前回 【モバマス】LiPPS「虹光の花束」

3: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 23:12:22.69 ID:K6AtmFbL0

凄くざっくりとしたあらすじ

ある日奏は設立3か月の新米芸能事務所811プロにスカウトされてアイドルになる
その後なんやかんや仲間が増えLiPPSを結成、なんやかんや困難を乗り越え、遂にアイドルランクがAランクになった
そしてそんなLiPPSの姿を見て、遂に彼女たちに後ろめたい気持ちを隠していたプロデューサーも、彼女達に心を開いたのだった...


主要人物紹介

速水 奏
811プロのエースでLiPPSのリーダー
びっくらポンが天敵

塩見周子
811プロ所属のアイドル、兼事務員
Pが最初にスカウトしたアイドル

宮本フレデリカ
20歳になったパリジェンヌアイドル
たまたまPの落とした名刺を拾ったことから811プロに加入した

一ノ瀬志希
フレデリカの初仕事にたまたま居合わせたケミカルアイドル
最近ようやく父親との関係を修復した

城ケ崎美嘉
みんなの憧れのカリスマアイドル、ブラックな事務所から移籍してきた
無事志望校に合格し、自身のCDが受験生から学業開運のお守り扱いされている


811プロのプロデューサー兼社長
かつては歌手だったが、ある事件のせいで辞めてしまった

ベテラントレーナー
本名は公式設定より青木 聖
怒らせると怖い

片桐早苗
この物語ではまだ警察官
Pとは旧知の仲

引用元: ・【モバマス】LiPPS「虹光の花束」 2スレ目 



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4: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/09(火) 23:20:49.57 ID:K6AtmFbL0
主要用語

811プロ
主人公の奏達が所属する芸能事務所、まだ設立したばかり

010プロ
トライアドプリムス等多くの人気アイドルを抱える大型事務所
あとちひろさんがここで事務員をやっている

891プロ
Pとちひろさんが前にいた事務所
アイドルだけでなく多くのジャンルの芸能人を抱える超マンモス事務所


iMB事件
『iDOL MOVIE BIGBANG事件』の略
その企画にかかわった芸能事務所の不祥事が次々と週刊誌によってリークされたことから名付けられた
811プロもこの事件によりかなりの被害を受け、Pは出版社の裏に更なる黒幕がいると考えているが....?




とりあえず重要な用語だけまとめましたが、正直設定が多くなりすぎたので前スレを読まないと全く話が分からないと思います

6: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 21:32:36.62 ID:H0VH1/Ch0
俺が自分の秘密を打ち明けた翌日
歌姫楽園明けでの疲れを予測していた俺は、この日を全員オフになるように調整していた


...はずなのだが


P「なんで全員事務所来てんだ?」

『なんとなく!』

P「さいですか...」

周子「家で暇を持てあましててもしょうがないし、とりあえずどっか行こうと思って歩いてたらいつの間に事務所来ちゃった」

フレデリカ「アタシは、事務所に遊び行けば誰かいるかなーって思ったから来たんだー♪そしたらみんな揃っちゃった!これってもう、811プロはあたし達のお家って事じゃない!?」

P「会社で寝泊まりとかブラック企業を疑われるから止めてくれ....」

奏「でも折角全員集まったのだし、一度これからの方針をみんなでちゃんと話しておかない?最近色々なことがあったもの、情報の整理は必要よ」

美嘉「それいいね!なんか秘密の作戦会議って感じで面白そう★」

周子「という訳で、もう第何回か分からない811プロ会議を始めるよー!」

7: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 21:34:49.33 ID:H0VH1/Ch0
美嘉「今日の議題は...まあいっぱいあるよね。議長、どれからいく?」

奏「そうね...とりあえず、これから私達が出場する大会、『IG』についての確認から始めましょう」


P「...なんかお前ら手慣れてないか?結構何度もこうやって会議してたのか?」

周子「そうだよー、いっつも奏ちゃんが議長でね」

P(社長なのに一度も参加してないんだが...)


奏「IGについてはプロデューサーさんが一番詳しいだろうし、解説お願いできるかしら?」

P「えっ、あっはい。承りました」

美嘉(奏の方が社長っぽい....)




P「IGはSランク認定オーディションってだけあって予選からルールが特殊でな」
 

1.まず参加者は4つのブロックに分けられる

2.その後歌姫楽園の様に1ユニットずつ審査を行う

3.それぞれのブロック毎の一位、計四組が翌週の本戦へと進出する


 
美嘉「てことは、本戦へ進めるのは4ユニットだけって事?凄いシビアだね」

8: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 21:37:05.14 ID:H0VH1/Ch0
P「んで、本戦に進出したユニット4組でトーナメント組んでそれぞれ1対1でライブバトル、勝ち抜いたユニットが晴れてSランクアイドルってわけだ」
 
P「ただし...」

周子「ただし?」

P「予選にしろ本戦にしろ審査の基準が普通と違う。審査の基準は星ではなく、投票で決まるんだ」

美嘉「投票?」


P「IGっつーのはアイドルにとってはSランクを掴むためのオーディションという側面があるが、世間にとっては違う。トップアイドルがわんさか集まってライブする、いわばお祭りなんだ」

志希「お客さんにとってはお祭り...もしかして投票するのって」

P「ああ、オーディションを見る観客達だ。それも直接会場に来た観客だけじゃない、テレビやネットで見ている観客も投票の権利がある」
 
P「たかが45個の星の奪い合いじゃない...この国の人間すべて、一億三千万人の心の奪い合いなんだ」

周子「ひゃー...なんかスケールの大きい話やなぁ」

奏「でも、アイドルの頂点を決める大会なら、それくらい大きな規模になるのも頷けるわね」

フレデリカ「沢山の人を笑顔にすればいいんでしょ?なら大丈夫だよ!みんなをハッピーにするのは、アタシ達の得意分野だからね!」



フレデリカの言葉に、全員が同意を示す

9: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 21:37:52.38 ID:H0VH1/Ch0
P「そうだ、結局のところやることはいつもと変わらねぇ」

奏「今まで通り、ファンも対戦相手も、自分自身さえ巻き込んで、全力で楽しむだけね!」

P「その通りだ!お前ら、どんなことがあろうと本番は全力で楽しんでいけよ!!」



LiPPS『はーい!!』

10: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 21:40:16.33 ID:H0VH1/Ch0
奏「じゃあIGについての確認が済んだところで、次の議題に行きましょう」
 
奏「...iMB事件について」


周子「iMB事件...」

奏「IGに参加する事が発表されている事務所には、iMBにも参加した事務所がほとんどよ」

志希「まぁiMBがそもそも勢いのある事務所を集めた企画だったし、IGの参加者も自然とそうなるだろうねー」
  
志希「...だからこそ、嫌でもIGとiMB事件の繋がりを勘ぐらなきゃいけなくなる」


奏「それに阿苦都苦出版があのパーティー会場に入れたのは,間違いなくあのパーティーの参加者の誰かが手配したから」
 
奏「その上で色んな条件を踏まえて考えると、その犯人はiMBに参加していた芸能事務所のどれかというのが濃厚ね」


P「だがそれだと,、怪しいのは唯一被害を受けてない010プロって事になるんだよな...」

美嘉「そんな!凛達は不正なんてしてないよ!」

周子「そうだよ!Pさんだってあのパフォーマンス見たでしょ!?そんな汚い手でのし上がったやつにはあんなこと出来ないって!」

P「分かってるよ!でも目に見えてるもんだけが真実な訳じゃないだろ!?010はトラプリだけで成り立ってるわけじゃない、あの子達が無実でも事務所全部が無実とは限らない」
 
P「実際、被害を受けてないのはあそこだけなんだから...」







志希「んー、それはどうかなぁ?」

11: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 21:41:06.49 ID:H0VH1/Ch0
P「えっ?」

志希「確かに010プロはiMB参加事務所の中で唯一出版社による被害を受けてない。でも、そのせいで世間ではiMB事件を起こした犯人としての疑惑も上がって、最近かなりバッシング受けてるよね?」
  
志希「それってむしろ、この事件で一番被害を受けてるって事じゃないかにゃ?」

P「それは...確かにそうだけど...」


フレデリカ「つまり、010プロは犯人じゃないって事だね!」

志希「『黒幕も自分の首を絞めることを想定していなかった』とかじゃなければだけどね」

奏「ここまでの規模の事件を起こせる人間が、そこまで馬鹿だとは思えないけど...」

12: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 21:43:17.72 ID:H0VH1/Ch0
奏「手掛かりはまだあるわ。プロデューサーさんが歌手を辞めることになった、あの事件」

美嘉「それって確かプロデューサーの仲良かったアイドルが●営業したってバッシングされて、それで心を痛めて...」

P「...ビルから飛び降りて、自殺した。夢だったアイドルに絶望してな。だからこそ俺はアイドル業界にあの子を貶めた犯人がいると推測して、この事務所を立てたんだ」

周子「...ちょっと嫌なこと聞くようで申し訳ないけど、枕したってのは本当なの?もしかしたら濡れ衣着せられたって可能性も...」

P「分からない...俺には何も、話してくれなかった...出来れば濡れ衣であってほしいが...」

周子「...ゴメンPさん、やっぱ聞かなきゃよかったね」

P「いや、大丈夫だよ周子。気にすんな」


フレデリカ「でも、その時の事件がどういう風にiMB事件の手がかりになるの?」

P「...手口だ」

フレデリカ「手口?」

13: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 21:44:52.29 ID:H0VH1/Ch0
奏「思い出してみて。プロデューサーさんがそのアイドルの自殺に裏があると思った理由を」

美嘉「確か違う出版社の記事なのに使ってる写真が全く同じだから......あれっ?」

美嘉「それってあたしの時と一緒じゃん!?」

周子「ついでに、大しておいしくないネタなのに皆でこぞって叩いたってとこも似てるね」

P「ああ....だから俺は美嘉の記事を見た時、あの子の事件とiMB事件が繋がってることを確信したんだ」


志希「とりあえず、黒幕への手がかりが残ってるとしたら当時の記事だね。用意できる?」

P「前に電子書籍でバックナンバー買ってこのタブレットに入れてある...これだ」

周子「阿苦都苦、須藤華、極亜久...美嘉ちゃんを叩いてたトリオがそろってるね」

奏「その3つだけじゃないわ、本当に多くの雑誌が同じような記事を書いてる。確かにこれじゃ、どの出版社が一番の黒なのか分からないわね...」



フレデリカ「....んー?」

14: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 21:46:31.27 ID:H0VH1/Ch0
志希「相手の男の顔も写ってるけど、心当たりある?」

P「無い......当時もかなりこの写真を手がかりに探しはしたんだが、ダメだった。この男の情報は、マジで砂の一粒も集まらなかったんだ」

奏「なら、当時所属してた事務所に話を聞きたいところだけど...」

P「倒産しちまったからな...当時の社長も、彼女を担当していたプロデューサーも、今となっては生きているかすらわからない...」

美嘉「それじゃあ、結局手掛かりなしってこと...?」

周子「相手の男が見つかればいいけど...そこまでして駄目だったんなら、難しいだろうね」

美嘉「そんな...ここまで来て...」













フレデリカ「やっぱり、おかしい!」

15: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 21:49:32.61 ID:H0VH1/Ch0
P「おかしいって、何が?」

フレデリカ「だって、マクラエイギョー....ってよくわかんないけど、兎に角普通は嫌なことだよね?」

P「そりゃまぁ、好きでもないやつに無理やり抱かれるんだから、誰だって嫌だろうな」

フレデリカ「でもこの記事の写真に写ってるこの子、全然嫌な顔してないよ?」

フレデリカ「アタシわかるよ!この子が写真を撮られたとき、絶対この子は幸せな気持ちだったはず!どう見たって、自分で嫌だって思ってることする時の顔じゃないよ!」

奏「......そう言われると確かに、むしろ少し微笑んでいるようにも見えるわね」

周子「じゃあ、この写真は●営業の時の写真じゃないってこと?なら、一体何の写真なんやろ?」



志希「...この背景の写真、公園じゃない?」

美嘉「...ホントだ、よく見たらちらっとブランコみたいなのが写ってるね」
  
美嘉「でも...それがなにか?」

志希「プロデューサー、もう一度写真をよく見て。本当にこの写真、心当たりない?」


志希が写真をプロデューサーの眼前へ付き出す
するとプロデューサーは、何かに気づいたかのようにはっと血相を変えた





P「....!!」

P「もしかしてこれ、俺とのレッスンの時の写真!?」

16: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 21:51:13.14 ID:H0VH1/Ch0
奏「プロデューサーとのレッスンの写真ということは...」

周子「映ってる相手は実はPさんだったって事!?」

美嘉「でも、どう見たって違う人間だよ?」

P「間違いない、この公園はいつもの......ならこの写真には、俺も一緒に写っていたはずだ!なのに一体何故!?」

志希「合成だろうね、プロデューサーのとこだけ全然違う人間に置き換えたんだ」
 
志希「相手の人、顔は全然違うけど肩幅とか足の長さ、体格はプロデューサーに似てる。今の技術なら、元々写ってたプロデューサーを体格の似た別の人間の様に編集するくらい、ワケないよ」


奏「どれだけ探しても相手の人が見つからなかったのは、そもそもいない人を探してたから?」

志希「多分ね」


周子「でもそれってなんかおかしくない?Pさんは当時すでに売れっ子の歌手だったんだよ?」

P「そうだ、どうせ叩くんなら知名度のある俺を叩いた方が出版社にとってはるかにウマい!」
 
P「JKアイドルに手を出した鬼畜とでもしとけば、あの子を叩くよりかなりの注目を集めれたはずだ!一体なんで...」










フレデリカ「プロデューサーを、守りたかったんじゃないかな?」

17: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 21:52:16.80 ID:H0VH1/Ch0
P「えっ?」

フレデリカ「犯人は実はプロデューサーのことが大好きで、そんなプロデューサーがスキャンダルになりかけてたから、守ったって事じゃない?」
     
フレデリカ「......なんとなく、そんな気がするんだ。この記事を書かせた人は、どうしてもプロデューサーを守りたかったんだろうなって」

美嘉「じゃあ黒幕は....いろんな出版社を動かせる力があって、iMBに参加した事務所の関係者で、当時スキャンダルになりかけてたプロデューサーを守りたかった人間?」

P「いやぁ、そんな都合のいい人間がいるはずは....」










奏「.............!!」

18: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 21:53:03.34 ID:H0VH1/Ch0
カチリ、と頭の中で音がした
欠けていたパズルの、最後のピースを見つけた様な感覚

脳が急速に回転し、あのパーティーであった事を思い起こさせる



そうだ、私は一度会っている!

多くの出版社に働きかけれるほどの資金と権力を持っていて、MBに参加した事務所の関係者で
そして、当時プロデューサーを守る動機があった人物.....

すべての条件を満たすパズルの答えを、私は知っている!!

