前回 瑞鶴「目標、母港執務室の提督……と翔鶴姉ぇ!」 前編

540: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/10(木) 20:35:22.53 ID:aQLObRCR0
注意:やっぱりこの話はなんの関係も繋がりもアリマセン


ていとく「なあ瑞鶴よ。>>538 の言ってることは本当か?」

瑞鶴「また爆撃されたいのかしらこの提督さんは……。まあ、ホントだけど」

ていとく「いやー純粋に気になったんだよ」

瑞鶴「まだ竣工する前のハナシよ。神戸から呉に向かう時に、ちょっとドジっちゃっただけ」

ていとく「舷窓……と言うことは喫水線付近だよな。艦娘で言えば下半身っ。つまり濡れたのは瑞鶴のお――――」


スコーンッ!


翔鶴「……提督、瑞鶴へのセクハラ行為は許しませんよ?」

ていとく「OK、その160番装備の爆風は下ろそうか。大和弾とか食らったら俺死んじゃうから」ア、ヒタイニ ササッテル……




547: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/11(金) 21:00:17.20 ID:mKDcFwEX0

・・-・・ナツガキタ・・・


ミーンミンミンミン……


瑞鶴「あづー……」


シュワシュワシュワシュワシュワ……


瑞鶴「あづい……」


ポイポイポイポイポイポイポイポイポイッポイ……


瑞鶴「あーつーい!!」ジタバタ




翔鶴「瑞鶴、はしたないわよ?」

瑞鶴「もうなんなの。ついこの間まで雨ばっかりだったのにさ!」

提督「梅雨が明ければこんなものだろ」

瑞鶴「しかもちょっと前まではここまで暑くなかったじゃん! 夜とかは涼しかったのに今じゃあ一日中……!」

提督「それがこの国の夏だからなあ。まあ、暑いのには同意するけど」

瑞鶴「冷房がほしい……」

提督「食堂に行けばあるじゃないか。たぶん建物内で最も快適な場所だぞ」

瑞鶴「ここにも置こうよー。冷房ー! 扇風機だけじゃあ足りないぞ―」ジタバタ

翔鶴「確かに、お仕事の効率を考えると必要かもしれませんね」

提督「んー、今は余裕がないなぁ。まあでも、秘書艦として頑張ってくれている翔鶴のためにも考えたほうがいいかな」

瑞鶴「私もいるんだけどー!」プクー

提督「ほら瑞鶴、今なら食堂で好きなだけひんやりできるぞ」

瑞鶴「行きたいけどさ―。そりゃあ張り付いてたいけどさー」

翔鶴「……子供たちに混ざるのは恥ずかしいと?」

瑞鶴「……うん」

548: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/11(金) 21:05:31.25 ID:mKDcFwEX0


―食堂―

深雪「あ"ぁー……快適だぜぇ」ヒヤヒヤ

叢雲「深雪、アンタちょっとダラシないわよ……」ヒヤヒヤ

初雪「そう言う叢雲も、空調最前列組」ヒヤヒヤ

磯波「ま、まあ暑いからしょうがないよね?」ヒヤヒヤ

白雪「私の名前のように冷たくなりたいなあ」ヒヤヒヤ

吹雪「あ、それは私も同じかも」ヒヤヒヤ


白露「ちょっと吹雪たちー。そこに居られたら風が来ないよー!」

村雨「まあここでも涼しいからいいんだけどね」

夕立「間宮さんのアイスがなかったらガマン出来ないっぽい」

時雨「かき氷もね」

五月雨「涼風。一緒にメロンゼリー食べようよ」

涼風「おぅっ。あ、でも五月雨。フタ開けるのはあたいやるからいいよ」


加古「」Zzz

古鷹「ちょっと加古、いくらなんでもここで寝ちゃダメだってば」


夏の暑さは艦娘にとっても過酷なようです

549: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/11(金) 21:10:49.75 ID:mKDcFwEX0

・・-・・チナミニ他ノ皆サンハ・・・


扶桑「今日も空が高くて良い天気ね」チャプ……

山城「そうですね。姉さま」チャプチャプ……

扶桑「暑いのは嫌だけれど、こうしていれば涼は取れるわね。足が気持ちいいわぁ」

山城「桶に水を張って足をつけてるだけなのになぁ」パシャッ

鳳翔「足湯の逆、といった所でしょうか」

山城「あ、そう言われればそうかも」

鳳翔「周りに打ち水もしましたから、風が吹けばもう少し涼しくなりますよ」

扶桑「縁側で水に足をつけながらこうしていると、本当に平和ねぇ」

鳳翔「えぇ。今が戦いの最中であることを忘れてしまいそうです」


大鯨「みなさん。食堂から水羊羹を持ってきました。今まで冷水で冷やしていたので、自然な冷たさになってます。あと、冷えすぎても困るので少し温めのお茶もありますよ」

扶桑「まあ。美味しそう」

山城「気が利くわね大鯨。ありがと」

大鯨「いえいえ。暑い時はこう言うのが一番ですから」


チリーンチリーン……


鳳翔「ふふっ。文明の利器に頼らない涼の取り方というのも、なかなか乙なものですね」

550: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/11(金) 21:15:38.72 ID:mKDcFwEX0


那珂「わぁーお!」

神通「鎮守府のすぐ近くにこんな場所があるなんて……」キヅカナカッタ


川内「どうよ! ここなら日差しも入ってこないし奥から風も吹いてくる。暑い時にはぴったりでしょ?」


那珂「天然の洞窟みたいだねー。さっすが川内ちゃん。やるねぇ」

神通「で、でも……一体どうやって見つけたの?」

川内「んー、夜中にちょっと辺りを歩いてたら偶然」

神通「夜中?」

川内「うん」

神通「(最近夜静かになったと思ったら外に出てたんだ……)」

川内「夜目を鍛えるってのもあったけどね。ほら、改装しても夜戦は好きだからさー」

那珂「でも、この奥ってどうなってるんだろうね? 風来るってことは反対側があるってことだし」

川内「それは私もまだ行ってないから分かんないや」

那珂「せっかくだから行ってみる?」

神通「えっ? い、行くの……?」オロオロ

川内「いいじゃん。行ってみようよ。もしかしたらもっと涼しくなれるかもよ」

神通「そ、それって……」

那珂「まあまあ神通ちゃん。旅は道連れ世は情けだよー」イコイコー


川内型の探検がどうなったかはご想像におかませします

555: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/12(土) 21:10:23.78 ID:LzIgGG9z0

・・-・・五月雨サント涼風サン・・・


涼風「さぁ提督。こいつぁ一体どういう事か説明してもらおうじゃないか」

五月雨「提督……」ウルウル

提督「二人とも、本当に申し訳ない!」

涼風「てやんでぇ。ゴメンで済んだら警察なんかいらねぇや」

五月雨「私たちって、そんなに影が薄いんですか?」

提督「いやいや、決してそんなことはない。もちろん蔑ろにしてるとかでもないんだ」

涼風「じゃあ一体どういうコトなのさ」

提督「これについては謝る以外にない。本当にその時ばかりは頭から抜けてたんだ」

涼風「……本当にド忘れなのかい?」

提督「面目次第もございません」

556: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/12(土) 21:15:51.87 ID:LzIgGG9z0

―少し前 執務室―


白露「提督、もどりましたー!」

提督「おぉ。おかえり……ってみんなずぶ濡れだなあ!」

村雨「それが帰投中にスコールに遭っちゃいまして」

時雨「さすがに良い雨とは言えなかったね」

夕立「服が張りついて気持ち悪いっぽい」

提督「風邪引く前に風呂に入らないとな。その前に拭かないと……翔鶴、悪いがタオルを持ってきてくれないか」

翔鶴「はい。かしこまりました」タタタ……


提督「この時期は本当に出撃に向かないなあ。ここでは曇ってるだけなんだが……」

時雨「降られた時間は短かったけど、凄い量だったからね」

白露「でもさあ。黒い服でよかったよねー。もし白とかだったら透けちゃって大変だったもん」

村雨「いくら提督でも、村雨さんの下着は簡単には見せませんよー?」

夕立「てーとくさん、下着見たいの?」ミルッポイ?

提督「こらこら。大人をからかうんじゃありません。でも――――」


ガチャッ

涼風「かぁーっ! 遅れた上にすっかり濡れちまったよ」

五月雨「ごめんね、涼風……」


提督「――白露型はみんな服装が黒だからこの場に限っては目のやり場に困らないで済んでるよ」



涼風「えっ?」←白透け真っ最中

五月雨「えっ?」←白透け真っ最中

提督「えっ?」



翔鶴「タオル持ってきました……って、あら?」

557: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/12(土) 21:20:23.00 ID:LzIgGG9z0

涼風「まさかあたいたちが忘れられてたなんてショックだよぉ」

提督「忘れてたわけじゃあないんだ。ただ白露たちと一緒になってたというか……な」

五月雨「毎日顔を合わせているのにですか?」

提督「そ、そう言われると……心苦しいものが」

涼風「こりゃああたいたちの言うことなんでも聞いてもらわないと許せないなあ。なー五月雨?」

五月雨「う、うんっ!」

提督「……おぉ。いつになく五月雨が積極的に。ま、まあ悪いのは全面的にこっちだし、叶えられる範囲でよければ」

涼風「お、言ったねぇ。それじゃあ早速」

提督「え、もう?」ハヤイナ……

涼風「そんな大したことじゃないから大丈夫だって。あたいたち、前から一度でいいから――――」

558: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/12(土) 21:26:31.78 ID:LzIgGG9z0



ガチャッ

翔鶴「提督……あれ、提督?」キョロキョロ

提督「やぁ。おかえり翔鶴」←仮眠ベッドの上

翔鶴「えっ、あの……どこかお身体の具合でも悪いんですか?」

提督「そうじゃなくてな。二人に添い寝を頼まれたものだから」

翔鶴「二人って……あ」ヨクミルト……


五月雨「Zzz」←提督左側くっつき

涼風「Zzz」←提督右側くっつき


提督「ちょっと二人を怒らせてしまってね。それで、お詫びにってことで添い寝をお願いされた次第だ」

翔鶴「そう、だったんですか……」ジー

提督「途中で雨にも降られたし、遠征航海で疲れたのかもしれない。横になったらすぐに寝付いてしまったよ」

翔鶴「……いいなぁ」ボソッ

提督「えっ?」

翔鶴「な、なんでもありませんっ。では……少しだけ外しますね。起こしちゃったら悪いですから」

提督「すまないな」

翔鶴「いいえ。では……」


……パタン


提督「……よくよく考えたら、誰かと眠るなんていつ以来だろうかなぁ」

五月雨「Zzz」ムニャ……

提督「駆逐艦の子たちといると、本当に自分がお父さんになったような気分だ」

涼風「Zzz」テヤンデェ……

提督「今後も、こんな穏やかな時間が流れて欲しいものだ。その為にも……」ファー……


提督「俺まで眠くなってきた……。まあ、少しくらいならいいかな」


五月雨さんと涼風さんは立派な白露型です ゴメンナサイ

566: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/13(日) 11:33:29.88 ID:VE2SBFns0

・・-・・アッチコッチ瑞鶴・・・


―執務室―

瑞鶴「てーとくさーん。瑞鶴暇だよー」ヒマヒマー

提督「そうかー」サラサラ

瑞鶴「むぅ。翔鶴姉ぇはー?」

提督「翔鶴なら今は工廠で妖精と打ち合わせだ。いよいよ戦力増強を考えないといけなくなったからな」

瑞鶴「……むー」プクー

提督「………………」カキカキ

瑞鶴「不貞腐れるぞー」アシ プラプラ

提督「さすがに今されると困るなぁ」サラサラ

瑞鶴「だって退屈なんだもん」

提督「最近雨続きで出撃どころじゃないしな」

瑞鶴「他のみんなも暇なんじゃないかな」

提督「まあそれは否定できないが……。とは言っても俺は俺で仕事があるからなぁ」

瑞鶴「なにか手伝おっか?」

提督「申し出は大変ありがたいんだが、これは俺しか見ちゃダメな書類だから」

瑞鶴「ちぇー」

提督「退屈なら他のみんなを訪ねてみたらどうだ? もしかしたら同士がいるかもしれないぞ」

瑞鶴「んー、そうしよっかなあ」ヨッ、ト

567: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/13(日) 11:38:12.83 ID:VE2SBFns0


瑞鶴「――さて、執務室を出たはいいけど……まずは食堂にでも行ってみようかな」テクテク




―食堂―

瑞鶴「誰かいるかな―?」


扶桑「あら?」

山城「瑞鶴じゃない。どうしたの?」

瑞鶴「出撃もないから暇になっちゃって……。それで、とりあえずここに来てみたの。二人は?」

扶桑「私たちはここでお茶を飲んでるの。昔からの癖なのか、こうしている時間が一番落ち着くのよねぇ」ホノボノ

山城「昔は、雨を見ながら不幸だわ……とか言ったものだけど、今は違って見えるから不思議なものよねぇ」シミジミ

扶桑「よければ瑞鶴も一緒にお茶する?」

瑞鶴「んー、せっかくだけど遠慮しようかな。二人の時間を邪魔しても悪いし」

山城「あら、気が利くわね」

扶桑「山城ったら」モゥ

瑞鶴「あ、そう言えば提督さんが言ってたんだけど、もしかしたら戦力増強するかもって」

山城「そうなの?」

扶桑「だとすると、やっぱり戦艦なのかしら……。航空戦艦になった以上、尚更伊勢や日向には負けたくないわ」

山城「あの人ったら、まさか扶桑姉さまが力不足だからとでも言いたいのかしら!」

瑞鶴「ま、まだどうなるかは分からないけどね。するかもって話」

扶桑「でも、そんな話が出たということは、私たちも遠方へ出撃することが増えるのかもね」

山城「どんな敵が相手でも、扶桑姉さまと私がいれば向かうところ敵なしです! ねっ姉さま?」

扶桑「ふふっ。そうね」

瑞鶴「じゃあ、私はもう行くね」

山城「……あっ、瑞鶴。ちょっといい?」

瑞鶴「ん? どうしたの」

山城「提督に会ったら……例えどんな戦艦が来ようとも、私と扶桑姉さまは負けませんって、伝えておいて」

瑞鶴「……山城さんは素直じゃないなあ」ニコニコ

山城「いいの! とにかくっ。頼んだわよ」

瑞鶴「はーい」

568: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/13(日) 11:43:40.98 ID:VE2SBFns0


―工廠―

瑞鶴「提督さん曰く、ここに翔鶴姉ぇがいるらしい」


工廠妖精「瑞鶴さん。なにかご用事?」ケンゾウ? カイハツ?

瑞鶴「用事というか、翔鶴姉ぇはいる?」

工廠妖精「ついさっき戻っていったよ」

瑞鶴「ありゃ……行き違いか」

工廠妖精「残念?」

瑞鶴「んー。まあ残念といえば残念かな。用事があるわけじゃないんだけどね」

工廠妖精「そうなの?」

瑞鶴「出撃なくて退屈だったからね。翔鶴姉ぇ探しがてら散歩、かな」

工廠妖精「退屈といえば、私たちも退屈なの。建造したい!」

瑞鶴「あー……そう言えば、ここへ来てから一回も建造してるの見たことないかも」

工廠妖精「提督さん建造には関心が薄いの。開発ばっかり」

瑞鶴「そんなに余裕が無いって言ってたっけなあ。あ、でも、今度戦力を増やすかもって」

工廠妖精「?!」シゴトダ!

瑞鶴「今すぐってわけじゃないけど、妖精さんの出番は近いかもね」

工廠妖精「建造……我らのアイデンティティ」ワクワク

瑞鶴「実際建造する時は提督さんが直接来ると思うからよろしくね。じゃあ、私はもう行くね」

工廠妖精「また会いましょう」フリフリ

569: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/13(日) 11:48:37.00 ID:VE2SBFns0

―母港―

瑞鶴「さて、なんか人影が見えたような気がしたからこっちに来てみたけど……」


時雨「あれ? 瑞鶴じゃないか」


瑞鶴「時雨、何やってるのこんな所で」

時雨「雨をね。見てたんだ」

瑞鶴「雨って……それなら部屋の中から見ればいいのに」ヌレルワヨ?

時雨「元々がフネだったせいもあるんだろうね。こうして外に出て、傘をさしながら雨の空気に触れてるほうが落ち着くんだ」

瑞鶴「ふーん」

時雨「そういう瑞鶴はどうしたの?」

瑞鶴「時雨が見えたから来たの。この雨の中、ここで一人佇んでたら気になっちゃうでしょ?」

時雨「あ……それは申し訳ないことをしたかな」

瑞鶴「ううん。いいの。せっかくだから私もこの空気に触れていくわ」

時雨「それがいいよ」

570: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/13(日) 11:52:47.32 ID:VE2SBFns0

サアァァァァー…………

瑞鶴「………………」

時雨「………………」

瑞鶴「(か、会話がないなあ。なにか、話の種になるようなものは……)」


瑞鶴「えっと、さ。時雨って雨が好きなの?」

時雨「うん? そうだね。雨は好きだよ。だけど同時に嫌いでもあるんだ」

瑞鶴「そう、なの?」

時雨「悲しいことを思い出すから。でも、これは絶対に忘れちゃいけないんだ。みんなが忘れても、僕だけはずっと覚えてる」

瑞鶴「あ……スリガオ」

時雨「でも、不思議なことはあるものだよね。またこうしてみんなと……扶桑や山城とも一緒にいられるんだから」

瑞鶴「………………」

時雨「提督には感謝してもしきれない。絶対に僕たちが悲しまないように頑張ってくれているんだ」

瑞鶴「……そうね」

時雨「だから僕も頑張る。今度こそ、仲間を失わないように。……そう思いながら雨を見ているんだ」

瑞鶴「そっか」

時雨「うん。あ、ところで、さっき翔鶴が建物の中に入っていったけれど、いいの?」

瑞鶴「えっ、翔鶴姉ぇ?」

時雨「てっきり翔鶴を探してる最中かと思ったけれど」

瑞鶴「まあ確かにそれもある……じゃあ、ちょっと行ってくるね」

時雨「僕はまだしばらくはここにいるよ」

瑞鶴「風邪引かないでね」

時雨「うん。ありがとう」


サアァァァァー…………

571: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/13(日) 12:00:33.99 ID:VE2SBFns0

―廊下―

瑞鶴「提督さんの所に戻ったかと思ったけど、翔鶴姉ぇどこに行ったんだろう?」イナカッタ


大鯨「あら……瑞鶴さん」


瑞鶴「あ、大鯨。やっほー」

大鯨「こんにちわあ」ニコニコ

瑞鶴「翔鶴姉ぇ見なかった?」

大鯨「翔鶴さんですか? でしたら鳳翔さんと食堂にいましたよ」

瑞鶴「……結局一番最初の所に戻るのかぁ」

大鯨「?」

瑞鶴「ううんっ。こっちの話」

大鯨「もしよろしければ、一緒に行きますか? 私もちょうど戻る所でしたので」

瑞鶴「うん。行きましょ。ところでさ大鯨、その手提げに入ってるのって……」

大鯨「倉庫から持ってきた玉ねぎや馬鈴薯、あと……補給用の魚雷とかですね。と言っても、魚雷の出番はありませんけれどね」

瑞鶴「魚雷はともかく、もうすっかり食堂が主戦場になってるような?」

大鯨「あはは……。皆さんと違って私ではあまり力になれそうもないので……」

瑞鶴「やっぱり改装して空母になったら?」

大鯨「確かにその通りなんですが……。提督が言ってくださったんです。私がこの姿で艦娘になったのにはちゃんと理由があるはずだって。だから私が望むまで改装はしない、と」

瑞鶴「理由かあ」

大鯨「そう言っていただけた時、私心の底から『ああ、ここに来て良かった』と思えました」

大鯨「普通なら役に立たなければ解体とか強制的に改装とかでしょうけれど、兵器である私達の意思を優先するなんて、以前ではあり得ませんもの」

瑞鶴「うーん。提督さんなら言いそうかも。普段から兵器よりも同じ人として接してくれるし」

大鯨「提督って、不思議な方ですよね」

瑞鶴「まあね」

大鯨「だからこそ、好きなんですけれどね」ポッ

瑞鶴「……まあね」タイゲイモ カ……

572: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/13(日) 12:08:16.34 ID:VE2SBFns0

―食堂2―

瑞鶴「翔鶴姉ぇいるー?」

翔鶴「あら、瑞鶴。どうかしたの?」

瑞鶴「特に用事ってわけじゃないんだけどさぁ。何もやることなくて」

翔鶴「この天気ですものね。仮に出撃しても私達空母は戦力にならないわ」

瑞鶴「でも出ないなら出ないで暇で……。そう言う翔鶴姉ぇはここで何してんの?」

翔鶴「鳳翔さんにくず餅の作り方を教わっていたの。あとで提督に持っていこうと」

瑞鶴「今日のおやつ?」

翔鶴「えぇ。冷たくすればこの時期にちょうどいいかと思って」

瑞鶴「うんうん。きな粉と黒蜜はたっぷりでね」

翔鶴「はいはい。鳳翔さん、あとはどうすれば……?」

鳳翔「あとは氷を張ったお水で冷やして、瑞鶴さんの言ったきな粉と蜜をかけて完成です。飲み物は冷たい麦茶でもいいですが、温かいお抹茶とも合いますよ」

瑞鶴「わぁ。なんかおやつが楽しみになってきたかも」ワクワク

翔鶴「ちゃんとお茶の時間になったらね。鳳翔さん、ありがとうございました」

鳳翔「いいえ。お役に立てたのなら良かったです」ニコニコ


ナンカ イロイロアルイタラツカレター
ナニシテタノ?


雨の日の交流劇

586: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/16(水) 22:43:18.56 ID:xas0WieD0
注意:この話はなんの関係も繋がりもアリマセン


ていとく「せっかく北海道まで来たのに仕事だけして帰るのもなんだよな」

赤城「そうですよ提督! 北海道といえば食の宝庫。それを無視するなんて言語道断です」ギュルルルルルルルル

ていとく「盛大に腹が鳴ってるな……。まあ赤城の言うとおりだし、なんか食ってくか」

赤城「提督、夏の北海道といえばウニやイカと言った海産物です! そう、それはつまr

ていとく「やっぱラーメンだよな。俺一回本場の味噌食いたかったんだ」


ガシッ


ていとく「うん?」

赤城「Noラーメン、Yesスシ・サシミ OK?」シュゴー シュゴー

ていとく「あの、赤城さん? キャラ……」

赤城「寿司! 刺身! 海鮮丼!!」キュピーン

ていとく「なんか増えてるし……ってちょっとまて赤城! お前俺を引っ張ってどこへ行くッ。そっちはイカにもお値段ヤバそうなレベルの店構えだ……!」ズルズル


赤城「一航戦、赤城。 (空腹を満たすために)出ます!」


ていとくの財布 大破炎上中

599: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/18(金) 23:08:39.84 ID:FktXGJTN0
注意:この話はなんの関係も繋がりもアリマセン


ていとく「赤城の食欲で財布がヤバイ」

赤城「さすがは北海道。魚介類がどれも新鮮で大満足です」ゲプー

ていとく「まあこれで腹も膨れただろう。そろそろ行くとしよう」

赤城「そうですね。前菜は頂いたことですし、次はいよいよメインディッシュですね」

ていとく「えっ?」メイン……?

赤城「えっ?」メイン……



ジンギスカンの店『』ハーイ

ラーメンの店『』チャーン

スープカレーの店『』バブー



ていとくの魔法のカード 限度いっぱい

600: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/18(金) 23:42:26.15 ID:FktXGJTN0
注意:この話はちょっとしか関係と繋がりがアリマセン


提督「やっと視察も終わったな。なんやかんやで五日も掛かってしまった」

翔鶴「お疲れさまです。ところで、先ほどはどちらに行かれていたのですか?」

提督「ん、ああ。ちょっと同期と会ってきたんだよ」

翔鶴「こちらに着任されていたんですね」

提督「いや、奴も俺と同じだったらしい。でもまさか会って早々金貸してと言われるとは思わなかったが」

翔鶴「お金……ですか」

提督「なんでも部下に見栄はって散在したとか。まああいつらしいというか……」

翔鶴「提督は、お金の管理はしっかりとお願いいたしますね」

提督「そもそも散在するほど余裕が無いなぁ。でも、みんなにお土産を買っていくのは賛同してくれるだろう?」

翔鶴「はい。瑞鶴も待っていると思います」

提督「だな……。よし、じゃあ行くか」


北海道はお菓子もいっぱい

606: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/19(土) 14:39:45.36 ID:sgakTRuL0
注意:この話はなんの関係も繋がりもアリマセン


ていとく「上空をブルーインパルスが飛んでるな」

赤城「噂によると、明日丘珠だか千歳で航空際があるみたいですよ。練習飛行かと」

ていとく「白煙を引きながらの堂々の編隊飛行だな! 練度の違いがわかるよ」

赤城「こちらの板谷隊や進藤隊も練度は負けていないはずです」

ていとく「噴式機と比べてもどうにもならんさ。同じ軍人として切磋琢磨すればいい」

赤城「それはそうですが……」

ていとく「しかし、出発を1日ずらした甲斐があったもんだ。良いものを見れた」


赤城「そういえば提督、北海道には白いブラックサンダーなるお菓子があるとか」

ていとく「知りません」

赤城「普通のブラックサンダーと何が違うのか非常に気になります!」

ていとく「しりません。もう残金が無いんだ。これ以上誰かに金を借りるわけにはいかん」

赤城「世知辛い世の中になったものですね……」

ていとく「誰のせいでこうなったと思ってんだ」


T-4の爆音すげぇ……

610: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/22(火) 20:45:34.19 ID:9i65L5kx0

・・-・・夏ノ戦場・・・


瑞鶴「あー、海に出ると遮るものがないから暑いわぁ」

翔鶴「それに潜るわけじゃないから水の冷たさも感じないのよね」

扶桑「フネだった頃の私達に乗っていた人も、同じことを思っていたのかしらね」

山城「鋼鉄の塊に熱なんてたまったものじゃないわ。ただでさえ艤装も熱くなってるって言うのに」

瑞鶴「私たちは飛行甲板木が多いからマシだけど、ほかは……」

扶桑「砲塔に加えて航空甲板も鉄製。さすがに堪えるわね」

翔鶴「帰ったら提督が冷たいものを用意しておいてくださるので、それを楽しみにしましょう」

山城「キンキンに冷えたサイダーやカルピスが飲みたいわ」

加古「あたしは寝転がりながら食べられるアイスの方がいいかなあ」

古鷹「もう、加古ったら」

瑞鶴「楽しみのために、さっさと勝って帰りましょ」

翔鶴「ふふっ――。っ! 偵察機より報告です。敵艦隊発見、複縦陣にて航行中とのこと」

扶桑「陣形を組み替えます。加古と古鷹は前衛へ。翔鶴と瑞鶴は後方にそれぞれ移動してください」


『了解!』


扶桑「さぁ……主力艦隊の力を敵にお見せしましょう!!」

611: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/22(火) 20:50:22.37 ID:9i65L5kx0


駆逐ロ級『』グデー*3

重巡リ級『』ダラダラ*2

空母ヲ級『』ポケー



扶桑「え、えっと……?」

加古「どうなってんのこれ」

古鷹「戦う以前に戦意が……」ナイ?

