2: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 22:19:27.88 ID:N2dVUQ/y0
1日目


ことり「その怪我どうしたの!?」

海未「こと……り?」

ことり「そうだよ! 待っててね、今血を止めるから……」

海未「……ダメです、私と関わってはいけません」

ことり「何言ってるの! 私たちずっと一緒だって約束したでしょ!」

海未「ダメです……奴らが来ます、ことりだけでも逃げて……」

引用元: ・真姫「最高の舞台にしましょう」 



ブシロード ラバーマットコレクション Vol.373 ラブライブ!『西木野 真姫』Part.2
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3: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 22:19:55.22 ID:N2dVUQ/y0
ことり「海未ちゃん……誰かに追われてるの?」

海未「ここから離れてください……」

ことり「ダメだよ! 海未ちゃん1人置いていけない!」

海未「離れないというのなら……私はあなたを撃ちますよ」

ことり「ううん、いくら海未ちゃんの頼みでも聞けない」

海未「私は……本気です」

ことり「海未ちゃんは優しい子だもん。そんなことできないよ」

海未「……どうして」

ことり「だって……そんなに泣きながら言われたって説得力ないもん」

4: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 22:20:45.73 ID:N2dVUQ/y0
海未「ことり……」

ことり「よし、これで血は止まったね。とりあえず救急車を……」

にこ「そこまでよっ!」

絵里「モウニゲラレナイワー」

海未「くっ、もう追手が……ことり逃げて!」

ことり「嫌っ! 海未ちゃんを置いてはいけないよ!」

にこ「機密情報を持ち出して逃げようだなんて、いい度胸してるじゃない」

絵里「ソシキヲヌケルコトハユルサレナイワー」

海未「……」

にこ「……」

5: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 22:21:26.08 ID:N2dVUQ/y0






穂乃果「カットー!」

希「えりちどうしたん?」

凛「海未ちゃんとことりちゃん、迫真の演技だったにゃー」

海未「そうですか?」

花陽「本当に死んじゃうかと思ったよぉ」

ことり「うん、涙まで完璧だったねっ」

穂乃果「ことりちゃんいいなぁ。穂乃果も海未ちゃんに抱きしめられたい!」

にこ「あんた監督になったでしょ」

穂乃果「それとこれとは別だよぉ」

6: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 22:21:51.71 ID:N2dVUQ/y0
海未「それに抱きしめてはいなかったでしょう」

穂乃果「ほとんど一緒だよ!」

ことり「えへへー、今度穂乃果ちゃんにもやってあげて?」

海未「はぁ……わかりましたよ」

穂乃果「やった!」

にこ「にこが悪役なのはなんでよー」

凛「くじ引きって言ったのはにこちゃんだよ?」

にこ「もっとかわいい悪役が良かったってこと」

真姫「かわいい悪役って……魔女とか?」

希「マフィア設定やのに魔女出てきたらなぁ……」

7: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 22:22:17.26 ID:N2dVUQ/y0
にこ「でもやっぱり水鉄砲じゃ雰囲気出ないわね」

希「黒く塗ったりする?」

真姫「スプレーとかでいいのかしら」

穂乃果「絵里ちゃん、衣装はすごく似合ってるんだから自信持って!」

絵里「ごめんなさい……」

真姫「まあ絵里はここで初登場のシーンだから仕方ないんじゃない?」

希「真姫ちゃん映像どんな感じ?」

真姫「悪役2人が出てくるところは撮り直しね」

絵里「撮り直し……」

8: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 22:22:47.37 ID:N2dVUQ/y0
海未「まだ1回目です。初めは誰だって失敗しますよ」

ことり「海未ちゃんなんて緊張しすぎてシャツ裏返しに着てたもんね」

花陽「あぁ、あれはかわいかったねぇ」

ことり「ねー」

海未「や、やめてください……自分でも恥ずかしくて死にそうだったんですから」

希「マフィアは着替える暇もないほど大変なんやって」

海未「希!」

希「きゃー」

凛「じゃあ肩慣らしに演技の練習してみる?」

穂乃果「あ、それいいかも!」

9: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 22:23:36.55 ID:N2dVUQ/y0




にこ「というわけで、絵里の演技をもうちょっとレベルアップさせましょう」

絵里「お願いします……」

穂乃果「いえーい!」

凛「でも肩慣らしって言っても何すればいいかわかんないにゃー」

海未「じゃあ私たちがお題を出して、それでどのくらい演技できるか見てみましょう」

にこ「それ採用!」

10: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 22:24:03.83 ID:N2dVUQ/y0
花陽「お題って……場面設定とかのことかな?」

希「それやと思うで」

凛「じゃあかよちんいってみよー!」

花陽「えぇ!? 私が最初なの……?」

穂乃果「まあ最初は簡単なやつがいいね」

絵里「お手柔らかに頼むわ」

花陽「えぇっと……お花屋さんとかどうかなぁ」

絵里「お花……」

ことり「お客さん役の人がいるね」

11: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 22:24:29.25 ID:N2dVUQ/y0
希「そこでぼーっとしてた真姫ちゃんに決定!」

真姫「ちょ、別にぼーっとしてたわけじゃ……」

にこ「はいはい、みんなと撮った写真見てニヤついてたことは黙っててあげるから早くしなさい」

真姫「言ってるじゃない!」

海未「ふふ」

真姫「海未もうれしそうにしないでよ!」

穂乃果「にやにや」

凛「にやにや」

真姫「……やればいいんでしょやれば」

12: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 22:26:07.82 ID:N2dVUQ/y0


『社長と花屋』

社長「何で社長なのよ」

外野1「真姫ちゃんと言えば社長だよ!」

社長「なにそれ」

花屋「いらっしゃいませー」

社長「ってもう始まってるのね……」

社長「私に似合うような花をちょうだい」

外野1「おお、真姫ちゃん本格的!」

外野2「凛もあの髪の毛くるくるをマスターすれば社長みたいになれるかな?」

社長「外野は黙ってなさい」

13: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 22:26:35.17 ID:N2dVUQ/y0
花屋「できました!」

社長「え、もう?」

花屋「はい! こちらの花束はたんぽぽだけですので」

社長「……?」

花屋「たんぽぽの花言葉……それは『光輝』。あなたにぴったりです」

外野3「えりちそれ向日葵や」

花屋「おおっと黄色かったので間違えてしまいましたがこれは実は向日葵なんです」

14: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 22:27:04.86 ID:N2dVUQ/y0
社長「花屋しっかりしなさいよ……」

花屋「ではまたのご来店お待ちしております」

社長「お金払わなくていいの?」

花屋「そのあたりで摘んできたので」

社長「商売下手っていうかなんというか……」

15: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 22:27:44.97 ID:N2dVUQ/y0




海未「全然問題ない演技でしたよ?」

穂乃果「うん、真姫ちゃんも絵里ちゃんも上手だった!」

花陽「アドリブとは思えなかったよぉ」

希「それにウチのフリにもちゃんと対応してくれたしなぁ」

絵里「ありがとう」

真姫「てっきり絵里はツッコミ役かと思ってたわ……」

16: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 22:28:10.44 ID:N2dVUQ/y0
ことり「お花屋さんの衣装かぁ」

にこ「作らなくていいわよー」

凛「くっ……凛には髪の毛が足りない」

花陽「凛ちゃんはそのままでもかわいいよ」

凛「……かよちんの髪の毛くるくるできそう」

花陽「えっ、ちょ、凛ちゃん顔近い……きゃああぁ……」

希「じゃあ次行くでー」

絵里「え? そういうシステムだっけ?」

17: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 22:28:36.62 ID:N2dVUQ/y0
ことり「じゃあ次は夫婦で!」

穂乃果「相手役は真姫ちゃんだね」

真姫「えぇっ!? 何で私が……」

絵里「……嫌よね」

真姫「い、嫌じゃないから!」

にこ「新婚設定でどうよ」

穂乃果「絵里ちゃんの演技力……見せてもらうよ!」

絵里「が、がんばります!」

真姫「……やるなら完璧にやるわよ」

18: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 22:29:02.98 ID:N2dVUQ/y0
海未「……お嫁さん」

希「海未ちゃんお嫁さんやりたいん?」

海未「や、べ、別に……」

花陽「髪の毛にあとついちゃったよぉ……」

凛「……じゅるり」

花陽「じゅるりって何!?」

19: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 22:29:31.88 ID:N2dVUQ/y0



『新婚夫婦』

妻「おかえりなさいあなた、お仕事お疲れ様」

夫「え? 私が夫?」

夫「た、ただいまー」

妻「ご飯できてるわよ」

夫「ありがとう……ってここから先どうするのよ。自由度高すぎでしょ」

20: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 22:29:59.31 ID:N2dVUQ/y0
外野1「絵里ちゃんほら、三択のあれやってよ!」

妻「え? 何それ?」

外野1「ごはんにする? おふろにする? それとも……」

妻「ああ、それね」

夫「穂乃果が夫の役やればよかったんじゃ……」

妻「……私と結婚したこと、後悔してるのね」

夫「夫婦だからって変なアレンジ加えなくていいわよ」

妻「それでは……ごはんにする? お風呂にする? それとも……」

妻「わ・た・し?」

外野3「エプロンが見えてくるなぁ」

21: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 22:30:49.24 ID:N2dVUQ/y0
夫「……」

外野2「真姫ちゃんいっけー!」

外野4「おっしたおせっ、おっしたおせっ」

外野5「ちょっと凛、にこも……はしたないですよ!」

外野2「……?」

外野4「あらあらー? 海未はどういう意味だと思ったのかしら」

外野5「……うぅ」

22: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 22:31:16.35 ID:N2dVUQ/y0
夫「……絵里にしたら何ができるの?」

妻「できる範囲で何でもしてあげます」

外野1「穂乃果も絵里ちゃんほしい!」

夫「ダメに決まってるじゃない。私の妻なんだから穂乃果にはあげないわ」

外野「……」

妻「……」

夫「え、私変なこと言ったかしら」

23: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 22:31:50.49 ID:N2dVUQ/y0




にこ「中止中止!」

穂乃果「なんだかドキドキしちゃった……」

希「ことりちゃんも花陽ちゃんもしゃべって大丈夫やで」

ことり「……」

花陽「……」

凛「2人とも意識がないにゃ!」

にこ「メディーック!」

24: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 22:32:17.21 ID:N2dVUQ/y0
海未「……気を抜いていたらやられるところでした」

真姫「な、何よ大袈裟ね」

穂乃果「おおげさなんかじゃないよ!」

真姫「えぇ?」

穂乃果「ほら絵里ちゃんを見てごらん」

絵里「……ツマ」

真姫「……?」

25: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 22:35:48.55 ID:N2dVUQ/y0
凛「でも真姫ちゃんと絵里ちゃん楽しそう……凛たちもやりたい!」

にこ「じゃあお題は先に決めましょうか」

穂乃果「お題は>>27がいいと思う!」

希「凛ちゃんと>>29ちゃんでやってみよか」

凛「わかったにゃ!」

27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/04/20(日) 22:40:59.57 ID:ziNeyu1To
白雪姫

29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/04/20(日) 22:44:35.51 ID:tTC6/0rK0
穂乃果

30: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 22:47:42.59 ID:N2dVUQ/y0
穂乃果「ええっ!? 私が? 何で?」

希「言いだしっぺの穂乃果ちゃんにやってもらおうってこと」

穂乃果「海未ちゃんのドレス姿見たかったなぁ」

ことり「海未ちゃんがドレス!?」

海未「うわぁ!?」

凛「じゃあ王子様が白雪姫を見つけるシーンやるにゃ」

31: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 22:50:07.94 ID:N2dVUQ/y0




『白雪姫』

王子「おお! なんと美しい女性だ……」

白雪姫「……今気づいたけどこれだと凛、しゃべれない……」

外野4「なんでそのシーン選んだのよ……」

王子「なんと嘆かわしい……美しい女性がこんなに……」

王子「……嘆かわしい?」

外野3「王子の語彙力が心配や」

32: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 22:53:43.21 ID:N2dVUQ/y0
外野4「ていうかこの展開ってキスして起こすくらいしかないわよ?」

外野6「そこはアドリブでなんとか……ね?」

外野5「まあことりの言う通り何かすれば……」

王子「じゃあ穂乃果、行きます! ほっぺでいいかな?」

白雪姫「……」

王子「沈黙は肯定の証……では失礼して……ん」

白雪姫「うおおお! 元気百倍!」

王子「ええっ!?」

外野8「なんなのよそのワイルドな白雪姫は」

33: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 22:56:24.40 ID:N2dVUQ/y0
白雪姫「……あら、ご機嫌麗しゅう王子様。あなたが私を助けてくださったのですね」

王子「り、凛ちゃんが凛ちゃんじゃない……!」

王子「そうです。私がキスしました」

白雪姫「ありがとうございます……お礼にこのリンゴを差し上げましょう」

王子「えっ、それって毒入りの……」

白雪姫「遠慮なさらずにさあどうぞ」

王子「なんかお話ちがーう!」

34: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 22:57:57.39 ID:N2dVUQ/y0




凛「ねぇねぇ! 凛の演技どうだった?」

ことり「すごくよかったよっ」

海未「言葉遣いだけ……ですね」

穂乃果「うう、ひどい目にあった……」

にこ「監督なのになかなかやるじゃない」

希「まあくじ引きで決めたんやし、その辺はまあまあ」

35: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 23:01:08.31 ID:N2dVUQ/y0
絵里「……」

希「あ、えりち復活した」

にこ「顔真っ赤だけど」

真姫「まだやるの?」

ことり「まだ時間あるし、いいんじゃないかなぁ」

凛「じゃあ次は真姫ちゃんお題出して!」

真姫「え? 別にいいけど……それなら>>37」

凛「今度はやってない2人にやってもらう?」

海未「!」

にこ「それなら>>38と>>39に頼むわ」

37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/04/20(日) 23:09:40.13 ID:tTC6/0rK0
スパイダーマン

38: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/04/20(日) 23:20:43.89 ID:Z3xZFNdKo
うみたそ

39: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/04/20(日) 23:29:14.96 ID:kYY98It60
かよちん

40: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 23:36:58.09 ID:N2dVUQ/y0
海未「ス、スパイダーマン!?」

花陽「私も……?」

真姫「え? かっこよくない?」

にこ「真姫ちゃんの完成、わかんないわね」

希「ていうかどのシーンやってほしかったん?」

真姫「ヴェノムのまわりで鉄パイプ叩くとこ」

希「へー、3やん」

穂乃果「あー、あのシーンねぇ。かっこいいよね」

真姫「でもやるのは海未と花陽だしアクションシーンはちょっとね……」

ことり「それならあのシーンを……」

穂乃果「あ、それいいね」

41: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 23:40:06.25 ID:N2dVUQ/y0




『スパイダーマン』

海未「あれ、名前はピーターじゃなくていいんですか?」

外野1「個人名だからね」

海未「なるほど……わかりました」

海未「花陽、遅れてすみません」

花陽「ううん、待ってないよ。大丈夫」

海未「渋滞がひどくてですね」

花陽「あれ? 海未ちゃん車なんて使ってた?」

42: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 23:43:15.14 ID:N2dVUQ/y0
海未「あ、間違えてしまいました。ちょっと寝坊しただけです」

花陽「ふふ、もしかして警察と一緒に強盗を追いかけてたんじゃないかな?」

海未「花陽は鋭いですね……正解です」

海未「……あ」

花陽「今のパトカーだったね」

海未「どうやらまた事件のようです……はぁ」

花陽「そんな顔しないで海未ちゃん。私は待ってるから」

海未「わかりました」

43: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 23:45:40.77 ID:N2dVUQ/y0
海未「それでは……」

