1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 10:40:05 ID:9xbPbDTk
ラブライブ!SS

これはホラーゲーム「影廊 -Shadow Corridor-」のパロディSSです。


ゲームは有料版と無料版があります。

リンクは貼りません。興味のある方は各自で検索してください。


ゲームに関する過度なネタバレはなるべく避けるようにします。


それでもネタバレが気になる場合はお戻りください。


また、SS内では設定の一部改変があります。



この物語はフィクションです。

引用元: 善子「影廊」ルビィ「夕暮れの迷宮から脱出」 



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2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 10:41:09 ID:9xbPbDTk
善子「ある夏の日の夕暮れ時」

善子「私とルビィはなぜかある路地が気になりふと足を止めた」

善子「夕立の後の蒸し暑い湿気の中、奥からは冷たい風が吹き抜けてきていた」

善子「そしてルビィは吸い込まれるように、この薄暗いさびれた路地に入って行ってしまった」

善子「私も後を追う形でその路地へと入って行った」

善子「それがこのあと起こる悪夢のはじまりだった……」

3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 10:41:45 ID:9xbPbDTk
─路地─

善子「どうしたのよルビィ」

ルビィ「うん、この路地がすごく気になって入ってきちゃった」


さびれた住宅街にある細い道だ

路地は薄暗く建物の合間を縫って夕日が差し込んでいた

エアコンの室外機から生暖かい風が吹いている

4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 10:42:25 ID:9xbPbDTk
善子「早く帰るわよルビィ」

ルビィ「善子ちゃん、ちょっと奥まで探検して行かない?」

善子「ヨハネよ」

ルビィ「善子ちゃんもついてきて」

善子「ちょっとルビィ、危ないわよ」

5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 10:43:09 ID:9xbPbDTk
ルビィ「こういうところってわくわくするよね」

善子「懐かしい感じ……ノスタルジックっていうのかしら」

ルビィ「静かだね」

善子「ええ」

ルビィ「奥にトンネルがあるよ」

6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 10:44:14 ID:9xbPbDTk
薄暗い路地の先には細長く狭いトンネルがあった

奥にある住宅街につながっているのだろう


善子「なぜか明かりがないわね」

善子「真っ暗でよく見えないわ」

ルビィ「うゆ、りゅびぃライター持ってるよ」

ルビィ「このまえ花丸ちゃんがくれたの」

ルビィ「火をつけるね」ボッ

7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 10:44:50 ID:9xbPbDTk
善子「これで明るくなったわね」

善子「ルビィ、火の扱いには気をつけるのよ」

ルビィ「うん」

善子「さすがに奥までは照らせないわね」

善子「手元や足元が見える程度ね」

ルビィ「奥まで見に行こう」

善子「危ないわよ」

8: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 10:45:21 ID:9xbPbDTk
コツン……コツン……

善子「足音が反響してちょっと怖いわね」

ルビィ「うん……」

善子「このトンネル、レンガでできてるのかしら」

ルビィ「……」

9: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 10:45:51 ID:9xbPbDTk
シャン……


善子「何、今の音!?」

ルビィ「鈴の音かな?」

善子「鈴っていっても小さい鈴って感じじゃないわね」

善子「たくさん鈴がついていて……そう神楽鈴って感じかしら」

10: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 10:46:32 ID:9xbPbDTk
ルビィ「あれ?」

善子「どうしたの?」

ルビィ「行き止まりだ」

善子「本当ね……でもおかしいわね」


善子「さっきまでこんな柵なかったわよ」

11: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 10:47:17 ID:9xbPbDTk
ルビィ「なんでだろう」

善子「なにかおかしいわね……ルビィ、戻りましょう!」

ルビィ「うん……それなんだけどね……」


ルビィ「後ろが……」

善子「え……」

12: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 10:48:04 ID:9xbPbDTk
善子「出口が……」


善子「さっきと違う……」


ルビィ「怖いよ……善子ちゃん」

善子「とにかく行き止まりである以上、後ろに戻って外に出てみるしかないわね」

13: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 10:48:49 ID:9xbPbDTk
トンネルから出ると先ほどの住宅街はなく、そこには古びた神社があった

まわりを高い崖に囲まれており、あたりには彼岸花が赤く咲いている


善子「なんでさっきと違うのよ……」

ルビィ「うぅ……善子ちゃん……」

14: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 10:49:22 ID:9xbPbDTk
<ギィィィ…………


目の前でひとりでに神社の扉が開いた


善子「なんで開いたのよ……」

ルビィ「うぅ……」グスン

15: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 10:50:02 ID:9xbPbDTk
善子「戻る方法はない……」

善子「こうなったら行くしかないわね……」

ルビィ「うん……」


赤い鳥居をくぐり神社の中へと入っていく

16: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 10:50:40 ID:9xbPbDTk
中には台座のようなものの上に鏡が置かれていた


善子「鏡だけしかないわね」

善子「ほかには何もないわ」

ルビィ「うん」

ルビィ「ちょっと見てみるね……」


すると突然、鏡が光り出し景色が変わった……

17: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 10:51:14 ID:9xbPbDTk
善子「どこよ、ここ……」

ルビィ「もしかしてルビィたち……ワープしちゃったの?」


そこは先ほどまでの路地でも神社でもなく古びた回廊であった

その暗闇の回廊はどこまでも続いていた

18: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 10:51:54 ID:9xbPbDTk
善子「なんかここヤバイわよ……」

ルビィ「善子ちゃん……怖いよ」

善子「ここから出なきゃ……何か危険よ……」

ルビィ「でもどうやって……」

善子「分からないわ……とにかくここから先へ進まなきゃダメみたいね」

19: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 10:52:29 ID:9xbPbDTk
─影廊─

善子「真っ暗で何も見えないわね」

善子「ルビィ、ライターで明かりをつけて」

ルビィ「うん」ボッ

善子「これで少しは見えるわね」

ルビィ「本当に真っ暗だよ……」

20: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 10:53:03 ID:9xbPbDTk
サッ……サッ……

善子「畳を歩く音すらもなんだか怖いわね……」

ルビィ「うん……」

善子「襖があるわね、開けるわよ」


サァァ…………

善子「音を聞くだけで怖いわ」

ルビィ「はぁ……はぁ……怖い……」

善子「あっちは木でできた廊下ね」

善子「壁は土壁かしら」

21: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 10:53:44 ID:9xbPbDTk
ドタドタドタドタ……


善子「ちょっと待って? 何か足音が聞こえない?」

ルビィ「うん……」

善子「人がいるのかしら……それにしては足音が多いような」

ルビィ「善子ちゃん……何か変だよ」

22: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 10:54:20 ID:9xbPbDTk
ドタドタドタドタドタドタ

善子「ちょっと待って!? この足音、近づいてきてない!?」

ルビィ「怖いよぉ!!」

善子「隠れるわよ!!」

ルビィ「どこに!?」

23: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 10:55:00 ID:9xbPbDTk
あたりを見ると行李(竹で編まれたカゴ、つづら箱)があった


善子「あの中よ!!」

ルビィ「二人も入るかな」

善子「あんた小さいから大丈夫よ!!」

ルビィ「善子ちゃんと2センチしか身長変わらないよ!」

24: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 10:55:43 ID:9xbPbDTk
ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ

ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ


善子「もう隠れるしかないわ!」

善子「ライターの火を消して中に入るわよ!」

ルビィ「うん」


二人は行李の中に隠れた

25: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 10:56:24 ID:9xbPbDTk
ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ

ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ


善子(すごく大きな足音ね)

ルビィ(何か呟きながら走ってるね)

善子(息をひそめて通り過ぎるのを待ちましょう)

ルビィ(竹でできたカゴだから外の様子が網目から見えるね)

26: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 10:57:06 ID:9xbPbDTk
ルビィ(ちょっと何が走ってるか見てみるね)

善子(嫌な予感がするわ)


網目から外を見てみると

能面をつけ、手や足がいくつも生えている化け物が猛スピードで走りまわっていた

27: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 10:57:43 ID:9xbPbDTk
ルビィ「ぴ、ぴぎゃぁあぁぁああ、んんんんっっ……」

善子(バカっ!! そんな大きな声出したら見つかるでしょ!!)


ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ

ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ

28: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 10:58:15 ID:9xbPbDTk
ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ

ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ


善子(はあ……はあ……)

ルビィ「はあ……はあ……」


ドタドタドタドタドタドタ…………

29: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 10:58:57 ID:9xbPbDTk
善子「通りすぎたわね……」

ルビィ「はあ……はあ……おぇぇぇぇぇぇぇ」

善子「ルビィ!! しっかりして!!」

ルビィ「怖いよ……なにあの化け物」

善子「分からないわ……」

30: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 10:59:35 ID:9xbPbDTk
善子「もしあの化け物に見つかったら……殺されるかもしれないわ」

善子「なんとなくだけど、そんな気がするわ」

ルビィ「うぇぇぇぇんん……怖いよぉぉ」

ルビィ「おねぇちゃぁ……」グスン

善子「泣かないでよルビィ……」

31: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:00:11 ID:9xbPbDTk
善子(そうは言っても私も恐怖と緊張で吐くところだったわ)

善子(でも、そんなことしたらルビィがもっとパニックになっちゃう……)

善子(我慢しなきゃ……ルビィを守らないと……)


ルビィ「ハア……ハア……」

32: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:00:51 ID:9xbPbDTk
善子「そうだ! 携帯で誰かに連絡を……」


善子「ダメね……圏外だわ……」

ルビィ「ルビィのもだよ……」

33: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:01:27 ID:9xbPbDTk
ルビィ「あ、気が付かなかったけど花丸ちゃんから連絡が来てる」

善子「私たちがここに入る前に送ってきたやつね」

ルビィ「そうみたいだね」

34: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:02:06 ID:9xbPbDTk
善子「それでなんて書いてあるの?」

ルビィ「うん、読んでみるね」


花丸:ルビィちゃん!善子ちゃん! そこに入っちゃダメだよ!!


