34: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)15:47:15 ID:Vkq
カメラマン「あ、あのっ!よ、よろしければ今度、わ、私と…!」

薫「せんせぇー!」ガバッ

カメラマン「」ビクッ

P「うおっ、薫!いきなり飛びついちゃ危ないだろ~」なでなで

薫「えへへー♪」ギュゥ―

薫「カメラマンさんも、今日いっしょに遊んでくれて、ありがとうございまー!と~っても、楽しかったですっ!」

カメラマン「う、うん!私も楽しかったよー!あはは、あはははっ」アセアセ

P「?」

こうして、薫の初仕事は大成功に終わった。……カメラマンさん、何を言いかけてたんだろう?

引用元: モバP「向日葵みたいなその笑顔で」薫「せんせぇ!」 




THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER Trust me
歌:安部菜々、一ノ瀬志希、佐久間まゆ、北条加蓮、鷹富士茄子、鷺沢文香、本田未央、南条光、喜多日菜子
日本コロムビア (2018-10-31)
売り上げランキング: 45
35: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)15:49:03 ID:Vkq
~346プロ 第3芸能課~
薫「おっはよーございまー!」ガチャ

346プロのアイドルになって、はや1ヶ月。その間、レッスンだったり、挨拶回りだったり、デビューライブだったり…色んなことがあった。ワクワクの連続で、本当に素敵な毎日だったの!

P「ん?ああ、薫か。おはよう」ズルズル

薫「あー!せんせぇ、またカッラーメンなんて食べてるーっ!」

P「いや~、今日の昼、何も食べていなかったからさ。少し遅めの昼ごはんだよ。」

薫「せんせぇ、いつもカップラーメンばかり食べてるよー?ちゃんとしたごはんを食べないと、病気になっちゃうよー!」

P「うっ、その通りなんだけどさ、仕事が忙しくて…インスタントは手軽だからつい…な。味もまあまあいけるし」

薫「でも~……」

P「大丈夫だって!俺はこんなにピンピンしてるし。それに、担当アイドル達がどんどん成長してるんだ…俺も置いてかれないように頑張らないとな!」ニッ

36: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)15:49:38 ID:Vkq
先生は私たちがアイドルとしてキラキラできるように、毎日仕事を頑張っている。
でも、自分の健康に関しては無頓着で、普段からインスタント食品みたいなカラダに良くないものばかり食べる癖があったの。
そんな先生のことを、私はとても心配していた。

37: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)15:50:13 ID:Vkq
薫(せんせぇには、もっとおいしくて、えいようたっぷりなごはん、食べてほしいな…)スタスタ

「それでこの前、プロデューサーさんにお弁当をつくってあげたんですっ。すっごく喜んでくれて嬉しかったな~♪」

薫(おべんとう……?)ピーン

「そうなの…やっぱり、男性の方って料理上手な女性のほうがいいのかしら…?」

「美優さんは普段、料理するんですか?」

「私?私は一人暮らしだから、人並みにはできるけど…でも、誰かに手料理を振る舞ったりなんてことは、とても…」

「やっぱりそうですよね…私もです。両親が居ない時、時々弟につくってあげるくらいでしょうか」

「そんなの勿体ないです!誰かにお料理をつくってあげて、その人に美味しいって言ってもらえたら…すっごく幸せな気持ちになるんですよっ」

「そ、そう…?…私も頑張ってみようかしら…」

「なるほど…一理あるわね…」

38: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)15:50:39 ID:Vkq
「そうだっ。今度一緒につくってみませんか!誰かと一緒につくれば、きっと楽しいと思うんです!」

「響子ちゃんのお料理教室?いいね、勉強になりそう!」

「私もお願いできるかしら…?」

「勿論ですっ」

薫「ねぇねぇ!そのお料理教室、かおるもまぜてほしいなー!」

響子「あっ、薫ちゃん、おはようっ!うん、いいよ」

美優「薫ちゃん、おはよう」

美波「おはよう。薫ちゃん!元気そうだね」

薫「おっはよーございまーっ!」

39: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)15:51:27 ID:Vkq
~女子寮~
響子「それでは!今から五十嵐響子のドキドキ?お料理教室with 女子寮。始めたいと思いますっ」ビシッ

