜面さんは帰ってきますよ。と、ミサカは自信を持って答えます」



フレメア「そうだよね……約束したもんね?ちょっと遅刻しているだけだもんね?」




9980号「えぇ。なんせ、こんな可愛らしいレディを待たせるのは何事かと、あの二人が浜面さんを迎えに行きましたから。と、ミサカは確信を持って答えます」ニコッ……



9980号が、今までの無表情から少し、本当にホンの少しだけ優しい微笑みをフレメアに送る。

787: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:04:46.99 ID:9L7//mrO0
…………




浜面のXガンによって、破壊された地面のすぐ側



田中星人AB「…………」




爆発によって吹き飛ばされた田中星人達は、静かに横たわっている。




ズルッ……ズルッ……



静寂に包まれたこの場所で、何かが這いずるような音が鳴り響く。





浜面「ハァッ……ハァッ……」ズルッ……ズルッ……




そこには、爆発の衝撃で右腕が吹き飛び、身体中も血塗れになっている浜面が、地面を這いつくばっていた。

788: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:05:59.66 ID:9L7//mrO0
浜面「ハァッ……ハァッ……戻るんだ俺は……アイツ等のところに……あの子の側に……」ズルッ……ズルッ……



千切れた右腕の部分からドクドクと血が流れている。




既に意識も定かでは無いだろう。
このまま止血もせずに放っておけば、間違い無く死に至る。




浜面「戻るんだ……俺は……」ズルッ……ズルッ……



それでも浜面は、ひたすら地面を這いつくばって移動している。


自分が守るべき、小さな女の子の元へ。










田中星人AB「…………」ユラァッ……



その背後で、田中星人達がゆっくりと起き上がり、浜面の方を見つめる。

789: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:08:22.24 ID:9L7//mrO0
浜面「上条……御坂……嬢ちゃん……」ズルッ……ズルッ……




田中星人AB「…………」ウィンッ、ウィィンッ



ザッ、ザッ、ザッ、ザッ!!



田中星人達が、浜面の方へと歩いていく。



浜面は全く気づいていない。



気づいたところで、身体が自由に動かない今、逃げることは敵わないが。





浜面「駒場……半蔵……俺は……俺は……」ズルッ……ズルッ……




田中星人AB「…………」スッ……




田中星人達の、死刑宣告を告げる手が、浜面に近づく。

790: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:12:36.05 ID:9L7//mrO0
バチバチッ……



田中星人AB「!?」ウィンッ!!



その瞬間、浜面の頭上に紫電が走る。


同時に、田中星人達が、浜面から視線をずらし、前方を見る。






そこには、1人の少女が立っていた。

バチバチと、稲光を纏いながら。

791: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:18:49.95 ID:9L7//mrO0
「こんなところで寝てる場合じゃないわよ浜面さん。
貴方の大事なお姫様が、貴方が来るのを待ってるんだから!!」バチバチバチバチバチバチバチッ!!!!






バチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチッ!!!!!!!







その直後、眩しく青光る稲光が、轟音と共に浜面の頭上を走り、田中星人達を包み込んだ。

792: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:24:38.62 ID:9L7//mrO0
…………




御坂「浜面さん!!浜面さんしっかりして!!」


浜面「……」



御坂は浜面の傷口をしっかりと止血し、浜面に呼びかける。



度重なる戦闘によるダメージと、出血のせいだろう。生きてはいるが、意識が戻らない。




御坂「マズイわね……右腕の血を止めるまでに、流れた血が多すぎる。このままじゃあ……」




御坂が浜面の怪我の応急処置に勤しんでるその時

793: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:26:52.80 ID:9L7//mrO0
田中星人AB「ギョォォォォオオオオオッ!!!!」ゴォォオッ!!!!



御坂の電撃によってところどころ溶けた田中星人達が、ホラー映画ばりに、御坂に襲いかかる。






「ウォォォォォォォオオオオッ!!!!」ブンッ!!!



バキィィィィィイイイイッ!!!!!



田中星人AB「ギョェェェェエエエッ!!!!」ズザァァァァァアアアッ!!!



しかし、寸前で強烈なパンチを喰らい、二体まとめて吹き飛ばされる。



上条「ビリビリの電撃だけじゃあ、お前らはまだ動けるってのはもうわかってんだよ!!」チャキッ!!



男女平等パンチから生物皆平等パンチにランクアップした、上条の右ストレートにより、ノックアウトしている田中星人達に向かって、上条がYガンを向ける。



794: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:28:16.69 ID:9L7//mrO0
バシュンッ!!

バシュンッ!!



田中星人AB「ギョッ!?」バチバチッ!!



命中したYガンの捕獲レーザー網によって、田中星人達はその場に捕縛される。




上条「フゥッ……少しこの銃にも慣れてきたな。遠くから一発で捕獲出来れば安全なんだが……」カチッ




中星人AB「」ジジジジジジジッ……



再びYガンのトリガーを引くと、田中星人達は、頭から何処かへと転送されていった。

795: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:30:04.18 ID:9L7//mrO0
上条「よし……これで一安心だな。御坂、浜面は大丈夫か?」




御坂「応急処置は出来たし、何とか生きてはいるみたい。
早く治療しないとかなり危ないけどね。ていうかアンタ、さっきさりげなくビリビリって言ってたでしょ?覚えてなさいよ?」




上条「治療か……確かあの部屋に転送されれば、生きてる限りは完治するんだったな」



上条は前回のミッションで、背中を斬られた浜面が、部屋に転送された時には完治していたことを思い出す。

796: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:31:24.31 ID:9L7//mrO0
御坂「確かそうだったわね。だとしたら……全ての星人を早く倒さなきゃいけないわね」



上条「……やるしかねぇだろ。浜面を助ける為にも、浜面が助けようとしたあの子を守る為にも」




偏光能力「お、いたぜ嬢ちゃん。お前のボディーガードが……おい、大丈夫なのか?ソイツ」



フレメアの護衛として、遅れてきた偏光能力達が、先行した上条達に合流する。


どうやら、浜面の様子を見て、ある程度の状況は理解出来たようだ。




フレメア「お兄ちゃん!!」ダッ!!!



9980号と一緒にいたフレメアが、浜面の側に駆け寄る。

797: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:40:26.13 ID:9L7//mrO0
御坂「……大丈夫よ。ちょっと寝ているだけだから」


御坂は、フレメアにこれ以上心配させまいと、少し嘘をつく。


まだ生きてはいるが、危険な状態なのだ。


早くミッションをクリアし、GANTZに転送してもらわなければ恐らく……




9980号「お姉様。これで全ての星人を倒したのですか?
と、ミサカは自分の出番が少ない事に少し不満を持ちます」



御坂「不満って……別に戦わないに越した事はないでしょうよ。ちょっと待ってね。多分あと数体は残ってると思うけど」ピッ、ピッ




御坂がナビを見ようと、デバイスを開いたその瞬間









ゴトンッ!!






近くに、空から何かが落ちてきた。

798: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:46:33.09 ID:9L7//mrO0
偏光能力「ん?何だアレ……!?オイッ!!嬢ちゃんの目を隠せ!!絶対アレを見せんな!!!」



落ちてきたモノを見た偏光能力が、フレメアの視界に入らぬように身体を動かす。





上条「うっ!?」


御坂「ヒッ……」バッ!!!



それを見た上条は青ざめ、御坂は出てくる悲鳴を、フレメアを驚かさないように咄嗟に飲み込んだ。


二人とも、身体の芯から震えが止まらなくなった。









落ちてきたのは、暴走族グループの生き残り。



不良Aの生首だった。

799: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:48:01.44 ID:9L7//mrO0
ドサァァァァアアアッ!!!!




再び何かが。



今度は先ほどよりも、大きなモノが落ちてきた。




上条「!?グッ……マジかよ……」





それは、不良Aの首を除いた身体だった。








バサァッ!!!


バサァッ!!!


バサァッ!!!!


バサァッ!!!!!





直後、翼を大きく羽ばたかせるような音が、辺りに鳴り響く。

800: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:51:30.48 ID:9L7//mrO0
ザンッ!!!



「グルルルッ……」



そしてその音の主は、上条達を見下ろすような位置にある建物の屋上に着地し、そこから上条達をジッと見下ろしている。





上条「なん……だ……アイツ……」



御坂「新しい……星人?」



偏光能力「オイ……星人ってのはあの人形みてぇなヤツだけじゃなかったのかよ……」



9980号「明らかに今までのとは違いますね。と、ミサカは驚愕します」



フレメア「……大体何あれ?大きなカラス?にゃあ」

801: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:54:58.00 ID:9L7//mrO0
大きなカラス。



フレメアの表現したこの言葉が、その星人を表すにはピッタリな言葉だろう。





大鴉「グルルルルルッ…………」




その見た目は、カラスのような頭と真っ黒な、ゴリゴリに筋肉質の身体と羽。


そして、脚は人間の脚よりも更に太く、どこぞの国の伝説にいる、鳥人のような姿である。


このカラスには腕はないが。






そして人間など、軽く突き殺せそうな大きく鋭い嘴には、呼吸器のようなモノがつけられている。



地球の空気は、この星人には合わないのだろうか?

802: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:56:51.83 ID:9L7//mrO0
大鴉「グルルルッ……」ギョロッ、ギョロッ



大鴉は、標的を選ぶかのように上条達を見下ろしている。






バサァッ!!!!

バサァッ!!!!



標的を選び終えたのか、大鴉が大きな翼を羽ばたかせ、宙へと舞い上がる。




上条「!?来るぞっ!!!」



大鴉が選んだ標的は……

803: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 00:00:19.11 ID:rZfhpIIW0
大鴉「グルァァァァァァアアアアッ!!!!」バサァッ!!!



御坂「!?わ、私!?クッ!!」バチバチバチッ!!!



御坂は、介抱していた浜面を地面に寝かせ、空中から襲ってくる大鴉の迎撃準備を行う。




御坂「舐めんじゃないわよ!!焼き鳥になりたいの!?」バチバチバチバチバチバチッ!!!!



御坂の電撃の槍が、空から急降下してくる大鴉へと直進する。

804: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 00:02:29.13 ID:rZfhpIIW0
大鴉「グルッ!!」バサァッ!!!


バチバチバチバチバチバチッ!!!



御坂「ウソッ!!空中で躱された!?」バチバチッ……



空中で急激に方向転換し、大鴉は御坂の電撃の槍を容易く躱す。
どうやら、巨体とはいえ、空中戦はお手の物のようだ。



ズザァァァァァアアアッ!!!!