善子「路地のこと? それともトンネルのことかしら?」

善子「ごめん、入っちゃったわ」

ルビィ「もっと早く気づいてれば……」

善子「ずら丸は一体何者なのよ……」

善子「……他には何かない?」

35: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:02:49 ID:9xbPbDTk
花丸:連絡が取れなくなる前に言っておくね

花丸:影廊に入っちゃったら脱出を目指して

花丸:脱出するには回廊のどこかにある勾玉が5つ必要ずら

花丸:それを台座に置く必要があるの


善子「つまりあの化け物が徘徊してるこの回廊を探索しろってこと?」

ルビィ「う、嘘だよね? 無理だよそんなの!」

36: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:03:30 ID:9xbPbDTk
花丸:台座に置くと出口の扉が開かれるからそこから戻って来れるよ

花丸:オラは今から二人を助けに行くから出口を目指して欲しいずら


善子「ごめん花丸、頼むわよ」

ルビィ「ごめんね花丸ちゃん」

37: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:04:09 ID:9xbPbDTk
花丸:でも気をつけて欲しいことがあるずら


花丸:それは徘徊者ずら



善子「徘徊者……? さっきの化け物のことかしら?」

38: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:04:47 ID:9xbPbDTk
花丸:徘徊者はオラたちを見つけると襲い掛かってくるずら

花丸:捕まれば命はないずら


善子「私たちさっきの化け物に◯されるところだったのね……」

ルビィ「うぅ……おぇぇぇぇぇ」

善子「ルビィ!!」

39: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:05:21 ID:9xbPbDTk
花丸:敵は視覚や聴覚でオラたちを探してくるずら

花丸:まわりをよく見て逃げまわってほしいずら

花丸:もう時間がない

花丸:いまから救出に向かうから出口を目指して!

40: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:05:51 ID:9xbPbDTk
善子「花丸……」

ルビィ「怖いよぉ……」


善子「……行くわよ」

ルビィ「うん……」

41: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:09:16 ID:9xbPbDTk
ギィィ……タッ……タッ……


善子「木の廊下だから音がするわね」

ルビィ「うぅ……」

善子「どこまでも廊下が続いてる……」

善子「部屋もたくさんあるわ」

42: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:09:52 ID:9xbPbDTk
善子「この部屋に入ってみましょう」


サァァァァ…………サッ……サッ……


善子「廊下から畳の部屋に入って足音が変わるのすら嫌ね」


善子「……ん?? 足音??」

ルビィ「どうしたの善子ちゃん?」

43: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:10:24 ID:9xbPbDTk
善子「ずら丸は、徘徊者は視覚や聴覚で探してるって言ってたわよね」

ルビィ「うん……」

善子「……足音も聞いてるのかしら?」

ルビィ「え……」

44: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:10:59 ID:9xbPbDTk
善子「私たちもさっきの化け物は足音で居場所が分かったわ」

善子「それは敵も同じってことかしら」

ルビィ「そんな……」


善子「とにかく分かってないことが多すぎるわ」

善子「情報を集めましょう」

ルビィ「うぅ……」

45: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:11:30 ID:9xbPbDTk
善子「棚やタンスがあるわ」

善子「中も見てみましょう……使えるものがあるかもしれないわ」

ルビィ「中からオバケしゃんとか出てこないよね……?」

善子「……あるかもしれないわね」

ルビィ「もうやだぁぁ…………」グス

46: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:12:06 ID:9xbPbDTk
善子「このタンス……開けてみるわよ……」

ルビィ「ハア……ハア……」


ザッ……


善子「……何もないわね」

ルビィ「はあ……はあ……」

47: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:12:43 ID:9xbPbDTk
善子「それにしても真っ暗ね」

善子「ライターの火だけじゃ心もとないわ」

ルビィ「あ、あそこに燭台があるよ」

ルビィ「あっちにも」

善子「なるほど、ろうそくの火ね」

善子「部屋や廊下のあちこちにあるわね」

善子「つけてまわりましょうか」

48: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:13:19 ID:9xbPbDTk
ルビィ「……火をつけて大丈夫かな?」

善子「え?」

ルビィ「敵しゃんはルビィたちを探してるんだよね?」

ルビィ「火をつけたら居場所が分かっちゃうんじゃ……」

善子「たしかに……」

49: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:13:51 ID:9xbPbDTk
善子「……これだけ広い回廊よ」

善子「少しつけても大丈夫だと思うわ」

善子「……たぶん」

ルビィ「うん……そう信じるよ」

ルビィ「暗くて怖いからつけてみるね」ボッ

50: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:14:54 ID:9xbPbDTk
善子「ろうそくに火がついたわね」

ルビィ「これで少し明るくなったね」

善子「それにしてもこの廊下、どこまで続いているのかしら」

ルビィ「この中から勾玉を5つ探すんだよね……」

善子「ええ、しかも危険な敵が徘徊しているわ」

ルビィ「うぅ……」

51: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:15:42 ID:9xbPbDTk
シャン……シャン……シャン……シャン……


善子「……何か聞こえない?」

ルビィ「……鈴の音かな?」

善子「誰かがスクフェスやってるわけじゃないのよね?」

ルビィ「うん、絶対違う」

52: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:16:22 ID:9xbPbDTk
シャン……シャン……シャン……シャン……


善子「こっちに来てるわね」

ルビィ「どうしよう、隠れるところなんてないよ」

善子「ライターの火を消して部屋の隅の暗がりに隠れましょう」

ルビィ「それなんだけどね、善子ちゃん」

善子「どうしたの?」



ルビィ「……ライターの火が消えそうなの」

53: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:17:00 ID:9xbPbDTk
善子「嘘でしょ?」

ルビィ「ううん、すごく火が弱くなってる」

善子「燃料がなくなってきたのかしら?」

善子「まずいわね……明かりなしでこの迷宮を探索するのは厳しいわ」

ルビィ「うぅぅ……」

54: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:17:42 ID:9xbPbDTk
善子「ちょっと待って……この火……」


善子「風も吹いてないのに揺らめいてるわよ」

ルビィ「ロマンチックなセリフだね」

善子「あんた実は余裕あるんじゃないの?」

55: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:18:14 ID:9xbPbDTk
善子「さっきの燭台のろうそくの火も揺らめいて点滅してるわよ」

善子「今にも消えそうだわ」


シャン……シャン……シャン……シャン……


善子「来てるわね」

56: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:18:55 ID:9xbPbDTk
善子「……もしかして、徘徊者が接近すると火が点滅して消えるんじゃないかしら」

ルビィ「えっ」

善子「とにかくライターの火だけ消して身をひそめましょう」

善子「ろうそくの火はそのままでいいわ」

ルビィ「うん」カチャ

57: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:19:56 ID:9xbPbDTk
シャン……シャン……シャン……シャン……


暗がりで身をひそめながら見ると

能面をつけ着物を着た徘徊者が神楽鈴を鳴らしながら歩いていた


善子(あれも徘徊者ね……さっきの化け物と同じように能面を顔につけているわ)

善子(着物に詳しいわけではないけど、あれは十二単かしら?)

善子(平安時代の貴族の女の人が着ているイメージがあるわね)

ルビィ(善子ちゃん、あれ見て)

58: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:20:48 ID:9xbPbDTk
ルビィが指差すほうを見ると、燭台の火が消えていた


善子(やっぱり徘徊者が近づくと火が消えるみたいね)

善子(とにかくやり過ごしましょう)

善子(見つかったら襲い掛かってくるわ)

ルビィ(うん……)

59: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:21:20 ID:9xbPbDTk
善子(はあ……はあ……)ドクン……ドクン……

ルビィ(はあ……はあ……)ドクン……ドクン……


シャン……シャン……シャン……シャン……


シャン……シャン……シャン……シャン……


…………

60: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:21:52 ID:9xbPbDTk
善子「どこかに行ったわね」

ルビィ「またろうそくの火がついたね」

善子「やっぱり近づいてくると火が消えるわね」

ルビィ「じゃあ、つけても大丈夫かな」

善子「ええ、むしろつけたほうがいいわ」

ルビィ「え?」

61: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:22:34 ID:9xbPbDTk
善子「あちこちにある燭台に火をつけてまわれば大丈夫ね」

善子「それどころか、私たちとしては火が揺らめいたら近くに何かいるって分かるから有利よ」

善子「廊下の先で火が揺らめいたり点滅してたりしたら徘徊者がその方向にいるということ」

善子「廊下や部屋に置いてある燭台に火をつけながら探索を進めていきましょう」

ルビィ「うん……」

62: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:23:08 ID:9xbPbDTk
サッ……サッ……


善子「勾玉ってどこにあるのかしら?」

善子「それに徘徊者はどの程度の視覚や聴覚を持っているのかしら?」

善子「犬のように耳がいいのか、暗闇でも普通にものが見えるのか」

善子「まだ分からないことが多いわ」

ルビィ「うぅぅ……明かりをつけてもまだ怖いよ……」

ルビィ「むしろ見えちゃう分、逆に怖いかも……」

63: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:23:40 ID:9xbPbDTk
ドタドタドタドタドタドタドタ……


善子「どこかにいるわね」

ルビィ「怖いぃぃ……」

善子「さっきの足音のする化け物ね」

64: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:24:10 ID:9xbPbDTk
ドタドタドタドタドタドタドタドタ


善子「足音がするだけね」

善子「壁の向こう側の廊下を走っているのかしら?」

ルビィ「でもこっちに来てるよね」

善子「隠れましょう」

ルビィ「うん」

65: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:24:45 ID:9xbPbDTk
ドタドタドタドタドタドタドタドタ


バァァァァンンン!!!!