薫「わぁーー!!」パチパチパチパチ

美波「ヒュー!ヒュー!」パチパチパチパチ

美優「い、いえ~い…!」パチパチパチパチ

40: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)15:52:28 ID:Vkq
響子ちゃんの作るお料理は、346プロ所属のアイドル達の間でも、とても美味しいと評判だった。
日頃から、お母さんのお手伝いをすることはあったけど、響子ちゃんに教えて貰えば、もっとお料理上手になれる…
先生に美味しいお弁当をつくってあげられる!そう考えた私は、次の休日、美優お姉さんや美波お姉ちゃんと一緒に、響子ちゃんのお料理教室に参加することにしたんだっ。

41: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)15:52:56 ID:Vkq
響子「私のお料理友達、匿名:フローラル花さんいわく、胃袋を掴むことこそ勝利の近道だそうです!ですので、皆さんも頑張りましょうっ」

薫「よ~し、薫、お料理がんばるぞーっ!」

美優「私も…頑張ります…!」

美波「フローラル花……いったい何者なの…?」

42: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)15:54:51 ID:Vkq
響子「それじゃあ、最初は…私流格言その1! 『お料理をするときは、大好きなあの人を想っちゃおう』ですっ」

響子「お料理で最も大事なのは、材料でも調味料でもない…。“愛情”という名の隠し味なのです!」ズギャーン

美波「ふむふむ…」

美優「あ、愛情…///」メモメモ

響子「自分の料理を一番に食べて貰いたい人に向けて、恋する想いをギュッと詰め込むんですよ!大好きーって」

美波「大好き…えへへっ///」にへら

美優「だ、大好き…?…Pさん…」ポー

43: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)15:55:18 ID:Vkq
薫「響子せんせー!しつもんがありまー!」バッ

響子「はいっ、何でしょう?」

薫「こいするおもいって、どんな感じなのー?」

響子「恋する想いっていうのはね、その人のことを考えるだけで、ドキドキしたり、ふわふわした気持ちになることをいうんだよ」

薫「どきどき…ふわふわ?」

響子「んー、自分が一番笑顔を見たい、喜んでもらいたいって思える人のことを考えればいいと思うよ!」

薫「あっ!それならわかるーっ!かおる、せんせぇにたーくさん!よろこんでほしいんだぁー♪」

響子「うんうん♪」

44: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)15:55:42 ID:Vkq
薫「響子せんせーもいるのー?大好きなひと!」

響子「えっ///」

薫「……」ワクワク

響子「え、え~と…うん」カアァ

薫「おぉー!」キラキラ

45: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)15:56:05 ID:Vkq
この頃の私は、まだ“恋する気持ち”がどういったものなのか、よくわからなかったの。
でも、大好きって気持ちだけはちゃんと理解していた。
家族や友達、ファンの人達、事務所のみんな、そして…先生。み~んな大切だったから。

46: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)15:56:27 ID:Vkq
~346プロ 第3芸能課~
P「………」カタカタ

薫「」コソコソ

響子ちゃん達とのお料理教室から、数日後、私は教えて貰ったお料理テクニックを駆使して、先生のためにお弁当を作ってきていた。

47: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)15:57:11 ID:Vkq
P「……これでよしっ」ターン!

P「ふぅ、そろそろ12時か…どうすっかな…」

薫「せんせぇ!!!」バッ

P「ウェ!?薫!?いつからそこに!?」

薫「せんせぇ、今からおひるごはんだよねっ」

P「あ、ああ…そのつもりだけど」

薫「へへー、じゃーん!!」

P「こ、これは!?」

薫「かおる、いつもいっしょうけんめいなせんせぇのために、おべんとうつくってきたんだぁ~」

P「本当か!?わぁ~、ありがとう!さっそく食べていいか?」

薫「うんっ、めしあがれーっ!」

P「いただきますっ」パカッ

P「おおっ…!色んなおかずがバランスよく入ってるな~それじゃ、最初はっと…」あーん

48: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)15:57:46 ID:Vkq
薫「…」どきどき