19: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 21:53:32.94 ID:H0VH1/Ch0
奏「全てを仕組んだ犯人は...」

   
   






「891プロの社長、屋久井 清...!」

20: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 21:54:13.77 ID:H0VH1/Ch0
志希「...誰だっけその人?」

奏(ズコッ)


志希「聞いた覚えはある...けど多分キョーミなかったんだろうね、忘れちゃった♪」

フレデリカ「アタシも忘れてるー♪」

美嘉「えぇ...でも屋久井社長の名前はともかく、891プロのことは分かるでしょ?」

志希フレ「「なんだっけ?」」

美嘉「二人とも、ちょっとは他の事務所にも興味もとうよ!?」

21: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 21:55:29.69 ID:H0VH1/Ch0
奏「...この国で最も大規模な芸能事務所よ。アイドルはもちろん、歌手や芸人、役者や声優...この世界で芸能と呼ばれるジャンルに属するもの全てでトップクラスの力を持っているわ」
 
奏「アイドル以外の部分も含めれば、010プロをも軽く凌ぐ規模でしょうね」

周子「ほら、前に番組でレイジレイジ―の二人と共演した人気の俳優と芸人がいたでしょ?あの二人も891プロ所属の人達だよ」

奏「そして、プロデューサーさんがかつて所属していた事務所でもあるわ」


志希「........あー思い出した、そう言えばそんなこと言ってたね」

フレデリカ「確か、プロデューサーは891プロの社長さんにスカウトされて歌手になったんだよね!」

P「ああ....だが、信じられん」

美嘉「信じられない?」

P「だって、屋久井のおっちゃんは俺を拾ってくれて、ずっと支えてくれた恩人で、ホントにいい人なんだぞ!?あの人が悪事を働くなんて......」

奏「プロデューサーさん、貴方さっき自分で言ってたじゃない。『見えてるものだけが真実じゃない」って」

P「!!」

奏「もしかしたら、貴方には自分の本性を見せていなかっただけかもしれないわ」

22: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 21:57:06.48 ID:H0VH1/Ch0
P「だが!891プロだってiMB事件の被害を受けただろ!?おっちゃんは自爆する程馬鹿じゃねぇぞ!?」

奏「...本当にそうかしら?」

P「えっ?」

奏「確かに891プロにもゴシップ記者が侵入したわ。でも、それだけよ。他の事務所はみんな何かしら不祥事を暴露されたのに、891プロの不祥事を書いた記事は無かった」
 
奏「私達の時だってあんなにしつこく付きまとってたじゃない。なのに、891プロだけはただ侵入されただけで済んでる」

P「そりゃあ891プロはでかい事務所だし、警備が優秀だから...」

奏「そんな警備が厳重な事務所に、カメラ一つで正面から侵入したって言うの?そもそもそんなに警備が厳重な事務所に忍び込むより、私達の時みたいに撮影現場やプライベートに張り付く方が無難じゃない?」

周子「それは...確かにあたし達の時に比べて杜撰すぎるような...」

23: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 21:57:47.58 ID:H0VH1/Ch0
奏「それに、黒幕が屋久井社長だとすれば色々とつじつまが合うのよ」

美嘉「どういう事?」

奏「志希とフレデリカの初仕事よ、あの時フレデリカと共演するはずだった芸人さんも891プロ所属だったわよね?」

P「あ、ああ...」

奏「あの時は急病で来られなくなったって言ってたけど、本当はそうじゃなかったのかもしれない。もしかしたら屋久井社長が芸人さんが現場に行かないよう手を回したのかもしれないわ」
 
奏「それに...なんであの時二人が狙われたのか、ずっとその理由が分かってなかったでしょ?」

志希「というか、そもそも本当に狙われたのはあたし達だったのかすらよく分かんないよね。あの時のまだ新人だったあたし達には、わざわざあんな妨害されるような理由はないはずだし」

P「だが、おっちゃんとあの時の二人が狙われたことに、一体何の関係が?」

奏「やっぱり、あの時本当に狙われていたのは志希とフレデリカじゃなかったのよ。本当に狙われていたのは...,,」
 

 






プロデューサーさん、あなたよ

24: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 22:00:06.35 ID:H0VH1/Ch0
P「狙われていたのは...俺?」

周子「でも、Pさんにだって狙われる理由なくない?むしろPさんは屋久井社長の仕事仲間だったんでしょ?」

奏「だからこそよ。屋久井社長にとって、プロデューサーさんは事務所の総力を挙げて支援していた稼ぎ頭だった。そんなプロデューサーさんにある日急に事務所を辞められれば、相当な痛手を負ったはずよ」
 
奏「稼ぎも減るし、事務所にとって大きな存在が急に抜けたことで、社内も混乱に陥ったはずだわ」

フレデリカ「アタシだって、急に811プロの誰かが辞めるっていいだしたら大混乱する自信あるし、屋久井社長もきっと焦っただろうね」


奏「動機は『復讐』、愛しさ余って憎さ100倍ってところね。自分を裏切ったプロデューサーさんへ復讐するため、それと、プロデューサーが真相にたどり着くのを防ぐ目的もあったのかもしれない。だから、プロデューサーさんが同伴しているタイミングでアクシデントを起こさせて、プロデューサーさんの信用を失墜させようとした」
 
奏「きっと、志希というイレギュラーとフレデリカの機転がなければ、次の日にはプロデューサーさんはメディアで大きく叩かれたでしょうね」

美嘉「確かに、筋は通ってるね...」

25: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 22:01:28.61 ID:H0VH1/Ch0
奏「そして、プロデューサーさんが会社にとって大事な稼ぎ頭だったからこそ.....当時の屋久井社長はプロデューサーを守った。合成写真を使わせてね」

P「でもそれなら、そもそも記事を差し止めればよかったじゃないか!わざわざあの子だけ嵌めるような真似をする必要はない!」

奏「その理由は、確かにまだ分からない.....状況証拠がそろってるというだけで物証もないわ。でも、掘り下げてみる価値はあると思うわ」
 
奏「だから、一度納得のいくまで調べてみましょう?プロデューサーさんには辛いかもしれないけど...」

P「...いや、大丈夫だ。覚悟ならこの事務所を立てた時に、とうに済ませた。例えどんな事があっても、真実を追い求めるってな」
 
P「...いいだろう、もう一度しっかり調べ直すとしようか。」







891プロも、あの子の事件も....!

26: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 22:01:56.45 ID:H0VH1/Ch0

Chapter18「Whereabouts of evil」

27: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 22:02:38.49 ID:H0VH1/Ch0
会議で891プロのを調べる事が決まった後、プロデューサーさんは3人の助っ人を事務所に呼び出した

現役警察官である早苗さんと、いつも世話になってる青木さん
そして...



ちひろ「こんにちは、811プロの皆」

28: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 22:03:45.19 ID:H0VH1/Ch0
奏「貴方は...確か前にトラプリと一緒にいた人よね?名前は.....」

ちひろ「千川ちひろよ、010プロで事務員をやっているわ」
   
ちひろ「そして......P君の元プロデューサーでもある」

美嘉「プロデューサーの、プロデューサー!?」

フレデリカ「ややこしやー!!」


P「ちひろさん、今は少しでも情報が欲しいんです。どうか力を貸してください」

ちひろ「もちろんよ、可愛い担当の為ならね」

早苗「あたし達も力を貸すわ。警察官として、悪人は見過ごせないしね!」

ベテトレ「あの子の無念を晴らす為なら、私も全力を尽くそう」

P「ありがとうございます、では早速.....」

29: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 22:05:24.32 ID:H0VH1/Ch0
P「....ということなんです」

ちひろ「社長が、黒幕......」

早苗「確かに、条件的にはあり得るわね...」

奏「信じられないかしら?」

ちひろ「...正直、屋久井社長がそんなことをするとは私も思えませんけど...でも、実は私少しだけ社長に違和感を覚えた事があるの」

周子「違和感?」

ちひろ「まだP君が現役だったころ、一度社長に阿苦都苦出版の記者が訪ねてきたことがあったの。普通はゴシップ誌書いてる記者なんてそうそう社内にいれたりしないんだけど...」

美嘉「確かに変だね....どんな事務所だって、阿苦都苦出版を社内に入れるのは嫌がるはず...」

ちひろ「あの時期は結構色んな事務所で不祥事が続いていて、891プロも警戒を強めていた時期だから尚更ね」

   
ちひろ「...今思えば、あれはあの子が自殺する少し前の事だった」

早苗「一気にキナ臭くなったわね...」

30: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 22:06:43.66 ID:H0VH1/Ch0
奏「もしかしてその記者、屋久井社長と取引していたんじゃないかしら?例えば、何かを対価に、プロデューサーのスキャンダルを都合のいいものに書き換えるとか」

ちひろ「有り得ないと切り捨てることは、出来ませんね......」

P「俺の知らないところで、そんな事が.........」

奏「ただ、まだ証拠が全然足りていないのよね.......」









P「...なら、直接乗り込むしかない」

31: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 22:08:47.93 ID:H0VH1/Ch0
周子「乗り込むって、本気?」

P「俺ならある程度は891プロの中の事が分かる。どうにかしてそれっぽい証拠を...」

ちひろ「待ってP君、それっぽい証拠なんて曖昧じゃダメよ。もっと具体的に決めていかないと」

P「具体的にって.....例えば?」

ちひろ「お金の動きが分かるようなもの、帳簿とかがいいわね。人間の欲望を最もむき出しにするのは、やっぱりお金だもの」

P「帳簿かぁ...それは何処にあるか知らねえや....」

ちひろ「なら私も一緒に乗り込むわ、私なら帳簿の場所が分かるから」

ベテトレ「だが、正面から帳簿をよこせと言うわけにもいくまい?」

ちひろ「そこは私に考えがあります。ただ、私とP君の他にもう一人欲しいですね...」

ベテトレ「....なら私が行こう、アイドルの皆じゃ顔が割れてて潜入しづらいだろう」

P「じゃあ明日、俺とプロデューサーと青木さんで891プロに行きましょう!」

32: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 22:09:28.64 ID:H0VH1/Ch0
早苗「...私も、ちょっと気になることがあるからそれを調べてみる」

周子「気になること?」

早苗「最近あった芸能関係であった事件で、ちょっと怪しい事件があってね。時期が時期だしもしかしたらiMB事件と何か関係があるかもしれない」

P「それってもしかして...」

早苗「多分P君の考えてる通りよ。ただ、この事件は確証のない間はちょっとLiPPS皆に聞かせるわけには.....」

P「確かに、刺激の強すぎる話ですね....」

奏「なによ、また隠し事?」

P「大丈夫だよ、早苗さんの調査が終わったらちゃんと話すから」

奏「ならいいけど...」

P(明らかに不機嫌........)

33: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 22:10:53.89 ID:H0VH1/Ch0
早苗「ごめんね奏ちゃん、この話に関しては、本当に軽々しく話せるものじゃないから....」

奏「そう....早苗さんがそう言うならしょうがないわね。でも、確証が取れたらちゃんと話してよ?」

早苗「ええ、その時は必ず」


美嘉「あたし達はどうすればいい?」

P「お前たちは今はとにかくIGの方に集中してくれ、こっちの調査に力入れ過ぎてIGの方でしくじるわけにもいかないからな」
 
P「事件の真相を掴むこともそうだが、それ以上に今の俺たちの目標はIG優勝だからな...できるか?」


『もちろん!』


P「よし!じゃあ明日の作戦が終わり次第、また事務所で集まろう!」

34: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 22:13:05.63 ID:H0VH1/Ch0
~~~翌日、891プロ前~~~


ベテトレ「ここが891プロ.....噂通りでかいな」

P「それで?なんかずっとはぐらかされてたんですけど、結局どうやって入り込むんです?」

ちひろ「よく聞いてくれました!まずは変装します!」

P「......ゑ?」


....猛烈に嫌な予感がする

35: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 22:13:37.47 ID:H0VH1/Ch0
ベテトレ「やたらデカい荷物だとは思っていたが、もしかしてそれ全部変装用の衣装か?」

ちひろ「そうですよ。P君のは....はい!」

P「はいって...えっ?これ俺が着るんですか!?」

ちひろ「そうよ?時間が惜しいから早く着てください。メイクもしなきゃいけないんだし」
   
ちひろ「青木さんも同じ服着てもらいますからね?」

ベテトレ「なんだと!?こんなヒラッヒラのをか!?」

P「ていうかなんでこんな服着なきゃなんないんですか!?」

ちひろ「それはですね....ゴニョゴニョゴニョ」

P「えぇ...」

ちひろ「しょうがないですよ。私とP君の顔は割れてますし、これくらいしないと」

P「だからって....ハァ」







「また女装かぁ...........」

36: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 22:14:36.73 ID:H0VH1/Ch0
==========891プロ===========

891P「えーっと...確か売り込みに来たアイドルとプロデューサーが待ってるって...あれか」

891P「初めまして、わたくし当事務所でプロデューサーを務めています、891Pと申します。名刺どうぞ」

ちひろ(男装)「これはこれはご丁寧にどうも!」

ベテトレ(アイドル衣装)(.....ん?)

P(女装アイドル)(どうしました?)

ベテトレ(いや、この男...前に一度会ったことがある)






ベテトレ(....あの子のプロデューサーだった男だ)

P(なんですって!?)

37: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 22:15:15.43 ID:H0VH1/Ch0
891P「ところで、貴方は010事務所を担当ごとクビになったと伺ったのですが...」

ちひろ「そうなんです...なぜか私達が不正をしたとかで...ホントは何もしてないのに!」
   
ちひろ「でも、そんな理不尽に夢を断たれたら諦めきれないじゃないですか!彼女達は本当に素晴らしい才能を持っているのに!...だから、3人そろって別の事務所で今度こそアイドルになりたいんです!」

P(いやどっちもアイドルじゃねえよ、片方中身男だよ....)

891P「それは...心中お察しします。立ち話もなんですねので、あちらへと...」

ちひろ「分かりました。二人とも、行くわよ!」

P『アッハイ』

ベテトレ「.........」

38: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 22:17:41.95 ID:H0VH1/Ch0
~~~同時刻、某所~~~


JK「...って事があったんです」

早苗「成程ね....貴重な情報をありがとう」

JK「いえ...それよりも婦警さんって、美嘉と知り合いなんですよね?」

早苗「そうだけど...それが?」

JK「伝言を頼まれてほしいんです...061プロの時は酷い事言ってゴメンって...それと、私はアイドル辞めちゃったけど、美嘉がアイドル頑張ってる姿見て毎日元気貰ってるって」
  
JK「今更私にこんなこと言う資格ないとは思うんですけど....」

早苗「...いいえ、大丈夫よ!美嘉ちゃんはファンの声援をないがしろにはしないもの!」
  
早苗「安心して、必ず伝えておくわ!」

JK「ホントですか!?ありがとうございます.......!」

早苗「ええ、それじゃまたどこかで会いましょ!」

39: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 22:18:12.34 ID:H0VH1/Ch0
やっぱり、あの自殺には裏があった


早苗(061プロと891プロは裏で繋がっていた...いや、もしかしたら061だけじゃない、もっと多くの事務所が...)
  
早苗(そして、そうやって集めた莫大な資金で、061社長の自殺を詳しく調べられない様に圧力をかけた....いや、こうなってくるとそもそも本当に自殺だったのかすら怪しいわね)
  
早苗(....まあ、なんにせよ)











カギを握っているのは屋久井社長...か

40: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 22:19:47.25 ID:H0VH1/Ch0
891P「いやー素晴らしいですよ彼女たち!是非契約交渉を...」

ちひろ「すいません、有り難いお話なのですが私達これからどうしても外せない用事がありまして...また後日お話しを伺えますか?」

891P「そうですか...では都合が良いときに私までご連絡ください」

ちひろ「ありがとうございます....帰るわよ二人とも!」

P『はい......いやーなんとかデビューできそうですね...ヨカッタヨカッタ』

ベテトレ「ああ!この事務所なら、最近良く聞く●営業とかの心配も無さそうだしな!」


891P「.....!!」ピクッ


ベテトレ(!!...あの反応、やはり...!)

