ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですか?」 前編

321: Mii 2018/10/28(日) 12:51:36 ID:RX8TEHWE
~夜~

デイジー「くー」スヤァ




ロゼッタ「――――――――97」

ロゼッタ「――――――――98」

ロゼッタ「――――――――99」

ロゼッタ「――――――――100」

ロゼッタ「――――――――101」



マール「…こんなに夜遅く、何をやっているの?照明も付けずに。
     百鬼夜行の真似ごと?お百度参り?」

ロゼッタ「ハァ……ハァ……は、話しかけないで、くださいよ。どうせ寝られないので、
      体を鍛えるために『しゃとるらん』なるものをやっているだけですから。
      この部屋、おあつらえ向きな広さをしていますし」

チョール(思いっきり歩いている時点で本来ならリタイア扱いじゃがのー。
      まあ、運動すること自体に意義があるから立派なことじゃ)

引用元: ・ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですか?」 



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322: Mii 2018/10/28(日) 12:53:05 ID:RX8TEHWE
マール「まあ、必要なら『すっきり爽快』で補助できるけどね、何度も言うように精神摩耗には効果がないのよ。
     ストレス貯め込み過ぎないようにね」

ロゼッタ「まだまだ、です。とりあえず100往復するまでは終われません」

マール「100往復なら今さっき終わったじゃない」

ロゼッタ「…あ、そうでした!…確かに疲労がたまっているようですね、終わりにしましょう」

マール「はい、引っ掛かった。片道ごとにカウントしてるから、まだ51往復目ー。
     ……本当に疲れてるじゃない」

ロゼッタ「」







ロゼッタ「…………なら、のこり半分もこなすまでですっ!」テクテク

マール「…ピーチちゃんに怒られるかもだし、強制的に眠らせようかな」

チョール「やめてあげなさい」

323: Mii 2018/10/28(日) 12:55:11 ID:RX8TEHWE
―――30%、35%、40%。

自分の限界を見定めつつ、少しずつピーチフラッシュの効果を高めていく。



―――40%、45%、20%、20%。

時には限界を見誤り、内臓の方が深刻なダメージを受けていてドクターストップ。
お腹を押さえて身悶えながら、ベッドで1日寝たきり、なんてことも。



…それでも、めげない、投げ出さない。



今までとは比べ物にならない量の栄養素よ、筋力と健康の糧となれ。
昨日より、百歩…いえ、千歩多く足を踏み出せる自分を目指せ。

ロゼッタ「ピーチ姫がケーキを作り終えるまでに、
      自分の力だけで体をカンペキに動かせるようになりますよ…!」





デイジー「それはペースを考えてもあまりにも無謀で不可能な話なんだけど」

ロゼッタ「ですよねー」ガックリ

324: Mii 2018/10/28(日) 12:56:59 ID:RX8TEHWE
~ギャラクシー~

マリオ「よっしゃあー!240枚目のスター、ゲットだぜ!」

ルイージ「あっといっちまい!あっといっちまい!」ルンルン

ヨッシー「明日はクッパの誕生日ですし、ケーキできてるでしょうからさっさと食べに行きましょうよ!
      (さっそく、最後の一枚も油断せず取りに行きましょう!)」

クッパ「心の声と逆になってるぞー」

マリオ「しっかし、ちょいと先読みして『241枚集めきったぞ』ってメールをピーチに送ったんだが、
    全然返事がないな…何かリアクションが欲しいんだが…」

ルイージ「ケーキ作りに精根尽き果ててグロッキー状態になってるとか」

マリオ「はっはっは、まさか。ピーチに限ってそれはない」

ヨッシー「ないない」

クッパ「ないわー」ガハハ

325: Mii 2018/10/28(日) 12:59:47 ID:RX8TEHWE
~クッパ城~
ピーチ「…………」フラフラ

デイジー「……」ジーッ

ピーチ「右を見ても、ケーキ。左を見ても、ケーキ。

     前を見ても、ケーキ。後ろを振り返っても、ケーキ。

     上を見上げても、ケーキ。下には片づけ損ねて踏ん付けた廃棄ケーキ…

     口の中も、寝る所も、みんなケーキ…」ウワゴト

ロゼッタ「」

326: Mii 2018/10/28(日) 13:01:58 ID:RX8TEHWE
ピーチ「飴にも負けず、風邪にも負けず――
    氷にも焼成炉の熱さにも負けぬ丈夫な体を持ち――
    欲はなく怒る暇もなく、いつも無表情に働いている――

    一日にケーキ40ホール分とクリームと余りのフルーツを食べ――
    あらゆる工程を、自分の感情を挟まずに――
    よく指導し状況把握し、そして忘れず――
    ケーキとケーキの間の陰の小さな仮眠スペースにいて――


    東に腐りかけのフルーツあれば、行って勿体ないと自分で食べるしかなく――
    西に疲れたカメックあれば、行って回復魔法を掛けてやり――
    南に死にそうなノコノコあれば、行ってもう働かなくてもいいと言い――
    北に不注意による配分ミスがあれば、作り直しにすぐさま取り掛かりつつ、
    お願いだからやめてと言いながら、味の悪い大量の不良品を頬張り――」ブツブツブツブツ

デイジー「……ピーチがここまでなるなんて。なんて魔境なの…!」

ロゼッタ「あわわわ…」

327: Mii 2018/10/28(日) 13:03:57 ID:RX8TEHWE
ピーチ「大体、カメックたちったら酷いのよっ!交代制で働いて、負担は遥かに小さいくせに、
    ちょっと感心したり褒めたりしたら、すぐにミスをするんだからっ!
    超特大ボウルを頭上から落とされたときとか、
    きょだいキノコと毒キノコを間違えられたときなんかは殺意を覚えたわ!」

カメック「で、ですからー、何かの間違いじゃないですか?流石にそんな素人は我らカメック部隊に居ませんって」

ピーチ「実際に気絶したり毒に苦しんだりしたでしょうが!言い訳無用!」

カメック「ひいいいいいいいい!」

デイジー「どうどう、抑えて抑えて」

328: Mii 2018/10/28(日) 13:05:39 ID:RX8TEHWE
ピーチ「……ふ、ふふ、ふふふふ。オーッホッホッホッホ!でも安心しなさい、デイジーにロゼッタ。
     紆余曲折あったけれど、まもなくケーキは完成するわ!クッパの驚く顔が今から楽しみで仕方がないわ!」

デイジー「……そのこと、なんだけどさ。やっぱり、作ったケーキ、クッパが心停止するくらい大きすぎるんじゃあ…」

ロゼッタ「そ、そうですよ!」アタフタ



ピーチ「今から楽しみで仕方がないわ…!」ゾクゾク

デイジー「だから、ちょっと頭を冷やしてだねー」




ピーチ「ああ、今から楽しみで仕方がないわぁ……っ!
     仕上げに取り掛かるから、貴方たちは首を長くして待っておきなさい!」グヘヘ

デイジー「ソウデスネー、ワカリマシター」

ロゼッタ「タノシミデスネー」

331: Mii 2018/11/01(木) 23:02:59 ID:G5zCGrJU
ロゼッタ(ああ、そうだ。忘れずに、伝えておかないと)




――クッパの誕生日が来る、ということは。
マリオ達がパワースターを集め切る、ということ。





それは、星くず祭の終わりを…私の帰還を意味するのだから。

332: Mii 2018/11/01(木) 23:03:45 ID:G5zCGrJU
サヤカ「…ええーっ!今夜で星くず祭、終わっちゃうの!?」

ロゼッタ「……ええ、そうよ」

サヤカ「…………嫌、嫌だ!それって、ママとお別れしないといけないってことでしょ!絶対絶対、反対なんだから!」

前もって理解はしているはずのサヤカ。しかし…気持ちの整理がそう簡単に付けられるはずもありません。
私でもこんなに辛いのです、幼いサヤカにとってはなおのことでしょう。
それだけサヤカにママとしての役割をこなせていたのだ、と嬉しくもありますが――。

あちこち回って、キャッチピースをして、いろいろな話で盛り上がって。
本当に楽しいひと時でしたが、終わりの時が近付いてきたようです。

333: Mii 2018/11/01(木) 23:05:46 ID:G5zCGrJU
サヤカ父「こらサヤカ、ロゼッタさん…いや、ママを困らせるんじゃない!」

ロゼッタ「…心配しないで、サヤカ。お別れしても、ママの心の中に、サヤカはずっといるから。
     サヤカの心の中にも、ちゃんとママがいて――これからずっと、見守っていてあげるから。……ね?」スッ

サヤカの頭を優しく撫でようとします…が、サヤカ自身の手によって、乱暴に跳ね除けられてしまいました。
パシン、という高い音が響きます。そのまま泣きながら走り去っていくサヤカを…私は、すぐに追いかけることはできませんでした。



ロゼッタ「申し訳、ございません…」

サヤカ父「一体全体、どうしてあなたが謝るんですか。感謝してもしきれないくらいのものを頂いたというのに…。
      本当に、ありがとうございました」フカブカ

ロゼッタ「いえ、私は大したことは…」

サヤカ父「サヤカが別れをあんなに惜しんでいるというのが、大したことをしてのけた何よりの証拠ですよ。
      …さてっと、よそは祭の終了時期を知らないみたいですが、私は店じまいの段取りに移らせてもらいますか。
      仕込をやめてキリ良く在庫を売り払って、最大の利益を叩きだして見せますよ!」ニヤリ

サヤカの父親に元気をもらって、体の制約に逆らいゆっくりと…しかし確実な足取りで、ようやくサヤカを追いかけ始めるのでした。

334: Mii 2018/11/01(木) 23:08:16 ID:G5zCGrJU
デイジー「綿飴にそれほど仕込要素ってないんじゃあ…無理に安く売り払うくらいなら、
      なんなら今日の最後に定価で私たちが残り全部買い取るよ?仲間たちに配って食べてもらうからさ!
      だから気にせず日が暮れるまで仕込を続けて、売り上げの限界に挑戦したらいいのよ。はい、前金のコイン!」ドサッ

サヤカ父「おお、こんなに大金を軽々と…いや、そこまで贔屓にしてもらっては、流石にズルいというものですよ。
      受け取れません。 叩き売り価格でなら喜んで売らせて頂きますが」

デイジー「むう、頑固な人ねー。じゃあ、泣きついてくるのを待ちましょうか、なんてね」

サヤカ父「それにしても…前々から思っていましたが、貴方たち一体何者なんですかねえ」

デイジー「ひっみつー!気になるなら、今度『大会』があるときに観光に来るといいよ!
      じゃあ、私もロゼッタの護衛しに行きまーす!」

サヤカ父「……護衛?」ハテ

335: Mii 2018/11/01(木) 23:10:10 ID:G5zCGrJU
サヤカ(ママがいなくなるだなんて、そんなの、嫌だよう)



――公園の奥にある、一本の大きな木。たぶん、公園の中で一番大きい木だと、思う。



お日様ポカポカ状態で、幹にもたれ掛かって目をつぶると、あたたかくてすっごく安心できた。



――まるで、ママに抱きしめられているみたいで。




残念ながら、30分もしないうちに、はだ寒い、雨でも降りそうなくもり空になって――
いまのわたしの気持ちみたいで、また涙がこぼれてきた。



さらに30分くらい…経ったかな。
ママ…ううん、ロゼッタさんが、落ち着いたというか、疲れ切ったというか…ゆっくりと現れたの。

336: Mii 2018/11/01(木) 23:11:59 ID:G5zCGrJU
ロゼッタ「ハァ、ハァ……くっ、2週間近く経つというのに、
      50%を克服するのに四苦八苦しているというのですか、我ながら情けないですね…っ!」

――ロゼッタさんと、バッチリ目が合っちゃった。
今さらながら、慌てて木の裏側に隠れたの。意味なんか、ないのに。

サヤカ「ロゼッタ…さん。どうして、ここがわかったの?」





ロゼッタ「…ねえサヤカ、そのまま…隠れたままでいいから聞いてちょうだい」

サヤカ「……」

ロゼッタさんが、優しく、静かに語り掛けてくる。







ロゼッタ「ママはね…本当は、もはや、この惑星の住民ではないの。だから、星くず祭が終わったら、
      サヤカと一緒にサヤカの故郷に帰ることはおろか、キノコ王国に…この星に留まるすら許されないのよ」

サヤカ「……っ!?」

337: Mii 2018/11/01(木) 23:13:36 ID:G5zCGrJU
ロゼッタ「そして…ママには、サヤカみたいに私のことを待ってくれている者が、星がたくさん…たくさんいるの。
      その子たちの行く末を見届けてあげることが、ママの使命であり責任であるのよ」

サヤカ「…………」

ロゼッタ「ちょっと難しかったかしら。でもこれだけは言っておくわ。
     ママは、サヤカのママになれてとても幸せだったし、いつまでもサヤカにママと思われたいと願っている。

     さっきは『ロゼッタさん』なんて呼び方をされて、すごく悲しかったわ。
     今夜お別れするときは、今まで通り、『ママ』って呼んでくれることを期待しているわ」

サヤカ「……」





ロゼッタさん…ううん、ママが立ち去る音が聞こえる。
でも、どうしても勇気が出せなくて…わたしは、じっとしているだけだった。

338: Mii 2018/11/01(木) 23:16:03 ID:G5zCGrJU
ザッ…。

サヤカ父「よっ、サヤカ」

サヤカ「うひゃあ!?お父さん、いきなり頬っぺたを突っつかないでよ!それに、お商売は!?」

サヤカ父「お前が泣き去る姿が目に焼き付いて、居ても立っても居られなくなってな、一旦探しに来ちまった。
      ……結婚の妄想が恐れ多くなるくらいのママじゃないか、こんな別れ方でいいのか?サヤカは満足なのか?」

サヤカ「…だって」





サヤカ父「バッカモーン!そんなメソメソする子に、お父さんは育てた覚えがないぞ!情けない!
      感謝の印にプレゼントを送ってママをビックリさせるくらいの気持ちでいないでどうする!」

サヤカ「え、えええーっ!?そういう流れなの!?」

サヤカ父「…あー、コホン。もちろん、お金がかかるプレゼントはナシだ。
      そんな余裕はないし、あの人たち…相当なお金持ちっぽいからな、
      大してありがたくも無いだろう。

      いいか、サヤカ自身の気持ちをこめたプレゼントを探し当てること、
      それが今日のサヤカの宿題だ!期限は今日の夕方までっ!よーい、スタートゥ!」ババーン

サヤカ「そ、そんなぁーーーっ!」ダッ

でも…パパ、背中を押してくれて、ありがとう。ちょっぴり勇気が出てきたの。

339: Mii 2018/11/01(木) 23:18:10 ID:G5zCGrJU
~キノコ城~

ピーチ「……ZZZ」グー

デイジー「戻ってくるなりパタリと寝ちゃったよ…まあ、ケーキ完成したならいいの、かな。
      あーあー、PC付けっ放しにしてー!…ああ、マリオのメールを読み損ねてる!
      …スター集め切った!?超重要事項なんですけど!起きろー!」ゲシゲシ

ロゼッタ「まあまあ、酷く疲れている様子ですし…」

デイジー「そんなこと分かってるけどさ、ピーチに指示してもらわないと私たちも動けないでしょ!」

ロゼッタ「今夜に星くず祭の終了を宣言してもらって、クッパの誕生日を祝って、明日の朝にはクッパシップでこの惑星を発つ。
      それだけ分かっていればなんとかなりますよ」ペロッ

340: Mii 2018/11/01(木) 23:21:38 ID:G5zCGrJU
デイジー「しかもそれだけじゃないよ、他のメールもワンサカ、リアルタイムで来てる!
      さすがピーチ、この量を普段は読み切ってるのか…!なになに…?

      『ご当選おめでとうございます!厳選なる抽選のうえ、貴方は選ばれました!
      クリックして進んで、すぐに会員登録を…』
      
       …え、何?お姫様に詐欺メール送る、怖いもの知らずがいるの?


      『体の節々が痛むそこの貴方!今ならこの健康青汁が、なんと毎月10コインで届きます!』
      
      …十分ピーチは健康だよ!?一時的に不調に陥ってるけど!


      『ニンテンドーからのお知らせ【次回作の打合せについて】』
   
      …これは保護だね、絶対。消すなよ?絶対に消すなよ?


      『(本文がありません)』
      
      ……悪戯かしら?差出人…『なっちゃん』って誰よ…あれ、じゃあ悪戯じゃないのかな?
      ううむ、さっぱりわからん…


      『ピーチ姫、こんにちは!私たち、フェアリーランドの妖精なの!
       キノコ王国と友好を深めたくてメールを出させてもらったわ!ついては条約を結びたいんだけれど…』
     
      軽っ!?内容に対して砕け過ぎじゃないかしら、この文面!?国家間のやりとりがこんなんでいいの!?」

341: Mii 2018/11/01(木) 23:23:53 ID:G5zCGrJU
ロゼッタ「……」ペロ

デイジー「ふう…ところで、何食べてる…というか舐めてるの?自分から間食するなんて珍しい」

ロゼッタ「ふふ、ピーチ姫が、余った材料でキャンディをいくつか作ってくれたんです。
     今舐めているのはココナツキャンディというものらしいですよ。甘い物をたべてばっかりだと太りそうですが。
     デイジー姫もおひとつどうですか?」

デイジー「へー、食欲が出てきたのは凄くいいことよ。じゃあ遠慮なく。
      …あ、これはびりびりキャンディだね。ピリッとした刺激がたまらないんだよねー。
      じゃあ、いただきまー…」チラッ

ロゼッタ(1本目を舐め終わって、2本目に移ろうとしている)

342: Mii 2018/11/01(木) 23:25:35 ID:G5zCGrJU
デイジー「……ロゼッタ。私、やっぱりそっちのキャンディの方がいいなあ。交換してくれないかしら?」

ロゼッタ「目移りするのはわかりますが、駄目ですよ、いくらデイジー姫の頼みと言えども。
      この綺麗な赤い色を見た時から、食べようと決めていたのですから」フフン

デイジー「いや、ロゼッタが食べるとあんまりよろしくない気が…」

ロゼッタ「ピーチ姫が手ずから渡してくれたお菓子に、流石に致死トラップが仕掛けられているはずはないでしょう。
      それでは、どんな味か確かめてみましょう」ペロッ

デイジー「致死じゃないけどさぁ…」







ロゼッタ「アツゥイ!!」 HP -1

デイジー「うん、ファイアキャンディだからねー」

343: Mii 2018/11/01(木) 23:29:37 ID:G5zCGrJU
サヤカ「…ママへのプレゼント、間に合うかなあ」

あれこれ迷ったあげく、四つ葉のクローバーの花冠に決めたはいいけれど。
公園のどこを探しても、三つ葉のクローバーしか見つからない。
まだ夕方まで時間はあるけれど、さすがにこのままじゃまずいかも…!

「お、おやおや?お嬢ちゃん、こんなところで何をしているのかなあ?」

不意に、声を掛けられちゃった。

サヤカ「…えーっと、誰だっけ?」

タコ焼き屋「酷いなあ、タコ焼き1パック、サービスしてあげた仲じゃないかー…グフフ」

サヤカ「あ、タコ焼き屋のおじさん!あの時は、ありがとうございました!
     お店の方は放っておいていいの?」

タコ焼き屋「いいのいいの、道楽でやってることだし、儲けなんて気にしないよ。
       そんなことより、俺のロリコ…いや迷子センサーが発動してね。何か困りごとかい?」キリッ

サヤカ「迷子じゃないよ?でも、四つ葉のクローバーを探してるのに、全然見つからないの…」

タコ焼き屋「それは困ったね…よし、俺も一緒に探してあげようじゃないか。
        そ、そそそそのかわり、キミの写真、1枚取らせてもらって構わないかな!?
        それさえあればおじさん、百人力だよっ!」

サヤカ「えっ?」

344: Mii 2018/11/01(木) 23:32:00 ID:G5zCGrJU
タコ焼き屋「よし、一眼レフの準備オッケー!さあ、さあさあ」

サヤカ「え、えええ……?」ヒキッ


ボカッ!!



タコ焼き屋「ぐふっ……」バターン

「やれやれ、危ない危ない。危うく変態の毒牙に掛かるところだったよ~?」

サヤカ「…この人、変態さん?」

「そうだね…おっと、四つ葉のクローバーを探しているんだっけ~。
 どれどれ…お、これなんか、どうだろう?」サッ

サヤカ「…ああっ!四つ葉だ、こんな一瞬で見つかるなんて、凄い!お兄さん、何者?」

「フフッ、『幸運』の花言葉を持つ四つ葉のクローバーだもの、
クローバー側としてもそうやすやすと見つけさせるわけにはいかないと思っている。
見つけるにはコツがあるのさ。植物の気持ちになって、相手の警戒心を解くことが大事なんだ。

サヤカ「な、なんだかすごいね」ゴクリ

「まあ、初心者には難しいよね。でも大丈夫!植物に成り切れる、すごいアイテムがあるんだ。
ちょっと試してみるかい?」スッ

サヤカ「うん、お願いします!」

345: Mii 2018/11/01(木) 23:34:23 ID:G5zCGrJU
「どうだい、順調に四つ葉のクローバー、探せてる?」



サヤカ「ウン!」



「それはよかった。…ところで。クローバー、もといシロツメクサの花言葉って、
葉の数で変わる上に、同じ枚数でも真逆の意味を併せ持ってたりして、複雑で興味深いんだよね~。

例えば、平凡な三つ葉のクローバーにも、『約束』とか『私を思い出して』とかがある一方、
コワーイ花言葉があるんだけど、知ってる?」

サヤカ「ンー、ワカラナイ」





「そっか。答えはねえ……………………『復讐』だよ」





サヤカ「ヘー。ヨツバ、ヨツバ」

346: Mii 2018/11/01(木) 23:35:48 ID:G5zCGrJU
ロゼッタ「…………」ジーッ

サヤカ父「…こうして貴方に綿飴づくりを見せられるのも、今日で最後ですか。
      私としてはあくまで商売道具であって、それ以上でもそれ以下でもないですが…
      ここまで気に入って貰えると、ちょっとむず痒いですね」

ロゼッタ「……そう、ですね。すっかり気に入ってしまいました」

デイジー(ピーチに頼めば、綿飴機の一つや二つ簡単に調達してくれるだろうけど…
      まあ、野暮ってもんだよね。…あはは、童心丸出しで覗き込み続けるロゼッタが自然と客引きになって、
      ますます繁盛してるや。でも正直、私はちょっと退屈かなあ、ふあああ)

347: Mii 2018/11/01(木) 23:37:41 ID:G5zCGrJU
~夕方~

ロゼッタ「……サヤカ、遅いですね…」

デイジー「確かに、遅いなあ」

サヤカ父「大丈夫ですよ、サヤカならきっと今頃、ロゼッタさんへのプレゼントのため駆け回っていることでしょう。
      おっと、ばらしたことは内緒にしておいてくださいね?」

ロゼッタ「え、プレゼントですか!それは楽しみですね!ふふふ…………」





ロゼッタ(……………………おかしい。喜ぶべきはずなのに、妙な不安が拭いきれずにいる。
      …何か、嫌な予感が…する)

デイジー「あ、あれって…クッパシップ!マリオ達、キノコ王国に戻ってきたんだ!
      よし、迎えに行きましょう!…って、あれ?ロゼッタ、どうしたの?そっちじゃないよ?」

ロゼッタ「すいません!私、やっぱりサヤカを探しに参ります!デイジー姫はそちらに向かわれても構いませんよ!では!」ダッ

デイジー「ええ!?そんなこと言われても…」ポリポリ

デイジー「しょうがないなあ、私も付いてくー!」ダダッ

348: Mii 2018/11/01(木) 23:39:28 ID:G5zCGrJU
サヤカ、サヤカ。



あちこち、あてもなく駆け回る。




サヤカ、どこにいるの!?




…現在、ピーチフラッシュの効果は50%。正直、中々キツイ負荷ですが。
ここまであちらこちらへ動き回ったのは、今日の中で初めてかもしれません。


今日の昼前、サヤカに語り掛けた場所から、更に奥。
ピリッとした違和感――『ナニカ』を察知して、公園の奥にやってきました。
私の後ろを、デイジー姫がピッタリ付いてきています。心強いですね。

349: Mii 2018/11/01(木) 23:41:02 ID:G5zCGrJU
右へ曲がり、左へ曲がり、左へ曲がり、前へ突っ切り、右へ曲がり。



前へ突っ切り、左へ曲がり、右へ曲がり、右へ曲がり、左へ曲がり。



デイジー「あっれー?この公園、こんなに広かったっけ?ハッ、もしや幻術!?」

ロゼッタ(…デイジー姫も、気付きましたか。しかし、これは五感を狂わされているわけではない、と思います。

      何者かによって、実際に『空間が歪められている』という説明が妥当ですね)




――デイジー姫。速やかに、私に杖を戻してください。緊急事態です。




そう、言おうとした矢先でした。




目の前に広がる、一面のクローバー畑。
その中央に倒れ伏す、サヤカ。

350: Mii 2018/11/01(木) 23:43:51 ID:G5zCGrJU
デイジー「サ、サヤカちゃん!!」ダッ

ロゼッタ「!!!」

デイジー姫がサヤカに真っ先に気付き、駆け寄っていく。
すぐさま、私も可能な限り全力で…全力で駆けていく。

ぐったりしたサヤカを抱き寄せ、オロオロするデイジー姫を…





ロゼッタ「…はああっ!」ドンッ




なけなしの勢いを以てして、突き飛ばす。




デイジー「……え」

思わずサヤカを放してしまい体勢を崩していきながら、驚き目を見開くデイジー姫。
その視線の先には、『誰も映っていない事でしょう』。

デイジー「え、嘘、なんで?サヤカちゃんは?ロゼッタは?どこに行ったの!?」マッサオ

351: Mii 2018/11/01(木) 23:46:21 ID:G5zCGrJU
ピーチ「ZZZ…」

ピーチ「ZZZ…」

ピーチ「ムニャ…あ、ちょっと、マリオ、何やってるのよ…みんな見てるわよ…むしろ凝視してるわよ…」

ピーチ「ぐぅ…まだやるの?…え、そ、そんな回数まで?正気?この…変態!」

ピーチ「…ああ、ちょっと!もう無理!壊れる、壊れちゃうからぁ!やめてぇ!」




ピーチ「これ以上速度貯められたら鍵扉どころかキノコ城全壊するわあっ!!」ガバッ






ピーチ「……ゼェ、ゼェ…なんだかおっそろしい夢を見ていた気がするわ…」

352: Mii 2018/11/01(木) 23:49:07 ID:G5zCGrJU
ドンドンッ!

デイジー「大変よ、ピーチ!サヤカちゃんとロゼッタが攫われたのっ!ウワーン!」

ピーチ「……なんですって!?詳細を手短にっ!!」カクセイ

デイジー「ご、ごめんなさい。わ、私、なんにもできなかった。それどころか、ロゼッタに庇われちゃったっぽいの…」ポロポロ

ピーチ「詳細って言ったのに…え、庇われた?基礎体力で圧倒的に上回るあなたが?」

デイジー「グズッ…えっと、倒れたサヤカちゃんが目に入ったから、2人で駆けこんだんだけど…
      一番乗りしたばっかりの私を、ロゼッタがドンッて押しのけて…
      それで、気が付いたらサヤカちゃんもロゼッタも視界から消えてて…」

ピーチ「…その説明から推測するに、ロゼッタは最初からあなたを突き飛ばす目的で駆け込んだっぽいわね。
     …罠のネタが分かってた?…………ロゼッタが得意な魔法って、確か」

デイジー「…………空間系の魔法」





ピーチ(…………っ!)

デイジー「ど、どうしたの急に?」

353: Mii 2018/11/01(木) 23:50:31 ID:G5zCGrJU
ピーチ「デイジー!私が眠りこけてた間、メールを盗み見たりした!?」

デイジー「あ、うん、ごめん」

ピーチ「今は許すわ。それで、意味深なメールが飛んでこなかったかしら?」

デイジー「…うーん、詐欺メールと通販と任天堂と妖精と…あ、『なっちゃん』って人から空メールが送られてたよ」

ピーチ「……っ!ビンゴじゃ、ないのっ!!デイジー、現場へ案内して、いますぐっ!」ダダダッ!

デイジー「りょ、了解っ!!」ダッ

354: Mii 2018/11/01(木) 23:53:33 ID:G5zCGrJU
マリオ「……あ、ピーチから電話だ」Prrrr

マリオ「おー、寝てたのか?こちとら無事にパワースターを241枚集めて、まもなくキノコ王国に着陸…」

マリオ「……………………」

マリオ「はああああああああああっ!?マジか!
    おう、わかった、場所の案内をすぐ頼む!それじゃっ!」ピッ



クッパ「どうしたのだ、そんな大層な剣幕で」

ルイージ「い、一体何があったの?」



マリオ「かなり確証の高い推測、という段階だが。…………

    ロゼッタが――
    ディメーンの野郎に空間転移で攫われたらしい」


クッパ「なんだとぉ!?」

ルイージ「なんだって!!?」

ヨッシー「…??」

355: Mii 2018/11/01(木) 23:55:04 ID:G5zCGrJU
デイジー「ディメーン?って誰のことよ!」ダダダッ

ピーチ「割と新参の敵よ!現実に絶望し、予言書に従い世界を作り替えようとしたノワール伯爵っていう奴の手下…
     というのが表の顔だったんだけど、実は伯爵をも利用して、ピュアハートの力で世界を征服しようとしていた極悪非道な奴!
     倒し切ったはずなのだけど…!」ダダダッ

デイジー「強いの?」ダダダッ

ピーチ「戦闘力的には私たちの足元にも及ばないけど、次元を超えた転移魔法で好き勝手移動できる厄介者ね。
     人の心を操る魔法も持ち合わせているみたいだし、ゲリラ戦法に出られたらどうしようもないわ。
     油断した隙を衝いて一撃で葬らないと、人質取られ放題よっ!」ダダダッ

デイジー「厄介極まりないねっ…!そいつがそこまで賢くないことを祈るよ!」ダダダッ

356: Mii 2018/11/01(木) 23:57:21 ID:G5zCGrJU
ユサ、ユサ。
誰かが、倒れている私の体を乱暴に揺さぶる。

ロゼッタ「…………うぅ」ムクッ

「ようやく目が覚めましたか。呑気なんですから、全く」

視界には天井…では、ありません。
緑のような、青のような、赤のような…定まらない色、距離感の隔壁。
その光景は、横にも、前にも、地べたにさえも広がっています。
平衡感覚がおかしくなりそうです。


どうして、自分はこんなところで倒れているのか。
…いえ、その前に。そうだ、あの子を、救い出さないと!



ロゼッタ「サヤカっ!どこ、どこにいるの!?」

「…その『サヤカ』というのが、ここに迷い込んだ小さな女の子で合っているのなら…
ほら、そこに寝かせてあります。幸い、気絶しているだけのようですね」

女性の言葉にハッと振り返ると…そこには、無機質な地面を枕にして、すぅすぅと寝息を立てるサヤカの姿。
…間違いない、今度は『先ほどのように』幻覚ではありません。
感極まって、涙ぐみながら抱きしめます。

357: Mii 2018/11/01(木) 23:59:34 ID:G5zCGrJU
「…感動の対面であるのは重々承知の上ですが、我々には、とにかく時間がありません。
あなたにも、強制的に協力して頂きますよ」



……ああ、いけない。こちらの女性のことを、すっかり忘れてしまっていました。
今さらですが、敵ではないと願いたいですね。


ロゼッタ「あなたは…ええと、どちら様、ですか?」

実は、記憶を失う前の私の知り合い…という線もなくはなかったのですが、杞憂だった模様です。
問うと、彼女は左手で眼鏡をくいっと持ち上げ、しっかりと掛け直し…

ナスタシア「わたくし、ナスタシアと申します。
       …まあ色々あって、ピーチ姫のサポートの元、ディメーンに関する諜報活動を行っておりました。
       結局、後手に回ってしまっている有様ですが、この通り…」




そう自嘲するナスタシアの右腕は…肘から先が、ありませんでした。

358: Mii 2018/11/02(金) 00:01:47 ID:MuNJghdo
ロゼッタ「…た、大変ですっ!はやく治療を…いえ、杖がなければ無理な話でしたか…」ガックリ

ナスタシア「ご心配なく。最低限の治療と痛み止めは済ませました。…少しは魔法の知見があるようですね」

ロゼッタ「…む、ちょっといいですか?この傷跡…
      通常の衝撃、斬撃では有り得ないほどスパッと斬られています。
      まるで、空間ごと『無くなった』ようですね」

ナスタシア「…っ!失礼しました、かなりの魔法の使い手と見受けられます。一瞬でそこまで読み取るとは…!
       その通りです。辛うじてメールのボタンを押すことはできましたが、
       次の瞬間には肘の先がPCごと消し飛ばされていました。
       あと1秒、腕を引っ込めるのが遅ければ…体ごと消し飛んでいたかも知れません」

ロゼッタ「…いえ、たまたま私の得意分野であっただけですよ」





――して、対峙しなければならない敵とは。

359: Mii 2018/11/02(金) 00:05:10 ID:MuNJghdo
ナスタシア「…この異空間の製作者、『ディメーン』。かつてマリオ達に負け、滅ぼされた存在。
       …厳密には私も滅ぼされるべき存在だったのですが、恩赦を頂きました。

       用心深いピーチ姫は、キノコ王国の災いとなり得る強大な、あるいは特異体質の敵と戦った場合、
       仮に倒したとしても、一定期間は生存・潜伏を疑い続けて、調査を惜しまないようですね。
       私も、ノワール伯爵亡き今、ピーチ姫の元で情報収集にあたっておりました。

       さすがにもう大丈夫でしょう…と高を括っていたところに、このありさま。
       …しかし、自分の不甲斐なさを悔やむのは後で結構。
       …ここで、伯爵様が『守って見せた』世界を傷付け、滅ぼしてしまっては…
       悔やむことすら、一生許されなくなってしまう」

そう、強い口調で言い切る彼女には、疲労と焦りが垣間見えました。



ロゼッタ「そもそも、マリオ達によって滅ぼされたといいながら復活しているのはなぜなのですか?」

ナスタシア「…わかりません。もともと幻影や分身体を使って神出鬼没な行動を取る男でしたから。
       咄嗟に入れ替わって、本体は生き延びていたのかもしれません。
       一応、転移魔法を行使できるのは本体だけ…というのは分かっているのですが」

それはそうでしょう。分身体まで転移魔法を好きに使えるならば、
本体が寝ている間に世界征服など楽にできそうです。

360: Mii 2018/11/02(金) 00:14:25 ID:MuNJghdo
ナスタシア「…今は、何故復活できたのかは後回しです。それよりも都合が悪いのが、
       以前よりもかの道化師の転移能力が上がっているらしいことです。
       本当に、一刻も早くなんとかしなければ…!」



「それは、無理な相談だね~」



空間把握に長けている私は、すぐに気付きましたが…やや遅れたナスタシアは、大層驚いたのか、
後ずさって尻もちをついてしまいました。



おどけた表情の仮面と、ひょうきんな服装。なるほど、この道化師が…。

ディメーン「ボンジュール、マドモアゼル ロゼッタ。 ボクは不死身の道化師、ディメーンさ。以後、お見知りおきを。
       戻って来てみたら、ボクについて噂しているものだから驚いたよ~」

ロゼッタ「私の名前を何故知っているのかはさておき…私たちを、ここに捕らえる目的は一体なんですか?
      …まあ、十中八九、交渉材料なのでしょうけど」

ディメーン「分かってるなら、話が早くて助かるよ。この数年で、ボクもケッコー、チカラを付けたけど…
       確実に勝つためには必要だからね~。

       絆の力とか、一致団結とか、ボクは大っ嫌いなんだけど…芋ズル式に崩壊していく綻びになってくれるなら、
       ちょっとは好きになってあげてもいいかな」

ロゼッタ「…………戯言を」

361: Mii 2018/11/02(金) 00:17:49 ID:MuNJghdo
ディメーン「それにしても、ロゼッタ。キミには驚いたよ!
       色々観察してて、デイジーって子より圧倒的に劣る能力しかないことがわかった。
       そのくせ、デイジーって子をまず転移させようとしたら、
       罠に『ギリギリで』気付いて捨て身で助けちゃうんだから。
       興味を惹かれたのと、その勇気に免じて、デイジーがキノコ城に駆けていくのは見逃しておいてやったよ」

ロゼッタ「…それはありがとうございました」

ディメーン「…おっと。ピーチ姫ご一行がご到着だ。ちょっと表の世界に行ってくるね~。
       キミたちは、そこで遠慮なく寛いでいるといいよ。お茶は出せないけどね、んっふっふ」シュンッ


――――ピーチ姫。どうか、無事でいてください。

362: Mii 2018/11/02(金) 20:54:06 ID:MuNJghdo
シュパッ。

ディメーン「やあ、お久しぶり…」


ピーチ「ヒステリック・ボムゥーーっ!!」カッ!