P「……」モグモグ ゴクン

薫「ど、どうかなぁ…?」

P「………薫ぅ…」ジワッ

薫「せ、せんせぇ…?もしかして、おいしくなかった…?」

P「違う…違うんだ……すごく…美味しい…!」ポロポロ

薫「え…?」

P「あたかかくて、やさしい味がする…こんなに美味しいご飯食べたの、久しぶりだ…これ、薫がつくったのか?」

薫「う、うん…響子ちゃんにおいしいごはんのつくりかたを教えてもらったの…せんせぇによろこんでもらいたくて…」

P「そっか……うん…美味しい…薫、俺のために一生懸命つくってくれたんだな…」

49: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)15:58:08 ID:Vkq
P「薫」

薫「せんせぇ…?」

P「ありがとう」ニッコリ

薫「!え、えへへ…そっかぁ…よろこんでもらえたんだぁ…」

50: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)15:59:14 ID:Vkq
P「薫って、料理上手だったんだな…!ビックリしたよ。美味しさの秘訣でもあるのか?」

薫「えっとね!自分がいちばん笑顔をみたい、よろこんでもらいたいって思えるひとのことを考えながら、想いを込めてつくるの!大好きーっ!て」

P「そうか……薫はきっと、いいお嫁さんになるだろうなぁ」なでなで

薫「――っ!」カアァ

51: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)15:59:34 ID:Vkq
薫(せんせぇの笑顔、うれしいなぁ……お嫁さんになれば、もっと、もっと、せんせぇの笑顔がみられるのかな…?)とくん

薫「……あれ?」

P「ん?どうしたんだ?薫」モグモグ

薫「な、なんでもないよっ!」アセアセ

P「そうか?」モグモグ

薫(いまの…なんだったんだろう…?)

52: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)15:59:52 ID:Vkq
ライブ前のドキドキとも違う、ハジメテのカンカク……
きっと、私はこの時から、先生のことが……

53: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)16:00:26 ID:Vkq
アイドルになって、数年の月日がたち、私は中学生になった。
その間に、色々なものが変わっていった。この頃になると、第3芸能課所属にもアイドルやプロデューサーが増え、以前よりも賑やかになっていた。
私自身、アイドルとしてたくさんの経験を積み、様々な仕事をこなせるくらい成長していったと思う……秘めた想いに未だ気づかないまま…

54: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)16:01:23 ID:Vkq
~2年前 346プロ 第3芸能課~
P「いや~この前の写真集、すごくよかったぞ!」

薫「えへへ、そうかなー///」

P「ああっ!薫の天真爛漫で、元気いっぱいなところがよくでていたって、カメラマンさんも褒めていたぞ」

薫「ひとりでの写真撮影だけど、うまくいってよかったーっ!きっと、せんせぇのアドバイスのおかげだねっ♪」

P「いやいや、俺のアドバイスなんてたいしたことないよ。薫自身の魅力がこの結果を・・・」

「プロデューサーさーーん!はやく出ないと遅刻しちゃいますよーっ」

P「えっ?…うわっ、ヤバっ、もうこんな時間か!悪い、薫!千枝に呼ばれているから、俺行くな?」ガタッ

薫「あっ…う、うん…いってらっしゃい…」

55: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)16:01:46 ID:Vkq
「プロデューサーさーーん?」

P「はーい!今行くからー!!」ダッ

薫「……せんせぇ…」ギュッ

「寂しいですか?」ぬっ

薫「ぴゃあっ」

突然、背後から声を掛けられ、驚く。振り返るとそこには…

薫「あ、ありすちゃん…もうっ、びっくりさせないでよ~」

「おはようございます。薫さん」

薫「う、うん…おはよう」

56: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)16:02:18 ID:Vkq
「まったく…プロデューサーさんの時間のルーズさには困ったものです。私達のプロデューサーとして、もっとしっかりするべきですね」

薫「あはは…ありすちゃんは相変わらず厳しいなぁ…」

「貴方もですよ、薫さん」ビシッ

薫「うぇっ!?か、薫も!?」

「ええ、中学生にもなってせんせぇ呼びはどうなんですか?」

薫「そう…かな…?恥ずかしいかな?」

「薫さんも、もっとクールにビシッと決めるべきです。私のように!」

薫「えぇ…薫、パッションなんだけどな…」

57: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)16:02:43 ID:Vkq
薫「でも、最近のありすちゃん、本当にかっこいいよね!髪も長くて、綺麗で…」

「クール・タチバナですから」フンス!

