上条「答えろよ……GANTZ!!」御坂「私の前に立つのなら……アンタも潰すわよ?」 前編

553: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/07/31(水) 20:56:33.37 ID:j4PMyEqD0
<『サニー』襲撃前>





学生「……じゃあ何か?これから俺たちには、その宇宙人達と戦ってもらいます、って事か?」



御坂「宇宙人というか、星人ね。……どうやら今回は勝手が違うみたいだけど」




新しいメンバーに、GANTZの説明を終えた御坂。






リーマン1「……プッ……」クスクス


リーマン2「えっと……それはお嬢ちゃんが考えた話なのかな?お嬢ちゃん漫画とかが好きなの?」クスクス



学生「全く……これだから中坊は……これが中二病ってヤツか……」ハァッ……

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555: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/07/31(水) 21:06:45.75 ID:j4PMyEqD0
説明を聞き終えて、全く話を信じずに、御坂を嘲笑する者。





JJ『うーん……中々奇妙な話だが……やはり、そう簡単には信じ難いな』




関心を持つも、どこか信じ切れない者。





東郷「…………なるほど…………」チャキッ……



信じたのか。もしく銃を調べていた為に、そもそも話を聞いていたのかすら、わからない者。




反応は様々だった。

556: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/07/31(水) 21:07:58.34 ID:j4PMyEqD0
御坂「ハァッ……まぁ、そうすぐに信じてもらえるとは思ってなかったけどさ……でもすぐにわかるわよ。
スーツさえ着てれば即死は無いと思うけど、警戒だけはしててよね」



確かに、こんな突拍子もない事、すぐに信じられる訳が無い。
そう思ってたからこそ、御坂は何より先に、全員にスーツを着させていた。


万が一、敵の奇襲にあっても、命が助かるように。




御坂「とりあえずレーダーで敵を……って東郷さん?スーツは?」



東郷「……置いてきた。自分には必要ない」カチカチッ……



東郷は、Xショットガンのスライドグリップの動かしながら、御坂に答える。

557: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/07/31(水) 21:10:01.26 ID:j4PMyEqD0
御坂「ちょっ……もぉ……絶対着るか持って来てくださいって言ったじゃ無いですか!!あぁ……頭痛い……」ピッ



嘆きながらも、御坂はレーダーを確認する。




御坂「……何よコレ……残り時間が変だし……それに反応が多すぎる……」






レーダーに映っていたモノ。





それは、カンストした残り時間と、一ヶ所に何十にも重なった青い反応である。




御坂「どういうこと?やっぱりいつものミッションとは違うの?」





ズゥゥゥゥゥウウンッ……





御坂「ッ!?何?今の音」


リーマン1「何だ?地震かぁ?」


突如、駅内の何処からか、大きな音が鳴り響いた。

558: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/07/31(水) 21:16:50.06 ID:j4PMyEqD0
御坂「…………反応が更に増えてる……どういう事?」



再度、レーダーを確認したところ、先ほどより敵の反応が増えている。




ズゥゥゥゥゥウウンッ……


ズゥゥゥゥゥウウンッ……




御坂「まだ増える……しかもドンドン近づいてる……音と一緒に……」




学生「オイオイ……何が起こってんだ?」



ズゥゥゥゥゥウウンッ!



ズゥゥゥゥゥウウンッ!!





御坂「あと300mくらい……ッ!?反応のすぐ近くに3人の反応……」キョロキョロッ



御坂が思わず辺りを見回すと、前回の生き残り組3人が、いつの間にか居なくなっている。




反応の方角を見ると、かなり離れた所で、銃を構えた3人が微かに見えた。

559: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/07/31(水) 21:19:00.65 ID:j4PMyEqD0
御坂「あんの…バカ男共ッ!!また勝手に別行動してぇ!!!」プルプルッ……




特に、前回単独行動をして、酷い目にあったあのウニ頭の想い人に、御坂は憤慨する。









ドォォォォォォォォォォォオオオオオオンッ!!!




ドォンッ!

ドォンッ!!



バキィッ……






御坂「キャッ!?……まさか……向こうはもう始まってるの!?」ピッ!!




御坂が再度レーダーを見ると、向こうの3人の周りの青い反応が、凄まじい勢いで減っていくのがわかった。




恐らく、あの3人が奮闘しているのだろう。






もっとも、敵の数はその勢いを超えて、更に増え続けているが。

560: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/07/31(水) 21:29:10.49 ID:j4PMyEqD0
御坂「……向こうである程度数を減らして貰うしか無いわね……こっちは初心者ばかりだし……」





戦闘経験者3人。しかも1人は天井だ。




そう簡単にやられる事は無いだろう。







ズゥゥゥゥゥウウンッ!!!!!



ズゥゥゥゥゥゥゥゥウウンッ!!!!!




後ろ側のコンテナから響く音は、すぐそこまで来て居る。




御坂「皆!!列車のコンテナから離れて!!来るわよ!?」バッ!!



御坂が、線路から駅のホームへと飛び上がる。

561: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/07/31(水) 21:31:08.79 ID:j4PMyEqD0
東郷「」バッ!!


JJ「Wha'ts it!?」バッ!!


学生「ちょっ!?何なんだよ一体!!」バッ!!




御坂の叫びと共に、3人が素早くホームに上がる。





サラリーマンの2人は、状況がわからず未だコンテナの側にいる。





御坂「何してんのよ!!早くこっちに!!すぐそこまで来てるのよ!?」




リーマン2「はぁっ!?」メキィッ……



リーマン1「来る?来るって一体何が」メキメキメキィッ……









ドォォォォォォォォォォォオオオオオオンッ!!!!!









次の瞬間、リーマン達の背後のコンテナを突き破り、無数の白い腕が飛び出した。

563: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/07/31(水) 21:33:11.71 ID:j4PMyEqD0
ガシィッ!!!





リーマン1「へ?……うぉああああああああっ!!!!」グイッ!!!!





サラリーマンの1人が、その白い腕達に掴まれ、人1人分程の穴から、なす術も無くコンテナの中に連れ去られる。







リーマン1「な、何だこいつ等ァァアッ!!!く、来るな!!来るなァァァアアアアッ!!!」バキッ!!バキィッ!!!




コンテナの中から、機械の破壊音のようなモノが聞こえてくる。



どうやら中で、男が暴れているのだろう。



スーツを着ているので、大抵の星人クラスならば、肉弾戦でも有利に戦える。







しかし、今回は数が多すぎる。




しかも狭い空間での密室。




つまり

564: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/07/31(水) 21:36:23.13 ID:j4PMyEqD0
リーマン1「ひっ!?ひぎゃぁぁァアアアアアアアア"ア"ア"ア"ア"ア"ッ!!!ォア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ッ!!!!」ドォンッ!!ドォンッ!!!ドォンッ!!!!








グチャッ!!!


グチャッ!!!ゲチャッ!!!グチョッ!!!









御坂「ッ!?……クッ……」グッ……


連れ去られた男の断末魔が途絶え、辺りに生々しい音が響くと、御坂は顔を背ける。

565: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/07/31(水) 21:46:16.04 ID:j4PMyEqD0
学生「な……何だよ……コレ……」ガタガタッ……


JJ「……Jesus……」



東郷「…………」




ホームの上の3人は、その異常な光景に、目を奪われる。






リーマン2「ひ……ヒィッ……」ガタガタッ……



御坂「ッ!?何してんのよ!!早く!!早くそこから逃げて!!!」



腰を抜かしているリーマン2に、御坂が喝を入れる。



リーマン2「そ、そんな事言われても……腰が……」ガタガタッ……




ガシィッ!!



リーマン2「ヒッ!?」バッ!!






サニーs『『『『『お前達は危険だ』』』』』




566: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/07/31(水) 21:47:41.22 ID:j4PMyEqD0
何かに腕を掴まれたリーマン2(以下リーマン)が後ろを振り向くと、そこにはリーマン1の返り血で真っ赤に染まったロボット『サニー』達が、無表情でリーマンの腕を掴んでいた。





御坂「ダメッ!!コンテナの中に引き込まれる前に、早く振りほどいて!!スーツを着てるなら、何とか抵抗出来るハズだから!!」




御坂がリーマンへと叫ぶが、リーマンはパニックになり御坂の言葉は届いていない。




御坂「クッ!!こうなったら私の電撃で……」バチバチッ!!




御坂が、リーマンのスーツの耐久をある程度犠牲に、リーマンを救おうと、帯電を始めた瞬間

567: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/07/31(水) 21:48:42.28 ID:j4PMyEqD0
チャキッ……











ギョーンッ!!ギョーンッ!!ギョーンッ!!!ギョーンッ!!!!ギョーンッ!!!ギョーンッ!!!!










御坂「ッ!?えっ!?」バッ!!




東郷「…………」スッ……




御坂の背後から、東郷が計7発ものXショットガンを、リーマンを掴むサニー達へと躊躇無く撃った。

568: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/07/31(水) 21:49:59.76 ID:j4PMyEqD0
3




御坂「ちょ、ちょっと!!何勝手に撃ってるんですか!!」



2



東郷「……何故撃ってはいけないんだ?」



1



御坂「あのねぇ!!あんな揉みくちゃにされた状態で撃ったら、あの人に当たるかもしれないでしょ!?
しかもあんなに連射して!!いい!?この銃はねぇ!?」



御坂は、勝手に撃った東郷へとくってかかる。

前回、天井が起こした惨劇を思い出したのだろう。





0

569: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/07/31(水) 21:50:55.91 ID:j4PMyEqD0
サニー『『『『排除す』』』』キィィィイインッ!!!








ドォンッ!!

ドォンッ!!!ドォンッ!!!

ドォンッ!!!ドォンッ!!ドォンッ!!!ドォンッ!!!!







パラパラッ……







御坂「…………へ?」パチクリ




しかし、次の瞬間、リーマンを掴んでいたサニー達は、次々に爆発し、バラバラに弾け飛ぶ。




リーマン「ヒッ!?ヒィィィイイイッ!!!!」ダッ!!!



解放されたリーマンは、必死でコンテナから離れ、ホームへとよじ登って来た。



どうやら、Xショットガンによる、スーツのダメージは無いらしい。

570: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/07/31(水) 21:52:45.52 ID:j4PMyEqD0
御坂「え……えっとぉ……アレ?」アレェ?




東郷「……この男に当てなければ問題無い。さぁ、次はどうすればいいんだ?」スッ……




東郷は、静かにコンテナへと指を差す。









『『『排除する』』』 『『『排除する』』』ギギギギギギギギィィィィイイイッ…………





そこには、コンテナの鉄の壁をひん曲げながら、外へと出てこようとするサニー達の姿があった。

571: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/07/31(水) 22:04:40.23 ID:j4PMyEqD0
御坂「ッ!?と、とりあえず、迎撃するわよ!!数は多いけど、あの程度なら私が大体何とかするから、皆は私が取りこぼしたヤツを倒して!!」バチバチッ!!!





東郷「…………」ジャキッ!!


御坂の帯電と共に、東郷は静かにXショットガンを構える。




JJ『驚いた……日本のソルジャーは優秀なんだな』バッ!!


スーツの上に、空手着外人のJJは、ファイティングポーズを取る。明らかに空手の構えではないのだが、そこは置いておこう。



学生「くそぉ……わけわかんねぇ……何で俺がこんな目に……」ボゥッ!!


学生は、能力者だったのか、左手に炎の玉を作り出す。レベル3の上位と言ったところか。








ギギギギギギギギィィィィイイイッ!!!!!




そして遂に、コンテナの穴が大きく開ききった。

572: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/07/31(水) 22:06:29.43 ID:j4PMyEqD0
サニー1『排除する』ザッ!!

サニー2『排除する』ダンッ!!





穴からは、次々と同じロボットが出てきては、御坂達のいるホームへと勢いよく飛び上がってくる。


どうやら、身体能力に関しては、ガンツスーツには遠く及ばないものの、人間を大きく上回るようだ。





バチバチバチッ!!!!


サニーs『』ドシャァッ!!!





御坂「その程度?舐めんじゃないわよ!!」バチバチッ!!




しかし、サニー達は次々に御坂の電撃に迎撃されていく。


どうやら、元の身体がただのロボットの為、防御は比較的脆いらしい。

573: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/07/31(水) 22:11:40.55 ID:j4PMyEqD0
『排除する』


『排除する』


『排除する』





しかし、サニー達はそこら中からうじゃうじゃと湧いてくる。


どうやら、この駅に存在していたサニー達は、全て操られてしまったようだ。




御坂「ッ!?多すぎる……いくらなんでもコレは無いわよ!!」





目の前の列車に積み込まれていただけでも、天井曰く500体。
駅内の他の列車や、大きなトラックなど、全てに積まれていたと仮定するならば、その数は1000-2000と膨れ上がるだろう。











『『『『『お前達は危険だ』』』』』



『『『『『排除する』』』』』







圧倒的な数の暴力が、GANTZメンバー達に襲いかかる。

586: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/01(木) 19:33:29.95 ID:DONZNsK80
御坂達が、大量のサニーに攻められている頃




01:20



御坂達の近くの列車から600mほど離れた駅線路内







上条「ウォォォォォオオオオッ!!!」ブンッ!!ブンッ!!


サニー145『』グシャァッ!!!


サニー146『』グシャァッ!!!




上条は、GANTZのグローブとブーツによって上昇した身体能力と攻撃力によって、サニーを格闘で破壊。





偏光能力「オラオラオラオラァッ!!!」ギョーンッ!!ギョーンッ!!ギョーンッ!!!



サニー147-150『』ドォォォオンッ!!!



偏光能力は、Xガンによって片っ端からサニーを爆破。






天井「…………」カチッ!!



サニー151-170『』ドォォォォォォォォォォォオオオオオオンッ!!!!!




天井は、100点武器であるZガンによって、まとめてサニー達を跡形も無く圧殺。

587: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/01(木) 19:35:21.79 ID:DONZNsK80
流石、死線を潜って来たと言うべきか、三人の前には人型ロボットの群れなど、そこまでの驚異では無かった。




といっても、現在170体中、100体程と、殆どは天井が倒しているのだが。







上条「ハァッ、ハァッ、ちょっとは数も少なくなったか?」



天井「フッ……まだまだ。さっきとは比べ物にならない程に増えているぞ?」ピッ



天井がデバイスを開くと、その画面には駅の敷地内を埋め尽くす程の、青い反応が出ていた。

588: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/01(木) 19:37:18.35 ID:DONZNsK80
偏光能力「クソッ!!いくら何でも多すぎだろうが!!」



天井「唯一の救いは、一体一体はそこまで強くない事だな。
まぁ、ある程度の集団で来られても、君たちなら対処出来るだろうが……ん?」




サニー達の波が一旦止まった今。



天井が何かを見つける。




天井「何だあれは……ロボットでは無いようだが……人でもあるまい」ジッ……






天井が、列車コンテナの周辺。


サニー達の残骸の中に、奇妙な人影を見つける。

589: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/01(木) 19:38:58.66 ID:DONZNsK80
ジュルッ……ジュルッ……




上条「何だアレ……壊れたロボットから液体が流れてきてる……オイルか?」



偏光能力「オイルしちゃあ、えらく粘度がある。まるで鉛みてぇな……アレがもしかして……」



液体は、人影へと向かって流れ、人影はそれを足元から吸収しているように見える。




そして、天井がデバイスで確認する。




天井「……どうやら、アレがロボットを動かしている大元……『天使』のようだな。
周囲のロボット達の反応が消えて、あの人影の分だけ残っている」ピッ

590: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/01(木) 19:41:22.93 ID:DONZNsK80
天使『…………』ジュルッ……ジュルッ……





溶けた鉛のような、粘度の高い液体で構成された、ブルーメタリックな青い身体。




身体の大きさは、小学生低学年ほどであろうか。とにかく小柄だ。




駅内の明かりに照らされたソレは、ただ人型の形を取るだけで、顔の部分に凹凸もなく、まるでのっぺらぼうのようだ。




ただし、目だけはあるようで、その部分は、青い身体に赤く発光しているのが見える。



それは、サニーの胸の辺りで光っていた赤い発光と似ていた。

591: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/01(木) 19:43:44.96 ID:DONZNsK80
天使『……お前達は危険だ。排除する……』



先ほどのサニーのような機械的な音声では無く、幼い少年と少女の声を重ね合わせた様な透き通った声が、天使から発せられる。




この天使が賛美歌や聖歌を歌えば、それはそれは心癒される歌声となるだろう。





決してそれを今、聞く事はないだろうが。








天使『』グニャァッ……


メキメキメキィッ……



突如、天使の右手が形成を崩し、鋭利な剣のような形へと変形していく。

592: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/01(木) 20:04:11.93 ID:DONZNsK80
上条「ッ!?オイ、何かアイツの右手……」



天井「なるほど……あの液体金属のような身体は、自由に変形させ、硬化も液化も思いのままという事か。ヤツは、全身凶器のようなモノだな」チャキッ



天井が、Zガンを天使へと構える。

天使の近くには、上条が立っている。






上条「ッ!?オイ、天井!!ちょっと待」


天井「先手必勝というヤツだ。精々、早めに終わってくれ」カチッ!!



天使『排除す』





ドォォォォォォォォォォォオオオオオオンッ!!!!!








上条「おわぁっ!!」ドォォォォォォォォォォォオオオオオオンッ!!!!!



偏光能力「クッ!?」ブワァァァァアアアッ!!!

593: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/01(木) 20:16:17.44 ID:DONZNsK80
天井「…………」カチッ!カチッ!!カチッ!!!







ドォォォォォォォォォォォオオオオオオンッ!!!


ドォォォォォォォォォォォオオオオオオンッ!!!!


ドォォォォォォォォォォォオオオオオオンッ!!!!!





