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カズマの屋敷



トニー・ウィズ「・・・」ガチャッ…

ゆんゆん「トニーさん!ウィズさん!無事だったんですね!」

トニー「なんとかな・・・スーツが真っ二つにされたが・・・」

ウィズ「申し訳ありません・・・逃げ帰るだけで精いっぱいでした・・・なんて情けない・・・」

ゆんゆん「き、気にしないでください!あれは仕方なかったことだと思います・・・」

トニー「なぁ、ゆんゆん・・・アクアはどこだ?」

ゆんゆん「アクアさんなら・・・カズマさんの部屋に・・・」

引用元: ・アイアンマン「この魔法の世界に鉄人を!」【このすば×アイアンマン】 



この素晴らしい世界に祝福を!2 Blu-ray BOX
KADOKAWA / 角川書店 (2019-05-24)
売り上げランキング: 473
326: ◆Ua1M3q7gGI 2018/08/28(火) 21:22:12.91 ID:BCiv1cx+0

トニー「・・・ったく、バカな男だ、勝手に突っ走ってあんな間抜けな・・・」

ダクネス「っ!トニー!」

めぐみん「・・・おい、死んだ仲間を馬鹿にすると言うのなら私にも考えがある」

トニー「あれはあまりにも無茶だった!作戦を話してくれさえすればいくらでもフォローのしようがあったはずだ!」

ダクネス「どうしようもならない時だってある!失敗したことを責めるのはやめろ!」

ウィズ「トニーさんもダクネスさんも落ち着いてください・・・!」オロオロ…

ゆんゆん「めぐみんも!そんな目を赤くしないで!」

めぐみん「・・・」フイッ…

ダクネス「・・・そうだな。すまない、熱くなりすぎた。私は今回何もできなかった・・・前日にカズマが背中を押してくれたと言うのに・・・」

めぐみん「私も・・・今回は何もしていないので、発言は控える事にします・・・まぁ、次こそは私とカズマであの似非邪神を粉砕してみせますよ」

327: ◆Ua1M3q7gGI 2018/08/28(火) 21:24:08.49 ID:BCiv1cx+0

トニー「君はまだしも、カズマ?一体何を・・・」


  ガチャッ…


カズマ「今回は死ぬほど恥ずかしい死に方したなぁ・・・ハァ・・・」

アクア「実際死んだじゃない」

トニー「!?!?!?!?」ガタタッ…

アクア「・・・?どうしたのトニー?鳩が爆裂魔法を食らったような顔をして」

カズマ「えっ・・・何この反応。なんでこんな・・・あっ、俺がリザレクションで何度でも蘇れるってこと知らない・・・?」

トニー「なんで生きてる!?心臓を貫かれたハズだろ!?」

カズマ「トニー、お前は本でこの世界の魔法について勉強したんじゃなかったのか?」

トニー「リザレクションは知っている!だが、あんたは転生者として一度生き返っているだろ!?なんでまた・・・」

カズマ「俺は何度でも生き返らせてもらえるんだよ。いや、本当は駄目なんだけどさ・・・」

アクア「あんたが今ここに立っていられるのは、私のおかげってことを忘れない事ね!カズマ!」

カズマ「いや、お前じゃなくてチート武器を貰っていたらそもそも死ぬことは無かったと思うんだけど?」

トニー「・・・」ハァ...

328: ◆Ua1M3q7gGI 2018/08/28(火) 21:25:22.50 ID:BCiv1cx+0

カズマ「なんだよ、死んだと思った俺が生きててガッカリなのか?」

トニー「喜んでやれなくて悪かったな。僕の世界じゃ、心臓を貫かれて死んだ後に生き返る奴なんていなかったもんでね。あまりの展開に驚いていただけだ」

ウィズ「本当は喜んでるはずですよ?さっきはロキさんに対してものすごく怒っていたんですから」

トニー「・・・何も言うな」

ウィズ「“カズマの仇は絶対に取る、覚悟しろ”って。あの時のトニーさんの目は本当に凄かったですよ?」

トニー「・・・話聞いてたか?」

アクア「おっさんのツンデレなんて需要ないわよ?」

カズマ「えっ?俺知らないうちにおっさんとフラグを立ててたの?・・・トニー、俺はノーマルなんだ。お前の気持ちには答えられない。ごめんな」

トニー「なんでそうなるんだ!僕にはペッパーがいるって言ってるだろ!勝手に誤解して勝手に振るな!」

329: ◆Ua1M3q7gGI 2018/08/28(火) 21:28:18.52 ID:BCiv1cx+0
>>328

心臓を貫かれて死んだ後に~

実は心臓を貫かれた後に蘇生された人間はMCUにいる。しかも、その人物はトニーを含めたアベンジャーズと接点のある人物
というか、死んだ後に蘇生された人間はMCUには結構いたりする

330: ◆Ua1M3q7gGI 2018/08/28(火) 21:29:14.91 ID:BCiv1cx+0

トニー「はぁ・・・ここに来てからため息ばかりついてるな・・・」

めぐみん「それより、今はロキです。あの男の計画とコロナタイトがどう関係しているのかは分かりませんが、もし見つけてしまったのなら今すぐにでも手を打たねばなりません」

アクア「あ、それなんだけどね・・・」ゴソゴソ…

アクア「じゃん!これ、なんだと思う?」

ウィズ「赤々と燃えているその鉱石は・・・まさか・・・!」

アクア「そう!コロナタイトよ!」

めぐみん「一体どこでそれを・・・?」

アクア「なんかよくわからないんだけど、カズマの体の修復をしてる時にこれがカズマの手に握られていたのを見つけたの。にしても危なかったわねカズマ、もしコロナタイトがこの透明な容器に入っていなければ、機動要塞デストロイヤーの中に入った時みたいに手の皮が張り付いて・・・」

カズマ「やめろやめろ聞きたくない聞きたくない!!」

ゆんゆん「でもなんでコロナタイトが・・・?」

331: ◆Ua1M3q7gGI 2018/08/28(火) 21:30:34.36 ID:BCiv1cx+0

カズマ「ロキの杖をスティールしようとしたとき、杖は取れなかったけど・・・代わりにとっちまったみたいでさ・・・どうしよう、コレ」

めぐみん「ひとまずよかったじゃないですか。ロキの計画の邪魔をすることが出来たのですから」

カズマ「いやいや・・・何が目的であれ、これってロキが探してたものなんだろ?もし盗られたことに気が付いたら、この街に取り返しに来るんじゃないかと思ってさ」

トニー「よし、僕のラボで預かろう。それでいいよな?」

ダクネス「それがいい。この街を火の海にするわけにはいかない」


     コンコン…


ダクネス「・・・このタイミングで来客?」チャキッ…

カズマ「まさか、もう取り返しに来たのか・・・?」

332: ◆Ua1M3q7gGI 2018/08/28(火) 21:31:19.39 ID:BCiv1cx+0

ゆんゆん「凄い魔力も感じますよ・・・!警戒しましょう・・・!」ジリッ…

アクア「っ・・・」ジリッ…

ダクネス「全員下がって戦う準備をしろ。私が確認する!」スタスタ…


     バンッ!


ダクネス「何者だ!」ジャキッ!








クリス「ひっ・・・!ダ、ダクネス!あたしだよ!あたし!!」ビクッ…

ダクネス「なんだ、クリスだったか」ホッ…

クリス「もう!いきなり親友に剣を向けられるなんてびっくりだよ!」プンスカ

ダクネス「はは・・・す、すまないクリス・・・うん?持ってきているそれはなんだ・・・?」

クリス「これ?これはね・・・すべて神器だよ」

ダクネス「なっ・・・!?い、いったん家に入れ!」

333: ◆Ua1M3q7gGI 2018/08/28(火) 21:33:03.52 ID:BCiv1cx+0
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アクア「はい、クリス。お茶入れてきてあげたわよ」カチャッ…

クリス「あ、ありがとうアクアさん・・・」

クリス(お湯だ・・・)

めぐみん「巨大な魔力を扉越しに感じると思ったら神器でしたか。それも二つも・・・一体なぜそんなものをクリスが・・・?」

クリス「話せば長くなっちゃうんだけど・・・みんな知っての通り、あたしは敬虔なエリス教徒でね。ある日、エリス様からのお告げがあったんだ。“行方の知らない神器を悪用されると大変な事になる”って。それを聞いて私は・・・」

   ペラペラ…

カズマ(トニーと言い、上手い具合に自分の境遇を隠しつつ理由付けをするもんだなぁ・・・)

334: ◆Ua1M3q7gGI 2018/08/28(火) 21:33:45.07 ID:BCiv1cx+0

クリス「そんなわけで、私はいくらか神器を回収してるからキミ達がロキと戦いやすいように持って来たって訳さ!」

めぐみん「・・・?何故クリスがロキの事を知っているんですか?」

クリス「えっ?・・・あぁっ!そ、それはね?ほら、あたしって盗賊だから情報がすぐに入ってくるんだよね!お、驚いた?」ハハ…

めぐみん「いくら何でも早すぎませんか?私たちがついさっき会ったばかりだと言うのに」

クリス「っ!?そそそ・・・それは・・・」

カズマ(エリス様は意外とアホなところがあるんだろうか・・・?)

クリス「ほ、ほら、魔王軍幹部に新入りが入ったって情報を聞いてね!ちょうどキミたちが旅立った頃に名前だとか情報が入ってきたのさ!」

めぐみん「そうでしたか・・・」

クリス「そ、それよりさ・・・なんだか初めて見る顔がいるね?もう一人の紅魔族の子はギルドで良く一人で遊んでいるから知ってるけど・・・」

ウィズ「私ですか?はじめまして!私はウィズと申します。この街で魔道具店の店長をやらせてもらっています。よろしくお願いしますね?」ニコッ

335: ◆Ua1M3q7gGI 2018/08/28(火) 21:35:22.50 ID:BCiv1cx+0

クリス「こちらこそ、よろしく頼むよ!・・・ところで、顔が真っ白だけど大丈夫かい?なんだかまるで・・・」

クリス「・・・アンデッドみたいだよ?」

ウィズ「!?」ビクッ

クリス「・・・?どうしたの・・・?」

ウィズ「えーっと・・・その・・・」ダラダラ…

カズマ「おっと!これはだなクリス!ウィズのお店は客が全く来なくて年中赤字だからウィズは食べるものが無くて栄養失調気味なんだよ!なっ?ウィズ!」

ウィズ「は、はい!そうなんです!そ・・・そうなんです・・・」シュン…

クリス「た、大変だね・・・今度何か買いに行くよ・・・」ポリポリ…

336: ◆Ua1M3q7gGI 2018/08/28(火) 21:36:19.52 ID:BCiv1cx+0

クリス「あっ!エリス教徒の人たちが恵まれない人たちの為に炊き出しとかやってるから貰ったらどう?」

ウィズ「えぇ!?いやいやとんでもないです!!」ブンブン

カズマ(エリス教の炊き出しに並ぶアンデッドか・・・最悪の光景だな・・・とりあえず、クリスがウィズの正体を知ったら絶対に駄目だ・・・ここはトニーにでも話を振って・・・)

カズマ「・・・トニー?何してるんだ?それにアクアも。クリスの話を聞いてなかったのか?」

アクア「クリスの持って来た神器が気になってちょっと見てたのよ。それで、話?なんかしてたの?」

クリス「いや・・・何でもないよ・・・で、トニーは一体何をしているの?」

トニー「・・・改良の余地ありだな」

クリス「えっ・・・?一体何を言ってるの?」

337: ◆Ua1M3q7gGI 2018/08/28(火) 21:40:44.88 ID:BCiv1cx+0

トニー「この神器二つを僕なりに改良してあげよう」

クリス「駄目だよそんなことしたら!?神器なんだから下手にいじると罰が当たるよ!?」

トニー「よーく観察してみたが・・・ところどころ改良できそうな点がいくらか見つかってね。安心しろよ、ちゃんと改良するから」

クリス「い、いやいや・・・そういうことじゃなくって・・・!」

トニー「素材は凄く良い。少し時間をくれれば、かなりいい武器が作れる筈だ」ウキウキ

クリス「待って!?ねぇ、本当に待って!?神器ってのは神々が作ったとても神聖なもので・・・」

トニー「さて諸君!僕のラボに集合だ!分娩室に招待しよう!」

クリス「お願いだから待ってぇぇぇぇえええ!!!」

343: ◆Ua1M3q7gGI 2018/09/02(日) 21:42:22.62 ID:4e/hKFMI0
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トニーのラボ


めぐみん「神器を改造してそれ以上のアイテムを作る・・・?本気ですか?」

トニー「冗談に聞こえるか?」

めぐみん「・・・本気ですね。本気で冗談みたいなことをやるつもりですか」

トニー「でも君だってなんだかんだワクワクす」

めぐみん「勿論ですとも!一体何を作るつもりなんですか!?カッコイイものですよね!?」ズズィッ

トニー「・・・そう来てくれると思った」

ゆんゆん「神器をいじくりまわそうなんて考える人初めて見たかも・・・」

ウィズ「そもそも加工すること自体可能なのでしょうか・・・?」


344: ◆Ua1M3q7gGI 2018/09/02(日) 21:43:23.26 ID:4e/hKFMI0

トニー「元の形が完全になくなるほど変える気はないさ。それじゃぁ、いってみようか!」

クリス「それあたしの決めセリフなのにーっ!」

トニー「そうムスッとした顔をするな。この神器二つの説明を頼むよ」

クリス「はぁ・・・色々と言いたいことがあるけど・・・説明するね」


    スチャッ…


クリス「まずはこの弓。名は“魔弓レゴラス”」

トニー「・・・この神器を作った奴は誰なんだ?絶対ロード・オブ・ザ・リング・・・」

クリス「話を続けるね。この弓は、“放った矢が絶対に当たり、どんなものも撃ち貫く”っていう神器だったよ」

ダクネス「すごいな・・・ん?“だった”?」

クリス「神器は本来の持ち主でないと力を最大限発揮できないって話は知っているかな?」

めぐみん「確か、カズマがあの魔剣使いから魔剣を奪った時もただの剣にしかならないとアクアに言われていましたよね」


345: ◆Ua1M3q7gGI 2018/09/02(日) 21:44:19.92 ID:4e/hKFMI0

クリス「そう。この神器も例に漏れず力は制限されてしまっているよ」

ダクネス「具体的には?」

クリス「そうだね・・・絶対に当たるって力は無くなって・・・“強力な貫通力を持った弓”・・・ってところかな」

トニー「・・・微妙じゃないか?当てられないなら意味が無いんだろ?」

めぐみん「そうでもないでしょう。使う人によっては非常に強力になりえるのではないですか?例えば・・・運が極端に高く、それに伴って矢の命中率も高いような男が使えば・・・」チラッ…

カズマ「・・・ふっ」キリッ…

クリス「うん、この弓はカズマ君にあげる。最初からその予定だったんだ」

カズマ「よっしゃぁ!マトモな神器を扱える日がとうとう来るなんてな!」

アクア「ねぇ、その言い方だと私が役立たずな神器だって聞こえるんですけど」

カズマ「そう言ってるんですけど」

アクア「・・・」ブチッ


  ギャーギャー

346: ◆Ua1M3q7gGI 2018/09/02(日) 21:45:14.69 ID:4e/hKFMI0

トニー「おい、僕のラボで暴れるな」

クリス「それで・・・もうひとつなんだけど・・・これはダクネスに渡そうと思ってね」

ダクネス「なぁ、これ・・・」

クリス「・・・見ての通り、これは盾だよ。名は“聖盾ヴィヴラニオン”」

トニー「聞いて良いか?本当にこの神器を作った奴は誰なんだ?さっきからピンポイントで・・・」

クリス「話を続けるね。この盾は、元々は“どんな攻撃も自動で防ぎ、絶対に破壊されない”っていう力を持っていたよ」

めぐみん「それで、今はどんな力を持っているんですか?」

クリス「自動で攻撃を防ぐ力は使えないけど、頑丈さはかなりのものだと思うよ」

ダクネス「なぁ・・・クリス・・・」

347: ◆Ua1M3q7gGI 2018/09/02(日) 21:46:28.43 ID:4e/hKFMI0

クリス「言いたいことは分かるよ・・・でも、凄い力をもった神器だから・・・」

ダクネス「・・・そうだな・・・アクシズ教徒のシンボルさえ彫られていなければ・・・すごくいい神器なんだろうな」

アクア「これの元の持ち主についてとても気になるわ!どんな人だったの?」

クリス「えっと・・・自由を愛するクルセイダーだったみたいだね・・・」

アクア「ふふ・・・自由を尊ぶアクシズ教に魅せられたって訳ね!」

カズマ「どっちかっていうと洗脳されたってほうが近いんじゃね?」

トニー「破壊できない盾を持った自由を尊ぶクルセイダーか・・・なんだか既視感を感じるな・・・」

クリス「ダクネスにはこの盾を装備してもらおうかと思ってるんだけど・・・どう?」

ダクネス「エリス教のクルセイダーの私に、アクシズ教のシンボルが彫られた盾を背負えというのか!?」

クリス「ごめん!こんなの本当にどうかしてるよね!でも、この盾の力は絶対に必要になると思うんだ!」

カズマ(エリス教の御神体が自分の敬虔な信者にアクシズ教のシンボルが彫られた装備を渡す光景か・・・駄目だ・・・笑っちゃ駄目だ・・・)プルプル…

トニー「ぷっ・・・くくくっ・・・・」プルプル…

348: ◆Ua1M3q7gGI 2018/09/02(日) 21:46:57.78 ID:4e/hKFMI0

アクア「いいじゃない!これを機に二人共アクシズ教に改宗しちゃいなさいな!」

ダクネス・クリス「「しない!」」

ダクネス「だ、第一私はクルセイダーだぞ!剣で戦う職だ!盾の神器なんて・・・!」

カズマ「でもお前剣あたらないじゃん」

ダクネス「んんっ・・・/// い、いや・・・でも・・・」

トニー「いいか、ダクネス。僕の話を聞け、必ずこの盾を装備したくなると約束しよう」

ダクネス「へ・・・?」

トニー「まず、君が剣のスキルを取らない理由はなんだった?」

349: ◆Ua1M3q7gGI 2018/09/02(日) 21:48:08.60 ID:4e/hKFMI0

ダクネス「も、もちろん、剣を振るうが当たらず、力及ばずに圧倒されてしまうのが気持ちいいからだ!!」

トニー「・・・だよな?そこで考えてみよう、君はこの盾を持ち、敵の前で構える」

ダクネス「うむ・・・」

トニー「当然敵は攻撃するわけだ。盾で身を守る君を、盾を打ち破って蹂躙するために」

ダクネス「・・・ッ」ゴクリ…

トニー「君は盾を構え続け、ひたすら耐える。だが・・・やがては崩され、そのまま敵に・・・」

ダクネス「そ、そんな素晴らしいプレイが・・・!盲点だった!ありがとうトニー!」

トニー「だろ?お役に立てて良かったよ」

350: ◆Ua1M3q7gGI 2018/09/02(日) 21:49:01.50 ID:4e/hKFMI0

カズマ「トニーも段々こいつらの扱い方ってのがわかって来たな」

トニー「わかりたくなかったけどな」

クリス「・・・で、どう改造するつもりなんだい?」

トニー「まず盾は二つに切り分ける」

クリス「切り分ける!?さ、さすがにそれは駄目だよ!」

アクア「そうよ!アクシズ教のシンボルが彫られているのにそれを切るなんてバチを当ててやるからね!」

トニー「まぁ、落ち着け。ダクネスは攻撃が当てられない。それは皆知ってるだろ?だが、素手での戦いは例外だ。ダクネスが、ギルドで煽ってきた冒険者を素手で捕まえて締め上げるところを僕は見て考えた」

トニー「・・・“この女、剣を持つんじゃなくて腕にはめた方が強いんじゃないか・・・?”ってね」

351: ◆Ua1M3q7gGI 2018/09/02(日) 21:49:44.62 ID:4e/hKFMI0

カズマ「・・・天才か?」

トニー「だろ?で、普段は盾だが、二つに割ることでガントレット型の武器に、またくっつけたら盾に戻るっていう新しい武器を作る予定だ」

めぐみん「面白そうですね・・・!」

アクア「でも真っ二つにするのは・・・いや、結局戻るからいいのかしら・・・?」

クリス「うーん・・・」ポリポリ…

トニー「そのまま使うよりきっと良くなるって僕が保証するよ」

クリス「う、うん・・・それじゃぁ任せるよ」

アクア「アクシズ教団のシンボルは消さないでよね?それだけは約束してよ?」

352: ◆Ua1M3q7gGI 2018/09/02(日) 21:51:23.96 ID:4e/hKFMI0

トニー「はいはい。それじゃ早速・・・」

    ピピピ…

フライデー『ボス、コロナタイトの分析が完了しました』

トニー「結果は?」

フライデー『破壊可能です』

ウィズ「壊しちゃうんですか!?きわめて貴重な代物なのですが・・・」

トニー「まだだ。どんな力を秘めているのか徹底的に解析してから決める」

めぐみん「私は使うべきだと思いますよ。だって、燃えるじゃないですか!強力なエネルギーを秘めたアイテムを使うことによって邪神を打ち砕くなんて!」

ゆんゆん「え、えぇ・・・ロキの計画が良くわからないけど・・・コロナタイトが使われちゃったら何が起こるかわからないでしょ・・・?あぶなくない・・・?」

めぐみん「これだから変わり者のゆんゆんは・・・だからボッチなのですよ」

ゆんゆん「な、なによ!!」

353: ◆Ua1M3q7gGI 2018/09/02(日) 21:52:03.70 ID:4e/hKFMI0

フライデー『あの・・・』

トニー「静かにしろ。今フライデーが何かを言おうとしている」

フライデー『構造分析と成分解析の結果、興味深いデータを発見しました。きっと気に入ると思います』

トニー「なに?」

フライデー『コロナタイトは、アークリアクターに大変酷似した性質を持っていました。つまり・・・』









フライデー『スーツにコロナタイトを取り付け、エネルギー源として使用することが可能です』

トニー「・・・面白い」

355: ◆Ua1M3q7gGI 2018/09/02(日) 22:00:00.16 ID:4e/hKFMI0
オマケ

>>351で言っていたダクネスの新武器のイメージ図

https://imgur.com/a/PiTz2rG

356: ◆Ua1M3q7gGI 2018/09/02(日) 22:02:36.48 ID:4e/hKFMI0
オマケ2

>>347

破壊できない盾を持った自由を尊ぶ~

キャプテン・アメリカのこと。ヒーローと言えば彼、彼と言えばヒーロー

本名 スティーブ・ロジャース

性格 高潔。並々ならぬ正義感と愛国心、なんど負けても立ち上がる強い意志を持つ。

第二次世界大戦中に超人兵士計画(スーパーソルジャー計画)に志願、その正義の心を認められ見事合格。特殊な血清を打たれ超人的肉体を手に入れる。
とある事件でアメリカを守るために自ら爆弾を積んだ飛行機ごと北極海に墜落。死亡したかに思えてたが、70年間氷漬けにされなんとか生存していた為、S.H.I.E.L.Dという組織に助けられ、現代に復活。再びアメリカ国民のため戦う事となる。
破壊不可のシールドを持って戦う。クソかっこいい。
キャプテンアメリカ 映画予告
https://m.youtube.com/watch?v=0vjSfPIev1g


