前回 唯「あーだる……」 前編

48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:08:11.39 ID:8j6T4zJtO
聡「ほら、唯さん、こっち……」 


ぎゅう 


唯「……うん」 


聡「…………」 


聡(……どうする? 直接アレの居場所を尋ねるか……?) 


唯「…………」 


聡(……いや、ダメだ。こいつはまだ俺のことを信用しきっていない……) 


聡(あれだけ探してなかったんだ……きっと意図的にどこか見つからない場所へ隠しているんだろう) 



55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:14:05.33 ID:8j6T4zJtO
聡(あれだけは、何としてでも手に入れなくては……) 

聡(……あれは、金になる) 

聡(恐らく、100万……いや、上手くいけば、200万……!) 


唯「…………」 


唯「…………聡君?」 


唯「……どうしたの、聡君?」 


聡「あ、いや……」 


聡(どうする……?) 


聡(どうする、俺……?) 


57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:19:33.90 ID:8j6T4zJtO
聡「そうだ……」 


聡(こいつを完全に落としてしまえば……!) 


聡(……幸い、風邪で思考は働いていないはず) 


聡「…………」 


聡「………唯さん」 


唯「………ほぇ?」 


聡「観覧車、乗りましょうか」 

58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:23:38.91 ID:8j6T4zJtO
唯「…………」 


唯「ダメ、だよ……」 


唯「……だって聡君、彼女……いるでしょ?」 


聡「…………」 


聡「いや……いませんよ、彼女なんて」 


唯「うそ……私、見たんだもん……」 


唯「……この前駅の近くで、聡君が女の子と歩いてるとこ……」 


聡「……ああ、あれ?」 

62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:27:08.08 ID:8j6T4zJtO
聡「あんな女、彼女じゃないですよ……」 


唯「で、でも……」 


唯「すっごく楽しそうに歩いていたし……」 


聡「ほんとうですよ?」 


唯「…………」 


ギィ 


聡「ほら、やっと上まで着きました」 

63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:32:12.14 ID:8j6T4zJtO
聡「ここからでも十分、景色が綺麗ですねぇ」 


聡「多分、上に行ったらもっと綺麗で……」 


聡「さぁ、行きましょう?」 


唯「や………」 


唯「やっぱりダメ!」 


聡(チッ、まだ渋るのかコイツ……) 


聡「じゃあ、唯さん、聞いて下さい」 


唯「………なに?」 


聡「……実は俺、唯さんに言いたいことがあって……」 


66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:35:49.19 ID:8j6T4zJtO
唯「……言いたいこと?」 


聡「……そう」 


聡「実は、俺……」 


唯「…………」 


聡「この前、唯さんと久しぶりに再会してから……」 



聡「ずっと唯さんの事が、好きだったんです」 






68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:38:55.75 ID:8j6T4zJtO
唯「…………」 


唯「うそぉ……」 


聡「本当です」 


聡「……さぁ、行きましょう?」 


唯「…………」 



聡君が、私のことを好き? 

そんなの、信じられない 


でも……でも、聡君がそう言ってるんだし…… 


聡君は……ウソなんかつかないよね? 


70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:42:22.10 ID:8j6T4zJtO
どうしよう…… 


このままだと私……きっと、流されちゃう…… 


どうする…… 


………… 


…………頭が痛い 


また、風邪が悪化して…………痛い…… 


……あ~もういいや 


どうにでも、なれ…… 



唯「……いいよ、行こう」 



72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:46:24.39 ID:8j6T4zJtO
女「ちょっと待ったぁぁぁーーーー!!!」 


唯「ビクゥッ! 


唯「……な……なに……?」 


女「……おい聡、唯を連れていってどうするつもりだ?」 


聡「…………」 


聡「ね…………」 



聡「姉ちゃん……」 

73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:51:07.69 ID:8j6T4zJtO
聡「…………どうして、ここに?」 


律「どうして、ここにぃ?」 


律「お前がまた馬鹿な事やってるからに、決まってんだろ!」 


聡「ば、馬鹿って……俺は別に、何もやってない」 


律「何もやってない、ねぇ……」 


律「…………はぁ」 


律「……唯のアパートに火ぃ付けたの、お前だろ?」 


76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 23:55:36.42 ID:8j6T4zJtO
唯「…………えっ?」 


聡「お、おい姉ちゃん、何言って……!」 


律「――あの日」 


律「私が久しぶりにお前に会いに行った日」 


律「あの日からしばらく、お前の跡をつけてた」 


81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:03:22.46 ID:UIMhz6moO
律「……私は、お前がバンドのメンバーと不信な取引をしてたのを知ってた」 