……パラパラッ……




天井がZガンのトリガーを引いた瞬間、天使の周囲5m程に、真上から円形の柱で叩きつけたような、綺麗なクレーターが出来た。



そして、追い討ちをかける様に、更に何発も撃ち続ける。




攻撃を終えたクレーターの中には、天使を象っていた青い液体金属が、薄く広がっていた。

595: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/01(木) 20:33:03.87 ID:DONZNsK80
天井「さて……これで終わりならば、天使とやらも可愛いモノだが……」スッ……




天井がZガンを下ろし、デバイスを確認する。




敵を示す青い反応は、相変わらず、そこら中から出ているが、あのクレーターの液体からは出ていない。





天井「……フンッ……『神』とやらも、この程度か……過剰に警戒し過ぎていたな……」スッ……





デバイスを直し、天井はクレーターに背を向ける。

597: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/01(木) 20:40:15.23 ID:DONZNsK80
上条「馬鹿野郎ッ!!人の近くであんなデカイもん使うんじゃねぇ!!上条さんも最後には怒りますよホント!?」



天井「何を言う。先手必勝は戦いにおいて基本的な事だ。君が油断していたのが悪いのさ」





Zガン照射地点の比較的近くに立っていた上条は、天井にありったけの文句を言うが、天井の生き残る上での正論に、言い返せなくなる。









ジュルッ……ジュルッ……




その時、天井の背後のクレーターの中に、サニー1体分操る程の、液体が流れ込み、反応が無くなった液体と混ざり合う。




ジュルッ……ジュルッ……

598: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/01(木) 20:47:48.87 ID:DONZNsK80
上条「大体お前はなぁ!!少しは助け合う心ってモンを」



天井「助け合うも協力し合うも、利用し合うも結果としては同義だ。用は、互いの利益に繋がればそれでいい。
この闘いは、生き残る事が全てだ。違うかい?上条くん」





上条と天井は、未だに言い合っている。




偏光能力「おーおー、お前等まだ終わってねぇんだぞ?オイ……」ハァッ……




天井がこれだけ、ミッション中に敵以外に構う事は滅多に無い。




余程安心したのだろう。




かつて、ひょうほん星人に見せられた、『神』に与する敵を倒せた事に。

599: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/01(木) 20:53:17.93 ID:DONZNsK80
上条「その利用って言葉がお前は」


ズシュッ!!!












天井「……なっ……」ドクドクッ……


突如、上条と言い合う天井の脇腹辺りに、スーツを無視するように、刃物が突き刺さる。




天井「グッ……貴様、何故……」ドクドクッ……



天使『お前は危険だ。排除する』グググッ……




天井が背後を振り向くと、そこには先ほど倒したハズの、青い天使の姿があった。


自分の脇腹に、右手で作られた剣を刺した状態で。

600: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/01(木) 20:57:54.12 ID:DONZNsK80
偏光能力「ウォォォォォォォオオオッ!!!」ブンッ!!



天使『ッ!?』バッ!!



偏光能力が、ガンツの刀を振りかぶり、天使へと斬り降ろすと、天使は天井から右手の刃物を抜き去り、それを回避した。





天井「グッ……」ザッ!!



思わず、天井は膝をつく。



上条「天井!!大丈夫かお前!!」



天井「なに……脇腹を少し刺されただけだ……問題ない……」ビリッ!!グググッ!!



天井は、いつも羽織っている白衣を破り、脇腹の傷を塞ぐ。

601: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/01(木) 21:01:44.27 ID:DONZNsK80
天井「何故だ……確実に反応は消えていたのに……」


目の前で、偏光能力と斬り合う天使を、天井は観察する。









ギィンッ!!



偏光能力「ッ!?」グラッ……



その時、天使に刀を弾かれ、偏光能力が体勢を崩した。




天使『排除する』ブンッ!!



グサァッ!!!



そして、偏光能力の身体を天使が貫く。

602: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/01(木) 21:04:01.64 ID:DONZNsK80
天井「ッ!?チッ、やられたのか……」ギリィッ!!



天井がその光景に歯軋りする。




上条「へっ?誰がやられたんだ?」


しかし、上条にはそれが何の事なのかわからなかった。




天井には、偏光能力がやられた様に見え、上条にはそう見えていない。







つまり

603: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/01(木) 21:05:30.31 ID:DONZNsK80
偏光能力「残念、ハズレだぁっ!!!」ブンッ!!!



天使『排』ザシュッ!!!




ドサァッ!!!





偏光能力が天使の背後から、思いっきり刀でその首を跳ねる。



首から上を失った天使は、そのまま膝をつき、倒れ込んだ。







偏光能力「ッ~~~ッ!!!クソッ!!硬ぇッ!!!どんな身体してんだよコイツ!!」ジンジンッ!!



思い切り首を跳ねたのはいいが、どうやら想像を遥かに超えた強度だったらしく、偏光能力は手を痺れさせている。

604: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/01(木) 21:09:56.07 ID:DONZNsK80
天井「ッ!?……そうか……ヤツの能力で……ふっ、インスタント大能力者のくせに、たかが3日で中々使いこなすモノだ」



偏光能力「あぁ!?テメェがあんだけスパルタかましたんだろうが。あれくらい出来らぁ」





暗部入りした事により、天井によって首に付けられたチョーカーから、脳の演算能力を最適化する事により、インスタントだがレベル4並の能力を得た偏光能力。




先ほどは、背後にいる自分の姿を、天使の前方にいるように光を屈折させた事で、天使を惑わし隙をついたのだ。

605: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/01(木) 21:13:25.35 ID:DONZNsK80
01:30




……………





偏光能力「ふぅ……しっかしどうなってんだぁ?倒したハズだってのに」



上条「別の個体ってわけじゃないのか?」


天井「わからない……しかし、あのクレーターにあった液体は、現に無くなっている。
とりあえず、まだ倒せていないと考えていた方が利口だろう。


……既に、今倒したハズのヤツは消えているのだからな」チラッ





上条偏光「ッ!?」バッ!!




上条と偏光能力が同時に、天使の死体のあった場所を見る。




そこには、死体どころか、あの青い液体も残っては居なかった。

606: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/01(木) 21:22:48.34 ID:DONZNsK80
上条「ウソだろ……まだ1、2分くらいしか経ってねぇのに……」


偏光能力「大体、どこに消えたってんだよ!!アイツはどこにいった!?」







ウィィィイイン……




上条達が驚愕の表情を浮かべる中、偏光能力が異変に気づく。




偏光能力「なぁ……あの列車……動き出してねぇか?」



上条「へ?」



偏光能力の目線の先。



そこには、ライトアップされた貨物列車が起動し、今まさに動き出した瞬間が見えた。




天井「まさか……ッ!?オイ!!あの列車に乗り込むぞ!!急げ!!」ダッ!!!


天井はデバイスを見ると、すぐさま動き出した列車へと向かっていった。


上条と偏光能力も、それを追いかける。

607: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/01(木) 21:25:14.59 ID:DONZNsK80
上条「オイッ!!一体どうなってんだよ!?」ダッ、ダッ、ダッ



天井「……あの列車に、大量に奴らが乗っている。
ロボットを操るくらいだから、列車くらい動かせるだろう。どうやらこの駅から逃げるようだ」ダッ、ダッ、ダッ



偏光能力「逃げるだぁ!?てかそんならほっといても別に、俺らは」ダッ、ダッ、ダッ



天井「忘れたか?今回のミッションは、どちらかが全滅するまで終わらない。
しかも、ヤツはロボットに取り憑き、その数を増やす事が出来る。
このままヤツを逃がせば、下手すれば学園都市中のロボットを相手にする事になるぞ?」ダッ、ダッ、ダッ


偏光能力「なっ……マジかよ……」ダッ、ダッ、ダッ




三人は、全長400mほどある列車の、最後尾付近まで辿り着く。



その間にも列車は、ドンドン加速していっている。

608: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/01(木) 21:26:35.95 ID:DONZNsK80
天井「よしっ!!飛び乗れ!!」ダンッ!!


偏光能力「クソッタレがぁっ!!」ダンッ!!!


上条「ウォォォォォォォオオオッ!!!」ダンッ!!!





ダンッ!!ゴロゴロゴロッ!!!






何とか間に合った上条達は、コンテナの上に飛び乗り、転がりながらも着地に成功した。

609: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/01(木) 21:28:32.22 ID:DONZNsK80
ガタンゴトンッ!!



ガタンゴトンッ!!!





上条「プハァッ!!冗談じゃねぇ!!どこの香港アクションスターですか上条さんは!!」



天井「ふむ……スーツを使えば中々派手なアクション映画が作れそうだな。研究費を稼ぐ為にも作ってみるか?
君とあの第3位を使ってな。何ならラブストーリーにしてやってもいいぞ?」



上条「御坂と?ハハッ、上条さんが良くても、こんな相手役じゃあ御坂のテンションが乗りません事よ」HAHAHA




天井「…………あの子も苦労人だな……私が言える立場では無いが……」ハァッ……



天井は、色んな意味で、御坂の不幸を嘆いた。
彼にはその資格は全く無いのだが、それはまた後の話。






偏光能力「オイ、噂をすればお姫さまの登場だぜ?」


偏光能力は、コンテナから進行方向を見る。

610: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/01(木) 21:30:28.17 ID:DONZNsK80
御坂「クッ!!多過ぎんのよいくら何でも!!いい加減疲れてきたわよ!!」バチバチバチッ!!!!



東郷「67……68……69……」ギョーンッ!!ギョーンッ!!ギョーンッ!!!



JJ「SAYッ!!!HAッ!!!YEARッ!!!!」ブンッ!!! ブンッ!!!ブンッ!!!!





そこには、動き出した列車を守ろうとする大量のサニーが、御坂や他のメンバーと戦っていた。




どうやら、無事善戦していた様だ。

611: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/01(木) 21:47:53.73 ID:DONZNsK80
上条「御坂ァァァァアアッ!!!!乗れェェェェエエッ!!!!」


上条が大声で叫ぶ。






御坂「……今何か……」ピッ!!




御坂が、聞き覚えのある声に反応し、その声の主を探す為にレーダーを見る。



レーダーには、列車と共に、高速移動している3つの赤い反応が。





御坂「ッ!?皆!!この動いてる列車の上に飛び乗って!!早く!!スーツ着てるなら何とかなるから!!」



上条達がこの列車に乗っている事に気付いた御坂は、他のメンバーを列車へと誘導する。

612: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/01(木) 21:48:51.00 ID:DONZNsK80
リーマン「と、飛び乗れって……」


学生「映画じゃあるまいし、んな事出来るわけ」



御坂「つべこべうるさい!!!アンタ等男でしょうがァァァァアアッ!!!!さっさと乗らないと電磁砲ぶっ飛ばすわよ!!!」バチバチバチバチバチバチッ!!!!



サニーs『』バチバチバチッ!!!





襲いかかるサニー達を倒しながら、御坂がリーマンと学生にキレる。

さっき、説明した時にバカにされた分、余計に気が立っているのだろう。





学生リーマン「ハッ、ハイィィィィィイイッ!!!」ダンッ!!!




御坂にケツを叩かれた学生とリーマンは、思いの外上手く、列車の上に飛び乗った。

613: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/01(木) 22:02:24.13 ID:DONZNsK80
JJ『ヘイ、ぶっ飛んだ素敵なお嬢さん。エスコートしようかい?』



御坂『私は平気だから!!貴方も早く乗ってッ!!』



JJ『オーライ。では、お言葉に甘えて』ダンッ!!



空手着の外人JJも、列車に飛び乗る。




御坂「……さっきからあの人、ロボットをガンガン壊してたけど、アレ絶対空手じゃないわよね?……まぁいいや。あとは東郷さん!!」バッ!!



御坂は、射撃の名手であろう東郷の方を振り向く。

614: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/01(木) 22:07:24.32 ID:DONZNsK80
東郷「……79……80……」ギョーンッ!!ギョーンッ!!!




この人なら、何ら問題はないだろう。





御坂は、安心して、自分も列車に乗り込もうとした瞬間








思った。





御坂「ッ!?」バッ!!






そして二度見した。





東郷「81……82……何だ?」ギョーンッ!!ギョーンッ!!!




御坂「(そういえばこの人スーツ着てなかったーッ!!!)」

615: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/01(木) 22:09:50.46 ID:DONZNsK80
ガタンゴトンッ!!


ガタンゴトンッ!!!




上条「御坂ァァァァアアッ!!!早く乗れェェェェエエッ!!!」




最後尾付近の上条の声が、すぐそこまで聞こえてくる。






御坂「どうしよう……この人だけ置いていくわけにもいかないし……ッ!?
ね、ねぇ、東郷さん!!貴方バイクの運転出来る!?それもかなりの高速走行で!!」



東郷「84……85……問題無い……」ギョーンッ!!ギョーンッ!!!




東郷は、サニー達を狙撃しながら答える。




御坂「よし……えっとあのバイクは……あった!!東郷さん!!走って!!」ダッ!!



御坂は、列車とは反対方向へと、東郷と共に走っていく。







そして上条達と交差する瞬間

616: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/01(木) 22:10:37.70 ID:DONZNsK80
上条「御坂ァァァァアアッ!!!」




ガタンゴトンッ!!!ガタンゴトンッ!!!ガタンゴトンッ!!!!




御坂「大丈夫ッ!!!必ず追いつくから待っててッ!!!」





ガタンゴトンッ!!




ガタンゴトンッ!





ガタンゴトンッ………






そして、列車はあっと言う間に離れていった。

617: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/01(木) 22:13:28.45 ID:DONZNsK80
ピッ、ピッ、ピッ!!


ブゥンッ……


御坂「……よし、起動完了。援護はするから頼むわよ、東郷さんっ!!」トスッ……


御坂は、GANTZバイクの起動を済ませると、後ろに備え付けられたシートに座る。




東郷「……了解した……」ブォンッ!!ブォンッ!!!



ギュルルルルルルルルッ!!!!



ブォンッ、ブォンッ!!



ブォォォォォォォォオオオオオッ!!!!!!




御坂「うひゃぁぁああああっ!!!」ブォォォォォォォォオオオオオッ!!!!!!





ヒャアアアアアアアァァァッ………





東郷は、アクセルを思い切り吹かしつつ、ブレーキをかけながらハンドルを切り、180°ターンを決めると、一気に列車方向へと走り抜けていった。



















ブゥンッ……



そして、それを追いかける様にもう一台、列車が起動し始める。





ブロロロロロッ……



更に、駅周辺に散らばっていた10t級の大型のトラック達も、そのエンジンをフルに動かし始めた。

632: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/02(金) 21:11:34.95 ID:5yh6o5/E0
01:40


第11学区 列車移動中




ガタンゴトンッ!!

ガタンゴトンッ!!!




上条「クソッ!!御坂達を置いてきちまった!!どうすりゃいいんだよ!!」



駅を出発する際、一瞬だけ言葉を躱し、そのまま列車には乗らなかった御坂達を、上条は心配していた。



天井「落ち着け。彼女なら心配ないだろう。何と言ってもレベル5だ」



上条「んな事言っても!!」



天井「それに、見たところ彼女達は何らかの手段でこちらに向かっているぞ?かなりの速度でな」ピッ



天井がデバイスを見せると、そこにはかなり離れた場所だが、確かに二つの反応がこちらに高速で向かっている。

633: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/02(金) 21:21:38.63 ID:5yh6o5/E0
上条「本当だ……ふぅ……焦った。焦りましたよ……」



天井「気を抜くのはまだ早い。早くこの列車を止めなければ、敵が増えるだけで無く、周りにも被害が及ぶ。

私は特に気にしないが……君はそういうのを嫌うだろう?性格的に」



上条「当たり前だろうが!!そうか……奴ら一般人にも平気で手を出すんだよな……」スッ……



上条が、駅で無惨な姿にされていた作業員達の事を思い出し、列車を止めようと立ち上がる。



偏光能力「俺もどっちでもいいタイプだが……まぁ、早く終わらせたいからなぁ」スッ……




天井「フッ……それでは行くか……おっと、その前に」ピッ



ジジジジジジッ…………

635: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/02(金) 21:22:51.08 ID:5yh6o5/E0
天井がデバイスを操作すると、手に持っていたZガンが転送されていった。



そして代わりに、Xガンと前回100点メニューで手に入れたらしい『靴』が転送されてきた。




『靴』の能力は未だわからないが、貨物列車のコンテナの上という、狭い場所での接近戦に備えての事だろうか?




上条「ん?何だ?このデバイスそんな事も出来るのか?」




天井「いや、これは100点武器のパソコンで、デバイスをアップデートした機能だ。登録している手持ち武器を、GANTZに自由に転送して貰える。

パソコンは、補助的な面で中々便利だから、2回100点取る事があればオススメするよ」ガサゴソ




天井は、転送されてきた靴を履きながら、上条に答える。

636: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/02(金) 21:24:45.42 ID:5yh6o5/E0
上条「確かに便利そうだけど……俺は先に、浜面のヤツを生き返らせてやらねぇといけないからな」




上条は、前回の田中星人戦で死亡した、浜面を思い浮かべる。



この上条に記憶は無いが、前の上条が御坂に約束したらしいのだ。




御坂が妹を。

そして、自分が浜面を生き返らせてやると。




偏光能力「…………」


天井「フッ……まぁそれは君の好きにしたらいい。さて、そろそろ行くか」スッ……






天井の準備完了と共に、三人は戦闘体勢に入る。

637: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/02(金) 21:27:10.65 ID:5yh6o5/E0









『排除する』ダンッ!!


『お前達は危険だ』ダンッ!!


『排除する』ダンッ!!









高速で走る列車のコンテナの上に、次々と大量のサニー達が登って来た。




天井「さて。まずは、前の方に乗り込んでいる他のメンバーと合流しようか。

列車からは落ちるなよ?スーツが生きてれば、死ぬ事はないだろうが、戦線復帰は絶望的だ」

639: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/02(金) 21:29:37.34 ID:5yh6o5/E0
同時刻



第11学区 物資移送用高速道路







ブォォォォォォォォオオオオオッ!!!!!!



御坂「東郷さーん!!そのまま真っ直ぐ、ガンガン飛ばして行ってー!!」ピッ


東郷「……了解した……」ギュルンッ!!



ブォォォォォォォォオオオオオッ!!!!!!





御坂はレーダーを確認しながら、東郷へと進行方向を指示する。
東郷は、御坂の指示と共に、更にバイクのスピードをあげる。



大体今は180km/hほど出てるのだろうか。




そんな高速走行でも、まだまだ余力を残し、かつ安定した走りを見せるこのバイクは、さすがGANTZのバイクといったところか。





それに

640: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/02(金) 21:31:48.32 ID:5yh6o5/E0
御坂「ねぇー!!東郷さん!!貴方って『外』の人間よね!?何で学園都市に来てたの!?」



東郷「…………」




御坂は、東郷にGANTZに呼ばれた経緯を尋ねる。




初めて触るXガンでの射撃の腕といい、初めて乗るこのGANTZバイクを自在に操る運転技術といい、只者では無い事は明確だ。




それでいて、この学園都市の『外』の人間だというのに、学園都市のGANTZに呼ばれたということは、死んだ時に学園都市に居たと言うことになる。





これほどの人間が、学園都市で何をしていたのか。




御坂はそれが気になっていた。

641: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/02(金) 21:34:09.69 ID:5yh6o5/E0
東郷「……自分には、いくつか任務がある。それを行う為だ」



御坂「任務!?外の人が、学園都市で行う任務って何よ!?」




東郷「……答える義務は無い。それよりも、援護は任せろと言ったな?」




御坂「へ?」チラッ




御坂は、東郷の方を向いていた顔を、正面に。バイクの背後へと向ける。




そして、そこに異常なモノを見た。

642: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/02(金) 21:35:28.91 ID:5yh6o5/E0
10t級トラック『』ブロロロロロロロロロロロッ!!!!!!!




