ハニー・ポッター「進まなきゃ、前に。そうでしょ?」 前編

411: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/31(金) 14:05:26.14 ID:zd1NH8dG0


ロン「……僕、明日の変身術はちょっとだけ自信あるよ」

ハーマイオニー「……す、すごいじゃない。ディナー用の大皿が、大茸に変わるなんて」

ロン「あぁ、すごいお間抜けだよな。おまけにそれが元に戻らないなんて」

ハニー「元気出しなさい、ロン。私も、変色と成長を混同して、ネズミが一度アナグマくらいの大きさになってしまったわ。やり直したから、平気だとは思うけれど……」

ロン「まぁね、君における失敗なんてそんなの新たな正解だもんな。もちのロンで」

ハーマイオニー「不正以上の大問題だわ……さ、そんなわけで」

ロン「あぁ、少しやす――」

ハーマイオニー「明日の『変身術』の復習よ。取替え呪文や消失出現見直しておくべきものはいくらでもあるわきっと理論の方は取替えが重要で消失はむしろ実技で問われると思うのでもやっぱり理論ももう一度理解しておけば呪文の成功率も――」ブツブツブツブツ

ロン「……これが、二週間?」

ハニー「……私の下にいるためと思って、がんばりなさい」フーッ

ロン「ヒンヒン!俄然やる気さハニー!ヒンヒーーーン!」

引用元: ハニー・ポッター「進まなきゃ、前に。そうでしょ?」 



413: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/31(金) 14:27:58.75 ID:zd1NH8dG0




木曜日

午後

ハニー「……一昨日の『変身術』と昨日の『薬草学』は、小さなミスがあったけれど。今日は」

ロン「あぁハニー!君のおかげだよハニー!僕、始めて筆記試験中にペンを転がさずにすんだよ!ヒンヒン!」

ハーマイオニー「あなた羽ペンで何を決めようっていうの!? とにかく、DAで実践をしていたおかげで理論もばっちりだったわ。ねぇ、ハニー。このまま実技も」


アンブリッジ「~~~・~~~、~~~・~~~、それに、ハニー・ポッター!お入りなさい!」


ハニー「呼ばれなくったって。あら、『先生』。私の『O・優』を取るところを観たいのかしら」

アンブリッジ「出来れば無様な姿の方を拝みたいものですわねぇ。トフティ教授のところへお行きなさい、さぁ早く!」


トフティ「またお会いしましたな、ポッターさん」

ハニー「ハァイ、教授。えぇ、よろしくお願いするわ」

トフティ「よろし。さぁ、まずは逆呪いを。それから、後でこの洋箪笥の中にいる、ある生き物を退治てもらいますぞ」

洋箪笥 ガタガタガタガタガタ!

ハニー「あら……ふふっ。つくづく、おあつらえ向きね」


試験官「それではミスター・マルフォイ、構えて。開けますぞ……そーれ!」

マルフォイ「フォイ! さぁ、なんだ!?バンシーか!それともまね妖怪でも――」

ピーブズ「マルマルフォイフォイマルマルォっフォッフォーーーーーーーイ!!!」バッシャァァァアアア

マルフォイ「あっつあああああぁぁああああああああ!?!?!?!?」






トフティ「すばらしい!ポッターさん、全て完璧!『まね妖怪』もしっかりあなたに跪いていますな!」

真似豚『ブヒィ!ブヒィ!』

ハニー「当然ね、私だもの」

トフティ「これはこれは、ふむ。ところでポッターさん?わしの親友のオグデンから、君は守護霊を作り出すことが出来ると聞いたのじゃが――特別ボーナスはどうじゃ?」

ハニー「……えぇ、いいわ。――『エクスペクト・パトローナム!守護霊よ来たれ!』」

パッ!

パカラッパカラッパカラッ

オォオオオオオオオオオ!

アンブリッジ「……っ」

トフティ「ブラーーボーーーー!ブラボーーーー!おぉ、なんと雄雄しい牡鹿!これはこれは――」

守護霊『それはそうさ、この僕の娘なんだから。さぁ、『O・優』に違いないだろうね?え?』

ハニー「黙って――あれを見たからかしら、また言動が悪化したわね、もう」

415: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/31(金) 14:46:27.72 ID:zd1NH8dG0
金曜日



ロン「あぁハニー!コマの都合で今日は君と一日休めるなんて僕ぁすっかり本調子だよハニー!ヒンヒン!」

ハニー「当然ね、病も何もあったものじゃないわ……ハーマイオニーの『古代ルーン語』はそろそろ終わるかしら」

ロン「どうだろうね。ありゃぁ実技がないから確かにそろそろだと思うけど……あーぁ、休むついでに飛べたら気持ちよさそうな空なのになぁ。ハニーを背中に乗せて」

ハニー「頼もしくなったわね、ロン……校庭の端で、ハグリッドが授業してるわ」

ロン「うん? あ、そっか。五年生と七年生以外は今はまだ学期中なんだもんね、うん」

ハニー「あれは、何かしら……一角獣、のようね」

ロン「ハグリッドもしっかりやってるよな。やっぱりこの分なら、クビは……お?」

ハーマイオニー「……終わったわ」

ロン「やぁ、どうだったんだい――あー、できればハニーの方をみて機嫌をなおしてから喋ってもらえると」

ハーマイオニー「機嫌!?すこぶるいいわよ!午後丸々ハニーの過ごせるんだから! それでも、ひとつ訳し間違えたことに変わりはないわ! エーフワズは協同で、防衛じゃないのに……私、アイフワズと勘違いしたの!」

ロン「そりゃ……まぁ、うん。災難だったね。でも、たった一箇所だろ?」

ハーマイオニー「その一箇所が合否の分かれ目になるのかもしれないのよ! それに、それだけじゃないの!」

ロン「なんだい?反吐を屋敷しもべ妖精福祉振興協会とでも訳しっちまった?」

ハーマイオニー「反吐が止まらなくするわよそれ以上言うと! アンブリッジの部屋に、またニフラーが入れられたそうよ!アンブリッジがもの凄い剣幕で――足を食いちぎられそうになった、って」

ロン「いいじゃん」

ハーマイオニー「よくないわよ!いい!?アンブリッジは、前回ニフラーを入れたのはハグリッドだと思ってるのよ!?」

ハニー「……ハグリッドは今、授業中だわ。今度のことまで、ハグリッドのせいには……」

ハーマイオニー「あら、ハニー!たまにとってもお人よしね!あの女蛙がそんな証拠を聞き入れるとでも思う?」

ハニー「……いくらでもでっちあげるわね、えぇ」

ロン「試験で大変だってのに、山ほど心配かけさせてくれるよな、まったく。小山の如くね」

418: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/31(金) 15:01:15.38 ID:zd1NH8dG0
月曜日

午後

マーチバンクス「――試験は終了です。大鍋から離れて」

ガヤガヤガヤガヤガヤガヤ

ロン「スネイプの野郎がいないとさ、魔法薬作るのってこんなに楽しかったんだね。新発見だよ」

ハーマイオニー「あー、それは言えるかもしれないわ」

ハニー「嫌な視線も、最近のことも忘れられるものね。えぇ、集中できたわ」

ロン「そうそう。おかげでドクツルクサを刻む時に軽快にできたよ」

ネビル「うん、うん!緊張しなかったから、アルマジロの胆汁もゆっくり注げたよ!ハニー!」

ハーマイオニー「……ロン、今回の薬にドクツルクサは使わないわ」

ハニー「……ネビル。アルマジロの胆汁は、確か一気に入れて攪拌させるはずよ」

ロン「」

ネビル「」

ハニー「……大丈夫よ、あなたたちだもの。その他がちゃんと出来ていれば、高い点とまでは言わなくても落第は間逃れられるわ……多分」

ネビル「ありがとうハニー……君は天使みたいに優しいね」

ロン「ちがうだろ女神だろ……と、ともかく残りは、あとたった四つだ!」

ハーマイオニー「……たった!?気楽でいいわね、えぇ!私なんか一番手ごわい『数占い』があるっていうのに!」

ロン「あー……あー、うん。そうだね、うん」

ハーマイオニー「もう、もう……どきなさいよフォイフォイ!また燃やすわよ!!」


マルフォイ「だから、マーチバンクス教授は僕の方をほとんど見なかったろう?それはこの科目で僕が『O・優』を取るのがあの人と父上の間で決まってるからで――な、なんだグレンジャー!?こわ、も、燃やす!?!?」


ネビル「……ロン、いいの流しちゃって」

ロン「ハーマイが取れたら流石に止めるさ、あぁ」

ハニー「早く試験が終わって、大人しいハーマイオニーに戻ってほしいわ」

ロン「まだそれ見たことないなぁ。マーリンの髭」

420: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/31(金) 15:13:11.47 ID:zd1NH8dG0
火曜日

放課後

ロン「『魔法生物飼育学』は、まぁ、そこそこだったかな……ちょっと火蟹に焼かれっちまったけど。マー髭」

ハーマイオニー「あれでちょっとと言えるあなたがびっくりだわ……ハニーはなんともなかったの?」

ハニー「えぇ。ナールもボウトラックも、可愛かったわ……あら」


 ハグリッド「……」


ロン「小屋の窓から、ハグリッドが覗いてら。普通に出てきて声かけりゃいいのにさ、水臭い」

ハーマイオニー「気を使ってるのよ、きっと。手を振ってあげましょう?」

ハニー「えぇ、そうね……お礼もこめて」

ロン「お礼?」

ハニー「えぇ、私にあたった火蟹、あれ、爆発豚の親戚だったようだもの」

ハーマイオニー「あぁ……道理でどこからかヒンヒンって聞こえたはずだわ」


 ハグリッド「! ~~~!」ブンブンブン! ガシャンッ!


ロン「お、気づいた。ハハハ、嬉しそうに振り返してら。何か壊れる音がしたけど」

ハニー「……いい人だわ、ハグリッドは」

ハーマイオニー「……心配はさせられるけど。ええ、とっても」

ハニー「……いなくならないわよね……ハグリッド?」

422: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/31(金) 15:28:03.18 ID:zd1NH8dG0
水曜日



ロン「……ふぁ、ぁ~あ。マーリンの髭……『天文学』の実技かぁ」

ハニー「午前中の筆記は上手くいったもの。ここで落とさないようにするわ」

ハーマイオニー「ハニーは割りと得意よね、『天文学』」

ハニー「……趣味よ、趣味。そうね、散々だった午後の『占い学』よりはよっぽどマシだったわ」

ロン「ありゃ落第する運命だったんだよ、うん。僕さ、水晶玉にひどいあばた面の男が見えたんだよ。それで、そいつのことを事細かに説明して、やったぞ!って顔をあげたら」

ハーマイオニー「……どうなったの?」

ロン「お察しの通り。ひどいあばた面の試験官本人が顔を真っ赤にしてたさ……マーリンの髭」

ハニー「でも、これでもう辞められらるじゃない。あの駄馬に会わなくていいと思うと気が楽だわ」

ロン「あぁ、それに今後はお茶の葉が『ロン!氏ね!そこ変われ!!』って言ってても やだねっ!ってゴミ箱に捨ててやれるよ」


トフティ「みなさん、望遠鏡の準備はよろしいですかな?正座図はいきわたっておるかのう?ふむ、いいようじゃ」

マーチバンクス「えぇ、それじゃ――はじめ!」

バサバサッ キリキリッ
 ガリガリガリガリ





ホーッ、ホーーッ、ホーーーッ

ハニー「(……すっかり、真夜中ね……あれから一時間、といったところ?)」

ハニー「(オリオン座は……これでいいわ。今度は、金星を――)」

ギィィィッ……

ハニー「(……? 何の音かしら、遠くから……今のは、正面玄関……?)」

ハニー「(……こんな時間に、どうして――五、いいえ。六人ね。人が、校庭に)」

ハニー「(……芝生を横切っていくわ……顔なんて全く、見えないけれど)」

ハニー「(あの先頭を進んでる、ずんぐりした、影は……)」

トフティ「オホン、ポッターさん?順調ですかな?」

ハニー「! えぇ、上々だわ。お世話様」

トフティ「それはよろしい。あと一時間、頑張りなさい」

ツカッツカッツカッツカッ

ハニー「……」

ハニー「(あの集団は、どこに……)」

ハニー「(……あっ)」

ハニー「(ハグリッドの……小屋)」

424: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/31(金) 15:45:58.44 ID:zd1NH8dG0
ハニー「……」

ハニー「(間違いなくアンブリッジの引き連れていた集団は……ハグリッドの小屋に、みんな入っていったわ)」

ハニー「(何を、話しているのかしら……何を、するつもりなのかしら)」

ハニー「(乱暴はしないで……ハグリッドは、もう、あんなに怪我をしてるのに)」


バ ウ ア ウッ!!!
 バ ウ ワ ウッ!!! バ ウ!!!

ハニー「! 今の……ファングの!」

ザワザワ……ザワ

トフティ「みなさん、試験中ですぞ。さぁ、星座図に続きを。えぇ、星座図に。間違っても正座図でなく」

マーチバンクス「ミス・ポッター。試験中は私語を謹んで。さぁ、さ、時間は迫っていますよ」

ハニー「……(そう、今は、試験……大丈夫、ハグリッドは、大丈夫)」

ハニー「(あぁ――金星のことを書いていたのに。間違ってるわ。書き直さなくっちゃ)」

ハニー「(間違えて、火星って――火、星……)」


バーーーーンッ!!!!

 キャァア! ウワッ!
ザワザワザワザワ

ロン「うーんむにゃむにゃ……ハッ!?な、なんだ!?ハニーは無事か!?」

ハニー「っ、私のことはいいの!あっちを!」

ハーマイオニー「あぁ……やめて、やめて!!そんな……!」

ロン「!? は、ハグリッドが、囲まれてる!?なんだよあれ、あの帽子って、魔法省のだろ!?なんで……」


「「「「「ステューピファイ!!!麻痺せよ!!!!!」」」」


ハニー「やめて!!!」

トフティ「み、みなさん静まりなさい!慎みなさい!試験中ですぞ!!」

ハニー「そんなの、そんなのどうだって!ハグリッド、ハグリッドが……あっ」

ロン「……す、すっげぇやハグリッド!失神呪文、真正面から食らってたはずなのに!仁王立ちしてら!」


  魔法使い「大人しくするんだ、ハグリッド!」

  ハグリッド「クソくらえだ、ドーリッシュ!俺ぁこんなところで掴まらんぞ!」

  ファング「バウワゥッ!!!バウッ!!!」


ハーマイオニー「あぁ、ファングまで――あっ!!!!」


  魔法使い「ステューピファイ!」

  ファング「キャインッ!――」

  ハグリッド「!! お前――ファングに、なにしちょるんだあああああああ!!!」

  魔法使い「!? ち、ちが、私はお前に当てるつもり、ウ、うわあああくぁwdrtgyふじこlp;@:@」


ロン「……うっわー……人ってあんなに飛ぶんだなぁ」

428: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/31(金) 15:59:13.76 ID:zd1NH8dG0
ハーマイオニー「ハグリッドが、本気で怒って……やめさせないと、あんなこと、あんなのって!」

ハニー「でも、どう……あぁ、誰かまた、城からハグリッドたちの方に!」

 
 「何ということを――何ということを!!!!」


ハーマイオニー「! マクゴナガル先生だわ!」


  マクゴナガル「おやめなさい!やめるんです!何の理由があって攻撃するのです?こんな仕打ちを――」

  「「「「ステューピファイ!!!」」」」

  マクゴナガル「――」

ドサッ


キャァアアアア!!

トフティ「!? 不意打ちだ、けしからん!!けしからんぞ!!!」


  ハグリッド「卑怯者!!!!マクゴナガル先生がお前さんらに何をした!!!杖も構えてねぇ相手に、何んてこと、この――」

  魔法使い「ごふっ!?」

  魔法使い「がはっ……!」

  ハグリッド「この――とんでもねぇ卑怯者め!これでも食らえ!これでもか!!」

  魔法使い「ぎゃぁっ!?」

  ドーリッシュ「は、ハグリッド!い、今のは違うんだ!つい、つい勝手に――」

  ハグリッド「うるせぇ!!ファングから離れろ!!」

  ドーリッシュ「ひぃいいい!」

  ハグリッド「ファング、行くぞ。お前さんはよーやった、流石ハニーの豚……おいドーリッシュ!マクゴナガル先生様を城に運べよ、いいな!!!」

  ドーリッシュ「わ、分かった!分かったから、拳を握るのはやめてくれぇっ!」

  アンブリッジ「~~っ、なにをしているのです情けない!早く捕まえなさい!!っ、『ステューピファイ!』」

  ハグリッド「!? お、お前さん魔法が使えるのかい?え!?こりゃたまげた、まるで人間みてーだ!」

  アンブリッジ「……きぃいいいいいいいいい!!!待てぇええええ!待ちなさいこの、このぉおおおお!!!!」

ドシンドシンドシンドシン ・・・ ・・・


ザワザワザワ

ロン「……行っちまった」

ハニー「……ハグリッド……ハグリッド……!」

ハーマイオニー「……あぁ、それに……マクゴナガル先生」


トフティ「まったく、なんと、なんと……むっ……あー、みなさん。のこりあと五分ですぞ」


ハニー「……もう、それどころじゃないわ」

430: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/31(金) 16:16:33.22 ID:zd1NH8dG0
談話室

ハーマイオニー「あの悪魔!!真夜中にこっそり、ハグリッドを襲うだなんて!!」

ディーン「トレローニーの時みたいに、誰かに邪魔されるのを避けたかったんだろうね……」

ロン「口出しされないようにな。でも、ハグリッドはよくやったよ。なんで呪文が効かなかったんだろ?ハニーへの想い?」

ハーマイオニー「それはもう強固でしょうけど、巨人の血よ。巨人を呪文で『失神』させるのはとても難しいことなの。でも、マクゴナガル先生は――あぁ――四本も『失神』の光線を胸に」

リー「……にゃん――」

ハーマイオニー「割と本気でぶっ飛ばすわよ」

コリン「先生は、すぐに出て行けたハッフルパフ生が運んでたみたいだよ……明日葡萄を持っていこう」

ハニー「……えぇ、そうね。マクゴナガル先生のところにはお見舞いに行きましょう――ハグリッド……残念で、悔しい、けれど」

ロン「あぁハニー、そうだね。うん、僕の背中を思い切り叩いて解消するといいよ。でもさすがに思いっきりつまむのはちょっといたたたたたありがとう!」

ハニー「でも――アズカバン送りにはならなかったわ。それだけは、喜びましょう」

ハーマイオニー「そうね、少なくとも掴まってはいないことだもの……ダンブルドアのところへ行くのかしら」

アンジェリーナ「でもさ、どうして今更クビにするんだ?最近のハグリッドの授業は、ほんと、良くなってたのに」

ケイティ「そうよ」

アリシア「そうよそうよ」

アンジェリーナ「NEWTの試験でもかなり助かったし、クビにするわけが……」

ハーマイオニー「アンブリッジは、半人間を憎んでるわ。ずっと前から、どんな些細な理由でも追い出そうとしていたのよ。それで、ニフラーを入れたのはハグリッドだということにしたのね」

リー「ゲッ、それ、僕だ……やっちまった」

ハーマイオニー「……」

ロン「ハーマイオニー、気持ちは分かるけど落ち着こうぜ、な、うん、僕の足も振るえっぱなしだけど」

シェーマス「でも、どっちみちハグリッドは追い詰められたんじゃないかな……ダンブルドアに近すぎるし。逆に、今までなんの追求も無かった方が不思議だよ」

ハニー「……その通りね。何より憎むのは……あの人? だわ」

ロン「アンブリッジの奴……レタス食い虫にでも食われっちまえばいいのに。マーリンの髭!!!!!」

431: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/31(金) 16:34:52.82 ID:zd1NH8dG0
木曜日

図書館

ハニー「……最終日なのに、気分が悪いわね」

ロン「僕は君さえいれば最高だけど……まぁ、あんなもんをみせられた後の朝じゃそうだろうな」

ハーマイオニー「幸い、『魔法史』の試験は午後からだわ。気持ちの整理をして、ノートを見返しましょう?」

ロン「……この五年分の、高さにして0・8ネイプくらいあるノートのタワーをかい」

ハニー「その数え方やめなさいってば……ほとんど眠れていないから、文字を読むのも億劫ね」

ハーマイオニー「ね、眠れなかったのは自業自得でしょう?」

ロン「ナニがあったんだろう。ほんと、僕ってなんで女の子じゃないだろ」

ジニー「そしたら私も姉がいて嬉しかったわね。ああ、私のおねぇさまはハニーだけだけど!ヒンヒン!」

ハニー「……ハァイ、ジニー」

ジニー「ハァイ、寝ぼけ眼のハニーステキ」

ハニー「知ってるわ……どうしたの?あなたも、来週から試験でしょ?」

ジニー「それはもう、てんてこ舞いだわ。けどね、ハニーたちのOWLが終わることの方がめでたいじゃない?」

ロン「めでたいなんてもんじゃないよ。僕ぁあと半日もしたら生まれ変わったような気分になってること請け合いさ」

ジニー「でしょう?だから、今日の放課後少しお祝いでもどうかな、って。ホグズミートにいけるわけでもないけど――」

ルーナ「あたしのパパが、あんたにお礼をしておいて、って。少しお小遣いをくれたんだ」

ハニー「あら、ルーナまで……お小遣い?」

ルーナ「うん。あんなに売れて、その後たっくさん投稿が増えたんだって。だから、バタービールとか、お菓子とか。取り寄せておいたんだ」

ハニー「……ふふっ。そう、そんな楽しみがあるのなら、頑張らなくちゃ。そうよね?」

ジニー「意気込むハニーステキ!……と、ところでこの話はこのくらいにしましょう?お菓子って単語を聞きつけたマダム・ピンスがすごい形相でこっちを見てるもの」

433: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/31(金) 17:02:26.54 ID:zd1NH8dG0
午後

マーチバンクス「それでは、始めてよろしい」

ガリガリガリガリガリ

ハニー「(あとたった二時間……眠気になんて負けてられない。しっかり、やらなきゃ)」

ハニー「(これが終わったら、マクゴナガル先生のお見舞いに行って……ロンやハーマイオニー、ジニーとルーナと一緒に)」

ハニー「(悪いことばっかりじゃ、ないわ。さっ……)」

ガリガリガリガリガリ



ハニー「(杖規制法は……小鬼の反乱の原因ではあるが……その他の要因も積み重なり……規制がなくとも、いずれ……)」

ガリガリガリガリ





ハニー「(秘密保護法の違反……確か、吸血鬼が関連したこと……)」

ハニー「(吸血鬼……ふふっ、そういえば前にルーナが、スネイプを吸血鬼だ、とか……)」

ハニー「……」

ハニー「……ハッ! っ!(寝ちゃダメよ、私!続きよ、ほら……秘密保護に違反した、のは……)」

ガリガリガリガリ





ハニー「(国際魔法使い連盟初代最高大魔法使いはピエール・ポナコー……)」

ハニー「(リヒテンシュタインが彼に反対したのは、トロール狩りをやめさせようとした、から……それで)」

ハニー「(それで……あぁ、頭が回らないわ……それで)」

ハニー「……(リヒテンシュタインは、山トロールの被害を前々から訴えて……これね)」

ガリガリガリガリガリ






ハニー「(リヒテンシュタインは、小鬼の陣営と一緒に出席せず……と)」

ハニー「(書けるところは、全部書いた、かしら……)」

ハニー「(暑さと、眠さで……あぁ、そんなこと言ってられないわ)」

ハニー「(時間一杯、やらないと。マーチバンクスさんがひっくり返した、砂時計は……残り……)」

サラサラサラサラッ

ハニー「(……綺麗な砂粒が、下に……キラキラ光って、落ちていくわね)」

ハニー「(光って……落ちて)」

ハニー「……」

ハニー「……スーッ、スーッ」

――――――――
――――――
―――

435: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/31(金) 17:15:24.86 ID:zd1NH8dG0

ハニー『(また……この廊下)』

ハニー『(でも……今日は、行けるんだわ……あの向こうに)』

ハニー『(あの扉の先……棚の奥まで……ついに……行こう、行かないと……)』

バタンッ

ハニー『(円形の部屋……こっちに進んで……)』

バタンッ
 カチッカチッカチッカチッ

ハニー『(何か光るものがある部屋を、通り抜けて)』

ハニー『(あぁ、時間がもったいないわ……速く、走って、走っていかなきゃ)』

バタンッ!

ハニー『(棚が並ぶ、大聖堂みたいな部屋……これの)』

ハニー『(九十、七番!)』

ハニー『(この奥だわ! ここを、進んで――)』

ハニー『(進ん、で……)』


『くっ……ぐっ……』


ハニー『(……突き当たりに……あれは、人?でも、手負いの獣みたいに……苦しんでる)』


『それを取れ さぁ 持ち上げるのだ……俺様は触れることが出来ぬ しかし、お前にはできる』


ハニー『(何、今の声……どこから……この、目の前の人からじゃない……今の……私?)」


『クルーシオ!』

『っあああああっっっぁあああああああ!!!……っ、はぁ、ぐっ』

『さぁ、苦しいのは嫌だろう……ヴォルデモート卿が待っているぞ さぁ、服従するのだ 俺様の言う通りにしろ』

『……殺すなら、殺せ……私はお前に屈さない。絶対に、だ』

『言わずとも、最期にはそうしてやろう だが これまでの痛みが本当の痛みだと思うか? 時間はある――考えなおすといい どうせ誰にも貴様の叫びは聞こえぬ』

ハニー「あ……あぁ……」

『シリウス・ブラック  この 神秘部の奥底九十七番の棚の突き当たりで 精々吼えるがいい――』





ハニー「いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁああああああああ!!!!」

ザワザワザワザワザワ

ロン「ハニー!?なんだ、止めるな試験官このやろ!!マーリンの、髭!!」

457: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/31(金) 22:38:48.39 ID:zd1NH8dG0
玄関ホール

トフティ「……落ち着いたかね、ポッターさん?」

ハニー「はぁ、はっ、っ、えぇ、トフティ教授……平気、だから……何でもありませんわ……ただ、怖い夢を。夢、を……みただけ」

トフティ「うむ、試験のプレッシャーじゃな!さもありなん!お若いお嬢さん、さもありなん。さぁさぁ、冷たい水を飲みなさい……大広間に戻るかの?もう時間は僅かしかないが、回答を仕上げなさるか?」

ハニー「いいえ……私、わたし……」

トフティ「そうか、そうじゃな。君の解答用紙はわしが集めておこう。さぁ、医務室までいけるかね?横になっておるんじゃ……」

ハニー「医務室……そう、だわ!医務室に……ありがとう!それ、じゃ!」

トフティ「あぁ、走るでない! まったく、若い子は元気じゃのう。さっきわしに殴りかかってきて椅子に縛り上げたウィーズリーもそうじゃが。羨ましい」




医務室

バターーーンッ!