ドドドドドドドカアァァーン!!



ピーチ「これにて一丁上がり!……と、行ってくれればよかったんだけれどね」

ディメーン1「そうは問屋が卸さない、ってね!残念でしたー!」ケラケラ

ディメーン2「でしたー!」

ディメーン3「でしたー!」

ルイージ「わわ、分裂したよ兄さん!気持ち悪い!」

ディメーン1「失礼だね、芸術的と言ってくれないか?」

363: Mii 2018/11/02(金) 22:42:01 ID:MuNJghdo
マリオ「…どうしたよディメーン、今回はルイージに執着してないのか?」

ディメーン1「あーんな予言書、もはや何の未練もないね。そしてそこのトゲトゲくん、キミには御礼を言うよ。
        確かに、預言書を盲信するより、我が身を信じて信じ切る方が遥かにエレガントだと分かったのさ。

        そう…我が身を極限の境地に、真の頂に持って行ける最高の『参考書』を…ボクは手にしたんだよね~!
        まさに天啓!いや、むしろ天命!世界は、ボクを見捨ててはいなかった!」

クッパ「最高の…参考書、だと!?」

ディメーン2「この世の理、全てが記された古文書さ。ボクが言えるのは、ここまで。後は勝手に想像したらどうだい?

        

        ああ、そうだ。キミたちもやきもきしてるだろうから、本題に入ろうか。
        薄々気付いている通り、ナスタシアとロゼッタ…あ、あと一人女の子がいたっけ。
        まあ、餌の役割は果たしたから、もうどうでもいいか。
        
        彼女たちは、ボクによって異空間に捕らえられている。
        生かすも殺すも、キミたちの態度と…ボクの気分次第だね~」

366: Mii 2018/11/03(土) 17:36:06 ID:H.lk9j0s
デイジー「…な、何が望みなのよ!!」

ディメーン3「そうだなあ…たとえばここで、『主要メンツ、全員自ら命を絶て』と命令したところで、
       流石に人質に対して重すぎる命令だから、命令が意味をなさないでしょ?」

ピーチ「まあ、当然ね。そこをはき違える私たちではないわ」

ディメーン3「というわけで、ボクからはただ1つ。『何もするな』」

デイジー「…え?それって、どういう…」

マリオ「…………要するに、どんな破壊活動も、攻撃も、ひたすら黙って…されるがままにしろってことか。
     こちらがブチ切れて抵抗した時点で、彼女たちの命は尽きる。…我慢さえしておけば、とりあえず生き永らえると。
     時間稼ぎの抜け道をあえて与え、思考を鈍らせ、己の鬱憤晴らしを兼ねて戦意を吸い取ろうとする…ありがちな作戦だな
   
     (頃合いを見計らって、どうせ何か仕掛けてくるだろうがな)」

ディメーン1「なんか耳障りな言い方だけど…ピンポンピンポン、だーいせーいかーい!
        さっすがヒゲヒゲくん。抵抗1回につき、もれなく御一人様、三途の川へご招たーい!

        ほらほら、ボクの方が先にバテて、御免なさいもうしませんって土下座して謝るかもしれないよ?
        可能性があるっていいことだよね~!」

マリオ(趣味も手癖も悪いぜ、まったく)

367: Mii 2018/11/03(土) 17:39:59 ID:H.lk9j0s
デイジー「」ブチィ

ピーチ(癪に障ることこの上ないけど、先手を取られた以上…仕方ない。
     なんとか解決策を考えないと…)ギリッ

クッパ「…フン。面白いじゃないか、ワガハイは別に構わんぞ?受けて立つのだ!
     せいぜい楽しませてもらおう!」

ルイージ「そりゃないよ、見損なったよクッパ!
      そりゃ、クッパにしてみればキノコ王国のことなんてどうでもいいかもしれないけどさあ…!」

クッパ(…黙って耐え切ってやるわ!って意味で啖呵切ったんだけどなー)ションボリ

マリオ(俺は分かってるぞ)ポンポン

ピーチ(私も私も)フフ

ピーチ「…分かったわよ、じゃあそれd」








ダダダダッ…

デイジー「お嬢様打法――――ハリセンビンタァ!!!!」バチコーーン!!

368: Mii 2018/11/03(土) 17:49:28 ID:H.lk9j0s
ディメーン1「…………」キンッ

デイジー「チッ。普通に、変な壁で防がれちゃったか。でも、こいつが本物みたいね!」





ディメーン1「…ハァ。マドモアゼル デイジー…なにやってくれちゃってるのかなあ?」




ピーチ「ちょっと、馬鹿っ!何勝手に攻撃してるのよっ!?」

デイジー「まだピーチ、OKの返事出し切る前じゃない。取り決めの違反行動には当たらないもんねーだ!」

ピーチ「大馬鹿者っ!」バシンッ

デイジー「…痛っ――ちょっと、なにするのよ!」

ピーチ「そういう言葉の綾で済む問題じゃない!!」

デイジー「…へ?」

ピーチ「あんな危険行動をする奴に、迂闊に言質を取らせたら…
     どんなことをされるか、想像くらい付くでしょう!?」

369: Mii 2018/11/03(土) 17:53:01 ID:H.lk9j0s
ディメーン1「……フライングかあ、いけないなあ。はーい、全員オリジナルに戻ってね~」

ディメーン2「おー」シュバッ・・・

ディメーン3「りょーかい」シュバッ・・・


ディメーン「……さってと。まあ、1回は…1回だね。ちょっと――用ができたよ。
       いやいや、面白くなってきたね~。帰ってきたとき、どんな顔してくれるかな~」シュン!




デイジー「…あ」サァッ

370: Mii 2018/11/03(土) 17:56:57 ID:H.lk9j0s
ディメーン「…ふふふ、想定外の出来事だけど、ますます面白くなってきたね…!
       ワクワク、ゾクゾクが溢れてくるよ~!」シュン!


ロゼッタ「今ですっ!」



シュッ!!



ディメーン「……っ!」クルッ



ロゼッタ(何があちらであったのか知りませんが、今はおいておき。
      空間が歪むのを感知して、思い切り投げた…残り少ないスターピース。
      事前に引き出しておいたのは不幸中の幸いでした。


     …しかし。


      あまりに弱い。弱すぎる勢い。コツンという音がして、終わり。
      10メートルほど先のディメーンに当たりこそしましたが、まるでダメージがありません。
      所詮、私の腕力と投球技術ではこの程度です。

371: Mii 2018/11/03(土) 17:59:57 ID:H.lk9j0s
ディメーン「うーん、本当にキミ、空間移動に対して勘が冴えてるね~。
       なんなら、弟子にしてあげようか?なーんちゃって」

そんなことを言われたところで、慰めにもなりません。
――おまけに。

ディメーン「でもね、どんなにお粗末な攻撃だろうと、ボクを狙ったのはいただけないな。
       そんないけない事をする愚か者には、相応の罰が、報いが必要だよね~」



――あまりにも不吉な言葉を吐き出させる原因としてしまったようでした。

372: Mii 2018/11/03(土) 18:02:36 ID:H.lk9j0s
ディメーン「ちょーっと、その子、起こさせてもらうよ?」

――掲げられた両腕が光り、サヤカに投げかけられる。
単なる覚醒魔法のよう――魔法が行使されて、しばし。
サヤカが、ゆっくりと両目を開けていきます。


サヤカ「……あれ?ここ、どこ?…………ママっ!?どうして、何がどうなってるの?
     …あ、クローバーを見つけてくれたお兄さん!」

ディメーン「ははは、子供は単純でいいよねえ。ちょっと親切にするだけで、あっさり人を信じるんだから。
       でも、おかげで色々と計画が捗ったよ、ありがとう」

サヤカ「…お兄、さん?」

――どんな誑かし方をしたのか知りませんが、その時とはおそらく…打って変わって冷えた口調に、
サヤカは困惑しているのでしょう。…あんな輩をサヤカに見せてはいられません。
手を引っ張り、私の体の陰に隠れさせます。

373: Mii 2018/11/03(土) 18:05:54 ID:H.lk9j0s
ロゼッタ「…あの人に、何をされたか覚えてる?」

サヤカ「……えっと、四つ葉のクローバーを集めやすくなるアイテムだよって言われて、
     変な葉っぱを頭に付けることにしたの。

     本当にどんどん見つけられたんだけど、なんだか意識がぼんやりしてきて、
     体が勝手に動き続けて…あんまり、何をして何をされたか、覚えてない……」

ロゼッタ「……そう。怖い思いをさせちゃって、ごめんね」


抱きしめて安心させてあげたいのはやまやまですが、警戒を怠らず、道化師を睨み続けます。
効果があるかどうかはすこぶる怪しいものですが。

サヤカ「それと…結局、プレゼント間に合わなくて…ごめんなさい」ションボリ

ロゼッタ「……いいのよ、十分」

敵を見据えながらも、少し震えているサヤカを後ろ手で…撫でてあげます。

374: Mii 2018/11/03(土) 18:11:41 ID:H.lk9j0s
ディメーン「いやあ、実はさっき、ピーチ姫と我慢対決をすることになってね?」

――ディメーンは、絶対的な立場から、面白そうに顛末を語って聴かせます。
その内容に、私も、ナスタシアも、凍り付いてしまいました。
どうしてそこまで、堕ちることができるのか。
サヤカは現実離れしすぎているのか、ポカンとするのみ。



…理不尽な理由をでっち上げられ――誰か、1人が、殺される……!?



――更には。

ディメーン「まあ、ルールを知る由もなかったキミたちは可哀想だよね。そ・こ・で!
       生きるチャンスを、与えようじゃないか。イッツ、チャンスターイム!
       話し合いでも、多数決でも、殴り合いでもいいからさぁ。





        キミたちで、犠牲者一人決めて、該当者を始末してくれない?
        ボクも決定に従い、黙って観てるからさ!」


到底、受け入れがたい選択を、迫ってきたのです。

375: Mii 2018/11/03(土) 18:17:22 ID:H.lk9j0s
固まって動けない3人の足元に、フッと…1本のナイフが転移されてきました。

ディメーン「ルールせつめーい!今から10分以内に、誰か一人の息の根を止めること!
      使いたかったらそのナイフ、使ってもいいよ~!
      んっふっふ、ボクに効かない魔法を施した特製ナイフだけどね!

      10分以内に決着が付かない、付けようとしない場合は、
      仕方ないけど全員お陀仏になってもらうから、そこんとこよろしくね~!
      どのみち、全滅してることすら、表の世界にはばれないからね~!
      まだ、逃げ道を用意してあげているんだから感謝してよ~?


      それじゃあ…計測、開始しまーす!サイコーのショーを見せてくれ!」


ディメーンが、猟奇的に、満面の笑みでこちらを眺めています。
私は、何も考えられず、指一本動かせません。



――ナスタシアが、ため息を一つ付いて、確かな足取りで…
隻腕でナイフをしっかりと握り締めました。

狙うは…私――――の後ろでビクッと震えた、サヤカ。

376: Mii 2018/11/03(土) 18:21:54 ID:H.lk9j0s
サヤカは、状況を飲み込むことができず、ただただ呆然としています。

ロゼッタ「何のつもりです、ナスタシア!協力し合うと言ったばかりではないですか!」

ナスタシア「だからこそ、ですよ。自分の命が惜しいとか、そんな世俗的判断ではありません。
       単純に、どう考えても、私と貴方の2人が生き残った方が、戦力となるだけの話です。
       サヤカには…運がなかったと諦めてもらうよりほかにありません。

       そもそも、私か貴方かどちらか1人でも退場した時点で、サヤカも確実に死にますよ?
       何を躊躇うというのです?一時の情で戦局を見誤ってはなりません」


サヤカはようやく危機を理解して――理解してしまって、
口をパクパクさせながらどんどん蒼白になっていきます。

ロゼッタ「でもっ!」

ナスタシア「お黙りなさい!この男は、やるといったらそれ以上でもそれ以下でもないことを
       平然としでかす男です!私が一番知っています!」

確かに、正論そのもの、かもしれません。
私には、反論に使える具体的な材料などありません。
でも……。

377: Mii 2018/11/03(土) 18:28:06 ID:H.lk9j0s
ロゼッタ「……………………一つ、聞かせてください。
      確かにサヤカは非力ですが、それを言うなら私も戦う術を全く持たない。
      …貴方だってそうでしょう、一体何の能力があるというのです?」

ナスタシア「…暗示、催眠術などの精神操作を少々。
       体力も、片腕のみとはいえ…少なくとも子供よりはあるつもりですが?」

ロゼッタ「精神、操作…」

ディメーン「ま、僕にはバレバレ!おまけに全然効かないけどね~!」

ナスタシア「分かっているから暴露したんですよ!それに、弱った時になら効くかもしれないでしょう、
       寝首を掻かれないことですね」

ディメーン「油断しても戦力差甚だしいことを理解してる、ナスタシア?
       己惚れるのもいい加減にしてほしいものだね」

ディメーンは嘲笑するだけ。
そんな中、私は…考え、考え、考える。




…そして、どうしようもない絶望の結論に至り…全てを割り切ったのです。
それしか、策はないのだと、分かってしまったので。

378: Mii 2018/11/03(土) 18:33:00 ID:H.lk9j0s
サヤカをやや乱暴に振り払い。ゆっくり、ナスタシアの方に歩いて行き。




ロゼッタ「なるほど…そういうことなら、ナスタシアを死なせるわけには参りませんね。
      そのナイフで刺す役目、せめて私にさせてください。
      …あ、不意打ちでナスタシアを刺すとかはしないのでご安心を」







え、と固まるナスタシアの手から――指を引きはがし優しくナイフを貰い受け。
鋭い切っ先を、サヤカに向ける。

379: Mii 2018/11/03(土) 18:35:53 ID:H.lk9j0s
サヤカ「…ママ?嘘…だよね?」

この世の終わりという表情のサヤカ。しかし、動じてはなりません。
しっかりと、言い聞かせなければ。

ロゼッタ「ほーら、左右に動いちゃ駄目よ。怖がって避けられると、上手く心臓に刺さらないでしょ?
      却って痛いことになっちゃうのよ?」

サヤカ「……………………っ!」

絶望して、足がすくんで逃げ出すこともできず、大粒の涙を流すサヤカ。



ロゼッタ「大丈夫、何も考えなければ痛くない、痛くないわ。
      痛かったとしても一瞬で済むから、さあ」

サヤカ「いつものママに戻って!お願い!」ボロボロ



3メートル、2メートル、1メートル。
サヤカとの距離が、ほぼ0になって――。

ナイフを、心臓に、違うことなく突き刺しました。

380: Mii 2018/11/03(土) 18:40:48 ID:H.lk9j0s
サヤカ(ああ、もう…どうでも、いいや。
     わたし、悪い子だったから、やっぱりママに嫌われたのかな。
     パパも、ごめんなさい――さよなら……)






サヤカ(…あれ、…………痛くない。ここは、天国?)





思わず目を瞑ってしまったけれど、どこも痛くない。
恐る恐る目を開けたら……






ママの振り上げたナイフは、そのまま腕を捻られて…
ママの胸に、深々と…刺さってた。

381: Mii 2018/11/03(土) 18:42:30 ID:H.lk9j0s
時が、止まったみたい。


ロゼッタ「ディメーン、ピーチ姫に伝えてください。
      私は、邪悪な脅しなどに屈することなく…勇敢な最期を遂げた、と」



――怖い思いさせて、ごめんね。
そんな声が聞こえた、かもしれない。

ママはニコッと笑って…笑ったように見えて…
次の瞬間、ドバっと血を吐いて倒れ込んだ。




ナニガ オコッテイルノカ、ワカラナイ。



ナスタシアさんとかいう女の人が、絶叫しながらも必死に駆け寄ってくる。
私は、体中に浴びちゃった赤い血で、一瞬なんにも考えられなくなって……
たちまち泣きじゃくって、ママにすがりついていたの。

382: Mii 2018/11/03(土) 18:45:07 ID:H.lk9j0s
サヤカ「ママ、ママ!」ボロボロ

必死に、何度も何度もママを呼ぶけれど、目を閉じたまま…全然返事がない。
ナスタシアさんが、へなへなと座り込んでしまった。

ディメーン「ほいほーい、空間把握で心停止かくにーん。
       これにて、チャンスタイムしゅうりょー!

       いやいや、泣ける話じゃないか。即興にしては上出来だよ!
       じゃあ、僕は一旦あちらの様子を伺ってくるかな、アデュー!」シュンッ




サヤカ「あああああああああ!」ボロボロ

ナスタシア「…これが…これが、貴方の出した答えというのですか。
      理解不能、です。理解したくも…ありません」

383: Mii 2018/11/03(土) 18:49:06 ID:H.lk9j0s
サヤカ「ナスタシアさんっ!魔法使いなんでしょ!
     魔法で、ママを蘇らせてよ!一生のお願い!」ボロボロ

ナスタシア「…あいにく、そのような技術もなければ、魔法の力もまるで足りません…」

サヤカ「うええぇぇぇん!!!」ガバッ

ナスタシア「いくらせがまれても、不可能な物は不可能です!分かりなさい!」グズッ



クイクイッ。



ナスタシア「ですから、私には無理だと言っているでしょう!」クルッ





ロゼッタ「……あのー」ドクドク





サヤカ「……えっ」

ナスタシア「えっ」

384: Mii 2018/11/03(土) 18:50:54 ID:H.lk9j0s
ロゼッタ「倒れた体勢なので代わりに教えてほしいのですが。ディメーン、いなくなりました?
      見張りの分身体とかもいないですね?」ドクドク

ナスタシア「……は、はい」

ロゼッタ「そうですか…………」フゥ

ロゼッタ「………………………………………」

ロゼッタ「痛い痛い痛い痛いっ!?現在進行形で吐き気千万、死んじゃいますっ!なんですかこの痛みゴホッ!?
      ってまた血を吐いてしまいましたか!?何が痛みが一瞬で終わるですか、
      そんな無責任なことを宣った人は出て来て反省してくださいよーーーっ!!!!
      ナスタシア!早く、早く暗示で鎮痛を、鎮痛をお願いします!」ドクドクドクドク

サヤカ「」

ナスタシア「」


――びっくり。ママが生きていました。

385: Mii 2018/11/03(土) 18:54:58 ID:H.lk9j0s
ピローン。

ナスタシア「…は、は、はい。暗示を掛けました。……しかし、ど、どうして!?心臓が再び動き始めて…!?
        いや、そもそもナイフの軌道は、心臓を的確に破壊したはず!」


ロゼッタ「ゴホッ…口の中も血だらけなので、背景説明もせず言葉少なに解説するとですねゴホッ、
      今の私の体、50%…半分は魔法の力で動いているのですよ。

     要するに、心臓がズタズタに破壊されて血液循環が停止し、ATP機構やらが働かなくなろうが、
     各組織は出力50%確保…生存ラインぎりぎりで動き続けるくらいならできるみたいですね。
     一か八かの賭けだったのですが、上手くいきました。今だけは特異体質に感謝ですね」

サヤカ「え、じゃあママって不死身なの!?」

ロゼッタ「…残念ながら、全ての力を生命維持に費やすから、まともに歩くこともできないわ。
      それに、重要臓器の機能不全で死ぬことはないけど、ちょっとタイムラグを作れただけで、
      このままだと出血多量によるHP切れで死ぬわね」

サヤカ「……っ!それじゃ、意味がないよ!!」


…涙が引っ込んだのもつかの間。
やっぱり、ママは死んじゃうんだ。それを知り、再び涙があふれてくる。
…でも、ママは――口元から血を流すことも気にせず、優しく語り掛けてきた。

386: Mii 2018/11/03(土) 19:00:17 ID:H.lk9j0s
ロゼッタ「ねえサヤカ、今でもママのこと、好きでいてくれている?」

こく、と小さく頷いた。

ロゼッタ「ありがとう。ママも、サヤカのこと大好きよ。
      ――このピンチを切り抜けるために、ママの命をサヤカに預ける。
      だからサヤカも、ママの言うことを信じて…言う通りに動いてほしいの。
      できる、かしら?」

サヤカ「…………わかった。私、頑張る」



ママは、私をしっかり抱きしめてくれた。血の匂いはきついけど…あったかい。



ロゼッタ「と、いうわけでですね。ナスタシア。
      あと一回だけ、私の大博打に、付き合って頂けないでしょうか?」

ナスタシア「…わかりましたよ。どうやら、貴方たちと心中するしかなさそうですね」



やれやれと呆れた感じで、ナスタシアは肩をすくめて苦笑いする。
…そう。脱出するなら、3人揃って、一人も犠牲者を出さないで。

387: Mii 2018/11/03(土) 19:07:13 ID:H.lk9j0s
ロゼッタ「とりあえず、確証があるわけではないのですが。

      『警戒無くこちらに戻ってきたディメーンに大きなダメージを与えることができれば、
      異空間が崩壊して元の世界に戻れる』ことを大前提としますが、よろしいですか?」

ナスタシア「異議ありません。行使者が弱れば魔法の維持力も連動して弱まるのは道理に適っていますし、
       そもそもその前提がなければ我々は本当に詰んでいますから。希望的推定もやむなしです」

ロゼッタ「そして、相手の魔法防御の高さや、こちらの魔法行使の制約を考えて、魔法による攻撃は論外。
      一方で、物理防御は低そうです。

      先ほど、自分では手を下さず離れたところから私たちで仲違いさせようとしたのも、
      わざわざ特製ナイフを調達したのも、肉弾戦の万が一を恐れていることの証左…
      物理的なダメージを与えるほかに道はない」


――空間把握だけで死亡を確認するあたり、ズボラな所まで私と似通っていますね。
全然嬉しくありませんが。これは是が非でも体力を付けないと。


ナスタシア「…残念ながら、その通りです。しかし、遠方に現れるディメーンを物理的に攻撃するなど…
       さきほどのようにスターピースを投げる位しか術がない。他に策があるのですか?
       言っておきますが、私でも貴方の投擲に比べて少しはマシ、という程度ですよ?
       いえ、片腕というバランスの取れていない状態では負ける可能性すらあります」

388: Mii 2018/11/03(土) 19:12:52 ID:H.lk9j0s
ロゼッタ「…いえ。また、スターピースを投げてみようと、思います。
      先ほどコツンと弱弱しく当てた時、僅かながら…ディメーンが条件反射で慌てて躱そうとしていました。
      つまり、一度転移したら数秒は待機時間が必要になる、みたいに、連続の空間転移には制約がある。
      速度さえ十分なら、スターピースを叩き込めるはずです。

      おまけに先ほどの一発で…威力を過小評価している可能性も大です。
      もう馬鹿な真似はしないだろう、とでも考えて、防御壁を張られたりはしないでしょう」




そして、温めていた作戦をサヤカとナスタシアに披露します。





サヤカ「……そんなこと、できるの?」

さすがのサヤカも、半信半疑。いえ、二信八疑くらいでしょうか?

ナスタシア「冗談じゃ、ないのですか?そんな意味不明で無謀な作戦、聞いたことがない!」

――いえいえ、ところがどっこい、大真面目な作戦なのですよ。



題して…「マリオネット作戦」という作戦名は、どうでしょうか。
おかしくなって、小さく笑うのを、2人は不思議そうに見ていました。

389: Mii 2018/11/03(土) 19:16:36 ID:H.lk9j0s
ピーチ(――ああ、ああ)

何が、サイコーのショーだ。こんなの、最低、最悪だわ。



戻ってきたディメーンが持っていたもの。――血濡れのナイフ。



ディメーン「いやあ、実に…実に素晴らしい寸劇が繰り広げられたよ。キミたちにも見せてあげたかったね、ふふ」

デイジー「……ロ、ロゼッタは?サヤカちゃんは?も、もちろん生きているわよね!?」

ディメーン「あー、うーん。どうだったっけな。
       …あ、そうそう。ピーチ姫、ロゼッタから伝言があるんだった。
       一字一句違えずに伝えるから、よーく聞くといいよ」ニヤリ



――『ピーチ姫に伝えてください。
――私は、邪悪な脅しなどに屈することなく…勇敢な最期を遂げた、と』だって。
――うん、間違いないね!



皆の目が、見開かれる。
デイジーの目から、一筋の涙が…こぼれ落ちていく。

390: Mii 2018/11/03(土) 19:18:25 ID:H.lk9j0s
デイジー「嘘よ…そんな、の」

ディメーン「そうかもね、そうじゃないかもね?
       さあさあ、どうする~?もはや守るべき者がいなくなったと開き直って、
       一気に反撃し出すかい?
       まだ全員死んだわけじゃないから、我慢を続けてみるかい?
       はっはは、究極の選択だねー!好きな方を選ぶといいよ!」


――狂っている。こんなことが、許されていいの!?


私たちのモチベーションは、もはや総崩れ。
ただただ、無気力、無抵抗。
あのマリオが、クッパでさえも、言葉を一言も発せず俯くまま。


キノコ王国のトップとして、時には少数を捨てなければならないのは分かっている。
でも、それでも…っ!

391: Mii 2018/11/03(土) 19:22:14 ID:H.lk9j0s
ディメーンは本当に、好き勝手に爆撃をしてくれている。あたり一面、焼け野原。
…いえ、私たちが動かないでいるから、まだ周辺住民には手を出さないでいる、と考えればマシか。

特に、今もしも城下に目を付けられでもしたら、どれだけの民が犠牲になることか。
星くず祭が開催中で、避難も一切済んでいないというのに。

戦闘力としては、いくら開きがあるとはいえ…
こちらの攻撃は当たらず当てられず、攻撃されるまま。ジリ貧ね。

――と、思った矢先。



マリオ「ピーチ、かわせっ!」


一瞬の隙を衝かれ、思いもよらぬ激痛が、頭を襲う。
ぐわん、ぐわんと脳が直接ハンマー攻撃でも食らい、揺さぶられるような感覚。

激しい発作に見舞われ膝をつきながらも、自分の体を確かめる。

ピーチ「……な、何?今、何が起こったの?マリオ、見えた?」

マリオ「よくわからんが…通常の魔法で、そうはダメージは受けないはずだ。
     転移魔法を利用して、何かやろうとしたな?」

ディメーン「んー、60点だね。せっかく、余所見している間に頭部を切り離して痛みも感じさせず即死させようとしたのに…
       頑丈だなあ、腹が立ってくるよ」ムカッ

――何よ、その反則行為。

392: Mii 2018/11/03(土) 19:26:23 ID:H.lk9j0s
ピーチ「…へえ、ずいぶんと器用なことができるようになっているじゃない。
     馬鹿に凶器を持たせるといいことがまるでないわね」

ディメーン「褒め言葉と受け取っておくよ~。
       …そう!これまで、物体全体の境界面が魔法行使の分解能だったボク!
       しかし、偉大な古文書のおかげで、さらに細分化して、切り離しての操作が可能となった!
       いやあ、僕って天才!?」

ピーチ「結局あなたって物に頼ってるじゃない。
    そんなことができるのなら、陰からコソッと私たちを始末すればよかったのじゃないの?」

ディメーン「甘い甘い。これは『復讐』なんだよ?そんなの、何の意味もないじゃないか。
       敵は分かっているのに為すすべもなく蹂躙される、そんな気持ちを味わってもらわなくちゃ!」



ピーチ(そんな気持ちなら、ロゼッタの訃報を聞いた段階で、なっているわよ…っ!
     これなら曖昧なままのほうがどれだけよかったことか…っ!)

393: Mii 2018/11/03(土) 19:29:24 ID:H.lk9j0s
………ふと、違和感。
何か、つじつまが合わなく、ないかしら。
いえ、気のせいか。



…気のせいじゃ、ない。




……ロゼッタの訃報が嘘か否か?それは関係ないわ。
あの夥しい血、誰かが致命傷を負ったことは疑いない。
つまりどう転んでも、胸をなでおろす状況は有り得ない。



そうじゃ、なくて。
そもそも、壮絶な最期を遂げた、みたいな回りくどいことを、ロゼッタが意味もなくディメーンに語らせるかしら?
伝われば当然こちらの指揮は下がる、それはロゼッタも重々承知のはず。
その仰々しさで言わしめた、意味……。

394: Mii 2018/11/03(土) 19:32:38 ID:H.lk9j0s
ハッと、気付いた。
ロゼッタが死んでいるのではなく、『ディメーンを騙し通せて、生きている』としたら?
言葉に隠された意味も、ガラリと変わってくるのではないかしら…?



…そういう、ことね。




だとしたら、ロゼッタは『待っている』。




タイムリミットがあることも確実。
でも……一本の、細い、細い、光明が見えた。

395: Mii 2018/11/03(土) 19:40:46 ID:H.lk9j0s
気付かれないように、感付かれないように、自然に振る舞え、私。
どんな会合よりも、演説よりも、気を引き締め過ぎてしすぎることはない。

ピーチ「…もう、アッタマに来たわ、マリオ。
    生きているかも分からない人と天秤にかけて、現実世界を危険にさらすわけにはいかない。打って出るわよ!」

マリオ「…っ!?いいのか!?」

ピーチ「仕方のない、ことよ。…じゃないと、ロゼッタが浮かばれないわ」ポロポロ



慌てず急げ。拍を調節しなさい。態度の急変を悟られないように。

396: Mii 2018/11/03(土) 19:42:09 ID:H.lk9j0s
ピーチ「それに、よく考えたら、人質たちが危害を加えられてるわけないじゃない。
     そんなことしたらディメーンにとって、交渉材料を失うだけなんだから。違う?
     あぁ、馬鹿な真似をしちゃったわ」

ディメーン「へえ?ナイフの件はどうなってるの?」

ピーチ「さっきの血はブラフ、どうせただのギミックよ。
     悔しかったら、遺体の一部でも見せてみなさいよ」ハン

ディメーン「ふーん、そんなこと言っちゃう?案外薄情だね、お姫様」

ピーチ「ペテン師の言葉を聞くだけで信じるなんて馬鹿だもの。
     私、現物を見て確かめるまで信じない性質だから」

ディメーン「あ、そう。じゃあ、言われた通り、死体を持ってこようか。待っててね」

ピーチ「……え、ま、まさか。……ううん、どうせハッタリよ!有り得ないっ!」

ディメーン「もう、おそーい!」シュンッ



ピーチ(…うん。こんなところ、かしら。あとは神に祈るのみね。
ロゼッタを信じるなら……ディメーン、『もう、おそい』のよ)

397: Mii 2018/11/03(土) 19:44:45 ID:H.lk9j0s
表世界から、異空間へと、世界が、繋がる。


空間が、歪み始める。


――ディメーンのお出ましですか。
チャンスは、たったの、一度きり。



そして……私、ロゼッタは……地に伏すことなく。
止め処なく血を垂れ流しながらも…人形のように生気を失った状態でありながらも…
ナスタシアに支えられ、しっかりと立っている。



『ディメーンの再度の転移の兆候を掴む瞬間まで、一切の感情、発奮を捨て、
HP保持に努めなさい』



ナスタシアの暗示が効きました、と、暗示が切れた瞬間に理解しました。
――ディメーンが現れるまで、あと3秒。

398: Mii 2018/11/03(土) 19:46:06 ID:H.lk9j0s
ロゼッタ「距離15、高さ3!」ビシッ

サヤカ「はいっ!」

サヤカの手には、やや小さめのスターピース。



『いい?私が指差しとともに距離と高さをメートルで指示するから、
転んでもいい、くらいの気持ちで、全力、最高速で…投げ切りなさい!』

『うん!一球にぜーんぶ込める!』

399: Mii 2018/11/03(土) 19:49:06 ID:H.lk9j0s
サヤカが、投球モーションに入ろうとする。
小さい体ながらも、狙い見極め、無駄の全くないフォームが見られるはず。

『でも、わたしの力じゃ、とても遠い距離まで勢いが出ないよ?』

『ふふ。サヤカの持つスターピースは、あくまで感覚をずらさないため。
敵に当てる必要はないの。……というより、サヤカの投擲が完璧なら、『絶対に当たらない』わ。


――ママの空間把握能力、信じなさい』

400: Mii 2018/11/03(土) 19:55:15 ID:H.lk9j0s
ナスタシアが、声高らかに……新たな暗示を。
私の脳は、命令を速やかに書き換える。

ナスタシア「ロゼッタ!この暗示宣言後、
       『1秒間、生命活動維持をカット!サヤカの身体動作の完全相似模写を最優先とせよ!』」

ロゼッタ「ハイ」スッ・・・


サヤカが、脚を振り上げる。
私も、脚を振り上げる。

サヤカが、胸を張り、全身を躍動させ、スターピースに勢いを与える。
私も、胸を張り、全身を躍動させ、大きなスターピースに大きな勢いを与える。

サヤカの拳の中で、スターピースは…加速する。
私の拳の中で、大きなスターピースは…たちまち加速する。


サヤカに全てのモーションをクイックにしてもらって、更に相似拡大効果を上乗せ。
私の体は、サヤカに操られ、鈍い音を立てながらも、傷口を広げつつも、動く、動く。

『無意識に魔法の力を使って』、自分のまるで意図しない方向に、意図しない速さで、
セーブもなしに動くものだから、鎮痛暗示が意味をなさないほどに、痛い、痛い、痛すぎる。
組織の停止、無酸素状態の襲来までも。涙を堪え、歯を食いしばる。
――お手本があれば、動かすことは、できるっ!

ディメーンが現れる、1秒前。
でも、これで、届く――。

401: Mii 2018/11/03(土) 19:57:55 ID:H.lk9j0s
――しかし、大きな誤算に気付き、愕然としました。




――このままでは…勢いはあっても、当たらないっ!?




サヤカとの位置関係から、補正した距離情報を手短に伝えましたが、不十分だった…?

体格差を考慮した補正が間違ってしまっていた…?

いえ、サヤカが狙って投げるには高低差がありすぎる不慣れさが原因…?。

モーションを早めてしまったために、リリースポイントが狂った…?

身体動作にガタが来た、あるいは模写が不完全…?



とにかく、このまま投げては…当たらない事だけは、直感で分かってしまいました。
微妙にずれた、そっぽの方向に飛んで行って、終わりでしょう。

402: Mii 2018/11/03(土) 19:59:43 ID:H.lk9j0s
ロゼッタ(……万事休す、ですね)



――まあ、博打は博打なりに、最善は尽くしました。潮時というものでしょうか。
――最後の最後で、結局サヤカを裏切ることになってしまいましたが、許してくれるでしょう。




……なーんて諦めができるほど、人間、できてはいないのです。





なんとしてでもマリオやピーチと合流し、にっくき敵を叩きのめし。
ケガなんてどこへやらと全身完治させ。


また、サヤカと一緒に笑いながらキャッチピースをして。
一緒に綿飴を半分こするのです。







ロゼッタ(……………………わた、あめ)

403: Mii 2018/11/03(土) 20:03:17 ID:H.lk9j0s
ロゼッタ「……っ!」キッ

暗示が解けた、直後。スターピースが手元を離れる、直前。
神経を研ぎ澄まし、集中、集中、集中っ!!

