大広間

アンブリッジ「『教育令二十八号』に乗っ取り、本日より!」

アンブリッジ「このドローレス・ジェーン・アンブリッジが、ホグワーツ魔法・魔術学校の校長に就任いたしますわ!」

ザワザワザワザワ
 ヒソヒソヒソ
ウェッ、オェーッ ザワザワザワ

アンブリッジ「はい!みなさん拍手!おてをあわせなさいなっ!遠慮なさらなくてもよろしくってよ!」

パチパチッ、パチッ……
 チッ クソガ……


ハニー「……思った通りの展開、というところかしら。もっとも、私の予想が外れることなんてありえないけれど」

ロン「啓示みたいなもんだもんな君の言葉は、あぁ。もっとも、昨日の晩僕らのとこにもどってきた時はそりゃもう泣きじゃくって喋るどころじゃなk」

ハニー「ロン」

ロン「痛がとうございます!ヒンヒン!」

ハーマイオニー「でも、ダンブルドア先生がいなくなるなんて……これからどうなってしまうのかしら、この学校は」

ロン「廊下中にピンクでフリフリの趣味の悪い絨毯が敷かれるに1ガリオンかけようか」

ハーマイオニー「それはそれで嫌でしょうけど……これまで以上に統制していきそうだわ」

ハニー「気にやんでも仕方ないわ、ハーマイオニー。……腹黒豚は、そうね。この私の前からいなくなって、しまったけれど」


ハニー「進まなきゃ、前に。そうでしょ?」

ロン「僕の背中に乗ってね!ヒンヒン!あぁハニー!君は女神だよ知ってたけど!」

ハーマイオニー「それって進んでるって言えるの……私は隣よ、隣!」

ハニー「……どっちの?ふふっ」

ハーマイオニー「あ、あなたのよ。決まってるじゃない。もちの、そこのあなたの豚で」

ロン「ハニー以外が豚って呼ぶなよな!マーリンの髭!」



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引用元: ハニー・ポッター「進まなきゃ、前に。そうでしょ?」 



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11: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/25(土) 19:54:03.78 ID:Jd2H9ndG0
校庭

アーニー「そ、それで、ハニー。ヒンヒン。校長先生はどんな風に逃げおおせたんです?」

ロン「おいアーニー、授業中じゃ飽き足らずまだその話をさせるのかい、まったく。ハニーを煩わせるなんて豚とは言えないぜ」

ハニー「いいのよ、ロン。正しい情報を知るのは大事なことだって分かったもの」

ハンナ「そ、それで、ファッジがダンブルドアに頭をカボチャにされて聖マンゴに入院しているというのは、本当!?」

ハーマイオニー「……こんな情報が飛び交うこのお城ですものね、えぇ」

ジャスティン「ぼ、僕は闇払い十二人を血祭りにあげてその血をすすった赤い鳥に乗って去っていった、って聞いたけど」

ハニー「……所々なんだか一致してるのが不思議だわ、その噂」

アーニー「僕はついでに双子が開発して来年売り出す煙幕だかなんだかをダンブルドアが駆使した、って聞いたよ」

ハーマイオニー「……広めてるのが誰か検討がついたわ、まったくもう」

ハンナ「あー、でも……朝食の席にいなかったし、あの、エッジコムって子が密告者だっていうのは確かなのよね?」

ロン「チョウの友達のあのアマかぁ」

ハニー「……ハーマイオニー、容赦ないわね。あの呪い」

ハーマイオニー「……残念だわ、本当に。謝りはしないけど。事情があったにてしても……ダンブルドアがいないのは大打撃だわ」

アーニー「なに、すぐに戻ってくるよ、うん。二年生の時だってそうだった……校長室は明け渡されていないって聞いているよ」

ロン「どういうことだい?」

ジャスティン「僕らの寮憑きゴースト、太った修道士が今朝がた、校長室の前のガーゴイルに追っ払われるアンブリッジを見たんだ、ってさ」

ハニー「……嫌味なだけじゃないのね、あのガーゴイル」

16: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/25(土) 20:05:33.33 ID:Jd2H9ndG0
ハンナ「相当の癇癪を起こしたそうだけど、あしらわれてたそうよ」

ハーマイオニー「校長室のあの椅子に座る自分の姿を見たくてしかたなかったんでしょうね。この城の守りをどうにかできるわけないのに」

アーニー「いや、守りというより。その、なんだろう。ガーゴイルに散々煽られたんだって。あー、ハニーの耳に届けるには[ヒンヒン]で隠しておきたいレベルの罵倒で」

ハニー「? どういうことかしら」

ロン「君は心から純白だなぁってことさ、もちのロンで」

ハニー「? えぇ、高貴で可憐ではあるけれど。ともかく……フィニアスが言っていたのはこういうことね。法律でどうやろうとしても、ホグワーツは新校長を認めない、っていう」

ハーマイオニー「当然ね。あの人に校長たるものなんて、すこーしもないもの。バカで思い上がりで、権力にとりつかれた――」


マルフォイ「おぉっと、グレンジャー。本気で最後まで言うつもりかい? そうなると、尋問官親衛隊の僕としては君を減点しないといk」


ハーマイオニー「――勘違いした歩く女カエルなんだもの。人望も尊敬もない、きっと歴代最悪の校長を更新で――」

マルフォイ「おい!!おい!!!無視するな!今のはやめるところだろう!おい!!」

ロン「はぁ?僕らが君をシカトすんのは今に始まったことじゃないだろ、何言ってるんだか」

マルフォイ「ぐっ、そういう態度だと君からも減点するぞ、このこそこそイタチめ!」

アーニー「さっきから君は何を言ってるんだ? 監督生同士は減点できないぞ!えーっと、ま、まる、えーっと」

ジャスティン「ほら、アーニーあれだよ。マルフィ」

アーニー「あぁ、そうだ。減点できないぞマルフィ!」

ハンナ「そんなことも覚えていないの、マルフィ!」

マルフォイ「フォイだ覚えろ近年溢れかえってるだろ!!むしろよく忘れられるな!驚きマくルフォイ!  おフォん、今それはいい。ところが、だ。さっきも言ったがね、僕は『尋問官親衛隊』なのさ」

ハーマイオニー「……尋問官、親衛隊?」

ハニー「……本当に発足させたのね、アンブリッジ」


20: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/25(土) 20:22:29.78 ID:Jd2H9ndG0
マルフォイ「このバッジが見えるかい?アンブリッジ新校長直々に選り抜きされた生徒に送られるのさ。みろ、こいつらも」

クラッブ「ゴアーッ!」

ゴイル「ウッホ、ウホッ!」

ガリガリガリガリ

ハーマイオニー「……噛みまくってるわね、栄えあるバッジを」

ハニー「ほんとバッジ好きね」

マルフォイ「!? おい、お前たち!やめろ!ちがう!それは食べ物じゃない! ほら、この前覚えただろう!ドヤ顔をこいつらに見せてやるんだ!」

ロン「……そういやこいつらバカ笑いか無表情しかみた事なかったもんな」

マルフォイ「よし、それでいい。その角度だ。どうだい? このグループは、魔法省を支持する生徒の中から選ばれているんだ。正に、正義の味方というわけさ」

ハーマイオニー「……あなたのお父上の入れ知恵なんでしょう、えぇ、そうでしょうとも」

マルフォイ「さぁ、僕には監督生だっても減点する権限をもっている。グレンジャー、新校長に対する無礼な態度で五点減点。マクミラン、フィンチ-フレッチリー、アボット、僕に対する無礼な言動でそれぞれ五点減点」

マルフォイ「ポッター、気に食わないから十点減点。ウィーズリー、貧乏だから五点減点。あぁ、グレンジャー。お前は穢れた血だったな。もう十点減点だ」

ロン「よーしオーケー、マルフォイ。人の形が残ると思うなよ?」

ハーマイオニー「ロン、だめよ。アーニー、ジャスティン、ロンを抑えて!」

マルフォイ「ハッハッハ、いい判断だグレンジャー。新しい校長、新しいじだい。ポッター、君が我が物顔で廊下を歩くのも終わりだろうね」

ハニー「冗談。私はいつだってしたいようにするの。真ん中を堂々と歩いてやるわ」

マルフォイ「ふんっ、精々粋がっていろ。僕はいつだって減点してやるぞ、ポッティ、ウィーズル王者、穢れた血め。行くぞクラッブ、ゴイル。いや、もうその顔はいい。やめろ。イラッとするから」

23: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/25(土) 20:33:51.01 ID:Jd2H9ndG0
大広間

ロン「あの吐ナメクジ野郎!!!」

ハーマイオニー「あなたよ吐いたのは……相手にしないの」

ハニー「えぇ、そうよ。あれに割く思考ももったいないわ」

アーニー「そうさ、そう、ロン。監督生から減点なんて、そんなの……許されるわけが」

フレッド「とーころがどっこい、そうはいかないのが世の常なんだよなぁ」

ジョージ「今度ばかりは奴さんたち、本当のこと言ってるようだぜ。見ろ」

ロン「なんだよ二人とも、見ろって、点数の砂時計……はぁっ!?」

ジャスティン「あ、あれ!?今朝までは、グリフィンとレイブンが接戦だったのに……レイブンが、追い上げてる?」

アーニー「上げてる、じゃない……グリフィンがごっそり減ってるんだ……レイブンもだけど。ハッフルパフは……まぁ、いいじゃないか」

ハンナ「……今朝と変わらないのは、スリザリンだけ、ね。こんなのって」

フレッド「あのアンブリッジ追っかけ隊?とかいう口にするのもとち狂ってる奴らはさ、みーんな減点する権限があるんだと」

ジョージ「モンタギューがさっきの休み時間に、僕らからも減点しようとしたのさ。なんだったか、うるさいから?名誉だね」

ハーマイオニー「『しようとした』、っていうのは?」

フレッド「あぁ、あの脳みそ筋肉は言い終わらなかったからな。それというのも、僕の手がうっかりすべってあいつの口の中にクソ爆弾をクソ程押し込んじまって」

ジョージ「それで僕の手もうっかりすべって、全身と口をスペロテープでグルグル巻きにして、二階にある『姿をくらます飾り棚』に頭から押し込んじまったから」

ハニー「……」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

フレッド「いやぁ、なんというかさ」

ジョージ「偶然ってこわいな、あぁ」


27: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/25(土) 20:47:21.28 ID:Jd2H9ndG0
ハーマイオニー「そんなのって、あなたたち、バレたらとんでもないことになるわよ!?」

フレッド「モンタギューのバカが見つかるまでは大丈夫さ。それでも数週間先だろうけど」

ジョージ「あいのバカをどこに送っちまったか分からないからなぁ。『秘密の部屋』か?」

ハニー「サラザールも今の『スリザリン』生には会いたくないでしょうね」

ハーマイオニー「そういう問題じゃなくって……」

フレッド「そうそう、才女様。言いたいことは分かるぜ。だがね、僕らは今後の学校生活がどうなるかってのを気にすることはやめることにした」

ハーマイオニー「気にした事あったの?」

ジョージ「そりゃあるとも、現に今まで退学になっていないだろ?僕らは常に一戦を守った。まぁ、つま先の根元あたりは越えたかもしれないが」

ハーマイオニー「それって思いっきり一歩ってことじゃない……」

ロン「でも、あー、今は?」

ハニー「……一歩どころか、そこから踊りだすつもり、そういうこと?」

ジョージ「察しがいいねぇ女王様。そう、ダンブルドアはいなくなった――」

フレッド「ふんぞり返るあのカエルには――大混乱こそふさわしい、だろ?」

ハーマイオニー「ダメ、ダメよ!あのひ、女カエル、あなたたちをこれ幸いとばかりに追い出しにかかるわよ?」

フレッド「望むところさ、そりゃもうね。言ったろ?僕らはすぐにでも出て行きたいところなのさ。でもま、あのババアにはダンブルドアの借りがある。おっと、そろそろ時間かな」

ジョージ「俺達は役目を果たしてからここを去る。さーてと、お前たち。昼飯は抜いて談話室にでもいたほうがいいぜ。そうすりゃ君たちには容疑がかからないからな、第一幕のさ」

30: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/25(土) 20:58:40.67 ID:Jd2H9ndG0
廊下

ロン「なにをおっぱじめるつもりだろうなぁ、あの二人。ハニーを崇める式典なら今夜零時からなんだけどさ」

ハーマイオニー「毎夜やってそうねあなたたち……とにかく離れましょう。巻き込まれたらただじゃすまないわ」

ハニー「あの二人のことだもの、私達に危害が及ぶとは思えないけれど……あら?」

フィルチ「フーッ、フーッ、探したぞ、ポッター!」

ハニー「……ハァイ、管理人のフィルチさん。探した?えぇ、私は全世界を天秤にかけてもまだ足らない財宝ですものね」

ロン「違いないね」

フィルチ「軽口はいい! 校長先生がお前に会いたいとおっしゃっている」

ハニー「…………私はそうでもないわ」

フィルチ「お前の意見などしらん!来い!」

ロン「おい!何ハニーの手引っ張ってんだこのやろうマーリンの髭! ハーマイオニー、止めるなよ――いや、待とうかハーマイオニー、杖は下ろそうか、うん」

ハニー「二人とも、行っていなさい。何もしていないのだもの、すぐに終わるわ……ついていってあげるから、手を放していただけるかしら?」

フィルチ「ふんっ、お前のような素行の悪い生徒は手械足枷でもつけておけばいいのだ」

ハニー「それさえ私にかかれば上等なアクセサリーに早代わりでしょうけれどね」

32: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/25(土) 21:09:02.76 ID:Jd2H9ndG0
『アンブリッジ 新校長♪のお部屋』

ハニー「……飾り文字がむかつくわ」

フィルチ「黙っていろ。オホン」

コンコンッ

 アンブリッジ「はぁ~い、どうぞ♪」

ガチャッ

フィルチ「ポッターめを連れてまいりました、先生」

アンブリッジ「ごくろうさま、アーガス」

フィルチ「とんでもない、先生!おやすいごようで」

アンブリッジ「あなたはとても有能な管理人ですわね……おまけに魔法省に協力的。あのこと、考えてもよろしくてよ?オホホッ」

フィルチ「本当ですか! なれば、私が鞭を持つことも!生徒につるし上げの罰則を課すことも!」

アンブリッジ「えぇ、すぐに新しい教育令を出してもらいましょう。あなたの行い、引いてはわたくしのこの学校秩序統制には欠かせないものと判断しますわ」

ハニー「…………」

フィルチ「ありがたき幸せで! それでは、先生。失礼を……」

バタンッ

アンブリッジ「ふーぅん。人に尊敬されるのは慣れていますけど。あそこまで従順なのはありがたいですわ。ミス・ポッター?あなたが男子生徒を侍らせている気分はこんな感じなのかしら?」

ハニー「……一緒にしないで頂戴」

アンブリッジ「あーら、ごめんあそばせ。おっほほほ、わたくしは学生時代から高嶺の花でしたので、そういった経験がなかったんですの。あと、先生には敬語ですわ?」

ハニー「……そうでしょうね、そうでしょうとも、『先生』」

39: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/25(土) 21:22:15.06 ID:Jd2H9ndG0
アンブリッジ「さぁ、さぁ。ミス・ポッター。そこにお座りなさい」

ハニー「……そうしてさしあげるわ」

アンブリッジ「少しお待ちになって頂戴ね。わたくし、済ませてしまわなくてはならない書類がありますの」

ハニー「……教育令?」

アンブリッジ「どうかしらねぇ、えぇ」

ハニー「……私や、フレッド、ジョージの箒が……壁にくくりつけられているわ」

アンブリッジ「えーぇ、箒置き場なんかに置いていたら、あなた方がわたくしの目を盗んで飛ぶのを楽しむかもしれない、そうでしょう?」

ハニー「……」

アンブリッジ「わたくしのかわいらしいお部屋の景観には合わないのですが、仕方ありませんわね」

ハニー「シリウ、スナッフルからもらった、大事なものを……、っ」

アンブリッジ「今何か言いまして!? お、オホン。さて、わたくしの仕事はひと段落ですわ」

ハニー「……言っておきますけれど、私は何も――」

アンブリッジ「まぁ、まぁ。お嬢さん、硬くならなくて結構ですわ。何か飲みますかしら?」

ハニー「……えっ?」

アンブリッジ「飲み物ですわ、ミス・ポッター。コーヒー?それとも紅茶?かぼちゃジュースかしら?」

ハニー「……」

アンブリッジ「お酒、は、おほほっ!あなたのようなお子様には早かったですわね!」

ハニー「……いいえ、あー、『先生』 何もいりません」

アンブリッジ「そんなことおっしゃらずに! さぁ~ぁ?何か選びなさいな」

ハニー「……それじゃ、その甘ったるい声を流したいもの。コーヒーを、砂糖抜きで」

アンブリッジ「えぇ、ブラックですわね」

ハニー「! そう、そうよ!ブラックで!!!」

アンブリッジ「!? え、えぇ。そうしましょう?」

41: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/25(土) 21:32:25.12 ID:Jd2H9ndG0
アンブリッジ「さぁ、お飲みになって」

ハニー「……えぇ、どうも」

アンブリッジ「昨夜の残念な事件の後ですもの。ゆっくりお話しようと思いましてよ」

ハニー「……私はとくに、話す事はないですけれど」

アンブリッジ「さぁ~ぁ、どうかしらねぇ……お飲みになって頂戴、さささっ!」

ハニー「……」

ハニー「(ブラックコーヒー……飲みたい、のは山々だけれど)」

ハニー「(……この人、何を考えているのかしら……こんな甘ったるい声で、催促して)」

ハニー「(……あそこの壁に飾られてるお皿の絵の猫、青い目ね)」

ハニー「(ムーディ先生と同じ……ふふっ。『油断大敵!』 そうよね、せんせ)」

ハニー「……それじゃ、いただいてあげるわ」

グイッ

ハニー「……」

アンブリッジ「……っし!っし!!!」

ハニー「……(傾けて飲むフリしただけなのだけれど……小さく拳握ってるわね)」

ハニー「……ふぅ。美味しいわ、『先生』 ブラックだものね」

アンブリッジ「えぇ、そうですわねぇ。……わたくしとしても大変美味しいことになりそうですわ。そうそう、それじゃ――アルバス・ダンブルドアは、どこなの?」

ハニー「知らないわ、『先生』」

アンブリッジ「……さぁ、飲んで飲んで!お代わりわいくらでもありますわ、ミス・ポッター!お飲みになって、えぇ!足りないようですわ、えぇ!そうでしょうとも!」

ハニー「……(自白薬でも、はいっているのかしら)」

44: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/25(土) 21:41:14.79 ID:Jd2H9ndG0
アンブリッジ「もう一度聞きますわ。ダンブルドアはどこにいるの?」

ハニー「何度でも答えるわ。知りません、『先生』」

アンブリッジ「まぁまぁ、まぁ。子供だましのゲームはやめましょう、ミス・ポッター?あなたが知らないわけがありませんわ。始めから一緒にあれを考えていたのでしょうもの。いったい、アルバス・ダンブルドアは――」

ハニー「どこにいるのか、どこに行ったのか。私は知らないわ、『先生』……私としても残念なことにね」

ハニー「(……これ薬飲んでても答え一緒よね)

アンブリッジ「……結構、そうですか。あの老害は安全を期してあなたには逃亡先を教えなかった、なるほど。いいですわ、それでは――シリウス・ブラックはどk」

ハニー「し、知らないわ!!!!」

アンブリッジ「……」

ハニー「……」

アンブリッジ「ミス・ポッター、ふふふふふっ、おっほほほほ。正直な生徒はわたくし、好きですわよぉ?」

ハニー「わ、私はいつだって自分のしたいようにしているもの。正直よ。別に、あなたに好かれようとも思わないけれど。『先生』」

アンブリッジ「シリウス・ブラックの居場所を知っていますのね?」

ハニー「だから、知らないわ」

アンブリッジ「昨年十月、件の犯罪者がグリフィンドールの暖炉に現れた、このことは?」

ハニー「……初耳で」

アンブリッジ「はありませんわよねぇ~?わたくしは確証していますの。奴が会っていたのは、あなただ、と」

ハニー「……」

アンブリッジ「恥をお知りなさい。魔法省転覆のために、自分の仇とも手を組みますのね。あなたも、ダンブルドアも」

ハニー「……恥を知るのは、どちらがかしら」

47: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/25(土) 21:58:16.06 ID:Jd2H9ndG0
アンブリッジ「十月には惜しくも逃がしてしまいましたわ……もしも証拠を掴むこと、髪の毛一本でも引き抜いていたら奴をすぐにでも自由の身ではいられなくしましたのに」

ハニー「……」

アンブリッジ「もう一度、聞きますわ。ミス・ポッター。シリウス・ブラックはどこですの?」

ハニー「知らない。検討もつきません、『先生』」

アンブリッジ「……」

ハニー「……」

アンブリッジ「……ふーぅっ、いいでしょう。ポッター、今回は信じておきます。彼が調合を間違えたのかもしれませんものねぇ」

ハニー「……?」

アンブリッジ「ですが、警告しておきますわ。魔法省の後ろ盾で、ホグワーツの暖炉は全て見張られていますの。このわたくしのプライベート空間以外は、ですが。乙女の秘密は、例え愛しのファッジにも覗かせられませんわ……あぁっ!でも!コーネリウス!あなたが求めるならわたくし……っ!!」

ハニー「……それで?」

アンブリッジ「いいところですのに……オホン。ふくろうの手紙も『尋問官親衛隊』が全て目を通していますの。連絡をとろうなどと考えないことですわねぇ?いいえ、とってもいいですわ。おほほ」

ハニー「……生徒のプライベートも何も、あったものじゃないわね」

アンブリッジ「生徒自身のためですわぁ。そして、城の全ての通路はフィルチさんの協力で把握していますの。このお城で彼以上に隠し通路に詳しい人間はいませんわ」

ハニー「……双子と、パパ達以外はね」

アンブリッジ「何か言いまして? とにかく、あなたが何かしでかそうとする証拠が少しでも見つかれば――それは遠い先の話ではないでしょう――わたくしは、即時あなたを退学――」



ドーーーーーーーーーン!!!!

アンブリッジ「うぎゃぁあああああああああ!?!?!?な、なななななんですの!?!?なんですのぉおおおおおおおおおお!?!?」

バンバンッ!!バンッ!!!!
 グラグラグラッ

ハニー「アンブリッジの反応が大きすぎて驚くのを逃したわ……なぁに、今の……爆発、音?」


ドーーーーーーーン!!!!
 パラパラパラッ

アンブリッジ「い、いったい……? ミス・ポッター、お話は以上! 騒ぎを起こしているのは誰ですの!!」

ガチャッ、バタンッ!! ボテッボテッボテッボテッ……

ハニー「……行ったわね。コーヒーは、この植木鉢にでも流しておきましょう……何が起きたのかしら」

ハニー「……」

ハニー「……って、考えるまでもないわね」

ガチャッ

ハニー「……でしょう?」

フレッド「その通りさ獅子寮の女王様。さ、ご案内しよう」

ジョージ「我らが御贈りするドタバタ劇の『第一幕』にね」

50: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/25(土) 22:15:08.66 ID:Jd2H9ndG0
玄関ホール

バチバチバチバチバチッ
 ヒューーーーーッ!ヒュルルルルルルッ ドーーーーンッ!

アンブリッジ「これ、これはなん、なんですの、なんですのぉおお!!」

パーーーーンッ! ヒュンヒュンヒュンヒュン!!!
 バチパチパチバチバチバチバチバチバチッ!!
グルグルグルグルグルグル

フィルチ「せ、せんせい、校長先生、これは、花火、花火で、うわ!」

アンブリッジ「そ、それくらいは分かっています!問題は、どう、どうして、こんなにも大量に、それに大きなものが、ああああああ!ど、ドラゴン!?ドラゴンの花火ですの!?」

フィルチ「ぎゃぁあああ!?わ、私の頭の上に、空飛ぶネズミ花火がぁあああああ!!」

シュルシュルシュルシュルッ!!!
 


