魔女「もう最悪だわ……」 前編

319 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/04(月) 05:56:17 ID:zq47f7I.
~とある酒場~

僧侶「以外に、店内はちゃんとしてた……」

僧侶「この広さ、王都にある店と同じぐらいね……」

従者A「ええ、そうですね……」

元店主嫁「貴方達、王都から来たの?」

元店主嫁「その割には、かなり軽装ね」

店主姪「うん。そうだね……」

従者A「ああ、これにはちょっと訳がありまして……」

従者A「実は、ここに来る途中に強盗被害に遭ってたんです……」

従者A「それで、仕方なく今みたいな軽装になってしまってるんですよ……」

僧侶「……」ギリッ

元店主嫁「へぇ、それは大変だったわね」

元店主嫁「そう言えば、昨日ジュリエットちゃんが各地を荒らしていた元騎士を捕まえたわよ」

元店主嫁「その元騎士も、どう言う訳かこの島に流れて来た」

元店主嫁「と言っても、すぐあの子に捕まってしまったけどね」 


320 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/04(月) 05:56:30 ID:zq47f7I.
僧侶「あの、その元騎士って、まかさロメオとか言う人でしょうか?……」

僧侶「あの人、本当にここで捕まったんですか?……」

従者達「……」

元店主嫁「ええ、捕まったわよ」

元店主嫁「だって、昨日から皆が噂してたもの」

僧侶「……」

元店主嫁「もしかして、貴方達も被害者だったとか?」

元店主嫁「もしかしなくても、そんな風な顔をしてるわね」

店主姪「うん。そうだね……」

従者達「……」

元店主嫁「だったら、後であの子にそう申告しときなさい」

元店主嫁「今のあの子、伯爵様の臣下だから」

元店主嫁「昔から、あの子は伯爵様や司教様に目を掛けられていてね」

元店主嫁「あの子に頼めば、私みたいにすぐ私兵が動いてくれるわよ」

元店主嫁「だから、早めにあの子に頼んでおきなさい」 

321 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/04(月) 05:56:44 ID:zq47f7I.
従者A「ええ、かしこまりました」

従者A「今後は、遠慮なくカーネルに頼らさせて頂きます」

従者A「失礼ですが、カーネルと貴方達はお知り合いなのですか?」

従者A「つい先程、カーネルとはやけに親しく会話をされていた様ですが」

僧侶「……」

元店主嫁「ああ、あれね」

元店主嫁「あの子は、私や義姉さんからしてみたら、娘みたいなものなのよ」

元店主嫁「あの子自身は、ここに来るまでずっと苦労してた」

元店主嫁「この島以外では、ずっとハーフエルフだとバレた瞬間に、住む所を追われる様な生活を送っていたのよ」

従者達「!?」

元店主嫁「でも、あの子はここに来てから大きく変わった」

元店主嫁「この島では、過去に一度とある一人のハーフエルフによって助けられていたから」

元店主嫁「そのおかげで、あの子はここで平穏無事な毎日を送ってるわ」

元店主嫁「今のあの子にとってここは、ようやく見つける事が出来た安住の地」

元店主嫁「だから、あの子以外のハーフエルフ達も、数多くここに流れてくるのよ」 

322 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/04(月) 05:57:00 ID:zq47f7I.
従者A「そうですか」

従者A「カーネルにも、そんな過去が」

従者A「でも、余所から来た人達からの評判とかはどうなんですか?」

従者A「その人達からも、カーネルは支持されているのですか?」

僧侶「……」

元店主嫁「ええ、この島の9割の住民達はね」

元店主嫁「だって、あの子が生まれてすぐこの島の現状が大いに改善されてしまったもの」

元店主嫁「元々、この島の半数の住民達は、あの子によって無理矢理ここに連れてこられた人達だった」

元店主嫁「それにも関わらず、帰省日の日には6割の人達がここに永住を希望」

元店主嫁「後の四割の内、二割は家族連れでここにまでUターン」

元店主嫁「あまり、この島ではハーフエルフだからと言って差別はされないし」

元店主嫁「昔から、不自由民としてここに連れてこられた人達からの評判も悪くないわ」

僧侶「……」ムカッ

従者A「おおっ……」

従者B「さすが、カーネルだ……」 

323 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/04(月) 05:58:20 ID:zq47f7I.
元店主嫁「まさか、貴方達二人もハーフエルフなの?」

元店主嫁「貴方達二人も、あの子に保護されてここにまで来たの?」

店主姪「……」

従者A「ええ、そうなんです」

従者A「実は、昨日からこの島に来てたんです」

従者A「でも、昨日は例の元騎士に襲われてしまいましてね」

従者A「目が覚めたら、二人仲良く病院のベットの上で眠ってました」

僧侶「……」ムカムカ

元店主嫁「ふ~~ん、そうなの」

元店主嫁「だから、そんなに整った顔立ちをしているの」

元店主嫁「あの子は、よくハーフエルフの事になると、かなり感情的になるからね」

元店主嫁「昨日もまた、数多くのこの島に住むハーフエルフ達が被害に遭ってた」

元店主嫁「だから、今のあの子は昨日からやけに不機嫌なのよね」

従者達「え?」

僧侶「!?」ガーン 

324 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/04(月) 05:58:37 ID:zq47f7I.
僧侶「あの、今のどう言う事なんですか!?」

僧侶「昨日の事件の犯人達、一体どうなるんですか!?」

従者達「……」

僧侶「聞く所によると、その犯人達は勇者XXXの仲間でした!」

僧侶「今のままでは、確実にすぐには解放されない!」

僧侶「これについては、カーネルはどうおっしゃってられたのですか!?」

従者達「……」

元店主嫁「う~~ん、今の私は詳しくは知らないわ」

元店主嫁「だって、昨日は自分の店が忙しかったから」

元店主嫁「詳しく聞きたいなら、義姉さんに聞けばすぐに分かるわ」

元店主嫁「そろそろ、商人さんと一緒にここに戻って来る頃」

元店主嫁「だから、詳しい事はここのママの義姉さんに聞いてみてちょうだい」

僧侶「……」

従者A「はい。かしこまりました」

店主姪「……」 

325 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/05(火) 06:20:56 ID:yzt0Lnm2
ガチャ……

カランカラン……

バタン……

店主「あら?」

元店主嫁「あっ、義姉さん」

店主「あんた達、何でこんな所に突っ立ってるのよ」

店主「と言うか、宿帳に記入はしたの?」

商人「……」ウルウルッ

元店主嫁「あっ、まだだったわ」

元店主嫁「ついさっきまで、ここの内装に見とれてたから」

僧侶「……」

店主「そう。だったら、早く宿帳に記入しといて」

店主「それが終わったら、あんた達はそこのカウンターに座りなさい」

店主「なんか、商人さんが朝から飲みたいって言ってるからね」

店主「今日は特別に、私があんた達にサービスするわ」 

326 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/05(火) 06:21:30 ID:yzt0Lnm2
元店主嫁「ふ~~ん、義姉さんからのサービスか……」

元店主嫁「今日は、一体どんなのが出てくるのかしら?……」

元店主嫁「まさか、あの子が仕入れてきたレアなお酒?……」

元店主嫁「あれ、かなり値段が高かった気がする……」

元店主嫁「いくら義姉さんでも、自身の秘蔵のお酒まで出してきたりはしないわよね?……」

商人「……」ウルウルッ

店主「ええ、出すつもりなんてないわ」

店主「あれ、昨日兄さんが勝手に全部飲み干してしまってたから」

元店主嫁「!?」ガーン

店主「しかも、この島に来てたあの子の師匠と妙に馬が合ってね」

店主「気がついた時には、自分の周りにいる女の口ばかり言ってた」

店主「だから、今の私は出したくてもそれは出せない」

店主「文句があるなら、ろくでなし二人に言っといてよね」イライラ

元店主嫁「……」ガクッ

店主姪「お母さん……」 

327 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/05(火) 06:22:03 ID:yzt0Lnm2
店主「まぁ、そう言う事だから、今日の所は安酒で勘弁してよね」

店主「また、あのお酒はあの子に仕入れてきて貰うから」

店主「今のあの子、まるで狩人みたいな目をしてしまってるし」

店主「ここ当分の間は、いつ戻って来るかが全く分からないから」

元店主嫁「……」ウルウルッ

店主「だから、あんた達はさっさと宿帳に記入しなさい」

店主「もう時期、私は店を開けなくちゃならないから」

店主「その間、ちょっと貯まってる安酒の処理に付き合ってよね」

店主「見た所、今のあんた達全員成人なんだし」

店主「私一人じゃ飲みきれないから、皆で協力をしてほしいのよ」

元店主嫁「……」ポロポロッ

商人「ええ、かしこまりました……」

商人「お言葉に甘えて、とことん付き合って差し上げます……」

商人「今の私、かなり傷物ですから……」

商人「今さっき、ママさんに古傷を抉られて、かなり傷ついてますから……」ポロポロッ 

328 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/05(火) 06:23:08 ID:yzt0Lnm2
店主「ああ、悪かったわね……」

店主「商人さん、まだ根に持ってるのね……」

店主「だったら、つまみの方もサービスしてあげるわ……」

店主「だから、ついさっきの事はもう許して頂戴よ……」

商人「……」ポロポロッ

元店主嫁「ふふっ、商人さん……」

元店主嫁「今日の所は、とことん二人で飲んでしまいませんか?……」

元店主嫁「お互い、今日は朝から散々な日でした……」

元店主嫁「信じていた人達に裏切られ、自身の古傷まで抉られた……」

元店主嫁「だから、とことん今日は二人で飲みましょうよ」ポロポロッ

店主「……」

商人「ええ、そうですね……」

商人「今の私達、ママさんによる被害者ですもんね……」

商人「私も、今日はとことん飲みたいです……」

商人「嫌な事全部忘れる為に、とことん飲んでしまいます……」ポロポロッ 

329 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/05(火) 06:23:27 ID:yzt0Lnm2
元店主嫁「娘、私達の代わりに宿帳に記入しといて……」

元店主嫁「今の私、ちょっと大事な用があるから……」

元店主嫁「義姉さん、さっさと赤ワイン二つ……」

元店主嫁「今日は、とことん商人さんと飲んでやる!……」

元店主嫁「今更、しかも私の娘の前で黒歴史を晒してんじゃねぇ――――――――っ!」ポロポロッ

商人「そうだ、そうだ!」ポロポロッ

店主姪「……」

店主「はいはい。分かったわよ……」

店主「あんた達、さっさと座りなさいよ……」

店主「全く兄さんにも困ったものだわ……」

店主「元々、全て兄さんが悪いんだし!……」

店主「今日の所は、私もとことん飲むわ!……」

店主姪「!?」ガーン

従者達「……はっ?」

僧侶「……」ポカーン 

330 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/05(火) 06:24:00 ID:yzt0Lnm2
元店主嫁「義姉さん、久し振りに飲み比べしない?……」

元店主嫁「今の私、今回は商人さんとタッグ組むわよ……」

元店主嫁「それで、今余ってるのはいくつあるの?……」

元店主嫁「まさか、樽ごとだったりとか?……」ポロポロッ

店主姪「……」

店主「ええ、そのまさかよ……」

店主「だって、昨日の事件の所為で客が遠退いちゃったもの……」

店主「おまけに、兄さん達が良いお酒を全て飲み干してた……」

店主「だから、今の所は安酒しかないわ……」

商人「そんな……」ポロポロッ

店主姪「ちょっと、叔母さん……」

店主姪「何で、叔母さんまで飲もうとしてるんですか?……」

店主姪「今日の店、一体どうするつもりなんですか!?」

従者達「……」 

331 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/05(火) 13:41:02 ID:yzt0Lnm2
店主「う~~ん、やっぱ臨時休業かしら……」

店主「だって、ここ当分の間は安酒のみ……」

店主「それ以外のお酒がないと、店の売り上げにも大きく関わってくる……」

店主「ウチに来るお客、皆が良いお酒ばかり飲んでいくから……」

店主姪「……」

店主「まぁ、安酒しかなくても、店を開ける事は出来るわ……」

店主「その代わり、大勢の客から文句が出てしまうけど……」

店主「それでもなお、昨日の火事の所為でウチの店員達が被害に遭ってんだし……」

店主「本当に、今日は飲まなきゃやってられないわ……」

店主姪「……」ブチッ

商人「……?」

元店主嫁「……」ハッ

店主「姪っ子ちゃん?……」

店主姪「……」プルプル

元店主嫁「……」フキフキ 

332 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/05(火) 13:41:16 ID:yzt0Lnm2
店主姪「大体は、分かりました……」

店主姪「つまり、良いお酒さえあれば良いんですよね?……」

店主姪「それさえあれば、叔母さんは店を開けてくれるんですね?……」ゴゴゴゴッ

店主「ええ、そうよ……」

店主姪「だったら、ウチで余ってるお酒を使って下さい!」

店主姪「それを使って、叔母さんはさっさと開店準備をして下さい!」ゴゴゴゴッ

店主「……え?」

元店主嫁「!?」

店主姪「お母さん、別に良いよね?」

店主姪「ここ数日、ウチは休業なんだし、別に良いんだよね?」ニッコリ

元店主嫁「ええ、まぁね……」

店主姪「なら、早く店に戻ってウチにあるお酒を運ぶの手伝って」

店主姪「そこのお兄さん達、貴方達も手伝って下さいますか?」

店主姪「つい最近、この店ではハーフエルフを店員として多数雇ってますし」

店主姪「その店員達が、昨日の火事の所為で全員負傷してしまいました!」 

333 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/05(火) 13:41:50 ID:yzt0Lnm2
店主姪「だから、そこのお兄さん達や僧侶さんも今すぐ手伝って下さい!」

店主姪「じゃないと、この店は完全に潰れてしまいますよ!」

店主姪「ただでさえ、売り上げが落ちたのは私の両親の所為!」

店主姪「何故なら、私の両親が問題を起こす度に叔母様がよく巻き込まれる!」

店主姪「私のお爺ちゃんが毒を盛られたのも、全て私の両親の所為なんだから!」ムカムカッ

従者達「!?」

店主姪「叔母さん、どうかご決断を!」

店主姪「今なら、まだ損害分はすぐにでも取り戻せます!」

店主姪「じゃないと、私達の店まで潰れてしまいますよ!」

店主姪「ただでさえ、義姉さんが足り内分を補填してくれていたのに……」

店主姪「今の私が、それを知らないとでも思っていた訳?」ムカムカッ

元店主嫁「ああ……」

店主姪「それで、お母さんはどうするの?」

店主姪「叔母さんの店を潰すの? 潰さないの?」

元店主嫁「……」 

334 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/05(火) 13:42:22 ID:yzt0Lnm2
店主「はぁ……分かったわ……」

店主「今回は、姪っ子ちゃんの言う通りにするわ……」

店主「それで、良いでしょ?……」

店主「姪っ子ちゃんは、それで納得をしてくれるのかしら?……」

店主姪「はい」

店主「なら、今日は特別に安酒は無料で飲み放題にするわ」

店主「義妹ちゃん、店から大至急お酒を持ってきて」

店主「義妹ちゃんの所、良いお酒はどれくらいあるの?」

店主「それ次第では、ウチは店を開ける事が出来るわ」

店主姪「……」

元店主姪「……確か、樽にしたら50個程」

元店主姪「ウチの主人、義姉さんの店にはあまり良いお酒は回してなかったから……」

元店主嫁「だから、余裕で義姉さんの店にそれを回す事が出来てしまうわ……」

元店主姪「ウチの店、私の父が倒れたから売り上げが急減してしまったもの……」

店主「!?」 

335 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/05(火) 13:42:52 ID:yzt0Lnm2
店主姪「じゃあ、ウチにある良いお酒は全て回して良いんだよね?」

店主姪「お爺ちゃん、本当に死んだりはしないんだよね?」

元店主嫁「……」コクン

店主姪「叔母さん、早く開店準備をして下さい!」

店主姪「私は、今から店に戻って良いお酒を持ってきますので!」

店主「え、ええ……」

店主姪「そこのお兄さん達、荷物置いて私に着いてきて下さい!」

店主姪「じゃないと、開店まであまり時間がありません!」

店主姪「つうか、さっさと荷物置いて動かんかい!」

店主姪「この木偶の棒どもが!」

従者「はっ、はい!……」

商人「……」ポロポロッ

元店主「義姉さん、ちょっと私出掛けてくるわ……」

元店主「だから、飲み比べの勝負、次回までお預けね……」

店主「ええ、了解したわ……」 

336 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/05(火) 13:44:32 ID:yzt0Lnm2
ガチャ……

カランカラン……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

店主姪「お母さん、何してんの?」

店主姪「さっさと、早く出てきてよ!」

元店主嫁「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

カチャ、カチャ……

シュバッ、シュタッ……

従者A「ママさん。ちょっと出掛けてきます」

従者A「すぐに、戻ってきますから」

店主「ええ、分かったわ……」

店主「気を付けて行ってらっしゃい……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

バタン…… 

337 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/06(水) 07:05:43 ID:6AXdtZuk
~とある民家~

盗賊「くそっ、賢者が捕縛された!」

盗賊「カーネルは、俺達の事に気づいてやがった!」

勇者「何!?」

盗賊「いずれ、ここも危なくなる!」

盗賊「その前に、ここから逃げるぞ!」

盗賊「勇者、武闘家、早く支度するんだ!」

武闘家「おう!」サッ

カチャ、カチャ……

シュバッ、シュバッ……

勇者「……」

盗賊「ん? どうした?」

盗賊「何をもたもたしている!」

盗賊「勇者も、早く荷物を纏めてさっさと逃げる支度をするんだ!」

勇者「……」 

338 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/06(水) 07:06:00 ID:6AXdtZuk
勇者「盗賊、武闘家、逃げる宛はあるのか?」

勇者「この島から、確実に逃げれるのか?」

盗賊「ああ、まあな」

勇者「なら、まだ逃げる必要はない!」

勇者「カーネルは、すぐには動かん!」

勇者「ここは、俺を信じて任せてくれ!」

勇者「カーネルの狙いは、この俺のみ!」

勇者「俺が、カーネルの前に再び姿を現せば済むだけの話だ!」

盗賊「何!?」

武闘家「……」

盗賊「勇者、何を企んでいる?」

盗賊「カーネルは、そんなに甘くはないぞ!」

盗賊「それに、賢者が何故か捕縛された!」

盗賊「それについては、どう説明をするんだ!」

武闘家「……」 

339 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/06(水) 07:06:33 ID:6AXdtZuk
勇者「盗賊、落ち着け!」

勇者「賢者が捕縛されたのは、昨日着けてきた賢者の身内が原因だ!」

勇者「どうせまた、賢者の身内が賢者に対して金の無心!」

勇者「その所為で、賢者が捕縛された!」

勇者「それくらいなら、すぐにカーネルによって釈放されるはずだ!」

武闘家「……」

盗賊「いや、それはないな!」

盗賊「カーネルは、血も涙もない様な女だ!」

盗賊「勇者も、カーネルが率いる傭兵隊の戦闘を見ただろ?」

盗賊「あれは、かなりレベルの高い歴戦の勇士達だ!」

盗賊「そんな奴等を率いる女を、端から信用するなんて大いに馬鹿げてる!」

武闘家「……」

勇者「盗賊、何度も言うがここは俺に任せてくれ!」

勇者「今の俺は、お前達のリーダーだ!」

勇者「今後は、俺が全ての事についてで決断をしていくんだ!」 

340 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/06(水) 07:06:52 ID:6AXdtZuk
盗賊「……ほう? それは面白い話だ」

盗賊「ようやく、お前もリーダーとしての意識に目覚めたのか」

盗賊「なら聞くが、勇者は何を企んでいる?」

盗賊「そこまで言うなら、リーダーとしての意見をこの場で今すぐ聞かせて貰いたい!」

武闘家「……」

勇者「盗賊、武闘家、今はいくら持ってる?」

勇者「二人の所持金は、一体今いくらあるんだ?」

盗賊「は?」

勇者「……」

武闘家「大体、二人合わせて50万Gだ」

武闘家「それが、どうかしたのか?」

盗賊「……」

勇者「なら、回復剤の数は?」

勇者「二人の持っているアイテムも、全てこの場で申告して貰いたい」

武闘家「……」 

341 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/06(水) 07:07:29 ID:6AXdtZuk
盗賊「勇者、こんな時に所持品のチェックか?」

盗賊「今のお前は、かなり楽天家なんだな」

武闘家「……」

勇者「ああ、そうだ!」

勇者「今の俺は、楽天家だ!」

勇者「それでもなお、カーネルはすぐに俺達の事を捕縛しに来ないと言える!」

勇者「何故なら、俺達は勇者一行だからだ!」

勇者「勇者一行を捕縛するには、それなりの根拠と証拠が必要!」

勇者「おまけに、今の俺達はハーフエルフに対して何もしていない!」

勇者「今後の俺達をどうするかは、全て伯爵様が決める事!」

勇者「たとへ、カーネルに俺達が捕縛されたとしても、カーネル自身には俺達を裁く事は全く出来ないんだ!」

盗賊「……あっ……」

武闘家「そうか、成る程な……」

勇者「……」

フラッ、ドサッ…… 

342 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/06(水) 07:08:08 ID:6AXdtZuk
勇者「それで、二人は今何を持ってるんだ?」

勇者「何か、役立つ物は沢山あるか?」

盗賊「……」

武闘家「回復剤なら、お互いに10個ある」

武闘家「後は、緊急用の短剣に火打セットと食器セットと非常食」

武闘家「替えの衣類に地図に雨具に寝袋」

武闘家「これが、俺達の今持っている装備なんだが」

盗賊「……」

勇者「そうか」

勇者「盗賊達も似た様なものか」

勇者「てっきり、兄さんから何か渡されてないかと思ったが……」

勇者「どうやら、俺の勘違いだったか」

武闘家「……?」

盗賊「勇者、お前どうするつもりだ?」

盗賊「何か、策があるんじゃないのか?」 

343 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/07(木) 07:28:27 ID:hSf4Wbq6
勇者「ああ、ある」

勇者「今の俺は、兄さんからある物を預かっていた」

勇者「そのある物と言うのは、兄さんがどこかで手に入れてきた石」

勇者「それを、今の俺はここにまで持参してきてるんだ」

盗賊「!?」

勇者「二人とも、この石に何か見覚えはないか?」

勇者「二人は、兄さんからこの石については、何か聞かされてなかったか?」スッ

盗賊「……」ジーーッ

武闘家「……」ジーーッ

勇者「……」

盗賊「これ、確かあいつが魔王戦前に見つけた石だったよな?……」

盗賊「この石は、所有者をとことん不幸にしてしまう恐るべき石……」

盗賊「俺達は、絶対に捨てた方が良いって言ったんだが、あいつは頑なに捨てなかった……」

盗賊「その所為で、勇者はすぐに人が変わってしまい、俺達の事をすぐに邪険にする様になっちまったんだ……」

勇者「!?」ガーン 

344 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/07(木) 07:28:45 ID:hSf4Wbq6
武闘家「ああ、そうだったな……」

武闘家「まさか、再びこの石と巡り会うとはな………」

武闘家「これを手に入れてから、前の勇者はずっと僧侶ばかりを優遇した……」

武闘家「魔王戦に差し掛かろうとしても、前の勇者は常に僧侶といちゃついてばかり……」

武闘家「さすがに、これは本格的にヤバイと言う事もあって、勇者に僧侶からその石をすぐに手放した方が良いと言って貰ってたんだがな……」ズーン

盗賊「……」ズーン

武闘家「それから、勇者はその石を“どこかへと捨ててきた”と言った……」

武闘家「その石の効果は、最初の内はかなり良い思いをする事が出来るが、最後はその分悪い思いをする事が出来ると言う恐ろしい物……」

武闘家「その所為で、前の勇者は俺達の事を次々と見捨てた……」

武闘家「俺達を見捨てた後、前の勇者は僧侶と共に魔王戦を放棄……」

武闘家「酒と女とギャンブルと●●●に溺れ、それはもう別人になったかの様に人が大きく変わってしまったんだ……」ズーン

勇者「……」ズーン

盗賊「それで、お前はいつそれを預けられた?」

武闘家「勇者は、いつお前の元に戻ってきたんだ?」

武闘家「……」ズーン 

345 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/07(木) 07:29:09 ID:hSf4Wbq6
勇者「確か、兄さんが死ぬ一週間前のはずだ……」

勇者「突然、兄さんが何の連絡もなく自宅に戻ってきて、この石を置いてった……」

勇者「それと同時に、俺の自宅にあった所持金が全てなくなっていて、兄さんが死んだ後すぐ多数の借金取りが押し掛けてきて……」

勇者「それが原因で、俺の両親は憤死……」

勇者「なんとか、兄さんが背負った多額の借金については、全額すぐに完済する事は出来たんだが……」

勇者「国王陛下は、それをネタに弟であるこの俺に「後任の勇者を今すぐしろ」と、命令をしてきたんだ……」

盗賊「……」ガクッ

武闘家「……」ズーン

勇者「それで、これはどうする?……」

勇者「やっぱり、捨てた方が良いか?……」

勇者「それとも、カーネルに引き取って貰うか?……」

盗賊「!?」ハッ

勇者「今の俺、これをカーネルに引き渡そうと思う……」

勇者「これがあれば、今の俺達はカーネルを倒せる……」

勇者「カーネルにも、絶対にギャフンと言わせる事が出来る!……」ニヤリ 

346 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/07(木) 07:29:41 ID:hSf4Wbq6
盗賊「勇者、お前正気か?……」

盗賊「それ持って、まさかカーネルの前に姿を現そうとしてるのか?……」プルプル

武闘家「ぶほっ……」プルプル

勇者「ああ、そのつもりだ!」

勇者「それに、今の俺は勇者だ!」

勇者「だから、二人は俺を信じて着いてきてくれ!」

勇者「俺は、絶対に兄さんの様にはなったりはしない!」ニヤニヤ

盗賊「……」プルプル

武闘家「……そうか」

武闘家「なら、今回の事は勇者に任せるとしよう……」

武闘家「幸い、今の勇者はまだまともだ……」

武闘家「それで良いか? 盗賊……」プルプル

盗賊「ああ、まあな……」ニヤリ

勇者「よっしゃああああああああ――――――――っ!」

武闘家「……」プルプル 

347 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/07(木) 07:31:06 ID:hSf4Wbq6
盗賊「でも、どうやってカーネルと会うんだ?……」

盗賊「カーネルの居場所に、どこか心当たりでもあるのか?……」ニヤニヤ

武闘家「……」プルプル

勇者「ああ、ある……」

勇者「カーネルは、この島にある“まるで●●の様な外装をした酒場”にいた……」

勇者「そこに、あの元騎士も客として来訪……」

勇者「だから、必ずカーネルはそこにいる!……」

勇者「俺は昨日、そこでカーネルと会っていたからだ!……」ニヤニヤ

盗賊「……」ニヤニヤ

武闘家「なら、早速だがそれをカーネルに引き渡してきてくれ……」

武闘家「今の俺達、かなり危険なんだが……」

武闘家「それを使えば、確かにカーネルを倒せる……」

武闘家「それ所か、カーネルをこの島から追放する事が出来る……」

武闘家「だから、早いとこ行ってきてくれ!……」プルプル

勇者「おう!」 

348 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/07(木) 07:31:36 ID:hSf4Wbq6
勇者「それじゃあ、ちょっと行ってくるな!」

勇者「すぐに戻ってくるから、暫くの間は留守番を頼む!」

勇者「それと、また何か分かったらすぐに教えてくれ!」

勇者「これで、俺達は英雄だ!」

勇者「元々、カーネルが嫌いな奴等はすぐに大喜び!」

勇者「今の俺達こそ、正義なのだ!」ニヤニヤ

盗賊「お――――――――っ!」ニヤニヤ

武闘家「勇者、気を付けてな……」

武闘家「必ず、生きて戻って来いよ……」プルプル

勇者「ああ、分かってる!」

勇者「それじゃあ、行ってくるな!」

勇者「二人も、無事でな!」ニヤニヤ

二人「おう!」ニヤニヤ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ガチャ、バタン…… 

349 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/08(金) 07:57:18 ID:vuO2mwbk
~とある山道~

魔女(あっ、出てきた……)

魔女(本当に、あそこにいたんだ……)

魔女(今なら、勇者を捕縛するチャンス……)

魔女(後は、武闘家達二人のみね……)コソコソ

勇者「……」キョロキョロ

魔女(とりあえず、どうやって勇者と接触をしようかしら?……)

魔女(昨日みたいに、普通に接すれば良いのかな?……)

魔女(でも、向こうはやたらと警戒しきってるし……)

魔女(一体、どうすれば?……)コソコソ

勇者「……」ハッ

魔女「う~~ん……」

勇者「……」ジーーッ

魔女「あっ……」

勇者「……」ジーーッ 

350 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/08(金) 07:57:34 ID:vuO2mwbk
勇者「そこに、誰かいるのか?……」

勇者「まさか、僧侶なのか?……」

魔女「……」ビクッ

勇者「頼む、誰だか知らないがすぐに姿を現してくれ!……」

勇者「じゃないと、今の俺はかなりマズイんだ!……」

勇者「このまま行くと、マジでカーネルに何をされるかが全く分からないんだ……」

魔女「……」ビクビクッ

「もう、仕方ないわね……」

「せっかく、上手く隠れてたと思ってたのに……」

「いつ、私がここにいると分かったの?……」

「今の勇者は、どこから今の私に気づいていたのかしら?……」

魔女「!?」ビクッ

勇者「……あら?」

子豚「……」スッ

子豚「……」トコトコッ 

351 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/08(金) 07:57:50 ID:vuO2mwbk
勇者「何だ、大賢者様の所の子豚か……」

勇者「全く、驚かせるなってぇの……」ハァ……

魔女「……」ホッ……

子豚「もう、勇者ったら相変わらずそっけないわね……」

子豚「私の兄弟、遠慮なく丸焼きにしてた癖に……」

子豚「今の私、大賢者様からの手紙を預かってるの……」

子豚「だから、早く用を済ませて帰りたいんだけど……」プリプリッ

魔女「……」

勇者「ああ、すまんな……」

勇者「こっちも、色々と立て込んでんだ……」

勇者「おまけに、賢者殿がカーネルに捕縛された……」

勇者「俺の仲間二人も、カーネルに捕縛されてしまったんだ……」

子豚「何ですって!?」ガーーン

魔女「……」

警備兵達「……」ヌッ 

352 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/08(金) 07:58:06 ID:vuO2mwbk
子豚「勇者、賢者殿が捕縛されたってどう言う事よ!?」

子豚「あの人、何か悪い事でもしたの!?」

魔女「……」

勇者「いや、何もしてない……」

勇者「ただ単に、賢者殿の身内がまた押し掛けてきてすぐ、金の無心をしてきた……」

勇者「それが叶わず、賢者殿の身内がある事ない事を言って、カーネルに捕縛を依頼……」

勇者「その所為で、賢者殿が捕縛されてしまったんだ……」

子豚「そんな……」

魔女「……」

勇者「それで、大賢者様からのお手紙とは?」

勇者「よく、俺がこの島にいると分かったな?」

魔女「……」

子豚「まぁ、大賢者様が優秀だから!」

子豚「この国では、その大賢者様の右に出る者はいない!」

子豚「ただそれだけの事なのよ!」 

353 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/08(金) 07:59:18 ID:vuO2mwbk
勇者「ああ、分かった分かった……」

勇者「その話は、また今度ゆっくり聞いてやる……」

勇者「それと、この石をカーネルに届けてくれ……」

勇者「この石は、カーネルが探している盗品の一部……」

勇者「例の各地で荒らしていた元騎士の所持品だ……」

勇者「それを偶々拾ったから、すぐにカーネルに引き渡してくれ……」スッ

子豚「なっ!?」

魔女「……?」ジーーッ

子豚「……勇者、これどこで手に入れたの!?」

子豚「こんなの、あのカーネルなんかに渡したら物凄く危険なのよ!?」

勇者「……え?」

子豚「これ、何がなんでもカーネルには渡しちゃ駄目よ!」

子豚「この石、カーネルになんかに渡したら、今までの不幸な人生が全て清算されちゃう!」

子豚「元々、私はあの子もその母親も嫌いだった!」

子豚「今でも、あの頃を思い出すだけでかなり腹が立ってしまうわ!」ムカムカッ 

354 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/08(金) 07:59:37 ID:vuO2mwbk
勇者「あんた、もしかして昔のカーネルの事を知っているのか?……」

勇者「カーネルは、一体何であそこまで力を持っているんだ?……」

魔女「……」ドキドキッ

勇者「頼む、どうか今すぐ教えてくれ!」

勇者「今の俺達、本当にヤバイんだわ!」

勇者「このまま行くと、一生汚名を着せられる事になるんだ!」

魔女「……」ドキドキッ

子豚「……実は、あの子の母親はとても優秀なエルフだった!」

子豚「エルフの里でも、魔術師として類を見ない程の強さ!」

子豚「その当時、私はエルフの里に滞在!」

子豚「あの子の母親は、現族長の実の姉!」

子豚「その母に決して退けを取らない美貌と魔術の才能等を、今のあの子自身は生まれながらに持ってしまっているのよ!」ムカムカッ

勇者「!?」ガーーン

魔女「!?」ピカァ

子豚「……」ムカムカッ 

355 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/09(土) 10:55:31 ID:XMzSHEVk
子豚「思えば、あの時に私があの子の母親に喧嘩さえ売らなきゃ良かったのよね……」

子豚「あの子の母親は、元々はエルフの里でもかなり爵位が上の家柄の生まれ……」

子豚「今の族長、あの子の姿を見た瞬間、すぐに子供みたいに号泣しちゃってね……」

子豚「そんな族長に対して、あの子は何度も何度も直談判……」

子豚「今まで、ハーフエルフに対して否定的だったエルフの里を大きく揺さぶった……」

子豚「あの子自身が、現族長に対して数々の嫌がらせをし続けていった……」ムカムカッ

勇者「……」ゴクリ

子豚「その時のあの子、現族長に対して何をしたと思う?……」

子豚「あの子自身が、母と容姿が瓜二つな事を利用し、夜の相手を何度もしてた……」

子豚「それだけでなく、まるで今の自分自身が実の姉だとでも言わんばかりに、現族長の目の前で実の母親に完全に成りきり……」

子豚「それをされる度に、現族長は余計に号泣……」

子豚「仕方なく、あの子からの無茶苦茶な要求を全て呑んでしまったのよ……」

子豚「ハーフエルフを保護すべきでないと言う勢力すら、無理矢理押し込めちゃった訳」ムカムカッ

勇者「……」

魔女「……」 

356 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/09(土) 10:56:03 ID:XMzSHEVk
子豚「それ以来、エルフの里も大分変わったわ……」

子豚「今まで、ハーフエルフに否定的だった人達が、次々とハーフエルフへと転生してしまったから……」

子豚「それについては、前族長が仕掛けたとある魔術の所為……」

子豚「その時、出来たのが今勇者が持っているその石……」

子豚「これを使えば、エルフの里は救われる……」

子豚「それ所か、あの子自身に掛けられている負の連鎖すら一瞬に解き放ってしまう……」ムカムカッ

魔女「!?」キラキラッ

子豚「だから、勇者は絶対にそれをあの子には渡しちゃ駄目よ!」

子豚「それがあの子の手に渡った時が、本当にこの世の地獄!」

子豚「何故なら、ずっとあの子はもう100年もの間、負の連鎖に繋がれていた!」

子豚「あの子を初めとするハーフエルフが、エルフと人間に対して復讐をするチャンスをすぐにも与えてしまう!」

子豚「元々、それはあの子の母親がこの私に復讐をする為に、自ら作った物!」

子豚「その所為で、今の私は何度も豚の姿!」

子豚「もうこんな生活、今の私は嫌になるわ!」

子豚「だから、絶対にハーフエルフにだけは渡しちゃ駄目よ!」ムカムカッ 

357 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/09(土) 10:56:17 ID:XMzSHEVk
勇者「……分かった」

勇者「これは、カーネルには渡さないでおく」

勇者「その代わりに、大賢者様からの手紙を渡してくれ」

勇者「それさえ済めば、今のあんたはもう帰っていい」

勇者「だから、早く手紙を渡してくれ」

魔女「……」キラキラッ

子豚「はい、大賢者様からの手紙」クルッ

子豚「今の私の背中の上にくくり付けてるでしょ?」

子豚「それ、早く抜き取ってくれる?」

子豚「今の私、重くて重くて仕方ないんだけど」

魔女「……」キラキラッ

スッ、ポツ、コロン、シュッ……

勇者「子豚、手紙取ったぞ」

勇者「ついでに、あの石も入れといた」

勇者「だから、それを大賢者様にお渡しをしてくれ」 

358 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/09(土) 10:56:32 ID:XMzSHEVk
子豚「了解、任せといて」