花陽「頑張ってね、スパイダーマン」

海未「ええ、あなたとあなたの住むこの街を守りますよ」



海未「あなたの親愛なる隣人、スパイダーマンが」

44: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 23:47:29.52 ID:N2dVUQ/y0




海未「む、難しすぎる……」

花陽「演技って難しいんだねぇ……」

穂乃果「海未ちゃん、蜘蛛の糸出すポーズやって」

海未「こうですか?」

ことり「次の衣装はスパイダーマン、っと」

海未「いやいりませんって」

凛「かよちん落ち着いてたにゃー。なんだかお嬢様みたいだった」

花陽「そ、そうかなぁ」

45: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 23:50:30.42 ID:N2dVUQ/y0
真姫「まぁ花陽はストーリー上大事な役だし、これからはもっと頑張ってもらわなきゃね」

にこ「まぁにこのキュートなスマイルにはかなわないけどね」

真姫「はいはい」

海未「扱いに慣れてる……」

穂乃果「でもやってみると疲れるね」

絵里「なら今日はここまでにしましょ」

希「そうやね。みんな疲れたみたいやし」

46: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 23:53:01.14 ID:N2dVUQ/y0
にこ「あらー? 絵里にはまだ演技指導が残ってるわよ?」

絵里「えっ」

希「居残り特訓や!」

絵里「うぅ……頑張るわ」

真姫「なら私も残った方がいい?」

希「ううん、これは3年生だけの秘密の特訓やから……」

凛「き、気になるにゃ」

花陽「それじゃあ私たちは帰ろっか」

穂乃果「あ、私寄るとこあるんだった」

47: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 23:54:39.62 ID:N2dVUQ/y0
海未「どこですか?」

穂乃果「ないしょー」

ことり「私たちも一緒に行くよ」

穂乃果「うん、ありがとう」

希「それじゃ、また明日」

にこ「気を付けて帰りなさいよ」

絵里「知らない人について行っちゃダメよ」

真姫「それは高校生に言う言葉なの……?」

48: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 23:55:06.91 ID:N2dVUQ/y0





真姫「そういえば何で映画撮ろうなんてことになったんだっけ」

凛「PVで使うために撮ってたんじゃなかった?」

花陽「たしか試験が終わったからみんなで遊ぼうってことで始めたんじゃ……」

真姫「……誰から聞いたの?」

凛「海未ちゃんと絵里ちゃん!」

花陽「穂乃果ちゃんとことりちゃんから……」

真姫「思い出した……アイドルは演技できないとダメだって言われてにこちゃんから聞かされてたわ」

凛「みんなバラバラだね」

花陽「そうだね」

49: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 23:55:35.91 ID:N2dVUQ/y0
真姫「……演技、何で下手なのかしらね。普通ならうまいのに」

凛「真姫ちゃんの奥さん?」

真姫「そうそう……って今は違うわよ」

凛「今は、だってかよちん」

花陽「だ、ダメだよ凛ちゃん内緒にしておかないと」

真姫「花陽、その言い方誤解を招くからやめて」

花陽「?」

50: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/20(日) 23:57:36.74 ID:N2dVUQ/y0




穂乃果「あった!」

海未「なんですかそれ……」

穂乃果「カチンコだよ? 知らないの?」

ことり「ああ、映画とかでよく使ってるね」

穂乃果「あとメガホン。これで監督はバッチリだね」

海未「穂乃果は昔と変わらず形から入るタイプですね」

51: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/21(月) 00:00:09.94 ID:GetK6pUa0
穂乃果「だってかっこいいから」

ことり「今の海未ちゃんたちの衣装もネクタイとズボンしかないから……急がないとねっ」

海未「そんなにあわてなくても大丈夫ですよ。私たちも手伝いますから」

穂乃果「うん! 穂乃果はうまくお裁縫できるかわからないけど……」

ことり「2人とも……ありがとう!」

海未「いえいえ」

穂乃果「というわけでまずは海未ちゃんのドレスからー……」

海未「そんなのはありません」

穂乃果「ええー」

ことり「ええー」

52: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/21(月) 00:00:54.76 ID:GetK6pUa0



希「もしかしてえりち、カメラ向けられたら演技できないタイプ?」

絵里「……そうなのかしら」

にこ「カメラ回ってるわよー」

絵里「えっ」

にこ「うそにこ」

絵里「……」

53: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/21(月) 00:01:49.27 ID:GetK6pUa0
希「まあ今の焦り様を見たらカメラない方がいいかも……」

にこ「どうやって撮るのよ」

希「隠し撮り……」

絵里「犯罪を助長しそうだからやめなさい」

にこ「あ! 真姫ちゃんまだ残ってたの?」

絵里「!?」

にこ「なーんちゃって」

絵里「……」

にこ「ちょ、待っ、に、にっこにっこにー! ぎゃあああああ!」

希「えりち……いつの間にアイアンクローなんて技を……!」

57: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/21(月) 23:13:54.86 ID:GetK6pUa0
2日目


花陽「……あなたは何を求めてやってきたのですか?」

海未「少しの食料と弾薬を」

花陽「あなた、ナンバーは?」

海未「14です」

花陽「ふふ、どうやら本物のようですね。どうぞこちらへ」

58: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/21(月) 23:14:26.86 ID:GetK6pUa0



凛「かよちんクールでかっこいいにゃー……」

真姫「……」

絵里「真姫、すごい気迫ね……」

にこ「ビデオカメラちゃんと使えるの真姫ちゃんと希くらいだしねぇ」

凛「あれ? そういえば何で希ちゃんはカメラ持たないの?」

希「真姫ちゃんが撮るとね、全然ブレてないんよ」

凛「へぇー」

にこ「ほら凛、、もうすぐ出番よ」

凛「わかったにゃー」

59: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/21(月) 23:15:05.41 ID:GetK6pUa0
穂乃果「……」

ことり「……」

希「2人ともサポート、真剣やなぁ」

絵里「うーん……海未の演技を目に焼き付けようとしてるとこはよくわかるんだけど……」

にこ「あの2人どんだけ海未好きなのよ」

60: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/21(月) 23:15:37.87 ID:GetK6pUa0



穂乃果「はいカットー!」

真姫「……よし」

穂乃果「真姫ちゃん、タオルだよ」

真姫「ありがと」

希「お疲れ様、真姫ちゃん」

真姫「うん」

にこ「じゃあ問題のシーンね」

絵里「も、もんだい……」

凛「絵里ちゃんの貴重なカタコトシーンにゃ」

絵里「カタコト……」

61: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/21(月) 23:16:26.64 ID:GetK6pUa0
真姫「大丈夫よ絵里、昨日きちんと演技できることが分かったんだから」

絵里「そ、そうよね、私頑張るわ!」

希「旦那様に元気づけられて喜ぶえりち」

穂乃果「え? これは撮影してないから……演技じゃないってこと?」

花陽「はわわ……」

62: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/21(月) 23:16:52.81 ID:GetK6pUa0
絵里「ちょ、違うってば!」

真姫「やめなさいよ」

希「じゃあこのまま撮影スタートやね」

にこ「心配だわ……」

希「カメラはないものやと思って演技してするんや!」

絵里「うう……やってみるわ」

63: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/21(月) 23:17:39.41 ID:GetK6pUa0
穂乃果「じゃあ行くよ!



     3……

        2……

           1……


                     スタート!」

64: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/21(月) 23:18:20.59 ID:GetK6pUa0




ことり「よし、これで血は止まったね。とりあえず救急車を……」

にこ「そこまでよっ!」

絵里「も、もう逃げられないわ!」
                                                                                     凛「あれ? ちゃんとできてるよ?」

                                                                                     希「昨日の特訓の成果出てるやん!」

65: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/21(月) 23:19:42.46 ID:GetK6pUa0
海未「くっ、もう追手が……ことり逃げて!」

ことり「嫌っ! 海未ちゃんを置いてはいけないよ!」

にこ「機密情報を持ち出して逃げようだなんて、いい度胸してるじゃない」

                                                            花陽「絵里ちゃん……頑張って」

絵里「組織を抜けることは許されないわ」
                              
                                                            希「うんうん、順調に進んでる」

66: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/21(月) 23:20:15.53 ID:GetK6pUa0
海未「あなたたちはわかっていません! 命令に従って動くだけなら機械にだってできます」

にこ「……私たちには上からくる命令以外何もないでしょ。他に何があるっていうのよ」

絵里「そうっ……よ、生きることは任務を……遂行すること」

                                                            凛「絵里ちゃんの様子が変にゃ」


                                                            花陽「なんだかさっきから真姫ちゃんが近づくたびに変な感じになるね」

                                                            希「ま、まさかえりち……」

67: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/21(月) 23:21:21.78 ID:GetK6pUa0
にこ「ターゲットならそこにいるじゃない。任務は生け捕りよ? どうして連れ帰らないの?」

海未「ふふっ」

絵里「何がおかしいの?」

海未「ただ人形のように任務をこなすだけのあなたたちにはわかりませんよ……」

にこ「そうね……じゃあ新しい任務は『裏切り者の抹殺』ってわけねッ!」

海未「はっ、この気配は……!」

絵里「にこ! さが……さがって!」


                                                            花陽「やっぱりちょっと変な気が……」

                                                            凛「またもや凛の出番にゃ!」

68: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/21(月) 23:21:50.09 ID:GetK6pUa0
凛「はっ!」



ことり「凛ちゃん!?」

にこ「なっ……いったいどこから」

凛「無論、空から」


                                                            希「凛ちゃんかっこいいなぁ」


                                                            花陽「そうだねぇ」

                                                            希「本番ではここにロープが下りてくるんやんな?」

                                                            花陽「えっ? 本番……って…………何?」

                                                            希「え」

69: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/21(月) 23:22:37.05 ID:GetK6pUa0
にこ「なかなかできそうじゃない……」

凛「……」

海未「凛、ここは任せられますか」

凛「凛を誰だと思ってるの?」

ことり「ありがとう……海未ちゃんまだ歩ける?」

海未「ええ、なんとか」

にこ「みすみす逃がすわけないでしょ!」

凛「それはこちらの台詞」

絵里「……にこ、これは私たちの管轄外よ。……ひ、ヒキマショウ……」

にこ「……っ、覚えてなさいよ!」

70: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/21(月) 23:23:56.21 ID:GetK6pUa0




穂乃果「はいカット!」

絵里「はぁ……はぁつ……」

海未「絵里、演技すごく上手になってましたよ!」

絵里「あ、ありがとう」

穂乃果「凛ちゃんもかっこよかったよ」

凛「えっへん、凛もやればできる子なんだよ!」

ことり「真姫ちゃんお疲れ様っ」

真姫「そんなに疲れないわよ。カメラ構えてるだけだし」

71: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/21(月) 23:24:26.77 ID:GetK6pUa0
ことり「でもみんなに近づいたり……大変じゃない?」

真姫「近づくって言っても2、3歩でしょ」

絵里「そうよね……2、3歩だけだし」

真姫「ねぇ絵里」

絵里「えっ!?」

真姫「……そんなに驚くこと?」

穂乃果「意識してるのかなぁ?」

凛「むふふ。絵里ちゃんかわいい」

絵里「もー……」

72: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/21(月) 23:25:49.73 ID:GetK6pUa0
にこ「今気づいたけど、にこの役って完全に噛ませ犬ポジションじゃない」

海未「そんなことを言いながらも真面目にやってくれてうれしいですよ」

にこ「あんたも恥じらいはなくなったのね」

海未「主演だと言われてから諦めました」





花陽「えぇ!?」


73: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/21(月) 23:26:25.06 ID:GetK6pUa0
凛「かよちん!?」

穂乃果「えっ、どうしたの?」

花陽「どどどど、どうしよう……かみさまたすけてぇ……」

希「本番やるって言ってなかったん?」

真姫「本番って何よ」

海未「本番!?」

ことり「え? みんな聞いてないの?」

74: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/21(月) 23:26:58.18 ID:GetK6pUa0





海未「えええええ!? 講堂を使っての本番!?」

絵里「」

真姫「ちょ……」

花陽「……」

凛「あれー? みんな聞いてなかったのかにゃ」

にこ「ちょっと……この4人って真っ先に伝えなきゃいけないメンバーでしょ」

穂乃果「あれ? 海未ちゃんには音乃木坂主演女優賞とろうって言ってたよね?」

海未「本当にそんなのがあるなんて知りませんでしたよ……」

75: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/21(月) 23:27:55.22 ID:GetK6pUa0
ことり「大丈夫だよ! 舞台袖からちょっとだけ顔をのぞかせてても海未ちゃんはかわいいよ!」

穂乃果「……その方が逆にいいかも」

ことり「でしょ?」

海未「でしょ? じゃありませんよ……もう」

希「うぅ、みんなごめんなぁ。みんな真剣にやってるから聞いてると思ったんよ」

花陽「ううん、聞かなかった私たちも悪いんだよ……」

真姫「それより絵里よ絵里、今日の演技も所々固かったし……こんなので大丈夫なわけ?」

絵里「……やっぱり固かったのね」

真姫「あっ」

76: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/21(月) 23:29:08.51 ID:GetK6pUa0
絵里「いいのよ本当のことだから……ぐすん」

希「あー、その話なんやけど」

にこ「カメラがあるからダメなんでしょ? なら本番はカメラないから大丈夫じゃない」

凛「超理論にゃ!」

海未「そんな簡単にいくかどうか……」

絵里「カメラが……ない?」

穂乃果「そうだよ! 記録されることはないんだよ!」

ことり「うんうん、昨日みたいにやれば自然にできるはずだよ」

絵里「私……やれるわ! やれるのよ!」

海未「ええー……」

希「……まあ結果オーライかな?」

花陽「?」

77: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/21(月) 23:30:36.92 ID:GetK6pUa0
にこ「じゃあ昨日みたいに特訓ね。ネタ出してネタ」

真姫「え、またやるの?」

絵里「……」

凛「真姫ちゃんがそんな風に言うから絵里ちゃんが落ち込んじゃったにゃー」

希「旦那様、フォローせなフォロー」

真姫「絵里のためなら別にかまわないわよ?」

絵里「!」

穂乃果「か、完璧すぎるフォローだよ……」

花陽「すごい……」

にこ「それなら今日は何にしましょうか」

78: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/21(月) 23:31:11.23 ID:GetK6pUa0





花陽「つ、疲れたぁ」

海未「結局特訓になったのかどうかわかりませんね……」

絵里「ぐぬぬ……まだまだ!」

希「はーい、下校時間でーす」

真姫「今日はもう帰りましょうか」

穂乃果「そういえば絵里ちゃん、講堂の使用許可とった時に気付かなかったの?」

絵里「あ、その時は希に任せてたから……」

希「みんなで劇できるって楽しみにしてたもんなぁ」

絵里「そ、それは内緒よ!」

79: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/21(月) 23:31:47.43 ID:GetK6pUa0
真姫「……」

ことり「真姫ちゃん楽しかった?」

真姫「……まぁね」

凛「絵里ちゃん! 真姫ちゃん楽しかったって!」

絵里「!?」

花陽「り、凛ちゃん! そういうのは本人のいないところでこっそり……」

にこ「イチャイチャしてると理事長に怒られるわよ」

理事長「呼んだかしら」

にこ「でっ、出たぁ!?」

理事長「うわーん、おばけみたいに言われたぁ。海未ちゃん慰めて」

80: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/21(月) 23:32:18.61 ID:GetK6pUa0
海未「はいはい、よしよし」

絵里「何で扱いに慣れてるの!?」

海未「いつものことです」

穂乃果「おばさんずるいー! 穂乃果もー!」

ことり「私も―!」

凛「う、海未ちゃんが実はこの学院の支配者なんじゃ……」

希「海未ちゃん、恐ろしい子やな」

81: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/21(月) 23:33:08.29 ID:GetK6pUa0
凛「じゃあ凛もそれにあやかるにゃ! 海未ちゃんなでなでしてー」