ハニー「……すごい」

フレッド「君に褒められたとなると、僕らの開発期間も無駄じゃなかったなぁ。大広間がまるでビックリ箱だぜ」

ジョージ「ドラゴン型花火にどれだけの在庫が使われてるか……ま、それも火を点けりゃ問題にならないけどね」

ハニー「?どういうこと?」

フレッド「みてりゃ分かるさ。ほら、ご期待通りにアンブリッジがやってくれるぜ」

ジョージ「そう、花火を消すには杖だ。俺達は魔法使いだしな、あんなカエルでも」


アンブリッジ「いけません、いけませんわ!ど、ドラゴンの花火が火花を撒き散らして、上の階に!ふぃ、フィルチ!ここで全部回収しますわよ!」

フィルチ「は、はぁ!!」

アンブリッジ「学校中に広まれば、とんでもないことに――『ステューピファイ、麻痺せよ』」

バチッ……バーーーーーーーンッ!!!!

アンブリッジ「な、何故ですの!?わたくしが唱えたのは『失神』で、爆破では……あぁあああああああ!?!?」


フレッド「『失神』させたら大爆発、ってね。おーっと、あっちの肖像画に穴あいちまった。あとで修理してやろう」

ジョージ「あのババァカエルが花火に『消失』をかけてくれないかなぁ。その度十倍に増えるんだ、最っ高だろう?」

バチッ  ギュルルルルルルルルルルルルルッ!!
 バーーーーン!!バーーーーーーン!!!!

アンブリッジ「あああああああ!? ふぃ、フィルチ!!『消失』をかけてはいけませんわ!!いいですわね!!もう『消失』させるような失態はするんじゃありませんことよ!!」

フィルチ「は、はっ!  はぁ!?わ、わたしは呪文は――え、えぇ校長!もちろんですとも!」



フレッジョ「「HAHAHAHAHAHAHAHAHA!!」」

ハニー「……ふふっ。敵にしたくないわね、あなたたちって」

53: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/25(土) 22:25:18.73 ID:Jd2H9ndG0
『変身術』

マクゴナガル「よいですか、みなさん。この理論は少々難解です。存在、非存在。例えば、そこの扉は今閉まっていますが、このように開けると――おや?」

シュルシュルシュルシュルッ!
 バーーン!バチバチバチバチバチバチッ!

ハーマイオニー「あの花火、時間が経つにつれて燃え尽きるどころか……益々増えていくようね」

ロン「ハニーへの僕らの想いと同じだね、あぁ。火花出てるし」

ハニー「えぇ、そうね。どこかの火の枝も真っ青だわ……この教室にまで入ってきたわ」

ハーマイオニー「……何故だか、先生が向かえいれたようにも見えるわね、えぇ」

マクゴナガル「これは困りました……ミス・ブラウン?」

ラベンダー「はい、せんせー!」

マクゴナガル「校長先生を呼んできてください。この教室に暴れ花火が迷いこんだ、と。生憎、わたくしは驚いて猫になってしまうので」

ラベンダー「はいっ、せんせ!」

マクゴナガル「みなさん?猫が火から逃れるのは当然ですね?」

はいせんせー!
 にゃんこー!

ポンッ

猫「みゃーーーっ」


ハニー「……ふふっ、先生ったら」

ロン「最高だね、あぁ! にゃんこー!」

ハーマイオニー「ここぞとばかりに使うわね……あぁ、アンブリッジだわ……疲れきった」

ロン「あの様子じゃ、城中走り回らされてるんだろうね、あぁ。何故だか校長抜きじゃ花火退治できない、頼りない先生たちのおかげでね。もちのロンさ」

56: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/25(土) 22:34:18.39 ID:Jd2H9ndG0
廊下

アンブリッジ「……」


ロン「あぁハニー!放課後だねハニー!君と過ごせる放課後なんてなんて――ウェッ、一気に気分悪くなっちまった。背中の感触に集中しよう」

ハーマイオニー「煤だらけだわ、アンブリッジ」

ハニー「いい気味ね……あそこは、呪文学の教室?」


フリットウィック「先生!どうもありがとう!」

アンブリッジ「……えぇ、まぁ。ですが先生?あなたの魔法の腕前でしたら――」

フリットウィック「いやぁ、そうですな!もちろん私でも線香花火の退治は出来たでしょうが、どうにもそんな『権限』があるのかはっきりしなかったもので!」

アンブリッジ「……」

フリットウィック「次の教育なんとかにはそのあたりを書き示してみては? おっと、通りすがりの花火が!『エバネスコ!』」

バチッ バーーーンッ!!!
 ワラワラワラワラワラワラ

フリットウィック「わー、消失させたつもりが増えてしまうなんてー。 学校の治安維持のため、頼みました!校長!」

バタンっ!

アンブリッジ「~~~~っ、おまち、おまちなさぁあああいい!!」


ロン「やってくれるぜ、フリットウィック」

ハーマイオニー「やり過ぎな気もするけど……まぁ、ね」

ハニー「今度褒めてあげなくっちゃ、出来る豚だもの」

60: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/25(土) 22:51:52.17 ID:Jd2H9ndG0
談話室

ガヤガヤガヤガヤガヤ
 ヒューヒューッ!
フレッジョーーー! ワーーーワーーー!

フレッド「いやぁありがとう!ありがとう諸君!件の花火の予約はジョージの持ってるリストにどうぞー!」

ジョージ「ちーょいと時間はかかるがお届けするぜ!『ウィーズリーの暴れバンバン花火』をよろしくー!」

ロン「二人がまるで英雄みたいになってら。ハニーはいつだってそうだけど」

ハーマイオニー「二人とも、すばらしい花火だったわ!」

フレッド「おぉっと才女様!君にまでお墨付きをいただけるとはねぇ!こいつぁいい!」

ジョージ「君もどうだい?おっと、『将来の家族』割引はちょいと聞きかねるけどさ!」

ハーマイオニー「二人まとめて打ち上げてほしいの?」

ロン「なにハーマイ取っちゃってるのさ。あーぁ、あんなに儲けてるよ二人とも……マーリンの髭」

ハニー「あら、あなたはお金なんかよりずーっと心が豊かだと思うのだけれど?」

ロン「そりゃぁねハニー!僕の懐は君の存在で熱いくらいさ!ヒンヒン!  でも、そういえば宿題は待ってくれないんだよなぁ……お祝いに参加したいけどさ」

ハーマイオニー「あら……今日はお休みでもいいんじゃない?」

ロン「はいはい、分かったよ。今日やらないと、明日は後悔!とでも……えっ!?な、なんだって!?」

ハーマイオニー「宿題をするのはまたにすればどう、と言ったの。だって金曜からはイースター休暇だもの。そしたらたっぷり、時間はあるわ?」

ロン「……き、気分は悪くないかい?え?なんなら医務室に」

ハーマイオニー「あら、全然。聞かれたから言うけど、なんというか――気分はちょっと、反抗的なのっ!   きゃぁ!?」

ハニー「えぇ、そうね。ハーマイオニー、とってもいい笑顔だわ――反抗的になって、冒険してみる?」

ハーマイオニー「あっ、ちょ、っと、ハニー。そんな、反抗、なんて、こんなの、『私達の寝室』でいつも行われてるのと、変わらない、じゃない……」

ロン「つづけて!!!」


花火『どうぞ!!!』バチバチバチバチバチッ!!


フレッド「どうぞりたい時にはこの花火をどうぞ!」

ジョージ「文字入り線香花火、ヒン語にも対応さ!」

ヒンヒンヒーーーン!

65: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/25(土) 23:02:23.20 ID:Jd2H9ndG0
深夜

ハーマイオニー「みて、ハニー。あの花火たち、外にまで逃げおおせたみたい……校庭を飛び回ってるわ」

ハニー「そうね……ふぁ、っ……」

ハーマイオニー「……ふふっ。緊張したり、騒がしかったりして。疲れてしまったの?」

ハニー「っ、緊張って、なんのこと、かしら……私が、恐れるのは……退屈と体重計だけで……」

ハーマイオニー「はいはい、もう休みましょう。ね?明日は――」

ハニー「……スーッ、スーッ」

ハーマイオニー「――スネイプの授業で……あら、ハニー?もう寝たの?ハニー?」

ハニー「スーッ……スーッ」

ハーマイオニー「……ふーっ。ラベンダー」

ラベンダー「なぁに?」

ハーマイオニー「ちょっとその鋭そうなペンで手の甲刺してくれないかしら。反抗心を沈めなきゃ」

ラベンダー「沈めることないと思うわよ、えぇ」

パーバティ「名前は丸がつくペンだけど尖ってるわよねこれ、えぇ。あら?そういえば」

ハーマイオニー「なに?」

パーバティ「今日のハニー、なんだか、寝る前の……瞑想?みたいなこと、やってなかったわね」

ハーマイオニー「……そう、ね……大丈夫、でしょう。あー、でも……もしかして」

ハーマイオニー「……窓は開けておこうかしら」








68: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/25(土) 23:16:05.93 ID:Jd2H9ndG0



ハニー『(暗い、長い廊下……黒い、大きな扉)』

ハニー『(ここまでは、いつも通り……でも、今日は)』

ハニー『(今日、こそは……)』

パッ

ハニー『(開いたわ……前にみた、丸い部屋。たくさん、見分けのつかない扉……)』

ハニー『(ここ、ね……何故だかは知らないけれど、ここだわ……)』

パッ

ハニー『(今度の部屋は……長方形……なんだか、壁に光るものがたくさんあるようだけれど)』

カッチ、コッチ、カッチ、コッチ、カッチ

ハニー『(先に進まないと……もう、すぐそこだわ)』

ハニー『(すぐ、そこ……)』


パッ!


ハニー『(教会みたいに……高い天井)』

ハニー『(それを……床から続く高い、長い棚が覆ってる。たっくさんの……右をみても、左をみても、並びの端は見えないみたい)』

ハニー『(でも、私は……わたしは分かってる……どこに行けばいいのか)』

ハニー『(この棚……この奥の)』

ハニー『(無数に並んだ、水晶玉や瓶の中の)』

ハニー『(もう、すぐ先……わたしが、欲しい物が)』

ハニー『(……わた、し……?)』

ハニー『(いいえ……違うわ。欲しいのは、別の誰か…………)』

ハニー『(っ……傷が……痛……)』




ドーーーーンッ!!

ハニー「っ、きゃぁああ!?」

ハーマイオニー「は、ハニー!ごめんなさい!あのね、あー、あなたが変な夢をみてまた窓がお釈迦にされたら困ると思って、窓を開けたら!あの、花火が、入ってきてしまったの!!ごめんなさい!」

ラベンダー「いいじゃない、ハーマイオニー。みて、ネズミ花火とロケット花火、それに文字を浮かばせる線香花火がドッキングして……」

パーバティ「銀色の羽が生えたピンクの豚の花火になったわ!」

花火「ブヒィーーーィッ!」バチバチバチバチバチ

ハニー「……邪魔を、して……跪きなさい、この、花火豚!!!!」

花火豚「!! ヒンヒン、ヒーーーーン!!」

ハーマイオニー「……ちらっと聞いた文字対応だったのね……は、ハニー。興奮しないで、もう休みましょう?双子から聞いた追い払い方で外にやっておくわ」

ハニー「ふーっ、ふーっ、だって、あの豚が大きな音を立てなければ、私――」

ハーマイオニー「分かったわ、えぇ。でも、ほら。明日は、スネイプのあの授業があるじゃない」

ハニー「……ぁ」

ハーマイオニー「しっかり寝て、心を沈めていなきゃ?ね?」

ハニー「……もう遅いような気が、するわ」


69: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/25(土) 23:28:01.64 ID:Jd2H9ndG0
翌日 放課後

大広間

ハニー「……行きたくないわ、スネイプのところ」

ロン「ちょっと待っててくれよ、ハニー。豚達であの地下への入り口塞いできっちまうからさ」

ハーマイオニー「バカなことをしないの。それに、バカなこと言わないで、ハニー。必要な訓練でしょう?」

ハニー「……」

ハーマイオニー「……それは、またあの夢をみたのは罰が悪いでしょうけど。これ以上見ないようにするためには、訓練するしかないじゃない」

ロン「そういうことじゃないのさ、ハーマイオニー。あのネチネチスネイプクソッタレは、そのことでどれだけハニーにネッチネチドロドロ反吐を吐いてくると思ってんのさ」

ハニー「ロン、まるで私があいつを恐れてるようなこと言わないで。平気よ……少し疲れてた、それだけ。行ってくるわ」

ロン「あぁハニー!ヒンヒン!あの野郎の所に送り出すことしかできない無能な豚の僕をどうか帰ってきたら向こう脛蹴飛ばしておくれ!ヒンヒン!」

ハーマイオニー「行ってらっしゃい、ハニー。あの、待ってるわ。頑張って」

ハニー「えぇ……」

ガチャッ、バタンッ

ハニー「……」

ハニー「……気が重いわね、本当。ダンブルドアのあのことがあってから、心を無にする暇なんてなかった、なんて言い訳……スネイプに通じるわけない、でしょうし」

ハニー「……今夜こそ、チョウや、シリウ、スナッフルの思い出をしっかり、守らなきゃ」

ギィィッ

チョウ「……私?なに、ハニー?」

ハニー「!? ちょ、チョウ……」

チョウ「……とりあえず、用があるのは私だわ。あのね……」

ハニー「あれから、なんともなかったかしら。あなたにも、アンブリッジに質問攻め、とか……?」

チョウ「いいえ、ううん。そうじゃないの……あの……マリエッタの、こと」

ハニー「あぁ――えぇ」

チョウ「……」

ハニー「……」

70: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/25(土) 23:38:33.14 ID:Jd2H9ndG0
チョウ「あのね、マリエッタはとってもいい子なのよ?ただ……」

ハニー「……」

チョウ「ただ、そうね。過ちを犯しただけ……」

ハニー「……『過ちを犯した』、けれど『いい子』、ですって?その過ちのおかげで、私達みんな――それに、ダンブルドアは」

チョウ「分かってあげて?あの子はね、お母様が魔法省で――」

ハニー「ロンのお父様だって魔法省に勤めてるわ。気づいてないなら教えてあげるけれど、彼の顔に走ってるのはただのソバカスで『密告者』なんて文字じゃ――」

チョウ「っ、ハーマイオニー・グレンジャーって、ひどいことするわ!マリエッタは、まだ入院してるのよ?あんなことをするなら、名簿を書かせるときに説明するべきで――」

ハニー「……っ、私は、そうして正解だったと思うわ。やり過ぎにしろ、ハーマイオニーは私達を守ったのだもの」

チョウ「……あら」

ハニー「……」

チョウ「へぇ、そうだった、そうだったわね……あの呪文は、愛しのハーマイオニーの……!」

ハニー「っ、そうよ! ハーマイオニーは、私の大事な人! マリエッタも、あなたにとってそうなんでしょうね!だけれど、あの子は……!」

チョウ「私のお友達を侮辱しないで!」

ハニー「あなたこそ!!」

チョウ「っ……」

ハニー「……私、やることがあるの。それじゃ」

チョウ「えぇ……いいわ、どうぞ! 知らない!」

ガチャッ バタンッ!!

ハニー「……」

ハニー「……っ、分からず屋……っ、ぐすっ……」

ハニー「~~っ! いいわ、切り替えて、行かなきゃ。そうね……」

ハニー「今のこの気分なら……スネイプのとんでもない記憶でも、暴けそうだわ」

75: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/25(土) 23:52:00.36 ID:Jd2H9ndG0
地下牢教室

スネイプ「遅刻だ、ポッター」

ハニー「……」

スネイプ「……無言か、まぁいい。グダグダと言い訳を並べられるよりはよっぽど。五点減点するだけで済む」

ハニー「……準備はいいのかしら」

スネイプ「こちらの台詞だ。そう、我輩の準備は既に終えている」

ハニー「……『憂いの篩』……?」

スネイプ「訓練に関係のない質問は受けつけん。さて、ポッター。あれからしかと練習したのでしょうな?」

ハニー「……えぇ、それはもう」

スネイプ「結構。みたところ何か怒りや恨みに駆られているようだが、それもすぐに分かることだろう」

ハニー「っ……」

スネイプ「杖を構えたまえ。三つ数えたらだ。一――二――」

コンコンッ

スネイプ「! 杖をしまえポッター。 入りたまえ」

ガチャッ

マルフォイ「スネイプ先生――あっ――すみません」

スネイプ「かまわん。ポッターはここで『魔法薬』の補習を受けている」

ハニー「……」

マルフォイ「へーぇ……それは……へーーーぇぇ?フォーーーーーイ?」

ハニー「……ニタニタするんじゃないわようるさいわ」

スネイプ「それで、ドラコ。何の用だね」

マルフォイ「あっ、フォイ。モンタギューが見つかったんです、先生! 五階のトイレに頭から詰っていました!」

スネイプ「……どうしてそんなところに?」

マルフォイ「さぁ……でも、ひどく錯乱してます。なんだか、自分はクソ爆弾だとかなんとか……実際口をあけたらそんな臭いで……」

スネイプ「よろしい、向かおう。ポッター、この授業は明日の夕方に変更だ。よいな」

スタッスタッスタッスタッ

ハニー「……」

マルフォイ「……ま・ほ・う・や・く・の・フォ・しゅ・う~~~?」

ハニー「うるっさいわよこのフォイフォイ」

78: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/25(土) 23:58:55.11 ID:Jd2H9ndG0
マルフォイ「おっどろいた、あのいっつもえらそうな赤毛の女王様(笑)がねぇ……はっはっはっはっはっはっは」

バタンッ

ハニー「……呪ってやりたいわ、二人とも」

ハニー「さて、私もさっさと帰りましょう。ここに残りたい理由なんて、少しも」

ハニー「……」

憂いの篩

ハニー「……これのこと、すっかり忘れてたわね、スネイプ」

ハニー「……この中に収められている……スネイプの記憶」

ハニー「なんなのかしら……私に見せたくないもの、ここまでして隠したいもの」

ハニー「この間のような、もの?それとも……」

ハニー「……この光、神秘部の夢の中に出てきたのと似てるわ」

ハニー「……あっ」

ハニー「もしかして……もしかして、スネイプは神秘部について何か、詳しく知っていて」

ハニー「それを私に見られたくないと、思っていたとしたら……?」

ハニー「……モンタギューを助け出すまで、どれくらいかかるかしら」

ハニー「それからきっと、医務室に連れて行くわよね……彼はスリザリン・クィディッチチームのキャプテンだもの」

ハニー「時間はあるわ……えぇ」

ハニー「……少なくとも一時間近くは、誰も来ないはずよ。あの人に先生達との交流が、あるとは思えないもの」

シーーーーーーーーン

ハニー「……これの正しい使い方を、私はまだ知らないわ」

ハニー「うまく扱えば、映像だけをこの水面?に浮かばせることもできるのでしょうけれど……」

ハニー「と、なったら……また、あの裁判の記憶を見た時みたいに、この中に、飛び込めば」

ハニー「……スーーーーッ、ハーーーーッ」

ハニー「……えいっ」

ズブッ

グルングルングルングルン







84: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/26(日) 00:13:53.68 ID:ptfAGYCD0
ドサッ

ハニー「……ここ……何年も前の、大広間?」

カリカリカリカリ、カリ
 ガタガタッ、ガサッ カリカリカリカリ

ハニー「……でも、いつものように四寮のテーブルがなくって……同じ方向にならんだたっくさんの小机に、みんな座ってるわ」

ハニー「……何か、書いているのかしら」

ハニー「これは、スネイプの記憶なのよね。どこかにいるはずだわ……あぁ」

ハニー「真後ろに……筋ばって、生気のない顔ね」

スネイプ『……』ガリガリガリガリガリガリガリガリ

ハニー「凄い勢いで書き込んでるわ……脂ベッタリの髪を机の上にたらして」

ハニー「本当に、昔から変わらないのね……書いてる、のは」

『闇の魔術に対する防衛術――普通魔法レベル<OWL>』

ハニー「OWL……ということは、このスネイプは私と同じ学年なのね」

ハニー「……変な、感じ」

 フリットウィック『あと五分!』

ハニー「きゃぁ!?」

カリカリカリカリカリカリッ
 ガサガサッ、カリカリカリカリカリ

ハニー「び、びっくりしたわ……誰も聞こえないから、よしとしましょう。えぇ、そうね。フリットウィック先生が、試験監を……」

ハニー「………………」

ハニー「……先生が今、通り過ぎた机に座ってる、男の子」

ハニー「……クシャクシャの、黒い、髪……本当に、くしゃくしゃの……」

ハニー「っ! あっ、ごめんなさい――あぁ、当たらないのね、記憶だもの!どいて、ごめんなさい、あなたの机を通り抜けるわ!あぁ……」

バッ!


ジェームズ『……こんなところかなぁ。この僕が受けるにしては、随分と簡単すぎる気がするけれど』

ハニー「……パパ」

88: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/26(日) 00:26:14.71 ID:ptfAGYCD0
フリットウィック『ミスター・ポッター!私語は謹んで!』

ジェームズ『うん、先生。ごめんよ、隣のやつにちょこっと僕の回答を教えてしんぜようと思ったのさ』

スネイプ『……チッ』

ハニー「……凄い舌打ちをしたわね、スネイプ……少し睨んだら、また解答用紙に戻ったわ」

ハニー「スネイプは、どうでもいいわ……あぁ、パパ。本物の、パパ……あの時の霞では、分からないところも多かったけれど」

ハニー「目の、色……本当に、私、わたしと、おんなじ……!」

ハニー「すごい……パパが、わたしの前にいる……!」

ハニー「どうして抱きしめられないの、かしら……!もう!」

ジェームズ『フーーゥ……ふぁ、ぁ~』

ハニー「大きなあくび……さっきも零していたけれど、随分余裕のようね」

ハニー「……解答用紙も、他の人よりずっと長いのに……」

ジェームズ『ふぅ……んー……? おっと、彼はどうだったか……』

ハニー「? 後ろを……あっ!!!!」

ジェームズ『親指立てて、ふぅん。そうかい。上々なのかな?僕には到底及ばないだろうけれど』

ハニー「シリウス……シリウス、だわ!」

シリウス『……ふぁ~っ、あ』

ハニー「椅子にもたれて、そっくり返って……あぁ、とっても」

ジェームズ『……あのカッコも様になるなぁ、まったく。後ろの女の子が熱い視線送ってるじゃないか』

ハニー「……どうして突き飛ばしたりできないのかしら。もう」

89: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/26(日) 00:34:44.10 ID:ptfAGYCD0
ハニー「シリウス……若い時の姿は写真で見たけれど」

ハニー「っ、あぁ……もう、ずるい、ずるいわ」

ハニー「……シリウスは終わり!見るのは終わり、えぇ!……あっ!」

ハニー「リーマス!リーマスも! まだ試験を見直しているようだけれど……」

ハニー「……スネイプ以上に顔色があまりよくない、わね。満月が近いのかしら」

リーマス『……あの二人は、まったくもう』

ハニー「……昔から苦労してたのね、リーマス。ごめんなさい」

ハニー「……皺や白髪のないリーマスって、なんだか新鮮だわ。写真にとって、トンクスにあげたい……その前に撮るのは……いいえ、それは、いいのだけれど」

ハニー「……ぺティグリューもどこかにいるのかしら」

ハニー「……」

ピーター『うーん、うーーーーん……うぅ、ジェームズ助けて……うぅっ……』

ハニー「……頭抱えて……不安そうね。キョロキョロ答案を盗み見ようとしてるわ」

ハニー「この人らしい……パパは、どうしてるかしら」

ジェームズ『ふ~んふんふふ~ん♪』

ハニー「……鼻声まじりで、何か描いてるわね。これ、スニッチ……上手だわ。パパはチェイサーだったって聞いたけれど」

ハニー「……?ここに書いてる文字はどういう意味……?スニッチと並べられた……」

ハニー「……L・E?何かの略字かしら……?」

95: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/26(日) 00:54:53.28 ID:ptfAGYCD0
フリットウィック『はい!羽ペンを置いて!羊皮紙を集めるまで、席を立たないように!『アクシオ、来い!』」

ガヤガヤガヤガヤガヤ
 ガヤガヤガヤガヤガヤ

ジェームズ『終わった、終わった、っと』

ハニー「……色々飾りをつけてたL・Eが何なのかは、結局分からなかったわね……問題用紙に落書き、って。パパらしいわ」

ハニー「……見たところ、使った問題用紙は持って帰っていいのね……ハーマイオニーが試験の後は復習漬けになって、ロンがごねそうだわ」

ハニー「……そういえば」

ハニー「この記憶は、スネイプの記憶よね……もしもこのまま、各々の寮に戻ってしまったら……パパたちの様子が見れないわ」

ガヤガヤガヤガヤ
 ザワザワザワザワ

ハニー「一度パパたちからは、離れて……スネイプ……いた」

スネイプ『……』

ハニー「……猫背で、なんだかぎくしゃくした歩き方だわ。蜘蛛みたい」

ハニー「……パパたちと、同じ方向に向かってるわね。問題用紙を睨みながら、無意識に……?好都合だわ」

ハニー「スネイプの少し前を歩いて……ここなら、パパたちを観察できるわ」

ハニー「……変ね?女学生がペチャクチャと喋っているようなのに、なんだかパパたちの声がしっかり……」

ハニー「……そういうものだと思っておきましょう、えぇ。それより」

シリウス『ムーニー。君、第十問は気に入ったんじゃないか?』

ハニー「!!シリウスが、喋ってるわ!」

リーマス『いい質問だ、パッドフット。『狼人間を見分ける五つの兆候をあげよ』 ばっちりだね』

ジェームズ『僕ぁとても不安だなぁ。どうだい?全部の兆候をあげられたと思うか?』

シリウス『それが、僕もすこーしばかり自信がなくってね。是非とも監督生さんのムーニーにお教えいただきたいのさ』

リーマス『いいだろう。一、狼人間は僕の椅子に座ってる。二、狼人間は人間の服を着てる。三、狼人間はわざわざ不安気な声と半笑の顔をする友人二人を蹴飛ばしたくてたまらない。四、狼人間の名前はRから始まる』

ハハハハハハハハハハハ!!

