1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 10:52:12.03 ID:nVPl9tZ2o
美優『はい……! 皆さん、かなり酔っていて……!』

武内P「成る程」

美優『私、もうどうしたら良いかわからなくて……!』

武内P「そうですか」


武内P「……頑張ってください」


美優『……』

美優『それだけ……ですか……!?』

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1553305931

引用元: ・武内P「泥酔、ですか」 



2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 10:54:35.89 ID:nVPl9tZ2o
美優『あ、あのっ……! 凄く、大変なんです……!』

武内P「成る程」

美優『だから、こうやってお電話を……!』

武内P「そうですか」


武内P「……頑張ってください」


美優『……』

美優『いえ、だから……あの、本当にそれだけですか!?』

3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 10:56:30.65 ID:nVPl9tZ2o
美優『私一人じゃ、手に負えないんです……!』

武内P「成る程」

美優『お願いします……! もう戻らないといけなくて……!』

武内P「そうですか」


武内P「笑顔です」


美優『……』

美優『笑ってられる状況じゃないんですよ……!?』

5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 10:59:16.96 ID:nVPl9tZ2o
美優『いつ、何が起きてもおかしくないんです……!』

武内P「成る程」

美優『私だけしか、冷静な人が居なくて……!』

武内P「そうですか」


武内P「……笑顔で、楽しんできてください」


美優『……』

美優『楽しむとか、そういう事じゃなくてですね……!?』

6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 11:01:27.84 ID:nVPl9tZ2o
美優『私の言いたいこと、わかりますよね……!?』

武内P「はい」

美優『! だったら――』

武内P「三船さん」


武内P「貴女の担当プロデューサーには、連絡しましたか?」


美優『……』

美優『すみません、ちょっと電波状況が悪いみたいで』

7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 11:03:16.97 ID:nVPl9tZ2o
美優『もしもし? もしもし? 聞こえますか?』

武内P「はい」

美優『良かった! じゃあ――』

武内P「三船さん」


武内P「貴女の担当に、連絡は、しましたか?」


美優『……』

美優『あれ? もしもし? もしもーし?』

8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 11:07:50.68 ID:nVPl9tZ2o
美優『本当にすみません……聞こえますか?』

武内P「はい」

美優『お願いします! すぐ、来てくだ』

武内P「三船さん」


武内P「貴女の担当プロデューサーは、どんな方ですか?」


美優『とっても素敵な方です///』

美優『頼りがいがあって、でも、少し抜けてる所もあって……///』

美優『だから、お互いが補い合っていければ……な、なんて///』


武内P「今の状況も、補って貰えば良いのでは?」


美優『……』

美優『もしもし? あれ? もしもーし?』

9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 11:14:10.10 ID:nVPl9tZ2o
美優『ここなら大丈夫かしら? あの、聞こえますか?』

武内P「はい」

美優『……お願いします! 助けてく』

武内P「三船さん」


武内P「貴女の担当は、その状況で役に立ちませんか?」


美優『そんな事ありません!』

美優『でも、皆さん本当に酔っているんですよ!?』

美優『全員魅力的なのに、酔ってとっても大胆になってて……』

美優『……だから私、心配なんです』


武内P「私の心配は、して頂けないのでしょうか?」


美優『あれ? 電波が本当に……もしもーし?』

10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 11:20:29.84 ID:nVPl9tZ2o
美優『……はい! これで、大丈夫です!』

武内P「はい」

美優『助けてください! 貴方の力が、必要なんで』

武内P「三船さん」


武内P「他にも、担当に連絡を入れない理由はありますか?」


美優『……迷惑をかけたく……無いじゃないですか』

美優『だって、来たら確実に辛い思いをするんですよ?』

美優『私、プロデューサーさんには笑っていて欲しいんです』

美優『それが……私の笑顔にも、繋がりますから///』


武内P「それを聞いて、私はどんな表情をしたら良いのでしょうか?」


美優『……笑顔です?』


武内P「笑えません」

11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 11:24:09.47 ID:nVPl9tZ2o
武内P「しかし、お話はわかりました」

美優『! それじゃあ!』

武内P「はい」

美優『待ってますから! 私、待ってますから!』


武内P「可能な限り、急ぎます」


美優『はいっ! お願いします!』


ピッ!


武内P「…………」

武内P「……さて」


武内P「残った仕事を急いで片付けよう」

12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 11:29:05.97 ID:nVPl9tZ2o
  ・  ・  ・

prrrr!prrrr!

武内P「……はい、もしもし」


美優『ひどい……ひどすぎます……!』

美優『待ってるって、そう言ったのに……!』

美優『どうしてですか!? なんで、あんな嘘を!?』


武内P「三船さん」

武内P「私は、助けに行くとは一言も言っていません」


美優『言いました! 確かに、この耳で聞きました!』

美優『男の人って、どうして平気で嘘をつくんですか……!?』


武内P「本当の事です」

13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 11:35:26.59 ID:nVPl9tZ2o
美優『兎に角! すぐに来てください!』

武内P「検討します」

美優『いえあの、検討とかじゃなくてですね……!?』

武内P「三船さん」


武内P「そちらの状況を教えて頂けますか?」


美優『! はい!』

美優『皆さん、半裸で命燃やしてこ』


武内P「……」

ピッ!


prrrr!prrrr!

武内P「……」


美優『――どうして切ったんですか!?』


武内P「……すみません、つい」

14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 11:42:13.64 ID:nVPl9tZ2o
美優『一回歌う毎に、服が一枚ずつ脱げていくんです……!』

武内P「恐ろしい歌ですね」

美優『ほんの数人しか居ませんから! まだ間に合います!』

武内P「三船さん」


武内P「姫川さんは、どうしていますか?」


美優『全裸で、ずっとイチロー選手のモノマネをしています』

美優『ジョッキを持ち、振り子飲法と言ったり……』

美優『レーザービームと叫びながら、つくねを投げつけてき』


武内P「頑張ってください」


美優『…………冗談です』


武内P「間が」

16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 11:48:15.90 ID:nVPl9tZ2o
武内P「しかし、お話はわかりました」

美優『! それじゃあ!』

武内P「はい」

美優『助けてに来て頂けるんですよね!?』


武内P「貴女が困っているのなら、はい」

武内P「担当プロデューサーは、きっと駆けつけるでしょう」


美優『…………こ、困ってませんけど?///』

美優『でも、駆けつけてくれますかね……?///』


武内P「はい、必ず」


美優『ふふっ……そうですか///』

美優『……』

美優『いや、あの、だからですね……!?』

17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 11:56:44.76 ID:nVPl9tZ2o
美優『もうっ!……もうっ!』

武内P「しかし、皆さんかなり酔っているようですね」

美優『だから、そう言ってるじゃないですか……!』

武内P「三船さん」


武内P「貴女も酔ってしまう、というのはどうでしょうか?」


美優『……駄目です!』

美優『あれだけ酔ったら、プロデューサーさんの家に押しかけて……』

美優『それから……それで……』

美優『……』


美優『酔います』


武内P「笑顔で、楽しんできてください」

18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 12:02:40.67 ID:nVPl9tZ2o
  ・  ・  ・

武内P「……ふぅ」

武内P「今日は、これで帰るとするか……」


prrrr!prrrr!


武内P「……」

武内P「はい、もしもし」


美優『酔えないんです……!』

美優『皆さんがひどすぎて、心配で酔えないんです……!』


武内P「頑張ってください」

ピッ!……prrrr!prrrr!

武内P「……」

19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 12:14:04.60 ID:nVPl9tZ2o
武内P「……もしもし」

武内P「申し訳ありませんが、私は――」


『ちょっと君ぃ! 美優ちゃん困らせるなんてタイホよ!』
タイホ? タイホ? タイ? ホー! ホーッホホアッホアッホアッ!
『わかるわー! うん、えっ? 何がって? わかるわかる!』
ワカランワー! ワワワッ、ワッ、フククッ、プーッフフフフフッ!
『長島やりまーす! あ、一茂の方ね! 一茂の!』
ヨイショオッ! アッ、ゴメーン! コレ、イチローダッター! アッハハハー!
『キャハッ! ウサミン星在住の、ってそんな星ないですからー!』
イツマデヤルンデショーネー!? キャハッ、ハッ、ウグウウゥッ……!
『信じえばあるぞ☆ ないけど☆ ないない、なーんにも無いぞ☆』
スウィーティー? ノー、ビター! ジンセイ、ブラック! オッ、フッ、ウフウウゥッ…!


武内P「……」

武内P「……これはひどい」

20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 12:22:20.39 ID:nVPl9tZ2o
美優『す、すみません! 携帯を取られてしまって……!』

『ふふっ! 出しっぱなしでしまってませーん♪ うふふっ!』


武内P「いえ、お気になさらず」


美優『でも、こっちの状況は伝わりましたよね……!?』

『ふふっ! ジョー、今日の状況で上京、うふふっ!』


武内P「はい」


美優『お願いします……! 助けてください……!』

『おーねがいー♪ シーンデレラー♪ ふふっ♪ うっふふふっ♪』


武内P「……」

21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 12:27:08.94 ID:nVPl9tZ2o
武内P「あの……一つ、お聞きしても?」

美優『はい、飲んでる場所ですか!?』

武内P「いえ、そうではなく」

美優『それじゃあ、何が聞きたいんですか!?』


武内P「皆さん、担当プロデューサーがいらっしゃいます」

武内P「なのに……何故」

武内P「何故、私に助けを求めるのでしょうか?」


美優『……』

22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 12:34:35.28 ID:nVPl9tZ2o
美優『私以外の、担当プロデューサーさんに……という意味ですよね?』

武内P「はい」

美優『答えたら、来て頂けますか?』

武内P「納得のいく理由でしたら」


美優『皆さん、電源が入っていないか電波が届かない所に居るみたいなんです』


武内P「……」

武内P「今日、飲み会だと皆さんは伝えて?」


美優『……た、みたいです』


武内P「……」

武内P「成る程」

23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 12:41:56.59 ID:nVPl9tZ2o
武内P「お話はわかりました」

美優『! それじゃあ!』

武内P「他の方に、助けを求めましたか?」

美優『誰も、電話が通じません!』


武内P「……本当に、私しか居ませんか?」

武内P「他に、誰か……居ないのでしょうか?」

武内P「そもそも、自分たちで何とかするという選択肢は……」

武内P「……切れている」


ヒュポッ!


武内P「LINEに……地図が」

武内P「……行かないよう、努力はしてみましたが」


武内P「泥沼、ですか」



おわり

26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 20:54:32.26 ID:nVPl9tZ2o
書きます


武内P「下着泥棒、ですか……!?」

27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 20:58:51.33 ID:nVPl9tZ2o
蘭子「し、静まり給え!」

武内P「す、すみません」

蘭子「皆に知られるのは、我の望む所ではない……」

武内P「そう、ですね……」


飛鳥「蘭子、もう何も無かったと考えるべきだよ」

飛鳥「蘭子の黒い●●●な下着なんて、最初から無かったんだ」

飛鳥「そう考えれば、セカイは上手く回るんだからね」


武内P「……」

武内P「ん?」

28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 21:02:47.64 ID:nVPl9tZ2o
蘭子「あ、飛鳥!/// 我が友に、言うべきではない!///」

飛鳥「ああ、すまない。これは気遣いが足りなかったね」

蘭子「……だが、また再び聖域より衣が失われぬとも限らない」

飛鳥「そうだね。でも、きっと大丈夫さ」


飛鳥「手に入れ……盗まれた、蘭子の下着」

飛鳥「あれは、キミのお気に入りだったんだろう?」

飛鳥「だったら、ボク……犯人も、満足しているはずさ」


武内P「……」

武内P「あの、二宮さん?」

29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 21:06:37.85 ID:nVPl9tZ2o
飛鳥「どうしたんだい? 怪訝そうな顔をして」

武内P「二宮さんは、どこまでご存知なのでしょうか?」

飛鳥「これはこれは、随分と曖昧な質問だね」

武内P「……すみません」


飛鳥「それで? 具体的に、ボクに何が聞きたいんだい?」

飛鳥「下着の着け心地だったら、教えられないな」

飛鳥「何せ、ボクと蘭子はスリーサイズが違うから正確じゃない」


武内P「……」

武内P「二宮さん?」

30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 21:12:09.30 ID:nVPl9tZ2o
蘭子「我が友! 我に、道を示し給え!」

武内P「……お聞きしても良いでしょうか?」

蘭子「? 何を……?」

武内P「……」


武内P「昨晩、二宮さんは神崎さんの部屋に泊まりましたか?」


蘭子「うむ! 闇深き中での語らいは、至福の時となった!」

飛鳥「気付いたら、蘭子は寝てしまっていたけれどね」


武内P「……」

31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 21:18:00.93 ID:nVPl9tZ2o
飛鳥「蘭子の天使のような寝顔が見られて、ボクも嬉しかったよ」

蘭子「ぴっ!?/// うぅ……翼休めし時を……///」

飛鳥「だから、下着の件はもう忘れようじゃないか」

蘭子「飛鳥……」


飛鳥「あれは、消えてしまったのさ」

飛鳥「複雑に絡み合った運命の糸がほぐれるように」

飛鳥「凝ったレースの刺繍もほどけてなくなってしまったんだ」


武内P「……」

武内P「二宮さん」

32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 21:23:42.22 ID:nVPl9tZ2o
飛鳥「なんだい? ボクに、言いたい事がある顔だね」

蘭子「我が友? 飛鳥に、何か……?」

武内P「……二宮さん」


武内P「室内では、コートを脱いではどうでしょうか?」


飛鳥「それは出来ないな」

飛鳥「ボクは今、下着を二枚重ね……」

飛鳥「……」

飛鳥「確かに、この部屋は適温だと言えるね」

飛鳥「だけど、ボクにとってそれは関係の無い事さ」


武内P「二宮さん」

33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 21:30:44.09 ID:nVPl9tZ2o
飛鳥「蘭子、キミのプロデューサーは何が言いたいんだろう」

蘭子「えっ?」

飛鳥「ボクに、上着を脱がせるという行為にどんな意味があるのかな」

蘭子「そ、それは……や、優しい……から?///」


飛鳥「果たして、本当にそうなのかな」

飛鳥「ボクには、彼の目がそうではないと語っているように見える」

飛鳥「まるで、セカイの真実を見つけたと言わんばかりだ」

飛鳥「何が理解っているのかな? キミは」


武内P「……」

34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 21:35:31.38 ID:nVPl9tZ2o
武内P「神崎さん、耳をふさいで貰えますか?」

蘭子「? 封印を?」

武内P「はい、お願いします」

蘭子「……封印は成された」


武内P「貴女が犯人ですね?」


飛鳥「もしもそうだとしたら、どうするんだい?」

飛鳥「そうだとしたら、ボクは蘭子の下着を手に入れている事になる」

飛鳥「つまり、無敵だ」

飛鳥「いずれにせよ、ボクを責めるというのは無意味になる」


武内P「……」

35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 21:42:11.44 ID:nVPl9tZ2o
武内P「神崎さん、ありがとうございます」

蘭子「……我が友?」

武内P「神崎さん、落ち着いて聞いてください」

蘭子「な……何を……?」


武内P「下着を盗んだ犯人は、この部屋の中に居ます」


蘭子「!?」


飛鳥「いや、ちょっ!?」

飛鳥「キミは、あくまでも傍観者な立ち位置……普通、言う!?」

飛鳥「再構築不能な決壊を招いても構わな……普通、言うかい!?」


武内P「言います」

36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 21:49:39.19 ID:nVPl9tZ2o
蘭子「そ、そんな……!?///」

飛鳥「蘭子、違うんだ!」

蘭子「で、でも……!///」

飛鳥「彼は……んんん、馬鹿! 馬鹿なだけさ!」

蘭子「その……い、いつの間に……!?///」


武内P「神崎さんが、眠っている間に……」

飛鳥「蘭子! 彼の言葉に耳を傾けてはいけない!」


蘭子「そ、そんな……プロデューサーが……!///」


武内P・飛鳥「……」

武内P「待ってください! 誤解です!」

飛鳥「凄い……! 蘭子の下着を着けていると、本当に無敵だ……!」

37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 21:55:58.12 ID:nVPl9tZ2o
武内P「神崎さん! 今の二宮さんの言葉を聞きましたか!?」

蘭子「ぴっ!?///」ビクゥッ!

武内P「今、彼女は神崎さんの下着を着用しています!」

蘭子「あ……飛鳥?」


飛鳥「ボク、そんな事しない」

飛鳥「盗み、良くない」

飛鳥「良くない事、しない」


蘭子「やはり……そのような事、あり得ないわ」


武内P「片言! 片言になっていますよ!?」

38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 22:03:12.72 ID:nVPl9tZ2o
蘭子「プ、プロデューサーは……その……///」

蘭子「わ、私の下着が……欲しかったんですか……?///」

武内P「神崎さん、それは誤解です!」

蘭子「ご、誤解……?」


飛鳥「蘭子、彼を許してあげようじゃないか」

飛鳥「彼は、盗もうと思って盗んだんじゃないんだよ」

飛鳥「キミの、年齢にそぐわない●●●な下着が悪いんだ」

飛鳥「犯人が居るとすれば、正しくこの黒い下着こそ、黒なんだから」


蘭子「飛鳥……」


武内P「‘この’と言っています!」

武内P「‘この黒い下着’と、自分を指さしています!」

39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 22:13:16.40 ID:nVPl9tZ2o
蘭子「こ……此度の事は、我が胸に秘める///」

飛鳥「蘭子は優しいね」

蘭子「だが、黒き衣失われし時、我とて焦燥に身を焦がさん///」

飛鳥「焦った姿もまた、蘭子の魅力の一つだと認識したよ」


蘭子「な、汝が求めんと欲するならば……///」

蘭子「言ってくれれば、えと、その……///」

蘭子「や……やぶさかではない!///」ビシッ!


武内P・飛鳥「……」


武内P「神崎さん!? 何を仰っているんですか!?」

飛鳥「次は、ワインレッドの下着が良いと思うよ」

40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 22:23:02.86 ID:nVPl9tZ2o
蘭子「わ、ワインレッドの……!?///」

飛鳥「蘭子、下着泥棒は犯罪だ」

飛鳥「……だけど、キミが進んで下着を差し出すならば?」

蘭子「く、供物を捧げるのは……あ、在るべき姿///」


武内P「犯罪です!」

飛鳥「渡す時の様子は、映像として記録しておく価値があるね」


蘭子「う、う~っ……///」チラッチラッ!

蘭子「衣に移りし魔力を清めたならば……///」モジモジ!


武内P「洗濯をすれば大丈夫、ではありません!」

飛鳥「むしろ、その逆。洗わない方が、セカイが広がる」

41: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 22:27:48.77 ID:nVPl9tZ2o
蘭子「わ……我、しばしの時を求める!///」

蘭子「お、おお、お疲れ様でした!///」


武内P「神崎さん!? あの、待ってください!」


蘭子「~~っ!///」

ガチャッ! バタンッ!


武内P「神崎さん! 待ってください!」

武内P「神埼さーん!」

武内P「……」

42: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 22:33:31.02 ID:nVPl9tZ2o
武内P「何故……こんな事に……!?」

飛鳥「それが、セカイの選択というわけさ」

武内P「……」

飛鳥「だけど、良かったんじゃないかな」


飛鳥「下着を盗まれたと思っていた蘭子に、笑顔が戻った」

飛鳥「ボクも、これで罪の意識を感じる事なく、この下着を楽しめる」

飛鳥「キミは、蘭子の使用済み下着が今後手に入るかも知れない」

飛鳥「……どうだい?」

飛鳥「考えようによっては、全員が幸せな結末だよ」


武内P「……」

武内P「…………」

43: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 22:39:28.14 ID:nVPl9tZ2o
武内P「……神崎さんの誤解を解きます」

飛鳥「おっと、それはオススメ出来ないな」

武内P「……何故、ですか?」

飛鳥「そんなの、決まってるじゃないか」


飛鳥「誤解を解いたら、ボクが犯人だと蘭子にバレるだろう?」

飛鳥「そうなった時、彼女はどう思うかな」

飛鳥「いずれにせよ……」

飛鳥「ボクが、蘭子の部屋に泊まる機会は失われるだろうね」


武内P「……あの」

武内P「それは、完全に二宮さんの都合では……?」

44: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 22:50:34.18 ID:nVPl9tZ2o
飛鳥「けれど……そうだね、取引をしようじゃないか」

武内P「……取引ですか?」

飛鳥「ああ、そうさ。ボクが、橋渡しをしよう」

武内P「それは……どういう意味ですか?」


飛鳥「蘭子が、キミに下着を渡す」

飛鳥「キミは、ボクにそれを渡す」

飛鳥「そこでちょっと、まあ……うん」

飛鳥「そして、ボクが下着を洗って、蘭子に返す」

飛鳥「どうだい? 悪い取引じゃないだろう?」


武内P「……あの」

武内P「それに、何の意味が……いえ、言わなくて結構です」

45: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 22:57:06.17 ID:nVPl9tZ2o
飛鳥「マネー・ロンダリングならぬ、下着・ロンダリングさ」

武内P「言わなくて結構です、と言いました」

飛鳥「キミも強情だね。土下座でもするかい?」

武内P「お願いします、やめてください」


飛鳥「ハッキリ言おう」

飛鳥「ボクは、蘭子の使用済み下着が欲しい」

飛鳥「このインパルスは、誰にも止められないよ」

飛鳥「例えそれが、誰かを傷つける事になってもね」


武内P「……あの」

武内P「それは、今度は使用済みのものを盗むという宣言ですか……!?」

46: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 23:04:36.56 ID:nVPl9tZ2o
飛鳥「盗むなんて、人聞きが悪いな」

武内P「事実です」

飛鳥「ボクはただ、蘭子の黒い●●●な下着を着けただけさ」

武内P「訂正します。より、悪いです」


武内P「そして……二宮さん」

武内P「神崎さんが退室してからの会話」

武内P「これを……全て、録音させていただきました」


飛鳥「……ははっ」

飛鳥「土下座でもするかい?」

47: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/23(土) 23:39:56.67 ID:nVPl9tZ2o
  ・  ・  ・

蘭子「……す、すみませんでした」

武内P「いえ、誤解が解けて何よりです」

蘭子「よく探したら、ちゃんとありました……」

武内P「はい、良かったです」


飛鳥「下着泥棒なんて、最初から存在しなかったんだ」

飛鳥「ただ、少しばかり下着は出かけていただけ……」

飛鳥「……そうだろう?」ニコッ!


武内P「……良い、笑顔です」


蘭子・飛鳥「……ふふっ!」ニコニコ!


武内P「今後、泥棒が入ることは無いと信じていますが……」


武内P「出かける際は十分に注意してください」





おわり

60: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/24(日) 21:05:43.44 ID:o5Zx5igvo

「ククク……我が闇の祝福を与えし地か!」


 右の手の平、中指と薬指の間からプロデューサーを見る。
 呼び出されたから、何か仕事の話かなって思ってたの。
 プロデューサーって、とっても真面目な人だもん。
 そんな私の予想は、外れてはいなかった。


「いざ! 我らが翼を広げ、彼の地へと羽ばたかん!」


 左の手の平を広げ、プロデューサーへ向ける。
 急な話だったけど……えへへ、嬉しいな♪
 だって、今度のLIVE会場の下見に、一緒に行けるんだもん!
 最近、プロデューサー忙しそうだったから……。


「あ、いえ……今日の話ではなく、ですね」


 プロデューサーが、右手を首筋にやって困った顔をしてる。
 う、ううっ……は、恥ずかしいよ~!
 ちゃんと話を聞かずに、行きましょう、だなんて言っちゃった~!
 えと、こういう時は、


「ふむ……時を司る神、クロノスが我らを阻むか」


 右手を下ろして、今度は前に出していた左手を顔の前へ。
 指の隙間から、プロデューサーを見る。


「我が友よ! 鬨の声が上がるは、いずれの時か!」


 プロデューサー、行くのはどの日ですか?


「そう、ですね……」


 プロデューサーは手帳を出し、カレンダーのページを開いて見せてきた。
 ポーズをやめて、デスクに近づいてそれを見る。
 プロデューサーの指先が示したのは、第二週と第三週の、日曜日。
 確か、この日はまだレッスンの予定も、仕事の予定も無かった……と思う。


「この、どちらかの日は……どうでしょうか?」


 少し遠慮がちな、プロデューサーの声。
 それは多分、その日をお休みにする事も出来るから……ですよね?
 でも、私の答えは決まってますよ!
 だから、そんな遠慮なんてしないでくださいっ。


「アーッハッハッハ! この身に安息は不要! 求めるは、さらなる高みへと登る力!」


 私、今がとっても楽しいんです!
 予め会場の下見をすれば、
ファンの人に喜んで貰えるアイディアが浮かぶかも知れませんし!
 そのためだったら、頑張っちゃいます♪


「……ありがとうございます」


 向けられる、優しい……ほんの微かな笑顔。
 いつか、満面の笑みをさせたいなぁ~……な、なんて!


「そこで……一つ、お願いがあるのですが……」


 はい?

61: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/24(日) 21:48:41.66 ID:o5Zx5igvo
  ・  ・  ・

「目立たない格好?」


 346プロダクションに所属するアイドル専用の女子寮。
 その食堂に集まった皆が、口を揃えて言った。
 予想外だったのか、やっぱり驚いてる。
 私の普段の服装は……目立たない、という言葉から程遠いから。


「戦装束を纏っていては、人の世に紛れる事は叶わない……」


 私の普段の服装は、目立つ。
 せっかくプロデューサーとお出かけだから、バッチリ決めていこうと思ってた。
 でも、それだとファンの人に見られて下見にならないかも知れない、って。
 そう……言われちゃった。


「しかし、我が衣は全て漆黒の魔力を放っている……」


 他にあるのは、学校の制服。
 でも、多分それだと……プロデューサーが捕まっちゃうかも知れない。
 プロデューサーは、知らない人が見たら怖い顔をしてるもん。
 最近は、警察の人に職務質問される事は少なくなってきたらしい……けど。



「――話はわかったにゃ!」



 みくちゃんが、大きな声を出して席を立ち上がった。
 そして、胸に手を当てながら楽しげに笑って、


「みく達で、蘭子チャンをコーディネートするにゃー!」


 そんな言葉を聞いた皆が、おー、と声を上げた。


「そ、それは真か……?」


 そうして貰えると、本当に助かる。
 出来るだけ可愛い格好をして行きたいな、って思うと……やっぱり、
私はいつもの服装を選んじゃうから。


「もっちろんネコミミも!……は、ジョーダンだけど」


 みくちゃんが、私の隣に来て椅子に座った。
 そして、ため息をつき、肩をすくめながら、


「前、Pチャンと出かけた時は制服で……二回捕まったの」


 なんて、冗談みたいな思い出話を語りだした。
 うわぁ……やっぱり、勇気を出して皆に相談して良かった~!
 せっかく、私のためにプロデューサーが誘ってくれたんだもん。
 それなのに、悲しい思いをさせたくないもんね!