ドタドタドタドタドタドタドタドタ 


善子(!? 何、いまの音!?)

ルビィ「おぇぇぇぇ……」

善子(ルビィ!!)

善子(バレないかしら……ッ)

66: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:25:21 ID:9xbPbDTk
ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ


バァァァァンンン!!!!


バァァァァンンン!!!! 


ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ 



善子(お願い……早くどこかに行って……)

ルビィ「ハアッ……ハアッ……」

67: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:25:54 ID:9xbPbDTk
ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ…………


…………


善子「……どこかに行ったわね」

ルビィ「おぇぇぇ……はあッ……はあッ……」

68: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:26:29 ID:9xbPbDTk
善子「さっきの音は何だったのかしら……?」



善子「……襖や扉が蹴破られてるわね」

ルビィ「……え?」

69: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:27:11 ID:9xbPbDTk
善子「つまり……あの化け物に見つかったら……」

善子「あの化け物は足が速いからおそらく走っても逃げ切れないわ」

善子「それに襖や扉は一発で破ってくるから」

善子「部屋に隠れていても突っ込んで来られたら捕まるわ」

ルビィ「そんな……無理だよ……」

善子「見つからないように祈るしかないわね」

ルビィ「うぇぇぇんんん……おねいちゃぁあ……」

70: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:27:46 ID:9xbPbDTk
善子「とにかく探索を進めるわよ」

ルビィ「はあッ……はあッ……」ドクン……ドクン……

善子「明かりをつけて、タンスや棚を探しながらね」


善子(本当は私だって怖いわ……)

善子(ここから脱出するには……私がしっかりしなきゃ……)

善子(私がルビィを守らなきゃ……)

71: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:43:47 ID:9xbPbDTk
善子「今度はこっちの部屋ね」

ルビィ「うゆ……」

善子「……手鏡があったわ」

ルビィ「何に使うの?」

善子「分からないわ……」

72: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:44:33 ID:9xbPbDTk
善子「とりあえず何かに使えるかもしれないから持っていきましょう」

ルビィ「うゆ……」

善子「ほかには何かないかしら?」

ルビィ「善子ちゃん、爆竹があったよ」

善子「爆竹?」

73: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:45:11 ID:9xbPbDTk
善子「誰が何のために置いたのかしら?」

ルビィ「これで敵しゃんをやっつけられるかな?」

善子「うーん……そんな破壊力があるようには思えないわ」

善子「せいぜい音が鳴る程度かしら」

ルビィ「うゆ……」

74: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:45:44 ID:9xbPbDTk
善子「でも一応、持っていきましょう」

ルビィ「ほかには何もないよ」

善子「別の部屋を探しに行きましょう」

ルビィ「うゆ、ろうそくにも火をつけておくね」

75: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:46:17 ID:9xbPbDTk
ルビィ「善子ちゃん……ルビィね、思うんだ」

善子「何……?」

ルビィ「悪夢って、理由なんてないんだよ」

善子「悪夢に理由はない……?」

76: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:47:04 ID:9xbPbDTk
ルビィ「うん、特に理由もなくオバケしゃんに追いかけられたり」

ルビィ「理由はないけど、どこかに向かわなきゃいけなかったり」

ルビィ「でも、理由もなく怖い」

ルビィ「怖いから悪夢なんだよ」

善子「ええ、そうね……でも何が言いたいの?」

77: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:47:54 ID:9xbPbDTk
ルビィ「いますごく怖いよ……これも悪夢なのかな」

ルビィ「ルビィ、いまの状況が全然信じられないよ」

ルビィ「悪夢なら早くさめて欲しいよ」

善子「ええ、大丈夫よ……悪夢なら必ずさめるから」

78: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:48:24 ID:9xbPbDTk
善子「ほらカギも見つけたわよ」

善子「どこかの扉で使うかもしれないわ」

善子「いまは前に進みましょう」

ルビィ「うん……善子ちゃんと一緒でよかった」

79: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:49:05 ID:9xbPbDTk
善子「さっそくカギのかかった部屋があるわね」

善子「カギを使って開けるわよ」ガチャッ


ギィィ……


善子「中には……何か光ってる」

ルビィ「なんだろう……??」

80: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:49:41 ID:9xbPbDTk
善子「棚の上にあるけど……」

善子「!?!?」

善子「これ……勾玉じゃない?」

ルビィ「本当!?」

善子「ええ、これを5つ集めればいいのよね」

善子「1つ目をゲットしたわ!」

ルビィ「やったね!!」

81: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:50:21 ID:9xbPbDTk
善子「あっ、あまり大きな声出しちゃダメよね」

ルビィ「あ、うん、そうだね」

善子「この調子で残り4つも見つけるわよ」

ルビィ「うん」

82: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:50:58 ID:9xbPbDTk
善子「ほかには…………ん?」

ルビィ「どうしたの?」

善子「向こうの廊下の火が揺らめいてる」

善子「あっちに徘徊者がいるわね」

ルビィ「え?」

83: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:51:38 ID:9xbPbDTk
ルビィ「こっち来ないかな?」

善子「分からないわ……とにかく向こうには行くのはやめて他の道を探しましょう」

善子「こっちはまだろうそくに火がついてないから行ってない道よ」

ルビィ「うん、そうだね」

84: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:52:09 ID:9xbPbDTk
ルビィ「ルビィたちあっちから来たもんね」

善子「え?」

ルビィ「いまはじめの場所から西に来てるよ」

善子「あんた方角分かるの?」

ルビィ「うん」

85: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:52:56 ID:9xbPbDTk
善子「これだけ広くて入り組んでるのに?」

ルビィ「うん、正しい方角じゃないけど、あらかじめ決めておいたの」

善子「頼もしいわね……道も覚えてる?」

ルビィ「うん、たしかにそっちはまだ行ってないよ」

善子「すごいわね……これは案外なんとかなるかもしれないわ」

86: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:53:28 ID:9xbPbDTk
善子「あっちの道を避けて、別の道に来たけど」

善子「ほかに何かあるかしら……」

善子「懐中電灯があるわね」

ルビィ「やったね、他の明かりだよ」

善子「ええ、ライターと違って奥まで照らせるわ」

87: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:54:01 ID:9xbPbDTk
善子「こっちは……広間かしら?」

善子「襖の部屋がたくさんあるわ」


グスン……グス……


ルビィ「あれ?……女の子の泣き声……??」

善子「暗くてよく見えないわね」

88: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:54:42 ID:9xbPbDTk
ルビィ「ルビィたちと同じように迷い込んだのかな?」

善子「いえ、だとしたらおかしいわ」

善子「命の危険があるのに真っ暗な部屋の中でおとなしくしてるなんて」

善子「普通なら無理だわ」

ルビィ「ということは……徘徊者しゃん?」

善子「ええ、徘徊してないけどおそらく徘徊者ね」

89: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:55:18 ID:9xbPbDTk
ルビィ(善子ちゃん、あそこ)

善子(え?)

ルビィ(勾玉があるよ)

善子(本当ね……でも泣き声はあのあたりから聞こえてくるわよ)

善子(真っ暗で見えないけど、そこにいるんじゃないかしら?)

90: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:55:51 ID:9xbPbDTk
ルビィ(どうしよう……近づかなきゃ勾玉が取れないよ……)

善子(……)

善子(なんであの子は暗いところにいるのかしら?)

ルビィ(え……?)

善子(……)

91: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:56:40 ID:9xbPbDTk
善子(少し近づいてみるわよ……)ザッ……


<ドコ?……ドコニイルノ?……ドコニイルノ?



善子・ルビィ(!?!?)