ハニー「先生!!」

ポンフリー「さぁモンタギュー、口を開けて?違うわ、鼻の穴じゃなくて。口を――ぽ、ポッター!?何事です!?」

ハニー「マクゴナガル先生にお会いしたいの!マダム・ポンフリー!先生はどこ!!!今すぐ、緊急に……!」

ポンフリー「み、ミネルバ?彼女なら、えぇ。ここにはいません……残念ですが」

ハニー「い……いない……?」

ポンフリー「……私の腕が及ばず。言い訳ではありますが、あのお歳で四本もの『失神術』……命があったのが奇跡的なほどです」

ハニー「……先生が……」

ポンフリー「昼日中に一対一で対決したら、あんな連中ごときにミネルバが負けるはずはないのに!ええ!なんという卑怯者たちでしょう……ポッター?」

ハニー「先生が……ダンブルドアもいない……このままじゃ」

ポンフリー「ポッター!?気分が優れないなら、『元気爆発薬』を差し上げますよ?」

ジリリリリリリリリッ

ポンフリー「あら、終業ですわね。そういえばポッター、あなたはまだ試験中では……?」

ハニー「! い、いいわ。私、わたし行かなきゃ。ありがとう……マダム」

ポンフリー「あっ、ちょ――」

バタンッ

ハニー「どう、どうしよう……行かないと……どこに、どこ、って……」

ハーマイオニー「ハニー!!」

ロン「ヒンヒン!あんにゃろ締め付けやがってマーリンの髭!ハニー!一体全体、どうしたんだい!?」

ハニー「! ロン、ハーマイ、オニー……どうしよう、どう、どうすればいいの……シリウスが……シリウスが!掴まって……!」

ハーマイオニー「は、ハニー、その名前……掴まった!?」

ロン「……とりあえず、人気の無いとこにいこう。さっ、ハニー。大丈夫、スニジェット並みに飛ばすからすぐさ、もちのロンで」

459: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/31(金) 23:03:26.18 ID:zd1NH8dG0
空き教室

ロン「『例のあの人』が、神秘部の奥でシリウスに……拷問!?」

ハニー「そう、それで、最後は殺す、って……!」

ハーマイオニー「ハニー、それ、それは、どうやって――?」

ハニー「さっきの試験中……また夢をみたの!あぁ、眠っていたことを怒るのはやめて!」

ハーマイオニー「そんなつもりはないわ!でも、ハニー。そんな場所に――どうやって?」

ハニー「どうやって、なんて、知らないわ!わたしがみたのは……神秘部の、小さなガラスの球で埋まった棚がたくさんある部屋、そこの、九十七番の棚の奥で……シリウスが、シリウスが今にも、あいつに……!!」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

ハニー「わたし……どうやって、あそこに行けば、いいのかしら……!急がないと、シリウス……!」

ロン「ま、待った。ハニー……行く、って!?」

ハニー「神秘部に行くのよ!シリウスを、助けに!!」

ハーマイオニー「でも、ハニー……」

ハニー「なに、なによ!なんで……どうして二人とも、そんな顔をするの!わたし、わたしは……シリウスは今も……!」

ハーマイオニー「ハニー、落ち着いて聞いて。ヴォルデモートが、今もまだ魔法省に大勢人がいる筈のこの時間帯に……どうやって入り込んだというの?」

ハニー「あいつのことなんて知らないわ!透明マントでも、なんだって!蛇に入ってもいい!どうだって!だって、わたしがいつもあの部屋にはいるときは!いつでも、からっぽで!人なんてどこにも……!」

ハーマイオニー「ハニー!あなたは神秘部に入ったことは一度もないの! 夢よ! ただの、夢――」

ハニー「ただの夢なんかじゃない!!!!!」

ロン「……そうだね、うん。パパの夢なんかは、本当にあったことだった」

ハーマイオニー「あ、あれとは状況が違うわ! ハニー、シリウスはグリモールド・プレイスにいるはずよ?どうしてそもそも、そんな場所に」

ハニー「シリウスを使って、何かを持ち出そうとしていたわ!そう、そうよ……シリウスの弟は死喰い人だった!だから、シリウスに……武器の取り出し方を喋ったのかもしれない……だから、だからシリウスは閉じ込められていて……そうよ!」

ロン「辻褄は……」

ハーマイオニー「合わないわ!まるで合わない!証拠も何もないじゃない――」

ハニー「わたしが!!二人を!!!見たの!!!!」

ハーマイオニー「ハニー! 分からないの!? その夢は辻褄の合わないことだらけだわ……もしも、もしもヴォルデモートが、あなたをおびき出すために見せたただの夢だったとしたら――」

ハニー「ただの夢じゃ、ない!」

ハーマイオニー「あなたの――『人助け癖』を利用するために、見せたのだとしたら――」

ハニー「……なぁに、それ」

ハーマイオニー「……あ……あの……」

ハニー「わたしが……私が!!!誰かのためになにかすることが!!!!そんなに悪い事だって言うの!?!?!?」

ロン「ハニー、違うよ。そういうことを言いたいんじゃないさ、オーケー、うん。僕の背中をマルフォイだと思いなよ、そうすりゃ――痛い!ありがとう!」

464: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/31(金) 23:27:57.12 ID:zd1NH8dG0
ハーマイオニー「あなたのそういうところは素晴らしいわ、ハニー……けどね、けど、ヴォルデモートは、それを知っているのよ」

ハニー「あいつに、私のことを理解されてるなんて思えないけれど!」

ハーマイオニー「覚えてる?秘密の部屋にあなたをおびき出す時、あの人はジニーを連れていったわ。それに……スキャバーズだったぺティグリューも見ていたはずよ。ロンを助けに、先生も呼ばず、叫びの屋敷に向かったあなたの姿を」

ロン「……あんにゃろが話してるのは確かだろうね、うん」

ハーマイオニー「ハニー、お願いだから聞いて頂戴。私は何度も言ったわ。あなたの行動はいつも結果論だ、って。あなたが人を助けようって行動するのはとても良いことなの。いつもいい結果を呼ぶわ――でも、それを利用されたら」

ハニー「シリウスを引っ張り出して、わたしをおびき出そうっていうこと!? それじゃ 放っておいて シリウスが 死んでも――」

ハーマイオニー「違うわ、違うったら! シリウスが神秘部にいるっていう、証拠も無しに動いたら!あちらの思う壺で――」

ハニー「だから何だって言うの!!! もしもほんとだったら――シリウスは!!!死んじゃうのよ!!」



ガチャッ

ハニー「っ、っ!!」

ロン「あぁ、急いで拭きなよハニー。何って、そうだな、怒鳴ってかいた汗とかね、うん。もちのロンで」

ハーマイオニー「だ、だれ……あぁ」

ジニー「あー……あなたたちがいつまでたっても現れないから、探していて……」

ルーナ「そしたら、あんたの怒鳴る声が聞こえたんだもン」

ジニー「そうなの……ハニー、何かあった?」

ハニー「なんにも、ないわ! なんにも……」

ジニー「……あなたのやることにケチはつけたくないし、つけられなけど。でも私、あなたに嘘をつかれるのは、嫌いだわ」

ハニー「……」

ルーナ「――何かやらないといけないんじゃないの。事情は知らないけど。それならさっさと片付けて、バタービールでも飲んでるほうがマシだもン」

ハニー「……」

468: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/31(金) 23:36:12.24 ID:zd1NH8dG0
ロン「いいこと言うぜ、君。なぁハニー、ハーマイオニー。ここで怒鳴りあってても始まらない……この二人に手伝ってもらって、確認しよう。シリウスが本部にいるかどうか。そしたら文句ないだろ、ハーマイオニー」

ハーマイオニー「……えぇ。シリウスを助けるために、なんだってするわ……ハニー、分かって。あなたがシリウスを失いたくないのと、同じくらい……私、あなたを失うのが嫌なの」

ハニー「……怒鳴ってごめんなさい」

ハーマイオニー「……いいのよ。あなたがどれだけ首っ丈かは、一番知ってるもの」

ハニー「……ジニーと、ルーナも。八つ当たりして……」

ジニー「ご褒美だからいいわ、ハニー!ヒンヒン!もっとあたって!」

ルーナ「? あんた怒ってたわけじゃないのに、なんで謝るの? 泣いてただけじゃ――」

ハニー「いいから!  手伝ってほしい事が、あるの。協力してくれる?」

ジニー「もちの」

ロン「僕さ!」

ハーマイオニー「はいはい、兄妹で息が合うこと……それで、どうやってシリウスの安否を確かめるか、だけど……」

ルーナ「シリウスって、スタビィ・ボードマンのこと?だったら、パパが連絡先を知ってるよ」

ハーマイオニー「……謎のロックシンガーのことはいいわ、ルーナ。現実を見させて」

470: ◆GPcj7MxBSM 2013/05/31(金) 23:52:34.94 ID:zd1NH8dG0
アンブリッジの部屋前

ロン「……準備いいかい?えーっと、透明マントかぶってるけど、そのあたりにいるんだよね?」

ハニー『えぇ、いいわよ』

ハーマイオニー『えぇ、いっ、んっ、ちょ、ハニー!不安なのは、分かったから……あ、えぇ!い、イイわ!』

ロン「なんで僕には魔法の眼がついてないんだ……マーリンの髭」

ハーマイオニー『フーッ、フーッ、じ、ジニーと、ルーナも!この廊下から人を追い払いだして頂戴』

ジニー「えぇ。誰かが『首締めガス』をこのあたりにどっさり流した、とでも言うことにするわ」

ハニー『……鮮やかな嘘ね、ジニー。どの双子からの受け売りかしら』

ジニー「ほんと、頼りになる兄をもったものよ」

ルーナ「あたしは、あっちの端に。頑張れぇ、ロナルド!」

ロン「ありがとさん。さぁ、始めるぞ……オフォン」

ドンドンドンッ!!!

ロン「てーへんだ!てーへんだ!!えらいこっちゃえらいこっちゃ!あんたの面とか!!!」

ガチャッ!

アンブリッジ「何事ですのなんて言い草ですの!? おや、ウィーズリー」

ロン「オエッ、アンブ、ウップ、アンブゥェッジ先生!ピーブズが、北塔のてっぺんで暴れまわって大変なんでさぁ!」

アンブリッジ「どうしてあの半巨人口調ですのあてつけですか!? ふぅ~む、ピーブズが……?いいでしょう!案内なさい、ウィーズリー!」

ロン「へぇ!こっちです!!   うまくやりなよ」

ハニー『……ありがとっ!』

タッタッタッタッタ
  ボテッボテッボテッボテッ

ジニー「……ここの廊下は通れないわよ!向こうを迂回して!どこかのバカが『首絞めガス』を流したの!」

ザワザワザワ

ザガリアス「はぁ?そんなの、どこにも見えないじゃないか――」

ルーナ「あら、それじゃ進んでみたら?あんたの死体が転がってたら、後の人に説明する暇がはぶけるもン」

ザガリアス「ひぃっ!?わ、分かったよ、分かった分かった……」

ザワザワ……
……

ハーマイオニー『……人がいなくなったわね。さっ、ハニー』

ハニー『えぇ……シリウスの、ナイフで……お願い、シリウス……いて頂戴』

カチッ……ガチャッ

473: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 00:12:57.12 ID:KWvlmgUL0
グリモールド・プレイス十二番地

ポンッ!

ハニー「ゴホッ、コホッ……来られたわ……みんなが約束してくれた時間は、五分だけ……その間に」

ハニー「シリウス!」

シーーーーン……

ハニー「あぁ……あっ……今、今頃は、もうお部屋!そうよね、お部屋に……だから……厨房にいないのは……そう、そうよ!それだけ、それだけ、よ!」

ハニー「シリウス!!!シリウス!!!いる、のよね!?シリウス!!!」

ガタガタッ

ハニー「! シリ、ウス?よかった――」

クリーチャー「……ポッターの頭がここにあります」

ハニー「クリー、チャー?なぁに、その手の包帯に……その、勝ち誇った眼は」

クリーチャー「この子はなんでやってきたのだろう、クリーチャーは考えます」

ハニー「っ、そうだわ!今は、あなたはいいの!クリーチャー、シリウス!シリウスはどこにいるの!?呼んできて頂戴!声を、聞かせて!」

クリーチャー「……旦那様はお出かけです、ハニー・ポッター」

ハニー「おで、かけ……どこ、どこに!?どこに行ったの……答えて!!クリーチャー!!!」

クリーチャー「ケッケッケッ……お屋敷の秘密をこれ以上漏らすわけにはいきません。クリーチャーの手はもう包帯も負けません」

ハニー「何を、何言って……神秘部、なの……シリウスは、神秘部に行ったの!?クリーチャー!!!!」

クリーチャー「……旦那様は神秘部から戻らない!!クリーチャーは奥様と二人きりです!あぁ、奥様!クリーチャーめはお屋敷の平穏を取り戻しました!!」

ハニー「この――この!!!――っあぁ!?」

グイッ!

グルグルグルグルグル……


アンブリッジの部屋

ハニー「っ、ゴホッ、ハーマイオニー、まだ時間はあるはずでしょう!?あぁ、でもいいわ!すぐに行かなきゃ――」

アンブリッジ「どこに、ですの?ミス・ポッター?」

ハニー「……な……なん、で……あなたが」

477: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 00:28:47.31 ID:KWvlmgUL0
グイッ!

ハニー「! っ、あぁっ!! 髪、っ、はなし、て!!」

アンブリッジ「今のあなたにわたくしからの質問以外答える権利はありませんわ。こいつの杖をとりなさい、ドラコ」

マルフォイ「フォイ、先生。ふんっ、ポッター。いいざまじゃないか」

ハニー「っ、この……っ、ポケットに勝手に、触らないで……!」

アンブリッジ「二匹もニフラーを入れられたあとで、このわたくしが二度と汚らわしいゴミ漁りの獣を忍び込ませるとお思い?出入り口にはわたくしが部屋から出た瞬間から、『隠密探知呪文』がかけられていますの」

アンブリッジ「まぁ?ピーブズが地下で何か悪さをしているとフィルチさんについさっき聞いていましたから、このウィーズリーの道化が現れたときから何かおかしいと思っていましたんですけどねぇ」

ロン「っ、ごめん、よ。ハニー……くっそ、はなせこの人面ゴリラ!」

クラッブ「ゴアーッ!」

ハニー「っ、ロン!それに……」

ハーマイオニー「はなして、よ!猫臭いわ、あなた!ミリセント・ブルストロード!」

ブルストロード「シャァアアアアアアッ!」

アンブリッジ「優秀な人材が揃っていますでしょ、わたくしの親衛隊は……残りはどうしたの?」

ガタガタッ、バタバタ
 ガチャッ!

ワリントン「暴れるな!おい、そいつはしっかり猿轡かませとけ!いててっ、噛み付きやがって!」

ジニー「~~~っ!!っ!!!っ!!!」

ハニー「ジニー! それに、あぁ、ルーナ……ネビル!?」

ルーナ「――」

ネビル「ンーーー!ンッ、ンニーー!!」

ワリントン「すいません、校長先生。こいつらを捕まえようとしたら、このチビが邪魔したので。一緒に連れてきました」

アンブリッジ「いいでしょう、いいでしょう。不穏分子を割り出す手間がはぶけましたわ……さぁて、ポッター?ミス・ポッター……一体誰と話をしようとしていたのかしら?」

ハニー「……」

アンブリッジ「アルバス・ダンブルドア?あの老人に泣きつくことでもあったのかしら?それとも、半巨人のお友達?あぁ、あれが暖炉があるような人並みの家にいられるはずがありませんわねぇ。それじゃ、ミネルバ・マクゴナガル? おぉっと、オホホ。まだ弱っていて、誰とも話せないんでしたわ」

ゲラゲラゲラゲラゲラ!!

ハニー「っ、この、この……!なんて人なの、なんて……あぁ、人じゃ、ないわ!このガマガエル!!!あなたになんて、私が誰と話そうが関係ないわ!!」

アンブリッジ「ざーんねん、言われなれてますわーぁ! さぁて、さて。素直に言うチャンスを与えましたのに……いいでしょう。ドラコ――スネイプ先生をお呼びなさい」

483: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 01:03:28.72 ID:KWvlmgUL0
スネイプ「……お呼びですかな、校長」

アンブリッジ「えーぇ、スネイプ先生――この状況に何も聞きませんのね」

ハニー「っ、っ……!」

ロン「髭!髭!!」

ハーマイオニー「……」

スネイプ「……別段驚くことではありませんので。して?」

アンブリッジ「えぇ、先生。実は『真実薬』をまた、一瓶お願いしたいんですの」

スネイプ「……『真実薬』? 校長、我輩の手持ちの最後の一瓶を、先日を尋問するという目的で持っていかれたはずですが?」

ハニー「……やっぱり」

スネイプ「まさか、一瓶使ったのではないでしょうな?三滴で十分、そう申し上げたはずですが?」

アンブリッジ「あー、わたくし、少し手が滑りまして……もう少ぉしだけ、調合していただけるわよねぇ?スネイプ、せ、ん、せ♪」

スネイプ「……お望みとあらば。そうですな、成熟するのに満月から満月の期間を要するので、大体一ヶ月ほどいただければ――」

アンブリッジ「い、一ヶ月!?わ、わたくしは今必要なんですのよ、スネイプ先生!ポッターがわたくしの暖炉を使って誰かしらと連絡をとろうとしていた、その現場を押さえた、今!!ここで!!!!」

スネイプ「ほう……先ほども申し上げましたが、この娘が規則違反をすることなど別段驚くべきことではなかろうと思いますがな」

ハニー「……」

スネイプ「こやつときたら、規則を規則と思わず、鼻持ちなら無い高慢さで、校則に従う様子などいままではたと見られることもなく、人の物をも自分のものと思っている節があり、ふざけた眼をしている。あぁ、そうだ。そのふざけた眼でこちらを見るな、ポッター。十点減点」

ハニー「……(気づいて…私がみた夢のこと……お願い、よ……!)」

アンブリッジ「こいつに尋問したいのよ!それには、『真実薬』が必要なの!」

スネイプ「ですから校長、我輩には今手持ちがない、と。ポッターに毒薬を飲ませたいのなら、話は別ですがな――校長がそうなさるおつもりなら、我輩も個人的にお気持ちはよくわかりますので都合しましょう?『目玉が飛び出る毒』なんて……」

アンブリッジ「~~っ!あなたは停職です!あなたはわざと手伝おうとしないのです!わたくしには分かります!あぁ、ルシウスがいつもあなたを褒めていたというのに!下がりなさい!」

スネイプ「……お望みとあらば」

ツカッ、ツカッ……


ハニー「――あの人が、パッドフットを捕まえたわ!!!」

スネイプ「――」

アンブリッジ「!? ポッター、いきなりなんですの!?」

ハニー「パッドフットが!あれが隠されている部屋に!あいつと一緒に!!!」

スネイプ「――」

アンブリッジ「パッドフット?あいつ?部屋? スネイプ、こいつはいったい何を言っていますの?」

スネイプ「――さぁ、我輩にはさっぱりわかりかねますな。ポッター、戯言を話したいのなら『戯言薬』を存分に飲ませるが?」

ハニー「っ、っ!!なん、で……なんで……!」

スネイプ「気分が悪い。校長、失礼しますぞ。我輩は何も見なかったし、聞かなかった。そういうことにいたしましょう」

バタンッ

487: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 01:22:42.64 ID:KWvlmgUL0
アンブリッジ「あの人は頼りになると思っていましたのに……せっかく、気持ち悪くとも仲良くしていましたのに……!」

ロン「鏡って知ってるか!マー髭!」

アンブリッジ「お黙りなさいウィーズリー! さて、さて……いいでしょう……ほかに手はありませんわ」

ハニー「手詰まり……最後の、望みだったのに……スネイプしか、いなかった、のに……!」

アンブリッジ「あら、わたくしの心境がわかりますのね、ポッター?それならば、理解できますでしょう?これは学校の規律の枠を超えます……魔法省の、安全のためですわ……」

パシッ!パシッ!

ハニー「……杖を手のひらに打ち付けて、なにを……」

アンブリッジ「……『磔の呪い』なら、舌も緩むかもしれませんわねぇ……?」

ハニー「!?」

マルフォイ「うっフォーーっ!」

クラッブ「ゴアーーーッ!」

ゴイル「ウッホウッホ!」

ロン「な……おい、おいっ!!!この、この醜悪ババァ蛙!!ふざけんな!!ふざけんな!!!!!僕のハニーに!!おい!!」

ハーマイオニー「やめて、やめて! アンブリッジ、先生!それは、違法です!――大臣も、先生に違法な手段をとってほしくないはずです!!」

アンブリッジ「知らなければ、コーネリウスは痛くもかゆくもないでしょう。それに、これは、そう……コーネリウスのためですわ。夏にわたくしがしたことと同じ……コーネリウスは、こいつを追放できると大層喜んでいましたもの……あぁ、あの顔が見れるんでしたら、わたくしは、違法なんて何も……!」

ハニー「この、夏……?  まさか……吸魂鬼をけしかけたのは……あなただったの!?」

アンブリッジ「誰かが行動を起こさなければなりませんの、ポッター」

アンブリッジ「わたくしの周りでは誰も彼も、お前を黙らせたいと愚痴ってばかりでしたわ――お前やダンブルドアを失墜させたいと――行動したのはわたくしだけ!そしてわたくしだけが、あなたたちを追い詰められるのですわ!」

アンブリッジ「そう、今回も!さぁ、覚悟おし――」

ハーマイオニー「やめて!!ハニー、もう、もう白状しないといけないわ!!」

ハニー「絶対嫌!!っ、こんな女の呪いなんか、平気よ!わたし……私は、ヴォルデモートの呪いにだって屈さなかったのよ!?」

ハーマイオニー「だからって、この人はいつまでもあなたを……もう、言って、しまいましょう……ダンブルドアに!!私達の武器ができたんです、って!!伝えようとしていたことを!!!!」

ハニー「そんな――えっ?」

ロン「…………な、なんてことしてくれてんだハーマイオニー!!!だ、台無しだ……もうおしまいだ……」

ハニー「……えっ?」

アンブリッジ「……ほっほぉー……ほっほぉーーーー!?お嬢さん、なーんでもペチャクチャ答えちゃう知ったかぶりのミス・グレンジャー!ですけど今は感謝しますわ!!あなたがたは、なにを!?誰に!?」

ハーマイオニー「言う、全部言うわ!だから、だから、ハニーにひどい事しないで……お願い」

アンブリッジ「えーぇ、えぇ!いいですとも、えぇ! さぁ、杖は下ろしましたわ!あなたとわたくしはオトモダチです!さぁ、お話しなさいな!」

ハニー「……えーっと」

ロン「あぁ、ハニー……言いたいことは、分かるよ。マーリンのひげだよなぁ、ほーんとさ」

492: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 01:43:48.20 ID:KWvlmgUL0
ハーマイオニー「私、たち……ダンブルドアにひそかに頼まれていたの……武器を作ることを」

ロン「……こうなったら、反吐っちまおうよ……通称、『魔法省を木っ端微塵にして乗っ取ってウハウハしてやるんジャー』を、だろ……?」

アンブリッジ「!? な、なんてものを!!なんてものを、あの老害!!!!」

ハニー「……」

ハーマイオニー「だ、ダンブルドアが設計して、後を残して行ったのだけど……それが完成して」

アンブリッジ「それで、それで!?ダンブルドアは今どこにいますの!?え!?」

ハーマイオニー「それは、それは、知らされていないわ――先生の厳しい監視のせいで、私達に……連絡が届くことは、なかったもの」

ロン「ちっくしょう!なんて手際が良くて的確な判断力と統制力なんだ!マーリンのひげ!」

アンブリッジ「ふ、ふっふん、それほどでもありますわ。それじゃ、どこに連絡を?え!?」

ハーマイオニー「ダンブルドアがよく現れそうな場所を、って……『三本の箒』とか、『もれ鍋』とか……それくらいしか、思いつかなかったから……」

ロン「あぁ……僕らなんか、あんたの前じゃ手のひら、いや、水かきの上で踊るオガクズさ……」

アンブリッジ「そうでしょうとも!はっ!なんてバカな子!学年首席が聞いて呆れますわ!」

ハニー「……今いかんなく発揮しているけれどね」

アンブリッジ「それで!?その武器は今、どこかにありますのね!?え?」

ハーマイオニー「ぐすっ……えぇ、厳重に、保管して……」

アンブリッジ「案内なさい!さぁ!そいつをわたくしに……」

ハーマイオニー「あ、あの人たちに、見せたくないわ……!スリザリン生みたいな、人たちに!」

アンブリッジ「あなたに条件が提示できると思って――」

ハーマイオニー「っ、だ、だったら、みんなに見せるといいわ。えぇ、もっともっとたくさんの人を、呼べばいいじゃない!武器は山ほどあるもの――あなたの側についたフリをした誰かが、あなたの目を盗んで武器をつかって、あなたたちを陥れれば!け、結局は私達のしたいことは達成、できるんだもの……!」

アンブリッジ「!? ……っ!」

マルフォイ「いい事聞いたぞ、父上が――な、なんです、アンブリッジ先生?ア、アハハ、あの、早くこいつに案内させましょうよ?ね?」

アンブリッジ「――いいですわ。グレンジャー、あなたとわたくし、それにポッターを連れていきましょう。親衛隊、残りのこいつらをしっかり見張っておくのです。いいわね?」

マルフォイ「……チッ……はい、いや、フォ、いや、はい、先生」

クラップ「ゴアッ」

ゴイル「ウホ」

ロン「あぁハーマイオニー、恨むぞハーマイオニー!!あと一歩だったのに!!!あの武器さえあれば、僕らは!!ダンブルドアは!!!」

ハーマイオニー「っ、っ、ごめん、ごめん、なさい……あぁ、ハニー!」

ギュッ

ハニー「えっ、あの……え、えぇ、ハーマイオニー……だ、大丈夫よ。あなたはあの……悪くないわ」

ハーマイオニー「……ぐすっ、そうよね……アンブリッジの前にはいつか暴かれる、そう、ダンブルドアも……おっしゃっていた、ものね」

ロン「あぁ!あの女はわしらの真の敵にて最強の障害じゃ!そう言ってたもんな!あぁ!もちの彼で!」

アンブリッジ「ふっふん、ふっふーーーん!それほどでも、ありますわーーー!」

ジニー「……」

ネビル「……」

ルーナ「……フーンフンフフ、フンフフフーン♪」

496: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 02:04:00.50 ID:KWvlmgUL0
数分後

校庭


ザクッザクッザクッザクッ
ザクッザクッザクッザクッ

   ボテッボテッボテッボテッ

ハニー「……ハーマイオニー、あの」

ハーマイオニー「シッ……あなたが場所を知らない、なんて態度を取ったら、怪しまれるわよ。ほら、いつも虚勢を張るのは得意でしょう?」

ハニー「だ、誰が。私はいつだって私よ、当たり前じゃない……けれど……いつの間に」

ハーマイオニー「……あなたが、両親の素晴らしい遺産を寮に取りに行ってる間に、よ」

アンブリッジ「コソコソ話すのはおやめなさい! ふっふぅん?遺産?それはなんですの、ポッター?」

ハニー「……この高貴で可憐で儚げで、伝説的で道徳的で家庭的な存在そのものよ」

アンブリッジ「お黙りなさい!戯言はけっこう!早く案内なさい! これは、そう!あの半巨人の小屋に向かってますのね!?」

ハーマイオニー「もちろん、違うわ。ハグリッドが間違って起動させては、困るもの」

アンブリッジ「あぁ――そうですわね。あのデカブツうすのろなら、やりかねませんわ。じゃぁ、一体……?」

ハニー「……生徒が絶対に見つけないところ、入らないところ、よ。『先生』」

ハーマイオニー「……『禁じられた森』です。『先生』」

ザワザワザワザワ……

 ゲーーゲーーゲーーーゲーーーッ!

