前回 キョン「最近みんなに避けられてるような気がするんだが」

309 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/26(日) 02:05:24.90 ID:Or368EzKO
――― 


キョン「―――ん…」 

キョン「……あれ…俺…」 

橘「あ、佐々木さん!キョンさんが目を覚ましましたよ!」 

佐々木「キョン…!」 

キョン「…佐々木…?…橘も…何でお前らが…」 

佐々木「何で、じゃないよ!君が飛び降りたって聞いて僕は…!僕は…!!」 

キョン「…そうだ…俺は……」 

藤原「…周防九曜に感謝するんだな。彼女がいなければ今頃お前は死んでいたんだぞ」 

九曜「―――」 


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350 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/26(日) 02:17:07.60 ID:Or368EzKO
キョン「…助けた?俺を?」 

藤原「何だ?そのまま死なせて欲しかったとでも言うつもりか?」 

キョン「ああそうだ。誰も信じられない、居場所も無い、惨めに生きていくなんてまっぴらだからな」 

佐々木「…ッ!」 

キョン「そうだ九曜、俺を殺してくれよ。お前なら一瞬でやれるだろ?」 

藤原「…お前」 

キョン「ほら、早くやれよ、早くさあ!!」 

橘「ちょっとキョンさん!いい加減に…」 

九曜「――」スッ 

佐々木「九曜…さん…」 

九曜「―――」ジッ 

385 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/26(日) 02:28:13.08 ID:Or368EzKO
キョン「そうか、やってくれるんだな。さあ早く――」 

九曜「―――暗い―」 

キョン「…は?」 

九曜「――きれいな―瞳が――とても……暗い」 

キョン「…何言ってるんだよ…いいからさっさと」 

九曜「――」フルフル 

キョン「何だよ…まだ俺に惨めに生きろって言うのかよ…」 

佐々木「…その通りだよ、キョン」 

キョン「佐々木…」 

佐々木「九曜さんも…橘さんも…藤原君だって…君に生きて欲しいと思っている…」 

藤原「…僕はそいつが『鍵』だから助けただけで…」 

橘「シッ!」 

409 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/26(日) 02:36:50.84 ID:Or368EzKO
佐々木「それに…自殺なんかしたら…遺された人がどれだけ悲しむと思ってるんだい」 

キョン「…俺が死んで悲しむ奴なんていないさ。家族にも嫌われてるんだぞ」 

佐々木「…僕がいるじゃないか…!」 

キョン「…佐々木…泣いてるのか…?」 

佐々木「ああそうさ!泣いてるよ!君が死んでしまったら僕は…!…私は…!!」ポロポロ 

キョン「…何だ、俺の…俺なんかの為に泣いてくれる奴がまだいたのか…」 

キョン「…もっと早く…相談すればよかったな…」 

キョン「馬鹿だ…俺…ホント馬鹿だよ……うっ…うぅ…」ポロポロ 

434 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/26(日) 02:45:15.18 ID:Or368EzKO
藤原「…感動の場面に水をさして悪いが、何故自殺しようとしてたのか話して貰おうか」 

橘「藤原さん!」 

藤原「ふん、こんな夜中に騒ぎに巻き込まれて迷惑しているんだ」 

藤原「…それに自殺など現地民云々関係なく愚かな行為だ。僕がこの時代に来たのは死にたがりを助ける為じゃない」 

佐々木「…あんな言い方でも彼なりに君を気遣ってるんだ。許してやってくれ」 

藤原「…!ふん!」 

九曜「―――ツン――デレ―」

463 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/26(日) 03:00:47.16 ID:Or368EzKO
――― 

佐々木「そうか…そんな事が…」 

橘「ひどい…」 

キョン「今更だが…俺はどうすればよかったんだろうな…」 

九曜「―――」 

キョン「もう国木田を恨んだって元の生活には戻れないけど…やっぱりまだ未練があるみたいでさ…今も頭ん中その事で一杯なんだ…」 

キョン「ホント笑っちまうよな…」 

橘「そんな事ないですよ!未練が残るのは当然です!!」 

佐々木「その通りだよキョン。それに…今の話、ひっかかる点がある」 

藤原「確かに…古泉一樹や朝比奈みくるはまだしも、長門有希まで騙されたというのはおかしい」 

497 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/26(日) 03:23:37.13 ID:Or368EzKO
キョン「…そうだ…そうだよ!何で気付かなかったんだ!!長門まで騙されるなんて有り得ない!!」 

