2: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 00:06:58.85 ID:zFJ6IyCwo


こっから色々紹介 ※前スレまでのネタバレあり注意


~西鎮守府~
新しく設立された鎮守府であり、実戦経験の少ない艦娘達が所属している。
近々大規模な作戦に参加する予定


・提督
西鎮守府の最高責任者、司令官。
真面目で責任感は強いが、融通が利かなかったり、変にプライドが高い部分がある。
婚約相手を戦いで失い、一度は軍から離れたものの再度、西鎮守府へと着任した

・金剛
イギリス艦隊に所属していた戦艦型の艦娘。
深海棲艦の猛攻が激しいヨーロッパから日本へ避難してきた。
提督に一目ぼれの様な形で好意を持っているが、
軍人であり戦時中という状況により踏み出せないでいる。


・長門
戦艦型の艦娘。代々軍の上層部に籍を持つ家系に生まれ、
小さい頃より英才教育を受けていた。
提督も唸らせるパワフルな攻撃力と高い耐久力を持つハイスペックなヤツ。
育ちのせいか少々ヌケている所がある模様。

・不知火
口調が堅く笑顔も硬い駆逐艦型の艦娘。
小さな頃住んでいた漁村が襲われ仲間を失った事が
トラウマとなっている。深海棲艦を憎み、率先して前線にでたがる。

・電
慌てん坊/妹系な駆逐艦型の艦娘。
何らかの事情で親族がいなく、孤児院で育つ。
四人姉妹の末っ子であり、いつか四人で生活する為の資金を貯めている。

・龍驤
エセ関西弁が特徴な軽空母型の艦娘。
西鎮守府のムードメーカーでありお調子者。
食べる事が好きで、好物はアイス。


・愛宕
ナイスバディな重巡洋型の艦娘。
西鎮守府ではお姉さんの様な存在であり、
電や龍驤の様な幼い艦娘をフォローする包容力あふれる人物。
姉の高雄に憧れ艦娘になった。高雄が殉職し心にわだかまりを持ちながら
日々を過ごしていたが演習の際それを払拭し、改めて自分を見つめなおす。




引用元: ・【艦これ】 提督「よろしく頼む」 その3 



3: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 00:07:58.31 ID:zFJ6IyCwo

~東鎮守府~
こちらも設立若い鎮守府。
実際は性格などに問題がある艦娘(提督も)を
詰め込む厄介払い用の場所。


・女提督
アホ。
提督と同級生だが3年遅く卒業(留年)
提督の事好き
ある秘密を持ってたりする
そしてアホ

・赤城
数々の重要拠点を攻め落とした経験がある正規空母型の艦娘。
個の殲滅力は間違いなくトップクラスとも言われ一時は軍部にもてはやされていたが。
独特な艦載機運用方法による資材の浪費と自身の食い意地が問題となり東鎮守府に所属する事となる。

・鳳翔
保護者系軽空母型の艦娘
東鎮守府にはある人物の命により、監視目的で所属している。
非常にできた性格で執務業が得意であったり
母のような包容力を発揮し多くの鎮守府で秘書艦として活躍していた。
キレるとやばい。

・天龍
回避能力に長け白兵戦も行う軽巡洋艦型の艦娘。
前鎮守府で司令官と喧嘩してしまった事から東鎮守府に所属する事になった。
男っぽい言葉遣いやたまに見せるナルシストな一面から、距離を置かれる事が多い。
実は過去の事件のせいで彼女の口調や性格が変わった……?

・青葉
盗撮好きな重巡洋艦型の艦娘。
●●てな写真を本人に見せつけその様子を見て楽しむという愚行を
繰り返していたら東鎮守府に異動となった。
観察能力や索敵能力に長け偵察任務を得意とする。
写真に固執するのは青葉の親が影響であるとか……。

・扶桑
なぜか体が弱い戦艦型の艦娘。
前鎮守府であまりにも体調不良による出撃不可が多く
問題となり東鎮守府に所属する事になる。
身体が弱い理由は……。

・大井
軽巡洋艦型のレ

・那珂
自称アイドルの軽巡洋艦型の艦娘。
艦娘でありながらアイドルを目指している。
空気を読めないウザッたらしさを持つが、なぜか憎めない。
アイドルを目指す理由は……。


4: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 00:10:15.42 ID:zFJ6IyCwo

~北鎮守府~
長く稼働している歴史ある鎮守府
数年前はエリート父が司令官として運用していた


・エリート提督
人を見下しつつ偉そうな態度が目立つ北鎮守府の司令官
敵味方問わず「雑魚共」と呼び捨てるのが口癖
しかし実際は生真面目でまっすぐな青年で
過去の事件がきっかけで自分にも相手にも厳しく接するようになった
得意な戦術は空母を起点としたもので、翔鶴姉妹と相性が良いようである

・翔鶴
正規空母型の艦娘。普段はものしずかで冷静沈着な性格
表にはあまりださないが妹の瑞鶴を溺愛しており
艦載機も瑞鶴を守る為にぴったりと護衛するかのように操作する

・瑞鶴
正規空母型の艦娘。割とよくしゃべるおてんば娘
姉の翔鶴と一緒にいないと落ちつかないほどシスコン
艦載機による爆撃を得意とし、翔鶴との連携を発揮した時の制空力はすさまじいものである

・最上
重巡洋型の艦娘。見た目のとおりボーイッシュな性格と僕という一人称から
よく男に間違えられる。本人は特に男を意識していない様であるが、たまにそっちの方面の
女子に好かれる様で困る時がある
足が早く砲撃と雷撃をバランス良く使う

・時雨
駆逐艦型の艦娘

・夕立
駆逐艦型の艦娘


・瑞鳳
軽空母の艦娘



5: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 00:16:06.98 ID:zFJ6IyCwo

~中央鎮守府~
日本国最強最大の鎮守府
敷地の大きさもさることながら、最先端のテクノロジーも併せ持ち他の鎮守府とは一線を画している
もちろん所属する艦娘や指揮官、更に妖精のレベルまで高く
重要な作戦は全てこの鎮守府を中心に行われる


~中央鎮守府 第1艦隊~


・爺提督
中央鎮守府第1艦隊 総司令官。階級は大将
現状、海軍で最も発言力が高い高齢の男
知識・経験共に他の追随を許さない程に成熟しており上層部からの信頼も厚い
表向きはひょうきんなジジイだが、実際は目的の為なら手段を選ばない冷酷な面ももっている
中央の第2艦隊を自身の手駒として扱い、今まで多くの無理難題な任務の指示をだして死においやっている

・武蔵
戦艦型の艦娘
圧倒的なパワーと耐久力を持ち、深海棲艦の撃破スコア上位を常に維持している
軍人気質でプライドが高い
爺督とは長く付き合いがある理解者

・あきつ丸
特殊船丙型の艦娘
独特な口調を喋る色白で真面目な娘
艦娘の中でもかなり変わった艦種で、戦闘力は低いがサポート能力が高く
爺督にはその真面目すぎる性格も相成って信頼を得ている

・島風
駆逐艦型の艦娘
恐ろしい程早い移動速度を自慢とする成人にも満たない若い娘
最高速度もさることながら、それ以上に加速の速さが異常であり
停止からわずか数秒で最高速度に達する事ができる
その速さを自慢する故、重装備を全てはずしているので火力不足である

・隼鷹
軽空母。
飲みます、騒ぎます

・ビスマルク
戦艦型の艦娘

・木曾
軽巡洋艦の艦娘





6: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 00:20:23.97 ID:zFJ6IyCwo


~中央鎮守府 第2艦隊~

・提督(西鎮守府と同一人物)
優秀な成績で士官学校を卒業し、中央鎮守府に着任した若き司令官
妖精を見る事ができるようになってから、その指揮官としての才能を開花させ目覚ましい成長を遂げている
大和に恋心を抱き中

・大和
戦艦型の艦娘
提督とは幼馴染
誰にでも優しく、正義感に溢れ、リーダーシップもある黒髪ロングの娘
親が軍の武器開発関係者であり艤装や艦娘の知識が豊富
長い有効射程と駆逐艦の攻撃程度ではビクともしない耐久力が長所
基本艤装の重さから回避運動が苦手である

・加賀
正規空母型の艦娘
普段はものしずかであまり自分から発言はしないが、食の事になると
性格が変わったように食いついてくる
大量の艦載機を同時に扱う事に長け、戦場の隅々まで冷静に分析する力を持つ
あまり喋らない事から仲間との連携が苦手

・日向
航空戦艦型の艦娘
落ち着いた雰囲気を持つ読書好きおかっぱ娘
運動音痴のコンプレックスを抱え、艦娘になっても苦労している
読書好きが高じて様々な知識を蓄え、戦闘に役立てている
特殊な射撃「弾着修正射撃」を習得し苦手な砲撃を克服している
とはいえ、反動制御が相変わらず不得意で動きながらの砲撃の制度は恐ろしく低い


・伊58
珍しく貴重な潜水艦型の艦娘
ある特殊な任務を淡々とこなす為、中央に所属している
「~でち」という変わった語尾をつける

・雪風
駆逐艦型の艦娘
一部の人間に「不幸艦」「死神」などと呼ばれている
カワウソみたい

・北上
重雷装巡洋型の艦娘
強力な雷撃を得意とし、機雷を使わずとも潜水艦をたやすく撃破できる程
気だるそうな態度と我関せずといった性格で割と変人
艦載機の攻撃を避けるのが苦手




7: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 00:24:29.65 ID:zFJ6IyCwo

~その他~


・妖精さん
都合の良い能力を発揮してくれる規格外な存在。
言動が不明。ある程度のコミュニケーションは可能。
特定の人間のみ目視できる。見える人間に対しても姿を隠す事可能である
不思議な力で人間達をサポートし、テクノロジーを発達させてきた
この物語の本質かも


~世界観~

・現代とほぼ一緒だが妖精達の関わる分野においてオーバーテクノロジー
・一部の国は深海棲艦の侵攻が進み壊滅している。


艦娘とは

・適性検査を通過した女性のみ成る事ができる人間型兵器の総称。
・通常の人間より何倍も身体能力に優れ、不老である
・解体手術をすれば人間に戻る事が可能
・基本艤装と付け替え艤装とがある
基本艤装はその艦娘特有のもので必須装備、そうじゃないものは付け替え艤装である



深海棲艦
・数百年前に突如現れた謎の敵
・あまり内陸部に攻め込んでこない
・艦娘と同じく艦種に分ける事ができる



8: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 00:26:42.20 ID:zFJ6IyCwo

あらすじ


─「提督、着任」─
西鎮守府へと着任した提督は初日から資源調査任務を受ける。
提督は所属する人間兵器「艦娘」の
金剛、長門、不知火、龍驤、愛宕、電を引き連れ任務へとでる。
不運にも深海棲艦の群れと遭遇し、戦闘になるが難なく倒し帰還する。
長門があまりにも実戦慣れした指揮力と急な着任事情を
不思議に思い提督の過去をさぐるがはぐらかされる。

─「触れ合い」─
共に過ごし訓練をしたり、艦娘達一人一人の過去に触れた事で
次第に仲が打ち解けていく提督達。

─「女提督との艦隊戦」─
そして、久しぶりに会った提督の友人「女提督」が指揮する東鎮守府との演習対決が始まる。
最初は劣勢だったものの、艦娘達の頭脳プレーや我が身を犠牲にした攻撃により
赤城と1対1の状況を作る事に成功する。あと少しでという所でなぜか7人目の那珂が演習に紛れ込み
金剛を倒すが、これは反則なので西鎮守府の勝利で終わる。

─「飲み会」─
艦隊戦の勝利祝いにパーティを決行。お酒もふるまわれるが
艦娘全員の酒癖が悪く、提督は2度と酒を飲ませまいと心に誓うのであった

─「姉妹」─
鎮守府に来訪してきた金剛の妹、榛名や電の姉の暁・響・雷達の家族の絆を感じ
司令官である立場として複雑な気持ちになる提督。

─「提督の部屋」─
資源用の遠征任務を本部から指示され、不知火・愛宕・電の3人に説明の為ついていく提督。
残った長門・金剛・龍驤の3人はいつもの訓練をさぼり、提督の部屋へと侵入する。
提督の部屋は生活感が無く物もあまりおいていない
かろうじて提督の過去を知る為に手がかりとなりそうだったものは、日誌と前鎮守府の集合写真
集合写真には只の同僚とは思えない程に手をしっかり握っている提督と女性
日誌には過去の権力を使い、西鎮守府に危険な任務がこないように根回しをする記述

─「3人の艦娘と過去」─
龍驤達が訓練に戻ると、普段はあまり使われない玄関門の呼び鈴が鳴る。
向かうとそこには、加賀・日向・伊58の3人が提督の所在を確認しに来ていた
鎮守府に迎え入れ、もてなしていた所に提督が帰還する
感動の再開をする中、提督の対応に不満を持った長門が荒々しくなり始める
それを見た提督は覚悟を決めたかのように自分の過去を語り始める


9: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 00:35:54.29 ID:zFJ6IyCwo

  ~提督の過去 回想~

決意編

─「大和との出会い」─
提督がまだ幼少期、隣の家に大和という幼なじみがいた
素直で人なつこく元気な大和へ子供ながらに、惹かれていった提督
しかし、艦娘の適性検査に受かり嬉しさを伝えてきた大和へと辛く当たった事で喧嘩してしまう

─「妖精」─
中学に入り、大和とは一切関わらない生活を送る提督
ある時から自身の体に異変が生じ始める
自分以外には見えない小人の様な生物が見えるようになり、オカルト好きだという教師に相談する
教師は軍の関係者を呼ぶと、筋骨隆々なホ っぽい軍服の男が妖精の力について説明し始める

─「仲直りと決意」─
あまりに突然かつ信じがたい内容に狼狽する提督は、放心状態のまま昔大和とよく遊んだ公園と行き着く
そこで考え事をしていると大和が現れ昔の事を話し、仲直りする
大和に妖精の事について相談すると、提督をある場所へ行くように促す
そこは街と海を見下ろす事ができる景観をもつ山の頂上
大和は自分の力で化け物たちからこの美しい世界を守りたいという強い願いを提督に伝える
提督はその思いに賛同すると共に自身の大和への恋心にも気づき、自分も軍人になる事を決意する


士官学校編

─「士官学校 入学」─
提督と大和は問題なく士官学校へと入学する
学生気分ではいられない程に厳しい訓練と規律に戸惑いながらも那智教官の下で厳しい指導を受ける事になる

─「加賀との出会い」─
提督が大和以外で最初に仲が良くなったのは加賀という正規空母型の艦娘
朝ごはんを食べているとそれをもの欲しそうに見る加賀を察知し
作りすぎたおにぎりを与えた事で仲良くなる

─「日向との出会い」─
次に仲良くなったのは日向という戦艦型の艦娘
書個室への道を案内してくれた事から知り合い
世話好きおせっかいの提督が彼女の苦手としていた砲撃訓練に助言した事から仲良くなる

10: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 00:36:26.43 ID:zFJ6IyCwo

─「チーム演習」─
ある時期からチーム演習という3人組の艦隊を編成して競い合う訓練が始まる
そして提督は大和・日向・加賀をチームに誘い演習へと挑む

「エリート」
態度の悪いエリート提督と演習するものの、完膚なきまでにボコボコにされ一時的に
自信を失う提督であったが、改めて自分を見直し大和にリベンジの意思を伝える

─「リベンジ」─
2回目のエリート提督との対決で、改造し航空戦艦になった日向、艦載機操縦の練度が著しく成長した加賀という二人の
艦娘の活躍によりエリート提督を叩きのめし勝利する
勝利をした提督は負けたエリートの様子がおかしい事に気づき、様子を聞きに翔鶴達と接触する
負けて以来学校を休んでる事を聞いた提督はおせっかいにもエリートの家を訪ねる

─「ライバル」─
執事からエリートが昔戦場で、艦娘達の浅はかな判断により艦隊が崩壊した事を聞く
提督はエリートに拳で語り合い、自身の想いを吐露しエリートを説得する
エリートは改めて自分を取り戻し、提督をライバルと認め復活する

─「中央鎮守府の闇」─
中央鎮守府の第2艦隊。表向きは最高権力の次に位置する華やかな艦隊だが
実際はある人物の下で酷使させられる使い捨ての艦隊
那智は去年送り出した生徒が無残な姿で帰ってきた事を悔やんでおり
もう2度とさせまいと提督の成績データをねつ造する事を決意していた

─「女提督との因縁と恋」─
補修でだらけていた女提督を得意のお節介により好意があると勘違いさせる提督
そして鈍感なせいで女提督のプライドを傷つけ、以来目を付けられるようになる

─「老人の正体」─
提督が軍の関係者と思われる老人に声をかけられたが、なんとその老人は
海軍でも最高権力を持つといわれる中央鎮守府の総司令官「爺督」大将
爺督は自分の手駒となる優秀な人物を探しに士官学校に来訪していた
提督の類まれなる才能を見抜いていた那智はわざと報告書をねつ造しごまかしていたが
それも全てお見通しである爺督は提督を自分の下に着任させるよう指示をだす

─「卒業」─
ついに提督達の卒業の日
卒業と共に各生徒は着任先や役職を与えられ鎮守府に送り出される
エリートは父が昔配属されていた北鎮守府に着任
提督は爺督の思惑通りに中央鎮守府の第2艦隊へと着任
女提督は留年

─「中央鎮守府 着任」─
士官学校を卒業し中央鎮守府へと着任する提督達
専属の運転手やメイド、豪華な寮を目の当たりにし
中央鎮守府が特別だという事を改めて知る
提督は爺督から新たに3人の艦娘を選び、6人の艦隊を組めという指示を受ける


23: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 16:03:44.81 ID:GsFLPzBd0

─────────────────────


   ─寮内 提督の部屋─


提督「この娘とこの娘で……」ウーン

提督「だけどこっちは砲撃精度がなぁ……こっちはこっちで足が遅いし」

提督「うーん……」


24: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 16:06:31.34 ID:GsFLPzBd0

 コンコン


提督「んー、開いてるぞ」


 ガチャ


大和「提督ー何してるの?」

提督「大和か……例のあれを考えてたんだよ」

大和「艦娘を3人の件?」

提督「ああ」

大和「ふーん……メイドさんが入れてくれた美味しいコーヒー、ここ置いとくわね」コトッ

提督「お、助かるよ」スッ

25: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 16:07:42.20 ID:GsFLPzBd0


大和「まぁ難しいわよねぇ。こう人数が多いと……」

提督「うむ。能力も似たりよったりだし……」

提督「下手に優秀な艦娘がそろってるから比較が難しいんだよ」

提督「もう正直……実際みないとわからん」パサッ


26: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 16:08:36.14 ID:GsFLPzBd0


大和「そうねぇ……」

提督「……はぁ。こういう時はじっとしてたらダメだ」

提督「少ししたら、中央鎮守府内を見回ってみる。訓練風景でも見学して参考にしてくるよ」

大和「分かったわ。私達は基本艤装の整備をしてるから何かあったら声かけて頂戴」

提督「うむ。了解した」





27: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 16:10:07.97 ID:GsFLPzBd0

────────────────────────────

  ─訓練海場─
  


ドガァァァァン サッパァァァン

シュゴォオオオオオ  ヒューーーーン ドォォン

ドガァァァァン サッパァァァン


提督(…………)

提督(これが中央鎮守府に所属する……)

提督(前線で戦う艦隊の実力)


28: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 16:11:49.62 ID:GsFLPzBd0

提督(すごいな。砲撃一つ見てもレベルが違うのが分かる)

提督(単純に練度の高さもそうだけど……)

提督(高度な戦術に陣形の切り替え)

提督(扱いの難しい艤装まで難なく使いこなしている)

提督(相当訓練を積まなければこの領域にたどり着くのは不可能だろう)


ガラガラガラ


???「よいしょ!よいしょ!」



29: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 16:14:38.97 ID:GsFLPzBd0

提督「ん?」

ガランコロンガラン

???「あわわわ」イソイソ

提督「大丈夫か?」サッ

???「す、すいません。燃料のケースを運んでる途中でして……」

提督「ふむ、怪我はないか?」

???「はい……」

提督(これだけの燃料を一人で……今見ている訓練で使うのかな……)

提督「…………」

30: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 16:15:34.34 ID:GsFLPzBd0


提督「あっちまで運ぶみたいだな。手伝うよ……よいしょっと」グググ

???「そ、そんな!大丈夫です!結構重いですよ!私は艦娘だから平気なだけで」オロオロ

提督「大丈夫だ。こう見えて結構鍛えてる」

???「……気を使っていただいてすみません」

提督「気にしなくていいさ。好きでやっている」

31: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 16:18:05.38 ID:GsFLPzBd0

???「……じゃ、じゃあ私はこちらを持ちますので……えっと」

提督「うむ、俺の名前は提督だ。気軽に読んでくれ。んっとじゃあ俺はこっち持つ」

???「提督……さん。ありがとうございます。私は駆逐艦型の雪風と申します」ペコリ

提督(予想はしてたけど艦娘か……島風と同じくらいの年齢かな……これまた子供だ)

提督「うむ、よろしく。じゃあ雪風、あっちまで運べばいいのかな?」

雪風「はい。お願いします」





32: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 16:19:11.30 ID:GsFLPzBd0

────────────────────────

ガラガラ ドスン


提督「よし、こんなもんかな」

雪風「助かりました。ありがとうございます!」

提督「どういたしまして。……いやぁ良い運動になった。お陰で少しスッキリしたよ」

雪風「……何かお悩みだったのでしょうか?」

提督「うん……ちょっとね」

雪風「そうですか……あの……一つお聞きしたいのですが」

提督「ん?」

33: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 16:20:10.00 ID:GsFLPzBd0

雪風「その軍服……真っ黒ってことはもしかして第2艦隊の方でしょうか……?」

提督「ああ、そうだよ。やっぱりこの黒い軍服ってなんか目立つよなぁ。なんか俺だけみたいだし……」

雪風「…………」

提督「どうかしたか?」

雪風「いえ、なんでもないです……」



────「お、いたいた。探したぞ雪風」


34: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 16:21:50.85 ID:GsFLPzBd0

整備軍人「全くこんな所でなーに油売ってんだ。まだまだ運ぶもんあるんだからしっかり働いてくれよ」

雪風「す、すいません」シュン

整備軍人「ったく……不幸艦が……」ボソッ

提督(不幸艦……?)