「フフッ! ランコは、アー、着せ替え人形、ですね?」


 アーニャちゃんが、両手をポンと合わせて言った。
 そして、あれよあれよと……私が、ボクが、うちが、アタシが、って、
誰が一番私を可愛く出来るか勝負だ、なんて事に。


「ふ、フヒ……キノコは何にでも合うぞ……」


 ……そ、それはちょっと遠慮させて~!?

62: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/24(日) 22:40:26.58 ID:o5Zx5igvo
  ・  ・  ・

「ううっ……! 結界が……!」


 女子寮の前に、車が停まっている。
 約束の時間まではもう少しあるけど、
それよりも早くプロデューサーが来ているのはわかっていた。
 なのに、私の足は一向に女子寮の外へ出ようとしてくれない。


「心配ない、です! ランコ、とっても可愛い♪」


 アーニャちゃんが、ニコニコと笑いかけてくる。
 今日の服は、ほとんどアーニャちゃんに借りた物だった。
 それが一番……ううん、二番目に似合うって皆が言ったから。
 シンプルだけど、女の子らしい……普通の服装。


「フフーン! まあ、ボクの次位にはカワイイと思いますよ!」


 幸子ちゃんが、そうやって勇気づけてくれる。


「そうやねぇ、髪に櫛を入れたうちも安心して送り出せるわぁ」


 紗枝さんが、これは……は、早く行けって意味……!?


「やっぱり、胸にクマさんのシャツに着替える?」


 美穂ちゃん、あのシャツは、その……ごめんなさい。


「クッ……! 降臨せし時は、今ではない……!」


 皆が応援してくれるけど、踏み出せない。
 今日は二つにくくっていない髪が、サラリと揺れた。
 被った帽子と、いつの間にか置かれていた伊達眼鏡。
 準備は万端……だけど、



「で……デートの時間が減っちゃうよ……?」



 小梅ちゃんが言った――デート、という言葉。
 其の言の葉が降魔の剣と化し我が翼を此の地へと縫い付ける。
 羽ばたきは意味を為さず、只、乙女達の園の門を打ち鳴らす。
 嗚呼! 嗚呼、我が友よ! 汝は、今、何を想うのか!


「――蘭子ちゃん!」
「ぴっ!?」


 私を呼ぶ声で、正気に戻る。
 うぅ……ビックリして、変な声が出ちゃったよ~!
 恐る恐る、後ろを振り返る。
 きっと皆、モタモタしてる私に怒ってるよね……?


「せーのっ――」


 ……なんて、私の考えは……全然当たって無くて、



「――闇に飲まれよ!」



 笑顔の力で、背中を押された。

64: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/24(日) 23:17:44.05 ID:o5Zx5igvo
  ・  ・  ・

「……」


 車の助手席に座りながら、横目でプロデューサーを見る。
 今日のこの格好の感想は……聞いてない。
 言おうとしてくれてたんだけど、私が喋り続けて……そのまま。
 だ、だって! は、ははは、恥ずかしいっちゃもん!


「……あの」


 プロデューサーの、低い声。


「はいっ!?」


 私の、裏返った高い声。


「その服は……神崎さんの物ですか?」


 聞かれて、私はポツリポツリと話し始めた。
 目立たない格好と言われて、少し困ってしまった事。
 そして、寮の皆に相談して、コーディネートを手伝ってもらった事。
 プロデューサーは、それを時折合いの手を挟みながら、静かに聞いてくれた。


「……成る程、それで」


 プロデューサーは、何に納得したのかわからないけど……頷いた。
 続く言葉が、どんなものなのかは……わからない。
 でも、私は心のどこかで、普段通りの私の服装の方が似合うと言って欲しかった。
 だって、あれが――我が身を包むに相応しい衣だから。


「とても、よく似合っていると思います」


 私は、少しだけ俯き、



「……仲間達の力を一つに集めた、友情の衣」



 すぐに、ハッと顔を上げた。


「……で、合っているでしょうか?」


 答えは、決まってます!


「そう! この姿は――乙女達により導かれし、覚醒した姿!」


 どちらの方が、じゃなく……どっちも似合う、で良い!


「人々の目を欺き! 使命を果たさんとする我を……しかと目に焼き付けよ!」




 結局、プロデューサーは職務質問を受ける事になった。
 人々の目を欺くための衣が、よもや我が魔力を高める事になろうとは……!
 でも、プロデューサーとのデー……下見!
 下見は楽しく……じゃなくて! ちゃんと出来たから、良いの!



おわり

69: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/25(月) 12:19:33.74 ID:DXLCpSvUo
書きます


武内P「お嫁さんにしたい有名人アワード」

70: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/25(月) 12:21:20.67 ID:DXLCpSvUo
卯月・美穂「アイドル部門……グランプリ」

武内P「五十嵐さんが選ばれた賞……ですね」

卯月・美穂「……」

武内P「あの……それが、何か?」


卯月・美穂「どうしてですか?」


武内P「……」

武内P「えっ?」

71: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/25(月) 12:24:57.03 ID:DXLCpSvUo
武内P「どうして、とは?」

卯月「プロデューサーさん、わからないんです」

武内P「? 何がですか?」

美穂「勿論、響子ちゃんが選ばれるのはわかるんです」

武内P「はい」


卯月・美穂「私達は?」

卯月「17歳で、もう結婚できる歳なのに……」

美穂「選ばれなかった私達は、どうすれば良いんですか?」


武内P「……あの」

武内P「どう……と、言われましても」

72: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/25(月) 12:28:31.85 ID:DXLCpSvUo
卯月「頑張りが足りなかったんでしょうか?」

武内P「い、いえ! そんな事は……」

美穂「それじゃあ、どうしてなんですか?」

武内P「それは……すみません、わかりません」


卯月「結婚したいアイドル、グランプリの響子ちゃん」

美穂「ファンの人も、私達を応援しながら――」

卯月・美穂「――結婚するなら響子ちゃんなんだけどね」

卯月・美穂「って、思ってるって事ですよね!?」


武内P「そ、それは……どうでしょうか」

73: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/25(月) 12:31:32.92 ID:DXLCpSvUo
卯月「プロデューサーさんから見て、私達はどうですか!?」

武内P「その……どう、とは?」

美穂「響子ちゃんよりも、結婚したくないアイドルですか!?」

武内P「あの……表現が、刺々しすぎませんか?」


武内P「私はプロデューサーで、貴女達はアイドルですので……」

武内P「そういった事は、考えもしていなかったと言うのが……はい」


卯月・美穂「じゃあ、考えてください!」


武内P「……えっ!?」

74: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/25(月) 12:39:12.35 ID:DXLCpSvUo
武内P「か、考えろとは……その……」


卯月「何を頑張れば良いんですか?」

卯月「お嫁さんにしたいと思って貰えるには……」

卯月「何を頑張れば、キラキラ輝けるんですか!?」

美穂「もう……もう、限界なんです!」

美穂「年上のお姉さんなのに、差が! 格差が!」

美穂「……上手く笑顔が出来なくなってきてるんです!」


卯月・美穂「お願いします! プロデューサーさん!」


武内P「島村さん、小日向さん……」

武内P「……」

武内P「わかりました」


武内P「私なりにですが、色々と考えてみます」

75: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/25(月) 12:43:45.70 ID:DXLCpSvUo
  ・  ・  ・

武内P「……あれから、一週間」

武内P「お二人とも、何か変わったことはありますか?」


卯月・美穂「……」フルフル…


武内P「そうですか」

武内P「……この一週間、独自の調査を進めてきました」


武内P「――何故、五十嵐さんがお嫁さんにしたいアイドルなのか」


武内P「これからお見せする映像が、何かの参考になれば幸いです」

卯月・美穂「……」

武内P「それでは、始めます」

76: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/25(月) 12:53:02.42 ID:DXLCpSvUo
  ・  ・  ・

武内P『すみません、簡単なアンケートを取っているのですが……』

武内P『お時間がありましたら、お付き合い頂けますか?』


■■『アンケート? 別に良いわよ!』


武内P『ありがとうございます』

武内P『それでは――ハンバーグ、と言えば?』


■■『ハンバーグぅ?』

■■『そうねぇ……どうせなら、焼き肉の方が良いわね!』

■■『軽く炙った位のハラミで、ビールをグイッと!』

■■『焼き肉に比べたら、ハンバーグなんて軽犯罪みたいなものね!』

77: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/25(月) 12:57:26.98 ID:DXLCpSvUo
  ・  ・  ・

卯月「あの……今の」

武内P「プライバシー保護のため、映像と音声を加工しています」

美穂「軽犯罪、って言ってましたけど……」

武内P「それは、お気になさらず」

卯月・美穂「……」


武内P「それでは、お二人にお聞きします」

武内P「――ハンバーグ、と言えば?」


卯月「え、えっ……で、デミグラスソース……ですか?」

美穂「えと、えっと……わ、和風おろし! 大葉も!」


武内P「……それでは、別の映像を御覧ください」

78: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/25(月) 13:00:55.33 ID:DXLCpSvUo
  ・  ・  ・

武内P『すみません、簡単なアンケートを取っているのですが……』

武内P『お時間がありましたら、お付き合い頂けますか?』


響子『アンケートですか? はいっ、私で良ければ!』


武内P『ありがとうございます』

武内P『それでは――ハンバーグ、と言えば?』


響子『ハンバーグ?』

響子『う~ん、そうですねぇ……』

響子『――ソースとケチャップ』

響子『ハンバーグを焼いた後のフライパンで絡めて……』

響子『……えへへ、あのソース美味しいですよね♪』

80: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/25(月) 13:05:37.94 ID:DXLCpSvUo
  ・  ・  ・

武内P「……おわかり頂けましたか?」


卯月・美穂「……!」


武内P「その表情を見るに、お気づきのようですね」

武内P「まず、最初の映像の方に関してですが……」

武内P「……これは、コメントの必要は無いと思います」


卯月・美穂「……まあ、はい」


武内P「……そして、お二人と五十嵐さんの回答」

武内P「全員が、ソースに関する答えだったのは、流石です」

武内P「しかし……その内容に、違いがありましたね?」


卯月・美穂「……はい」

81: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/25(月) 13:11:34.01 ID:DXLCpSvUo
美穂「卯月ちゃんの答え――デミグラスソース」

美穂「これは……外食をイメージさせますよね」

美穂「漂ってくる――良い所のお嬢さん感」

美穂「お嫁さんにしたい、と言うより……」

美穂「あー、お金持ちのご家庭なんですねー、って思いました」


卯月「美穂ちゃんの答え――和風おろし」

卯月「これは……通ぶってる感じがしました」

卯月「確かに、美味しいんですけど……大葉も、って」

卯月「お嫁さんにしたい、と言うより……」

卯月「えー、ちょっとおじさんみたいだなー、って思いました」


卯月・美穂「……」


武内P「お二人とも、ここで争うのはやめましょう」

82: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/25(月) 13:18:19.20 ID:DXLCpSvUo
武内P「五十嵐さんの回答については、どう思いましたか?」


卯月・美穂「……家庭的」


武内P「はい、そう思われる方が多いと思います」

武内P「ソースとケチャップを合わせたもの……」

武内P「……これは、ミラクルレシピでも何でもありません」


卯月・美穂「……はい」


武内P「ただ……ご飯のおかわりはあるから、安心してね」

武内P「……付け合せのニンジンもちゃんと食べなさい」

武内P「そんな声が聞こえてくるような答えです」


卯月・美穂「……」


武内P「……それでは、次の映像を流します」

83: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/25(月) 13:24:54.73 ID:DXLCpSvUo
  ・  ・  ・

武内P『すみません、簡単なアンケートを取っているのですが……』

武内P『お時間がありましたら、お付き合い頂けますか?』


□□『アンケート? 構わないわ』


武内P『ありがとうございます』

武内P『それでは――ラーメン、と言えば?』


□□『ラーメン?』

□□『そうねぇ……炭水化物は、あまり取りたくないわ』

□□『塩分も油分も多いし、美容にはあまり良いものじゃないしね』

□□『だけど、この場合は味を聞いてるのよね? わかるわ』

□□『ラーメンと言えば、やっぱり醤油じゃない?』

85: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/25(月) 13:28:37.94 ID:DXLCpSvUo
  ・  ・  ・

美穂「あの……今の」

武内P「プライバシー保護のため、映像と音声を加工しています」

卯月「わかるわ、って言ってましたけど……」

武内P「それは、お気になさらず」

卯月・美穂「……」


武内P「それでは、お二人にお聞きします」

武内P「――ラーメン、と言えば?」


卯月「……醤油! あっさりした、醤油味です!」

美穂「……ううぅ、豚骨です! 自分に嘘はつけません! 豚骨です!」


武内P「……それでは、別の映像を御覧ください」

88: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/25(月) 13:33:09.68 ID:DXLCpSvUo
  ・  ・  ・

武内P『それでは……続いての質問です』


響子『はいっ、何でも聞いてください』


武内P『ありがとうございます』

武内P『それでは――ラーメン、と言えば?』


響子『ラーメン?』

響子『う~ん、そうですねぇ……』

響子『――サッポロ一番』

響子『お昼ご飯に、たまにラーメン食べたくなりますよね♪』

響子『そういう時に、ネギを刻んで、あればハムものせて……』

89: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/25(月) 13:38:32.97 ID:DXLCpSvUo
  ・  ・  ・

武内P「……おわかり頂けましたか?」


卯月・美穂「ずるくないですか!?」


武内P「いえ、そんな事はありません」

武内P「あれは、彼女が……五十嵐さん自身が導き出した答え」

武内P「……普通の方は、味を答えるでしょう」

武内P「しかし、答えは――サッポロ一番だった」


卯月・美穂「……!」


武内P「……笑顔です」

90: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/25(月) 13:47:17.63 ID:DXLCpSvUo
卯月「やっぱり、普通じゃ駄目なんですか……?」

卯月「あっさりした醤油味が好きなんです……」

卯月「普通が一番だ、って……思ったんです……!」


美穂「私の言った豚骨は、九州の豚骨味なんです♪」

美穂「豚の頭を丸ごと煮込んだ、獣臭~いドロドロのスープですよ♪」

美穂「すりごまだけじゃなく、ピーナッツも入ってます♪」

美穂「それが香ばしくて、お店の近くに行くだけでもう匂いが……えへへ♪」


卯月「美穂ちゃん、頑張って!」


美穂「……卯月ちゃん?」

美穂「――はっ!?……うちらアイドルやぞ! 小日向美穂だぞ!」

美穂「いいのか! いいのか! そんなことでいいのか!」


卯月「美穂ちゃん……!」


武内P「……」

91: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/25(月) 13:55:43.99 ID:DXLCpSvUo
武内P「しかし……もう、おわかりになりましたね?」


卯月・美穂「……はい」コクリ


武内P「五十嵐さんの回答は、あまりに家庭的すぎます」

武内P「勿論、外食を否定するつもりはありません」

武内P「しかし……家の食卓」

武内P「それが、結婚したら充実したものになるだろう」

武内P「気取らず、安らげる家庭を築けるだろう」

武内P「五十嵐さんは……そう、思わせてくれます」


卯月・美穂「……」


武内P「掃除、洗濯などの家事も趣味と公言していますし……」

武内P「……彼女の年齢を考えると、家庭的すぎとは思いますが」

92: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/25(月) 14:03:42.41 ID:DXLCpSvUo
卯月「私……決めました!」

卯月「お家でも、ママのお手伝い……いえ!」

卯月「家事も、ちゃんと分担してやるようにします!」


武内P「それは……とても、いい心がけだと思います」

武内P「家事をする時に、手伝う、という感覚ではなく」

武内P「生活をしていく上でやるべきだ、と考えるのは、大事なことです」


美穂「私は……お掃除をします!」

美穂「部屋だけじゃなく、女子寮の共有スペースも、出来るだけ!」

美穂「後は、変なものを見つけたら……持ち主の机の上に置けば良いですか?」


武内P「待ってください」

武内P「それは、家庭的さのベクトルが違います」

93: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/25(月) 14:07:49.16 ID:DXLCpSvUo
コンコン


武内P「? はい、どうぞ」

卯月・美穂「……?」


ガチャッ!

楓「――失礼します」


卯月・美穂「楓さん」

卯月・美穂「おはようございます!」


楓「はい、おはようございます」


武内P「おはよう、ございます」

武内P「あの……何か、御用でしょうか?」

94: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/25(月) 14:15:24.13 ID:DXLCpSvUo
楓「食べ物に関しての、アンケートをとっていると聞いて……」

楓「それで、お仕事の前に寄って行こうと思ったんです」


武内P「は、はあ……」


楓「私は、好き嫌いはありません」

楓「けれど、そうですね……」

楓「――今日は、お魚」

楓「そんな気分です」


武内P「……高垣さん、すみません」

武内P「仰っている意味が、よく……」


楓「……?」パチクリ


一同「……」

95: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/25(月) 14:24:46.38 ID:DXLCpSvUo
  ・  ・  ・

響子「……あれ?」


武内P「……」ズーン…


響子「あの、どうかしたんですか?」

響子「なんだか、元気が無いように見えますけど……?」


武内P「……五十嵐さん」

武内P「いえ……食べ物に関するアンケート、と言いますか……」

武内P「――今晩のリクエストを聞いている」

武内P「……と、勘違いされてしまって」


響子「今晩のリクエスト?」

響子「う~ん……何でもいい、じゃなかったら良いと思います!」

響子「何でもいい、が一番困りますから!」


武内P「……ええ、そうですね」

96: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/25(月) 14:36:33.53 ID:DXLCpSvUo
武内P「ちなみに、リクエストはお魚なのですが……」

響子「お魚ですか? この時期なら……ハタハタ、とか?」

武内P「ハタハタ、ですか」

響子「はいっ♪ 煮付けにすると美味しいですし……お酒も進むそうです♪」

武内P「……そう、ですか」


響子「――あ、もしかして飲み会なんですか?」


武内P「…………はい、そうです」


響子「だったら、飲み過ぎには注意してくださいね!」

響子「日が長くなったとは言え、夜はまだ寒いですし……」

響子「ちゃんと、温かい格好をして行かないと駄目ですよ?」


武内P「……」

武内P「五十嵐さんは……本当に、良いお嫁さんになりそうですね」


響子「へあっ!?///」




おわり

99: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/25(月) 16:31:19.47 ID:PQaoHVQCo
女性Pの話も読んでみたいですね(オカマではなく)

109: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/26(火) 21:48:29.79 ID:vxfIq2Mxo
>>99
んでは女性Pっぽいと言われてたのを


炎陣P「あー……吐きそ」

110: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/26(火) 21:53:39.41 ID:vxfIq2Mxo
夏樹「おいおい、大丈夫か?」

炎陣P「ちょっち今日は厳しいわー……」

里奈「ボスPちゃん、昨日も飲み過ぎー?」

炎陣P「そうでもないと思ったんだけどねー……」

涼「シャキッとしてくれよ、プロデューサーサン」

炎陣P「あー……」


炎陣P「拓海が今度の衣装でフリフリ着てくれたら頑張れるわー……」


拓海「意味がわかんねぇぞコラァ!?」

111: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/26(火) 21:56:56.03 ID:vxfIq2Mxo
夏樹「だとさ、拓海?」

拓海「着ねえっつってんだろ!?」

炎陣P「うぷっ!?」

里奈「まぢヤバ!?  リバっちゃう系!?」

涼「ここで吐かないでくれよ!?」

炎陣P「う……おえっ……」


炎陣P「ピンクの……フリフリ……!」


拓海「馬鹿言ってねぇで、さっさとトイレ行って来いや!」

112: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/26(火) 22:02:50.49 ID:vxfIq2Mxo
  ・  ・  ・

炎陣P「……あー、きっつい」

夏樹「そんなんで仕事になるのかい?」

炎陣P「美少年のカレシが欲しいわー……中学生くらいの」

里奈「ボスPちゃん!? その発言はまぢでヤバいって!」

涼「……今日は仕事になりそうにないな」

炎陣P「しょーがないでしょー……ストレス溜まるんだって」


炎陣P「拓海ちゃーん……水買ってきてー……」

炎陣P「フリフリじゃなく、フリッ位にしとくからさー……」


拓海「おおっ、マジか! 二言はねぇな!?」

拓海「……」

拓海「いや、オイ! アタシをパシる気か!?」

113: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/26(火) 22:08:18.62 ID:vxfIq2Mxo
   ・  ・  ・

炎陣P「……プハーッ!」

炎陣P「うん、だーいぶマシになった!」

夏樹「強くないのに、そんなに飲むからだぞ?」

炎陣P「まあ、わかってるんだけどねー……」


炎陣P「お酒の席って、結構大切なのよ?」

炎陣P「特に、アンタ達の担当してるとね」


四人「……」


炎陣P「まあ、ビールはどの時期に飲んでも美味しいけどねん♪」


四人「……おいおい」

114: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/26(火) 22:15:58.21 ID:vxfIq2Mxo
炎陣P「ホラホラ、レッスン行って来なさい」

炎陣P「お仕事お仕事!」


夏樹「まあ、ここで話してても仕方ないしな」

里奈「行ってくるねー♪ オミヤゲは何が良い?」


炎陣P「315プロのピエールきゅんが良いな」


涼「はぁ……目がちょっと本気なんだよな」

拓海「戻ってもまだ腑抜けてるようなら、気合入れっからな!?」


炎陣P「はいはーい」


ガチャッ、バタンッ!


炎陣P「あー……学生の頃より弱くなったなー……」

115: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/26(火) 22:20:51.15 ID:vxfIq2Mxo
  ・  ・  ・

ガチャッ

亜季「おはようございます……」


炎陣P「おはよー……って、元気ないわね」

炎陣P「いつもの元気はどこ行ったの?」


亜季「いえ……私も、昨日は飲みすぎたであります」

亜季「プロデューサー殿は、大丈夫でありますか?」


炎陣P「まあねー」

炎陣P「……顔がちょっちむくんでる位?」


亜季「……あはは」

116: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/26(火) 22:25:35.09 ID:vxfIq2Mxo
炎陣P「だから言ったでしょー?」

炎陣P「あんな飲み会、付いて来るものじゃない、って」


亜季「いえ……自分は、仮にも年長者でありますから」

亜季「プロデューサー殿のお手伝いが少しでも出来るようになれば、と」

亜季「……結果は……逆に、気を遣わせてしまって」

亜季「――申し訳ありませんでした!」バッ!


炎陣P「良いの良いの、気にしないで」

炎陣P「アイドルを守るのは、プロデューサーの役目だからね」

炎陣P「ん? サーじゃなくて、プロデューマム?」


亜季「あ、いや……プロデューサーで問題ないかと」

117: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/26(火) 22:30:42.40 ID:vxfIq2Mxo
亜季「しかし……その……」


炎陣P「プロデュース方針に関して色々言われてたんだ、って?」


亜季「……はい」

亜季「私達が、今のように……自分らしく、アイドル活動が出来る」

亜季「それは――」


炎陣P「――それは、亜季達自身の力」

炎陣P「私がやってるのなんて、ちょっと道を整備してるだけよ」

炎陣P「だから、ちゃーんと自信を持ちなさい」


亜季「……はい!」

118: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/26(火) 22:34:44.64 ID:vxfIq2Mxo
炎陣P「大体、男共は自分の欲望に忠実すぎるのよ」

亜季「は、はあ……」


炎陣P「――スタイルが良いんだからグラビアの仕事を増やせ」

炎陣P「とか!」

炎陣P「――もっと一般受けするように指導していけ」

炎陣P「とか!」


亜季「……」


炎陣P「……ゴメン、愚痴った」


亜季「い、いえ! お気になさらないでください!」

119: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/26(火) 22:40:07.24 ID:vxfIq2Mxo
亜季「しかし……」

炎陣P「ん? 何ー?」

亜季「その言葉にも……一理あるかと」

炎陣P「……まあねー」


炎陣P「やっぱり、仕事だから」

炎陣P「売れるように……っていうのは当たり前の事」

炎陣P「確かに、言われた通りにすればお金は手に入る可能性は高い」


亜季「……」


炎陣P「でも、それじゃつまらないでしょ?」


亜季「つ、つまらない……で、ありますか?」

120: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/26(火) 22:45:13.79 ID:vxfIq2Mxo
炎陣P「スタイルが良くて、いっぱい愛想を振りまいて」

炎陣P「……別に、そういうアイドルを否定する訳じゃないのよ?」

炎陣P「私、どちらかと言うとそういう子好きだし」

炎陣P「キューンと来て、抱きしめちゃいたくなるのよねー」


亜季「……ならば、何故?」

亜季「どうして、つまらないと思うのですか?」


炎陣P「んー……」

炎陣P「別に、アンタ達がそれをやる必要は無いから、かな?」


亜季「……はい?」

121: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/26(火) 22:51:13.99 ID:vxfIq2Mxo
炎陣P「何て言えば良いのかしら……」

炎陣P「んー、ポエムくんなら、詩的に表現するんだろうけど……」

亜季「ポエムくん?」

炎陣P「そう、ポエムくん」

亜季「……ああ、あの人でありますか」


炎陣P「あー……階段を登る、って言うでしょ?」

炎陣P「アイドルとして、成長したり、ファンが増えたり、活動の幅が広がる事を」

炎陣P「亜季が仲良くしてる、楓ちゃんとか言ってるの聞いたこと無い?」


亜季「ありますな」

122: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/26(火) 22:55:34.32 ID:vxfIq2Mxo
炎陣P「じゃあ、階段を登るのが、正しい事だとします」

炎陣P「それってつまり、上に行く、って事でしょ?」

亜季「そう……で、ありますな」

炎陣P「そこで一つ、疑問が生まれるのよ」


炎陣P「――上に行くためには、階段しか無いのかな?」

炎陣P「って」

炎陣P「――他にも、色々手段があるんじゃないかな?」

炎陣P「ってね」


亜季「……な、成る程?」

123: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/26(火) 23:01:16.07 ID:vxfIq2Mxo
炎陣P「んー、難しい?」

亜季「しょ、少々……難解であります」

炎陣P「じゃあ、こう例えましょっか」

亜季「……」


炎陣P「今から、北海道に行くとするわよね」

炎陣P「色々、ルートが考えられない?」


亜季「そう……でありますな」

亜季「空路、陸路、海路……それも、無数のルートがあります」

亜季「……ああ!」


炎陣P「そゆこと♪」

124: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/26(火) 23:10:19.25 ID:vxfIq2Mxo
炎陣P「テッペン取る、だっけ?」

亜季「はい、拓海が言っていたであります」

炎陣P「面白い事言う子よねー」


炎陣P「――要は、トップアイドルになれば良いの」

炎陣P「舗装された階段を登るのは、一番楽」

炎陣P「……でも、アンタ達は違うでしょ?」


亜季「……そうですなぁ」

亜季「私達は、階段を登るよりも……」

亜季「……獣道を行軍する方が向いていると思われます!」ニカッ!