ちひろ「こらっ、大声でそんな事言うもんじゃありませんよ.....それでは、失礼します」

891P「あっ、はい!また後日!」

41: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 22:21:19.32 ID:H0VH1/Ch0
====811プロ、事務室====


P「よし、全員集まったな......」

フレデリカ「プロデューサーさんとトレーナーさん、なんだが凄くお疲れみたいだねー?」

ちひろ「囮として頑張ってもらったから二人ともお疲れなのよ。そっとしておいてあげて」

周子「囮って......何したん?」

P&ベテトレ「「聞くな.......」」


奏「何があったのかは知らないけど.....収穫はどうだった?」

ちひろ「こっちは豊作よ。早苗ちゃんは?」

早苗「あたしも中々興味深い情報を得たわ...やっぱり、あの事件には裏があった」

P「ホントですか!?」


周子「ちょっと待って。結局、『あの事件』って何なの?」

奏「確証が見つかったのなら、約束通り話してもらうわよ」

早苗「もちろんよ、ただ、覚悟して聞いてね」
  
早苗「特に....美嘉ちゃん」

美嘉「あたし?」

早苗「ええ、貴方にはショッキングな事件かもしれないから...」


美嘉「.....大丈夫、話して」

早苗「分かったわ。実は.........」

42: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 22:22:00.55 ID:H0VH1/Ch0
美嘉「そんな....061の社長が...?」


061プロの社長.....あの男が、自殺していた...!?


志希「プロデューサーは知ってたの?」

P「ああ、だがお前らに余計なショックを与えると思って当時は言わなかった。んでそのまま昨日まで忘れてた」

周子「ええ...確かに聞いたらショックだったろうけどさ」

フレデリカ「でも、黙ってたのは良くないと思うな!ぷんぷん!」

P「悪かったよ...あの後結局何もなかったから忘れてたんだ」

43: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 22:23:00.01 ID:H0VH1/Ch0
早苗「ただ、もしかしたら自殺というのは間違いかもしれない」

奏「どういう事?」

早苗「061プロはね、891プロとある契約を結んでいたのよ。毎月061プロへ資金やコネの支援を行う代わりに、061プロから二つの報酬を受け取るという契約を」

早苗「一つは、061プロの売り上げの3割。これがあるから061プロのアイドルのギャラは大分カットされていたらしいわ」


美嘉「だから061プロの時、あんだけ働かなきゃ家族を養いきれるの収入にならなかったんだ」

志希「ブラック企業ってレベルじゃないね...」

早苗「そしてもう一つは............」








    所属アイドルの、カラダ

44: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 22:24:36.92 ID:H0VH1/Ch0
『!?』




早苗「061プロは支援を受ける代わりに、売れないアイドルに●営業をさせていたの。891プロが色んなとこにコネを作るためのね」
  
早苗「実際に●営業をさせられた子から聞いた、確かな情報よ」

美嘉「そんな...じゃあもしかしたらあたしも!」

早苗「もしあそこまで売れてなかったら....あまり考えたくないわね」



....もしかして、あの時のセリフ



【「そうだよ!あたし達お仕事もらうためにあそこまでしたのに、こんなしょーもない事で終わったら...」】※前スレChapter6参照




奏(あそこまでっていうのは、●営業の事だったってわけね....)

45: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 22:26:07.22 ID:H0VH1/Ch0
P「待てよ、自殺じゃないかもしれないって、もしかして...061の社長は、その秘密を暴露しようとしたから、口封じで消されたって事か!?」

早苗「ここまでくると、それも有り得なく無いわね。あの自殺の捜査は上から妙な圧力がかかったり、遺書だけで自殺と断定されたり...兎に角不自然な事は多かった」

美嘉「そんな....そんな事って...」

早苗「......あと、その子から美嘉ちゃんに伝言を預かってるわ」


早苗「『061プロの時は酷い事言ってゴメン』、それと、『今は美嘉がアイドル頑張ってる姿見て毎日元気貰ってる』って」

美嘉「!!!」

早苗「美嘉ちゃん、ショックかもしれないけど、どうか気を落とさないで....」










美嘉「気を落とす?....大丈夫だよ、むしろすっごく燃えてきた!」

早苗「えっ?」

美嘉「だって、あたしは061時代の仲間に夢を託されたんだもん!こんな所でへこたれない!アタシに自分の夢を託してくれた皆の為に、アタシは絶対負けられない!」
  
美嘉「やってやろーじゃん!アイドルのてっぺんも、皆を苦しめた事件の真実も、全部まとめて掴み取ってやるんだから!」

46: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 22:28:27.98 ID:H0VH1/Ch0
ちひろ「次は私達ね。二人頑張ってくれたおかげで、無事帳簿のデータは入手できたわ。それで帳簿の中身なんだけど....ちょっとそこのPC借りるわね」

周子「どうぞどうぞー、パスワードは............だよ」

ちひろ「ありがとう。じゃあこれにUSBを刺して...」

周子「.......うわ、ファイルいっぱいある!」

ちひろ「891プロはかなり昔の分まで帳簿を残すからね。でも一番重要なのは....これよ」

周子「なになに...『子会社帳簿』?」

P「なんだそれ?」

ちひろ「とりあえず見てもらった方が早いわ...これよ」


全員が一斉にPCのモニターをのぞき込む





...えっ!?

47: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 22:29:29.07 ID:H0VH1/Ch0
奏「061プロ、666プロ、4989プロ...芸能事務所の名前が何十個も....」

P「芸能事務所だけじゃねぇ、養成所やテレビ局の名前まである...まさかこれって!?」




早苗「891プロと契約していた事務所との、資金のやり取り...!?」

48: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 22:30:38.79 ID:H0VH1/Ch0
ちひろ「私も見た時はまさかと思ったけど、早苗ちゃんが持ってきた情報を聞いて確信したわ」
  
ちひろ「061プロだけじゃない、891プロはいくつもの芸能関係の会社とと契約を交わしていた。支援をする代わりに、その見返りとして売り上げとアイドルを差し出させたり、テレビ局には仕事を斡旋してもらったり....」

P「でも、ここに書いてある事務所は891プロの子会社じゃない!全部独立した事務所のはずだぞ!?」 

志希「だからこそ、気づかれなかったんじゃないかな?表向きは独立した芸能事務所だから、891プロとのつながりを疑われることはなかった」

P「な、成程......」


ちひろ「大事なとこはまだあるわ。この061プロとのやり取りのとこ、本来毎月この日に891プロから支援金が送られてるんだけど...」

P「061プロが倒産した月には入金されていない、この日はまだ061プロは残っていたはずなのに...

P「まさか、倒産する事を知ってたってのか!?」

周子「じゃあもしかして、あの時061プロの不正をリークしたのは891プロだったんじゃ!?」

奏「そういう事になるでしょうね....」

49: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 22:35:33.97 ID:H0VH1/Ch0
ちひろ「それに...倒産するまでは『あの子』のいた事務所とも同じ契約をしていたみたいね」

ベテトレ「やはり、あの男は知っていたんだな...あの子の●営業について」

美嘉「あの男って?」

ベテトレ「今日891プロのプロデューサーに会ったんだが、その男は前にあの子のプロデューサーをやっていた男なんだ」

早苗「ちょっと待って、担当が●営業したって騒がれたのに、またプロデューサーとして再就職できたの?しかも、891プロなんて大きな事務所に?」

ちひろ「普通はありえないでしょうね...あんなに騒がれたんですもの、担当プロデューサーだった彼も業界で信用を失ったはず......」


奏「......もしかしてその人、当時も891プロとグルだったんじゃないかしら?」

P「どういうことだ?」

奏「担当アイドルを売る代わりに、891プロで再就職できるように手配した。前の事務所より良い条件でね」
 
奏「そうでもないと、そのプロデューサーが891プロに再就職なんてできないはずよ」

ベテトレ「確かにそれなら、891プロでプロデューサーをやっていても不思議ではないな」

50: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/10(水) 22:37:36.38 ID:H0VH1/Ch0
奏「担当アイドルを891に売る代わりに、108プロが倒産した後891プロで再就職できるように手配した。前の事務所より良い条件でね。」
 
奏「そうでもないとそのプロデューサーが891プロに再就職なんてできないはずよ」

ベテトレ「そうか、それならあの時の反応にも説明がつく!」

奏「そして、ここまでの根回しができるのは、相当の力を持つ立場.....それこそ、社長くらいしかいない」

周子「てことは、奏ちゃんの予想大当たりって事!?」

奏「IGには891プロも参戦する...そしてIG程の大舞台なら、いかに社長という大きな立場であろうと必ず見に来るはず」
 
奏「こうなったら、IGでとことん暴いてやろうじゃない...!」




891プロ、その本性を!!












to be continued.....

52: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 20:46:09.92 ID:6SBeEs3u0
総選挙始まりますね
今回のCGは未央あたりが有力そうですが、新アイドルが追加された直後だったりガチでボイス獲得狙いに来る層も多かったりで順位予想が難しい所です

それではChapter19、投下開始します

53: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 20:48:45.24 ID:6SBeEs3u0
~~~ IG予選前日 ~~~


美嘉「というわけで、今日の『正気のサタデーナイト!』はここまで...と言いたいところだけど、実はまだあたし達LiPPSからの重大発表が残ってるよ!」

奏「明日、この国のアイドルの頂点を決めるアイドルの祭典、通称『IG』が始まることはみんな知ってると思うけど...なんとそのお祭りに、私達LiPPSも参戦するわ!!」

ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!

周子「絶対、ファンの皆を楽しませてあげるから!皆あたし達の本気を見に来てねー!」

フレデリカ「あたし達はもちろん、他にも凄いアイドル達が一杯集まるんだー!だから、集まったアイドル全員でサイコーに素敵なステージをお届けするよ!」

志希「もし会場に来られないって子も、NHKや動画サイトで生放送されるから安心してね❤」

奏「それじゃあ最後にIGの前夜祭って事で、今から一曲歌いましょう!皆、準備はいい!?」



ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!


奏「OK!LiPPSで、『お願い!シンデレラ』」

54: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 20:49:11.77 ID:6SBeEs3u0

Chapter19「Start walking Cinderella Road!」

55: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 20:52:31.98 ID:6SBeEs3u0
3月22日、IG予選開始日
ついに、この日がやって来た


奏「いよいよね...」

P「ああ....お前ら、覚悟はできてるか?」


周子「そんなもん、とっくの昔に出来てるよ!」

フレデリカ「トレーナーさんもプロデューサーも、今日の為に一杯頑張ってレッスンしてくれたもんね♪」

美嘉「おかげで技術も気合もばっちり!あとは、あたしに夢を託してくれたみんなの分まで突っ走るだけ!」

志希「知らない香りがいっぱい....志希ちゃん、トリップしちゃいそ~♪」

奏「まずは予選.......みんな!頂点を目指してまず一歩、その最初の一歩を全力で楽しみましょう!」



『オー!!!!』

56: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 20:54:46.98 ID:6SBeEs3u0
予選開始の1時間前、私達の控室へとスタッフさんがブロックの組み分け表を持って来た



Aブロック                 Bブロック

アイドルの達人DX 和田プロ        トライアドプリムス 010プロ     

グランブルー騎空団 サイゲプロ       グレイセス     アスベルプロ 

姫接続       サイゲプロ       祝儀心       ヘキサプロ

LiPPS        811プロ       NO TITLE  WESTプロ


Cブロック                 Dブロック 

覇王エンジェルズ  真・最強プロ      トリニティスターズ   010プロ

Venus     369プロ       ワルキューレレジェンド マーベルプロ            

Night Juels    456プロ       鉄拳ガールズ      三島プロ

不思議な桃娘    567プロ       Project.Queen      891プロ



周子「これは....どうなんやろ?とりあえず全部聞いたことがあるアイドルなのは確かだけど」

美嘉「そりゃあ、IGに出れてる時点でAランクまで昇りつめたトップアイドルだからね。有名なところばっかだよ」

57: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 20:57:01.43 ID:6SBeEs3u0
P「どこのブロックも、誰が勝ち上がるか予測がつかないような熾烈な争いになることは確かだが......優勝候補はばらけてるって感じかな」

フレデリカ「そうなの?」

P「巷の予想だとトラプリ、覇王エンジェルズ、トリニティスターズ、アイドルの達人DX辺りが優勝候補って意見が強い」
 
P「特に覇王エンジェル...あそこは本当に強い。所属事務所も数々のSランクアイドルを輩出してきた超名門だ。アイドル部門の実績だけなら間違いなく010や891も上回るだろうな...」


奏「トリニティスターズも強敵よ。加蓮曰く、010プロの大先輩で010の最強ユニット。自分たちでさえ事務所内の対抗オーディションでまだ一度も勝てたことがないって言ってたわ」

周子「ていうか、010プロって二組出てるんやね。あとあたしらのブロックのサイゲプロもか」

P「同じ事務所からは二組まで出場できるんだ。もちろん、ただでさえ倍率の高い切符を2枚手に入れることが出来ればだが」

美嘉「じゃあ二組出てる事務所は、それだけ実力の高い事務所だって事だね」

周子「010プロなら確かにそんだけの力があるだろうね。事務所811プロの10倍は大きいからなぁ...」


P「それにサイゲプロも010に匹敵するレベルの事務所だ。特にグッズの人気が妙に高くてな、サイゲプロのアイドルグッズの売れ行きは全ての芸能事務所の中でも一番いいんだとか」
 
P「だが...それ以上に厄介なのは優勝候補の一組、アイドルの達人DX.....あそこは恐らく今回の参加者で一番アイドル歴が長い、アイドルとしての経験値は間違いなくナンバーワンのユニットだ」


フレデリカ「つまり....みんな凄いって事だね!もちろん、あたし達も含めて!」

P「当然!LiPPSだって最高のアイドルユニットさ!」

58: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 20:59:28.44 ID:6SBeEs3u0
奏「ところで、一つ気になるユニットがあるのだけど...」

P「....『Project.Queen』か」

奏「ええ、iMB事件の容疑者、891プロのアイドル....」

P「Project.Queenは...正直未知数だな。今までオーディションで当たったことはないし...でも、俺が891プロにいた頃は間違いなく無かったユニットだ。デビューのウワサを聞いたのははちょうど811プロを建てた時か...」
 
P「ただ、Project.QueenがAランクに上がるきっかけ.......まだBランクだった時に受けた特別オーディションでは、周りが全部格上のAランクアイドルだったのにも関わらずパーフェクトで合格したらしい....」

美嘉「Aランク相手にパーフェクト!?」

周子「ふーん...でもDブロックはトリニティスターズもいるんでしょ?案外予選であっさり負けちゃったりするんじゃないの?」

奏「どうでしょうね...未知数って事はそれだけ実力の予測がつかないということよ。少なくともこの場に建てる以上トップクラスのアイドルであることは間違いないわ」
 
奏「それに.......」



iMB事件の犯人の疑いがある891プロ....
もし本当に犯人なら、勝つために何をしてくるか分からない.......

59: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 21:00:33.75 ID:6SBeEs3u0
P「....はい!一旦考えるのやめやめ!!」

奏「えっ?」


P「おまえら疑念なんて暗い気持ちを抱えてライブするつもりか?」
  
P「ステージに立ったらやるべきことはただ一つ、『全力で楽しんで、楽しませること!』その為に、暗い感情なんか必要ないだろ?今はただ、この最高のステージを楽しむことだけ考えようぜ!」


奏「...そうね!ごめんなさいプロデューサーさん、危うくステージで大恥かくところだったわ」

P「目ぇ醒めたんならよし!じゃあお前ら、今日はめいっぱい楽しんで、皆を楽しませて来い!」


『はーい!!』

60: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 21:02:00.44 ID:6SBeEs3u0
Aブロックは全ブロックの中で最も早くライブが行われる、いわば祭りの入り口
しかし会場は、その入り口から既に大熱狂の渦を巻き起こしていた


プロデューサーの言ってた通り、先にライブを行った3つのユニットはその圧倒的なパフォーマンスで見事に観客達の心に大きな花火を打ち上げて見せた
特に優勝候補の一つアイドルの達人DXは、トップバッターというプレッシャーのかかる状況にもかかわらず、今だかつて一度も見たことない、異次元の様なパフォーマンスを見せ、逆に後続のアイドル達にプレッシャーを与えて見せた


今LiPPSの出番を待っている観客達も、心の中でAブロックの勝者は彼女達だと確信しているのかもしれない....





....でも、悪いわね
私達LiPPSは、逆境の時こそ燃えるアイドル達なの
どんな困難をもみんなで笑って乗り越える.....『アイドル』という道を、全力でを楽しんで駆け抜ける!









このブロックの主役は、私(あたし)達だ!!

61: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 21:02:42.52 ID:6SBeEs3u0
奏「みんなー!この夢の様な祭典を、私達全員で!」
 

『全力で楽しんでいこう!!!』





ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!

62: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 21:03:12.45 ID:6SBeEs3u0
 Aブロック 投票結果


アイドルの達人DX 344765票

グランブルー騎空団 276522票

姫接続 263551票       

LiPPS        346012表











投票総数      1230850票     

Aブロック本戦進出ユニット 『LiPPS』(811プロ)

63: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 21:05:19.22 ID:6SBeEs3u0
 ~~~舞台裏~~~


