前回 律「バイハザ!」

4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 22:39:37.96 ID:RgoNR+IgO
    S県K市で起きたバイオハザード…。推定死亡者数は20万人にも上った。
    政府の発表では生存者は0。
    ウイルスの拡張を防ぐ為に200X年7月23日午前9時、自衛隊の航空爆撃によりその物語は幕を閉じたと思われていた……。

    何故その様なことが起きたのか、それすら何もわからぬまま事件は隠蔽されていく……。

    だが、実際には生還をした者達がいた。
    桜高軽音部
    平沢唯、秋山澪、田井中率、琴吹紬、中野梓
    レオン・S・ケネディ
    クレア・レッドフィールド
    エイダ・ウォン
    S.T.A.R.S.アルファチームの協力により脱出に成功していた。
    だが……彼女達の戦いは終わっていなかった…… 



バイオハザード RE:2 公式コンプリートガイド

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5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 22:40:40.15 ID:RgoNR+IgO
    序章

    もう戻れないところまで来ていた。それは皆わかっていたことだった。
    普通に暮らすには余りにも大きすぎる溝があり、みんな枷をつけての生活を余儀なくされる。
    そう、そうなったのも…

    全ては二年前に遡る──────。

6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 22:42:39.98 ID:RgoNR+IgO
    私達6人は何とかK市を抜け出しそこから遠く離れた街で宿を取っていた。

    レオン「何とか一息つけるな…。」
    ガクッと疲れた体をベッドに座り込ませる。

    律「ここ数日車で走りっぱなしだったからなぁ~」

    律はここへ来る前隣街のT氏の服屋で足まであるような灰色のロングコートを借り(盗む)、今はそれを自慢げにコートかけている。

    エイダ「とりあえずニュースを見ましょう。あの街の様子が気になるわ」

    クレア「私はこの二人をを病院へ連れていくわ。さすがに応急措置じゃ限界があるし…」

    梓「すみません…」

    紬「…」

7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 22:44:29.69 ID:RgoNR+IgO
    レオン「クレア、律も連れて行ってくれ。こいつは見た目は元気そうだが一番損傷は酷いはずだからな」

    律「え~私は別にいいよぉ~ほらこの通り!」

    律はそう言いながらベッドの上で飛んだり跳ねたりした

    クレア「……どうする?」

    レオン「…連れて行ってくれ」

    クレア「了解」

    律「ぶー!」

    クレアは三人を連れ部屋を出ていく

    バタン

    レオン「さて、二人きりになったことだし…話してもらおうか、色々な」

    エイダ「さあ…何のことかしら」

    レオン「とぼけるなよエイダ。Gウイルス…後は君の組織について───」

12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 22:49:45.94 ID:RgoNR+IgO
    医者「こりゃ良く生きてたもんだお嬢ちゃん…これだけ骨折ヶ所がおおけりゃ複雑骨折で肺やらなんやら突き破って死ぬもんだが…綺麗に折れてる」

    梓「はあ…」

    医者「まあしばらくはうちで入院しなさい。こっちの子も」

    寝ている紬を指して言う。
    クレア「あの、彼女は?」

    医者「あの子は心配ないよ。私が見た感じはどこも異常な場所は見当たらない」

    クレア「そんな…」

    律「だからー言ったろ?私は元気ってな!」
    クレア「まあ…医者の方がそう言うのなら…」

15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 22:55:44.29 ID:RgoNR+IgO
    正直律の回復力は異常だった。二日前まで歩くことさえ出来なかったのが今では走ることさえ出来る

    クレアはウイルスが関係あるんじゃないかと疑っていた。

    律「さあ帰って飯にしようぜクレア!」

    クレア「えぇ…。」

    ────────。

    エイダ「ふふ、私のアンブレラの資料を見たのね」

    レオン「あぁ。」

    そもそもアンブレラとは────。

    アメリカ全土の家庭医療薬品シェアの90%を誇る大手薬品メーカーだ。表向きはただの薬品会社だが裏ではTウイルスなどのB.O.W.(バイオ・オーガニック・ウェポン)などを作り出していると言う…。
    最近では日本にも進出して来ている

16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 23:00:36.83 ID:RgoNR+IgO
    レオン「奴らの狙いはなんだ!?H.C.F.とは!?」

    エイダ「…、質問ばかりの男は嫌われるわよ。レオン」

    レオン「ふざけてる場合じゃ…」

    エイダ「いいわ、少しだけ話してあげる。アンブレラの最終目的…それは…神になることよ」

    レオン「なんだと…?」

    エイダ「言えることはそれだけね。じゃあ私はそろそろ戻るわ。上から催促の電話がうるさいから」

    レオン「…最後にこれだけは答えてくれ。お前は俺達の敵か?味方か?」

    エイダ「…さあね。けど…彼女達のこと、何があっても守ってあげてね」

    そう言って部屋から出ていくエイダ

21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 23:05:41.74 ID:RgoNR+IgO
    レオン「エイダウェイト!……って言って待った試しがないよな…」

    ベッドに仰向けに寝転ぶ。

    レオン「これから一体どうすりゃいいってんだ…」

    コンコン…

    不意に鳴ったドアにレオンは反応しベッドから起き上がる。

    レオン「(エイダ…はないか。あいつらが帰って来たのか)」

    ガチャリ、とゆっくりドアノブを回し開けた先には、
    「……」

    手紙を差し出す女の子の姿があった。

    レオン「ん?郵便か?」

    「律さんに、渡しておいてください。レオン・S・ケネディさん」

    レオン「律に?君はあいつの知り合いかい?」

    歳は律達と同じか…それより少し幼いか。どこかの学校の制服を着ている。

22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 23:07:58.74 ID:RgoNR+IgO

    「お願いしますね、では」

    そう言い残し彼女は去って行った。

    レオン「おい待…ったく。女ってやつは待てと言われて待つやつはいないのか…。しかし妙だな、」

    俺の名前を何で知ってたんだ…


    ガチャ

    「ご苦労だった。彼女はいたか?」

    「いえ、不在でした」

    彼女が乗りシートベルトをつけたのを確認してから車を出す

    ブゥゥン…

    「そうか、では誰に渡して来たんだ?」

    「レオン・S・ケネディです」

    「彼か、彼も非常に面白い存在ではあるな。是非次のパーティーには参加してもらいたいものだ」

26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 23:15:44.26 ID:RgoNR+IgO
    「しかしあんな無茶苦茶な用件を飲むとは思えませんが」

    「あの手紙はあくまでアンブレラに対する憎しみと憎悪を際立たせる為だけさ。後は家族が生きていると言う枷をつけたかったに過ぎない」

    「なるほど、将来起こすバイオハザードに来てもらう為ですね」

    「言い方が良くないなジュン、フェスティバル、祭りと言ってもらわなくては」

    「すみません」

    「そこで彼女達には飛びきりのBOWと戦ってもらう。そのデータを元に新たなるBOWを作り出すのさ。そして律、彼女はもう覚醒に近い。私と同じく…ね」

27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 23:22:05.22 ID:RgoNR+IgO
    宿───────。

    律「たっだいま~!ちゃんとお留守番してたか?」

    レオン「またいつになくご機嫌だな」

    律「新しいカチューシャも買ってもらって視界良好ご機嫌なわけなのだよ!やっぱり私にはこれがないとね~」
    レオン「そりゃあ良かったな。あぁそう言えばお前に手紙だ」

    律「手紙?……澪達かな!?」

    手に持っていた荷物をクレアに預けレオンに駆け寄り手紙をもらう

    レオン「お前の友達かどうかは知らないが歳は近そうだったな。」

    律「胸大きかった?!」

    レオン「さあな。だが印象にはないな」

    律「じゃあ澪じゃないな~。レオンは澪も唯も見たことないだろうからわからないか~」
    丁重に封詰されていた手紙を広げ目を通す…
    律「何々~………」

    律「……!」

    律「……嘘……だろ…」
    律は愕然とし、地面に崩れ落ちた。手紙がふわりと手から滑る

33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 23:32:25.91 ID:RgoNR+IgO
    レオン「どうした?」
    様子がおかしいことに気づきレオンが近寄り手紙を広いあげる。
    レオン「……」

    田井中律様へ────
    この度は友達共々ご生還おめでとうございます。しかし、あなたには次なる目標へ向かってもらわなくてはなりません。
    単刀直入に申し上げますと、平沢唯、秋山澪、そしてあなたの家族をお預りしております。
    この事はあなただけにしか伝えておりません。
    我々の用件は3つ

    1.ある特定の時期に指定した場所へ来てください

    2.S.T.A.R.S.、アルファチームの殺害

    3.バイオハザードに関わった特定の人物殺害
    以上を達成した後には必ず家族を解放致します。
    アルファーチームの残りのメンバーは、クリス・レッドフィールド、ジル・バレンタイン、バリー・バートン、 ブラッド・ヴィッカーズ、レベッカ・チェンバース、真鍋和の6人

    特定の人物殺害
    レオン・S・ケネディ、クレア・レッドフィールド、エイダ・ウォン、中野梓、琴吹紬

    特定の場所、日時はそれらが完了次第また通達致します。

    ご健闘をお祈り致しております。

    アンブレラ

    ────────

35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 23:36:53.12 ID:RgoNR+IgO

    レオン「またむちゃくちゃな内容だな…。本当にこんなことやると思ってるのか」

    項垂れてる律を見る、あの災害の中家族が生きていると言う喜びを逆手に取られ彼女を追い詰めているのか

    だがわかったことは何件かある。
    アンブレラはあそこを故意に狙ったと言うのが一つ
    そして律、唯、澪を前々からターゲットにしていたと言うのが一つ…。

    しかし何故彼女らなのだろうか、復讐の十字架を背負わせるにはまだ早すぎるだろうに

    レオン「律、アンブレラを…潰すぞ」

    律「えっ…」

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 23:42:48.47 ID:RgoNR+IgO

    少し泣いていたのか潤んでいた涙が頬を伝っていた。

    レオン「こんな証拠もないむちゃくちゃな手紙を信じる必要はない。それにもし本当だとしても…お前にこれだけの数の人を殺せるのか?」

    律「……。」

    お母さん……お父さん……聡……

    律「……殺せるよ、それぐらいの覚悟は…ある」

    レオン「……。そうか、なら今すぐ俺を殺してみな」

    律はそう言われるとゆっくりホルスターから銃を抜き取る。

    カチャリ…

    撃鉄を弾く、弾倉が回転しガチャリと鈍い音がする

    律「……」

    律は無言で銃をレオン構え、
    引き金を──────
    引いた

    パァン!!

40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 23:49:09.31 ID:RgoNR+IgO
    レオン「……、」

    律「空砲だよ、レオンも意地が悪いな。あの手榴弾撃ったのが最後の弾だって知ってて言うんだから」

    律は銃をホルスターにしまいレオンに背を向けた後手をやれやれ…と言った風に広げてみせた

    レオン「だから言ったろ?殺せないってな。」

    律「協力……してくれる?」

    レオン「勿論だ。もう赤の他人ってわけじゃないからな俺達は。乗り掛かった船だ」

    律「ありがとうレオン!」

    レオン「おい抱きつくな」

    クレア「まるで兄妹ね。ご飯出来たわよ」

    律「ほーい」

    レオン「あぁ」

    本当にありがとう…レオン

42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 23:53:54.14 ID:RgoNR+IgO
    食後──────。

    レオン「問題は奴らの居場所か…。それにアンブレラと言っても全体が悪なわけじゃないからな。表向きに叩いたところで被害を被るのはこっちだけさ」

    クレア「STARSなら何か掴んでるんじゃないかしら?(あのヘリに兄さんが乗っていたとしたら…)」

    レオン「あの一件以来澪達を助けたSTARSアルファチームは消息不明扱いだからな。どこにいるかもさっぱりだ」

    律「澪達無事にやってるかな…」

    レオン「俺らは俺らで独自に動いて奴等を叩くことにしよう。バイオテロに首を突っ込んで行けばいずれ奴らの親玉ともぶつかるだろうしな」

43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/24(金) 23:56:48.83 ID:RgoNR+IgO
    律「適当だなぁ~」

    クレア「仕方ないわ、手がかりが少なすぎるもの」

    律「地道に行くしかないか……」

    待ってろよ…聡
    必ず姉ちゃんが助けてやるからな…!

44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 00:00:18.59 ID:v4UD2nW7O
    ────────。


    澪「っくしゅっ」

    唯「っくしゅっだって~可愛い~もう一回言ってみて~」

    澪「そう何回もくしゃみ出せるかー!」

    あの事件から1ヶ月が経っていた。私達はSTARS…まあもう正式には違うらしいんだけどそのみんなと一緒に北海道へ来ていた。
    何故北海道かと言えば長くなるが簡単に言うとしばらく行方を眩ます為らしい。
    クリスさんがアンブレラはバイオハザードの検体者を軒並み狙っていると言う情報をキャッチし、私や唯をかくまってくれていると言うわけだ

    まあもっとも本当の理由はと言うと…

46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 00:05:02.26 ID:v4UD2nW7O
    和「のんきね~あなた達は。特に唯は」

    唯「あっ和ちゃん酷い!私だって色々と考えてるもん!」

    和「はいはい…。しかしいつまでこうしてればいいのかしらね。S.T.A.R.S.には命令違反で出撃したせいで居場所もなくなっちゃったし…」

    そう、あの時上からの命令を無視してまでクリスさん達は私達を助けに来てくれたのだ。そのせいでみんな職を失ったことを考えると……

    澪「うぅ…胃が……」キュルキュル

    和「まあクリス達が自分達で判断してそうしたんだから私はいいんだけどね。事実みんなが来てくれなかったら私達は助からなかったわけだし」

47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 00:08:44.54 ID:v4UD2nW7O
    唯「STARS様々だよぉ」

    和「本当にそう思ってる?」

    クリス「お~い三人とも~シチュー出来たぞ~」

    唯「シチュー飽きたよぉ…」

    澪「もう一週間はシチューだからな…でも食べられるだけよしとしようよ唯」

    和「酷い言われようね……バリーさんのシチュー。しかしクリスの口からシチューの単語は似合わないわね……」

    家───────。

    この家はバリーさんの隠し別荘らしく日本に配備されてから買ったらしい。元SWAT (スワット)のバリーさんは野戦での経験も豊富でその為料理も上手だった。

49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 00:14:34.18 ID:v4UD2nW7O
    バリー「今日はウサギの肉も入れてみたんだ。性がつくし美味しいぞ」

    澪「う、ウサギ」ガクガクブルブル

    唯「お気に入りのうさ~ちゃん~入れて~ぇ~今夜はシチューだよ~ふわふわたぁいむ~♪」

    和「何その残虐非道極まりない歌」

    唯「バリーさん!くまちゃんは入れないの!?」

    バリー「熊か!悪くないな!」

    澪「ひいいいぃぃぃ」

    和「そろそろからかうのやめてあげなさい二人とも」

    食事が進む中、
    クリス「食べながらでいいから聞いてくれ。ジルからの報告でわかった点がいくつかある」

51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 00:18:35.35 ID:v4UD2nW7O
    そう、ここにジルさんはいなかった。彼女はSTARSの内部調査の為に本部へ向かったのだ。
    クリスさん曰く一番スパイに向いていると言うことらしい。一回私に変装してもらった時は鏡を見ている様だったのを覚えている。

    クリス「ジルの話だとこのアルファチームはバイオハザードの救援活動にて全員死亡扱いとされている。」

    ざわ……ざわ……

    クリス「そして街の生存者リストもなし、つまり唯や澪も死んだとされている。つまり俺達はゴーストなわけだ」

52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 00:24:31.13 ID:v4UD2nW7O
    クリス「で、これからどうするかだが……俺はバイオテロ……今は打倒アンブレラの為に新しい組織を作ろうと思っている。名はBSAA。」

    レベッカ「BSAA……」
    クリス「抜けたいものは抜けてくれて構わない、ただ奴等に殺された者の為……平和な世の中を作り出したいと言うやつは俺と来い」

    しばらく沈黙が続いた、みな困惑していると言う感じだ

    だがその沈黙を打ち破ったのはやはり彼との絆が強いバリーだった。

    バリー「お前とは腐れ縁だからな…、どこまでもついて行くぜ相棒。」

    クリス「バリー…」

    レベッカ「私も行きます。クリス一人じゃ心配だから」

    クリス「ありがとうレベッカ」

56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 00:31:18.31 ID:v4UD2nW7O
    ブラッド「ヘリの操縦士は必要だろ?それに洋館での借りを返さねぇとな!」

    クリス「ブラッド…。」

    和「……。せっかくの良い流れなんだけど私は遠慮しとくわ。クリスやみんなの為になってあげたいのは山々だけれど…私には他の目標があるから」

    クリス「あぁ、お前はそう言うと思ったよ。戻るんだろ?S.T.A.R.S.に」

    和「えぇ。だからここでお別れね、みんな」

    バリー「今まで楽しかったぜ嬢ちゃん」

    レベッカ「またいつかお会いしましょう」

    ブラッド「お前さんの両親によろしくな!」

57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 00:33:58.04 ID:v4UD2nW7O
    唯「和ちゃん…」