ハニー「……言ってるリーマスも、笑ってるわ。ほんと……笑い飛ばしてたのね。あのこと」

96: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/26(日) 01:06:22.54 ID:ptfAGYCD0
シリウス『Rで始まる、ね。おっどろいた、どうりであのバカな弟は、満月が近いと唸るわけだよ』

ジェームズ『彼が君をみて苦い顔するのは、いつものことだと思うけれどね』

ピーター『ね、ねぇ、真面目に話し合おうよ。僕、口元の形、瞳孔、ふさふさの尻尾なんかは書けたんだけど――その他は、考えつかなかったんだ』

ジェームズ『おいおい、おい。ワームテール、なんだいそれは。僕の友人ともあろうものが情けない』

ピーター『ごめん……でも本当に、わからなかったんだ』

シリウス『月に一度は狼人間を見てるのに?君ときたら、お菓子のメーカーの前に覚えるべきものがあるだろう?』

リーマス『小さい声で頼むよ』

ジェームズ『全くだ。それに、ワームテールの選ぶ菓子には君といえどもケチはつけさせたくないね』

ピーター『あー……パッドフットの疎すぎるのも問題だね』

リーマス『ほんとだよ、庶民の敵パッドフット』

シリウス『何の話をしているのさ?』

リーマス『チマチマ買わずにあの石版のような特大チョコを買っておけばいいじゃないか、と、僕に言ったことは忘れない』

ジェームズ『ほら、こいつ、お坊ちゃまだから』

シリウス『やめろ。おいワームテール、よくも笑ったなこいつめっ!お前の話をしてたのに!』

ピーター『わぁあああん!いーたーいーよー、パッドフットー!』

ハニー「……スネイプは……変わらず、後ろにいるわね」

101: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/26(日) 01:19:33.37 ID:ptfAGYCD0
シリウス『とにかく、だ。僕はあんな試験は楽勝だと思ったね。『O・優』がとれていなくっちゃおかしい』

ジェームズ『君がそうなら、僕もそうだろうな。何せ君は一生僕の下にいることが決まってるから』

シリウス『吠え面をかく用意をしておくんだね。プロングズ、そう言った割には随分と最後までてこずっていたように見えたけどな?え?』

ジェームズ『? あぁ、あれか。違う違う。随分と簡単で、時間が余ったから。落書きをしていたのさ――僕を手こずらせる問題なんて、この世に存在しないけれどね』

リーマス『僕のあれは?』

ジェームズ『ふわふわと小さいものだったじゃないか、そうだろう?』

リーマス『……ふふっ。あぁ、そうだね』

ピーター『僕、その落書き見たよ。あー、プロングズが鞄にしまう前に、ってことだけど。スニッチと、文字を書いていたでしょう?』

リーマス『文字?』

ジェームズ『おいワームテール、よせ』

シリウス『任せろワームテール、眼鏡は抑えた。君に危害は加えさせない』

ジェームズ『放せパッドフット!くっ……ワームテール!君は裏切るような奴じゃぁない、僕は信じてるよ……?』

リーマス『ワームテール、あれは言っても言わなくてもとっちめるコースの顔だね』

ピーター『うん、なら言っちゃうよ。「L・E」って書いてあった』

ジェームズ『おい!   なんだよ』

シリウス『……』

リーマス『……』

ピーター『……』

ジェームズ『……ニヤニヤするのはよせ!』

ハニー「……なんだか、自分を見ているみたいだわ」

104: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/26(日) 01:29:19.63 ID:ptfAGYCD0
シリウス『おやおや、おや。随分と乙女な趣味をしているじゃないか、プロングズ』

ジェームズ『いっそ君のもひっちぎって女子寮に入ろうか。良い線行くかもしれないぜ』

リーマス『L・Eに……スニッチねぇ』

ピーター『露骨だよね』

ジェームズ『うるさいな。いいか、僕は君たちに何度止められようが諦めないぞ。そんな文字はは父さんの書斎になかったからね』

リーマス『心意気は認めるけど……あれだけやっても、君はオオイカ未満だそうだよ』

ジェームズ『簡単にコロッと行くような女性じゃない、だからいいんじゃないか。彼女は可憐だ、高貴だ。少し声かけてなびくようなのは、パッドフットにでも拾わせればいい』

シリウス『おい』

ピーター『捨てるの間違いじゃないかなぁ』

シリウス『おい、こら』

ハニー「……?」

ジェームズ『まっ、焦らずいくさ。あそこまで露骨な態度を取られるようになったのは最近だもの、

106: 誤送信 2013/05/26(日) 01:35:59.37 ID:ptfAGYCD0
シリウス『おやおや、おや。随分と乙女な趣味をしているじゃないか、プロングズ』

ジェームズ『いっそ君のもひっちぎって女子寮に入ろうか。良い線行くかもしれないぜ』

リーマス『L・Eに……スニッチねぇ』

ピーター『露骨だよね』

ジェームズ『うるさいな。いいか、僕は君たちに何度止められようが諦めないぞ。そんな文字は父さんの書斎になかったからね』

リーマス『心意気は認めるけど……あれだけやっても、君はオオイカ未満だそうだよ』

ジェームズ『簡単にコロッと行くような女性じゃない、だからいいんじゃないか。彼女は可憐だ、高貴だ。少し声かけてなびくようなのは、パッドフットにでも拾わせればいい』

シリウス『おい』

ピーター『捨てるの間違いじゃないかなぁ』

シリウス『おい、こら』

ハニー「……?」

ジェームズ『まっ、焦らずいくさ。あそこまで露骨な態度を取られるようになったのは最近だもの』

シリウス『思うに、君が図に乗っているせいとは考えられないか?』

ジェームズ『そりゃ面目ないけど変えられそうにないなぁ。僕は僕だもの。さっ、このあたりで休もうか。木陰でのんびりと休息しよう』

リーマス『あぁ、それに、湖のほとりで涼んでる誰かたちも見えるものね』

ジェームズ『しつこいなぁ……ヘイ、ワームテール。さっきはよくもやってくれたな、この!』

ピーター『ひっ!か、勘弁して……ハハッ、アッハハハハハ!アハハハハハハハハハハ!!ヒー、ヒーーー!』

ハニー「……本当に、仲がいいのね。四人は」

ハニー「……スネイプは、近くにいる、のよね?どこに……」

ハニー「……いたわ。潅木の暗がりにすわって、まだ問題用紙を……一人で」

ハニー「……?」

107: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/26(日) 01:53:15.65 ID:ptfAGYCD0
ゴソゴソ

ジェームズ『これ、見ろよ。なんだと思う?』

リーマス『……頭が痛くなるから、考えたくないね』

ピーター『わぁー!それ……黄金のスニッチだ!』

ジェームズ『大正解だ、ワームテール。信じられるか?こいつを掴むだけで、僕が十五回ゴールを決めるのと同じ点が入るだなんて。とくに苦労もしていないけれど』

シリウス『で。目立ちたがりの君は、それをどうしたんだ?』

ジェームズ『キャプと揉めてね。次の優勝決定戦ではすぐに、シーカーがスニッチを取れ、とくる。冗談じゃない、これまでこのチームが圧倒的大差で勝ってきたのは誰のおかげだい?』

ピーター『君だよね、うん! いっつも何十回とゴールを決めるし』

ジェームズ『だろう? だから、僕が百五十点取るまで我慢するべきだ、って言ってやったんだ』

ジェームズ『それに、いつも思うのだけれど、それじゃどうしてこれまでの試合でもさっさとスニッチを掴まかったのか、って。僕はいつも君がスニッチ・キャッチする何十分も前に見つけてるから、気が散って仕方ないんだ、って』

リーマス『……シーカーの彼に、言ってやったんだ』

ジェームズ『そう。で、返す刀がこう飛んできた。「じゃあやってみろ!」』

ジェームズ『その答えが、これってわけさ。奴さん、昨日の練習中「みつからない、みつからない」って半ベソだったよ』

ピーター『凄いなぁ』

シリウス『君がやればいいじゃないか、シーカー』

ジェームズ『やだね。だって、クアッフルって赤いじゃないか』

リーマス『……そんな理由だったんだ』

ハニー「赤? パパは、赤いものが好きなのかしら……?」

114: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/26(日) 02:12:23.58 ID:ptfAGYCD0
スニッチ『』パタパタパタパタッ

ジェームズ『ほーら、自由になりたいかい?』

スニッチ『』パタパタパタ……ピッ!

 パシッ

ジェームズ『ざーんねん、捕まえた』

ピーター『うわっ! す、すっごいや!すごいね、ジェームズ!!』


ハニー「……今のタイミング、絶対に逃げられたと思ったのに……凄い反射神経ね。さすがパパ」

ハニー「でも、なんだか……うーん……ぺティグリューがうるさくないのかしら」

ハニー「……むしろ、パパは注目されるのを楽しんでる?」

ハニー「……? 何故だか、湖の方をチラチラみているし……何かあるのかしら。オオイカ豚?そういえばさっきそんな話が……」


シリウス『気はすんだか?いい加減やめろよ、それ。ワームテールが興奮して漏らしっちまう前に』

ピーター『も、漏らすって、ひどいなぁ』

シリウス『君も言ってやれ、ムーニー。読書の邪魔だって』

リーマス『僕は別に。いつものことじゃないか』

ジェームズ『分かった、分かった。君が気になるならやめてあげよう、パッドフット』


ハニー「……」


ジェームズ『君は随分と退屈そうにしているけれど、それじゃ、何か見つかったかい?え?どこを見てるのかと思ったら、品定めか?いや、君の場合は選ばれる側か』

ピーター『パッドフットは風に吹かれてるだけで様になるもんね……』

リーマス『趣味:カッコつけること。特技:ポイ捨て』

シリウス『やめろ』

115: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/26(日) 02:33:32.20 ID:ptfAGYCD0
ハニー「……ポイ捨てはいけないことだわ。戻ったら、シリウスによく言っておかないと……お掃除するのは私になるのに……いいえ、別に、そうね。他の人で、いいえ、ちが……」


シリウス『退屈だ、まったく。満月だったらいいのにな』

リーマス『そりゃいい、もっと楽しめるように噛んであげよう。さっ、腕を出しなよ」

シリウス『ほんの冗談さ』

ジェームズ『君はたまーに冗談の境界があやふやだな、パッドフット』

ピーター『あと、犬と人間の境界も』

シリウス『食べ方が随分とネズミらしくなった君に言われたかないね、ワームテール』

リーマス『「変身術」の試験がまだ残っているんだ。そんなに暇なら、僕をテストしてくれよ。ほら、教科書だ』

シリウス『ふんっ、そんなくだらない本は見るまでもないだろ?全部知ってる』

ジェームズ『僕の友人らしい頼もしい言葉だね、あぁ……おっと、パッドフット。もしかすれば、これで楽しくなるかもしれないぜ……あそこにいる奴を見ろよ』

シリウス『なんだ?君そっくりの子供でも――あぁ、いいぞ』

ハニー「! シリウスの目……猟犬みたいに、ギラギラして、っ、私を見てる!?ちょ、どうし、あぁ、どうすれば――」

シリウス『スニベルス<なきみそ>だ』

ハニー「? それって、確かスネイプの……あぁ」


スネイプ『……』


ハニー「スネイプが、立ち上がったのね。あっ……まずいわ……ここから、離れたら。パパたちの話が……?」

ピーター『また!あんなところで何してたのかな!ねぇリーマス!ねっ!』

リーマス『……あぁ、そうだね。終わったら言ってくれるかい。僕は、復習を続けてるから』

ハニー「……なぁに?ぺティグリューのこのワクワクしてる顔……リーマスは……ページをめくってはいるけれど……読んでるようには、見えないわ。顰めた顔で……いまから、何が……?」


ジェームズ『スニベルス! 元気か?』

スネイプ『――っ!!』

バッ!!!

ハニー「!? スネイプ、杖を!?呪うつもり……パ――」

『エクスペリアームス!武器よ去れ!』

ハニー「! ……え?」

スネイプ『ぐっ、くっ……』

ハニー「どうして、スネイプの杖が、吹き飛んで……あっ」

ジェームズ『おいおい、なんだい?僕はただ声をかけただけだっていうのに、随分な反応だなぁ』

ハニー「パパの手……いつの間に、杖が」

スネイプ『っ、杖、を……!』

バッ

シリウス『「インペディメンタ、妨害せよ」』

スネイプ『っ!~~~~っ!!』

ハニー「あ……妨害の呪いをかけられた、スネイプが……杖に飛びつこうとした格好のまま、固まったわ』

ザワザワザワ
 ワイワイワイワイ  
ポッターだ! スネイプだ
 クスクスクスクス

ハニー「…………」

119: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/26(日) 02:51:09.17 ID:ptfAGYCD0
ジェームズ『試験はどうだった、スニベリー?』

シリウス『こいつ、羊皮紙に鼻をくっつけてたぜ』

クスクスクスクス

シリウス『おまけに髪の毛も。油染みだらけの答案じゃ、先生方も採点が大変だろうね」

ドッ! ハハハハハハハハハ

ハニー「……いつの間にか集まった人たちが、笑ってる……スネイプ、スネイプは……そうね、何度か聞いてたわ。嫌われ者だった、って……」

ピーター『アッハハハハハハハハハハッ!ひっどいや、そんな羊皮紙、僕なら触りたくないなぁ!』

リーマス『……』

クスクスクス

スネイプ『っ、うっ、ぐっ……』

シリウス『おやおや、無理に動こうとするなよ、スニベリー。まるで生まれたての小鹿のようだ』

ゲラゲラゲラゲラ!

ジェームズ『僕個人の意見としては、そのたとえは不快だからやめてほしいね』

スネイプ『っ、くっ、今に、みてろよ……!』

ジェームズ『うん?』

スネイプ『覚えてろよ――絶対、絶対に』

シリウス『なにを?』

スネイプ『っ、っっ』

シリウス『何をするつもりなんだ、スニベリー?え? あのフォイフォイうるさい先輩からの入れ知恵か?それとも君が献上した何やら素晴らしいものでも食らわせるのか?やってみろ  あぁ、それともただ単に鼻でもひっかけるつもりなのかな』

スネイプ『っっ、この、魔法界の、汚点、ども! くそ、くらえっ! 失神!!クラゲ足!!! 結膜炎!!セクタムセンプラ!!』

ピーター『アハハハハハハハ!杖も持ってないのに、何言ってるんだろ!』

ゲラゲラゲラゲラ!!


ジェームズ『口が汚いぞ。特に最後のはなんだ?虫唾が走るな、君の趣味は。少しは綺麗にしたらどうだ――「スコージファイ、清めよ」』

スネイプ『ぐっ、もがっ、ごぼごぼごぼ、ごほっ、ごはっ、ごぼごぼごぼごぼご』

ハニー「……スネイプの口から、泡が……」


ハハハハハハハハハハハハハ!!!
 ヒーーー!ヒーーー!!
  ゲラゲラゲラゲラ!!!

ハニー「……みんな、笑ってる……でも、こんなの。こんなの、って」

ハニー「~~っ、やめ――」


『やめなさい!!!!』

ハニー「!?」

スニベルス『ごぼごぼもがもがっ、っ!っ!!!』

ジェームズ『僕の髪どうかなパッドフット!!』

シリウス『あぁ!今日もくっしゃくしゃだ!いいぞ!最高だ!』

ジェームズ『ありがとう、当然だけれど!   やぁ、エバンズ。元気かい?』

リリー『えぇ、ついさっきまで。あなたの顔とその気取った声を聞く前は、ね!』

ハニー「……ま……ママ……!?」

123: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/26(日) 03:09:36.17 ID:ptfAGYCD0
ハニー「嘘みたい……歳も同じだもの、そうだろうとは思っていたけれど……本当に、私そのままだわ。鏡を見てる気分」

ハニー「あぁ、でも……目、目だけは、違うわね。信じられないくらい、深い緑色……綺麗だわ」

ハニー「……スネイプを、庇ったの?」

リリー『彼に構わないで。彼があなたに何をしたというの?』

ジェームズ『うーん、そうだな。むしろ、こいつが存在するって事実がもう、ね』

シリウス『あぁ、そりゃ違いない、っく、っふ』

ピーター『ハハハハハハハッ!』

ゲラゲラゲラゲラ!

リーマス『……』

ジェームズ『そいつがいるってのは、あれさ。僕が心底愛犬家だったとして』

シリウス『やめろよ気持ち悪い』

ジェームズ『大きな意味では間違っていないけれどね。まぁいいさ。そんな僕の前で「犬八つ裂き大好きショー」に所属してるようなもんさ。言ってる意味、分かるかな?』

リリー『なぁに、それ! だからって、あなたが「今」やってるのは!傲慢で胸糞の悪いだたの弱い者いじめよ! もう一度言うわ、彼にかまわないで!』

ジェームズ『そうだな、エバンズ。僕とデートしてくれたらやめるよ』

リリー『はぁっ……!?どうして、そういう話になるのかしら!意味が分からないわ!!!!!!!』

ジェームズ『いいや、分かるさ。どうだい?君が僕とデートしてくれたら、二度と親愛なるスニベリーには杖を上げないのだけれどね。僕の方からは。だいたいいつもそうだけれど』

リリー『~~~っ、ふーーーーっ。ふざけないで。あなたかオオイカのどちらかを選ぶことになっても、あなたとはデートしない』

クスクスクスクス
 
ジェームズ『……また君かオオイカ!!!どこが、どこがいいのさ!!!あんなのの!!』

リリー『……柔軟性?』

ジェームズ『……パッドフット、君の肉球を僕に別けるつもりはあるよな?』

シリウス『肯定で呼びかけるよのはやめてくれるか』

128: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/26(日) 03:27:24.70 ID:ptfAGYCD0
スネイプ『ゴボゴボ、ゴボ……「ゴボゴボ、ゴボ!」 っはぁ、はぁ……』

ハニー「もしかして、さっきパパが書いてたのって……あぁ、スネイプが自分の杖で、泡を止めたわね。いつの間に」

シリウス『残念だったな、プロングズ……おっと!」

スネイプ『――っ!』

バーーーンッ!!

ハニー「!閃光が……あっ、あぁ! ぱ、パパ……!」

ブシャァアッ!!ダラーーーーッ

ジェームズ『……』

リリー『!? ぽ、ポッター! 頬、ひどい出血、ちょっと、せb――』

ジェームズ『僕が一番大嫌いなのは、だ』

スネイプ『っ、エクスペリ――』

バーーーンッ!!!

ジェームズ「卑怯の塊な不意打ちと、楽しい時間を邪魔される事。それに――闇の魔術だ。セブルス・スネイプ、君は今その全てを破ったんだ」

スネイプ『ぐっ、くっ、お、おろ、せっ!!!』

ジェームズ『少しの恥で終わると思うなよ? おやおや、随分上等なパンツだな、え!?』

ゲラゲラゲラゲラゲラ!!
 ヒーーー!ヒーーーー!!!!
ウエーッ! いいぞいいぞーー!

ピーター『アッハハハハハh、ハハハハh、アハハハハハハハハハッ!!』

リーマス『……っく』

ハニー「…………」

リリー『ふっ、ふふっ、くっ、やめ、やめなさい!下ろしなさい!!』

ジェームズ『承知しました。下ろせばいいだね?』

グンッ、ベシャッ!!

スネイプ『ぐぅっ、くっ、っそ!「セク――』

シリウス『同じことをさせると思うか?「ペトリフィカストタルス、石になれ」』

スネイプ『』

ジェームズ『いいぞ、相棒』

リリー『やめなさいって言ってるでしょう!?』

ジェームズ『あー、エバンズ。君に呪いなんてかけるつもりはないよ、大丈夫。大丈夫だから落ち着いて』

シリウス『いや、プロングズ。ここはむしろ杖を持っておいてもらった方がいい。それに少し離れよう、射程範囲だここは』

リリー『何のことかは分かるわよ!頬にママのキスより熱いものをくらいたくなかったら、早く呪いを解きなさい!』

129: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/26(日) 03:46:10.52 ID:ptfAGYCD0
ジェームズ『分かった、分かったよ……ほーら。「~~~~~」』

スネイプ『……』

ジェームズ『スニベルス。エバンズが居合わせて、ラッキーだったな――』

スネイプ『……こんな汚らしい「穢れた血」の助けなんて、必要ない!』

リリー『――ふーーーーーん?』

ジェームズ『!!お前!!!!』

リリー『結構よ。これからは邪魔しないわ、「スニベルス」 それに、パンツを洗濯したらどう?また見せびらかすつもりならね』

ジェームズ『エバンズに謝れ!謝らないと、その髪ごと毟り取る呪いをかけるぞ!!!』

リリー『あなたからスネイプに謝れなんていって欲しくないわ! あなたも同罪じゃないの!』

ジェームズ『えっ?……えぇっ?ど、どうしてさ!?僕、ぼくは、一度だってきみに、ほら、その、あの、なんとかかんとかなんて!』

リリー『かっこよく見せようとして髪をクシャクシャにしたり!スニッチをみせびらかしたり!自分よりできない人を小ばかにした態度をとったり!!』

ジェームズ『……うぅ』

リリー『授業が分かるからって手をぬいたり!!そのくせ試験ではいい点をとって!!!また人をバカにして!!!!』

ジェームズ『……』

リリー『呪いが上手いからって悪戯に使ったり!いつも騒ぎ立てて!!いい迷惑だわ!!!いっつもいっつも気づいたらそこにいて!!!』

ジェームズ『……?』

リリー『思い上がりの頭でっかち!そんな頭でよく箒が離陸できるわね!あなたを見てると、あなたを、見てると……っ!!』

ジェームズ『……』

リリー『動悸、息切れ、吐き気がするわ!!!!!ふんっ!!!!』

タッタッタッタッタ……

ジェームズ『……』

シリウス『……』

リーマス『……』

ピーター『……』

スネイプ『……』

ハニー「……」

ジェームズ『僕って……あそこまで……嫌われてるのかぁ』

シリウス『!?……あー、まぁ、どうやら頭でっかちっていうのは正しいようだな、うん』

ハニー「……眼鏡が合ってないのじゃないかしら、ここまでくると」

135: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/26(日) 03:56:43.81 ID:ptfAGYCD0
ジェームズ『なんだい、僕がせっかく。あー、スニベルスの侮辱に、そうだな。怒った?のに。全く』

シリウス『そうだな、あぁ。珍しいことだ』

ジェームズ『それで?なんだい、彼女は……僕の何がいけないって? どうだっていいけれどね。まったく』

シリウス『っ、っふ、そうだな、友よ。つらつら行間を読むに、彼女は君がちょっと自惚れていると思っておる』

ジェームズ『よーし……そうか。もう頭にきたぞ……よーし』

バーーーンッ!

スネイプ『!? くっ、また、逆さづり、この……!』

ハニー「! ど、どうしてまた、そんな……もういいじゃない!もう、これ以上なんて、いいえ、もっと前、から!」

ジェームズ『おーい、みんな集まれよ!』

ハニー「こんなの、ただの……八つ当たり、じゃない……!!」

ジェームズ『誰か、今から僕がスニベリーのツンパを脱がせるのに賛成の人――』





ガシッ!!

