【モバマス】LiPPS「虹光の花束」 2スレ目 前編

186: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 21:19:14.50 ID:xdXSO0Np0
歩んで、歩んで、歩み続けて、ついに頂上が目前に差し迫ったその時こそ、人は最後の振るいにかけられる


問われるのは、それまで歩んできた道のり


中途半端な覚悟で挑んできた者、苦難から目を背けてきた者、妥協に妥協を重ねてきた者、自分自身に嘘をつき続けてきた者.....

楽な道ばかりを選び、自らを誇る事が出来なくなった人間に、頂上は掴めない



だが、確かな信念の元、自分自身が正しいと思える道を選び歩み続けてきた者ならば

その歩んできた道での出会い全てが、旅の中で胸に積まれていった、『自分』を貫き通した証が


きっと、力尽きゆくその背中を支え、押しだしてくれるだろう




光差し込む終着点、何よりも誇り高い頂へと.......

引用元: ・【モバマス】LiPPS「虹光の花束」 2スレ目 



187: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 21:20:38.81 ID:xdXSO0Np0
本戦第一試合が終わった次の日、私達はいつもよりだいぶ早い時間に集合をかけられていた





周子「おはよー......あたしが最後?」

P「ああ、でも時間通りだから大丈夫だぞ周子」

周子「久々にこんな早起きしたよー....まあ、決勝直前だし仕方ないか。仕事もレッスンも詰まってるもんね」

志希「そうだねー....早起きも、致し方にゃいねー......」


美嘉「なんか志希ちゃんすっごい眠そう....てかもう半分以上寝てるけど、よくちゃんと事務所まで来れたね?」

ベテトレ「志希は寝坊かもしれないと思ったから、私が迎えに行って連れてきたんだよ。案の定爆睡していた.....」

志希「無理やり叩き起こされたから志希ちゃんまだ夢の中~.....」

P「あー、もう話始めるぞ?まず最初に重要なお知らせがある」


P「IGの決勝、一週延期になった。だから今日からちょうど2週間後だな」

奏「やっぱり、あの事故のせい?」

P「ああ、あの後ステージとか機材の見直しで色々揉めたらしいからな。その対応に追われてるんだとか。まあ、逆に一週間で済ませられるんだから大したもんだがな」


P「んで、今日のスケジュールについてだが......」







その時、プロデューサーさんの携帯が....いや、それだけじゃない

事務所の固定電話まで、一斉にけたたましく鳴り出した

188: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 21:21:16.48 ID:xdXSO0Np0
P「こんな時に.....周子と青木さん、向こうの電話の対応頼む」

周子「りょうかーい」

ベテトレ「分かった」



美嘉「朝から凄い電話だねー」

フレデリカ「きっと決勝進出したから、色んなところからオファーが来たんだよ♪」









P「.....はぁ!?キャンセルって、一体どういう事ですか!?」



『!?』

189: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 21:23:20.56 ID:xdXSO0Np0
キャンセル、ですって?


一体、何が起こっているの....?


P「何で急にそんな事に!?......は?そんなの、事実無根ですって!!ちょっと!」ガチャッ

奏「プロデューサー、一体何があったの?キャンセルがどうのって聞いたけど....」

P「今日の24山テレビの仕事.......キャンセルになった」

美嘉「キャンセルって、いくらなんでも急過ぎじゃない!?」

P「今朝の週刊誌の内容を鑑みて見送ることにしたらしいが....二人とも、そっちの電話はどうだった?」

周子「こっちもキャンセルの電話だったよ。なんかスタッフが怪我で足りなくなったから、番組の収録そのものが中止になったみたい」

ベテトレ「こっちもだ.....このタイミングで、これだけ同時にキャンセルされるのは痛すぎるぞ....!」


トゥルルルルル!!!!!


P「はい.....えっ!?ちょっと待ってください、なんで急に!?」

P「クソッ、またかよ!」トゥルルルッルル!!!

周子「電話が切れた傍からまた...!」

ベテトレ「まさかこれ、全部キャンセルの電話じゃないだろうな....」

P「....どうやら、そのまさかかもしれません」

190: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 21:24:28.25 ID:xdXSO0Np0
....プロデューサーさんの危惧は、当たっていた

その後数十分、事務所中の電話が鳴り続けた


番組そのものが中止になったり、何かの理由で役者が変更になったりと、原因は様々だったけど

そのコール全てが、既に入っていた仕事のキャンセルを告げる電話だった

191: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 21:25:04.63 ID:xdXSO0Np0

Chapter22 「Still,Stand Up」

192: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 21:27:46.30 ID:xdXSO0Np0
ベルの音が鳴りやんだ頃、真っ黒だったはずのホワイトボードは、僅かばかりのシミを残して漂白されてしまった.....



P「残ったのは、これだけか......」

奏「『正気のサタデーナイト』まで、特番に変えられてしまったのね.....」



真っ白になってしまったホワイトボードを、皆ただただ呆然と眺めていた


でもその視線は、大きな音を立てながら勢いよく開いた扉に奪われる



早苗「みんな!大丈夫!?」

P「片桐さん!急に来てどうしたんですか?」

早苗「さっきコンビニでこれ見つけて、いてもたってもいられなくって......」

フレデリカ「それって、雑誌?」

193: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 21:29:28.50 ID:xdXSO0Np0
志希「.......こりゃ酷いね、見出しから色んなアイドルのゴシップがてんこ盛りだ。特に、あたし達はめちゃくちゃバッシングされてるみたい」

奏「見て、これとか酷いわよ!【速水奏は映画好きを自称しているが、その実態は意味の分からないB級映画ばかり好むクソ映画ハンターである】って、デタラメじゃない!ねえみんな!?」


『................................』


奏「なんでそこで黙るのよ!?」


周子「でも叩かれてるのはウチだけじゃない、010も....本当に色んな事務所が叩かれてる.......大きな事務所程特に酷いね」

周子「だけど、891プロを叩く記事は一つもない.....ていう事は」

P「iMB事件の時と同じ、891プロの常套手段って事か....あいつ、マジで芸能界を891プロ一強にするつもりなんだ」

早苗「それに、今回は出版社やテレビ局だけじゃないわ、警察にも圧力がかかってる」

194: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 21:30:42.08 ID:xdXSO0Np0
ベテトレ「警察にも....?どういう事だ?」

早苗「そもそもあたし、今日は別に非番じゃなかったのよ。でも、制服も着ずにここへ来た....何でだと思う?」

美嘉「....もしかして!?」


早苗「昨日、自宅謹慎を言い渡されたわ。どういうわけか、潰れた美嘉ちゃんが前にいた事務所...061プロとの癒着を疑われてね」

早苗「多分、上に圧力をかけられたんだわ。私が891プロの事嗅ぎまわっていた事ばれたみたい。891プロとの密約で甘い汁を吸ってる上層部に、邪魔だと思われたんでしょうね」

P「あいつら、本当に片桐さんまで狙ってきやがった....!」


周子「でも、自宅謹慎ならお家にいないといけないんじゃないの?」

早苗「そこはほら、811プロはあたしの第2の実家だから!というわけで、暫くはここで皆のお手伝いするわよ。人手足りてないでしょう?」

P「そりゃ有り難い!もう今日は電話番だけで手が足りなくなるくらいでしたからね!」

ベテトレ「早苗が手伝ってくれるのはいいが、これからどうするんだ?状況は最悪に近いぞ」

フレデリカ「お仕事ほとんど無くなって、暇になっちゃったねー」





決勝の直前である今の時期の仕事は、宣伝としても経験を積む目的としても重要だったのに、こんな理不尽が許されていいの.....。?

一体、どうすれば............

195: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 21:31:42.26 ID:xdXSO0Np0
P「.........なあみんな、こういう時こそ初心に帰ってみないか?」

周子「初心?」

P「ほら、向こうから仕事が入ってくる今と違ってまだ駆け出しだったころは、自分たちの魅力を伝えるのに必死で、我武者羅にアイドルの階段を駆け上がってただろ?もちろんその過程で壁にぶつかることもあったけど、皆で乗り越えてきたじゃないか。今回もそれと同じさ!」


P「仕事を奪われたのなら、また新しく掴み取ればいい。悪い噂を流されたのなら、そんな噂吹き飛ぶくらいの魅力を見せればいい。ファンを奪われたのなら、それ以上の人を新しく魅了すればいい!」

P「大事なのは、何度折られたって、何度崩れ落ちたって、それでも立ち上がって前を見据える事......だって、アイドルはいつだって前を向いて笑う仕事なんだからな!」


......!!!



P「それに、考えようによってはチャンスかもしれないぞ?決勝の為の練習に費やせる時間が増えたんだから!どうせなら、この妨害も利用してやろうぜ?」

P「どんな逆境だろうと楽しんで、ファンの為に最高のステージを作り上げる.....それでこそ、俺たち811プロだろ?だから.....どんなに不利な状況だって俺たちは降参しないって、叩きつけてやろう!」

196: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 21:33:47.56 ID:xdXSO0Np0
プロデューサーさんの言葉で、全員の顔に気力が戻っていく


....やっぱり、プロデューサーさんはちゃんと、私達にとってただ一人のプロデューサーよ


目の前の壁に心を折られかけた時、理不尽な状況に恐怖したとき......そんな時にいつも、"いってらっしゃい"と背中を押してくれる人

たったそれだけで貴方は、私達の迷いも不安も、全部振り切ってくれる




男は船で、女は港と言うけれど.....私達はきっと逆

私達がアイドルとして未知の海へと漕ぎ出していけるのは、いつだって帰れる場所があるから..........



ねぇ、プロデューサーさん.....これからも貴方だけは、私達の帰れる場所でいてね?

貴方が私達を見守ってくれている....ただそれだけで私達は、どんな壁にも立ち向かえる!

197: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 21:36:58.63 ID:xdXSO0Np0
改めて決勝の舞台に立つという決意を皆で固めた後、彼女達のレッスンは深夜まで続いた

だが、熱中するあまり時間を忘れて残ってレッスンをしていたので、先ほど流石に日付が変わるまでいるのはマズイと無理やり返した


あの子達、ホントに一度火が付くとすげぇなぁ....

志希とか周子とか、いつもは気分屋なのに、今日のレッスンは別人みたいな集中力だった....

そんな二人に影響されたのか、いつだって本気が信条の美嘉も、今日はいつもの本気"以上"に本気で自分を高めていった

フレデリカはこんな非常事態になっても決してぶれず、笑顔でアツくなり過ぎていくみんなを和ませ、それでいて真剣にレッスンに挑んでいた


そしてそんな個性の塊みたいな集団を、奏はリーダーとして確かにまとめ上げた

みんな後悔しないように、今自分ができる事を全力でやっているんだ......




なら、あの子達が頑張ってる分、俺もプロデューサーとして、自分が今できる事を精一杯やり遂げなきゃな

198: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 21:38:08.72 ID:xdXSO0Np0
P「.....まあ、それにしてもこの量....仕分け大変だなぁ」


ファンからアイドルへの贈り物

それは手紙だったりお菓子などの差し入れだったりと様々だが、その全てをアイドル本人に渡す前に検品を行わなければいけない



中にはファンを装ってアイドルを傷つけるような手紙を出してきたり、嫌がらせの様なものが送られてきたり....酷いときには食べ物に毒が盛られてたりする事もあるらしい

だからいつも俺がこうやって中身を確かめて、安全を確認してから翌日本人に渡しているのだが......



P「これも891プロの妨害なんかねぇ.....」



何故か今日に限って届いた贈り物が多い......だが、その分やたら攻撃的な内容の物が多かった



P「仕事なんか本心なんか知らんが、よくもまぁこんなに非道いことが書けるもんだ....」



彼女たちに向けられた敵意を見る度に何とも言えない気持ちになるが.....それでも、少しでもあの子達の力になるために仕分けを続けていた
だが.....








???「おー、やっぱりまだ仕事してたんやね」

P「えっ....お前!?」

199: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 21:38:58.92 ID:xdXSO0Np0
周子「Pさん、お勤めごくろうさま♪」

P「周子、なんで戻ってきた?帰ったんじゃなかったのか?」

周子「偶には事務員らしく、事務所の為に残業してやったた方がいい気がしてね.....それで、何してんの?」

P「いや、これは.....」


なんとか誤魔化そうとするが、周子はひょいっと身を乗り出して持っていた手紙を奪い取ってしまう


周子「.......なるほどねー、暇な奴もいるもんだ」

P「見ないほうがいい....まだ結構あるし、お前はさっさと帰って『やだよ』」

周子「皆いつも言ってるでしょ?あたし達を信じろってさ。そうやって辛い事一人で抱え込むの、Pさんの悪い癖だよ?」

周子「それに.....ほら!」



周子が手紙の入った段ボールから、次々と手紙を掴み取り、読み上げていく

200: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 21:39:52.97 ID:xdXSO0Np0
『LiPPSを応援しています!頑張ってください!』

『必ず頂点を取ってくると約束したんだ、最後までお前の思うまま突き進みなさい。"私達"の希望よ』

『志希さん、フレデリカさん、俺たち二人は死ぬまで貴方たちの大ファンです!決勝も絶対応援しに行きます!!』

『周子、優勝したら一度実家に帰ってきなさい。優勝祝いに貴方の好きだった和菓子一杯用意して待ってるから、お友達も連れてきてね!』

『美嘉、私達ずっと、貴方を応援するよ。なんだかんだ言ってもやっぱり、貴方はいつまでも私達の憧れだったから....』

『奏さん、周子さん.....あのオーディションで貴方たちに出会えたおかげで、私達は純粋な思いでアイドルとしての夢を描けるようになりました。いつかまた貴方たちに会いに行けるアイドルになるから、それまで頂上で待っていてください!その時は....頂上をかけて戦いましょう。今度こそ必ず、私達が勝ちます!』


『あたし達に勝ったんだから、絶対優勝しなさいよ!トライアドプリムス全員でで応援するからね!』

201: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 21:40:21.34 ID:xdXSO0Np0
読み上げられていくのは、理不尽な呪詛ではない


LiPPSが今まで積み重ねてきた、アイドルの道をずっと歩んできた証

彼女達から笑顔を貰った、数多の人達からの声援だった

202: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 21:41:32.21 ID:xdXSO0Np0
周子「こんな風に、応援してくれるファンも沢山いるしね♪だから、大丈夫だよ」

周子「それにアイドルである前に811プロの看板事務員として、あたしだって事務所の皆を守りたいんだ、だからここは811プロのスタッフ二人で、一緒に頑張ろ?」

P「.....そうか、なら手伝ってくれるか?あんまりにも数が多くて参ってたんだよ」

周子「もちろん!でも、残業代はちゃんと出してよ?」

P「分かってるって。明日もあるしちゃっちゃと終わらせよう」

周子「りょーかい、じゃあ早速.......お!これなんかすっごく豪華じゃない?」

P「ホントだ、なんかお嬢様っぽいデザインの便箋だな」

周子「中身は.........えっ?」

P「どうした?」

周子「見て、これってもしかして......」

P「?...............これは!?」

周子「どうやらあの子、もの凄いお宝を送ってくれたみたいやね?」

P「ああ.......これならまだ、逆転の目はある!!」









反撃開始だ.......!

203: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 21:43:10.89 ID:xdXSO0Np0
フンフンフフーン、フレデリカー♪

....あっ、ママ!えへへ、分かっちゃう?
そうなの、今すっごく楽しいんだ!
なんせアタシ達、遂に決勝まで来ちゃったからね!