LiPPS『やったーー!!!!!!!!!』

奏「プロデューサーさん、見ていてくれた!?」

P「もちろん!!これで本戦進出だ!」

美嘉「本戦...そうか、まだIGは始まったばかりだったね」

志希「まだまだ面白くなるって事?あたし、もう興奮し過ぎて飛んでいっちゃうかも!」

フレデリカ「それに、まだ今日のお祭りも終わってないよ♪この後の発表も楽しみ!みんなどんなパフォーマンスを見せてくれるんだろ?」


周子「ていうか、もうAブロックの結果出しちゃうんだね。なんか最後の最後で全ブロックまとめて発表するんかと思ってたわ」

P「集計と発表は観客とスタッフの休憩時間も兼ねてるんだよ。予選は10時間以上続くし、ぶっ続けで盛り上げ続けてたらどっちにしろ身が持たないからな」

周子「成程...ちゃんと考えられてるんだねぇ」




P「それと、ある人達からお前らにメッセージが届いてるぞ」

奏「ある人?」

64: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 21:07:05.90 ID:6SBeEs3u0
早苗『みんな―!本戦進出おめでとー!!』


美嘉「早苗さん!見てくれてたの!?」

ベテトレ『私もいるぞ』

P「二人とも客席からお前らのライブを応援してくれていたんだ」

早苗『皆の晴れ舞台を見ないわけにはいかないもの!ばっちりチケット確保したわ!』



ベテトレ『ところで...塩見と宮本、お前たち途中一度振付けを間違えていたな?』

周フレ「「ギクッ!」」

ベテトレ『そして城ケ崎はテンポを走らせすぎだし、速水は動きに緩急が足りない、一ノ瀬は後半スタミナ切れして声が小さくなっていたな。これでは本戦で足元をすくわれるぞ』


美嘉「あ、あはは....」

奏「トレーナーさんはいつも通りみたいで、なんか安心するわね」










ベテトレ『....だが、あえて言おう。よくやった!』

『!!』

65: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 21:08:37.98 ID:6SBeEs3u0
志希「と、トレーナーさんがデレたよ!?」

フレデリカ「これは激レア、SSRだねー!」

ベテトレ『.....予選が終わったら一ノ瀬と宮本だけ特別レッスンにするぞ?』

志希フレ「「えー!?」」


P「あははは!ベテトレさん照れるとポンコツっぽいですね!」

ベテトレ『ほう.....面白い事を言うなPは』

P「やっべ」


美嘉「なんか、ある意味いつも通りのオチだねっ★」

周子「ほんと、実家の様な安心感ってやつ?」

66: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 21:10:05.21 ID:6SBeEs3u0
アナウンス『お集りの皆さまにお伝えします、30分後に予選Bブロックを開始します』

P「だってさ」

奏「私達もライブを見に行きましょうか、トライアドプリムスも出ることだしね」

フレデリカ「アタシ達関係者用のいい席で見れるんでしょー?役得だね!」

P「まあ、普段とは別の角度で見れるからそういう意味ではいい席かもな」

周子「じゃあ折角だし、この後の祭りも楽しんでいきましょか!」



次のブロックの審査を見に行こうと、廊下を歩いていく
すると....

67: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 21:12:41.39 ID:6SBeEs3u0
トラプリP「ん...?あれは...」

奈緒「あっ!811プロの皆!」

凛「とりあえずお疲れさま、それと、本戦進出おめでとう」

美嘉「トラプリはこれから本番だよね?頑張って!」

奏「私達も客席から応援させてもらうわ」

加蓮「ほんと?じゃああたし達のステージ、ちゃんと目に焼き付けてもらわないとね!」



トラプリP「ところで、Pさん...」

P「...大丈夫です。もう、010を疑ってなんか無い。だから、もっとシャキッと晴れやかでいてください」

トラプリP「...はい!ああ、それと...」

P「?」

トラプリP「さっきのステージ、本当に素晴らしかったですが...アレが本気なら、本戦では私達が貰いますよ?本戦第一試合ではAとBの勝者が激突する...つまり、LiPPSとトライアドプリムスがぶつかるんですから」



P「......へぇ、言ってくれるじゃん。大口叩けるくらいには元気になったって事ですか」

トラプリP「アイドル達が頑張ってくれているのに、私が暗い顔するわけにはいきませんから。プロデューサーってそういうものでしょう?」

P「そりゃ違いねぇ! だが...もう勝利宣言とは大した自信ですね。Bブロックも強者揃いだ、ウチを本戦で倒す前に終わってくれるなよ?」

トラプリP「彼女らのステージを見ればわかりますよ。iMB事件も乗り越え、彼女たちはもっと強くなったいう事を!」

68: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 21:14:11.48 ID:6SBeEs3u0
 Bブロック 投票結果

トライアドプリムス 458959票     

GO血寺一家    306879票

祝儀心       289045票

NO TITLE  389763票







投票総数     1444646票

Bブロック本戦進出ユニット 『トライアドプリムス』(010プロ)




奏「凄い...これが今のトライアドプリムス...」

P「確かに、言うだけはあったみたいだな......」

69: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 21:16:24.06 ID:6SBeEs3u0
奏「45万票...私達の得票数より10万票も....」


トラプリPさんの言った通り、トライアドプリムスは最後に会った時とは比べ物にならない程魅力的になっていた
それは、トップバッターで会場のボルテージをすべて持って行ってしまう程に......


美嘉「投票総数も増えてる...あたし達Aブロックよりも注目されたって事か」

フレデリカ「みんな凄かったねー!アタシまだドキドキが収まらないよ!」

周子「フレちゃんはぶれないね...でも、ビビってる暇じゃないか」

P「そうだ、予選の票数では負けたが、まだ本戦が残ってる。必ずそこでリベンジしてやろう」

フレデリカ「何より、今は皆でライブを楽しむことが一番だよね!」

P「そういう事!今はただ、祭りを楽しむとしよう.....」

70: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 21:17:45.27 ID:6SBeEs3u0
Bブロックが終わり、迎えたIG予選後半戦

そこで私達は、また自分たちの想定を大きく上回る衝撃を受けることになる



Cブロック 投票結果                 

覇王エンジェルズ  766666票

Venus     223495票           

Night Juels    235215票

不思議な桃娘    286588票






投票総数      1401964票

Cブロック本戦進出ユニット 『覇王エンジェルズ』









P「流石Sランクアイドルユニット、『魔王エンジェルズ』の名を継ぐユニット......」

奏「文字通り、圧倒的だったわね...面白いじゃない!」


優勝候補筆頭『覇王エンジェルズ』は文字通り、圧倒的なパフォーマンスで他の3組を完全に抑えCブロックの勝者になった。
もちろん、その姿は私達に大きな衝撃を与えたわ














......でも、私達が一番驚いたのはここじゃない
最後のブロック、Dブロックだ

71: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 21:20:24.33 ID:6SBeEs3u0
フレデリカ「いえい!いえい!♪」

志希「Fooooooooooooooo!!!!!!!」

観客『ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!』


周子「志希ちゃんとフレちゃん、めっちゃノリノリやーん♪」

奏「そう言う周子もノリノリじゃない」

美嘉「ていうか、この場の全員みんなトリニティ―スターズに夢中だよ!流石010最強のユニットだね!」


Dブロックのトップバッター、010プロのトリニティスターズ
トラプリの先輩ユニットで、010最強と呼ばれるユニットである彼女達は、Bブロックでトラプリがやったように、ドームにいる全員の心を一瞬にして奪ってしまった
もちろん、私たちの心も......

これはもう、このブロックの勝者は決まってしまったかしら?












P(..............?)

72: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 21:21:44.12 ID:6SBeEs3u0
その後の二組、ワルキューレレジェンドと鉄拳ガールズのライブもとても素晴らしかった
ただ、やはりトリニティスターズのパフォーマンスを見た後ではどうしても霞んで見えてしまった
観客の皆も、やはり最初より盛り上がりに欠けている気がした


やはり、トリニティスターズの勝利になりそうね......


私達は最後のユニットのライブを見る前から、そう確信していた









それが、間違いだった












Dブロック 投票結果

トリニティスターズ     655755票

ワルキューレレジェンド   102402票            

鉄拳ガールズ        98340票

Project.Queen       775123票


投票総数         1631620票 

Dブロック本戦進出者 Project.Queen

73: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 21:23:25.81 ID:6SBeEs3u0
『Project.Queen』、あの891プロのアイドルユニット

彼女達は、このトリニティスターズ一色だった会場を、瞬く間に自分たちの色に塗り替えてしまった

......彼女達に疑いを持っていた、私達も含めて




祭りはまだ、始まったばかり

だが、確実に
アイドル業界を揺るがす大いなる嵐、その到来を告げていた

74: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 21:25:44.33 ID:6SBeEs3u0
周子「これ、マジで.....?トリスタの65万票だって桁違いなのに...」

フレデリカ「でも、確かに凄い人達だったねー。ザ・アイドルって感じ?」

志希「この様子だと、特別オーディションで格上をなぎ倒したって噂も本当みたいだね...」




奏「...みんな、今はProject.Queenの事を考えるのはやめましょう。目の前のライバルに勝ててもいないのに先の試合のことを考えてもしょうがないわ。そんなんじゃトライアドプリムスに笑われるわよ?」

奏「それに、決勝で戦うのがProject.Queenとも限らないでしょ?」

美嘉「えっ...あ、そっか。覇王エンジェルが勝つかもしれないね」

奏「というか、僅差とはいえ得票数は覇王エンジェルズの方が多いもの。そっちの方が確率は高いわ」

奏「それにさっきプロデューサーさんも言ってたでしょ?ステージに立ったらやるべきことはただ一つ、全力で楽しんで、楽しませることよ。今からステージで本戦進出者インタビューがあるのに、そんな余計な感情を持っていちゃだめよ」

『!!』

P「そういう事だ。家に帰るまでが予選、びしっと決めていけよ?」




『ハーイ!!』

75: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 21:27:41.28 ID:6SBeEs3u0
P(................まさか、な)

76: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 21:29:59.91 ID:6SBeEs3u0
予選が終わった翌日、私達は本戦に向けて予選のライブを徹底的に見直し、それぞれトレーナーさんに指摘された弱点の克服するべく、一週間の合宿をする事になった

ただ、その合宿先が.....


奏「なんで、こんな山の中なの.....?」

美嘉「さ、寒い....高いところだから?」

ベテトレ「高地トレーニングというやつだ。本戦は今までのオーディションより、圧倒的に長く過酷.....お前らの今のスタミナじゃ、間違いなく最後まで踊りきれず倒れるだろう」

ベテトレだが、お前たちは今何よりも時間が足りない!だからこそ、この過酷な場所で技術もスタミナも一気につけてもらう!」



高地トレーニング...確かアスリートが本番前に体力をつけるためにやるトレーニングだっけ...?
酸素の薄い山の高い所でトレーニングすることで運動能力の急激な向上を図る過酷なものって聞いたけど....成程、確かにこれはキツイわね....







でも、今の自分を脱ぎ捨てて、一歩先の私達に生まれ変わるためなら!


ベテトレ「この試練も越えられんようならIG優勝どころか本戦第一試合にも勝てん!必ずついてこい!」

LiPPS『はい!』

ベテトレ「良い返事だ!それじゃあ始めるぞ!」

77: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 21:30:29.64 ID:6SBeEs3u0
ベテトレさんの号令を合図に、地獄の特訓の日々が始まった

振付けを身体に染み付けるために何度も踊って、曲調に完璧に掴むために何度も歌い、自分たちをよりよく魅せるための工夫もみんなで考え、どんなプレッシャーの上でもバテないようスタミナとメンタルも徹底的に鍛えぬいたわ

過酷な環境に最初は皆倒れそうになっていたけど、三日も経つころにはみんな環境に慣れ初めて、自分たちが急激に成長していることを実感していた







そして..........

78: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 21:31:38.92 ID:6SBeEs3u0
 ~~~IG本戦当日、控室前廊下~~~



奏「おはよう、トライアドプリムス。今日は最高の日ね」

加蓮「おはよう、LiPPS。でも、あんた達にとっては厄日かもね?」


凛「ついに、この時が来たね。準備は出来てる?」

周子「もちろん。そっちはどう?」

奈緒「良いか悪いかで言えば、最高って感じかな!」

フレデリカ「ホント?気が合うねー!」

志希「あたし達も、絶賛トリップ中~!」

奈緒「いやそれ、むしろ調子悪そうに聞こえるけど....」

美嘉「あはは...大丈夫だよ。あたし達今すっごく燃えてるから!」




奏「じゃあ、あの時の約束通り」

加蓮「アイドルの頂上を賭けて、戦おうか!」








『『勝つのは、私(あたし)達だ!』』











to be continued.....

79: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 21:34:48.79 ID:6SBeEs3u0
Chapter19終了したところで、短いですが今回はここまで―

予選のユニット名はほとんどサイゲかバンナム産のゲームが元ネタです

今回はあっさり終わりましたが、次回からようやくIG編本番に突入します
久々にまともなライブ描写が書ける.........

80: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 21:51:38.57 ID:6SBeEs3u0
すいません、Chapter19まだ投下し忘れてたシーンがありました

もうちょっとだけ続気を投下するので>>78の後に脳内補完しておいてください


81: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 21:52:32.27 ID:6SBeEs3u0
~~~ 一方、会場内別の廊下 ~~~




P「えーっと、トイレトイレ....本番前にちゃんと行っとかないとな」

トラプリP「おや、811プロのプロデューサーさん」

ちひろ「P君、おはようございます」

P「トラプリのプロデューサーさん!それに、ちひろさんもいらしてたんですね!」

ちひろ「私も加蓮ちゃん達と奏ちゃん達のライブ、見たいですから!トラプリPさんにお願いして入れてもらいました」

トラプリP「ホントはこの辺、関係者しか入っちゃいけないんですけどね....私、ちひろさんには頭が上がらなくて」

P「あー、それ凄く分かります.....」

ちひろ「でも、ライブを見るときは舞台袖じゃなくてちゃんと客席で見ますよ。関係者用のですけど」

P「相変わらずちゃっかりしてますね......」

82: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 21:53:18.10 ID:6SBeEs3u0
トラプリP「それで、調子のほどはどうですか?」

P「ばっちりですよ。今日の為に山籠もりまでしましたからね!」

トラプリP「山籠もり.....?仙人デビューでもさせる気ですか?」

P「いやー、なんか高地トレーニングとかなんとか.....とにかく!予選の時とは比べ物にならないって事だけは断言できます!」

トラプリP「そうですか....なら、是非ステージでその力を見せてください。その上で、トライアドプリムスが叩き潰します!」

P「望むところです!」

ちひろ「二人とも、そろそろ時間もなくなってきましたよ。早く皆のところに行ってあげないと」

トラプリP「そうですね。ではPさん、私達はこれで」

P「はい、ではまた」



ちひろさんとトラプリのプロデューサーが、横を通り過ぎていく










その刹那、確かにちひろさん俺の耳元で小さく囁いた

83: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 21:53:45.42 ID:6SBeEs3u0

ちひろ「社長が、来ているわ」

84: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 21:55:00.02 ID:6SBeEs3u0
P「えっ?」


社長....おっちゃんが、この会場に来ている
確かにそう言い残して、去っていった





P「おっちゃん......」

P「.....いや、今はトラプリとの対決に集中しよう。時間もないし」











あと、結局トイレいけてないし!