炎陣P「女子力低い発言よねぇ……」

125: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/26(火) 23:18:54.98 ID:vxfIq2Mxo
炎陣P「だけど、そこはホラ……私も会社人だし?」

炎陣P「上手くやっていく必要があるってわけ」

亜季「いや……あの戦闘での立ち回り、見事でありました」

炎陣P「ナイスバディで、悩殺しちゃうわよん♪」クネッ!


炎陣P「……とまあ、そんな感じかなー」

炎陣P「すぐに売れたい、って言うなら方針を変えるわよ?」

炎陣P「もう、こーんな面積の小さい水着来ちゃってさー?」


亜季「そ、それは遠慮したいであります……!」


炎陣P「あはは!」

126: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/26(火) 23:24:59.33 ID:vxfIq2Mxo
炎陣P「今回は、どうしても亜季が付いて来るって言ったから……」

炎陣P「だから、一緒に来て貰ったわけなんだけど」

亜季「はい」

炎陣P「……悪いわね」


炎陣P「アンタ、ああいう席はしばらく待機」


亜季「ど、どうしてでありますか!?」


炎陣P「はわはわしちゃって、使い物にならないからよ」

炎陣P「やっぱり、まだまだ子供よねー」


亜季「……む、無念!」

127: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/26(火) 23:33:18.52 ID:vxfIq2Mxo
炎陣P「……さて! そろそろ仕事しますかー!」

亜季「あの……一つ、お聞きしても?」

炎陣P「ん? 何ー?」

亜季「自分らしくアイドル活動出来るのは、自身の力ならば……」


亜季「……その」

亜季「たまに――妙に可愛らしい系の衣装や」

亜季「かなりキワドイ衣装があるのは、どうしてでありましょうか?」


炎陣P「自分でも気付いてない魅力を引き出す……これも仕事」

炎陣P「それに、持ってるカードを一切使わない……これは怠慢」

炎陣P「あとは、私の趣味って所かな?」


亜季「……最後のは、聞きたくありませんでしたなぁ」

128: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/26(火) 23:39:52.81 ID:vxfIq2Mxo
炎陣P「あ、この話はオフレコね」

亜季「……了解であります」

炎陣P「ん? 妙に素直ね?」

亜季「何か、考えがあるでしょうから」

炎陣P「ま、ねー」


炎陣P「変に気を遣われるとさー、疲れるじゃない?」

炎陣P「私、疲れるの嫌なのよねー」

炎陣P「一週間位休み取って、ハワイにでも行きたいわー」


亜季「……ふふっ」

亜季「そういう事にしておくでありますよ」

129: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/26(火) 23:59:21.73 ID:vxfIq2Mxo
亜季「それでは、私は帰投するであります」

亜季「本日は休暇でしたが、顔を見に来ただけなので」

炎陣P「えー、ずるーい」

亜季「ずるくはありません」


炎陣P「あ、良いこと思いついた」

炎陣P「ハワイでのグラビア撮影の仕事を入れたら……」

炎陣P「……会社の経費でハワイに行けるんじゃない?」


亜季「……」

亜季「さっきまでの話は、どこへ行ったでありますか!?」


炎陣P「良いじゃない、セクシーな水着!」

炎陣P「ハワイで、サービスサービスぅ♪」


亜季「背中から撃たれた気分でありますよ!」




おわり

135: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/27(水) 21:25:17.38 ID:kaHyzSm/o
書きます


武内P「中の人、ですか」

136: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/27(水) 21:29:55.16 ID:kaHyzSm/o
未央「そう! カレーメシくんの!」

武内P「それが、気になって仕方がない……と」

未央「そう! 教えてよ、プロデューサー!」

武内P「……何か、あったのですか?」

未央「そう! あったの! ありまくっちゃったんだよ!」

武内P「……成る程」


未央「今日、お昼に話しててさ――」

137: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/27(水) 21:33:11.54 ID:kaHyzSm/o
  ・  ・  ・

茜「いただきまーす!!」

未央「おっ、今日はあかねちんはカレー?」

茜「はい! カレーとごはんの組み合わせは最高ですから!」

藍子「ふふっ、確かに美味しいよね♪」

未央「……あ、そういえばさ」


未央「カレーメシくんの中の人って、どんな人なんだろうね?」


茜・藍子「……えっ?」

…カランッ!


未央「……」

未央「えっ?」

138: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/27(水) 21:36:34.00 ID:kaHyzSm/o
未央「あれ? そんなに変なこと言った?」

茜・藍子「……!」


未央「あかねちん? スプーン、落としたよ?」


茜「はいっ!? は、はは、はい! はい! 落としましたね!」ワタワタ!

ひょいっ…カランッ!

茜「あっ、あわっ!? わっ!?」モタモタ!

グッ!

茜「ひ、拾いました! はい! 無事、拾えましたよ! スプーン!!」アワアワ!


未央「……いや、ちょっとちょっと?」

未央「なんか、様子が変だよ?」


茜・藍子「……!」

139: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/27(水) 21:40:45.55 ID:kaHyzSm/o
未央「ねえ、あーちゃんもそう思うよね?」

藍子「ふわっ!?」ビクッ!


未央「あーちゃん? 砂糖、どれだけ入れるの?」


藍子「さ、砂糖? えー、えっと……んー、んふふっ♪」ユルユル!

パサッ…パサッ…

藍子「何の話だっけ? えっと、んー? 何だっけ?」フワフワ!

パサッ…パサッ…

藍子「あっ、砂糖ね、うん♪ どれだけかなぁ~♪」ユルフワ!


未央「……いや、ちょっとちょっと?」

未央「明らかに、様子が変だよ?」


茜・藍子「……!」

141: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/27(水) 21:45:33.66 ID:kaHyzSm/o
未央「どうしたの? ねえ、二人共!」

茜「えっ!!? どうもしませんよ!!?」ワタワタ!

未央「明らかにおかしいじゃん!」

藍子「うふふっ♪ そうかなぁ~? どうかなぁ~?」ユルフワ!

未央「……」


未央「――カレーメシくんの、中の人」


茜・藍子「っ!?」ビクッ!


未央「いやー! あっははは!」

未央「……何か、まずいの?」

未央「カレーメシくんの中の人に関する事って」


茜・藍子「っ……!」

142: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/27(水) 21:48:41.05 ID:kaHyzSm/o
未央「ねえ、あかねちん」

茜「べ、別のスプーンを取ってこないと!」フイッ!

未央「ねえ、あーちゃん」

藍子「き、今日はいいお天気だよね♪」フイッ!

未央「……」


未央「これから、尋問を開始します」


茜・藍子「……」

茜・藍子「!?」

143: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/27(水) 21:53:20.79 ID:kaHyzSm/o
未央「あっか~ねちんっ♪」ニコッ!

茜「!? ぼっ、ボッンーバー!!」ニゴォッ!

未央「知って~るの~?♪」ニコッ!

茜「!? なっ、な~に~を~!!?」ニゴォッ!


未央「――カレーメシくんの、中の人」


茜「知って……」


未央「知って?」


茜「し、知って……し……! し……!」オロオロ!

144: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/27(水) 21:57:03.11 ID:kaHyzSm/o
未央「ん? し……何?」

茜「し……しぃっ……しー……!」ワタワタ!

未央「んー? んん~?」


茜「しー……しーろごはん!! しーろごはん!!」ヨイ!

茜「ごーはんごはん!! しーろごはん!!」ヨイ!


未央「いや、ちょっと……あかねちん?」


茜「ほかほかごはん!! しーろごはん!!」ヨヨイのヨイ!


未央「……」

未央「あーちゃん?」チラッ


藍子「っ!?」ビクッ!

145: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/27(水) 21:59:43.13 ID:kaHyzSm/o
未央「あっあ~ちゃん♪」ニコッ!

藍子「は、は~あ~い~♪」ニゴォッ!

未央「教え~てよ~♪」ニコッ!

藍子「なっ、な~に~を~?」ニゴォッ!


未央「――隠してること、全部」


藍子「……全部?」


未央「全部」


藍子「いや、でも……その……!」オロオロ!

146: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/27(水) 22:05:51.83 ID:kaHyzSm/o
未央「二人共、中の人のこと知ってるんだよね?」

藍子「え、えっと……その、だから……!」オロオロ!

未央「教えてよ。隠さないでさ」


藍子「……ふふっ」

藍子「もう……隠しきれそうにないね」


未央「やっぱり……何か、あるんだね」


藍子「でも、ちょっと待って」

藍子「話すと長くなるから、一息入れてからで……ね?」


未央「……まあ、その位なら」


茜「おいしいごはん!! しーろごはん!!」ヨヨイのヨイ!

147: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/27(水) 22:09:31.37 ID:kaHyzSm/o
  ・  ・  ・

未央「――って感じで、ゆるふわしてる間に誤魔化されちゃって!」

武内P「……そうでしたか」

未央「ねえ! プロデューサーは知ってるんでしょ!?」

武内P「……本田さん」


武内P「――カレーメシくんの、中の人」

武内P「それを知るのは、重要なことでしょうか?」


未央「二人のリアクションを考えると重要っぽいじゃん!」

未央「そうじゃなかったら、あんなに慌てなくない!?」


武内P「……そうですね」

148: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/27(水) 22:17:26.03 ID:kaHyzSm/o
武内P「本田さん、アイドル活動は楽しいですか?」

未央「……いや、どしたの急に」

武内P「……」

未央「うん……まあ、楽しいよ。充実してるって感じ」


武内P「それは……良かったです」

武内P「本田さん」

武内P「これからも――宜しくお願いします」ペコリ!


未央「あっ、うん」

未央「こちらこそ――よろしくね、プロデューサー!」ニコッ!


武内P「……良い、笑顔です」

149: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/27(水) 22:22:38.80 ID:kaHyzSm/o
未央「――って、違うよね!?」

未央「なんか良い雰囲気を出して誤魔化さないで!」

武内P「っ!?」ビクッ!

未央「ねえ、カレーメシくんの中の人って、何者なの!?」

武内P「そ、それは……その……!」


未央「……」

未央「もしかして……私の知ってる人?」


武内P「………………ます」…ボソボソッ


未央「声ちっさい!」

未央「えっ!? 知ってる人なの!?」

150: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/27(水) 22:28:06.38 ID:kaHyzSm/o
未央「もしかして、上田しゃん!?」

ズイッ!

武内P「あ、あの……! 本田さん……!」

未央「それとも、別の人!?」

ズズイッ!

武内P「あの……か、顔が近いので、その……!」

未央「っ!?///」

…バッ!


未央「ご、ごめん……!///」


武内P「い、いえ……お気にならず」


未央「……じゃなくって! 誰なのさ!?」

ズズズイッ!

武内P「っ……!?」

151: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/27(水) 22:35:04.82 ID:kaHyzSm/o
未央「あかねちんとあーちゃんは知ってるんだよね!?」

武内P「そ、それは……!」

未央「何で!? 何で、私だけ知らないの!?」

武内P「え……笑顔です」

未央「今、笑顔は関係ないよね!?」

武内P「で……では、二択は……どうでしょうか?」

未央「! 良いよ! うん、二択ならオッケー!」


武内P「A……上田さん」


未央「はい!」


武内P「B……その他」


未央「B! この感じは、B!」

未央「……」

未央「二択だけど! 二択だけどさぁ!?」

152: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/27(水) 22:43:33.31 ID:kaHyzSm/o
未央「プロデューサー、教える気無いでしょ!?」

武内P「……本田さん」キリッ!

未央「何、急にキリッとして」

武内P「……」


武内P「私は、貴女に嘘はつきたくありません」

武内P「なので……もう、許して頂けませんか?」


未央「……」

未央「えっ、そんなに言えない感じ?」

153: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/27(水) 22:53:33.72 ID:kaHyzSm/o
未央「いや……そこまでなら、良いけど」

武内P「しかし――本田さんに、覚悟がおありでしたら」

未央「あーいや、もう良いって」

武内P「……カレーメシくんの中の人をどうしても知りたいのでしたら」

未央「いや、良いってば……」


武内P「私も……覚悟を決めます」

武内P「……本田さん」

武内P「聞けば、もう後戻りは出来ません」

武内P「……よろしいですか?」


未央「いや……ちょっと待って!」

未央「何? えっ? そんなに!?」

未央「……い、良い! やっぱり、言わなくて良いよ!」

154: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/27(水) 23:02:51.87 ID:kaHyzSm/o
武内P「日清さんは、大企業ですから……」


未央「やめて! 良いって、プロデューサー!」


武内P「日清食品さんの、名前の由来は……」

武内P「――日々清らかに豊かな味をつくる」

武内P「……という、創業者の方の願いから生まれました」


未央「やめてって言ってるじゃん!」

未央「良い事言ってるけど、逆にそれが怖いってぇ!」


武内P「……今なら、まだ引き返せます」

武内P「どう、されますか?」


未央「良いです! 知らなくて、良いです!」

155: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/27(水) 23:12:37.38 ID:kaHyzSm/o
  ・  ・  ・

武内P「……もしもし」

武内P「はい……はい、予定通りに……はい」

武内P「連絡頂き、助かりました……ええ」


武内P「今回の事で、本田さんは……」

武内P「……カレーメシくんの中の人」

武内P「その正体を知ろうとは、しなくなるかと」


武内P「……はい、心得ています」

武内P「はい――」


武内P「――ジャスティス」

156: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/27(水) 23:27:40.71 ID:kaHyzSm/o
  ・  ・  ・

未央「あかねちん、あーちゃん! この間はごめんね!」

未央「なんだか、空気悪くしちゃって!」

茜「大丈夫ですよ!!……何か、ありましたっけ?」

藍子「うふふっ♪ さぁ~? 忘れちゃった♪」


未央・茜・藍子「……」


未央「……今度さ、ポジパでLIVEあるよね」

茜「……た、楽しみですね!! ボンバー!!」

藍子「……が、頑張って盛り上げようね!」


未央・茜・藍子(『スパイスパラダイス』……)

未央・茜・藍子(カレーメシver.じゃなくて良かった……!)


未央・茜・藍子「あは、あははははっ……!」





おわり

160: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/28(木) 20:08:47.55 ID:cQRlUPtqo
書きます


武内P「理想のデート、ですか」

161: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/28(木) 20:11:46.34 ID:cQRlUPtqo
凛「うん。加蓮と奈緒と話しててさ」

武内P「何故、私にその質問を?」

凛「別に……ただ、何となく」

武内P「……」

凛「ねえ、プロデューサーの理想のデートってどういうの?」


武内P「――笑顔です」


凛「……」

凛「まあ、言うと思ってたけど」

162: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/28(木) 20:14:52.57 ID:cQRlUPtqo
凛「デートしたら、笑顔になるものじゃないの」

武内P「ええ、そうですね」

凛「楽しかったら、笑顔になるでしょ」

武内P「いえ、そういう意味ではなく……」

凛「? どういう意味?」


武内P「――思い出したら、笑顔になれる」

武内P「そんなデートが出来れば、理想ですね」


凛「……ふーん」

凛「具体的じゃないけど……悪くないかな」

163: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/28(木) 20:18:12.77 ID:cQRlUPtqo
  ・  ・  ・

凛「――って、プロデューサーは言ってたかな」

奈緒「思い出したら笑顔になれる、って……全然わかんないぞ!?」

凛「まあ、プロデューサーらしい答えではあるよね」

奈緒「……まあ、確かにそれもそうか」


加蓮「……んふふっ」ニマニマ


凛・奈緒「……」

凛・奈緒「……加蓮?」

164: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/28(木) 20:22:33.70 ID:cQRlUPtqo
加蓮「……ん? あっ、何の話だっけ?」

凛「いや、理想のデートの話だけど」

奈緒「っていうか、さっきから自分の手を見て……何なんだ?」

加蓮「あー……手じゃなくて、爪、ネイル」

凛「ふーん?」

奈緒「だ~か~ら~、ネイルがどうしたって言うんだよ?」


加蓮「……良い色でしょ?」

加蓮「これ、プレゼントして貰ったんだよねー……」ニマニマ


凛・奈緒「……プレゼント?」

165: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/28(木) 20:28:01.02 ID:cQRlUPtqo
奈緒「プレゼントって……誰に貰ったんだよ?」

加蓮「んー、秘密♪」

凛「そんな言い方されると、気になるんだけど」

加蓮「えー? そう?」


凛・奈緒「……加蓮?」


加蓮「あははっ! ハイハイ、わかりましたよ」

加蓮「んー……年上で、背が高くて……」

加蓮「見た目が怖いって、よく言われてる人だね」


奈緒「……なあ、それって」

凛「……ふーん」

166: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/28(木) 20:34:29.26 ID:cQRlUPtqo
  ・  ・  ・

武内P「はい、確かにお話の通りです」

凛「……職務質問を受けそうになって」

武内P「北条さんに助けていただきました」

凛「……それで、そのお礼に、って?」


武内P「ショッピングの途中だったようなので……はい」

武内P「北条さんに、若者の好みも知っておくべきだ、と言われまして」

武内P「同行を許可して頂き……その御礼も兼ねて、ですね」

武内P「……購入を悩んでいた様子でしたが」

武内P「きっと、似合うだろうと思ったので……私から」


凛「……」

凛「……ふーん」

167: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/28(木) 20:37:23.59 ID:cQRlUPtqo
  ・  ・  ・

凛「――って、プロデューサーは言ってたけど」

加蓮「んー?」ニマニマ

凛「……ねえ、ちょっと」

加蓮「……あ、ゴメン。何?」


奈緒「……んふふっ」ニヤニヤ


凛・加蓮「……」

凛・加蓮「……奈緒?」

168: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/28(木) 20:43:17.62 ID:cQRlUPtqo
奈緒「……ん? あっ、な、何だよ?」

加蓮「いや、私のデートの話だけど」

凛「そんなんじゃないでしょ。ただの買い物だから」

加蓮「ねえ、奈緒? さっきから、何見てるの?」

凛「それ……キーホルダー?」


奈緒「い、いや……これは……!」

奈緒「なっ、何でも無い! 気にするなって!」

奈緒「あ、あはははは……!」


凛・加蓮「……」

169: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/28(木) 20:47:47.97 ID:cQRlUPtqo
加蓮「何でも無い、って感じじゃなさそうだけどー?」

奈緒「な……何だよ?」

凛「それ、奈緒が好きなアニメのキャラだよね」

奈緒「そう! ついに劇場版が公開され……」


凛・加蓮「……奈緒?」


奈緒「……あああもう! わかった、言うよ!」

奈緒「かっ……買って貰ったんだよ!///」

奈緒「別に良いだろ!?/// 嬉しかっ……違う!///」


加蓮「……ねえ、それって」

凛「……まさか」

170: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/28(木) 20:53:18.02 ID:cQRlUPtqo
  ・  ・  ・

武内P「はい、確かにお話の通りです」

凛「……また、職務質問を受けそうになって」

武内P「神谷さんに助けていただきました」

凛「……うん、それで?」


武内P「映画を見に行く途中だったようなので……はい」

武内P「神谷さんが、神アニメだから絶対みるべきだ、と言われまして」

武内P「同行を許可して頂き……その御礼も兼ねて、ですね」

武内P「……さすがに子供っぽすぎるか、と悩んでいた様子でしたが」

武内P「買わずに居たら、後悔されるだろうと思ったので……私から」


凛「……」

凛「……ふーん」

171: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/28(木) 20:58:37.22 ID:cQRlUPtqo
凛「プロデューサー」

武内P「? はい、どうかされましたか?」

凛「二人共、喜んでたよ」

武内P「それは……はい、良かったです」


凛「うん、本当にね」ニコッ!


武内P「……良い、笑顔です」


凛「ふざけないでよ!!!!!!!!!!!」


武内P「っ!?」ビクゥッ!

172: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/28(木) 21:04:05.15 ID:cQRlUPtqo
凛「アンタ! 私の! プロデューサー! でしょ!?」

武内P「し、渋谷さん……!?」

凛「アンタ! 私の! プロデューサーぁぁぁあああ!?」

武内P「は、はい! その通りです!」


凛「…………何なの?」


武内P「えっ!?」


凛「何なの!!? ねえ!! 何なの!!?」


武内P「えっ!? ぷ……プロデューサーです!」

武内P「私は、渋谷さんの、プロデューサーです!」

173: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/28(木) 21:08:46.73 ID:cQRlUPtqo
凛「……そうでしょ?」

武内P「は……はい!」

凛「あり得ないから。この状況、おかしいから」

武内P「な……何が、ですか?」


凛「はっ?」ギロッ!


武内P「っ!?」ビクッ!


凛「ねえ……何がおかしいか、わからない?」


武内P「えっ?」

武内P「……えっ!?」

174: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/28(木) 21:17:16.57 ID:cQRlUPtqo
武内P「か、考えられる可能性は……有ります、が……」

凛「何、それ?」

武内P「ですが、その……」

凛「言って」


武内P「その……トライアドの、北条さんと神谷さん」

武内P「お二人は、私の担当で無いにも関わらず……」

武内P「……親しくし過ぎではないか、と」


凛「! そう!」


武内P「今後は、プロデューサーとアイドル」

武内P「そこをしっかりと意識し、適切な距離をおくべきだ、と」

武内P「……そういう事ですね?」


凛「!? そう!?……いや、ちょっと待って!」

凛「それだと……待って、ストップ!」

175: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/28(木) 21:25:07.38 ID:cQRlUPtqo
凛「……プロデューサーの、理想のデートは!?」

武内P「えっ?」

凛「プロデューサーの! 理想のデートは!?」

武内P「お、思い出したら……笑顔になれる……」

凛「そう! それじゃあ――」


凛「わ、私をスカウトした理由は!?///」


武内P「……笑顔です」


凛「つまり!?/// わかるでしょ!?///」


武内P「…………」

武内P「……?」


凛「何なの!!?」

176: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/28(木) 21:33:12.00 ID:cQRlUPtqo
武内P「渋谷さん……一つ、質問があるのですが」

凛「何!?」

武内P「……間違っていたら、申し訳ありません」

凛「どうせ正解しないから、早く言えば良いでしょ!?」


武内P「渋谷さんは……貴女が、笑顔になれる」

武内P「私の理想のデートの様に……思い出しても、笑顔になれる」

武内P「……そんなデートをプロデュースしろ、と」

武内P「……そう、仰っしゃりたいのでしょうか?」


凛「……」

凛「そう……! そう、それ……それ!」コクコクコクコク!

177: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/28(木) 21:37:29.68 ID:cQRlUPtqo
凛「えっ!?/// 何なの!?///」

武内P「? 何が、でしょうか?」

凛「何か……急に、察しが良くなってない!?///」

武内P「……はい」


武内P「――渋谷さん」

武内P「私は……貴女のプロデューサーですから」


凛「ちゃ……ちゃんと見ててにぇにぇ!?///」


武内P「はい?」


凛「……!///」

179: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/28(木) 21:42:03.44 ID:cQRlUPtqo
凛「待って……ちょっと、考えがまとまらない……!///」

武内P「だ、大丈夫ですか?」

凛「大丈夫……!/// いや、わからない……!///」

武内P「あの……渋谷さんは、何か希望がありますか?」

凛「きっ、希望って何の!?///」


武内P「理想のデートの、です」


凛「でっ――!?///」

凛「えっ……とぉっ……///」オロオロ

180: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/28(木) 21:56:45.63 ID:cQRlUPtqo
  ・  ・  ・

凛「――ねえ、この間の話の続きなんだけど」


加蓮・奈緒「ん?」


凛「二人にとって、理想のデートってどういうの?」

凛「その……出来れば、具体的な希望とか」


加蓮・奈緒「……凛?」


凛「参考までに……じゃなくて」

凛「いや、ほら……あるでしょ?」

181: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/28(木) 22:10:01.92 ID:cQRlUPtqo
奈緒「そりゃ……無い事も無いけどさぁ」

加蓮「どうしたの? 何かあった?」

凛「別に……ただ、なんとなく」

加蓮・奈緒「……」


加蓮・奈緒「――!」ピーンッ!


凛「……無いの?」


奈緒「あ……あたしは、お任せで……///」

加蓮「うん……アタシも、お任せで……///」


凛「……ふーん」

凛「それも、まあ……悪くないかな……///」

182: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/28(木) 22:17:23.61 ID:cQRlUPtqo
  ・  ・  ・

武内P「……?」

ちひろ「プロデューサーさん、どうかしましたか?」

武内P「いえ……渋谷さん、北条さん、神谷さんからLINEが来て……」

ちひろ「? 三人、それぞれですか?」

武内P「はい」


武内P「スケジュールの空いている日と……」

武内P「――お任せします」

武内P「……と言う文が送られて来たのですが……」


ちひろ「? なんですか、それ?」

武内P「さあ……?」

183: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/28(木) 22:27:56.79 ID:cQRlUPtqo
ちひろ「三人から、っていう事は……」

武内P「トライアドで、何か……という事でしょうか?」


ちひろ「……ふふっ♪」

ちひろ「案外、どこか遊びに連れていけー、って」

ちひろ「……そういう事かも知れませんよ?」


武内P「成る程」

武内P「そう、ですね……だとすると……」

武内P「……私も含め、全員がオフの日があります」


ちひろ「あら、良いじゃないですか!」

ちひろ「休日出勤しないよう、見張って貰えますね♪」


武内P「……そう、ですね」

184: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/28(木) 22:50:19.37 ID:cQRlUPtqo
武内P「では、後ほど返事を返しておきます」

ちひろ「今じゃなくて、ですか?」

武内P「いえ、色々と考えなくてはなりませんし」

ちひろ「……ふふっ、真面目なんですから♪」ニコッ!