....あー、うん。確かに辛い事もいっぱいあったよ。でも、フレちゃんは大丈夫!
だって、LiPPSはムテキのアイドルユニットだからねー♪

だってLiPPSって、アタシだけじゃなくて、志希ちゃんに、美嘉ちゃんに、周子ちゃんに、奏ちゃんがいて、プロデューサーがいて
そして、いつだってアタシ達の背中を支えてくれるファンがいるんだ!


だからどんなに辛い事があっても大丈夫!
みんなで笑顔で支え合って、乗り越えて、アタシ達を支えてくれた人達を、みーんな楽しませてみせるから!

もちろん、ママとパパもね♪

204: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 21:44:21.85 ID:xdXSO0Np0
....ねぇ、ママ

アタシがアイドルとしてこんなに大きくなれたのは、ママがアタシをこんなに可愛く産んでくれて、パパがママとアタシを支え続けてくれて、二人がアタシを立派に育ててくれたから

そして、ママがアタシを立派に育てる事ができたのは、おじいちゃんとおばあちゃんがママを立派なパリジェンヌに育ててくれたからだよね?

もしも誰か一人がちょっとでも違ったら....きっと今のフレちゃんはいなかったと思うんだ



だからアタシ、おじいちゃんとおばあちゃんにも恩返しするよ!

二人の孫のフレちゃんは、二人のおかげでこんなに大きくなれましたーってね♪




大丈夫、きっと仲直りできるよ

ママだってほんとは、おじいちゃんの事大好きでしょ?なら、大丈夫だよ

おじいちゃんだってホントはママが大好きで、きっと今でもママに会いたいと思ってる




だから、見てて
アタシが日本にいるママと、パリにいるおじいちゃんを繋いで見せる

日本とフランス、二つの故郷の懸け橋になるから!



だからほら、泣かないで、ね?


うん、悲しい涙じゃないのは分かってるよ

でもね、どうせなら笑顔がいいな?




だって、ママの笑顔は、いつだってアタシを明るく照らしてくれる、アタシの太陽なんだから.....ね!

205: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 21:45:26.46 ID:xdXSO0Np0
プロデューサーに家へ帰らされた後、あたしは決勝の対戦相手、黒埼ちとせちゃんの出ている番組をいくつか拝見してみた




....この子、やっぱりそうだ

余命3年、動けなくなるまで1年、まだ治療法の見つかってない奇病....

この子を蝕んでる病は、やっぱり.....



スマホにいつものコードを打ち込み、あの人にコールする

....出た、今日は早かったね



もしもしパパ、元気?

あたし?あたしはもう絶好調だよ!


....なんだ、それも知ってるの?
でも、安心して。今のあたしには、アタシを支えてくれる仲間がいっぱいいるからさ!








......そうだね、ちょっと前のあたしなら、"仲間"なんて言葉出てこなかったと思う

人のコミュティからぽつんと放り出されたって、つまはじきにされたって平気だよーって振る舞って、自分勝手に生きたと思う

206: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 21:48:34.10 ID:xdXSO0Np0
でもねパパ、多分あたし、昔からずっと、今みたいに一緒に笑える仲間が欲しったんだと思う


あの時はパパがいたから、学校で一人でいたって大丈夫だった。でも、日本に帰ってきた後LiPPSの皆に会えなかったら.....


あたしは今日、ここでいつもの様にご飯を食べて、いつもの様にお風呂に入って、いつもの様にベッドで寝る.....

そんな"いつも"すら、出来なくなっていたかもしれない



でも、それって結局ifの話だよね?



確かにどこかの世界には、そんな"あたし"もいたかもしれない

もしかしたら、あの時パパについていかず、ママと過ごして、ママを最後まで看取ることが出来た"あたし"もいたのかもしれない

逆に、日本に帰らず今でも大学のラボで研究に明け暮れてた"あたし"もいるかもしれない

......ギフテッドじゃなくて、何の肩書もない、普通の"一ノ瀬志希"として生まれた、幸せなあたしもいるかもしれない


でも、今ここで生きてる"あたし"は、そうじゃない

そんなifに繋がる選択肢を選ばずに、今のあたしに繋がる選択をしてきたあたしなんだ


そしてそれは、決して他の"あたし"より不幸な"あたし"じゃない

だって、あたしはあたしなりに正しいと思う選択をし続けてここまで来たから、どれだけ辛い目に合ったとしても、それと同じくらい....ううん、それ以上の幸福を手に入れられた


だから、今ここに居る"あたし"は、決して失敗作なんかじゃないと思うんだ

207: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 21:50:12.84 ID:xdXSO0Np0
ギフテッドとして生まれたからこそ、出来たことがあった。パパについていったからこそ、学べたことがあった。アイドルになったからこそ、出会えた人達がいた

そうやって沢山のものから選び取ってきた運命は、決して間違ったものじゃないと思うんだ


そして、あたしが道を間違えずに済んだのは....どんな道を選んだとしても、いつだってあたしを支えてくれた誰かがいたから

独りぼっちだと思っていた時すら、あたしは自分じゃない誰かと一緒に歩いていたんだ


パパに、ママに、811プロの皆....

思い返してみれば、あたしの人生、一人だったときなんて一度もなかったよ


.....そうだね

あたし変わったよ、変われたんだよ



アイドルになって、仲間と一緒に沢山の事を経験して.....やっと、変われた

ずっと自分でつまらないと思ってような自分自身から、ようやく変われたんだ.....!





だから、今度はあたしも、"誰か"の歩みを支える"誰か"になりたい

208: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 21:51:26.73 ID:xdXSO0Np0
ねぇパパ、あたし約束通り頂点取ってくるからさ、ご褒美っていうか.......パパにお願いしたいことがあるの


あたしが大学に使ってた頃のデスク、その一番下の引き出し、実は二重底になってるの

そこに、隠してある。あたしの最後の研究成果



....そう、お母さんの命を奪った、あの病気の特効薬の研究


だけどその研究、まだ未完成なんだ。どうしても最後のピースが見つからなかった

でも。パパならきっと、あたしが見つけられなかった最後のピース、見つけられるから



......どうしてもその薬が必要な子がいるんだ、教えてあげたいんだ、未来を諦めなくたっていいって

だから、お願い。あたしの最後の研究、パパの手で完成させて








.....ありがとう
じゃあ、待っててね








パパとママの希望が、世界で一番輝く日を!

209: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 21:52:43.19 ID:xdXSO0Np0
ただいまー!


あれ?莉嘉まだ起きてたの?


お姉ちゃんが心配で寝つけなかった....?いやいや、だからってこんな時間まで起きてたら体調崩すよ?

....でも、ありがと!莉嘉が応援してくれるならあたし、いつまでも本気で走り続けられるよ!




....うん、確かに今、芸能界は大変なことになってる

莉嘉の言う通り、アイドルの世界を荒らす悪い人がいるんだ

811プロだけじゃない、色んな事務所がその人の悪意にさらされて、色んな人が苦しんでるんだ


でもね莉嘉、あんたもアイドルになりたいんなら、これは覚えておいて


アイドルってね、どんな逆境でも前を向いて笑ってやるもんなの

どんな時にも自分を応援してくれる人がいる、だから、その人まで一緒に落ち込ませないようにいつだって笑顔を見せてあげなきゃいけないの

210: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 21:54:34.88 ID:xdXSO0Np0
.....そうだね、061の頃のあたしを見てきた莉嘉は、それも分かるよね

確かにどうしても、耐えられないくらいに辛いときはある。そんな時は、思い出すの


いつだって自分は一人じゃない、頼れる仲間がいるんだって事



あたしからしたら莉嘉やママとパパ、それに811プロの皆

応援してくれるファンの皆に、ステージを作り上げてくれるスタッフさん達、あたし達が歌う曲を作ってくれる作曲家さん達....


どんな凄いアイドルでも自分一人でステージに立つなんて事絶対なくて、いつだって誰かに支えられてるんだ


だから.....本当に辛いときは、誰かに頼ればいいの。辛い事は、一緒に背負ってもらえばいい

その代わり、助けてもらった分、自分がやれることを精一杯やって、今度は自分が助けてくれた人を支えるの


どんな人でも、『自分一人でも大丈夫』って強がることは出来る

でも、本当に一人で生きようとする人は、いつか必ず心が折れちゃう

そうなったら、自分を今まで支えてきてくれた人まで悲しませちゃうでしょ?


......昔のあたしが、そうなっちゃったように





でもね莉嘉、あたしにとってそれはもう、"もしかしたらあったかもしれない"ってだけのものなの

211: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 21:57:14.28 ID:xdXSO0Np0
あたし、最近やっと気づいたんだ


案外人生ってさ、敵が多いって思った時こそ、それ以上の味方が助けに来てくれるものなんだよ


だからあたしはいつだって、自分を助けてくれた人に、胸を張って"ありがとう"って言えるようにしたい


その為に、いつだって自分が一番だって誇れるように生きるの

妥協なんてナシ!応援してくれる人達に応えられる様に、いつだって本気で生きぬいてやるの!



だから、あたし達は諦めない




莉嘉、あたし達一足先に、てっぺん取ってくるよ


だから....いつか必ず、追いついてきなさいっ★








.....ずっと、待ってるから!

212: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 21:58:01.77 ID:xdXSO0Np0
もしもし....うん、元気だよー

今?今ちょっと残業中ー..........ううん、あたしがやりたいからやってるの

Pさんほっとくとすぐ無理するからさー、そりゃ大家さんも心配するよねー






....."やりたいから"、か

実家でぬくぬくしてたあの頃のあたしじゃ、絶対言わなかっただろうねー

213: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 21:59:27.78 ID:xdXSO0Np0
不思議だよね

つい1年くらい前まで流れに流されるまま無気力にフラフラしてたあたしが、今本気でトップアイドル目指してんの


そうそう!最初は実家にいた時と一緒で流れに流された感じで初めてさー、ぶっちゃけた話、給料と寝床に釣られて始めたんだよねー

そんな感じで中途半端な覚悟で始めちゃったからさー、そのせいで、大きな壁にぶち当たった時もあったよ


あの時はPさんにもLiPPSの皆にも迷惑かけちゃったなー.....




でもね、あたしその時初めて、本気で悔しくて泣いたんだ

そうだよ、あのしゅーこちゃんがだよ!?

何事も適当に、なあなあで生きてきたしゅーこちゃんが、"悔しいから"って大泣きしたんだ!




....うん、やっと見つけたんよ

あたしが、本気でやりたいこと


誰かに流されて決めたんじゃない、あたし自身の意思でこの道を選んだんだ

214: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 22:01:00.65 ID:xdXSO0Np0
こういっちゃ怒るかもしれないけどさ.....あたし、家出してよかったよ


あたしずっと、ゆらゆら流された方が楽、楽して生きた方が得って、ずっとそう思って、自分の心に蓋してた

もしあの時も流れを受け入れて、半端な気持ちでお見合いして、適当な気持ちで家継いでたら.....

それはそれで普通に生きてたんだろうけど、きっと、最後まで心に疑問を持ちながら生きてたと思う



自分は、何の為に生きてるのか....って




だからあたし、家出できてよかった

あの時、流されずに『好きでもない人と結婚するなんてイヤ!』ってワガママが言えて、本当に良かった.....


もしかしたらお父さんも、あたしが自分の気持ちを吐き出せるように、わざと無理やり迫ったんかな?

...まあ、そうだとしても言わないだろうね、あの人頑固だから♪




.....うん、分かってるよ。さっき手紙見たし

必ず勝って、みんなと一緒に、お土産たっぷりもって行くよ

なんだかんだ京都は、あの家は、あたしの大事な故郷だからさ


だから、見てて









『本気』でトップアイドル目指す、あたし達の生き様を!

215: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 22:01:57.30 ID:xdXSO0Np0
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ベッドに潜り、目を閉じて追想する

プロデューサーさんに連れだされたあの日から歩んできた、アイドルとしての道





多くの出会いがあった、多くの研鑽を積んだ、多くの世界を知った

多くの苦しみを知った、多くの涙を流した、多くの悪意に触れた.....




でも、多くの人の笑顔があった

プロデューサーさんに光る舞台に連れだされて、アイドルとして多くの経験をしたからこそ見れた、とても暖かくなる笑顔ばかりだった





そして、アイドルになれたからこそ、得られたものが山ほどある。811プロのみんなと一緒だったからこそ、断ち切る事が出来た鎖がある



そして....この道を選んだからこそ、手に入れることができた明日がある

216: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 22:03:00.06 ID:xdXSO0Np0
もしあの時、プロデューサーさんに会わなかったら


例えばあの時、告白されなかったら?

例えば、心の淀みを洗い流そうと海に行った日が、一日ずれていたとしたら?

例えば、あの日の天気が雨だったとしたら?

そもそも、海で黄昏ずにさっさと家に帰っていたら?

プロデューサーさんと鉢合わせても、声をかけてもらえなかったら?


もしもプロデューサーさんが、プロデューサーにならなかったら?





そんなifの可能性も、きっとどこかにあったんだろう

217: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 22:03:50.17 ID:xdXSO0Np0
でも、プロデューサーさんはそんな多くの可能性の中から、私を連れ出す運命を選び取ってくれた





だから私は、プロデューサーさんがもたらしてくれたその幸運に報いたい

彼に、『復讐』(おんがえし)をしてあげたい




自らに降り注いだ過酷な運命にあらがって、私達のプロデューサーになってくれた

そんな彼に、私があげられる精一杯の幸福を


その為に私は、私達は......










必ず、トップアイドルになる

218: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 22:04:44.72 ID:xdXSO0Np0
なあ、『..........』

俺たち遂に、こんなところまで来ちゃったよ




....今でも思うんだ、お前が生きていたらって

もしかしたら今あの夢の舞台に立っているのは、お前だったんじゃないかって





でも、そういう未来だったらきっと、俺はあの子達のプロデューサーになれなかったんだろうな

今でもおっちゃんの悪事を知らず、歌手やってたのかもしれない

219: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 22:05:54.22 ID:xdXSO0Np0
だからと言って、お前が死んでよかったなんて微塵も思わない

今だって出来ることなら、時を戻してやり直したい。あの子達に出会えなくなっても、お前を助けたい




でも、思うんだ

俺、あの子達のプロデューサーになれて良かったって

お前が死んでからも、諦めないでよかったって



失ったものをどれだけ嘆いたって、時間は戻らない

だからこそ、選択を間違えてしまった未来でも、それを間違いにしないために足掻かなきゃいけないんだと、あの子達のおかげで知ることができたから



.....いろんな偶然が重なって、俺は最後まで投げ出さずにここまで来れたけど

きっと、俺も、あの子達も、ほとんど奇跡みたいな確率だったんだろうな


奇跡的な確率でプロデューサーになろうと思った俺がいて、奇跡的にアイドルになりたいと思ったあの子達がいて

そんな俺たちが、天文学的な確率で出会えたからこそ、ここまで来れたんだろう


もし何かが少しでも違ったら、きっと、こんな今は訪れなかったと思うんだ

220: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 22:06:50.34 ID:xdXSO0Np0
なあ、『.......』、あの子達のステージは、空の上でも見えるか?


俺たち、お前の残した夢を背負って、お前と一緒に夢の舞台に行ってくるからさ








だからお前も、あの子達と、自分自身の夢が花咲くところを、空の上から見守っていてくれ.........

