2 :ぐう:2013/01/18(金) 02:11:48 ID:hzw7KPP2
ヤンデレ「……」

僕「……」

ヤンデレ「やだなぁ、アナタったら」

僕はヤンデレに好かれやすい体質だ。 


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3 :ぐう:2013/01/18(金) 02:12:06 ID:hzw7KPP2
いきなり何を言い出すのかと驚かれるかもしれない。

でも事実だ。

ヤンデレと付き合うのも初めてじゃない。

まぁ、実際には付き合う……というか、 

4 :ぐう:2013/01/18(金) 02:12:30 ID:hzw7KPP2
一方的に『拉致監禁』されているのだけど。

このヤンデレちゃんは非常にメンタルが強い。折れない。

ヤンデレ「お茶目さんなんだから」

ゆるふわカールの茶髪に似合う、ふわっとした笑顔で、ヤンデレは僕をツン、と指でつついた。 

5 :ぐう:2013/01/18(金) 02:12:52 ID:hzw7KPP2
良い匂いがした。

人差し指の爪の先から、指紋から、溢れ出る愛情が僕の体に浸透していく気がした。

愛されて、愛されて、こっちまで気が狂いそうになるほど愛されて。

僕「なんで僕なの?」 

6 :ぐう:2013/01/18(金) 02:13:12 ID:hzw7KPP2
割と可愛いけど病んでる女の子に、好意を寄せられて嫌な気がするわけがない。

一方的に愛されている。病んではいるけど、紛れもなく『愛』。

多分、お母さんよりも強い『無償の愛』。

ヤンデレ「ロミオとジュリエットのように、あなたが私にとってのロミオだから」 

7 :ぐう:2013/01/18(金) 02:13:32 ID:hzw7KPP2
ヤンデレ「仕方がないでしょう? あなたが、あなたなのだから」

ヤンデレ「理由なんていらない。……ううん、多分、理由なんてない」

ヤンデレ「あなたは私にとって『愛する人』なの。その揺るぎない事実だけがあるの」

僕「ふうん」 

8 :ぐう:2013/01/18(金) 02:13:51 ID:hzw7KPP2
僕を好きになるヤンデレには特徴がある。

見た感じ普通の女の子。ちょっと可愛かったりする。

割と社交的で明るい性格なのに、どこか嘘っぽい。

八方美人で、特定の仲がいい人というのが存在せず、誰とでも仲がいい。 

9 :ぐう:2013/01/18(金) 02:14:10 ID:hzw7KPP2
或いは、誰とも寄り添わない。

目の下にいつも消えないクマがある。

赤い色のマフラーや靴下が好き。

成績は優秀な部類。 

10 :ぐう:2013/01/18(金) 02:14:29 ID:hzw7KPP2
身長が高い。だいたい僕より少し低いぐらい。

そういう感じの、割と、まともな人達だ。

ヤンデレ「それで、今日は何が食べたい?」

僕「マック」 

11 :ぐう:2013/01/18(金) 02:14:47 ID:hzw7KPP2
ヤンデレ「だーめっ、そんな体に悪いものばっかり食べてちゃ、不健康だよ」

僕「不健康、か……。そろそろ外に出て運動しないと、メタボになっちゃうかも。はは」

ヤンデレ「……」

僕「違った?」 

12 :ぐう:2013/01/18(金) 02:15:10 ID:hzw7KPP2
ヤンデレ「……」

僕「……マック以外食べない」

ヤンデレ「……どうしてそんなイジワル言うの?」

来た。 

13 :ぐう:2013/01/18(金) 02:15:30 ID:hzw7KPP2
ヤンデレ「私のこと……嫌いになったの?」

違うんだよ。そもそも君のことなんか『好きになった覚えはない』

ヤンデレ「もう……」

ヤンデレ「……」 

14 :ぐう:2013/01/18(金) 02:15:49 ID:hzw7KPP2
ヤンデレ「食い気より色気?」

僕「はい?」

そう来たか。

ヤンデレ「私のつくった料理なんかより、私を食べたいってこと? ……なぁんだ、そうならそうと言ってくれればいいのにっ」 