武内P「……ええ」

武内P(――理想のデート)

武内P(皆さんが、それをはっきりと思い描けるようになれる)

武内P(……そんな計画を立てられれば良いのだが)


武内P「現実問題、難しいですから」



おわり

197: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/29(金) 22:43:59.24 ID:kflme5KWo
ではレイ書きます


レイ「とときら学園の収録に連れて行って貰おうか!」

198: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/29(金) 22:48:03.33 ID:kflme5KWo
武内P「あ……貴方は!」


レイ「女の格好をしていれば――」

レイ「――貴様らの様なPがすぐ飛びついてきやがる」

レイ「そんなお前らでも役に立つことはある」

レイ「それは……」

レイ「アイリの所へおれを運んでいく事だ!」


莉嘉・みりあ「あの人……知り合い?」

武内P「……そう、ですね」

武内P「ある意味では……ですが」

199: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/29(金) 22:51:52.49 ID:kflme5KWo
莉嘉「お兄さん、Pくんの知り合いなの?」

みりあ「赤城みりあです! お兄さんは?」


レイ「おれか?」

レイ「おれの名は――レイ!」

レイ「アイリの幸せを願う男……」

レイ「南斗水鳥拳のレイだ!」


武内P「……十時さんのファンの方です」

莉嘉・みりあ「ファン?」

武内P「はい……それも、かなり熱狂的な」

200: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/29(金) 22:56:03.56 ID:kflme5KWo
莉嘉「えー!? アタシのファンじゃないのー!?」

みりあ「ねえねえ! そんなに愛梨ちゃんが好きなの?」


レイ「……フッ」

レイ「おれは、義の星に生きる男」

レイ「☆……ましてや★には、興味など無い」

レイ「おれが愛するは、ただ一人!」

レイ「おれの愛は、全て妹のアイリに向けられている!」


莉嘉・みりあ「妹?」

武内P「……と、彼の中ではそうなっている様なのです」

202: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/29(金) 23:04:05.09 ID:kflme5KWo
莉嘉「どうして妹だと思ってるの?」

武内P「……彼には、本当の妹が居たようなのです」

みりあ「えーっ!? 本当の妹!?」

武内P「……はい。それも、とても美しい方だった、と」


レイ「ああ……そうだ!」

レイ「その美しさ故に、アイリは帰らぬ人となったのだ!」


莉嘉・みりあ「帰らぬ人……」


レイ「さあ……お喋りは終わりだ!」

レイ「おれをとときら学園の収録現場に連れていくか……」

レイ「それとも、地獄へ行くかをな~っ!」


武内P「遠方へお嫁に行き、お正月も毎年は帰省しない、と」

武内P「……そう、仰っていました」

203: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/29(金) 23:10:09.92 ID:kflme5KWo
武内P「荒れ果ててしまった彼の心」

武内P「妹さんを忘れようと……」

武内P「……何度も、出会いと分かれを繰り返した、と」


莉嘉・みりあ「……」


武内P「――その荒野で見つけた、一輪の花」

莉嘉・みりあ「それが……愛梨ちゃん?」

武内P「……の、ようです」


レイ「胸に七つの傷を持つ男を知っているか?」


武内P「七回振られた、と」

武内P「……そう、仰っていました」

204: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/29(金) 23:17:47.57 ID:kflme5KWo
レイ「わかっているのならば、話は早い!」

レイ「さあ! おれをアイリの元へ連れて行け!」


武内P「……それは、出来ません」

武内P「とときら学園は、公開録画は行っていません」

武内P「……何度も申し上げた通りです」

武内P「テレビの前で、部屋を明るくして離れて見てください」


レイ「……フッ、それが答えか」

レイ「どうやら……死にたいらしいな!」

レイ「ヒョオオオ……!」

スウウッ…


莉嘉・みりあ「警察呼ぶ?」


レイ「!? や……やめろ! やめてくれ!!」

205: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/29(金) 23:26:10.12 ID:kflme5KWo
武内P「城ヶ崎さん、赤城さん……待ってください」

莉嘉「Pくん?」みりあ「プロデューサー?」

武内P「もう少しだけ、彼と話をさせて頂けませんか?」


レイ「……情けをかけたつもりか?」

レイ「フッ……つくづく甘い男だ」

レイ「……良いだろう、話とやらを聞いてやる!」

レイ「だが! それも全てアイリのため!」

レイ「このおれが、とときら学園へ向かうまでの余興にすぎぬ!」


武内P「また来られても……はい、困りますから」

莉嘉・みりあ「なるほどー!」

206: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/29(金) 23:33:17.29 ID:kflme5KWo
武内P「先程も申し上げた通りです」

武内P「十時さんの所へは、連れて行けません」

レイ「聞こえんな」

武内P「……」

レイ「どうした、話とやらはもう終わりか?」


武内P「これが続くようでしたら……」

武内P「貴方を……十時さん関連の、全てのイベント」

武内P「それへの出入りを全面的に禁止させて頂きます」


レイ「何!? ば、馬鹿な!?」

レイ「そんな事が……そんな事が、あってたまるか!」

207: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/29(金) 23:38:48.76 ID:kflme5KWo
レイ「お前は、これ以上おれから奪うつもりか!」

レイ「とときら学園の収録を見る権利だけでなく……」

レイ「サイリウムすら振らせねえつもりか~っ!」


武内P「収録を見る権利は、最初からありません」

武内P「……今回限りにして頂けるならば」

武内P「LIVEの方も、出入り禁止にさせて頂きます」


レイ「……フッ」

レイ「邪魔立てするならば、この拳で!」

レイ「南斗水鳥拳で、バラバラに切り刻んでくれる!」


莉嘉・みりあ「今の、動画撮れたよ~!」


レイ「な……何ぃっ!?」

208: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/29(金) 23:46:12.81 ID:kflme5KWo
莉嘉「この動画があれば~、にひひ!☆」

みりあ「ねえねえ、あんまりワガママ言ったら駄目なんだよ?」


レイ「くっ、ぐおお……!?」

レイ「その動画をどうするつもりだ!?」

レイ「返答次第では、容赦せんぞ!」


莉嘉「……あのさ、愛梨ちゃんがチョー好きなのはわかるケド」

みりあ「自分のせいで皆が困ってる、って思っちゃうかもしれないよ?」

莉嘉・みりあ「……愛梨ちゃんが」


レイ「……!」

レイ「あ……アイリが!?」

209: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/29(金) 23:50:38.95 ID:kflme5KWo
レイ「な……何を言っている!」


莉嘉「ホラ、自分のファンの人がメーワクな事してるのって、さ」

みりあ「うん……やっぱり、悲しくなっちゃうよね」


レイ「!?」

レイ「お……おれが、アイリを悲しませる!?」

レイ「そんな……おれは、アイリの笑顔を見ようと……!」


莉嘉「だったら、さ」

みりあ「テレビの前で、待ってて欲しいな」

莉嘉・みりあ「サイッコーの番組にするから♪」ニコッ!


レイ「……!」

210: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/29(金) 23:59:36.61 ID:kflme5KWo
レイ「……」

レイ(自分の事よりも……アイリの心を案ずるとは)

レイ(……まだ、年端も行かぬ子供なのに)


莉嘉「そうだよね、Pくん☆」

みりあ「みりあ、頑張るね♪」

武内P「……はい、とても楽しみです」

莉嘉・みりあ「えへへっ!」ニコッ!


レイ「それを……!」

レイ「っ……!」グッ…!

…ギュオオオオッ…!

211: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/30(土) 00:08:40.42 ID:B0ZNW+2Po
レイ「この悪魔め……!」


莉嘉「えっ!? なんか、チョー怒ってない!?」

みりあ「どうしたのかな!? みりあ、怒らせちゃった!?」


武内P「……いえ、恐らくですが」

武内P「彼は、渋谷さんのファンでもあるようで……」

武内P「……それに加えて、お二人の先程の笑顔に魅せられた」

武内P「そんな三人の担当をしている、私への……その」

武内P「……怒りかと」


莉嘉・みりあ「……」


レイ「……!」

…ギュオオオオッ…!

212: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/30(土) 00:14:14.21 ID:B0ZNW+2Po
レイ「てめえの……! てめえの……!」


莉嘉「……それってぇ、アタシ達がミリョク的ってコト?」

みりあ「……うんうん! そういう事だよね?」

武内P「え、ええ……そう、ですね」

莉嘉・みりあ「……んふー♪」ニコッ!

ぎゅっ!

武内P「じょ、城崎さん!? 赤城さん!?」

莉嘉・みりあ「えへへっ♪」ニコニコ!

ぎゅうっ!

武内P「あのっ!? これ以上、彼を刺激しては!」


レイ「てめえらの血は、なに色だ――――っ!!」

213: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/30(土) 00:19:33.89 ID:B0ZNW+2Po
レイ「貴様には、見えるだろう!」

びしっ!

レイ「天に輝く、死を告げる星……死兆星がな――っ!」


莉嘉・みりあ「……星?」

武内P「……ですか?」


レイ「そうだ! あの、光り輝く星が!」

レイ「あれこそが、お前の命が尽きると――……」


莉嘉・みりあ「……見えないよね?」

武内P「はい……見えませんね」


レイ「ば……馬鹿な!?」

レイ「このおれの頭上に、死兆星が輝いているだとっ!?」

214: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/30(土) 00:28:22.00 ID:B0ZNW+2Po
レイ「一体、何が……!?」



「うっきゃ~っ! 遅れてごめんにぃ~っ!」



莉嘉・みりあ「あっ!」

武内P「いえ……集合時間までは、まだ」


きらり「うぇへへ、良かったにぃ☆」

きらり「おっはにょー☆ きらりーん、もーにん!……ぐっ!」


レイ「……!」

レイ(185cm)「諸星の……きらり……!」


きらり(186、2cm)「……にょわ?」

215: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/30(土) 00:39:15.17 ID:B0ZNW+2Po
  ・  ・  ・

レイ「……!」

レイ(とときら学園……!)

レイ(おれは、収録中のアイリを近くで見るまで……)

レイ(……例え泥をすすってでも生き延びる!)


レイ「おれは、南斗六聖拳……義の☆の男」


レイ「……ぐうっ!?」

…がくっ!

レイ「フッ……さすがに、無事とはいかんか……!」


レイ「……――義の星の男!」

レイ「義の星は人のために生き……人のために死ぬ……!」

216: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/30(土) 00:44:25.83 ID:B0ZNW+2Po
  ・  ・  ・

武内P「……」

武内P(諸星さんの……悲しそうな顔での、ガチ説教)

武内P(そして、落ち込んだ所を次は励まし……元気にする)

武内P(……良い、笑顔でした)


武内P「……その、一部始終の動画」


武内P「これは……PCにも保存しておきましょう」

武内P「彼が、次に何か問題を起こした時……」


武内P「皆さんのために、社会的に[テーレッテー]貰うために」



おわり

225: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/30(土) 21:07:38.46 ID:B0ZNW+2Po
書きます


武内P「ホットケーキ、ですか?」

226: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/30(土) 21:10:37.77 ID:B0ZNW+2Po
アーニャ「プロデューサーは、甘いものが好き、ですね?」

武内P「はい、そうですが……」

アーニャ「ハラショー♪ アーニャも好き、です♪」

武内P「あの……それが、どうかしたのでしょうか?」


アーニャ「マーマが、とっても美味しいバターを送ってくれました」

アーニャ「そのバターで、ホットケーキを食べて欲しい、です♪」


武内P「成る程……そういう事でしたか」

227: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/30(土) 21:16:32.67 ID:B0ZNW+2Po
アーニャ「カフェのキッチンを、借りられるよう、お願いしています」

武内P「アナスタシアさんが、ホットケーキを焼く、と?」

アーニャ「ダー!」フンス!

武内P「しかし、そこまでして頂くのは……悪い気がします」


アーニャ「ニェート! それは、違います!」

アーニャ「私は、プロデューサーに、喜んでもらいたい!」

アーニャ「だから、言って欲しい言葉は……違いますね?」


武内P「……そう、ですね」

武内P「ありがとうございます、アナスタシアさん」


アーニャ「ダー♪ 楽しみにしていて、ください♪」ニコッ!

228: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/30(土) 21:21:42.97 ID:B0ZNW+2Po
  ・  ・  ・

カフェ、店内

アーニャ「――いらっしゃいませ♪」ニコニコ!


武内P「アナスタシアさん……その格好は?」

美波「ふふっ♪ メイドさんの衣装、似合ってますよね♪」

武内P「はい。とても、似合っています」


アーニャ「スパシーバ♪」ニコニコ!

アーニャ「今日のアーニャは、二人のためのアーニャ、です♪」ニコニコ!


武内P「……成る程」

美波「ホットケーキ、楽しみですね!」

武内P「はい、食には関心があります」

229: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/30(土) 21:27:48.39 ID:B0ZNW+2Po
  ・  ・  ・

アーニャ「――お待たせ、しました」

アーニャ「アーニャの、アー、特製ホットケーキ、です♪」


武内P「これは……とても、上手に焼けていますね」

美波「もしかしてアーニャちゃん、寮で練習したの?」


アーニャ「ダー♪ 失敗しないよう、練習してきました!」

アーニャ「……プロデューサー、美波!」

アーニャ「あったかい内に、食べてください♪」

アーニャ「今から……フフッ♪ バターを乗せます♪」ニコニコ!


武内P「……良い、香りです」

美波「それじゃあ、お言葉に甘えて……」

武内P・美波「いただきます」


アーニャ「召し上がれ♪」ニコニコ!

230: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/30(土) 21:35:33.25 ID:B0ZNW+2Po
  ・  ・  ・

武内P「――ごちそうさまでした」

アーニャ「……どう、でしたか?」

武内P「はい。一口目を食べた時にも言いましたが――」


武内P「練習したと言っていた通り、ホットケーキの絶妙な焼き加減」

武内P「そして、新鮮なバターの絶妙な塩気」

武内P「……とても、美味しかったです」


アーニャ「……ウラー♪ やりました♪」ニコニコ!

アーニャ「喜んでもらえて、アーニャも嬉しい、です♪」ニッコニコ!


美波「――駄目よ、アーニャちゃん」


武内P「……新田さん?」

アーニャ「……美波?」

231: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/30(土) 21:41:16.55 ID:B0ZNW+2Po
アーニャ「駄目……? 美波、何が駄目ですか?」

美波「確かに、とっても美味しいホットケーキだったわ」

アーニャ「ダー! プロデューサーも、喜んでくれました!」

美波「……ええ、そうね」


美波「――でも、このホットケーキは……未完成!」

美波「本当は、もっと美味しくなれるの!」


アーニャ「ダーティシトー!? アー、本当ですか!?」

アーニャ「美波! どうすれば、もっと美味しくなりますか!?」


美波「――シロップよ」


アーニャ「シロップ……!?」


武内P「いえ、あの……」

武内P「私は、十分に美味しく感じましたので……」

233: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/30(土) 21:46:34.46 ID:B0ZNW+2Po
美波「アーニャちゃん、このシロップは……普通の市販のものよね?」

アーニャ「ダー。その通り、です」

美波「良い? よく考えてみて」

アーニャ「シトー……?」


美波「ホットケーキは……練習して焼いたもの」

美波「つまり、アーニャちゃんの愛情が詰まってるの」


アーニャ「ダー!」


美波「バターも……アーニャちゃんのお母さんが送ってくれたもの」

美波「つまり、親子愛……愛情が詰まってるわ」


アーニャ「ダー!」

アーニャ「……っ!?」

アーニャ「シロップには……愛情がありませんね!?」


武内P「あの……本当に、美味しかったですから……!」

234: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/30(土) 21:52:45.45 ID:B0ZNW+2Po
アーニャ「……ニェート! ニェニェニェニェ――ット!」

美波「わかったでしょう? まだ、未完成だった……って」

アーニャ「プラスチーチェ パジャールスタ……許してください……」ションボリ…

武内P「い、いえ! お気になさらないでください!」


美波「――プロデューサーさん」

美波「ちょっと、お願いがあるんですけど……良いですか?」


武内P「新田さん?」

武内P「あの……何でしょうか?」


美波「――まだ、ホットケーキは食べられますか?」


武内P「……えっ?」

アーニャ「……美波?」

235: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/30(土) 22:02:24.71 ID:B0ZNW+2Po
美波「アーニャちゃん……完成品、食べて貰いたいわよね?」

アーニャ「ダー! プロデューサーに、喜んで欲しい、です!」

美波「……ふふっ! そうこなくっちゃ!」

アーニャ「アーニャは、アー、完成品を食べて欲しい、です!」


美波「――プロデューサーさん」

美波「良ければ……もう一回、チャンスを貰えますか?」


武内P「チャンス、ですか?」


美波「このホットケーキに相応しいシロップ……」

美波「それを手に入れて、戻ってきますから」

アーニャ「ズドーラヴァ! とってもいい話、です!」

アーニャ「プロデューサー、お願い、します!」


武内P「……ええ、わかりました」

武内P「私は体が大きいので……かなり、食べる方ですから」ニコリ

237: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/30(土) 22:10:15.09 ID:B0ZNW+2Po
  ・  ・  ・

武内P「……あの」


美波「はぁ……はぁ……お待たせしました///」

アーニャ「……///」

美波「ちゃんと、シロップは手に入りましたよ!///」

アーニャ「だ……ダー……///」


武内P「……妙に、顔が赤く」


美波「すみません、急いだので……///」

アーニャ「アー……ウー……///」

美波「それじゃあ、待ってくださいね///」

アーニャ「ほ、ホットケーキ……や、焼いてきますね……///」


武内P「……待ってください! すみません、待ってください!」

武内P「あの……不穏な感じが! あのっ、お二人とも!?」

238: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/30(土) 22:18:08.34 ID:B0ZNW+2Po
  ・  ・  ・

美波「――上手に焼けたわね、アーニャちゃん♪」ニコッ!

アーニャ「ダー♪ さっきよりも、美味しそう、です!」ニコッ!


武内P「え、ええ……そう、ですね……!」


美波「最初ので、ここのキッチンのコツを掴んだのかな?」

アーニャ「とっても、アー、自信作! フワフワですね♪」


武内P「はい……とても、美味しそうです、ね……」


美波・アーニャ「ふふふっ♪」ニコッ!


武内P「……!」

239: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/30(土) 22:22:35.75 ID:B0ZNW+2Po
武内P「……新田さんは、食べないのでしょうか?」

美波「はい。せっかくですけど、食べ過ぎになっちゃいますから」

武内P「そう、ですね……はい」


アーニャ「バターをのせますね♪」

…ほわ~ん


武内P「……良い、香りです」

美波「もう、この時点でさっきよりも美味しそうですよね」

武内P「……はい。なので、普通のシロップでも――」


美波「さあ、アーニャちゃん!」

美波「シロップ、たっぷりかけてあげましょう♪」ニコッ!


アーニャ「……だ……ダー///」


武内P「っ……!」

240: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/30(土) 22:26:05.09 ID:B0ZNW+2Po
武内P「あ、あのっ!」


美波「プロデューサーさん?」

アーニャ「どうか、しましたか?」


武内P「そのシロップは……どんなシロップなのでしょうか……!?」


美波・アーニャ「……」

美波「それは――勿論、愛情たっぷりの♡」

アーニャ「と……特製シロップ……です♡」


武内P「……こ」

武内P「答えに……なっていないのですが……!?」

242: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/30(土) 22:35:19.95 ID:B0ZNW+2Po
武内P「あの! 入手方法や、成分は一体……!?」

美波「ふふっ♡ それは、内緒です♡」

武内P「えっ!?」

アーニャ「アー、隠し味、です♡」


アーニャ「フフッ♡ たくさん、かけます♡」

とろとろっ…


美波「あっ、ヤダ……アーニャちゃんったら♡」

美波「そんなにいっぱいかけちゃうだなんて♡」

美波「……もうっ、愛情たっぷりすぎるわ♡」


美波・アーニャ「ふふふっ♡」ニコニコ!


武内P「……良い、笑顔です」

武内P(何故……『♡』まみれなのですか!?)

243: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/30(土) 22:42:32.46 ID:B0ZNW+2Po
アーニャ「――どうぞ、アー、召し上がれ♡」ニコッ!

…ふわっ


武内P「……!」

武内P(匂いは……メープルシロップと、変わりない!)

武内P(言動に、少々不審な点があるものの……)

武内P(これは、普通のシロップなのでは!?)


アーニャ「美波も、手伝ってくれたシロップ、です♡」

美波「ふふっ♡ それじゃあ、これは――」

美波・アーニャ「ラブライカの――ラブシロップ、です♡」ニコッ!


武内P「……」

武内P(ネーミングが! ネーミングが、あまりに不穏すぎます!)

244: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/30(土) 22:49:50.04 ID:B0ZNW+2Po
美波「? プロデューサーさん、どうしたんですか?」

アーニャ「食べないと、さめてしまいますね?」


武内P「そ、そう……ですね……」

武内P「では……い、いただきます……」


美波・アーニャ「……///」ジーッ…


武内P「ん……ん……!」

武内P(……ままよ!)

武内P「!」

…ぱくっ!

245: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/30(土) 22:58:15.00 ID:B0ZNW+2Po
武内P「――っ!」

武内P「これは……とても、美味しいですね……!」

武内P「先程の、普通の市販のシロップには無い……味と匂い」

武内P「その風味が、バターの塩気と絡み合い、音楽を奏でています」

武内P「……そう、ですね」

武内P「ホットケーキというステージの上で行われる、LIVE」

武内P「まさに、ラブライカのお二人のような」

武内P「非常に調和の取れた、美しいハーモニーが――」


アーニャ「ハラショーぉ……♡」…ウットリ

美波「良かったわね、アーニャちゃん♡」


武内P「……」

武内P「…………」

246: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/30(土) 23:03:51.19 ID:B0ZNW+2Po
  ・  ・  ・

武内P「――……ご馳走さまでした」


美波「どうでしたか? 最初のと比べて」

アーニャ「美味しくなっていましたか?」


武内P「……はい、美味しかったです」


アーニャ「スパシーバ♪ 美波のおかげ、ですね♪」

美波「いっぱい頑張ったのはアーニャちゃんよ」

美波「私は、ちょっと手助けをしただけ……ねっ?」

アーニャ「美波……はいっ♪」

美波・アーニャ「……ふふふっ!」ニコニコ!


武内P「……良い、笑顔です」

247: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/30(土) 23:16:27.04 ID:B0ZNW+2Po
アーニャ「プロデューサー!」

武内P「……はい、何でしょうか?」

アーニャ「また、ホットケーキを焼いたら……」

武内P「……」


アーニャ「……食べて、くれますか?///」モジモジ!


武内P「それ、は……」

武内P「……」

武内P「何度も、こうやって頂くのは……気が引けますので」


アーニャ「ニェート! 大丈夫、です!」

アーニャ「お料理、とっても楽しい♪」ニコッ!


武内P「そう……ですか……」

248: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/30(土) 23:24:45.69 ID:B0ZNW+2Po
美波「アーニャちゃん、ちょっと控えた方が良いと思うわ」

アーニャ「美波? どうして、ですか?」

美波「ふふっ! だって、次は作り過ぎちゃうと思わない?」

アーニャ「アー……かも……しれません」


美波「愛情たっぷりのものって、つい食べ過ぎちゃう……」

美波「……そういうの、幸せ太りって言うのよ?」

アーニャ「……ダー! パーパも、言っていました!」

アーニャ「マーマの料理は、いくらでも食べられる、って!」


美波「プロデューサーさんの健康の事も考えないと♪」ニコッ!


アーニャ「ダー♪ 健康は、大切、ですね♪」ニコッ!


武内P「……ありがとう、ございます」

249: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/30(土) 23:32:39.00 ID:B0ZNW+2Po
  ・  ・  ・

武内P「……」

武内P(あれから……まだ、ホットケーキは焼かれていない)

武内P(……確かに、美味しいホットケーキだった)

武内P(だが……シロップの詳細は、謎のまま)


武内P「……愛情たっぷり、ですか」


ちひろ「――あ、あのっ!///」

ちひろ「スタドリを差し入れする時の、軽い冗談を……ですね?///」

ちひろ「そう、しみじみ言われると……その……///」


武内P「……すみません」

武内P「愛情とは何なのか……少し、考えてしまって」


ちひろ「…………はい?」




おわり

261: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 20:55:36.51 ID:2537htubo
書きます


シンデレラ大戦 ~熱き血潮に~

262: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 21:00:23.53 ID:2537htubo

 平正三十一年


 首都・東京


 かつて、華撃団と呼ばれる乙女達がいた……


 夢と、希望と、明日と……そして、正義


 そのために、一歩も退くこと無く戦い抜いた、乙女達がいた……

263: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 21:06:40.57 ID:2537htubo
トレーナー「――卯月ちゃん」


卯月「――あ、お疲れ様です♪」


トレーナー「それは……この間のLIVEの写真?」

卯月「はい。私も、早くステージに立ちたいな、って」

トレーナー「そうねぇ……」


トレーナー「――この間のシンデレラオーディション」


トレーナー「惜しかったじゃない」

卯月「えっへへへ……」

卯月「……やっぱり、難しいです」

トレーナー「卯月ちゃん、頑張ってるわよ」

トレーナー「同期の子も、皆どんどんやめてっちゃったのに」


卯月「……」

264: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 21:13:27.54 ID:2537htubo
卯月「……ぃよしっ!」

卯月「私、もっと頑張りま~す……!」

ぐぐっ…!

卯月「ててててっ……!」

トレーナー「こらこら、頑張るのは良いけど無茶は駄目よ」

卯月「えっへへへ……ごめんなさい」


――ガチャッ!


卯月・トレーナー「……ん?」


とす、とす、とす…

武内P「……」


卯月・トレーナー「うぃっ!?」

トレーナー「誰かしら……知ってる人?」ヒソヒソ

卯月「い、いえ……」

トレーナー「――ど、どなたですか?」

トレーナー「御用でしたら、受付の方にどうぞ!」


武内P「いえ、私は……」


卯月「……?」

265: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 21:16:46.19 ID:2537htubo
  ・  ・  ・

卯月「いち、に、さん、し……!」

ぐっ…ぐっ…!


――ガチャッ!