221: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 22:08:09.39 ID:xdXSO0Np0
その後、決勝までの間私達は『アイドル』に全力で励み続けた


決勝に向けてのレッスンはもちろん、テレビや雑誌の仕事だって完全に無くなったわけじゃない

私達を信頼して仕事を回して、応援してくれる人達だっていた。プロデューサーさんも朝から晩まで駆けまわって、新しい仕事を取ってきてくれた


トレーナーさんの指導もこれ以上ないってくらいに厳しかったけど、でもとてつもない情熱と期待を込めて私達の魅力を磨き上げてくれた


確かに、一時は理不尽な悪意の暴風に膝を折りかけたけど、どんなに辛い状況でも、諦めず支えてくれた早苗さんとトレーナーさん、プロデューサーさん。そしてずっと応援し続けてくれたファンの皆に、何度もお互いを高め合ったライバル達.....

沢山の人達がエールを送り続けてくれたから、どんな逆境に苛まれようと、何度だって私達は立ち上がることができた


今まで出会った沢山の人に支えられて立ち上がる

映画だったらベタすぎる王道展開だけど、だからこそこれ以上ないってくらい燃えるじゃない?


例えたった一人しかいないとしても、自分を応援してくれる人の気持ちに答えたい....きっとそれが、アイドルにとって最も大事な気持ち

たったそれだけで、私達は何処にだって咲き誇れるんだから!




その思いを胸に私達は走り続け、そして............

222: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 22:09:33.91 ID:xdXSO0Np0
~~~IG決勝当日、811プロ事務所~~~



奏「おはようみんな、私が最後かしら?」

P「ああ、これで全員そろったな.......お前ら、準備はいいか?」


『もちろん!!』


P「良い返事だ!じゃあ、行くぞ!」





夢、欲望、思惑、因縁......

数え切れない人の感情に満ち溢れた舞台がどんなエンディングを迎えるかは、誰にも分らない

ただ一つ、確かなことは......

223: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/18(木) 22:10:05.39 ID:xdXSO0Np0


"私達"は今日、全員でトップアイドルになる!!!!!













to be continued........

228: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 21:51:50.37 ID:Nh7ciJkR0

Chapter23「Last stage curtain call」

229: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 21:53:01.28 ID:Nh7ciJkR0
決勝当日

開演の2時間ほど前に、私達は控室に入る



裏口からドームの中に入る時にちらと見えた入り口には、既に終わりの見えない行列が出来ていた

それだけこの国において、『アイドル』という存在は人々の心を動かし、夢を託される存在なのだろう









.....そう、今私達はProject,Queenと共に、何万人という人々の夢を背負っている

それをしっかりと理解した上で、改めて決意を固める



どっちのファンとかは関係ない

ここまで私達を応援しに来てくれた全ての人達の為に、無様な姿は絶対に見せない


思う事は、色々ある

それでも、私達は揺らがない。余計な雑念なんか、いらない







今日やる事はただ一つ






アイドルとして全力でファンを楽しませて、アイドルである自分自身を楽しんで

世界で一番楽しいセカイを作り上げる事!!!

230: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 21:54:32.62 ID:Nh7ciJkR0
ステージが始まるまでの間、私達はその時間をフルに使い、本番に向けて何度も確認と調整を重ねた

特にミーティングは、残された時間の半分以上をかけて入念に行われた




本番の予定を一つ一つ確認するたびに、私達は噛み締める

このライブが、とても大きな危険を秘めている事


今、私達は、少し足を滑らせば即座に奈落に落ちる、細い綱の上を歩いているという事



そして、同時に理解する

それでも尚、勝機はあると........













最終調整の時間が終わり、ステージへ向かう


その途中、あの男に出会った

そしてその傍らには、もう一人......

231: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 21:56:50.90 ID:Nh7ciJkR0
屋久井「やあ君たち、本当に来てしまったんだね」

美嘉「当然だよ、来ない理由なんてないじゃん」

奏「むしろ、貴方たちにとっては好都合なんじゃない?自分にとって邪魔な人間を、纏めて始末できるんだから」

屋久井「いやまぁ、棄権するならそれはそれで楽だったのだがね。確かに君のその顔を見ると、この手でぐちゃぐちゃにしてやりたくなってきたよ」

P「隣の方は....ああ、891プロのプロデューサーですか。初めましてで、いいんだよな?」

891P「そのはずですが、なにか?」

P「....いえ、別に」

232: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 21:58:20.06 ID:Nh7ciJkR0
屋久井「ところで君たち、このままライブが始まればどうなるか、予想はついているのかね?」

フレデリカ「ファンの皆がハッピーになる!!」

屋久井「......本気で言っているのかい?まあいい、ならせいぜい頑張ることだね」

屋久井「だがP君、君は本当にいいのかな?このままこいつらをステージに上げれば、君はまた私に大切な人を奪われるんだぞ?」

P「...........」


屋久井「それに私のの隣にいるこの男は、君の愛しの女を枕に売り出した張本人だ。その上、自分はトップアイドルユニットのプロデューサーとして、のうのうと生きてる。憎くないかい?」

891P「ちょっと社長、これでも私、業界一クリーンなプロデューサーとして活動しているんですから、あんまり人聞きの悪いこと言わないでくださいよ~」

891P「まぁ、全部事実ですけども」

P「......................」



屋久井「私と彼が憎いだろう?殺してやりたいだろう?いいんだぞ一発くらい殴ってみても、ん~?」

233: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 21:59:09.30 ID:Nh7ciJkR0
煽るように下卑た笑みをプロデューサーさんの前に差し出しされる

その顔を見たプロデューサーさんから、一瞬だけ冷たい殺気が漏れた








......でも、すぐに心底興味なさげな顔になって、冷たい視線でその笑みを見つめる

234: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:00:37.94 ID:Nh7ciJkR0
P「どーでもいいんで、話が済んだんならさっさとどいてくれます?俺たちステージに行かなきゃならないんで」

屋久井「どうでもいい....だと?」

P「そりゃああんたにも、そっちのプロデューサーにも、色々思うところはありますがね。それは今、ステージに持ちこむもんじゃない」

P「それに.......今は本当に、あんた達に興味を向けてる余裕はないんですよ。なぁ、お前ら?」

周子「そうやねー、あたし達これから、あの『Project,Queen』と一緒にライブするんだもん。それ以外のこと考える余裕、ないかなー」

志希「あたし達別にキミたちと戦うわけじゃないしー、正直なところ、キミたちにはぜんぜん興味わかないんだよねー」

P「そっちのプロデューサーさんも、こんな所で油売らず、自分の担当の所に行ってあげた方がいいんじゃないですか?」


P「.........それとも、彼女たちの所へ向かえない事情がある、とか?」

891P「....................」





屋久井「フン、まあ精々、無様な姿を見せないように頑張ることだね」

P「ご期待に沿えるよう、頑張らせていただきますよ。それじゃあ、また.....」

235: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:03:02.76 ID:Nh7ciJkR0
ドス黒い悪意を振り払い、プロデューサーさんはステージの方向へ歩いていく

私達も、その後に続いていく



今私達に見えているものは、ただ一つだけ



私達を待っている人達がいる、あの煌く夢の舞台.....

ただそれだけしか、見えていない

236: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:03:47.96 ID:Nh7ciJkR0
891P「思ったより落ち着いてましたね。それとも、プレッシャーのかかりすぎで、頭がおかしくなったんですかね?」

屋久井「さあね......まあ、なんでもいいさ。それよりも891P君、手筈は整っているな?」

891P「勿論です、準備は滞りなく完了しています.......」

屋久井「そうか、ならそのままよろしく頼むよ」






屋久井「811プロ.....望み通りこのIGを、貴様らの墓場にしてやろう!!」

237: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:05:30.68 ID:Nh7ciJkR0
  ~~~~ 一方、客席では ~~~~


早苗「おー!こりゃいい席ねー!」

ベテトレ「Pが運営にかけ合わせて、一番高い席のチケットを取ってくれたからな」

早苗「数万円するんだっけ?やっぱIGの決勝ともなると、値段も跳ね上がるのねー」

ベテトレ「だがその分、一番アイドルに近づける場所でもある。LiPPSの集大成を見届けるのには、これ以上ないくらいに相応しい場所だろう」

早苗「でも、皆大丈夫かしら?きっと891プロの妨害があるでしょう?」

ベテトレ「大丈夫だ、あの子達を信じて、見届けてやれ。ファンである私達が曇っていては、彼女達が思いっきり輝けないだろう?」

早苗「......そうね!お姉さん精一杯応援するわ!こう見えても昔、応援団長だってやったんだから!」

早苗「って、そんなこと言ってたら早速コイントスが始まるわよ!第一審査は先攻の方がいいのよね?」

ベテトレ「.....ああ、そうだ」

早苗「よしっ!先攻出ろ先攻出ろー!」

ベテトレ「.....................」





ピンッ!カラカラカラカラン........

  デンッ!!
『Project,Queen』




早苗「って、あぁ!先攻、取られちゃった......」


ベテトレ「いや、これでいいんだ」

早苗「えっ?」

ベテトレ「第一審査で先攻を取られるのは想定済みだ。大丈夫、彼女たちならきっと、上手くやってくれるさ」

238: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:07:43.46 ID:Nh7ciJkR0
P「"予定通り"、第一審査は後攻になったな。お前ら、作戦は頭に入ってるか?」

美嘉「もちろん!この日の為に毎日練習してきたからね★」

フレデリカ「それより、もうすぐProject,Queenのステージが始まるよ!みんなで応援しよー♪」

周子「せやねー♪こんな大きなお祭りなんだから、あたし達だって楽しまないとね!」









~~~♪~~~~♪~~♪~~~♪~~~

フレー!フレー!

ミンナガンバッテー!

チョットフレチャン、シキチャン!ソレイジョウハチカヅキスギダッテ!



P(やはり、第一審査はリーダーのちとせを前に出してきたか。それにしても凄い存在感だ....まるでファンタジーのような容姿もそうだが、何よりもこの歌声.....)

P(脳と心臓に直接突き刺さって、身体が甘く溶かされていくような感覚がする....何十年に一度出るか出ないかの歌姫だ。やっぱおっちゃん、見る目はあるんだなぁ)





だからこそ、彼女達の抱いた夢に敬意を払って、全力で相手してやらないとな!!

239: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:09:44.92 ID:Nh7ciJkR0
ちとせ「あー.....ちょっと疲れちゃったわ」

千夜「お疲れさまですお嬢様。次の出番までしばらくありますので、今のうちにお休みください」

颯「ちとせちゃん凄かったよー!流石あたし達のリーダーだね!」

凪「トップバッターだったのもあると思いますが、観客の皆さん完全にメロメロになってましたよ。まさにちとせ無双」

颯「千歳ちゃんが頑張ってくれた分、第2審査はあたし達が繋いであげるからね!」

ちとせ「ごめんね?私あまり体力がないから....」

千夜「仕方ありません、お嬢様のそれは生まれつきの物ですから。それでも全力でステージで歌うそのお姿は、本当に立派でしたよ。隣に立つ私も、心が跳び跳ねるように沸き立ちました」

ちとせ「そっか。千夜ちゃんが喜んでくれたなら、私も嬉しいな」

ちとせ「....ところで、プロデューサーは?」

颯「スタッフさんと次の審査の演出の事話しに行くって。もう!折角ちとせちゃんが頑張ったのに、肝心なときにいないんだから!」


ちとせ(.....やっぱり、仕掛けに行くのね)




私の魔法、どうか、役に立ちますように......

240: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:10:43.16 ID:Nh7ciJkR0
第一審査後攻、LiPPSの曲が始まる

先攻のProject,Queenの魅力的なパフォーマンスによって、大きなプレッシャーを押し付けられたはずだったが、彼女達は全く動じることなく自分たちの魅力を100%......

いや、それ以上の輝きを放っていた





だが、それでもまだ、足りない


トップバッターを取られたのもあるが、単純にProject,Queenのポテンシャルが非常に高く、彼女たちが遺していったハードルも、それ相応に高いものになってしまったのだ

流石に、891プロが事務所の総力を挙げて押し上げてきたユニット......『女王』の名を冠するに相応しい貫禄だ


その事実を、悔しくも歯を食いしばって受け止めるしかなかったその時、事件は起きた



LiPPSが歌う曲を流していた音響が、ピタリと止まったのだ

もちろん、891プロが仕組んだものだろう


ステージは一瞬、静寂に包まれる

俺は目の前で起こったその悪意ある現実に.......

241: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:11:18.42 ID:Nh7ciJkR0
P(......よしっ、計画通り!!)


心の中で小さくガッツポーズを決めた

242: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:12:09.31 ID:Nh7ciJkR0
おっちゃん、確かにちとせちゃんはこの世に二つとない才能を持った歌姫だ

だけどな.........




『歌姫』は、こっちにだって飛びっきりのがいるんだよ!!

243: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:13:03.00 ID:Nh7ciJkR0
もしLiPPSの中で、『一番』歌が上手いのは誰かと聞かれれば

全員が間違いなく、彼女を指名するだろう



811プロが証明する最高の化学式、『歌姫 一ノ瀬志希』を!

244: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:13:48.35 ID:Nh7ciJkR0
あたしとパパの一番の繋がりって言ったら、まあケミカルだね~

パパの教えてくれる化学式が楽しくって、パパの期待に応えたくって、パパと一緒に研究したくって

その為に色んな化学式を弄り回して、色んな反応を起こしてきたんだから





じゃあ、ママとの一番の繋がりは?


ちょっと前まで、ママを見捨てて海の向こうへ渡ったあたしに、そんなものは残されてないと思ってた


だけど、アイドルとして生きて、ようやく気付いた

あたしにはちゃんと、ママから受け継いだ物があったことを

245: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:14:19.56 ID:Nh7ciJkR0
(ママ、今日もあれ歌って~)

(あらあら、志希は本当にあの歌が好きね)

(うん!ママが好きな歌だから!それに、ママが歌ってるのが大好きだから、あたしも歌うのが好き!)

(まあ!志希にそう言ってもらえると嬉しいわ!ママも志希の歌、大好きよ)

(ホント!?じゃあ一緒に歌おう!)

(もちろん!じゃあいくわよ?)






まいにちまいにち僕らは鉄板の~~.............................♪

246: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:15:16.25 ID:Nh7ciJkR0
志希「~~~♪~~~~♪~~♪~~♪~~~~♪~~~~♪」


スーツ姿の観客「すげぇ、すげえよおい....」

清楚な観客「こんな綺麗な歌声が、この世にあるなんて.....」

志希フレ親衛隊1「志希さんのアカペラ、まじ最高っス.....!」

志希フレ親衛隊2「天使か?ヤバイ惚れそう....いやもう惚れてたわ、デビューの時から惚れてたわ」







屋久井(アカペラアレンジ、だと!?)


屋久井(どういう事だ!?音響が落ちるのを読んでいたという事か?一体何故!?)

屋久井(マズイ......音源が無くなって静かになったことで、逆に歌声を際立たせるための演出に利用されてしまっている!

247: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:16:11.92 ID:Nh7ciJkR0
屋久井「891P君!すぐに音源を戻すんだ!」

891P「は、はい!かしこまりました!」


屋久井(急に音源が戻れば、その分バランスを崩すはず.....これで終わりだ)


891P君に指示を出した数秒後、唐突に音源が復活する

これで奴のアカペラも崩れ....ッ!?





『~~~♪~~♪~~~~♪』






音源が復旧したその瞬間、奴の崩れるはずだったアカペラは、突如入り込んできた残りのアイドル達に巻きとられ、より強く、盛り上がる歌声へと変貌した

そして、自らの失策に気づく


音源を復旧させたその瞬間こそ、曲の最後の盛り上がり

大サビに突入した、まさにその瞬間だったという事を......

248: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:17:14.17 ID:Nh7ciJkR0
おっちゃん、最近ずっと会って無かったから、すっかり忘れちまったみたいだな

昔のあんた、何年も俺と一緒に仕事してた頃のあんたなら、すぐに気付けただろうに


P「よりにもよってこの俺に、『歌』で勝負を仕掛けるなんて.......」





そんなの、余りにも相手が悪すぎるだろ?

249: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:18:01.47 ID:Nh7ciJkR0
    第一審査 結果

LiPPS      777543票(累計777543票)     

Project,Queen  819225票(累計819225票)





P「まっ、かっこつけても逆転までは出来ねぇか」

周子「やっぱトップバッターの補正もあるだろうけど......それを差し引いても、本当に凄いパフォーマンスだったよ」

奏「でも、志希のおかげでしっかり食らいつくことができたわ。お手柄ね、志希」

志希「プロデューサーが音響がない時に映える歌い方を仕込んでくれたおかげだよ。でも、ちとせちゃんがあの手紙を送ってくれなかったら、やばかったかもねー」

P「ああ、本当にあの子には感謝しかねぇよ.....」

250: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:19:36.35 ID:Nh7ciJkR0
~~~ 2週間前、事務所 ~~~