瑞鶴「しかも深海棲艦らしく半分沈んでるし」



重巡リ級『』シッシッ

駆逐ロ級『』アッチイケ



翔鶴「な、なんか露骨に追い払おうとしてますね……」

山城「それはそれでなんかムカつくわ」



空母ヲ級『』チカチカッチカッ



古鷹「て、敵空母より発光信号です」ボウシノ メカラ!

扶桑「あついから……戦意、なし? え、えぇ?!」

瑞鶴「あー。やっぱ向こうも海の上だと暑いんだねぇ」

翔鶴「ど、どうします? 少なくとも戦う気はなさそうですが……」

山城「そのまま沈めちゃえばいいんじゃないの?」

扶桑「………………」


しばらくにらみ合いの末、結局何もせず双方還ったそうです

622: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/24(木) 21:00:24.41 ID:JRltkJOa0

・・-・・翔鶴ト瑞鶴9・・・


瑞鶴「………………」ゴロゴロ

翔鶴「………………」Zzz

瑞鶴「………………」ゴロゴロゴロ

翔鶴「………………」Zzz?

瑞鶴「………………」ゴロゴロゴロゴロ



翔鶴「……瑞鶴、眠れないの?」

瑞鶴「なんか暑くて寝苦しい」

翔鶴「扇風機回す?」

瑞鶴「翔鶴姉ぇがいいなら回したいなぁ」

翔鶴「ちゃんとタイマー付きにしておいてね」

瑞鶴「うん。ありがと」ポチットナ

翔鶴「熱帯夜は困るわね……」

瑞鶴「各部屋にも空調欲しいなあ」

翔鶴「こんど提督に相談しましょう」

瑞鶴「そうしようそうしよう」

翔鶴「じゃあ、私また寝るわね……」

瑞鶴「うん。おやすみ翔鶴姉ぇ」


……こんな会話を扇風機が止まる度にしましたとさ

629: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/25(金) 20:30:19.65 ID:SRbRkzIY0

・・-・・瑞鶴ト提督6・・・


瑞鶴「提督さん。鳳翔さんから貰ってきたスイカだよ」ハイ

提督「おぉっこりゃあいいなぁ。夏といえばスイカに限るよ。せっかくだから冷たい内に食べるとしよう」サラサラ

瑞鶴「うん……って、提督さん何かけてるの?」

提督「ん? 塩だけど」

瑞鶴「スイカに塩なんてかけたらしょっぱくなっちゃうよ」

提督「と、思うだろ? 試しに一口塩をかけて食べてみ」

瑞鶴「えぇー……」ヤダ

提督「ものは試しってことだよ。もし瑞鶴が不味いって言うならお詫びにあとでアイスをご馳走しよう」

瑞鶴「そこまで言うならやってみるけど……いいのかなぁ」パラパラ

提督「あんまりかけ過ぎると本当にしょっぱくなるから、軽ーく少しでいいんだ」

瑞鶴「い、いただきます……」シャクッ

提督「………………」

瑞鶴「んっ……しょっぱ……あれ、甘い? むしろ美味しい?」アレレ?

提督「どうだ。普通に食べるよりもむしろ甘く感じるだろ」

瑞鶴「あれ、でもこれ塩なのに……?」シャクシャク

提督「わずかな塩気が甘みを強調してくれるんだと。俺自身親のやってるの見て覚えたことだから、昔からこんな食べ方もあったってコトだろう」

瑞鶴「んー、これは不思議な。美味しいからいいけど」

提督「でもこれにも好き好きはあるからな。もちろんかけない方が美味しいっていう人だっているし、かけたらマズイっていう人もいる」

瑞鶴「――あッ、これで今美味しくないって言ったら提督さんにアイスご馳走してもらえるんだった!」

提督「もう受付は終了だ」

瑞鶴「うー……失敗したなぁ。美味しくても不味いって言えばアイスと両方食べられたのにー」

提督「それはナシだろう」


あなたは塩はかける派? かけない派?

645: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/26(土) 19:21:27.32 ID:KyQe0U0m0

・・-・・瑞鶴ト扶桑1・・・


瑞鶴「最近扶桑さんと山城さんがよく二人で沖合に出てるけど、なんかやってるのかな?」

翔鶴「扶桑さんと山城さん? それなら確か……」

提督「戦艦ならではの訓練をしたいって言ってたな。扶桑なんか特にやる気みたいだったが」

瑞鶴「戦艦かぁ」

翔鶴「この鎮守府唯一の戦艦ですからね。私たちも頼ってしまうコトも多いです」

提督「運用資源的にはあまり余裕はないけれど、二人のやる気は最大限尊重してるつもりだよ」

翔鶴「そうですね」

瑞鶴「んー、どんな訓練してるんだろう?」

提督「さすがに内容までは聞いてないな。弾薬消費もあるし、砲撃訓練的なのじゃないか?」

646: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/26(土) 19:26:18.40 ID:KyQe0U0m0


―鎮守府沖―

瑞鶴「――と言うわけで二人がどんな事やってるか気になってきたけど……」



ドーン……ドドーン!!



瑞鶴「やっぱり戦艦の主砲は凄いなぁ。離れてるのに衝撃がズシンと響いてくるもん」

瑞鶴「……46センチ砲か。あれを航空爆弾にしたらどんな威力になるんだろ。一撃轟沈とかいけるかな」




扶桑「――――あら、瑞鶴? どうかしたの」

山城「そんな所にいたら巻き込まれるわよ―!」←少し離れてるので大きな声を出してる

瑞鶴「ごめんなさい邪魔しちゃって。ちょっと気になったからつい」

扶桑「私たちの訓練が?」

瑞鶴「最近多いみたいだからね」

扶桑「そうねぇ。自分でも驚くくらい真剣にやってるわね」

瑞鶴「……やっぱりこの間のことで?」

扶桑「誰が来るかはまだ分からないけれど、どんな艦娘が来てもいいようにしているの。特に、それが伊勢や日向だったら尚更のことね」

山城「同じ航空戦艦としてあの二人には絶対に負けないわ。そうですよね、姉さま?」←近づいてきた

扶桑「ええ。もちろん」

647: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/26(土) 19:31:06.26 ID:KyQe0U0m0

瑞鶴「それで、今はどんな訓練をやってるの? やっぱりお互いを仮想敵としての砲撃訓練?」

扶桑「もちろんそれもあるけれど、更に追い込むためにこんな物を履いているの」

瑞鶴「……これって」マサカ

山城「えぇ。所謂鉄ゲタね。提督に許可とって妖精に作ってもらったの」

瑞鶴「な、なんでまたこんなのを……?」スゴイナァ

扶桑「いざ戦場となれば、高速だから低速だからは被弾の理由にならないわ。だから、どんな状況下でも回避ができるようにあえて重りをつけているの」

山城「例えば被弾して速度が落ちた時なんかに近いわね。この状態で回避ができるなら本番ではもっと素早く動けるもの」

瑞鶴「な、なるほど……?」

扶桑「私たちはみんなにとっての盾であると同時に鉾でもある――。提督はそう仰っていたわ。ならばその期待に是非とも応えないとね」

山城「わ、私は扶桑姉さまのために……!」

扶桑「山城」

山城「うぅ……元気になって以来姉さまがけんもほろろ」ショボーン

扶桑「私のことを慕ってくれるのは姉として誇らしいけれど、もっと周りも見ないとだめよ。ね、山城」ナデナデ

山城「姉さま……!!」キラキラ

瑞鶴「あはは……。あ、そう言えばこの前漫画で読んだんだけど、鉄ゲタ履いて階段を登り降りっていうのをやってたよ。効果あるのかな?」

扶桑「そう、ねぇ。足腰は鍛えられそうだけれど」

山城「ね、姉さまの美しいお御足が太ましく……いけません姉さまッ!! そんなのは殿方専用です!!!!!!!!!!」

扶桑「そ、そう? まあ確かに足が太くなるのはちょっと困るけれど……」


ダンジテイケマセンワッ!

ヤ、ヤマシロ……?


扶桑姉妹は、まるで白魚のような……

656: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/27(日) 20:00:18.47 ID:ZjC6IolG0
※ちょっと独自解釈が強めにつき、予めご承知おきの程を




・・-・・真・鯨と龍・・・


提督「では、本日の南西諸島進撃作戦のメンバーを発表する」

提督「第一艦隊旗艦は扶桑だ。皆を率いて暴れまわってきてくれよ」

扶桑「はい。旗艦任務、拝命いたします」

提督「航空戦力は二名をあてる。まずは瑞鶴。航空戦の指揮は任せたぞ」

瑞鶴「了解。まかせて!」

提督「そしてもう一名は――――大鯨、初出撃だがよろしく頼む」

大鯨「は、はい!」ガンバリマス!



一同「えっ?」



提督「続いて護衛役は……」

瑞鶴「ちょ、ちょっと待ってよ提督さん。航空戦力に大鯨? 翔鶴姉ぇや鳳翔さんじゃなくて?」

提督「ああ。今回は瑞鶴と大鯨の二人だ」

瑞鶴「いやでも……大鯨は潜水母艦……」

提督「言ってることはわかるが、大鯨は立派な"航空戦力"だ。ちゃんと飛行甲板装備してるだろう?」

瑞鶴「えっ―――あ、ホント」カタニ ソウビシテル……

提督「もちろん、航空機だってちゃんと発艦させられる。ちょっと不慣れな部分が残るが、そこは瑞鶴に補ってもらうことになるな」

大鯨「瑞鶴さん。ご迷惑をかけるかもしれませんがよろしくお願いいたしますね」

瑞鶴「あ、うん。それは……いいんだけどさ。あれ? と言うことは大鯨って龍鳳……?」

提督「いや、大鯨のままだ」

大鯨「はい」ニコニコ

瑞鶴「でも、空母?」ンン???

提督「まあ、ちょっと本気を出してみたわけだ」

657: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/27(日) 20:05:13.91 ID:ZjC6IolG0



―数日前 執務室―

翔鶴「提督、工廠妖精から例の物が完成した、と連絡を受けていますが……」

提督「お。ついに出来たかぁ。さすが妖精さん」

翔鶴「なにか開発されたのですか?」

提督「まあな。種明かしをする前に、悪いが大鯨を呼んできてもらえるか?」

翔鶴「はぁ。わかりました」

提督「その間に俺は受け取ってくるから」


……
…………
………………


翔鶴「提督、大鯨さんをお連れしました」


ガチャッ


大鯨「失礼します。提督、お呼びですか?」

提督「ああ。実は大鯨にイイモノを用意したんだ。早速だがこれを見てくれ」

翔鶴「こ、これは……」

大鯨「飛行甲板、ですか?」

提督「うむ。ぜひ大鯨に使って欲しい」

大鯨「えっ? と言うことは……」カイソウ?

提督「いやいや。改装はしない。今のままで装備する形になる」

大鯨「で、でも今の私は潜水母艦ですよ? 装備できない……」

提督「……と思うだろう? まあモノは試しと装備してみてくれ」

大鯨「は、はあ……ゴソゴソ……あれ?」アレレ?

658: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/27(日) 20:10:17.80 ID:ZjC6IolG0


提督「どうだ? なんの違和感もないだろう?」

大鯨「あれ、私、潜水母艦のはずなのに??? え、あれ?」

翔鶴「提督。どういう事ですか?」

提督「実はちょっと前から妖精さんと相談しててね。大鯨が今のままで航空戦力化出来ないかなって」

翔鶴「それで……できちゃった、と?」

提督「うん。さすがは妖精さんだ」

翔鶴「でもどうしてですか? こんな事をされなくとも大鯨さんは改装すれば空母になりますよ」

提督「もちろんその事は理解しているよ。でも、改装をするとしてだ。大鯨自身がそれを望んでなかったらどうかな」

翔鶴「えっ?」マサカ

大鯨「………………」

659: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/27(日) 20:15:23.94 ID:ZjC6IolG0


提督「改装すれば空母となり、戦力も大幅に向上する。でも、じゃあ何故最初から空母でなかったのか。潜水母艦である意味は?」

翔鶴「えっと……」

提督「元となったフネ由来についてはこの際置いておくとしてだ。俺は大鯨が今の姿で艦娘になったのには理由があるからだと考えてる。大鯨がそうありたいと願ったからかもしれない。なら、それを尊重するのが提督ってもんだ」

翔鶴「提督……」

提督「でも、戦力という意味では不安に思っていることも聞いていたんだ。潜水艦の配備されていないこの鎮守府で、今のままで自分は役に立てるのかって」

提督「そこでこれだよ。大鯨が大鯨のままで、それでいて改装後の空母として活躍できるように作った特別製。たぶん他じゃあ絶対にできないはずだ」

大鯨「特別製……?」

提督「妖精さんが言うには、違和感なく使えるはずだと。大鯨さえ良ければ、ぜひ使ってほしい」

660: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/27(日) 20:20:21.03 ID:ZjC6IolG0


大鯨「……一つだけ、いいですか?」

提督「うん?」

大鯨「もし……私が、これを、使いたくないと言ったら……?」オドオド

提督「その時はしょうがないさ。妖精さんには悪いがこれは解体するよ」

大鯨「む、無理に改装したりとかはしないんですか?」

提督「もちろん。戦力としては改装した方が向上するのはわかっていても、本人の意志に反することを強制するつもりはないよ。本心から望まない限りはね」

大鯨「………………」

提督「どうかな。使ってもらえるかな」

翔鶴「大鯨さん……」





大鯨「――わかりました。喜んで、装備いたします!」

提督「そうか。それは良かった」

大鯨「提督。こんな私を、生まれたままの姿で使ってくれて本当にありがとうございます。私、いつまでも提督といっしょに……!」

661: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/27(日) 20:25:32.16 ID:ZjC6IolG0


・・-・・・・-・・・・-・・

提督「では、編成は以上だ。準備なり次第出撃してくれ」


『はい!』


瑞鶴「ね、ねぇ大鯨。本当に大丈夫なの……?」

大鯨「えぇ。お任せくださいっ」

瑞鶴「でもまさか、大鯨が空母なんてねぇ」

大鯨「そうですね。私も、未だに実感がわきませんから」

瑞鶴「気分悪くしちゃうかもしれないけど、大鯨は龍鳳になりたくなかったの?」

大鯨「……もしかしたらそうかもしれませんね。せっかく大鯨と名付けられたのに、その名前は空母になるまでの仮のもの。なら私は……潜水母艦大鯨はなんだったんだろうって、思っていたのかもしれません」

瑞鶴「……そっか」

大鯨「でも、だからと言って龍鳳が嫌いなわけでもないです。空母としての私も大切。提督は、そんな私のわがままを叶えてくれたんです」

瑞鶴「あっさり認めちゃう提督さんも凄いけど、作っちゃう妖精さんも凄いというか……」

大鯨「ですね」クスクス



山城「瑞鶴、大鯨。準備はいいかしら?」



瑞鶴「うん! バッチリ。大鯨は」

大鯨「はいっ。私も大丈夫です」

山城「じゃあ、そろそろ出撃しましょう。二人とも偵察機を準備しておいてね」

瑞鶴「オッケー。んじゃあいっちょ行ってきますか」

大鯨「はい。"空母大鯨"出撃します!」


個人的に、龍鳳よりも大鯨派

676: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/29(火) 20:40:44.35 ID:ALao02Gs0

・・-・・大艦巨砲……?・・・


提督「ふむ……」

翔鶴「どうしました提督」

提督「いやな。今頃になって軍令部がこんなのを送ってきたんだ」ピラッ

翔鶴「えっと……戦艦の主砲装備による命中率について?」

提督「なんでも新しく判明したとか。まったくこんな重要な事を……」ブツブツ

翔鶴「艦に適した主砲でない場合、命中率に影響あり……ですか」

提督「下にリストがあるだろう? それによると扶桑・伊勢型に適した主砲は35.6センチ。初期装備までだ。41センチまでは許容範囲らしいがウチの扶桑たちは……」

翔鶴「妖精さんが作った46センチ砲装備、ですね」

提督「小型の分には問題ないらしいが、大型となると命中率に結構な差が出ているようだ。くそっこんな事わかってたら装備させなかったのに!」

翔鶴「提督……」

提督「翔鶴はどう思った。一緒に出撃して扶桑たちの砲撃を間近で見ていた者としては」

翔鶴「うーん、私個人的には前と比べて特別悪くなったという印象は受けていないんですが……」

提督「こればっかりはいざと言うとき命取りになりかねないし本人たちにも聞いてみた方がいいな。悪いが二人を呼んできてもらえないか」

翔鶴「は、はいっ」

677: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/29(火) 20:45:44.86 ID:ALao02Gs0


翔鶴「お二人をお連れしました」


扶桑「提督、お呼びでしょうか?」

山城「急にどうかしたの?」ナニゴト?

提督「早速だが二人とも。この間換装した46センチ砲の調子はどうだ?」

扶桑「主砲、ですか?」

山城「別に、なんともないけど……」

提督「軍令部からの情報では、扶桑たちに46センチ砲を装備させると、命中率が悪化するみたいなんだ」

扶桑「まぁっ」

山城「そうなの?」

提督「その上で聞きたいが、換装以来変わったこととかってあるか? ちゃんと狙ってるのに当たりにくくなったようなとか、そんなのでいいんだ」

扶桑「変わったこと、ですか……」チラリ

山城「んー、そうですねぇ……」チラリ


扶桑「特に無いですね」
山城「特に無いわね」

678: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/29(火) 20:50:22.22 ID:ALao02Gs0


提督「えっ? な、ないのか?」

扶桑「えぇ。特に以前と変わりありませんね。強いて言うなら威力が上がったくらいでしょうか」ネー

山城「むしろ威力が上がったから少ない砲撃数でいける方が大きいかしら。戦艦でも一撃で仕留められることとかあるし」ネー

提督「そ、そうなのか……?」アレ?

扶桑「あえて難点をあげるとすれば、次弾装填に少し時間がかかるようになったことくらいでしょうか」

山城「でもそれも前部と後部の主砲を交互に撃ってれば済むことですし」

提督「………………」

翔鶴「て、提督?」


提督「……誤報か?」コレ




・・-・・・・-・・・・-・・

工廠妖精1「換装しても今までと同じ感覚で撃てるようにするなんて当然です」

工廠妖精2「むしろ他のみんなはやらないです?」

工廠妖精3「技術屋ならば当たり前のことです」

工廠妖精4「パパパッパッパッパ、パァウァー!!」


ここの妖精さんは真の匠かつ縁の下の力持ち

687: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/31(木) 20:20:26.58 ID:vhKGLXbQ0

お題:瑞鶴



・・-・・夏ハ夜・・・


―深夜 食堂―

瑞鶴「てーとーくさんっ。こんな時間に一人でなにやってるの?」

提督「ん? あぁ瑞鶴か。ここは空調があるだろ? だからちょっと酒でも嗜みながら夜涼みってところだな」

瑞鶴「ふーん。ね、私も一緒してもいい?」

提督「それは構わないが……」

瑞鶴「じゃあ、お隣しつれいしまーす」ストン

提督「瑞鶴は麦茶でいいか?」

瑞鶴「うん」

688: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/31(木) 20:25:34.52 ID:vhKGLXbQ0

瑞鶴「――――ふぅ。冷たいお茶がしみるなぁ」

提督「それで、瑞鶴は一人でどうしたんだ? 翔鶴は一緒じゃないのか」

瑞鶴「どうも暑くて寝苦しくて……麦茶でも飲もうと思ったら提督さんがいたから」

提督「何日か連続の熱帯夜って話だからなぁ。俺も似たようなものだよ」

瑞鶴「翔鶴姉ぇは布団でぐっすり。私からすれば、この暑いのによく眠れるなあって」

提督「やっぱり各部屋に空調を導入した方がいいかな」

瑞鶴「そりゃあもう! 深海棲艦よりも優先順位高いと思う」

提督「そんなにか」

瑞鶴「提督さんの部屋にもついてないんでしょ?」

提督「………………」

瑞鶴「え、うそ。あるのっ?」

提督「まあ、最初からついていたというか……」

瑞鶴「ズルい!」キーッ

689: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/31(木) 20:30:15.14 ID:vhKGLXbQ0

瑞鶴「瑞鶴たちも空調ほしい!!」

提督「で、でもだなあ。みんなが苦労してるのに自分だけ快適なのは悪いと思って使ってないんだ。だからこうして俺もここに来ているわけで」

瑞鶴「……ホントにぃ?」

提督「ほ、本当だって」

瑞鶴「誰も見てなければ嘘はつき放題だよ?」

提督「なんでそんなに疑り深いんだ……」

瑞鶴「快適空調の恨みは恐ろしいのよ。提督さん」ズズズイッ

提督「わ、わかったわかった。みんなの部屋への導入は最優先で進めるから」

瑞鶴「約束だからね?」

提督「う、うむ」

瑞鶴「真面目な話、扇風機だと限界だと思う。私たちでさえそう思うんだから、吹雪や白露たちみたいな大部屋だと尚更じゃない?」

提督「暑さで戦闘継続が困難になっても困るし、倒れられてもなお困る」

瑞鶴「でしょう? 私もわがままで言ってるんじゃないのよ」

提督「……だよな?」

690: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/31(木) 20:35:25.13 ID:vhKGLXbQ0

瑞鶴「でも、いいなあ。提督さんの部屋には空調ついてるんだ―」

提督「さっきも言ったが実際は使ってないからな」

瑞鶴「今日は提督さんの部屋で寝ようかなー?」

提督「やめなさい」

瑞鶴「艦娘の体調を気遣うのも提督さんの仕事でしょ?」

提督「もっともらしい事言ってるが、ダメだからな」


ネネ、セメテスコシダケデモ……!

イケマセン!







深雪「…………いいこと聞いちゃったぜぃ」ニヤリ


どっかに続く

691: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/31(木) 22:16:14.80 ID:vhKGLXbQ0
ヨコクノヨコク


・・-・・オ化ケ?・・・


―深夜 母港前―

瑞鶴「あっつぅ……今夜も暑くて全然寝付けない」パタパタ

瑞鶴「さすがに今日は提督さんもいなかったし、外出たら風があるかと思ったらあんまり変わらないなぁ」

瑞鶴「早く空調つけてもわらないと……」


ざざーん……


瑞鶴「………………」

瑞鶴「夜の海は何度も見たことあるけど、一人で見るとちょっと怖いかも?」


ざざーん…………


瑞鶴「周り何もないし月も出てないから一面真っ暗で、音だけが聞こえる。なんかこのまま吸い込まれそうな……」ゾクッ

瑞鶴「し、翔鶴姉ぇ呼ぼうかなー。なんて」アハハ

692: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/31(木) 22:20:16.73 ID:vhKGLXbQ0

きらっ


瑞鶴「――えっ……いま、なんか光った?  敵……まっまさかねぇ?」


きらきら


瑞鶴「や、夜光虫だよねぇ? よくある。うん。南洋じゃあよくあるよぉ」ダラダラ


ゆら~り……ゆら~り


瑞鶴「ウゴイテミエルダケウゴイテミエルダケウゴイテミエルダケ」ガクガクブルブル


??『』ヌー……



瑞鶴「ぴぃッ?!」

693: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/31(木) 22:26:04.66 ID:vhKGLXbQ0



―翌朝―

瑞鶴「本当に見たんだってば! あれ絶対に幽霊か何かだって」

翔鶴「はいはい。その話は夜から何回も聞いてるわ。朝になるまで手をつないで一緒に寝たの忘れないでね」

瑞鶴「それは……そうだけど」アゥ……

翔鶴「でも、鎮守府に幽霊ねぇ。そんな話聞いたことないけれど」

瑞鶴「人間や艦娘の目が光るなんて聞いたことないって!」

翔鶴「古鷹さんは?」ヒダリメ

瑞鶴「古鷹のはそう見えるだけで実際光ってないじゃん。夜戦じゃちゃんと探照灯使ってるよ」

翔鶴「そもそも、本当に目だったの?」

瑞鶴「近くで見たわけじゃないから本当かは分からないけど……。光ってて、一つ目。人型っぽい感じだったから」

694: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/31(木) 22:30:27.21 ID:vhKGLXbQ0

鳳翔「あら、お二人ともどうかしましたか?」

瑞鶴「鳳翔さん」

翔鶴「それが瑞鶴が目の光る幽霊を見たって……」

鳳翔「まぁ」

瑞鶴「ホントだってばー!」

鳳翔「お化けなんて存在しない……とは申しませんが、昔から『幽霊の正体見たり枯れ尾花』と言うことわざもあります。何かの見間違いと言うこともありますよ」

瑞鶴「で、でも……。アレは絶対に見間違いとかじゃなかったと思うんだけどなあ」

鳳翔「昨夜は私が夜間見回りを行っていたのですが、懐中電灯を持っていましたよ。それを見たということも考えられませんか?」

瑞鶴「えっ、鳳翔さん外いたのっ? 母港とはいえ海の上だよ?」

鳳翔「はい。毎回というわけではありませんが、予め偵察機を飛ばした上で確認のために母港内を回ることもあります」

瑞鶴「じゃ、じゃあ私が見たのは幽霊じゃなくて鳳翔さんの見まわる姿……?」

鳳翔「可能性としては一番信憑性がありますね」

瑞鶴「な、なんだ……」

鳳翔「驚かせてしまったでしょうか」

瑞鶴「いや、そんな事はないよ。むしろ安心して朝からどっと疲れが」ヘナヘナ

翔鶴「瑞鶴ったら」

鳳翔「ふふっ。夏らしく怪談というのも風情を感じますね」

瑞鶴「体験した私だけヒヤッとしたんだけどー」


ケドマア、ヨカッタ!