卯月「……あ」


武内P「……」


卯月「ああっ……!?」


武内P「……」

とす…とす…とす…とす…


卯月「あ……ま、ま……ママ――ッ!」


武内P「――島村、卯月さんですね?」

スッ…


卯月「ぅぁ……?」

266: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 21:21:02.30 ID:2537htubo
  ・  ・  ・

卯月「――346プロダクション、シンデレラプロジェクト……」

卯月「……プロデューサー」

卯月「ぷっ、プロデューサーさん!?」


武内P「はい」


武内P「――シンデレラオーディション」


武内P「貴女もお受けになったと思いますが」

武内P「……欠員が、三名出まして」


卯月「それって、もしかして……」

卯月「デビュー出来るって事ですか……?」


武内P「ええ」


卯月「……!」

卯月「で……デビュー!」

267: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 21:24:01.15 ID:2537htubo
卯月「私……遂に、アイドルに!」


武内P「受けて……頂けますか?」


卯月「はいっ! 勿論です!」

卯月「島村卯月、頑張ります!」


  ・  ・  ・


卯月「――うん、うん……そうだよママ!」

卯月「私、本当にデビューが決まったの!」

卯月「……うんっ、すぐ帰るよ!」


卯月「……ん?」

卯月(お花屋さん……?)

卯月「……お花かぁ~!」

268: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 21:31:55.38 ID:2537htubo
  ・  ・  ・

武内P「……」


卯月「ええっと……」

卯月「首都の平和を守るため、新規武門を立ち上げ……」

卯月「……アイドルとしても、多方面にプロデュース!」

卯月「わぁ~っ! 私は、その内の一人なんですね!」


武内P「はい」


卯月「私以外の方は、もう武所に入られてるんでしょうか?」


武内P「あ、いえ……再選考の内の、貴女が一人目です」


卯月「あ、そうなんですか……?」


武内P「武所への配属は、残り二人の選考後、一斉に行うことになります」

武内P「申し訳ありませんが、島村さんにはしばらく待機して頂く事になります」


卯月「うぇ……そ、そうなんですか……」


武内P「はい」

武内P「引き続き、修練所でのレッスンをお願いします」

269: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 21:35:13.68 ID:2537htubo
卯月「……わかりました!」

卯月「島村卯月、頑張ります♪」


武内P「……他に、質問は?」


卯月「えっ? ええっと……」

卯月「――あ、はい!」

卯月「CDは、いつ出せますか?」


武内P「現在、企画中です」


卯月「なるほど~!」

卯月「……テレビには、いつ出られますか?」


武内P「現在、企画中です」


卯月「……なるほど~!」

卯月「あの……LIVEとか、出来るんでしょうか?」


武内P「……それも企画中です」


卯月「あ……なるほど~……」

270: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 21:40:25.30 ID:2537htubo
卯月「あとは、ええっと……」


卯月「私の――頼武(らいぶ)は、いつ調整するんでしょうか?」


武内P「……それも企画中です」

卯月「……」

武内P「……」

卯月「あとは、ええっと……」


卯月「どうして、私なんでしょうか?」


武内P「……と、言いますと?」

卯月「ええと、私……」


卯月「霊力の基準を満たしてなかったみたいで……」


卯月「……一度、このオーディションに落ちているので」

卯月「今回の選考理由とか、聞かせてもらいたいな、って……」



武内P「……――笑顔です」


卯月「ぁ……笑顔……」

271: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 21:42:53.65 ID:2537htubo
武内P「はい」

武内P「……説明不足でしょうか?」


卯月「……いえ」

卯月「いいえっ!……ふふっ♪」


卯月「――笑顔だけは自信があります! ぶいっ♪」ニコッ!


武内P「……」


  ・  ・  ・


卯月「――あと二人かぁ~!」

卯月「どんな人達なんだろう……!」

272: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 21:48:57.44 ID:2537htubo
  ・  ・  ・

渋谷


少年「うえっ……ひっく、ぐすっ……!」

凛「……」


官憲「あっ……ちょっ、ちょっとキミぃ!」


凛「……」

官憲「少し、話を聞かせてもらえるかな!」

凛「別に……何もしてないよ」

官憲「何でも無いって事は――」


少年「うええっ! えっ、ええっ……!」


官憲「あっ……」

凛「……」


「どうしたんだろう……」

「さあ……男の子に何かしたんじゃない?」


凛「……何もしてないってば」



武内P「……」

273: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 21:53:14.50 ID:2537htubo
凛「何もしてないってば……」

官憲「じゃあ、どうしてこの子はこんなに怯えてるんだ!」


武内P「――失礼」

「んぉっ……」

「……ん」


官憲「一旦、署の方へ来てもらえるかな!」

凛「えっ!? ちょっと……!」


武内P「あの……」


凛・官憲「っ……!?」


武内P「もう少し、彼女の話を聞いては……」


官憲「なっ、何ですか!? 貴方は……!?」

凛「……」

274: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 21:57:24.49 ID:2537htubo
  ・  ・  ・
交番

凛「……」


官憲「ええっ!? おもちゃのネジを落とした……!?」

少年「うん……歩くと踏んじゃうと思って……」グスグスッ…

少年「……お姉ちゃんに、止まって貰ったの……」グスグスッ…


武内P・凛「……」


官憲「こ、これはどうも! とんだ誤解を!」


凛「ああ、いえ……」

武内P「……」

275: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 22:02:09.43 ID:2537htubo
  ・  ・  ・

武内P「申し訳ありません……」

武内P「どうも、自分のせいでかえって面倒を……」

凛「……」

凛「べ、別に……私の方こそ、巻き込んじゃって……」


武内P「――あの」


凛「んっ……?」

武内P「私、こういう者ですが……」

凛「……」


武内P「――アイドルに、興味はありませんか?」

スッ…


凛「……無い」ムッ…

凛「何だ……勧誘の人だったんだ」

凛「声かけたのも、それが狙いだったわけ?」ジロッ!


武内P「いえ……そういう訳では……!」


凛「――悪いけど」

凛「アイドルなんて訳わからないもの、興味ないから」

スタスタスタスタ…


武内P「……」

276: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 22:05:49.05 ID:2537htubo
  ・  ・  ・

…ガチャッ!


武内P「……」


卯月「――あっ、お疲れ様です!」

トコトコトコトコ…

卯月「今日は、何をしましょう?」


武内P「レッスンを……お願いします」


卯月「レッスンですね、頑張ります♪」グッ!

卯月「皆に会うまでに、少しでもダンス……上手くなっておきたいです!」

卯月「それに……」


卯月「ちょっとでも、霊力を高めておかなきゃ、って!」


武内P「……お願いします」


卯月「はいっ♪」

277: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 22:09:57.49 ID:2537htubo
  ・  ・  ・

女学生達「ん……?」

犬「ワンワンワンワンワン!」フリフリ!


武内P「……」

スッ…

凛「だから……何で居るわけ……」

武内P「……」

凛「私、興味ないって言わなかったっけ……」

武内P「……」


武内P「せめて……名刺だけでも」

スッ…

武内P「受け取って頂けないかと……」


凛「……」

スタスタスタスタ…


女学生達「何だったんだろ今の……」


武内P「……」

278: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 22:12:02.89 ID:2537htubo
  ・  ・  ・

武内P「……」

スッ…

凛「……!」


「何~……?」ヒソヒソ…


  ・  ・  ・

武内P「……」

スッ…

凛「……!」


「また居るよ……」ヒソヒソ…


  ・  ・  ・

武内P「……」

スッ…

凛「……!」

279: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 22:15:30.45 ID:2537htubo
  ・  ・  ・

凛「――何度来ても同じだって」

凛「アイドルなんて、興味無いから」

スタスタスタスタ…


武内P「……」

スッ…


  ・  ・  ・


卯月「――お疲れ様ですっ♪」ニコッ!


武内P「……」


卯月「今日は、何をしましょう?」

トコトコトコトコ…


武内P「では……レッスンを……」


卯月「レッスンですね、頑張ります!」グッ!

卯月「苦手なステップ――」

くるっ!

卯月「――ちょっと、上手くなってきたんです♪」ニコッ!

卯月「それに、霊力も……うわっ、ととと!」

よろよろっ…!


武内P「……」

280: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 22:21:00.37 ID:2537htubo
  ・  ・  ・
学校

凛「……」

とん…とん…

凛「……」

凛(入部届、って……)


女学生A「――凛! 部活決めた?」


凛「いや……まだ……」

女学生「吹奏楽、入ろうよ! 音感イイじゃん!」

凛「んー……」


タッタッタッタッ!

女学生B「――ねえねえ聞いた? 不審者の話!」

女学生B「最近近くに出るって噂だよ~!」


女学生A「マジで?」

女学生B「しかもなんか、目つきのヤバ~イ感じの!」

女学生A「えー、こっわ!」

女学生A・B「あっははは!」


凛「ん……?」

凛「…………!」


女学生A「ん? どしたの凛?」


凛「ああ……えっと――」

281: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 22:26:15.96 ID:2537htubo
  ・  ・  ・

犬「わん! わん! わんわんわん!」フリフリ!


凛「――アンタ、もう来ない方が良いよ」

武内P「……」

凛「変な噂、立ってるから」

武内P「……話を……聞いていただきたいのですが」

凛「……」


武内P「――せめて、名刺だけでも」

スッ…

官憲「ちょっとキミ!」

ガシッ!


凛「……また!?」


官憲「ちょっと、来てもらおうか……!」

武内P「いや、自分は別に……」

官憲「じゃあ今、この子に何してたの」

官憲「この辺に、不審者が居るって通報が――」


凛「……あ」

凛「あのっ!」

凛「違うんです、この人は――」

282: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 22:30:35.97 ID:2537htubo
  ・  ・  ・

喫茶店


凛「……はぁ」


武内P「……すいません」


凛「あのさぁ……」

凛「そもそも私の何を見て、アイドルになれって言ってるわけ?」


武内P「――笑顔です」


凛「……はっ?」

凛「私……アンタの前で、笑ったことあったっけ……?」


武内P「いえ……今は、まだ」


凛「……もしかして、テキトーな事言ってる?」

武内P「……」

凛「……もう良いよ」

ガタッ

武内P「あ、あのっ!」

ガタンッ!


武内P・凛「……」

283: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 22:34:05.86 ID:2537htubo
武内P「……今、貴女は楽しいですか?」


凛「……えっ?」


武内P「……」


凛「……どういう意味?」

凛「ってか、それアンタに何か関係あるの」


武内P「それは……わかりません」

武内P「ただ、貴女は今、夢中になれる何かを……心動かされる何かを」

武内P「持っているんだろうかと……気になったものですから」


凛「……」

凛「――アンタには関係ない」

284: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 22:42:28.71 ID:2537htubo
  ・  ・  ・

ガチャッ…バタンッ

武内P「……」


卯月「――あっ、見てくださいプロデューサーさんっ!」

くるっ…きゅっ!

卯月「――ふふっ!」ニコッ!

卯月「……どうですか?」


武内P「……良い感じですね」


卯月「じゃあ、今日は何をしましょう!」


武内P「レッスンを――」


卯月「ううあれぇぇっ!?」

がくっ!

卯月「そ……そうですよね……」

卯月「……わかりました! 私、レッスンがんばります♪」


武内P「…………」

285: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 22:47:41.35 ID:2537htubo
武内P「……申し訳、ありません」ペコリ

卯月「う、ええっ!?」ワタワタ!

武内P「レッスンばかりで、お待たせしていて……」

卯月「え、あー……わ、私! レッスン大好きですから!」


武内P・卯月「……」


卯月「ぁ……ぇへへ……あの……」

卯月「残りの二人は、まだ……?」

武内P「……はい」

卯月「……ですよね」

武内P「……」


武内P「今――‘アイドルとしての’一人は、交渉中で……」


卯月「……!」

武内P「今日もこれから、会いに行ってくる予定です」

卯月「えっ……あの……今からですか?」

武内P「? はい……」


卯月「あ、あのっ……私も一緒に行って良いですか?」

286: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 22:55:06.79 ID:2537htubo
  ・  ・  ・

卯月「――可愛いワンちゃんですね♪」

ナデナデ…

ハナコ「クゥーン……」フリフリ!


凛「あ……うん」


卯月「あの……お名前聞いても良いですか?」


凛「え、あ……ハナコ」


卯月「――ハナコちゃんですか♪」

卯月「私は、島村卯月って言います――ハナコちゃん♪」ペコリ!


凛「えっ!?」

凛「ハナコは、犬の名前で……」


卯月「えっ!? うわあああっ……すみません!……はぁ……」


凛「……ぷっ! ふふふふっ……ふふふっ!」


卯月「えへ……えへへへへ……」

287: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 22:59:35.36 ID:2537htubo
凛「――凛」


卯月「んっ?」


凛「渋谷凛……私の名前」


卯月「……! はいっ!」

卯月「よろしくです、渋谷さん」ニコッ!

凛「凛で良いよ」

卯月「! じゃあ……」


卯月「よろしくね、凛ちゃん」


凛「よろしく。えっ、と……」

卯月「卯月、って」


凛「……卯月」


卯月「ふふふっ♪」

卯月「ええっと……それであの、凛ちゃん!」

凛「何?」


卯月「これから、アイドル一緒に頑張りましょうね♪」グッ!


凛「…………」

凛「えっ?」


卯月「へっ?」

288: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 23:02:25.11 ID:2537htubo
卯月・凛「……」


凛「あー……あのさ」

凛「そもそも私、アイドルなんてなる気無いし……」


卯月「えっ?」


凛「最初からずっとそう言ってるのに……あの人が」


卯月「えっ?」


卯月「ええ~~~っ!?」


  ・  ・  ・


卯月・凛「……」

289: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 23:06:37.77 ID:2537htubo
卯月「……」

凛「……」


凛「――あの人さ」


卯月「へっ?」

凛「ああ、いや……変じゃない? あの人?」

卯月「うん……?」



武内P「……」



卯月「プロデューサーさん……ですか?」

凛「うん。毎日来て……アイドルになりませんか、ってそれだけ」

凛「不審者に間違われたりとか……」

卯月「あ、あはは……」


凛「選ばれた理由も――笑顔しか言われてなくって……」


卯月「えっ!? わ、私も同じこと言われて……!」


凛「えっ!?」

290: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 23:11:53.04 ID:2537htubo
凛「あー、でも私……卯月の笑顔は、本当の理由だと思う」

卯月「そ、そうでしょうか……?」

凛「うん」

卯月「……」


卯月「――良いんです!」

卯月「それでもプロデューサーさんは……」

卯月「……私の長年の夢を叶えてくれる人かもしれないから!」


凛「夢?」

凛「――アイドルになるのが?」


卯月「はいっ♪ ふふふっ♪」ニコニコ!


凛「あの、さ……」

凛「卯月はどうして、アイドルになりたいの?」


卯月「ええっ? ど、どうして……?」

卯月「ええっ、と――」

291: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 23:14:06.42 ID:2537htubo
こっから大戦です

292: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 23:21:09.16 ID:2537htubo
武内P「――お話中、すみません」


卯月・凛「うわっ!?」


武内P「……急ぎの仕事が、入りました」

武内P「なので、私はこれで……」


凛「ふーん……?」

卯月「っ……!」

凛「? どうしたの?」

卯月「あ、あのっ! プロデューサーさん!」


卯月「急ぎの仕事って、もしかして……」


武内P「――はい」


卯月「……!」

卯月「プロデューサーさん! 私にも出来る事はありませんか!?」


凛「卯月……?」

295: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 23:31:41.93 ID:2537htubo
武内P「いえ……今は、まだ」


卯月「お願いします! プロデューサーさんっ!」


武内P「……わかりました」

卯月「……! はいっ!」

武内P「ですが、決して無理はなさらないでください」

卯月「はいっ! 島村卯月、無理をしないよう頑張りますっ!」


凛「ちょ、ちょっと待って」

凛「ねえ……一体、何なの?」


武内P「……すみません」

武内P「説明は……出来ません」

卯月「……ごめんね、凛ちゃん」


凛「……」

凛「何なの……?」

296: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 23:38:19.99 ID:2537htubo
ブロロロロ――キキーッ!


凛「な……何!? あの車……!」


武内P「行きましょう、島村さん」

卯月「はいっ!」


凛「ちょ、ちょっと!」


…ガチャッ!

武内P「――千川さん、お疲れ様です」


ちひろ「お疲れ様です、プロデューサーさん♪」


凛「ねえ! ちゃんと説明して!」

卯月「わわわわっ!? 凛ちゃん、押さないで~っ!?」


武内P「っ!? 渋谷さん……!?」


…バタンッ!

297: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 23:48:08.36 ID:2537htubo
ちひろ「時間がありません、発車します!」


武内P「待ってください! まだ――」


ちひろ「運転中は、話しかけないでください……!」


武内P「っ……!?」

凛「ねえ! これも、アイドルの仕事なの!?」

武内P「いえ、これは……」

卯月「それとは、また別で……ですね!?」

凛「だったら、どうしてアンタも卯月も――」


凛「っ――!?」

凛「ちょっと!? 行き止まり……ぶつかる!」


ウィィィン……!


凛「!? 道路が、下がって――」


ウィィィン……パシュゥンッ…!

298: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/03/31(日) 23:56:02.72 ID:2537htubo
凛「えっ……!?」

凛「地面の下に……何なの、この道路……!?」


武内P「……島村さん」

武内P「お願いが、あるのですが」


卯月「! はいっ!」


武内P「今回、現れた――負闇(ふあん)」

武内P「出現したのは、二体の様です」


卯月「はいっ!」


武内P「なので……私が、一人で出撃します」


卯月「はいっ!」

卯月「……って、ええ~っ!?」


武内P「島村さんには、渋谷さんのお相手をお願いしたいのですが……」


凛「しゅ……出撃?」

卯月「あー……そう、ですよね……」

299: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/01(月) 00:01:23.75 ID:gAVkrg0Xo
キキーッ!


武内P「それでは……後をお願いします」


ガチャッ!


凛「あっ、ちょっと!」


…バタンッ!


凛「……卯月」

卯月「は、はいっ!」ビクッ!

凛「……この状況は、何なの?」

卯月「ふえっ!? ええっ、と……」

凛「……」

卯月「な……何て説明したら良いんだろう……!?」


凛「……」


卯月「あ、あはははは……は……」

300: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/01(月) 00:09:20.42 ID:gAVkrg0Xo
ちひろ「――良ければ、私から説明しましょうか?」


卯月・凛「えっ?」


ちひろ「アシスタントの、千川ちひろです」

ちひろ「貴女が……島村卯月ちゃん!」

ちひろ「これから、宜しくおねがいします♪」ニコッ!


卯月「は、はいっ!」

卯月「こちらこそ、宜しくおねがいします!」


ちひろ「それで、貴女は……」


凛「……渋谷凛」

凛「納得のいく説明を聞かせて」


ちひろ「よろしくね、凛ちゃん♪」ニコッ!


凛「……よ、よろしく……お願いします」

301: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/01(月) 00:15:38.99 ID:gAVkrg0Xo
ちひろ「――ゴホンッ!」

ちひろ「それでは、まず最初に――」

ちひろ「――私達は、正義の味方です♪」


凛「……そう言われると、怪しいんだけど」

卯月「そ、それは本当の事ですから!」

凛「正義の味方って言われても……」


凛「何? 悪者と戦ってる……とでも言うの?」


ちひろ「ピンポーン♪ 正解です♪」


凛「……本当に?」

卯月「本当です!」


ちひろ「……ねえ、凛ちゃん?」

ちひろ「卯月ちゃんに確認しないと……信じてもらえない?」


凛「……」

303: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/01(月) 00:32:00.77 ID:gAVkrg0Xo
凛「……ねえ、もしかして」


ちひろ「――帝国華撃団」

ちひろ「太正時代に……闇と戦い、帝都の平和を守った」

ちひろ「……学校の教科書で、習ったわよね?」


凛「っ!? それじゃあ……!?」


ちひろ「――346プロダクション」

ちひろ「業界では老舗の芸能プロダクション……は、表向きの姿」

ちひろ「新たに新設された、アイドル部門……」

ちひろ「……その、知られざるもう一つの顔」


ちひろ「――帝国華撃団・時組!」


ちひろ「まだ、メンバーが揃ってないから名前は仮のものらしいけど、ね♪」


凛「そんな……じゃあ、卯月は!?」

卯月「はい……メンバーの内の、一人です」


凛「……!」

304: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/01(月) 00:44:31.51 ID:gAVkrg0Xo
ちひろ「……人々の負の感情の……闇」

ちひろ「それが、この時代になって形を持ち――再び動き出したの」

ちひろ「……だけど、それを知られるわけにはいかない」

ちひろ「事が公になったら、もっと闇は強さを増すから」


凛「……」


ちひろ「だから……人知れず、負の闇――負闇(ふあん)を照らす」

ちひろ「笑顔の力――パワー・オブ・スマイル」

ちひろ「その、光の霊力を動力源とする、霊子甲冑――頼武(らいぶ)で」

ちひろ「だから、元々霊力が高い子を集めて――」

ちひろ「――アイドル活動もして、更に力を高めるの」


卯月「あの……一つ、質問なんですけど」


ちひろ「うん? どうしたの?」


卯月「プロデューサーさんは……アイドルじゃありませんよね?」


ちひろ「プロデューサーさんは、元々霊力の高い人で……」

ちひろ「それに、担当アイドルからの信頼度によって――」

ちひろ「――プロデューサーさんへも、光の霊力が注がれるのよ」

ちひろ「頼武が、『頼』っていう字を使ってる理由の一つがそれね♪」ニコッ!


卯月「なるほど~!」

凛「……」

310: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/01(月) 20:24:18.55 ID:gAVkrg0Xo
  ・  ・  ・

プロジェクトルーム


今西武長「――負闇は、まだその姿を見せていない」

今西武長「現在は、結界内に閉じ込めてはいるが……」

今西武長「……彼女達の帰りを待つ余裕は無いね」


武内P「はい」

武内P「皆さん……アイドル活動の方を頑張っていますから」

武内P「それは、とても重要な事です」


今西武長「……やれやれ」

今西武長「プロデューサーは、あまり舞台に上がるものじゃない」


武内P「……」


パシュウンッ―!


凛「――ふざけないでよ!」


武内P「……渋谷さん?」

311: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/01(月) 20:31:38.17 ID:gAVkrg0Xo
卯月「ま、待って凛ちゃん!」

ちひろ「誤解よ! プロデューサーさんは、そんな人じゃ!」


武内P「すみません……何が、でしょうか?」


凛「担当アイドルからの信頼度によって……」

凛「……アンタにも、光の霊力が注がるんでしょ」


武内P「はい」


凛「……だったら、最初からそう言えば?」

凛「楽しいか、とか……夢中になれる何か、とか……!」

凛「笑顔とか! 全部テキトーだったんでしょ!」


武内P「いえ、それは……」


『負闇が姿を現すまで、もう時間がありません!』

『至急、出撃してください!』


武内P「……すみません」

武内P「その件に関しましは……また、後ほど」


凛「! 逃げないでよ!」


武内P「……」


パシュゥンッ―!


凛「……!」

312: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/01(月) 20:42:40.75 ID:gAVkrg0Xo
凛「何なの……!」

卯月・ちひろ「……」


今西武長「――やあやあ、随分と元気な子だね」


ちひろ「! すっ、すみません、武長!」

今西武長「彼女は?」

ちひろ「プロデューサーさんが、スカウトしようとしている……」

今西武長「ああ、そうか……話には聞いているよ」


凛「……何? 話って」


今西武長「――アイドル」

今西武長「やってみるつもりは、無いのかい?」


凛「……絶対に嫌」

凛「嘘をついてまで、スカウトしようとするだなんて……!」


今西武長「ふむ……キミは、何か勘違いをしているみたいだ」

今西武長「彼は、キミを担当するつもりは無かった」

今西武長「ただ、純粋に……華撃団のメンバーとしてではなく――」

今西部長「――普通のアイドルとして、スカウトをしていただけさ」


凛「……」

凛「はっ……?」

313: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/01(月) 20:53:32.73 ID:gAVkrg0Xo
凛「……そんなはずない」


卯月「そう言えば……プロデューサーさん」

卯月「――‘アイドルとしての’一人、って」

卯月「そう……言ってました」


凛「ねえ、どういう事なの!?」


今西武長「アイドルは、ソロ活動もだが……ユニット活動もあるからね」

今西武長「そこの彼女――島村卯月くんは、更に別の活動もあるが……」


卯月「……」

凛「そんな……嘘でしょ……?」


今西武長「本当かどうかは、戻ってきたら本人に確かめてみると良い」

今西武長「尤も――」


今西武長「――絶対に帰ってくるという保証は出来ないが」


凛・卯月「……えっ!?」

314: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/01(月) 21:06:41.35 ID:gAVkrg0Xo
今西武長「それはそうだろう」

今西武長「彼は、アイドルでは無い」

今西武長「――華撃団のメンバーが揃っていない、今」

今西武長「彼の頼武は、出力の二割も出ないだろう」


卯月「そんなっ!?」

凛「だったら、何で!?」


今西武長「――笑顔」


卯月・凛「笑顔……?」


今西武長「彼は、帝国華撃団の隊長だ」

今西武長「そんな男が――」


  ・  ・  ・


武内P「……」

『――間もなく、地上に出ます!』

武内P「はい、わかりました」

『……ご武運を!』

武内P「ありがとうございます――」


頼武・黒『――出撃します』


  ・  ・  ・


今西武長「――悪を見過ごして」

今西武長「アイドルの笑顔の手助けが出来ると思うかい?」


卯月・凛「……!」

315: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/01(月) 21:23:24.19 ID:gAVkrg0Xo
  ・  ・  ・

河川敷


…ゴウッ――!


頼武・黒『――!』

ズゥゥン!


武内P「……」

武内P(やはり……思うようには、動かないか)

武内P(……だが、やるしかない)

武内P(結界内は、外との連絡は不可能……)

武内P(……負闇が居る限り、結界が解除される事は無い)


負闇・い『……』


頼武・黒『……』

スラッ――チャキッ!