生命活動さんは、1回じゃなくて2回お休み。
組織へ注がれようとした全身の魔力を奔流とし、投げる右手に萃(あつ)める。
耐え切れず、手首が腫れ、血を流し、どんどん裂けて行きますが、あとで何とでもなるでしょう。



血飛沫まで巻き込みながら、スターピースの周りが光り、空間が渦を巻く。





ロゼッタ「はあああああああああああぁぁぁーっ!!」




とうとう、私の体から離れた、スターピースは。

ゴオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!

自分でも信じられないくらいの高速で、うなりを上げて飛んで行き…
出現したばかりのディメーンの腹部に、しかと、突き刺さったのです。

404: Mii 2018/11/03(土) 20:07:38 ID:H.lk9j0s
ディメーン「か、はっ!?」

一条の弾丸に、気付いたころには、もう遅し。


――馬鹿な、何が起きた!

――まずい、空間が、割れていく!?

ボクの行動に、不備などなかった。なのに、どうしてアイツは皮一枚繋がって生きている!?
いや、生きていたところで、このスターピースの勢いはなんだ!?



景色はたちまち、表世界へ。



あの3人は墜落、しかしすぐさまピーチ姫が駆け込んでいく。
確実に助けられ回復を施されるだろう。



ディメーン「何故だ…何故だ!許さない許さない許さないっ!ふざけるな!」

初めて事が上手く運ばなかったことに、煮えたぎる湯のように怒りが込み上がってきた。

405: Mii 2018/11/03(土) 20:10:17 ID:H.lk9j0s
ピーチ「ロゼッタ!!やっぱり生きてたのね!」ポロポロ

デイジー「うわーん!」ダキッ



ロゼッタ「ぎゃふ(吐血)」チーン



ピーチ「…って、とんでもない重体じゃない!!
     『みんなげんきになあれ』!『おねがいカムバック』!10連打ァ!!!!」パアアアアアアアアアアア



ロゼッタ「…ふう。なんとか、生き永らえちゃいました」パアアァァァ

ルイージ「びえええええ、よかったよおおおお」

デイジー「顔ぐっちゃぐちゃじゃん、気色悪いよ」グズッ

ルイージ「なんか理不尽だよぉ!」ビェェ




ピーチ「ナスタシアも。お疲れさま、そして本当に…ありがとう」

ナスタシア「ふふ、こちらこそ、意外性の塊の彼女に助けられました。本当に、いい友人をお持ちですね。
       …ああ、やはり両手があると安心します」ホッ

406: Mii 2018/11/03(土) 20:15:26 ID:H.lk9j0s
サヤカ「ママ、ありがとう!うわーん!」ダキツキ

ピーチ「ああ、この子が噂のロゼッタの子供ね。本当に…本当によく、耐え抜いたわ。
     ロゼッタに似たのかしらね」

ピーチ姫が、微笑みます。

ロゼッタ(サヤカが、血濡れではありますが満面の笑み…いえ、涙。ええ、これで一安心。
      さあ…形勢逆転、反撃の狼煙と行きたい所!
      …まあ、私の出る幕はないでしょうが!)グッ

サヤカ「…でも、さっきのボール…じゃなくてスターピース、周りに風を纏って、物凄い速さで飛んで行ったね。
     一体、何をしたの!?わたし、あんなことやってないよ!?」

ロゼッタ「……どうしても、最後の最後でスターピースの軌道がずれることに気付いたのよ。
      だから、体中の魔力を振り絞って、強烈なスピンを掛けながら強引に軌道修正したの。

      回転体は、物理的に回転軸方向を保とうとする復元力が働くから…
      回転軸方向が進行方向に一致すれば、おそらくブレを抑えられると思って。
 
      まあ、体の限界も考えずに行き当たりばったりで試したから、
      腕が雑巾みたいに千切れる寸前までダメージを受けたけどね」

407: Mii 2018/11/03(土) 20:24:05 ID:H.lk9j0s
サヤカは、一瞬息を飲み…ますます目を輝かせました。

サヤカ「凄い、凄いよ!ママ!物理?とか、理論は難しすぎて、よくわかんないけど!」ピョンピョン

ロゼッタ「ええ、まさか綿飴機から連想して機転を利かせられるとは。本当によかったわ!」

サヤカ「そうじゃなくて!…あ、えっと、それもそうだけど!



    ママが投げたの、きっと『ジャイロボール』……

    いや、それどころじゃない。『ハイスピンジャイロボール』だよ!」





ロゼッタ「…じゃいろ、ぼーる?」

サヤカ「一流の野球投手でも、投げられるのがほーんの一握りしかいない、すっごく強力な投球法だよっ!
     初速からの減速を極限まで抑えられて、ストレートが物凄く伸びるボールになるの!

     ママはそれをいきなり投げられたんだよ!」キラキラ

ロゼッタ「まあ、まあ!それは喜ばなければならないわね!」

…まあ、ズルをしているのだけれど。せっかくサヤカが飛び上がらんばかりに喜んでいるのだもの、
言わないでおきましょう。

409: Mii 2018/11/15(木) 22:21:39 ID:ziBygO06
と、そのとき。


ふたたびピリッとした空間のざわめきを感じ取り、慌ててそちらを見やります。
何事か、と不思議がっていたピーチ姫たちも、私に釣られて。



――分かりきってはいましたが、倒し切ったというわけでは…さらさらなさそうですね。
中空にクルクルッ…と空間を割って、ディメーンが現れました。


今度はしっかり防御壁を引っ提げて現れる徹底ぶり…流石に警戒したのでしょう。
苦悶の表情…というよりは、憤怒、激怒の感情がありありと伺えます。
目に入ったもの全て、焼き払って灰にしてしまいたい、といわんばかり。

410: Mii 2018/11/15(木) 22:26:11 ID:ziBygO06
ディメーン「ふざけるな…ふざけるなっ!今のボクは最強、無敵なんだ!お前らごときに負けるはずがない!
       …もういい、出し惜しみなどしないでフルパワーを出してやる!後悔しても、遅いからな!」

マリオ(いつものニヤケ節はどこへやら、か。すっかり逆上して隙を作ってくれてるのはいいが…『スーパージャンプ(RPGver.)』!)

ルイージ(かといって、無茶苦茶に暴れられるってのも困るんだよね!『スーパージャンプ(スペマリver.)』だっ!)

マリオとルイージが、それぞれ別々の死角方向からジャンプ攻撃を仕掛けます。
しかし、マリオの強烈な踏みつけも、ルイージの大砲のような叩き上げも、空間転移によって難なく避けられてしまいました。

あの2人ですら、スピードで追いつかないなんて。

あわやぶつかる、というタイミングで、2人はひらりと体をそらし、そのまま見事着地。
拍手喝采の動きですが、警戒しながら戻ってきた本人たちは不満そうです。

マリオ「…やばいな、今ので速度不足だと、もう転移後のまぐれ当たりに賭けるくらいしかないぞ。
    そもそも当たったところで、防御壁を壊せるかもよくわからん。あれがなけりゃ、一撃なんだが」

ピーチ「…こうなったら、ロゼッタ。貴方にも戦ってもらうわよ。いいわね?…デイジー、杖を返してあげて」

デイジー「わかった!はいっ!」

ロゼッタ「…は、はい。出る幕、ありましたか…」

気力的に、かなり限界なのですが……。傷こそ完治していますが体中血だらけで、いざ戦ってやろう…という気概も中々見せられません。
…しかし、緊急事態は未だ続いているので仕方がないでしょう。久しぶりに、杖をしっかりと手にします。
キラリ、と杖が輝きました。よろしくお願いしますね。

411: Mii 2018/11/15(木) 22:29:09 ID:ziBygO06
ピーチ「手短にロゼッタの攻撃魔法の威力、効果範囲を教えて。作戦を立てるわ。
     私よりも魔法Lvが高いんだもの、期待しているわよ!」

ロゼッタ「…ええっ!?きゅ、急にそんなこと言われて、も…!」



――ま、まずいです。なんだか、ハードルをかなり高く設定されている気がします。
そんなに大したことはできません。幻滅されそうなのですが…!

ロゼッタ「…………すいません、そういうことなら、ご期待には沿えません。
     ――――実は私、『回復魔法』と『空間魔法』以外は一切使えないんです。
     そもそも、敵と対峙するなんで経験がまるでなかった、もので」

私の声は、尻すぼみ。
耳にしたピーチやマリオは驚天動地。魔法使いとして有り得ない、という顔を思い切り向けてきます。

ピーチ「……はああああああっ!?何よそれ!?」

ロゼッタ「それに加えて…ピーチ姫も薄々気付かれていると思いますが。
      私は最大FPが貧弱なせいで、まるで魔法Lvの高さを活かせない体たらく…本当にすいません」シュン




空間魔法は、FP燃費が唯でさえ凄まじく悪いのに。
行使すること自体は 『簡単』 なのですが…。

412: Mii 2018/11/15(木) 22:34:09 ID:ziBygO06
ピーチ「…私も悪かったわ、いきなり実践投入は難しいもんね。気を落とさないでちょうだい。
     …じゃあ、回復はお願いできるかしら?」


…それが、それすらも容易ではないのです、私の場合。


ロゼッタ「……えっと、私の回復魔法はFPを最大値近く消費するので、
      杖が戻ったとはいえ今はちょっと…だいぶ体の枯渇領域に還元してしまいましたし…」ビクビク

ピーチ「どうしてよっ!?回復魔法ってそんなにFP使わないでしょ!?本当に魔法Lv高いの、ロゼッタ!?」

ロゼッタ「す、すいません、全然お役に立てず…」グズッ


――やはり、魔法使いとして未熟者もいいところです、よね。


デイジー「ま、まあまあ落ち着いてよピーチ。ロゼッタ、じゃあどういうことならできる?
      きっと役に立てる場面もあるはずだよ!」

ロゼッタ「…………ディメーンの攻撃を食らいそうなとき、私の空間転移で緊急避難させる、くらいなら」

ピーチ「…よし。じゃあそれだけは頼むわよ。
    でもね、この件が片付いたら、ロゼッタはちょっと魔法の覚え直しね」

ロゼッタ「…はい!そのときはぜひ、ご教授願います!」

――よかった、少しは役に立てて。
でも、ピーチ姫に失望されないよう、精進しなくては。

413: Mii 2018/11/15(木) 22:37:02 ID:ziBygO06
ピーチ姫は、私を戦力に考えるのは難しいと捉えたのか、私およびサヤカのことをデイジー姫に任せて戦闘態勢に入りました。
私は私で、サヤカをしっかり庇いつつ、付近の様子を伺い続けます。


デイジー「…………ねえ、ロゼッタ。ちょっと聞いていい?」


と、そこに。デイジー姫が耳打ちしてきました。


ロゼッタ「はい、なんでしょう?」

デイジー「ロゼッタって、ほうき星を管理する中で、星の表面をいろいろ開拓していったんだよね。
      自分よりずっと大きくて重い物だって沢山あったでしょうに、どうやって動かしたの?
      今の話聞いてると、ロゼッタ1人じゃ何百年もの時間があったとしても無理そうなんだけど…」

ロゼッタ「チコたちのおかげです。私の魔法の杖は少し特殊でして、周囲の星々やチコから少しずつ魔力をおすそ分けしてもらい
      集積することができ、私にそれを還元してくれるのですが…。

      大勢のチコたちが集い、住み着くほうき星は、それ自体が魔力の聖域。
      チコやほうき星から魔力を供給される限り、最大値こそ定まれど、私は繰り返しFPを使用することができます」

デイジー「へえ、でもやっぱり一度に行使できるFPは限られるんだ…」

ロゼッタ「…いえ。本当の本当に一大事、という場合では、何千ものチコたちに集まってもらい、
      直接FPを転送してもらって問題に立ち向かう、ということができなくもありません。
      その場合、限界値を大幅に超えた出力で魔法を繰り出すことができます」

414: Mii 2018/11/15(木) 22:40:00 ID:ziBygO06
デイジー「…………ねえ、ロゼッタ。仮に…仮にだよ?
      FPが使い切れないくらい潤沢にあったとしたら、どのくらいのことができるの?」


ロゼッタ「そうですね…昔話になってしまいますが。
      ほうき星を管理しているとき、何千ものチコたちにFPを借り受けて、一致団結して――。






      このままでは衝突を免れないような直径数百キロの巨大隕石をやり過ごしたことなら、
      三百年くらい前にありますよ。一週間ほど目を覚まさない副作用付ですが」



デイジー姫は、何故かあんぐりと口を開けていましたが…今はどのみち関係がないことでしょう。
ここにはチコたちもいないのですから。

さあ…集中しなければ。
なけなしの勇気を、もう一度振り絞ってみます。

415: Mii 2018/11/15(木) 22:44:36 ID:ziBygO06
――ディメーンが、現れました。

右に。左に。上に。前に。後ろに。

肩車をしながら。
高笑いしながら。
リズミカルに踊りながら。
フヨフヨと漂いながら。
木々の陰に隠れながら。
屋根の上に腰掛けながら。



「「「「「さぁ~て、ボクがどこにいるか、わかるかな~?」」」」」

推定、百体以上。頭がおかしくなりそうです。




そんな中でもマリオ、そしてクッパは不敵に笑って、腕をポキポキと鳴らせてみせます。

マリオ「ここから本物を探し当てるのはしんどそうだが…とりあえず片づけるか。
    時間稼ぎに付き合う気はない、全体攻撃を駆使して一気に行くぞ」

クッパ「…だな。ディメーンの魔力を削ぎつつ、撃墜数勝負でも洒落こむとするのだ!」

さすが、我らがヒーロー、そしてそのライバル。心強い限りです。

416: Mii 2018/11/15(木) 22:47:51 ID:ziBygO06
ピーチ「油断しないでよ、どうせ本体はどこかから不意打ち仕掛けてくるんだから!」

司令塔のピーチ姫が警戒を呼びかける中、マリオとクッパが主体となって薙ぎ払い始めます。

マリオ「ツギツギジャンプ!」バキッ

クッパ「ファイアブレス!」ゴォォォ

マリオ「ウルトラジシーン!」グラグラッ

クッパ「衝撃波なのだっ!」ビシャーン!

ルイージ「た、高い所から手あたり次第ファイアボール撃っておこうっと…」

クッパ「ルイージ、真面目にやれ!スマブラ初心者か!」



それでも分身体は減った傍から増え続け、中々数を減らしてくれません。



マリオ「めんどくさいから『ヤッツケーレ』で体当たりしまくるか」ポコッ ポコッ

クッパ「ううむ、それは真面目…なのか?」

ルイージ「兄さんだけバッジ効果ずるいよー…」

417: Mii 2018/11/15(木) 22:49:42 ID:ziBygO06
そのとき、炎が私に目がけて迫ります。

とっさにサヤカを庇いつつ後ろへ…身をそらす必要もなく、横から伸びてきた長い舌に絡めとられました。

ロゼッタ「ありがとうございます! 助かりました!」

ヨッシー「まあ、お安い御用ってことで。デイジーに護衛を任せられたからには守り切って見せますよー。
      後でお菓子の一つでも下さいね」

ロゼッタ「はい、そんなことでいいなら喜んで!……え、デイジー姫に頼まれた?」



どうしたことかと振り返ると、何やらデイジー姫が身振り手振りも交えながらピーチ姫に嘆願中。
策でも浮かんだのでしょうか…?ここからではよく聞き取れません。

418: Mii 2018/11/15(木) 22:54:55 ID:ziBygO06
ピーチ「…へえ。大して有効策もないし、それが本当なら、試してみる価値はありそうね。
     わかった、デイジーは別行動を許す。その間はカバーするから」

デイジー「うん!」

ピーチ姫が、おもむろにポケットから電話を取り出し――。

ピーチ「ああ、カメック。急ぎ、クッパ城にて待機中のクッパシップを、残りの積荷そのままで全速力でキノコ王国の外れの公園まで誘導して。
     …え、理由?いいから急いでっ!

     30分以内に着いたら、ケーキの材料費全額こっちで負担してあげる。
     1時間超えたらクッパ城焼き払う!オーケー!?分かったらとっとと動きなさいっ!」

ロゼッタ「い、一体どうしたというので……」



大声の命令にたまらず驚き、口を挟もうとしたところ、これまた突然に待ったが掛かりました。
声の主のナスタシアは、妙に差し迫った様子です。

ナスタシア「ちょっと、待ってください!何をするのか知りませんが、大変なことになりました!
       速やかに場所を移してくださいっ!」

――今度は一体、何が。

419: Mii 2018/11/15(木) 22:57:53 ID:ziBygO06
ピーチ姫が、咄嗟に電話を保留しナスタシアに注目します。

ピーチ「ナスタシア、何か感付いたのっ!?」

ナスタシア「本体はどこかに潜んで分身体を作り続けていると勘違いしていましたが、どうも違います!

       分身生成間際のディメーンをマリオが殴り倒してみれば同じく分身体であった、というケースが見られます!
       私が知り得ていた過去の情報からすれば信じられませんが、
       そのくらいの芸当は分身体にもできるようになっている!

       だったら…本体がここにいる必要、ないでしょう!?」

ピーチ「…まさかっ!」


ピーチ姫が、顔を真っ青にします。


ルイージ「どういうこと、兄さんっ!」

マリオ「そうか…こいつらおそらく、全員が分身体だ!本体はとっくに離脱してる!
     そんでもって、アドを取るために、おそらく新たな人質確保に躍起になってるぞ!」

クッパ「お、おい…じゃあ、まさか向かった先は…!?」




――まだまだ往来盛んな、キノコ城、城下っ!

420: Mii 2018/11/15(木) 23:02:06 ID:ziBygO06
ピーチ「助かったわナスタシア、全員、城下に向かうわよっ!悪いけどこっちは放置!」

分身体はワラワラ居続けますが、幸い人気はない。
後ろ髪を引かれつつも、全員、ピーチ姫に釣られて駆け出します。
…私はピーチ姫に、サヤカはデイジー姫に速やかに担がれて。

…いやまあ、サヤカをこんなところに取り残すのは論外なのですが、
なんとも恥ずかしい絵ですね。




しかし、ナスタシアの機転もむなしく。
判断の遅れは如何ともし難かったようで。


すこしばかり…遅かったようでした。

421: Mii 2018/11/15(木) 23:03:44 ID:ziBygO06
ピーチ「なんて…こと」



既にキノコ城前の広場には、ディメーンの魔法に囚われの身となっている人々が集められ、
ひしめいていたのです。

無傷というわけでもなく、抵抗したのか負傷者、重傷者も多数出てしまっている…なんということでしょう。


その数は、軽く三桁にのぼります。


ディメーン「んっふっふ!これでまた、形勢逆転だねっ!
       いやいや、こーんなお祭りを呑気に開いてくれているなんて、大助かりだよ!」



「姫様!お助け下さい!」

「うわーん、死にたくないよー!」

「このままじゃ、うちの子が死んじゃう!」

「痛い…痛いよう…!」



聞こえてくる悲鳴、鳴き声。慟哭。
ぎりっ、とピーチ姫が唇を噛み、血が滴り落ちました。

422: Mii 2018/11/15(木) 23:06:33 ID:ziBygO06
ディメーン「さ~てと、今度はしくじらないよ、マドモアゼル ピーチ。
       少しでも抵抗すれば、1人ずつ、1人ずつ、あの世に送っていくからね。

       どうあがいても、1人や2人ならともかく、全員を同時に助けることなんて夢のまた夢だしね!
       …いやあ、最初からこうしておけばよかったかな」


ナスタシア「まったく、どうしてそう、無駄に実力を付けているのですか!
       ここまで同時並行で術式展開することなど、とてもできなかったはず!」



ああ、どうしたらよいのでしょう。事態が好転した、などと考えていた過去の私を叱りたい。
思う存分魔法を発揮するディメーンを、ただ呆然と眺めるばかり。





ただ……同じ、空間魔法の使い手として。



ロゼッタ「羨ましい、なあ」


そんな言葉が、口から出てしまいました。

423: Mii 2018/11/15(木) 23:09:42 ID:ziBygO06
ピーチ「ロゼッタ、羨ましいってどういうこと?不謹慎よ」

ロゼッタ「…あ、大変申し訳ございません!ですが…
      私も、あれだけ自由に空間魔法を使い倒せたら少しはお役に立てたのに、と思いまして。

      何百年もの間――空間魔法について色々と研究・考察し、頭の中や紙の上ではそれなりの数の空間魔法を
      仕立て上げてきたのですが、FPが少ないばかりにどれもこれも使えずじまいで…
      
      たとえば、ディメーンが今行使している空間魔法も、FPがありさえすれば私にもおそらくできる程度のものです」



私の渇望が耳に入ったのか、ディメーンはケラケラと笑い出しました。

ディメーン「はははっ!頭が狂ったのかな?
       こんな高等な魔法が凡人にできるわけないだろう、マドモアゼル ロゼッタ!」

ピーチ「何よ!どうせ、さっき自慢してた『参考書』とやらの賜物でしょ!
     自分じゃ編み出せもしなかったくせに偉そうに!」



ディメーンが、囚われた1人のキノピオに爆撃を仕掛け、内壁に叩きつけました。
完全に意識が無くなり、流血も。一刻を争う状況です。
たちまちピーチ姫も口をつぐみ、涙を堪えて怒りに震えるしかありませんでした。

424: Mii 2018/11/15(木) 23:13:05 ID:ziBygO06
ディメーン「確かに参考書のおかげ…しかし、それを活かせるのは、ボクの実力あってこそ!
       さっき言わなかったっけ?

       というより、常人じゃその凄さ、真意、存在意義にすら絶対に気付けないんだよね!相当に狂気ものの書物だし!」



そう言って、ポン、と古ぼけた一冊の本を異空間から取り出します。



マリオ「狂気もの…?どういうことだ?」

ディメーン「執筆者は相当な切れ者のようでね…まあ、既にそいつを超えているだろうけど。
       どうにも『選ばれた者のみに空間魔法の極意を伝えたい』という想いから、
       カモフラージュを散りばめている。ページが引き千切られていたり、所々黒く塗り潰されていたりね。

       中でも初見で面食らったのが、一見して魔術書とはまるで無縁な…
       フィクション小説の体裁をとっているところさ」

ピーチ「フィクション、小説…!?意味が分からないわ」

ピーチ姫が話を促しつつ、隙を必死に伺います。
それを知ってか知らずか、ディメーンは大層得意そうに続けます。

425: Mii 2018/11/15(木) 23:21:27 ID:ziBygO06
ディメーン「そう…表の顔は内気な少女、しかし裏では平和な世界を脅かす悪意に魔法を駆使して人知れず立ち向かう暗躍者。
       時には意中の男性に正体がバレかけたりしてあたふたする、板挟みに遭う複雑な恋愛事情。
       ここまで言うと興味が湧くかもしれないが、傑作なのが文才なんて一切なくて…
       
       いや、わざとか、流石にマジ書きでこれはない。
       そんなこと、ボクが許したとしても宇宙が許してくれないな。
       大昔に、あまりの黒歴史創造に血反吐を吐きながら改悪に改悪を重ねて執筆したに違いない。

       全てが稚拙で素人の書き殴りっぷり。ワンパターンで先が読め過ぎる勧善懲悪ものの展開。
       ボクもうわぁ、とドン引きしながら読み進めたけどね。
       合間合間に超重要な術式のヒントが、数式が散りばめられているのだもの。
       どんなに馬鹿丸出しな書物でも、ボクにとっては聖書だよ」

ピーチ「まるであなたみたいな趣味の悪さね…」







ロゼッタ「……………………ん?」

426: Mii 2018/11/15(木) 23:22:57 ID:ziBygO06
ディメーン「そして、これがその代物…
       『星に願いし亜空の魔女 ~おたすけウィッチ、三日月に舞う~』だね。
       いやあ、タイトルもふざけ過ぎて逆に天才と思わせないかい!?」

ピーチ「星に願いし亜空の魔女……なんて厨二設定なの…!」





ロゼッタ「」

ロゼッタ「」

ロゼッタ「……は?」

マリオ「…………ロゼッタ?どしたの?」ユサユサ

427: Mii 2018/11/15(木) 23:26:50 ID:ziBygO06
ディメーン「それに、一緒についてたメモ用紙があったんだけどさー。


       『シリーズ累計150万部突破の超大作!書店にて全10巻、好評発売中!
        ① おたすけ☆ウィッチ、その名はロゼりん!
        ② 古の遺跡と風を司りし巫女
        ③ おたすけ☆ウィッチ、三日月に舞う
        ④ 激闘!紅蓮の使者現る
        ⑤ 内気な魔女の恋愛事情
        ⑥ 挫折と涙と、シューティング☆スター!
        ⑦ 星降る夜の舞踏会
        ⑧ スターダスト・ラブソディ
        ⑨ 響け!疾風の協奏曲
        ⑩ おたすけ☆ウィッチと空中庭園!            』


       だってさ。第3巻執筆時点で第10巻までのタイトル付けの皮算用までするなんて、
       素面だとしたら頭のネジが緩んでいないか気になる思考回路だね」

ロゼッタ「えっちょっ待って」ガクガク

ピーチ「…本当にそれ、参考書たりえるの?」

ルイージ「……………………」

428: Mii 2018/11/15(木) 23:31:01 ID:ziBygO06
ディメーン「●●知識もないのに●●めいたことを無理やり書こうとしてさ。
       こそあど言葉で誤魔化すわ、ますます稚拙さが露わになるわ、急に場面が飛んで逃げるわ、
       いつの間にか距離が縮まってるわ、そのくせ強引に三角関係とか描写しようと空回りするわ…

       知的なボクですら…いやボクだからこそ顔が強張る展開が目白押しだったよ、うんうん」

ロゼッタ「ゴフッ(吐血)」

ピーチ「うわあ、それはないわー…」

クッパ「…………………………………………」

429: Mii 2018/11/15(木) 23:35:31 ID:ziBygO06
ディメーン「極めつけにさ、隕石が落ちてきたときに、フィクションにありがちなご都合展開で回避するんだけど、
       その時の主人公が

        『この顛末がまぐれではないかって?違うわ、私は真に驚くべき魔法を編纂して見せた。
        でも、ここで語ることはできないわ。だって、私の人生という限られた日記に記すには、
        余白が狭すぎるんだもの(キリッ)』

         って独り言で締めくくるんだよ。もう大うけで大うけで。――あー、語れてすっきりした。
         少しは誰かに共感して貰いたかったんでね。

         こんな内容のくせして、空間魔法の極意を散りばめた一冊なんだからamazing!」

ロゼッタ「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

ピーチ「さっきからうるさいわよロゼッタ!?ってか、なんで吐血してるの!?」

マリオ「うわあ」

ルイージ「うわあ」

クッパ「うわあ」

430: Mii 2018/11/15(木) 23:37:31 ID:ziBygO06
マリオ「…なあディメーン、その本、どうやって入手した?」

ディメーン「宇宙空間に漂っていたところを偶然拾ったよ?」

マリオ「…ロゼッタ、負の遺産であることに気付いてちゃんと焼却処分した?」

ロゼッタ「ちゃんと原本除いてブラックホールに放り込みましたよっ!!」グズッ

マリオ「きっと奇跡的にホワイトホールから無傷で出てきちゃったんだな……
     ってか原本は現存する上に複製までしたのかよ」

ピーチ「…え?」

ルイージ「」

クッパ「」

ロゼッタ「……すいません、今のなしで」

ディメーン「???」

ピーチ「ロゼッタ……………………あなた、まさか」


ロゼッタ「そんな目で私を見ないでくださいぃーーーーーーっ!!」

431: Mii 2018/11/15(木) 23:41:06 ID:ziBygO06
ロゼッタ「死にたいです…いっそ殺してください…」orz

サヤカ「私はママに生きていてほしいよ!?死にたいなんて言わないで!」

茶化す気持ちなど全くないサヤカだけが、唯一の救い……っ!




サヤカ「だから、頑張って!ロゼりん!」




ドグシャァアアアア!!
立ち上がろうとして言葉の刃に切り裂かれ、地に倒れ伏しました。

マリオ「大変だ!ロゼりんがまた血を吐いてるっ!」

ルイージ「頑張れロゼりん!負けるなロゼりん!」

ピーチ「わ、私は信じてるからね!ろ、ロゼりんは強い子だって……!」

クッパ「ロゼりんロゼりんしつこいぞ!いい加減にしてやれ!全く酷い奴らだ、なあロゼりん」

ロゼッタ「」

ナスタシア「…が、頑張って、ください?」アセ

ロゼッタは めのまえが まっくらに なった▼

434: Mii 2018/11/21(水) 06:03:56 ID:Jyf9E9g2
公開処刑されたところで…黒い影が広場を覆います。
虚ろな目で上空を見やると…プロペラが轟音を立てて高速で向かってくる塊ひとつ。



カメック「ピーチ姫―!…クッパ様!?一体どういう!
     ええい、とりあえず急遽の行き先変更もこなして、クッパシップ持ってきましたよー!」

ピーチ「来た…っ!話に興味がある振りをして時間稼ぎした甲斐があったわ!」

ロゼッタ「なんだ、時間稼ぎだったのですか…って絶対違いますよねっ!
     でも怖いのでそういうことにしておいてくださいオネガイシマス!」

ピーチ「デイジー、さっさと降りてきなさいっ!!」

デイジー「もう飛び降りてまーす!!」シュバッ



いつの間に、飛行船と合流していたのでしょうか。
デイジー姫を見かけないと思っていたら、飛行船に用事があったみたいです。

435: Mii 2018/11/21(水) 06:06:09 ID:Jyf9E9g2
数十メートルの高さを、フラワーパラソルを使いながらほどよい速度で降下してきた、デイジー姫。
そのまま、なんと私に抱き着いて来ました。え?え?え?

というより、なんでしょう。すごく、甘ったるい匂いがします。
見れば…デイジー姫の服が、あちこち…べっとり薄茶色の液体でべた付いています。

ロゼッタ「一体、何をしてきたのですか?凄まじく甘い香りがするのですが…」

デイジー「ロゼッタ、話は後!背中、向けて!!ちょっと…気張りなさいよっ!」

な、なんだかよく分からないうちに、体を反転させられます。
私の視線の先には、いまいちよくわからず、手を下しかねているディメーンの姿。




と、その時です。
私の背中の中央が、ポッと熱くなりました。





デイジー「おっちょこちょいで突っ走りすぎることもある、迷惑かけてばっかり、
      だけど………………だけどっ!」

背中に手を置かれているのですか――そう、思った矢先――!

436: Mii 2018/11/21(水) 06:08:27 ID:Jyf9E9g2
次の、瞬間。



デイジー「――――サラサランドの花の紋章を、舐めるなぁーっ!!
      

       『花々の祝福《フラワーギフト》』、発動っ!!」ゴオオォォォ!



ロゼッタ「……っ!」

背中から感じる、強烈な光、光、光――!!そして、燃え盛るような激しい熱。



何が、起こっているのか。
ただただ、背中が、熱い。熱い。突然のことに目を見開く。
ドレスの背中の部分が焼け焦げ、手のひら分の円形に背中が露出する感触。



しかし、最高に……心地よい。
ぽかぽかとした春の日差しの真っただ中にいるような感覚。
自然と目を瞑り、身を委ねていく――。

437: Mii 2018/11/21(水) 06:10:06 ID:Jyf9E9g2
ピーチ「どう、デイジー!?作戦の方は上々!?」

FP 9999/9999
デイジー「うぷっ…ハニーシロップ!メイプルシロップ!!ローヤルゼリーっ!!
      吐きかける直前まで、材料余りを腹に収めたっての!
      確実にFP満タンになってるわ!細工は流々!仕上げを御覧じろってね!

      
      ――――持ってけ、ドロボーっ!!!」ピカァァーーーーーッ!



FP 64/128
ロゼッタ「……………!」パアア



FP 【1000】 / 128  デンッ!
ロゼッタ「……力が………」パアアアア



FP【3000】 / 128 デデンッ!
ロゼッタ「ああ――」




FP【6000】 / 128
ロゼッタ「……力が、湧いて、きます――!」ゴゴゴゴゴゴ・・・!

438: Mii 2018/11/21(水) 06:12:06 ID:Jyf9E9g2
薄目を開けてみれば、ディメーンは、あっけに取られているよう。
…いえ、ようやく我に返って、人質を攻撃する素振りで牽制を掛けてきました。

しかし、相当動転しているのが幸い。
どのみちデイジー姫の大魔法は中断できないようなので、ディメーンの提示したルールに従うならば
人質の命を奪われてもおかしくなかったのですが。

あくまで『泣き叫ばせるような負傷を与えられる』に留まり、ぎりぎり犠牲者を出さずに済みました。
…もちろん、負傷者当人からしてみればどちらにせよたまったものではないでしょうが。





デイジー姫が魔法の行使を終えたらしく、背中の感触が弱まっていき…そして、無くなります。
そのまま、ぺたんと座り込んでしまったデイジー姫。



ロゼッタ「………………………」



私は…俯いたまま、微動だにしません。

439: Mii 2018/11/21(水) 06:13:35 ID:Jyf9E9g2
デイジー「…………ハァ、ハァ……………………ロゼッタ!?」


おそらく、FPを注ぎ過ぎて、異常をきたしているのではないかという心配があるようですが――
その心配には、及びません。



穏やかに、ゆっくりと――顔を上げていき…

ロゼッタ「…………デイジー、姫」

FP 0 /9999
デイジー「……う、うん。ロゼッタ、なに?」





FP 【10063】 / 128
ロゼッタ「―――――感謝、致しますっ!貴方に最大級の称賛と祝福を!」ゴオオオオオオォォォッ!!




魔力開放。

私の体は、実体化して溢れだす青色の魔力に幾重にも包まれ、勝利を確信させたのです。

440: Mii 2018/11/21(水) 06:15:35 ID:Jyf9E9g2
マリオ「……なんだ、一体」ポカーン



マリオですら、この超常現象に唖然としています。
私も、あまり詳しいことは理解できていないのですが。この魔力の衣を纏った状態の私…
自称「おたすけウィッチ」状態は、体質が最高に「空間魔法向き」になっているようなのです。
ちょっとやそっとでは負けません!



ディメーン「…ほう、これは。なるほど、キミがこの戦局のジョーカー足り得たということだね~」

敵は、好敵手を見つけたとばかりに微笑んでいますが…
あいにく、交戦は既に始まっているのです。

まずは、万が一にも犠牲者を出さないためにも…っ!
空間魔法より先んじて――回復魔法をっ!



ロゼッタ「Starlit Wish《星に願いを》――!」


杖を一振り。優雅に華麗に、されど控えめに美しく。

441: Mii 2018/11/21(水) 06:18:51 ID:Jyf9E9g2
FP 【9943】/128 ガクンッ
ロゼッタ「これで、どうしょうか…!」

ディメーン「あっはは、なんだか猛烈にFPを消費してない?腕が悪いんじゃないの?
       回復魔法ってせいぜいFPを10消費する程度だろ?」



パアアアアアァァァ!!
ロゼッタの 願いが 叶った!


ロゼッタ(EX)のHPが 50 %回復した!
サヤカのHPが50%回復した!
マリオのHPが50 %回復した!
ルイージのHPが50%回復した!
ピーチのHPが50%回復した!
クッパのHPが50%回復した!
デイジーのHPが50%回復した!
ヨッシーのHPが50%回復した!
ナスタシアのHPが50%回復した!

マリオ「おお、ダメージがすっかりなくなったぞ!」ブンブン!

ピーチ「ほ、ほんとだわ!」

442: Mii 2018/11/21(水) 06:20:50 ID:Jyf9E9g2
ディメーン「……ぐっ、な、中々に厄介な回復力じゃないか。
       まあ、消費FPに見合う強さはあるといったところかな」


キノピオ1「ロゼッタ姫―!そんな奴に負けないでください!私はまだまだ大丈夫であります!」

障壁貫通!キノピオ1のHPが50%回復した!



ディメーン「……ん?」




障壁貫通!キノピオ42人のHPがそれぞれ50%回復した!
障壁貫通!商売人197人のHPがそれぞれ50%回復した!
障壁貫通!観光客2961人のHPがそれぞれ50%回復した!
障壁貫通!通行人1105人のHPがそれぞれ50%回復した!
障壁貫通!警備員360人のHPがそれぞれ50%回復した!
回復領域はまだまだ広がっていく!