    和「自分で決めた道なの、ごめんね唯。そうだ、唯もS.T.A.R.S.に来ない?澪も」

    唯「わっわたしが?!」

    澪「えぇっ?!」

    和「えぇ。あなた達素質あると思うわ。それに唯達には危ないクリス達とあまり一緒にいてほしくないのよね」

    クリス「おいおい」

    唯「私は……、私も自分の足で歩きたい」

    和「唯……」

    澪「私も唯と同じ意見だよ。確かにもう普通の生活に戻るのは難しいのかもしれないけど…だからって夢まで諦めたくない」

    まだ、みんなとライブする夢は諦めたくなかった

    和「……そ、わかったわ。お互い自分の目標の為に頑張りましょう」

59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 00:36:42.34 ID:v4UD2nW7O
    和「じゃあそろそろ行くわね。」

    バリー「近くの駅まで送ろう」

    和「ありがとう、バリーさん」

    クリス「大丈夫か?」

    和「私は元々そこにいたから大丈夫よ。普通に脱出したって言えば復職出来るでしょ」

    クリス「まあS.T.A.R.S.の狼がそう簡単にくたばるとは上も思ってないだろうがな。」

    和「やめてよその呼び方。それを言えばあたなも同じでしょ?」

    クリス「あぁ、死んだ扱いにしたいだけだろうな。だからこそ復職するなら気を付けろよ…和」

    和「えぇ」

    唯「またね!和ちゃん!きっとまた会おうね!今度遊びにいくから!」

    和「ふふ、唯も元気でね」

    澪「本当に色々助けてもらってありがとう、和」

    和「こちらこそよ澪。律と会えるといいわね」

    澪「うん!」


    彼女に伝えるべきか、それを迷いに迷って結局伝えられなかった。私は弱い人間だから…ごめんなさい、澪

60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 00:40:28.88 ID:v4UD2nW7O
    和とバリーが別荘を出て話題は唯達のこれからに移る

    クリス「自分の足で…と言ったが具体的にはどうするつもりだ?あの街にはもう戻れない…それにあまり目立った行動をすれば…」

    アンブレラに捕まる、と言う意味だろう。クリスは二人には自分の側にいてほしいと思っていた。
    あの惨劇を生き延びたと言っても彼女らはまだ子供だ、意思のないゾンビならともかく意思のある人に狙われれば逃げられないだろう
    アンブレラの工作員はプロだ、人一人誘拐するなど容易い

    もう赤の他人ではない、クリスにとって唯と澪も立派な仲間なのだ

62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 00:46:52.88 ID:v4UD2nW7O
    澪「私は……律を探します。家族のこともどうなったかとか気になるけど…あの中じゃ多分生きて…。」

    それから先は口を紡ぐ。敢えて言わなかったが皆わかっていたことだった。
    恐らく自分の家族はみんなゾンビになり今頃は爆撃によりこの世にいないだろうと…。

    澪「でも私律のことは諦めてません!約束したから…必ず生きて会うって。」

    クリス「そうか、まあ澪はしっかりしてるからな。大丈夫だろう。」

    唯「えっとー私は~」

    クリス「唯、お前は駄目だ」

    唯「えっ!?」

63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 00:49:12.99 ID:v4UD2nW7O
    クリス「1ヶ月色々見てきたが危なかっしいにも程がある。」

    唯「え~」

    レベッカ「言い過ぎよクリス!確かに唯はなかなか起きないしすぐこけるしアイスばっかり食べてるけど…」

    ブラッド「おいおいレベッカも相当言ってるぞ…」

    クリス「唯、お前はどうしたいんだ?」

    唯「私は……もうあんな悲しい事を起こしたくないから…」

    澪「唯……」

    唯「憂や他のみんなみたいなことはもう嫌だから。誰かを守る為に誰かが死ぬなんておかしいよ…」

    澪「……」

    クリス「なら、俺達と来い、唯。それが一番の近道になる筈だ」

65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 00:55:06.98 ID:v4UD2nW7O
    唯「私は…一人で、自分でやってみたい。このままみんなに甘えたら…憂や…みんなに助けてもらった意味がないから」

    澪「……唯」

    クリス「そう…か。そこまで言うなら無理強いはしない。自分の思う通りやってみろ。でも困ったことがあったらすぐ言えよ」

    唯「ありがとうクリスさん!」

    澪「また色々落ち着いたら連絡するから」

    唯「私も~」

    クリス「あぁ。二人とも気を付けてな」

    唯「あ、でも!」

    クリス「ん?」


    唯「夜ご飯は食べて行くよ~」

    レベッカ「クス、唯らしいわね」

    クリス「はあ…全くだ」

68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 00:59:21.34 ID:v4UD2nW7O
    多分これから私達は後悔し、苦労をするだろう。今までは家族に支えられ、仲間に支えられ……一人で生きて行くのはこれが初めてなのだから

    でも雛鳥はいずれ一人で飛び立たなくてはならない、そして今がその時、私達は今、巣を飛び出して行く───────

    闇の大海へと、
    ただ、とめどなく

71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 01:02:42.87 ID:v4UD2nW7O
    あれから2ヶ月経った、けれど…私の骨は全くくっつかないらしくいつまでもギブスは外れないままでいた。
    律先輩達はアンブレラ…あの惨劇を引き起こした張本人を倒す為にこの街を出ていった。
    律先輩はこう言ってくれた

    律『梓はゆっくり怪我を治して…それからは自分のやりたいように生きるんだ。梓に…危ないことは似合わない』

    ただ、安全に暮らせ…と
    私も俺さんの敵を討ちたかったのに…しかし今の状況では足手まといにしかならないのはわかっていた

    そんなある日、医者の人に言われたのだった。

    医者「どう言うわけか君は人より何倍も再生力が落ちてるみたいなんだ…原因はわからない。この骨折も普通成長期ならもう治ってもいいくらいなのに…」

    梓「えっ…ってことは……私…治らないんですか?ずっとこのままで…」

    医者「いや…治らないわけじゃないんだが……このままだと何年かかるか…。それにこれからは怪我をするだけでも命に関わるんだ。」

72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 01:05:16.64 ID:v4UD2nW7O
    医者「例えばカッターで手を切るだけでも……傷の塞がるのが遅いために致命傷になりかねない。君の体は今それぐらい危ういんだよ……」

    梓「そ……んな…」

    目の前が霞む…。
    せっかく俺さんやクレアさんや和さんに助けてもらった命なのに…このまま…何も出来ない終わるなんて…絶対嫌っ…


    ──────なら、アナタは健康になりたいんデスネ?

    梓「えっ……?」

    医者「あっ……あなたはまさか!」

    「ワタシにまかせなサーイ」

    「ギョギョギョ」

    医者「ダイジョーブ博士!とその謎の助手!」

73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 01:06:11.95 ID:v4UD2nW7O
    ダイジョーブ博士「君はどうなりターイのデスカ?」

    梓「えっ…あの…」

    あの光景が思い浮かぶ──────。



    俺『あぁ、必ず迎えに行くよ────』


    梓「っ…………」



    俺『このタイラント…別に倒してしまっても構わんのだろう?』



    俺『妹の分もお前は生きろっ!』


    俺さんはどんな時でも強く生きてた…だから!

75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 01:10:18.33 ID:v4UD2nW7O
    梓「私も!私を強くしてください!」

    強くなって俺さんの敵をとるんだ

    ダイジョーブ「グーーーレイトォォォォォ!!!スバラシイ!私が必ずやアナタを強くシマース!」

    助手「ギョギョギョ!」

    医者「大丈夫何だろうか……」


    こうして梓はダイジョーブ博士の手術を受けることとなった…。

    ちなみにダイジョーブ博士の手術成功確率は、6割だった

    私は強くなる…死んでしまったあの人の為にも…生きて戦っている…あの人の為にも。

77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 01:13:43.27 ID:v4UD2nW7O
    紬「……」

    ピッ……ピッ……

    無機質な心電図だけが響く部屋のベッドに紬は横たわっている。

    周りには何もなくただ白を基調としたがらんどうな部屋

    その部屋に一点の黒い姿があった。

    「お嬢様……」

    紬「……」

    ピッ……ピッ……

    「私はいつまでもお嬢様を待っております……。紬家……いえ、お嬢様の家臣として」

    白く冷えた紬の手を握る。

    嘗てはあれほどに暖かさを保っていた手がこうも冷たくなってしまう……

    斎藤「お嬢様……」

79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 01:16:50.01 ID:v4UD2nW7O
    アンブレラを潰すと決めた日から、クレアと別口でアンブレラの事を調べつつそれはもう毎日毎日レオンと拳銃の訓練に明け暮れていた。

    レオン「リコイルの強い銃を片手で扱いたいならまずその衝撃に慣れろ。体で覚えるんだ」

    律「でもも~肘がパンパンだよ……やっぱりコルトを片手ってのは無茶があるのかなぁ~」

    以前律は紬邸で軽々とコルトを片手で乱射していたがあの時以来そんな荒業は出来ず……

    律「んー……」

    パァン!!!

    律「…っつ!」

    片手で撃つとどうしても軸がぶれ狙い通りの所へ撃てないでいた。

82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 01:22:50.77 ID:v4UD2nW7O
    そもそもコルトパイソンやデザートイーグルの様なマグナムは片手で撃つ代物ではなかった。
    リコイル(反動)が大きく狙いもつけにくい、威力は高いものの命中精度は低い為に実用で使う人は少なかった。

    大の大人でも片手で撃てば腕を痛める代物を女子高生の律が扱うのは端から見れば無謀としか見られない

    律が片手撃ちにこだわるのはもう片方に更にS&Wを持つという馬鹿げた発案の為だった。


    レオン「(聞いた時は何を考えてると思ったが…どうやら素質はあるらしい。あの舘での狙撃は確かに凄かったからな。今は見る影もないが…)」

83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 01:26:29.72 ID:v4UD2nW7O
    レオンはモチベーションによる変化くらいなものだと思ってこの変化を気にも止めなかった。

    律「うぉぉぉぉ!」

    パァン!パァン!パァン!パァン!


    ────────。
    銃を教えアンブレラの情報を集め……そんな毎日の繰り返し……。
    そんなある日の一日だった。


    レオン「律、ちょっと買い物付き合ってくれ。」

    律「別にいいけど何買うんだ?」

    レオン「何をって弾薬と食料以外何があるんだ?」

    律「ですよね~」

    レオン「日本で弾薬を手に入れるのは苦労するんだからさっさと上手くなることだな律」

    律「嫌みか!」

84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 01:28:23.39 ID:v4UD2nW7O
    確かにレオンは何でも出来た。射撃から料理炊事まで何でもござれだった。
    あっ、洗濯は別々だよん

    街中─────。

    レオン「在庫が余ってたのか安く買い叩けたな。まあ年落ちのコルトなんかみんな使わないだろうな」

    律「いいんだよこれで。むぎからもらったこの銃は…私の大切な宝物なんだから」

    レオン「そうか…。」

    ドンッ

    レオン「っと、すまない」

    少しよそ見をしていたレオンにガラの悪そうな男がぶつかって来た。

    ガラの悪い男「あぁん?ごめんだぁ?謝る前に出すもんあんだろ?コラ」

85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 01:30:26.89 ID:v4UD2nW7O
    レオン「何だ?ぶつかったぐらいで金でも取る気か?」


    ガラの悪い男「金はこちとら腐るほどあんだよ!」

    男の左右には派手そうな女もおり鬱陶しそうにレオンを睨んでいる。

    女A「ねぇこんな奴ほっときましょうよ「男」~」

    ガラの悪い男「いや、このいけすかねぇ野郎を一発ぶん殴らなきゃ気がすまねぇな!」

    女B「あら~でもいい男じゃない彼。顔も私好み…」

    ガラの悪い男「けっ、こんなヒョロイガキのどこが!見ろよこいつの女www胸も全くねぇただのガキじゃねぇかwwwモテねぇやつは可哀想だな本当www 」

    律「イラッ☆」

89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 01:34:04.00 ID:v4UD2nW7O

    律「このブ男言わせておけ─────」

    すっ──とレオンが手で静止する。

    レオン「(こっちは拳銃持ってるんだ…見つかって下手に騒がれたら警察行きだぞ)」

    律「(でも……!)」

    レオン「(まあ俺に任せな)」

    そういうとレオンは、

    ぐっ……ぎゅっ

    律「えっ」

    律の肩に手を回し自分の胸に引き寄せる。

    レオン「いくら胸がでかかろうがお前さんの女は顔がお粗末過ぎるんじゃないか?俺はこいつみたいな美人が好きなんでな生憎。まあ量じゃ質には勝てないぜ?」

    ガラの悪い「なん(ry」

    女A.B「ですってぇぇぇぇ?!」

90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 01:36:59.97 ID:v4UD2nW7O
    ガラの悪い「え?あの…俺のセリフ……」

    女A「ムキー腹が立つわねこの男!」

    女B「もう行きましょっ!こいつの顔見てるだけでイライラしてきたわ!」

    そう言って先に歩いて行く二人

    ガラの悪い男「ま、待てよー!」

    タッタッタッタッ……

    レオン「ふぅ、何とかなったな」

    律「…………あの」ドキドキ

    レオン「ん?あぁすまなかったな」

    腕を外す前にレオンが律の肩をポンポンと叩く

    律「……あの…さ…さっき言ったことって…冗談…だよな?」アセアセ

    レオン「冗談?何のことだ?」

    律「……さっきの…好きとか何とか…」モジモジ

92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 01:39:37.28 ID:v4UD2nW7O
    レオン「俺は世辞や冗談は好きじゃないんでな。さっき言ったことは本当さ」

    律「……えっ?」ボンッ

    一気に顔が赤くなるのが分かる。いや駄目だ駄目だ私には律が…じゃない澪が……

    レオン「もう少し自分に自信を持ったらどうだ?髪下ろして女らしくしたら似合ってると思うが」


    男の人にそんなことを言われたのは初めてだった。

    いつもそんなポディションからかけ離れてて…前髪上げて男らしく振る舞って…

    可愛い、とか、綺麗、とかは澪や唯やむぎに当てはまってて…私は…羨ましかったのだろうか

    律「……似合ってねーし…」

    レオンには聞こえないように小さくそう呟いた

93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 01:43:32.23 ID:v4UD2nW7O
    今までは全く意識していなかったレオンを意識し始めたのはこの時からだった。

    確かにレオンはかっこよく頼もしいし優し…いかは微妙だけど


    律「(フラグ立ちまくりなやつだよな~)」

    でも何となく自分には相応しくないと思っていた。レオンにはもっと大人の女の人…エイダがぴったりだ!
    美男美女!丁度いい!

    でも何だろう…この気持ちは

    妙に意識してしまう…。
    でも…何だかしっくりこない


    レオン「どうかしたか?」

    律「はひっ」

    レオン「何がはひっだよ。らしくないぜ?」

    律「ちょっと考え事してた…」

94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 01:45:25.31 ID:v4UD2nW7O
    レオン「そうか。澪達のことが心配か?」

    律「あ、う、うん」

    レオン「俺も出来る限りは協力するつもりだ。俺達は仲間だ。よろしく頼むぜ兄妹」

    仲間…兄妹……

    そうか、簡単なことだった。

    今の私達はそんな恋愛沙汰に現を抜かしている場合じゃなかった。
    いち早くバイオテロを引き起こしている元凶を倒す……

    なのに私と来たら

    律「そっか……」

    だからこの思いもきっと勘違いなのだろう。私はその気持ちを胸に、

    律「よろしくな、兄貴」

    今はただ、何もかもをしまい込もう。

    やっぱりレオンは私と違って大人だ

95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 01:47:31.15 ID:v4UD2nW7O
    目の前が真っ暗だ……。

    これじゃ何も見えやしねぇ。

    梓は、無事脱出出来ただろうか。

    すぐに会いに行きたいがどうにも体が動かない。


    まあいいさ、しばらくしたら傷も癒え、この瞼も開くであろう。


    その時必ず会いに行くよ、梓


    ついでにS.T.A.R.S.のみんな

    だから今はただ眠ろう。

    そのいつかに備えて……

98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 01:51:55.85 ID:v4UD2nW7O
    雨が降り頻る音が中まで聴こえてくる夜だ。
    雷の光しか明かりはなく真っ暗な洋館の階段を上がって行く。

    私の積年の恨みをようやく晴らすことが出来ると内心落ち着いてはいられない

    バンッ

    両手扉一気に開け放つ、すると奥には一人の机に座っている。

    「……、来たか」

    「会いたかったよスペンサー。私はこの日をどれ程心待ちにしたことか!」

    スペンサー「相変わらずだなお前さんは。」

    「アンブレラ総帥オズウェル・E・スペンサー。そろそろ貴方はこの舞台から退場してもらいたいのだが」

99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 01:52:46.01 ID:v4UD2nW7O
    スペンサー「ほぅ……。だが残念だったな。私は既に総帥ではない。他の者に委ねておる、無論あの計画もな」

    「!?」

    「なるほど…老い先短い老人がやりそうなことだ…。まあ総帥が誰になろうと私には関係ない。私が恨んでいるのは貴方だけなのだから」

    スペンサー「まさかあの計画の生き残りがワシを討ちに来るとはな。あの頃は考えもしなかったが……くく、悪くない最後だ」

    「ならば死んでいただきましょうか……スペンサー。」

    スペンサー「アルバート・ウェスカー……ウェスカー計画の生き残りよ。この先何を求める?」

101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 01:56:47.71 ID:v4UD2nW7O
    ウェスカー「知れたこと、私はただ己が力を存分に使ってみたいだけだ…。このウロボロスをね……。そしてアンブレラ最終計画に基づき全世界を……」

    サングラス越しに目が紅く光る……

    スペンサー「だが……果たしてそう上手く行くかのぉ?」

    ウェスカー「退場するあなたには関係ないことですよ、スペンサー」

    スペンサー「そうだったな…」

    ウェスカー「では、またあの世で会おう……スペンサー」

    ぐしゃり…ぐちゃっ……グチュ……ブチャ……

    ウェスカー「くふふは……この力……この力こそが!」

    舞台は整った!さあ初めようか!