翔鶴「………………」チラッ

鳳翔「………………」コクッ

695: ◆kVQhfnJMM6 2014/07/31(木) 22:35:23.31 ID:vhKGLXbQ0



―また、深夜―

鳳翔「もう、いくら夜中とはいえあまり母港内を歩きまわっちゃダメですよ?」メッデスヨ

??『』ゴメンネ

鳳翔「幸いなことに瑞鶴さんは私の見回りだと思ってくれましたが……。もしまともに見つかってしまったら大変なことになってしまいます」

??『』ソウダヨネ

??『』キヲツケル

鳳翔「……やっぱり、誰とも会えないのは辛いですか?」

??『』スコシダケネ

??『』デモ、ショウガナイ

??『』オワルマデガマンガマン



鳳翔「そうですね。全部終われば……胸を張って会えるでしょう。皆さん驚くと思いますよ」


………………

700: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/01(金) 14:00:56.64 ID:ERXYmXgy0

・・-・・記憶ノ残滓・・・


……そう言えば、あの日もイヤに暑く晴れた日だった。



――――――――――――カ?



みんな傷つきボロボロになりながらも空を睨み続けたあの日。


戦艦も、空母も、巡洋艦も、そして駆逐艦や潜水艦も、無傷でいるのを探すのが難しいくらいにやられていた。



―――――――――――イカ?



あっちで大破、こっちで転覆、仲間から流れ出る煙が空を覆う。


でも、それでも、誰ひとり挫けずに敵と向かい合ったあの時。


負けるものか。生き残った仲間のためにも、そして戦い散っていった先達たちや姉のためにも。



―――――――――ホシイカ?



……そう誓っていたはずなのに、戦いは終わってしまった。


どうしてだろう。なぜこんな事になってしまったんだろう。


あの日を境に、私たちは私たちでいることを許されなくなった。


この胸に残る気持ちは何? 無念? 後悔? 恨み?



――――"力" ガ、ホシイカ?



もっと役に立ちたかっタ。傷ついていく仲間を、守りたかッタ。


……もっと力が欲しカッタ。



――ナラバ、チカラヲアタエヨウ



そう、力がアレバイイ。敵を葬ルチカラガアレバイイ。


これデ敵ヲ倒セル。ナカマヲ、マモレル……

702: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/01(金) 14:05:18.58 ID:ERXYmXgy0



……

…………

………………



『敵艦隊発見! 全砲門、開けッ!!』



アレ、デモ……ナカマガ、コウゲキシテクル。


ドウシテ? ドウシテ攻撃シテクルノ?


ワタシハタダ、マモリタイダケナノニ……



『うわっ きっもー! なんか、ヌメヌメするぅ!』



……アア、ソウカ


敵ニナッタノハ、ワタシノホウダッタノカ


ソレデモ、ワタシハ――――――







     あなたたち……っ……そんな、そんな姿になってまで……戦いたかったっていうの?!




711: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/02(土) 20:02:15.33 ID:jGNcBn9X0


お題:那珂ちゃん


・・-・・サムライ・サムライ・ブシドー・・・


―川内型の部屋―

那珂「なっとくいかない!」プンスコ

神通「あ、あの……っ」オロオロ

川内「ん。どったの?」

神通「そ、それが。那珂ちゃんが」

那珂「那珂ちゃんだって頑張ってるんだよ! 活躍してるんだよ!」ムキー!!

那珂「それなのに注目されるのは上の二人ばっかり。ずるいー!」ジタバタ

川内「えーと? なんだか話が見えないぞぉ」

神通「この間の艦隊広報で、私と姉さんが、その……載せられたでしょ?」ホラ、コレ



『戦場特集! 今一番戦場で輝く艦娘たち』

――戦場に舞い降りた女剣士! 凛とした佇まいと腰に差した魚雷発射管から放たれる一刀はまさにサムライ! 川内型二番艦、神通さん

――さらなる改装を経て、夜を友とし闇を纏うその姿! 白いスカーフを靡かせて、今日も彼女は敵艦目指して漆黒の海を駆け抜ける! 川内型一番艦 川内さん



川内「あーこれね。結構大げさに書かれちゃってなんだか恥ずかしいよね―」

神通「そ、それで那珂ちゃんだけ取材を受けてないから……」

川内「なるほど。ガッテンした」


那珂「那珂ちゃんは艦隊のアイドルなの―! 取材受けたーい!」ジタバタ

712: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/02(土) 20:06:34.61 ID:jGNcBn9X0


・・-・・・・-・・・・-・・

那珂「――――と、ゆー訳で、もっともっと出撃させてほしいな! できれば旗艦で!!」ズズイッ


提督「お、おぉぅ」

翔鶴「あ、あはは……」

瑞鶴「取材ねぇ」


那珂「昼間は一方的にやられちゃうから、できれば夜戦で――」

提督「まっまてまて! とりあえず、那珂の言いたいことはよくわかった。だからひとまずは落ち着いてくれ」

神通「す、すみません提督。ご迷惑を……」

提督「べつに気にしてはいないよ。ただまあ、出撃させるのはいいとしてだ。那珂だけが活躍するってわけにもいかないだろう? まさか他が手を抜く訳にはいかないし」

瑞鶴「それはそうよね。油断して沈んじゃったら洒落にならないし」

提督「あと、その状態の士気は買うが一番油断しやすい状態でもあるんだぞ? 戦果に目がくらんで周りへの警戒が疎かになる」

那珂「だ、大丈夫だもん!」

提督「ううむ……。しかしなんだ。最近は三人一緒に出撃してもらってるとはいえ、那珂が二人と比べて活躍してないとは思えないんだがなあ。むしろ聞く限りでは一番派手で取材受けしそうな?」※艦隊ノアイドル(物理)参照のほど

川内「ほら提督。この時の戦いって、開始早々に那珂が……」ヒソヒソ

提督「あー。うん」タイハ シタッケ

那珂「」

713: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/02(土) 20:12:07.78 ID:jGNcBn9X0

那珂「どうして取材が来た時に限って……」ズーン……

提督「も、元々はただの鎮守府取材の予定だったんだぞ? そのオマケで戦場に出たらたまたま川内と神通が派手にやったものだから……」


川内「あはは……」←いつも通り

神通「そ、その……」←戦場ではいつものこと


那珂「那珂ちゃん、もうおうち帰るぅ」イジイジ


提督「んー……あ、そう言えば」ピコーン

那珂「う?」イジイジ

提督「なんでも南西海域に夜襲を主とする敵軍が現れたって話がある。制海権をとれつつある中で、闇夜からの一撃は味方にとっても脅威になるなぁ」

那珂「!」

川内「!!」ヤセンッ?

神通「ね、姉さん……」

提督「軍令部からも"可能であれば"対処してほしいと連絡が来てるんだ。もし撃破出来たとすればまた取材がきそうなものだが……どうだ、やってくれるか?」

提督「(可能であればの部分が無闇やたらと強調されてたが、どうせ期待してないんだろうなぁ)」

那珂「やる! 那珂ちゃん、夜間ライブ張り切っちゃう!」

714: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/02(土) 20:16:57.72 ID:jGNcBn9X0

・・-・・・・-・・・・-・・

那珂「神通ちゃん、探照灯の用意はいい?」

神通「う、うん」

那珂「川内ちゃん、照明弾は準備出来た?」

川内「もうとっくに装填済みだよ」

那珂「加古さんはまだ起きてる?」

加古「いやー、流石に戦の前はねな……ぐぅ」

古鷹「ちょ、ちょっと加古!」

那珂「あははー。古鷹さんもよろしくね。駆逐艦は夕立ちゃんだけだけど、準備いいかな―?」

夕立「っぽい!」ポイ

古鷹「ところで、私と加古はどうしてドラム缶なんて持たされたんだろう?」

加古「さぁ? 投げてぶつけろって事かも」



那珂「準備万端ーっと。すー、はー……よし、じゃあ那珂ちゃん夜間ライブ張り切っていってみよー☆」






『戦場特集増刊号 艦隊のアイドルは戦場でもアイドルだった!』

――脚光は独り占め?! 味方の探照灯を自分に当てさせるという仰天な戦法を取りながら、右へ左へ戦場を舞うようにして戦う姿はまさにアイドル! 川内型三番艦 那珂さん



なお、かすり傷程度で済んだそうです

725: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/03(日) 23:59:44.98 ID:zFDzNDnS0
注意:この話はなんの関係も繋がりもアリマセン


白露「うぅ……あんまりだぁ」

時雨「白露、どうかしたの?」

村雨「今日アニメのキービジュアルが公開されたでしょ? それで、ね……」

白露「どうせあたしなんか、あたしなんかぁ……」グスグス


時雨「これだよね? あ、夕立がいる」

村雨「そう。ソコなのよ。ソレを踏まえて、他の人達を見てみて」

時雨「うん? 他というと……吹雪に睦月、赤城に加賀、金剛。それに長門と大和が写ってるね」

村雨「夕立を除いて、この人達の共通点はなんでしょう?」

時雨「えっと…………あ」モシカシテ

村雨「そういう訳なの」

時雨「……理解してしまった自分が悲しいよ」

村雨「制作側も悪気はないんだろうけどねぇ」

白露「あたしだって一番なのに……一番艦なのに……」シクシク



夕立「~♪ 夕立、帰ってきたっぽい!」



時雨「あ」コノタイミングデ……

村雨「あ」ナント マ ノワルイ


夕立「あれ、白露どうかしたの? どこか痛いっぽい?」

白露「どこも痛くないけど……心が痛いの」

夕立「?」

白露「どうせあたしなんか……白露型の中でも人気ある方じゃないし、実力だって夕立にはかないっこないし」

白露「もういっその事、夕立型四番艦白露でいいよ……」シクシク


夕立「???」


時雨「ああ、白露がついにヤサグレた……」

村雨「これは慰めるのが大変そうだなぁ」

734: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/05(火) 21:00:33.49 ID:S7w3XXjY0

・・-・・月夜ノ双鶴4・・・


瑞鶴「四回目よ」

翔鶴「お酒の要素はなくなったのですか?」

提督「この場に限っては二人にはまだ早いようだからな」


『乾杯』


瑞鶴「前回は、提督さんのらしくない経歴を聞いたんだよね」

提督「らしくないとはなんだい」

瑞鶴「普段のイメージとはずいぶん違ってたから」

提督「そんなに違うのか……。翔鶴はどう思う?」

翔鶴「わ、私ですかっ? え、と……その。すみません、私も、少しだけ」

提督「翔鶴に言われたんじゃしょうがないな」

瑞鶴「ちょっと、ソレどういう意味ー」

提督「深い意味は無いさ」

瑞鶴「ぶぅ。いつもいつも翔鶴姉ぇばっかり。いっそケッコンしちゃえばいいのに」

提督「………………」

翔鶴「………………」

瑞鶴「そこで黙らないでよっ。なんか複数の意味に取られちゃうでしょうが! あとやっぱり翔鶴姉ぇだけズルい!」

735: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/05(火) 21:05:19.35 ID:S7w3XXjY0

翔鶴「そ、そういえば提督。私が来る前の鎮守府はどんな感じだったんですかっ?」

瑞鶴「(あ、話逸らした……)」

提督「翔鶴が来る前、か。最近の事のようにも思えるし、ずっと昔の事のようにも思えるなぁ」

翔鶴「確か、私の前の秘書艦は鳳翔さんですよね。それで一番最初が吹雪ちゃん」

提督「あぁ。最初は吹雪と二人で始まったこの鎮守府。自動的に彼女が秘書艦として頑張ってもらっていたんだ」

提督「アレもないコレもないのナイナイ尽くしのウチは大変だったが……吹雪型六人が揃った時にはやっとこ近海の掃討ができるようになったな」

翔鶴「最初に揃ったのは吹雪ちゃんたちなんですね」

提督「うん。それから白露型六人が揃って、交代で任務をこなせるようになって、戦力拡大を考えていた時に……」

瑞鶴「鳳翔さん?」

提督「空母が戦闘に加わるだけであれだけ楽になるなんてな。まさに鳳翔さま様だったよ」

瑞鶴「それで、秘書艦を鳳翔さんに変えちゃったの?」

提督「と言うよりも単純に適正の差、かな。もちろん吹雪が劣っていたわけじゃあないぞ? 適材適所という意味でだ。現に吹雪には駆逐艦をまとめるリーダーをやってもらってる」

瑞鶴「あーそういうコトかぁ。鳳翔さんならって納得してしまう私がいる」ウン

提督「その後、相次いで川内や古鷹、そして扶桑と言った大型艦がうちに来て、ほぼ今の状態になったわけだ」

翔鶴「そして……私ですか」

提督「我が鎮守府最初の大型空母。それも最新鋭とあらば期待すること大ってね」

瑞鶴「ふふん。やっぱり空母といえば鶴型よね!」フンス

翔鶴「あはは……」ダッタラ ヨカッタンダケド……

提督「練度の差なんてのは訓練しだいで埋まっていくもの。今では立派な秘書艦としてやってくれている。非常に助かってるよ」

翔鶴「提督……!」

736: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/05(火) 21:10:15.96 ID:S7w3XXjY0

瑞鶴「あれ、でもどうして秘書艦が鳳翔さんから翔鶴姉ぇに?」

翔鶴「そう言えば、私も理由を伺ってませんでした」

提督「理由はいろいろあるけれど、一番は翔鶴に自信をつけて欲しかったから、かな」

瑞鶴「自信?」ドユコト

翔鶴「………………」

提督「翔鶴が来るにあたっていろいろあったんだよ」

瑞鶴「そうなの?」

翔鶴「う、うん」



提督「いいか瑞鶴。どんなに優秀でも、指揮官がクソなら意味は無いんだ。瑞鶴ならこの意味わかるだろう?」

瑞鶴「……あー」

翔鶴「………………」


いろいろあるんです

741: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/06(水) 22:08:44.76 ID:OGFpyQmX0

・・-・・翔鶴ト提督9・・・


提督「……瑞鶴には話してなかったんだな」

翔鶴「瑞鶴のことだから、きっと話したら攻撃機を飛ばしてしまいます」

提督「なるほど」

翔鶴「それに、あまり良い思い出ではありませんので」

提督「人間全員があんなんじゃないってことだけはわかって欲しいよ」

翔鶴「それは提督を見ていればわかります」

提督「なら、見損なわれないようにもっともっと頑張らないとな」

翔鶴「ふふっ。よろしくお願いいたします」


いろいろ、ね

746: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/07(木) 21:00:36.12 ID:BIhm0MPx0

・・-・・水着ト艦娘1・・・


―昼下がり 食堂―

磯波「今日も暑いねー」

深雪「さすがの深雪さまも暑さには勝てないや」

叢雲「アンタたちだらしないわねぇ。心頭滅却すれば火もまた涼し、よ」

初雪「……だから空調最前列にいる叢雲に言われても」


吹雪「みんなー。鳳翔さんがスイカ切ってくれたよ!」

白雪「あと、麦茶も持ってきたよ」


深雪「いやぁ。アイスもかき氷もいいけどさ、やっぱ夏といえばコレだと思っちゃうのはなんでだろうなあ」

磯波「フネだったころの記憶に関係あるのかも?」

叢雲「確かに、本土で停泊している時に乗組員が甲板で頬張ってたような」

白雪「夏といえば、って感じなのかもね」パラパラ

吹雪「あれ、白雪ちゃんはスイカに塩派なんだ」

白雪「この間司令官に教わったの。瑞鶴さんも美味しいって言ってるよ」

吹雪「私はどうもニガテで……」

747: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/07(木) 21:05:20.71 ID:BIhm0MPx0

深雪「ところでさ、せっかく夏で海が目の前にあるんだからみんなで海水浴でもしないか?」シャクシャク

叢雲「海水浴? 泳ぐも何も、私たち普段から海に入ってるじゃない」

深雪「ただ浮いて走ってるだけじゃん。そうじゃなくて、泳ぐんだよ! 絶対気持ちいいと思うんだけどなあ」

白雪「言われてみれば……」

吹雪「確かに海の中には入ってないよね。でも、水着とか持ってないよ?」

叢雲「そこはアレよ。アイツに買ってもらえばいじゃない」

磯波「い、いいのかなあ」

叢雲「いいのよ。普段頑張ってるんだから、これくらいねだっても文句は言われないはず」



深雪「水着買うとすればどんなのがいいかなあ。やっぱここはビキニで悩殺コース?」

叢雲「誰を悩殺するのよ……」

深雪「えっ」シレイカントカ?

磯波「さすがにビキニはちょっと……」

白雪「ね、ねぇ?」ハズカシイカナ

吹雪「そもそも私たちの体型じゃあ大人っぽい水着は似合わないような……?」

叢雲「……白露型が羨ましいわね」

749: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/07(木) 21:10:16.21 ID:BIhm0MPx0

深雪「体型とか言われちゃあどうしようもないけどさ。だったらワンピースとかセパレート?」

白雪「私はワンピースがいいかな」

磯波「うん……あんまり派手じゃないやつで」

叢雲「私はセパレートかしら。まあビキニでもなんでもいいんだけど」

吹雪「さ、さすが叢雲ちゃんだね。私もセパレートかなぁ。ひまわりとか描かれてたら夏っぽくていいよね」

白雪「さすがに雪模様の水着なんてないよね?」

磯波「季節が真逆になっちゃうから、たぶんないかも……」

吹雪「深雪ちゃんはなにがいいの?」

深雪「んー、見た目重視か実用性か。それが問題だ」

吹雪「実用性?」

深雪「ごちゃごちゃしてたら早く泳げないじゃん? だったらビキニかなって。さすがに全裸はマズイっしょ?」

叢雲「アンタは何を考えてんのよ」



初雪「………………」



叢雲「ところで、初雪はさっきから黙ったままだけど、アンタはどうなの?」

初雪「……水着とか、外に出たら恥ずかしくて死んじゃう」ヤダ

叢雲「あ、そ……」


全裸で泳ぐ……アリだと思います!     ケンペイサーン

758: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/10(日) 10:44:08.46 ID:zcei1EdO0

・・-・・水着ト艦娘2・・・


―それぞれ聞いてみた―


Q.着るならどんな水着がいい?

扶桑「水着……考えたこともないけれど、やっぱり恥ずかしいからワンピースかしら?」

山城「姉さまのビキニ姿……!」ダバダバ

扶桑「え、ビキニ……? それはちょっと……こ、腰にパレオを巻いていいのなら、あり……かも?」

山城「ぶはっ!」ダラダラ


ちなみに山城さんはビキニだそうです



Q.着るならどんな水着がいい?

古鷹「うーん……ビキニかセパレート、かな? ワンピースもいいけれど、ちょっと子供っぽくなっちゃいそうで」

加古「そう? あたしはワンピースいいと思うけど。寝る時背中が熱くなりにくそうじゃん」

古鷹「寝るのを基準にしないのっ」

加古「ダメ? じゃああたしも古鷹と一緒でビキニかなー」

759: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/10(日) 10:49:34.34 ID:zcei1EdO0

Q.着るならどんな水着がいい?

川内「だんぜんセパレートでしょ。ビキニっぽく大胆で、それでいてオシャレも完備。動きやすいのもいいよね」

神通「わ、わたしは……っ。その、わ、ワンピースで……」

那珂「那珂ちゃんはアイドルだからなんでもオッケーだよー☆」

神通「て、提督が見てくれるのなら……ビキニでも……」ボソボソ

川内「ん? なんか言った神通」

神通「なっなんでも……っ!」



Q.着るならどんな水着がいい?

白露「もっちろん、イチバン目立つビキニよね!」

時雨「うん。僕もビキニかな。それかセパレートを着てみたいかも」

村雨「村雨さんはワンピースかなー。あんまり日焼けとかしたくないから」

夕立「んー、あたしもビキニっぽい? 黒か赤ならいいっぽい?」

春雨「春雨も村雨姉さんと一緒でわんぴーすがいいです、はい」

五月雨「わ、私もみんなみたいにスタイル良くないから……ワンピースで」

涼風「なんだよ五月雨。そんな引っ込んでちゃ目立たないぞー。あたいと一緒にビキニにしようよ!」

五月雨「えぇーっ?!」



翔鶴「人前で素肌を晒すのは恥ずかしいので……ワンピースですね」

鳳翔「そうですね。普段と違う格好というのも興味はありますが、やはり勇気がいると言いますか」

大鯨「わ、わたしも……!」

瑞鶴「翔鶴姉ぇもそうだけど、大鯨だってそんな立派なの持ってるくせに……」

大鯨「ず、瑞鶴さんーっ!」

瑞鶴「派手なの着て提督さんを悩殺しちゃえば? 私はビキニとか似合わないだろうからワンピースかなぁ」

翔鶴「あう」

大鯨「あうあぅ」

鳳翔「あらあら、まあまあ」



あれ、誰かいたような?

770: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/12(火) 20:08:33.97 ID:k3BQ8UJQ0

・・-・・イベント・・・


翔鶴「ところで提督。軍令部より特別作戦の指令書が来ていますが……」

提督「ああこれな。北方海域及び中部太平洋への同時進撃作戦だろう?」

翔鶴「結構重要な作戦のように見えますが、出撃されないのですか?」

提督「出撃したいのは山々なんだがなあ。いかんせん戦力が足らなすぎる。片方出撃させて精一杯だ」

翔鶴「あー」タシカニ

提督「出撃して戦果を稼ぐのもいいけどね。うちはいつも通り行こうと思う」

翔鶴「それもそうですね」



提督「……それにアイツらなら勝手に行って勝手に戦果上げてくるだろう? それでお腹いっぱいだよ」ホラコレ

翔鶴「手紙、ですか?」ドレドレ


――なんだか敵の大艦隊が集結してるっぽいので、ちょっと遊びに行ってきます!


翔鶴「なるほど」




knock knock




提督「おや? どうぞー!」



ガチャッ



春雨「失礼します。今日からこちらでお世話になる、白露型駆逐艦五番艦の春雨です。はい」


春雨さんが仲間に加わりました

775: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/13(水) 21:10:18.95 ID:hAI0CY5f0

・・-・・春雨ト提督1・・・


提督「ようこそ我が鎮守府へ……と言いたいところだが、転属の話は初めて聞いたなあ」

翔鶴「そう、ですね。こちらには何も通達がありませんでした」

春雨「春雨はこちらで建造されましたよ?」



提督「え?」

翔鶴「え?」

春雨「え?」



………………


工廠妖精1「出番がなかったもので」

工廠妖精2「建造させるです」

工廠妖精3「ついカッとなってヤったです」


提督「………………」Oh




春雨「私……いらない子でしたか?」ウルウル

提督「いや! 決してそんなことないぞっ!」

春雨「戦闘よりも護衛や輸送任務の方が得意ですし……」グスッ

提督「むしろうちでは大歓迎だ。それに姉妹が増えて白露たちも喜ぶよ!」ア、アイス タベル?

春雨「……姉さんたちがいるんですか?」ウン……

提督「ああ、ちょうど部屋にいるはずだから会いに行くといいよ」アトデ アゲルヨ



白露「春雨、今までどこにいたのっ?」

時雨「久しぶりだね」

村雨「夕立と五月雨もいるし、第二駆逐隊勢揃いね」

夕立「っぽい!」

五月雨「また一緒に頑張ろうね」


春雨「は、はいっ。がんばる、です」テレテレ




涼風「……海風たちはまだかなあ」ショボーン


春雨は小動物カワイイ

781: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/14(木) 12:20:19.83 ID:+WxPZJAQ0

・・-・・ミユキパニック・・・


提督「……やっとこ申請が通った」ヤレヤレ

翔鶴「何かされていたんですか?」

提督「みんなからの要望が多かった空調の導入な。理由を明確にしろってうるさかったから、こんこんと書き連ねたらOKが出たんだよ」

翔鶴「では、やっと暑い日々から開放されるんですね」

提督「すぐに工事が出来るわけじゃないから今しばらく辛抱だけどな」

翔鶴「しかし、提督だけでも使われてはいかがですか? せっかく付いているのですから」

提督「瑞鶴にも言ったが、やっぱり俺一人ってのは気がひけるよ。いくら指揮官だとはいえね。むしろココに付いてたら最初から使ってたかもな」


knock knock

??『吹雪です。司令官、今よろしいですか?』

782: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/14(木) 12:25:24.89 ID:+WxPZJAQ0


提督「ん、ああ。どうぞー!」


ガチャッ

吹雪「失礼します」



提督「どうかしたのか?」

吹雪「あの、こちらに初雪ちゃんと深雪ちゃんいますか?」

翔鶴「えっ?」

提督「初雪と深雪? いや、ここには来てないが……」

吹雪「そう、ですか……。あれー、じゃあ一体どこ行ったんだろう」

提督「見当たらないのか」

吹雪「はい。朝ご飯までは一緒だったんですけど、それから気がついたら二人とも……」

翔鶴「二人してかくれんぼとかじゃあないのよね?」

吹雪「さ、さすがに違うと思います。……初雪ちゃんなら違う意味で隠れるけど……」


提督「ふむ……。まあ二人とも今日は出撃も練成もないから影響があるわけではないが、いないとなると心配だな」

吹雪「暑いから敷地外にも出てないと思うんです。いるとすればこの建物の中かと」

提督「わかった。おおごとにするつもりはないけれど、一応何人かで探してみよう。……こういう時に限って瑞鶴はここにいないな」

翔鶴「すみません……たぶん涼を求めて食堂かと」

提督「やっぱり空調の導入を急ごう」

783: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/14(木) 12:30:49.79 ID:+WxPZJAQ0

・・-・・・・-・・・・-・・

初雪「……幸せ」ヌクヌクヒヤヒヤ

深雪「やっぱ空調の効いた部屋でゴロゴロするのが夏の過ごし方だよなー」ゴロゴロヒヤヒヤ

初雪「深雪に感謝」

深雪「ホントは深雪さま一人で堪能しようと思ったんだけどなぁ。まあ見つかってしまったものはしょうがない!」

初雪「こんどから、司令官の部屋にいようかな」

深雪「いーねぇ。昼寝するときココだったらベッドあるし快適だな!」

784: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/14(木) 12:35:43.57 ID:+WxPZJAQ0



瑞鶴「――それで、私も一緒に探せばいいのね」ヒヤヒヤ

提督「まあそういう事だ。よろしく頼むよ」スズシイナ……

瑞鶴「……今日も暑いからアイスクリームが美味しそうだなあ」デショ?

翔鶴「ず、瑞鶴!」

提督「後でちゃんとみんなにあげるから」

瑞鶴「ありがとっ提督さん。それじゃ張り切って探そっかなー!」サイウンー

翔鶴「もぅ……」

瑞鶴「という訳で、探すの手伝ってくれたら後でアイス分けてあげる」



彩雲妖精『!!』ヤルデス!