ハニー「もう、もう……っ、痛っ、なによ、はな……痛い?そんなはず……」

スネイプ「………………」

ハニー「……ぅ、ぁ」

スネイプ「楽しいか?」

グンッ

グルングルングルングルン……

137: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/26(日) 04:03:13.73 ID:ptfAGYCD0
地下牢教室

ドサッ!

ハニー「……ぁの」

スネイプ「……すると?」

ハニー「あ、の……腕、痛……スネイプ、その、スネイプ、先生」

スネイプ「すると……お楽しみだったわけだな、ポッター?え?」

ハニー「い……いいえ……」

スネイプ「お前の父親は愉快な男だったな?え?ポッター。みんなの言う通りだったろう?え?その目で見てきたのだろう?その、目で!!」

ハニー「あの……わた、っ、わたし、は、そう、は……っ、っ」

スネイプ「……何故貴様が泣く」


スネイプ「泣きたいのはこっちだ!!!!!!」

ハニー「っ、あの、ごめ、ごめんなさ」

スネイプ「ここで見たことは誰にも喋るな!!!!」

ハニー「っ、それは、えぇ、それは、もちろん、そう、わたし――」

スネイプ「出て行け!!出るんだ!ここでもう二度とその目を見たくない!!!出て行け!!!!!」

ハニー「!」

ガシャーーーーン!!パリーーーーーン!!!

スネイプ「とっとと出て行け、ポッタぁあああああああああ!!」

ハニー「っ、し、失礼、します!」


ガチャッ! バタンッ!!!!


ハニー「…………」

138: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/26(日) 04:12:39.84 ID:ptfAGYCD0
グリフィンドール談話室

ロン「だから、あのバッジをさぁ……あっ!おかえりハニー!あー、えっと?ボサボサの髪でも、君はステキだね……?」

ハーマイオニー「バッジに権限があるわけじゃないわよ、だから、マルフォイに『生きる屍の水薬』を……は、ハニー!?その格好、どうしたの!?」

ハニー「……」

ロン「ま、まさか!あのスネイプ野郎に何かされ……うわっ!?」

ハーマイオニー「辞職じゃ済まされないわ辞生だわそんなもの……きゃっ!?」

ハニー「っ、っぅ、っ……」

ロン「……あー、ハニー?そうだね、僕は君のサンドバックだからさ。うん、思いっきり締め技しても構わないよ、もちのロンで」

ハーマイオニー「……何があったの、ハニー。あの、胸なら貸すわ。いったい……?」

ハニー「怖い、の……悲しいの……ううん、スネイプのことじゃないわ……怒鳴られたことや、死んだゴキブリの瓶を投げつけられたことじゃ、なくって」

ロン「それはそれで聞き捨てならないけどさ」

ハーマイオニー「ハニー……あなたが、怖い、って?」

ハニー「見物人の真ん中で、あんな目に合わされるのが……どんな気持ちか。あざけられた時、どんな、気分か……わたし、知ってるの。わたし、わたし……」

ハニー「わたしの、パパが……」

ロン「……うん」

ハーマイオニー「……えぇ」

ハニー「……色んな事情はあって、も……ひどい人、だったの」

ロン「……えっ?」

ハーマイオニー「……うん?」

ハニー「ぐすっ、うっ、っぅ、クズ、だったのぉ……っ、っっぐすっ、うぅぅぅっ」

ロン「……落ち着くまで待とうか」

ハーマイオニー「……もちのあなただわ」

177: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/27(月) 21:22:02.55 ID:htjJWHVn0
金曜日

談話室

ロン「それでさ、ハニー。僕は思うんだよ、OWLまであと六週間もあるんだから、復習よりもまずは君を崇め奉る準備とかそううのをどうか、ってね。いつものことだけど……」

ハニー「……えぇ、そうね」

ハーマイオニー「……あー。ハニー?そういえば、チョウとはどうしたの?もしかして、あのマリエッタって子のことで揉めた、とか……」

ハニー「……えぇ、そうね」

ロン「……上の空だなぁ。ハニーに流されるなんて新鮮すぎて口からナメクジ吐きそうようするに死にたい」

ハーマイオニー「無視というか……また、何か考え事で聞こえていないというところでしょ。もう……ねぇ、ハニー。あなたの、お父様は――」

ハニー「……パパの話はしないで」

ハーマイオニー「……あなたがそのことで悩んでいるのに?お断りよ」

ロン「えーっとさぁ、ハニー。昨日何を見たとしても、これまでハグリッドやらリーマスやらスナッフルやらは、君のご両親は素晴らしい人だったって何度も言ってただろ?」

ハニー「……友人の贔屓目で、それに、娘の私に気を使っていたとしたら?」

ハーマイオニー「あー、マクゴナガルも、フリットウィックも。とっても優秀だった、と言っていたじゃない?」

ハニー「……手を焼かされた、とも、ね」

ロン「でも、あー、ほら。スネイプの野郎も色々――」

ハニー「……最後の方は私怨になっていたわ。それに――どんな理由があっても、あんな……」

ハーマイオニー「でも……お母様は結局、あなたのお父様と結婚したわけじゃない?きっと、そんな一面以外にも……」

ハニー「……これまでずっと、パパに似てると言われると誇らしかったわ」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

ハニー「……私の、わたしのやっていたことは間違ってないんだ、って。変わったわたしは――パパのようになれるんだ、って」

ハニー「……今はもう。考えたくもないの。この話はおしまい。いいわね?」

ロン「君がそう言うなら。えーっと、それじゃ君の素敵なところを千個くらいあげていこうかな。ハーマイオニー、君から、どうぞ」

ハーマイオニー「えっと、目がきれ――やらせないで」

180: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/27(月) 21:38:20.83 ID:htjJWHVn0
日曜日

図書館

ハニー「……ロンはクィディッチの練習……ハーマイオニーは、古代ルーン文字学の質問をしに職員室」

ハニー「この私を一人にするだなんて。まったく。まったく……」

ハニー「……二人には、パパのことを話さないでって前に言ったけれど」

ハニー「私一人だと、また、あの記憶のことを考えてしまうわ」

ハニー「パパは……スネイプを攻撃するだけの、理由があった。そう、思いたい、けれど」

ハニー「……何があっても……あんなこと」

ハニー「……あんな、酷くて、惨めな事」

ハニー「……」

ハニー「……ママは、ちゃんとした人だった。私に、そっくりで……」

ハニー「……もしもママが私と同じで……あんなことをするパパが許せないのだとしたら」

ハニー「パパの他の一面のことをどう想っていたにしろ……結婚なんて、考えないはずだわ」

ハニー「……」

ハニー「パパは、変わったの?それとも……ママに無理やり、迫って――」

ハニー「……考えすぎよね。でも、私――わたしは、二人について殆ど知らないんだもの」

ハニー「これまで聞いて来たことも……たったあれだけの否定する情報だけでひっくり返される、くらいに」

ハニー「知らないと、いけないわ……そのためにも」

ハニー「……そのため、だけ、だけれど」

ハニー「……」

ハニー「……シリウスに、会いたい、な――」



ジニー「ハァイ、ハニー!!!」

ハニー「!? じ、ジニー!?あっ、あー、あなた、練習は!?き、聞いていないでしょう……?」

ジニー「さっき終わったの。ロンがスローパーに付き添って医務室に行かなくちゃならなくなったから、あなたに伝言を。聞く?なにを?」

ハニー「そ、そう。ロンは気配りできるわね、褒めてあげないと……いいえ、なんでもないのよ。なんでも――」

ジニー「それで、あなたがあの憎いオオイヌ座のところへ飛んでいきたいっていう話なんだけど」

ハニー「ジニー」

ジニー「ヒンヒン!なに?ハニー!」

ハニー「マダム・ピンスに『ここの本をヤギになった兄が食べてしまいました』って言ったら、どうなるかしら」

187: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/27(月) 22:09:57.01 ID:htjJWHVn0
ジニー「『医務室をインクと血で染めて来ましょう』って」

ハニー「すぐ傍にマダム・ポンフリーがいるから、きっと無事でしょう。心配ないわ」

ジニー「頑丈だものね、ロンは。豚一同が引くほど」

ハニー「私の豚だもの、そのくらいは当然、そうでしょう?見習いなさい?」

ジニー「えぇハニー!ヒンヒン!  で、スナッフルの話ね」

ハニー「……私のペースに従わない豚は嫌いよ」

ジニー「ごめんなさいハニー!でも、ロンも似たようなものじゃない。それに、ロンじゃなくってもこのところのあなたの気が滅入ってるのは分かるわ」

ハニー「……」

ジニー「本当は、これを届けて元気付けてあわよくば褒められよう、って思ったの。あ、ついでに今渡すわね。はい、これ。ママからのイースター・エッグ」

ハニー「……ありがとう。包みに大きく『高等尋問官閲覧済み』の走り書きがなければ、もっと喜べたのだけれど」

ジニー「大丈夫、あのカエルが触ったであろう包みはしっかり洗浄しておいたわ。このチョコでも食べて元気をだして、って、思ったけど……チョコよりも甘いひと時がいいみたいね」

ハニー「……甘いのは嫌いよ、知らないのなら教えてあげるけれど。それに――さっきのは、ただの呟き。それだけよ」

ジニー「どうして?」

ハニー「ここに書かれてるのを見たでしょう? ふくろう便はアンブリッジが目を通すわ。それに、暖炉も見張られているの」

ジニー「……」

ハニー「……どうやったって無理なのよ。シリウスに会うのは」

ジニー「……昔、このママが作ってくれるイースター・エッグのことで、喧嘩をしたことがあるの」

ハニー「……?」

ジニー「うちは、こんなに大人数でしょう? 私が子供の頃にもらったイースター・エッグは、とっても小さくて。それでも嬉しくて、ママとのお買い物に着いていくときも持っていたら」

ジニー「近くに住む怖いマグルの大人に笑われたの。貧しいと、下の子まで用意するのは大変だな、って」

ハニー「……」

ジニー「ママは全然気にしてなかったけど。わたしはとっても悔しくって、家に帰って泣いていたら……フレッドとジョージが、すっごく大きなタマゴ形のチョコをもってきて」

ハニー「……」

ジニー「……中から、泣いて私に謝る件のマグルの声が聞こえるまでは、喜べたわね、えぇ」

ハニー「昔からえげつないのね、あの二人」

ジニー「割と。でもね、二人と暮らしてて良かったって思えるのは、度胸さえあれば何でも出来るんだ、って思えることなの」

ハニー「……」

ジニー「……あなたならきっと、なんとかできるわ。だって、私達のハニーだもの。ねっ、チョコを食べて、考えてみない?とっても美味しいのよ、ママのチョコは。あっ、中にフィフィ・フィズビーが入ってる」

ハニー「……」

パクッ

ハニー「……私のは、中に……あぁ」

ジニー「あっ。ママったら気が利く。犬の形の、ビスケットね?」

ハニー「……ふふっ。ねぇ、ジニー」

ジニー「ヒンヒン!なぁに、ハニー!」

ハニー「あなたって本当、いい女豚になったわね」

ジニー「! 光栄だわ、ハニー!ヒンヒン!!!」


マダム・ピンス「……図書館でチョコを食べる不埒者がいるのはここですか」

ハニー「……」

ジニー「……」

ロン「ま、ごふっ、マーリンの、髭……ハッ!ジニー!ハニーを連れて逃げろ!こいつは僕が食い止めゴフッ!!ま、マー髭!!!!!」

190: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/27(月) 22:37:24.14 ID:htjJWHVn0
イースター休暇最終日

談話室

フレッド「ってぇわけで、我らが愛すべき妹・ジニーからの頼みでね」

ジョージ「我らが獅子寮の愛される女王様をお手伝いをしてあげよう」

ハーマイオニー「……今は大事な『進路』についての資料を見ているところだから、物騒な話題はやめてもらえるかしら」

ロン「いいじゃないか、どうせ僕も君もハニーのとこに永久就職なんだから」

ハニー「ハーマイオニー。私がジニーに相談したことだから、聞いてくれる?」

ハーマイオニー「……私達じゃ相談するに値しないということかしら」

フレッド「責めてやるなよ才女様、どうせ今晩攻められるのは君だろうけども」

ジョージ「ハニーは君に言えば反対されるに決まってると思ったんだろ、あぁ」

ハニー「……シリウスと話をしたいの」

ハーマイオニー「……はぁぁ。言うと思ったわ」

ロン「もちのロンでね」

ハニー「……なぁに、それ。まるで私が、分かりやすいとでも言いたげね?」

ハーマイオニー「だってそうじゃない……予想はしてたわ。でも、バカなことは言わないで。アンブリッジに暖炉もふくろうも封じられているのに、どうやって……」

ジョージ「まぁ、そのくらいは難なく回避させられると思うね。俺達なら」

フレッド「俺達はこのイースター休暇の間、随分と大人しくしてただろ?」

ハーマイオニー「気味が悪いほどにね」

フレッド「僕らは考えたのさ。この試験間近の大事なイースター休暇中、わざわざ城を混乱させる意味があるのか?と」

ジョージ「僕らは自問し、自答したね。そんなもんに意味はない。みんなの学習の妨げになるのは本意じゃないからな」

ハーマイオニー「へぇ……あなたたちにしてはとっても関心な考えだわ」

フレッド「しっかーっし、明日からは平常運転だ。あのカエルを困らせる大混乱の阿鼻叫喚、伏魔殿な地獄絵図に仕立てなくてはならんのだ」

ハーマイオニー「関心を返して」

ジョージ「で、だ。せっかくちょいと、いや、もんのすごい騒ぎを起こすなら、ハニーが愛しいお犬様と話が出来るようにしてやろう、って」

ハーマイオニー「……あなたたちが騒いで、気を逸らしている間に。そういうこと? 何度も言うわ。そんなことをしても、スナッフルと連絡をとる手段そのものが……」

ハニー「……アンブリッジの部屋よ」

ハーマイオニー「……え?」

ハニー「アンブリッジ本人……本蛙?が言っていたわ。アンブリッジの部屋の暖炉だけは監視されていない、って」

ハーマイオニー「……気は確か!?……きゃぁ!?」

ハニー「えぇ、そうだと思うのだけれど。そうね。なんならあなたと一緒に気をやれば、もっといい案でも浮かぶのかしら……」

ハーマイオニー「ちょ、っと、ハニー! 今、そういう、そういうのはズルいわ、そんな、こと、あぁ、ハニー。そんな、『アンブリッジの部屋』のようにピンク色の思考にされて、しまったら……反対、でき、あぁ……」

ロン「つづけて!」

花火『どうぞ!』バチバチバチバチ!

フレッド「こいつは一番需要がありそうだなぁ」

ジョージ「主にロンとかネビルとかにな、あぁ」

195: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/27(月) 22:54:11.22 ID:htjJWHVn0
ハーマイオニー「フーッ、フーッ、染まらないわ!流されないわよ!絶対反対なんだから!」

ロン「いや流れるようにソファに倒れこんだ君が言ってもね」

ハーマイオニー「黙って! オホン! 第一ね、ハニー。どうやってアンブリッジの部屋に押し入るというの?あの人は絶対、アロホモラも封じる保護をかけているはずよ?」

フレッド「君の扉はハニーの前じゃ常時開いてるらしいがね」

ジョージ「情事の時は閉めとけよ?ジョージからのお願いだ」

ハーマイオニー「上手くないわよ黙ってなさい!!」

ハニー「鍵のことなら、問題ないわ。シリウ、スナッフルのナイフがあるもの」

ハーマイオニー「スナッフルの、ナイフ……?」

ハニー「去年もらった、クリスマスプレゼント。どんな結び目でもほどけて、どんな扉でも開けるの。これなら、アンブリッジの部屋に入れる」

フレッド「おやおや、流石は大先輩。いいものもってるなぁ」

ジョージ「元祖悪戯仕掛け人の持ち物は羨ましいねぇ、あぁ」

ハーマイオニー「っ、ロン!あなたはどうなの!?」

ロン「? 僕?」

ハーマイオニー「そう、あなた!ハニーのためを思うなら、こんな危ない真似は……」

ロン「ハニーがそうしたければ。ハニーの問題だろ? それに僕は」

ハーマイオニー「っ、そう!聞くまでもなかったわね!あなたはハニーの……」

ロン「あぁ、僕ぁハニーの一番の豚だからね。ハニーの悩みがそれで晴れるなら、ハニーを応援する」

ハーマイオニー「……」

フレッド「いいぞ、ロン。さすが真の豚、そしてウィーズリー一族らしい答えだ!このやろう!」

ジョージ「いつの間にかでっかくなっちまって。ロニー呼ばわりは卒業だな、え?この一番豚!」

ロン「ハニー以外が豚って、痛いっ!肩叩くなよこの、痛っ!マーリンの髭!」

198: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/27(月) 23:04:00.02 ID:htjJWHVn0
ハニー「……ハーマイオニー、あなたがとっても私のことを心配してくれているっていうのは分かってるの」

ハーマイオニー「……当たり前でしょう」

ハニー「えぇ、そうね。だって私のあなただもの。でも、ね。分かって欲しいの。私……わたしは」

ハーマイオニー「……ふーっ。えぇ、ハニー。分かってるわ、分かってますとも。でも、これだけは約束して。マズいと思ったら中断して、すぐに引き上げること。いいわね?」

ハニー「……うん」

ハーマイオニー「それじゃ、詳しい計画を立てましょう。そこの双子、何をしでかすおつもりなのかまで、しっかり説明してもらうわよ」

フレッド「おいおい才女様、そりゃないぜ。悪戯はいきなりだからいいんだろ?」

ジョージ「せっかくの種を明かすなんて、仕掛け人のプライドが許されないね!」

ロン「おいよせよ二人とも、いくら二人でも……」

ハーマイオニー「説明して、もらうわよ?」

フレッド「……はい、ママ……いや、ハーマイオニーさん」

ジョージ「分かったよ、母さ、いや、ハーマイオニーさん」

ロン「言っただろ……ハーマイ鬼ーはママそっくり……いや、いや、なんでもないよ。もちのロンで」

201: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/27(月) 23:27:11.14 ID:htjJWHVn0
月曜日

『魔法薬学』

ハニー「今日の放課後、このコマが終わった後の五時ピッタリに二人は仕掛ける。そうだったわね?」

ハーマイオニー「生徒みんなが廊下に出てる時間帯に一番効果があるものね、あの悪戯は……広げすぎないといいけど」

ロン「泳ぎに自信のない豚には浮き袋でも用意してけって伝えておいたよ。連絡網、いや、連絡ヒンで」

ハーマイオニー「なんだかほんと、わざわざ双子の呪文とかかけて用意したあの金貨がバカみたいで……あっ、スネイプが来たわ。喋るのはやめましょう……」

ハニー「……いいえ、大丈夫よ」

スネイプ「……」

スタスタスタスタ

ハニー「あの人、私のことを徹底的に無視する方針に変えたようだもの」

ロン「あんにゃろ、ハニーをシカトなんて屠殺もんだぜまったく!ヒンヒン!」

ハニー「いいのよ。実際、今までのようにネチネチと嘲られたりするよりずっとマシね」

ハーマイオニー「言われてみれば……いつもより作業がしやすいわ」

ロン「ついでにあの野郎が城から透明になって消えっちまえばいいのになぁ」

ハニー「……悩まなくてありがたくなるわね、えぇ。さっ、『強化薬』はこれで完成……スネイプのところに、提出してくるわね?」

ロン「あぁハニー!僕が代わるよハニー!今のあいつに君が近寄ったら何されるか!マー髭もんさ!」

ハーマイオニー「あなた攪拌中でしょ手を離さないの! ハニー、それじゃ、大鍋の中身は綺麗にしておくわね? あそこへ行くための準備もあるでしょうし」

ハニー「お願いね……スネイプ、あー、先生」

スネイプ「……」

ハニー「出来た、いいえ。出来ました。ここに……?」

スネイプ「……」

ハニー「……置いておくわ……それじゃ」

クルッ

パリーーンッ!

ハニー「!?」

スネイプ「おっと……フラスコが落ちてしまったようですな」

ハニー「……これ、今!私が、そこに置いて……」

スネイプ「おやおや、それは災難だ。ポッター、これではまた零点をつけざるを得まい……?」

ハニー「っ、いいわ!まだ、大鍋には……あっ」

ハーマイオニー「……あ、あぁ……ハニー、ご、ごめんなさい、あの……」

ロン「……マーリンの髭」

ネビル「! ハニー! 僕の薬を分けるよ!これを提出すれば――」

スネイプ「我輩の前で不正の提案とはいい度胸ですな、ロングボトム。罰則」

ネビル「明らかにわざと割ってハニーの点を下げた先生に言われたくないね本望だっ!!!!」

ロン「いいぞネビル!漢だ、漢だね君は!豚の中で!!」

206: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/27(月) 23:44:29.59 ID:htjJWHVn0
放課後

アンブリッジの部屋前

ハニー『……どこからも私、はみ出てないわよね。透明マントも、一人なら十分まだ大きいわ』

ハニー『パパの持ち物だった、この透明マント……』

ハニー『……わたしは、まだ、パパと似ていたいと思ってるのかしら』

ハニー『パパは酷い人だった、って……思ったままでいても、本当は何も問題ないわ』

ハニー『正直な話、夏まで待って、普通に会って、その時にシリウスに聞けばいいだけの話だもの』

ハニー『……でも、私は、わたしは今、知りたい』

ハニー『知りもしないのに、パパのことを蔑みたくない。分かりもしないのに、パパに憧れてちゃいけない』

ハニー『ちゃんと、聞かなきゃ……わたしが私であるために』

ハニー『……ダンブルドアは、私がこんなことで掴まったら。怒るかしらね』

ハニー『……その時は、勝手に行ってしまって何を言ってるのよ、って、言い返してあげましょう』

ハニー『……まもなく五時、ね』

ハニー『ロンとハーマイオニーは、グリフィンドール塔。フレッドとジョージにも、私にも、何も関係していないと思わせるために』

ハニー『私が掴まったら、巻き込みたくないもの』

ハニー『……大丈夫。大丈夫よ、わたし』

ハニー『……シリウスに会える、そう、思えば……』


バーーーーーンッ!!!!!
  キャァアアアアアア!!!
ワァアアーーーー!?!? ザワザワザワザワ


ハニー『! 始まったわ……あっ!』


ガチャッ!

アンブリッジ「何事!?また、あの馬鹿げた花火ですの!?まったく、まったく!!!!」

バタンッ、カチャカチャッ!

ボテッボテッボテッボテッ……

ハニー『……行ったわね。 シリウスのナイフを、扉の隙間にいれて……』

スーッ、ガチャッ

ハニー『……さっ、行くわよ。全部全部、確かめなくっちゃ』

207: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/27(月) 23:59:39.96 ID:htjJWHVn0
アンブリッジの部屋

ハニー「……『インセンディオ』」

パチッ ボォオオオオオオオッ!

ハニー「煙突飛行粉は、これね……っ」

パサッ……メラメラメラメラッ

ハニー「……炎が緑色に。これで、いいはずだわ。試したことはないけれど……これに頭だけいれれば、あっちの暖炉に私の、頭が」

ハニー「……慎重にやらないと。ロンは前に移動中のこれに腕を入れて……やめましょう。さぁ」

スッ……メラメラメラメラッ

ハニー「……『グリモールド・プレイス十二番地!』」

ボッ!

グルグルグルグルグルグルグルグルッ……




グリモールド・プレイス十二番地

リーマス「……こんなにも長い手紙……真剣なのは、分かるが……だが、私は彼女には……」

ポンッ

ハニー「……ケホッ、ケホッ……あぁ……リーマス?」

リーマス「……おや、どうやら私は……任務やらこの手紙のことやらで疲れすぎてるらしい。まさか幻覚を見るなんてね……しかも、ハニーの。ははは……これは、彼を笑えない……」

ハニー「リーマス、私よ! 幻覚じゃないわ! それは、私は夢のような美しさでしょうけれど」

リーマス「……君の守護霊はなんだ?」

ハニー「パパよ! そのことで、話があるの! シリウスもいてほしいのだけれど……」

リーマス「……何がなんだか。待っていなさい、今クリーチャーを探しに屋根裏部屋に行ってるんだ。連れて――」

バターーーーーンッ!!!!!