    せいぜい踊ってくれたまえゲストの諸君……

102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 01:58:18.38 ID:v4UD2nW7O
    ファイル01 再会

    うぅ…

    もうやめて……。

    グチュ……グチャ……

    誰かの首が飛ぶ──────

    ブシャッ……グチャリグチュ……

    嘗て人間だったモノの肢体が引き裂かれる。

    もうやめて……。

    グチャリ……グチャ……

    見たくない……みんなのそんな姿なんて……
    コトッ……

    目の前に誰かの引きちぎられた首が転がって来て私の膝に当たり止まる。

    私はそれを拾い上げる……。
    誰……、いやっ……嘘っ……いやあああああァァァ─────

    驚いて離した首が地面に転がる。
    律の首は目を開けたままこちらを見据えていた───。

103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 02:01:39.62 ID:v4UD2nW7O
    「はっ!……はあ……はあ……はあ……またあの夢…」

    この夢を見た時は決まって全身汗でぐっちょりになる。

    二年前から見始めて以来私はこの夢に悩まされていた。

    『このアメリカサンフランシスコ行き航空便は間も無くサンフランシスコへと着きます。お降りの際はお忘れ者のないよう……』

    「もうついたんだ…。アメリカかぁ~」

    あの事件から二年経ちました。私は日本の警察官となり今は海外実習としてアメリカのラクーンシティ警察、通称R.P.D.に研修生としてこうしてアメリカにやって来たのだった!

109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 02:08:23.71 ID:v4UD2nW7O
    唯「しかしアメリカか~……全く英語できなくても大丈夫なのかなぁ?まあ何とかなるよね!頑張らなきゃ!」

    そろそろ飛行機が降り立つ。ここアメリカでいっぱい勉強して一流の警察になってみんなを見返してやるぞー!

    ────────。

    唯「ついたー!」

    空港を出てその人の多さにびっくりする、けど……

    私はそんな時空を見上げる。
    唯「空は日本と変わらないな~」

    この広い空のどこかに軽音部のみんながいて…各々頑張ってるんだと思うと自然とやる気が出る。二年前からのおまじないだ
    唯「よ~し目指すはラクーンシティ!」

110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 02:11:14.58 ID:v4UD2nW7O

    あれから二年経った。私はフリーのカメラマンとして色々なバイオハザードの現場に足を運び撮影しては世間に公表していた。
    そんな甲斐あって少しづつだけど世間にもバイオテロの実態が明らかになって来た。

    私は今アメリカに来ていた。アメリカにもバイオハザードの現場があるのと……もう一つ。

    澪「ふぅ……」

    心を落ち着ける。こうしないとなかなか上手くいかない。イメージするのは律の顔……

    カシャッ

    そうして目を瞑ったままシャッターを切る。
    ビー

    レトロな機械音をたてつつ澪のポラロイドカメラから写真が現像される。

111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 02:16:22.15 ID:v4UD2nW7O
    澪「……やっぱりここか……。」
    写し出されるのは今目の前にある風景ではない。どこかの建物だ。

    その入口にはR.P.D.とある。ここがアメリカのラクーンシティと突き止めるまでだいぶ時間がかかってしまった。

    そう、俗に言えば念写だ。
    何故こんなことが出来るのか、それは私にもわからなかった。元々出来るを隠していたわけでもない

    律達を探す為フリーのカメラマンになったのはいいがあてがなかった。
    そもそも律達は脱出出来たのか、それすらもわからいのに探すなんて…最初はそう思っていた。
    だが、一枚の自分の写真が道を示した

113 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 02:22:53.82 ID:v4UD2nW7O
    ただ気まぐれに風景を撮っただけなのにそこに写り込んでいたのは律のカチューシャだった。

    それが一番初めの念写……

    初めこそ訳がわからなかったがその現場、紬邸後に行った時、この能力が本物だとわかった。

    爆撃を受けほどんど瓦礫しかない場所に、ぽつんとそれは落ちていた。
    まるでそこだけ違う場所のような……そんな感覚

    私はそれを見て律が生きていると確信したんだ
    一番の理由が周りに律の死体がないこと
    あったら多分一晩中そこで泣いていたと思う

    そしてもう一つは……

    澪「約束したからな……律。」

114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 02:25:07.90 ID:v4UD2nW7O
    アメリカの広いハイウェイを車で走る。勿論自分のではなくレンタカーだ

    澪「君を見てるといつもハートドキドキ……」

    今では懐かしい軽音部で私が作った曲……ふわふわ時間。
    イメージは正にこんな感じだっけ……

    でも…乗っているのは私一人で…律も…唯も紬も梓もいない…

    澪「私一人だけ……」

    寂しいなんて気持ちはこの二年で薄れた。私ももう二十歳になる大人何だから……!

    寂しくなんて……ない。

    『そんなこと言って本当は寂しいくせにぃ~み~おちゅわん♪』

    そう聞こえた気がして振り向いても、やはり誰もいなかった。

    澪「寂しいよ……みんな…」

115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 02:29:41.55 ID:tWvovnpqO
    俺「……ふぅ。この画像にも飽きてきたな……。削除(デリート)、削除(デリート)、……」

    使い古しのデータを片っ端から処理し俺はベッドに横になった。
    いつもどおりの性活
    ただ…一つだけ、いつもと違う夜だった。
    耳を塞いでも聞こえるであろう呻き、悲鳴、

    俺「外で何がおこっていようが関係ないね。でねーしwww」

    俺は怯えて縮こまっているデザートイーグルを優しくさすってやった

    俺「……反応好(よし)!…弾はあと2発ってとこかな」
    じっと箱に写る嫁を見つめる哀しい目…
    数分前の浅はかな決断を彼は嘆いた

117 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 02:31:39.75 ID:v4UD2nW7O
    澪「ん?」

    ずっと先の方に誰か人がいる……。
    何か変なノート?もってるな……ヒッチハイカーだろうか

    澪は少し減速しながらその姿を凝視する。怖い人なら問答無用でアクセル全開のつもりだ。


    『ギブミープリーズラクーンシティ!!!』

    とデカデカと書かれたノートの切れ端を持った……


    唯「止まってぇぇぇ~!!!」


    唯がいた。

185 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 17:01:38.64 ID:v4UD2nW7O
    キィィィ


    唯「おぉぉ止まってくださった!苦節3時間……ようやく…ようやく平沢唯やりましたっ…」トテトテ

    ふらつきながらも止まってくれた車へ歩いて行く。

    アメリカらしいオープンカーで乗っているのは長髪の黒い髪の女の人。
    サングラスをかけていてもわかる理想の美人だった!

    唯「(日本の人かなぁ~髪黒いし。凄い綺麗な人そう)」

    唯はドアに回り込みその顔をより近くの側面から見た。

    唯「あの~日本語おK?kwsk話せますか~?」

    「乗って……」

    唯「おー日本語だ!良かったぁ~」

189 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 17:07:34.50 ID:v4UD2nW7O
    唯が回り込んで乗り込む。どうやら私だと気づいてないみたいだ

    本当は飛び付きたいくらい嬉しいし何でここにいるかも聞きたいけど……我慢我慢

    唯「あのぉ、ラクーンシティってところに行きたいんですけど……」

    澪「ラクーンシティ?あぁ、私も行くところだから丁度いいわ」

    わざわざ声を上づらすという手の込み様

    唯「本当ですか?!つくづくラッキーだよぉ~」


    澪「(ほっとしている唯の顔……変わってないな。)」

    ブゥゥン

    アクセルを吹かしまた広大なハイウェイをひた走る。

192 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 17:16:18.00 ID:v4UD2nW7O
    澪「ラクーンシティへは観光?」

    わざとらしく声をかける

    唯「いえ~、私こう見えても日本の警察官なんですよぉ~それでアメリカのラクーンシティ警察に留学研修で来たんだぁ。」

    あぁ、知ってるとも。唯が一生懸命頑張ってようやく警察官になれたって電話で喜んでたもんな…。

    お互い忙しかったのもあり面と向かって会ったのは二年振りだった。

    唯も少し大人びた感じがしたけどやっぱり唯は唯だった。

    澪「アメリカまで研修なんて大変ね。ねぇ、何で警察官になろうと思ったの?」

196 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 17:23:14.59 ID:v4UD2nW7O
    唯「……私はいつもみんなに守ってもらってて…いつも誰かを守れなかったんです。それが嫌だった…のかな」

    澪「(唯……)」

    唯「だから今度は私が守りたいなぁって!妹やりっちゃんやむぎちゃんやあずにゃんはどうなったかわからないけど……澪ちゃんって言う大切な人がまだいるから」

    澪「(………)」

    唯「だから、守ってあげたい。死んでも、何て言わない。死んでも守られた側だからわかるの…残された者の辛さや苦しみが…」

    澪「(私も同じだよ…唯)」

198 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 17:32:19.08 ID:v4UD2nW7O
    唯「だから…また会えて嬉しいよ!澪ちゃん!」

    澪「!!?……。」

    ウィンカーを出し車を道路脇へ止める

    澪「唯っ!!!」ぎゅっ

    サングラスを外し助手席の唯に思いきり抱きついた。

    唯「んふぅ~澪ちゃぁん」

    唯も抱きしめ返してきた。

    澪「わかってるなら最初から言ってよ!」

    唯「初めはわからなかったけどね。隣に座って匂いを嗅いだらわかったの!澪ちゃんいい匂いするから♪」

    澪「そんな理由で……もし違う人だったらどうするんだ……」ぎゅぎゅっっ

    唯「間違うわけないよ……大好きな澪ちゃんの匂いだもん」

202 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 17:44:31.52 ID:v4UD2nW7O
    しばらくお互いの無事を確かめあった後またラクーンシティに向けて車を飛ばす。

    唯「でもびっくりだよぉ。まさか澪ちゃんとアメリカのこんな場所で会うなんてさ!」

    澪「私もだよ唯。これも運命なのかもしれないな」

    唯「きっと澪ちゃんと私は赤い糸で繋がってるんだね♪」

    澪「バ、バカっ…」アセアセ

    ハンドル操作が乱れ車体が少しゆらつく

    唯「わわっ…と、も~澪ちゃんは相変わらず照れ屋さんだね。そう言えば澪ちゃんはどうしてラクーンシティに?」

    澪「律が…そこにいるかもしれないんだ」

204 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 17:58:49.48 ID:v4UD2nW7O
    唯「本当に?!」

    澪「……笑われるかもしれないけど……ダッシュボードの中を見てみて」

    そう言うと唯は促されるままダッシュボードから二枚の写真を取り出し見る。

    唯「これって……りっちゃんのカチューシャ?後は……あっ!これラクーンシティ警察署だよね?澪ちゃんもう行ったの?」

    澪「いや……行ってないよ。今日初めて行く……」

    唯「えっ…でも…これって…」

    澪「念写って知ってるか?唯。遠くの物を写したりするらしいんだけど…」

    唯「知ってるけど……まさか澪ちゃん」

208 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 18:06:27.12 ID:v4UD2nW7O
    澪「だから…笑わないでって言ったの…」

    唯「澪ちゃんも…なんだ…」

    澪「えっ…?」

    唯「私もあの事件からね…変な夢を見るようになったの」

    澪「どんな夢?」

    唯「毎回内容は違うんだけどね…。で……その夢の出来事が現実でも起きるの」

    澪「予知夢ってやつか…」

    唯「でも気のせいかなってずっと思ってた…ううん…思いたかったのかもしれない」

    澪「わからないことだらけだな…。」

    唯「うん……」

218 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 18:19:25.65 ID:v4UD2nW7O
    唯「でもさ!そのねんしゃって言うのが確かだったらりっちゃんがラクーンシティ警察署にいるわけだよね?」

    澪「その可能性は高いと思う。問題は何でアメリカ何かにことだけど…それは会ってみないとわからないか」

    唯「多分……あの事件絡みじゃないかな」

    澪「……多分ね」

    唯「とりあえず行ってみればわかるよ!だから…ねっ澪ちゃん!元気出してこ!」

    澪「ありがとう、唯」

    律……本当にいるのか?このアメリカに…ラクーンシティに

    車はハイウェイをひた走る、アメリカの大地には夕暮れが訪れて始めていた。

221 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 18:24:58.56 ID:v4UD2nW7O

    R.P.D.地下研究所────

    ウィリアム「渡してなるものか…これは私の功績だ。私の全てだ…」

    試験管に入った紫色の液体をいとおしそうに眺めるウィリアム。

    アネット「ウィリアム!U.S.S.(アンブレラの工作員)が来るわ!早く逃げましょう!」
    ウィリアム「ちっ奴らめ…私はこの研究材料をまとめてから行く!先に行くんだアネット!」

    アネット「わかったわ。ウィリアムも急いでね」

    タッタッタッタッ…

    ウィリアム「これも…これもだ!何もかも私が産み出した!なのに奴等と来たら…」

    これだけは絶対に渡さない、このGウイルスだけは

222 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 18:27:57.43 ID:v4UD2nW7O
    ウイィィン

    研究所の自動ドアがせり上がって行く。

    ハンク「ここまでウィリアム博士、Gウイルスを渡して貰おうか」

    黒い服、そしてバイオハザード対策の黒いマスクを着用したアンブレラの精鋭達、U.S.S.がウィリアムに銃を向ける。

    ウィリアム「断る…!これは私の研究成果だ!誰にも渡しはしない!」

    ハンク「……ファイア」

    ハンクの掛け声と同時にU.S.S.隊員達がウィリアムに向かって発砲する。

    ババババババ……


    ウィリアム「ぐはっ……私の……Gウイルス……」ガクッ

    ハンク「子供の戯言に付き合うほどこちらは暇じゃないんでな」

225 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 18:36:25.09 ID:v4UD2nW7O
    ハンク「こちらβ、ウイルスを回収した。……あぁ、ウィリアム博は始末した。これより離脱する」

    黒い服の男達が速やかに研究所を後にする。

    その五分後、

    ウイィィン

    アネット「ウィリアム!!」

    来るのが遅いと研究所に戻ってみると白衣を血で真っ赤に染めたウィリアムが横たわっている。

    アネットは急いで駆け寄りウィリアムを起こした。

    アネット「ウィリアム…なんで…」

    ウィリアム「これは…私の……」

    これが研究に取り憑かれた人の末路なのだろうか…だとしたらなんと報われないのだろう…

226 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 18:40:22.62 ID:v4UD2nW7O
    ウィリアム「くくく…確かにお前の言った通りだったよウェスカー……。だがお前ならわかってくれるだろう…この気持ちが…」

    アネット「ウィリアム…」

    ウィリアムにもう視力すら残っていなかった。アネットのことすらわからずただ独り言をブツブツと繰り返す。

    もう死ぬのは時間の問題かと思われたその時────

    ウィリアムは静かに何かを取り出した。

    それは注射器型になった試験管、中には先ほどの紫色の液体が入っている。

    ウィリアム「ならば見せてやろう……私の研究の成果を」

    その激薬を───、
    自らの体に流し込んだ

249 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 22:00:19.22 ID:v4UD2nW7O
    ハンク「身内を殺るのは少し気がひけたが仕方ない。これも任務だからな」

    USS隊員B「ハンク、もうじきヘリが着くそうだ。また死神の生還記録が伸びたな!」

    ハンク「言っているのも数えているのも他の連中だろう。俺は一言も言った覚えはない」

    U.S.S.のハンクと言えばアンブレラ内ではかなりの有名人だった。数多くの任務をこなし尚且つどんな難易度の任務だろうが完遂し、生きて帰って来ることからついたあだ名が「死神」

    任務難易度SSSを5度も生きて完遂した男は彼しかいない。

251 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 22:04:44.56 ID:v4UD2nW7O
    ハンク「それに今回は生き残って当たり前の任務だ。数に入れる様なものじゃない」

    隊員C「やっぱり気にしてるじゃないですか~」

    ハンク「ふん……」

    隊員A「無駄口はここまでにしとこうや。目標のポイントまで移動するぞ」

    一同「了解」

    そう、簡単な任務の筈だった……

    『ウ゛オオオオオ』

    あの雄叫びを聞くまでは─────。

253 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 22:07:26.45 ID:v4UD2nW7O
    隊員B「なんだあの声は…」

    隊員C「新型のBOWじゃないっすか~?ほらウィリアム博士って悪趣味で評判だし」

    隊員A「……少し見てくる。一緒に来てくれ」

    隊員B「了解」

    ハンク「二人で大丈夫か?」

    隊員A「何、少し様子を見に行くだけさ。10分して戻って来なかったら来てくれ」

    ハンク&隊員C「了解」

    そう言って二人は声のした方へ行った。

    隊員C「大丈夫っすかねぇ」

    ハンク「問題ない。さっき俺の話を持ち上げて来たやつ、あいつもU.S.S.トップ5に入る実力者だ」

    隊員C「まじっすか!?人は見かけによらないっすね」

255 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 22:15:17.01 ID:v4UD2nW7O
    隊員A「この辺りか…」

    声のしたところについたがそれらしき姿は見えない。

    隊員B「一体何だったんだ。まあいい、戻るぞ」

    そう踵を返した時だった

    「ウ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!!!」

    隊員A「なんだこの化物は…!」

    隊員B「いいから撃て!撃て!」

    ババババババ!!!

