1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/02(月) 01:10:02.29 ID:4qcFe/ZCO

―部室 


  チ~~~~~ン 






律「バカやろう……」 

紬「うっ……」 

唯「澪ちゃん……なんで死んじゃったんだよ…」 




律「………ん」 

律「そういえば何でだっけ?」 

唯「さぁ?…」 


けいおん! 秋山 澪 (1/8スケールPVC塗装済み完成品)
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7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/02(月) 01:20:36.52 ID:4qcFe/ZCO
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唯「なんでだっけ…でもこの部室入った時から感じたんだよ」 

唯「もう澪ちゃんは……」 

紬「うぅっ…」シンシン 

律「解ってるよ…けどその理由がはっきりしないんだよ」 

律「澪は確かに……なのに不思議だ」 

唯「なんか悩みとか……」 

8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/02(月) 01:25:48.42 ID:4qcFe/ZCO
唯「………あっ…」 

律「どうした」 

唯「ほら…あの時」 

唯「和ちゃんと一緒に帰った後のファミレス……」 

律「和ぁ?」 

紬「あ…ほら……」 

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律『澪ってさ、案外眼鏡かけたら似合うんじゃん』 

澪『え~…似合わないよ』 

10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/02(月) 01:32:39.39 ID:4qcFe/ZCO


律『ちょっと和、眼鏡貸して』 

澪『イヤいいって…!』 

唯『ほら、似合うかも!』 

律『さぁさぁ!』スッ 

澪『お、こらッ……』 

律紬唯和『………』ジィ~~ 

澪『ど、どうせ似合わないでしょ…』 


11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/02(月) 01:41:03.12 ID:4qcFe/ZCO

律『……………ぷっ』 

律『ギャーー似合わねぇえええーー!!!!wwwwwwwww』デコデコデコ 

澪『…………………』 

唯(マズいよりっちゃん…!) 

紬(ど、どうしましょ…)ハラハラ 

和(見えないわ…) 

バキャーーン 

律『でこっ!!』ガシャッ 




澪『ッッ帰る!!!!!』 


12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/02(月) 01:47:53.62 ID:4qcFe/ZCO
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唯「今思えば、やっぱりあれが引き金に……」 

律「待て待て!!そんなんで死ぬか!?ふつう」 

律「…それにそれ二週間も前じゃんか……」 

紬「うーん………」 

紬「もしかして、三日前のあれじゃあ……」 

律「あ、あれって…?」 

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―部室 

澪「律、消しゴムかして」 

律「いいよー」 


13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/02(月) 01:53:14.23 ID:4qcFe/ZCO

澪『へぇ~……』 

律『なんだよ…』 

澪『律のって、“まとまるクン”じゃないんだ……』 


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紬「…………ね?」 

律「……!!?!?」 

唯「取りあえずなんで死んじゃったのか調べてみない?」 


16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/02(月) 02:13:04.54 ID:4qcFe/ZCO

律「まだ7時半か……HRで話あるだろうな……」 

紬「信じられないわね…」 


唯「………ねえ、まだ梓ちゃんは?」 

律紬「え?」 

唯「梓ちゃんだよ…朝練休むなんて珍しいね……」 

律「梓ちゃんっておま…」 

ガチャ 

澪「おーっす……」 

澪「…居ないよね……」 

梓「…先輩、唯先輩達ならきっと大丈夫ですよ」 


17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/02(月) 02:21:37.82 ID:4qcFe/ZCO

律「み、澪!?」 

澪「………」 

梓「…………先輩」 

唯「澪ちゃん!梓ちゃん!?…なんで無視するの…?」 

律(…………) 

紬「これって……」 

律「どういう事だ…」 

唯「ねえ二人ってば!!」 

律(……) 



19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/02(月) 02:27:15.36 ID:4qcFe/ZCO

澪「分かってるよ。きっと皆なら、大丈夫だよね……」 

梓「そうですよ!きっと直ぐに……」 

律「おい…何のことだよ……」 

澪「憂ちゃんも…心配だな…」 

梓「…行きましょ。HR始まりますよ」 

澪「うん…」 

バタン 



21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/02(月) 02:38:08.30 ID:4qcFe/ZCO
・ 
・ 
・ 

律「ムギ、どういう事だと思う…?」 

紬「ちょっと頭が混乱して…」 

律「澪は生きてた……というより」 

律「なんで私達は“死んだ”なんて思ってたんだろ…」 

唯「それに私達が見えてなかったみたい…」 

紬「そう……」 

唯「澪ちゃんも、梓ちゃんも…」 



22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/02(月) 02:49:19.30 ID:4qcFe/ZCO

律「その梓ちゃんってのやめろよ……」 

唯「え?」 

律「…もういい。それより、あいつらの言ってた事が気になるな…」 

紬「ダイジョウブ、とか…憂ちゃんのことも言ってたよね…」 



律「ん?AZUSAは澪とフツウに会話してたな…」 

唯「あ………もしかして……」 

律「…なに」 

唯「死んでるのって…私達なんじゃ……」 

律紬 (あ―ッ!) 