ルビィ(はあッ……はあッ……)

善子(……)

92: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:57:27 ID:9xbPbDTk
ルビィ(善子ちゃん……反応したよ)

善子(ええ、思ったとおり耳がいいみたいね)

善子(不用意に近づけば襲われるわね)

ルビィ(ふえぇぇぇ…………)

93: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:58:01 ID:9xbPbDTk
善子(逆に視覚での探知はそんなに得意ではなさそうね)

ルビィ(どうしよう……足音を立てずに移動しても、さすがに近づいたら危ないよ)

善子(明かりを当てるのもやめておきましょう)


善子(うーん……何か気をそらすものは……)

善子(……)

94: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:58:45 ID:9xbPbDTk
善子(……爆竹を使いましょう)

ルビィ(ええ……ほかの徘徊者しゃんにバレないかな)

善子(分からないけど、やってみるしかないわ)

95: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 11:59:29 ID:9xbPbDTk
善子(おそらく音のするほうに確認に行くはず……)

善子(ルビィ、いつでも逃げられるように警戒して)

善子(あの子が移動したら爆竹が鳴っている間に勾玉を取るわよ)

ルビィ(怖いよぉ……)

96: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:00:56 ID:9xbPbDTk
善子(爆竹に火をつけて離れたところに投げるわよ)

ルビィ(うん……)

善子(……)ヒョイッ


……


パチパチパチパチパチ……


グスン……グス……

<グスン……グスン……


善子(移動してるわね……いまのうちに勾玉を取るわよ)

ルビィ(うん……)

97: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:01:29 ID:9xbPbDTk
パチパチパチパチパチ……

<グス……グス……


善子(足音を立てないように……慎重に……)

ルビィ(はあッ……はあッ……)

善子(あの子は耳がいいから気をつけなきゃ)

善子(おそらくこっちの足音は爆竹の音にかき消されてるはずだけど)

善子(念のため警戒しないと危険だわ)

98: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:02:00 ID:9xbPbDTk
<グスン……グスン……


善子(よし! 勾玉ゲット!)

ルビィ(はあッ……うぅぅ……)

善子(ここから立ち去るわよ)

ルビィ(うん……)

────
──

99: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:02:30 ID:9xbPbDTk
善子「はあ、なんとかなったわね」

ルビィ「怖かったよぉ……」

善子「これで2個目の勾玉ね」

ルビィ「うん」

善子「この調子でいくわよ」

100: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:03:04 ID:9xbPbDTk
善子「この棚には……ポラロイドカメラっていうのかしら??」

善子「古いタイプのカメラね」

ルビィ「なんであるんだろう」

善子「一応持っていきましょう」

ルビィ「うゆ」

101: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:03:46 ID:9xbPbDTk
善子「ほかにもカギとかいろいろあるわね」

善子「使えそうなものはなるべく持っていきましょう」

ルビィ「あんまりたくさんは持てないから選ばないとね」

────
──

102: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:04:36 ID:9xbPbDTk
☆徘徊者について『現状』2人が分かっていること☆

・神楽鈴の徘徊者
鈴の音を鳴らしながら歩き回る着物を着た徘徊者
探知方法は現状不明

・走り廻る徘徊者
手や足のたくさん生えた異形の姿をした徘徊者
大きな足音を立てながら走りまわっている
足が速いため、もし追いかけられれば逃げ切るのは困難だろう
探知方法は現状不明

・泣き声の主
すすり泣きながら暗闇にひそんでいる少女の姿の徘徊者
主な探知方法は聴覚

────
──

103: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:14:43 ID:9xbPbDTk
シャン……シャン……シャン……


善子「相変わらず神楽鈴の徘徊者がいるわね」

ルビィ「どこにいるのかな?」

善子「分からないわ……私たちも音で判断するしかないから」

善子「壁の向こうの廊下なのか、それともすぐそこなのか」

善子「廊下がこっちまでつながっているのか」

善子「予想しなければならないわ」

104: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:15:56 ID:9xbPbDTk
シャン……シャン……シャンシャン……シャン……シャン……


善子「……いま鈴を二回鳴らしたわね」

ルビィ「なんだろうね……」

善子「音がまた向こうに行くわね……」

善子「折り返したのね」

善子「行き止まりだったのかしら?」

105: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:16:28 ID:9xbPbDTk
シャン……シャン……シャン……シャン……

……シャン……シャン……シャン……


善子「待って? 鈴の音が二つ……違う方向から聞こえるわ?」

ルビィ「え、それって……」

善子「……2体いるわね」

106: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:16:59 ID:9xbPbDTk
善子「まずいかもしれないわね」

ルビィ「もしかして……」

善子「ルビィ、つづらのある場所わかる?」

ルビィ「あっちだよ」

善子「そっちに逃げるわよ」

107: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:17:34 ID:9xbPbDTk
シャン……シャン……


善子「部屋が真っ暗になった!」

善子「すぐそこにいる!!」

ルビィ「ふぇぇ」

善子「真っ暗で見えないけど走るわよ!!」

108: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:18:07 ID:9xbPbDTk
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン

シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン 

シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン 


善子「見つかった!!」

ルビィ「すごいスピードでこっちに走ってくるよぉぉ!!」

109: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:18:42 ID:9xbPbDTk
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン

シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン 

シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン 


善子「さっきあったつづらに飛び込むわよ!!」

ルビィ「はあッ……はあッ……」

110: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:19:15 ID:9xbPbDTk
善子「あった!!」

ルビィ「うゆ!!」

善子「入るわよ!!」サッ

ルビィ「ぴぎぃ!!」サッ


シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン

シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン

111: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:19:48 ID:9xbPbDTk
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン

シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン…………


シャン……シャン……シャン……シャン……


<シャン……シャン……


善子(はあッ……はあッ……)

ルビィ「はあッ……はあッ……」

112: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:20:25 ID:9xbPbDTk
善子「見失ったみたいね……どこかに行ったわ」


善子「見つけると今みたいに追いかけてくるのね」


ルビィ「うぅ……怖かったよぉ……」

善子「よく頑張ったわねルビィ」

ルビィ「うぅ……」

────
──

113: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:21:07 ID:9xbPbDTk
善子「次の部屋ね」

ルビィ「うん……」


グス……グスン……


善子「いるわね、泣き声の主」

ルビィ「じゃあ近くに勾玉も?」

善子「ええ、あるかもしれないわ」

114: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:23:01 ID:9xbPbDTk
善子「どこまで近づいても大丈夫なのかしら?」ザッ


<ドコ?……ドコニイルノ?……ドコニイルノ?


善子(すごく耳がいいわね……足音を立てないように近づかなきゃ)

115: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:23:33 ID:9xbPbDTk
善子(勾玉はどこかしら?)

ルビィ(あそこの暗闇の中に光ってるアレじゃない?)

善子(あったわね)

善子(とにかく爆竹でおびき出してその間にゲットするわよ)

ルビィ(うゆ……)

116: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:24:12 ID:9xbPbDTk
善子(あのあたりに投げればいいかしら……?)ヒョイ


……


パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ


グス……グスン……


善子(いまのうちに取りに行くわよ)

ルビィ(うん)

117: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:24:55 ID:9xbPbDTk
善子(そっと……そっと……)

善子(よし! 3個目ゲット!!)

ルビィ(やったね!)


パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ


<ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ



善子「え……?」

118: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:25:25 ID:9xbPbDTk
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ


ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ


善子(走り廻る徘徊者!?)

ルビィ(えっ!?)

善子(タイミング悪く近くに来ちゃったの!?)

119: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:26:01 ID:9xbPbDTk
善子(まずいわね……早く鳴りやんで……爆竹)

善子(それか、こっち来ないで……)


ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ


ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ


善子(来てる……ッ)

ルビィ(あわわわ……ッ)

120: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:26:31 ID:9xbPbDTk
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ


バァァァァァンンンン!!!!


ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ


善子「部屋の中に入ってきた!!!」

ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁあああああああ!!!!!」

121: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:27:02 ID:9xbPbDTk
ドコニイルノ!!


善子「まずい!! 泣き声の主にも見つかった!!」

ルビィ「もうダメぇぇぇぇぇ!!!!!」


ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ

ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ

122: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:27:41 ID:9xbPbDTk
ルビィ「ぴぎぃぃぃぃぃ!!!!」



ルビィは驚いて咄嗟に手に持っていた手鏡に触れた

すると手鏡は光を放ち二人はどこかに飛ばされてしまう

どうやら『ワープ』して場所を移動したようだ



善子「ハアッ……ハアッ……」

ルビィ「ハアッ……ハアッ……」

123: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:28:13 ID:9xbPbDTk
善子「はぁぁぁ……」どさっ

善子「助かったのね……」

ルビィ「はあッはあッ……おぇぇぇぇぇ」

善子「ルビィ!! しっかりして!!」

────
──

124: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:28:44 ID:9xbPbDTk
善子「……落ち着いた?」

ルビィ「うん、ごめんね善子ちゃん」

善子「でも今回は助かったわ」

善子「手鏡を使うとどこかにワープできるのね」

ルビィ「すごいね、見つけたらどんどん使おう」

125: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:29:15 ID:9xbPbDTk
善子「いいえルビィ、使うのはさっきみたいなピンチの時だけよ」

ルビィ「え……?」

善子「ここがどこか分かる?」

ルビィ「どこって……え?」



ルビィ「ここ……どこ……?」

126: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:29:49 ID:9xbPbDTk
善子「どうやらまったく知らない場所に飛ばされたみたいね」

善子「位置関係がさらに分からなくなったわ」

ルビィ「うゆ……」

善子「探索もやりなおしよ」

ルビィ「ふぇぇぇ……」

127: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:30:21 ID:9xbPbDTk
カナカナカナカナ……


善子「ヒグラシが鳴いてるわね……」

善子「ここはどこにあるのかしら……」

ルビィ「夕日が差し込んでるね」

128: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:32:19 ID:9xbPbDTk
善子「さっきまで真っ暗な廊下や部屋だったから」

善子「夕日が差し込む窓があるってことは」

善子「いま迷宮の隅っこにいるのかもしれないわね」

ルビィ「なるほどぉ」

────
──

129: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:32:50 ID:9xbPbDTk
善子「次はこの棚ね……これはコンパスかしら?」