P「みんな、この手紙を見てほしい」

フレデリカ「綺麗な手紙だねー!ファンレター?」

P「うーん....ファンレターというわけじゃないと思うが、まあ俺たちのことを応援してくれてるみたいだな」

美嘉「どういう事?」

P「とにかく中身を見てくれ、その方が早い」



プロデューサーさんが机に広げた手紙を、皆が一斉にのぞき込む



奏「.......これって!」

P「彼女もIGの決勝っていう最高のステージを、汚い手で汚されたくないんだろう。そりゃそうだ、あの子だって『アイドル』なんだから」

P「きっと彼女は、自分を取り巻く困難に葛藤し続けて、それでも自分の信念を貫いて、この手紙を俺たちに託してくれたんだろうな」

奏「だったら、私達はその想いに応えないといけないわね」

P「ああ、だから今日のレッスンからは、この手紙の内容を鑑みてメニューを組んでいく」



P「見てろよおっちゃん......あんたの腐った妨害を、煌く宝石に変えてやるよ」

251: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:21:45.55 ID:Nh7ciJkR0
周子「プレゼントの仕分け中にあの手紙を見つけた時はびっくりしたねー、決勝でこんな事されるよって、妨害の内容がズラーっと書かれてたんだもん」

奏「だからこそ私達は、その妨害を逆に利用できるように練習を重ねることができた.....彼女の決意を無駄にしないためにも、必ずLIVEを成功させるわよ」


美嘉「手紙によると、次はあたし達が先攻なんだよね?」

P「そうだ。おそらくリーダーのちとせの体力を回復させたいんだろう、残りの3人が前に出てくるはずだ。だが、リーダーが後ろに下がっているからと言って油断は出来ない。むしろちとせの頑張りに報いる為に全力で来るだろうな」

P「だが、この隙に勝負を仕掛けに行かなきゃ俺たちに勝機はないだろう。折角の先攻だ、一気にプレッシャーをかけに行くぞ!」


美嘉「次の審査は照明が落とされるんだっけ?なんか覇王エンジェルズの時に比べて、あたし達への妨害ちょっと甘くない?あの時は音響も照明も一斉に落ちたし、物理的に怪我までさせたのに」

P「向こうとしても、ProjectQueenの最後のステージが終わるまでは、審査が中止になるほど大きな事はしたくないんだろう。折角IGで優勝しても、審査が途中で終わったってミソが付けば、その後芸能界の覇権を取るのに支障が出るかもしれないからな」

P「だが、覇王エンジェルズはあれだけの妨害を食らっても動じない精神力があった。だからこそ、無理やりにも初手で一気に潰しにかかる必要があったんだろう。半面、俺たちにはそうしてこないって事は.......ムカつくことに、舐められてんだろうな」


奏「舐められてる.....ふーん」

周子「へぇ.....成程ねぇ。じゃあその油断に付け込ませてもらおうよ」

P「ああ、一発かまして、俺たちを舐めた事後悔させてやれ。その為にもお前ら、ちゃんと例の物は用意できてるか?」

奏「ええ、ちゃんと5人分用意してあるわよ」

志希「あたしも、頼まれてた物はばっちり作ってきたよー」

フレデリカ「"秘策"も、ばっちり用意してあるもんね!準備万端だよー♪」


P「OK!じゃあ次の審査も楽しんでこい!!」

252: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:22:58.84 ID:Nh7ciJkR0
第一審査では予定を狂わされたが、次はこうはいかない

偶然なのか狙ってやったのかはわからないが、確かにあのアカペラアレンジには驚かされた



だが、照明が落とされることの対策までは考えているか?

仮に考えていたとしても、さっきの様にプラスに変えることは出来ないだろう。精々損をできるだけ軽減させるのが関の山だ



なぜなら、誰からも姿見えなくなれば、アイドルはその価値を失くすから

アイドルの魅力は歌そのものではなく、"歌う姿"にこそ存在するからだ

必然、その姿が見えなくなれば、魅力は崩壊する



それに、人間は本能的に暗闇を恐れる物

明るいステージが突如闇に覆われたら、ステージに立つ本人も、観客達も、少なからず動揺し、会場は恐怖の渦で満たされるだろう

あいつらにその恐怖を覆すことなんぞ、出来やしない



891P(これで、終わりだ.....!)



奴等の絶望を目に浮かべながら、照明機器のコードを断つ

まるで、ギロチンを支える糸を切断する、処刑人のような感覚だった

253: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:23:27.76 ID:Nh7ciJkR0
だが、ただ一つだけ誤算があったとすれば

処刑台に捧げられていた首が、自分の物であったことだ

254: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:25:54.44 ID:Nh7ciJkR0
一瞬しか光ることのない花火が美しいのは、暗い夜に撃ち上げるから


周りに光がないからこそ、その一瞬の輝きが、より一層美しく映えるようになる

だから、今ここにある闇に包まれた世界こそ、私達の花火を撃ち上げるに相応しい舞台でしょう?



照明が落ちるのと同時に、私達は胸に潜ませた秘策を投げ上げる

投げ上げた物が最高点へと到達すると、それは鮮やかな色の煙を噴きだした





観客1「なんだ、あの鮮やかな色の煙は?」

観客2「綺麗.....それに、いい匂い.....」




流石に火薬を使うことは出来ないけれど、撃ちあがった志希特性の『香り付き煙玉』は、本物の花火より輝いて見えた


突然訪れた暗闇に動揺していた観客の目が、再び私達に集まる

そのチャンスを見逃さず、私達は二つ目の秘策、ペンライトを取り出した


虚空に向かって、光のサインを描く





姿が見えなくなって、不安に苛まれているファンの皆に証明するの

私達は、ここに居るって!!

255: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:26:34.08 ID:Nh7ciJkR0
891P(.....だが、足りないっ!!)





891P(確かに暗闇への対策はしてきたみたいだが、詰めが甘い!それじゃまだ足りないんだよ!)

891P(煙もペンライトも、誤魔化せるのは一瞬だけ!照明が戻らない以上、次第にまた"見えない事"の不安に取り込まれていく!少し驚かされたが、やはりここが奴等の最後......ッ!?)

256: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:27:50.08 ID:Nh7ciJkR0
二つの秘策をもってしても、この暗闇を完全に覆すことは出来ないでしょう

そんなの当然、分かってる



だからこそ、私達はもう一つ、絶対的な秘策を用意した

その秘策は、私たちでは.......いえ、きっとどんなに凄いアイドルだって実行できないでしょう









ただ一人、彼女を除いて





たとえ世界がどれ程の暗闇に覆われようとも、彼女のその笑顔は、『みんながハッピーでいられるように』と願う純粋な心は、揺らがない



いつだって太陽は、彼女の中にある!

257: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:28:48.14 ID:Nh7ciJkR0
どんなん時もアタシは、たくさんの太陽に照らされていた

ママやパパに、811プロのみんなに、ファンのみんな.....

アタシと出会ってくれた人達の笑顔が、アタシを照らし続けてくれた




だからアタシも、恩返ししよう!

みんなが照らしてくれて、ぐんぐん成長して、こんなに大きくなれたから

今度はアタシが、みんなを照らす太陽になるんだ!

258: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:29:31.93 ID:Nh7ciJkR0
フレデリカ「みんなー!大丈夫、アタシ達はここにいるよー♪」

フレデリカ「でもでも~、こんなに真っ暗だとみんなげんなりしちゃうよね~?そんな時は、隣の人と手を握ってみて!あったかくて、不安なんてぜーんぶ吹っ飛んじゃうよ!」

フレデリカ「みんなで手を繋いで、一緒に歌って踊ってはしゃいじゃおう♪きっと楽しいよ!」




彼女の声が、観客の心を照らしていく

照らされた心達が、手を取り合い繋がっていく




フレデリカ「じゃあいくよー?フンフンフフーン、フレデリカー!」

『フンフンフフーン、フレデリカー!!!』


何万人の人々の心が、今一つに繋がっていた





目に見えなくても、きっと彼らの瞳には映っているのだろう

太陽のように眩しい、フレデリカのとびきりの笑顔が!

259: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:30:22.70 ID:Nh7ciJkR0
颯「フンフンフフーン、フレデリカ―!」

凪「はーフン、洗脳フンされてフーンますねデリカ」

千夜「お前の方が重傷の様ですが」


颯「でも、これちょっとまずくない?観客の皆の心、大分持ってかれちゃってるよ?てか、はー達もなんだけどさ」

凪「照明のアクシデントと見せかけて、実は派手な演出を仕掛ける布石だったとは、人ができない事を平然とやってくれますね。そこに痺れたり憧れたりします」

ちとせ「..................」

千夜「仕方ありません。私達が全力で、あれより上の刺激を観客に与えてやるしかないでしょう。お嬢様の為にも、私達3人で.....」





ちとせ「いえ、私も前に出るわ」

260: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:31:16.62 ID:Nh7ciJkR0
千夜「お嬢様!?」

颯「ダメだよ!ちとせちゃんまだ第1審査の疲れが残ってるんでしょ?あんまり無理したら、また貧血で倒れちゃうよ!?」

ちとせ「それでも、やらなきゃいけないわ。LiPPSには、私達全員で立ち向かわなきゃ勝てない。一人も欠けることなく、全員でね」

ちとせ「それに....この最高の舞台で自分の限界を超えられなきゃ、トップアイドルになんてきっとなれないわ」



千夜「.....本気の様ですね、お嬢様」

ちとせ「ええ、だからみんな、お願い」

千夜「....それがお嬢様の望みならば、承ります」

颯「千夜ちゃん!?」







千夜「.......と、いつもの私なら、そう言うのでしょうね」

261: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:32:22.55 ID:Nh7ciJkR0
ちとせ「えっ?」


千夜「お嬢様、今回ばかりは非礼をお許しください。第2審査は、私とはーとなーがメインでやらせてもらいます。お嬢様は、なるべく体力を温存してください」

ちとせ「でも、手を抜いて勝てる相手じゃないわよ?」

千夜「手を抜くのではありません。勝つために全員が最善を尽くすのです。LiPPSに勝つために、最後の審査でお嬢様が全力を出せるよう、私達が支えるのですよ」

千夜「それに、もう私達はお嬢様に心配されなければならない程弱いアイドルではありません。どうか私達を、信頼していただけないでしょうか?」

颯「そうだよ!はー達だってやればできるんだから、もっとはー達を頼ってよ!」

凪「凪もはーちゃんと同じ気持ちです、双子ですので。シンクロ召喚ですね」

ちとせ「....分かった、みんなを信じるよ」

千夜「ありがとうございます、お嬢様」

262: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:36:00.52 ID:Nh7ciJkR0
ちとせ「それにしても、千夜ちゃんも変わったね。私の意見に反発するなんて、今まで無かったのに」

千夜「.....申し訳ありません」

ちとせ「違うよ千夜ちゃん、私今すっごく嬉しいの」

千夜「えっ?」


ちとせ「ちゃんと千夜ちゃんが、私以外の生きがいを見つけてくれたこと。アイドル、楽しいんでしょう?」

千夜「そんな、私はお嬢様の望みを叶えたいから........いえ、お嬢様のおっしゃる通りかもしれません

千夜「確かに今は、私自身がアイドルを楽しんでいるから、ここに立っている。そんな気がします」


ちとせ「そっか....ねぇ、千夜ちゃん。私今すっごく幸せなの。なんでか分かる?」

千夜「?.....一体、何故ですか?」

ちとせ「ずっと想い続けていた願いが、一つ叶ったからだよ」

ちとせ「だから、この審査が終わったら、幸せ次いでにもう一つみんなに話したいことがあるんだけど、いいかな?」

263: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:36:30.18 ID:Nh7ciJkR0
颯「いいよー!」凪「ペネ(良し)」千夜「もちろんです」

264: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:38:19.57 ID:Nh7ciJkR0
ちとせ「あら、みんな即答?」

颯「だって、ちとせちゃんが話したいことがあるなんて、すっごく珍しいじゃん!」

颯「それに.....なんかすっごく大事な話の様な気がするから、聞かないと後悔しそうだし」

千夜「何年も一緒にいるのですから、分かりますよ.........ですが、今は」

ちとせ「ええ、今はステージに立って、皆を魅了してくるのが先決ね。それじゃあ、行くわよ!」




私達『Project,Queen』全員で、会場の皆を虜にしてしまいましょう♪

265: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:42:21.56 ID:Nh7ciJkR0
    第二審査 結果

LiPPS      835678票(累計1613221票)     

Project,Queen  813443票(累計1632668票)




P「!?」


周子「よしっ!フレちゃんのおかげでリードを縮められたよ!この勢いで第3審査で.....」

P「いや、かなりマズイぞこれ.....」

周子「えっ?」

P「俺の見立てだと、この第2審査で逆転できる予想だった、いや、逆転できてないとダメなんだ!」

美嘉「逆転できないとダメ?」

P「第3審査のPrjectQueenは後攻.....大トリだ。当然、その分観客に与える印象は非常に強くなる。だからこそ、リーダーのちとせちゃんが体力を温存したこの第2審査でリードを取らなきゃいけなかったのに........」

志希「さっきの審査で前に出てた3人、すっごい集中力だったからねー」

フレデリカ「きっと、ちとせちゃんの為に、すっごく頑張ったんだろうねー♪」

P「そりゃあ、あの3人が全力を出してくることは想定していたが、それでも逆転できる予想だった。つまり、この土壇場であの子達はまた一つ進化したって事か!やっぱり、一筋縄じゃ行かねぇか」

P「厳しい状況になってしまったが、やるしかない。最後の秘策は残ってるし、どうにか先攻で一気に観客の心を持ってくしか......」

266: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:43:38.21 ID:Nh7ciJkR0
奏「待って!みんな、モニターを見て」

P「えっ?」





会場の巨大なモニターが、IG最後のコイントスを映し出す

そこに映し出されたコインは、『Project,Queen』の面を上にして止まっていた

それは同時に、私達『LiPPS』が後攻.....大トリを務める事になったことを告げる、福音でもあった

267: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/23(火) 22:44:15.03 ID:Nh7ciJkR0
P「俺たちが後攻だと!?大トリはProjectQueenになるよう細工がされてたんじゃ!?」

奏「理由は分からない.......でも、これだけは確かよ」





勝機はまだ、十二分に残ってる

きっとこれが、ハッピーエンドを掴むための、最後のチャンスよ!!






to be continued.........