362: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 22:34:33.21 ID:qPAdyUI40

めぐみん「これは、トニーの国の“カガク”の技術と私たちの国の魔術の融合ということですね!!ふわぁーっ!燃えてきましたよ!紅魔族の琴線にビンビン来る実験です!」

トニー「僕もだ。歴史に残る実験になるだろうな」

ダクネス「実験するのは良いが、ロキはどうするのだ?野放しにしておくつもりか?」

トニー「大丈夫だ。ロキの位置は完全に把握出来ている」

ダクネス「・・・一体どうやって?」

トニー「トニー・スタークだからだ」

ダクネス「真面目に答えろ!」

トニー「行動に完全な偶然は無い。確率論を十分に把握し、心理の徹底的な理解、そして性格と合わせて計算すると変数を絞れる」

363: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 22:35:50.20 ID:qPAdyUI40
ダクネス「な・・・なに?何を言っている?」

トニー「僕も無数にあると想える変数を実現可能ないくつかに絞れる手法を58通知っている」

ダクネス「えぇっと・・・真面目に答えろと言っておいてすまないが・・・その・・・もう少しわかりやすく・・・」

アクア「?・・・??・・・???」

カズマ「すごく難しいと思うけど、アクアにもわかるように言ってくれ」

トニー「ロキに追跡装置を取り付けた」

アクア「なぁるほど!追跡装置ね!トニーったらやるじゃない!」
カズマ「ほぉー・・・追跡装置かぁ・・・あれ?今の長ったらしい説明と何の関係が・・・?」 

トニー「アクアも納得してるし、それで十分だろ?」 

カズマ「おい、俺は騙されないぞ!お前ちょっとそれっぽいこと言って知的ぶりたかっただけだろ!」 

トニー「知的なのは事実だしちゃんと説明しただろ?この話はここでお終い」 

ゆんゆん「あの・・・」 

トニー「どうした?」 

ゆんゆん「“ツイセキソウチ”って何でしょうか・・・?」 

トニー「あー・・・カズマとアクア以外は知らないか?」 

ゆんゆん・ウィズ・めぐみん・ダクネス「「「「・・・」」」」コクリ 

364: ◆G7gAhUxDx. 2018/10/20(土) 22:40:46.32 ID:qPAdyUI40
めぐみん「おや?クリスは知っているのですか?」

クリス「あっ・・・えっと・・・あたしも知らないから、教えてくれると助かるかな?」

トニー「まぁ、簡単に言うと敵の位置が分かる道具だ」ピッ

    ヴンッ...

めぐみん「この画面内で映っている赤い点がロキですか?」

トニー「そういうこと。そして、これをマップ内に落とし込めば・・・」


   ピッ… ピッ…


トニー「ほら・・・おっと、まだヴォーミアでピクニックしてるみたいだ」

アクア「・・・なーんか、トニーが来てから便利になったのは良いけど・・・色々とオーバーすぎないかしら?」

365: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 22:42:33.76 ID:qPAdyUI40

トニー「僕が付けた追跡装置は盗聴器としての役割も持っている。あ、盗聴器って言うのは、遠く離れたところにいる相手の会話を盗み聞きできる道具だ。悪用厳禁」

ウィズ「いつの間に付けたんですか・・・?」

トニー「僕のスーツが破壊される寸前に、発信機を射出してロキにくっつけた。当分気が付かないはずだ」

ウィズ「なるほど、煙を上げたのは時間稼ぎだけじゃなくて、そういう意図もあったんですね!」

カズマ「トニー・・・それさ・・・」

トニー「あげないからな?思春期少年のおもちゃには過ぎた代物だ」

カズマ「ま、まま、まだ何も言ってねーだろ!ちょっとギルドの酒場にくっつけて俺の陰口を言う奴とか見つけ出してやろうかと・・・」

ダクネス「全く、この男は・・・」

366: ◆G7gAhUxDx. 2018/10/20(土) 22:43:06.40 ID:qPAdyUI40

クリス「それで、その盗聴器でロキから何か聞けたの?」

フライデー『録音された音声があります。再生しますか?』

トニー「いつ頃録音したやつだ?」

フライデー『ボスとウィズ様がテレポートで撤退した直後の会話です。録音された会話内容からして、すぐさまコロナタイトを奪い返しに来る気は無いようです』

トニー「会話内容を再生しろ」

フライデー『了解しました。再生します』


    ザザァー…

367: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 22:44:57.07 ID:qPAdyUI40

冒険者A『ロキ様、いかがなさいました?』

ロキ『コロナタイトを盗まれた。あの小僧だ・・・!』

冒険者A『追いますか?』

ロキ『放っておけ、たった一つかすめ取られただけだ。それも、ただの小粒をな・・・計画に大きな支障は出ない』

冒険者A『それでは・・・』

ロキ『掘り続けろ。計画を実行に移すにはまだ量が足りん』

冒険者A『はい。了解しました』

ロキ『それと・・・警備をさらに厳重にしろ。二度と邪魔をさせるな』

冒険者A『はい。了解しました』

    プツッ…

368: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 22:45:46.03 ID:qPAdyUI40

フライデー『以上です』

カズマ「おい・・・これってまさか・・・」

クリス「ロキはコロナタイトを複数所持しているようだね。小石程度の大きさでも相当な力を秘めているはずだけど・・・一体何が目的なんだろう・・・」

トニー「何であれ、まだ猶予があるって事だ。急いで取り掛かるぞ」

めぐみん「そうですね。私もEXPを溜めて備えようと思います」

トニー「へぇ、この国でも経験値をExperience pointの略語で読んだりするのか」

めぐみん「えくすぺ・・・なんですかそれは?私が言っているのはExplosion Pointの事ですよ?」

トニー「・・・国によって元の言葉が違うんだな」

めぐみん「まあ私の造語ですが」

トニー「・・・」

369: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 22:47:37.28 ID:qPAdyUI40

めぐみん「単に、爆裂魔法のスキルポイントと言うのが長ったらしかったので略し・・・あっ、あっ、やめてください!眼帯を引っ張らないでください!」

カズマ「トニー、いちいち突っ込んでたら身が持たないぞ」

トニー「たまに君の要領の良さが羨ましくなる」

アクア「それで、これから一体どうするの?信者が捕らえられているっていうのに、待機なんて無理なんですけど」

トニー「良いかアクア、よく聞け」

アクア「?」

トニー「その気持ちは結構だが、気持ちだけじゃ人は救えない。試しに、君が今からロキの元へ行って全員を救えるヴィジョンが浮かぶか?」

アクア「それは・・・」タジッ…

トニー「浮かばないだろ?君が信者の事となると勇猛果敢なことは分かった。だが、ロクな作戦も立てずに突っ込んで君が殺されたら・・・残った信者はどうしていくんだ?」

アクア「・・・」

370: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 22:48:59.82 ID:qPAdyUI40
トニー「だから、備えられるだけの準備をして奴に挑むんだ。こっちだってただ黙って待つわけじゃない。君の信者は力を合わせて絶対に取り返す、だからもう少し我慢しろ。いいな?」

アクア「う、うん・・・わかった・・・」

クリス「さすが年長者だね、トニー」

トニー「一番の年長者はアクアじゃないのか?」

アクア「なんですってえええええええ!あんたさっきまともな話したと思ったらよくも言ってくれたわねこのヒゲニート!!」ワッ

トニー「ただのジョークだよ。それじゃ僕はちょっとバニルと商談をしてくる」スタスタ…

アクア「あんた逃げんじゃないわよ!今度こそ強力な天罰を当ててやるからね!」

ダクネス「お、落ち着けアクア・・・それで、このタイミングでバニルと商談とは、一体何を仕入れるつもりなんだ?」

トニー「そうだな・・・」








トニー「この国で作れる、最高級の鎧の材料さ」

371: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 22:50:06.29 ID:qPAdyUI40
......
....
..
.



ウィズ魔道具店


  カランコロン…


バニル「へいらっしゃい!ヴォーミア旅行は楽しんできたのか?」

トニー「それは嫌味か?僕らが旅に出ている間、ずっとその見通す目とやらでのぞき見していたんじゃないのか?」

バニル「妙な言い方をするな。見通そうとはしたが、発光女に例の邪神と邪魔な光が多くて見通せなかったのだ。それで?生きて帰ってきたところを見るに、倒したのか?」

トニー「・・・いいや、何もできずに帰ってきた」

バニル「ほうほう、逃げ帰ってきたとな?」

372: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 22:52:11.33 ID:qPAdyUI40

トニー「奴はこの世界の魔術を自分のものにして強大な力を付けている。ウィズ曰く、リッチー化の魔法にも匹敵する程の禁呪である洗脳魔法を取得しているとかなんとか・・・」

トニー「実際、行方不明になっていた冒険者だけじゃなく、アクアの信者までもが奴の言いなりになっていた。あれはもはや信仰に近い」

バニル「フハッ、フハハハハ!!フワーッハッハッハ!!あの悪名高きアクシズ教徒が●●らたとな!!次からあの女神を●●られ女神と呼んでやろう!フハハハハッ!!」ゲラゲラ

トニー「僕に見通す力は無いが、ウィズが巻き込まれて酷い目に遭うだけだと断言できるぞ」

トニー「それにしても、あんたの見通す力ってのは無敵の能力かと思っていたが、案外制限が多いんだな」

バニル「うむ。特に、力を行使して安易に金を稼ごうとするとロクな目に遭わん。ポンコツ店主の暴走然り、何かしらの反動を食らうのだ・・・」ハァ…

トニー「・・・この、僕の商品が妙な形に変わっているのもそうなのか?」ガチャッ

バニル「その通り。汝が作った便利なアイテムたちは、あの災厄店主の勝手な判断によってガラクタに変わったぞ」

トニー「・・・ウィズから直接聞いた」

373: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 22:54:58.89 ID:qPAdyUI40

バニル「あのポンコツ店主が戻ってきたら即刻過去最大級の折檻をお見舞いしてくれるつもりだ」

トニー「それで、僕の商品は一体どう変わってしまったんだ?」

バニル「そうだな・・・例えば、この売れ筋商品である“ソーラー充電式暗視ゴーグル”なんかは、大幅な変更が加えられてあってな。まず、視認性が大幅に向上している」

トニー「なんだって?まさか本当に改良を・・・?」

バニル「あの欠陥店主が我輩に無断で勝手にしでかしたのだぞ?いつものパターンからして、そんなわけなかろう」

バニル「視認性が上がり、暗所を遥か彼方まで見れはするが、千里眼が使えるアーチャー職しか使いこなせないうえに、視覚以外の感覚がすべて遮断される」

トニー「ガラクタだな」

バニル「ガラクタである。他にもたくさんあるぞ?この“生体反応追尾式マイクロミサイルランチャー”なんかも・・・」

374: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 22:56:49.77 ID:qPAdyUI40

トニー「いや、もういい・・・また新しく作るからそれは全部廃棄しろ」

バニル「言わずもがなだ。さて、世間話はこのくらいにして、ここに来た理由はなんだ?」

トニー「あんたに仕入れてほしいものがある。相当な値段になるだろうが・・・あんたなら確保できるだろう」

バニル「ほう?」

トニー「実はロキにスーツを破壊されてな。カズマが手に入れたコロナタイトを使用して新しいスーツを作るつもりなんだが、僕の世界の材料じゃうまくコロナタイトと適合しないんだ」

トニー「そこで、オリハルコンと、アダマンタイト、そしてこれらの魔法金属を仕入れてほしい。量等の詳細はこの紙に書いてある」ピラッ

バニル「ふむふむ・・・アダマンタイトはともかく、オリハルコンなど神器級の鎧に使われるものだぞ?」

375: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 22:59:54.90 ID:qPAdyUI40

トニー「僕が作ろうとしてる鎧が神器以上のものなんでね」

バニル「市場の状態にもよるが、仕入れることは可能だ。だが、これだけの量を仕入れるとなると相当な額になるが・・・」

トニー「ウィズがガラクタに変えたこれらの商品を僕が無償で改悪前のものと交換してやろう。それにプラスで80億エリス程でどうだ?」

バニル「結構結構!それなら十分である!フハハハハ!!それだけの金があれば今度こそこの街にカジノを造り、あぶく銭を手にできるはずである!商談成立だ!」

トニー「どれくらいかかりそうだ?」

バニル「この世界にはテレポートという便利な魔法があるのだ。商会に掛け合い、在庫の確認が取れ次第速攻でかき集めればよい。在庫さえあれば、明日、明後日までには仕入れることができるであろう」

トニー「できるだけ急いでくれ、ロキには何か計画があるみたいだ。どれだけ猶予が残されているのかはわからないが、今度こそ先手を打って完全に阻止したい」

376: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 23:03:29.00 ID:qPAdyUI40

バニル「我輩を誰だと思っている?我輩の力をもってすれば、こんなものは子供のお使いと何ら変わらん」

トニー「だが、あんたの能力は肝心なところで使えなくなるよな。ロキ自身の動向は探れないんだろ?」

バニル「・・・」イラッ…

トニー「あ、ロキの動向だが、僕はもう完全に把握しているぞ?科学の力ってやつだ。ご飯製造機でも探れるような情報が探れない気分はどうだ?バニル君?」

バニル「フハハハハ!!人間相手にここまでコケにされるとは!だが、見通す悪魔が宣言しよう!貴様は近いうちに、この我輩をコケにしたことを心の底から後悔するであろう!」

トニー「へぇ?楽しみにしておくよ。それじゃ、鎧の素材の件よろしく頼む」クルッ...


     ガチャッ…


ウィズ「おや、トニーさんではないですか。商談は終わったんですか?」

377: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 23:08:12.67 ID:qPAdyUI40

トニー「やぁウィズ、今ちょうど終わったところだ。君もちょうど僕のラボから帰ってきたところか?」

ウィズ「はい!まだ改良してもらった魔道具をバニルさんに見せていないので、今から説明しようと思って帰ってきました!バニルさん、驚いてませんでしたか?」

トニー「あー・・・そういう反応は楽しみにとっておいたほうがいいと思うぞ。ほら、僕のすぐ後ろで待っているから・・・」


ウィズ「なるほど、それもそうですね!私、今回だけは自信があるんですよ!もとからすごい魔道具なのに、それが凄腕魔道具職人さんの腕で改良してもらって・・・!今回こそ、よくやったと言ってもらえるはずです!」

トニー「そうか・・・それじゃ、僕はもう帰るから・・・またな?」

ウィズ「はい!」

   ガチャッ
 バタン…

トニー(・・・あんな笑顔じゃ、何も言えるわけないだろ・・・)スタスタ…




  バニルサン!? ドウシタンデスカ? ソンナコワイカオシテ… ソンナコトヨリキイテクダサイ! ジツハ ショウヒンヲ…

 バニルシキサツジンコウセン!!

       アアアアアアッ!



トニー「・・・」スタスタ…

378: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 23:13:00.16 ID:qPAdyUI40
......
....
..
.




夕方

トニーのラボ



  ガチャッ…

ダクネス「あ、おかえりトニー。商談は終わったのか?」

トニー「あぁ、新しいスーツは近いうちに作れそうだ。」

アクア「・・・おかえり」

トニー「なんだ、まだ怒っていたのか?ほら、高級シャワシャワを買ってきた。これを今日の夕飯の時に開けよう。これで機嫌を直せよ」

アクア「なぁるほど・・・この私の機嫌をお酒一つで取ろうって訳ね?でも・・・」

トニー「いらないならハッキリ言ってくれよ、これは僕が飲むから。この世界のお酒は結構気に入ってるんだ」スッ…

379: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 23:14:22.68 ID:qPAdyUI40

アクア「そ、そうとは言ってないでしょー!?仕舞わないでよ!」

トニー「はい、それじゃこれで手を打とう。なっ?これで満足だろ?ところで、クリスとゆんゆんの姿が見当たらないが、どこに行ったんだ?」

ダクネス「クリスは何か用事があると言って帰っていった。ゆんゆんは向こうの部屋で“かがく”について書かれた本を読んでいる。トニーの国の言語で書かれているから読めないらしいが、フライデーに翻訳してもらいながら楽しく読んでいるぞ」

トニー「魔法使いが科学の本を・・・HAHA、中々面白いな」

カズマ「トニーだってこの国にきてすぐ魔導書を読み漁っていたじゃないか」

トニー「・・・そういえばそうだった・・・」

ダクネス「二人に何か用でもあったのか?」

380: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 23:15:36.26 ID:qPAdyUI40

トニー「クリスに用というか、話があったんだが・・・いないならまた次回で良い。それじゃ早速、神器の改造に手を付けるとするか」

めぐみん「・・・」

ダクネス「どうした、めぐみん?難しそうな顔をしているが」

めぐみん「・・・いえ、なんでもないですよ。今は無理そうですから」

トニー「なんだ?君の杖も改造してほしいのか?スイッチを押したらリパルサー光線が出るようにでもしてあげようか?」

めぐみん「できるのですか!?い、いえ・・・実は私の爆裂魔法のレベルを上げるのにちょっとした案があったのです。私ではなく、カズマの案ですが」

カズマ「あー、あれか」

トニー「今度はどんな妙案を?」

381: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 23:16:52.29 ID:qPAdyUI40

カズマ「めぐみんの爆裂散歩はいつも誰かが付いて行って、街から少し離れたところで適当な岩とかに爆裂魔法をぶちかまして帰るだろ?岩を打ち壊すだけじゃ、レベルは上がらない」

カズマ「かといって、ジャイアントトードだとかこの街の周辺のモンスターに撃ったとしても大した足しにはならない」

カズマ「でも、トニーとあの空飛ぶ鎧があれば、強くて経験値になるモンスターが居るような街まで飛んでって、そのまま上空から爆裂魔法をモンスターに撃って帰ってこれるだろ?それを続けていれば、めぐみんのレベルもすぐ上がるんじゃないかと考えてな」

トニー「なるほど・・・爆裂魔法の空爆か・・・面白いな。気に入った」

めぐみん「ですが・・・トニーのスーツは破壊されてしまったではないですか」

トニー「スーツ!」スッ…


   シーン…


めぐみん「・・・?」


  …ザッ ザッ ザッ…

   
めぐみん「あ、あれは・・・!」


    ザッ…


Mk43「」ウィーン…

トニー「愛しい我が第43子こと、マーク43だ。所々傷はあるが、普通に動け・・・うん?」

382: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 23:19:35.47 ID:qPAdyUI40

Mk43「」チマッ…

トニー「・・・僕の見間違えじゃなければ前に見た時よりスーツが二回りほど小さくなっているんだが・・・気のせいだろうか?」

アクア「ッ!」ビクッ

トニー「おい・・・」

アクア「な、なに・・・?」

トニー「吐け。僕のスーツに何をした?」

アクア「えっと・・・その・・・前に酔っぱらったときに・・・勢いでスーツを使ってマジックをしたような・・・記憶が・・・」

カズマ「てめーこのクソ●●●が!またやりやがったな!?」

トニー「あれだけ僕の発明品に触るなと念押ししておいたのに、よりにもよってスーツを小さくしたのか!」

アクア「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!でもね、なんだか私だけが悪い訳じゃない気がするの!共犯者がいた気がするのよ!信じて頂戴!」

カズマ「こんなふざけた事をする奴が他にいるわけないだろが!」

383: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 23:20:04.37 ID:qPAdyUI40

フライデー『ボス。お言葉ですが、アクア様の発言は本当です』

トニー「何?一体だれが・・・」

フライデー『音声記録を再生します』

     ピッ…

ダクネス『おい・・・もう酒は控えたらどうだ?飲み過ぎだぞ?』

アクア『なにいってんのよ!まだまだ飲めるに決まってるでしょ!?ねっ?トニー!』

トニー『YEAH!もちろんだ!カズマだってまだ余裕だろ?』

カズマ『あったりまえだ!ベテラン冒険者のカズマさんだぞ!もっと浴びるように飲んで、魔力を使わずにクリエイトウォーターを使ってやるよ!ぶはははははは!!』

トニー『HAHAHAHAHAHA!!中々ジョークのセンスがあるな!』

384: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 23:21:04.85 ID:qPAdyUI40