ディメーン「えっ」

ピーチ「えっ」

デイジー「えっ」

443: Mii 2018/11/21(水) 06:22:29 ID:Jyf9E9g2
キノコ王国の住民全員のHPがそれぞれ50%回復した!
クッパ帝国の戦闘員全員のHPがそれぞれ50%回復した!
サラサ・ランドの住民全員のHPがそれぞれ50%回復した!
マシュマロ王国の住民全員のHPがそれぞれ50%回復した!
マメーリア王国の住民全員のHPがそれぞれ50%回復した!
ワッフル王国の住民全員のHPがそれぞれ50%回復した!
ヨースター島の島民全員のHPがそれぞれ50%回復した!
ドルピック島の島民全員のHPがそれぞれ50%回復した!
草原の国と砂漠の国と海の国と巨大の国と空の国と氷の国と土管の国の
住民全員のHPがそれぞれ50%回復した!

ディメーン「」

ピーチ「ファッ!?」

デイジー「ファッ!?…おっそろしいログが頭の中に流れ込んできたんだけど!?」

444: Mii 2018/11/21(水) 06:24:28 ID:Jyf9E9g2
マリオ「…………!」ボウゼン

マリオ「お、おいクッパ。あれ、見えるか?」

クッパ「あ、ああ……なんじゃ、こりゃ」

ピーチ「な、なに2人して上を見上げてるのよっ!?」

マリオ「ああ…さすがのピーチも、『説明画面』を見るには実力が足りないかー」

ピーチ「なんのことよ!」

マリオ「あー…今、ちょっと効果説明が浮かんでるんだけどな?


      『星に願いを』 回復系  スキルランク:S++  基本消費FP:120
      自分が明確に『敵』と認識した対象を除き、効果範囲内全員のHPを50%回復させる。

      効果範囲:   自分を中心とした “半 球 全 体(星表面の50%)”



                     ってあるんだが」

ピーチ「はああああぁぁ!!!!!??」

ロゼッタ「そのかわり消費FPがやたら大きいのが問題になるのですが…」

ピーチ「そういう次元じゃないわよ!?」

445: Mii 2018/11/21(水) 06:26:55 ID:Jyf9E9g2
ロゼッタ「…さて。憂いが無くなったところで…第二楽章で一気に畳みかけます。
     さあ、華麗に踊りましょう……」


ディメーンが仕掛ける前に、こちらから仕掛けますっ!

目を閉じ、深く息を吸い、両手を大きく広げて…さあ!



ロゼッタ「我、この空間を制する者なり――



          空中庭園《スカイガーデン》っ――――!!  」



刹那。
辺りの風がたちまち止み、世界は静寂に包まれる。
制空権は、まさに私の手の中に…転がり込んできました。

446: Mii 2018/11/21(水) 06:29:53 ID:Jyf9E9g2
ディメーンは、防御壁を何重にも張ったままあたりを慎重に慎重に伺った後…
どうしたことか、たちまち大笑い。

ディメーン「くくく、ま、まさか風を止めるだけっていうのが渾身の大技だって?
       心配して損したよ、これがなんになるというんd」

別に、今の私が完全無敵、というわけではありません。
仮にマリオやクッパと対峙すれば、あっさり負けることでしょう。

…しかし。非常に運のいいことに。
ディメーンに関してだけは…私は、無敵になれるのです。

大笑いを遮って、パチン、と手を1回叩きます。
ええ、それだけ。




キノコ王国に スカイガーデンが 展開されている!▼  シィーン・・・!

下位の空間魔法は 全て無効化され 再展開もできない!▼
ディメーンの 隔離壁と 防御壁は きれいさっぱり なくなった!▼ シュウウウウウ・・・
ディメーンが 所有している 異空間は 存在を 許されなくなった!▼ パリーン!

ディメーン「…は?…は?………はあああああ!?」

FP【7943】/ 128 ガクーン!
ロゼッタ「…さあ、これにてチェックメイト、です」

そう宣告しながら、いまだ体を包み込む青い衣越しにディメーンに杖を向ける…!

447: Mii 2018/11/21(水) 06:32:51 ID:Jyf9E9g2
回復で体力を持ち直したうえに、隔離壁から開放された人々が、喜びの声を上げてこちらに駆け込んできます。
ええ、もう心配はありませんっ!

さらに。ドンガラガッシャン、と音を立てて。
あちこちの空間が割れ、ポタポタ落ちてくる影。

ロゼッタ「なるほど、そういうことでしたか…ディメーン」

ディメーン「なん…だと…!」ワナワナ

ルイージ「え?え?どうしてディメーンが何体も降ってくるのさ!?分身体!?」

ロゼッタ「いえ。…これが、前回の復活の絡繰りですよ。

      ディメーンはそもそも、『人数制限がありながらも本体が複数いる、ストックしておける』存在のようですね。
      分身体を繰り出す場面を見せることで、あたかも本体は1体、と思わせていた。

      もし本体が倒された場合は、記憶を引き継ぎつつ次の本体が稼働し始める、という具合でしょうか。
      ――まあ、みんなまとめて倒してしまえば、一件落着ということですね」

448: Mii 2018/11/21(水) 06:35:22 ID:Jyf9E9g2
ディメーン「おのれぇーっ!!」バッ

ディメーンが、怒りに我を忘れて攻撃を仕掛けようとしますが…。


Error!
マスター権限がないため空間魔法を展開できません!

ディメーン「…っ!」

Error!
マスター権限がないため空間魔法を展開できません!
Error!
マスター権限がないため空間魔法を展開できません!
Error!
マスター権限がないため空間魔法を展開できません!


スカイガーデンのおかげで存在をばらされた本体たちまで、悪あがき。
しかし、一切意味など、ないのです!


ロゼッタ「そんなに空間魔法を使いたいなら……
      代わりに使って差し上げます!」

一辺50 メートルはあろうかという立方体状に、隔離壁をお返しっ!
一網打尽にして閉じ込めてしまいます。
こんな大きさですが、基礎の基礎なので、杖はやはりひと振りで大丈夫。

449: Mii 2018/11/21(水) 06:37:34 ID:Jyf9E9g2
マリオ「おおおおっ!!もう一息じゃないか!頑張れ!」

クッパ「…ちょっと待て、空間魔法を使えないディメーンなど、唯のゴミだろ。
    壁をどかせて普通に攻撃するだけでフィナーレではないのか?」

ロゼッタ「いえ。この者たちは滅しても構わないのでしょう?
      ならば、私が引導を渡してやるのが筋という物」ジッ

ピーチ(あ、何気に黒歴史暴露に対して相当キレてる)

デイジー「で、でもロゼッタって攻撃魔法、使えないんでしょう?」

ロゼッタ「………………………………」

ピーチ「…ロゼッタ?」



すうぅ、ととつぜん深呼吸。胸に手を添え、息を整えて。

ロゼッタ「……ちょっと、お話をさせてください。
     恥ずかしいですが、聞いてもらいたいことなのです。




          ――転章、『空間』――」

450: Mii 2018/11/21(水) 06:39:29 ID:Jyf9E9g2
――女の子が「ずっとチコたちのそばにいよう、ママになってあげよう」と決意してから、
しばらくたったある日のこと。

日課の星うらないで「たいへんなことが起こる」という結果が出てしまい、
女の子は不安でしかたがありませんでした。


「何が起こってしまうのかしら。」


ゆううつそうに夜空をながめていると、とつぜん、空間に裂け目ができ、
そこから4メートルは超すかという、四つ足の大きな体が姿を現しました。
自分ではとても敵いそうにないくらい、強そうです。

でも、現れたそばから、体が大きくふらついています。

451: Mii 2018/11/21(水) 06:41:01 ID:Jyf9E9g2
「もしかして、ケガをしているのかしら。ちょっとこわいけれど、回復してあげなくっちゃ!」



しかし、その生き物は、近づいた女の子を敵と判断し、すかさず切り裂いたのです。



弱っていても、力の差は歴然。
女の子は、たちまち倒れてしまいました。
それでも、相手のケガを治してあげたくて。

必死に止めるチコたちの言うことも聞かず、ゆっくりと、また、その生き物に近づきます。

「だ、だいじょうぶ。あなたのケガを、治せるなら治したいだけ、だから」

チコたちにチカラを分けてもらいながら、女の子は傷付いたまま回復を続けます。
今度は、切り裂かれたり、突き飛ばされたりすることは、ありませんでした。

452: Mii 2018/11/21(水) 06:43:27 ID:Jyf9E9g2
いつ、眠ってしまったのでしょうか。
目を覚ますと、さっき回復させた生き物が、じぃっと女の子を見つめていました。

「ようやく、目覚めたのか。」

女の子は、驚いて立ち上がりました。

「あなた、会話ができるのね。それともテレパシーかしら。」

「なぜ、余計なことをした。お前がやったことは、ほとんど意味がないことだ。
 放っておいて、勝手に回復した分の方が、はるかに多いぞ。」

「じゃあ、ほんのちょっとは意味があったってことね。それなら、ちっとも後悔はないわ。
それに、あなた本当は二足で動けるのね。さっきは四つ足だったのに。
きっと、相当弱っていたんじゃない?

それと、あなたが私を回復してくれたのかしら。だったら…ありがとう。」

そう、小さく笑うと、生き物は一瞬固まった後、バツの悪そうな顔をしました。
かんちがいで攻撃してしまった、申し訳のなさもあるみたい。

453: Mii 2018/11/21(水) 06:45:25 ID:Jyf9E9g2
と、そこに。
1人のチコが、あわてた様子でやってきました。



「ママ!たいへんだよ!おっきな隕石が、近づいて来てる!このままだと、ぶつかっちゃうよ!」

「それは、たいへん!」



てっきり、この生き物との遭遇が「たいへんなこと」とばかり思っていたのに。
顔を真っ青にして、女の子は言われた方向を見やります。

大きい、大きすぎる球体が、確かにせまってきています。
昨日までは、全然見当たらなかったのに。ものすごい速さです。

ほうき星にぶつかってしまったら、一体どうなるのでしょう。



どうしようもなく、立ちすくんでいたところに、先ほどの生き物が一歩前に歩み寄りました。

「助けてもらった借りもある。ここは、私に任せなさい。」

「駄目よ。どうするのか知らないけれど、あんなに大きい物、たとえ強いチカラで砕いたとしても、
数えきれない破片が降り注ぐだけだわ!」

454: Mii 2018/11/21(水) 06:47:07 ID:Jyf9E9g2
しかし、その生き物は余裕しゃくしゃくで隕石に立ち向かったと思うと…
腕を、たったのひと振り。

紫色の鋭い衝撃波が、ものすごい速さで飛んで行き…隕石に当たってみれば…

まばゆい光とともに、隕石をどこかへと消し去ってしまったのです。



「すごい!すごいわ!何をやったの!?」

「ふん。空間ごと、隕石を切り裂いてやっただけだ。私にとっては朝飯前である」

「……!きっとあなたは、神さまか何かなのね!
 お願いします、今の魔法、教えてください!
 また、いつ隕石が落っこちてくるかわからないんだもの。」

455: Mii 2018/11/21(水) 06:48:32 ID:Jyf9E9g2
神さまは、軽く鼻で笑いました。

「お前には、1000年掛かっても使いこなせまい。
 空間をつかさどる、想像を絶する難しさの魔法だからな。」

「だったら、私なら100年あれば、きっとできるわ。
 だって、私、空間魔法は得意なんだもの。」

「そんなに言うなら、駄目もとで、使う所を存分に見せてやろう。100年後が楽しみだ。」



神さまは、全然期待していなさそうでしたが、丸1日女の子に付き合って、
魔法をあちこちの空間に向けて使って見せた後、どこかへと去っていきました。

456: Mii 2018/11/21(水) 06:49:45 ID:Jyf9E9g2
5年後。
神さまは、暇だったのか、ほうき星に様子を伺いにきてみました。


女の子はすこし成長していましたが、『その魔法』は失敗してばかり。
いえ、形になる予兆すらみられません。
当然だ、とため息をつきました。



10年後。
再び、神さまはやってきました。

女の子は、あいかわらず特訓を欠かさないようでしたが、
得られるものは特になかったようでした。

「もう、やめたらどうだ。力の差がありすぎる。同じように真似しようとしても、
できるわけがないのである」

多少冷たい言い方になってしまいましたが、神さまはそう諭しました。



「…そうよね。そんなこと、できっこないのよ」

女の子は、力なく肩を落としました。

457: Mii 2018/11/21(水) 06:51:24 ID:Jyf9E9g2
100年後。

みたび、神さまはやってきました。
今度は、特訓のほどを見に来たわけではありません。
なんと、隕石がまたもや降ってくることを察知して、助けてやろうとしたのです。
…それだけのはずでした。



ところが、神さまは驚きました。



必死の形相をした女の子のまわりに、数えきれないチコが群がり、
同じく必死に女の子に力を送っています。

そして、女の子が杖をひと振り。

すると、ほうき星全体が、はるか上空含めて、女の子の制する空間となったのです。


女の子は、杖をふた振り。


前回ほどではないとはいえ、ほうき星よりはるかに大きい隕石は、
さらにおおきい『空間』に包まれました。

458: Mii 2018/11/21(水) 06:52:53 ID:Jyf9E9g2
女の子が…杖をみ振り。



女の子の頭上に、バチバチと、目がつぶれそうなほど輝く光の剣が作られていきます。
その大きさは、2メートル…5メートル…10メートルを超えました。



そして、最後に。




女の子は、杖を持っていない方の手で剣を握り、杖に見立てて、えいやっと振り下ろしました。
魔法で動かしているらしく、剣は滑らかに振り下ろされました。



剣の先から出た衝撃波は、かつて神さまが女の子に見せたものにそっくりでした。
その衝撃波は、隕石を包む空間ごと、隕石を消し去ってのけたのです。



チコたちが大喜びする中、女の子は力を使いすぎて、バタリと倒れてしまいました。

459: Mii 2018/11/21(水) 06:54:52 ID:Jyf9E9g2
女の子が目を覚ましたのは、七晩過ぎたときでした。

女の子は神さまに気付くなり、興奮冷めやらんようすで話しました。

「私には、神さまみたいに一瞬で隕石を消すことはできなかったわ。
どうやっても、力がなさすぎるもの。

でも、いったん自分の制御する空間で切り取ってから、その空間ごと崩壊させるっていう手順を踏めば、
なんとかなることがわかったの!」


神さまは、なんともいえない気持ちになりました。

460: Mii 2018/11/21(水) 06:56:18 ID:Jyf9E9g2
去り際に、神さまは言いました。

「大したものだ。手間は違っても、お前のやったことは私と同じ。
…そのチカラ、弱きを助け、悪を挫くために使う限り、
私の魔法と同じ魔法名を使うことを許そう」



魔法使いにとって、上級の者から魔法名を借り受けられることはとてつもない名誉です。

女の子は、飛び上がらんばかりに喜びました。

そして、より一層、空間魔法を極めていこうと、心に誓ったのです。

461: Mii 2018/11/21(水) 06:58:16 ID:Jyf9E9g2
私は、『絵本』の物語を語り終わる。

そしてその頃には。
物語と同じく、光り輝く巨大な剣が、左手にしっかり、握り締められている――!



ディメーンたちに、私の物語が聴こえたかどうかは定かではありませんが。
私の作った空間から逃げられない彼らは、今度こそ本当に危険であることを理解し、
叫びながら遮二無二暴れようとしています。


剣を天空に向けたまま、すこし、後ろを、振り向く。


マリオもピーチも、固唾をのんで見守ってくれているよう。

ルイージはただひたすら、あわわわわ、と驚いています。

ヨッシーは、勝ちを確信できたのかガッツポーズ。

クッパは、むすっと腕組みをした状態で…静かに、頷く。

そして、微笑んだデイジー姫とナスタシアに促されて――
サヤカが、満面の笑顔で叫びました。

サヤカ「ママ、いっけー!!」

462: Mii 2018/11/21(水) 07:00:17 ID:Jyf9E9g2
――「では、私の魔法の、魔法名を伝えようか。その名は…」
――「……っ、その名は…!」




ロゼッタ(一気に、空間に、振り下ろすッ!!!!)






ロゼッタ「    Spacial Rend《亜 空 切 断》っ!!    」






衝撃波が、ディメーンたちを閉じ込めた檻に、当たる。
空間は、一気に、ディメーンを逃がすことなく、轟音とともに収縮崩壊し始めます。

ディメーン「ちくしょおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

ディメーンの断末魔が、聞こえた気がしました。
そして……空間が、砂粒よりも小さくなった後。
パァン、と小さくはじけて、光の粒とともに消えていきました。

同じく消えゆく光の剣を満足そうに眺めて…私は、意識を落としたのです。

467: Mii 2018/11/30(金) 06:14:51 ID:ccoR/GVA
――――ぽたり。ぽたり。



閉じていた目を、すっと、開く。
何もない空間、何も見えない空間に、かすかに水滴の落ちるような音が聞こえる。

…ここは、夢の中でしょうか。きっとそうに違いありません。
杖はどこかに行ってしまいましたが、フヨフヨと浮遊感があるのですから。
ドレスに付いていたはずの赤色も、見る影もありませんし。


…あ、ちなみに。
おたすけウィッチ状態はとっくに解除されています。
まあ、あの超大技にはFPを 5000 くらい消費するので
これだけでは夢の中かどうかは判断できないんですがね。
自分が締めたばっかりにFPの無駄極まりない?き、聞こえません聞こえません。

キョロキョロと周りを見やっても、暗い空間がただただ広がるばかり。
夢なら、もう少し明るくて楽しいものが好みなのですが。

468: Mii 2018/11/30(金) 06:16:10 ID:ccoR/GVA
そう思っていたら、急に、周りの景色が様変わりして、色鮮やかになりました。


ロゼッタ(あ……とても澄んだ空がどこまでも…)



遠くに見える、いくつもの浮遊島。
風そよぎ、思わず背伸びしたくなるような秘境の地。
いい演出ではないですか!


ところが。
体の自由が、急に利かなくなりました。夢だからでしょうか?
意思に反して、勝手に視線を足元に向けてしまいます。

そして、どこからともなく、誰かがすすり泣く声が聞こえてきます。
こんな最高の気分を味わえないなんて、一体どなたなのでしょう?

469: Mii 2018/11/30(金) 06:17:30 ID:ccoR/GVA
ぽたり。ぽたり。



ロゼッタ(…………ん?何か、滴が足元に?)



そういえば…目元に違和感があるような…。



ロゼッタ「……ひぐっ、ひぐっ!死にたくない、死にたくありません…っ!誰か、助けてぇ……!!」

ロゼッタ(……………………私ですか!?)



これは驚きました。自分が泣いている夢など、見たくもなんともないですが。

状況を理解すると、たしかに「私」が泣いていることが知覚できます。
理由はさっぱりわかりません。…まあ、夢の出来事に因果を求めるのはナンセンスかもしれませんが。
あと、当然ながら私はちっとも悲しくありません。ややこしいですね。

470: Mii 2018/11/30(金) 06:20:45 ID:ccoR/GVA
夢は、醒めることなく、まだまだ途切れず続きます。



ロゼッタ「マリオが私を助けに来る、助けに来ない、来る、来ない…」



死んだ目になっているのでしょうか、抑揚のない、蚊の鳴くような声で呟きながら、花占いを始めました。
助けとかなんとか、よくわかりませんが、「来ない」で決着するたびに絶望度が上がったような顔の強張り方をして、
嗚咽を漏らしつつ、次の花に移ります。次の花へ、また次の花へ…。

ロゼッタ(いやいや、ちょっと待ってくださいよ私!ここに咲き誇ってる花、同じ花ばっかりのせいで
      どれもこれも花びらが偶数枚しかないんですけど!気付きなさいよ!)



自分の体の中にいて、自分の周りを冷静に観察できるのに。
行動だけが自分の思うようにいかない。もどかしいったらありません。



ロゼッタ「…………はは、駄目、ですかあ」ポロポロ



ロゼッタ(なんと、結局何時間もかけて、確認できる限り全ての花びらをちぎってしまいました。
     暇人ですね!というより見ている私の身にもなってくださいよ、クタクタなんですけどっ!
     ほら、ちぎられた花びらも、風でどこかに飛んで行って…………)

471: Mii 2018/11/30(金) 06:23:22 ID:ccoR/GVA
視線が、「足場」の外へ、下へと向けられます。

ロゼッタ(……!?ひっ!な、なんですか、ここ!?)



奈落の、底。いえ、景色的には青い青い空間が広がっているのですが、とにかく地表が見えません。


これは、落ちたら一巻の終わりでしょう。なるほど、どうあがいても生き延びる手立てが探し当てられずに、
絶望していたということですか。

「ロゼッタ」は、何分間くらい涙を流して放心していたでしょうか…おもむろにゴシゴシと涙をぬぐいました。
涙の跡は、きっとくっきり残ったまま。

そのまま空元気全開で、明るい声で叫び始めます。



ロゼッタ「……なーんて、ね。大丈夫です、早々に絶望して飛び降り自殺するなんてことをせず、
      何日でも何週間でも足場にへばり付いて、齧りついて…待って、待って、待ち続ければ!
     絶対に、マリオやピーチ姫が助けにきてくれるはずですっ!

      あと数日もすれば、マリオたちがほうき星に到着して事情を把握します!
      きっと即座に、このコースのスタート地点へのスターリングに飛び込み、
      『待たせたな』と声をかけてくれるに…そうに違いありません!

      他力本願ですが…彼らを信じて待ち続けましょう!そうすれば、私は100%助かるのですからっ!」

472: Mii 2018/11/30(金) 06:25:18 ID:ccoR/GVA
間違いなく、自分に言い聞かせている。
確かに、彼らならこんな私をいつまでも放置はしないでしょう。
じきに助けに駆けつけてくれるはず。

最後の最後で、頭を冷やすことができたようで…最悪の決断をしなかったようで何よりです。



ロゼッタ(よかった。いくら夢だからといって、
      流石に自分が死ぬところは見たくありませんよ、絶対に。ふふ)



――――しかし、この状況。どこかで、マリオやピーチ姫に聞かせてもらったことが、
あるようなないような…。


「私」は空元気のまま、すっくとおもむろに立ちあがって、



ロゼッタ「エイエイ、オーッ!」



と拳を突き上げる。柄にない振る舞いをしてのけます。

ロゼッタ(私らしくないですが…中々カッコいいじゃ、ないですか)

473: Mii 2018/11/30(金) 06:26:55 ID:ccoR/GVA
…ええ。本当に、本当に私にとって、柄にない振る舞いでした。



その結果。



ロゼッタ「あっ、急に立って立ち眩み」フラッ

ビュゥウウウウウ!!

ロゼッタ「あ、しまっ…」ヨロッ ツルッ

風にも煽られ、足場から足を滑らせました、まる。



ロゼッタ()

ロゼッタ()

ロゼッタ(ええええええええええええええ!?超絶にカッコ悪いですよぉ!?
      超低体力の癖にこんな足場の端で急に立ち上がらないでくださいよ馬鹿ぁっ!?
      
      落ちてる、落ちてるんですけどーっ!?)

474: Mii 2018/11/30(金) 06:28:36 ID:ccoR/GVA
落ちる。

落ちる。

ひたすら、頭を斜め下にして、落ちる――っ!



ロゼッタ(あ、れ)

加速する風圧で、呼吸が、できない。どんどん、体が、苦しくなる。



ロゼッタ(夢じゃ、ない?)



え、もしかして、このまま、死ぬ?



ロゼッタ「ああああああああああああああああああ!!!!!!」ボロボロ

ロゼッタ(風圧と涙で酷い顔になりながら泣き叫ぶあなたは本当にうるさいので黙っておいてくださいっ!?
      いや私ですけどっ!?どこまで落ちていくんですか、これぇーーーっ!?)

475: Mii 2018/11/30(金) 06:32:27 ID:ccoR/GVA
1分くらい、落ち続けたでしょうか。

きらり、と。
視界一面、はるか下が、光った気がします。

ハッと目を見開くと、相変わらずの無限の奈落。
……気のせい、と思いかけました。


きらり、と。また光り輝く。
その光景に…私は目を疑い――知識の棚を引っ掻き回し…状況を把握します。

――ああ、空間の果てにある「特異面」、というものですね。知っていますよ。
存在を理解していただけで、実物を見るのは初めてですが。

――当たると粉々になって消えてなくなります。
生命体なら当然死にます。いやあ単純明快ですね。

ロゼッタ(……………………)ヒュウウウウウ

ロゼッタ「じーにーだーぐーなーいーでーすぅーーーーー!!」ポロポロ

ロゼッタ(死にたくなーーーーいっ!?)



グシャッ…………………

476: Mii 2018/11/30(金) 06:34:04 ID:ccoR/GVA
ロゼッタ「」ガバッ!



ピーチ「あ」

マリオ「おっ」

デイジー「ロゼッタが起きたわ!!そろそろ起きる頃合いと集まってて大正解だったわね!」

ルイージ「よかったよかった!心配したよ!」

クッパ「ふん、ワガハイに心配を掛けさせるとはいい度胸なのだ!」



ロゼッタ「………………………」

ロゼッタ「………………………」ウプッ

ピーチ「はい、袋。男性陣、回れ右ぃ!!」

477: Mii 2018/11/30(金) 06:35:55 ID:ccoR/GVA
マリオ(それもそうだ)クルッ

クッパ(紳士だからな)クルッ

ヨッシー(まあ男性陣ってことで)クルッ

ルイージ「え、なんd」

デイジー「回せ右ぃ!」バチコーン

ルイージ「」チーン





~しばらくお待ちください~






ロゼッタ「……もう、大丈夫、です。お水、いただけますか」ゲッソリ

ピーチ「はい」サッ

ロゼッタ(ゴクゴク)

ロゼッタ(……なんとか、戻って、来られた、みたい、です)

478: Mii 2018/11/30(金) 06:37:40 ID:ccoR/GVA
ピーチ「吐けるもの全部吐いたわね…お疲れさま。気は確か?4+8は?」

ロゼッタ「…12」

デイジー「64÷4は?」

ロゼッタ「……16です」

マリオ「マリオカート参戦時、最初に選んだコースは?」

ロゼッタ「ルイージサーキットです……………ハッ?」

マリオ「……よしっ!!記憶、戻ってるな!!」ハイタッチ

ルイージ「やったね、兄さん!」ハイタッチ

デイジー「やったぁぁああああああ!おめでとぉーーー!!」ガバッ

マリオとルイージがハイタッチの後ガッツポーズをし、デイジー姫が泣きながら抱き着く現状。
もちろん、誠に嬉しいのですが、どうして…!?
なんというか、こう、大事な、大事な場面が飛んでいる気がするのですが!

ロゼッタ「え、どうしてですか!?私、あの超難関コースを一人でいつクリアしたというのですか?
      その記憶が全くないのですが!?…まさか、これも副作用の一環…!?」

ピーチ「あ、あはははは…」

マリオ「実は、だなー…」

479: Mii 2018/11/30(金) 06:39:30 ID:ccoR/GVA

・・
・・・
ロゼッタ「すぴぃ」スヤァ



デイジー「ディメーンを完全消滅させて万事解決っと!!
      …ロゼッタの過去語りが本当なら、一週間ばかり目を覚まさないのよね?」

ピーチ「そのようね…とりあえず、キノコ城で寝かせておきましょうか」



マリオ「あ、いや。今のうちに、とっとと242枚目のスターを取って貰いに行こう」



ピーチ「…………は?」

マリオ「サヤカちゃん、だっけ。世界平和に大変貢献してくれたお礼に、特別に一週間後のパーティにご招待しよう。
    それまでの滞在費、およびパーティ後予定より遅れての帰り旅のお金も全て出そうじゃないか(出すのはピーチだけど)。

    その代わりと言っては何だが、一週間ばかりママと離れ離れになってしまうことを許してくれないかな?」ニコッ

480: Mii 2018/11/30(金) 06:42:21 ID:ccoR/GVA
サヤカ「あ!そういえばうっかりしてたけど、もしかして、マリオ!?すっごい!マリオに会えるなんて!!
     …わかった!一週間ね!きっと大事な用事がママにはあるんだよね!パパに伝えてくるよ!
     あんまりよくわかってないけど…パーティ楽しみだぁ!」

マリオ「ははは、追って連絡するよ!じゃあ…行くぞー!ロゼッタ運搬役はピーチかデイジーに任せた!」ダダダッ

ヨッシー「はーい!」ダダダッ

クッパ「仕方がないのだ!」ダダダッ

ピーチ「説明、してくれるんでしょうね!?(ロゼッタ背負いつつ)」ダダダッ

デイジー「ちょ、どういうことよー!付いていくけどさーっ!」

ロゼッタ「」スヤァ

481: Mii 2018/11/30(金) 06:44:50 ID:ccoR/GVA
ブロタロウ「…あれ?言ってませんでしたっけ。
       何人もコースに入ったり、下手にアイテム持ち込んだりってのはイレギュラー扱いになって
       記憶奪還とやらの支障になるでしょうが…

       ステージ仕様として、チャレンジャー1人に加えて ヨッシーの手助け までなら
       確実に正規挑戦・正規クリア扱いになりますよ?」

マリオ「な?」

ピーチ「」

マリオ「241枚目のスターゲット時におっかしーなー、怪しいなーってと思ったんだよ。
     241枚目および242枚目のスターってヨッシー前提じゃないと『普通は』クリア不可コースじゃね?って」

ピーチ「…ロゼッタとヨッシーのペアでクリアすれば、ロゼッタの記憶回復条件を満たせるってこと!?」

マリオ「そゆこと」コクコク

482: Mii 2018/11/30(金) 06:47:16 ID:ccoR/GVA
ピーチ「…ヨッシー、クッパの誕生会のケーキの取り分、10倍にしてあげるから…
    簀巻きにしたロゼッタ背負って、ゴールまで無限踏ん張りジャンプで駆け抜けなさい。
    最後に、スターをロゼッタに触らせてクリアすることを絶対に忘れちゃ駄目よ?」

ヨッシー「その使命、確実にこなして見せましょう」キリッ

ロゼッタ「くー…」グルグルマキー
・・・
・・




マリオ「という訳なのさあ。あ、行き帰りの時間は十分にあったから、ここはまたキノコ城だけどな」



ロゼッタ「色々と台無しじゃないですかーーーーーっ!!!感謝はしますけどっ!しますけどっ!!
      なんだか色々と思い出してきましたけどっ!!」

というより、筋トレしても効果が実感できなかったのって、
力不足を魔法で補おうとする私の特異体質のせいってことですよね!?
むしろ1年近く逆効果なことをやってしまっていたのですか!?頭を抱えたくなります!

483: Mii 2018/11/30(金) 06:50:07 ID:ccoR/GVA
ピーチ「ま、まあまあ。全てが無事に済んで万々歳なのだから、喜びましょう。ね?
     さ、さあ!ロゼッタも起きたことだし、明日はいよいよクッパの誕生日を祝うわよ!
     メインゲストとして、精一杯おめかししてもらうからね!」アセアセ

ロゼッタ「はぁ、もうそれでいいですよぉ…
      あれ?私が寝入ってしまったおかげで、一週間も過ぎてしまったはずなのですが。
      まだ開催されていないのですか?」

デイジー「うふふ。クッパがね。
    
      『ワガハイのせいで参加できるはずの者が参加できなくなるというのは頂けないのだ。
       涙を飲んで日程を先送りにしてやるから、精一杯ワガハイを崇め奉るがよい』

      って、ロゼッタが目を覚ますのを待っててくれたのよ。クッパ城にも帰らずにね」コソコソ

クッパ「何か言ったか?」

マリオ「ツンデレめ」ニヤニヤ

ピーチ「ツンデレね」ニヤニヤ

クッパ「……ピーチ姫はともかく、殴るぞマリオ」

ロゼッタ「それは、ありがとうございます!クッパ、心より感謝申し上げますね」

クッパ「う、うむ」

デイジー(まー、そのせいで結局『巨大ケーキ』の存在をまだ知らないんだけどねー。
      明日、どんな顔をするのやら。ご愁傷さま……)

484: Mii 2018/11/30(金) 06:52:23 ID:ccoR/GVA
~キノコ城、城下~

ロゼッタ「う、うーん…」

ドタバタ騒ぎもひと段落…なのでしょうか。

一応、空間をちょっと探って、ディメーンの気配を念のため確認。
…どうやら、完全に征伐できた模様。めでたしですね。

あと、道行く人々の中には、びしっと改まって深々と頭を下げる方がちらほら。
すごく…心がくすぐったいです。

ほっと一息ついた私に、絶賛降りかかっている難題が、こちら。



デイジー「さあさあ、選びましょう!ピーチも太鼓判を押す、最高級のドレスたちよ!」



超高級ブティックに連れて行かされて、デイジー姫に急かされて、あれやこれやと服を選び試着し始めたはいいのですが。
恥ずかしながら雰囲気に飲まれてというか、服に着られてというか、全然落ち着くことができません。


…この値札、桁を一つか二つか、間違えていませんか…?
あとで試着代とか請求されないでしょうか?
そして、こんなものを購入してしまったら、汚すのを怖がり過ぎて逆に着られなくなってしまいそう。

ピーチ姫やデイジー姫には理解してもらえないでしょうが、心の中はいつもいつでも庶民なのです。

485: Mii 2018/11/30(金) 06:54:53 ID:ccoR/GVA
デイジー「これとか、どうかな。ロゼッタのイメージカラーの青色を基調にした、
      とてもいいカラーとデザインだと思うんだけど!」

ロゼッタ「こ、こんなに背中が露出したドレス、私には着られませんよ!」

デイジー「このくらいどうってことないじゃない。背の高いロゼッタ向きだと思うよ。
      …言っておくけど、いつものドレスとは違ったドレスを最低一着用意するまで、開放してあげないからね。
      早めに音を上げた方が身のためだよー!」



頼みます。どうか、指先でヒラヒラさせている、その未記入の小切手をしまってください。



デイジー「さあさあ、次はどれを着てもら――」キョロキョロ

ロゼッタ「…あ、これにしますっ!まだ他より安いですから!これにてノルマ達成です!
      さあさあ買って帰りましょう!」サッ

デイジー「子供かっ!?音を上げろとは言ったけど、そんな決め方やめてよぉ!?」

486: Mii 2018/11/30(金) 06:56:20 ID:ccoR/GVA
デイジー「信じられない…ドレスに対する冒涜よ…」ズーン

ロゼッタ「信じられません…このドレス一着買うお金で、何千年分の紅茶が買えるのでしょうか…勿体ない…」ズーン

デイジー「時間がないから仕方がないけど…本当はオーダーメイドで一から作ってもらうべきなんだよ。
      そのドレス含めて、最高級とはいえど出来合いがゆえに格安なの、わかってる?」

ロゼッタ「わかりたくありません」

デイジー「頭が痛いわ…ところで、試着もせずに買っちゃったけど、ちゃんと着られるの?
      私もあんまり確認できなかったよ?」

ロゼッタ「ふふっ、私の空間把握能力を信じていませんね?」

デイジー「あー、それもそうかぁ」

487: Mii 2018/11/30(金) 06:58:54 ID:ccoR/GVA
ロゼッタ「…………」

まずい、です。

キノコ城に宛がわれた個室に戻ってきましたが…
ドレスの背丈が全く足りません。

なんだかもう、誤魔化しようのない大きさのズレです。
展示状態の地形で段差一つ、見過ごしたという感じでしょうか。

ロゼッタ「なるほど、本当にどうでもいいや状態で、全然能力が発揮されていなかったのですね、てへ☆」

ロゼッタ「………………………」ダラダラ

即刻店に舞い戻ればよいのですが――。

ロゼッタ(お店の注意書きに

      『当店は、最高級の品質をお客様に提供し続けます。
      そのため、お客様のご都合による商品の返品・交換には一切応じられませんのでご了承ください』

      ってあったような…)



ピーチ姫かデイジー姫に頭を下げ、ドレス一着分のコインを無駄にして次のドレスを買えと?
…お二人なら大笑いして許してくれそうですが、できませんよそんなこと!!?
自分自身を許せません!