そして、地面を抉るように、地へと降り立つ。



大鴉「グルルルッ……」ギョロッ!!!



その目は、既に標的を真っ直ぐに見つめていた。



その先にいたのは……




御坂「!?違う!!コイツの狙いは最初から私じゃない!!コイツの狙いは……」

805: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 00:04:02.96 ID:rZfhpIIW0
大鴉「グルァァァァァァアアアアッ!!!!!」ダンッ!!!



大鴉が地面思いっきり蹴り、地を這うように、猛スピードで飛び立つ。



その先にいるのは御坂ではない。




先ほど、御坂に一番近い位置にいた人間。



御坂が介抱していた人間。





上条「誰か止めろぉぉぉおおおおっ!!!狙いは浜面だっ!!!」




この中で一番、自分の同胞の血の臭いがする人間。


計5体の田中星人を撃破している浜面である。

806: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 00:05:09.19 ID:rZfhpIIW0
大鴉「ガァァァァァアアアッ!!!!」ガパァッ!!!



大鴉が、大きく嘴を開いて、浜面の首元を狙う。




ズンッ!!!!!




大鴉の嘴が、地面に横たわる浜面の首を捉えた。





そう、大鴉は認識していた。

807: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 00:06:21.37 ID:rZfhpIIW0
大鴉「!?」



大鴉は、目を疑う。


自分の同胞の仇が、目の前からいつの間にか消えているのだ。


確かに捉えたハズだったのに。






「ハッ!!どうした?見当違いのところを攻撃して……『見間違い』でもしたのか?鳥野郎」チャキッ!!




大鴉「!?」バッ!!


ギョーンッ!!!

ギョーンッ!!!



大鴉の側で、男が銃を構え発射するも、咄嗟に大鴉はその場を離脱する。

808: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 00:08:02.81 ID:rZfhpIIW0
上条「どういうことだ?あの鳥、浜面じゃなくて、その少し手前をいきなり攻撃しやがった……」



御坂「え!?私には、浜面さんがあの鳥にやられたかと思ったんだけど……」



9980号「私にも、あの人の首に嘴が刺さる瞬間が見えました。と、ミサカは自分の目を疑います」



フレメア「私は大体、さっきから目を覆われてて何も見えない。にゃあ」




どうやら、人によって見え方が分かれているようだ。




しかし、幻想殺しを持つ上条のみが、他と意見が違うということは、答えは一つしかない。




何らかの異能の力が働いているのだ。

809: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 00:10:31.96 ID:rZfhpIIW0
偏光能力「ハッ……この俺の『偏光能力(トリックアート)』が、まさか人を救う為に使われるとはな。人生わかんねぇモンだ」



どうやら、偏光能力が何かを仕掛けたようだ。
浜面への、大鴉の攻撃が外れる何かを。




偏光能力「おい、お前等。コイツは俺が相手するからその嬢ちゃんと馬鹿を連れて、こっから離れろ」



御坂「な!?馬鹿言うんじゃないわよ!!あんなのを1人で任せられるわけ」



偏光能力「うるせぇ。ガキとケガ人がいたままでコイツとやり合う方が、よっぽどめんどくせぇよ。
それに、さっきからテメェ等ばかりに美味しいところを持ってかれてんだ。そろそろ俺にも暴れさせろよ」チャキッ……



偏光能力は、Xガンを構え、大鴉と対峙する。

810: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 00:11:32.39 ID:rZfhpIIW0
御坂「で、でも1人でコイツと戦うはやっぱ無理」



9980号「大丈夫ですよお姉様。と、ミサカはお姉様のセリフに被せます」スッ……



9980号が、偏光能力の側に立つ。




9980号「ミサカもここに残ります。それなら2対1。こちらが有利ですよ。と、ミサカはお姉様をなだめます」



偏光能力の側に立つ9980号は、Xショットガンを抱えている。



御坂「あ、貴女……」



御坂は言葉を失う。

811: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 00:12:45.33 ID:rZfhpIIW0
9980号「大丈夫ですよ。ミサカはあんなカラスよりももっと得体のしれない化物のような相手を知ってますから。
と、ミサカはお姉様を心配させまいとします」ニコッ……



9980号が、ホンの少しだけ御坂に微笑む。




上条「……行くぞ御坂。どっちにしろ、浜面とフレメアを戦いの場に置いておくわけにはいかないんだ。今はあの2人を信じるしかねぇよ」ポンッ……



上条が、御坂の肩をポンッと叩き、場を離れることを促す。



御坂「……わかったわよ……死ぬんじゃないわよ?アンタ達……」



そう告げると、上条は浜面を背負い、御坂はフレメアを連れてその場から離れた。

812: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 00:14:53.35 ID:rZfhpIIW0
大鴉「グルルルッ……」スッ……



大鴉が浜面を追いかけようとした瞬間






チャキッ……


大鴉の頭に、XガンとXショットガンが、両側から押し付けられる。




9980号「ミサカが生きてる間は、あの人達を追うことは出来ませんよ?と、ミサカは大きなカラスに対して、無視してんじゃねーよ。と、愚痴をこぼします」



偏光能力「今まで出番無くて退屈してたんでなぁ。一丁遊んでくれよ」




大鴉「グルルルッ……グルァァァァァァア"ア"ア"ア"ッ!!!!」



大鴉の咆哮と共に2人が離れ、この場にいる全員が、戦闘体制に入った。

825: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 19:12:52.23 ID:rZfhpIIW0
ダッ、ダッ、ダッ、ダッ



御坂「大丈夫かしらあの2人……明らかに今までの田中星人より格上でしょ?やっぱり私が残ったほうがよかったんじゃ……」ダッ、ダッ、ダッ



大鴉の襲撃地点から離れる為に、フレメアと負傷した浜面を連れて、上条と御坂が全力で走り抜けている。



上条「あの2人がやるって言ったんだ。だったら任せるしかねぇだろ。
それに、1人はお前の妹なんだ。信じるしかねーだろ!!」




御坂「妹か……本当に何者なんだろあの子……ていうか、あの子戦えるのかしら?」

826: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 19:21:19.25 ID:rZfhpIIW0
…………




偏光能力「ぉおっ……スゲーなアイツ……レベル5の姉貴よりも、戦闘に慣れてんじゃねーの?」




偏光能力は少し遠めで、9980号と大鴉の攻防を見物している。




大鴉「グルァァァァァァアアアアッ!!!」ガパァッ!!!


大鴉の嘴が開き、勢いよく9980号へと噛みつく。


しかし、9980号は寸前でひらりと身をよじり、噛みつきを避ける。



9980号「ターゲット補足」チャキッ!!


そして、避け様に、Xショットガンを片手で構え、大鴉を狙う。

827: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 19:35:30.06 ID:rZfhpIIW0
大鴉「グルゥッ!!!」バサァッ!!!


その瞬間、大鴉は大きく翼を広げ、一気に空へと飛び立つ。


ギョーンッ!!!

ギョーンッ!!!


9980号「外しましたか……素早いですね。と、ミサカは少し悔し気にあのカラスを睨みつけます」



二発発射するも、大鴉の動きが速く、照準を外される。




ビュォォォォオオオオッ!!!!!



空へと飛び立った大鴉は、そのまま急降下してくる。


鋭く尖った脚の爪を、9980号に向けながら。

828: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 19:44:04.93 ID:rZfhpIIW0
9980号「!?クッ……」バッ!!


9980号は、素早くその場から離れる。



ズザァァァァァアアアッ!!!!!


大鴉は、鋭い脚の爪で道路を抉りながら、着地する。




9980号「どうやら、あのカラスの武器は、鋭い嘴と、脚の鉤爪のようですね。加えて、空中での機動力はかなりもモノです。と、ミサカは敵戦力の分析を行います」


偏光能力の側に戻ってきた9980号が、大鴉の情報をまとめて伝える。

829: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 19:48:29.27 ID:rZfhpIIW0
偏光能力「爪だけで道路が抉れてやがるからな。捕まりゃスーツ着てても引き剥がせずに、終わりかもな。
ところで、お前何でそんなに戦い慣れてんだ?身のこなしや銃の扱い方が、中学生のレベルじゃねーだろ」



9980号「ミサカは軍用ク……もとい、銃火器を用いた戦闘を目的に教育を受けましたので。それに、このスーツのおかげか、身体がとても軽いのです。
と、ミサカは自身について、少しフィルターをかけた説明をします」



偏光能力「……ハッ、まぁお前の素性なんざ知ったこっちゃねーか。それよりも今は、目の前のバケモンだ。全然こっちの銃が当たんねぇな」



偏光能力が、大鴉を指差す。



大鴉は、警戒するように、ジッとこちらを見ている。

832: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 19:57:05.55 ID:rZfhpIIW0
9980号「……こちらの照準を見て、そこから逃れるように動きますね。
当てるには向こうの動きを先読みしなければ。と、ミサカはどう攻めていくかを考えます」



偏光能力「先読みとかめんどくせぇ事しなくても、要は向こうの機動力を削げばいいんだろ?
ならあの羽に、一発でもこっちの攻撃を当てれば、動きが落ちて、こっちの勝ちだ」




大鴉「グルルッ……」ググググッ……


大鴉が、太く逞しい脚に力を込め始める。

833: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 20:01:58.55 ID:rZfhpIIW0
9980号「ハァッ……その一発を当てるのに苦労しているのですが?
と、ミサカは貴方との会話のキャッチボールが成立しないことに溜め息をつきます」ハァッ……


偏光能力「馬鹿にしてんのかテメェ!!……まぁ見てろ。俺が絶対に避けられねぇ攻撃ってのを見せて」



大鴉「グルァァアアアアアアアッ!!!!!」ドンッ!!!


次の瞬間、猛スピードで大鴉が偏光能力へと突進してきた。

834: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 20:05:15.19 ID:rZfhpIIW0
偏光能力「や……ってちょっま"」ドスッ!!!



ドゴォォォォォォオオオオッ!!!!



その勢いのまま、偏光能力に嘴を突き刺し、勢いよく突き飛ばす。


偏光能力はそのまま、近くの建物の壁をぶち破り、中へと突き飛ばされた。


大鴉「グルルルッ……」ギョロッ!!!


偏光能力を吹き飛ばした大鴉は、9980号の方をギョロリと睨みつける。



9980号「……何をやってるんでしょうかあの人は……と、ミサカは余りにも不甲斐ないあの人を、心配するどころか鼻で笑います。スーツのおかげで多分無事でしょうし」ハッ


鼻で偏光能力を笑い、9980号は大鴉へとXショットガンを構える。

835: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 20:11:59.51 ID:rZfhpIIW0
大鴉「グルッ!!」バッ!!