流星改妖精『ッ』ワタシモー

烈風妖精『』テツダウー



瑞鶴「うんうん。それじゃあもし見つけたら連絡よろしくね」


マカセテー


瑞鶴「さ、じゃあまず何処から探そうかな―?」



提督「……これはアリか」

翔鶴「ま、まあ妖精さんとも仲良くするのは大事ですし……?」ズイカク……

785: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/14(木) 12:40:20.27 ID:+WxPZJAQ0

・・-・・・・-・・・・-・・

深雪「あー、なんか快適すぎて眠くなってきた」

深雪「なあ初雪ーお前はー?」


初雪「………………」


深雪「あれ、初雪? はつゆきー」チラッ


初雪「くー……」Zzz


深雪「おぅ。寝てやがる……まあ気持ちはすっげー分かるんだけど」

深雪「せっかくだし、深雪さまもちょっち寝るとするかなぁ」ファア……

深雪「こんな過ごし方も、イイもんだー……」



深雪「Zzz」

786: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/14(木) 12:45:54.20 ID:+WxPZJAQ0


瑞鶴「んー。見つからない」


コッチモミツカラナイヨー


瑞鶴「妖精さんたちもダメかあ。どこ行ったんだろ」

翔鶴「瑞鶴も駄目みたいですね」

提督「こっちも空振りだ。目ぼしい所は探したんだが……」

翔鶴「やはり外に行ってしまったのでしょうか?」

提督「念のため工廠へ行ってみるべきかな」


ガラッ


加古「あつーい……快適に寝られるところがもうココしか無い」フラフラ

古鷹「ちょ、ちょっと加古。いくらなんでも行儀悪すぎよっ」

加古「硬いけど椅子繋げれば眠れないこともないし、枕は持ってきたから……」フラフラ

古鷹「そういう問題じゃなくてぇ!」


ネムインダヨー

カコー!


提督「」

翔鶴「加古さん……」

瑞鶴「空調効いてるところってココしかないもんねぇ。後涼しい場所は使ってないって言ってた提督さんの部屋くらいかぁ」

提督「ん? 俺の部屋……?」

翔鶴「瑞鶴それって……」

瑞鶴「あーうん。この間知ったの。でもみんなは無いから使わないって」

翔鶴「そうじゃなくて、提督の部屋よ。瑞鶴は見に行った?」

瑞鶴「いや、行ってないけど……」フツウハイラナイヨネ?


イッテナイデスー


瑞鶴「妖精さんも行ってないって」

翔鶴「提督。もしかすると……」

提督「初雪たちは知らないはずなんだが……まあ行ってみよう」

787: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/14(木) 12:50:36.17 ID:+WxPZJAQ0

・・-・・・・-・・・・-・・

初雪「Zzz」

深雪「Zzz」




提督「Oh...」ネテル

瑞鶴「ここにいたのかぁ」スズシー

翔鶴「一応、一安心……なんでしょうか」

吹雪「ふ、ふたりとm―――」

提督「しーっ。今はいいよ」

吹雪「で、でも……!」

提督「今回の件ではっきりしたな。空調導入は必須かつ早急に手配する必要ありって」ウン

瑞鶴「あれ? 決まったの?」

提督「ああ。我慢することも軍人だなんて渋られたけど、強引にねじ込んだよ」

瑞鶴「はぁーやっと暑い日々からオサラバかぁ」ヨカッタ

吹雪「でも、何もナシはダメだと思います。勝手に司令官の部屋にも入ってますし」

提督「まあお咎め無しにはしないよ。ちゃんと注意はするさ」

翔鶴「とりあえず、二人はどうしましょうか……?」

提督「気持ちよさそうに寝てるからな……そっとしておこうか。起きたら執務室来るように置き手紙残せばそれでいいし。ついでだから食堂にいる加古も呼ぶか。硬いところで寝て身体痛めても困るし」


カコ イリビタルンジャナイ?

ホドホドニシテモラオウ



……パタン


冷房の使いすぎには注意しましょう

790: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/14(木) 19:44:03.49 ID:+WxPZJAQ0

・・-・・深雪ト提督1・・・


提督「勝手に人の部屋に入っちゃダメだろう」

初雪「ごめん、なさい」

深雪「ごめんなさい……」

提督「二人とも今後は気をつけるように」

初雪「……はい」

提督「お説教はこのくらいにしておくとして。実際問題夜は寝苦しいか?」

深雪「そりゃもう。風がない日は地獄だし、風があっても生ぬるい。それに六人もいると扇風機じゃあ全然足りないよ」

初雪「……溶けちゃいそう」

提督「確かに俺も使ってないからその気持ちは十分わかる」

深雪「なんで使わないの? もったいないじゃん」

提督「指揮官とて抜け駆け禁止だよ。と言うか、どうして深雪は俺の部屋に空調あること知ってたんだ? 部屋に来る機会がある秘書艦くらいしか知らないはずなんだが」

深雪「いやー、実はこの間夜に司令官と瑞鶴さんが食堂で話してるのを聞いちゃってさ。それでシメたって。初雪はいざ司令官の部屋に入る時に見られたから一緒に入ったんだ」

提督「……あの時か」

深雪「反省はしてるけど、あんな快適に寝れるなら空調はやっぱ欲しいなあ」

初雪「涼しくて布団がある部屋、好き」

提督「もう少ししたらちゃんと部屋につくから」

深雪「頼むぜ! 司令官」


寝苦しい夜とバイバイまで、あと幾日か

796: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/15(金) 13:33:23.82 ID:18dQgStN0
注意:独自解釈のカタマリ。あと長いのでちょいちょい間を開けるかもしれません



??『提督。遠征部隊が帰投しました』

提督『今回も、か?』

??『……はい』

提督『アイツらは本当に元気だなあ……まるで疲れ知らずの子供のようだ』

??『あと、もう一つご相談が』

提督『どうした』

??『瑞鶴ですが……やはり、そろそろ隠し通すのは無理なようです』

提督『最近はなにも言わなくなって忘れたかと思ったが、違ったのか』

??『どうも、深夜に一人で外を歩いた時に見てしまったようでして』

提督『見つかったのか?!』

??『いえっ。鳳翔さんの気転と、本人も幽霊を見た位の感覚でしかなかったようですが……。特徴を聞くと当てはまってしまうので……』


提督『もともと我々の慢心が招いたとはいえ、なんとも言えない気分だ』

??『すみません。初めに私が好きにここへ来ても良いと言ったばかりに』

提督『いる時に報告させた俺も悪いんだ。誰が悪いということじゃないよ』

??『……あの子ならまず言いふらさないと思いますが』

提督『俺だってそう思う。でも、一番危険なのは現状を放置して勝手に調べられそして触れ回ることだ。認識された以上は時間の問題だったのかもしれない』

??『では、このことは……?』


提督『ああ。すまないが翔鶴、瑞鶴を呼んできてくれないか。俺は残りの皆を呼ぶ』




翔鶴『……はい。わかりました』

797: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/15(金) 13:40:25.37 ID:18dQgStN0


私たちの願いはただ一つ――――

仲間を守る盾となり、そして敵を倒す鉾となりたい

ただ、それだけのはずだった


……

…………

………………




・・-・・雲ハ天タカクソビエ 葛ノ花ハ冬夏ヲコエテハエルル・・・







798: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/15(金) 13:50:24.70 ID:18dQgStN0


ガチャッ


瑞鶴「――提督さん、呼んだ?」

提督「ああ。早速で悪いがこれを扉の外ノブに吊るして鍵をしめてもらえるかな」

瑞鶴「えっ? あ、うん」イイケド……


『作戦会議ニツキ一切ノ立チ入リヲ禁ズ』


瑞鶴「…………?」


パタン……カチャッ


瑞鶴「しめたわよ」

提督「ありがとう。この部屋は防音がしっかりしてるから、万一にも外部へ声が漏れることはない」

瑞鶴「そう、なの?」

翔鶴「提督、カーテンも閉めましょうか」

提督「ああ頼む」


シャー……


瑞鶴「(えっと……呼ばれたはいいけど一体何が始まるの?)」キョロキョロ

瑞鶴「(それに……)」


吹雪「………………」

鳳翔「………………」

神通「………………」


瑞鶴「(どうして吹雪と鳳翔さん、それに神通もいるんだろう。しかもみんな真剣な顔してる……真面目な話、なのかな)」

799: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/15(金) 14:00:38.53 ID:18dQgStN0

提督「よし。これで準備は整ったな」

翔鶴「はい。漏洩の心配もありません」

瑞鶴「えっと……?」ナンナノコレ?

提督「まあ瑞鶴も座ってくれ」

瑞鶴「う、うん……」

提督「翔鶴も」

翔鶴「はい。瑞鶴、となり失礼するわね」

提督「三人も呼ばれた理由はわかるよな?」


吹雪「はい。もちろんです」

神通「は、はいっ」

鳳翔「提督、瑞鶴さんがいらっしゃるということは……」


提督「まあ、本来なら、な……。存在を知られた事もそうだが、何よりここへの立ち入りを任意に許可してる俺に責任がある。かといってこちらが気づかぬ内に勝手に探りをいれられても困るわけだ。致し方なかろう」



瑞鶴「あれ、私なんか悪い事した流れ……?」アレレ……?


800: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/15(金) 14:05:55.62 ID:18dQgStN0

提督「責めているわけではないよ。ただ、これから話すことは一切外部へ漏らしてほしくないんだ」

瑞鶴「それは、この場にいない人達にも?」

提督「ああ。ここにいる吹雪には駆逐艦を、神通には巡洋艦を、鳳翔には戦艦その他をそれぞれ監視してもらっている。万一にも他の艦娘たちと鉢合わせしないように」

瑞鶴「監視……鉢合わせ?」

提督「繰り返すが、万一にも漏れないためだ。もちろん、見られたら相手をどうこうするわけでもないぞ?」

瑞鶴「そ、それは分かったけど……。結局この集まりはなんなの?」ナンカ、コワイ……

提督「瑞鶴を除いて、ここにいる者といない者の違いはたった一つだけ」

提督「うちの遠征艦隊……第三艦隊の正体を知っているということだ」

瑞鶴「!」

801: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/15(金) 14:11:15.03 ID:18dQgStN0

提督「これまでは瑞鶴に存在を知られただけでなあなあで濁してきたが、事ここに至っては話すより他がなくなった。かと言って、瑞鶴が悪いというわけでもない。そこは安心してくれ」

瑞鶴「……つまり、本当なら知っちゃいけないはずなのに、私が知っちゃったからって……こと?」

提督「端的に言えばそうなる。でもそれについて瑞鶴を責めることはしないさ。完全の俺の落ち度だ」

瑞鶴「あの、なんか危ないことだったら瑞鶴もう詮索しないけど……」

提督「悔恨は残さない方がいい。それにやっぱりあいつらの事を知りたいんだろう? だから他言無用でその真実を明かそうと思ってな。ここにいる皆には、今回のような事があった場合には打ち明けることを同意してもらっている」


鳳翔「はい」

神通「……はい」

吹雪「はいっ」


翔鶴「はい」



瑞鶴「(ゴクッ……)」

提督「さきに結論だけ言うと、所属しているのは空母・駆逐艦がそれぞれ三名だ」



提督「名前はそれぞれ――――雲龍、天城、葛城、冬月、夏月、花月と言う。伝え聞く限り、瑞鶴なら知らない名前じゃあ無いはずだ」

802: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/15(金) 14:21:08.31 ID:18dQgStN0

……

…………

………………


提督『あれは、翔鶴がこの鎮守府に来てまだすぐの頃』

提督『練度の低かった翔鶴の訓練目的で、今ここにいるメンバーである鳳翔、神通、吹雪、そして翔鶴の四人で鎮守府近海へ出たんだ』

提督『俺は母船から指示を出して、翔鶴たちがそれに沿って訓練をするという単純なものだったんだが――』



・・-・・・・-・・・・-・・

提督「よしっ。訓練一旦やめ。合流してくれ」

翔鶴「はぁっ、はぁっ……!」

提督「お疲れさま翔鶴。どうだ、うちの主力航空隊は」

翔鶴「さ、さすがは鳳翔さんですね……。数は少ないものの、一機一機の練度がとても高く、避けるのに精一杯で反撃ができませんでした」

提督「避けたと言っても、甘く見積もって爆弾命中が6、魚雷が4って所か……良くて大破、或いは」

翔鶴「撃沈、ですか……」

提督「練度の差が大きいのもそうだが、何より翔鶴の場合は回避の際どうしても動きが単調になるな。それだと相手に当ててくれと言ってるようなものだし、次の動きを簡単に見破られるぞ」

翔鶴「は、はい!」

鳳翔「例えば、右・左と転舵を繰り返すだけよりも、その中に右・左と見せかけた右やその逆を入れるだけでも有効ですよ」

翔鶴「な、なるほど……?」

鳳翔「一番有効なのは対空戦の前に如何に直掩隊で阻止するか、なんですけれどね」

提督「じゃあ、一旦休憩の後に今度は相互連携射撃訓練をしよう。護衛の駆逐艦や巡洋艦と対空砲の網を作って、効率よく撃破する訓練だ」

翔鶴「はい!」

鳳翔「ふふっ。頑張りましょうね――あら?」



提督『一休みしてから次の訓練を行おうとしたちょうどその時、念のためにと付近を哨戒させていた偵察機から鳳翔に連絡が入ったんだ』

提督『いくら近海と言っても、深海棲艦が現れないとも限らないからな』

提督『それはそれである程度織り込み済みだったんだが……』

803: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/15(金) 14:31:28.68 ID:18dQgStN0

鳳翔「どうしました……えぇっ?! それで、数は……えぇ……うん……ありがとう。 提督、敵です」


翔鶴「?!」

吹雪「っ」

神通「………………」ピクッ


提督「発見されたか。それで、数は?」

鳳翔「そ、それが……空母ヲ級及び駆逐ニ級と見られる艦影各3。そのいずれも改装型の恐れが強く、更に黄色乃至青色のオーラを纏っているとの事です!」

提督「空母だとぉ?! そんな、この近海ではこれまで確認されなかったはずだ。何故こんな所に……いやそれよりも改にオーラ付きだと? マズイな……」

鳳翔「意見具申。現状の戦力では圧倒的に不利です。直ちに後退して扶桑さんたちと合流すべきです」

提督「当然だ。ただちに訓練を中断して引き返す。神通、吹雪! 敵襲だ、ここは一旦戻るぞ!」

吹雪「は、はい!」


鳳翔「て、提督! 敵は艦載機を発艦させているそうです。それを最期に偵察機からの連絡が……途絶えました」

提督「くそっ何もかもが後手か。て言うかいつの間に見つかっていたのか……? こうなりゃぶっつけ本番だ。二人とも、ただちに直掩機をあげろ。翔鶴の方が数は多いから中高度で待機。鳳翔隊は雷撃阻止で低空待機せよ。急ぐんだ」

翔鶴・鳳翔『はい!』

提督「直掩機を上げたら続いて攻撃機をだせ。敵の位置がわからんがどうせもうすぐ見えるだろう。無理に沈めることを考えるな。損害を与えて追い払えればそれでいい」

提督「神通と吹雪は、翔鶴・鳳翔の間で左右に展開。輪形陣には程遠いがどちらにも対応できるように見張りを厳とせよ」

神通「了解!」

提督「それと神通! 敵艦が見えても絶対に一人で突っ込むなよ。今は夜じゃないし逃げるのが最優先だ」

神通「それは……私の性格からすると約束できるかわかりませんね」



提督『もちろんあれは神通なりの、場の緊張をほぐすための冗談だというのは分かってた』

提督『普段は少々頼りなさ気だけど、いざ戦闘となると性格が反転したかのように勇猛果敢になるからなあ』

提督『傍らでは翔鶴と鳳翔による航空機の発艦が行われていたが、ここでもやはり練度の差が顕著にでていた』

提督『時よりモタつく翔鶴と、一度に小隊ごと発艦させる鳳翔。準備が整った頃には、すでに空の彼方にはゴマ粒のような大群が見えてたんだ』

提督『空母三隻からなる攻撃機の大群……とまあとにかく、圧倒的な劣勢下で俺達は戦闘を始めたわけだが……』

804: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/15(金) 14:41:01.35 ID:18dQgStN0


鳳翔「じ、上空直掩機、全滅?! 敵は戦闘機のみの制空戦闘を行っています!」

翔鶴「攻撃機、大半が撃ち落とされて損害が与えられません!」



提督「くそっ! なぶり殺しにでもするつもりか……?!」



提督『飛んできた攻撃機は全てが戦闘機だった。多勢に無勢で瞬く間にエアカバーを潰されて、俺達の上にはヤツらの飛行機が取り巻くように飛んでいた』

提督『ご丁寧に、対空砲が届かないギリギリの辺りでな』

提督『その間に距離を詰めてきたヤツらの姿がはっきりと目に入ってきたよ』

提督『空母と駆逐艦だけといえば聞こえはいいが、鳳翔の話通り全員が黄色以上のオーラ持ち』

提督『こっちはいくら練度が高くても軽巡と軽空母、そして駆逐艦がそれぞれ1』

提督『唯一の正規空母は練成中、そして航空隊は壊滅状態と……まあとっくに詰んでいたわけだ』





提督「……これまで、か」



提督『この時、誰もが自分の天命を悟ったんだと思う』

提督『だからこそ皆は、いつもと変わらぬ様子で俺に問いかけてきた』



神通「――――提督、提督はどうかお逃げください。殿はこの神通が努めます」

吹雪「私も残ります。一人でも多く道連れにしてやるんだから!」

提督「神通、吹雪……し、しかし」

鳳翔「そうですね。旧式空母といえど武装はあります。提督が逃げ果せるまでの時間稼ぎくらいはできましょう」

翔鶴「私も……不本意ですが敵の攻撃を引きつけるのは得意ですので」

提督「鳳翔、翔鶴まで……!」

鳳翔「提督、指揮官は簡単に命を捨ててはなりません。提督までいなくなったら扶桑さんたちが悲しんでしまいます。一時の感情で判断を誤りませんようお願い致します」

提督「……くそっ!」




提督『鉢巻を締め直す神通、砲や魚雷の確認をする吹雪、そしてわずかに残った矢束を手に持つ鳳翔と翔鶴』

提督『こんな状況下なのに、彼女たちはとても落ち着いていた。まるで魂に刻まれた記憶にならっているかのように』

提督『為す術ももうない……今は手を止めているが、いつ相手が攻撃にきりかえてくるかもわからない』

提督『指揮官として下策中の下策――自らは逃げ、皆に相打ち狙いの突撃を命じるべきか本気で決断しかねていた時だった』

805: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/15(金) 14:51:37.39 ID:18dQgStN0



鳳翔「?! ヲ級の一隻がこちらに向かってきます!」

提督「なんだと?」



提督『見れば、青いオーラを纏ったヤツ一人だけが護衛も付けずにこちらに向かってきたんだ』

提督『余裕の現れか、それとも何か意図があるのか……これまでとは全く違う行動に戸惑いを隠せなかったよ』



神通「ッ。提督!」

提督「まだ征くな、神通!」

神通「しかし……!」

提督「よく見ろ。なんだか様子が……おかしいぞ」

吹雪「あ、あれ、あの空母……」

神通「? ……こ、これは!」

提督「総員。行動に移るのはまだ待て。いいか、待つんだぞ」



空母ヲ級「………………」フラリ……フラリ……



提督『近づいてきたヲ級は……満身創痍の状態だったんだ』

提督『先の攻撃で被害を与えたという報告は受けてないから、おそらく元からそうだったのかもしれない』

提督『撃ち落とされた鳳翔の偵察機が報告しなかったのは、特徴的なあの帽子が傘となって上空からでは判別できなかったのだろうな。或いは、伝える前に落とされたのか』

提督『そして、警戒をしたままの神通や吹雪の横を通りぬけ向かった先は、なんと鳳翔のところだったんだ』

提督『もちろん鳳翔も最初は警戒して二三歩後ずさった。だけど、ヲ級が引き止めるかのように手を伸ばした所で……倒れた』

806: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/15(金) 15:01:02.85 ID:18dQgStN0



鳳翔「え……?」

提督「鳳翔! 様子を見てくれ。俺もそっちに行く」

神通「て、提督?! 何をなさるおつもりですか!」

提督「なさるも何も俺たちを殺るならとっくにやってるだろう。もしも相手の罠だったら褒め称えながら死んでやるさ」

神通「……もぅ!」



提督『俺の行動に神通は納得がいってないようだったけどな。ラッタルから救命用の小型ボートに乗り換えて倒れているヲ級の下へ行ったんだ』

提督『この時ばかりは、艤装によって身体一つで海に浮くことが出来る艦娘が羨ましく思ったものだよ』



提督「どんな様子だ?」

鳳翔「深海棲艦の事は詳しく解りかねますが……状態を見るにいつ沈んでもおかしくないかと」

提督「どこでこんな傷を……それに、こんな状態になってまでここまでやってきた理由は何なんだろうか。さっぱりわからないな」

鳳翔「あの、どうしますか?」

提督「……さすがに判断がつかないよ」

鳳翔「そう、ですよね」



提督『なんせかんせ前代未聞の事態だ。ただ交戦し沈めるだけだった存在が目的や意志があるかのように近づいてきたんだからな』

提督『血迷いと思われたかもしれないけれど、俺はヲ級を母船に収容することにしたんだ。同時に、戦闘態勢を取ってた全員も同じく引き上げさせた』

提督『当たり前だけど賛成はされなかったよ。吹雪もこの時ばかりは声を荒らげていたっけな。最終的には提督命令でしぶしぶ従って貰う形に……』

提督『初めて触れた敵の肌は……ひんやりとしていたけれど、人間や艦娘のそれと全く同じだったよ。最も頭の帽子みたいなのはヌメヌメしてたけどな』

提督『あと、残った敵についてはなんというか……もう吹っ切れてたんだよな。戦闘には負けたようなものだから煮るなり焼くなり好きにしろ! って』

提督『ただ、向こうも戦いを継続する意志がなかったのか、あれだけ上を飛び回ってた敵機がいつの間にかいなくなってたなんて、この時気づかなかったよ』



吹雪「し、信じられません。今まで戦ってきた敵が、こんな近くで倒れているなんて」

翔鶴「私たちはどうしたらいいんでしょう……?」

神通「……死んでいるんですか?」

提督「いや、まだ息はあるようだ。かすかに胸が上下してる」

神通「………………」



提督『生死だけ確認すると神通はまた警戒に戻ってしまった。残った敵も母船の直ぐ側まで来てたから当然といえば当然だよな』

提督『ただ、ヲ級がこちらにいるからか、向こうも何もしてこなかった。まるで主に仕える従者のようにこちらを見据えたまま佇んでいたんだ』

提督『俺達に深海棲艦をどうにかする術はない。それは母船に乗っている妖精さんに見せても同じこと。どうしたものかと、ただ時間だけが過ぎていく。青かった空も、いつしかオレンジ色へと変わっていた』



807: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/15(金) 15:10:29.73 ID:18dQgStN0


空母ヲ級「……ヲ……ヲ」

提督「意識が戻ったか?!」

神吹翔鳳『ッ?!』



提督『意識を取り戻したヲ級に皆が駆け寄った。次の反応を警戒していると、なんと弱々しいながらも人語を介してきたんだ』



空母ヲ級「……ホウ、ショウ……」

鳳翔「えっ?! わ、私の名前……?」

提督「なぜ深海棲艦が鳳翔の名前を」


空母ヲ級「ホウショウ……マタ、アエタ……」


提督「また会えただと? 以前会ったことあるのか?」

鳳翔「私に深海棲艦の知り合いはおりませんが……」

空母ヲ級「……オマエ、ハ……?」

提督「お、俺か? 俺はその、提督だ。ここにいる皆の指揮をとっている」

空母ヲ級「テイトク……タタカウ……シキ、スル」

提督「あぁそうだ」


空母ヲ級「オマエ……タタカイ、デキナイ……コウカイ……スル?」

提督「なんだって? 戦い? 後悔?」

空母ヲ級「ワレラ、タタカウ……デキナイ……クヤシイ、キオク」

提督「……戦えないのが悔しい? それに記憶って、どういうことだ」

808: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/15(金) 15:23:09.86 ID:18dQgStN0

空母ヲ級「ホウショウモ……タタカウ、デキナイ……クレ、モエル……」

鳳翔「私が戦う……くれ……呉?」

空母ヲ級「ワレ、ウンリュウ……ウミノムコウ……シズンダ」

提督「……うんりゅう? なんだそれは」

空母ヲ級「アマギ、カツラギ……イモウトタチ……タタカエナイ……クレ、モエタ……」

鳳翔「ッ?!」



提督『ヲ級が名前みたいなものを呟いた途端、突然横にいた鳳翔が飛び跳ねるように後ずさったんだよな。その顔はまさに、お化けでも見たんじゃないかってぐらい驚愕一色に染まっていたんだ』



空母ヲ級「フユツキ……ナツヅキ……ハナヅキ……タタカイ……ムネン……アル」

鳳翔「まさか……まさかまさかまさか、この子たちは―――ッ?!」

提督「ど、どうしたんだ鳳翔?!」

鳳翔「呟いた名前は六隻……そしてここに集まっているのも、六隻……っ! まさか、あなたたち―――」

空母ヲ級「ミンナ、タタカウ……ノゾム……ナカマ、マモル……」



提督『その瞬間に、鳳翔はヲ級を抱きかかえると、ぎゅっと抱きしめたんだ。両目からは、溢れんばかりの涙を零しつつ』







鳳翔「あなたたち……っ……そんな、そんな姿になってまで……戦いたかったっていうの?!」







提督『鳳翔だから知っていること。鳳翔だからこそ知り得たこと。生き残ってしまった者だけがわかること』

提督『それは艦娘にとっての過去。魂に刻み込まれた戦争<<タタカイ>>の記憶』

815: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/15(金) 17:01:16.61 ID:18dQgStN0
再開ー


ある所に、雲龍型と呼ばれる空母が誕生したそうな。15人ものたくさんの姉妹が生まれるはずだったが、3人目以降は事情により途中放棄だったり中止にされたとか

無事に生まれた三姉妹は名を与えられ、戦うためのフネとしてその時を待ったそうだ

新たな機動部隊を担う中核的な存在として――――だけど……その時は遂にやって来なかったのだ

長女雲龍は、生まれてから半年も経たずして、空母としての役目を果たすことなく輸送任務中に命を落とし……次女の天城と三女の葛城は、もはや動くことすらままならず、ただひたすら敵の攻撃に晒された。そのすぐ側には同じく攻撃に晒された鳳翔と龍鳳―――大鯨がいたという

せっかく空母に生まれたのに。先に逝ってしまった先達たちや、生まれることなく放棄されてしまった妹たちの分まで頑張ろうとしていたのに

現実は載せる飛行機もなく、組める艦隊もなく、動く燃料もない――戦争と、劣勢という存在が、彼女たちから全てを奪っていってしまったのだった



816: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/15(金) 17:11:08.23 ID:18dQgStN0


またある所に、秋月型と呼ばれる駆逐艦が誕生したそうな。

空母を護るための存在として生まれ、たくさんの作戦に参加し、そして各地で散っていった小さな勇者たち

そんな偉大なる姉よりもずっと後に生まれた冬月、夏月、花月も、今は亡き姉たちの勇姿に憧れて意気込んでいたそうな。

でも、現実はどこまでも彼女たちに厳しかった


あまりにも遅すぎた誕生……。もはや護るための空母は既になく、艦隊としての行動をまともにとることなく戦いは終わり……

冬月に至っては参加した作戦で多くの味方を失った。護るべき象徴も失った。何もかも失った

戦い沈むはフネの名誉。だけど戦わずに負けるのは無様以外の何物でもない。

なによりも、こんな状態で生き残っては散っていった先達たちに顔向けできない



どうしてだろう。どうしてこんな事になってしまったのだろう? 自分たちの何が悪かったのだろう?