488: Mii 2018/11/30(金) 07:00:21 ID:ccoR/GVA
ロゼッタ「ええと、ええと。とにかく、明日までにドレスを調達しないと。
      この際、ピーチ姫にお借りして…って、サイズの問題が解決しないじゃないですか!」アワアワ



ロゼッタ「いっそ、いつもの私のドレスを着こなして…でも、お二人ともガッカリしてしまいそうですし…」アタフタ



考え、考え、考え抜いて。



その晩、私は、キノコ城を抜け出して、『ある場所』へ向かったのでした。
ピーチ姫の衣装棚から拝借した…血濡れのドレスを、抱きしめながら。

489: Mii 2018/11/30(金) 07:01:46 ID:ccoR/GVA
~クッパ様誕生パーティ、クッパ城~

ワーワー!
クッパサマ―!
タイヘン オメデタイコトデ ゴザイマスー!

クッパ「」

ピーチ「ふふふ、クッパったら。皆に祝ってもらって、感無量と言ったところね!」

マリオ「ケーキ、でけぇー!!城の中に入れることもできないなんて、何十メートルあるんだ一体!?」

ルイージ「すっごーい!!もう見ただけで美味しそうだけど、全く持って食べ切れる気がしないよ!?」

ピーチ「フフン♪」ドヤァ





デイジー「最善を尽くした結果がこれだよ!」

ナスタシア「もう意味不明の領域ではないですか!?」

ロゼッタ「ほ…本当に、大きなケーキですね…ふわぁ……!感激です!」

ヨッシー「ゴクリッ(大量の涎)」

490: Mii 2018/11/30(金) 07:05:04 ID:ccoR/GVA
クッパ「…………ピーチサン、ナニコレ?」

ピーチ「ご所望のスーパーサイズのケーキに決まってるじゃない!!
    私の実力じゃ、この程度の大きさが限界だったけど…許してね。
    美味しくできたと思うから、ぜひとも味わって食べてほしいの!
    …というか、残しちゃダメヨ?私が死に物狂いで作ったケーキなんだからウフフ。
    全体の0.01%を大多数のみんなが、5%をヨッシーが。残る94.99%をあなたが食べるって感じかしら」

クッパ「」

ヨッシー「ちょっと待ってください!私の取り分は10倍になるはずです!」フンス

ピーチ「あ、ごめんなさい。じゃあ、50%をヨッシーが、残る49.99%をあなたが食べる、が正しいわね。
    残念ね、ヨッシーより少ない量で」

クッパ「」



ロゼッタ(そうして始まった誕生パーティ。
      開会スピーチも人任せにして、涙を流しながら黙々とケーキを頬張り始めるクッパの姿がありました。
      『美味しいぞ、ほっぺたが落ちる位…美味しい、けどさあ…涙が止まらないのだ…』とつぶやきながら。
      その傍らで、触れたもの全て消し飛ばす勢いで、いヨッシーがケーキを平らげていきます。舌の動きが見えません…!
      まるで幸せ一杯で無敵になっているかのようです。

      なお、クッパのお触れで、基本量の3倍以上のケーキを食べて経費削減…いえケーキ削減に貢献したクッパ軍団員は、
      臨時ボーナスが出るそうです。良かったですね、頑張ってください!
      私は、間違っても白羽の矢が立たないように隠れてこそこそ食べていきます!)

491: Mii 2018/11/30(金) 07:07:30 ID:ccoR/GVA
ピーチ「ロゼッタ、楽しんでるかしら!…でも、結局いつものドレスを着てきたのは大減点ね…
     ドレスを買いに行かせたのは無駄になったのかしら」

ロゼッタ「す、すいません…ちょっと間に合わなかったもので…」

ピーチ「…間に合わない?どういうこと?」

あまりつつかれても答えようがないので、しどろもどろに笑って誤魔化します。



ピーチ姫はため息を付いて、ようやく許してくれました。

ピーチ「それにしても、大きさはともかく、立派なケーキね。自画自賛しちゃうわ。
    …私もいつか、あんなケーキで祝われてみたいわね」ボソッ

ロゼッタ「……ほほう。それは」キラーン

おもむろに耳元に近づき。

ロゼッタ「マリオとの結婚式で、ということですか?」コソッ

ピーチ「ごふっ!?ち、違うわよ!……そ、そうよ。誕生日にって意味だから!」カアァ

ロゼッタ「…………」キラキラ

ピーチ「……ロゼッタの癖に生意気よ、何よその目は!」ヒソヒソ

492: Mii 2018/11/30(金) 07:09:25 ID:ccoR/GVA
ロゼッタ「あ、マリオ、ちょうどいい所に!ちょっと来ていただけますか!」ヒラヒラ

ピーチ「ちょっ!?」

マリオ「おー、ロゼッタ。俺ですらビシッと決めてきたって言うのに、
    相変わらずの服装だが楽しんでるかー?俺は絶賛楽しんでるぞ。
    で、何をニヤニヤしているんだ?ロゼッタにしちゃあ珍しい(ワイン片手)」

ロゼッタ「いえいえ。実はですね、ピーチ姫がさきほど『こんなケーキで結婚式を祝われたい』と零していたので。
      マリオとしては気になる情報じゃないかなぁと」ニヤニヤ

ピーチ「そ、そんな事言ってないわよ!そ、それにマリオは関係ないでしょ!?」



――なんだか、ピーチ姫に対して押せ押せモードになるのは初めてかもしれません!
すごく新鮮です!頭の中を、イケイケトラックが鳴り響きます!
……はて、イケイケトラックってなんでしょう?

493: Mii 2018/11/30(金) 07:12:20 ID:ccoR/GVA
マリオ「おいおい、マジかよ。流石に、ピーチが祝われる立場だったら、
    ピーチに作らせるわけにいかないしな…その時は、俺がキャシーさんやナンシーさんを雇うとするか」

ピーチ「か、彼女たちなら安心できるわよね。任せて、適正な対価を用意させてもらうわ」

マリオ「いやいや、だから祝われる立場のピーチが負担するなって。
     いくら無尽蔵にお金が湧き出るとはいえ。俺に任せとけって」

ロゼッタ「ふふ、その理屈なら、新郎のマリオが負担するのもおかしい話じゃないですか?」

ピーチ「ちょ、ちょっとロゼッタ!?いや、え、ちょっと!」カアァ



おとめな ロゼッタは ちょうしに のってしまった!▼
ロゼッタの かいしんの いちげき!▼

494: Mii 2018/11/30(金) 07:13:27 ID:ccoR/GVA
マリオ「…へ?なんで俺がピーチと結婚することになってんの?
    全然そんな気ないんだけど、ひょっとして厨二病期間延長中か?
    ピーチにも失礼だぞ、あはは」



ロゼッタは いきおいあまって じらいげんを ふみぬいた!▼



クッパ「えっ」

キノじい「えっ」

キノピオ達「「「「「えっ」」」」」

クッパJr.「えっ」

デイジー「えっ」









ピーチ「……えっ」ガッシャーン

495: Mii 2018/11/30(金) 07:14:52 ID:ccoR/GVA
ロゼッタ「…………」ダラダラダラダラ

マリオ「で、結婚相手って誰?……まさかクッパ?
    全否定する気はないが、あんまり趣味がいいとは言えないなあ。
    流石に違うよな?」

ロゼッタ「い、いやいやいや!ちょっと待ってください!」

マリオ「どうどう、なんだかよくわからんが落ち着け」

ロゼッタ「この上なく落ち着いていますよ!誰もが認める相思相愛、
     救い救われ続けた仲なのでしょう!?
     公式でもベストカップルズってよばれているじゃないですか!」

ルイージ(メタいよロゼッタ…)

マリオ「なんだ突然。うーん…。
    そりゃ、初めてクッパから救い出した頃は満更じゃなかったよ?
    ピーチ姫といえば、容姿端麗で頭脳明晰、キノコ王国の住民だれもが
    頭を垂れるような立派なお方…って俺だって思っていたし。
    『うわ、一国の姫、憧れのピーチ姫を救い出しちゃったよ。
    結婚して自分が次期の王になるフラグ立ったな!』ってさ。
    
    …でも、実際は『これ』だぞ?
    やんちゃはするし、遊びのために仕事をするスタイルだし、
    案外我儘な所はあるし、しっかりしているようで程よく手を抜くし」

ピーチ「」

496: Mii 2018/11/30(金) 07:16:27 ID:ccoR/GVA
キノピオ「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!結婚する気、ないんですか!?
     今更、それは酷いんじゃないですか!?」

マリオ「いや、お前らが言うなよ…自分たちがやってきたこと、忘れたん?」


・・
・・・
ルイージ「へえ、8-4まで進んで、とうとうクッパを倒して、ピーチ姫を救い出したんだね!
      凄いや兄さん!きっと、ものすごい褒賞が貰えるよ!生活も楽になるかな!」

マリオ「ああ、そうだな。そしてお前は、たまには外に出ろよ」

ルイージ「…だって、出歩くたびに言われるんだもん。『兄と違って出来損ないの弟』って。
      配管工としてコソコソ生きていけるなら、ボクはそれでいいや」

マリオ「そんなことを言う奴は俺がぶっ飛ばしてやるからさ」



ガサッ



マリオ「ん?誰かが手紙を入れていったか?」

ルイージ「きっと、褒賞を与えるから城まで来たれしってことだよ!行ってきなよ!」

マリオ「どれどれ…ほう、本当に城に来いと書いてあるな!よし、行ってくる!」

497: Mii 2018/11/30(金) 07:17:50 ID:ccoR/GVA
~スーパーマリオブラザーズ2~
キノピオ「ピーチ姫がまた攫われました!すぐに助けに行ってくださいマリオさん!」

マリオ「」



キノピオ「どうしたのです、早く、早く!」

マリオ「…ちょっと待ってくれ。俺にも時間をくれ。一旦家に帰って落ち着いて考えてから回答する」

キノピオ「何を悠長なことを!」

マリオ「…じゃあ、せめて前回の冒険の褒賞を先にくれよ。
    こちとら、『土管に詳しい、ちょっと強い男』ってだけで招集されて、
    そのおかげで配管工として殆ど働けなかったんだぞ。
    貯金を切り崩して持ちこたえている現状…生活が崩壊しかけてるんだけど」

キノピオ「姫様を救える役目を担えるというだけで大層名誉なことではないですか。
      これ以上何を望むのです?」

マリオ「」イラッ

498: Mii 2018/11/30(金) 07:19:25 ID:ccoR/GVA
キノピオ「だいたい、コインなら前回の冒険の道中で散々拾ったはずでしょう?
     冒険の終わりに王国に渡すものだから、お金には困っていないとばかり思っていました」

マリオ「…へ?あれ、王国に返さなくていいの?不労所得になるかなーって思って律儀に返したんだけど。

    …ふーん、へぇー。よし了解、そういうことなら助けに行くよ」

キノピオ「そうでしょう、そうしてください」

マリオ(そういやピーチ姫にも、キスしていただいたくらいでその後一切ご無沙汰無しだな。
    普通、感謝の手紙とか謁見許されるとか…いや、王国の危機を救ったんだから位を貰ってもいいくらいじゃね?
    なーんか軽く見られてるなー…それならこっちも、コイン稼ぎのついでに助けるか。
    自分の食い扶持は自分で稼ごう。それがいいそれがいい)アッケラカーン

499: Mii 2018/11/30(金) 07:21:08 ID:ccoR/GVA
マリオ「99コイン貯まったか。あと1コインでなぜか残機に変換されちゃうから、一旦家に戻ろう。
    どうせ残機はピーチ姫に管理していただいているし。
    なにより、敵を踏み続ける方法で残機増やせるからな。…なんでだろう」ダッ

マリオ「99コイン貯まったか。あと1コインでなぜか残機に変換されちゃうから(ry」ダッ

マリオ「99コイン貯まったか。あと(ry」ダッ





ピーチ「マリオさん、遅いですね…」グズッ




ピーチ「また助けてくれてありがとうございます!」

マリオ「いえいえ、お気になさらず。光栄でございます。そして、ありがとうございます」ホクホク

ピーチ「…???」クビカシゲ

500: Mii 2018/11/30(金) 07:22:23 ID:ccoR/GVA
~スーパーマリオブラザーズ3~
マリオ(自国じゃないとはいえ、友好国のピンチにアイテム出し惜しみするなよ…。
    せめて、宝箱のアイテム全部くれよ、どうせお前たちアイテム使えないだろ…。
    自分でどうにかしろってか、酷い扱いだなあ)

キノピオ「どうかしましたか?」

マリオ「なんでもないっす。出張ご苦労様っす。それと、今回はピーチ姫を誘拐されないよう気を付けてる?」

キノピオ「あったりまえです!三度目の正直ですよ!失礼ですねえ」

マリオ「ほーん」





――二度あることは三度ある。ピーチ姫は暗黒の国に攫われました。

501: Mii 2018/11/30(金) 07:23:44 ID:ccoR/GVA
~スーパーマリオワールド~
マリオ「むむむ………ほいっ!!」ザンッ



Mario ×99 → 5
Luigi ×5 → 99



マリオ「よし、大成功!」

ルイージ「な、何をやったの、兄さん!?」

マリオ「お前の残機を増やした。これでまず安全だ。
    さあ、しっかり鍛えるから覚悟しとけよ!」

ルイージ「う、うん!兄さんがここまでやってくれたのなら…頑張ってみるよ!」

マリオ「まずはこの甲羅を頭上100 メートルの高さまで放り投げます」ブオォォ!

ルイージ「えええええ……」





ピーチ「マリオ、おーそーいー」ジタバタ

クッパ(ヨースター島で1か月もうろちょろして…何やっとるんだろうなぁ)

502: Mii 2018/11/30(金) 07:25:16 ID:ccoR/GVA
~クッパ城~
ピーチ姫「これで四度目…あなたに助けられてばかりですね。
      何か、望みの物はありませんか?可能な限り叶えて差し上げたいと思います」

マリオ「…では一言。クッパから聞いたんですが、猫かぶりやめてください。いや、やめろ。
    こっちもピーチって呼び捨てにして、ため口で話すんで」



ピーチ「えっ…はい、構いません。じゃなくて、構わないわ」

マリオ「うんうん」



ピーチ(私と馴れ馴れしくしたいだなんて…も、もしかして)ドキドキ

マリオ(お偉いさんを助けるんじゃなくて、『友人を助ける』って建前なら納得もしやすいよな、気持ちが楽だわ。
    あと、やっぱり攫われても楽しそうじゃん。今度はもうちょっと助け遅らせても大丈夫そうだなあ)

503: Mii 2018/11/30(金) 07:26:34 ID:ccoR/GVA
~スーパーマリオRPG~
大臣「マリオどの、ピーチ姫を救って頂いてありがとうございます!
    それでは、この後もスターピース集めに勤しんで下され!」

キノピオ「応援します!」

キノピオ「応援します!」

キノピオ「応援だけしておきます!」

ピーチ「お願い致しますね。それでは私は部屋に戻ります」ニコッ

マリオ「…………」



ガシッ



ピーチ「!?」

マリオ「いつもいつも頼りっぱなし…たまには自分で動いてみないか。
    マグマに落ちたりして、ちょっとは体力あるだろ!さあ、冒険に出発だお姫様!」

ピーチ「きゃああああああああ!?」ズルズルズルッ

大臣「」

キノピオ「」

504: Mii 2018/11/30(金) 07:28:22 ID:ccoR/GVA
数か月後――
ピーチ「…フライパン片手に、なんとかなったわ」パンパカパーン!

大臣「えええ!?」

ピーチ「冒険も、案外悪くないわね!」

・・・
・・


キノピオ「…………」ダラダラダラダラ

マリオ「お前ら、事あるごとに尻拭いだけ押し付けて、その対価を貰おうとしたらしたで
    『姫様に取り入ろうとしている、けしからん』ってスタンスで動いたじゃん?

    その結果、『じゃあ絶対に取り入らねえよ、こっちは勝手に稼ぐから』ってスタンスをとることになるじゃん?
    まあ、最近はちょっとは落ち着いてきたみたいだけど」

キノピオ「…ええ、と。あの頃はまだどのキノピオも若かったもので…」

マリオ「いや、別にそれが悪いとは言ってない。
    おかげでwin-winの関係に落ちつけたわけだし」シレッ

505: Mii 2018/11/30(金) 07:29:36 ID:ccoR/GVA
ロゼッタ「は、初恋は大事にしましょうよ!」

マリオ「その理屈だとポリーンと付き合うべきじゃないか?」

ロゼッタ(誰ですかそれ!?)

ロゼッタ「ほ、ほら!救い救われたというのも評価点!」

マリオ「…だとすると、デイジーやロゼッタまで対象になっちゃうんですが」

ロゼッタ「よ、世継ぎ!どうせいつかはピーチ姫も結婚して子を残す以上、
      ヒーローのマリオが伴侶となるのが至極当然かつ妥当かと!」

マリオ「ロゼッタ、今のキノコ王国の政治状況知らないな?
    ピーチの王国運営力舐めんなよ、8~9割を動かしてるんだぞ。
    そのせいでキノピオ達の手腕が一向に育たんというデメリット効果付きだ。

    いま、ピーチが出産や育児で数年鈍ってみろ。この王国潰れるぞ?
    幸い、俺たちって老化を止めておけるからな。このまま何百年と頑張ってくれ。
    もちろん俺も協力させてもらう」

デイジー「これはひどい」

506: Mii 2018/11/30(金) 07:31:42 ID:ccoR/GVA
ロゼッタ「き、キスされたって相当なことでしょう!?社交辞令だなんて酷いでしょう!
     キスされた回数は断トツで」

マリオ「『応援キッス』のクリスチーヌ、次点で『お姉さんのキス』のネールだぞ。
     1シリーズで1回こっきりのピーチ姫なんか3位に入れたらいい方だぞ。

     おまけに、彼女たちの場合は魔法効果を込めるために頑張れって想いも伝わってくるし、
     そういった情熱面でも負けてるんじゃないかな」

ロゼッタ「」

ピーチ「」

マリオ「あ、言っとくがピーチが酷いやつだ、と言いたいんじゃない。むしろ逆だ。
     友人として、腐れ縁として付き合うと、ピーチは凄くいい奴なんだ。
     金銭面だなんて下世話な話だけじゃなく、統率力は高いし人を飽きさせないし、
     戦闘力としても背中を預けるに値する女性なんだ。…なんか恥ずかしいな。

     ま、ともかくこれからもずっと親友でいような、ピーチ!
     …じゃ、俺はあっちの料理を堪能してくるよ」トンッ

ロゼッタ「……………………」

デイジー「……………………」

ピーチ「ふえぇ…」グズッ

クッパ「ワガハイはケーキを片づける人形、人形っと」ソソクサ

ルイージ「…あれ、もしかしてみんな、知らなかったとか?」

508: Mii 2018/12/02(日) 16:50:14 ID:IZCffDa2
ロゼッタ「……ちょっとお花を摘みに参ります」フッ

デイジー「元凶が逃げるなあ!」ガシッ

ロゼッタ「ごめんなさいごめんなさいっ!それでも逃げますー!」タタタッ

デイジー「くぉらぁあああ!!」ガオー!



デイジー姫も、全くもって本気で怒っているわけではないようで。簡単に撒くことができました。
…私にとっては全力疾走で、呼吸困難に陥っておりますが。

巨大ケーキの置かれた敷地から、建物の中へ…ではなく、
出口にあたるクッパ城の正門まで、一目散に駆けてきてしまいました。

ハァハァゼェゼェと息を乱しながら、パンドラの箱を空けてしまったことを後悔。
さあ、どうしたらよいのでしょう…!この空気!







会場の空気を一変させる、起爆剤なんて、どこかに転がっていないですか――

509: Mii 2018/12/02(日) 16:52:04 ID:IZCffDa2
スイマセーン!ダレカ モン アケテクダサーイ!



ロゼッタ「…え?…あ!」

つい昨日、聞いたばかりの声に気付けたのは、とても幸運でした。





――これはこれは、ロゼッタ様でしたか!
――なんとか、最高の出来で仕上がったので…
――はっちゃけて、クッパ城まで持ってきちまいやした!!









ありました、起爆剤。
…私がそう思っているだけかもしれませんが。

510: Mii 2018/12/02(日) 16:54:13 ID:IZCffDa2
デイジー「ほらほらー、元気出して元気出してー」



ピーチ「…………(テーブルに突っ伏している)」ジワァ



デイジー「だいじょーぶだいじょーぶ、
      とりあえず一番チャンスがあるのがピーチってのは動かぬ事実だしさ。
      いつまでもめそめそしてたら、周りにクッパ軍団員がいくらでも湧いてきて
      誰が泣かした出てこいやーって大騒ぎになっちゃうよ」

ピーチ「…………」

デイジー「泣く暇あったら、キノピオ達の折檻…じゃなかった、再教育でもしたほうが有意義じゃないかな。
      …それはもうテッテーテキに」

キノピオ「!?」

ピーチ「…………」ムクッ

ピーチ「…ソウネ、ソレハジュウヨウネ。ワタシトシタコトガ、アマヤカシスギタカシラ」ユラァ

デイジー「いっそのこと、マリオに連行してもらって冒険でもさせればどうかな、にひひ」

キノピオ「冒険しましたよ!もうあんな目に遭うのはこりごりです!!」

511: Mii 2018/12/02(日) 16:56:08 ID:IZCffDa2
デイジー「…そうなの、ピーチ?」

ピーチ「…ウフフフ、キノピオ~?」

キノピオ「(ビクッ)な、なんでございましょう姫様」

ピーチ「一応は、いつものごとく攫われた私を助ける冒険だったはずなのよ~?
    なのに、マリオとルイージから聞いた話じゃ、ほとんど役に立たないで
    シャボンの中で高みの見物をしていただけって、本当なの~?」

キノピオ「え、えっと、あの」

ピーチ「せっかくパワーアップの機会を得られたというのに……私は悲しいわ。
     これまでの分も含めて…すこーし、お話が必要みたいね~」

キノピオ「」ガクガクブルブル

デイジー「あ、あんまりやり過ぎちゃ駄目だからね、ピーチ?」

デイジー(これはアカン、焚き付け過ぎた。ピーチに有るまじき負の感情がキノピオに向けて爆発しそう。
     自業自得だからいいのかな…うーん、ちょっとやりすぎになっちゃうかも…!)

512: Mii 2018/12/02(日) 16:58:21 ID:IZCffDa2
――姿見の前で、着替え終わって。
――くるりと、一回転。

――思いの外、ゆっくりとした回転になりました。

ロゼッタ「…………うう、なんだか重くなっていますね…スピンの勢いが弱まっている気がします。
      ――まあ、いいでしょう」

――ふたたび、姿見に映る自分を眺めて。
――あともう一つくらい、アクセントが欲しいですね。



ロゼッタ「アクセサリー類の手持ちなど当然ないので…
      まあ、いじるとすれば髪形くらい、ですか」シュッ



――うん、できました。
――あとは野となれ山となれ…ですね!



ロゼッタ「では、杖もありますし華麗に空間転移で…!
      じ、自分1人くらいの体重なら…FP補助なしでもできます…えいっ!」キラッ

513: Mii 2018/12/02(日) 17:00:32 ID:IZCffDa2
デイジー(と、そのとき!)



シュンッ!!

ロゼッタ「あ…へぶっ!」ドンッ!

ピーチ「!?」

キノピオ「!?」

デイジー「わっ!?」

デイジー(ロゼッタが、空間転移を使って、戻ってきた。

      酷く体勢を崩して、2メートルくらいの空中から降ってきて、
      地面に叩きつけられたっていうのが正しい、かな。
      むなしく手から離れてカランと音を立てた杖がシュール)



ロゼッタ「あいたたた…以前やった時は平然とできたのですが…!
      私としたことが、ドレスの重量増加、計算に入れていませんでしたっ……!」サスリ

デイジー「突然出てくるなんて、ビックリさせないでよ!


      ……って、あれ?なんというか…いや、明らかに服装、変わってない!?
      ど、どうしたのそのドレス!?」

514: Mii 2018/12/02(日) 17:02:22 ID:IZCffDa2
ロゼッタ(ピーチ姫含め、周囲の皆さんは、まずは私のインパクトある登場に驚き…
      続いて、私の姿に驚いている模様です。

      予定外のアクシデントはありましたがっ!…まあ、いいでしょう。
      埃を叩いて、ちょっと間を取って)



ロゼッタ「――ようやく、この誕生パーティにふさわしい格好になりました。

     改めまして。私、彷徨えるほうき星からやってきました、ロゼッタと申します。
     お招き下さり、誠にありがとうございます――」ペコリ



ドレスの裾を持って、時間をかけてお辞儀して見せます。
…こんな感じでよかったでしょうか。あんまり作法を知らないのですが。



最初からいた、ピーチ姫、デイジー姫、ルイージ。

クールに軍団員たちと談笑しながら、舌鼓を打っていたナスタシアにキノじい。

ケーキをひたすら食べていた、クッパにヨッシー。

案外の大食漢で、あちこち回って食べて飲んで笑っていたマリオ。

みんなみんな、何事かと私に駆けよってきました。

515: Mii 2018/12/02(日) 17:04:30 ID:IZCffDa2
さすがのピーチ姫も先ほどのことなど忘れたかのように、私に詰め寄ります。



ピーチ「ど、どうしたのロゼッタ!?結局、新しいドレス持っていたの!?」

ロゼッタ「いえ…奇跡的に先ほど、親切な染物屋の店員さんに、届けていただきました」

ピーチ「……染物屋?」



ロゼッタ「…ピーチ姫。――あの『血染めのドレス』、ありましたよね。
     あのときピーチ姫は言いました。

     『キノコ王国の技術を以ってしても、元の状態に戻せない。
     強引に漂白しようとすれば、元の透き通る青い色まで台無しになる。
     とりあえずの固定化で、これ以上ボロボロにならないように…
      不衛生にならないようにはしておいた』と」



ピーチ「え?――ええ、あったけれど――!?ま、まさか!」

516: Mii 2018/12/02(日) 17:06:41 ID:IZCffDa2
そう。

私の今、身に付けているドレスは、いつものドレスと…ある一点を除いて、全く同じ。

特に豪華になっているわけでも、派手になっているわけでも、
ましてや色気が増しているわけでもありません。ただ…。

赤い…いえ、『紅い、朱い』のどちらかの表現の方が、よろしいでしょうか。
あの青空の色は一切なく、真紅に染まっているのです。



ロゼッタ「キノじい殿にお尋ねして、手当たり次第に城下の染物屋に打診してみたのです。
      ――さすがはキノコ王国ですね、すぐに見つかりました。

      『ひっでえ血濡れのドレスですねぇ、元の青色を取り戻すなんて土台無理な話さね。
       ――でも逆に、赤黒さを目立たなくしつつ真っ赤に染めることくらいなら
       お安い御用ですよ』

       って回答してくれる、腕の立つお店が。
       ドレスを1日で染めてしまえるだなんて、本当に驚きです」



キノじい「いやはや、こういうことだったのですか。聞かれたときは何事かと思いましたぞ、ロゼッタ殿!」

517: Mii 2018/12/02(日) 17:08:26 ID:IZCffDa2
ピーチ「…!!」

ピーチ姫は、またもや驚いているみたい。

ロゼッタ「…ええっと。一応私のドレスということで、断りもせずこんな色に染めてしまいましたが……
     できれば許して頂けると嬉しいのですが」

ピーチ「え、あ、それは大丈夫よ?……へえ、不思議なものね!
     見れば見るほど、中々に似合っているじゃない!

     ロゼッタと言えば青色ってイメージが先行していたのは盲点、迂闊だったわ!」

ルイージ「うんうん、すっごく似合ってるよ!いつものロゼッタが美しいなら、
      こっちのロゼッタは凛々しいっていうかなんていうか!」

デイジー「そうだね!(あれ?今更だけど、買った服は…じゃあいずこに?あっれー?)」

ロゼッタ(コインの代わりになればと、染物屋さんに対価として渡しました。
      なんだか受け取った瞬間に泡を吹いてひっくり返りそうになっていましたが)

デイジー(いつぞやの仕返しで直接脳内に…!?)

518: Mii 2018/12/02(日) 17:11:12 ID:IZCffDa2
マリオ「いやあ、本当に似合ってるな!正直驚いたぞ!」

キノじい「それに、私はその髪型もいいと思いますぞ!
      ロゼッタ殿の快活さが見事に表現されておりますのじゃ。

      頑張ろうと意気込みなさるロゼッタ殿…
      いわば、『がんばロゼッタ』といったところですな!」

クッパ「その表現はどうかと思うんだが…」







マリオ「んー、俺だったら素直に『ファイアロゼッタ』って名前の方がしっくりくるんだけどなあ…」







ピーチ「もう、何言っているのよ、こんなときに――――」

ピーチ「……………………」

ピーチ「……………………」ハッ

519: Mii 2018/12/02(日) 17:14:38 ID:IZCffDa2
ピーチ「ひ ら め い た!ひらめいたわ!!

    ……ごめん、私とクッパ、ちょっとパーティ抜けるわ!!
    今日は一日、お疲れさまぁっ!!」ダダダダダダッ!!!

クッパ「ぬおおおおお!?な、なにをするのだぁー!
    (あ、ケーキ食べなくていいことになるなら逆らえないフリしとこ)」ズルズル

ロゼッタ「え?え?ええーっ!?」

デイジー「なんで!?」

ルイージ「」

ヨッシー「ということは私が99.99%…
      あ、クッパが食べた分を考えて99.97%を食していいということですね?
     まったく、仕方がありませんねー」キリッ





マリオ「…俺、何かしたのか?」

520: Mii 2018/12/02(日) 17:18:58 ID:IZCffDa2
結局、ピーチ姫は、パーティに戻ることはありませんでした。
何処に行ってしまったのでしょうか。

一方の私は、真っ赤なドレスに包まれて、最高にパーティを堪能しました。
きょろきょろ探し回って、サヤカ親子を見つけたときはほっと一息。

ロゼッタ「…どうされたんですか?こんな隅っこで」

サヤカ父「ロロロロゼッタさん!?いや、ロゼッタ様!?なんですかこのパーティ!?
     連れられて来てみればクッパ城で、おまけにお偉いさんばっかりで!?
     私らなんか、場違いにも程があるんですけれども!」

サヤカ「ママ!わたしはママの所にはやく行きたかったんだけれどね、
     パパがちょっと待てちょっと待てって震えて言うばっかりで…
     あんまり料理を取りにも行けないし…

     あ、ママのドレス、シンプルだけどとっても似合ってるよ!」ニパー

サヤカ父「サヤカ、失礼一つで言葉通り首が飛ぶかもしれないんだぞ!」ガクガク

ロゼッタ「…ま、まあ、気持ちは分からないでもありません。
      でも、クッパ軍団員含めて、皆さん親切にしてくれていませんか?」ウンウン

サヤカ父「それが却って怖いんですよぉ!
      こっそり死の宣告までの無礼ポイントとかカウントされてるみたいで!」

521: Mii 2018/12/02(日) 17:20:34 ID:IZCffDa2
サヤカ「綿飴売ってる、いつものパパはどこに行ったの?」

サヤカ父「状況が全然違うじゃないか…!」

ロゼッタ「あ、それいいですね。そのフォーマルな姿恰好でも綿飴って作れますか?
     ここで皆さんに振る舞うというのはどうでしょう」

サヤカ父「あ、ははは。面白い冗談です、ねえ」ビクビク

ロゼッタ「ねえ、サヤカ。綿飴機も、クッパシップに乗せているのね?持ってこられるのかしら?
      砂糖なら一杯…いえ 無尽蔵 にあるのだけど」

サヤカ「全く問題ないよ、ママ!やってみようか!」パァァ

サヤカ父「」

522: Mii 2018/12/02(日) 17:22:09 ID:IZCffDa2
ロゼッタ「おひとつ綿飴、どうですかー?」

サヤカ「どーですかー?」



クリボー「おお、これが綿飴ってやつか!もふもふじゃないか!」

ノコノコ「いやー、ケーキも美味しいけど、これもなかなかイイっすね!
     こっちは割と作りやすいみたいだし、カメック様に製造機を導入していただきたいな!」

トゲノコ「むう、防具が邪魔で食べにくいな…親方、すこし食べやすく加工してもらえないだろうか」

ハンマーブロス「いやあ、一仕事終えた後の甘いものはいくらでも食べられる」

マリオ「ううむ、キャシーさんに作ってもらうとしたら…お菓子のもと、は要らないな。
    一体何があればいいんだ…?さっぱりわからん…!」

ルイージ「いや、普通に砂糖でいいんじゃ」

マリオ「それはピーチ専用のアイテムだからなあ…」



ロゼッタ(サヤカのお父さんのHPをゴリゴリ削りながらも…とても好評でした)

523: Mii 2018/12/02(日) 17:25:57 ID:IZCffDa2
すっかり天は暗くなり、宴も幕引きの時を迎えます。

そんななか、すこし抜け出して――
朱いドレスの私と、可愛らしい白いドレスのサヤカは、
敷地の隅っこで、最後の…最後のキャッチピースをすることにしました。



ぱしっ。ぱしっ。



小気味よいキャッチの音が、小さく響き渡ります。



サヤカ「…………」

ロゼッタ「…………」

このスターピースのように。伝えたい気持ちは、おのずと伝わったかしら。
サヤカは徐々に涙ぐんでいきますが…あえて、見て見ぬふりをしてあげます。

524: Mii 2018/12/02(日) 17:27:16 ID:IZCffDa2
サヤカ「……本当に、本当に楽しかったよ。――忘れない」パシッ

ロゼッタ「……ええ。ママも――楽しかった。絶対に忘れないわ」パシッ

サヤカ「……いろいろ、言いたいことが、あったはずなんだけど。
    言うと、本当にお別れになっちゃいそうだから、やめとく。
    またいつか、会えるって信じてるもん」

ロゼッタ「そうね。じゃあ、また会うこと、指切りしましょうか、サヤカ?」

サヤカ「……うんっ!」

指切り、げんまん。
2人の指が、しっかりと結ばれます。

サヤカ「ジャイロボールの方も、しっかりものにしてね!ママならきっとできるよ!」

ロゼッタ「そ、それはちょっと、指切りできないかな…?」アセ

――あれから、一球たりとも投げられていないので。
ズルと奇跡が重なっただけの代物のような気が、しないでもありません。

サヤカ「…………」ウルウル

ロゼッタ「わ、わかったから!それも、指切りげんまん、ね!」

サヤカ「えへへ…」

525: Mii 2018/12/02(日) 17:28:45 ID:IZCffDa2
そうして。抱きしめ合ったあと。
特別に用意された、小さな飛行船に乗せられて。
サヤカとサヤカの父親は…この地を、離れていきました。



私は…パーティ会場から、いつまでも、いつまでも飛行船を見上げ続けます。



デイジー「ロゼッタ……大丈夫?」

ロゼッタ「悲しくない…と言ったら、大嘘になってしまいます、が。
     ほんの少しは、涙が滲むかもしれませんが。
     ――大丈夫ですよ。

     今世の別れではないと、信じていますから!」

デイジー「…そうだよね!それでこそロゼッタだよ!

