聡「ほら、唯さん、こっち……」
ぎゅう
唯「……うん」
聡「…………」
聡(……どうする? 直接アレの居場所を尋ねるか……?)
唯「…………」
聡(……いや、ダメだ。こいつはまだ俺のことを信用しきっていない……)
聡(あれだけ探してなかったんだ……きっと意図的にどこか見つからない場所へ隠しているんだろう)
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55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:14:05.33 ID:8j6T4zJtO
聡(あれだけは、何としてでも手に入れなくては……)
聡(……あれは、金になる)
聡(恐らく、100万……いや、上手くいけば、200万……!)
唯「…………」
唯「…………聡君?」
唯「……どうしたの、聡君?」
聡「あ、いや……」
聡(どうする……?)
聡(どうする、俺……?)
57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:19:33.90 ID:8j6T4zJtO
聡「そうだ……」
聡(こいつを完全に落としてしまえば……!)
聡(……幸い、風邪で思考は働いていないはず)
聡「…………」
聡「………唯さん」
唯「………ほぇ?」
聡「観覧車、乗りましょうか」
58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:23:38.91 ID:8j6T4zJtO
唯「…………」
唯「ダメ、だよ……」
唯「……だって聡君、彼女……いるでしょ?」
聡「…………」
聡「いや……いませんよ、彼女なんて」
唯「うそ……私、見たんだもん……」
唯「……この前駅の近くで、聡君が女の子と歩いてるとこ……」
聡「……ああ、あれ?」
62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:27:08.08 ID:8j6T4zJtO
聡「あんな女、彼女じゃないですよ……」
唯「で、でも……」
唯「すっごく楽しそうに歩いていたし……」
聡「ほんとうですよ?」
唯「…………」
ギィ
聡「ほら、やっと上まで着きました」
63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:32:12.14 ID:8j6T4zJtO
聡「ここからでも十分、景色が綺麗ですねぇ」
聡「多分、上に行ったらもっと綺麗で……」
聡「さぁ、行きましょう?」
唯「や………」
唯「やっぱりダメ!」
聡(チッ、まだ渋るのかコイツ……)
聡「じゃあ、唯さん、聞いて下さい」
唯「………なに?」
聡「……実は俺、唯さんに言いたいことがあって……」
66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:35:49.19 ID:8j6T4zJtO
唯「……言いたいこと?」
聡「……そう」
聡「実は、俺……」
唯「…………」
聡「この前、唯さんと久しぶりに再会してから……」
聡「ずっと唯さんの事が、好きだったんです」
68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:38:55.75 ID:8j6T4zJtO
唯「…………」
唯「うそぉ……」
聡「本当です」
聡「……さぁ、行きましょう?」
唯「…………」
聡君が、私のことを好き?
そんなの、信じられない
でも……でも、聡君がそう言ってるんだし……
聡君は……ウソなんかつかないよね?
70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:42:22.10 ID:8j6T4zJtO
どうしよう……
このままだと私……きっと、流されちゃう……
どうする……
…………
…………頭が痛い
また、風邪が悪化して…………痛い……
……あ~もういいや
どうにでも、なれ……
唯「……いいよ、行こう」
72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:46:24.39 ID:8j6T4zJtO
女「ちょっと待ったぁぁぁーーーー!!!」
唯「ビクゥッ!
