1 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 01:32:56 ID:oCCwxRC6
キースの部屋─
キース「そうだ。アッカーマン訓練兵は確かに歴代トップクラスの逸材だ。
しかし最近、目に見えて成績が落ち込んでいる。」
エレン「そんな風には見えませんが……。」
アルミン「いや、確かにそうだよ。
2位のライナーとの差がここ一ヶ月で大きく縮まった。」
エレン「ライナーが急成長してるだけなんじゃないか。
それに、縮まったといっても、点数で言うと5倍以上開いてるし。」
キース「一ヶ月前は20倍だった。
アッカーマン訓練兵は我々人類の希望のひとつだ。
もし、何かこの状況の原因があるならば、改善する必要がある。」
アルミン「それで、ミカ…アッカーマン訓練兵の幼馴染である、
我々が呼び出されたのですね。」
キース「その通り。
実は今回の件、上層会議でも取り上げられる程の問題になっている。
言葉遣いなど気にせず、心当たりをできるだけあげて欲しい。」
エレン「尽力します。
……と言いたいところですが、自分は先月から、
ミカサとは別の班になりました。
あまり有力な証言はできないかと……。」
2 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 01:35:29 ID:oCCwxRC6
アルミン「エレン……。原因は今、君がはっきりさせたよ……。」
エレン「は? 何言ってるんだ、アルミン。」
アルミン「教官殿、ミカサはエレンと幼い頃から一緒に暮らしてきました。」
キース「それは聞いている。」
アルミン「ミカサはそんなエレンに家族以上の愛情を感じています。」
エレン「アルミン!? 何言ってんだよお前……。」
アルミン(エレン、僕はもう疲れたんだよ……。)
3 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 01:36:44 ID:oCCwxRC6
キース「続けたまえ。アルレルト訓練兵。」
アルミン「はい。
ミカサは確かに超人的な能力を持っています。
しかし、ミカサの訓練に対するモチベーションは、
エレンを守るという一点から来ています。」
アルミン「そんなミカサから、エレンを引き離したらどうなるでしょう。
訓練中も、他の班にいるエレンが気になって仕方ない。
これでは、集中できるはずもありません。」
キース「アルレルト訓練兵、貴様は私を馬鹿にしているのか。
そんな恋する乙女のような理由であのアッカーマンが……。」
アルミン「その通り、ミカサはまさに『恋する乙女』なのです!」
キース「!!」
エレン「!!?」
4 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 01:40:14 ID:oCCwxRC6
キース(アルレルトは頭が切れる。
冗談でこのようなことは言わんだろう。さらに……。)
アルミン「自分がこの問題の解決を図るなら、
まずはエレンとミカサを同じ班に戻します。
コスト面から見ても、最も簡便な策と考えます。」
キース「(やはりか。)なるほど、確かに、一訓練兵からの案として
素直に受け入れるなら、そのぐらいの対策が適切だろう。」
エレン「おい! アルミン!
何話を進めてるんだよ! まず前提からして俺は納得して……。」
キース「いないのか。
貴様は女の思いにも気づけない鈍感馬鹿かね。イェーガー訓練兵。」
エレン「!!」
アルミン(意外! 僕が自分の胃かわいさにぶちまけた恋愛論に、
教官がこんな風に乗ってくるなんて!)
5 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 01:41:08 ID:oCCwxRC6
エレン「……仮に、エレンの言うとおり、ミカサが俺を……その、
あ、愛しているとして、そんな理由で班を再編だなんて……。」
キース「そんな理由? 貴様は、愛する者を守ろうとする力を否定するのか。」
エレン「い、いいえ、決してそんなつもりは……!