ダクネス『さ、最低だ・・・!めぐみん!めぐみんはどこだ!?こいつらを止めるのを手伝ってくれ!』タタタ…

アクア『うるさいダクネスもいなくなって調子も出てきたことだし、また宴会芸を披露しちゃうわよー!』

トニー『いいねぇ、今度こそタネを見破ってやろうじゃないか』

アクア『無理よ無理!真のマジシャンは決してタネを見破らせないものなの!さぁ、今回はどんなマジックを見せてあげようかしら!』

   ザッザッザッ…

アクア『あら?ねぇトニー?こっちに向いて歩いて来てるあのスーツは?今まで見てきたやつと色が違うわよ?』

カズマ『ほんとだ。ありゃなんだ?新しいスーツか?』

トニー『逆だ、古いスーツだよ。わざわざお酒を持ってくるのが面倒だったから、あのスーツに持って来させたんだ。ウェイターとかメイド代わりにね』

385: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 23:22:36.00 ID:qPAdyUI40

アクア『ふふふ、そうだ!お古のスーツなら、私のマジックに使ってもいいかしら?』

トニー『やれるもんならやってみな!僕のスーツが君のヘンテコマジックでおかしくなるなんてありえないね』

カズマ『いいぞー!やれやれー!』

アクア『言ってくれたわね!よーく見てなさい!今からこのスーツが縮んで・・・』

     プツッ…

フライデー『以上です。ひどく酔われていたようなので、会話を忘れないように私が記録しておきました』

トニー・カズマ「・・・」

アクア「ねぇ、二人共・・・?」

386: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 23:23:05.31 ID:qPAdyUI40

トニー「よし、このことは水に流そう。アクアだけにな」

カズマ「そうだな!人間誰でもおかしな行動をとることはあるしな!これでおしまいにしよう!」

アクア「何なかったことにしようとしてるのよ!私が全面的に悪かったことにしようとしたこと謝って!」

カズマ「うるせぇ!確かに煽った俺達も悪かったろうけど、一番悪いのはお前じゃねぇか!何が謝れだバーカ!なかったことにしてやるって言ってるのに蒸し返すんじゃねぇ!」

めぐみん「あの・・・結局どうなるんですか?」

トニー「あー・・・スーツが元の大きさだったら君を背中に乗せて空中爆裂散歩にでも行けたんだろうが・・・あんな君と同じくらい小さくされてしまったらなぁ・・・」

トニー(ん・・・?めぐみんと同じくらいの・・・大きさ・・・)チラッ…

めぐみん「・・・?どうしたのですか?私とスーツを交互に見たりなんかして」

トニー「なぁ、めぐみん・・・」









トニー「スーツを着てみる気はないか?」

387: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 23:25:01.01 ID:qPAdyUI40

めぐみん「えっ」

ダクネス「良かったじゃないか、めぐみん。」

カズマ「いいなぁ・・・俺も着てみたかった・・・アイアンマンスーツ」

トニー「カズマにはカズマで良いものを作ってやるさ」

めぐみん「こ・・・これを着ても良いんですか!?」

トニー「どうせ体格的に君しか着ることができないんだ。アクア、念のため聞くが・・・これはもう戻せないんだよな?」

アクア「うん。もう無理よ」キッパリ

トニー「まぁ・・・煽った僕らにも責任はある。それに、このスーツを着るとある問題が解決する」

388: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 23:28:01.72 ID:qPAdyUI40

めぐみん「えっ」

ダクネス「良かったじゃないか、めぐみん。」

カズマ「いいなぁ・・・俺も着てみたかった・・・スーツ」

トニー「カズマにはカズマで良いものを作ってやるさ」

めぐみん「こ・・・これを着ても良いんですか!?」

トニー「どうせ体格的に君しか着ることができないんだ。アクア、念のため聞くが・・・これはもう戻せないんだよな?」

アクア「うん。もう無理よ」キッパリ

トニー「まぁ・・・煽った僕らにも責任はある。それに、このスーツを着るとある問題が解決する」

389: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 23:29:26.52 ID:qPAdyUI40

ダクネス「ん?防御力の低い後衛職の体を守る防具ってだけじゃないのか?」

トニー「このスーツをめぐみんに着せれば、爆裂魔法を撃って動けなくなったところをカバーする必要がなくなる」

ダクネス「そうか、確かお前の鎧は・・・」

トニー「そう、鎧だけで動くことが可能だ。フライデーにでも操作させて、動けなくなっためぐみんを飛ばして戦線から離脱させることができる」

カズマ「なぁ、それってもう毎日めぐみんの爆裂散歩に誰かが付き合わなくても、めぐみんが一人で行って帰って来れるってことだよな?」

トニー「そうだな。フライデーに頼んだらやってくれるだろう」

カズマ「やったぜ!もう朝早くにたたき起こされたり、雨の日に無理やり外に引っ張り出されたりする心配はないって訳か!でかしたアクア!トニー!」

めぐみん「私との爆裂散歩をそんなふうに思っていたのですか!?さすがの私もショックを受けますよ!?」

カズマ「だって、わざわざお前の用に付き合ってお前を担いで帰るのは面倒なんだよ。遠くまで行かなきゃいけないし、重いし」

めぐみん「ぶっ殺」ガバッ


390: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 23:30:11.63 ID:qPAdyUI40

カズマ「なんだよ、目を真っ赤に輝かせて。そんなに怒ること・・・ああああ!!折れる!腕の骨折れる!このイカれウィザード!!レベル差を考えろよ!」

めぐみん「人間には二百十五本の骨があるんですよ!一本位なんですか!」

トニー「おい、夫婦漫才は二人の時にやってくれ」

カズマ「お前これがそんなほのぼのしたものに見えんのかよ!?今行われてんのは夫婦漫才じゃなくてただの暴力犯罪だ!」

トニー「はいはい、仲良し仲良し。ところでめぐみん、取っ組み合いをやめてこっちに来てくれ。君をスーツに登録する必要がある」

めぐみん「良いでしょう」パッ

カズマ「ほっ・・・」

めぐみん「それで、どうすればいいのですか?」


391: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 23:36:41.10 ID:qPAdyUI40

トニー「そこに立って、床の傷の数を数えるなり天井の照明を眺めてるなりしてればいい。すぐに終わる」

めぐみん「そのセリフはものすごい身の危険を感じるのですが」

トニー「フライデー、めぐみんをスキャンして網膜情報と指紋情報、DNA情報をマーク43に登録しろ」

フライデー『了解しました。ボス』

 キュィーン…
   ポポポポ…

めぐみん「な、なんですかこれ?光が私の体を行ったり来たり・・・」

トニー「簡単に言えば、君以外がそのスーツを着られないように設定を変えているところだ」

392: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 23:38:14.11 ID:qPAdyUI40

  ピピピッ

 【体表にバーコードを検知】

トニー「うん?」

めぐみん「どうしたのですか?何かあったのですか?モニターに映っている言語は、あなたの国の言語で書かれているので、私には読めないのですが」

トニー「なんで君の尻にバーコードが---」

めぐみん「あああああああ!!!///なんで知っているんですか!?///」

トニー「スキャンに引っかかっただけだ。僕の国じゃあらゆる商品についてる物でね」

カズマ「マジかよお前ケツにバーコードついてんのか!読み取ったらなんて出てくるんだ?」

めぐみん「それ以上言ったら本気で爆裂魔法を撃ちますよ!」

393: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 23:38:56.34 ID:qPAdyUI40

トニー「お、落ち着け。悪かったな、君にとってそんな恥ずかしがるような情報だとは思っていなかったんだ」

ダクネス(あぁ・・・アルカンレティアで見たあの模様か・・・)

めぐみん「まったく・・・見つけたとしても普通尻に付いた模様について指摘しますか!?セクハラですよ!」

トニー「悪かった悪かった。ごめんな?ほら、スーツ着せてやるから我慢してくれ」

めぐみん「ぐぅうう・・・なにかとても大切なものを失ったような気分がします・・・」

 【登録完了。スーツを装着しますか?】

トニー「さて、準備完了だ。そっちの準備は良いか?あ、巻き込まれるといけないからマントは外してくれ」

めぐみん「わかりました。よいしょ・・・これで良いですか?」


394: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 23:40:26.82 ID:qPAdyUI40

トニー「オーケー。それじゃ、スーツを君に装着させる」スッ…

  ピピッ
   ガシャッ カチカチカチ…
    ヒュンッ ヒュヒュヒュンッ

めぐみん「おおおおお!!」ガチャガチャ…

  ガキキッ ガコガコガコ… カンッ

めぐみん「おおおおおああああ!!」

カズマ「飛ばす意味あったか?」

トニー「もちろん。紅魔族的には飛んで来た方がうれしいだろう」

めぐみん「あああああああ!」ブンブン

カズマ「嬉しいのは分かったから、もうちょっと静かにしてくれよ。耳に響く」

395: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 23:42:23.45 ID:qPAdyUI40

めぐみん「あああああっ!!違います!兜に髪の毛が挟まってるんです!!痛だだだだ!!ハゲる!ハゲます!!助けてください!」ジタバタ

トニー「ヘ、ヘルメットを解除しろ!」

  ガコッ カランッ…

めぐみん「はぁ・・・はぁ・・・危うく女性で、しかもこの年にしてハゲるところでした・・・」

トニー「装着する前に気が付かなかった・・・とりあえず髪を束ねたらどうだ?それと、もう君の声に反応してスーツが動くようになっているから、今度からは“スーツ装着”や“スーツ解除”で着脱できるからな。ちなみに、兜は頭からかぶれば自動的に装着できるぞ」

めぐみん「いえ、結構です。兜は付けません」

トニー「なに?いらないのか?あったほうが便利だぞ?」

めぐみん「見栄えの問題です。無い方が決まります」

カズマ(ダクネスがどんなに重装備になっても兜を付けないのと同じ理由だろうか?)


396: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 23:43:52.54 ID:qPAdyUI40

トニー「そ、そうか・・・必要な時は呼んだら飛んでくるってことは覚えておいてくれ」

めぐみん「このスーツは自分の命令で動くんですよね?」

トニー「ああ。すこしテストしてみたらどうだ?」

めぐみん「そうですね。叫んで喉が渇いたので、スーツのテストがてら水を飲むことにします。スーツ!あそこのテーブルの上にあるビンに入った水を私に飲ませてください!」

  キュイッ スタスタスタ…

めぐみん「おぉ・・・なんだか体が勝手に動くと言うのは不思議な感覚ですね」

   クイッ

めぐみん「それでは、お水を・・・」

397: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 23:46:32.91 ID:qPAdyUI40

  ゴクゴク…

トニー「小さくなったことで、どこかに悪影響が出てないかと少し心配したが、大丈夫そうだ」

  ゴクゴク…

カズマ「・・・余程喉が渇いてたみたいだな」

   ゴク… ゴボボッ…

めぐみん「もぶっ・・・もぶぇっ・・もうい゛っ・・・」ガボボッ..

カズマ「・・・あっ、ちげぇ!!あいつ口がふさがっててスーツにビンを口から離すように命令できねぇんだ!」

アクア「大変!めぐみんの顔が人前じゃ見せれない位凄い顔になってるわ!!」

398: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 23:48:02.96 ID:qPAdyUI40

トニー「スーツ!もういい!めぐみんが持っているビンを下げてテーブルに置け!」

   キュイッ…

めぐみん「おえええっ!ゲホォッ!ゲェッホッ!!陸で水死するかと思いました・・・!」ゴホゴホ

カズマ「めぐみん大丈・・・うわっ」

めぐみん「人の顔みて“うわっ”とか言わないでくださいよ!どんだけデリカシーないんですか!」

トニー「悪かった。これは僕の設定ミス。スーツを調整するときに君の声にしか反応しないようにしたのがいけなかったな。君の体自体の動きにも反応して楽に動けるようにしておくの忘れてた」

ダクネス「あんな激しい水攻め・・・ちょっと羨ましかったぞめぐみん・・・///」

トニー「君今羨ましいとか言ったか?」

ダクネス「言って無い」

トニー「言っただろ」

ダクネス「言って無い」

399: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/20(土) 23:50:50.85 ID:qPAdyUI40

めぐみん「も、もうテストは結構です・・・」

トニー「スーツを脱ぐか?他に何か設定のミスが無いかチェックしておこうかと思うんだが」

めぐみん「それも結構です。本来の目的である爆裂魔法を遠くまで撃ちに行ってきます」

トニー「良いのか?体の動きを検知して動くように再調整するのは遠隔操作でもできるが、他になんか調整ミスでもあったら大変だぞ?」

めぐみん「心配いりませんよ。それより、早く空を飛んでみたいのです」

トニー「わかった。そこまで言うなら、動体探知だけ調整しておこう。とりあえず、事故が起こらないように、君の様子はフライデーを通して見ておくからな」

めぐみん「はい。それでは行ってきます!」

404: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/28(日) 21:21:23.76 ID:soQ4f6aA0


トニー「それと、悪いことは言わないから、遠くまで行くなら兜はかぶっておけ」

めぐみん「どうしてそんなに兜を推すのですか?」

トニー「別に?君もダクネスみたいに被虐趣味に目覚めたのかなと思ってね」

めぐみん「・・・?」

カズマ「なぁトニー、よく漫画で見るけどさ、実際に生身の人間が超高速で動いたらどうなるんだ?」

トニー「よし、ちょっとした科学の授業のお時間だ。まず、兜を付けずに高速で動こうとすれば呼吸できなくて窒息死するだろう。そして、音速に近付くにつれてまぶたは吹き飛び、耳の穴から中身が花鳥風月みたいに・・・」

めぐみん「すいません!やっぱり兜を装着します!」

405: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/28(日) 21:22:09.45 ID:soQ4f6aA0

ダクネス「そ・・・そんな凄い事になるのか・・・?/// ト、トニー、私にもスーツを・・・///」

トニー「めぐみん・・・君は本当に僕に次ぐ知力の持ち主なのか・・・?さっきから頭アクアな行動ばかりだぞ」

めぐみん「今のは知能ではなく知識の問題ですから!人間が高速で動いたらどうなるのか知らなかっただけです!私の知力は関係ありません!」

アクア「ねぇねぇ、ちょっと待って。頭アクアってどういうことなの?」

トニー「兜を装着して、外に出ろ。今度は髪をはさむなよ?」

ダクネス「んんっ/// 無視・・・っ!///」



406: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/28(日) 21:22:51.79 ID:soQ4f6aA0
......
....
..
.



地上

トニー『聞こえるか?めぐみん』

めぐみん「聞こえています。ラボの外まで出ましたが、どうやって飛べばいいんですか?」

トニー『まぁ、そう慌てるな。今君の体重や重心に合わせたフライトシステムの調整を・・・』

めぐみん「時には歩くことより走ることの方が重要なのですよ」

トニー『・・・言えてるな』

めぐみん「それでは、いざ!フライデー!!」

フライデー『了解しました。推進リパルサー照射開始』

407: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/28(日) 21:23:48.52 ID:soQ4f6aA0

  キュィィインン…
   シュゴゴ… 

めぐみん「おっとと・・・こ、これ・・・意外とバランスとるの難しいですね・・・」フラフラ…

 ギュンッ

めぐみん「あ」

   ドギャッ

めぐみん「ぐぇっ!」

フライデー『額に擦り傷を検知』

めぐみん「えぇ、私も検知しました・・・」

トニー『派手に地面に突っ込んだな。君の視点をそのままモニターしてる僕が酔いそうだ』

めぐみん「うぐぐ・・・選ばれしアークウィザードであるこの私が・・・」

トニー『掌を下に向けて推進リパルサーを手から照射しろ。それでバランスがとりやすくなるはずだ』

めぐみん「あのポーズダサいのでやりたくないです」

トニー『!?』


408: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/28(日) 21:25:29.32 ID:soQ4f6aA0
......
....
..
.


一時間後…  

トニーのラボ


トニー「We are fantastic dreamer ~♪」カチャカチャ…

カズマ・アクア・ダクネス「・・・」ジー…

トニー「・・・なんだ?」

アクア「ずっと待っているのも退屈なのよ。トニーが何か作っているのを間近で見たことないし」

アクア「それにほら、この私は美術面にも強い女神ことアクア様なのよ?なにかアドバイスできることがあるかもしれないじゃない?」

トニー「今からやるのは図画工作じゃないぞ?」

409: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/28(日) 21:28:06.82 ID:soQ4f6aA0

アクア「もー、すぐそうやって皮肉を垂れる癖何とかならないの?」

ダクネス「私も、お前がどんなものを作るのか気になるのだ。見ててもいいか?鍛冶については、まったくの無知って訳じゃないからな」

トニー「見てる分には構わないが・・・工具を見て発情したりするなよ?」

ダクネス「そんなことするかぁっ!?お、お前は私をなんだと思っているのだ!?」

トニー「変態」

ダクネス「ぅんっ・・・/// そ、そんなハッキリ・・・」

カズマ「俺も暇で来た。ここにあったゲームも全部遊んじまったしな。で、今は何やってるんだ?」

410: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/28(日) 21:31:29.97 ID:soQ4f6aA0

トニー「君の装備の改造だ。弓にレーザーポインターを取りつけて命中率を上げている」

カズマ「ほぉ~・・・」

トニー「そして、トリックアローを矢筒に装着。爆弾、聖水、高圧電流と言った特殊効果がある矢尻を、弓に接続されたコントローラーの操作で瞬時に矢に装着出来る」

カズマ「えっ・・・」

トニー「マジックスクロールを小型化して矢尻に取り付けられないかどうかも実験する予定だ」

カズマ「なにそれこわい」

アクア「それこの短時間に作ったの・・・?」

トニー「いや、僕の仲間に弓矢を使う男がいてね。彼の装備のストックをそのまま使ってこの神器に組み込んでいるだけさ」

ダクネス「ここに来る前に所属していたパーティーがあったのか!」

トニー「パーティー・・・まぁ、パーティーみたいなものか。色々な旅をしたな・・・砦を潰したり、宇宙・・・いや、他国から侵略してきた連中と戦争したり・・・機会があれば、そのうち詳しく話すよ」


411: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/28(日) 21:37:57.61 ID:soQ4f6aA0
短いですが今回はここまでです
デアデビルシーズン3がネットフリックスで公開中
正直、マーベルドラマどころかMCUシリーズ最高傑作と言われるのも納得の面白さでした
ブルズアイがカッコイイ!!


412: ◆Ua1M3q7gGI 2018/10/28(日) 21:41:53.32 ID:soQ4f6aA0
※追記


>>247 の説明に書き忘れましたが、このSSに出てくるヴォーミアは名前だけ同じでMCUとは一切関係ないです

415: ◆Ua1M3q7gGI 2018/11/10(土) 22:34:22.20 ID:czueKjoM0

カズマ「そういえば、なんだかんだでトニーの話はあまりしてないよな。最後に話してくれたのは・・・NYでエイリアンと大乱戦した所だったか?あれまた映像付きで見せてくれよ。映画でも見たような気分になれる」

ダクネス「またあの話をしてくれないか!?電気の流れる鞭を扱う男の話を・・・!鞭を扱う敵なんてそうそういないからな!仲間をより守りやすくする後学の為にも是非!」

カズマ「お前の私欲の為だろうが」

トニー「そんなに気になっていたのか?だったら、めぐみんが戻って来たら夕飯にして、その時にまた話の続きをしてあげよう」

アクア「話をするんだったら、私達の屋敷でしておきたかったわね。きっとあの子も喜んだでしょうに」

トニー「・・・あの子?」

カズマ「気にするな。屋敷でちょくちょくアクアの酒が無くなるんだが、アクアはそれを幽霊のせいだと言って俺に酒をねだるんだよ」

トニー「・・・」チラッ…


416: ◆Ua1M3q7gGI 2018/11/10(土) 22:35:05.53 ID:czueKjoM0

アクア「本当だから!本当にあの家には冒険話が好きな女の子の霊がいるのよ!お酒欲しさにそんなウソついたりしないわよ!だからトニー!そんな呆れた目で私を見ないで頂戴!」

トニー「幽霊云々はともかく・・・まぁ、ロキを倒したら、その時は君たちの屋敷で祝おうか。お酒とジャンクフードでパーティーしよう。君たち風に言うなら、勝利の宴ってやつか?」

ダクネス「“じゃんくふーど”と言うのは分からないが、宴会は賛成だ。旅行にもいかないか?」

ダクネス「確かトニーは、この国で観光はしていないのだろう?」

トニー「魔法を調べるのとか、便利なスキルを取るのに忙しくてね。そんな暇はなかった。だがまぁ、飯が美味いのは気に入ってる」

トニー「・・・食べようとしたアスパラガスに指を突かれ、キャベツの葉にビンタされたときは本気でこの世界が嫌いになるところだったが・・・」

カズマ「気持ちは分かるけど、野菜を皿ごとビームで消し炭にするなよ。あの時ギルドが大騒ぎになったんだからな?ギルドの人たちに頭下げまくった俺の身にもなってくれ」

トニー「そりゃ悪かったが、どう考えてもおかしいだろ!なんで野菜が攻撃してくるんだ!」

アクア「トニーったら何を言ってるの?野菜だって食べられないように必死に生きてるんだから反撃してきて当然じゃない」

トニー「お前が何を言っているんだ!」

417: ◆Ua1M3q7gGI 2018/11/10(土) 22:35:55.90 ID:czueKjoM0

ダクネス「まぁまぁ、話がズレているぞ。それで、トニーは行ってみたい場所とか無いのか?」

トニー「あー・・・そうだなぁ、あえて言うなら・・・賑やかで、かつ落ち着ける場所もあって、景色が綺麗でゆっくりできるところ・・・とか?」

アクア「中々贅沢を言うわね・・・でも、そんな欲張りトニーの条件を満たす場所が一つだけあるわ!」

アクア「・・・そう、アルカンレティアよ!」

カズマ「おいふざけんな!絶対嫌だぞ!!」

ダクネス「わ、私はアルカンレティアでも構わないぞ・・・アクアが行きたいと言っているんだ、仲間の意見を尊重する為に、折れようではないか!」

カズマ「だからお前の私欲の為じゃねーか」


418: ◆Ua1M3q7gGI 2018/11/10(土) 22:37:02.83 ID:czueKjoM0

めぐみん『ちょっと、そういう楽しい話は私もいる時にしてくださいよ』

トニー「こうして無線で繋がっているじゃないか」

めぐみん『旅の話は直接するものなのですよ。それで、トニーの要望ですが・・・さすがに私もアルカンレティアには行きたくないです』

アクア「何でよー!!どうしてそんなにウチの子達を毛嫌いするの!?」

トニー「どうしてあんなカルト集団が好かれると思っているんだ?」

めぐみん『なら、景色はアルカンレティアに及びませんが、同じく温泉の街であるドリスはどうでしょうか?あそこならゆっくりできると思いますよ』

トニー「温泉の街か・・・悪くないな。風呂の中で焼酎でも飲めれば」

アクア「良いわねぇ!アルカンレティアじゃないのがちょっと不満だけど、お風呂でお酒が飲めるなら文句ないわ!」

めぐみん『今度は“くるま”じゃなくてちゃんと馬車で向かおうではありませんか。それから・・・』

419: ◆Ua1M3q7gGI 2018/11/10(土) 22:39:49.07 ID:czueKjoM0

--------すぐ近くの物陰



ゆんゆん(ど、どうしよう・・・戻ろうと思ったら、なんだかとても混じりにくい話してる・・・)