提督「許してやってください。遅くなったのは私が話しかけていたせいなんですよ」

整備軍人「んっ?あー勘弁してくださいよ。忙しい時期なん……」クルッ

35: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 16:23:14.11 ID:GsFLPzBd0

整備軍人「えっ……黒軍服……喪服組の……」

提督「は?」

整備軍人「いえっ!失礼しました!司令官殿がいらっしゃるとは知らずにご無礼な態度を!」ビシッ

提督「いや、いいんですがそれより今、喪服組とかなんとかいってませんでした?」

整備軍人「……っ」タラー

整備軍人「あっ!申し訳ございません!急ぎで整備しなければいけない物がありまして!失礼いたします!」ササッ

提督「あ!おい!ちょっと!」

タッタッタッ

36: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/06(水) 16:27:33.98 ID:GsFLPzBd0

提督「ったくなんなんだ……」

提督「ごめんな雪風。俺のせいで怒られてしまって」

雪風「……気にしないでください。良くあることなので」

提督「……ふむ」

雪風「わ、私はまだ担当の作業があるので失礼いたします。お手伝いいただきありがとうございました」

提督「うん。無理しない程度にがんばれ。またな」

雪風「失礼します」サッ




提督(────ふむ、喪服組とやらもそうだが、整備軍人の雪風への態度も気になるな)

提督(本来立場的に、艦娘がただの整備軍人にいびられるような事はない筈なのに……)

提督(中央鎮守府……か)

提督(爺督も言っていたが……色々面倒事がありそうだな……)



54: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/13(水) 09:41:44.51 ID:Rgz2aBEn0
────────────────────────


   翌朝
   

大和「艦娘の一人と会う?」

提督「うむ。色々データを見て理想な子がいたから昨日連絡をとったのだが」

提督「今日が都合良いとの返答を貰ったので会って話をしてくるよ」

大和「あら、そう。私も付いて……行きたい所だけど基本艤装の整備をする予定だからいけないわね」

提督「気にするな……まぁ性格等が問題なければそのまま誘って返答を待つだけだ」

提督「あまり選考に時間もかけていられないからな……どんどん声をかけて決めていきたい所だ」

大和「そうね……何かあったら整備室の方に連絡ちょうだい」

提督「了解した。さあいってくる」スッ


55: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/13(水) 09:43:25.79 ID:Rgz2aBEn0
─────────────────────

訓練海上  待機場


提督(んーとここら辺で待ち合わせしてる筈なんだが……)

北上「やっほー司令官さん」スッ

提督「君が北上か。電話でもいったが第2艦隊の司令官、提督だ。よろしく」

北上「うん。よろしくねー提督さん」ジロジロ

提督「うむ」

北上「ふーん」ジロジロ

提督「……なんだ人の顔をジロジロ見て」

北上「いやーこれまたどうして、中々容姿は整っているなぁと」

提督「はぁ……?」

北上「ふんふふーん、別になんでもないよ」

提督「ふむ?」

56: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/13(水) 09:44:59.43 ID:Rgz2aBEn0

北上「で、どうするのー?なんか話聞かせてもらうとかなんとか」

提督「ああ、すまん。話もしたいが……よければ先に腕前を見せてもらいたい」

提督「急で申し訳ないのだが頼めるか?」

北上「別にいいよー」

提督「準備運動とかは?」

北上「だいじょぶしょー問題ない問題ないー」

提督「分かった。訓練内容はこの後で説明する」

北上「了解ー艤装してくるよ」

57: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/13(水) 09:45:46.54 ID:Rgz2aBEn0

─────────────────────────────────

シュゴォォォォォォ ドカァァxン

タタタタタタタタ

ドォンドォンドォン



提督(ほう、気だるそうな態度とは裏腹に丁寧な動きをするものだ)

提督(特に雷撃の精度は素晴らしい)

提督(魚雷の性能をよく熟知しているようだ)

提督(改めて思うが……このレベルで予備戦力か、恐ろしいな中央は)

提督『あー、もう大丈夫だ。ありがとう北上』無線

北上『ういーじゃあ戻りまーす』


58: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/13(水) 09:47:04.62 ID:Rgz2aBEn0

─────────────────────────


北上「ふぃー、いい汗掻いた」フキフキ

提督「ご苦労様。ほら、スポーツドリンクだ。飲むか?」スッ

北上「おー、気が利くぅー。いただいちゃおう」ゴクゴク

提督「……」

提督「北上はずっと予備艦隊所属だったのか?」

北上「んー?なんで?」

提督「いや……随分と練度が高く実戦慣れしているようだし」

提督「中央の本艦隊と実力を比較してもそこまで変わらない様に見える」

提督「なんでずっと予備艦隊にいるかと思ってな……」

59: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/13(水) 09:49:46.41 ID:Rgz2aBEn0


北上「……ふーん」

北上「提督さんには私がどう見える?」

提督「ん、どうって中々実力のある……

北上「違う違う。私の性格というか第一印象だよ」

提督「ああ……なんというか気だるそうというかやる気なさそうというか……」

提督「少しばかり馴れ馴れしさも感じるかな」

北上「そーそー。そういう事だよ」

提督「む?」


60: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/13(水) 09:51:58.83 ID:Rgz2aBEn0

北上「要はそういうのが私の評価を低くしてるの」

北上「私言葉づかいとかもタメ語とかになっちゃうしさ」

北上「あと言いたい事もスパスパ言っちゃうんだよねー」

北上「一度第4艦隊に所属してたんだけど、上官への態度がなっとらんとか言われて外されちゃったんだ」

提督「……ふむ」

北上「人によってコロコロ態度かえるの苦手でさぁ」

北上「だからまぁそういう意味で仲間と馴染めなかったりするんだよねぇ~」

提督「なるほど」

61: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/13(水) 09:53:14.90 ID:Rgz2aBEn0

北上「うんうん。どう?今の話聞いて」

提督「何が?」

北上「えーだって私を艦隊に誘いに来たんでしょ?」

北上「こんな私みたいなのがいたら艦隊の士気も下がっちゃったりする危険があるしさ」

北上「誘う気なくしたんじゃないかな?」

提督「ふむ。まぁそういう考えもあるかもな」

北上「うんうんー。という訳で私はまだしばらく予備艦隊でまったりするよーじゃぁねー」


62: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/13(水) 09:54:26.03 ID:Rgz2aBEn0

提督「待て待て」

北上「んー?」

提督「なんでそうなる」

北上「いや……だからさ。私に用はないでしょ?」

提督「む……入ってくれないのか?」

北上「へ?」

提督「よければ俺の艦隊にぜひ来てほしいのだが……ダメなのか?」

北上「え、いや、別にいいけど……」

提督「おおそうか。じゃあ決まりだな。書類の方はこちらで用意するからそれまでは予備艦隊の方に」


63: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/13(水) 09:55:16.70 ID:Rgz2aBEn0

北上「ちょっとちょっと」

提督「なんだ?」

北上「聞いてた?私の話」

提督「うむ」

北上「私なんて言っちゃえば問題児みたいなものだよ?」

提督「そうか?まぁ確かに態度はいいとは言えんがそれだけの話だ」

提督「訓練をみたかぎり実力は申し分ないし」

提督「自分の性格をしっかり理解し俺へ正直に話してくれたお前に」

提督「俺個人の考えでは問題があるように思えん」

北上「なっ……うっ……」

北上「なんてこったい」


64: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/13(水) 09:57:27.90 ID:Rgz2aBEn0


提督「で、ホントにいいのか?」

北上「…………」

北上「……ずっとしょぼい訓練してるのも飽きてきたし」

北上「そろそろこの北上様の力を活躍させる時がきたという事だねぇ、うん」

提督「やる気ありだな。歓迎するぞ」



65: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/13(水) 10:00:09.45 ID:Rgz2aBEn0

提督「まぁ、もし気が変わりそうならいってくれ。急に誘ってしまったからな」

北上「んー……平気。そっちこそやめるなら今の内だよ」

提督「大丈夫さ……あ、そうだ。気軽に呼び捨てで読んでくれていい」

提督「お堅いのは苦手なんだろ?」

北上「え、いや……まぁ……そだね」

提督「うむ。さて、ちょっと本部の方に連絡してくるから少しばかり外すよ」

北上「う、うん。いってらー」


スタスタスタ


北上「……」

北上(調子狂うなぁ)

北上(あんな風に言われるのは初めてだし……)

北上(……)

北上(気軽に呼び捨てでいい……か)

北上「提督……うんっ、提督」

北上「よしっ!軽巡用艦北上、いっちょ頑張っちゃいましょうか」グッ


66: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/13(水) 10:03:30.66 ID:Rgz2aBEn0

──────────────────────────────────

     数日後



提督「──────てわけで今日からウチに所属する事になった北上だ。みんな仲良くしてやってくれ」

北上「どもどもーよろしくでーす」

大和「よろしくね、北上ちゃん」

日向「よろしくお願いする」

加賀「……よろしく」

提督「さぁて、今日は北上歓迎会と称してメイドさんに少しばかり豪華な食事を用意してもらった」

メイド「はい♪皆様、今日は提督さんのポケットマネーからもお助けいただいて高級食材を使った料理もありますよ!」

メイド「たっぷり食べてくださいね!」

67: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/13(水) 10:04:21.16 ID:Rgz2aBEn0


加賀「食べます!」ガタタタ

北上「うわっ!加賀っち、気合はいってるねぇ……」

日向「加賀は食事の事になると性格が変わるからな……」

大和「普段は静かなのに……」

北上「まぁ空母型の人って大食いの人多いからわからなくもないけどねー」

メイド「ささ、食事処へご移動ください」

68: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/13(水) 10:06:56.17 ID:Rgz2aBEn0

────────────────────────────


ガツガツ ムシャムシャ ムシャァ モグモグ モグシャァ


加賀「これもいけますね。こっちも中々……」ガツムシャァ

日向「加賀……両手で食べ物を持つな!誰もとらんから落ちつけ!」

北上「いやー加賀っちすごいねー。私が見た中でも相当食べる方だよ」

大和「あはは……やっぱりそうなんだ」

日向「そういえば北上って名前で思い出した。私がよく利用するスーパーと同じ名前だな」

大和「ああ、スーパー北上でしょ?全国チェーンのお店よね。安くて種類豊富でいいわよねぇ」


69: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/13(水) 10:09:44.86 ID:Rgz2aBEn0


北上「あーそれウチの店だ。私ん所の親父が経営してる」

日向「へぇ……そうなのか」

北上「うん」

日向「……冗談?」

北上「マジだよー」

大和「ええ!ってことは社長の娘さんて事なの?」

北上「うーんそうだね。たしか携帯電話に写真が……」ガサゴソ

北上「これだ。ほら、私の隣にいるのがうちの親父とおかんだよ」

大和「あら、この人確かにTVでてた気がするわ」

日向「ホントに冗談じゃないのか……まさかあの有名なスーパーの娘が艦娘とは……」



70: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/13(水) 10:13:19.70 ID:Rgz2aBEn0

提督「……何か訳ありで艦娘に?」

北上「んー別に大したことじゃないよ。割と何不自由なく暮らしていたけどそれに飽きただけ」

北上「艦娘なんて一握りの人間にしかなれないものだし、なれるならなるしかないと思ってさ」

北上「親には私が艦娘になって活躍すれば広告塔にもなるからって言って説得したりしてねぇー」

提督(理由が軽いなぁー)

加賀「すびばせん、おひゃわりくだひゃい」

日向「加賀……口に物をいれて喋るんじゃない……」

メイド「はいはい、おかわりですね。まだまだいっぱいありますからどんどんしてください」




71: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/13(水) 10:14:25.69 ID:Rgz2aBEn0



────────────────────────────────


提督「はーもう食えん。お腹いっぱいだ」

加賀「……満足です」ウットリ

日向「かつてない程の満足顔だな……加賀」

メイド「喜んでもらえてうれしいです♪」

提督「うむ、ありがとうメイドさん」

提督「さて、今日はこれで解散とするか」

大和「はーい。お風呂入って寝ましょう」


72: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/13(水) 10:15:54.47 ID:Rgz2aBEn0

日向「そういえば北上もこの寮に住むのか?」

北上「んーどうしようかな。引っ越した方がいいの?提督」

提督「そうだな。同じ寮の方が何かと連絡も取りやすいし利点はある筈だ」

北上「ほーい」

提督「ふむ。じゃあそこら辺の話や異動書類の手続き等するから」

提督「北上はちょっとここに残って、他3人は好きにしていいぞ」

大和「分かったわー、じゃあ先に戻るわね」

日向「うむ。また明日だ」

加賀「……おやすみなさい」

提督「ああ、おやすみ」


スタスタスタ


ガチャ


73: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/13(水) 10:18:19.19 ID:Rgz2aBEn0

提督「てわけで北上。所属変更の書類を用意したからサインをしていってくれ」

北上「いっぱいあるね。めんどくさー」

提督「そういわず我慢してくれ」

北上「仕方ないなー」カキカキ

北上「…………」カキカキ

提督「…………」

提督「……なぁ」

北上「んー?」カキカキ

提督「書いている所悪いんだが聞いていいか?」

北上「いいよー」

74: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/13(水) 10:20:38.44 ID:Rgz2aBEn0

提督「雪風という艦娘を知ってるか?」

北上「うん」カキカキ

提督「ほう。どんな奴だ?」

北上「どんな奴って……全然知らないの?」カキカキ

提督「うむ。顔を合わせた程度だ」

北上「ふーん」カキカキ

提督「で、どうなんだ。性格とかさ」

北上「実際に関わった事はないから性格とかは知らないけど……ただまぁ色々噂は聞いた事あるよ」

提督「噂?」


75: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/13(水) 10:21:30.56 ID:Rgz2aBEn0



北上「うん」

北上「詳しくは艦娘のデータベースから調べればわかると思うけど」

北上「失敗した任務で何度もその子だけが生き残って帰還してる事から」

北上「死神とか不幸艦って呼ばれてるらしいよー」




83: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/18(月) 10:00:39.47 ID:3igkBY8Q0

──────────────────────────────

 資材倉庫
 

ガランコロンガラン

雪風「うんしょ、うんしょ」グググ


整備軍人A「おーい、死神……間違えた、雪風!こっちも運んでくれ!」

整備軍人B「お前さ、わざとだろぉ……そんな呼び方したら可哀想だからやめとけよ」

整備軍人A「ああ、すまんすまんつい」

整備軍人B「一応あれでも艦娘だぞ。キレられて殴り合いの喧嘩なんてされたら殺されちまうぞ」

整備軍人A「そうだったな。気を付けないと」

整備軍人B「あ、この燃料も運んでもらお……すみません、不幸艦さん!こっちもお願いします!」

整備軍人A「ははは、お前も言ってるじゃねーか!」



84: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/18(月) 10:01:37.92 ID:3igkBY8Q0


雪風「はい……今いきます」

雪風(………いいんです。どう呼ばれようが…)

雪風(彼らの言ってる事は本当です……)

雪風(私は不幸を呼ぶ不幸艦……死に追いやる死神……)

雪風(………………ずっとこうやってどこにも所属せず雑用をしていれば)

雪風(もう悲しい思いをしないで済むんです……)


85: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/18(月) 10:02:24.22 ID:3igkBY8Q0

───────────────────────────────


寮内 執務室



提督「………………」カタカタカタ

提督「任務履歴のデータベースはこれだな」カチッ


───任務で何度もその子だけが生き残って帰還してる事から


    死神とか不幸艦って呼ばれてるらしいよ───────



86: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/18(月) 10:03:38.01 ID:3igkBY8Q0

提督(…………あんまりな話だな)

提督(例えそうだとしても……命を張って戦ってくれるんだ)

提督(そんな彼女達にどうしてそんな事がいえようか……)

提督(っと……あったぞ。雪風の任務履歴一覧)

提督(なになに……○○年××月△△日 鎮守府近海への殲滅作戦)

提督(構成は雪風を含む駆逐艦4人と軽空母2人)


87: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/18(月) 10:04:17.14 ID:3igkBY8Q0

提督(敵は……)

提督(…………!)

提督(なんだこれは……)

提督(…………)

提督(……他の任務はどうだ?)

提督(…………おいおい)

提督(なんでこんな無茶な……)

提督(これではまるで……)

提督(いや……もしかして……)

提督(…………)

提督「……死神、不幸艦か」

提督「これが本当だとしたら皮肉にもならんな……」



─────────────────────────────


88: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/18(月) 10:05:52.25 ID:3igkBY8Q0


──
───
────
─────
──────


   別の日 


─────「雪風ちゃん!貴方は逃げて!ここは私達が……あっ……」


─────「私はもう足が動かない…いいんだ……君だけでも生きてくれ……雪風」


─────「……雪風……お前の言う事を……聞いておけば……な……すまない……ここまで……みたいだ……」


─────「バカな!こんな任務とは聞いていないぞ!全艦退却!たいきゃくぅううう!」




ドガアアアアアアアアアアアッァ


89: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/18(月) 10:07:42.01 ID:3igkBY8Q0

雪風「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ駄目ぇえええ!」ガバッ

雪風「……ハァッ……ハァッ」

雪風「夢……」

雪風「…………」

雪風「起きよう……」


プルルル プルルル


雪風「……電話、誰からでしょう」ピッ


90: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/18(月) 10:08:45.98 ID:3igkBY8Q0

─────────────────────────────────────


   本部  数時間前
   

本部軍人「急にこちらへいらっしゃって……どうしました?提督殿」

提督「すいません。少々お聞きしたい事があります」

本部軍人「はい、分かる事であればなんなりとお答えしましょう」

提督「ありがとうございます」


91: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/18(月) 10:10:24.55 ID:3igkBY8Q0

提督「過去に特殊任務を主に遂行する艦隊があったと思うのですが……」

本部軍人「ほうほう、ありましたな。随分前の話ですが……特艦隊という略称で呼ばれていましたな」

提督「ええ。その特艦隊は一体どんな任務を?」

本部軍人「そうですねぇ。特殊なんて聞こえはいいですが実は只の雑用でして」

本部軍人「中央の本艦隊が対応しなくても良い程度の任務を遂行する為に編成されたのです」


92: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/18(月) 10:12:56.09 ID:3igkBY8Q0


提督「なるほど。今はその特艦隊はなくなったのでしょうか?」

本部軍人「そうですね。色々と問題がありまして……廃止になりました」

提督「色々と……?」

本部軍人「…………任務の失敗及び艦隊の全滅が続きましてな」

本部軍人「そもそも特艦隊は中央艦隊に選考されないあぶれた艦娘達によって編成されたもので」

本部軍人「戦闘能力はさして高くなかったですからね」

提督「…………その特艦隊に事実上任務を割りふっていた方は分かりますか?」



本部軍人「ええ、勿論───────────」




93: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/18(月) 10:17:51.34 ID:3igkBY8Q0

────────────────────────────────────────────


    鎮守府内 待機場



提督「やぁ、雪風。朝から電話をかけてすまなかったな」

雪風「いいえ、お気にしないでください」

雪風「それで……何か御用でしょうか?」

提督「ああ、ちょっとお願いしたい事があってな」

雪風「はい?お願いとは?」

提督「訓練データを取らせてほしいんだ」

雪風「はぁ……?」


94: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/18(月) 10:20:45.76 ID:3igkBY8Q0

      ~数十分後~


雪風「提督さぁん!準備OKですぅー!」」

提督「よし。分かった。じゃあ自動操縦の目標物を射出するぞ」

提督「採点基準は制限時間内にどれだけそれを仕留め攻撃を回避できるかだ」

雪風「了解です!把握しました!」

提督「うむ、始めるぞ!」

雪風「はい!!」



95: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/18(月) 10:25:58.70 ID:3igkBY8Q0

ビーーーーーーーー ガシャンッ



ビシュウゥウウウ ビシュゥウウウウウウウウウウウ ビシュゥウウウウウウウウウウウ ビシュゥウウウウウウウウウウウ ビシュゥウウウウウウウウウウウ 



雪風(提督さん……急に私の訓練データを取りたいなんて……どうしたんでしょうか?)

雪風(よく分かりませんが、やれるだけやりましょう)スッ


シュタタタタタタタ


雪風(前方2、後方2、右方1、左方1、上方1)キョロキョロ

雪風(万遍なく配置……常に位置把握していないと難しいことになりそうです)

雪風(目標の足はそれほど速くないですね……一つずつやっていきましょう)スッ


シュタタタタタタタタタ



96: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/18(月) 10:30:28.54 ID:3igkBY8Q0


提督(ほう……)

提督(これは中々……速度数値を計ってみるか)

提督(!)

提督(速いっ!)

提督(いつも日向や大和ばかり見ていたから余計に感じるのかもしれないが……)

提督(それでも駆逐艦の平均速度より約1.5倍は速いな)

提督(過去の訓練データを見た時は目を疑ったが……)

提督(これは本物だ。足の速さは中央にいる艦娘の中でもトップクラス)

提督(……しかしその速さを生かしきれるかどうかが重要なわけだが、はたして……)


97: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/18(月) 10:36:05.38 ID:3igkBY8Q0



雪風(……っ、後ろをとられましたか)

雪風(前方にも………挟まれましたね……)


ドォン ドォン ドォン ドォン


雪風(前と後ろから同時に砲撃!)


雪風(なら……ここです!)ググッ


シュタタタタタ

シュタッ


提督(急加速!……速い……そしてジャンプっ!なんて身軽な……!)


サッパーン サッパーン


雪風(よしっ……一難さりました!ここから反撃です!)


提督(咄嗟の判断力と自身のスピードを生かした回避力……素晴らしい)



98: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/18(月) 10:37:18.32 ID:3igkBY8Q0


─────────────────────────────


提督「いやぁ見事だったよ雪風。採点はAランク、上々じゃないか」

雪風「ありがとうございます。久しぶりの訓練だったので少し緊張しました」

提督「やはり中央にいるだけあるな。練度の高さがうかがえる」

提督「特に足の速さとそれから生まれるであろう回避力及び旋回力……相当なものだと感じた」

雪風「えへへ……そこまで褒めてくれると嬉しいです」

雪風「むしろそれだけが取り柄ですから」ニコニコ

99: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/18(月) 10:53:08.30 ID:3igkBY8Q0


提督「ふむ……」

提督「…………」

提督「雪風」

雪風「……はい、なんでしょうか?」


提督「俺の艦隊に入って欲しい」



100: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/18(月) 10:55:29.11 ID:3igkBY8Q0

雪風「……え」

提督「ちょうど足の速い駆逐艦が欲しくてな。どうだ?」

雪風「嫌です」

提督「何故だ?」

雪風「…………」

提督「自分がいると……不幸を呼ぶからか?」

雪風「っ!」


101: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/18(月) 10:57:27.39 ID:3igkBY8Q0

雪風「……聞いたんですか……その事」

提督「ああ……掘り返すようですまない、ただな」

提督「俺の艦隊はそんな簡単に沈みはしない……いや、沈ませない」

雪風「……みんな最初はそんな風にいいます」

雪風「自分達は簡単に死なない、強いから……と」

雪風「でも……皆死にました。私だけを除いて」

雪風「仲が良かった司令官さんも艦娘の子達も全員目の前で……沈んでいきました」


102: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/18(月) 10:59:45.11 ID:3igkBY8Q0

雪風「……初めて任務を失敗した時………みんなの死を確認して……逃げるように鎮守府に帰還しました」

雪風「………鎮守府に戻ってから……最初は……よく生きていた、無事で何よりだ、と」

雪風「すごく皆に心配されました」

雪風「でもそれが2度3度続くと……」


103: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/18(月) 11:01:56.42 ID:3igkBY8Q0


───お前だけがまた生き残ったのか……
   
───逃げてばっかりいたんじゃないのか?……最悪だな……
   
───どうしてお前がいる任務はそんなに失敗するんだ?



