3: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 14:31:44.44 ID:984hwTpH0



俺はその日。 


一匹の、女の子に出会った。


引用元: 【パズドラ】エキドナが考えた末の些細な憂鬱について 



4: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 14:35:29.64 ID:984hwTpH0

名前は、ナーガというらしい。
モンスターの割には、可愛らしい女の子の見た目をしている。

下半身は、蛇だが。

5: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 14:36:28.34 ID:984hwTpH0


 * * *



6: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 14:37:06.50 ID:984hwTpH0



私はその日。


初めての、ご主人様に出会った。

7: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 14:39:12.97 ID:984hwTpH0

本格的に冒険をするのは、私を含めたパーティが初めてのようだった。
私は、そんなに強いわけじゃないから。一緒に成長できると思うと、嬉しかった。


ただ。

嬉しさ余って、ご主人様を締め上げてしまう……なんてことも、しばしば。

8: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 14:52:04.53 ID:984hwTpH0

 * * *



ナーガのリーダースキルは、追撃。
当時は、回復タイプなのに過激だなぁ、などと思ったものだ。

そしてスキルは、威嚇。


これがまた、可愛い。

9: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 14:55:52.34 ID:984hwTpH0

相手へ向けて、拙いながらも威嚇を仕掛ける。
体を大きく見せ、眼光を飛ばし、喉を唸らせる。
小さいけれど、その力は一級品。


紛れもなくナーガは、俺の中で確実な地位を築いていった。

10: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 14:57:00.16 ID:984hwTpH0
いかんせん見切り発車だからちょっと構成考えてくる
誰も見てなくても書くぞ俺は

安価とかはしない予定だけど場合によってはするかも。
1時間くらいしたら戻ってくるよ

12: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 16:04:41.76 ID:984hwTpH0
再開します

13: >>11 ありがとう元気出る 2014/03/10(月) 16:07:02.88 ID:984hwTpH0

 * * *


ある日。



ご主人様に、新しい仲間が出来た。

14: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 16:08:17.68 ID:984hwTpH0

 * * *


ある日、俺のパーティに新しい仲間が加わった。


その名もワルキューレ。
何やら、引き連れる回復タイプの士気を高めてくれるとか。

15: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 16:11:24.19 ID:984hwTpH0

回復タイプの仲間は、エキドナの後にも少なからず増えていた。
ドリヤードにサキュバス。みんな、回復タイプのいい子たち。

けど、ナーガほど攻撃的な性格の子はなかなか現れず、攻めの手に困ったこともあった。



そんな俺のパーティにとって、ワルキューレはまさしく天使のようだった。

17: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 16:17:38.18 ID:984hwTpH0
旅を進め、経験を重ねるに連れて、回復タイプがメインのはずのパーティは劇的に強くなった。

ナーガはエキドナに、ドリヤードはアルラウネに、サキュバスはリリスに、そしてワルキューレはヴァルキリーに。
みんな強くなったが、その中でもヴァルキリーだけは、頭一つ飛びぬけた強さを誇っていた。



もはや、ヴァルキリーなしには、パーティの構成を考えられなくなっていた。

18: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 16:23:36.52 ID:984hwTpH0

 * * *




最近、ご主人様が遠くなった気がする。



20: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 16:29:11.96 ID:984hwTpH0

最近は、少し難易度の高いダンジョンにも挑むようになってきた。

バインドアタックなんていう、癖のある攻撃にも慣れてきた。
連続の攻撃にも耐えられるくらい、体力もつけた。



慣れるにつれて。強くなるにつれて。

ご主人様の隣に、私はいなくなっていった気がした。

21: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 16:34:32.12 ID:984hwTpH0

別に、ヴァルキリーは悪くない。
悪いどころか、最前線でみんなをまとめてくれている。いい人。



なのに。



それなのに……




 * * *

22: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 16:46:16.17 ID:984hwTpH0

 ―――


→モンスター

→モンスターBOX

→表示順 入手

○ エキドナ Lv.MAX
○ 大樹の精霊・アルラウネ Lv.21
○ 常世の魔女・リリス Lv.15





○ 戦乙女・プリンセスヴァルキリー Lv.13


 ―――

23: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 17:08:05.49 ID:984hwTpH0