武内P「今の出力では……二刀は扱えない、か」

武内P(一刀で、一体ずつ……仕留める他に、無い)


頼武・黒『――推して参る!』


負闇・い『GYUOOOOOOO!!』

317: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/01(月) 21:36:00.03 ID:gAVkrg0Xo
  ・  ・  ・

卯月「――わ、私も出撃しますっ!」


凛「卯月っ!?」

今西武長「しかし……キミの頼武は、まだ」

ちひろ「そうよ、卯月ちゃん! 危険だわ!」


卯月「……でも――夢なんです」


凛「……!」


卯月「スクールに入って、同じ候補生の子達とレッスンを受けながら……」

卯月「……私、ずっと待ってました」

卯月「アイドルに……キラキラした何かになれる日が」

卯月「皆を笑顔を守れるようになれる日が、きっと私にも来るんだ、って」

卯月「……そうだったら良いな、って……ずっと思ってて」


卯月「そうしたら――プロデューサーさんが、声をかけてくれたんです」


凛「アイツが……」


卯月「……ふふっ」

卯月「プロデューサーさんは――私を見つけてくれたから!」

卯月「私は……きっとこれから、夢を叶えられるんだな、って!」


卯月「それが――嬉しくて!」ニコッ!


凛「――……!」

318: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/01(月) 21:46:21.88 ID:gAVkrg0Xo
「クゥンキュゥンクゥンキュゥ~ン…!」

カチカチカチカチッ!


凛「この声……ハナコ!?」

凛「車の中で待ってて、って――」


  ・  ・  ・


凛『良い? 此処で、大人しく待ってるんだよ?』

ハナコ『ワンッ!』


  ・  ・  ・


ちひろ「ドアを閉める時、外に出ちゃってたのかしら……!」


パシュゥンッ―!


ハナコ「――ワンッ! ワンッ!」フリフリ!


凛「もうっ、待っててって言ったのに……!」


ハナコ「――ワンッ! ワンッ!」

タタタタタッ…!


凛「あっ、コラ! どこ行くの、ハナコ!」

319: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/01(月) 21:57:12.53 ID:gAVkrg0Xo
  ・  ・  ・

凛「……!」

タッタッタッタッ…!


ハナコ「――ワンッ! ワンッ!」フリフリ!


凛「――コラ! どうして言うこと聞かないの!」

凛「って……何?」

凛「この……穴は……」


卯月「凛ちゃ~~ん!」


凛「……卯月」

卯月「はぁ……はぁ……やっと追いついた……!」

凛「その……なんか、ごめん」


ハナコ「ワンッ! ワンッ!」


凛「ハナコ? どうして、穴に向かって……」

卯月「あ……これって、もしかして……」

凛「卯月、知ってるの?」

卯月「はいっ! レッスンで、習いました!」


卯月「帝国華撃団のメンバーは、この穴を抜けて――」

卯月「――頼武に乗って、出撃するんです!」


凛「……この穴から?」

320: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/01(月) 22:06:49.52 ID:gAVkrg0Xo
凛「なんで、そんな事を……」


卯月「うぅっ……やっぱり、緊張するなぁ……!」

…はしっ


凛「ちょっと、卯月!?」

凛「まさか、本当に!?」


卯月「……えへへ」

卯月「次に会った時は……凛ちゃん!」

卯月「一緒にアイドルをやってくれる、って言ってくれたら……な、なーんて」

卯月「その……また、お話しましょうねっ!」


凛「……」


卯月「それじゃあ――島村卯月、頑張ります!」ニコッ!

―とんっ!


「……って、角度が急で……ま、ママ~~っ!」


凛「……」

凛「……ねえ、ハナコ」

ハナコ「クゥ~ン?」


凛「――今度は、良い子で待ってられる?」


ハナコ「ワンッ!」フリフリ!


凛「……それじゃ、行ってくるから!」

―とんっ!

321: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/01(月) 22:16:09.39 ID:gAVkrg0Xo
  ・  ・  ・

「……――ひゃああ~っ!?」

ぽーんっ!


…どすんっ!

卯月「ひぐうっ!?」

卯月「あ、あたたた……お尻うっちゃった……!」


…とんっ!


卯月「えっ?」


凛「えっ、と……また会ったね」


卯月「……わ~っ♪ 凛ちゃん、とっても似合ってます!」


凛「へっ?」

凛「似合ってる、って……」

凛「えっ!? 何、この格好……!?」


卯月「ステージ衣装です♪」

卯月「よいしょっ、と……」

卯月「……どうですか? 私も、似合ってますか?」


凛「うん……似合ってる、けど……」


卯月「えへへ♪ ピンクとブルーで、デザインはお揃いですね♪」ニコッ!


凛「だから……なんでこんな格好なの……」

322: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/01(月) 22:29:06.57 ID:gAVkrg0Xo
  ・  ・  ・

頼武・黒『……』


負闇・い『GYUUU……OOO……!』

ヨロヨロッ…


武内P「……」

武内P(一体目は、問題ない)

武内P(二体目が姿を見せる前で……助かった)


頼武・黒『……!』

チャキッ!


負闇・い「……GYUUOOOOOOOO!!」


頼武・黒『覚悟――』



負闇・ろ「GYAAAAAAAAA!!」

ドスドスドスドスンッ!



頼武・黒『――っ!?』



負闇・ろ「GYAAAAAAAAA!!」

ガガァンッ!

頼武・黒『う……おおおっ……!?』


武内P「……!」

武内P(まずい……押される……!)

323: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/01(月) 22:36:42.86 ID:gAVkrg0Xo
負闇・い「――GYUOOOOOO!!」

ドスドスドスドスンッ!


負闇・ろ「GYAAAAAAAA……!」

グググッ…!

頼武・黒『……!』


武内P(この体勢では……躱せない……!)



…ゴウッ――!



武内P「っ!?」



頼武・桜『――わ! わ! わ! わっ!?』

頼武・桜『――卯月! ねえ、下! 下っ!』



…ズゥゥン!



頼武・桜『あたたた……! 霊子甲冑でも尻もちだなんて……!』

頼武・桜『何かが……クッションみたいになって、助かった……?』



負闇・い「GYUAAA……AAA……!」

324: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/01(月) 22:50:47.34 ID:gAVkrg0Xo
頼武・黒『その機体に、その声は……!?』


pi!

武内P「……島村さん!」


卯月『ちゃ、着地失敗しちゃいました……えへへ』

凛『――ねえ! 今、やられそうになってた!?』


武内P「やはり、渋谷さんも……!」

武内P「島村さん、彼女を連れて早く離脱を――」


凛『質問に答えて!!』


武内P「っ!?」


卯月『ん……? ひ、ひええっ!?』

卯月『負闇の上に乗っちゃって……!』


武内P「待ってください、今は――」


凛『逃げないでよ!』



凛『――アンタ、私のプロデューサーでしょ!?』



武内P「っ――!」

325: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/01(月) 23:08:40.29 ID:gAVkrg0Xo
負闇・い「GYAAAAAAA!!」

グワアッ!

頼武・桜『きゃああっ!?』

ズズゥンッ…!


負闇・ろ「GYAAAAAAAAA!!」

グググッ…!

頼武・黒『……』

ググググッ…!

負闇・ろ「!?」



頼武・黒『……』

―チャキッ!



頼武・黒『狼虎滅却――』


――斬!


頼武・黒『――快刀乱麻』



負闇・ろ「GYAAA……AAA……A……」

シュオオオオッ…



頼武・黒『……少しだけ、時間をください』

頼武・黒『残った仕事を片付ける必要が……ありますので』

326: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/01(月) 23:26:37.09 ID:gAVkrg0Xo
  ・  ・  ・

346プロ、前


卯月「……」

卯月「あっ!」


凛「――おはよう、卯月」


卯月「凛ちゃん……」

卯月「おはようございます♪」ニコッ!


凛「中に入らないで……待ってたの?」


卯月「えへへ……」

卯月「だって……今日が、初めてだから」

卯月「事務所に入るなら、一緒が良いな、って」


凛「だったら……もうちょっと早く来たのに」


卯月「あああ、いえ! 私も、今来た所ですから!」


凛「……ねえ」

凛「だったら、私だけ先に入ってたかも知れないんじゃない?」


卯月「えっ……ええっ!?」


凛「冗談。私も、待ってるつもりだったから」


卯月「……凛ちゃ~ん!」


https://www.youtube.com/watch?v=nEJeHJrW4Vw


327: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/01(月) 23:34:26.30 ID:gAVkrg0Xo
  ・  ・  ・

346プロ・玄関ホール


武内P「……」

武内P「ん……」


卯月「――プロデューサーさん、おはようございますっ♪」ニコッ!

凛「――おはよう、プロデューサー」


武内P「島村さん、渋谷さん」

武内P「……おはようございます」

武内P「今日は、先日お話しました通り……」

武内P「施設内のご案内をしようと思っています」


凛「ねえ、ちょっと待って」

卯月「凛ちゃん?」


武内P「はい、どうかしましたか?」


凛「それって――‘アイドルとして’?」

卯月「あっ! 確かに……今日は、どうするんですか?」


武内P「そうですね、時間の関係上……」



「――あら?」

328: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/01(月) 23:40:38.74 ID:gAVkrg0Xo
卯月・凛「っ――!?」


武内P「――高垣さん」

武内P「おはよう、ございます」


楓「はい、おはようございます」ペコリ


卯月・凛「お……おはようございます!」


楓「ふふっ、貴女達が……新人の子達ね?」


卯月・凛「は、はいっ!」


楓「これから、一緒に頑張りましょうね」ニコッ!

楓「ふふっ! ふあんなんか、吹き飛ばして……うふふっ!」


卯月・凛「……えっ?」


楓「それじゃあ……お先に、失礼します」ペコリ


武内P「はい」コクリ


卯月・凛「……」

卯月・凛「えっ?」

329: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/01(月) 23:51:16.91 ID:gAVkrg0Xo
卯月「あ、あの……プロデューサーさん?」

凛「高垣楓……さん、と……知り合いなの?」


武内P「ええ」

武内P「――同じ武門ですから」


卯月「も、もしかして……なんですけど……!」

凛「メンバーって……全員新人じゃ……!?」


武内P「ありませんが……」

武内P「……お伝えして、いませんでしたか?」


卯月・凛「えっ!?」


武内P「既に、以前からアイドルとして活動していた方も……はい」

武内P「お二人も、ご存知の方が居るかと――」


卯月・凛「……」

卯月・凛「ええ~~っ!?」




平正三十一年……改め!


――零和元年!


夢、希望、明日……そして、正義を守る乙女達――シンデレラガールズ!


彼女達の、愛と平和の時計の針が――動き始めた!


https://www.youtube.com/watch?v=ur4BkAkR71w





おわり

342: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/03(水) 21:34:42.63 ID:J+6V1sXeo
書きます


武内P「できたみたい、ですか」

344: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/03(水) 21:38:10.42 ID:J+6V1sXeo
かな子「はい」

武内P「……三村さん」

かな子「できました」ニコリ

武内P「……三村さん」


武内P「現在の体重を教えてください」


かな子「できたみたいです」


武内P「……」

かな子「……」

345: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/03(水) 21:42:03.70 ID:J+6V1sXeo
武内P「……三村さん」

かな子「うふふっ、どうしたんですか?」ニコリ

武内P「現在の体重を教えてください」

かな子「あっ……ちょっと待ってください」


かな子「……蹴りました~♪」ニコッ!


武内P「何がですか?」


かな子「……」

武内P「……」

346: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/03(水) 21:44:52.21 ID:J+6V1sXeo
武内P「三村さん」

かな子「できたんです」

武内P「……三村さん」

かな子「何ですか?」


かな子「……パパ?」


武内P「多方向に誤解を生む呼び方はやめてください」


かな子「……」

武内P「……」

347: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/03(水) 21:48:36.09 ID:J+6V1sXeo
かな子「アイドル、仕事、楽しい」

武内P「何故、片言に?」

かな子「お金、入る、嬉しい」

武内P「……まあ、はい」


かな子「美味しい、お菓子が、できました」

かな子「……と、言うことは?」


武内P「……」


かな子「ぃ、よいしょ~っ!」

すぱぁんっ!


武内P「待ってください、自分のお腹を叩くのは……あまりにも」

348: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/03(水) 21:51:50.79 ID:J+6V1sXeo
かな子「じゃあ……できてたとしますよ?」

武内P「はい?」

かな子「仮の! 仮の話です! 仮の!」

武内P「……はあ」


かな子「……できるだけ、栄養を取らないといけない」

かな子「そうは思いませんか?」

かな子「良かった~! やっぱり、そうですよね!」ニコッ!


武内P「……良い、笑顔です」

武内P「口を挟む暇は頂けませんか?」

349: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/03(水) 21:57:26.43 ID:J+6V1sXeo
かな子「じゃあ……仮にですよ?」

武内P「聞く必要がありますか?」

かな子「できてなかったとします。仮に、ですからね?」

武内P「……何ですか」


かな子「見てください、このお腹」

…ぽっこり!

かな子「……ねっ?」ニコッ!

かな子「アイドルがして良いお腹じゃないですよね?」


武内P「……」

武内P「はい、仰る通りです」

350: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/03(水) 22:01:05.44 ID:J+6V1sXeo
かな子「でも、私はアイドルですよね」

武内P「……はい」

かな子「そうです、三村かな子です~♪」ニコッ!

武内P「……」


かな子「だから……できたみたい、です」

かな子「でなきゃ、説明がつきませんもんね♪」ニコッ!


武内P「食べ過ぎです」


かな子「……」

武内P「……」

351: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/03(水) 22:05:36.82 ID:J+6V1sXeo
かな子「じゃあ……まさか、なんですけど」

武内P「はい」

かな子「私、カロリー計算を間違ったんでしょうか?」

武内P「今週、甘い物を何回持ってきましたか?」


かな子「えっと……ひの、ふの……」

かな子「……数える指が足りないので、わからないです~♪」ヤレヤレ!


武内P「……三村さん」

武内P「二桁に乗っているだけで、十分すぎます」

352: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/03(水) 22:09:29.36 ID:J+6V1sXeo
かな子「えへへ……失敗しちゃいました♪」テヘペロッ!

武内P「良い、笑顔……いえ、笑い事では無く」

かな子「じゃあ、どうすれば良いんですか?」

武内P「ダイエットをしましょう」


かな子「オイルマッサージですか?」

かな子「美波ちゃん式ですか?」


武内P「それで薄くなるのは、お腹ではなく本です」

武内P「そして、新田さん式という表現はやめましょう」

353: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/03(水) 22:14:32.36 ID:J+6V1sXeo
かな子「じゃあ、どうすれば良いんですか?」

武内P「甘い物を控えましょう」

かな子「そもそも、ダイエットって何ですか?」

武内P「無駄な抵抗はやめてください」


かな子「――個性」


武内P「その一言で片付けようとしないでください」


かな子「……」

武内P「……」

354: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/03(水) 22:18:01.97 ID:J+6V1sXeo
かな子「――あっ、プロデューサーさん」

武内P「? どうしましたか?」

かな子「上着の、右ポケットに……取りますね」

武内P「すみません……糸くずでもついていましたか?」


かな子「――マシュマロが」

ぱくっ!

かな子「ん~っ♪ マシュマロ美味しい~♪」ニコニコ!


武内P「……三村さん」

武内P「大事な話の最中、技を駆使しないで頂けますか?」

355: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/03(水) 22:24:41.29 ID:J+6V1sXeo
武内P「CANDY ISLANDでの、LIVEが控えています」

かな子「はいっ♪ レッスン、頑張ってますよー!」

武内P「ステージ衣装は、着られますか?」

かな子「あっ、プロデューサーさん。肩に――」


かな子「――サーターアンダギーが」

ぱくっ!

かな子「……すみません、口の中の……水分が」


武内P「……三村さん」

武内P「せめて、今は我慢出来ませんか?」

356: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/03(水) 22:31:47.31 ID:J+6V1sXeo
武内P「今日の夕食の献立は、把握していますか?」

かな子「はいっ♪ 山菜の天ぷらです」

武内P「そう、ですね……旬の味覚も大事ですから」

かな子「天ぷらだから、量は控えめにします!」


かな子「……だけど、山菜だけじゃ寂しいかなー、って」

かな子「アイスクリームの天ぷらも挑戦します!」

かな子「天つゆじゃなくて、シロップで♪」ニコッ!


武内P「三村さん」

武内P「カロリーモンスターで寂しさを紛らわせないでください」

357: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/03(水) 22:37:38.89 ID:J+6V1sXeo
かな子「……プロデューサーさん、ちょっと考えてみてください」

武内P「何をですか」

かな子「できてた方が、良いと思いませんか?」

武内P「……一応聞いておきます」


武内P「何故、そう思われるのでしょうか?」


かな子「生まれたら、お腹がへっこみます」

かな子「ねっ? できてた方が、良いですよね?」


武内P「生まれるかどうかは、関係ありません」

武内P「お腹がへこむ予定日だけ、お願いします」

359: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/03(水) 22:47:38.40 ID:J+6V1sXeo
かな子「責任……取ってくださいね///」

武内P「何のですか?」

かな子「何の、って……も~、わかってますよね///」

武内P「いえ、全く」


かな子「LIVEは、三週間後なんですよ?///」

かな子「ふふっ、うふふっ♪ えへへっ♪」ニコニコッ!


武内P「……三村さん」

武内P「お腹の前に、その笑顔を引っ込めてください」

360: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/03(水) 22:59:40.24 ID:J+6V1sXeo
かな子「三週間じゃ、生まれませんよ?」

武内P「待った所で、時計の針が進むだけです」

かな子「ウェストの数値は増えます!」プンプン!

武内P「今、私が怒られるのは理不尽すぎませんか?」


かな子「……それじゃあ、プロデューサーさん」

かな子「三週間で、間に合うと思いますか?」ムッ!


武内P「…………」

武内P「……」


武内P「諦めなければ、きっと道は開けます」

361: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/03(水) 23:07:49.07 ID:J+6V1sXeo
かな子「でも、無理は駄目ですよ~!」

武内P「自分で自分にかける言葉ではありません」

かな子「前みたいに倒れて、迷惑かけちゃうかも……」

武内P「大丈夫です。きちんと管理をしますので」


かな子「……わかりました!」

かな子「私、頑張ります!」


武内P「……三村さん」


かな子「それじゃあ……失礼します」


武内P「待ってください」

武内P「何を頑張るのですか、三村さん」

362: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/03(水) 23:16:41.33 ID:J+6V1sXeo
かな子「何をって……アイスクリームの天ぷらをですけど……?」キョトン

武内P「何一つご理解いただけていない、と」

かな子「すぅっ――ふぅはああぁぁ~~っ……」ヤレヤレ

武内P「待ってください。そのため息は、あまりに大きすぎます」


かな子「今日の献立は、もう決まっちゃってるんです」

かな子「だから……お願いします、プロデューサーさん」


武内P「……三村さん」

武内P「ダイエットをする気は、ありますか?」


かな子「勿論です!」


武内P「……その言葉は、信じても?」


かな子「――はいっ♪」ニコッ!

かな子「明日から、頑張りますー♪」ニコニコ!




おわり

372: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/04(木) 22:24:16.96 ID:l0nqr7PNo

「ただいま」


 玄関のドアを開けて、言ってみる。
 返事が無いのは、わかってる。
 だけど、もしかしたら……なんて。
 いつも通り、二人の靴は無い。


「……」


 靴を脱ぎ、廊下を歩く。
 ウサギさんのスリッパが、パタパタと音をたてる。
 この子達は、いつも二人一緒。
 良いなぁ、羨ましいなぁ。


「……」


 リビングのドアを開けて、電気を点ける。
 テーブルの上を見ても、何も無い。
 しょうがないよね。
 だって、皆お仕事なんだもん。


「……」


 電気を……消して、ドアを閉める。
 誰も居ないのに、つけっぱなしは勿体無いもんね。
 あれ? 点けたり消したりする方が、電気代がかかるんだっけ?
 ちょっとだけ首を傾げて、部屋に向かう。


「……」


 部屋のドアを開けたら、鞄をちょっとの間だけ床に置く。
 コートを脱いで、ハンガーに。
 もう桜が咲いてるのに、風は冷たい。
 まだまだ、活躍してもらっちゃいそう。


「あっ」


 気付かなかった。
 肩の所、桜の花びらがついてたんだ。
 親指と人差し指で、ピンクのそれをちょこんとつまむ。
 ついてたのは、一枚だけ。


「……」


 ピンク色で、小さくて。
 風に吹かれて、こんな所まで来てしまった、一枚の花びら。


「……あれ?」


 目に、ゴミでも入ったのかな。
 いつの間にか……涙が、頬を伝っていた。
 反対の手で、軽くすくい上げるように拭う。


「……」


 涙は、もう止まっていた。
 どうしちゃったんだろ、わたし。

373: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/04(木) 22:48:32.82 ID:l0nqr7PNo
  ・  ・  ・

「おはようございます」


 プロジェクトルームのドアを開けて、挨拶をする。
 そうしたら、返ってくる。
 低い、低い声で。
 気付いたら、すぐに振り向いてくれて。


「緒方さん、おはようございます」


 ほら、ねっ?
 最初の頃は……怖い人なんじゃないかと思ってたの。
 だけど、今はそうじゃない。
 だって、


「プロデューサー、おはようございます」


 こうやって、笑顔を向けると、


「はい、おはようございます」


 ほんのちょっとだけ、口の端が上がってるから。
 プロデューサーは、笑顔が好き。
 だって、『笑顔』が口癖みたいになってますから。
 だから……えへへ♪


「はい♪ おはようございますっ♪」


 わたしは、プロデューサーに笑顔を向ける。
 今の笑顔、どうですか?
 皆と比べて、一番じゃないかも知れないけど。
 わたしの――智絵里の出来る、一番の笑顔です♪



「……あの、緒方さん」



 なのに。
 それなのに、プロデューサーは右手を首筋にやって、困った顔をした。


「……?」


 なんで?
 プロデューサーは、笑顔が好きなんですよね?
 どうして、困った顔をわたしに向けるんですか?
 智絵里、わからないです。
 どうしよう……どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよ――


「挨拶は、一回で十分ですので……はい」


 ――あっ、そうですよね!
 あう、はずかしいです~……。


「そ、そうでした……」


 顔が熱くなって、下を向く。
 そのまま、上目遣いでプロデューサーを見る。
 その表情は、とっても優しい――笑顔。


 ……えへへ、良かった。

374: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/04(木) 23:22:34.55 ID:l0nqr7PNo
  ・  ・  ・

「いただきます」


 今日は、テレビ収録のロケ。
 メンバーの誰とも一緒じゃない、わたし一人のお仕事。
 ちょっと不安だったけど、プロデューサーが一緒に来てくれた。
 今は、そのお昼休憩中。


「……」


 控室のテーブルの上に置かれたお弁当。
 プロデューサーは、まだそれに手を付けてない。
 今日のロケ弁は、ちょっと豪華。
 なのに、手元の資料から目を離さずに居る。


「あの……プロデューサー」


 声をかける。


「はい、どうかされましたか?」


 視線が、わたしに向けられる。


「今日のお弁当……ハンバーグが入ってます」


 目玉焼きがのったハンバーグ。
 それが見えるように、箱の両端を掴んで斜めに持ち上げる。
 あ、あわわ、持ち上げ過ぎちゃった!
 煮物のニンジンさんが転げ落ちそうになり、慌てて元に戻す。


「お……美味しそう、ですよね……?」


 今の、プロデューサーに聞こえたかな?
 もう一度、言った方が良いのかな。
 だけど、もし……



『――仕事中だから』



「……っ」


 ……なんて、言われたら。
 そう思っただけで、声が出ない。
 言いたい言葉があるのに、聞いて欲しいお願いがあるのに。
 アイドルとして頑張ってきて、自信がついたと思ったのに。



「――ええ、そうですね」



 プロデューサーは、テーブルの上でトントンと資料を整えた。
 それを汚さないように、ちょっと遠くに置くと、


「せっかくなので、ご一緒させてください」


 そう言って、微笑んでくれた。


 ……量が多くて、全部食べられないと思ってたのに。
 美味しくて、ごちそうさまを言うまでずっと笑顔でいられた。

375: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/04(木) 23:55:02.04 ID:l0nqr7PNo
  ・  ・  ・

「……」


 レッスンが終わって、シャワーを浴びて。
 後はもう帰るだけ……と、思ったら……忘れ物に気付いた。
 お昼に見つけた、四葉のクローバー。
 多分、まだ机の上にあると思う。


「……」


 はぁ……気付いて良かった~。
 四葉のクローバーは、
宿題をやろうと思って持ち歩いていた古典の辞書に挟んである。
 事務所に来た時に比べて鞄が軽くて、不思議だなー、って思ってたんだよね。


「……」


 レッスンが終わったらそのまま帰る、って言ってたから……。
 わたしが戻ってきたら、プロデューサー驚くかな。
 もしかしたら、居ないかも知れないよね。
 わ、忘れ物をして戻ってきたって言うのは……ちょっぴり、恥ずかしい。


 だから……居なくても、大丈夫です。


「……」


 そっと、プロジェクトルームのドアを開けると、



「緒方さん?」



 椅子から立ち上がる途中のプロデューサーと、目が合った。
 なっ、何て言おう?
 あぅ……ドアを開ける前に、考えておくんだった~!
 えーと、えーっと……!?



「おかえりなさい……?」



 プロデューサーは、不思議そうな顔をして、言った。


「……あっ……た、た――」


 手が、勝手にドアを勢い良く開ける。
 声が、上ずって……だけど、言いたい。
 言わなきゃ……言わなきゃ――!



「ただっ、いま!……です」



 えへへ……智絵里、帰ってきました……。
 ただいまです、プロデューサー♪


 四葉のクロバーが挟まった辞書を手に取りながら、思う。
 お仕事やってて、良かったなぁ……って。



おわり

382: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/05(金) 22:23:00.06 ID:hqcVN+MUo

「漏れる」


 何がですか?
 ……そう聞こうと、テーブルの上に置かれた資料から目を離し、顔を上げた。
 そこにあったのは、
先程まで興味深げにアイドルとしての活動内容を確認していた顔では無かった。


「……!」


 諦観。
 彼女は、何もない筈の中空の一点を見つめ、


「……ごー」


 カウントダウンを開始した。


「……」


 今の私も、彼女と同じ表情をしているだろう。
 破滅への時を刻む声が、
事務所に置かれた時計の秒針と重なり、部屋に響く。
 そして、また、



「「……よん」」



 もう一つ、声が重なった。


「……えっ?」


 重なったカウントダウンは、私のものではない。
 彼女と同じユニット。
 彼女の相棒が発したものだった。
 ちなみに、今驚きの声を上げたのは……私です。


「……さん」


 不意を突かれ、カウントダウンが止まった相棒を見て、


「……にー!」


 彼女は、笑った。
 その笑顔から感じるのは、意志。
 相棒を独りではいかせない。
 漏らすのならば、二人一緒だという……傍迷惑な、決意。


「っ、待ってください!」


 並んでソファーに座りながら、彼女達は手を取り合っている。
 そんな余裕があるのならば、トイレまで我慢出来ないものか。
 片方が漏らしたとしても、その後処理を残った方が出来ないものか。
 そもそも、何故五秒前と言う限界点へと至ってしまったのか。


「せめて、お一人ずつ!」


 無駄とわかっていても、最後の足掻きとして声を上げた。
 びしっと☆Shit!