花陽「……わ、私も」

海未「……これって帰れないんじゃ」

にこ「それでも腕を止めないあたりプロね」

真姫「子どもの頃ナデナデシテーって言うぬいぐるみがあった気がするんだけど……なんて名前だったかしら」

絵里「チェ○ラーシカ?」

希「さすが本場やね」

85: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/22(火) 22:31:26.54 ID:+Z7ZWpKA0





3日目


海未「そういえば聞きそびれたんですが、本番はいつなんですか?」

穂乃果「あさってだよ?」

海未「あさって!?」

ことり「うん、廊下にもポスター貼ってるよ」

絵里「せ、生徒会の許可印がある……」

希「えりち、このポスターに許可印押してた時うとうとしてたんちゃう?」

絵里「何で?」

希「押してるところがバラバラ」

絵里「はっ」

86: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/22(火) 22:32:33.51 ID:+Z7ZWpKA0
真姫「あさって……ねぇ絵里は大丈夫そう?」

絵里「そうね、ちゃんと特訓できたし……」

希「真姫ちゃん、えりちの目をまっすぐ見てみて」

真姫「ん? 何でよ」

希「人の目を見るのは演技中大事なことやろ? 観客の目を見るとか」

真姫「それもそうね……」

真姫「……」

絵里「え、何?」

真姫「特訓よ。目を逸らさないで」

87: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/22(火) 22:35:24.07 ID:+Z7ZWpKA0
絵里「あ……そ、それよりにこたちはどこにいるの? 本番も近いし……真姫も近い」

穂乃果「にこちゃんたちは教室で特訓中だよ。凛ちゃんと花陽ちゃんがセリフ覚えるのに苦労してるみたいで」

ことり「あー、2人は私たちの次にセリフ多いからねぇ」

海未「はい……それにしてもキャスティングが結構雑ですよね。くじ引きをしたとき紙になんて書いてありましたっけ」

希「えーっと、『ヒットマン(主役)』と『ヒロイン』、『ヒットマン(敵)』が2つやろ? それから『いい人そうに見えて実はラスボス』と『ラスボスの側近』……これで6つやね」

真姫「あとは『監督』と『カメラマン』。それに最後は『違う自分になってみよう』とかいうのもあったわね」

海未「最後のはもはや演劇関係ないというか……」

ことり「それは凛ちゃんが引いたんだよねっ」

絵里「あー、だからああいう役……台本に『めちゃくちゃ強いヒロインの友人』って書き足してあるけど」

希「あらすじをおさらいしてみる?」

穂乃果「そうだね」

88: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/22(火) 22:36:01.05 ID:+Z7ZWpKA0


海未「まず主人公はヒロインを拉致しに来て……」

ことり「でもヒロインと接してるうちに何でさらわなくちゃいけないのかわからなくなって……」

絵里「そこで帰りの遅い主役を探しに、もともと仲間だった暗殺者が来て……」

真姫「主役の裏切りを知る、と」

希「そこでやられそうになった主役とヒロインのピンチを救いに友人が登場して……」

穂乃果「ここで戦わずにすむんだよね」



穂乃果「……ちょっといいかな」

海未「どうしましたか?」

89: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/22(火) 22:36:56.26 ID:+Z7ZWpKA0
穂乃果「……思ったよりこのお話長くない?」

希「そうやね。確か講堂を使える時間は……1時間?」

ことり「1時間!?」

絵里「これって普通にやったら3時間くらいかかるわよ」

真姫「巻きでいっても2時間ってところかしら」

海未「……真姫だけに」

穂乃果「……聞いちゃった」

海未「わ、忘れてください」

ことり「録音しちゃった」

海未「この短時間で!?」

90: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/22(火) 22:37:24.50 ID:+Z7ZWpKA0
希「そもそもこの脚本書いたのって誰やったっけ?」

真姫「初めはにこちゃんじゃなかった?」

海未「あれ? 私も書きましたよ?」

穂乃果「穂乃果も書いたー」

ことり「……もしかしてみんな書いてるの?」

絵里「あ、そうだ! そのあとみんなで付け足していったような……」

希「んー、どうする?」

ことり「そうだねぇ……」

海未「真姫、どうしました?」

真姫「……分割してやればいいんじゃない? 講堂を借りる回数の制限はないんだし、3回くらいに分ければ十分でしょ」

91: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/22(火) 22:38:05.11 ID:+Z7ZWpKA0
海未「その手がありましたか!」

絵里「なるほどね……」

ことり「名案だねっ」

穂乃果「真姫ちゃん、頼りになるぅ!」

真姫「ちょ、くっつかないでよ」

希「うれしいくせにー」

真姫「ぬぬぬ……」

92: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/22(火) 22:38:39.82 ID:+Z7ZWpKA0





にこ「1時間しかないなんて知らなかった……」

凛「ええっ、凛はこの劇1時間でやると思ってたんだけど」

花陽「それはさすがに無理だよぉ」

にこ「でもこれはみんなで作ったものだし勝手に変えるわけには……」

花陽「うーん……」

凛「かよちんのラスボス姿、凛も見たいにゃー」

にこ「凛も頑張ってセリフ覚えたしねぇ」

花陽「うん、やるならできるだけ完璧にやりたいね」

93: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/22(火) 22:39:25.64 ID:+Z7ZWpKA0
にこ「花陽がやる気だわ……」

凛「凛もやる気!」

にこ「それは私も一緒よ」

にこ「そういえば劇で使う名前はそのままなのよね?」

凛「そうだよ」

にこ「じゃあ凛は初対面の花陽をなんて呼ぶの?」

花陽「あ……」

凛「かよちんって呼べないにゃー」

にこ「そしたら凛は花陽のことを……」

94: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/22(火) 22:40:15.61 ID:+Z7ZWpKA0
凛「花陽」

花陽「えっ!? は、はい!」

にこ「花陽、驚きすぎじゃない?」

花陽「で、でもぉ……」

凛「花陽」

花陽「ひゃあ!?」

にこ「仲いいわね……ったく」

凛「にこちゃんも呼び捨てがいいの?」

にこ「いやいや、誰もそんなこと言ってないでしょ」

95: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/22(火) 22:42:48.02 ID:+Z7ZWpKA0
凛「じゃあ……にこにー!」

にこ「はーい! みんなのアイドル矢澤にこですっ!」

にこ「本番の舞台の為に頑張っちゃうぞぉ!」

にこ「にっこにっこにー!」

花陽「……す、すごい!」

凛「さすがにこちゃんにゃ!」

にこ「……素直に感心されると困るんだけど」

99: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/23(水) 22:47:20.68 ID:PAHzElGY0




4日目


希「えりち、たぶん明日はうまくできると思うで」

絵里「えー……まだぎこちなかったりするわよ?」

希「それは真姫ちゃんが撮影してるからやない?」

絵里「?」

希「じゃあウチが撮影してみるから演技して」

絵里「いいけど……笑わないでよ?」

希「面白い動きしてくれたらNG集に使えるから頼んだでー」

絵里「ぜ、絶対成功するんだから」

100: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/23(水) 22:47:48.21 ID:PAHzElGY0






真姫「絵里、どこ行ったのかしら」

真姫「一応特訓しておこうと思ったんだけど……いないなら練習に戻ろうかしら」

真姫「……あーでも色々言われそうね……」

凛「そうだよ、真姫ちゃんは絵里ちゃんの旦那様なんだから~」

真姫「うわっ」

凛「そんなに驚かれたら凛も傷つくにゃ!」

理事長「なになに? 絢瀬さんと西木野さんってそういう関係だったの?」

真姫「!?」

凛「今のは凛もびっくりしたぁ……」

101: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/23(水) 22:48:18.26 ID:PAHzElGY0
真姫「……り、理事長お仕事は?」

理事長「理事長は放課後です。今は普通のかわいい主婦です」

凛「今自分でかわいいって言った……でも真実にゃ」

真姫「私敬語苦手なのよね……」

理事長「あなたのお母さんと私は友達なのよ? 知ってた?」

真姫「あ、聞いたことある……あります」

凛「ことりちゃんに海未ちゃん、それに真姫ちゃんまで……この学院は支配者が多いにゃ」

理事長「うふふ、そうね」

真姫「……」

102: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/23(水) 22:48:54.92 ID:PAHzElGY0
理事長「あなたは素直じゃない子だから、ってお母さんから聞いてたのよ」

凛「ほほう」

真姫「何よその目は」

理事長「でも今は……ずいぶん楽しそうね」

真姫「え?」

理事長「明日の舞台楽しみだわ! どんな役やるの?」

凛「凛はかっこいい役にゃ!」

真姫「それじゃわからないでしょ」

理事長「なるほど」

真姫「つ、伝わった……」

理事長「真姫ちゃんは?」

凛「な、名前呼び……!」

真姫「私は……出ません」

103: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/23(水) 22:49:34.47 ID:PAHzElGY0
理事長「ええっ!?」

凛「ええっ!?」

真姫「凛は知ってるでしょ?」

凛「ほ、ほんとだ! カメラは舞台に要らない……」

理事長「真姫ちゃんのお姫様姿見たかったなぁ」

凛「お姫様……凛も見たーい」

真姫「何の話?」

104: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/23(水) 22:50:06.01 ID:PAHzElGY0




にこ「……」

ことり「ま、まさかこんなことになるなんて……」

花陽「本番は明日なのにぃ……」

海未「ぐふっ」

穂乃果「み、みんなごめん……ね」

105: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/23(水) 22:52:49.51 ID:PAHzElGY0






絵里「私たちは一体何のために戦ってきたの……?」

希「はいカットやで!」

希「うん、ちゃんとできてるやん」

絵里「カメラがあっても意外とうまくいったわね」

希「それは……えりちが真姫ちゃん意識しすぎてるから」

絵里「?」

希「カメラ越しにでも真姫ちゃんが見てくると集中できない、そうやない?」

絵里「……そうかも」

106: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/23(水) 22:53:36.09 ID:PAHzElGY0
希「ふふ、えりちは真姫ちゃんとの接し方に困ってたやろ?」

絵里「そうね……最初は目を合わせるのすらままならなかった気がするわ」

絵里「にらまれてるみたいだったもの……ちょっと無愛想だったから」

希「ウチは最初から、不器用なんやなーって思ってたよ?」

絵里「ええっ? 何でよぉ」

希「似てる人がいるからやと思うなぁ」

絵里「……誰かしら」

希「ま、えりちはギャップ萌えってやつにやられたんやと思うで」

絵里「どういうこと?」

希「ツンツンした態度で優しくしてくれる真姫ちゃんに……」

絵里「……はっ」

107: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/23(水) 22:54:08.77 ID:PAHzElGY0
絵里「ど、どうしよう! 私どうすればいいの!?」

希「そんな恋する乙女みたいなこと言われてもなぁ……本番は明日やのに」

絵里「……変な感じだわ。でも真姫ってすごくきれいな目してるのよ?」

希「いやいや、そんなこと言われても……」

絵里「ドキッとするでしょ? 絶対するわよ」

希「えりち、真姫ちゃんのこと好きなんやね」

絵里「……そうなのかしら」

希「赤くなられても困るんやけど……まあその方がえりちらしくてウチは好きやなぁ」

絵里「それって褒め言葉?」

希「さーて、どうやろ?」

絵里「もう……」

108: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/23(水) 22:54:45.69 ID:PAHzElGY0
希「それにしても……カードが『誰かが大切なことを忘れる』って伝えてくれたんやけど、何のことかな?」

絵里「忘れる? き、記憶喪失とか?」

希「そんなことはないと思うけど……」

真姫「あ、いた」

凛「教室にいたんだね。生徒会室にいると思ったにゃー」

絵里「ま、真姫?」

凛「凛もいるよ?」

希「えりちは真姫ちゃんに夢中やから」

凛「?」

109: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/23(水) 22:58:05.27 ID:PAHzElGY0
希「本音で語るのは大事なことやろ?」

真姫「よくわからないけど……とりあえず部室に戻りましょ」

絵里「う、うん」

希「うふふ」

凛「絵里ちゃんどうしたの?」

絵里「?」

110: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/23(水) 22:58:32.42 ID:PAHzElGY0





穂乃果「」

海未「」

ことり「」

にこ「」

花陽「」

絵里「……えっ?」

凛「み、みんなが倒れてる!?」

真姫「ちょっと待って。穂乃果が何か持ってる……なにこれ」

希「『眠気を吹き飛ばすスーパーゴーヤドリアンのどあめ』……? 効き目凄そうやなぁ……」

111: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/23(水) 23:00:21.24 ID:PAHzElGY0
穂乃果「う、うーん」

絵里「穂乃果!? 大丈夫!?」

穂乃果「あれ? 絵里ちゃん……それにみんなもどうしたの?」

海未「わ、私たちは一体何を……」

真姫「海未、大丈夫? 何があったの?」

海未「何って……ん? 何してたんでしたっけ」

凛「かよちん! ことりちゃん! にこちゃん!」

花陽「……はっ」

にこ「うぅ……」

ことり「いたたた……」

112: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/23(水) 23:01:22.75 ID:PAHzElGY0
希「もしかして……忘れるってことは……」

絵里「穂乃果! 明日は何の日か知ってる?」

穂乃果「明日って何の日だっけ」

海未「課題の提出日では?」

花陽「ああっ! 明日数学のテストだった!」

ことり「他には……何かあったかな?」

にこ「頭痛い……」

絵里「記憶が飛んでる……!?」

真姫「これは……」

凛「つまり……どういうこと?」

113: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/23(水) 23:03:57.21 ID:PAHzElGY0
真姫「このままじゃ舞台に立つのは難しそうってことよ」

凛「ええっ!?」

海未「舞台?」

ことり「うーん、何か大切なことがあったと思うんだけど……」

花陽「何かあったかな?」

絵里「みんな、どこか悪いところはない?」

穂乃果「元気だよ?」

にこ「心配性ねぇ」

希「まずいことになったなぁ……」

114: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/23(水) 23:15:14.42 ID:PAHzElGY0




絵里「穂乃果たちには保健室で休んでもらったけど……」

凛「ど、どうすればいいの?」

希「……こういう時はえーっと」

絵里「うーん……」

凛「中止になっちゃうの?」

希「それは避けたいなぁ……」

絵里「でもこのままだと……」




真姫「ああもう! そんなことでどうするのよ!」

115: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/23(水) 23:17:53.65 ID:PAHzElGY0
凛「真姫ちゃん……?」

希「真姫ちゃん落ち着いて」

真姫「私は冷静よ。ここで諦めるなんて……」

絵里「そうね。諦めるのには反対だわ」

凛「でもみんなセリフとか演技とか忘れちゃったんだよ?」

希「今日やるはずやった舞台でのリハーサルもできてないし……」

絵里「それはそうだけど……」

116: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/23(水) 23:20:15.01 ID:PAHzElGY0
真姫「待って凛。今なんて言った?」

凛「え? みんなはセリフとか演技とか忘れちゃってるって……」

真姫「それよ」

絵里「まさか……!」

真姫「そのまさかよ、絵里」

希「真姫ちゃん何するん?」

真姫「そもそも舞台にセリフや演技なんているのかしら」

凛「えっ」

117: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/23(水) 23:25:54.55 ID:PAHzElGY0
凛「で、でもセリフがないと何をしたらいいかわからないよ?」