23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/02(月) 03:00:21.05 ID:4qcFe/ZCO

紬「でも、そんなような事は…」 

律「そうだ!私は確かに昨日聡と話したんだ!!そんな事は―」 

唯「だったら私も憂と話したよ」 

律「間違いないな……唯、今から憂ちゃんの携帯に電話しろ」 

唯「…なんで?」 

律「いいから…」 

唯「うん」パッピッコッ 

prrrrrr・・ 


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/02(月) 03:10:15.64 ID:4qcFe/ZCO

ピッ 


憂『お姉ちゃん……?私イジメられてるかもしれない…』 

唯「!?どういう事!?」 

憂『みんながね……私のこと無視するの……』 

憂『話しかけても誰も返事してくれなくて……』 

律「どうしたんだ…?」 

唯「憂……皆に無視されるって……」 

律「(やっぱり……)…ちょっと貸して!」パリ 

律「憂ちゃん!?田井中だけど!」 

29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/02(月) 03:18:31.93 ID:4qcFe/ZCO
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―部室 

律「ごめんね……抜けてもらっって」 

憂「大丈夫ですよ…皆やっぱり気にも留めてなかったですし…」 

律「もしかしたら…唯の言う通りかもしれない……」 

紬「私達が…」 

憂「何ですか?」 

唯「いや~…私達死んでるかも、って……」 

憂「…………ん?」 



32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/02(月) 03:40:20.33 ID:4qcFe/ZCO

律「やっぱり……心当たりとかないか…」 

紬「でもまだそうと決まった訳じゃないでしょ?」 

紬「あの二人の言葉思い出して」 

唯「じゃあさ…もう本当に死んじゃってるのか試してみることから始めようよ」 

律「どうやって?」 

唯「ベタに物で殴るとか…」 

律「オイ言い出しっぺがやれよ」 


33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/02(月) 03:50:06.67 ID:4qcFe/ZCO

唯「えぇ…じゃあ誰かにいたずらして反応を見るとか…」 

律「憂ちゃん、HRで先生何も言ってなかったの?」 

憂「特に、いつも通りでしたけど…」 

律「なんか存在自体が空気扱いって感じだな…」 

紬「でもあの二人は……」 


律紬「うーん………」 

律「取りあえずここに居てもしょうがないし、外出よう外」 


34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/02(月) 03:57:10.26 ID:4qcFe/ZCO


「なあなあ」 


―廊下 


律「私達同士はこう―触れるじゃん」 

律「周りの連中はどうなのかな?」 

キーンコーンカーン・・・ 



唯「あ、授業終わったみたい」 

律「ちょうどいいや、通りすがりにタッチしてみよう」 

唯「なるほど!本当に死んじゃってたら触れないもんね」 


35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/02(月) 04:03:59.25 ID:4qcFe/ZCO

わいわい 


律(いくぞー) 

生徒「……が憎めないよね~」 

律(ちょっとゴメンよ…!) 





ふぁさ… 

律! 



憂「きゃぁぁああ!!」 

唯紬(あー……)(ダメか…) 



37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/02(月) 04:20:33.23 ID:4qcFe/ZCO

律「……」 

紬「駄目だったね……」 

律「お前らもやって来いよ…」 

律「私だけかも知んないしさ……」 






唯紬憂「ダメでした…」 

律「うわぁぁあああもう私ら死んだぁぁあああ!!!!」 

唯「あでも…ってことは……」 


39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/02(月) 04:28:29.29 ID:4qcFe/ZCO

唯「聡君もマズいんじゃ……」 

律「ハッ……」 




律「うわぁぁあああさとしぃぃぃいいい!!!」デコデコ 

紬「りっちゃん……」 

紬「でも、澪ちゃんや中野さんは何で私達の事覚えてた」 

律「ぐずっ……あれ?」 

唯「そうだよ!秋山さん達なら、何か知ってるかな!?」 

律「…おい、お前ら……」 


59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/02(月) 20:06:30.33 ID:4qcFe/ZCO

律「なんだよ…その呼び方…」 

律「梓ちゃんとか、秋山さんとか!」 

唯「どしたの…?別にいつも通りじゃん」 

紬「うん……きっと少し疲れてるのよ」 

律「はぁ…?」 

憂「あの、それより私達って本当に…」 

唯「それ、マズい事になったよねー…」 


60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/02(月) 20:17:26.25 ID:4qcFe/ZCO

憂「どうします?これから」 

律「うん…あ!そうだ聡!あいつも……」 

律「…ムギは!?昨日誰かと話せたり」 

紬「私は……」 

紬「昨日は疲れててすぐ寝ちゃったから…誰とも」 

唯「う、うい~~…」フランス 

憂「大丈夫だよ……」 

憂「律さん、聡君のところ行ってみませんか?」 

62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/02(月) 20:26:56.43 ID:4qcFe/ZCO

律「そうだ……あいつもきっと私達みたく困ってる筈…」 

紬「じゃあきっとお家に帰ってるかも…」 

唯「りっちゃん!行こう」 

律「うん…」 

律「憂ちゃん大丈夫?」 

憂「はい、もちろん」 



63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/02(月) 20:34:55.75 ID:4qcFe/ZCO
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―田井中家 



紬「りっちゃんの家初めて…!」 

唯「人の家ってわくわくするよねえ!」 



憂「アハハ……」 

律「いいんだよ…それより」 

律「…………まだ帰ってないな」 

憂「え…」 



64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/02(月) 20:42:29.20 ID:4qcFe/ZCO

律「靴がない…」 

憂「あ、いつもの」 

律「そう……おい、二人とも帰るぞ」 

唯「えぇ!?せっかくだから上がりたい!」 

律「何言ってんだこんな時に」 

唯「ねえムギちゃんも上がりたいでしょ~」 

紬「私は~…」 

唯「上がろ上がろ~♪」 

律「」イィラッッ 

66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/02(月) 20:47:35.74 ID:4qcFe/ZCO

律「憂ちゃん、ちょっと外してくれる?」 

憂「すみません……」ガラッ 






シドッッ 



唯「あ…ぅ……」アリアリ 

律「出るぞ」 

紬「うん…」 

律「憂ちゃんおまた」ガラッ 


67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/02(月) 20:56:41.70 ID:4qcFe/ZCO
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律「とは言ったものの…」 

紬「どうするの?これから…」 
律(…!) 

唯「どーすーるのー」イライラ 

律「なあ……」 

紬「なに?」 

律「お前達……家来た事あるだろ」 


69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/02(月) 21:05:28.65 ID:4qcFe/ZCO

紬「?さっきので初めてだけど」 

唯「りっちゃん、さっきから何かオカシイよ…」 

律「ほら!私が風邪ひいた時!お見舞い!」 

唯「ホラ…カゼ…オミマイ……?」 

律(名前の事といい…間違いない…) 

紬「大丈夫かしら…」 

律(こいつら記憶がどんどん……!?) 