 * * *


最近、どうしても突破できないダンジョンがある。
それに伴って、ご主人様は、パーティの戦力底上げを図りだした。


私はようやく、金色の輝きを放てるようになった。

24: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 17:12:42.98 ID:984hwTpH0

でも、相変わらず最前線でみんなを引っ張るのは、私じゃない。




……私は、本当に必要なんだろうか。

25: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 17:17:00.37 ID:984hwTpH0

 * * *


フレンドの力を借りたりもしたけど、ようやくあの死神ガイコツも倒せた。
けど、この先は今までみたいなゴリ押しの戦法じゃ辛いはずだ。


パーティを見直さなければ。
もっと、強くならなければ。

26: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 17:19:43.28 ID:984hwTpH0

ある日、女の子ばかりの俺の元に、一体……いや、一匹の神が舞い降りた。



名前は、ホルス。

27: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 17:23:18.01 ID:984hwTpH0

 * * *




ある日、私は二つのパーティを掛け持つことになった。



28: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 17:28:02.22 ID:984hwTpH0

突然のことに、理解が及ばなかった。
回復パーティ一本槍だった私が?他のパーティへ?


……もちろん、ヴァルキリーも一緒に。

29: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 17:30:54.74 ID:984hwTpH0

ホルス率いる私たちのパーティは、強力なダンジョンでも構わず、奥底へと進んでいった。
だんだんとみんな、力をつけてきた。


ある日ヴァルキリーは、雷の力だけでなく、草木の力を操り始めた。
見た目も、なんだか豪華になった気がした。




……そっか。
また、強くなったんだね、ヴァルキリー。

30: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 17:33:16.15 ID:984hwTpH0

ヴァルキリー……いや、グレイスヴァルキリーの活躍には、目を見張るものがあった。
攻撃態勢を取ってからの熾烈なラッシュ。力強く、美しい。



素直に、グレイスヴァルキリーを羨んだ。
私には、この拙い威嚇しかないから。

31: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 17:37:19.92 ID:984hwTpH0

 ―――


『お前ちゃんとエキドナ使ってんの?』

『最初からいるから愛着あるっていうだけだなあ』

『えー……いやでも、エキドナ使えるからいいんだけど』

『マジ?エキドナってそんな強いの?』

『結構使えるよ。例えば降臨ダンジョンとかさ――』


 ―――

32: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 17:41:08.12 ID:984hwTpH0



……今日挑むダンジョンは、普段とはわけが違う。

『ヘラ降臨』。仕掛けのないダンジョンではあるけれど、難易度は今までとは比べ物にならない。






その攻略パーティの中に、私はいた。

33: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 17:44:02.89 ID:984hwTpH0

力不足ではないか、本当に役に立てるのか――そんなことを考えたりもした。
考えはしたけれど……私が必要とされているのが証明されたみたいで、ただ、嬉しかった。





――ダンジョンの中、ふと

  ご主人様と出会った

  あの日のことを、思い出した

34: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 17:45:33.62 ID:984hwTpH0

 ―――

『俺チュートリアルのガチャで女の子出なかったら多分続けない』

『お前変態かよ』

『うるせえ何とでも言え……さあ来いっ』




『な、』


『ナーガ……!』

35: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 17:46:43.63 ID:984hwTpH0

『嘘、お前マジで引いたの?』

『うっはーっ!なんか超嬉しいんだけど!』







『コイツは絶対、手放さない!』





 ―――

36: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 17:52:03.96 ID:984hwTpH0

 * * *


満身創痍。
初めて目の前にする、城の主――神の力は、筆舌に尽くしがたいものだった。


圧倒的。

彼女が手で空を薙ぐだけで、恐ろしいほどの風圧が私たちを襲った。
彼女の口許から紡がれる呪詛は、千切れそうなほど私たちを締め上げた。

37: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 17:53:53.22 ID:984hwTpH0

酷い有様だった。
けれど、マスターの目を見るたび、それでも私たちは前を向いた。



 マスターの目は、
 鋭く、目の前の城主を射抜いている――

38: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 17:58:38.79 ID:984hwTpH0

グレイスヴァルキリーが、攻撃態勢を取る。
ホルスが、火の力を強化する。
同時に、ツクヨミが時を止めて――マスターが考え得る、最高の手を編み出す。

二対のホルスが、私たちの力を何倍にも高め……



私たちの持てる力の、最大最高火力を、城主に叩きつけた。

39: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 17:59:51.35 ID:984hwTpH0