真姫「凛!」

凛「は、はいっ!」

真姫「凛、舞台で思うがまま、やりたい放題に動いてみたいとは思わない?」

凛「んー、そうしたいのはやまやまだにゃ」

希「真姫ちゃん、それって……」

真姫「そう、即興劇よ。この場をしのぐにはこれしか方法はないわ」

真姫「舞台をやる機会なんてたくさんあるんだから……」

希「おお、まるで今回やる予定やった劇は次回する、みたいな口ぶりやね」

真姫「当たり前よ。みんなで書いたものなんだから」

絵里「そうこなくっちゃ!」

118: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/23(水) 23:31:20.21 ID:PAHzElGY0
凛「でもでも即興劇って言っても、凛たちにすぐできるとは思えないにゃー」

真姫「そうね、だから今回は話の流れをあらかじめ決めておくのよ」

絵里「あぁ、物語の中心を定めておくわけね」

希「うんうん、なんか楽しそう!」

真姫「ま、お題は穂乃果たちの意見も参考にするとして……あとは何をしたら面白いかしら」

凛「真姫ちゃん役者さんの顔してる……」

希「頼りになる後輩がいて助かったわぁ」

絵里「何言ってるの、私たちも意見出すのよ?」

119: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/23(水) 23:35:30.98 ID:PAHzElGY0
凛「はいはーい!」

真姫「はい、凛。何かいいの思いついた?」

凛「凛たちはアイドルだからミュージカルにするのは?」

真姫「それもいいけど……今回は自由度が高いからその場で選んで歌を披露するのは難しいと思うわ」

凛「そっかぁ」

真姫「でもいいアイディアよ」

凛「褒められた!」

120: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/23(水) 23:39:17.47 ID:PAHzElGY0
希「じゃあウチもー!」

真姫「はい、希」

希「お客さんを舞台に呼ぶ」

真姫「大胆にいったわね……うーん、お客さんに協力してもらうってのは悪くないわ」

希「あと意見出してないのはえりちだけやでー」

絵里「私はあんまりいい考えないのよね……」

凛「思いつきでいいと思うよ?」

希「うんうん」

絵里「それなら……」

121: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/23(水) 23:42:42.83 ID:PAHzElGY0
絵里「お客さんに手を挙げてもらって、そこから先の展開を決めてもらうとかは?」

希「あ、それいいかも」

凛「楽しそうにゃ!」

真姫「……」

凛「ま、真姫ちゃん監督、どうですか?」

真姫「何よそれ、ていうか監督は穂乃果じゃない」

希「それで、感想のほどは?」

真姫「いいアイディアね。採用よ」

絵里「やった!」

122: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/23(水) 23:44:55.35 ID:PAHzElGY0
凛「そうと決まれば話は早いにゃ! みんな呼んでくるね!」

希「あ、凛ちゃん廊下は走ったら危ないで」

絵里「って追いかけてる希も走ってるじゃない……」

真姫「……」

絵里「お疲れ様」

真姫「まだ本番は始まってもいないのよ?」

絵里「ううん、みんなのために頑張ってくれて」

真姫「……そう」

絵里「やっぱり真姫は優しいわね」

真姫「どうしたのよ急に」

123: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/23(水) 23:47:16.37 ID:PAHzElGY0
絵里「私はそういうあなたが好きよ」

真姫「……調子狂うわね」

絵里「だってほら、先輩だから?」

真姫「何で疑問形なのよ」

絵里「理由はいるかしら」

真姫「……いらない」

絵里「明日の本番、何があっても成功させましょうね」

真姫「それって答える必要あるの?」

絵里「ううん、いらない」

124: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/23(水) 23:47:44.50 ID:PAHzElGY0

今日はここまでです
明日は安価出しますよ

125: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/23(水) 23:54:45.91 ID:PAHzElGY0
真姫「いらないって何?」

絵里「真姫の真似してみただけよ。似てた?」

真姫「知らないわよ……ふわぁ」

絵里「あら、お昼寝の時間?」

真姫「取り仕切るなんて慣れないことするもんじゃないわね。疲れたわ」

絵里「そう? 慣れてるように見えたけど」

真姫「絵里の真似しただけよ」

絵里「えっ」

127: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/25(金) 22:19:55.82 ID:99U68LZZ0


5日目



海未「ほ、本当にやるんですか?」

絵里「ええ、もちろんよ」

花陽「でも私たち練習できてないよぉ……」

凛「そこは気合と根性にゃ!」

ことり「そうだよね……頑張らなきゃ!」

希「その意気やで」

にこ「にこたちはアイドルなんだし、このくらいどうってことないわよね」

真姫「はぁ……その態度は尊敬するわ」

穂乃果「よーし……じゃあ張り切っていこう!」


128: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/25(金) 22:20:22.56 ID:99U68LZZ0
絵里「じゃあ最終的に監督役を買って出てくれた真姫から一言」

真姫「わ、私? こういうのは絵里とか穂乃果とかの方が……」

凛「真姫ちゃん頑張ってたんだから当然にゃ!」

希「そうそう、ここは真姫ちゃんじゃないと締まらないよ?」

にこ「まさかこんなことやるなんて思ってもみなかったけど、確かに一番忙しくしてたのは真姫ちゃんだからね」

真姫「えぇ? ……そんなこと言うのって緊張するわ」

海未「それには同感です。まああんなにお客さんが集まっていてこの発言もどうかと思いますが……」

花陽「ま、真姫ちゃんが頑張ってるんだから、私たちも頑張ろう!」

129: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/25(金) 22:20:48.66 ID:99U68LZZ0
真姫「私は言うなんて一言も……」

ことり「今日の主役は真姫ちゃんだからねっ!」

穂乃果「うんうん、そのドレスもよく似合ってるし……後で海未ちゃん着てもらおう」

海未「聞こえてますよ」

穂乃果「ぎくっ」

絵里「ほら真姫、舞台始まっちゃうわよ?」

真姫「ああもう……わかったわよ」

130: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/25(金) 22:21:15.38 ID:99U68LZZ0




「こういうのは苦手だから手短に話すわ」

「えー……予定とは大きく違うけど、今回の舞台はみんなでつくる大切なものよ」

「こんなこと言うのは柄じゃないんだけど……みんなの協力が必要なの」

「もちろん協力するにゃ!」

「はい、後輩の頼みとあらば断われませんから」

「ふふふ、真姫ちゃんらしいやん」

「う、うるさいわね……」

131: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/25(金) 22:21:42.66 ID:99U68LZZ0
「やだぁ、真姫ちゃん照れてるの?」

「に、にこちゃん、真姫ちゃんはまじめだからからかっちゃダメだよぉ」

「かよちんの言う通りにゃー」

「後輩に怒られるにこっち」

「もしかしたら真姫ちゃんのドレスがかわいいから嫉妬してるのかも」

「ええっ、穂乃果ちゃん本当? ごめんねにこちゃん……私がもっと早く作ってれば……」

「ああもう、ことりが気にしちゃったじゃない。ほらにこ、謝りなさい」

「ごめんなさい」

「なんだか幼稚園みたいですね……」

「海未、そのセリフは聞き捨てならないわ。にこがちっちゃいからって……ちっちゃいからってええええ!」

132: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/25(金) 22:22:24.49 ID:99U68LZZ0
「にこちゃんうるさい。ていうか私の話聞きなさいよ」

「あ、ごめんね真姫ちゃん。海未ちゃんが可愛くてつい」

「ことり、私は関係ないでしょう」

「はーい、静かにしなさーい」

「生徒会長さんのお言葉やで、みんな聞いてー」

「あーもう! 1回しか言わないからよく聞きなさいよ!」

134: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/25(金) 22:22:51.39 ID:99U68LZZ0





「頼りにしてるわ。そして――――――――






――――――――最高の舞台にしましょう」




135: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/25(金) 22:23:27.70 ID:99U68LZZ0


「真姫ちゃんもう1回言って! 録音するから!」

「凛ちゃん大丈夫だよぉ。ことりちゃんがボイスレコーダー貸してくれたから」

「凛はともかく花陽にまで裏切られるなんて……」

「凛の扱いがひどいにゃー」

136: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/25(金) 22:30:48.88 ID:99U68LZZ0




むかしむかしあるところに、シンデレラというとても美しい女性がおりました。

シンデレラは母と姉2人とともに仲良く暮らしていました。


真姫「え、打ち合わせした時はシンデレラじゃなかったわよ?」

絵里「即興劇ってそういう……」

海未「仲良く……?」

ことり「穂乃果ちゃんらしいね」

にこ「ほら真姫ちゃん、出番よ」

137: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/25(金) 22:35:02.68 ID:99U68LZZ0
真姫「ちょ、それならこんなドレス着てたらまずいでしょ」

希「あ、そっか」

凛「穂乃果ちゃん、もうちょっとナレーション長く!」

穂乃果「……」

海未「よし、伝わったみたいですね」



シンデレラはどうやらお着換え中のようです。

みなさんしばらくお待ちください。




にこ「ナレーション何者なのよ……」

138: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/25(金) 22:36:18.70 ID:99U68LZZ0
絵里「でもこのまま誰も出ないのはまずいわ」

海未「そうですね。ここは……」

凛「じゃあ凛が出るにゃ」

ことり「うん、それなら>>139の役でお願い!」

139: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/04/25(金) 22:43:48.59 ID:MPZ586KR0
野良猫

140: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/25(金) 22:49:13.20 ID:99U68LZZ0
凛「シンデレラさんシンデレラさん、ここにまだホコリが残ってるにゃ」


あ、誰か出てきましたね。


凛「凛は人間じゃなくて野良猫だにゃー」

真姫「はぁ……はぁ……おはよう野良猫さん」


息も絶え絶えのシンデレラさんがやってきました。


凛「シンデレラさん早くご飯ちょうだいにゃー」

真姫「まずお掃除をするからどいてくれないかしら?」

凛「ご飯もらうまでどかないにゃー」

141: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/25(金) 22:54:41.20 ID:99U68LZZ0
真姫「そう、だったら私にも考えがあるわ」

真姫「あ! あんなところにおいしそうなお魚が!」

凛「え? どこどこどこ?」

真姫「そこの角を曲がってすぐのところよ」

凛「ありがとうシンデレラさん! このご恩は倍にして返すにゃ!」

真姫「……これでよし。やっとお掃除が始められるわ」



                                                            花陽「角だったら見えないよね?」

                                                            希「うん、真姫ちゃんうまいなぁ」

                                                            凛「ただいまー! 次はだれが出るの?」

                                                            絵里「ここはお姉さまってことだから……>>142お願いね」

142: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/04/25(金) 23:15:11.00 ID:1cy7sm0no
のんたん

143: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/25(金) 23:27:51.58 ID:99U68LZZ0
希「ふふふ、がんばっているかね?」

真姫「あ、お姉さま。おはようございます」

希「うん、おはよう」                                                  海未「お姉さま……」

真姫「今日もいい天気ですね」                                              ことり「呼ばれたいの?」

希「そうやね、こんな日はみんなを誘ってピクニックにでも行きたいなぁ」                          海未「そ、そんなことは……」

真姫「そうですね」


                                                            凛「みんなって?」

                                                            絵里「たぶんシンデレラのお母さんともう1人のお姉ちゃんでしょうね」

146: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/28(月) 22:38:56.96 ID:kliG4j8Y0
                                                  ことり「それじゃあ海未ちゃん、お姉さま役としてどうぞ」

                                                  海未「えっ、ちょっとことり……」

                                                  にこ「こういうのは出てしまった方が楽よ」

                                                  海未「それもそうですね……わかりました」

                                                  凛「じゃあかよちんも行ってみたら?」

                                                  花陽「わ、わかった!」

147: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/28(月) 22:39:23.77 ID:kliG4j8Y0
海未「し、シンデレラ。掃除は終わりましたか?」

真姫「あらお母様。すみません、まだ始めたばかりなのです」

                                                  絵里「あら、海未がお母さん役になっちゃったわよ」

                                                  ことり「お母さん海未ちゃん……うん、それもいいね」

花陽「それでは私たちも手伝いましょう。希お姉さま、海未お母さま」

希「そうやね」

海未「それでは手分けして始めましょう」

148: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/28(月) 22:40:02.12 ID:kliG4j8Y0
真姫「では私は玄関口の方を」

花陽「わ、私は廊下を」

希「じゃあウチはワインを片手にみんなの掃除を見て回ろ」

海未「昼間から酒!?」

                                                  凛「おお、ウケてるにゃ!」

                                                  絵里「ユーモアのセンスも問われるのね……ハラショー」

149: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/28(月) 22:40:29.87 ID:kliG4j8Y0

                                                  にこ「……うわっ! 急に電気消えたわよ!?」

海未「……ど、どうなってるんですか?」

真姫「わからないわ……照明をいじってるのは穂乃果だから、たぶん場面転換とかじゃないかしら」

希「……皆が見てる前、舞台の上で内緒話なんて新鮮やね」

花陽「……暗いから見えてないよね?」

海未「穂乃果のことですからきっと……大幅に変えてくると思います」

150: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/28(月) 22:40:59.60 ID:kliG4j8Y0


そうしてシンデレラたちは掃除を始めました

歌い、時には小鳥と戯れながらお屋敷の隅から隅まで綺麗にしました



                                                  にこ「まるでミュージカルね」

                                                  ことり「……ちゅん」

                                                  にこ「ツッコまないわよ」

ところがそんなお屋敷での楽しげなシンデレラたちとは対照的に、王子様の心は曇っていました

                                                  凛「急に王子様!?」

151: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/28(月) 22:41:28.15 ID:kliG4j8Y0
                                                  ことり「え、絵里ちゃん、服は……」

                                                  絵里「着てるわ! でも王冠がなくて……」

                             海未「私たちは戻りますよ」

                             希「真姫ちゃん早くー」

                             真姫「ちょ、このドレス動きづらいのよ」

                             花陽「み、みんな待ってぇ……」


                                                  ことり「あ、明るくなってきたよ!」

                                                  にこ「じゃあにこがそれとなく持っていくから出なさい」

                             絵里「わかったわ!」

152: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/28(月) 22:42:22.27 ID:kliG4j8Y0
絵里「はぁ……はぁ……」



王子様は日課の早朝ランニングでお疲れのようです



                                                  ことり「王子様、体力づくりに余念がない……」

                                                  にこ「あ、王冠見つかった!」

                                                  海未「では気を見計らってから舞台に出ましょう」

153: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/28(月) 22:42:49.64 ID:kliG4j8Y0
絵里「むむむ……スポーツ万能な王子様アピールをしても伴侶は見つからないなぁ」

                                                  海未「さすが絵里……上手く話をつなげてきましたね」

                                                  真姫「みんなはドレス着てないけど……いいのかしら」

                                                  希「そこはほら、想像でカバーやん」

                                                  にこ「よーし、行くなら今ね!」

154: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/28(月) 22:43:17.08 ID:kliG4j8Y0
絵里「早く伴侶を見つけないと王子として示しが……」

にこ「王子様ー! ランニング途中で王冠を落として行きましたわよー!」

絵里「えーっと……に、にこ大臣! ありがとう!」

にこ「だ、大臣……」

                                                  凛「に、にこ大臣……ぷくく」

                                                  希「凛ちゃん、笑ったら……ぷぷぷ」

                                                  ことり「大臣……」

                                                  真姫「せめて妹とかにすればよかったのにね」

                                                  希「……妹」

155: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/28(月) 22:43:42.82 ID:kliG4j8Y0
絵里「にこ、唐突で悪いけれど舞踏会を開いてくれないかい?」

にこ「大臣はアイドル業で忙しいのです……」

絵里「ええっ!?」

                                                  海未「舞台でもアイドルですか……」

                                                  真姫「さすがね……」

                                                  ことり「いつものやって、って誰か言わなかった?」

                                                  花陽「いつものって、もしかして……」

156: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/28(月) 22:44:08.50 ID:kliG4j8Y0
絵里「ならにこ、アイドルってのは一体何をやっているんだい?」

にこ「そりゃあもちろん……」

にこ「みんなのアイドル、矢澤にこでーす! にっこにっこにー!」

                                                  希「おお、すごい歓声やね」

                                                  ことり「にこちゃんすごいねっ!」

                                                  真姫「ねぇ、にこちゃん今こっち見てウィンクしてこなかった?」

                                                  凛「そんな余裕まであるみたいにゃ」

                                                  海未「場馴れしてるってことでしょうか……」

157: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/28(月) 22:45:37.41 ID:kliG4j8Y0
にこ「というわけで、伴侶を見つける舞踏会を開く代わりにアイドル活動をできるステージを作ってください」

絵里「う、え、あ……わかった」

                                                  真姫「話が変わってきたわね」

                                                  希「それがアドリブやから仕方ないんとちゃう?」

にこ「そうなればさっそく舞台の準備をしましょう!」

絵里「ちょ、ちょっと!」

にこ「え?」

158: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/28(月) 22:49:07.75 ID:kliG4j8Y0
絵里「私の伴侶を見つけるのとアイドル活動には何の関係があるんだい?」

にこ「それは……」

                                                           ことり「と、止まっちゃったよ……?」

                                                           海未「これはまずいんじゃないですか?」

                                                           希「いや、あのにこっちの表情からするに……大丈夫そうやで」

にこ「それは舞台でダンスを踊るのにピッタリな相手を見つけることにあります」

                                                           真姫「……ってことは必然的に踊らなくちゃならないわけ?」

                                                           花陽「が、がんばって!」

159: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/28(月) 22:52:34.01 ID:kliG4j8Y0
絵里「なるほど、それはいいアイディアだ!」

                                                 希「王子様ちょろい……」


                                                 凛「あ、また舞台が暗くなってきたにゃ」


                                                 海未「おそらくまた私たちの出番ですよ」

160: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/28(月) 22:55:28.10 ID:kliG4j8Y0

王子様たちは急いで舞踏会の準備に取り掛かりました

シンデレラたちの耳にもその話は伝わります


海未「ああ、やっぱり……」


しかし、そこに立ちはだかる強大な敵!