唯「あ…和ちゃんは……?」 


71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/02(月) 21:17:54.48 ID:4qcFe/ZCO


律「そうか…こうなると和も無事かどうか……」 

唯「早く学校戻ろうよ!」 

律「行こう皆」 

紬「…………」 

憂「あの…私…」 

律「なに?」 

憂「いえ……なんでも」 

律「…?おい、ムギも」 

紬「え…うん、行こ……」 

律(………) 


79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/02(月) 23:33:06.38 ID:4qcFe/ZCO

―銭湯 ~湯の和~ 





カコーーン 





律「あぁ~…いい湯だな…」 

唯「皆で来るの初めてだね~」 

紬「私皆でお風呂に来るの夢だったのぉ♪」 

律「憂ちゃん湯加減どう、熱くない?」 

憂「大丈夫ですよ、気持ちいいです」 

律唯紬憂「ふぅ~・・・・・」 


81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/02(月) 23:43:12.68 ID:4qcFe/ZCO

―学校 教室前 


律(開けるよ……) 

唯(うん…) 

紬(……) 

律(し、失礼しま) 

唯(ねえ…) 

律(な、なんだよ…) 

唯(勝手にドア開けたらマズくない?) 

律(なに言ってんだ、確かめるだけだろ…) 



82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/02(月) 23:52:19.48 ID:4qcFe/ZCO

唯(いや…勝手にドア開いたら皆びっくりするんじゃないかな……) 

律(でもここからじゃよく見えないし…) 

唯「そもそもこんなコソコソする必要ないじゃん。どうせ聞こえないんだし」 

律(…………) 

・ 
・ 
・ 


律「……仕方ない、授業終わるまで待つか…」 

唯「うん」 


83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/03(火) 00:08:07.54 ID:mmFx1YOoO

― 一階、踊り場 


律「和大丈夫かな」 

唯「うん…それよりこれからどうするか考えようよ」 

紬憂「……………」 

律(………) 

律「ちょっと私トイレ…唯も来る?」 

唯「私は大丈夫だよ」 

律「……来る?」 

唯「え…大丈夫だって」 

律「来 る……?」 




85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/03(火) 00:12:58.10 ID:mmFx1YOoO

唯「うん、行く……」 

律「じゃあ私達トイレ…ムギと憂ちゃんはここで待ってて」 

憂「あ、はい」 

紬「…わかった」 

律「じゃいこ、唯」 

・ 
・ 
・ 
 ―トイレ 


唯「どしたの……りっちゃん」 

律「唯、やっぱあの二人…」 

唯「なに…」 

86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/03(火) 00:21:30.18 ID:mmFx1YOoO



―踊り場 

憂「あの……紬さん」 

紬「なに?」 

憂「和って人、二年生の人ですか?」 

紬「いや…私の知らない人みたい」 

紬「二人の知り合いなのに、私だけ知らないの寂しくて…」 

憂「…………」 



87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/03(火) 00:31:54.76 ID:mmFx1YOoO


・ 
・ 
・ 

律「間違いない…紬や憂ちゃんは記憶が……」 

唯「なんで…」 

律「(お前もだけど……)それと憂ちゃんも引っかかる」 

律「あの子、澪がいないこと気にしてなかっただろ…」 

律「いつも一緒にいるのに気遣った…というより」 

唯「秋山さんの事も…」 

律「…………。だろうな」 


91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/03(火) 01:11:12.16 ID:mmFx1YOoO

律(まずいな……このペースだと…) 

律(けど憂ちゃんや唯達はお互いを覚えてる…) 



律「…取りあえず戻るか」 

唯「うん…」 

ガタガタガタ ・・・ 

唯「あ、なんか騒がしくなったね」 

律「終わったか……よし、確かめるぞ」 


93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/03(火) 01:24:43.71 ID:mmFx1YOoO


―教室 


澪(おかしい……皆唯達のこと知らないだなんて) 

澪(まるで私一人おかしいみたいな反応…) 



「 澪? 」 

澪「あ?あぁ…ごめん何?」 

和「どうしたの?世界の終わりみたいな顔して」 

澪「はは…そんなに暗かったな…」 

和「うん。あんまり思い詰めちゃダメ。悩みがあるなら、相談しなよ」 

澪「うん…けど平気」 

澪(…梓は、大丈夫かな) 


98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/03(火) 02:28:10.63 ID:mmFx1YOoO

―定食屋~和の極み~ 



「いらっしゃいませー!!」 




店主「はいどうぞ~!」 

律「いやー腹減った!皆なに食べる?」 

唯「おじさん、私この焼き魚定食!」 

紬「じゃあ私この秋飯スペシャル~華の乱~、憂ちゃんは?」 

憂「私はお姉ちゃんと同じのお願いします」 

律「おっちゃん!私この爆弾そぼろ飯ね!」 

店主「はいよ!」 



99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/03(火) 02:43:36.20 ID:mmFx1YOoO


律「澪と何か話してるな……」 
唯「ってことは……」 

憂「無事みたいですね」 

紬「………」 

唯「あとは聡君の無事だけだね…」 

律「………なあ、今日一日澪の後ついて行ってみない?」 

紬「それは…!」 

唯「悪いよそんなの!」 

律「確かに気が引けるけど…状況が状況だしさ……」 

律「なにより情報が足りなさ過ぎるよ」 




100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/03(火) 02:55:36.05 ID:mmFx1YOoO

律「嫌なら無理にしなくてもいいけど…」 

憂「あの…私は?…」 

律「あ…じゃあさ憂ちゃん、梓をお願いできる…?」 

憂「梓ちゃんですか……」 

律「(あ、覚えてるぞ…!)ダメかな?」 

憂「あ…分かりました」 

律「ムギは…どうする?事が事だから…無理しなくても…」 

紬「やるっ」ムギュ 

律「そ…そうか」 



104 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/03(火) 03:11:08.33 ID:mmFx1YOoO