雪風「段々と私への態度は変わっていき」

雪風「そして5度目の任務失敗で……」


104: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/18(月) 11:03:01.89 ID:3igkBY8Q0


───────またかよ……死神みたいなやつだな……

───────不幸がうつる……俺の艦隊に近づかないでくれ
       
───────なんでそんな平気でいられるんだよ……疫病神が……
       

雪風「……生き残り逃げ帰る私は強い批判をあびるようになりました」

提督「…………」

雪風「私と一緒にいては駄目なんです……」

雪風「いつか必ず所属している艦隊の皆に……不幸をよびます……」

雪風「……私がいるだけでです」

105: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/18(月) 11:04:00.46 ID:3igkBY8Q0

雪風「だから……」

提督「だからなんだ?」

提督「俺達は軍人だ。死ぬ為に戦うわけではない。が、死と常に隣合わせなのは百も承知」

雪風「でも私は!」

提督「それにな。お前一人だけの力で死を左右されるなど……愚弄に等しい」

雪風「だって……」


106: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/18(月) 11:04:50.98 ID:3igkBY8Q0

提督「お前がなにをした?お前はそんなに酷い失敗をしたのか?お前のせいでホントに艦隊一つが壊滅したのか?」

提督「これを見ろ雪風」パサッ

雪風「これは……」

提督「過去にお前が関わった任務のデータだ」

雪風「なんでそんなものを……!」

提督「落ち着け。何もお前を貶めようとして見せたわけではない」

提督「いいか……お前が出撃して壊滅した時の任務」

提督「それは明らかにキャパシティを超えたものだ」

雪風「……?」


107: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/18(月) 11:06:44.74 ID:3igkBY8Q0

提督「まず最初の任務。鎮守府近海の殲滅という内容だが……」

提督「一見、この海域は敵の数も少なく難易度の低い任務だ」

提督「しかし」

提督「それは正規ルートを通った話」

提督「お前らが通ったルートは当時、まだあまり開拓されていなかったものだ」

提督「そして今の情報では危険度は上から2番目に高いAランクの海域」


108: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/18(月) 11:07:25.14 ID:3igkBY8Q0


提督「つまりどういう事かというと」

提督「その時のお前らの艦隊ではそのルートを通った作戦……攻略は難しいものだった……いや」

提督「壊滅は至極当然の結果という事だ」

雪風「……っ」


109: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/18(月) 11:08:31.71 ID:3igkBY8Q0

提督「他の任務もそうだ。どれもまだ開拓されていない海域ルートを通った為に」

提督「本来対応出来る筈の戦力キャパシティを超え」

提督「お前は任務の失敗を何度も経験した」

雪風「…………」

雪風「……私の……せいでは……ない?」

提督「当たり前だろ。たかが艦娘一人のよく分からん風評で1艦隊が全滅など」

提督「こっちとしては、たまったものではないよ」

110: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/18(月) 11:10:19.48 ID:3igkBY8Q0


提督「むしろ生き残った俺はお前をこう呼びたい」

提督「どんな過酷な任務でも生き残る事ができる」


提督「 幸運艦 とな」



111: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/18(月) 11:11:26.64 ID:3igkBY8Q0

雪風「……幸運艦……私が……」

提督「まぁ……その幸運艦に俺もあやかりたいと思ってな」

提督「どうだ?俺についてこいないか?共に戦って欲しいんだ」

雪風「……う」

雪風「……ひぐっ……ひぐっ……」ポロポロ

雪風「ほんと……に……ひぐっ……ゆきかぜ……のせい…ふぐっ……じゃない?」

提督「ああ、お前のせいではない。安心しろ」

雪風「……ひぐっ……よかった……うっ……」

提督「…………辛かったろう。自分の事を責めて」ダキッ

雪風「うぐっ……うわぁぁぁぁん」ギュー

提督「よしよし」ナデナデ



112: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/18(月) 11:12:32.86 ID:3igkBY8Q0

───────────────────────


提督「落ち着いたか?」

雪風「はい……みっともない所をお見せして申し訳ございません!」ペコッ

提督「気にするな。色々あったんだ」

提督「すぐに心の傷が癒えるとは思えんが……これを機に自分を卑下するような」

提督「死神や不幸艦などとくだらん事を考えるのはやめるんだぞ」

雪風「……はい!」ビシッ

提督「うむ。いい返事だ」


113: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/18(月) 11:14:02.19 ID:3igkBY8Q0


雪風「……しれぇ」

提督「しれぇ?」

雪風「はい。雪風の司令官なのでしれぇとお呼びしました」

提督「(ああ、司令っていったのか。舌足らずで可愛い奴)ふむ。という事は俺の艦隊に?」

雪風「はい!この雪風!しれぇの為に、命をかけて共に戦う事を決意しました!」

雪風「よろしくお願いします!しれぇ!」

提督「……うむ。よろしく頼むぞ、雪風」


114: ◆vLyL7y0Zk. 2014/08/18(月) 11:15:20.63 ID:3igkBY8Q0

提督(しかし……過去に雪風が出撃したという任務……)

提督(どれもまるで、実験というかまるで捨て駒の様な扱いだったな……)

提督(まだあまり調査が進んでいなルートにわざと進軍させて……)

提督(それによって情報収集を行う……)

提督(戦力や資材に関しては最低限のもので対応させてたようだし……)

提督(…………)

提督(…………本部軍事が言っていたが……)

提督(その実質の指揮を執っていたのは)




─────本部軍人「ええ、勿論……総司令官殿ですな」


165: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/19(日) 23:17:36.85 ID:E3EwPcOwo





───────────────────────────────────────────



   執務室



雪風「しれぇ!艤装及び燃料弾薬の確認を終了しました!」

提督「おお、早いじゃないか。良く頑張ったな」ナデナデ

雪風「えへへ、なんかくすぐったいです」ニパァ

提督「そ、そうか。すまん」

雪風「あ……いえ、嫌な訳じゃないです。むしろすごく落ち着きます……」

提督「ふ、ふむ……」



166: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/19(日) 23:20:51.30 ID:E3EwPcOwo



大和「雪風ちゃん、まだここにきて数日しかたってないのに随分なついてるわね」

日向「朝から晩まで提督と一緒にいるみたいだぞ」

加賀「……まるで父と娘ですね」

北上「精神年齢でいえば中学生ぐらいかんねーまだまだガキんちょ」

大和「甘えたい時に甘えれなかった分……反動がきてるのかも知れないわ」

日向「ふむ。しかし、あんな無邪気で小さな娘までもが艦娘となり戦場にでているとはな……」

加賀「知ってはいましたが……実際みると悲しいものですね」

大和「しかも経験は私達より豊富だっていう……」

日向「……なんともいえないな」



167: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/19(日) 23:21:53.39 ID:E3EwPcOwo



雪風「しれぇ!何か他に雪風が手伝える事はありませんか?」

提督「いやぁーもう大丈夫だ。あとは俺しかできない書類作業くらいでな」

雪風「……そうですかぁ……雪風はいらないですか……」シュン

提督「お、落ち込まんでくれ。ほらほら、今日は皆休みなんだ。どこかへ遊びにいってきても構わんのだぞ」

雪風「雪風は……しれぇと一緒にいたいです」ジー

提督「うっ……そんな目をしないでくれ」オロオロ




168: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/19(日) 23:23:32.92 ID:E3EwPcOwo

大和「提督、すごい困ってるわね」

日向「あんな顔初めて見たな」

加賀「子供に慣れていないのでしょうか。ちょっと笑えますね」


北上「あーあーあれじゃ仕事ができなそうだねー……しょうがないなぁ」ハァ



北上「ほらー雪風」

雪風「?」

北上「いいからこっちきなー」

雪風「え、はい……なんでしょうか」


トテトテトテトテ


169: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/19(日) 23:26:12.99 ID:E3EwPcOwo



雪風「北上さん。雪風にご用でしょうか?」

北上「えいっ」プニッ

雪風「あうっ」

雪風「な、なんでほっぺたをつつくのでしょうか……」

北上「楽しいから。えいっえいっ」プニッ プニッ

雪風「やめて……あうっ…くださいあうっ」

北上「どーだどーだー北上様の連装波状砲撃だぞー」プニッ プニッ

雪風「あうっ、もう。北上さんっ、やめてくださいっ」プンスカ



ドーダー
ヤメテクダサイ



170: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/19(日) 23:29:10.56 ID:E3EwPcOwo


提督(北上、ありがとな)ウィンク

北上(まったく世話が焼けるなー)ジトー




提督「ふぅっ……」

大和「お疲れ様、提督」

提督「ん、ああ。慣れない事はするもんじゃないな」

大和「子供苦手なの?」

提督「苦手という訳ではないが……ああ純心にまっすぐ行動や気持ちを伝えられるとそれに答えねばと思ってな」

提督「色々と考えてしまうのだ」ハァ

171: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/19(日) 23:31:33.91 ID:E3EwPcOwo


大和「真面目よねぇ。もっと気楽でいいのに」

提督「うむ……まぁ指揮官としてお前らの命をあずかる身だ」

提督「常日頃から一つ一つの行動をかんが」

大和「はいはい、ありがたいお話はいらないから執務室に戻って作業してください」

提督「うっ……ったく、まだ話してたのに……まぁいいや」

提督「しばらく部屋にいるから何かあったら言ってくれ」スッ

大和「はーい」

大和「…………」

大和(顔色が悪そうだけど……大丈夫かしら)



172: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/19(日) 23:33:33.14 ID:E3EwPcOwo




─────────────────────────────────

      提督の部屋


提督(……母艦の設備点検はこの日で……っと)

提督(む……資源使用の報告書。これがまた……なんとまぁ手間だ……)

提督「…………ハァ」

提督「っといかんいかん。最近疲れているようだな。すぐにため息がでてしまう」



173: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/19(日) 23:34:30.16 ID:E3EwPcOwo



プルル プルル



提督「ん、電話か」


ガチャ



提督「はい」

本部軍人「もしもし、提督殿。今よろしいでしょうかな?」

提督「本部軍人さん、お疲れ様です。ええ構いませんよ」

本部軍人「実は近々遠征任務へ艦隊を派遣する予定なのですが」

本部軍人「提督殿もよければご同行されないかなと思いまして」

提督「遠征……ですか」



174: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/19(日) 23:38:16.06 ID:E3EwPcOwo



本部銀人「ええ。今回は資材……主にボーキサイト等が眠る海域へと向かうもので」

本部軍人「戦闘は恐らく発生しないものだとおもっていただいて結構ですよ」

提督「なるほど」

本部軍人「まだ経験少ない提督殿に色々と慣れていただければと思い声をかけたのですが」

本部軍人「いかがですか?」

提督「分かりました。ぜひ参加させていただきます」

本部軍人「了解です。遠征艦隊には私の方から声をかけておきますので当日までお待ちください」

提督「はい。お気遣いありがとうございます」

本部軍人「それでは失礼致しました」


 ツーツー


提督(遠征か……)

提督(こっちに来て母艦に乗るのは初めてだし、丁度いい機会だな)





175: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/19(日) 23:42:46.01 ID:E3EwPcOwo



──────────────────────────────



~遠征当日~



遠征軍人「今日はよろしくお願いします、司令官」

提督(司令官……なんか呼ばれ慣れない)

提督「え、ええ。こちらこそ……今日はお世話になります」

遠征軍人「本部軍人殿より資材調達任務は初めてだとお聞きしております」

遠征軍人「まぁ、さほど難しい工程はありません。気軽にやりましょう」

提督「はいっ」

遠征軍人「あちらの艤装庫に今回の任務についてくる艦娘達がいるので、よければご挨拶をしていただいても?」

提督「了解しました。ではちょっといってきます」




178: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/19(日) 23:47:49.12 ID:E3EwPcOwo


────────────────────────────────


艤装庫




提督「色々迷惑かけると思うがよろしくお願いする」ペコ

艦娘A「よろしくー!大した任務でもないし楽しくやりましょー♪」

提督「うむ」

艦娘B「そんな事よりさぁ、提督さんて最近ここに着任したんですよねー?」

提督「ああ、そうだが」

艦娘B「しかも司令官なんでしょー?すごいわぁ」

提督「運が良かった……と言うと回りに失礼か。そうだな、努力の成果……だと思っている」



179: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/19(日) 23:51:37.35 ID:E3EwPcOwo


艦娘A「真面目~なんか可愛いわね」

艦娘B「よくみると結構男前だし」ジー

艦娘A「この後遠征終わったら遊びにいかないー?」

艦娘B「いいわねぇ~、せっかく知り合ったんだし!いきましょー?」

提督「いや……今日は用事が……」

艦娘A「ねね、そんな事いわずに」ズイッ

艦娘B「そうよー。もっと楽しい事……できるかもよ?」ギュー

提督「え、いや……あの……」アセアセ

提督「失礼する!」サッ


タッタッタッタッ


艦娘A「あーんどこいっちゃうのー?」



180: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/19(日) 23:52:34.79 ID:E3EwPcOwo

────────────────────────

    母艦が定着している港


スタスタスタ



提督(………ああいった女性の対応は正直苦手だ)

提督(馴れ馴れしいのが好きじゃないし……それに)

提督「俺は大和一筋だ」キリッ





提督「…………何言ってんだ俺……」カァ


181: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/19(日) 23:54:34.79 ID:E3EwPcOwo



提督(しかし、中央といっても管轄で大分違うもんだな)

提督(前線にでる本艦隊は規律厳しくピリピリした雰囲気だけど……)

提督(この遠征任務担当の艦隊は割とゆるい感じがするし)

提督(中央鎮守府といっても全てを統制できている訳ではなさそうだ)

提督(…………)

提督(艦娘への挨拶も終わったしもどろう)



182: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/19(日) 23:56:10.85 ID:E3EwPcOwo



ザバァァン



提督「?!」

伊58「……ハァ……ハァ……疲れた……」フラフラ

提督(な、なんだ。急に海の中から勢いよく飛び出してきたこの娘は……艦娘か?)

伊58「…………もどってまた……いかなきゃ…………」フラフラ

提督「お、おい。そこの君、大丈夫か?」

伊58「……だ……いじょうぶで……ち」フラッ


バタッ



提督「おい、君!しっかりしろ!おい!」




193: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/21(火) 23:47:23.79 ID:gQ4GA+O6o

───────────────────────────────────────


      入渠室


チャポーン


伊58「ん……んうっ……」モゾモゾ

伊58「…………ん」ムク

伊58「……ここは?入渠室?」

伊58「私……オリョールから帰ってきてそれで……」

伊58「うーん……覚えてない」

伊58「……とりあえず起きよう」スクッ


スタスタ


194: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/21(火) 23:48:56.56 ID:gQ4GA+O6o

ガチャッ


伊58「やっぱり……鎮守府の入渠室でち」キョロキョロ

女医軍人「ゴーヤちゃん!」

伊58「女医さん、こんにちは」

提督「む、起きたようだな。体調は平気か」

伊58「……どなた、ですか?」

提督「ああ覚えていないんだな」

提督「港で歩いていたら急に君が海から飛び出してきてね」

提督「そのまま気絶した君をここまで連れてきた者だ」

伊58「そうでちたか……ありがとうございます」ペコリ

提督「無事だったようで何よりだ」

伊58「えへへ」

195: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/21(火) 23:51:40.98 ID:gQ4GA+O6o


女医軍人「えへへじゃないわよ!」

伊58「女医さん……」

女医軍人「何度言ったら分かるの!!ゴーヤちゃん!」グワッ

伊58「あうっ」

女医軍人「あなたの疲労はとっくに限界なのよ。このままだとまたしばらく入院しないといけなくなるわ」

伊58「……大丈夫、ちょっと疲れてただけみたい」

女医軍人「そんな事いって前も倒れた事忘れたの?いい加減身体をもっと大事にしなさい」

伊58「……寝たから元気いっぱいなの!ゴーヤはまだまだ働けるの!」

女医軍人「駄目!いくら艦娘とはいえ元は人間なのよ?同じように疲れはたまるしそれによって弊害はでるの!」

女医軍人「今のまま貴方が動きつづけたらいずれ動けなくなる程の疲れが溜まってそれで……」

196: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/21(火) 23:53:27.52 ID:gQ4GA+O6o



伊58「…………だいじょうぶったら大丈夫!女医さんは心配しすぎ!」スッ


タッタッタッタッ



女医軍人「ゴーヤちゃん!」

提督「行ってしまったようですね」

女医軍人「まったく……あの子は。頑張りすぎよ……」

提督「……何か訳ありですか」

女医軍人「……ええ」


197: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/21(火) 23:55:40.80 ID:gQ4GA+O6o


───────────────────────────────────


    回想



伊168「女医さーん!」

女医軍人「あらどうしたの?」

伊19「入渠室借りにきたのね~」

女医軍人「あらそう。じゃあ今から準備するから、もう少し待ってね」

伊58「わーい。早くさっぱりしたいでち」

女医軍人「毎日毎日大変ね貴方たちも」

伊19「しょうがないのね。潜水艦型の資材調達部隊は少ないからフル稼働なのね」

伊168「総司令官の意向だからこればかりはしょうがないわよ」ハァ

女医軍人「……辛かったらちゃんというのよ」

伊58「大丈夫だよぉ。みんなで協力してやってるし」

伊19「優秀な女医さんもいるのね」

伊168「そういうこと」

女医軍人「褒めても何もでないわよ。さぁ準備できたからさっさと入って頂戴」

3人「「はーい」」



    回想 終


198: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/21(火) 23:57:21.84 ID:gQ4GA+O6o


提督「ふむ。伊58と同じ潜水艦型の友人が?」

女医軍人「はい……ゴーヤちゃんの他にも伊19ちゃん、それと伊168ちゃん」

女医軍人「前まではその3人が主にオリョール海で資材調達の任務をしていたわ」

提督「オリョール海……教科書で見た事がある」

提督「海底に沈む資材が豊富で敵の数もさほど多くはない……資材調達にピッタリな場所だと」

女医軍人「ええそうなのよ。しかもそこは潜水艦型だと優位に資材回収できるのだけど」

提督「なるほど」

女医軍人「その3人は資材調達部隊のエキスパート、」

女医軍人「一時期は中央の資材20%近くを3人だけでカバーしていた事もあったらしいわ」

提督「たった3人で……この規模の資材をか」

女医軍人「でも……少し前に伊168ちゃんと伊19ちゃんが別の鎮守府へ異動になってね」

提督「それで今は伊58だけでオリョール海にいってるのか」

女医軍人「ええ、きっとゴーヤちゃん寂しいと思うの。だからあんなにがむしゃらに……」



提督「……ふむ。異動ねぇ」




202: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 21:17:22.00 ID:Cvwdf28Bo


──────────────────────────────────

    港 


トボトホドボ


伊58(分かってるでち……自分の限界なんて自分が一番)

伊58(それでも……ゴーヤは)

伊58(オリョーるに行かなきゃ)

クラァ

伊58(っとと、危ない!)ザッ

伊58(……足が一瞬上がらなかった)

伊58(ひ、疲労のせい?)

伊58(いやいや、まだ平気でち。ちょっと立ちくらみしただけ!)

伊58(さぁ、さっさと遠征の準備しなきゃ!)




203: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 21:25:12.23 ID:Cvwdf28Bo

──────────────────────────────────


         ~数時間後~



     とある海域 遠征任務 遂行中




遠征軍人「この状態で、ボタンを押すと……」


ゥィイイイイイイイイン



遠征軍人「あとは自動で資材を調達してくれます」

提督「なるほど。便利なものですね」

遠征軍人「妖精達の技術の賜物ですよ」

提督「……あの、一つお聞きしたいのですが」

遠征軍人「はい。なんでしょう?」

204: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 21:33:23.19 ID:Cvwdf28Bo


遠征軍人「ほう、オリョールですか。そうですね……非常に効率的だと個人的には思います」

提督「ふむ」

遠征軍人「オリョール海での敵は潜水艦への対策を持っているものが少ないという統計がでているという点」

遠征軍人「また特殊な海流があるせいで海上は波が荒く、深い潜水からのルートを通った方が時間効率を高める事ができます」

遠視軍人「あとは資材を回収できるポイントが海底にあるので尚更ですね」

提督「なるほど」

遠征軍人「私共も前まではオリョールでの資材調達が大半を占めていましたし」

提督「前までは?」

遠征軍人「ええ……実は……」




205: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 21:34:53.43 ID:Cvwdf28Bo

────────────────────────────────────


     ─次の日─


      艤装庫
    



伊58(……よしっ!)

伊58(艤装OK!燃料OK!弾薬OK!……準備万端でち)

伊58(……あと一回だけいけば今日のノルマは終わり)

伊58(少し……疲れてはいるけど平気だよね、うん)




206: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 21:36:08.23 ID:Cvwdf28Bo




─────「ゴーヤ、髪留めが取れそうよ。ほら、動かないで……っと。よしっ!もう、今度からはしっかりしなさいよ」

─────「イムヤはゴーヤのお姉さんみたいなのね。とんだ世話焼きなのね」

207: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 21:37:36.60 ID:Cvwdf28Bo



伊58「髪留めも……よしっ」


ガチャッ



提督「伊58、もうでるのか?」スッ

伊58「ん、貴方はこの前の……えっと」

提督「そういえば自己紹介していなかったな。第2艦隊の司令官 提督だ」

伊58「ええっ!司令官でちたか!人は見かけによらないですねぇ」

提督「一言余計だろ」

伊58「わ、悪い意味ではないです。ただ、ちょっと若いなぁと思って……」

提督「ふむ。お前に言われたくないな」



208: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 21:39:38.77 ID:Cvwdf28Bo


伊58「えへへ……提督さんはこんな所にどうしたんでちか?」

提督「ああ、ちょっと様子を見にきた」

伊58「誰の?」

提督「お前の」

伊58「へ?ゴーヤの?」

提督「うむ」

伊58「な、なんで?」

提督「この前倒れたばかりだろ?今日は止めてしばらく休め」

伊58「……なんでそんな事いわれなきゃいけないんですか」

提督「何かあったら困るからだ」

伊58「意味がわからないです」プイッ


209: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 21:44:06.78 ID:Cvwdf28Bo


提督「理由はまぁ複数あるが……一つはお前を俺の艦隊に誘いたいという事」

伊58「……誘う?どういうこと?」

提督「俺はここ最近着任したばかりだ。まだ艦隊の編成を終えていない」

提督「現在編成中により共に戦う仲間を探している……そこで色々考えた結果、潜水艦型の艦娘を一人仲間にしたいと思ってな」

提督「どうだ?俺の艦隊に入ってくれないか?」

伊58「……お断りさせていただきます」

提督「なぜだ?」

伊58「ゴーヤは資材調達部隊を離れたくないです。オリョール海でビシバシ任務を遂行する事に誇りを持っています」

提督「……そうか。残念だ」

伊58「ごめんなさい……では任務へ行ってくるので失礼するでち」スッ

210: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 21:47:40.74 ID:Cvwdf28Bo


提督「待て」

伊58「……」ピタッ

提督「今週はお前のノルマはもう終わってる筈。これ以上の資材収集は必要ないだろう」

伊58「そんな事ないです。必要あります。まだまだ二人の分まで足りない……でち」

提督「お前、ホントはあの二人の事……」


伊58「……失礼します」スッ


スタスタスタ



提督(…………)





211: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 21:53:52.00 ID:Cvwdf28Bo


─────────────────


    その後


  ─遠征管理局─



提督「……はぁ」

遠征軍人「駄目でしたか」

提督「ええ。介入する余地もなく」

遠征軍人「彼女達は本当に働き者でしたからね」

遠征軍人「寝る間も惜しまず朝から晩まで働いていたのを覚えています」

提督「……」

遠征軍人「それがあんな不幸に……残念で仕方ありません」

提督「ですね……ん?」

212: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 21:56:46.26 ID:Cvwdf28Bo


ワイワイ ガヤガヤ



遠征軍人「昨日とは別の遠征部隊が戻ってきたようですね」チラッ



艦娘C「あーびっくりした。なんでオリョールにあんな奴らがいるのよ」

艦娘D「良かったわー。早めに気づけたから戦闘を避けれたけど……」

艦娘D「ほんのちょこっと資材とりにいこうと思ってだけなのに」

艦娘C「まさかあんな深海棲艦に出会うなんてねぇ」

艦娘D「おかげで収穫ゼロ……」

艦娘C「オリョールはもう駄目ね……敵の数も質も以前とは比較できないわ」


213: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 21:58:58.69 ID:Cvwdf28Bo


提督「……君達、その話って今日の話?」スッ

艦娘C「ええ、今さっきいったばっかりよ」

艦娘D「びっくりしたわ。雷巡チ級なんてあの海域で見たの初めてよ」

艦娘C「久しぶりにのオリョールだからって気楽にいったのにさー」

艦娘D「遠征用の艦隊だし全速力で逃げてもどってきわたよ……もうヘトヘト」

艦娘C「一回り強い深海棲艦が出るようになったって噂本当だったのねー……って提督さん?どこいったのかしら……」


214: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 22:02:40.91 ID:Cvwdf28Bo

─────────────────────────────

     その頃

    
   オリョール海 周辺
    
    
伊58(まったく余計なお世話でちたね)

伊58(わざわざ止めろと言いに来るなんて……)

伊58(でも……悪い人ではなさそう)

伊58(心配してくれるのは嬉しいけどそれでもゴーヤは……)




──────どうだ?俺の艦隊に入ってくれないか?