    「ウゴォォォ!」

    カラシニコフがまるで豆鉄砲かのように突っ込んできやがる!

    隊員A「ファイア!ファイアァァァ!!」

    ウオオオオオ!

    ぐしゃっ

    隊員A「ノォォォォ」

    隊員B「ちくしょぉぉぉぉ!!!」

264 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 22:30:55.39 ID:v4UD2nW7O
    その頃ハンク達も異変を感じとり現場へ向かっていた。

    ハンク「まさかウィリアム博士のやつとんでもない置き土産を俺達にプレゼントしてくれたらしいな」

    隊員C「あんの変態悪趣味やろうめ!」

    声と銃声がした方へ走る二人。

    隊員C「何が悲しくて下水道を走り回らなきゃならないんだっての!」

    ハンク「喚く暇があるならαやγにも無線入れておけ!」

    隊員C「りょーかい!」

    ─────。

    ハンク「この辺りの筈……!」

    行き止まりの壁には二人の死体……いや、もうそれは残骸に近かった

272 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 22:39:42.29 ID:v4UD2nW7O
    隊員C「こいつは酷い……。」

    ハンク「やはりB型装備なのが祟ったか…。どうやら簡単な任務だとなめていたらしい。ウイルスの持ち帰りが最優先事項だ、目標ポイントまで走るぞ」

    冷静かつ迅速に指示を出す。彼が今まで生き残ってこれたのはこの冷静さたる所以か

    隊員C「はい…。でもハンクさん……妙なんすよ」

    ハンク「妙?」

    隊員C「αともγとも連絡が取れないんです……」

    ハンク「まさか……。」


    『ウ゛オオオオオ!』

    隊員C「この叫び声は…!」

    ハンク「奴か!」

279 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 22:45:25.15 ID:v4UD2nW7O

    ハンク「近いな…。恐らくαもγもあいつにやられたとみて間違いないな……」

    隊員C「どうします!?」

    ハンク「B型装備じゃ歯が立たないことはこの二人が証明してくれている。ここは逃げるぞ!」

    隊員C「了解!逃げるのだけは得意なんすよ自分!」

    ハンク「頼りにしてるぞ」

    ───────。

    あれからどれぐらい走ったか、そろそろ後どれぐらいだ?と聞こうとした時に奴から話しかけて来た

    隊員C「すいません」

    ハンク「なんだ?」

    隊員C「道どっちでしたっけ?」

    ハンク「5.4.3……」

    隊員C「発砲カウントやめてくださいwwwごめんなさいごめんなさい」

    ハンク「まあ仕方ないと言えば仕方ないか…ここは迷路の様にいりくんでるからな…とにかく地上に出てみるか」

    隊員C「そうっすね」

280 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 22:53:35.16 ID:v4UD2nW7O
    ようやくマンホールの蓋を見つけて上る。

    隊員Cが先に、ハンクが後に続く

    隊員C「よいしょっと……」

    マンホールの蓋を開け先に地上へ出るとハンクに手を差し伸べる隊員C

    隊員C「どぞ、掴まってくだせぇ。しかしここどこっすかね(ry」

    喋っている途中で手を引っ込める隊員C

    ハンク「どうした?」

    隊員C「やっぱや~めた……」

    ガリリ……

    あの野郎マンホールに蓋しやがった!

    ハンク「おい!何してんだ!?さっさと開けろ!」

    手でマンホールを押すもどうやら踏みつけているようで開く気配がない

284 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 23:04:03.35 ID:v4UD2nW7O
    隊員C「残念ながら出来ないんすよハンクさん」

    ハンク「貴様!いい加減に…」

    『ウ゛オ゛オ゛オ゛』

    ハンク「奴か!?まさかこの上に…?!おい!開けろ!死にたいのか?!」

    隊員C「ここで開けて降りたらあんたが危ないでしょ……ハンクさんはウイルスを本部へ届けてくださいっす。たのんますよ……ハンクさん」

    ハンク「お前……!」

    新人だと思ってたらいつの間にかU.S.S.のちゃんとした隊員になりやがって……

    ハンク「すまん…」

    隊員C「いいっすよ!帰還記録伸ばしてくださいね!!!」

286 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 23:07:02.33 ID:v4UD2nW7O
    急いでウイルスを届けなくては……。

    急いで階段を降りるハンク

    ガキィ……

    ハンク「な、なんだ…?」

    ガガガ…ガシャン

    ハンク「まさか」

    そのまさかだった。梯子の止め金が腐っており……外れた

    ハンク「ノォウ!」

    まっ逆さまに落ちるハンク……。

    そのまま地面に強く頭を打ち気絶してしまった……。



    隊員A、B死亡地点───────。

    チュウチュウ……チュウチュウ

    緑の液体にネズミが群がる……それをTウイルスとも知らずに

291 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 23:24:31.48 ID:v4UD2nW7O

    ────────。
    唯「ようやくついたね~もう真っ暗だよぉ」

    澪「思ったより遠かったな…。唯、警察署の場所知ってる?」

    唯「知らないよ?」

    澪「何でさも当たり前の様に知らないよ?って……仕方ない、あそこで聞こう。」

    澪はバーらしき店の前で車を止める。

    澪「唯はちょっと待ってて、すぐ戻ってくるから」

    唯「わかったぁ~気を付けてね澪ちゃん!」

    コクリと軽く頷いて車のドアを閉める。

    澪「しかし人気のない街だな…まだそこまでの時間じゃないんだけれど」

 
290 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 23:23:41.98 ID:v4UD2nW7O
    カランカラン…

    澪「Hello」

    澪「誰かいませんか?」

    バーは静まりかえっておりカウンターにも人はいない。

    澪「店の人もいないのかな…。電気はついてるし扉も開いてたから閉まってるわけじゃないと思うんだけど…」

    がさっ…

    澪「ん?」

    あっちの方で音がしたな…

    澪「お店の方いませんか~?お~い」

    ガササッ

    澪「誰かいるの?」

    カウンターの奥の奥へ進むと……しゃがんでる人を見つけた

    澪「あっあのお店の人ですか?ちょっと聞きたいんですけど……」

    「ウゥゥ……」

    ぐしゃっ……ぐしゃ

292 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 23:26:25.84 ID:v4UD2nW7O
    まさか……ゾンビ…?!

    澪「あの……?」

    「ウゥゥァ!」

    どうやらお食事中だったのか機嫌悪そうに澪に向かって来る。

    食べていたのは、人間

    澪「ゾンビ……?何で…。」

    「ウゥゥ……」

    じり、じり…とにじりよってくるゾンビ

    澪「食事の邪魔したなら謝るから……ちょっと待って……」

    澪もそれに応じて後ろへ下がる


    ドンドンドン

    澪「ひいぃっ」

    気づかないうちに外はゾンビだらけになっている。壁がガラスなのでまるわかりだ!

    澪「そんなこと言ってる場合じゃない…出口は…」

    振り返ると裏口発見

293 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 23:28:16.43 ID:v4UD2nW7O
    一気に振り向きゾンビに背を向け裏口へと走る澪


    タッタッタッタッ!

    ドアノブを掴む

    ガチャ

    澪「はっ……!」

    「Get Down」

    扉を開けた先には拳銃を構えた誰かがいた。

    聞き取れていないと思ったのか彼女はもう一度だけ言った───────。










    「伏せろ、澪」

299 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 23:49:37.59 ID:v4UD2nW7O
    パァン!パァン!パァン!

    「ちっ……きりがないな。こっちだ!」

    澪「えっ?あの!」

    手を引かれるままに走る澪

    澪「あの!友達があっちの車にいて」

    「わかった。」

    方向を変え車の方へ走る二人、もう手は繋いでいない

    澪「(唯にそっくりな人……)」


    「へ~る~ぷ~み~」

    澪「この声は!」

    車はゾンビに囲まれており少し開いた窓から唯が助けを求めていた
    しかしこう言っては悪いが本当に助けて欲しいって気持ちはあるのか……まるでそれが感じられないぬけた声だった。

    「唯らしいな」

301 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 23:52:45.30 ID:v4UD2nW7O
    澪「?」

    「銃は持ってる?」

    澪「あっ…車の中…です」

    「これ使って援護して」

    そう言って彼女は腰にあるマシンガンのような物を澪に渡す

    澪「はい……」

    デザートイーグルしか撃ったことないから使い方がわからない……なんて言えない


    「じゃあ行くぞ!」

    両足につけているレッグホルスターから2丁の拳銃を抜く、右は銃身が少し短く左はそれよりも長い。

    ダッ

    一気に駆けていく──────


304 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 23:58:21.46 ID:v4UD2nW7O
    まず近くにいたゾンビ二体に右の拳銃で正確に頭を撃ち抜く。その二体が倒れる前に車を囲っているゾンビ達に向かって左の銃で発砲

    距離があるのにも関わらず綺麗に頭を吹っ飛ばして行く───。

    他のゾンビに発砲しながら接近する。
    残り一体……銃で仕留めるかと思いきや彼女は銃を二つとも落とし腰から素早くナイフを抜きすれ違い気味に首を切断する……

    ごろりと落ちるゾンビの首を見てようやく気がつく澪

    この間何秒だろう、数えてなかった

    澪「す…凄い」

    でも何で最後ナイフで…

305 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/25(土) 23:59:19.18 ID:v4UD2nW7O

    慌て彼女に駆け寄る

    澪「あの…何も出来なくてごめんなさい」

    「いいよ。みんな無事だったんだから。さ、車に乗って」

    澪「はい!あの、気になったんですけど何で最後ナイフを?」

    「両方とも装填数が6発で最後の一体の時どちらも残弾0だったんだ。一々距離を取って戦うよりナイフで戦った方が早いなって。それだけ」

    澪「は…はあ……」

    私とは次元が違う…きっとSTARSの人とかなんだろう…

310 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 00:09:34.94 ID:4MlXRJuRO
    唯「澪ちゃぁん怖かったよぉ~!」

    澪「ごめんな唯…でも仮にも警察官ならもう少し頑張ろうな」

    唯「うん…」

    「話は後にしようぜ。早く車を出してくれ」

    澪「あぁっごめんなさいっ」

    ブゥゥン

    急いでアクセルを踏みつけて発進する。

    唯「ほえ?誰…?」

    澪「私や唯を助けてくれたんだ。唯は車の中にいたから何がなんだかわからなかっただろうけど」

    唯「そうなんだ!ありがとうございます!あれ?何か私にちょっと似てる!」

    澪「私も思った!」

    「そうかな?」

311 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 00:10:36.58 ID:4MlXRJuRO
    少し前、ガソリンスタンド──────。

    「クソ!噛みつきやがった!ふざけやがって!」

    噛みついて来た野郎を蹴つり飛ばしトラックへ乗り込む

    「二度と来るか!」

    急いでトラックを出す運転手

    「くっ……」


    「しかし痒い……腕が取れちまいそうだ!」

    警察署だ、警察署へ行こう

    噛みついたやつを訴えてたっぷり慰謝料請求してこんなトラックの運転手なんてやめてやるからな!クソ!本当に今日はついてない

314 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 00:19:09.34 ID:4MlXRJuRO
    ───────。

    「で、二人は何でここに?」

    唯「私はここの警察官です!」

    澪「私は知人を探しに来ました。」

    「……無茶しやがって……」

    唯「?」

    澪「あの、あなたはSTARSか何かの人ですか?」

    「違うよ。私はただの一般人」

    澪「嘘だ!!!」

    「……?」

    澪「ごっごめんなさい……つい。」

    「それで行ってもらいたいところがあるんだけど……」

    プップー

    澪「どうやらそうもいかないみたい」

    バックミラーを見た澪が更にアクセルを吹かす


319 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 00:25:15.37 ID:4MlXRJuRO
    車オープンカーだった
    \(^0^)/
    唯オワタ

    開閉式のやつで閉めてたって脳内設定よろしく


327 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 00:39:24.75 ID:4MlXRJuRO
    澪「みんなシートベルトをして!飛ばすから!」

    唯「警察官なら着用当たり前だよ澪ちゃん!」

    「いきなりどうした?」

    澪「後ろから来るトラックの運転手、明らかに正気じゃない。ここは一本道で道幅もあまり広くないのに入って来るなんて……」

    「なるほど…乗ってる最中に感染したのか」

    唯「どんどんこっちに来るよ!」

    澪「曲がるから掴まって!」

    キィィィ!!!

    車を横にしながら曲がり大通りに出る。

    澪「上手くいった!」

    「いや!追ってきてる!」

    民家を壊しながら無理矢理曲がってくるトラック

329 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 00:41:23.89 ID:4MlXRJuRO

    唯「ターミネーター2みたい!」

    澪「のんきなこと言ってる場合じゃ……あれ?!」

    車がみるみる減速していく。よく見ればガソリンの貯容量を指す針がEを振り切っている。

    ガス欠だ


    澪「そう言えばずっと入れてなかった……」

    唯「どどどどうする?!車止まっちゃったよ!?」

    それを好機と見たか意識がないのか容赦なく突っ込んで来るトラック

    「車を!!」

    それだけで皆わかったのか即座に車を出る。左側に乗っていた運転手の澪と彼女は左側へ

    助手席に乗っていた唯は右側から

332 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 00:55:17.83 ID:4MlXRJuRO
    その瞬間─────。

    ドゴォォン

    トラックが突っ込み澪の車吹っ飛ばしながら横転、中のガソリンに引火し辺り一体を巻き込み大爆発を起こした。

    「間一髪か……けどこれじゃあっち側に回るのは至難だな…。」

    澪「お~い!ゆい~!無事か~?」


    『何とか~!そっちも大丈夫~?』

    澪「こっちは大丈夫!こっからじゃそっちに行けないからどこかで落ち合おう!」

    唯『どっかって~?』

    「この先に警察署がある!そこで落ち合おう、唯!」

    唯「わかったぁ!気を付けてね二人とも~」

    澪「それはこっちのセリフだぞ~!」

333 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 01:01:22.75 ID:4MlXRJuRO
    そう言えばさっきの言い方……

    赤々と燃え上がる炎に照らし出されようやく顔がしっかり見えた。

    前髪のせいで気づかなかったけど……もしかして……

    「気づくのが遅いよ、澪」

    澪「そう言えば…名前…」

    一番初めに澪って呼ばれた。自然すぎて気づかなかったけど

    ということはもう一人しかいない─────。

    「これでわかるか?」
    前髪をかきあげこっちを見る姿は、まさしく私がずっと探していた人物…田井中律だった


340 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 01:06:14.08 ID:4MlXRJuRO

    唯「さっきりっちゃんに呼ばれた様な…気のせいかな?」

    とりあえず警察署に行かなきゃ!

    唯「それにしても澪ちゃん失礼だよね!私は市民を守る警察官なのに」

    そんな頼りないかなぁ…私って。

    唯「え~と拳銃拳銃…はっ!車の中だった!困った……まあ何とかなるかぁ~」

    唯「とりあえずあのお店に行こう!誰かいるかもしれないし!」

345 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 01:12:50.90 ID:4MlXRJuRO
    唯「あのぉ…ごめんくださ」

    「フリーズ!!」

    唯「へ?プリーズ?」
    「フリーズ!!!」

    唯「(カウンターからボウガンを突きつけてくる人への対処法……対処法……なし!どうしよう…)」

    「ジャパニーズか?」
    唯「こうなったら……」

    やるしかない!

    音楽に国境は関係なーい!

    唯「うんたん♪うんたん♪」

    手拍子をしながら近づく
    「ワァッツ?!ウンタン?」

    唯「うんたん♪うんたん♪」

    更ににじりよる唯

    顔は満面の笑み

    寧ろこの状況下ではゾンビより怖い


350 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 01:19:31.21 ID:4MlXRJuRO
    「ウンタン……ウンタン……」

    唯「うんたん♪うんたん♪」

    「オーうんたん!最高!ベリベリナイスね!」

    唯「てへへ//」

    ─ ──────
     ∨
    唯「(きっとこんな感じに……)」

    ちらっとボウガンの方を見てみると

    「ウンタン……ウンタン……」

    今にも発射しそうな形相で唯を睨み付けている。

    唯「これはまずい」

    ので大人しく両手を上げ後ろを向く。

    唯「日本語わかりますか?私はゾンビじゃありません!撃たないで!」

    「……」

361 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 01:35:24.20 ID:4MlXRJuRO
    「少しならシャベレル。すまなかったな」

    唯「わかってもらえればいいんです」キリッ

    唯はボウガンの人に向き直る。

    唯「あの、ここは一体どうなって…」

    「待て」

    カチャカチャ

    しっかりと鍵をかける
    「わからない、いつの間にかゾンビだらけだ。ユーは?」

    唯「こほん、わたくしラクーンシティの警察官、平沢唯と言います」
    手帳…手帳…

    唯「なくしちゃった…」
    「警察官か、見えないな。しかし見たところ日本人みたいだが」

    唯「留学研修で明日からだったんです…だから正式には違うんだぁ…じゃない違うんです」
    「また大変な時にきてしまったな…。まあここなら安全だ、奥で少し休むといい。後でこれからのことについて話そう」

    唯「ありがとうございます!」

    とりあえず奥の椅子に腰を落ち着ける
    唯「むっ!」

    木箱の上にハンドガンの弾発見!