子豚「この石は、至急大賢者様の元で保管して貰うわ」

子豚「あっ、それと、大魔導師様がこの島に来てるみたいよ」

子豚「確か、つい数日前からこの島に来てるはず」

子豚「今後は、大魔導師様にも助けを求めた方が良いのかもしれないわね」

魔女「……」キラキラッ

勇者「おお、そうか……」

勇者「あの大魔導師様が、この島に来てるのか……」

勇者「それはそれで、色々と心強い……」

勇者「大魔導師様がいれば、かなりの戦力……」

勇者「さすがのカーネルも、大魔導師様には叶うはずない!」

魔女「……ん?」ハッ

子豚「そうね、色々と心強いわね」

子豚「あの人、今は鹿に化けてるから」

子豚「なんか、あの人は鹿に化けるのが趣味みたいな人だから」 

359 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/09(土) 10:56:46 ID:XMzSHEVk
勇者「鹿?」

勇者「あの人、鹿になれるのか?」

勇者「一体、それはどんな鹿なんだ?」

魔女「……」

子豚「さぁ、よくは覚えてないわ」

子豚「でも、勇者ならすぐに気づくはず」

子豚「あの人、鹿のままでも人語は話せるから」

子豚「だから、鹿に話し掛けてみて反応があったら、それが大魔導師様だから」

魔女「……」

勇者「分かった。探してみる」

勇者「それと、大賢者様には賢者殿達の件をしっかりと報告をしてくれ!」

勇者「このままだと、今の俺達は確実にカーネルによって汚名を着せられる!」

勇者「今の俺達には、決して非はない!」

勇者「だから、是非とも大賢者様にもお力添えをお願いしたい!」

魔女「……」 

360 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/09(土) 10:57:00 ID:XMzSHEVk
子豚「ええ、了解したわ」

子豚「大賢者様にも、そう伝えとくわ」

子豚「勇者、絶対に気を付けてよね」

子豚「今のあの子、勇者達の事を完全に潰す気だから!」

子豚「自身にこれまで酷い仕打ちをしてきた人々に対して、本気で復讐をするつもりだから!」

魔女「……」

勇者「分かった。子豚も気をつけてな」

勇者「今後会う時は、丸焼きにしないでおく」

勇者「だから、もう行って良いぞ」

勇者「そろそろ、ここも人通りが増える」

勇者「だから、早く子豚もここを出るんだ!」

子豚「……そう、それじゃあね!」

勇者「またな」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

シュッ、シュン…… 

361 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/09(土) 18:51:06 ID:XMzSHEVk
勇者「……」

魔女「……」

勇者「……」

魔女「……」

勇者「……」パサッ

勇者「……」パラパラッ

勇者「!?」ガーーン

魔女「……?」

勇者「……」プルプル

勇者「……」プルプル

魔女「……」

ユラッ、ユラユラッ……

魔女「……?」

ユラユラッ、ユラユラッ……

ドサッ、バタッ…… 

362 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/09(土) 18:51:19 ID:XMzSHEVk
魔女「なっ!?」

勇者「……」プルプル

魔女「……」ジーーッ

勇者「……」プルプル

警備兵達「……」サッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、カシャン、スッ……

警備兵「おい、大丈夫か?」

警備兵「このまま、病院にまで運んでやろうか?」

警備兵長「……」

勇者「いえ、大丈夫です……」

勇者「ちょっと、急に目眩がしただけです……」

魔女「……」

警備兵「そうか、只の目眩か」

警備兵「その分なら、まだ大丈夫そうだな」 

363 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/09(土) 18:51:37 ID:XMzSHEVk
警備兵長「勇者殿、カーネルからの御伝言がございます」

警備兵長「昨日捕縛された戦士と魔法使いの裁判は、明日の午後三時より山上にある教会にて執り行われます」

警備兵長「勇者殿には、身元引き受け人として裁判に出廷して頂き、僧侶はその裁判を傍聴」

警備兵長「戦士と魔法使いは初犯ですので、罰金刑又は執行猶予が下される可能性が高く、今後も魔王を討つ旅を続ける事が出来る様です」

勇者「……」ピクピクッ

警備兵長「それと、僧侶に関しては“まるで●●の館の様な外観をした酒場”にて、本日から宿を取っています」

警備兵長「あまり、勇者殿は逃げ隠れをせずにそこで宿をお取り下さい」

警備兵長「勇者殿は、全くもって何もされていないのですから、自由に僧侶とは面会が可能」

警備兵長「なるべく、僧侶と一緒にいてくれた方が探す手間が省けるとの仰せです」

勇者「……」ピクピクッ

警備兵長「とりあえず、我々はこれで失礼致します」

警備兵長「勇者殿も、お気を付けて」

勇者「……」ピクピクッ

魔女「……」サッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ…… 

364 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/09(土) 18:52:10 ID:XMzSHEVk
魔女(勇者、何で倒れたのよ?……)

魔女(一体、あの手紙を読んだ後に何があったのよ?……)

魔女(まずは、勇者の元に近づいて手紙をすぐに奪取……)

魔女(後は、引き上げさせた警備兵を呼び戻し、勇者達を捕縛すると言うのも良いわね……)

勇者「……」ピクピクッ

魔女(でも、この辺って確か盗賊達がいるって話なのよね?……)

魔女(元々、この辺は鉱員の為の住宅……)

魔女(それが、知らない内に移民によって勝手に使用されてた……)

魔女(これ、かなり問題なはずなのよね?……)

勇者「……」ピクピクッ

魔女(あっ、何か盗賊達が出てきた……)

魔女(さすがに、今の勇者には気づいたみたいね……)

魔女(まぁ、今の所はまだあの二人は捕縛しなくて良いか……)

魔女(それより、今の私はあの子豚の方がとても重要……)

魔女(後で、大賢者様に頼んでみよ~~っと……) 

365 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/09(土) 18:52:23 ID:XMzSHEVk
盗賊「おい、勇者、大丈夫か!?」ダッ

盗賊「まさか、もうカーネルにやられたのか!?」ガシッ

勇者「……ちっ、違う……」ピクピクッ

盗賊「だったら、一体何が原因なんだ!?」

盗賊「今のお前、完全に死に掛けてるぞ!?」ユサユサッ

勇者「……」ピクピクッ

武闘家「盗賊、勇者を家の中に入れるぞ!」

武闘家「今なら、まだ人では少ない!」

武闘家「だから、早く家の中に入れるんだ!」

盗賊「おう!」サッ

魔女「……」ジーーッ

「ジュリエット。どうするつもりじゃ?」

「あの三人は、まだ捕縛せぬのか?」ヌッ

魔女「!?」ビクッ、クルッ

大魔導師「……」 

366 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/09(土) 18:52:55 ID:XMzSHEVk
魔女「いつ、あそこから抜け出して来たんですか?……」

魔女「まだ、あの三人を捕縛するつもりはありません……」

魔女「相変わらず、かなり師匠はしぶといですね……」

魔女「今度は、ゴキブリにでもして差し上げましょうか?……」

勇者「……」ピクピクッ

大魔導師「……ジュリエット。今は冗談を言っている暇はない!」

大魔導師「今は平時ではなく、有事なのだ!」

大魔導師「とりあえず、ここを移動するぞ!」

大魔導師「少し、お主には儂に付き合ってもらう!」

大魔導師「良いな?」

魔女「はっ、仰せのままに!」ビシッ

ガチャ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

シュッ、シュン…… 

367 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/10(日) 09:29:13 ID:DZ5dXY4k
~とある砂浜~

ザザーーン、ザザーーン……

カァ、カァ、カァ……

大魔導師「この島は、のどかじゃのぅ」

大魔導師「王都と違い、海に近い」

大魔導師「お主が、この島を新たな拠点にしたのも頷ける」

大魔導師「ここは、王都にも遠くハーフエルフを匿うには売って付けの場所じゃな」

魔女「……」

大魔導師「のぅ、ジュリエット」

大魔導師「お主は、ここの伯爵に仕えて何年になる?」

大魔導師「お主の事じゃ、もう結構長いのじゃろう」

大魔導師「今回、儂がここに来たのは、ある目的の為じゃ」

大魔導師「今のお主は、良い意味でも悪い意味でも目立ち過ぎた」

大魔導師「そう、この国全体を大きく揺るがす程にな」

魔女「……」 

368 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/10(日) 09:29:26 ID:DZ5dXY4k
大魔導師「ジュリエット、儂の質問に答えよ」

大魔導師「お主は、ここで一体何をするつもりなのじゃ?」

大魔導師「今のお主は、あの糞国王ですら恐れておる」

大魔導師「主に、お主の経歴や親類等」

大魔導師「今のお主は、この国だけでなく世界全体にも、大きな影響を持つ様になってしまったのじゃ」

魔女「……」

大魔導師「まぁ、今のお主が儂の事を信用していないのも頷ける」

大魔導師「お主にとって、儂は裏切り者じゃ」

大魔導師「あの時、儂はお主の事を助けなかった」

大魔導師「それが原因で、あの時のお主は哀れにも討ち死」

大魔導師「その後は、こうして今この島で平穏無事に過ごしておる」

大魔導師「今のお主は、本当に昔と比べて大きく変わったのぅ」

魔女「……」

ザザーーン、ザザーーン……

カァ、カァ、カァ…… 

369 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/10(日) 09:29:41 ID:DZ5dXY4k
魔女「師匠、一体何をおっしゃりたいのですか?」

魔女「今の私、師匠のおっしゃりたい意味が分からないのですが」

魔女「それに、私はただこの国に散らばっているハーフエルフ達を保護しているだけの事」

魔女「それが、一体何故いけないのでしょうか?」

魔女「国王陛下が、今の私如きを恐れる等かなり不可解な事だと思いますが」

大魔導師「……」

魔女「やはり、師匠も私の事を邪魔だと思っておられるのですね」

魔女「この島の住民達の中にも、今の師匠の様に私の事が邪魔だと言う人はかなりいます」

魔女「それでもなお、私は伯爵様に仕える身」

魔女「今後も、この島の住民達の為にお仕えするのが私の役目」

魔女「それが、ハーフエルフとしてこの世に生まれた私の課せられた宿命」

魔女「“この世に生を受けたハーフエルフは、人間の為に死ぬまで尽くせ!”」

魔女「それが、私達が教えられてきた事の一つでもあります!」

大魔導師「……」

ザザーーン、ザザーーン…… 

370 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/10(日) 09:29:55 ID:DZ5dXY4k
大魔導師「ジュリエット。お主は、本当にそう思っておるのか?」

大魔導師「今のお主に、嘘偽りはないのじゃな?」

魔女「はい!」

大魔導師「なら、この島に駐屯する異常な数の兵は一体何じゃ?」

大魔導師「お主は、一体どこからそれらの兵を連れて来たのじゃ?」

魔女「え?」

大魔導師「この島に来た時から、儂は妙な違和感を感じておった」

大魔導師「あの兵達は、お主が扱う特殊な召喚術によるもの」

大魔導師「あの時より、今のお主は強くなり過ぎた!」

大魔導師「それが原因で、今のお主は色々と誤解されておる!」

大魔導師「何故なら、それを広めていたのがお主自身じゃ!」

大魔導師「お主が、ハーフエルフ達の為に取った行動が全ての原因!」

大魔導師「下手したら、自分達の身すら大いに危うい!」

大魔導師「それ程、あの糞国王を始めとする多くの人間達が、今のお主の事を恐れておるのじゃ!」

ザザーーン、ザザーーン…… 

371 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/10(日) 09:30:08 ID:DZ5dXY4k
魔女「へぇ~~っ、そうなんですか」

魔女「よっぽど、皆さんには身に覚えのある事が多過ぎるのですか」

魔女「それなら、今の私はこの国に住む全てのハーフエルフ達の為に、今後も行動をさせて頂きます!」

魔女「今まで、私達ハーフエルフは大いに人間及びエルフ達によって、長年苦しめられてきました!」

魔女「たとへ、師匠が国王陛下に命じられ、私の事を始末すると言うのなら、喜んでこの場で殺されます!」

魔女「私が死ねば、師匠達も満足でしょう?」

魔女「邪魔者は、ただ無言で消え去るのみ!」

魔女「師匠は、こんな私でも長い間可愛がって下さりましたからね!」

魔女「師匠に殺されるのなら、今の私は大いに本望です!」ニッコリ

大魔導師「!?」ガーン

魔女「それで、師匠はどうなさるのですか?」

魔女「私の事、師匠自らの手で殺せますでしょうか?」

魔女「なんなら、私自らこの場で命を絶って差し上げても宜しいのですよ!」

魔女「生まれて始めて、本気で愛した人に看取られて死ぬ!」

魔女「そう言うのも、ロマンチックで良いのかもしれませんね!」ニッコリ 

372 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/10(日) 09:30:40 ID:DZ5dXY4k
大魔導師「まっ、待て、ジュリエット!」

大魔導師「儂がここに来たのは、お主の暮らし振りを見に来ただけじゃ!」

大魔導師「儂は、そんな事は決して望んどらん!」

大魔導師「あの糞国王からも、そんな命令は受け取らん!」

大魔導師「じゃから、決して早まるな!」

大魔導師「また、儂だけを残して死に急ぐでない!」アセアセッ

魔女「……」

大魔導師「それに、儂はもう二度とお主の事を死なせないと誓ったのじゃ!」

大魔導師「あの時は、儂の所為でお主は死んだ!」

大魔導師「その事だけが、ずっと心残り!」

大魔導師「未だに、糞国王からはその事で嫌みを言われ続けておる!」

大魔導師「今の儂は、未だに世間からは異端者扱いされておるんじゃ!」

大魔導師「あの糞国王にも、そんな命令は受ける立場ですらない!」

魔女「……」

周囲「……」ザワザワッ 


375 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/11(月) 07:03:12 ID:DKljc.Sw
魔女「じゃあ、何であんな誤解を受ける様な事をおっしゃられたのですか?」

魔女「今の私、本気でそうなると思ったのですけど」

魔女「元々、私達ハーフエルフは家畜以下」

魔女「この世には、絶対に生まれてきてはいけない忌々しい存在」

魔女「そうして、長い間エルフと人間からは差別されてきました!」

魔女「私が死ねば、ハーフエルフ迫害禁止条約が無効に出来る!」

魔女「今の私からしてみれば、ただ単に邪魔者を排除しに来た様にしか全く思えなかったのですけど!」

周囲「!?」

大魔導師「じゃから、それはお主の誤解じゃからって!」

大魔導師「儂がここに来たのは、今のお主の暮らし振りを見に来ただけじゃ!」

大魔導師「第一、今の老いた儂じゃ、お主に勝てるかどうかもさっぱり分からん!」

大魔導師「お主は、儂が育てた中でも最高の弟子じゃ!」

大魔導師「あんな、“神にも勇者にも選ばれたとかほざく馬鹿者”とは、遥かに違う!」

大魔導師「じゃから、今のお主は儂の事を信用してくれって!」アセアセッ

ザザーーン、ザザーーン…… 

376 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/11(月) 07:03:44 ID:DKljc.Sw
魔女「なら、この場ですぐそれを証明して下さい!」

魔女「師匠は、私の事を本気で愛してくれたのですよね?」

魔女「あの時の私、実は本当の所はあまり嫌じゃなかったのですよ!」

魔女「師匠が望むのなら、私はあのまま師匠にされるがままの状態にいました!」

魔女「あの時の私、師匠に買われてまもない頃でしたし!」

魔女「師匠だけは、私の事を昔から可愛がって頂きましたから!」

周囲「!?」ガー-ン

大魔導師「ジュリエット!?」アセアセッ

魔女「だから、師匠は私の事を今すぐ抱いて下さい!」

魔女「今でも私、あの頃の事を思い出すんですよ!」

魔女「特に、師匠の●●に付いている●●は、とても大きかった!」

魔女「気がついた時には、その事ばかり考えているんです!」

魔女「師匠が望むのなら、大人になった私の体を味わっておいても宜しいのですよ!」テレテレ

周囲「……」ギロッ

大魔導師「……」ダラダラッ 

377 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/11(月) 07:04:00 ID:DKljc.Sw
魔女「まぁ、そう言う事ですから、師匠は今晩空いてますでしょうか?……」

魔女「久し振りに、私は師匠に抱いて貰いたいです……」

魔女「師匠は、私の初めてを奪った人でもありますし……」

魔女「あの頃の私、もしかしたら出来ちゃってたと思います……」テレテレ

大魔導師「……」ダラダラッ

魔女「ですから、今後は無理矢理に私の事を●●ず、優しくして下さいね!」

魔女「今の私、師匠にならこの身を委ねる事が出来るんです!」

魔女「師匠は、生まれて始めて本気で愛した男の人ですし……」

魔女「師匠が望むのなら、昔みたいに奴隷になる事も構いませんからね!」ニッコリ

大魔導師「……」ダラダラッ

周囲「……」ギリギリッ

魔女「……」ニコニコ

ジリジリッ、ムギュッ……

大魔導師「!?」

魔女「……」ニコニコ 

378 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/11(月) 07:04:32 ID:DKljc.Sw
役人2「おい、そこの警備兵……」

役人2「今すぐ、あの爺さんを捕らえろ!……」

役人2「あの爺さん、とても良い度胸してるよな?……」

役人2「俺達ですら、あんなカーネルクラスの女に手を出せねぇのに、カーネル自らご指名ときた……」

役人2「一体、あんな年老いた爺さんの何が良いんだ!?……」

役人2「いくらカーネルの師匠だからって、あんな年老いた爺さんが良い思いをして良いのか!?……」ギリギリッ

周囲「……」ギリギリッ

役人3「ああ、そうだな……」

役人3「俺の妻も、あんなカーネルぐらいの美人だったら良かったんだよな……」

役人3「それに比べて、今の俺の妻なんて歳を取る度に金金金……」

役人3「俺の娘も、若い頃の妻に似て美人なんだがカーネルにはとても及ばん……」

役人3「おまけに、ここ最近は反抗期ときた……」

役人3「いくら、ここが治安が良過ぎるからって、夜遊びまでするなっての!……」ギリギリッ

周囲「……」ギリギリッ

ザザーーン、ザザーーン…… 

379 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/11(月) 07:05:03 ID:DKljc.Sw
役人2「それで、警備兵……」

役人2「あの爺さんの事、今すぐ捕縛してくれるのか?……」

役人2「それとも、あのまま放置しておくのか?……」ギリギリッ

役人3「……」ギリギリッ

警備下士官3「いえ、ご心配なく!」

警備下士官3「これより、あの老人の捕縛に向かいます!」

警備下士官3「コーポラル。至急、警備隊長に連絡!」

警備下士官3「カーネルが、敵の誘惑魔法に掛かってしまった!」

警備下士官3「これより、容疑者を捕縛するとな!」

警備兵長3「はっ! 了解致しました!」

警備兵長3「これより、報告に行って参ります!」

周囲「おおっ!」ザワザワッ

役人2「さすがは、カーネルに忠実な警備兵達だ!」ピカァ

大魔導師「……」ダラダラッ

ザザーーン、ザザーーン…… 

380 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/11(月) 07:05:18 ID:DKljc.Sw
魔女「師匠、これからどうなさるおつもりですか?……」

魔女「私の事、今夜は抱いて頂けるのですか?……」ニコニコ

大魔導師「……」ダラダラッ

魔女「私、師匠が来る事をお待ちしております!」

魔女「あの時と同じ様に、師匠は必ず私の元に来て頂けると信じております!」ニコニコ

大魔導師「……」ダラダラッ

魔女「ですから、師匠はもう二度と私の事を裏切らないで下さいね!」

魔女「私、師匠の事を信じてますから!」

魔女「この私からのお願い、師匠は受け入れて頂けますでしょうか?」ニコニコ

大魔導師「……」コクン、ダラダラッ

魔女「!?」ピカァ、ムギュッ

周囲「!?」ガー-ン

役人2「なん……だと……!?」ギリギリッ

役人3「そんな……馬鹿な……!?」ギリギリッ

ザザーーン、ザザーーン…… 

381 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/12(火) 08:26:29 ID:yk7E.IK.
警備下士官3「コーポラル、何をもたもたしている!」

警備下士官3「早く、警備隊長の元に行かんか!」

警備下士官3「このままだと、本当にカーネルが襲われてしまう!」

警備下士官3「そこで、突っ立ってないでさっさと行かんか!」

警備兵達「……」

警備兵長3「ですが、カーネルからの許可が出ていません!」

警備兵長3「カーネル自身が、“邪魔をするな”と言うサインを出しております!」

警備兵長3「今の所、カーネル自身は無事!」

警備兵長3「このまま、カーネルが襲われる確率は低いと思われます!」

警備兵達「……」

警備下士官3「なら、何故カーネルはあんな年老いた爺さんに色目を使ってるんだ?」

警備下士官3「あれは、普段のカーネルからしてみたら、絶対にあり得ない光景だろ?」

警備下士官3「今まで、カーネルには男気が全くなかった!」

警備下士官3「いくら何でも、あれは普段と違ってかなりおかし過ぎる!」

ザザーーン、ザザーーン…… 

382 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/12(火) 08:26:43 ID:yk7E.IK.
警備兵長3「サージェント。ここは、少し様子を見る事に致しましょう!」

警備兵長3「カーネルにも、何か考えがあるはずです!」

警備兵長3「今の我々は、当初からの命令通りに帰省者達の護衛!」

警備兵長3「それを果たすのが、筋だと思います!」

警備兵達「……」

警備下士官3「ああ、了解した……」

警備下士官3「悔しいが、カーネルを信じるしかない様だな……」

警備下士官3「総員、すぐに列を整えろ!」

警備下士官3「帰省者達は、前を向いてすぐに整列!」

警備下士官3「生きてこの島を出たかったら、すぐに我々の言う通りにしろ!」

警備下士官3「これから、再び船着き場へと向かう!」

警備下士官3「元々、貴様達全員は犯罪者!」

警備下士官3「海を渡って本土にある港町に着くまでが、貴様達に課せられた最後の試練なのだからな!」

周囲「……」ギリギリッ

ザザーーン、ザザーーン…… 

383 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/12(火) 08:26:57 ID:yk7E.IK.
役人2「さぁ、並んだ並んだ」

役人2「きちんと整列をしないと、船着き場にまで辿り着けないぞ!」

役人2「特に、あの二人の姿は絶対に見るな!」

役人2「生きてこの島から出たいなら、絶対に見るんじゃないぞ!」

周囲「……」ギリギリッ

ササッ、ササッ……

役人2「よ~~し、それで良い!」

役人2「さぁ、再び船着き場まで行くぞ!」

役人2「サージェント、先導を頼む!」

役人2「コーポラルは、帰省者達の背後!」

役人2「さぁ、皆早く進むんだ!」

役人2「もたもたしてると、全くカーネルに捕縛されるぞ!」

周囲「……」ギリギリッ

クルッ、スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ザザーーン、ザザーーン 

384 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/12(火) 08:27:10 ID:yk7E.IK.
魔女「うふふっ……」

魔女「かなり、今の私達は目立ってましたね……」

魔女「まるで、本当のカップルかの様に……」

魔女「どうやら、私の思い過ごしだった様です……」

魔女「あの中には、私の命を狙う刺客は含まれていない!」

魔女「それが分かっただけでも、かなりの収穫でもありますよ!」ニコニコ

大魔導師「……」

魔女「師匠、まさかとは思いますがお気づきになられなかったとか?」

魔女「今の私、師匠の事をからかっていたんですよ?」

魔女「ああして、この私の命を狙う刺客を炙り出し」

魔女「まぁ、今回は何も起きませんでしたが、それはそれで仕方ないですよね?」ニコニコ

大魔導師「……」

スッ、スタスタスタッ……

ザザーーン、ザザーーン……

カァ、カァ、カァ…… 

385 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/12(火) 08:27:23 ID:yk7E.IK.
魔女「それで、師匠はどうなさるんです?」

魔女「このまま、この町に滞在なさるのですか?」

魔女「もしくは、王都にまで戻られるのですか?」

大魔導師「……」

魔女「今の私、どちらでも構いませんよ」

魔女「このまま、この島に留まるのでも良いし、王都にまで戻られるのも良い」

魔女「それについては、師匠ご自身がお決めになる事」

魔女「私は、それ次第ではここの軍の責任者としての職責を果たさせて頂きます!」

大魔導師「……」

魔女「ですから、今後は鹿としてこの島に滞在するのではなく、人としてもこの島に滞在をして下さいね!」

魔女「今の師匠は、失礼ながらこの島の住民達にとっては不穏分子!」

魔女「この島には、よく昔からお尋ね者達が数多く流れて参ります!」

魔女「今の私は、この島の治安維持及び防衛を担当している伯爵様の臣下」

魔女「場合によっては、今ここにいらっしゃる師匠の事すらも取り締まる必要が出てきます!」

ザザーーン、ザザーーン…… 

386 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/12(火) 08:27:38 ID:yk7E.IK.
魔女「ですから、師匠は今後は鹿としてでなく人としても行動をなさって下さいね」

魔女「じゃないと、またつい数日前までの様に師匠の事をずっと鹿の姿にしたまま」

魔女「おかげで、色々と遥か昔の辛い記憶すら思い出してしまいましたし……」

魔女「本当に、師匠はよく私の事を泣かせるのがお好きな様ですね……」ニコニコ

大魔導師「……」

魔女「……」ニコニコ

大魔導師「……ジュリエット」

大魔導師「そなたの気持ちはよく分かった」

大魔導師「この数日間、久し振りにお主と直に接してみたが、お主は昔と全く変わらない様じゃな」

魔女「……?」

大魔導師「今の儂は、それを知る事で少なからずは安心した」

大魔導師「あの糞国王にも、今のお主の気持ちを嘘偽りなく伝える事が出来る!」

大魔導師「今まで、儂はずっとお主の事が心配じゃった!」

大魔導師「この島で、お主が転生をしたと知った時は、すぐにでもお主の元に駆けつけたかった!」

ザザーーン、ザザーーン…… 

387 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/13(水) 05:37:04 ID:TjWUU9Js
大魔導師「じゃが、それは当時の儂にはとても出来んかった!」

大魔導師「その当時の儂は、不覚にもお主の事を死なせてしまった事が原因で、お主の元に行く事が禁じられておった!」

大魔導師「何故なら、お主はずっとハーフエルフとして五度も転生!」

大魔導師「今のお主は、人間だけでなくエルフ達の間にも大きく知れ渡っておる!」

大魔導師「それだけ、今のお主は人によってはかなり危険な存在!」

大魔導師「今後も、お主の前は数多くの苦難が立ちはだかるであろう!」

大魔導師「じゃが、今のお主なら、その苦難には難なく立ち向かえるはずじゃ!」

大魔導師「今のお主には、お主を慕って着いてくる者達がおる!」

大魔導師「お主の事を、種族を越えて認めてくれている者もおる!」

魔女「……」

大魔導師「ジュリエット、決して己の信念を曲げずに困難に立ち向かえよ!」

大魔導師「これから、儂はどれだけお主の事を守れるかどうかは、さっぱり分からん!」

大魔導師「今のお主は、ハーフエルフ達にとっては救世主!」

大魔導師「今ここにおるお主こそが、ハーフエルフの長になるべき存在なのじゃ!」

魔女「……は?」 

388 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/13(水) 05:37:20 ID:TjWUU9Js
大魔導師「まぁ、そう言う事じゃから、お主はこれからハーフエルフの長を名乗るが良い!」

大魔導師「これについては、もう既にあの糞国王やエルフの里の族長にも話を通しておる!」

大魔導師「それに、今のお主の為に儂は新たな拠点を用意しといた!」

大魔導師「その新たな拠点とは、ハーフエルフ専用のこの島のすぐ隣にある無人の島じゃ!」ニヤニヤ

魔女「!?」

大魔導師「そこに、お主は新たな居住区を築くが良い!」

大魔導師「これについても、お主の主君でもあるXXXXXXX伯も認めておる!」

大魔導師「じゃから、就任おめでとう! ジュリエット!」

大魔導師「今後は、お主はハーフエルフの長として、全国各地からここに転居してくるハーフエルフ達の面倒を全て見て貰う!」

大魔導師「おまけに、全国各地のハーフエルフを所有する者達が、相次いで何故か素直に手放してのぅ」

大魔導師「それだけ、今のお主の名は世に知れ渡った!」

大魔導師「今のお主は、今までこの儂が手掛けてきた中では、最高の弟子じゃ!」ニヤニヤ

魔女「……」ポカーーン

ザザーーン、ザザーーン……

カァ、カァ、カァ…… 

389 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/13(水) 05:37:35 ID:TjWUU9Js
大魔導師「さて、儂はお主に対する用件は済んだ事じゃし、本日の宿でも取るとしよう」

大魔導師「やはり、宿を取るにはあの酒場でないと駄目か?」

大魔導師「あそこは、若い女の子とヤレるサービスはあるのかのぅ?」ニヤニヤ

魔女「……」ポカーーン

大魔導師「ジュリエット、儂の話を聞いておるのか?」

大魔導師「今の儂は、かなり禁欲が出来とらんぞ!」

大魔導師「ついさっきまで、儂は本気で理性が崩れ掛けとった!」

大魔導師「お主に、生まれて始めて誘惑魔法なしで迫られて、必死に理性を働かせておった!」ニヤニヤ

魔女「……」ポカーーン

大魔導師「とりあえず、今宵はお主が拠点としている酒場の方に、宿を取る事にしよう!」

大魔導師「お主は、そのまま夕食後に儂の部屋に来れば良い!」

大魔導師「何故なら、今回はお主の方から迫ってきた!」

大魔導師「今更、それを取り消せと言うのはとても無理な相談じゃ!」ニヤニヤ

魔女「……」ポカーーン

ザザーーン、ザザーーン…… 

390 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/13(水) 05:38:07 ID:TjWUU9Js
大魔導師「それで、お主の返事は?」

大魔導師「お主は、儂の部屋に来るのか? 来ないのか?」スッ、ムギュッ

魔女「!?」ハッ

大魔導師「……」ニヤニヤニヤ

魔女「……」ポカーーン

大魔導師「まぁ、今のお主の意思がどうこう言うより、儂の意思はそう簡単には変わらん!」

大魔導師「今のお主、本当に良い体つきになったのう!」

大魔導師「特に、そのお主の胸とか……」

大魔導師「お主は、本当に母親似じゃ」

大魔導師「元々、母に似て顔や体型等は常にトップクラス……」

大魔導師「お主の母親も、是非とも味わいたかった!」

大魔導師「それだけ、今のお主はナイスバディ!」

大魔導師「そう、この今の儂ですら未だにすぐさま●●させる程の存在なのじゃ!」

魔女「……」ガクッ

ザザーーン、ザザーーン…… 

391 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/13(水) 05:38:38 ID:TjWUU9Js
魔女「師匠……」

魔女「今宵は、つい先程のお約束通りに師匠の部屋に向かわせて頂きます……」

魔女「師匠には、ずっと長い間これまでお世話になってきました……」

魔女「この私が、ハーフエルフだと知りながらも、師匠だけが常に私の事を庇い続けてくれました……」ウルウルッ

大魔導師「……」ニヤニヤ

魔女「ですから、本日の夕方、この島に滞在しているもう一人のお弟子さんにも会ってあげて下さいね……」

魔女「師匠には、明日の裁判の事に関する通達を、この私に代わってして貰う事になります……」

魔女「その方が、この私に捕縛された戦士達もすんなりと納得をするはず……」

魔女「戦士達は、師匠とも面識がございますし、今回の役目は打ってつけかと思います……」ウルウルッ

大魔導師「……」ニヤニヤ

魔女「後、勇者XXXにもちゃんと会ってあげて下さいね……」

魔女「今の私は、師匠の●●を処理するだけの奴隷です……」

魔女「師匠は、今後も私の事をお好きに利用して下さい……」

魔女「そのまま、お好きなだけ●●●し続けて下さい……」ウルウルッ

大魔導師「……」ニヤニヤ 

392 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/13(水) 05:39:36 ID:TjWUU9Js
魔女「でも、これだけは絶対に覚えといて下さいね!」

魔女「それが済んだ後、師匠にはすぐさま残酷な死に方をして貰います!」

魔女「たとえば、ヒステリックでバイオレンスな奥様と一対一で決闘をするとか……」

魔女「望んでもいないのに、ただ一人だけで魔王軍に挑んで貰うとか……」

魔女「確実に、今の師匠にはそれに似合う残酷な死に方をすぐさまして貰う事になります!」ブワッ、ゴゴゴッ!

大魔導師「!?」ハッ、ガクガクッ

魔女「ですから、師匠は絶対に覚悟して下さいね!」ムクッ

魔女「師匠が私の事を●●●したいなら、師匠の気が済むまでとことんさせて差し上げます!」

魔女「それが終われば、師匠の前に立ちはだかるのは、常に絶望のみ!」

魔女「それだけ、今の師匠は昔と全く変わらず、最低最悪な女たらし!」

魔女「今の私、本気ですから!」

魔女「師匠が、その気なら今の私は確実に今の師匠に対して、それに似合った復讐をさせて頂きますからね!」ゴゴゴッ

大魔導師「……りょ、了解した」ガクガクッ、ササッ

ザザーーン、ザザーーン……

カァ、カァ、カァ…… 

393 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/14(木) 08:01:57 ID:lFTiekAs
ストトトトトッ、ストトトトトッ……

ピタッ、ササッ……

警備兵4「伝令!」

警備兵4「子爵様が、御乱心!」

警備兵4「今現在、伯爵様は子爵様と伯爵邸内にて交戦中!」

警備兵4「伯爵邸を警備する兵士達が、多数負傷しております!」

大魔導師「!?」

魔女「何ですって!?」ゴゴゴッ

警備兵4「カーネル。如何致しますか?」

警備兵4「至急、駐屯地から救援を向かわせますか?」

大魔導師「……」

魔女「私に聞かなくても、救援を差し向けなさい!」

魔女「一体、警備隊長は何してるのよ!?」

魔女「何で、私に救援を差し向けるかどうかの問い合わせをしてくるのよ!?」

ザザーーン、ザザーーン…… 

394 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/14(木) 08:02:28 ID:lFTiekAs
警備兵4「はっ、今現在、警備隊長は伯爵様と共に伯爵邸内にて戦闘中であります!」

警備兵4「ですが、子爵様の率いる私兵がかなり手強く、我が軍は苦戦!」

警備兵4「当初、救援に駆けつけた一個小隊が壊滅!」

警備兵4「その後は、隊長自らご出陣なされ、今現在も膠着状態となっております!」

大魔導師「……」

魔女「……至急、伯爵邸に向けて二個中隊を向かわせるわ!」

魔女「伯爵邸内にいる守備兵は、確か40ちょっと!」

魔女「一個小隊が壊滅をするくらいだから、敵はかなり手強いはず!」

魔女「私も、すぐにそちらに向かう事にするわ!」

大魔導師「!?」

警備兵4「はっ、了解致しました!」

警備兵4「至急、警備隊長にもそうお伝えします!」

警備兵4「それと、敵の数はおよそ40!」

警備兵4「主に、歩兵を中心とした編成となっております!」

ザザーーン、ザザーーン…… 

395 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/14(木) 08:02:42 ID:lFTiekAs
魔女「何だ、たった40ちょいなんだ……」

魔女「てっきり、もっと大群で来たと思ってた……」

魔女「その割には、何で報告が遅れたのよ?……」

魔女「伯爵邸のすぐ真横には、警備隊の駐屯地があるのに……」

魔女「何で、すぐ私に伝わらなかったのよ?……」

大魔導師「……」

警備兵4「はっ、それについては、例の賢者殿が一枚咬んでいた模様です!」

警備兵4「子爵様の目的は、伯爵様を暗殺して自身がこの島の領主になる事!」

警備兵4「それを終えた後に、この島に住むハーフエルフを一人残らず殲滅!」

警備兵4「実際、子爵様の率いる私兵の一部が病院にも押し掛けており、多数の負傷者を出しております!」

大魔導師「……」

魔女「なら、病院の方にも至急援軍を向かわせる!」

魔女「あんたは、大至急教会+役場に向かって非常事態宣言を発令!」

魔女「子爵様は、余計に自身の立場を悪くされた!」

魔女「このままだと、司教様達の身が危ないとすぐに伝えてきなさい!」 

396 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/14(木) 08:02:56 ID:lFTiekAs
警備兵4「はっ、了解致しました!」

警備兵4「至急、ご報告致します!」

警備兵4「敵は、かなり手強いようです!」

警備兵4「カーネルも、どうか道中をお気を付けて!」

魔女「了解したわ」

大魔導師「……」

スッ、クルッ……

ストトトトトッ、ストトトトトッ……

魔女「……」

大魔導師「……」

魔女「……」スッ

魔女「……」ササッ、ササッ

魔女「……」ビシッ

魔女「……」スッ

大魔導師「……」 

397 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/14(木) 08:03:10 ID:lFTiekAs
魔女「師匠。今から、少しお時間を頂けますか?」

魔女「今度は、師匠が私の用事に付き合って頂けると嬉しいのですが!」

大魔導師「……」

魔女「このままですと、伯爵様は子爵様に撃ち取られます!」

魔女「伯爵様だけでなく、司教様まで撃ち取られてしまいます!」

大魔導師「……」

魔女「ですが、師匠がどうしてもご都合が悪いとおっしゃるのなら、今から私一人で突撃を開始致します!」

魔女「その代わりに、師匠は本日の子爵様によるご謀反を、今すぐ国王陛下に連絡を!」

魔女「大魔導師でもある師匠が、国王陛下にお目通りをされれば子爵様も無視出来ません!」

魔女「いずれ、子爵様はこの島を治めるべき存在!」

魔女「それが、今回のご謀反が原因にて全てが水の泡!」

魔女「元々、子爵様は7歳の頃から王都にてお過ごしでした!」

魔女「今回のご謀反についても、それが原因だと推測されます!」

大魔導師「……」 

398 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/14(木) 08:03:26 ID:lFTiekAs
魔女「ですから、師匠はどうかご決断を!」

魔女「私は、師匠の事を信じてます!」

魔女「時間がないので、私は先に行かせて頂きますね!」

魔女「師匠も、どうかご決断の程を!」

魔女「今こそ、師匠は表だって再び動く時!」

魔女「それをなされば、後は周りが何とかお膳立てをして下さいますからね!」

大魔導師「……」

魔女「……」ペコッ

クルッ、ストトトトトッ……

ストトトトトッ、ストトトトトッ……

大魔導師「相変わらず、あの子はトラブルに巻き込まれるのぅ……」

大魔導師「ここ最近、まともに運動をしておらんかったし……」

大魔導師「少しは、良い運動になりそうじゃな……」

ザザーーン、ザザーーン……

カァ、カァ、カァ…… 

401 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/15(金) 12:47:26 ID:I5YZRl5E
~伯爵邸前~

ズバッ……

ズバスバッ……

ワーーーーッ、ワーーーーッ……

キーーーーン!