唯「……な……なに……?」
女「……おい聡、唯を連れていってどうするつもりだ?」
聡「…………」
聡「ね…………」
聡「姉ちゃん……」
73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:51:07.69 ID:8j6T4zJtO
聡「…………どうして、ここに?」
律「どうして、ここにぃ?」
律「お前がまた馬鹿な事やってるからに、決まってんだろ!」
聡「ば、馬鹿って……俺は別に、何もやってない」
律「何もやってない、ねぇ……」
律「…………はぁ」
律「……唯のアパートに火ぃ付けたの、お前だろ?」
76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:55:36.42 ID:8j6T4zJtO
唯「…………えっ?」
聡「お、おい姉ちゃん、何言って……!」
律「――あの日」
律「私が久しぶりにお前に会いに行った日」
律「あの日からしばらく、お前の跡をつけてた」
81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:03:22.46 ID:UIMhz6moO
律「……私は、お前がバンドのメンバーと不信な取引をしてたのを知ってた」
律「セミアコースティックギターの中に、物を隠してな」
律「それで、真相を突き止めるために、お前の跡をつけることにしたんだ」
聡「…………」
85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:08:25.07 ID:UIMhz6moO
律「私は、お前が取引をした物をどこにやったのか突き止めようと思った」
律「――あの時、唯からメールがあったよな?」
律「急いで戻ったお前を不信に思い、私はすぐに跡をつけた」
律「お前は、唯のアパートの前でずっと隠れていた」
86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:14:45.32 ID:UIMhz6moO
律「……どうしてお前はすぐに中へ入らなかったのか?」
律「恐らく、唯がまだ出かけていないと思ったからだ」
律「きっと、唯の待ち合わせの時間まではまだ余裕があったんだ」
律「それで、唯が確実に出たと思われる時間に、こっそりと中に入ろうと思った………そうだろ?」
聡「…………」
88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:19:59.22 ID:UIMhz6moO
律「そこで私は、先回りして唯の部屋に行くことにしたんだ」
律「唯に警告するためにな」
律「……ところが、唯はすでに出掛けた後だった」
律「……おまけに部屋の鍵、空いてた」
唯「あ、しまった……急いでたから……」
律「私は申し訳ないと思いつつも、勝手に部屋に上がらせてもらうことにした」
90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:22:59.34 ID:UIMhz6moO
聡「…………」
律「そこで、見つけちまったんだよ……」
律「お前がずっと探してた、アレを」
律「私はそれを調べるために、急いで部屋を後にした」
律「……でも、それが失敗だったんだ」
91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:27:34.44 ID:UIMhz6moO
律「唯の部屋に入ったお前は、必死でアレの在処を探した」
律「しかし、どこを探しても見当たらない」
律「……部屋の隅々まで、探しても」
律「そうこうしている内に、時間がどんどん過ぎていく」
律「それでお前は、証拠隠滅のために、仕方なく……唯のアパートに火を付けたんだ」
92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:30:59.59 ID:UIMhz6moO
律「私が気付いたときにはもう遅かった」
律「炎が燃え上がり、消防車がやってきた」
律「急いで唯のところへ行ったお前は、被害者面して一緒に帰ってきたんだ」
律「……とまあ、こんなところだろ?」
聡「…………」
唯「…………」
94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:36:38.05 ID:UIMhz6moO
聡「…………」
聡「証拠は……」
聡「証拠は、あるのかよ……?」
律「もちろん」
律「お前が手に入れ損なった、アレ自体を私は持ってるんだ……」
ガサゴソ
律「……ってあれ」
律「無い……」
律「……っかしいな、どこにやったんだ……?」
96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:39:11.20 ID:UIMhz6moO
唯「あ、あの……」
律「……んー?」
唯「その、『アレ』って……もしかして、これのこと……?」
律「……へ?」
律「ペット……ボトル?」
97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:42:56.13 ID:UIMhz6moO
唯「……うん」
唯「実は私、ちょっと前から変な人が跡をつけてるのに気付いてて……」
唯「それで、ジェットコースターに乗った後、飲み物を持ったんだけど……」
唯「なんか、重いなぁ……って」
唯「よく見ると、カップの横に粉みたいなものが付着してるし」
99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:48:29.61 ID:UIMhz6moO
唯「それから、私の後ろを付けてる人、見覚えがあるなぁって」
唯「……確かあずにゃんのバンドのギターの人……?」
唯「とにかく、何か混ぜられたんじゃないかと思って、捨ててくることにしたんだ……」
唯「それから、聡君がいきなり私のカップを取って飲もうとして……」
唯「……慌ててそれを止めてから、飲んだふりして空のペットボトルの中に入れておいたの」
102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:54:17.56 ID:UIMhz6moO
唯「今の話を聞くと、もしかしてその粉って、これのことじゃ……?」
律「……えらいぞ、唯ぃ!」
律「きっとそうだ、多分ギターが私のカバンから取って行ったんだ……!」
聡「…………」
―――――――――――――――――――
ギター「…………」
ギター(あちゃあ、かんっぺきにバレてるし……)
ギター(仕方ない、聡は放っておいて逃げるか……?)