365 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 01:45:07.44 ID:4MlXRJuRO
    唯「今は拳銃ないけど持っておこうっと。」

    仮にもここは銃を扱うお店、その商品であるハンドガンの弾を取ると言うことは盗む、と言う警察官にはあるまじき行為になるのだが…。

    唯「♪」

    唯は気にせず取った


    ガシャンガシャン!

    「な、なんだ?!やっやめろ!あっ……アーッ」

    ぐしゃぐしゃぐしゃ……

    唯「おじさーん!!!」

    ガラスを突き破って来たゾンビ達に揉みくちゃになれながら食われて行く名も知らぬおじさん……。

    誰もが思っただろう、戸締まりの前にショーウインドウを何とかしろと


369 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 01:48:39.48 ID:4MlXRJuRO
    「ウゥゥ…」

    ぐしゃっぐしゃっ

    ゾンビ達はおじさんを食べるのに夢中になっている……今はハンドガンの弾しかない…ここは悔しいけど逃げるしかない

    唯「おじさん…かたきを取れなくてごめん…」

    奥のドアゆっくりと近づきひっそりと開け銃SHOPを後にした。


    そこから何体ものゾンビを掻い潜りようやく警察署についた。

    唯「一本道で良かった…。澪ちゃん達はまだかな…。」

    ここで待つのも怖いし、中にまだ生きている人がいるかもしれない。
    私は警察署の中へ足を踏み入れることにした

371 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 02:01:30.33 ID:4MlXRJuRO
    ────────。

    体を包む風がこんなにも気持ちいいと思ったのは始めてだ

    暗いハイウェイを人が高速で移動する

    走っているわけでも何かに乗ってるわけでもない。

    彼女の靴には車輪の様なものがついておりそれがこの高速移動を可能にしている。

    時速にして60キロ程か、ただのスケート靴で出る速度ではない

    二つに縛った髪が風で激しく揺れる。

    「幸せは~歩いて来ない~♪」

    ピリリ、ピリリ

    「はい、こちら梓」

    『ご機嫌のところ悪いネー。調子はドウカナ?』


377 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 02:08:58.64 ID:4MlXRJuRO
    梓「いいですよ!手足もちゃんと動きますし博士のロケットシューズも問題ないです」

    ダイジョーブ博士『ソーデスか!それは良かった。外装も済まさない内に出ていくから心配してたんデスヨ?』

    梓「ごめんなさい博士。でもバイオハザード起きたって聞いたら居ても立ってもいられなくて…」

    ダイジョーブ博士『その為にあなたは強くなったのデショウ?なら自分が成すべきことをやりなサイ』

    梓「……はい!」

    ダイジョーブ博士『あぁ、後あれは一日に三回以上使わないでクダサーイ』

    梓「あれですね。わかりました」

383 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 02:17:15.46 ID:4MlXRJuRO
    梓「間もなくラクーンシティに着きます」

    ダイジョーブ博士『恐らく毎度のことジャミングがかかってるデショウ。頑張ってクダサーイアズサ』

    梓「ありがとうございます博士」

    もしかしたら先輩達がいるかもしれない……。
    いや、それは考えすぎか。ここはアメリカの郊外だ
    いるわけがない……

    梓「今は人命救助が最優先…」

    ラクーンシティが見えてきた。

    俺さんからもらった命で、そして私の力で、今度こそみんなを守るんだ

    鉄が剥き出しの左手の義手、右足の義足に目を落とす。

    こうまでして守りたかった本当の人は、今はもういない

392 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 02:38:30.97 ID:4MlXRJuRO
    ──────。

    澪「りぃぃぃぃつぅぅ~!!!」

    律「お、落ち着けよ澪。」

    澪「律律律律りつぅ……」だきっ

    律にしがみつきながら泣きじゃくる澪、律はそれを優しく撫でる

    澪「心配したんだから……」

    律「それはこっちもだよ澪。とにかく警察署へ行こう。唯が心配だ」

    澪「うん……」

    感動の再会にしてはちょっと物足りないけど…確かに唯も心配だ

    私達は歩きながら話すことにした。

    律「しかしまた何でアメリカに?」

    パァン!

    澪「…笑わない?」

    パァン!

    それにしてもゾンビが邪魔だ

393 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 02:40:22.76 ID:4MlXRJuRO

    律「笑わない笑わない」

    澪「ほんとぉ…?」

    律「ほ、ほんとにほんと(萌え萌え~キュン)」

    澪「実は私念写が……」

    律「ははは!いつからそんな冗談言うようになったんだ澪は」

    澪「……律のバカっ!」

    律「冗談だよ。何となくそんな気はしてた。そうか…澪は念写か…」

    澪「まさか…律も?」

    律「うん……。まあね」

    澪「唯は予知夢みたいなこと言ってた…。これってやっぱりウイルスが関係あるのかな?」

    律「さあこればっかりはわからないよ。」

    澪「変な言い方だけど律はどんなことが備わったの?」

396 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 02:54:09.70 ID:4MlXRJuRO
    律「私は能力って言うのかな…まだよくわかんないんだよ。まあちょっとやって見せた方が早いか」

    律は自分の6発式のコルトの弾を一発だけ抜き取った。

    シリンダーを戻しそれを勢いよく回した後こめかみに持って来る。

    澪「こらっ!危ないだろ?めっ!」

    律「めっ!て…子供か私は。いーから見てろって。今このコルトには6つの弾倉の中に5発弾が入ってる。つまり弾が出る確率は5/6」

    澪「律……?」

    律「それを5回引き金を引く」

    澪「バカっ!!何言うかと思ったらそんな危ないことさせられるわけ……」

397 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 02:55:47.84 ID:4MlXRJuRO
    カチ
    撃鉄を下ろす

    律「一回目」
    カチ
    澪「ひいっ」

    またシリンダーを回し撃鉄を下ろす
    律「二回目」
    カチ
    澪「やめっ」
    律「三回目」
    カチ
    澪「えっ……」
    律「四回目」
    カチ
    弾が……出ない
    律「五回目」
    カチ……
    とうとう5回をやりおえてしまった

    澪「……弾は?」

    そう言われると律はシリンダーから弾を取り出す
    1.2.3.4.5……確かに5発……
    律「これが私の能力。レオンはAs possible lucky、゛可能な限りの幸運゛って呼んでた」


403 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 03:04:35.48 ID:4MlXRJuRO
    澪「゛可能な限りの幸運゛……?」

    律「わかりやすく言えば1%でも死なない可能性があるならその確率を選択し続ける能力らしーよ。さっきのは確かに死ぬ確率の方が高い、けど死ぬ確率は5/6。死なない確率もあるから死なない」

    澪「なら6発入ってれば…」

    律「間違いなく死ぬよ。弾が発射される確率は100%だから。」

    澪「律……変わったな」

    律「そうか?」

    澪「こんな怖いことを平然とやるなんて……」

    律「澪達と別れてからの二年間で変わっちゃったのかもな……私も」

408 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 03:13:19.74 ID:4MlXRJuRO
    澪「と言うかレオンって?そこ詳しく」

    律「え~と…何て言うか…兄貴的存在みたいな!」

    澪「答えになってないんだけど?」

    律「と言うか澪には関係ないだろー?」

    澪「」ムカッ

    澪「そうだな、全く関係なかったよ。さあ唯が心配だから急ごっと」

    少し早足になる澪

    律「何だよ澪ー!怒ってんのか?」

    澪「別に?怒る理由何てないし」

    律「じゃあその突っかかるような態度やめろよ」

    澪「それは人それぞれ解釈の取り方じゃない?私は怒ってないから」

    律「勝手に言ってろ!」

411 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 03:22:11.78 ID:4MlXRJuRO

    澪「……」

    律「……」

    さっきの感動の再会の時とは打って変わって険悪なムードが辺りを取り巻く。

    澪「(何でこんなことで喧嘩してるんだろ…)」

    律「(二十歳で大人になったってのにこんなことで喧嘩してちゃ駄目だな…)」

    澪「あのさ…」

    律「うん」

    澪「ごめん」

    律「私も」

    澪「ふふ……」

    律「はははっ」

    喧嘩するのもいきなりだが仲直りするのもいきなり二人だった

414 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 03:29:59.16 ID:4MlXRJuRO
    律「レオンは前の時に私を助けてくれた命の恩人のことだよ。打倒アンブレラの為に今は一緒に行動してるんだ。勿論やましいことなんか一つもないぞ!」

    澪「そっか…。良かった」

    律「何が良かったって~?澪ちゅわん?」

    澪「何でもないっ//」

    そう話してるいる内にR.P.D.警察署前に到着。
    距離にすると迂回した澪達の方が遅かった筈だがそこに唯はいなかった。

    律「唯まだ来てないのかな?」

    澪「先に中に入ってるんじゃないか?外は危険だからって」

    律「そだな。とりあえず入ってみるか」

    そうして二人も警察署内へ…

487 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 15:04:45.45 ID:4MlXRJuRO

    唯「ふっふっふ……遅かったじゃないかお二人さん。」

    律「お~良かった良かった。ちゃんといるな」

    澪「唯のことが心配で走って来たんだぞ!」

    律「だぞ!」

    唯「ぶー!私は警察官何だから大丈夫だよりっちゃん澪ちゃん!」

    律「唯が警察官何て…世も末だな」

    澪「全く」

    唯「怒るよ!?」

    ────────。

    律「しっかし誰もいないな~」

    広いエントランスホールを歩いて見て廻るものの人の気配はない。
    澪「唯はここへ来る途中誰かに会わなかった?」

    唯「ボウガンのおじさんに会ったけど…食べられちゃった」

490 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 15:10:21.27 ID:4MlXRJuRO

    澪「ボウガンのおじさんって……そうか。何でこうなったかはわからないけど……また巻き込まれたみたいだな、私達」

    律「(私の場合飛び込んだが正解だけどね)」

    唯「ってことは私達もゾンビになっちゃうんじゃ……!」

    澪「そうだった!前はむぎのレフォンで助かったけど今回は何もしてない……腕とか大丈夫かな」

    律「多分大丈夫だと思うけど……一応確認しとくか。二人ともこれくわえてみ」

    律が二人にリトマス紙の様な物を手渡す

    澪「こ、こうでいいの?」ぱく

    唯「は~い」ぱく

492 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 15:16:22.88 ID:4MlXRJuRO
    律「はい返却して」

    澪唯「?」

    二人とも言われるままにそれを返却する。

    律「やっぱりな…。二人とも感染の心配はないよ。」

    澪「なんで?」

    律「詳しくはわからないけど遺伝子的な問題でTウイルスに完全な抗体を持った人が10人に一人の割合でいるらしいんだ。ちなみに私もレオンもそうだった。」

    澪「私達もそうだってこと?」

    律「そゆこと。唾液に浸したこのリトマス紙の色が変わればそうなんだってさ。レオンが知り合いに頼んで作ってもらったんだって」

    澪「じゃあとりあえず感染の心配はないのか…」

496 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 15:21:45.60 ID:4MlXRJuRO
    ここで詳しくTウイルスを解説しておこう。
    Tウイルスとはアフリカの古代遺跡から見つかった始祖花という花から作り出された変異的なウイルスだ。

    非常に感染力が強く主な感染ルートは空気感染、下水道からなどの汚染から始まる。

    しかし変異性が強いためにその効力は長持ちしない。空気感染するのも実質数時間ほどでしかない。それからは血液感染、感染が非感染の血液に触れるなどして拡大していく

    感染者の主な症状は、痒み、目眩、発熱、意識レベルの低下、食欲増強などがあげられる。ちなみに感染者は人間や動物だけには留まらないのを覚えておいて頂きたい

497 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 15:28:21.45 ID:4MlXRJuRO
    澪「さて、ここからどうするかまとめなきゃ。バイオハザードが起こってるのは間違いない、私は律も見つかったし脱出に一票」

    唯「私はどうしよう…警察署のみんなもゾンビになっちゃったのかな…。ここはラクーンシティ警察署最後の生き残りとして街の人命救助に当たりたいかなぁ。りっちゃんの話が本当ならまだ感染してない人がいるかもだし」

    律「私は悪いけどまだ脱出は出来ないよ。ここで少しやることがあるからさ、二人は協力して脱出ルートを探してくれないか?私は自分の目的を達成するから」

498 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 15:35:33.88 ID:4MlXRJuRO
    澪「目的って?」

    律「それは……言えない」

    澪「……またそうやって無茶するんだ」

    澪「私やみんなに心配かけて……また一人でどっかに行っちゃうんだ」

    律「澪……今はごめんとしか言えない。でも大事なことだから」

    澪「なら私も行く!嫌とは言わせないから!もうあんな思いは…したくない…」

    律「泣くなよ澪……。わかった。好きにしなよ」

    澪「初めからそう言えばいいのに」

    律「嘘泣きかよっ!」

    澪「こうでもしないと律は嫌って言うからな」

    そのやりとりを見て唯が
    唯「そう言えばりっちゃん……りっちゃん」

500 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 15:39:43.80 ID:4MlXRJuRO
    唯「りっちゃああああん」ぎゅぅぅ

    律「気づくの遅いわ!」

    抱きついて来る唯のおでこに律はチョップした

    唯「あまりに自然すぎて気づきませんでしたでありますりっちゃん隊長!」

    律「唯隊員はもっと周りを見ることをお勧めするぞ!」

    澪「でも唯だけ一人にするわけにもなぁ……。あと一人誰かいれば」

    律「とりあえずこの警察署内に誰かいないか調べよう。外より生存率は高そうだし。闇雲に広い街を歩き回るよりは効率もいいだろ?唯」

    唯「うん。同僚を救う為に奮闘する警察官……」

    律「RPDの英雄ぅ~平沢~ゆ~い!」

502 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 15:44:46.95 ID:4MlXRJuRO
    澪「こらこら遊ぶんじゃない。じゃあどの扉から入ろうか……」

    唯「あそこ以外はオートロックがかかってるみたい~。確か日本で見た見取図ではロッカールームだった気がするよぉ」

    律「じゃあ行きますか」

    澪「あぁ。」

    三人はいよいよラクーンシティ警察署の探索を開始した。

    桜高軽音部の二度目のバイオハザードが、今始まる

505 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 15:49:33.24 ID:4MlXRJuRO
    ガチャン

    「うぅ……」

    唯「誰か倒れてる!」

    澪「大丈夫ですか?!」

    急いで駆け寄る三人。

    「君達は…?」

    唯「明日から配属になる筈だった平沢唯です…。」

    「ヒラサワ…日本の研修生か。タイミングの悪い時に来たな…。」

    律「傷の手当てをしよう。まだ喋れるなら助かるかもしれない。包帯とかなら多少持ってきてる。澪、手伝ってくれ。」

    澪「わかった」

    二人は協力して血だらけの警察官の服を脱がせ傷口に包帯を巻いていく。

    「すまない…恩にきるよ」

    唯「何があったか詳しく教えてください。あっ名前は…」


508 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 15:55:40.29 ID:4MlXRJuRO
    マービン「マービン、マービン・ブラナーだ」

    唯「マービンさんの傷は誰にやられたの?」

    傷ついた体にも聞き取り易い様に唯はゆったりとハキハキした口調で問う

    マービン「わからない…あれが何の生物なのか…。ピンク色の…体をしていた。手には鋭い爪、長い舌で私の同僚は首を跳ね飛ばされた…私の傷はまだ軽症な方さ」

    唯「……」

    マービン「警察署の内部にいきなりゾンビが現れたんだ。恐らく地下施設のやつが感染したのだろう……私達はバリケードを作るも突破され…警察署内部の人間はもうほどんど死んでるかゾンビさ」

513 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 16:03:20.03 ID:4MlXRJuRO
    律「血が止まらない…。」

    澪「血……怖いけど……我慢っ…んっ…」

    マービン「ゴホッ…私はもう…ここまでみたいだ。段々気が…遠退いてきた」

    律「諦めんなよ!どうしてそこで諦めちゃうのそこで!」

    澪「マービンさん…」

    マービン「平沢唯……。R.P.D.最後の生き残りの君に託したい。この平和な街を奪ったウイルスを……撒き散らしやがった張本人を捕まえてくれ…」

    唯「まーちゃん…」

    マービン「そうだ…これを…」

    唯にカードを渡す

    マービン「これがあればエントランスのオートロックが解除出来る…」

518 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 16:13:18.25 ID:4MlXRJuRO
    唯「ありがとう…マービンさん」

    マービン「見たところ銃を持ってないようだから私のスペアをあげよう……使ってくれ」

    唯「はい…」

    マービン「手当てももういい…ありがとう。気持ちだけで十分だ…」

    律「……っ…もう少し早ければ!」

    澪「……」

    マービン「さあ行け…。君達は必ず生き残れよ。他に生きているものがいるかもしれない。助けてやってくれ…」

    唯「でも……」

    マービン「行け!!!」チャキ

    拳銃を唯に向けるマービン。

    唯「行こう…りっちゃん、澪ちゃん。マービンさん……必ず戻るから!」

519 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 16:20:11.17 ID:4MlXRJuRO
    三人が名残惜しくも外へ出た途端後ろから鍵を閉める音が聞こえた。戻って来るなと言うことだろう……。