ピーーィピピーィッ  ウゲーーーェッ

アンブリッジ「あら……あー……そ、そう……あー……そ、それじゃ、あなたがたはそのまま先にお進みなさいな」

ハニー「……杖がないと、流石に暗いのですけれど?」

アンブリッジ「いいえ、そうはいきませんわね、ポッター。生憎と、魔法省はあなたがた二人よりもわたくしの命の方にはるかに高い価値をつけてますもの」

ハーマイオニー「……武器と同じくらい計り知れなさそうだわ」

アンブリッジ「オホホ、そうですとも。さっ、お行きなさい」

502: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 02:34:39.16 ID:KWvlmgUL0
ガサガサガサガサッ
  パキッ、バキバキッ
 ガサガサガサガサッ

ハニー「っ……ねぇ、ハーマイオニー……ちょっと」

ハーマイオニー「なぁに、ハニー……あー、本当に暗くて大変ね。歌でも歌う?」

ハニー「そう、じゃなくって。速いわ、それに、あんまり音を立てて動いちゃいけないわ……この森じゃ、誰が聞き耳をたてているか」

ハーマイオニー「ホグホグワツワツホグホグワツワツおっしえってよー……聞かせたいのよ、もちろん」

ハニー「?」

ハーマイオニー「今に分かるわ……チッ、あの人、まだついて来られているわね」

アンブリッジ「ハッ、ハァ、ハァ、ハァ、お、お待ちなさい!少し、ゆっくり……あぁんっ、もう!お気に入りのローブがひっかかりましたわ!」

ハーマイオニー「! 今よ、ハニー!あの女蛙から離れましょう!」

ハニー「!? ど、どういうこと!? たとえ今逃げても、解決には……」

ハーマイオニー「いいえ、少しだけでいいのよ!そうしたら……」

ガサッ!

マゴリアン「お若いお嬢さんたち、ここは君達の踏み入れていい場所じゃない。そのお御脚で踏んでくれるのなら可……ふぅ。どうしてこんなところへ?」

ハーマイオニー「……ほら」

ハニー「……あぁ……見計らっていたのね、どこかから……そして」

ガサガサッ!

アンブリッジ「お待ち!逃げようとしても、そうは……ひぃっ!?」

マゴリアン「…………ここで何をしているのです、ヒト……?め……!!!!!」

ガサガサガサガサガサガサガサガサッ!!!

 ギリギリギリギリギリッ

アンブリッジ「!? ひっ、ひぃっ!?け、ケンタウルスの群れ!な、何のまねですの!わ、わたくしに弓を向ける、なんて……!」

ハニー「……中々、趣味のいいことするわね、あなたも」

ハーマイオニー「あら、マリエッタの顔のことを忘れたの?」

ベイン「こっちの台詞だこの存在そのものがテロ活動生命体!!うっぷ、なんとひどい!うっぷ、目が腐る!隣のおにゃのこたちをみ、ふぅ……何のまね、はこちらの台詞だと言っている」

マゴリアン「あなたは誰です、ヒト……?よ!何の目的があってこの森の賢者たちを破滅に追いやろうと言うのです!殺す気か!!!我々の下半身もろとも!させるか!うっひょぉスカートだスカートのおにゃのこが……ふぅ。今夜は火星がアレです……」

アンブリッジ「わたくしは、ドローレス・アンブリッジ! 魔法大臣上級次官にしてホグワーツ校長、ならびにホグワーツ高等尋問官です!」

マゴリアン「……魔法省の者……?」

アンブリッジ「そうです、だからお気をつけなさい!おまえたちのような半獣が、ヒトを攻撃すれば――」

ベイン「そちらのおにゃのこに手をだすつもりはない!NO!タッチ!仔馬!これ常識!ふぅ……ですからお嬢さんたち、どうだろう……一瞬、一瞬でいいから」

ハニー「一瞬で蹴り飛ばしていいなら、そうするわよ」

アンブリッジ「その子たちだけではありませんわ!当たり前ですが、わたくしを攻撃しようものなら――法令第十五号『B』に規定されているように『ヒトに近い知能を持つと推定され、それ故にその行為に責任が伴うと思料される魔法生物による攻撃は――」

マゴリアン「ヒトに近い、知能――!?ヒトからかけ離れた外見のあなたが何を言う……!生まれなおして微生物から出なおせ!!!豊満熟れ熟れキャリア魔法省役人に転生してから相手をして……ふぅ。あぁ、なんと愚かな」

アンブリッジ「黙りなさい!!!」

ハニー「……割と賛成だわ」

512: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 03:02:45.19 ID:KWvlmgUL0
ベイン「おまけにヒト……?よ!我々のことを半獣と呼んだか!?」

ハーマイオニー「そうよ!この人たちをそんな風に呼ばないで!」

ベイン「うっひょぉおにゃのこに庇われた……ふぅ。心優しいヒトよ、ありがとう」

ハーマイオニー「……たとえこんなんでも!!」

マゴリアン「我々の知能はヒトに近いどころかありがたいことにはるかに凌駕しているのです、ヒト……?よ。我々は先ほどのあなたの言葉は侮辱だと考える。おにゃのこのスカートの中身の次くらいの事項として考え……ふぅ。もう一度聞こう、我々の森で何をしている?」

アンブリッジ「我々の!?ハッ!聞いて呆れますわ!いいですか、魔法省がおまえたちにある一定の区画に住むことを許しているからこそ、この森にお前たちは住まうことが――ぎゃぁああああああああああああ!?」

ビィン――ッ  ドスッ!!

ハニー「! アンブリッジの頭スレスレに、矢が!」

ベイン「次は中てる。我々の色んな意味で百発百中だ。色んな意味で。ふぅ。さぁ、誰の森だ?」

アンブリッジ「汚らわしい半獣!!!けだもの!!手に負えない動物め!!」

ハーマイオニー「! 言いすぎよ、黙っ――」

アンブリッジ「『インカーセラス!縛れ!』」

グルグルグルグルグルッギチッ!

マゴリアン「――!なにをする!!!わ、私の緊縛初体験がこんな相手nうわあああああああああああああああああああ!!!」

マゴリアーーーーーーーーン!!!
 ウオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

ベイン「同志達よ!!!続け!!!捕らえろ!!!!大丈夫、三秒ルールだ!!三秒たったら隣に渡せ!!!」

アンブリッジ「ぎゃ、ぎゃああああああああ!!放せ、放しなさい!!!わ、わたくしをどうするつもりですの!!やめ、やめて!!乱暴する気ですわね!!その馬のような体d――」

ベイン「生憎だが人外はNO!!!! 若い仔馬の弓の的にでもしよう!!連れていけ!!!」

アンブリッジ「や、やめ、やめてぇええええ!! あああああぁぁぁぁ……!!」

パカラッパカラッパカラッパカラッパカラ……

ハニー「……行ってしまったわ。死ぬ、ことはないでしょうけれど……」

ハーマイオニー「あ、あの……ありがとう。たすかりました……」

ベイン「……さて、残った諸君。協議しよう――ここにいるおにゃのこ二人は、仔馬だと思うか?」

……NO!!

ハニー「……なっ」

ハーマイオニー「え……えっ!?」

ベイン「お嬢さん、あなたは我々を利用しようとした。その策略、まったくもって大人のそれだ。よって我々はあなたをレディと判断し……捕まえて檻に入れて奉ってローアングルから鑑賞会だあああああああああ!!!」

ワァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!
 ドンドコドンドコドンドコドンドコ!!!!
ヒュイッ!ヒューーーーーイッ!!!

ハニー「お、お祭り騒ぎしてるんじゃないわよ! 来ないで、この……いい加減にしなさいこの駄馬ども!!!」

ハーマイオニー「や、やめ――」




バキバキバキッ!!

ベイン「? なん――お、お前は――」

グロウプ「ハガーーー!どこーーーー!?」

ハニー「! ぐ、グロウプ!?」

518: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 03:20:45.18 ID:KWvlmgUL0
ベイン「巨人よ、去れ!!ハグリッドがいなくなった今、お前は――」

グロウプ「ハガーーー!」

ベイン「聞け!!お前は我々にとって歓迎されない!くっ!何故ハグリッドにいたのが妹じゃなかったんだ!そうしたら巨人系妹という新しいジャンル……ふぅ。いや、後追いはよくない、後追いは」

ハニー「そういう問題なのあなたたちにとって!?」

ハーマイオニー「グロウプ、さっきから言っているハガー、って……も、もしかして」

ハニー「えぇ、きっと『ハグリッド』って言いたいんだわ……」

グロウプ「ハガーーーーー!……?……ハーニィー?ハーミー?」

ハニー「……え!?!?」

ハーマイオニー「まぁ……な、なんてこと!?お、覚えてて……」

グロウプ「ハグリッドはもしかして、この城を追われてしまったのですか?」

ハニー「」

ハーマイオニー「」

グロウプ「……お気持ちは分かります。ですが、ハグリッドと話し合ったんです。ちょっとバカを演じてたら、あなたがたが私を気にかけてくれるだろう、と……彼を責めないであげてください。あなたたちを騙したくて騙したのではありません、全ては……全ては、弟である…私の、ために……!!!」

ハニー「……この駄馬たちよ」

グロウプ「え?」

ベイン「……やめて」

ハーマイオニー「こ、このケンタウルスたちが!は、ハグリッドを攻撃して、この森に来られないようにしたわ!!」

グロウプ「……」

ベイン「……」

……

グロウプ「・・・ ・・・ ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

ドシーーーーーンッ!!!
 バキバキバキバキバキバキッ!!!

ベイン「は、放てぇええええええ!!弓、弓を!!!矢を、はな、うわああああああああ!!」



ハニー「逃げるわよ、ハーマイオニー!」

ハーマイオニー「や、やりすぎたかしら!?グロウプ、あの人たちを皆殺しにしちゃうんじゃ……!?」

ハニー「平気よ、彼はハグリッドの弟よ!?それに……あれだけ、ねぇ」

ハーマイオニー「……なんだか悔しい」

ハニー「……そしてクラップ・ゴイルは益々悲惨だわ」

527: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 03:35:43.52 ID:KWvlmgUL0
ハグリッドの小屋前

ハニー「あぁ、なんとかアンブリッジの手は逃れられた、けれど!時間を無駄にしてしまったわ……あれから、一体どれだけ……!」

ハーマイオニー「今更だけど、ハニー……シリウスは、やっぱり」

ハニー「っ、そう、そうよ!グリモールド・プレイスにはいなかった!クリーチャーからはっきり、『神秘部』に行ったって聞いたわ!!」

ハーマイオニー「そんな……あぁ、どうしましょう。急いで」

ハニー「っ、そうよ。急いで城に戻って、杖を取り戻して、それに、それにこれからどうやってロンドンに向かうかも考えなくっちゃ……早く、どうにかしなきゃ……!」

ロン「うーん、一応半分はクリアできてるんだけどさ。もちのロンで」

ハニー「きゃぁっ!? ろ、ロン!?」

ハーマイオニー「み、みんな!どう……ど、どうしてそんな傷だらけに!?」

ネビル「たたはったんだ、僕たち。あい、あニー、はーみおにー、君たちの杖」

ロン「拳に蹴りに噛み付きに、そんで、失神光線のどキツイのを二、三発に武装解除術。ネビルは『妨害の呪い』のすっげぇのをかましてくれたぜ。でもいっちばんは、ジニーだな。マルフォイの面をコウモリの鼻くそだらけにしてやった」

ジニー「笑えたわね、あれは。ねぇ、ルーナ?」

ルーナ「息出来なくなるかとおもったもン。アンブリッジは?」

ハニー「あー……えぇ、ケンタウルスの群れに、連れて行かれたわ……無礼な事を言って」

ハーマイオニー「怒って当然よ。それに、呪文を使うなんて」

ジニー「け、ケンタウルスは二人を置いていっちゃったの!?奇跡だわ!流石奇跡が形になって歩いてるハニー!ヒンヒン!」

ハニー「それもあるけれど。丁度、グロウプが来て追い払ってくれたのよ……追い払わせた、だけれど」

ルーナ「グロウプって?」

ハーマイオニー「ハグリッドの弟よ」

ルーナ「あぁ。それじゃきっと、出来た人なんだろうね。お兄ちゃんが、あんな風だから」

ハニー「……言わないであげて」

531: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 03:49:33.28 ID:KWvlmgUL0
ロン「……シリウスは、やっぱりいなかったんだね」

ネビル「……し、シリウスってあのシリウス?シリウス・ブラック?」

ハニー「えぇ、そうよネビル。しっかりなさい、私の豚でしょう? 彼は私の……わたしの大事な家族なの」

ネビル「オーケー!シリウス奪還作戦だね!!ほら貝の準備だ!」

ロン「順応早いなぁ」

ハーマイオニー「……話が進めやすくて助かるわ。それで……ど、どうやってロンドンに行くかだけど……」

ルーナ「全員、飛んでいけば?それしかないでしょう?」

ハニー「……とても冷静な提案をありがと、ルーナ。けれどね、一応言っておくわ。第一に、あなた自身も含めて全員と言ってるわけじゃないわよね?それに第二に、箒を持ってるのは今ロンだけで……」

ジニー「私も持ってるわ!」

ロン「あぁ、だけどお前は来ないんだ!当たり前だろ!!」

ジニー「お言葉ですけど、シリウスのことを心配してるのは私だって同じよ!それに、私はハニーが賢者の石を守った時より三つも上だわ!あと、さっきマルフォイをとっちめたことで私の魔法を褒めたのはだぁれ!?」

ロン「屁理屈言うなよ、マーリンの髭!」

ハニー「……あなたたちまで、巻き込むなんて」

ネビル「僕達、DAでみんな一緒だったよ。それもこれも、『例のあの人』と戦うためだ……ハニー、僕、戦える!君のため……だけじゃない。僕自身のために!」

ルーナ「それとも全部ゲームだったの? ただアンブリッジに反抗したかっただけ? 『あの人』の勢力と戦うため、っていうのはポーズだったの?」

ハニー「もちろん、違うわ!みんな、とっても……」

ネビル「じゃあ、僕達も行かなきゃ」

ジニー「巻き込まれるんじゃないわ、ハニー。私達が、そうしたいの」

ルーナ「そうよ。だってさ、友――んー、なんでもない。それに、飛ぶ手段なら……」


ブルヒヒヒヒヒンッ


ルーナ「ほら――あの子たちがいるよ?」

ハニー「……セストラル……!」

533: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 04:07:05.68 ID:KWvlmgUL0
ハニー「……みんな、本当について来るつもりなのね」

ネビル「もちの!」

ジニー「一番豚だわ!」

ルーナ「うん」

ハニー「……そもそも私、あなた達二人にも一緒に来て、って言った覚え、ないのだけれど」

ロン「おいおいハニー、何言ってんのさ。僕は君の一番の豚だぜ?  君が危ないところにいくのに黙ってられるわけないだろ?」

ハーマイオニー「私、言ったわよ?シリウスのためになんでもするって。あなたのために、なんでも。聞かなかったとは、言わせないわ」

ハニー「……」

ハニー「私……わたしは……怖い」

ハニー「今から向かう先で……わたしの大切な人が、いなくなってしまうかもしれない」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

ハニー「それに……あなたたちまで。何が起こるかわからない場所に、連れて行くことになってしまう」

ハニー「わたしのせいで……あなたたちに何かあったら、って。怖い。怖くて仕方ない」

ジニー「……」

ネビル「……」

ルーナ「……」

ハニー「……同じような事があった時。もっともっと、わたしに力があればいい。そうも思ったこともあったわ……」

ハニー「でも……分かった。ううん、分かってた」

ハニー「ちっぽけで、弱いわたしに出来ることなんて、限られてる」

ハニー「でもわたしは……あなたたちを信じることだけは、諦めちゃいけないんだ、って」

ハニー「それで、あなたたちの力になるのなら……わたし、信じるわ。あなたたちのこと」

ハニー「……手伝って、くれる?」

ハニー「わたしの、わたしの大切な、お友達……」

ロン「当たり前さ、ハニー」

ハーマイオニー「さ、行きましょう。大切なものは、全部全部。それがあなたじゃない」

ハニー「……うん」

ハニー「もう、誰一人だって……欠けさせない……信じてるわ、みんな」

534: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 04:17:56.27 ID:KWvlmgUL0
上空

ハーマイオニー「は、ハニー!?ほんとに、ほんとに大丈夫なのよね!?私、ちゃんとしがみ付けている!?」

ハニー「えぇ、大丈夫よハーマイオニー!だからしっかり、ココ!このたてがみの部分を掴んで!私が後ろから支えているから――」

ハーマイオニー「お、お願い――って、さ、支えるって、どこ、ちょ、は、ナニ、あ――」


ロン「……なんで僕を支えるのが君なのさ」

ネビル「し、仕方ないじゃないか!セストラルが見えるのはハニーと僕とルーナなんだから!」

ロン「だからってさぁ……マーリンの髭!」

ネビル「ぼ、僕だって出来れば女の子にこうしてたかったよ!なにさ!よーし!」

ブォオオオオオオオオオオオオッ!


ジニー「はぁあぁあ、さっきのハニー可愛かったわ……なにあれ?あれがギャップ萌えってやつなのねあぁぁハニー凄い、流石無限の可能性!」

ルーナ「? いつもあんな風だと思うけど……でも、あれはあたしにも言ってたのかな」

ジニー「うん?どれ?」

ルーナ「友達、って」

ジニー「? それはそうよ。だって、ルーナだってそう思ったから、ハニーを助けるんでしょ?」

ルーナ「――そっかな。うん、そうかもね。あ、ジニー」

ジニー「なに?」

ルーナ「座る位置、もう少し左にしないとそのまま落っこちちゃうよ」

ジニー「で、出来れば今度からは早く言ってね!!」








535: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 04:40:44.96 ID:KWvlmgUL0
ロンドン

フワッ……ストッ

ハーマイオニー「あ、あんなに猛スピードで降下したのに、軟着陸ね……凄いわ、セストラルって。一度も迷った動きもなく、一直線にここまで」

ハニー「ハグリッドの説明は正しかったわね……みんなも降りてきたわ」

ロン「も、もうこりごりだよこんな移動……ハニー見れば一発で回復だけどさこのくらい」

ネビル「み、見えてる僕でさえ辛かったよ……あぁ、ハニーさえいればオアシスだよね、うん」

ハニー「天国の間違いじゃないかしら。ジニー、ルーナ。平気?」

ジニー「えぇ、飛ぶのは好きだもの――あっ!うそ!私も辛いわ!ハニーのおかげでへっちゃら!」

ルーナ「へぇ、こんなとこに入り口があるんだ。それで、これからどこに行くの?」

ハニー「まるで遠足みたいな口ぶりね、あなた……あそこの、電話ボックスにみんな入って。さぁ、急いで」

ロン「これかい? ウッヘー、こーんなに古ぼけたのを入り口に使うなんて、魔法省大丈夫なのかな」

ジニー「きっとまた目を引かないための、とかそういうのでしょ?」

ハーマイオニー「その通りでしょうね……六人入りきるかしら」

ネビル「ギリギリかな……せ、狭いや……ルーナ痛い痛い痛い痛い僕の足踏んでるようわああああん!」

ルーナ「あぁ、ごめんなさい。どうなるの?これ、スモモ飛行船で飛んでいくとか?」

ハニー「そこまでファンタジーじゃないわ……ロン、ダイヤルを回して!『62442』よ!」

ロン「ヒンヒン!オーケーハニー!『821315』っと……」

ハーマイオニー「広いところにでたら覚えてなさい!ひっぱたいてやるわ!」

ロン「じょ、冗談だよ、うん、ごめんよそんな暇なかったね、うん。『62442』と」

『魔法省へようこそ! お名前とご用件をおっしゃってください!』

ハニー「ハニー・ポッター、ロン・ウィーズリー、ハーマイオニー・グレンジャー、ジニー・ウィーズリー、ネビル・ロングボトム、ルーナ・ラブグッド!ある人を助けにきたわ! あなたがたが先に助けてくれるなら別だけれど!」

『ありがとうございます。外来の方はバッジをお取りになり、胸につけてお入りください』

カコカコンッ、カコンッ

ロン「へー、こんなのが……『ロン・ウィーズリー、救出任務』 だってさ」

ハーマイオニー「またバッジね……あ!」

ゴウン、ゴウンゴウンゴウンゴウン

ジニー「!地下に潜っていくわ!電話ボックスごと!」

ネビル「すごい!魔法みたい!」

ルーナ「でもきっと、空中要塞みたいなのも持ってるよ。うん。ファッジのことだもン」

ハニー「(大丈夫……あれから、鈍く痛むだけで傷は激しく痛んでない……あいつの感情の高ぶりは感じない……シリウスは、無事よ……大丈夫)」

ゴウンゴウンゴウンゴウン……

536: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 04:42:42.02 ID:KWvlmgUL0
流石に休憩
三時間後に再開
本日で最後まで、このスレで終わらせたい
また後で

545: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 09:31:36.78 ID:KWvlmgUL0
魔法省

ポーン!

『魔法省です。本夕はご来省ありがとうございます』

ルーナ「綺麗なところだね」

ハニー「感想はまた今度にして……誰も、誰もいないわ」

ロン「あー……早めの夏休みかな……それとも、今日はバンディマンの駆除でもするとか」

ジニー「……ロンのフォローになってないフォローは置いておくとしても……なんだか不気味ね。この立派な像もある意味不気味だわ」

ハーマイオニー「……趣味の悪い像だわ。小鬼や屋敷しもべ妖精、ケンタウルスに崇められてる魔法使い……魔法省の象徴ね、まさに。ハニー、これからどこに向かえば……?」

ハニー「あっちのエレベーターよ……さぁ、乗って」

ロン「えっと……神秘部は、九階か」

カチッ

ガタゴトガタゴト ジャラジャラジャラジャラジャラジャラ!

ハニー「……これだけの音が立っているのだから、誰かいるのなら絶対気づくはずだわ。それでも、現れないのなら」

ハーマイオニー「……いよいよもっておかしいわね」

ロン「こんな施設だ、ガード魔ン一人いないのも変だもんな……あー、ここが」

ポーン!

『神秘部です』

ガチャガチャガチャッ

ハニー「……夢でみたのと同じ。細くて長い廊下……それに、黒くて大きい、扉」

ネビル「……ここに入って、いくんだよね?ハニー」

ハニー「えぇ……みんな、用意はいい? 扉の向こうに、誰かいるかもしれないわ……杖は下ろさないで……この扉が、夢の通りだとしたら」

ツカッツカッツカッツカッ……

パッ

ロン「! 勝手に開いた!さてはこの扉、豚だな!ヘイ同胞、気が利くね!」

ハーマイオニー「一生やってなさい」

548: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 09:49:34.58 ID:KWvlmgUL0

ハニー「……夢の通りだわ。円形の部屋、扉がたくさんある、この部屋!」

ジニー「ぜーんぶ、同じような扉ね。特徴も、目印もなさそう……ハニー、次はどこに進めばいいの?」

ハニー「……私が夢で見たときは、入って真正面の扉で……あっ!」

ゴロゴロ……ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ!!