103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:59:56.68 ID:UIMhz6moO
律「どうだ、聡? ……そろそろ観念した方がいいんじゃないか?
聡「…………」
聡「………唯さん」
聡「唯さん、今の話、ホントに信じるんですか?」
聡「あんなの、デタラメですよ」
聡「さぁ、俺と一緒に行きましょう?」
唯「…………」
105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 01:03:08.33 ID:UIMhz6moO
聡「……さぁ早く、行きましょう!」
聡「俺と、一緒に!!」
唯「…………」
唯「あんたなんか……」
唯「あんたなんか、こっちからお断りだよ!!」
唯「べぇ~っだ!!」
107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 01:07:20.09 ID:UIMhz6moO
聡「……チッ」ダッ
律「あ、おい、待て!!」
律「クソ、逃がすか……!!」ダッ
律「唯、追いかけるぞ!!」
唯「ま、まって、りっちゃん!」
ギター「お~い、聡~こっちこっち~!」
律「あ!! あの野郎……!」
109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 01:11:03.99 ID:UIMhz6moO
唯「ま、待って、みんな……!」
唯「はぁ、はぁ」
唯(や、ヤバい……また、熱が上がってきた……)
唯(……頭が痛い……)
唯(どうしよう、皆に置いていかれちゃう……)
唯(あ、もうダメ……)
ふらぁっ
律「ゆ、唯っ!!」
112 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 01:15:27.40 ID:UIMhz6moO
ガシッ
律「……唯、大丈夫か?」
唯「りっちゃん……」
唯「……早く追いかけないと、逃げられちゃうよ……」
律「……お前……もしかして、熱があるのか?」
唯「ううん、大丈夫……」
唯「それに、りっちゃん、ライブの時間……」
律「あ、し、しまった……!!」
114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 01:19:23.84 ID:UIMhz6moO
―――――――――――――――――――
PM 9:30
聡「はぁ、はぁ……」
聡「くそ、とんだ大失態だったな……」
ドンッ
女「きゃっ!」
チャリン
聡「あ、わりぃ、わりぃ。急いでるんで」
女「いたたた……」
115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 01:23:29.34 ID:UIMhz6moO
男「――お嬢様、おケガは!?」
パン、パン
女「うん、大丈夫……」
男「くそっ、あの野郎……!」
女「だ、大丈夫だってば……」
女「それより、今何か落としていったみたいだけど……」
女「なにかしら、これ……?」
男「? 見たところ、コインロッカーの鍵のようですが」
118 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 01:28:14.77 ID:UIMhz6moO
女「ロッカーの鍵?」
女「う~ん、今の人はもうどっか行っちゃったし……」
女「斎藤、この鍵のロッカーを大急ぎで調べて……私のところへ持ってきてくれる?」
男「畏まりました、お嬢様」
女「私は先にライブの方へ行ってくるから」
120 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 01:34:16.03 ID:UIMhz6moO
―――――――――――――――――――
PM 9:40
梓「遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い」
キーボード「あ、梓ちゃん、落ち着いて……」
ベース「しかし、本当に遅いな……何やってるんだ、二人とも」
律「待たせたな!!」
梓「……来たぁ!!」
梓「律先輩……それに、ゆ、唯先輩……!?」
唯「えへへ、来ちゃったぁ~」
121 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 01:37:16.94 ID:UIMhz6moO
梓「な、なんで唯先輩がここに……?」
唯「うん、まあ、色々あって」
梓「そ、それにギターは……?」
律「それが……」
唯「色々あって、逃げられちゃった……テヘ」
梓「は、はぁ~!?」
122 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 01:40:23.38 ID:UIMhz6moO
律「とにかく、準備をして……」
――バタン!