伊58(…………)

伊58(……っと、ここから深海棲艦がではじめる海域でち。集中しなきゃ!)ブンブン



215: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 22:07:39.95 ID:Cvwdf28Bo

───────────────────────────────────────────


  ───中央鎮守府 母港───


タッタッタッタッ


提督「ハァッ……ハァッ……」ゴソゴソ


ピッ

大和『はい、こちら第2艦隊 大和がお受けいたします』※電話

提督『もしもし、大和か!急で悪いが聞いてくれ!』

大和『ど、どうしたの?慌てた様子で』

提督『今すぐみんなに出撃できるよう声をかけてくれないか!』

大和『ちょ、急にどうしたのよ』

提督『頼む!一人の艦娘を救いたいんだ!母艦で待ってる!』ピッ


プツ ツーツー


大和「え、ま……って切れてる」

大和「あああ、もうなんなのよ!勝手に!」



216: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 22:10:23.09 ID:Cvwdf28Bo


提督「はぁっ……はぁっ……」

提督(昨日遠征軍人が言っていたこと……)

提督(……嫌な予感がしたから声をかけたのに……)

提督(やはり全力で止めるべきだった……!)

提督(無事でいてくれよ……伊58!)

217: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 22:19:37.93 ID:Cvwdf28Bo

───────────────────────────────────

    ~ 回 想 ~


       前日



遠征軍人「ええ……実はですね」

遠征軍人「最近は事情が変わりました」

提督「……事情?」

遠征軍人「はい。練度の高い深海棲艦及び潜水艦への攻撃手段を持つ深海棲艦も増加傾向にあるのです」

遠征軍人「結果、オリョール海への資材調達を自粛する艦隊が多いのが現状ですね。私の艦隊も最近は控えてますし」

提督「なるほど、実害はあったのでしょうか?」

遠征軍人「……つい最近、潜水艦隊の二人が犠牲になっています」

提督「二人、ですか……」

提督「……良ければ名前を教えていただいても?」

遠征軍人「ええ構いませんが……」



遠征軍人「伊19と伊168……という艦娘の2名です」




   ~ 回想 終 ~

218: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 22:21:11.94 ID:Cvwdf28Bo




──────────────────────────────────────




オリョール海  海底



伊58(……あとちょっとで回収ポイント……)スィー

伊58(…………)


伊58(イムヤ、イク……ゴーヤは二人の分もここで任務を遂行するでち……)

伊58(こんな事をしても二人は帰ってこないけど……)

伊58(それでも……)



219: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 22:24:22.92 ID:Cvwdf28Bo

────────────────────────────


      ~回 想~


伊168「ねぇ……一生遊べるくらいお金稼いだら人間に戻って皆で学校に通わない?」

伊19「それはいい考えなのね!しかも同じ学校、同じ学年、同じクラスで!最高なのね!」

伊58「絶対楽しいでち!」

伊168「でしょ!こんな暗い海底を何度も何度も往復する作業をずっとやるのも……さ。嫌でしょ?」

伊58「そう?ゴーヤは3人でいればすごく楽しいよ?」

伊19「そうなのね。こんな暗い所でも明るい気分になれるのね!」

伊168「ふ、ふーん……まぁ……あたしもあんた達がいればもうちょっとこうしててもいいわね」


伊58「えへへ……ならみんなずっと一緒でち!」




    ~回 想 終~


220: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 22:27:13.54 ID:Cvwdf28Bo


─────────────────────



伊58(……ずっと一緒………か)

伊58(もう……その願いは叶わないよ……)

伊58(なんでこんな事に……ん?)




ピッ ピッ ピッ





伊58(……何の音だろ)


伊58(四角いシルエット……上から落ちてきてる……)


伊58(え……ば、爆雷!?)



ドカァァァァン




221: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 22:30:15.36 ID:Cvwdf28Bo

────────────────────────


    ~ オリョール海 海上 ~



軽巡ヘ級1「ミー……ツケ……タ……」

軽巡ヘ級2「ネズミガ……イッピキ……」

戦艦ル級1「フカイ……ナ……」

雷巡チ級1「……アタッタ……カナ」

雷巡チ級2「グチャァ……」

空母ヲ級elite「……ヲ……マダダ……コロセ……」


222: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 22:33:39.71 ID:Cvwdf28Bo

────────────────────────


      オリョール海  海底



伊58(危なかった……もう少しで当たる所だったでち)

伊58(ボーっとしていて敵艦隊に気づかないなんて……ゴーヤのバカ!)

伊58(……それにしても)

伊58(爆雷装備の敵をオリョクルで見るなんて初めて……)

伊58(しかもこんな深い場所へ高精度に……)


223: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 22:35:17.54 ID:Cvwdf28Bo



伊58(空母1と戦艦1軽巡2雷巡2……あんな構成みたこないでち)

伊58(見た所対潜装備もある程度積まれてる……)

伊58(これは……今までの適当にあしらってきた奴らと違うでち)ゴクリ

伊58(真正面で戦うのは無謀……もっと深い位置を潜って……逃げ切るしかない)スッ





 スイーーーッ…………ピタッ






伊58(あれ…?……力が…………)グググ

伊58(……入らない……でち……)





224: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 22:36:04.27 ID:Cvwdf28Bo


────女医軍人「今のまま貴方が動きつづけたらいずれ動けなくなる程の疲れが溜まってそれで……」


225: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 22:40:16.89 ID:Cvwdf28Bo


伊58(……そういえば……女医さんがいってたでちね……)

伊58(さっきの攻撃で……気がぬけたのかな……)





軽巡ヘ級1「……ウゴカナク……ナッタ……」カチャ

軽巡ヘ級2「コロソウ……」カチャ

雷巡チ級1「ヤロウ……」カチャ



シュボッ ポチャン

シュボッ ポチャン

シュゴォオオオォォ






伊58(…………避けれない)

伊58(ここまでかぁ……)

伊58(…………)



伊58(イムヤ、イク……)



伊58「深海は……やっぱり……」



伊58「暗いでち……」





ドカァァアアアン




226: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 22:42:30.64 ID:Cvwdf28Bo



伊58「…………」


伊58「あれ……無事……?」






日向「やるな北上!爆雷に魚雷を当てるとはっ」

北上「へへーん、どんなもんだーい!これが北上様の実力だよー」

提督「自慢してる場合か!大和!敵艦隊の様子はどうだ?」

大和「戦艦がこちらへ来るわ、空母が艦載機を発進した模様!」

提督「よし!加賀、艦載機で迎撃だ!」

加賀「もうやってます!」

雪風「しれぇ!敵の攪乱はおまかせください!」

提督「うむ、無理はするなよ!」

大和「もうっ!提督のバカ!初出撃がこんな慌ただしいなんて!」


227: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 22:44:37.33 ID:Cvwdf28Bo


提督『おい!伊58!聞こえるか!』無線

伊58(この声……提督さんでち)

提督『聞こえるなら返事をしろ!』

伊58『……なんでちか?』

提督『なんでちか?じゃない!さっさと海上へあがってこい!』

伊58『身体が………動かないの』

提督『何いってるんだ!こっちはあまり余裕がない!早くあがってこい!』

伊58『……提督さん。ゴーヤの事はほっといてくだち……』

提督『バカ野郎!何のためにここまで来たと思ってるんだ!しっかりしろ!』

228: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 22:47:50.52 ID:Cvwdf28Bo



伊58『…………』

提督『………伊168と伊19の思いを無駄にする気か』

伊58『……………』

提督『やっぱりか……知ってたんだな。二人が亡くなった事』

伊58『…………うん』


229: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 22:49:55.53 ID:Cvwdf28Bo




─────────────────────────
 
  ~ 回想 ~
   
   
    病院



女医軍人「うーん……しばらくはお休みね」

伊58「出撃だめなの?」

女医軍人「ええ。疲労が完全に取り除かれるまで」

女医軍人「1週間くらい安静にしとくといいわ」

伊58「そんなに?」

女医軍人「何言ってるのよ。今までの貴方の働きぶりで考えたら足りないくらいよ」

230: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 22:51:11.41 ID:Cvwdf28Bo


伊19「ゴーヤ。女医さんのいう事はちゃんと聞くのね」

伊168「そうよ。たまにはゆっくり休みなさい」

伊58「でも……ゴーヤがいないと任務が……」

伊19「何言ってるの。ゴーヤがいなくても二人で余裕なのね。私達をなめないでほしいのね」

伊168「イクのいう通りよ。なんならゴーヤの分まで資材ノルマをクリアしとくわ」

伊58「二人共酷い……ゴーヤはいらない子なんだ」

伊168「ふふ、冗談よ。真に受けないで」

伊19「ゴーヤはとにかく気にしないでしっかり休養をとるのね!」

伊58「……ごめんでち」


231: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 22:52:21.65 ID:Cvwdf28Bo




──────────────────────────


   ~数日後~


    病院

   
伊58(二人共まだかなぁ……そろそろ会いに来てくれてもいいのに)


コンコン


伊58(あ、きた!)

伊58「いいよー!」


ガチャ


女医軍人「体調はどうかしら?」

伊58「なんだ、女医さんでちか……」

女医軍人「なんだとは何よ……せっかく心配して見に来たのに」

伊58「ご、ごめんなさい」アセアセ

女医軍人「ふふ、冗談よ。それより貴方に伝えないといけない事があるの」




232: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 22:54:11.64 ID:Cvwdf28Bo










伊58「異動……でちか?」

女医軍人「そうなのよ、また帰ってくるみたいだけどね。だからしばらくは連絡とれないみたい」

伊58「そう、ですか……わかったでち」

女医軍人「………じゃあ私は失礼するわね」スッ


ガチャ パタン


伊58(女医さんは嘘をついてる)

伊58(あの二人がそんな事をゴーヤに言わないはずがない!)

伊58(きっと連絡を取れないくらい忙しいとか……そういう理由でち。なんで女医さんが嘘ついてるかは分からないけど)

伊58(………早く二人の様子を見に行きたいなぁ)

伊58(…………)

伊58(こっそり抜け出して遠征軍人さんの所にいって聞いてこよう!)



233: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 22:57:11.99 ID:Cvwdf28Bo


──────────────────────────

    ─遠征管理局─



伊58「こんにちは、遠征軍人さん」

遠征軍人「おお、ゴーヤ君。体調の方は平気なのかい?」

伊58「お陰様で大分よくなったでち」

遠征軍人「そうか。それは良かった」

伊58「ところで……」

伊58「伊19と伊168はどこいますか?きっとゴーヤいなくて二人共大変な思いしてるでち」

遠征軍人「………」

伊58「どうしたんですか?」

234: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 23:02:02.35 ID:Cvwdf28Bo




遠征軍人「可笑しいな。君に伝えるよう担当の女医さんに伝えといたはずなんだが」


伊58「……何を?」






遠征軍人「……彼女達はオリョール海での任務中、敵との戦闘により」
  
遠征軍人「殉職した」






伊58「……え?」
  
遠征軍人「つい先日遺体が搬送されたばかり……」

遠征軍人「私も変だとは思ったんだ。いつもとは違うポイントで収集を行っていたようで……」
  
遠征軍人「結果、予期せぬ敵と交戦したみたいでね………」
  
遠征軍人「残念だとは思うが……ってゴーヤ君!どこへいくんだい!」

235: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 23:03:36.68 ID:Cvwdf28Bo



タッタッタッ


伊58「…………」

伊58(ウソウソウソ!)

伊58(二人がオリョールでやられる筈……!)



───伊19「何言ってるの。ゴーヤがいなくても二人で余裕なの」

───伊168「イクのいう通りよ。なんならゴーヤの分まで資材ノルマをクリアしとくわ」




伊58「ゴーヤのせい……?)

伊58(ゴーヤの為にいつもより深くへ進んだから……)

伊58(ゴーヤが……私が……)



236: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 23:08:36.10 ID:Cvwdf28Bo




────────────────────────────────────




伊58「あの時ゴーヤも付いて行ってれば……こんなことには……」

提督「……お前のせいじゃない」

伊58「寂しいよ………ゴーヤは一人ぼっち……イクとイムヤがいないと……」

伊58「それならもういっそ……ここで……」


「バカやろぉおおおお!」


伊58「……?」

提督「生きる事を諦めるんじゃない!」

提督「お前の友人はそんな事を望んじゃいない!」

伊58「…………」

提督「思い出せ!友人との日々を!したかった事!しなければならない事を」

237: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 23:12:08.78 ID:Cvwdf28Bo


────────────────────────────────────


オリョール海 海上



大和「提督!母艦をもっと後退して頂戴!巻き込まれるわよ!」

提督「くっ……了解した」

北上「敵さんがっつり攻めてくるねぇ」

提督「加賀!上はどうなってる!?」

加賀「厳しいです。相手の艦載機が非常に硬く落とすのが容易ではありません」

提督「爆撃機の数は?」

加賀「約20近く確認しています」

提督「20か……全艦、爆撃に備えろ!対空艤装のある者は加賀と連携して爆撃機を優先に落とせ!」

日向「了解だ」

提督「雪風!なんとか戦艦は近づかせないでくれ!戦艦の狙いが加賀にくると非常にまずい!」

雪風「了解です!前線にて引き続き目標を引きつけます!」

提督「頼んだぞ!」



238: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 23:13:52.28 ID:Cvwdf28Bo



提督(まずいな……数が不利というのもあるが)

提督(……大和、日向、加賀の動きが鈍い)

提督(そりゃそうだよな……初の実戦……しかも慌ただしく準備したもんだから……)

提督(このまま戦闘を続けるより伊58を回収し早期に戦闘離脱した方が良いな)

提督(……とりあえず何とか伊58が回復するまで時間を稼がないと……)






239: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 23:16:32.99 ID:Cvwdf28Bo


──────────────────────────



    海底



伊58「……したかった事……しなければならない事……か」



伊58「…………」




伊58(イクとイムヤとしたかった事……)

伊58(お金いっぱいたまったら……)

伊58(軍を辞めて普通の人間に戻りたかった……)

伊58(でもそれは叶わない……)

伊58(二人共……もういない)

伊58(だから……しなければならない事なんて…………ない)


パチン



伊58「……ん……」

伊58「イムヤとイクにもらった髪留め……」

伊58(さっきの攻撃のせいかな……切れちゃった……)

伊58(二人に……誕生日にもらったんだっけか)


240: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 23:20:56.11 ID:Cvwdf28Bo




───────「誕生日おめでとうゴーヤ!これイクと選んだプレゼントよ!」

───────「おめでとうなのね」

───────「うわー可愛い。ありがとうでち!」

───────「喜んでもらえて良かったぁ。遠くまで探しにいった甲斐があったわ」

───────「イムヤちゃんずっーと悩んでたもんね」

───────「当たり前じゃない。ほらゴーヤ、私のしてる髪留め見て」スッ

───────「わあ、私のこれと似てるでち」

───────「うふふ。いいでしょ?お揃いみたいで」

───────「イクも同じのがあるのね!」

───────「3人お揃い……なんか嬉しいね」

───────「でしょ?あんたならそういってくれると思ったわ♪」

───────「ふふふ、さぁケーキも買ってきたし3人で分けて食べようなのね」

241: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 23:24:19.19 ID:Cvwdf28Bo












───────「そういえばイムヤ、昨日喪服に着替えてどこか行ってたみたいだけどどうしたんでち?」

───────「知り合いの子が亡くなったからお葬式にいってきたのよ」

───────「そっか。悲しいね……」

───────「まァ……しょうがないわ。そういう任務なんだから」

───────「そうなのね。……私達だってそうなる可能性あるのね」

───────「そ、そんな事祝わないでほしいでち!ゴーヤたちは平気でち!」

───────「「………………」」

242: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 23:32:44.21 ID:Cvwdf28Bo



───────「覚悟は……しておくべきよ」

───────「うん……でも、いなくなったら寂しい……でち」

───────「……ゴーヤ」

───────「もし私達に何かあっても……貴方一人になっても」

───────「この髪留めが私達の代わり……私達はすぐそばにいるから……」

───────「寂しい思いなんかさせないわよ」ニコッ

───────「でも……でも……ほんとにいなくなったら……それでも寂しいでち……」

───────「……その時は、新しい仲間を見つけるのね。生きていればいろんな人にであえるのね」

───────「きっとゴーヤに寂しい思いをさせない……そんな人達がいるのね」

───────「そうかなぁ。私はやっぱり2人じゃないと嫌だよ……」

───────「…………」

───────「なぁんてしんみりしたりして!そう簡単に私達が死ぬわけないでしょ!」

───────「もしもの話なのね!そこまで考えないでほしいのね!」

───────「ほらほら、暗い話は終わり!今日はゴーヤの誕生日なんだから!!」

───────「そうなのね!美味しいものいっぱい食べてまた明日から一緒にがんばろうなのね!」





243: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 23:36:09.73 ID:Cvwdf28Bo



伊58(…………)

伊58(そっか……しなければらならない事……)

伊58(…………生きないと……二人の分まで……)

伊58(私の事を……最後まで……大切にしてくれた……親友の為にも……)グググ

伊58(……くっ)

伊58(け、けど……やっぱり身体が……思うように…………)

244: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 23:37:27.81 ID:Cvwdf28Bo



提督『聞こえるか!伊58!』

伊58「……提督……さん」

提督『お前は一人じゃない。俺達がいる……その……なんだ。仲の良い友人を亡くしたのは辛いかもしれんが……』

提督『代わりになるかは分からん……だが!』

提督『俺達が寂しい思いはさせん!生きるんだ!伊58!』



伊58「…………」

伊58「…………一つだけお願いがあるの」

提督「なんだ?」

伊58「ゴーヤって……読んでほしいでち」

提督「……ゴーヤ、今から碇を下ろす!それにつかまって戻ってこい!」

伊58「了解でち!」スッ


245: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 23:38:41.88 ID:Cvwdf28Bo

─────────────────────────────────────


           オリョール 海上



日向「なっ……なんて硬さだあの戦艦。私の砲撃を当ててもビクともせん!」

大和「加賀!戦艦だけ爆撃で落とせない!?」

加賀「無理です!敵艦載機への対応で手いっぱいです!」



ヒューーーン ザッパーン



北上「わわわ!あぶな!」

雪風「北上さん!大丈夫ですか!」

北上「う、うん。なんとかね……あたし艦載機の爆撃よけるの苦手なんだよねぇ…」

雪風「わかりました!一度後ろに下がってください!」

雪風「大和さん!雪風がもう少し前にでて敵をひきつけます!」

大和「雪風ちゃん!無理はしちゃだめよ!」

雪風「大丈夫です!雪風は沈みません!」

雪風(……とはいったものの)

雪風(ここの海面はかなり荒れてます。気を抜けばすぐに転倒して的に……)

雪風(波が荒い海域だとは聞いていましたが……潜水艦が有利というのも理解できますね)



246: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 23:43:37.60 ID:Cvwdf28Bo


──────────────────────────



提督『掴めたか?』

伊58「大丈夫……しっかり掴んだでち」

提督『よし、今引き上げる』


ビー


伊58(敵が大分近づいてる……)

伊58(一番近いのは……戦艦)

伊58(あの距離だと上の皆が狙い打ちされる……危険でち)

伊58(……打つだけなら……いけるかな……うん、やれるだけやるでち)


247: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 23:45:21.84 ID:Cvwdf28Bo


伊58『提督さん。碇あげるの一度とめてもらっていい?』

提督「ああ、かまわんが……なるべく早くしろよ」

伊58『うん』

伊58『……オリョールの事はゴーヤが一番詳しいでち』

伊58『この荒い海でも………ゴーヤなら魚雷を上手にあつかえるよ』

提督「ふむ?」

伊588『たしかまだ……よし。あと3発撃てる』

提督8『やるつもりか……無理するなよ」

伊588『ううん大丈夫。提督さんにゴーヤの力、見せてあげる』




伊588『狙いはもちろん……戦艦』

カチャ

伊58「目標補足……距離確認、角度、射出速度、調整完了」

伊58「……」

伊58「発射でち!」


シュゴォオオオオ


249: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 23:49:09.40 ID:Cvwdf28Bo

──────────────────────────────────────


    オリョール 海上



大和「くっ、まずいわ!敵戦艦の有効射程にはいったわ!このままだと……」

日向「加賀!全速で後退だ!」

加賀「無理です!波が荒く移動がままなりません!」




戦艦ル級1「クヒヒヒ……コロス……ゼンブ」カチャ


シュゴォォx


戦艦ル級1「……コノオトハ……?」


ドガァアアアアン


戦艦ル級1「バカ……ナ…………」グッタリ






伊58「何度も何度もこの海は往復したよ。嵐で荒れてる時も晴天で穏やかな時も」

伊58「だから分かるよ。水中から魚雷をどこに打てばどういう動きをするか……どこに打てば効果的なのか……」

伊58「海のスナイパー……」

伊58「それが私達の異名でち」



250: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 23:54:19.90 ID:Cvwdf28Bo



─────────────────────────────




大和「戦艦の動きがとまったわ!今よ!」カチャ

日向「よし!」ガチャ


ドォン ドォン



軽巡ヘ級1「クソ……」ドカァン

軽巡ヘ級2「アガ……グアア……」ドカァン

空母ヲ級「……クッ……テッタイダ……」スー






提督「お……敵が退いていった」

大和「ええ……」ヘナヘナ

日向「助かった……」ペタン

加賀「…………」グギュルルルル

北上「はぁ……一時はどうなるかと思った~」ヘナァ

雪風「しれぇ!雪風は無事任務を遂行しました!」シャキーン

伊58「みんな、助けてくれてありがとうでち……」

提督「うむ……よし。みんなよくやったぞ」

提督「ゴーヤも無事で何よりだ。さぁ、まだ油断するな!各自母艦に戻り一時休息を取り次第、弾薬補給を行い速やかに帰還するぞ!」


艦娘達「「了解ー!」」




251: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/22(水) 23:56:23.12 ID:Cvwdf28Bo




───────────────────────────────────────────────

      ~帰還後~


    中央鎮守府 入渠室


女医軍人「ホントは気づいていたんですか?イクちゃんとイムヤちゃんの事」

提督「気づいていたというよりはおかしいな……と」

提督「資材を確保できる、かつ貴重な潜水艦型を中央が簡単に異動させる筈がない、と思ったので」

提督「もしかしたらと思い遠征軍人さんに聞いたら……ですね」

女医軍人「そうですか……」

伊58「…………」


252: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/23(木) 00:00:22.08 ID:yKSCPP1eo


女医軍人「ごめんなさい……ゴーヤちゃん」

女医軍人「すぐに伝えたら責任を感じてどうかなっちゃうと思って……嘘をついたの……勿論落ち着いたら言うつもりだったわ」

伊58「謝らないで女医さん。ゴーヤの為に考えてくれた事でしょ?」

伊58「むしろ……いつもゴーヤが無茶ばっかして迷惑かけてる事を謝らなきゃ」

伊58「ごめんなさい、そしてありがとうでち」スッ

ダキッ

女医軍人「……ええ」ギュー

伊58「これからはイクとイムヤと共に過ごしてきたこの海を守るために、提督さんの元で頑張るでち」ギュゥ

女医軍人「……無理しちゃだめよ」

伊58「うん……」

女医軍人「提督さん。ゴーヤちゃんの事、よろしくお願いしますね」



提督「…………」コクリ

提督「お任せください」




262: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/24(金) 09:14:25.26 ID:QRyJ7CRG0


──────────────────────────────────────


     ~ その夜 ~
     
        寮


メイド「はーーーい、皆さん!恒例のごちそうタイムですよーーー」

加賀「気分が高翌揚します!やりましたぁあぁああ!」ダン!ダン!