キンキン、キンキン……

ダダダダッ、ダダダダッ……

キーーーーン!

魔導士「くそっ、数が多過ぎる!」

魔導士「このままだと、全滅するぞ!」

キンキン、キンキン……

「弓隊、構え!」

「放て!」

スパパパパパパパッ!

魔導士「くっ、シールド!」シャキン 

402 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/15(金) 12:48:06 ID:I5YZRl5E
ストトトトトッ、ストトトトトッ……

カンカン、カンカン……

魔導士「……」

副官「魔導士、兵はどれだけいる?」

副官「今の貴様は、後どれだけの兵を出せるんだ?」

キンキン、キンキン……

ワーーーーッ、ワーーーーッ……

ダダダダッ、ダダダダッ……

魔導士「もうこれ以上、兵を出す事は出来ません!」

魔導士「カーネルの兵は、予想以上に多かった!」

魔導士「このままだと、我々は全滅します!」

魔導士「私の場合、まだ100名が限界なんです!」

魔導士「あんな無茶苦茶な数、今の私には到底出す事は出来ません!」

キンキン、キンキン……

ズバスバッ、ズバスバッ…… 

403 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/15(金) 12:48:37 ID:I5YZRl5E
副官「ちっ、この約立たずが!」

副官「貴様、それでも大魔導師様の息子か!」

副官「元はと言えば、全てあの憎きハーフエルフの所為!」

副官「でなければ、我らはここまでする必要はなかった!」

副官「あんな悪法、国内で制定される自体大きな過ちなのだ!」

魔導士「……」

スパパパパパパパッ、スパパパパパパパッ……

副官「魔導士。大至急、大魔導師様をここへ呼んで来い!」

副官「大魔導師様に、あの憎きハーフエルフ討伐に加勢して貰う!」

副官「そして、我らの理想を現実のものにするのだ!」

カンカン、カンカン……

魔導士「申し訳ありません。副官殿……」

魔導士「我が父は、昔からハーフエルフに肩入れをしております……」

魔導士「この島に訪れたのも、以前自宅で匿っていたハーフエルフに会う為……」

魔導士「その為に、我が父はこの島に来たのでございます……」 

404 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/15(金) 12:49:08 ID:I5YZRl5E
副官「ほう……あの大魔導師様がか?……」

副官「あの、大魔導師様が憎きハーフエルフ如きに骨抜きになっておるのか?……」

ダダダダッ、ダダダダッ……

キーーーーン、キーーーーン!

魔導士「はっ、正にその通りでございます!」

魔導士「我が父は、息子である私ではなく、そのハーフエルフばかり可愛がっておりました!」

魔導士「その上、そのハーフエルフは我が父ですら遥かに上回る実力の持ち主!」

魔導士「今現在は、この島を治める伯爵様の臣下!」

魔導士「今私達が戦っているカーネル・ジュリエットこそが、我が父が溺愛をしていたハーフエルフなのでございます!」

副官「なん……だと……!?」ガーーン

魔導士「……」

「歩兵隊、突撃用意!」

「敵の数は、大分減らせた!」

「後は、門前に残ってる指揮官達のみだ!」

魔導士「!?」ハッ 

405 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/15(金) 12:49:40 ID:I5YZRl5E
副官「くそっ、やられた!?」

副官「残っているのは、我々のみか!?」

魔導士「……」

「ええ、そうみたいね!」

「大人しく、あんたたちは投降をしなさい!」

「伯爵様に牙を向いた罪、今この場で思い知らせてあげる!」

「だから、命が惜しけばさっさと投降しなさい!」

魔導士「!?」

副官「カーネル……!?」ギリギリッ

ササッ、ササササッ……

ササササッ、ササササッ……

ササッ、ササッ……

魔女「……」シュタッ

警備兵達「……」チャキッ

負傷者達「……」ボロボロッ 

406 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/15(金) 12:49:53 ID:I5YZRl5E
魔導士「久し振りだな。ジュリエット……」

魔導士「まさか、こんな形で再会するとはな……」

副官「……」ギリギリッ

魔女「ええ、久し振りね。魔導士」

魔女「あんたとこうして会うのは、20年振りぐらいだったかしら?」

警備兵達「……」

魔導士「ジュリエット。何故、貴様は未だに生きている?」

魔導士「何故、そう何度も同じ姿でこの世に生を受けている?」

副官「!?」

魔導士「今の私には、それについてがさっぱり解らん!」

魔導士「父上に何度聞いても、頑なにそれだけは教えてはくれなかった!」

魔導士「おまけに、貴様は私から父上を奪った!」

魔導士「実子であるにも関わらず、ろくに父上に可愛がられた事のない私の気持ちが、今の貴様に分かるか!?」ギリギリッ

魔女「……」

負傷者達「……」ボロボロッ 

407 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/15(金) 18:22:35 ID:I5YZRl5E
魔女「う~~ん。全く、解らないわね」

魔女「だって、昔からずっと私は一人で生きてきたから」

魔導士「……」ギリギリッ

魔女「だから、師匠は私の親代わりだった」

魔女「ハーフエルフなのにも関わらず、私にも皆と同じ様に愛情を注いでくれた」

副官「……」ギリギリッ

魔女「それに、あんたは激しく嫉妬していたのよね?」

魔女「私が、ハーフエルフなのにも関わらず、師匠に愛されていたから」

魔導士「……」ギリギリッ

魔女「でも、師匠の目当ては所詮若い女」

魔女「その時、偶々師匠の視界に私が入っただけ」

魔女「それに加え、師匠は何かと理由を付けて私の事を執拗に●●●」

魔女「それを見かけたあんたは、すぐに騎士XXの元にまで訴えに行った」

魔女「止める村人達の事を何度も振り切り、私の事を追い出す為に必死で訴えに行った」

警備兵達「……」 

408 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/15(金) 18:22:50 ID:I5YZRl5E
魔女「まぁ、今の私はあんたには少なからず感謝してるわ」

魔女「今の私は、この島を治める伯爵様の臣下」

魔女「こうして、色々と好き勝手に動けるのも、あの時のあんたが犯した唯一のミス」

魔女「そのおかげで、私は色々と力を手に入れたわ」

魔女「私と同じハーフエルフ達の為に、今の私は行動をする事が出来ているのよ!」ニッコリ

魔導士「……」ギリギリッ

魔女「それで、今のあんた達はどうするの?」

魔女「まだ、このまま戦うの?」

魔女「それとも、投降をするの?」ニコニコ

副官「……」ギリギリッ

魔女「とりあえず、今のあんた達を即刻捕縛させて貰うわ!」

魔女「これについては、もうどうしようもない!」

魔女「それだけ、今のあんた達は極悪人なんだし!」

魔女「だから、この場で全員捕縛させて貰うわ!」ニコニコ

警備兵達「……」 

409 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/15(金) 18:23:03 ID:I5YZRl5E
魔女「第三中隊、伯爵邸内に突入せよ!」

魔女「第四中隊は、負傷者の確保及び敵指揮官達の捕縛!」

魔女「さぁ、早く掛かりなさい!」

警備兵達「はっ!」

ダダダダッ、ダダダダッ……

ダダダダッ、ダダダダッ……

魔導士「くそっ、来るな、来るな!」

魔導士「来るなって、言ってんだろうが!」ボウッ

警備兵5「ぎゃあっ!」

副官「貴様ら、来たら殺すぞ!」

副官「今の私は、本気なんだぞ!」ブンブン

ダダダダッ、ダダダダッ……

ズバスバッ……

ダダダダッ、ダダダダッ……

シュル、シュル…… 

410 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/15(金) 18:23:15 ID:I5YZRl5E
ストトトトトッ、ストトトトトッ……

ピタッ、ササッ……

警備兵6「伝令!」

警備兵6「病院付近及び病院内に展開中の敵部隊を撃破!」

警備兵6「その際に、多数の民間人の負傷者が出た模様!」

警備兵6「司教様に関しては、お命は無事!」

警備兵6「ですが、多数のハーフエルフが意識不明の重体です!」

負傷者達「……」ボロボロッ

魔女「そう、了解したわ」

魔女「他に被害は?」

魔女「どこか、他に被害は出なかったの?」

魔導士「ーーっ、ーーっ!」フガーッ、フガーッ

警備兵6「はっ、今の所特には」

警備兵6「ですが、今回の騒ぎで多数の住民達が混乱!」

警備兵6「各地で、今回の騒ぎに関する問い合わせが殺到しております!」 

411 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/15(金) 18:23:27 ID:I5YZRl5E
魔女「う~~ん、どうしようかな?」

魔女「誰か、代わりに上手く説明しといて」

魔女「私、ちょっと中に入ってくるから」

副官「ーーっ、ーーっ!」モゾモゾ、モゾモゾッ

魔女「それと、第一中隊はそのまま病院内及び病院付近を警備!」

魔女「第二中隊は、住民達に対する周辺道路の交通規制!」

魔女「後、弓隊は伯爵邸内に突入をした第三中隊の援護!」

魔女「さぁ、早く作業に戻りなさい!」

警備兵達「はっ!」

大魔導師「……」ヌッ

ストトトトトッ、ストトトトトッ……

バッ、シュタッ……

ストトトトトッ、ストトトトトッ……

ギギィーーーーーーーーッ!

ガチャ、ダ--ン…… 

412 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/15(金) 18:23:38 ID:I5YZRl5E
ズハッ……

ズバスバッ……

「ぎゃああああああああーーーーーーーーっ!?」

ズバスバッ、ズバスバッ……

グサッ、ドサッ……

「グエッ!?」

ストトトトトッ、ストトトトトッ……

ガチャ、ギギィーー--ッ、ダン……

「皆、玄関が開いたぞ!」

「さぁ、早く突入をするんだ!」

「おーーーーーーーーっ!」

大魔導師(ジュリエット、まさかここまで強くなってるとは……)

大魔導師(下手したら、確実に儂まで殺される……)

大魔導師(ただでさえ、色々と不機嫌にさせてしまったし……)

大魔導師(本当に、一体どうすれは?……)ハァ…… 

413 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/16(土) 12:22:25 ID:HCVq9KGo
~伯爵邸内・伯爵の部屋~

数分前ーー

子爵「父上、何故分かって頂けないのです?」

子爵「ハーフエルフは、全て皆殺しにするべきだ!」

子爵「今の私は、決して間違った事はしていない!」

警備隊長「……」

伯爵「黙れ! この愚か者めが!」

伯爵「貴様は、過去の先人達と同じ過ちを犯すつもりか?」

伯爵「我々が治めるこの島は、二度もハーフエルフによって救われた!」

伯爵「貴様は、一体王都で何を学んできたのだ?」

警備隊長「……」

子爵「父上、我が一族が王都にて何て呼ばれているかご存じですか?」

子爵「我が一族は、ハーフエルフによって傀儡にされた愚か者の一族!」

子爵「今の私には、その汚名がどうしても耐えられない!」

子爵「だから、こうして兵を出しているのです!」 

414 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/16(土) 12:22:39 ID:HCVq9KGo
伯爵「ふん、貴様。何も分かってはいない様だな」

伯爵「所詮、貴様は母と共にこの島を捨てた臆病者!」

伯爵「今更、この島が豊かになったから、この島を治めたいだと?」

伯爵「今の貴様に、この島を譲る道理はない!」

警備隊長「……」

子爵「父上、それは出来ぬ相談です」

子爵「今の私は、資金ぶりにもかなり苦労しているのです」

子爵「何故なら、今の私は貴方の嫡男だ!」

子爵「嫡男なら、それを相続する権利や義務がある!」

伯爵「……」

子爵「もうここらで、父上には退いて貰う!」

子爵「本日から、この島は私の領地だ!」

子爵「だから、ハーフエルフも全て殲滅をするのだ!」

警備隊長「……」

伯爵「……」 

415 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/16(土) 12:22:53 ID:HCVq9KGo
警備隊長「子爵様、もうこれ以上はお止め下さい!」

警備隊長「今の貴方がなさっているのは、ただの謀反だ!」

警備隊長「嫡男なら嫡男らしく、その時が来るまでお待ち下さい!」

警備隊長「今の貴方は、ただの愚か者だ!」

警備隊長「お父上を殺害して、民達が着いてくるとお思いか?」

伯爵「……」

子爵「黙れ! このカーネルの犬めが!」

子爵「私は、幼き頃よりずっと苦労してきた!」

子爵「我が一族の名を聞けば、皆が私の事を蔑みだす!」

子爵「今まで、私はずっとそれに苦しんできた!」

子爵「貴様なんかに、この私の苦しみが分かるものか!」

警備隊長「……」

伯爵「何だ、たったそれだけの事か」

伯爵「たったそれだけの事で、今の貴様は謀反を起こしてるのか?」

子爵「!?」 

416 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/16(土) 12:23:10 ID:HCVq9KGo
伯爵「言っとくがな、私は貴様以上に幼き頃より苦労してきた!」

伯爵「貴族でありながら、貴族とは思えぬ極貧生活!」

伯爵「この島では、身分すら関係がなく皆が同じ物を食べてきた!」

伯爵「時には、深刻な食料難が襲い、民達が次々と私の目の前で飢えて死んでいった!」

子爵「……」

伯爵「だから、今の私はカーネルがこの島に生まれた時、XXXXXX司教と共に強く誓った!」

伯爵「今後、我らはハーフエルフを決して迫害をしてはならない!」

伯爵「カーネルのおかげで、この島は再び救われた!」

伯爵「今この私の元に仕えているカーネルは、過去に一度この島を救ったハーフエルフの生まれ変わりなのだ!」

子爵「!?」

伯爵「貴様、その事を知らずにカーネルの事を追い出そうとしていたのか?」

伯爵「カーネルは、たとへどんなに自身が蔑まれようがそれに耐えておる!」

伯爵「私も、この島の過去を知る住民達も、カーネルの事を追放するつもりはない!」

伯爵「そんな事を言っているのは、それを知らぬ者達のみだ!」

伯爵「特に、各地から流れて来たりする者達がな!」 

417 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/16(土) 12:23:28 ID:HCVq9KGo
子爵「父上、貴方はやはりカーネルによって毒されている!」

子爵「貴方達が見たのは、ただの幻だ!」

子爵「たった一人のハーフエルフに、一体何が出来る?」

子爵「父上も、いい加減カーネルの事を神格化するのをお止め下さい!」

警備隊長「……」

伯爵「ふん。はざけ、ほざけ!」

伯爵「いくら、貴様がそれを否定しようと、その事実は変わらん!」

伯爵「私は、それをこの目でずっと見てきた!」

伯爵「今の貴様と違って、今の私は完全に正常なのだ!」

警備隊長「……」

子爵「父上、こんなに言ってもまだ分かっては下さらないのですか?」

子爵「父上は、あのカーネルによって完全に騙されているのです!」

子爵「元々、母上もハーフエルフの事を信用すらしていなかった!」

子爵「それが原因にて、母上と離婚!」

子爵「今でも母上は、この島に住むハーフエルフ達の事を、大いに嫌っております!」 

418 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/16(土) 12:23:43 ID:HCVq9KGo
伯爵「ほう、あの腐れアマがか?」

伯爵「あの腐れアマ、まだ生きていたのか?」

伯爵「どうせ、あの腐れアマの事だ、今の私が良い暮らしをしているからそれを妬んでいるのだろ?」

伯爵「今の貴様に、この島を相続する権利は微塵もない!」

伯爵「この島は、いずれ別の者が支配する事になるのだ!」

伯爵「それについては、国王陛下にもそう文書で伝えてもおる!」

子爵「!?」ガーーン

伯爵「だから、今の貴様がこの私を殺したとて無駄な事だ!」

伯爵「そもそも、離婚してすぐ母と共にこの島を去った貴様に、この島を相続をする権利はない!」

伯爵「私は、カーネルが生まれてすぐそれをしといた!」

伯爵「カーネルは、この島の繁栄には絶対に欠かせぬ存在!」

伯爵「それを欠けば、再びこの島は即刻地獄と化す!」

伯爵「それだけ、カーネルはこの島ではとても重要な存在であり、この島の住民達もカーネルには何の手出しはしていないのだ!」

子爵「……」プルプル

警備隊長「……」 

421 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/17(日) 08:42:08 ID:lPmdRCx.
ストトトトトッ、ストトトトトッ……

ピタッ、カシャン……

敵兵長「伝令!」

敵兵長「カーネルの軍勢が、再びここにまで接近!」

敵兵長「各地にいた味方は、既に全滅!」

敵兵長「まもなく、ここにまで到達する模様です!」アセアセッ

子爵「くっ……」プルプル

伯爵「子爵、もう諦めよ!」

伯爵「いずれ、カーネルは貴様の事も捕縛するであろう!」

伯爵「今の貴様は、本当に数多くの血を流させた!」

伯爵「だから、絶対にカーネルの差し向けた追っ手からは、逃げ切る事は出来やしない!」

子爵「……」プルプル

敵兵長「子爵様、如何致しますか?」

敵兵長「このままでは、全滅です!」

敵兵長「今の我らには、完全に勝気はありません!」アセアセッ 

422 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/17(日) 08:42:40 ID:lPmdRCx.
警備隊長「子爵様、もうお止めなさいませ!」

警備隊長「今の貴方は、まだ若い!」

警備隊長「こんな所で、人生を棒に降るのは勿体ない!」

子爵「……」プルプル

警備隊長「だから、どうか今すぐ投降をしてください!」

警備隊長「時期に、カーネルもここに到着を致します!」

警備隊長「今ならまだ間に合います!」

警備隊長「子爵様、早く投降して下さい!」

子爵「……」プルプル

ストトトトトッ、ストトトトトッ……

ピタッ、カシャン……

敵兵長2「伝令!」

敵兵長2「カーネルの率いる軍が、門前にまで到達!」

敵兵長2「その数、およそ200!」

敵兵長2「我が軍は、完全に包囲されています!」アセアセッ 

423 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/17(日) 08:42:56 ID:lPmdRCx.
敵兵長「子爵様、どうかご決断を!」

敵兵長「このままでは、我らは全滅をしてしまいます!」

敵兵長「やはり、本日に攻め込むのは無理がございました!」

敵兵長「賢者様がいない今、我らだけでは到底無理な様です!」アセアセッ

子爵「……」プルプル

伯爵「貴様、あの賢者とも通じておったのか?」

伯爵「あの者は、執拗にこの私にカーネルと縁を切れと訴えてきた」

伯爵「だが、今の私がカーネルと縁を切るつもりはないと知ると、XXXXXX司教にも同様な事をしていた!」

伯爵「その所為で、今のあの者は謹慎中の身」

伯爵「本当に、今の貴様は愚か者の様だな」

子爵「……」プルプル

警備隊長「子爵様、もう勝ち目はございません!」

警備隊長「ご自身の率いる兵と共に、今すぐ投降をされよ!」

警備隊長「今なら、まだ間に合います!」

警備隊長「今こちらにいらっしゃる伯爵様も、寛大な措置を取って頂ける様です!」 

424 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/17(日) 08:43:09 ID:lPmdRCx.
伯爵「子爵、もう諦めよ!」

伯爵「このまま行くと、今の貴様が待っているのは死あるのみぞ!」

伯爵「今回は、特別に寛大な措置を取ってやる!」

伯爵「だから、早く貴様は投降をするのだ!」

子爵「……」プルプル

敵兵長「子爵様、カーネルの軍勢が迫ってきております!」

敵兵長「もう時期、ここにまで到達をする頃でしょう!」

敵兵長「出来れば、早めにご決断をして頂きたい!」

敵兵長「今の私には、妻や子供もいる!」

敵兵長「出来れば、早く決断して頂きたい!」アセアセッ

子爵「……」プルプル

ガシャ----ン!……

ワーーッ、ワーーッ!……

キンキン、キンキン……

ダダダダッ、ダダダダッ…… 

425 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/17(日) 08:43:22 ID:lPmdRCx.
ズバッ……

ズバッ、ズバッ……

「ぎゃああああああああーーーーーーーーっ!?」

ダダダダッ、ダダダダッ……

キ----ン!

子爵「……」プルプル

伯爵「……」

警備隊長「それで、どうなさるのです?」

警備隊長「この邸内に、私の部下が流れ込んで参りました!」

警備隊長「いずれ、カーネルはここにまで到達を致します!」

警備隊長「出来れば、早く決断をして頂きたいのですが?」

子爵「……」プルプル

キンキン、キンキン……

ズバッ、ズバッ……

「ぐわああああああああーーーーーーーーっ!?」 

426 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/17(日) 08:43:36 ID:lPmdRCx.
ストトトトトッ、ストトトトトッ……

ピタッ、カシャン……

敵下士官「申し上げます!」

敵下士官「カーネルの軍勢が、邸内に流れ込んで参りました!」

敵下士官「敵の数が、かなり多過ぎます!」

敵下士官「早く、早くご撤退を!」

敵下士官「カーネルが、もう既にそこまでーー!?」アセアセッ

シュン、グシャッ……

敵下士官「ぐはっ……!?」

敵下士官「……」グラッ、ゴテッ

敵兵長達「!?」

伯爵「なっ、何事だ!?」

子爵「……」プルプル

敵兵長「し、子爵様……早くお逃げを……」

敵兵長「カーネルが……カーネルが……」ガクガクッ 

427 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/18(月) 07:09:57 ID:hJEJhDW2
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ササッ……

魔女「遅れて申し訳ございません。伯爵様」

魔女「カーネル・ジュリエット、只今参上致しました」

子爵「!?」プルプル

敵兵長達「……」ガクガクッ

警備隊長「……」

伯爵「ご苦労、カーネル」

伯爵「まだ、午前九時の鐘は鳴っとらんぞ」

伯爵「今のそなたは、朝から色々と走り回っていた様だな」

伯爵「そなたのする事、しっかりと全てこの私の耳にも入っておる」

子爵「……」プルプル

魔女「はっ、今私が謝罪したのは、この様な事態が起きていたのにも関わらず、救援が遅れた事についてです」

魔女「本来なら、今の私は極刑もの」

魔女「言い訳がましいかもしれませんが、勇者XXXを捜索中に今回の事件の知らせを受けたのでございます」 

428 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/18(月) 07:10:11 ID:hJEJhDW2
伯爵「うむ、そうか」

伯爵「相変わらず、そなたはよくこの島を走り回っておるな」

伯爵「して、勇者XXXのいどこは?」

伯爵「勇者XXXは、もう捕縛したのか?」

敵兵長達「……」ガクガクッ

魔女「はっ、未だ勇者XXXは捕縛しておりません」

魔女「ですが、今現在の勇者XXXは新たに加えた仲間二名と共に、この島の現在は使用されていない山上沿いの鉱員住宅に潜伏」

魔女「その中に、恐れ多くも執拗に伯爵様に付き纏っていた賢者殿の姿も確認され、今現在は別件にて捕縛中」

魔女「勇者XXXについては、まだ様子見の段階となっております」

子爵「……」プルプル

伯爵「ふむ、そうであったか」

伯爵「まさか、あの賢者が勇者とも関わり合いがあったとはな」

魔女「……?」

伯爵「……」ポリポリ

伯爵「……」スチャッ、カシャン 

429 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/18(月) 07:10:25 ID:hJEJhDW2
伯爵「カーネル。これより、新たな命令を下す!」

伯爵「即刻、別件でも賢者を捕縛せよ!」

伯爵「罪状は、本日の謀反に加担した罪!」

伯爵「それで、賢者及び今ここにいる子爵達を捕縛するのだ!」

子爵「……」プルプル

魔女「はっ、了解致しました」

魔女「これより、子爵様を捕縛させて頂きます」

魔女「他の者達も、捕縛致しますか?」

魔女「まだまだ、本日の謀反に加担した者達がいるはず」

魔女「今の私には、その様にしか全く思えないのですが」

敵兵長達「……」ガクガクッ

伯爵「ふむ、そうだな」

伯爵「その辺については、今のそなたに任せるとしよう」

伯爵「それで、まだ生き残りはいるのか?」

伯爵「まだ、各地で戦闘は繰り広げられているのか?」 

430 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/18(月) 07:10:56 ID:hJEJhDW2
魔女「はい、そのまさかです」

魔女「今現在、邸内以外にも各地で戦闘が繰り広げられております」

魔女「今の所、我が軍に敵う者なし」

魔女「司教様の元に差し向けられていた刺客達は、全て始末済みでもあります」

子爵「……」プルプル

伯爵「おおっ、さすがだ」

伯爵「そなたは、本当によく私の為に働いてくれる」

伯爵「それと、例の件については大魔導師から聞き及んでおるか?」

伯爵「そなたには、より一層この島の為に働いてもらう!」

伯爵「今のそなたは、この島に住む二千の民達の命運を握っておるのだ!」

警備隊長「……」

魔女「はっ、存じ上げております」

魔女「その件につきましても、大魔導師様から聞き及んでおります」

魔女「ですが、私の様な者が本当にその様な地位に就いても宜しいのでしょうか?」

魔女「どちらかと言うと、今の私には過ぎたるものとお思いますが」 

431 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/18(月) 07:11:10 ID:hJEJhDW2
伯爵「ふふっ、ふはははっ……」

伯爵「ふはははっ、ふはははっ……」

伯爵「カーネル、安心せよ!」

伯爵「今のそなたは、それに相応しいものを多数兼ね備えておる!」

伯爵「これについては、国王陛下はおろかエルフの里の族長ですら承認済み!」

伯爵「そなたには、昔からよく世話になった」

伯爵「だから、これは今までの事に対するそなたへの褒美なのだ!」ドヤッ

敵兵長達「……」ガクガクッ

魔女「はっ、しかと承りました」

魔女「今後も、私はより一層この島の住民達の為に尽くしていく所存です」

魔女「ですので、今後もどうか宜しくお願い致します」

魔女「たとへ、この私が過ぎたる地位に就きましても、これまでの上下関係には何も変わりません」

魔女「今の私は、今後も伯爵様の臣下であり続けます」

魔女「この島に生まれた時から、私の主君は伯爵様でございます」

警備隊長「……」 

432 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/18(月) 07:11:23 ID:hJEJhDW2
伯爵「うむ。合い分かった」

伯爵「早速、子爵を捕縛して下がられよ」

伯爵「あっ、そうそう、大魔導師に会ったらすぐにここに来る様に伝えてくれ」

伯爵「あの者に貸した100万G」

伯爵「まだ、私はそれを返して貰ってないのだからな」

魔女「はっ、仰せのままに」

警備隊長「……」スッ

子爵「……」シュルシュル

敵兵長達「……」シュルシュル

警備隊長「……」サッ、ササッ

伯爵「……」

魔女「……」

ストトトトトッ、ストトトトトッ……

ピタッ、カシャン……

「申し上げます!」 


435 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/19(火) 11:14:07 ID:McjfL5jY
伯爵「む? お主か」

伯爵「一体、何があった?」

魔女「……」

執事「はっ、恐れながら申し上げます!」

執事「たった今、大魔導師様がここにまでご到着!」

執事「至急、旦那様にお目通りをしたいと、仰せになっております!」

魔女「……」

伯爵「うむ。そうか」

伯爵「大魔導師を、ここへ連れて来い!」

伯爵「カーネルは、子爵達を駐屯地内にてすぐに拘留!」

伯爵「今回、捕縛した者達全員から徹底的に尋問をせよ!」

魔女「はっ、仰せのままに」ペコッ

警備隊長「……」

執事「……」チラッ

魔女「……」ササッ 

436 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/19(火) 11:14:23 ID:McjfL5jY
魔女「警備隊長。表に、中隊が二つ展開している」

魔女「貴方は、引き続きその中隊二つを率いて伯爵様の警護」

魔女「残り四つは、船着き場、病院、炭鉱周辺、各主要道路に展開」

魔女「本隊は、まだ一部の弓隊を除いて駐屯地内にて待機してるわ」

伯爵「!?」

魔女「それと、今回の死者は計25名」

魔女「昨日の死者と合わせても、50名は越えている」

魔女「だから、今の貴方は十分注意して行動をしなさい」

魔女「“今回は、偶々相手が悪かっただけ”と言う言い訳は、私は絶対に聞きたくない」

魔女「今回の事を教訓に、新たな部隊や規定等を新設するから、覚悟しといてよね」

警備隊長「はっ、了解致しました!」ビシッ

伯爵「……」チラッ

執事「……」コクン

魔女「……」

子爵「……」プルプルッ 

437 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/19(火) 11:14:36 ID:McjfL5jY
執事「では、カーネル、参りましょう」

執事「カーネルは、大魔導師様とお会いになられますか?」

執事「それとも、このまま業務をご継続なされますか?」

伯爵「……」

魔女「ええ、そのつもりです」

魔女「子爵様には大変お気の毒ですが、民達の混乱は必死の模様」

魔女「今回の件、民達にもすぐさま公表をしなくてはなりません」

魔女「勇者一行がまだ捕らえられていない今、更なる第二第三の本日の事件が起きかねませんから」

子爵「……」プルプルッ

執事「そうですか」

執事「その辺につきましては、まだご公表はお止め下さい!」

執事「今回の件は、子爵様が大いに絡んで参ります!」

執事「下手をすれば、旦那様のお命だけでなく大勢の民達の命までもが危うい!」

執事「ですから、旦那様の沙汰が出るまで公表は控えて頂きたい!」

子爵「!?」 

438 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/19(火) 11:15:13 ID:McjfL5jY
魔女「ええ、かしこまりました」

魔女「民達には、今回の件は伏せさせて頂きます」

魔女「ですから、執事様はどうかご安心を」

魔女「子爵様のお身柄に関しましては、丁重に扱わさせて頂きます」

子爵「……」プルプルッ

伯爵「カーネル。すまんな」

伯爵「お主には、昔から世話を掛ける」

伯爵「子爵に関しては、沙汰が出次第すぐに伝える」

伯爵「それまでの間は、民達には何も伝えんでくれ」

伯爵「これは、私からの命令だ」

魔女「はっ」ペコッ

執事「では、行きましょうか? カーネル」

執事「警備隊長。この者達をすぐに外に」

執事「これから、私は後片付けに入ります」

執事「カーネルには、その際の人員の手配をして頂きたい」 

439 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/19(火) 11:15:28 ID:McjfL5jY
魔女「ええ。かしこまりました」

魔女「それでは、伯爵様失礼致します」

魔女「何かまた起きましたら、すぐにお申し付け下さい」

魔女「ここにいる警備隊長が、本日より伯爵様の身辺警護をなさいますので」

伯爵「合い分かった」

警備隊長「……」

魔女「……」ペコッ

執事「……」ペコッ

クルッ、スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

警備兵達「……」ササッ

子爵「……」ムクッ

敵兵長達「……」ムクッ

クルッ、スタスタスタッ、スタスタスタッ……

伯爵「……」ポリポリッ 

440 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/19(火) 11:15:44 ID:McjfL5jY
メイド長「失礼致します」

メイド長「旦那様。役場の担当者から、使者が来ております」

メイド長「今回の事件についてで、旦那様に問い合わせをしたい」

メイド長「そう、民達からの陳情が多く寄せられている様です」

伯爵「……」

メイド長「旦那様。如何致しますか?」

メイド長「役場からの使者だけでなく、民達からの陳情も多く寄せられていますが」

警備隊長「……」

伯爵「……メイド長」

伯爵「役場からの使者達には、こう伝えよ」

伯爵「今回の事件は、勇者XXX絡み」

伯爵「よって、明日の裁判が終わるまでの間は公表を差し控える」

伯爵「そう、民達にも伝えておけ」

メイド長「……え?」

メイド長「この私めがですか?……」 

441 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/19(火) 11:18:32 ID:McjfL5jY
伯爵「うむ。そうだ」

伯爵「役場からの使者なら、そなたでも十分だ」

伯爵「私は、これから色々とする事がある」

伯爵「さすがの私も、あの娘には敵わん!」

伯爵「あの娘は、本当によく働いてくれるからな!」

伯爵「ふはははっ!」ニコニコ

警備隊長「……」

メイド長「……」ポカーーン

伯爵「あっ、そうそう」

伯爵「そなたのすぐそこにいる警備隊長は、本日から私の身辺警護に回る様だ」

伯爵「これについても、全ての原因はあの愚か者の所為」

伯爵「なぁに、心配は入らん」

伯爵「あの娘が、私の身を案じてこの者を私の身辺警護へと着けてきた!」

伯爵「今のそなたにも、今のそなたが望めば身辺警護を着けるぞ!」

伯爵「何故なら、今のそなたの体はそなた一人のものではないのだからな!」ニコニコ 

442 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/19(火) 11:18:45 ID:McjfL5jY
メイド長「はっ、かしこまりました!」

メイド長「慎んで、承ります!」

メイド長「それと、旦那様……」

メイド長「少しばかり、この私めの我が儘を聞いては頂けませんでしょうか?……」

メイド長「今の私、カーネルの事が怖いです……」

メイド長「いつ、旦那様にカーネルが牙を向くかと思うと、物凄く怖いのです……」

伯爵「ふむ、それで?」ニコニコ

メイド長「ですから、旦那様はカーネルばかりに気を取られていないで、私めの方も今まで以上に大事に扱って下さい!」

メイド長「今の私は、ただの一介のメイド!」

メイド長「本来なら、この様な私めの我が儘を旦那様は聞いては頂けません!」

メイド長「今の私は、本当に死ぬ覚悟でそう旦那様にお願い申しております!」

メイド長「ですので、今の私めの態度が気に入らなければ、このまま私めの事もすぐにお裁き下さい!」

メイド長「今の私めは、旦那様までもがカーネルに奪われるのではないかと怖いのです!……」

メイド長「これから先、カーネルはずっと今後も戦い続けます!……」

メイド長「いつ、旦那様がお命を落とされるかもしれなくて、かなり不安なんです!……」 

443 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/19(火) 11:18:58 ID:McjfL5jY
伯爵「うむ。そうか」