御坂「……え?あの大きさで?何で……」




恐らくは、駅にあった物資移送用の大型トラックだろう。



学園都市で使うに辺り、最先端のチューニングは施されているだろうが、あの大きさ、積載重量的に、この速度はあり得ない。




御坂「……東郷さん。今このバイクの速度っていくらくらい?」



東郷「……大体200km/h程だ」



御坂「そっかー200かー……じゃああのトラック何km/h出てんのよ!!速過ぎるでしょ!!」ピッ!!



御坂は、レーダーを開く。





案の定だ。

643: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/02(金) 21:38:00.73 ID:5yh6o5/E0
あのトラックには、青い反応が、ビッシリと詰まっていた。




しかも、広域でレーダーを見てみれば、あのトラックの後ろにもう2台ほど同じモノが控えている。




恐らく、あのロボットを操っている存在が、車両の動力部にも取り憑き、性能を大きく向上させているのだろう。




トラックは、グングンとバイクとの距離を縮めていく。






御坂「もう……どれだけいるのよあのロボット……」




10t級トラック『』ブロロロロロッ!!!!




そして先頭のトラックが、御坂達のバイクの横に並んだ。







10t級トラック『』ウィィィィィィィイイイインッ…………





そして、トラックのコンテナが、ゆっくりと開いて行く。

644: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/02(金) 21:39:05.50 ID:5yh6o5/E0
御坂「あーもー……頭が痛くなるわね……」バチバチッ……








『『『『『お前達は危険だ。排除する』』』』』バッ!!








開いたコンテナの中からは、ギッシリと詰まったサニー達が飛び出し、御坂達のバイクへと襲いかかってきた。





御坂「悪いけど、このバイクは2人乗りよ!!他を当たってもらえないかしらッ!?」バチバチバチバチッ!!!

645: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/02(金) 21:41:09.74 ID:5yh6o5/E0
サニー550『』ドォンッ!!


サニー551『』ドォンッ!!!




御坂は、次々と襲いかかるサニー達へと電撃の照準を定め、全て撃退していく。




1体でも、バイクに取り付かせる事は出来ないのだ。



スーツを着ている自分はともかく、スーツを着ていない東郷は、このスピードでバイクが転倒でもすれば、死は免れないだろう。






10tトラック『』ブロロロロロッ!!!!




御坂「ッ!?更にスピードが上がった!?」



サニーを積んだ10tトラックは、更にスピードを上げ、バイクの横から、更に前へと進んでいく。

646: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/02(金) 21:42:21.95 ID:5yh6o5/E0
東郷「ッ!?」チャキッ!!



ギョーンッ!!!ギョーンッ!!!ギョーンッ!!!ギョーンッ!!!





自分達より、更に前へと進んでいくトラックに対して、何を思ったのか、東郷が腰に備えていたXガンを取り出し、連射する。







3




10tトラック『』ブロロロロロッ!!!!


トラックは、バイクの数百m先の所まで進んでいる。






2




御坂「……まさか……東郷さん!!一旦スピードを落として!!このままじゃあ」



御坂は、この状況に一つの予測を立てる。


そして、その予測は恐らく高確率で当たるだろう。

647: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/02(金) 21:44:32.31 ID:5yh6o5/E0
1





10tトラック『』キキィィィィィィイイイッ!!!!




次の瞬間、トラックは急ブレーキを掛け、高速道路を塞ぐようにスピンを掛ける。




基本的に、ココは第11学区の運輸用の高速道路である為、車線数は少なく、コンテナの分も大きさを合わせると、十分にバイクの進路を塞ぐ事が出来るのだ。





かといって、バイクを止めれば正面のトラックと、後続のトラックに積まれたサニーの大群によって囲まれる事になる。




スーツを着ているかつ、レベル5の超能力者である御坂ならば、サニー達との相性も良い為何とかなるかもしれない。




しかし、東郷は確実に死ぬだろう。





正に、絶体絶命である。

648: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/02(金) 21:46:23.56 ID:5yh6o5/E0
0





東郷「」ギュルンッ!!!



ブォォォォォォォォオオオオオッ!!!!!!




東郷は、スピードを落とすどころか更にアクセルを絞り込み、バイクのスピードを上げていく。





御坂「ちょっ!?ちょっと東郷さん!!このままじゃトラックにぶつか」






ドォンッ!!!

ドォンッ!!!

ドォンッ!!!

ドォンッ!!!




御坂が叫び出した瞬間、道を塞ぐトラックの、左側のタイヤ全てが、ホイールごと弾け飛ぶ。

649: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/02(金) 21:48:42.15 ID:5yh6o5/E0
10tトラック『』キキキキィィィィィィイイイッ!!!!




片側のタイヤが弾け飛んだ為、ブレーキが満足に機能しなくなったトラックは、止まる事が出来ずにそのままスピンしていく。





10tトラック『』ドンッ!!!!!





御坂「……え?」






そして、そのまま高速道路の壁へと突っ込み、破壊しつつ、道路から真下の倉庫地帯へと落下していく。







ドォォォォォォォォォォオオオオオンッ!!!!!!






東郷「…………」ブォォォォォォォォオオオオオッ!!!!!!





真下でトラックが、積んでいたロボットごと大破・爆発した事を気にも留めず、東郷はバイクを高速で走らせる。






御坂「……えー!!!!!」ブォォォォォォォォオオオオオッ!!!!!!




御坂は、一連の光景に、ただただポカンと、空いた口が塞がらない状態になって叫んでいた。

650: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/02(金) 21:51:09.74 ID:5yh6o5/E0
御坂「何!?何よ!?何なのよ今の!?東郷さんでしょ今の!?いつの間に撃ったのよ!!」ブォォォォォォォォオオオオオッ!!!!!!




東郷「……話は後だ。まだ後ろに2台あるぞ?」ブォォォォォォォォオオオオオッ!!!!!!




目の前で、アクション映画真っ青の派手なシーンを見せつけられた御坂は、テンションがMAXの状態で東郷にくってかかるも、東郷は冷静に返す。





バイクの後ろには、まだ同じトラックが2台追跡してきているのだ。
気を休める時間など、ありはしない。

651: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/02(金) 21:59:53.66 ID:5yh6o5/E0
御坂「……そうだったわね……よーし……」スッ……




御坂は、背中に背負っていた、アーチェリーのようなガンツの弓と、矢筒から適当に矢を1本取り出す。



矢の矢尻には赤い着色が施され、矢の先端には何やら金属の筒のようなモノが付けられている。



何かこの筒の中に、入っているのだろうか?





御坂「せっかく持ってきたんだもん。ちょっと試してみようかしらねッ!!」ギリギリギリッ!!!



御坂は、弓に矢をセットし、思いっきり弦を弾く。




恐らくこの弓は、スーツを着た状態での使用を想定しての事だろう。

スーツによって、通常より遥かに力が上がっているにも関わらず、引く弦はとてつも無くキツ目である。

652: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/02(金) 22:01:27.96 ID:5yh6o5/E0
御坂「グッ……クッ……キッツゥッ!!!……この力で……このキツさの弦で矢を射れば……一体、どれくらいの威力になるのかしらね……」ググググググッ!!!




御坂は、追ってくる2台の右側を走るトラックに、力を入れ過ぎて震えながらも照準を合わせる。






御坂「いっけぇぇぇぇえええっ!!!」ググググッ!!!!





ビシュンッ!!!!





そして、御坂が弦を離した瞬間。




赤い矢は真っ直ぐ、確実に音速など超えているであろう凄まじい速さで、サニー達を積んだトラックへと飛んでいった。







そして、矢がトラックに当たった瞬間

653: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/02(金) 22:03:36.48 ID:5yh6o5/E0
御坂「…………へ?」





本日何度目かわからない、御坂の唖然とした顔と共に。






10tクラスの大型トラックが一台。






強烈な轟音と、巨大な火柱と共に、学園都市の空を舞った。

669: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/03(土) 22:26:33.03 ID:v69P9Xk+0
01:50




第11学区 列車 移動中









ドォォォォォォォォォォオオオオオンッ!!!!!





上条「うぉッ!?な……何だ?あの火柱は……」



列車の上で、サニー達と激闘を繰り広げる上条達の目に、空に上がる火柱が、遠く離れた辺りに現れる。






サニー600『排除する』ダンッ!!

サニー601『排除する』ダンッ!!



火柱に注意を奪われた上条へと、隙ありと言わんばかりにサニー達が飛び上がる。

670: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/03(土) 22:34:42.20 ID:v69P9Xk+0
JJ「YEARァァァァァアアアッッ!!!!」ブンッ!!!



バキィッ!!!



サニーs『』ガシャアッ!!!



そんなサニー達に横槍を入れるように、空手外人JJが思いっきり蹴り飛ばし、サニー達は列車の外に飛ばされバラバラに破壊される。




JJ『どうした少年。もうへばったのか?』ポンポンッ



JJが、上条の背中を叩きながら、上条を奮起させようとする。



上条「え?えっと、上条さんおバカなので英語わかりませんことよ!!とりあえず……せ、センキューベリーマッチ!!」

671: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/03(土) 22:36:59.00 ID:v69P9Xk+0
JJ「Pardon?」(訳:ん?今何て言ったんだい?)




偏光能力「全然通じてねぇぞ上条ォォォオオッ!!!」ギョーンッ!!ギョーンッ!!!



上条「チクショォォォオオッ!!!どうせ上条さんは万年英語1ですよォォォオオッ!!!」バキィッ!!!


サニー602『』グシャアッ!!




本場外人に、サンキューすら通じない上条は、ありったけの力を込めてサニーを殴りつける。



特に理由の無い暴力が、サニー602を襲う。




JJ『おぉ!!まだまだやれるじゃないか少年!!』

672: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/03(土) 22:44:33.35 ID:v69P9Xk+0
天井「この状況であの余裕とは……大物だな、彼等は……ん?」



上条達のコントを遠目で見ていた天井は、何やらこちらを追いかけてくるような光を見つける。



そして、すかさずデバイスで、情報を確認する。





天井「……もう一台起動させ、追いかけてきたのか……本当に厄介な相手だよ今回は」





列車『』ガタンゴトンッ!!!ガタンゴトンッ!!!




天井達が乗っている列車を追いかけるように、もう一台の列車が線路内を走っている。



当然、その列車内にも、青い敵反応は満載である。

673: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/03(土) 22:55:25.61 ID:v69P9Xk+0
同時刻



第11学区 高速道路 列車追跡中





御坂「うわ……ちょっと威力おかしすぎるでしょコレ……」






ゴォォォォォォォォォォオオオオッ!!!!





現在、バイクによる高速移動中の為、先ほどのトラック大破地点からはかなり離れたが、未だに火柱が、夜の闇を明るく照らしているのか見える。





御坂「あの爆発力……この弓の機能か何かなのかな?それとも、矢?とりあえず、まだあと一台いるからもう一発」スッ……




御坂は、再び背中の矢筒から矢を取り出す。

674: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/03(土) 23:00:44.40 ID:v69P9Xk+0
御坂「ん?何かさっきの矢とは違うわね。今度は青い矢尻?」



次に御坂が取り出した矢には、矢尻に青い着色。先端には、先程の赤い矢と同じように、金属の筒が付けられていた。




やはり、この筒の中に何か入っているのだろうか。




御坂「グッ……やっぱりめちゃくちゃキツいわねこの弦……一回引くのにこれだけ時間と体力使うなら、あまり多用は出来ないじゃないの……」ギリギリギリッ!!!!

675: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/03(土) 23:05:07.94 ID:v69P9Xk+0
再び矢と共に弓の弦を引くが、スーツを着ていてもなおキツ過ぎる弦に、御坂は苦悶の表情を浮かべる。




御坂「いっけぇぇぇぇぇええええええっ!!!!」ビシュンッ!!!




そして、震える腕で狙いを定め、トラックへと青い矢を放つ。




青い矢は、凄まじい速さでトラックへと一直線……にはいかなかった。




御坂「ヤバッ!?外れた!?」




青い矢は、トラックよりかなり手前に着弾する。
どうやら、弦を引く力で狙いがズレたようだ。





そして、着弾した瞬間

676: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/03(土) 23:10:24.64 ID:v69P9Xk+0
ビュォォォォォォォオオオオッ!!!!!





東郷「ッ!?クッ!!」ブォォォォォォオオオッ!!!



御坂「キャアッ!!!」グラァッ!!




着弾地点からの凄まじい突風により、高速走行中のバイクのバランスが崩れる。

しかし幸い、東郷が自力で持ち直したようだ。





そして着弾地点には








御坂「うわ……何が入ってたのよ……あの矢の中……」ゾクッ……




御坂は、目の前の光景に寒気を覚える。



それは、別におぞましい光景だったからでは無い。



文字通り、寒気を感じるのだ。強烈に。

677: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/03(土) 23:15:36.44 ID:v69P9Xk+0
10tトラック『』ビュォォォォォォォオオオオッ!!!!!





10tトラックは、まるで極低温の雪国で放置されていたかのように酷く凍りつき、その周囲では、局地的に気温が激減している。



それはまるで、トラックへと大量の液体窒素をぶちまけたかのような光景であり、絶対零度と呼べる空間を創り出していた。




サニー700-800『』ヒュォォォォオオッ……



破損したトラックのコンテナからは、一瞬で凍りついたサニー達が、あたかも氷のオブジェのように形作られている。



それはいまにも動きだしそうであり、決して二度と動き出す事はないだろう。

679: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/03(土) 23:24:29.38 ID:v69P9Xk+0
御坂「矢尻が赤色は、ナパーム弾も真っ青の爆発系。矢尻が青色は、液体窒素も真っ青の氷結系。

レベル5級の威力よね……アレだけ威力や範囲、ついでに撃つ時の隙がデカイと、使い道に困るわね……」ガチャガチャッ



御坂は、矢筒を取り出し、中をよく確認してみる。





中に入っていた矢の色は全部で5種類。











そして、一種類だけ本数が多いのは黒。
他は、矢筒の周囲に外付けしてある4つの色付き小ポケットに、5本づつ入っており、黒だけは真ん中の収納ポケットに大量に入っている。

680: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/03(土) 23:28:15.78 ID:v69P9Xk+0
御坂「なるほど……どうやら、数的に黒が基本となるノーマルの矢なのかしらね。中から大量に取り出せば、すぐに転送されてくるし」ジジジジッ……



黒い矢は、どうやら矢筒の中へと自動的に装填されるようだ。弾切れの心配はないだろう。




御坂「そして、他の4本はと……なるほど。この金属の筒に入れることで、新しく色付き矢が作られるのね」



4つの色付き小ポケットには、赤や青の矢の先端についていた金属の筒がセットされている。

ここに黒い矢をセットすることで、時間はかかるが先程のような特殊な矢が作られているのだ。



ようはこの矢筒は、矢の精製と容器としての、両方の機能があるようだ。

681: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/03(土) 23:37:17.99 ID:v69P9Xk+0
御坂「容器の中は、何が入ってるのかわからないけど……多分、気化爆弾の一種でしょうね。
矢の威力によって、より気体の拡散度が上がり、あんな馬鹿げた威力が出るのかしら?」


成分などはわからないが、金属の筒の中にはそのような特殊な液体が入っていると御坂は予想する。



まぁ、7割方正解なのだが。





御坂「残るは黄色と白色の矢か……どんな性能なのかしらね……」ゴクリッ……





御坂が、残る2つの矢に期待と畏怖の眼差しを送る。









01:55




ブォォォォォォォォオオオオオッ!!!!




東郷「……おい、見えたぞ。あの列車だ」ブォォォォォォォォオオオオオッッ!!!



御坂「本当!?ちょっとこっちからじゃあ、角度が悪くて見えないのよ」ピッ




御坂はバイクの進行方向に対して、後ろ向きに座っている為、進行方向が見えづらい。





そこで、レーダーでチェックしてみたところ、進行方向に赤い反応が幾つも見れた。

どうやらまだ全員無事なようだ。




しかし、上条達の列車を追うように、後続の列車が近づいている。まだまだ油断は出来ないだろう。

682: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/03(土) 23:42:53.28 ID:v69P9Xk+0
御坂「よかった……よし、東郷さん!!このまま、皆と連絡が取れる位置まで行くわよ!!」


東郷「了解した」ブォォォォォォォォオオオオオッ!!!!



御坂は、上条達との合流に向けて、東郷に指示を出す。






御坂「……ん?」ピッ!!





そして、先程レーダーを見た時にあった1つの異変に気づき、再度レーダーを見る。









御坂「……1体だけ……1体分の反応が、私達の後を追ってきてる……凄い速さで……」ハッ!?




御坂は、レーダーから目を離し、正面を見る。














天使(獣)『グルォォォォォォァア"ア"ア"ッ!!!!』ダッ!!ダッ!!ダッ!!!ダッ!!!!









そこには、四足歩行でブルーメタリックな猫科の獣を象った天使が、凄まじい速さでこちらに突進してきているのが見えた。

696: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/06(火) 20:45:28.92 ID:wV3tY67F0
東郷「……どうした?」ブォォォオオッ!!!



御坂「な……何よアレ……ロボットの他にもまだ敵がいたの!?」ブォォォオオッ!!!





天使(獣)『グルォォォォォォァアアアッ!!!!』ダッ!!ダッ!!ダッ!!ダッ!!!





上条達との合流まで、あと一歩の時。




高速道路上を、御坂達のバイクを追う様に、ブルーメタリックで肉食獣を彷彿させる何かが、凄まじい勢いで追いついてくる。



御坂達はまだ知る余地もないが、この獣の正体は、先程上条達が駅で撃墜した、小柄な人型の天使である。

697: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/06(火) 20:50:06.04 ID:wV3tY67F0
今回、上条達の目標は、この天使1体だけなのだが、ソレは自らの身体を細分化することで、それぞれが学園都市のロボットを動かしている。




その為、上条達は襲いかかるロボットを殲滅しているのだが、破壊された後、ロボットを操っていた天使の一部は何処にいったのか?