    唯「(自分が死んじゃうのにそれをも恐れないで私達に見せてくれた勇気……同じ警察官として心から尊敬します……っ)」

    唯は黙ったまま扉へ向かい敬礼する。

    律「変わったな…唯。大人になった」

    澪「うん…。もう二年前の唯じゃない。唯は唯なりに考えて強く前に進んでいるんだ」

    私も見習わなくちゃ…

    唯「行こう、りっちゃん!澪ちゃん!」

    律「おぅ!」

    澪「うん!」

    また一つ彼女達は死ねない理由が出来たのだった

524 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 16:27:03.21 ID:4MlXRJuRO
    唯「え~と、これを入れたらいいんだよね」

    パソコンの読み込み端末にカードを差し込む。するとエントランスホールの二ヶ所の扉のオートロックが解除された。

    澪「どっちに行く?」

    一つは普通の扉、一つノブが二つついている大きい扉

    律「ここは唯に任せるよ。ここに一番詳しいのは唯だろうし。どうする?唯」

    唯「う~ん。人がいそうな所だと作戦会議室かなぁ。それだとこっちの大きい扉の方だよ」

    澪「こっちね」

    律「マービンさんが言ってたピンク色の怪物がいるかもしれない、気を引き締めて行こう」

525 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 16:33:34.81 ID:4MlXRJuRO
    大きい扉を開け恐る恐る中へ入る。とりあえずは何もいないみたいだ。

    澪「やっぱり怖い…」ガタガタ

    唯「でもピンク色らしいから意外と可愛いかもよ澪ちゃん?!」

    澪「かなぁ……」

    律「可愛い怪物って言うのもそれはそれで怖いが。」

    三人は先に進むべく歩く。受け付けカウンターを過ぎ……その奥のドアへ行こうとした丁度その時

    「………」

    ピンク色の何かが窓を横切った

    澪「……」パクパク

    唯「……」ポカーン

    律「……」スポーン

528 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 16:39:17.48 ID:4MlXRJuRO
    唯「帰ろっか……」

    澪「うんうんうんうんうんうんうんうんそうしよう」

    こうして三人のバイオハザードは幕を閉じたのだった。

    FIN
















    律「えっ?終わり?マジで?」


536 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 16:50:25.91 ID:4MlXRJuRO
    律「マービンのこともう忘れたのか?!確かにこの世の者とは思えないおぞましい怪物だったけどさ!」

    唯「それはそれ……これはこれだよりっちゃん」

    律「いつからそんな冷たいやつになったんだ唯!」

    律「ほら澪も!踞ってないで立って!」

    澪「逃げなくちゃ駄目だ逃げなくちゃ駄目だ逃げなくちゃ駄目だ逃げなくちゃ駄目だ……」

    律「「なく」を退けろよwwwも~わかった。私が一人で行って倒してくる」

    唯「一人じゃ危ないよ!私も行く!」

    澪「わ、私も……」

    唯&律「どうぞどうぞ」

541 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 16:58:27.07 ID:4MlXRJuRO
    澪「う、嘘嘘!」

    律「はあ、こんなことしてても仕方ない。みんなで行こう」

    唯「うん…いくしかないよね」

    澪「が、がんばるっ」

    皆銃を抜き取りドアの前に集まる。

    律「じゃあ戦闘開始だ!」

    扉を開けまるで犯人のアジトへ踏み込む様に三人は走った───

    ────────。

    梓「くっ……思ったより街の被害が大きい。これじゃもう生きてる人なんて…」

    諦めちゃそこで終わりなんだ…きっとまだどこかに生存者がいる


    梓「警察署ならまだ持ちこたえてるかもしれない…」

    群がるゾンビを華麗にかわしつつ警察署を目指すことにした

542 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 17:02:22.33 ID:4MlXRJuRO
    律「……いないな……」

    澪「うん……」

    唯「このまま方円の陣で行こうよ」

    律「合点承知」

    澪「御意」

    澪は後ろ、律は前、唯は左右を警戒する。

    ポタ……ポタ……

    水の滴る音が聞こえる
    首がない死体を横切る。さっきマービンが言っていた人は10mほど先のドアを律が見据える。

    律「(あそこが作戦会議室への扉か……さっきのはどっかへ行ったのか?)ん…?」

    上からポタポタと何かが落ちてきている。雨じゃなかったのか

    律「赤いな……」

    更に恐る恐る上を見上げる律

    するとそこには──────

    ハアアアアア……

545 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 17:13:45.29 ID:4MlXRJuRO
    ピンク色をした、怪物──────。

    何故ピンク色か、律はようやく理解した。
    表面の肉が削げ落ち筋肉が露出しているからピンク色なのだ。
    脳みそまで見えておりそれはもう人間の原型を留めていなかった。

    律「二人とも止まれ…」

    小さな声で静止を呼びかける

    唯「これが……ピンク色の怪物……」

    澪「ひっ……」

    律「静かに、」

    「ハアアアアア……」

    律「目が退化している、きっと私達のことが見えていないんだ。このまま静かに行ってやり過ごそう」

    唯「合点承知之助」

    澪「うんうん……」

549 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 17:22:15.63 ID:4MlXRJuRO
    静かに……、静かーに……
    律「ヨーシコレナラバレズニ……」

    唯「は、…は…」
    鼻がむずむずする…

    が、その苦労も水に流れることとなる

    バリィィン

    ガラスが割れ勢い良く飛び込んで来たのはケルベロス

    澪「ひいいいいぃぃぃ」

    唯「っくしっ!」

    律「空気読めよ……」
    「!!ファアアアア!」

    音を察知し、まずは一番音を立てているケルベロスに向かって飛びかかる。

    飛びかかると同時に右手の大きな爪でケルベロスを引き裂く

    「キャインキャイン」

    胴体が真っ二つになりながら壁にぶち当たりケルベロスは動かなくなった。

    「ハアアアアア!」

    こちらもしっかりと唯のくしゃみでバレているようだ。

551 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 17:28:19.86 ID:4MlXRJuRO
    律「澪!唯!伏せろ!」

    飛びかかる体制を見て瞬時に伏せる。その上をピンク色の怪物が通りすぎた。
    飛びかかりは虚しく空を切る

    律「このっ!」

    パァン!パァン!

    コルトで素早く二発撃ち込むがピンク色の怪物は弾が発射される前の撃鉄の音などを聞き分けたのか素早く天井へ張り付く。

    律「ヤバい!!」

    天井から身を翻しまたこちらへ飛びかかってくる。

    律「駄目だ避けられ─────」


    バリィィン……!

    またガラスが割れる、しかもそれは律のすぐ隣

    だが次に入って来たのはケルベロスではない、人だ─────

554 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 17:33:05.50 ID:4MlXRJuRO
    彼女はその勢いのままピンク色の化物を蹴り飛ばす。

    今起こったことをありのままに話すぜ……
    私はもうやられたかと思ったら急にガラスを突き破って飛び込んで来た人がそのままピンク色の怪物を蹴り飛ばした

    いや、自分でも何を言ってるかわからないが……

    超スピードだとかハリウッドだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねぇ!

    私はバイオハザードの片鱗を味わったぜ……

    律「はっ!」

    ようやく現実へ戻って来た律が見た光景は、小さい背中に二つに束ねた髪、黒いシャツに黒のスカートを履いている。

    彼女名は、中野梓


557 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 17:37:27.15 ID:4MlXRJuRO
    梓「大丈夫ですか皆さん?私は第七救援隊所属の中野梓……って……律先輩?それに唯先輩に澪先輩まで……!」

    律「梓……か?」

    唯「あずにゃん……あずにゃんだー!!!」

    澪「梓……やっぱり生きてたんだ……!」

    「ハアアアアア……」

    蹴り飛ばしされたピンク色の化物が起き上がろうと……

    律&澪&唯「ちょっと「少し」「邪魔だから」黙ってろ「て」「ね」」

    三人が容赦なく引き金を引くと起き上がったばかりのピンク色の怪物はまた地へ伏した。

561 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 17:43:35.56 ID:4MlXRJuRO
    唯「あ~ず~にゃ~~~ん!」

    大好物を見つけた猫の様に容赦なく梓の小さな体に抱きつく唯

    梓「ちょ、唯先輩っ!やめてください」

    澪「今日は最悪な日だけど最高の日だ!」

    律「しかしまさか梓だなんて……ん?」

    梓「……」

    梓はみんなから左手が見えない様に背を向ける。義手、義足なのを一番見られたくなかった人達に見られた……

    梓「こんなの……気持ち悪いですよね。人間じゃないですよね…。」

    軽蔑されるだろう、何でこんなことにって

    聞かれるだろう、何があったかって

    そして可哀想な目でみんなに見られるのだろう

565 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 17:47:03.01 ID:4MlXRJuRO
    唯「おかえり……あずにゃん」

    唯は泣きながら……

    澪「おかえりなさい、梓」

    澪は目に涙を溜め

    律「おかえり、梓」

    律は笑顔で

    まず彼女の帰りを祝福してくれた────。

    梓「何……いっ…て…るんですか?…ここは家でも……ましてや部室でも……ないのに…」

    でもそう言われた時…本当に私は帰って来たんだと思えた。

    帰れるところは家、場所、思い出だけじゃない。

    人そのものが帰る場所にも成りうるんだと……梓はこの時身に染みて理解した。

569 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 17:53:39.36 ID:4MlXRJuRO
    梓「皆さんも無事で本当に良かったです。律さんとは1年10ヶ月振り、唯先輩達は二年ぶりですね。」

    唯「あずにゃんは相変わらず小さくて可愛いねぇ!このこのぉ」ぎゅうぎゅう

    梓「……いいんですよ、気にせず言ってください。逆に気を遣われた方が辛いです」

    律「梓は聞いて欲しいのか?」

    梓「えっ」

    澪「梓、大体の理由は言わなくてもわかる…。でもそれについてこの中で責める人はいないよ。」

    律「んだ!」

    唯「あずにゃんはあずにゃんだよ!」

    梓「皆さん……」

573 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 18:02:30.81 ID:4MlXRJuRO
    しかし梓はこの体のことを話すことにした。体の治癒力が落ち骨と骨が引っ付かなくなったことやダイジョーブ博士のこと。
    それから辛いリハビリをしようやく動かせるようになったこと。
    見えないけれど肋などにもボルトで固定してる部分があり自分半ばサイボーグだと言うことも全て全て話した。話したかった。
    この人達なら自分の全て受け止めてくれると確信していたからだ。

    澪「梓……辛かったな」

    律「(梓にはそう言う形で発現したのかもな……一体原因は何だろうか…)」

    唯「あずにゃん……」

575 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 18:04:19.81 ID:4MlXRJuRO
    梓「唯先輩さっきから泣いてばっかりです」

    唯「一人であずにゃん耐えて泣けなかった分私が泣くの……。その時側で支えられなくてごめんね…あずにゃん」

    梓「その言葉だけで十分です…。」

    唯先輩は昔も今もやっぱり暖かかった。

    律「さて、そろそろ行くか。私達の置かれた立場を考えるとあまりグズグズしてられない。この街の状況がどれぐらい知られているのかはわからないがまた爆撃とかされたらたまらないからな」

    澪「そうだな」

    梓「?あれ?皆さん脱出しないんですか?」

576 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 18:05:05.94 ID:4MlXRJuRO
    澪「律がここに用事があるんだってさ。それを私は手伝ってる。唯は警察署内の生存者を助ける為に、だから一緒に動いてるんだ」

    梓「なるほどです…。と言いますかそもそも何で皆さんがここにいるのかとか色々聞きたいですけど…そうも言ってられませんね。私も協力します。話は追々に」

    澪「ありがとう梓」

    律「梓が入れば百人力だぜ!」

    唯「あずにゃんがいれば萌え度もアップだぜぃ!アンドロイド萌え~」

    梓「変わってませんね唯先輩」

    澪「あ、やっぱりそう思うよね」

646 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:17:51.68 ID:4MlXRJuRO
    ファイル02 激突

    ラクーンシティ上空

    STARS隊員A「本当に一人で行くんですか少佐?」

    少佐「あなた達じゃ足手まといにしかならないもの。」

    隊員A「すみません……」
    隊員B「申し訳ない……」
    隊員C「もっと罵ってください」

    少佐「冗談よ。でも本隊が来るまでは空中で待機してた方がいいわ。今回は今までとレベルが違うから」

    隊員A「はっ!」

    少佐「本隊が来たら合流して。じゃあ」

    隊員A「気をつけてください、和少佐」

    和「えぇ。」

    そう言うと和はヘリを飛び出した

652 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:23:47.34 ID:4MlXRJuRO

    隊員B「ってパラシュートもなしに飛んでったぞ!?」

    隊員C「少佐アアアアアアアア!!!今自分が助けに行きますから!!」

    隊員B「バカか!今更追い付けるわけないだろ!今頃きっと地面にぶつかって御陀仏さ」

    隊員C「S.T.A.R.S.Xチームもこれで解体か……まだアメリカに来て一回目の任務なのに…」

    隊員A「あぁ、お前ら最近入ったんだっけ。大丈夫だよ、あの人の刀は特殊なんだ」

    隊員B「あのマイケル13号とか言う刀が?」

    隊員C「実は俺マイケルって名前なんだ!つまり俺と和少佐は常に一緒…」

    隊員B「お前病院いけ」

649 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:22:07.61 ID:4MlXRJuRO
    地面まで残り1000mくらいね……高そうな建物は……あれね。

    ラクーンシティで一番高い建物、ラクーンタワーに目をつけ角度を調節する。

    残り800……。そろそろか

    和は腰に携えている刀を抜くと柄に裏側についているボタンを押す。

    勢い良く飛んで行った剣先、それはラクーンタワーの外壁に突き刺さる
    その剣先からは鎖が伸びておりそれは柄と繋がっている。

    それで落下の衝撃を落とす、が、その程度でこの落下の勢いを殺せるわけがなく剣先がタワーから抜け落ちまた落下を開始する。
    少し勢いを殺したに過ぎない。

654 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:26:22.99 ID:4MlXRJuRO
    和「……」

    和は柄のボタンをもう一度押すと鎖が柄に引っ張られ剣先が戻ってくる。

    そして戻ってきた剣先をもう一度飛ばす

    さっきよりタワーに根強く刺さりこみ地面残り5Mで……和の体は宙に浮いた。

    和「いくらパラシュートがないからって無茶し過ぎたかしら…」

    鎖を徐々に伸ばしつつラクーンシティに降り立つ。

    柄のボタンを押し剣先を回収し、剣を鞘にしまう

    和「死ぬかと思ったわ……」

    まずはここのS.T.A.R.S.と合流を目指しつつ人命救助に当たる…


    和「律…あなたはまた来てるの…この死地に」

661 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:30:45.59 ID:4MlXRJuRO
    ────────。

    律「やっぱり誰もいないな」

    唯「みんなやっぱりゾンビになっちゃったのかな……」

    澪「わからない……。」

    梓「これは…」

    作戦報告書──────

    警察署内にてバイオハザードが発生、それに対し我々はバリケードを作り対応するも突破される。
    ピンク色の怪物に何人も同胞を殺された

    我々はあの怪物をリッカーと名付けることとした。

    これをもし読んでいるやつがいるのならこれだけは言っておく

    ここは、地獄だ

    地下の下水道から脱出を試みたやつが何人かいたが無事脱出出来ただろうか
    ───────。

663 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:38:00.95 ID:4MlXRJuRO
    梓「みんな地下から脱出を試みたみたいですね…。さっきの怪物はリッカーと言うらしいです」

    律「地下もあるんだな。広そうな警察署だ」

    澪「みんな何か飲む?ちょうど自動販売機もあるし少し休憩にしよう。お金なら少しあるから」

    律「ドル札か?」

    澪「そうだけど?」

    律「それ札使えないってよ。札入れるところが故障中って書いてる」

    澪「嘘ぉ!?はあ……不幸だわ」

    梓「ジュースが飲みたいんですか?なら……」

    梓が自動販売機の前に立ち左手で掴んだ後軽く引く。

    ガタン!

