前回 モバP「プロデューサーと」安部菜々「アイドル」

2: 名無しさん@おーぷん 2019/02/10(日)02:27:14 ID:KkQ
ロケ後 帰り道

モバP(以下P)「む! すまん! ちょっと待っててくれ!」

晴「うーい」

ほたる「はい」

ヘレン「積極性に磨きがかかっているわね!」

晴「スカウトってそんなに難しいもんなのか? あいつ全っ然成功しないけど」

ほたる「どうなんだろ……。私だったらちょっとくらいはお話聞きたい思うけど……」

ヘレン「スカウトなんてものは100人に声をかけても1人が話を聞いてくれれば良い方よ」

晴「100人に1人って……。よく嫌になんねーな、あいつ」

ヘレン「プロデューサーと言う職業の人間は段々と断られるのが快感になるそうよ!」

ほたる「……か、かいかん……!」

晴「うへぇ……変態ばっかかよ」

P「ちょっと人聞きの悪い事言わないでもらえますか!? 違うからな! 俺はそんな事ないからな!?」

晴「……本当かー?」

P「もちろんだ!」

引用元: モバP「プロデューサーと」ヘレン「アイドル!」 



THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS STARLIGHT MASTER 26 美に入り彩を穿つ
歌:小早川紗枝(CV:立花理香)、塩見周子(CV:ルゥ ティン)
日本コロムビア (2019-02-20)
売り上げランキング: 202
3: 名無しさん@おーぷん 2019/02/10(日)02:27:47 ID:KkQ
P「というか! チーフだってそんな事言ってないですし! 誰情報ですか! その快感になるってのは!」