律「じゃあこれからは二手に、私と唯は澪、ムギと憂ちゃんは梓を頼むな」 

憂「はい」 

紬 「はい!」 

律「動くのは昼休みと放課後くらいかな」 

唯「結局私もやるんじゃん……ねえそれより私お腹が…」ズゴーーー 

律「まさか腹減ったのか!?死んでるのに?」 


107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/03(火) 03:48:22.33 ID:mmFx1YOoO

律「じゃあ取りあえずどっかで飯……って勝手に盗って食うのはまずいか…」 

律「しょうがね…家来いよ…」 

唯「本当に!?ッッしゃ」 



紬 ニコニコ 

憂「紬さん楽しそうですねー…」 

紬「だって、皆で後付けるなんて探偵みたいで楽しそう!」 

紬「こういうのユメダッタノー♪」 

憂「はは……はぁ…」 


律「じゃ皆ウチ行くぞー」 


129 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/03(火) 17:46:46.49 ID:mmFx1YOoO

―田井中家 



律「結局また来ちゃったけど…」 

唯「さっ、早く入ろうよー」 

律「はいはい…」 

ガラッ 

律 ! 

唯「どしたの?」 

律「聡が帰ってる……」 

紬「あっ、じゃあ…」 

律「うん、よし……」 



130 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/03(火) 17:56:38.16 ID:mmFx1YOoO


律「おーい聡ー、姉ちゃん帰ったぞー」 

・ 
・ 
・ 
・ 

唯「…居ないのかな?」 

律「靴はあるのに……ま、入るか…」 

唯「オジャマします!」 

律「…さ、入って」 

紬憂「あ、お邪魔します…」 



134 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/03(火) 18:42:36.23 ID:mmFx1YOoO

スタスタ 

律「聡いないのかー…?」 

唯「っていうかさ」 

律「何?」 

唯「弟くん、サトシっていうんだ…?」 

律「は……!?オマエ何言って…!」 

律「聡!!」 

バシュン!ピピーッ 

聡「………」ピコピコ 

律「おい聡……」 

紬「……やっぱり聞こえてないみたいね…」 



135 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/03(火) 18:59:00.71 ID:mmFx1YOoO

憂「あ…でも無事、ってことですよね」 

律「…………」 

紬「よかったのよね、りっちゃん…」 

唯「そうそう、何でもないってことだよ!」 

聡「あー…キャプチャー失敗」カチャカチャ 

律「………出るぞ」 

唯「え……いやまだ本当の目的が」 

律「いいから出るんだよ!!」 



136 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/03(火) 19:24:26.63 ID:mmFx1YOoO
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唯「りっちゃん…急にどうしたの…?」ビクビク 

律「よく考えればおかしいだろ……」 

紬「なにが?…」 

律「今日の朝、聡とは私はなんでもなかった……」 

唯「それだったら私も憂も別に…」 

律「そこだ…」 

律「今朝まで同じ状況だった。なのに私と聡、唯と憂ちゃんとは今状況が違う……」 

唯「だからそれは、憂も…だからでしょ……?」 


137 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/03(火) 19:51:18.54 ID:mmFx1YOoO

律「違うな」 

律「今朝、私と聡はいつもと変わらず話せた…」 

唯「……うん」 

律「つまり……状況は“今朝”から変わったんだ……何もかも…………!」 



唯 紬 憂 「「  」」 



律「あ、あ……れ……?」 

唯「…りっちゃん……」 



そ ん な こ と   最 初 か ら わ か っ て る よ ・・・ 

律「……………へへっ…」 


148 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/04(水) 00:00:15.47 ID:lbFXqKIdO

「先生、どうですか?」 

「もう時間も残り少なくなってきたからねえ……」 

「だいぶ乱れてますね…」 

「そう、現にプログラムにない…というか完全に関係ないものまで見てるわよ…」 

「銭湯とか全く関係ないですもんねー…」 



150 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/04(水) 00:09:56.88 ID:lbFXqKIdO

「後何分?」 

「28分と30秒です」 

「なるほどねえ……どうりでイメージが歪んでるわけ」 

「こういう事ってよくあるんですか?」 

「最新式よ?ウチも導入してみたはいいものの…」 

「まあ、不測の事態は付きモノですよ。何ごとも、何せ人間ですし」 

「ふふ…それじゃ困るんだけどねぇ」 



151 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/04(水) 00:18:36.78 ID:lbFXqKIdO

「この子達ももうすぐ……ですか」 

「設定上この子にとって関係の薄い人間や、思い入れの少ない人から順にね…」 

「何だが、少し良心が痛むと言いますか…」 

「そんな事で大丈夫なの?“消える”とは考えずに、ただ元に戻すと思えばいいの」 

「……はい、そうですね」 

「じゃあ、また少し様子見しましょう」 

「あ、はい」 





152 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/04(水) 00:27:26.00 ID:lbFXqKIdO

―思えば、中学の頃からか… 



私は人付き合いが苦手だった 

周りに合わせてふざけた振りしても、笑った振りしても 
心の中はいつも退屈だった… 
気付けばグループの後ろを付いて歩くだけ 

皆変に私に気を使うだけ 
冗談言っても、私顔が笑ってないし… 

ただ寂しかっただけかもしれない 
誰かに構って欲しかっただけで… 

そんな中律だけは本当に楽しそうに笑ってた…… 



153 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/04(水) 00:34:30.35 ID:lbFXqKIdO
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― 中3、春 

律『おーい澪、帰ろうぜ』 

澪『あ、うん』 

『律ー!帰ろうよー』 

律『おーう!今行くって!』 

律『ほら、早く行くぞ!』 

澪『いや…私いいよ、あの人達あんまりよく知らないし……』 

律『何言ってんだよ、紹介してやるから、さ!』 

澪『え……でもな…』 



154 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/04(水) 00:43:25.24 ID:lbFXqKIdO