律「セミアコースティックギターの中に、物を隠してな」 


律「それで、真相を突き止めるために、お前の跡をつけることにしたんだ」 


聡「…………」 


85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:08:25.07 ID:UIMhz6moO
律「私は、お前が取引をした物をどこにやったのか突き止めようと思った」 


律「――あの時、唯からメールがあったよな?」 


律「急いで戻ったお前を不信に思い、私はすぐに跡をつけた」 


律「お前は、唯のアパートの前でずっと隠れていた」 

86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:14:45.32 ID:UIMhz6moO
律「……どうしてお前はすぐに中へ入らなかったのか?」 


律「恐らく、唯がまだ出かけていないと思ったからだ」 


律「きっと、唯の待ち合わせの時間まではまだ余裕があったんだ」 


律「それで、唯が確実に出たと思われる時間に、こっそりと中に入ろうと思った………そうだろ?」 


聡「…………」 


88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:19:59.22 ID:UIMhz6moO
律「そこで私は、先回りして唯の部屋に行くことにしたんだ」 


律「唯に警告するためにな」 


律「……ところが、唯はすでに出掛けた後だった」 


律「……おまけに部屋の鍵、空いてた」 


唯「あ、しまった……急いでたから……」 


律「私は申し訳ないと思いつつも、勝手に部屋に上がらせてもらうことにした」 


90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:22:59.34 ID:UIMhz6moO
聡「…………」 


律「そこで、見つけちまったんだよ……」 


律「お前がずっと探してた、アレを」 


律「私はそれを調べるために、急いで部屋を後にした」 


律「……でも、それが失敗だったんだ」 

91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:27:34.44 ID:UIMhz6moO
律「唯の部屋に入ったお前は、必死でアレの在処を探した」 


律「しかし、どこを探しても見当たらない」 


律「……部屋の隅々まで、探しても」 


律「そうこうしている内に、時間がどんどん過ぎていく」 


律「それでお前は、証拠隠滅のために、仕方なく……唯のアパートに火を付けたんだ」 

92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:30:59.59 ID:UIMhz6moO
律「私が気付いたときにはもう遅かった」 


律「炎が燃え上がり、消防車がやってきた」 


律「急いで唯のところへ行ったお前は、被害者面して一緒に帰ってきたんだ」 


律「……とまあ、こんなところだろ?」 


聡「…………」 


唯「…………」 



94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:36:38.05 ID:UIMhz6moO
聡「…………」 


聡「証拠は……」 


聡「証拠は、あるのかよ……?」 


律「もちろん」 


律「お前が手に入れ損なった、アレ自体を私は持ってるんだ……」 


ガサゴソ 


律「……ってあれ」 


律「無い……」 


律「……っかしいな、どこにやったんだ……?」 



96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:39:11.20 ID:UIMhz6moO
唯「あ、あの……」 


律「……んー?」 


唯「その、『アレ』って……もしかして、これのこと……?」 


律「……へ?」 


律「ペット……ボトル?」 

97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:42:56.13 ID:UIMhz6moO
唯「……うん」 


唯「実は私、ちょっと前から変な人が跡をつけてるのに気付いてて……」 


唯「それで、ジェットコースターに乗った後、飲み物を持ったんだけど……」 


唯「なんか、重いなぁ……って」 


唯「よく見ると、カップの横に粉みたいなものが付着してるし」 

99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:48:29.61 ID:UIMhz6moO
唯「それから、私の後ろを付けてる人、見覚えがあるなぁって」 


唯「……確かあずにゃんのバンドのギターの人……?」 


唯「とにかく、何か混ぜられたんじゃないかと思って、捨ててくることにしたんだ……」 


唯「それから、聡君がいきなり私のカップを取って飲もうとして……」 


唯「……慌ててそれを止めてから、飲んだふりして空のペットボトルの中に入れておいたの」 


102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:54:17.56 ID:UIMhz6moO
唯「今の話を聞くと、もしかしてその粉って、これのことじゃ……?」 


律「……えらいぞ、唯ぃ!」 

律「きっとそうだ、多分ギターが私のカバンから取って行ったんだ……!」 


聡「…………」 


――――――――――――――――――― 


ギター「…………」 


ギター(あちゃあ、かんっぺきにバレてるし……) 


ギター(仕方ない、聡は放っておいて逃げるか……?) 