 ――爆煙の中、城主は私たちを、睨みつけていた――

40: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 18:05:28.37 ID:984hwTpH0

及ばない。届かない。……勝てない。

城主の繰り出す魔術は、私たちを掠め、嬲り、砕き、斬り、刺し、
散々なまでに打ちのめした。

そこら中に散らかった私たちを、城主は忌々しげに見下していた。


勝てなかったんだ、私たちは。




私は。

41: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 18:09:14.17 ID:984hwTpH0






  どこからか転がってきた綺麗な石が、
  私の手に、こつん、とぶつかった。

42: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 18:14:27.33 ID:984hwTpH0


 ―― マスターは、まだ諦めてない



石が弾けて、私たちの傷を癒していく。
まるで、私たちを勇気付けるように。私たちを奮い立たせるように。


マスターの声が、聞こえた。

43: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 18:16:05.98 ID:984hwTpH0



私を奮い立たせる声。





私は、神をも威嚇していた。

44: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 18:18:55.32 ID:984hwTpH0


パーティのみんなに、後ろ指を差されるとしても。

いつか、この身が朽ちてしまうとしても。



それが、マスターの勝利に。
喜びに、繋がるのなら。

45: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 18:23:05.77 ID:984hwTpH0

自分が、自分でないようだった。

眼光は鋭く目の前の獲物を捉え、牙を剥いて凄んでいる。

長く伸びた大蛇の胴をくねらせ、締め上げんと這いずる。

地獄の業火を思わせる私の声は、城そのものを震わせた。



奴は今、動けない――!

46: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 18:24:47.04 ID:984hwTpH0

すかさず、マスターの戦友殿のホルスが、火の力を蓄える。
マスターの手によって、力の源が編まれていく。



47: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 18:35:13.78 ID:984hwTpH0

ルカの、水の力。
物凄い水圧を伴ったルカの水の矢は、容赦なくヘラの身に叩きつけられる。
光の速さとも見紛う水の矢に、ヘラは翻弄されるばかりだった。

すかさず、グレイスヴァルキリーの光の剣、茨の鞭。
切り裂き、突き刺し、確実に体力を削っていく。闇に生きるヘラには、痛すぎる剣。

ツクヨミの二刀流から繰り出される、陰を縫うような舞。
背後から刺し、足元を薙ぎ、次第にヘラを追い詰める。

力を高めあう二対のホルスが、灼熱の炎を撒き散らした。
この世の何もかもを溶かし尽くすような、まさしくそれは"神の火"。



そして――

48: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 18:38:05.12 ID:984hwTpH0

――マスター、私は必要なんでしょうか

――何言ってんだ、お前はまだまだ現役

――そう、ですか

――嫌って言ってもついてきてもらうからな

49: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 18:38:51.37 ID:984hwTpH0



――ご主人様

――そろそろその呼び方恥ずかしい、普通にマスターって呼べ

――こっちの方が慣れてるのに

――知らねーよ、いいからマスターって呼べ

50: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 18:39:54.69 ID:984hwTpH0




――ごしゅじんさま

――おーなんだナーガ、よーしよし

――わたし、いつまでもごしゅじんさまといっしょ

――ははっ、そうだな。お前が大きくなっても、ずっと一緒だからな

51: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 18:40:57.32 ID:984hwTpH0






――俺の、唯一の、初めての相棒だからな

52: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 18:44:11.22 ID:984hwTpH0

私のありったけを、マスターと――ご主人様と共に在った、大蛇の胴に詰め込んで、叩きつける。
なりふり構ってなどいられない。ご主人様のために、ただそれだけ。

私は、ご主人様のために、生まれてきたんだ。



私は、ご主人様と――

53: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 18:45:51.51 ID:984hwTpH0






――ねえ、ご主人様

――その呼び方懐かしいな

――ふふ

――つーか恥ずかしいからやめろって言っただろ

――だって、この呼び方をしていいのは私だけですから

――意味わかんね

――だって

54: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/03/10(月) 18:46:45.80 ID:984hwTpH0






――ご主人様が、ずっと一緒にいてくれた、証だから




 おしまい。