「何やってんのー、はやく~!」 

律「ほら早く行くぞ!」グイ 

澪「ちょっと!…」 

律「こいつ、二組の澪!一緒に帰ろうってさ、ほら」バン 

澪「あ…よ、よろしくね…ハハ」 

「澪ね、じゃ一緒に帰ろ!」 

澪「うんっ」 

律「なぁこれからどこ行く?」 

「え~、あ!駅前にサー○ィワン出来たの知ってる!?」 

律「マジで!?よっしゃ行こう行こう!」 

澪「……………」 



155 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/04(水) 00:51:14.56 ID:lbFXqKIdO

律は他クラスにも友達が多かった… 
当然だ。元気で明るくて、私とはまるで正反対なのだから… 

学校帰りに皆でどこか行こう、とか、私はそういうノリは苦手だった…… 


律「澪も来るだろ!?」 

澪「あぁ、うん…」 

律「ノリ悪いなー…あ、もしかしてダイエット中か?」ニヤニヤ 

澪「ち、違うよ!行くよっ」 

律「じゃ、皆行こうぜ」 



158 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/04(水) 00:59:29.93 ID:lbFXqKIdO


― サーティ○ン 

律「おぉー…これがテレビでよく見る……!」 

「律、その言い方オバサンくさいよw」 

律「うるせぇ!それより何にする?さすが種類が多いな~」 


ダメだ……こういう会話が私にはできない… 
出来るのは、こうやって最後尾からその光景をみて微笑むだけ… 

律の場合、本当に微笑ましいのだけど… 

律「澪は何にする?」 

澪「えっ?……そうだな…」 



159 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/04(水) 01:10:45.72 ID:lbFXqKIdO

澪「そうだな……」 

澪「じゃあチョコカレーと、マシュマロ豆乳のダブルで…」 

「わ~…凄いの選ぶね澪…」 

「じゃあ私は…」 


期待していた反応とは違った… 

ただ一人を除いて 


律「ギャーー馬鹿だ馬鹿!!wwww絶対それ全部食えよー!?」ケラケラ 

澪「あ…あったり前だろ!」ポン 



160 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/04(水) 01:18:23.86 ID:lbFXqKIdO
・ 
・ 
・ 
・ 

「おいしかったねー」 

「また来よっか!」 

澪「………うぷ…」 

律「おい大丈夫かよ…あんなゲテモノ食うから……」 

「じゃあ律、私達行くね」 

律「おー、じゃあな!おい、澪」 

澪「……うっ、じゃあ…」 

「………うん、じゃあね」 




161 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/04(水) 01:31:25.31 ID:lbFXqKIdO
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―帰り道 


澪「うぅ…お腹痛…」 

律「ホント大丈夫かよ……」 

澪「律……帰ったらメールしてよ?」 

律「するから…もう今日は早く帰って休めよ」 

澪「うん…」 

律「くくっ……けど澪、ホントにあれ全部食うんだもんなぁ」 

澪「全部食べるって…言ったからな……」 

律「…………」 



162 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/04(水) 02:00:38.81 ID:lbFXqKIdO

―翌日、学校、廊下 


スタスタ 

「―あ」ピタ 

澪「あ…」 

「き、昨日は楽しかったね……澪…」 

澪「う、うん…」 

「ま、また行こうね!」 

澪「そうだね…ハハ」 

「えっと…じゃあね」 

澪「………うん」 

なんだよ……あの感じ… 



163 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/04(水) 02:10:21.96 ID:lbFXqKIdO


―放課後 



澪(トイレトイレ……) 

「あー、あの子ね…澪っていう」 

澪 !! ピタ 

「なんか暗いんだよねー…ノリ悪いし」 

「でも律と仲良さそうだったよ」 

「あー幼馴染みらしいよ…あれ」 

澪「ッ……………」 



律「あっ、お前ら何してんの?なんの話?」 

澪(律……!) 



165 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/04(水) 03:06:13.96 ID:lbFXqKIdO

「あのさ……澪はもう遊びに誘わなくてよくない?」 

律「は?何で?」 

「だって暗いじゃん…」 

「そうそう、一緒にいてもなんかさ…向こうも無理してんじゃない?…」 

澪(…………) 

律「じゃあいいよ、お前らが嫌ならそれで」 

「え…」 

律「それだけの事じゃん」 

律「お前らはもう澪と関わらない、それでいいんだろ?ならそうすれば」 

「律…」 

澪(…………) 


182 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/04(水) 17:29:44.93 ID:lbFXqKIdO

律「とにかく私からうまく言っておく。だからこの話はもう終わりっ」 

「…………」 

律「じゃあ今日は私もう帰るから、じゃあな」 

「うん…じゃあね…」 

・ 
・ 
・ 

律(今日は澪と二人で帰るんだ)シタシタ 

律「あ……」 

澪「……………」 

律「…………聞いてた…?」 

澪「別に…」ダッ 

律「おっ、おい待てよ!」ズギャオッ 



184 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/04(水) 17:51:32.52 ID:lbFXqKIdO


―廊下 



律「………なあ」 

澪「帰れよ……あの人達と」 

律「…私は澪と帰るよ」 

澪「フ…同情……」 

律「違えよ」 

澪「違うもんか!!」 

澪「いつも独りで可哀想とか、構ってあげようとか!」 

澪「昔から、ずっとそう思ってるんだろ!!」 


186 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/04(水) 18:01:02.62 ID:lbFXqKIdO



シュッ ←足払い 




澪「いたっ」ドサッ 

律「馬鹿やろう!!!!!」 

澪 !! 