ゆんゆん(今私が出たらきっと気まずいよね・・・でも、このタイミングで出たら、もしかしたら誘ってもらえるかも・・・)

ゆんゆん(いやいや、いつもいるメンバーでも無いのに一緒に行ったら“えぇ~、なんで仲間でもないのにこの子ついて来てるの~?”って感じになりそうだし・・・)

ゆんゆん(でも、仲間で旅行かぁ・・・いいなぁ・・・)

ゆんゆん(私も・・・)ショボン…

フライデー『ゆんゆん様。私が話の中に入れるようにさりげなくサポートいたしましょうか?』

ゆんゆん「えっ・・・良いんですか?というか、私が今何考えてるか分かったんですか!?」

フライデー『表情と仕草にとてもよく出ていらしたので』

ゆんゆん「は、はずかしい・・・///」

フライデー『私は感情の無い人工知能です。お気になさらずに。ゆんゆん様はこのままボス達と合流して、普通にお話をしていてください。そのあとで私が・・・』


420: ◆Ua1M3q7gGI 2018/11/10(土) 22:41:06.14 ID:czueKjoM0

--------- ラボ 作業室 


めぐみん『・・・と、ドリスに向かう途中もこんな感じで楽しめそうなところがあると思うのですが、どうでしょう?』

カズマ「良い事思いついた。馬車でゆっくりと景色でも眺めながら、道中の湖にめぐみんに爆裂魔法を撃ってもらおうぜ。そんで、浮いてきた魚を捕まえてバーベキューしよう」

アクア「じゃぁ私は、出発する前日になったら肉屋のおじさんのところで高めの美味しい肉を買ってくるわね!トニーはお酒よろしくね!」

トニー「なんだか今朝仲間が殺されて撤退してきたとは思えない程気楽な会話だが・・・まぁ、この空気の方が良いんだろうな」

   スッ

ゆんゆん「ど、どうも、トニーさん。本を読ませてもらっていました。面白かったです」

めぐみん『おや?不法侵入者がいるようですね』

421: ◆Ua1M3q7gGI 2018/11/10(土) 22:41:43.60 ID:czueKjoM0

ゆんゆん「ひどい!私がいたの見てたでしょ!?」

めぐみん『見てましたが、いかんせん影が薄いので忘れてました。他の皆もそうだったと思いますよ?』

ゆんゆん「そ、そんなぁ・・・」

アクア「そ、そそ、そんなことは無いわよ!?私はちゃーんと覚えていたに決まっているじゃない!」

カズマ(やべぇ、頭からすっかり抜けてたなんて言えねぇ・・・どうしよう、旅行の話がもし聞かれてたら気まずい・・・)

トニー「僕の本はどれも科学の入門用とは程遠い専門書だらけだったと思うんだが・・・理解できたのか?」

ゆんゆん「はい、フライデーさんに所々分かりやすく教えてもらいながらですが、大体の内容は理解したつもりです・・・」

トニー「そりゃ凄い、さすがは紅魔族だな。あとで僕の書いた論文も見せてあげ・・・」ヴーッ ヴーッ

422: ◆Ua1M3q7gGI 2018/11/10(土) 22:42:52.03 ID:czueKjoM0

トニー「・・・ん?」

トニー(僕の端末にメール?今この世界で僕にメールを送れるのは・・・)ピッ

 【F.R.I.D.A.Y.:ゆんゆんが仲間になりたそうな目でこちらを見ています】

トニー「・・・」

トニー(フライデー、誰の影響でこんなおかしな事を言うようになったんだ・・・後でウィルスチェックを入れておこう。だがその前に・・・)

トニー「なぁ、みんな。ゆんゆんも誘うのはどうだ?旅は多い方が良いだろう?」

ゆんゆん「・・・!」

ダクネス「あぁ、そうだな。旅は多い方が良い」

ゆんゆん「!」パァッ…!


423: ◆Ua1M3q7gGI 2018/11/10(土) 22:44:09.28 ID:czueKjoM0

アクア「うんうん!元々誘うつもりだったのよ?決して忘れてたとか、そんなことは無いわ!!」

カズマ「そ、その通り!忘れて何ていなかったぞ!俺も誘おうとしたんだ!」

トニー「僕が思うに、君たちはもう黙っていた方が良いと思う」

ゆんゆん「あ、あの・・・私がいても迷惑になりませんか・・・?」

めぐみん『ほんっとうに面倒くさい人ですねあなたは!誘って貰ったんですから素直に喜べばいいではないですか!』

ゆんゆん「う、うん・・・そうだよね。ありがとうございます、皆さん。誰かに旅行に誘ってもらえるなんて本当に嬉しくて・・・このことは日記に書いて二重の鍵がかかった箱の中に大切に保管・・・」

カズマ「重てぇ!!遊びにならいくらでも誘ってあげるからもうそんなことすんな!こっちの心が折れそうだ!」


424: ◆Ua1M3q7gGI 2018/11/10(土) 22:44:50.89 ID:czueKjoM0

トニー「・・・」ポカン…

めぐみん『彼女はこういう人ですよ、トニー』

トニー「そ、そうか・・・友達がいないとは聞いていたが、ここまでこじらせていたとは・・・」

ゆんゆん「あ、あの・・・ところで、ずっと気になっていたんですけど・・・めぐみんの顔がそこの光る板に映っているのは・・・」

トニー「あぁ、モニターのことか?色々訳があって、めぐみんは僕のスーツを着て飛んでいる」

トニー「そして、今は遠くまで飛んで強力なモンスターに上空から爆裂魔法を撃ちこんで経験値を稼ぎに行っているところだ。僕のスーツは自動で動けるから、撃った後でも一人で帰ってこれる。便利だろ?」

ゆんゆん「スーツって、今朝ドラゴンに襲われたときに、トニーさんがソファーを変形させて装着してたやつの事ですか?」

トニー「正確にはソファーの内部にスーツが内蔵されたんだが。そう、そのスーツだ」


425: ◆Ua1M3q7gGI 2018/11/10(土) 22:46:11.84 ID:czueKjoM0

ゆんゆん「へぇ・・・ちょっとめぐみんが羨ましいです。あのスーツ、とてもカッコよかったので・・・」

カズマ(・・・なんだかんだ、ゆんゆんも紅魔族なんだなぁ)

めぐみん『あっ!面白いものを見つけましたよ!ちょっと地上まで近づきますね』

トニー「なんだ?フライデー、カメラモードをめぐみん視点に切り替えろ」

フライデー『了解しました』

   ヴンッ

トニー「ん?この生物はなんだ・・・」

アクア「あー!カモネギじゃない!しかも、すっごく大きな群れ!」


426: ◆Ua1M3q7gGI 2018/11/10(土) 22:47:17.06 ID:czueKjoM0

トニー「ネギガモ?」

アクア「カモネギよ!すごく美味しくて、高経験値なんだけど、その見た目の愛くるしさから他のモンスターに襲われないって言われているとっても可愛いモンスターなの!」

ダクネス「めぐみんがちょっとうらやましい・・・一匹持って帰って・・・」

カズマ「おい!ウチにはもうちょむすけと、孵化予定のゼル帝がいるんだぞ!いくら可愛くてもこれ以上は駄目だ!」

トニー「・・・確かに可愛い見た目をしているな、ペッパーが気に入るかもしれない。フライデー、その生物の3Dモデルを取っておいてくれ。自分の国に戻ったら、それを元に大きな人形を---」








めぐみん『『エクスプロージョン』ッッッ!!』


    カッ…
ズドァァァアアッ


427: ◆Ua1M3q7gGI 2018/11/10(土) 22:48:06.96 ID:czueKjoM0

トニー「」

カズマ「」

アクア「」

ダクネス「」

ゆんゆん「」





めぐみん『・・・めぐみんは、レベルが上がった』

428: ◆Ua1M3q7gGI 2018/11/10(土) 22:53:44.82 ID:czueKjoM0

ゆんゆん「ばかああああああああーっ!!!」

カズマ「お前ってやつは、お前ってやつはー!!」

アクア「わっ・・・わあああああーっ!めぐみんの鬼畜っ!カズマ!」

ダクネス「カモネギが・・・粉みじんに・・・!」

トニー「めぐみん・・・君は・・・人の心をなくしたのか?何か嫌な事でもあったのか?」

めぐみん『あんな経験値の塊を見たら、爆裂魔法を撃つしかないじゃないですか。あ、爆心地周辺にカモネギが残っていたら持って帰りますね。晩のおかずにしましょう』

トニー「・・・作業を進める気がなくなってきた」


433: ◆Ua1M3q7gGI 2018/11/18(日) 20:36:30.22 ID:+DLzC5/y0
......
....
..
.



三日後


 ガチャッ…


カズマ「うーっす」

めぐみん「お邪魔します、トニー。作業中でしたか?」

トニー「やぁ、カモネギスレヤー。今はカズマ用の新装備の調整中だ」

めぐみん「まだその名前で呼びますか!次カモネギスレイヤーと言ったら酷い目に遭わせますよ!というか、あれは立派なレベリングです。そんな目くじら立てるようなものでもないでしょう」

カズマ「安楽少女を討伐した時、俺の前で泣きわめいたことを謝れよ」

めぐみん「・・・で、ロキは今どうなっているのですか?ギルドは今大変な騒ぎになっていますよ?」

トニー「フライデー、今日のロキ情報は?」

フライデー『特に何もありません、ボス。配下の冒険者たちへの命令だけです』

トニー「ま、二日三日程度で何か大きな変化があるわけもないか・・・」カチャカチャ…

カズマ「今いじってるそれは?」 

トニー「君の籠手だ。敵に接近されたときに対処できるように小型の武器を取り付けようと思うんだが・・・なにか希望はあるか?」 

434: ◆Ua1M3q7gGI 2018/11/18(日) 20:37:42.98 ID:+DLzC5/y0

トニー「ちなみに僕のオススメは、この対装甲車両切断用振動バッドソード、タイプRだ」

カズマ「対装甲・・・なに?ずいぶん長ったらしい名前だけど、なんだか惹かれる名前だな・・・」

トニー「略称はRバッソー。エンジンで刃を高速振動させてどんな固いものでもスッパリ切れる」

アクア「ちょっと!ウチの従者を勝手に魔改造しようとしないで頂戴!カズマにはね、神器を手に入れてパワーアップだとか、覚醒だとか、そんなイベントは似合わないのよ!」

アクア「雑魚相手にいつまでも苦戦して、強敵相手には狡すっからい手で勝つのがカズマなの!もっとカズマらしい武器を与えてやりなさいな!」

カズマ「カエルに食べられる特典武器がなんか言ってるよ。トニー、武器についてなんだけどさ・・・そんな危なっかしい武器を素人の俺が使ったら巻き込みが怖いし、俺にはこの相棒がいるから、籠手は普通ので良いや」

トニー「相棒って、その腰に差している刀の事か?」

435: ◆Ua1M3q7gGI 2018/11/18(日) 20:38:59.33 ID:+DLzC5/y0

カズマ「そう、俺と共に数多の視線を潜り抜けてきた相棒・・・」

めぐみん「ちゅんちゅん丸!」

カズマ「違う!」

トニー「気に入ると思ったんだが・・・それじゃ、カズマの武器はこれくらいにしておいて、ダクネスの武器制作に入るとするか。と言ってもまぁ、既に取り掛かってはいるんだが・・・」

ダクネス「どうかしたのか?」

トニー「思った以上に盾の強度が高くてな。200ペタワットレーザーを一昨日から当て続けているが、まだ半分までしか切れていない」

ダクネス「なるほど、加工も困難な程の強度をほこる盾か・・・トニーが教えてくれたプレイは期待できそうにないな・・・」

カズマ「なんでちょっと残念そうにしてるんだよ」

ダクネス「し、してない・・・それにしても、もう神器を一つ改造し終えてしまったのか・・・本当に早いな。これならロキの計画がなんであれ、実行される前にまた攻撃しに行けるかもしれんな!」

436: ◆Ua1M3q7gGI 2018/11/18(日) 20:39:28.42 ID:+DLzC5/y0

トニー「鍛冶スキルのおかげだな。作業の速度が大幅に上がり、尚且つミスも減る。便利なことこの上ないね」

アクア「・・・カズマから鍛冶スキル教わったときは“そんな胡散臭いもの使ってたまるか”なんて言ってなかったかしら?」

トニー「ある程度魔法について科学的に解明した僕の目から見れば、胡散臭いものから便利なもの程度に映るようになったんだよ」

アクア「物は言いようね・・・そうやって詭弁をうまく使ってくるところは誰の影響なのかしら?」

めぐみん「トニーは最初と比べて変わりましたね。出会ったばかりの時は全てがめんどくさそうで、“早く進んでくれ”って妙な焦りと苛立ちの出た顔をしていましたよ」

めぐみん「・・・今となっては私たちが喧嘩しているところを見るとほくそ笑みながらお菓子食べたりしてますが」

トニー「実際早く進めたかったからな。君たちのコントが始まるたびにイライラさせられてたもんさ」

めぐみん「早く終わらせて故郷に帰りたいとかあるんですか?」

トニー「・・・中々鋭いな」


437: ◆Ua1M3q7gGI 2018/11/18(日) 20:40:03.20 ID:+DLzC5/y0

めぐみん「紅魔族は知能が高いのですよ。特に私は、その紅魔族の中でもトップクラスに---」

トニー「“僕に次いで”が抜けているぞ」

めぐみん「そういう傲慢で嫌味ったらしい所はまったく変わりませんね!次私の前でひけらかすような真似したら容赦しませんよ!」

カズマ「そういえば、お前って火力面も知能面もトニーに負けていよいよ存在意義の危機が迫って・・・いだだだだ!!分かった!お前は貴重なロリ枠だ!!存在意義もちゃんとあぐえっ!」ドゴッ

トニー「君のデリカシーの無さはいくらなんでもひどすぎるぞ。僕に負けたとしてもそこを突っ込んでやるなよ。彼女はまだ伸びしろがある若い子なんだからな」

めぐみん「負けてません!負けてませんよ!!いいですか!私はカモネギを吹き飛ばしただけではなく、この三日間毎日スーツで遠出し、あらゆる高レベルモンスターを爆裂魔法の贄にして、レベルが7つも上がりました!それをすべて威力向上につぎ込んだので、火力は私の方が上のはずです!」

トニー「そりゃいいな。今日の爆裂散歩で勝負しようか」


438: ◆Ua1M3q7gGI 2018/11/18(日) 20:40:35.23 ID:+DLzC5/y0

めぐみん「いいでしょう!今日こそ白黒はっきりつける時です!ボードゲームでも勝たせてもらいますよ!」

トニー「悪いが、神器の改造に丸一日費やすつもりだ。さすがにゲームに興じる程の時間は割けないな」

めぐみん「むう・・・ならばカズマ、あなたが私の相手をしてください」

カズマ「嫌だよ、絶対やらない。王様がテレポートで盤外に逃げたり魔法で盤がひっくり返されたりするゲームなんて誰がやるか。ゆんゆんに頼め。ギルドにでも行けば多分会えるだろ」

ダクネス「その神器と言うのはあの盾の事か?なら、ぜひ見学させてくれ。どんな改造が施されるのかこの目で見たいのだ」

トニー「好きにしてくれ。君たちはこのラボに登録してあるから、もう好きな時にここに入れるし、このラボの大体の所にはアクセスできるぞ」

トニー「それにしても、君たちの屋敷からここはずいぶん離れているはずなのに、ここ三日は毎日遊びに来るじゃないか。大変だろ?」

439: ◆Ua1M3q7gGI 2018/11/18(日) 20:43:34.18 ID:+DLzC5/y0

カズマ「めぐみんのアイアンマンスーツを使って、一人ずつめぐみんにおぶさって飛んで来てるんだよ。毎回往復すんの大変だと思うけど、これからも頼んだめぐみん」

めぐみん「普段みんなにおぶって貰っていますからね。それくらい構いませんよ」

トニー「それじゃ、爆裂散歩にでも行くか?」

めぐみん「そうですね。元々トニーを爆裂散歩に誘うつもりで来たので。行きましょう」

カズマ「おっし、弁当も持ってきてるから、昼飯は外で食って、晩飯はまたここで食おうぜ。キッチン設備が未来的で充実してるから料理スキルの使い甲斐がある」

トニー「スターク・インダストリーズ製の商品がいっぱいあるからな。当然だ」

カズマ「よし、それじゃ早速行こうぜ。あっ、あんまし動きたくないからそこそこ近場でな」

トニー「はいはい」

アクア「・・・あれ?そういえば、トニーのスーツは破壊されたはずよね。一体どうやって勝負するつもりなの?」

トニー「ちょっと新しい武器を試してみたくてね・・・まぁ、後でのお楽しみだ」

440: ◆Ua1M3q7gGI 2018/11/18(日) 20:44:20.63 ID:+DLzC5/y0
......
....
..
.


同時刻 王都 王城 謁見の間


  バンッ!

騎士A「アイリス様!アイリス様!非常事態です!」ゼー… ゼー…

?「無礼者!アイリス様は今この国に為に色々と考えておられるのだ!ドアを開ける時はきちんとノックをしろ!」

騎士A「申し訳ありませんクレア様!しかし、時を一刻も争う事態で・・・!」

アイリス「落ち着いてくださいクレア・・・何やら大変な事態のようですし・・・あの、一体何があったのですか?」

騎士A「それが・・・!魔王軍が王都近辺の平原に現れ、襲撃が仕掛けてきたのですが・・・」

クレア「それなら知っている。ついさっき魔王群襲撃警報を聞いたのだからな。今頃は冒険者と騎士団が向かい撃っているところだろう?」

441: ◆Ua1M3q7gGI 2018/11/18(日) 20:45:11.05 ID:+DLzC5/y0

騎士A「いえ、ですが・・・その・・・」

クレア「なんだ?歯切れの悪い。一体どうしたと言うのだ?」

騎士A「敵の部隊の中には魔物だけではなく、今まで行方不明になっていた冒険者が大勢混じっていまして・・・」

クレア「なんだって!?」

アイリス「・・・!」

騎士A「そのせいで騎士団も冒険者たちもパニックになり、さらにその混乱に乗じて、妙な兜をした怪しげな魔術師が次々と未知の魔術で冒険者を配下に・・・!」

騎士A「もうすでに戦況は絶望的で、このままでは防衛線が突破され、この街まで侵攻される可能性が非常に高いかと・・・!」

クレア「なんてことだ・・・!つい最近サトウカズマ一行が接触したとアクセルから連絡が入った新しい魔王軍幹部の情報と一致する・・・!アイリス様、いかがいたしますか!?」


442: ◆Ua1M3q7gGI 2018/11/18(日) 20:47:00.08 ID:+DLzC5/y0

アイリス「今の内に市民を全員避難させなさい!そして、もしそれが間に合わないというのなら・・・」

   ザッ

アイリス「私自ら戦線に赴き、少しでも時間稼ぎを・・・!」

クレア「な、なりません!アイリス様!あなたはこの国の王女なのですよ!?」

アイリス「だからこそです!ここで民を守らずして、この国の第一王女は名乗れません!」ダッ…

クレア「ちょっ!アイリス様!どこへ行かれるのですか!」

アイリス「宝物庫まで行って、聖剣を取ってきます!市民の誘導を頼みましたよ!」

クレア「いやいやいや!お待ちくださいアイリス様!レ、レイン!レイーン!!アイリス様を止めるのをお前も手伝え!」

レイン「は、はい!」

アイリス(お兄様・・・!私は信じているから・・・!お兄様なら、きっと嫌な顔をしながら、この国の危機を救ってくれると・・・!)

448: ◆Ua1M3q7gGI 2018/11/25(日) 21:14:21.36 ID:8GLUZasj0
......
....
..
.