伯爵「そなたの気持ちは、よく分かった」

伯爵「だが、あの娘の事で何も心配をする必要はない!」

伯爵「あの娘は、完全に私の隷下にいる!」

伯爵「あの娘は、絶対にこの私を裏切らん!」ドヤッ

メイド長「……」

伯爵「とりあえず、そなたはすぐに使者達に対して、私からの伝言を伝えよ」

伯爵「それが終わった後、そなたは通常の業務にすぐ戻ってくれ」

伯爵「ここから先は、全て私の役目だ」

伯爵「今のそなたは、普段と変わらない平穏な日常を送っていれば良い」

伯爵「それを死力を尽くして守るのが、今の私の役目でもあるのだからな!」ドヤッ

メイド長「はっ、かしこまりました」

伯爵「うむ、下がって良い」

メイド長「……」ペコッ

クルッ、スタスタスタッ…… 

444 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/19(火) 11:19:10 ID:McjfL5jY
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ササッ……

執事「旦那様。大魔導師様をお連れ致しました」

執事「何か、他に私めに申し付ける事はありますでしょうか?」

大魔導師「……」

伯爵「うむ。特にないな」

伯爵「お主も、通常の業務に戻るが良い」

伯爵「それと、暫くの間は誰も私の部屋に通すな」

伯爵「これから、大魔導師殿と二人っきりで話がある」

伯爵「だから、緊急の用件以外は絶対に通すでないぞ」

執事「はっ、仰せのままに!」ペコッ

警備隊長「……」ビシッ

大魔導師「……」

クルッ、スタスタスタッ……

ガチャ、バタン…… 

445 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/19(火) 11:19:22 ID:McjfL5jY
伯爵「して、大魔導師殿」

伯爵「本日は、どう言ったご用件かな?」

伯爵「また、この私に対する金の無心か?」

伯爵「それとも、貴殿の教え子達の事か?」

大魔導師「……」

伯爵「まぁ、今の貴殿の事だから、自身の教え子達の事であろう」

伯爵「今の貴殿は、“正に、惜しい人物を自らの犯した過ちで手放してしまった!”」

伯爵「特に、貴殿が本気で可愛がっていたハーフエルフ」

伯爵「そう、カーネル・ジュリエット唯一人に関してはな!」

大魔導師「……」

スッ、カシャン……

トポポポッ……

スッ、ゴクゴクゴクッ……

伯爵「ふぅ……」

スッ、ストン…… 

446 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/19(火) 11:19:42 ID:McjfL5jY
大魔導師「伯爵殿。今回、儂が参ったのはある目的の為じゃ!」

大魔導師「どうか、今から儂が話す内容については、絶対に他言無用でお願い致す!」

大魔導師「でなければ、この島にも存在する多数の刺客達が、すぐにでもあの娘の命を狙う!」

大魔導師「今のあの娘は、人からの恨みを買い過ぎてしまった!」

大魔導師「今はなんとか、貴殿の後ろ楯があるから何もされずに済んでいる状態なのじゃ!」

伯爵「……」

大魔導師「伯爵殿、どうかあの娘の事を儂と共に今後も守ってやってほしい!」

大魔導師「実は、今しがた起きた事件に関しては、儂の倅も深く関与しておる!」

大魔導師「どうやら、あの娘の命を狙う輩が多数王都には存在!」

大魔導師「伯爵殿にも、その件についてでこの儂にお力添えをして頂きたい!」

大魔導師「その事についてで、今の儂は再び貴殿の元にまで馳せ参じたのじゃ」

伯爵「……」

スッ、カシャン……

トポポポッ……

スッ、ゴクゴクゴクッ…… 

447 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/20(水) 08:59:52 ID:nSv5kn26
伯爵「大魔導師殿、貴殿にとってあの娘は何なのだ?」

伯爵「自身が育てた可愛い教え子か?」

伯爵「それとも、自身の欲望の捌け口となる●奴隷か?」

大魔導師「……」

伯爵「今の私は、それを先に聞きたい」

伯爵「貴殿が、あの娘にした仕打ちは私のも耳にも入っている」

伯爵「個人的には、あのまま鹿肉として民達に振る舞われても良い」

伯爵「それだけ、今の貴殿はただの●獣」

伯爵「あの娘を、私は貴殿の元に再び預けなくて良かった」

伯爵「あの娘が、必死になって“お主の元に帰りたくない”と、この私に泣きついてきたのも今では納得がいくな」

大魔導師「……っ!」ギリッ

伯爵「……っ!」ギリッ

バチバチバチッ……

大魔導師「……」ギリギリッ

伯爵「……」ギリギリッ 

448 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/20(水) 09:00:05 ID:nSv5kn26
大魔導師「伯爵殿、今の貴殿は何か誤解をしておる!」

大魔導師「今の儂は、決して同じ過ちを繰り返すつもりはない!」

大魔導師「つい先程、私はあの娘の前でそう誓った!」

大魔導師「今の儂は、貴殿が思っておる程●獣ではない!」ギリギリッ

伯爵「……」ギリギリッ

大魔導師「それに、今回儂がここに来たのはあの娘を助ける為じゃ!」

大魔導師「何度も同じ事を言うが、今の儂は昔の儂と違う!」

大魔導師「何故なら、今の儂はあの娘にとっては必要不可欠!」

大魔導師「今後のあの娘の運命を、大きく左右する程の存在なのじゃぞ!」ギリギリッ

伯爵「……」スッ、ストン

カチャ、チャキ……

伯爵「なら、ここに来る前の風呂屋巡りはどう説明するのだ?」

伯爵「ここへ来る途中、貴殿は風呂屋巡りをしていた」

伯爵「それについては、一体どう説明するつもりなのだ?」ギリギリッ

大魔導師「……」ギリギリッ 

449 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/20(水) 09:00:18 ID:nSv5kn26
伯爵「大魔導師殿、今の私が何も知らないと思っておるのか?」

伯爵「ここへ来る途中、貴殿が●●の方にも足を運んでおった事を知らぬとでも思ったか?」ギリギリッ

大魔導師「!?」ガーーン

伯爵「その時の私は、貴殿に対してかなり失望した!」

伯爵「せっかく、貴殿がここに来た暁には何か慰めの余興を用意しようと思っていたが、全てが白紙となった!」ギリギリッ

大魔導師「……」ギリギリッ

伯爵「それで、貴殿は一体どう説明するのだ?」

伯爵「今の貴殿に、あの娘の事を本当に守る事が出来るのか?」ギリギリッ

大魔導師「出来る!」ギリギリッ

伯爵「なら、今の貴殿は今までの様に裏方に回られよ!」

伯爵「私は、貴殿と違って今まで通りに表だってあの娘を守る!」

伯爵「あの娘は、この島に住む民達にとっては恩人だ!」

伯爵「今の私とて、あの娘に対して強い恩義を感じておる!」

伯爵「貴殿と違って、今まで私はあの娘に一切手出しすらしていない!」ギリギリッ

大魔導師「……」ギリギリッ 

450 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/20(水) 09:00:32 ID:nSv5kn26
大魔導師「伯爵殿、それは出来ぬ相談じゃ!」

大魔導師「儂も、今回は表だって動かさせて貰う!」

大魔導師「今の儂には、もう完全に後がないのじゃ!」

大魔導師「ただでさえ、つい先程までの騒動の中に儂の倅が深く関わっていた!」

大魔導師「王都にいる何者かが、あの娘を潰す為に本格的に動き始めたのじゃ!」ギリギリッ

伯爵「何!?」ギリギリッ

大魔導師「じゃから、今回は儂も表だって動かさせて貰う!」

大魔導師「でないと、あの娘は確実に殺されてしまうぞ!」

大魔導師「今回は、まだこれだけの騒ぎで済んだまでじゃ!」

大魔導師「時期に、王都の方にも何か再び動きがあるはず!」

大魔導師「それだけ、今のあの娘は遥かに危険な状態にあるのじゃ!」ギリギリッ

伯爵「……」ギリギリッ

大魔導師「……」ギリギリッ

トントン、トントン……

伯爵「何だ?」ギリギリッ 

451 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/20(水) 09:00:44 ID:nSv5kn26
「旦那様、王都からの使者がお見えです」

「至急、旦那様にお話がしたい」

「そう、王都からの使者が申しておりますが」

大魔導師「くっ……」ギリギリッ

伯爵「……合い分かった」

伯爵「これから、そちらに向かう」

伯爵「今はまだ、門前にいるのか?」

伯爵「それとも、もう応接室にいるのか?」

大魔導師「……」

「はい。今はまだ、門前にいらっしゃいます」

「ですが、見るからに少し怪しい雰囲気が」

「その方は、王都からの使者と名乗るだけで、他は一切話そうとは致しません」

大魔導師「……」

伯爵「うむ。そうか」

伯爵「これは、少し何かありそうだな」 

452 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/20(水) 09:01:01 ID:nSv5kn26
伯爵「お主、その王都からの使者を応接間に案内しろ」

伯爵「その者は、本当に王都から来た者かどうかは、実際に会って確かめなくてはならん」

伯爵「それと、大魔導師殿。貴殿も、一緒に参加されよ」

伯爵「その方が、何かと動きやすい」

伯爵「今日の儂は、何かの策謀によって命を狙われた!」

伯爵「今回の席に、大魔導師殿や警備隊長が同席しても、何も問題はないのだからな!」

「!?」

大魔導師「了解した」

大魔導師「儂も、今回は同席をいたそう」

大魔導師「ささっ、伯爵殿。そろそろ行きましょうか」

大魔導師「あまり長く客人を待たせるのは、失礼に当たります」

大魔導師「今の儂がいれば、伯爵殿も安心できますからな」

伯爵「うむ、そうですな」

「くっ……」ギリギリッ

ガチャ…… 

453 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/20(水) 09:04:31 ID:nSv5kn26
ギギィーーーーッ、バン!

ダダダダッ、ダダダダッ……

大魔導師「むっ!」

スチャ、キーーン!

キンキン、キンキン!

伯爵「……」ギリギリッ

刺客「……」ギリギリッ

大魔導師「……」ブツブツ

ボワッ、ボワッ!

刺客「ぐわっ!?」

刺客2「どわっ!?」

刺客3「くそっ!?」

ドサドサッ、バタッ……

伯爵「……」スチャ

側近「……」ギリギリッ 

454 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/20(水) 09:04:44 ID:nSv5kn26
伯爵「お主、一体何のつもりだ?」

伯爵「まさか、お主まで私の命を狙っておるのか?」

側近「……」

伯爵「相変わらず、お主も馬鹿な奴だ!」

伯爵「今まで、散々あの娘には世話になってきた!」

伯爵「今のお主は、再びこの島の民達を飢えさせたいのか?」

伯爵「あの娘なくして、一体どうこの島を治めると言うのだ!」

大魔導師「……」

側近「……伯爵様」

側近「やはり、今の貴方様はカーネルに毒されている!」

側近「このまま、カーネルの事を見逃す事は出来ない!」

側近「たとへ、カーネルがこの島の恩人の生まれ変わりであったとしても、もうこれ以上は我慢出来ないのです!」ギリギリッ

大魔導師「……」

伯爵「ほぅ、それでか……」

伯爵「お主も、愚息同様にこの私に歯向かうつもりなのか?……」 

455 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/20(水) 09:04:57 ID:nSv5kn26
側近「ええ、そのつもりです……」

側近「伯爵様には、本当に長い間私は仕えて参りました……」

側近「時には、同じ場所で寝食を供にし、敵が来ればお互いに協力をし合って打ち勝ってきた……」

側近「ですが、もうそれも本日で終わりです!……」

側近「伯爵様が無理なら、カーネルにはこの島から完全に立ち退いて貰う!……」

側近「それが、今の我々の目的!」

側近「国王陛下自身も、勇者一行によるカーネル討伐を強く望んでおります!」

大魔導師「!?」ガーーン

伯爵「……」ギリギリッ

側近「ですから、もうこれ以上伯爵様は我々の邪魔をしないで頂きたい!」

側近「この島の統治は、本日を持って子爵様に代替わりをして頂きます!」

側近「それについても、もう既に国王陛下も承認済み!」

側近「今の貴方は、全ての爵位も財産等も奪われた!」

側近「だから、もうこれ以上我々の邪魔をしないで頂きたい!」

伯爵「……」ギリギリッ 

456 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/20(水) 09:05:11 ID:nSv5kn26
「う~~ん。ちょっと、それ無理かな」

「今の私、物凄くあんたの事が気に入らないんだけど」

側近「!?」ハッ

「つうかさぁ、あの糞国王が本当にそんな事を望んでると思うの?」

「以前、私がエルフの里の族長と一緒に例の条約の調印に行った時、本気でずっと泣き怯えていた」

「それはもう本当に子供みたいに、王妃様の後ろに隠れてずっと泣き怯えていたのに」

大魔導師「……」

「とりあえず、今あんたが言っている事は全て出鱈目みたいね」

「でも、それを今ここで強行をするのなら、あんたの命はない!」

「私が仕えるのは、そちらにいらっしゃる伯爵様のみ!」

「だから、今のあんたは覚悟しなさい!」

「伯爵様に牙を向いた罪、今この場で私が後悔させてあげるわ!」シュタッ

側近「なっ!?」

魔女「……」スチャ、ダッ

ザシュッ…… 

457 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/20(水) 09:05:23 ID:nSv5kn26
側近「ぐはっ……!?」

ザシュッ、ザシュッ……

プシューーーーッ!

側近「……ぐあっ!?」

シュッ、プシューーーーッ!

ドサッ、バタッ……

側近「……」ピクピクッ

魔女「……」ポタポタッ

大魔導師「……ジュリエット。聞いていたのか?」

大魔導師「今の儂らの話を、全て聞いておったのか?……」ビクビクッ

魔女「はい」ポタポタッ

大魔導師「一体、いつからじゃ?」

大魔導師「お主は、あのままここを出たはずではなかったのか?」ビクビクッ

伯爵「……」

側近「……」ガクッ 

458 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/20(水) 09:05:36 ID:nSv5kn26
魔女「う~~ん。きっかけは、執事様がこの部屋に来た時からでしたね」

魔女「執事様、何やら怪しげな動きをなさっておりましたから」フキフキ

伯爵「!?」ガーーン

魔女「それに、伯爵様が夜のベットの上でお食べになったメイド長も、とても王都より遣わされた優秀なスパイ」

魔女「彼女は、伯爵様の子供を身籠ってはおらず、実際の父親は子爵様の方」

魔女「どうやら、本格的に今の私の事を消したい人達が、ずいぶん多いみたいですね」

魔女「ここの邸内、スパイの巣窟でした!」

魔女「それについても、全て私の手によって捕縛させて頂いております!」ニッコリ

伯爵「!?」ガーーン

大魔導師「orz……」ズーーン

魔女「あっ、それと大魔導師様」

魔女「大魔導師様の方にも、複数の女スパイが配置されてましたよ!」

魔女「例えば、ここに近い本土の港町とか」

魔女「大魔導師様が訪れたお風呂屋さんとか」ニコニコ

大魔導師「!?」ガーーン 

459 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/20(水) 09:08:03 ID:nSv5kn26
魔女「まぁ、そう言う事ですから、大魔導師様達は今後十分気を付けて下さいね!」

魔女「今の私、お二人にまで裏切られたら何も残りませんから!」

魔女「ただでさえ、世間からは冷たい風を受けているのに……」

魔女「お二人にまで裏切られたら、今後私が何をするかが全く見当がつきませんから!」ニコニコ

伯爵「……」

魔女「ですから、大魔導師様は今後は女遊びも控えて下さいね!」

魔女「今の大魔導師様、完全に●●に掛かってらっしゃいますよ!」

魔女「それも、かなり重度の……」

魔女「この分じゃ、今夜私と添い遂げる事すら夢のまた夢!」

魔女「今の私、過去にニ度も大魔導師様には裏切られてますし……」

魔女「今後こそ、私は大魔導師様の事を信用しても宜しいのでしょうか?……」ウルウルッ

大魔導師「……」ビクビクッ

伯爵「……」チラッ

大魔導師「……」ビクビクッ

魔女「……」ジーーッ、ウルウルッ 

460 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/20(水) 09:08:17 ID:nSv5kn26
大魔導師「……ジュリエット」

大魔導師「本日のお主の行動、誠にご苦労じゃった」

大魔導師「やはり、お主は儂が直々に育てた甲斐があった」

大魔導師「今のお主は、本当に良い働きをしてくれる」

魔女「……」ウルウルッ

大魔導師「ジュリエット。儂は、本当にお主の事を誇りに思うぞ」

大魔導師「今まで、数多くの弟子を取ってきたが、お主だけが常に一番」

大魔導師「それだけ、今の儂はお主の事が大事」

大魔導師「今後も、儂はお主の事を表立って守る事になるじゃろう」

魔女「……師匠?」ウルウルッ

大魔導師「じゃから、儂が今●●に掛かっておるとか言わないでおくれ!」

大魔導師「儂は、儂はそんな事を絶対に信じとうにない!」

大魔導師「それについては、絶対に今のお主による勘違い!」

大魔導師「今の私は、決してどこも悪くない!」

大魔導師「今の儂から女遊びを取ったら、一体何が残ると言うのじゃ!」ウルウルッ 

461 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/20(水) 09:08:29 ID:nSv5kn26
伯爵「……大魔導師殿。今の貴殿が、それを認めたくないのも分かる気がする」

伯爵「だが、それも事実なのだ!」

伯爵「私の元にも、今の貴殿が●●に掛かったと言う報告が上がっておる!」

伯爵「その治療の為に、今の貴殿が多額の金をつぎ込んでいる事も、今の私やカーネルも十分承知しているのだ!」

大魔導師「!?」ガーーン

魔女「ええ、そうですね」

魔女「伯爵様のおっしゃる通りですね」

魔女「今の師匠、本当に●●に蝕まれていますよ」

魔女「それが原因で、今の師匠は違う意味で命が危ういんですけど」フキフキ

大魔導師「……」ウルウルッ

伯爵「やはり、貴殿は今回も裏方で十分だな……」

伯爵「このままでは、確実に足手まといになるな……」

大魔導師「……」ウルウルッ

伯爵「まぁ、それはそれで仕方ない事……」

伯爵「いずれ、貴殿にも表立って活躍するチャンスくらいある……」 

462 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/20(水) 09:08:44 ID:nSv5kn26
伯爵「とりあえず、カーネル」

伯爵「子爵一味を、完全に全て捕らえよ!」

伯爵「国王陛下には、私の方から抗議しておく!」

伯爵「だから、カーネルは子爵一味を全て捕らえよ!」

伯爵「勿論、勇者一行も今すぐにな!」

魔女「はっ!」ペコッ

大魔導師「……」ウルウルッ

伯爵「それと、カーネル」

伯爵「少し、お主の兵を貸しては貰えぬか?」

伯爵「私は、明日の裁判が終わり次第、国王陛下の元に抗議しに行くつもりだ!」

伯爵「お主は、その間この島を守備せよ!」

伯爵「これは、私からの命令だ!」

魔女「はい。かしこまりました!」

大魔導師「……」ポロポロッ

警備隊長「……」ヌッ 

463 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/20(水) 09:08:56 ID:nSv5kn26
警備隊長「伯爵様。明日の出立には、この私が同行致します」

警備隊長「それに関する兵力は、歩兵600に弓兵200」

警備隊長「後は、支援兵が200程付き従います」

伯爵「!?」

警備隊長「場合によっては、カーネルから援軍が差し向けらる事もあるでしょう」

警備隊長「カーネルの手持ちの兵力は、最大で1万」

警備隊長「その1万の兵を持ってすれば、国王陛下とて無下には出来ません」

警備隊長「明日の交渉も、すんなりと済む事になるでしょう」

魔女「……」

伯爵「……あっ、合い分かった」

伯爵「どこに、一体そんな数の兵を隠しておったのだ?……」

伯爵「今のお主は、本当によく解らぬ……」

伯爵「これも、そこの●●持ちによる度重なる調教の賜物かの?」チラッ

大魔導師「……」ポロポロッ

魔女「……はい。正に、その通りです」ガクッ 

464 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/20(水) 09:09:27 ID:nSv5kn26
伯爵「カーネル。今日は、儂の側にいよ!」

伯爵「今日の所は、お主もまたここに宿泊!」

伯爵「いつ来るか解らぬ刺客達に対する備えを、ここでそこの●●持ちと供に果たせ!」ドヤァ!

魔女「はっ、仰せのままに」

伯爵「さて、そうと決まれば、早速色々と手配の方を頼むぞ!」

伯爵「今後は、お主が出してきた使用人達のみで周囲を固める!」

伯爵「だから、精々首を洗って待っておれ!」

伯爵「今の私には、カーネルがついておるのだ!」

伯爵「カーネルとその師である大魔導師がついておるのだ!」

伯爵「ガハハハッ!」ドヤァ!

魔女「……」ペコッ

大魔導師(まさか、儂の●●持ちが周囲にバレとったとは………)

大魔導師(確実に、今の儂まで命を狙われておる……)

大魔導師(さて、これから本当にどうしたものか?……)

大魔導師(今後、今の儂は生き残る事が出来るのかのぅ?……)ハァ…… 

467 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/21(木) 15:59:26 ID:Tb7BHmlk
~王都・国王の間~

その日の夜ーー

大臣「何!? 失敗しただと!?」

大臣「誠なのか!? それは!?」

国王「……」

密偵「はっ、それについては誠にございます!」

密偵「今朝の襲撃、カーネルによって阻止されました!」

密偵「その結果、XXXXXXX子爵は捕らえられ、現在も島内のどこかにて拘留!」

密偵「予想外に、カーネルの持つ私兵は大軍でした!」

密偵「その数、およそ1000名以上に上ります!」

国王「……」

大臣「大賢者殿。如何なされる?」

大臣「今の我らに、勝算はあるのか?」

大臣「このまま、我らはカーネルによって攻め滅ぼされるのか?」

国王「……」 

468 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/21(木) 15:59:56 ID:Tb7BHmlk
大賢者「今の所、何とも申し上げられません」

大賢者「私が知るカーネルは、ただの幼いハーフエルフの少女でした」

大賢者「それが、今ではエルフの里ですら陥落させる程の力の持ち主」

大賢者「今の我らには、カーネルを止める手段は限られております」

国王「……」

大臣「して、その手段とは?」

大臣「今の貴殿には、何か策があるのか?」

国王「……」

大賢者「はっ、恐れながら申し上げます」

大賢者「ここは、カーネルと和睦すべきです」

大賢者「今の我らに、正面からカーネルに立ち向かう力はとてもありません」

大賢者「今現在、勇者XXXですらカーネルによって捕らえられた後」

大賢者「大魔導師は、カーネルによって手玉に取られた“ただの●●持ち”」

大賢者「今の我らには、カーネルに立ち向かえる人材がおりません」

大賢者「ここは、カーネルと和睦する以外に道はないでしょう」 

469 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/21(木) 16:00:10 ID:Tb7BHmlk
国王「……うむ。分かった」

国王「そちも、カーネルの側に付くのだな」

国王「今の世は、かなり悲しいぞ」

国王「ただでさえ、大魔導師がカーネルによって手玉に取られているのに」

国王「まさか、そちまでもがカーネルによって手玉に取られるとはな」

大臣「……」

大賢者「もし仮に、カーネルと戦うとおっしゃられるなら、今まで以上の犠牲が出る事を覚悟して頂きたい!」

大賢者「今の私は、この国の為を思って申し上げているのです!」

大賢者「このまま行くと、この国はカーネルによって攻め滅ぼされてしまうのですぞ!」

大賢者「ここは一つ、和睦する以外に道はないのです!」

国王「……」

大臣「では、和睦するに至っての条件とは?」

大臣「そこまで言うなら、貴殿の意見をお聞きしたい」

大臣「今の貴殿は、どんな意見をお持ちで?」

大臣「それを元に、カーネルとの交渉を進めていきたい」 

470 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/21(木) 16:00:24 ID:Tb7BHmlk
大賢者「国王。今から私の言う事を、必ず守って下さるようお願い申し上げる!」

大賢者「今のカーネルは、“長年に渡ってある大きな問題に悩まされて参りました!”」

大賢者「国王も存じているはず!」

大賢者「本来なら、カーネルはエルフの里のとある上級貴族の娘だった!」

大賢者「それが、ハーフエルフだと言う理由でエルフの里を追われ、常に各地を転々としている生活!」

大賢者「未だに、カーネルはこの世をさ迷っております!」

大賢者「今現在のカーネルの悩みを解消して差し上げれば、この国もカーネルによって攻め滅ぼされる心配はないでしょう!」

国王「……」

大賢者「ですから、国王には今から私が言う和睦の条件を全て認めて頂きたい!」

大賢者「カーネルの目的は、正にそれである可能性があります!」

大賢者「でなければ、カーネルはあそこまで兵を出してくる事はなかったでしょう」

大賢者「今のカーネルは、ずっと毎日の様に怯えているのです」

大賢者「いつ、自分が捨てられるのか?」

大賢者「いつ、また追い出されるのか?」

大賢者「それについてで、カーネルはずっと毎日の様に怯えているのです!」 

471 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/21(木) 16:00:36 ID:Tb7BHmlk
大臣「それで、和睦の条件とは?」

大臣「一体、貴殿は陛下に何を呑ませるおつもりか?」

国王「……」ゴクリ

大賢者「一つ、ハーフエルフの地位を人間とエルフと同等にし、ハーフエルフの生活基盤を保障する事」

大賢者「二つ、ハーフエルフ迫害禁止令を廃さずに、今後も徹底する事」

大賢者「三つ、ハーフエルフの定住地に対して、攻撃又は侵略等を一切行わない事」

大賢者「四つ、違反者がいた場合には、今後もカーネルによって取り締まりをさせる事」

大賢者「五つ、ハーフエルフに対する差別・犯罪行為等を、しっかりと処罰する事」

大賢者「六つ、カーネルに対して国内でも貴族待遇で迎える事」

大賢者「七つ、カーネルが自衛の為の必要最低限の権利及び権限等を持つ事を認める事」

大賢者「八つ、国内にいるハーフエルフを全てカーネルに引き渡し、今まで蔑ろにされてきたハーフエルフの人権等を保障する事」

大賢者「これが、私の考えた和睦の条件です」

大賢者「如何致しますか?」

国王「……」ポカーーン

大臣「……」ポカーーン 

472 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/21(木) 16:00:54 ID:Tb7BHmlk
大賢者「おや、どうしました?」

大賢者「お二人とも、かなり顔色がすぐれない様ですが」

国王「……」ポカーーン

大賢者「やはり、この条件はとても呑めそうにはありませんね」

大賢者「今の私ですら、かなりカーネルよりの思考になってしまっております」

大臣「……」ハッ

大賢者「まぁ、この私が出した和睦の条件が呑めないのならば、全面戦争もやむなし」

大賢者「聞く所によりますと、国王の持つ兵はたった500」

大賢者「それに対して、カーネルの兵は1000以上」

大賢者「これでは、かなり結果が見えてきますな」

大賢者「いくら、国王が民達に武器を持たせたとしても、カーネルの率いる兵には敵いませんからな」

国王「……」ポカーーン

シュン……

ドバドバッ、ドバドバッ……

「ぐはっ……!?」イテテテッ 


475 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/22(金) 07:41:26 ID:nj9z01JY
大臣「む? 何だ貴様は!?」

大臣「一体、どこから入った!?」

国王「……」ハッ

鹿「ううっ……」イタタタッ

大賢者「大臣、少しお待ちを」

大賢者「大魔導師、久し振りだな」

大賢者「そなたと会うのは、いつ以来だったかな?」

大臣「!?」

鹿「うむ。久し振りじゃな……」

鹿「まさか、そなたとここで会う事になろうとは……」

鹿「今の儂は、そこにいる糞国王に話がある……」

鹿「すまんが、少しばかり回復魔法を掛けてくれんかのぅ」

大賢者「ああ、了解した」

スッ、シューーーーッ……

シューーーーッ、シューーーーッ…… 

476 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/22(金) 07:41:43 ID:nj9z01JY
しばらくしてーー

大魔導師「うむ。力が戻った」

大魔導師「すまんな。そなたに手間を掛けさせて」

大臣「……」

大賢者「それで、今更ここに何の用だ?」

大賢者「今のそなたは、もう国王の臣下でも何でもないのだろうが」

国王「……」

大魔導師「まぁ、難い事を言いなさんな」

大魔導師「今の儂は、あの娘からの伝言を預かってきておる」

大魔導師「明日の午後三時、あの娘は糞国王に対してお礼参りをする様じゃ」

大魔導師「その際に、XXXXXXX伯も一緒に同行」

大魔導師「今回の事件で、かなりの数のハーフエルフが被害に遭ってしまった」

大魔導師「だから、そのお礼参りを糞国王に対してするそうなんじゃ」

国王「!?」ガーーン

大臣「orz……」ズーーン 

477 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/22(金) 07:41:59 ID:nj9z01JY
大魔導師「まぁ、そう心配なさんな」

大魔導師「今のそなた達の返事次第で、あの娘は糞国王に対するこれまでの復讐をしないと言ってくれておる」

大魔導師「後、今のそなたが勇者から預かった“特殊な石”を、あの娘に引き渡してくれ」

大魔導師「でなければ、今のあの娘は王都に兵を率いて侵攻をする」

大魔導師「それだけ、あの娘はかなり不機嫌なんじゃ」

大魔導師「じゃから、あの娘を止める為にも今のそなた達には、是非とも協力をして貰いたい」

国王「……」ガクガクッ

大臣「……」ガクガクッ

大賢者「……うむ。分かった」

大賢者「そなたの言う通り、例の石を引き渡すとしよう」

大賢者「だが、こちらもそれなりに条件を出させて貰う!」

大賢者「今のあの娘は、本当に脅威だ!」

大賢者「民達の不安を拭い去る為にも、あの娘にはもうこれ以上生きていられては困るのだ!」

国王「……」ガクガクッ

大臣「……」ガクガクッ 

478 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/22(金) 07:42:14 ID:nj9z01JY
大魔導師「うむ。そうじゃな」

大魔導師「あの娘には悪いが、もうここらで身を引いて貰うとするか」

大魔導師「今の儂とて、そなた同様にあの娘の事を殺しとうない!」

大魔導師「出来る事なら、今後もあの娘には生き残って貰いたい!」

大魔導師「それが、今の世でも出来ぬとはなんたる事か!」

大魔導師「あの娘は、結局はまたもや短命で終わってしまうのか!」ギリギリッ

国王「……」ガクガクッ

大臣「……」ガクガクッ

大賢者「大魔導師、落ち着かれよ!」

大賢者「今のそなたの気持ちは、私とて痛い程分かる!」

大賢者「あの娘は、殺すにはとても惜し過ぎる逸材だ!」

大賢者「今まで、ハーフエルフを含めてかなりの数の教え子を受け持ってきたが、あの娘ほど才に恵まれた逸材はこの世に存在しなかった!」

大賢者「それでもなお、あの娘を無様に殺せとおっしゃるのか?」

大賢者「今の貴殿方に、一体あの娘の何が分かる!」

大賢者「あの娘が、一体貴殿方に何をしたと言うのだ!?」ギリギリッ 

479 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/22(金) 07:42:28 ID:nj9z01JY
大臣「……大魔導師」

大臣「今の貴様は、何を企んでいる?……」

大臣「今の貴様は、あの娘の側に付くのか?……」

大臣「あんなハーフエルフの一匹や二匹、無惨に殺してしまって何の問題があるのだ!」

国王「……」ガクガクッ

大魔導師「ああ、ある!」

大魔導師「今の貴殿達には、大いに問題がある!」

大魔導師「なら、今の貴殿達があの娘の命を狙う理由は何なんじゃ?」

大魔導師「ただ単に、ハーフエルフだと言う理由だけか?」

大魔導師「今の貴殿達は、あの娘から何かされたのか?」

大魔導師「どうなんじゃ?」ギリギリッ

大臣「くっ……」

大賢者「大臣殿、もうこの辺で止められよ!」

大賢者「このまま行くと、王都は火の海になる!」

大賢者「明日の午後三時、カーネルは今の貴殿達次第で兵を率いてここに来る事だろう!」 

480 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/22(金) 07:42:43 ID:nj9z01JY
大賢者「もし仮に、それを防ぎたければ、私の出した和睦の条件を全て呑まれよ!」

大賢者「そうすれば、この王都に住む3万の民達の命が全て救われる!」

大賢者「国王なら国王らしく、こんな時くらいしっかりされよ!」

大賢者「今の国王は、本当にだらしがない!」

大賢者「そんなんでよく、長い間国王が勤まっておるな!」

大賢者「今の国王は、この事態をどう対処するのだ!」ギリギリッ

大魔導師「……」ギリギリッ

国王「……」ガクガクッ

大臣「……」チラッ

国王「……」ピタッ

大臣「……陛下?」

国王「……」

大魔導師「それで、返事は?」

大魔導師「一体、この事態をどうするつもりなのじゃ?」ギリギリッ

大臣「……」ゴクリ 

481 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/23(土) 07:14:30 ID:p9Qv00ho
国王「……大臣、国内全土に通達」

国王「カーネル・ジュリエットは、世に対する謀反を企てた!」

国王「ハーフエルフは、一人残らず全て殲滅をせよ!」

国王「これは、私からの命令だ!」

大魔導師「!?」ギリギリッ

大臣「……はっ、仰せのままに」

大賢者「……」ギリギリッ

国王「後、そこにいる愚か者二人もすぐに捕らえよ!」

国王「この者達もまた、カーネルと共に世に対する謀反を企てた!」

国王「それと同時に、XXX島を治めるXXXXXXX伯も捕縛!」

国王「明日の朝一番で、再び刺客を送れ!」

国王「最後に、勇者一行は全面的に無罪じゃ!」

国王「XXX島もろとも、跡形もなく全て消し飛ばせ!」

大臣「はっ!」ビシッ

密偵「……」 

482 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/23(土) 07:15:02 ID:p9Qv00ho
大魔導師「おい、糞国王……」

大魔導師「貴様、後悔しても知らんぞ!……」

大魔導師「あの娘は、かなりしぶとい!」

大魔導師「自身の復讐を遂げるまでは、何度でも蘇ってくる!」

大魔導師「今の儂は、あの娘の持つ力をよく知っているのじゃ!」

大魔導師「今の貴様は、本当に愚か者じゃ!」

国王「黙れ!」

大臣「……」

国王「大臣、この二人を早く捕らえよ!」

国王「今の儂は、かなり不快なのだ!」

国王「ただでさえ、この二人は憎きハーフエルフの手玉に取られた!」

国王「今の世達は、全くもって完全に間違ってなどいない!」

大魔導師「……」ギリギリッ

大臣「密偵、この二人をすぐに捕らえよ!」

大臣「今のこの二人は、国王陛下に対して謀反を企てた!」 

483 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/23(土) 07:15:32 ID:p9Qv00ho
密偵「はっ、しかと承りました」

密偵「お二方、少しばかり腕を後ろにお出し下さい」

密偵「これから、お二方の事を縛らせて頂きます」

密偵「これについては、国王陛下からの命令なので」

大賢者「……」スッ

密偵「……」ササッ

シュルシュル、シュルシュル……

大臣「……」

大魔導師「ほれ」

密偵「……」ササッ

シュルシュル、シュルシュル……

国王「……」

大臣「陛下、謀反人二人を捕縛しました」

大臣「この二人は、どこに拘留致しますか?」

密偵「……」 

484 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/23(土) 07:15:52 ID:p9Qv00ho
国王「うむ。城の地下にでも拘留しておけ」

国王「そこなら、この二人とてすぐには出られん」

国王「これで、邪魔者が二人いなくなったな」

国王「大臣、さっさとこの二人を早く連れて行ってくれ」

国王「もう二度と、今の世はこの二人の顔等見たくない!」

大臣「はっ、仰せのままに」

密偵「……」

大魔導師「糞国王、最後にこれだけは言わせて貰う!」

大魔導師「大賢者が、勇者から預かった石だけは決して触れるな!」

大魔導師「その石は、持つものを完全に不幸のどん底に突き落とす!」

大魔導師「今の儂らは、それを使ってあの娘の事を亡き者にするつもりじゃった!」

大魔導師「儂らの代わりに、それを果たしてくれ!」

大魔導師「これは、儂らからの遺言じゃよ!」

大賢者「……」

国王「……?」 

485 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/23(土) 07:16:06 ID:p9Qv00ho
大臣「ああ、了解した」

