1 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 17:51:56 ID:rCY1figA
男「どこ~にい~るの?」
女「窓の側にい~るよ」
シングルコレクション 2002-2008
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MIDI (2018-07-20)
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2 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 17:55:41 ID:rCY1figA
授業の合間、がやがやとした喧騒の中、窓際でぼんやりと外を見てる君はなんだか一枚の絵みたいに綺麗だった。
正に、絵になるって奴だと思う。
3 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 17:56:59 ID:rCY1figA
男「なにをし~てるの~?」
女「なんにもしてな~いよ♪」
4 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 18:02:12 ID:rCY1figA
ある日の放課後。
校舎の影から差し込む真っ赤な夕日が教室を赤く染めていた。
彼女はいつもの場所に座っている。
夕日に照らされて、ぼんやり窓を眺めてる彼女はなんだか今にも消えてしまいそうだ。
男「なにをしてるの?」
特に深い理由はない。
なんとなく気になって声をかける。
女「何にもしてないよ?」
振り返り答える彼女。
優しくて、少し寂しそうな笑顔だった。
5 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 18:04:52 ID:rCY1figA
男「そば~にお~いでよ~」
女「今行くか~ら待ぁって~」
6 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 18:08:13 ID:rCY1figA
初めて話をしてから、結構な月日が経った。
季節が一つ変わり、上着が一枚増えるくらい。
その頃になると彼女と放課後にお喋りするのが日課のようになっていた。
僕が教室に訪ねる。
彼女が窓際の指定席から、僕の側に微笑みながら歩いてくる。
7 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 18:09:34 ID:rCY1figA
男「話を~しよう」
男「いいよまず、君から」
8 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 18:13:34 ID:rCY1figA
教室の入り口の柱に体をよりかける僕。
入り口に一番近い机に浅く腰掛けている彼女。
お決まりの台詞。
「話をしよう」
「いいよまず、君から」
優しくはにかんだ彼女の声を聞くとなんだかくすぐったいような気持ちになるんです。
それから、いつものように他愛もない同じような話を。
9 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 19:16:29 ID:rCY1figA
男「どこに~いるの~」
女「君の側に~いるよ~」
10 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 19:18:51 ID:rCY1figA
彼女と過ごす初めての冬。
僕の隣には彼女。
彼女の隣には僕。
どこへ行くのも、なにをするのも一緒。
11 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 19:20:05 ID:rCY1figA
男「なにを~してるの~?」
女「君のこと~見て~るよ」
12 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 19:23:59 ID:rCY1figA
背の低い彼女が僕を見上げて微笑む。
儚げで、いまにも消えてしまいそうな彼女。
彼女が愛おしいと強く感じた。
13 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 19:25:14 ID:rCY1figA
男「どこ~にい~くの~」
女「どこにも行か~な~いよ~」
14 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 19:26:00 ID:rCY1figA
女「ずうっと側に居るよ」
15 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 19:30:50 ID:rCY1figA
春、別れの季節。
大学進学を機に彼女と離れる事になるかと思うと悲しくて。
彼女はどうやら進学しないらしい。
男「どこに行くの?」
女「どこにも行かないよ?」
彼女は笑うとぎゅっと僕を抱き締めてくれた。
女「ずうっと側にいるよ」
16 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 19:32:58 ID:rCY1figA
男
「それから」
女
17 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 19:34:53 ID:rCY1figA
結論から言うと、僕は彼女と離れることは無かった。
彼女は僕の部屋に住み、大学の近くで働いている。
所謂、同棲という奴だ。
18 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 19:36:46 ID:rCY1figA
男「僕も君を見つめ」
19 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 19:40:19 ID:rCY1figA
大学卒業も近づいて、彼女に大切な話をする。
それまで、何度か冗談で結婚後の話なんかしたりしてたけど。
その一つ前の段階。
すっごく大切な話。
不安そうな彼女をしっかりと見つめて。
20 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 19:40:53 ID:rCY1figA
男
「それから」
女
21 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 19:44:28 ID:rCY1figA
彼女は、戸惑ったような、困ったような顔で僕の顔を見たり、辺りを見渡したりを交互に繰り返してる。
男「駄目、かな?」
女「……」
彼女は答えない。
次の瞬間――。
女「うえぇえぇぇん」
彼女は、大きな眼に、それに見合うような大粒の涙を流しながら泣いてしまった。
22 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 19:45:10 ID:rCY1figA
女「い~つも同じ話」
23 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 19:47:27 ID:rCY1figA
大学卒業。
彼女と、正式に夫婦になった。
彼女は、今も楽しそうに今後の将来について話す。
だいたいいつも同じ話だ。
24 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 19:48:27 ID:rCY1figA
男「どこ~にい~るの?」
25 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 19:49:36 ID:rCY1figA
広く感じる部屋に、一人居る。
ぼんやりと彼女の名前を呟く。
26 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 19:50:10 ID:rCY1figA
女「隣の部屋に居るよ」
27 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 19:51:46 ID:rCY1figA
本当に悲しいとき、涙はでないんだ、て初めて知った。
隣の部屋には、まだ彼女が居るみたいで。
29 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 19:54:16 ID:rCY1figA
男「なにをしてるの?」
30 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 19:55:56 ID:rCY1figA
今も彼女が、近くにいるみたいで。
31 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 19:56:43 ID:rCY1figA
女「手紙を書いてるよ」
32 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 19:58:13 ID:rCY1figA
いつもみたいに話をしたい。
彼女の写真が飾られた部屋に、まだ彼女が居るみたいだ。
33 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 19:59:37 ID:rCY1figA
男「側においでよ」
34 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 20:00:40 ID:rCY1figA
彼女の優しい笑顔が飾られた部屋で一人、彼女の思い出にふける。
35 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 20:01:33 ID:rCY1figA
女「でももう行かなくちゃ」
36 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 20:03:35 ID:rCY1figA
男「話をしよう……」
37 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 20:04:00 ID:rCY1figA
女「」
38 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 20:14:07 ID:rCY1figA
ちょいと放置。
さて!元ネタは何でしょう?
39 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 22:47:56 ID:rCY1figA
男
「それから」
女
40 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 22:49:40 ID:rCY1figA
『私はもう彼の隣には居れない』
『ごめんなさい』
41 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 22:51:51 ID:rCY1figA
男「君は僕を見つめ」
42 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 22:54:17 ID:rCY1figA
額に飾られた変わらない彼女が僕に笑いかけてくれる。
視界が歪む。
仏間の畳には流れ出た涙が染みがいくつもできる。
43 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 22:55:31 ID:rCY1figA
男
「それから」
女
44 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 23:01:56 ID:rCY1figA
彼女は僕のお世辞にも綺麗とは言えない不格好な笑顔を好きと言ってくれた。
男「君は僕に笑っていてといったよね」
笑おう。 最愛の彼女の為に。
45 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 23:02:41 ID:rCY1figA
女「泣きながら笑った」
46 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 23:03:40 ID:rCY1figA
男
「さよなら」
女
47 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 23:04:53 ID:rCY1figA
男「昨夜夢を見たよ」
48 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 23:05:30 ID:rCY1figA
男
「さよなら」
女
49 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 23:06:30 ID:rCY1figA
女「いつも同じ話」
50 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 23:06:57 ID:rCY1figA
女「いつも同じ話」
51 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 23:09:02 ID:rCY1figA
おわり
ちなみに元ネタは
ハンバードハンバードという男女デュオの「同じ話」という曲です。
よい曲なのでもしよければ是非一度どうぞ。
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