ただ自分たちは、戦い、護りたかっただけなのに……



……そんな彼女たちの無念や後悔。尊んで丁寧に弔うべき想いを、深海と言う名の重く冷たい闇が喰らってしまったのだ





提督『そして、彼女たちは深海棲艦へと身をやつす。戦いたいという欲求は、かつて護ると誓ったはずだった味方へと向けられることになる――はずだった』


817: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/15(金) 17:20:31.91 ID:18dQgStN0



空母ヲ級「ワレラ、タタカイ……ノゾム……ダケド……ワレラ、バケモノ……ナカマノ……テキ」

鳳翔「そんなことない! どんなに姿形が変わっても、忘れるわけないから。私は、覚えているから……っ!」

空母ヲ級「ワレラ……イッショ……?」

鳳翔「一緒です! 今までも、これからも、ずっと一緒です」

空母ヲ級「……ヨカッタ……」キラキラ……


鳳翔「?!」

提督「な、なんだ?」

神通「提督! 残りのヲ級達も……!」

翔鶴「これは……」

吹雪「か、身体が光ってる」

鳳翔「…………ッ!!」



提督『何かを察したらしい鳳翔が、覆いかぶさるようにしてヲ級を抱きしめた』

提督『艦娘は、戦意が高揚するとキラキラ状態になるという。しかし目の前のそれは違って見えた』

提督『言うならばまるで、身体が天に溶けていくような、そんな……』

提督『そんな時、ヲ級が首をこちらに向けたんだ。向けた拍子に頭の帽子がゴロンと外れて、光の粒となって消えていった』

818: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/15(金) 17:30:27.90 ID:18dQgStN0

空母ヲ級「テイトク……メイレイ、ホシイ」

提督「め、命令だと?」

空母ヲ級「ワレラ……タタカウ……コンドコソ、ナカマ……マモル」

提督「わ、わかった! 元気になったらいくらでも命令を出してやる。嫌というくらい戦わせてやる!」

空母ヲ級「……やく、そく……」



提督『その瞬間、眩しさが増したと思ったら光の粒がいよいよ空に向かって舞い出したんだ』

提督『浄化――そんな言葉が頭をよぎったよ。深海棲艦は恨みや憎しみ、後悔を糧に生まれると伝え聞くが、それらが浄化された時はきっとこうなるんじゃないかと……』

提督『俺を含めて、その場にいる誰もが目の前の深海棲艦たちが消えてしまうものだと思っていた。だけど、本当の驚きはここからだった』



鳳翔「ッ。て、提督! この子、身体が……」

提督「嘘だろ…。なんだこれは……何が起きてるっていうんだ」



提督『光の粒が天に溶けていく中で、ヲ級の禍々しいくらいに白い肌は徐々に肌色を模し、透き通るような銀髪は色濃く染まっていったのだ』

提督『ここ甲板でも、そして残ったヲ級たちがいた海上でも同じような光景が広がる。深海棲艦が、人へ――艦娘へと蘇ろうとしていた』


提督『まさに前代未聞。こんなこと、目の前で起こってなければ何を言われようが絶対に信じることはできない』

提督『俺達は、ただ呆然と"六人の艦娘"が生まれる瞬間を見ていた。言葉なんて、出るはずもないだろう?』


819: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/15(金) 17:40:34.16 ID:18dQgStN0


・・-・・・・-・・・・-・・

提督「――これが、事の顛末。第三艦隊の真実だ」

瑞鶴「う……グスッ……」ポロポロ

翔鶴「瑞鶴は、あの子たちのことを知っているんでしょう? 私は、その時にはもう……」

瑞鶴「わ、わたしも……少ししか、会ったことないし…っ…一緒に、戦ったことも、ないけど……」ポロポロ

瑞鶴「あの子達は……瑞鶴たちの、妹みたいなものだよ……!」グスッ……

提督「何もかもが前例のないことで、全ての深海棲艦が同様になるとも確証はない。故にあいつらの存在は隠し通さなきゃいけないんだ。あいつらのためにも」

翔鶴「深海棲艦は我々の敵。そんな当たり前すぎる常識の中で、艦娘に"戻った"なんて事実が世間に知れたらあの子達がどうなるか……」


提督「どんな騒動になるかわからないっていうのもあるんだが、実はもう一つあるんだよ」

瑞鶴「グスッ……も、もう一つ?」

提督「あぁ。深海棲艦の名残、みたいなのがあるんだ。髪の先端はグラデーションが掛かったように銀色や白になってるし、目の方も……片目だけがその時纏っていたオーラと同じ色をしてる。ヲ級――雲龍たちだけでなく、ヒト型を成してなかった駆逐艦までもだ」

鳳翔「他にも個人差はあるけれど、腕や足の一部に深海棲艦と同じ肌の色が残っているの。妖精さんたちが診てみてもこれらはどうしようもないみたいで……」

瑞鶴「そっか……でも、それでもみんなと会えないのはかわいそうじゃない? せめてこの鎮守府の中だけでも……」

提督「もちろん俺だってそうしたい。でもな、噂なんて何処から出てくるかわからないんだ。一度漏れたら、絶対に隠し切れない。最悪、この鎮守府そのものが危険になってしまう。人間からも、深海棲艦からもだ」

瑞鶴「それは、わかるけど……」



820: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/15(金) 17:50:30.52 ID:18dQgStN0

提督「……あと、これは彼女たちたっての願いでもあるんだ」

瑞鶴「そうなの?」

提督「全部ではないが、深海棲艦だった時の記憶が残っているらしいんだ。幸いにしてこっち側の戦力を沈めたことはないらしいが……仲間と思っていた味方から攻撃を受け、同じ深海棲艦からも攻撃を受けていたそうだ」

翔鶴「自分たちはこんな姿だから皆の前に出られない。だけどみんなを助けることはできるから、今はかつて出来なかった事をやらせてほしいって」

鳳翔「戦いが終わったら、今までの戦果をみんなに自慢するんだって言っていましたね」

提督「事実上うちの戦果と家計の大黒柱だからなあ。俺も頭上がらないよ」

瑞鶴「じゃ、じゃあ私たちがあんまり大きな遠征に行かないのは……」

提督「鉢合わせたら困るしな。あとこんな場所が幸いして戦闘も少ない。近場で訓練するくらいだったら調整もできる」



瑞鶴「……なんか、ホントに他所に言えないようなことだね」

提督「だから言っただろう? 下手に嗅ぎ回られたら困るって」

瑞鶴「わかった。じゃあ……私はどうすればいいんだろう。今までどおりでいいのかな?」

提督「そうしてくれ。今までどおりが一番の解決策だ」


瑞鶴「うん。……義妹達のお願いだもんね。お義姉ちゃんが守らないで誰が守るっていうのよ」





……かつて、我らは仲間を守りきれなかった。戦うことが出来なかった。

……でも、だからこそ、今度こそ、絶対に――――――



827: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/15(金) 20:01:03.50 ID:18dQgStN0

・・-・・アッタカモシレナイ史実<カコ>、アルガママノ未来<コノサキ>・・・


雲龍「瑞鶴姉、烈風ってどうすればうまく飛ばせるの?」トバナイワ

瑞鶴「えぇっ。アンタまだ飛ばせないの? 天城や葛城はちゃんと飛ばせてるってのに」

雲龍「そうは言うけれど、難しいモノは難しいのよね」

天城「雲龍ねぇは何事も大雑把すぎ。これだから火力バカは……」フーヤレヤレ

葛城「でも、確かに烈風は難しいよね。もっと重い流星はボクには遠い未来だなあ」

瑞鶴「アンタ達ねえ。そんなんじゃいつまで経っても栄誉ある一航戦はお預けよ! もっと訓練しなさい訓練を」

鳳翔「瑞鶴さんはこう言ってますが、実は瑞鶴さんも昔彗星や天山を上手く飛ばせなかったのよ?」

瑞鶴「ちょっ?!」

雲龍「なるほど。やっぱり誰でも未熟な頃はある、と」

瑞鶴「私のことはいいの! 今ちゃんと飛ばせるんだから」

天城「それは飛ばせなかったら困ります」

鳳翔「もう何年も前になりますね……翔鶴さんと二人、揃って加賀さんたちにたっぷり絞られていたのは」

葛城「加賀さんと言うのは、あの南雲部隊の……」

鳳翔「ええ。戦闘に対してとても真面目で厳しい方でしたけれど、今の瑞鶴さんを見てわかるように、しっかりと導いてくれたわ」

雲龍「さすがは伝説の一航戦。参考にすべき人たちね」

瑞鶴「ちょちょっと、伝説ってなによ伝説って! 私だって教えるくらいちゃんとできるもん。いい、よぉく見てなさい三人とも。烈風ってのは、こうやって飛ばすの――ッ!!」


………………

…………

……


828: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/15(金) 20:10:22.17 ID:18dQgStN0


・・-・・・・-・・・・-・・

雲龍「――さテ。みんな、行くわヨ」

天城「ああ、征こウ雲龍」

葛城「今度は何処にいコうか」ミナミデモイク?

雲龍「ピンポンダッシュはそろそろ飽きたシ……」

天城「だからアレはピンポンダッシュではないト何度……」

雲龍「なら、火事場泥棒?」

天城「……こノ火力馬鹿め」

葛城「あはハはは――――あ、景雲改が遊弋中の機動部隊発見ダって!」

雲龍「なら、次の標的は決まりネ。せっかくだから噴式震電と橘花改を試そうかしラ」

天城「やれやれ……毎度ノ事ながら唐突に決まるナ」

葛城「まあいいじゃナいさ。戦えるのは楽シいよ」

冬月「護衛ならお任せくださイ!」

夏月「……敵機、狩ル」フンスッ

花月「ヨークタウンはよーくたーンと狙うんですヨ。なンてね!」


雲龍「よし、じゃあ第三艦隊第一航空戦隊、出撃すル!」


この子たちに、幸多からんことを……


838: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/17(日) 21:00:15.84 ID:BpL7Oj7r0

・・-・・センパイトコウハイ・・・


提督「……雲龍たちに会ってみたいって?」

瑞鶴「うん。この間本当のことを教えてもらって、確かに秘密にはするけれど……でも、やっぱり一度は会ってみたいなって」

提督「うーむ」ドウシタモノカ

瑞鶴「……だめ?」

提督「まあ、知っている者の中で瑞鶴だけ顔も分からないっていうのは酷か。それこそ、また探りを入れられても困るわけだし」

瑞鶴「い、いいのっ?」

提督「なあ翔鶴、たしか第三艦隊はいま整備中だったな」

翔鶴「はい。少し疲れたから休憩と言っていました」

提督「それじゃあ、アイスの差し入れついでに顔でも見に行こうか」

839: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/17(日) 21:05:24.66 ID:BpL7Oj7r0


―鎮守府隠し通路―

瑞鶴「建物からこんな所に続く道があったなんて……」トコトコ

提督「鍵を持った者しか通れないからまずバレる心配もない。それに、締め忘れ防止に建物側からは鍵をささないとノブが回らないようになってるんだ」

瑞鶴「また一つここの秘密を知った気分かなぁ」

提督「そんな秘密なんてコレくらいなものさ」

瑞鶴「そう言えば、雲龍たちって普段装備とかどうしてるの? やっぱり夜間に?」

提督「第三艦隊については、整備・補給などを含め全てみんなとは別の場所で行ってる。これも遭遇を避けるためだ」

瑞鶴「そのためにわざわざ作ったの?」

提督「元々あった洞窟を大改装しただけだよ。その辺りはこのドア含めて妖精さんの協力が大きい」

瑞鶴「じゃあ妖精さんは知ってるんだ」

提督「もちろん。運び込んだ際に徹底的に検査したから」

瑞鶴「なるほど」ナットク

提督「このドアの向こうが彼女たちの生活スペースだ。と言っても、普段はいないことの方が多いがね」


knock knock


??『――はーイ?』

提督「ああ俺だ。今入っても大丈夫か?」

??『提督? ええ、どうゾー』

瑞鶴「………………」ゴクッ




840: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/17(日) 21:10:35.20 ID:BpL7Oj7r0


ガチャッ


提督「お休みのところすまないな」

??「いいエ。それで、何かご用ですカ?」

提督「日頃の労いでアイスの差し入れをな。みんなで食べてくれ」

??「アイスっ? ありがとウ!」


ミンナ ヨロコブワ


瑞鶴「(わぁ。すごい大人びてる人……それに髪の毛も翔鶴姉ぇと同じ銀色だ)」


??「提督。ありがとうございまス」

提督「このくらいなんもなんも。あぁそれと、実は会わせたい艦娘がいてな」


瑞鶴「あ……えっと、瑞鶴、です」コソッ


雲龍「え、瑞鶴姉っ? 久しぶリ! 私、雲龍ヨ」

瑞鶴「う、うん。久しぶりね。この姿では初めましてだけど」


瑞鶴「(それに、本当に片目だけ蒼いのね……深海棲艦の名残、か)」


雲龍「そう言えバ……。それじゃあ改めテ、雲龍型航空母艦の長女、雲龍でス。妹の天城と葛城、そして冬月型の三人ともども、よろしク」

瑞鶴「他の子達はどうしたの?」

雲龍「妹達はまだドックで、先にあがった冬月たちは奥でお昼寝中ネ」

瑞鶴「そっか。それにしても……」ペターン

雲龍「???」ドタプーン


瑞鶴「(私より後に生まれたのに、いったい何が違いに出たんだろう……くっ)」


841: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/17(日) 21:15:13.84 ID:BpL7Oj7r0


雲龍「でも提督。どうして急に瑞鶴姉ヲ?」

提督「んー、まあ端的に言えば気づかれてしまったから、だな」

雲龍「やっぱり夜中とて出歩くのは危ないカ……そう言えば鳳翔が言ってたわネ。瑞鶴姉に見つかりかけたっテ」


瑞鶴「えっ……それじゃあこの間私が夜中に見たのって鳳翔さんじゃなかったの?」


雲龍「夜の一人歩きは危ないヨって驚かせようと思ってたんだけド……あとで鳳翔に怒られてしまったワ」

瑞鶴「うわぁ……なんともまあ」

提督「あんまり危ないことはしないでくれよ」

雲龍「妹達にも気をつけるよう言っておくワ。特に冬月達は遊ぶのが好きだかラ」

瑞鶴「駆逐艦が元気いっぱいなのは変わらないんだね……」


実際はこうだったのです

847: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/19(火) 21:00:14.40 ID:Kjp/9RLJ0

・・-・・翔鶴ト瑞鶴10・・・


瑞鶴「あぁー今日も疲れたー!」バターン

翔鶴「瑞鶴。ちゃんと髪の毛乾かして梳いておかないと明日大変よ」

瑞鶴「それは分かってるんだけどー。この布団の魔力には抗えないぃぃ」ゴロゴロ

翔鶴「はしたないわよ。ほらもう裾がめくれてる」

瑞鶴「どうせ誰も見てないから平気平気ー」ゴロゴロゴロ

翔鶴「もう……」スッスッ

瑞鶴「翔鶴姉ぇは面倒だと思ったこと無いの?」

翔鶴「まぁ面倒だと思うこともあるけれど……」

瑞鶴「ど?」

翔鶴「やっぱり次の日慌てることを考えると、ね。秘書艦としてみっともない格好は出来ないわ」

瑞鶴「……やっぱり提督さん?」イヒヒ

翔鶴「提督は関係ありませんっ」

瑞鶴「顔赤いよー?」

翔鶴「お、お風呂あがりだからまだ暑いの!」

瑞鶴「そういうことにしておきまーす」ニコニコ

848: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/19(火) 21:05:22.27 ID:Kjp/9RLJ0


瑞鶴「ねえねぇ翔鶴姉ぇ、私の髪も梳かしてー」

翔鶴「……もう。しょうがないんだから」

瑞鶴「えへへ。ありがとっ」

翔鶴「ほら、こっちいらっしゃい」

瑞鶴「おねがいしまーす」

翔鶴「瑞鶴も私と同じで髪の毛長いから、お手入れしないとすぐボサボサになっちゃうわよ?」スッスッ

瑞鶴「でも、自分でやるよりも誰かにやってもらった方が気持ちよくない?」

翔鶴「私は自分でした方がいいけれど……」スッスッ

瑞鶴「そうかなあ。たまに提督さんにも梳いてもらうけど上手だよ。みんなが頼むのも分かる気がする」

翔鶴「提督も甘いんだから……」

瑞鶴「翔鶴姉ぇもやってもらってるでしょ?」

翔鶴「……まあ、うん」

瑞鶴「毎日梳いてもらえば?」

翔鶴「そんなことできるわけないでしょう」

瑞鶴「提督さんならやってくれると思うけどなあ。特に翔鶴姉ぇの頼みなら」

翔鶴「う……」←ちょっと期待した

瑞鶴「あ、そうだ。髪の毛といえばさあ」

翔鶴「えっ、あ、な何?」

瑞鶴「ちょっとやってみたいことができたんだけど――――」


提督なら誰でも梳いてくれます

854: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/20(水) 21:08:45.73 ID:P7gXsUay0

・・-・・翔鶴ト提督10・・・


瑞鶴『提督さんならやってくれると思うけどなあ。特に翔鶴姉ぇの頼みなら』



翔鶴「………………」



提督「んー、やっぱり戦力を考えると重巡か航巡、戦艦辺りなんだろうが……」ムムム

翔鶴「あの……提督?」

提督「うちのやり繰りじゃ余裕がなぁ……」

翔鶴「て、提督」

提督「――――ん? あ、あぁ悪い。どうかしたか?」

翔鶴「あの、えっとその……一段落したらでいいんですけれど。かみを……」

提督「かみ?」

翔鶴「か、髪の毛を梳いていただけますでしょうか!」


855: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/20(水) 21:15:20.40 ID:P7gXsUay0


……

…………

………………


提督「急にどうしたんだ? 翔鶴の方からなんて珍しいじゃないか」スッスッ

翔鶴「うぅ、今思い返すとはしたないことを……」

提督「翔鶴はもっと自己主張してもいいと思うぞ。そのおかげかどうか分からないけれど、たまに来るのがエラク大きいから驚くよ」

翔鶴「すみません……」

提督「まあ俺は楽しんでるから問題ないけどな。翔鶴に頼られるとなんだか嬉しくて」

翔鶴「嬉しい、ですか?」

提督「うん。もちろん他のみんなに頼られたって同じく嬉しいよ」

翔鶴「………………」

提督「でも、あえて差をつけるならやっぱり翔鶴が一番かな。指揮官としてじゃなく、俺個人としてだ」

翔鶴「指揮官は贔屓してはいけませんからね」

提督「もちろん。だから仕事以外の時限定。この部屋でってのは見逃して欲しいけど」

翔鶴「ふふっ」

856: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/20(水) 21:21:06.65 ID:P7gXsUay0


提督「それにしても、翔鶴はしっかりと髪の毛を手入れしてるよなー。毛先もパサついてないし、枝毛もない。櫛通り最高だ」スッスッ

翔鶴「提督もお上手ですよね。以前から誰かにやられていたんですか?」

提督「いやそんな事はないが……。丁寧にって心がけてるだけだよ。それに、ここで他の子達のもやってて慣れたのもある」

翔鶴「ホントですか?」

提督「嘘は言わないよ」スッスッ

翔鶴「もし私が……毎日お願いしますと言ったら?」

提督「その時は喜んで」

翔鶴「……じゃあ、その時が来たら、お願いします」

提督「うん。早く来るよう頑張る」スッスッ


翔鶴「………………」

提督「………………」


翔鶴「な、なんだか恥ずかしいですね」カオガ アツイ

提督「まぁ、うん。でも誰も聞いてないから」オナジク


ちょっとだけ 甘い空間

865: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/22(金) 21:20:25.27 ID:7lsIctRR0

・・-・・瑞鶴ト提督7・・・


瑞鶴「なんだか外で鳴いてるセミが変わった気がする」

提督「ツクツクボウシも聞こえ始めたし、夕暮れ時と言ったらヒグラシだな。あの儚げな感じが、子供心に寂しさを感じたものだよ」

瑞鶴「カナカナカナ……って?」

提督「うん。夏休みが終わるなぁとさ。今じゃ休みどころじゃないけど、一日が終わるって意味では同じかもしれない」

瑞鶴「あ、それはなんかわかるかも」

提督「夜は夜で別の虫の鳴き声が聞こえて、世界が変わったって感じがしてたよ」

瑞鶴「んー、そっちはわからない……」

提督「まあ子供の感覚ってやつだよ。人それぞれともいう」



瑞鶴「人それぞれ、と言えばさ」

提督「ん?」

瑞鶴「私はいつもこんな髪型だけど、提督さんはどう思う?」

提督「どう、とは? 似合ってるか似合ってないかの話かな」

瑞鶴「もちろん」

提督「瑞鶴らしくていいと思う。似合ってるよ」

瑞鶴「そっか。じゃあコレ解いたらどうかな?」

提督「リボンを解いた姿は髪の毛を梳かす時くらいしか見てないからなあ。……うーん。下ろした瑞鶴は大人びてる感じ? そっちも似合ってるとは思うが……」

瑞鶴「なんか違う、って?」

提督「慣れの問題だと思うんだがね。あ、やっぱり姉妹だけあって翔鶴に似てるかも」

瑞鶴「そうかな」

提督「ああ。でもどうしたんだ急に。髪型でも変えるのか?」

瑞鶴「ん? ま、ちょっとねー」


ちょっとねー

875: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/24(日) 17:00:13.31 ID:oRi17vOk0

・・-・・CHANGE・・・


『ほ、本当にやるの……?』

『まあまあいいじゃん。別にワルイコトするわけじゃないんだし』

『でも、髪色違うからすぐにバレないかしら?』

『そこでコレの出番なのよ。妖精さんにちょっと作ってもらっちゃったりして』

『妖精さんにそんなこと頼んじゃダメでしょう』

『えー。でも結構おもしろがってくれたけどなあ』

『大事にならないといいけれど……』

『ダイジョブダイジョブー。ささ、これを髪の毛にシュシュッと。洗えば落ちるから安心してね』

『……本当に変わったわ』

『妖精さんってなんでも作れてすごいよねー。で、後は乾いたら私のリボンでまとめて……っと』

『なんか、恥ずかしいなあ』

『どうしてさ。そんなこと言ったら私なんて毎日恥ずかしい思いすることになっちゃうよ』

『ちょっと子供っぽく見えない……?』

『OK、喧嘩なら買おう』


……

…………

………………


876: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/24(日) 17:05:35.84 ID:oRi17vOk0

加古「ふぁぁ~……あふ。今まで寝てたのにまだねむい」ネムー

加古「古鷹も起こしてくれたっていいのにさ―」

加古「朝ご飯食べ遅れちゃうよ……。あ、瑞鶴だ。やっほーおはよーさん」

瑞鶴?「あ、おはようごz……じゃなかった。おはよう。加古さん」

加古「んあ? どうしたの急に"さん"なんて付けて」

瑞鶴?「えっ? あ、いや……その。ちょっと、気分で……」アハハ

加古「んん……?」

瑞鶴?「そ、それよりも、加古s……も、これからなら一緒に朝ご飯食べま……ない?」グググッ

加古「うん。それはいいけどさぁ」


加古「(なんか今日の瑞鶴おかしいぞ?)」



………………



春雨「わぁ……! 朝から豪勢です。今日は何かあるのかな」

村雨「え? なにもないけれど?」

春雨「でも朝ご飯がこんなにたくさん……」

村雨「うちはいつもこんな感じよ。鳳翔さんや間宮さん、それに大鯨さんが腕によりをかけてくれるから」

春雨「す、すごいです……!」

夕立「だし巻きもいいけど、今日は甘い卵焼きにしよっとー」ッポイ!