しかし、そのような個人的事情でミカサだけ班替えというのは、
不公平じゃないですか!」
キース「それも一理ある。
そこでだ。アルレルト訓練兵の案を参考にした、私の考えはこうだ……。」
6 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 01:43:10 ID:oCCwxRC6
翌日・訓練場─
ミカサ「6人1班体制から男女ペア体制への転換……?」
ザワザワ
ザワザワ
キース「静粛に! 諸君らの訓練効果向上のため、
来週より新規体制での訓練を行う!」
キース「具体的には、今までは一人一人で出していた成績を、
ペアの合計点として発表する!」
キース「しかし、諸君らは今まで通り励めばそれで良い!
ペアを3つ集めることで、今までのような6人1班を作る!
また、訓練時の得点も個人ごとに採点する!」
キース「ただ、それが発表前に合算されるだけだと思え!」
7 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 01:45:52 ID:oCCwxRC6
ザワザワ
ザワザワ
コニー「それがどうして訓練効果向上に繋がるんだ?」
マルコ「たぶん、連帯責任だよ。
中には鼻から成績を上げるのを放棄した訓練兵もいる。
でも、ペアとなると相手にも迷惑が掛かる。」
ジャン「しかし、男女ペアってのは一体……。」チラ
ミカサ(男女ペア……! 離れ離れになったエレンと復縁のチャンス!)
キース「なお、ペアの申請は今週中に紙面にて提出すること!
幸い、第104期訓練兵の男女比率は1:1である!
各自、相手を見つけておくように! 以上、解散!」
ワァァァァー!
イソゲ!アブレタラシャレニナランゾ!
ハンナ-!オレダーケッコンシテクレー!
リアジュウシネ!
8 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 01:47:04 ID:oCCwxRC6
ミカサ(!? ペアは自由ということ!?
ならば、すぐにエレンにペアの申し込みを……!)
エレン「……。」ジー
ミカサ(……エレンに今すぐにでも駆け寄って、ペアになってと言いたい。
でも、エレンはことあるごとに、世話を焼きすぎる私を避けていた。)
ミカサ(……もし、また私が空回りしたら、今度は卒業まで一緒にはいられない……。
そんなのは耐えられない……。)
9 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 01:48:15 ID:oCCwxRC6
ジャン(ミカサ! まだエレンの所に行かない!
エレン以外にもまだチャンスがあるってことだろ!
今行かないで、じゃあいつ行くんってんだ!)
ミカサ(でも、早く行かないと他の子がエレンに声を掛けかねない……。
アニなんて、エレン以外の誰を選ぶのか想像もできない……。)
ミカサ(アルミン、助けて……! もう一度、その知恵で私を……!)
10 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 01:48:47 ID:oCCwxRC6
ジャン(今でsy
エレン「ミカサ!」
11 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 01:49:41 ID:oCCwxRC6
ミカサ「!? エレン!?」
エレン「何を驚いてんだよ。ペアだってよ。申請書はお前が書いてくれ。」
ミカサ「!!!」
ジャン「なっ、てめぇエレn
ミカサ「うん! 書く!」ポロポロ
エレン「か、勘違いするなよ。お前が俺を守るんじゃない。
俺がお前を守るんだからな!」
ミカサ「……ま、負けない///////」ウツムキ
ジャn
アルミン(エレン。よく言ったよ。君は。)
14 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 02:00:43 ID:oCCwxRC6
前日・キースの部屋─
キース「実は、班替えで成績が落ちたのはアッカーマン訓練兵だけではない。
ハンナ・フランツペアもなのだ。」
エレン「あのバカップルが?」
キース「さすがに言葉を慎み給え、イェーガー。
……まあ、わからんでもない。あの二人は、私でも気がつくほどの仲だ。」
アルミン「しかし、それでも男女ペア制なんて……。
少し度が過ぎるのではないでしょうか?」
キース「先ほども言ったとおり、『愛する者を守ろうとする力』というのは、侮れぬのだ。
どんな兵士も命を懸けて戦う。しかし、そこには強い動機が必要だ。
感情ある兵士が命を懸けるのに、最も強い動機になるのは『愛』なのだ。」
アルミン(ダブルショック! これが本当に、あの教官の口から出た言葉なのか!?)