103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:59:56.68 ID:UIMhz6moO
律「どうだ、聡? ……そろそろ観念した方がいいんじゃないか? 


聡「…………」 


聡「………唯さん」 


聡「唯さん、今の話、ホントに信じるんですか?」 


聡「あんなの、デタラメですよ」 


聡「さぁ、俺と一緒に行きましょう?」 


唯「…………」 

105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 01:03:08.33 ID:UIMhz6moO
聡「……さぁ早く、行きましょう!」 


聡「俺と、一緒に!!」 


唯「…………」 


唯「あんたなんか……」 



唯「あんたなんか、こっちからお断りだよ!!」 


唯「べぇ~っだ!!」 


107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 01:07:20.09 ID:UIMhz6moO
聡「……チッ」ダッ 


律「あ、おい、待て!!」 


律「クソ、逃がすか……!!」ダッ 


律「唯、追いかけるぞ!!」 


唯「ま、まって、りっちゃん!」 


ギター「お~い、聡~こっちこっち~!」 


律「あ!! あの野郎……!」 

109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 01:11:03.99 ID:UIMhz6moO
唯「ま、待って、みんな……!」 

唯「はぁ、はぁ」 


唯(や、ヤバい……また、熱が上がってきた……) 


唯(……頭が痛い……) 


唯(どうしよう、皆に置いていかれちゃう……) 


唯(あ、もうダメ……) 


ふらぁっ 


律「ゆ、唯っ!!」 

112 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 01:15:27.40 ID:UIMhz6moO
ガシッ 


律「……唯、大丈夫か?」 


唯「りっちゃん……」 


唯「……早く追いかけないと、逃げられちゃうよ……」 


律「……お前……もしかして、熱があるのか?」 


唯「ううん、大丈夫……」 


唯「それに、りっちゃん、ライブの時間……」 


律「あ、し、しまった……!!」 

114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 01:19:23.84 ID:UIMhz6moO
――――――――――――――――――― 

PM 9:30 


聡「はぁ、はぁ……」 


聡「くそ、とんだ大失態だったな……」 


ドンッ 


女「きゃっ!」 


チャリン 


聡「あ、わりぃ、わりぃ。急いでるんで」 


女「いたたた……」 

115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 01:23:29.34 ID:UIMhz6moO
男「――お嬢様、おケガは!?」 

パン、パン 

女「うん、大丈夫……」 


男「くそっ、あの野郎……!」 

女「だ、大丈夫だってば……」 


女「それより、今何か落としていったみたいだけど……」 


女「なにかしら、これ……?」 


男「? 見たところ、コインロッカーの鍵のようですが」 


118 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 01:28:14.77 ID:UIMhz6moO
女「ロッカーの鍵?」 


女「う~ん、今の人はもうどっか行っちゃったし……」 


女「斎藤、この鍵のロッカーを大急ぎで調べて……私のところへ持ってきてくれる?」 


男「畏まりました、お嬢様」 


女「私は先にライブの方へ行ってくるから」 

120 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 01:34:16.03 ID:UIMhz6moO
――――――――――――――――――― 

PM 9:40 


梓「遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い」 


キーボード「あ、梓ちゃん、落ち着いて……」 


ベース「しかし、本当に遅いな……何やってるんだ、二人とも」 



律「待たせたな!!」 


梓「……来たぁ!!」 


梓「律先輩……それに、ゆ、唯先輩……!?」 


唯「えへへ、来ちゃったぁ~」 

121 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 01:37:16.94 ID:UIMhz6moO
梓「な、なんで唯先輩がここに……?」 


唯「うん、まあ、色々あって」 


梓「そ、それにギターは……?」 


律「それが……」 


唯「色々あって、逃げられちゃった……テヘ」 


梓「は、はぁ~!?」 

122 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 01:40:23.38 ID:UIMhz6moO
律「とにかく、準備をして……」 


――バタン! 