85: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 21:55:48.99 ID:6SBeEs3u0
司会「会場にお集りの皆さま!遂にに、遂にやってまいりました!『IDOL OF GRATEST』本戦第一試合!」

司会「誰にも予想が付かないこの祭りの行方、私達全員で見届けていきましょう!」


ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!







周子「おー、会場あったまってるねー」

フレデリカ「すごい....みんな、みんなアタシ達を待っててくれてるんだね!!」

志希「こんなの、予測なんてつけようがない。やっぱりアイドルって、サイッコーに面白いね!」

美嘉「じゃあ熱くなってきたファンの心、もっともっと燃え上がらせに行こうか!」

奏「ええ!何年たっても今日という日が忘れられなくなるように、最高に楽しませてあげましょう!」


P「よし!じゃあリーダー、号令頼むぞ!」

奏「分かったわ。それじゃあみんな、肩を組んで」

86: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/11(木) 21:56:42.80 ID:6SBeEs3u0
あのとき.....初めての811プロのライブの時のように、みんなで肩を組み円を作る


ああ、感じる......

今、私達の心が、絆が!確かに一つに繋がっている....!

私達はここにいると、皆で一緒に、こんなに高いところまで来たんだと実感できる!


これから皆で、最高のステージを作りあげられるんだって、確かに信じられる!!






奏「....いくわよ? 『811プローーーーーーー!!ファイトーーーーーーーーーーーー!!!!』」

LiPPS『オーーー!!!!!!』











to be continued.....

90: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 22:29:48.00 ID:O/b6jecx0
会場は既に熱気の台風
全ての人がトップアイドル同士の魂のぶつかり合いを今か今かと待ち望んでいる

でも、ちょっとだけ待ってね?
私達がステージに立つ前に、一つやっておかなといけない事があるの



司会「えーみなさん、ライブを開始する前に一つやっておかなきゃならないことがありますよね?....えっ?前置きはいいから早くやれ?OK!皆さんの興奮が伝わってきました!」

司会「それでは早速まいりましょう!第一審査の先攻を決める運命のコイントス!」




.....来たっ!

司会がパチンと指を鳴らすと、モニターに大きなコインの映像が映し出され、掛け声とともに打ち上がる




まず最初、ここがこの先の流れを左右する第一の分岐点!

91: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 22:31:34.40 ID:O/b6jecx0
~~~審査開始数十分前、控室~~~



P「宣戦布告は済ませてきたか?」

奏「もちろん。もうステージに立つのが待ちきれないわ」

P「そいつは重畳。だが、一応本戦のルールをもう一度確認しておこう」

周子「本戦は予選とまたルールが違うんだったよね?」

P「ああ。ざっくりまとめるとこうだな」





①.本戦の審査は第一審査~第三審査の計3回行われる

②.各審査の初めにランダムでその審査での発表順(先攻後攻)が決まる

③.先攻第一審査→後攻第1審査→先攻第2審査........後攻第3審査と各ユニット交互に発表が行われる

④.審査一回ごとに投票が行われ、全審査終了時に3つの審査の合計票数が高いほうが勝ち抜けとなる(各審査毎に票数は公表される)



P「こんな所か......何か質問はあるか?」

92: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 22:33:01.41 ID:O/b6jecx0
フレデリカ「はーい!」

P「なんだフレデリカ?」

フレデリカ「②の各審査で先攻後攻を決める....って、イマイチよくわかりません!」

P「あー、ここ複雑だよな.......ざっくり言うと、第一審査が先攻だからってそれ以降も絶対先攻!とは限らないって事だ」

P「もしかしたら全部先攻になるかもしれないし、全部後攻かもしれない。はたまた先攻→後攻→後攻みたいにごちゃごちゃになるかもしれないって事」


フレデリカ「........???????????」

P「....つまり、各審査開始まで自分と相手、どっちが先に発表するかは分からないって事だ」

93: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 22:34:09.22 ID:O/b6jecx0
フレデリカ「....なるほどねー!完全に理解した!」

美嘉「ホントに?」

フレデリカ「分かんなくても大丈夫そうって事は分かったよ♪」

美嘉「ダメじゃん!」


P「いやいやフレデリカ、結構発表順は重要だぞ?先攻か後攻かでそれぞれメリットとデメリットがあるからな」

奏「例えば?」


P「まず、先攻なら観客の頭の中がまっさらな内にアピールできるから印象に残りやすい。ついでに後攻にプレッシャーもかけれる。だが逆に観客のテンションが上がりきってない状態から始めないといけない分盛り上げるのにやや苦労するのと、後攻が自分たちの与えたインパクトを越えてくるとそのまま観客の心が後攻に奪われやすいのがデメリットだ」


P「それに対して後攻は、先に先攻のステージを見て色々と分析し、対策が練れる猶予がある。それに観客が予め温まってる状況だから観客をそのまま自分たちのノリに乗せやすい。だが、先攻よりプレッシャーのかかる状況になりやすいのと、観客の頭の中が先攻のアピールでいっぱいになってる状態でアピールする分、観客から求められるハードルが上がるデメリットがある」


奏「つまり、どっちになってもいいように予め作戦を立てとかなきゃなきゃいけないって事ね。審査開始までどっちになるか分からない以上、発表されてから作戦を立てることは出来ないもの。」

P「まっ、そういう事だ」

94: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 22:34:56.70 ID:O/b6jecx0
志希「ちなみにー、プロデューサー的には『どっちの方がお得!』.....みたいな事はあるの?」

P「うーん....どっちに転ぼうと一長一短だからなんともいえんな」

P「だが、少なくとも第一審査は........」

95: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 22:39:17.13 ID:O/b6jecx0
奏(お願い、先攻で!!)



カラァン、カラァン、カラン、カン、カン............
小気味良い音を立ててコインが跳ねる









祈りが届いたのか、コインはLiPPSが描かれた面を上にして落ちた

それは、第一審査の先攻がLiPPSに決まったことを示すサイン!

96: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 22:41:10.16 ID:O/b6jecx0
周子「よしっ!」

奏「第一審査の先攻は、トップバッターである故に観客に与えられる印象も強くなりやすい....最初の風はこっちに吹いてくれたわね」

美嘉「その分プレッシャーもかかる状況だよ.....でも、あたし達なら大丈夫だよね!」

奏「当然よ!折角掴んだチャンスだもの、最初からスパートかけて行くわよ!!」



司会「それでは登場していただきましょう!第一審査先攻、『LiPPS』の皆さんです!」



ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



『みんなー!早速私達が皆の心を空の果てまで引っ張っちゃうから!覚悟してね!』




ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

97: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 22:42:32.31 ID:O/b6jecx0
奈緒「先攻はとられちまったか....LiPPSもしっかり観客の心つかんでるし、第一審査は厳しそうだな」

凛「でも、まだ序盤も序盤。全然巻き返せるよ」

加蓮「そうだね。後から巻き返せるように今のうちに作戦を確認しておこう」

奈緒「おっけー!後攻だからプランBだよな?」

P「ああ、第一審査はとりあえず.......」

98: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 22:43:36.61 ID:O/b6jecx0
    第一審査 結果

LiPPS         782543票(累計782543票)     

トライアドプリムス  679292票(累計679292票)





周子「よしっ!上手くリード出来た!」

フレデリカ「プロデューサーの言ってた通り、皆の心にドカーンと残ったんだね!みなの者、この勢いのまま次の審査も張り切って行こー!」

99: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 22:45:35.43 ID:O/b6jecx0
P「........いや、ちょっと待ってくれ。想定より差が開きすぎてる、これは.....」

志希「プロデューサー、多分その予想あたってるよ」

美嘉「どういうこと?」



志希「さっきの審査、トライアドプリムスは全力じゃなかった。多分、第一審査で有利な先攻を取られたから体力を温存したんだと思う」

奏「後半での巻き返しを狙っているってことね....」

志希「そういう事になるだろうねー。だから、第2審査で飛ばしすぎるのはちょっとマズイかも」

100: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 22:46:58.70 ID:O/b6jecx0
周子「なんで?第2審査で巻き返せないくらい差をつけた方がいいんじゃないの?」

P「周子、お前さっき全力出したばっかなのに、第2審査も全力だして最後まで体力持つか?」

周子「そりゃあ.....ちょっと厳しいかな。第2審査はギリギリ持たせられるかもしれないけど、次の審査は無理だ」

P「だろ?その反面、向こうはさっき温存したおかげで第2審査は多少無茶ができる。全力で突き放そうとしてもそこまで差は広げられないだろう」

P「それにもし第2審査の間は大丈夫でも、ここで体力を使いきった状態で第3審査の後攻.......大トリを取られようもんなら負け一直線だぞ」

奏「そうね。第3審査の後攻は最後の最後である分、より大きなインパクトを与えやすい。残った体力に差がある状態で第3審査の後攻を取られれば、まず逆転されると考えた方がいいでしょうね」

P「だが、だからと言って折角広げたリードを必要以上に詰められるのもマズイよな.....」

101: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 22:51:32.45 ID:O/b6jecx0
P「......周子、第2審査の間だけなら、全力を出しても体力は持つか?」

周子「多分大丈夫....ううん、絶対持たせて見せる」

P「よし、じゃあ立ち位置を変えよう。周子、お前がセンターに入れ」

周子「センター?あたしが?」

P「ああ。お前にはなるべく差を縮められない様に、ちょっと無茶をしてもらう」

周子「......なるほどねー、皆のの体力を温存するために、あたしに働けって事か。よし、任せて!」

P「頼むぞ周子。そして美嘉、お前は前に出て周子のフォローを頼む。ウチで一番スタミナがあるのはお前だからな、二人でリードを何とか死守してくれ」

美嘉「オッケー!」


P「そして奏、志希、フレデリカは後ろに下がって第3審査の為に体力を温存するんだ、いいな?」

奏「分かったわ」

志希「周子ちゃんに美嘉ちゃん、頑張ってね!」

フレデリカ「その代わり、第3審査はアタシ達にお任せ♪」

周子「うん!あたしと美嘉ちゃんでしっかり繋いであげるから、第3審査でぬからないでね?」

奏「もちろん!最高のステージにして見せるわ!」

P「よし!じゃあお前ら、第2審査も楽しんで来い!」

102: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 22:55:17.03 ID:O/b6jecx0
続く第2審査はトライアドプリムスが先攻、LiPPSが後攻でスタートした

そして.......









    第二審査 結果

LiPPS         768365票(累計1550908票)     

トライアドプリムス  818650票(累計1497942票)




凛「第2審査は勝てたけど.....」

奈緒「差は10万から6万...大体半分いかないくらいかー。もうちょっと行けると思ったんだけどな」

トラプリP「こっちが後半の巻き返しを狙ってるのを読んで、第2審査は温存しに来ると思ってたからな。その隙をついて一気に縮めれると思ったんだが....成程、第2審査と第3審査で力を分けてきたか」

加蓮「周子と美嘉を前に出してリードを保ちつつ残りのメンバーの体力を温存する....面白いことしてくれるじゃん」

加蓮「.......でも!」



モニターにでかでかと映しだされた、トライドプリムスの描かれたコイン
それはようやく、ステージの風向きがあたし達に回ったことを告げた

加蓮「最後の最後で来たチャンス.......絶対、ものにして見せる!!」



トラプリ『勝つのはあたし(私)達だ!!』

103: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 22:57:28.19 ID:O/b6jecx0
周子「ハァ.....ハァ.....!」

美嘉「後攻.....取られちゃったね.....」

P「クソッ、流れが向こうに行っちまったか」


奏「でも、周子と美嘉のおかげでかなりリードを保つことができたわ。まだ勝機はちゃんと残ってる」

志希「じゃあ、今度はあたし達が頑張らなきゃね!」

フレデリカ「あたし達にお任せ―!」

周子「ゴメン3人とも、頼んだよ」

奏「ええ、後は私たちに任せて。




周子と美嘉が繋いでくれたバトン、決して無駄にはしない!

104: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 22:59:39.17 ID:O/b6jecx0
第3審査、先攻となったLiPPSは、先の審査で後ろに下がっていた3人がメインとなってアピールしている

体力を温存した甲斐あってか、前に出ている3人のパフォーマンスはクライマックスに相応しい、最高の出来だ

観客達は次々と彼女達に魅了されて、ボルテージもすでに昇るところまで昇り詰めている




メインにするアイドルを第2審査と歳3審査で分ける....向こうのプロデューサーも、土壇場でなかなか良い作戦を思い付いたものだ

だが......





トラプリP「811プロ......貴方たちは一つだけミスを犯した」

105: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 23:05:28.77 ID:O/b6jecx0
P「クソッ!ダメだ、これじゃ足りないッ....!!」


アイドルユニットというのは人数が多い分インパクトも強くなるが、その分全体のバランスを取るのが難しくもなる
一人でも崩れてしまえば、なし崩しに全員の調子が崩壊してしまう


体力を温存させた奏達はしっかりと100%のパフォーマンスが出来ている。だが周子と美嘉は限界が近い!

LiPPSは元々5人のユニット。もしそのうち二人のスタミナが尽きて完全にバテてしまったら....

いや、そもそも5人がかりでようやく3人のトライアドプリムスと互角だったんだ
全員で全力を出してぶつかりに行かなければ、流れを完全に持っていかれちまう..........!


クソッ!完全に俺の作戦ミスだ!
やはり、リードを捨ててでも第2審査は温存させるべきだった.....!



P(.....だが後悔しても、俺に出来るのは祈ることだけ......)








頑張れ『LiPPS』......!!

106: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 23:08:08.34 ID:O/b6jecx0
.....とか思ってるんやろうなぁ、Pさん


そりゃあ、確かに凄くキツイよ。心臓バクバク言ってるし、四肢はもう気合で動かしてるって感じ
今にぶっ倒れてもおかしくないかも










....でも、大丈夫

3人が約束通り頑張ってくれたおかげで、あたしも美嘉ちゃんも、ギリギリ曲の終わりまで体力を残すことができた

本当に少しだけ、雀の涙くらいの体力だけど、このクライマックスで最後の賭けをするには、十分すぎる体力!

美嘉ちゃんも準備万端みたいやね!


それじゃあ、行くよ!








周子&美嘉(あたし達の全力を、ここでぶっ放す!!)

107: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 23:12:25.88 ID:O/b6jecx0
  ~~~数日前、合宿中~~~



青木「来たな、二人とも」

美嘉「トレーナーさん、なんであたし達だけ呼び出したの?」

周子「あたしだけならなんかお叱りかもって思ったんだけどねー」

青木「別に説教するわけじゃない、むしろ先ほどのお前ら二人のダンス技術を見込んで話がある」

周子「話って?」


青木「IG本戦、どのユニットもトップレベルのアイドル達だ。そんな相手に、ただただ真っ向勝負を挑むだけじゃ勝つのは難しいだろう。必ず、強敵と戦うための確かな武器が必要になるだろう」

周子「武器?」

青木「言ってしまえば『必殺技』というやつだ。それも、観客の度肝を抜いて、一気に心に深く刻み込まれるような派手なものがな」

青木「だから、お前たちにその必殺技を伝授する」

美嘉「必殺技....口に出すとちょっと恥ずかしいけど、なんだかカッコイイじゃん!」


青木「まずは一度私がやって見せよう。いくぞ......」

108: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 23:14:00.32 ID:O/b6jecx0
青木「....っと!こんな感じだ」

美嘉「す、凄い.......!」

周子「青木さん、なんで今までそんな凄い技隠してたん!?」

青木「そりゃあ隠すさ、この技は生半可な努力で習得できるもんじゃない。それに、もし本番でこの技を失敗すれば大ケガするかもしれない」

青木「それでも....これを習得する覚悟はあるか?」


周子「....青木さんは、あたしたちなら無理じゃないと思ったから、これを見せたんだよね」

青木「ああ、だがとんでもない無茶振りではある自覚はある.....残り数日でこれを身につけるには、文字通り地獄の特訓を受けてもらうことになるだろう」

周子「そっか...なら、美嘉ちゃん!」

美嘉「そうだね、周子ちゃん!」








周子&美嘉『やってやるしかないよね!』

109: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 23:15:08.60 ID:O/b6jecx0
トラプリP(バックの二人が、前へ出始めた!?)

