1 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/05(日) 17:42:48 ID:9V/ipZeo
俺のものは俺のもの
お前のものは俺のもの
力に頼りすぎて見失う
そんな事ばかりじゃないけど
でも
思いつくまでも、俺は力で生きていた。
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2 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/05(日) 17:47:11 ID:9V/ipZeo
もともと身体は大きい方だった
それに伴って力もついてきた
小学生の頃にはガキ大将の異名から
ジャイアン、と呼ばれるようになった。
まぁ、悪い気はしなかった
3 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/05(日) 17:55:16 ID:9V/ipZeo
嫌なことがあったらすぐに解決できた
怒ればよかったから
スネ夫からおもちゃを奪い
のび太から道具を奪う
弱みといえばかあちゃんぐらいだ
4 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/05(日) 18:06:55 ID:9V/ipZeo
そんな俺は喧嘩に負けたことなどなかった
いや、
まず誰も俺に挑んでなどこなかった
もし最強なんて言葉があったら
当時の俺は最強だった。
5 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/05(日) 18:36:29 ID:9V/ipZeo
そんなある日だった
俺は静香ちゃんからあるモノを奪った
いつも通りに、静香ちゃんは引き下がり
スネ夫達も何も言えずにいた
そういつも通り
でも、あいつだけは違った
6 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/05(日) 18:59:46 ID:9V/ipZeo
「それは静香ちゃんの大切なものだ!」
そう言い俺に殴り掛かってきた
初めてのび太が俺に刃向ってきたのには驚いたが
俺も意地になっていた
返り討ちにした
でも
あいつは引き下がらなかった
7 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/05(日) 20:00:42 ID:9V/ipZeo
食いつき、投げ飛ばされ
それでも引き下がらず、また殴られ
蹴られうずくまり
メガネが割れた時に俺も我に返った
「やばい、本気で殴りすぎた」、と
小学生の力で死ぬことはないだろうが
それでも、のび太ほど貧弱なやつなら病院送りになりそうなほど殴っていた
8 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/05(日) 20:01:14 ID:9V/ipZeo
呻いて転がるのび太
やっちまったのは俺だが、ちょっと心配してしまった
だからと言って「大丈夫か」なんて声をかけることはできない
そう、今思えばいらない
ただの意地だ
9 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/05(日) 20:02:17 ID:9V/ipZeo
俺は自分が何をしたのかわからなくなってしまった
奪ってきた
身を、時間を、モノを、
傷つけ、からかい、諦めろとは言わずに屈服させる
それが俺の普通になっていたからだ
「、、、、ごめん」
10 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/05(日) 20:02:47 ID:9V/ipZeo
静香ちゃんにモノを返し、俺は家へと帰った
のび太に投げかける言葉、
スネ夫に謝るための言葉、
思いつかない
そんなことしたことが無かったから
そう、俺はジャイアンでいた、ずっと、、、、
11 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/05(日) 20:03:54 ID:9V/ipZeo
次の日
いつも通りの日常に戻っていた
誰も変わらない
でもわかる
今まで気づかなかった事
みんな、俺を恐れている
12 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/05(日) 20:37:55 ID:9V/ipZeo
当時の小学生の俺には重すぎた
それについて考えてしまった俺には
もう、その事を楽観的に思うのは無理があった
馬鹿な俺でもわかる
もう戻れないのだ
俺がのび太にやってしまった事
スネ夫にやってきた事
「後悔した。」
13 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/05(日) 20:39:11 ID:9V/ipZeo
放課後
いつも通り、そういつも通りに終わった
みんなと笑い、みんなと話
のび太をからかい
そうやって終わった。
それが怖かった
それを普通にしてしまった自分が、悲しかった
14 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/05(日) 20:43:58 ID:9V/ipZeo
ある日俺は空地の土管の裏で昼寝していた
何も考えていなかった
眠気に負けて寝てしまった、
夢は見ていたかわからない
のび太「ジャイアン?」
15 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/05(日) 20:45:36 ID:9V/ipZeo
ジャイアン「、、、、のび太」
のび太「どうしてこんなところで寝てるの?」
ジャイアン「なんとなくだよ」
のび太「そっか、」
ジャイアン「のび太、、、」
のび太「ん?」
ジャイアン「その、、、悪かったな、、、あんなに殴って」
のび太「ううん、僕こそ、殴り掛かってごめんね」
16 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/05(日) 20:46:12 ID:9V/ipZeo
辛かった
謝ることがじゃない
のび太は許してくれる
謝れば、いつもの関係に戻ってくれる
そうわかってしまうのが
辛かった
ジャイアン「俺は、、、」
19 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/05(日) 22:24:08 ID:9V/ipZeo
「後悔してるんでしょ?」
、、、、あぁ
「でも、大ジョブだよ」
え?
「まだ間に合うから」
のび太「みんな、ジャイアンの事が好きだから」
20 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/05(日) 22:25:52 ID:9V/ipZeo
ジャイアン「そんなこと、」
のび太「僕達をいざって時に助けてくる、守ってくれるジャイアンを知ってるから」
ジャイアン「のび太、、、」
のび太「あ、でもジャイアンリサイタルは勘弁してほしいなぁw」
ジャイアン「あ、この野郎!」
21 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/05(日) 22:26:28 ID:9V/ipZeo
痛みを伴った
身体の大きさに力がついてきたわけじゃない
今、俺は初めて力ができたことに気づいた
弱いけど確かに
心に対して痛みを伴い
助けてくれる友達がいて
その友情を守る力を、今感じた
23 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/06(月) 00:00:03 ID:Hv8KSfYY
いらないのだ、
ずっと持っていたもの
誰もが持っているもの
いや、もしかしたら必要かもしれない
でも、俺のこれはいらない
だから捨てて言おう
ジャイアン「のび太、ありがとう」
感謝もできない
そんな、
ただの意地なんて。
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