「はぁ、はぁ」 


律「おや……ようやくお姫様のご到着だ」 


澪「はぁ、はぁ」 


澪「律………」 


澪「探したぞ………!」 

123 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 01:46:11.45 ID:UIMhz6moO
律「マイナス5℃の気分はいかがでしたか、お姫様?」 


澪「律…………」 


澪「よくも………よくも、騙したな……!」 


律「なんのこと?」 


澪「……なにが『閉じ込める』だよ!」 


澪「……なにが、『死ぬ』、だよ……う、ウソばっかりついて…………!」 


澪「わ、わたし……ゔっ……ほ、ホントに、死ぬかと…………」 


律「……馬鹿だなぁ、私が澪を殺すわけないじゃん」 

126 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 01:49:48.92 ID:UIMhz6moO
澪「…………だ、だって!!!」 


律「……ちょっと待ってろ」 


澪「…………」 


律「……ほら、これ」 


澪「…………」 


澪「これ………」 


澪「……わ、私の……ベース………どうして……?」 

129 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 01:58:30.51 ID:UIMhz6moO
梓「えぇ、律先輩、まだ返してなかったんですかぁ!?」 


律「だって、会う機会がなかったし」 


澪「…………」 


梓「澪先輩……律先輩って、2年かけてそれを探し回ったんですよ?」 


梓「……その経験からか、その後も人から頼まれて盗まれた楽器を取り返したり、 
不正売買を取り締まったり…… 
練習もせずに、余計なことばっかりしてますけど」 


律「いらん事は言わなくてよろしい」 


132 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:03:19.10 ID:UIMhz6moO
唯「不正売買……そうか、それで楽器屋の店長は被害届出すのを渋ってたのかぁ……」 



澪「…………グスッ」 


律「ほ、ほら。泣くな澪………」 


澪「わ、わ゙たし……律に……言わなくちゃいけないことが……」 


律「…………」 


律「あ~、その事だかな……」 

133 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:06:22.00 ID:UIMhz6moO
律「……私もお前を騙しただろ?」 


律「だから……」 



律「あれで、おあいこだ」 



澪「律………ポロポロ」 




梓「あ、あのぉ……お取り込み中の所、申し訳ありませんが、時間が……」 

136 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:11:22.99 ID:UIMhz6moO
律「や、やべぇ、今何時!?」 


梓「9時50分です」 


律「あと10分で開始じゃねーーかぁ!!」 


律「なんでお前はそんなに落ち着いていられるんだ!?」 


梓「ぜ、ぜん全然落ち着いてませんって!!」 


梓「ああ、どうしよどうしよ……」 


キーボード「……あ、あのぉ、そう言えばギターさんは?」 


138 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:13:51.64 ID:UIMhz6moO
律「あ、そう言えばギターがいないんだった!!」 


梓「ど、どうするんですか!?」 


律「どど、どうしよどうしよ……」 


梓「どーするんですかぁぁぁーーーー!!」 



唯「あ、あのさぁ……」 




140 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:17:14.68 ID:UIMhz6moO
唯「……私、弾けるかも」 


梓「…………へ?」 


律「え…………マジ?」 


唯「う、うん……実は昨日、寝る前にずっとCDかけてたから……」 


唯「頭に付いちゃった……エヘ」 


梓「え、そ、それだけで弾けるんですか!?」 


唯「うん、多分」 

142 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:19:50.90 ID:UIMhz6moO
唯「でも……」 


唯「でも、ギターがないと……」 


唯「私、ギー太が燃えちゃったから……」 


律「おい」 


梓「け、結局ダメじゃないですかぁぁぁーーーー!!」 


律「ああ、どうしよどうしよ」 

143 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:23:54.58 ID:UIMhz6moO
――――――――――――――――――― 

PM 9:55 


女「はぁ、やっと着いた……」 


女「もう、この遊園地、中に入ってからも広いんだから……」 

女「そろそろ、始まってるかしら……?」 


ブォォォ 


ガチャ 


男「お嬢様、先ほどのロッカーの中身をお持ちいたしました」 

144 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:27:32.59 ID:UIMhz6moO
女「あら、ありがとう」 


女「持ち主が分かるといいんだけれど……」 


男「……こちらです」 


女「…………」 


女「……これって……ギター? 一体誰のかしら?」 


女(あれ、でも何処かで見た覚えが……) 

147 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:31:46.98 ID:UIMhz6moO
――――――――――――――――――― 

PM 9:58 


梓「ああ、どうしよどうしよ……」 


律「いや、これもう終わっただろ」 


唯「ああ、私のギターさえあれば……」 


澪「ベースなら一本余ってるんだがなぁ……」 



ガチャ 


女「あのぉ……失礼しま~す」 



149 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:40:08.03 ID:UIMhz6moO
唯澪律梓「………………」 

唯「む…………ムギちゃん!?」 


紬「……えぇ!?」 


紬「皆さんお揃いで……一体どうしたんですか!?」 


澪「む、ムギこそ一体どうしたんだ……?」 


律「あぁ、ムギの会社はこのイベントの主催だから……」 


梓「む、ムギ先輩、助けて下さい!!」 

150 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:45:47.79 ID:UIMhz6moO
紬「どうかしたの?」 