ルビィ「うん、そうみたい」

善子「あっちが北なのかしら?」

ルビィ「……」

130: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:33:22 ID:9xbPbDTk
ルビィ「……このコンパス、出口を指してるんじゃないかな」

善子「え……?」

ルビィ「なんとなくそう思う……」

131: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:33:58 ID:9xbPbDTk
善子「分からないわね……」

善子「正しい方角が分からないから確かめることもできないし」

善子「出口がどっちにあるかも分からない」

善子「でも持っていきましょうか」

ルビィ「うん」

────
──

132: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:34:35 ID:9xbPbDTk
善子「向こうで火が揺らめいてるわね」

善子「あ、徘徊者が走ってるわよ」

ルビィ「あー、走ってるね」

善子「だんだん慣れてきたのかしらね……」

ルビィ「慣れてないはずだけど……」

133: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:35:07 ID:9xbPbDTk
シャン……シャン……


善子「鈴の音がどこからかするわね」

ルビィ「かなり遠くだね」

善子「少し動いても大丈夫ね」

ルビィ「うん」

134: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:35:57 ID:9xbPbDTk
善子「あんまり保守的になるとだんだんジリ貧になるから」

善子「少しだけ大胆に動いたほうが、かえって安全かもしれないわね」

ルビィ「うん、ちょっと怖いけどね」

ルビィ「気をつけて動かなきゃ」

善子「ええ」

135: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:36:46 ID:9xbPbDTk
善子「とはいえ、あまりにも警戒しすぎて音が鳴ってないのに何か鈴が鳴ってるように聞こえるわ」

ルビィ「ルビィもだよ……鈴が鳴ってるんじゃないかって思ってきたよ」

善子「早く脱出したいわ……」

136: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:37:20 ID:9xbPbDTk
善子「あれ? このあたりろうそくついてるわね」

ルビィ「戻ってきちゃったみたい」

善子「ほかに行ってない道を探しましょう」

ルビィ「うゆ」

137: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:38:23 ID:9xbPbDTk
シャン……シャン……


善子「今度こそ鈴の音がするわね」

善子「あっちにあるろうそくの火も揺れてる」

ルビィ「うん、隠れたほうがいいかも」

善子「この部屋、両側が襖だからどこから来ても危ないわね」

138: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:39:06 ID:9xbPbDTk
ルビィ「あ、善子ちゃん、つづらがあるよ」

善子「隠れましょう……」


ルビィ「隠れるの慣れてきたね」

善子「それどころかこの状況にも慣れてきてないかしら」

139: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:39:38 ID:9xbPbDTk
シャン……シャン……

シャン……シャン……


善子(近くまで来てるわね)

ルビィ(うん)


<ザァガラララララ


善子(!?!?)

ルビィ(!?!?)

140: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:40:12 ID:9xbPbDTk
シャン……シャン……


善子(え? 普通に襖開けて部屋に入って来たわよ?)

ルビィ(怖い……)

善子(火が消えてるから真っ暗でよく分からないわ)

141: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:40:44 ID:9xbPbDTk
シャン……シャン……


<ザァガラララララ


シャン……シャン……



善子(どこかに行ったみたいね)

142: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:41:23 ID:9xbPbDTk
善子「ふう……まさか普通に部屋に入ってくるなんて……」

ルビィ「いまのは怖かったよ……」

善子「ええ、私も見つかったかと思ったわ」

ルビィ「つづらも開けてくるのかな?」

善子「……」

────
──

143: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:42:35 ID:9xbPbDTk
善子「この部屋は……」

善子「中に勾玉があるわ」

ルビィ「やったね善子ちゃん」

善子「ええ」ガチャガチャ

善子「あら?……カギがかかってて入れないわ」

ルビィ「え……?」

144: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:43:16 ID:9xbPbDTk
善子「カギは持ってないわよね」

ルビィ「うん……」

善子「じゃあ、また探索してここに戻って来なきゃいけないわね」

ルビィ「ふぇぇ……」

────
──

145: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:43:48 ID:9xbPbDTk
善子「こっちは……廊下の角にある部屋ね」

善子「もしこの部屋で襲われたら行き止まりだから逃げ道がないわ」

ルビィ「うぅ……」

善子「早く探索を済ませて出ましょう」

146: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:44:20 ID:9xbPbDTk
ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ


善子「嘘でしょ!?」

ルビィ「ぴぎぃ!?」

147: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:44:53 ID:9xbPbDTk
善子「扉閉めて!! 明かり消して!!」

ルビィ「うゆ!!」



ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ



善子「部屋の隅の暗がりに身をひそめるわよ!」

ルビィ「はあッ……はあッ……」

148: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 12:45:36 ID:9xbPbDTk
ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ


バアァァァァァァンンンン!!!!


ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ 


善子(どこかの扉を蹴破ってるわね……)

ルビィ(はあッはあッ……)

149: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:05:49 ID:9xbPbDTk
ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ


善子(すぐそこまで来てる!!)

ルビィ(はッ……はッ……)


ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ

150: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:06:59 ID:9xbPbDTk
ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ…………


善子(……)

ルビィ(……)


善子「はあ……どこか行った……」

ルビィ「はあ……やっぱり怖いよ……」

151: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:07:38 ID:9xbPbDTk
善子「場所が悪いからなおさらね」

善子「折り返してどこかへ行ったみたい」

善子「扉を蹴破って入って来られたらダメだったわね」

善子「助かったわ」

ルビィ「うゆ……」

────
──

152: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:08:13 ID:9xbPbDTk
ルビィ「結局カギはなかったね」

善子「ええ、困ったわね」

ルビィ「もっと遠くまで探しに行く?」

善子「……」

善子「……少し考えさせて?」

153: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:08:44 ID:9xbPbDTk
善子(ここでもっと遠いところまで探しに行けばその分、徘徊者に襲われる確率が上がるわ)

善子(でも早く勾玉を集めて出口に行かないと、それはそれで危険ね)

善子(どうしたものかしら……)

154: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:09:14 ID:9xbPbDTk
ルビィ「……善子ちゃん?」

善子「ルビィ、走る体力はまだある?」

ルビィ「え……?」

善子「カギのかかった部屋の近くに隠れられそうな部屋があったわよね」

ルビィ「うん……」

155: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:09:45 ID:9xbPbDTk
善子「カギがないのなら……」

善子「徘徊者に扉を開けてもらうわ!」

ルビィ「え……?」

ルビィ「どうやって?」

156: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:10:23 ID:9xbPbDTk
善子「さっき徘徊者が爆竹に反応してたわよね?」

善子「扉の隙間から爆竹を投げ入れて徘徊者に扉を壊してもらうわ」

ルビィ「え……それって……徘徊者しゃんをこっちから呼ぶってこと!?」

善子「ええ、その通りよ」

ルビィ「ええっ!?」

157: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:10:54 ID:9xbPbDTk
ルビィ「やめようよ、危ないよ!」

善子「たしかにリスキーだけど、成功すれば探索が楽になるわ」

善子「ここはやるわよ」

ルビィ「そんな……」

────
──

158: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:11:34 ID:9xbPbDTk
善子「カギのかかった部屋の前に来たわ」

善子「扉の隙間から中が見えるから、ここから爆竹を投げ入れるわ」

善子「ルビィ、逃走経路は確認できた?」

ルビィ「うん、あっちに行けば大丈夫だよ」

善子「徘徊者が来たらやるわよ……」

159: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:12:04 ID:9xbPbDTk
シャン……シャン……


善子「ちょうどいいところに来たわね……」

ルビィ「……」ゴクリ

善子「爆竹を投げ入れるわよ」ヒョイ

善子「音が鳴ったらあっちの部屋に隠れるわよ」

ルビィ「うん」

160: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:12:34 ID:9xbPbDTk
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ


善子「隠れるわよ!」

ルビィ「うん!」


パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ 


シャン……シャン……シャンシャン……シャン……

161: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:13:05 ID:9xbPbDTk
シャン……シャン……シャン……シャン……


シャン……シャン……シャン……シャン……


善子(こっちに確認に来たわね……)

ルビィ(うん……)

162: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:13:50 ID:9xbPbDTk
シャン……シャン……シャン……シャン……


ドン!!ドン!!ドン!!バアアァァァァァンンンン!!!!