リーマス「――くる必要はなかったようだ」

シリウス「今ハニーの声が聞こえた気がするがこれは私の幻聴か!?それとも鏡をここに起きっぱなしだったか!?え!?」

リーマス「どちらでもないがまずは落ち着くんだ」

ハニー「シリウス!!!」

シリウス「……夢か!?」

リーマス「頭の痛さは悪夢のようだけどね……ハニー、何があったんだい?」

シリウス「あぁ――どうした?助けが必要なのか、ハニー!? すぐにそこへ向かおう、少しつめてくれ」

ハニー「ち、違うの。それはもう望むところだけれど……いいえ、あの。私、話がしたくって……」

ハニー「……パパの、ことで」


209: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/28(火) 00:26:02.56 ID:SLZ12aUm0







リーマス「……」

シリウス「……」

ハニー「……教えて欲しいの。本当のパパが、どんな人だった、のか。私が見た記憶じゃ……その」

リーマス「ハニー、そこで見たことだけで君のお父さんを判断しないであげてほしい。彼はまだ十五歳だったんだ」

ハニー「私だって、十五だわ!」

シリウス「あぁ、分かってる。だがね、ハニー。これだけは分かっていてほしいのだが……ジェームズとスネイプは初めて出会った瞬間から馬が合わなかった。そういう相手がいることは、君も分かるね?」

ハニー「……」

シリウス「それでも、最初は少しからかう程度のものだった。奴とは寮も違ったし、普通にしていればそれほど関わることもない――だが、まぁ」

リーマス「……二人は学校生活を送るにつれ、益々憎しみを大きくしていったんだ。ジェームズは何でも出来た。それを褒め称える者もいれば――妬み、やっかみ、本当の彼はとんでもない奴だと糾弾する者もいる。スネイプが、そうだった」

リーマス「対してスネイプは、闇の魔術にどっぷり浸かった偏屈な奴だと知れ渡りはじめた――入学した頃には上級生の多くより呪いを知っていた。これは前にも話したね?」

シリウス「ハニー、君の目にはどう映っていたにせよ。ジェームズはどんなときも闇の魔術を憎んでいた。それはヴォルデモートを前にしても変わらない、強い想いで……」

ハニー「でも、でも! その時、パパがスネイプを攻撃したのは……シリウスが、『退屈だ』って、言ったからだわ!それじゃ、そんなの――いくら相手が憎むべき人だからって、なんでもしていいってわけじゃ!」

リーマス「……リリーも同じことを言っていたね、あぁ」

シリウス「……自慢にはならないな、うん。私達は若く、退屈を何より嫌ってた」

ハニー「っ、私だって、退屈はきらいよ!でも、その時は何もしていないスネイプに――」

リーマス「……ハニー。こう言ってはなんだが……本当にハッキリと、私達の声が聞こえていたんだね?」

ハニー「! ほんとよ!全部、全部!だから、こうして……!」

リーマス「いや、いいんだ。分かっている、確認しただけだ……おかしいと思わないかい?」

ハニー「?」

リーマス「どうして、スネイプの『記憶』に。本来ならそれなりに距離が離れていたはずの私達の声が残されているのか」

ハニー「……少し、だけ」

シリウス「……あいつは、盗み聞きしていたのか? 趣味の悪い呪文を使って?」

リーマス「そうでなければ、説明がつかない。ハニーが見たのは『スネイプの記憶』なんだ……ジェームズがそれに気づいた上で、私達のことをこそこそと探るスネイプに――あぁ」

ハニー「……」

リーマス「……分かるよ、それでも、やりすぎだ。君のお父さんと、ここにいる今はまるでアレな犬も、当時は何でも出来る学校中の人気者だったんだ。二人が少々いい気になっていた、それは否定しない」

シリウス「……僕らが傲慢で嫌なガキだった、と言いたいんだろう?え?」

リーマス「あぁ、本当にね。だが君たちだけじゃない、私も、あのネズミもだ。私達はみんないい気になっていた――スネイプが嗅ぎ回るところで、彼じゃなくとも誰かに聞かれてもおかしくないところで、あんな会話を堂々としていたのだから」

ハニー「……」

218: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/28(火) 00:55:26.42 ID:SLZ12aUm0
ハニー「パパは――ちょっとバカをしていた。そういうこと?」

シリウス「あぁ、当然あいつはちょっとバカをやった。私達みんな――まぁ、そうは言っても。ムーニー、君はそれほどじゃなかっただろう?」

リーマス「いいや、私もバカだったんだ。一度でもスネイプにかまうのはよせ、と言えたか?君たちのやり方はよくないと言う勇気があったか……?」

シリウス「いいや。ただ、君は時々僕らがやってることを恥ずかしいと思わせてくれた。あぁ、それが大事だった。リリーと同じくな」

ハニー「……この際だから、言ってしまうわ。ママは……ママは本心から、パパと結婚したの?」

リーマス「……ハニー、あれを見ても分からなかったかい?あー、君は、そうだな。割とそういうことには聡い方だと」

ハニー「違うの!えっと、あんな状態のパパとそういう関係になるのは、ママは耐えられないんじゃ、って」

シリウス「あぁ、ジェームズは七年生になると落ち着きだした」

リーマス「高慢ちきが治って、面白半分に呪いをかけるようなことはしなくなった」

シリウス「……もちろん、それさえ治ってしまえばジェームズが理想の男だった、とは言えない」

リーマス「彼はあの時代、そして今でも最悪の闇の魔法使いとして猛威を振るっていたヴォルデモートに反抗していたんだ。言っている意味が分かるかい、ハニー」

ハニー「……」

リーマス「正直に言おう。闇の魔術に傾倒する人間も、わざわざヴォルデモートに反抗する人間も。私達が卒業する頃には『狂ってる』という扱いだった」

シリウス「『勇敢なのと無謀なのは違う!』、行動しない人間の逃げ文句だ……そんなジェームズを、リリーは支えた」

ハニー「……」

リーマス「彼女の愛情を軽んじないでほしい。ハニー、大丈夫だ。君は二人の愛の下で生まれたよ。これは保障する。何せ私達は連日糖蜜パイを吐かされる気分だったのだから」

シリウス「あぁ、全く。僕ときたら骨でも噛んでいないと歯がボロボロになるところだった……だから、ハニー」

ハニー「っ、ぅっ、うんっ」

シリウス「……泣かないでくれ。君は笑顔の方がずっとずっと可愛い」

リーマス「……糖蜜パイが出そうだよ、あぁ」

221: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/28(火) 01:26:29.53 ID:SLZ12aUm0
ハニー「ぐすっ、っ、ママと付き合う頃には……パパは、スネイプに攻撃するのはやめたの?」

シリウス「……その記憶では、私達が一方的に奴をいたぶっていたそうだが。いいかい、ハニー。これは言い訳だが、スネイプの方からジェームズに仕掛けることも多かったんだ。その上で、あー……」

リーマス「……残念ながら、スネイプの方にはむしろ仕掛ける最大の理由が出来てしまったし……いや、それはいいんだ。あぁ、スネイプにやられっぱなしと言うわけにはいかない。ジェームズは、彼にだけはし返したよ」

ハニー「……ママは、そのことは」

シリウス「知らない……はずだ」

リーマス「どうだかね……ハニー、やっぱりまだジェームズが、その、なんだ。クズだと思うかい?」

ハニー「……事情は分かったわ。やりすぎたことを、若かったから、で済ませるのはどうかと思うけれど」

シリウス「……すいません」

リーマス「……ぐうの音も出ません」

ハニー「……驚いたの。まさか、スネイプに同情するようなことがあるなんて……考えもしなかったから」

シリウス「……君は優しいな。あぁ、君のような者が多かったら、私やあいつもあんな真似はしなかったんだろう」

リーマス「人は変われるんだ、ハニー。心を入れ替えることは不可能じゃない。それで、全てが許されるわけじゃない。けど、どこかで折り合いをつけなくてはいけない」

ハニー「……」

224: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/28(火) 01:41:20.59 ID:SLZ12aUm0
シリウス「……ジェームズはいい奴だった。確かにバカをしたし、とんでもないクズだった。思い上がっていた。私も同じくね」

リーマス「だが、ハニー。私にとっては二人とも紛れもない恩人だし、親友だ。私たちからいえるのは、それだけだよ」

ハニー「……えぇ、分かったわ。パパのやっていたことは、許されないと思う。けれど――それだけがパパの全てじゃない」

リーマス「あぁ。スネイプだってそうだ。彼とは色々とあったが、私は今や信用に足る人物だと思ってる。ダンブルドアもそうお思いだろう」

シリウス「……そういえば、全て見られた後のスネイプはどうだった?何かされなかったか?」

ハニー「えぇ、何も……あー、ゴキブリの瓶を投げつけられたりしたけれど」

シリウス「やはりそっちに行こう、奴と話す」

リーマス「落ち着くんだ。あぁ、それはそうだろう。むしろよく杖を上げなかったと少し感心する……」

ハニー「それに、私と二度と顔を合わせたくない、って。だから、『閉心術』の訓練はあれから一度も。きっと今後も、だけれど――」

シリウス「あいつが……なんだと!?」

ハニー「えっ? あー、そうね。それがまるでがっかりすることだとでも――」

リーマス「ハニー、本当か?あいつは君の訓練をやめたのか?」

ハニー「え、えぇ。だけど、問題ないと思うわ。あれから、危険な夢なんて――」

シリウス「ハニー、退いてくれ!そちらへ行って、奴と話す!!あいつめ、あの――」

リーマス「パッドフット、落ち着くんだ!お座り!」

シリウス「やめろ!!」

228: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/28(火) 02:01:16.55 ID:SLZ12aUm0
シリウス「じゃぁどうしろと言うんだ!?誰かがあいつに言わないといけないだろう!?」

リーマス「あぁ、それを言うのは私しかいない! ハニー、君はなんとしても訓練を再開しないといけない」

ハニー「えぇっと、けれど……」

リーマス「私は今学期の始めに君に言ったはずだ、忘れていないね?」

ハニー「……それは、もちろん」

リーマス「じゃぁもう一度約束してくれ。私からもスネイプには話をつける。君も、スネイプに言うんだ。訓練はやめるわけにはいかないと」

ハニー「……でも」

リーマス「でも、じゃない!ハニー!!」

シリウス「ムーニー!そんな言い方はよせ――」

リーマス「いいや、今は言わせてもらう!僕が黙ることで事態を重くするわけにはいかない、もう二度とだ!」

リーマス「ハニー、君が『閉心術』を身につけることは何よりも大切なことなんだ!いいかい、何よりも、だ!」

ハニー「……うん」

リーマス「……分かってくれ。正直……スネイプが訓練を放棄したとなると……彼の身も危ない」

ハニー「……?」

シリウス「……ダンブルドアが怒り狂うな」

ハニー「……それで出てくるなら、とも思うけれど。分かった、約束するわ。私からも、お願いしてあげ、お願いする。けれど、期待しないで。スネイプは、本当に怒っていたもの……あら?」

ドタドタドタドタドタッ!

ハニー「……クリーチャーが、降りてくる音?」

リーマス「……いや」

シリウス「……君の方から、聞こえるようだが」

ハニー「!? 私、戻らなくっちゃ――二人とも、ありがとう!また――夏にっ!」

ポンッ!

リーマス「……無事だといいが」

シリウス「……」

リーマス「……どうしたんだい?」

シリウス「……よりによって、よりによってな頃を見られたものだ、とね」

リーマス「おや。いいじゃないか、嫌われて。そうだな、本当に君達は根っからのクズだった、と言っても良かったんじゃないか?」

シリウス「……嫌われたいわけじゃない」

リーマス「君の色恋ざたっていうのは、何年経ってもイライラさせられるね。パッドフット」

シリウス「そっちこそ、ムーニー」

231: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/28(火) 02:10:46.47 ID:SLZ12aUm0
アンブリッジの部屋

ハニー「っ、ふぅ。戻ってこれた……首、繋がってる、わよね」

ハニー「……じゃなくって! マントを……っ!」

バサッ

ガチャッ!バーーーンッ!

フィルチ「あぁ、先生は鍵もかけず!いいや、それはいいんだ。急げ、急げ!下から二番目の引き出し、先生はそうおっしゃっていた……!」

ハニー『……フィルチ?なぁに、この、嬉しくてたまらないって顔は……』

ガタガタッ ガサゴソ

フィルチ「鞭打ち許可証、鞭打ち許可証……!とうとうその日がきた! あいつらはずっと前からそうされるべきだった!」

ハニー『……鞭打ち、許可証?」

フィルチ「あったっ!あぁ、愛しい許可証!ん~~っまっ!」

ハニー『……書類にキスしてるわ。あれで、何を……鞭打ち……まさか!』

フィルチ「さぁ急げ、急げ!玄関ホールだ、鞭打ちだ!腕がなる!腕が鳴るぞ!」

ドタバタドタバタ……!

ハニー『……フレッド……ジョージ……!?」

234: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/28(火) 02:29:17.40 ID:SLZ12aUm0
玄関ホール

ザワザワザワザワザワ

アンブリッジ「さぁ――観念なさい、ウィーズリーズ!」

フレッド「そうだな女蛙。そこの親衛隊さんたちの殆どに『臭液』を浴びせってやったことだし、そろそろか」

ジョージ「提供者のミスター・ほら貝にはあつい御礼を申し上げるぜ、直接会ってやれないのが残念だけどね」

アンブリッジ「御託はよろしい」


ハニー「っはぁ、はぁ、っ! 二人が、アンブリッジ……それに、親衛隊の輪の中に、追い詰められてる……!あぁ、なんてこと……!」


アンブリッジ「それじゃ、あなたたちは。学校の廊下を沼地に変えるのが面白いことだと思っているのですわね?」

フレッド「あぁ、面白いね。相当に、あんたの顔面と体型くらい」

ジョージ「感謝してくれよな。あんたの住処が増えたじゃないか」

アンブリッジ「お黙りなさい! あぁ、アーガス。持ってきまして?」

フィルチ「あぁ、先生――!ここに、ここに!」

アンブリッジ「はいよろしい――なんだかベタベタするのが気になりますが」

フレッド「てめぇの脂だろうが女蛙」

ジョージ「常に垂れ流してるもんな」

アンブリッジ「お黙り!  と、言うまでもありませんわ。アーガス、持ってきていますのね?」

フィルチ「はい、先生!あぁ、この日を夢見て毎晩手入れをしておりました!」ビュンッ!バチンッ!!!

アンブリッジ「いいでしょう。そこの二人。今からわたくしの学校で悪事を働けばどうなるか、思い知らせてあげますわ」

フレッド「ところがどっこい」

ジョージ「思い知らないねぇ」

フレッド「なーにがわたくしの学校だよ、全く」

ジョージ「そうそ、お前なんて沼地でゲコゲコしてるのがお似合いさ」

アンブリッジ「この……!」


ハニー「フレッド!ジョージ!」


フレッド「おっと、グリフィンドールの女王様――一つだけ質問しようかな」

ジョージ「僕らは君の豚じゃないけど――一度ヒンヒン、鳴いてもいいか?」


ハニー「っ……えぇ……鳴かせて、あげる!!」



フレッジョ「「ヒンヒン!(オーケー、ハニー。君が上手くやれたなら、僕らは本望だ)」」


ハニー「っ……二人、とも……」

241: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/28(火) 02:57:44.51 ID:SLZ12aUm0
アンブリッジ「なにを、勝手なことを――」

フレッド「なぁ、ジョージ、俺達はどうやら学生家業を卒業しちまったな?」

ジョージ「あぁ、フレッド。俺もずーっとそんな気がしてたよ、実を言えば」

フレッド「俺達の才能を、世の中で試す時がきた。そういうことかい?」

ジョージ「全くだ。俺達で笑わせてやろうじゃぁないか。世界ごとな!」

アンブリッジ「この――」


フレッド「アクシオ!俺達の箒よ、こい!」

ジョージ「アクシオ!トランクよ、こい!」


アンブリッジ「んな……ぎゃぁああ!?」

ビュンッ!!

フィルチ「あぁ、校長……うわぁああ!!」

ドターーン!


フレッド「流石は俺達の持ち物だ。どういう登場をすればいいかわかってやがる」

ジョージ「あの二人をなぎ倒して推参仕るとは、飼い主に似るたぁこのことだな」


ヒラリ

フレッド「さてと。またお会いすることもないでしょう、アンブリッジ校長先生様様」

ジョージ「あぁ、お便りも下さいますな。こっちからは大いに送らせてもらうけどね」

フレッド「さてさてお集まりの皆々様方、上の階で実演した『携帯沼地』をお買い求めになりたいならば」

ジョージ「我らが新店舗、『ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ』ダイアゴン横丁店へどうぞお越しを」

フレッド「我々の商品を、この老いぼれババァ蛙を追い出すために使うと誓ったホグワーツ生には」

ジョージ「全商品を特別価格にてお売りいたします!皆様どうぞ、ダイアゴン九十三番地まで!!」

ザワザワザワザワガヤガヤガヤガヤ
 いいぞいいぞーーーーー!!
ふとっぱらーーーーー!

アンブリッジ「この!!何をしてるの、親衛隊!捕まえなさーーーーいっ!!!」


フレッド「さーてと。そんじゃ、おさらばする前に。ヘイヘイ、アーガス!」

ジョージ「お前さんに一つ質問だ。何かお忘れじゃございませんか、ってね」


フィルチ「待て!待て!忘れてる!?それは、お前たちへの鞭打ちだ!!!」


フレッド「おーいおい、このじーさんすっかりボケっちまってるなぁ、おかわいそうに!」

ジョージ「あんたは僕らの前に随分とてこずった奴がいたろ?本当に覚えていないのかい」

トランク ガタガタガタガタッ

フィルチ「なん――な、まさ、まさか……いや、あいつは、消えたはず。そうだ、ずっと前に――」

アンブリッジ「あ、アーガス?何を言っていますの!早く、あいつらを!」

フレッド「おいおい老いぼれババァカエル、あんたも知ってるはずだぜ?え?」

ジョージ「あんたが学生の頃と比べて、何か足りない騒動の源はないか?え?」


ハニー「……?」

244: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/28(火) 03:02:32.20 ID:SLZ12aUm0
フレッド「七年前!そう、僕らが入学したての青二才だった頃!悪戯番長はあいつのものだった!」

ジョージ「僕らは我慢がならなかった!そんで、まぁ。捕まえて、押し込んでやったのさ!ここに」

トランク ガタガタガタガゴトゴトゴトゴト!


フィルチ「うわ――い、いやだ、いやだ!」


フレッド「こいつの発想はえげつなくてね!何度も僕らの生み出す無限の悪戯を手助けしてくれた!」

ジョージ「でもま、こいつはこの城の物さ。名残惜しいが、置いていくのが筋ってものだろう?え?」


フィルチ「いや、いい!!!やめろ!!!いやだ!!!!そいつは、見たくない!!!やめ――」



バカッ!!!



フレッド「あーばよっ!ポルターガイストの――ピーブズ!!!」

ジョージ「僕らに代わって城中を!混沌まみれにしてやがれ!!」



ピーブズ「イーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッヤハーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

パリィイイイイイイイイイイ!!!

 ガシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンン!!!

ウワアアアアアアアアアアアアアア!?!?
 キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!

250: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/28(火) 03:20:52.49 ID:SLZ12aUm0
ハニー「!?な、なに、あれ! あれ――飾りのついた帽子をかぶった……ご、ゴースト?」

ピーブズ「ノーーーーーーンノンノンノンげははははははははあーーーーっひゃははははは!!!!」

ピーブズ「おいおいお嬢さん!!!俺をそんじょそこらの透明お間抜け底抜け足なしどもと一緒にしないでおくれよあっひゃははああああああ!!」

ハニー「きゃっ!?ち、近いわよ!!」

ピーブズ「おぉお!?おおっとその傷!あんたポッターだ!知ってるぜポッティちゃん!ぽっつんぽっちりひーとりぼっちのポッティちゃんよぉ!」

ハニー「っ、別に、今は一人だけれど――」

ピーブズ「あっひゃははははうへへへコエーかいほーーーーれホレホレホレーーーーー!!変な動きだぞーーーー嗚呼ーーーーーっははははははぁああああああああああああ!!」

ハニー「なっ、きもちわる、この、へ、変態!!」

ピーブズ「ぐふぃふぃふぃふぃふぃふぃふぃふぃ!!!褒め言葉だなアーーーーリがっとよぉおおおおおおおおおおおおおお!!」

ピーブズ「シャバだシャバだシャバダバうははははははは!!!!先ずはぁああああっはぁああああ!!ステンドグラス全壊ィィいいいいいっひはああああああああああああ!!」

ガシャアアアアアアアアアアアアアアアン!
  キャアアアアアアアア!!
 
フィルチ「あぁああああ!!げ、玄関ホールの――」

ピーブズ「松明バサァアアアアアアアアアア!!!!」

ブンッ! ボォオオッ!ボォオオッ!!
  ウワアァアアアアアアアア!!

アンブリッジ「や、やめなさ――」


ピーブズ「その火の中にフィルチの事務所につまれまくってた書類バサァアアアアアアアア!!」

メラメラメラメラメラ!

フィルチ「やmどっからどうやってぇえええ!?!?」

ピーブズ「細けぇことは気にするなばあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああか!!あーーーーーーほ!間抜け!お前の父ちゃんにーーーんげーーーーーん!!そっちのあんたはカエルかなんかだぼぉおおおおおけ!!!」

ピーブズ「あっひゃはははははは!!!!!締めはこいつだ!!!!!」


ピーブズ「まず、熱いお湯を用意します」シュンシュンシュンシュンシュン

フィルチ「!?」

アンブリッジ「!?」


ハニー「どっからヤカンを……いいえ、もう、そういう話じゃないわね……」

257: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/28(火) 03:39:25.35 ID:SLZ12aUm0
ピーブズ「フィルターは、そうですね。どうせぶっ掛けるだけなんですからキッチンペーパーで。はぶけるところは省いちゃいましょう」

アンブリッジ「くっ、ふぃ、フィルチ!捕まえなさい!はやく!今なにか不吉な単語が聞こえましたわ!」

フィルチ「で、ですが校長、あいつ、手の届かないギリギリの中空で、おい、こ、この!」

ピーブズ「アホのフィルチのアホ丸出しな顔とアホな言葉はアホアホしいのでシカトしますこのアホ」

ピーブズ「そしてカエルはうるさいので沼に帰れ」

アンブリッジ「こ、このゴースト崩れ――」

ピーブズ「ゴーストじゃねぇとついさっき言ったのに学習能力低いアホカエルはシカトして。豆、豆はこのホグズミートで一番安いお徳用の豆を。アホにかけるにはこれくらいで十分ですアホなので」

ピーブズ「そしてゆっくりお湯をそそいでいって……」コポコポコポコポ……

フィルチ「降りて、降りて来いこの、いや、こ、こなくていい!もう関わりたくない!帰りたい!」

ピーブズ「いやぁアホのフィルチさん、久しぶりの再会じゃねぇか一杯付き合えよ。これから一杯相手してもらうけどよぉ。よーし、淹れた淹れた、なみなみと」コポコポコポコポ……カチャッ

アンブリッジ「上等ですわ!わたくしが、あなたなんぞ!魔法省の権限も駆使して、退治て――」

ピーブズ「ごちゃごちゃうるっせぇえええええええええええ!!そぉぉぉぉぉぉぉおおおおおい!!!」バッシャァァァァァ

アンブリッジ・フィルチ「「あっつぁあああああああああああああぁぁああああ!?!?!?」」

いったああああああああ!!
 いいぞいいぞーーーーーー!!!


フレッド「そんじゃ、校長に管理人さん。今後とも幸あらんことを」

ジョージ「どうか、願わくば過労死する前にお辞めにならんことを」


フレッジョ「「じゃあの!」」

ビュンッ! サッ……

ワアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
 ウィーズリー!ウィーズリー!ウィーズリーーーーー!

ブォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォオオオオオオ!!

ハニー「……ふふっ。寂しくなるけれど……騒がしくなりそうね、ほんと」




ピーブズ「いぇええええええええええええええええあっひゃひゃひゃあああああああああああ!!よーーーし!!フィルチの猫で三角ベースやろうぜえええええええええぐっふぃふぃふぃいいいいいいい!!」

フィルチ「やめてぇえええええーーーーーーー!!!」

283: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/28(火) 16:18:41.82 ID:SLZ12aUm0
数日後

ボーーン!