天使(獣)『グォォォォォォオオオオッ!!!!』ダッ!!ダッ!!ダッ!!ダッ!!!





御坂「東郷さん!!もっと飛ばせないの!?このままじゃ追いつかれるわよ!?」ブォォォオオッ!!!




東郷「……これ以上は危険だ」ブォォォオオッ!!!







その正解は、個別に『再結合』し、元の姿に戻ろうとしている、であった。

698: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/06(火) 20:51:11.86 ID:wV3tY67F0
今は大体、全体の40%程が集まっているのだろうか。



液状の身体の為、自在に姿を変える事が出来るこの天使は、獣の姿を象り、猛スピードで走る御坂達のバイクを追跡する。




御坂「こッ……のッ!!」ググググッ!!!




御坂は、黒いノーマル矢をセットし、全力で弦を引き絞る。




御坂「いっけぇぇぇぇぇえええっ!!!」バシュンッ!!!




そして、天使へと真っ直ぐに矢を撃ち出した。


矢は凄まじい速さで、天使へと向かっていき、その身体に着弾する。






しかし

699: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/06(火) 20:55:36.55 ID:wV3tY67F0
天使(獣)『グルォォォォォォァアアアッ!!!』ダッ!!ダッ!!ダッ!!ダッ!!!




御坂「そんな……確かに当たったのに!!」




矢は、天使の身体を貫通するも、天使は怯む事すら無く、全く効いていないようだ。



それはまるで、液体を刺したり斬るような感触。
何の手応えも無い、まるで意味の無い行為である。






天使との距離は、既に200mとなっている。

701: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/06(火) 21:04:58.21 ID:wV3tY67F0
御坂「……しょうがないわよね……」スッ……




御坂は、何かを覚悟したような表情を浮かべ、弓をコンパクトに折り畳み、腰のホルスターへと直す。





御坂「東郷さん……『お願い』があるんだけど……」ブォォォオオッ!!!




東郷「……何だ?」ブォォォオオッ!!!





御坂は、バイクを走らせる東郷へと、声を掛ける。
東郷は、そんな御坂の様子の変化を感じたのか、すぐに呼び掛けに応じた。





御坂「……死なないでね?あと、余裕があったら他の皆を……あのウニ頭の男の子を助けてあげてね?」




東郷「……了解した」




702: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/06(火) 21:11:00.50 ID:wV3tY67F0
東郷の了承を得た瞬間。





御坂「ありがとう……」バッ!!!





御坂は、バイクの後部シートから飛び降り、高速道路へと降り立った。





東郷「……」ブォォォオオッ!!!





東郷は、それに見向きもせずに、更にバイクのスピードを上げて、上条達の列車を追いかける。




御坂の『お願い』を叶える為に。






御坂「お願いね……東郷さん……」バチバチッ……



御坂は、あっという間に離れていく東郷を見送りながら、静かに帯電を始める。

703: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/06(火) 21:20:16.20 ID:wV3tY67F0
天使(獣)『ガァァァァァァァアアアッ!!!!』バッ!!!



その瞬間、背後には、凄まじい速さで追いかけて来た天使が、御坂へと喰らいつく勢いで飛び掛かる。


その身を形成する、青い液体で形作られた鋭い爪が御坂を襲おうとした瞬間










バチバチバチバチバチバチバチバチッ!!!!!!









第11学区の一画である高速道路の上で。


青い白い電光が、派手な轟音と共に夜空を照らした。

705: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/06(火) 21:28:14.15 ID:wV3tY67F0
バチバチバチバチバチバチバチバチッ!!!!!



天使(獣)『ギャァァァァアアアッ!!!!』バチバチバチバチッ!!!



再度、御坂の放った強烈な電撃で、身を焦がすことになる。




御坂「二つ目はね。アンタが何者かわからないけど……私の勘がずっと叫んでんのよ。アンタは危険だってね。

……もう誰も『あの子』みたいに殺させやしない……だから……」




御坂は、前回のミッションで死んでしまった、自分を姉と呼ぶ、自分そっくりの少女を思い出す。

706: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/06(火) 21:35:29.12 ID:wV3tY67F0
自分に力が足りなかったから、あの子は死んでしまった。




御坂は、あの夜以降、ずっと自分の弱さを悔いていた。







御坂「だからアンタはここで私が全力で倒す!!もうこれ以上、一歩も先には進ませないわよッ!?」バチバチバチバチッ!!!




今回だけでも、既に1人犠牲者が出ている。


御坂は、もうこれ以上やらせまいと、天使の進行を全力で阻止しようとしていた。




御坂「(矢はダメでも、電撃は効いてる……私ならコイツに勝てるッ!!)」




天使(獣)『ギッ……ガッ…………』バチバチッ……

707: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/06(火) 21:43:08.43 ID:wV3tY67F0







『……フフッ……ウフフッ……』






御坂「ッ!?」ゾクッ!!





御坂の電撃により、悶えている天使から突如。



獣の唸り声では無く、ハッキリと人の。




恐らく少年か少女か、或いは両方かの、無邪気な笑い声のようなものが聞こえてきた。

708: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/06(火) 21:45:34.73 ID:wV3tY67F0
グチャアッ!!!!






御坂「ッ!?な、何!?」




そして次の瞬間、横たわる天使(獣)の頭上から、ブルーメタリックな液体が降ってきて、その身体を包み込んだ。





ジュルッ……ジュルッ……




御坂「な……何なのよ一体……」




御坂の目の前では、青い液体が混ざり合い、グニャグニャと形を変えている。




青い天使は、自らの身体を細かく分け、それぞれが統一された意思の元、ロボットを操っていた。





現在、上条や御坂達が破壊したロボットは、全体の80%ほど。




すなわち、役目を失った青い天使の身体の80%が、今この場に集まっている。






無論、身体が元に戻るに連れて、力もそれに合わせて上がっていく。

709: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/06(火) 22:01:16.41 ID:wV3tY67F0











天使(獅子)『フフッ……ウフフッ……』クスクスッ……









混ざり合った青い液体の変形が終わり、目の前に現れているのは、先程より一回りは大きくなった獅子型の青い天使。



しかし、先程までとは明らかに違うのは、今まではシルエットのようで、全身のっぺらぼうのような滑らかな体表だったモノが、凹凸の造形がしっかりと整い、彫刻のように神々しい姿となっている。






3m以上の大きさの獅子のような身体。




そして、その顔には、少年か少女の顔を模した、美術彫刻のような仮面。




神々しさを感じ取れる威圧感。







その全てが、御坂の恐怖心をフルに刺激する。

710: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/06(火) 22:19:40.48 ID:wV3tY67F0
御坂「なんでだろう……何だか今……凄くママに会いたいな……」ガタガタッ……ガタガタッ……




相対する御坂は、その身体を死の恐怖で小さく震わしながらも、天使の前に立ち塞がる。



勝ち目があるかどうかはわからない。


しかし、今逃げる事は出来ない。



今自分が逃げれば、恐らく誰かが再び死ぬだろう。


それも何人も。

711: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/06(火) 22:22:00.81 ID:wV3tY67F0
御坂「上等じゃないの……私は学園都市の第3位なんだから……アンタなんかッ!!!この私がギッタギタに」バチバチバチバチバチバチッ!!!!



御坂が己の士気を無理矢理にでも高めようとしたその瞬間







ヒュンッ!!!



グサァッ!!!!

712: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/06(火) 22:25:52.64 ID:wV3tY67F0
御坂「して……や……痛っ……」ポタッ……ポタッ……




御坂のわき腹辺りから、ポタポタと血が滴り落ちる。





天使(獅子)『アハハッ……アハハハハッ……』ジュルッ……ジュルッ……






不意に、獅子を象った天使の尾が変形し、鞭のようにしなやかに。

尾の先端は槍の様に鋭く尖り、スーツを着ている御坂の身体を、容易く抉り取った。



わき腹を抉られた御坂は、痛みに思わず膝をつく。


713: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/06(火) 22:39:16.89 ID:wV3tY67F0
御坂「痛っ……ホンット……何なのよコイツはぁ……」



抉られたわき腹を抑えながら、御坂は目の前の獅子を、涙目で睨みつける。


どうやら、傷は浅いようだ。



不意を突かれたとはいえ、決してその攻撃は遅くはない。


更に、スーツの防御をある程度、貫通する攻撃。



恐らく、先の田中星人のラスボスである、鳥人に近い実力だろう。



御坂「一発でも当たったらアウトって考えといた方がいいわね……やるしかないかッ!!!」バチバチッ!!!



傷を負った事で、逆に闘争心に火がついたのか。


獅子の天使を前に、帯電を始める。

732: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/11(日) 20:03:53.40 ID:K6iegYbI0
02:00




第11学区→第23学区 列車移動中






『排除する』

『排除する』

『排除する』




上条「だぁぁぁああっ!!!しつけぇぇぇぇええっ!!!どんだけいるんだよこのロボット達は!!」バキィッ!!



天井「それでも数は確実に減っている。無限に沸く訳ではないんだ。ゴールはそう遠くないさ」ギョーンッ!!ギョーンッ!!




絶え間無く続く列車上でのサニー達との戦いは、場所を変え、外との物資搬入・搬出の玄関口である第11学区から、空港や、航空・宇宙関係が盛んな第23学区へと差し掛かろうとする




ここで、ある一つの問題点が浮かび上がる。

734: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/11(日) 20:10:12.80 ID:K6iegYbI0
偏光能力「おいッ!!この列車、一般の線路走ってんぞ!?ここままじゃやべーんじゃねぇか!?」ギョーンッ!!ギョーンッ!!



上条「何だって!?……そうか……23学区に入った事で、路線が重なって……おい天井ッ!!速くこの列車を止めねーと」


天井「そうだな……一般人がどうこうよりも、私達の存在が露見する危険がある」



先ほどまで、運搬用の路線を走っていた列車が、第23区に入った事で、通常の電車も走る路線に入ってしまったのだ。

735: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/11(日) 20:20:57.22 ID:K6iegYbI0
学園都市の電車やバスなどの交通機関は、基本的に全自動で、運転手を必要としない。


更に、科学者達が使用する為、電車などは深夜も運行している。



つまり、この走っているハズの無い列車が線路内にいる事で、一般の電車との衝突の危険があるのだ。






ドォォォォォォォオオオオンッ!!!!!



ガシィッ!!!


リーマン「ッ!?ひ、ヒィィィィイイイッ!!!!」グググッ!!!



突如、リーマンの足元のコンテナからサニー達が飛び出し、リーマンの身体中にしがみつく。

736: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/11(日) 20:24:24.49 ID:K6iegYbI0
上条「ッ!?オッサンッ!!」




サニーs『お前達は危険だ。排除する』グンッ!!!



リーマン「嫌だッ!!嫌だァァァァァアアアッ!!!!」グンッ!!!



そして、サニー達はそのままリーマン毎、列車から飛び降り、遥か下の23学区へと落下していった。








ア"ア"ア"アアアァァァァッ…………






グシャアッ!!!

737: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/11(日) 20:36:25.77 ID:K6iegYbI0
上条「ッ!?クソッ……」グッ……




グシャリと落下音が聞こえ、思わず上条が目を背ける。



この高さ、既にスーツの耐久をかなり減らしていたのだろう。
第23学区の地面には、壊れたサニー達と共に、壊れたリーマンの身体が見えた。











ドォォォォォォォオオオオンッ!!!!





偏光能力「ッ!?オイ上条ッ!!!」




上条「ックソ!!次は俺か!!」


サニーs『排除する』ガシィッ!!







次に上条の足元のコンテナから、サニー達が飛び出してきた。

およそ30体程のサニー達に囲まれ、上条は一気に窮地へと追い込まれる。

738: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/11(日) 20:42:06.24 ID:K6iegYbI0









ブォォォォォオオオッ……






上条達を乗せて走る列車の頭上。





学園都市の23区を一望出来る高速道路からは、高速で走る何かの音が響いていた。

739: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/11(日) 20:43:21.16 ID:K6iegYbI0
偏光能力「オイやべぇぞアイツッ!!!」ギョーンッ!!ギョーンッ!!!


天井「捨てるにはもったいない男だが……コチラも手いっぱいだ」ギョーンッ!!!ギョーンッ!!!



上条の救出を行おうにも、二人の周りにもサニー達が群がり、自分の身を守るのに精一杯である。






上条「ウォォォオオオオッ!!!!」ブンッ!!ブンッ!!!



サニー900『モルスァッ』バキィッ!!!



サニーs『排除する。排除する』グググッ……





グローブによって強化された拳で、自分にしがみつくサニー達を振り払おうとするも、サニー達はしっかりと上条にしがみついている。



先ほどのリーマンのように、自分達もろとも列車から上条を落とすつもりなのだろう。

740: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/11(日) 20:49:02.21 ID:K6iegYbI0
上条「クソッ!!離せよ!!テメェ等なんかに殺されてたまるか!!!」グググッ!!!



上条は必死に抵抗するが、20体近くのサニーに余すところ無くしがみつかれては、流石のスーツも太刀打ち出来ない。




サニーs『排除する。お前は危険だ』ズルッ……ズルッ……



サニー達はしがみついたまま、ゆっくりと上条を列車の外へと引きづって行く。



捨て身の手段。玉砕戦法<バンザイアタック>だ。

如何に相手が弱い個体でも、それを防ぐ事は何よりも難しい。

741: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/11(日) 20:57:11.77 ID:K6iegYbI0
偏光能力「マジかよ……マジでヤベェぞッ!!!オイ!!上条!!」



上条「クソォッ!!クソォォォォォオオオッ!!!」ズルッ……ズルッ……



なす術の無い上条の断末魔が、列車上に響き渡る。











ブォォォォォオオオッ……



ギョーンッ……ギョーンッ……ギョーンッ……




その時、何処からかバイクの走行音と、Xガンの発射音が聞こえてきた。

742: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/11(日) 20:58:11.57 ID:K6iegYbI0
3




天井「ッ!?」ピッ!!



その音を聞いた天井は、真っ先にデバイスを取り出し、レーダーを確認する。



天井「……フッ……どうやら彼は、中々楽に死ねない運命のようだな……」ニィッ……





2




偏光能力「上条ォォオオッ!!!」ギョーンッ!!ギョーンッ!!!



偏光能力が、自身も敵に囲まれながらも、上条にしがみつくサニー達へとXガンを発射する。








ブォォォォォオオオッ!!!!



同時に、バイクの走行音がドンドン列車へと近づいて来る。

743: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/11(日) 20:59:22.67 ID:K6iegYbI0
1





上条「クソッ……インデックス……どうかお前は無事で……」グググッ!!!



サニーs『排除する。排除する』ズルッ……ズルッ……




サニー達は、上条を列車の端まで上条を引きづり、あと数秒で上条と共に落下するだろう。



その先に待つのは、確実な死である。






ブォォォォォォォォォォオオオッ!!!!!




ギョーンッ!!ギョーンッ!!!ギョーンッ!!!ギョーンッ!!!!ギョーンッ!!!!!




再びバイクの走行音とXガンの発射音が、上条達の頭上から聞こえてくる。




その頭上には、高速道路が。










0





天井「騎兵隊のご到着だ」

744: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/11(日) 21:00:06.36 ID:K6iegYbI0
ブォォォォォォォォォォオオオンッ!!!!!





次の瞬間、高速道路から列車へと、バイクのようなモノが落ちてきた。





宙を走るバイクの落下地点は、丁度列車の上へと予測できる。








サニーs『排除す』キィィィインッ!!!


ドォォオンッ!!!

ドォォオンッ!!!

ドォォオンッ!!!




同時に、上条にしがみつくサニー達の数体が、突然爆発し始める。
突然の事に、サニー達はホンの一瞬だけその拘束を弛めた。

745: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/11(日) 21:02:13.31 ID:K6iegYbI0
上条「ッ!?ウォォォオオオオッ!!!!」ブンッッ!!ブンッ!!!



サニー901-914『ッ!?』グラァッ……



その瞬間を逃さず、上条は全力でしがみつくサニー達を振り払おうと暴れ出す。



それにより、しがみついていた半分程のサニー達が、バランスを崩し、列車から落ちていった。






-1




サニー915-917『排除す』キィィィインッ!!!



ドォォオンッ!!!

ドォォオンッ!!!

ドォォオンッ!!!



再び上条へとしがみつこうとしたサニー達の数体が、突然爆破する。


どうやら、偏光能力が撃ったXガンに命中した個体達のようだ。

746: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/11(日) 21:16:47.53 ID:K6iegYbI0
-2




上条「ハァッ、ハァッ……し、死ぬかと思った……ッ!?ヤベッ」


サニー918-930『排除する。排除する』ダンッ!!



拘束が完全に解かれ、思わず力を抜いた上条に、再度10体以上のサニー達が飛びかかる。


しかし



サニー918『排』ドォォオンッ!!!

サニー919『徐』ドォォオンッ!!!

サニー920『す』ドォォオンッ!!!

サニー921『る』ドォォオンッ!!!

サニー922『モルスァッ!!』ドォォオンッ!!!



再び誰かが撃ったXガンが、数体のサニーを爆破する。

747: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/11(日) 21:28:53.17 ID:K6iegYbI0

上条「ッ!?ウォォォオオオオッ!!!」ブンッ!!!



数体が破壊された事で、体勢を整える事の出来た上条が、サニー達を拳で迎え打つ。

どうやら、ようやく窮地を脱出したようだ。




ブォォォォォオオオッ!!!!


ドンッ!!!
サニー923『』グシャアッ!!!


キキキキィィィィィイイイッ!!!!