     ささ、まだまだケーキは残ってるよ!
     ちょっとはクッパを助けてあげるとしようか!」

ロゼッタ「…正直、割とお腹は一杯なのですが。
     仕方ありませんね、お供いたしましょう」フフ

さあ、また新しい「私」の……スタートです。

526: Mii 2018/12/02(日) 17:31:20 ID:IZCffDa2





ジャイロボールの コツを つかんだ!▼

ハイスピンジャイロボール習得に必要な基礎体力レベル・・・Lv.50
       ジャイロボール習得に必要な基礎体力レベル・・・Lv.20

                 【現在の基礎体力レベルは Lv.1 です】





ロゼッタ「…?デイジー姫、何か言いましたか?」

デイジー「???何も言ってないよ?」

ロゼッタ「……???」

527: Mii 2018/12/02(日) 17:35:28 ID:IZCffDa2
~とある暗い一室~

任天堂スタッフ「……なんですと!?
          貴方を、更にはデイジーとロゼッタをプレイアブル…じゃなくて冒険に参加させろ、と?
          突然呼ばれてみてみれば…どういうことです?」

ピーチ「冒険は最高の経験値ですから。
     マリオとルイージは固定として、キノピオ…彼だけだと手を抜きそうなので監視役に私も付けて、
     そして更にデイジーとロゼッタを差し込みたいのですが。

     男性3女性3、バランスは取れているでしょう?
     必要なシナリオのプロットは、クッパと相談してなんとかしますから」

クッパ(そういうことか。ピーチ姫、面白いことを考えたな)

任天堂スタッフ「ううむ…ふむぅ。
          確かに、ロゼッタ姫がしっかり力を付けてくれるのならば有意義ではある、のかもしれません。
          そこまで希望するなら、一応上には声をかけておきますか。

          しかし、それだと『クッパがピーチを攫う』いつものシナリオが使えないわけですが」

クッパ「シナリオって言わんでください」

528: Mii 2018/12/02(日) 17:37:51 ID:IZCffDa2
ピーチ「そこで……ゲストを連れてきたわ」

任天堂スタッフ「……むむ?」



妖精「なんなの、なんなのよ!いきなり呼び出して、こんなところに連れて来て!」



ピーチ「あなたがメールを送ってきたわけじゃないでしょうけど…
     あなたたち妖精が送ってよこしたメールに対する返答、返事よ。
     代表として、案をしっかり理解して持ち帰ってね。

     フェアリーランドに、クッパ軍団員によるステージ作成、および継続の許可を。
     あと、一時的に代表者数人に囚われ役として拘束されてもらう、くらいかしら。

     見返りは、向こう99年間、ステージで得られたコインの50%を。
     あとは、副次効果で得られた観光業利益…というのでどうかしら」

529: Mii 2018/12/02(日) 17:39:15 ID:IZCffDa2
妖精「……拘束っていうのが腑に落ちないけど…私たちは、何もしなくてもいいの?
   土地を貸せばいいだけ?」

ピーチ「ええ、すべてキノコ王国によるサポートとクッパ帝国による建設で賄えるわ」

妖精「言ってみれば、各地にテーマパーク作って貰って、それを維持するだけでコインざっくざくってことよね。
    うーん、うますぎる話のような…まあ、いっか!私は支持するわ!」

任天堂スタッフ「やれやれ…しんどい仕事になりそうだ」

クッパ「いつもお疲れ様です」




一体、どうなることやら。

530: Mii 2018/12/02(日) 17:41:00 ID:IZCffDa2
~ほうき星~

貰ってきた重力補正済体重計「54 kgですね」



ロゼッタ「…………」ダラダラ

ロゼッタ「……12 kg増えてる…ほ、本当に適性値はもっと上なんですよね!?
     し、信じていいんですよねぇ!」





……本当に、どうなることやら。

532: Mii 2018/12/06(木) 22:11:56 ID:XUi5qVu.
~第3章~




      ロゼッタ、変態になる

533: Mii 2018/12/06(木) 22:15:06 ID:XUi5qVu.
クッパの誕生日から、さらに8か月ほど過ぎたころ。
私、ロゼッタは、今日も今日とて……



ロゼッタ「あと、すこしっ……!」ブロロロロロ

キイイイイイィィィン!!

チコ「ゴーール!」

チコ「ごーる!!」

チコ「ごおおおおる!!」

……観客に満員のチコを収容し(改めて考えると滑稽かもしれませんが)、
ひとり『ロゼッタプラネット』のタイムアタックをおこなっておりました。
ようやく…最近、完成させてのけたのです!!

カートはピーチ姫に送って頂きました。
また、コースアウト用にメカニカルジュゲムさんを1体貸して頂きました。
本物のジュゲムにくらべて救助が遅いけれども、最悪の事態を免れる程度には使えるらしいです。

…なんでもありですね、キノコ王国の技術力。

このコースに限っては、チコたちも…えっさほいさと私を拾ってくれる、
緊急時は体力を分けてくれるので、万全の態勢です。

こ、怖くなんてありませんよ!?
谷底に落ちて救助されないまま冷たくなるとか…危惧していませんから!

534: Mii 2018/12/06(木) 22:16:57 ID:XUi5qVu.
さて。さすがに、ここ2か月の間ひたすら走り続けただけのことはあります。
もう、ほとんどコースアウトはしない状態にまで持ってくることができました。
コース取りも安定、ふらついたりなどいたしません。

チコたちにダミーの置き石を設置してもらって、
障害物を想定した咄嗟のコース変更も練習してきました。努力のたまものですね!

そして、本日はピーチ姫とデイジー姫が遊びに来るそうです。
なんでも、このコースを見学しにくるのだとか。

そして、なんとこれは視察も兼ねているそうなのです。
極端なショートカットがない、問題なく周回できる、技量の差を順位に反映できる…などの
項目をすべて満たす出来ならば、既に白熱の模様を見せているシーズン…
「マリオカート7」の正式コースとして認定されるよう、申請して頂けるそうです!

あの会場に…「ロゼッタプラネット」が呼び出されるところを想像すると…胸が熱くなりますね!

535: Mii 2018/12/06(木) 22:18:50 ID:XUi5qVu.
ワクワクドキドキを隠さずにそわそわしていると…とうとう来てくれました!
あのクッパシップがそうでしょう!やはり、1日で到着とは相変わらず速いですね!
さっそく出迎えに参りましょう!



…ケーキの材料費、結局折半したんですよね。
もちろん設備費は、カメック達がそれなりに使い込んでいたのですが…
材料費には到底及びませんでした。

おまけに、カメック部隊の全消費MP<ピーチ姫の消費MPだったらしく
「MP消費も金銭評価してください」という主張も通りませんでした。

代金の代わりに、一番小さいクッパシップを格安で貰い受けたピーチ姫は…
ちゃっかりしてます。…ピーチシップと呼んだ方がいいのでしょうか。
まあ、それはさておき。



ピーチ「元気にしてた?ロゼッタ!」

デイジー「おひさー!どんなコースが誕生したのか、ワクワクが止まらないよ!
      さっそく見せて見せて!」

ロゼッタ「はい!喜んで案内させて頂きます!」

それでは、私の走りとともに、このコースをくまなく見て頂くことに致しましょう!
3人だけの…まだアイテムボックスは置かれていない、純粋な勝負です!

536: Mii 2018/12/06(木) 22:21:47 ID:XUi5qVu.
~レース結果~

ピーチ    1st × 7回 2nd × 3回 3rd × 0回
デイジー  1st × 3回 2nd × 7回 3rd × 0回
ロゼッタ   1st × 0回 2nd × 0回 3rd ×10回

ピーチ「知ってた」

デイジー「…ごめん、手抜くのはどうかと思って。で、でもいいコースだね!
      とくに、ロゼッタらしからぬ後半のダッシュ板配置!最後まで気の抜けない戦いができそうだよ。
      問題なく申請は通ると思うよ、うんっ!」

ロゼッタ「……試走すらされていないお二方に、まるで歯が立たないなんて」ズーン



ピーチ「…あのね、いくらロゼッタの基準では安定して走れている気になっても、
    私たちが最低限とする安定度にまだまだ及ばないの。
    ダッシュ板に向かうにしろ、位置を『置きに』行ってるでしょう?
    それじゃあ、周りへの警戒も出来ないわ。

    おまけに、刻一刻と動くコース状況は、ついついパターン化されがちな
    チコたちの障害物だけじゃ練習しきれないわ。
    私たちにぶつかられただけであたふたして、いとも簡単にコースアウトしたもの。

    これがアイテム飛び交う実戦になったらどうなることか…。
    まだまだ修行の余地あり、よ」

ロゼッタ「…身に、染みております…」ショボン

537: Mii 2018/12/06(木) 22:24:03 ID:XUi5qVu.
ピーチ「というより、やっぱり基本体力のなさは如何ともしがたいわ。
     走りの安定性に如実に表れてくるもの」

ロゼッタ「はい…」

ピーチ「…うん。このコースの申請は、問題なく出しておくけど。
     というより、本当にいいコースね。早速使わせてもらいたいくらいだわ。

    …でも、ロゼッタの復活戦は、まだまだ先みたいね。ある意味、予定通り」



ピーチ姫の宣告に、悲しみが溢れてきます。
まだまだ、先が遠すぎる。一体、いつになったら…!



ピーチ「焦らないで、ロゼッタ。
    私には、計画があるの。ロゼッタのための面白い計画が、ね」



そう言って、ピーチ姫は悪巧みの顔をして笑ってのけます。
その、計画とは…?

538: Mii 2018/12/06(木) 22:25:45 ID:XUi5qVu.
ピーチ「おそらく、『マリオカート7』シーズンは2年ちょっと続く。
     そして、あなたは…最終節に、参加しなさい」

ロゼッタ「最終節…?」

ピーチ「とうとう忘れられそう、予想だにしていないという誰もが驚くタイミングで颯爽と登場し、
     好成績を収めるの。華麗な復活デビューを果たして観客のスタンディングオベーションを浴び、
     次のシーズンを貫禄を持って意気揚々と迎えるのよ。ステキだと思わない?」

ロゼッタ(確かに、その通りに事が運べば素晴らしいことですが…)



そんな自信、全然ありません。2年先のことだろうと。…いえ、たった2年程度では。
絵に描いた餅、ではないでしょうか。

539: Mii 2018/12/06(木) 22:29:32 ID:XUi5qVu.
ピーチ「そういえば、体力づくりの方は、どう?」

ああ、やはり確認しておきたいだろうな、とは思っていました。



ロゼッタ「…なんとか、自分の意志で魔法の力を抑制できるようになりました。
     今はほぼ、自分の筋肉だけで動いています」

デイジー「おお、ようやくスタートラインに立ったってところかな」

ロゼッタ「…頑張ります!」グッ

拳を握りしめ、気合いを入れ直します。
経験上、気合いを入れておかないと死ぬような気がしたので。

ピーチ「じゃあ話は早いわ。さあ、クッパシップに乗って乗って!
     キノコ王国までとんぼ返りよ!
     …あ、あの朱いドレスを忘れずにね!」

ロゼッタ「え?…わわっ!毎度毎度、クッパシップ使いが荒くないですか!?」ズルズル

チコ「ええー、もう帰っちゃうのー?」

540: Mii 2018/12/06(木) 22:31:48 ID:XUi5qVu.
ロゼッタ「ここ、は」



キノコ城の隅の方。一般の方も含め、列をなして、なにかの手続きを行っています。
そういえば、この辺りは近付いたことがありませんでした。
一体、何をやっているのでしょう。
私もピーチ姫に促され…最後尾に並びます。

前の人が何気なしに私の方を振り返り、



ロゼッタ「あ、どうも」

前の人(コクリ)



軽く会釈をして再び前を向いた彼は、3秒ほど後にピシッと固まり、
ギギギ、とぎこちない動きで再び私の方を振り返りました。
…もしかして、私って有名人になってしまっているのでしょうか。
不本意です。せめて悪い噂ではないことを祈ります。

541: Mii 2018/12/06(木) 22:34:00 ID:XUi5qVu.
ロゼッタ(というより、これってピーチ姫を見てしまって驚き慌てているのでは?
      そうですよね、それならこの驚き方も納得です)クルッ



メガバッテン軍団員「わたくしは名もない軍団員です」



ロゼッタ「」

ロゼッタ「」

ロゼッタ「ピーチ姫がいない!?」キョロキョロ

デイジー「ほんとだ!?いつの間に!」

軍団員「ピーチ姫なら、ロゼッタさんのことはデイジーさんに任せると言ってどこかに行きましたよ?
     なんでしたら、私もお供しましょう。ここのことは詳しいですから」

ロゼッタ「本当ですか!何処のどなたか存じ上げませんが、ありがとうございます!」

デイジー「ありがとうね!」

軍団員「ふふ、気にしないでください」

542: Mii 2018/12/06(木) 22:36:45 ID:XUi5qVu.
ロゼッタ「…『残機申請窓口』?」

確かに、看板にはそう書かれています。



デイジー「うふふ、懐かしいなあ…私もだいぶ前に来たっけ。
      …申請こそ通ったものの、残機制度を利用しないまま今に至るけど」ズーン

ロゼッタ「残機申請…ああ、以前聞いたことのある、あれですか。
     ここで申請を受け付けているのですね。
     なるほど、並ばれている皆さん、活き活きとしています。
     根っからのチャレンジャーたちなのですね」

デイジー「私たちくらい強くなると、そのチャレンジもなっかなかできないのよ。
     他の人たちが委縮、遠慮しちゃうから、原則、古くなったステージへの挑戦はナシってことらしいわ。
     冒険者として招集されたステージしかチャレンジできないのよね…」

ロゼッタ「それで、私がここに並ぶのはなぜなのですか?」



デイジー「またまたぁ、分かってる癖にー。
      いや、分かってなかったとしても、いい加減察しなさいよ!

      …そりゃ、冒険者の資格を得たからに決まってるじゃない!」

ロゼッタ「……え?」

ど、どういうことですか!?青天の霹靂です!

543: Mii 2018/12/06(木) 22:39:37 ID:XUi5qVu.
デイジー「喜びなさい、ロゼッタ。私とあなた、なんと次の冒険に内定もらったんだって!
      ピーチがかなり動いてくれたらしいわよ!やったね!これで強化ばっちり!」

ロゼッタ「え、ええっ!?いつの、まに!?」



喜べ、と言われても。正直、寝耳に水過ぎて、何が何やら。



…というより、けたたましいくらいの「死へのカウントダウン」警告が
頭の中を鳴り響いているのですがっ!?

544: Mii 2018/12/06(木) 22:42:24 ID:XUi5qVu.
受付「はい、次の方―」

ロゼッタ「は、はい」



とうとう、私の番が回ってきました。
待っている間に必要事項を記入した紙を、受付の人に渡します。
…記入し切るのに30分掛かりました。物凄く疲れました。厳格にも程があります。

ついでに言わせてもらうと、物騒な質問が多かったです。
「これまで死にそうになった回数は何回くらいですか?」みたいな質問には、
あんまり答えたくありませんでしたよ、目が点になりました。
でも正直に「100回以上。1000回を超えているかもしれません」と回答しておきました。
受け取った係の人が、今度は目が点になりました。わぁい。



――それでもこの人気ぶり、凄いですね。



まだまだ、終わりではありません。

親切な軍団員さんに促され、先へ進みます
身長、体重、肺活量、握力、血液検査、聴力検査、そして…。

545: Mii 2018/12/06(木) 22:44:55 ID:XUi5qVu.
受付「はい、続いて視力検査でーす。ではこちらの機械を覗いてください…
    あ、右目が隠れているので髪は払ってくださいね」

ロゼッタ「…え」



付き添いのデイジー姫が、私が終わるのを待っています。…待っているのですが。

ロゼッタ「…えっと――なしということには、できませんか」

デイジー「何言ってるのよ、ロゼッタ?」

受付「別に、視力が悪いから審査不合格というわけでは全くないですよ?
    合格時のアドバイスが変わってくる、くらいに思って頂ければ」

ロゼッタ「そ、そういうことではないのですが…あの、その、ええと」オロオロ

デイジー「そういえば、ロゼッタの右目ってなんだかんだ見た事なかったっけ?
      お風呂に一緒に入った時でさえ、絶妙に髪に隠れてたもんね。
      なになに!?邪気眼!?それとも写○眼でも持ってたり!?
      あの黒歴史に関係あったり!?」

ロゼッタ(――あの黒歴史には関係ありませんよ!)

ロゼッタ「………………………わかりました。覚悟を…決めます」

そうです、ここでデイジー姫を信用しないで、どうするというのです。
醜さに…嫌われることなんて、あるはずがないのですから。

546: Mii 2018/12/06(木) 22:46:51 ID:XUi5qVu.
スッと、手を右目にやります。



長らく掛かり続けていた髪の房が…今、退けられました。



デイジー「……えっ」

デイジー姫が、驚きの余り…両手で口を覆います。




ロゼッタ「…………これで、よろしいですか?」





デイジー「ど、どうした…の、その…眼」

私の右目は…まるで人工物かのような、無機質で冷たい色をしています。
光など…宿っておりません。

547: Mii 2018/12/06(木) 22:48:40 ID:XUi5qVu.
震える声で、デイジー姫に尋ねられ――
できるだけ、できるだけ心を落ち着かせて、返します。



ロゼッタ「ふふふ…怖いくらいに、光を失っているでしょう?
      恥ずかしくて…見せたくなかったのですけれどね。
      …ほとんど見えていないのですよ、これ。

      …何百年前になりますか…不慮の事故で、酷く傷ついてしまいました。
      回復も手遅れで、腐らないだけ御の字という状態です。
      我ながら、泣きたくなります…」
    


デイジー姫が、たちまち涙模様。

デイジー「ごめん…ごめんなさい!ごめんなさいっ!」

受付の人まで、一緒になって泣き始めてしまいました。



ロゼッタ「具体的には……………………」

548: Mii 2018/12/06(木) 22:53:59 ID:XUi5qVu.

・・
・・・

女の子「ああ、とうとう望遠鏡が壊れてしまったわ。
     もう、遠くの星を観察することはできないのかしら?

     …そうだわ!目に魔力を込めたら、視力が上がって
     もっと遠くの星を肉眼で見ることができるんじゃないかしら!」

チコ「そんなことをして、大丈夫?」

女の子「大丈夫よ、痛くなったらやめればいいのだもの!いくわよ!」



女の子「…わあ、見える、見えるわ!思ったとおりね!」ググッ

チコ「すごい!何が見える!?」

女の子「そうねえ、あの星の表面の、山と谷の数までわかるわ!」

チコ「なあんだ、岩の形まではわからないんだ」

549: Mii 2018/12/06(木) 22:56:26 ID:XUi5qVu.
女の子「そのくらい、見えるわよ。まかせなさい…うん、岩だって見えるわ!
     なんだったら、小石の形だって説明できるわよ!」グググググ

チコ「あ、ママ?そろそろ、右目に魔力を込めるのをやめた方がいいんじゃあ」ビクビク

女の子「わあ、凄い凄い!どんどん拡大していけるわ!!
    もっともっと速く!もっともっと遠くまで!!」ググググググ

ブシュッ!

女の子「あ」

チコ「」

女の子「いやああああああああああ!!!目が、目がぁーー!!」

チコ「回復、はやく回復っ!!」

・・・
・・


ロゼッタ「あまりにもあんまりな自業自得といいますか、
      思い出すたびに馬鹿さ加減に泣けてくるのです…」ウルウル

デイジー「結局は黒歴史だったんかーい!?
      ごめん、なんだかあんまり可哀想に思えなくなったっ!!」ビシィッ!

550: Mii 2018/12/06(木) 22:59:34 ID:XUi5qVu.
ロゼッタ「あ、でも完全な失明状態じゃないですよ!
      というより、まさに魔眼に近いですね。魔力を注げば注いだだけ、
      遠見効果を発揮するのです!デイジー姫のFPを貸して頂ければ、
      視力10000.0も夢じゃありませんよ!」

デイジー「…あー、FPが勿体ないのでやだ」

ロゼッタ「あ、はい」ショボン



ロゼッタ「右」

ロゼッタ「左下」

ロゼッタ「上」

ロゼッタ「下」

ロゼッタ「右上」

受付「左目2.0。
    …右目は10.0ですね」


ロゼッタ「よし。…まあ、自分のFPだけなのでこのくらいにしておいてあげましょう」ググ

デイジー「右目が怪しく光っとる…
      秘密を教えてもらったのにあんまりうれしくない…」

551: Mii 2018/12/06(木) 23:02:36 ID:XUi5qVu.
――結局。申請に丸一日、掛かってしまいました。
私も、付き添いのデイジー姫も…疲れ気味。建物を出て、ググッと伸びをします。

デイジー「今日は色々とありがとうね、軍団員さん!」

軍団員「いえいえ、お気になさらず」

ニヒルに笑って、彼は一礼して去っていきました。ステキな方ですね。



デイジー「あっとは、招集がかかるのを待つばかりー!楽しみだなー!」

ロゼッタ「それで、いつ頃になるのでしょうか?」

ピーチ「はっきりとしたことは言えないけれど、数か月以内ってところじゃないかしら。
     あ、集合場所も含めてメールで教えるから、メールチェックは毎日欠かさずすること。
     
     特にロゼッタ、この冒険は貴方を鍛えるためのもの、と言っても過言ではないのだから…
     集合に遅れたら、私、怒るわよ?気を付けなさい」

ロゼッタ「ぴ、ピーチ姫。い、いつのまに背後に…ホッ。ある程度の猶予はあるということですね。
      ええ、わかりました。ご心配なく、最近は日課になっていますから」

ピーチ「デイジーもね?ようやく冒険参戦となったことに喜び過ぎて、確認を怠らないように」

デイジー「そんなヘマはしないよーだ!」

ピーチ「不安だわ…」

552: Mii 2018/12/06(木) 23:04:33 ID:XUi5qVu.
その他、いくつかの注意事項をピーチ姫から教わり…クッパシップで、ほうき星へ帰りました。
…さて、ますます体力づくりに励む必要がでてきましたね。頑張らなければ!



…あ。大事なことを忘れていました。



望むなら、パワーアップ状態の服装を登録してもよいそうです。
登録すると、アイテムを取った瞬間に早着替えできるとか。どういう原理なのでしょうか。

当然、ファイア状態に…持ってきた、朱いドレスをしっかり登録しておきました。
あとは、デフォルトで勝手に執り行ってくれるそうです。

553: Mii 2018/12/06(木) 23:06:59 ID:XUi5qVu.
~11月19日~



『各位

初霜の候、皆様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。


さて、 私が妖精の国を侵略し(形式的に)
ワールドステージを展開するという『例の』準備が一通り完了致しました。

つきましては、11月21日、各ステージを開放致します。
急なこととなりましたが、皆様の参加、挑戦を心からお待ち申し上げております。


                                クッパ城城主     クッパ』



ピーチ「……来たっ!!よし、マリオとルイージには届いているだろうし、
     デイジーとロゼッタにメールを…!」カタカタカタカタッ!

554: Mii 2018/12/06(木) 23:08:56 ID:XUi5qVu.
メールダヨ!メールダヨ!

デイジー「…よし!よし!来た来た来たぁー!!待ってましたぁ!
     それでは、さっそく準備しなくっちゃ!!」ガバッ



デイジー「フンフンフフーン♪荷物は手提げ一つでじゅうぶーん!
      集合場所は割と遠そうだし、早めにしゅっぱーつ!」タッタッタッ

大臣「これはこれは、デイジー様。そんなに軽い足で、一体どちらへ?」

デイジー「これから、初冒険に行ってくるわ!後のことはよろしくね!」

大臣「ほっほっほ、それはそれは…」

デイジー「それじゃ!お土産一杯買ってくるね!」






大臣「是が非でも止めなければなりませんな」ピッ

デイジー「!?」ピョン!

555: Mii 2018/12/06(木) 23:11:15 ID:XUi5qVu.
デイジー「…うひゃあ!?急に足元の床が無くなった!なにこれ!?」トンッ

大臣「ちっ、無駄に勘が鋭いですな。しかし、まだまだ参りますぞ!」

デイジー「ちょちょちょ、なんでこんな事するのよ!酷いじゃない!」

大臣「その言葉、そっくりそのままお返し致しますぞ!
   最近のデイジー様ときたら、碌に政務を執っていらっしゃらないではないですか!」

デイジー「…うぐっ、そんなに怒らないでよ金融大臣さん」

大臣「私は防災大臣ですぞっ!どこぞの姫様の不手際で、
   何故か警務大臣と復興大臣も兼ねていますがね!
   役職すら把握していないとは嘆かわしい!

   既に今年も10か月経ちましたが…
   一体、何日サラサ・ランドでお務めを果たしたというのです!」ピキピキ

556: Mii 2018/12/06(木) 23:13:40 ID:XUi5qVu.
デイジー「…えっと、50日くらい?」

大臣「たったの5日ですぞ5日!
    それ以外は、朝と晩ちょっと城にいるくらいで、城下で遊び呆けている…
    あるいはキノコ王国などへ放蕩の旅に出ているだけ!

    戻ってきてみれば『ちょっと着替え取りに帰ってきたよ』…ですと!
    『ほらほら、大会で優勝してトロフィ―貰ってきたよ!飾っておくから好きなだけ眺めていいわ』…ですと!?
    ふざけないでいただきたい!堪忍袋の緒が切れましたぞ!

    私たちという超優秀な部下がいなければ、とっくにこの国は潰れておりますぞ!」

デイジー「あ、はは、はは。…ごめん!ほんとごめん!でも、今回ばかりは見逃して!
      次から気を付けるから!ね?私だって、やるときはやるのよ?知ってるでしょ?」

大臣「ええ、知っておりますとも。確かに本気モードのデイジー様は、かのピーチ様にも劣らないくらい…
   それはそれは神々しい威圧感、カリスマ、威厳に溢れておりますぞ。
   …しかし、その頻度があまりにもあんまりな低さですのじゃ!

   そして、我らは…次にお会いした時には、一致団結して、
   デイジー様をひっ捕らえるべし、と結論付けましたのじゃ!!」ダッ

デイジー「えええ!?そんな、やめてよ!あ、争いは何も生まないと思います!」アワワ

557: Mii 2018/12/06(木) 23:15:53 ID:XUi5qVu.
大臣「どの口がそれを言うかぁー!皆の衆、出遭え出遭えーっ!」



(地方創生+雇用改革+環境保全)大臣「うおおおおお!!俺は今から怒るぜ!」ダッ

(外交+軍事+治水)大臣「一か月くらいカンヅメにしてまともに働かせるぞぉ!」バッ

(観光+遊興+歴史編纂)大臣「喝を入れてやらねば!お覚悟をっ!」ダッ

(金融+物流+電子通信)大臣「ヒャッハー!」ダッ

(科学+教育+福祉)大臣「社畜にも限度というものがある!
                 これ以上好き勝手にさせてたまるかー!」ドーン!

オオオオオオオオーーー!!!ズドドドドド…!!



デイジー「わわ、何十人も寄ってたかってわらわらと…!
      よーし、そっちがその気なら私だって本気で行くからね!
      止められるものなら止めてみなさーい!
      
      お姫様の力を舐めるなあ!強行突破ぁー!!」ドドドッ

558: Mii 2018/12/06(木) 23:17:57 ID:XUi5qVu.
――30分後。

デイジー「ばたん、きゅー…」ボロボロ



大臣「やりましたな!我々は遂に成し遂げたっ!」

大臣「敵は流石に強大であった…しかし!
   我々のダイヤモンドよりも堅い結束力が!
   用意周到に仕掛けられた捕縛用の仕掛けの数々が!
   料理人から一介のメイドに至るまでの、一糸乱れぬ追跡、情報リレーが!
   不可能に見えたことを、可能にしたのですぞ!」

大臣「おっと、油断している暇はない!のんびりしている暇はもっとない!!
   裁可してもらわなければならぬ書類は、それこそ山ほどある!
   すぐさまデイジー様を執務室へ!
   更衣室も風呂トイレも飲食提供も、全て一室で完結できるように改造してある!
   
   いいか、どのような理由を並べ立てようと、絶対に部屋から出すな!
   文句を言うようなら、メイドたちよ!
   素っ裸にして、リードと首輪で机に括りつけてでも仕事をさせるぞとでも脅しておけ!」

メイド「「「「「承知いたしました!!」」」」」ビシッ!

デイジー「」
   

――サラサ・ランドの部下たちのステータスは…
――デイジーを反面教師にして、恐ろしく高かった。

559: Mii 2018/12/06(木) 23:20:15 ID:XUi5qVu.
~11月23日、フェアリーランド~

マリオ「…………」

ルイージ「…………」

キノピオ「…………」

デイジー『…グズッ。グズッ。……そんなわげで、わだじ、ぼうげんに、いげなぐ、なっだの。
      いぎだがっだのに、いぎだがっだのにっ!!ウワーン!!』



ピーチ「ようやく電話が掛かってきたと思ったら…なにやってんのよ!自業自得じゃないの!
     せっかくのチャンスをフイにしてっ!馬鹿じゃないの!?」

デイジー『ぞんなにおごらないでよぉ…!ようやぐ、でんわだげはゆるじで、もらえだのにぃ…!!』ダバー



マリオ「…ちょっとピーチ、代わってくれるか?今のピーチじゃ、纏まる話も纏まりにくいだろ」

ピーチ「…はい、どうぞ!ふんっだ!」プンスカ

560: Mii 2018/12/06(木) 23:22:04 ID:XUi5qVu.
マリオ「俺だ、マリオだ。デイジー、まあ今回は諦めろ。きっと次があるさ。
    …あと、ピーチの機嫌が最悪だが…これは、デイジーだけのせいじゃないから
    気にしなくていいぞ」

デイジー『…え?どういう、ごど?』グズッ

マリオ「…それがだなー。







          ロゼッタが、連絡もなく未だに合流しない」



デイジー『…………はいぃーーーー!?なんで!?』

マリオ「ほっ、ちょっとは元気になれたか…もう、World 3の途中なんだけどな…」

ピーチ「……」ブツブツ

561: Mii 2018/12/06(木) 23:24:49 ID:XUi5qVu.
~11月18日夜、ほうき星~

ロゼッタ「今日も、特にメールは来ていませんね」

少しの期待と、大きな不安が混ざり合った心理状態です。

私などに…冒険が、勤まるのでしょうか。
常人の体力すら怪しいレベルなのですが。
ふう、とため息を付いてしまいました。幸せが逃げていきそうですね。



と、そこへ。



チコ「ママ、大変だよっ!
   久しぶりに、巨大隕石がっ!!今までで一番おっきいかも!」

ロゼッタ「何ですって!!わかったわ、すぐに皆を集めてちょうだい!
     いつものやり方で対処するわよ!」

チコ「わかったっ!!」ピューッ



ほうき星を、みんなを、守らなければ!

562: Mii 2018/12/06(木) 23:28:23 ID:XUi5qVu.
チコ「いっ」

チコ「せー」

チコ「のー」

チコ「で!」

チコ「「「「「「「「「「「「「「「「わーーーー!!」」」」」」」」」」」」」」」」ゴゴゴゴゴゴ

ロゼッタ「FP集積、異常なしっ!……参りますっ!
     はああああああああああああっ!!!」ビッシャーーーーン!!!!

シュウウウウ…。
予定通り、想定通り。だから慌てなど、しません。
巨大隕石は、私の必殺技で、跡形もなく…消えていきました。
ふふ、前回よりたとえ大きくなろうとも、私たちの絆の前では消し去ってしまえるのです!

ロゼッタ「体が、ふらつく…というわけで、私は…寝ます――」

チコ「わかったママ、お疲れさま!1週間、ボクたちが責任を持ってほうき星を守るよ!」

チコ「「「「「「「おー!」」」」」」」

ロゼッタ「ふふ、ありがとう。…おやすみなさい」



――何か、忘れているような…気のせい、でしょう。

563: Mii 2018/12/06(木) 23:30:33 ID:XUi5qVu.
~11月25日~

猫クッパ「ふはははは!よくぞここまでやってきたな!
      お前らみんな、まとめてやっつけてやるのだ!
      ファイナルバトルと行こうではないか!



      …え?まだロゼッタ合流してないの?ここ最終ステージだぞ!?」



マリオ「まあエクストラステージはあるみたいだけど…調子に乗ってクリアしすぎたかな」

猫クッパ「せっかく今回はWorld 1から出張して登場するくらい、
      ワガハイ意気込んでたんだが…残念極まりないのだ」ハァ



ルイージ「そんなことよりピーチ姫の機嫌がヤバイんだけど!?」ガクブル

キノピオ「」ガクガクガクガクガクガクガクガク

ピーチ「…………………………………………」イライライライライライライライラ

564: Mii 2018/12/06(木) 23:32:38 ID:XUi5qVu.
~11月26日朝~

チコ「ほうき星に、異常はぜんぜんなかったよ!
   あ、変な箱は届いたけど!」

ロゼッタ「………………………………」





ピーチ『いい?このメールの後すぐに、速達(クッパシップ)でワープブロックを送るわ。
     触れるだけで、集合場所に一瞬で付ける代物よ。

     だから、距離の遠さを言い訳にしないで約束通り、11月21日に来るのよ?
     あんまり遅かったら先に進んでるけど、その時は…わかってるわね?』





ロゼッタ「不可抗力なんですけど…」ガクガクブルブル

565: Mii 2018/12/06(木) 23:35:05 ID:XUi5qVu.
~WORLD ☆-2  スーパーギャラクシー~

ピーチ「…………」

マリオ「…………」

ルイージ「…………」

キノピオ「…………」



ロゼッタ「は、はろー?」ニコッ



ピーチ「」イラッ

ピーチの ヒップドロップ!▼

ロゼッタ「いやああああああああ!!!」プチッ



ちびロゼッタ「うわああああぁぁぁぁん!ごめんなさいぃー!!!」ビェーン

マリオ「泣ーかした、泣ーかしたー!」

ピーチ「うるさい!」ウガー!