北上「……なんか加賀っち。食事の時キャラ違うのは知ってるけど、いつもより更にテンション壊れてるけど大丈夫なん……」ドンビキ

大和「今日は初出撃もしたし頑張ってたもの……かなりお腹減ってたんじゃないかしら」

日向「加賀、誰も取らんから落ち着いて食べろよ」

加賀「ここからここまで私のです!」ドーン

日向「聞けよ」スビシッ


263: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/24(金) 09:17:42.91 ID:QRyJ7CRG0
あああ、saga入れ忘れたぁぁ



メイド「ゴーヤちゃん加入、そして6人編成おめでとうございます!これで第2艦隊として本格的に始動できますね!」

提督「やっと……って感じですよ。まぁこれから更にメイドさんにはご迷惑かけるとは思いますが……今後共よろしくお願いします」ペコリ

メイド「いいんです!迷惑かけていいんです!その為のメイドさんですから!どーんとこい超常現象!」

日向「メイドさんもテンション高いな……って酒くさ!」

メイド「こんなめでたい時ですからね。ぱっーとやりましょう!ぱーーっと!ほら日向ちゃんも!ぐいっと!」ズイッ

日向「わ、私は酒を飲んだ事がっ、ウプっ!」ゴキュゴキュ

提督「メ、メイドさん!俺達成人になったばかりなのでお手柔らかにお願いします」アセアセ

メイド「善処します」ニッコリ

264: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/24(金) 09:19:08.20 ID:QRyJ7CRG0

大和「ちょっと日向。大丈夫?」

日向「……ウプッ……酒というのを初めて飲んだが……あまり美味しいものではないのだな」

メイド「その内慣れますよ!ささっ、大和ちゃんもどうぞー」スッ


トクトクトク


大和「ええっ!私もですか!?じゃあ……少しだけ」

グイッ

大和「プハーっ……あら。結構おいしいですね」

メイド「おおお!いい飲みっぷりですね!さすが戦艦!ささ、まだまだお酒はありますから」

大和「え、あ。まぁ……もう少しいただこうかしら」


トクトクトク


265: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/24(金) 09:21:29.98 ID:QRyJ7CRG0


──────────────────────────────────────


雪風「しれぇ、お料理取っておきました!」スッ

提督「お、雪風。気が利くじゃないか。ありがとな」ナデナデ

雪風「えへへ」

伊58「てーとくさん、これも美味しいよ」スッ

提督「おお、ゴーヤもありがとう。しかも俺の好きな卵焼きじゃないか」ナデナデ

伊58「ゴーヤはできる女でち!」ニコニコ


266: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/24(金) 09:26:24.22 ID:QRyJ7CRG0


雪風「むむむ……」ムスッ

雪風「!」ピコーン

雪風「しれぇ!肩をお揉みします!」グッ

提督「えっ、急にどうしたんだ」

雪風「いつも執務業お疲れ様です!」モミモミ

提督「あ、うん。ありがとう。すごく気持ちいいよ」

雪風「ふふっ」チラッ

伊58「……!」

伊58「でチィッ……」イラッ

伊58「てーとくさん!足をお揉みするよぉ!」

提督「ご、ゴーヤまでどうした!そんなに気を遣わなくても」

伊58「いいんでち!ゴーヤがしたいからするでち!」ギュウ

提督「そ、そうか。ああ……いい感じだ」

伊58「でしょ?ゴーヤはマッサージもできるんだよ」チラッ



雪風「ぐぬぬ……」プルプル


267: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/24(金) 09:28:08.87 ID:QRyJ7CRG0

雪風「雪風の方が上手にできます!」グイグイ

伊58「どうだか!ゴーヤの方が気持ちいいでしょ?てーとくさん」ググググ

提督「ちょ、いたっ。二人共、艦娘の力でそんな強くやったら……」

雪風「どっちが!」ググググッ

伊58「気持ちいいの!」ググググッ



ウギャァァァァァ










提督「いててて」ズキンズキン

北上「もー、調子のらせるからこうなるんだよー」

提督「そんな事いわれてもな……」

北上「はいはい、動かないで。今シップ張るから」パシン

提督「いてぇ!や、優しくしてくれ!」

北上「自業自得」

提督「とほほ……」

268: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/24(金) 09:29:49.71 ID:QRyJ7CRG0


雪風「…………しれぇ」

伊58「てーとくさん……」

雪風&伊58「「ごめんなさい」」

提督「いや……気にするな。二人共俺に良かれと思ってやってくれたんだ」

提督「気持ちは嬉しいよ」ナデナデ

雪風&伊58「「…………」」シュン

提督「ただお願いだ。二人とも仲良くしてくれ」

提督「俺たちはこれから同じ釜の飯を食べる仲間なんだ。共に笑い共に泣き共に戦う仲間」

提督「仲良くしてくれないと俺は悲しいよ」

雪風「……」

伊58「……」

雪風「ゴーヤさん……ごめんなさい」

伊58「ううん。こっちも悪いでち。後、さんはつけないでいいよ」

雪風「じゃああっちでお話ししないですか?ゴーヤちゃん」

伊58「そうだね。色々お話聞かせてくだち」スッ


スタスタスサ


269: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/24(金) 09:32:57.62 ID:QRyJ7CRG0

提督「ふぅ。良かった良かった」

北上「……安心してる所悪いけどさぁ。あっちも見てね」

提督「え?」



ゴキュッゴキュッ


大和 & メイド「「プハッーーーーーー」」


メイド「やりまぅあすねぇ大和ちゃあん」

大和「メイドさぁんもいーい飲みっぷぅりですねぇ」

メイド「そうでしょそうでしょぉ、まぁだまぁだお酒ありゃますから……どんどんいっひゃいましょぉ」

大和「はあぃ。どっちかが倒れるまで今日は飲みあかぁしましょぉう」

メイド「おぉぉぉ勝負ですかぁ?いいでぇすねっぇぇやりまぁしょう」

大和「じゃあわたぁしから……ングッ……ングッ……プハーーーーこれのためぇにいきてるぅう」

メイド「イヨッ!!!日本一!戦艦大和ぉお!」


270: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/24(金) 09:37:54.71 ID:QRyJ7CRG0


提督「……」ポカーン

北上「あっちは助けないからね」

提督「そ、そんな事言わずに……な?」

北上「久しぶりの出撃で疲れたし……先に部屋に戻るねーバイバイキーン」フリフリ

提督「き、北上!おいーー!」

提督「くそっ……行ってしまった」

提督「俺が止めるしかないか……」

提督「とはいえ、絡んだら絶対めんどくさいんだろうなぁ……大和はなんかおっさん化してるし」

提督「あれ……そういえば日向は」


日向「…………」ゴローン


提督「あんな所に……酔いつぶれたのか」

提督「……仕方ない。起こして手伝ってもらうか」スッ

271: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/24(金) 09:41:46.03 ID:QRyJ7CRG0


提督「日向、起きろ」ユサユサ

日向「ん……むぐぅ……」

提督「頼む。大和とメイドさんを止めるの手伝ってくれ」ユサユサ

日向「……んー」ムクリ

提督「お、起きたか。二人が飲み比べしちゃって大変なんだよ」

提督「明日に差支えそうだから止めるのを手伝ってくれ」

日向「…………」ボーッ

日向「……提督」

提督「ん?」

日向「こっちきてくれ」

提督「え?構わんが」ススス

日向「……いいぞ。もっと近くだ」グイッ

提督「ひ、日向。ちょっと近すぎないか」


272: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/24(金) 09:43:52.28 ID:QRyJ7CRG0

日向「……」ジー

提督「日向?」

日向「せいっ!」ガバァ

提督「うわ!急に抱きつくんじゃない……って首に顔をうずめて何するつもりだ!」

日向「クンクン……スーハースーハー」

提督「お、おい……アハハちょっとくすぐったアハハ」

日向「実は……私はな……クンクン……匂いフェチでな……」

日向「特に男性の濃い汗のにおい……一度嗅いで……クンクン……みたかった……たまらんなこれは……スーハースーハー」

提督「お、お前!まだ酔ってんのか……ちょっ、そんなところを……止めてくれぇぇぇぇぇ」

日向「もっとだ!もっと嗅がせろ!!!」

提督「ひぃぃぃぃぃ」ジタバタ

273: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/24(金) 09:45:26.54 ID:QRyJ7CRG0



ドンッ


提督「ん?何かにあたったような……?」

大和「…………」ジトー

提督「あ……」

大和「ナニ不埒な事してるの?テートク?」ギロッ

提督「え、いや、あの、その」

大和「人がぁせぇっかく気持ちよぉくお酒のんでれるっていうろに……」

大和「罰として……最後までお酌してちょうらい」

提督「……や、大和。俺は別に自分から変なことを……したわけじゃ」

大和「いいからしなさい」ギロ

提督「はい」チーン

日向「てーとくの匂い……最高だ……」クンクン

提督「……もうどうにでもしてください」シクシク




274: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/24(金) 09:47:17.49 ID:QRyJ7CRG0

──────────────────────────────



      ~次の朝~
      
     
       チュン チュン 

      
      
大和「ん……うぅう」グググ

大和「あたま……痛ぁ……」

大和「ちょっと飲み過ぎたかしら……すごい二日酔い」

大和「昨日……メイドさんと飲んでそれで……うーん」

大和「思い出せないわね……」

メイド「大和ちゃん。おはようございます」

大和「おはようございます……ってメイドさん。あれだけ飲んだのに平気なんですか?」

メイド「もちろんです。お酒の飲み方は知ってるつもりですから。はい、コーヒーどうぞ」

大和「ありがとうございます……あ、すごく美味しい」

メイド「うふふ。しっかり水分とって身体の調子を整えてください」

275: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/24(金) 09:49:56.35 ID:QRyJ7CRG0

大和「はい……そういえば他の皆はどこでしょうか?」

メイド「北上ちゃんとゴーヤちゃん、雪風ちゃんは自分の部屋で寝てますね」

メイド「残りの3人は、あちらに」チラッ

大和「あらほんとだわ……ってなによこれ……」


大和「加賀は………両手にしゃもじ持って寝てるし……」

大和「日向は提督のシャツに顔つっこんでぐったりしてるし……」

大和「提督は……」



提督「うぅ……もうお婿にいけない……」シクシク

大和「上半身裸で泣いてるし……一体何があったのかしら?」



メイド「……まぁよーするにです」

メイド「酒は飲んでも呑まれるな」

メイド「そういう事でしょう♪」

提督「」ガクッ




276: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/24(金) 09:52:38.00 ID:QRyJ7CRG0


────────────────────────────────────


     ~第一艦隊 執務室~


あきつ丸「爺督殿。第2艦隊が6人の編成を完了したようです」

爺督「ほー思ったより早かったのぉ。どれ……編成表を見してくれい」

あきつ丸「こちらに」スッ

爺督「ふむ……」パシ

爺督「潜水艦に軽巡、駆逐艦を新たに追加……か」

爺督「バランスよくって感じだの。空母をもう一人揃えると思っていたが予想は外れたわい」

あきつ丸「………新たに追加された艦娘達はあまり名を知らぬ者が多いであります」

爺督「ふむ。たしかにどの艦娘も実力はあるものの、中央の中では評価が低いようだのぉ」

277: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/24(金) 09:55:38.07 ID:QRyJ7CRG0

あきつ丸「第2の司令官ともなればその権力は相当なものであります」

あきつ丸「その権力を使い中央の実力名高い他艦隊の艦娘を引き抜く方が効率的、と思うのでありますが……」

爺督「その通りだのぉ。まぁしかしだ……こと艦娘の戦闘において一概にはいえんよ」

あきつ丸「……というと?」

爺督「いくら実力があろうが、個の力だけで打開できる場面は少ない」

爺督「多対多の戦いにおいては何よりも協力……艦娘同士の相性も重要じゃ」

あきつ「……そうでありますか」

爺督「あきつ丸よ、お主だって一番よく分かってる筈だ」

あきつ丸「…………最低限の実力は必要であります」

爺督「ふぉっふぉっ……そうじゃな」

爺督「まぁこれからどうなるか」

爺督「お楽しみじゃぞい」ニヤリ





287: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/28(火) 22:27:42.83 ID:uOqS9NK0o




───────────────────────────────



     提督の執務室



   カリカリ 


提督「えっと……伊58の書類はこっち……っと」パサッ

提督「この前緊急出撃した報告書も……これで……完成」パササッ

提督「よし……あとは武器弾薬の補充申請も出して……」パサササッ

提督「……はぁ」

提督(さすがに睡眠時間を削って作業するのはまずかったかな……)



288: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/28(火) 22:55:24.17 ID:uOqS9NK0o



コンコン


提督「ん?誰だ?」

大和「私よ。訓練メニューを貰いにきたわ」

提督「む……もうそんな時間か。待っててくれ、すぐ印刷する」



 ガチャッ



大和「大丈夫?手伝うわよ?」

提督「ん、ああ。平気だ。気にしなくていい」

大和「……なんか顔に疲れてるって書いてあるけど……」

提督「俺を甘く見るなよ。第2艦隊の司令官、提督様だぞ」

大和「はいはい、そんな事いえるならまだまだ平気みたいね」

提督「うむ。ほら出来たからみんなに配っといてくれ」パサッ

大和「ん、ありがと」パシッ

提督「さーて……仕事仕事っと」


大和(……ホントに大丈夫かしら)


289: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/28(火) 23:00:50.13 ID:uOqS9NK0o


───────────────────────────────



    訓練海上


ドォン ドォン ドォン



北上「日向っち~、今の所砲撃で合わせてよ」

日向「す、すまん」アセアセ



雪風「大和さん、今の動きは軽率だと思います!」

大和「ごめんなさい雪風ちゃん……」シュン


伊58「もっと詳細に情報をください!艦載機の数くらい正確に教えてくだち!」

加賀「……すみません」シュン




提督(うむ……予想はしていたが……実戦経験の豊富な3人組みと)

提督(士官学校をでたばかりで経験不足の3人組みではな)

提督(ある程度の差がでる事はわかっていたが……)ジー



290: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/28(火) 23:02:18.83 ID:uOqS9NK0o



北上「そんな動きじゃはっきりいって邪魔になるだけだよ」

雪風「雪風の動きをよくみていてください!」

伊58「戦場を甘くみすぎでち!」


提督「まぁ、言われてしまうよな」


291: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/28(火) 23:15:50.95 ID:uOqS9NK0o










   ~休憩室~



大和「はぁ……なんか自信なくしちゃうわ」

日向「これでも成績上位で卒業したんだがな……」

加賀「手厳しいですね……皆さん」

提督「仕方ないさ。あいつらの言ってる事は正直間違ってないし」

提督「実力的にもお前らはまだ追いついていない」

提督「元予備艦隊所属とはいえ……中央鎮守府に選ばれている艦娘だ。到底及ばないのは仕方ないさ」

大和「そうよね……私達がもっとついていかなきゃ」

日向「悔しいが認めねばな」

加賀「……ですね」


提督(…………)


293: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/28(火) 23:21:49.02 ID:uOqS9NK0o


───────────────────────────────



    ─次の日─


    訓練海上





北上「何度言ったらわかるかなーそうじゃないんだよねぇ」

日向「し、しかし今のは私の得意な射撃で……」

北上「そんな風に止まられたら陣形が崩れて困るからさ」イライラ

北上「タイミング考えてよね。ちょっとノロマすぎ」ハァ

日向「……くっ」


294: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/28(火) 23:29:00.46 ID:uOqS9NK0o


大和「北上さん、それは言い過ぎじゃないかしら。日向も自分なりに考えて頑張ってるのよ」

北上「頑張ってるのはみんな一緒だよ。だからといって足手まといになられても困るし」

大和「それが言い過ぎって……」

雪風「北上さんの言いかたは厳しいけど雪風もその意見に賛成です!」

雪風「戦場では命をかけて戦うんです。あまり勝手な事をされると困ります」

大和「だけど……やり方はそれぞれあるじゃない?」

雪風「戦場での動きはどれだけ迅速にかつ正確に動くかが大事なんです」

雪風「それと……申し訳ないですが大和さんの動きに関しても正直、不安をかかえずにはいられません」

大和「……っ」

295: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/28(火) 23:33:42.27 ID:uOqS9NK0o


伊58「そうだよ。戦艦型だからって悠長に構えてられないでち」

伊58「ただそれ以上に空母は頑張ってほしいでち」チラッ

加賀「……っ」ビク

伊58「空母こそ艦隊戦の連携で最も重要な要素と知っている筈」

伊58「加賀さんはハキハキしっかり皆に情報を伝えて欲しいでち!」

加賀「……う」

大和「しょうがないじゃない。加賀はそういう性格なんだから」

雪風「しょうがないじゃすまされないです!」

北上「うんうん。もっとしっかりしてくれないと困る」

大和「あ、貴方たちだって中央で予備艦隊だったんでしょ!」

北上「それが何か関係あるの?」

大和「本艦隊に比べたら……大した事ないんじゃない?」

北上「む……実戦もろくにしたことない人達にいわれたくないなー」ピキ

大和「あらそう?ごめんなさいね」ピキキ

296: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/28(火) 23:43:14.65 ID:uOqS9NK0o


提督「はーい。やめやめ」

提督「お前ら、話し合いは分かるが喧嘩するんじゃない」

提督「北上達の言い分は分かるし、大和達だってまだ着任したばかりだ」

提督「連携とれないのは仕方ないし、まだできない事をしろといわれても無理がある」

北上「…………」ムスッ

提督「それを補う為の訓練だ。それなのに今後訓練に差し支えるような仲違いは勘弁してくれ」

提督「誰が良いとか悪いで責める前に……もっとする事があるだろ?」

大和「…………」ムスッ

提督「さて、今日の訓練はこれで終わりにしよう。解散」


297: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/28(火) 23:44:04.99 ID:uOqS9NK0o









   夕食
   
   
   
加賀「…………」パクパク

大和「…………」モグモグ

日向「…………」バクバク

伊58「…………」パクパク

北上「…………」モグモグ

雪風「…………」カジカジ



メイド「あらー…………」タラーン

メイド(な、なんか雰囲気悪いわね。喧嘩でもしたのかしら)


298: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/28(火) 23:47:33.97 ID:uOqS9NK0o


メイド「加賀さん、今日のご飯どうでしょう?久しぶりに肉じゃがなんて作ってみたけど」

加賀「…………美味しいですね」

メイド(あらら……やっぱり元気ないみたい……でもちゃんとご飯おかわりしてるのはさすがね)


メイド「雪風ちゃん。リンゴジュースいる?」

雪風「……いりません」

メイド(雪風ちゃんも機嫌悪いみたいね……それでもパンを前歯でカジカジしてる姿がキュート♪)


299: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/28(火) 23:51:17.11 ID:uOqS9NK0o


メイド(にしても割とマジな喧嘩みたいねぇ。こういう雰囲気は早めに解決しないと後々支障になるわよ)

メイド(……というか提督さんがいないのよね。後から来るっていってたのに……)

メイド「提督さん遅いですね」

大和「本当ですね。自分でご飯は皆で食べようって言って癖に」

メイド「私の方でお声かけにいってきますね」

大和「あ、私がいきますよ」

メイド「いいんです。このメイドにお任せください。ドーンと!」

メイド(この空気に耐えるのも辛いし)

大和「……分かりました。お願いします」


300: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/28(火) 23:52:52.06 ID:uOqS9NK0o









    提督 執務室


コンコン


メイド「提督さーん」

シーン


メイド(反応ないわね……)

メイド「提督さーーーん!」


シーン


メイド(これだけ大きい声でも駄目か)スッ

301: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/28(火) 23:55:54.64 ID:uOqS9NK0o


ガチャッ




メイド「あれ……空いてる」

メイド「まぁいっか。ちょっと覗くだけ……」


メイド「失礼しまーす。提督さーんいらっしゃいますかー?」

メイド「おかしいわね……どこにも」キョロキョロ

メイド「ん……なんか床に」

提督「…………」

メイド「て、提督さん!倒れてる!?」タタタタ

メイド「どうしたんですか!」ガバッ

メイド「息はある……で、でも……すごい熱」

メイド「急いでお医者さん呼ばなきゃ!!!」


302: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/28(火) 23:57:20.58 ID:uOqS9NK0o



───────────────────────────────



    中央鎮守府内 病院



女医軍人「風邪……みたいね」

メイド「風邪?」

女医軍人「ええ……ただ根本の原因は疲労のせいね」

女医軍人「精密に調べた所、大分体が弱まってたみたい」

女医軍人「そのせいで風邪をひいて抵抗力もないまま熱だけ上がったって感じだわ」

大和「そんな……」


303: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/28(火) 23:59:48.31 ID:uOqS9NK0o


女医軍人「話によると報告書類も深夜の3時とかに提出されてる事から」

女医軍人「ほとんど寝てなかったみたいね」

日向「深夜3時……起きる時間は6時なのに……」

女医軍人「恐らくずっとそんな生活を送ってたのね。そりゃぁ倒れるわよ」

加賀「…………」

女医軍人「さ、後は私に任せなさい。命に別状はないし点滴打ってしばらく休めばすぐ良くなるわよ」

大和「……分かりました。提督の事、よろしくお願いします」

女医軍人「ええ」


304: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/29(水) 00:04:53.70 ID:Vufl7dzJo












寮 談話室



大和「なんとなく気付いてたのに……もっと配慮すべきだったわ」

日向「自分だけで変に抱え込みすぎるからな……提督は」

加賀「……ほんとですね。私達が初めて演習で負けた時もそうでした」

大和「ええ……しかも見てよこれ」



パサッ

305: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/29(水) 00:06:29.04 ID:Vufl7dzJo

雪風「……これはなんですか?」

大和「提督の机に束ねてあったわ」

伊58「えっと、一人一人の訓練方法が書いてあるでち。すごい詳細に」

北上「どこが苦手とかどこが得意とか……それに併せてどんな訓練をすればいいかとか……うひゃーすごい量」

日向「みんなでの連携方法も書いてるな。きっと最近の訓練を見て書いたのだろう」

大和「バカよね。これを書きながら自分の書類作業もして……徹夜して身体壊して……」

雪風「……しれぇ、無理してたんですね」

伊58「ばかでち……人には頑張りすぎるなとかいう癖に……」

大和「…………」

306: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/29(水) 00:08:01.62 ID:Vufl7dzJo


大和「北上さん、雪風ちゃん、ゴーヤちゃん」

大和「ごめんなさい!」ペコリ

北上 & 雪風 & 伊58「「……!」」

大和「訓練で……貴方達のアドバイスを素直に受け入れず変に言い返してしまって……」

雪風「……きゅ、急にどうしたんですか」アセアセ

大和「きっと私……中央に選ばれたからって浮かれてたわ」

大和「自分達はできる方なんだっていう慢心がきっとあったの」

大和「けど提督はここにきても変わらず努力してる…………」

大和「私達がそれに応えなきゃいけないもの!これからの戦いの為に!」

日向「………私もだ」

日向「すまなかった。これからもビシビシいって欲しい」ペコリ

加賀「……よろしくお願いします」ペコリ

307: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/29(水) 00:10:45.08 ID:Vufl7dzJo


北上「……っ」

北上「ちょ、調子くるうなぁ」ガリガリ

北上「いや……えっと。こっちもちょっと言い方きつすぎたりしたし」

北上「ご……ごめん」ゴニョゴニョ

雪風「……雪風も生意気な事言いました……すみませんでした」

伊58「言い過ぎた感あったでち……ごめんなさい」

大和「ううん……ありがとう、みんな」

大和(……提督も)


308: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/29(水) 00:11:55.46 ID:Vufl7dzJo

───────────────────────────────


   数日後



  ─病院─
   


女医軍人「もういいわよ。退院して」

提督「お、やっとですか!」

女医軍人「やっとってたった3日間よ。医者としてはもっと休ませたい所よ。それなのに上のやつが……」ブツブツ

提督「はは……何はともあれ良かったです」

女医軍人「よくないわよ。艦娘の子達に心配かけて……」

提督「耳に痛いですね……」アセアセ

女医軍人「はぁ……まぁいいわ。手続きはもうすんでるから着替えて好きな時にでていっていいわよ」

提督「あ、はい。了解です。色々ありがとうございました」




309: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/29(水) 00:19:43.97 ID:Vufl7dzJo












    ─寮─


    
提督「ただいま戻りました」

メイド「おかえりなさいませ!ご主人様!」

提督「ご、ご主人様?」

メイド「うふふ、たまに言ってみたくなるんですよ」

提督「そうですか……ハハ」

メイド「ちょっとひかないでくださいよ!冗談なんですから」ガーン

提督「すみません。……皆はどこですか?」

メイド「訓練中だと思いますよ」

提督「そうですか。じゃあ覗きにいきたいのですが……」」

メイド「わかりました。今車出しますね」

提督「助かります」

提督(みんなちょっと険悪になってたからすごい心配だったけど)

提督(大丈夫かなぁ?)