春雨「わ、私もそれに――――」ドンッ


翔鶴?「わっ……」


春雨「あわわっ。ご、ごめんなさい!」

翔鶴?「ううん大丈夫よ。でも、お盆は落とさないように気をつけてね」

夕立「翔鶴さんおはよーございまーす」

翔鶴?「うん。みんなもおはよ。朝から元気ねー」

春雨「は、はい! 今日も元気いっぱい、です」

村雨「いつもよりも遅いみたいですけど、翔鶴さんも今から朝ご飯ですか?」

翔鶴?「ちょっとしょうかくね……じゃなかった。瑞鶴と話してたら遅くなっちゃったの」

夕立「翔鶴さん。良ければ朝ご飯一緒しませんかー?」

翔鶴?「うん。じゃあお邪魔しようかな」


村雨「(しょうかくね……なんだろ?)」


877: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/24(日) 17:10:38.72 ID:oRi17vOk0

瑞鶴?「(うう、どうしても口調が……なるべく意識するとしても、大人しくしておいた方が良さそうね)」


扶桑「あら、瑞鶴。おはよう」

山城「こんなところで何してるの?」

瑞鶴?「あっ! ふ、扶桑さんに山城さん……どっどうした……の?」

扶桑「私たちは朝ごはんの前にお風呂に入っていたの。汗も流れてサッパリ出来たわ」

山城「朝から姉さまの珠肌と滴る水滴が見れてもう……ハッ?! じゃなかった。ね、寝汗がどうも嫌で」

瑞鶴?「き、昨日も暑くて寝苦しかったから……」

扶桑「早く空調を導入してほしいわね」

山城「瑞鶴からもあの人に言ってみたら?」

瑞鶴?「う、うん……。そうするわ」


扶桑「私たちはこれからご飯だけれど、瑞鶴はもう食べたの?」

瑞鶴?「はい……あ、うん。もう食べ終わった、わ」

扶桑「それじゃあ、私と山城はご飯を食べてくるわね」

山城「またあとでね」

瑞鶴?「う、うん。また……」オテテフリフリ


瑞鶴?「………………」


瑞鶴?「(朝なのにもう疲れてるわ……)」ハァ


………………


翔鶴?「さてと、執務室行く前にちゃんと歯を磨いておかないと」


ガチャッ


鳳翔「よいしょっと……」


翔鶴?「あれ? 鳳翔さん?」

鳳翔「あら、翔鶴さん。おはようございます」

翔鶴?「おはようございます。何かたくさん持ってるみたいですけど、どうかしたんですか?」

鳳翔「えっと……?」キョロキョロ

鳳翔「雲龍さんたちの朝ご飯を作ってきたんですよ」ヒソヒソ

翔鶴?「あっ。なるほど……」

鳳翔「…………?」

翔鶴?「いえっなんでも」

鳳翔「そうそう。雲龍さんたちの整備、補給は終了したと。後で提督に伝えておいていただけますか?」

翔鶴?「わかりました」

鳳翔「では、私はこれで」ペコリ


翔鶴?「………………」


翔鶴?「(そっか。今まで気にしてなかったけど、あの子達の分も作らないといけないのよね。と言うことは、ひょっとして毎朝……?)」

878: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/24(日) 17:15:24.91 ID:oRi17vOk0


……

…………

………………



『どうだった? バレちゃった?』

『た、たぶん大丈夫だと思うけれど……やっぱり変な気分だわ』

『でも新鮮でしょ? せっかくだからもうちょっと続けようよ』

『え……』マダ?

『みんなは気づいてないかもしれないけど、提督さんならどうかな』

『て、提督も……?!』

『なんなら一緒に部屋に入ってさ、驚かせるのも楽しそうじゃない?』

『それは流石に度が過ぎないかしら』

『出撃任務があれば別だよ? でも普段通りだったら多少は……ね』

『うぅ……』

『なにごとも経験経験。さ、いこっ』


879: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/24(日) 17:20:40.88 ID:oRi17vOk0


knock knock

??『鶴姉妹、入りまーす』


ガチャッ


翔鶴?「提督、おはようございます」

提督「ああおはよう翔鶴。それに瑞鶴もおはよう。二人揃ってくるのは珍しいなあ」

瑞鶴?「おはようごz……んんっ!」ゴホンッ

提督「?」

瑞鶴?「いえ、なんでも。それよりもていとk」

翔鶴?「提督。本日の予定を確認したいんですけど、よろしいですか?」ズイッ

提督「ん……? ああ、ちょうど俺も確認していたところだよ」フム


デハ、ホンジツノ ヨテイハ……

ソウダナ……


瑞鶴?「………………」ポツーン


翔鶴?「――――――」テキパキ


瑞鶴?「(私がなにもせず、瑞鶴が普段らしくないほどお仕事をこなしてるのを見るのは確かに新鮮かも)」

瑞鶴?「(中央にいたのも頷けるわね)」

瑞鶴?「(というか提督は入れ替わってることに気づいてない……のかな?)」


瑞鶴?「………………」

880: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/24(日) 17:25:33.03 ID:oRi17vOk0


翔鶴?「提督。こちらの書類作成しましたので確認をお願いします」

提督「了解した。…………ふむ。うん、じゃあこれは承認、と」ペタン

翔鶴?「いよいよ工事が始まるんですね」

提督「みんなには後でお待たせって伝えないとな」

翔鶴?「結局8月は過ぎちゃいましたね」

提督「来月もまだまだ暑さは続くさ。それに寒くなれば暖房にもなる。長い目で見ればいつ導入しても快適空間だ」

翔鶴?「ですね。では、こちらは本部へ送っておきます」

提督「よろしく頼むよ。……ああ、ついでにお茶を淹れてきてもらえるかな。せっかくだから一息入れよう」

翔鶴?「わかりました」


瑞鶴?「………………」ヒマ……


提督「今日の瑞鶴はずいぶんと大人しいな」

瑞鶴?「えっ? あ、そうで……かな?」

提督「瑞鶴もお茶飲むだろう?」

瑞鶴?「あ、うん……い、いただくわ」

提督「…………?」


翔鶴?「と、とりあえず三人分お茶淹れてきますね!」

881: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/24(日) 17:30:36.85 ID:oRi17vOk0

翔鶴?「どうぞ」コトッ

提督「ありがとう。おぉ、今日は紅茶なのかぁ。いい香りだ」

翔鶴?「間宮……さんからクッキーを貰ったので紅茶にしました」

提督「このクッキーもバターのいい匂いがする。美味しい内にいただくとしようか」

翔鶴?「はい」スッ

瑞鶴?「う、うん」スッ


提督「…………ん?」オヤ?

翔鶴?「どうかしましたか?」

提督「いや、なんでもない」



提督「(気のせいじゃない、よなあ?)」



翔鶴?「――今日は出撃もなくて平和ですね」

提督「ああ。毎日がこんなだったらいいんだけどな」

瑞鶴?「………………」コクコク

翔鶴?「でもそれだと私たちの仕事がなくなってしまいます」

提督「俺としては早くなくなってしまいたいんだがね。艦娘と言えど女の子に戦場へ行かせてるんだから」

翔鶴?「戦争が終わったら私たちはどうなるんでしょう?」

提督「上はどう考えてるか……ただでさえ俺からすれば不審の塊のようなヤツらだし」

翔鶴?「提督はどう考えているんですか?」


瑞鶴?「……!」アッ……


提督「……ダウト」

翔鶴?「えっ?」ダウト?


提督「別段引っ掛けたつもりもないが……これは俺の勝ちってことになるのかな? 翔鶴のフリした瑞鶴さん?」


翔鶴->瑞鶴「……バレちゃったか」

瑞鶴->翔鶴「……はぁ」

882: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/24(日) 17:35:56.64 ID:oRi17vOk0

提督「恐ろしく個人的な話だし、翔鶴しか知らないことだから無理もないが……なんでまた入れ替わってたんだ?」

瑞鶴「ちょっと面白半分でと言うか、いたずら心と言うか……。ほら、この間髪型の話したでしょ?」

提督「それで実際に入れ替えてみたと言うわけか」ナルホドネ

翔鶴「す、すみません提督!」

提督「いやいや怒ってないよ。最初は見事に気づかなかったしな」


瑞鶴「やっぱりその"だうと"って言うのがわかったきっかけ?」

提督「決定的なのはね。怪しいなと思ったのは予定の確認の時だよ」

瑞鶴「それも最初じゃん」ブゥー

提督「翔鶴ならまず俺よりも先に予定の確認をしてるのが一つ」

瑞鶴「……そうなの?」

翔鶴「秘書艦ですから」

瑞鶴「だから毎朝あんなに早起きなのか……」

883: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/24(日) 17:41:08.95 ID:oRi17vOk0


提督「あとはやっぱり口調だったり書類の書き方だな。どんなに翔鶴に似せてても細かい所は本人のクセが出るよ」

瑞鶴「んー、いくら姉妹でも違う部分は違うかあ」

翔鶴「当たり前でしょう」

提督「クセと言えばお茶の時のこの並び方だな。完全に普段通りだから、翔鶴と瑞鶴が入れ替わってる」

瑞鶴「あ」

翔鶴「そう言えば……」

提督「それとさっきの話でピンと来たわけだよ」

瑞鶴「提督さんって意外とよく見てるんだね」


提督「でも不思議なのは翔鶴と瑞鶴は髪色が違うのにどうやってそっくり入れ替えたんだ? まさかこれがために染めたわけじゃなさそうだし」

翔鶴「それがですね……」

瑞鶴「妖精さんにお願いして作ってもらったの。これは洗い流せば落ちちゃうから今だけね」

提督「……まあ、息抜きも必要だよなぁ」

翔鶴「す、すみません……!」


瑞鶴「でもさあ、バレるキッカケになった翔鶴姉ぇしか知らないことってなに?」

提督「それは秘密だ」

瑞鶴「えぇー今は私が翔鶴姉ぇだよ教えてよー」

提督「だーめ」

瑞鶴「翔鶴姉ぇだけズルイー!」


なお、消費した資源は決して少なくない、とのこと

885: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/24(日) 21:21:21.74 ID:oRi17vOk0

・・-・・翔鶴ト提督11・・・


翔鶴「本日はすみませんでした」

提督「さっきも言ったけど別に怒ってないよ」

翔鶴「しかし……」

提督「まあ、うん。妖精さんに確認したら結構資源を使ってたのには驚いたけどな。楽しかったって言ってた手前、もうダメとも言い切れないのがアレだが……」

翔鶴「少し遠征を増やしますか?」

提督「みんなの負担にならない程度に。あとはアイツらに頑張ってもらおう」

翔鶴「第三艦隊は整備・補給を終えていつでも出撃可能です」

提督「……指示しなくても勝手に行っちゃうけどな」


886: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/24(日) 21:26:32.77 ID:oRi17vOk0

提督「そう言えば、今日のことでひとつ気になったことがあるんだよ」

翔鶴「なんでしょうか?」

提督「今は翔鶴の首にあるチョーカー。瑞鶴は付けてなかったなって。最初に気づいてればすぐだったかもしれん」

翔鶴「いくら入れ替わったとしても、これは他の人には絶対に渡したりしません。例え瑞鶴の頼みでも、です。宝物ですから」

提督「そう言ってもらえると俺としても嬉しいよ」

翔鶴「はい。だからさっきまでは小箱にしまっておいたんです。今はお風呂上がりですので、またこうして付けています」

提督「まさかとは思うけど、寝るときも付けて……?」

翔鶴「さすがに寝るときは外しますよ」

提督「……だよなあ」




『え、そのチョーカー借りちゃダメ?』

『いくら瑞鶴の頼みでも、これは貸せないわ』

『んー、でもないとバレちゃいそうな気もするけどなあ』

『そしたらそこまでよ。はい、ハチマキ巻いてあげるから後ろ向いて』

『ぶぅー。翔鶴姉ぇだけいいなあ』



翔鶴さんのタカラモノ

891: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/26(火) 20:45:44.95 ID:r+EHvC/P0

・・-・・艦娘ニ聞イテミヨウ・・・


提督「うーん……どうしたものか」


瑞鶴「提督さんが珍しく悩んでるけど、どうかしたの?」

翔鶴「空調の導入が決まったけれど、工事までまだ少しあるでしょ? それで暑さを忘れる催し物でもしようって話になって、今考えてるところなの」

瑞鶴「……いつもの事だから今更かもしれないけどさ。ここってやっぱり他と違うよね」

翔鶴「まあ、ね……」アハハ

瑞鶴「暑さを忘れたいなら水泳大会でもやったらいいんじゃない? ちょうど目の前に海があるんだしさ」

翔鶴「それは真っ先に浮かんだわ。でもすぐに却下になったの」

瑞鶴「どうして? 一番簡単だと思うけど」

翔鶴「深海棲艦が来たら危ないってことで。艤装がないと艦娘と言えどただの的になってしまうもの」

瑞鶴「あー」ナルホド

翔鶴「全員参加を目的にしてるから、誰かを哨戒に充てるのはかわいそうでしょ?」


瑞鶴「うん。そっかー水泳じゃないとすると……お祭りとか?」

翔鶴「確かにお祭も主催する方も参加する方も楽しめるから候補としては浮かんでいるわ。でも……」

瑞鶴「でも?」

翔鶴「準備に時間がかかるのと、お金が……」

瑞鶴「暑さよりも冷え込む現実的な問題だったかぁ」

翔鶴「そういう訳だから、私も提督も考えこんじゃって」

瑞鶴「うーん……。なにかみんなでやりたい。でも予算はない、か……。確かに難しいなぁ」

翔鶴「よければ瑞鶴も一緒に考えてもらえる? 暑さを忘れることに限らず、案は多いに越したことはないから」

瑞鶴「わかった。私もなにか考えてみるね」



……

…………

………………



瑞鶴「……とは言ったものの。案なんてそう簡単に出てこないしなぁ」ウーン

瑞鶴「どこかにポンと落ちてないかなー、なんて」



瑞鶴「……!」ティンッ



瑞鶴「落ちてないなら集めに行けばいいんだ」




892: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/26(火) 20:50:29.61 ID:r+EHvC/P0


―扶桑姉妹の部屋―

扶桑「――それで、私たちの所に来たの?」

瑞鶴「参考までに何かないかなーって」

山城「と言われても急には出てこないわよ」

瑞鶴「お金がかからないモノだったらなんでもいいの。案というよりも発想とかでもいいから」


扶桑「うーん。そう、ねぇ……。定番の海水浴やお祭りがダメとなると、難しいわぁ……」

山城「悩んでる姿の姉さまも美しい……! じゃなくて、扶桑姉さまのいい所をみんなで挙げていくのはどうかしら?」

瑞鶴「え……」

山城「みんなで姉さまの良さを再確認……いい、いいわ!」

瑞鶴「えっと……扶桑さん、どう?」

扶桑「恥ずかしいから却下ね」

山城「そんな……っ」ガーン


扶桑「私だけじゃなく、みんなにもそれぞれの良さがあるわ。 ……あ、そう言うのを発表するのはどうかしら?」

瑞鶴「発表?」

扶桑「褒め合う……と言うと言葉は違うかもしれないけれど、他のみんなは知らないこんなところ、姉妹だけが知ってるこんなところ、なんてどうかしら?」

瑞鶴「なるほど」メモメモ

扶桑「それ以外にも、題目を決めてみんなで何かしても面白そうね。一番元気な子はだれ? とか」

瑞鶴「なるなる。これは出だしから好調な予感」メモメモメモ

扶桑「お役に立てたかしら?」

瑞鶴「うんっ。二人ともありがとっ」


山城「……私、だいたい何もしてませんよね?」

扶桑「そんなことはないわ山城。山城のお陰で閃いたんだもの。私はとても感謝しているわ」

山城「ね、姉さま……!」キラキラ


瑞鶴「じゃ、じゃあ私は早速翔鶴姉ぇの所に……お邪魔しました―」





893: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/26(火) 20:55:49.35 ID:r+EHvC/P0

瑞鶴「……と言うわけで、こんなのどうかな? 私的には結構いいと思うんだけど」

翔鶴「みんなで題目を決めて……なるほど」

提督「予め題目を募集しておけば進行も楽だし、何より予算は限りなくかからない。暑さ対策にはならんが……食堂を使えばいけるな。すごいじゃないか瑞鶴」

瑞鶴「ふふん。私もやる時はやるのよ!」

翔鶴「でもこの案を出してくれたのは……」

提督「扶桑と山城らしいな」

瑞鶴「き、聞かなかったら出てこなかったかもしれないんだから、その偵察能力を褒めてよぉ!」

提督「二人には後でそれとなくお礼を言っておくとしてだ。誰か他にも聞いたりしたのか?」

瑞鶴「一応部屋が近い川内たちにも聞いてみたんだけどね……」




―オマケ:川内姉妹の部屋―


川内「みんなで夜戦!」

瑞鶴「却下で」

那珂「那珂ちゃんのオールナイトフェス!」

瑞鶴「却下で」


ブーブー


神通「あの……二人が、ごめんなさい」

瑞鶴「まあある程度は予想してたんだけどさ。的中するとソレはソレでなんだかなあと」

神通「二人とも悪気はないはず……です」タブン

瑞鶴「そこはわかってるから大丈夫。ところで神通はなんか案みたいなのある?」

神通「えっと……ぱ、パジャマパーティみたいなのは、いかがでしょうか?」オドオド

瑞鶴「パジャマパーティーかぁ」メモメモ

神通「大きなお部屋で、みんなでお布団を広げて寝たら……楽しそうだなって……」

瑞鶴「それは提督さんも含めて?」

神通「は、はい……!」ゼヒ


瑞鶴「(目の輝きが増したなあ)」



パジャマパーティーもありか?!

912: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/28(木) 21:00:41.49 ID:TjtSfn0P0

・・-・・月夜ノ双鶴5・・・


瑞鶴「5回目になったから、お酒飲んでみてもいいよね?」

提督「また今度な。俺の平穏のためにもここは是非麦茶で頼む」

翔鶴「提督のささやかな晩酌からだいぶ離れてしまいましたね……」

提督「お酒を飲むことが目的……の時もあるけど、大事なのはそっちじゃないから」


『乾杯』


瑞鶴「風が涼しい……もう夏も終わっちゃうね」

提督「そうだなぁ。ついこの間暑くなってきたと思ったらもうこれだよ」

翔鶴「ここ数日は秋の虫が鳴き始めるようになりましたね」

提督「もうじきここで月を見るには寒くなるな」

瑞鶴「さすがに冬はやらないでしょ?」

提督「ここ作る前までは自分の部屋で一人で飲んでたよ。たまに鳳翔が一緒だったくらいかな」

翔鶴「」ピクッ


913: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/28(木) 21:06:05.73 ID:TjtSfn0P0


瑞鶴「鳳翔さんと提督さんって仲いいよねー」

提督「お酒を飲めるのが鳳翔くらいっていうのもある」

瑞鶴「あれ、扶桑さんとかは?」

提督「その頃まだ二人はいないよ。翔鶴がここへ来る少し前に扶桑達を招いたから」

瑞鶴「ふーん」チビチビ


翔鶴「………………」スススッ


提督「ん?」

翔鶴「ちょっと夜風にあたり過ぎたみたいで……」

提督「二人とも風呂あがりだったな。湯冷めしたら大変だし……コレで悪いが我慢してくれ」ウワギパサー

翔鶴「あっ」

瑞鶴「あぁーッ。翔鶴姉ぇだけズルイ! てーとくさーん私だって冷えてきた―!」

提督「上着は一着しか無い。すまないが早い者勝ちだ」

瑞鶴「ぶぅー……。いいもん。じゃあ提督さんから直接分けてもらうから」ギュッ

提督「ちょっ。瑞鶴?!」

翔鶴「むむぅぅ」ギューッ

提督「し、翔鶴まで。なんかこの展開前にもあった気がするぞ?!」

瑞鶴「提督さんあったか~い」

翔鶴「……瑞鶴には負けないもん」


時流れ 日々に近づく 秋の声

917: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/30(土) 21:09:19.23 ID:5Fc0S3+y0

・・-・・幸セ・・・


提督「―――と言うわけで、本日の予定は以上だ。今日も頑張っていこう」


『はい!』


ガヤガヤ


扶桑「今日は出撃がないのね」

山城「駆逐艦の子たちの遠征が主みたいですね」

扶桑「みんなが頑張っているところ申し訳ないけれど、次の出撃のためにも今日は英気を養いましょうか」

山城「はいっ。姉さま」

扶桑「私はお散歩に出ようと思うけれど、山城はどうする?」

山城「私も是非! ……といきたいところなんですが、この後艤装の整備があって……うう、不幸だわ」

扶桑「そういうこと言わないの。じゃあ、あとで一緒にお茶しましょう。昨日飲んだ紅茶が美味しかったから、また飲みたいわ」

山城「はい!」キラキラ

扶桑「ふふっ。それじゃあ、ちょっと歩いてくるわね」

山城「いってらっしゃいませ!」




918: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/30(土) 21:14:32.08 ID:5Fc0S3+y0

ツクツクボーウシツクツクボーウシツクツクボーウシ……


扶桑「今日も良いお天気で、空も高くて蒼い。それにやっぱり暑いわね」

扶桑「一昔前だったら、この季節に日傘をさしてお散歩なんてとても考えられなかったけれど」


ワイワイ

扶桑「あら、あれは……」



川内「はーい。それじゃあみんな集まったところで、やせ……遠征いこっか」


初雪「ん」

深雪「いえーい!」

叢雲「ささっと済ませちゃいましょ」

磯波「わかりました」


川内「今日は資源地帯から資源積んで戻ってくる輸送船団の護衛かぁ……なんなら帰りがけにそこら辺で敵見つけて夜戦してく?」

叢雲「いやいや。分けてもらった資源落としたら大変なことに!」

川内「んーだよねぇ。提督に怒られてまた夜戦禁止されても嫌だし。素直に護衛任務やるかぁ」


ソレジャ、イクヨー

ハーイ!


扶桑「うふふっ。みんな元気ね」ニコニコ

扶桑「あの子達が頑張ってくれるからこそ、私たちも存分に戦うことが出来る。本当にありがたいわ」

扶桑「そう言えば、友軍を母港から見送ることにもうなんの悔しさや恨めしさを感じなくなったわね」

扶桑「………………」フゥ

扶桑「母港も、工廠も、そしてここから見える大海原も……。何もかもがあの時とは違って見える。光り輝いて見える」

扶桑「生きていると、本当に何が起こるか分からないものなのね」

919: ◆kVQhfnJMM6 2014/08/30(土) 21:19:56.59 ID:5Fc0S3+y0


―食堂―

扶桑「―――と思ったんだけれど、山城はどう思う?」

山城「そうですねぇ。これが夢だったらと思うとゾッとすることがあります」

扶桑「夢……確かに以前の私達には幸せすぎる夢ね。それこそ、永遠に覚めないで欲しいくらい」

山城「航空戦艦になったけど、戦艦として戦うことはできるし、もう身体の事を気にしなくてもいい。こんな幸せなことないですよ」

扶桑「えぇ。他の子達からしたらどうって事ないかもしれないけれどね」

山城「笑ってるのがいたら、あの人に言いつけて主砲で吹き飛ばしてやりましょう!」

扶桑「ふふっ、そうね―――――こんな会話が出来るくらい、穏やかな日がこれからも続くといいわね」

山城「……はい」


鳳翔「お待たせしました。扶桑さんご所望の紅茶と、間宮さんに教わってシフォンケーキを焼いてみました。甘さを抑えてあるので、お好みでこのクリームと一緒に食べてくださいね」


山城「わぁ、美味しそうですね! 姉さま」

扶桑「ええそうね。鳳翔さん、ありがとう」

鳳翔「いいえ。洋菓子はあまり作らないのでお口に合えばいいのですが……」

山城「鳳翔さんの作るものにハズレなんてないですって」

鳳翔「あらあら。ありがとうございます。それではごゆっくりどうぞ」


扶桑「(穏やかに流れる時間。山城と過ごす何気ない日々。望んでも手に入らなかったはずの日常がここにはある。私にとって、かけがえの無いひと時が、ここに)」


山城「姉さま、このケーキすっごく美味しいですよ! それに紅茶ともよく合います」

扶桑「うふふっ。それじゃあ、私も頂くわね」ニコニコ


扶桑姉妹の、何気ない幸せなこと

925: ◆kVQhfnJMM6 2014/09/01(月) 20:10:16.14 ID:QyJKRpeX0

・・-・・例エバコンナ艦載機トノ話・・・


烈風妖精「……!」パタパタ

瑞鶴「へぇー。そうなんだ」


翔鶴「あら、瑞鶴どうかしたの?」

瑞鶴「ちょっとこの子たちと話してたの。艦載機の整備も兼ねてね」


流星改妖精「ッ」ビシッ

彩雲妖精「~♪」クルクル


翔鶴「あらあら、みんな楽しそう」ニコニコ

瑞鶴「いつも私達と一緒に戦ってくれるからね。母艦としても労いは必要だもん」ハイ アイスー


妖精's『!!!』ヤッター!


翔鶴「そうね……私達よりもむしろ戦ってるのはこの子たちなのよね」


彗星妖精「!」ハイ


翔鶴「あら、私にもくれるの?」


彗星妖精「!!」コクコク


翔鶴「ふふふっ。ありがとう」ナデナデ


彗星妖精「♪」




926: ◆kVQhfnJMM6 2014/09/01(月) 20:16:01.38 ID:QyJKRpeX0

瑞鶴「翔鶴姉ぇはもうお仕事終ったの?」

翔鶴「ええ。今日は量が少なかったからもういいって。本当は最後までお手伝いしたかったけれど……提督のご好意に甘えたわ」

瑞鶴「とか何とか言って本当は一緒にいたかったんじゃないの?」


妖精's「~」ナイノー?