15 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 02:01:48 ID:oCCwxRC6
エレン「そ、そうだとしても、もともと愛する異性なんていない、
俺やアルミンのような訓練兵の方が多数派のはずです!」
アルミン「エレン!? 何を決めつけているの!? まあ事実だけど……。」
キース「確かに、貴様は多数派だな。イェーガー訓練兵。
この一ヶ月で成績が下がった者、という意味でな。」
エレン「!?」
16 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 02:02:19 ID:oCCwxRC6
キース「イェーガー訓練兵。貴様はこの不調をどう説明するのだ。」
エレン「そ、そんなはずは……。俺がミカサと離れたぐらいで……。」
キース「ほう。私は何も言っていないが、アッカーマン訓練兵が関係するのか。」ニヤニヤ
エレン「!!?」
アルミン(この教官、思っていた以上の切れ者……! しかも意外と俗物!)
17 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 02:04:41 ID:oCCwxRC6
エレン「う……。しかし、例えば俺がミカサと組むとして、
あいつは俺を守ることでモチベーションを上げるわけですよね……。
それは男としてのプライドが……。」
キース「貴様はそれに甘んじる男なのか。イェーガー。
男としてのプライドで、アッカーマンを守れるほどの力をつけようとは思わんのか。」
エレン「……!
いいえ、自分は全ての巨人を駆逐するために兵士になりました!
女一人守れないで、そんなことは出来ません!」
キース「よく言った! それでこそ男だ。」
18 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 02:05:50 ID:oCCwxRC6
アルミン(ミカサの班替えだけでは、あのエレンをここまで焚きつけられなかった……。
僕を長年悩ませてきた鈍感野郎の背中を、この教官はいともたやすく押したんだ。)
キース「……。」フッ
アルミン(お見事です! 恋愛教官!)
19 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 02:07:19 ID:oCCwxRC6
体制転換発表後・食堂─
アルミン(あのときは思わず敬礼をするほど感動したけど……。
一体僕は誰と組めば良いんだろう……。)ハァ
アルミン「……。」チラッ
エレン「/////」
ミカサ「////////////」ジッ
エレン「な、なんだよ、ミカサ。こっちばっか見んなよ!//////」
ミカサ「わかった。これからはいつでも見られるから//////」
エレン「お、おい!恥ずかしいだろ!/////////」
22 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 02:10:47 ID:oCCwxRC6
アルミン(ああ、ずっと望んでいた展開なのに、
バカップルが増えてしまったという後悔さえある……。
あぶれそうな僕は嫉妬しているんだろうか……。)
アニ「隣、良いかい?」
アルミン「えっ、ああ、もちろん。」
アニ「……。」ジト
23 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 02:11:55 ID:oCCwxRC6
エレン「ああっ! もう分かったよ!
ずっと守ってやる! もう言わないからな!/////////」
ミカサ「……うん、もう聞かない//////」
アルミン「ハハハ……。今更ながら、見せつけられると胃に来るね。」
アニ「なんだ、アルミンもか。なら私が代わりにぶん殴ってくるよ。」
24 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 02:12:51 ID:oCCwxRC6
アルミン「ちょっと待ってアニ! 何もそこまで……。」
アニ「冗談さ。」
アルミン「聞こえないよ……。」キリキリ
アニ「アルミン、私は誰と組めば良いと思う?」
25 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 02:14:08 ID:oCCwxRC6
アルミン「え、えっと、アニ? それは相談なのかな?」
アニ「そうだよ。」
アルミン「誰も思いつかないの?」
アニ「一瞬、頭をよぎった奴がいた気がするけど、もう忘れたんだ。」
アルミン「そう……。」チラ
26 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 02:15:03 ID:oCCwxRC6
ミカサ「エレン、お箸の持ち方が正しい。
ちょっとくらい間違えてくれないと注意できない。」
エレン「お前が間違ってるよ!」
アルミン(もう二人の世界の方向性さえ見えない……。)
アニ「アルミン、気づいてた?」
アルミン「えっと……。エレン……、のことだよね?」
アニ「ん……。」
27 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 02:15:57 ID:oCCwxRC6
アルミン「そうだね。気づいてたよ。」
アニ「知っててこの配置替えを提案したんだ。酷いね、アルミンは。」
アルミン「あっ……。その、ごめん。」
28 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 02:17:52 ID:oCCwxRC6
アニ「なんだ、やっぱりアルミンの案なのか。」
アルミン「えっ、かまをかけたの!?」
アニ「ああ、なんだ、アルミンも意外とドジなとこあるんだね。
でも、酷いと思ったのは本音だよ。」
アルミン「うう……。」
アニ「責任取って、私とペア組むなら許す。」
アルミン「わかったよ……。って、え?」
29 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 02:18:35 ID:oCCwxRC6
アニ「嫌かい? アルミン?」
アルミン「えっと、嫌ではないよ。アニ。でも、アニは良いのかい?