15 :ぐう:2013/01/18(金) 02:16:08 ID:hzw7KPP2
僕「わーすごい思考の飛躍ですね」

ヤンデレ「えいっ」

捕食。

貪る女と、食べられる僕。 

16 :ぐう:2013/01/18(金) 02:16:27 ID:hzw7KPP2
これじゃ、役割が逆じゃあないか。

ヤンデレ「あっ、すごい、いいよぉ」

僕「されるがままっ!」

ドビュルッシー 

17 :ぐう:2013/01/18(金) 02:16:46 ID:hzw7KPP2
暗転。

ピローなトークが始まる。

ヤンデレ「気持ちよかったぞっ」

おでこにキス。軟らかい感触。 

18 :ぐう:2013/01/18(金) 02:17:06 ID:hzw7KPP2
やめてくれ。

生暖かい吐息。

やめてくれ。

熱のこもった視線。 

19 :ぐう:2013/01/18(金) 02:17:26 ID:hzw7KPP2
やめてくれ!

僕は今賢者モードでっ! どんな絶世の美女が来ても反応なんかしねぇんだよっ!

ヤンデレ「愛してる」

僕「ああ」 

20 :ぐう:2013/01/18(金) 02:17:44 ID:hzw7KPP2
ヤンデレ「愛してる」

僕「うん」

ヤンデレ「愛してるよ?」

僕「そうらしいね」 

21 :ぐう:2013/01/18(金) 02:18:05 ID:hzw7KPP2
ヤンデレ「愛してない?」

僕「どうだろうね」

ヤンデレ「愛しています」

僕「そうですか」 

22 :ぐう:2013/01/18(金) 02:18:27 ID:hzw7KPP2
ヤンデレ「愛しちゃう」

僕「愛されちゃう」

ヤンデレ「愛してよ」

僕「さっき愛したよ」 

23 :ぐう:2013/01/18(金) 02:18:47 ID:hzw7KPP2
ヤンデレ「やだ、もう」

僕「はは」

ヤンデレ「愛って……」

僕「……」 

24 :ぐう:2013/01/18(金) 02:19:06 ID:hzw7KPP2
ヤンデレ「愛って、なに?」

僕「人類の、永遠のミステリー」

僕「だめ。僕もう眠い……」

ヤンデレ「だーめっ、今夜は寝かさないぞ」 

25 :ぐう:2013/01/18(金) 02:19:25 ID:hzw7KPP2
僕「いや、無理。死ぬ」

ヤンデレ「こら、簡単に死ぬとか言わないの」

僕「簡単に愛してるとか言わないの」

ヤンデレ「……」 

26 :ぐう:2013/01/18(金) 02:19:49 ID:hzw7KPP2
僕「……」

ヤンデレ「一緒に死ぬ?」

僕「なんでだよ」

ヤンデレ「ふふ、冗談」 

27 :ぐう:2013/01/18(金) 02:20:08 ID:hzw7KPP2
僕「笑えないよ」

ヤンデレ「心中ならいつでも付き合うよ」

僕「そんなもん……」

そんな機会こねぇよ。 

28 :ぐう:2013/01/18(金) 02:22:40 ID:hzw7KPP2
~朝~

日の光がまぶしい。近くのゴミ捨て場のカラスがわめいている。

トラックの音、小学生がおしゃべりしながら登校する音がする。

また朝が来た。 

29 :ぐう:2013/01/18(金) 02:23:35 ID:hzw7KPP2
ジャラ……

そういう慎ましやかな朝の光景や風景より、この手錠の音を聞くと、朝という感じがする。

ヤンデレちゃんはいつも書置きを残していく。

『お昼はチンして食べてね。逃げちゃ駄目よ?』 

30 :ぐう:2013/01/18(金) 02:23:54 ID:hzw7KPP2
うふふ。ゾクゾクする。

ていうか、逃げられねーよ。鎖ほどけよ。

今日も僕のヤンデレちゃんは、正常に狂ってくれているようだ。

手紙の裏面を見ると追記があった。 

31 :ぐう:2013/01/18(金) 02:25:04 ID:hzw7KPP2
『一晩考えて分かった』

『――愛=LOVE=YOUなのです』

僕「……」

こいつはくせぇーーっ! さすがヤンデレちゃん。

fin