ギョーンッ!!!

ギョーンッ!!!


すぐさま発射するも、大鴉に簡単に躱される。


9980号「やはり当たりませんね。あの人の絶対に当たる攻撃と言うのも気になりますが……仕方ないです。
と、ミサカは先ほど発見した切り札を使用することに決めます」ギョーンッ!!ギョーンッ!!!


9980号は、大鴉を牽制するようにXショットガンを撃ちながら、銃についているフォアグリップに手を伸ばす。

836: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 20:15:45.92 ID:rZfhpIIW0
カチカチッ……カチカチッ……



そのままフォアグリップを奥に動かすと、Xショットガンのモニターに表示されている、照準を示す+マークのようなモノが変化し、○のマークへと変わった。



9980号「最初、お姉様にこの銃の名称はXショットガンと聞き、実際に何回か撃って見たところ、どこがショットガンだよライフルじゃねーか。と、ミサカは内心ツッコミました」スッ……



9980号は、再び照準を大鴉に合わせる。


大鴉は空を素早く旋回し、照準から逃れようとしている。

837: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 20:17:39.10 ID:rZfhpIIW0
9980号「そこで、このスライド式のフォアグリップを動かして見たところ、ようやく納得しました。

この銃は、デフォルトではライフルのように長距離射程の一点特化の高威力。
ですが、フォアグリップをスライドさせることで、威力が弱まる代わりに、その攻撃範囲を広げることが出来るのです。

と、ミサカは最大限に広がった照準をあのカラスを合わせ、トリガーを引きます」カチッ!!


ギョーンッ!!!!!





9980号のXショットガンの銃口が、大きくXの形に広がり、そこから光が発射された。

839: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 20:27:08.33 ID:rZfhpIIW0
3


大鴉「グルルルッ!!!」バサァッ!!!!


大鴉が、空中旋回から9980号への攻撃へと体勢を変える。



2


バサァッ!!!!

バサァッ!!!!


大鴉「グルァァアアアアアアアッ!!!!」ギュォォォォオオオッ!!!


そのまま一気に、弧を描きながら急降下してくる。
真っ直ぐ飛んで来ないのは、銃の反撃を躱す為だろう。



1


9980号「……」スッ……


9980号は、構えていたXショットガンを下ろし、真っ直ぐ大鴉を見ている。

攻撃を躱す素振りなど、微塵も見せずに。





0

840: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 20:31:44.76 ID:rZfhpIIW0

大鴉「グルァァアアアアアアアッ!!!」ギュォォォォオオオッ!!!



大鴉の鉤爪が、9980号を捉えようとしたその瞬間



ドンッ!!!!!


大鴉「グギャァァァァァァアアアアッ!!!!!」グラァッ!!!


ズザァァァァァアアアッ!!!!




突如、大鴉は全身に強い衝撃波を浴び、身体中から血を噴き出しながら、地面へと墜落する。





9980号「……ターゲットに命中を確認……」


841: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 20:33:43.52 ID:rZfhpIIW0
9980号「見た目ほどのダメージはないハズです。範囲を広くすればするほど、反比例して威力はかなり弱まるみたいですので。

それでも、あなたを空から落とし、少しの間だけでも動きを封じるには効果的でしたね。
と、ミサカはグリップの位置を元に戻しながら大きなカラスに近寄ります」カチカチッ……



9980号が、淡々とした口調で喋りながら、大鴉に近づいていく。



大鴉「グルルルッ、グルァァアアアアアアアッ!!!!」ガパァッ!!!


大鴉は地面に這いつくばった状態から、9980号に喰らいつこうとするが、ひらりと躱される。

842: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 20:37:14.13 ID:rZfhpIIW0
ギョーンッ!!!



躱し様に、大鴉の翼へとXショットガンを撃ち込む。
範囲を最小まで絞り、高威力の状態で。




グシャァァァァァァアアアアアッ!!!!



大鴉「グギャァァァァァァアアアアッ!!!!!」ブシュゥゥゥウウウッ!!!



数秒後、翼は爆発し、大鴉の悲鳴が辺りに響き渡る。




9980号「お姉様は、ミサカに言いました。誰の言う事も聞かなくていい。自分の意志で自分の命を生きろと。
なので、ミサカは自分の意志で決めました。……お姉様や、あの部屋の人達を、あなた達星人から守る為に生きようと」チャキッ!!



9980号が、大鴉の頭にXショットガンを向ける。

843: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 20:39:22.14 ID:rZfhpIIW0
大鴉「グルルルッ……」ググググッ……



大鴉が、真っ直ぐ9980号を見る。



例え種族が違っても、星人でも一目でわかるくらいの、憎しみと怒りを目に浮かべて。



自分の同胞を皆殺しにした人間への憎悪の感情が、ハッキリと読み取れた。



9980号「お姉様だったら……まともな人間でしたら、殆どの方はこの引き金を引く事に、心を痛めるのでしょうか?
……生憎ミサカには心や感情が無いですし、そもそも人間ではありませんが。と、ミサカは躊躇い無く、引き金を引きます。さようなら」カチッ!!






ギョーンッ!!!!!

844: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 20:47:23.59 ID:rZfhpIIW0
…………



ガラガラガラッ……



偏光能力「っ痛……クソ、調子に乗りすぎたか。あの鳥野郎、今から俺の能力でボコボコにして……」




大鴉に突き飛ばされた偏光能力が、建物の中から出てくると、目の前には大鴉の死骸と、血塗れの9980号の姿があった。

845: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 20:54:22.49 ID:rZfhpIIW0
9980号「……ん?あぁ、無事だったのですか?と、ミサカはフォローしようがない程、無様なあなたを鼻で笑います」ハッ


9980号が、いつも通りの無表情かつ、抑揚の無い声で、偏光能力に悪態をつく。



偏光能力「別にフォローしろなんざ言ってねぇだろ。笑いたきゃ笑え。
で、結局1人で殺ったのか?この鳥野郎を」



9980号「えぇ……トドメを刺す時に、物凄い目で睨まれました。憎しみが篭った目で。
と、ミサカは、感情の無い自分には理解できない目でしたと、報告します」



9980号は、自分が殺した大鴉を見下ろしながら、呟いた。

846: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 20:55:53.47 ID:rZfhpIIW0
自分は人間では無く、『モノ』。



『モノ』には感情なんてない。



そう理解している9980号には、憎しみという感情を、相手から感じることはわかれど、理解することは出来ないと思っていた。




偏光能力「感情が無いだぁ?の割には、随分ひでぇ顔だがなぁ」クイッ



偏光能力は、その辺にあるミラーを指差し、9980号に自分の顔を見てみろと、ジェスチャーを送った。

847: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 20:59:45.53 ID:rZfhpIIW0
9980号「これは……なぜ……ミサカは痛みを伴う怪我などはしていないハズ。と、ミサカはこの状況が理解できません」



9980号は、ミラーに映った血塗れの自分の姿を見る。そして、その目を見て驚愕する。



偏光能力「知ってるか?痛み以外で……感情で涙を流すのは人間だけなんだってよ。
お前のそれが、どんな感情で流れたかは知らねぇが、俺にはどう見ても、お前が人間以外のモンには見えねぇけどな」ザッ、ザッ、ザッ、ザッ



偏光能力は、かったるそうにそう言うと、上条達の元へと戻っていった。



9980号「涙……これが……この胸の痛みが、何らかの感情なのでしょうか?」スッ……


9980号が、自身の頬を伝う涙を拭う。

848: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 21:04:29.32 ID:rZfhpIIW0
…………




第19学区 旧商店街 古ぼけた倉庫



古い街並みの多い19学区でも、更に古い一区画。



大鴉の襲撃から逃れる為に全力で走り抜け、今では誰も店を開いていない、住んでもいない商店街の倉庫に、未だに意識が戻らない浜面を運び込んだ。



上条「ここに隠しておけば、ひとまずは安心だろ。御坂、偏光能力とお前の妹はまだ無事なのか?」



御坂「ちょっと待って……うん、多分無事だと思う。まだあの大きなカラスと戦ってるみたい」ピッ



デバイスに表示されたのは、数分前から先ほどの場所に変わらずにいる3つの反応。

849: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 21:06:47.75 ID:rZfhpIIW0
御坂「ん?……!?ちょっと待って!!私達の近くに誰かいる!!」



ついでに、自分達の周囲も見てみようと確認してみると、すぐ近くに、GANTZメンバーの反応があった。


御坂「ちょ、ちょっと待って!!さっきの場所には偏光能力と妹。ここには、浜面さん、フレメアちゃん、アンタ、私よね?じゃあこの反応は……」





上条「……天井が近くにいるのか?」







850: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 21:08:32.48 ID:rZfhpIIW0
今まで、レーダーに反応すら無かった天井。



おそらく周囲と同化するやり方と同じように、レーダーからも反応を消す方法があるのだろう。



それが突然解除されたということは、天井に何かあったのだろうか?




上条「…………ちょっと行ってくる。御坂、お前はここで浜面とフレメアを見ててくれ」


御坂「へ?で、でも」



上条「様子を見てくるだけだ。それに、万が一ここに星人が来たら、誰がこの二人を守るんだよ。大丈夫、すぐに戻るさ」スッ……




上条は、倉庫から出て、商店街へと移動した。

861: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/02(日) 21:04:29.19 ID:buy3V9bT0
●『00:12:45』





…………



旧商店街 東エリア




上条「…………な、なんだこれ……ここで何があったんだ?」



大きく西エリアと東エリアに分かれる旧商店街。



浜面や御坂のいる西エリアの端の倉庫から、天井の反応があった東エリアに入った途端、寂れた商店街の景色が一転した。



どこもかしこも、火の手が上がり、静かに燃えている。


更に、局地的に爆破したかのように破壊され、あちこち何か巨大な力に押し潰されているのだ。



道も。


店も。


建物も。



大きな建物に至っては、その建物の断面図を表すように、抉れている。

862: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/02(日) 21:07:10.64 ID:buy3V9bT0
上条「一体何をどうやったら、こんな壊れ方すんだよ……」ザッ、ザッ、ザッ、ザッ……



上条が、瓦礫の散らばる道なき道を、前に進む。





ギョーンッ!!!!

ギョーンッ!!!!