273: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 19:56:42.02 ID:OPAh6Vca0
今日という日が終われば、明日は来ないかもしれない

毎日そんな風に、終わることへの恐怖に震えて生きている





でも、今だけは

死ぬことよりも、怖い事がある





例え、今日この命が終わるとしても、この最高のステージには、自分自身の力で立って、誇りを持って頂点を掴みたい

勝つためでも、納得の出来ない終わりにするくらいなら、死んだ方がマシよ

人生で一番の大舞台に立っているんだもの、誰だってそう思うでしょ?

274: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 19:58:30.39 ID:OPAh6Vca0
屋久井「おい貴様!ウチを大トリにしろと言ったじゃないか!?あんだけ金を握らせたのに、今更裏切る気か!?」

スタッフ「そんな!?あんたたちが変更の指示を出したんじゃないんですか!?」

891P「何を言ってる、そんなものは出していないぞ?」

スタッフ「嘘だ!だって、黒埼さんが報告にきましたよ!?計画に変更があるから、次の審査を先攻に変えてほしいって!」

891P「なんだって!?あいつ何考えてッ!?」

891P「いやそもそも、私達の計画を知っていたというのか!?まさか奴らに計画が読まれていたのも!」

屋久井「あの女、余計な真似を.....!!」


891P「しゃ、社長.....いかがいたしましょう?」

屋久井「仕方がない、こうなったら本当に計画変更だ。811プロは最終審査で徹底的に潰す、妨害の内容が漏れていたとするなら、それも変更しなければならないだろう」

屋久井「すぐに次の策を考えるから、891P君は黒埼君に事実確認をしに行きなさい。もし本当に我々の計画を知っていたとするなら、IGが終わった後、彼女には消えてもらわなければならない」

891P「か、かしこまりました!!」

275: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 19:59:50.66 ID:OPAh6Vca0
~~~ ステージ裏 ~~~


891P「はぁ....はぁ....あ、貴方たち」

颯「....なぁに、おじさん?そんなに息を切らして、今更何しに来たのさ?」

891P「おじさん、だと?私は貴方たちのプロデューサーですよ?貴方たちの勝利の為に、こうやって駆けつけたのに、酷い言い草じゃあ」

ちとせ「とぼけるの、やめましょう?」

891P「ッ....!」


ちとせ「私の魔法に気づいたから、急いで確認しに来たんでしょ?私が貴方たちにとって、消さなければならない人間なのか」

颯「ちとせちゃんから全部聞いたよ。プロデューサーに社長、二人でずっと悪い事してきたんでしょ?」

891P「そんな、違いますよ。みなさん黒埼さんのくだらない妄想に付き合わされているだけです、目を覚ましてくださ.....」










千夜「おい、今なんと言った?」

276: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:01:24.20 ID:OPAh6Vca0
891P「!?」



千夜「くだらないだと?お前たちの身勝手な欲望に振り回され、心臓に杭を打たれたような苦しみに悶え続け、それでも、人々の夢を壊さぬよう一人で戦い続けたお嬢様の意思を、くだらないだと?」

千夜「.................ふざけるなァ!!」

凪「吐き気を催す邪悪とは、まさにこのことですね、プロデューサー?」

凪「.......いや、失礼しました。もう貴方は、私達のプロデューサーではありませんでしたね。Ppayも、今日でサービス終了か」

891P「き、貴様ら.....!」

277: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:02:42.87 ID:OPAh6Vca0
千夜「よくも今までお嬢様を弄んでくれましたね......私は、"私達"は、お前を絶対に許さない」

颯「千夜ちゃんの言う通りだよ、『アイドル』の全てを汚し続けたあんたたちを、はー達は絶対に許さないから」

891P「貴様ら、分かっているのか?貴様らがIGの決勝まで来れたのは、私達の"助力"があったからだぞ!?」

ちとせ「だからこそ、よ。自分の最期の夢くらい、自分自身の力で掴み取るわ。女の子なんだから当然でしょ?」

ちとせ「それに、貴方たちの助力なんてなくても、私たちはきっとこの場所に立っていたわ。何年かかっても、きっとたどり着いた。だって、私達『ProjectQueen』の力を合わせれば、どんな運命にも打ち勝てたはずだもの」

891P「ちとせ、貴様ァ.....!」


千夜「お前はもう、その汚らわしい口を開くな。二度とお嬢様の視界に入るな、さもなくば.......」

凪「おっと、千夜ちゃんが本気の目になっていますね。あれはやるといったらやる、そんなスゴみがある目です。こっわ」

颯「でも、はやくはー達の前から消えてほしいのは同意かな。あたし達これから、サイッコーのステージで、世界一キラキラ輝いてくるんだから。だから、その邪魔はしないでよ?」

278: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:03:45.70 ID:OPAh6Vca0
891P「.....そうか。わかったもういい、勝手にしろ!」

891P「ただし、我々を裏切るのなら容赦はしない。IGが終わった後も、アイドルでいられると思うな!必ず、後悔させてやる.......!」

ちとせ「やれるもんならやってみなさい、どの道もう消える寸前の灯だけどね。それより、貴方たちは自分たちの心配をした方がいいわよ?」

891P「なんだと?」

ちとせ「勝敗がどうなるとしても、私達とLiPPSがぶつかる以上、IGが終わる頃には世界が変わっているわ。その変化に、貴方たちは抗えない。だから、精々怯えていなさい?」












多くの夢を踏みにじった貴方たちの業は、白木の杭に貫かれる

もう二度と、日の当たる場所なんて歩けないから........!

279: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:05:58.88 ID:OPAh6Vca0
司会が、Project,Queenの名を高く呼び上げる

それに続いて、狂ったような歓声が、雷の如く鳴り響く


.....うん、もう大丈夫

ずっと私を縛り付けていた鎖は、もう存在しない


今私の心には、雲一つない、清々しいほど鮮やかな快晴の空が広がっている

暖かい陽の光に照らされて、ずっと一緒に歩いてきた愛する人達と共に、いのちの灯を燃やしている



私は今日ここで、最高に輝ける。輝いて見せる

280: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:07:02.65 ID:OPAh6Vca0
そして、『LiPPS』

貴方たちには、本当に驚かされてばかりだった

どんな妨害も利用して、逆に自分たちを魅せる為の武器へと変える

まるで、魔法使いの様だった





でもね、魔法を使えるのは貴方たちだけじゃないの





"私達"にもまだ、とっておきの魔法が残っている

私達だからこそ使える、数多の人々を魅了して、この会場を支配できる魔法が




アイドルの"女王"の座は、私達の物よ!

281: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:08:16.49 ID:OPAh6Vca0
奏「Project,Queenの最後の曲は、『Fascinate』ね」

フレデリカ「確か、ちとせちゃんと千夜ちゃんのデュエット曲だったね。準決勝の最初の審査で歌ってたやつだ!」


P「......いや、ちょっと待て。あの時聞いたのと、何かが違う。裏で何か別の音が入っているような.......!?」

P「これ、『O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!』だ!予選の時の、久川姉妹のデュエット曲!」


美嘉「まさか、マッシュアップ!?あの二つ、全然曲調違うのに!」

志希「でも全然違和感ない.....ううん、もう完全に新しい一曲として生まれ変わってる。すっごく面白くて、興味深い面白い反応だね~!」

周子「"秘策"があるのは、あたし達だけじゃなかったって事か。こりゃ本格的にやばくなってきたね」

奏「この土壇場で、何度も進化を重ねる.......本当に凄いアイドル達ね。でも、勝機が無くなったわけじゃない」

282: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:09:08.78 ID:OPAh6Vca0
奏「向こうが戦いの中で成長するのなら、私達もそれより一歩先へ進化すれば、きっと勝てる。私達の力を合わせれば、きっとそれが出来る!」

奏「そうよね、プロデューサーさん?」


P「....ああ!俺たちにだってまだ最後の秘策が残ってるしな!」

P「それに、俺たちの一番の武器は、今もずっと胸の内で輝いてるだろ?」

周子「あたしたちの.......」

美嘉「一番の武器......?」



P「目を閉じて、自分の鼓動に耳を澄ませてみろ。感じるだろ?いつだってお前たちの心で燃えているものが」

P「思い出せ、どんな逆境の上でもブレることなかった、俺たち811プロの信念の炎を!」

283: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:10:21.33 ID:OPAh6Vca0
志希「........楽しむこと」

フレデリカ「それに楽しんで、みんなを楽しませる事!」

P「お見事!」

美嘉「うん、確かに感じる.....ステージに立つのが楽しみ過ぎて、待ちきれなくなってる自分が!」

周子「こんなに期待で心がバクバク脈打ってるの、人生で初めてだわ。でもこういうの、嫌いじゃないかな♪」


奏「どんなステージでも、私達は"楽しみたい"という気持ちを貫いてきた。なら今回も.....ううん、この大舞台でこそ、全力で楽しみましょう」

奏「そうすればきっと、ファンのみんなにこの炎が伝わる.....みんなの"楽しむ心"を、燃え上がらせることができる!」

奏「このセカイの感情を、"楽"一色に変えてみせましょう。それが、"トップアイドル"だから!!」





自分の心の内に、眩く輝くものがあることを確かに感じ取った私達の心が、今一つに繋がる

繋がった心が、私達の胸の奥に灯った炎を、聖火の如く熱く大きく燃え上がらせる!!

284: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:11:14.84 ID:OPAh6Vca0
P「よし、じゃあ最後のステージをしっかり楽しむためにも、今は彼女達のステージを楽しもう!」

『はーい!』


ソウダ!セッカクペンライトアルンダカラコレフッテオウエンシヨウヨ

イイネー!アタシタチモカンキャクニナッタミタイ!

イエーイ!ブンブン♪

スゴッ!フレチャンフリツケカンペキヤン!






P(だが、ここまで計画が崩れている以上、向こうも何も手を打たないなんてことはないだろう。きっとちとせちゃんが出してくれた手紙の内容から外れた行動を取ってくる)

P(俺もプロデューサーとして、全力で彼女達を守らなければ.......)

285: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:12:10.77 ID:OPAh6Vca0
ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!



颯「みんなー!盛り上げてくれて、本当にありがとー!!」

千夜「はい、今回ばかりは本当に、お前たちに感謝していますよ」

凪「千夜ちゃんがデレた、だと......?会場の皆さん、今です!シャッターチャンス!」

千夜「お、おい!やめろ!茶化すな!」

ちとせ「いいじゃない千夜ちゃん♪ほら、最後なんだし、ここまで私達を応援してくれたファンのみんなに、今日一番の笑顔を送りましょう?」

ちとせ「大丈夫だよ、千夜ちゃんの笑顔の可愛さは、私が一番知ってるから♪」

千夜「お、お嬢様まで......」

颯「あはは!それじゃあみんな、いっくよー!」



『Project,Queenを応援してくれて、本当にありがとう!!』



ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!

286: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:12:58.81 ID:OPAh6Vca0
~~~ ステージ裏 ~~~


『ハァ....ハァ.....』

颯「なんとか、やりきったね.....」

凪「ここまで疲れたのは、人生で初めてです。マジで倒れる5秒前です。早く控室で休みに行きたいですね」




息を切らしながら、震える手で握ったスマホの内カメラで、今の自分の顔を確かめて見る

あはは......疲れ切ってる。今にも死んじゃいそうな顔



でも、我ながら綺麗な顔してるね



まだ胸に火が灯っている内にこの鼓動を伝えようと、1つずつ指を動かしていく

287: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:14:43.00 ID:OPAh6Vca0
屋久井「いやー、凄かったよ君たち」

891P「......お疲れさまです、皆さん」

千夜「ッ!?お前達は!」


屋久井「まさか君たちの代表曲2つをマッシュアップするとは!そんな練習していたとは知らなかったよ。891P君にも秘密にしていたのかい?」

ちとせ「そうよ、驚かせてあげようと思って」

屋久井「ああ、本当に驚かされた.........色んな意味でな」

屋久井「だが、君たちには本当に感謝しているよ。おかげで我が891プロはついに、芸能界の覇権を握ることができる」

凪「嬉しくはありませんが、どういたしまして」

颯「はー達頑張ってこんなにファンのみんなの心掴んだんだし、もう十分でしょ?LiPPSの邪魔しないでよね」

屋久井「そうだね.....まぁ、いいだろう。"私"はもう、811プロに手を出さない事を約束しよう」

千夜「信用できるとでも?」

屋久井「安心しなさい。私だって"最期"のステージを華々しく飾ってくれた英雄に嘘はつかない」

ちとせ「そう......ならいいわ。私達は控室で休ませてもらうから、またね」

288: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:15:34.82 ID:OPAh6Vca0
肩の力を抜きながら悪魔の横をすりぬけつつ、がくがくになった足で滑稽に、されど自分の力で歩く


そのすれ違いざま、指先のまで込めていた力を抜いて心を落ち着かせ、呪文を唱えた

誘惑するような甘い声で、だけど銀の弾丸の様に冷たい呪文を





ちとせ「これで、貴方たちも終わりよ」

289: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:16:11.06 ID:OPAh6Vca0
屋久井「フン、生意気な小娘だ」

891P「しかし、ある意味嬉しい誤算でしたね。これだけ斬新かつハイクオリティのパフォーマンスなら、わざわざ妨害しなくても」

屋久井「いや、万が一という事もある。やはり811プロにはここで散ってもらおう」

891P「ということは、やはり811プロに手を出さないというのは嘘ですか?」

屋久井「約束したのは"私"が手を出さないという事だけだ。君が手を出す分には嘘をついたことにならないだろう?」

891P「ああ、そういう事ですか。では、私はどうすれば?」

屋久井「当初予定していたセリを落とす妨害は読まれているだろうから、手を変える。ちょうど今日はいいものを持ってきていてね」ガサゴソ

屋久井「.......これだ」

891P「これって....なっ!?」








891P「拳銃じゃないですか!?」

290: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:17:11.92 ID:OPAh6Vca0
屋久井「人に恨まれることも多い立場だからねぇ。もしもの時の為に取り寄せておいたのさ。なんとなく今日は嫌な予感がしたから持ってきていたんだけど、まさか本当に使う時が来るとはねぇ」

屋久井「というわけだ、君はステージの奥からこれで奴等の頭をぶち抜いてくれたまえ」

891P「さ、流石に殺人はマズイですよ!」

屋久井「大丈夫だよ、スタッフにはちゃんと話を付けておくから」

891P「で、ですが!」



屋久井「断ってもいいが、その時は......分かっているだろう?」

891P「ッ!?」

291: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:17:57.43 ID:OPAh6Vca0
屋久井「君が今の様な暮らしをする事が出来るのは、私の力あってこそだ。もしそれが無くなれば、君に待ち受けているのは破滅のみ。Project,Queenを制御できなかった責任は、ちゃあんと取らないとねぇ?」

891P「そ、そんな........」

屋久井「なぁに安心なさい。ステージの奥は暗い上にセットの陰に隠れて客席からはほとんど見えないから、売った後すぐに逃げればバレやしない。仮に怪しまれても、私が何とか警察に口利きしてあげよう」

屋久井「それにまぁ、最悪当てられなくてもいい。銃声一つ聞こえるだけで、奴らも観客もパニックになるだろうからな。そうすればどの道勝つのは私達だ」

891P「ほ、本当ですか?」

屋久井「891P君。私が聞きたいのはやるかやらないか、どっちなのかだ」









891P「........やります」

292: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:18:44.62 ID:OPAh6Vca0
屋久井「良い返事だ。私は部下に恵まれて嬉しいよ」

屋久井「撃つタイミングはそうだなぁ.....やはり銃声が綺麗に響くように、曲が始まる直前にしよう。ターゲットは誰でも構わないが、そうだなぁ........どうせならあいつがいい」

891P「あいつ、とは?」

屋久井「LiPPSのリーダーの、速水奏君だよ。最後の審査が始まる直前、リーダーが非業の死を遂げる!奴等にとって、これ以上ないくらい相応しい結末じゃないか!」





屋久井「811プロ、それにP.........散々私をコケにしてくれたが、もう、貴様らは終わりだ。あの時のように、目の前で貴様の大切なものを奪ってやる!アーハッハッハッハッ!!!」

293: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:19:40.69 ID:OPAh6Vca0
奏「みんな、準備は出来てるわね?」

周子「もちろん!今日はあたしたちの本気、出しつくすよ!」

フレデリカ「だいじょーぶ♪みんなの背中はフレちゃんにお任せ!」

美嘉「じゃあ、フレちゃんの背中はあたし達が!みんなで支え合えば、あたし達きっとムテキだよ★」

志希「この先に広がるのは、誰も見たことのない未知の世界!楽しみ過ぎて、あたし飛んでいっちゃいそうだよ!」

奏「OK!じゃあ、行くわよ!!!」





大勢の人間が、私達を、『LiPPS』を求めて待っている場所へ

人々の夢が花となり、鮮やかに狂い咲き誇る、あの輝かしい『花園』(ステージ)へ!!!!