親衛隊「あ、アンブリッジ校長!二階で大量のクソ爆弾が!」

アンブリッジ「またですの!? 今すぐ行きますわ――」





ボーーーーンッ!!

親衛隊「あ、アンブリッジ校長先生!こんどは『臭い玉』です!」

アンブリッジ「~~~っ!なんとしてでも犯人を捕まえなさいっ!わたくしは――あぁ、また」  ボーーーンッ!





アンブリッジ「や、やっと部屋に戻れますわ――ぎゃぁああ!!!」

二フラー「ガジガジガジガジガジッ」

アンブリッジ「な、なんてこと、なんてことですのこの獣!わたくしの部屋が滅茶苦茶に!!!!あぁあああ!ゆ、指輪に噛み付かないでぇええ!!」





ビーブズ「あーーーーーーーーーーひゃははははぁーーーーーーーっ!!!!」

パリィイイイン!! ガシャァアアアアアン!!
 バリバリバリバリバリッ! バサァアアアアアアア!!

親衛隊1「せ、先生!ピーブズが甲冑を!」
 親衛隊2「先生!ピーブズが地下教室中の蝋燭を!!」
親衛隊3「ピーブズが花瓶を!」 親衛隊フォイ「困るフォイ!」
 親衛隊5「三階が水浸しに!」  親衛隊6「生徒の羊皮紙の山が暖炉に!」

アンブリッジ「あの、ゴースト崩れ!!一体どこn」ビーブズ「後ろだ」

アンブリッジ「!?」 クルッ! ミ_

アンブリッジ「あ、あら?今、まるで真後ろから聞こえたように……考えすぎですわね」 サッ ピーブズ「……」

アンブリッジ「さて、では――」ピーブズ「ハエが食べたいゲコ!持ってくるゲコー!」

アンブリッジ「~~~~~っ、このぉおおおおお!!」 ピーブズ「ワイはゲコや!反吐顔面ゲコや!!」

アンブリッジ「黙りなさいっ!!!この!!出て行け!!うせろ!!!」ピーブズ「ベロベロバーッ!ゲロゲロバァさんへのかーっぱーーっ!!」

アンブリッジ「むきぃいいいいいいい!!!」ピーブズ「キモイので地団駄踏むのやめてくださーぁい」





朝食 大広間

アンブリッジ「……」


ハニー「……痩せたわね、アンブリッジ」

ロン「あれから城中駆けずり回ってりゃそうかもね、あぁ。君のために東奔西走するのは豚のライフワークだけどね」

ハニー「えぇ、そうね。私のために縦横無尽に駆け回りなさい」

ハーマイオニー「フレッド・ジョージの商売は順調のようで、なによりね、ええ」

ロン「派手に出て行ってくれたしね。今のここでの流行語知ってるかい?『ハニーは女神』と『ヒンヒン』以外で」

ハーマイオニー「『ウィーズリーする』でしょ? 平たく言えば学校をやめるということだから、本気で言ってる人はいないでしょうけど。まったく」

ハニー「色んな意味で憧れになったわね、あの二人。ふふっ」

288: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/28(火) 16:47:09.33 ID:SLZ12aUm0
玄関ホール

ハニー「このあたりの惨状はすぐに戻ったわね……二人が沼地にした東塔の六階の廊下は、未だにそのままだったかしら」

ロン「あぁ、フィルチの野郎が渡し舟で運ぶ仕事をしてるよ。おかげで用もないのにそこを通ってこき使う奴が増えたけど」

ハニー「やっぱりあれも、きっとマクゴナガルやフリットウィックなら簡単に消せるんでしょうけれど……」

ハーマイオニー「わざと放っておいているんでしょうね。あの花火の時同じで……いい先生方だわ」

ロン「嫌味抜きにね。アンブリッジに手を貸すくらいなら、格闘してるのを眺めてるほうがマシだもんなぁ」

マクゴナガル「人聞きの悪いことを言うんではありません、ウィーズリー。私もあの沼には困っているのです。いるのですとも」

ロン「はいせんせー」

マクゴナガル「よろしい。ポッター、探しましたよ。あなたの『進路指導』は本日二時からです。忘れないように」

ハニー「えぇ、先生。うかがうわ」

マクゴナガル「結構……おや」

ピーブズ「えいっ!こんにゃろ!ぬけろ!このっ!」

ハーマイオニー「あぁ……ピーブズが、天井のクリスタルシャンデリアを外そうとしてるわ」

マクゴナガル「これは世間話ですが、三人とも。私は歳でして、最近首が上がりません」

ハニー「……はい先生」

マクゴナガル「ですので、私には自分の目線より上でおきていることは目に入っておりません。いいですね?」

ロン「はいせんせー」

マクゴナガル「それで、ミス・グレンジャー?今、シャンデリアがどう、とか?」

ハーマイオニー「はい、先生」

マクゴナガル「ホグワーツの歴史に興味がおありのあなたにはお教えしましょう。あれは――時計回りに回せば外れる!!!!――のですよ。勉強になりましたね?」


ピーブズ「! よっしゃぁあああああ! あーーーーんがとよ、にゃんころ!!!うひゃっはははははぁあああああ!!」


マクゴナガル「……? 今何か、聞こえましたか?」

ハニー「いいえ、先生」

ガシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!
 きやぁあああああああああああああ!?!?!?

ハニー「大広間からの騒音と、誰かの悲鳴で。全然」

マクゴナガル「物騒なこともあるものです、あなたがたもお気をつけなさい。いいですね」

289: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/28(火) 17:04:24.60 ID:SLZ12aUm0
ハニー「廊下を移動中は『あぶく頭』をつけるのが主流になったわね」

ハーマイオニー「そこら中で『クソ爆弾』やら『臭い玉』やらが破裂していたら、それはね……一応新鮮な空気が保たれるわ」

ロン「ハニーの吐息は死の縁にいる豚だってよみがえらせるけどね。破裂してんのは、あと、親衛隊の野郎共か」

ハーマイオニー「嫌な表現はやめて……まぁ、あの連中におかしなことが次々起こっているのは本当だけど」

ハニー「パンジー・パーキンソンはパグの耳が生えたわね」

ロン「似合いすぎてもう腹筋クルーシオだったよな、あぁ。ワリントンは顔面にコーンフレークをぶちまけたみたいになってたし」

ハーマイオニー「マルフォイは、最近じゃ腰巾着のクラッブ・ゴイルから益々離れないわ。それでもなんでもないところでこけたりしているようだけど」

ロン「君って、『足縛り』も得意だったんだな」

ハーマイオニー「割とね。なんのことかしら。さっぱりだわ……変なことになるといえば……アンブリッジの授業でのあれ、もうやめてくれないかしら」

ハニー「……『アンブリッジ炎』ね」

ロン「アンブリッジが教室に入った瞬間、嘔吐、鼻血、熱発、気絶その他症状が突然起こる恐怖の病気、『アンブリッジ炎』……おっそろしいよな、あぁ」

ハーマイオニー「フレッド・ジョージのマーケティングがね……いくらアレの授業だからといって、『ずる休み』なんて!」

ロン「あの授業受けるよりよっぽど有意義じゃないか。あーぁ、ほんと。二人の商売は順風満帆だろうなぁ……ところでさ、ハニー」

ハニー「ええ、なぁに?」

ロン「そろそろママがうるさく探ってきそうだから、二人がダイアゴンに店を構えられるくらいの資金があったのはダグに協力したとかなんとかじゃなくって、君から『三大』の賞金を貰ったんだ、ってこと。話してもいいかい?」

ハニー「えぇ、そうしなさい――やっぱり分かってたのね、あなた」

ロン「そりゃぁね。僕は君の一番の豚だし、なにより君って言ってしまえばこの城で一番分かりやすい……」

ハニー「ロン」

ロン「ヒンヒン!なんだいハニー!」

ハニー「その頭にかぶっている金魚鉢じょうの膜、今日一日つけていなかったら、どうなるのかしら」

291: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/28(火) 17:15:21.78 ID:SLZ12aUm0
ロン「~~~~~~」

ハーマイオニー「そういえば、ハニー。スネイプのところへは、もう行ったの?」

ハニー「……それは、あの授業は必修ですものね、えぇ」

ロン「~~~~~~」

ハーマイオニー「そういうことではなくって……リーマスと約束したんでしょ?」

ハニー「……分かってるわ。分かってる……それじゃ、何と言えっていうの?」

ロン「~~~~~~」

ハニー「パパはクズだったけれど、あなたが全面的に被害者だったというのも違う気がする。けれどあんな目に合った気分にはとても同情するので、水に流して訓練を続けて頂戴。こう?」

ハーマイオニー「わざと煽るなら行かないほうがマシよ……訓練はしなきゃ。あなた、昨日も夢を見ていたでしょ?」

ハニー「……さあ、なんのことかしら」

ハーマイオニー「とぼけないの。耳元で聞いてるんだから。『もうちょっと、もうちょっと』って。あと、『九十七列目』とか……きゃぁ!?」

ハニー「えぇ、そうね。あなたにもうちょっとで触れられるのに、焦らされる夢だったの。今、ここで、現実にしてしまいましょう?ハーマイオニー……?」

ハーマイオニー「あっ、ハニー、そんな、夢、夢だなんて、わた、私は、『神秘部の扉』みたいにあなたを拒むようなことできないって、わかってる、くせに……」


ネビル「つづけて!   あれ?  ろ、ロン、ローーーーーーーン!?なんであぶく頭をとってるの!?い、いや、今更君が息ができないくらいで倒れるなんて逆に意外だけど、ろ、ローーーーーーーーン!!!」

ロン「ど、っ、ぅぞ……」

293: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/28(火) 17:38:58.13 ID:SLZ12aUm0
二時

マクゴナガルの部屋

コンコンッ

マクゴナガル「お入りなさい」

ガチャッ

ハニー「ごきげんよう、先生――あら」

アンブリッジ「エヘンッ、エヘンッ!」

ハニー「……校長先生は、あー、どうしてこちらに?」

アンブリッジ「あーら、生徒の今後ついて把握しておくのは当然の権利ですわ、ミス・ポッター?」

マクゴナガル「……いない者として」

ハニー「……はい、先生」

アンブリッジ「何か失礼な言葉が聞こえましたわ!!」

マクゴナガル「オホン。ポッター、この面接はあなたの進路に関して話し合い、私が六年目、七年目でどの学科を継続するべきか指導するためのものです」

ハニー「継続……授業を減らすことが、できるの?先生」

マクゴナガル「えぇ。六年目からの授業は格段に難しくなるので、将来に関わらない授業はNEWT試験まで無理をして受ける必要はないですから。どうです、ポッター。卒業後、何をしたいか考えた事はおありですか?」

ハニー「……えぇっと。やりたいこと、はあるのですけれど……先生」

マクゴナガル「なんです?」

ハニー「……あの、お耳を」

マクゴナガル「あぁ、いいでしょう――ふんふん、ふん」

アンブリッジ「エヘンッ!エヘンッ!!! 校長の前でナイショ話とはなんですの!!!!!教えなさい!!!ポッターは卒業後何をしでかすおつもりですの!?!?」

マクゴナガル「何の話ですか、ドローレス。さて、ポッター。その夢は大変素晴らしい。あなたらしいと言えるでしょう」

アンブリッジ「やっぱりそうじゃないですの!!」

マクゴナガル「ですが、何はともあれ一度は定収入を得られる職に着いた方が良いでしょう。あなたのそれは、まずは趣味の範囲でどこまでやれるものかお試しなさい。いいですか、何もこれは反対しているわけではありません」

ハニー「……はい、先生。けれど、私、あまり……向いている職業、というのは、考えた事……」

マクゴナガル「ある人からの推薦ですが。あなたは『闇払い』を目指してはどうか、と、話したことがあります。どうです?」

ハニー「や、闇払い!?」

アンブリッジ「エヘンッ!エヘンッ!」

マクゴナガル「えぇ、そうです。あなたの土壇場での気転やこれまで成してきたことなど、高く評価されていました。あの物騒な隻眼は」

ハニー「そ、そう……私が評価されるのは、当然だけれど……闇払い……私が……?」

アンブリッジ「エヘンッ!!!エヘンッッ!!!エフ、ゴホッ、ゴホッゴホッ!!ウゴホッ!!!」

297: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/28(火) 18:09:41.47 ID:SLZ12aUm0
マクゴナガル「参考までにお聞きなさい。無理にそれを目指さなくてもよろしい。幸いあなたの成績ならば、そこから後に他の職業を目指しても大概修正が効きます」

ハニー「あー、それじゃぁ……教えていただけるかしら、先生」

マクゴナガル「えぇ――最低でも五科目で『E・期待以上』の成績を取る必要があります。その後、闇払い本部で一連の厳しい性格・適性テストをパスした最高の者しか採用はされません」

ハニー「……」

マクゴナガル「実際、この三年間は一人も採用されていないと記憶しています――それがあのトンクスだと思うと少し疑問が残りますが」

ハニー「軽いけれどやっぱり優秀なのね、トンクス……必要な科目、というのは」

マクゴナガル「当然、『闇の魔術に対する防衛術』、それに贔屓はなしにしても『変身術』をお勧めします。仕事上、闇払いは変身したりまたそれを解いたりしなくてはならない事態が多々あります――」

アンブリッジ「エヘンッ!」

マクゴナガル「ポッター。あなたの今のところの私での授業評価は概ね高評価ですが、時折、実技に不安があります。変化を恐れない、これを忘れないように」

ハニー「はい、先生」

マクゴナガル「それと、『呪文学』……こちらもほとんど問題ないようです。一部の呪文に関しては苦手意識があるようですが、と。自覚はおありですか?」

ハニー「……割と」

マクゴナガル「それではその呪文をしっかり復習なさい。『O・優』でもおかしくないでしょう……そして一番の問題は、ポッター。『魔法薬学』で――」

ハニー「先生、やっぱり私闇払いはやめた方がいいと――」

マクゴナガル「諦めるのではありません!あなたらしくもない!それに、薬や解毒剤の知識はどんな職につくにしろ不可欠といえますよ?」

ハニー「でも、けれど、先生……あの人が担当をしている限り、私、成績が上がるとは……」

マクゴナガル「ロングボトムより聞き及んでいます。今後二度同じ真似をしたら地下牢教室にぶら下がる頭でっかちコウモリに変えてさしあげることを約束したので心配はいりません。さて、ともあれ現実的にスネイプ先生は『O・優』を取った六年生しか教えませんので、頑張る必要が――」

アンブリッジ「うぉぇっへん!えへんっ!!!」

マクゴナガル「……のど飴が必要ですか、ドローレス?」

アンブリッジ「あら、なぜかしらミネルバ?結構ですわ!ご親切にどうも♪ ただわたくし、一言だけ口を挟んでよろしいかしら」

マクゴナガル「ご勝手に」

アンブリッジ「そういたしますわ! わたくし、ポッターが果たして闇払いになれるかわ、オホホ!甚だ疑問ですわ!」

マクゴナガル「そうですか。それで、ポッター。『変身術』と『魔法薬学』の復習をしっかりして六週間後のOWLにお備えなさい。『闇の魔術に対する防衛術』は、あなたはこれまでほとんど最高の点数ですので心配は――」

アンブリッジ「うぇぇっへん!!!えへんえへんっ!!えへん!!!

マクゴナガル「やはりのど飴が入り用ですねドローレス!?」

アンブリッジ「あら、いいえぇ必要ありませんわ。ですがわたくし、ちょっと気になりましたの。おほほ。ポッターが『闇の魔術に対する防衛術』で最高のてんすう? オホホホホッ。ミネルバ、わたくしからのメモに目を通しまして?」

マクゴナガル「あぁ、この趣味の悪い紙ですか。えぇ、一応は」

アンブリッジ「でしたら、お分かりですわね?この子のこのクラスでの成績は凄惨たるもので、とてもじゃありませんが最高の点数などとは天と沼ほど――」

マクゴナガル「言葉が足りなかったようですね。えぇ、はっきり申し上げるべきでした。この子は『有能な教師によって行われた件の科目のテストでは』! 最高の成績を収めています」

アンブリッジ「」

ハニー「……あー」

マクゴナガル「静かになりました。さぁ、ポッター。続けましょう」

ハニー「はい、先生」

306: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/28(火) 18:33:43.21 ID:SLZ12aUm0
マクゴナガル「何か質問は?」

ハニー「えぇっと、性格・適性試験というのは、どういったことを……?」

マクゴナガル「圧力に抵抗する能力を発揮するとか、でしょう。物騒隻眼はこのあたりにあなたの才能を見たと言っています」

ハニー「その名称確定なのかしら……」

マクゴナガル「その他忍耐、献身も必要です。何故なら無事に試験を終えたとしても、正式な闇払いになるにはさらに三年間の訓練を必要とします。卒業後もさらなる勉強が必要です――まぁ、これはあらゆる職業に言えることですが」

アンブリッジ「――そして、まぁ。どうせわかるはずですわ。魔法省は省に入る人間の経歴を調べます。犯罪歴を!」

マクゴナガル「――つまり、卒業後もさらなる試練を受ける決意がないなら、別の道も、あぁ、自ら選んだあなたにこれを強いるのは酷でしょう。ですがポッター、あなたは――」

アンブリッジ「つまり、この子が闇払いや魔法省役人になる確率は、ダンブルドアがこの城に戻ってくる可能性と同じくらいだということですわ!」

マクゴナガル「それでは、大いに可能性があるでしょう。えぇ」

アンブリッジ「あぁら、聞こえてないものかとばかり! この子は犯罪歴がありますわ!」

マクゴナガル「その全ての廉で無罪になったことは、去年の夏にあなたがその目で見たのではないですか!?ドローレス!」

バンッ!

ハニー「! アンブリッジが、立ち上がって……あー……足が短いから座ってる時と大差ないわね」

アンブリッジ「あなたがたのオトモダチのダンブルドアが口八丁の八百長三昧でこの子を無理やり無罪にしたことならよぉおおく知っていますわ!ポッターが我が省に入る可能性はまったくありません!」

マクゴナガル「ポッター!どんなことがあろうと、私はあなたが望む職業につけるよう援助します!えぇ、たとえ醜い両生類が立ちふさがったとしても! 毎晩手ずから教えることになろうとも、あなたが必要とされる成績を絶対に取れるようにしてみせます!」

ハニー「……先生」

アンブリッジ「ファッジは!魔法省大臣もよぉおおおおくご存知ですわ!彼がいる限り、ポッターに好きには――」

マクゴナガル「ポッターに準備が出来る頃には、新しい魔法省大臣になっているかもしれません!」

アンブリッジ「ほぉーーーう!?フォっほぉーーーーう!?ほら、ほら、ほら!それがお望みなんですわね、ミネルバ・マクゴナガル!あなたはダンブルドアがコーネリウス♪に取って代わることを目論んでいるのですわ!そしてあなた自身もかつての古巣に、上級次官として舞い戻ることを!わたくしの地位を奪おうとしているのですわね!!!」

マクゴナガル「何を戯言を。私の家はここです。見下げ果てた思考ですね、ドローレス――ポッター、これで面談は終了です。私は今からすこし、この方とお話があります」

ハニー「えぇ、あの……ありがとうございました、先生。それじゃ」

ガチャッ、バタンッ

ハニー「……」


ギャーーーーギャーーーギャーーーー!!
 アルバスがーーーーー!! コーネリウスがーーーーー!!

フシャァアアアアアアアア!!! ゲコォオオオオオオオオオオ!!

ハニー「……犬猿のように猫蛙って言葉が出来ても、おかしくなさそうね」

313: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/28(火) 21:38:28.16 ID:SLZ12aUm0
五月週末

大広間

ガヤガヤガヤガヤガヤ
 ザワザワザワザワ

ハニー「試験までのこり一ヶ月を切ってしまったけれど……今日ばっかりは勉強もお休みね、ハーマイオニー」

ハーマイオニー「とても手につかないわ……だって」

ロン「……マーリンの最終戦だもんな。クィディッチの髭」

ハーマイオニー「逆よ、逆。ほら、ロン。しっかり食べなきゃ」

ハニー「この私が食べさせてあげているというのに、口を開けないのはどういうことかしら?」

ロン「ご、ごめんよハニー!ヒンヒン!喉通らないけどそうだな頬辺りにつめとくよガツガツモグモグ」

ハーマイオニー「空中で撒き散らしても知らないわよ……えぇっと、今日はレイブンクローとの試合なのよね?」

ハニー「えぇ、そうね……スリザリンがこの間の試合でハッフルパフに負けたから――」

ジニー「私達がこの試合勝てば、優勝杯はグリフィンドールのものだわ!」

ロン「勝ちゃぁね、勝ちゃぁ……あぁ、ほらみろよ。ルーニーがまた頭になんかのっけてるぜ」

ハニー「ルーナよ、ロン……ハァイ、ルーナ。あー、ステキな帽子ね?」

ルーナ「おはよ。うん、羽ばたく大鷲の帽子なんだ」

帽子 バッサバッサバッサ!

ネビル「ば、ばあちゃんの帽子みたいだ。あれハゲタカだけど」

ルーナ「優勝かかってるから、今日はそっちを応援できないもン」

ハニー「えぇ、それはそうでしょうね。平気よ、この私が応援するんだもの」

ロン「百人いや千人いや万人力だよハニー!ヒンヒン!」

ジニー「ゲームに参加してくれていたらもっと、ね……」

ハニー「あら、平気よ。だって私の大事な豚が、代わりを務めるでしょう?」

ジニー「ヒンヒン!まかせてハニー!」

ハーマイオニー「このくらいの威勢が欲しい物だわ……ほら、ロン。大丈夫よ、いつも通りに、あー……」

ロン「僕のいつも通りは散々な練習成果ってことだけどさ……まぁ、これ以上失うものはなにもないよな。もちのロンで」

316: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/28(火) 21:51:43.00 ID:SLZ12aUm0
クィディッチ競技場

リー「いぇええええええええええええええええええええええええええ!!!」

ワーーーーーワーーーーー!!
 ザワザワザワザワザワ

リー「さぁさぁやって参りましたクィディッチ最終戦!仲良し双子がウィーズりっちまってちょいと元気がなくなったと噂されてるそんな私リー・ジョーダン……」

リー「ノーだ!!!!べらぼうめ若干どこぞのゴースト崩れとキャラがかぶってるせいでやれもう実況いらないんじゃねとかやれめんどくねとかそんな声は撥ね退けて今日も道をウィーズリっちゃうそんなわたくしリー・ジョーダンが実況をおおくりしまーーーす!!!!」

ワーーーーーワーーーーー!

リー「さてさてさて!解説は本日はこの方をお呼びしてやりましょうこの野郎!!」

リー「這い寄る混沌、喧騒の爆弾ポルターガイストの   ピーブズだぁあああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

ワアアァアアアアアアアアアア!!
 キャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!



ピーブズ「どうも、リーさん」

リー「はいどうもピーブズさん。今日はよろしくお願いします」

ピーブズ「えぇ、私こういった経験は初めてでして。今日は一張羅で来てしまいましたよ、ハハハ」

リー「ハハハ!ゴーストと違ってピーブズさんはそういったことが出来るんですねぇ……さてピーブズさん、今日のみどころはどこでしょう?」

ピーブズ「いやぁやはり怪我から復帰したモンタギューでしょうか。えぇ、彼の執念とそして恐らく先日の事故があの双子により引き起こされたとみられますので、グリフィンドールにはなみなみならぬ復讐をしてやろうと誓っているのではないでしょうか」

リー「なるほど! そしてそれはスリザリンチーム全体に言えることである、と!」

ピーブズ「ハイ、そう思います。今日試合をすれば、チームの士気の高マルフォイが拝めることかと思いますね」

リー「そうですね。試合をすれば」

ピーブズ「えぇ」

リー「ピーブズさん」

ピーブズ「なんでしょう」

リー「今日、グリフィンドールとレイブンクローの試合なんですが」

ピーブズ「知るかばああああああああああああああああああああああああああああああか!!!!あっひゃはっはははははははははは!!!ほーーーーれほーーーーれ!!!!放送禁止用語喋りまくっちゃうぞグフィフィぐふぃふぃふぃふぃいいいいいいいい!!」

ウワアアアアアアアアア!!
 キャアアアアアアアアアアア!!!