すると、どこからか聞き覚えのある音が聞こえてきた。




上条「今の音……Xガンか!?おい!!居るのか天井!!返事しろよ!!」



上条は、天井がXガンを撃ったと思い、周囲に天井の姿を探す。

863: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/02(日) 21:27:44.17 ID:buy3V9bT0
ドォォォォォォォオオオンッ!!!!

ドォォォォォォォオオオンッ!!!!



上条「おわっ!?」ビクッ!!



数秒後、上条の近くでXガンの爆発が起きる。
どうやら、今のXガンの攻撃は、上条を狙ったモノらしい。



上条「っ……馬鹿野郎!!味方撃つんじゃねぇよ!!おい何処だよ天井!!返事し……!?」バッ!!



予想外の攻撃に、周囲を警戒する上条の目の端に何かが映り込み、もう一度確認する。

864: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/02(日) 21:29:34.19 ID:buy3V9bT0
天井「……あぁ……何だ、君だったのか……悪いな……人形の方の星人かと思ったんだ」



そこには、崩壊した建物の壁に、座り込んで寄りかかる天井の姿があった。



上条「天井……アンタ……アンタが何でそんな……」



上条は己の目を疑う。




天井は1年以上GANTZの部屋で闘ってきたという猛者だ。



自分達の中で最も生存率は高いハズ。



ではこの姿はなんだ?

865: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/02(日) 21:36:55.36 ID:buy3V9bT0
天井「ん?今何か言ったか?……悪いが耳をやられて聴き取りづらくてね。
目もあまり見えないから、キミと判断するのに時間がかかったんだ。
まぁ、目が見えづらいからこそ、君を撃たずに済んだんだがな」



そこにいる天井は、耳からは血を流し、目からも血を流して視力にダメージを負い、左腕と左足首が千切れ、身体中血塗れの姿になっていた。

866: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/02(日) 21:39:18.81 ID:buy3V9bT0
…………



●『00:12:45』




古びた倉庫内




御坂「!?レーダーに星人の反応が……天井と当麻のいる商店街の近くで止まっている……」ピッ、ピッ



意識の無い浜面と、非戦闘員であるフレメアを上条に任された御坂は、デバイスのレーダーで、上条達に迫る危機を察知していた。



御坂「どうしよう……もしあの二人が星人に気付いてなかったら……。
そもそも天井が無事な保障は無いし、下手したらまた当麻1人で星人と……。
でも私はここで浜面さんとフレメアちゃんを守らなきゃいけないし……」

867: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/02(日) 21:43:52.58 ID:buy3V9bT0
どちらも守るべき存在。




しかし、1つしか選べないこの状況に、御坂は悩む。




「……心配……すんな……御坂……」




御坂「!?」

フレメア「あっ!!!お兄ちゃん!!」



御坂とフレメアは、声の主へと振り向く。




浜面「フレメアは……ここで俺が守るから……お前は早く……上条のところにいけ……」




何ともしぶとい男が、ようやく目を覚ました。

868: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/02(日) 21:45:10.60 ID:buy3V9bT0
●『00:12:45』




偏光能力「ァァアアアクソがっ!!!どうやって使うんだよこのレーダーだかナビだか知らねぇがよぉ!!」ピッ、ピッ、ピッピッピッピッピッ!!!!



レベルアッパーを所持していた割に機械類は苦手なのか、大鴉戦後に上条達の元に行こうとした偏光能力は、デバイスを連打していた。




「……他のメンバーの位置は、既にミサカが把握しています。と、ミサカはできる女であることを自慢します」スッ……

869: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/02(日) 21:48:47.23 ID:buy3V9bT0
偏光能力「!?お前……何だよ、泣き足りねぇなら、まだ泣いてていいんだぜ?」



偏光能力は、横から出てきた人物に対して、悪態をつく。



9980号「問題ありません。この涙の理由はわかりませんが、行動に支障はないので。
と、ミサカは女性の泣き顔を見んじゃねーよと、貴方を蹴りつけます」ゲシッ!!ゲシッ!!

870: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/02(日) 21:50:01.32 ID:buy3V9bT0
●『00:10:40』




天井「やはり、最初にあのバカ共からもらった銃撃が効いたかな……予想以上に早く、スーツがオシャカになってしまってね。
ラスボスのような鳥に追い詰められて、命からがら逃げ延びたってところだ」



天井が苦笑しながら、これまでの経緯を語る。



上条「鳥って……あのカラスみたいな黒いデカイ鳥か?だったらソイツは偏光能力と御坂の妹が」



天井「黒いデカイカラス?ハハッ、違う違う。あんな雑魚なら、例えスーツが壊れてもここまではならないさ。既に3体ほど殺っているしね」

871: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/02(日) 21:53:20.33 ID:buy3V9bT0
上条「!?あれが雑魚って……なら、あれより更に上のヤツがいるってのか!?」



上条が、大鴉よりも更に上の存在がいることに驚く。



天井「あぁ……金色のがな……アレは鳥というか……鳥人というヤツかな?インドかどこかの神話の『ガルーダ』とかいう化け物によく似ている……。

……フッ、そういえば、田中星人の好きなモノ……チョコボールとあったな。大きなカラスが銀のエンゼルだとすれば、あれは金のエンゼルか?

……よかったな、アレを倒せばもれなく、おもちゃの缶詰がもらえるぞ?」スッ……




天井が、よくわからないジョーク?をとばしながら、遠くに向かって指を指す。

872: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/02(日) 21:56:58.85 ID:buy3V9bT0
上条「……アイツが本当のラスボスか……」



天井が指す方へと、上条が視線を移す。










鳥人「…………」バサァッ!!……バサァッ!!!!









そこには、4枚の大きな赤い翼を羽ばたかせ、宙に浮かぶ金色の『鳥人』が、遠くからこちらの方を見ていた。



884: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/03(月) 15:47:27.95 ID:/E4Y6n/v0
…………



目覚めた浜面へとフレメアを任せ、御坂は上条と天井の元へ向かう。


御坂「レーダーの反応は、この商店街の東側……向こうの明るく光ってる方ね。何か燃えているのかしら?」ダッ、ダッ、ダッ


真夜中の古びた商店街を、ほんのりと明るく照らす光。


どうやら、上条達のいると思われる旧商店街の東側から、火の手が上がっているようだ。




何かが爆発でもしたのだろうか?




御坂「さっき見た時には、かなり近くに星人の反応があった……お願いだから、せめて私が行くまでは……」

885: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/03(月) 15:48:04.28 ID:/E4Y6n/v0
星人と戦うのは止めてほしい。



そう切に願う御坂であったが、その願いは脆くも崩れ去る。




突如、東側の空に、眩い閃光が走った。






ドォォォォォォォオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!





御坂「きゃっ!?……な、何よ今の……」ダッ、ダッ、ダッ!!



閃光と共に炸裂した轟音は、御坂の足を更に速めるには十分な不安材料だった。

886: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/03(月) 15:49:18.55 ID:/E4Y6n/v0
…………




偏光能力「おいおい……何だよ今の閃光とクソデケェ爆音は……」ダッ、ダッ、ダッ



9980号「わかりません……ですが、あそこでお姉様か、あのウニ頭の方のどちらかが闘っているのは確かです。
と、ミサカはレーダーを確認しながら、更に足を速めます」ダッ、ダッ、ダッ




上条達のいる旧商店街へと走る二人の目にも、眩い閃光と轟音が届いていた。



偏光能力「なぁ、残りの星人はあと何匹なんだ?そのレーダーでわかるんだろ?」

887: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/03(月) 15:50:12.78 ID:/E4Y6n/v0
9980号「えぇ。地図を縮小すれば、大体の位置と数は。恐らく、残りは2体。どちらも商店街周辺にいるようです。
と、ミサカはレーダーを操作しつつ、確認します。」



偏光能力「2体か。……おい、お前は浜面とあのガキのところに行ってやれ。万が一の事があるかもしれねぇからな」



9980号「1人で大丈夫ですか?と、ミサカは今までいいとこ無しな貴方に、不安気な眼差しを送ります」




9980号は、ジト目で偏光能力を見つめる。




偏光能力「大して目つき変わってねぇだろ!!……俺には俺の役割ってのがあんだよ。主役張れる能力じゃ無くても、面白い物語には名脇役ってのが必要だろうが」

888: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/03(月) 15:56:40.27 ID:/E4Y6n/v0
…………



旧商店街東側




ゴォォォォォォォオオオオッ……



先ほどまで、瓦礫の散乱していたこの東側エリア。


今ではところどころ、勢いよく燃える炎に包まれている。



天井「……何故私を助ける……私はもう、このミッションでは闘えない。捨てていけばいいモノを……」


上条「うるせぇな……ケガ人は、黙って助けられてればいいんだよ……」



既にスーツも壊れ、満身創痍でとても闘える体ではない天井を、上条は肩に担いでじっと正面を見つめていた。

889: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/03(月) 15:58:11.65 ID:/E4Y6n/v0
上条「とりあえず、頼むからしばらく黙っててくれ。ちょっとでも気を抜いたら、あっという間に炭クズにされちまいそうだからな……」




上条は、この焦熱地獄を生み出した元凶を見ていた。






鳥人「…………」ォォォオオッ……





その姿は、まさしく先ほど天井が言っていた、神々しく金色に染まる頑強な人間の身体と、鋭い鉤爪をつけた手足。



鋭い嘴と眼光を持つ鷹の頭。



そして、燃えるような赤い4枚の大きな翼を持った、『鳥人』であった。


890: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/03(月) 15:59:40.00 ID:/E4Y6n/v0
上条「『金のエンゼル』か……確かに、あの大鴉の5体分……いや、お釣りがきそうなくらいの化け物だな……」ブルッ……



上条の身体が小さく震える。



怖いのだ。


あの星人が。



今までネギ星人、田中星人、大鴉と、様々な星人を見てきたが、威圧感・存在感・絶望感、どれをとっても桁が違う。



何より、ハンデがあったとはいえ、実力者である天井が、ここまでやられているのだ。

891: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/03(月) 16:01:03.29 ID:/E4Y6n/v0
鳥人「…………」ジロッ……



上条「!?」ビクッ!!



鳥人が、上条達をジロリと鋭い眼光で睨む。



鳥人「…………」ジッ……



上条「~~~~~ッ!!!」ダッ!!!



その瞬間、視線に恐怖した上条は、全力でその場を離脱した。




鳥人「…………」バサァッ!!!バサァッ!!!