律「そんな気持ちで!!……そんな気持ちで…!」 

律「そんな気持ちで今まで私と友達やってたのかッッ!!!」 

澪「………!!」 

律「私は悲しいぞ……」 

律「友達っていうのは……いや…親友っていうのは……!!」 

律「…そんなんじゃないだろ………」ポロポロ 

澪「………律…」 


188 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/04(水) 18:37:17.32 ID:lbFXqKIdO



澪「ごめん……私間違ってた…」 

律「そうだよ…」 

律「可哀想とか…そんなんで付き合う訳ないじゃんか……」 

律「私はただ、好きだから一緒居るだけだよっ」ニコ 

澪「……うん…」 

律「さっ…一緒に帰ろ!」 

澪「…うん!」 

ありがとう律…… 
好きって言ってくれて 
友達の意味が少しだけ解ったような気がするよ… 


190 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/04(水) 18:46:50.26 ID:lbFXqKIdO
・ 
・ 
・ 
・ 


「どうですか?」 

「一瞬乱れた部分もあるけど……」 

「精神的にはまた安定してきたわ」 

「これがこの子の今後に活かせればいいんですけど…」 

「そうねえ……今年から高校生だっけ?」 

「そうみたいです」 

「多感な時期よね~…若いって羨ましいわ……」 

「何言ってるんですかw」 



191 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/04(水) 18:55:12.02 ID:lbFXqKIdO

―午前11時 

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唯「ねえ……私達どうなっちゃうの…?」 

律「さぁな……」 

憂「皆……私達の事、忘れちゃったんですかね…」 

唯律紬「……………」 

律「忘れる………か…」 

律「なあ、この状態が幽霊ってやつかな?」サッサッ 

唯紬憂「……………」 

律「ごめん……」 


204 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 00:36:20.95 ID:doRYBkQMO


律「また負けた……」 

紬「3二金がぴったり」 

唯「うわ、りっちゃん弱すぎ…」 

律「うっせぇ!“最強羽生将棋”でちゃんと勉強したんだ」 

唯「それゲームじゃん……古いし」 

律「もう羽生の頭脳全集買うか…」 



205 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 00:44:57.28 ID:doRYBkQMO
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―12時半、学校 



律「とりあえず―」 

唯「昼休みの時間だね……これから秋山さんの後付けるの?」 

律「……そう、まずは私達の身に何が起きたのか調べないと…」 

律「憂ちゃん、梓の方よろしくね」 

憂「あの……ちょっと分からないです…」 

律「えっ?」 



206 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 00:51:11.11 ID:doRYBkQMO

憂「何だが分からなくなっちゃって……」 

律「お、落ち着いて…」 

唯「うい、大丈夫?」 

憂「……お姉ちゃん…」 

律「……!」 

律「……ねえ、梓は…?梓って子…」 

憂「あずさ…?すみません、ちょっと…」 

208 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 00:57:51.62 ID:doRYBkQMO

律(おい…マジかよ………) 

紬「ねえ…」 

律「な、なに?」 

紬「その子がどうかしたの?…」 

律「ムギ……おい唯!?」 

唯「なに?」 

律「何じゃないだろ!梓だよ!お前は覚えてるだろ……?」 

唯「えっ…覚えてるも何も知らないよ」 

律「ウソだろ……」 


210 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 01:13:05.52 ID:doRYBkQMO



どうすればいいんだ…どうすれば…… 
…何故私だけ記憶がはっきりしてる……? 

梓…澪…和…… 
無くなっていく記憶 

とにかく……澪の周辺だけでも調べないと 
理由を……早く何とかしないと皆が………! 

憂「あの、律さん」 



211 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 01:31:23.43 ID:doRYBkQMO



「後何分?」 

「えっと、4分と15秒です」 

「残り時間3分になったら、予定通りアレお願いね」 

「分かりました」 

「この子も心の準備、しておかないとだからね…」 

「ちょっとびっくりするでしょうね……」 

「問題ないわよ、直ぐにこっちに戻るんだから」 

「あのー…」ガチャ 

「ん?梓ちゃん、どうしたの?」 


213 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 01:39:45.19 ID:doRYBkQMO

梓「少し姉の様子が気になって……」 

「大丈夫よ、少しイメージが乱れる部分もあるけどね。今は安定してるわ」 

梓「どんなの見てるんだろ…」 

「気になる?けど規約で見せられないの、ごめんね」 

「あ!梓ちゃんも今度試してみる?今ならサービスしちゃうわよ~ん」 

梓「い、いや…私は………」 

「先生、困ってるじゃないですか…!」ボソ 

梓「じ、じゃあ私はこれで……」 

バタン 



216 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 01:53:09.04 ID:doRYBkQMO


「やっぱり似てますね。姉妹だと」 

「そうねえ……って、そろそろよ。アレ準備して」 

「あ、はい」 

(……やっぱり、プログラムのイメージにノイズが入り始めてるわね…) 

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律「どうしたの……?憂ちゃん……」 

憂「私……今全部知っちゃいました…」 


218 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 02:10:49.00 ID:doRYBkQMO


律「え……?」 

唯「ねえ憂、どういう事…?知ったってなにを……」 

紬「教えて、憂ちゃん」 

憂「紬さん……」 

憂「紬さん、いつも姉に楽しいティータイムを提供してくれてありがとうございます」 

紬「え…?」 

憂「お姉ちゃんはいつも『明日のお菓子は何かなー♪』とか…」 

憂「…『今日はムギちゃん美味しい紅茶を淹れてくれたんだよー!』とか……」 

憂「嬉しそうに…とっても嬉しそうに……」 

律「憂ちゃん……?」 



220 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 02:22:41.78 ID:doRYBkQMO

憂「たくさんの笑顔を作って下さって、本当に妹として感謝してるんです」 

紬「憂ちゃん…」 

憂「お姉ちゃん……ありがとね」 

唯「憂……何言って…?」 

憂「ねえ、小さい頃のクリスマスの日、覚えてる?」 

唯「クリスマス…」 

憂「ふふ…クション破って中身出しちゃったんだよね」 

唯「あ…あの時…」 

律(…………) 