310: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/29(水) 00:20:39.76 ID:Vufl7dzJo

───────────────────────────────


     訓練海上


北上「だーかーらー、今のもできれば迂回した方が早いって」

日向「了解だ!すまなかった。逆にこう動くという考えもあったが難しいか?」

北上「んー、ありっちゃありだけど……んじゃ次それやってみる?」

日向「うむ、頼んだ!」



311: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/29(水) 00:21:13.76 ID:Vufl7dzJo


大和「雪風ちゃん、ごめんなさい!今の邪魔しちゃったでしょ?」

雪風「いえ、大丈夫です!前より全然いいと思います!」

大和「そう?ありがとう!」

雪風「雪風の動きはどうですか?」

大和「無駄が少なくて素晴らしいわよ。私もそれくらい動けるようになりたいわ」

雪風「そうですか……そこまで褒められると嬉しいです」テヘヘ

312: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/29(水) 00:24:36.24 ID:Vufl7dzJo


加賀「ぜ、前方に敵艦載機20……いや30」

伊58「お、落ち着くでち。ゆっくり慌てずで平気だよ」

加賀「はい……」

伊58「敵艦載機を食べ物だと思えばいいでち。例えば七面鳥とか」

加賀「七面鳥……なるほど。数を数えたくなりますね」

伊58(冗談のつもりだったんだけどなぁ……)

伊58「あ、後方からまたくるでち!」

加賀「はい!敵艦載機50!」

伊58「はやっ!」ガビーン






提督「…………心配無用だったみたいだな」ニコッ




322: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/30(木) 16:35:12.26 ID:kyToVqUr0

───────────────────────────


    提督の執務室


大和「もう……心配したのよホントに」

提督「すまなかった。疲れてるなー程度には思ってたがまさか倒れるとはな」

伊58「ゴーヤにあんな事言っておきながら……しっかりしてほしいでち」

北上「相手の心配より自分の心配、ってねー」

日向「君はそういう所を直してくれないと……」クドクド

加賀「反省してください」

提督「……返す言葉もない」シュン


323: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/30(木) 16:35:59.52 ID:kyToVqUr0


雪風(……)

雪風「……しれぇ、一つ提案があります」

提督「なんだ?」

雪風「秘書艦、を利用してはいかがでしょうか?」

提督「ふむ。そういえばそんな制度があったな」

324: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/30(木) 16:39:52.85 ID:kyToVqUr0

雪風「本来しれぇの様な立場である方は秘書を雇うのが普通です……が」

雪風「重要機密の開示や艦娘との接触を避ける為に秘書という役職を雇う事を避けるのが軍の意向です」

雪風「そこで設けられたのが秘書艦制度です」

雪風「秘書艦とはそのままの意味で、艦娘による秘書……」

雪風「先程挙げた問題は艦娘自身が秘書になる事によりクリアできます」

325: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/30(木) 16:44:12.76 ID:kyToVqUr0

提督「なるほど。一人では手も回らなくなってきたし、いいかもしれん」

雪風「という訳で!私!ゆきかぜが!秘書艦を務めさせていただきます」ドーン

提督「ゆ、雪風が?」

雪風「……雪風ではご不満ですか?」ウルウル

提督「いや、そんな事はない!是非雪風に頼みたい!」アセアセ

雪風「はい!お任せください!」


326: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/30(木) 16:46:34.25 ID:kyToVqUr0

──────────────────────


    ~次の日~


    提督の執務室


提督「さて、早速で悪いが雪風。この書類を頼みたい」

雪風「はい!」

提督「えっと、この書類とこっちの書類を比較して合計資材量や金額が合っているか確認して欲しいんだ」

雪風「ふむふむ」

提督「合っていたら問題ないが間違っているようであればどこが違ってるかメモしといてくれ」

雪風「りょーかいです!」

提督「よし、じゃあ頼んだぞ」

327: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/30(木) 16:49:12.84 ID:kyToVqUr0









雪風 「…………んー……しれぇ……雪風はしず……み」スピー

提督(寝てる……)ガクッ

提督(背伸びして俺の為に一生懸命に頑張ろうとしてくれるが……)

提督(中身はまだまだ子供だ……数字を比較するだけの作業なんて辛抱たまらんだろうな)

提督「さて、起こさない様静かに……」スッ


ピッ


提督「もしもし大和か」

大和「あら、どうしたの?」

提督「雪風を運ぶの手伝ってくれないか?」

大和「え?」


328: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/30(木) 16:56:31.97 ID:kyToVqUr0








大和「あら……見事に寝てるわね」

提督「書類にヨダレ垂れてるよ、ほら」デローン

大和「うふふ、可愛い」

提督「あどけない顔してまったく」ナデナデ

雪風「……ムニャ……しれぇ……」グースピー

大和「夢の中でも提督にくっついてるわよきっと」

提督「俺のどこがそんなにいいんだか……」

提督「……さて、雪風を部屋に運ぶからついてきてくれ。流石に女子の部屋には入れん」

大和「はいはい」スッ

334: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/30(木) 22:02:13.97 ID:dfw+jESho











大和「で、どうするの?」

提督「何がだ?」

大和「秘書艦よ。さすがに雪風ちゃんにはもう頼めないでしょ」

提督「そうだな……やっぱり俺一人でいいよ」



335: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/30(木) 22:03:35.39 ID:dfw+jESho


大和「駄目駄目。また倒れるわよ」

提督「うーんそう言われても……」

大和「他の子にも頼んでみたら?」

提督「……そうだな。全員に一回ずつ手伝ってもらって一番良いと思った奴に秘書してもらうか」

大和「うん、いいんじゃない?こういう作業って向き不向きあると思うし」

提督「じゃあ明日から一人ずつ交代で手伝ってもらおう」


336: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/30(木) 22:04:23.53 ID:dfw+jESho





    ─伊58の場合─
    


伊58「秘書艦ならゴーヤにお任せ!」

提督「意気込みはいいな。じゃあこれを頼んだぞ」

伊58「りょーかいでち!」ビシッ


337: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/30(木) 22:05:33.06 ID:dfw+jESho











伊58「むむ……」

提督「どうした?」

伊58「資材の消費量……」

提督「記入が間違えてたか」

伊58「間違ってはないでち……けど」

伊58「使いすぎ……」

提督「へ?」

338: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/30(木) 22:11:03.73 ID:dfw+jESho


伊58「なんでこんなに無駄遣いしてるの!」

提督「え、あ、いや。無駄遣いしてるつもりは……」

伊58「最低限の艤装整備の為の資材とか訓練用の弾薬とかは分かるよ」

伊58「だけど……」

伊58「開発資源、この数字はおかしいでち!普通こんなに使わないでしょ!」

提督「そ、それは……だな」アセアセ

提督「ちょっとその、試しに作ってみたい艤装やらなんやらで色々と……な」

伊58「色々と……な、じゃねーーーでち!」ドカーーン

提督「お、落ち着けゴーヤ」

伊58「資材は限りがあるんだよ!こういう扱いするからゴーヤ達が集めた資材が……」ネチネチ クドクド

提督「は、はい」





    
    ─結果─


提督(ゴーヤは普通に執務をこなしてくれるが)

提督(資材関係や費用面の事になると急に口うるさくなる)

提督(過去にそういう部分で苦労してきたせいなのか……)

提督(とは言っても毎回ああ口をだされたらたまったもんじゃないぞ)

提督(……うん。ゴーヤは止めとこう)


339: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/30(木) 22:12:32.99 ID:dfw+jESho



    ─日向の場合─
    
提督(日向ならぴったりだと思うんだ、秘書は。うん)

提督「じゃあ、これとこれ。頼んでいいか?」

日向「ふむ……上への報告書の確認か。了解したよ」



340: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/30(木) 22:15:44.17 ID:dfw+jESho









日向「提督、この文じゃ詳細が伝わりにくいんじゃないか?」


提督「え……そうかな。大体で伝わればいいだろう」

日向「駄目だね。こういうのはしっかり書かないと」

提督「う、うむ。じゃあ修正頼んだ」

日向「あとこれなんだが……」

提督「ふむ」

日向「この漢字はしっかり繋いで書かないと正しくないぞ」

提督「いや……ここは走り書きでもどうせ誰も見ないから……」

日向「君はいい加減だなぁ。まったく……上に立つ者としてそういう」クドクド









   ─結果─


提督「こ ま か い」

提督「いちいちチェックが細かい。完璧主義者かお前は」

提督「しっかり者ってのは分かるけど……俺の髪が全部抜けてしまうぞあれでは」

提督「……日向もダメだな。残りは加賀……大体予想つくけど一応頼むか……)



341: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/30(木) 22:17:26.31 ID:dfw+jESho

  ─加賀の場合─
  
  

カキカキ ムシャムシャ カキカキ



提督「…………」カキカキ

加賀「…………」ムシャムシャ

提督「…………」カキカキ

加賀「…………」ムシャムシャ ゴクン

提督「……なぁ」

加賀「なんですか?」

提督「食べながら作業するのはどうかと思うんだが……」

加賀「……分かりました。我慢しましょう」


342: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/30(木) 22:27:20.88 ID:dfw+jESho







カキカキ グギュルル カキカキ 


提督「…………」カキカキ

加賀「…………」グギュルル

提督「…………」カキカキ

加賀「…………」グギュルル

提督「……なぁ」

加賀「なんですか?」

提督「俺が悪かった。部屋戻っていいぞ」





  ─結果─


提督「1時間前にご飯食べたばかりなんだけどな……ハハ」


343: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/30(木) 22:29:14.42 ID:dfw+jESho




    ─北上の場合─
    
    
    
提督「頼んだぞ、北上」

北上「嫌だ。めんどい」







   ─結果─
   
   
提督「ですよね」




344: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/30(木) 22:32:27.47 ID:dfw+jESho











提督「って感じでな……」

大和「そ、そう。どんまいって感じね……」

提督「いいよもう……一人でやるから」トオイメ

大和「ゴーヤちゃんと日向なら提督が我慢すればちゃんとやってくれるわよ」

提督「駄目だ。俺の胃に穴が空く。それにいちいちあんなんで手を止めてたら時間がいくらあっても足りんぞ」

大和「……それもそうね」

大和「仕方ないわ。いい案がでるまでしばらくは私が手伝うわよ」

提督「……うむ」

345: ◆vLyL7y0Zk. 2014/10/30(木) 22:35:12.24 ID:dfw+jESho



──────────────────────────────




   ─次の日─
   

  提督の執務部屋




大和「提督、これ終わったわよ」パサッ

提督「すまんな、助かる。……あれも頼んでいいか?」

大和「そう言われると思って、はいどーぞ」パサッ

提督「おお、やっといてくれたのか。さすがだな」

大和「ふふ。少し余裕でてきたしコーヒー淹れてくるわ。休憩も仕事の内よ」

提督「ありがとう。気が利くじゃないか」

大和「メイドさんに美味しいコーヒーの淹れ方教えてもらったのよね~」カチャカチャ

提督「あの人のコーヒーは美味しいからな」

大和「うんうん♪」コポポポ


提督「…………」










提督「お前が秘書やれよぉおおおおおお!」ズガーーン


大和「ええっ!?」ビクッ



352: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 10:38:27.37 ID:1X0jq72I0



─────────────────────────────



    ─提督の執務室─


提督「と、いう訳で大和。しばらく秘書艦として頼んだぞ」

大和「分かったわ……というかなんで私だけ選考にはいってなかったのよ」

提督「ん……まぁいいじゃないか」

提督(二人きりになるのが恥ずかしくて無意識に外してたとはいえない)


353: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 10:39:54.24 ID:1X0jq72I0

プルル プルル


大和「電話ね。私がとるわ」


ガチャ


大和「こちら第2艦隊 大和がお受けいたします」

本部軍人「もしもし本部軍人と申しますが……提督殿はおられますかな?」

大和「はい、今お代わりいたします」

大和「提督、本部軍人さんよ」スッ

提督「わかった」スッ

提督「お電話変わりました、提督です」カチャ


354: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 10:40:48.52 ID:1X0jq72I0

本部軍人「もしもし提督殿ですか、編成の件お疲れ様でしたな」

提督「ええ、おかげさまで何とか決める事ができました」

本部軍人「その内お祝いと称してどうですか、一杯」

提督「ははは……お酒はあまり強くないのでお手柔らかにお願い致します」

本部軍人「善処しましょう……さて、ここからが本題ですが」

提督「はい」

本部軍人「初任務が決まりましてな。総司令官直々の任です」

提督「……そうですか」

提督「場所と日程はどのように?」

355: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 10:42:18.79 ID:1X0jq72I0

本部軍人「今から2か月先」

本部軍人「カムラン周辺の敵殲滅及び領海域奪還との事」

提督「カムラン……南部の方ですね」

本部軍人「詳細に関しては後程そちらに書類をお送りいたしましょう」

提督「了解です」

本部軍人「まぁ……初めての任務ですからな。私達の方でも全力でサポート致します」

本部軍人「何かご相談があればこちらへご連絡ください」

提督「ありがとうございます」

本部軍人「では、また後程……失礼いたします」



プツッ


ツーツー

356: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 10:44:36.90 ID:1X0jq72I0


提督「…………」

大和「どうしたの?固まって」

提督「……よし」

提督「明日の昼食後、会議室に集まるよう全員に伝えといてくれないか?」

大和「え?あ、はい」

357: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 10:48:01.97 ID:1X0jq72I0

───────────────────────


    次の日
    

   ─会議室─


提督「─────と、いう訳で俺達第2艦隊の初任務はカムラン半島周辺海域」

提督「そこで遊弋している深海棲艦の殲滅だ」

日向「ついに正規任務……深海棲艦との実戦か」

加賀「気合が入りますね」

大和「ええ……ちょっと緊張もするけど」

提督「まだ2か月先だからな。時間はある、オリョクルへ出撃した時のようでなくゆっくり準備していこう」


358: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 10:50:40.04 ID:1X0jq72I0


北上「カムラン……任務の詳細は?」

提督「ああ、それは今日配る資料を見ながら……」ガサゴソ

提督「えーと資料資料………ん」

提督「これとこれが……あれ?」

大和「何してるの?」

提督「いや資料を配ろうと思ってるんだが……ちょっとバラバラになってしまって……」

提督「昨日今日で急いで用意したせいかな。部数も足りないかもしれん」

大和「あら……手伝うわよ」スッ

大和「これとこれ……あと……これ部数足りないから刷ってくるわ」

提督「む、すまんな。頼むよ」


359: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 10:51:43.60 ID:1X0jq72I0








大和「はい、どーぞ」スッ

提督「手間かけて悪いな」パシッ

大和「提督、こういう時もしっかり秘書艦を頼っていいのよ」

大和「資料とかも刷ったり配るだけならできるし」

大和「事前に内容も教えてくれればある程度サポートできるわ」

提督「……うむ、分かった。今後は会議する時などに秘書艦……大和に手伝ってもらうよ」」

大和「ええ、任せて頂戴」

提督「では早速だがその資料を配ってくれ」

大和「はーい」

360: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 10:52:25.21 ID:1X0jq72I0

伊58(提督さんと大和さんてなんかいいコンビでちね)ヒソヒソ

北上(だね。いい女房になるよあれは)ヒソヒソ

雪風(ええ!あの二人ケッコンしてるんですか!)ヒソヒソ

北上(違う違う。たとえ話)ヒソヒソ



提督「おい、そこの3人。後ろ向かないで資料に目を通してくれ」


雪風 & 北上 & 伊58「「はーい」」



361: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 10:54:06.72 ID:1X0jq72I0


提督「今配ったのは、カムラン半島周辺海域の資料だ」

提督「カムランはベトナムの領海でこの前のオリョール海よりは少し近い位置にあたり」

提督「数か月前に深海棲艦の群れが現れたらしくベトナム海軍及び周辺諸国に多大な損害を与えている」

提督「深海棲艦の数は約100隻、今も尚その海域で遊弋しているという事だ」

提督「現在は南鎮守府によって編成された4艦隊とベトナム周辺国の艦隊が対応中」

提督「だが……戦況はあまりよろしくないらしい」

提督「そこで、俺達中央第2艦隊へ白羽の矢が立つように任務を任せされたという訳だ」

362: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 10:55:52.32 ID:1X0jq72I0

日向「質問していいか?」

提督「うむ」

日向「なぜ日本……私達が出撃するんだ。地理的にみれば他にも距離が近く戦える国はあるだろう」

提督「いや……知ってる奴は知ってると思うがアジアで深海棲艦に対抗できる……つまり艦娘を主力にしている国は少ない」

提督「特に東南アジア諸国の海軍は深海棲艦に大して殆ど無力といってもいい」

日向「なぜだ?」

提督「理由は俺もその目で確認した訳ではないので聞いた話だと……艦娘の数が少ない、艤装技術や練度も低いとの事だ」


363: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 10:57:49.35 ID:1X0jq72I0

日向「中国はどうなんだい?あそこは日本と同程度の戦力を持ってるじゃないか」

提督「ああ、本当であれば中国に動いてもらいたい所だ。地理的にも有利だしな」

提督「しかし内乱や領地主導権の問題で周辺国と仲が悪い等色々とあるらしい」

提督「よってベトナムが日本に救援要請をだした……というのが背景だ」

伊58「日本は東南アジアに評判いいんだよ。オリョール海での遠征も信頼されてるからOKもらってるんでち」

日向「なるほど……質問については納得したよ」

364: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 10:59:58.91 ID:1X0jq72I0

提督「うむ。では続けるがカムランでの戦いは過去に何度か実績があったのだが」

提督「いずれも敵の数と質、共に今回の規模と比較すると見劣るので参考にならない」

提督「まぁ簡単にいうと……かなり苦戦すると予測される」

北上「……ねぇ」

提督「なんだ?」

北上「ウチラだけなの?出撃予定の艦隊」

提督「今の所カムランへの追加出撃は俺達第2艦隊だけと聞いている」

北上「ふーん」ペラッ

雪風「…………」ペラッ

伊58「…………」ペラッ

北上「雪風、ゴーヤ。これさ」

雪風 & 伊58「「……」」コクリ

提督「どうした3人共」

北上「いや……なんでもないよー。こっちの話」


提督「ふむ?まぁいいか。じゃあこの書類を見ながら話を進めてく訳だが────



365: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 11:01:15.93 ID:1X0jq72I0







  数時間後



────という訳で場合によっては長期間滞在になる可能性があるので各自覚悟しているように……っともうこんな時間か」


提督「一旦休憩を入れようか」

伊58「賛成でち!」

北上「ふー久しくこういう話合いみたいなの参加してなかったからなんか疲れるー」トントン

加賀「頭を使うと甘い物が食べたくなりますね」

大和「そうね……あ、そうだ」

大和「良ければ今からお茶と和菓子を用意するけどどうかしら?」

366: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 11:02:03.53 ID:1X0jq72I0

加賀「和菓子ですか!」ガタッ

大和「あ、えっと、量ないからほどほどにね?」

日向「加賀とりすぎは駄目だぞ」

加賀「さ、さすがにそこまでしませんよ」

伊58「目が泳いでるのが気になる……」

提督「ふむ。休憩には丁度いいかもな。頼めるか?」

大和「ええ、今用意してくるわ」



367: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 11:02:51.72 ID:1X0jq72I0







大和「持ってきたわよー。好きなのとってね」カチャン

北上「おー湯呑まで凝ってるねー。しかもこれ、抹茶?」

大和「ええそうよ。茶道をやってたからその影響でね」

雪風「雪風はそういうの分からないんですが、何かルールがあるんでしょうか?」

大和「気にしなくていいのよ。いつもの様に飲んでもらえれば」


368: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 11:04:38.99 ID:1X0jq72I0

雪風「そうですか……では」ズズズ

大和「どう?」

雪風「……ちょっと苦いです」

大和「うふふ、雪風ちゃんのお口には合わないみたいね」

北上「まったく雪風はお子ちゃまだねー」

雪風「むむむ。そういう北上さんはどうなんですか」ムス

北上「私は大人だもーん。お茶ってのはこうやって口に含んで」ズズ

北上「香りをの楽しみつつ……からの甘ーい和菓子を放り込んで調和を楽しむのだよ。おいしー」

雪風「そ、それなら雪風だっていけますよ!ほらほら、美味しいです!」ゴクゴク パクパク

日向「君達、張り合うもんじゃないからね……」

369: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 11:07:48.51 ID:1X0jq72I0

加賀「結構な御手前で」ペロリ

日向「はや!食べるの早いよ加賀!」ガーン

提督「ふむ……コーヒーばかり飲んでいたがたまには緑茶もいいものだな」

大和「でしょ?日本人といえばこれよね」

伊58「それにしても茶道をやってたなんてなんかすごいでち」

北上「うんうん、溢れる女子力だね大和っちは」

大和「大した事じゃないのよ。やろうと思えば誰でもできるし」

北上「そんな訳ないでしょー……あ、そうだ。大和っちと提督の事で聞きたい事があったんだけど」

提督「ん?」

北上「大和っちとどこまでしたの?」

提督「ぶーーーーーー」ブシャーー


370: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 11:09:15.97 ID:1X0jq72I0

提督「おおお、お前は急にナニをいってるんだ。何を!」ガタン

北上「え?何ってナニしたかどうかだけど……付き合ってるんじゃないの?」

提督「俺と大和が?」

北上「うん」

提督「ないよ!ない!」

大和「そうよ。提督とはただの幼なじみだもの」

北上「へー大和っちはそんな感じなんだねー」

北上「でも提督はー?」ジー

提督「な、なんだよ。どういう意味だ」アセアセ

371: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 11:10:21.97 ID:1X0jq72I0

大和「もうあんまりからかっちゃ駄目よ。提督はそういう話しても顔真っ赤にして困るだけだし」

大和「私も幾度か好きな子いないの?って聞いてもすぐはぐらかすんだから」

北上「そりゃ当事者だからでしょ」ボソ

大和「え?」

北上「いやなんでも」

大和「……?」

大和「さて、私はちょっとお片付けするから席外すわね」スッ


スタスタスタ

ガチャ バタン


372: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 11:11:14.33 ID:1X0jq72I0

北上「で……どうなのさ提督」

提督「だからなんなんだよ」

北上「告白とかさ」

提督「なんでそうなるんだよ」

北上「好きでしょ?大和っちの事」

提督「……嫌いではない」

北上「もーーー素直じゃないなぁ。回りにバレバレなんだからいいじゃんよー」


373: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 11:12:17.12 ID:1X0jq72I0

提督「え?バレバレ?」

北上「ねっ?日向っち」

日向「うむ。いつ言うんだと思っていたけれど……まさか士官学校卒業しても告白してないとはな」

提督「日向……お前」

加賀「男らしくないですね」

提督「うがっ……加賀まで」

北上「あのね。付き合いの短い私まで気づいてるんだから当たり前でしょ」

雪風「ついでにいうと雪風もなんとなく気づいてます」

伊58「ゴーヤも」

提督「」チーン

提督「………うぅ」

374: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 11:13:08.85 ID:1X0jq72I0

提督「だぁああああああそうだよ!俺はあいつが好きだよ!」

提督「小さい頃から好きだ!艦娘の指揮官になったのも半分あいつの為だ!」

提督「というか何もアプローチしてこなかった訳じゃないぞ!」

提督「何度かデート誘っても、普通の友人ぽくなっちゃうし!」

提督「しまいには仲の良い子もつれてきたーーって二人きりじゃなかった時もあるんだぞ!」

北上「うわぁ……急にキレた上に口調まで変わってるし」ドンビキ

提督「うるさい!あいつは俺の事を男として見てないんだよ!」

提督「だから別にこのままでいいんだ!フラれて仕事しづらくなったら嫌だし!」

375: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 11:14:29.74 ID:1X0jq72I0