ヘレン「崇男よ!」

P、晴、ほたる「「「あぁ……」」」

晴「まぁ……黒井社長なら仕方ねーか……」

P「だなぁ……。あの人、優秀だけど変な人だし……」

ほたる「えっと……。く、黒井社長ももっと別の意味があっての事かも知れませんし!」

P「ほたる……。いいんだ。黒井社長なら仕方ないんだ……」

ヘレン「さすがは崇男ね! Pからここまでの信頼を勝ちとるとは! それでこそよ!」

P「まぁ俺も散々お世話になってますからね。あーだこーだ言いながら色々教えてくれましたし。やっぱりなんだかんだ優秀な人ですよ、黒井社長は」

ヘレン「……そうね。それは私だってよく知っているわ」

ほたる「あ、そっか。社長って961プロでアイドル候補生やってたんですよね」

晴「へー。そうなのか。ヘレンさんがアイドル候補生って事は黒井社長もさぞ大変だったろうなー……」

4: 名無しさん@おーぷん 2019/02/10(日)02:28:16 ID:KkQ
ヘレン「懐かしいわね。今でもはっきりと思い出せる961プロでの日々……」

ヘレン「目を閉じればまるで昨日のようよ。あの頃の心は不満そうでつまらなさそうな顔をしていたわ」

P「あのチーフがつまらなさそうにしてるって想像つかないっすね」

晴「だなー。はぁとさんいっつも楽しそうだし」

ヘレン「961時代の心はクール路線だったもの。心の理想通りではなくてさぞ不満だったのでしょう」

ヘレン「心は『はぁとはカッコいいより可愛くなりたいって言ってんだろ☆』って崇男とよく言い合いをしていたわ」

ほたる「今だってアイドルやってる時はすごくカッコいいけどな……」

晴「わかる。悔しいけど、メチャクチャカッコいいんだよな! いつもはあんななのに」

P「まぁ、そこがチーフの……心さんのアイドルとしての魅力だしな! いつも全力でアイドルを楽しんでるのがしゅがーはぁとだ!」

ほたる「ふふっ……そうですね。はぁとさんはいつだってカッコいいし可愛くて素敵です!」

ヘレン「さすがほたるね! 心の魅力をよくわかっているじゃない!」

5: 名無しさん@おーぷん 2019/02/10(日)02:28:44 ID:KkQ
ヘレン「ヘーイ! そういうわけよ! 恥ずかしがってないで出て来なさい!」

心「バカヤロー! こんな空気で出られるか!」

P「あ、噂をすればカッコいいしゅがーはぁとさんだ」

晴「だな、噂をすればアイドルの時はメチャクチャカッコいいはぁとさんだ」

ほたる「え!? えっと……うーん……」

心「ほたるちゃん困ってるからやめれ☆」

ヘレン「ところでこんなところでどうしたのかしら?」

心「ちょっとナターリアと響子ちゃんの方でトラブって。そっちの対応してきたとこ☆」

P「え!? マジすか!? 俺に連絡きてないっすよ!?」

心「あぁ、大丈夫大丈夫。二人のトラブルじゃなくて舞さん絡みだから」

ヘレン「……また舞が出てきたのね?」

心「そゆこと。最近またやけに活発になってるんだよ、舞さん」

P「えぇ……。でも今日のあの二人の仕事ってお料理番組でしょう? なんでまた舞さんが……」

心「舞さんが『主婦やってるんだから料理くらいは出来る』って言って無理やり出ようとしたらしい☆」

晴「さすが舞さん、やる事が無茶苦茶だなー」

6: 名無しさん@おーぷん 2019/02/10(日)02:29:11 ID:KkQ
ほたる「業界の人が舞さんの事で怯えるのはなんとなくわかるかも知れないです……」

心「どして?」

ほたる「……えっと。舞さんの無茶苦茶って私の不幸に似てるんです。避けたいのに避けられなくて。被害を少なくするって方法しか取れないから……」

P「少なからず被害が出るから、無事に終えたい側としては怯えるわけか……」

心「天災みたいだな……舞さん……」

晴「でもほたるの不幸と同じならどうにでもなるんじゃねーの?」

ほたる「……え?」

晴「? だってほたるって最近『不幸だー』って言わねーだろ? 不幸をどうにかできたかだろ?」

心「確かに☆ はぁとと初めて会った時は『不幸なんです』ってすっごく言われたけど、最近は聞かないね☆」

P「あの野外ライブ以来聞いてないよな」

ほたる「えっと……そう、ですか……?」

晴「おう」

心「うん☆」

P「だな!」

ほたる「……そうなのかな」

7: 名無しさん@おーぷん 2019/02/10(日)02:29:40 ID:KkQ
ヘレン「そうよ、ほたる! 貴女は不幸なんかじゃない。仮に昔は不幸だったとしても今は不幸ではないわ。私達が一緒にいるのだから!」