664 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:42:07.63 ID:4MlXRJuRO
    鍵も使わず自動販売機が開きそこからジュースを数本取る梓

    梓「コーラで良かったですか?アメリカの飲み物ってどれが美味しいのか知らなくて」

    澪「あ、うん。ありがとう」

    律「その小さな体のどこにそんな力が……」

    唯「あずにゃん!!」

    唯が真面目な顔をしながら梓に歩み寄る。

    澪「あっ…(そうか現行の警察官がいたんだった…。)」

    律「おっ、お説教か~?」

    梓「あ、あの……」

    唯「めっ!わかった?」

    梓「ごめんなさい…」

    唯「じゃあ私もコーラ♪」

    澪「甘い警察官だな~」

    律「全くだ」

665 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:47:02.79 ID:4MlXRJuRO
    律「で~どうする?頼みの綱の作戦会議室がもぬけの殻とはな」

    梓「地下へ行きましょう。下水道から逃げたとありますし途中で生存者の方と会えるかもしれません」

    澪「こうやってても仕方ないからな。行こう」

    唯「そだね。」

    澪「唯、地下へ行く道はわかる?」

    唯「う~ん…確か地下駐車場から犬舎を通った所のマンホールから下水道に繋がっていたと思う!」

    澪「よく覚えてるな…。で、その地下駐車場の場所は?」

    唯「……、忘れちゃった」

    律「肝心なところをまた……」

    梓「大丈夫ですよ。ここに署内案内がありますから」

667 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:52:30.51 ID:4MlXRJuRO
    作戦会議室を出て地下駐車場を目指す。その間出会うのはゾンビやリッカーばかりで一向に生きた人間と出会えずにいた。

    ガチャン、鍵がかかっているようだ。
    ───鍵穴の上にハートのマークが描かれている───

    律「また鍵かよ~。ここ本当に警察署か?」

    澪「スペードにダイアにハートか……この分だとクラブもあるのかな」

    唯「う~……つ~かれた~…」

    梓「皆さんはここで休んでてください。私が探して来ます」

    唯「あずにゃん疲れないの~?」

    梓「はい、歩いてないので」

    律「今ほどそのスケート靴を羨ましく思った」


671 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 21:59:34.59 ID:4MlXRJuRO
    澪「もう二時間は歩きっぱなしだからな…」

    律「じゃあ私と梓で手分けして探すか」

    梓「わかりました。じゃあ先行きますね」

    そう言うと梓は地面を滑り扉の向こうへ消えて行った。

    律「次クラブが見つかったら唯達が探すんだぞ~?」

    唯「は~い……」

    澪「わかった。ごめんな律…私が体力ないばっかりに…」

    律「こんなのレオンの訓練に比べたら朝飯前さ。じゃあ行ってくる。ここらにはもう来ないとは思うけどゾンビには気をつけてな」

    澪「うん」

672 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 22:01:53.89 ID:4MlXRJuRO
    ───────。

    律「は~見つからないな。スペードやダイヤは意外とすぐ見つかったんだけど…。鍵がありそうな所…」

    そう言えば初め入った部屋に鍵が沢山掛けてあったな…。

    律「行ってみるか」

    ───────。

    ロッカールーム

    初めマービンがいた部屋に戻って来た律
    エントランスホールからは鍵がかかっていたので、ダイヤの鍵を使い押収室を通りここへ戻って来たのだ。

    律「マップ見てもしかしたらと思ったらここに繋がってたんだなぁ~。」

    ビービービー

673 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 22:03:24.14 ID:4MlXRJuRO
    腰につけている無線機が鳴る。対バイオハザード様の特注品だ

    律「はいよ~」

    レオン『目的の品は見つかったか?』

    律「いーや。でも澪達と会った」

    レオン『澪?あぁお前の友達か。良かったな』

    律「別に…ただの足手まといだよ。」

    レオン『おいおい酷い言い種だな』

    律「さっさとGウイルスを回収してこことおさらばしようぜ。」

    レオン『わかった。また連絡する』


    律「はあ……」

    「ウォァ……」

    律「ん?あぁ、マービンか。ゾンビになっちゃったんだな」

    「ウォォ!」

674 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 22:04:21.05 ID:4MlXRJuRO
    パァン!!

    律「ゾンビなんかに用はない……」

    頭が痛い…。

    破壊…殺戮…この沸き上がる気持ちは…何だろう。

    律の目が紅くなる……。

    律「うぅ……」


    バタン……

    律はその場に倒れ込み気を失った。

735 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 00:05:55.25 ID:WKQ5YZulO
    ──────。

    唯「みんな戻って来て良かったね…澪ちゃん」

    澪「後むぎが戻って来れば軽音部復活だな。律の言ってたライブが現実を帯びて来たよ」

    唯「あずにゃんギターひけるかな」

    澪「大丈夫、梓はがんばり屋さんだから」

    唯「澪ちゃん…りっちゃんのことどう思ってる?」

    澪「律のこと?昔からの友達…かな」

    唯「本当にそれだけ?」

    澪「どう言うこと?」

    唯「私はりっちゃんのこと大好きだよ。」

    澪「それってまさか……」

737 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 00:06:43.29 ID:WKQ5YZulO
    唯「でも……今のりっちゃんは嫌い」

    澪「唯?」

    唯「前はあんな風に合わせて笑ったりする人じゃなかった。自然に本当に楽しいから笑ってた。でも今は合わせて笑ったり冗談言ったり…あんなのりっちゃんじゃないよ」

    澪「そう…なんだ…」

    そんなこと全くわからなかった。一番律を近くで見ていた自信があったのに

    私にはそんな気配すら感じられなかった

741 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 00:11:05.26 ID:WKQ5YZulO
    唯「りっちゃんどうしちゃったんだろ……」

    違う……律は変わってない。いつもみたいに私を気遣ってくれて…笑いかけてくれて

    違うのは、お前だ

    澪「変なのは唯の方じゃないか」

    その一言を告げてしまった─────。

    唯「えっ……」

    澪「律は私達を気遣ってこうやって私達を休ませて自分は鍵を探しに行ってくれたんだぞ?それを何だ…嫌いだとか好き勝手に!」

    唯「澪ちゃん落ちつ(ry」

    澪「落ち着いてなんかいられるか!」

    違う……悪いのは唯でもない…わかっているのに

745 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 00:16:39.41 ID:WKQ5YZulO

    唯「澪ちゃんにはわからないんだ…じゃあいいよ。この話はおしまいにしよ」

    澪「おしまいにしよ?ふざけないで!あれだけ好き勝手言って分が悪くなったら逃げるの?律は悪くない!悪くない……」

    唯「……私…聞いちゃったの。トイレに行くときに…澪ちゃんのこと鬱陶しいって呟いてたの…。りっちゃんが大好きな澪ちゃんのことをそんな風に言うと思う…?」

    澪「!!!」

    パシッン──────


    ついに私は唯に手を出してしまった。
    今までどんだけ喧嘩しても手だけはあげたことなかったのに…
    あっさりと破られた

750 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 00:25:30.20 ID:WKQ5YZulO
    頬を抑えたまま止まっている唯、何があったかわからないと言った表情をしている。

    澪「あ……ごめ……」

    唯「いいの……私が言い過ぎたから。気にしないで澪ちゃん」

    そうニコリと微笑んだ唯。私はその笑顔の本当の意味も知らずにただ安堵していた。

    上辺だけの謝り、上辺だけの心配や優しさ…世の中にはそれしか溢れていない

    今はそんなことばかり考えてしまう─────

753 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 00:27:05.25 ID:WKQ5YZulO
    怒らないの…?

    怒らないよ

    なんで?

    澪ちゃんは私の大切な友達だから

    でもあなたを叩くようなやつだよ?

    それは私が怒らせるようなこと言ったから

    でもそれは本当のことだよね。

    本当のことでも……


    言えばいいじゃない、全部。不満も、苦しみも、悲しみも、彼女にぶつけてすっきりしようよ?

    うるさい……

    叩き返してやりないよ?

    うるさい……!

    殺したいって、思ってんでしょ?

    思ってない!!!

759 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 00:38:10.64 ID:WKQ5YZulO
    梓「鍵ありましたよ~!クラブですけど。あれどうかしました?」

    唯「……何でもないよぉあずにゃん」

    澪「……別に」

    梓「そうですか……ならいいんですけど」

    律「お~い鍵あったぞ~」

    梓「お疲れさまです律先輩。でもどうしましょうか……私のクラブの方も気になりますね。」

    唯「あずにゃん!」

    澪「律」

    唯「一緒に行かない?」

    澪「一緒に行こう」

    梓「え?」

    律「へ?」

    唯「私はあずにゃんとクラブの鍵の方へ行くの」

    澪「律は私と地下駐車場を目指そう」

760 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 00:38:57.95 ID:WKQ5YZulO
    梓「まあ……確かに効率はいいですね。またあっちに鍵とかあったら困りますし。私は構いませんけど律もいいですか?」

    律「嫌も何もないさ。どっちみち行くのはこっちだから私はこっちへ行くよ」

    梓「わかりました。じゃあ行きましょうか唯先輩」

    唯「よろしくねぇ~あずにゃん!」

    そうして唯が澪に通り過ぎる時

    唯「──────ね」

    澪「えっ……」


    そうして二人は歩いて行った。

    律「こっちも行くぞ、澪」

    澪「う、うん……」

    唯はこう言った

    ごめんねと

762 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 00:44:50.38 ID:WKQ5YZulO
    ここから梓&唯パート、律&澪パートに別れます。

    A、梓&唯パート

    梓「唯先輩澪先輩と何かあったんですか?行った時と帰って来たときで雰囲気がだいぶ違いましたよ?」

    唯「あはは……ちょっと澪ちゃんと喧嘩しちゃって。でも私が悪いの、りっちゃんを嫌いだとか言うから」

    梓「唯先輩も気づいてたんですね。確かに律先輩は昔と全然違います…。昔はもっと心から楽しんで物事と行う人だったのに今じゃ全部他人事みたい…」

    唯「梓も感じてたんだ…じゃあ気のせいじゃないんだね…」

764 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 00:50:07.62 ID:WKQ5YZulO
    梓「人間は良くも悪くも変わります。特に律先輩はアンブレラにレオンさんと一緒に敵対して叩き回ってるって噂ですし…きっと辛いことがあったんですよ。この二年間に」

    唯「あずにゃん……」

    梓「はい?」

    唯「大人だ……。」

    梓「私ももう19ですから」

    唯「お酒もタバコもできない未成年のくせにぃ」

    梓「どっちもしないので関係ないです」

    唯「あずにゃんは……優しいね。私もそんな考え方が出来てたら…澪ちゃんと喧嘩になったりしなかったんだろうな…」

    梓「今はみんなカリカリしてるんですよ。あまり気にしないでください」

    クラブの鍵を使う緑のドアが近づく……

767 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 00:59:33.73 ID:WKQ5YZulO
    カチャリ……キィ……

    梓「この部屋は……なんでしょうね」

    床には用紙が散乱し部屋の奥の壁には三つオブジェがある。

    唯「この部屋は知らないかなぁ……。何するところなんだろ」

    梓「この絵に何かハマってますね…歯車?ん~力ずくで取ったら歯車の形変えちゃいそうです。やっぱりあの仕掛けが…」

    唯「あずにゃ~んこの種火にを灯せばいいみた~い」

    梓「ライター持って…」

    唯「あるよ!何かの役に立つかなって思って借りてきた」

    梓「借りたと言うより完全パクリですよね。」

770 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 01:06:41.40 ID:WKQ5YZulO
    唯「ちゃんと返すもん!」

    種火に火をつける

    どうやらこれで右のオブジェに火が行くらしい。

    梓「どうすればいいんだろ…」

    唯「ナイトは姫を守り、そして最後に王を討つ…。って書いてる」

    梓「ってことはジャック、クイーン、キングの順に火をつければ…」

    全てのオブジェに火が灯り後ろでカランカランと乾いた音がした。
    きっと歯車が外れたのだろう。

    梓「早く帰りましょう。二人が心配です」

    唯「そう…だね!」

    そうして二人が歩いて行き歯車を拾いあげたその時───────。
    ドゴォォン!!!

    「スターズ……」

775 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 01:15:23.19 ID:WKQ5YZulO
    唯「……あぁ…」

    唯は思わず尻餅をついてしまった。

    黒っぽいコート着ており首から背中にかけて紫の触手の様なものが覆っている。
    頭を一回割った様に切れ目が入っておりそれを無理矢理縫い付けている。

    唯「駄目だ……殺されるよ……」

    レベルが違う、これに比べればタイラントなんてまだ生ぬるいものかもしれない……

    梓「……くっ。」

    震えながら尻餅をついている唯と歯車を見る梓。

    梓「(同時に回収して逃げるなら……やるしかない!)」

    「スターズ……」

    尻餅をついている唯に殴りかかろうとしたその刹那────。

    梓「゛トランザム!゛」

779 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 01:22:49.05 ID:WKQ5YZulO
    梓『トランザム?』

    博士『そう!まあこれは私の趣味でつけた機能なのだがネ。いつか使わなければならない日がくるデショウ』

    梓『どう言う機能なんですか?』

    博士『君の身体能力を一時的に5倍に引き上げるんダ』

    梓『5倍?!それは凄いですね』

    博士『だがこれは君への負担も大きい。無理矢理繋ぎ止めている体だからね、一日限界は三回までデース』

    梓『三回ですか……』

    博士『くれぐれも多様しない様にお願いしますよ梓サン』

782 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 01:33:59.65 ID:WKQ5YZulO
    梓の体が熱を帯び過ぎたせいか赤く発光する

    黒いコートの大男が振りかぶり、振り下ろした所までは確かに唯はいた─────。

    ここからはコンマ0秒で時が進む

    唯に拳が当たる1.2秒前に梓は唯を抱える。

    それから0.2秒で歯車を拾いあげ


    更にそこから0.6秒後にはその部屋にはいなかった。

    ぶんっ!

    「!?」

    さっきまでいたものが一瞬にしていなくなり大男も混乱していた。

785 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 01:35:28.59 ID:WKQ5YZulO
    梓「っつぅ……」ビクン……ビクン……

    たった5秒発動させただけで体が言うことを聞かない。

    手も足もプルプル震えて立つことも出来なかった。

    プシャアアアァァァ

    オートで義手と義足が開き熱を一気に外へだす。

    博士のやつ何て機能をつけたんだ……

    唯「あ…あれ?ここは……エントランスホール?あずにゃん?!大丈夫?大男は?!」
    ようやく状況把握を開始した唯に介抱される梓。唯にはまさしく時が止まったと思っただろう

    梓「多分……しばらく大丈夫だと……思います。」

788 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 01:41:30.12 ID:WKQ5YZulO
    だが追跡者の異名は伊達じゃないことを思い知らされることとなる

    「スターズ……!」

    リッカーがいた部屋とは反対方向のドアを吹っ飛ばしエントランスホールにまで現れる追跡者。

    梓「……嘘…」

    唯「…うぅ」ガタガタ

    怖いけど……

    唯「あずにゃんは私が守る!」

    追跡者に拳銃を向けながら奮い立つ唯

    今度は守るって何回も何回も何回も何回も言って来たじゃない!
    さっきは何があったかわからなかったけどきっとまた助けられた、あずにゃんに。

    だから今度は私が守るから、あずにゃん

    唯「さあ来い!」

    「スターズ……」ドス…ドス…ドス…

790 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 01:48:39.79 ID:WKQ5YZulO
    追跡者「スターズ!」

    猛ダッシュで唯との距離を積める追跡者。

    唯「くらえっ!」

    パァン!パァン!

    二発確実に体に直撃するも……
    通常の警察官が装備している様なベレッタごときでその勢いは全く止まらなかった。

    追跡者「ウォォォ!」

    ぶんっ!

    拳を横にスイングし唯に叩きつける

    ゴキッ……

    唯「あ……ぁ……」

    その余りの威力に何mか吹っ飛ばされる唯

    梓「唯先輩!!!この!゛トランザム゛!」

    もう一度使おうとするも発動しない

    梓「何で……トランザム!トランザム!トランザム!お願い!動いてよ私!」

794 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 01:54:45.74 ID:WKQ5YZulO
    追跡者「スターズ……」

    動けない梓は危険がないと認識したのか構いもせず倒れ込んでいる唯に向かって歩き出す追跡者

    梓「トランザムトランザムトランザムトランザムトランザムトランザムトランザムトランザムトランザム!」

    何度も何度も言うが発動しない……体も動かない……

    梓「やめろ……ぉ……」

    這ってでも止めようと何とか唯のところへいこうとする梓

    追跡者「……」

    追跡者は倒れている唯の首を掴み片手で持ち上げる

    唯「うっ……ゲホッ……ヤメテ……」

    苦しそうに両手で何とか手を外そうとするも全くびくともしない

    追跡者「スターズ……」

    追跡者は更に唯腹をその拳で思い切り打ちつける─────。

796 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 02:02:47.96 ID:WKQ5YZulO
    唯はまた紙の様に吹っ飛ぶ……。次はもう動いていない、ピクリとも

    梓「ゆい……せんぱ……い?」

    唯「」

    梓「ゆ……い、ゆいぃぃぃ!」

    追跡者は更に歩き出す。唯向かって───

    梓「殺してやる殺してやる殺してやる……」

    追跡者に持ち上げられた唯はぐったりしており手もダランとぶら下がっている。

    追跡者はそんな唯に自らの首辺りに渦巻いている触手を動かし、それを唯の肩に突き刺した─────

    ドォォォォォン!

    だが次の瞬間にはその巨体は吹っ飛びエントランスホールの壁にめり込む

    梓「それ以上汚い手で唯先輩に触るな」

    梓の体はまた赤く発光していた

799 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 02:12:08.10 ID:WKQ5YZulO
    追跡者「ウォ……」

    梓「早く来なよ、来ないならこっちから行きますよ?」

    そのセリフを言い終わると同時に消える────。

    加速した一撃が追跡者の鳩尾に決まる。
    余りの衝撃に音が遅れて来る様に感じる

    梓「まだまだぁ!」

    拳に力を入れる……

    梓「これは唯先輩のぶんっ!」

    顔を殴り付ける、その衝撃で追跡者の顎の辺りが陥没する

    梓「これも唯先輩の分っ!」

    更に殴ると顎辺りの肉が吹っ飛ぶ

    梓「これも……唯先輩の分!!!」

    最後にまた顔を殴り付ける────

807 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 02:19:36.84 ID:WKQ5YZulO
    だが最後の一発は、トランザムが強制的に切れた力のない一発だった……。

    終わった……。
    何もかも、結局私は誰も守れず死んでいくんだ……体をこんなに改造しても結果は同じ、こう言う強さじゃなかったんだ。

    じゃあどうすれば良かったのだろうか……

    どうすれば……唯先輩を救うことが出来たのだろうか……

    今の私にはわからない。

    ただ、瞼が重くなる……

809 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 02:24:43.01 ID:WKQ5YZulO
    諦めるには少し早いな梓───────



    声が聞こえた


    勝てる勝てないの問題じゃない、戦いは負けを認めた時点で負けとなる─────


    懐かしい


    ならば負けを認めず何度でも立ち上がり相手が諦めた時、それもまた勝利となる─────

    俺さんの…声……?