夕方 爆裂散歩の帰り道


めぐみん「いい加減答えてもらいますよトニー!一体何だったのですかさっきのは!」

トニー「正式なプレゼンはそのうちする予定だ。君も招待するよ」

めぐみん「そういうことではありませんよ!なんで魔力もなければ、スーツを着ていたわけでもないのに地形を変えるほどの大爆発を起こせたのですか!?」

ダクネス「さ、さすがにアレはちょっとマズイぞトニー・・・もしさっきのアレが大量生産できるとなると国が放っておかないと思うのだが・・・」

トニー「大量生産もやろうと思えばできるが、さすがにアレを国には渡さない。使うのは僕だけだ。そもそもアレを使うのには結構面倒な手順がいるんでね。僕にしか使えないだろう」

ダクネス「ならいいのか・・・?いや、でも・・・デストロイヤーの比にならないほどの破壊兵器を個人が大量に保有できると考えると・・・」

トニー「出し抜くことばかり考えて、黒いものが渦巻いている国に渡す方がよっぽど危険さ。持っているのが僕だって考えると安全だろ?」

449: ◆Ua1M3q7gGI 2018/11/25(日) 21:15:07.35 ID:8GLUZasj0

アクア「余計に不安になるんですけど。トニーってば良かれとおもって作った物でなんか失敗してそうなんだもの」

トニー「・・・そんなことないぞ?」

めぐみん「何であれ、さっきの武器はもう撃たないでくださいね!あんなモノ使わなくてもこの私がいるのですから!」

トニー「僕がスーツで火力出すのは良いのに、さっきのは駄目なのか?君の爆裂魔法の威力までは届かなかったんだし、別にいいだろ?」

めぐみん「あのスーツはトニーだけの物でしょう?だから、あれは全てトニーの実力です。私も文句はありません。ですが、アレはその気になれば誰にでも操作できてしまうではないですか!」

トニー「いや、僕以外に使わせる予定は・・・」

めぐみん「そうでなくとも!トニーがもし心変わりして、国にアレを渡したら誰でも気軽に超火力が撃てるではないですか!」

トニー(面倒な奴だ・・・カズマ、助けてくれ・・・)チラッ…

カズマ「・・・!」


450: ◆Ua1M3q7gGI 2018/11/25(日) 21:16:18.05 ID:8GLUZasj0

カズマ「確かに、アレが量産されて、国の指示一つで爆裂魔法並みの兵器が連発できるような事態になったら、めぐみんはお役御免だもんな!そりゃ焦るか!」ケラケラ

めぐみん「そうなのですよ!あの兵器は封印するべきです!」

トニー(この男!)

めぐみん「良いですかトニー!あれを作る気ならこの私が爆裂魔法でラボごと消し去ってやりますからね!」

トニー「ったく、少しは認め・・・」ピタッ…

めぐみん「・・・トニー?どうしたのですか?いきなり目を丸くして・・・」


451: ◆Ua1M3q7gGI 2018/11/25(日) 21:16:49.97 ID:8GLUZasj0

ダクネス「む?エレベーター小屋の前に誰かいるな・・・誰だ?女性のようだが・・・」

カズマ(あれ?あの女性ってたしか前にホログラムで見た・・・)

トニー「ペッパー!」ダッ!

めぐみん「あっ!トニー!」

アクア「どうしちゃたのかしら?あんな血相変えて・・・あれっ?あそこに立ってるのって・・・」

ダクネス「と、とりあえず追うぞ!」ダッ



452: ◆Ua1M3q7gGI 2018/11/25(日) 21:17:16.75 ID:8GLUZasj0

----------------


トニー「ペッパー!」タタタ…

ペッパー「トニー・・・」

トニー「どうしてここに・・・?ここに来たということは、まさか君も・・・」

ペッパー「それは後でゆっくり説明するわ。それよりトニー・・・」スッ…

トニー「あー・・・キスか?もちろん嬉しいが、今はその・・・後ろの方で子供達が見てるだろ?それにほら、僕達最近上手く行って無いじゃないか・・・まぁ、大体は僕のせいなんだが・・・」

ペッパー「でも、今はこういう気分なのよ、トニー。ほら早く・・・」

トニー「・・・分かった。君がここにいる訳はさっぱり分からないが、君にとても会いたかったし、こうして会えて嬉しいよ」スッ…

453: ◆Ua1M3q7gGI 2018/11/25(日) 21:17:52.45 ID:8GLUZasj0



   グニャリ…






バニル「フハハハハハ!!そうかそうか!我輩もこうして貴様から悪感情を得るために会いたかったぞ!」

トニー「!!!!!?????」

バニル「愛しいソバカス娘かと思ったか!残念!!我輩でした!!!フハハハハハ!!ヒゲ中年の悪感情、大変に美味であ・・・こ、こらっ!仮面を剥がそうとするな!何故お前達は我輩の仮面に気安く触るのだ!」

トニー「よくも僕の一番大切なものを踏みにじってくれたな!謝ってくれ!なぁ、謝ってくれ!!」

バニル「あのパーティーに入ってから口調まで悪影響を受ける続ける男よ!先に我輩を馬鹿にしてきたのは貴様であろう!」


454: ◆Ua1M3q7gGI 2018/11/25(日) 21:18:42.31 ID:8GLUZasj0

トニー「だからと言って、やって良い事と悪いことがあるだろ!今度こんなマネしたら、次に送る武器はあんたに直にブチこんでやるからな!!」

バニル「そう熱くなるでない。熱暴走するぞ?アイアンマン!フハハハハハハハ!!!」

トニー「・・・で、来た目的はなんだ?わざわざここまで僕を馬鹿にしに来たってのか?」

バニル「貴様からあれだけの美味な悪感情を馳走になっただけでも十分来た意味があったものだが・・・本来の目的は・・・あれだ」クイッ

トニー「あそこに積まれている袋は・・・」

バニル「汝が頼んでいたものだ。何とかすべて手に入ったのでな、届けに来た」

トニー「無線で連絡すればよかっただろ。なんでわざわざ・・・?」


455: ◆Ua1M3q7gGI 2018/11/25(日) 21:19:59.56 ID:8GLUZasj0

バニル「ここまで重たい鉱石類を運んでやったのだぞ?少しは感謝してほしいものだ。なぁに、面白い未来が見えたものでな。ここに客人が来るのを見計らって我輩が先回りしていたというわけだ」

トニー「客人?誰だ?」

バニル「もう既に我輩がラボの中まで丁寧に案内しておいた。中に入って会うが良い」

トニー「・・・君に僕のラボへのアクセス権限を渡した覚えは無いんだが」

バニル「汝に化けて普通に通ったのだ。我輩の変身能力はついさっき見たであろう?指紋だろうが網膜だろうが関係無しである。暗証番号に至っては、見通す目を持つ我輩にとっては無いも同然だ」

トニー「フライデー、次はX線とDNAチェック、魔力探知もセキュリティに追加するぞ」

フライデー『了解です。ボス』


456: ◆Ua1M3q7gGI 2018/11/25(日) 21:21:15.05 ID:8GLUZasj0

   タタタ…


アクア「あーあ、遅かったわね。そこに立ってる女は薄汚い悪魔の仮の姿だって曇りなき眼で見抜いた私が教えてあげようと思ったのに」

カズマ「遠くから見てたよ、トニー。なんというかその・・・ドンマイ。アイツにあんなふうにかわれてきた奴は大勢いる」

トニー「滅ぼしたほうが良いんじゃないのか?」

アクア「大賛成」

ダクネス「気持ちは分かるが落ち着け。ところで、バニルは何の用で来たのだ?」

トニー「僕のラボに客人が来てるんだとさ」

ダクネス「客人・・・?クリスだろうか・・・」

めぐみん「とりあえず、まずは中に入って客人と言うのが誰か確認しましょう」

トニー「バニル、あんたはどうするんだ?」

バニル「我輩はこれにて失礼する。あの客人にはあまりかかわりあいたくないのでな」

トニー「・・・?」


459: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/01(土) 20:42:57.95 ID:H/3mFQ010
......
....
..
.


トニーのラボ


ガチャッ


カズマ「バニルが関わりたくないなんて言う客人なんて一体誰----」


  タタタ…


  「お兄様ー!」ガバッ


カズマ「うおおっ!?なんだなんだ!?」

アイリス「お兄様・・・!」キュッ…

ダクネス「アイリス様!?」


460: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/01(土) 20:43:34.81 ID:H/3mFQ010

カズマ「アイリス!?どうしてここに!?て言うか、その装備はなんだ?鎧に剣まで持って・・・」

アイリス「・・・」ギュゥゥ…

カズマ「ち、ちょっと苦し・・・」

めぐみん「ちょっと!いつまでくっついているのですか!私に見せつけているのですか!?そろそろ離れ・・・」

アイリス「・・・」グスッ…

めぐみん(泣いている・・・?)

カズマ「本当に・・・どうしんだよ、アイリス・・・」ナデ…

アイリス「お兄様・・・ベルゼルグが・・・この国が・・・」


461: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/01(土) 20:45:33.00 ID:H/3mFQ010

ダクネス「アイリス様、一体何があったのですか?」

クレア「・・・王都が陥落したのだ」

ダクネス「王都が!?クレア殿、それは本当か!?」

トニー「クレア、王都が落ちるなんてどんな敵が攻撃してきたんだ?」

クレア「奴だ。噂の新しい魔王軍幹部、ロキが現れて防衛線を一瞬で崩壊させたのだ。冒険者たちを配下に変え、混乱が生じている内になだれ込んできた」

トニー「・・・!」

カズマ「えっ、お前白スーツと面識があったの?」

トニー「それは後で説明するから今はお口チャック」 

クレア「貴様はまだ静かにしていろ、サトウカズマ」

462: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/01(土) 20:46:16.31 ID:H/3mFQ010

カズマ「・・・」

トニー「・・・で?」

レイン「市民の避難は完了しましたが・・・この国を守るために出撃した冒険者達や騎士団は皆・・・ロキの配下に・・・今は魔王軍の魔物たちと一緒に王城の防衛にあたっています」

ダクネス「おい、トニー!ロキの動きは把握しているのではなかったのか!?」

クレア「なに!?スターク殿、どういうことか説明してくれ!」

トニー「奴の体に発信機・・・まぁ、位置がわかる道具をくっつけていたはずだが・・・」

トニー「フライデー、ロキは今どうなっている?追跡装置が故障でもしたか?」


463: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/01(土) 20:46:49.27 ID:H/3mFQ010

フライデー『いえ・・・正常に作動しているはずですが・・・少々お待ちください、これは・・・』

フライデー『ボス、ロキが洗脳した冒険者たちに行っていた命令の声紋パターンを分析してみました。結果は・・・』

トニー「いや、言わなくていい・・・してやられたか・・・」ハァ…

アクア「えー・・・っと、つまりどういうこと?」

めぐみん「ロキは自分の声が盗み聞きされているのを逆手に取って、録音なりなんらかの方法を使ってヴォーミアでまだ冒険者たちに対して命令を下しているように見せかけていた・・・ということでしょう?トニー?」

トニー「そういうこと。僕の失態の詳しい説明をしてくれて助かるよ」

クレア「アイリス様は・・・市民が逃げるまでの時間稼ぎと仰せになり、装備を整えて前線まで赴こうとしたのだが・・・」

レイン「・・・アイリス様の命令を無視して、私がクレア様と共にこのアクセルまで強制的にテレポートさせました。アイリス様、どんな罰でも受けます。ですが、どうかこれがアイリス様を守るための物だったとご理解ください・・・」

464: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/01(土) 20:47:15.59 ID:H/3mFQ010

クレア「いや、テレポートしろと言ったのは私だ。だから罰は私が受ける」

アイリス「・・・いえ、策も無しに敵に向かっていった私があまりにも無謀でした。二人とも、私を助けてくれてありがとう。私はもう、大丈夫です」スッ…

カズマ「なんだ、もういいのか?もっとお兄ちゃんにくっついていてもいいんだぞ?」

アイリス「い、いえ・・・その、もう恥ずかしいので・・・///」

カズマ「遠慮するなって、もっとお兄ちゃんの腕の中に」

クレア「・・・」チャキッ…

カズマ「ごめんなさい嘘です。無言で抜剣しないでくれ!!」

465: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 20:48:15.81 ID:H/3mFQ010

クレア「で、スターク殿。なにか提案はあるのか?」

トニー「・・・すぐさま王都を取り返すとはいかない。準備する時間が必要だ」

アイリス「我々もあれだけの強敵からそう容易く王都を奪い返せるとは思っていません。具体的にはどれくらいでしょうか・・・?」

トニー「・・・一週間ってところだ」

クレア「一週間か・・・」

レイン「勝算はおありですか?」

トニー「作戦は今の所考えていない・・・が、作戦立案には適した奴がいるじゃないか」チラッ

ダクネス「そうだな」チラッ

めぐみん「そうですね」チラッ

アクア「こういう時の為のカズマさんじゃない」チラッ

466: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/01(土) 20:49:32.83 ID:H/3mFQ010

カズマ「はぁ・・・こうなるだろうとは思ってたけどさ・・・トニー、お前一応この中で一番賢いんだろ?俺よりいい案浮かばないのか?」

トニー「一応ってなんだ、一応って。確かに僕は天才だが、君ほどのリーダーシップは無いし、作戦を立てた経験もない」

トニー「君は嫌らしい想像力を働かせて、僕は持てるだけの科学力を持って君が考えた策を実現させる」

カズマ「俺を褒めるのか貶すのかどっちかにしろよ」

アイリス「とりあえず、まずは王都の現状を知る必要があるでしょう」

クレア「でしたら、王都に最も近い町からの偵察隊を・・・」


467: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/01(土) 20:50:50.18 ID:H/3mFQ010

トニー「必要ない。ステルスドローンを使おう。これで王都の様子を探れるはずだ」


   フィィィィイイン…


クレア「い、一体なんだこれは・・・?」

カズマ「おいおい、ついさっき追跡装置を使って出し抜かれたって言うのに、また機械で探るのか?」

トニー「命の危険を冒して人を派遣して戻ってこなくなるよりはいいだろ?今回はロキにも気が付かれないように遠距離から観察してやるさ」

トニー「よし・・・早速取り掛かるぞ。一週間でスーツと君たちの装備を完成させて、王都を取り戻してやる」



472: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/08(土) 20:38:51.68 ID:OhKAt61J0
......
....
..
.



翌日 トニーのラボ



トニー「参った・・・」ゴロンッ…

めぐみん「なんでもう音を上げているのですか!昨日の威勢はどこへ行ったのですか!?今のあなたを見たら、居住区で寝泊まりしてるアイリスたちの気が病みますよ!」

トニー「コロナタイトの成分解析、構造解析はできてもプログラムに組み込むことができない・・・」

トニー「組み込んだら解読不可の電気信号のようなものが流れて回路全体に強制的にロックがかかってしまう・・・まるで科学が魔力そのものを拒んでいるかのようだ・・・」

ダクネス「“のようなもの”?定かではないのか?」

トニー「正体不明だ。おそらくは魔力だろうが・・・見たこともないパターンだ」


473: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/08(土) 20:39:55.17 ID:OhKAt61J0

トニー「魔力を可視化する時は固定化されたパターンがあって、残存した魔力から何時、何の魔法をどれだけの魔力を込めて使ったのかさえ分かるんだが・・・機動要塞デストロイヤーは一体どうやって動いていたんだ?」

アクア「ふむふむ・・・つまり、魔力を理解したつもりが理解できていなかった。井の中のジャイアントトードだったって訳ね!」

カズマ「色々おかしいだろが!邪魔にならないようにお前はこっちでなんか飲んでろ!」グイッ

アクア「何でよー!私にもなんか頭が良さそうに見えるセリフを言わせてよー!」ズルズル…

トニー「人にはそれぞれ得意分野があるんだ。できない事はするもんじゃないぞ?君は宴会芸でもして僕らの士気を上げるなりしててくれ」

カズマ「で、何が飲みたい?ほら、注いでやるから自分で歩け」

アクア「・・・お酒」

カズマ「はいはい」

  ズルズル…


474: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/08(土) 20:40:44.48 ID:OhKAt61J0

めぐみん「・・・で、要するに、コロナタイトの中にある力の流れが見えず、スーツに組みこむことが出来ないということですね?」

トニー「そうだ。パターンさえ見つかればなぁ・・・」

めぐみん「トニーを馬鹿にするわけじゃありませんが、もしかしたらアクアの言うことにも一理あるかもしれませんね」

トニー「魔術への理解が足りないって?」

めぐみん「えぇ。ここは、魔術に長けた者を呼び集めてコロナタイトの性質を理解しましょう」

トニー「・・・そういえば君って・・・」

めぐみん「なんですか?私はもちろん魔術に長けていますよ?学年一位だったのですから」

トニー「・・・」

475: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/08(土) 20:41:40.69 ID:OhKAt61J0

めぐみん「おい、言いたいことがあるなら聞こうじゃないか!爆裂魔法以外使えないからと言って、知識も無いというわけではありませんからね!!」

トニー「だといいんだが・・・まぁ、君やアクアの言う通りだ。僕より専門家がいた方が良いだろう。知識がありそうなのに心当たりが・・・」ピッピッ… ピピ…


 ピピピ… ピピピ…

    ガチャッ



バニル『バニルである。なんだ?』

476: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/08(土) 20:44:53.06 ID:OhKAt61J0

トニー「やぁ、バニル。あんたにちょっと頼みたいことがあるんだ」

バニル『すまぬ、どうやら電波の状況が悪いようだ。もう一度頼む』

トニー「だから、あんたに頼みたいことがあるんだ。協力してほしい」

バニル『聞こえんな?もう一度頼む』

トニー「・・・あんたの力が要る。この前はからかって悪かった。だが今は一刻を争う危機で、嫌がらせの応酬をしてる場合じゃない。長年生きた悪魔の知恵が必要---」

バニル『まぁ、我輩は留守なので何を言っても聞こえぬのだが』

トニー「・・・は?」

バニル『電話に出ているかと思ったか?残念!!留守番電話でした!要件があれば我輩の素敵な笑い声の後に伝言をどうぞ!』

バニル『フハハハハハハハハハハハハハハハ----』


   ブチッ


トニー「・・・」クルッ…

   スタスタ…

めぐみん「・・・トニー?どうしたのですか?そっちは出口ですよ?」

477: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/08(土) 20:46:08.33 ID:OhKAt61J0




トニー「ちょっとバニルを滅ぼしてくる」

めぐみん「一体なにがあったのですか!?」



......
....
..
.


数時間後


バニル「よもやあの機動鎧も無しに殴りこみに来るとは、この我輩でも見通せんかったぞ」

ウィズ「あんなことをされたら誰でも怒りますよ・・・」

トニー「まぁ、その話は置いといて・・・要件はさっき話した通りだ。協力してくれるか?」

ウィズ「えぇ、喜んで。トニーさんがウチに商品を置いてくれるようになったおかげで固形物が食べられるようになったんですよ!」

トニー「そ、そうか。それは良かった」


478: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/08(土) 20:46:54.10 ID:OhKAt61J0

バニル「まぁ、なんだかんだ言って汝は商売相手であるし、この世界がヘンテコ兜をかぶったヘンテコ神に乗っ取られるのもつまらん。奴を倒す手伝いならやってやろう」

トニー「助かる」

ゆんゆん「私も微力ながら協力します!仲間の為に!だよね!めぐみん!そのために私を呼んだんだよね!」フンスッ

めぐみん(戦力を増やしておきましたよ、トニー)グッ

トニー(またいいように使われているな・・・だが・・・)

トニー「心強いな。まずコロナタイトの性質を調べるにあたって、僕がどこまで理解しているのかの説明をしたい」

479: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/08(土) 20:48:26.42 ID:OhKAt61J0

バニル「どうせ間違っているのだから必要ない。それより早くコロナタイトを見せるが吉。我輩がパパっと性質を解いてやろう」

ウィズ「ちょっと待ってくださいよバニルさん。ここは魔道具店店主の私の勘と知識にお任せを・・・」

めぐみん「私だって学園で色々習っているのですから。まずは私に見せてくださいよ。学園随一の知能ですぐに性質だって理解してやりますよ」

ゆんゆん「あっ!負けないわよ、めぐみん!私だって学校でずっと一人だった間に、図書室でいろんな本を読み漁って知識を蓄えてたんだから!」

アクア「ねぇ、ゆんゆんって呪いの使い手じゃないわよね?なんだか心が重くなってくるんですけど。それよりも、この私も混ぜなさいな!女神の勘と知識を総動員して導いてあげる!」


 「「「結構(である)です」」」


アクア「何でよー!!」ワッ!

480: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/08(土) 20:49:07.42 ID:OhKAt61J0

カズマ「お前引っ込んでろって言っただろうが!何しに来たんだ!戻ってこい!」

アクア「いやーっ!女神らしいことしたいの!世界を救うお手伝いをしたいの!!」

カズマ「いいから来い!」グイッ

トニー「・・・」







トニー「ぼくさっそくまちがえたかもしれない」

ダクネス「・・・」ポンッ

トニー「何で慰めてるんだ?あんたは僕の悩みの種でも特にデカい方だからな?」

ダクネス「!?」

483: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/16(日) 21:43:22.31 ID:2SfUqK7t0
......
....
..
.