そして、頭上の高速道路から落ちて来たバイクが、列車へと着地する。
ついでに、落下地点にいたサニーを潰したようだ。

748: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/11(日) 21:35:35.60 ID:K6iegYbI0
上条「ハァッ……ハァッ……アンタだよな?最初にアイツ等を撃ったの……助かったよ、本当にありがとな……」ゼェッ……ゼェッ……





周囲のサニーを殲滅し終えた上条は、肩で息をしながら、バイクの運転手に礼を言う。





上条は思った。




やはりこの男は只者ではなかったと。










東郷「……問題無い。自分は約束を果たしただけだ」






目の前には、スーツを着ていないにも関わらず、未だに生き延びているあの男が居た。

749: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/11(日) 21:40:17.20 ID:K6iegYbI0
上条「ホント何者なんだよアンタ……スーツも着てないのによく生きてたな……」


東郷「……俺の事はどうでもいい。それより、身体はまだ動くか?」



上条「?あぁ。上条さんはまだまだ倒れたりしません事よ?」



東郷の問いに、上条は問題無いと答える。



東郷「そうか……それなら後ろに乗れ。お前には手伝ってもらう」ブォンッ、ブォォンッ……


東郷は、バイク進行方向を列車の後部へと変え、上条に同伴を求める。



上条「いいけど……何を手伝うんだ?ていうか御坂は?アイツは一緒じゃないのか?」


上条は、東郷と共に居たハズの御坂の行方を聞く。

750: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/11(日) 21:47:33.46 ID:K6iegYbI0











東郷「……約束を果たしに行く。ツンツン頭の少年と、『他の皆を』……この『自分以外のメンバー』を助けるという約束を……」ブォンッ……



東郷は、上条へと振り返る事もせず、バイクを起動させる。









758: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/12(月) 22:20:38.80 ID:V2Or3Q5M0
02:00




第11学区 高速道路






バチバチバチバチッ!!!!


バチバチバチバチッ!!!!






御坂がバイクから降り、東郷が列車に追いつこうとしていた頃。



第11学区と第23学区の狭間にあたる高速道路の上では、夜空を照らす月光と共に、青白い雷光が眩く輝いていた。

759: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/12(月) 22:26:40.91 ID:V2Or3Q5M0
御坂「ウァァァァァァァアアアアッ!!!!」バチバチバチバチッ!!!!



天使(獅子)『』バッ!!





御坂は電撃の槍を真っ直ぐ、目の前の青い獅子へと放つ。


しかし、獣の如く素早く動き回る獅子には、こちらの攻撃が中々当たらない。






闘いが始まり数分間。





御坂の電撃は、未だ獅子には届いていない。






しかし

760: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/12(月) 22:31:33.28 ID:V2Or3Q5M0
御坂「ハァッ……ハァッ……痛ッ……ちょこまかと素早いわねホント……」ドクッ……ドクッ……




天使(獅子)『ウフフッ……ウフフフッ……』ザッ!!




御坂の身体は、最初に抉られた脇腹以外にも、傷だらけになっていた。


かろうじて致命傷は負っていないが、スーツの防御をある程度無視できる向こうの攻撃は、御坂にとって厄介極まりないモノである。




天使(獅子)『』ヒュンッ!!!



唐突に、獅子の尾が鞭のようにしなり、そして伸びる。


御坂「クッ!!」ダンッ!!


御坂はそれを見た瞬間、素早くその場を離れた。

761: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/12(月) 22:41:21.01 ID:V2Or3Q5M0
ズンッ!!!!





次の瞬間には、獅子の尾の先端が高速道路へと突き刺さっていた。




天使(獅子)『アハハッ……アハハハッ……』ヒュンッ、ヒュンッ!!



獅子の尾は、鞭のようにしなり御坂を威嚇している。



あの青い液体金属で作られたような身体は、自由に液体・硬化する事が出来る。



その為、鞭のしなやかさ。

即ち、音速並の攻撃速度と、槍のような尾の先端の硬度により、凄まじい速度と威力の攻撃が可能となっているのだ。



幸い尾の攻撃は、先端以外に攻撃力は無い。しかし、その先端はスーツの防御すら突破する威力がある。

762: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/12(月) 22:45:13.68 ID:V2Or3Q5M0
御坂「ホント鞭みたいな攻撃ね……人間の動体視力や反射神経で避けられるわけ無いじゃないのあんなの…」バチバチッ……



ならば何故、御坂はギリギリながらも攻撃を避けているのか。


それは、学園都市が誇る高位の能力者だからこその技があったからだ。



御坂「自分の生体電気を弄って、反射神経の電気信号をブーストさせる……。
目で追いきれないなら、電磁波をレーダーのように使って、攻撃を認識する。

私やレベル4クラスの電撃系能力者じゃ無いと出来ない芸当でしょうね……それでもギリギリだけど……」バチバチッ……



ようするに、反応速度を人間の限界まで上げているのだ。
それでも普通は身体がついて行かないが、そこはスーツの恩恵がある。

763: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/12(月) 22:52:09.24 ID:V2Or3Q5M0
ヒュンッ!!!



御坂「しつこいわねッ!!」バッ!!


ズンッ!!!

ズンッ!!!

ズンッ!!!



獅子の尾が、次々に攻撃を加えてくるが、御坂はその全てを避けていく。


まともに喰らえば、一撃で終わりなのだ。



ズンッ!!!


御坂「そこォッ!!!」バチバチバチバチッ!!!



御坂は、尾が道路に突き刺さった瞬間、それを目掛けて電撃を放つ。


天使(獅子)『ガァァァァアッ!!!!』バチバチバチバチッ!!!


カウンターの要領で尾に放たれた攻撃は、獅子も避ける事が出来ず、ようやく一撃が決まった。

764: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/12(月) 22:56:54.82 ID:V2Or3Q5M0
御坂「やった!!流石に攻撃の後なら避けられないわね!!」バチバチバチバチッ……




御坂は、ようやく見えた勝機に更にボルテージを上げていく。





天使(獅子)『グルァァァァアッ!!!!』ヒュンッ!!ヒュンッ!!!ヒュンッ!!!



先ほどまでの少年か少女の笑い声が消え、獣のようなうなり声を上げて獅子の尾が放たれる。




どうやら遊びは終わりのようだ。




御坂「クッ!!速い!!……速いけどッ!!!」バチバチッ!!!



ヒュンッ!!!



バチバチバチバチッ!!!!!



自分に向かってきた尾に、今度は迎え撃つように、電撃を放った。

尾は強烈な電撃に弾かれ、獅子の動きが一瞬止まる。

765: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/12(月) 22:58:58.38 ID:V2Or3Q5M0
御坂「もういっちょぉぉぉおおおっ!!!!」バチバチッ!!!



バチバチバチバチバチバチバチバチッ!!!!!



全力で放たれた電撃の槍が、獅子へと直撃した。








シュゥゥゥゥウウッ……



御坂「ハァッ……ハァッ……今のは直撃したわよね?」



アスファルトの焦げたような匂いと、白煙が立ち昇る中、御坂は正面を見つめる。



油断は出来ない。


その油断が即、死に繋がる事は確実なのだから。



そして、白煙が晴れていく。

766: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/12(月) 23:02:42.21 ID:V2Or3Q5M0
御坂「ッ!?居ない!?そんな!!」キョロキョロッ



白煙の晴れた先には、獅子の姿は無かった。

御坂は辺りを見回す。






バサァッ!!


バサァッ!!!


御坂「ッ!?上!?」バッ!!


翼で羽ばたくような音を聞き、御坂が頭上を見上げる。








天使(獅子)『グルルッ……フフッ……ウフフフッ……』バサァッ!!バサァッ!!!





御坂「何よ……まだ本気じゃなかったって事なの?」ガタガタッ……






そこには、翼を生やし、両前足に大きな本を抱えた青い獅子の姿があった。


まるで、聖書に登場するようなその神々しい姿に、御坂は再度恐怖を覚える。

767: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/12(月) 23:17:15.42 ID:V2Or3Q5M0
ペラッ……





獅子がその前足に持つ大きな本を開く。



そして、そのページを御坂に見せるように、本を持ち替える。




ジュルッ……ジュルッ……




その本のページから、青い液体で何かが形成されていく。





御坂「ッ!?な……アレって……」



形成が終わり、御坂が目にしたモノ。






それは、飛び出す絵本の様に本のページから飛び出した『ガトリングガン』のようなモノだった。





天使(獅子)『アハハハハハッ!!!』ギュォォォオオオッ!!!



獅子の顔についた、少年か少女の顔の天使が狂ったように大声で笑い出すと共に、ガトリングガンの砲身が回転していく。

768: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/12(月) 23:19:20.82 ID:V2Or3Q5M0
御坂「ヤバッ……」ダッ!!!



御坂は全力で、その場から逃げ出した。









ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!







次の瞬間、本物のガトリングガンの如く、凄まじい勢いで弾丸が御坂へと発射される。




ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!



御坂「何なのよコイツ!!!何でもアリじゃないのォォォオオオッ!!!!」ダッ!!ダッ!!ダッ!!ダッ!!!




次々と襲いかかる多種多様な攻撃に、御坂は愚痴を叫びながら走って行く。


背後からは、弾丸の雨が追いかけてくる。

769: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/12(月) 23:26:24.76 ID:V2Or3Q5M0
ガンッ!!!



御坂「ッ痛ッ!!!」



突如、逃げる御坂の右腕が、軽い痛みと共に、上へと跳ね上がる。


しかしスーツを貫通せず、どうやら、弾の一発一発には、そこまでの威力はない様だ。


とはいえ、まともに大量に喰らえば気持ちよくハメられるだろうが。




しかし着弾したとしても、上からの攻撃のハズなのに、何故か腕は下から上へと上がった。




その理由は、すぐにわかった。




御坂「クッ!!この弾丸、地面に当たってもそこから跳弾してんの!?」ダッ!!ダッ!!ダッ!!!

770: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/12(月) 23:28:42.58 ID:V2Or3Q5M0
御坂が走りながら振り向くと、地面に着弾した弾丸は、着弾地点を破壊しつつ、そのままバネのように跳ねているのが見えた。



どうやら、あの弾丸自体が天使の一部であり、液体の硬化と軟化によって、バネのように跳弾させているようだ。



しかも跳弾先は、ある程度軌道を変えられる様で、跳ね返った弾が、背後から御坂を襲う。







天使(獅子)『アハハハハハッ!!!』ドドドドドドドッ!!!




獅子は、変わらず笑い声を上げながら、御坂に照準を合わせている。

771: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/12(月) 23:33:55.36 ID:V2Or3Q5M0
御坂「この……調子乗ってんじゃないわよ!!!」バチバチバチバチッ!!!!



御坂は、宙を羽ばたく獅子へと電撃の槍を放つ。



空中では先ほどのような獣のような素早さは無いはず。
御坂はそう考え、実際その考えは当たっていた。




しかし




ペラッ……



獅子が本のページをめくった瞬間、先ほどまでのガトリングガンが消え、中世の騎士が持ってそうな装飾の、大きな盾がページから飛び出した。




ギィィィィイイイインッ!!!!




御坂「ッ!?嘘!!防がれた!?」



電撃の槍は、その盾によって完全に防がれる。
今まで、当たれば通じていた電撃が防がれたのは、御坂に精神的なダメージを与えた。

772: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/12(月) 23:36:09.45 ID:V2Or3Q5M0
ペラッ……




獅子が更にページをめくる。





御坂「……ハハッ……何よ……キューピットのつもり?」バチバチバチバチッ……




御坂は、呆れたようにそう言い放ち、帯電を始める。




次のページから飛び出したモノ。


それは、女の子にとって大事な、恋を叶えるキューピットの矢をイメージさせるような、大きな弓であった。





天使(獅子)『』グググググッ……





獅子は、矢を口に加え、前足で本と弓を支え、器用に弓の弦を引く。

773: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/12(月) 23:45:56.61 ID:V2Or3Q5M0
御坂「……お互いの大砲をぶつけ合うってわけね……いいじゃない、ノッたわよその勝負!!」ピィンッ!!





御坂はポケットから取り出した、ゲームセンターのコインを指で宙に弾く。


御坂自身の代名詞とも言える、御坂最大の技を繰り出そうとしているのだ。








『超電磁砲』を。







774: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/12(月) 23:49:24.26 ID:V2Or3Q5M0
天使(獅子)『』グググググッ!!!



御坂「いっけぇぇぇぇぇぇえええっ!!!!」バチバチバチバチッ!!!!





シュンッ!!!







獅子と御坂。

互いが誇る最大級の攻撃が、同時に放たれた。





その二つが衝突した瞬間、学園都市中に響き渡りそうな轟音が、辺りに轟く。

784: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/13(火) 20:14:26.96 ID:ACZd4K3i0
02:05




ガタンゴトンッ……


ガタンゴトンッ……





列車が走る音が近づいてくる。



どうやら、上条達の乗っている列車を追いかけていた列車が、御坂のいる地点へと近づいているようだ。


1-2分でこの道路下の線路を通過するだろう。









ォォォォォォォォオオオオッ…………




御坂と天使。



双方の最大威力であろう二つの大砲が衝突し、轟音と白煙を生み出す。




御坂「ハァッ……ハァッ……ハァッ……アハハッ……」ゼェッ……ゼェッ……




白煙の中で、肩で息を切らしながら、御坂は笑っていた。

785: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/13(火) 20:25:51.18 ID:ACZd4K3i0
御坂「ハァッ……ハァッ……どうよ?私の大砲は……人間にしては凄い火力でしょ?」ゼェッ……ゼェッ……






天使『コォォォォォォォォオオオオッ…………』ドロドロドロッ……







白煙が晴れ、御坂の目の前には、獅子の原型が無くなり、不定形でドロドロとした青い液体のまま、断末魔をあげている天使の姿があった。




どうやら御坂と獅子の一騎打ちは、御坂の『超電磁砲』に軍配が上がったようである。

786: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/13(火) 20:32:28.24 ID:ACZd4K3i0
御坂「さぁて……覚悟はいい?」バチバチバチバチッ!!!



御坂は、トドメと言わんばかりに帯電を始める。

この一撃で全てが終わる。御坂はそう確信していた。





天使『ァァァァァァアアアアアッ!!!!』バシュンッ!!!



次の瞬間、ドロドロになっていた天使の身体が、幾つもの槍のように尖り、御坂へと放たれる。




御坂「ッ!?まだやる気なの!?」バッ!!



御坂は、自身の能力でブーストさせた反射神経と、電磁波によるレーダーを駆使して、高速で飛んでくる青い槍達を、次々に躱していく。

787: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/13(火) 20:41:00.34 ID:ACZd4K3i0
一本目が御坂の心臓辺りに放たれると、御坂は身体を後ろに反らしてそれを躱す。



更に二本目がその無防備な身体に真っ直ぐ放たれると、御坂はそのまま後ろに手をつき、その反動で後方に飛び上がり躱した。





天使『ァァァァァァアアア"ア"ア"ッ!!!』バシュンッ!!!バシュンッ!!!



御坂「クッ!!どんだけ飛ばして来んのよ!!身体無くなっちゃうわよ!?」バッ!!




更に続けて放たれる青い槍を、御坂は横に飛び込むように躱した。


そのまま後方を見ると、道路に何本もの槍が突き刺さっているが、その槍達は次第にドロドロと液化し、本体の元へと帰ろうとしている。

788: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/13(火) 20:52:46.79 ID:ACZd4K3i0
御坂「キリが無いわね……とりあえず!!」バチバチバチバチッ!!!



御坂は、放たれた青い槍へと電撃を放ち、その液体が本体へと戻る事を阻止する。



御坂「地道にダメージ与えるしか無いからね……ん?」キョロキョロッ



天使へと振り返ると、そこには天使の姿は見当たらない。



しかし、電磁波のレーダーを発動させている御坂には、すぐに居場所がわかった。

789: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/13(火) 21:03:48.17 ID:ACZd4K3i0
御坂「上ねッ!!ってちょッ!!!」バッ!!!



天使『ォォォォォォォォオオオオッ!!!』ギュォォォオオオッ!!!





御坂が上を向いた瞬間、天使は空中でその身体を一つの大剣のように変形させ、勢いよく回転しながら御坂へと向かってきた。


咄嗟に御坂は、全力で横へと飛ぶ。








ドゴォォォォォォォォォォォオオオオッ!!!!!






天使の大剣は、高速道路へと深く突き刺さり、道路には広範囲に亀裂が走った。

もう一撃、今の攻撃が深く突き刺されば、この道路は崩れ落ちるかもしれない。

790: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/13(火) 21:38:28.54 ID:ACZd4K3i0
天使『コォォォォォォォォオオオオッ……』ドロドロッ……




天使は、再びドロドロと形を崩し、御坂へと身体を向ける。





御坂「クッ……とんでもない威力ね……かすっただけなのに……」グググッ!!!



御坂は、その目に涙を浮かべながらも、持っていた止血帯で、今負傷した箇所を思いっきり締め上げる。




御坂「さて……痛すぎて逆に麻痺しちゃってるけど……これからどうしようかな……」



御坂は、座りこんで動けなくなっている。




御坂が負傷した箇所。








それは左足首辺りのの切断であった。

791: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/13(火) 21:46:46.14 ID:ACZd4K3i0
避けきれず、ホンの少しかすっただけで、足首ごと持って行かれたのだ。

もう先ほどのように、素早く動くことは不可能だろう。







ガタンゴトンッ……


ガタンゴトンッ……






御坂「この音ッ!?そっか……もう一台後ろから追いかけて来てたのよね……」バチバチッ……


どこからか列車の走る音を聞き取ると、御坂は電磁波のレーダーを最大限に広げて、周囲の物体を感じ取る。


まだ、レーダーの範囲内には列車は来ていない。


あの列車の速度なら、レーダー範囲内に入って10-20秒程が制限時間だろう。


タイミングを逃すわけにはいかない。

792: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/13(火) 21:53:12.00 ID:ACZd4K3i0
天使『ハハッ……アハハッ……キャハハハハッ!!!』メキメキメキィッ!!!



狂った様な笑い声と共に、青い天使の身体が変形していく。



どうやら再び、獅子へと身体を作り変えているようだ。





超電磁砲でのダメージが回復したのか。


それともまだダメージは残ったままなのか。

そもそもダメージは与えられているのか。




御坂にはそれを知ることは叶わない。

793: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/13(火) 22:00:10.13 ID:ACZd4K3i0
御坂「超電磁砲でも倒しきれないなら、私の能力だけでは勝てないかもしれない……でもXガンでもコイツに通用するかどうか……なら残る手段は……」スッ……



御坂は、折り畳んでホルスターに入れていた、機械弓を取り出す。



先ほど撃った矢は、黒いノーマルの矢。



しかし、それは天使の身体を容易く通り抜けた。



単純な物理攻撃では、自由に硬化・液化する事が出来るヤツには当たらないのだ。



だからこそ、御坂の電撃は効果があった。




御坂「物理攻撃はダメ……電撃は有効……ならコレなら……」チャキッ……



御坂は、背中の矢筒から、青い矢を取り出す。

794: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/13(火) 22:08:43.47 ID:ACZd4K3i0
天使(獅子)『クフフッ……キャハハッ……』ジュルッ……




そうこうしてる間に、天使は獅子の身体に戻っている。
未だ先ほどの翼と本は出ていないが、尾による攻撃だけでも今の御坂には十分過ぎる驚異だろう。





御坂「(クッ……まだなの?まだ列車は来ないの?)」



弓と矢を手に持ち、御坂はただひたすら待つ。
微かに残る勝機が訪れるのを。






ヒュンヒュンッ!!!