383: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/05(金) 22:49:31.21 ID:hqcVN+MUo

「「……いち!」」


 二人の声が、綺麗に重なる。
 こういった場面で無駄にハモるのは、流石と言った所だろうか。
 しかし、今の私にそれを褒めるだけの心の余裕は無い。
 一刻も早く、彼女を止めなくてはならないのだから。


「待ってください!」


 二人一緒ならば、恥ずかしさも半分。
 一人ではないという心強さが、
腹立たしい事に彼女達の歩みを止めてくれない。
 そして、厄介なのは……それだけではない。


「ふっ……!」


 歩幅が、違うのだ。
 一人は、目をつぶって穏やかな川の流れが如く。
 一人は、歯を食いしばって噴火直前の火山が如く。
 そう――


 ――バディ!


「あぁ……」


 私は、右手を首筋にやって俯いた。



「はっ……!?」「なっ……!?」



 彼女達の性格は、あまり似通っているとは言い難い。
 だが、視界の端に写った表情は、全く同じ。
 鏡合わせ、瓜二つ……コピー&ペースト。
 決定的に違うのは、



「「そっち……?」」



 一人は、小。
 一人は、大。
 大は小を兼ねるので、正確に言えば一人は小、もう一人は大小、か。
 ……と、まだ状況を冷静に判断出来ていると、自分に言い聞かせる。


「「……」」


 二対、四つの瞳が私に向けられているのが、わかる。
 顔を上げたくないという欲求が、胸の奥で悲鳴を上げている。
 嗚呼……たまりにたまった、有給休暇。
 せめて、今この時だけ、嗅覚が休暇をとって……ダジャレを言っている場合ではない。


「……今、換気をします」


 ソファーから立ち上がって、窓へと向かう。


「……」


 涙が流れそうになっているのは、差し込んでくる太陽の光のせいだと……そう、思います。
 だから……どうか、お願いします。
 この臭いを消し飛ばす北風よ、吹いてください。

384: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/05(金) 23:22:39.47 ID:hqcVN+MUo

「……」


 春風が、前髪を揺らす。
 そろそろ散髪に行った方が良いだろうか?
 満開の桜を眺めながら、顎に手を当てて思考し――即座に、振り返る。
 危ない……春の陽気に誘われて、今を見失いそうになっていた。



「……?……?」
「……!……!」



 右の革靴の踵を軸にして、クルリとターン。
 窓枠に両手を置き、軽く息を吐き出す。
 ……さあ、もう一度振り返ろう。
 先程の光景は、何かの間違いだろうから。



「……?……?」
「……!……!」



 先程、目に飛び込んできた地獄は……果たして、其処に存在していた。
 一方――大をした方が。
 一方――小をした方に。



「……?……?」
「……!……!」



 ……――目で、疑問を投げかけているのだ。


 一緒じゃないのか、と。


 そっちは大をしないのか、と。


 あまりにも、あんまりな。
 疑問と呼ぶには、生ぬるすぎる。
 脅迫めいた、純真無垢な視線。


「……?……?」


 バディッ!
 ソファーによって変化した放屁が、突撃命令を下すラッパの様に部屋に響いた。
 ですが、貴女達はユニットでデビューしているとは言え、
そのプロデュースの方向性に関しましては、まるで同じではありません。



「――絶対に、駄目です」



 己の、限界。
 プロデューサーレベルの、その向こう側へと至るまで。
 それだけの力を込めて、私は残された彼女へ声をかけた。
 心中させる訳には、いかないのだ。



「うぷ、っ……!?」



 その結果、彼女は口元を手で覆った。
 上か☆Wake Up!

385: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/05(金) 23:52:24.40 ID:hqcVN+MUo
  ・  ・  ・

「……」


 互いが、互いを補い合うかのように。
 それだけでなく、高め合うかのように。


「……」


 一人が吐いたら、もう一人は三秒後に――もらった。
 その勢いのまま、大をした方は――二人になった。
 ひとしきり内容物を出し切った後、彼女達は……笑った。
 涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔を突き合わせ、笑ったのだ。


「……」


 一人、此処に残った私からは最も遠い表情。
 自分は車輪だと自己暗示し、淡々と事後処理をする。
 彼女達は細身なので、量が多くないのが幸い……ではなく、
そもそも何故こんな事になったのか、戻り次第説教しながら――


「……笑顔です」


 ……いけない、冷静にならなくては。
 冷静……そう、クール。
 例えば、彼女達を同じタイプではなく、別のタイプに分類するのはどうだろうか。
 そうすれば、別の仕事も増え、今回の様な連鎖爆発が起きる可能性は下がる。


「……」


 二人は、別個の人間なのだ。
 便も、硬めと柔らかめ。
 吐瀉物に見える、未消化のパスタと……やめよう。
 いくら私でも、悲しいという感情が湧き上がってくるのを止められなくなってしまう。


「……」


 彼女達は、きちんと謝罪をしてくれた。
 親御さんの教育の賜物だろうか。
 個性を尊重しつつ、しっかりと言うべき事は言える子達だ。
 惜しむらくは、きちんとトイレへ行くという教育がなってはいなかった事、か。


「……」


 だが、やはり似ている。
 互いを相棒と呼び合うだけは……はい、ありますね。
 私も、彼女達の間に入れる……とまでは言わないが、
良い信頼関係を構築出来るのだろうか。


「……」


 ……今、考えるのはよそう。
 アイドルとして活動していく事に前向きな彼女達に後ろ向きなまま、
全力で走ってしまいたくなってしまうから。
 

「……」


 ピウ、と風が吹いた。
 新鮮な空気は冷たく、少しだけ……心に沁みた。



おわり

396: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/06(土) 21:15:59.40 ID:fMe4IiPho
>>390
書きます


武内P「お花見、ですか」

397: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/06(土) 21:18:50.13 ID:fMe4IiPho
部長「ああ、そうだ。良い考えだとは思わないかい?」

武内P「そう、ですね……」

部長「どうした、歯切れが悪いじゃないか」

武内P「あの……何故、それを私に?」


部長「キミに仕事を頼みたい」

部長「……やってくれるね?」


武内P「……」

武内P「一体、どんな内容なのでしょうか――」

398: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/06(土) 21:22:50.87 ID:fMe4IiPho
  ・  ・  ・

早朝


武内P「……場所取り、か」


武内P「……」

武内P(……部長の事だ)

武内P(きっと、働き詰めの自分に気を遣ってくれたのだろう)


武内P「花見の場所取りがてら、一日ゆっくり休め、と」

武内P「……そういう事ですね、部長」


武内P「……」

武内P「……そうであって欲しいものだ」

400: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/06(土) 21:25:54.71 ID:fMe4IiPho
武内P「……花見は、明日」

武内P(今日は、一日読書でもしていよう)

武内P(……幸い、このテントは広い)

武内P(閉塞感を感じることなく、ゆっくり出来る)


武内P「……」

…ごろんっ

武内P「下に敷いたマットレスも……」

武内P「……良い、塩梅です」


「ワンッ! ワンッ! ワンッ! ワンッ!」


武内P「っ!?」ビクッ!

401: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/06(土) 21:28:38.79 ID:fMe4IiPho
武内P「一体、何が……!?」


「――こら! ちょっと、ハナコ!」

「ワンッ! ワンワンッ! ワンッ!」


武内P「この声は……」

ジイイッ…!

武内P「!……やはり」


凛「……プロデューサー?」

ハナコ「ワンッ! ワンッ!」フリフリ!


武内P「……渋谷さん」

武内P「その……おはよう、ございます」

402: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/06(土) 21:33:07.66 ID:fMe4IiPho
凛「おはよう……って、何してるの?」

武内P「明日の花見の場所取り、ですね」

凛「……テントまで張って?」

武内P「ええ……そう、ですね」


凛「……ふーん」

凛「あ、結構中は広いんだ」

凛「もしかして、後から誰か来たりするの?」

凛「そうじゃないんだったら、ちょっとだけお邪魔しても良い?」

凛「ハナコの散歩をして、気付いたらかなり遠くまで来てて疲れちゃって」

凛「良い?」


武内P「……」

403: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/06(土) 21:38:26.72 ID:fMe4IiPho
武内P「……渋谷さん」

凛「駄目なの?」

武内P「すみません、お聞きしたい事が」

凛「何?」


武内P「今は――朝の五時半なのですが」


凛「朝の空気って澄んでて、気持ち良いよね」

凛「だから、たまに早起きしたら……ちょっと得した気分」


武内P「此処は――渋谷さんのご自宅から、かなりの距離が」


凛「アイドルになって、レッスンをして体力ついたと思う」

凛「運動は得意じゃなかったけど、大分成長したんじゃないかな」


武内P「……」


凛「何?」

404: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/06(土) 21:43:56.18 ID:fMe4IiPho
  ・  ・  ・

正午


武内P「……何とか、帰って頂けた」


武内P「……」

武内P(しかし……渋谷さんの鬼気迫る表情は、一体?)

武内P(……親御さんに連絡して、来て頂いて正解だったか)


武内P「彼女が此処に来たのは……きっと、偶然だろう」

武内P「……そうですよね、渋谷さん」


武内P「……」

武内P「……ええ、そうに違いありません」

405: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/06(土) 21:51:09.52 ID:fMe4IiPho
武内P「……このまま、何事も無ければいいのだが」

武内P(いや……ある筈が無い)

武内P(……余計な事を考えるのは、やめよう)

武内P(部長の計らいを無駄にしては……ならない)


武内P「……」

…ごろんっ…ごろんっ

武内P「シートの下全てに、マットレスを……」

武内P「……かなり、くつろげます」


「プロデューサーさーん」


武内P「……この声は」

406: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/06(土) 21:54:00.91 ID:fMe4IiPho
武内P「いや……そんな筈がない」


「あれ? もしかして、居ないのかしら……?」

「だけど、このテントは……もしかして、寝てる?」


武内P「……やはり」

ジイイッ…!

武内P「いえ……起きています」


ちひろ「あっ、良かった~!」

ちひろ「差し入れ持ってきましたよ、プロデューサーさん♪」ニコッ!


武内P「……千川さん」

武内P「その……ありがとう、ございます」

407: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/06(土) 21:57:57.62 ID:fMe4IiPho
ちひろ「ログインボーナスの、スタミナドリンクです♪」

武内P「は……はい、ありがとうございます」

ちひろ「これを飲んで、頑張ってくださいね!」ニコッ!

武内P「ええ……そう、ですね」


ちひろ「……へー」

ちひろ「実際に見てみると、結構広々としてますね」

ちひろ「プロデューサーさん体が大きいから、不安だったんです」

ちひろ「私、丁度今はお昼休みなので、ちょっとだけお邪魔しても良いですか?」

ちひろ「駄目ですか?」


武内P「……」

408: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/06(土) 22:02:57.29 ID:fMe4IiPho
武内P「……千川さん」

ちひろ「はい?」

武内P「すみません、お聞きしたい事が」

ちひろ「どうかしましたか?」


武内P「休憩時間は――一時間です、よね?」


ちひろ「はい、そうですね」

ちひろ「それが、どうかしましたか?」ニコッ!


武内P「此処は――事務所から、かなりの距離が」


ちひろ「はい、そうですね」

ちひろ「それが、どうかしましたか?」ニコッ!


武内P「……」


ちひろ「サンドイッチ、作ってきたんですよ♪」ニコッ!

409: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/06(土) 22:09:17.44 ID:fMe4IiPho
  ・  ・  ・




武内P「……良い、サンドイッチでした」


武内P「……」

武内P(しかし……千川さんの移動手段は、一体?)

武内P(……休憩時間終了の五分前まで、此処に居たが)


武内P「ですが……とても、良い笑顔をしていました」

武内P「……詮索してはいけないのですね、千川さん」


武内P「……」

武内P「……深く考えるのは、やめよう」

410: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/06(土) 22:16:04.00 ID:fMe4IiPho
武内P「……さすがに、もう誰も来ないだろう」

武内P(来客はあったが……大分、ゆっくり出来た)

武内P(たまには、こうやってゆっくりするのも……良いかも知れない)

武内P(いや……仕事と思うから、こうしていられるのか)


武内P「……今は」

…ごろんっ

武内P「……仕事が、恋人のようなものですから」


「ここに居るって話だけど、わかるー?」

「わかるわ。テントの色は、調べてきたから」

「ふふっ♪ いざ、夜桜! うふふっ♪」


武内P「……」

武内P「!?」

412: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/06(土) 22:22:40.83 ID:fMe4IiPho
武内P「……!」


「確か……あっ、あれよ。きっとそうだわ」

「へー! かなり立派なテントじゃないの!」

「あら? シートの下に……敷いてあるのに、マットレス! うふふっ♪」


武内P「……!?」

武内P(何故……彼女達、三人が!?)


「キャハッ! あれなら、ゆっくり出来そうですね!」

「やーん、お酒買っといて良かった☆ 飲むぞ☆」

「スマホもあるし、夜桜見ながらの野球観戦! くうーっ、サイコー!」


武内P「……!?」

武内P(……三人ではない!?)

413: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/06(土) 22:32:42.28 ID:fMe4IiPho
武内P「……!」

武内P(ろ……六人も、外に!?)


「あっ、こっちよこっちー! 見つけたわー!」

「でも……こんな大人数になるだなんて」

「今晩が、丁度皆の都合が良かった日だったからね」


武内P「!?」

武内P(皆……!? 皆とは、一体……!?)

武内P「っ……!」

ジイイッ…


大人組「……」


武内P「……」

…ジイイッ

415: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/06(土) 22:44:44.09 ID:fMe4IiPho
  ・  ・  ・

部長「ああ、そうだ。いい考えだとは思わないかい?」

武内P「そう、ですね……」

部長「どうした、歯切れが悪いじゃないか」

武内P「あの……何故、内密で私に?」


部長「キミに仕事を頼みたい」

部長「……だが、断ったね?」


武内P「……」

武内P「ええ、こんな内容とわかっていたら……」


大人組「カンパ~~イッ♪」ニコニコ!


部長「――酒なくて、何が己の桜かな」


武内P「…………」


武内P(……明日ありと、思う心の仇桜)




おわり

416: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/06(土) 22:48:44.73 ID:fMe4IiPho
補注

○酒なくて、何が己の桜かな

花見と言ったらやっぱ酒でしょ!


○明日ありと、思う心の仇桜

桜が明日も咲いてると思っても、夜に嵐で散っちゃうかもよ
何が起きるかわからない、嗚呼、無常

429: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/07(日) 21:31:26.28 ID:b9mUVecYo
>>427
書きます


武内P「令和ユニット、ですか?」

430: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/07(日) 21:33:40.48 ID:b9mUVecYo
専務「そうだ」

武内P「確かに、一時的には仕事が入ると思いますが……」

専務「その間に、注目度を高めておくのが狙いだ」

武内P「……成る程」


武内P「しかし……何故、その話を私に?」


専務「キミに、そのユニットの担当をして貰いたい」


武内P「……」

武内P「私が、ですか?」

431: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/07(日) 21:37:43.98 ID:b9mUVecYo
専務「どうした、不服か?」

武内P「い、いえ……そんな事は」

専務「キミに担当を任せたい理由は、ある」

武内P「……その理由とは、一体?」


専務「キミは、キュートとクールの複合ユニット――」

専務「――アスタリスクを成功に導いた実績がある」

専務「……それを見込んでの事だ」


武内P「……成る程」

武内P「令和ユニットは――」

武内P「――キュートとクールのユニットだ、と」

432: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/07(日) 21:41:07.26 ID:b9mUVecYo
専務「話が早くて助かる」

武内P「いえ、そんな事は」

専務「やはり、キミは優秀な人材だ」

武内P「いえ……あの、専務?」


専務「令和ユニットのメンバーは――」

専務「キュート――兵藤レナ君」

専務「クール――和久井留美君」

専務「……以上だ」

専務「キミには期待している」


武内P「せ……専務!?」

武内P「私は、彼女達と面識が……ほとんどありませんが!?」

433: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/07(日) 21:44:09.05 ID:b9mUVecYo
専務「まず、令の字」

専務「兵藤レナ君の‘レ’が‘令’の字の可能性が、無くはない」


武内P「待ってください、専務!」


専務「そして、和の字」

専務「これは、和久井留美の‘和’」

専務「大和亜季君も候補に上がったが、私の独断で和久井君に決まった」


武内P「お願いします! 話を聞いてください!」


専務「その必要は無い」

専務「これは、決定事項だ」


武内P「……!?」

434: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/07(日) 21:48:57.36 ID:b9mUVecYo
専務「……時に、キミに尋ねたい事がある」

武内P「すみません、今は私の方が……」

専務「キミは、宮本フレデリカ君をどう思う?」

武内P「えっ?」


武内P「とても……素晴らしいアイドルだ、と」

武内P「……そう、思います」


専務「もっと具体的に言いなさい」


武内P「その……とても、自由な方だと思います」

武内P「そして、可愛らしさと美しさが同居している容姿」

武内P「そのギャップが、彼女の笑顔を魅力的に見せている、と……」


専務「今の話を録音させて貰った」

専務「意味はわかるだろう?」


武内P「!?」

435: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/07(日) 21:54:09.17 ID:b9mUVecYo
  ・  ・  ・

専務「……」

専務(キミにこの仕事を頼んだのは、訳がある)

専務(兵藤くん……そして、和久井くん)

専務(彼女達は――担当と、親しすぎるのだ)


専務「……スキャンダル」


専務(平成も、もう終わりだと言うのに……)

専務(……このままでは、我が社のイメージに傷がつく)

専務(だが、キミにならば……安心して任せられる)


専務「調査によれば……」


専務「……キミは、彼女達のタイプからは外れているそうだからな」

436: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/07(日) 22:02:10.41 ID:b9mUVecYo
専務「……」

専務(彼女達の担当も、もう限界が近かった)

専務(引いている手は、お姫様のものなのだから)

専務(魅力を引き出すのが仕事とはいえ……皮肉なものだな)


専務「……冷却期間」


専務(ユニットの仕事があれば、二人の時間も減る)

専務(その間に、お互い冷静になれるだろう)

専務(令和ユニット……色々と、期待している)


専務「さて、キミは……」


専務「……彼女達の、どんな輝きを見せてくれる?」

437: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/07(日) 22:08:44.34 ID:b9mUVecYo
  ・  ・  ・

武内P「……――コンセプトは、以上になります」

武内P「何か、質問はありますか?」


レナ「いいえ」

留美「ないわ」


武内P「では……私から、一点だけ」

武内P「ユニットを担当するのが、貴女達の担当ではなく……」

武内P「……申し訳、ありません」


レナ「えっ!? い、いいのよ、そんな……謝らなくても……」

留美「そ、そうよ? 確かに、担当が彼じゃないのかと思ったけど……」


レナ・留美「……」


武内P「……」

438: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/07(日) 22:12:35.93 ID:b9mUVecYo
武内P「お二人は……」

武内P「担当プロデューサーをとても信頼されているのですね」

武内P「……彼らは、とても優秀な方ですから」


レナ「ま、まあ……///」

留美「そう、ね……///」


武内P「今回の活動は、彼らもあまり把握出来ていません」

武内P「勿論、おおまかな計画は存じていると思いますが……」

武内P「……詳細まで、ハッキリとは」


レナ・留美「……」

439: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/07(日) 22:16:56.41 ID:b9mUVecYo
武内P「なので――これはチャンスだ、と」

武内P「……そう、捉えて頂けると幸いです」


レナ・留美「えっ?」


武内P「直接会う機会は、どうしても減ってしまいます」

武内P「ですが……ユニット活動を通じて」

武内P「お二人が、互いの良い点を吸収し……成長出来れば」

武内P「――彼らの、今後のプロデュースにも」

武内P「幅が……広がるのでは無いでしょうか?」


レナ・留美「…………」

レナ・留美「……」


レナ・留美「……!」コクコクコクコクコクコク!


武内P「あの、そこまで頷かれなくても……」

440: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/07(日) 22:22:59.35 ID:b9mUVecYo
レナ「今後のプロデュースの……」

留美「……幅が、広がる!」


武内P「はい」


レナ「そうね……レイズは、させられるのよ」

レナ「だけど……ベットまでは、ね」

レナ「でも、この活動を通じてワンペア、ツーペア……スリーカード!」

レナ「そうなったら、もう……うふふっ、フルハウスね!」


武内P「? は、はあ……そうですね……?」

441: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/07(日) 22:30:45.48 ID:b9mUVecYo
留美「お互いの良い点を……」

レナ「……吸収して!」


武内P「はい」


留美「そうね……駆け引きが、学べそう」

留美「逆に、私が教えられるのは――パートナーとしての役割、かしら?」

留美「……傍に寄り添って、歩いていくための方法」

留美「ふふっ、これは……夢が、叶いそうね!」


武内P「? は、はあ……そうですね……?」


レナ・留美「……うふふっ!」ニコッ!


武内P「……良い、笑顔です」

442: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/07(日) 22:35:21.41 ID:b9mUVecYo
  ・  ・  ・

専務「キミは、彼女達に一体何をした?」

武内P「えっ? 何を……とは?」

専務「彼女達の担当の様子がおかしいと、知っているか?」

武内P「そう……なのですか?」


専務「兵藤くんの担当は……」

専務「――分の悪い賭けは、嫌いじゃない」


専務「和久井くんの担当は……」

専務「――わくわくさーん!」


専務「……と、時折独り言を言うようになったそうだ」


武内P「……はあ、そうですか」

443: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/07(日) 22:41:50.27 ID:b9mUVecYo
武内P「私は……これと言って、何も」

専務「何も、だと?」

武内P「はい」

専務「だが、この事態をどう説明するつもりだ」

武内P「そう、ですね……」


武内P「兵藤さんは、和久井さんに事務作業を学び……」

武内P「――担当プロデューサーが仕事に追われている時」

武内P「――笑いかけながら、その作業を手伝うと言ったら」

武内P「――オールイン」

武内P「……と、言われたとは聞きましたが」


専務「待ちなさい」

専務「彼は、既にチップを全て賭けてしまったのか?」

444: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/07(日) 22:47:26.13 ID:b9mUVecYo
武内P「すみません……意味が、よく」

専務「和久井くんの方は、どうした」

武内P「えっ?」

専務「その様子だと、彼女からも何か聞いているのだろう」

武内P「そう、ですね……」


武内P「和久井さんは、兵藤さんに、駆け引き? を学んだそうで……」

武内P「――担当プロデューサーと久しぶりに会った時」

武内P「――少しだけそっけない態度をとった後に、笑いかけたら」

武内P「――キュンときた」

武内P「……と、言われたとは聞きましたが」


専務「待ちなさい」

専務「それは、駆け引きというには初歩の初歩すぎる」

445: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/07(日) 22:51:39.80 ID:b9mUVecYo
専務「君は、それを黙って聞いていたのか?」

武内P「いえ……そんな事は、決して」

専務「ならば、彼女達にどんな言葉をかけた」

武内P「……」


武内P「笑顔です」


専務「……笑顔?」


武内P「その話をしている時の、彼女達の笑顔」

武内P「その笑顔の力――パワー・オブ・スマイルがあれば」

武内P「夢は、必ず叶うだろう、と」

武内P「……そう、言いました」


専務「……」

446: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/07(日) 22:54:43.92 ID:b9mUVecYo
武内P「専務」

専務「……」

武内P「専務」

専務「……ん、えっ? あ、うん、何?」

武内P「専務?」

専務「……ゴホンッ!……何だ?」


武内P「……令和ユニット」

武内P「お話を聞いた時は、どうなる事かと思いましたが……」

武内P「……良い、ユニットです」


専務「……」

447: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/07(日) 23:00:15.65 ID:b9mUVecYo
専務「そうだな……」

専務「今回の件に関しては、特別に目をつぶろう」

武内P「えっ? あの、とても順調……なのですが」

専務「優秀過ぎるのも考えもの、という事だ」

武内P「は、はあ……」

専務「だが……目をつぶるには、条件がある」

武内P「条件、ですか?」


専務「……もしも」

専務「もしも、私がユニットを組むとしたら……」

専務「……キミは、ダンスパートナーに誰を選ぶ?」


武内P「……」

武内P「えっ?」

448: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/07(日) 23:11:11.98 ID:b9mUVecYo
武内P「すみません……どういう意味でしょうか?」

専務「質問しているのは私だ」

武内P「いえ、ですから……」

専務「答えなさい」

武内P「……」


武内P「――ソロ・デビューです」

武内P「専務は、一人の女性として……いえ、人間として」

武内P「誰かとペアを組まずとも、輝ける方ですから」


専務「成る程、そうか」

専務「全てを白紙に戻す」


武内P「!? 何故、そんな突然!?」


武内P「平静を失わないでください!」




おわり

463: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 13:45:02.10 ID:aRLHXNvGo
書きます


武内P「遠慮、ですか?」

464: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 13:48:29.58 ID:aRLHXNvGo
莉嘉「そう! Pくんってアタシ達に遠慮してるでしょ!」

武内P「そう、でしょうか……」

みりあ「プロデューサー、気付いてなかったの?」

武内P「すみません……自分では、よく」


きらり「Pちゃんがきらりん達をだいずぃ~にしてる、ってわかるゆ」

きらり「でもでも……ちょ~っとさびすぃーにぃ」

莉嘉・みりあ「うん……」


武内P「……!」

武内P「皆さん……」

465: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 13:51:33.69 ID:aRLHXNvGo
武内P「すみません……皆さんに、そんな思いをさせていたとは」

莉嘉「……そうだよ! だ・か・らぁ~☆」

みりあ「これからは、もーっと仲良くしようねっ!」

きらり「遠慮なんてポーイッ! ハピハピしようにぃ☆」


武内P「はい……わかりました」


莉嘉・みりあ・きらり「……えへへ!」ニコッ!