トニーのラボ 実験室



バニル「ふぅむ・・・」

トニー「何か分かったか?」

バニル「一応聞いた汝のコロナタイトについての仮説だが・・・まぁ、所詮は人間がたどり着ける程度の領域だ。見てはいるが、観察はしていないといった所だな、四十五点!」ニヤリ

トニー「特定できていない部分があるってことか?胡散臭い存在特有の抽象的な意見じゃなくて、もっと具体的な助言を言ってくれると助かるんだが。やっぱり肝心な時に限って君の目は見えなくなるのか?」

484: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/16(日) 21:44:13.24 ID:2SfUqK7t0

バニル「・・・おぉっ!見える!見えるぞ!貴様がまた我輩に騙されて悪感情を献上する未来が!!」

トニー「あ、ウィズ。この間君が店に並べていた僕の改造されたアイテム達だが・・・あれはすごくいいものだ、これからもぜひ続けてくれ。君の商売センスは最高だ」

ウィズ「やっぱりそうでしたか!聞きましたか?バニルさん!当の本人が言っ」

バニル「待て!ウチのガラクタ店主を唆すでない!店が潰れるわ!貴様何考えておるのだ!!」

トニー「君が困ることだ」

ゆんゆん「あ、あの~・・・喧嘩はやめた方が・・・」オロオロ…

めぐみん「ここはゆんゆんの言う通りですよ。こんなことをしてる場合ではないでしょう」


485: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/16(日) 21:45:14.61 ID:2SfUqK7t0

ウィズ「えっと、バニルさんはあんなこと言ってますけど、魔術の知識は本で得たばかりにも関わらず、もう既にここまで理解してるのは十二分に凄いですよ?」

ウィズ「間違いなく手に入れてから三日程の今日までで、人類史で百と数十年分の解析が進んでいると思います」

ゆんゆん「こうして実物を見ると、とても複雑な存在だってことがわかるね・・・普通のマナタイトなんかとはもはや別の存在みたい」

めぐみん「そうでなければ永い間デストロイヤーの動力源は務まらないでしょうね」

トニー「僕の新スーツの動力源もな」

ウィズ「おそらくですが・・・常に魔力が変動しているんだと思います」

トニー「変動?」

バニル「コロナタイトは永遠に燃え続けると言われている伝説級の鉱石。中に秘められている魔力は“たくさんある”だとかそんな次元の話ではない。文字通り無限である」


487: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/16(日) 21:46:18.92 ID:2SfUqK7t0

ゆんゆん「でも、実際に目の前にして見てみると、コロナタイトからは無限に湧いているっていうより、なんだか中身で渦巻いているって感じの魔力の流れを感じますね・・・」

めぐみん「それがウィズの言う“変動”というやつでしょう魔力を作り出しては内部で複雑に魔力を分散させ、暴発を防いでいるのではないでしょうか」

めぐみん「それならコロナタイトを前にしてあふれんばかりの魔力を感じるのも納得がいきます」

バニル「まるで魔龍や亜神と言った高レベルの魔物のようであるな」

トニー「成る程。決められた数式とプログラムで動かそうとするとフリーズするのも当然だな。僕は常に形状が変化する鍵穴を開けようとしてたって訳だ」

めぐみん「ふふ、どうやら謎は解けたみたいですね・・・まぁ、これだけの者が揃っているのです。この結果もまた必然・・・!」

ウィズ「お力添え出来たのなら幸いです」ニコッ

トニー「まだ解けたとは言えないな。あくまでも解き方が分かっただけだ」

ゆんゆん「これからどうするんですか?」

トニー「鍵作りだ。これからコロナタイトの性質変化に合わせたプログラムの開発をする。ゆんゆん、君確か科学の知識を得ていたよな?」

ゆんゆん「はい!お手伝いしますね!

トニー「よし、早速取り掛かろう。並行して皆の装備の開発もしないとな」

トニー「フライデー、映像記録を取れ。録画スタート」

   ピッ…







488: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/16(日) 21:47:07.22 ID:2SfUqK7t0
......
....
..
.



コロナリアクター製作開始から 三日後・・・


トニー「ダクネス、君にちょっとしたプレゼントがある」

ダクネス「・・・プレゼント?わ、私にか?一体・・・」

トニー「カズマ」

カズマ「ララティーナお嬢様、お手を拝借」グイッ

   チャキッ

ダクネス「へ---」

  バスッ


489: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/16(日) 21:48:46.14 ID:2SfUqK7t0

ダクネス「痛っ・・・!な、なんだ今のは!?/// まるで小さな針を体にチクチク刺していくかのような・・・!新感覚、新感覚だ・・・!も、もう一回・・・!」

カズマ「どうだ?フライデー」

フライデー『失敗です。弾かれました』

カズマ「・・・トニー、大変だ」

トニー「これほどとはな・・・さすがの僕でも予想できなかった」

ダクネス「なんだ・・・?なんで二人共そんな残念そうな顔をしているのだ・・・?」

トニー「今君の体に撃ち込んだのはマイクロチップだ。これと今制作中の盾を連動させ、“自動で攻撃から使用者の身を守る”っていう神器に元あった効果を再現できないかと思っていたんだ」

カズマ「まぁ・・・どうなったかは見ての通りだよ。お前の筋肉が固すぎてマイクロチップが腕の中まで入っていかない」


490: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/16(日) 21:50:38.41 ID:2SfUqK7t0

ダクネス「き、筋肉が固いとかいうな!私はクルセイダーなのだ!多少は固くて当然だろう!」

トニー「マイクロチップを跳ね返す筋肉を“多少”固いじゃ済ませられないだろう」

ダクネス「大体!何故許可も無しに私の体に変なモノを植え付けようとしてるんだ!そういうプレイは断ってからにしろ!金も払う!」

カズマ「お前は一体何を口走ってんだ、ド●●●クルセイダー!お前が盾役こなせないと俺たちの命にかかわってくるんだよ!トニー、なんか手は無いか!?」

トニー「体をスキャンして腕のもっとも筋肉が薄い層に撃ち込もう」

ダクネス「ま、待ってくれ!自動で攻撃を防げるようになって何が面白いと言うのだ!ただ構えて耐えるよりも面白くないではないか!私は嫌だからな!」ダッ!

カズマ「おい逃げんな!」

トニー「こうなることは予想済みだ、カズマ。予定通りバインドで動きを止めろ!」

カズマ「ゲヘヘ!!お嬢様!どうか抵抗なさらずに!!『バインド』ッッッ!!」シュルッ…


491: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/16(日) 21:51:32.54 ID:2SfUqK7t0

ダクネス「何故腰に紐をぶら下げているのかと思ったらそういうことか!この卑怯も---」

  ヒュンッッ

ダクネス「あぁんっ!!///」ギュルルッ ドサッ

カズマ「観念しろダクネス!お前は今から体をいじくりまわされるんだよぉ!ゲッヘッヘ!!」

ダクネス「くっ、殺せ!なんてことだ・・・こんな風に何もできぬまま縛られるなんて・・・屈辱だ・・・ハァハァ・・・///」

トニー「ほーら、ララティーナ。おとなしくしてないと逆に痛くなるんだぞ?力を抜いてリラックスしてろ、すぐに済ませてやるから」

ダクネス「た、頼む!そんな邪悪なモノを私に近付けるなぁ!/// もし私の体を自由に操れるようにしたとしても、心までは自由にできるとおもうな!///」

カズマ「トニー!こいつ自分でどんどん力を弱めていくぜ!とんだ欲しがりめ!オラッ!こいつをお前にブチ込ん---」

めぐみん「なにをしているのですか、あなた達は」

アイリス「お兄様・・・?ララティーナ・・・?それに、スタークさんまで・・・一体何を・・・?///」


   「「「!?」」」



492: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/16(日) 21:52:29.43 ID:2SfUqK7t0
......
....
..
.


コロナリアクター製作開始から四日後・・・


トニー「・・・」

アクア「なにしてるのトニー?そんな悩んだ顔をして」

トニー「・・・また少し行き詰ってな。コロナタイトのエネルギーの流れの可視化から、コードとして表記させるところまでは出来たんだが・・・このコードから意味を見出すことが出来ない」

トニー「全くの未知のコードの羅列からどうやって意味を見出せって言うんだ?」

アクア「昨日あんなふうにくんずほぐれつしてたのはてっきり余裕があるからだと思ってたわよ。トニーったら大丈夫なの?」

トニー「くんずほぐれつとか言うな。ちょっとクルセイダーとしての力を上げてやろうかと思っただけだ」

トニー「君こそここでモニターを眺めて何やっているんだ?君の顔に考え事は似合わないぞ」


493: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/16(日) 21:52:58.70 ID:2SfUqK7t0

アクア「なーんかこの画面ひっかかるなって・・・いや、ちょっと待って。今なんて言ったの?」

トニー「引っかかる?どういう意味だ?」

アクア「今新しい引っかかりが増えたんですけど」

アクア「まぁいいわ。あのね、なんだかこのズラッとした文字の並び方に見覚えがあるの」

トニー「どういう所で見た記憶がある?」

アクア「うーんと・・・どこだったかしら・・・少なくともこの世界じゃないわ。多分天界で・・・ハッ!」

アクア「ああああっーー!!」

トニー「なんだ急に!驚くだろ!これで昼ごはん食べるの忘れてたとか言ったら部屋から放り出すからな!」

アクア「言うわけないでしょそんな事!ちゃんとツナマヨおにぎり食べたの覚えてるわよ!そうじゃないの!これに似た文字の並びを思い出したのよ!」


494: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/16(日) 21:54:45.16 ID:2SfUqK7t0

アクア「これ、日本から転生する人の頭にこの世界の言語知識を覚えさせるときに展開する魔法陣の並びとよく似てるの!」

アクア「詳しくは私もよくわからないんだけど、記憶をいったん展開して読み書きができるという事実を上書きするなんて言ってたのを覚えているわ!私、難しい話は嫌いでいつもは聞かないんだけど、その時丁度似たような能力を使うバトル漫画を見てて、なんだか覚えているのよ!確か名前はヘブンズ・・・」

トニー「いや、そこまでで十分だ。そうか、記憶を展開した魔法陣か・・・」

トニー(待てよ・・・科学技術ってのは積み重ねで出来ていくものだ・・・魔術だって調べてみれば科学の似たり寄ったりな部分はあった・・・大本は同じなんじゃないか?)

トニー(記憶のコードと似ているというなら・・・もしかしてこのエネルギーは単純なリアクターなどから発せられるものとは全くの別物なんじゃないか?意志に似た何かが・・・)

   ----『まるで魔龍や亜神と言った高レベルの魔物のようであるな』
   ----『常に形状が変化する鍵穴を開けようとしてたって訳だ』
   ----『これは頭脳だ・・・物を考えている・・・』

トニー「---!」


495: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/16(日) 21:56:09.69 ID:2SfUqK7t0

トニー「フライデー、コロナタイトのコードの中に、君のオペレーションマトリックスとメモリーコードとの類似性が無いか確認してみてくれないか?」

フライデー『検索中・・・』

  ピッ… ピピッ…

フライデー『検索完了。ボス、コロナタイトのコードの中に私との類似性が2.3%存在しました』

トニー「やっぱりだ・・・!コロナタイトはロキの杖の中に入っていた石に似ている・・・人工知能に近い・・・!これなら、類似性を持つフライデーを元に制御できるプログラムの開発ができる・・・!」

トニー「愛してるぞアクア!これで完成への道のりが見えた!」

アクア「へぇえぁ!?何急に告白してるの!?トニーってばおかしくなっちゃったの!?」

アクア「そ、その・・・ごめんなさいトニー、私はあなたの気持ちには答えられないわ。だって、私は女神だから・・・」

トニー「はぁ!?ちょっと待て!そういう意味で言ったんじゃない!」

アクア「でも、この見目麗しい女神に怖気つかずに告白してきたその勇気はほめてあげるわ!馬小屋で一緒に寝てたのに照れ隠しで興味ないとか言っちゃうカズマなんかとは大違いよ!」

アクア「というわけで私は告白されたって自慢してくるわね!きっとみんな驚くわ!」ダッ!

トニー「だから待て!おい!」




501: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/25(火) 23:28:23.94 ID:VilBacMO0
......
....
..
.


コロナリアクター 製作開始から五日後・・・



トニー「ゆんゆん、そこのリパルサー・トランスミッター組み立てといてもらえるか?」カチャカチャ…

ゆんゆん「はい!」

トニー「助かる。まさかこの国でエンジニアの助手が得られるとは思っていなかった」ジジジ…

ゆんゆん「まだ齧った程度なので、あまりあてにはしないでください・・・」

トニー「わからないところがあったらフライデーに聞けばいいさ」

502: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/25(火) 23:28:53.48 ID:VilBacMO0

ゆんゆん「いえいえ、ずっとお世話になっているのにこれ以上頼めませんよ」

トニー「・・・ずっとお世話に?」

ゆんゆん「はい、トニーさんに貰った端末でいつもメールの相手してくれたり、宿でトニーさんから借りた本を読んでくれたり・・・とても優しくしてもらっています!」

ゆんゆん「フライデーさんは・・・大切な・・・その・・・」

フライデー『私はあなたの友人ですよ、ゆんゆん様。友人にはいつでも頼ってください』

ゆんゆん「フライデーさん・・・!」パァッ…

トニー(彼女の友達の殆どが人間じゃないってことは黙っておくべきなんだろうな、きっと)


503: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/25(火) 23:29:49.01 ID:VilBacMO0

フライデー『ところでゆんゆん様、必殺技の開発は順調ですか?』

ゆんゆん「あぁっ!い、今その話はちょっと・・・!」アタフタ

トニー「君必殺技作ってるのか?Wow、やっぱり君も紅魔族だな」

ゆんゆん「え、えっと・・・その・・・めぐみんは爆裂魔法なんて特大の必殺火力を持っていて・・・」

ゆんゆん「私は色々な魔法が使えますが、イマイチ決定打になるような技を持っていないので・・・そういうのが欲しいなと・・・」

トニー「決定打になるような高威力の攻撃手段か・・・そうだな、何かアイテムに頼るか・・・もしくは魔法で化学反応を再現して簡単な爆発を起こしてみるか・・・とかか?」

ゆんゆん「魔法化学反応の再現!それ素敵ですね!」

トニー「それじゃ手を動かしながらでも君に魔法で再現できそうな爆破方法をいくつか考えて行くとしようか」

ゆんゆん「はい!」






めぐみん「・・・」

カズマ「あの二人、仲良さそうだな」

504: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/25(火) 23:30:38.71 ID:VilBacMO0

アクア「ああ見えて意外と世話好きなのかもしれないわね」

ダクネス「どうしたのだ?めぐみん。さっきから黙って二人を遠巻きに見つめて・・・」

カズマ「これが●●られか・・・」

めぐみん「あんな歳の離れた男相手に●●られとか言ったらシャレになりませんよ!・・・違います、頃合いを見計らってるだけですよ」

カズマ「頃合い?てか、さっきから気になってたんだけど、お前が手に持ってるその六角形のレンズみたいなのはなんだよ?」

めぐみん「・・・そろそろですね」スッ…


   スタスタ…
 


505: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/25(火) 23:32:28.77 ID:VilBacMO0


トニー「よし、あとは胸部に熱可塑性レンズを組み込んだら・・・」


  ゴトッ…


トニー「・・・なんだめぐみん、どうしたんだ?」

めぐみん「組み込むならこっちの方が良いですよ」

トニー「これは・・・」

めぐみん「私特製の熱可塑性レンズとリパルサー・トランスミッターです。コロナタイトのエネルギーを射出するのであれば、魔法金属の割合を私なりに改良したこちらの方が魔力伝導率が上がると思いますよ?」

トニー「・・・」

トニー(確かに・・・これを組み込んだ方がユニ・ビーム、リパルサー・レイの威力が増すし、巡航速度も最大速度も上昇する・・・)

トニー「・・・やるじゃないか。コロナリアクター開発の糸口発見に浮かれすぎてトランスミッターの調整をミスしていたか・・・助かった。というか、一体どこで機械工学の知識を得たんだ?」

めぐみん「作業を見てたら理解できましたよ・・・言われた通りに作ることしかできないゆんゆんとは違うのです・・・フッ」ドヤッ

ゆんゆん「なぁっ・・・!」




カズマ「ああやって自慢する為にわざわざ良いタイミングが来るまで待ってたのか・・・うわぁ」 


506: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/25(火) 23:33:13.06 ID:VilBacMO0
......
....
..
.



コロナリアクター製作開始から六日後・・・



Mk.46「」

トニー「完成まであと一歩ってところだな。いくつかテストをしたらそれで終わりだ」

カズマ「おぉ・・・かっこいいな。」

クレア「また凄い兵器を作ったな、スターク殿。この鎧は前とどう違うのだ?」

カズマ「また”?前になんか作ったのか?」


507: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/25(火) 23:35:39.09 ID:VilBacMO0

トニー「大したものじゃ無いさ。騎士団に配備できる対モンスター用の兵器をいくつか渡しただけだよ」

カズマ「あぁ、顔見知りなのはそういう取引をしてたからなのか」

トニー「クレア、繰り返し言ってるし、わかっているとは思うが・・・」

クレア「だ、大丈夫だ。人間相手には決して使わない、約束する」

トニー「それでいい。もし破ったら兵器ごと吹っ飛ばすと、王都を奪還したら他の連中にも伝えておけ」

ダクネス「トニー!!国家を脅すな!無礼にもほどがあるぞ!も、申し訳ないシンフォニア卿・・・!無礼千万だが彼はあれで正気なのだ・・・」

クレア「いや、構わん。彼のおかげで騎士団の死亡率が劇的に下がったのだ、文句は言えん・・・」

カズマ(あれ・・・?もしかしてトニーがこのまま俺のパーティーに居続ければ、国家に対してさらなるコネが出来て、結果的にアイリスとよく会えるようになるんじゃないか?)

カズマ「トニー、これからもよろしくな!」ニコッ

トニー「カズマ、僕は金やコネ目的で近付いてくる人間の顔を今まで嫌というほど見てきたんだ、もっと上手くやれよ?」ニコッ

カズマ「すいませんでした」


508: ◆Ua1M3q7gGI 2018/12/25(火) 23:36:27.97 ID:VilBacMO0

ダクネス「お、お前・・・」

アイリス「それにしても、スターク様の技術力は一体どうなっているのですか?ここに来てから驚かされてばかりです」

トニー「だろうな。僕が技術提供をして、あと半年もしないうちにこの国の技術力を第二次産業革命レベルまで進める予定だ。再来年辺りには、君はスマホ片手にツイッターで“会食なう”ってつぶやいてるかもな」

アイリス「すまほ・・・?ついったー・・・?」

カズマ「おいやめろ」

トニー「ただのジョークさ」

カズマ「お前の場合ジョークに聞こえないんだよ・・・」


518: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/04(金) 21:11:25.40 ID:9UKuwppZ0


 
   ガチャッ


めぐみん「おはようございます・・・おや、スーツが完成したのですね?」

アクア「ムニャ・・・おはよー・・・」

トニー「まだだ、いくらか調整した後に稼働実験をする。おいアクア、顔洗ってこい、酷い顔だぞ。これから映像を撮るんだ、もっとマトモな面構えにしろ」

アクア「ダミー・・・顔拭いてちょうだい・・・」ウトウト

ダミー「」キュイッ… ゴシゴシ

アイリス「あの、鎧に名前は付けないのですか?」

519: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/04(金) 21:15:17.58 ID:9UKuwppZ0

トニー「名前?」

アイリス「神器級の武器や防具には大抵名前が付いているものです。私がここに持って来た剣にも、なんとかカリバーって名前が・・・」

トニー「忘れてるじゃないか。しかし名前か・・・まぁ、特別なスーツだし、名前を付けるのも悪くないか」

めぐみん「フッ・・・実は、こうなることを予想して魔法のかかった札を用意しておきました」ピラッ

トニー「ずいぶん用意が良---」

  スタスタ….
    ペタッ

めぐみん「・・・そして、名前も考えておきました」


  【Mk.46 てつてっつん】


トニー「」

520: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/04(金) 21:16:10.66 ID:9UKuwppZ0

カズマ「あーあ・・・」

トニー「なぁ・・・カズマ・・・」

カズマ「言っておくが、外せたら俺の刀は“ちゅんちゅん丸”なんて悲しい名前になってない。あきらめろ、お前の新スーツの名前は“てつてっつん”だ」

アクア「あははは!!それ聞いて目が覚めたわ!可愛い名前になって愛着湧くんじゃないの?プークスクス!!」

トニー「・・・」

めぐみん「おい、私のネーミングセンスに文句があるなら・・・あ、あの・・・ごめんなさいトニー、私が悪かったので至近距離でガンつけないでください。ものすごく怖いです」

トニー「今度こんなマネしてみろ、爆裂魔法を撃とうとする度に強烈な吐き気と頭が割れるような頭痛に襲われる装置を作ってあんたに取り付けてやるからな」


521: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/04(金) 21:22:47.41 ID:9UKuwppZ0

めぐみん「悪魔か何かですかあなたは!?私を反省させる為に言ってみただけですよね・・・?そんな恐ろしいモノ実際に作ったりしませんよね!?」

トニー「・・・さて、スーツの稼働実験を始めるとするか。ダミー、カメラ持て」

ダミー「」ウィィッ… キュィッ 

めぐみん「・・・ちょっ!嘘ですよね!?カ、カズマ!助けてください!このままでは二度と爆裂魔法を撃てない体にされてしまうかもしれません!」

カズマ「もしそうなったら上級魔法使えばいいじゃん。大丈夫大丈夫」

めぐみん「何が大丈夫なのですか!?上級魔法を覚えさせるいいチャンスだとか思っているでしょう!?私は血反吐を吐いてでも爆裂魔法を使い続けますからね!」

トニー「諸君、静粛に。これよりMk.46、コロナ・リアクター内蔵型スーツの起動実験を行う」

アクア「名前呼んであげないの?」

トニー「絶対呼ばない」

522: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/04(金) 21:26:51.66 ID:9UKuwppZ0

カズマ「ほら、スーツの起動実験楽しみにしてたろ?落ち着いて見ようぜ」

めぐみん「ぐぬぅ・・・今夜眠れるか不安になりそうです・・・」

トニー「ダミー、ここからはアップで撮・・・おい、近すぎる。それじゃ僕の鼻しか映らないぞ、もう少し下げろ」

ダミー「」キュィッ

トニー「よし、そこだ。さて・・・これからスーツを起動し、エネルギーの循環効率を調べる」

カズマ「その前にちょっと聞きたいんだが。起動実験をするのはいいんだけどさ、実験の成功率はどれくらいなんだ?爆発したりしないのか?」

カズマ「俺はコロナタイトには良い思い出が無いんだ。領主の屋敷ぶっ飛ばして、国家転覆罪の容疑で死刑にされそうになった原因だしな」

トニー「そりゃ確かに不安になるだろうが、僕を誰だと思っているんだ?もちろん、シミュレーションによる成功率は100%だ。でも試行回数は黙秘する。爆発したりしないのかという質問に対しても黙秘する」

524: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/04(金) 21:29:13.89 ID:9UKuwppZ0