223 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 02:56:34.53 ID:doRYBkQMO

憂「その後お父さんとお母さんに凄く怒られて…」 

唯「えへへ……憂に喜んでほしくてさ…」 

憂「……今までの思い出が全部なくなっちゃうなんて事…絶対ないよね……」 

唯「……憂、なんで泣いて…」 

律(…!…) 

憂「私のお姉ちゃんでいてくれてありがとう……」 

憂「じゃあね……お姉ちゃん」 

大好きでした… 

律「憂ちゃん!!」 

・ 
・ 
・ 
・ 



225 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 03:01:19.66 ID:doRYBkQMO
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唯「…………」 

律「憂ちゃん…?まさか消え……」 

律「…おい唯!!」 

唯「へ?……」 

律「なにボーッとしてんだよ!!憂ちゃんが…!」 

唯「ウイ…チャン…?」 

唯「何のこと言ってんの?りっちゃん…」 

紬「さぁ…」 



227 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 03:15:50.51 ID:doRYBkQMO

律「おい!!今見ただろ!!!」ガッ 

唯 「なに!?」 

律「憂ちゃんが消えちゃったの!!お前見ただろ!!!」 

唯「もうさっきから何言ってんの!?痛いよ……」 

律「ふざけんな!!お前憂ちゃんの姉だろ!!?今まで一緒に暮らしてきたんだろ!!!?」 

唯「ねえ……なんなの…」ビクビク 

律「お前妹のことまでッ……!!」 

紬「…………」 



231 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 03:34:10.26 ID:doRYBkQMO

律(けど憂ちゃんはなんで……) 

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「じゃあ始めて」 

「はい…」 


―学校 


澪(皆大丈夫かな…) 

澪(唯もムギも律も……) 


グニャアア・・・ 


澪(うっ……!?頭イタ……) 

澪(歪んでる……?物が全部…!) 

アタマ痛たぁぁぁぁ… 




233 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 03:45:22.96 ID:doRYBkQMO

・ 
・ 
・ 
・ 

唯「ねえりっちゃん…澪ちゃんの教室行くの…?」 

律「そーだよ…当たり前だろ…」スタスタ 

唯「ねえ…何で怒ってるの…?」 

律「怒ってねえよ……」スタスタ 

律(とにかく…今はこの状況をなんとかするんだ……) 

律(急がないと、にかくヤバい……) 

律(憂ちゃん………) 




234 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 04:00:39.54 ID:doRYBkQMO

―教室 

紬「ここね…秋山さん」 

律「…………」 

唯「居るかな……」 

・ 
・ 
・ 

紬「いないみたい……」 

唯「どうするの…?」 

律「……他急いで探すぞ」 

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梓「どうしたんですか?先輩」 


239 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/05(木) 04:36:38.20 ID:doRYBkQMO

澪「梓、私全部解ったんだ……」 

・ 
・ 
・ 

「これでようやく一歩お目覚めね」 

「そうですね」 

「後なん…」 

「2分です」 

「…一人関係の薄い子が消えたわね」 

「可哀想ですよね……最後に自分の運命を知るわけですし」 

「“プログラム”としての運命ね…」 

「この子、ちゃんと皆にお別れの挨拶できてるでしょうか……」 

「その心の余裕があればね…」 

「そろそろ梓ちゃん呼んどく?」 

「あ、そうですね」 


295 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:24:54.13 ID:bxP7DCVQO

梓「解った…?なにがですか」 

澪「もう少しでこの世界も終わるんだ」 

梓「…は……?」 

澪「信じられないのは分かる。私だって信じたくないよ…」 

澪「けど思い出しちゃったんだ。全部…」 

梓「ちょっと……何言ってるか全然解んねーです……」 



298 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:38:47.24 ID:bxP7DCVQO

澪「この世界が歪み始めてる…」 

澪「梓……もう気付いてるんだろ?」 

澪「自分が…仕組まれた存在であることにッッ…………!!」バキバキ 

梓「ッ………!」 

梓「……そうですよ…。出来れば気付かれずに“あっち”に行って欲しかったです」 

澪「………」 

梓「でもよかったです。こっちではお別れですが…」 

梓「あっちではあなたの妹なんですから」 




299 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:46:07.26 ID:bxP7DCVQO

澪「ああ……」 

澪「後輩としての梓と出会ってからの一年……絶対忘れないよ」 

梓「私はもう消えちゃいますが……」 

梓「あっちに行っても、元気に暮らして下さい」 

・ 
・ 
・ 

律「居た!!」 

澪梓 ! 

澪「律!!…に二人も!?」 

唯紬「いや、ダレ……?」 




302 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:53:18.50 ID:bxP7DCVQO

澪「そっか…私のこともう忘れちゃったのか……」 

律「っていうかお前私達のこと見えて……!」 

梓「先輩は全てを思いだしたそうです」 

律「オモイダス…?」 

梓「そっか……澪先輩と特に関係が深い先輩3人はまだ……」 

梓「本来の使命、自分の宿命に気付いてないんですね…」 


304 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 00:59:57.56 ID:bxP7DCVQO

澪「………」 

律「お、おい澪…梓の奴何言ってんだよ……ワケわかんないっての…」 

唯「そうだよ……さっきからあの子、何言って…」 

唯「あっ、アタマいた………」 

紬「私も……なんだか…」 

律「おいどうした……!?」 

澪「気付き始めたんだ……」 

梓「もうすぐ終わるんですね………」 



308 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 01:19:51.40 ID:bxP7DCVQO

唯「そんな……皆そうだったの……?」 

唯「みんなみんな、澪ちゃんの……」ポロポロ 

澪「……そう」 

紬「嘘よこんなの…」 

梓「本当です……私達は全て……」 

プログラムされた仮想世界に仕組まれた存在 
“データそのもの”に過ぎません 

梓「つまり…………」 

梓「私達は、澪先輩の見てる夢そのものなんですよ……。思い出しました?」 




310 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 01:29:12.23 ID:bxP7DCVQO