567: Mii 2018/12/11(火) 22:22:47 ID:OxfDQ/p6
マリオ「ほい、スーパーキノコ」

ちびロゼッタ「ありがとうございます」

ロゼッタ「…ほっ」グィーン



パワーダウンだと、こうなるんですね。勉強になりました。
精神年齢も少し引き摺られて幼くなるみたいです。
あ…でも、低い視界というのもちょっと新鮮でした。
机の下の落とし物とかに気付きやすくて、便利かもしれません。



マリオ「ちなみに、ロゼッタがいるということで…ピーチが色々頑張ってな。
    死亡すると『スーパー』状態で復活するゆとり仕様にしてもらったぞ。
    いやあ、残機制度もここまでセーフティガードを効かせられるまでになったか、感慨深いなあ。
    俺としては消化不良は否めないが」シミジミ

キノピオ「その何が悪いんですか!いいことじゃないですか!」

568: Mii 2018/12/11(火) 22:25:06 ID:OxfDQ/p6
ルイージ「…キノピオ、ごめん。僕でも、流石にぬる過ぎると思ってた。
      リトライ直後のアイテムがフラワーとかベルとか、緊張感ないでしょ。
      まさか僕がシャボン縛りして死亡回数2桁行かないとは思わなかった」

キノピオ「ルイージさんらしからぬ強気な発言ですね」

ルイージ「なんだとぉ!キノピオはシャボンを相変わらず使いすぎなんだよ!
      ミスして落ちるときは潔く落ちようよ!」

キノピオ「はあぁ、聞いて呆れます。全くもって馬鹿げていますよ、そんなこと」






ピーチ「要するにキノピオは、潔く28回死んだ私が大馬鹿だと言いたいのね?」

マリオ「ついでに言うと、俺の死亡回数5回のうち1回がピーチを、
    残る4回ともがお前を救うための捨て身の作戦だったわけなんだが。
    押しつけがましいことを言うつもりはなかったが、流石にキレていいか?」

キノピオ「」

569: Mii 2018/12/11(火) 22:27:18 ID:OxfDQ/p6
ピーチ「よし、次の即死ポイントで私が責任を持ってキノピオを突き落とすわ」

マリオ「おお、助かる!俺たちがやると文句タラタラだからな、どうせ」

キノピオ「」

ロゼッタ「……ご愁傷さまです」

なんだか、死の概念が良く分からなくなって参りました。
…あ、元からですか。これは失礼。

ロゼッタ「それで、私は一体どう参加すればよろしいのでしょうか。
     今からさっそく攻略に加わって…?」

マリオ「それは絶対に許容できないな」

マリオに、一瞬で否定されてしまいました。

マリオ「すでにエクストラステージ、ロゼッタには残念だが荷が重すぎる。
    こういうときこそ、シャボンの出番だ。
    どんな感じか、安全圏で眺めておいてくれないか」

ロゼッタ「で、では後で最初の方のWorldに戻ったうえで、ということですか?」

570: Mii 2018/12/11(火) 22:29:20 ID:OxfDQ/p6
ピーチ姫が、苦虫を噛み潰したような顔をしました。

ピーチ「…あのねロゼッタ、私たち、冒険に来たからには最後の最後までステージをクリアしたいの。
    流石の私たちでも、やり応えのあるステージは出て来てるし。それは分かってくれるわよね?」

ロゼッタ「…?はい」

ピーチ「…それでね。ロゼッタには酷な話なんだけど。
    今回はちょっと、全員イベントが立て込んでいてね。それでもどうにかやりくりした期間だったのだけれど…。
    おそらく見学してもらいながら、ラストステージまでこなすだけで時間的に精一杯なのよ。
    そこで解散して、冒険は終わり」

ロゼッタ「え、でも、それでは…!私の参加意義、が」



――無くなってしまうのではない、でしょうか。
――それはとても、悲しいです。不可抗力でも、悲しすぎる顛末です。

571: Mii 2018/12/11(火) 22:31:26 ID:OxfDQ/p6
ピーチ「…仕方がないの。そのかわり、私たちが帰った後…
     解放されたステージをロゼッタ1人で挑戦して…己を鍛えて行ってちょうだい。
     
     あのワープブロックは、今のところ、世界で一つしかない耐久性バツグンのワープブロックでね。
     ひとまず、ほうき星とフェアリーランドを自由に行き来できるわ。

     ロゼッタの実力じゃ、World 1も難しいかも知れないけど…
     いつか、クリアできるようになるわ。

     他の人たちの挑戦は、ちょっと待ってもらえないか掛け合ってみる。
     一人だけで寂しいかも知れないけれど、頑張り抜きなさい」

ロゼッタ「…………」



私、1人で。
不安が、胸をよぎります。



思わず沈黙して俯いてしまいましたが、
マリオが元気づける(?)言葉を投げかけてくれました。



マリオ「勿論、そのまま投げっぱなしにはしないぞ。
    とりあえず、無限増殖の仕方を教えておくからさ」

ロゼッタ「…………はい?」

572: Mii 2018/12/11(火) 22:36:27 ID:OxfDQ/p6
とりあえず、「ムゲンゾウショク」ってなんでしょう、と首をかしげつつ、エクストラステージの先へ。
私は最初から「シャボン」と呼ばれる泡に入って、ふわ、ふわり。



ロゼッタ(きっと、この4人ならば…抜群のコンビネーションで、
      どんな難ステージもいともあっさりとクリアしてしまうのでしょうね…)







マリオ「よーし、じゃあ改めて冒険を再開するか。
     設定は今まで通り『フレンドリーファイア:あり』でいいな?」

ピーチ「全くの無問題よ!」グッ

ルイージ「やれやれ、どうせ反対しても聞いてくれないでしょ?」

キノピオ「ああ…」ガクッ




ロゼッタ「……ふれんどりー、ふぁいあ?」

573: Mii 2018/12/11(火) 22:38:15 ID:OxfDQ/p6
~WORLD☆―3 回せ!つみ木のアスレチック~

マリオ「ウォー!ウォー!ヤー!フォー!ヤー!ヤー!ヤー!ウィヒー!
    ヤー!フォー!ウィヒー!ヤー!ウォー!ウォー!ウィヒー!
    ヤー!ウォー!ヤー!フォー!ヤー!」SPEED:MAX

ルイージ「ワッハー!ハッ!イェーイ!イェーイ!ワッハー!ワッハー!
     ホッホー!ホッホー!ハッ!イェーイ!」SPEED:MAX

ピーチ「ホーゥ!ホーゥ!イエィ!イエィ!イヤァ!ホーゥ!ハッ!ヤーッ!
    ホーゥ!イエィ!ホーゥ!ハッ!ヤーッ!」SPEED:99%

キノピオ「オワホゥ!オワホゥ!ヤーィ!ヤーィ!ハィッ!ハィッ!
     ハィッ!ホッ!オー!ホッ!…あっ(ツルッ)」SPEED:84%

ピーチ「キノピオ、私たちの中で一番速いくらいのつもりでいなさいよ!
じゃないと、約束通り落とすわよ!」

キノピオ「オワホゥ!ヤーィ!」ナミダメ



ロゼッタ「」

ロゼッタ「協力は!?」

マリオ「そんなものは、ない!あるのはゴールまでの競争のみだ!」

574: Mii 2018/12/11(火) 22:40:02 ID:OxfDQ/p6
ルイージ「コイン1枚につき、タイム1秒と等価!
     グリーンスターorハンコor 1UPキノコ1個につき、タイム10秒と等価!
     残機を減らしたら、タイム100秒ペナルティ!
     
     駆け引きも大事になってくるんだよ!
     僕の場合、ジャンプ力の高さを活かさなきゃね!」

ピーチ「もちろん、物を投げたりして妨害するのもありよ…痛いっ!」ガンッ!

マリオ「はっはっは、棒立ちの敵とごっつんこ!油断大敵だな!」

ちびピーチ「やったわね!ゆるさないんだから!かくごしなさい、そこのてき!」

ツッコンドル「いや、知らんがな」



ルイージ「ブーメランいっけー!」シュッ

ちびピーチ「あ、がっ……」グサッ

ちびピーチ「」チーン

キノピオ「姫様あああああああぁぁぁぁ!!」

575: Mii 2018/12/11(火) 22:43:59 ID:OxfDQ/p6
残機―1
ピーチ「…ふっかーつ!やったわねルイージィ!!」シャキーン!

ルイージ「ジャンプでかわすよっ!」

マリオ「不安定な足場の上でみだりにジャンプするなよー!」マチカマエ

ルイージ「え、ちょ、押さないで…わあああああああああ!」ヒュー

残機―1
ルイージ「いたたたた…やったなー、兄さん!」

ピーチ「マリオっ!あなたを倒して、私も死ぬぅ!」ダダダッ

マリオ「受けて立とうじゃないか!」ビシッ


 
ロゼッタ「皆さんっ!!もうちょっと命を大事にしましょうよっ!?
     これはゲームじゃないんですよ!?」

576: Mii 2018/12/11(火) 22:45:22 ID:OxfDQ/p6
マリオ「だって」

ルイージ「スマブラごっこ」

ピーチ「楽しいもの」

>>3人のテンションは非常にクレイジーな状態になっています。

ロゼッタ「」

マリオ「ちなみにさっき話した『死亡回数』はフレンドリーファイア分はカウントしてないから、
    実際はもっともっと死んでるんだけどな」

ロゼッタ「」

キノピオ「もう嫌だぁ…」グズッ

577: Mii 2018/12/11(火) 22:46:51 ID:OxfDQ/p6
~WORLD☆―4 飛びつけ!ゴールポール~

マリオ「待てやコラ!ゴールポールの癖に、逃げるとは生意気だぞ!」ダダダダダダッ!!

ルイージ「ある意味斬新だねー!」ダダダダダッ!!

ピーチ「とっ捕まえて、微塵切りにしてあげるわ!」ダダダダッ!!

ゴールポール「ひえええええええ」ダッ!

ロゼッタ「」

キノピオ「…ゴールポールさん」ジワァ

578: Mii 2018/12/11(火) 22:47:54 ID:OxfDQ/p6
~WORLD☆―6 星空ロッカクロード~

マリオ1「パタテンテンが一杯だな!みんな残らず駆逐してやる!」

マリオ2「お前がでしゃばるなよ、1人の攻撃じゃないと得点が増えないだろ!」

ルイージ1「そうだそうだ!というわけで僕が行くよ!」

ルイージ2「え、ここは兄さんに任せようよー」

ピーチ1「私が華麗にブーメラン一投で蹴散らしてみせるわ!」

ピーチ2「私が倒すんだから、しゃしゃり出ないで!」

マリオ1「こうなったら、早い者勝ちだよな!とっととブーメランをお見舞いだー!」

パタテンテン「ぎゃああああああ」

ファイアパックン「ぐわああああああ」



ロゼッタ「わあ、なんと綺麗な星空なのでしょうー(現実逃避)」

キノピオ「ダブルチェリー取らなくてよかった」ホッ

579: Mii 2018/12/11(火) 22:50:42 ID:OxfDQ/p6
~WORLD茸―3 真夜中ジャングルツアー~

マリオ「出た、美味しそうなファンタグレープの沼っ!」

ロゼッタ「ふぁんた、ぐれぇぷ?飲めるのですか?」

マリオ「飲めないことはない」ゴクゴク

ロゼッタ「…へえ、ちょっと私も指に付けてみて、それを舐め――」



ジュッ!!



マリオ「ロゼッタの酸耐性でチャレンジすると即死だぞ」

ちびロゼッタ「ゆびがいっしゅんでとけたんですけどぉ!?いやあああ!」

マリオ「はは…あれ、電話か。もしもし?あ、任天堂さん?
    『残機減らしておきなさい』?しょうがないな…」

残機―1
マリオ「これでいいか」

ちびロゼッタ「いいかげんにしてぇーっ!あたまおかしくなるぅ!」

ピーチ「習うより慣れろ、よ。はい、キノコ」

580: Mii 2018/12/11(火) 22:53:51 ID:OxfDQ/p6
~WORLD花―12 ボスパラダイス~

ボスたち「「「「「「降参するので虐めないでください」」」」」」

マリオ「え?フルパワーで戦ってほしいって?OK」ブンブンッ!

ピーチ「笑止」

ルイージ「賽は投げられたんだよね」

ボスたち「「「「「「」」」」」」

ピーチ「あ、電話だ。ちょっと待って……え、また任天堂から?
     はい、はい…ロゼッタですね、代わります。…ロゼッタ、ちょっと出て」

任天堂『ロゼッタさん、実は来年3月のイベントであるマリオパーティアイランドツアーに
     ぜひとも参戦して頂きたいのですが…可能でしょうか?』

ロゼッタ「私めなどでは絶対に務まらないので辞退させてください、断固として」

任天堂『えっ』

ロゼッタ「お願いします…」ボロボロ

任天堂『(どうしたんだろう…)で、では司会進行くらいならどうでしょうか!?』

ロゼッタ「……………………はい、わかり、ました」

蚊の鳴くような声で、返答するのが精一杯でした。
沈み込む私の気分などどこ吹く風で、マリオ達は…ようやく、駒をWORLD 1に、進めたのです。

581: Mii 2018/12/11(火) 22:56:57 ID:OxfDQ/p6
~WORLD 1-2 ノコノコ地下洞窟~

マリオ「じゃあノコノコ、ちょっと甲羅借りるぞ」フミッ

ノコノコ「ちぇっ、すぐ返してくださいよー?」シブシブ

そう言って甲羅を半ば強引に手に入れたマリオは…唐突に、私に甲羅を渡します。
…なんだか、マリオカートのときよりずっと重くないですか!?

ロゼッタ「……あ、あの、この甲羅をどうしろとっ!」ギギギッ

ルイージ「そこに1マス分の通路があるでしょ?
     ひたすら跳ね返り続けるよう、投げ入れてみて!」

わけもわからず…言われた通りに、甲羅を投げ…ようとして、

ロゼッタ「あっ」

とうとう腕が持たなくなって落としてしまい…。

ちびロゼッタ「いたいぃ…!」グズッ

ピーチ「かわいい」

マリオ「かわいい」

ルイージ「かわいい」

ちびロゼッタ「そんなことどうでもいいですよぉ!?」

582: Mii 2018/12/11(火) 22:58:42 ID:OxfDQ/p6
結局、マリオが甲羅を拾い直して、人ひとり通れるくらいの隙間に投げ入れてくれました。
最初からやってください…。

ちびロゼッタ「それで、これをどうするんですか?」

ピーチ「踏みなさい、ひたすらに」

ちびロゼッタ「なんで!?」

さっぱりわけが分からないまま、とりあえずおぼつかない足取りで踏んでみます。
激しくバウンドする甲羅を踏むと、甲羅を停止させつつ反動で小ジャンプ。
ほどなく、再び体は下降し始め…甲羅を蹴り出しつつ、反動で小ジャンプ。

ポフッ! ポフッ! ポフッ! ポフッ!
ガツンッ!!ガツンッ!! ガツンッ!! ガツンッ!!

ひょうきんな踏む音と、甲羅が激しく両壁にぶつかる音が規則的に鳴り続けます。

ちびロゼッタ「だから、これがなんになるんですか!?」ピョン ピョン

ピーチ「すぐわかるから」ニヤニヤ

ちびロゼッタ「わかるって、なにが――」



ふと、上を見上げました。
かつて、あの超難コースで絶望した時のように。

583: Mii 2018/12/11(火) 23:00:00 ID:OxfDQ/p6
All × 98 1UP !
All × 99  1UP !
All × 100 1UP !
All × 101 1UP !
All × 102 1UP !
All × 103  1UP !
All × 104 1UP !
All × 105 1UP !
All × 106 1UP !




ちびロゼッタ「なにこれこわい」

わあ、てきをふみつづけるといのちがふえるんだあ。
よのなかってふしぎですねー。

584: Mii 2018/12/11(火) 23:02:28 ID:OxfDQ/p6
猫マリオ「へーんしん!ここで、豆知識ターイム!よく聞き給え、猫ピーチくん」

猫ピーチ「はい!教官!」

猫マリオ「この冒険では、ノコノコが出るステージは本当に少ない。
     出るステージは1UPの稼ぎ処とも言える!
    
     しかし!君は知っていたかね、
     これらのコースがハイスコアの聖地でもあることを!」

猫ピーチ「どういうことですか!?」

猫マリオ「うむ。甲羅をしっぽ状態で跳ね上げると、連続で踏んだ時のように
     得点がどんどん増えていくのは知っているな?
     ちょこちょこ甲羅の動きに合わせつつ、甲羅を跳ね上げたこともあるだろう。
     1UPに到達した段階で甲羅はポワン、と消えてしまうから、
     あんまり価値がないワザにも思えるが…

     逆に言うと、8000点表示が出た段階でワザと跳ね上げを止め、
     地面に落としてから再び跳ね上げを開始する…という愚直サイクルを続けることで、
     非常に効率よく得点を稼ぐことができるのだ!」

猫ピーチ「えーっ!すごいわ!どのくらい得点を稼げるの!?」

猫マリオ「ステージに入ったら、速やかに甲羅を確保し、
      部屋の隅のような『甲羅をまっすぐ跳ね上げられる嵌め場所』にセット!
      あとはひたすらサイクル、サイクル!

      この『W1-2』の場合、どのキャラを使っても、安定して999999点…
      すなわちカンストが可能だ!スコアに載ると気持ちがいいぞ!」

585: Mii 2018/12/11(火) 23:04:21 ID:OxfDQ/p6
猫ピーチ「すごーい!」

猫マリオ「『W5-2 サンサンビーチ』でも、カンストが可能だぞ!
      ただし、こちらは条件が色々とシビアだ!

     ブルたちが集まっている右側の隅っこまで甲羅を運んで、
     黙々とと跳ね上げサイクルしなければならん!

     鍵コイン回収ステージだから、何回か跳ね上げをミスするとやり直し、
     というくらい余裕がない!

     おまけに、仮に得点稼ぎが順調に進んでも、切り上げた時から
     ゴールまでの道のりが長いから時間計算もヒジョーに難しい!
     足の(本来)速いキノピオを強く推奨するぞ!」

猫ピーチ「大変なのね…!ごくり」

586: Mii 2018/12/11(火) 23:08:17 ID:OxfDQ/p6
猫マリオ「極めつけは、『W城―6 シュモックのなわばり』だ!」

猫ピーチ「ええっ?ノコノコなんて居たかしら?
      それに、甲羅を嵌められるような隅っこもなかったような」

猫マリオ「それが、1体だけいるのだよピーチくん。
      中間ポイント、池に囲まれた島、その先の土管…といえば分かるかな?
      そして、土管を囲む窪みの壁が嵌めポイントだ!」

猫ピーチ「な、なるほど!」

猫マリオ「もっとも、このコースについてはカンストは無理だ。
     大部分が水中操作で時間の計算がとにかく絶望的、
     窪みの壁が案外跳ね上げミスを誘う、そしてやっぱり時間が足りなすぎる。

     スレ主はキノピオでひたすら1か月くらい試行錯誤して65万点が限界だったらしい。
     上手い人でも80万点は絶対に行かないだろうな」

猫ピーチ「メタいついでに質問です教官!そこまで苦労してハイスコア目指してなんになるの?」

猫マリオ「カンスト記録を残せる可能性があるステージだけは本気でやる性分らしい」

猫ピーチ「……あ、そう」

587: Mii 2018/12/11(火) 23:10:16 ID:OxfDQ/p6
猫マリオ「また、ミステリーボックス系は、
      ワンフロアクリアからワープブロックに触れるまでのタイマーが働かないことを利用して…
      地蔵ベルを持ち込んで、ひたすらジャンプor壁登りからの地蔵落下でコインを稼ぎ続けることで
      簡単にカンストができる。

      そこまで時間かけておいて最後まで突破できなかったら一大事だから、
      最終フロアのひとつ前のフロアで得点稼ぎするといい感じだぞ」

猫ピーチ「心底どうでもいいです」









ちびロゼッタ「ロゼッタが375人、ロゼッタが376人、ロゼッタが377人…」ブツブツ

588: Mii 2018/12/11(火) 23:30:31 ID:OxfDQ/p6
クッパ「この度は、わがクッパ軍が設計したステージをこなしてくれて
    まことにありがとうございました、なのだ!終わりよければすべてよし、としよう!」ガハハ

マリオ「いやあ、中々面白かったぞ。やらせの冒険ではあったが、肝を冷やすような局面もそれなりにあったしな!
    今回ばかりはクッパに感謝だ! 」

ピーチ「ロゼッタのための残機も稼ぎまくったし、これで安全ね!
     この残機は、ぜーんぶロゼッタに預けるわ。心置きなく一人旅をさせられるわ!
     それでも残機が減ってきたら、また自分で無限増殖を使うのよ!なーんてね」

ルイージ「さすがにもう要らないでしょー!」アハハ

ロゼッタ(ジーッ)ミアゲ





Rosalina × 👑👑👑(1110機)

ロゼッタ(わけがわかりません)

589: Mii 2018/12/11(火) 23:33:37 ID:OxfDQ/p6
ルイージ「全クリも果たしたし、言うことなしだね!」

キノピオ「わわ、グリーンスターが380個、ハンコが84個もあります!
      本当にたくさん集めましたね!

      ……姫様。この度は、不甲斐ない所ばかりお見せしてしまい、誠に申し訳ありませんでした。
      今後は、物事に勇敢に立ち向かっていきたいと思います」

ピーチ「ええ、その意気よ。キノピオならそうなってくれると信じていたわ。
    World1からWorldフラワーまでの長い長い旅だったけれど、
    ロゼッタよりはキノピオが一番の成長株だったわね。

    ……さあ、今度はロゼッタの番よ!応援してるわ!」

ロゼッタ「は、はいっ!頑張ってみます!」

あんまり自信はありませんが、昨日の自分を超え続ける覚悟で。
力を付けていきたいです!

590: Mii 2018/12/11(火) 23:42:57 ID:OxfDQ/p6
ピーチ(意気込むロゼッタ。まあ、一旦は実家に帰りたいらしく、
     ワープブロックで颯爽と帰って行っちゃった。…頑張りなさい、期待してるから)


妖精「あ、あのー!無事に、冒険は終了しましたか!?」

ルイージ「あ、妖精さん!もちろんだよ、君たちも、囚われ役とかいろいろとお疲れ!
      今後も、いい関係をキノコ王国と持てたらいいね!」

マリオ「そうだな」

ピーチ(そう言うと、おどおどしていた状態から…途端にほっとした雰囲気に。
     頭脳明晰そうな彼女だけど、何が心配だったのかしら)

ピーチ「何か、不安事項でもあったの?」

妖精「…ええと、その、お恥ずかしい話なのですが…
   フェアリーランドの妖精たちは、気まぐれというか衝動的というか、
   必ずしも全員の仲が常にいいわけじゃないんです。
   なかなか一枚岩になって政策を施行できなくて。

   今回も、『フェアリーランドをキノコ王国の属国としたいのか!』って
   ステージ設置に猛反対したグループも少数ながらありまして。
   何か、妨害行為や嫌がらせをしていやしないかと…」

ピーチ「あら…内政干渉をするつもりはないけど、大変そうね」

妖精「はい…」

591: Mii 2018/12/11(火) 23:49:54 ID:OxfDQ/p6
クッパ「仮に不穏なことをたくらめば、クッパ帝国が…
    ついでにキノコ王国も黙っていないのだ。
    フェアリーランドなぞ、ひとひねりである!」フンッ

妖精「ひ、ひええええええ…」ビクビク

ピーチ「やめなさいよクッパ!
    ……まあ、フェアリーランド全体に何かすることはないわ。
    仕掛けた加害者に対しては『お返し』するかもだけどね。
    ちゃんと国を纏めておいてくださいな」

妖精「は、はい!かしこまりました!」ピューッ

ルイージ「…行っちゃった。よっぽど心配事が尽きないんだろうな」

マリオ「まあ、俺たちに危害を加えられるとは思わないけどなあ…」

マリオ(加えられるとしたら)

マリオ(ロゼッタくらいだろうなあ)

ピーチ(ロゼッタくらいでしょうね)

クッパ(ロゼッタくらいだろうな)

592: Mii 2018/12/12(水) 00:02:01 ID:pBOaurfA
~数日後~

ロゼッタ「さあ、それでは朝食も済みましたし…さっそく参りますか」

チコ「ママ、頑張ってね!行ってらっしゃい!」

ロゼッタ「ええ、行ってくるわ。夕方までには戻るわね」ニコッ



ワープブロックさん、よろしくお願いします!
私の挑戦が、いま、始まろうとしています!



~フェアリーランド~

ロゼッタ「とりあえず、どのステージから挑戦しましょうか…
     残機は山ほどあるので、ある程度の無茶は利くはずですよね。
     …でも、死ぬのは怖いですし、うーむ。

     そもそも、残機があるときに死ぬ感覚がどんなものか、
     私は知らないんでした。安全に行きましょう、か」

ネエ、ネエー!


――誰かが、呼んでいる声がします。
妖精、でしょうか?そうみたいですね。

593: Mii 2018/12/12(水) 00:09:42 ID:pBOaurfA
妖精「貴方、呼ばれたら返事くらいしなさいよ!」

ロゼッタ「すいません、まさか呼び止められるとは思っていなかったもので」

妖精「全く…アンタ、もしかして前に来たマリオとかいう人の一味じゃなかったっけ?
   それで慌てて呼び止めたのよ。急いでこっちにきてちょうだい!」

ロゼッタ「一味とは言い得て妙ですね…?わ、わかりました。
     付いて行きますから引っ張らないでください!」アタフタ








WORLD2-🏠
妖精「はいっ!ハンコ貰い忘れよ、おっちょこちょいなんだから!」

ロゼッタ「え?ええっ!?あ、ありがとうございます…?」

なんと。あれほどステージ中のハンコを集められたというのに、
唯もらうだけのハンコをゲットし損ねていたなんて。
マリオ達にしては、うっかり大失態、ですね。
ちょっと、人間味を感じて笑ってしまいました。

それでは、ありがたく受け取ることに致しましょう。

594: Mii 2018/12/12(水) 00:20:54 ID:pBOaurfA


フェアリーランド、各所

ブーメランブロス「あっれー?取得済みグリーンスターって、
          白くなるけど残り続けるんじゃなかったっけ?」

ブーメランブロス「…それで合ってるだろ?」

ブーメランブロス 「でも見ろよ、あそこにあったはずのグリーンスターか
           完全に消え去ってるぞ」

ブーメランブロス「ははは、まさかニセモノだったとか言うんじゃないだろうなー?」

ブーメランブロス「うーん、考えすぎかなー?」




妖精(善)1「ハ、ハンコが!なんか変!?」

妖精(善)2「どうしたの、そんなに慌てて?」

妖精(善)1「ピーチから送られてきたメールに、渡していないヘンテコなハンコが押されてるの!
        明らかにフェアリーランドで作られたっぽいのに!」

妖精(善)2「誰かが偽物を本物とすり替えたってこと!?一体、何の目的で!?」

妖精(善)1「わ、わかんない!でも、なんか嫌な予感がする!」

595: Mii 2018/12/12(水) 00:37:54 ID:pBOaurfA
グリーンスター × 380  ハンコ × 85 ~Completed !! ~

パンパカパーン!

ロゼッタ「きゃっ!?」

妖精「おめでとうございまーす!…なんと、このハンコをもちまして!
   あなた様は、全グリーンスターを!全ハンコを!完全網羅致しました!

   その栄誉を称え、ステキなステキな、とっくべつなステージにごあんなーい致します!!」

妖精「「「「おめでとう!」」」」

ワーワー!!

ロゼッタ「あ、ありがとう…ございます?」

妖精「さあさあ、ロケットに乗って乗って!」

ロゼッタ「は、はい。わかりました」

ロケット「グリーンスター342コ、ハンコ81コ…イエ76コアリマスカ?」

妖精「ありまーす!問題なく乗れまーす!」

ロケット「…カクニンイタシマシタ!シュッパツシマス!」

ロゼッタ(…あれ?)

596: Mii 2018/12/12(水) 00:56:31 ID:pBOaurfA
ロゼッタ「ここが…すてきな、ステージですか」

妖精「ええ、そうよ!ドキドキハラハラ、ワクワクがとまらないステージなの!
    お姉さん、さっそく挑戦してみない!?きっと喜んでくれると思うわ!」

――そこまで、言うのなら。まあ、駄目だったら引き返しましょうか。気楽に行きましょう、気楽に。
――どんなステージなのか、胸がときめいています。

ロゼッタ「それでは、行ってきますね!」シュンッ

妖精「…………」

妖精「ハッ!」パリーン!!

ニセモノの グリーンスターと ハンコが くだけちった!▼

ロケット「グリーンスター、ハンコ、カクトクスウニイジョウハッセイ!
     サイケイサン、サイケイサン!!

     グリーンスター ゲンショウリョウ 39!ケッカ、341コ!
     ハンコ ゲンショウリョウ 10! ケッカ、75コ!

    フセイジョウシャト ハンダン! ワタシ カンカン!
    カエリノ ジョウシャ モウゴメン!スリープモードニ ハイリマスッ!」

妖精(悪)「ま、クリアできるもんなら残機が尽きるまで頑張ってねー」

何かが、壊れる、音がした。

~WORLD 👑-👑 ファイナル!チャンピオンシップロード~

598: Mii 2018/12/16(日) 04:30:32 ID:dPGHwQFY
~ほうき星~

チコ「ママ、遅いなあ」

チコ「遅いねー」

チコ「遅い、おそいー」



ママが、フェアリーランドっていう国に冒険に出発して、あっという間に、もう夕方。
…あ、ほうき星に毎日、日が昇って沈んでるわけじゃないからね。
マリオ達が住んでる星に倣って、時刻で管理しているだけだから。

…それで、ママが帰ってくるって言ってた夕方になったわけだけど。
特に、その気配がないんだよね。
みんなも心配してきて、いろいろ話し合っているよ。

599: Mii 2018/12/16(日) 04:31:52 ID:dPGHwQFY
チコ「ママもきっと、ステージをこなすのに夢中になって、時間を忘れてるだけだよ。
   問題ない、問題ない」

チコ「それも、そうだね!」

チコ「はやく夜ごはんが食べたいな!
   最近はママが1日3回もご飯を作ってくれるから、ぜいたくだよね!
   …肉とか野菜とかは、どうにも好きになれないけど」

チコ「それって、ママのお皿だけに入ってるのを珍しがって勝手に食べただけじゃん」

チコ「あはははは」



ボクは、ちょっと不安になりながらも、年長者として(?)みんなをなだめようと頑張ってる。
…はやく、帰ってこないかな。

600: Mii 2018/12/16(日) 04:33:04 ID:dPGHwQFY
――とうとう、日付が変わった。
――ママはいまだに、帰ってこない。



チコ「お腹すいたー」グー

チコ「お腹すいたよー」グウー

チコ(…………)グゥ



みんな、まちくたびれちゃった。
3食生活に慣れ過ぎて、お腹の音があちこちで鳴り響く。

まあ、餓死することなんてないんだけどね。
最悪、ほうき星の表面をかじってればお腹が膨れるし。おいしくないけど。

一応、非常用に用意してくれている星くずパンが台所にあるけど、
誰も手を付けようとはしない。ご飯はママといっしょに食べたいもの。
ボクもすっかりお腹がすいた。早く帰ってきて、ママ…。

601: Mii 2018/12/16(日) 04:34:39 ID:dPGHwQFY
――更に、お昼過ぎになった。
――ママは……一向に、帰ってこない。



流石に、いくら呑気なボクたちでも、非常事態ってことが呑み込めてきた。
ぐうぐう鳴いてるお腹のすき具合なんて、とても気にしてる場合じゃない。

チコ「ママに、何かあったんだ!どうしよう!」

チコ「こうなったら、みんなでワープブロックに飛び込んでママを探しに行こう!」

チコ「それがいいよ!」

そう言って、みんながボクの方を振り向く。
…え?ボクが最終判断出すの?……別に、いいけど。

チコ「じゃ、じゃあ…行きたいチコは、10分後にワープブロックの所に集合!
   ボクたち1人ひとりは弱いんだから、一斉に飛び込むよ!
   勝手に飛び込まないでね!」

チコ「わかった!」ピュー

チコ「はーい!」ピュー

602: Mii 2018/12/16(日) 04:36:22 ID:dPGHwQFY
~フェアリーランド~

星の子、数十人……ごあんなーい。

飛んできたところはWorld1とかいう…一番さいしょのワールドみたい。
ママの言っていたことが確かなら、このあたりでステージを攻略しているはずなんだけど。

おかしいなぁ、ママの気配が全然感じられない。
まさか、ステージが簡単すぎて、もっと先のワールドに進んじゃったのかな。

とりあえず、少しでもママの情報が欲しくて。
見かけた人たちに手当たり次第、話を聞いてみた。



ブル「おっとここは通さねえ…え、チャレンジじゃない?なんだよ…。
   あん?青い服を着た背の高い女の人を見かけなかったかって?
   さあな、知らないぞ」

チコ「そっかあ、ごめんなさい」



でかクリボン「さあ、よくわかんないな。…いや待てよ?
        あー、なんか妖精に慌ただしく急かされて、女の人が
        どこかへ連れていかれていた気がするな」

チコ「ほんと?ありがとう!」

603: Mii 2018/12/16(日) 04:38:51 ID:dPGHwQFY
カメック「ああ、ロゼッタ姫か。少なくともこのWorld3では見てないぞ。
     ただ…昨日、空の彼方からロケットが飛んできたな。妙に気になる」

チコ「…ロケット?」

カメック「ああ。そして、どこかに着陸した後しばらくして…
また轟音を上げて飛び去って行ったぞ。
方向からして、World1か2に一時着陸したんじゃないか?」



なんだろう、ものすごく怪しい。
それにママが乗せられたとしたら、行方不明の辻褄があうんじゃ?



チコ「ねえねえ、今回の冒険で、一番てっぺんにあるワールドってどこ?」

カメック「Worldフラワー、指差すとすれば…あちらの天空のさらに上だな。
     が、それがどうかしたか、星の子?」

チコ「ありがと!みんな、ちょっと大変だけど向かってみるよ!」ビュン!

チコ「おー!」ピュー

チコ「おー!」ピュー

カメック「おいおい、距離がありすぎるぞ…って、もう行っちゃったし…」

604: Mii 2018/12/16(日) 04:41:27 ID:dPGHwQFY
~WORLD花~

空を駆け上がるなんて、ボクたちには朝飯前。
…もう、おやつの時間もとっくに過ぎたけどね。

ただ、距離が長いと、それだけ時間は掛かるし、体力も使う。
お腹がすいてることもあって、すっかりヘトヘト、ゲッソリ。
それでも、ようやくたどり着いた。

はるか下にフェアリーランドを見下ろすワールド。
フィールドが、ピカピカと輝いていて…とても綺麗だな。
おっと、そんなことよりママを探さないと…!

チコ(あれ?おかしいな?)

ママがいることは、なんとなく確信できてきた。
気配がかすかに感じられるもの。伊達に何百年と一緒に暮らしていないよ。
でも、その方向が…。

他のみんなも、戸惑っている。
ここ、カメックさんが言うには、頂上の…てっぺんのワールド、のはずなんだけど。

――どういうわけか、ママの気配を「更なる天空」から感じる。

チコ「…まだ、上に何か、あるのかな?」

目を凝らすと、かすかに何かが、浮かんでいる、ような…。

チコ「まあ、ママの気配を感じられる以上…行くしかないね!」

605: Mii 2018/12/16(日) 04:43:16 ID:dPGHwQFY
~WORLD👑~

何十キロくらい飛んできただろう、まあ大したことは…割とある、しんどい。
ぽつんと浮かぶ浮島を、とうとう見つけた。
一気に、その上まで高度を上げて、一面を見下ろす。

その浮島の中央に、ママの気配!
ようやく…ようやく、見つけたんだ!

チコ「ママー!」

チコ「やったー!」

チコ「心配したよー!」

新参者のチコたちでも流石にわかったのか、気が滅入りそうだったみんなが一気に元気になって、
スピードをグングン上げる。やれやれ、ようやく笑顔が戻ったかぁ。



…ううん、違うか。何よりも、ボクが一番、ほっとしているんだ。
みんなを颯爽と追い抜いて…ママのところまで、ひとっとび!



チコ「ママ―!!やっと会え――」

606: Mii 2018/12/16(日) 04:45:35 ID:dPGHwQFY
涙目になりながら、シュタッと降り立ったボクが、見たものは。






ロゼッタ「―――――――――」



チコ「……マ、マ?」




横倒れになり。

何か吐いたのか、口元と服をひどく汚して。

涙の跡がくっきりと残ったまま、焦点の定まらない目を、
のろのろとこちらに向ける、ママの姿だった。

607: Mii 2018/12/16(日) 04:48:59 ID:dPGHwQFY
時間が、止まる。

チコ「ママ――!?どうしたの、しっかりして!?」

動転しつつ、ママの体をユサユサと揺するけれど。

ロゼッタ「――――――――――――」

ママの目に、光が全然灯っていない。無気力、無表情。
一体、何があったというの!?

それでも、一生懸命に、ユサユサと揺すっていると…
ゆっくりとした動作で、ママが起き上がる。
ああよかった、とりあえず命に別状はないんだ…と思った、次の瞬間。



むんず、と頭に掴まれた感触。
――あ、これってママの手か。



そう、理解すると同時に……



ロゼッタ「――――――――っ!!」

ボクは、冷え切った眼をしたママによって――あまりにも無造作に、
地面に叩きつけられていたんだ。

608: Mii 2018/12/16(日) 04:50:56 ID:dPGHwQFY
うん、知ってる。ママって、力弱いもんね。
ボクって頑丈だし、このくらい全然ダメージはないよ。

でも…ボクは。
心にぽっかりと穴を空けられてしまった気がして。
生まれて初めて、ママに拒絶されてしまった気がして。
みるみるうちに痛くて、痛くて、苦しくなって。

チコ「……………………うわあああああああああん!!!!

たちまち大粒の涙が、次から次へと溢れてきた。



ママが、一瞬、ビクッとする。
ボクを見て、数秒。電流が走ったように物凄い速さで、ママ自身の手を見て、数秒。



ロゼッタ「――――っ!?あ、あぁぁ――――私は一体、何をっ――――!?
      嫌、いやあああああああああああ!!!」ポロポロ



取り乱して、ただひたすら取り乱して、頭を抱えたまま激しく泣いてる。
ボクは、みんなは、ますます悲しくなっちゃう。

でも、よかった。いつもの、ボクたちが知ってる、優しいママだ。
きっと、なんとかなる、はず。あの、マリオカート騒動の時も、なんとかなったんだから。

609: Mii 2018/12/16(日) 04:52:33 ID:dPGHwQFY
そぅっと近づいて、ママの手にボクの手をポンと乗せる。

チコ「グズッ…へへへ、ボクは大丈夫だよ、この通り!
   だから、泣き止んでよ、ママ!そして、いっしょにほうき星に帰ろう?」

ロゼッタ「――――っ!ごめん、ごめんね、チコ……!こ…こんな、酷いママで…っ!」ポロポロ



強く、強く抱きしめられる。とっても温かい。ママの気持ちが。





――それに反して……物理的なママの体温は、恐ろしく低い。
どんな辛い目に遭ったら、ここまで追い込まれるの!?