「はぁ、はぁ」
律「おや……ようやくお姫様のご到着だ」
澪「はぁ、はぁ」
澪「律………」
澪「探したぞ………!」
123 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 01:46:11.45 ID:UIMhz6moO
律「マイナス5℃の気分はいかがでしたか、お姫様?」
澪「律…………」
澪「よくも………よくも、騙したな……!」
律「なんのこと?」
澪「……なにが『閉じ込める』だよ!」
澪「……なにが、『死ぬ』、だよ……う、ウソばっかりついて…………!」
澪「わ、わたし……ゔっ……ほ、ホントに、死ぬかと…………」
律「……馬鹿だなぁ、私が澪を殺すわけないじゃん」
126 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 01:49:48.92 ID:UIMhz6moO
澪「…………だ、だって!!!」
律「……ちょっと待ってろ」
澪「…………」
律「……ほら、これ」
澪「…………」
澪「これ………」
澪「……わ、私の……ベース………どうして……?」
129 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 01:58:30.51 ID:UIMhz6moO
梓「えぇ、律先輩、まだ返してなかったんですかぁ!?」
律「だって、会う機会がなかったし」
澪「…………」
梓「澪先輩……律先輩って、2年かけてそれを探し回ったんですよ?」
梓「……その経験からか、その後も人から頼まれて盗まれた楽器を取り返したり、
不正売買を取り締まったり……
練習もせずに、余計なことばっかりしてますけど」
律「いらん事は言わなくてよろしい」
132 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:03:19.10 ID:UIMhz6moO
唯「不正売買……そうか、それで楽器屋の店長は被害届出すのを渋ってたのかぁ……」
澪「…………グスッ」
律「ほ、ほら。泣くな澪………」
澪「わ、わ゙たし……律に……言わなくちゃいけないことが……」
律「…………」
律「あ~、その事だかな……」
133 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:06:22.00 ID:UIMhz6moO
律「……私もお前を騙しただろ?」
律「だから……」
律「あれで、おあいこだ」
澪「律………ポロポロ」
梓「あ、あのぉ……お取り込み中の所、申し訳ありませんが、時間が……」
136 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:11:22.99 ID:UIMhz6moO
律「や、やべぇ、今何時!?」
梓「9時50分です」
律「あと10分で開始じゃねーーかぁ!!」
律「なんでお前はそんなに落ち着いていられるんだ!?」
梓「ぜ、ぜん全然落ち着いてませんって!!」
梓「ああ、どうしよどうしよ……」
キーボード「……あ、あのぉ、そう言えばギターさんは?」
138 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:13:51.64 ID:UIMhz6moO
律「あ、そう言えばギターがいないんだった!!」
梓「ど、どうするんですか!?」
律「どど、どうしよどうしよ……」
梓「どーするんですかぁぁぁーーーー!!」
唯「あ、あのさぁ……」
140 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:17:14.68 ID:UIMhz6moO
唯「……私、弾けるかも」
梓「…………へ?」
律「え…………マジ?」
唯「う、うん……実は昨日、寝る前にずっとCDかけてたから……」
唯「頭に付いちゃった……エヘ」
梓「え、そ、それだけで弾けるんですか!?」
唯「うん、多分」
142 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:19:50.90 ID:UIMhz6moO
唯「でも……」
唯「でも、ギターがないと……」
唯「私、ギー太が燃えちゃったから……」
律「おい」
梓「け、結局ダメじゃないですかぁぁぁーーーー!!」
律「ああ、どうしよどうしよ」
143 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:23:54.58 ID:UIMhz6moO
―――――――――――――――――――
PM 9:55
女「はぁ、やっと着いた……」
女「もう、この遊園地、中に入ってからも広いんだから……」
女「そろそろ、始まってるかしら……?」
ブォォォ
ガチャ
男「お嬢様、先ほどのロッカーの中身をお持ちいたしました」
144 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:27:32.59 ID:UIMhz6moO
女「あら、ありがとう」
女「持ち主が分かるといいんだけれど……」
男「……こちらです」
女「…………」
女「……これって……ギター? 一体誰のかしら?」
女(あれ、でも何処かで見た覚えが……)
147 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:31:46.98 ID:UIMhz6moO
―――――――――――――――――――
PM 9:58
梓「ああ、どうしよどうしよ……」
律「いや、これもう終わっただろ」
唯「ああ、私のギターさえあれば……」
澪「ベースなら一本余ってるんだがなぁ……」
ガチャ
女「あのぉ……失礼しま~す」
149 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:40:08.03 ID:UIMhz6moO
唯澪律梓「………………」
唯「む…………ムギちゃん!?」
紬「……えぇ!?」
紬「皆さんお揃いで……一体どうしたんですか!?」
澪「む、ムギこそ一体どうしたんだ……?」
律「あぁ、ムギの会社はこのイベントの主催だから……」
梓「む、ムギ先輩、助けて下さい!!」
150 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:45:47.79 ID:UIMhz6moO
紬「どうかしたの?」
梓「ギターが一本足りないんです!!」
紬「ギター……?」
紬「あ、そうだ。さっきこんな物を手に入れたんだけど……」
紬「これ……」
唯「……そ、それ…」
唯「………ギ………ギ……ギ……ギー太!!!」
唯「どうして……!?」
律「――お、おい、もう始まるぞ、急げ!」
151 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:48:32.07 ID:UIMhz6moO
梓「――唯先輩、ギターあったんですか!? 早くっ!!」
唯「ま、待って、まだチューニングが……」
律「いいから急げ、もう出るぞ!」
153 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:54:03.86 ID:UIMhz6moO
梓「……こんばんは!!」
ワァァァァァーーーー!!!!