P(二人とも、もう限界なんて超えてるはず....一体なにする気だ!?)





周子(正直、100%成功させられるわけじゃない)

美嘉(でも、ここで決めずにトップアイドルなんて名乗れない!だから!)





周子&美嘉(絶対、決めて見せる!!)

110: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 23:17:02.06 ID:O/b6jecx0
蝶が、舞い飛んだ



ステージに立つ私達、裏で働くプロデューサーさんとスタッフ達、次のステージを控えているアイドル達
そして、ドームに隙間なく敷き詰められた観客達
この空間に存在する数万の目が一斉に奪われる



今、この世界は、二人の蝶に支配されていた

111: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 23:19:08.58 ID:O/b6jecx0
P「あいつら、いつの間にあんなバック転ができるように....いや、あれはただのバク転じゃねぇ....」





トラプリP(バック転....それ自体はアイドルのパフォーマンスでもそう珍しいものでもない。身体能力に自信があるアイドルなら、かなりの割合がダンスに取り入れている)

トラプリP(だが....あそこまで豪快且つ美しい物を、しかもそれを三連続でやったアイドルは、おそらく今地球上で彼女たちだけだろう.....)

トラプリP(あれ程の技、もちろん百発百中ではないはず。しかも失敗すれば大ケガに繋がる....実行するのにはとんでもない勇気が必要だろう。本番で、しかもクライマックスというプレッシャーのかかる状態では特に)


.......これまでか







加蓮「プロデューサーさん、なーに暗い顔してるの」

トラプリP「えっ!?ああ、すまない。そんなに暗い顔してたか?」

加蓮「うん、すっごい暗い顔してた」

奈緒「まあ、あんなの見せられちゃ意気消沈するのも無理は無いかもしれないけどさ。次はあたし達がステージに立つんだぞ?」

凛「だから、プロデューサーもそんな落ち込まないで。ちゃんと笑顔で送りだしてよ。まだ負けが決まったわけじゃないんだからさ」

トラプリP「お前ら....大丈夫なのか?」

加蓮「なぁに?あたし達がすっかりビビったと思っちゃった?」

加蓮「....大丈夫、貴方が育てたアイドルだよ。大事なことはちゃんとわかってる。ステージに立てば、私達がやることはただ一つ!」

112: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 23:19:42.55 ID:O/b6jecx0

トラプリ『皆に、最高のステージを届ける事!』

113: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 23:22:43.42 ID:O/b6jecx0
トラプリP「!!!」

トラプリP「そうか、そうだよな....」

加蓮「だからプロデューサー......ちゃんと、あたし達を送り出して。プロデューサーに頑張れって言ってもらえれば、どんな逆風に吹かれたって、きっと輝けるから.....!」

トラプリP「そうか....なら、頑張って来い」





トラプリP「トライアドプリムス!ファンの皆が、ステージでお前らを待っている!全力で楽しませて来い!」

トラプリ『うん!』









プロデューサー.....行ってきます!!!