美人だし、もっと良い人がいるんじゃ……?」
アニ「なっ。」
30 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 02:20:33 ID:oCCwxRC6
アルミン「あっ、ご、ごめん、変なこと言ったかな。」
アニ「いいや……。まったく、心臓に悪いよ。
いつからあんたは私をそんな風に思っていたの……。」
アルミン「いつからかな。でも、ずっと前だね。」
アニ「そっか。じゃあ私で良いかい。」
アルミン「こちらこそ、よろしく頼むよ。アニ。」
31 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 02:21:53 ID:oCCwxRC6
ミカサ(……アニ。)
エレン「お、アルミンはアニとペアか。意外とお似合いかもな。」
アニ「まあ、そうかもね。」
アルミン「ア、アニったら///」
ミカサ「アニ、アルミンをよろしく。」
33 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 02:22:46 ID:oCCwxRC6
アニ「私が守れってこと?」
ミカサ「役割分担ということ。」
エレン「ああ、アルミンは頭が良いからな。
強いアニと組めば百人力だ!」
アルミン「僕だって、アニを守るよ!?」
アニ「ふふ……。楽しみにしておくよ。」
35 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 02:27:29 ID:oCCwxRC6
エレン「なんだよ、見せつけてくれるじゃねえか。」
ミカサ「エレン、ここは私たちの愛を証明するタイミング。」
エレン「ちょっと待った! ここではやめろ!」
ジャンだったもの「」
36 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 02:28:39 ID:oCCwxRC6
チュー
エレン「しかし、教官が言ってた多数派って、ホントだったんだな。」
アルミン「うん……。あちこちでカップルが出来てるね。
最初から、こうなることを分かってて僕たちを呼んだんじゃないかな?
あの恋愛教官……。」
ライナー「結婚しよ」
37 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 02:29:36 ID:oCCwxRC6
クリスタ「ラ、ライナーってば、気が早いよ//////」
ライナー「はっ、口に出ていたのか……。」
クリスタ「ふふ。末永くよろしくお願いします。」
ユミル「くっ、男女ペアだなんて……。」
38 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 02:30:16 ID:oCCwxRC6
ユミル「くっ、男女ペアだなんて……。」
ベルトルト「仕方ないさ、そういう決まりだもの。」
ユミル「おい! 私があんたと組んだのは、ライナーの傍にいる
あんたと組めば、クリスタといる時間も増えるからだからね!
でも、その主体性のなさは、みっちり鍛えなおしてやる!」
ベルトルト「はは。楽しみにしておくよ。」
ワイワイ
ガヤガヤ
チュッチュ
39 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 02:33:26 ID:oCCwxRC6
アルミン「なんだかんだ言って、士気は上がってるよね。」
エレン「ああ、人類は愛情を取り戻しつつある。
勝てる。人類の反撃はこれからだ!」
モノカゲ
キース(実に恋こそはまことのいのちである。)
おしまい
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