梓「えっと……Nyan☆Nyansです!」
梓「今日は、このようなイベントにお越しいただき、本当にありがとうございます!!」
梓「それでは、聞いて下さい」
梓「『恋の方程式』」
―――――――――――――――――――
――――――――――
―――――
154 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:59:06.53 ID:UIMhz6moO
ベース「あの……良かったら次の曲、変わりに弾かない?」
澪「え……!? そ、そんな悪いですって」
キーボード「皆さん、お友達みたいですし……」
紬「でも……流石に3人もチェンジするのは、ちょっと……」
澪「顔でバレるしな」
ベース「あ、それなら私にいい考えが……」
156 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 03:06:44.43 ID:UIMhz6moO
パッ……
――キャア!
――あれ、停電?
――演出とかじゃないの?
梓「皆さ~ん、聞いて下さい!!」
梓「実は、照明の機械が故障してしまったらしくて……」
梓「演奏には支障がないのでご安心下さい」
梓「――それでは、次の新曲は……」
梓「唯さん、ボーカル(ボソッ」
唯「えぇ~!? だ、ダメだってそれは!」
梓「……もうこの際、思いっきりやっちゃいましょう!」
梓「放課後ティータイム、復活ライブです!!」
157 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 03:09:27.92 ID:UIMhz6moO
律「……お、いいねそれ!」
紬「何の曲をやるんですか?」
澪「……そりゃあもちろん、あの曲だよな?
梓「唯先輩、歌詞覚えてます~?」
唯「お、覚えてるよ~!」
160 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 03:19:11.63 ID:UIMhz6moO
律「よし、じゃあいくか!」
梓「――それでは、次の新曲は……」
唯「『ふわふわ時間』!」
―――――――――――――――――――
キミを見てると いつもハートDOKI☆DOKI
揺れる思いは マシュマロみたいに ふわ☆ふわ
いつもがんばる キミの横顔
ずっと見てても 気づかないよね
夢の中なら 二人の距離 縮められるのにな
あぁ カミサマお願い
二人だけの Dream Time ください☆
お気に入りのうさちゃん
抱いて
今夜も オヤスミ♪
唯「ふわふわ たぁいむ♪」
165 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 03:25:35.03 ID:UIMhz6moO
―――――――――――――――――――
1ヶ月後
――お客様にお知らせします
――3番ゲートに到着予定の便は……
憂「……えっとぉ」
憂「確か、この辺だったはず……」
憂「あ、いた! お姉ちゃ~ん!!」
唯「……うい!!」
憂「お姉ちゃ~ん!」
唯「う~い~!!」
ガシッ
憂「あはは、久しぶり……」
唯「会いたかったよぉ、うい~!」
166 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 03:33:09.79 ID:UIMhz6moO
憂「私も会いたかったよ~、お姉ちゃん」
憂「中々帰ってこれなくて……ごめんね?」
唯「ううん、憂も向こうで忙しかっただろうし」
憂「それじゃ、帰ったら美味しい料理、たくさん作るね!」
唯「……いや、せっかく帰ってきたんだから、憂はゆっくりしてって! 私が作るから!」
憂「えぇ、お姉ちゃんがぁ~!?」
唯「大丈夫、澪ちゃんにたくさん料理習ったし~」
憂「えぇ、ほんとに~!?」
唯「うん、それから、それから……」
憂「えぇ、すご~い!」
…………………
…………
END
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