「そしてゆくゆくは、プロデューサーさんと名前で呼び合う関係に……あっ、でもそれだとタチバナじゃなくなりますね…?」ムフフ

薫「…ありすちゃんって、せんせぇのこと、好きなの?」

「愚問ですね…言うまでもないです!私は、プロデューサーさんのことを愛していますっ!」ズギャーン

薫「あ、愛///」

58: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)16:03:04 ID:Vkq
「ふふふ、プロデューサーさんの好みの女性がオトナっぽい女性であることは既にリサーチ済み……忌まわしい『成人及び結婚年齢18歳法案』のせいで計画に多少の狂いはありましたが…私はもう17歳!来年には見事ゴールインとなるでしょう!えへへ…」によによ

薫「……」

薫(薫は…どうなんだろう)

59: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)16:03:29 ID:Vkq
プロデューサーさんのことは好きだ、いつも優しくて、かっこよくて、頼りになる素敵なひと…
でも、この想いが本当に恋なのか…まだ確信が持てなかった。

薫「オトナっぽい女性…かぁ」ボソッ

60: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)16:03:52 ID:Vkq
それから私は“せんせぇ”呼びを直そうと努力したんだ。
突然のプロデューサー呼びに先生も戸惑っていた。
でも…でも…、私だって、コドモだと思われるのは嫌だったの。

61: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)16:04:26 ID:Vkq


P「う~ん…………」

最近、薫の様子がおかしい。話しかけられたと思ったら、すぐに離れていくし、なぜか“せんせぇ”ではなく、“プロデューサー”呼びをしてくる。

P「もしかして…俺、避けられてる!?」ガビーン

アカン…薫に嫌われたら、俺、生きていく自信がないぞ!?

P「いや、落ち着け落ち着け、まだ決まったわけじゃない、決まったわけじゃないんだ。薫が俺を嫌うだなんてそんな、そんなことは・・・」ブツブツ

「あれ、Pさん?どうしたんですか、こんなところで考え込んで」

P「ん?ああ…君は…」

62: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)16:04:47 ID:Vkq
「もしかして…悩み事ですか?ダメですよ!ひとりで考えこんじゃ。困ったときは、誰かに聴いて貰わないとっ」

P「そう…だよな…うん」

「…もしかして、薫ちゃんのことですか?」

P「!よくわかったな、その通りだよ」

「やっぱり…薫ちゃん、最近Pさんと話す時、様子がおかしかったですもんね」

P「よく見てるなぁ、所属課も違うのに」

「ふふっ、薫ちゃんも大切な事務所の仲間ですからっ!あ、もちろんPさんもですよ?」

P「そっか…なら話が早い、俺、最近薫に避けられているみたいなんだ。やたらと他人行儀でさ…でも、心当たりは全くないし…」

「ふむふむ…」

P「今まで“せんせぇ”呼びだったのに、急に“プロデューサー”呼びに変わってさ…俺、薫に嫌われたのかなぁ」グスッ

「…なるほど。そういうことですか」

P「え?」

63: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)16:05:12 ID:Vkq
「大丈夫です、Pさんは嫌われてなんかいませんよ」

P「ホ、ホントか!?信じていいんだな!?」

「はいっ!薫ちゃんはですね・・・」

64: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)16:06:01 ID:Vkq


「……行きましたか」

「あっ、ここにいたのか!まったく、探したんだぞ?」

「プロデューサーさん!」

「ほらっ、はやく行くよ。みんな待ってる」

「ふふっ、はいっ!」

「?どうしたんだ、やけに機嫌良さそうだけど」

「い~え、私にも、素敵なプロデューサーがいてよかったなぁ~って、そう思ってただけですっ」

「そ、そういうこと、いきなり言うの禁止!……恥ずかしいじゃないか」カアァ

「えへへっ、だ~め」

65: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)16:06:39 ID:Vkq


薫「はぁ…」

薫(なんだか…最近せんせぇと、ちゃんと話せてない気がする…)