シャン……シャン……


善子(思った通り部屋を開けてくれたわね)

ルビィ(すごい力だね)

善子(ええ、襲われたらひとたまりもないわ)

163: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:14:21 ID:9xbPbDTk
シャン……シャン……


シャン……シャン……


善子「遠ざかっていく……」

ルビィ「誰もいなかったからだね」

善子「これで部屋に入れるわ」

164: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:14:54 ID:9xbPbDTk
善子「部屋の前に来たけど……扉が粉々になってるわね」

ルビィ「ひぃぃ……」

善子「ものすごい力だわ……とにかく勾玉ゲットよ……」

ルビィ「これで4つ……」

善子「あと1つね」

165: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:15:26 ID:9xbPbDTk
善子「ルビィ、このコンパスは出口を指してるかもしれないって言ってたわよね」

ルビィ「なんとなくだけど、そんな気がしたんだ」

善子「……それにかけてみましょう」

善子「そうだと信じて……このコンパスが指すほうに進むわ」

ルビィ「え……?」

166: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:15:57 ID:9xbPbDTk
善子「そして途中に勾玉があれば、それを拾って」

善子「もし本当に出口ならそのまま脱出できるわ」

ルビィ「うん……そうだね……」

ルビィ「そうだと信じて進もう……」

善子「ええ……」

167: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:21:11 ID:9xbPbDTk
善子「コンパスの指すほうへ……」

善子「この棚には……」

善子「うーん……特にないわね」

ルビィ「うゆ」

168: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:21:43 ID:9xbPbDTk
善子「このタンスには……ん?」

ルビィ「どうしたの?」

善子「青く光る石があるわ」

ルビィ「石?」

善子「袋にいくつか入ってる」

169: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:22:16 ID:9xbPbDTk
ルビィ「なんだろうね、これ」

善子「分からないわ……」


ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ


善子「相変わらずどこか走ってる音がするわね」

ルビィ「ろうそくの火が揺らめいてるよ」

善子「じゃあ近くにいるわね……隠れましょうか」

170: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:22:50 ID:9xbPbDTk
ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ

ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ


善子「プレッシャーすごいわね」

ルビィ「あ、ろうそくの火が消えた」

善子「真っ暗…………じゃないわね」

ルビィ「え……?」

171: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:23:28 ID:9xbPbDTk
善子「この青い石の光……消えてないわ」

善子「敵が近づいてきても消えない光なのね」

ルビィ「どういう原理なのかな?」

善子「分からないけど、とにかく消えない光みたいね」


ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ…………


善子「どこかに行ったわね……」

ルビィ「うゆ……」

172: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:23:59 ID:9xbPbDTk
善子「……この石、使えるかもしれないわ」

ルビィ「え……?」

善子「これを使えば真っ暗な廊下でも迷わずに走れるわ」

ルビィ「でもこの光、そんなに強い光じゃないよ?」

ルビィ「あたりは真っ暗だよ?」

善子「いいえ、これは目印として使うのよ」

ルビィ「目印……?」

173: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:24:33 ID:9xbPbDTk
善子「敵に追いかけられてるとき明かりが消えて真っ暗になるじゃない」

ルビィ「うん、道が分からなくなるよね」

善子「だから、この消えない光の石を逃走経路に置くのよ」

善子「そうすれば逃げる時に迷わずに逃げられるわ」

ルビィ「なるほどぉ」

────
──

174: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:25:05 ID:9xbPbDTk
善子「出口に向かいつつ、勾玉を探すわよ」

ルビィ「うゆ」

善子「コンパスはこっちを指してるわ」


善子「この部屋は……つづらがあるわね」

善子「何かあったらこの部屋に逃げてきましょう」

ルビィ「うん」

175: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:25:36 ID:9xbPbDTk
善子「こっちの部屋は……」

善子「!?」

ルビィ「どうしたの善子ちゃん?」

善子「あれを見て?」

ルビィ「どれ?」

176: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:26:08 ID:9xbPbDTk
善子「部屋の真ん中に勾玉が置いてあるわ」

ルビィ「すごいね!! あれを取れば5つ目だよ!!」

ルビィ「ここから出られるよ!!」


善子「待って!!……何かおかしいわ」

ルビィ「え……?」

177: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:26:50 ID:9xbPbDTk
善子「この勾玉……罠ね」

ルビィ「え……罠?」

善子「ええ……どうぞ取ってくださいって感じで置いてあるわ」

善子「あれは取りに来たところを逆に捕まえるためのトラップよ」

ルビィ「そんな……」

178: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:27:20 ID:9xbPbDTk
善子「部屋の奥を見て……まだ部屋がある」

ルビィ「うん……」

善子「あそこに徘徊者が隠れているんじゃないかしら?」

ルビィ「え……?」

179: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:28:03 ID:9xbPbDTk
善子「もしそうならあの勾玉は取らないほうがいいわ」

ルビィ「うん……じゃあ他の探しに行く?」


善子「いいえ、それでもあれを取るわ」


ルビィ「え……? どうやって……?」

善子「これよ……さっきのひかり石」

ルビィ「ひかり石……?」

180: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:28:36 ID:9xbPbDTk
ルビィ「これを逃げ道に置くの……?」

善子「ええ、廊下にいくつか設置するわ」

善子「それで、さっきのつづらのある部屋まで走って逃げるわ」

ルビィ「ええ……怖いよ……」

善子「でもやるしかないわ……」

善子「ひかり石を置いてくるわよ」

181: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:29:25 ID:9xbPbDTk
善子「それともルビィは先に部屋に隠れてる?」

ルビィ「え……? でも一人で部屋にいるのも怖いかな……」

善子「それじゃあ一緒に走って逃げましょう」

善子「もしトラップじゃなくて追いかけられないのなら」

善子「それでいいんですもの」

182: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:30:27 ID:9xbPbDTk
善子「ルビィ、走る準備はいい?」

ルビィ「うん……」

善子「石も設置した……行くわよ!!」


ザァァ……


バアアアァァァァァァァンンンンンン!!!!!!


扉を開けると善子の予想通り奥の部屋から扉を蹴破り徘徊者が飛び出してきた!!

183: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:31:00 ID:9xbPbDTk
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン

シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン 


善子「神楽鈴の徘徊者ね!!」

善子「このまま光をたどって部屋まで逃げるわよ!!」

ルビィ「うゆ!!」

184: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:31:32 ID:9xbPbDTk
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン

シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン 

シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン  


善子「はあッ……はあッ……」

ルビィ「はあッ……はあッ……」

185: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:32:03 ID:9xbPbDTk
善子「つづらよ!! 中に隠れるわ!!」

ルビィ「うゆ!!」


シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン

シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン 

シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン

186: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:32:35 ID:9xbPbDTk
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン

シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン 

シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン  


善子(まだ探してるわね……)

ルビィ(うん……)

187: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:33:07 ID:9xbPbDTk
シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン


……シャン……シャン……シャン………………


善子「見失ったようね……どこかに行ったわ」

ルビィ「はあ……」

188: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:33:46 ID:9xbPbDTk
善子「これで勾玉を取りに行けるわね」

ルビィ「やっと5つ揃うね!」

善子「まだ近くにいるかもしれないから気をつけてさっきの部屋に戻るわよ」

────
──

189: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:34:24 ID:9xbPbDTk
善子「さっきの部屋に戻ってきたわ」

ルビィ「うん」

善子「奥の扉が蹴破られて粉々になってるわね」

ルビィ「本当にすごい力だね」

善子「さあ、勾玉を取るわよ!」

190: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:34:55 ID:9xbPbDTk
善子「ふう……これで5つよ!!」

ルビィ「やったね!! 出口を探そう!!」

善子「ええ!!」



だが……

191: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:39:55 ID:9xbPbDTk
オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ア゛ア゛ア゛アアアァァァァァァ…………


善子「!?!?」

ルビィ「!?!?」


善子「何の声!?」

ルビィ「うゆ……なんかすごく嫌な予感がするよ……」


おぞましい殺気が近づいてくる……

192: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:40:25 ID:9xbPbDTk
善子「そんな簡単には逃げさせてはくれないってことね……」

ルビィ「うゆ……今までで一番危ないかも……」



ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああ゛ッ!!!!

あ゛あ゛あ゛あ゛あああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!



善子「何か分からないけど、こっち来てるわね!!」

ルビィ「ピギィ!! なんか怖いよぉ!!」

193: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:41:02 ID:9xbPbDTk
すぐそこにはおぞましい殺気を放ち憎悪を振りまく

着物を着た女の姿をした敵が浮遊しながら迫ってきていた

甲高い叫び声を上げながらまっすぐと二人に接近してくる

194: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:42:27 ID:9xbPbDTk
善子「なんかヤバイわよアレ!!」

ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」

善子「逃げるわよルビィ!!!!」

195: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:43:10 ID:9xbPbDTk
善子「走って!! そうしなければ命はないわ!!」

ルビィ「ハアッ!! ハアッ!! ハアッ!!」



ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああ゛ッ!!!!

あ゛あ゛あ゛あ゛あああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!

196: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:43:40 ID:9xbPbDTk
善子「扉を閉めるわ!!」


善子「たぶんダメだろうけど!!」



バアアァァァァァンンンン!!!!



ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああ゛ッ!!!!

あ゛あ゛あ゛あ゛あああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!

197: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:44:11 ID:9xbPbDTk
善子「ダメ!! 一撃で粉砕されたわ!!」

ルビィ「ハアッ!! ハアッ!!」


ルビィ「ふぇぇ……」


ルビィは恐怖のあまり後ろを振り向く……

すると……

198: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:44:45 ID:9xbPbDTk
ルビィ「ううぅぅ……ああぁぁ……はあッ……はあッ……」

善子「どうしたの!?」

ルビィ「あの敵しゃん見てると……苦しくなってきて」

善子「見ちゃダメよ!! 命を持っていかれるわ!!」

善子「絶対に振り向いちゃダメ!!」

善子「前だけ見て走って!!!!」

ルビィ「うゆううううう!!!!」

199: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:45:16 ID:9xbPbDTk
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああ゛ッ!!!!

あ゛あ゛あ゛あ゛あああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!



善子「ダメ!! 全然引き離せない!!」

ルビィ「うぅぅ……もうダメかも!!!」

善子「あきらめないで!!」

善子「頑張って走って!!」

ルビィ「はぁッ……はぁッ……」

200: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:45:49 ID:9xbPbDTk
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああ゛ッ!!!!