北上「わーかったから、落ち着いてよ」

提督「……ハァッハァッ…………すまんちょっと取り乱した」

雪風「しれぇ……お気持ちは分かりました」

伊58「てーとくさんも男なんだねー」

日向「士官学校から色々見てきたが……大和も恋愛方面は鈍感だからな。仕方ないさ」

加賀「他はしっかりしてるんですけどね」

376: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 11:15:44.78 ID:1X0jq72I0

提督「いや……えっと……お前ら」

提督「今言った事忘れてくれないか?」

艦娘達「「嫌です」

提督「…………」ガクッ

377: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 11:16:44.01 ID:1X0jq72I0

北上「これはその内、大和っちのハート轟沈大作戦の会議を行わないと駄目だねー」

雪風「しれぇがお困りなら雪風達がなんとかしましょう!」

伊58「そうだね!提督さんはちょっと女性の扱いが下手糞そうだしゴーヤ達が手伝うでち!」

提督「余計な事はしなくていいぞ?な?」

北上「という訳で大和っちの事をよく知ってる二人には色々と協力してもらう必要がある。頼むよ加賀っち」」


378: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 11:17:49.77 ID:1X0jq72I0

加賀「…………」ボー

北上「加賀っち?」

加賀「え、あ、はい。そうですね。私が協力できる事ならしましょう」

日向(…………)




379: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 11:19:27.59 ID:1X0jq72I0









   その夜



加賀「どうしたんですか?話があるって」

日向「いや……ちょっとね。少し外で歩かないか?」

加賀「構いませんけど……」

380: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 11:21:41.49 ID:1X0jq72I0

───────────────────


   ~中央鎮守府 港~


日向「さすがに夜の海は冷えるな」

加賀「そうですね」

日向「加賀、これ」ポイ

加賀「……はい?ホットココア?」パシッ

日向「うん。さっき買っておいた」

加賀「……いただきます」カポッ

日向「…………」

加賀「美味しいです、甘くて」

日向「そっか。良かった」

381: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 11:22:25.65 ID:1X0jq72I0

加賀「………そろそろ話してください。何かあるんでしょう?」

日向「うん……その、まぁあれだ」

日向「士官学校で知り合って約3年……の付き合いだよな私達」

加賀「……はい」

日向「正規の軍人になってもまさか4人一緒にいられるとは思わなかったよ」

加賀「そうですね。卒業したら別れてしまうものだと思っていましたから」

日向「うん……だからすごくうれしかったよ。本当に」

加賀「ええ……」

日向「…………」

382: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 11:22:55.41 ID:1X0jq72I0


日向「……提督の事どう思ってる?」


383: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 11:23:43.61 ID:1X0jq72I0

加賀「どうって……」

日向「男として……好きか?」

加賀「……提督には大和さんがいますから」

日向「提督の気持ちじゃない。加賀の気持ちが聞きたいんだ」

加賀「…………」

加賀「私は……」


384: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 11:24:18.17 ID:1X0jq72I0


──────加賀ー、今日も朝ごはん作ってきたぞ


──────ホント美味しそうに食べるよな加賀は。作り甲斐があるよ


──────加賀、お前ならできる……信じてる



──────加賀を艦隊に誘って良かった。これからもよろしく頼む



385: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 11:25:28.86 ID:1X0jq72I0

加賀「…………好きですよ」

日向「そっか」

加賀「日向は?」

日向「ん?」

加賀「好きですか、提督の事」

日向「……んー」


386: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 11:27:20.92 ID:1X0jq72I0

日向「私はな、士官学校入る前は地味で運動音痴で本を読むのが趣味で……」

日向「まぁそのせいかあまり人と関わりを持っていなくてね……男子と話す事はおろか同姓の友人もいなくて」

日向「そんな時私に声をかけて助けてくれたのが提督だ」

日向「ほんと優しくてまっすぐで」

日向「頑固で不器用なやつで……」

日向「私にとって初めてできた異性の友人なんだ……」

加賀「……」

日向「まったくさ……なんであんな人の為に一生懸命になれるかなって……」

日向「朝から晩まで訓練に付き合ってくれた事だってあった」

日向「私の為にと……徹夜で勉強してくれた事さえも」


日向「……そんな彼の事を」


387: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 11:28:15.31 ID:1X0jq72I0


日向「好きに決まってるじゃないか」ポロポロ


388: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 11:28:56.25 ID:1X0jq72I0

加賀「日向……」

日向「でも……いいんだ」グスッ

日向「今日、改めて提督の気持ちを聞いて決心がついた」

日向「大和と提督は……すごくお似合いだからな」

日向「私は応援したいと思う」

日向「二人が幸せになってくれればそれでいいと、私は思ってる」

加賀「…………」


389: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/10(月) 11:30:33.46 ID:1X0jq72I0

日向「加賀はどうする?」

加賀「私は……」

加賀「私も日向と同じ気持ちです」

日向「……わかった」

日向「すまなかったな。こんな事聞く為に呼び出してしまって」

加賀「いえ……」

日向「さぁ、戻ろう」

加賀「日向」

日向「ん?」

加賀「美味しい食事処を近くに見つけたんです、良かったら行きませんか?」

日向「ええ、こんな時間にか……提督に許可をとらないと」

加賀「こっそりですよ」

日向「こっそり……そうだな、たまにはいいか」

加賀「ふふ、そうです。たまにはです」

日向「なんかあったら提督のせいにしよう」

加賀「それは名案ですね」



  ~その頃 提督の部屋~


提督「はぁっくしょい!」

提督「……風邪かな?」


403: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 09:27:39.42 ID:JnyQKAOh0


──────────────────────────────

      別の日


     ─開発室─
     
     
     
提督「─────という訳で、これが妖精さん達だ。仲良くしてやってくれ」

大和「話に聞いた事あるけど……本物を見るのは初めてだわ」

日向「小さくて可愛いじゃないか」チョンチョン

加賀「ですね」



妖精A「舐めんなオラー」

妖精B「オラー」

妖精C「ラー」


404: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 09:31:01.44 ID:JnyQKAOh0

ガチャ 


北上「提督ー、開発室に集まれってどうしたのー?」

提督「来たか3人共。適当にそこらへんに座ってくれ」

北上「お、妖精達じゃん。見せる事にしたんだねー」

雪風「可愛いです!」

伊58「久しぶりに見たでち」

提督「ああ、北上達は見た事があるから驚かないか」

北上「まぁねー。うん、相変わらずちっこい」


405: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 09:32:25.77 ID:JnyQKAOh0

北上「でもいいのかなー?」

提督「ん、何がだ」

北上「昔いた鎮守府でさ。妖精と艦娘が結託したせいでめんどくさい事件に巻き込まれてね」

提督「ほう……どんな?」

北上「許可を取らず大量に艤装を開発……そんで資材を使いすぎて問題になったんだよねぇ」

北上「私は全く関係ないのに……何日も事情聴取うけたりで大変でさ」

北上「一人の艦娘が妖精をそそのかしただけだってのにね。めんどくさかったなぁ」」

提督「なるほど……まぁ基本的に妖精さんは俺以外の命令は聞かないが……一応注意しとかないとな」

406: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 09:34:15.19 ID:JnyQKAOh0

大和「この子達ってて士官学校の時からいたの?」

提督「うむ。入学して何か月してから出会って、ずっと世話してたよ」

大和「そっか。だからたまに語りかける様な独り言いってたのね」

提督「気づいてたのか?」

大和「ええ。あまり気にしないでいたけど」

提督「まさか……そのせいで俺は一部の奴に変人て言われてたのか」

大和「安心して。それは元からだから」

提督「おい」ビシッ

407: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 09:37:42.14 ID:JnyQKAOh0

大和「冗談よ。でも急にどうしたの?妖精達を見せたのに理由があるんでしょ?」

提督「うむ。今後の作戦では妖精達との密なコミュニケーションが必須と考えている」

提督「お前らの艤装は妖精さん達が開発及び調整しているからな」

加賀「この子達が?」ジー

提督「そうだ。超常的な力を持っている彼女達妖精さんがだ」

提督「なので、新しい艤装や整備など今後妖精さん達を含め話合っていく事になると思う」


408: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 09:39:47.43 ID:JnyQKAOh0

日向「丁度砲身を取り換えて欲しいと思っていた所だ。頼んでみよう」

伊58「ゴーヤも新しい潜水服が欲しいでち!」

雪風「ゆ、雪風は水上靴が!」

提督「待て待て。今すぐにとは言ってないだろ」

提督「というかお前らが直接妖精さんにお願いしてもほとんど聞いてくれないから一旦俺に言わなきゃダメだぞ」

伊58「ずるいでち!提督さんばっかり妖精ちゃん達にお願いできて!ゴーヤ達は何でお願いできないの!」 

409: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 09:43:19.98 ID:JnyQKAOh0

提督「ん……」

伊58「提督さん?」

提督「いや、分からない。そういうものだと思うしかない」

提督「ある程度仲良くなれば艤装の整備くらいはしてもらえるとは思う」

伊58「むぅ」

提督「まぁ、北上が言うには艤装の開発まで行った例もあるようだけど……とかく妖精さん達の事に関しては謎が多いんだよ」

提督「とりあえず俺が知っている事に関しては話した。あとはお前らがどう接しようが任せる」

提督「ただくれぐれも妖精さん達の機嫌を損ねるような真似はするなよ」


艦娘達「「はーい」」


410: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 09:45:31.40 ID:JnyQKAOh0

提督(なんで妖精さん達は俺の命令しか聞かないのか……)

提督(なんでだろうな。たしかに妖精さん達は変な所があるけど)

提督(俺はこの数年一緒にいて問題なくコミュニケーションをとれている……)

提督(妖精さん達が特殊な力を持った人間の命令しか聞かない理由)

提督(いや……もしかしたら聞けないのか?)

提督(何らかの理由があるのか?)

411: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 09:50:41.74 ID:JnyQKAOh0


提督(そもそも妖精さん達の謎なんて他にいくらでも……彼女達と艦娘の関係やどこから生まれたのか)

提督(未だ明らかになっていない事が多すぎる……)

提督(それと……)

提督(なぜ妖精達がいるのにこの世界は……)


ズキッ


提督(…………)ボーッ

提督(……っと何だ。俺は今何を考えていたんだ)

提督(早く部屋に戻って書類作業しなければ)




妖精A「…………」ジー




──────
─────
────
───
──



412: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 09:53:59.74 ID:JnyQKAOh0


──
───
────
─────
──────



   ─提督の執務室─
   

提督「んー……」

大和「どうしたの?しかめ面で」

提督「いやぁなこれ見てくれ」パサッ

大和「はい……母艦の出力係数?」

提督「うん。今度の任務を万全にとチェックをしてたら気づいてね。基準値を大きく下回ってるんだ」

413: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 09:55:43.75 ID:JnyQKAOh0


大和「私も詳しい事は知らないけど……基準に半分も満たないのは問題ありそうね」

提督「整備軍人さんに先月点検してもらったばかりなんだけどなぁ」

大和「ミスじゃないかしら?」

提督「だといいんだが。念には念を、もう一度点検してもらおう。ちょっと行ってくる」

大和「ええ」


414: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 09:59:56.17 ID:JnyQKAOh0

────────────────────────────────


整備軍人「母艦の点検ですか?」

提督「はい。ぜひ頼みたいのです」

整備軍人「うーん、この前定期点検をおこなったばかりでして……」

提督「確認しています。しかし、この数値がどうしても気になりまして」

整備軍人「ああこれですか。たしかに通常より低いようですね」

整備軍人「ただこれはあまりあてになりませんよ。計測の環境で毎回変わりますから」

整備軍人「実際の所異常なさそうだったのと万が一何かあっても妖精達がカバーできたりしますから問題ないと判断していますが」


提督「なるほど……」


415: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 10:02:58.80 ID:JnyQKAOh0


提督「面倒を承知でお願いします。やはりもう一度、点検をお願いします。何かあったら遅いですから」

整備軍人「……」

提督「今度私の初任務でして、万全の状態で望みたいのです」

整備軍人「……はぁ。分かりました。今対応している仕事が終わり次第に……でよければ」

提督「すみません、ありがとうございます!」



416: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 10:03:46.32 ID:JnyQKAOh0









提督(整備軍人さん、ちょっと嫌そうな顔してたな……)

提督(まぁそうか。一度チェックしたものを再度素人の様な俺がお願いしてるんだから)

提督(……うーん)

提督(問題があった箇所だけでいいと声をかけておくか)クルッ


417: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 10:05:12.14 ID:JnyQKAOh0

──────────────────


整備軍人「チッ……めんどくさ」

軍人「どうかしたのか?」

整備軍人「ああ……例の喪服に母艦の点検をもう一回やれと頼まれてさ」

軍人「この前やったばかりじゃないのか」

整備軍人「そう言ったんだけどしつこくてな」

軍人「ふーん……」

整備軍人「めんどくせぇなぁ」


418: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 10:07:13.35 ID:JnyQKAOh0

軍人「どうでもいいが喪服ってのは中々皮肉めいた言い方だよな」

整備軍人「そりゃそうさ。あんな真っ黒な軍服、第2の司令官ぐらいしか着てないんだ」

軍人「可哀想だよな。またどうせ爺さんに無茶言われるんだから」

整備軍人「死地へと向かう、喪服組ね」

軍人「戦場という自分の葬式に参加する……ってか」

整備軍人「……なんかそう考えたら可哀想になってきたな。精々長く生きてもらう為にしっかり母艦の整備してやるかぁ」

軍人「だな。手伝いがあれば言ってくれ。人事に要請しとく」

整備軍人「了解ー残業代さえもらえれば俺はそれでいいよ」


ハハハハ、ソレナラテツダイはヨケイダナ
チゲェネェ





提督(ふむ、隠れて聞いていたが)



419: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 10:08:18.57 ID:JnyQKAOh0

提督(喪服組……そういう意味だったのか)

提督(無茶な任務、死地……ね)

提督(…………)

提督(雪風やゴーヤに任務を与えていたのも総司令官だったな……)

提督(……調べてみるか)



420: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 10:10:20.39 ID:JnyQKAOh0








  ─情報管理室─


提督(総司令官の過去を調べた)

提督(輝かしい実績だ。沖ノ島初の奪還、新陣形の提案、鎮守府基本運用のマニュアル化)

提督(自身の艦隊を中心に任務を遂行し、無謀とも言える作戦もほぼ全て完遂)

提督(総司令官という地位についているのも頷けるな)


421: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 10:11:15.41 ID:JnyQKAOh0

提督(ただ気になるのはある時期からほとんど任務へ参加しなくなっている)

提督(数十年前の南方海域……ソロモン諸島での戦い、この作戦以降からだな)

提督(この頃に何かあった……のか?)

提督(…………)

提督(まぁそれはどうでもいいか)

422: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 10:13:01.05 ID:JnyQKAOh0

提督(…………とりあえず総司令官の黒い噂)

提督(過去第2艦隊のほぼ全てが任務中の殉職になっているのを確認できた)

提督(大よそ遂行は難しい任務ばかり……整備軍人達の言っていた通りだな)

提督(士官学校卒業したばかりの若輩者が大出世する理由……)

423: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 10:13:59.51 ID:JnyQKAOh0

提督(……今思えば那智教官も気づいていたのかもしれない)

提督(俺達が中央に決まった時、様子がおかしかったし……)

提督(だけど……それなら、那智教官の性格上俺達に伝えてくる筈)

提督(もしかして、なんらかの理由で口止めされていたとしたら……)

提督(……まずいな。このままでは)

提督「とりあえず、皆に伝えてどうするかを」スッ


ガンッ


提督「」パタッ


あきつ丸「…………」スッ





426: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 11:05:51.66 ID:JnyQKAOh0







  鎮守府 拘束室



提督「……うっ……痛っつ……」ズキッ

提督「……ここは……牢屋?」キョロキョロ


ジャラララ


提督「くそ、手首に鎖をつけられている。一体誰がこんなことを……」


427: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 11:06:51.95 ID:JnyQKAOh0

キィーーー

ガチャン


あきつ丸「お目覚めでありますか」

提督「君は……」

あきつ丸「第一艦隊所属 あきつ丸、と申します」

提督「あきつ丸……さん。ここはどこなんだ。俺はいったい」

あきつ丸「………色々と爺督殿について調べたようでありますね」

提督「……!」

あきつ丸「理解しましたか」

428: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 11:07:53.56 ID:JnyQKAOh0

提督「君か……俺をここに連れてきたのは」


あきつ丸「あまり余計な事をされると後始末が面倒であります」

あきつ丸「この方達のように」スッ


ドサッ


整備軍人「……うっ……」ボロッ

軍人「……あがっ……」ボロッ


429: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 11:09:58.26 ID:JnyQKAOh0

提督「ち、血だらけ……彼らに何をしたんだ!」

あきつ丸「全く、この事について口に出すなと重々にお伝えしている筈なのですが……少々反省してもらったであります」

提督「こんな事………許されないぞ!ばれたらどうするんだ!」

あきつ丸「提督殿、ご存じとはおもいますが」

あきつ丸「艦娘は非常に強い力を持ってるであります」

あきつ丸「艤装していない時でも……握力だけでいえば100kgは優に超えるであります」

あきつ丸「艤装をすればその何倍も」

提督「……何が言いたい」

430: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 11:11:21.86 ID:JnyQKAOh0

あきつ丸「腕をお借りしましょう」スッ

提督「……」ギロッ

あきつ丸「……自分は今、艤装してるであります」

あきつ丸「ですから、このようにちょっと力をいれれば」グググググ


ボキッ


提督「っっ!」

あきつ丸「腕を折る……たやすいであります」

431: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 11:12:08.22 ID:JnyQKAOh0

提督「うぐっ……俺を……どうする……つもりだ」

あきつ丸「返答次第……」

あきつ丸「で、ありますよね?爺督殿」


キィーー


ガチャン




爺督「色々と嗅ぎまわったようだのう提督君」


432: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 11:13:10.01 ID:JnyQKAOh0

提督「総司令官……!説明してください」ジャラララ

爺督「ふぉっふぉっ。元気だの」

提督「俺達第2艦隊は……本当にただの使い捨てなんですか!」

爺督「おいおい、言葉に気を付けてほしいのぉ」

爺督「わしが君達のような才能あふれる若者を存外にあつかう筈がないじゃろう」

爺督「ただ少し……獅子が崖から子を落とすように」

爺督「厳しい試練を与えてるだけじゃよ」ニヤリ

433: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 11:14:32.28 ID:JnyQKAOh0

提督「そうやって今まで多くの人間を…」

爺督「……そうじゃな」

爺督「賄賂、暗殺、捏造……我ながら汚い事をしてきたものじゃよ」

提督「なぜですかっ!」

爺督「世界の真実を知る為……」

提督「真実……?」

434: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 11:15:58.45 ID:JnyQKAOh0

爺督「さて、君はこれからどうするつもりだね?」

提督「この事を本部に伝え……いや…グルか」

提督「ならしかるべき団体へ報告して、かつ多くの艦娘に周知させる」

爺督「ふむ、こんな状況でも冷静じゃな。優秀だのぉ」

爺督「しかし……どうかな。生きて帰れるとはかぎらんじゃろ」

提督「いえ、あなたは先程優秀なものを存外に扱わないといっていた」

提督「俺を優秀と思っているなら殺す事はしない」

爺督「ほう」

435: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 11:20:42.92 ID:JnyQKAOh0

提督「それに……俺が多分この事を外に漏らしても上手く隠ぺいされる可能性の方が高い」

爺督「ふむふむ」

提督「俺を殺すメリットはあまりない。逆に俺は……家族や友人を人質にとられれば言う事を聞くしかない」

爺督「うむ」

提督「結果的に……このまま黙って鎮守府に戻り……」

提督「俺は通常通り第2の司令官として従事する……しかない」

436: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 11:21:36.53 ID:JnyQKAOh0

爺督「素晴らしい考察じゃ」

爺督「その通り……君たちの親族や友人の場所は分かっておるからの」

爺督「もし、抗うようであればすぐにこちらが配置している作業員に指示を出す事ができるぞい」

提督「…………ゲスめ」

爺督「なんとでもいうがいい」

爺督「……まぁよい、今回は君が生きて帰る事はその通り。もとよりそのつもりじゃ」


437: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 11:22:28.14 ID:JnyQKAOh0

爺督「ただし」ジロッ

あきつ丸「……」コクッ

爺督「わしも心配症での。このまま普通に返すのはちょいと納得いかん」

爺督「そこにいるあきつ丸君は元陸軍の諜報部……スパイの様な活動をしていたんじゃが」

爺督「海上ではそうでもないが陸上での活動は彼女より優れた艦娘はおらんよ」

あきつ丸「……ほめ過ぎであります」


438: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 11:23:58.13 ID:JnyQKAOh0

爺督「そんな彼女から」

爺督「陸軍仕込みの調教を受けるんじゃ。喜べ」ニヤリ

あきつ丸「………これから余計な事を考えれないよう」

あきつ丸「しっかりとその身に刻むであります」スッ

爺督「うむ。わしは先に部屋に戻るとしよう」

爺督「ゆっくり楽しむといい、提督君」ニヤリ



ガチャァン





バキィ

ドカッ

ザシュッ



439: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 11:27:48.52 ID:JnyQKAOh0








   提督の執務室


大和「遅いわね……提督」



プルル プルル


大和「こちら第2艦隊 大和がお受けいたします」

大和「はい、提督が……えっ」

大和「大けがを!?」

大和「病院ですか!すぐ行きます!」


440: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 11:29:32.43 ID:JnyQKAOh0

    ─中央鎮守府 病院─
    

提督「…………」スピー

女医軍人「全身に重度の打撲、右腕骨折、背中と胸に裂傷」

女医軍人「急所は上手く避けているみたいだから命に別状はないけど……」

女医軍人「重症よ。しばらくは安静にしないと」

大和「提督……なんで……」

441: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 11:30:13.86 ID:JnyQKAOh0

女医軍人「階段から転げ落ちたらしいわ。結構な高い所からね」

大和「もうっ……ばか」グスッ

女医軍人「さぁ、包帯を変えるからはずしてもらっていいかしら。貴方も軍人としてやる事があるでしょ?」

大和「うぅ……はい。提督の事、よろしくお願いします」グスッ


スタスタスタ ガチャ


442: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 11:33:09.49 ID:JnyQKAOh0

女医軍人「ふぅ……行ったわよ」

提督「そうですか」パチクリ

女医軍人「階段から落ちた……ね」

女医軍人「どうみても人為的な傷だわ。腕なんて普通こんな綺麗に折れないわよ」

提督「…………」

女医軍人「まったく……私また嘘つき女よ」

提督「女性は嘘が得意と聞いていますけど」

女医軍人「あのね」


パシン


提督「痛ぁああああ!」

女医軍人「そんな減らず口たたけるなら平気ね」

女医軍人「何があったかは知らないけど、入院してる間は私のいう事は聞いてもらうわ」

提督「……はい」

女医軍人「艦娘の子達も心配してるわよ……きっと」



──────
─────
────
───
──



443: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 11:36:21.72 ID:JnyQKAOh0


──
───
────
─────
──────



  ─数日後─


   訓練海上


ドォン ドォン ドォン


提督「いたた。砲音が体に響くな」サスサス

雪風「しれぇ、雪風につかまってください」

提督「ああ、すまんな。助かる」

日向「大丈夫なのか?本当に」

提督「体中痛いけど動けない程じゃない」

日向「ふむ」

提督「それに2か月後には初任務があるんだ。休んでなんかいられない」

日向「……そうだな」

北上「立派な事言ってるけど、階段から落ちた怪我ってのがねー」

伊58「ドジでち」

提督「ほっとけ」



444: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 11:37:32.54 ID:JnyQKAOh0