逃げた上条を追うために、鳥人が大きな4枚の翼を、はばたかせる。

892: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/03(月) 16:02:02.77 ID:/E4Y6n/v0
上条「ハァッ……ハァッ……」ダッ、ダッ、ダッ、ダッ



天井「フッ……迷いなく逃げたな。まぁ、それも一つの選択肢だが。
さて、次はどうする?私を担いだままでは、すぐに追いつかれてしまうぞ?」




上条「あーもー!!ちょっとは黙ってろよ!!そんなに死にたいのか!?」ダッ、ダッ、ダッ、ダッ




鳥人から逃げる上条を、からかう様に天井が語りかける。

893: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/03(月) 16:03:42.56 ID:/E4Y6n/v0
天井「だから最初から捨てていけと言ってるだろうに……私は別に、人の世話になってまで無様に生き延びたい訳ではない。

……いや、一年前……この部屋にくる前ならすがりついてでも生き延びただろうがな。今の仕事とあの部屋の行ったり来たりで、生への感覚が麻痺してきたのだろうか?」



上条「知らねぇよそんなこと!!いいか?死にたいなら勝手に死んじまえばいい!!
だけど、それなら俺の居ないところで死んでくれ!!お前が俺の近くで生きてる限りは、俺が絶対に死なせねぇ!!」ダッ、ダッ、ダッ、ダッ

894: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/03(月) 16:04:46.65 ID:/E4Y6n/v0
天井「随分と強引な事だな。大体私を助けて何になるのだ?戦力が減って自分の生存率が下がるのが嫌か?
それとも、私が知っているGANTZに関する情報が目当てか?」



上条「あー、それもいいなー!!上条さんもまだ死にたくはないし、GANTZの情報もまだ隠してることがあるなら、全部聞いておきたい!!



……全部『ついでに』だけどな!!目の前の誰かを助けるのに、理由なんざいちいち考えてられっかよ!!いい加減黙ってろ!!」ダッ、ダッ、ダッ、ダッ



天井「…………」




上条は、ひたすら走る。

とにかく、天井を何処か安全なところに避難させなければ。

895: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/03(月) 16:06:08.91 ID:/E4Y6n/v0
バサァッ!!!

バサァッ!!!



何処からか、翼を羽ばたかせる音が聞こえてくる。



ザンッ!!!!!



上条「なっ!?」ザザァアッ!!




同時に、走る上条の前に金色に染まる鳥人が、空から現れる。



上条「は、速ぇ……」ガタガタッ……



鳥人「…………」ォォォオオッ……



鳥人は再び、震える上条をジッと睨みつける。



スッ……



そして、天井の方を指差し、嘴を開いた。



鳥人「……ソノ人間ヲ渡セ……」

896: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/03(月) 16:08:13.09 ID:/E4Y6n/v0
上条「!?なっ……しゃ、喋れるのか?……お前……」



星人がまともに言葉を話せるということに、上条は心底驚く。






鳥人「……渡セ……ソノ人間ヲ渡セ……」



鳥人は、繰り返し天井の引き渡しを要求する。



上条「……コイツを渡してどうするんだよ?殺すのか?」




上条が、鳥人に天井の処遇について問いかける。



鳥人「…………」ボゥッ……



その瞬間、鳥人の身体中から、ゆらりと炎が生まれる。



上条「!?やっ……」バッ!!!




上条が咄嗟に右手を前に出したその瞬間





鳥人の周辺を飲み込み、天高くに昇る火柱が、真夜中の19学区を照らした。

906: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 21:34:19.20 ID:ZchHNTMJ0
ゴォォォォォォォオオオオッ…………





鳥人「……何ダ?」





火柱によって辺り一面に火の手が上がる中、鳥人がその中心に佇んでいる。





鳥人「何ダ!?何ヲシタ!?」ボゥッ!!




鳥人が、自身の右手に炎の玉を形成し、正面に投げつけた。




パキィィィィィィイイインッ!!!!!




鳥人「!?」




次の瞬間、何かが割れるような音が鳴り響き、目の前に放った炎の玉が、跡形も無く消滅した。

907: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 21:41:55.49 ID:ZchHNTMJ0
天井「君は……君は一体何者なんだ?」




火柱に巻き込まれたハズの天井が、なおも自分を担いでいる人物に対して問いかける。




上条「俺はただの無能力者(レベル0)だよ……この学園都市に溢れている、その他大勢の1人だ」シュゥゥゥウウッ……





上条は右手を前に突き出し、真っ直ぐに鳥人を見つめる。



鳥人は、どのように自分の攻撃を防がれたのかわからず、少し戸惑っているように見える。

908: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 21:52:37.66 ID:ZchHNTMJ0
上条「ツイてねぇな……本当にツイてねぇ……」チャキッ……





上条がゆっくりと右手を下ろし、ホルスターに着けていたYガンを握って、再び右手を上げる。





照準は、鳥人をしっかりと捉えている。








上条「お前……本当にツイてねぇよ」カチッ







上条がトリガーを引き、鳥人へと捕獲レーザー網が発射される。

909: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 21:53:50.01 ID:ZchHNTMJ0
鳥人「!?」バサァッ!!!



鳥人は素早く反応し、飛び立って捕獲網を避ける。




バサァッ!!!

バサァッ!!!

バサァッ!!!



そのまま飛び去り、鳥人は姿を消した。
どうやら、自身の力を防がれた事に驚き、一時的に退却したようだ。






上条「…………」





上条は、その様子を無言でジッと眺めていた。




が。

910: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 21:55:59.69 ID:ZchHNTMJ0
上条「(危っねぇ……とっさに右手を前に出したけど、何とか幻想殺しが発動してくれて助かった……星人の攻撃でも、消せるヤツは消せるんだな……)」ダラダラダラッ……




内心は、途轍も無く焦っていたようだ。スーツの中は、冷や汗でダラダラである。



上条「(けど、今の炎を消した感じ……おかしいな……アイツって星人なんだよな?)」




天井「クッ……クククッ……」




上条「!?な、何が可笑しいのでせうか?」




天井「いや……何とも面白い男だと思ってね。どうやってあの攻撃を防いだのか……。
それはわからないが、どうやら君も、あの部屋で生き残れる力を有した人間のようだ」クククッ……





天井が上条に担がれたまま、苦笑する。

911: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 21:58:25.91 ID:ZchHNTMJ0
天井「さて……悪いがそろそろ降ろしてくれないか?いつまでも男に担がれる趣味はないのでね」



上条「降ろせって……これからどうすんだよお前。あの星人が狙ってたのはアンタだぞ?」



天井「どうもこうもないさ。デバイスを持っているか?恐らくあと10分もしない内に、タイムアップだ」



天井がそうつぶやくと、上条は急いでデバイスを確認する。






『00:09:43』






912: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 22:00:25.78 ID:ZchHNTMJ0
上条「あと10分もない……なぁ?この時間を過ぎればどうなるんだ?」



天井「さぁね。過ぎた事が無いからわからないな。
ただ、時間を設定しているという事は、何らかのペナルティがあることは間違いないだろう。
最悪、全員の頭の中の爆弾が、爆発する……とかね」




天井の言葉に、上条の血の気が引く。




上条「な……だとしたら、早くさっきのヤツを倒さなきゃ……」

913: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 22:05:31.54 ID:ZchHNTMJ0
天井「そう。君達は、あの鳥人をあと9分程で倒さなければならない。だとすれば、私を担いで戦う余裕はないだろう?最悪全員死ぬのだから。
……わかったら早くヤツを倒すんだ。それが唯一、今生き残ってる者達が生き延びる方法だ」




上条「だけどアンタが1人になったらアンタが……!?まさか……」





上条が、天井の意図に気づいたようだ。







天井「……そう……ヤツが狙っているのは、この私なんだよ……」ニヤッ……






天井がニヤリとほくそ笑む。

914: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 22:11:12.48 ID:ZchHNTMJ0
●『00:07:50』







バサァッ!!!

バサァッ!!!


ズンッ!!!



鳥人「…………」ォォォオオ……




火の手が弱まり、静まりかえった旧商店街に、再び金色に染まる鳥人が降り立つ。



天井「……やぁ……また来たのか……」




側には、壁に寄りかかる、天井の姿が。





鳥人「…………」キョロッ、キョロッ




鳥人は、辺りをキョロキョロと見回す。

先程自分の攻撃を防いだ、上条を警戒しているのだろう。

915: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 22:12:39.10 ID:ZchHNTMJ0
天井「何をキョロキョロしてるんだ?……あぁ、彼なら私を置いて、君を探しにいったよ。君には嬉しいニアミスだったようだな」



天井が、鳥人に喋り続ける。




天井「仲間の仇として私を殺しに来たのだろう?やれよ。もはや抵抗するほどの力も残ってない。
君の仲間を片っ端から殺してやったんだ。君には私に復讐する権利がある」




鳥人「!?キサマッ!!」ガシッ!!




鳥人は、左手で天井の首根っこを掴み、宙に浮かせる。

916: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 22:15:26.38 ID:ZchHNTMJ0
天井「グッ……いやぁ……君の仲間は実につまらなかったよ……どいつもこいつもギャーギャーとウルサイだけで、狩り甲斐がなかった」ニィッ……



天井が更に鳥人を煽る。




鳥人「…………」ボゥッ……



鳥人は、静かに怒りを発しながら、右手に炎を灯す。



炎はドンドン大きくなり、ある程度大きくなったところで球体に固められ、まるで太陽のような光を発している。



天井「フッ……その炎の力……学園都市の能力基準で言えばレベル5クラスだが……生憎、そんな単純な理論で発生する能力、いくら強力なモノでも、私には興味がないのだよ…………」





鳥人「……キサマノ次ハ……キサマノ仲間ダッ!!」ブンッ!!




鳥人が、右手の炎の球を天井に振りかざす。

917: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 22:22:10.67 ID:ZchHNTMJ0
天井「仲間?私に仲間などいないさ……いるのは『協力者』だけだ」








バシュッ!!!







その瞬間、50mほど離れた場所から、鳥人へとYガンの捕獲網が発射された。



捕獲網は、鳥人へと真っ直ぐに飛んで行く。




鳥人「ナッ!?」バッ!!