あ゛あ゛あ゛あ゛あああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!



あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!!!!!



善子「ぐっ……」

ルビィ「もうダメだよ!! 追いつかれちゃう!!」

善子「はあッ……はあッ……!!」

201: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:46:37 ID:9xbPbDTk
生存本能だとでもいうのだろうか

ルビィは後ろを振り向くと抵抗するように古びたカメラのシャッターを押した


パシャッッ!!!!



オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ア゛ア゛アアアアアアアァァァァァァ!!!!!!!

202: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:47:07 ID:9xbPbDTk
目がくらむほどの強烈な光を浴びせると

その敵は叫び声を上げながら怯んだ

動きが止まっている今のうちなら逃げられるかもしれない

203: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:47:42 ID:9xbPbDTk
善子「カメラのフラッシュが効いてるの!?」

ルビィ「はあッ……はあッ……」

善子「安心しないで! おそらく動きが止まるのはほんの十数秒程度よ!!」

ルビィ「ハァッ……ハァッ……」

善子「今のうちに遠くまで逃げるわよ!!」

ルビィ「う、うゆ……」

204: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:48:15 ID:9xbPbDTk
善子「はあッ……はあッ……」

ルビィ「はあッはあッはあッはあッ……」


善子「ぐっ……」



ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああ゛ッ!!!!

あ゛あ゛あ゛あ゛あああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!

205: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:49:00 ID:9xbPbDTk
善子「来てるわね!!」

ルビィ「はあッ……はあッ……振り向いてシャッター押したい……」

善子「ダメよ!! 使える回数はあと数回でしょ!!」

善子「それに振り向けば体力を持っていかれるわ!!」

善子「あの叫び声だけ聞いて近づいてきたその瞬間に振り向いてシャッターを押すのよ!!」

ルビィ「うゆ……怖すぎるよぉぉぉぉ!!!!」

206: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:49:33 ID:9xbPbDTk
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああ゛ッ!!!!

あ゛あ゛あ゛あ゛あああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!



ルビィ「ピギィ!! もうダメ!!!!」


ルビィが振り向くと敵は地を這いずりながら高速で接近してきていた


ルビィ「ぴぎゃぁぁぁぁああああああ!!!!!」

207: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:50:21 ID:9xbPbDTk
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああ゛ッ!!!!

あ゛あ゛あ゛あ゛あああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!



ルビィは恐怖のあまりシャッターを押す!!



パシャッッ!!!!



オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ア゛ア゛アアアアアアアァァァァァァ!!!!!!!



ルビィ「はあッ……はあッ……はあッ……!!!!」

善子「もっと遠くまで逃げるわよ!!」

208: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:50:51 ID:9xbPbDTk
善子「はあッ……はあッ……!!!!」

ルビィ「はあッ……ぐっ……どこまで逃げればいいの!!」

善子「……ッ」

ルビィ「もう無理だよぉ!!」

209: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:51:23 ID:9xbPbDTk
善子(正直、もうダメかもしれないわ……)

善子(カメラが使えなくなれば……私たちはおしまい……)

善子(ごめんねルビィ……守ってあげられなくて……)

善子(みんな……ごめんね……)

210: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:51:53 ID:9xbPbDTk
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああ゛ッ!!!!

あ゛あ゛あ゛あ゛あああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!



善子「来てるわ!! でも振り向かないで!!」

善子「もっと引き付けて!!」

善子「そうしないと逃げられる距離が短くなるわ!!」

善子「なんとしても出口にたどり着くのよ!!」

ルビィ「はあッ……はあッ……!!」

211: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:52:23 ID:9xbPbDTk
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああ゛ッ!!!!

あ゛あ゛あ゛あ゛あああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!



善子「今よ!! シャッターを押して!!」

ルビィ「うゆ!!」


パシャッッ!!!!



オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ア゛ア゛アアアアアアアァァァァァァ!!!!!!!

212: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:52:55 ID:9xbPbDTk
善子「はあッ……はあッ……」


善子(あと何回使えるかしら……)

善子(5回だとしたらあと2回)

善子(でももし3回なら……いま3回使ったから終わり……)


善子(くっ……出口は見つからない……どうしたら……)

213: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:53:25 ID:9xbPbDTk
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああ゛ッ!!!!

あ゛あ゛あ゛あ゛あああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!



善子「ルビィ!!」

ルビィ「うゆ!!」


かちゃっ……かちゃかちゃ……


善子「え……?」

ルビィ「ぴぎぃぃ!?」

214: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:53:58 ID:9xbPbDTk
善子「3回……」

善子「もうそのカメラは使えないわ!!」

ルビィ「うぇぇぇぇんんんん!! おねえちゃあああああああ!!!!」


善子「もうダメぇぇぇぇ!!!!」

215: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:55:09 ID:9xbPbDTk
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ああ゛ッ!!!!

あ゛あ゛あ゛あ゛あああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!


あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!!!!!


善子(ごめんね……)



ドオオオォォォォォォンンンン!!!!


……

216: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:55:40 ID:9xbPbDTk
善子「……え?」

ルビィ「……え?」


ルビィ「敵しゃんの動きが……止まってる……」

善子「どういうこと……?」



??「オラが時を止めたずら」



善子・ルビィ「!?」

217: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:56:13 ID:9xbPbDTk
善子「その声は……」


善子「ずら丸!!!!」


花丸「善子ちゃん、ルビィちゃん、大丈夫ずら?」


善子「どういうことなのよこれ」

花丸「話はあとずら……ここから離れるずら」

218: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:56:48 ID:9xbPbDTk
ルビィ「うぇぇぇんんんんへなめるちゃぁぁぁあああ怖かったよぉぉぉ!!!」

花丸「ルビィちゃんよしよしずら……」

善子「はあッ……はあッ……」

善子「とにかくここから離れましょう」

花丸「うん、出口はこっちだよ」

────
──

219: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:57:18 ID:9xbPbDTk
─影廊・出口─

花丸「ここが出口ずら」

花丸「その台座の上に勾玉を5つ置いて」

善子「ええ」

ルビィ「うゆ」

220: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 13:58:09 ID:9xbPbDTk
花丸「あ、そのまえに……」



花丸「そして時は動きだす」



ドオオオォォォォォォンンンン!!!!


花丸「ここまで来れば大丈夫ずら」


殺気はどこかへと消え去った……

────
──

221: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:01:00 ID:9xbPbDTk
☆ここまでに出現した敵☆

・神楽鈴の徘徊者

・走り廻る徘徊者

・泣き声の主

・憎悪を振りまく影

────
──

222: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:01:33 ID:9xbPbDTk
花丸「台座に勾玉を5つ置くずら」

善子「ええ」


善子たちは台座に勾玉を置いた


<ギィィ……


奥の扉が開いた

223: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:02:15 ID:9xbPbDTk
花丸「奥にある鏡で元の世界に帰れるずら」

善子「ええ、帰るわよ」

ルビィ「うゆ」


祭壇のような部屋を進み、3人は奥の部屋の鏡の前に来た

224: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:02:46 ID:9xbPbDTk
善子「これで帰れるのね……」

花丸「うん……」

ルビィ「帰ろう……」


鏡が光を放つ

3人は元の世界に帰ることに成功した

225: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:03:17 ID:9xbPbDTk
─元の世界─

善子「ここは……迷い込んだときのトンネルね……」

善子「ひどい目にあったわね」

ルビィ「うゆ……ごめんね善子ちゃん……」

花丸「二人とも無事でよかったずら」

226: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:07:08 ID:9xbPbDTk
善子「それにしても驚いたわよ」

善子「どうやって徘徊者たちの動きを止めたのよ」

花丸「それなんだけど……」

ルビィ「……??」

227: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:07:40 ID:9xbPbDTk
花丸「あの状況だと二人を助けることは不可能だった」

花丸「だから、人間をやめるしかなかった」

花丸「ごめんね二人とも……」

善子「どういう……こと……?」

228: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:08:11 ID:9xbPbDTk
そう言うと花丸は

どこからか取り出した能面を

自らの顔につけるのだった……



シャン…………シャン…………

229: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:08:44 ID:9xbPbDTk
どこかで鈴の音がした気がした……



おわり……?