大和「提督ー」

提督「ん、どうした?」


大和「総司令官が見学に来てるみたいよ」

提督「……そうか」グッ

提督「お前らは引き続き訓練を続行だ。俺は総司令官に挨拶してくる」

艦娘達「「はーい」」





445: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 11:39:22.73 ID:JnyQKAOh0

───────────────────


爺督「やぁ提督君。元気にやってるかね」

提督「ええ、おかげさまで」ジッ

あきつ丸「…………」ギロッ

爺督「逃げる準備をしていないかと確認しにきてみたのじゃが」

爺督「その気はないようじゃな」

提督「ええ、もちろんです」

提督「俺は絶対逃げませんよ」

爺督「うむ。意気込みや良し」

爺督「まぁそれだけじゃ。邪魔したのぉ」

提督「いえ……」


スタスタ

446: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 11:42:36.62 ID:JnyQKAOh0

提督「……総司令官っ!」

爺督「?」クルッ

提督「一つ目標ができました」

爺督「なんじゃ」

提督「貴方を……総司令官の座から引きずり下ろす事です」

爺督「……ほう」

爺督「せいぜい頑張るがよいぞ」ヒラヒラ


スタスタスタ


あきつ丸「まだあの様な事がいえる気力があるとは……」

あきつ丸「調教が足りなかったでありますかね」

爺督「……ふぉっふぉっ。ああいう若造はどんなに痛めつけても駄目じゃよ。逆効果じゃ」

あきつ丸「そうでありますか」

爺督「今度のは中々根性があるようじゃ。まぁ根性があるだけではこの世界は生き残れんがな」

あきつ丸「そう……でありますね」

あきつ丸「…………」

あきつ丸「……昔の爺督殿に、少し似てるであります」ボソッ

爺督「ん?何かいったかの?」

あきつ丸「……何でもないであります」



──────
─────
────
───
──


447: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 11:44:42.63 ID:JnyQKAOh0


──
───
────
─────
──────



   ~2か月後~
    


  港 第2艦隊母艦

 
本部軍人「それでは提督殿、ご武運を」

提督「ありがとうございます。必ずやカムランでの任を全うし、帰還いたします」

大和「提督、準備できたわよ」

提督「ん、分かった」

提督「それでは中央第2艦隊、これよりカムラン半島 向けて出発進行!」




448: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 11:49:03.95 ID:JnyQKAOh0







    母艦  ブリーフィングルーム


提督「中継地点の沖縄港までは発艦しなくていい」

提督「そこから目的地までは準警戒体制として昼間は大和と加賀、伊58が」

提督「夜間は日向、雪風、北上が母艦を囲むように進行だ」

北上「あーウチラが夜間組みか。生活リズム崩れるー」

雪風「雪風は昼間だろうと夜だろうと全力を尽くします!」

提督「まぁ目的地までは何もなければ2日くらいかな。それまではリラックスして生活してくれ」

日向「それにしてもこんだけ大きい母艦に乗組員が私だちだけって……大丈夫なのかい?」

提督「ああ、大丈夫。母艦の操作はほぼ自動だし、何かあれば妖精さんの不思議能力が何とかしてくれる」

日向「妖精達には苦労かけるな」


妖精ABC「「えっへん」」


提督「さぁ、各自部屋に戻って待機だ。俺は執務室にいるから用があるものは直接くるといい」

艦娘達「「はーい」」


453: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 15:48:27.20 ID:JnyQKAOh0








  母艦 執務室


コンコン


提督「うむ、入っていいぞ」


ガチャ



北上「お疲れさんでーす」

雪風「しれぇ、お疲れ様です」

伊58「失礼するでちー」

提督「ん、どうした3人揃って」


454: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 16:01:29.53 ID:JnyQKAOh0

北上「いやぁ言おう言おうと思っていうタイミングを逃したんだけどさー」

提督「うむ」

雪風「今回の任務でお聞きしたい事があるんです」

提督「ほう」

伊58「明らかに……戦力不足、な気がするんだけど気のせい?」

提督「気のせいではない」

北上「だよねー。相手は100隻以上の大編成。こっちはかたや新米司令官の新米艦隊」

雪風「南鎮守府の艦娘は全部で24隻。私達と併せても30隻」

伊58「周辺国の戦力はきっと自陣を守るのみで戦力に数えれないでち」

北上「追加出撃の連絡いつくるかなと思って待ってたけど一向にこないしさ」

雪風「……しれぇなら何か理由を知っているかと思いまして聞きにきたんです」

455: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 16:02:39.16 ID:JnyQKAOh0

提督「……知らない。とにかく現段階では私達第2艦隊と南鎮守府の艦隊のみでの対応となっている」

北上「淡白な返答だねー。これじゃやられにいく様なもんでしょ」

提督「そうとも限らんさ」

北上「なんで?」

提督「南鎮守府がたった4艦隊で耐えている、という事実だ」


456: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 16:05:14.55 ID:JnyQKAOh0

提督「実際にその目で現状を見なければ分からんが艦娘の轟沈報告も挙がっていない事から」

提督「均衡した戦いになっているかもしれんぞ」

北上「どうかなぁ……」

雪風「南鎮守府の司令官さんとは連絡がとれるんですか?」

提督「いや……先週から一度も取れていない。少し前から連絡がつかなくなったそうだ」

北上「ちょ、それもうやばいんじゃないの?」

提督「わからんさ。とりあえずカムランの港で一旦状況を確認するまでが最初の目標だ」

伊58「ものすごい不安になってきたでち」

提督「だからこそお前らベテラン3人を頼りにしている。頼んだぞ」

北上「なんだなかなー。まぁ……やるしかないってね」

雪風「大丈夫ですよ、きっと」

伊58「仕方ない提督さんだねー。まぁ協力してがんばろうでち」


提督「うむ……心配かけてすまんな」


457: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 16:10:46.09 ID:JnyQKAOh0


提督(やはりあいつらは気づいていたか)

提督(今回の任務の異常さに……)

提督(とはいえ総司令官との事を素直に言える筈もないし……)

提督(いや、もしかしたら噂で多少は知っているかもしれんな)

提督(…………はぁ)

提督(問題は山積みだ)


458: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 16:31:42.05 ID:JnyQKAOh0







   ~夜~


  母艦 甲板上
   

提督(ふー、ずっと机に向かってるのも疲れたから風に当たりに来てみたが……)

提督(中々気持ちいいもんだな)

提督(かなりのスピードでも進んでいても、妖精さんが開発した防御シールドのおかげで丁度いい風心地……)

提督(どんな技術使ってるんだが分からんが殆ど揺れも感じないしな)

提督(ほんと妖精さん様々だ……ん、だれかいるな)


459: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 16:37:00.78 ID:JnyQKAOh0


大和「…………」

提督「大和」

大和「あ、提督。夜遅くにどうしたの?」

提督「ちょっと気分転換だ。大和こそ何してるんだ?」

大和「海を眺めてたのよ。ほら、月がでて綺麗じゃない?」

提督「ふむ、確かに」

大和「……この海を見てると今から戦争に行くなんて忘れちゃうわ」

提督「そうだな」

460: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 16:38:50.22 ID:JnyQKAOh0

大和「覚えてる?一緒に山へ登った時の事」

提督「ああ、お前に無理やり自転車で2ケツさせられたな」

大和「そうそう。提督はへばっちゃってだらしなかったわ」クスクス

提督「お前な、坂がきつくて大変だったんだぞ」

大和「あの時から数年、正式な軍人になって初任務」

提督「……早いもんだ」

大和「ええ」

提督「……」

461: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 16:42:05.38 ID:JnyQKAOh0

大和「後悔してない?」

提督「え?」

大和「軍人になったこと」

提督「ん……そうだな」

提督「別の生き方もあったのかなと思う事はあるけど」

提督「軍人に……艦娘を指揮する司令官になった事は後悔してないよ」

大和「そう」

大和「私は……少し後悔してるわ」

提督「……」

大和「この前、ゴーヤちゃん助けにいった時、初めて深海棲艦と対峙したじゃない?」

大和「写真でみるよりずっと恐ろしかった。大きくて強くて……」

大和「禍々しかったわ」

提督「……うん」

大和「だから内心結構、震えてたの。多分日向や加賀も同じだったと思う」

大和「提督が昔、私に怒ったのも……今なら理解できる」


462: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 16:43:04.47 ID:JnyQKAOh0

提督「……なぁ」

提督「今なら引き返せるぞ?」

大和「……ううん大丈夫」

大和「今引き返したらもっと後悔するもの」

提督「……」

大和「ごめんね。矛盾してるみたいで。ちょっと弱音を吐いてみただけ」

提督「……そういう時もある」

大和「これからも一緒に頑張りましょうね。提督」ニコッ

提督「う、うむ」ドキッ

463: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 16:46:42.23 ID:JnyQKAOh0

提督(大和、俺はそんなお前を守りたくて軍人になったんだ)ドキドキ

提督(…………)ドキドキ

提督(そいや今は二人きり……)ゴクリ

提督(……今のこの雰囲気なら、言える……か?)

提督「大和、あのさ」

大和「はい?」

提督「俺さ、えっーとさ」

大和「どうしたのよ。はっきり言いなさい」

提督「俺とつ……」ドキドキ

提督「つつ……」ドキドキ

提督「つ」ドキドキ




提督「月が綺麗ですね!」



464: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 16:49:05.10 ID:JnyQKAOh0

大和「え?そうね。さっきもいったと思うけど今日は一段と綺麗よね」

提督「…………」

大和「さぁちょっと体も冷えてきたし先に部屋に戻るわ。提督もあまり風にあたりすぎないようにね」

提督「お……おう」

大和「おやすみなさい」


スタスタスタ


465: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 16:51:46.74 ID:JnyQKAOh0

提督「うぁぁあぁ!言えるチャンスだったのに……」

提督「いや、月が綺麗ですねだって立派な告白の筈……くそ……大和じゃ気づかないか」


ガタッ


提督「だ、誰だ?」

北上「あ」

提督「北上……お前、今までそこにいたのか?」

北上「え、何のこと?」

提督「良かった聞いてなかったか」ホッ

北上「それにしても今日は月が綺麗だねー。て・い・と・く」

提督「や、やっぱり聞いてたな!た、頼む!他の奴には絶対言わないでくれ!」

北上「どうだかねー。さぁ寝るからおやすみー」ササササ

提督「お、おい!北上!いや、北上さん!北上様!おーい!」


466: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/19(水) 16:52:48.73 ID:JnyQKAOh0

──────────────────────────


    ─次の日─



     朝


日向「おはよう、提督。月が綺麗だな」ニヤニヤ

加賀「提督、おはようございます。月が綺麗なようですね」ニヤニヤ

雪風「しれぇ!月が綺麗です!」ニコニコ

伊58「てーとくさん、月が綺麗みたいでち」ニヤニヤ




タッタッタッタッタッタッ


提督「北上!おい!待てこら!」

北上「ぷぷぷ、嫌だねー」


502: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/25(火) 15:52:06.76 ID:jU2HssJ90


─────────────────────────



    ─ 沖縄港 ─    


提督「食料や生活用品は運んだか?」

雪風「全部運び終わりました!」

提督「よし。それではしばし自由時間とするか」


503: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/25(火) 15:53:56.09 ID:jU2HssJ90

北上「お、いいね-。お土産でも買ってこうかな」

伊58「沖縄といえば何が有名なの?」

日向「ちんすこう、ソーキソバ、シーサーとかだな」

伊58「ちんすこう……なんかやらしいでち」

日向「君、変な意味に捉えないでくれ」ビシッ

大和「皆でソーキソバ食べに行きましょう」

加賀「賛成です」ズイッ

日向「加賀、お店を困らせるなよ」

雪風「雪風は大きい水族館に行きたいです!」

伊58「ゴーヤも!」


ワイワイ


504: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/25(火) 15:55:00.04 ID:jU2HssJ90

提督(良かった。楽しそうだな)ジー

提督(艦娘達のコンディションを維持するのも俺の役目)

提督(今の内にゆっくりしてもらってカムランでの戦いに備える)

提督(そういう意味じゃ、沖縄は最適な場所じゃないか)

提督(気候も暖かいし風土も穏やか)

提督(日本という国のなかではまた特殊な文化を持ってるし観光地としても優秀だ)


北上「提督がなんかブツブツいってるけど……なんかあったの?」

大和「ああ、あれは気にしなくていいわよ。癖みたいなもんだから」


505: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/25(火) 15:56:06.22 ID:jU2HssJ90








   ~数時間後~
    


伊58「ふぅー、お土産いっぱい買ったでち」

雪風「雪風もです!」

加賀「ソーキソバ、美味しかったですね」

日向「うむ。お店の人にもう勘弁してくださいって言われなきゃもっと美味しく食べれたんだけどな」


506: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/25(火) 15:56:50.64 ID:jU2HssJ90


大和「いい所ね沖縄は。これから任務じゃなきゃもっと楽しめた気はするけど」

日向「たしかにな。頭の片隅でそれが残ってて素直に楽しめなかった感はある」

雪風「しょうがないです。雪風達は艦娘ですから」

北上「だねー」


507: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/25(火) 15:58:36.72 ID:jU2HssJ90

北上「そいや……大和っち3人は書いたの?」

大和「え?何を?」

北上「遺書」

大和「……書いてないわ」

日向「私もだ」

加賀「私も」

雪風「初任務が決まった時に渡されるやつですよね?」

北上「そうそう。いつ死んでもいいようにって。最初渡された時は何の冗談かと思ったけどねー」

伊58「ゴーヤも初めてオリョール行く前に渡されたでち」

大和「北上ちゃん達は書いたの?」

北上「書いてないよ」

雪風「雪風もです」

伊58「ゴーヤも」

大和「そうよね……みんな気持ちは一緒」

日向「うむ」

加賀「……そうですね」

伊58「遺書なんていらないでち」

雪風「はい!」

北上「うんうん」


艦娘達((必ず生きて帰るんだから))グッ



508: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/25(火) 16:05:44.29 ID:jU2HssJ90

─────────────────────────


   ─その頃─
   
    執務室


提督「遺書……か」ピラッ

提督「こんなもの書く訳ない」

提督「生きて帰るに決まってるんだ」

提督「…………」

提督「でもまぁ……一応書いとくか。せっかく用意されてるならしっかり書くべきだ。うん」




妖精A「真面目すぎるってのも」

妖精B「問題だよねー」

妖精C「ねー」



──────
─────
────
───
──



509: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/25(火) 16:07:16.56 ID:jU2HssJ90


──
───
────
─────
──────



   ─カムラン半島 周辺海域─
   

  母艦 操舵室
  
  
提督「ここから先は危険海域だ。準警戒態勢から戦闘態勢へと切り替える」(無線)

提督「各自、所定の位置についてくれ」

艦娘達「「了解」」



提督(沖縄港をでて十数時間)

提督(カムランまであと少しか)

提督(今の所、安全とされる航路を通ったので深海棲艦との接触はなく問題なかったが)

提督(ここからはどこを通っても安全な道はない)

提督(……なんとか頑張ってくれよ。みんな)

510: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/25(火) 16:11:30.90 ID:jU2HssJ90

─────────────────────────


    ~海上~

北上「ここらへん、波は穏やかだね」

雪風「これなら全力疾走しても問題ないかもしれません」

伊58「海中も視界良好でち」

加賀「……これは」

大和「どうしたの加賀」

加賀「数km先から霧が発生している様で……かなり視界が悪いです」

日向「霧だと?」


511: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/25(火) 16:12:25.92 ID:jU2HssJ90

加賀「はい。艦載機により確認しましたが……敵の目視が難しい程に濃いですね」

大和「そう……提督、照明灯は使う?」

提督「いや、止めとこう。光により敵から見えやすい状況になるかもしれん」

提督「しばらくは加賀の艦載機を多めに発艦して周囲を警戒」

提督「ゴーヤも先行して海中からの目視に努めてくれ」

加賀 & 伊58「「了解(でち)」」



提督(さて……この霧が吉とでるか凶とでるか……)



512: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/25(火) 16:13:14.37 ID:jU2HssJ90








  一時間後



 ザザーン ザザーン
      
      
      
提督「加賀」

加賀「今の所、艦載機のレーダー及び周辺目視に問題ありません。霧が濃い為自信ないですが」

提督「了解。ゴーヤ、そっちはどうだ?」

伊58「こちらも目視による異常なし、レーダーにも反応ないでち」

提督「よし……進行しよう」

提督「ゆっくりでいいからな。いつ敵が襲ってくるか分からん」



513: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/25(火) 16:14:14.55 ID:jU2HssJ90

雪風「…………」クンクン

雪風「油くさいですね……」

北上「んだね」

北上(……この匂い、この雰囲気)

伊58(間違いなく近くにいるでち)

雪風(深海棲艦が……)


ザザーン  ザザーン


514: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/25(火) 16:16:00.61 ID:jU2HssJ90


提督(静かだな。ただひたすらに波の音のみ。陸地よりそこまで離れていないのに漁船の一つも見当たらないのは)

提督(安全ではない証拠)

提督(カムラン港へ着く前に深海棲艦とやりあうのは勘弁願いたい所だが……)




ピッピッ ピーーーーー



加賀「……敵、確認しました!数4、距離50000、艦種不明」

加賀「こちらに気づいていないようです!」

提督(そう上手くはいかないよな)

515: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/25(火) 16:16:57.97 ID:jU2HssJ90

提督「敵方向射撃展開、用意!」

大和「……」カチャ

雪風「……」カチャ

日向「……」カチャ

加賀「……」スッ

北上「……」ジャキッ

伊58「……」ゴボボ


提督「……もう少しひきつけろ」


ザザーン

ザザーン


516: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/25(火) 16:18:26.12 ID:jU2HssJ90


提督「…………」


提督(……霧が少し晴れてきた!先手必勝!)


提督「てぇぇぇい!」ビシッ



ドォン ドォン ドォン シュゴォォォ シュゴォォォ ブゥゥゥン


517: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/25(火) 16:20:02.56 ID:jU2HssJ90


駆逐イ級1「コノ……音、アッチカ」

駆逐イ級2「敵ハッケン…7匹……」

駆逐イ級3「グァァ」ドカァン

軽巡ホ級1「チッ……殺セ」


518: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/25(火) 16:21:20.68 ID:jU2HssJ90


加賀「敵艦種判明。駆逐3、軽巡1です」

加賀「駆逐……イ級と思われる敵に着弾を確認」

提督「よし、陣形は変えずそのまま押し切れ!」

雪風「雪風、前にでます!」サササ

北上「おっと、一人だけいい所取りはさせないよー」サササ

大和「前の二人は私と日向でフォローするわ。ゴーヤちゃんは母艦の護衛をお願い!」

伊58「了解でち!」

519: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/25(火) 16:24:01.44 ID:jU2HssJ90

駆逐イ級1「……」ススススス

北上「オリョールの時は準備してなかったから微妙だったけど」

北上「このスーパー北上様の実力を」

北上「見せてやるってね!」チャキキ


シュゴォッォ


駆逐イ級1「ハッ……速イ」

駆逐イ級1「ギャアァァ」ドカァン

北上「まずは一隻!」

雪風「さすがですね!雪風も負けてられません!」タタタタタタタ


520: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/25(火) 16:25:55.23 ID:jU2HssJ90

駆逐イ級2「ソンナ近ヅイテ……消シ炭ニシテヤル」カチャ 

ドォン ドォン

雪風「ここまで近距離でも!」

雪風「砲撃の角度とあなた達深海棲艦の癖のある動き」

雪風「それをある程度把握していれば砲撃の回避なんて余裕です!」ニコォ


駆逐イ級2「ナ……ナニィ!」

雪風「これだけ距離が近ければ、雪風の砲撃でもどうにかなります!」ドォン

駆逐イ級2「グァァァ」ドォン


521: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/25(火) 16:27:20.29 ID:jU2HssJ90


軽巡ホ級1「コ、コイツラ……強イ」

軽巡ホ級1「仲間ヲ……呼ぶ!」スーーーー

北上「あ、一隻逃げた!」

雪風「む!雪風が追います!」



522: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/25(火) 16:28:13.05 ID:jU2HssJ90

軽巡ホ級1「フン……コレダケ離レテイレバ追イツケマイ」


シュゴォォォ


軽巡ホ級1「ナンダコノ音……」

軽巡ホ級1「ギョ、魚雷!?」


ドカァアァン



伊58「海のスナイパーがいる事を忘れないで欲しいでち」ニヤリ

523: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/25(火) 16:29:32.46 ID:jU2HssJ90

大和「すごいわ……私達が手を出す暇もなく一掃したわ」ポカーン

日向「ああ、心強い」

加賀「……敵の殲滅を確認しました。引き続き警戒を行います」

提督「了解。一時、進行停止。北上と雪風、伊58は弾薬と燃料の補給の為、母艦に帰還。他3人は周囲警戒だ」

艦娘達「「了解です」」


524: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/25(火) 16:30:24.68 ID:jU2HssJ90

提督(さすがベテラン3人組み……)

提督(これなら戦艦型が多数いても難なく処理できる筈)

提督(……とはいえ安心できんか)

提督(数の暴力で来られたらひとたまりもない………)

提督(事前情報では敵は100隻近い数が集まっていると聞くし)

提督(先ず、カムラン港で南鎮守府艦隊との合流をしなければ)グッ


525: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/25(火) 16:31:34.67 ID:jU2HssJ90


ドォォォォンン



提督「?!」

提督「なんだ!どうした!」

加賀「ぜ、前方より、敵艦隊が接近中です」

加賀「か、数は……」アセアセ

加賀「そんな……」

提督「加賀、落ち着け。敵の数がどうした!」

加賀「や、約30隻。戦艦も複数確認……」

提督「ば……バカな……30隻だと!」

526: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/25(火) 16:33:26.62 ID:jU2HssJ90


北上「さ、さっきのはこいつらの周辺警護みたいなもんて訳ね」

雪風「やられたのを確認してこちらに来たって事ですか……」

伊58「やけに数が少ないとおもったでち……ど、どうするの?」

提督(くっ……絶望的だな)

提督(こちらがいくら練度高くても数がこれだけ違っては……)

提督(このまま交戦しても……殺られるだけ……なら)

提督「各艦、全力で弾幕展開しつつ5時方向に進行!」



提督「とにかく」


提督「逃げ切れ!!!」


艦娘達「「りょ、了解」」



ドォン ドォン ドォン ドォン 


527: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/25(火) 16:36:41.73 ID:jU2HssJ90
 

  
  


──
───
────
─────
──────



  深海棲艦の容赦ない攻撃が降り注ぐ中
  
  俺達は、全速力で逃げた
  
  しかし完全に逃げ切るには距離が足りなかったようで……
  
  敵の攻撃により邪魔され思うように逃げ切れず
  
  応戦として北上や雪風の攻撃が複数の敵を轟沈させる事を確認できたが
  
  ……焼石に水
  
  数による戦力差を超えられる筈もなく
  
  俺達、第2艦隊は…… 
  
  


──────
─────
────
───
──



528: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/25(火) 16:37:51.17 ID:jU2HssJ90


日向「すまない……私はもう……」ボロッ

大和「私も……足が動かないわ」ボロッ

加賀「…………こんな所で……」ボロッ

北上「ハァっ……ハァッ……これがピンチってやつねー……」ボロッ

伊58「オリョール10往復より……きついでち……」ボロッ

雪風「ゆ……雪風は……しずみま……せん」ボロッ

提督(母艦も被弾が激しい。これ以上は……)


529: ◆vLyL7y0Zk. 2014/11/25(火) 16:39:26.09 ID:jU2HssJ90

提督「……ここまでか」

提督「くそっ……こんな所で……簡単に……」プルプル

大和「遺書……やっぱり書いとく……べきだったかしら……」

日向「そう……かもな…………」

北上「今からでも……書いて……遅くないんじゃないかね……?」

大和「ふふ……」




加賀「…………」

加賀「あれは……」

大和「どうしたの……加賀?」

加賀「敵の後方に……」

大和「え……?」


次回 【艦これ】 提督「よろしく頼む」 その3 後編