294: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:21:13.78 ID:OPAh6Vca0
891P「も、もうすぐ奴らのステージが始まっちまう.....クソッ!」

891P「でも、や、殺るんだ.....殺らないと、終わりだ.....!大丈夫、すぐに逃げれば、守ってもらえる....きっと.....」


スタッフ1「君、891Pか?」

891P「ひっ!?は、はいそうです!あ、貴方達は....?」

スタッフ2「891プロの息のかかったスタッフ、ってところかしら?」

スタッフ3「話は聞いてます。ライバルのLiPPSのステージを間近で見て研究する為に、LiPPSの舞台の奥に隠れさせてほしいんですね?」

891P「そ、その通りです!」

スタッフ3「いや~素晴らしく仕事熱心な方なんですね~!なにせ」










スタッフ3(P)「891プロの為に、人殺しにまでなるんだから」

295: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:22:14.00 ID:OPAh6Vca0
891P「へっ?」


スタッフ1(ベテトレ)「せいっ!」

891P「ぐはぁ!」

P「うひょー、相変わらず見事な技だこと」

ベテトレ「青木家直伝、確実に男をオトす108の奥義さ」

スタッフ2(早苗)「物理的に落としてどうすんのよ。でも、有り難いわね。そのままシメといて」

ベテトレ「ああ」ギチギチ

891P「あだだだだだだだだ!!!!!」


早苗「じゃあ荷物改めさせてもらうわね.......ハイ拳銃みっけ、証拠として押さえさせて貰うわよ」

早苗「んでついでに手錠をガチャリと、銃刀法違反及び殺人未遂で現行犯逮捕よ」


891P「な、何で計画がばれたんだ!?」

P「お前らの敗因はただ一つだよ。お前ら、自分の担当舐めすぎ」

891P「な、なんだと......?」

296: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:23:37.61 ID:OPAh6Vca0
~~~ ProjectQueenのステージ終了直後 ~~~


P「一応青木さんと片桐さんに連絡してあちこち警戒してもらっているが、891プロがどこから攻めてくるか分からねぇな.......」トゥルルルルル

P「こんな時に電話か。二人が何か見つけたか......って、鳴ってたのは仕事用の携帯か。なんだこの番号?」ピッ




『そうだね.....まぁ、いいだろう。"私"はもう、811プロに手を出さない事を約束しよう』




P「!?」

297: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:24:20.84 ID:OPAh6Vca0
この声、おっちゃん!?




『信用できるとでも?』

『安心しなさい。私だって"最期"のステージを華々しく飾ってくれた英雄に嘘はつかない』

『そう......ならいいわ。私達は控室で休ませてもらうわ、また後でね』




この電話をかけてきた当人であろう少女の声と、その仲間たちの声がどんどん小さくなっていく

だが、残った二人の男の狂った会話は依然、スピーカーを通して漏れ続けている





P「......成程ねぇ。これ、意外と常套手段だったみたいだな」

298: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:24:57.72 ID:OPAh6Vca0
891P「まさか、また黒埼が....!」

P「あんた達が奏を撃ち抜く前に、彼女の放った銀の弾丸が、悪魔に魂売ったあんた達の心臓をぶち抜いたってわけさ」

P「そうだ、ついでにちょっとあんたの携帯借りるな」ピポパポ

891P「ふざけるな、返せ!」

ベテトレ「少し黙っていろ」ギチギチ

891P「あばばばばばば!!!!」

早苗「覚悟しなさいよ~?青木ちゃん、『あの子』を売ったあんたの事めっちゃくちゃ恨んでるから」

ベテトレ「『あの子』の分も含めて、しっかり利子を付けて返させてもらうぞ」ギチギチギチ!!

891P「あががががががgっがあg!!」

299: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:26:13.11 ID:OPAh6Vca0
ガチャッ


屋久井『891P君、急に電話をかけてきてどうしたんだい?』

P「891P?誰それ?俺Pです!」

屋久井『なんだと......?』

P「まぁそういうこった、あんたらの作戦は失敗したんだよ」

屋久井『貴様、一体何故!?』

P「答えは、あんたのポケットの中」

屋久井『はぁ?.......これは黒埼君のスマホ!?まさか、あの時に!』


P「つまり、あんたは2回もちとせちゃんに嵌められたって事。同じ女、しかも担当アイドルに二度ひっかけられるとか、おっちゃんって"救いようのない馬鹿"だな」

屋久井『P、貴様ァ!』

P「まぁそうカッカせずにさ、ウチのLiPPSのステージを楽しんでくれよそんでもって、しっかり噛み締めるんだな」








あんたたちが今まで、どれだけ尊いものを壊し続けていたのかを!

300: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:26:51.76 ID:OPAh6Vca0
~~~ 2週間前 ~~~


P「レッスン始まる直前で悪いが、お前たちに大事な話がある」

周子「なんなん急に改まって?というか、今の時期に出る話って全部重要やと思うけど」

P「昨日一晩ずっと考えてある結論にたどり着いたんだが.....率直に言うと、このままじゃお前らはIGの頂点を掴めない」

奏「それは、一体何故?」

P「今のお前らは、確かにトップアイドルに相応しい技術と精神を見につけている。だが、IGっつー特別な舞台では、それだけじゃ勝てない。なんつーか多分、もっとドデカいインパクトを観客に与えれないといけないんだ」

P「だが安心しろ、俺もちゃんとプロデューサーとして、最後の秘策を考えてきた」

フレデリカ「その気になる秘策とは.......CMの後で♪」

美嘉「いやいや!CMとかないから!」



P「最後の秘策、それは............」

301: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:27:40.82 ID:OPAh6Vca0
最後のステージの衣装は、ちょっと特別

特別といっても、胸に一つ花を差し込んだだけだけど

それでもこの一輪は、何よりも特別な意味がある

『思いやり』の花言葉を持つそれは、どんな花より私達に勇気をくれる!

302: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:28:12.87 ID:OPAh6Vca0
奏「みんなー!私達、このIGという大舞台の為に、ここまで私達を応援してくれたみんなの為に!とっておきのプレゼントを用意してきたわ!」

周子「ほうほう!それじゃ、気になるプレゼントの正体、さくっと発表しちゃいましょうか♪」

奏「ええ!それじゃあ行くわよ、皆に送るプレゼントの正体、そして、IGという最高の舞台をを締めくくるフィナーレの正体は!」



パチン、と指を鳴らす

それを合図に、モニターに"プレゼント"の正体が映し出される

同時に、会場を狂喜の嵐が包み込んだ

303: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:28:51.64 ID:OPAh6Vca0
それは、たった5文字のアルファベット

だけど、このキラキラ輝く素晴らしき世界に、『私達』が捧げるとっておきの贈り物!!

304: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:29:18.65 ID:OPAh6Vca0

奏「みんな、準備はいいかしら?IG決勝、最後の最後で初公開する、とっておきの完全新曲、その名も.......」

305: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:29:44.63 ID:OPAh6Vca0



Capter24 「Tulip」




306: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:30:57.81 ID:OPAh6Vca0
   ・
   ・
   ・
   ・



P「どうだ、この曲の感想は?」

美嘉「凄い.....まだ声が入ってないのに、凄く引き込まれる」

志希「歌詞もなかなか興味深いねー。確かにしゃべるだけなら唇っていらないし。でも」

奏「キスするために、咲いている。ロマンチックでいいじゃない」

周子「Pさんったら、よくこんなすごい曲持ってこれたね?いつの間に用意してたん?」

P「用意してたって言うか、元からあったんだよ」

美嘉「元からあった?」



P「この曲はな........俺が歌を教えてた、『あの子』が作った曲なんだ」


『!!!』

307: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:32:27.81 ID:OPAh6Vca0
P「『あの子』は、この曲に自分自身の歌を付ける事を夢に抱いてたんだ。でも結局、それが叶うことはなかった........」

周子「それで、お蔵入りになっちゃったんやね」

P「実はな、あの子が死んでからずっと、ずっとこの曲が嫌いだった」

奏「それは、思い出してしまうから?」

P「ああ、この曲を聞くと思いだしちまうんだ。『あの子』の事を......だから、必死に忘れようとしていたんだ、でも」

フレデリカ「忘れられなかったんでしょ?思い出すと苦しくなっても、プロデューサーの大事な思い出だもんね。そんなの、忘れられる訳ないよね」

P「その通りだ。どれだけ苦しむとしても、どれだけ逃げ出したくっても、この曲のことだけは、あの子の夢が詰まったこの曲のことだけは!忘れる事が出来なかった.......俺にとって『Tulip』は、大嫌いな曲だけど、何よりも愛おしい、思い出の曲だったんだ........」


P「だからみんな、頼む!」

308: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:34:15.92 ID:OPAh6Vca0
P「お前らの手で、この曲を完成させてやってくれ!『あの子』の夢を、あの子が何より憧れていたあの舞台へ、一緒に持っていってやってくれ!」


『任せて!!!』




奏「プロデューサーさん、私達この曲も、この曲に込められた夢も、必ず最高のステージで、何よりも華やかに咲かせてみせるから!」




だから、『あなた』もプロデューサーさんと一緒に見ていて頂戴

『あなた』と私達の夢が、花開く瞬間を!

309: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:35:04.21 ID:OPAh6Vca0
チューリップの花言葉の由来は、オランダのある物語から来ているらしい


その昔、ある村に住む一人の少女が三人の騎士にプロポーズされた

騎士たちはそれぞれ家宝の王冠、剣、黄金を少女に贈ったが、優しい少女は自分を愛してくれた三人の騎士を思いやるあまり、一人を選ぶことができなかった

そしてとうとう結論を出すことができなかった少女は、花の女神に自分を花に変えてくれるよう頼んだ

女神は少女の願いを聞き入れ、少女をチューリップの姿に変えた

チューリップの姿は、彼女へと贈られた家宝から形作られている




その葉は剣、芸能界に吹き荒れた悪意の嵐に真っ向から立ち向かった、彼女達の覚悟

その球根は黄金、黄金の様に眩い輝きを放つ、彼女達の抱いたトップアイドルという夢

その花は王冠、今まさにアイドルの頂点を掴もうとするあの子達へ贈られる、トップアイドルになったことの証




そして、チューリップにはもう一つ花言葉がある

それは.....................

310: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:36:36.16 ID:OPAh6Vca0
トレーナーさんに早苗さん、ちひろさんにトライアドプリムス、ProjectQueenに、ずっと支え続けてくれたプロデューサーさん

そして、私達とプロデューサーさんを引き合わせてくれて、私たちに夢を託してくれた、顔も知らない『あなた』



見て、いま私達は、このドームに集まった全ての人達の心は、一つに繋がっている

心の揺らめきに合わせて、その手のサイリウムを揺らめかせる

その光景はまるで、優しい風が吹き抜ける色鮮やかな花園のよう



性別も出自も年齢も思想も、彼らの放つ光の色は、みんな何もかも違うはずなのに

一つ一つの光が、必ずほかの誰かと繋がっていって、一つの大きな束となっていく




これが、私達の抱いた"愛"そのもの



どんな嵐が吹き荒れようと、私たちはここに咲いていられる。隣を一緒に歩んでくれた仲間たちがいるから、その嵐の先に、淡く光る希望を見つけられる

だって私達はアイドルという人生の舞台を、本当に愛しているから!

311: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:37:41.07 ID:OPAh6Vca0

奏(そう、これが『私達』全員で作りあげた.......)

312: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:38:21.68 ID:OPAh6Vca0

P「虹光の花束........」

313: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:38:53.66 ID:OPAh6Vca0
ああ、ちくしょう。分かってた、分かってたよ

『あの子達』の夢が花咲く瞬間を見れば、こうなるって分かってたんだけどなぁ








涙が、止まらねぇや................

314: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:39:55.59 ID:OPAh6Vca0
司会「いやー......本当に、本当に、どちらも素晴らしいステージでした!わたくし、感動して、涙が止まりません.......!」

司会「しかし、ついにこのIGも最後の結果発表、終わりの時間となってしまいました。激戦に続く激戦の末、トップアイドルの称号、Sランクアイドルの座を手にするのは果たしてどちらのユニットか!!」





奏(やれることは、全部やった。全力を出しきった)

ちとせ(だからあとは、ただ、受け入れるだけ)






司会「それでは発表します!IDOL OF GRATESTに優勝し、名実ともにアイドル界の王者の座を手にしたのは!」

315: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:40:56.97 ID:OPAh6Vca0
      最終結果




LiPPS      1333590票(累計2946811票)    






Project,Queen  1260901票(累計2893569票)










優勝 LiPPS(811プロ)

316: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:41:39.83 ID:OPAh6Vca0
早苗「やっ....」

ベテトレ「やっ....」







P「やっ、た.....?」










『いやったあああああああああああああああ!!!!!!!!!!!』

317: ◆FuHrdA/9sY 2019/04/29(月) 20:42:07.64 ID:OPAh6Vca0

to be continued






and,the time of Ending........