230: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:09:15 ID:9xbPbDTk

231: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:10:10 ID:9xbPbDTk

232: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:10:42 ID:9xbPbDTk

233: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:11:12 ID:9xbPbDTk
花丸「なんちゃってずら~☆」

花丸「冗談ずらよぉ~☆」


善子「~~っっ!!」ポコポコ

花丸「いたいずらよぉ善子ちゃん」

善子「びっくりしたわよ!!」

花丸「ごめんずら」

────
──

234: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:11:53 ID:9xbPbDTk
善子「トンネルを抜けると照りつける光に目がくらんだ」

善子「夏の日差しは強烈に、私たちを日常へと引き戻した」


善子「あのとき彷徨ったあの場所は一体何だったのかしら」

善子「ずら丸は何か知っているみたいだったけど、それ以上は教えてはくれなかった」

────
──

235: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:12:39 ID:9xbPbDTk
─後日・浦の星女学院─

花丸「おはよう善子ちゃん」

善子「おはようずら丸」

善子「……」

善子「今日もルビィは休み?」

花丸「うん……」

236: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:13:12 ID:9xbPbDTk
善子「ここのところずっとね……」

花丸「仕方ないずら……あんなことがあったんだから」

善子「そうね……元気になるといいわね」

善子「……」

237: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:13:51 ID:9xbPbDTk
善子(実を言うと私もあまり元気ではない)

善子(あれからというもの毎晩、鈴の音が聞こえる気がする)

善子(暗闇が怖いし、堕天使の話も控えているわ)

善子(どうしちゃったのかしら……)


善子「……」

花丸「……」

238: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:14:29 ID:9xbPbDTk
善子「……」

花丸「ルビィちゃんのお見舞いに行かない?」

善子「……そうね、行きましょうか」


────
──

239: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:15:57 ID:9xbPbDTk
─黒澤家─

ダイヤ「お二人ともルビィのお見舞いありがとうございます」

善子「ええ、当たり前じゃない」

花丸「……」

ダイヤ「こちらの部屋ですわ」

────
──

240: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:16:30 ID:9xbPbDTk
─ルビィの部屋─

ルビィ「あ、二人とも……」

善子「ルビィ……大丈夫?」

ルビィ「うん……」

花丸「ダイヤさんにはあのこと話してないずらね?」

ルビィ「うん……話してない」

241: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:17:01 ID:9xbPbDTk
善子「そうよね……」

ルビィ「まだ怖いよ……」

善子「ルビィ……よく頑張ったわね」なでなで

ルビィ「うゆ……」

242: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:17:40 ID:9xbPbDTk
善子「私たち学校で待ってるから……元気になったら来なさいよ」

ルビィ「うん……ありがとう」

ルビィ「……あのね」

善子「……?」

243: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:18:11 ID:9xbPbDTk
ルビィ「3人でお泊りしたいな……」

善子「ええ、そうね」

花丸「オラもしたいずら」

────
──

244: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:18:41 ID:9xbPbDTk
善子(私もまだ怖かった……)

善子(でも3人でいられると聞いてほっとした)

善子(この3人でよかった……)

────
──

245: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:19:18 ID:9xbPbDTk
善子「後日、あのトンネルを訪れると反対側は住宅街につながっていた」

善子「あの場所に行くことはもうないはずだ」

善子「これでよかったんだ……そう思うことにしよう」


花丸「……また、このトンネルに来ちゃったずらか?」

246: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:19:48 ID:9xbPbDTk
善子「ずら丸……どうしてここに?」

花丸「なんとなく善子ちゃんの様子がおかしかったから」

花丸「ここにまた来るんじゃないかなって……」

善子「ええ……実はまだちょっと怖いわ」

247: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:20:20 ID:9xbPbDTk
花丸「大丈夫……もう善子ちゃんやルビィちゃんがあの場所に行くことはないずら」

花丸「……たぶん」

善子「え……?」

花丸「分からないずら……もしかしたらまた呼ばれてしまうこともあるかもしれないから」

善子「そんな……」

248: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:20:52 ID:9xbPbDTk
花丸「善子ちゃん……本当はまた行きたいんじゃないずら?」

善子「え……?」

花丸「怖いんじゃなくて……またあの場所に行きたいんじゃない?」

善子「そ、そんなはずないじゃない!!」

善子「あんなに怖い思いをしたのよ!!」

249: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:21:23 ID:9xbPbDTk
花丸「じゃあ、なんでまたこのトンネルに来たの?」

善子「え……?」

花丸「本当に怖いならもうここには二度と来ないはずだよ?」

善子「それは……」

花丸「善子ちゃん……」

250: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:21:55 ID:9xbPbDTk
花丸「またあの場所に行きたいの……?」

善子「そんなはずないわ……でも、なんでかしら……?」

善子「そう言われると……もやもやがスッキリした気がする」

善子「もしかして本当に行きたいのかしら?」

251: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:22:29 ID:9xbPbDTk
善子「非日常的な体験が私を変えてしまったのかしら?」

善子「堕天使とかに憧れる私だから特別な何かに惹かれるのかしら?」

善子「でも危ないことだって分かってる」

善子「近づいちゃダメなんだって」

花丸「……」

252: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:23:06 ID:9xbPbDTk
花丸「善子ちゃん、ここに能面があるけど……被ってみる?」

善子「え……?」

花丸「あの化け物たちはみんな能面を被ってたよね?」

善子「えぇ……」

花丸「特別な力が手に入るかもしれないよ?」

善子「……」

253: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:23:36 ID:9xbPbDTk
善子「ずら丸……あんた何言ってるの?」

花丸「オラはあのとき時間を止めたよね?」

花丸「それがこの能面の力だとしたら?」

花丸「あの徘徊者たちと同じように」

花丸「人間を超越した力を手に入れられるとしたら?」

花丸「この能面を被る?」

善子「……」

254: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:24:06 ID:9xbPbDTk
善子「……」

善子「……被らないわ」

花丸「……そうずらか」

善子「私は私だもの……」

花丸「分かったずら……たぶん善子ちゃんたちはあの場所には二度と行かないずら」

花丸「なんとなくだけど……」

255: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:24:55 ID:9xbPbDTk
善子「ずら丸……あんたは何者なの?」

花丸「……オラはオラずら」

花丸「善子ちゃんとルビィちゃんの友達」

花丸「二人の味方……信じて欲しいずら」

善子「……分かったわ」

善子「あんたを信じる」

花丸「ありがとう、善子ちゃん」

256: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:25:27 ID:9xbPbDTk
善子「じゃあ、あの場所はなんだったの?」

花丸「……それは答えられないずら」

善子「そう……私も深くは聞かないでおくわ」

257: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:26:00 ID:9xbPbDTk
善子「じゃあ、その能面は何?」

花丸「オラがいま手に持ってるのは、何の力もないただの能面ずら」

善子「は?」

花丸「善子ちゃんをちょっとからかっただけずらよ」

善子「あんたねぇ……」

258: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:26:36 ID:9xbPbDTk
花丸「それじゃあ一緒に帰るずらよ」

花丸「ルビィちゃんとお泊り会するずら」

善子「……はあ、そうね」

善子「……私も楽しみだわ」

────
──

259: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:27:06 ID:9xbPbDTk
善子「あの後はずら丸とルビィとお泊り会をしたわ」

善子「私もルビィもすっかり元気になって、ルビィもまた学校に通うようになったわ」

善子「これでまたAqoursの活動ができそうね」

260: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:27:37 ID:9xbPbDTk
善子「結局、いろいろなことが分からなかったけど」

善子「私たちは無事に脱出できたのだ」


善子「深い闇に鳴り響く、あの鈴の音はもう二度と聞こえることはなかった」

────
──

261: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:28:09 ID:9xbPbDTk
─後日─

果南「1、2、3、4、1、2、3、4……」

果南「はい今日の練習はここまで!」

ダイヤ「皆さんお疲れ様です」


ルビィ「善子ちゃん!花丸ちゃん! 一緒に帰ろう!」

善子「えぇ」

花丸「ずら~」

262: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:28:40 ID:9xbPbDTk
曜「千歌ちゃん! 一緒に帰りましょうであります!!」

千歌「うん! 帰ろう!!」

千歌「はあぁ今日も練習疲れたね!!」

────
──

263: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:29:10 ID:9xbPbDTk
千歌「……」

曜「そういえば千歌ちゃん!」

曜「……千歌ちゃん? どうしたの?」

千歌「あの路地が気になる」

曜「え……?」

264: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:29:40 ID:9xbPbDTk
千歌「そう、この路地!!」

千歌「なんていうのかな、こう……」

千歌「冒険心がくすぐられる……っていうのかな」

曜「たしかに……日本の夕暮れの景色って感じ」

曜「ノスタルジックっていうのかな?」

265: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:30:13 ID:9xbPbDTk
千歌「ちょっと奥まで行ってみない?」

曜「え? 危ないよ?」

千歌「大丈夫だよ、ちょっとだけ」

曜「やめようよ」

266: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:30:49 ID:9xbPbDTk
千歌「曜ちゃん♡ おねがい♡」

曜「もぉ~しょうがないでありますなぁ////」

千歌「わぁい♡ 曜ちゃん大好き♡」

曜「えへへへ////」

267: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:31:20 ID:9xbPbDTk
??「やめておいたほうがいいわよ?」

千歌「え?」

曜「……鞠莉ちゃん?」

鞠莉「その奥へ行くのはやめておきなさい」

268: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:31:52 ID:9xbPbDTk
曜「鞠莉ちゃんがこんなところにいるなんて珍しいね」

千歌「たしかに」

鞠莉「嫌な予感がして来てみれば……」

千歌「嫌な予感……?」

269: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:32:24 ID:9xbPbDTk
鞠莉「……さあ、ここには近づかないでマリーと一緒に帰りましょう!」

鞠莉「レッツゴーよ!!」

千歌「あ、待ってよぉぉ」

曜「待ってぇ、千歌ちゃん!」

────
──

270: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:32:58 ID:9xbPbDTk
ある夏の日の夕暮れ時

あなた(ゲームのプレイヤー)はある路地の入口でふと足を止めた

夕立の後の蒸し暑い湿気の中

奥から冷たい風が吹き抜けてくる


ふと幼いころの夏の日を思い出し

心の奥にしまっていた冒険心をくすぐられたあなたは

さびれた路地へと足を踏み入れた……

────
──

271: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/05(金) 14:33:30 ID:9xbPbDTk
おわり