114: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 23:25:31.10 ID:O/b6jecx0
~~~~~ステージ裏~~~~~~


P「みんなお帰り!本当にお疲れさま!」

周子「はぁ....はぁ....Pさん、あたし達、やったよ.....」

美嘉「どう、だった....?あたし達、カッコよかった....?」

P「...ああ!最高だった!今日のMVPは間違いなくお前たちだ!」

奏「ステージに立っていた私達も、貴方たちに目を奪われたわ.....二人とも、本当に凄かったわよ」


周子「そっか.....よかっ、た....」フラッ

美嘉「でも、ちょっともう限界かな...」バタッ

フレデリカ「わっ!二人とも大丈夫?」

志希「明らかにオーバーワークだね、ちょっと控室で休みにいこうか」

周子「そうする....ごめん、誰か肩貸して...ちょっとまとも歩けそうにない」

美嘉「あたしもー....でも、全部出し切ったって気持ち...!」

P「じゃあ俺が控室まで連れてくよ。ほら二人とも、肩に腕まわして.」

奏「あら、プロデューサーさんったら両手に花ね♪」

美嘉「あたし達のファンが見たら刺されちゃうかもしれないよー?」

周子「あららー、Pさん大ピンチやねー♪」


P「こんな時までからかうな......でも」






二人とも、本当にお疲れさま.....
最高に、カッコよかったぞ......!

115: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 23:26:34.38 ID:O/b6jecx0
司会「いやー、本当に白熱した戦いでした!両者共に、最後まで一歩も譲らない激戦.......どちらが勝ったのか予測がついている者は誰一人いないでしょう!」

司会「しかし、たった今集計が終わりました!ついに第一試合の勝者が決まります!皆さま、心の準備はいいですか!?」




P(やれることはやった....周子と美嘉の最後の大技のおかげで、大分観客の心を持って行けたはず....だが、トラプリの最後のパフォーマンスも負けてなかった。むしろ今まで見た中で最高の物だった!)

P(大トリなのも相まって、かなり強く観客に印象を残された....逆転されていてもおかしくないインパクトだったが.....頼む!)









司会「それでは発表します!本戦第一試合を制し、決勝へと駒を進めたのは.....

116: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 23:27:02.58 ID:O/b6jecx0
    第三審査 結果


LiPPS         918754票(累計2469662票)     

トライアドプリムス  901515票(累計2399457票)






勝者 LiPPS(811プロ)

117: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 23:27:55.10 ID:O/b6jecx0
P「かっ.....た....?」








P「みんな!俺たちの勝ちだ!」


『やったあああああああああ!!!』

118: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 23:29:55.85 ID:O/b6jecx0
凛「完敗、だね」

トラプリP「すまない、俺の采配ミスだ....第一審査で、力を温存させすぎた.....」

奈緒「Pさんのせいじゃねぇよ。あたし達は全員で全力を出してぶつかって、それでも負けた。だから、誰のせいとかじゃないって」

トラプリP「奈緒.......」

加蓮「それに、まだあたし達のアイドルの道が終わったわけじゃない。むしろ、これからまだまだ続いてくんだから」

加蓮「だから....次は勝てるように、これから頑張ろ?泣いてる暇なんて.....ゴメン、やっぱ悔しい」

凛「あはは...加蓮ったら、涙、我慢できてないよ....?」

奈緒「そう言う凛もだろ....ていうか、あたしもか。Pさん、ちょっと胸貸してくれるか?」

トラプリP「....ああ、今は泣いていい。泣くだけ泣いたら、また次のステージへ、皆で歩き出そう」

トラプリ『うん....!』







加蓮(LiPPS.....あたし達に勝ったんだから....絶対、優勝してよね!)

119: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 23:39:35.51 ID:O/b6jecx0
勝負である以上、必ず勝者と敗者が分かれる

だが、敗者になれば終わりというわけでは無い
むしろ、どれだけの屈辱を味わおうと、どれだけ不格好に泣くことになろうと

それでも立ち上がり、次に繋げようとする事こそ、人間として成長した証なのだ


そして.....




それをいつだって、何度だって笑顔で前を向いて出来るからこそ、『アイドル』は美しいのだろう

120: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 23:40:59.05 ID:O/b6jecx0
奏「私達が、決勝進出.....」

美嘉「あはは......なんか、夢みたいだね」

志希「夢かどうか試してみる?いいものあるよ❤」

美嘉「いや、なんかやばそうだからやめとく....」

フレデリカ「んー.....!ほっぺつねって痛いって事は、現実だね!」





周子「そういや、決勝の相手はどうなるんやろ?」

P「次の第2試合で勝った方と、1週間後に決勝で戦うことになるな。そろそろ始まるし見に行くか?」

奏「そうね、次の相手がどんなアイドルか、しっかりこの目に焼き付けておきましょう」

121: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 23:41:50.40 ID:O/b6jecx0
人々の夢を乗せて、踊り、魂を輝かせるアイドルのステージ
IGという特別な舞台で、私達は他の何に代えることもできないまばゆい光を見る......












はずだった

122: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 23:42:33.96 ID:O/b6jecx0
鳴動するステージで私達を待っていたのは、光り輝く夢ではなく


底が見えなく程暗く、あまりにも残酷な悪意が、大口を開けて待っていたのだ

123: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 23:43:48.38 ID:O/b6jecx0
スタッフ1「おい!早く救急車呼べ!」

スタッフ2「くそっ!なんでこんなことに!」




奏「そんな.....」

P「おい....おいおいおいおい!一体どういう事だよ!」










覇王エンジェルズ、転落事故により棄権


よって第2試合の勝者は、そして、私達が決勝で戦う相手は.....

124: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 23:44:25.19 ID:O/b6jecx0

奏(891プロ所属、『Project,Queen』.........!)

125: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/13(土) 23:51:07.12 ID:O/b6jecx0
夢のドームに吹き荒れる嵐は、未だ止まない



でも、全ての因縁に決着を付けるその瞬間は、もう目の前に迫っている

物語がエンドロールへ近づいていく音を、私は確かに感じていた......










to be continued......

128: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 20:43:13.10 ID:TfNz0bT70
最初に異変があったのは、第一審査後攻、覇王エンジェルズのLIVE開始時

彼女達の歌がサビに突入するその瞬間、急に音楽が途切れた

全員が動揺するのも束の間、今度は証明が落ち、ドームは闇黒と静寂に包まれた



それでも、覇王エンジェルズは歌う事を辞めなかった

唐突に訪れた静寂に負ける事なく歌い続け、誰の目にも見えない暗闇の中でも、自分達がまだ舞台で踊り続けている事を、自分たちの存在を必死にアピールしていた

どんなに連続してアクシデントが起きようと、彼女達は自分たちの勝利を疑わなかった

もう、流石今大会最大の優勝候補としか言いようがない。本当にとてつもない精神力だった






だが、今回に至ってはむしろ、そこで折れていた方が良かったのかもしれない

129: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 20:45:42.22 ID:TfNz0bT70
美しい歌声と力強いステップの音の中から、微かな悲鳴が俺の耳に飛び込んできたその刹那、照明が復旧し、舞台は光を取り戻した

だが、照らされたステージの上からは、数秒前まで確かにそこにいたはずの少女が消えていた



代わりに現れていた大穴を目にして、察する


あの悲鳴の正体は、あの穴の下に落ちた少女が発したものだったのだと.......

130: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 20:47:47.53 ID:TfNz0bT70
美嘉「プロデューサー!一体何が起こったの!?」

P「セリが....セリが落ちてる....あの穴に落ちたんだ!」

志希「セリって、迫?人や道具を舞台から上げたり下げたりするあれ?」

奏「......本当ね。確かにステージの真ん中、穴が開いているわ。ステージが始まったときには、あんな穴無かったのに!」

フレデリカ「それより落ちた子は!?落ちた子は大丈夫なの!?」



フレデリカの問いかけに答えるかの様に場内アナウンスが鳴り響く

あまりにも冷たい機械越しの音声が、無情にも最悪の答えを語りだす




『会場にお集りの皆さま、誠に申し訳ございません。ただいまの事故で負傷者が出た為、IG本戦第2試合、及び3位決定戦はここで中止とさせて頂きます』

『また、覇王エンジェルズ棄権の為、決勝進出は『Project,Queen』、3位決定戦は『トライアドプリムス』の不戦勝となります』

131: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 20:50:53.95 ID:TfNz0bT70
観客A「ふざけんなー!!」

観客B「なんでこんな事故が起きるんだよ!!」

警備員1「申し訳ございません、現場検証を行うため関係者以外はドームから退出してくださーい!」

観客C「なんだと!?」

警備員2「皆さん落ち着いて!暴れないでください!」

警備員3「係員の誘導に従ってドームの外に....誰かー!応援をよこしてくれー!?」




奏「皆、パニックになってるわね....」

フレデリカ「そんな.....こんなのってないよ!こんなんじゃ、みんな笑顔になれないよ!」

周子「Pさん、どうにかなんないの?落ちた子のケガが治るまで延期とかさ」

P「無理言うな、俺にそこまでできる力はねえよ。それに、どっちみち大会規定で仕切り直しは無しって決まってる」

P「まあ、それを認めてしまうと、不利になったらわざと事故を起こしてやり直せちまうからな........」

周子「それはそうだけど....でも、こんなの納得いかないよ」

132: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 20:52:57.27 ID:TfNz0bT70
ちひろ「みんな、無事!?」

美嘉「ちひろさん!」

ちひろ「会場で事故が起きたって聞いたから、まさか皆が巻き込まれたんじゃと思って飛んできたんだけど....無事なようね」

フレデリカ「アタシ達は無事だけど、覇王エンジェルズが!」

ちひろ「さっき館内放送で聞いたわ....加蓮ちゃん達も怒ってた、『不戦勝なんて納得いかない』って」

ちひろ「まさか、こんなことになるなんて......」



奏「でも、偶然音響が落ちて、偶然証明も落ちて、偶然セリも下がってた.....こんな偶然、一度に3つも起きるはずないわ。特にセリは人の手がないと動かない、まず間違いなく人為的に引き起こされた物よ」

美嘉「その犯人って、やっぱり......」

ちひろ「...........」









???「なんだかお取込み中のところ悪いのだが、君たちがLiPPSかね?」

133: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 20:54:53.94 ID:TfNz0bT70
......!!!

この男は!


周子「んー?おじさん誰ー?」

奏「周子!そいつに近づいてはダメ!」

周子「えっ?」








P「.....おっちゃん」

周子「!!」


志希「この悪意のこもった匂い......奏ちゃん、この人がそうなんだね?」

奏「ええ、この男が.......」

134: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 20:55:24.99 ID:TfNz0bT70

奏「891プロ社長、屋久井 清!」

135: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 20:57:38.52 ID:TfNz0bT70
美嘉「この人が、全ての元凶.......!」

屋久井「元凶?一体何の事かな?私はただ、決勝戦の相手に挨拶に来ただけだよ」


奏「とぼけないで!さっきの事故、貴方が仕組んだことでしょう!?」

奏「iMB事件だってそう、今芸能界を覆っている闇....全ての糸をその裏で操っていたのはあなたでしょう!?」

ちひろ「社長、891プロの帳簿、調べさせてもらいました.....『子会社』の事も」

ちひろ「だから正直、今私達はものすごくあなたを疑っています。なにか、釈明はありますか?」


屋久井「おやおや二人とも、前に会った時に比べて随分敵意むき出しじゃないか。一体どうしたんだね?」

136: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 20:59:35.29 ID:TfNz0bT70
P「おっちゃん、俺からも一つ聞かせてくれ.......予選の時から、どうしても気になってたことがあるんだ」

屋久井「何かね?」


P「予選のトリスタの曲聞いてるとな、なんか違和感を感じたんだよ。前に聞いたときと何かが違うって思ったんだ。まさかとは思ったけど、一応あの後当日録画したライブの音源とCDの音源、比べてみたんだ」

P「......曲の速さが、わずかに早くいじられていた。そんな訳ないと何度も確認した、でも、やっぱり予選の音源の方が、歌い終わりが数秒早いんだ!」

P「たった数秒.....それだけでも、ステージに立っていた本人たちには致命的だ.....そしてそんな妨害をやるのは、同じDブロックでぶつかった奴しかいない.....」


屋久井「............」

P「なあおっちゃん.....あんたが、やったのか?」







屋久井「P君.....相変わらず君は頭が悪いな」

P「!.....そ、そうだよな!おっちゃんがそんなことするはず」

屋久井「違うよ」

P「えっ?」

137: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:00:22.27 ID:TfNz0bT70

屋久井「今になって、やっと気づいたのかって事だよ」

138: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:02:08.77 ID:TfNz0bT70
P「は........?」

屋久井「いやー、昔から馬鹿だとは思っていたが、まさかここまで救いようが無い程だったとはな」




P「嘘....嘘だろ?だって、俺はあんたを、あんたを信じてたんだぞ!?あんなに優しかったおっちゃんがそんなことするはずないって!」

P「なのに......なんでだ!なんで俺を裏切った!?」

屋久井「裏切ったとは心外だな、君が勝手な信頼をしていただけだろう。それに、先に裏切ったのは君じゃないか」

P「俺が、裏切った.....?」

屋久井「だってそうだろう?私は君を信じていたのだから。君ならきっと、891プロが芸能界を支配したときに、その象徴となってくれるだろうと。だから資金もコネもキミの為に全部用意した。我が社の総力を挙げて君を売り出していたんだ」

屋久井「なのに、君はたった一人のガキに心奪われて、私もちひろ君も裏切ったじゃないか。分かってるかね?君はあの子との密会を週刊誌にすっぱ抜かれて、危うく大スキャンダルになる所だったんだよ?」

P「それは.....」

139: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:03:20.64 ID:TfNz0bT70
屋久井「でもねP君、私はそれでも君の事を許すつもりだった.....だから、写真を持ちこんできた出版社と取引したんだよ」

奏「その、取引というのは......!」


屋久井「なんだ、気づいてるようだね」

屋久井「お察しの通り、あのガキを売ってやったのだよ。P君のスキャンダルを握りつぶしたうえで、あのガキが二度とP君にまとわりつかない様にな」


P「売っ.....た?あの子を......?」

屋久井「ああ、キミは馬鹿だからしっかり言わないと分からないかい?」

140: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:03:50.61 ID:TfNz0bT70

屋久井「あのガキは、私が殺したという事だよ!!」

141: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:12:12.74 ID:TfNz0bT70
P「そん....な.....」


屋久井「あのガキの所属事務所は我が社の傘下だったからな、少し圧力をかけてやれば簡単に済んだよ。担当プロデューサーもちょっといい条件で引き抜いてやると言ったら、快く自分のアイドルを売り出してくれた。しかも、かなりの『おまけ』つきでな」

屋久井「私もP君の目を覚まさせてやろうと、徹底的に潰してやったよ。随分ムカつかせてくれたから、少し虐めさせてもらった。いやー、あの時は年甲斐もなくハッスルしてしまったよ!」

屋久井「犯されてる間ずっと『師匠、師匠』と何度も君を呼び続けていてね!おかしなもんだよ、彼女の穴に突っ込んでいたのは君じゃなくて、歳食った汚いおっさんだったというのに!」


周子「最っ低.....!」

屋久井「最低?むしろ感謝してほしいくらいだよ。夢を見ることしか知らなかった哀れなガキに、しっかり現実というものを教え込んでやったのだから!」

美嘉「....とりあえず、あんたがとんでもないゲスって事はよくわかったよ」

美嘉「でも、どんな理由があろうと自殺まで追い込む必要はなかったでしょ!」

屋久井「あのガキは、私が芸能界を支配するという崇高な計画を土足で踏みにじったのだ。当然の報いだよ」

フレデリカ「.....アタシね、皆がハッピーじゃないと嫌だから、誰かの心を傷つけることが本当に嫌だから、絶対に人の悪口とか言いたくないし、聞きたくないんだ。でも、ゴメン。今だけは言わせてもらうね」

フレデリカ「アタシ、あなたの事は嫌い。大っ嫌い!!」

屋久井「フン、別に構わんよ。小娘に何を言われようがね」











P「........何人だ」

142: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:14:58.78 ID:TfNz0bT70
屋久井「んー?」






P「あんたのその下らねえ計画の為に、一体何人犠牲にしたかって聞いてんだよ!子会社とやらのアイドルも、061プロのアイドルも、『あの子』だって......みんな本気でアイドルって道に命賭けてたんだ!なのに、あんたはそんな命を何人踏み躙って来た!あの子達が抱いた何よりも尊い夢を、一体いくつ踏み躙って来たァ!?」

143: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:16:33.18 ID:TfNz0bT70
プロデューサーさんが、今まで貯めこんで来た感情を吐き出す

怒り、憎悪、嘆き.....今までずっと仇敵に対して貯め込んでいた感情が、決壊したダムの様にプロデューサーさんの口から流れ出る



でも、その激情の矛先を向けられた男は依然堂々と....いや、むしろどんどん凶暴な笑みを浮かべながら答えた


社長「何人って....知らないよ。踏みつぶしたアリの事なんざいちいち考えないからな」






自分が犠牲にしてきた人間を虫同然に言い切った男の顔を見た時、私の頭に最悪の予感がよぎった

まさか、この男の狙いは.....!

144: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:18:15.77 ID:TfNz0bT70
P「....殺してやる」

屋久井「何かね?」







P「許さねぇ!あの子の夢を汚して、あの子の命を奪ったッ!あんただけは絶対に許さねぇ!!ブッ殺してやらアアアアアアアアアアァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!」


奏「ダメよプロデューサーさん!!止まって!!!!」





慌てて呼び止めたけど、私の声はもう、プロデューサーさんには届かない

ダメ、間に合わない.....!

145: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:18:41.47 ID:TfNz0bT70

パチィン!!!

146: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:20:00.37 ID:TfNz0bT70
とても高い音がした

一瞬、プロデューサーが屋久井を殴った音かと思ったけど、違う。この音はもっと、平手打ちの様な高い音だ

例えば、癇癪を起こした子供をはたいて疎めるような.....




恐る恐る目を開けてみる

プロデューサーさんは屋久井社長へたどり着いておらず、二人の間には一人の女性が割って入っていた

147: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:20:56.55 ID:TfNz0bT70
ちひろ「何をやってるの.....?」





P「ちひろ、さん.....?」

ちひろ「貴方はもう彼女達の、『LiPPS』のプロデューサーなのよ?LiPPSの夢を、一緒に背負って支える立場の人間なの。それなのに....貴方がここで社長に暴力を振るえば、彼女達の夢まで一緒に砕けることになるわ。こいつは、それを狙っているのよ!?」

P「でも!このままじゃ『あの子』の無念は!」

148: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:21:35.18 ID:TfNz0bT70

ちひろ「憎むことばかり考えるな!!」

149: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:23:58.57 ID:TfNz0bT70
ちひろ「もう一度、頭冷やして考え直しなさい....今の貴方には、その恨みよりもっと大事な人達が、大事にしなきゃいけない人がいるでしょう!!」

P「!!」


プロデューサーさんが、はっとした顔でこちらを向く



ちひろ「確かに、始まりは復讐だったのかもしれない、自分の目的の為に、表面上思いやっていただけなのかもしれない......でも、彼女達は、LiPPSは!貴方にとって大切な人達になったんでしょう!?なら、彼女達を泣かせるような真似するんじゃないわよ!」

ちひろ「どれだけ正当な理由があっても....どれだけの憎しみを抱えたとしても.....自分にとって大事な人ができたのなら、自分を大事に想ってくれる人がいるなら、その人を悲しませるような事しちゃいけないのよ!!!」










P「................クソッ!」

150: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:26:18.35 ID:TfNz0bT70
ちひろさんに平手打ちで叱られたプロデューサーさんは、行き場の失った怒りとともに、逃げるように去っていった


奏「プロデューサーさん!....私、追いかけてくる!」

美嘉「ちょっと奏!.......いや、頼んだ!」



屋久井「チッ.....余計な事を」

ちひろ「悪かったですね、計画を邪魔してしまって」

屋久井「....まあいい、なら正々堂々と王者の座を頂くまで」

周子「正々堂々?どの口が言うのさ。今までずっとズルばっかしてた癖に!」

屋久井「フン....だが、証拠に繋がるようなヘマはしていない。仮に通報したとしても、私にはもみ消せるだけの力がある。無駄なことだ....」

屋久井「まあせいぜい頑張り給え、別に棄権してくれても構わないがね」

美嘉「棄権なんてしない!どんな妨害したって、勝つのはあたし達だよ!」

屋久井「そうかい.....では、そろそろ失礼させてもらうよ、まだ商談が詰まっているのでね」




ちひろ「社長、最後に一つだけ言わせてもらいます」

屋久井「何かね?」

151: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:27:21.28 ID:TfNz0bT70
ちひろ「P君は私達を裏切ってなどいません。P君は、この芸能界に潜む闇に立ち向かうために、勇気を出して一歩を踏み切ったんです」

ちひろ「だから....裏切ったのは貴方の方です。P君の信頼だけじゃない、この国のアイドル全てと、アイドルに夢を見た人々全ての想いを、貴方は裏切った。それは、決して許される事じゃない!」

ちひろ「いずれ貴方は必ず、その報いを受けることになります。覚悟しておきなさい!!」

152: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:29:05.69 ID:TfNz0bT70