    その声に急かされゆっくりと瞼を開く梓。


    そこには誰よりも高く、誰よりも大きい、誰よりも強い背中があった

812 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 02:30:34.62 ID:WKQ5YZulO
    俺「待たせたな!梓!」

    梓「え……」

    何事もなかったように彼はまたそこへ立っている。

    俺さんの特注のスターズの制服が風もないのに靡く

    俺「今はただ寝ていればいい、奴は任せろ。自分で撒いた種は自分で刈り取る」

    梓「俺……さん……約束……守って……くれ……た」

    また瞼が重くなる、念願の人に会えたのに…どうして……

    でも、不思議と恐怖はなかった


    だって今私の目の前に立っている人は、誰にも負けないのだから──────


819 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 02:41:21.98 ID:WKQ5YZulO
    B、律&澪編

    澪「この階段を降りれば地下駐車場みたいだ」

    律「あぁ」

    澪「暗いからちょっと怖い……」

    律「そうか」

    澪「……。」

    唯の言ってたことが気になった。

    唯『澪ちゃんのこと鬱陶しいって……』

    律がそんな風に私のこと思ってるわけがない……。
    きっと唯の思い違いなんだ…そうに決まってる。

    澪「律、そう言えば…」

    律「澪……ちょっとうるさい…。今は考え事してるから黙ってくれない?」

    澪「うん……ごめん……」

    そのまま無言で地下への階段を降りて行く二人

822 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 02:48:09.41 ID:WKQ5YZulO
    トサ、トサ、トサ、

    地下へ降りた瞬間何かが歩くような音がする。

    律「澪、ケルベロスだ。銃を」

    澪は黙って頷きデニムの腰の辺りに無理矢理ねじ込んでいたデザートイーグルを取り出す。

    道は左右に別れており道端も狭く、また地下の為に明かりも暗い。

    律「左右に一匹づつだと思う。私は左をやるから澪は右を」

    澪「OK」

    律に頼られて嬉しい……ほら見ろ……やっぱり律は私を必要としているんだ

    律「1.2.の3!」

    その合図と共に律と澪は走りだし左右に別れる

827 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 03:01:50.44 ID:WKQ5YZulO
    澪「!」

    律の予想通りケルベロスが一匹こちらにいた。

    「グルルルワフッ!」

    こちらに気づくと一気に飛びかかってくるケルベロス。

    澪「えぇぃ!!」

    バァン!

    イーグルの鈍い銃声が地下に響く、その銃弾はケルベロスに……ギリギリカスり壁のコンクリートへ虚しくめり込んだ

    澪「外した!!?」

    ケルベロスの飛びかりも澪には当たらなかったがその勢いを利用して前方にいる律に飛びかかり……そのまま左肘に噛みついた。

    律「いっつっ……」

    後ろは完璧に見ていなかった為油断していた律

828 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 03:03:45.22 ID:WKQ5YZulO
    澪「律!」

    更に律の前方からもう一匹向かって来ている。

    澪「(助けなきゃ……)」
    澪が律の左肘に噛みついているケルベロスに銃を向ける。

    律「余計なことしなくていい!」

    澪「え……」

    律まず前方から来ている犬を右足で蹴りあげる。
    その後左肘に噛みついているケルベロスをコルトM19で0距離射撃。

    鳴き声さえあげることなく即死

    そして前方のケルベロスにも二発発砲した。

    「キャンギャン!」

    律「ふぅ……」

    澪「ごめん律……私がドジしたせいで……」

    律「気にしてないよ」
    澪「律……ありが」

    律「期待してないから。いや……まだ期待しないで何もしないならマシか。期待させといて何もしないのが一番タチが悪い」


831 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 03:09:58.99 ID:WKQ5YZulO
    澪「ごめん……私が悪かった……本当にごめん」

    律「うっ……、い……いいよ澪…謝らなくて。」

    その場に踞る律

    澪「律!早く手当てしないと…!」

    律「私も…完全抗体者だからこれはただ犬に噛みつかれただけだよ…心配しなくていい。それより聞いてくれ……み……」

    澪「……律!?」

    律「いいから……早く包帯を……」

    澪「え…あ、うん!わかった。」

    澪は包帯を取り出し律の肘辺りに巻き付ける。

    律「はあ…は…あ…もう大丈夫」

    澪「律…目が赤いっぽい…。本当に大丈夫?」

833 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 03:15:06.39 ID:WKQ5YZulO
    律「大丈夫、大分痛みも引いたから。さあ、行こう澪」

    澪「う、うん」

    二人はそのまま地下駐車場へと出る──────。


    地下駐車場─────
    澪「ここが地下駐車場か……確か唯の話じゃこの先の犬舎のマンホールから下へ降りられるらしい……だっけ」

    律「あぁ。行こう」

    あれからまた律は冷たくなり私を置いていくこともしばしばあった。
    それも当然だ……あんなミスして自分の腕が噛まれれば誰だって怒るだろう

    だから私は律に何も言えなかった

835 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 03:22:34.36 ID:WKQ5YZulO
    律「この先……なんだよな?」

    澪「地図ではそうなってる……」

    律「このトラック動かすしかないか……澪、手伝って」

    澪「うん!」


    トラックに並び二人同時に思いっきり押す

    律「~~~~っ!」

    澪「んんんンンン……」
    少しづつだからトラックが動き、犬舎へと繋がるドアが見えてくる

    律「っっっはあっ!」

    澪「……はあ……はあ……」

    何とか扉のスペースを確保した私達は休む暇もなくその扉へ入って行く。

838 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 03:32:23.86 ID:WKQ5YZulO
    澪「マンホールマンホール……あった!けどマンホールってどうやって開けるんだろ……」

    律「マンホールオープナーが理想的だけどなければ何か引っかけられるものを探そう」

    澪「うん」

    二人は犬舎内を捜索

    澪「マンホールを開けれそうなものはないなぁ」

    パァン!パァン!パァン!

    キャウンッ


    澪「ん?」

    律とは違う方を探していた澪が銃声を聞き急いで律の元へ戻る

    澪「律!敵か?!」

    律「まあそんなところ」

    パァン!パァン!パァン!

    キャウンッ……

    律は檻に入れられているケルベロスを撃ち殺していた

840 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 03:37:40.56 ID:WKQ5YZulO
    澪「確かに敵だけどそこまでやること……」

    律「殺しておいた方が後々楽だろ?もしこいつらがこの檻を突き破って来て私達に襲いかかって来たりしてみろ……もう腕を噛まれたくないからな」

    澪「ごめん……」

    律「私は全部片付けたら探すよ。ここになかったらもう一つの扉の方も調べて来てくれ」

    澪「わかった……」

    澪はもう一つの扉、収容所、つまりは牢屋へ向かった。

    律「…………」

    パァン!パァン!パァン!

    ひたすらケルベロスを撃ち殺す律を残して


843 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 03:43:40.36 ID:WKQ5YZulO
    澪「律……確かに変だな…。どうしちゃったんだろ…やっぱり私がミスしたから怒ってるのかな…」

    牢屋へ繋がる扉をくぐる。牢屋の数は三つあった。

    中には誰もいなさそうだ。

    澪「ん~マンホールを開けれそうなもの…あっ!」

    一番奥の棚にマンホールオープナーがあるのを見つけ顔が綻ぶ澪

    これでさっきのミスも帳消しに出来るはず!

    マンホールオープナーを手に持ちそこを去ろうとした時だ

    「驚いた、まだ生存者がいるなんてな」

    澪「誰?!」

    「こっちだこっち、牢屋の中」

848 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 03:51:26.32 ID:WKQ5YZulO
    澪「あなたは…?」

    ベン「俺はベンだ。一応記者をやっている」

    澪「はあ…。あの…捕まったまま出られないんですか?」

    ベン「逆逆。自分から閉じ籠もってんのさ」

    チャリン

    そこの牢屋の鍵を澪に見せる

    澪「何でそんなことを…逃げないんですか?」

    ベン「逃げる?ははっ!冗談を!ここから逃げ延びれるわけねーだろ!ここにはゾンビ何かよりもっと恐ろしいやつがいるんだよ…」

    澪「もっと恐ろしいって……」

    ベン「てなわけで俺は出ない。頑張ってくれよお嬢さん」

    澪「はあ…」

    そんなこと知ったことじゃない
    早くこれを律へ持って行って喜んでほしい……!

859 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 04:01:13.75 ID:WKQ5YZulO

    律「澪、どうかした?さっきから喋り声が聞こえるけど……」

    澪を心配してか知らずかケルベロスを撃ち殺し終えた律が牢屋へ来た。

    澪「うん。一応生き残りの人なんだけどここから出ないって言うんだよ」

    律「ふ~ん」

    律は澪の隣までやって来て檻の中にいるベンを見据える。

    ベン「こりゃ驚いた。もう一人いたか」

    律「澪、行くぞ」

    澪「えっ!?助けないの律!」

    律「助けるも何もそいつ鍵持ってるじゃないか。出たくなれば自分で出るだろ」

    澪「それはそうだけど……」

    ベン「そっちの茶髪のねーちゃんの言う通りさ。だから心配しなくていい」

863 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 04:11:48.02 ID:WKQ5YZulO
    律「でも…こいつもゾンビになって私達を襲う可能性があるな。このままじゃ放って置いても餓死だ。そうなる前に殺しておこうか」

    澪「律!お前何言ってるんだ!相手は生きている人間だぞ!」

    ベン「過激なねーちゃんだなおい。安心しな、その前に救援が来るだろ。それまでは籠城ってわけさ」

    律「救援?ははは!来るわけないだろ?こんな死地にわざわざ来るの何てあのSTARSのやつぐらいさ。まあ来ない救援待って死ぬのもいいかもな。じゃあなベンさんとやら。澪、行くぞ」

    澪「律…。じゃあ私達は行きますね。ベンさんも無理はしないでください」

    ベン「…犬舎のマンホールを通り抜ければ下水処理場へ出る。そこから下水道から工場へいけ。トレインがまだ生きていればそこから脱出できる筈だ」

    澪「ありがとう…!」

864 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 04:20:13.85 ID:WKQ5YZulO
    澪は急いでマンホールの場所へ行く。
    律「遅い。」
    澪「何であんなこと言ったんだ?律」
    律「何が?」

    澪「生きている人間に大して殺すなんて…!」

    律「人間もゾンビもここじゃそう変わらないだろ。ゾンビになる前が人間ってだけさ。最も、こんなウイルスの濃いところに居て平気だってことは抗体者だろうけどな」

    澪「律!私はそんなことを言ってるんじゃ…」

    律「いいからさっさと開けてよ澪」

    澪「開けない…」

    律「もういい自分で……」

    カチャリ……

    澪「動くな」
    律「何のつもりだ澪?」

    澪「……お前は誰だ?」

    律「澪が大好きな大好きな田井中のりっちゃんだよ。怖いから銃下ろしてよ」

    澪「……」
    律「下ろせって言ってんだろ?」
    澪「……」

868 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 04:27:56.40 ID:WKQ5YZulO
    澪「……律、これだけは約束してくれないか?」

    律「何」

    澪「もう何かを殺すなんてこと言わないでくれ……律には似合わないよ。確かにここに来てもう大分歩きっぱなしでストレスが溜まってるのもわかるけど」
    律「……そうだな。悪かったよ澪。」

    澪「わかってくれたらいいんだ」
    そう言って銃を下ろす澪……

    ガスッ

    澪「えっ……」

    気づけば目の前が地面だった。私は倒れ込んだのだろうか

    後頭部に痛みが走っているのは何となくわかった

    律「足手まといどころか銃まで向けて来るなんてな。もう付き合いきれないよ澪。そこで寝ててくれ。」

    澪「り、りつ……」

    律「感謝しろよ?ケルベロスはみ~んな殺しておいたからさ」

    澪「うっ……」

    目の前が暗くなる…自分は気を失ったのだろう。
    せっかく交わした約束も、僅か数十秒で破られた…。
    昔の律は、もういなかった

942 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 14:24:38.13 ID:WKQ5YZulO
    ────────

    ウェスカー「やはり紅茶はダージリンに限る。そうは思わないかねジュン?」

    ジュン「私はハーブティの方が好みですウェスカー卿」

    ウェスカー「それは残念だ。君はどうかね?憂」

    憂「……私はお姉ちゃんが好きです」

    ウェスカー「そうだったそうだった。いや、しかし残念だ。ジュンの話じゃ平沢唯はもう半死……いや死んでるかもしれんな。ネメシスにはスターズ以外攻撃対象は取らせていないのだがね。大方無意味に拳銃でも撃ち敵と認識させたのだろう」

    憂「話が違います!お姉ちゃんには手を出さな……うっ……」

    ウェスカー「君は私に歯向かえないのだよ。いい加減わかってくれたまえ」

943 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 14:25:44.56 ID:WKQ5YZulO
    さわ子「そこまでにしときなさい、ウェスカー」

    ウェスカー「ふふ、すまない。だが彼女の姉を思う気持ちは尋常じゃないようだ。P30を投与して尚これだけ歯向かって来るのだから」

    さわ子「意識は残っているのに自由意思を支配するなんて悪質な薬よね。まあもっとも私はこんなものをつけなくてもあなたに荷担する意思は変わらないけどね」

    ウェスカー「期待しているよ、さわ子。」

    さわ子「で?これからのシナリオは?」

    ウェスカー「そろそろBSAAのメンバーがここへ来る頃だ…丁重におもてなしをしてやってくれ」

945 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 14:27:41.53 ID:WKQ5YZulO
    さわ子「BSAA、クリス・レッドフィールドが創設した対バイオテロ専門の私有部隊か……。まあT103型を三体投入しとくわ」

    ウェスカー「いや、三体じゃ少ないかもしれんな……」

    さわ子「まさか。一段階目ならともかく二段階なればBSAA何て103型の敵じゃないでしょ?」

    ウェスカー「君は彼を過小評価し過ぎている。もし、もしだ。私を倒しうる存在がいるとすればクリス、彼以外いないと私は思っているよ」

    さわ子「あなたは彼を過大評価しすぎよ。まあ見てなさい。三体で取り囲んだ後5分で終わるわ」

947 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 14:29:02.77 ID:WKQ5YZulO
    ウェスカー「だといいのだがね。ジュン、彼女達の様子は?」

    ジュン「平沢唯、中野梓は時計塔。秋山澪、田井中律は下水道へ向かったようです。」

    ウェスカー「時計塔?彼女達はネメシスと戦っていたのではないのかね?」

    ジュン「観測班からの情報によりますとネメシスを一時的に退け、平沢唯の治療の為に三人は病院へ向かう途中……とありますが」

    ウェスカー「ほぉ……あのネメシスを退けるとは大したものだ。ん?しかし三人…とはどう言うことだ?」

    ジュン「わかりません。」

    ウェスカー「ネメシスを退ける第三の実力者か…少しは面白くなってきたと言うことか。少しこちらの思惑通り行き過ぎて退屈していたところだ」

948 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 14:30:33.49 ID:WKQ5YZulO
    ウェスカー「ジュン、君は今まで通り彼女達を監視していてくれ。」

    ジュン「わかりました。」

    ウェスカー「さわ子はBSAAの方を頼むよ」

    さわ子「わかった」

    ウェスカー「憂君は……そうだな、この紅茶に合う美味しいお茶菓子か何かを作ってくれ。」

    憂「……はい。しかしそんな悠長にしていていいんですか?」

    ウェスカー「憂君、紅茶も人も同じだ。紅茶だけでも物足りない、何かお茶うけがあれば尚いいと思わないか?」

    憂「はあ…」

    ウェスカー「人間もそれと同じでね。片方だけ、一人だけではつまらないのだよ」

951 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 14:32:29.50 ID:WKQ5YZulO
    ウェスカー「私は完璧なる彼女達を倒したいのだよ。あの邸で見せた結束力と信頼関係、他人を自分より思い遣ることで垣間見せた力…。」

    憂「なら何故あのようなものを使ったのですか?二年前に。あれが今彼女達を苦しめている元凶だと言うことはあなたが一番ご存知でしょう?」

    ウェスカー「二年前君が彼女達の食事に混ぜ投与させたウロボロスのとこか?」

    憂「はい」

    ウェスカー「人は上辺だけなら何とでも言える。それを確かめたかったのだ。」

    そう、全ての計画は3年前からスタートしていたのだから

    あの時、彼女達の音楽を聴いた時から

955 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/27(月) 14:38:46.41 ID:WKQ5YZulO
    ウェスカー「それでは頼んだよ、憂君」

    憂「わかりました…。」

    奥へ消えていく憂を見ながらウェスカーは微笑む。

    ウェスカー「人などどんなに思っていようが簡単に崩れる…。それは彼女達も同じだ。ウイルスなどというまやかしのものに操られ…心を奪われる。そんな脆いものなのだよ人間は」

    だから言っただろうクリス、人は愚かな生き物なのだと

    ウェスカー「このまま終わるのであればそれもいい。だが…彼女達の思いと言うものが本物なら、必ず私を討ちに来るだろう」

    その時を楽しみにして今は待とうか

    もう一度、彼女達の奏でる音楽を聴けることを私は願っているのかもしれない

    前半 END