大臣「そなた達の企み、聞くだけ聞いてやった」

大臣「その石についても、何か秘密がありそうだな」

大臣「まぁ、それについては後でゆっくり聞いてやる」

大臣「密偵、ドアを開けろ」

大臣「これより、この二人を移送するぞ」

密偵「はっ!」サッ

大魔導師「……」

国王「大臣。その石とやらが見つかり次第、すぐに世に報告せよ!」

国王「その石とやらは、カーネルと何らかの秘密がありそうだ!」

国王「どうせ、今先程の大魔導師の言葉はただの虚言!」

国王「それを使って、カーネルを助けるつもりだった!」

国王「今の余には、そう見えてならんのじゃ!」

大賢者「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ、ピタッ…… 

486 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/23(土) 07:16:18 ID:p9Qv00ho
ガチャ、キギィーーーーッ、ダン……

密偵「大臣、どうぞ」

密偵「何名かの衛兵達がここに参りました」

密偵「今から、そちらに衛兵達が向かいます」

衛兵達「……」

大臣「うむ。ご苦労!」

大臣「今ここに縛っている謀反人二人を、地下の牢に入れよ!」

大臣「この二人は、国王陛下に対して謀反を企てた重罪人!」

大臣「だから、しっかりとな!」

衛兵達「はっ!」

大賢者「……」ハッ、チラッ

大魔導師「……」ハッ、チラッ

大賢者「……」コクン

大魔導師「……」コクン

スタスタスタッ、スタスタスタッ、ピタッ 


489 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/23(土) 15:59:46 ID:p9Qv00ho
衛兵「さぁ、歩け!」

衛兵「これから、貴様らを地下牢にまで案内する!」

衛兵「たとへ、世間から尊敬の意を集めようと地下牢では別だ!」

衛兵「今の貴様らは、国王陛下に対して謀反を企てたのだからな!」

大魔導師「……」

衛兵「ん? どうした?」

衛兵「何故、歩かない?」

衛兵「貴様、耳が聞こえないのか?」

衛兵「早くさっさと歩け!」

大賢者「……」

クルッ、スタスタスタッ、スタスタスタッ……

国王「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

大臣「……」

ギギィーーーーッ、バタン…… 

490 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/23(土) 15:59:59 ID:p9Qv00ho
国王「……」

大臣「……」

密偵「……」

国王「……」

大臣「……」

密偵「……」

国王「密偵、今のそなたに新たな命を下す!」

国王「カーネルを始めとするハーフエルフを暗殺せよ!」

国王「明日の朝、XXX島にはハーフエルフ討伐の為の兵が向かう!」

国王「それまで、カーネル達の情報を出来るだけ集め、兵が着き次第カーネルを暗殺せよ!」

密偵「はっ!」

大臣「……」

国王「大臣、何をもたもたしている!」

国王「早く手配をするのだ!」

大臣「はっ!」 

491 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/23(土) 16:00:31 ID:p9Qv00ho
大臣「密偵、もう下がって良い」

大臣「そなたには、まだまだこれからも働いて貰う!」

大臣「そなたは、本日から私の指揮下だ!」

大臣「今後は、全ての情報をこの私に回せ!」

大臣「良いな?」

密偵「はっ!」

サッ、シュン……

国王「……」

大臣「……」

国王「……」

大臣「……」

国王「大臣、兵は如何程出せる?」

国王「王都にいる兵は、本当にたった500なのか?」

大臣「はい。正にその通りです」

国王「……」 

492 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/23(土) 16:00:49 ID:p9Qv00ho
大臣「ですが、民達を煽ればいくらでも兵は出せます!」

大臣「例えば、ハーフエルフを一人狩る毎に賞金を出すと言うのはどうでしょうか?」

大臣「さすれば、民達もすぐに動きます!」

大臣「国内には、ハーフエルフを憎む勢力がかなり台頭!」

大臣「エルフの里にも使者を出し、カーネルに味方する者達も一人残らず殲滅するのです!」

国王「おおっ……」

大臣「ですから、陛下はどうかご安心を!」

大臣「カーネルなど、我らの手に掛かればいとも容易く殺害する事が出来ます!」

大臣「今まで、我々は何度も何度もカーネルを討伐して参りました!」

大臣「所詮、カーネルにはどこにも居場所は全くない!」

大臣「“ただただ利用されるだけ利用され、不要になればすぐに捨てられる消耗品”でしかないのです!」

国王「うむ。そうだな」

大臣「……」

シュン、シュタッ……

国王「!?」 

493 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/23(土) 16:01:08 ID:p9Qv00ho
大臣「陛下、どうなさいました?」

大臣「かなり、顔色が優れない様ですが」

国王「……」ガクガクッ

魔女「……」ニッコリ

大臣「陛下、今日はもうお休みになられては如何でしょうか?」

大臣「ここ最近の陛下は、あまり体調が宜しくない」

大臣「ですから、もう今日の所ははお休み下さいませ」

国王「……」ガクガクッ

大臣「……?」

魔女「……」チョン、チョン

大臣「……?」クルッ

魔女「……」ニコニコ

大臣「ーーーーーーーーっ!?」ビクッ

魔女「少し、早いですけど、ここに来てしまいました」

魔女「私がここに来た意味、今のお二人はもうお分かりですよね?」 

494 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/23(土) 16:01:25 ID:p9Qv00ho
国王「……」ガクガクッ

大臣「……」ガクガクッ

魔女「……」ニコニコ

国王「……」ガクガクッ

大臣「……」ガクガクッ

刺客達の生首「……」

スッ、シャキン……

魔女「……」ブツブツ

魔女「……」ブツブツ

シューーーーッ、シュン……

国王「!?」

大臣「なっ!?」

「明日の午後三時、兵を率いてそちらにお伺いを致します……」

「ですから、覚悟だけはしといて下さいね……」

刺客達の生首「……」 

495 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/24(日) 07:06:06 ID:JqkTF2g2
国王「……」ガクガクッ

大臣「……」ガクガクッ

刺客達の生首「……」

国王「……」ガクガクッ

大臣「……」ガクガクッ

刺客達の生首「……」

大臣「へ、陛下、お怪我は?……」

大臣「カーネルの事、すぐに追わせましょうか?……」ガクガクッ

刺客達の生首「……」

国王「いや、その必要はない……」

国王「どうやら、本当に向こうから来てくれる様だ……」

国王「すぐに、各魔導士を動員して兵を集めよ……」

国王「これは、余からの命令だ……」ガクガクッ

大臣「はっ、仰せのままに……」ガクガクッ

刺客達の生首「……」 

496 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/24(日) 07:06:22 ID:JqkTF2g2
ガチャ、キギィーーーーッ、ダン……

ササッ、カシャン……

衛兵隊長「申し上げます!」

衛兵隊長「何者かが、城内に侵入!」

衛兵隊長「各地で、大量の首なし死体が発見されました!」

国王「!?」ガクガクッ

衛兵隊長「今現在、その数はおよそ200!」

衛兵隊長「主に、全裸のままの状態!」

衛兵隊長「中には、女性の首なし死体も含まれており、身元の特定を急いでおります!」

大臣「……」ガクガクッ

国王「……隊長、そこにカーネルの姿は?」

国王「今のそちは、カーネルをどこかで見かけなかったか?」ガクガクッ

大臣「……」ガクガクッ

衛兵隊長「いえ、誰も見かけてはおりません!」

衛兵隊長「兵達も、皆そう申しております!」 

497 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/24(日) 07:06:36 ID:JqkTF2g2
国王「そ、そうか……」

国王「他に、報告すべき事は?……」

国王「今ここにある、大量の生首もそれが原因なのか?……」ガクガクッ

衛兵隊長「!?」

大臣「恐らく、それもカーネルの仕業かと……」

大臣「今のカーネルは、恐れ多くも陛下に対して謀反を企てました……」

大臣「明日の午後三時、カーネルによる侵攻が開始されます……」

大臣「今からでは、とても間に合うかどうかは分かりません……」

大臣「王都にいる魔導士だけでなく、エルフの里にも使者を送る必要があります……」ガクガクッ

国王「……」ガクガクッ

衛兵隊長「陛下、その生首の山はいつ?……」

衛兵隊長「そこの生首の山、確かXXX島に潜伏している刺客達のはずなのですが……」

国王「!?」ガーーン

大臣「まさか、そんなはずは……」

大臣「出来る事なら、何かの見間違いであってほしい……」ガクガクッ 

498 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/24(日) 07:06:50 ID:JqkTF2g2
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、ポトポトッ……

大臣「……」

大臣「……」

グラッ、ドサッ……

大臣「ううっ……」ウルウルッ

大臣「ううっ……」ポロポロッ

衛兵隊長「……」ガクッ

国王「大臣、一体どうした?……」

国王「まさか、その中に見知った顔でもあったのか?……」

衛兵隊長「……」ウルウルッ

大臣「……はっ、恐れながら申し上げます」

大臣「この生首の中に、私の息子二人の生首も存在していました……」

大臣「私の息子は、つい最近XXX島に向かったばかり……」

大臣「それだけでなく、私の娘の生首ですら存在をしています……」 

499 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/24(日) 07:07:02 ID:JqkTF2g2
大臣「陛下、至急全軍に対して号令を!……」

大臣「本日を持って、非常事態体制に移行したいと思います!……」

大臣「でなければ、本当にカーネルはこの王都にまで侵攻!……」

大臣「明日の私達の言動次第で、民達がこの様な無惨な姿になる事でしょう!……」ポロポロッ

国王「……」

大臣「陛下、重ね重ね具申致します!……」クルッ、ササッ

大臣「今の私にも、兵をお与え下さい!……」

大臣「今の私は、とても悔しゅうございます!……」

大臣「たかがハーフエルフ如きに、愛する子供を奪われた!……」

大臣「嫁入り前の娘を、無惨にもあんな家畜以下に殺された!……」ポロポロッ

衛兵隊長「……」ポロポロッ

大臣「ですから、今すぐ私に兵をお与え下さい!……」

大臣「今度こそ、今の私はカーネルを仕留めて参ります!……」

大臣「それが、今の私に出来る唯一の復讐!……」

大臣「どうか、この私の一生のお願い、陛下はお聞き届け下さい!……」ペコッ、ポロポロッ 

500 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/24(日) 07:07:16 ID:JqkTF2g2
国王「……大臣」

国王「今のそなたに、兵を与える!」

国王「各魔導士を率いて、カーネルの首をはねよ!」

国王「これは、余からの命令だ!」

大臣「はっ、仰せのままに!」ペコッ、ポロポロッ

衛兵隊長「……」ポロポロッ

国王「衛兵隊長。明日の午後三時に、カーネルがここに来る!」

国王「そなたは、衛兵を全て集めて城内を守備せよ!」

国王「決して、カーネルを城内に入れな!」

衛兵隊長「はっ! しかと承りました!」ビシッ、ポロポロッ

国王「後、大臣は至急民達に対して通達!」

国王「明日は、ハーフエルフがここに攻めくる!」

国王「民達に対し武器を持たせ、向かい来るハーフエルフを全て殲滅をするのだ!」

大臣「はっ!」ポロポロッ、ビシッ

衛兵隊長「……」ポロポロッ、ビシッ 

501 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/24(日) 07:12:12 ID:JqkTF2g2
シュン、スタッ……

子豚「国王陛下、夜分遅くに申し訳ありません」

子豚「少し、お話したい事がございます」

子豚「お時間の方、宜しいでしょうか?」

大臣「……?」クルッ、ポロポロッ

衛兵隊長「!?」ポロポロッ

国王「……ああ、構わぬが」

国王「今の余に、一体何の用だ?」

国王「今のそちは、ただの醜い子豚」

国王「とても、以前までの様な力を持っているとは思えぬが」

大臣「……」ポロポロッ

子豚「……本日、私が伺ったのは、とある石の事でございます」

子豚「その石は、私達エルフにとっては絶対に必要な物」

子豚「それを、我々エルフに是非とも返還して頂きたく、本日はここに参った所存にございます」

衛兵隊長「……」ポロポロッ 

502 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/24(日) 07:12:26 ID:JqkTF2g2
国王「……ほぅ、そちもか」

国王「そちも、あの石を欲しておるのか?」

国王「して、その石の威力は?」

国王「今のそちが欲しがる程、それだけ大事な石と言う訳か?」

大臣「……」ポロポロッ

子豚「はい。正に、その通りでございます!」

子豚「その石は、今現在のエルフ里の窮状を救う唯一の手段!」

子豚「私の生まれ故郷のエルフの里は、あの娘の前になす術もなく陥落を致しました!」

子豚「数多くのエルフ達が、あの娘によって一方的に無惨な末路を迎えさせられました!」

大臣「……」ポロポロッ

子豚「ですから、どうか今現在この国が保有している例の石を、エルフの里に即刻返還して頂きたい!」

子豚「それが叶った暁には、我々エルフの里は反カーネルで統一!」

子豚「元々、あの娘自身はかなり評判が悪いですからね!」

子豚「たかがハーフエルフの分際で、エルフの里には何度も出入り!」

子豚「おまけに、現族長を手玉に取り、裏で現族長を操っています!」 

503 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/24(日) 07:12:57 ID:JqkTF2g2
子豚「ですので、どうかこの私のお願いお聞き届け下さい!」

子豚「あの石を、絶対にカーネルにだけは渡してはならないのです!」

子豚「もし仮に、あの石がカーネルの手に渡れば、我々エルフも人間もハーフエルフの支配下に入ります!」

子豚「これまで、我々が長岐に渡ってハーフエルフを苦しめてきた分……」

子豚「あの娘は、我々の事を自身の支配下に置き、今までの立場を完全に入れ換えるつもりなのです!」

国王「!?」ガーーン

大臣「なん……ですと……!?」ガーーン

衛兵隊長「ーーーーっ!?」ガーーン

子豚「……」

国王「……」

大臣「……」

衛兵隊長「……」

子豚「……それで、ご返答の方は?」

子豚「我々エルフに、例の石を返還して頂けるのでしょうか?」

国王「……」 

504 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/24(日) 07:13:28 ID:JqkTF2g2
大臣「……子豚殿。その石については、もう少し話を聞かせてはくれませぬか?」

大臣「その石を、カーネルが使用した場合にはどうなるのです?」

大臣「今の我々も、つい最近その石を保有したばかり」

大臣「さすがに、すぐにはお返しし難い」フキフキ

国王「……」

子豚「ええ、かしこまりました」

子豚「その例の石について、もう少し説明させて頂きます」

子豚「その例の石の使い道は、全部で二つ」

子豚「一つは、前族長であったこの私が仕掛けたある種の呪いを全て解除する事」

子豚「二つ目は、あの娘が背負う“不幸な運命を全て清算する”事」

子豚「それらの為に例の石を使う場合、例の石はそのどちらか一つにしか使う事は出来ません!」

大臣「……」シャキン

子豚「ですから、その石がカーネルの手元に行く前に、エルフの里に持ち帰る必要が出てきます!」

子豚「幸い、反カーネル派のエルフ達は、私の族長復帰を強く希望!」

子豚「現族長を暗殺をし、再びこの私を族長に据える計画が、今現在も進行をしているのです!」 

505 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/24(日) 07:13:43 ID:JqkTF2g2
国王「うむ、合い分かった!」

国王「大臣、その例の石を今そこにおる次期族長に!」

国王「今の余は、そちの事を信じても良いのだな?」

国王「今の余とそちは、反カーネルについてで同盟を結ぶと言う事なのだな?」

子豚「はい!」

国王「では、至急それを手配させよう!」

国王「明日の午後三時、カーネルはここに攻めて来る!」

国王「今のそちにも、いくらかの兵を出して貰いたい!」

国王「カーネルは、今の余に対して大魔導師達と共に謀反を企てた!」

国王「これは、もう戦なのだ!」

大臣「……」

子豚「はい。かしこまりました!」

子豚「例の石が届き次第、私はエルフの里に戻ります!」

子豚「明日から、今の私は再びエルフの里の族長に就任!」

子豚「今まで、あの親子に散々酷い目に遭わされてきた分、それまでの報いを絶対に受けさせて差し上げます!」 

506 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/24(日) 07:14:00 ID:JqkTF2g2
国王「うむ、合い分かった」

国王「大臣、もう下がっても良いぞ」

国王「至急、そち達は明日の為の準備を開始せよ!」

国王「次期族長も、もうお帰り下され!」

国王「ここでもたもたしていれば、カーネルに遅れを取る!」

国王「ただでさえ、カーネルはここに何の連絡もなく忍び込んできて……」

国王「更には、そこに転がる無数の生首を置いて去ったのだからな……」

刺客達の生首「……」

大臣「はっ、仰せのままに!」

大臣「隊長、子豚殿、ここを出ますぞ!」

大臣「この床に転がっている生首は、後で処分しといてくれ!」

大臣「ここにあっても、ただの邪魔なだけ!」

大臣「もうこ奴等は、ただの約立たずのみなのだからな!」

衛兵隊長「はっ、かしこまりました!」フキフキ

国王「……」  

510 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/25(月) 08:44:58 ID:HDPZoXz6
~伯爵邸内・伯爵の部屋~

伯爵「そうか、失敗をしたか……」

伯爵「あの●●持ち、しくじったのか……」

魔女「はい……」

伯爵「カーネル。一体どうする?」

伯爵「今の貴殿に、他に策はあるのか?」

魔女「はい。ございます」

伯爵「なら、その策を用いてこの事態を打破せよ!」

伯爵「明日の出立には、この私一人で行く!」

伯爵「そなたには、これまでずっと世話になり続けた!」

伯爵「今度は、我々がそれを返す番だ!」

魔女「……」

伯爵「なぁに、心配はいらん!」

伯爵「本来なら、私はもう既に死んでいた身だ!」

伯爵「あの愚息が謀反を起こさなくても、あの執事達によって毒を盛られていただろう!」 

511 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/25(月) 08:45:10 ID:HDPZoXz6
伯爵「だから、カーネル」

伯爵「今のそなたは、明日をどう乗り切るかについてを考えよ!」

伯爵「今のそなたは、この島にとっては絶対に必要不可欠!」

伯爵「今では、恩を仇で返そうとする不届き者が多くなってしまったが……」

伯爵「その者達についても、いつまたそなたの命を狙う刺客に成り代わるかについてが、まだ分からぬのだからな!」

魔女「……」

スッ、ゴクゴクゴクッ……

ゴクゴクゴクッ、ゴクゴクゴクッ……

スッ、ストン……

伯爵「ふぅ……」

魔女「……」

トントン、トントン……

ガチャ、バタン……

警備隊長「失礼致します」

警備隊長「伯爵様。少し宜しいでしょうか?」 

512 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/25(月) 08:45:23 ID:HDPZoXz6
伯爵「うむ。どうした?」

伯爵「何か、動きでもあったのか?」

魔女「……」

警備隊長「はっ、恐れながら申し上げます!」

警備隊長「賢者殿と魔導士殿が、逃亡を図りました!」

警備隊長「今現在、賢者殿と魔導士殿はこの島をもう既に脱出!」

警備隊長「その際に、勇者一行もまたそれに同行!」

警備隊長「どうやら、まだまだ間者が潜んでいた様子!」

警備隊長「酒場に待機していた僧侶も、勇者に連れられて逃走を図った模様です!」

伯爵「!?」

魔女「……」

警備隊長「それと、例の元騎士も逃亡を図りました!」

警備隊長「ですが、例の元騎士に関してはすぐに捕縛!」

警備隊長「何でも、逃走中に足を負傷した為に身動きが取れず、すぐに捕縛されたそうです!」

魔女「……」ガクッ 

513 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/25(月) 08:45:36 ID:HDPZoXz6
伯爵「……うむ、そうか」

伯爵「勇者一行にまで、逃げられてしまったか……」

伯爵「これで、我らはますます不利になるな……」

伯爵「あの糞国王に、大義名分を与えてしまったな……」

魔女「……」

伯爵「警備隊長。島の警戒を厳にせよ!」

伯爵「明日の出立には、兵は1000名だけではとても足りぬ!」

伯爵「少なくとも、兵は5000名は必要となってくる!」

伯爵「この島の警備に支障がないだけ、明日の出立に回すのだ!」

警備隊長「はっ、かしこまりました!」

魔女「……」

伯爵「カーネル。そなたは、もう休まれよ」

伯爵「ここ最近のそなたは、よく働き過ぎた」

伯爵「明日は、我らにとっては大事な一戦!」

伯爵「明日の午後三時に、我らの運命が決まってしまうのだからな!」 

514 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/25(月) 08:45:54 ID:HDPZoXz6
魔女「はっ、了解致しました!」

魔女「本日は、もうこの辺りで下がらせて頂きます!」

魔女「警備隊長。伯爵様の身辺の警護をお願い!」

魔女「私は、もう今日はこの辺りで下がるけど、くれぐれも伯爵様の身辺にだけは絶対に気を付けてよね!」

警備隊長「はっ、了解致しました!」

伯爵「……」

魔女「……」ペコッ

クルッ、スタスタスタッ、ピタッ……

ガチャ、バタン……

伯爵「……」

警備隊長「……」

スッ、トポポポポッ、ストン……

ゴクゴクゴクッ、ゴクゴクゴクッ……

伯爵「ふぅ……」

警備隊長「……」 

515 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/25(月) 08:46:11 ID:HDPZoXz6
伯爵「……警備隊長」

伯爵「今の私は、そなたに少し聞きたい事がある」

伯爵「今のそなたは、カーネルに仕えて何年だ?」

伯爵「もう、かなり長いのか?」

魔女「……」

警備隊長「はっ、かれこれ6年になります」

警備隊長「カーネルとは、カーネルが13になられた頃から仕えて参りました」

警備隊長「その時は、まだ私を含めてたった25名」

警備隊長「一時期、カーネルを含めて“アルファベット傭兵隊”と名乗っていた時期もあったりもします」

魔女「……」

伯爵「ふむ、そうか」

伯爵「そう言えば、そんな時期もあったな」

伯爵「あの頃のカーネルは、まだ幼き少女」

伯爵「今と大きく違って、王都から遣わされた刺客なんぞとは、かなり無縁の状態だったからな」

魔女「……」 

516 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/25(月) 14:30:09 ID:HDPZoXz6
伯爵「警備隊長。そなたは、カーネルの事をどう思う?」

伯爵「今のそなたにとって、カーネルは守るに値する存在か?」

伯爵「それとも、それに値しない存在か?」

魔女「……」

警備隊長「はっ、今の私にとってカーネルこそが守るに値する存在であります!」

警備隊長「カーネルとは、長い間共に戦って参りました!」

警備隊長「時には、たった二人のみで敵と戦う事もありましたし!」

警備隊長「ここまで、今の私が強くなれたのもカーネルのおかげなのです!」

魔女「……」

伯爵「ふむ、そうか」

伯爵「今のそなたは、カーネルの事を信用しているのだな!」

伯爵「正直、今の私だってカーネルの事を信用している!」

伯爵「カーネルには、散々世話になった!」

伯爵「こうして、ようやく貴族らしい生活が出来ているのも、全てカーネルのおかげなのだからな!」

魔女「……」 

517 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/25(月) 14:30:23 ID:HDPZoXz6
伯爵「だから、警備隊長」

伯爵「カーネルの事を、絶対に死なせないでくれ!」

伯爵「今のあの娘は、完全に死ぬ気だ!」

伯爵「この島の民達の為だけでなく、国内全ての民達の為に今の自分自身をとことん悪にするつもりだ!」

魔女「……」

伯爵「あの娘は、本当に昔からそうだった!」

伯爵「以前、私が王都に連れて行った時も、あの娘は自分自身が私の代わりに悪になろうとしていた!」

伯爵「それが原因で、カーネルは無実なのにも関わらず、王都の民達にはずっと恨まれる毎日!」

伯爵「その時、私はずっとそんなカーネルの事が不憫でならなかった!」

伯爵「見ず知らずの大賢者殿にすぐに面会をし、カーネルの事を大賢者殿の元に預けたりもした!」

魔女「……」

伯爵「一体、私は何を間違ったのか?」

伯爵「あのまま、カーネルを大賢者殿に預けず、この島にすぐ連れて帰れば良かったのか?」

伯爵「それについては、今のそなたはどう思う?」

伯爵「あの時の私は、何か間違っていたのだろうか?」 

518 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/25(月) 14:30:36 ID:HDPZoXz6
警備隊長「伯爵様」

警備隊長「あの時の貴方は、何も間違ってはおりません」

警備隊長「何故なら、ああしなければカーネルは死んでいました」

警備隊長「ハーフエルフだからと言う理由で濡れ衣を着せられ、大賢者様が無実を証明して頂けなければ、カーネルはもう既にこの世にはいなかった事でしょう」

魔女「……」

警備隊長「ですが、カーネルはそれが原因で人によっては過ぎたる力を得てしまいました」

警備隊長「それをネタに、反カーネル派はすぐに台頭」

警備隊長「王都で過ごしていた時のカーネルは、常に刺客によって命を狙われた状態でした」

警備隊長「今の我らの前任達が、ずっとカーネルの事を守り続けていたのです」

魔女「……」

警備隊長「伯爵様」

警備隊長「どうか、ご自身をお責めにならないで下さい」

警備隊長「カーネルは、ずっと貴方に感謝していますよ」

警備隊長「今の自分がハーフエルフなのにも関わらず、司教様と共に今の自分自身を守って下さっていた事に対して感謝しています」

魔女「……」 

519 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/25(月) 14:30:50 ID:HDPZoXz6
伯爵「だが、今の私は、カーネルには申し訳ない感じだ」

伯爵「長年、苦労を共にしてきた側近に裏切られた」

伯爵「それに加え、離婚した私の妻の愚息がカーネルの命を狙う刺客」

伯爵「更には、この島にやっとの思いで避難してきた多数のハーフエルフ達に対して、かなりの狼藉の数々」

伯爵「今の私は、本当にカーネルには申し訳ない感じだ」

伯爵「いつから、この島はこの島の恩人に対して牙を向く様になったのか?」

伯爵「その事が、いま私にとっては大きな心残り」

伯爵「いずれ、私やカーネルは確実に死ぬ」

伯爵「それが済んだ後、この島は再び地獄と化すであろう」

魔女「……」

スッ、トポポポポッ、ストン……

ゴクゴクゴクッ、ゴクゴクゴクッ……

伯爵「……」

警備隊長「……」

スッ、ストン…… 

520 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/25(月) 14:31:03 ID:HDPZoXz6
魔女(まさか、伯爵様に今の私の考えを見抜かれていたとはね……)

魔女(このまま行くと、確実に伯爵様も死ぬ……)

魔女(今の私だけでなく、確実に伯爵様まで死んでしまう……)

伯爵「……」スッ、ムキムキッ

魔女(はぁ……)

魔女(一体、どうしようかしら?……)

魔女(師匠も何故か捕まっちゃったし、明日はどうしようかしら?……)

警備隊長「……」

魔女(おまけに、例の石はエルフの里に渡り、確実に現族長は下ろされる……)

魔女(また、私だけが常に迫害をされ、他の皆は助かっていく……)

伯爵「……」モグモグモグッ

魔女(とりあえず、師匠の件は放置しとこ……)

魔女(師匠達なら、私が何かしなくても勝手に脱出をするはず……)

魔女(思えば、この島を追われるのはもう二度目なのよね……)

魔女(一体、この私の何がいけないのかしらね?……)ハァ…… 

521 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/25(月) 14:31:19 ID:HDPZoXz6
伯爵「警備隊長。今日はもう下がっても良い」

伯爵「明日は、かなり大事な戦だ」

伯爵「今のそなたも、カーネルと共に体をよく休めておけ」

魔女「!?」ハッ

警備隊長「はっ、了解致しました!」

警備隊長「本日の所は、もうこの辺りで下がらせて頂きます!」

警備隊長「伯爵様、どうかご無理をなさらない様にお願い致します!」

警備隊長「伯爵様がお体を悪くなされたら、それこそこの島の一大事!」

警備隊長「ですから、どうかご無理だけは絶対になさらないで下さいね!」

伯爵「うむ、合い分かった」

警備隊長「……」ペコッ

クルッ、スタスタスタッ、ピタッ……

ガチャ、バタン……

伯爵「……」

魔女「……」スッ、シュン 

522 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/26(火) 13:17:37 ID:BTrNp2K6
~とある酒場~

店主「本当に、今日は忙しかったわね」

店主「今の貴方達がいなかったら、確実にウチの店は潰れてたわ」

元店主嫁「ええ、そうですね……」

店主「まぁ、あの子が男の子二人置いてってくれたから、なんとかなってたけど」

店主「やっぱり、ハーフエルフは力があるわ」

店主「元々、ウチは昔からハーフエルフを数多く雇ってたけど」

店主「物凄く久し振りに、お客さん受けの良い子達が来てくれたわ」

店主姪「……」

元店主嫁「あの、義姉さん……」

元店主嫁「ちょっと、お話が……」

元店主嫁「いつから、ここは●●宿になったんですか?……」

元店主嫁「私達、そんな事は一言も聞いていませんでしたけど……」

元店主嫁「つうか、何で多数の●●とか雇ってんですか?……」

●●達「……」 

523 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/26(火) 13:17:55 ID:BTrNp2K6
店主「え? 言ってなかったっけ?」

店主「ウチ、伯爵様の許可を貰って営業をしてるんだけど」

店主「つい最近、この島の●●が何故か潰れたでしょ?」

店主「あの子に頼んで、すぐに許可を得たわ」

店主「何でも、この子達は色々と訳有りだし」

店主「だから、ウチは●●宿も兼ねてる訳」

元店主嫁「……」

店主「まぁ、とりあえず今日はもうお開きにしましょ」

店主「本日は、結構稼ぐ事が出来た」

店主「本当に、義妹ちゃん達には感謝してる」

店主「ここ当分の間は、義妹ちゃん達は手伝ってくれるんだし」

店主「その分、給金は弾むからね♪」

元店主嫁「……」ガクッ

店主姪「叔母さん……」ウルウルッ

従者達「……」 

524 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/26(火) 13:18:08 ID:BTrNp2K6
シュン、シュタッ……

魔女「あれ? もう終わってた?」

魔女「今日は、もうお開きなのかしら?」

店主姪「あっ、義姉さん……」ウルウルッ

魔女「ん? どうしたのよ?」

魔女「何で、姪っ子ちゃんはそんな顔をしてるのよ」

店主姪「……」ウルウルッ

魔女「私、また何かやった?」

魔女「また、何かしちゃってたのかしら?」

元店主嫁「……」コクン

店主姪「義姉さん。一体、どう言う事?……」

店主姪「何で、ここ●●宿も兼ねてるの?……」ウルウルッ

魔女「え?」

店主姪「今の私、そんな事全く聞いてない……」

店主姪「叔母さんからも、全く聞いてなかったんだけど……」ウルウルッ 

525 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/26(火) 13:18:21 ID:BTrNp2K6
魔女「……あっ、言うの忘れてた」

魔女「姪っ子ちゃん、そう言うの嫌いそうだから、奥さんに言うのも完全に忘れてた……」タジタジッ

店主姪「!?」ガーーン

魔女「いや、これにはちょっと深い訳があってね……」

魔女「そこにいる女の子達、親に捨てられてたのよ……」

魔女「しかも、借金の形に今の姪っ子ちゃんくらいの歳で●●に売られててね……」

魔女「だから、私がこの子達を保護してきた訳……」タジタジッ

店主姪「……」ウルウルッ

元店主嫁「だったら、何でここで●●をさせてるのよ?」

元店主嫁「普通、可哀想と思うなら、そんな事をさせないでしょ?」

店主姪「……」ウルウルッ

魔女「うん。そうだね……」

魔女「本当の所は、そう言うのはしてほしくなかったんだけど……」

魔女「なんか、ママとマスターがかなりはっちゃけちゃって……」

魔女「衣食住については、完全に店側が保証するって事で……」タジタジッ 

526 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/26(火) 13:18:33 ID:BTrNp2K6
店主姪「……そう、そうなんだ」

店主姪「だから、あの僧侶さんは何も言わずに逃げちゃったんだ……」

店主姪「そりゃあ、普通の人が見たら逃げちゃうよね?……」

店主姪「まさか、自分達が宿泊する部屋の近くで●●をしてるなんて、夢にも思わないわよね?……」ウルウルッ

魔女「……」タジタジッ

店主姪「とりあえず、義姉さん……」

店主姪「少し、今の義姉さんに対してお仕置きをさせて……」ウルウルッ

魔女「!?」ハッ

店主姪「大丈夫。別に怖がらなくたって良いから……」

店主姪「今日の私、朝から散々な目に遭ってきたし……」

店主姪「だから、今の義姉さんに少なからずは八つ当たりさせて貰うね……」ウルウルッ

魔女「……」ドキドキッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ムギュッ……

魔女「!?」 

527 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/26(火) 13:18:46 ID:BTrNp2K6
ムギュッ、ムギュッ……

ムギュッ、ムギュッ……

魔女「んんっ、んんっ……//」

ムギュッ、ムギュッ……

ムギュッ、ムギュッ……

魔女「あっ、あっ、はああん……//」トロリ

店主姪「……」ウルウルッ、ピタッ

従者達「……」ポカーーン

元店主嫁「……もしかして、した事あるの?」

元店主嫁「何で、全く抵抗してないの?……」

店主「……」ゴクリ

魔女「え? 大分前に……//」

魔女「私、こう見えても副業で●●やってますから……//」トロン

店主姪「ーーーーーーーーっ!?」ガーーン

●●達「……」ピカァ 

528 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/26(火) 13:21:23 ID:BTrNp2K6
元店主嫁「ああ、それでなんだ……」

元店主嫁「どおりで、私達と同じ臭いがした訳だ……」ガクッ

店主姪「……」ウルウルッ

元店主嫁「義姉さん。もしかして、また隠してた?……」

元店主嫁「義姉さんは、その事を知ってて私達には何も言わなかったの?……」

店主「……え?」フルフル

魔女「う~~ん、そんなに意外だった?……//」

魔女「私、脱いだら結構凄いのよ……//」

魔女「師匠とも、ほぼ毎日の様にやっちゃってたし……//」

魔女「師匠に引き取られる前までは、各地を渡り歩くついでに副業で●●とかもやってたんだけど……//」トロン

店主姪「……っ!?」ユラユラッ、ポロポロッ

魔女「……//」スッ、ガシッ

店主姪「……」ポロポロッ

魔女「……//」トロン

元店主嫁「……」ガクッ 

529 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/26(火) 13:21:40 ID:BTrNp2K6
店主「……ジュリエット」

店主「今度、ウチの店にヘルプで入ってくれない?」

店主「あんたが、ウチの店に入ってくれたら、すぐに売り上げが上がるわ!」

店主「あんた、昔から顔も良いし胸は大きかったんだし!」

店主「あんたの休みの日とか、ヘルプで是非とも入ってほしいんだけど!」

店主姪「!?」ポロポロッ

元店主嫁「義姉さん!?」イラッ

●●達「……」ドキドキッ

魔女「うん。別に良いけど……//」

魔女「その前に、先に色々と予約が入っちゃってるの……//」トロン

店主「!?」ピカァ

魔女「その前に、先に入っちゃってる予約とか消化しても良い?……//」

魔女「今予約入ってるのは、主にエルフの里関係……//」

魔女「私の実の母も、向こうでは●●にまで堕とされちゃったし……//」

魔女「生前の私の母の事を知るエルフからは、よく予約が入っちゃうから……//」トロン 

530 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/26(火) 13:21:57 ID:BTrNp2K6
店主「……そう」

店主「それなら、別に構わないわよ」

店主「今のあんた、色々と忙しそうだし」

店主「ちなみに、その人達の職業は?」

元店主嫁「義姉さん!……」ギリギリッ

店主姪「……」ポロポロッ

魔女「え? その人達の職業?……//」

魔女「主に、私は貴族相手に営業をしてるんだけど……//」トロン

魔女以外「!?」

魔女「エルフの里において、昔からハーフエルフのは●●扱い……//」

魔女「特に、女の子の場合は優先的にエルフの里に送られる……//」

魔女「その後、ある程度研修を受けたら、渡航及び就労許可書がエルフの里から発行されるのよね……//」

魔女「私も、そこで研修を受けた事があるし……//」

魔女「生まれて初めてエルフの里に入った時は、エルフの里全体が大騒ぎになってしまったわ……//」トロン

魔女以外「……」 

531 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/26(火) 13:22:15 ID:BTrNp2K6
店主「あんた、向こうでも何かやったの?」