薫「せんせぇ…」ボソッ

P「呼んだ?」

薫「ぴゃあっ」

P「はっはっはっ、「ぴゃあっ」だって!」

薫「もーっ!、せんせぇ!」ポカポカ

P「いたいいたい」ニコニコ

66: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)16:07:02 ID:Vkq
P「…やっと、“せんせぇ”っ呼んでくれたな」

薫「…あっ///」

P「最近、寂しかったんだぞ~?“せんせぇ”って呼んでくれなくてさ。てっきり、薫に嫌われてしまったのかと」

薫「ち、違うよっ!薫、せんせぇのことを嫌いになんて絶対にならないもんっ」

薫「ただ……せんせぇにコドモっぽいって、思われたくなかったから…」ギュッ

P「……」

67: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)16:07:35 ID:Vkq
P「俺さ、“先生”になるのが夢だったんだ」

薫「え…?」

P「誰かの為に、一生懸命になれる…頑張ることができる立派な“先生”…まぁ、色々な理由が重なって、無理だったけどな」

P「だからさ、始めて薫に出会ったとき、“せんせぇ”って言われて…俺、嬉しかったんだ」

薫「……」

P「薫、無理に大人ぶる必要なんてないんだ。だって…」

薫「だって…?」

68: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)16:08:01 ID:Vkq
P「俺は、ありままの薫が好きだから」

69: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)16:08:26 ID:Vkq
薫「――っ」ドクン

薫(な、なに、これ…薫のカラダ…オカシクなっちゃってる)ドクン ドクン ドクン

P「あっ、この話二人だけの秘密な!先生目指していたのに、結局なれなかったって知られるの、恥ずかしいからさ」しー

薫「う、うんっ!絶対に言わない!」

薫(“せんせぇ”って呼び方は他の誰でもない、薫だけのもの…なんだ…)ドクン ドクン

70: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)16:08:49 ID:Vkq
P「よかった~、なら安心だなっ」

P「さて、そろそろ俺は仕事に戻るよ。薫はどうする?」

薫「…薫、もう少しここにいるね」

P「そうか?わかった、また後でな」スタスタ

71: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)16:09:05 ID:Vkq
薫「………“私”」ドクン ドクン ドクン

72: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)16:54:12 ID:7vX
響子ちゃん…私、“恋”、してたみたいです。

73: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)17:25:49 ID:7vX
今思えば、小学生の頃から私以外の子達は先生のことを取り合っていた…私よりも、数段上の“オトナ”だったの。
やっぱり、私は“コドモ”だったんだなぁ…でも、ようやく私もスタートラインに立つことができたんだっ!
だけど…

74: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)17:26:19 ID:7vX
薫「……すぅぅぅぅ…よしっ」

薫「あ、あのっ、せんs」ガチャ

「もぉー!!!雪美さん!いつまでプロデューサー様の膝に座っているつもりですのっ」ムキ―!

「そうですっ!年頃の女性が、男性の…プロデューサーさんの膝に座るなんて、うらやm ごほんっ はしたないですよっ」

「……妹だから……問題ない……」ブイッ

「妹に“義理”が付くだけで、危険度がグンと上がりますのよ!」

千枝「ど、どうして?」

「美穂さんが言っていました…殿方は皆、妹キャラに弱いと!」

「なるほど…実に興味深いですね。試しに私もしてみましょうか、兄さん?」

千枝「ありすちゃん!?」

P「頼むから仕事させてくれ……」

薫「……むー」

ちょっと、モテ過ぎだよね…先生。

75: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)17:27:19 ID:7vX
~現代 346プロ 第3芸能課~
P「よしっ、任務完了!」ターン!