武内P「凸レーションを解散します」ニコリ


莉嘉・みりあ・きらり「……」

莉嘉・みりあ・きらり「えっ!?」

466: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 13:54:15.79 ID:aRLHXNvGo
莉嘉「Pくん!? 今、何て言ったの!?」

武内P「? 凸レーションを解散します、と」

みりあ「何で!? 何で何で何で!?」

武内P「えっ? 遠慮をするなと、仰られたので……はい」


きらり「それが、どうして凸レーションの解散になるの~!?」


武内P「はい。凸レーションを解散し――」

武内P「――諸星さんには、本格的にモデルとして活動して貰います」


莉嘉・みりあ・きらり「……」

莉嘉・みりあ・きらり「はいっ!?」

467: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 13:57:43.51 ID:aRLHXNvGo
莉嘉「きらりちゃんが……モデル活動?」

武内P「はい。以前から、その考えはあったのですが……」

みりあ「凸レーションを解散しないと駄目なの!?」

武内P「……ええ、残念ながら」


武内P「城ヶ崎さんと赤城さんは、今だ義務教育課程にあります」

武内P「なので、あまり海外に撮影等で行くのは……難しいからです」

武内P「本人的にも、会社的にもイメージが悪いですから」


きらり「……海外?」


莉嘉・みりあ「……」

莉嘉・みりあ「きらりちゃん?」

468: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 14:01:10.24 ID:aRLHXNvGo
武内P「はい。諸星さんのスタイルは、世界で通用します」

きらり「にょわっ!? せ、世界って……他の国って事ぉ!?」

武内P「ええ、勿論です」

きらり「で、でもでも……!」


武内P「アイドルとして活動してきて学んだ――笑顔」

武内P「……諸星さん」

武内P「貴女の輝きは――ガチの、世界レベルです」


きらり「……世界」


莉嘉・みりあ「……」

莉嘉・みりあ「きらりちゃん!?」

469: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 14:07:02.56 ID:aRLHXNvGo
莉嘉「きらりちゃん、なんかノリ気になってない!?」

きらり「うっぴゃー!? そ、そんな事ないゆ!?><」

みりあ「きらりちゃん!? 受け答えが、アイドルモードだよ!?」

きらり「だいじょーぶいっ☆ きらりん、ハピハピスマ~イル☆^^」


武内P「ですが……即、海外は流石に難しいものがあります」


きらり「……そ、そうだよね!」

きらり「だからぁ、今はアイドルを頑張るにぃ~☆」


武内P「なので、城ヶ崎美嘉さんのモデルとしてのルート」

武内P「手始めに、その活動の場を全て頂こう、と」

武内P「……そう、思います」


莉嘉「おね――ちゃ――ん!?」

みりあ「すごーい! プロデューサー、本気の目をしてるよ!」

470: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 14:10:35.67 ID:aRLHXNvGo
きらり「そ、それじゃ美嘉ちゃんに迷惑がかかっちゃうゆ!」

武内P「そう、ですね……」

莉嘉「お姉ちゃんの仕事、減っちゃうってコト!?」

みりあ「美嘉ちゃん、最近はモデルの仕事多くなってたもんね……」


武内P「はい」

武内P「ですが……安心してください」

武内P「――会社としての利益は、増えます」


莉嘉・みりあ・きらり「……」

莉嘉・みりあ・きらり「あ、はい」

471: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 14:17:40.38 ID:aRLHXNvGo
莉嘉「きらりちゃんが……モデルとして活動する、ってコトはぁ」

みりあ「美嘉ちゃんみたいに……自分らしく、って感じで?」

きらり「にょ、にょわ……きらりん、ちょっぴり自信無いにぃ……」

武内P「……いえ」


武内P「――全て、私のプロデュース方針に従って頂きます」

武内P「諸星さんの、可愛らしいものを好むという……自身の個性」

武内P「それに関しては、我慢して頂く必要があります」


莉嘉・みりあ「え~っ!?」


武内P「必然……相談する機会を増やす事になります」

武内P「なので、二人の時間は今よりもかなり長くなりますね」


きらり「……」

きらり「Pちゃん、ちょお~っと詳しく聞きたいにぃ」

472: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 14:23:07.87 ID:aRLHXNvGo
武内P「詳しく……ですか?」

きらり「はい」

武内P「そう、ですね……例えば……」

きらり「はい」


武内P「諸星さんは、まだ高校生です」

武内P「なので、やはりまだどこか子供らしさを感じる場面も」

武内P「それも魅力の一つなのですが……」

武内P「教養や立ち振舞等の、大人の女性としてのレッスン」

武内P「……そちらも、受けて頂く必要があります」


きらり「それは……Pちゃんも一緒に居るのぉ~?」


武内P「? はい、勿論」


きらり「……」

きらり「にょわー……」

473: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 14:27:38.79 ID:aRLHXNvGo
武内P「そして……これは、申し訳無いのですが」

きらり「はい」

武内P「海外でも、モデルとして活動する場合……」

きらり「はい」


武内P「やはり、長距離での移動は増えてしまいます」

武内P「それに……あちらでの滞在期間も」

武内P「なので、フットワークの都合上……」

武内P「……どうしても、少人数での移動になってしまいます」


きらり「それは……Pちゃんと二人っきりの場合もぉ~?」


武内P「ええ、何度も出てくると思います」


きらり「……」

きらり「にょわわー……」

474: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 14:32:56.22 ID:aRLHXNvGo
武内P「ですが……今の、諸星さんの持つ輝き」

きらり「はい」

武内P「それを失うのは、良い選択とは言えません」

きらり「はい」


武内P「なので……仕事外の、プライベートで」

武内P「……可愛らしい洋服や小物等」

武内P「それら我慢していた分を満たして頂こうと考えています」

武内P「――オンとオフの切り替え」

武内P「これが、とても重要になるかと……そう、思います」


きらり「それは……Pちゃんも付き合ってくれるのぉ~?」


武内P「? 私で良ければ……はい、当然です」


きらり「……」

きらり「にょわわわー……」

475: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 14:38:02.55 ID:aRLHXNvGo
武内P「これが、今後の大まかな方針になります」

きらり「はい」

武内P「具体的には、相談して決めていくことになりますが……」

きらり「はい」


きらり「でも……P……」

きらり「――プロデューサーさん」

きらり「きらりん……」

きらり「――私は、凸レーションの活動も大切です」


莉嘉・みりあ「きらりちゃん!?」

莉嘉「どうしたの!? いつものきらりちゃんじゃない!」

みりあ「うんうん! なんか、表情がオトナぽいよ!?」


きらり「そんなことありませんのだ」


莉嘉・みりあ「!?」

476: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 14:43:51.26 ID:aRLHXNvGo
莉嘉「きらりちゃん、正気に戻って!」

きらり「莉嘉ちゃん……?」

みりあ「みりあ、きらりちゃんだーい好きだよ!」

きらり「みりあちゃん……」


きらり「……ありがとにぃ!」

ツカツカツカ……ツカッ!

きらり「きらりん、二人共だぁ~い好きだゆ☆」キリッ!

クルッ―

きらり「うぇへへ! だから、これからもヨロシクにぃ~☆」

ツカツカツカツカ……


武内P「……良い、モデルウォーキングです」


莉嘉・みりあ「きらりちゃ――んっ!?」

477: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 14:51:06.95 ID:aRLHXNvGo
莉嘉「Pくん! きらりちゃんばっかりズルーイ!」

武内P「えっ?」

みりあ「みりあ達の事、ほったらかしにするのー!?」

武内P「いえ、そんな事はありません」


武内P「お二人には、よくご存知の方とユニット活動をして頂きます」

武内P「その方は、トップアイドルの一人として活躍されていて……」

武内P「……諸事情により、スケジュールに空きが出来ます」

武内P「活動を通じて、良い点を学んで頂き……」

武内P「その方のファンも、取り込んでいく形を目指します」


莉嘉「お姉ちゃんじゃん! どう考えても、お姉ちゃんじゃん!」

みりあ「美嘉ちゃんのファンを……うん! みりあ、頑張る!」

478: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 14:58:13.80 ID:aRLHXNvGo
莉嘉「ムリだよぉ~……そんなの、出来ないもん!」

武内P「城ヶ崎さん?」

莉嘉「だって、お姉ちゃん……凄いアイドルだし……」

武内P「……安心してください」


武内P「凸レーションは、城ヶ崎さんと赤城さん」

武内P「お二人を諸星さんが優しく見守りながら、一緒に楽しんでいく……」

武内P「……そういった形のユニットでしたが」


莉嘉「……うん」


武内P「――新しい方とのユニット」

武内P「こちらは、お二人の元気な、明るい部分を全面に押し出し……」

武内P「……その方を浮いてるように見せようと考えています」


莉嘉「……おおう」

479: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 15:04:11.58 ID:aRLHXNvGo
みりあ「莉嘉ちゃん! きっと、出来るよ!」

莉嘉「みりあちゃん……」

きらり「みぃ~んなで、ハピハピしようにぃ~☆」

莉嘉「きらりちゃん……」


莉嘉「――トーゼンっ☆」

莉嘉「アタシは、カリスマJCアイドル、城ヶ崎莉嘉だもん☆」

莉嘉「どんどんセーチョーして、皆をメロメロにするんだからっ!」


莉嘉「――こんな風にねっ★」ビシッ!


みりあ・きらり「莉嘉ちゃん……!」


武内P「……良い、カリスマです」

480: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 15:12:20.34 ID:aRLHXNvGo
莉嘉「……ヤバい! なんか、ワクワクしてきた!」

みりあ「うんうん! 考えただけなのに、楽しいね!」

きらり「うぇへへ! ワク☆ワク☆ワーキーング☆」


莉嘉・みりあ・きらり「えへへっ!」ニコッ!


武内P「……良い、笑顔です」



美嘉「――ちょっとカリスマ★」



莉嘉・みりあ・きらり「……えっ?」

武内P「……城ヶ崎さん」



美嘉「……話はゼンブ聞かせて貰ったよー★」

…バタンッ!

482: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 15:19:48.82 ID:aRLHXNvGo
莉嘉「お……お姉ちゃん、いつから聞いてたの!?」

美嘉「最初からだよ」

みりあ「ええっ!? なんでなんで!?」

美嘉「外に居たからだよ」

きらり「にょわっ!? ずっと部屋の外に!?」

美嘉「その通りだよ」


美嘉「――もうちょっと、アイツと仲良くなりたい」

美嘉「……そう、相談されたからさ?」

美嘉「――遠慮しないよう言ってみればイイんじゃないのー★」

美嘉「……なーんてアドバイスして、見守ってた」

美嘉「カリスマJKアイドル、城ヶ崎美嘉の――アタシだよっ★」ビシッ!


莉嘉・みりあ・きらり「……」

武内P「……」

484: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 15:28:54.16 ID:aRLHXNvGo
美嘉「はぁ……アンタ達……はぁ……」

武内P「……城ヶ崎さん」

美嘉「はぁ……特にアンタ……はぁ……」

武内P「……」


美嘉「ちょっとアンタねええっ!?」カーッ!

美嘉「ミンナに遠慮しなくなったら、何!?」カーッ!

美嘉「最終的に、アタシはどうなるっての!?」カーッ!

ツカツカツカツカ!


武内P「――アイドル兼、アシスタントとして」

武内P「私と一緒に、彼女達をプロデュースして頂こう、と」

武内P「……そう、考えています」


美嘉「……ぃよぉ――し!」

クルッ! ツカツカツカツカ…

美嘉「話、聞こうじゃん!?」

…ストンッ

486: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 15:38:42.73 ID:aRLHXNvGo
武内P「まず、城ヶ崎さんのアイドルとしての経歴は素晴らしいものです」

美嘉「オッケー★ まずは、そうやっておだてる作戦ね!」

武内P「ですが、数年後を見越した時……方向性に、難しいものがあります」

美嘉「オッケー★ 次に、あげておとす作戦ね!」


武内P「なので……今のうちから、新たな方面での活動を」

武内P「初めは、私と一緒に彼女達のプロデュースをし……学んで頂き」

武内P「ゆくゆくは、プロデューサーとして……いえ」

武内P「元カリスマアイドルの――カリスマ★プロデューサーとして」

武内P「活躍して頂けるのではと……思っています」


美嘉「一緒にってコトは……どの位の期間?」


武内P「そう、ですね……三年ほど、でしょうか」


美嘉「……はいはい」

美嘉「ハイハイハイハイ★ なるほどねー★」

487: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 15:45:40.78 ID:aRLHXNvGo
美嘉「三年って、ケッコー長いよねぇ」

武内P「そう、ですね……」

美嘉「三年一緒ってコトでしょ? だよね?」

武内P「ええ、そうなります」

美嘉「そっかそっか、なるほどねー★」


美嘉「…………」

美嘉「……」


美嘉「――アタシ、実は料理得意なんだよね」

美嘉「和食なんか、ケッコー自信アリ★」


武内P「えっ?」


莉嘉・みりあ・きらり「……」

488: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 15:51:45.97 ID:aRLHXNvGo
莉嘉「――やっぱり、今のままがイチバンだよ☆」

みりあ「――うんうん! だって、すっごく楽しいもん!」

きらり「――うぇへへ! きらりんも、そう思うにぃ☆」


武内P「皆さん……」


美嘉「あっれ!? えっ!?」

美嘉「アタシの、TOKIMEKIエスカレートプランは!?」


武内P「……すみません」

武内P「先程までの話は、忘れてください」


美嘉「いやいや、待って待って!?」

美嘉「なんか……なんかアタシ、不安だけが残るんだケド!?」

489: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 16:01:40.20 ID:aRLHXNvGo
武内P「……先程の、皆さんの答え」

武内P「それを聞いて……私も、考えを改めました」

武内P「やはり――凸レーションは、解散すべきではありません」


莉嘉・みりあ・きらり「えへへっ!」ニコニコ!


武内P「……良い、笑顔です」

武内P「その笑顔の輝きは……何物にも、代えられませんね」


美嘉「ちょっと!? さっき、アタシに言ったコトは!?」

美嘉「ホラ、アシスタントとか……プロデュースの手伝いとかさ!?」

美嘉「数年後とか……ねえ、ちょっと!」


武内P「それは、その……笑顔です」


美嘉「今更遠慮しないでよ!」



おわり

492: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 20:44:45.27 ID:aRLHXNvGo
書きます


武内P「クールになりたい、ですか?」

493: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 20:48:36.91 ID:aRLHXNvGo
夏樹「ああ」

武内P「はあ……そう、ですか」

夏樹「そうなんだよ」

武内P「……頑張ってください」


夏樹「ははっ!」

夏樹「クールになりたいんだよ」


武内P「……」

武内P「いえ、あの……お話が、よく……」

494: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 20:51:39.44 ID:aRLHXNvGo
夏樹「……聞いてくれるかい?」

武内P「聞かなくても良いのでしたら……」

夏樹「オーケー、聞いてくれ」

武内P「……何故、聞いたのでしょうか?」


夏樹「アタシは――熱いロックの魂を持ったアイドルだ」

夏樹「……アンタもそう思うだろ?」


武内P「あの……木村さん」

武内P「仕事中なので、出来れば手短に……」

495: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 20:55:43.59 ID:aRLHXNvGo
夏樹「……ギターをかき鳴らして、魂をぶつける」

武内P「ええ……」

夏樹「……ファンの熱気と声援が、最高のステージを演出する」

武内P「そう、ですね……」


夏樹「目指すは――スターさ」

夏樹「熱い血の流れる……燃えるロックだ」


武内P「……木村さん」

武内P「帰っていただいても、良いでしょうか?」

496: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 20:58:13.36 ID:aRLHXNvGo
夏樹「……でもな、気付いちまったんだ」

武内P「! ようやく、核心に……!」

夏樹「……聞いてくれるかい?」

武内P「どうぞ、話してください」


夏樹「そうだな……」

夏樹「あれは、つい三日前の事――……」


武内P「……」

武内P「えっ!? あの……回想に入るのですか!?」

497: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 21:01:21.83 ID:aRLHXNvGo
  ・  ・  ・

三時間前


夏樹「――アタシに憧れるのは、やめる?」

李衣菜「うん」

夏樹「おいおい、どうしたんだよ急に?」

李衣菜「私……考えたんだ」


李衣菜「憧れてちゃ……背中ばっかり見てちゃ駄目だ、って!」

李衣菜「なつきちとは対等な友達……ううん!」

李衣菜「――仲間になりたいから!」ニコッ!


夏樹「だりー……お前……」

498: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 21:05:03.14 ID:aRLHXNvGo
  ・  ・  ・

武内P「待ってください?」

夏樹「うん? どうしたんだい?」

武内P「三日間……悩んだ末に相談に来たのかと……」

夏樹「ははっ! 何を言ってるんだよ!」


夏樹「ロックに生きる人間の人生ってのは、スピードが早いんだ」

夏樹「つまり――三日前も三時間前も、大した違いは無いのさ」


武内P「……そう、ですか」

武内P「すみません、どうぞ続きを……」

武内P(……割とすぐに相談に来るほどの事があった、と)

499: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 21:09:00.18 ID:aRLHXNvGo
  ・  ・  ・

三時間前


夏樹「……ははっ、嬉しい事を言うじゃないか!」ニコッ!

李衣菜「へへっ! なつきちなら、そう言うと思った!」ニコッ!

夏樹「でもな、だりー?」

李衣菜「何?」


夏樹「対等な仲間なら、せめてギターは弾けないとな!」

夏樹「エアギターも悪くはないが、さすがにしまらないだろ?」


李衣菜「ぎ、ギターは練習中だから!///」

李衣菜「……でも、楽しみにしててよね!」

500: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 21:11:49.92 ID:aRLHXNvGo
夏樹「やれやれ、いつの事になるやら、だ」

李衣菜「……あっ、ちょ、ちょっと待ってて!」

夏樹「ん? どうした?」

李衣菜「ごめん、すぐ戻るから!」



李衣菜「――涼さーん!」ニコニコ!


涼「――ん? 李衣菜じゃないか」


夏樹「……」

夏樹「うん?」

501: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 21:15:56.94 ID:aRLHXNvGo
涼「どうしたんだ、そんな慌てて?」

李衣菜「いっ、いえ!/// 涼さんの姿が見えて……それで///」

涼「ははっ、嬉しい事言ってくれるな」ニコリ

李衣菜「わ、私は思った事を言っただけですよ!///」


李衣菜「涼さんは、私の憧れですから!///」

李衣菜「クールで、ロックで……格好良くて!///」

李衣菜「私も、涼さんみたいになりたいなぁ、って!///」

涼「そ、そうなのか?」

李衣菜「はいっ!/// 服装も、涼さんを意識して……」

李衣菜「……あっ、あはははは!///」


夏樹「……」

夏樹「おや?」

502: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 21:20:54.32 ID:aRLHXNvGo
涼「まあ……とりあえず落ち着きな」

李衣菜「あっ、は、はいっ!///」

涼「ふふっ、だけど……そう言われて悪い気はしないね」

李衣菜「え……えへへ///」


涼「だけど、そういう言葉は――」

…とん、とん

涼「――口に出さず、胸の中にしまっとくものさ」

李衣菜「涼さん……」

涼「魅せるのはプレーで」

涼「――その方が、クールだろ?」ニコリ!

李衣菜「は……はいっ!///」ジュンジュワー!


夏樹「……」

夏樹「んんっ?」

503: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 21:26:42.30 ID:aRLHXNvGo
  ・  ・  ・

夏樹「――熱い思いを叫ぶのも、ロックだろ!?」

武内P「その、つまり……」

夏樹「だりーの奴……なんだ、あの顔!」

武内P「……」


武内P「多田さんは……そういう所がありますから」

武内P「なので、彼女はキュートではなく――クールなのです」


夏樹「いいや、あの顔はキュートだった!」

夏樹「クソッ! あのキュートさ、みくの影響だろ!」

504: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 21:31:03.00 ID:aRLHXNvGo
夏樹「兎に角、このままじゃだりーは女の子になっちまう!」

武内P「あの……多田さんは、既に女の子ですが」

夏樹「何!? それは、どこ情報なんだ!?」

武内P「えっ!? その……色々です」


夏樹「……なんてこった!」

夏樹「もう、だりーは手遅れだってのか!?」


武内P「……木村さん」

武内P「少し、心の火力を落として頂けますか?」

506: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 21:34:58.88 ID:aRLHXNvGo
武内P「……ですが、安心しました」

夏樹「安心?」

武内P「はい、私はてっきり……」

夏樹「おい、ハッキリ言ってくれよ」


武内P「憧れる相手を――乗り換えた」

武内P「木村さんではなく……松永さんへと」

武内P「貴女は、その事に関して複雑な感情を抱いt」


夏樹「アタシから……涼に!?」


武内P「……」

武内P「すみません、今の発言は忘れてください」

507: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 21:44:04.52 ID:aRLHXNvGo
武内P「しかし……成る程、そんな事が」

夏樹「なあ、乗り換えたってのは……」

武内P「そう、ですか……と、言うことは……」

夏樹「おい、聞いてるのかい?」


武内P「はい」

武内P「エルドリッチ・ロアテラー with 多田李衣菜」

武内P「その準備として……彼女に、ホラー映画鑑賞をして頂く、と」

武内P「……その必要性が出てきましたね」


夏樹「……」

夏樹「ははっ、おいおい……何て?」

508: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 21:51:07.48 ID:aRLHXNvGo
夏樹「アタシは、クールになって……だりーの目を覚まさせようと、な?」

武内P「はい、それは理解しています」

夏樹「本当だな? じゃあ、良い方法はあるかい?」

武内P「ええ、勿論です」


武内P「まず、ゾンビの扮装をして……白坂さんに、お願いします」

武内P「恐らく、ほぼ確実に了解が得られるでしょう」

武内P「そして、白坂さんから松永さんに話を通していただき……」

武内P「――笑顔です」


夏樹「ユニットを組むまでの流れじゃなくてだな!?」

夏樹「アタシが、クールになる方法を聞いてるんだよ!」

509: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 22:00:19.97 ID:aRLHXNvGo
武内P「す、すみません……新しい可能性に目が眩んで、つい」

夏樹「今は、だりーを何とかするのが先決だろ?」

武内P「……ええ、確かにそうですね」

夏樹「! わかってくれたか!」


武内P「! そう言えば……多田さんが、先日――」

武内P「――日焼けサロンに行ってみたい」

武内P「……と、言っていたのは……まさか!?」


夏樹「……ああ」

夏樹「アウトじゃないのか、それ!?」

510: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 22:05:34.61 ID:aRLHXNvGo
武内P「いえ、それはすぐに考え直して頂けたのですが……」

夏樹「すぐに? いや、そんな簡単にいくか……?」

武内P「はい、簡単に」

夏樹「だりーは、結構頑固な所もあると思うが……」


武内P「――多田さんは、肌が綺麗なので」

武内P「――そのままでも十分に魅力的なので、勿体無いと思いますが」

武内P「……と、説得したら……はい、すぐに」


夏樹「……あー、うん」

夏樹「だりーなら……まあ、説得されるな、それ」

511: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 22:09:33.15 ID:aRLHXNvGo
夏樹「でも、何とかしなきゃいけない……だろ?」

武内P「ええ……確かに、その通りです」

夏樹「それには、アタシがクールな魅力を見せて……」

武内P「多田さんに、憧れさせなおす……と」


夏樹「何か、良い方法はないか?」


武内P「そう、ですね……」

武内P「……自己暗示は、どうでしょうか?」


夏樹「……自己暗示?」

512: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 22:19:03.62 ID:aRLHXNvGo
武内P「ロックな魂……それは、心の在り方と言う事かと」

夏樹「まあ……確かに、そういう言い方も出来る」

武内P「なので、自ら言い聞かせる事によって……」

夏樹「まあ……他人に何かされるよりは、効果がありそうだ」


夏樹「……」スッ…

夏樹(クール……クールになるんだ……クール、クール……)


武内P「! 凄い……!」

武内P「今の木村さんは、燃え盛る炎ではなく……」

武内P「高温の……青い炎の様です……!」

513: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 22:24:13.89 ID:aRLHXNvGo
夏樹「クール……クール……クール……!」


武内P「……人々の心を動かすロックな魂」

武内P「それは……自分の心ですら、動かしてしまうのですね」


夏樹「クール……クール、クール、クール――」


武内P「っ!? まずい!」


夏樹「――COOL! COOL! COOL! COOL!」


武内P「ああっ!?」

武内P「COOLからHOTになってしまった!」

514: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 22:28:07.52 ID:aRLHXNvGo
  ・  ・  ・

ガチャッ!

李衣菜「――おはようございま……」


武内P「待ってください! それは、ダイナミックです!」

夏樹「はぁ……! はぁ……クソッ、駄目か!」

武内P「木村さん、もうこれ以上は……!」

夏樹「ははっ……アタシを誰だと思ってるんだい?」

武内P「木村さん……」

夏樹「見ててくれよ? アタシの生き様!」ニコッ!

武内P「……良い、笑顔です……!」


李衣菜「……な」

李衣菜「何してるの……!?」

515: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 22:34:36.29 ID:aRLHXNvGo
  ・  ・  ・

李衣菜「――もう! そういう事は、ちゃんと言ってください!」

武内P「す、すみません……」

李衣菜「なつきちも! ‘らしく’ないよ!?」

夏樹「わ、悪いな……確かに、そうだった」


李衣菜「確かに……涼さんに憧れてはいるよ?」

李衣菜「でも、そう言うのじゃないし……」

李衣菜「それに、あくまでも‘今の’私の目標ってだけでね?」

李衣菜「ギターがちゃんと弾ける様になったら、また別」

李衣菜「だって、涼さんボーカルだし」


武内P・夏樹「……」

武内P・夏樹(……クール!)

517: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/04/09(火) 22:46:23.72 ID:aRLHXNvGo
夏樹「だりー……実は、結構考えてたんだな」

李衣菜「ええっ!? そんなにしみじみ言うこと!?」

武内P「はい……私も、少し驚いています」

李衣菜「……もー! 私だって、色々と考えてるんですからね!」プンスコ!


夏樹「ははっ! そう怒るなって、だりー!」

武内P「……よろしければ、聞かせて頂けますか?」


李衣菜「えっ? ええっ、と……」

李衣菜「――家事スキルは、後五年もすればきっちり仕上がる、とか?」

李衣菜「二十代前半の需要が高い内はアイドルをやって……」

李衣菜「二十代後半になったら、ロックな電撃結婚で引退して……」

李衣菜「なーんて、考えてますけど……えへへ!」ニコッ!


武内P「…………良い、笑顔です」


夏樹「クールぶってる場合じゃないだろ!?」



おわり


次回 武内P「泥酔、ですか」 後編