ほたる「社長……!」

ヘレン「ノン!」

ほたる「へ?」

ヘレン「社長なんて呼ばないでちょうだい。今の私は貴女と同じアイドルよ!」

ヘレン「仲間であり、ライバルである。貴女と何も変わらないアイドルよ」

ほたる「はいっ! ヘレンさん!」

ヘレン「エクセレント! 良い返事よ!」

ヘレン「さ! ほたるの良い笑顔が見れたところで私は先に失礼するわ!」

心「事務所戻んないの?」

ヘレン「えぇ。少しやる事が出来たわ」

P「了解です。明日以降のスケジュールって大丈夫ですか?」

ヘレン「愚問ね。私を誰だと思っているのかしら? 世界レベルの事務所の、世界レベルの社長であり、世界レベルのアイドルよ!」

ヘレン「ヘーイ!」

8: 名無しさん@おーぷん 2019/02/10(日)02:30:21 ID:KkQ
晴「わけわかんねぇけど、なんかすげー自信だな……」

ほたる「あはは……」

心「んじゃ、はぁと達は事務所戻るかー」

ほたる「はい」

晴「うーい」

P「戻ったら報告書すぐ作りますね」

心「おうよ☆」

ヘレン「……予定変更ね」

ヘレン「……もしもし、崇男? 今良いかしら」



9: 名無しさん@おーぷん 2019/02/10(日)02:30:48 ID:KkQ


数日後 女子寮 リビング

菜々「舞ちゃん」

舞「んー?」

菜々「また何か企んでるんですか?」

舞「企むって何よ。人聞き悪いわね」

菜々「はぁとちゃんが言ってましたよ。最近舞ちゃんが何かしようとしてるって」

舞「別に大したことは考えてないわよ」

菜々「やっぱり何か企んでるじゃないですか……」

舞「あ、醤油とってくれる?」

舞「今やってるのはちょっとした敵情視察ってやつよ」

菜々「敵情視察?」

舞「そ。今のCGプロのアイドルがどの程度の実力を持っているのかを調べてるの」

菜々「事務所に居る時に調べてくださいよ……。なんでお仕事中にふっかけるんですか……。みんな迷惑してますよ」

舞「事務所に居る時のアンタ達はアテにならないの。能ある鷹は爪を隠すって言うでしょ? やっぱり本番じゃないと分からない事もあるわ」

菜々「……能ある鷹ですか」

舞「まぁ……菜々が言わんとしてることはわかる」

10: 名無しさん@おーぷん 2019/02/10(日)02:31:14 ID:KkQ
舞「ほーら、出来たわよー。リクエストの肉じゃがよー」

楓「わぁ! ありがとうございます♪」

早苗「いよっ! 待ってました!」

瑞樹「この歳になると家庭の味って恋しくなるのよね~」

舞「……こんなでもこの娘達は能ある鷹なのよ。たぶん」

菜々「あはは……」

菜々「はいっ! ほうれん草のおひたしもできましたよ~」

楓「ふふっ、美味しそうですね。じゃあ菜々ちゃんも舞さんもどうぞこちらに」

舞「あんた達ね。女子寮で酒盛りなんてしていいわけ?」

早苗「仕方ないんですって。あたし達が外で飲んでたら大騒ぎなんですから」

瑞樹「変装してると肩凝っちゃうしね。気兼ねなく飲める場所はここだけなんですよ」

舞「ふーん。……生殺しね、菜々」

菜々「ナナはじゅうななさいなんで……つらくない……」

11: 名無しさん@おーぷん 2019/02/10(日)02:31:42 ID:KkQ
瑞樹「ところで舞さんはこんな時間まで大丈夫でしたか?」

舞「まーね。愛は地方ロケで居ないし、旦那も出張なのよ。一人でご飯食べるのも寂しいから丁度よかったわ」

楓「いつもは賑やかな場所が静かだととても寂しく感じてしまいますよね」

舞「わかる?」

楓「えぇ。私も事務所が静かだと寂しいですから」

早苗「最近、事務所が静かな事増えたもんねー」

瑞樹「みんなお仕事増えたもの。仕方ないわよ」

菜々「……少し前はナナが暇だったんですけどね」

舞「私との件で干されてたんだっけ?」

菜々「はい……」

早苗「ていうか! どーして菜々ちゃんが干されなきゃいけないのよ!」

楓「主犯は舞さんなのに舞さんは干されたりしませんでしたよね?」

舞「まぁそれは簡単な事よ」

12: 名無しさん@おーぷん 2019/02/10(日)02:32:05 ID:KkQ
菜々「まだみんな舞ちゃんの事が怖いんですよ。小鳥ちゃんはもうアイドルじゃないですし責めようがないです」

菜々「ナナはまだアイドルだったから……。舞ちゃんが怖くて責められない人もナナなら責められる。だからナナが干されちゃったんだと思います……」

舞「ま、そういうことね」

舞「まさかこうなるとは私も予想できなかったから菜々には悪い事したわ。ごめんね?」

菜々「気にしないでください。舞ちゃんの話に乗ったのはナナですから」

瑞樹「……芸能界ってそういうところがみみっちいわよね」

瑞樹「私もアナウンサーやってる時にそういう汚い事に巻き込まれそうになったりしたもの」

舞「これでも昔よりはだいぶマシになったんだけどね」

早苗「だーっ! でも納得いかないわ! そんなの弱い者いじめじゃない!」

瑞樹「弱い者いじめをする側も弱いのよ。自分たちがいじめられないように必死に虚勢を張ってるの」

舞「くっだらないわね、本当に」

舞「私に不満があるなら直接言えばいいのよ! 菜々に当たるんじゃないわよ! ったく……」

菜々「みんなが舞ちゃんに怯えてるうちは難しいと思うけどなぁ……」

楓「でも、それならもうすぐ舞さんに怯えなくてすむようになりますね」

舞「なんで?」

13: 名無しさん@おーぷん 2019/02/10(日)02:32:59 ID:KkQ
楓「だって、もうすぐ私達が舞さんを倒しますから。そうすれば舞さんが最強じゃなくなってみんな舞さんに立ち向かえるようになりますよ」