佐々木「…九曜さん」 

九曜「――北高周辺――に――情報操作の――痕跡を――――確認」 

橘「…これではっきりしましたね」 

九曜「――情報――操作を――実行可能で」 

藤原「涼宮ハルヒに大規模な影響を与える事象を引き起こし」 

佐々木「なおかつ実益を得られる人物…」 

キョン「お前が黒幕か…」 


朝倉「あら、バレちゃったみたいね」 

513 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/26(日) 03:34:08.37 ID:Or368EzKO
キョン「何故こんな事を…!」 

朝倉「あの時と同じよ?あなたが死ぬ事で涼宮ハルヒがどういう出方をするのか見たかったの」 

藤原「…随分と不愉快なやり方だな」 

朝倉「それは言い掛かりよ。私はあくまで国木田君に陰ながら力を貸しただけよ」 

朝倉「あとは明日になってあなたが自殺した事を涼宮ハルヒが知ったら、ってトコだったんだけど…まさか救助されるなんてね」 

朝倉「ねえキョン君、今から死んでくれない?ここまで来といて生きてられても困るのよね」 

528 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/26(日) 03:48:59.94 ID:Or368EzKO
キョン「ふざけるな!お前の興味の為に死ぬ気は無い!!」 

佐々木「そうだよ…キョンは僕達と一緒に生きるんだ…!」 

朝倉「ふぅん…涼宮ハルヒと同質の存在のようだけど…あなたも邪魔するんだ」 

佐々木「!?」 

藤原「っ!?これは!?」 

キョン「また体が動かない!?あの時と同じか!!」 

朝倉「思考する暇も無く殺せば力も使えないわよね」 

朝倉「じゃ、死んで♪」 





ザシュッ 

541 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/26(日) 03:59:48.60 ID:Or368EzKO
朝倉「!?」 

橘「まったく…私の事無視してお喋りしすぎなのです」 

佐々木「…私の閉鎖空間を作らせて貰ったわ。あなたがここに来た時点でね」 

朝倉「な…!?」 

佐々木「感知出来なかった、とでも言いたいのかしら?」 

九曜「―――情報――操作は――得――意」 

キョン「…そういう事は事前に教えといてくれ」 

佐々木「くっくっ、ごめんよ。彼女が今回の騒動を引き起こした理由を知りたかったんだ」 

藤原「そもそも教える暇も無かったがな」 

キョン「…お前も知ってたのか」 

朝倉「…はあ。また失敗かぁ」 


554 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/26(日) 04:12:32.59 ID:Or368EzKO
朝倉「でもこれからどうするつもり?私が消えてもあなたの居場所はもう無いわよ?」 

キョン「居場所ならあるさ。橘が、九曜が、佐々木がいる。あと一応藤原も」 

藤原「僕はついでか!!」 

キョン「だからお前の思い通りにはならん。俺は生きる。こいつらと一緒にな」 

朝倉「…いい手だと思ったんだけどなぁ」 

佐々木「お喋りはここまで。消えなさい…!」 

九曜「パーソナルネーム―――朝倉――涼子――情報連結―――解除」 




サアァァ… 

571 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/26(日) 04:24:39.46 ID:Or368EzKO
キョン「終わった、か…」 

佐々木「いや、まだだよ」 

九曜「――朝倉―涼子が――行っ――た――情報――操作――解除」 

佐々木「ああ、そのうえで国木田にお仕置きしないとね」 

キョン「お、おい俺は復讐なんて」 

佐々木「くっくっくっ…これは復讐じゃない。お仕置きだよ」 

佐々木「久しぶりだよ…まさか僕をここまで怒らせるなんてね……」 

キョン「さ、佐々木…さん?なんか怖いんですけど…」 

橘「さ、佐々木さんがお仕置きモードに…」ガクガク 

藤原「国木田とやら…哀れな」ブルブル 

581 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/26(日) 04:36:01.25 ID:Or368EzKO
――― 

国木田(キョンの奴学校全体から無視されるようになったな) 

国木田(これで後は自殺でもしてくれたら完璧なんだけど) 

国木田(まあそれはゆっくりといけばいいか) 

国木田(さて、今日も佐々木さんの隠し撮り写真で…)ゴソゴソ 

佐々木「やあ国木田、久しぶりだね」 

国木田「のわぁ!?」ビクゥッ 

国木田「さ、佐々木…さん!?何でここに!?ていうかどうやって入ったの!?」 

佐々木「そんな事はどうでもいいだろう?それよりそれは僕の写真だね。よく撮れてるじゃないか」 

588 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/26(日) 04:47:47.13 ID:Or368EzKO
佐々木「それにしても不思議な事もあるもんだね。国木田が僕の着替え中の写真を持ってるなんて」 