610: Mii 2018/12/16(日) 04:53:55 ID:dPGHwQFY
キャハハハハ!

周囲から一斉に、笑い声が聞こえる。

チコ「誰なの!?」

ボクの驚きに対して、数人のお客さんが姿を現した。妖精、だったっけ。

でも、様子が変だ。ボクが噂で聞いた妖精は、
こんなに人を馬鹿にしてあざ笑うような生き物じゃない。

妖精「ほんと、ブザマね!母親でありながら、子供たちに慰められるだなんて!」

妖精「愉快愉快!妖精を舐めてるから、こういうことになるのよ!
   まあこれで、私たちの怒りと憎しみが分かったでしょ!」ケラケラ

ロゼッタ「――――っ!」



ボクを抱きしめてるママの体が、強張る。

611: Mii 2018/12/16(日) 04:56:53 ID:dPGHwQFY
妖精「私たち独自でコッソリ、ステージを仕上げておいてよかったわね!
   クッパ軍団員も報連相が上手くできていないおかげで、
   でっち上げの指示書でまんまと駆り出せたわ!
   あいつら、本来の配置と違ってることすら気付いてないだなんてお間抜けね!」

妖精「所詮、その程度ってことよ、キノコ王国もクッパ帝国も。
    こんなポンコツを冒険者に推薦する位だもの!
    お姫様はお姫様らしく、お城に篭って扇でも振るっていればいいのに」

ロゼッタ「――っ!」ポロポロ

ママは――たちまち俯いて、僕の頭の部分に顔をうずめて、泣き続けるばかり。
頭が濡れる感触が不快かって?まさか、ありえないよ。

……でも、あの妖精たちは不快でたまらない。

妖精「最初のセクションすら突破できないだなんてねー!」

妖精「動きは素人だし、体力はゴミだし、冒険者として終わってるわね!」

妖精「這いつくばって、1-1からやりなおせー!」



ロゼッタ「あ、あ、ああああ――――――――!」ポロポロ

たまらず、座り込んでしまうママ。一層激しく泣き腫らしたあと…
プツリと、糸が切れた人形のように、意識を失って倒れ込んじゃった。

612: Mii 2018/12/16(日) 04:59:24 ID:dPGHwQFY
チコ「おまえたち、一体、ママに何をしたの!きっと乱暴したんでしょ!」

妖精「そんなことしないってば。私たち、弱いもんねー」

妖精「ねー」

妖精「私たちは、ちょーっと難しいステージに、彼女を案内しただけだよー?
   直接にはなーんにも手を出してない、これホント。
   
   まあ、ロケットを停止させて、『クリアしないと帰れない』ようには差し向けたけど?

   彼女ったら、陥った状況に気付いたとたん、すごく怒ってね?
   その後、私たちに土下座してまで頼んだのよ、『帰してください』って。
   それを無視したら、死に物狂いになってステージをクリアしようとしたんだけどね?
   なんと、本当に死にまくっちゃうんだから笑えるわ!

   落下死して、接触死して、撃墜死して。
   死んで、死んで、とにかく死んで。
   
   度重なる痛みに加えて、徐々にあとがなくなっていったこともあって、
   精神崩壊しちゃったみたい」ニヤリ

チコ「そんな…酷い、酷すぎるよっ!
   で、でも聞いたところによれば、残機がたっくさん…!」ミアゲ



Rosalina × 3 ピンチ!

チコ「」

613: Mii 2018/12/16(日) 05:01:50 ID:dPGHwQFY
チコ「みんなっ!ママを…ママを、ほうき星まで運ぶよ!
   お腹がすいてると思うけど、頑張って、お願い!!」

チコ「……わかった!」グズッ

チコ「……もちろんだよっ!」グズッ

みんなで力を合わせて、ママの体を持って浮き上がる。
行き以上にしんどいけれど、ママには代えられないというみんなの気持ちは一つ。



ピーチ姫の話によれば、仮に残機が0になったとしても、残機バンクから残機がとっさに貰えるようになった。
だから、そこまで深刻に記憶を失っちゃうことはなくなったんだっけ。

それでも、ママはボクたちとの思い出を少しでも確実に残そうと、
必死に頑張ってくれたんだよね、きっと。ありがとう、ママ。



みんなに一言断っておいて、ちょっとママの元から離脱。
妖精たちに怒りの言葉をぶつける。

チコ「こんなことして、唯で済むと思ってるの?マリオやピーチ姫が黙ってないよ!
   もちろん、ボクだって怒ってる!こんなに腹が立ったのは初めてだよ!
   ただでさえママは冒険初心者なのに、マリオ専用みたいなステージに閉じ込めて!」

すると、妖精たちはますますおかしそうに笑った。
ボクの怒りは、ますます膨れ上がってくる。

614: Mii 2018/12/16(日) 05:04:37 ID:dPGHwQFY
妖精「マリオ専用、ですって?何を馬鹿な事言ってるの?
   このステージ、マリオだってクリアできっこないわよ?
   難所を詰め込めるだけひたすら詰め込んだステージなんだから!
   ズルなしに、このステージをクリアできる人なんて存在しないわ」

チコ「…え?ちょ、ちょっと待ってよ!ってことは、おまえたちもクリアしてないの!?」

妖精「しないしない、できっこないしー。
   まあ、ゴールまで飛ぶのが有りならできないことはないけどね」

妖精「まともに挑むなんて馬鹿のやることよね!」

チコ「」

チコ「」

チコ「なんだって…!」ブチィッ

615: Mii 2018/12/16(日) 05:09:20 ID:dPGHwQFY
チコ「……………………もう、怒った。ちょうどママの電話があるし、制裁、受けてもらうよ。
   ピーチ姫にこの前、直通電話を教えてもらったんだ」ピピピッ

妖精「生意気な星の子ね!私たちがノンビリ待ってあげると思う?」

チコ「もしもし……うん、実は。自分たちでクリアしてもいないのに、ステージを公開して
   ママを1000回以上も苦しませ続けた、極悪非道な奴がいるの。
   おしおきしてあげてください!どうか、お願いしますっ!」グズッ

妖精「私たちのフットワークは軽いのよ!ま、このあたりでトンズラさせていただくわ!
   それじゃ、さようならー!!」

妖精「バイバーイ、キャハハ!マリオやピーチが来たところで、もぬけの殻よ!」



シュバババババババッ!!  タッチッ!!!!

妖精「何よ、非力な貴方たちが何をしたところで、どうしようも……」







マリオメーカー企画中スタッフ達「「「「「「「抵抗するな。デリートするぞ」」」」」」」タッチペン

妖精「」

616: Mii 2018/12/16(日) 05:13:48 ID:dPGHwQFY
スタッフ1「やれやれ、あぶないとこだった」

スタッフ2「こんなところで不祥事を表沙汰にされたら、2年後の計画がパーになるからな!」

スタッフ3「光の速さで駆けつけて正解でしたね。チコくん、通報ありがとう」

チコ「ど、どういたしまして(すっごく速いよ!)」

スタッフ4「そういや、3Dワールド企画スタッフから咄嗟に瓶を頂いてきたぞ」ホイ

スタッフ5「あ、これって本来クッパが囚われ役の妖精を捕獲しておく予定だった瓶じゃないか?
      いち、に、さん…全部で7本あるな」

スタッフ6「クッパが

       『囚われ役だからといって、そんなのは可哀想なのだ!』

       って拒否ったから、使われずじまいだったんだよな」

スタッフ7「ちょうどいいや、こっちの悪戯妖精も7人だしさ。
       罰として、こいつら閉じ込めて、筋書き通りお城ステージに配置しておこうぜ」

スタッフ1「いいね!救い出されるまで何年かかるか分からんがな!」

妖精「「「「「「「ちょ」」」」」」」

スタッフ7「いけっ! モンスターボトルー!」シュッ

妖精「「「「「「「うわあああ」」」」」」」

617: Mii 2018/12/16(日) 05:16:17 ID:dPGHwQFY
瓶詰妖精「「「「「「「 」」」」」」」ダセー! ウワーン!

スタッフ1「よぅし、じゃあ1人ずつ受け持って城まで置いて来たら出張終了、
      各々帰宅するって流れでお願いします。

      …あと、チコくん。さっきのステージだがな。
      厳正な調査の結果、一応はクリア可能であることがわかったから。
      ステージまで消去する必要はないみたい」

チコ「え、そうなの?」

瓶詰妖精「「「「「「「 」」」」」」」ナンデスッテ! ダッタラ ダシテクレタッテ イイジャナイ! オニー!

スタッフ4「馬鹿言うんじゃない、勝手に未検証ステージを公開したっていうことが大問題なの!
      わかる!?しばらく瓶の中で反省してなさい!」

スタッフ1「それでは……散っ!」

シュバッ!!



チコ「……………………さ、さってと。ボクも急いでママやみんなと合流しなきゃ」ビューン!

618: Mii 2018/12/16(日) 05:20:56 ID:dPGHwQFY
ママは、心に深い傷を負ったみたい。
急いで大量の星くずパンを作ってくれたはいいけれど、
作りがなんだか雑になっちゃってる。

でも、別に構わないから。はやく、元気になってほしい、ただそれだけ。


でも、ボクたちの想いとは裏腹に、ママの精神は優れない。
料理をして、突然泣いて、ときたま吐いて、死んだように眠るだけ。
見ていてつらいけど、ママが一番つらいんだから、我慢しないと…!



そして…1週間後。



チコ「ふわあぁ。おはよう、ママ。…起きてる?あれ、いない。
   なんだろう、机の上に、置手紙…」

619: Mii 2018/12/16(日) 05:22:12 ID:dPGHwQFY










『旅に出たいと思います。しばらく帰ってきません。
 ピーチ姫から連絡が有ったら、できるだけ誤魔化しておいてください。

                                     ママより』






チコ「」

チコ「……ママァ!?」

ほうき星は、しっちゃかめっちゃかの大騒ぎになっちゃいました。

620: Mii 2018/12/16(日) 05:23:44 ID:dPGHwQFY
~WORLD 1-1 スーパーベルの丘~

クリボー「――それでさ、俺はこう言ってやったんだ、
      『俺の拳を受けてみな、このザコが』って!」

猫クリボー「かっこいー…ってお前、拳ないだろーが!
       どうせ尻尾まいて逃げ出したんだろ!」

クリボー「尻尾だってねーよ、お前と違ってな!あっはっはー」



トテッ トテッ トテッ…。



クリボー「ん?」

猫クリボー「ん?」



ロゼッタ「ハアアアァァァァァ――!!」トテッ トテッ トテッ

クリボー「」

猫クリボー「」

621: Mii 2018/12/16(日) 05:25:41 ID:dPGHwQFY
ロゼッタ(ええ!もう、吹っ切れましたよ!!
     そっちがその気なら、言われた通り1-1からこなしてみせますよ!
     愚直、愚直が私のモットーです!馬鹿にしないでくださいっ!
     寝泊りセットまで持ってきて、しばらくフェアリーランドで野宿生活ですよ!

     1-2で、100機ほど…当面の残機は確保してきました!
     タイムアップで死んじゃいましたけどね!
     ふわっと意識が遠のく、あの感覚は、気持ち悪いったらありません!
     でも、激痛よりはまだマシですっ!…うぷっ、また吐き気が…!

     と、ともかく!不運タイムとはいい加減にオサラバしますっ!
     World1をなるべく早くクリアして見せますからね!)





クリボー「…………なにあれ?」

猫クリボー「恐ろしく無駄な動きをしてるけど、新種の健康法かな?」

622: Mii 2018/12/16(日) 05:29:33 ID:dPGHwQFY
ロゼッタ「ハアアアアァァァ――!!」トテッ トテッ トテッ


時計「残り300秒ッス」


ロゼッタ「ハァッ、ハァッ、ハァッ…」トテッ… トテッ… トテッ…


時計「残り200秒ッス」


ロゼッタ「ゼェ、ゼェ、ゼェッ…」トコ トコ トコ


時計「残り100秒ッスよ!」


ロゼッタ「ゼェ……ゼェ……ら、ラスト、スパートをば……!」トテッ…… トテッ……



時計「残り10秒ッス!!!」



ロゼッタ「……う、うそ、そん、な……!…ああっ!旗が、旗が見えてまいりましたっ!
      惜しい、本当に惜しかっ――」トテッ……… トテッ………

623: Mii 2018/12/16(日) 05:30:55 ID:dPGHwQFY


中間フラッグ「ん?」





ロゼッタ「」

ロゼッタ「……せめて、そこまではぁ!!」



TIME UP!



ロゼッタ「あっ…………きゅぅ」バタリ





クリボー「だせぇ」アチャァ

猫クリボー「だっさいなあ」ウワァ

624: Mii 2018/12/16(日) 05:33:26 ID:dPGHwQFY
残機―1、ステージの外へ
ロゼッタ「……………………」グズッ

ロゼッタ「はは、あのイジワル妖精の言った通りじゃないですかぁ。
     私、1-1すらまともにクリアできないじゃないです、か……」グズッ

ロゼッタ「……死にたい」ツー

ロゼッタ「いや、既に一杯死んでますか」



ゴシゴシッ…。



ロゼッタ「…………はははははははははははははははっ!
     …上等です、やってやりますよ!ええ!
     意地でもクリアして見せますから!!

     『1-1』さん!今日からあなたは私のライバルです!
     覚えておいてくださいよ!
     泣いたって許してあげませんからね!
     うおおおおおおおおおおおお!」ゴオオオオオオオオオ



妖精(善)「ねえねえ、あの人、何やってるの?」

妖精(善)「シッ!見ちゃいけません!おかしい人だから!」

625: Mii 2018/12/16(日) 05:35:06 ID:dPGHwQFY
ロゼッタ「ハアアアアァァァァ!!」トテッ トテッ トテッ

MISS!



ロゼッタ「ハアアァァァ!」トテッ トテッ トテッ

TIME UP!



ロゼッタ「ハアアアアァァ…」トテッ トテッ トテッ

TIME UP!




ロゼッタ「……………………残機、増やしに行かねばなりませんね…」ショボン

626: Mii 2018/12/16(日) 05:36:13 ID:dPGHwQFY
かれこれ1週間になりますが。
未だに、1-1が中間ポイントすら到達できません。うわぁい。



どうしましょう。
どす暗い感情が、どんどん増している気がします。
ちょっと、諦めたくもなります。

草地に手を付いて、バタリと倒れ込む。
そのままゴロンと転がって、仰向けに。
滲む涙を、風に乾かしてもらいます。



ロゼッタ「一生、クリアできないのでしょうか…」

「かもなあ」

ロゼッタ「!?」



慌てて飛び起きると、クリボーと…猫クリボー、でしたっけ。
ここまで接近していることに、まるで気付けませんでした。

ただ、敵意というものは感じられなかったので、殺伐とした雰囲気はありません。

627: Mii 2018/12/16(日) 05:38:28 ID:dPGHwQFY
クリボー「1週間前から見てるけど、そんな動きじゃ、そりゃあクリアは無理だぜ。
     というか、アンタの素性が知りたい。冒険者って感じが全然しないんだが」

猫クリボー「そうだな。アンタ以外にチャレンジャーも来ないし、なんか訳アリなのか?」

ロゼッタ「えっと、どう説明したらいいのやら…」

クリボー「…なーんか、緊張してるのか固くなってるな。
     よーし、それじゃあ自己紹介タイムだ。
     名前、好きなもの、嫌いなもの、そして夢。
     これをお互いに言って行こうじゃないか」

猫クリボー「なるほど、コミュニケーションの基本は親近感、だよな!」

ロゼッタ「え…そんな、急に言われても」

タイマーだって、動いて……まあ、1回くらい、いいですか。
どのみち、この挑戦でゴールには間に合いません。TIME UP確定なのですから。
我ながら悲しくなりますが…。

628: Mii 2018/12/16(日) 05:39:51 ID:dPGHwQFY
クリボー「俺はクリボー、1年くらいこのステージに赴任することになった。よろしくな!
     好きなものは甘くておいしいチョコレート、
     嫌いなものはヨッシーかな。…食われるの怖い。
     俺の夢は、踏まれても甲羅をぶつけられてもへっちゃらな体を手に入れることだ!」

ロゼッタ「わあ、素直でステキな夢ですね!」 

へへん、とクリボーが得意そうに胸を張ります。



猫クリボー「俺は猫クリボー、同じく1年くらいステージに配置されるな。
      好きなものはイチゴケーキ、嫌いなものはムササビ。
      夢、かあ。とりあえず、100メートルくらい優雅に滑空できる遊び場を手に入れることかな!」

ロゼッタ「いいですね、とても楽しそう!どんなに気持ちよいことでしょう!」

猫クリボー「だろ!姐さん、分かってるな!」

クリボー「そんじゃ、つぎは姐さんの番だぞ!」

ロゼッタ「は、はい」



――あんまり、考えた事なんてなかったですが。私の夢、なんて。

629: Mii 2018/12/16(日) 05:44:19 ID:dPGHwQFY
ロゼッタ「私の名前は、ロゼッタ。

     嫌いなもの…というより、苦手なものなら沢山あるんですが、
     好きなものといったらほうき星での生活、親しい友人との関わり、
     あとは空間魔法の研究をしている瞬間くらいですか」

クリボー「十分あるじゃん、それだけあったら幸せだぜ」

ロゼッタ「ふふ、ありがとうございます」



クリボーにちょっと感謝。――いいえ、かなりの感謝。



ロゼッタ「それから――夢なんて言葉で終わらす気はありませんが、野望なら有ります。
     ほうき星とチコたちを、いつまでもいつまでも守り続けることと――



     とある妖精たちを、必ず――
     1人1発ずつ、ぶん殴ることですね」ニコーッ



クリボー「お、おう」

猫クリボー(…イタイ人なのかな?)

630: Mii 2018/12/16(日) 05:46:14 ID:dPGHwQFY
クリボー「ま、まあ。そんな、でっかい?野望を持ってるロゼッタ姐さんに、
     一つ聞きたいんだけどさぁ」

ロゼッタ「はい、何でしょう?」











クリボー「姐さん、『ダッシュ』って知ってるか?」

ロゼッタ「……だっしゅ?」

631: Mii 2018/12/16(日) 05:47:59 ID:dPGHwQFY
ロゼッタ「……………………!」タッ タッ タッ

ロゼッタ「凄い、凄いです!走り方を変えただけで、こんなに速く走れるだなんて!
      なるほど、歩く時とは骨格の動き、重心移動の様式を大きく変えればよかったのですね!」パァァァ



クリボー(やっぱり知らなかったかー)

猫クリボー(これまでどうやって生活してたんだろう)



クリボー「どうだい、これでこのステージはクリアできそうか?」

ロゼッタ「もちろんですっ!本当に、本当にありがとうございました!」ダバー

猫クリボー「いくらなんでも泣くことないだろ!」

ロゼッタ「泣きますよぉ!!」ウワーン

クリボー(幅跳びとか、ヒップドロップとか、壁キックはどうなんだろう?)ジトー

猫クリボー(やめてやれ)

クリボー(転がり幅跳びとかしゃがみジャンプとかクルクルジャンプって
     全クリした人でも知らない場合があるよね)

猫クリボー(やめてやれ!)

634: Mii 2018/12/19(水) 08:44:44 ID:xxiSmmrk
~さらに、1週間後~

クリボー「姐さん、ガンバ!」

猫クリボー「今更よろけたりするなよー!」



ロゼッタ「もう、ちょっとぉ……たぁっ!」タッ… タッ… タッ…



ガシッ!ピュルル…!!



COURSE CLEAR!
マイベストタイム 483! ――NEW RECORD!

635: Mii 2018/12/19(水) 08:45:51 ID:xxiSmmrk
ロゼッタ「……!!や、やりました!とうとう、とうとう1-1をクリアしましたよ!
     しかも、中間ポイントを使わずに!」

クリボー「それは当たり前やがな」

猫クリボー「これからも中間ポイントは使わないぞーって気持ちの方がいいんじゃないか?」

ロゼッタ「うっ……そう、ですね。2パートに分けてクリアしたところで、
     マリオたちにも笑われてしまいます、よね。わかりました、
     今後も中間ポイントはなるべく使わないように致します」

クリボー「その意気だぜ!いやあ、結構長い付き合いになったな。
     なんだかんだ言ってこの1週間…いや、2週間楽しかったぞ!
     次からのステージでも張り切っていけよ!」

猫クリボー「応援しといてやるぜ!」

ロゼッタ「ありがとうございます!では!」シュイン!

636: Mii 2018/12/19(水) 08:47:33 ID:xxiSmmrk
~WORLD1マップ~

ロゼッタ「さて!それでは、次のステージへ!
     順当に行くのならば1-2ですが…まあ、そうしましょうか。
     新鮮味がないのはいいことなのか、悪いことなのか…では!」



~WORLD 1-2 ノコノコ地下洞窟~

ロゼッタ「とりあえず、これまでは無限増殖しか気にしていませんでしたが…」



ファイアフラワー「やあ」

ロゼッタ(ごくり)



ロゼッタ「何気に、ファイア状態にはなったことがありませんでした。
     …なって、みましょうか」

637: Mii 2018/12/19(水) 08:48:56 ID:xxiSmmrk
不思議な形をした、赤い花にそっと、触れます。

たちまち私の体は、朱い服に包まれました。……ええ、登録した、あの。
髪形まで一瞬でポニーテールになるなんて、サービス精神がいいですね。

ちなみに、登録した服は…パワーアップ変身のたびに、何度でも…
新品同様に復活して、朽ちることがなくなるそうです。
そのかわり、登録状態のロックは一生外されず…通常生活で着ることはできなくなるらしいのですが。
まあ、ステージに潜れば何度でも着替えられるのですからいいですよね。



深呼吸をして――それでは、いざ。
右手に力を加え、炎のチカラを込め…!
ああ、なんだかワクワクしてきます!



ファイアロゼッタ「……ファイアッ!!」ボウッ!



直径30 cmくらいの、火の球が右手から飛び出しました!
バウンドしながら、壁の方へ飛んで行きます!

638: Mii 2018/12/19(水) 08:50:32 ID:xxiSmmrk
ファイアロゼッタ「やった、やりまし――」



ジュウウゥゥゥ!



バックファイア!
ロゼッタは わざのはんどうで ダメージをうけた!▼

ロゼッタ「熱いっ!?」ティウン ティウン ティウン



突然のことに大層驚き、激痛の元となる右手の手のひらを見ます。
そこには――黒く、そして酷く爛れた火傷の跡が……!
右腕全体にも猛烈な痛みを感じ、痛みを堪えて袖をめくってみれば…
どこかに叩きつけられてしまったかのように血が滲んでいます。

炎のチカラの行使によって、魔力回路が。
炎との接触によって直接、手が。ダメージを受けてしまったようです。



世の中、そうは甘くないようです。
容赦なく実力不足の現実を突き付けてきます。

ロゼッタ(ファイア状態って、炎適性や炎耐性があるわけではないのですか…!?)

639: Mii 2018/12/19(水) 08:52:34 ID:xxiSmmrk
予想だにしていませんでした。クラッと絶望しかけます。

ロゼッタ「とりあえず、またファイアフラワーを取らなければ…
     前と同じならば…取れば、怪我からも、回復できるはず…!」



そのとき。私は、ちっとも前を見ていませんでした。
そして――。





マリオがどう設定したのかは知りませんが。
『フレンドリーファイア:あり』が解除されていない、らしいのです。





ファイアボール「壁で跳ね返って戻ってきたぞ」ピョン ピョン

ロゼッタ「ぎゃふっ!?」

ちびロゼッタ「…………」プスプス

踏んだり蹴ったり、とはこのことですね。
このステージにいるノコノコのことだろ、とか言っちゃいけませんよ。

640: Mii 2018/12/19(水) 08:53:51 ID:xxiSmmrk
ちびロゼッタ「…………」プスプス

たまらなく、痛くて、かなしい。
次のハテナブロックを早く見つけたくて、
私は一目散に走り始めました。

ちびロゼッタ「はやく、はやくファイアフラワーを…!いえ、スーパーキノコを…!」

ノコノコ「あ、ちょっと!そんなに走ると危ないぞ!
     その先、雲リフトで渡る奈落の底が…!」

ちびロゼッタ「あ」ツルッ

ノコノコ「あ」

ちびロゼッタ「いやああああぁぁぁぁぁ――!」ヒュー

641: Mii 2018/12/19(水) 08:55:20 ID:xxiSmmrk
ロゼッタ「再挑戦ですっ!」フンッ

ロゼッタ「スタートしてすぐのハテナブロックからファイアフラワーを取り出し!」

ファイアロゼッタ「取得して、ファイア状態になって!」ググーン!

ファイアロゼッタ「集中して…壁とは逆方向に、ファイアを撃つ!」ボウッ!



ノコノコ「そしてダメージを受けてパワーダウンする!」

ロゼッタ「熱いっ!!それは要らないです!」ティウン ティウン ティウン



このステージには、フラワーが出るハテナブロックがいくつかあるみたいですが…
スーパー状態をなんとか維持してたどり着いたところで、
ひとつにつき1発限りというのは、練習するのにあまりにも効率が悪い…!
マリオたちは、ポンポンと矢継ぎ早に繰り出せるというのに…!

642: Mii 2018/12/19(水) 08:57:01 ID:xxiSmmrk
ロゼッタ(あ、それならば…せめて!)

ファイアロゼッタ(ファイア状態で先にフラワーを回収し、ストックしましょう!
          こうしておけば、連続して練習できるうえに
          幾分安全になって気持ちが楽になり――)タッ



ボウッ!



ロゼッタ「熱いっ!?なんでですか!?」ティウン ティウン ティウン





※ファイア状態でダッシュしようとすると初動で必ず1発ファイアを撃ってしまいます。
 文句は任天堂に言いましょう。

643: Mii 2018/12/19(水) 08:59:38 ID:xxiSmmrk
ロゼッタ「…はぁ」



透明土管をいくつもいくつも潜りながら。
とりあえず、ゴールにたどり着きました、が。
ファイアの練習は、あんまりできませんでした。

フラワーを取得できる最序盤ステージということで
もうすこし練習していきたいのはやまやまなのですが…
疲れたので、一旦は次に進みましょう。
どうせしょっちゅう、帰ってくることになりますし。



残機としては、死んだ以上に増やしました。無限増殖のおかげで。
まだまだ死ぬのは痛くて怖いですし、
悪夢にうなされて飛び起きることも頻繁にありますが。

644: Mii 2018/12/19(水) 09:01:01 ID:xxiSmmrk
~WORLD1-A とおせんぼ!ブル・・・のステージ前~

ブル「ん?勝負するのか?ああ?ちなみにコンクリまでなら粉砕できるぜ」ギロッ

ロゼッタ「…………」

ロゼッタ「無理ですっ!」

ブル「いきなり逃げるな!この臆病者め!」ダダッ

ロゼッタ「ひぃっ、追いかけてきました!私では力が足りません!」タッ タッ

ブル「逃げる奴を追い打ちするのも楽しいよなあ――!そうは思わんか!」ダダッ

ロゼッタ「あわわわわ!怖いです――っ!」タッ タッ



敵を倒す方法の基本は、踏みつけることですがっ!
残念ながら、いまの私の実力では、あんなに巨体の、それも俊敏な敵に対して
十分上を取るジャンプを的確にすることができません!
壁に叩きつけられ続ける未来が容易に見えます!

ロゼッタ「ああ、ジャンプを鍛えられるステージとか、ないでしょうか……!」



1-3「ここにあるぞー!」

ロゼッタ「!?」

645: Mii 2018/12/19(水) 09:03:07 ID:xxiSmmrk
~WORLD1-3 てっぺんめざせ!ノッポ山~

ロゼッタ「ハァ、ハァ、ハァ…………!」ノロノロ

ロゼッタ「1-1とは比べ物にならないくらいの高低差、なん、です、がぁ…!
私にはきつ過ぎる登山コースですっ…!
至る所に、危険な高山植物(パックンフラワー)が生えていますし!」

え?スーパーベルを取って猫状態になり、壁を登っていけばいいのではって?
もちろん、試してみましたよ。…無理でした。
というより、私と「スーパーベルによる猫状態」がこの上なく相性が悪いです。



……なんで運動能力向上効果がないんですか!
登っていくどころか、自重を支えられないんですけど!
壁との接着効果、だけじゃあ意味がないんですよ!!
普通に道なりに登っていったほうがよっぽどマシですよ!

引っ掻き攻撃にしたってそうですよ!
私の腕力だとろくにダメージを与えられていないんですけど!
踏んで1回で倒せる敵を、どうして5回も6回も引っ掻かなきゃならないんですか!

646: Mii 2018/12/19(水) 09:05:12 ID:xxiSmmrk
ふと見上げると、ハンコがありました。
……あれ?白くないですね。取得されて…いない!?

ああ、もしかして。あの悪戯妖精たちのトリックが解除されて…
不足分の本物が、本来の場所に戻ってきたのですか!これは取っておかないと!

ロゼッタ「しかし、どうやって取るのでしょう…。
     一度上に上がってから、飛び降りて取るしかないのでしょうか。着地が痛そう……」

ハンコ「それでもまあええけど、壁キックでとるんやで」

ロゼッタ「そういえば、聞いたことがあります。
     投げつけた物でも、ハンコやグリーンスターを取得できる、と。甲羅を探してみましょうか」

ハンコ「ないで」

ロゼッタ「…ないです、ね。仕方がありません、
     とりあえず登って行って、それから考えましょう」

ハンコ「…これは忘れられるパターンやな」

647: Mii 2018/12/19(水) 09:07:39 ID:xxiSmmrk
50機ほど、TIME UPで失って。
登って、登って、ひたすらに登ったところで。

足場が急に悪くなり、下には雲海。
いつぞやのトラウマが蘇る、一刻も早く通り過ぎたいところですね。

しかし…S字状の道の途中に、1体のパックンフラワーが陣取っています。
さらにその奥の行き止まりエリアには、巨大なパックンが…!
もしかして、中ボス、というやつでしょうか?…え、違う?



――さあ、困りました。いわゆる、難所というものです。
――私に、とっては。

648: Mii 2018/12/19(水) 09:09:22 ID:xxiSmmrk
まず、手前のパックンフラワー。
マリオなら目を瞑りながらでも倒せそうな敵ですが、
私はここまで、噛みつかれるのが怖くてビクビクしながら倒してきたので…
狭い道に出て来られると、ちょっと……。

ダメージ1回で済むなら、最初から体当たり突貫を決め込んで突撃しても構わないのですが。
ちび状態で、奥の巨大パックンに勝てるかと言われると、
全く自信がありません。理由はブルさんと同じです。

ロゼッタ「こういうときこそ、ファイアフラワーが欲しい…です。
     ストックしてこられれば、よかったのに」

考えあぐねている間にも、時間はどんどん過ぎていく。
仕方なく、行動開始です。

ロゼッタ(奥の巨大パックンは、おそらく倒さなければゴールへの道が開かれない。
     そちらに全力を注げるように…とりあえず、手前のパックンフラワーは倒すことは考えない。
     できる限り高くジャンプして、飛び越える方針で行きましょう)





……後になって考えてみると。一見合理的そうなこの考えが、
あまりにも無策無謀だったのかもしれません。

649: Mii 2018/12/19(水) 09:11:52 ID:xxiSmmrk
ロゼッタ(まずは、手前のパックンを!落下死にも気を付けて…!)ピョン

パックンフラワー「…!カブッ!」スカッ

ロゼッタ(よしっ、ギリギリでしたが、かわせた――!?)



――目の前には、青く広がる、奈落。



辛うじて着地したものの、落ちそうになるほど前につんのめり、慌てて体を後ろに戻す。
…後ろに、戻す。転倒を防ぐため、右脚を後ろに出して踏ん張って…。



激痛が、私を襲いました。



ちびロゼッタ「――――っ!?痛い、痛いっ!!」



骨まで達するか、と思えるくらい、右脚を強く、かまれた。
肉が喰いちぎられ、血がドクドクと。焼けるように…あつい。

650: Mii 2018/12/19(水) 09:13:09 ID:xxiSmmrk
ちびロゼッタ「いたい、よぅ…」ポロポロ

考えてみれば、「進んじゃった」のが最悪手だった、かも。
戻っておけば、猫クリボーに体当たりするとかでMISSして
穏やかにステージ外に放り出されることができた、のに。



ちびロゼッタ「もう…巨大パックンを倒すしか、ない」ドクドク



――愚かにも、TIME UPを待つという行動を、取れませんでした。



血を流しながら、巨大パックンを時間ぎりぎりまで観察。
ゆっくり少しずつ近づいて、行動パターンを見る。

…そうか、ある程度近づいたら噛みついてくるから、
すぐに引いてから舞い戻って、踏みつければいいんだ。
うん、かんたん。かんたん、だよね。

時間もないし、やるしかない。

651: Mii 2018/12/19(水) 09:14:30 ID:xxiSmmrk
敵の攻撃範囲まで近づく。巨大パックンが噛みついてくる。

すぐに、1、2歩下がる。巨大パックンの牙が空を切る。

体を翻して、巨大パックンの方向へ。巨大パックンは動けない。

さあ、ジャンプして踏みつけて、見事やっつけて……。



その夢物語は、弱り切った右脚のせいでバランスを崩して、終わりました。



地面に這いつくばって、痛みを堪えて顔を上げてみたら。
目の前に、大きく口を開けた巨大パックンがいて――。

652: Mii 2018/12/19(水) 09:17:25 ID:xxiSmmrk
ブル「あんにゃろー、どこに行きやがった?
…ああっ!見つけたぞ!これ以上逃げるようなら、本当にギッタギタに――!?」キョロキョロ

ロゼッタ「――――――――」ポロポロ

ロゼッタ「よかった、からだ、つながって、る」ポロポロ

ロゼッタ「よかった、なあ。あは、はははははははは」ポロポロ

ブル「」

ブル「」



――すぐ近くに、ダレカガ、イルキガスル。
――ちらっとそちらを振り向き目を合わせると、相手はたちまち固まってしまいました。
――よく認識できませんが、一体、どなたでしょうか。



ブル「……………………居た堪れないから帰ります…」スゴスゴ

653: Mii 2018/12/19(水) 09:18:52 ID:xxiSmmrk
どう歩いて、向かったのか…覚えていません。

とりあえず、私は、1-2に戻ってきました。
あと、近くにいた妖精(善)さんに、何か書くものを所望しました。
眼を赤く腫らした私に驚きながらも…ちょっと考えた後、どこかに一旦飛んで行って…

妖精「これでいいですか?」

と、書道用の大筆と長半紙を渡されました。からかっているのでしょうか。



――ああ、すごくピンポイントに、大歓迎ですね。
ちょっとしたノートに書き込んでおく、くらいのつもりでしたが。

654: Mii 2018/12/19(水) 09:20:39 ID:xxiSmmrk
妖精のことはきれいさっぱり頭から除外し、
平らな地面を探して…おもむろに紙を広げます。
体中の水分がなくなってしまうのではないかと思えるくらい、
とめどなく涙を流し続けながら。

長半紙にも涙がぽたぽたと垂れ落ちる中、
達筆に…いえ、一心不乱に、書き殴りました。



妖精「わあ、綺麗な字ですね!でも……

    『ファイア完全習得まで進むべからず』……?

    どういう意味ですか、これ?」



どうせ、チャレンジャーは私だけなのですから、気にすることはないでしょう。
妖精が何か話していましたが…ステージの入口の掲示板に、
でかでかと張り付けて、飾っておきました。私自身に、見せ付けるために。





――精神崩壊など、してやるものか。
――絶望を上回る昇華と不屈の精神で、乗り越えて見せます。



次回 ロゼッタ「マリオカートに参戦…ですか?」 後編