ハーマイオニー「! 部屋が……いいえ、壁が、回転してる!」

ロン「……マーリンの髭。入ってきたのも含めてまったく同じ扉が並んでるってのに」

ネビル「……ど、どれが真正面だったのか、分からなくなっちゃったね」

ハニー「……うだうだせずに進むべきだったわ。しらみつぶしに、開けていきましょう。幸い、どんな部屋だったかは覚えているもの」

ロン「12個かぁ。どれから行く、ハニー?」

ハニー「……ここよ」

ギッ……パッ

ハニー「……なんだか水槽がある部屋……はずれみたい」

ルーナ「! アクアビリウス・マゴット!?」

ロン「ぼくのおじさんがなんだって?」

ルーナ「アクアビリウス・マゴットだよ!パパが言ってた、魔法省はこの水蛆虫を繁殖させてる、って――!」

ハーマイオニー「残念ながら違うわ、ルーナ……これ……脳みそ、だわ」

ネビル「……ウェー……な、なんだって、こんなもの……?に、人間のじゃない、よね?半透明だし……違うよね?」

ハーマイオニー「さぁ……とにかく、ハニー。ここは違うんでしょう?」

ジニー「戻りましょう?探検してる暇はないんだし」

ハニー「えぇ……あの円形の部屋に戻ったら、また回転したりしないわよね?」

ハーマイオニー「二の舞は踏まないわ……『フラグレート、焼印!』」

ジューッ!  ×

ハーマイオニー「これで、この扉は確認済みって分かるわ。ね?」

ハニー「……あなたって、時々抱きしめたくなるわね」


ロン「よーし二人とも、この羽ペンでハーマイオニーの焼き印よりでっかく目印のこしてやろうよ。『ヒンヒン』っと」

ジニー「『WWWをよろしく』っと……」

ネビル「『豚団参上』っと……」

ルーナ「『アクアビリウス・マゴットの部屋』だね」

ハーマイオニー「……顔に×印でもつけられたいの?」

551: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 10:09:13.23 ID:KWvlmgUL0
ギッ……パッ

ハニー「この部屋も、少し押しただけで勝手に……今度はなに? 円形劇場、のような……」

ロン「的確な表現だねハニー。真ん中にある、ありゃなんだい……?」

ジニー「石で出来たアーチ……?どうしてこんなものが……さっきからそんなことばっかりね」

ハニー「アーチの中央は……ベール?が掛けられてて、向こう側が見えない、けれど……」

サーッ

ハニー「……風もないのに、動いてる……誰か、誰かいるの!? シリウス……!?」

ハーマイオニー「は、ハニー!気をつけて!」

ハニー「……誰もいない……本当に大きいアーチだわ……このベールは……?」

サーッ、サーーーッ

ハニー「……揺らいでる……どうして……」


ブツブツ……ブツブツ


ハニー「! 誰かの声……誰!?シリウス、シリウスなの!?」

ハーマイオニー「き、気をつけてってばハニー。あんまり近づいては……こ、声?」

ハニー「えぇ、そう!男の人の声……? ロン、ネビルなの!?」

ロン「僕ぁこっちだよハニー!ヒンヒン!」

ネビル「――あぁ、うん。あの……ヒンヒン!」

ハニー「あぁ、誰かこれ、聞こえない?これって、どういう――


『なぁ――見てみな――リリ――僕らの宝物――君に似て――多分――イタイッ!!』


ルーナ「あたしにも聞こえるよ。『あそこ』に人がいるんだ」

ハーマイオニー「『あそこ』って、どういう意味!?こんな細いアーチの間に人がはいる場所はないわ!これは、ただのアーチよ!ハニー――触っちゃ、ダメ!!!」

ハニー「でも――でも、今の声、だって」

ハーマイオニー「ハニー、私達は何のためにここに来たの!?おかしなアーチを見物するため?不思議なベールを捲るため?違うでしょう!?」

ジニー「――シリウス、を。探しにいきましょう?これ、なんだか、あんまり、観ていないほうがいいわ」

ハニー「――シリウス――そう、そうよ。シリウスは、今も……ごめんなさい。戻りましょう……?」

553: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 10:24:49.77 ID:KWvlmgUL0
ハニー「二つ目も、はずれ……次ね」

ギッ……ガチッ

ハニー「……?」

ハーマイオニー「どうしたの?」

ハニー「開かない……鍵が、かかってるわ」

ロン「ハニーが入りたいって言ってるのに拒むなんて、こいつ豚じゃないな。マーリンの髭。ハニー、ちょっとどいてな。ネビル、いくぜ」

ネビル「うん!いっせーの、っせ!!」


バンッ!!! ……


ロン「……ダメだ。ネビルを全力でぶつけてもびくともしない」

ネビル「今、ゴホッ、絶対、ゴホッ、二人でタックルするところだよね!?なんで僕投げられたの!?いいよ!!なれっこだよ!!!」

ハーマイオニー「……ここは放っておきましょう」

ロン「いいのかい?だって、この中だったらどうすんのさ」

ハーマイオニー「ハニー。あなたは夢の中で一度も、鍵のかかった扉を開けるようなことはなかったのよね?」

ハニー「あぁ――そうね。そう、だったらここは違うわ」

ハーマイオニー「そういうこと。『焼印!』」

ルーナ「――この部屋、何が入ってたのかな」

ジニー「じゅげむじゅげむじゃない?多分、正解よね」

ハニー「それじゃ……こっちに」

ギッ……パッ

ハニー「今度は――あっ!!ここ……ここよ!!この、キラキラした部屋!!」

ジャラジャラジャラジャラ
 カッチカッチカッチカッチカッチ
コチコチコチコチコチ カッチカッチカッチカッチ ボーーーン、ボーーーン

ハニー「この音……たくさんの、時計がある部屋だったのね」

556: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 10:52:41.66 ID:KWvlmgUL0
ハーマイオニー「時計、神秘部……ひょっとしなくても、『時』を研究する場所なのかしら……ひょっとするとどこかに、『逆転時計』も……」

ジニー「難しいことは分からないけど、これまでの部屋に比べたらステキよね?みて、この時計――」

ハニー「見物してる暇、無いわ!やっと見つけたのよ、急がなくっちゃ!」

ルーナ「あんたもさっき、アーチで大概だったけど」

ハニー「あ、あれは、重要だったのよ。時計はいつだって眺められるわ、えぇ、私の美貌くらい、うん。さぁ、この扉の、向こう!」

ギッ……パッ

ハニー「! 着いたわ! 棚の部屋……!」

ロン「うわ……すっごいや。天井もこれまでにないくらい、格段に高い」

ハーマイオニー「これまでは首一振りで部屋全体が見渡せたけど……端が霞んで見えないわ。『空間拡張』、それに――」

ジニー「講釈は、今はいいんじゃない?」

ハーマイオニー「――そうね。ハニー、九十七番の列、そう言ってたわ」

ネビル「こっちみたいだよ……あっちが五十三、右が五十四だ」

ハニー「えぇ……行きましょう。杖は構えたまま……ゆっくり。なるべく、喋らないで……」



ツカッツカッツカッツカッ……



ハニー「……(静かだわ)」

ハニー「……(まだ、目的の棚には遠いとは言っても……まるで、なんの物音もしない、なんて)」

ハニー「……(拷問をうけてる、シリウスは――もう、声も出せないくらい、弱ってるって言うの?)」

ハニー「……(それとも……)」

ハニー「っ!~~~っ!!」ブンブンブン!

ハニー「(それなら、私の傷が痛むはず!あいつの感情で、分かるはずよ!シリウスは、無事……決まってる……そうに……そうで、いて……)」



ハーマイオニー「……九十七よ、ハニー」

ハニー「……。シリウスは、一番……奥にいるわ」

ロン「あぁ、ここまで来たんだ。早く助けっちまおうよ」

ハニー「……行きましょう。でも、やっぱりゆっくり……あいつがまだいるかもしれない……ヴォルデモートが」

ツカッ……ツカッ……ツカッ……

ハニー「シリウス……」

ツカッ……ツカッ……ツカッ……

ハニー「……もう、この辺だわ……きっとシリウスは……床に」

ツカッ……ツカッ……ツカッ……

ハニー「……?……? もう、もうすぐ、近いはずよ……だって」

ハーマイオニー「……ハニー」

ハニー「だって、ここで……ここ」

ハーマイオニー「……ここ、もう、突き当たりだわ」

ハニー「……」

ルーナ「争った跡も、何も無いね」

ハニー「それじゃ……ひょっとして……!違う列……」

ハーマイオニー「ハニー。あのね……シリウスは、ここにはいないと思うわ……」

557: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 11:09:08.49 ID:KWvlmgUL0
ハニー「……だって」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

ジニー「……」

ネビル「……」

ルーナ「……」

ハニー「私、わたし……ここ……あぁ……」

ロン「……?」

ハニー「……穴があったら」

ロン「ハニー」

ハニー「っ、なに、よ、ロン! 何が言いたいの、言いなさいよ……そうよ、私が、バカで……」

ロン「君がバカなら僕は超ド級の間抜けだけどさ……これ、見たかい?」

ハニー「!なに!?シリウスの――なに、よ……ただのガラス球じゃない」

ロン「うん、そうなんだけどさ。でも、これ――君の、名前が書いてある!」

ハニー「……私の、名前……?」

ネビル「ラベルに、書いてあるね!えっと、十六年前くらいの日付かな黄ばんでて、他のは君の名前以外あんまりよく……えっと……」

ルーナ「――『S.P.TからA.P.W.B.Dへ 闇の帝王そして ハニー・ポッター(?)』」

ハニー「……????どういう意味?」

ジニー「さっぱりだわ……こんなところに、いったいどうしてあなたの名前が」

ロン「僕らの名前はどこにもないぜ。君だけだ、名前の書かれた瓶があるのは。流石ハニー、特別さ」

ハニー「それは、そうだけれど……なぁに、これ……」

ハーマイオニー「……触らないほうがいいわ、ハニー」

ハニー「どうして?だって、これは私に関係があることなんでしょう?  ここまで来て、何も、なかったなんて。それに、これはただの瓶でしょ?」

スッ  パッ

ハニー「……ほら。なにも、起こらない――」




「あぁ、ポッター。よくやった……さぁ、こっちを向きたまえ。ゆっくりとね」


ハニー「!? ルシウス……マルフォイ!?!?」

ルシウス「ご名答。それを私に渡してもらおうか……予言が、この手に納まるフォイだ」

559: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 11:25:43.21 ID:KWvlmgUL0
ザザザザザザザザザザザッ

ハニー「! 周りを……っ、死喰い人<フォイフォイうるさいバカな人たち>!」

ルシウス「失礼な呼び方はやめてもらおうか、誉れ高いデスイーターたちにむかって」

ハニー「どっちにしたって恥ずかしいでしょ!」

ルシウス「黙れ。さぁて、ポッター。何度も言わせるでない。それを私に、よこせ」

ハニー「っ、こんなガラス球ならいくらでも。けれど、答えてもらうわ。シリウスは、どこにいるの!?」

……

ゲラゲラゲラゲラゲラ!!!!

ハニー「!? な、なに……どうして、っ、どうして、笑うのよ!!」

「ハーーーーーッハハハ、アっハハ、ヒャハハハハハアアアhッハははハはアハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \ !!!闇の帝王は常にご存知だ!

ルシウス「常に、あぁ、まったくその通り」

ハニー「っ、どういう意味よ……あなたたちが捕まえているんでしょう!?シリウスは、ここにいる!私には、分かって――」

「ちーっちゃなちーっちゃな赤ちゃんベイビィちゃんのポッティちゃんが、こわーぁい夢をみておっきして!夢がホンモノだと思いまーちた!!」

ゲラゲラゲラゲラゲラ!!!

ロン「……この!!」

ハニー「っ、待って、ロン。何もしないで。まだ……」

「おぉ~んやぁ?っぷ、あっはっはははははァッっはああああはははあはははは!聞いたかい?この子、いっちょまえに私らと戦うつもりだよ!え!?」

ルシウス「あぁ、ベラトリックス。それこそ、闇の帝王がご存知の、この小娘の『英雄気取り』だ」

ハニー「っ、~~っ!シリウスは、どこに――」

ベラトリックス「そろそろ夢とげんじちゅの区別がついたでちゅね~?ポッティちゃん!!アハハ、ハーーーーッハハハハハハhははああはは八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \!!」

ゲラゲラゲラゲラ!!

565: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 11:48:48.44 ID:KWvlmgUL0
ルシウス「ポッター。我々はできれば穏便に済ませたい。予言を渡せ。さもなくば、杖をつかわねばならん」

ハニー「……使うなら、使いなさいよ。こっちにだって、杖はあるわ……」

ロン「あぁ、六本もね」

ハーマイオニー「勝ったつもりでいると足元をすくわれるわよ。詰めが甘いのは親子揃ってのようね」

ジニー「この中にプルウェット家に関わった人がいるなら、ママに代わって酷いわよ」

ネビル「……ぼ、僕だって、戦うぞ!」

ルーナ「ダンブルドア、軍団だもン」

ハニー「……みんな」

マルフォイ「杖をおろしたまえ。予言を渡せ。そうすれば、誰も傷つかぬ」

ハニー「……ハッハ、ハ、だわ。今度は私が笑う番よ。なんですって?予言?さっきからそう呼んでるわね……これを渡せば、あなたたちが私達に指一本触れずに帰してくれる? 冗談やめなさい!!」

ベラトリックス「『アクシオ、予言よ――

ハニー「『プロテゴ、守れ』!」

バチッ!

ベラトリックス「へぇ……?へぇ~?やるじゃない、やるじゃぁないやるじゃぁないのさベビー・ポッターちゃん!さぁ、さぁさぁさぁ、いいでしょう。そのつもりなぁ~、ら~~ぁ?」

ルシウス「やめろ、ベラトリックス!やめろといっている!もしもあれを壊したら、どうする!」

ベラトリックス「……チッ。そう、そうそう。説得が必要、そう言いたいわけねぇ口八丁のコソコソルシウスウンコたれ死ねボケ」

ルシウス「……普通に酷い」

ベラトリックス「いいさ、それなら。おいお前、あの赤毛チビを連れておいで。拷問をちょちょいとやればぁ?オトモダチだぁーい好き!なポッティーちゃんも言うことを聞くでしょぉ?」

「ゴアーッ!」

ハニー「させないわ!誰か一人でも危害を加えてみなさい……これを、床に叩きつけるわよ! あなたたちのご主人様はあまり喜ばないでしょうね?」

ベラトリックス「……ペッ!!」

マルフォイ「だから手をだそうとするな、と言ったんだ……ポッター、この状況がまだ分からないか。お前たちは袋のネズミだ、犬死にしようとするでない……おっと、犬は今の君にとって禁句だったか?」

ゲラゲラゲラゲラゲラ!!!

ハニー「……でかい笑い声、卑しい人たちだわ……ロン」

ロン「なんだいハニー!僕のハニー!君のどんな小声だって僕ぁ聞き逃さないさなにせ僕ぁ一番豚!」

ハニー「合図したら……みんなで、棚を壊して。そうみんなに伝えなさい」

ロン「もちのロンさ!」

567: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 12:10:57.20 ID:KWvlmgUL0
ハニー「……バカ笑いは終わったかしら」

マルフォイ「いや、いや。随分笑わせてもらった。楽しい夕べじゃないか。さぁ、あとはその予言を私にくれるだけ、そうだろう?」

ハニー「ふざけないで……さっきから、予言予言って。これが、何の予言だって言うの?」

…………

ハニー「……?」

ベラトリックス「な、ん、の、よ、げ、ん~~~? 冗談、じょーうだんだろう、ポッターぁ?」

ハニー「冗談なんかじゃないわよ。どうして、ヴォルデモートはこの、なんだか予言をわざわざ――」

ベラトリックス「不敵にもその混血の舌であのお方の名前を口にするな!!!!!!!」

ハニー「あら、あいつだって混血よ!!知らなかったの!!」

ハーマイオニー「ぁあっ、ハニー……」

ハニー「そう、ヴォルデモートの父親はマグルよ!知らなかった?そうね、それともお仲間のあなた達の前じゃ、自分が純血だとでも言い張って――」

ベラトリックス「『アァアアアアバァァアアアダァアアアアアア」

ルシウス「やめろ!!!よせ!!クラッブ・ゴイル!ベラを抑えろ!!」

クラッブ「ゴアーッ!」

ゴイル「ウホッ!ウホッ!」

ベラトリックス「はなせぇええ!!こいつ、小娘!!!おまえはよくも!!」

バチバチバチッ!パリンッ!!

 『太陽の詩の時――一つの新たな』

ベラトリックス「平気でそこに――混血、穢れた血め……!!」

パリンッ!!!

 『そうだな――死んでも死なないと約束しよう。僕を誰だと思ってる?君の友人だ、リーマ――』

ジニー「……デタラメに杖から飛び出た呪いが、周りのガラス球やら瓶を壊していってるわ」

ルーナ「予言、って。声が閉じ込められてるんだ。ふーん。記憶かな?どっちでもいいけど」


ルシウス「攻撃するな!予言が必要なのだ!いいな!予言を手に入れるまで、待て!!」

ハニー「あら、やっぱり無事に帰すつもりなんてなかったじゃない」

ルシウス「それは――言葉のあやだ。そして、ポッター。貴様がさっき言ったことも、そうなのだろう?よもや君が、予言のことを知らないなどという道理があるか。小細工はやめたまえ」

ハニー「……知らないものは知らないわよ。小細工? 大掛かりな細工なら、しているけれど」

ルシウス「何を言っているのやら……ダンブルドアが、おまえが額にその傷を持つ理由が、神秘部に内奥に隠されていると話していなかったとでも?」

ハニー「私――えっ???き、傷???」

ルシウス「……えっ」

ハニー「……えっ???」

ルシウス「……本気で言っているのか、ポッター」

ハニー「……本気も何も……ダンブルドアからは、神秘部の『し』の字も聞いたこと、ないわよ」

ルシウス「……もっと早く言えよバカぁあああああああああ!!!!」

ハニー「!?」

ルシウス「どうりで……どうりで……ああっぁああああもう!!!もう!!!!おかげでどんだけ我々が闇の帝王に怒られたと思っている!!分かってるのか!?!?え!?!?!?」

ハニー「……あー」

ルシウス「どうして小娘は来ない!どうして小娘はあそこまでヒントをやってるのに取りにいかない!!お辞儀しろ!!アクロバットにお辞儀しろと何回……分かるか!?この歳でハンドスプリングする辛さが!!!!え!?!?!?!?」

ハニー「……ご、ごめんなさい」

570: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 12:25:57.21 ID:KWvlmgUL0
ハニー「っ、勢いに押されて、謝ってしまったけれど。謝る道理なんてないわよ。教えなさい。どうしてあいつは、私にここに来させたかったの?」

ルシウス「……神秘部から予言を取り出せるのは予言に関わる人物だけだ。他の駒を使ったとき、闇の帝王はその原理に気づかれた」

ハニー「……闇の帝王……私と、あいつに関する予言」

ルシウス「これまで疑問に思わなかったのか?ポッター、どうして闇の帝王はただの赤子に過ぎなかったお前を殺そうとしたのか」

ハニー「……その全部の答えが、ここに……でもそれなら、あいつが自分で取りに来ればいいじゃない。わざわざ私を……」

ベラトリックス「自分で、取るぅ~う? おつむまでベイビーちゃんのようね、ポッティーちゃん?」

ハニー「あら、ようやく調子が戻ったのかしら。平時で狂ってるけれど」

ベラトリックス「省がめでたくもあのお方のご帰還を無視してくださっているのに、親愛なる従弟に無駄な時間を浪費しているというのに、あの老いぼれムーディが隠居から戻ってきているというのに、わざわざ魔法省に足を運ぶぅ~?ポーッティーちゃーん、あーたまを、使いましょうねーぇ?」

ハニー「……そう。汚れた仕事は、危険な仕事は、怖い仕事は誰かに押し付ける。とんだ腰抜けね、ヴォルデモートは」

ベラトリックス「――貴様」

ハニー「たとえ本当に腰が抜けたって、私、わたしは、這ってでも進んでやるわ!!今よ!!!」

「「「「「レダクト!!!!」」」」」

ガシャァアアアアアン!!パリィイイイイン!!

 ギャァアアアアアア! うわあああああああ!!

ルシウス「なっ……!?くっ、まて、待て、ポッターぁあああ!!」

575: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 12:51:41.75 ID:KWvlmgUL0
時計の部屋

ハニー「っはぁ、はっ、はぁっ、っ。先に、走っていたはずの……!ロンと、ジニー、ルーナは!?」

ハーマイオニー「きっと、違う扉に入って、しまったんだわ……!あぁ、でも、この扉は閉じていないと!『コロポータス!扉よひっつけ!』」

ネビル「あの四人なら、きっと逃げられてるよ!なんてたってロンがいるんだ、うん!……あ、危なかった。連中、この扉のすぐ傍にいるみたいだ……」


 ルシウス「いいか!ポッターは予言を手に入れるまで傷つけるな!手に入れた後も、ポッターだけは殺してはいかん!後は好きにしろ!!ベラトリックス、ロドルファス、右の扉へ!クラッブ、ラバスタン、左だ。ジャグソン、ドロホフ、正面をいけ。マクネアとエイブリーはあっち――ルックウッドはこっち――マルシベールは、私と来い!以上!行け!!

 ルックウッド「……ど、どこだ!?」

 マクネア「――言われただろう」

 ルックウッド「生憎とお前たちの間柄と違ってルシウスとはツーカーではないのでねぇ!!!」


ハーマイオニー「ど、どうしましょう……今にも、この部屋に……早く戻りましょう!そうしないと」

ハニー「それじゃいつまでも追ってくるわ! ここで、止めなきゃ……」

ネビル「! 机の下に隠れよう!あっちの扉もあけて……そしたら、連中は!」

ハニー「冴えてるわ、ネビル! あとでじっくり褒めてあげる!」

ネビル「ヒンヒン!」

ガチャッ、ガタガタッ

 『アロホモーラ!』

ガチャッ!

死喰い人「開いた……チッ、いない!」

死喰い人2「くっそぉ……まて!あっちの扉が開いている!きっとここを通ったんだ」

死喰い人「よしきた!」

タタタタタタタッ……

「「「『ステューピファイ!麻痺せよ!!」」」

死喰い人「わー!」

死喰い人2「ぎゃーっ!」

ガッシャァアアアアアアンン!!

ハニー「……ほんとに名案だったわ、ネビル」

ネビル「あ、あはは。ここまですんなりいくとは思ってなかったけど」

ハーマイオニー「追うことばかり頭にいって、単純になっているのかしら……頭……あ……あ……」

ハニー「? どうしたの、ハーマイ……戸棚に倒れこんだ、死喰い人……そんな」

ネビル「あ……頭だけが……赤ん坊に、なった……でも、また元に……うわぁ」

死喰い人「オギャァ!オギャァ!オギャ……マーマ、マーマ……おかーさん……かあちゃん……おい、メシ……金よこせよ!ちっ、しけてんな……うるせーな!カッコイイんだよ……ハッ!お、俺はなに……オギャァ!オギャァ!オギャァ!」

ハニー「……」

ハーマイオニー「……『時』なんだわ。この部屋で、守られているのは」

579: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 13:09:09.27 ID:KWvlmgUL0
ハニー「……行きましょう、私達にどうすることもできないわ。死んでしまうわけじゃ、ないでしょうし」

ハーマイオニー「そうだと、いいけど……それじゃ、円形の部屋に戻って……」

ネビル「うん、ロンたちと合流しなきゃ――あっ!」

 死喰い人3「いたぞ!!いたぞ!!!」

 死喰い人4「捕まえろ!!」

ハニー「! こっちの部屋に!」

ガチャッ!バタンッ!

ハーマイオニー「『コロポータ――」

バーンッ!!

「「『インペディメンタ、妨害せよ!!』」」

ハニー「きゃぁ!!!」

ハーマイオニー「あぁっ……!」

ネビル「う、あぁっ!!」

ドンッ、バターーーン!
 バサバサバサバサッ!

死喰い人3「やったぞ!ポッターはどっちだ!?本に埋もれたのか!?」

死喰い人4「いいや、違う!壁に叩きつけられたほうだ! 捕まえたぞ!!この場所は……」

バサバサッ

ハーマイオニー「『シレンシオ、黙れ!』」

死喰い人4「ングッ、ンー、ンンンンーーーーーーー!!」

死喰い人「!? この――」

ハニー「『ペトリフィカス・トタルス!石になれ!』」

死喰い人「」

ハニー「あなたの十八番、借りたわ!ハーマイオニー」

ハーマイオニー「! とっても上手よ、ハニ――」

死喰い人4「~~っ、っ!」

ビュンッ! ボワァアアアアアアアアア!!!

ハーマイオニー「!? 無言呪――っあ」

バタッ

ハニー「ハーマイオニー!!!!」

ネビル「ハーマイ……うわっ!!ぐっ、蹴っても、いだぐなんか、ないぞ!」

死喰い人4「――――」

ハニー「……ネビルを踏みつけて、杖を向けて……自分なら呪文がなくてもハーマイオニーみたいに出来るって言いたいわけ?」

死喰い人4「――――」コクコク、クイッ

ハニー「……この予言を渡せば、どいてくれるのね――誰が信じるもんですか!どうせ皆殺しのつもりなんでしょ!?」

ネビル「そう、っだよ。ハニー!絶対、渡しちゃ……うあっ!?」

死喰い人4「――――!?」

死喰い人「マァアアマァアアアア!!ママぁあああああああ!!」

ネビル「さ、さっきの……頭が赤ん坊のまま、抜け出しちゃったんだ」

581: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 13:24:39.33 ID:KWvlmgUL0
死喰い人「マァマァアアア!どぉおおおこぉおおお!おうちかえるぅううううう!!」

死喰い人4「!?――――!」

ハニー「! 隙だらけよ――『ペトリフィカス・トタルス!石になれ!!』」

死喰い人4「」

ネビル「すごいや、ハニー。うぅ、鼻血が……あの赤ん坊、座り込んで泣き出しちゃった。おっさんボディであれは……ないなぁ」

ハニー「おぞましいわね……それより、ハーマイオニーよ……ねぇ、ハーマイオニー……目を覚まして」

ハーマイオニー「」

ネビル「脈は、あるよ……なんだったんだろう、あれ、紫色の、炎みたいな」

ハニー「分からないわ……でも、生きてるなら……よかった。ほんとに……あぁ、ネビル。あなもそんなに怪我……」

ネビル「だ、大丈夫らよ、うん。でも、あー……蹴られた時に、杖が折れちゃった。無事帰ってもばあちゃんに殺される……この杖、パパのだったんだ」

ハニー「……もって帰りましょう。もしかしたら、直してもらえるかもしれないわ。それまでは……ハーマイオニーの杖を使うといいわ」

ネビル「うん……僕がハーマイオニーをおぶるよ。行こう、ハニー。出口はそう遠くない。ロンたちも待ってる。絶対、待ってる」

ハニー「……えぇ、そうね。私に会う前に、無事でいられなくなんてさせないわ――」

ガチャッ

ジニー「っ!……ハニー!ネビル……は、ハーマイオニー!?」

ハニー「ジニー!みんな、大丈夫――」

ロン「あぁ、ハニー……アハハ……ここにいたんだね。なんてかっこしてん髭さ。マーリンののだよ、アハは、ハハハあはは」

ネビル「ろ、ロン……口から、血が!!ロン、ローーーン!?……じょ、冗談にならないや」

ハニー「何があったの……ロンは……」

ルーナ「ロンがどんな呪いをうけたのか、わかんない……天体が浮かんでる部屋で、死喰い人があたしとジニーに何か長い呪詛を唱えて……そんで」

ジニー「ロン、っ、嫌なときばっかり、お兄さんぶるんだから!そういうのは、っ、ハニーのためにとってあげて、よ!!!」

ハニー「……ロン」

ロン「ハハハ、ハニー。ぼく、臭い球をみたぜ?つまりさ、木星、モークセー、ってね。アッハハ、ハハハハアハハアアアハハハハ!!もちのもくせーさ!」

586: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 13:39:15.48 ID:KWvlmgUL0
ハニー「ロンは……動けるけれど、戦えそうにないわね」

ロン「チェスなら任せろ!」

ネビル「……機会があれば」

ルーナ「ジニーも、踵をやられてる。あんまり動けないよ」

ジニー「っ、このくらい平気よ!いいわ、肩なんて!戦える!杖なら振れるもの!」

ハニー「いいから、聞いて。ロンとハーマイオニーを早くここから出さないといけないの。だから――」

ジニー「私だけ、帰れっていうの!?嫌よ、嫌!私も戦う――」


ベラトリックス「へぇ~~、おっじょうちゃん、すっごいねぇ。勇ましいいやらしい嫌味ったらしいわかぁい言葉やら足やら心やら見せ付けられてぇ、そぉ~んじゃお相手してもらおっかなぁああああ!?!?」

ハニー「! ベラトッリクス……逃げて!!みんな!!こっち!!」

ガチャッ

ベラトリックス「逃がすかよぉチビスケェエエエエエエ!!『ステューピファイ!』」

バタンッ!!

バーーンッ!!バーーンッ!!