その日の仕事が一通り終わり、キーボードから手を離す。時計をみると、短針が7と8の中間に差し掛かったところだった。

P「今日は意外と早く終わったな…」

P(今日は担当アイドルたちも直帰しているだろうし、俺もとっとと家に帰ろう…)

薫「先生―?いるー?」ガチャ

P「あれ、薫?」

薫「あっ、先生!お疲れ様っ」

76: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)17:28:02 ID:7vX
P「ああ、薫もお疲れ様。どうしたんだ?今日は確か5人とも、6時にレッスンが終わってから直帰のはずだよな?」

薫「え、え~とね、今日は先生の顔、まだ見てなかったから…帰る前に、会いたかったの」もじもじ

P「そ、そうか!嬉しいな…俺も、薫に会いたかったんだ」

薫「ホ、ホント…?」

P「勿論!朝、薫の元気な挨拶を聴くと、こう…なんか、パワーが漲ってくるんだ。今日も一日頑張るぞーっ!ってな。今日は会えなかったから、なんだか物足りなくてさ…」

薫「そ、そうなんだ…私も、先生の朝一番の笑顔を見ると、すっごく幸せな気持ちになるんだぁ~ えへへっ、両想いだね」ニコッ

P「お、おう!そうだなっ」ドキッ

薫「……///」

P「……///」

P(な、なんだろう…この甘酸っぱい雰囲気は…!)

77: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)17:30:33 ID:7vX
P「そ、そうだっ!薫、夕食はもう食べたか?」

薫「えっ?ううん、まだだよ」

P「その…良かったら、一緒に食べに行かないか?」

薫「うぇっ!……いいの?お家で雪美ちゃんが待ってるんじゃ…」

P「今日は遅くなると思ってたから、夕食はいらないって、あらかじめ言っておいたんだが…予想以上に早く終わっちゃってな。
今から、用意してもらうのは申し訳ないし、このまま外で食べていこうと思うんだ。それに、薫と二人っきりってのも久々だし、少し話したいと思って……迷惑だったか?」

薫「ううんっ!そんなことないっ。私も先生と二人きりになりたいよっ……あっ、そうだ!良かったら、私がご飯つくろっか!」

P「えっ、気持ちは嬉しいけど、今からスーパーに行くのは時間が掛かるんじゃないか?」

薫「大丈夫っ!事務所の冷蔵庫にまだ材料が残っているはずだから…ちょっと待っててね!」ダッ

P「あっ、薫……ははっ、薫もすっかり成長したな…」

78: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)17:31:05 ID:7vX
薫「おまたせっ!」コト

P「おおーっ、美味しそう!」

薫「簡単なものしか作れなかったけど…」

P「いやいや、あれだけの材料でこれほどの物が作れるなんてすごいって!早速食べてもいいか?」

薫「うん、召し上がれ」

P「いただきま~す……うん!やっぱり美味しいな、薫の手料理は」モグモグ

薫「えへへ…ありがとう」

79: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)17:32:02 ID:7vX
P「本当に美味しい…薫の旦那さんになるひとは、幸せ者だな~」

薫「――っ」カアァ

P「あっ、スマン!セクハラだったか?」

薫「…………いいよ…先生…」

P「え?」ドキッ

薫「先生さえよかったら……私…先生のお嫁さんに…」ドクン ドクン

P「薫…?ち、近いって…」ドキドキ

薫「先生…あ、あのね?私…私っ、ずっと先生のことが……!」スッ

P「か、薫…」

80: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)17:33:02 ID:7vX
薫「好k 「プロデューサー(さん)(様)!!!」バーン うぇっ!?」バッ

「P……おつかれ……」ニャー

P「ええっ!?ど、どうしたんだ…みんな揃って…」アセアセ

81: ◆UpHOrkEMJ2 2018/10/19(金)17:34:01 ID:7vX
「プロデューサーさんっ!新作のいちごパスタ、作ってきました!夕食、まだですよねっ?是非食べてくださいっ」ふんすふんす

「プロデューサー様っ!貴方を我が櫻井財閥主催、夜のパーティに招待します!大丈夫、お父様やお母さま、お祖父様も大歓迎ですわっ」ズイッ

千枝「プロデューサーさん、実は、高級レストランの食事優待券が2枚余ってて…。今夜、ご一緒しませんか…?食事が済んだ後は…二人でホテルに……?」ズイッ

「P……迎えにきた……明日は……二人とも……休みだから……い、一緒に……」カアァ

P「み、みんな、落ち着いてくれぇぇぇー!」

薫「あははは……はぁ」

私の恋は、まだまだ実らなさそうです。

終わり