律「唯…ムギ……こいつ何ワケわかんないこと」 

唯「りっちゃん、もう終わりなんだよ…」 

律「だから…なにが」 

紬「聞いたでしょ……私達は別に死んでなんかなかった…」 

唯「ただ“最初から”存在しなかったんだよ……」 

律「なにを……」 

梓「まだ分からないんですか………」 

梓「私達も律先輩も、この仮想世界にプログラムされた―」 

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澪「ん………」 

梓「あ、お姉ちゃん起きましたよ!?」 



311 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 01:36:30.29 ID:bxP7DCVQO


―山中クリニック 


さわ子「お帰りなさい」ニコ 

澪「…………」 

さわ子「どうだった?『人生円滑サポートシミュレーションシステム』は?」 

和「先生、その名前なんとか短くできないんですか……」 

さわ子「助手が口出ししなさんな~」 

梓「お姉ちゃん大丈夫…?」 

澪「梓……うん、大丈夫」 

さわ子「今年から高校生なんでしょ?今回のシミュレーションは役に立ちそうかしら」 



312 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 01:45:53.07 ID:bxP7DCVQO

和「凄い技術ですよね、たった二時間で二年分の仮想体験が出来るんですから」 

梓「この機械でですかぁ……」 

さわ子「今回澪ちゃんには、高校入学から、二年時の冬までを体験してもらったけど」 

さわ子「大切なお友達はできたかな?」 

澪「はい…あの先生、こんなこと訊くのも野暮かと思うんですけど……」 

さわ子「なに?」 


314 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 01:53:52.82 ID:bxP7DCVQO


澪「あの世界で出会った皆は……やっぱり消えてしまうんでしょうか…」 

和「………」 

さわ子「消える、とは考えない方がいいわ」 

さわ子「確かに、今まで二年間一緒だった人だろうから、心苦しいのは解るわ」 

澪「…………」 

さわ子「だからこそ、最後に皆にさよならを言ってほしかったの…」 

澪「…それで最後に現実の記憶を……」 

さわ子「まっそういうワケね…」 



315 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:02:00.91 ID:bxP7DCVQO


さわ子「でもその様子なら高校生活も心配なさそうね」 

和「秋山さん、きっと直ぐに大切なお友達が見つかりますよ」 

澪(和………いや、真鍋さんか…) 

梓「お姉ちゃん、あんまり心配する必要なかったんだよ…」 

澪「…あの、最後に一ついいですか?」 



317 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:11:30.32 ID:bxP7DCVQO


澪「律………いやあのカチューシャの子は…」 

澪(って、こんな事言っても分かるわけないか……) 

さわ子「……真鍋さん…」 

和「…はい…やっぱり…」 

澪「?」 

澪「あの、どうかしましたか……?」 

さわ子「でるのよ…………」 

澪「え?」 

320 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:22:02.08 ID:bxP7DCVQO

さわ子「ウチにはこれと同じマシンが他にもたくさんあるけど……」 

さわ子「このBー05番、澪ちゃんが今回使ったこれね…」 

さわ子「使ったクランケの方が皆言うのよ……」 

さわ子「“カチューシャをした女の子が”って……名前は…」 




「田井中律」 




澪「……!」 

さわ子「そうでしょ?」 

澪「……はい…」 



325 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:32:03.18 ID:bxP7DCVQO


さわ子「どうやらこの機械で行うシミュレーションには、必ず『田井中律』と呼ばれる女の子が存在するみたいなの」 

和「皆さん、終わった後に必ず言うんですよ、リツ、リツ、って…」 

梓「なんか怖いですね……」 

さわ子「きっと体験者に強い影響を残すんでしょうね……」 

澪「リツ、…タイナカリツ……」 

澪「ただの…プログラム……」 



326 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:38:28.85 ID:bxP7DCVQO

幼馴染みのタイナカリツ・・・ 

小学校時代のタイナカリツ 

中学時代のタイナカリツ 

高校生のタイナカリツ 

バンドを一緒に組んだリツ 

バイトをしたリツ… 

合宿をしたリツ… 

ライブを皆でした…………タ イ ナ カ リ ツ 

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330 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:46:25.48 ID:bxP7DCVQO

梓「お姉ちゃん、そろそろ帰ろっか」 

…全てはプログラム 

和「秋山さん……?」 

何度も、何度も違う人の… 

さわ子「大丈夫?」 

大切な人になってきた……律 

梓「ねえ、聞いてるの?」 

皆消えていく中…… 

たった一人で何度も何度も 

仮想世界に生きる田井中律…… 
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332 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:53:48.47 ID:bxP7DCVQO

梓「お姉ちゃん!!」 

澪「………!」 

梓「ねぇ大丈夫……?」 

澪「ごめん……大丈夫だよ」 

和(無理もないですよね…本人にしたら何年も向こうに居たわけですから……) 

さわ子(そりゃま、まだ少しは混乱するわよ…) 

澪「じゃあ私、帰りますね」 



333 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 02:58:10.70 ID:bxP7DCVQO

さわ子「あ…はい、それじゃあ、今後に活かせるように祈ってるわ」 

澪「はい…ありがとうございました」 

さわ子「高校生活、頑張ってね」 

澪「はい」 

梓「じゃ、行こっ」 

澪「…うん」 

バタン 


「次の方どうぞ」 




336 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/06(金) 03:10:06.46 ID:bxP7DCVQO
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―季節、春 

「じゃあねー」「バイバーイ」 
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「―なぁなぁ!」 

少女「え……私…?」 

「君いっつも一人で帰んないでさ、今日は私と一緒に帰ろうぜ!」 

少女「あなたは…確か三組のクラスの……」 

「あ、名前?」 

「私は律、田井中律!よろしくね」 



          ―END―