カズマ「めぐみん、今日はまだ爆裂散歩に行って無かったな。ここにいるみんなで行こうぜ」スタスタ

めぐみん「そうですね。ほら、行きますよアクア、ダクネス。それにアイリス達も」

アイリス「え、えっと・・・?」

トニー「まぁ、ちょっと待てよ」ガシッ

カズマ「おい離せ!先にスケールを小さくしたモデルとか使ってもっといろいろ検証したりするべきだろ!」

アクア「そうよ!ブラウン博士だってそうしてたでしょ!?」

トニー「いいかよく聞け。今の所シミュレートでは一度も失敗していない。だから成功率は100%だ。でも、もし何度もシミュレートして失敗の結果が出てしまったら?」

トニー「・・・そう、100%じゃなくなるんだ。つまり、実験をすればするほど成功率が下がっていってしまうって訳だ。ほら、今は安全だろ?」

525: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/04(金) 21:30:18.46 ID:9UKuwppZ0

アクア「あっ、そっか!確かにそうね!トニーの言う通りだわ!なら大丈夫ね!」

カズマ「そんなわけねーだろ、このマッドサイエンティスト!!どんな確率の計算だ!」

ダクネス「さすがに今のは私でもおかしいって分かるぞ!!」

めぐみん「逃げましょう!今すぐここから逃げましょう!!」

トニー「科学とは“ものは試し”を地で行く活動だ。つまり、こういうことだ。スーツ起動」

カズマ「あっ!コイツ勝手に起動しやがった!!」サッ



Mk.46「」ヴゥン…

526: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/04(金) 21:43:52.36 ID:9UKuwppZ0

フライデー『エネルギー循環、異常なし。システムチェック中・・・異常なし。問題ありません、起動に成功しました』

トニー「・・・な?大丈夫だったろ?」

カズマ「・・・なんだ、案外大したことなかったな・・・」

ダクネス「私の背中に隠れながら言われても・・・」ジトッ…

カズマ「それはね、広くて頼りがいのある背中だったからだよ」

ダクネス「おい!それは女に言うセリフじゃないだろう!!」

クレア「スターク殿!さすがにアイリス様が巻き込まれるような実験をするのはやめていただきたい!」

トニー「悪かった。さっきのはギロチンマジックをするマジシャンのパフォーマンスみたいなものだよ。不安を煽ってから成功させた方が盛り上がっ・・・おっと、全員頭のおかしい奴を見る目だな」


527: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/04(金) 21:44:50.77 ID:9UKuwppZ0

トニー「まぁそれは置いといて、次の実験だ。カズマ、このスーツにスティールを仕掛けてみてくれないか?」

カズマ「スティール?なんでだ?」

トニー「前のスーツはスティール一発で無力化されただろ?まずは僕のスーツの天敵であるスティールを克服できたかどうか試したい」

カズマ「無敵の鎧の弱点がスティールなんて、カッコイイやらダサいやら・・・これで壊しても文句言うなよ!」

カズマ「・・・あと氷用意しといて。それじゃやるぞ!『スティール』ッッ!」バッ


   「・・・」

カズマ「おお・・・すげぇ・・・本当に何も取れない。代わりに射線にギリギリ入ってためぐみんのぱんつが取れたけど」ゴソゴソ…

めぐみん「なに平然とポケットの中にしまっているのですか!そ、その・・・スースーするので早く返してください・・・///」


528: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/04(金) 21:45:26.55 ID:9UKuwppZ0

アクア「カズマ・・・あんた・・・」

トニー「実験中だってのに君は一体何をやっているんだ・・・?」

アイリス「お兄様・・・」

カズマ「わかった!わかったからみんなそんな目で俺を見ないでくれ!ほら返すよ!トイレなりで着替えてこい!」

ダクネス「皆の目の前でぱんつを剥ぎ取り、そして衆目を集めたところでぱんつを晒し上げながら返す・・・いいぞ、やはりお前はそうでなくちゃな!」

カズマ「なに感心してんだ!と、ところでトニー!なんでスティールが完全に無力化されてるんだ?」アセアセ

トニー「見苦しいな・・・簡単に説明すると、魔法金属とオリハルコンを特殊な比率で合成して出来た外殻に、コロナタイトの魔力エネルギーを張り巡らせている」

トニー「それで疑似的な結界を作っている状態だ。スティールだけじゃなく、あらゆる状態異常魔法や攻撃魔法から身を守れる」


529: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/04(金) 21:49:46.46 ID:9UKuwppZ0

カズマ「ずるい・・・」

アクア「私もちょっと着てみたいって言ったらだめかしら?」

トニー「駄目だ。体格が合わないし、なにより君に着せたらロクなことにならないだろうからな。ここが吹っ飛んでもおかしくない」

アクア「そこまで言わなくてもいいでしょ!私だって好きで迷惑かけてるんじゃないのに!いじわるしないでよ!」

トニー「あんたの普段の行動を見てどうやったら信用できるって言うんだ!あと脳みそを五十回くらいアップグレードできたらその時は着せてやるよ」

アクア「上等よこのトニート!女神を馬鹿にした罪で聖なるグーを食らわせてやるわ!」ガバッ

トニー「変な名前で呼ぶな!なんだ、やるってのか!?君の知力が最低とはいえ、戦う相手の見極めくらいはできると思ってたよ!!」






530: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/04(金) 21:52:29.05 ID:9UKuwppZ0

カズマ「おい!いい歳したおっさんが暴れるなよ!!」

トニー「そのセリフは僕よりいい歳したこの古い女に言ってくれ!」

アクア「また言った!トニーがまた言っちゃいけないこと言った!ああああっ!痛い痛い!!やめて!変な装置使うなんて反則よ!!」

クレア「ス、スターク殿・・・前会った時よりずいぶんと・・・なんというか・・・」

アイリス「・・・フフッ」クスクス

クレア「どうかなさったのですか?アイリス様」

アイリス「王都奪還作戦の前日だと言うのに、なんだかすごく安心するんです。彼らは決してまとまりのあるパーティーとは言えないのに・・・何故かなんでも出来てしまうような・・・安心感があるんです」


535: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/05(土) 02:52:41.35 ID:ItNLVMWl0
>>157 ダミー


トニーが昔作った発明品であるロボットアーム
アイアンマン1、2ではトニーの補助を行っていたが、不器用なため色々失敗する。かわいい
しかし、トニーが胸のリアクターを取られたときは旧式のリアクターをトニーの元に運び、命を救うなど大活躍を遂げている
他にも“ユー”という名前のロボットアームも存在している
アイアンマン3で二体とも海の底に沈んでしまったが、その後トニーが回収した
現在はどうなっているか不明
このSSでは、復活してラボのどこかで働いているということで・・・

538: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/12(土) 21:03:24.88 ID:Z0+9aBWI0
......
....
..
.


コロナリアクター製作開始から・・・



カズマ「とうとうきちまったなぁ・・・この日が・・・」

アクア「そうね・・・あーあ、エリスがしっかりこの世界を守ってくれていればこんなことにはならなかったのに・・・まっ、後輩女神を助けてあげるのも先輩女神である私の仕事だけど」

カズマ「あまり無茶言ってやるなよ。ロキの力はお前も見ただろ?あんなの正直倒し方が浮かばないぞ。はぁ・・・」

トニー「怖いのか?」

カズマ「そりゃお前・・・怖いよ。俺はお前と違ってヒーローじゃないただの人間だし」

トニー「そうだったな」


539: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/12(土) 21:04:22.69 ID:Z0+9aBWI0

カズマ「即答で肯定されるとそれはそれで腹立つ」

トニー「別に馬鹿にしてるわけじゃない。ほら、おびえる君にプレゼント」スッ

カズマ「なんだこれ・・・矢尻?」

トニー「ゆんゆんに渡す予定の電子書籍からヒントを得て作った“展開式マジックスクロールアロー”だ」

トニー「この中にマジックスクロールがホログラムになって入っている。矢に取り付けてから弓のスイッチを押すと・・・」ポチッ

  カシャッ ヴンッ ピピッ…

トニー「このようにスクロールのホログラムが展開、もう一度押せば引っ込む」ポチッ

   カシュッ…


540: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/12(土) 21:07:47.97 ID:Z0+9aBWI0

トニー「あとは対応した魔法を唱えれば矢を中心に魔法が炸裂。敵の足元に撃つか直撃させてから唱えろよ?近いと自爆するからな」

トニー「魔法の種類は矢尻の色で判断できるようになっている、あとで確認しろ」

カズマ「おぉぉ・・・まさに映画か漫画の世界でしか見れないような武器・・・」キラキラ…

トニー「壊すなよボウズ。代えは無いからな」

カズマ「おい、ちょっと待て。めぐみんとかはまだしも俺まで子供扱いすんの?」

トニー「僕が今いくつだと思っているんだ?君くらいの子供がいたっておかしくない歳だ。僕にはパーティーメンバー全員子供に見える」

トニー「まぁ・・・一応アクアもな」


541: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/12(土) 21:09:52.97 ID:Z0+9aBWI0

アクア「いい加減私を年齢面でいじるのはやめていただけますか?トニー・スタークさん?天界とこの世界は時間の流れが違うんです。そろそろ物理で天罰を食らわせますよ?」

アクア「というか、どうして私には何もないの!?他の皆にはいろいろ作ってるのに!!スーツみたいなのとか着てみたかったんですけど!私だけ除け者にしないでよ!」

トニー「正直君には何も思いつかなかった。能力面に関しては弱点らしい弱点が見当たらないからな・・・光に属する魔法に対抗できる相手とも戦えるスーツでも作ってやりたかったが、単純に時間が足りなかった」

トニー「まぁ、そのうち作ってやるよ。ディスプレイの色が君のイメージカラーの青色になってるやつをね」

アクア「私だけクリスからもトニーからも装備貰えなかったから作ってくれるって言うなら嬉しいわ。でも、そうプレゼント作戦とかで迫られても困っちゃんですけど」

トニー「だからどうして口説いていることになるんだ!!心に決めた人がいると言っているだろ!」

トニー「はぁ・・・もういい。ところでカズマ、ちょっと耳を貸せ。クリスについてだ」コソッ


542: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/12(土) 21:11:29.68 ID:Z0+9aBWI0

カズマ「うん?クリス?なんでクリスなんだ?」コソッ

トニー「彼女は一体どこで何をしているんだ?装備を渡して早々に居なくなっただろ」ヒソヒソ

トニー「こんなこと言いたくないが、エリスは自分の世界の危機に対して多少でも自分で何とかしようとしないのか?ただアドバイスしたり装備だけ渡して空の上から眺めてるだけなのか?」ヒソヒソ

カズマ「・・・その心配ならいらないと思うぞ」

トニー「・・・なに?」

カズマ「ロキに殺された時に、エリス様の元へ行ってたんだよ。アクアに蘇生してもらうまで結構時間があったから、暇つぶしに三文字しりとりでエリス様と勝負してた時に話をしてな」ヒソヒソ...

トニー「君は人が真面目に戦っているときに一体何をしていたんだ?」




543: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/12(土) 21:12:40.02 ID:Z0+9aBWI0

......
....
..
.

カズマ死亡直後 エリスの神殿



エリス「え、えーと・・・“プール”!」

カズマ「“ループ”」

エリス「うーん・・・プ、“プラス”!」

カズマ「“スープ”」

エリス「うぅっ・・・“プ”責めが辛すぎます・・・もう浮かばない・・・」

カズマ「よし、俺の勝ちですねエリス様。約束通り一枚脱いでください」

エリス「いつそんな約束したんですか!?女神相手にセクハラすると本気で罰が当たりますよ!」

544: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/12(土) 21:13:28.79 ID:Z0+9aBWI0

エリス「というか、死んだ直後なのにずいぶん元気ですね、カズマさん・・・」

カズマ「もうあそこまで色々ぶっ壊れた奴に殺されたらかえって冷静になりますよ。一体何なんですかアイツは」

カズマ「大勢の上級冒険者を洗脳するわ、上級魔法を爆裂魔法並みの威力で撃って来たかと思えば、おかしな幻術使って欺いたり・・・」

カズマ「正直言って勝てるどころかなにもできる自信が無いんですが。ああいうのって人間じゃなくてアクアやエリス様見たいな神々が相手するようなレベルの敵じゃないんですか?」

カズマ「魔道具店前でも言いましたけど、エリス様ももう少し何かしてくれると助かるんですが・・・」

エリス「・・・」

カズマ「あ、すいません。嫌味を言ってるつもりじゃないんですよ?」


545: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/12(土) 21:14:29.14 ID:Z0+9aBWI0

エリス「いえ、気にしていませんよ。実はですね・・・今、上と交渉しています。さすがに他世界の神による侵攻は無視できないみたいでして」

カズマ「え・・・いったい何するつもりなんですか?」

エリス「ふふっ、あっと驚くことですよ」ニコッ


《カズマー!聞こえてるー?リザレクション掛けたから、もう戻ってきていいわよー!》


カズマ「楽しい時間も終わりか・・・もう行かなくちゃ。エリス様、お願いします」

エリス「はい、今門を開けますね」パチン

   ポウッ…

エリス「ではカズマさん、何度でも言いますが、ここにはもう戻ってこないことを心から祈っています。またあとで!」スッ…

カズマ「えっ、いまなんて---」

   フッ…



550: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/20(日) 21:23:10.63 ID:Jm3MQdrM0
......
....
..
.



カズマ「・・・とまぁ、詳細はわからないけど何かしらの形で直接干渉はしてくる・・・と思う」

トニー「地上に降りて来て僕らの為に祈ってくれるとか?」

カズマ「さすがにその皮肉は毒がありすぎるぞ。駄女神アクアじゃなくて本物の女神のエリス様のセリフだし、期待してもいいんじゃないかな」

アクア「ねぇねぇ、なんかものすごく失礼な会話をしている気がするんですけど。気のせいじゃないかしら?」

トニー「今日の晩飯について話していたんだよ。君は何が良い?」


551: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/20(日) 21:25:24.03 ID:Jm3MQdrM0

アクア「えっと・・・そうねぇ・・・なにかこってりしたものが食べたい気分だわ。トニーもそうで・・・ねぇ、なんでそんな残念な人を見る目をしているの?」

トニー「なんでもないさ・・・」

めぐみん「晩御飯の献立なんかより、カズマの作戦はどうなっているのですか?まだ何も聞いていないのですが」

カズマ「おっ、来たかめぐみん。スーツを着て鏡の前でポーズをとる時間はもう終わったのか?」

めぐみん「トニーの嫌な皮肉が移っていますよカズマ。鏡の前でポーズを決めるのは紅魔族において正式な鍛錬ですよ。ああやってカッコイイポーズを研究、開発し、己を高めるのです」

トニー「君達紅魔族は本当にユニークだな。魔導書を借りに行ったときは散々な目にあったが、里の学校に頼まれた特別講師の依頼、受けて見てもいいかもな」

めぐみん「え、そんなこと頼まれていたのですか!?トニーの授業・・・気になりますね・・・って、そうじゃないです!今はロキです!攻撃するのは今日でしょう?」

アクア「ちょっと思ったんだけど、一週間たっても音沙汰ないってことは、もしかして猶予はまだ結構あるんじゃないの?今日から作戦決行とはいかずに、もうちょっと万全にしてから・・・」


  ピピピッ


フライデー『ボス。王都近辺でコロナタイト、および四次元キューブのエネルギー反応が増大し始めています』



552: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/20(日) 21:26:43.96 ID:Jm3MQdrM0

カズマ「このバカッ!なんでお前はそうお約束が好きなんだよ!毎度毎度迷惑になるようなことばかりしやがって!!」

アクア「待って!ねぇ待って!今のは私のせいじゃないからっ!私まだ何もしてない!!」


  バンッ


ダクネス「トニー!今の報告を聞いたか!今すぐに準備するぞ!」

トニー「聞いてたよ。ダクネス、倉庫に向かうぞ」

カズマ「え、倉庫?なんで倉庫・・・あっ、アイツかぁ・・・すっかり忘れてた・・・うわぁ、面倒だな」



553: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/20(日) 21:27:38.10 ID:Jm3MQdrM0
......
....
..
.


倉庫



  ウィーン…


アイギス《おやおや・・・?ヘイブラザー!元気してたか?》

トニー「僕をブラザーって呼ぶなよ。君こそ今の生活に満足しているようでなにより」

トニー「次に君が欲しがるものを当ててやろうか?水着の美女のホログラム映像だろ?」

アイギス《いいねぇ。今度は赤髪でグリーンの目をした巨 の美女が良いな》

トニー「用意しておこう」

カズマ「え・・・なんで仲良くなってるの?」


554: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/20(日) 21:28:34.27 ID:Jm3MQdrM0

アイギス《いやー、女性の趣味が彼と合ってね。さすがに胸の大きさの話では一度決別しかけたけどさ》

カズマ「・・・お前何やってんの?」

トニー「彼を懐柔するのに必要な事だったんだ・・・このことは内密にしといてくれ」ヒソヒソ…

カズマ「少し本音も混じってたんじゃないのか?」

トニー「否定はしない」

アイギス《なぁトニー、俺好みの美人が好きなだけ見れるこの生活には感謝してるが・・・満足しているかと言われたら正直難しいところだ。やっぱり映像だけじゃ寂しいや》

アイギス《体をピカピカに磨いてくれるのも嬉しいが、やはり機械じゃなくて美女の手に磨いてもらいたいとかあるんだよ。その辺は何とかならないのか?ブラザー》

トニー「だから僕をブラザーと呼ぶなよ。それで、君の不満点の件だが・・・僕がとびっきりの美女を包ませてやるって言ったら?」

アイギス《おいおいマジかよ!!今度俺をちょっとだけ着る権利をやってもいいぜ!どんな美女だ?》

トニー「自前のがあるんで君を着るのは結構だ。それでは紹介しよう、貴族令嬢のララティーナお嬢様だ」


555: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/20(日) 21:29:36.96 ID:Jm3MQdrM0

ダクネス「ト、トニー・・・恥ずかしいのでその名前で紹介するのはやめてくれないか・・・///」スッ…

アイギス《ワーオ!いいじゃんいいじゃん!綺麗な顔した●●バディ!しかも貴族令嬢だって!?ポイント高いぜオイ!》

アイギス《ヘイお嬢ちゃんお名前は?ボクの名前はアイギス!見ての通り無敵の鎧なナイスガイさ!》

ダクネス「なんなのだコイツは!さっきから変な事ばかり口走っているぞ!」

トニー「コイツの名前はアイギス。中身は空っぽの全身鎧型の神器だ。君に着せるために用意した」

ダクネス「用意した!?神器を一体どこから用意したというのだ!?怪しい話には乗りたくないぞ!」

トニー「女神エリスが僕らの為に用意した。クリスの話覚えているか?」

556: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/20(日) 21:31:46.97 ID:Jm3MQdrM0

ダクネス「・・・エリス様からのお告げを受けて神器を回収しているって話か?」

トニー「その通り、彼もその一つだ。そしてクリスはこれをダクネスに渡してほしいと言っていた。女神エリスは君にこれを着て世界を救う手助けをして欲しいそうだ」

トニー「つまり彼は女神エリスが世界を救う為に君を信じて渡した神器ってことだ。どうだ、やるか?ダクネス」

ダクネス「エリス様の御意志・・・や、やるしかないだろう!そう望まれているのであれば!私はあの鎧を着て戦うぞ!」

トニー「そう来なくちゃ」

カズマ「ちょろい・・・」

アイギス《まずはお互いよく知らなくちゃな。手始めに君の職業とスリーサイズを教えてくれないか》

ダクネス「え、えっと・・・職業はクルセイダーで、スリーサイズは・・・」

カズマ「おい、神器相手だとしても嫌なことは嫌だと言って断ってもいいんだぞ」

アイギス《じゃましちゃらめぇ!もうちょっとですべてがうまく行く所だったのに!》

ダクネス「おい!本当にコイツはエリス様が授けてくださった神器なのか!?そうは思えないんだが!」


557: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/20(日) 21:32:18.68 ID:Jm3MQdrM0

トニー「本当だ。今度クリスに尋ねてみるといいさ」

アイギス《うーん・・・でもなぁ・・・その子クルセイダーなんだって?よりにもよって一番前線で攻撃受けまくるクルセイダー・・・アイギスさん悩んじゃうな》

トニー「カズマ、何かコイツのやる気出るような情報とかないか?」

カズマ「そうだなぁ・・・あっ、良い事考えた。アイギス、取引しよう」スッ…

カズマ「この街にはな、それはそれは煽情的な恰好をした美女が大勢働いている素敵なお店があるんだ」ヒソヒソ

アイギス《くわしく》

カズマ「いいか?この戦いにだけ付き合ってくれたら、お前をそこの置物か用心棒として置いといてもらえるよう俺が口添えしといてやるよ。どうだ?」ヒソヒソ

トニー「ついでに言うなら、僕の新型スーツを作るのに使ったオリハルコンの余りを使って君の傷付いたところを修繕してやろう。それで乗るか?」

アイギス《・・・》



558: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/20(日) 21:34:39.52 ID:Jm3MQdrM0
......
....
..
.