マクゴナガル「ピーーーーーーブズ!!!」

リー「やっぱり解説は今日もあなたしかいませんねせーの!マクゴニャガルせんせーーー!」

ピーブズ「にゃんころーーーーーー!!」

にゃんころーーーーー!

マクゴナガル「真面目に実況をしなさああああい!!!」

324: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/28(火) 22:08:58.36 ID:SLZ12aUm0
ピーーーーッ!

リー「ゲーム開始です!クィディッチ最終戦、いよいよその火蓋が切って落とされました!グリフィンドール!優勝です!」

マクゴナガル「勢いだけで喋るんじゃありません!」

リー「そりゃ無理ってもんですよセンセー!ぼくから勢い取ったら何が残るんですか!」

リー「さぁさぁ試合はレイブンクローボールから始まります!キャプテンのデイビースがクァッフルを持つ!」

キャーーーー!キャーーーー!

リー「最近めっきり色づきやがってあのチョウともなんだか超いい感じだとかくそっ!落ちろ!箒から落ちろっっ!!!」

マクゴナガル「リー!」

リー「はいはい先生!いやぁですが聞いてくださいこの黄色い声援!ほんとクァッフル鼻に突っ込まれればいいのに……」

キャーーーー!キャーーーーー!ギャーーーーー!

ピーブズ「あひゃははははははぐへへへぐふぃふぃふぃふぃーーーー!」

リー「あ、違いました。ピーブズが観客席に向かってタランチュラを降下している歓声でしたね、失敬失敬」

リー「そんな勘違いしてモテ期到来とか息巻いていたデイビースはしかしまぁ勢いだけは止まりません!ジョンソンを――かわす!ベルもかわした!さぁ、ロン!やれ!一番豚!」

ロン「――」

カーーーン!

リー「あー……レイブンクロー、先取点」


スリザリン「「「「「ウィーズリーは我が王者~~~♪ いつでもクァッフル見逃した~~~~♪」」」」」

ピーブズ「ウィーゼルウィージーコソコソイタチ~~!あひゃはははははははは!!!」


ハーマイオニー「……っ、ロン、もう!頑張って、ロン!!」

ハニー「ロン……」


ハグリッド「あー、どうだ?ロンは上手くいっとるか?え?」


ハニー「あら、ハグリッドやっときたの――きゃぁ!?」

ハーマイオニー「あら、さっきは小屋にいなかったからてっきり留守かと……は、ハグリッド!?そんなにまた、血だらけで!」

ハグリッド「シーッ!シーーッ!ちょいと、あのな。目立ちたくねぇんだ、頼む。静かにしちょくれ!」

ハーマイオニー「……ハグリッド、身体をかがめているつもりなんでしょうけど、それでも周りから一メートルは高いのよ、あなた」

327: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/28(火) 22:22:07.65 ID:SLZ12aUm0
ハグリッド「あー、あのな。ちょいと二人に来てもらいてぇんだ……みんながここで試合に夢中んなってるうちに」

ハニー「……今でないとダメなの、ハグリッド?」

ハーマイオニー「えーっと、試合の後では……?」

ハグリッド「今がえぇんだ。皆が試合に気をとられとるうちに……頼む」

ハニー「……分かったわ。あなたがそんなにお願いしているんだもの、聞かないわけにいかない、そうよね?」

ハーマイオニー「……えぇ、行くわ。ハグリッドの小屋に?」

ハグリッド「すまねぇ、ありがとうよ二人とも。いんや、ちょっとな……あれはこっちを見てねぇか?視力がどのくれぇかは測定してねぇが……」

ハーマイオニー「……アンブリッジのこと?あー、あの女カエルを警戒してたのね……あっ、平気みたいよ」

ハニー「丁度親衛隊と座ってるところにピーブズが突っ込んでいってるわね」


ピーブズ「アンブリッジの生まれは掃き溜めだ~♪ いつでも吐き気を催した~♪ だから歌うぞホグワーツ♪……巣にかえれ!ここはお前の生きる場所じゃない!!!!」

マルフォイ「……歌えよ!!!!」


ハグリッド「あー、なんだ。あれが騒ぎを起こしちょってくれればえぇな、うん……目立っちゃいけねぇ、うん……ほんと、すまねぇな。ロンの大事な試合なのに」

ハニー「……ロンの勇姿はこれから何度でも見られるわ、そうよね?」

ハーマイオニー「えっ、えぇ、あー、そうなれば、いいけど。さっ、急ぐんでしょう?」

ハグリッド「あぁ、着いてきちょくれ……ちょっと歩くが。あと、ホイ……これでも腰に巻いとってくれ。ほら、あー、足が見えると……あいつらがうるせぇ。ほんとうるせぇ」

ハニー「……森に入る、のね」

329: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/28(火) 22:34:19.07 ID:SLZ12aUm0


ワーーーワーーーー!!

リー「なんでしょう!何故だか僕のテンションが三段階くらい下がってしまいました何故だろうまるでハニーがいなくなっちまったみたいだ!気のせいでしょう、えぇ!」

ヒンヒーーーーン!


ロン「な、何言ってんだか、リーは……は、ハニーが豚の舞台を見に来ないわけがあの髭じゃないかマーリンの」

ロン「止めなきゃ、止める、止めるんだ、ロン!もちの!」


リー「デイビース、またもクァッフルをもってグリフィンドールゴールにつっこむ!あぁ~~ロン!頼む!!」



ロン「……!」

デイビース「はっは、ハッハハ!乗ってる僕を、止められるかな!」

ロン「やってみなくちゃ、わかんないだろ!というか君声大きいな凄いな!?」

デイビース「僕は今、乗りに乗ってるぞ!何せあのチョウともいい感じなんだ!」

ロン「だからなんだってんだ!マーリンの髭!だ、だいたい、チョウは――」

デイビース「あぁ!ポッターと仲が良かったのは知ってるよ!だけどね!はっは!チョウが言ってたよ!」


デイビース「ポッターは、よりによって グレンジャーみたいなブスを選んで!自分を捨てた、ってね!!」

ロン「」

デイビース「いっけェえええええ!!二十点目だああああああ!!!」


ロン「おいデイビース」

ロン「今」

ロン「ハーマイオニーに、なんつった!?え!? 」


バシッ!


デイビース「なっ!?う、うそだ!?あの軌道で、どうやって――!!!」

リー「!!!! ロン、止めたぁあああああああああああああああああああああ!!!!」


ワァアアアアアアアアアアアアアアア!!!


  ヒンヒンヒーーーーーーーーーン!!

333: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/28(火) 22:46:19.21 ID:SLZ12aUm0
禁じられた森

ザクッザクッザクッザクッ

ハニー「……随分深くまで入るのね、ハグリッド」

ハグリッド「すまねぇな。石弓なんかを持ってなかったら、おめぇさんたち二人を肩にかついでいけるんだがよぉ……」

ハーマイオニー「武器まで持って……穏やかじゃないわ。ハグリッド、また何かいるの?」

ハグリッド「あぁ、まぁ……前みてぇに化け物がいる、とかじゃねぇんだ。違う。全然違う。ほんとに」

ハグリッド「これは、用心のためだ。ほら、今おれは……ケンタウルスの連中から、よく思われてねぇ」

ハニー「……喧嘩をしているの?」

ハグリッド「フィレンツェがダンブルドア先生の下で働くと決めたとき、あいつらは怒り狂ってフィレンツェを蹴り殺そうとしてな……俺が止めに入った。そんだら、連中俺まで裏切っただのなんだのとよぉ」

ハニー「……」

ハーマイオニー「……」

ハグリッド「俺にはハニーやオリンペがおるっちゅうのに……やれ『どうせ授業中ボディタッチしてるんでしょう!』だの『おにゃのこの臭い嗅ぎ放題なんだろう!』だの『君の目線で見れば世の中の女性は大概ロリっこなわけか、素晴らし、ふぅ……ファキュー』だの」

ハニー「ほんと嫌あの駄馬たち」

ハグリッド「とにかく、俺のことまで敵視しおって……そんで、他の生き物たちもカンカンになった。ケンタウルスっちゅうのは、この森じゃかなり影響力が強ぇんだ。なんせ賢いからな。連中に目をつけられたら、前みたいにでかい顔で歩けねぇ。縮められもしねぇけど」

ハーマイオニー「それじゃ、ハグリッド。あー、私達を……ケンタウルスにあわせに?」

ハグリッド「いや、そうじゃねぇ」


 「チッ」
「ちがうのかよ……」
    「期待して損しt」

ハニー「ハグリッド、あそこよ。あそこの茂みを射ぬいて頂戴」

ハグリッド「ヒンヒン!」

ハーマイオニー「いいから行きましょう、キリがないわ……」

336: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/28(火) 23:07:10.17 ID:SLZ12aUm0
ザワザワザワ……
 パキッ、パキッ
ザクッザクッザクッザクッ

ハニー「……段々、道なんて呼べなくなってきたわね」

ハーマイオニー「木立もびっしり並んで……まだこんな時間なのに、夕暮れ時のような暗さだわ」

ハニー「……」

ハーマイオニー「えーっと、ハニー?手を?」

ハニー「……つないであげる」
ハーマイオニー「えぇ、ふふっ。そうしてもらえると助かるわ」

ハグリッド「ヒンヒン!」

ハーマイオニー「鳴いてないで……えっと、ハグリッド。杖灯りを点してもいいかしら?」

ハグリッド「あぁ、かまわねぇ。そうだな……ちょっとここらで止まろう。おめぇさんたちに、あー、なんだ。着く前に、話すこともある」

ハニー「?……『ルーモス』」
ハーマイオニー「?……『光よ!』」

パァァッッ

ハニー「……改めてこう見ると、ほんと、顔中酷い怪我だわ、ハグリッド」
ハーマイオニー「歩き方とかを察するに、きっと体中なのでしょうけどね……」

ハグリッド「あー、気にせんでくれ。うん、おめぇさんたち二人見てたら吹っ飛ぶから。ほんと。そんでな、あー……うん。話をせんにゃならん」

ハニー「……」
ハーマイオニー「……」

ハグリッド「俺、俺ぁ、っ、どうやら、近々クビになる」

ハニー「! そんな、そんなのってないわ!」
ハーマイオニー「そ、そうよ!これまで持ちこたえたじゃない!きっと、授業の内容をこれまで通り通せば、そんな道理……」

ハグリッド「あぁ、ハーマイオニー。そうだ、トレローニー先生のことがあった後も俺がここに残っていられたのは、多分お前さんが考えてくれた授業計画のおかだ。ほんと、ありがとよ」

ハグリッド「けどな……アンブリッジの部屋に、二フラーが入ったことがあったろうが?どうやら、あれをやったのが俺だと思われちょるらしい」

ハニー「……そんな」
ハーマイオニー「もちろん、違うのよね!?」

ハグリッド「そりゃそうだ! 二フラーは普段大人しいけどよ、カエルとは相性がよくねぇ!うん!」

ハグリッド「そんでも、すこーしでもその可能性がありゃつっついてでっちあげて押し通すのがあれのやり口だろう?弁解はできそうにねぇ……そんな暗い顔をすんな」

ハニー「……」
ハーマイオニー「……」

ハグリッド「なんも、それでおしまいってわけじゃねぇ。ここを出て行けば、ダンブルドアの手助けができる。騎士団の役に立てるんだ。そんで、お前さんたちの授業はグランプリー-プランク先生が見る。そうすりゃ試験も楽だろうが?え?そう、うん、っ、その方が……」

ギュッッ

ハニー「……」
ハグリッド「……ぐすっ。おまえさんたちは、本当にいい子だ。あぁ」
ハーマイオニー「……」


337: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/28(火) 23:21:45.11 ID:SLZ12aUm0
ハグリッド「そんでな。実を言えば、俺はアンブリッジに追い詰められる前に、さっさと城から離れるつもりだった」

ハグリッド「けどよぉ、そうもいかねぇ事情があって……あー、この頃には普通に一緒に歩けると思ったんだがなぁ」

ハニー「……?」
ハーマイオニー「……」

ハグリッド「それで、ついに出ていかなきゃなんねぇことになって……お前さんたちに頼んでおかなきゃなんねぇことがあるんだ。こんなこと、本当は話しはしぇほうがいいんだろうが……誰かに言わねぇと。そんで、お前さんたちに……出来れば、ロンにもお願いしてぇんだ」

ハニー「何がなんだかわからないけれど。あなたが困っているなら、私は助けるわ。当然じゃない」
ハーマイオニー「……そして、そんなハニーと一緒にいる私達もね。ねぇ、ハグリッド。何をすればいいの?」

ハグリッド「……ありがとうよ。あぁ、おまえさんたちならそう言ってくれると思っとった。決して忘れねぇ、うん……あっちだ。もう、すぐそこだ。ゆっくり行こう、気をつけてな……」

ザクッザクッザクッザクッ
  ザクッザクッザクッザウッ

ハニー「……?木立が……なんだか、途切れてる箇所に来たわね」
ハーマイオニー「途切れてる、というより……何かに、根こそぎ引き抜かれてる……?」

ハグリッド「よーし、こっからはもっと、ゆっくり頼む。あー……急に起こしたらなんねぇ」

ハニー「……起こす? あぁ……あそこに、大きな土塁があるわね。ねぐらなの?あんな……あなたの背丈くらいあるじゃない」
ハーマイオニー「……嘘でしょう」

土塁? ゴガーーー ・・・ ・・・ ゴロゴロゴロ

ハニー「あぁ、寝息のようなものが……ハーマイオニー?」
ハーマイオニー「ハグリッド……いったい、誰なの!?」

ハグリッド「あー……あのな」

ハニー「誰?何、じゃなくって?」
ハーマイオニー「ハグリッド、話が違うわ!誰も連れてこられなかった、って!来てくれなかった、って!」

ハグリッド「その、なんだ――いや、来たかったわけじゃねぇんだ、こいつは――だけんど俺は、こいつを連れてこなきゃなんねかったんだ!どうしても、こいつを……」

ハニー「……巨人、なの?」


巨人「ゴガーーー ・・・ ・・・ ゴロゴロゴロ」

341: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/28(火) 23:33:08.38 ID:SLZ12aUm0
ハーマイオニー「ハグリッド、どうして――どうして連れてきたりなんかしたの!?」

ハグリッド「あぁ、あんな、ハーマイオニー!俺には分かってた、こいつをここに、連れて戻って!」

ハニー「……背中を向けて、横になってるのね……横幅で、ハグリッドくらい……」

ハグリッド「そんで、そんで!少し礼儀作法を教えたら、みんなのとこに連れ出して……そうすりゃ、こいつは無害だってことをみんなに見せてやれる、ってよぉ」

ハーマイオニー「無害、ですって!ハグリッド、ハグリッド!あなた、最近鏡はみたの!?」

ハグリッド「あ、あー。うん、し、渋くなったろうが?」

ハーマイオニー「渋くなるのはこっちの表情よ!!この人がいままでずっと、あなたに怪我させてきたんでしょう!?」

ハグリッド「こいつは自分の力の加減がわからねぇんだ!そんだけだ!ちょいと、俺と遊びてぇだけなんだ!こいつは、こいつは……」

ハニー「この巨人を連れていたから、帰ってくるのに二ヶ月もかかった。そういうこと?」

ハグリッド「あぁ、そうなんだ。でも残しておけんかった。こいつは周りの奴らよりチビで、いじめられとった……見てられんかった!残してなんておけんかったんだ!」

ハニー「……」

ハーマイオニー「どうして!それは、あなたは優しいわ!けど、どうしてそこまでして――」

ハグリッド「こいつは、こいつは――俺の、弟なんだ!!」

ハニー「……」

ハーマイオニー「……おと、うと?」

ハニー「……ハグリッドのママが、ハグリッドのパパじゃなく、巨人の男との間に作った子供……っていう、こと?」

ハグリッド「そうなんだ……コイツは俺の、もうこの世でたった一人の、肉親なんだ」

ハニー「……」

ハーマイオニー「……」

ハグリッド「名前は……巨ぶt、いや、グロウプ」

ハーマイオニー「早速加盟させる気満々なのね肉親ごと」

343: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/28(火) 23:51:40.46 ID:SLZ12aUm0
ハグリッド「かあちゃんは俺のことも可愛がらんかったが、こいつもそうだったらしい。そりゃ、巨人なのにせいぜい五、六メートルしかねぇから、かあちゃんにとっちゃ大事にする気もなかったみてぇで」

ハーマイオニー「せいぜい五、六メートル!えぇ、ロンとほーんの少ししか違わないわね!」

ハニー「……頑丈な縄で腰のところと大木が縛られてるわね。犬のリードみたいに……犬のリードみたいに」

ハーマイオニー「繰り返さなくていいわ、ハニー」

ハグリッド「あー、その、ちげぇぞ?あの、こいつが危ねぇってわけじゃなく、ほら。こいつが迷っちゃなんねぇし、それに、さっきも言ったが自分の力がわかってねぇんだ、こいつは」

ハーマイオニー「……どうりであの賢者どもの茂みからこのあたりまで、鳥の一羽も見当たらなかったわけだわね」

ハニー「それで、ハグリッド。私達になにをしろっていうのかしら」

ハグリッド「世話してやってくれ……俺が、いなくなったら」

ハニー「……ハグリッド」

ハーマイオニー「……卑怯だわ……世話、っていうのは?食べ物、とか?」

ハグリッド「いや、それは問題ねぇ。やろうと思えば自分でなんとかできるんだ。いや、ちげぇ。友達だ。こいつには友達が必要なんだ。飼い主でもえぇが」

ハーマイオニー「最後」

ハグリッド「たまにここに来て、あぁ、お前さん達は試験もあるし、一週間に一回でえぇ。こいつに話しかけてやってくれ。言葉を教えてくれたら助かる……そうすりゃ、こいつが俺達のことを好きなんだってのがもっと色んな人にわかってもらえるかもしれねぇ」

ハニー「……えぇ、そうね。私の愛にかかれば……自然と喋りだすに決まっているわ。それはもう、流暢に。そうでしょう?」

ハーマイオニー「……はーぁ。やる気ね、本当に……いいわ、ハグリッド。やるだけやってみる」

ハグリッド「ありがとう、ありがとう!お前さんたちに頼めば大丈夫だと、思っちょった。どれ、グロウプを起こそう……お前さん達に引き合わせにゃならん」

ハーマイオニー「えっ、ちょ、ちょっとハグリッド!それは、いいわ!あの、私達別に――」

ハグリッド「遠慮すんな! よ、っと。この丸太で、背中をちょいとつついてやれば、っと!」

ハーマイオニー「やめ――」

ゴツンッ!

グロウプ「・・・ ・・・ ゴアーーーーーーーーーーァアアアアアアアア!!」

ビリビリビリビリビリッ

ハニー「……」

ハーマイオニー「……」

ハニー「……ハァマイ、オニィ」

ハーマイオニー「……えぇ、ハニー。分かってたわ。はい、手を貸すからしっかり立って……あんなにいさぎよく啖呵をきったじゃないの」

ハニー「でも、あんな、あんな大きな、声、こ、腰が、あぁ、っ、そうよ、たt、立たない、と、豚候補の前で、っ、なんで、すぐ、もう!」

ハグリッド「グロウピー、よーく寝れたかぁー!?」

グロウプ「・・・ ・・・ゴアーーッ」

347: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/29(水) 00:25:39.65 ID:wYTvmAYk0
ハグリッド「今日は友達を連れてきたんだ、グロウピー!」

グロウプ「・・・ ・・・」

ハグリッド「みろ!俺の友達……あっ!こら!」

グロウプ「ゴアーーーッ!」

バサバサバサッ、 バキバキッ、バキッ!

ハニー「……松の木が、軽々と曲げられてるわ」
ハーマイオニー「……単純に、遊んでるだけのようね。本人は」

ハグリッド「そんなことはやめろ、グロウピー!これ以上根こそぎにしてどうする?え?この悪戯坊主め!」

ハニー「……そしてあの笑顔よ」
ハーマイオニー「……もう何も言うまい、だわ」

ハグリッド「下を見んか、下を!ほれ!」

グロウプ「・・・ ・・・ ?」

グググググググッ

ハニー「……目玉が私の頭より大きい」
ハーマイオニー「……月でも見上げてる気分ね」

ハグリッド「こっちは、ハニー・ポッターだ!美しかろうが、え?俺が出かけなくちゃなんねぇとき、お前に会いにきてくれるかもしれねぇ!いいな?」

ハニー「……は……ハァイ、グロウピー」

グロウプ「・・・ ・・・」

ハグリッド「ほんで、こっちはハーマイオニー……あー、ハーマイオニー。ちょーっと難しい名前なんでな。ハーミーって呼ばせてもええか?」

ハーマイオニー「か、構わないわっ!」

ハグリッド「ハーミーだ、グロウピー!ハーミー!」

グロウプ「・・・ ・・・」

ハグリッド「二人とも、おまえと友達になってくれる――お、おい!!」

グロウプ「・・・ ・・・ゴアーッ!」

グググッ

ハニー「! ハーマイオニー、こっち!」

グイッ

ハーマイオニー「きゃあっ!?」

ドサッ

ハグリッド「は、ハニーが引っ張ってくれたおかげで助かったか……こ、こら!グロウピー!わりぃこだ!ハーミーに掴みかかろうとしたな!?え!?」

グロウプ「・・・ ・・・」

ハグリッド「おい!聞いちょるのか!?何見て……」

ハニー「あぁ、よかったわハーマイオニー。怪我、ない?じっくりみせて……じっくり、ね?」

ハーマイオニー「あっ、そんな、ハニー、ちょ、今そういう場合じゃ……そんな、あなたにみせたら、『聖マンゴ』なんていらなくなってしまうじゃない……?」

ハグリッド「つづけて!!」

グロウプ「ゴーーアーーーーーッ!!!」

バキバキッ!メキメキッ!!!

350: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/29(水) 00:38:50.43 ID:wYTvmAYk0
ハーマイオニー「フーッ、フーッ、ひ、ひどい、ファーストコンタクト、だったわ!」

ハグリッド「いえいえ最高でしたですえぇ」

ハニー「グロウプはあれから興奮状態になって、とても交流できそうではなかったけれどね」

ハーマイオニー「まったくもう! ハグリッド……これでもまだ私達に、グロウプの『教育』をしろって言うの!?」

ハグリッド「あー、ほら。これで今度ここに来たら、あいつはお前さんたちが俺の友達だって分かるだろう?でーじょうぶ、うん。あいつも随分と大人しくなったから、うん」

ハーマイオニー「……松の木を引っこ抜く程度にはね」

ハニー「約束したんだもの。もしもそうなった時は、しっかりやるわ。でもね、ハグリッド。出来ればあなたがいなくならないのが一番よ。それだけは覚えていて頂戴?」

ハグリッド「……ハニー。あぁ、ありがとうよ。お前さんは天使だ」

ハーマイオニー「……そうよ、あとたった数週間の学期じゃない。あなたはクビにならず、アンブリッジが魔法省に蛙、オホン、帰るかもしれないわ。そうなったら、とんだ取り越し苦労じゃない?」

ハグリッド「そうだな、あぁ。ハーマイオニーは本当に、頼りになる。ありがとうよ、二人とも」

ギュッ

ハニー「いいのよ、ハグリッド。だって」
                                ケンタウルス「……」
ハーマイオニー「そうよ、私達、友達で……」

ハグリッド「……今えぇとこなんだが」


ケンタウルス「やはり裏切り者でしたか!この、このヒト族め!そうやっておにゃのこの肩を抱いてあわよくばおつぱいにたtt……ふぅ。わたしはベイン。こちらはマゴリアン。そして愉快な仲間たちです」

マゴリアン「あなたはもうこの森には来てはならない、そう警告したはずです。ハグリッド。その子たちの腰に巻いてる何かを取り去るなら別でふぅ」

がさガサッ ガサッ
 パカラッパカラッ

ハグリッド「……なんのつもりだ?え?フィレンツェみてぇに、俺を蹴りつける気か?」

ハーマイオニー「……愉快な仲間と言う割りに、武装してるわね」

ハニー「全員千切れればいいわ……」

352: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/29(水) 00:50:22.10 ID:wYTvmAYk0
マゴリアン「あなたは介入するべきではなかった、ハグリッド。我々には我々の掟があり、我々には我々の裁き方がある」

ベイン「フィレンツェは仲間を裏切った」

ハグリッド「そいつがわからねぇ。フィレンツェは、お前さんたちも一目置いてるはずのダンブルドアを手助けしようとしただけだろうが?」

ケンタウルス「奴はヒトの奴隷に成り下がった!そんなプレイをしとるんだろ今頃ふぅ!まったく!ふぅ!」

ハグリッド「少しは老いれお前さんは……奴隷!なんちゅう言い方だ。いいか、お前さんたちは間違っとる!間違っとるぞ!」

ベイン「お前もそうだ、ヒトよ。我々はお前が森に何を隠しているか知っているぞ」

ハグリッド「……だったらどうした!この森は、おまえさんたちだけのもんじゃねぇ!ここに生きるみんなのもんだ!俺も、そんで、あいつも!」

マゴリアン「我々の忍耐は限界だ、ヒトよ。色々と。もうらめぇだ。ふぅ。しかし、今日はそのお連れのおにゃのこにめんじてふぅしよう。いや、見逃そう。行け」

ベイン「何故だ!ひっとらえてあがめたてまつってから丁重にお返しするべきだ!ふぅ!」

マゴリアン「仔馬に乱暴するのは恐ろしい罪だ!何を言っている!イエス!仔馬!ノー!タッチ!イェーア!?」

イェーァ!