梓「ギターが一本足りないんです!!」 


紬「ギター……?」 


紬「あ、そうだ。さっきこんな物を手に入れたんだけど……」 


紬「これ……」 


唯「……そ、それ…」 


唯「………ギ………ギ……ギ……ギー太!!!」 


唯「どうして……!?」 


律「――お、おい、もう始まるぞ、急げ!」 

151 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:48:32.07 ID:UIMhz6moO
梓「――唯先輩、ギターあったんですか!? 早くっ!!」 



唯「ま、待って、まだチューニングが……」 



律「いいから急げ、もう出るぞ!」 




153 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:54:03.86 ID:UIMhz6moO
梓「……こんばんは!!」 

ワァァァァァーーーー!!!! 


梓「えっと……Nyan☆Nyansです!」 


梓「今日は、このようなイベントにお越しいただき、本当にありがとうございます!!」 


梓「それでは、聞いて下さい」 


梓「『恋の方程式』」 


――――――――――――――――――― 
―――――――――― 
――――― 


154 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:59:06.53 ID:UIMhz6moO
ベース「あの……良かったら次の曲、変わりに弾かない?」 


澪「え……!? そ、そんな悪いですって」 


キーボード「皆さん、お友達みたいですし……」 


紬「でも……流石に3人もチェンジするのは、ちょっと……」 


澪「顔でバレるしな」 


ベース「あ、それなら私にいい考えが……」 

156 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 03:06:44.43 ID:UIMhz6moO
パッ…… 

――キャア! 
――あれ、停電? 
――演出とかじゃないの? 

梓「皆さ~ん、聞いて下さい!!」 


梓「実は、照明の機械が故障してしまったらしくて……」 

梓「演奏には支障がないのでご安心下さい」 


梓「――それでは、次の新曲は……」 


梓「唯さん、ボーカル(ボソッ」 


唯「えぇ~!? だ、ダメだってそれは!」 


梓「……もうこの際、思いっきりやっちゃいましょう!」 


梓「放課後ティータイム、復活ライブです!!」 

157 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 03:09:27.92 ID:UIMhz6moO
律「……お、いいねそれ!」 


紬「何の曲をやるんですか?」 


澪「……そりゃあもちろん、あの曲だよな? 


梓「唯先輩、歌詞覚えてます~?」 


唯「お、覚えてるよ~!」 


160 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 03:19:11.63 ID:UIMhz6moO
律「よし、じゃあいくか!」 

梓「――それでは、次の新曲は……」 

唯「『ふわふわ時間』!」 

――――――――――――――――――― 

キミを見てると いつもハートDOKI☆DOKI 
揺れる思いは マシュマロみたいに ふわ☆ふわ 

いつもがんばる キミの横顔 
ずっと見てても 気づかないよね 

夢の中なら 二人の距離 縮められるのにな 

あぁ カミサマお願い 
二人だけの Dream Time ください☆ 
お気に入りのうさちゃん 
抱いて 

今夜も オヤスミ♪ 


唯「ふわふわ たぁいむ♪」 

165 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 03:25:35.03 ID:UIMhz6moO
――――――――――――――――――― 

1ヶ月後 


――お客様にお知らせします 
――3番ゲートに到着予定の便は…… 


憂「……えっとぉ」 

憂「確か、この辺だったはず……」 

憂「あ、いた! お姉ちゃ~ん!!」 


唯「……うい!!」 


憂「お姉ちゃ~ん!」 


唯「う~い~!!」 

ガシッ 

憂「あはは、久しぶり……」 

唯「会いたかったよぉ、うい~!」 

166 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 03:33:09.79 ID:UIMhz6moO
憂「私も会いたかったよ~、お姉ちゃん」 

憂「中々帰ってこれなくて……ごめんね?」 

唯「ううん、憂も向こうで忙しかっただろうし」 

憂「それじゃ、帰ったら美味しい料理、たくさん作るね!」 

唯「……いや、せっかく帰ってきたんだから、憂はゆっくりしてって! 私が作るから!」 

憂「えぇ、お姉ちゃんがぁ~!?」 

唯「大丈夫、澪ちゃんにたくさん料理習ったし~」 

憂「えぇ、ほんとに~!?」 

唯「うん、それから、それから……」 

憂「えぇ、すご~い!」 

………………… 
………… 

END