一体どうなるシンデレラ!


希「……」

花陽「……」

真姫「穂乃果……」

167: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/29(火) 21:27:53.16 ID:e5Aflx7+0
花陽「王子様がお城でライブをするんだって!」

希「ライブぅ? 王子様も暇なんかなぁ」

海未「そういう話ですか?」

真姫「聞いた話では結構な数の人が招かれるようですが……」

                                                  凛「強大な敵ってどうすればいいのかな?」

                                                  にこ「自分たちで作ればいいのよ。好きなようにやりなさい」

                                                  絵里「考えるのが面倒になったんじゃないのかしら」

                                                  にこ「うっ」

168: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/29(火) 21:31:25.20 ID:e5Aflx7+0
海未「……もしかして王子様は伴侶を探すためにこのライブを?」

希「おお、きっとそうやね。お母様冴えてる!」

海未「そ、それほどでも……」

                                                  凛「そろそろ強大な敵が出てこないと……」

                                                  絵里「ええ、きっと2回目のナレーションが来るわ。穂乃果のことだし」

                                                  ことり「じゃ、じゃあ私が行くよっ!」

                                                  凛「凛もおともするにゃ!」

169: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/29(火) 21:34:04.96 ID:e5Aflx7+0
花陽「それとそのライブでは、世界的に有名なアイドルが来るらしいよぉ」

                                                  にこ「スタッフ、楽屋でごはん炊いて」

                                                  絵里「誰がスタッフよ」

真姫「アイドルねぇ……」



凛「ちょっと待つにゃ!」

ことり「……ヨキニハカラエミナノシュー」

170: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/29(火) 21:39:01.43 ID:e5Aflx7+0
真姫「あ、さっきの野良猫だわ!」

凛「ふっふっふ、あれは世を忍ぶ仮の姿……」

海未「その隣の方はどちら様でしょうか?」

凛「この方を知らないとは言わせないにゃ! このお方こそ世界を破滅に導く闇の魔法使い……リトルバード様にゃ!」

ことり「世界中の美少女は私のものだよ!」

海未「な、なんですって!?」

花陽「聞いたことがあります……闇の魔法使いが通った場所には美少女がいなくなる、って」

                                                  にこ「やだぁ、にこさらわれちゃーう」

                                                  絵里「大臣静かになさい」


171: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/29(火) 21:43:13.68 ID:e5Aflx7+0
ことり「シンデレラ!」

真姫「は、はいっ」

ことり「王子様なんかにあなたはあげません……私のものとなぁれ!」

真姫「う、うぅ……頭が……!」

希「シンデレラ!」

海未「やめなさいリトルバード! シンデレラが苦しがっています!」

凛「ふふふ、もう遅いにゃ。これでシンデレラはリトルバード様のもの……」

花陽「ど、どうすれば……」



穂乃果「そこまでだよっ!」

172: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/29(火) 21:47:31.23 ID:e5Aflx7+0
                                                  絵里「穂乃果!?」

                                                  にこ「ちょ、ナレーションはどうするのよ」

ことり「えっ」

海未「ほ、ほの……誰ですかあなたは!」

穂乃果「えーっと私はねぇ……そう、言うなれば光の魔法使いだよ!」

花陽「ひ、ひかりの?」

真姫「うっ」

希「シンデレラ、大丈夫?」

真姫「何とか……」


173: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/29(火) 21:53:06.84 ID:e5Aflx7+0
花陽「どうして光の魔法使いさんはこんなところに……?」

穂乃果「それはね……」

                                                  にこ「えっ、幕が下り始めたわよ」

                                                  絵里「も、もしかして……」


シンデレラの前に姿を現した2人の魔法使い

無事にライブは開かれるのか?

王子様は伴侶を見つけることができるのか?

シンデレラの命運やいかに!



シンデレラ in 音乃木坂~後編~ カミングスーン……





                                                  絵里「ぴったり1時間だわ……」

174: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/29(火) 21:56:36.14 ID:e5Aflx7+0



凛「お疲れ様にゃー」

花陽「つ、疲れたぁ……」

海未「まさかあんなに長くなるとは……」

希「みんな夢中やったもんなぁ。ウチもやけど」

絵里「後編で終わるのかしら、これ」

にこ「終わらなかったらその時はその時よ」

穂乃果「穂乃果どうだった? 決まってたでしょ?」

ことり「うん、びっくりしたよぉ」

絵里「……って真姫は?」

希「なんか今さら恥ずかしくなってきたみたいで」

にこ「えっ」

175: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/29(火) 22:00:36.44 ID:e5Aflx7+0



真姫「……」

絵里「あら、ここにいたのね」

真姫「……うん」

絵里「屋上なんか来てどうしたの? 風に当たりに来た?」

真姫「……ううん」

絵里「どうしました、シンデレラ?」

真姫「」

絵里「……真姫、顔真っ赤だけど大丈夫?」

176: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/29(火) 22:05:16.69 ID:e5Aflx7+0
真姫「いや、その、ね」

絵里「……つんつん」

真姫「や、やめなさいよ」

絵里「真姫がいたからここまで来れたのよ」

真姫「……別に私は何もしてないわ」

絵里「そう? 真姫がいなかったらきっとみんな諦めていたわ」

真姫「……」

177: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/29(火) 22:07:51.15 ID:e5Aflx7+0
絵里「話は変わるんだけど……明日から3日間連休じゃない」

真姫「本当に唐突ね」

絵里「空いてる?」

真姫「ええ」

絵里「……よし」

真姫「よし?」

178: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/29(火) 22:10:43.23 ID:e5Aflx7+0
絵里「みんな決まりよ! 明日から演劇特訓合宿スタートよ!」

穂乃果「やったぁ!」

凛「楽しみだにゃー」

にこ「ここで演技力を磨いていずれは……ふふふ」

海未「は、はしゃぎすぎですよ」

ことり「何着ていこうかなぁ」

花陽「みんなでお泊り……」

希「おやつは300円までやでー?」

真姫「ど、どういうこと?」

絵里「私のおばあちゃんの知り合いが、日本にある別荘を貸してくれることになったのよ」

179: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/29(火) 22:13:12.88 ID:e5Aflx7+0
真姫「ってことはロシアの人?」

絵里「ま、まあそんなところね」

真姫「なんだか様子が変だけど」

絵里「ち、違うわよ! 何でもないの!」

真姫「……まあいいけど」

にこ「じゃあ明日から合宿スタートよ。忘れ物しないようにね」

海未「ことり、枕を忘れないようにしてくださいよ」

ことり「うんっ」

穂乃果「ことりちゃん、枕がなかったら海未ちゃんが腕枕してくれるよ」

ことり「!」

海未「しません」

180: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/29(火) 22:14:54.58 ID:e5Aflx7+0
凛「かよちん、お菓子何にする?」

花陽「まだ決めてないよ。何にしようかなぁ」

希「真姫ちゃんもゆっくり羽を伸ばすんやで?」

真姫「でも帰ってきたら後編の舞台が残ってるんでしょ?」

希「ご名答! 正解したので真姫ちゃんにはアメちゃんあげる」

真姫「ありがと」

181: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/29(火) 22:19:52.44 ID:e5Aflx7+0


絵里「わざわざ遠まわしに言って大丈夫なんですか? すぐバレると思うんですけど……」

理事長「でも真姫ちゃんの別荘を借りる、っていうのはちょっと気が引けるでしょ?」

希「それもそうやね……」

理事長「だから私が真姫ちゃんのお母さんに直々に申請して借りました」

絵里「えっ!?」

希「えりち、なんやと思ってたん?」

絵里「てっきり真姫のお母さんと私のおばあちゃんが知り合いなのかと思って……」

理事長「私はあなたのおばあちゃんと知り合いよ? ちょくちょくメールのやり取りもするし」

絵里「ええっ!?」

希「えりちのおばあちゃんから理事長へ、理事長から真姫ちゃんのお母さんへ……知らないところでつながってたんやなぁ」

182: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/29(火) 22:23:47.45 ID:e5Aflx7+0
絵里「ん? でも結果として真姫の別荘を借りたのにかわりはないんじゃ……」

理事長「ふふっ、私が借りたのは真姫ちゃんのお母さんの別荘よ。変に意識しなくていいの」

絵里「あ……ありがとうございます」

理事長「いえいえ。一応部活動の一環ということになっているので、活動報告は怠らないように」

希「はーい」

絵里「では活動報告書を作成して……」

理事長「ああ、そんな堅苦しいのはいらないわ」

絵里「え? それでは……」



理事長「みんなの写真。それが欲しいわ」


186: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/30(水) 21:55:54.29 ID:mBWZ6RnA0


6日目


穂乃果「さあ出発だー!」

にこ「行くわよー!」

凛「にゃー!」

海未「今回の合宿の目標はさらなる演技力アップです。気を引き締めていきましょう」

花陽「うんっ!」

ことり「頑張ろうね」

真姫「私たちって……何だっけ」

希「若者特有のアイデンティーに対する疑問?」

真姫「違うわよ」

187: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/30(水) 21:57:29.91 ID:mBWZ6RnA0
真姫「だから私たちは何部なのかって聞いてるの」

絵里「アイドル研究部……だけど」

真姫「……そうよね。演劇部じゃないわよね」

希「面白いことやる部」

穂乃果「なにそれおもしろそう!」

真姫「実に的確だわ……」

188: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/30(水) 22:03:08.37 ID:mBWZ6RnA0



希「あー、景色が綺麗やね」

海未「そうですね」

穂乃果「電車って何で3人席がないんだろうね」

ことり「うんうん、これじゃ海未ちゃんを挟んでおしゃべりできないよ」

海未「こうして向かい合って座っているだけで十分じゃないですか?」

穂乃果「むむむ、海未ちゃんは肩に頭を乗せて眠っちゃうロマンがわかってない」

ことり「あわよくばひざまくらにつながる展開がわかってない」

海未「わからなくて結構です」

希「じゃあウチが肩いただきー♪」

穂乃果「あー!」

ことり「希ちゃんずるーい!」

189: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/30(水) 22:08:21.55 ID:mBWZ6RnA0
真姫「あっちは騒がしいわね」

絵里「そうね」

凛「かよちんのおにぎりおいしいにゃ!」

花陽「まだまだあるよぉ。たくさん作ってきたからね」

にこ「……何でにこは膝の上なの?」

絵里「あら、真姫の上の方がよかった?」

真姫「網棚も空いてるけど」

にこ「にこはお荷物ってわけ!?」

凛「うまいにゃ。かよちん、座布団1枚!」

花陽「おにぎりならあるよ」

にこ「いらないわよ」

190: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/30(水) 22:11:11.04 ID:mBWZ6RnA0
凛「おいしいのに」

にこ「はいはい」

絵里「ごめんね、にこ。席を1つ取り忘れたのよ」

凛「ちょっとトラブルがあるって言ったら、部長の私が部員の為に一肌脱いであげるわー、ってにこちゃんが言ったから仕方なく……」

にこ「こういうことだとは思いもしなかったわ」

穂乃果「うわーん海未ちゃんがとられたぁ」

真姫「ちょ、何で私のところに来るのよ」

穂乃果「……真姫ちゃんじゃ充電できない」

真姫「失礼ね」

191: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/30(水) 22:15:29.03 ID:mBWZ6RnA0
海未「希、起きてください」

希「……」

海未「寝たふりをしてもダメですよ」

希「……」

海未「あ、あれ?」

海未「お、起きない子にはわしわししちゃいますよ……」

穂乃果「してして!」

ことり「準備万端だよ!」

海未「うるさい!」

192: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/30(水) 22:17:31.07 ID:mBWZ6RnA0
希「むにゃ」

海未「あ、すみません。起こしてしまいましたか?」

希「あ、ウチ寝てた?」

絵里「希疲れてるの?」

希「いや……海未ちゃんからいい匂いがしたからかも」

穂乃果「……それはもしやローズマリー?」

希「そんな感じかなぁ」

ことり「海未ちゃんの使うトリートメントの匂いは全部網羅してます」

にこ「犯罪臭がするわ」

193: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/30(水) 22:21:05.14 ID:mBWZ6RnA0
凛「……ていうかこの車両、もしかして凛たちしか乗ってないの?」

絵里「本当ね。さっきまでは何人か乗ってた気がするんだけど」

にこ「じゃあ別の席に座っても怒られないわね。ここもーらいっ」

花陽「私も移動しようかなぁ」

凛「凛は怒られない程度に足を伸ばすにゃー」

絵里「私も少し景色が見たいわ」

ことり「真姫ちゃん、今の感想をどうぞ」

真姫「ひろびろ」

194: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/30(水) 22:24:39.53 ID:mBWZ6RnA0
凛「海未ちゃんはお菓子何もってきたの?」

海未「茎わかめです」

花陽「し、渋い!」

海未「おいしいですよ。食べてみますか?」

凛「うん」

花陽「いただきます」

凛「……なんだかおいしいにゃ」

花陽「……うん」

絵里「わ、私も1ついいかしら」

希「えりち、よだれよだれ」

195: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/30(水) 22:28:06.36 ID:mBWZ6RnA0
絵里「では……」

真姫「あ、ちょっと待って。それの味はまさか……」

海未「どうしました?」

希「おいしい梅味……!」

にこ「え、なに?」

絵里「」

穂乃果「と、止まっちゃったよ?」

絵里「……」

ことり「た、食べてる!」

希「せっかくもらったから捨てられないんやなぁ……健気やえりち」

凛「そっか、絵里ちゃんは梅干し苦手だっけ」

196: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/30(水) 22:31:38.63 ID:mBWZ6RnA0
絵里「……お、おいしかったわ海未。ありがとう」