御坂「ッ!?」バッ!!!



獅子の尾が鞭のようにしなりだし、御坂は咄嗟に片足で横に飛び込む。



次の瞬間には、御坂の居た場所に獅子の尾が突き刺さっていた。



そして、素早く尾を引き抜くと、再び御坂へと尾が突き進む。

795: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/13(火) 22:13:22.96 ID:ACZd4K3i0
御坂「ァァアアアアッ!!!」バチバチバチバチッ!!!



天使(獅子)『ギャウッ!!……フフッ……クフフッ……』バチバチッ……




二撃目は、尾を電撃で迎え撃つ事で弾き返し、やり過ごす。


何度も電撃を喰らい、耐性がついてきたのか、かなり強く放った電撃でも、今までのように大きく怯んではいない。



いよいよ、御坂は追い詰められているのだろう。



天使(獅子)『フフッ……ウフフフッ……』ヒュンヒュンッ!!



御坂「(次も退ける自身は無い……まだなの!?)」ドクンッ……ドクンッ……


御坂の心臓が、大きく鼓動する。

死がすぐ目の前まで来ているのだ。

796: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/13(火) 22:16:55.16 ID:ACZd4K3i0
ガタンゴトンッ……

ガタンゴトンッ!!




ピクンッ!!





その時、御坂の電磁波レーダーが、待ちに待っていたモノを捉えた。




御坂「来たッ!!」バチバチバチバチッ!!!



それを確認した瞬間、溜め込んだモノを一気に吐き出すように、御坂から電撃が獅子に放たれる。




御坂「あと10秒!!何としても生き延びてやるわ!!」バチバチバチバチッ!!!!



ありったけの電撃を、御坂は獅子へと叩き込む。



効いてるか効いてないかなど関係ない。



とにかく、相手に攻撃のチャンスを与えない。


あと8秒生き抜けば、勝機は見える。

797: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/13(火) 22:26:05.53 ID:ACZd4K3i0
ヒュンッ!!!


ドォォォォオオオンッ!!!!





電撃の向こうから、獅子の尾が御坂を貫こうと放たれるが、御坂は必死に転がりそれを避ける。





地べたを這いずり回るその姿に、レベル5の威厳などは何も無い。


そんなモノ、最初から持ったつもりも無いし、生き残る上で不必要なモノだ。







ガタンゴトンッ!!


ガタンゴトンッ!!!



列車がドンドン近づいてくる。





残り5秒。





御坂「ウァァァァァァアアアアッ!!!!」バチバチバチバチッ!!!



咆哮と共に、御坂から何本もの電撃の槍が放たれる。



同時に、高速道路の端へと、片足を引きずりながら向かっていく。

798: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/13(火) 22:33:51.84 ID:ACZd4K3i0
残り3秒。



いける。



御坂は、この勝機を掴み取る確信を得ていた。








グサァアッ!!!!







御坂「ガッ……えっ?」ドクドクドクッ……





その瞬間に、御坂に油断があったのか。

もしくは獅子の執念が打ち勝ったのか。


もしくはそのどちらもか。






天使(獅子)『アハハッ……キャハハハハッ!!!!』




御坂の腹部には、獅子の尾が突き刺さり、獅子の勝利の笑い声が辺りに響いていた。








が。

799: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/13(火) 22:36:19.77 ID:ACZd4K3i0
バチバチバチバチッ!!!!




天使(獅子)『ギャァァァァァアアアッ!!!!……アッ……』シュゥゥゥウウッ……



獅子は、強烈な電撃を浴び、その笑い声を止める。





御坂「グッ……まだ……終わって無いってのよ……この化け物……」バチバチバチバチッ……




腹部を獅子の尾に貫かれてもなお、御坂は電撃を放っている。




諦めるわけにはいかないのだ。



自分の帰りを待ってくれている、後輩や友の為にも。



その命が消える最後の最後まで戦い抜いた、妹の為にも。

800: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/13(火) 22:38:58.88 ID:ACZd4K3i0
天使(獅子)『ギッ……ギッ……グルァァァアアアッ!!!!』ダッ!!!



思わぬ反撃にとうとうキレたのか、天使とはかけ離れた獣のような叫び声と共に、獅子が御坂へと走り出す。


自らの牙か爪で、トドメを刺そうと言うのだろう。




御坂「フフッ……フッ……」グラァッ……



御坂は、高速道路の端から、力尽きたように下へと落下していく。



獅子も、逃がすまいと御坂を追って高速道路から飛び降りた。






天使(獅子)『ッ!?』



そしてその瞬間、獅子はその目を見開いた。

801: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/13(火) 22:49:07.15 ID:ACZd4K3i0








御坂「……くた……ばれ……」ググググッ!!!









目の前には、落下しながらも。


腹部に穴を開けられながらも、必死で弓の弦を引き絞る、御坂の姿があった。






バシュンッ!!!!




そして、御坂から勢いよく、青い矢が放たれる。



矢は、音速の速さで、獅子へと真っ直ぐ向かっていった。

802: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/13(火) 22:54:16.59 ID:ACZd4K3i0
翼が無いので、空中で避ける事もできない。



黒い矢の時のように、液化で逃げようにも、今の今まで超攻撃体勢だった為、硬化を解く事も間に合わない。




獅子は、なす術も無く、その身に青い矢を受ける。








ビュォォォォォォォォオオオオオオッ!!!!!!



その瞬間、獅子を中心に、絶対零度の暴風が吹き荒れる。




天使(獅子)『カッ……ガッ……』ピキピキピキッ!!!!




元の身体が液体である獅子は、凄まじい勢いでその身体を凍らせていく。




青い矢の効果である、着弾地点の氷結化。



弓の威力と比例して、その最大威力は学園都市レベル5並か、それ以上の凄まじいモノになる。



当然、標的の至近距離で撃てば、射手も巻き込まれてしまう。

803: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/13(火) 23:00:48.81 ID:ACZd4K3i0
ビュォォォォォォォォオオオオオオッ!!!!




御坂「クッ……ァァアアアアッ!!!!」バチバチバチバチッ!!!!



暴風によって、身体の熱が急激に奪われていく中、御坂は能力を使って、自身の周りに磁力を発生させる。




そして、御坂は磁力に反応するモノ。




すなわち、鉄などの金属へと、高速で吸い寄せられていった。





落下する御坂を、高速で吸い寄せたモノは……










ダンッ!!!!

804: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/13(火) 23:02:13.00 ID:ACZd4K3i0
御坂「ッ!!痛ゥッ……スーツ着てるから出来る芸当よね……。
高速で走ってる列車に、磁力で引っ付くなんて……」ガタンゴトンッ!!!ガタンゴトンッ!!!!




それは、高速道路の下で走っていた、上条達を追いかける列車だった。


御坂は、自分のいる場所を列車が通過するタイミングを見計らって、自爆覚悟で青い矢を放ち、磁力によって素早くその場を離脱。




それにより自身が生み出した、あの絶対零度の暴風から逃げ切ったのだ。

805: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/13(火) 23:06:13.37 ID:ACZd4K3i0
ガッシャァァァァァアアアアッ!!!!!!




御坂が列車に磁力で引っ付いて数秒後。



陶器が割れるような音と共に、列車に何か大きなモノが落ちてきた。



恐らく、分子レベルで完全に凍りついた天使だろう。



獅子の氷像と化した天使は、落下によって粉々に砕け散り、そこら中に飛び散った。






御坂「……」ピッ



御坂は、デバイスのレーダーで、天使の生死を確認する。




御坂「ハァッ……終わった……」ドサッ……



レーダーには、獅子の反応は無かった。


その代わり、この列車には、サニー達ロボット軍団の反応が300程があったが。


能力的に相性のいい御坂ならば、まともに動けずとも、苦もなく倒せるだろう。




御坂はようやく心から安堵する。

806: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/13(火) 23:12:42.59 ID:ACZd4K3i0
ヒュンッ!!







御坂「……ん?」



安堵する御坂の目に、不思議な光景が映る。



この列車から、青い液体が次々に溢れ出し、高速で列車の後部へと飛んで行くのが見えたのだ。



青い液体は、先ほどの天使の身体と同じ色をしている。
恐らく、天使の一部なのだろう。



御坂は再度、レーダーを見る。




御坂「……反応が一箇所に集まってる……やっぱり、あのロボット一つ一つに、アイツの一部が入ってたのね。

……でも、残りは少ないハズだし、さっきみたいな事には……」グググッ……

807: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/13(火) 23:14:04.60 ID:ACZd4K3i0
デバイスの広域レーダーで見てみると、もうすぐ追いつくであろう上条達の列車に乗っていた天使の一部達も、先ほど天使の氷像が落ちた場所に集まっているようだ。




これが最後だろうと、御坂はボロボロの身体を起こし、残りカスの天使の襲撃に備える。







そして、敵の反応が、一つだけになった瞬間






御坂「ッ!?何これ……速過ぎる!!もう列車のすぐ後ろまで」



ドォォォォオオオンッ!!!!!






御坂がレーダーを見ていると、氷像落下地点から十数秒で列車に追いつき、列車の最後尾のコンテナに乗った天使が確認出来た。

808: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/13(火) 23:16:42.59 ID:ACZd4K3i0
御坂は知らない。




この天使は、死んだ肉体(液体)に、事前に分かれた自身の分身が混ざる事で、何度でも完全に蘇る事を。




御坂は知らない。






先ほどまでの獅子の天使は大体80%程の力で、今列車後部にいる天使こそが、完全に力が戻った天使だということを。








御坂「……ママ……パパ……黒子……ゴメンね……私多分……」








御坂は知っている。


自分だけの力では、決してもう逃れられない死神が、すぐ目の前まで来ている事を。

















数秒後



デバイスのレーダーから、御坂の反応が消失した。

831: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/15(木) 18:37:22.45 ID:yttoubkV0
こんばんわ、1です。



いやー、いい具合に阿鼻叫喚のレスがたくさんですね(ゲス顔)ホントありがたいことです。



それでは、今日もゆっくり投下いたします。大体20時までには投下すると思います。

834: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/15(木) 20:14:32.40 ID:yttoubkV0
7月28日 02:10




第23学区 列車移動中




ガッシャァァァァァアアアアッ!!!!!!




偏光能力「おわぁっ!?な、何だ今の!!」グラァッ!!



突如、列車を襲った衝撃に、偏光能力が驚く。




天井「どうやら、後続の列車がこの列車に追突したようだな。脱線の心配は無いみたいだが……」ゴソゴソ



天井は、周りを見渡しながら、デバイスを取り出す。





サニーs『』シーン……





突如、動かなくなったサニー達が、天井達の足元やコンテナの中に転がっている。


いきなりロボットの中から青い液体が出てきたと思えば、全ての液体が、列車後方へと飛んでいったのだ。

835: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/15(木) 20:22:49.89 ID:yttoubkV0
天井「列車後方に、デカイ反応が一つ。あの青い液体……分かれていた身体を一つに戻したと言うわけか……」




レーダーを見ると、そこには敵を表す青い点が一つ。



その青い点に向かっている赤い点が二つあった。これは上条と東郷の反応だろう。




天井「二つだけ……後方にはあの第3位がいたハズだが……」




偏光能力「ハァッ!?オイオイ、まさか死んじまったのか!?レベル5が!?」




天井「いや……まだそうだと断定するには早いが……後方で何が起こっているというんだ?」ジッ……








ガタンゴトンッ!!


ガタンゴトンッ!!



走る列車の上で、天井は青い点が記された方角を見つめる。

836: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/15(木) 20:35:41.26 ID:yttoubkV0
後続列車 後部




ブォォォォォォオオオッ……




上条「ッ!?東郷さん!!あそこだ!!」ブォォォォォォオオオッ!!!



東郷「……わかっている」キキィィイイッ!!!



列車の上を、列車後方へと走る上条と東郷達は、御坂が天使と最後に遭遇した地点へと到着した。



15m程の前方には、まだ暗くてよく見えないが、全長4m近くはある大きな影が見える。



恐らく、コイツが今回の敵の本命。完全体の天使だろう。





上条「東郷さん、もしもの時の援護は任せたぜ?」ザッ


東郷「……了解した」チャキッ……



上条が、バイクを降りて、ゆっくり大きな影の元へと近づいていく。



向こうはまだ気づいていないのか、特に動きは無い。

837: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/15(木) 20:41:58.41 ID:yttoubkV0
上条「そっと……そっと……」



上条は、忍び足で影に近づいていく。



その瞬間







カッ!!





上条「わっ!?」





列車が動いている中、学園都市の光に照らされた大きな影が、上条の目の前にその姿を現した。





上条「…………紛れもない化け物じゃねーか……コイツは……」ガタガタッ……





天使(聖獣)『…………』


839: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/15(木) 20:49:48.14 ID:yttoubkV0
上条の目の前に現れたモノ。





それは、御坂と戦っていた時のような青い身体では無く、純白の真っ白な、獅子のような獣の身体。




その背からは4枚の大きな純白の翼が生え、蛇のような尾には茨のような棘が生えている。




そして頭には、獅子に大きな山羊の角が生えており、それが一層神々しさと圧倒的な威圧感を出しており、正に聖なる獣。『聖獣』と呼ぶに相応しいだろう。









天使(聖獣)『…………ッ?』スッ……





上条「クッ!?気づかれた……か……?」ピクッ……




聖獣がこちらを振り向いた瞬間、上条の思考が止まった。

840: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/15(木) 20:52:20.76 ID:yttoubkV0
ポタッ……ポタッ……






聖獣の口から、何かが滴り落ちている。




上条はふと、自分の足元を見た。




足元には、血だまりが。




再び、上条は聖獣の口元を見る。




あの滴り落ちているモノ。




恐らくアレも血だろう。




では一体誰の血か。









上条「う……あ……あ……」プルプルッ……



東郷「ッ!?……クソッ……」チャキッ!!



上条の声にならない声と共に、東郷が聖獣へとXショットガンを向ける。

841: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/15(木) 20:57:33.67 ID:yttoubkV0
聖獣の口から滴り落ちる血は誰のモノなのか。





先ほどまで、コレと対峙していたのは誰か。






更に、聖獣の口元をよく見る。

















そこには、か細い少女のモノであろう右足が














上条「ウァァァァァァァア"ア"ア"ア"ア"ア"ッ!!!!!」


ダンッ!!!




聖獣『ッ!?』ペッ!!


ベチャァッ!!!






843: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/15(木) 21:00:40.93 ID:yttoubkV0
その右足の持ち主が『誰か』を認識した瞬間。





上条は、ありったけの憎悪と悲哀と殺意を込めた叫び声と共に、聖獣へと飛びかかる。






聖獣は、咥えていた御坂の右足を吐き出し、向かってくる上条へと牙を剥き出しに立ち向かう。








上条「ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ッ!!!!!」ブンッ!!!


聖獣『グルァァァァァァアアアアッ!!!!!!」ガパァッ!!!







上条のグローブを着けた右拳と聖獣の牙が互いに交差した瞬間

844: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/15(木) 21:05:13.95 ID:yttoubkV0









上条「ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ッ!!!!!」




ドゴォォォォォォォォォオオオオオオッ!!!!!





聖獣『グガァァァァァァァアアアッ!!!!!』メキメキメキィッ!!!!









上条の強烈な拳が聖獣の顔面を捉え、聖獣はそのまま列車のコンテナに、その大きな身体を埋めた。

847: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/15(木) 21:11:59.79 ID:yttoubkV0
東郷「…………」ゴクリッ……




東郷は、バイクに乗ったままXショットガンのスコープに目を向け、上条と聖獣の戦いに息を呑んでいる。




この1時間程の間に、ロボットの大群と言う充分に現実離れした光景に身を置いていたが、今目にしている光景は、今までとは次元が違う。




文字通り、化け物がいるのだ。目の前に。



そして、その化け物をねじ伏せた少年。






東郷「一体この街は……この学園都市という場所はどうなっている……」




848: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/15(木) 21:14:09.99 ID:yttoubkV0
天使(聖獣)『グッ……グルァッ……』ググググッ……



殴りつけられ、コンテナに叩きつけられ、立ち上がる聖獣は、目を見開いて上条を見つめる。







上条「返せよ……」ォォォォォオオオオッ……




そこには、禍々しい程の殺気に包まれ、目を血走らせた上条の姿があった。






天使(聖獣)『ガァァァァァァァアアアッ!!!!』ヒュンッ!!!



聖獣は、御坂を散々苦しめた尾を素早く振り、そのまま上条へと突き刺す。

849: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/15(木) 21:16:08.08 ID:yttoubkV0
上条「返せ……」ガシィッ!!!




天使(聖獣)『ッ!?』ググググッ!!!




しかし、その尾は難なく上条の右手に掴まれてしまう。
鞭のようにしなやかなその尾は、音速に近い速度で動いているにも関わらず。






上条「返せよ……」ブチブチブチブチィッ!!!!




天使(聖獣)『グァッ!?』





尾を右手に取った上条は、そのままその尾を素早く引きちぎる。

850: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/15(木) 21:19:52.21 ID:yttoubkV0
天使(聖獣)『ガァァァァァァァアアアッ!!!!』バサァァァァアアッ!!!!





ドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!





尾を引きちぎられた聖獣は、大きな4枚の翼を羽ばたかせ、抜け落ちたその白い羽根を幾つもの青い槍に形成し、それらを全て上条へと発射する。



その速度は音速に届かずとも、人の反射神経を超えるスピードで、上条へと向かっていく。それも、何本も。





パキィィィィィイイイインッ!!!!



ベチャァァァァアアアアッ!!!!

851: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/15(木) 21:23:49.53 ID:yttoubkV0
天使(聖獣)『ッ!?ア……アッ……』




上条「……返せっつってんだろ……」ォォォォォオオオオッ……





上条の身体をただの肉片に変えるハズであったその青い槍達は、何かが割れるような渇いた音と共に、全て元のドロドロとした液体へと変わる。



聖獣は、あまりの出来事に驚愕しているようだ。





天使(聖獣)『ガッ……グルァァァァァァアアアアッ!!!』ダンッ!!!