店主「それ、一体いつの話なのよ?」

元店主嫁「……」

魔女「え? いつの話って……//」

魔女「確か、私が初めて生まれ故郷を追い出された時だったかしら?……//」

魔女「その時の私、偶々ながらも私の母の知人に拾われて……//」

魔女「そのまま、エルフの里に行ってみたら、何故か大騒ぎになっちゃった訳……//」トロン

店主「……」

魔女「まぁ、そんな訳で今の私は副業として●●をしてるの……//」

魔女「姪っ子ちゃんが思ってる程、私結構汚れちゃってるのよ……//」トロン

店主姪「……」ポロポロッ

魔女「思えば、あの時の私は戸惑いの連続だった……//」

魔女「何故、ハーフエルフの自分がエルフの里に入れたのが常に疑問だったわ……//」

魔女「でも、皆がすぐにその理由を教えてくれた……//」

魔女「私の母は、エルフの里ではかなりの有名人だったから……//」トロン 

532 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/26(火) 13:22:32 ID:BTrNp2K6
魔女「それから数日経って、私はちゃんとそこで●●としての研修をすぐに受講したわ……//」

魔女「その時の皆の心境は、今すぐそんな事を止めて欲しそうな感じで、よく泣いていたわ……//」

魔女「それでもなお、今の私はハーフエルフ……//」

魔女「その当時のエルフの里では、法律で女の子の場合は原則的に●●として扱われていた……//」

魔女「いくら、私の母を知る人達が泣こうが喚こうが、これについては本当にどうしようもなかった訳よ……//」トロン

従者達「……」ポカーーン

魔女「だから、私は逆にそれを利用し続けた……//」

魔女「主に、私の母を知る人達に対して、営業をよくやっていたわ……//」

魔女「それが、つい最近になってようやく実を結び、エルフの里ではハーフエルフの地位がかなり向上……//」

魔女「今では、すっかりエルフの里でもハーフエルフの扱い方が変わってきてね……//」

魔女「あれ以来、私はエルフの里でもよく知られてるわ……//」

魔女「エルフの寿命は、無駄に長いし……//」

魔女「その血を受け継ぐ私も、無駄に長かったりしてるからね……//」トロン

店主姪「……」ポロポロッ

元店主嫁「……」 

533 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/26(火) 13:22:47 ID:BTrNp2K6
店主「……大体は、分かった」

店主「つまり、あんたウチに来る前から●●やってた訳ね?」

元店主嫁「……」

魔女「うん。そうだけど……//」

魔女「今でも、一日四人はお客さん取っちゃってるけど……//」トロン

店主姪「……」ポロポロッ

魔女「もしかして、言ってなかった?……//」

魔女「今の私、その事すら言ってなかった?……//」トロン

従者達「……」ポカーーン

店主「ええ、聞いてないわ」

店主「この私ですら、そんな事すら初めて聞いたわよ」

●●達「……」

魔女「う~~ん。そうだっけ?……//」

魔女「無駄に100年もハーフエルフをやっちゃってたし……//」

魔女「てっきり、ママ達も知ってると思ってたわ……//」トロン 

534 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/27(水) 05:52:06 ID:qt7Z7anw
元店主嫁「ねぇ、ジュリエットちゃん」

元店主嫁「そろそろ、そんな話はもう止めてくれる?」

元店主嫁「ウチの娘、完全に傷付いてんだけど」

元店主嫁「ついさっきから、ずっと泣きっぱなしなんだけど」

店主姪「……」ポロポロッ

魔女「ああ、ごめんなさい。奥さん」

魔女「つい、副業の方のスイッチが入っちゃって」シャキン

元店主嫁「……」ギリッ

魔女「今日の私、また師匠に汚されてましたから」

魔女「師匠には、主に海辺で何故か体を要求されてましたから」ニッコリ

店主姪「……」ポロポロッ

元店主嫁「……そう、そうなの」

元店主嫁「ジュリエットちゃん、まだそんな事をされてるの?……」

元店主嫁「と言うか、何でその人を捕縛しないの?……」

元店主嫁「なんか、いつものジュリエットちゃんらしくないんだけど……」 

535 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/27(水) 05:52:25 ID:qt7Z7anw
店主「ええ、そうね」

店主「いつものあんたなら、すぐに捕縛しそうな勢いなんだけどね」

店主「もしかして、また誘惑魔法でも掛けられていたとか?」

店主「それが原因で、今のあんたは何も出来なかったとか?」

元店主嫁「……」ギリギリ

魔女「うん。そうだけど……」

魔女「私、昔から師匠にだけは全く逆らえないの……」シュン

店主「!?」ガーーン

魔女「思えば、師匠が私の体を要求してきた時は、常に従順だった……」

魔女「あの頃の私は、師匠に捨てられない為に必死だった……」

魔女「たとへ、師匠が魔法なんて掛けなくても、あの当時の私はどこも行く宛もない……」

魔女「師匠が、私の体を要求してきた時は、そのままずっとされるがままだったわ……」

店主「……」

魔女「多分、それが原因なのかな?……」

魔女「未だに、私が師匠に体を要求されても全く逆らえないのは……」 

536 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/27(水) 05:52:42 ID:qt7Z7anw
魔女「だから、今の私は師匠にだけは絶対に逆らえないわ……」

魔女「今日もまた、師匠に体を要求されてしまったから……」

魔女「確実に、師匠は死ぬまでこの私の事を汚し続ける……」

魔女「ママ達が思ってる程、そんなに私は強くないのよ……」

魔女「あの頃から、師匠も私もずっとそのまんま……」

魔女「今更、それを止めさせても、絶対に師匠は長続きしないわ……」

店主「……」

店主姪「……」ポロポロッ

元店主嫁「……」ギリギリ

●●達「……」ウルウルッ

従者達「……」ポカーーン

魔女「とりあえず、ママ」

魔女「明日、ちょっと王都にまで出掛けてくるから」

魔女「なんか、またあの糞国王が煩くてね」

魔女「それが原因で、ちょっとばかり兵を率いて王都に向かわなくちゃ行けないから」ニッコリ 

537 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/27(水) 05:53:42 ID:qt7Z7anw
店主「へえ、そうなの。あんた、明日王都にまで行くの」

店主「だったら、何かお土産とか買ってきて」

店主「今のあんた、昨日から狩人みたいな目してたし」

店主「今更、今のあんたに何を言われても、もう今の私は全く驚かないわ」

従者達「……」ポカーーン

魔女「うん。分かった!」

魔女「お土産に、糞国王の生首とか持って帰ってくるわ!」

魔女「それあったら、何か色々と変わるでしょ?」

魔女「今まで、私達ハーフエルフは散々苦しめられてきた!」

魔女「だから、そろそろ我慢の限界だし、兵を率いて王都攻めてくるわ!」ニコニコ

元店主嫁「ああ……」ガクッ、ユラユラッ

店主「……」サッ、ガシッ

元店主嫁「……」ウルウルッ

店主姪「……」ポロポロッ

●●達「……」ポカーーン 

538 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/27(水) 05:53:56 ID:qt7Z7anw
魔女「とりあえず、私もう行くね」

魔女「それを伝えに、ここに来ただけだから」

魔女「だから、もし仮に今の私が死ぬ事になったら、私の使ってる奥の部屋の中にあるお金を好きに使って」

魔女「今まで、ママには長い事お世話になってきたし」

魔女「私のお葬式とかも、別にあげなくても良いから」ニコニコ

店主姪「ーーーーーーーーっ!?」ガーーン

店主「……そう。そうなの」

店主「今のあんた、もう既に死ぬ覚悟は出来てるの」

店主「今のあんた、本当にあの時とそっくりだわ」

店主「あんたが、王都に職業訓練に行った時も、今の私に対して全く同じ事を言っていたわね」

元店主嫁「……え?」ウルウルッ

店主「でも、今のあんたの場合は、すぐに復活出来るんでしょ?」

店主「ここ最近のあんた、ずっと何かの書物を読み漁ってた」

店主「確か、それはエルフ語で書かれた古い書物」

店主「今のあんた、エルフ語もなんなく読めるだったはずだったわよね?」 

539 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/27(水) 05:54:09 ID:qt7Z7anw
魔女「うん。そうだけど」

魔女「私が読んだの、実の母が書き残してくれた書物だったの」

魔女「それを元に、私はずっと研究もしてきた」

魔女「私の母が、死ぬまで私の事を思って書き残してくれた書物を、全て解読をしていたわ」ニコニコ

店主「……」

魔女「けど、今の私は母の様に上手く出来ない箇所が多いのよね」

魔女「人間とエルフの魔術は、かなり違う」

魔女「主に、私が使うのは人間向きの方」

魔女「私の母が使い慣れていたエルフの方は、かなり難しかったから」ニコニコ

店主「……」

魔女「だから、下手をしたら私の命は明日までだわ」

魔女「私が死ねば、大勢のエルフや人間達は祝杯をあげる」

魔女「それだけ、今の私は国内の人達からはかなり嫌われていてね」

魔女「だから、今の私は死ぬ覚悟も出来ている訳」ニコニコ

店主「……」 

540 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/27(水) 05:55:58 ID:qt7Z7anw
魔女「もう、そんな顔をしないでよ」

魔女「まだ、今の私が死ぬと決まった訳じゃないのよ」

魔女「今の私、まだ死ねないから」

魔女「ハーフエルフの長として、他のハーフエルフ達の面倒も見ないといけないんだから」

従者達「!?」

魔女「だから、ママ達は何も心配はしなくても良いわよ」

魔女「私は、まだ死ぬつもりはない」

魔女「じゃなきゃ、こうして今ここにいたりしないし」

魔女「本当に、私が死ぬつもりなら、ママ達に会わずにここをすぐ出ていたわ」

店主姪「……」ポロポロッ

店主「……そう。気を付けてね」

店主「今のあんた、よっぽど危ない橋を渡ってるみたいだからね」

店主「この島で、あんたの事を悪く言う人が増えているのもまた事実」

店主「今まで、私はそんな人達の事を数多く見てきた」

店主「皆、影ではあんたの事をよく罵っていた」 

541 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/27(水) 05:56:11 ID:qt7Z7anw
店主「でも、あんたはそれにも関わらず、よくこの島の人達の為に尽くしてるわよね?」

店主「この島自体が、あんたがいないとやっていけない!」

店主「皆、それは分かってる!」

店主「それにも関わらず、今のあんたがハーフエルフだと言う理由で蔑んでいる!」

店主姪「……」ポロポロッ

店主「だからね、ジュリエット!」

店主「もう、あんたはこの島の人達の為に尽くすのを、もうこの辺で止めたら?」

店主「また、以前みたいに痛い目を見ないと、この島の住民達は理解しない!」

店主「いくら、今のあんたが頑張った所で、この島の住民達の意識は全く変わらない!」

魔女「……」

店主「もう今の私は、あんたのそんな辛い思いをする姿を見たくないのよね!」

店主「いつもいつも、あんただけが皆から酷く憎まれている!」

店主「この島に来てから、ずっとあんただけが皆からは蔑まれてる!」

店主「だから、もう今のあんたは自分の為だけに生きていきなさい!」

店主「この子達の面倒は私が見るから、今のあんたは思いっきり暴れてきなさい!」 

542 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/27(水) 05:56:24 ID:qt7Z7anw
魔女「うん。分かった!」

魔女「ママ。私ちょっと王都にて暴れてくるね!」

魔女「その時のお土産、糞国王の生首でも良い?」

魔女「それとも、また別のでも良い?」

店主姪「……」ポロポロッ

店主「う~~ん。そうね」

店主「あの糞国王の生首より、あんたの事を不幸のどん底に突き落とした性悪女の生首が欲しいわね」

店主「今のあんた、本当だったら貴族の娘だったんでしょ?」

店主「あの性悪女の所為で、今みたいな生活をずっと送ってるんでしょ?」

従者達「!?」ガーーン

魔女「うん。そうだけど 」

魔女「本当だったら、今頃エルフの里で悠々自適に暮らしてたわよ」

魔女「けど、今の私にはそれすら許されないみたいなのよね!」

魔女「今後も、今の私はずっとこのままハーフエルフ!」

魔女「だから、私達ハーフエルフの地位向上の為には、絶対に明日の戦は負けられないのよね!」 

543 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/27(水) 05:56:42 ID:qt7Z7anw
店主「なら、今のあんたは、さっさと準備して行ってきなさい!」

店主「明日もまた、この島は荒れに荒れる!」

店主「三日連続で、この島はずっと荒れに荒れ果てる!」

店主姪「……」ポロポロッ

店主「良い? ジュリエット!」

店主「今のあんたは、絶対に生きてここに帰ってくるのよ!」

店主「じゃないと、今の私は承知しないから!」

店主「また、自分自身の目の前で、もう何度目かも分からない我が子の死亡通知を受けるのは、絶対に嫌だから!」ウルウルッ

元店主嫁「……義姉さん」ウルウルッ

店主「だから、あんたは早く行きなさい!」

店主「生きて必ず、ここに戻ってきなさい!」

店主「今のあんた、私からのお願い聞いてくれるよね?」

店主「今まで、ずっとあんたには色々とお世話になってきた!」

店主「その恩すら、ろくに皆が返せていないのに!」

店主「それを今の私達がする前に、今のあんたが再び無惨に死ぬなんて、絶対に許さないんだからね!」ウルウルッ 

544 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/27(水) 05:56:55 ID:qt7Z7anw
魔女「うん。分かった……」

魔女「必ず、生きてここに戻ってくるわ……」

魔女「その間、そこにいる子達の事をお願い……」

魔女「私と同じハーフエルフがここを訪ねてきた場合には……」

魔女「今まで通りに、常に優しく接してあげて頂戴ね……」ウルウルッ

店主「……ええ、了解したわ」ウルウルッ

店主姪「……」ポロポロッ

元店主嫁「……」ポロポロッ

●●達「……」ウルウルッ

従者達「……」ビシッ

魔女「……」フキフキ

魔女「……」スッ

店主姪「……」ポロポロッ、ササッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ビシッ…… 

545 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/27(水) 05:57:07 ID:qt7Z7anw
魔女「それじゃあ、ちょっと行ってくるね♪」

魔女「皆、お留守番宜しくね♪」

店主姪「……」ポロポロッ

魔女「後、そこの二人はまだここでお留守番♪」

魔女「だから、大人しくしといてね♪」

店主「うん。行ってらっしゃい……」ウルウルッ、ニッコリ

元店主嫁「気を付けてね……」ポロポロッ

店主姪「……」ポロポロッ

魔女「……」スッ

シューーーーッ、シュン……

店主「……」ウルウルッ

店主姪「……」ポロポロッ

元店主嫁「……」ポロポロッ

●●達「……」ウルウルッ

従者達「……」 

546 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/27(水) 06:03:37 ID:qt7Z7anw
店主姪「義姉さん、行っちゃったね……」

店主姪「本当に、生きて帰ってくるんだよね?……」ポロポロッ

元店主嫁「……」コクン

店主姪「ねぇ、叔母さん……」

店主姪「何で、抱き締めてあげなかったの?……」

店主姪「あそこは、普通抱き締めてあげるんじゃないの?……」ポロポロッ

元店主嫁「……」フキフキ

店主「あのまま、抱き締めたら私が離せなかったから……」

店主「あの子も、ここをすぐに出ていけなくなる……」

店主「ただそれだけの事よ……」

店主姪「……」ポロポロッ

元店主嫁「義姉さん。本当に、良かったの?……」

元店主嫁「あのままだと、ジュリエットちゃん確実に死んでしまうわよ……」

元店主嫁「義姉さんは、それでも良いの?……」

店主姪「!?」ガーーン 

547 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/27(水) 06:03:51 ID:qt7Z7anw
店主「じゃあ、どうしろって言うのよ?……」

店主「今のあの子に、一体私達が何をしてあげれるって言うのよ?……」

元店主嫁「……」

店主「あの子は、ずっと昔から一人だった……」

店主「ハーフエルフだと言う理由でろくに友達すら作れず、この島の中でもそんな感じだった……」

店主姪「……」ポロポロッ

店主「それでも、あの子はずっと頑張ってきたわ……」

店主「あの子自身は、“いつか必ず復讐を成し遂げてやる!”って、ずっと心に決めていた!……」

従者達「……」

店主「それを、過去の私が始めて知った時、一体何が出来たと思う?……」

店主「あの頃の私、全く何も出来なかった……」

店主「自分自身の実の子供が、いつかあの子みたいに迫害される……」

店主「それに怯えて、あの子の事をろくに守ってさえ出来なかったわ……」

元店主嫁「……」

店主姪「……」ポロポロッ 

548 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/27(水) 06:04:06 ID:qt7Z7anw
店主「だから、今の私達には何も出来ない……」

店主「あの子はあの子で、自分で勝手に何とかする……」

店主「あの子自身も、別に今の私達に何かして欲しいと言う気持ちじゃない……」

店主「あの子は、これまでずっと苦労し続けてきたんだし……」

店主「今の私達が、今のあの子にしてあげる事なんて、何もありゃあしないのよ……」

元店主嫁「……」

店主姪「……」

従者達「……」

●●達「……」

ガチャ……

カラン、カラン……

バタン……

「あら? もう閉店なのでしょうか?」

「今の私、ちょっと人を探してるんですが」

店主「!?」ハッ、クルッ 

549 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/27(水) 06:04:36 ID:qt7Z7anw
仮面の女「あの、もしかして、もう営業時間外でしたか?」

仮面の女「もう既に、閉店されてるんでしたら、また改めて出直してきますが」

店主「……」ポカーーン

元店主嫁「あの、失礼ですがどちら様で?」

元店主嫁「見た所、今の貴女は私達と全く同じ臭いがする」

元店主嫁「もしかして、今の貴女も私達と同類?」

元店主嫁「その仮面の下には、一体どんな顔があるのかしら?」

店主姪「……」フキフキ

仮面の女「ああ、これは失礼致しました」

仮面の女「私、エルフの里から流れてきたジュリエットと申します」ペコッ

仮面の女「実は、この島に私の娘が住んでいると聞いて来ましてね」

仮面の女「それで、遥々実の娘に会いに、ここにまでやって来たと言う訳です」スッ、ニッコリ

元店主嫁「!?」

店主姪「ええ――――――――っ!?」ガーーン

店主「……」ポカーーン 

550 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/27(水) 06:04:49 ID:qt7Z7anw
仮面の女「それで、私の娘はどこに?」

仮面の女「町の人からは、ここに行けば分かると言われて来たんですが」

店主「……」ポカーーン

仮面の女「どうやら、私の娘はここにいないみたいですね」

仮面の女「本当に、あの子は昔から無茶ばかりしちゃうんだから」

店主姪「……」ポカーーン

元店主嫁「……貴女、一体何者?」

元店主嫁「何で、貴女までジュリエットちゃんと全く同じ顔をしてるのよ?……」

従者達「……」

仮面の女「ふぅん、ジュリエットか……」

仮面の女「まさか、実の母と全く同じ名前を名乗ってたとは……」

仮面の女「この分だと、またあの子は無茶ばかりするわね……」

仮面の女「その度に、今の私のお腹の中に逆戻りしてくるんだし……」

仮面の女「本当に、そろそろいい加減にしてほしいわね……」

●●達「……」ポカーーン 

551 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/27(水) 06:05:05 ID:qt7Z7anw
仮面の女「ああ、何かすいませんね」

仮面の女「突然、おしかけた挙げ句に嫌な思いをさせちゃって」

仮面の女「今の私、長い間ろくに会ってなかった娘の事を探してましたから」

仮面の女「ここなら、確実にあの子に会えると思って、遥々ここに来ただけですから」

店主「……」ポカーーン

仮面の女「後、かなりずうずうしいかもしれませんが、ここの部屋はあと何部屋空いてますでしょうか?」

仮面の女「なんか、こんな小さな島では、ここにしか宿泊施設はないみたいですし」

仮面の女「出来れば、今夜中にあの子に会いたいのですが」

店主「……」ポカーーン

シュン、シュタッ……

魔女「ごめん。ママ、忘れ物した」

魔女「私が読んでたエルフ語の書物は、どこにあるか知らない?」

魔女「あれ、明日いるやつだから――」ハッ

魔女「!?」ガーーン

仮面の女「!?」ピカァ 

552 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/28(木) 08:59:17 ID:fTRhoJ8M
魔女「……」

仮面の女「……」

店主「……」

店主姪「……」

元店主嫁「……」

従者達「……」

●●達「……」

魔女「ママ、この人誰!?」

魔女「何で、私と全く同じ顔をしているの!?」ワナワナ

店主「……」

魔女「ねぇ、ママ。なんとか言ってよ!」

魔女「つうか、何で皆は黙ってるの!?」

店主「……」

仮面の女「まさか、ここまで今の私に瓜二つなんて……」

仮面の女「本当に、神様は余計な事をしてくれるわよね……」 

553 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/28(木) 08:59:31 ID:fTRhoJ8M
魔女「……」

仮面の女「……」

店主「……」

店主姪「……」

元店主嫁「……」

従者達「……」

●●達「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ムギュッ……

魔女「!?」ビクッ

仮面の女「……」ニッコリ

魔女「……」ビクビクッ

仮面の女「……」ニコニコ

魔女「……」ビクビクッ

仮面の女「……」ニコニコ 

554 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/28(木) 08:59:49 ID:fTRhoJ8M
魔女「あっ、あなた、だれ?……」

魔女「一体、誰なのよ?……貴女は?……」ビクビクッ

店主「……」

魔女「今の私、貴女の事なんて知らない……」

魔女「お互い、初対面のはずなんだけど……」ビクビクッ

店主姪「……」

魔女「だから、そろそろ私の事を離してくれる?……」

魔女「じゃないと、今の私は貴女の事を捕縛しないといけない……」

魔女「たとへ、同じ女性同士だったとしても、無理矢理してるには変わらないんだから……」ビクビクッ

元店主嫁「……」

仮面の女「う~~ん。そんなに嫌?」

仮面の女「実の母に、こうやって抱き締められるの、そんなに嫌?」ニコニコ

魔女「!?」ガーーン

仮面の女「久し振りね。ジュリエット」

仮面の女「まさか、私と全く同じ名前を名乗っていたとはね」ニコニコ 

555 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/28(木) 09:00:08 ID:fTRhoJ8M
魔女「あ、貴女……」

魔女「一体、何を言っているの?……」

魔女「私の母は、私を産んですぐ亡くなったはずだけど……」

店主「……」

仮面の女「うん。そうだけど」

仮面の女「と言うか、ただ単に別の場所で眠ってただけなんだけど」ニコニコ

魔女「!?」ガーーン

仮面の女「じゃなきゃ、一体誰が今のあんたの事を産むのよ?」

仮面の女「つうか、何で今のあんたは、五回転生して五回ともハーフエルフなんかやってんのよ!?」ギリッ

魔女「……」ビクッ

仮面の女「今の私、さすがに目を覚ましたから!」

仮面の女「今のあんた、ほっといたらまた確実に死ににいくから!」

仮面の女「だから、今ここにいる私があんたの事をみっちり指導してあげる!」

仮面の女「見た所、今のあんたはそれなりに魔術とかは使えてるみたいだし!」

仮面の女「だから、少しは感謝くらいしなさいよね!」ギリギリッ 

556 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/28(木) 09:00:25 ID:fTRhoJ8M
魔女「……」ビクビクッ

仮面の女「……」ジーーッ

魔女「……」ビクビクッ

仮面の女「……」ジーーッ

魔女「……」ビクビクッ

仮面の女「……」ジーーッ

魔女「……」ビクビクッ

仮面の女「それで、返事は?」

仮面の女「今のあんた、何で黙ったままなのかしら?」ジーーッ

魔女「……」ビクビクッ

仮面の女「もしかして、あんたエルフ語読めないとか?」

仮面の女「私の書いた術式とか、全く解らないとか言わないわよね?」ギロッ

魔女「……」ビクビクッ

仮面の女「……」ジーーッ

魔女「……」ビクビクッ、コクン 

557 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/28(木) 09:00:44 ID:fTRhoJ8M
仮面の女「はぁ!?」

仮面の女「あんた、この100年もの間一体何を学んできたの!?」

仮面の女「つうか、何であんたはずっとハーフエルフのままなのよ!?」ギリギリッ

魔女「……」ビクビクッ、ポロポロッ

仮面の女「今の私、それが全くもって信じられない!」

仮面の女「私の娘は、こんな風になるはずじゃなかった!」

仮面の女「こんな物凄く可哀想な人生、絶対に送らせてなんかいなかった!」ギリギリッ

魔女「……」ビクビクッ、ポロポロッ

仮面の女「とりあえず、あんた明日予定とかある?」

仮面の女「もし仮に、あるんだったら今すぐここで言いなさい!」

仮面の女「じゃないと、今のあんた跡形もなく消し飛ばす!」

仮面の女「それだけ、今の私はストレスが溜まりまくってるんだし!」

仮面の女「本当に、あんたもいい加減にしてよね!」ギリギリッ

魔女「……」ビクビクッ、ポロポロッ

仮面の女「……」ギリギリッ 

558 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/28(木) 09:03:16 ID:fTRhoJ8M
しばらくして――

仮面の女「へぇ、エルフの里+XXXXX王国との戦争とはね」

仮面の女「さすが、私の愛する娘!」

仮面の女「やってる事、全てこの私とそっくりだわ!」ニコニコ

店主「……」

仮面の女「でも、あんたどうやって1万もの兵を集めたの?」

仮面の女「今の私、私兵1万なんて持ってなかったわよ」ニコニコ

店主姪「……」

仮面の女「まぁ、他の子達に聞かれたくなかったら、エルフ語で言って!」

仮面の女「じゃないと、本当に私あんたの事を消し飛ばすわよ!」

仮面の女「あんた殺した後、良い歳をした性悪女の首を取りに行きたいんだけど!」ニコニコ

元店主嫁「……」

魔女「……どうしても、言わなきゃ駄目?」

魔女「さすがに、お母様相手でも守秘義務と言うのがあるんだけど……」ポロポロッ、ビクビクッ

従者達「……」 

559 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/28(木) 09:03:34 ID:fTRhoJ8M
魔女「だから、こればっかりはたとへお母様にも言えない……」

魔女「私の母は、こんな怖い人じゃない……」

魔女「もっと、今までずっと優しい人だと思ってた……」

魔女「こんな良い歳をした性悪女……」

魔女「絶対に、私の母だとは認めたくない……」ポロポロッ、ビクビクッ

店主「……ジュリエット」ウルウルッ

仮面の女「……へぇ、あんた本当に良い度胸してるわね」

仮面の女「今の私、実の母親失格なんだ……」ガクッ

魔女「……」ビクビクッ、ポロポロッ

仮面の女「そりゃあ、今の私だってあんたに対して、罪悪感とかはあるわよ!」

仮面の女「過去の私が、あのショタコン性悪女に負けた所為で、今のあんたが物凄く不幸な目に遭ってるのは、嫌でも知ってるわよ!」ウルウルッ

魔女「……」ビクビクッ、ポロポロッ

仮面の女「でも、今の私はちゃんとそれに対する備えをしといた!」

仮面の女「今のあんたが、すぐに問題を解決出来る様な手段等を、ちゃんと書き残しておいたはずなんだけど?」ウルウルッ

魔女「……」ビクビクッ、ポロポロッ 

560 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/28(木) 09:03:48 ID:fTRhoJ8M
仮面の女「まさか、あんた本当に何も出来なかったとか!?」

仮面の女「私の書き残しておいた術式とか、全く今まで理解してなかったとか!?」ガーーン

魔女「……」ビクビクッ、ポロポロッ

仮面の女「はぁ、呆れた……」

仮面の女「本当に、呆れた……」

仮面の女「まさか、ここまで実の娘がダメな子だったとは……」

仮面の女「今までの私の苦労は、一体何だったのか?……」ウルウルッ

魔女「……」ビクビクッ、ポロポロッ

仮面の女「まぁ、過ぎた事はもう仕方ないわ……」

仮面の女「今のあんた、ハーフエルフの長みたいだから……」フキフキ

魔女「……」ビクビクッ、ポロポロッ

仮面の女「とりあえず、あんたは私と共に今夜から一緒に行動をしなさい!」ムクッ

仮面の女「今後は、この私がみっちり指導してあげる!」

仮面の女「今まで、あんたは散々酷い目に遭ってきたんだし!」

仮面の女「今度こそ、あの性悪女の息の根を止めてあげるわ!」ニコニコ 

561 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/28(木) 09:04:18 ID:fTRhoJ8M
魔女「あ、あの、お母様……」

魔女「もしかして、お母様も出るの?……」

魔女「お母様も、まさか兵を率いて攻め込むと言うの?……」ビクビクッ、ポロポロッ

店主「……」

仮面の女「ええ、そうよ♪」

仮面の女「それ以外、何があるって言うの?」

仮面の女「今の私達、全く同じ顔をした親子なんだし♪」

仮面の女「だから、何も問題はないはずなんだけど♪」

店主姪「……」

魔女「いや、問題あるから……」

魔女「何も、お母様まで兵を率いる必要なんてないから……」ビクビクッ、ポロポロッ

元店主嫁「……」

仮面の女「……そんなに、私の事が嫌い?」

仮面の女「やっぱり、私みたいな無数の男達の血や○○で汚された母は、認めたくない?……」ウルウルッ

魔女「……」ブンブン 

562 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/28(木) 09:04:49 ID:fTRhoJ8M
仮面の女「なら、一体何が気に入らないの?……」

仮面の女「私の何が、一体駄目だって言うのよ?……」ウルウルッ

従者達「……」

魔女「なんとなく、同族嫌悪と言う言葉が思い浮かんだ……」

魔女「今の私には、本当にそうとしか言いようがない……」ポロポロッ、ビクビクッ

仮面の女「!?」ガーーン

魔女「あっ、ママ……」

魔女「大至急、お母様の部屋を用意して……」

魔女「私、明日お母様と出掛けてくるから……」

魔女「そうしないと、今の私がお母様に殺されるから……」

仮面の女「……」ウルウルッ

店主「ええ、了解したわ……」

店主「まだまだ、部屋は余ってるから好きに使って頂戴……」

店主「後、夕食の方はどうする?……」

店主「今のあんた達が必要なら、すぐに用意するけど……」 

563 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/28(木) 09:05:02 ID:fTRhoJ8M
魔女「うん。頂くわ……」

魔女「お母様、今夜はここに泊まって……」

魔女「今のお母様には、本当に色々と聞きたい事があるし……」

魔女「下手をしたら、明日で今の私の命が完全に尽きてしまいそうだからね……」ビクビクッ、ポロポロッ

仮面の女「ええ、了解したわ……」ウルウルッ

魔女「……」ビクビクッ、ポロポロッ

スッ、ムクッ……

パンパン、パンパン……

店主「はい。皆動いて」

店主「ちょっと、遅いけど夕食にするわよ」

店主「ジュリエット。あんたは、実の母親を部屋に案内して」

店主「あんた、明日も早いんだし!」

店主「必ず、生きてここに戻ってきなさい!」

魔女「うん。分かった!」フキフキ、シャキン

仮面の女「!?」ウルウルッ 

564 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/28(木) 09:07:42 ID:fTRhoJ8M
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ギギィーーッ、ギギィーーッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

カシャ、カシャ、ストン……

仮面の女「……」ウルウルッ

魔女「……」

仮面の女「……」ウルウルッ

魔女「お母様、行こう!」

魔女「つうか、何で今になって会いに来たの?」

仮面の女「……」ウルウルッ

魔女「もしかして、私の事が心配になったから?」

魔女「あまりにも、出来の悪い娘で失望しちゃったから?」

仮面の女「……」ウルウルッ、ムギュッ

魔女「……?」

仮面の女「……」ウルウルッ 

565 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/28(木) 09:07:57 ID:fTRhoJ8M
仮面の女「あんた、ここのママさんと仲良いのね……」

仮面の女「まるで、本当の親子みたい……」ウルウルッ

魔女「……」ハッ

仮面の女「やっぱり、今の私は母親失格だわ……」

仮面の女「こんな、無数の男達の血や●●で汚れた女……」

仮面の女「実の母親だって、名乗る資格すらないわ……」ウルウルッ

店主「……」ウルウルッ

魔女「お母様、そんな事ないから!」

魔女「ただ単に、私はお母様とは初対面だっだけだから!」アセアセ

元店主嫁「……」ウルウルッ

仮面の女「でも、あんた私の事を恨んでるでしょ?……」

仮面の女「あの時、私があんな奴に負けてなかったら……」

仮面の女「今のあんたは、こんなにも不幸な目には遭ってなかったもの……」ウルウルッ

魔女「……」

店主姪「……」 

566 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/28(木) 09:08:10 ID:fTRhoJ8M
魔女「お母様。大丈夫だから!」

魔女「私も、お母様みたいに無数の男達の血や●●で汚れてるから!」アセアセ

仮面の女「!?」ムクッ、ガーーン

魔女「私、こう見えても副業で●●してるのよ!」

魔女「エルフの里では、結構有名な●●の一人なのよ!」アセアセ

仮面の女「――――――――っ!?」ガーーン、ポロポロッ

魔女「だから、お母様は何も気にしないで!」

魔女「私は、お母様の事をずっとこれまで恨んでなんかいないから!」

魔女「主に、この私が恨んでるのは、諸悪の元凶とも言える前族長!」

魔女「まぁ、明日には再び現族長を名乗るんだし!」

魔女「だから、お母様は何も心配しないでね!」ニッコリ、アセアセ

仮面の女「……」ポロポロッ、ガクッ

魔女「……?」

仮面の女「……」ポロポロッ

魔女「……お母様?」 

567 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/28(木) 09:08:29 ID:fTRhoJ8M
店主「ねぇ、ジュリエット……」

店主「何で、今のあんたはトドメ刺してんの?……」

店主「言って良い事と悪い事、それくらい分かると思うんだけど……」ウルウルッ

仮面の女「……」ポロポロッ

魔女「……え?」

店主「まさか、あんた気づいてなかったとか!?……」

店主「あんたの母親、果てしなく絶望の海にまで叩き落とされてるわよ!……」ウルウルッ、ガーーン

仮面の女「……」ポロポロッ

魔女「え? ああ、ごめん……」

魔女「私、またやっちゃった?……」

魔女「また、お母様に大変失礼な事をしちゃった?……」アセアセ

仮面の女「……」ポロポロッ

店主「ええ、してるわ……」

店主「あんたの母親、目や表情等が完全に死んでしまってるわよ……」ウルウルッ、ハァ……

仮面の女「……」ポロポロッ 

568 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/28(木) 09:08:43 ID:fTRhoJ8M
店主「とりあえず、あんたこれ以上余計な事を言わないで……」

店主「ただでさえ、今日はよく姪っ子ちゃんの事をよく泣かせてるんだし……」

店主「今のあんたが、よくエルフの里で営業をしてるなんて、絶対に言っちゃ駄目よ!……」ウルウルッ

仮面の女「……」ポロポロッ

魔女「うん。分かった!」

魔女「これからは、お母様や姪っ子ちゃんの前では注意しとく!」

魔女「私、ちょっとお母様の事を部屋まで案内してくるね!」

魔女「さぁ、お母様。行こう!」

魔女「まだ、ちょっとお客さんが別室でしてるかもしれないけど、早く部屋に行こうよ!」ニッコリ

店主「ぐすん……」ガクッ、ポロポロッ

店主姪「義姉さん……」ウルウルッ

魔女「あれ? どうかしたの?」

魔女「ついさっきから、お母様完全に気絶しちゃってるけど?」ハッ

仮面の女「……」ポロポロッ

魔女「……?」 

569 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/28(木) 09:08:57 ID:fTRhoJ8M
店主「あんた、もうその人は部屋で寝かしといて……」

店主「まさか、ここまであんたが馬鹿だったとは……」ポロポロッ

仮面の女「……」ポロポロッ

店主「昔から、あんたちょっと変だとは思ってたけど……」

店主「まさか、ここまでだったとはね……」ポロポロッ

店主姪「義姉さん……」ガクッ、ポロポロッ

元店主嫁「……」ウルウルッ

●●達「……」ウルウルッ

従者達「……」ズーーン

仮面の女「……」ポロポロッ

魔女「……とりあえず、私お母様の事を部屋まで運んでくる」

魔女「だから、先に準備してて……」

店主「ええ、了解したわ……」ウルウルッ

スッ、フワフワッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ…… 

570 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/28(木) 09:09:11 ID:fTRhoJ8M
私にとって、「母」と呼べる存在はママだけだった。