楓「舞さんも私達と同じただのアイドルなんですから」

菜々「楓ちゃん……!」

早苗「そうね! 楓ちゃんの言う通りだわ!」

瑞樹「えぇ! 舞さんも昔は最強だったかも知れないけど、それは私達が居なかったからだもの!」

舞「ほほーう。言うわね、小娘共」

楓「ふふっ。私達は強いですよ」

楓「ね? 菜々ちゃん」

菜々「……はいっ!」

菜々「ナナ達は舞ちゃんなんかよりもずっと強いです! だって……みんなと一緒ですから!」

舞「……みんな、ね」

舞「良い度胸だわ! そんなに言うならみんなまとめてぶっ倒してやるわよ! オーガって呼ばれた日高舞を舐めるんじゃないわ!」

菜々「ふへへ……!」

楓「じゃあ、打倒舞さんを掲げて乾杯しましょう!」

舞「じゃあ、私は打倒CGプロね!」

早苗「私達の強さ、舞さんに思い知らせてやるわ!」

瑞樹「新しい時代のアイドルは舞さんじゃなくて私達よね!」

楓「みなさん、グラスは持ちましたね? じゃあ……」

「「「「「乾杯!」」」」」

菜々「ふへへ……! アイドル……楽しいっ!」



14: 名無しさん@おーぷん 2019/02/10(日)02:33:21 ID:KkQ


女子寮 廊下

ヘレン「……。やはり私が言うまでもなかったわね」

ナターリア「たっだいまー! あれ? ヘレンが女子寮に居るなんて珍しいナ!」

幸子「本当ですねぇ。社長が来ているって事は菜々さんに用事ですか?」

ヘレン「えぇ。でも私の用事は大したことではなかったわ」

幸子「?」

ヘレン「私はもう帰るわ。二人ともお仕事お疲れ様。ゆっくり休みなさい」

ナターリア「ウン! おやすみ、ヘレン!」

幸子「おやすみなさい……」

幸子「……なんだったんでしょう?」

ナターリア「んー? わかんないナ!」

幸子「……ですよね。まぁいいでしょう」

幸子「フフーン! カワイイボクのお帰りですよ! ……って! どうしてこんなとこで酒盛りしてるんですか!?」

ナターリア「アハハ! みんな仲良しダナ!」



15: 名無しさん@おーぷん 2019/02/10(日)02:34:01 ID:KkQ


事務所

ちひろ「……」

ヘレン「ちひろ。話があるわ」

ちひろ「あら、お帰りなさい。どうしましたか?」

ヘレン「崇男にも確認をした確かな情報よ」

ヘレン「近いうちにまた日高舞が仕掛けてくるわ」

ちひろ「そうですか……。今度は菜々さんを引き抜かれたりはしないですよね?」

ヘレン「そこは大丈夫。警戒すべきは音無小鳥だけね」

ちひろ「音無先輩ですか……」

ヘレン「順二朗も音無小鳥がステージに立つことを望んでいるようだし、日高舞がユニットで来るならきっと音無小鳥ね」

ヘレン「前回のような事にならないためにも、こちらも全力で向かうわ」

ちひろ「じゃあプロデューサーさんと心さんにも準備をお願いしないといけませんね。今から舞さんに備えてみんなのレッスンを組んでもらわないと」

ヘレン「いいえ。準備をさせるのはPだけよ」

ちひろ「へ?」

ヘレン「Pはもう一人前。私達全員をプロデュース出来るだけの力は充分にある。心のサポートは不要よ」

ちひろ「じゃあ心さんは……」

ヘレン「ちひろ。曲の発注よ!」

ヘレン「心のソロ曲を私達の切り札にするわ!」

End