ハニー「走って!!走って!!みんな……死なないで……お願い!」






590: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 13:58:22.53 ID:KWvlmgUL0




ルシウス「……さて、さて、さて。ポッター……君はよくやった」

ハニー「っ、はぁ、っ、ふーっ、っ、また、勝ったつもりで、いるの? さっきみたいに、出し抜かれるわよ?」

ルシウス「それは怖い。では整理しようか?今、そのアーチの台座近くにいる君たちの……四人は既に意識が無い」

ハーマイオニー「」

ロン「」

ルーナ「」

ジニー「」

ネビル「はぁ、っはぁ、ぅっ、ぅう」

ルシウス「対して我々は……そうだな、息があがっているものこそいれど。ほとんど無傷で、君達を包囲している」

ハニー「……」

ルシウス「もはやこれまで、そうだろう? さぁ、予言を渡せ」

ハニー「わたし、わたしは、どうなったっていい!予言も渡す!だから、みんなを助けて!そうしたら、これを――」

ゲラゲラゲラゲラゲラ!!

ルシウス「ポッター、きさまが取引できる立場だと思うか?我らは十人、お前は一人……」

ネビル「一人じゃ、ない!!数の数え方も知らないのか、この、フィフォイ!!」

クラッブ・ゴイル「「ゲラゲラゲラゲラゲラ!」」

ルシウス「黙れ!そっちもだ!今のは笑うところじゃない! ほう、お前はロングボトムだな?いいだろう、お前のばあさんは家族を失うことは慣れている。お前が死んだところで、大したショックではあるまい」

ベラトリックス「へーぇええ?ほぉ~~ん、そう!あんたロングボトムなの、おーちびぷくぷくちゃん!あっは、はははぁァハはああっははは!あたしわね、あんたのお偉いお両親とお会いする機会がおありになってねぇ~え!?」

ネビル「っ、知ってるぞ!知 っ て る ぞ!! お前は、お前――」

ベラトリックス「なら話は早いな。『クルーシオ』」

ネビル「――っあああああああああああああああああああああ!!!!!!」

ハニー「ネビル、ネビルーーーーーーー!!!!!」

ベラトリックス「ちっちゃなベイビーポッターちゃんあーんたは甘い。戦うってーのはこういうこと。さーてさて?このローングボトムちゃんが親父さんより持ちこたえるかな?それともあんたが泣きながら土下座して予言を差し出すのが先かな?楽しいなぁ、楽しいねぇ、えぇえ?ポッターちゃああああん!!!」

593: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 14:20:56.25 ID:KWvlmgUL0
ベラトリックス「ちょーーっと休憩だよおっちびさん。さぁさぁあんたが苦しむのは誰のせい?考えてごらん、あんたがこんなに酷い想いをするのは誰のせーぃだ?」

ネビル「ぅぅっ、ぅぅっ、っ」

ハニー「ネビル……やめて!やめて!」

ネビル「ダメ、だ、ハニー……だぇ、だ!!渡すな!!僕、僕は、平気……こんなの、このくらい」

ベラトリックス「このくらい!こーのっくらい!!ああはハハハッハハハアハハハハはあっははハハハァハはあああははは!!ロングボトムちゃん、ろーーーんぐぼーーとむちゃん!あれが本気だと思ってる?まだまだまだまだ、いたーいいたーいのはこれから」

ベラトリックス「あんたの両親もそうだった!最初は強がったさ!口を割るものかってねぇ~え?けどねぇ最後は私たちに命乞いしたさ?惨めに無様にまるで乞食のように!!たしゅけてください!たしゅけてください!!!」

ネビル「嘘だ――嘘だ!!!!お前たち、は、パパとママから、何も、聞きだせなくて――」

ベラトリックス「おやおやほんとに元気になった。それじゃ、死ぬか。お前」

ハニー「やめて!!!渡す、渡すわ!!だから――もう、やめてぇええええ!!」



バーーーーンッ!!!!

ルシウス「!?な、なんだ――」





「ハニーを泣かせているのは、どこのどいつだ」



リーマス「主に君だよ最近は」

トンクス「全くだよ、もう!一人で突っ込む人がいる!?もう!!」

キングズリー「省内で随分と派手にやってくれたものだ」

ムーディ「闇の輩!!!取り返しのつかないクズども!!!そこになおれ!!!!殺すぞ!!!!」


ハニー「みん、な――それに」

ハニー「シリウス……シリウス!!!!」


シリウス「そこをどけマクネア、マルフォイ。今たった一度なら見逃してやる。ハニーが私を呼んでるんだ――駆けつけないわけに、いかないだろう?」

626: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 22:57:30.95 ID:KWvlmgULo
ルシウス「殺せぇえええええええええええ!!!」

バーーーンッ!!!
 バチバチバチバチバチバチッ!!
ビュンッ、バサァアアアアアアアアアア!!

ハニー「っ、五人と、死喰い人の戦いに……ネビル、大丈夫、ネビル?」

ネビル「うっ、うんっ。ハニー、平気らよ。このくらい……それより」

バーーンッ!!!

マクネア「――」 ドサッッ

シリウス「だから退けと言ったんだ……無事か?」

ネビル「あー、はい。あの、ありが……」

ハニー「シリウス……シリウス、よかった、よかった……!!」

ギューーッ

シリウス「……」

ネビル「!? は、ハニーの真正面ハグをうけてなんだこの面しねばいいのに!!!」

ハニー「良かった……生きてる……シリウス、あなた、なのね……本当に」

シリウス「……ハニー」

グイッ

ハニー「えっ……か、肩掴んで、なに、を……ちょ、ちょっと、待って!!わた、わたし、そんな急に」

シリウス「……君に確かめたいことがある」

ハニー「そん、そんな、あの!こんなところで、こんな場所でなん、でも、あなたが、そう、したいなら――」


シリウス「何故、ここに来た」

ハニー「……え?」

シリウス「何故、こんなところに入った。何故、こんな危ないことをした。何故、こいつらと戦うような真似をしたんだ」

ハニー「何故って……だって……だって、あなたが!!危ないと、思って――」

シリウス「それが何故かと聞いている!!!!ハニー!!私は!!!君に命をかけられるような人間じゃない!!!!どうしてこんなことをするんだ!!!!」

シリウス「私は――君の両親を殺したんだぞ!?!?」

ハニー「…………」

627: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 23:00:11.54 ID:KWvlmgULo

シリウス「あぁ、あぁ!君が優しいのは知っている!!君はあいつに似ている!!身内にはどこまでも!!!」

シリウス「だが!!君はリリーに似ていて!!!君を見るたびに、あいつが自慢げにリリーのことを語っていたのを思い出す!!思い出されてしまう!!!」

シリウス「君が男だったらよかったのかもしれない!!あいつにそっくりで、それでも芯の部分ではリリーに似ている!!そんな男の子だったら私もここまで思い込まなかったのかもしれない!」

シリウス「だが、君は君だ!!!二人に似ているようで似ていない、似ていないようで似ている!」

シリウス「君を見るたびに、君が二人の子供だと思い知らされる!!私が――壊してしまった、君たちの人生をだ!!!」

シリウス「私があんな提案をしなければ、ジェームズとリリーは死ななかった!!」

シリウス「私がジェームズと一緒に過ごさなければ、あんなことにはならなかった!!!」

シリウス「私がジェームズと出会わなければ、こんな未来にはならなかった!!!」

シリウス「ハニー!ハニー!!私は、君の人生を滅茶苦茶にした男だ!!」

シリウス「そんな相手に命なんてかけるな!! 私のことなんて見捨てるんだ!!!」

シリウス「それなのに、どうして……どうして、君h」


スパァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

シリウス「」ドザァアアアアアゴロゴロゴロゴロゴロゴシャッ……

シリウス「……え」

ハニー「この……この大馬鹿!!!馬鹿!!!馬鹿犬!!!!この、」

シリウス「は、ハニ」

リーマス「ヘタレ!!!被害妄想!!!!自意識過剰の図に乗り男!!!」

シリウス「さっさと戻れ君は」

ハニー「私は前にも言ったわ!!!はっきり答えたはずよ!私、わたしは」

ハニー「パパとママと、過ごせるような夢、より!あなたと過ごす、未来のこと!大事にしたい、って!」

630: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/01(土) 23:04:52.30 ID:KWvlmgULo
ハニー「私を二人と違って見てる!?私のことを!?」

ハニー「違うわ!!!一番、一番パパとママのことしか見えていないのはあなたじゃない!!!」

ハニー「私は、わたしは!!!」

ハニー「わたしは、ジェームズとリリーの子供、じゃない!!!」

ハニー「ハニー・ポッターよ!!!わたしはわたしなの!わたしを、みてよ!!シリウス!!!!」

ハニー「それでも!!それでも、そのわたしがあなたを助けることが分からないって言うんなら!!」

ハニー「言うわ!!言ってやるわ!!!!よーく、聞きなさい!!」

ハニー「あなたを助ける理由!どうしてどうしてどうしてって!!!うるさいのよ!!!」

ハニー「そんなの!!!」





ハニー「あなたのことが大好きで!!!大好きで大好きでたまらないからに、決まってるでしょ、この馬鹿ぁあああああああああああああああああああああああああ!!!!」

633: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/01(土) 23:08:04.06 ID:KWvlmgULo
シリウス「……」

ハニー「はーっ、はーっ、はーっ、はーっ……なんとか、言ってよ」

シリウス「……」

ハニー「まただんまりなんてごめんよ!なんにもしないのもごめんよ!邪魔なんて、ネビルとリーマスが全力で排除してくれてるわ!」


リーマス「まったく、そんな役回りになってしまったよ、うん」

ネビル「ロンの代わりにしっかり頑張るよ!ヒンヒン!」


ハニー「だから答えてよ、シリウス!!断るのでも、いいから!ただ、それでもわたし、わたしは――あなたの、家族として」

シリウス「いやだね」

ハニー「っ、そ……そう……分かったわ。でもね、私が、あなたを、助けない理由なんんっ!?」


リーマス「」

ネビル「」


ハニー「んっ……ん、んーーーーー!!んっ……ん……っふ、はっ、ハァ、ハァ、ハァ、」

シリウス「――いいかい、ハニー。再来年のクリスマス、ヤドリギの下で続きをしよう。今度はこんなに短くない。それでも我慢できるかい?言っておくが、気持ちを押さえつけていたのは君だけじゃないんだ」

ハニー「……ぁ……の」

シリウス「分からないか?そうだな、言葉にしよう」

シリウス「君は僕の嫁だ、ハニー」

ハニー「~~~~~~っ!!!」


ネビル「あ、あいつ、今まで誰もが恐れ多くて言葉にしなかった台詞を、サラッと!!!なんて、なんてことだ!!あぁ、豚どもが血の涙を流す音が聞こえる!足元とかから!」

リーマス「……まったく。思い悩むくせに、タガが外れるとすぐだなぁ、彼は」


シリウス「さて……私も戦いに戻る。ハニー、みんなを連れて安全なところにいくんだ。いいな?」

ハニー「……うん。あなたも……気をつけて。シリウス」





シリウス「あぁ……平気さ。君がいるからな、ハニー」

638: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/01(土) 23:11:22.08 ID:KWvlmgULo
バーーーンッ!!!
 バチバチバチバチバチバチッ!!
ビュンッ、ビュンビュンビュンッ!!

ハニー「ネビル、動ける?平気?」

ネビル「うんハニー、君の顔の色ほどじゃないよ」

ハニー「忘れなさい!忘れて、お願いだから!さぁ、四人を、運ばないと……」


マルフォイ「ポッター、ポッターはどこだ!っ、予言だ!!予言をよこせえええええ!」


ハニー「きゃぁ!?」


リーマス「『インペディメンタ!』 ハニー、行け!一番やっかいなベラトリックスは、シリウスが抑えてる!」



ベラトリックス「自分がいいーぃことをしてるって酔ってるんでしょ、え!?せーいぎの味方になりたかったんだ!あたしらを見下してあんたはいやーーーなやつだった!」

シリウス「私から見ればお前たちみんなが、だ!人の道を外れるクズどもに何を言われようがなんとも思わない!さぁ、どうした!それで終わりか!?」



ハニー「……っ、ありがとう!さぁ、ネビル!」

ネビル「う、うん!ところで、あの、ハニー!」

ハニー「なに!?さぁ、ロンの肩……」

ネビル「あの、言いにくいんだけど……」

ハニー「何よ!回りくどいのは、嫌いよ!」

ネビル「ヒンヒン!ごめんよ!あの……」






ネビル「さっき、フォイ父が突っ込んできたとき……君、驚いた拍子にその……予言の、玉」

ハニー「……この床のバラバラにとびちったもの、は?」

ネビル「えーっと、そういうこと」

ハニー「……」

ネビル「……」

ハニー「……予言なんてなかった」

ネビル「それで行こう!君は最高だねハニー!ヒンヒーーーーン!」


642: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/01(土) 23:16:07.90 ID:KWvlmgULo
死喰い人「ぐっ、くそっ、おされてる。数じゃ勝ってるのに、どうして――」

ダンブルドア「ほっほ……愛じゃのう、愛」

死喰い人「そんなくだらないも――なああああああ!?」

ダンブルドア「さて……わしをしとめることができるという夢を抱いておる者はおるかの?」

ダンブルドアだあああああああ!!
 うわああああああああああ!!!
フォオオオオオオオイイ!!
ドタバタドタバタドタバタ!!!

トンクス「あっ、待てこの!!って、マッド-アイの手当てからしなきゃ……もー、いい加減引退だね、盆栽でも始めなよ。死喰い人とか名前付けてさぁ」

ムーディ「ぐぅ、なんの、これしきの出血……油断大敵だ、トンクス!気をぬくな!」

トンクス「気をぬくって、いったって……ダンブルドアが即座に三人捕まえて、あとは散り散り。残ってるのは……あっ、あいつがい、あぁ!!」



ベラトリックス「あっははははあああははははははハハッハァアアアア!!あっれぇ?わたし一人になっちまったのかなあぁそうか!いつだって私があの方の一番の味方だった!そうだ!!あっははハハハhははははハハァアアアハハハハハ!!」

シリウス「そうだなベラトリックス、お前は一人だ!!諦めればどうだ?今ならお前の得意なお辞儀一つで許してやらないこともない!」

ベラトリックス「ほざけ!このブラックの恥さらし!そうねぇ、そうねぇ!あんたは一人じゃなくなったみたいだ!えぇ、えぇぇええええ大犬座!!それが弱みだってことにも気づかずさぁああああああ!」

シリウス「何――やめろ!!!!」



ハニー「シリウ――」





ベラトリックス「ふっとべベイビー、ベールの向うにさぁあああああ!!」




ハニー「っ!!」








バーーーーーンッ!!!

644: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/01(土) 23:19:49.65 ID:KWvlmgULo
ハニー「……(まただわ)」

ハニー「(今にも死んでしまいそう、って、身構えたのに……何も身体を襲うものはなくて)」

ハニー「(でも、今度は違うわ。違う。目をあけたら……だって、ダンブルドアがいるのに)」

ハニー「(そうよ……ベラトリックスは捕まって……シリウスが、それに最後の哀れみの言葉をかけて)」

ハニー「(何もかもが終わって……シリウスが、わたしのことを抱きとめてくれて。みんながニヤニヤするのを、わたしが、怒って)」

ハニー「「(そんな終わり方でいいじゃない――)」

ハニー「(そんな、終わり方――)」



ハニー「いや、いや――」



バサァアアア



ハニー「シリウス……シリウス!!!」


シリウス「――ハ――」


ハニー「(シリウスが……アーチの方に吹き飛んでいく)」

ハニー「(あれは駄目……あのアーチは……ベールに)」

ハニー「(シリウスを行かせちゃ、駄目……駄目なのに)」



ハニー「シリウス!!」



ハニー「(わたしの手じゃ届かない……なんにも、できない)」



シリウス「――」



ハニー「(やめて……やめて!!!そんな顔やめて!!)」



ハニー「(わたしを守れたなら、なんて!わたしの想いを聞けたならなんて!!そんなの、そんなのいや!!!)」




ハニー「(失うなんていや!! あなたを  あなたと、ずっと一緒に、って)」



ハニー「(想って……渡した……わたしの……)」




―リウス「――」




ハニー「――『アクシオ!ロケットよ、こい!!!!』」

652: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/01(土) 23:30:51.16 ID:KWvlmgULo
グンッ!!!ドサッ!!!



ハニー「っ、ぁっ、っ!!や、った、やったわ!!シリウス!!シリウス!!」


シリウス「」


ハニー「シリウス!!よかった、あぁ!よかった……ここにいる、シリウス……!」

リーマス「……ハニー」

ハニー「あぁ、リーマス!喜んで!わたし、やったわ!やっと……やっと、守れた。わたしの、力で――」

リーマス「ハニー……聞きなさい」

ハニー「何を?だって、リーマス?どうしてそんな顔してるの?シリウスは……」

リーマス「……ハニー。どうすることもできない。シリウスは……あのベールの向うに行ってしまった」

ハニー「何を言ってるの……ここにいるわ!手も、暖かい!だって、だって……!!!ここにいるのに!!!!」

リーマス「……ハニー」


リーマス「……残念ながら。身体が生きていたとしても……彼の魂だけを取り戻す手段は……御伽噺だけの術だ」


ハニー「だって……だって!!あなたも、みんな、いて、どうして……どうして!!!シリウス!!ねぇ!!!」


シリウス「」


ハニー「起きてよ!!!笑ってよ!!!わたしが、わたしがこんなに、呼んでるのに……冗談やめて、シリウス!!!!!!!シリウス!!!!」




ベラトリックス「あはははは、あっははハァハアアアアハハァあああハハハハハハアアアハハハ八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \!!」

ベラトリックス「死---んだ!!しんだ!!!シリウス・ブラーーーーァックしーーーーんだ!!!あははははハハハハハハハhハハハハハァアアアア八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \!!」




ハニー「っ、ぁ、ぅ、ぁああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

リーマス「!!よせ、ハニー!!追うな――」

ハニー「あいつが――あいつが、シリウスを――!!!」

べラットリックス「おいでおいで、ポッティーちゃぁあん!こっちこっち、こっちだ、あっはははは!!!!」







675: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/01(土) 23:46:50.81 ID:KWvlmgULo
アトリウム


ハニー「ベラトリックス……ベラトリックスーーーーーーー!!」

バチバチバチバチバチバチッ

ベラトリックス「あっははハはははハハハハハァァッハハハハ!!凄い凄い!!」

ビュンッ!!

ハニー「っ!!」

サッ……バーーーーンッ!!!

ベラトリックス「どぉちたのベイビーポッティーちゃん?わたしを倒しにきたんじゃないのかい?わたしの可愛い従弟のかたきをうつんじゃないのかい?」

ハニー「そうよ……そうよ!!!そうよ!!!この――!!」

バーーーンッ!!

ベラトリックス「ッハッハハアアアアハハハハハハ!!!あぁぁぁぁ、なぁんて悲劇的だろう……あいつを、愛してたのかい!?ハニーぃ!?」

ハニー「っぁ、っ、そうよ!!!そうよ!!!だから、あなたを……あんたを!!!」

ベラトリックス「ハッはハハハハハァァッハハハハハハハ!!そいじゃあんたはまた一人ぼっちってわけだ!!ポッティーちゃん!!」

ハニー「っ、っっぅぅ」

ベラトリックス「可哀想に!!!かぁぁわいそうに!!!でもそおねぇ!あんたを愛した人間がひとぉりもいなくなる!いずれ闇の帝王が全てを打ち壊す!遅いか早いかだ」

ベラトリックス「それが今日はぁ?あの大犬座だっただけ、そーれだけーーーー!!ドンマイどんまーーーーーい、ッ、ッハハ、アアアアッッハハハハ八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \!!」

683: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/01(土) 23:59:31.38 ID:KWvlmgULo

ハニー「~~~っぁああああああ!! 『クルーシオ!!!!』」

ベラトリックス「っぐ、っっっっっっはぁあああああ!!ポッティー?ポッター?はぁにぃ・ポッター?許されざる呪文を使ったことがないみたいねぇ?え?」

ベラトリックス「本気になる必要があるんだ。憎しみなんてもんはいつまでも続かない。楽しむのさ!相手を苦しめるのを!痛めつけるのを!どうやるか教えてやろう!さぁミス・ポッター?せんせーに挨拶は!?」

ハニー「『ステューピファイ!』」

バチバチッ

ベラトリックス「まぁあだ分からない!?お前がわたしに勝てるわけがない!お前みたいな小娘が、闇の帝王から直接闇の魔術を教わったわたしの呪文の威力に勝ると思う?思うのか――『クルーシオ!』」


ハニー「っ!!」


バチバチ、バーーーンッ!

ゴトッ

ハニー「黄金の象の、首……『ステューピファイ!』」

ベラトリックス「『プロテゴ!』」

ハニー「!」

バチバチバチッ!

ベラトリックス「さーぁさぁさぁさぁさささぁポッター嬢ちゃん、あんたが呪文を唱えてもあんたが隠れるそいつを削るだけ!わかった?そのちっちゃいちっちゃい脳みそで理解ができた????」

ベラトリックス「一度だけチャンスをやろう!予言を渡せば――そぉおおねぇえ、命だけは助けてあげる!」

ハニー「それじゃ、あなたは私を、[ピーーー]しかないわね!!!」

ベラトリックス「はーぁ? そう? そうそう、そーいう? 後を追うの? あーの大犬座も好かれたもの――」

ハニー「違う、わ!!!シリウスは死んでなんか――それに――もう私、予言なんてもっていない、もの!壊れて――痛っ!!」

ベラトリックス「――壊、れた?」

ハニー「っ、そう、そうよ……っ、額が……っ」

ベラトリックス「嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!このうそつき!!小娘!!『アクシオ予言よこい!!予言よこい!!!アクシオ!!!』」

684: saga入れ忘れ 2013/06/02(日) 00:00:48.97 ID:5d7oAE9Qo
ハニー「~~~っぁああああああ!! 『クルーシオ!!!!』」

ベラトリックス「っぐ、っっっっっっはぁあああああ!!ポッティー?ポッター?はぁにぃ・ポッター?許されざる呪文を使ったことがないみたいねぇ?え?」

ベラトリックス「本気になる必要があるんだ。憎しみなんてもんはいつまでも続かない。楽しむのさ!相手を苦しめるのを!痛めつけるのを!どうやるか教えてやろう!さぁミス・ポッター?せんせーに挨拶は!?」

ハニー「『ステューピファイ!』」

バチバチッ

ベラトリックス「まぁあだ分からない!?お前がわたしに勝てるわけがない!お前みたいな小娘が、闇の帝王から直接闇の魔術を教わったわたしの呪文の威力に勝ると思う?思うのか――『クルーシオ!』」


ハニー「っ!!」


バチバチ、バーーーンッ!

ゴトッ

ハニー「黄金の象の、首……『ステューピファイ!』」

ベラトリックス「『プロテゴ!』」

ハニー「!」

バチバチバチッ!

ベラトリックス「さーぁさぁさぁさぁさささぁポッター嬢ちゃん、あんたが呪文を唱えてもあんたが隠れるそいつを削るだけ!わかった?そのちっちゃいちっちゃい脳みそで理解ができた????」

ベラトリックス「一度だけチャンスをやろう!予言を渡せば――そぉおおねぇえ、命だけは助けてあげる!」

ハニー「それじゃ、あなたは私を、[ピーーー]しかないわね!!!」

ベラトリックス「はーぁ? そう? そうそう、そーいう? 後を追うの? あーの大犬座も好かれたもの――」

ハニー「違う、わ!!!シリウスは死んでなんか――それに――もう私、予言なんてもっていない、もの!壊れて――痛っ!!」

ベラトリックス「――壊、れた?」

ハニー「っ、そう、そうよ……っ、額が……っ」

ベラトリックス「嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!このうそつき!!小娘!!『アクシオ予言よこい!!予言よこい!!!アクシオ!!!』」


687: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/02(日) 00:10:52.62 ID:5d7oAE9Qo
ベラトリックス「なぜ、何故!?わたしの呪文が、間違ってるなんて――」

ハニー「っふふ、あはは、っはははは!!だから、言っているでしょう!?予言なんて――もうどこにも、ないのよ!」

ベラトリックス「うるさい!!すぐに殺して黙らせるんだから黙ってな!『アクシオ!予言よこい!』……『アクシオ!!!!』」

ハニー「何にもないわ!!なーーーーんにも!呼び寄せる物は何もない!あのガラス玉は砕けたわ!その場にいたマルフォイも聞くこともできずに吹き飛ばされたもの!!」

ベラトリックス「そんな――嘘だ!!嘘、嘘だ!!!お前は大うそつきの――」

ハニー「いくらでも言えばいいわ!どんなにあなたが嘆いたって、予言は私の口からだって出てこないわよ!任務は失敗した、って!ご主人様にそう言いなさい!」

ベラトリックス「あぁ――あぁ!我が君!私は努力しました――努力いたしました!どうぞ、罰しないでください――!」

ハニー「ハハ、ハハハ、ハハハハハハハハ!!!ここで言って、どうすると言うの!? あいつには、聞こえないわよ!」






「そうかな ポッター」



ハニー「――――っ」


「そう、俺様だ  俺様を呼ぶ声が聞こえたのでな 期待には こたえねばなるまい」

ハニー「お呼びじゃ、ないのよ……ヴォルデモート!」

ヴォルデモート「頭が高いぞ ハニー・ポッター」

691: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/02(日) 00:25:21.33 ID:5d7oAE9Qo
ヴォルデモート「そうか おまえが俺様の予言を壊したのだな?」

ハニー「……だったらどうだって、言うのよ!」

ベラトリックス「違います、違うのです我が君!この小娘は嘘を!すぐに、すぐに拷問して、吐かせて――」

ヴォルデモート「いいや、ベラ こやつは嘘をついておらん 眼を見ればわかる この愚にも付かぬ心の中から真実が俺様をみつめている」

ハニー「……」

ヴォルデモート「何ヶ月もの準備……何ヶ月もの苦労 それをまたも全て水の泡にされ 俺様の手下どもはまたしてもハニー・ポッターにだしぬかれたのか?」

ベラトリックス「お、お許しを、お許しを、我が君!私は、予言が壊れていたことなど、ついぞ――」

ヴォルデモート「黙れベラ! お前の始末はあとだ 女々しい言い訳は苦しみながら言うといい  さて」

ハニー「っ」

ヴォルデモート「お前もだ、ポッター お前の言葉など聞きたくもない かける言葉もこれ以上必要なかろう」

ハニー「こちらこそ、だわ。出来ればもう二度と会いたく、ないわね」

ヴォルデモート「そうなるだろう その震えた足では お前にはこれから何も出来んのだ」

ヴォルデモート「あまりにも長きに渡り俺様を苛立たせたお前の最期の場には、相応しいだろう 散れ 魔法界の英雄 間違いだらけの『生き残った女の子』」

ヴォルデモート「『アバダ ケダブラ』」

ハニー「っ!」

ガチガチッ、ドスンッ!!!バーーーーンッ!!