翔鶴「み、みんなまで……! い、いいでしょう。その……す、すき、なんだから……」ゴニョゴニョ

瑞鶴「にやにやにや」


妖精's「☆」ニコニコニコ


翔鶴「」マッカッカ

瑞鶴「ご覧のとおりみんなも気になってるんだよ―?」

翔鶴「わ、私のことはいいの!」

瑞鶴「ちぇー。あ、そうだ。せっかく早く終わったんだし、ご飯の前にお風呂でも行く? この子たちも連れて行ってさー」

翔鶴「え? うん。いいけれど」

瑞鶴「続きはお風呂に入りながらゆっくり聞こっか。暖まれば気も緩むでしょ」


妖精's「!」ビシッ


翔鶴「ず、ずいかく!」モゥ

瑞鶴「まあまあ。この事は妹の私だけでなく艦載機の子たちだって気にするってば。お家の大事ってね」

翔鶴「お家って……」


彩雲妖精「……っ」ガンバッテネ


翔鶴「う、うん……ありがとう」

瑞鶴「さ、そうと決まればお風呂に急がないと! ほら翔鶴姉ぇ、いこっ」

翔鶴「そんなに急がなくても逃げないわよ……」

瑞鶴「遅くなると他にも来るかもしれないよー? 扶桑さんとかもご飯の前に入るし」

翔鶴「誰もいないといいけれど……」




瑞鶴「あ、しまった」

翔鶴「どうかしたの?」

瑞鶴「今お風呂入ったらあがった時またアイス食べたくなりそう……今食べたばっかりなのに」

翔鶴「……お夕飯食べられなくなるからダメよ」


ある日の一コマ

932: ◆kVQhfnJMM6 2014/09/03(水) 20:06:02.41 ID:P7kBsi5q0
今日は始まるところまでです



・・-・・サァミンナデモリアガロウ・・・


提督「――――と言うわけで、こっちは手配しておくから、その間に頼むよ」


工廠妖精1「了解ですー」ビシッ

工廠妖精2「建造はないです?」ワクワク


提督「建造ねぇ……」


工廠妖精3「(あ、コレは今日もないかな……)」


提督「いい加減命令をしらばっくれるのも限界に近くてね。余裕はないが、大型艦を……重巡か戦艦を戦力化しようかと」


工廠妖精's「ッ?!!」


提督「と言うわけで、久しぶりだが皆には"建造"を依頼したいんだ」


工廠妖精1「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」

工廠妖精2「万事お任せくださいです」フンスッ

工廠妖精3「ついに我々の本気を見せる時が……!」

工廠妖精4「パパパッパッパッパ、パァウァー!!」


提督「おおぅ……ま、まあそれよりも先にコッチを頼むよ? 建造はその後だからな?」


工廠妖精's「了解です!!」ビシッ


提督「それじゃあ、俺はもう行くから……」



提督「(そんなに建造したかったのか……)」




933: ◆kVQhfnJMM6 2014/09/03(水) 20:10:46.10 ID:P7kBsi5q0

・・-・・・・-・・・・-・・

―食堂―

加古「食堂に全員集合なんて、なんかあったのかな?」

古鷹「特に何も聞いてないけれど……」

加古「テーブルに所狭しと並んだ料理を見ると宴会と予想した」

古鷹「誰かの誕生日、とかかな?」スゴイネ

加古「ま、どれも美味しそうだからそういう意味では楽しみだけどねー。眠気も飛んで行くよ」



瑞鶴「ふっふっふ。私だってやる時はやるのよ」

翔鶴「でもこれを考えたのって扶桑さんたちよね……?」

瑞鶴「発掘したのは私なの!」

翔鶴「はいはい……」アハハ

瑞鶴「ところで、司会進行は誰がやるのかな? 提督さんは違うとして、翔鶴姉ぇもここにいるし」

翔鶴「提督がふさわしい人たちにお願いしたって言ってたわよ」

瑞鶴「ふさわしい人? たち?」

翔鶴「実は私も参加側だから詳しいことは教えてもらえなくて」

瑞鶴「ふーん。ま、楽しみに待ってましょうか」

翔鶴「――あ、提督が来たわ」




提督「やあみんな。待たせてしまって申し訳ない。みんなそろって…………うん。いるな」


『はい!』


提督「今日集まってもらったのは、暑いなか戦闘に遠征に頑張ってるみんなへの慰労会ってことで、ささやかだけどこうして場を設けさせてもらった」

提督「まずは、たくさんの料理を作ってくれた鳳翔たちに改めて感謝を。後のことはこっちに任せて参加側で楽しんでほしい」


鳳翔「はい。羽根を伸ばさせていただきますね」

大鯨「ありがとうございます」

間宮「♪」ニコニコ


提督「ここで俺が長々話すのも無粋なんで……みんなコップには飲み物は入ってるかな? ――――それじゃ、みんないつもお疲れさま! 乾杯!」


『かんぱーい!!』



??「………………」スススッ

??「………………」スススッ




934: ◆kVQhfnJMM6 2014/09/03(水) 20:15:50.63 ID:P7kBsi5q0


ワイワイガヤガヤ

白雪「すごいね。和・洋・中と全部揃ってる」

吹雪「いつも食べてるご飯も美味しいけど、今日は特別って感じがするよね」

磯波「うん」

初雪「………………」モグモグ

吹雪「あれ? そう言えば深雪ちゃんと叢雲ちゃんは?」

白雪「え、と……?」イナイネ

磯波「さっきまで一緒にいたはずなのに」キョロキョロ




??『いぇーい! みんな、楽しんでるか―ッ?!』キーーーン

??『ちょっ、マイク反響してるからもっと声下げなさいよ!』




白雪「あ、あれって……!」



深雪『これからは司会進行役でこの吹雪型四番艦、深雪さまと!』

叢雲『五番艦の叢雲がお送りするわ。心して聞きなさい』



吹雪「二人とも……?」イツノマニ

磯波「司会役だなんて。二人とも、すごいなあ」

初雪「……うまうま」モグモグ



深雪『って言うかさ。司会引き受けたのはいいけど、よく考えたらここじゃ何も食べられないじゃんか! ご飯食べたい!』

叢雲『アンタ本当に勢いだけで生きてるのね……』

深雪『おい初雪―! ちょっとなんか持ってきてくれよ―』



吹雪「って言われてるけど……?」

初雪「……ヤ」ムグムグウマウマ

935: ◆kVQhfnJMM6 2014/09/03(水) 20:20:59.47 ID:P7kBsi5q0


深雪『かーっ。いっこ上の姉は薄情者だねえ。その点持ってきてくれた磯波には感謝だよ。ありがとな!』

叢雲『アンタの事なんてどうでもいいから、さっさと始めましょ』

深雪『ちぇ。んじゃま最初のコーナーから行くぜ! えっと……かんむすぜんいんさんかきかく……?』

叢雲『ちゃんと読みなさいってば。いいから貸してッ。 んんっ。艦娘全員参加企画、ナンバーワンは誰だ?! を始めるわ』



全員参加……?

ナンダロー?


叢雲『ま、言ってしまえばアンケートみたいなものね。指定されたテーマに一番ふさわしい人を決めようって企画よ』

深雪『そーそー。そんな感じ』モグモグ

叢雲『……立候補でもいいし、推薦でも構わないわよ』

深雪『うんうん』ゴックン



白露「はいはーい、しつもんでーす!」イッチバーン



叢雲『白露? なにかしら』



白露「一番に選ばれたらなにかイイコトあるんですかー?」



叢雲『みごと一番に選ばれた人には、この箱の中のくじを引いてもらうわ。何が入ってるかはお楽しみだけどね。損はさせないわよ』

深雪『いやー何が入ってるんだろうなあ』アーン

叢雲『……私は今すぐアンタを箱の中に押し込みたいわ』ギリッ



940: ◆kVQhfnJMM6 2014/09/05(金) 21:00:20.97 ID:D/dAl6aB0

深雪『まーいきなりじゃアレだろうから最初はわかりやすいのから行っとこっか』←タンコブ1個

叢雲『そうね。どんなのか分かってもらえた方がこちらとしてもありがたいわ』

深雪『んじゃ最初のテーマは…… "一番元気が良さそうな艦娘と言えば?" おぉっ深雪さま立候補だなこれ! 自信あるぜぇ―!』

叢雲『確かにアンタのためにあるようなお題ね。元気が良いって事だから、声でも行動でも当てはめやすいと思うわ。他にも我こそはと言う人はいるかしら』



白露「もっちろん! あたしが一番に決まってるじゃない! ねぇ?」ガタッ

時雨「まあ、白露ならね」

村雨「村雨さんもそう思うかな」

夕立「白露のためのお題っぽい!」


白露「白露型駆逐艦一番艦、白露。でまーす!!」



深雪『やべっ……予想してたけど強力なライバルが』

叢雲『しかも早くも推薦が入ってるわね。他に誰かいるかしら? いなければ推薦でもいいわよ。この人はと思うのを出してちょうだい』



941: ◆kVQhfnJMM6 2014/09/05(金) 21:05:47.35 ID:D/dAl6aB0


川内「那珂行ってくればいいんじゃない? アイドルなんでしょ」

那珂「えぇー。でもここは夜限定で川内ちゃんの方が適任じゃ……」

神通「(二人共行けばいいのにって思うのは私だけかな……?)」


古鷹「加古、行かないの?」

加古「んーあたしはどちらかと言うと元気よりも寝てる方が多いと思うんだけどね」

古鷹「……そうだね」

加古「一番寝てる艦娘は? ってのがあったら立候補かなー」

古鷹「それは加古以外に候補いないんじゃないかな……」


初雪「……むっ」ピクッ

白雪「どうかしたの?」

初雪「呼ばれた気がする」

白雪「えっ、だ、誰に……?」

初雪「……でもまだ出番じゃない」モグモグ

白雪「???」



叢雲『今のところは私たち駆逐艦から二人立候補ね。ここは是非大型艦の人にも来てもらいたいところだけど……』

深雪『……ふぇもふぁあ、そもふぉうがかふぇるんにゃばい? (でもさ、その方が勝てるんじゃない?)』モグモグ

叢雲『だからアンタは食べてないでしっかり司会しなさいよ! 皿没収するわよ?!』



942: ◆kVQhfnJMM6 2014/09/05(金) 21:11:02.52 ID:D/dAl6aB0


翔鶴「それじゃあ、私は妹の瑞鶴を推薦するわね」スッ

瑞鶴「ちょっ?!」



深雪『おぉ、瑞鶴さんかあ。確かに訓練でも戦闘でもどんどんみんなに声かけたりして、元気だなーって思うことはあるね』←タンコブ2個

叢雲『二人にとっても強力なライバルになるんじゃないかしら?』



山城「なるほど。瑞鶴なら適任ね」

扶桑「ええ」

瑞鶴「うぅ……。で、でも推薦されたからには一番狙うわよ!」

翔鶴「頑張ってね。瑞鶴」ニコニコ



叢雲『最初はこのくらいかしらね……。それじゃあ、選ばれた人は私たちのところまで来てもらえるかしら。と言うか、次からは前に出てもらうわ』←司会は一番前で進行中

深雪『ではでは深雪サンもちょいと失礼して……』



深雪「へへっ」

白露「準備万端!」

瑞鶴「まさか最初から出番とはね」


大鯨「そう言えば、一体どうやって三人の中から一番を決めるんでしょうね。多数決とかかな?」

鳳翔「言われてみれば、まだ説明はありませんね。これからでしょうか?」

翔鶴「実は提督もそこは決めてなくて……。二人に話した時にお願いしたかもしれませんね」

鳳翔「となると、深雪ちゃんと叢雲ちゃんが? でも深雪ちゃんは候補に挙がってるし……」



叢雲『さて、ここでいよいよ"一番元気な艦娘"を決めるわけだけど、じゃんけんとかクジ、多数決なんかだと納得出来ないだろうし、運が絡むでしょ? だから……あんた』



提督「……んっ?」オレ?



叢雲『そ。司令官として相応しい娘を選んであげなさい』

艦娘一同『ッ?!』



943: ◆kVQhfnJMM6 2014/09/05(金) 21:16:16.04 ID:D/dAl6aB0

提督「お、俺が決めるのか?! それこそ贔屓とか言われそうだが」



叢雲『みんなそんな器小さくないし、ちゃんとあんたの事は信頼してるから大丈夫よ。あと、どちらにせよ私たちからの不平不満への対処も仕事のうちでしょ?』



提督「あぁー……まあ、な」

川内「うわぁ。さっすが叢雲。言うねえ」

那珂「でもでも、提督が決めるならしょうがないかなって感じもするね」

神通「うん……(わ、私が選ばれることはある、のかなぁ?)」



叢雲『他の皆もそれでいいかしら?』


ダイジョウブデース!


叢雲『そういう訳だから、判定よろしく頼むわね。その間に私も少しご飯食べたいから』


944: ◆kVQhfnJMM6 2014/09/05(金) 21:21:43.44 ID:D/dAl6aB0

提督「なんだか一番重要な部分をそっくり返された気分だ。では僭越ながら俺が選ばせてもらうが……一番元気な艦娘。それに相応しいのは――――深雪だ」



深雪「まじ?! いよっしゃぁあー!! 深雪さまいちばんだぜー!」

白露「ちぇー……イチバンじゃなかったかぁ」

瑞鶴「まあなんとなくそうだろうなあとは思ってたけどね」


提督「もちろんちゃんと根拠はある。それに白露も瑞鶴も元気という部分では負けてないんだよ。違ったのは"いつも"の部分だな」

白露「いつも、ですかー?」

提督「ああ。深雪はいつどんな時でも朝から夜まで元気いっぱいだ。遠征や出撃から帰ってきて疲れてる時も笑顔を忘れない。損傷を受けてきた時も笑ってたのは流石に驚いたが……まあ、そんな深雪の姿に自然と元気づけられる子も多いんじゃないかな」

瑞鶴「……なるほど」


吹雪「あ、確かにそうかも」

白雪「深雪ちゃんが元気じゃないと、こっちまでなんとなく静かになっちゃうよね」

磯波「うん」


提督「選ぶ方としては難問なテーマだったけど、元気に相応しいなら深雪だ。おめでとう」

深雪「へへっ。これからも深雪さまにお任せだぜ! と言うわけで、早速くじをごそごそっと……」



叢雲『……んんっ、そうそう、くじについてだけど、艦種ごとに箱が違うからそのつもりでね。今深雪が使っているのは駆逐艦用よ』



深雪「これだ! えっとなになに……」


『61センチ五連装(酸素)魚雷』オメデトー


深雪「おぉっやったぜ! これで深雪スペシャルが更に強力に……!」



叢雲『更に言うと、一箱に1つずつ大当たりがあるから期待してちょうだい。それ以外は今深雪が当てたようにイイ装備が出るわ』



五月雨「大当たりかぁ」

涼風「なんだろな。最新装備フルセットとかだったら嬉しいけどさ」

川内「夜戦装備の充実とか……胸が熱くなるよね!」

那珂「川内ちゃんもう十分揃ってるじゃんー」


深雪「ま、これでも十分大当たりだけどな! へへっ司令官。これからの深雪さまの活躍見ててくれよ!」



949: ◆kVQhfnJMM6 2014/09/07(日) 20:06:29.47 ID:OvyDy8fp0
賛否両輪はあるかも



叢雲『さて、企画が飲み込めてきたところでドンドンいくわよ。次のテーマはこれ "一番働き者な艦娘は?" よ』

深雪『深雪さま復帰だぜ! でもこの働き者って、どこまでが範囲なんだ?』

叢雲『戦場だけだとどうしても偏るでしょ。だからここはあらゆる面で貢献してる人ってことになるかしらね』

深雪『なるほど。ってことは日常での行動も入ってくると』

叢雲『そうなるわね』

深雪『と言うわけで、今回は立候補は難しいだろうから、是非この人はってのを頼むぜ!』



扶桑「これって……」

古鷹「あ、扶桑さんもひょっとして?」

川内「皆考えてることは同じだったり?」

翔鶴「すぐに思い浮かびました」

吹雪「そうですよね」

時雨「うん。一人しかいないと思うよ」


山城「私は扶桑姉さまを……!」

白露「あれ? 私一番艦……」ナンデ シグレ?



艦娘一同『鳳翔さん!』



鳳翔「えっ、私……ですか?」

950: ◆kVQhfnJMM6 2014/09/07(日) 20:11:18.62 ID:OvyDy8fp0


深雪『おぉっと、なんとほぼ満場一致ってやつで鳳翔さんが!』

叢雲『一応聞いておくけど、他に推薦はあるかしら?』



山城「この空気で扶桑姉さまだなんて言えない……」クッ

扶桑「ありがとう山城。その言葉だけで私は十分に幸せよ」

山城「ね、姉さま……!」キラキラ


瑞鶴「私的には秘書艦やってる翔鶴姉ぇでも良かったけど」

翔鶴「確かに仕事量では多いかもしれないけれど、それだと不公平になってしまうわ。それに、全員への貢献って考えるとやっぱり鳳翔さんが一番じゃないかしら」



深雪『さあ鳳翔さん。是非こっちへ来てくれよな!』

叢雲『司令官。あんたも言うことあるでしょ?』



提督「そうだな……。先に一つ言っておくが、これは全員に当てはまるものだと俺は思う。扶桑を中心とした攻略組は戦闘で、川内や吹雪、白露を中心とした戦闘・遠征組は支援で立派に活躍しているからな」

鳳翔「………………」ニコニコ

提督「そういった中で、鳳翔が一歩抜きん出ていた。戦闘に遠征、それにみんなの食事や相談事などなど貢献は多岐に渡る。負担も多いだろうが、みんなはそれをちゃんと見ていた。理解していた。だからこその満場一致だと思う」

艦娘一同「………………」ウンウン

提督「いつもありがとう。そしてこらからもよろしく頼む」


鳳翔「ふふっ。こんな私でも皆さんのお役に立てたのなら、嬉しいです。これからも頑張りますね」ニコニコ

951: ◆kVQhfnJMM6 2014/09/07(日) 20:16:42.29 ID:OvyDy8fp0

深雪『んじゃ、早速この箱からくじを一つどーぞ』



鳳翔「たしかにこの箱には"空母用"と書かれているわね。では、ちょっと失礼して……これにしましょう」ゴソゴソ


『熟練艦載機整備員』オメデトウゴザイマス


鳳翔「まあっ。こんなに良いものを頂けるのですか? 航空隊の皆も喜びますね」

補足:鳳翔さんは意図的に零式21、99艦爆、97艦攻を使用しています ただし練度は他所で言うExtra hard
   航空機の性能が戦力の絶対的な差でないこ(ry


瑞鶴「鳳翔さんところの練度が更に上る……勝てる気がしないなあ」

大鯨「そうなんですか? でも瑞鶴さん達の方が私たちよりもはるかに搭載数多いですし……」

翔鶴「今のところ、その数で押し切る以外の戦法が見えてこないのが何よりの証拠かもしれないわね」

瑞鶴「でもその数も3倍差位じゃ効果が薄いっていうね」

大鯨「さ、3倍なのにですかあ?!」

翔鶴「今風に言うならば、瑞鶴や私の戦闘機隊の練度をAとすると、鳳翔さんの所はA+か……特A+?」

瑞鶴「SとかS+でもいいかもね」

大鯨「ふわぁ……す、凄いです。あの、ちなみに私はどうですか……?」

瑞鶴「んー。忌憚なく正直に言うと、B-かなぁ。でも練度なんて最初は誰でもそうだし、訓練すれば上がっていくから大丈夫よ」




○鳳翔航空隊のココが凄い○

鳳翔「私が無茶しては、ダメですね」

・一機五殺は当たり前。一機八殺も
・わずか二十機の戦闘機隊なら大丈夫だろうと六十機で挑んだら撃退された
・鳳翔隊に後ろに付かれたら撃墜される確率が150% 撃破されて戦場離脱するのが100%なのと、離脱中に撃墜されるのが50%の意味
・後ろを取ったと思ったら、取られていたのは自分の方だった
・演習時、相手が旧型の零式21だからと油断していたら次の瞬間には編隊全滅判定をされていた
・降爆隊第一編隊にとって飛行甲板への命中は艦橋への当て損ない 飛行甲板へは第二編隊以降の仕事 なお25番は触発信管のみ使用
・防御力のない97艦攻で雷撃 と言うか1000メートル以内に入られたら確実に脚元を飛ばされる

・搭載機種は戦闘により異なるが搭載機数は二十機程度である

961: ◆kVQhfnJMM6 2014/09/09(火) 22:10:30.95 ID:cWW6FQ7a0
暗躍者がいます


深雪『次のテーマはこれだな。 "妹属性の艦娘といえば?" ……妹属性ってなんだろ』

叢雲『これはちょっと難しいわね。属性って付くくらいだし、自分から見て妹のように思える子ってこと……?』

深雪『それじゃあ叢雲も磯波も妹属性だな! っていうか妹だ』

叢雲『うーん??? これ、いいのかしら。なんか違うような。誰か知ってる人いる?』



扶桑「純粋に妹だと、長女の子からすれば下はみんな妹よね」

山城「妹キャラの姉さまも……ッ?! ベネ」ハァハァ

翔鶴「妹でいいのなら、私はやっぱり瑞鶴を推薦するわ」

瑞鶴「それじゃ下の子みんな選ばれるよね?」

古鷹「となると、私と加古って難しいね」

加古「んー、生まれは古鷹が先。でも完成はあたしが先。でも一応古鷹が姉ってことみたいだけど……」

古鷹「どちらかと言うと双子みたいな感じだよね。私たち」


時雨「――――うん。ちょっといいかな」



叢雲『時雨? なんか知ってるの?』



時雨「知ってるというよりは理解した、かな。例えばだけど、僕や村雨と白露を初めて見た時みんなはどっちが姉だと思う?」

村雨「なるほどなるほど。そういうことね」

夕立「んーと、ホントは白露がお姉さんだけど、知らないでどっちって言われると時雨たちの方がお姉さんっぽい?」

春雨「あ……時雨姉さんの言いたいことが分かったかもです」

涼風「あたいと五月雨だったら、あたいの方がお姉さんっぽいよなー」

五月雨「え、えぇー。そんなことないと思う……けど」

白露「ちょ、ちょっとみんなー。あたし、一番艦……」



叢雲『そういうことなら分かりやすいかもね。みんなも、姉妹の順番に関係なく "妹っぽい子" を選んでちょうだい』



白露「いやあの、だからあたしが一番艦……お姉ちゃん……」アレー

時雨「何も白露が姉じゃないって言ってるわけじゃないよ。妹みたいな感じってことさ」

白露「それって素直に喜んでいいの?」

962: ◆kVQhfnJMM6 2014/09/09(火) 22:15:55.30 ID:cWW6FQ7a0


川内「妹っぽい子かあ。これは神通出番でしょ!」

神通「えっ? わ、わたし……?!」

那珂「引っ込み思案で内気な性格だけど、いざと言う時は頼りになる妹のような子……。那珂ちゃんもいいと思うなー」

神通「で、でもっ……わたしなんて」アタフタ

川内「はーい。私たちは神通推薦しまーす!」


扶桑「これは姉妹以外を推薦してもいいのかしら……?」

山城「特に言われてないので大丈夫だと思いますよ」

扶桑「それなら、私は瑞鶴を推薦するわ」

瑞鶴「うぇッ?! なんで」マタワタシ

扶桑「いつも執務室で提督と一緒にいるのを見ていると、どうしてもね」

山城「兄に構ってほしい妹っていうのがバッチリよねぇ」

加古「あぁ。暇だから構ってーって言うあれかぁ。寝ててもよく聞こえるよ」

初雪「ん、聞こえる」モグモグ

瑞鶴「そ、そんなに? てか、提督さんがお兄ちゃんて」

翔鶴「ふふっ。見てる人はちゃんと見ているのね」

瑞鶴「翔鶴姉ぇまでー!」



深雪『さぁさぁ、呼ばれた人は前に来ちゃってくれよー』

叢雲『………………』

深雪『ん? どうかした?』ナンカ シズカダ

叢雲『私たちってこんなテーマ作ったっけ? もっとこう当り障りのないのを作ったような』

深雪『まあいいじゃん。色んな意味で面白くなってきたしさ』

叢雲『うん。まあ、そう……ね?』




工廠妖精1「今頃みんなは楽しんでるはずです」ガチャコンガチャコン

工廠妖精2「私たちも頑張るです」ウィンウィン

工廠妖精1「そう言えば、さっき紙に何を書いてたのん?」

工廠妖精2「……ひみちゅ」

工廠妖精1「???」



963: ◆kVQhfnJMM6 2014/09/09(火) 22:20:47.35 ID:cWW6FQ7a0

深雪『推薦の結果、今回選ばれたのはこの人たちだぜ!』



神通「あ、ぅ……」モジモジ

瑞鶴「私そんなに妹みたいなのかなあ?」

大鯨「提督の妹もいいけれど……」

磯波「わ、私でも、いいのかな」



深雪『言われてみればみんな妹っぽい感じに見えなくもない……か?』

叢雲『まあどう捉えるかはそれぞれだから、もっと相応しい子もいただろうし、違うって子もいるだろうけどね』

深雪『そうだ、せっかくだからここで選ばれた人は妹っぽいセリフでアピールしてもらおうぜ!』

叢雲『あら、いいかもしれないわね。余興にはピッタリだわ』



瑞鶴「ちょ、ちょっとそれは恥ずかしいってば!」

神通「え、あのっ……」アタフタ



深雪『最初は神通さんから司令官に向けて妹アピールよろしく!』



神通「あ、あのっ……え、と……あぅ」オロオロ

提督「大丈夫か神通? 顔が真っ赤だぞ」


神通「お、おにい、ちゃん……?」


提督「」ズキューン



深雪『でたぁ! 下の子からの定番な呼び方お兄ちゃん。いやぁ上目遣いな部分もポイント高いですなあ叢雲サン?』

叢雲『そ、そうね……ところでアンタそのキャラなんなのよ』



964: ◆kVQhfnJMM6 2014/09/09(火) 22:25:39.07 ID:cWW6FQ7a0

深雪『では次に瑞鶴さん、よろしく!』



瑞鶴「えっと……んんー、お、お兄ちゃん! 瑞鶴暇だから構ってほしい、な?」クビカシゲ


提督「」ズキューン



深雪『いつも使ってるセリフに被せてきたぁ! それだけにシンプルながらも威力も高いと見える』

叢雲『だからアンタ急にどうしたのよ』



大鯨「次は私ですね……。んんっ。お・に・い・ちゃん♪」ウィンク!

提督「」ズキュウウウン



深雪『これは……! 神通さんと同じながらも首傾げながらのウィンクで圧倒的なまでの破壊力ッ。大鯨さんの恐ろしさを再確認したぜ……』

叢雲『……もう何も言わないわ。さ、それじゃ次、磯波よろしく』



磯波「妹っぽいセリフ……妹っぽいセリフ……。えっと、おっお兄ちゃんって、今付き合ってる人っている? ……あっ、そうなの? ふふっそうか~なるほど~♪」

提督「」グサッ



深雪『なんだそのキャラは! 威力高すぎでこんなのお姉ちゃんゆるさないぞ!』

叢雲『アンタこそキャラ崩壊しまくってるわよ! ……でも同意はするわ。磯波ってこんなに大胆だったっけ?』



磯波「あの、えっ演技だからね?」

磯波「本当にそんなこと言えたら苦労しないよぉ……」ボソッ



965: ◆kVQhfnJMM6 2014/09/09(火) 22:30:42.70 ID:cWW6FQ7a0

深雪『では司令官。今のを踏まえて一番妹属性な子、よろしく!』



提督「い、いやぁ……言葉に詰まるが、どれも異性に言われるとなかなか破壊力があるというか。参ったなぁ」ハハハ


翔鶴「………………」ピクピク

山城「ん? 翔鶴急に大人しくなってどうかしたの?」

翔鶴「いえ、何でもありません……っ」ピクピクピク

山城「(ビクッ)……き、急に寒気と殺気が?! ふ、不幸だわ……」


提督「もしもみんなが本当の妹だったら俺は妹にダダ甘になってたかもしれないなと思ったくらいだ」


翔鶴「…………ッ!」ベキッ

山城「あの、翔鶴。お箸折れたわよ……?」


提督「そんな中で一番を決めないといけないのは大変心苦しいが……ここで一つ提案したいんだが、いいかな?」



叢雲『どうかしたの?』



提督「その妹属性だが、二人になってもいいかな? 一人はテーマに沿った子を、もう一人は今のセリフから選びたいんだ。どうだろうか」



叢雲『それならこちらは別に構わないけどね。みんなもいいでしょ』

ウン イギナシー
……ッ!! ミシッ
シ、ショウカク……?!