追い詰められたように、聖獣は上条へと飛びかかる。



尾や槍のような遠距離攻撃がダメならば、直接その五体を引き裂くというつもりなのだろう。



獣の素早さで、上条へと一気に距離を縮める。

852: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/15(木) 21:29:19.96 ID:yttoubkV0










上条「御坂を返せっつってんだろうがァァアアア"ア"ア"ッ!!!!!!」ブンッ!!!!











ドゴォォォォォォォォォオオオオオオッ!!!!!




天使(聖獣)『グギャァァァァアアアアアッ!!!!』ダンッ!!ダンッ!!!





ガタンゴトンッ……



アアアアアァァァァァッ…………



ガタンゴトンッ……








上条へと、その牙や爪が届くその瞬間。




上条の打ち下ろしの右拳をカウンター気味に再び喰らい、聖獣はそのまま列車から落ちた。




線路下の、第23学区へと落下した聖獣を置き去りに、列車はそのまま走り続ける。

853: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/15(木) 21:31:27.63 ID:yttoubkV0
ガタンゴトンッ!!!


ガタンゴトンッ!!!







上条「……クソッ……チクショォォォオオオッ!!!」ダンッ!!!


聖獣を殴り飛ばし、上条はその場でコンテナを叩き潰す勢いで、拳で殴りつけている。








『大丈夫ッ!!!必ず追いつくから待っててッ!!!』







上条「御坂……お前まで……さっき必ず追いつくって言ってたじゃねーかよ……なぁ……」ググググッ……




聖獣と戦い、レーダーに反応が無い。




それは、すなわち御坂の死を意味すると言う事。




その事実に、上条は絶望に飲まれてしまう。























バチッ…………

854: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/15(木) 21:37:03.25 ID:yttoubkV0
上条「ちくしょう……チクショォォォオオオッ!!!」




上条は、声が枯れる程に叫び続ける。




何度も自分を助けてくれた御坂に、その借りを返す事無く、御坂を死なせた事に、悲しみ嘆きながら。















バチバチッ…………



「ねぇっ……」



バチバチッ…………
















上条「ッ!?」バッ!!


どこからか聞こえてきた声に、上条は跳ね起き、辺りを見回す。

855: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/15(木) 21:38:41.74 ID:yttoubkV0
確かに聞こえたのだ。



か細い、消え入りそうな声が。



しかし辺りを見るも、コンテナの上には誰も居ない。



コンテナの中か?




それとも……
















バチバチバチバチッ……



「おーい……こっちよ……こっち……」



バチバチバチバチッ……











ふと、か細い声が列車の横から聞こえてきた。




上条「……まさか……ッ!?」バッ!!




上条が、列車のコンテナから身を乗り出し、コンテナの壁面を見る。

856: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/15(木) 21:42:10.53 ID:yttoubkV0
バチバチバチバチッ!!

バチバチバチバチッ!!!







上条「……何だよ心配させやがって……あんまり遅いから迎えに来てやったぜ?ビリビリ」






上条当麻は思い出す。




デバイスのレーダーから反応が消えるケースは、そのメンバーの死の他にももう一つ。



前回、田中星人の戦いの際、今までレーダーに反応が無かった天井が、突如レーダーに反応した事を。



天井のよく使う『あの機能』が、田中星人のラスボスである鳥人に攻撃され、解除された事で、レーダーが反応した事を。




逆に言えば、『その機能』を使っている間は、その人間はレーダーに反応しないという事を。

857: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/08/15(木) 21:44:19.74 ID:yttoubkV0











バチバチバチバチッ!!!


御坂「だから……ビリビリって言うなって言ってるでしょ……アンタは……」ハァッ……ハァッ……


バチバチバチバチッ!!!













上条が涙目で見つめるそこには、息も絶え絶えになりながらもコンテナの側面に、自身の能力で生み出した磁力で貼り付き。




デバイスの機能の一つ、『カモフラージュ機能』を解除し始めた、両足を切断した御坂美琴の姿があった。

906: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/11(水) 21:23:39.41 ID:TXuLQVV20
上条到着前


…………




天使(聖獣)『グルルルルッ……』



御坂「ウ……ウァァァァァァァアアアッ!!!」バチバチバチッ!!!



真っ白な獣が目の前に現れた瞬間、御坂は恐怖と共に残る力を振り絞り、全力で電撃を飛ばす。



バサァッ!!
バサァッ!!!


バチィィィィイイッ!!!!



御坂「なっ!?あ、私の電撃が……翼で……」



電撃は、聖獣の背に生えた4枚の大きな翼によって、容易く防がれる。



天使(聖獣)『ガァァァァアアアッ!!!』ダンッ!!


聖獣は素早く間合いを詰め、御坂へと飛びかかり爪を振るう。



御坂「クッ!!」バッ!!



それを素早く避けようと、御坂が横へと転がったその瞬間

907: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/11(水) 21:25:49.29 ID:TXuLQVV20
ガブゥッ!!!
ブチブチッ!!!





御坂「……え?」ブシュゥゥゥゥゥウウッ!!!




それを上回る速度で聖獣が反応し、御坂の無事だった右脚を容易く喰い千切った。




御坂「あ……ァァァァアアアアアアア"ア"ア"ッ!!!」グラァッ!!!




ガタンゴトンッ!!

ガタンゴトンッ!!!




自分の喰い千切られた足を確認した瞬間、御坂は絶叫し、そのまま列車の上から落ちる。


聖獣『グルッ!?』バッ!!


聖獣は、御坂が下に落ちたのか確認するも、その姿を確認する事が出来ずに、そのまま喰い千切った足をかじりだした。

908: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/11(水) 21:34:51.65 ID:TXuLQVV20
ガタンゴトンッ!!






御坂「~~~~~~ッ!!!!」ググググッ!!!






ガタンゴトンッ!!!




そのすぐ側では、列車のコンテナの横に張り付き、咄嗟にカモフラージュ機能を起動させた御坂が、歯を喰い縛りながら止血を行っていた。





この1分後程に、上条達が救出に訪れ、現在に戻る。

909: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/11(水) 21:36:20.61 ID:TXuLQVV20
02:20


後続列車コンテナ上




ガタンゴトンッ!!


ガタンゴトンッ!!!



上条「よっと……ヒデェ怪我だ……」


御坂「ハァッ……ハァッ……」ゼェッ……ゼェッ……




コンテナに磁力で張り付いていた御坂を、上条が手を伸ばし救い出す。


御坂を抱えた上条が目にした姿は、腹部貫通・右足の膝下が切断、左足の足首切断という非常に危険な状態だった。


傷口やその手前ほどの箇所には、しっかりと止血帯が締められている。


通常ならば、止血する力も中々出ないだろうが、そこは高位の電気能力者だ。
生体電気を操作し、無理矢理身体を動かしたのだろう。

910: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/11(水) 21:45:26.67 ID:TXuLQVV20
上条「お前ほどのヤツがこんなになるなんて……ゴメンな。もっと早く助けに来れたらよかった」



御坂「ハァッ……ハァッ……何言ってんのよ……ちゃんと助けに来てくれたじゃない……アンタは……」ゼェッ……ゼェッ……



御坂は、息を荒げ虚ろな目を上条に向けながら答えた。
誰が見ても危険な状態だ。



上条「もう喋るなよ御坂。ツラいだろ?もうすぐ帰れるからな」スッ……



上条は御坂を抱え、東郷の待つバイクの元へと向かう。

911: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/11(水) 21:47:39.45 ID:TXuLQVV20
御坂「東郷さん……『お願い』叶えてくれたのね……ありがとう……」ゼェッ……ゼェッ……




御坂は、東郷へと視線を向け、礼を言う。




東郷自身も死なず、部屋のメンバーを守る。


そのお願いの範囲に御坂自身も含まれていたかはわからないが、現に東郷は上条と御坂を救っていた。




東郷「……問題ない。それに、まだ自分の任務は達成していない。お前、バイクの運転は出来るか?」



上条「へ?上条さんですか?友達の原付に乗った事ならありますが」



東郷「……なら問題無い。基本は同じだ。その子を抱えてコイツを運転しろ」バッ!!



東郷は、そう言いながらバイクの後部シートへと乗り込む。

912: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/11(水) 21:55:35.26 ID:TXuLQVV20
バサァッ……

バサァッ!




上条「何で俺が運転を……ってまさか……」ゾクッ……



上条の背に、冷たい汗が流れる。


そして、大急ぎで御坂を抱えたままバイクの運転席へ。




御坂「(……正直今にも死にそうだけど……少し役得……)」ギュッ!!


御坂は、残った力を使い切る勢いで、上条へとしがみつく。

913: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/11(水) 21:56:22.95 ID:TXuLQVV20
バサァッ!!


バサァッ!!!



東郷「早く出せッ!!来るぞッ!!」ジャキッ!!



東郷がXショットガンを構える。





上条「クッ!!」ギュルンッ!!




ブォォォオオオオッ!!!




上条がアクセルを振り絞り、一気にバイクを走らせる。


次の瞬間










バサァッ!!!!


天使(聖獣)『グルァァァアアッ!!!』


バサァッ!!!!




上条の右手に殴られ、高架下へと堕ちていった聖獣が、列車上空。
上条達の頭上へと一気に飛び上がってきた。

914: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/11(水) 22:00:28.71 ID:TXuLQVV20
ブォォォオオオオッ!!!



東郷「ッ!!」ギョーンッ!!ギョーンッ!!ギョーンッ!!



東郷は、Xショットガンのスコープを覗きながら追いかけてくる聖獣へと撃ち続ける。


聖獣は素早く空中を動き回り、東郷の照準を躱し続ける。






バサァッ!!!


天使(聖獣)『』ググググッ!!


バサァッ!!!




ドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!




上条達を追いかけながら。

更に東郷の狙撃を躱しながら、聖獣は大きな4枚の白い翼から分離した羽根を変形させ、矢のようにバイクへと放つ。

915: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/11(水) 22:11:26.42 ID:TXuLQVV20
東郷「加速しろッ!!」ギョーンッ!!ギョーンッ!!!


上条「わかったッ!!」ギュルンッ!!



ブォォォオオオオッ!!!



アクセルを更に回し、バイクの速度が上がる。



バイクの側を、聖獣の放った矢が掠めていく。
一発でも当たれば、上条のバイクの腕では持ち直せないだろう。




上条「東郷さんッ!!早くアイツを何とかしてくれよッ!!」ブォォォオオオオッ!!!


東郷「わかっているッ!!」カシャンッ!!



東郷はショットガンのフォアグリップを動かし、威力を犠牲に攻撃範囲を広める。



そして、スコープを覗いた。




東郷「……捉えたぞ」ジャキッ!!!



ギョーンッ!!ギョーンッ!!ギョーンッ!!!ギョーンッ!!!ギョーンッ!!!!




その瞬間、東郷は聖獣へとトリガーを何度も弾く。

916: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/11(水) 22:13:23.29 ID:TXuLQVV20
3



ブォォォオオオオッ!!!


上条「もうすぐだ。もうすぐアイツ等のところまで!!」

御坂「……」ゼェッ……ゼェッ……





2





バサァッ!!!


天使(聖獣)『』コォォォォオオオッ!!!


バサァッ!!!


聖獣は口を大きく開き、口内に光り輝くエネルギー体のようなモノを形成している。


このタイミングで使用する事から、聖獣のとっておきの力と言ったところだろうか。

917: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/11(水) 22:21:44.45 ID:TXuLQVV20
1






ブォォォオオオオッ!!!



上条「ッ!!見えた!!天井達だッ!!」





バイクを走らせる上条の前方に、こちら側を見ている天井達の姿が確認出来た。


たかだか1km程の道のりを走るのに、どれほど長く時間を感じただろうか。

918: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/11(水) 22:27:30.87 ID:TXuLQVV20
…………





<5秒前>




偏光能力「ッ!?おい、天井!!アイツ等何かデケェのに追われてんぞ!?」



天井「わかっているさ。レーダーで確認済みだ。さて……」チャキッ……



天井は、こちらに向かってくる上条達と聖獣へとZガンを向ける。




偏光能力「オイオイ……まさかテメェ、アイツ等諸共あの化け物を……」



天井「最悪そうなるかもな……彼等の頭上にあの化け物がいる限りは……」ニィッ……




天井は、聖獣を倒す為なら他の誰が犠牲になろうが気にも留めないだろう。






そして

919: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/11(水) 22:29:54.78 ID:TXuLQVV20
ブォォォオオオオッ!!!!!




上条「ッ!?あの野郎ッ!!俺等諸共潰す気かッ!?」



上条が、Zガンをこちらに向ける天井に気づく。




東郷「……問題無い。そろそろ3秒だな」スッ……



東郷が、Xショットガンを下ろす。





0






天使(聖獣)『グルァァァアアッ!!!』カッ!!


聖獣が、口内のエネルギー体を上条達へと放とうとしたその瞬間

920: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/11(水) 22:36:57.04 ID:TXuLQVV20
ドンッ!!

ドンッ!!!

ドドドドンッ!!!




天使(聖獣)『ギャンッ!?』グラァッ!!



突如、聖獣に前方から強い衝撃が、幾つも撃ち込まれる。





ドンッ!!!


聖獣が放ったエネルギー体は、上条達から照準を大きくズラし、下の23学区へ。



聖獣は突然の攻撃に一瞬怯み、その動きを止めた。

921: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/11(水) 22:49:09.96 ID:TXuLQVV20
天井「ッ!?今だッ!!」クンッ!!





同時に、聖獣に照準を合わせていた天井がZガンのトリガーを弾く。


上条達のバイクは、聖獣が怯んだ隙に距離を離す。






その瞬間









バサァッ!!!

天使(聖獣)『グルァ』



ドォォォォォォォォォォオオオオオオオンッ!!!!





上条「わっ!?」ブォォォオオオオッ!!!

御坂「クッ……」ギュッ!!



東郷「グッ!?……本当に……どうなっているんだこの都市は……」






ガッシャァァァァアアアアアアアアッ!!!!

ガラガラガラガラガラッ…………

922: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/11(水) 23:01:07.28 ID:TXuLQVV20
聖獣に天井のZガンが命中した瞬間。




聖獣は、真下にあった列車のコンテナや高架と共に、空からの超圧力に綺麗に押し潰され、後続のコンテナ車両ごと真下の23学区へと落下。



着弾地点の前後の高架を破壊しながら、後続の列車は全て脱線し、落下した。


聖獣諸共。





カッ!!


ドォォォォォォォォォォオオオオオオオンッ!!!!






上条「わっ!?あの光は……あの化け物が撃った光弾か?」




同時に、少し離れた23学区内の何処かで、光り輝く柱が出現した。


恐らくは、先ほど聖獣が放ったエネルギー体によるモノだろう。
外れたからよかったものの、東郷が銃撃を加えてなければ恐らくアウトだったハズだ。

923: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/11(水) 23:04:16.50 ID:TXuLQVV20
キキィィィィイイイッ!!!!



天井達の側を走り抜けたバイクを、上条がブレーキをかけて止める。




上条「ハァッ……ハァッ……御坂……もう大丈夫だぞ?」


御坂「うん……」ギュッ……


上条に抱きつくようにしがみついていた御坂を抱え、上条はバイクを降りる。




JJ『騎士様のおかえりだ。やるじゃないか少年』ポンッ


偏光能力「やっと戻ってきたか。遅ぇんだよ第3位」



チームのメンバーが、戻ってきた上条と御坂に声を掛ける。



天井「さて。全員揃ったところで、そろそろこの列車を止めるとするか。
これ以上大事にして、下手に騒ぎを大きくするわけにはいかないからな」

924: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/11(水) 23:06:43.23 ID:TXuLQVV20
上条「天井……テメェさっき俺等ごと……」



上条が、先ほどの天井の行動について問い詰めようとする。



天井「ん?何を言ってるんだ。君達なら何とかすると思ってたからこそ、構えて待っていたというのに」



確かに、結果的に天井のZガンによって聖獣を退けた為、強く言及する事は難しい。



上条「……お前だけは……必ず報いが返ってくるぞ?因果応報ってヤツがな……」


天井「だろうな。精々気をつけるさ」ピッ


天井が、上条の立つ列車後部より更に、後部車両へと移動しながらデバイスを取り出し、レーダーを確認する。


万が一、聖獣を先ほどのZガンで倒せなかったにしろ、暫くは時間を稼げているハズだろう。

925: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/11(水) 23:10:15.70 ID:TXuLQVV20
そう思っていた。
油断していたのだ。





天井も。


上条も。


御坂も。


東郷でさえも。



この場にいた全員が。






天井「ッ!?気をつけろッ!!まだ終わって」ギィンッ!!!!


上条「へ?」



レーダーを見た天井が、全員に注意を促そうとしたその瞬間







上条「な……天……井?」

御坂「……そんな……」



ドォォォォォォォォォォオオオオオオオンッ!!!!



上条の目の前で、天井がいた辺りのコンテナ車両が切り離され、そのままそこから後部の列車丸ごと、天井と共に真下の23学区へと落ちていった。

926: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/11(水) 23:13:19.10 ID:TXuLQVV20
ガッシャァァァァアアアアアアアアッ!!!!!!

ドォォォォォォォォォォオオオオオオオンッ!!!!!





上条「天井ッ!!」


偏光能力「クソッ!!一体何が起きやがった!?」ピッ!!



偏光能力が、デバイスを確認する。



学生「な、何だ!?今度は何が起きたんだ!?」


他の全員が下を見ると、列車の落ちた破壊音と共に、爆発による炎や爆発音が確認出来た。



偏光能力「ッ!?上条!!こっちの車両に来い!!今すぐ!!」



上条「ッ!?」ダッ!!



偏光能力が叫び、御坂を抱えた上条は、咄嗟に前の車両へと飛び移る。



その瞬間




ギィンッ!!!!



ズズズズッ…………



上条「な……」




先ほどまで上条が立って居たコンテナ車両は、鋭い刃物のようなモノで豆腐のように切り裂かれ、大部分が下に落下していった。

927: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/11(水) 23:27:34.57 ID:TXuLQVV20
偏光能力「気をつけろ!!あの化け物、まだ生きてこの列車に纏わり付いてやがる!!どうやったら死ぬんだよコイツはァッ!!!」



偏光能力がレーダー見ると、最後尾のコンテナ車両に青い点。



すなわち、ターゲットの反応が光っている。





ガタンゴトンッ!!



天使『ォォォォォオオオオオッ!!!!』



ガタンゴトンッ!!!