花陽「涙ながらに!?」

海未「すみません、私が注意を払っていればこんなことには……」

絵里「いいのよ。これも経験の1つよ」

穂乃果「先輩の鏡だよ……」

絵里「花陽、おにぎり1ついただくわ」

花陽「あ、絵里ちゃんそれは……!」

絵里「」

にこ「また梅干しだったってオチね……」

凛「絵里ちゃんはまさかお笑い芸人を目指してたり……」

希「えりちはおバカタレント止まりやね」

絵里「ひどい」

197: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/30(水) 22:35:34.12 ID:mBWZ6RnA0
真姫「……この景色、なんだか見覚えがあるんだけど」

絵里「!」

花陽「?」

絵里「こうなったら……希にキャラメルを食べさせてごまかすしかないわね」

希「え、えりち、おバカタレントって言ったの根に持ってるん?」

絵里「ベツニ」

希「話しあお? な?」

絵里「弁解の余地はないわ」

希「ちょ、いやあああああああ!」

海未「……」

穂乃果「食べ物の恨みって怖いね」

にこ「論点ずれてるわよ」

198: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/30(水) 22:42:45.52 ID:mBWZ6RnA0
希「……ハラミ……カルビ……ハート」

ことり「あまりのショックでお肉の種類を言い始めたよ……?」

にこ「焼肉のタレでもなめさせとけば治るんじゃないの」

絵里「ピエール・○ルコリーニ……ゴディ○……デル○イ」

花陽「絵里ちゃんもチョコの名前を……!」

真姫「全部高級ブランドのものじゃない」

にこ「チョコフォンデュにでも浸したら治るんじゃないの」

海未「なぜそんな辛辣な……」

にこ「席の取り忘れの罪は重いのよ」

穂乃果「一番根に持ってるのはにこちゃんだったんだね」

199: ◆eyH5F3DPSk 2014/04/30(水) 22:47:54.98 ID:mBWZ6RnA0


凛「とうちゃーく!」

花陽「あれ? でもここって前に来たような……」

絵里「あらー? 気のせいじゃない?」

真姫「チョコあげるから本当のことを話しなさい」

絵里「理事長に、真姫のお母さんに掛け合ってもらって別荘をお借りしました」

希「えりちがかしこくなくなってる……」

真姫「……そうならそうと早く言いなさいよね」

ことり「お母さん……」

穂乃果「もしかしてすぐ近くにいたり……」

海未「そんなに暇じゃないでしょう」




理事長「どうして今日になって仕事がこんなに……」

理事長「一緒について行こうと思ったのに……ぐすん」

204: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/01(木) 21:47:35.31 ID:58wBijop0
海未「それでは今から特訓を……」

にこ「海よ!」

凛「海だにゃー!」

絵里「海ね」

海未「特訓はしばらく休憩してからでもいいでしょう」

希「海未ちゃん丸くなってる」

穂乃果「違うよ希ちゃん」

希「え?」

ことり「素直になっただけだよー」

穂乃果「ちゃんと水着は持っていますか、って聞いてきてくれたし」

海未「……」

希「にやにや」

にこ「にやにや」

205: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/01(木) 21:51:16.84 ID:58wBijop0
真姫「展開が前と変わらないわね」

花陽「……今回は真姫ちゃんも一緒に遊んでくれるの?」

真姫「……」

花陽「も、もちろん大歓迎だよ!」

真姫「別に気を遣ってほしかったわけじゃ……」

凛「真姫ちゃん浮き輪膨らませるの手伝ってー」

真姫「……そういうのって初めてやるのよね」

花陽「!?」

絵里「りーん、このバナナボートって絶対足踏み式のポンプあったわよねぇ……息が持たないんだけど……」

凛「絵里ちゃん気合にゃー」

206: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/01(木) 21:55:40.20 ID:58wBijop0
穂乃果「凛ちゃんが全部持ってきてくれたの?」

凛「うん。浮き輪4つとバナナボートに普通の平らなエアボートね」

ことり「探検できるねっ」

海未「いったいどこの探検に行くんですか?」

希「水平線の果てまでやな」

真姫「それだと食料がいるわよ」

絵里「あとオールと水も」

にこ「これはボケなのかしら。ツッコんでいいのかわからないんだけど」

花陽「食料にごはんは入りますか?」

希「本当に旅に出そうやね……」

207: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/01(木) 21:57:55.32 ID:58wBijop0
ことり「あ、バナナボートできてる!」

絵里「疲れたわ……」

希「えりちお疲れさま。はいヤドカリ」

絵里「いらない。元のところに返しておきなさい」

希「はーい」

凛「じゃあ絵里ちゃん一番前ね」

絵里「乗るの!?」

花陽「浮き輪は3つできたけど使う?」

真姫「ほらにこちゃん」

にこ「泳げるわよ!」

208: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/01(木) 22:00:41.20 ID:58wBijop0
穂乃果「じゃあ花陽ちゃんが全部つけてみたら?」

花陽「え?」

穂乃果「えーい」

にこ「そんな風に頭から乗せたら輪投げみたい……って」

花陽「……ひっかかっちゃった」

海未「……」

凛「……」

にこ「……」

希「どことは言わないけど大きいもんなぁ」

真姫「?」


209: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/01(木) 22:05:45.95 ID:58wBijop0
ことり「……できた」

絵里「あ、砂のお城ね」

花陽「ちっちゃくてかわいいかも」

凛「バナナ1号いっくにゃー!」

穂乃果「水平線の果てまでー!」

絵里「ちょ、波が来たわよ!?」

穂乃果「サーファーなら乗らなきゃ!」

凛「凛は一番後ろだから見えないけどバナナ1号は無敵にゃ」

絵里「そんなこと言ったって……ああああああああ!」

にこ「海のもずくになったわ」

海未「もくずです、もくず」

210: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/01(木) 22:10:39.80 ID:58wBijop0
ことり「μ's城が……」

花陽「ま、また作ればいいよぉ。今度は波打ち際から離して……」

絵里「め、目に海水が……ぐふっ」

希「えりち大丈夫?」

凛「絵里ちゃんはもう戦意喪失みたい……」

穂乃果「バナナ2号のクルーを決めないと……」

真姫「何で私を見るのよ」

穂乃果「では真姫船長、前へ」

にこ「就任と同時に船長って……人手不足凄いわね」

希「じゃあウチはスイカでも持ってこようかなぁ」

211: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/01(木) 22:15:40.88 ID:58wBijop0
真姫「……」

凛「波が来ないね」

穂乃果「でも流されてるよ」

真姫「え、こうやって遊ぶものなの?」

海未「ちょ、ものすごいところまで流されるじゃないですか!」

にこ「心配だし紐で繋げとけば?」

花陽「り、凛ちゃんたちを!?」

海未「……若干1名喜びそうですね」

絵里「穂乃果ね。海未リード離しちゃいけないわよ」

海未「心得ました」

212: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/01(木) 22:24:00.69 ID:58wBijop0
凛「バナナ2号にリードが……」

穂乃果「遠くに行けなくなっちゃったね」

希「スイカもってきたで」

ことり「……スイカが3つ」

海未「奇遇ですね。私もそう思いました」

にこ「割るわよー!」

花陽「手刀で……?」

にこ「いやいや、何も持ってないからってアイドルに向かってその発言はどうよ」

213: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/01(木) 22:30:58.78 ID:58wBijop0
穂乃果「にこちゃん右だよー」

にこ「むむむ」

花陽「あ、もうちょっと左だよぉ」

にこ「こっちね」

希「そこでストップや!」

にこ「え? もう?」

凛「にこちゃんそこでにっこにっこにー!」

にこ「にっこにっこにー!」

絵里「海に向かってやってる……」

海未「海未は私ですが」

真姫「スイカ割りなのにスイカ置いてないじゃない」

214: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/01(木) 22:36:08.02 ID:58wBijop0



ことり「……できた」

絵里「……ちょっと見てない間にお城が」

希「凱旋門?」

ことり「そうだよ」

凛「にこちゃんならくぐれそうにゃ」

にこ「そんなにちっちゃくないわよ」

花陽「すごいねぇ……」

穂乃果「あ、スイカ流されてる」

海未「穂乃果! ゴー!」

穂乃果「わん!」

真姫「幼馴染ってそんなのだったかしら……」

希「あれはちょっと特殊やから」

215: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/01(木) 22:41:34.72 ID:58wBijop0
ことり「あれ? 穂乃果ちゃん戻ってこないね」

穂乃果「あー、あしがつっちゃったー」

花陽「え、だ、大丈夫!?」

絵里「花陽、あれは誰がどう見ても演技よ」

にこ「海未、引っ張ってきてあげなさい」

海未「普通に戻ってきたら耳かきしてあげますよ」

穂乃果「」

凛「は、速い……! あんなクロールみたことないにゃ!」

希「海未ちゃん扱いなれてるなぁ」

海未「どっちに転んでも穂乃果の得ですからね。言われた時点で私の負けですよ」

真姫「ふーん……」

216: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/01(木) 22:48:08.00 ID:58wBijop0


希「今日は晩ご飯何にする?」

絵里「ふっふっふ、そんなこともあろうかと私が調べてきたわ!」

穂乃果「おお!」

ことり「それで何を調べてきたの?」

絵里「自宅でできる簡単ロシア料理よ!」

真姫「ペリメニ?」

絵里「それもあるわ」

花陽「ボルシチ?」

絵里「ええ、それもよ」

凛「ハラショー!」

絵里「それは食べ物じゃないわ」

凛「」

217: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/01(木) 22:52:54.92 ID:58wBijop0
花陽「……」

凛「かよちんが2食に1回はご飯食べたいって目で訴えてくるにゃ」

花陽「え、あ……こ、これで」

希「目隠ししてる」

海未「本当だったんですね」

花陽「お、お恥ずかしいかぎりです……」

凛「かよちんのことならなんでもお見通しにゃー」

真姫「……」

絵里「真姫、どうしたの?」

真姫「いや、なんでもないわ」

218: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/01(木) 22:58:59.10 ID:58wBijop0
希「真姫ちゃん」

真姫「うっ」

ことり「希ちゃんのお母さんパワーが……」

絵里「これにはさすがに真姫でも敵わないわよ」

にこ「ねぇ、冷蔵庫見てきたんだけど何も入ってなかったわよ……って、どうしたの?」

凛「真姫ちゃんが隠し事してるの」

真姫「か、隠し事ってわけじゃ……」

希「まーきーちゃーん」

真姫「……わかったわよ」

219: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/01(木) 23:03:52.15 ID:58wBijop0
真姫「……穂乃果と海未とことりは幼馴染じゃない?」

穂乃果「そうだよ!」

海未「そうですね」

ことり「うん」

真姫「花陽や凛も幼馴染でしょ?」

凛「そうだにゃー」

花陽「そうだね」

真姫「絵里や希やにこちゃんも……何だかお互いのことよくわかってるって感じだし」

絵里「希とは生徒会だし、にこは前から知ってたから……」

希「そうやね」

にこ「まあ講堂借りるときはいつも行ってたしね」

220: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/01(木) 23:04:27.98 ID:58wBijop0






真姫「私は……あんまりそういうのないな、って思って」






221: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/01(木) 23:06:44.45 ID:58wBijop0
穂乃果「う、海未ちゃんごめんね……今心が奪われるところだった」

ことり「ことりも……」

海未「謝らなくてもいいんですけど……まあ今のは確かに」

真姫「な、何よ」

希「真姫ちゃんずるいなぁ」

にこ「そう思うわ」

真姫「だから何がって聞いて……」

222: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/01(木) 23:11:13.56 ID:58wBijop0
絵里「真姫……!」

真姫「ちょ、何で抱き着いてくるのよ。暑い……」

凛「真姫ちゃああああん!」

花陽「真姫ちゃん!」

真姫「わわっ、ちょっと3人ともどうしたのよ?」

凛「凛たちは心で通じ合ってるからぁ!」

真姫「何で泣くのよ!?」

花陽「ごめんね真姫ちゃん、寂しくさせちゃって……」

真姫「別に寂しくなんてないけど……ていうかそういうこと話したかったんじゃなくて……」

絵里「わかってるわ」

真姫「じゃあ私が今思ってることは?」

絵里「暑いから離れて」

真姫「わかってるなら離れなさいよ……」

223: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/01(木) 23:17:06.87 ID:58wBijop0


凛「それでは今から真姫ちゃんの心の悩みを解決する会を始めます」

真姫「大げさすぎるわよ」

絵里「いいえ、私たちは9人そろってμ'sなんだから」

真姫「絵里、近い」

絵里「難しいわね……」

希「えりち頑張るなぁ」

にこ「具体的に何するのよ」


ぐー


花陽「え? 今のお腹の音……」

224: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/01(木) 23:22:43.72 ID:58wBijop0
穂乃果「あはは……ごめんなさい」

ことり「もー、ダメだよ穂乃果ちゃん」

にこ「そうねぇ、この続きはご飯食べてからにしない?」

凛「そうだね、腹が減っては戦ができぬってエジソンが言ってるし」

真姫「偉人をなんでもかんでもエジソンに結び付けるのはやめなさい」

絵里「にこ、冷蔵庫に何があった?」

にこ「何にもないわよ」



海未「……2人とも、ありがとうございます」

穂乃果「いいよいいよ。海未ちゃんにはいつもお世話になってるからね」

ことり「ねー」

228: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/03(土) 22:04:59.07 ID:Xc1+o64r0


希「じゃあ買い出しに行かなきゃやね」

にこ「ここはやっぱり……」

絵里「じゃんけんで決めましょう!」

凛「絵里ちゃんやる気にゃー」

花陽「何人で行くの?」

絵里「えーっと……負けじゃ面白くないから、勝った人にしましょう」



穂乃果「……」

海未「……」

ことり「……」

絵里「まさかみんなグーを出すなんて……」

229: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/03(土) 22:08:31.81 ID:Xc1+o64r0
にこ「パー1人だけって逆にすごいわね」

絵里「私1人で行くの……?」

希「いやいや、夜道を1人で歩くのは危ないし……」

真姫「私が行くわ。冷蔵庫に何も知らなかったのは少なからず私の責任でもあるから」

花陽「ま、真姫ちゃんのせいじゃないよ」

凛「かよちん、真姫ちゃんはきっとさっきので恥ずかしいから外に出たいだけにゃ」

真姫「……」

希「こういうときって凛ちゃん鋭いなぁ」

真姫「まだ言ってないでしょ」

ことり「まだ?」

真姫「うっ」

230: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/03(土) 22:10:31.85 ID:Xc1+o64r0



絵里「んー、夜の海っていうのも悪くないわね」

真姫「そうかしら」

絵里「ほら、波の音とか」

真姫「別に」

絵里「……」

真姫「……」

絵里「わざとやってるでしょ……」

真姫「あら、バレちゃった?」

絵里「むー」

231: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/03(土) 22:13:24.69 ID:Xc1+o64r0
真姫「車でも運転できたらよかったのにね」

絵里「あ、重くてもすぐ持って帰れるものね。ぶーんって」

真姫「ぶーん……」

絵里「い、今のは聞かなかったことにして」

真姫「ぶーん」

絵里「やめてー!」

真姫「あ、花陽からメール」

絵里「……なんて?」

真姫「お米がありました、って」

232: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/03(土) 22:16:29.97 ID:Xc1+o64r0
絵里「……」

真姫「お米買うの忘れてたわよね」

絵里「そ、そんなことは……」

真姫「まあいいけど」

絵里「……よかった」

真姫「絵里、着いたわよ」

絵里「あれ? こんなに近かった?」

真姫「絵里と話してると、時間が立つのが早く感じるわ」

絵里「そ、それって……」

真姫「まあ新しくスーパーができただけなんだけど」

絵里「信じた私がばかでした」

真姫「あら、嘘は言ってないわよ」

絵里「…………えっ?」

233: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/03(土) 22:21:36.85 ID:Xc1+o64r0