322: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 21:37:01.85 ID:Hr5KE0bL0

Chapter Final「Under the Moon」

323: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 21:38:41.69 ID:Hr5KE0bL0
ちとせ「そっか。私達、負けちゃったか」

千夜「ッ.....申し訳ございません、お嬢様」

ちとせ「謝らないで千夜ちゃん。負けたのは千夜ちゃんのせいじゃないでしょ?」

ちとせ「私達は全員で力を合わせて、これ以上ないってくらい全力で挑んで、その上で負けた。だから、誰のせいとかじゃないわ。みんなで頑張って、みんなで負けたの。だから、反省するならみんなでね」

颯「そうだよ千夜ちゃん!みんなでこの悔しさを分け合って、いつかきっとリベンジしよう!はー達で力を合わせれば、きっと大丈夫だから!」

颯「だから........................う、うわああああああああああああああああん!!!!やっぱり悔しいよー!!!!!!」

凪「おや、はーちゃんがここまで泣くのは久しぶりですね。私がはーちゃんのプリンを間違って食べてしまった時以来でしょうか」

千夜「.......気づいていないようだが凪、お前も泣いているぞ」

凪「えっ.....?」

ちとせ「いいのよ二人とも、今日はみんなで泣いて、みんなで乗り越えましょう?」

颯「うぅぅ....ごめんねちとせちゃん.....!ちとせちゃん、ずっとはー達の為に頑張ってくれてたのに......!」

ちとせ「もう、はーちゃんも謝らないの。私はこの道を選んだこと、ちっとも後悔なんてしてないんだから」

ちとせ「だって、負けちゃったけど楽しかったもの。『黒埼ちとせ』の最後のステージを、こんなにも夢のある終わりにする事が出来たんだから」

ちとせ「本当に......よかっ、た.......」










ドサッ


『お嬢様((ちとせちゃん))!?』

324: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 21:39:31.36 ID:Hr5KE0bL0
ちとせ「あはは.....やっぱり、無理し過ぎちゃったかな。身体、動かないや」

千夜「お嬢様、しっかりしてください!」

ちとせ「ごめんね、みんな........私、これが本当に最期のステージになっちゃったみたい」

凪「最期.....?そんな、まるで死ぬ前みたいな.....」

ちとせ「すぐ死んじゃうわけじないと思う。でも、もうアイドルを続けるのは、無理かな.......」

颯「何言ってるのちとせちゃん!まだ、まだあと一年はあるんでしょ!?あたしたち、これからなんだよ!?今度こそ胸を張れるアイドルとして、みんなで頑張っていこうって言ったじゃん!」

ちとせ「実はね.....一年っていうのは、激しい運動をせず、安静に日々を過ごしていたらって話だったの。今までずっと誤魔化してきたけど、正直、このIGが私の最期になるってことは、なんとなく分かってた」

颯「そんな........」

ちとせ「でも、本当に後悔はないわ。最期まで貴方たちといられたから、だから、私は幸せなの」

ちとせ「最期にして最高の舞台で、私が生きた証を残せた.....本当にもう、十分よ........」

325: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 21:40:15.72 ID:Hr5KE0bL0
最期なんて言うには、まだ早いんじゃないかにゃー?

326: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 21:41:02.02 ID:Hr5KE0bL0
ちとせ「えっ....?」

千夜「お前たちは......」

ちとせ「ふふっ....LiPPSも、私を看取りに来てくれたの?」

奏「違うわ。貴方に伝えなきゃいけない事があるの」

ちとせ「伝えなきゃ、いけない事?」

志希「ちとせちゃん、これを見て」スマホ








[不治の奇病、MITの一ノ瀬教授がついに特効薬を完成]

327: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 21:41:37.65 ID:Hr5KE0bL0
ちとせ「えっ......」

千夜「この病は、お嬢様の.......」

奏「貴方の病気は今、"不治の病"から"治る病"に変わったの。だから、最期だなんて言わないで」

周子「しっかり病気を治してさ、また一緒にステージに立とうよ。リベンジ待ってるからさ」

颯「ほ、本当に....?本当にちとせちゃんは治るの?あたし達と一緒に、アイドル続けられるの......?」

志希「本当だよ。なんたって作ったのは、あたしのパパだからね!」

凪「そうなんですか......」

颯「よ、よ.......」







颯&凪「「よがっだアァァァァァ!!!!!!!!」」


『!?』

328: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 21:42:50.64 ID:Hr5KE0bL0
凪「よがっだでずねはーちゃん!本当に......本当に!」

颯「うん!うん!本当によかったよお"お"お"!!!!!!!!」

千夜「お前たち......普段の性格は違う癖に、泣く姿はそっくりだな......」


千夜「でも.....本当に、よかった........」

ちとせ「夢じゃ、ないの....?本当に私、まだ生きられるの.....?こんな奇跡、本当に起こっていいの....?」

美嘉「確かに奇跡だけど、偶然起きた奇跡じゃないよ。自分が誇れる生き方で必死に生きぬいてきたからこそ、自分の手で掴み取る事が出来た"報酬"だよ」

フレデリカ「きっとちとせちゃんが頑張ったから、神サマがご褒美をくれたんだよ!"もっとアイドルとして輝く姿を、わしに見せてくれー!"って♪」

フレデリカ「だから、治ったらまたみんなで一緒に遊ぼうね♪約束だよ」

329: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 21:44:43.91 ID:Hr5KE0bL0
千夜「それにしても、よくお嬢様の病の事を知っていましたね?」

志希「ママが、同じ病気だったんだ。だからちとせちゃんを見た時すぐ分かったよ」

志希「......今度こそ、助けられた」

千夜「そう、だったのですか......」

ちとせ「なら、"明日の為に"、私達も残ってる仕事を片付けなきゃね。みんな、一緒に来てくれる?」

千夜「もちろん。どこまでもお供しますよ、お嬢様」

凪「いつ出発する?私も同行する」

颯「4人全員そろっての『Project,Queen』だからね!」


奏「........貴方たち、まさか」

周子「大丈夫なん?きっと今後の活動に差し支えるよ?」

ちとせ「いいの、これは私達が新しい道を歩むために必要なことだから」

ちとせ「それより、貴方たちもまだやり残したことがあるんじゃない?」

奏「.....そうね、まだ最後の仕事が残ってる」

ちとせ「なら、この世界の頂点に立った貴方たちの手で、引導を渡してきて。アイドルの世界の"夜"を、終わらせて」










この世界の新しい夜明けを、迎え入れるために............

330: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 21:45:29.34 ID:Hr5KE0bL0
屋久井「クソッ、どいつもこいつもしくじりおって!」

屋久井「......だが、まだ終わったわけじゃない。邪魔者を排除し、今度こそ私がこの世界の覇権を......」










???「いいや、これで終わりだ」

331: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 21:46:13.51 ID:Hr5KE0bL0
屋久井「ッ貴様は!?」

P「おっちゃん、もうやめにしよう」

891P(縛られ状態)「くっ.....」

ベテトレ「891プロのプロデューサーは抑えた」

早苗「あんたが渡した拳銃もばっちり証拠として確保してある。もう逃げられないわよ」


屋久井「......なんの事かね?891P君の犯罪と私に、一体何の関係が?」

891P「なっ!?」

屋久井「彼は先程解雇したのだよ。その後に彼が何をしたところで、私とは無関係だ」

891P「そんな!?話が違います!?」

P「とぼけても無駄だぞ、あんたらの会話はばっちり録音してある。拳銃だって、詳しく調べれば入手ルートも指紋も出てくる。これだけ証拠があれば.....」

屋久井「フン、それがどうしたというんだね?」

P「なんだと......?」

332: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 21:47:01.04 ID:Hr5KE0bL0
屋久井「忘れたのか?そこの婦警が謹慎を言い渡された理由を」

早苗「あんたが警察の上層部に圧力をかけたからでしょ?でも、いくらなんでもここまで証拠がそろえば......」

屋久井「甘いな、貴様らは本当に甘い!」

早苗「はぁ....?」

屋久井「私の警察組織の"顧客"が誰だと思う?『警視総監』だよ」

早苗「なんですって!?」

ベテトレ「警視総監?」

早苗「......警視庁のトップ、警察組織のナンバー1よ」

ベテトレ「なるほど、だがそれが一体どうした?この男と一緒に、その警視総監とやらも吊り上げられるだけだろう」

早苗「ッ.........」ギリッ

P「片桐さん....?」

333: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 21:48:12.42 ID:Hr5KE0bL0
屋久井「どうやら気付いたようだな」

早苗「警察組織のトップが犯罪に加担していたとなれば、警察という組織そのものの信用は失墜する。そのような事態になるなら.....」

屋久井「そうだ、私が何もしなくとも警察は勝手に証拠隠滅を図るだろう。当然、その秘密を握る私を逮捕することなどできやしない!」


P「だがっ!俺たちがこの証拠をどこかにリークすれば......ッ!?」

屋久井「流石の君でも分かるか。それこそ無駄なことだよ、私に逆らえるマスコミなど存在しない。どんな情報を持って行ったところで握りつぶされるだけだ」

屋久井「むしろ、"我が社を陥れるために811プロが工作した"とでも書き替えられるんじゃないかね?」

P「くそっ.......」

屋久井「残念だねぇ、ここまで無駄な努力を重ねた結果が、こんなつまらない結末だなんて!アーッハハハハハハハ!!!!」

334: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 21:48:52.51 ID:Hr5KE0bL0
奏「いいえ、最高のエンディングよ」

335: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 21:50:30.56 ID:Hr5KE0bL0
屋久井「何.....?」

奏「これを見なさい」




私は自分のスマホを屋久井に投げ渡す

そこに映し出された、悪魔を穿つ最期の弾丸と共に




ヨーツーブLIVE

【Project,Queen 重大発表】



ちとせ『みんな、聞いてくれているかな?』


屋久井「黒埼.....?」


ちとせ『それじゃあ、話させてもらうわね.....891プロがこれまで行ってきた悪事、その真実を』






『!?』

336: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 21:51:13.40 ID:Hr5KE0bL0
千夜『891プロは今まで屋久井社長の先導の元、買収、枕、ステージの妨害.......この芸能界において悪とされることの全てを行っていました』

千夜『先日の覇王エンジェルズの事故も、891プロが仕込んだものです。これまでに悪事を裏付ける証拠も、既に811プロが握っています』

凪『ソースは私達。LiPPSが立ち向かってくれなければ、芸能界は吐き気を催す邪悪に堕ちていた。私達も何も知らぬまま、間違ったアイドルを続けていたでしょう』

颯『知らなかったとはいえ、私達のせいでひどい目に合った人達はたくさんいると思う......本当に、ごめんなさい!』






屋久井「なんだ、これは....一体どうなっている....クソッ!」


屋久井「くっ、クソっ!」ピポパポパ

屋久井「おい!あいつらの行動は監視しておけと言っただろう!?今すぐ放送を止めろ!」

スタッフ『む、無理です!止めようにも大量のファンたちの妨害を受けて、見動きが取れません!』

337: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 21:52:29.10 ID:Hr5KE0bL0
屋久井「なんだと!?ええい!なら動画サイトの方に強制終了するよう要請を」

周子「無駄だよ、もう現場に駆け付けたファンの皆が拡散してる」

周子「『大事な話をしたいから、みんな私たちを守りに来て』.....たったそれだけのツイートで、今これが放送されている場所には何千、何万の人達が集まってる。流石トップアイドルだよ」

美嘉「これだけじゃないよ、あんたが利用してた元061プロのアイドル.....あたしの仲間達も今、あんたにやらされた●営業の話を暴露してる」

美嘉「みんなもしもの時の為に、ちゃんと証拠を握っていたんだよ。でも、ずっとあんたからの報復が怖くて抱え込んでたんだ。それを、また自分たちが酷い目に合うかもしれないって覚悟の上で、みんなであんたを倒す為に公表してるんだ!」

奏「耳を傾けてみなさい、聞こえるでしょ?貴方への怒りの声が」

屋久井「何....?」







ファン1「出て来い屋久井!アイドルを食い物にしやがって!」

ファン2「よくも俺たちのアイドルに手を出してくれたな.....万死に値する!」

ファン3「絶対に放送を止めさせるな!LiPPSとProject,Queenの覚悟を無駄にするなァ!ファンなら推しを死んでも守れェ!!!!」


ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!

338: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 21:53:27.76 ID:Hr5KE0bL0
屋久井「こんな、こんな事が.....!?」

美嘉「見たか!アイドルを舐めないでよね!」

周子「ちなみに~、今志希ちゃんとフレちゃんも生配信してるとこだよ。今まであたしたちが集めた証拠を大公開中♪志希ちゃんの科学的な解説付きでね。ほら」




志希『とゆーわけで、状況証拠的にも科学的にも、最近の阿苦都苦出版は891プロとイリーガルな取引をしてたのは確実ってワケ』

フレデリカ『すごーい!フレちゃん難しい話全然分かんないけど!』

志希『だいじょーぶだいじょーぶ、分かる人にはちゃんとわかってもらえるから♪』




屋久井「き、貴様ら........」

周子「勿論止めようったって無駄だよ、あっちにもいっぱいファンが集まってるからね」

339: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 21:53:58.63 ID:Hr5KE0bL0
奏「警察でもマスコミでも、どうぞ自由に使ってちょうだい。そんなものを積み重ねたところで、私達が火をつけた心の束には勝てないわ」

奏「貴方は最後の最後で、自分が利用し続けてきた『アイドル』に敗れるのよ」

340: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 21:54:43.80 ID:Hr5KE0bL0
屋久井「..........なら」




早苗「ッ!奏ちゃん危ない!」

奏「えっ?」

屋久井「貴様も道連れだ!!」チャキッ





拳銃!?もう一丁持っていたの!?

逃げなきゃいけない、なのに、突然眼前に突き付けられた死の恐怖に、足が固まってしまう






早苗(しまった、間に合わない.....!)

341: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 21:55:12.70 ID:Hr5KE0bL0
パァン!!

342: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 21:56:13.11 ID:Hr5KE0bL0
P「ッ......」ポタ......ポタ......

奏周美「「「プロデューサー(P)さん!!!」」」

早苗「ッ!そおりゃっ!」

屋久井「ぐはっ!」




早苗さんが銃を蹴り飛ばし、屋久井を抑える

でも、今はそんな事より!