アイギス《チィーッス!というわけで、今回だけお世話になりまーす。よろ!ちなみララティーナちゃんはとても良い匂いがします》

ダクネス「お、おい!変な事言うな!」

めぐみん「なんともうるさいのが来ましたね・・・その中にダクネスが?」

アイギス《そうだよ。とてもお嬢様なにおいがする。そして君は・・・顔の造形Aランク、職業適性Dランク、胸のランクは・・・論外ですね》

めぐみん「トニー、この神器でも実験しましょうよ。耐久実験です」

トニー「悪いがコントやってる場合じゃ無いんだ。ほらめぐみん、こいつを受け取れ。調整は済んである」ゴトッ…


559: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/20(日) 21:35:27.67 ID:Jm3MQdrM0

めぐみん「なんですかこれ?私の杖ですか?なんか輪切りにしたレンコンみたいなのが取り付けられているのですが・・・」

カズマ「おいトニー・・・これってまさか・・・」

トニー「見ての通りリボルバーの回転式弾倉だ。サイズは一般的な奴の10倍くらいあるが。それにこいつをはめ込む・・・」ガチッ

トニー「弾倉の穴の分・・・」ガチッ

トニー「三発だ」ガチンッ

めぐみん「はめ込んでるその丸い玉は・・・?マナタイトに見えますが」


560: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/20(日) 21:36:09.26 ID:Jm3MQdrM0

トニー「劣化版コロナリアクターってとこだ。自分から魔力を生成することはできないが、中にため込むことはできる」

トニー「先日作ったコロナリアクターが生み出す余剰魔力エネルギーをすべてこいつに突っ込んだ」

トニー「この弾一つに付き君のエクスプロージョン一発分の魔力が入っている。つまり・・・」

トニー「充填さえすれば、自身の魔力で撃てるのも含めて君はエクスプロージョンを日に四度撃てるようになる」

トニー「一発撃ったら手元のスイッチを押せ。弾倉が回転し、次の弾が装填される」

めぐみん「・・・」

トニー「・・・なにか不満か?」


561: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/20(日) 21:37:26.80 ID:Jm3MQdrM0

めぐみん「そ、それを手に入れるのに私は何をすればいいんでしょうか・・・?下着姿までにならなりますけど・・・」

トニー「僕をなんだと思っているんだ!?別になにもしないからさっさと持っていけ!」

トニー「ったく、作りがいのない奴だ」

めぐみん「いえ、すいません、冗談が過ぎました。ありがとうございますトニー。これは大事にしますね」

トニー「それでいい」

カズマ「・・・で、もう出発するのか?」

トニー「いいやまだだ。ウィズとバニルとゆんゆんがもうすぐここに来ることになっている。だが、それまでに終わらせなきゃならない最後の実験がある」

カズマ「・・・最後の実験?」

トニー「・・・スーツの試着だ」

カズマ「まだしてなかったのかよ」

567: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/27(日) 21:30:33.06 ID:OLguJpWU0
......
....
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トニーのラボ 実験室


カズマ「それで?なんでまだ試着してないんだ?」

トニー「あー・・・実は新しい発見があったんだ」

トニー「スーツ自体に不具合は無いんだが・・・装着者の体内で膨大な量の魔力が駆け巡ることが分かった」

トニー「だからまぁ・・・魔力が0に近い僕が着ると・・・肉体が耐えられない可能性がある」

カズマ「致命的すぎる」


568: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/27(日) 21:31:34.04 ID:OLguJpWU0

トニー「そこでカズマ、君に提案がある。君のドレインタッチを使って魔力を吸い続けてくれないか?」

トニー「スーツの出力を少しずつ上げていくから、危なくなったら吸ってくれ。それでどこまで耐えられるか試す」

カズマ「俺だってそんなに魔力高くないから危ないと思うんだけど・・・アクア、お前なら魔力をたくさん送り込んでも大丈夫だろ。吸った魔力をお前に流す、いいな?」

アクア「本当はアンデッドのスキルで吸った魔力なんて体に取り込みたくないけど・・・」

アクア「まったくもう。トニーったら仕方がないわね!もし仮に死んじゃってもリザレクションかけてあげるから安心しなさいな!」

トニー「そうならないようにして欲しいんだが」

トニー「まぁいい、任せたからな?スーツを呼ぶぞ。全員下がれ」

アクア・カズマ「・・・」ススッ...

569: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/27(日) 21:32:21.46 ID:OLguJpWU0

トニー「・・・できれば、もう少し・・・すぐに助けに入れる距離まで近づいてくれ」

アクア「かっこ付かないわね、トニー」スッ...

トニー「うるさいぞ。準備は良いか?」

カズマ「いつでも」

トニー「よし・・・スーツ!」

Mk.46「」ヒュンッ ヒュヒュンッ!

  
   キュィッ チキチキチキ...
  
ウィーンッ ギュィィッ 

    ガッコンッ...
   
ガキキッ ガギンッ!
 


570: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/27(日) 21:32:58.10 ID:OLguJpWU0

めぐみん「むぅ・・・私にくれたスーツよりも音が重く、ところどころ光っててカッコイイですね・・・」

アイギス《おいおいなんだありゃ。俺、あの鎧気に食わないね》


     カンッ...


フライデー『スーツの装着が完了しました。スーツ出力10%』

トニー「問題ない。もっと上げろ」

フライデー『スーツ出力20%』

トニー「うぐっ・・・!」ビキッ...

トニー「まだ上げろ!」


571: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/27(日) 21:35:05.22 ID:OLguJpWU0

フライデー『出力30% 心拍数、体温共に上昇。ボス、これ以上は危険です』

トニー「まだだ!」

カズマ「おい無理すんな!ドレインタッチ!」ガシッ

アクア「もうっ!トニーってばなんで実験になったらこんなに無茶するの!?マッドサイエンティストなの!?」

トニー「ぐ・・・少しはマシになった・・・!そ、そのまま続けてくれ・・・!」

フライデー『出力45% ・・・50%・・・60%』

トニー「ぐぁあっ!」ビキビキビキ…

めぐみん「カ、カズマ!」


572: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/27(日) 21:36:15.25 ID:OLguJpWU0

カズマ「わかってる!クソッ!本気で吸ってるって言うのに・・・!」

ダクネス「トニー!少ない出力で動かせないのか!?」

トニー「80%は行かないと飛ぶことすらできない!」

フライデー『65%・・・70%・・・75%・・・バイタル異常。バイタル異常』

カズマ「トニー!大丈夫か!」

トニー「AAAAAAAAUUUGHHH!!シャワシャワと・・・メタルの味だ!!」

カズマ「マジで色々と大丈夫か!?」


573: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/27(日) 21:36:55.64 ID:OLguJpWU0
......
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王都 王城 謁見の間

研究員A「ロキ様。コロナタイト、並びに四次元キューブの出力数値は正常です」

ロキ「維持し続けろ。扉はいつ開けられるようになる?」

研究員A「もう少しだと思われます」

ロキ「わかったら私に知らせろ。お前はもう下がれ」

研究員A「はい。失礼しました」ガチャッ

セシリー「ロキ様・・・何か私に出来ることは無いでしょうか?添い寝や下着の洗濯など喜んでやりますよ!」


574: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/27(日) 21:37:40.18 ID:OLguJpWU0

ロキ「お前への命令はただ一つだ。私の半径10メートル以内に近付かず、今すぐこの部屋から出ていけ。そして二度と入ってくるな」

セシリー「あぁっ、どうしてそんなに冷たいのですかロキ様!わかりました、では下着を洗濯するところから履かせるところまで・・・」

ロキ「『カースド・・・」

セシリー「はい、今すぐ出ていきます」ガチャッ…

ロキ「・・・ハァ・・・アクシズ教徒と言うのはなんなんだ・・・貴重な存在のプリーストでなければその場で灰にしてやると言うのに・・・」

ロキ「あと少しだ・・・あと少しでこの世界は私の・・・いや---」


    バンッ!


魔族A「ロキ!話が違うぞ!どうなっている!」

575: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/27(日) 21:38:32.54 ID:OLguJpWU0

ロキ「騒々しいぞ。部下の分際で断りもなく扉を開けるだけじゃ飽き足らず、私の名まで呼び捨てか?」

魔族B「俺達は魔王様の部下であってお前の部下じゃない!!」

魔族C「それよりもだ!あんたは一体なにを企んでいるんだ!?魔王様からの指示をすべて無視し、勝手な行動ばかりしやがって!」

魔族C「挙句の果てに、王都を制圧したにも関わらず魔王様や幹部の立ち入りを許可しないとはどういうことだ!?取引を忘れたのか!?」

ロキ「私の計画をあの老いぼれに邪魔されたくなかったものでね」

魔族C「このっ・・・魔王様を裏切る気か!!」

魔族B「お前は半人前だロキ・・・!その計画とやらを実行したかったのなら、俺達も洗脳にかけるべきだったな!!」チャキッ

魔族B「死ね!」バッ 


576: ◆Ua1M3q7gGI 2019/01/27(日) 21:40:38.29 ID:OLguJpWU0

 ブンッ
  スカッ…

魔族B「・・・は?なんで剣がすり抜け・・・」


  「『ライト・オブ・セイバー』」


      ズバンッ


魔族B「グギャッ!!」ズルッ…


   ドチャッ…


魔族A「なっ・・・どこから出てきた!?あそこに立ってるロキは・・・」

ロキ「半人前なのはお前たちの方だ。判断を誤ったな」

ロキ「お前たちを洗脳しなかった理由は簡単だ。魔力の無駄だからだ」

ロキ「魔族連中にお前らのようなものがまた出てくると面倒だ。見せしめとして細切れにしてから床に散らかしてやろう」スッ…

魔族C「や、やめ・・・」


   ギャァァアアアアアアッ!!!



584: ◆Ua1M3q7gGI 2019/02/01(金) 21:00:13.47 ID:sHNBA3de0
......
....
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トニーのラボ



カズマ「全員そろったな。一応考えておいた作戦を説明するぞ」

ウィズ「あ、あの・・・トニーさんの姿が見当たらないようなのですが・・・」

カズマ「・・・」

バニル「ふーむ・・・そこの発光女の光が邪魔でヒゲ中年の姿が見通せんが・・・小僧の顔から察するに、なにやら困りごとのようだな?」ニヤリ

カズマ「・・・あいつは今スーツの再調整をしてるよ。体の魔力量が少なすぎて、スーツから流れるエネルギーに体が耐えられないんだってさ」


585: ◆Ua1M3q7gGI 2019/02/01(金) 21:03:15.68 ID:sHNBA3de0

バニル「フハハハハッ!つまりこうか!せっかく手間暇かけて鎧を作ったというのに、当の本人が装着できなかったというわけか!」

ゆんゆん「バ、バニルさん・・・」

バニル「なんと勿体ない!それが分かったときの悪感情を食らってみたかったぞ!フハハハハハッ!!」

トニー『聞こえているぞバニル。退魔用の武器を作ったらまずはあんたで試してやるからな。カズマ、僕は作業しながら聞くからもう作戦を話して良いぞ』

バニル「おっと失敬!では小僧、その作戦とやらを聞こうではないか?」

カズマ「まず、洗脳されている人達の救助を優先したい。戦うことになったら面倒だしな」

カズマ「フライデーの操っているドローンの情報だと、どういうわけかロキは魔王軍の配下たちを城に配備せず、洗脳した冒険者に護衛を行わせているらしい」

586: ◆Ua1M3q7gGI 2019/02/01(金) 21:05:14.58 ID:sHNBA3de0

カズマ「代わりに魔王軍の魔物たちは王都自体を守るように展開しているようだ」

めぐみん「魔王軍を最初から裏切るつもりだと言ってましたもんね。おそらく自分の野望を魔王軍に悟らせないためでしょう」

トニー『僕も同意見だ。で、どうやって洗脳された冒険者を助ける?』

カズマ「洗脳された冒険者は皆ロキを崇拝していただろ?だから、そこを突けば何とかなるはずだ」

カズマ「トニー、今王都を偵察しているステルスドローンにスピーカーってついてるか?」

トニー『潜入時に敵の気をそらすためのスピーカーが付いてる。それがどうかしたか?』

カズマ「王都にある放送室にドローンを送り込んで、トニーの声真似装置かアクアの宴会芸を使ってロキの声を流すんだよ。それで王城内部にいる洗脳された冒険者たちを誘導する」

カズマ「そして、城から出てきたところをアクアのスキルを使って洗脳を解くって寸法だ」


587: ◆Ua1M3q7gGI 2019/02/01(金) 21:06:42.80 ID:sHNBA3de0

ダクネス「また隠密作戦か・・・好きだなそういうの・・・」

カズマ「化け物が大勢ひしめく王都に真正面からぶつかって勝てる自信ないしな・・・こっちの方が確実だろ」

バニル「悪くない作戦ではあるが・・・王都にどうやって近付くつもりだ?」

カズマ「光の屈折魔法と潜伏スキルを発動させた状態でテレポートする。あとはバニルの目と俺の敵感知を使って敵が多いところをよけながら進んでいこう」

ウィズ「それならバレませんね。生気で追いかけてくるアンデット系モンスターが居たら難しい所ですが・・・」

カズマ「いたらアクアの浄化魔法で暗殺してもらう」

アクア「任せなさいな。声を出す暇も与えずに消してやるわ!」

ウィズ(巻き込まれないように気を付けないと・・・)


588: ◆Ua1M3q7gGI 2019/02/01(金) 21:07:10.96 ID:sHNBA3de0

カズマ「さすがに放送室で音を流したらロキが気付くだろうから、ロキの部屋にサイレントの魔法をゆんゆんがかけてくれ」

ゆんゆん「えぇっ!?それって王都で一番厳重な謁見の間に近寄るってことですよね!?で、できるかな・・・」

トニー『安心しろ。僕のスーツで一気に謁見の間のある階まで運んでやる。君は光の屈折魔法を使って城を上る僕の姿を隠してくれ』

ゆんゆん「わかりました!」

カズマ「そして、冒険者たちを助けたら後は・・・」



589: ◆Ua1M3q7gGI 2019/02/01(金) 21:09:05.47 ID:sHNBA3de0
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カズマ「以上が作戦だ。気乗りしないけどやるぞ」

アクア「気乗りしないけどってあんた・・・もうちょっと指揮を上げるような演説とかできないの?」

カズマ「こんな世界を救うような事、ほぼ一般人の俺には荷が重すぎるんだよ!思いついただけでもありがたいと思え!」

トニー『とかいいつつ、何とかしてきたのが君達なんだろ?』

めぐみん「ええそうですよ。トニーに見せつけてあげましょう!」

ダクネス「あぁ。存分に暴れて見せるつもりだ!」

590: ◆Ua1M3q7gGI 2019/02/01(金) 21:10:23.56 ID:sHNBA3de0

アイギス《オイオイオイ、傷だらけになるわ俺》

ダクネス「・・・というより、トニーの鎧の調整はまだなのか?」

トニー『あー・・・悪いが、もう少しかかりそうだ。先に行っててもらえないか?』

トニー『僕のスーツなら数分と経たずに王都まで飛んでいける』

トニー『王都について人気のない所まで到着したら呼んでくれ。そこに着陸する』

カズマ「わかった。なるべく早くきてくれよ?ウィズやバニルがいるとはいえ、戦闘になったら面倒なんだからな」

めぐみん「この会話の流れでウィズとバニルの名前を出しますか・・・いえ、カズマらしですが」


591: ◆Ua1M3q7gGI 2019/02/01(金) 21:37:14.68 ID:sHNBA3de0

アイリス「もう行ってしまわれるのですね、お兄様・・・」

カズマ「お兄ちゃんが何とかしてやるよ。こう見えても幹部を大勢倒してるベテラン冒険者だしな!」

ダクネス「こ、この男・・・自分のさっきの発言を忘れているのか・・・?」

カズマ「いい男ってのはな、過去に縛られないんだ」

クレア「なんて都合のいい・・・や、やはりこの男はアイリス様に悪影響だ・・・!」

カズマ「バ、バニル!ウィズが登録してる王都のテレポート登録地点付近に魔物がいないかどうか見通してくれないか?」

バニル「もうやっておる。転送先に人がいて事故が起こることを避けるために、店主が少し離れたところに登録していて助かったな」

バニル「転送先付近に魔物はみあたらん」

592: ◆Ua1M3q7gGI 2019/02/01(金) 21:39:29.15 ID:sHNBA3de0

カズマ「よし、ウィズ、やってくれ」

ウィズ「はい!皆さん準備は良いですか?」

アイリス「今から王都奪還に向かわれる勇気ある皆様、あなた方のご武運を心から願っています!どうかお気をつけて・・・!」

ダクネス「アイリス様、この私、ダスティネス・フォード・ララティーナの名に懸けて、必ずや王都を奪還して見せます」

アイリス「フフッ、頼もしいわ、ララティーナ・・・えぇ、奪還して、必ず生きて帰ってきてくださいね!」

めぐみん「全員で余裕の凱旋をしてみせますとも!あなたはここで本でも読んでるといいですよ」

アクア「帰ってきた時の為に宴会の用意とかしてくれたら嬉しいわ!」

アイリス「はい、わかりました。皆様が戻ってきた暁には、王都で盛大に宴を行いましょう」


593: ◆Ua1M3q7gGI 2019/02/01(金) 21:41:23.28 ID:sHNBA3de0

アクア「やったぁ!私、やる気が出てきたわカズマさん!」

カズマ「はいはい、お前ら続きは帰ってきてからにしろよ」

カズマ「最後にアイリス、俺の願いを一つだけ・・・戻ってきたらまた王城に---」

ダクネス「今すぐその男の口をふさげ!何もしゃべらせるな!」

めぐみん「ウィズ!今すぐテレポートをお願いします!カズマ、それ以上は言わせませんよ!」ガバッ

カズマ「モガッ!お、おい・・・!俺は王城で退廃的な生活を・・・」

ゆんゆん「カ、カズマさん・・・」

トニー『君達は何をやっているんだ・・・?』

ウィズ「わ、わかりました!行きますよ!?テ、『テレポート』ッ!!」


597: ◆Ua1M3q7gGI 2019/02/03(日) 23:24:54.32 ID:z44YII3T0
......
....
..
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数分後 王都 郊外



カズマ「・・・遅いなトニー・・・今の内にドローンの操作の練習でもしておくか」

ゆんゆん「ドローンはフライデーさんが操作しているのでは・・・?というかそのコントローラーは・・・」

カズマ「チッチッチ・・・まだまだ甘いなゆんゆんは・・・いいか、いざって時は人間の腕の方が頼りになるんだよ。なんでもかんでも機械任せは駄目なんだ」

ゆんゆん「な、なるほど!」

カズマ「うわ、すげぇなこのドローン。透明になれるぞ」

598: ◆Ua1M3q7gGI 2019/02/03(日) 23:25:41.74 ID:z44YII3T0

アクア「あ、ズルいわよカズマ。私にも操作させてよ」

カズマ「今建物の中を移動してるんだから駄目だ。今までレースゲームやフライトゲームで鍛えた俺の操縦テクを見せてやるよ」

めぐみん「建物・・・?今建物の中と言いましたか?」

カズマ「トニーがまだ来てないだろ?今の内に放送室にドローンを仕込んでおこうかと思ってさ」

ダクネス「ふむ・・・一理あるな。作戦は迅速に行わねば」

カズマ「その考え、もっと普段から心がけてくれないかな」

ダクネス「・・・」プイッ

カズマ「・・・っと、放送室は・・・あった。ドアを何とかして開けないとな」

カズマ「確か磁石の力で鍵を開けれるらしいんだけど・・・どこのボタンだ?これか?」ポチッ

599: ◆Ua1M3q7gGI 2019/02/03(日) 23:26:48.94 ID:z44YII3T0

カズマ「違うな・・・これか?いや・・・これ?」ポチッ ポチッ ポチポチッ

アクア「これとかそれっぽいんじゃない?」ポチポチッ

ウィズ「あ、あの・・・そんなにむやみやたらといじるのは・・・」

カズマ「おっ、いけたいけた。機材設備がどんな感じか見ておこう。アクア、お前も今の内に声真似練習しとけ」カチャカチャ

アクア「えー、麗しき水の女神が邪神のモノマネなんて嫌よ。ちょっとそこのヘンテコ悪魔、あんたの変身能力で何とかなさいな」

バニル「断る。どうして我輩が敵対者である神に化けねばならんのだ」

めぐみん「そういうことなら、私がやります!いえ、やらせて下さい!邪神のようにふるまえばいいのでしょう!?やりますやります!」


600: ◆Ua1M3q7gGI 2019/02/03(日) 23:27:51.67 ID:z44YII3T0

アクア「なんだかもの凄く乗り気になってるみたいだから、めぐみんに任せるわね。『ヴァーサタイル・エンターテイナー』!」スッ...


ポゥッ…


めぐみん「『あー、あー、どうでしょ・・・!?』」

めぐみん「『す、凄いです!アクア!これは凄いですよ!ロキそっくりです!』」

カズマ「うっわ、めぐみんからロキの声がする」

ゆんゆん「すっごいシュール・・・」プルプル…

めぐみん「『喋るときはどうすればいいのですか?』」

カズマ「プッ・・・くくくっ・・・その声でいつものめぐみんの口調でしゃべるのは反則だろ・・・」プルプル…


601: ◆Ua1M3q7gGI 2019/02/03(日) 23:28:45.64 ID:z44YII3T0

カズマ「しゃ、喋る場所はこのコントローラーに向けてで良いみたいだ。今機材がどんなもんか見て途中だから用意ができたら教える。それまで口上を考えておいてくれ」

めぐみん「『我が名はロキ!世界を牛耳る邪神なり!いいか、城の中にいる各員に告ぐ!今から城より西側の郊外に全員集結せよ!これは命令だ!』」

めぐみん「『・・・こんな感じでどうでし・・・』」


 ゼンインシュウケツセヨ!
   コレハメイレイダ!
    メイレイダ…
     イレイダ…
      ダ…



カズマ「」


602: ◆Ua1M3q7gGI 2019/02/03(日) 23:29:32.06 ID:z44YII3T0

カズマ「」

アクア「い、今のこだまって・・・」

ウィズ「あ、あの・・・王城の方から何か音が聞こえてきたのですが・・・」

ダクネス「あ、あれは王城で使う放送用魔道具の音だ・・・カ、カズマ・・・お前まさか・・・」

カズマ「・・・間違えたな、うん。どうやらポチポチ押しまくってうちに勝手にスピーカーがオンになってたみたいだ。やべぇ」

ダクネス「お前と言う奴は!どうしてそんないじくりまわしてしまったのだ!」

カズマ「し、しょうがないだろ!見たこともない機材だったんだし、ドローンのスピーカーがオンになってるなんて思わないだろ!」

アクア「わ、私は何も悪くないわよね・・・?」



次回 アイアンマン「この魔法の世界に鉄人を!」【このすば×アイアンマン】 後編