これからも、ママ以外の人を「母」と呼ぶ事は一生ないはずだった。

それにも関わらず、この私の目の前に今更ながらも実の母親が出現。

どうやら、深い眠りから完全に目を覚めたらしく、遥々エルフの里から抜け出してきた様だ。

でも、それをすぐには認める事は出来なかった。

むしろ、この私が「ずっと今までイメージしていた実の母の姿」が、大きく音を立てて瞬時に崩れ去ってしまったからだ。

あんな、「私そっくりな性格や言動等をする実の母」なんて、すぐさま認められるはずがない。

「顔」や「体」はともかく、出来れば「魔術」や「能力」とかも、そのまま今の私に全て受け継いで欲しかった。

けれど、皆がすぐにそれを認めた。

本当に、「同族嫌悪」と言う言葉がピッタリと似合う親子でもあった。

その後、私は「決戦前のほんの安らかな一時」をママ達と過ごし、実の母と共に明日の決戦に向けての準備をしていく。

その際に、私は実の母から様々な事を学び……

何故か、私の実の母も私から様々な事を学んでいったのだった。 

571 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/29(金) 06:52:10 ID:E/SUNkKs
~王都・国王の間~

翌朝――

国王「大臣。戦の支度はどうなっている?」

国王「もう既に、カーネルは島を出たのか?」

王妃「……」

大臣「はっ、まだカーネルは島を出てはおりません」

大臣「どうやら、島の内部にて向こうも戦の準備中」

大臣「多数の船が、XXX島に集結をしております」

王妃「……」

国王「して、その兵力は?」

国王「一体、如何程なのだ?」

王妃「……」

大臣「はっ、その数は推定5000」

大臣「その内、XXXXXXX伯が1000名を率いております」

王妃「……」ガクッ 

572 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/29(金) 06:52:25 ID:E/SUNkKs
国王「……うむ、合い分かった」

国王「以外に、向こうも兵を増やしてきたな」

国王「それで、我が軍の方は?」

国王「如何程、兵は集まった?」

王妃「……」

大臣「はっ、まだ2000名程です」

大臣「王都にいる魔導士20名を緊急召集をし、昨夜から兵を抽出」

大臣「それに合わせて、衛兵500を入れたとしても2500」

大臣「とても、兵は足りていません」

国王「……」

王妃「大臣、王都にいる賢者にも召集を掛けてみて下さい」ムクッ

王妃「賢者も、確か独自に兵を出せるのでしたよね?」

王妃「ここまで来たら、もうどうしようもありません!」

王妃「なるべく早く、兵を集めて王都にいる民達を救うのです!」

国王「……」 

573 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/29(金) 06:52:41 ID:E/SUNkKs
大臣「殿下、それについてはもう既に実行済みであります」

大臣「ですが、王都にいる賢者20名は、昨日の大賢者による事件が原因により出仕を拒否」

大臣「大賢者の早期釈放と謝罪を我々に求め、それがない限りは出仕を拒否し続けると申しております」

王妃「……」

国王「なら、如何致す?」

国王「賢者達が兵を出さないのなら、我らは到底不利」

国王「もし仮に、大賢者を釈放したとしても、我らに兵を出してこないだろう」

国王「大賢者は、何故かカーネルの事を昔からよく可愛がっていた」

国王「王都では唯一、カーネルに味方した人間でもあったからな」

王妃「……」

大臣「陛下、ここは傭兵を使うしか手はないでしょう」

大臣「実際、今の私は傭兵をあまり使いたくはありませんでした」

大臣「この国は、とても多数の傭兵を雇う程財源がありません」

大臣「今いる衛兵だけでも、もう既に限界なのです」

王妃「……」 

574 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/29(金) 06:52:57 ID:E/SUNkKs
国王「大臣、それはまだ良い」

国王「今は、エルフの里からの援軍を待つ」

国王「場合によっては、王都にいる日雇いの民達を使え」

国王「さすれば、その民達も一時期の間は良い暮らしを堪能出来るであろう」

王妃「……」

大臣「はっ、了解致しました」

大臣「早速、民達にお触れを出して参ります」

大臣「それと、その民達に支払う額は如何程に?」

大臣「なるべく、国庫からの出費を抑えたいのですが」

王妃「……」

国王「う~~む……」

国王「それについては、そちに任せるとする」

国王「ちなみに、大体その民達は如何程必要なのだ?」

国王「良くて、一月分が妥当ではないのか?」

王妃「……」 

575 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/29(金) 06:53:10 ID:E/SUNkKs
大臣「はっ、恐れながら申し上げます!」

大臣「今現在、定職を持たずにいる民達の数は、およそ4000名!」

大臣「その民達の一日辺りの給金は、僅か6000G!」

大臣「仕事のない日は適当に徒労を組み、王都周辺の魔物等を退治している模様!」

大臣「中には、犯罪に走る者達も数多くいる様です」

国王「……」

王妃「なら、彼らを兵として徴集を」

王妃「それだけいれば、十分にカーネルに対抗が出来ます」

国王「……」

大臣「殿下、そう簡単には上手く参りません!」

大臣「それだけの兵を雇う事が出来ないから、魔導士達から兵を抽出しているのです!」

王妃「……」

大臣「一人辺り、魔導士と賢者は兵を100程出せます!」

大臣「ですが、それを仕込んだ大魔導師と大賢者は、昨日の事件が原因により牢の中!」

大臣「おまけに、カーネルもそのお二方に師事していた愛弟子の一人なのです!」 

576 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/29(金) 06:53:22 ID:E/SUNkKs
国王「大臣、そう狼狽えるな」

国王「まだ、我らが負けると決まった訳ではない」

国王「カーネルもここに来るまでには、かなりの時間が掛かるだろう」

国王「何故なら、一度出した兵は死ぬまで消えない」

国王「それは、カーネル自身もよく分かっているはずだ」

王妃「!?」

大臣「はっ、正にその通りでございます!」

大臣「カーネルが海を渡って来た場合には、必ず港か浅瀬に停泊をしなくてはなりません!」

大臣「それに、カーネルが使用している船は全てガレー船!」

大臣「その船は、漕ぎ手だけでも50~170名は必要!」

大臣「後は、魔導士達による殲滅魔法だけでも十分撃破できます!」

大臣「たとへ、カーネルが数多くの兵を失ったとしても、すぐには再び兵を出す事が出来ないのです!」

王妃「……」

国王「王妃、もう良いか?」

国王「今のそちは、自身が抱いていた疑問を全て解消出来たか?」 

577 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/30(土) 07:02:04 ID:Waw/V51E
王妃「……ええ、もう大丈夫です」

王妃「お心遣い、感謝致します」

大臣「……」

国王「大臣、至急民達にお触れを出せ!」

国王「民達には、ただのハーフエルフによる反乱だと伝えよ!」

国王「それと、王都にいるハーフエルフは見つけ次第全て殺せ!」

国王「これは、余からの命令だ!」

大臣「はっ、仰せのままに!」ペコッ

王妃「……」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ガチャ、ギギィーーーーッ、ダン……

ササッ、カシャン……

衛兵隊長「も、申し上げます!」

大臣「!?」 

578 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/30(土) 07:02:28 ID:Waw/V51E
大臣「衛兵隊長、どうした!?」

大臣「一体、どうしたのだ!? その傷は!?」

国王「!?」

衛兵隊長「はっ、恐れながら申し上げます!」

衛兵隊長「カーネルが、二人に増えていました!」

衛兵隊長「一人は、島に残って戦の準備!」

衛兵隊長「もう一人は、王都付近の平地に陣を構えております!」

大臣「!?」ガーーン

国王「して、そのカーネルの兵力は?」

国王「もう一人のカーネルは、一体どれだけの兵を率いているのだ?」

王妃「……」

衛兵隊長「はっ、恐れながら申し上げます!」

衛兵隊長「今現在、もう一人のカーネルの兵はおよそ5000!」

衛兵隊長「どうやら、カーネルはその陣の中に多数の兵を配置!」

衛兵隊長「昨日から、カーネルはそこに陣を構えていた様です!」 

579 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/30(土) 07:02:42 ID:Waw/V51E
大臣「なら、何故その様な報告が昨日にはなかった!?」

大臣「それだけの動きがあるなら、すぐに報告が入ってくるであろう!?」

国王「……」

衛兵隊長「はっ、それについては、かなり厄介な事になっております!」

衛兵隊長「私の率いる兵の中に、カーネルが潜ませていた間者が紛れ込んでいました!」

衛兵隊長「そのおかげで、私の率いる兵は多数負傷!」

衛兵隊長「その内、100名近くの兵をもう既に失いました!」

衛兵隊長「今現在も、その間者達は逃走を続けております!」

国王「!?」ガーーン

大臣「なら、大魔導師達の動きは!?」

大臣「まさか、もう既に脱獄をしたと言うのか!?」

王妃「……」

衛兵隊長「いえ、特に動きはありません!」

衛兵隊長「二人とも、暢気に世間話をしておりました!」

大臣「ほっ……」 

580 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/30(土) 07:02:55 ID:Waw/V51E
国王「衛兵隊長、速やかに間者を全て始末せよ!」

国王「負傷した衛兵隊長達については、すぐに手当てを!」

国王「カーネルの狙いは、民達の混乱だ!」

国王「なんとしても、民達にいらぬ不安を与えぬのだ!」

衛兵隊長「はっ!」

大臣「陛下、各魔導士達による市内警備をお命じ下さい!」

大臣「今なら、まだ間に合います!」

大臣「このままでは、いずれ民達にまで被害が!」

大臣「そうなれば、カーネルの思う壺となってしまいます!」

王妃「……」

国王「うむ。合い分かった!」

国王「大臣、各魔導士を市内警備にすぐに充てろ!」

国王「賢者達には、適当な理由を付けてすぐに出仕させろ!」

国王「でなければ、大賢者達の釈放はない!」

衛兵隊長「……」 

581 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/30(土) 07:03:07 ID:Waw/V51E
大臣「はっ、仰せのままに!」ペコッ

大臣「衛兵隊長、急ぎますぞ!」

大臣「もう既に、カーネルが戦を仕掛けてきた!」

大臣「今のこの国は、完全に戦闘状態に入りました!」

王妃「……」ガクッ

衛兵隊長「はっ、了解致しました!」

衛兵隊長「ですが、我らだけではとても手に負えません!」

衛兵隊長「敵の数は、およそ100名!」

衛兵隊長「その内、25名程しかまだ討ち取ってはおりません!」

国王「……」 

582 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/30(土) 07:03:19 ID:Waw/V51E
大臣「衛兵隊長。それは向こうで聞く!」

大臣「今は、一刻も早く間者を殲滅をしなければ!」

大臣「陛下、これにて失礼致します!」

大臣「どうか、陛下もお体の方をお気をつけて!」

国王「うむ、そちもな!」

王妃「……」

大臣「……」ペコッ

衛兵隊長「……」ムクッ、ペコッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ギギィーーーーッ……

ガチャ、バタン……

王妃「……」

国王「……」

王妃(正直な所、あの子だけは敵に回したくなかった……)

王妃(一体、どうしてこうなったのかしら?……)ハァ…… 

583 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/31(日) 07:48:53 ID:sLn.F/fg
~王都・中央広場~

その頃――

ズバッ……

ズバババッ……

「ぐあっ……!?」

グサッ……

グサグサッ……

「ぐうううっ……!?」

ドサドサッ、ドサドサッ……

ポタポタポタッ、ポタポタポタッ……

スチャ、カシャン……

衛兵「はぁ、はぁ、はぁ……」

衛兵2「はぁ、はぁ、はぁ……」

衛兵「……」ストン

衛兵2「……」ストン、バタッ 

584 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/31(日) 07:49:07 ID:sLn.F/fg
衛兵「生き残ったのは、俺達だけか?……」

衛兵「結構、やられたな……」

衛兵2「ああ、そうだな……」バタッ

衛兵「ああ~~っ、腕痛え……」

衛兵「剣振りすぎて、かなり痛え~~っ!」

衛兵2「……」

衛兵「つうかさぁ、何で俺達はこんな目に遭ってんだよ?……」

衛兵「なんか色々と、間違ってるだろ?……」

衛兵2「……」

衛兵「いずれ、またあいつらが出てくるかもしれねぇし……」

衛兵「本当に、腕痛えわ……」

衛兵2「……」

ストトトトトッ、ストトトトトッ……

衛兵「……」

衛兵2「……」 

585 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/31(日) 07:49:19 ID:sLn.F/fg
ストトトトトッ、ストトトトトッ……

衛兵「……」

ストトトトトッ、ストトトトトッ、ピタッ……

衛兵2「……」

「おい、誰かいるか!?」

「誰か、生存者はいないか!?」

衛兵「ん? 味方か?……」

衛兵「ようやく、味方が追い付いてくれたのか?……」

衛兵2「……」

「誰か、生きていたら返事をしてくれ!?」

「俺達は、衛兵隊の者だ!」

衛兵2「……」

衛兵「はぁ……これで、助かる……」

衛兵「本当に、今日は最悪な気分だよ……」

衛兵2「……」 

586 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/31(日) 07:49:33 ID:sLn.F/fg
衛兵「おい、こっちだ!」

衛兵「誰か、水をくれ!」

衛兵2「……」

「おい、今の誰だ!?」

「今何人生き残ってる!?」

衛兵2「……」ムクッ

衛兵「今の所、二人だけだ!」

衛兵「そっちは、どうなんだ?」

衛兵2「……」

「待ってろ。今から、そっちに行く!」

「俺達は、まだ無傷な方だ!」

衛兵「……」

ストトトトトッ、ストトトトトッ……

ストトトトトッ、ストトトトトッ、ピタッ……

「いたぞ!」 

587 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/31(日) 07:49:51 ID:sLn.F/fg
衛兵3「おい、大丈夫か!?」

衛兵3「他に、味方はいないのか!?」

衛兵長「……」

衛兵「ああ、いないな……」

衛兵「ここは、今見た所は俺達だけだ……」

衛兵2「……」

衛兵長「くっ、僅か四人だけか……」

衛兵長「敵は、まだ多数いると言うのに……」

衛兵「……」

衛兵3「衛兵長、どう致しますか?」

衛兵3「このまま、捜索は続行致しますか?」

衛兵2「……」 

588 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/31(日) 07:50:03 ID:sLn.F/fg
衛兵長「ああ、勿論だ……」

衛兵長「今の我々は、捜索を続行する……」

衛兵長「敵は、まだ市内にいるはずだ……」

衛兵長「だから、捜索を続行する……」

衛兵「……」

衛兵2「すみません。衛兵長……」

衛兵2「少し、休憩をして良いっすか?……」

衛兵2「俺達、ずっとここで戦い続けてました……」

衛兵2「さすがに、これ以上は無理なんですが……」

衛兵「……」

衛兵長「ああ、構わん……」

衛兵長「お前達二人は、そこで休んでろ……」

衛兵長「本当に、今日は最悪な日だな……」

衛兵長「まさか、あのカーネルが俺達の敵に回るとはな……」

衛兵3「……」 

589 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/31(日) 19:01:08 ID:sLn.F/fg
衛兵「衛兵長。何で、今回の敵がカーネルなんですか?……」

衛兵「今の俺達、カーネルに勝てるんですか?……」

衛兵長「……」

衛兵「はっきり言って、今の俺達は結構ヤバイですよ……」

衛兵「たった100人弱とは言え、結構手強いんですけど……」

衛兵2「……」

衛兵長「さぁ、詳しくは知らんな……」

衛兵長「またどうせ、大臣辺りが何かカーネルにいちゃもんでもつけてきたんだろ……」

衛兵長「そうじゃなきゃ、あのカーネルが王都に兵を出してこない……」

衛兵長「今の俺には、それ以外に理由が全くないと思うんだが……」

衛兵「……」

衛兵2「衛兵長……」

衛兵2「俺、もう限界っす……」

衛兵2「あのカーネルを敵に回して、生き残れた奴等はかなり奇跡です……」

衛兵長「……」 

590 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/31(日) 19:01:38 ID:sLn.F/fg
衛兵3「でも、俺達の任務は王族の警備だ……」

衛兵3「こうやって、城に潜入をしていた間者達を追うのも任務の内だ……」

衛兵長「……」

衛兵「けど、その割りにはかなり相手が悪くないか?……」

衛兵「カーネルは、確実に俺達の事を殺すつもりだ!……」ムクッ

衛兵3「……」

衛兵「衛兵長。衛兵長の方から、何とか言って貰えませんか?」

衛兵「このままだと、俺達は確実に死ぬ!」

衛兵「今まで、ハーフエルフを苦しめてきた分、確実に仕返しをされる!」

衛兵2「……」

衛兵「おまけに、今回は民間人にも被害が出た!」

衛兵「かなりの数が、カーネルによって惨殺された!」

衛兵長「……」

衛兵「それに、今の俺達はかなりの痛手を受けてます!」

衛兵「このまま行くと、確実にこの国自体が消えて無くなりそうなんですけど!」 

591 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/31(日) 19:02:00 ID:sLn.F/fg
衛兵長「ワン、落ち着け!」

衛兵長「まだ、この国が滅ぶと決まった訳ではない!」

衛兵長「今隊長が、大臣達に掛け合ってる!」

衛兵長「次期に、必ず応援が来る!」

衛兵長「今は付近の警戒及び生存者の発見が、第一優先だ!」

衛兵「しかし!」

衛兵3「ワン、落ち着け!」

衛兵3「まだ、手段は残されているはずだ!」

衛兵3「カーネルも、好き好んで王都に攻め込んだんじゃない!」

衛兵3「今回の原因は、全て上の責任なんだよ!」

衛兵「……」

衛兵長「ああ、そうだな……」

衛兵長「俺達がこんな目に遭ってんのは、全て上の責任なんだ……」

衛兵長「カーネルは、和平の道を探っていた……」

衛兵長「今まで、ずっと人間やエルフとの共存を目指してもいた……」 

592 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/31(日) 19:02:14 ID:sLn.F/fg
衛兵長「だが、それも上の所為で全て無に帰した……」

衛兵長「カーネルは、それに絶望をして兵を挙げたんだろう……」

衛兵長「じゃなきゃ、カーネルがこうして攻めてきゃしない!」

衛兵長「今回ばかりは、さすがのカーネルも我慢の限界に達した様だ!」

衛兵「……」

衛兵2「衛兵長、俺達このままどうなるんですか?……」

衛兵2「皆、カーネルによって無惨に殺されていくんですか?……」

衛兵長「……」

衛兵「俺、さすがにそんなの嫌ですよ!」

衛兵「来月、姉の結婚式に出なくちゃいけないのに!」

衛兵「このまま、俺達は犬死にですか?」

衛兵「いつの時代も、所詮俺達兵士は捨て駒なんですか?」

衛兵長「……」

衛兵3「ワン、ツー、落ち着け!」

衛兵3「二人とも、落ち着くんだ!」 

593 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/31(日) 19:02:46 ID:sLn.F/fg
衛兵「スリー、今は黙っててくれ!」

衛兵「今の俺は、衛兵長と話をしている!」

衛兵「衛兵長、どうなんですか?」

衛兵「このまま、俺達は本当に犬死にをするんですか?」

衛兵2「……」

衛兵長「スリー、少し付近を見てくる……」

衛兵長「お前達は、ここで待機してろ……」

衛兵「なっ!?」

衛兵2「衛兵長!?」

衛兵長「……」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

衛兵「衛兵長、どこ行くんです!?」

衛兵「説明して下さい!」

衛兵長「……」 

594 : ◆7FnOo4mT6s:2013/03/31(日) 19:02:58 ID:sLn.F/fg
衛兵「衛兵長、逃げるんですか!?」

衛兵「俺達を置いて、自分だけ逃げるんですか!?」

衛兵長「……」スタスタスタッ

衛兵「衛兵長、これだけは言わせて下さい!」

衛兵「俺達は、絶対に犬死になんかしたくない!」

衛兵「たとへ、カーネルがここに来ようが、俺達は俺達の任務を全うする!」

衛兵「それだけは、絶対に覚えておいて下さいね!」

衛兵長「……」スタスタスタッ

衛兵「……」バタッ

衛兵2「……」ガクッ

衛兵3「……」

衛兵「俺達、もう終いだな……」

衛兵「本当に、何でこうなったんだか?……」

衛兵2「……」

衛兵3「……」 

595 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/01(月) 06:16:53 ID:R974rpzA
~王都付近・魔女達の陣地内~

スッ、トポポポポポッ……

トポポポポポッ、トポポポポポッ……

スッ、コトン、コトン……

ゴクゴクゴクッ、ゴクゴクゴクッ……

魔女母「ふぅ……」

魔女母「やっぱり、ストレスを発散した後のワインは格別だわ!」

魔女母「今日は、本当によく出たわ!」ニコニコ

魔女「……」

魔女母「うん。どうしたの?」

魔女母「何で、まだあんた飲んでないのよ?」ニコニコ

魔女「……」

魔女母「まさか、あんたこのワインは嫌いだった?」

魔女母「それで、今のあんたはまだ飲んでいない訳?」ニコニコ

魔女「……」 

596 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/01(月) 06:17:06 ID:R974rpzA
魔女母「もう、どうしたのよ?」

魔女母「そんなに、今の私と飲むのが嫌だったの?」ニコニコ

魔女「……」

魔女母「そりゃあ、あんたには昔から色々と迷惑を掛けたわよ」

魔女母「だからと言って、今はまだその辺の話はなしにしましょうよ」ニコニコ

魔女「……」ガクッ

スッ、ポリポリポリッ……

ポリポリポリッ、ポリポリポリッ……

スッ、ゴクゴクゴクッ……

魔女母「ふぅ……」

魔女「まさか、ここまで瓜二つだったとは……」

魔女「何だか、今の私物凄く複雑な気分……」

魔女「そりゃあ、数多くの人々から、あんなに私の悪評が出回るのも無理はないわね……」

魔女「今の私、それについてを今更ながらも気づいちゃった……」ウルウルッ

魔女母「……?」 

597 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/01(月) 06:17:19 ID:R974rpzA
魔女「ねぇ、お母様……」

魔女「お母様も、よくストレスを発散をしたい時にはあんな感じなの?……」

魔女「今さっきみたいに、村ごと殲滅魔法で吹き飛ばしたりするの?……」ウルウルッ

魔女母「ええ、そうだけど」

魔女「今までの私、ずっとこんな感じだったんだ……」

魔女「ハーフエルフだと言う理由で迫害されてたのって、これも含まれてたんだ……」ウルウルッ

魔女母「……」

魔女「ねぇ、お母様……」

魔女「これからは、もう少し穏便に侵攻をしない?……」

魔女「もう少し、一般人の被害を抑えたりしない?……」ウルウルッ

魔女母「……は?」

魔女「今更、私はハーフエルフが何故迫害されるかが分かっちゃった……」

魔女「そりゃあ、あんな感じに村々を襲ってたら、誰だってハーフエルフを迫害しちゃうわよね……」ウルウルッ

魔女母「……」

魔女「……」ウルウルッ 

598 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/01(月) 06:17:32 ID:R974rpzA
魔女母「……ジュリエット」

魔女母「あんた、それ本気で言ってんの?」

魔女母「今のあんた、そんなんで本当にハーフエルフが迫害されずに済むと思ってるの?」

魔女「え?」ウルウルッ

魔女母「はっきり言って、今のあんたはかなり甘いわ!」

魔女母「今まで、数多くの人間達に苦しめられてきた事に比べたら、今のそんな甘い考えは絶対に通用はしないわ!」

魔女「……」ウルウルッ

魔女母「今の私はね、今のあんたを見てて本当に不憫に思う……」

魔女母「まさか、ここまで実の娘を苦しめていたとは……」

魔女母「これまで、ハーフエルフにはかなり否定的だったけど……」

魔女母「今のあんたのそんな姿を見ていたら、嫌でもすぐに自身の考えを変えてしまうわ……」

魔女「……」ウルウルッ

魔女母「思えば、エルフの里において“ハーフエルフを●●扱いにしよう”と最初に言ったのは、私の実の父だったわ……」

魔女母「私の父は、女癖が昔から悪くってね……」

魔女母「よく、私の母にはその事で咎められてた……」 

599 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/01(月) 06:17:44 ID:R974rpzA
魔女母「そんな時、私の父はある事を思い付いたの……」

魔女母「当時、族長だったあの性悪女に、その話を何故か持ち込んでしまったのよ……」

魔女「!?」ガーーン

魔女母「それがきっかけで、父は“ハーフエルフを●●扱いにする事”を認めさせた……」

魔女母「偶々、XXXXX王国の中では“ハーフエルフは家畜以下”……」

魔女母「それを理由に、XXXXX王国にハーフエルフの引き渡しを、すぐに要請……」

魔女母「それで、ハーフエルフを安値で上手くXXXXX王国から買い取ってね……」

魔女母「XXXXX王国とエルフの里が手を組んで、ハーフエルフの有効活用をしようと言う話になった訳……」

魔女「……」ウルウルッ

スッ、トポポポポポッ……

スッ、ストン……

ゴクゴクゴクッ、ゴクゴクゴクッ……

魔女母「ふぅ……」

魔女「それで、どうなったの?……」

魔女「何で、そんな話を今になってするの?……」ウルウルッ 

600 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/01(月) 06:17:56 ID:R974rpzA
魔女母「さっきも言った通りに、今のあんたが本当に不憫だと思ったから……」

魔女母「私の母も私自身も、その話が出た時に賛成をしてしまったからよ……」

魔女「!?」ガーーン

魔女母「それがきっかけで、XXXXX王国内では身分の低い若い女性がターゲットにされたわ……」

魔女母「エルフの里でも同様に、元からいた若い●●達が対象となった……」

魔女「……」ウルウルッ

魔女母「それから十数年が経って、ハーフエルフの第一陣が●●とされた……」

魔女母「XXXXX国内でも同様に、ハーフエルフの女性は各地の●●に引き渡された……」

魔女「……」ウルウルッ

魔女母「そこから、私が成人を迎えてね……」

魔女母「私の婚約者と、将来は結婚して暖かい家庭を迎えようねって、話をしてる時……」

魔女母「何故か、あの性悪女が矛先を私に向けた……」

魔女母「あんたも知ってるかもしれないけど、それが原因であの時の私はあんたを身籠ってね……」

魔女母「私は、数多くの人間達に集団●●●されて出来た子供を、あの性悪女からの勅令で出産させられる事になってしまった訳……」

魔女「……」ウルウルッ 

601 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/01(月) 06:20:34 ID:R974rpzA
スッ、トポポポポポッ……

スッ、ストン……

ゴクゴクゴクッ、ゴクゴクゴクッ……

魔女母「ふぅ……」

魔女「……」ウルウルッ

魔女母「……」

魔女「……」ウルウルッ

魔女母「はっきり言ってね、最初はあんたなんて産みたくはなかった……」

魔女母「あんな誰が父親かが全く分からない子供なんて、堕胎か流産とか今すぐ本気でしたかった……」

魔女「……」ウルウルッ

魔女母「それでもなお、私は全くもって何も出来なくてね……」

魔女母「エルフの里では、一度●●に堕ちたエルフは一生●●だった……」

魔女母「私の場合、あの性悪女による意向が強くてね……」

魔女母「私の両親は、更なる出世を餌に完全に私の事を見捨ててしまってた……」

魔女「……」ウルウルッ 

602 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/01(月) 06:20:51 ID:R974rpzA
魔女母「それが理由で、私はあんたの事を産んだわ……」

魔女母「あんたの事を産んだ後、すぐにエルフの里を後にした……」

魔女「……」ウルウルッ

魔女母「それからすぐ、私はあんたがいたXXX島に流れ着いてね……」

魔女母「そこで、●●として生計を立てながら、あんたの事を育ててた……」

魔女「……」ウルウルッ

魔女母「でも、それが里にバレて私だけ連れ戻されてね……」

魔女母「その時のあんたは、XXXXXXX伯の先祖の●●として、あの島に置いておかれた」

魔女「!?」ガーーン

魔女母「けれど、あんた自身がそれをすぐに止めさせた……」

魔女母「●●として置いておくには、かなり勿体無いくらいの才を持ってしまっていたからよ……」

魔女「……」ウルウルッ

魔女母「それで、今のあんたの何だかよく分からない数多くの伝説が生まれちゃってね……」

魔女母「さすがは、私の産んだ娘だと感心しちゃった訳……」

魔女「……」ウルウルッ 

603 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/01(月) 06:21:09 ID:R974rpzA
魔女「大体は、分かった……」

魔女「その当時のお母様からしてみたら、私は産まれてきちゃいけない子だったんだ……」ウルウルッ

魔女母「……」

魔女「でも、どうして私の事を産んで育てようとしたの?……」

魔女「たとへ、産んだ後でも、どこかに養子に出すか殺したりすれば良い……」

魔女「その頃のお母様には、全くもってそんな選択枠とかなかったとか?……」

魔女「それ程、あの性悪女は何枚も上手だったとか?……」ウルウルッ

魔女母「……」

魔女「……」ウルウルッ

スッ、ストン……

魔女母「ええ、そんな所よ……」

魔女母「あの頃の私、●●●された影響で頭が完全におかしくなっちゃってたの……」

魔女母「あの頃の私、臨月の状態でもずっとしてた……」

魔女母「何故か、自分からよく“●●●して下さい”って、お客さんを多数取っちゃってた……」

魔女「!?」ガーーン 

604 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/01(月) 06:21:27 ID:R974rpzA
魔女母「それから、あんたを産んで育ててたのは、私が一人だったから……」

魔女母「あの頃の私は、もう既に実の親達から勘当をされていた……」

魔女「……」ウルウルッ

魔女母「それから、ずっと私は皆から蔑まれていてね……」

魔女母「あんたを産んだ時なんかも、皆からは余計にあんた共々蔑まれていた……」

魔女「……」ウルウルッ

魔女母「だから、私はあんたの事を産み育てた……」

魔女母「私は、もう既に親からも勘当をされて帰る場所もない……」

魔女母「せめて、自身が産んだ子供と二人で暮らしていきたい……」

魔女母「そう、私は心に決めてエルフの里を抜け出して行った……」

魔女「……」ウルウルッ

魔女母「でも、それも叶う事なかった……」

魔女母「私の事を、私の両親はすぐにあんたと離ればなれにした……」

魔女「え?」ウルウルッ

スッ、ゴクゴクゴクッ…… 

605 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/01(月) 06:21:43 ID:R974rpzA
魔女母「それから、私は私の両親によって幽閉されたわ……」

魔女母「あんたが、死ぬ度に私のお腹の中に再び何故か戻ってくる様になった……」

魔女「……」ウルウルッ

魔女母「その間は、何故かあんたが今まで何をしていたかが、すぐに分かってね……」

魔女母「私の意識もはっきりとしていて、あんたを身籠っている時だけは何故か外出を許可された……」

魔女母「私の弟も、よくその度に私の元を何度も訪ねに来てくれたわ……」

魔女「……」ウルウルッ

魔女母「それから、私はずっと今までどうしてたと思う?……」

魔女母「あんたを身籠っている時だけは、何故か起こされ再び●●として活動をさせられてた……」

魔女母「その間に、私はあの性悪女に対する復讐の為の計画を練ったり……」

魔女母「あんたが、いち早く自身の不幸な運命をすぐに清算する為の方法を、ずっと必死に書き残しておいた……」

魔女「ああ……」ウルウルッ

魔女母「それなのに、何であんたは何も出来てなかったのよ!?」

魔女母「私のあの苦労は、一体何だったのよ!?」ギリッ

魔女「……」ウルウルッ 

606 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/01(月) 06:22:00 ID:R974rpzA
魔女母「だから、ここからは今の私も口出させて貰うわ!」

魔女母「今のあんただけじゃ、確実にあの性悪女には勝てるはずがないから!」

魔女「……」ウルウルッ

魔女母「まぁ、とりあえずある程度は説明も済んだし、あんたも満足はしたでしょ?」

魔女母「今度は、常にあんたとずっと一緒だから!」

魔女母「今まで、散々酷い目に遭わされていたんだし!」

魔女母「今回ばかりは、私の弟も味方だからね!」ニッコリ

魔女「……」ウルウルッ

魔女母「……」ニコニコ

魔女「……」ウルウルッ

魔女母「……」ニコニコ

スッ、スタスタスタッ……

ムギュッ……

魔女「……」ウルウルッ

魔女母「……」ニコニコ 

607 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/02(火) 16:07:49 ID:fvRbzXY.
~とある島・船着き場~

ザワザワッ、ザワザワッ……

ザザーーン、ザザーーン……

警備士官「隊長、出港準備完了致しました!」

警備士官「いつでも、出撃可能です!」

伯爵「……」

警備隊長「うむ。ご苦労」

警備隊長「船は、どれだけ用意出来た?」

伯爵「……」

警備士官「はっ、今現在、我が軍は25隻のガレー船を保有!」

警備士官「一隻につき、最大200名が乗船可能!」

警備士官「その内、漕ぎ手として50~170名が乗船しております!」

伯爵「……」

警備隊長「うむ。了解した」

警備隊長「カーネルは、まだ向こうに行ったままなのか?」 

608 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/02(火) 16:08:02 ID:fvRbzXY.
警備士官「はっ、カーネルは別動隊を率いて王都付近の平地に布陣し、陣を設営!」

警備士官「今現在は、母君と共に陣地内を視察!」

警備士官「こちらに戻るには、まだ少し時間が掛かる様です!」

伯爵「……」

警備隊長「うむ。そうか」

警備隊長「我々は、まだ動かない方が良さそうだな」

警備隊長「それで、他に報告は?」

警備隊長「まだ、勇者達の動きは掴めてないのか?」

伯爵「……」

警備士官「はっ、今の所、まだ現在地は掴めてはおりません!」

警備士官「どうやら、昨夜の内に船を使ってこの島を脱出!」

警備士官「新たに、勇者は賢者殿達を同行させ、王都の方へと向かった可能性があります!」

伯爵「……」

警備隊長「なら、カーネルの命を狙う刺客達は?」

警備隊長「そちらも、まだ動きはないのか?」 

609 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/02(火) 16:08:15 ID:fvRbzXY.
警備士官「はい。まだ、何も掴めてはおりません!」

警備士官「昨夜の段階で、カーネルの命を狙う刺客達は全て殲滅!」

警備士官「おかげで、カーネルは別動隊を率いて早々と陣を敷く事が出来ました!」

警備士官「今回ばかりは、そう簡単に体制を整える事はかなり難しいでしょう!」

伯爵「……」

警備隊長「ご苦労。もう下がって良い!」

警備隊長「出撃命令があるまで、皆待機してろ!」

警備隊長「今回は、かなり大事な一戦だ!」

警備隊長「カーネルだけでなく、こちらにいらっしゃる伯爵様の運命すら大きく左右する程の一戦なのだ!」

警備士官「はっ、了解致しました!」

伯爵「……」

警備士官「……」ペコッ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ザザーーン、ザザーーン…… 

610 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/02(火) 16:08:32 ID:fvRbzXY.
伯爵「……警備隊長。ちょっと、良いか?」

伯爵「一体、何なのだ? この船の数は?……」

伯爵「昨夜、カーネルからは何も聞いてないが……」

伯爵「まさか、これがカーネルの言っていた策の一つなのか?……」

警備隊長「はっ、正にその通りです!」

伯爵「なら、この船団を今すぐなんとかしろ!」

伯爵「民達が、多数ここに集まっている!」

伯爵「これでは、まるで我々は侵略者だな!」

伯爵「この島以外の貴族や民達から、いらぬ不安や恐怖等を与えかねない!」

住民達「……」ザワザワッ

警備隊長「はっ、了解致しました!」

警備隊長「至急、船団を移動させます!」

警備隊長「キャプテン、出港用意!」

警備隊長「隣島まで、船を全て移動させろ!」

各船長「はっ!」 

611 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/02(火) 16:09:04 ID:fvRbzXY.
伯爵「待て! 警備隊長!」

伯爵「それを、どこに移動させるつもりだ!」

伯爵「まさか、本当に隣島に移動させるつもりなのか?」

警備隊長「はい。そのつもりですが」

伯爵「……やっぱり、少し待たれよ!」

伯爵「カーネルが、ここに戻ってくるまで暫く待機!」

伯爵「今、隣島に移動したら、それこそまずい!」

伯爵「ここ最近、よく海賊が出る話だ!」

伯爵「隣島にも、海賊達がよく出没している様だ!」

住民達「……」

警備隊長「なら、敢えて今から殲滅を致しませんか?」

警備隊長「このまま放置してれば、この島にまで被害が及んでしまいます!」

伯爵「!?」 

612 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/02(火) 16:09:16 ID:fvRbzXY.
警備隊長「今日は、いつもより波はありません!」