奏「そんな、私をかばって!」

P「大丈夫、かすり傷だ.......」

美嘉「そんな訳ないじゃん!早く血を抑えて!」

P「大丈夫だって...それに、俺も終わらせないといけないから.....」

周子「終わらせるって、何を......」

343: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 21:56:59.45 ID:Hr5KE0bL0
プロデューサーさんが足元に転がった拳銃を拾い上げる

そして私達の顔を見つめて、可細い声で、だけど確かに意思のこもった声で囁いた



P「もう、大丈夫だ。だからどうか、見守っていてくれ......」

奏「プロデューサーさん........」



......そっか

今度は私達が、彼を信じる番なのね

344: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 21:59:14.83 ID:Hr5KE0bL0
奏「分かったわ。でも、必ず帰ってきてね」



彼は小さく頷き、柔らかく微笑む

そして屋久井にフラフラと近づき、その頭に銃口を突きつける



早苗「P君!?」

ベテトレ「P!止めるんだ!」

奏「待って二人とも!」

早苗「奏ちゃん!?でも!」

奏「お願い。彼を、信じて.........」

345: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 22:00:29.45 ID:Hr5KE0bL0
屋久井「や、やめろ!撃つな!」

P「おっちゃん.........俺はあの日からずっと、あの子を貶めた犯人をどうやってぶっ殺すか考えてきた」

P「頭の中で何度も何度も、犯人を殺し続けた。そして今、その妄想が現実になろうとしている」

屋久井「ヒ、ヒィ......」


P「怖いのかおっちゃん?それとも、見下してた人間に陥れられたのが屈辱的か?」

P「でもな......あんたが食い物にしてきた人達が味わった恐怖も屈辱も、こんなもんじゃないだろう。あんたへの怨嗟は、あんたを殺したくらいじゃ収まることはないだろう.....!」


ギチリ、とプロデューサーさんが拳を握りしめる音が聞こえた

それと同時に、引き金にかけた指がピクリと震える















でも、プロデューサーさんは引き金を引くことなく、その手に握っていた殺意を投げ捨てた

346: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 22:01:31.46 ID:Hr5KE0bL0
P「だが、俺はもうLiPPSのプロデューサーなんだ。アイドルを泣かせるような真似は、もう出来ない」

P「だから...............!」バゴォン

屋久井「ぐごぉ!」



プロデューサーさんが屋久井の頭を蹴り飛ばす

サッカーボールのように蹴り飛ばされた顔から鼻血が噴き出たけど、意識までは飛ばなかったようで、プロデューサーさんもそれ以上追撃しない




屋久井「がっ、っはぁ.......はぁ......い、生きてる.....?」

P「俺は、これで勘弁してやる。だが後の分はしっかり法の裁きを受けて、一生かけて償え。あんたが潰してきた夢全部に、一つ一つ懺悔しながらな」









P「これで、俺の復讐は終わり、だ........」バタッ

347: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 22:02:27.88 ID:Hr5KE0bL0
奏「プロデューサーさん!」

周子「何が大丈夫だよ!やっぱり傷酷いじゃんか!」

P「大丈、夫....ちょっと貧血なだけだ......死には、しねぇよ......」

美嘉「そんな消えそうな声言われても説得力ないって!待ってて、今救急車呼ぶから!」

P「ああ、頼んだ.......それと.......」

348: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 22:02:54.59 ID:Hr5KE0bL0
P「俺を信じてくれて、ありがとう....」

349: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 22:03:53.60 ID:Hr5KE0bL0
奏「.....当然よ。だって私達は........」






あなたが信じてくれた、あなたが選んだアイドルだもの...........

350: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 22:05:31.94 ID:Hr5KE0bL0
その後、駆けつけた救急車がプロデューサーさんを病院まで運んで行った

一時はどうなることかと思ったけど、幸い撃たれた場所が良かったらしく、命にかかわるようなことにはならずにすぐ退院することができた

屋久井も無事逮捕され、同時に屋久井と繋がっていた人間たちも日が立つにつれ次々と検挙されていった

その中には警視総監を始めとした有力者もいて、一時期世間は大パニックになったけど.......多くの事務所のアイドル達が必死にみんなを勇気づけたおかげで、芸能界を中心に沢山の人が一丸となり、今回の事件の事後処理に励むことができた




そして、IGの決勝から2週間が経ち、世間がいつも通りの落ち着きを取り戻してきたころ.....

351: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 22:06:41.60 ID:Hr5KE0bL0
~~~クルージング、パーティ会場~~~



司会「それでは、IGの終了と激戦を繰り広げたアイドルの皆さん、そして見事Sランクアイドルのを手にしたLiPPSの皆さんに!」

『かんぱーい!!』







美嘉「Sランク授与式が船上パーティなんて、なんかテンション上がるね★」

周子「ほんとにねー♪料理も出演者もめっちゃ豪華やし♪」

美嘉「....って、あれっ?そういえば志希ちゃんとフレちゃんは?」

奏「二人ならさっき他の事務所の子達と遊んでくるって走ってたわよ?」

美嘉「.....なんか心配だし、あたし見てきたほうがいいかな?」

周子「まぁ大丈夫でしょ、それより......」

352: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 22:09:31.88 ID:Hr5KE0bL0
加蓮「やっほー♪」

奏「加蓮!それに凛と奈緒も!」

奈緒「おっす!優勝おめでとう!」

凛「ちゃんと約束、守ってくれたね。ありがとう」

周子「そっちもありがとね、あたし達がピンチの時にファンレター送ってくれたでしょ?」

加蓮「なんかじっとしていられなかったからね。ちょっとでもあんた達の力になりたくてさ」

奈緒「ウチのプロデューサーさんも結構頑張ってくれてたんだぞ?010や811プロになるべく被害が出ないように、色んなところを走り回ってさ」

美嘉「そうなの?それじゃあ後でお礼を言っとかないとね★」

奏「それで?貴方たちのプロデューサーさんは何処に行ったの?」

凛「船酔いでダウンしてるよ」

奏「えぇ......」

加蓮「プロデューサーったら船に乗るとアタシより病弱になるんだから、笑っちゃうよね♪」

奈緒「ってワケで、あたし達プロデューサーにご飯とか持っていってやんなきゃだから、また今度な!」

凛「私達もすぐに追いついて、今度こそ私達が勝つから、それまで待っててよね」

美嘉「もちろん!いつでも挑戦待ってるよ★」




手を振りながらトライアドプリムスの3人が去って行く

彼女たちを見送った後、次に現れたのは.....

353: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 22:10:31.14 ID:Hr5KE0bL0
ちとせ「ごきげんよう、みんな」

美嘉「ちとせちゃん!もう大丈夫なの?」

ちとせ「まだ車椅子が無いとだめだけどね。千夜ちゃんにはまた迷惑かけちゃうかな」

千夜「いいえお嬢様、こうしてともに居られることが、私の何よりの喜びですよ」

ちとせ「ありがとう。でも、段々良くなってきてるし、きっともう少しの辛抱だから」

ちとせ「その証拠に.....」スクッ

周子「おお!」

ちとせ「っとっと.....ほら、もうちゃんと自分の足で立てるよ」

千夜「ですが、まだ無理をしてはいけないと言われたでしょう。ほら、座ってください。ちゃんとどこまでも付き添いますから」

ちとせ「ふふっ、ありがとね千夜ちゃん♪」

354: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 22:11:38.11 ID:Hr5KE0bL0
美嘉「ところで、颯ちゃんと凪ちゃんは?」

ちとせ「二人なら、あっちの方で志希ちゃんとフレちゃんと一緒に遊んでるわよ。実はあの二人、前からレイジレイジ―のファンだったから、一緒にのステージに立って、もっと好きになっちゃったみたいね♪」

美嘉「そっか、あの二人が一緒なら志希ちゃんとフレちゃんも大丈夫かな★」

千夜(実はなにかとんでもない事を仕出かしそうな会話が聞こえていましたが.....まぁ大丈夫でしょう)


奏「そういえば貴方たち、これからの活動はどうするの?」

ちとせ「とりあえず、今まで通り891プロで続けていくことにしたわ。あんなことがあったけど、それでもずっと私達と一緒に頑張ってきたアイドルががいっぱいいるから、その子達の応援にも答えたくて、ね」

ちとせ「だから、私が療養してる間3人で活動を続けてもらおうと思ったんだけど.....」

千夜「お嬢様が復帰するまでは、私達も活動を休止することにしました」

ちとせ「もう!私の事なんて気にしなくていいのに」

千夜「お嬢様、私達は4人そろって『Project,Queen』ですよ。それに、新しいプロデューサーも付きましたし、きっとなんとかなりますよ」

周子「新しいプロデューサー?誰なん?」

355: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 22:12:43.58 ID:Hr5KE0bL0
ちひろ「私ですよ!」

周子「って、ちひろさん!?」

ちひろ「891プロの上層部が沢山捕まってしまって、その穴埋めのために私を含めていろんな人に声がかかったんですよ。だから私もこれを機に過去を振り切って、もう一度プロデューサーに戻ることにしたんです」

美嘉「ちひろさんって、プロデューサーのプロデューサーだったんだよね?じゃあ次に『Project,Queen』と会う時は、きっともっと凄いアイドルになってるね★」

ちひろ「勿論です!新しくなった『Project,Queen』の皆で、今度こそ貴方たちに勝ちますから、P君にも伝えといてくださいね!」

奏「ええ、必ずつt『ドカアアアアンン!!!!!』!?」







美嘉「.....何、今の音?なんか、すっごく嫌な予感がするんだけど.......」

356: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 22:13:28.11 ID:Hr5KE0bL0
志希「にゃははー♪シージャックごっこだー!」

颯「この船は、あたし達レイジーレイジーwithなーはーが頂いたよ!」

凪「手始めにフレちゃんさんが飲み過ぎてしまったので、お水持ってきてください」

フレデリカ「えへへー!海賊王に、俺はなる!!」





美嘉&ちひろ「」

千夜「ああ、やっぱりこうなりましたか」

357: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 22:14:38.81 ID:Hr5KE0bL0
美嘉「どうすんのツッコミ不在だよあの4人!」

ちひろ「と、とりあえず止めに行きましょう!なんでいきなり問題起こすんですかもー!!」

ちとせ「一応私達も止めなかった責任あるし、手助けしに行きましょうか♪」

千夜「かしこまりました、お嬢様」

周子「んじゃ、あたしも混ざってこようかな。奏ちゃんは?」

奏「私は、そうね....少し行きたいところがあるから遠慮しとくわ」

奏「ところで.....混ざるって、どっちに?」

周子「やだなー、そんなのもちろん決まってるやろ?んじゃ、行ってきまーす」





コラー!アンタタチナニヤッテンノー!

ヤバッ!ママニミツカッタ!

ママジャナイシ!

イケーシュウコチャン!

リョーカーイ♪

チョッ、シュウコチャンマデ!

ダマシテワルイガコレモシゴトナンデネ






奏「.........ふふっ!」

358: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 22:15:31.55 ID:Hr5KE0bL0
~~~船、デッキ上~~~




P「...............」

奏「プロデューサーさん、こんな所に一人でどうしたの?」

P「奏か、いやなに、月が綺麗だったからさ。なんかずっと眺めちまってたよ」

奏「......プロデューサーさん、夏目漱石って知ってる?」

P「?」

奏「.....いや、なんでもないわ」

359: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 22:16:13.50 ID:Hr5KE0bL0
P「というか奏こそどうしたんだ?他の皆は?」

奏「みんな思い思いパーティーを楽しんでるわよ。私は、そうね.........月が見たくなったの」

奏「ほら、だって今日はこんなにも、月が綺麗だもの」

P「ああ、ホントにな!」

奏「....................ばか」

P「えっ?」

奏「何でもないわよ」

360: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 22:17:03.41 ID:Hr5KE0bL0
P「それにしても、こうして海を一緒に眺めてると、最初にあった時の事を思い出すな」

奏「そうね。あの時海に映りこんでいたのは、月じゃなくて夕陽だったけど、確かにあの時と一緒ね.......」

P「あの時、奏をスカウトしたときさ、俺はあの子が自分の為に復讐を遂げてくれって、背中を押してくれたんだと思った」

奏「...............」


P「だけど、今なら分かる。あの子は復讐の為に俺とお前達を引き合わせたんじゃない。復讐なんて暗いもの、人に笑顔を届けるアイドルだったあの子は、初めから望んじゃいなかったんだ」

P「きっとあの子は、過去に縛られた俺の心を救うために、俺とお前たちを引き合わせてくれたんだ..........」

奏「.......ええ、きっと」


P「だからさ......みんな、俺と一緒にアイドルを続けてくれて、俺をプロデューサーにしてくれて........俺を救ってくれて、本当にありがとな」






P「ほんとうに......ありがとう.........」

361: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 22:17:35.38 ID:Hr5KE0bL0
奏「ねぇ、プロデューサーさん。顔を上げて」

P「奏...............ッ!?」










奏「ん............ぷはぁ」

362: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 22:18:12.05 ID:Hr5KE0bL0
P「ちょっ!おまっ、奏!?」

奏「ふふっ!ファーストよ、責任とってね♪」

P「ファーストって、マジで何やってんだ!こんなとこ誰かに見られたら..........」

奏「大丈夫よ、だって.......」








月しか、見ていないもの..........

363: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 22:20:32.12 ID:Hr5KE0bL0
EDテーマ 「if」(歌:速水奏)

https://youtu.be/IIrIA-nJTDM


364: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 22:21:04.35 ID:Hr5KE0bL0
周子「まっ、見てるんだけどね~♪」

美嘉「は、はわわわ////////」

志希「やるねぇ~奏ちゃん」

フレデリカ「ヒューヒュー♪」

365: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 22:21:37.73 ID:Hr5KE0bL0
エピローグ 「未来へキスを」

366: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 22:22:53.92 ID:Hr5KE0bL0
あれから、色んなことがあった

IGが終わった後、私達にはまた多くの仕事が舞い込んできた

IG優勝、Sランクアイドルという肩書の力は、それはそれは凄まじかったわ


私は女優としてのオファーが多く舞い込んできて、ほぼ毎日のように出演作が流れている

まだ新年度が始まったっばかりだけど、既に5つの作品で主演が決まった


周子は京都を代表するアイドルになり、地元の観光客が以前の3倍に増加

特に実家の和菓子屋は売れすぎて商品が完全になくなってしまい、嬉しい悲鳴を上げてるんだとか


美嘉はカリスマJK改めカリスマJDとして、これまで以上に世の中の女子の憧れとなっている

特にファッションの情報を扱うものは、テレビだろうと雑誌だろうと至る場所に美嘉がいた


フレデリカは念願だったパリでの仕事を手に入れた

亀裂が入っていた祖父母と母親の関係も、フレちゃんのパリでの活躍のおかげで見事修復されたらしい


志希はその歌の実力をメキメキと上達させ、日本が誇る歌姫の地位を欲しいままにしている

新曲が発売すると一時間もしないうちにCDショップからその姿が消えることから、巷ではCDにまで失踪癖が移っているのではと噂になっている


そんな風に、慌ただしくも充実した日々を送っていた811プロだったけど.............

367: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 22:24:25.56 ID:Hr5KE0bL0
~~~811プロ、事務所~~~



P「というわけで、今日は新しいアイドルが来ます!」

フレデリカ「ホント!?」

P「ああ!お前らにも遂に後輩ができたんだ、先輩として色々教えながら支えてやってくれよ!」

周子「じゃ最初に、アレだけは教えてあげなくちゃね♪」

奏「そうね、811プロ社訓、そしてアイドルをする上で最も重要なことだもの」





P「なんて事言ってたら来たみたいだぞ。よし、お前ら!今日も全力で楽しんで、楽しませるぞ!」







『ようこそ811プロへ!!』

368: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 22:26:29.25 ID:Hr5KE0bL0
頂上にはたどり着いたけど、道はまだまだ続いていく

私達が前を向いて歩き続ける限り、未来はずっと続いていく



アイドルの道に、終わりはない

人生を楽しむ心があれば、きっと、どこまでも.................

369: ◆FuHrdA/9sY 2019/05/05(日) 22:32:36.71 ID:Hr5KE0bL0
これにて完結です


いや~ホント疲れました.....安易な気持ちで長編なんて書くもんじゃないですね......

予定してた891プロ絡みの●営業シーンがほぼカットされたせいで、完全にR板で建てた意味が無くなってしまったのが本当に申し訳ないです

キャラのブレやシナリオの粗さなど、至らぬ点が多々あったとは思いますが、その上でここまで付き合って下さった皆様に、心からの感謝を申し上げます

渋の加筆修正版の方はこれからもちょくちょく更新していこうと思いますので、もしよければそちらもお楽しみいただけると幸いです


それではまた、いつの日か