ヴォルデモート「――なに?」

ハニー「!? なん……なに、これ。噴水の、黄金の魔法使い像が動いて……私を、守った……?」

ヴォルデモート「――あぁ――そうか」




ヴォルデモート「貴様か   ダンブルドア」

ダンブルドア「――言葉はいらんじゃろ」

ヴォルデモート「あぁ――そのようだ  『アバダ ケダブラ』!」

693: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/02(日) 00:35:51.02 ID:5d7oAE9Qo
ダンブルドア「!」

クルンッ! サッ!


ベラトリックス「!?き、消え、ばかな、魔法省で……後ろです、我が君……あぁぁぁあああ!?」

ハニー「!ダンブルドアが杖を向けた、残りの立像……魔女の像が、ベラトリックスを取り押さえて……」

小鬼像・屋敷しもべ妖精像 バタバタバタバタバタッ!

ハニー「小さいのは……暖炉に?ケンタウルス像は……ヴォルデモートに向かって……像なら、かっこよくみえる、のね」



ケンタウルス像『オォオオオオオオオオオ……!』

ヴォルデモート「――」

クルンッ サッ!


ハニー「! ヴォルデモートも、消え――っ、魔法使いの像、ちょっと、押さないで、よ……様子が、見えないわ!」

魔法使い像『』ブンブンブンブン!

ハニー「近づくな、といいたいの!?ここまできて、そんな……ヴォルデモートは、噴水の淵に……」


ダンブルドア「今夜ここに現れたのは愚かじゃったの、トム。まもなく闇払いたちがやってこよう――まぁ、君がその前にわしにやられていなければ、じゃが」

ヴォルデモート「その前に、俺様はもういなくなる そして貴様は死んでおるわ!」


バチバチバチバチバチッ!!!  バーーーーーーンッ!!!!

 バシィイイイイイイッ!!! 

 ボォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!

ハニー「……なに、これ……呪文の、強さも……攻撃も……格が……違うわ」

699: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/02(日) 00:55:04.12 ID:5d7oAE9Qo
バチバチバチバチバチバチバチバチッ

ヴォルデモート「俺様を殺そうとしていないな ダンブルドア そんな野蛮な行為は似合わぬとでも?」

ダンブルドア「人を滅亡させる方法は他にもあるのじゃ、トム。お前の命を奪うことだけでは、わしは満足せんじゃろう――」

ヴォルデモート「死ほど酷なことど何もないぞ ダンブルドア! そんな簡単なことも分からないか」

ダンブルドア「それがお前の、昔からの最大の弱点じゃ。トム、お前は大いに間違っておる」

ヴォルデモート「ほざけ――!」

バーーーンッ!

ハニー「! 緑の閃光……ダンブルドア――!」


ケンタウルス像『オォオオオオオオオオオ!!』

バシィイイイイッ! バラバラッ、バラッ

ダンブルドア「よくぞ守ってくれた。うむ――どれ、トム。その銀色の盾はもらおうかの」

ボォオオオオオオオオオ!!
ビュンッ! バッ!!


ベラトリックス「っ、あぁ、我が君が身を守っていた、盾を、炎で掠め取って――ご、ご主人様、お逃げ、くだ」


ヴォルデモート「俺様にむかい戯言をほざくな  ダンブルドア その炎は、本当に貴様のものか?」

ダンブルドア「……むっ」


ボォオオオオオ……
  シャァアアアアアアアアアアアアアッ!!

ハニー「!? ダンブルドアの杖先から出ていた炎が――蛇、に」


ダンブルドア「これは、見事じゃの――『去れ!わしの魔力じゃろ!』」シューッ、シューーッ

サァァァァァッ

ハニー「……蛇語が……あぁっ!」


ヴォルデモート「『アバダ ケダブラ』」

ダンブルドア「……」

ハニー「間に合わない……あんな……っ!?」

サッッ!

フォークス「フィピィーーーー!」


ダンブルドア「……すまんのう、フォークス。まだ若鶏だというのに」

702: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/02(日) 01:06:51.07 ID:5d7oAE9Qo
グワッ、バクンッ!!!
 ボォオオオオオオオオオオオ!! メラメラメラメラメラ!

ハニー「フォークスが、死の呪いを……食べちゃったの?」


ヴォルデモート「っ 糞鳥めが――」

ダンブルドア「そう、こやつは優秀じゃ。して、トム。いい場所に現れてくれたの」

バチッ  ザァアアアアアアアアアアアアアア!

ヴォルデモート「――――」


ハニー「……噴水の中央にあらわれた、あいつを――水の繭が、くるんでしまったわ」


ヴォルデモート「――――!」


パッ……ザパァァァァァァン!


ハニー「……き……消え、た……?今度は、どこにも現れない……あいつは」

ベラトリックス「そんな、そんな!わ、我が君!!我が君!!!」

ハニー「あいつは、逃げたの? 終わって――」

ダンブルドア「ハニー! 動くでない!!」

ハニー「!? な、なによ……今まで、あんなに魔法の決闘をしてても涼しい声だったのに、急に」

ハニー「急、に……なに……額……っ、い、っ、ぁ、っ、あああああああああああああああああ!!!」

ダンブルドア「ハニー!!!」

ハニー「ぁああああぁぁああああああ!!!(額が割れる、割れてるわ――痛い、体中が、蛇に締め付け、られ、)」

ハニー「っあああっ、っぐ、ぁぅううっ、俺様を 殺せ ダンブルドア (勝手に  声)」

ハニー「いますぐ [ピーーー]のだ  死が何物でもないのなら この子を殺してみろ ダンブルドア」

ハニー「(痛いっ、痛いっ、熱い、もう、止めて……こんな痛み、止めて!終わらせて――終わらせるのだ、早く――こんな痛みに比べれば、死の呪いのほうがまだ――それに、シリウスにも、会え――)」

ハニー「~~~っ、シリウス、は、死んで、なんか!ない!!」

バチンッ!

ハニー「っっ、はぁ、っはぁ、はぁ、っ、っく……わた、し……ここ……」


ザワザワザワザワザワ
 ガヤガヤガヤガヤガヤガヤ


ハニー「……どう、して。こんなに、人……さっきまで、は」

ダンブルドア「ハニー。大丈夫か?」

ハニー「……随分と久しぶりに、呼ばれた気がする、わ……これは、この人たち、は?」

ダンブルドア「どうやら、小鬼と屋敷しもべ妖精の像が呼んだ者どもが到着したようじゃ……君は説明しなくてよい。わしに任せたまえ……ウォッホン……ようコーネリウス、あの時のうちみは平気かのう?」

ファッジ「わかってる!わかってる!そう何度も――だ、ダンブルドア!?」

ダンブルドア「いかにも、わしじゃよっ。お髭がキュートじゃろうが」

706: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/02(日) 01:27:35.88 ID:5d7oAE9Qo
ダンブルドア「コーネリウス、君も見たかのう?あの大犯罪者ベラトリックスをひっつかんで『姿くらまし』する憎いアイツこと、ヴォルデモート卿がおったのを」

コーネリウス「あぁ、あぁ!震え上がらせてもらったさ!まったく……お前は、どうして、ここに!」

ダンブルドア「当たり前じゃろ、わし、あやつが恐れた唯一の人物とかなんとかかんとか。この子もじゃがのう」

コーネリウス「この子……うわ!?は、いや、ぽ、ポッター!?」

ハニー「……」

コーネリウス「な、なぜここにいる!?どうして、どうやって……」

ダンブルドア「コーネリウス。何がどうなって、は。ついさっき確認したばかりじゃろ。君はこの十二ヶ月、間違った主張をしておった。間違った者を追いかけておった。そういうことじゃ」

コーネリウス「私は……私は」

ダンブルドア「確たる証拠が手元にもほしいのならば、『死の間』に拘束した死喰い人が何人かおるからそれを連れて行くとよい……あと、そこにいる怪我人を医務室、一人を『聖マンゴ』に移させてもらう」

コーネリウス「ここで、ここで戦ったのか?ダンブルドア――私は、お前、に、聞かねば」

ダンブルドア「それはハニーを送り届けた後にしてくれるかの。ハニー、立てるかね」

ハニー「……えぇ」

ダンブルドア「さっ、これを。『ポータス!』 これでこの魔法使いの像の首は、校長室への『移動キー』じゃ」

コーネリウス「だ、ダンブルドア!!それを作る権限は……!」

ダンブルドア「なーんじゃねコーネリウス。この一年権限権限とさんざんわしをいじめておいて、そんなに硬いことをいうのか?のう?あー、野宿辛かった歳には堪えたぁ」

コーネリウス「う、嘘付け、どこかで悠々自適だったくせに!お前……君は、私に説明する義務が!」

ダンブルドア「三十分やろう、それ以上は譲れん。ハニー、いきなさい。三十分後に会おうぞ」

ハニー「……」

フッ

グルングルングルングルングルン







717: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/02(日) 01:46:17.03 ID:5d7oAE9Q0
校長室

ドサッ

ハニー「……」

ハニー「……静かだわ」

ハニー「……外も、綺麗……夜明け前みたい……いつの間にか、あそこでそんなにも時間、経ってたのね」

ハニー「……あそこで……起きた、こと」

ハニー「……」

ハニー「……私が、わたしが、ハーマイオニーの言うこと……ちゃんと、聞いていれば」

ハニー「っ、わたしの『人助け癖』が……『英雄気取り』が……」

ハニー「あいつに利用される、ってこと……」

ハニー「……全部、全部……わたしのせい……シリウスは……どうなったの?起き上がった、のよね……きっと、きっと……リーマスが、考えすぎな、だけ……」

ハニー「……ダンブルドアは、あそこを……『死の間』って……」

ハニー「いや……いや!! 違うわ……違う……そんなんじゃ……」

フィニアス『まーた思春期にありがちな、自問自答かね……耳障りな』

ハニー「っ!……フィニアス」

フィニアス『名前で呼ばれる筋合いはないと言ったはずだ――ところで、こんな朝早くにどうしたね?それとも私の曾々孫に伝言か?え?』

ハニー「……あの時この部屋があいていたら、そんな手段も……あったでしょうね、えぇ」

エバラード『おや? そうだ、今はこの部屋は締め切られているはず……この子はいったい、どうやって?』

ディペット『もしや、ダンブルドアがここに戻るということなんですかな?』

フィニアス『あぁ――それはありがたい。あれがいないと――居眠りに精が出ないからな』

ディリス『聞いているくせに。あぁ、ダンブルドアがあなたをよこしたのでしょう?分かっていますよ。彼はあなたのことを、とても高く評価していますもの』

ハニー「……わたし、そんなんじゃ」

エバラート『そうだとも!君をいつも誇りに思っておる!』


ハニー「わたしは、わたし、そんな風に――そんな価値、なんて……!」


ポンッ!

ハニー「!……ダンブル、ドア」

ダンブルドア「待たせたのう、ハニー……」

パチパチパチパチパチパチパチッ!

ダンブルドア「あぁ、ありがとう、諸君。うむ、留守をどうもじゃ……さて、ハニー……座りなさい」

ダンブルドア「……長い話になるじゃろう」

722: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/02(日) 02:05:36.41 ID:5d7oAE9Q0
ダンブルドア「さて……まず、君が一番気になっていることから話しておこうかの」

ハニー「……」

ダンブルドア「君の勇敢なる友人達に、長く後遺症の残る障害を受けたものはおらん。今、全員がマダム・ポンフリーの下で応急処置を行われておる」

ハニー「……一番酷かった、ロン、は」

ダンブルドア「そうじゃの。しばらくは『ドクター・ウッカリーの物忘れ軟膏』を朝夕塗らんといかんが、大したことはないそうじゃ」

ハニー「……そう。良かった……それじゃ、きっとシリウスも」

ダンブルドア「……シリウスは、『聖マンゴ』に運んでもらった」

ハニー「……そう、よね。あんなに、あんなに呼んでもおきてくれなかったんだもの。きっと、酷い怪我――」

ダンブルドア「……ハニー」

ハニー「そう、そうよ……多分、明日になれば……シリウスは、もう自由の身でしょう?」

ダンブルドア「……」

ハニー「そしたら……シリウスはきっとここに来るわ。そのくらいは許してくれるわよね?だって、だって今までずっと……シリウスは、ずっと」

ダンブルドア「……ハニー。君は受け止めなければならん」

ダンブルドア「シリウスが運ばれたのは、あの病院でも一番静かな場所じゃ。隔離病棟の、さらに奥」

ダンブルドア「……二度と起きることがない、と判断された者の――」

ハニー「……嘘よ」

ダンブルドア「……」

ハニー「……シリウスが……シリウス、は」

ダンブルドア「ハニー。気持ちは、よく分かる」

ハニー「――よくわかる、ですって!?!?」

ダンブルドア「そうじゃ」

ハニー「今日まで、今日まで一度も!!!私の目さえ見ようとしなかった、あなたに!!!なにが――何がわかるって言うの!!!!」

733: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/02(日) 02:24:52.94 ID:5d7oAE9Q0
ハニー「あなたの言うことなんて聞きたくない!!帰して!!ここから、出して!!それで、シリウスの病室に行く!!行くわよ!!止めても無駄よ!!」

ダンブルドア「そうはいかん。ハニー、君もきっと聞きたくなるはずじゃ」

ハニー「あなたの言葉の何を!?あなたはずっと――ただ平気で――あなたなんかに!!」

ダンブルドア「ハニー、君の痛みもよくわかる。その苦しみも。そのもがきも。それは君が人間であるという証じゃ。そしてそれは、君の一番の強みなんじゃ――」

ハニー「だったら――わたしは、人間でいるのは嫌!!!強みなんて!!!あなたに!!!あなたに何を言われたって、わたしは――あなたに、理解なんて!!」

ダンブルドア「両親を失い、家族以上血のつながり以上の者を見出した相手を失う、そのことから、君は向き合わなければいかんのじゃ」

ハニー「――あなたは――いつだって!!!そうやって!!!!!自分が何もかも知っている、そんな風に――!!!」

ダンブルドア「そうじゃ、ハニー……もっとわしに怒りをぶつけるべきじゃ。なんなら杖を使ってもよい。君の感情の本流は、わしのみが受け止めるべきであり。他の者にも『君自身』にさえ、向けることはわしは我慢できん」

ハニー「なに――なにを」

ダンブルドア「シリウスがあぁなったのは、『わし』のせいじゃ。ハニー。君でも、誰でもない」

ハニー「……」

ダンブルドア「もっとも、ほとんど全部、と言ったほうがいいかの。全てと言い切るのは傲慢じゃて。シリウスは勇敢で、活力に溢れる男じゃった。そうじゃ。わしはそんな人間が一つところに閉じ込められる苦痛を知っておるというのに、彼に同じことを強いてしまった」

ハニー「……」

ダンブルドア「彼が君を想い神秘部に駆けつける行動に移させたのは、わしのせいじゃ。そして、ハニー。君があそこに向かったこともじゃ」

ダンブルドア「わしがもっと早く、君に打ち明けておけばすべてが変わった。わしが君達二人を祝福できんのは、わし自身の責任なのじゃ――全ての責めはわしのものであり、ハニー、わしだけのものじゃ」

ハニー「……分からない、こと。だらけだわ」

ダンブルドア「……そうじゃろう。さぁ、もう一度腰掛けておくれ。しかと話してしんぜよう」

734: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/02(日) 02:46:54.64 ID:5d7oAE9Q0
ダンブルドア「ハニー。聡い君のことじゃ。わしと君が前年度までに話し合った、君の傷と奴の関係のことは覚えておるな?」

ハニー「……私は十五年前、この傷とあいつとの絆ができて。近くにいたり、感情が高ぶると傷跡が警告して――肉体を取り戻したとは、それが顕著に、強くなるだろ、ってこと」

ダンブルドア「そして、ハニー。これはスネイプ先生から君に伝えられていることと思う。ごく最近、奴がその絆の存在に気づいたのではないか、と。君があやつの心と頭にあまりに深く入り込んだせで、奴が気づく時がきた、と」

ハニー「……それが、アーサーお父様のころね……えぇ、聞いたわ」

ダンブルドア「……ハニー、疑問に思わなかったかね。何故わしは君に話もしないのか。何故、わしが君に『閉心術』を教えないのか」

ハニー「……一年悩みつくした、と言ってあげるわ……その目を見るのも、とってもとっても久しぶりだもの」

ダンブルドア「……すまんのう。全ては、奴が君との絆に気づいた時のことを考えてのことだったのじゃ」

ダンブルドア「わしは奴が復活したその日から、時ならずして君の心に入り込み考えを操作したり、心を捻じ曲げたりすることを懸念しておった。そして、それはもしもわしが君と近しいと――または近しいと思われることが一度でもあったと知られるとダッシュ―無闇に煽り立てることになるじゃろう、そう思ったのじゃ」

ハニー「……私を、ホグワーツのスパイにするかも、しれない」

ダンブルドア「そうじゃ。そしてわしの読みはある程度当たっておった。一度ならず、君の目をチラと見た折――その奥に奴の影がみえたように、わしは思う」

ハニー「あっ……そう、だわ。私……あなたを、無性に呪いたくなって……」

ダンブルドア「腹を立てられるのは慣れっこじゃがの。そして、ハニー。少しだけ訂正じゃ。奴が君にとりついて本当にしたいこと、それはこの城のスパイではない。わしを破滅させるため、ではない――君の破滅じゃ」

ハニー「……」

ダンブルドア「今宵、奴がそうしたように。わしの手で君を殺めるよう仕向けたかったのじゃろう――君を犠牲にすることを望んだわけじゃ。そういうことじゃから、わしは『君からわし自身を』遠ざけたのじゃ」

ハニー「……あなたが避けていたわけじゃ、なかった」

ダンブルドア「そうじゃ。だが、結局は同じこと……君を守ろうとしたことが、かえって君の心に悩みや焦りを生じさせてしもうた。老人の過ちじゃ」

735: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/02(日) 03:28:02.18 ID:5d7oAE9Q0
ダンブルドア「さて……今でこそ過ちじゃと思っておるが、わしはそれでもまだ君を遠ざけておった。アーサー・ウィーズリーの襲撃事件の後は、君に心の武装をさせようと『閉心術』を身につけさせた」

ダンブルドア「それを抜きにしても、君はあやつが一年考え抜いていた『神秘部』の夢までみていたと知った……君をあの部屋に近づけさせるわけにはいかん。『閉心術』が益々重要となった、そう思った」

ハニー「でも、私……まるで練習しなかったわ。重要、そうよ……そうに決まってるじゃない。練習しておけば、あんな夢を……シリウスの……」

ダンブルドア「……それでも、他の手を使ったことじゃろうて。例えば――君は、シリウスの安否を確かめたのじゃろう?」

ハニー「えぇ……ぁ、あぁ!そうだわ!クリーチャー!クリーチャーは、どうして嘘を!?あの時、シリウスは掴まってなんか……」

ダンブルドア「クリーチャーは、何ヶ月も前からルシウス・マルフォイの妻、ナルシッサに仕えておったのじゃ。ブラック家の血が流れる、彼女にのう」

ハニー「!」

ダンブルドア「クリスマスの日、シリウスから『出て行け!』と言われたクリーチャーはその言葉通り屋敷を出て、ナルシッサの元に向かった。そうしてそれから、今日まで。二君に仕え、あちらが仕掛けるにあたって都合のいいように動くよう指示されていたのじゃ」

ハニー「どうして……そこまで」

ダンブルドア「当然じゃ、本人に聞いたからのう」

ダンブルドア「ハニー、君が昨夕スネイプ先生にあの暗号めいた言葉を発した後、スネイプ先生は迅速に行動した。シリウスの安全を確認し、騎士団に警告し。そして君たちが森から戻らなかった後は――本部へ出動するよう呼びかけた」

ダンブルドア「その時シリウスは残るはずじゃった――間の悪い事にわしは移動中での。本部に残って、わしに伝言するように、と」

ダンブルドア「当然じゃが、シリウスは拒んだ。自分のためにと君が危険な目にあっているのに、ジッとしていられるか、と。そういて、伝言をクリーチャーに頼んでいってしまったのじゃ」

ダンブルドア「……わしが本部に着いた時のクリーチャーは。高笑いして、『神秘部に行った!本当に行った!』と」

ハニー「……笑って、たの?」

ダンブルドア「よいか。二君に仕えると言ってもじゃ。クリーチャーに我々の本部の情報を漏らすことはほとんど出来ぬ。『秘密の守人』でないから所在を教えることもできず、作戦などはシリウスに他言することを全て禁じられておった。悔しかったじゃろう、ナルシッサのやくにたてず。ところが、思わぬ情報があちらの陣営にとっては非常に価値があったのじゃ」

ハニー「……わたしの、こと」

ダンブルドア「そう、クリスマスのこととか言っておったのう。シリウスが君をもっとも大切に思っており、また、君自身もそうじゃ、というクリーチャーの情報は、ヴォルデモートにとってあることに気づかされた。君が、何があっても助けにどこでも向かう相手。それはシリウスじゃ、ということに」

ハニー「……クリー、チャーは」

ダンブルドア「誇らしかったそうじゃ。ようやく役にたてた、と。そして、ルシウスの差し金で、ことが起こされた日はシリウスをバックビークの部屋に閉じ込めておったのじゃ。防音を施し、何ももたせず。ただ、シリウスはバックビークの怪我を治療しておったから、閉じ込められたことには気づいていなかった、とか」

ハニー「それを……クリーチャーは……あいつは、あなたに笑いながら、話したっていうの?」

ダンブルドア「話した、というか。うむ、わしの『開心術』で、こう。うむ」

ハニー「それなのに……あんなに酷い奴なのに!わたし、少しでも同情を!ハーマイオニーは、あんなのに優しくしろって!!」

ダンブルドア「当然、そうあるべきじゃ。よいか、ハニー。もしもの話じゃが――シリウスがもう少しでもクリーチャーを丁重に扱い、主人として対応してやれれば――」

ハニー「シリウスを、責めないで!!!! シリウスがあそこで……!!あの屋敷しもべ妖精に、あの家族に!!どれだけ苦しんだか、あなたは……!」

ダンブルドア「うむ、知っておる。それでも、じゃ。ハニー……いや、これはたらればの話じゃの……」

737: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/02(日) 03:51:35.95 ID:5d7oAE9Q0
ダンブルドア「シリウスはあの屋敷しもべ妖精を、憎んでいたわけじゃない。憎んでいた、というのは……」

ハニー「……スネイプだわ。スネイプは、いつまでたってもシリウスをネチネチと、昔のことで、煽って!シリウスがあそこから、出て行きたいって思わせて!」

ダンブルドア「ハニー、二人はあれで大人じゃ。ヒートアップすることはあっても、本気で真に受けることなどありはしない。これは二人の名誉のために言おう」

ハニー「っ、いいえ!スネイプは今でも――あのことを、憎んでる!シリウスや、パパのことを!!」

ダンブルドア「……そうじゃな。確かに、そういう部分もあろう。いつか克服してくれると、信じていたのじゃが……」

ハニー「……スネイプがパパたちを憎むのはよくって、シリウスがクリーチャーを憎むのはいいってわけ!?」

ダンブルドア「そうではない。そうではないんじゃ、ハニー。あの噴水の像を覚えておるかの。魔法界は長年、同胞の待遇を誤り、虐待してきた。その報いを今の時代が受けておるのじゃ」

ハニー「……自業自得だったといいたいの!?!?」

ダンブルドア「シリウスが、じゃない。違うとも、ハニー。この社会が、じゃ。シリウスは、屋敷しもべ妖精全般にはむしろ親切じゃった。この城の厨房には何度となく食べ物を拝借しに行っておるからの……ただ、クリーチャーに対してだけは」

ハニー「えぇ、ぇえ!そうよ!あの家を憎んでいたから!それなのに!」

ダンブルドア「……そうじゃ。わしは彼を閉じ込めた」

ハニー「わたしも――同じ目に合わせて!!!誰だって閉じ込められるのはいや!!自分の知らないところで、自分の大切な何かが変わってしまうのは嫌!!!!もう、そんなのは――ごめんだわ!!!」

ダンブルドア「―――」

ハニー「……」

ダンブルドア「――そうじゃの、ハニー。その通りじゃ――その時が来た。今こそ、話して聞かせよう。五年前、君に話すべきだったことを」

ハニー「……なにを?」

ダンブルドア「すべてを、じゃ。ハニー」

740: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/02(日) 04:31:02.96 ID:5d7oAE9Q0
ダンブルドア「五年前、君はこのホグワーツにやってきた。わしの思っていた通り、リリーに似て、そしてジェームズにそっくりな子供じゃった」

ハニー「……褒められている気がしないのだけれど」

ダンブルドア「ほっほ、褒めているとも……暗く辛い十年だったことじゃろう。それでもあの気高さと、優しさをもっていられたのじゃから」

ハニー「……そうでもなかったわ。特に、最後あたりは」

ダンブルドア「君はいぶかったことはないかね?どうしてわしは、君を預けるのにわざわざマグルのおばさんの家を選んだか。それこそ魔法界で庇護する方が、普通に考えれば安全なのではないか、と」

ハニー「……えぇ、何度か。答えは見つかりそうに、なかったけれど……血縁、くらいのものかしら……待って。思い出した。去年、あいつ、ヴォルデモートはそう言ってたわ……ダンブルドアは、私の守りを強化させた、って」

ダンブルドア「そうじゃ。君の母上が残した守護は、君の血の中で持続しておる。それ故わしは、きみの母上の唯一の血縁であるペチュニア・ダーズリーの下へ君を預けた。彼女が君との絆を育むかぎり、この守りは――」

ハニー「……おばさんは、私を愛してなんかいないわ」

ダンブルドア「それでも、確かに引き取った。嫌々かもしれんし、腹を立てたかもしれん。じゃが、彼女は君を引き取ってくれた。おかげで君の守護は確固たる者となった……あの家が君の家だと呼べる限り、ヴォルデモートが敷居を跨ぐことは絶対にできないよう魔法をかけたのじゃ。おばさんは、そのことをご存知じゃよ。しかと手紙に書いたからのう」

ハニー「……やっぱり、夏の『吼えメール』はあなたからだったのね。思いだせ、って」

ダンブルドア「画して、君の中にある守護も両親の面影も最良の形でこの城へやってきた――その年に起きた事件については、今一度説明しなくてもいいかの?」

ハニー「……えぇ、そうね。語り継ぐまでもないわ」

ダンブルドア「アズカバン奥地とかで週一で語られてそうじゃがの……君は、わしが想定していた時期よりもっと早く、奴と対決した。己の弱きも知り、意気地も知り、震える足であろうとも、君は勇敢に立ち向かった――わしは、誇らしかった。口ではいい現せられないほどに、君が誇らしかった」

ハニー「……当然ね。私、だもの。えぇ」

ダンブルドア「しかし、この時には計画に欠陥があった。明らかな弱点じゃ――後の全てを狂わせてしまうかもしれん、じゃから、わしは慎重になった――それこそが、弱点とも言えるのじゃが」