警備隊長「潮が退けば、隣島から陸路で攻められてしまいます!」

警備隊長「ここは、早急に隣島にまで派兵!」

警備隊長「あそこは、元々は墓地及び火葬場ですし!」

警備隊長「今の内に、後顧の憂いを絶っておく必要ががあると思いますが?」

住民達「……」ザワザワッ

伯爵「……うむ。そうだな」

伯爵「後顧の憂いを絶っていた方が、良いのかもしれないな……」

警備隊長「……」

伯爵「警備隊長。至急、隣島に船団を移動させろ!」

伯爵「カーネルにも、この件をすぐに報告!」

伯爵「この際、これだけの兵がいるなら上手く使わないとな!」

伯爵「じゃなきゃ、これだけの兵を揃える意味が無いのだからな!」

警備隊長「はっ、かしこまりました!」

ザザーーン、ザザーーン…… 

613 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/03(水) 13:55:02 ID:TMr3cvVk
警備隊長「キャプテン。出港用意!」

警備隊長「進路を、隣島に取れ!」

警備隊長「この島の警備に、五隻はこのまま待機!」

警備隊長「他は、すぐに隣島に進路を取るのだ!」

各船長達「はっ!」ビシッ

伯爵「後、島内にいる不審者は纏めてすぐに拘束をせよ!」

伯爵「隣島にも、勇者一行が逃げ込んでいる可能性がある!」

伯爵「警備隊長。そなたは、ここに残り兵の指揮を!」

伯爵「そして必ず、勇者一行を捕らえてくるのだ!」

警備隊長「はっ!」

シュン、シュタッ……

ササッ、カシャン……

伝令兵「警備隊長。カーネルより、伝令です!」

伝令兵「警備隊長は、このまま島内で待機!」

伝令兵「伯爵様と共に、島内で待機するようにとのご命令です!」 

614 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/03(水) 13:55:17 ID:TMr3cvVk
警備隊長「ん? 島内で待機?」

警備隊長「カーネルは、本当にそう申したのか?」

伯爵「……」

伝令兵「はっ、正にその通りでございます!」

伝令兵「警備隊長は、隷下の兵1000名と共にこの島で待機!」

伝令兵「隣島には、船五隻を残して王都にまで進軍!」

伝令兵「もう時期、カーネルは別動隊と共に動きます!」

伝令兵「本日の午後三時に、王都城門に対して攻撃を仕掛ける模様です!」

伯爵「……」

警備隊長「うむ。了解した!」

警備隊長「XXX島警備隊以外、この島からすぐに移動しろ!」

警備隊長「本日の午後三時に、カーネルは王都にまで兵を進める!」

警備隊長「急げ!」

各船長達「はっ!」

伯爵「……」 

615 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/03(水) 13:55:33 ID:TMr3cvVk
ストトトトトッ、ストトトトトッ……

ザワザワッ、ザワザワッ……

ストトトトトッ、ストトトトトッ……

ザワザワッ、ザワザワッ……

ザザーーン、ザザーーン……

カァ、カァ、カァ……

伯爵「……」

警備隊長「……」

シュン、シュタッ……

魔女「ふぅ……間に合った……」

魔女「なんとか、これで上手く兵を進めるわね……」

魔女「相変わらず、警備隊長は安請け合いをし易いんだから……」

魔女「本当に、貴方は困った部下だわ……」

伯爵「……」クルッ

警備隊長「……」クルッ、ビシッ 

616 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/03(水) 13:55:45 ID:TMr3cvVk
ササッ、カシャン……

魔女「遅れて申し訳ありません。伯爵様……」

魔女「カーネル・ジュリエット、只今参上致しました……」

警備隊長「……」

伯爵「うむ。ご苦労」

伯爵「相変わらず、そなたは朝から晩まで働き詰めだな」

伯爵「それだけ、そなたの寿命は長いと言う訳か?」

住民達「……」ザワザワッ

魔女「ええ、その通りです……」

魔女「昨夜、私の産みの母が訪ねて参りまして……」

魔女「その所為か、今日も朝から独断で動いてしまっております……」

警備隊長「……」

伯爵「ん? 産みの親?」

伯爵「一体、誰の事を申しておるのだ?」

シュン、シュタッ…… 

617 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/03(水) 13:56:00 ID:TMr3cvVk
魔女母「お初にお目に掛かります。伯爵様」

魔女母「私の名は、ジュリエット」

魔女母「今現在、カーネル・ジュリエットとしてその名が知られている娘の実の母でございます!」ササッ

伯爵「!?」ハッ

住民達「!?」ガーーン

魔女母「この度は、我が娘の引き起こした厄介事に巻き込んでしまい、誠に申し訳ありません」

魔女母「何分、我が娘は昔から気性が荒く喧嘩っ早い性格」

魔女母「私も、我が娘には赤子の時より手を焼いておりました」

魔女母「本当に、伯爵様には申し訳なく思っております」

魔女「……」ガクッ

伯爵「う、うむ……」

伯爵「遠路遥々、ご苦労様……」

伯爵「カーネル、これはどう言う事だ?……」

伯爵「死者を蘇らす事も、そなたの策の一つなのか?……」

住民達「……」ザワザワッ 

618 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/03(水) 13:56:11 ID:TMr3cvVk
魔女「はっ、正にその通りでございます!」

魔女「我が母にも、この度の戦には参加して頂きます!」

伯爵「!?」

魔女「私の母は、エルフの里では名を知られた有能な魔術師でした!」

魔女「ですが、エルフの里内部での権力闘争に巻き込まれ、母はエルフの里を追われる事となります!」

魔女「その時に、母はこの島に上手く流れ着き、その後私が生まれました!」

魔女「母にとって、この島は第二の故郷!」

魔女「ですので、今回の戦には参加して頂きます!」

魔女母「……」

伯爵「……うむ。合い分かった」

伯爵「相変わらず、そなたはやる事がかなり大胆だな……」

伯爵「母君殿、今のそなたは実に良い娘をお持ちで……」

伯爵「本当に、そなたの娘は、この島の為によく尽くしてくれる……」

伯爵「この島では、そなたの娘に感謝しない者は一人もいないのだからな……」

ザザーーン、ザザーーン…… 

619 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/04(木) 06:02:23 ID:FX3d4tbc
魔女母「はっ、お褒めに頂き、誠にありがとうございます」

魔女母「今の私は、大いに感激をしております」

魔女「……」

魔女母「ですが、本当に宜しいのですか?」

魔女母「ウチの娘は、皆様に多大なご迷惑を掛けてはおりませんか?」

警備隊長「……」

伯爵「いや、掛けてはおらんぞ!」

伯爵「むしろ、このままいて貰わないと、かなり困る程の存在となってしまった!」

住民達「!?」

伯爵「思えば、そなたやそなたの娘がいなければ、この島はもう既に滅んでいた!」

伯爵「そなたの娘は、昔からこの島の民達には尽くし過ぎだ!」

魔女母「……?」

伯爵「そのおかげで、この島の民達には慢心が芽生えている!」

伯爵「つい昨日も、そなたの娘を妬む輩が多数そなたの娘の事を襲撃をした!」

魔女「……」 

620 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/04(木) 06:02:37 ID:FX3d4tbc
伯爵「だから、母君はどうか安心をなされよ!」

伯爵「私の目が黒い内は、カーネルには指一本触れさせる事はない!」

伯爵「今まで、この島の民達にはそれが当たり前となってしまった!」

伯爵「カーネルの事を排斥をするとは、もってのほかだ!」

住民達「……」ザワザワッ

伯爵「カーネル。隣島に拠点を構えた後も、この私の為に尽くせ!」

伯爵「今の私は、そなたが必要だ!」

伯爵「今のそなたがいなくなれば、この島は再び地獄と化す!」

伯爵「今後も、私の為だけに尽くせ!」

住民達「……」ザワザワッ

魔女「はっ、仰せのままに!」

魔女「今度も、私は伯爵様の為に尽くす所存でございます!」

魔女「ですが、本当に宜しいのですか?」

魔女「私は、まだこの島にいても宜しいのでしょうか?」

住民達「!?」ガーーン 

621 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/04(木) 06:02:50 ID:FX3d4tbc
伯爵「うむ。構わんぞ!」

伯爵「その代わり、今のそなたには私の為だけに、今後はずっと働いて貰う!」

伯爵「今のそなたには、本当に色々と苦労や迷惑を掛けた!」

伯爵「今のそなたは、もうこれ以上この島の民達の為に尽くす必要はない!」

住民達「……」ザワザワッ

伯爵「それと、母君……」

伯爵「今のそなたには、行く宛はあるのか?」

伯爵「今のそなたが望むのなら、カーネルと共にこの島に暮らすのを許可する!」

伯爵「今のそなたが良ければ、この私の臣下になって貰いたい!」

魔女「……」チラッ

魔女母「はい。かしこまりました!」

魔女母「伯爵様のご厚意、心より感謝致します!」

魔女母「今後は、娘と共に伯爵様の為に働く所存です!」

魔女母「伯爵様より受けたこのご恩、一生忘れません!」

住民達「……」ザワザワッ 

622 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/04(木) 06:03:03 ID:FX3d4tbc
伯爵「うむ、合い分かった!」

伯爵「二人とも、今後は私の臣下として行動をして貰う!」

伯爵「カーネル、別動隊の現在地は?」

伯爵「もう既に、戦闘は始まっているのか?」

警備隊長「……」

魔女「はっ、ご報告致します」

魔女「今現在、我が軍の偵察隊が王都衛兵隊と遭遇」

魔女「王都衛兵隊は、偵察隊に対して攻撃を開始」

魔女「偵察隊に、多数の死者が出た模様です」

魔女母「……」

伯爵「うむ。他には?」

伯爵「他に、報告をする事はないのか?」

警備隊長「……」

魔女「はい。ございます」

魔女「しかし、これは少し厄介な件でございます」 

623 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/04(木) 06:03:22 ID:FX3d4tbc
伯爵「うむ。構わんぞ」

伯爵「その辺については、そなた達に任せる」

伯爵「それで、一体何が起きた?」

伯爵「まさか、王都の民達にもう既に犠牲者が出てしまったのか?」

警備隊長「……」

魔女「はっ、そのまさかです」

魔女「我が軍の偵察隊は、王都にいる民達ともすぐに交戦」

魔女「ですが、その者達はろくに定職も持てない日雇いの労働者達」

魔女「彼らは、魔物退治の気分で我が軍とすぐさま交戦を致しました」

魔女「それによる死傷者が、かなりの数に上っております」

住民達「!?」ガーーン

伯爵「ん? そんな事か……」

伯爵「てっきり、あの糞国王達がまた厄介な事をしてきたと思ったのだが……」

魔女「……は?」

ザザーーン、ザザーーン…… 

624 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/04(木) 06:03:34 ID:FX3d4tbc
伯爵「カーネル。そなたは母君と共に、別動隊の陣地へと戻れ!」

伯爵「この島の警備は、私と警備隊長のみで十分だ!」

伯爵「これだけの数、さすがの野盗も海賊もすぐには手出し出来ない!」

伯爵「今のそなた達は、王都との戦闘のみに集中をせよ!」

住民達「……」ザワザワッ

魔女「はっ、かしこまりました」

魔女「至急、現地に向かいます」

魔女「伯爵様、どうかお体の方をお気をつけ下さい」

魔女「いつ、またどこで刺客と遭遇をするかが分かりません」

魔女「ですから、伯爵様はどうかお気をつけ下さいませ」

伯爵「うむ。合い分かった」

魔女「……」ペコッ

魔女母「……」ペコッ

スッ、シュン……

ザザーーン、ザザーーン…… 

625 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/04(木) 06:05:59 ID:FX3d4tbc
伯爵「警備隊長。出港の用意は?」

伯爵「出港の用意が出来た船は、すぐにこの島から出せ!」

住民達「……」ザワザワッ

警備隊長「はっ、了解致しました!」

警備隊長「伯爵様より、水軍に対して発令!」

警備隊長「出港準備が出来た船は、直ちに出港せよ!」

警備隊長「目的地は、第一大隊以外は王都だ!」

警備隊長「第一大隊のみ、隣島に進軍をせよ!」

各船長達「はっ!」

伯爵「……」

住民達「……」ザワザワッ

「第一大隊、出港!」

「目的地は、隣島だ!」

「総員、漕ぎ方始め!」

「はっ!」 

626 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/04(木) 06:06:31 ID:FX3d4tbc
ザバーーッ、ザバーーッ、ザバーーッ……

ザバーーッ、ザバーーッ、ザバーーッ……

「第二大隊、漕ぎ方始め!」

「目的地は、王都だ!」

「進め!」

「お――――っ!」

伯爵「……」

警備隊長「……」

ザバーーッ、ザバーーッ、ザバーーッ……

ザバーーッ、ザバーーッ、ザバーーッ……

警備隊長「伯爵様。各自出港致しました」

警備隊長「それと、我々はどう致しますか?」

警備隊長「通常通りに、兵を市内に戻しますか?」

ザバーーッ、ザバーーッ、ザバーーッ……

ザバーーッ、ザバーーッ、ザバーーッ…… 

627 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/04(木) 06:06:44 ID:FX3d4tbc
伯爵「うむ。そうだな」

伯爵「市内にいる兵は、今後もそのままで良いだろう」

伯爵「だが、油断は禁物だ」

伯爵「いつどこで、私の命を狙う輩が出るか分からん」

伯爵「昨日も、そのおかげで私が襲われた」

伯爵「カーネルには、本当に苦労を掛ける」

住民達「……」

警備隊長「はっ、了解致しました!」

警備隊長「至急、兵に通達を送ります!」

警備隊長「XXX島警備隊、通常通りに任務を継続せよ!」

警備隊長「伯爵様より、新たに発令!」

警備隊長「XXX島警備隊は、通常通りに任務を継続せよ!」

警備兵達「はっ!」

住民達「……」

ザザーーン、ザザーーン…… 

628 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/04(木) 06:07:38 ID:FX3d4tbc
「第三大隊、漕ぎ方始め!」

「第二大隊の後に進め!」

「おーーーーっ!」

ザバーーッ、ザバーーッ、ザバーーッ……

ザバーーッ、ザバーーッ、ザバーーッ……

「第四大隊、漕ぎ方始め!」

「第二、第三大隊は目的地は同じだ!」

「進め!」

「はっ!」

ザバーーッ、ザバーーッ、ザバーーッ……

ザバーーッ、ザバーーッ、ザバーーッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ササッ、カシャン……

警備兵「伯爵様、少し宜しいでしょうか?」

賢者兄「……」ペコッ 

629 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/04(木) 06:08:14 ID:FX3d4tbc
伯爵「ん? どうした?」

伯爵「今度は、何があったのだ?」

賢者兄「……」

警備兵「はっ、恐れながら申し上げます!」

警備兵「何者かが、昨夜の内に民達の船を奪いました!」

警備兵「この者が、その時の様子を見ていたらしく、おまけに追い剥ぎにもあった模様です!」

警備隊長「……」

伯爵「うむ。そうか」

伯爵「それはまた、災難だったな」

住民達「……」ザワザワッ

伯爵「警備隊長。この者に、代わりの服と路銀を与えよ!」

伯爵「それが終わり次第、民達に新たな船を作ってやれ!」

伯爵「他にも、まだまだ被害があるはすだ!」

伯爵「カーネルがいない今、我々の手でそれを解決をするのだ!」

賢者兄「!?」 

630 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/04(木) 06:08:50 ID:FX3d4tbc
警備隊長「はっ、了解致しました!」

警備隊長「至急、手配致します!」

警備隊長「おい、そこのお前!」

警備隊長「その者を、今すぐ自警団本部に!」

警備隊長「そこで、路銀と代わりの服を渡してやれ!」

警備隊長「その後すぐ、他の被害状況をすぐに報告せよ!」

警備兵「はっ!」

賢者兄「……」

伯爵「警備隊長。邸内に戻るぞ」

伯爵「私の用件は、もう既に済んだ」

伯爵「行くぞ」

警備隊長「はっ!」

賢者兄「……」ペコッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ザザーーン、ザザーーン…… 

631 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/04(木) 06:13:00 ID:FX3d4tbc
~とある島・市場~

ガヤガヤッ、ガヤガヤッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

店主姪(義姉さん。大丈夫かな?……)

店主姪(また、無茶とかしてなきゃ良いんだけど……)

店主姪(ここ最近、義姉さんはよく外出しているし……)

店主姪(一体、何をするつもりなのかしら?……)ハァ……

ガヤガヤッ、ガヤガヤッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

店主姪(まぁ、義姉さんの事だから、多分大丈夫だと思うんだけど……)

店主姪(今回は、保護者同伴だし……)

店主姪(義姉さん、あの人の事をまた泣かしてなきゃ良いんだけど……)

店主姪(やっぱり、義姉さんがまた余計な事を言わないか心配かな?……)

ガヤガヤッ、ガヤガヤッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ…… 

632 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/04(木) 06:13:16 ID:FX3d4tbc
商人「あら、姪っ子ちゃんじゃない」

商人「今日は、一人でお使いかしら?」ニッコリ

ピタッ、クルッ……

店主姪「あっ、こんにちは」ペコッ

牛「……」

商人「こんにちは」

商人「今日は、お母さんと一緒じゃないの?」

商人「もう一人で出歩いてて、大丈夫なのかしら?」ニコニコ

牛「……」

店主姪「はい。大丈夫です」

店主姪「昨日、義姉さんが一斉検挙をしてくれたおかげで、もう大丈夫みたいです」ニッコリ

牛「……」

店主姪「へぇ、そうなんだ」

店主姪「相変わらず、仕事が早いわね」

店主姪「うちも、今度カーネルに頼もうかしら?」 

633 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/04(木) 06:13:48 ID:FX3d4tbc
店主姪「あの、何かあったんですか?」

店主姪「また、お客さんとのトラブルでもあったんですか?」

牛「……」

商人「ううん。違うわ……」

商人「私の両親が、ここに住みたいって連絡をしてきたの……」

商人「しかも、今更ながら多額の借金で首が回らないから援助してほしい……」

商人「おまけに、自分達の老後の面倒も見ろってしつこくてね……」

店主姪「……」

商人「だから、カーネルに何とかして貰えないかしら?……」

商人「どこをどう調べたのか、今の私がここに住んでるってのがバレたみたい……」

商人「それに加えて、私の子供達にも会わせろってしつこくて……」

商人「何故だか分からないけど、ウチの店にも借金取り達が押し掛けてきたわ……」

牛「……」

店主姪「……」

商人夫「……」ヌッ 

634 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/04(木) 06:14:05 ID:FX3d4tbc
店主姪「ああ、そうなんですか……」

店主姪「なんか、昨日も似た様な事件があった様な……」タジタジッ

牛「……」

商人「ええ、そうね……」

商人「賢者様のご家族がね……」

商人「本当に、何で今更過去に捨てた子供に会いたがるんだか……」

商人夫「……」

店主姪「とりあえず、後で義姉さんに連絡をしてみます」

店主姪「義姉さん。今ちょっと、王都にまで用事がありましてね」

店主姪「いつ戻るかが、まだ少し分からないんですよ」

牛「……」

商人「……ふぅん。そうなの」

商人「やっぱり、カーネルは王都にまで出掛けちゃったの……」

商人「なんか、今回ばかりはさすがにカーネルもかなり危ないみたいね……」

商人「今まさに、カーネルは絶体絶命のピンチを迎えてしまってるみたいだから……」 

635 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/04(木) 06:14:21 ID:FX3d4tbc
店主姪「ええ、そうなんですよ……」

店主姪「さすがの義姉さんも、“いつ自分がどこで死ぬか分からないからって”、私達に別れの挨拶までしていったんですよ……」

店主姪「おかげで、昨夜は皆がしんみりとした感じでしてね……」

店主姪「結局、昨日はよく眠れない時間の方が長かったです……」

商人「……」

商人夫「でも、カーネルならなんとかするんじゃないかな?」

商人夫「ついさっき、船着き場に行ったらカーネルがいたんだ」

店主姪「え?」ハッ

商人夫「しかも、かなりの大船団を率いてるみたいでね」

商人夫「それを、間近で見ていた伯爵様も完全に度肝を抜かれてた」

商人夫「それについては、その大船団を間近で見ていた通行人達も全く同じ顔をしていたよ」

店主姪「……」

商人「ああ、貴方いたんだ……」

商人「一体、いつからそこにいたの?……」

牛「モ~~ッ」 

636 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/04(木) 06:15:38 ID:FX3d4tbc
商人夫「ああ、今さっきだ」

商人夫「新たに来る家畜を引き取りに行こうとしたら、何故か船着き場が満杯でね」

商人夫「どうやら、カーネルは王都にまで兵を差し向けるらしい」

商人夫「ほら、昨日の朝起きた伯爵様暗殺未遂事件の所為で、カーネルが本気でブチギレてしまったみたいだから」

店主姪「……」ガクッ

商人「ああ、そうなの……」

商人「それで、今日もこんなに警備兵が多いの……」

商人「本当に、カーネルも大変ね……」

商人「まさか、伯爵様までお命を狙われてしまうとはね……」

店主姪「……」

商人夫「ああ、そうだな……」

商人夫「伯爵様と司教様がいないと、カーネルはこの島を追い出されるみたいだからな……」

商人夫「それに、カーネルは本日から拠点を隣島に移すらしい……」

商人夫「それに関する準備も、もう既に昨日から始めてる様だ……」

牛「モ~~ッ」 

637 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/04(木) 06:17:24 ID:FX3d4tbc
店主姪「ええ、知ってます……」

店主姪「義姉さん。本当に、この島を出るつもりらしいんです……」

店主姪「後は、この島にいるハーフエルフ達を隣島に移して拠点を築くだけ……」

店主姪「それに掛かる時間が、まだ今の義姉さんにはあるみたいですけど……」

商人夫「……」

商人「でも、カーネルも気の毒にね……」

商人「今更、この島を追い出されるなんて……」

店主姪「……」

商人夫「いや、カーネルはこの島を追い出された訳じゃないぞ」

商人夫「伯爵様は、今後もカーネルにこの島での居住等を許可してるんだが」

商人「え?」

商人夫「ついさっき、伯爵様がそれを食い止めてた」

商人夫「おまけに、カーネルの実の母親もこの島での居住等を許可された様だ」

店主姪「!?」

商人「本当なの!? それ!?」 

638 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/04(木) 06:17:38 ID:FX3d4tbc
商人夫「ああ、本当だとも」

商人夫「カーネルの実の母親が、カーネルと完全に瓜二つでね」

商人夫「伯爵様は、カーネルの母親も自身の臣下に組み入れてた」

商人夫「それを、間近で聞いていた通行人達の中には、嫌な顔をしてる人達もちらほらいたが」

商人「……」

商人夫「だから、君達はカーネルの事で何も心配をする必要なんかないぞ」

商人夫「あの子はあの子で、本当によくこの島の住民達の為に働き過ぎている」

商人夫「その事についてを、伯爵様がかなり気に病んでいた様でね」

商人夫「司教様と連名で、今後もカーネルをこの島に置いておくのを許可した様だ」

店主姪「……」

商人「……そう。成る程ね」

商人「今後も、カーネルはこの島にいてくれるのね」

商人「けど、他の人達が何か文句を言ってこないかしら?」

商人「今回の決定、他の皆はどう思うのかしら?」

店主姪「……」 

639 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/04(木) 06:17:50 ID:FX3d4tbc
商人夫「ああ、それに関しては、本当に何も言えない……」

商人夫「ここ最近、反カーネルの動きが活発になってきてるから……」

商人夫「でも、それを今の自分達がした場合には、完全に自滅」

商人夫「今まで、自分達はカーネルにお世話になってきた」

商人夫「今回の決定は、それを抑える効果もあるみたいだからさ」

店主姪「……」ウルウルッ

商人「……」チラッ、ムギュッ

店主姪「……」ウルウルッ

商人夫「……」

商人「とりあえず、貴方……」

商人「他の家畜、引き取りに行ってきて……」

商人「今の私、この牛を連れていくから……」

商人「それが終わった後、姪っ子ちゃんをママさんの所まで送ってくるから……」

店主姪「……」ウルウルッ

牛「モ~~ッ」 

640 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/04(木) 06:18:21 ID:FX3d4tbc
商人夫「ああ、分かった」

商人夫「ちょっとまた、船着き場まで行ってくる」

商人夫「その間、店の事も頼むぞ」

商人夫「昨日の君は、そのままママさんの所で飲み潰れてしまってたんだし」

商人夫「今度は、すぐに真っ直ぐ帰ってくるんだね」

商人「ええ、分かったわ……」

商人夫「それじゃあ」

商人「行ってらっしゃい……」

店主姪「……」ウルウルッ

牛「モ~~ッ」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ガヤガヤガヤッ、ガヤガヤガヤッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ガヤガヤガヤッ、ガヤガヤガヤッ……

「あっ、こんな所にいた」 

641 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/04(木) 06:18:38 ID:FX3d4tbc
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ペコッ……

元店主嫁「娘、何でこんな所にいるの?」

元店主嫁「頼まれてたお肉類、もう仕入れたの?」

店主姪「……」ウルウルッ

元店主嫁「商人さん。すいませんね」

元店主嫁「ウチの娘が、お仕事のお邪魔をしちゃって」ニッコリ、ペコッ

店主姪「……」ウルウルッ

商人「いえ、そんな事ないですよ」

商人「今仕入れの交渉をしていた所ですよ」ニッコリ

店主姪「……」ウルウルッ

元店主嫁「とりあえず、その牛を一頭お願いします」

元店主嫁「今日は、牛肉を中心としたメニュー」

元店主嫁「後で、商人さんもウチにいらして下さい」ニコニコ

商人「はい。かしこまりました」ニコニコ 

642 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/04(木) 06:18:54 ID:FX3d4tbc
スッ、ササッ……

チャラチャラ、チャラチャラ……

シュッ、チャラチャラ、ササッ……

商人「はい。確かに」

商人「後で、主人達とお伺い致しますね」

商人「それじゃあ、私は先に失礼します」

商人「今度も、ウチの店をご贔屓に」ニコニコ、ペコッ

元店主嫁「はい。かしこまりました」ニコニコ、ペコッ

店主姪「……」ウルウルッ、ペコッ

クルッ、スタスタスタッ、スタスタスタッ……

元店主嫁「娘、私達も帰るわよ!」

元店主嫁「義姉さん達、もう仕込みを始めちゃってるし!」

元店主嫁「だから、私達も急ぐわよ!」

店主姪「は~~い……」ウルウルッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ…… 

643 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/05(金) 04:17:24 ID:690yEFLA
ガヤガヤッ、ガヤガヤッ……

「モ~~ッ!」

ガヤガヤッ、ガヤガヤッ……

「メェ~~ッ!」

ストトトトトッ、ストトトトトッ……

キキィーーッ、ピタッ……

「くそっ、カーネルを追い出すのに失敗した!……」

「このままだと、俺達マジでヤバイみたいだ!……」アセアセッ

「何だと!?……」

「ああ、そうだな……」

「まさか、カーネルに全てを見抜かれてたとは……」

「ここもいずれ危なくなる……」

「警備兵達が、また多数戻ってくる……」ギリギリッ

「……」ガクガクッ

「ま、まじかよ……!?」ガーーン 

644 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/05(金) 04:17:37 ID:690yEFLA
「ああ、まじだ……」

「それも、何故かカーネルが二人に増えてた……」

「しかも、あの余計な事しいな伯爵様が引き留めてな……」

「あの伯爵様さえいなければ、カーネルをこの島から追い出す事が出来たのに……」ギリギリッ

「……」

「でも、何で伯爵様は止めたんだ?……」

「カーネルは、この島を出るつもりだったみたいじゃないか?……」ビクビクッ

「……」ガクガクッ

「ああ、それがな……」

「あの余計な事しいの伯爵様が、今後もこの島に住む許可を与えてしまったんだ……」

「それを理由に、カーネルはこの島に残留……」

「カーネルの地位や待遇等も、今まで通りになるらしい……」ギリギリッ

「!?」ガーーン

「そ、そんな……!?」ビクビクッ

「もう、終わりだ……」ガクガクッ 

645 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/05(金) 04:17:53 ID:690yEFLA
「で、でもよ……」

「まだ、望みはあるはずだ……」

「カーネルが、王都に行っている間に伯爵様達を始末すれば良いんだ……」ビクビクッ

「……」

「そしたら、カーネルもこの島から出るはめになる……」

「元々、カーネルは家畜以下……」

「今まで、ハーフエルフなのにも関わらず、あんな地位や待遇等を受けてる自体が、大きな間違いなんだ……」ビクビクッ

「……」

「けど、一体どうやって?……」

「カーネルは、私兵を多数持ってるぞ……」

「今さっき、カーネルの私兵が多数王都に向かったんだぞ……」ガクガクッ

「!?」ガーーン

「しかも、カーネルは5000もの私兵を持っている様だ……」

「それを使って、王都にまで派兵する様だ……」ガクガクッ

「……」 

646 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/05(金) 04:18:23 ID:690yEFLA
「おまけに、伯爵様や司教様は完全にカーネルに守られてる……」

「昨日の暗殺未遂事件の所為で、邸内にいた使用人全てを斬り殺してる……」

「それに加え、カーネルが用意した新たな使用人達を邸内に入れさせ、常に警備隊長が伯爵様に同行……」

「今さっきも、伯爵様の命令一つで大船団が動いてた……」

「カーネルは、俺達の事を完全に潰すつもりだ……」ガクガクッ

「……」

「とりあえず、この話を他の皆にも連絡を……」

「特に、酒場XXXには注意するんだ……」ビクビクッ

「え?」ガクガクッ

「お前、もしかして知らないのか?……」

「あそこは、カーネルの実家だぞ……」

「あそこのママが、カーネルの今の育ての親なんだぞ……」ギリギリッ

「!?」ガーーン

「ああ、そうだな……」

「あそこのママ、カーネルの育ての親なんだわ……」 

647 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/05(金) 04:18:39 ID:690yEFLA
「それだけでなく、酒場XXXXXもカーネルの身内だ……」

「あそこは、カーネルがよく資金援助している店の一つ……」

「ここ最近、あそこの爺さんが体調崩してただろ?……」

「その爺さんの入院費用とかも、カーネルが出していたらしい……」

「……」ギリギリッ

「くっ、あそこまでもか……」

「この島にある酒場全てが、カーネルの拠点の一つなのか……」

「……」ビクビクッ

「それに、カーネルはこの島にある教会にも、昔から多額の寄付をしているぞ……」

「元々、この島の教会は山上以外は全て閉鎖されてた……」

「それが、カーネルが寄付をしだしてから金回りが急に良くなって、次々と閉鎖されていた教会が復活……」

「そのおかげで、司教様や伯爵様は昔からカーネル派だ……」

「お二人とも、今の暮らしを絶対に捨てたくはない様だ……」

「!?」ガーーン

「orz……」 

648 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/05(金) 04:18:52 ID:690yEFLA
「ああ、そうだな……」

「じゃなきゃ、ハーフエルフをあそこまで手厚く保護なんかしないわな……」

「ハーフエルフを手厚く保護すれば、カーネルから資金が入る……」

「今の様な贅沢な暮らしを、今後も死ぬまで続ける事が出来る……」

「……」ギリギリッ

「それについては、俺達だって同じだよ……」

「所詮、今の俺達はカーネルの事を妬んでるだけ……」

「元々、この島に住んでる老人達の多くは、カーネルの事を全く嫌っていない……」

「今の俺達みたいなのが、その老人達からしてみれば、かなり罰当たりみたいだからな……」ハァ……

「……」ギリギリッ

スッ、ゴソゴソッ……

ササッ、ササッ……

密偵(意外に、カーネルに敵意を向ける住民達が多数あり……)

密偵(今現在、カーネルは外出中、と……)

スッ、ゴソゴソッ…… 

649 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/05(金) 04:21:07 ID:690yEFLA
スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ……

賢者兄「……」

警備兵「ん? どうした?」

警備兵「何か、気になる事でもあるのか?」

警備兵2「……」

賢者兄「いえ、特には……」

賢者兄「この島は、本当に豊かなんですね……」

警備兵2「……」

警備兵「お前、出身はどこだ?」

警備兵「これくらいの規模、他の町にもあるはずだが」

警備兵2「……」

賢者兄「……出身ですか?」

賢者兄「自分の出身は、XX地方のXX村です……」

賢者兄「それが、何か?……」 

650 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/05(金) 04:21:24 ID:690yEFLA
警備兵「いや、特にないな」

警備兵「この島には、遠方からわざわざ来る奴等が多い」

警備兵「お前と同じ村からも、何人もの男達が移住してきた」

警備兵「今のお前の様に、この島の独特な雰囲気にはすぐにはついていけない様子だったからな」

賢者兄「……」

警備兵「まぁ、今のお前がそうなるのも無理はない」

警備兵「この島では、実質的にハーフエルフが権力を握ってる」

警備兵「特に、カーネル・ジュリエット唯一人のみは別格扱い」

警備兵「司教様と伯爵様が、カーネルの事を保護してるのだからな」

賢者兄「!?」

警備兵「それで、どうする?」

警備兵「今のお前は、まだこの島の中にいるか?」

警備兵「それとも、すぐこの島を出るか?」

賢者兄「……」

「モ~~ッ!」 

651 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/05(金) 04:21:41 ID:690yEFLA
警備兵「もし仮に、この島にまだいるのなら、役場に申請だけはしとけ」

警備兵「それをしないと、またお前の事を捕縛しなきゃならない」

警備兵「この島では、一度捕縛された人間が滞在やら出入りやらをする場合は、役場にて申請をしなければならん」

警備兵「過去に、それを忘れて捕まったバカがかなりいた」

警備兵「そいつら全員、今はなんとかこの島では豊かに暮らしているけどな」

警備兵2「……」

賢者兄「……分かりました。そうさせて頂きます」

賢者兄「後、宿はどこでにありますでしょうか?」

賢者兄「何分、遠路遥々田舎から出てきたものですから、家族に土産の一つは買っていきたいのですが」

警備兵2「……」

警備兵「それなら、後で俺達が案内をしてやる」

警備兵「さぁ、もう行くぞ」

賢者兄「はい」

警備兵2「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ…… 

652 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/05(金) 04:21:58 ID:690yEFLA
密偵(今の男は、賢者兄か……)

密偵(どうやら、目的は同じみたいだな……)

密偵(それにしても、この島は何か妙だな……)

密偵(そこら中に、ハーフエルフが出歩いてる……)

密偵(皆、普通にハーフエルフとも接してもいる……)

牛2「モ~~ッ!」

トコトコトコッ、トコトコトコッ……

密偵(一体、これは、どう言う事だ?……)

密偵(普通なら、ハーフエルフはあんな風に笑顔で出歩いたりはしないはず……)

密偵(おまけに、この島はカーネルによって占領された……)

密偵(皆、それを今では受け入れた……)

密偵(まぁ、これだけ王都並みに何故か溢れた物資の山があれば、自然とそうなるか……)

密偵(ここは王都と違って、あのハーフエルフ達の事をすぐさま追い出すのは、かなり困難みたいだからな……)

牛2「モ~~ッ!」

トコトコトコッ、トコトコトコッ…… 

653 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/05(金) 04:22:13 ID:690yEFLA
ストトトトトッ、ストトトトトッ……

キキィーーッ、ピタッ……

密偵2「はぁ、はぁ、はぁ……」

密偵2「はぁ、はぁ、はぁ……」

密偵「……」

スッ、シュポッ……

ゴクゴクゴクッ、ゴクゴクゴクッ……

密偵2「ふぅ……」

密偵「……」

スッ、シュポッ……

密偵2「……」

密偵「……」

密偵2「密偵、今すぐ逃げるぞ!」

密偵2「カーネルが、動いた!」

密偵2「しかも、かなりの兵を引き連れてな!」 

654 : ◆7FnOo4mT6s:2013/04/05(金) 04:22:28 ID:690yEFLA
密偵「は? お前、それどう言う事だ?」

密偵「カーネルの兵は、1000名じゃなかったのか?」

牛2「モ~~ッ!」

商人夫「……」

トコトコトコッ、トコトコトコッ……

密偵2「とりあえず、急いで逃げるぞ!」

密偵2「多数の警備兵達が、ここに戻ってきた!」

密偵2「後の話は、すぐに向こうでする!」

密偵2「だから、早く撤退するぞ!」

密偵「お、おう……」


スッ、シュン……

ガヤガヤガヤッ、ガヤガヤガヤッ……

牛2「モ~~ッ!」

商人夫「……」

トコトコトコッ、トコトコトコッ…… 



次回 魔女「もう最悪だわ……」 後編