プロデューサーさんを追いかけてドームの外へ出る

すると、植込みのところにぱたりと座り込んでいる彼を見つけた

しかしその姿からは、一切の気力を感じられない......

153: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:29:44.96 ID:TfNz0bT70
奏「プロデューサーさん、大丈夫?」

P「奏か......少し落ち着いたけど、大丈夫ではないかな.....」

奏「.........」






P「悪かったよ」

奏「えっ?」

154: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:31:07.24 ID:TfNz0bT70
P「感情に任せて、お前たちの夢をめちゃくちゃにするところだった。ちひろさんが止めてくれなきゃ、811プロは暴力プロデューサーの率いる危険集団にでもされるところだったんだろう」

P「今度こそちゃんとお前たちに胸張れるプロデューサーになるって誓ったのに、またやっちまった.........」


奏「......やっぱり屋久井社長の事、信じてたのね」

P「ああ....どんだけ怪しいって証拠が出てきても、あの人は俺の恩人だから、俺の記憶の中の優しかったあの人は、絶対そんな事するはずないって!......ずっとそう、信じてた」

奏「...そっか」


P「でも、裏切られた....やっぱりおっちゃんが犯人だったんだ。俺、もう何を信じたらいいか分かんねえよ.......」

P「奏.....俺、もうダメだわ」

155: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:32:43.68 ID:TfNz0bT70
奏「ダメ....って?」


P「俺さ、さっきちひろさんにあんなに説教されて、憎しみに身を委ねちゃだめだって分かったのに、お前らの夢まで一緒に壊したくないって本当にそう心から思ってるのに!」

P「それでも....消えてくれないんだ。あいつをぶっ殺したいっていう醜い憎悪が、消えてくれないんだ!ずっと胸の中で色んな感情がぐちゃぐちゃになっててさ、もう、どれがホントの気持ちなのか分かんねえんだよ!」

P「俺、これから自分が何するか分かんねぇ....もしかしたら、また感情のままに取り返しのつかない事しちまうかもしれねぇ。信じてた人に裏切られて、その事に、どう向き合えばいいか分からなくなって!........もう、自分の心すら信じられないんだよ.......」


奏「プロデューサーさん......」

P「すまない、奏....こんな情けないプロデューサーで、本当に、ごめん......!」

奏「...........ねぇ、プロデューサーさん。少し、昔話に付き合ってちょうだい?」

P「昔話........?」

奏「ええ、昔話....といっても、割と最近の事なんだけどね」

156: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:36:22.71 ID:TfNz0bT70
私が高校生になってすぐ、私に一人の友達が出来たの

勿論、それまでにも人との付き合いがなかった訳じゃないけど、自分から友達って呼べるくらいに心を開ける人ができたのは、多分その子が初めてだった


その子はね、入学式の日、すぐに私に話しかけてくれた。その次の日も、次の日も.....何度も私とおしゃべりしてくれたの

それでどんどん仲良くなって、一緒に遊びに行ったりして.....あんなに仲のいい友達が出来たのは初めてだったから、その友達と過ごす毎日がいつもいつも凄い新鮮で.....とても、楽しかったわ

そんな充実した日々を過ごして、気づいたら学年が一つ上がって、新しい春が始まった.....そんな時だった


私、ある男の子に告白されたの



......そんなに慌てなくても大丈夫よ、お断りしたから。大体、受けてたらアイドルになってないわよ

まあ、今まで殆ど話したことない人だったし、私も特別彼氏が欲しいと思っては無かったからね

結局、その日はそれ以降何もなく終わったのよ。私も、告白なんてされたって明日は何事もなくやってくるんだなーって、そんなどこか達観した事を考えながら、その日は眠りに付いたわ




でもその次の日、友達から絶交を宣言された

157: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:38:36.60 ID:TfNz0bT70
理由?私があの子の男を奪ったかららしいわ。あの子、私に告白してきた男子が好きだったみたい

もちろん反論したわよ。そんな積もりないし、彼の事は振ったから関係ないって

でも、逆に色んなことを暴露されたわ


私の友達になったのは、私につられて男が寄ってくると思ったから。私と一緒にいれば、自分も一緒にモテると思ったから。でも、男子は皆私目当てで、誰と話しても聞かれるのは私の事ばかりで、自分に目をくれる人なんか一人もいなかったって

私の事も本当は、お高く留まって気にいらないと思ってたらしいわ。私、そんな積もり全然なかったのに....いや、もしかしたらそういう態度だったからこそ、余計に気にいらなかったのかもしれないわね

そんな不満を抱えていたら、自分の一番の本命が私に告白しているのを見て、ついに裏切られたと思ったらしいわ



私、それを聞いた時、本当に訳が分からなかった

何もしていないのに裏切られたと言われて、今まで感じていた友情は全てまやかしだったと分かって、本当にショックだった

それはもう、人を信じる事そのものが怖くなって.....人間に、いや......世界に或る種のあきらめをつけてしまうほどに............


だから、そんなどうにもできない感情をどうすればいいか分からなくて、でも、少しでもこの苦しみを洗い流せたらいいなって.....そう思ったからあの日、あの海岸でずっと黄昏ていたの

158: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:39:33.04 ID:TfNz0bT70
P「そんな事が.....」


奏「あの時私は、本当に何も信じられなくなっていた....貴方スカウトに乗ったのも、ほとんどヤケよ。貴方の事を疑ってはいたけど、もしこのどうしようもない現状を壊してくれるなら.....そう思ったら、どうでも良くなっちゃってね」

P「お前....ヤケになったからといって女の子がホイホイ怪しい奴の誘いに乗っちゃダメだろ!」

奏「あら?じゃあ断った方が良かったかしら?」

P「それは.....ダメだけど」

奏「ふふっ、だよね!」

159: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:41:42.18 ID:TfNz0bT70
奏「.....でもね、貴方がアイドルに誘ってくれたから、貴方が皆と引き合わせてくれたから、私にこんなに光り輝く世界があるって事を教えてくれたから!」

奏「だから、ちゃんと思い出すことができたのよ。大事な事を....ね」

P「大事な事?」


奏「結局、誰も信じ無い生き方なんて到底無理だってこと!」


奏「最初から何も信じず生きれば、裏切られずに済む。それはきっと、賢い生き方なんでしょう。でもね、それって凄く苦しいのよ。だって、自分の心の傷は、自分じゃ癒すことができないから」

奏「愛想よく振る舞いつつも、常に相手を警戒し続ける。心が落ち着く事なんてなくて、常に擦り減らし続ける。誰かに傷つけられることはない。でも、癒されることもない...そんな虚無感をずっと抱えて生きることのできる人はいないわ。プロデュ―サーさんも、そう思うでしょう?」


P「...........まあ....そう、だな」

160: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:42:53.75 ID:TfNz0bT70
奏「人は誰しも自分の想像を超える壁にぶつかったとき、その困難から目を背ける為に、自分自身の心を鎖で縛り付けてしまう。そしてその鎖は、自分ではどうにもできない。外すには、必ず自分じゃない誰かの力を借りなければならないの」

奏「だから、どんな人間も一人で生きることは出来ない。自分と他人との信頼って言う繋がりは、捨て去ることは出来ないのよ」

P「....................」

161: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:46:27.22 ID:TfNz0bT70
奏「それにねプロデューサーさん。信じるって、素晴らしい事よ」

奏「だって、例え裏切られるかもしれなくても......信じるって事、誰かを信じられるって事は、何よりも暖かい事だから!私の心を縛る鎖を解いてくれたのは、他ならぬ811プロの皆だから!」

奏「だからプロデューサーさん......もし貴方が自分を信じられなくなったのなら、私達を信じてよ」

P「奏達を....?」


奏「そうよ、私達LiPPSを.....他ならぬあなた自身がずっと守り導いてきた、私達を信じて!」

奏「大丈夫!私達は必ず、貴方の期待に応えて見せるわ。必ず.....貴方の心を救って見せる。貴方が私にそうしてくれたようにね!」

P「......そうか、じゃあ、お前らを信じる!その為に、俺もお前たちのプロデューサーとして出来ること、なんだってやってやる!」

P「だから.....お前たちがトップアイドルになる瞬間、この目で見届けさせてくれよな」


奏「うん!任せてちょうだい!!」

162: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:47:37.21 ID:TfNz0bT70
P「..............なぁ、奏」

奏「何?」



P「少しだけ、むこうを向いててくれないか?なんか、色々あふれだしそうでさ」

P「あんまり、見せたくないから」

奏「.....分かったわ、でも」

163: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:48:05.79 ID:TfNz0bT70
そっと、プロデューサーさんの手を握った

私と彼の温度が混ざり合っていくのを感じて、なんだか心が暖かくなる

164: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:49:29.09 ID:TfNz0bT70
奏「涙は見ないであげる。でも、寄り添うくらいはいいでしょ?」

P「....ああ、ありがとな」














P「...........ほんと"う"に..................あ"りがと"う.................!!」

165: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:51:04.93 ID:TfNz0bT70
今日の天気は、晴れのち大雨

降り出したのは、耳をつんざくような豪雨


....でも、とても暖かい雨



私は、傘を差さなかった

彼の溜まりに溜まった感情の雨を、全部この身で、受け止めてあげたかったから.....

166: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:54:04.98 ID:TfNz0bT70

Chapter21「warm,warm rain.......」

167: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:55:15.30 ID:TfNz0bT70
P「.....はぁ、はぁ.....よし!」

奏「もう、落ち着いた?」


P「ああ!もう泣くだけ泣いた、皆の所に戻って決勝へ向けて準備を......」



???「あれ?もしかして貴方たち、811プロ?」

P「えっ?そうだけど.....キミ達はっ!?」

???「ええ、貴方たちと決勝で、文字通り頂点をかけて戦う相手......」




ちとせ「Project,Queenよ」

168: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:56:00.61 ID:TfNz0bT70
奏「貴方たちが、Project,Queen...!」

ちとせ「そうよ。私はリーダーの黒埼ちとせ、それでこっちが私の僕で、同じユニットのメンバーの」

千夜「白雪千夜です、あとこの二人は....」

颯「はーとなーだよ!同じくProject,Queenメンバー!」

凪「久川凪と颯です。双子です。エモいでしょう?」

P「エモいって.....まあ双子属性はウケがいいか.....」

凪「そうです。双子と主従属性と美少女とアイドル.....私達は世のエモさの集合体なのです」

P「そ、そうなのか......」

169: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:57:01.76 ID:TfNz0bT70
颯「今日はなんか残念なことになっちゃったけど.....来週の決勝は、頂上をかけて正々堂々、思いっきりぶつかり合おうね!」

奏「正々堂々って...もがっ!」


事故を仕込んだのは貴方たちの癖にと咎めようとすると、プロデューサーさんに口を押えられ遮られた


P「ああ、俺たちも決勝を楽しみにしてるよ!」

奏(プロデューサーさん、何で止めるの?)

P(多分、この子達は何も知らない。あいつは自分の本性を隠すのが本当に上手かったから......だから俺とちひろさんも、何年も一緒に仕事したのに気づかなかった)

奏(な、成程......)






確かに、不正だけで勝ってきたならあそこまで凄いパフォーマンスは出来ないか......

170: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:58:20.53 ID:TfNz0bT70
ちとせ「.....ところで千夜ちゃん、ちょっとケーキとか買ってきてくれない?コンビニのでいいから」

千夜「構いませんが....急ですね」

ちとせ「なんか糖分が足りてなくって、私もう動けないの。.私が奢るから、はーちゃんとなーちゃんも好きなスイーツいっぱい買ってきなさい?」

颯「ほんと!?ありがとうちとせちゃん!」

凪「ちとせちゃんの奢り....つまりちーPayですね?」

ちとせ「そうそう!ほら、皆行ってらっしゃい。千夜ちゃんも好きなの買ってきていいから、二人の事お願いね?」

千夜「.....お嬢様が、そうおっしゃるのなら」

ちとせ「行ってらっしゃい、なるべくゆっくりね」

千夜「畏まりました......それでは」

171: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:59:10.11 ID:TfNz0bT70
ちとせ「さて.....と」


ちとせ「社長に会ったんでしょ?大丈夫だった?」

P&奏「「.......!」」

172: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 21:59:51.59 ID:TfNz0bT70
奏「貴方、もしかして」

ちとせ「私は、人の嘘がなんとなく分かるから。他の皆は....千夜ちゃんはいつも私と一緒にいるから、もしかしたら察しちゃってるかもしれないけど.....はーちゃんとなーちゃんは気づいてない」

P「キミは891プロの不正を知ってたのか....だったらなんで!」

ちとせ「私にも、どうしても負けられない理由があるから」

P「負けられない、理由?」

173: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 22:00:35.82 ID:TfNz0bT70

ちとせ「私ね、もう長くないの」

174: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 22:02:17.32 ID:TfNz0bT70
奏「長くない.....?」


ちとせ「後3年....いいえ、まともに体を動かせるのはあと1年あればいいほうって、そう言われた」

P「余命3年....だと?」

ちとせ「....これ、皆には秘密にしてるから、絶対言わないでね?特に今は、IGの決勝直前だし」

P「そんな....治療に専念すれば良くなったりしないのか?」

ちとせ「無理、まだ治療法が確立してない奇病なんだって。ずっと病院で寝たきりなのを受けいれれば、延命措置くらいはできるかもしれないけど」

P「そんな.......」

175: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 22:04:36.50 ID:TfNz0bT70
ちとせ「だから私、どうしても残したいの。この世に『黒埼ちとせ』っていう女がいたことを。私が、最後まで私として生きたって言う証を」

ちとせ「.....あと、千夜ちゃんの事もあるしね」

奏「白雪さん?確かさっき主従がどうのって言ってたけど....」


ちとせ「そう、あの子はずっと私の僕として、私に尽くしてくれた.....でも、それだけなのよ。ずっと私に縛られて、それ以外の生き方を知らない....だから私が死ぬ前に、あの子には自分自身の生き方を見つけて欲しいの」

ちとせ「それに....はーとなーは、純粋にアイドルに夢を見て、ただひたすらにトップアイドルを目指して頑張ってきたの。そんな二人の夢を、私が壊すようなことは出来ない」

ちとせ「だって....3人とも同じ道をずっと一緒に歩いた仲間だもの。なにも残さず死ぬはずだった私の手を、ずっと掴んでいてくれた何よりも尊い仲間.....だから、私があの子達の幸せを願うのは、当然のことでしょう?」


奏「.....そうね。同じ立場だったら、私もそうするわ」

ちとせ「.......ねぇ」







棄権、しないの?

176: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 22:06:46.83 ID:TfNz0bT70
P「....どういう事だ?」

ちとせ「別に、LiPPSと戦いたくないと思ってるわけじゃないの。でも、もし決勝のステージに立てば貴方たちはきっと酷い妨害を受けるわ。今日の覇王エンジェルズみたいに、大ケガを...最悪、命に関わるかもしれない」

ちとせ「それでも....決勝に挑む覚悟はあるの?」


奏「当然よ」

ちとせ「!!」

奏「私達の身を、純粋に心配してくれるのは有り難いわ。でも、あえて言わせてもらうわね.....余計なお世話よ。どんな逆境に苛まれようと、全力でアイドルを楽しむのが私達811プロの信念だから!」

奏「ねっ?プロデューサーさん?」

P「ああ!正直すげぇ怖いけどな....でも、絶対に立ち向かうと決めたからな!」


ちとせ「アイドルを、全力で楽しむ.....そっか、じゃあもう遠慮しないよ。言っとくけど、妨害とか抜きにしても勝つのは私達だから!」

ちとせ「だから....覚悟してなさい。決勝で、私達『Project,Queen』が、貴方たちを叩き潰すから!!」



奏&P「「望むところよ(だ)!!」」

177: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 22:08:22.73 ID:TfNz0bT70
千夜「お嬢様、ただいま戻りました」

颯「ちとせちゃんの分も、一杯買ってきたよー!!」

凪「人の金だと思って、大量に買い過ぎました。でも、美味しければ大丈夫らしいので、おーるおっけーです」

ちとせ「おかえり皆。じゃあ、事務所に帰ってお茶でもしましょうか」

千夜「お話は、もう済んだので?」

ちとせ「うん、もう大丈夫。それじゃあ、さっさと帰りましょ?私もう糖分不足でヘロヘロー!」

ちとせ「というわけで二人とも、また決勝で会いましょうね」

奏「ええ、楽しみにしてるわ」



決勝の舞台で思い切りぶつかることを誓い合って、Project,Queenは去って行く

そして彼女達が見えなくなった頃、入れ替わるように811プロの仲間達が帰ってきた

178: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 22:09:24.07 ID:TfNz0bT70
美嘉「二人とも、やっと見つけたよ!中々帰ってこないから心配したんだから!」

志希「随分長い事二人きりでいたみたいだけど.....ナニしてたのかにゃー?」

奏「さて、ナニかしらね?」

P「誤解を招くような発言はよせ....」

奏「もう、ノリが悪いわね」

フレデリカ「だめだよプロデューサー!芸能界を生き抜くには、ノリに乗れる力を見につけないと!」

P「いや、俺はもう芸能人じゃねえし.....」


周子「そう言えばさっき、青木さんと早苗さんから連絡があったよ。客席でライブ見てたけど事故の事調べようとしたら追い出されたから、先に事務所で待ってるって」

P「そうか....じゃあ、一旦事務所へ帰ろうか。色々と情報共有しといた方がいいだろうしな」

ちひろ「私は010プロに戻りますね。多分色々やらなきゃいけない事が山積みになってると思うので....」

美嘉「そっか。じゃあちひろさん、またね!」

ちひろ「ええ、皆も決勝に向けて頑張って!私も応援してるから!」

179: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 22:10:27.17 ID:TfNz0bT70
その後、私達はプロデューサーさんの車に乗って811プロへと帰ってきて、早苗さんとトレーナーさんに今日あったことを説明した

そして、Project,Queenの事も.....



早苗「成程ね....やっぱり、あの事故には891プロが噛んでたか」

ベテトレ「あの子のプロデューサーが、何事もなかったかのように891プロに再就職していたのも、これで合点がいったな....あの男、プロデューサーの屑だな!」


美嘉「でも、Project,Queenの方はむしろ被害者だね....特に、リーダーのちとせちゃんは.....」

フレデリカ「後3年しか生きられないって.....折角、アイドルになれたのに!」

P「その上、891プロの実態を知ってしまって板挟みだ。仲間の為に負けられないからこそ、891プロの手で良いように転がされてる....」

周子「ほんっとに許せない!アイドルをまるでおもちゃみたいに扱って!」

志希「でも、だからって手を抜くわけにはいかないよね?」


奏「ええ、むしろ全力でぶつかって、お互い最高のステージを作り上げる事....それがProject,Queenに対する、最大限の礼儀よ」

奏「それに....私達が負ければ、芸能界は本当にあの男に支配されてしまうかもしれない。もしそんな事になれば、とてつもない数の人が苦しむことになる」

180: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 22:11:40.77 ID:TfNz0bT70
P「だがあの人の事だ、必ず何かしらの妨害をしてくるだろう.....何とかならないもんか......」

周子「早苗さん...なんかこう、国家権力の力とかで何とかならない?891プロにガサ入れして摘発するとかさ」

早苗「私もそうしたいんだけど....きっと上に止められるでしょうね。061プロの社長の時もそう、891プロに少しでもつながりそうになると、いつもに圧力をかけられるわ....多分、警察の上層部に891プロと繋がってる奴がいる」

美嘉「そんな、警察にまで!?」

早苗「悲しいけど、このアイドル戦国時代と呼ばれるような世の中、割と良く聞く話なのよ....芸能事務所が賄賂を差し出す代わりに、不正を見逃してもらったり....そういう癒着の話は、そこまで珍しい話じゃない」

早苗「ホントは私も締め上げてやりたいんだけど....ごめんなさい、私の権限じゃ、そこまで無理な捜査はできないわ.....」


P「気に止まないでください片桐さん。それにそういう事情なら、あまり噛み付くと片桐さんの身が危ないかもしれない」

フレデリカ「アタシ達の為に早苗さんが傷つくなんて、絶対嫌だからね!」

181: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 22:12:41.37 ID:TfNz0bT70
周子「でも、実際どうするの?このままじゃ戦いの舞台にすら上がれないかもよ?」

P「正直警察組織まで懐柔されてるとなると、あまりにも話がデカすぎる.....歯がゆいが、今は向こうの出方を伺うしかないな.....」

奏「....................」







あの男が、この期に及んで決勝当日まで何もしてこないはずがない


.....とてつもない悪寒がする

まるで、見えない刃を首筋に突き付けられているかのような..........

182: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 22:14:49.91 ID:TfNz0bT70
~~~某時刻、891プロ社長室~~~

屋久井「それでは君たち、最後の仕事、よろしく頼むよ」


記者1「もちろんでさぁ、頂いた報酬の分はしっかり働かせていただきますよ」

記者2「それに、我々もあのプロダクションには一度煮え湯を飲まされているのでね....個人的な復讐もしたかったところです」

記者3「まあウチは、なんでもいいから叩ければそれでいいがな。やっぱり、いたいけな少女を陥れるのはたまんないからねぇ!」

記者1「相変わらずあんたは性癖歪んでんな....じゃあ、811プロ以外の事務所の方はあんたに任せるわ。好きなだけぶっ叩いてやれ」

183: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/14(日) 22:15:21.65 ID:TfNz0bT70
891「これで、芸能界のすべてを、この891プロが....私が!この手に握ることになる.....!」

891「P.....私が売り出してやった恩を忘れて好き勝手やって来たみたいだが....私を裏切ったらどうなるか、しかとその身に刻むがいい......」







クククク.......アーッハッハッハッハァ!




to be continued.....


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