ハニー「……?」

ダンブルドア「覚えておるかね。ヴォルデモートとの戦いに疲れ果て、医務室で眠っておった君は。こう聞いたはずじゃ、聞きたかったはずじゃ、『どうしてそもそもヴォルデモートは赤子の自分を殺そうとしたのか』と」

ハニー「……」

ダンブルドア「……その時、話すべきじゃったのか? わからぬかのう、ハニー。この計画の弱点が」

ダンブルドア「わしは考えた。君はまだ十一歳、何かを背負うには早すぎる――そう言い訳したのじゃ。体のいい言い訳じゃ。その時、わしは気づくべきだった――すでに危険な兆候はそこにある、と」

ダンブルドア「二年目に入った。君はまたしてもヴォルデモートと対決し――過去を越え、今を越えて、わしにホグワーツの可能性を見せてくれた。あぁ、君は大人の魔法使いでも成し遂げられないことをやってのけたのじゃ。君は誇らしげじゃった……わしは、その勝利の余韻を君からぬぐいさるのは酷じゃ、そう思ってしまった」

ダンブルドア「ハニー、分かるかね。わしが犯してしまった過ちを。この計画の弱点が、もう分かったかの?予測していたわなに、わしは最早かかりきってしもうた」

ハニー「……よく」

ダンブルドア「きみをあまりにも愛おしく思いすぎたのじゃ、ハニー」

741: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/02(日) 04:53:31.09 ID:5d7oAE9Q0
ダンブルドア「奴をくじくことが全てのはずじゃった。そのためには何もいとわないはずじゃった」

ダンブルドア「わしは非情になるつもりだった。じゃが、君をあまりに大事に思いすぎた」

ダンブルドア「君が幸せであるほうが、君が真実を知るより大事になってしもうた。君の心の平安の方が、魔法界の平安より気になってしもうた。計画が失敗した時に失われる多くの命よりも、君の命を何よりに考えるようになってしもうた」

ダンブルドア「つまり、わしは――ヴォルデモートが言うような、人を愛する者がとる愚かな行動を取っていたのじゃ」

ダンブルドア「三年生になった、君は両親の影を見、自分自身を見、全てを救うだけの力をわしに見させた」

ダンブルドア「わしはもう段々と口実が尽きておった。君がか弱い女の子でないのは最早明確じゃった。あぁ、そうじゃ。君自身がどう思っていようとも、もはや君には乗り越えるだけの準備はあるはずじゃった。それでも、あの時はわしは話さなかった……そう何年も、君に降りかかるはずがない。まだ早い、まだ早い、と」

ダンブルドア「わしの見込みはおおハズレもいいところじゃった。あ奴が動き、君は再び立ち向かった。君は友の犠牲を乗り越え、奴に正面から立ち向かう意思を見せてくれた――その意思にわしが本気で応える気があったのなら、話すべきじゃった。わしは、また君に話すことはできなんだ」

ダンブルドア「じゃが、今夜。わしは思い知った。わしが君に話さぬことで、君自身はおろか君の周りのあらゆる者に危害が及ぶ。君にはとうに、受け入れるだけの準備ができておったというのに……」

ダンブルドア「じゃが、ハニー。一つだけ弁明させてほしい。君が、この学校で学んだどの学生よりも多くの重荷をすでに背負っていたことを、わしはずっと見守っていたのじゃ……じゃから、この重荷を背負わせるのははばかられた。何よりも重い、この重荷を」

ハニー「……わたしの、すべてに関係すること」

ダンブルドア「そうじゃ、ハニー。今宵の騒動にも――『予言』は全てを、動かしてきたのじゃ」

746: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/02(日) 08:35:00.09 ID:5d7oAE9Q0
ダンブルドア「君とヴォルデモート。二人に関する予言は神秘部に保管されておった」

ハニー「えぇ……でも、壊してしまったわ。予備があるようにも、思えないけれど……」

ダンブルドア「なに、心配はいらん。あれ自体が予備のようなものじゃ。あの予言を、聞いた者の記憶を見ればいいだけじゃ。そうじゃろう?」

ハニー「……そうね、A.P.W.B.Dさん」

ダンブルドア「その通りじゃ。そして予言したのは、S.P.T、シビル・パトリシア・トレローニー」

ハニー「……一つ目の本当の予言?」

ダンブルドア「そう。わしは十六年前、ホッグズヘッドの二階で彼女の採用面接をしておった。有名な予見者曾々孫だったものじゃから、期待しておったが……結果はあまりふるわず。帰ろうときびすを返したところで……様子が変わったのじゃ」

ハニー「……低い、しゃがれた声に。それに、目つきもなんだか」

ダンブルドア「そうじゃ。わしはそれがすぐにヴォルデモートに関連することなのだと分かった……外で盗み聞きをしていた者も、じゃ」

ハニー「……盗み聞き!?」

ダンブルドア「そのものは予言の前半であのヤギ男――バーテンにみつかりしめだされたが、その内容をヴォルデモートに知らせた。その後半の部分に自らの顛末までなされていたとはつゆ知らず」

ハニー「……」

ダンブルドア「じゃから、奴は復活してからずっと予言を欲したのじゃ。全貌が明らかになれば、己の敵を打ち破るよげんがなされておるかもしれぬ。そう考えてのう」

ハニー「……敵」

ダンブルドア「……さて。君はあまりもうこれを見たくないじゃろうが、使うこととしよう」

カタッ

ハニー「……憂いの篩」

ダンブルドア「……さぁ、これが記憶じゃ」

スッ スゥゥゥゥッ

ハニー「……」

ダンブルドア「ハニー……よいか?」

ハニー「……えぇ」

スゥゥゥゥッ

パッ

『闇の帝王を打ち破る力を持った者が近づいている……七つ目の月が死ぬとき、帝王に三度抗った者たちに生まれる……』

『そして闇の帝王は、その者を自分に比肩する者として印すであろう……その者は、闇の帝王の知らぬ力を持つであろう……』

『一方が他方の手にかかって死なねばならぬ……なんとなれば、一方が生きる限り、他方は生きられぬ』

『闇の帝王を打ち破る力をもった者が、七つ目の月が死ぬときに生まれるであろう……』


ハニー「……」

ダンブルドア「……」

ハニー「これ、は……この意味、は……つまり。つまり」

ダンブルドア「つまり、十六年前の七月末、ヴォルデモートを永遠に克服できる唯一の可能性をもった人物が生まれた、ということじゃ。これは、ヴォルデモートに三度抗った者の下に生まれる、と」

ハニー「それが……それが、わたし???」

751: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/02(日) 09:13:59.20 ID:5d7oAE9Q0
ダンブルドア「奇妙なことに。実に、奇妙な事に。ハニー、もしかすれば君ではなかったのかもしれんのじゃ」

ハニー「……え?」

ダンブルドア「当時、わしの陣営には多くの勇敢な者たちが集まっておった。優秀で、力があり、そして、闇の魔術に飲まれない素晴らしい魔法使いたち。そんな中でも、ヴォルデモートと直接対決し、三度も逃れることができる人間は、そうはおらんかった」

ダンブルドア「リリー、ジェームズ・ポッター、そしてアリス、フランク・ロングボトムはそんな夫婦じゃった。同じ頃、どちらも子供を授かった」

ハニー「……じゃぁ、じゃぁ、ネビルが、そうかもしれないじゃない。どうして、私だって」

ダンブルドア「それは単純明快じゃ、ハニー。予言の後半を思い出してほしい。奴が『比肩する者』として印したのは、君だったのじゃ」

ハニー「……印……この、傷」

ダンブルドア「そうじゃ、ハニー。その傷は奴の呪いであり、奴からの祝福でもあった」

ハニー「……そうしたからって、間違ってなかったとは言えないわ!だって――」

ダンブルドア「ハニー、予言によって可能性が提示され、そして奴が選んだのは君だったのじゃ。分かるかね? どちらが正しかったか、ではないのじゃ。奴が動き、奴が印した者が、奴自身を滅ぼす存在になる。奴は自らの首を絞めたのじゃ」

ハニー「じゃぁ――尚更、どっちでも、よかったなんて――」

ダンブルドア「そうは言うておらん。そして、それはヴォルデモートも一緒じゃろう。奴は自分にとってもっとも脅威となるのはどちらか、と考えた。選んだのは、奴自身の心情とは間逆。混血の君じゃった――あやつは君を見る前から、君の中に自分自身を見ておったのじゃ」

ハニー「でも、おかしいわ――おかしいじゃない!その予言の、通りなら――」

ダンブルドア「そう、奴は君が『闇の帝王の知らぬ力をもつ』ことを知らなかった。盗聴者は、その前に締め出されておったからのう――」

ハニー「わたし、わたし、そんなもの、もってない!!!」

ダンブルドア「……」

ハニー「わたしは、わたしはそんな力なんて、何一つもってない!あいつが今夜戦ったように!あなたのように杖をふる事だってできない!!人に取り憑くことだって――憎くて憎くて仕方ないあいてを、苦しめること一つできない、わたしが――わたしが、どうして」

ダンブルドア「君の持つ力は、神秘部の鍵がかかった部屋で研究されておる。それよりも遥か昔、何十年、何百年、何千年と前から研究されておるものじゃ。追い求められておるものじゃ」

ダンブルドア「それは生のなによりも不可思議で、死よりも恐ろしく、人の叡智よりも自然の力よりも素晴らしいものじゃ……君はそれを、当たり前のように身に宿しておる。ハニー、君は無力などではない」

ダンブルドア「君はその力によって、今夜も、そしてこれまでも多くの事をなしてきた。君のその力が、奴が君に取り憑くことを護った。君が苦も無く奴の中で記憶を見れる一方、奴は君に取り付くと地獄の苦しみを味わっておった。当然じゃ。君の持つ力は、奴にとって最も脅威で、最も恐るべきものなのじゃから」

ダンブルドア「結局、君が『閉心術』を身につけるのは問題ではなかった……最後に君を護ったのは、君の心だったのじゃから」

ハニー「……でも、でも、わたしが……おびき、だされなければ」

ダンブルドア「それもこれも、君のその力を見くびり、予言のことを伝えておらんかったわしの責任じゃ。ハニー。君は責められるべきではない。わしを糾弾するべきなのじゃ――こんなものを、君のような若者に押し付けることを。そして押し付けることさえ拒み、隠し通そうとしていたことを」

ハニー「……予言の、最後」

ダンブルドア「――あぁ」

ハニー「……一方が生きる限り」

ダンブルドア「他方は、生きられぬ」

ハニー「……それじゃぁ……わたしとあいつは、最後には……二人のうちどちらかが、もう一人を。殺さなくちゃ、いけない?」

ダンブルドア「――そうじゃ」

ハニー「…………」

757: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/02(日) 09:45:29.10 ID:5d7oAE9Q0
ハニー「……」

ダンブルドア「……」

ハニー「……上等、じゃない」

ダンブルドア「……」

ハニー「……いつか言ったわ……何度だって、何度だって、何度だってあいつを挫いて……」

ダンブルドア「……」

ハニー「今更だわ。私が、あいつを……倒すのは、ずっとずっと前から分かってたことだもの」

ハニー「パパとママのためにも……それで」

ハニー「……セドリックや、シリウスの、ためにも」

ハニー「あいつに、酷い事をされてきた、人たちの、ためにも……!」

ギュッッッ

ハニー「わたしが……ここでうろたえていいわけないでしょ……?」

ハニー「っ、わたしが……私が……!私しか、あいつを、倒すことが、できないんなら!」

ハニー「私は――予言なんか、なくったって!」

ハニー「前に、進む!こんな世界は間違ってる!闇に飲まれたまま生きる人がいるなんて!!!そんな人たちに負けたままだなんて!!!」

ハニー「これ以上、誰かが――!」

ハニー「っ、ダンブルドア――ダンブルドア!!!!」

ダンブルドア「……あぁ、ハニー」

ハニー「私、わたしはそれでも、弱いまま。あなたが言うような素晴らしい力なんておもいつかない。だから――手伝って」

ハニー「あなたの知っていること、全部でわたしを支えて。それくらいのことは、してくれるんでしょう?」

ダンブルドア「当然じゃ、ハニー。わしは――君の豚じゃからのう」

ハニー「……腹黒豚の名に恥じないわね、まったく!」

ダンブルドア「……ヒンヒン!」

761: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/02(日) 10:13:12.81 ID:5d7oAE9Q0
二日後

医務室

ハーマイオニー「……『名前を呼んではいけないあの人、復活す』 ついに認めざるを得なくなった、という割には随分と紙面に出すのを迷ったようね、ファッジは」

ハニー「それでも、真実を伝える気になったのはいいことだわ……遅すぎるけれどね」

ロン「君を賛美する言葉に遅いも速いも何もいつも言ってるから問題ないねハニー!ヒンヒン!君の美しさってモークセーくらいでかいよな!」

ハニー「軟膏よ、ロン。飲みなさい」

ロン「もちのゴッゴッゴッゴッ」

ネビル「ロン、ローーーーン!!塗るものだ、塗るものだよそれ!ローーーン!!」

ジニー「新聞ったら、今度は随分とハニーのことを褒めっぱなしだわ。『孤独な真実の声……精神異常者扱いされながらも自分の説を曲げず……あざけりと中傷に耐え』」

ハーマイオニー「ふ~ん。嘲ったり中傷したりしたのは自分達だ、ってことを書かないあたり、反省しきってはいないみたいね。まったく!! イタッ!」

ハニー「! 大丈夫、ハーマイオニー?」

ハーマイオニー「っ、平気平気。肋骨が、あと少し痛むだけだもの。流石はマダム・ポンフリーのお薬ね」

ハニー「えぇ……はやくよくなってね。痛むのにあまり、迫ったりできないもの……」

ハーマイオニー「な、ナニを!?」

ロン「いやいやハニー、大丈夫だよ、ポンフリーの薬よくきくし。だから、どうぞ」

ネビル「どうぞどうぞ」

ジニー「ヒンヒン!」

ハーマイオニー「入院が長引かされたい人たちがいるようね!? オホン。あら、この記事……ルーナ、このインタビューって」

ルーナ「うん。パパが『予言者』に頼まれて売ったんだ。とってもいい値段で。今年の夏は『スノーカック』を捕まえにスウェーデンに探検にいけそう」

ハーマイオニー「あー、そうっ、ステキね」

ハニー「……」

ハーマイオニー「……えっと、ハニー?大丈夫?」

ハニー「……あぁ、なんでもないのよ。ただ、あなたは手のひらのどの部分が弱かったかしら、とか。考えてただけ」

ハーマイオニー「……誤魔化しているのか本気なのか判断に困るわ」

ハニー「私はいつだって本気よ。いつだってね」

763: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/02(日) 10:27:17.35 ID:5d7oAE9Q0
ロン「入院って言っても、ここに何日もいる羽目になってるのは僕と君くらいのもんだけどさ。マーリンって名前なんてたっけ」

ハーマイオニー「ジニーもネビルもルーナも軽症でよかったわ……ロン、そういえばあなた、あのいびきどうにかならないの?」

ロン「いびき?」

ハーマイオニー「というか、寝言というか……心臓に悪いのよ、夜な夜な『ハニー、ヒンヒン!』って何度も」

ロン「いやそれ言ったら君だって同じだからな?『ハニー、あぁ、ハニー!』って。勘弁してくれよ、ロニーがロナルドるだろ」

ハニー「……二人を見てると、夫婦みたいだわ」

ネビル「そうかなぁ?」

ルーナ「そうかなあ」

ロン「それで、まあいいや。学校では何が起こってるんだい?ハニーが賞賛と尊敬の雨あられなのは聞くまでもないというか豚にとっちゃ毎日がエブリデイそうなんだけどさ」

ハニー「……えぇ、そうね。私だもの」

ジニー「ハニーステキ。アンブリッジが校長からも高等なんちゃらも退いたから、とりあえずフリットウィックがフレッジョの沼を片付けたわ」

ネビル「あっと言う間だったんだ。でも廊下の隅っこに少しだけ水溜りを残して、ロープで囲ってたよ。『これはとってもいい魔法だったから』って」

ロン「粋だぜ、さすが先公豚。粋と言えば、それじゃ、ダンブルドアが戻ったから何もかも元通り、そういうことかい?」

ルーナ「ん。全部、普通になったよ」

ロン「……君が言うと途端に不安になるなぁ」 

765: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/02(日) 10:43:09.94 ID:5d7oAE9Q0
ハーマイオニー「沼もなくなったし、未だにくすぶっていた花火も始末されたのでしょうし。それなら、フィルチは喜んでいるんじゃない?」

ジニー「逆逆、真逆よ。ほら、あの人って――アンブリッジを崇拝してたでしょ?」

ハニー「……アンブリッジ、ね」

ロン「あー……あっちの、隅のベッドの」


アンブリッジ「――――」


ハニー「……ずっと、放心状態だわ」

ネビル「だ、ダンブルドアが一人で森に入っていって、連れ帰ったんだよね……人差し指でつまんで」

ハーマイオニー「マダム・ポンフリーは、外傷もないし、単にショックを受けただけって言ってたけど」

ジニー「寧ろ拗ねてるのよ、きっと」

ロン「あぁ、こうしてやると生きてる証拠を見せるぜ……」

パカラッパカラッパカラッ!



アンブリッジ「ひ、ひぃいいいいいいいいっ!?!?どこですの!?!?どこですの!?!?」

ポンフリー「!? ど、どうされました?アンブリッジ先生?」

アンブリッジ「あっ……いいえ。わたくし、ちょっと疲れたようで……なんでもありませんわ」



ハニー「趣味悪いわよ、ロン。けれど、よくやったわ」

ロン「ヒンヒン!ごめんよありがとうハニー!」

ハーマイオニー「っっふ、っく、っふふ。まったく、いいお灸になったんじゃないかしら……ケンタウルス、って言えば。フィレンツェが戻れるように、ダンブルドアは説得したのかしら」

ジニー「トレローニーも、フィレンツェも、学年違いで二人とも教えることになるそうよ」

ロン「ふーん。ダンブルドアも物好きだよな。あのままトレローニーなんておん出せばよかったのに」

ハニー「……」

ハーマイオニー「そう言える?本物の予言が存在するって分かったばかりじゃないの。あぁ、私、占い学に復帰できないかしら――あら、ハニー?」

ハニー「私、あー……ハグリッドのところに、行ってくるわ。今朝戻ってきたって、言っていたから」

ハーマイオニー「そ、そう? よろしく言っておいて頂戴……あの大きな紳士さんについても」

ハニー「……ふふっ。えぇ、言っておくわ」

ガチャッ、バタンッ

ハーマイオニー「……あの予言は、壊れたのよね?」

ネビル「うーんと、そのはず、だけど……」

ロン「ハニーから話したくなるまで口出し無用さ、もちの僕でね」

767: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/02(日) 11:06:58.51 ID:5d7oAE9Q0
玄関ホール

ハニー「……(誰かと一緒にいたいのか、一人になりたいのか……よく、わからないわ)」

ハニー「(予言のことを、話すことも……まだ、わたしが、わたし一人で整理するのに、精一杯なのに)」

ハニー「(二人の反応を見る、余裕なんて……なんだか薄々、気づかれてそうで嫌、だけれど)」

ハニー「(それに……何かの拍子で……シリウスの話に、なりそうで)」

ハニー「っ、っ!」グシグシグシグシ

ハニー「(泣かない……泣かない!シリウスは、平気!心臓が動いてる、息だって、してる!)」

ハニー「(ただ、ただちょっと、眠ってるだけ!それだけ……そうじゃ、なくっても)」

ハニー「(わたしの……中にいる、シリウスは……消えたりしないもの)」

ハニー「……」

ソッ

ハニー「……いいえ、ち、違うわよ!!!唇とか、そういうのじゃなくって!!何思い出してるの、わたし!心とか!!!それよ!!!」


マルフォイ「うわっ!?う、うるさいな! なんだ、ポッター。また何か――夢でもみているのか?え?」

ハニー「……あら。お父上がアズカバンに囚われた系小者の、マルフォイじゃない」

マルフォイ「黙れ! ふんっ……吸魂鬼はアズカバンを放棄した。父上たちはすぐに出てくる……ポッター、お前は死んだぞ。思い知らせてやる。絶対に、絶対につけを払わせてる……!」

ハニー「どうやって?あなたのお父上がワルだっていうのは、もう世間に知れてしまったわ。あなたはもう二度と、大手を振って誰かにすりよることもできない……あぁ、そうね。一人だけ、存分に擦り寄る相手がいるんだったわ」

ハニー「ヴォルデモート卿とか。そうでしょ?」

マルフォイ「!?」

クラッブ「ゴ、ゴァ……」

ゴイル「……ウゥホ……」

ハニー「……怯えるって感情あったのね」

マルフォイ「な、なめるな。こいつらだってそのくらいはする。えーっと、暖炉の火とか……ポッター、お前は自分が何様だと思ってるんだ?え?」

ハニー「誰であろうと。二度と日の目を浴びないあなたたちよりましよ。マルフォイ」

マルフォイ「っ、この……!!!」

ハニー「 『インペディメ――」


スネイプ「ポッター!!そこで何をしておる!!」

ハニー「っ……あら、ハァイ。スネイプ、『先生』」

スネイプ「挨拶はいい。何をしておるかと聞いている」

ハニー「マルフォイにどんな呪いをかければいいか、考えていたわ」

スネイプ「……貴様は何様のつもりだ?」

ハニー「少なくとも『闇の魔術』を使うよりは、マシだわ。『先生』」

スネイプ「……それが貴様の決定というわけか。よかろう。グリフィンドールから二十点……おや?もうグリフィンドールには、その減点する点すらありませんな?」

ハニー「……誰かさんたちが特権をふりかざしていたからね」

マルフォイ「ざまぁみろ!」

スネイプ「よかろう。で、あれば一時的に、やむをえず点を――」


ギィィッ

マクゴナガル「点を加えますか、スネイプ先生。お手伝いしましょう」

ハニー「! マクゴナガル先生!! おかえり、なさい!」

マクゴナガル「えぇ、ポッター。戻りますとも。ここは私の家ですから」

778: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/02(日) 11:19:00.74 ID:5d7oAE9Q0
スネイプ「これは、これは。聖マンゴを退院しておいでで!」

マクゴナガル「えぇ、もう暫くは安静にと言われましたが、学年末のパーティは少なからず楽しみにしていますので。歩行杖をついてなら退院してよい、と。そこの二人」

クラッブ「ゴァ」

ゴイル「ウッホ」

マクゴナガル「私のトランクを研究室までもっていってください。マルフォイ?二人が道を間違えないようについていきなさい、いいですね?」

マルフォイ「……チッ、いくぞ、クラッブ、ゴイル……一歩目から間違うな地下に行ってどうする、地下に!」

マクゴナガル「さて、そうですね。点数の話です。ポッターとその友達とは、世間に対し『例のあの人』の復活を警告し続けていました。それぞれ五十点、それでいかがです?」

スネイプ「あぁ――うむ、そうでしょうな」

マクゴナガル「では――ポッター、ウィーズリー兄弟四人、グレンジャー、ロングボトムにそれぞれ五十点ずつ」

ジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラジャラ!!

スネイプ「」

ハニー「……ほとんど空っぽだった、グリフィンドールの点が……」

マクゴナガル「あぁ、それからラグブッドにも五十点。さぁ、ここからポッターがはたらいた狼藉に二十点減点、そうでしたね?」

ヒョイッ

マクゴナガル「おや……今年はどうやら私の寮が優勝のようで。ポッター……誇らしく思いますよ」

ハニー「……えぇ、先生。ありがとう」

マクゴナガル「評価されて当然のことを評価したまでです。さ、お行きなさい」


780: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/02(日) 11:36:11.46 ID:5d7oAE9Q0
ハグリッドの小屋

ハグリッド「よー来てくれたな!ハニー!ヒンヒン!おめぇさんは女神だ!しっとったが!」

ハニー「えぇ、知ってるわ……ハグリッドの方こそ、今まで無事でよかった」

ハグリッド「そりゃ、俺は頑丈だからよ。それに、そんなに酷ぇとこにいたわけじゃねぇ。ホグズミートのはずれの洞穴だ。ほれ、去年シリウス――ぁ」

ハニー「――あなた、顔色がよくなったのじゃない?」

ハグリッド「あ、ああ?あ、あぁ!まぁな、うん。グロウプの奴め、そりゃもう俺が帰ったら喜んでなぁ」

ハニー「なんて喋ったの、えぇ」

ハグリッド「あぁ、『これまであたり散らしてすみませんでした。ハグリッドがいなくなって初めて、僕なんかに構ってくれるあなたの優しさ、そして本当の意味での大きさというものが身に染みました。ハグリッド……兄さん、って、呼んで、いいですか?』ってよぉ……!俺ぁ、俺ぁ感無量で」

ハニー「……実はあなたも普通に喋れるんじゃないでしょうね」

ハグリッド「ありゃいい若者だ、うん。いずれ女友達でも連れてこんにゃなんねぇと思っちょるんだが……オリンペに従姉妹でもいねぇかな」

ハニー「普通サイズじゃ意味ないわ……」

ハグリッド「ハニー……タンポポジュースはうめぇかい?」

ハニー「……えぇ、とっても」

ハグリッド「……シリウスも、それが好きでなぁ」

ハニー「…………」

783: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/02(日) 11:56:30.22 ID:5d7oAE9Q0
ハグリッド「お前さんの親父とあいつときたら、色々悪戯で困らせた後に。悠々とお茶を飲みにきおった」

ハグリッド「怒る気にもならんかったから、出してやったわい。茶ぁじゃなくて、このタンポポを入れたもんをな」

ハグリッド「仕返しのつもりだったんだが……奴さん、気に入りよった。ジェームズなんかは『庶民の味は新鮮か?』とか、茶化しとったが」

ハグリッド「人がいれてくれたものを飲むのがそもそも、とか。あぁ、シリウスはちょっと難しい時期もあったけどよ。いい奴だった。それに、いつだって勇敢だった」

ハグリッド「あいつは戦って、死んだ。だから、悔いは――」

ハニー「シリウスは、死にたくなんてなかった!!!」

ハグリッド「……あぁ、すまん。そう言いたかったわけじゃねぇんだ。あのな――あいつは、そういう奴だってだけで。友達のためなら、自分の犠牲なんて省みない奴だったんだ……昔から。だからよ、お前さんが、自分をもしも責めてるなら――」

ガタッ

ハグリッド「!」

ハニー「……私、ロンとハーマイオニーのお見舞いにいかなきゃ」

ハグリッド「あ、あぁ、そうか!うん、よろしく言っといてくれ!グロウプも、ってな」

ハニー「……えぇ。……ハグリッド」

ハグリッド「ヒンヒン!なんだいハニー!」

ハニー「…………水筒とかって、あるかしら」

ハグリッド「おおとも!いくらでももってってくれ!!ヒンヒン!!」

785: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/02(日) 12:14:12.61 ID:5d7oAE9Q0
湖のほとり

キャッキャ!!
 ハハハハハハハ!
バシャバシャバシャバシャ!