提督「じゃあまずはテーマに沿った子だけど……こっちは瑞鶴だ」


アァー
ヤッパリネ


瑞鶴「ちょ、この反応……」ソンナニ?

提督「やっぱりみんなも納得してるよな。でもはっきり言って選ぶの難しいそこれ。性格が違ったらある意味で全員当てはまりそうなんだが」



叢雲『それを纏めるのがあんたの役目でしょうが』



966: ◆kVQhfnJMM6 2014/09/09(火) 22:35:42.68 ID:cWW6FQ7a0


提督「次にセリフの方からだけど、こっちも悩んだが磯波にしようと思う。主観で申し訳ないが、何というか一番心に来た」

磯波「わ、私……!」

提督「普段大人しいぶんの反動だろうか。まあ意外な一面というか」


神通「残念、です……」シュン

大鯨「あはは……まあ気を落とさず、次頑張りましょう」



深雪『ひょっとして司令官ってシスコンの気があったりして?』


艦娘一同『ッ?!』


提督「いやいやっそんなことはないと思うが……」



叢雲『下手に手を出したら問答無用で酸素魚雷食らわすけどね。さ、それじゃ瑞鶴と磯波にはくじを引いてもらいましょうか。今のところまだ大当たりは出てないわね』



瑞鶴「装備が貰えるのは嬉しいけど……なんか納得がいかない」ゴソゴソ


『震電改』キタヨ


磯波「私がもらっちゃて、いいのかな……」


『22号対水上電探改四』レーダーデアル!



叢雲『ちなみにこれらの装備品は妖精さんが気まぐれで造り出した逸品だから、早々手には入らないわよ。魚雷とか電探とか、私にとっても羨ましいわね』

深雪『へへー。深雪さま五連装魚雷だぜ? 叢雲よりも強いんだぜ―』

叢雲『………………』



974: ◆kVQhfnJMM6 2014/09/11(木) 20:50:34.69 ID:VdVagMlD0
1レスが長いのは詰め込んだ証拠orz


深雪『さて、ドンドン行こうぜ!』←タンコブ3個

叢雲『次のテーマは…………』

深雪『ん? なんで黙ってんの?』

叢雲『ちょっと失礼! 深雪、ちょっとこっち来なさい。……アンタ、こんなのまで書いたの?』ヒソヒソ

深雪『な、なんだよ……。って、こんなの書いてないぞ?』ヒソヒソ

叢雲『じゃあ誰が書いたっていうのよ!』

深雪『知らないってば』


『一番地味な艦娘と言えば?』


叢雲『こんなのやったら晒し者みたいじゃないの!』

深雪『ネタ的に面白おかしくやったら?』

叢雲『どうやって……』

深雪『うーん。んじゃま、ここは深雪さまに任せておきなって……。いやーゴメンゴメン! ちょっと叢雲が読み方ド忘れしちゃってたもんで』

叢雲『ちょっ……!』

深雪『次のテーマはこれだぜ! "一番地味な艦娘といえば?"』


叢雲『』ソノママイッチャッタアァァァァァ?!



ジミッテ……
ソレチョット ヒドクナイカナ
イイノカナァ……



深雪『まーまー待って。そのままの意味で捉えちゃいけないぜ! 本当はこう書いてあったんだよ。"変身したら一番かわいい艦娘は?" って。でもそのまま言ったらうまく捉えてもらえないかもしれないから、言葉は悪いけど元になってる"地味な艦娘"にしたわけさー』

叢雲『……! そ、そうね。普段はあまり目立たないかもしれないけれど、キッカケ一つでガラリと変わりそうなイメージの子を選んでちょうだい』


ナルホドネー



深雪『だから今回は、最初からかわいい子は対象外! おっと、これはさすがの深雪さまも外れちゃうよなぁー』

叢雲『いやアンタは外れないでしょ。むしろこの私こそ外れて然るべきよね』

深雪『なんだとぅ』


アハハハハハ
ナニソレー



深雪『……な?』ヒソヒソ

叢雲『ずいぶん上手いこと考えたわね』

深雪『へへっ。深雪さまに出来ないことなんてないのさー』



975: ◆kVQhfnJMM6 2014/09/11(木) 20:55:27.26 ID:VdVagMlD0


瑞鶴「んー。誰だろう」

翔鶴「どちらにしても、選ぶ方も選ばれる方もちょっと気を使うというか」

瑞鶴「言いたいことは分かるんだけどね。でも何というか、みんな十分にかわいいような……はっ!」

翔鶴「どうかしたの?」

瑞鶴「はいはい! 私翔鶴姉ぇ推薦しまーす!」

翔鶴「えぇっ?! ちょ、ちょっと瑞鶴」



深雪『おぉっと、ここで一人目はなんと秘書艦の翔鶴さん!』

叢雲『ちなみに、理由を伺ってもいいかしら?』



瑞鶴「翔鶴姉ぇは何というか……大人しすぎる!」

翔鶴「えっ? 大人しいって……?」

瑞鶴「うまく言葉が見つからないんだけど、やっぱりなんかこう、地味? 的な?」


翔鶴「」グサッ


瑞鶴「翔鶴姉ぇはもうちょっと自分を出してもいいと思うんだよね。普段の一歩引いたような感じなのも、秘書艦だからって言うのもあるかもしれないけど……変身したらもっと提督さんも見てくれるんじゃないかな」

翔鶴「ッ?!」ボッ

提督「……ここはノーコメントにしておこう」

瑞鶴「と言うわけで、翔鶴姉ぇに一票!」


川内「この流れなら言えるッ。今度こそ神通に一票!」

神通「ふぇっ!?」

川内「神通も十分かわいいんだからそんな縮こまってないでアピールすればいいんだよ。でないと地味子のまんまだよー」

那珂「戦場では元気いいのにね―」

神通「あ、ぅ……」


吹雪「うーん、私的には初雪ちゃんを推してもいいような気がするけど」

白雪「確かに初雪ちゃんも元気な姿になったらもっと可愛くなるかもね」

初雪「……ヤ。地味最高」モグモグ

吹雪「当てはまってても、本人に改善の兆しがなさそうだし……」ネー

白雪「まあ、今のままの方が初雪ちゃんらしい、のかな?」ネー

初雪「ん。その代わり磯波を推す」

磯波「ま、また私なの? 確かに、地味だけど……でも、もう選ばれてるからいいよぉ」

吹雪「二連覇を狙うのもいいかもしれないね」

磯波「吹雪ちゃんまで―!」



976: ◆kVQhfnJMM6 2014/09/11(木) 21:00:25.36 ID:VdVagMlD0

深雪『選ばれた翔鶴さんと神通さん。その中でイチバンはどっちだ?!』

叢雲『個人的に磯波がいても良かったと思うけど……ま、さっき出たことだしね』

深雪『それじゃ司令官、おねがいしまーす!』



提督「先に言っておくけど、他意があるわけじゃない。むしろ願望を込めて発表させてもらおうと思う」

提督「今回は――――――神通を選びたい」


神通「あっ……」

翔鶴「おめでとう。神通さん」


提督「皆も知ってると思うけど、神通は普段は大人しいが戦闘となれば一二を争うぐらい勇猛果敢だ。ちょっと自分を顧みない所はあるが……でも、度胸についてはなかなか真似できないことだとも思う」

提督「そんな姿を日常でも……まんまと言う訳じゃないが、元気で笑う神通を見ることができたらなと思って選ばせてもらった」

神通「………………」

提督「もちろん今の神通が良くないわけじゃないぞ? どちらも"らしさ"があって俺は好きだし」

神通「っ!」


神通「(こ、こんな私でも……提督は、すき?)」ドキドキ


提督「それに、翔鶴がこれ以上元気になって瑞鶴とそっくりになったら執務室が大変なことになるからな」


瑞鶴「ちょっと、ここで私なの?!」



叢雲『なんか司令官の気になる発言があったけど、あえて流しておきましょう。それじゃあ、このくじを引いてもらおうかしら』

深雪『今度こそ大当たりが出るか?!』



神通「で、では……いきます!」ゴソゴソ


『応急修理女神』ペカー



叢雲『あ、大当たり……』


オオォーッ!
パチパチパチパチ
ナニコレ?


神通「こ、これは……?」



叢雲『簡単に言うと、これがあれば撃沈・轟沈に相当するダメージが"無かったこと"になるわ。ゲームとかで言えば1UPみたいなものかしら』

深雪『妖精さん曰く、偶然造りだした逸品中の逸品らしいぜ! おめでとう!!』



提督「神通にはピッタリの装備かもしれないな。でも、そう簡単に使ってほしくないが……」

神通「が、頑張ります……! あの、提督……」

提督「うん?」

神通「えっと……あ、ありがとうございます。これからも頑張りますね」ニコッ


983: ◆kVQhfnJMM6 2014/09/13(土) 20:10:50.58 ID:W3xChMr50
これでおしまい!



叢雲『さて、時間もだいぶ過ぎたところだし次が最後かしらね』

深雪『なんだかんだあっという間だったよなー』

叢雲『みんなにも楽しんで貰えたことを願いつつ締めに入るわよ。続いてのテーマは――――――の前に。司令官ちょっとごめんなさいね。自分で外したらダメよ』ガポッ



提督「をぉっ! な、なんだこれ?! ヘルメットか? でも何も見えんぞ! それに声も!」アタフタ



叢雲『ふふっ……司令官には目と耳を塞がせてもらったわ。今までのはある意味で練習。本番の前の前菜にすぎないの。そしてここからが本番……覚悟することね』クックック

深雪『どうせだからグラサンでも掛けてみるか』スチャッ



古鷹「あ、あれ? なんだか空気が変わったような?」

加古「んー?」モグモグ

瑞鶴「これも演出のうちなの?」

翔鶴「さ、さあ……。内容については二人に任せちゃったから」



叢雲『最後にして本番のテーマはこれよ』

深雪『みんなでぶっちゃけ! キライ(?)と見せかけて実は密かに司令官のことをスキな艦娘と言えば?! アーンド』

叢雲『一番新妻っぽい艦娘といえば?! のダブルテーマよ!』



艦娘一同『ッ??!!??!!』ガタッ



叢雲『最後は私たち艦娘だけの、そして司令官が対象のテーマよ。どうせだからみんな思いの丈をぶち撒けてみなさいな』

深雪『もちろん全員参加だぜー』

叢雲『さあ、みんな存分に"語り合いましょう?"』



984: ◆kVQhfnJMM6 2014/09/13(土) 20:16:15.51 ID:W3xChMr50

瑞鶴「語り合おうと言っても……」

翔鶴「どうしたものかしら?」

瑞鶴「まあ最初の方については一人心当たりが……」チラリ

翔鶴「あはは……」チラリ

山城「最後がこんなテーマなんて……激しく不幸だわ」

扶桑「……山城。あなた本当は提督のこと好きよね?」

山城「ね、姉さまッ?! とと、突然何を」


艦娘一同『(扶桑さんが自ら切り込んでいった?!)』


山城「あの人のことなんて何も……っ。私は誰よりもまず姉さまのことを……!」アタフタ

扶桑「私も山城のことは第一に考えているわ。でも、それとは話が別なの。提督のことをいろいろ言ってる時のあなた、とても嬉しそうよ?」

山城「そそそそそそんなことは」マッカッカ


加古「……あ、でも提督に楽しそうに絡んでる山城さん見たことあるかも」

山城「ちょッ?!」

川内「私もあるかなー。だいたいは扶桑さんのことばかり話してるけど、所々に自分もっていうのがにじみ出てるというか」

瑞鶴「活躍した時とか、褒めてオーラが全開に出てるよね」ソウイエバ

山城「」チーン


扶桑「恥ずべき事ではないのよ山城。私たちは提督に救ってもらったと言っても過言ではないもの。程度は別にしても何もないとは思えないわ」

山城「ね、姉さまは……」

扶桑「私は好きよ。提督のこと。提督のためなら命をかけて戦えるくらい……もっとも、そんなことを言ったら怒られてしまうけれどね」

山城「………………」

扶桑「もちろん私たちだけじゃないわ。ここにいる全員……大なり小なり違いはあれど、好きじゃない子はいないはずよ」

山城「じゃ、じゃあ叢雲は……? あの子も結構キツイことを言うけど……」

叢雲「私? まあ恋愛感情かと言われると怪しい部分もあるけど、好きは好きよ。なんだかんだ私たちのことをイチバンに考えてくれてるしね。甘えたり甘やかしたりはしないけど」

扶桑「だそうよ?」

山城「他のみんなも……?」

大鯨「わ、私は提督には艤装のことで大変お世話になったので……。あと、私のことを認めてくれた初めての人でもありますし」

鳳翔「そうですね。確かに怒られてしまいますが、私も提督のためならばと言う思いはあります。同じ境遇として、翔鶴さんに神通さん、吹雪ちゃんも同じではないから?」

翔鶴「はい」

神通「は、はい!」

吹雪「もちろんです」

山城「………………」



985: ◆kVQhfnJMM6 2014/09/13(土) 20:20:43.16 ID:W3xChMr50


山城「やっぱり不幸だわ……」

扶桑「本当にそう思うのかしら?」

山城「……私だって、素直になろうとは思いますよ。でもいざ目の前にすると」

扶桑「素直になれないって?」

山城「考えるよりも先に口が出ちゃって、それで……」

扶桑「ええ。そういう所も山城らしくて私は大好きよ。だから、少しずつでいいから、ね?」

山城「うぅ。どうしてこんなことに」マッカッカッカ


山城「……本当にあの人には聞かれてないのよね?」

叢雲「それは保証するわ」

山城「はぁ……わかったわかりました。私もあの人のこと好きです。そりゃそうでしょう初対面で……お荷物なんて言われてた私たちにあんなにも真剣になってくれたら……今でも変わらず私や扶桑姉さまのことを大事にしてくれたら何もない方がおかしいでしょ」

扶桑「(ニコニコ)」←"私や"の部分が先に来たことを喜んでる

山城「で、でも! 恋愛感情がどうのなんてのは言いませんからね! 私はあくまでも扶桑姉さま一筋ですから!」

扶桑「ええ。それで構わないわ。今のところはね」ニコニコ

山城「はぁっ。ココ最近でイチバンの不幸よ」グッタリ


叢雲「別名、素直じゃない艦娘イチバンは満場一致で決まりみたいなものよね。じゃあ、はい。くじをどうぞ」

山城「もうこうなったらヤケよ……砲でも魚雷でも航空機でも来なさいっての」ゴソゴソ


『(新)三式弾』ヨッ


山城「……三式弾ならもう持ってるわよ。はぁ、装備にすら……不幸だわ」

扶桑「(なんだか頭に新ってついてるけれど……?)」


山城「ちなみにだけど、普段おとなしい初雪とかはどうなってるの? 対象にならないのかしら」

初雪「……ん」ピトッ

提督「な、なんだ。誰か何か付けたのかっ? いやなんか抱きついてるような感覚があるんだが?!」ジタバタ

山城「……私の負けでいいわよもぅ」

初雪「んっ」フンス



987: ◆kVQhfnJMM6 2014/09/13(土) 20:25:52.02 ID:W3xChMr50


山城「……さっ。次に行こうじゃないの。次はなんだっけ? 新妻イチバンでしょう? そりゃあもうこれだけ慕われてれば推薦いらずにイッパイ立候補も出てくるわよねぇ!」


古鷹「山城さん……」

加古「色んな意味で吹っ切れてるよねこれ」

川内「新妻っぷりかぁ。料理の上手な鳳翔さんか大鯨さん、それに秘書艦の翔鶴さんが思い浮かぶけど……」

那珂「あれ、川内ちゃん立候補しないの?」

川内「私ぃ? んー新妻っぽいかと言われると違うような。むしろ神通じゃないかな」

神通「え……っ?」ポッ

那珂「あー神通ちゃんも提督の事好きだもんねー」

神通「(わ、私が、新妻……なんだか、身体が火照ってきてしまいました……)」カアァァァァ

川内「そういう那珂は?」

那珂「那珂ちゃんはー、新妻にも憧れるけどまだまだみんなのアイドルでいたいし、みたいな☆」


時雨「立候補したいけど、鳳翔たちにはさすがに敵わないからね。だから僕は扶桑を推薦したいかな」

扶桑「わたし?」

時雨「いつだったか、提督と二人で縁側でお茶を飲んでた時があったよね。その時に見たんだけど、なんだかそんな感じがしたんだ」

扶桑「縁側、お茶というと……あの時かしら」

山城「姉さまがどんどん遠くに……」


五月雨「なんて言うか、やっぱり新妻って言われると大型艦の人たちが当てはまっちゃうよね」

涼風「そんなことないんじゃない? 駆逐艦でも新妻は務まるだろー」

五月雨「たとえば?」

涼風「ん? んー……あたい?」

五月雨「そんな冗談はいらないよ」

涼風「ひどっ! あたいだってヨメくらい務まるって」

村雨「なになに何の話? 村雨さんも混ざっちゃうわよ―」

五月雨「駆逐艦でも新妻ってできるのかなーって思って」

村雨「そうねぇ。敵う敵わないは別にしても、時雨なんて結構いけそうな気がするかな。あとは、吹雪ちゃんと白雪ちゃんあたりとか? あと意外と白露」

涼風「へっ白露? そりゃまたなんで」

村雨「甲斐甲斐しく接するだけが妻じゃないってことね。ほら、白露は気後れしない性格だし、持ち前の明るさで元気にしてくれると思わない?」

五月雨「明るさかぁ」

涼風「そう言われるとそんな感じも……?」

涼風「(っていうかそれでいくとむしろ村雨の方が適任なんじゃね?)」


白露「あれ? あたし妹から新妻へ昇格しちゃうの?」

夕立「あたしはー?」ッポイ?



988: ◆kVQhfnJMM6 2014/09/13(土) 20:30:42.11 ID:W3xChMr50


山城「って言うかこれ、どうやって一番を選ぶのよ。まさか提督に……」

叢雲「そのことだけど、ここについては一番を決めることはしないわ。誰も選べないだろうし」

山城「じゃあなんのためにやったのよ」

叢雲「面白そうだから、かしら。みんなであれこれ話せていいでしょう」

山城「お、面白そうって」

叢雲「意外な一面も見られて、みんなも楽しめる。いいことヅクメじゃない」

山城「私は不幸でしか……まあいいわ。ここで嘘ついたってしょうがないもの」

叢雲「そうそう。せっかくの慰労会だもの。素直に楽しまなきゃ損だわ」


深雪「だよな! 美味しい料理は美味しい内に食べるのがいいんだよー」モグモグ


叢雲「……アンタは色気よりも食い気よね。らしいけど」



瑞鶴「うーん」

翔鶴「どうかしたの瑞鶴」

瑞鶴「一番は決めないって言ってたけど、結局のところ誰だったらみんなも納得するかなって」

翔鶴「誰でも納得するだろうし、誰でも納得しないんじゃないかしら」

瑞鶴「みんな提督さんのことが好きーって?」

翔鶴「えぇ」

瑞鶴「翔鶴姉ぇとしても負けられないよね」

翔鶴「そう、ね。負けられないわね」キュッ……

瑞鶴「ま、そのチョーカーを見る限り一人先行してるのは間違いないだろうけどねー」

翔鶴「………………」


そして宴は過ぎてゆく……


………………

…………

……



989: ◆kVQhfnJMM6 2014/09/13(土) 20:35:57.01 ID:W3xChMr50

提督「何故か俺だけ最後に遮断されてしまったが……みんな楽しんでもらえたかな」


ハーイ!


提督「そろそろいい時間だし、名残惜しいがこの辺でお開きにしようと思う。今日この場を盛り上げてくれた深雪と叢雲には感謝を。そして拍手を送りたいと思う」


パチパチパチパチ


深雪「いやーなんのなんの。深雪さまにおまかせだって!」

叢雲「ま、当然よね」


提督「また明日からは遠征に戦いに、気を抜かずに取り組んでもらいたい。それについては細やかだが……俺からみんなへプレゼントを用意した」


プレゼント……?
ナンダロー


提督「みんな部屋に帰ってからのお楽しみってところだな。それじゃあ、また明日からも頑張っていこう」

艦娘一同『はいっ!』


………………


瑞鶴「提督さんからのプレゼントってなんだろうね。翔鶴姉ぇはなにか知ってる?」

翔鶴「ううん。むしろ提督からプレゼントってこと自体を今知ったくらいだわ」

瑞鶴「翔鶴姉ぇすらにもナイショだなんて……一体なんだろう」

翔鶴「提督は部屋へ帰れば分かるって言ってたけれど」

瑞鶴「プレゼントっていうくらいだから、なんか箱でも置いてあるのかな―」ガチャッ


翔鶴「……なにもない?」

瑞鶴「隠してあるのかな。でもそんな時間ないはずだし……あれ、この部屋ってこんなに快適だったっけ? 今日暑かったよね?」

翔鶴「えっ?」カイテキ?

瑞鶴「なんだか食堂にいるみたいな――――あ」

翔鶴「瑞鶴?」

瑞鶴「……空調ついてる」ウエユビサシー



あちこちの部屋から『空調だーっ!!!!!!』



提督「みんなお疲れさま。短い時間だったけど工事終わらせてくれてありがとう。料理は別に取っておいたからゆっくりとしていってくれ」

工廠妖精『はーい!』

提督「これで少しは生活が快適になるといいんだが」

工廠妖精2「提督さん。建造はしてもいいです?」モグモグ

提督「ん? ああ。正式に依頼はしたからね。いつでも始めちゃって構わない」

工廠妖精1「気合、入れて、いきます!」ワクワク

提督「うん。資材にも余裕が出てきたし、是非とも重巡や戦艦をたのむよ」


鎮守府に空調が完備されました


990: ◆kVQhfnJMM6 2014/09/13(土) 20:40:57.04 ID:W3xChMr50

...finale


・・-・・鎮守府ハ今日モ健在ナリ・・・


……慰労会後


瑞鶴「はぁーいいお湯だったー。あぁ、火照った身体に空調の風が心地いい~」ドサーッ

瑞鶴「ねぇ翔鶴姉ぇ……あれ? 翔鶴姉ぇー? さっきまで一緒にお風呂いたのになあ」イナイ



―縁側―

翔鶴「さあ提督。一献」

提督「ああ。ありがとう翔鶴……ふぅ。やっぱりここで呑む酒は格別だなあ」

翔鶴「最近はお茶ばかりでしたからね」

提督「まったくだ。でも、そのおかげで今日は一層美味い。翔鶴が注いでくれたからってのもあるかな」

翔鶴「まあ、提督ったら」フフッ


提督「プレゼントは気に入ってもらえたかな」

翔鶴「驚きましたよ。工事はもっと先と伺っていたのですが……」

提督「実は妖精さんに頼んだんだ。資材だけ集めたら作れるって言うから大幅に節約できた。本当にありがたいことだよ」

翔鶴「そうだったんですか。じゃあ、私たちが食堂にいる間に?」

提督「うん。建物の主な部屋は全て空調が入った。これで暑くても寒くても平気だろう」

翔鶴「瑞鶴も喜んでいましたよ。今頃はお風呂上がりで涼んでいるかと」

提督「そう言えば翔鶴も浴衣だったな。湯あがり美人だ」

翔鶴「ふふっ。それはもう前に聞きましたよ――――提督、そばに寄ってもいいですか?」

提督「ん? あぁ」


991: ◆kVQhfnJMM6 2014/09/13(土) 20:45:40.35 ID:W3xChMr50


翔鶴「慰労会の催し物にはビックリしましたね」

提督「いやはや。まさか皆の中から俺が一番を決めるとはね……。てっきり多数決にでもするかと思ったら」

翔鶴「でも、提督が決めてくれたおかげでみんなも喜んでましたし、結果的には良かったのでは」

提督「まあね。でも、中身は完全に投げてたから驚いたよ。正直決めにくかったというか」

翔鶴「提督は妹好きなんですよね」

提督「いや、あれは……」

翔鶴「鼻の下が伸びてました。デレデレです」ツーン

提督「そ、そんなはずは……」

翔鶴「私では妹にはなれませんか?」

提督「……そう、だな。妹にはなれないかな」

翔鶴「………………」

提督「むしろ妹になってしまったら俺が困る」ナデナデ

翔鶴「あっ……」

提督「うん。とても困るな」ナデナデ

翔鶴「………………」ギュッ


提督「なあ、翔鶴」

翔鶴「はい」

提督「えっと……月が綺麗だよな」

翔鶴「ここは死んでもいいって返すべきですが……縁起でもないのでまだ死ぬ気はありませんね」

提督「死なれちゃ困るさ」

翔鶴「だからその代わり――――――」


ふわっ……


提督「!」

翔鶴「ふふふっ。……本当に月が綺麗ですね。提督」ニコニコ




・・-・・・・-・・・・-・・

工廠妖精1「建造~建造~♪」ワクワク

工廠妖精2「さあ、ドンドンいくです!」ガチャコンガチャコン

工廠妖精3「建造こそがー我らのアイデンティティー!」

工廠妖精4「パパパッパッパッパ、パァウァー!!」



??『08:00:00』ピッ


To be Continued→?


996: ◆kVQhfnJMM6 2014/09/13(土) 21:10:35.33 ID:W3xChMr50
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雲龍「えっと……なんで私呼ばれたノ?」

提督「ま、普段出番がないからね」

雲龍「基本的には出番ない方がいいんだけどなア」

提督「まーな。普通の雲龍だったらレギュラーだっただろう」

雲龍「私、元深海棲艦だからネ。妹達や冬月たちモ」

提督「普段の生活の中で人知れず動きまわる艦隊がある……なかなかいいじゃないか」

雲龍「目立ちたいわけじゃないからネ。今のところハ」

提督「今のところって……」

雲龍「前にも言ったけれど、全部終わったら堂々と表には出るわヨ? 瑞鶴姉や鳳翔とも普通に会いたいし」

提督「正直なところ、やっぱり今の生活は嫌か?」

雲龍「うーン……全く嫌じゃないとはいえないけど、しょうがないとも思ってる、かナ?」

提督「不便をかけるよ。それに資源面ではお世話になりっぱなしだ」

雲龍「これくらいしか出来ないからネ」

提督「大変だろうけど、これからも頼むよ。天城たちにもよろしく言っておいてくれ」

雲龍「うん。わかったワ」