マゴリアン「そういうことです。ふぅ……ヒトよ、行きなさい。できればもうここでは会いませんよう」

ハグリッド「それを決めるのはお前さんたちじゃねぇ!いいか、俺はまた来るからな!行こう、二人とも」

ハニー「……一応、口を出すのもどうかと思って、黙っていたけれど」

ハーマイオニー「……えぇ」

ハグリッド「?」

ハニー「もうこの森ごと焼いてしまうしかないんじゃないかしら」

ハーマイオニー「協力するわ、女の子の敵だもの、この森の主たち」

ハグリッド「!?」

354: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/29(水) 01:08:56.68 ID:wYTvmAYk0
ハグリッドの小屋前

ハグリッド「あー、色々すまんかった。特に最後は」

ハニー「あなたのせいじゃないわ。あの駄馬の群れはいつまでたっても……」

ハーマイオニー「あー、思ったのだけど。あんなにヒトを嫌うようになったケンタウルスのいるところを抜けて、私達がグロウプに会いにいくのは……ちょっと、無謀じゃないかしら」

ハグリッド「そこは心配いらねぇ。ほら、言っとったろう?あいつらは子供には手をつけねぇ……」

ハニー「子供じゃないわ、私!!」

ハグリッド「おっと、そうだなハニー。あんなにちっこかったのに……まぁ、そういうこった。きっとおめぇさんたちに危害は加えねぇぞ?」

ハーマイオニー「精神的気分的には大打撃ですけどね……あら」


ガヤガヤガヤガヤガヤ
 ワーーーー!ワーーーーー!

ハグリッド「おっ、スタジアムから人が出てきたな。お前さんたちはあれに紛れっちまえ。そうしたら誰も抜け出してたことに気づかんだろうが? じゃあな、ありがとよ。またな」

バタンッ

ハーマイオニー「……はぁー。どうしてハグリッドってこう、わざわざ背負い込もうとするのかしら」

ハニー「……それも自分の懐と同じくらい、大きいものをね」

ハーマイオニー「えぇ、実物的に……あぁ、もう。本当に、信じられない――


♪ ウィーズリーは我が王者~
  ウィーズリーは我が王者~
  クァッフルをば止めたんだ~
  ウィーズリーは我が王者~

ハーマイオニー「それに、もう!あの歌を歌うのはやめてほしいわ!余計惨めになるじゃない! あぁ、この分だと……」

ハニー「えぇ、ロンは…………あら?」


♪ ウィーズリーは守れるぞ~
  万に一つも逃さぬぞ~
  だから歌うぞ、グリフィンドール!
  ウィーズリーは、我が王者~♪


ハニー「……ハーマイオニー、これ」

ハーマイオニー「?なに?早く行きましょう、これを歌ってる緑と銀色のバカな集団に出くわす前に……あら?ど、どういうこと?」

ハニー「歌ってるのは……赤と金色の、チームとサポーターだわ……!」

ハーマイオニー「あの、一番上……大勢に担がれてるの、って!」


♪ ウィーズリーは我が王者~
  ウィーズリーは我が王者~
  クァッフルをば『止めた』んだ~
  ウィーズリーは我が王者~


 ブオォオオオオオオ!ブォオオォォオオオオオオ!

♪ おかげで我らは大勝利~
  だから歌うぞグリフィンドール
  ウィーズリーは、我が王者!!


ハーマイオニー「うそ……!ほ、ほんとに!?」

ハニー「……ふふっ。えぇ、実力を出すのが、遅すぎたくらいだわ。何がそうさせたのか、知りたいところだけれどね」


ロン「ハニーーーー!!ハーマイオニーーーーーーーー!!!やった、やったよ!!僕たち、勝ったんだ!!!優勝だ!!!やったぜ!!マーリンの……ヒンヒンヒーーーン!」

ワァアアアアアア!! ウィーズリー!ウィーズリー!ウィーズリー!
 ヒンヒンヒーーーーン!

397: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/31(金) 11:24:24.82 ID:zd1NH8dG0
翌日

談話室

♪ ウィーズリーは我が王者~

ロン「それでさ、デイビースの奴が……お、おいおいまたかよ、やめてくれよまったく。マー髭だぜ、うん」

♪ クァッフルをば止めたんだ~

ロン「まぁね、まぁね!最初の十点以外全部止めたけど、あぁ、だからってさ!昨日のことなのに何度も……」

♪ だから歌うぞグリフィンドール

ロン「いたっ!頭叩くなよ!痛いっ!マーリンの髭!あ、あはは」

♪ ウィーズリーは我が王者~

ハニー「……朝から何度もこんな感じね」

ハーマイオニー「……浮かれるのは分かるけど、勉強に手をつけて欲しいわ。それに……グロウプの話も、切り出せないもの」

ハニー「こんなに浮かれているところに水をさすのも気の毒だものね……でも、仕方ないわ。ロン?」

ロン「ヒンヒン! なんだいハニー!」

ハニー「幸い、この私のように晴れ渡った綺麗な空だもの。勉強は外でしましょう」

ロン「あー、そうかい? もちのロンで、君がそうしたいなら僕こと一番豚はそうするのが当然なんだけど、あー、もうちょっと……」

ハーマイオニー「……スーパースターのあなたが談話室にいると、みんなが落ち着かないみたいよ?」

ロン「! は、ははは!じゃぁ、うん!そうだね!まぁ、ハニーがいたら老若男女がソワソワするのは生理現象だけどさ!」

ハニー「えぇ、そうね。落ち着く時は私に踏まれた時くらいのものかしら」

ロン「だから僕って常に心が平穏なんだなぁ」

ハーマイオニー「割と乱れまくりよあなた」

399: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/31(金) 11:37:28.50 ID:zd1NH8dG0
湖のほとりの木陰

ロン「それでさ、デイビースの奴に一回ゴールを決められた後だったんだけど」

ハニー「……えぇ」

ロン「あの野郎がふざけたこと言うもんだから、僕、頭がカーッとなって」

ハーマイオニー「? どんなことを?」

ロン「あー、うん、とにかく馬鹿げたことさ。それで、そっからはもう、やるぞっ!って」

ハニー「ゴールをしっかり、守ったのね。出来る豚だわ、ロン」

ロン「ヒンヒン!ありがとうハニー! あー、一度はまた抜かれたと思ったんだ。けど、飛び上がって、こう、箒かまえて、スパーーンッって」

ハーマイオニー「!? そ、そんな危険なプレーをしたの!?」

ロン「あの距離じゃ手は届きようがなかったからね。だから……」

ハーマイオニー「だからって、もしも体が落ち始めるまでに箒に跨るのが間に合わなかったらどうするつもりだったの!?危なすぎるわ!」

ロン「な、なんだよ!ゴールは守れたし、それにそっからは一度だって得点されてないんだぞ!マーリンの髭!」

ハーマイオニー「結果論で語らないで頂戴!もしも怪我して退場になったら、チームはキーパーなしだったんでしょ?」

ロン「なんだよ、マー髭!一言おめでとうも言えないのかい?え?僕は君が……あれ?ちょっと待ってくれよ」

ハーマイオニー「なによ!」

ハニー「……あ」

ロン「……なんで君、まるで僕のプレーを今見たかのように言うんだい?」

ハーマイオニー「……」

ハニー「……」

ロン「……」

ハーマイオニー「……こ、怖くて、観られなかったのよ!えぇ!」

ロン「君、怒った時に鏡見てみなよ」

400: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/31(金) 11:55:18.35 ID:zd1NH8dG0
ロン「――巨人の弟、おまけにそいつのおべんきょう!オトモダチ!おっどろき!ハグリッドにしちゃ、随分とちっちゃな問題をもってきてくれたよな!」

ハーマイオニー「えぇ、小山ほどのね……」

ハニー「あまり責めないであげなさい、ロン」

ロン「あぁ、ハニー。君は優しいね。ヒンヒン。でもこれだけは言わせてもらうよ。ハグリッドの奴、正気じゃぁないよ。マーリンの髭」

ハーマイオニー「否定はしないわ。でも、私達約束してしまったのよ」

ハニー「ハグリッドがいなくなったら、私達でグロウプの面倒をみる。そうね、約束を破るのはいけないわ」

ロン「でもさ、今までハグリッドの仲良しと関わって良いことがあったかい?ノーバートに、アラゴグ」

ハニー「バックビークに、スクリュートは私の可愛い豚だわ」

ハーマイオニー「後者はどうかと思うわ……」

ロン「そういやあいつらの生き残りはハグリッドどこやったんだろ……でもさ、あー。とにかくハグリッドは、まだ追い出されてない。そうだろ?」

ハーマイオニー「まだ、ね」

ハニー「そんなこと言わないの」

ロン「それじゃ、ひとまず巨大なオトモダチのことは考えないことにしようよ……今はこっちさ。あー……『ふくろうをオペラグラスに変身させる』?そんじゃ、OWL試験も三ヵ月後とかに変化できないかなぁ……」

ハーマイオニー「あら、それならもうクィディッチの練習もないことだし、朝から晩まで復習にあてられるわね?」

ハニー「しっかり励みなさい、ロン。あなたは出来る豚よ、大丈夫」

ロン「ヒンヒン!あぁハニー!君にそう言ってもらえれば僕ぁパース越えも間違いなしさ!ヒンヒン!」

401: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/31(金) 12:10:58.24 ID:zd1NH8dG0
六月

温室

ロン「ここんとこ、宿題が出なくて気分がいいね。ハニーがいればいつだって気分は爽やかだけどねもちのロンで」

ハニー「えぇ、そうね。松の香も真っ青な清涼感だわ」

ハーマイオニー「『元気の出る呪文』これ私初回の授業を聞き逃しているのよねなんてことかしらOWLの頻出問題だったなんてあぁフリットウィック先生にもう一度復習をお願いしないとでもここしゃっくりを止める反対呪文これは問題ないわねそれでここは――」ブツブツブツブツブツブツブツブツブツ

ロン「……宿題がなくっても勉強漬けなのは変わらないけどさ」

ハニー「まぁ、先生方もそうさせるために宿題を出していないんでしょうね」

ロン「ハーマイオニー、お言葉通り朝から晩までブツブツ言ってるけどさ。夜寝てるのかい?」

ハニー「平気よ。無理に続けようとしたら、疲れさせて眠ってもらってるから」

ロン「なんで僕って女の子じゃないんだろ」

アーニー「!?そ、それはよく出される問題なのかい!?聞いたことがないよ、女の子になる呪文なんて!」

ロン「僕だって知りたいさ……よぉアーニー、ハニーに挨拶はどうしたのさ」

アーニー「ごめんよハニーおはようハニー!ヒンヒン! 君達、一日何時間勉強してる?」

ロン「? さぁ、数時間だろ」

アーニー「八時間より多いか、少ないか」

ロン「少ないと思うけど、それがどうしたってのさ」

アーニー「僕は最低でも八時間だ!ハニーにちなんでっていうのもあるけど」

ロン「!そ、そうか!」

ハニー「豚として見上げた志だけれど、無理をしてはだめよ、アーニー?」

アーニー「ありがとうハニー!ヒンヒン!でも、無理なんて!調子がいいときは九時間やれるし、週末なんかは十時間はやれる!それに昨日は七時間しかできなかったんだ、でも月曜は九時間半できたから今日は八時間半やってそうすれば大丈夫だだだだ大丈夫あのアハハッハハハハハハハ」

シェーマス「お、おはようハニー!ヒンヒン!あ、アーニー、アーニー!落ち着け!君はしっかりやってるさ!」

ハニー「……みんな、ノイローゼ気味ね」

ロン「どうせならハニーに病的になればいいのにな」

アーニー「アハハハハハハ……あぁ、天使が見える……いや、女神だ。僕をOWLで勝利に導いてくれる女神だ……!」

ハニー「えぇ、そうね。アーニー、しっかり励みなさい。私の豚ならば、これくらいこなせて当然。そうでしょう?」

ロン「言うまでもなかったか、もちのロンでね」

402: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/31(金) 12:31:43.90 ID:zd1NH8dG0
地下牢教室 廊下

マルフォイ「試験の出来で物を言うのは、知識じゃぁないのさ」

パンジー「どういうことなのあぁドラコ!聞かせて頂戴えぇドラコ!」

マルフォイ「問題なのは誰を知っているか、なのさ。ところで父上は魔法試験局の局長とは長年の友人でね――」

クラッブ「ウホ」

ゴイル「ウホウホ」

マルフォイ「グリゼルダ・マーチバングス女史さ。そういうコネっていうのが、結局は社会に出てから――うわぁああああ!?な、なんだ!?ぼ、僕のローブがぁああああああ!?!?」

パンジー「きゃ、きゃああああああ!?ドラコのローブに青い炎がぁ!」


ハニー「……」

ロン「……」

ハーマイオニー「本当かしら、マルフォイが今言って――」

ハニー「ハーマイオニー。あの火、あなたお得意の携帯式瓶詰め炎にそっくりだと思うのだけれど」

ハーマイオニー「なんのことやらまったく全然少しも分かりかねるわ。それで、マルフォイが今言ってたことって……」

ロン「割と手段選ばないよな君……さぁね。でも、僕らにはどうしようもないだろ?」

ネビル「本当じゃないと思うよ。だって、グリゼルダ・マーチバングズって僕のばあちゃんのお茶のみ友達だけど、一度もフォイなんて言ったことないもの」

ロン「ホラ吹きにまでなっちまったかマルフォイの野郎」

ネビル「やめてよホラ貝吹きとして我慢できないよ」

ロン「君いつの間にかすっかり定着しちまったなぁ」

ハーマイオニー「ネビル、マーチバングズさんって、どんな人なの?厳しい?」

ネビル「ばあちゃんに似てる、って言えば分かるかな……ほら、病院で会ったろう?」

ハニー「……えぇ、そうね。厳しいけれど、しっかり見守ってくれる人。そういうことね」

ネビル「……ありがとうハニー。ばあちゃんが喜ぶよ」

ロン「あー、ハゲタカの帽子を送るのは勘弁してくれよな」

ガチャッ

スネイプ「入りたまえ――」

ハニー「……」

スネイプ「――ウィーズリー、このゴミを捨てておけ」

ロン「あ? なんだこれ、紙の束……?こりゃ手紙だね、多分」

ハニー「……!リーマスと、私からの……!」

ハーマイオニー「クシャクシャにされてるわね……本当にあなたに教える気はない、ってことかしら」

ハニー「……そういう、ことでしょう。なによ、せっかくこの私が、わざわざペンを……あら?」

ロン「どうしたんだいハニー!ところでこのハニー直筆の手紙は僕ことヤギー・ウィーズリーが食べて良いのかな」

ネビル「! ず、ずるいよヤギー!」

ハニー「えぇ、そうさせてあげるわ……でも、この手紙。どうして『G』の文字だけ、くりぬかれてるのかしら……?」

404: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/31(金) 12:52:04.41 ID:zd1NH8dG0
金曜日

『変身術』

ザワザワザワザワ
 ガリガリガリガリガリガリ

マクゴナガル「ここに書きましたのが、OWL試験の時間割です。みなさんのOWLは二週間かけて行われます」

ロン「わぁ、死なす気だ。マー髭」

マクゴナガル「物騒なことを言うんじゃありません、ウィーズリー。一日一教科にすることで負担にならないようにという処置です。なんなら、あなたは一日三教科ほどうけて早めの学期末を過ごしますか?」

ロン「学校生活自体が終末を迎えそうですごめんなさい。続けてください、先生」

マクゴナガル「よろしい。午前中は理論に関する筆記試験、午後は実技です。ただし、『天文学』の実技はもちろん夜に天文塔で行われます。それ以外は規定の時間に、大広間の特設された試験場です」

マクゴナガル「一応警告しておきますが、試験中配られる羽ペン、試験用紙にはあらゆるカンニング対策がなされています。試験局の目を欺くことができると思わないように。それでも毎年一人は不正を行います……嘆かわしいことです」

ハニー「……ぺティグリューもあの時見つかって退学になればよかったのに」

マクゴナガル「我が校の、新しい――校長は」

ロン「靴の底にへばりついたチューインガムを見てるような顔しれた」

ハニー「言いえて妙ね、えぇ」

マクゴナガル「今年はカンニングは厳罰に処す、ここを追われてからも真っ当な道を歩けると思うな、とみなさんに伝えるようにおっしゃいました。もちろん、みなさんの成績次第でご自分の新校長体制の世間的評価が決まるからです」

マクゴナガル「みなさんはそんな戯言を歯牙にかける必要はまったくありません。ご自分のことだけを考えてベストをお尽くしなさい。みなさんは自分の将来を考えるべきなのですから」

ハーマイオニー「はい、先生!」

マクゴナガル「なんです、ミス・グレンジャー」

ハーマイオニー「試験の結果は、いつ分かるのでしょうか」

マクゴナガル「七月中に、ふくろう便がみなさんに送られます」

ロン「そりゃよかった。夏休みまでは、ママの拳がハニー色に染まることは無いってわけだ」

ハーマイオニー「物騒なたとえに使わないで」

406: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/31(金) 13:14:14.66 ID:zd1NH8dG0
日曜日 夜

大広間

ガヤガヤガヤガヤガヤガヤ

ハーマイオニー「実体的呪文の定義――うるさいわね、もう。黙っていてくれないかしら……」

ロン「君こそ、夕食の時くらい本から手を放せよな、まったく。ちゃんと食べないと、眠れなくなるぜ」

ハニー「なぁに、ハーマイオニー。ふふっ。食べさせてほしいの……?」

ハーマイオニー「そ、そんなこと、あ、ありはする、けど……あっ!」

ロン「つづけて……うん? おっ、連中かな?」

ハニー「大広間に、魔法使いの集団が入ってきたわね。えぇ、きっとあれが」

ハーマイオニー「試験管だわ! あぁ……アンブリッジが、随分と低姿勢ね」

ロン「もとからずんぐりカエルなのに滑稽だね、ありゃ。あのババァが人に媚びるのは拝んでみたいもんだね……近くに行ってみようか?」

ハニー「えぇ、そうしましょう。試験の前に、少しはスッキリしたいもの」


アンブリッジ「ようこそおこしを、ようこそ、マーチバングス教授!あぁ、お会いできて光栄ですわ!道中は――」

マーチバングス「あぁ、順調だとも!旅はなーんの障害も無く順調だったさ、もう何度も来とるんだからね!あんたがおらんくたって!」

アンブリッジ「そ、それはようございましたわ。おほほ――」

マーチバングス「ところで!このところダンブルドアからの便りがない!どこにおるのか、皆目わからんのでしょうね?え!」

アンブリッジ「わかりません……そこの三人!夕食が終わったのなら早くお帰りなさい!」


ハニー「ごめんなさい、『先生』 さぁ、ロン。早く靴紐を結びなさいな」

ロン「ごめんよハニー!ヒンヒン!でもなんでだか、靴紐が指の間をすり抜けっちまうんだ!マーリンの髭!」

ハーマイオニー「――」


アンブリッジ「~~っ、オホン。あー、ですが魔法省は、まもなく彼の居場所をつきとめると思いますわ」

マーチバングス「さて、そりゃぁ無理だろうね。ダンブルドアがみつかりたくないのなら、まず無理さ。わたしにはわかりますよ、なにせわたしが『NEWT』であの子の『変身術』と『呪文学』の試験管だったのだから。あれほどまでの杖使いは、これまで見たことがなかった」

アンブリッジ「あぁ――まぁ」


ロン「あのばあさん、いくつなんだろ」

ハーマイオニー「さぁ……ダンブルドアに、あの子、って」

ハニー「……命の水でも、飲んでいるのかしら」

407: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/31(金) 13:32:10.44 ID:zd1NH8dG0
月曜日

玄関ホール

ザワザワ……
 ペラッ、ペラッ

ハーマイオニー「ブツブツブツブツブツブツ……」

ロン「……ハーマイオニーの教科書を捲る手と文字を追いかける目、早すぎてぼやけて見えるぜ」

ハニー「いよいよだもの。この私だって、少し緊張するわ。少し、ね」

ロン「あぁハニー、そうだねハニー!ヒンヒン!この震えはあれだよ、僕の緊張の方のあれで」

ハニー「ロン」

ロン「ヒンヒン!なんだいハニー!」

ハニー「……その、犬って書いてあげましょうか?」

ロン「……今はその優しさが痛いよハニー。ありがとうハニー。頑張るよ僕ぁ」

ガチャッ

マクゴナガル「みなさん、静粛に。五年生から先に入ってもらいます。グリフィンドール生、お入りなさい」

ガヤガヤガヤガヤ

ハニー「……あの記憶で見たのと同じ。たくさんの小机が並んでるわね」

ハニー「……今は考えない。あのことは、今は」

ハニー「……ふふっ。そう思ってるのに、私が座るところ。パパと同じ位置だわ。偶然っていやね、もう」 

マクゴナガル「みなさん、席につきましたね? よろしい。試験時間は今から二時間。羽ペン、インクは机に置かれているものをお使いなさい。試験中、何かあったら手をあげること。カンニングは厳禁……それでは」

カタッ

マクゴナガル「始めてよろしい」

バサバサッ、ガタガタッ
 ガリガリガリガリ

ハニー「……(ハーマイオニーったら、もう書き始めてるわ)」

ハニー「……(頑張ってね、二人とも……頑張れ、わたし)」

パサッ

ハニー「……」


(a) 物体を飛ばすために必要な呪文を述べよ
(b) さらにそのための杖の動きを記述せよ


ハニー「(……ふふっ)」

ハニー「(今度は偶然に、感謝しなくっちゃ。それに、クィリナスとトロールにも、ね)」


ガリガリガリガリガリガリ……

410: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/31(金) 14:00:25.95 ID:zd1NH8dG0




ハーマイオニー「あぁ、やっぱり。やっぱり『元気の出る呪文』が出たわ……私、十分に記述できたか自信が」

ロン「おいハーマイオニー、承知のはずだぜ。終わった試験のことを一々復習するなよ……マーリンの髭」

ハニー「落ち込んでられないわよ。次は、実技ね……実技」

ハーマイオニー「……平気よ、ハニー。たくさん練習したもの、もう本番で間違えることも……きゃぁ!?」

ハニー「なんのことかしら、私はそんな心配はしていないわよ?でも、そうね。ハーマイオニー?最後に少し、練習に付き合ってくれないかしら……?」

ハーマイオニー「あっ、そんな、ハニー、練習、なんて、そんな、これなら毎晩、あぁ、せめて、空き教室で……」

ロン「つづけて!」

フリットウィック「名前を子から中にはいって、試験管のところまで――どうぞ!!!ヒンヒン!」





試験管「こんにちは、ポッターさん。試験管のトフティじゃ――有名な、ポッターさんかね?」

ハニー「えぇ、そうね。地上余すところ無く」

トフティ「ほっほ、それは頼もしい」


マルフォイ「ふんっ、粋がって失敗すればいいんだ――」

マーチバングス「余所見をするんじゃありません!集中なさい……あー」

パリーンッ!


ハニー「……いい気味だわ」

トフティ「安心なさい、しっかり集中すればあぁはならん。さっ、まずはこのワイングラスを。自分の頭より上でクルクル回転させてもらえますかな」

ハニー「……『ウィンガーディアム・レビオーサ』!」


次回 ハニー・ポッター「進まなきゃ、前に。そうでしょ?」 後編