凛「真姫ちゃんからメールだにゃー」

にこ「読み上げてー」

凛「カレーかシチューか肉じゃが、どれがいい? って」

穂乃果「カレー!」

ことり「カレー!」

凛「カレー!」

にこ「海未、花陽。2人はどれがいい?」

花陽「お米があるなら……」

海未「でも合宿と言えばカレーって感じがしますね」

希「あれー? ウチ聞かれてないけど」

にこ「希はどうせおいしいものがいい、とか言いそうじゃない」

希「にこっち……相思相愛?」

にこ「それを言うなら以心伝心でしょ」

234: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/03(土) 22:25:59.33 ID:Xc1+o64r0
希「にこっちがスピリチュアルなことを……」

にこ「まあ俗にいうテレパシーよね」

穂乃果「にこちゃん、穂乃果が何考えてるか当ててみて」

にこ「むむむ……海未のこと」

穂乃果「あ、当たった……」

ことり「じゃあ私も」

にこ「海未のこと」

ことり「あ、当たってる……!」

凛「じゃあ凛はー?」

にこ「……あんたはわかんないわ」

凛「あ、当たってるよ!?」

希「考えることを意識しすぎて、何考えてるか自分でもわからなくなったんやね」

235: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/03(土) 22:27:54.74 ID:Xc1+o64r0
海未「今思い出したんですが……」

花陽「え?」

凛「なにー?」

海未「演劇の練習してなません……よね?」

穂乃果「……あれ?」

ことり「……たしかに」

花陽「そういえば……」

にこ「あー……」

希「最初の合宿でもそうやったなぁ」

凛「ってことはいつも通りにゃ」

236: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/03(土) 22:29:54.55 ID:Xc1+o64r0



真姫「にんじん」

絵里「にんじーん」

真姫「じゃがいも」

絵里「じゃがいもー」

真姫「カレールー」

絵里「2つ混ぜるとおいしくなるって聞いたことあるわ」

真姫「じゃあ2つ持っていくわ」

絵里「お、同じルーの甘口と辛口……?」

真姫「え、違うの?」

237: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/03(土) 22:33:45.90 ID:Xc1+o64r0
真姫「というかここのスーパー、人が本当に少ないわね」

絵里「そうね。まだ5時過ぎなのに」

真姫「ちょっと気になったんだけど」

絵里「何?」

真姫「私が買う物の名前を言うのは絵里に伝えるためだけど、絵里がかごに入れるときも言う必要はないんじゃないの?」

絵里「……はっ」

真姫「……気付かなかったの?」

絵里「亜里沙とお買い物に行くときはよくこうやってたから……」

真姫「……」

絵里「わ、笑わないでよ!」

真姫「いえ、微笑ましくて……」

238: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/03(土) 22:35:08.39 ID:Xc1+o64r0


ことり「あめいろたまねぎー♪」

にこ「他の野菜もう切り終わった?」

希「うん、あとお肉だけー」

海未「ではこれをぶつ切りにして……」

穂乃果「ふへへ、旦那少々お待ち下せえ。ぶつ切りにしてやりますぜ」

真姫「何物騒なこと言ってるのよ」

絵里「真姫は何してるの?」

真姫「お湯が吹きこぼれないように見てる」

希「ああ、それウチが頼んでん」

239: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/03(土) 22:35:37.25 ID:Xc1+o64r0
凛「真姫ちゃん、別に座ってもいいんだよ?」

真姫「いいのよ」

希「真姫ちゃんはお湯の扱いに関してはプロやからなぁ」

にこ「何で?」

希「レトルト」

花陽「……」

ことり「……」

真姫「2人とも微妙な顔しないでよ」

240: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/03(土) 22:39:10.12 ID:Xc1+o64r0
海未「それにしても2人とも、ずいぶんいい野菜をそろえてきましたね」

にこ「高かったんじゃない?」

絵里「ううん、2000円くらいで済んだわよ」

穂乃果「この量で!?」

ことり「な、なんで?」

真姫「レジのおばあちゃんと話してたらまけてくれたのよ」

絵里「合宿頑張ってね、って」

真姫「ほとんど絵里のおかげだけど」

花陽「おばあちゃん子……すごい」

にこ「私ここに住もうかしら……」

241: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/03(土) 22:43:37.78 ID:Xc1+o64r0



穂乃果「お、お米がおいしい……」

海未「……いったいどうやって」

凛「かよちんはお米炊くの上手だにゃー」

花陽「えへへ」

希「カレーもおいしいやん」

にこ「みんなで作ったからでしょ」

絵里「真姫もお鍋見ててくれたし……ね?」

真姫「ぶーん」

絵里「や、やめてください……」

ことり「何があったの?」

にこ「さあ?」

242: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/03(土) 22:53:57.72 ID:Xc1+o64r0



にこ「まだ残ってるわねー」

海未「明日の昼までくらいは持ちそうですね」

希「福神漬けも買ってきてくれたし、ウチは満足やー」

花陽「それじゃ、食器片付けよう」

絵里「よーし! ここでもじゃんけんよ!」

穂乃果「おー!」

凛「絵里ちゃんって意外と負けず嫌い?」

にこ「そうね」

希「でもえりちがああやって勝とうとしてるときは……」



絵里「また負けた……」

真姫「じゃんけんには勝ったでしょ」

ことり「今度は私も勝っちゃったから手伝うよっ」

243: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/03(土) 23:00:00.87 ID:Xc1+o64r0
絵里「どうしてこう弱いのかしら」

真姫「さあ」

ことり「運がいいのかな?」

絵里「ああ、そうかもしれないわね……強運の生徒会長、ってよくないかしら?」

真姫「何かそれ投票で運よく選ばれたみたいになってるわよ」

絵里「そ、それは嫌ね」

ことり「じゃあ幸運のエリーチカ、とか」

絵里「おお……」

真姫「……ラッキー絢瀬」

絵里「それ芸名みたいで困るんだけど」

244: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/03(土) 23:07:51.70 ID:Xc1+o64r0



海未「それでは電気を消しますよ」

凛「はーい」

希「明日も早いし、今日はぐっすり寝な……くぅ」

にこ「寝つき良いわね……」

絵里「……ハラショー」

花陽「レモン……」

真姫「怖いのよね、それ」

にこ「うるさい」

245: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/03(土) 23:11:38.70 ID:Xc1+o64r0
海未「消してもいいですか?」

にこ「ん、もういいわ」

海未「はい。明日は練習しますからね」

絵里「そうね」

凛「楽しみにゃー」

花陽「が、がんばろう……」

真姫「あんまり意気込んでも緊張して眠れないわよ」

花陽「そうだね。リラックス……」





穂乃果「……」

ことり「……」

海未「静かにしていると思ったら……何で私の布団に入ってくるんですか」

穂乃果「いつものことだよ」

ことり「気にしないで」

246: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/03(土) 23:14:46.47 ID:Xc1+o64r0
真姫「いつもの、ねぇ……」

絵里「……」

希「……」

真姫「……って2人とも、寝転がって来るんじゃ……本当に寝てる」

にこ「くっつかれて暑くない?」

真姫「大丈夫よ」

にこ「真姫ちゃん、結構嬉しそうじゃない」

真姫「えっ」

にこ「残念、暗くて見えないにこっ」

真姫「明日の朝、どうなってても知らないわよ」

にこ「こ、怖っ」

249: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/05(月) 21:10:13.36 ID:flEggqSu0


7日目

絵里「朝よ、みんな起きて」

穂乃果「……」

ことり「……」

花陽「……」

真姫「……」

凛「起きそうにないにゃー」

にこ「まあいいんじゃない? 朝はそんなにすることないし」

希「果たしてそうやろか?」

250: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/05(月) 21:12:56.24 ID:flEggqSu0
絵里「何かあるの?」

希「うん。演劇の練習をするってことは、舞台みたいなのがいるわけやん」

絵里「そうね」

希「それでいい感じの広さの部屋をウチが見つけたんよ」

絵里「本当? なら真姫の許可が取れ次第……」

希「でもそこ、全然使われてなかったんや」

絵里「……ということは?」

希「掃除……やね」

251: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/05(月) 21:17:50.97 ID:flEggqSu0
絵里「あ、そうだ。朝食の準備もしなくちゃ……」

希「えりち、逃げない」

絵里「う」

凛「そういえば海未ちゃんは?」

にこ「ことりと花陽の作ったお城の様子を見に行ったわ」

凛「……海未ちゃんってお母さんみたい」

にこ「そうね」

絵里「じゃあどうしましょうか……」

希「2人が朝食の準備をして、残った3人で掃除!」

にこ「まあそれでいいんじゃないの?」

凛「うん」

252: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/05(月) 21:18:56.13 ID:flEggqSu0
にこ「じゃあ決め方は……」

絵里「ふふふ、じゃんけんで決めるのよ」

希「まだ勝つことをあきらめてなかったんや……」

にこ「内容が内容だけに知られるとまずいわ。ここはあえて知らせずに行きましょう」

絵里「え、ちょ、そんな不公平な……」

凛「ふっふっふ、バレなきゃ大丈夫にゃ」

海未「あ、おはようございます。起きたんですか?」

絵里「おはよう海未」

希「おはよー」

にこ「海未、ちょうどいいところに来たわね……!」

凛「では早速! じゃーんけーん……」

海未「え、ええっ!?」

253: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/05(月) 21:19:24.12 ID:flEggqSu0



凛「負けた……」

にこ「そんな……」

希「自業自得やね」

絵里「勝った……!」

海未「私も負けてしまいましたけど、これは一体何の……?」

希「実は長年使われてなかった倉庫の掃除なんよ。海未ちゃんが嫌なら別に……」




海未「掃除――――――――









――――――――やります」

254: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/05(月) 21:24:46.64 ID:flEggqSu0
絵里「ちょっと海未……?」

凛「海未ちゃんからオーラが見えるにゃ!?」

希「おお……」

穂乃果「んん、海未ちゃんの香りが……」

ことり「おはよう……」

にこ「ふ、2人とも! あの海未はどうなってるの?」

穂乃果「え? 海未ちゃんいないよ?」

凛「……ってあれ?」

絵里「き、消えた!」

255: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/05(月) 21:29:25.57 ID:flEggqSu0
ことり「何してたの?」

希「じゃんけんで負けた人は掃除、って話をしたんやけど……」

穂乃果「えぇ!?」

ことり「そ、それは……」

凛「な、なんなの!?」

穂乃果「私たちも手伝わせて!」

ことり「お願い!」

にこ「ど、どういうことかよくわからないんだけど……まあ手伝ってくれるのはありがたいわね」

海未「さ、早く掃除に向かいますよ」

絵里「も、戻ってきた!」

希「ほうきにモップ、バケツに雑巾……この短時間でよくここまで……」

256: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/05(月) 21:33:48.27 ID:flEggqSu0
海未「さあ早く!」

にこ「なんでこんなにうれしそうなの……?」

ことり「海未ちゃんは掃除が大好きだからねっ」

凛「そんな単純な理由で!?」

穂乃果「それと海未ちゃんが掃除終わりに見せる嬉しそうな顔は、ここだけでしか見られないからねぇ」

絵里「よく知ってるわね……」

海未「穂乃果とことりも手伝ってくれるんですか?」

穂乃果「もちろんです」

ことり「いつも手伝ってるからね」

希「じゃあウチとえりちで朝食づくりやな」

絵里「簡単なものでいいわよね」

257: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/05(月) 21:36:53.07 ID:flEggqSu0


絵里「希、見て」

希「んー?」

絵里「ほら、真姫が花陽の手を握ってるの」

希「おお、誰かと手を繋ぐ真姫ちゃんなんて珍しいやん」

絵里「寝ててもレアね」

希「……実はウチも、今朝起きたら手を握られてました」

絵里「えー、ずるい」

希「ふっふっふ。選ばれたのはウチでした」

258: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/05(月) 21:40:24.14 ID:flEggqSu0
絵里「あ、ハムが余っちゃった。希、食べる?」

希「たべるたべるー」

絵里「はい、あーんして」

希「あーん……んー! おいしい!」

絵里「それはよかった。みんなには内緒ね」

希「うん」

希「ウチの方も何か余ってないかなー」

絵里「別に無理して探さなくてもいいわよ?」


259: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/05(月) 21:44:38.49 ID:flEggqSu0
希「あ、きゅうりが余ってた。えりち食べる?」

絵里「それ余ってるって言うのかしら」

希「あーん」

絵里「……あーん」

絵里「……何もつけなくても案外おいしいものね」

希「そうやろー?」

絵里「うん」

希「これである程度は用意できたんよね」

絵里「ええ、サラダにハムエッグ。あとはおにぎりを作るだけだけど……これは花陽に任せようかと思って」

260: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/05(月) 21:46:52.07 ID:flEggqSu0
希「じゃあそれまで2人のどっちが先に起きるか勝負やで」

絵里「それって勝負になるの?」

希「なるなる」

絵里「んー、それなら花陽の方かしら。昨日は先に寝てたし」

希「ならウチは真姫ちゃんやね」

花陽「……」

真姫「……」

絵里「……」

希「……」

261: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/05(月) 21:52:41.10 ID:flEggqSu0
花陽「……んぅ」

真姫「……」

花陽「……」

真姫「……む」

花陽「……」

真姫「……すぅ」

絵里「ねぇ希」

希「なに?」

絵里「……眠くなってきた」

希「……ウチも」

262: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/05(月) 21:56:32.91 ID:flEggqSu0


海未「にこ! そこにホコリがまだ残っています!」

にこ「は、はいっ!」

海未「凛! サボらない!」

凛「はいにゃー!」

にこ「はぁ……これじゃまるでシンデレラじゃない」

凛「凛は野良猫、野良猫ー……」

にこ「役になり切ってどうするのよ」

海未「2人とも動く!」

にこ「もうやだぁ……」

凛「スパルタすぎるにゃー!」

263: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/05(月) 22:01:52.84 ID:flEggqSu0
穂乃果「しゅたたた!」

ことり「まだまだー!」

にこ「あの2人って寝起きよね」

凛「そうだけど……凛たちよりも動きにキレがあるよ」

海未「それにしてもまだまだ汚れていますね……ふふふ」

にこ「笑った……」

凛「掃除を楽しんでるにゃ」

264: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/05(月) 22:07:37.98 ID:flEggqSu0
海未「それでは次に、にこと凛には窓ふきをお願いします」

にこ「え」

凛「床掃除だけで終わりじゃ……」

海未「何を言うんですか。掃除というからには全部ですよ」

にこ「えぇー……」

凛「そんなぁ……」

ことり「2人とも、もう少しだからがんばろう!」

にこ「……こうなったら覚悟を決めるしかないわね」

凛「……やってやるにゃー!」

海未「その意気です」

265: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/05(月) 22:08:56.95 ID:flEggqSu0



穂乃果「おわりー!」

海未「まあざっとこんなものでしょう」

ことり「海未ちゃんこっち向いて」

海未「はい?」

穂乃果「いい笑顔だねー。もう1枚!」

海未「と、撮るのはやめてください……」

凛「燃え尽きたにゃ……ぐふっ」

にこ「まだ1日は始まったばかりよ……うっ」

海未「にこ、凛」

凛「な、何!?」

にこ「またホコリ!?」

海未「いえ、そうではなくて……」

266: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/05(月) 22:11:36.56 ID:flEggqSu0
海未「2人のおかげで早く終わりました。ありがとうございます」

にこ「……」

凛「……海未ちゃんが笑ってる」

穂乃果「にこちゃん、凛ちゃん。海未ちゃんに骨抜きにされちゃった?」

にこ「べ、別にそういうわけじゃ……」

ことり「海未ちゃん……アメとムチの使い分けが上手だからねぇ」

海未「?」

267: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/05(月) 22:20:05.17 ID:flEggqSu0