国木田「こ、これはその…そうだ!キョンから貰ったんだよ!!」 

佐々木「キョンから?」 

国木田「そう!キョンの奴君の事盗撮してたんだよ!!」 

佐々木「へぇ、キョンがね…」 

国木田「そうなんだ!あいつは最低の男だね!北高でも盗撮騒ぎを起こしてみんなから嫌われてるんだよ!!」 

佐々木「そうかそうか、ところでそのキョンだけど今ウチにいるんだ」 

国木田「…え?」 

佐々木「話は全部聞かせて貰ってるよ、 ん ? 」

599 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/26(日) 05:03:49.52 ID:Or368EzKO
そして――― 


キョン「まさか北高に戻れるなんてな…今回の事件に関わった奴の記憶は九曜が消してくれたし」 

古泉「本当に申し訳ありません…あなたに対して取り返しの過ちを犯してしまいました…」 

みくる「ふぇっ…ぐっ…ギョンぐんっ…わだじっ…わだじギョンぐんに酷いごどっ…」ボロボロ 

長門「ごめんなさい…」 

キョン「はあ…もういいよ。お前らが悪い訳じゃなかったんだから…ほら、朝比奈さん、涙と鼻水拭いて」 

610 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/26(日) 05:13:43.80 ID:Or368EzKO
みくる「ギョンぐんっ…ぶぇぇぇぇぇぇん!!!」 

キョン「ちょっ、朝比奈さん!抱き着かれるのは嬉しいけど涙とか特に鼻水がべっとりとアッー!」 

古泉「許してくれるのですか…!」 

長門「ありがとう…」 

キョン「まあハルヒに振り回されて少しは耐性がついたのかもな」 

キョン(…しかし我ながらよく許す気になったもんだ) 

キョン(佐々木か九曜がその辺どうにかしたんだろうか…) 

キョン(あいつらにはまたお礼言っとかないとな)

621 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/26(日) 05:23:16.02 ID:Or368EzKO
教室 


ハルヒ「遅いわよキョン!遅刻ギリギリじゃない!!」 

キョン「…おはようハルヒ」 

ハルヒ「ホンットあんたはダメ人間ねー」 

キョン(変わんねーなコイツは…流石にイライラしてきた) 

ハルヒ「大体あんたは…」 

国木田「(^p^)おぎゃwwwwwww」 

キョン・ハルヒ「!?」 

国木田「(^p^)おぎゃwwwwwww」 

谷口「お、おい国木田何やってるんだ!」 

国木田「(^p^)wwwww」 

谷口「落ち着け国木田!俺は男…アッー!」 

キョン(何をしたんだ佐々木の奴…)

632 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/26(日) 05:35:40.41 ID:Or368EzKO
藤原「…本当によかったのか?」 

佐々木「ん?何がだい?」 

橘「キョンさんの事ですよ。記憶を操作したとはいえ北高に戻すのは…」 

佐々木「いいのよこれで。遺恨を残したままこっちに来てもらう訳にはいかないもの」 

橘「でも…」 

九曜「―――瞳」 

橘「え?」 

九曜「――きれいな―瞳――また―――明るく――なった」 

佐々木「そういう事。キョンにはキョンの居場所がある。それは私達のところじゃないわ。今は、ね」 

橘「そういうモンなんですかね」 

藤原「…理解できん」 

646 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/26(日) 05:47:18.23 ID:Or368EzKO
放課後、部室 


キョン「やっと戻ってこれたな」 

古泉「こうやってオセロをやるのも久しぶりですね…」 

キョン「朝比奈さんがいれたお茶飲みながらお前とこうしてオセロやって…時々長門が本をめくる音が聞こえて…なんだかんだで落ち着くよ」 

古泉「…ちょっといいですか」 

キョン「?」 

古泉「今の僕達がこの言葉を言ってもいいのかまだ疑問なのですが…」 

みくる「キョン君が戻ってきたら言おうって決めてたんです」 

長門「だから…」 

古泉・みくる・長門「…お帰りなさい」 

キョン「…ただいま」 

669 :もう限界(^p^):2009/04/26(日) 05:59:50.32 ID:Or368EzKO
「……………………」 

キョン「な、なんか照れ臭いなwww」 

古泉「そ、そうですね」 

みくる「あぅ…私今絶対顔真っ赤です…」 

長門「…ユニーク」 

…ドタドタドタドタドタドタ!! 

古泉「…団長様が来たようですね」 

キョン「…たくっ…あいつは空気が読めんのか」 

みくる「えっと、えっと」 

長門「…」ペラ 

ガチャ 

ハルヒ「おっまたせー!!」 

キョン「はあ…」 

キョン「遅いぞ、ハルヒ」 
終わり