ハニー「……みんな、はしゃいでるわね」

ハニー「……それはそうよ、学年末なんだもの。試験が終わった五年生と七年生なんかは……ゆっくりすごして当たり前だわ」

「ハァイ、ハニー!」
 「こんにちは、ハニー! げ、元気?」

ハニー「……ハァイ。えぇ、当然じゃない。私だもの」

キャーーキャーーー!
 ワイワイワイワイ……

ハニー「……すれ違いざまにかけられるのは、疑いの視線でも、興味ある視線でもなく。好奇と、それに、私に声をかけるものに変わったわ」

ハニー「……魔法省は、私を『英雄』って売り出そうとしているみたいだもの……みんなミーハーよね、ほんと」

ハニー「……少し前なら、みんなに私の言っていることを信じてもらえるならなんだって、って、思った、けれど」

ハニー「……」

ハニー「どうだっていいわ……もう」

ハニー「きっと、出来るだけ独りでいることが、私にできる最良だもの」

ハニー「……」

ハニー「……」

コポコポコポ……

ハニー「……あんまり、美味しくないわ」

ハニー「……だって」


ハニー「しょっぱい、もの……これ」







788: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/02(日) 12:33:59.25 ID:5d7oAE9Q0
学期最終日

ハーマイオニー「ハニー?本当にいいの?そのくらい待てるわよ、私。ロンも。ジニーやネビルだって」

ハニー「……いいのよ。荷造りがまだ終わっていないのは、私の責任だもの。先に行って、学年末パーティへ」

ハーマイオニー「……そんなこと行って、この間みたいに現れないつもりじゃないわよね?」

ハニー「……」

ハーマイオニー「……ねぇハニー。悩んでるのはわかるけど……私達を避ける道理は」

ハニー「……遅れるわよ?」

ハーマイオニー「……ハーッ。待ってるわね。それしか、出来ないもの」

バタンッ

ハニー「……」

ハニー「……行けるはずないわ。きっとダンブルドアは、去年度みたいに。魔法省であったことについて話をするもの」

ハニー「……私がどうこう、ってことは言わないかもしれないけれど」

ハニー「……とにかく、荷造りが終わっていないことは確かだわ……早く」

ハニー「……あ」

ゴトンッ!

ハニー「っ、古いローブが……あら?なぁに、これ……何かをくるんで」

ハニー「……! これ、これ、そうよ、シリウスからの、クリスマス・プレゼント……!」

ガサガサッ、ガサッ

ハニー「……これは……鏡?随分古そう……あ!手紙!手紙が、あるわ!」

ハニー「……」

『これは両面鏡だ。私が対になるもう一つの鏡を持っている。私と話す必要があれば、この鏡にむかって名前を呼ぶといい。これはとても便利だ。ジェームズと私が別々に罰則を受けていたとき、この鏡を使ってさらにしかけるタイミングを打ち合わせたものだ――』

ハニー「……すごい……けれど」

ハニー「……今、シリウスの手元に鏡があるわけ……ないわ」

ハニー「……なんで、これのことを……もっと早く……もっと、そうすれば!!」

ハニー「っ、なんて、バカなの……私……っ!!」

ブンッ! ピシッ!

ハニー「全部全部遅すぎる。何もかも。こんなことで、私は……あいつに……本当に、独りで」

ハニー「また、シリウスと――」

ハニー「――そう、だわ」

ハニー「もしも、もしも――シリウスが本当に、そうなっているなら」

ハニー「……戻って、こられるじゃない。そうよ……そう。確かめ、なくっちゃ!」

ガタガタッ、ガタッ、バタンッ!

796: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/02(日) 13:36:29.63 ID:5d7oAE9Q0
玄関ホール

ザワザワザワザワザワ

ピーブズ「アアアアッハハハハァーーーーー!!でーーーてけ!!でーーーーーてけ!!!」

アンブリッジ「ひぃいいいいっ!!やめ、おやめ、おやめなさああああい!!」

バシッ!バシッ!!バシッ!!

アハハハハハハハハ!!

ロン「アンブリッジのやろ、みんなが大広間にいる間にこっそり出て行くつもりだったんだろうな。ま、ピーブズに見つかったのは運のつきさ」

ハーマイオニー「片手にチョークをつめた袋……もう片方って、あれ」

ロン「僕らの寮監様が使ってる歩行用杖に似てるなぁ、あぁ、偶然ってスゴイ」


ピーブズ「ギャアアアアッハハハハハハハ!!!ほーーれほーーーれ!ゲコゲコないて沼に帰れーーー!」

アンブリッジ「い、今にみてなさい!この!!かえるのは魔法省へですわ!いまに――」

フィレンツェ「――なんの騒ぎです?私はいま、もうそ、オホン、瞑想で忙し――」

アンブリッジ「ぎゃあああああああああ!!!!」


アハハハハハハハハ!!
 ゲラゲラゲラゲラゲラ!!


ロン「いい気味だ。このままあっちでも大人しくなりゃいいけどなあ」

ハーマイオニー「それは、どうかしら……って、あら?」

ロン「なんだい?アンブリッジの落し物でも見つけた?ピーブズに届けてもらおうか」

ハーマイオニー「違うわ……今、あっちの上の階段を……ハニーが走っていったような」

ロン「……こっちに、じゃなく?」

ハーマイオニー「えぇ、それもかなり、急いで……何、してるのかしら」

800: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/02(日) 14:01:51.31 ID:5d7oAE9Q0
四階の廊下

ハニー「いた……やっと見つけた!ニコラス!」

ニック「……おや、おやおや、われらが霊魂の光たるハニー!ヒンヒン!どうしましたかな、てっきり宴会に行き遅れたのは私だけかと。まぁ、私はいつでも逝き遅れですが」

ハニー「あなたに、聞きたいことがあるの!えぇ――そういうようなことで!今、いい!?」

ニック「あー――後ではダメなのですかな?今から私と共に宴会に行きましょうぞ、ハニー。あなたが行けば、みなが喜び――」

ハニー「待てないの、今、聞かせて欲しいのよ!ニコラス!」

ニック「……あぁ、いいでしょう。あなたのその顔には逆らえますまい……そちらの空き教室で?」

ハニー「えぇ、えぇ、いいわ。あんまり聞かれたくもない話だから――あなたにも、ひょっとして聞いてほしくない話題かもしれないわ。その時はちゃんと言いなさい、いいわね?」

ニック「あぁ、ハニー。あなたは優しい。ですが、平気ですとも……予想はついていました」

ハニー「予想……?」

ニック「あなたが我らゴーストの下を訪ねることを、です。よくあることなのです。誰かが……哀愁にくれる誰かが……」

ハニー「えぇ……そう、なの。あのね。あなたは今……死んでしまっているけれど、その」

ニック「……平気ですよ。つづけて」

ハニー「そう、ありがとう。あのね……死んでしまったあなたは、いま、ここで、私と話してる……人は、帰ってこれるんでしょう???ゴーストになって、完全に消えなくてもいいんでしょう!?そう、なんでしょう!?」

ニック「……」

ハニー「どうなの、ニコラス……!」

ニック「……誰しも、というわけではありません」

ハニー「……えっ」

ニック「戻ってこられるのは、魔法使いだけです」

ハニー「あぁ――ふふっ、そんなこと!えぇ、だったら、だったらいいの!あのね……私が、考えていたのは」

ニック「……ハニー。シリウス・ブラックは、きっと戻ろうとしないでしょう」

ハニー「!? ど、どういう、どういう意味!?戻ろうと……しない!?」

ニック「我々魔法使いは、死後に自らの痕跡を地上に残せます……ですが、ほとんどの人はそうしません」

ハニー「あぁ、それなら平気よ!シリウスは、普通と違うのを――」

ニック「あの人は帰ってこないでしょう……彼は私とは違う……死を恐れるような人じゃぁない。そうですとも、ハニー。あの人は逝ってしまうでしょう」

ハニー「そんなこと、言わないで!!あなたにしか――死んでしまっているあなたにしか、聞けないのに!」

ニック「残念ながら、私自身は死後ですが――私の知っている死に関することなど、ほとんどないのです。何せわたしはそれから逃げ、この生と死の間を揺らいでいるのですから」

ハニー「そんな……そんな……」

ニック「このことは、神秘部の学識ある魔法使いたちが――」

ハニー「わたしに、あの場所の話を!!!しないで!!!!!!!」

ニック「……お力になれず、申し訳ありません。ハニー」

ハニー「っ、っぅ、っ、行って!!行ってよ!!宴会にでも、なんでも!!早く!!!」

ニック「えぇ……逝ってきましょう」  スゥゥゥッ

803: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/02(日) 14:34:17.78 ID:5d7oAE9Q0
ハニー「っ、っっぅ、っ」


キィィッ


「――何してるの?」


ハニー「!? っ、っ!」グシグシグシグシグシ

ハニー「……ハァイ、ルーナ」

ルーナ「ん。宴会には、行ってないんだ?」

ハニー「……あなたこそ、何してるの」

ルーナ「あたし? あたしは、自分の持ち物をさがしてるとこ。いつも色々なくなっちゃうから、この時期は大変なんだ」

ハニー「……なくなる、って。どうして?」

ルーナ「さぁ。きっと、私の物を隠して面白がるんじゃないのかな」

ハニー「っ」

ルーナ「ほら。みんな、あたしのことをちょっと変だ、って、思ってるみたいだから」

ハニー「……そんなの、あなたの持ち物を取っていいことにはならないわ。えっと……手伝う?」

ルーナ「あら、いいよ。張り紙もしたし、最後には戻ってくるもン……それであんたは、どうして宴会に行かないの?」

ハニー「……気が乗らない、だけよ」

ルーナ「うん、そういうことってあるよね――シリウス・ブラックって、あんたの後見人だったんだって?」

ハニー「……えぇ。それだけじゃ、ないけれど――あなたは」

ルーナ「うん?」

ハニー「あなたは――セストラルが、見えるなら。誰か身近な人が、亡くなったの?」

ルーナ「うん、あたしのお母さん。とってもすごい魔女だったんだよ。実験が好きで――それで、あるとき自分の呪文で酷く失敗しちゃって。九歳だったかな」

ハニー「……あの……かわい、そうに」

ルーナ「ちょっと厳しかったな、うん。でも、いいんだ。あたしにはパパがいる。それに、ママにあえなくなったわけじゃないもン。でしょ?」

ハニー「……心の中、自分の中に、って。そういう……?」

ルーナ「そっ。それに、あたしたち聞いたよね。ベールの裏側で。みんなの声を」

ルーナ「たったあれだけ、すぐ傍に隠れてるだけなんだ。それが、ちょっと見えないところなだけ」

ルーナ「あんたの中だけじゃないよ。あんたがちょっと見つけてやれば、あの人はきっとすぐ傍にいる」

ハニー「……」

ハニー「ねぇ、ルーナ……少し、お茶をしない?」

ルーナ「ん」

カチッ コポコポコポ

ハニー「……」

ルーナ「……いまいちだね」

ハニー「……えぇ。あんまり、美味しくないわ……でも でも 独りじゃないと、美味しいわ」

ルーナ「……しょっぱいんじゃない?」

ハニー「ううん……美味しいの。ありがとう……ルーナ……本当に」

ルーナ「いいよ。だって、ほら――」

ハニー「わたし……あなたは、大切な。お友達だわ」

ルーナ「!!!」

804: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/02(日) 15:00:22.96 ID:5d7oAE9Q0
ルーナ「ほんと!?」

ハニー「っ、うん……」

ルーナ「ほんとの、ほんと!?あんたと、あたしが!?」

ハニー「……嫌じゃ、なければ」

ルーナ「嫌じゃないよ!! あのさ、それじゃ、これ!」

パチッ パチンッ

ハニー「? なぁに……あら、これ」

ルーナ「赤いカブの、イヤリング。片方あげる!」

ハニー「……いいの?」

ルーナ「いいよ。だって――友達!だもン!」

ハニー「……ふふっ。うん、ルーナ。友達ね」



ハニー「(バカみたい……勝手に避けて、勝手にきめつけて、勝手にみんなのため、なんて思って)」

ハニー「(わたし自身が泣いてるのに これでいいんだって、納得して)」

ハニー「(そんなの、同じじゃない。変わる前のわたしとおなじ。受け入れられるのを怖がる私と同じ)」

ハニー「(わたしも……私も……みんなと一緒にいたいに、決まってるのに)」

ハニー「(友達って、そういうことなのに……それで)」

ハニー「(戦うって決めたなら……みんなのことを信じるのが、わたしに出来ること)」

ハニー「(もう分かってた、はずなのに)」

ハニー「……ありがとう。気づいたわ、やっと。わたしがみんなと、どうしたいのか」

ルーナ「うん、随分かかったね」

ハニー「……え?」

ルーナ「おかげで、扉からはみだしてきてるよ。あの人たち」

ハニー「……え?」


ギチギチギチギチギチッ

ジニー「お揃いなんて!しかも片方ずつ!その手が――ハニー。わたし達みんな、あなたに首っ丈なの」

ネビル「ハニーは泣いても高貴で可憐だね!ヒンヒン!  僕、少しでも、たった少しでも、君の力になるよ!」

ハーマイオニー「ハニー……あなたがどんなに悩んでたって、そっぽをむいてたって、隣にいるわ。忘れないで」

ロン「いたたたた!踏むなよな!おい!   僕は心配なんかじゃなかったよ、ハニー。いざとなりゃ、無理やり君をおぶってでも進むんだからさ。もちのロンで」

ハニー「……ありがとう」



ハニー「大好きよ、みんな!」

807: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/02(日) 15:24:35.45 ID:5d7oAE9Q0
ホグワーツ特急

ガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトンガタン

ハニー「……」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

ジニー「……」

ネビル「……」

ハニー「いつまで、ニヤニヤ、してるの!!!!忘れなさい!!!!!」

ロン「いやー、それは無理ってもんだよハニー、うん。でもちっくしょう、ジニーとネビルにまでそれを言われるときがきちまうなんてなあマーリンの髭」

ジニー「異議あり!ハニーは誰のものでもないわ!」

ネビル「そうだそうだ!全豚の崇拝対象だ!」

ロン「だよな!!ヒンヒン!」

ジニー・ネビル「「ヒンヒン!!」」

ハーマイオニー「変わらないのねそこのところは……ハニー?夏休み、聖マンゴに足を運べそうなの?」

ハニー「ダンブルドアの返答次第だわ――そうさせるけれど。何せあれも、私の豚だもの。そうよね、豚さんたち?」

ロン「ヒンヒン!……おっ?」

ガラガラッ

マルフォイ「また会ったな、ポッター」

ハニー「特に用もないのに本当ね。なぁに?」

マルフォイ「ここにはお前の味方をする先生様もいないぞ!観念するんだな――」

ハニー「あら、そう」

ガラガラガラガラッ!! ガラガラガラガラガラッ!

マルフォイ「!おい、なんだ、見世物じゃ――あ」

ディーン「ロンの読みどおりだったね。ヒンヒン!」

シェーマス「君のことだ、帰りの列車で何かしかける、ってさ。ヒンヒン!」

アーニー「……僕らのハニーに、なにを?ヒンヒン!」

ジャスティン「観念させるっていうんだ、マルヒン!」

ハンナ「点数のことで恨みがあるのはわたし達だって同じよ!」

スーザン「ほんっっっとに来たのね。なんて下劣なの」

ラベンダー「男三人でつるむならせめてあんたレベル三人にしなさいよ!」

パーバティ「それか痩せろよ両脇二人!需要ないわよ!」

パドマ「ニッチすぎるわよ!」

アンジェリーナ「クィディッチのことは、まぁ優勝できたし水に流してやるよ。けどさ、コレはまた別問題だ」

アリシア「そうね」

ケイティ「そうよね」

リー「さあああああああ残念観念はめられフォイなマルフォイくん!!!最後の断末魔を、どうぞ!!」

マルフォイ「ふぉ……f」

リー「言わせるかやっちまえええええええええええ!!!」

バーーーーーン!!バチバチバチバチバチ
 バーーーーン!! モクモクモクモクモク フォォ……ぃ

816: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/02(日) 15:47:22.67 ID:5d7oAE9Q0
ウネウネウネウネウネ

ピシャッ!


ロン「ゴイルの母親は喜ぶだろうさ、自分の醜い息子がかわいい巨大ナメクジに変わってんだからね」

ハーマイオニー「多様な呪いとか呪詛が煮詰まるとあんなふうになるのね……勉強、にはならないけど」

ロン「ナメクジと親和性高い奴でもいるんじゃないか?そういや、マイケルの野郎は僕が声かけようとしたら逃げっちまったけど、ありゃなんだい?え?仮にも――」

ジニー「あら、だって、元カノのお兄さんと話すなんて気まずかったんでしょ?それに、今はチョウと付き合ってるはずだし……」

ロン「そうだけ――元!?!?お、おい!聞いてないぞ!!なんだよそれ、僕聞いてないぞ!?マーリンの聞いてないぞ!?それに、チョウ!?うわぁめんどくせぇ!!」

ハニー「私、もうなんとも思ってないわ。平気よ……ほんとに」

ジニー「聞いてないって、それはそうよ。言ってないもの……一々言わないといけないわけ?」

ロン「当たり前だろ!僕はな、兄貴たちに代わって君を、監督する義務があるんだ!」

ジニー「……っぷ!!っふふ、あははははは!ロン、今の、パースそっくり!!」

ロン「んな、やめろよ!!僕をあんな石頭と一緒にするな!こんちくしょう!マーリンの髭!!髭!!!!」

ハニー「微笑ましいわ。ふふっ……ハーマイオニー、何か真新しい記事はある?」

ハーマイオニー「あんまり。まだ色々と本格的じゃないわね……ヴォルデモートの目撃情報の投書、吸魂鬼の撃退法、死喰い人の追跡記事……きゃぁ!?」

ハニー「それじゃ、下に敷いてしまってもいいわよね。ねぇ、ハーマイオニー?なんでチョウのことを話した瞬間、新聞が一瞬グシャグシャになったのかしら……?」

ハーマイオニー「あっ、ハニー、そん、な、昨日、最後だからってあんな、ちが、チョウのこと、なんて……『フローバーワーム』くらい、どう、でも、いいじゃない……」


ネビル「つづけて!!」

ジニー「どうぞ!!」

ロン「ヒンヒン! あー、来年は魔法生物なんだなぁ。もちのロンで」

821: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/02(日) 16:08:47.21 ID:5d7oAE9Q0
九と四分の三番線

シューーーッ!シューーーーッ!

ガヤガヤガヤガヤガヤガヤ ガヤガヤ

またね!ハニー!
 ハニー!元気で! ハニー! ヒンヒン!ヒンヒンヒーーーン!!

ハニー「えぇ、バイ。 さよなら、あなたもね。 えぇ、そうね。よく鳴く豚は好きよ?」

ハーマイオニー「……五年たっても有名人ね、ハニーは」

ロン「何言ってんのさ。むしろ加速度的に素晴らしさと美貌がマシ続けてるハニーだぜ?有名どころか超名だよ、もちのロンで」

ハーマイオニー「上げられてないわよ……ハニー、そろそろホームから出ないと」

ハニー「えぇ、そうね……帰ってしまうんだわ、あそこに」

ハーマイオニー「……きっとすぐよ、ハニー」

ジニー「えぇ、絶対に!特に今年はママが、ダンブルドアをグーで殴ってでもそうするって!」

ロン「マジでそうしそうだぜママは……大丈夫さ、ハニー。腹黒豚の奴も反省して、改名したんだろ?」

ハニー「えぇ」

ハーマイオニー「そうなの?」

ハニー「意地悪豚になったわ」

ハーマイオニー「……上がったわねひどさが……ダンブルドアなのに」

ハニー「私にとってはかわいくて、こ憎たらしい豚よ……さ、行きましょう」


ガラガラガラガラガラ


ハニー「(……戻らなきゃいけない、理由はわかったけれど)」

ガラガラガラガラガラッ  スーーーッ

ハニー「――(やっぱり、マグル社会に戻るの、は……さみs)」


ムーディ「油断大敵!!!ポッターー!!!」

ハニー「えっ!?きゃ、きゃぁ!?!?」

トンクス「マーーーーッド-アーーーーイ!!!台っっ無しだよ!!!台無しだよいっつもあなたは!!!」

ハニー「と、トンクス!?それに……あぁっ!」

モリー「おかえりなさい、みんな!イイ子にしてた!?」

フレッド「イイ子にしてたかー、ロニー?ジニー?学徒たるもの真面目に生きねばならぬ」

ジョージ「そーうそう、俺たちみたいになっちゃ、ママから耳に蛸ぶち込まれるぜ?え?」

アーサー「みんな、大変だったね。待っていたよ」

リーマス「特に君のことをね。ハニー」

ハニー「リーマス、みんな、みんなでどうしたっていうの? それに、みんな……こんなところで、どうして」

ハニー「……魔法使いの格好の、まま?」


ザワザワザワザワザワザワ
 ヒソヒソヒソヒソヒソヒソ

仮装パーティかしら
  やーねぇいい歳した男の人まで

リーマス「……とっておきの満月用のをみせればいいのかな」

トンクス「まってまって、リーマス。ハニー、あのさ!こうしたほうが、分かってもらえると思って!あなたが魔法界から離れるのはほんの少しだけ!約束するよ!」

ハニー「……トンクス」

824: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/02(日) 16:33:58.29 ID:5d7oAE9Q0
ムーディ「まっこと、そうだ。シリウスがいないといっても、お前を見守る眼がなくなったわけではない。気をつけろ、ポッター。どこで何が見ているかわからんぞ。この眼もな!ハッハッハッハ!」

ハニー「……ムーディ」

モリー「ハニー、辛かったわね。家族がいなくなるのは悲しいわ……我が家の元気を!すぐにあなたに分けられるように、準備しておきますからね!」

ハニー「……お母様」

アーサー「そう、君はいつだって我が家の一員だ。歓迎するよ、ハニー。出来ればこんどの迎えは、私が君の家まで電車を使っていきたいものだよ、うん!」

ハニー「……お父様」

フレッド「みろよハニー、このドラゴン革のジャケット。最高級だぜ!」

ジョージ「ぜーんぶ君のおかげだ。この夏は僕らの店に来てくれよな!」

ハニー「フレッド、ジョージ……」

リーマス「ハニー。この夏は私と、あいつに会いにいこう。もしかすれば、君が近くにいれば目を覚ますことがあるかもしれない――御伽噺よりは、正直君たち親子の起こす奇跡のようなものの方が、信用できるかもしれないさ」

ハニー「……リーマス」

ジニー「いってらっしゃい、ハニー!またすぐね!蛇がいたなら教えて?今度は私が助けちゃうから!」

ハニー「……ジニー」

ハーマイオニー「ハニー、またすぐ、会いましょう。寂しくて仕方ないわ、きっと。ううん、絶対」

ハニー「……ハーマイオニー」

ロン「そんなの当たり前さ。僕はハニーの一番の豚で   友達なんだから。なっ、ハニー!」

ハニー「……ロン」


ハニー「(こんなにいたんだわ。ううん、もっとたくさん――わたし一人じゃ、支えられないくらい)」

ハニー「(みんなを、信じて――やっていけるのかしら。わたしは――ヴォルデモートと、戦えるのかしら)」

ハニー「(あんなにも、憎くて    怖くて仕方なくて   それでも)」

ハニー「(どんな恐ろしい企てをして また、あいつと向き合う事に、なっても――)」

827: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/02(日) 16:41:01.56 ID:5d7oAE9Q0
アズカバン


カツン……カツン……

ルシウス「……私は悪くない……全てはポッターが……ポッターのせいだ……奴が」


ヴォルデモート「いつまでもそうは言ってられぬぞ ルシウス 我が友よ」


ルシウス「!!あぁ、あぁ、わが君!!あぁ!!なんと、このような場所に――なんと慈悲深い!私めたちのために――」


ヴォルデモート「いいや まだ出さん お前たちは罰せられるべきだ ルシウス ヴォルデモート卿の命令の沿えなければ そうだな?」

ルシウス「っ、もちろん、そうでございます我が君! 我々は、しくじり――」

ヴォルデモート「あぁ、そうだ  特にルシウス――貴様のしくじりは酷いぞ――貴様独りでは到底、罰しきれん」

ルシウス「!!! あぁ、よもや、妻を、こ、ここ、殺……」

ヴォルデモート「いいや お前の妻は優秀だ 俺様のために情報をよこした 違う  ルシウス  ルシウスよ」




ヴォルデモート「貴様には  ポッターと同じくホグワーツに通う  息子がいるな?」

ルシウス「――――」

ヴォルデモート「俺様に さしだせ ルシウス  貴様の罪は 息子に晴らしてもらう」

ルシウス「――――なん、なりと。我が君。ドラコは――ドラコは私の、自慢の、息子にございます」



832: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/02(日) 16:54:05.93 ID:5d7oAE9Q0
ハニー「(――それでも、わたしは、立ち向かわなきゃ)」

ハニー「(あんな奴が、ずっとずっとわたしたちを不安にさせるなんてごめんよ)」

ハニー「(ずっとずっと、大好きな人たちと)」

ハニー「(もう、誰も――失わないために)」

ハニー「(信じてる、みんなのために――)」




ハニー「進まなきゃ、前に。そうでしょ?」




ハニー「……みんな一緒に。ね?」












トンクス「そういうわけで、私達だけでとりあえず来たけど……やっぱり狭いねー――」

リーマス「ハウス……ハウス……!」

シリウス「――――」

トンクス「……いやリーマス、それで戻るのはシリウスの犬部分だけな気がするよいいのそれで、いいかぁ、変わらないかぁ……あれ?これ、誰が置いていったんだろ。なっつかしー!」

トンクス「『吟遊詩人ビードルの物語』!好きだったな、これ」

リーマス「……よし、トンクス。それを貸してくれ」

トンクス「うん?あ、使う?いいよ、わたしがやるよ……よーし!」

リーマス「トンクス、トンクス、わたしは何もその角でシリウスを殴って起こそうとか、そういうつもりでやるわけじゃないしそれで起きるなら苦労は、ちょ……す、ステイ!!」

今度こそ、完

846: ◆GPcj7MxBSM 2013/06/02(日) 17:01:40.21 ID:5d7oAE9Q0
騎士団編はこれで!何とかおさまったな!
犬のお休み理由?んなもんおったら途中でスレタイがハニー・ブラックになってまうからにきまっとるやろ!
六巻開始は未定や!堪忍な!
ラドクリフお大事に
じゃあの!



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次回 ハニー・ポッター「プリンス、だなんて。なんなのかしら」