それに気づいた鳥人が、天井を離し、捕獲網から逃れようと素早くその場から離れる。

918: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 22:23:15.05 ID:ZchHNTMJ0
バチバチバチバチッ……





「今度はもう逃がさねぇぞ……」





バチバチバチバチッ……









Yガンが発射された周辺で、バチバチと火花が発せられる。


何もないその場所から、1人の男が出現した。

919: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 22:24:31.94 ID:ZchHNTMJ0
……………





天井『ヤツの狙いは私だ。ならば、私を囮にすれば、容易く引き寄せられる』




上条『でも、ヤツは俺を警戒しているぞ?』




天井『君は少し離れて見ていればいい。透明化のやり方はまだ教えてなかったな?それを教えるから、隙を見て捕獲するなり殺すなりしろ』




上条『だけど、俺の銃の腕じゃ……それに、照準が合ってても、この距離じゃ躱されるだろ』




天井『ん?なんだ、知らなかったのか?GANTZの銃には、トリガーが二つあるだろう?何故だと思う?』

920: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 22:25:47.32 ID:ZchHNTMJ0
ヒュンッ!!




鳥人「ナッ!?軌道ガ!!」




その場を素早く離れた鳥人を追いかけるように、捕獲レーザー網が弾道を変える。




天井『二つ同時に引けば発射。……一つだけ引けば、その対象をロックオンするんだよ。
一度確実にロックオン出来れば、何処に逃げようがほぼ確実に捉えることが出来る』







上条「捕らえたぞ!!星人!!」バチバチバチバチッ!!!




グルンッ!!

グルンッ!!


ガシュッ!!!
ガシュッ!!!
ガシュッ!!!




鳥人「グッ!!ガァッ!!!」グググッ……




捕獲レーザー網を形成する三つの弾丸が地面に撃ち込まれ、網に引っかかった鳥人を、その場にしっかりと固定した。

921: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 22:38:45.70 ID:ZchHNTMJ0
鳥人「グッ……」グググッ……


鳥人は、捕らわれたレーザー網から抜け出そうとしているようだが、そうは問屋が卸さない。


上条「何とか上手くいったか……時間もあと5分ちょい。ギリギリだったな……」



上条が、捕獲した鳥人の側に歩み寄る。



天井「フッ……私が囮を引き受けたのだ。上手くいってもらわなければ困るよ……」ズズズッ……


天井がゆっくりと壁に寄りかかり、座り込む。
スーツも壊れ、左足首が無い状態では、とても立ったままでは居られないのだろう。


天井「さぁ……早くその星人を『上』に転送してしまえ。それで全てが終わるハズだ」


天井が、上条にこのミッションを終わらせるよう促す。

922: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 22:49:30.99 ID:ZchHNTMJ0
上条「…………いや……コイツにはまだ聞いておきたい事があるんだ……オイ、お前……」




上条が、ジッと鳥人の目を睨む。




鳥人「……グルルッ……」



鳥人は、上条を睨みながら、唸り声を上げている。








上条「何故だ……何故俺達は、お前等とこんな闘いをしなくちゃならねぇんだ……」








上条が、あの部屋の謎の、核心を鳥人に問う。




天井「!?何を……そんな事はどうでもいい!!早くソイツにトドメを刺せ!!」




上条「黙ってろ!!コイツは今までの星人と違って言葉が通じてる。会話が出来るんだ!!だったらこれだけは聞いておきたいんだよ俺は!!」






上条が、天井を一喝する。

923: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 22:58:09.81 ID:ZchHNTMJ0
鳥人「……ソレガ質問カ?……オ前ガ……オ前達ガソレヲ問ウノカ?」





鳥人が嘴を開き、上条の問いかけに、問いかけで返す。





上条「わからないのか?こんな殺し合い……誰もやりたくないんだ……何故だ?何で俺等はお前等と……」





上条が、鳥人の問いかけに答える。




鳥人が、再び嘴を開いた。

















鳥人「……『神』ノ存在ヲ……感ジルカ?」











924: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:00:40.19 ID:ZchHNTMJ0
上条「……『神』……だと?」






突拍子の無い単語に、唖然とする上条を余所に、鳥人はそのまま語りを続ける。






鳥人「『神』ハ如何ナルモノナノカ……人ノヨウナモノカ……ドノヨウナ形カ……」





上条「ちょっと待て!!それがこの闘いと何の関係があるってんだ!?」





上条が、鳥人に問う。

925: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:03:24.91 ID:ZchHNTMJ0
鳥人「神ハ絶対ノ力ヲ持ツ存在……コノ世ハソノヨウナ個ガ作リ出シタモノ……」グググッ……





鳥人が語りながらも、何やら力を溜めているような動作を見せる。




天井「!?オイッ、上条!!」





上条「『神』……何だよ……結局神様の気まぐれで、俺達は遊ばれてんのか?
俺達は所詮、ボードの上に乗せられた駒だってのか!?ふざけんな!!」




天井がそれに気づき、上条に叫ぶも、上条は聞こえていないのか、反応しない。

926: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:06:31.52 ID:ZchHNTMJ0
鳥人「グルァァァァアアアアアッ!!!!!!」グググッ!!!




ブチブチブチブチッ!!!!



天井「なっ……Yガンのレーザー網が……」



耳を劈くような叫びと共に、鳥人がレーザー網を引きちぎる。





上条「神様だか何だか知らねぇが……人の命を何だと思ってやがる……俺達の命はテメェのオモチャなんかじゃねぇんだ!!!」グググッ……



上条が、激昂と共に、右拳に力を込める。







鳥人「……災害ト同ジモノダト思ッテイイ……」ボゥッ!!!




鳥人の右手に、一際大きな炎が生まれ、それが右拳へと圧縮されていく。

927: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:09:37.82 ID:ZchHNTMJ0
上条「いいぜ……もし神様が俺達人間を、盤上の駒としか見ていねぇのなら……」グググッ!!!



上条の意志が高まると共に、上条の右腕部分のスーツに、凄まじい力が込められる。












鳥人「諦メル他……無イノダッ!!!」ブンッ!!!!





上条「まずはそのふざけた幻想をぶち殺すっ!!!」ブンッ!!!!















互いに最大限の、想いと力を込められた右拳が衝突する。







●『00:05:00』

940: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/05(水) 22:44:05.12 ID:W+321bu/0
御坂「ハァッ……ハァッ……やっと見つけた……天井さん!!」ダッ!!




燃え上がる炎が辺りに散らばる中、ようやく御坂は、目的の1人である天井を見つける。




天井「ん?……あぁ、超電磁砲か。どうしたんだい?」



御坂「どうしたもこうしたも無いわよ!!凄い怪我じゃない!!」バッ!!



御坂は、天井の千切れた左腕と足首を見ると、すぐさま応急処置を行った。



天井「フッ……私を助けていいのか?私は前回、君達を利用し、今回もあの馬鹿共を部屋で惨殺した冷酷な殺人者だぞ?」



御坂「黙ってなさい!!……確かに貴方がやった事は許される事じゃない……だけど……」




御坂は、処置を行いながら、続ける。

941: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/05(水) 22:46:32.81 ID:W+321bu/0
御坂「……だけどそれは、目の前の人を見捨てる理由にはならない。見捨てれば、そこで私は貴方と同類になってしまうから」ギュッ!!



御坂が、天井の止血と応急処置を終える。



御坂「貴方には、いつかその罪の報いが訪れる……その時までは、せいぜい生き延びる事ね。
あんまり度が過ぎると、私達も黙っちゃいないけど……」スッ……



御坂はそう告げると、上条の元へと、探しに向かった。




天井「罪の報い……か……クッ……クククッ……」クスクスッ……




御坂が去った後、天井は1人苦笑する。





天井「……私に裁きを下すとすれば……他ならぬ君だろうな、『超電磁砲』御坂美琴……いや、『オリジナル』……」チラッ……



天井は、近くにポツンと落ちている、Z型の大きな銃に、目線を動かした。

942: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/05(水) 22:50:08.27 ID:W+321bu/0
ドンッ!!



ドンッ!!!



ドンッ!!!!



ドンッ!!!!!




上条「ウォォォォォォオオオオッ!!!!」ブンッ!!



ドンッ!!!!



鳥人「グルァァァァアアアアアッ!!!!」ブンッ!!





上条と鳥人の拳が、互いに衝突し合い、離れる。



何度も。



何度も。

943: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/05(水) 22:52:47.80 ID:W+321bu/0
上条「ハァッ……ハァッ……どんな身体能力なんだよ……スーツを着てても、攻撃に合わせるので精一杯だ。攻められやしねぇ……」




上条は、鳥人の素早い動きに対し、防戦一方のようである。




鳥人「……」スッ……



鳥人が離れた位置から、両手を上条へと向けて、前に出す。




ドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!



次の瞬間、無数の火炎弾が上条へと降り注がれる。



上条「ッ!?クッソ!!」バッ!!



上条が右手を前に出し、襲いかかる火炎弾を次々にかき消していく。




上条「クソッ!!何て弾幕だ!!消しても消しても前が見えねぇっ!!」ドドドドドッ!!!



火炎弾は容赦無く上条へと降り注ぐ。

944: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/05(水) 22:54:21.10 ID:W+321bu/0
バサァッ!!

バサァッ!!



上条「上!?」



上条が上を見上げると、そこには宙を羽ばたく鳥人の姿があった。





ドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!



すかさず鳥人は、上条へと火炎弾の雨を降らせる。




上条「クッ!!正面の次は空からかよ!!忙しいヤツだな!!」ドドドドドッ!!!



上条も右手を上げ、空中からの攻撃に対象する。








シュンッ……




鳥人「……ソノ右手カ?我ガ炎ヲ消シテイルノハ……」



上条「!?」



上からの攻撃に対処していた上条の側に、いつのまにか鳥人が移動していた。

945: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/05(水) 22:56:25.06 ID:W+321bu/0
上条「野郎っ!!」ブンッ!!!



上条が、右拳で鳥人に殴りかかった瞬間




ガシッ!!



上条「なっ!?」


鳥人「終ワリダ」ボゥッ!!!




その右腕は容易く掴まれ、鳥人の身体からは、いくつもの炎の球が生まれる。



そしてその炎の球は、右腕を掴まれたままの上条へと撃ち込まれ、上条はそのまま建物の壁に突っ込む。




上条「ガッ……アッ……」シュゥゥゥウウッ……




スーツによってダメージは少ないが、吸収しきれなかった衝撃のせいで、身動きが取れない。





鳥人「……消シ飛ベ……」ゴォォォォオ
オオッ!!!




目の前の鳥人は、1mほどの大きな炎の球を作り出している。




そして、その炎の球を、身動きが取れない上条へと放った。





上条「やっ……べぇなっ……」

946: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/05(水) 22:59:16.89 ID:W+321bu/0
ピィィィイインッ……




その瞬間、何処からか、コインを弾いたような乾いた音が鳴り響いた。




同時に凄まじい速度で発射された何かが、鳥人が放った大きな炎の球へと突き進む。








ドゴォォォォォォォォォオオオッ!!!!!