東郷が足止めし、天井のZガンをまともに喰らってもなお、天使は追ってきているのだ。



もはや、先ほどまでの威厳ある聖獣の姿ではない。



上条「天井が居ない今、強力なZガンはもう使えない……どうする?どうすればいい……」



Zガンによって力の半分程を削り取られ、なりふり構わない化け物。



上条達を、排除することだけを目的とした殺戮マシーンが、最難関の天井を排除し、上条達へと喰らい付く。

940: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/12(木) 21:04:44.68 ID:kC7CQ1/a0
02:30



学園都市 第23学区 駅内




プルルルルッ


プルルルルッ



第23学区のとある駅内にて、携帯電話の着信音が鳴り響く。




ピッ



??「ハイもしもし。おぉ、どうした?」



坊主頭で黒いジャケット、黒いズボンと全身黒づくめの男が携帯に出る。


その周りには、ホストのような外見の身なりの整った、これまた黒づくめの男達が数人、談笑していた。



??「ハァッ?マジで?おぉ、わかった。任せとけって。ぜってぇ俺がやってやっから。あぁ」ピッ

941: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/12(木) 21:05:52.30 ID:kC7CQ1/a0
黒服1「どうしたんすか?斉藤さん」



黒づくめの男の一人が、電話をしていた男に話しかける。



斉藤「何かゴキブリ達が列車でこっちに向かってるっぽいぞ。えらく派手に暴れながら」



黒服1「マジっすか!?」



斉藤「マジだよマジ。わざわざ学園都市まで遊びに来た甲斐があったってモンだ。オラ、お出迎えの準備すんぞ」

942: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/12(木) 21:06:45.57 ID:kC7CQ1/a0
同時刻




第23学区 貨物列車




ガタンゴトンッ!!

ガタンゴトンッ!!!



天使『ォォォォォオオオオオッ……』ドロドロッ……


最後尾のコンテナの上で、身体の半分程を完全に失った天使が、スライムのようにドロドロとした形状になっていた。


もはや殆ど理性は残っていない。


残されたのは、この天使の能力である身体を液化・硬化させる力と、上条達の排除という殺意のみ。


そのスライムのような形状をムチのように伸ばし、先端は刃物のように硬化させ、何本もの鎖鎌のようなモノを作り出していた。

943: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/12(木) 21:11:11.66 ID:kC7CQ1/a0
ギィンッ!!!

ギィンッ!!!



ドォォォォォォォォォォオオオオオオオンッ!!!



そして、その鎖鎌は列車のコンテナを容易く斬り裂き、次々に線路の下へと落下させていく。


そして、上条達をドンドン前の列車へと追い詰めていく。



偏光能力「走れ走れッ!!さっさと先頭車両の方に移動しろ!!追いつかれるぞ!?」ギョーンッ!!ギョーンッ!!!


上条「東郷さんッ!!俺らでコイツを止めるから、先頭車両に行ってコイツを止めてくれッ!!」



東郷「了解した」ダッ!!



偏光能力は、Xガンを天使へと撃ちながら、先頭車両へと逃げるメンバー達の殿を務める。

944: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/12(木) 21:13:38.50 ID:kC7CQ1/a0
グチャッ!!

グチャッ!!



天使『ォォォォォオオオオオッ……』ドロドロッ……



偏光能力「クッ!!やっぱ効かねぇか!!どうすりゃいいんだよ!!」ギョーンッ!!ギョーンッ!!!



しかし、天使の身体は爆散するも、すぐさま再生してしまう。


今の状態では、Xガンではダメージを与えられないようだ。




上条「どけっ、偏光能力ッ!!」チャキッ!!



バシュウッ!!!



偏光能力の背後から、御坂を抱えたまま上条がYガンを撃つ。

3つの小型ロケットから形成されたレーザー網は、天使を捕らえようと飛んで行く。



しかし、レーザー網は天使の身体を貫通し、拘束する事は出来なかった。

945: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/12(木) 21:20:03.37 ID:kC7CQ1/a0
上条「クソッ!!ほぼ全身液体みたいなモンだから、物理的な攻撃じゃ当たらねぇ!!」


偏光能力「俺の能力も、こう無差別に攻撃してくるヤツには効果がねぇ!!
第3位の電撃や、天井のZガンがあれば有効かもしれねぇけどな」ギョーンッ!!ギョーンッ!!!



今のところ、天使に対しての有効打は、御坂の電撃。上条達は知らないが、御坂の持つ特殊矢。天井のZガン。そして、上条の幻想殺し。



しかし、天井は車両と共に落下し生死不明。


幻想殺しは、御坂を抱えている為使えず、御坂の電撃や矢は、御坂自身が使える様な状態ではない。

946: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/12(木) 21:30:35.17 ID:kC7CQ1/a0
天使『コォォォォオオオオッ!!!』



ギィンッ!!!

ギィンッ!!!


上条「うわっ!?」バッ!!


ドォォォォォォォォォォオオオオオオオンッ!!!!



再び車両が切り刻まれて落ちて行く。


残る車両は、先頭車両を入れて8両ほど。


余裕はあまり残っていない。




御坂「ねぇ……ちょっと……」ゼェッ、ゼェッ


上条「どうした!?どっか痛むのか!?」


御坂が上条へと声を掛け、上条は一旦下がり、御坂へと応える。

947: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/12(木) 22:22:32.75 ID:kC7CQ1/a0
御坂「私の背中の矢筒に……青い矢が入ってるから……どうにかしてアイツに当てて……そしたら動きを止められるハズ……」ゼェッ、ゼェッ



上条「矢筒?これの事か?」ガサッ



上条は、御坂の背中の矢筒を取り出した。



御坂「そう……それを弓で射れば……多分アイツは凍りつくから……」


上条「この青い矢か?だけど俺、弓なんて撃った事も触った事もねぇよ」


御坂「だったらとにかく……どうにかして、その先端の筒に強い衝撃を与えれば……多分いけるから……」



御坂は、弓を使わずとも先端の筒が割れれば、多少は効果があるハズと上条に説明する。




上条「強い衝撃か……全力で投げればいいのか?でも、アイツの身体を通り抜けそうだけど……ッ!?まてよ?」


上条は、何か思いついたようだ。

948: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/12(木) 22:40:56.20 ID:kC7CQ1/a0
ヒュンッ!!

ヒュンッ!!

ギィンッ!!!



偏光能力「クッ!!こんなヒュンヒュン得物を飛ばされちゃあ、いつまで保つかわかんねぇぞッ!?」バッ!!



天使の放つ鎖鎌のような変則的な動きの攻撃を、偏光能力は避け続ける。


スーツの防御無効の攻撃だ。当たれば致命傷になりかねない。



上条「偏光能力ッ!!Xガンを貸してくれッ!!」


偏光能力「あぁ!?ンなモンどうすんだよ!!コイツには効かねぇぞ!?」


上条「いいから早くッ!!」


上条は、偏光能力へとXガンを要求する。
殺しを行う気の無い上条は、捕獲用のYガンしか銃は持っていないからだ。

950: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/12(木) 22:54:21.20 ID:kC7CQ1/a0
偏光能力「あーあーわかったよ!!オラッ!!」ヒュッ!!


偏光能力が、Xガンを上条に右手で投げ飛ばした瞬間




天使『ヒャァァァアアアアッ!!!』ヒュンッ!!!




ザンッ!!!


偏光能力「痛ゥッ!!!」ブシュゥッ!!!



偏光能力の右手目掛けて天使の斬撃が襲いかかり、人差し指と中指の二本を失った。




上条「偏光能力ッ!!」パシッ!!


Xガンを受け取った上条は、負傷した偏光能力へと声を掛ける。

951: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/12(木) 22:56:12.16 ID:kC7CQ1/a0
偏光能力「ッ~~~!!!大した事ねぇ!!それより、お前は早くそれを使って何とかしろッ!!もう列車が保たねぇぞ!?」ブシュゥゥゥウッ!!!



天使『ァァァァアアアアッ!!!』ヒュンッ!!ヒュンッ!!!



ギィンッ!!

ギィンッ!!!!


偏光能力は、右手を抑えながら天使の追撃を躱す。更に一両分のコンテナ車両が斬り刻まれ、下に落ちる。


23学区の至るところに列車が落ち、被害は相当なモノになっているだろう。



たかが、一体の天使の為に。

952: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/12(木) 22:59:15.27 ID:kC7CQ1/a0
上条「御坂ッ!!この矢の先端を狙って撃ってくれ!!」スッ……



御坂「え?……ッ!?なるほど……わかったわ……」グググッ……



上条は、御坂にXガンを渡し、自身は数本の青い矢を握りしめる。
瀕死の御坂には少し酷だが、上条は御坂を抱える為に片手を使っている為、御坂の協力が必要なのだ。




御坂「いくわよ……」グググッ……


ギョーンッ!!!ギョーンッ!!!ギョーンッ!!!!



そして、御坂が青い矢の先端を狙って、Xガンを撃った。

953: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/12(木) 23:14:08.81 ID:kC7CQ1/a0
3



上条「よしっ!!偏光能力ッ!!今すぐ下がれ!!巻き込まれるぞ!!」



上条は、左手に青い矢を握りしめながら、偏光能力へと叫ぶ。



偏光能力「あぁ!?何する気なんだアイツはッ」バッ!!




同時に、偏光能力が後退し始める。





2




天使『ォォォォォオオオオオッ!!!』ヒュンッ!!ヒュンッ!!!




それと同時に、天使が偏光能力へと攻撃を放つ。



偏光能力「クッ!!」キィンッ!!ギィンッ!!!



偏光能力は、ガンツの刀で防御するも、無事な左手だけでは上手く捌けず、刀を弾かれる。




どうやら、逃がす気は全くないらしい。

954: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/12(木) 23:16:02.09 ID:kC7CQ1/a0
1




上条「うぉぉぉぉぉぉおおおっ!!!」ブンッ!!!




上条は、左手に持っていた青い矢数本を、天使の頭上へと投げつける。



上条「偏光能力ッ!!何処でもいい!!今すぐ何処かに身を隠せ!!」



偏光能力「クッ!!そういうのはもっと早く言えってんだ!!」ブンッ!!


ドゴォォオオッ!!!!



偏光能力は、とっさに足元のコンテナを殴り、そこに穴を開けた。

955: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/12(木) 23:27:12.34 ID:kC7CQ1/a0
0




天使『ォォォォォオオオオオッ!!!』ヒュンッ!!!



偏光能力「うぉっ!?」バッ!!



その瞬間、天使の攻撃が偏光能力へと向かうが、間一髪コンテナの中に入り躱した。




天使『ォォォォォオオオオオッ!!!!』ヒュンッ!!ヒュンッ!!!



すかさず、今度は上条へと攻撃の矛先を変え、斬撃を飛ばす。




上条「クッ!!御坂!!」バッ!!

御坂「ッ!?」ギュッ!!



上条が、抱えた御坂の盾になろうと、背を向けて屈んだその瞬間

956: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/12(木) 23:34:25.28 ID:kC7CQ1/a0
カッ!!



ブワァァァァァァァアアアアアアッ!!!!!





天使『ァァァァァァアアアアッ!!!!!』パキパキパキッ!!!



上条「クッ!!さ、寒みぃッ!!!」ピキピキッ!!

御坂「~~~ッ!!」ギュッ!!!





Xガンの銃撃により、青い矢の矢筒が爆散し、その衝撃で中身が拡散し、天使周辺に凄まじい冷気が襲いかかる。



その冷気は、御坂が弓で放った時よりは格段に弱いが、天使から十数メートル離れた上条達をも、凍てつかせようとする程だ。




そして、高速で動く列車の風圧により、冷気は僅か2、3秒で流れていった。



しかし

957: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/12(木) 23:37:42.36 ID:kC7CQ1/a0
天使『カ……ギッ……』ピキピキッ……



上条「クッ……凄え威力だったな……こっちまで凍え死ぬかと思ったぜ……」ガタガタッ……


チャキッ!!


液体のような身体の天使を凍りつかせるには、十分な威力だったようで、上条は寒さに震えながらもYガンを取り出し、天使へと構えた。


上条「…………ギリギリだったな……上条さんにも、たまには幸運が舞い降りたのか?」


目の前数十センチには、天使から伸びた鋭利な刃が凍りついていた。

あと1秒遅れれば、コレが上条の身体を貫いただろう。

958: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/12(木) 23:39:17.00 ID:kC7CQ1/a0
上条「『神』だか天使だか知らねぇけどなぁ。上条さんは右手のお陰でアンタ等の御加護はもらった事がねぇんだよ。

借りもねぇし、好き勝手に暴れてくれたツケは払ってもらうぜ!?」カチッ!!


バシュウッ!!!


グルンッ!!
グルンッ!!!



天使『ギッ……ギギッ……』グググッ……



強制的に、液体から凍らされ、固体へと身体が変化している天使は、上条のYガンに容易く捕縛される。






この上条にとっての。


そして、インデックスを救った方の上条にとっても、長い長い夜が、今終わろうとしている。

959: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/12(木) 23:48:06.13 ID:kC7CQ1/a0
天使『ギッ……貴様ハ……危険ダ……アリエナイ……』ピキピキッ……



天使は上条を見ながら何かを呟く。



天使『アリエナイ……主ヨ……コノ男ハ……』ピキピキッ……



上条「ミッション終了だ。じゃあな、天使サマ」カチッ!!



ジジジジジッ……



上条がもう一度トリガーを弾くと、天使が転送されていく。




天使『コノ男ハ……コノ男ノ『中』ニハ…………』ジジジジジッ……





そして、数秒後。




天使は完全に、転送された。




02:33





ミッション終了

961: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/13(金) 00:07:31.94 ID:cM7vNy470
ガタンゴトンッ!!


ガタンゴトンッ!!!





キキキィィィィィィイイイイッ!!!!!





上条「うわっ!?」ガクンッ!!

御坂「キャッ!!」




突如、高速で走っていた列車が、減速を始める。


どうやら、先頭車両で東郷がブレーキを掛けたようだ。



列車は、23学区の駅にゆっくりと入っていき、駅内で完全に動きを止めた。

962: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/13(金) 00:08:54.23 ID:cM7vNy470
上条「ふぅ……ようやく全部片付いたな……そうだッ!!偏光能力ッ!!大丈夫か!?」


上条が、コンテナに穴を開け、冷気から逃れた偏光能力の安否を確かめる。



偏光能力「大丈夫じゃねぇよ馬鹿野郎ッ!!寒ぃんだよッ!!さっさと転送しろコラァッ!!!」ゴンッ!!ゴンッ!!!!



コンテナの中からは、偏光能力の怒声が聞こえてくる。
どうやら、冷気で凍えてはいるものの、無事なようだ。



上条「アイツは無事か……東郷さん!!皆!!無事だったか!?」



上条は、列車の先頭車両から降りて来た他のメンバーを確認する。



そこには、東郷、空手着外人、学生の3人が居た。

963: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/13(金) 00:10:37.59 ID:cM7vNy470
東郷「……なんだ?」ジジジジジッ…………



偏光能力「お、来た来た。早くしてくれ!!前回は焼け死にそうだったのに、今回は凍え死にそうだ!!」ジジジジジッ…………




上条「転送が始まった……帰れるぞ!?御坂!!」


御坂「うん。よかった……」





東郷達が転送されていくのを見て、上条と御坂は安堵する。




今回も無事に帰れるのだと。

















そう思っていた。



この瞬間までは。

964: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/13(金) 00:15:26.95 ID:cM7vNy470
学生「ん?何だアンタ達……ッ!?な、何しやがる!!グッ!!離せよッ!!」




ふと、先頭車両の方から、生き残っていた学生の声が。




上条「ん?どうしたんだ?」スッ……





再び、上条は先頭車両へと目を向ける。


パンッ!!

パンッ!!!

パンッ!!!!



JJ『クッ!!何だお前等!?』キィンッ!!ギィンッ!!


学生「ガッ!?クソッ!!何で能力で燃やしても死なねぇんだ!?人間じゃねぇのかコイツ等!!」




上条「なっ……何だアイツ等!!」



上条の目の前には、黒い服を来た男達に囲まれている、学生と空手着の外人の姿が。



そして、銃撃音が鳴り響いた。




自分達は今、一般の人間には姿は見えないハズなのに。

965: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/13(金) 00:17:20.06 ID:cM7vNy470
ズシュッ!!!



学生「グァァァアアアッ!!!クッ……ソッ……エリート能力者の俺が……こんなところで……」



パンッ!!!
パンッ!!!
パンッ!!!!




学生「」ドシャアッ!!!




次の瞬間には、学生は坊主頭の黒服に斬られ、トドメに拳銃で数発撃たれ、倒れた。





上条「ッ!?テメェ等!!何なんだ一体!!」ザッ!!




列車の上から、空手着外人を囲む黒服達に上条が叫ぶ。




黒服達は、全員が一斉に上条へと振り向いた。

967: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/13(金) 00:21:29.28 ID:cM7vNy470
黒服1「斉藤さん!!歯応えありそうなヤツが残ってましたよ!?」

黒服2「ガキのくせに、一丁前に女を抱えてやがる。さっさとバラして飯にしましょうや」


取り巻きの内の2人の黒服が、斉藤と呼ばれる坊主頭の黒服へと話し掛ける。

どうやら、この中ではその斉藤がリーダー格のようだ。





斉藤「そうだな。先に男のスーツをぶっ壊せ。油断すんじゃねーぞ」チャキッ



上条「なっ!?」




黒服達は、日本刀と拳銃を持ちながら、上条と御坂を見る。



それはまるで、『獲物』を見る肉食獣のような目で。



人間とは思えない動きで、上条と御坂へと襲いかかっていった。

968: ◆fz1M8ohQ8Y 2013/09/13(金) 00:53:47.25 ID:cM7vNy470
次回予告





インデックス「インデックスは……とーまの事が大好きだったんだよ?」





ステイル「数十年前から、世界各地に突如現れた人ならざる者。
おとぎ話のソレと同じ、血を好み日に弱いという特徴から、僕等にはこう言われているよ。『吸血鬼』とね」






??「人間じゃねェだァ?大して変わンねェよ。俺がこの手で触ればボンッ!!だ」





??「結局……アンタは一体……何者な訳よ!!」





??「パリィッ!!パリィッ!!!パリィッ!!!ってかァ?笑わせんじゃねぇぞ!?クソガキィッ!!」






























浜面「またせたなお前等……ヒーロー見参ってヤツだッ!!」