花陽「あ、あれ? 絵里ちゃんと希ちゃん……寝てるの?」

絵里「……」

希「……」

真姫「……」

花陽「真姫ちゃんも……?」

花陽「うぅ、動けないよぉ……」

真姫「……朝……?」

花陽「あ、真姫ちゃん起こしちゃった?」

真姫「いや……って何よこの状況」

花陽「わかんない……」

268: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/05(月) 22:27:16.85 ID:flEggqSu0
真姫「よい……しょ」

花陽「……ま、真姫ちゃん引っ張ってぇ」

真姫「はいはい……ふっ」

花陽「あ、ありがとぉ」

真姫「あら、台所に朝食の用意がしてあるわ」

花陽「……あとはごはんだけだね」

真姫「お茶碗もないし、おにぎりにする?」

花陽「そうだね」

269: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/05(月) 22:44:32.56 ID:flEggqSu0


にこ「2人とも起きてるじゃない」

花陽「おはよう」

真姫「おはよ、ご飯もう少しでできるわ」

凛「あれ? ごはん用意してたのって絵里ちゃんと希ちゃんじゃ……」

真姫「おかずは用意してあったわ。たぶん私たちを待ってたのよ」

希「……ん、ウチ寝てた?」

ことり「あ、起こしちゃった」

穂乃果「絵里ちゃんよく寝てるー」

希「えりちも?」

270: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/05(月) 22:48:06.05 ID:flEggqSu0
にこ「絵里を起こすのは得意よ」

海未「そうなんですか?」

にこ「ええ」

花陽「寝かせてあげててもいいんじゃないかなぁ」

希「えりちはお昼寝するとなかなか起きないよ?」

凛「し、知らなかったにゃー」

にこ「まあ見てなさい……」

にこ「生徒会長……まだ今日締め切りの書類がたくさん残っていますよ」

絵里「う……」

にこ「これは今すぐにやらないと……もしかしたら今日中には間に合わないかも……」

絵里「うわあああああ!」

絵里「……はっ」

275: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/07(水) 22:30:04.15 ID:BkW5y3GT0





凛「お仕事終わりの朝ごはんはおいしいね」

にこ「うん」

海未「掃除は生活の基本です。しっかりやっておくことが大事ですよ」

にこ「はいはい」

絵里「ずいぶんお疲れみたいね」

凛「そうだよぉ。海未ちゃんがスパルタでー」

穂乃果「そうかな? 海未ちゃんが本気を出したらあれの5倍くらいはすごいよね?」

ことり「そうだね」

にこ「……まだ闇に足を踏み入れてすらなかったってわけね……」

凛「かよちん、凛は震えが止まらないにゃ」

花陽「よしよし」

276: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/07(水) 22:30:40.93 ID:BkW5y3GT0
真姫「花陽、おにぎりっていくつ作ったっけ」

花陽「30個くらいかなぁ」

穂乃果「え? このおにぎり2人で作ってくれたの?」

真姫「……まあね」

希「すごいやん。真姫ちゃんおにぎり握れたん?」

真姫「そのくらいできるわよ。箱入り娘じゃあるまいし」

絵里「……」

にこ「……」

真姫「……本当は花陽に教えてもらったわよ」

花陽「あはは……」

277: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/07(水) 22:31:10.19 ID:BkW5y3GT0
海未「それにしても、たまにはこういうのもいいですね」

ことり「海未ちゃんはいつも和食だもんね」

希「そうなんや」

凛「毎朝お魚なの?」

海未「別にそういうわけではありませんよ。お肉を食べる朝もあります」

凛「お肉の日だけ呼んでほしいにゃ」

ことり「私もー」

穂乃果「お肉の日以外でも呼んでー」

海未「朝起きてこられたら構いませんよ」

ことり「……前の夜から泊まり込めば」

穂乃果「それだ!」

花陽「それってもう住まなきゃいけないんじゃ……」

凛「凛はお布団の呪縛からは逃れられないにゃ」

278: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/07(水) 22:31:51.60 ID:BkW5y3GT0
真姫「卵って昨日買った?」

絵里「ああ、それは昨日希が食べたいってメールくれたから」

真姫「ハムは?」

穂乃果「それは穂乃果のリクエストだよー」

真姫「……私って案外周りが見えてなかったのね」

にこ「そんなの気にしなくていいのよ。周りを見なくていいのは若者の専売特許なんだから」

希「にこっち!」

にこ「何!?」

希「服の袖にケチャップつきそうやったよ」

にこ「ありがと」

279: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/07(水) 22:36:08.18 ID:BkW5y3GT0
絵里「……」

にこ「何か言いたげね。怒らないから言ってみなさい」

絵里「周り見えてない」

にこ「うるさい」

海未「そういえば2人でのお買い物はどうでした? 楽しかったですか?」

絵里「ええ」

真姫「ぶーん」

絵里「……私をいじめて楽しい?」

真姫「……結構、ね」

花陽「真姫ちゃんが……笑ってる」

希「真姫ちゃんって意外とSなん?」

海未「エス……イドの事でしょうか?」

絵里「フロイト先生の話はしてない」

280: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/07(水) 22:37:26.16 ID:BkW5y3GT0

真姫「それじゃ、2人1組になって演技の練習をするわよ」

凛「せんせー! 1人余っちゃいます!」

真姫「じゃあ3人1組になって……」

希「せんせー」

真姫「はい」

希「どうやって決めるん?」

真姫「うーん、そうねぇ……」

海未「演技に自信がある人とない人で分けてみてはどうでしょう」

絵里「それいいわね」

281: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/07(水) 22:41:55.89 ID:BkW5y3GT0
真姫「ていうか何で私が先生役なのよ……こんな伊達メガネまでかけて」

穂乃果「だって真姫ちゃんって先生みたいだから」

真姫「せ、先生みたいって何よ」

ことり「これも演技の一環だよっ、真姫ちゃん頑張って!」

海未「頑張るって……何を?」

凛「メガネくいってやって、寝てる生徒にチョーク投げるの」

花陽「必殺技みたいだね」

にこ「カットインでも入れたら?」

希「カッ!」

にこ「総攻撃のチャンスにこ!」

真姫「早く分かれなさいよ」

282: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/07(水) 22:43:28.79 ID:BkW5y3GT0




にこ「自信ある人少なすぎるでしょ……」

凛「凛たちだけー?」

希「まあ始めたばっかりやもんね」

絵里「なんで希たちは自信あるのよ」

希「それは……なり切れる気がするから!」

にこ「そうね」

穂乃果「にこちゃんはなり切ってないよ」

海未「はい。そう思います」

にこ「いいじゃない。楽しめたらそれでいいのよ」

花陽「……なるほど」

真姫「……メモするのね」

283: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/07(水) 22:44:36.88 ID:BkW5y3GT0
ことり「それなら自信ある組のにこちゃんと凛ちゃんと希ちゃんの3人を、1人ずつバラバラにして3組作ったらどうかなぁ」

真姫「それがよさげね」

希「にこっち……ウチ、離れ離れになりたくない!」

にこ「希、それでも仕方ないのよ……これが運命だから!」

凛「2人の仲を引き裂くの手が襲い掛かる! どうなるにこちゃん、希ちゃん!」

凛「つづく」

花陽「続くの!?」

絵里「はいはい、早くやるわよー」

284: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/07(水) 22:45:08.44 ID:BkW5y3GT0
にこ「じゃあ2人とも、演劇に置いて最初に必要なものは何かわかってるわね?」

海未「役になりきること、でしょうか?」

花陽「あ、ええっと……声の出し方、とか?」

にこ「ちがーう!」

海未「ええっ!?」

花陽「ご、ごめんなさいっ」

にこ「まずは何よりも笑顔でしょうが!」

海未「はっ……」

花陽「……そっか、アイドルたるもの笑顔を忘れちゃダメだよね」

にこ「そう、花陽の言う通りよ」

花陽「……えへへ、褒められちゃったぁ」

285: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/07(水) 22:45:57.72 ID:BkW5y3GT0
にこ「ということでにっこにっこにー17セット、行くわよ!」

海未「えええ!?」

花陽「頑張ります!」

にこ「海未も、覚悟を決めなさい」

海未「掃除させたの、根に持ってたりしませんか?」

にこ「……」

希「にこっちは根に持つタイプのアイドルやから、2人とも気を付けてなー」

にこ「違うわよ!」

286: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/07(水) 22:47:32.79 ID:BkW5y3GT0
希「じゃあウチらも始めよっか」

穂乃果「頑張ります!」

ことり「おーっ!」

希「やる気は十分やね……それならやることは1つや」

ことり「1つでいいの?」

希「そう、とりわけ練習するわけでもなく自信がつく方法とは……」

穂乃果「方法とは……?」

希「寝ることや! 堂々と寝ることで自信がつく!」

穂乃果「なるほど!」

ことり「す、すごい……」

凛「超理論にゃ!」

希「ふふふ、ウチの指導を見たらそうは言えなくなるよー?」

287: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/07(水) 22:49:26.83 ID:BkW5y3GT0
希「じゃあお昼寝やなー」

凛「凛たちはまじめに特訓するよ!」

絵里「ええ」

真姫「本当に寝に行ったわね、あの3人……」

絵里「ていうか凛が真面目に、って言うと違和感があるわね」

真姫「それはわかるわ」

凛「あのねー、凛だってたくさん考えてるんだよ? 演技力こーじょーとか心肺そせーほーとか」

絵里「ちょっと待って、最後のなんか違う」

凛「え?」

288: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/07(水) 22:52:52.78 ID:BkW5y3GT0
真姫「まあそれはいいとして何から始めるの?」

凛「ダメだよ真姫ちゃん!」

真姫「何がよ」

凛「学ぶ姿勢になってない!」

真姫「……ああ、そういうこと」

絵里「?」

真姫「教えてください、凛先生」

凛「教えてあげるにゃー!」

絵里「……なるほど」

289: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/07(水) 22:56:51.78 ID:BkW5y3GT0
凛「次は絵里ちゃんの番ね」

絵里「任せたわ、凛」

凛「……真姫ちゃん。絵里ちゃんなんにもわかってないにゃ。なるほどって言ったのに」

真姫「期待を裏切らないのよ。早く進めなさいよ凛」

凛「真姫ちゃんまで!?」

凛「もう知らない……凛は部屋の隅っこで小さくなってる」

真姫「あー……まるで体操服忘れた体育好きの子みたいじゃない」

絵里「あれ? 私何か間違えたの?」

290: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/07(水) 22:57:57.99 ID:BkW5y3GT0
絵里「……そうだ! ちょっと真姫、耳かして」

真姫「何よ」

絵里「……」

真姫「……!」

絵里「……」

真姫「……ああ」

凛「き、気になる……」

291: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/07(水) 23:00:22.06 ID:BkW5y3GT0
絵里「よし、行くわよ」

真姫「仕方ないわね……」

凛「な、何? こうなった凛はハシゴでも動かないよ!」

真姫「それを言うならテコでしょ」

凛「そうだっけ?」

絵里「それより凛、いい話があるんだけど……」

凛「テコでも動かないにゃ」

絵里「騎馬戦やらない?」

凛「やるー!」

292: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/07(水) 23:03:59.58 ID:BkW5y3GT0
絵里「ほら、言った通り凛は軽いから2人でもすいすい行けるわよ」

真姫「そうね。凛は軽いものね」

凛「足場って3人いるものだと思ってたにゃ」

絵里「2人でできる椅子みたいなものだからね。視界良好でしょう?」

凛「うん!」

真姫「私は後ろだから前が見えづらいんだけど……」

凛「でも騎馬戦って相手がいないと成り立たないよ?」

絵里「……それもそうね」

にこ「にっこにっこにー!」

凛「……いいこと考えたにゃ」

293: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/07(水) 23:07:06.71 ID:BkW5y3GT0





海未「どうしてこんなことに……」

花陽「こ、これも特訓だと思えば……思えないよぉ」

にこ「いい? アイドルたるもの売られたケンカは買うのよ!」

凛「それ不良さんみたいにゃ」

絵里「同意だわ」

真姫「……水上騎馬戦ってこういうのを言うのね」

にこ「行くわよ海未、花陽! 凛のリボンをいただいてさっさと練習に戻るわよ!」

花陽「に、にこちゃん暴れないで!」

294: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/07(水) 23:11:52.57 ID:BkW5y3GT0
凛「甘い、甘いよにこちゃん。凛たちのチームワークをなめてもらっちゃ困るにゃ!」

凛「こっちには全知全能の神と言われた生徒会長の絵里ちゃんとスーパーシャイ真姫ちゃんがいるんだから!」

絵里「何でそんなにあがめられてるのよ!」

真姫「スーパーシャイって……」

にこ「否定できない真姫ちゃん」

真姫「凛、ぼこぼこにしなさい」

凛「あいあいさー!」

にこ「全力で来なさい! 海未が肩代わりしてくれるわ」

海未「ええっ!? 前だからってそれはなんでも……」

花陽「海未ちゃん、私は前見えないから……頑張ってね!」

海未「こういうのはあまり慣れてないんですよ……」

295: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/07(水) 23:16:07.48 ID:BkW5y3GT0
凛「それでは、いざ尋常に……」

にこ「勝負にこっ!」

絵里「うわっ、波が来たわよ!?」

花陽「の、飲まれちゃうよぉ!」

凛「避難にゃー!」

真姫「う……海だから早く動けない」

海未「海未は私ですが」

真姫「そのセリフはもう聞き飽きたわよ! ……って来てる来てる!」

にこ「ふっふっふ、高みの見物と行こうじゃない」

花陽「にこちゃんくらいの高さまで来てるよ!」

にこ「……今まで楽しかったわ」

凛「縁起でもないにゃー!」

296: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/07(水) 23:19:47.71 ID:BkW5y3GT0




花陽「あうぅ……濡れちゃった」

海未「水着でよかったですね……はぁ」

絵里「せっかくだから沖の方まで行こうって言い出したのは誰だっけ」

にこ「凛」

凛「にこちゃん」

真姫「もうどっちでもいいわよ……」

絵里「それにしてもすごい波だったわね……」

花陽「まあ絵里ちゃんでも腰くらいまで水が来てたから……あんまり高くなかったのかも」

海未「まあ誰も怪我せずに済んでよかったですね」

にこ「そうね」

凛「頭が冷えたにゃ」

絵里「結果オーライってところね」

297: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/07(水) 23:26:33.44 ID:BkW5y3GT0
にこ「……じゃあビーチバレーでもする?」

真姫「え、なんで……」

凛「やろうやろう!」

海未「まあ騎馬戦よりは……」

花陽「そうだねぇ」

絵里「まあそのくらいなら……」

真姫「……私もやるわよ」

にこ「真姫ちゃん……」

真姫「何」

にこ「海に浸かっても髪の毛くるくるのままなのね」

花陽「ほ、ほんとだ!」

絵里「ハラショー!」

298: ◆eyH5F3DPSk 2014/05/07(水) 23:31:15.31 ID:BkW5y3GT0



穂乃果「あれ? 海未ちゃんたち疲れてない?」

ことり「海未ちゃんから海の匂いが……」

海未「まあビーチバレーしてましたからね」

穂乃果「ええっ!?」

ことり「ポロリもあるの?」

海未「あ り ま せ ん」

にこ「疲れたー……3人ともいつ起きたの?」

希「さっきやで」

絵里「よく寝てたわね……」

凛「楽しかったにゃー!」

真姫「花陽、大丈夫?」

花陽「平気だよぉ……たぶん」


次回 真姫「最高の舞台にしましょう」 後編