発射されたそれは、凄まじい威力で炎の球を粉砕した。

947: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/05(水) 23:00:38.52 ID:W+321bu/0
鳥人「……貴様……何故ダ……何故貴様等ガソノヨウナ……」




鳥人は、それが発射された元の方向をジッと見つめる。




上条「み……さか……お前何で……ココに……」グググッ……







バチバチバチバチッ……



御坂「だから1人で闘うなって言ったでしょ……結局また、1人でボロボロになって!!」



バチバチバチバチッ……





そこには、バチバチと火花を散らすあどけない少女、電撃姫の姿があった。






●『00:04:00』




948: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/05(水) 23:06:02.20 ID:W+321bu/0
鳥人「…………」ォォォオオッ……




鳥人は、炎をその身に纏いながら、ジッと御坂の方を見ている。





御坂「あれがラスボス?……大きなカラスを見た時も、今までと桁が違うと思ったけど、更に遥か上がいたのね。寒気がするわ……」ブルッ……



明らかに、今までとは異質な力を持つであろう鳥人を前に、御坂は少し震える。




御坂「……ていうか、あの鳥人?が使ってるのって……能力じゃないの?星人も能力を使えるの?」




御坂が、上条に問いかける。



ようやく身体が動かせるようになり、上条が立ち上がる。




上条「わかんねぇ……あの炎自体は俺の力で消せるんだが……もしかして魔術か?あのステイルってヤツみてぇな……いや、だけどアイツと比べると何か……」

949: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/05(水) 23:08:09.05 ID:W+321bu/0
上条は、自身の不幸体質が原因なのか、高い戦闘力を持つ能力者や魔術師と戦っている。




そして、どちらに鳥人の力が近いかと言えば……







上条「……何と無く……本当に何と無くだけど、能力者の力に似てるんだよな……感覚的な事だから口では上手く言えねぇけど……」






この時上条は、知らずの内に、GANTZという謎の、核心に片脚を突っ込む。




そして、その事に上条はまだ気付かない。気付く余地がない。

950: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/05(水) 23:12:24.08 ID:W+321bu/0
鳥人「」バサァッ!!!




隙を見つけたのか、上条に向かって鳥人が突っ込んでくる。





御坂「よそ見してんじゃないわよォォォオオッ!!!!」バチバチバチバチッ!!!




鳥人「グギャァァアアッ!!!!」バチバチバチバチッ!!!




突っ込んでいく鳥人に対し、御坂がすかさず電撃の矢を撃ち込む。



電撃の矢は鳥人を貫き、大きなダメージを与えた。



どうやら、御坂と鳥人では、御坂にとってかなり相性が良いようだ。







鳥人「グッ……グルァァァァアアアアアッ!!!!」ドドドドドッ!!!




鳥人が両手を前に出し、無数の炎の弾丸を、御坂に放つ。



御坂「甘いわよ!!」バチバチッ!!!



御坂が能力を調節し、電磁力を操りだす。


そして、周辺で崩壊している建物から、砂鉄や鉄筋などを含んだ瓦礫を呼び寄せ、炎の弾丸に対するバリケードを作り出し、攻撃を防ぐ。

951: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/05(水) 23:13:30.84 ID:W+321bu/0
バサァッ!!

バサァッ!!!




鳥人「グァァァァァァァアアアアッ!!!!」ビュォォォオオッ!!!




鳥人は、素早く空中へと飛び上がり、上空から御坂へと急降下していく。





上条「御坂!!避けろぉっ!!」




遠距離が駄目ならば、接近戦という事なのだろう。
鋭い鉤爪を振りかざし、鳥人が御坂へと襲いかかる。





御坂「甘いって言ってんでしょうがぁぁぁあああっ!!!」バチバチッ!!!




御坂が磁気を操作すると、地面から砂鉄で固められて作られた、槍のようなモノが、無数に飛び出す。



そして襲いかかる鳥人に対し、砂鉄の槍はカウンター気味に、鳥人の身体を貫いた。

952: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/05(水) 23:15:40.63 ID:W+321bu/0
鳥人「ガァァァァァァァアアアアッ!!!!キ……貴様……!!」ドクドクドクドクッ……



砂鉄の槍に貫かれた鳥人の身体から、ドクドクと血が流れていく。


しかし、圧倒的に有利に見えるこの状況でも、御坂は決して気を緩めない。




御坂「アンタ達星人が、桁外れの力を持っていることは、もう十分わかってる。
私の能力では、例え弱い部類の星人でも、全力を出さなきゃ決定的なダメージを与えられないことも……」バチバチバチバチッ……



御坂の身体からバチバチと紫電が走る。



御坂「全力でやるから……もう立たないで、これ以上……」ピィィィイインッ……



御坂の手から、一枚のコインが宙に弾かれる。





そしてそのコインが再び御坂の手に落ちてきた瞬間。





圧倒的な力で突き進む音速の弾が、正面に佇む鳥人へと撃ち込まれた。









●『00:02:30』

953: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/05(水) 23:20:17.08 ID:W+321bu/0
ビュォォォオオッ…………





???「ハッ!!流石レベル5の超電磁砲だな。越えられない壁ってのをヒシヒシと感じるぜ。主役と脇役の壁ってのをよぉ……」




崩壊した商店街の中で、一番高い位置にある建物の上で、誰かが御坂と鳥人の戦いを見ている。




???「確かに俺の能力じゃあ、とても主役にはなれねぇかもしれねぇ……。
だけどな……脇役が主役を喰っちまう物語だって、世の中には腐る程あるんだぜ?」

954: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/05(水) 23:23:13.29 ID:W+321bu/0
………………




御坂「ハァッ……ハァッ……どうよ……これが私のフルコースよ……」バチバチッ……バチバチッ……




鳥人「」シュゥゥゥウウッ……





電撃の矢



砂鉄の槍




そして、昼間の幻想籠手騒動の時と合わせて、本日3発目の超電磁砲。




その全てをまともに喰らった鳥人は、その場に倒れこんでいる。




上条「大丈夫か御坂?」




御坂の怒涛の攻撃を前に、少し離れた位置に居た上条が、御坂に歩みよっていく。




御坂「ハァッ……ハァッ……流石にちょっと……電池切れかしら?それより、早くあの星人を捕獲して、転送して」



ガシッ!!!










御坂「……え?」




瞬間、御坂の言葉が止まる。

955: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/05(水) 23:25:17.34 ID:W+321bu/0
鳥人「フーッ!!フーッ!!!」グルルッ……



御坂「ッ!?」ゾクゥッ……




御坂の背後には、御坂の細腕をしっかりと掴んだ、血塗れの鳥人の姿があった。






御坂「と……当麻……」ガタガタッ……





御坂が、上条に向かって助けを求めるように、手を差し出す。




上条「なっ……御さk……」バッ!!




上条が、御坂の手を掴もうとした瞬間









鳥人「ッァァァァァアアアア"ア"ア"ッ!!!!」グググッ!!!



ドォンッ!!!!




上条の手は届かず、鳥人は御坂と共に、上空へと高く飛び上がっていった。

956: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/05(水) 23:26:41.14 ID:W+321bu/0
上条「御坂っ!!御坂ァァァァアアッ!!!!」




上条が鳥人に連れ去られた御坂へと叫ぶ。










ドォォォォォォォォオオオオオッ!!!!!!!








次の瞬間、上空で赤い光と共に、天地を繋げるような火柱が出現し、御坂と鳥人を包み込むのが、上条の目に映った。





上条「アッ……」



一瞬、上条の頭に御坂の『死』というイメージが浮かび上がる。

957: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/05(水) 23:27:54.98 ID:W+321bu/0
ゴォォォォオオオッ…………




そして、空中で燃え広がる火柱から、何かが落ちてくるのが見えた。




おそらく御坂だろう。




上条「!?御坂ッ!!」ダッ!!!




落下する御坂をキャッチしようと、上条が落下地点へと足を進める。








バサァッ!!!

バサァッ!!!



鳥人「」ザンッ!!!


上条「グッ!?」



しかし、行く手を塞ぐように、血塗れの鳥人が上条の前に降り立つ。




その表情は、先ほどまでの神々しく威厳のあるモノでは無く、手負いや飢餓状態の野生の獣のように、酷く殺気立っている。

958: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/05(水) 23:29:58.45 ID:W+321bu/0
上条「ど、どけぇぇぇぇえええっ!!!」ブンッ!!!




ガシッ!!




咄嗟に右手で殴りつけようとするも、難なく鳥人は、それを掴み取る。




そして、鳥人の片方の手が、上条の腹に添えられる。




ドンッ!!!



上条「~~~ッ!!!ガッ……」グラァッ……




一発の火炎弾が、上条の腹に叩き込まれ、その衝撃が上条の動きを止める。






ドンッ!!!

ドンッ!!!


ドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!!!








上条「ア"ッ……ァ……」ダランッ……

ドロドロドロドロッ…………


そこから一瞬で、何十発と追加で火炎弾を叩き込まれ、上条の意識がそこで飛んだ。



上条のスーツからは、ドロドロした液体が流れ出している。

959: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/05(水) 23:31:08.78 ID:W+321bu/0
ズシャアッ!!!




御坂「…………ゥ……」シュゥゥゥウウッ……


ドロドロドロドロッ…………





空中で、強烈な一撃を喰らった御坂は、身体を所々焼かれてそのまま意識を失い、落下のダメージで、スーツが完全に壊れ、ドロドロした液体が流れ出している。






幻想殺しと超電磁砲。




現GANTZメンバーでも、かなりの実力者である二人が、共にスーツが壊れ、片方は敵に捕まったまま。片方は瀕死。







まさに、絶体絶命である。

960: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/05(水) 23:33:06.38 ID:W+321bu/0
鳥人「トドメダッ…………」ゴォォォォオオオッ!!!



鳥人が、手に炎の球を作り出す。




上条と御坂にトドメを刺すつもりなのだろう。









ドンッ!!!



鳥人「!?」グラッ……



その時、鳥人が自身の背中に、何かがのしかかったような衝撃を感じる。







その背中にのしかかったモノは……









偏光能力「オイオイ……主役達が揃いも揃って何やってんだ?だらしねぇな……」キィィィイインッ……








高所で、戦いの様子をずっと眺めていた人物……偏光能力であった。







●『00:01:00』


961: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/05(水) 23:38:31.17 ID:W+321bu/0
鳥人「貴様……一体何ヲシテイル!?」ブンッ!!ブンッ!!!




鳥人が、自分の背にしっかりとしがみついている、偏光能力を振り落とそうと、身体を振るう。




その時焦ったのか、鳥人は上条を手放し、上条は放り投げられるように地面に捨てられる。




偏光能力「何だ?喋れんのか化け物。ていうか、敵に何をしていると言われて、喋る馬鹿が居ると思ってんのかよ!!」




偏光能力は、振り落とされまいとバランスを取りながらも、しっかりと捕まっている。






全ては、勝利の為に。





962: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/05(水) 23:40:36.77 ID:W+321bu/0
鳥人「……ソレモソウダ……ナラコウスルマデ……」ォォォオオッ!!!





ゴォォォォオオオッ!!!!!!




鳥人が少し力を溜めると、全身から炎が噴き出し、あっという間に偏光能力の姿を炎で包んでしまった。






偏光能力「ァァァァアアア"ア"ア"ッ!!!!!」




偏光能力が炎に呑まれ、悲痛な叫びを出す。




御坂と同じく、スーツを着ていようが、この鳥人から直接発せられる炎は、多少その威力を弱めるだけで、関係なく身を焼くのだろう。






それでも、偏光能力は、鳥人の背から手を離さない。

963: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/05(水) 23:42:23.10 ID:W+321bu/0
偏光能力「~~~~ッ!!!ハ、ハハッ!!いい火加減じゃねぇかこの野郎ォッ!!!」ジュゥゥゥウウッ!!!





偏光能力の身体からは、肉の焼ける匂いが漂ってくる。

まだスーツは壊れていないが、既に彼のスーツの中の身体は、所々かなりの火傷を負っているハズである。








それでも、偏光能力は、鳥人の背から手を離さない。








偏光能力「上条ォォォオオッ!!!何くたばってんだよ主人公ォッ!!!さっさと起きやがれェェエッ!!!」ジュゥゥゥウウッ!!!!









ピクッ……








●『00:00:45』

964: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/05(水) 23:45:01.35 ID:W+321bu/0
鳥人「何ヲ考エテルノカハワカラナイガ……朽チルガイイ」ゴォォォォオオオッ!!!!!




鳥人の身体から、更に強い炎が発せられる。





偏光能力「オァァァァアアア"ア"ア"ア"ア"ア"ッ!!!!!」





生身の人間ならば、ものの数秒で炭化するであろう炎が、偏光能力の身を焼き焦がす。





偏光能力「ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ッ!!!!!上条ォォォオオッ!!!撃てェェェエ"エ"エ"ッ!!!!」ジュゥゥゥウウッ!!!!!










それでも





偏光能力は






鳥人の背から手を離さない。

965: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/05(水) 23:47:45.83 ID:W+321bu/0





上条「…………」グググッ……





偏光能力の声が届いたのか?




真相はわからないが、スーツを壊され、身体もボロボロになった上条が、左手にYガンを構えて立ち上がっている。






上条「……トリガーが二つ……二つ引けば発射……」ブツブツ……






鳥人「!?マダ足掻クノカ……」スゥゥゥゥウウッ!!!




鳥人が、身体から出していた炎を鎮め、思いっきり息を吸い込んだ。





偏光能力「撃…………て…………」シュゥゥゥウウッ……





鳥人の背には、全身に重度の火傷を負った偏光能力が、未だ張り付いている。





上条「……トリガーが二つ……一つだけ引けば……」カチッ……




上条が、鳥人に照準を合わせて、トリガーを一つだけ引く。

966: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/05(水) 23:49:44.88 ID:W+321bu/0
鳥人「ギョェェェェェェェエエエエッ!!!!!」カッ!!





ゴォォォォォォォォオオオオオオオオッ!!!!!!!





息を吸い込んだ鳥人が、甲高い叫び声と共に、口内から強烈な熱線を発射する。





範囲が広く、超高熱のレーザーのようなソレは、スーツの加護の無い人間など、一瞬で蒸発させてしまうだろう。





上条「…………」スッ……


上条が、ゆっくりと右手を前に突き出す。









パキィィィィィィイイイイインッ!!!!







超高熱の熱線は、上条の右手に触れた瞬間、跡形も無く砕け散り、消滅した。






●『00:00:25』

967: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/05(水) 23:53:27.41 ID:W+321bu/0
上条の右手『幻想殺し』に、異能の力は通用しない。





そう。





通用しないとわかっていて、あのような、目の眩むような大技を出したのだ。





この鳥人は。








バサァッ!!!


バサァッ!!!



上条「…………」ブツブツ……





上条の頭上から、大きく翼が羽ばたく音が鳴り響く。






鳥人「ヤハリ防グカッ!!ナラバ直接引キ裂クノミッ!!!」ギュォォォォオオッ!!!!



派手な熱線の放射を隠れ蓑に、上条の頭上へと移動した鳥人が急降下し、上条へとその鋭い鉤爪を振り下ろす。





物理的な力ならば、あの右手の影響は無い。





鳥人「トッタゾ小僧ォォォォォオオオッ!!!」ブンッ!!!




これまでの攻防でそれを確信している鳥人は、上条へと確実なトドメを刺す。










ハズだった。

968: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/05(水) 23:54:54.79 ID:W+321bu/0
スカッ!!!




鳥人「……ナッ……」




鳥人の鉤爪は、何も無い宙を切り裂く。





鳥人「何故ダ……避ケラレルハズナド……ッ!!」キョロキョロッ!!!



上条「…………」



鳥人が辺りを見回すと、左手にYガンを握った上条を見つける。




鳥人「ソコカ小僧ォォォォォオオオッ!!!!」ブンッ!!!



再び鳥人が、上条へと鉤爪を振るう。




スカッ!!!




鳥人「ナッ!?何故ダッ!!!」



しかし、再び鉤爪は宙を切り裂く。




鳥人「何故ダッ……ドウナッテイルッ!!」





鳥人は、今自分の見ている光景に、訳がわからなくなる。

969: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/05(水) 23:58:56.92 ID:W+321bu/0
偏光能力「お……俺の能力……『トリックアート』は……」シュゥゥゥウウッ……




もはや、感覚が殆ど残って無いにも関わらず、未だ鳥人の背にしがみついている偏光能力の口が開いた。





偏光能力「俺の周辺の……光を歪ませ……物体の正しい像を……相手が視認出来なくなる……能力……」シュゥゥゥウウッ……





偏光能力が焼き焦げた唇でニヤリと微笑む。





偏光能力「今のお前には……上条の姿は……捉えられない……」ニィィィッ……









上条「…………」


上条「…………」


上条「…………」




鳥人「何ヲシタ小僧ォォォォォオオオッ!!!!」



上条「…………」


上条「…………」


上条「…………」




鳥人の目には、あらゆる場所から自分をグルリと囲い込み、全方位からYガンで自分を狙っている、無数の上条の姿が見えていた。






●『00:00:10』

970: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/06(木) 00:06:32.99 ID:DxZXjd0+0
上条「二つのトリガーを引けば……発射……」カチッ!!



バシュウッ!!!




そして、無数の上条から、Yガンの捕獲弾が発射される。





勿論、鳥人の目には、四方八方から、無数の弾が発射されているように見える。





鳥人「グォォォォオオオッ!!!!!」バサァッ!!!



鳥人は、捕獲弾から逃れる為に、空高くへと飛び立つ。







が。






グォンッ!!!!




鳥人「ッ!?馬鹿ナ……」バサァッ!!!バサァッ!!!




鳥人の目に映るのは、無数の捕獲弾が、宙に飛び立った自分を取り囲むように、追跡してくる光景であった。








上条「…………」グラァッ……




ドサァッ!!!




とうとう力尽きたのか、上条がその場に倒れ込む。

971: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/06(木) 00:10:08.99 ID:DxZXjd0+0
上条が最後の最後で撃ち出した、ロックオンされたYガン。




グルンッ!!!

グルンッ!!!

グルンッ!!!




鳥人「グガァァァアアアッ!!!!」ドサァッ!!!




鳥人は、無数の捕獲弾になす術も無く、捕獲弾が生み出すレーザー網に絡め取られ、地上へと墜落した。







ドサァッ!!!



偏光能力「グッ……ざまぁ……みやがれ………………」




鳥人がレーザー網に絡め取られると同時に、鳥人から離れ、地上に落下した偏光能力は、そのまま意識を深い闇へと落とした。






●『00:00:05』

972: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/06(木) 00:12:24.69 ID:DxZXjd0+0
鳥人「グゥッ!!コンナモノッ!!!」グググッ!!!




捕縛された鳥人が、レーザー網を引き千切ろうと力を込める。



先ほど、既にレーザー網を破壊することに成功した鳥人は、再び捕縛状態から脱出しようとしているのだ。








上条「…………」



御坂「…………」



偏光能力「…………」




この場で鳥人と闘った者達は、既に力尽き、意識が完全に途絶えている。












ただ1人を除いて。

973: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/06(木) 00:16:05.43 ID:DxZXjd0+0
鳥人「ウォォォォォオオオッ!!!!……ッ!?」グググッ!!!




脱出しようと、力を込める鳥人の目の前に、1人の男の姿が見えた。














その男は、スーツは壊れ、左腕が千切れ、左足首も千切れている。




そしてアルファベットのZのような形をした、大きな銃を構え、座り込んでこちらを真っ直ぐ見ている。











邪悪な笑みを浮かべて。

974: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/06(木) 00:18:01.04 ID:DxZXjd0+0













天井「それではご機嫌よう……」カチッ!!



鳥人「キサ」ググググッ!!!!






ズゥゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウンッ!!!!!!
















●『00:00:01』












●『おつかれちまでした。ちいてんを始めます』

975: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/06(木) 00:20:44.84 ID:DxZXjd0+0
……………










鳥人が最後に倒れ込んでいた場所には、まるで巨大な円柱の柱に、凄まじい力で押し潰されたような跡ができていた。









上条「…………」ジジジジジッ…………









第19地区の外れにある、旧商店街に静寂が訪れ、GANTZの部屋に転送されていく上条達を見ながら。













天井「ハッハッハッハッハッ!!!!アッハッハッハッハッハッハッ!!!!!アーッハッハッハッハッハッハッ!!!!!!!」










天井は、自身が転送されるその瞬間まで





狂ったように






声高々に







笑っていた。

980: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/06/06(木) 00:52:07.92 ID:DxZXjd0+0
次回予告








●『上条 当麻 ろーどさゅう……』







●『えらー』






●『えらー』












●『えらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらーえらー』