18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/28(月) 01:50:02.29 ID:jR5aJLet0
「はぁー。思ったより時間がかかってしまいましたわね……」 

今日はジャッジメントの仕事はデータバンクの整理だけだったのでもっと早く終わる予定だったのだが、 
初春が風邪で休んでしまったので黒子が一人で作業をしていたのだった。 

すっかり日が傾いてしまい、学園都市の町並みを夕日が赤く染めている。 
寮への帰り道を一人歩いていると、美琴がいつも蹴りをいれる例の自販機の前に見覚えのある人物がいた。 
というか、這いつくばって、いた。 


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19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/28(月) 01:52:25.30 ID:jR5aJLet0
「あら、類人猿さんではありませんの。どうなされました?自販機に命乞いでもなさってるんですの?」 

「……もしかして類人猿というのが私のことであるなら、断じて命乞いをしてるわけではなくてですね、 
いやしかしこの五百円をとれるかとれないかでは上条さんにとって死活問題なので、 
あながち命乞いというのも間違いではないかも知れません」 

どうやら自販機の下に五百円を落としてしまったらしい。百円じゃなく五百円であるあたり流石である。 


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/28(月) 02:01:44.72 ID:jR5aJLet0
「まったく……仕方ありませんわね」 

そう言うと黒子は自販機をテレポートして少しずらした。 

「おおー!なんていい人なんだ!!上条さんには今あなたが女神様に見えますよ!」 

「め、女神だなんて大げさですわ。ただあまりにもみじめでしたので、手を貸さずにはいられなかっただけですの」 

「いやー、おかげで一命を取り留めることができましたよ。お礼にジュースの一本でもおごりましよう!」 

黒子は美琴が言っていた、上条当麻はあきれるほどお人よしだ。という言葉を思い出していた。 
金が無かったんじゃないのか。 



32 :支援感謝。読みにくいとことか指摘してくれるとたすかる:2009/12/28(月) 02:08:52.48 ID:jR5aJLet0
「それではお言葉に甘えておごられて差し上げますわ」 

「お安い御用ですよー。椰子のみサイダーでいいか?」 

「なんでもよろしいですの」 

ちょうどのどが渇いていたというのもあったのだが、 
黒子は美琴がこの男のどこに惹かれているのか以前から気になっていたので、少し話してみようかと思ったのである。 

「ほらよ」 

「どうもありがとうですの」 

何から聞き出そうかと黒子が考えていると、当麻の方から話しかけてきた。 


34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/28(月) 02:19:30.18 ID:jR5aJLet0
「その制服、常盤台中学のだよな。なんでこんな時間まで学校なんだ?追試かなんかか?」 

「追試なんてものは生まれてこのかた受けたことはありませんわ。 
私ジャッジメントの仕事がありましたので少し遅くなってしまったんですの」 

「そうでしたか……追試なんかとは無縁の方でしたか……はぁ」 

「上条さん……でしたわね。その様子だと追試だったんですのね」 

「やめて!!もう自分の頭の悪さを自覚したくないー!……ってなんで俺の名前知ってるんですか?」 

どうやら黒子のことは忘れているらしい。 

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/28(月) 02:30:48.86 ID:jR5aJLet0
「おぼえてらっしゃいませんの?私、美琴お姉さまと相部屋させていただいている白井ですわ」 

前に一度美琴を尋ねてやってきたとき寮の部屋に招き入れたことがある。 

「おー!なんだあの子だったのか!!ぜんぜんイメージが違ったんで気づかなかったわ」 

「……参考までにそのイメージとやらをきかせてくださいな」 

「いやー、前あったときは変わった子だなー。ぐらいにしか思わなかったけどよ、 
ちゃんと話してみるとしっかりしたいい子なんだなって思ったよ」 

「そ、そうでしたの」 

良くも悪くも、歯に衣着せない物言いは黒子にとっては新鮮で少し面食らう。 
というか、こういうものを天然ジゴロと言うのではないだろうか。 


41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/28(月) 02:39:48.06 ID:jR5aJLet0
「いやー、しかしすっかり暗くなっっちまったな」 

「そうですわね」 

「よし、時間も時間だし寮まで送ってやるよ!道も分かるしな!」 

「そ、そんな、結構ですわ。そこまで距離があるわけではありませんし」 

「いやいや、いくら能力者でジャッジメントだからって 
こんな女の子に夜道を一人で歩かせるのは上条さんの精神衛生上よろしくないんですよー」 

天然で言っているのだろうが、よくもこんなにツボを心得ているというか上手というか……と黒子は内心ひとりごちる。 

「ほれ、いくぞ」 

「あ、ち、ちょっと!」 

当麻が先に行ってしまったので仕方なく黒子も後を追う。 


52 :やっぱきりのいいとこまでがんばるよ:2009/12/28(月) 03:11:31.22 ID:jR5aJLet0
「いやーしかし、あのビリビリにこんなにしっかりした後輩がいるとはなー」 

「そういえばお姉さまとはどんな関係なんですの?ずいぶん仲良くしていらっしゃるようですけど」 

無意識のうちにいじけたような声になっていることに内心驚く。 

「いやーなんつーか、ケンカ友達ってのかな?向こうが一方的に突っかかってくるだけだけどな」 

「そうなんですの……でもお姉さまはとても楽しんでいらっしゃるようですのよ?」 

「そりゃあんだけ電撃ぶっ放せば楽しいだろうよ……」 

これは二人の仲が進展しないのは美琴のせいだけじゃなさそうだな、と黒子は苦笑する。 


55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/28(月) 03:24:01.75 ID:jR5aJLet0

「もうここで結構ですの。」 

「おおー、もうこんな近くに来てたのか」 

「ジュース、ごちそうさまでしたわ。今日はその、……なかなか楽しかったですの」 

「いいってことよ!俺もちゃんと話できてよかったよ。また今度ゆっくりはなそうぜー」 

またそんな次を期待させるようなことを軽々しく…… 

「じゃあ、またなー!ビリビリによろしく!!」 

「あ、さよならですの!ま、また今度!」 

手を振って見えなくなるまで見送る。少しにやけている事には自分では気づけなかった。 


57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/28(月) 03:40:15.75 ID:jR5aJLet0
「ただいま帰りましたのー」 

「お帰りー。だいぶ遅かったじゃない」 

美琴が迎えてくれる。遅かったことを心配しているようだ。 

「あ、あのー。初春が風邪で休んでしまって、 
仕事がいつもの倍近くあったんですの!それで遅くまで残業を……!!」 

「そ、そうなの。大変だったわね」 

少し必死に言い訳をしすぎたらしい。 

「食事は私が部屋まで持ってきといてあげるから、アンタは先にお風呂入っちゃいなさい」 

「……ではお言葉に甘えてそうさせていただきますの」 

黒子は風呂につかりながらさっきまでのことをおもいだす。 
どうして美琴に当麻のことを告げられなかったのか。自分でも分からなかった。 

86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/28(月) 11:29:28.74 ID:jR5aJLet0

「はあー……困りましたわね」 

黒子はあれ以来当麻のことを気に掛けるようになっていた。 
流石に少女マンガのように四六時中頭から離れないというわけではないが、 
事あるごとに当麻との会話を思い出してしまうのだった。 

「まったく、罪作りな男ですわね……」 

「んー?何の話?」 

「いえ、何でもありませんわ、お姉さま。それより早く参りましょう」 

今日は珍しく学校も休みで、ジャッジメントの仕事も非番だったので、二人で買い物にきていた。 

「まったく、アンタいつもおかしいけど、最近それ以上に変よ?なんかあったの?」 

「で、ですから、なんにもありませんわ。黒子はいつでもお姉さまの愛する黒子ですの!」 

「ふーん。まあなんかあったらすぐにいいなさいよ。アンタがおとなしいとこっちまで調子狂うのよ」 

黒子は美琴に少し引け目を感じてしまって、素直になれないでいたのだった。 


87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/28(月) 11:30:27.11 ID:jR5aJLet0
「それで、お姉さまは何を買いにきたんですの?」 

「そうそう、来週私のパパの誕生日なのよ。それでプレゼントにネクタイでも送ろうかなーってさ」 

「そうでしたの。それでしたらまず紳士服売り場ですわね」 

「アンタは別に違うとこ見てていいわよ」 

「いいえ、お付き合いしますわ、お姉さま」 

紳士服売り場へ向かい、いろいろ物色する二人。 

「んー。これでいいかな、無難だし。じゃ買ってくるからちょっと待っててねー」 

「わかりましたわ」 


88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/28(月) 11:33:49.68 ID:jR5aJLet0
一人残される黒子。ふと当麻に何かプレゼントでもしようか、などと考えてしまう。 

「……流石にいきなりプレゼントは引かれますわよね。でもそのくらいしないとあの鈍感さでは……」 

黒子がぶつぶつ言っていると、美琴が清算を終えて帰ってきた。 
が、黒子自分の世界に入り込んでしまっていて気づかない。 

「なーに男物のハンカチなんて見てんのよ。もしかしてだれかにあげるとか……?」 

「お、お、お姉さまっ!?そ、そんなつもりではなくて、ただ手持ち無沙汰に手に取ってみただけですの!!」 

「そんな必死になんないでよ、なんか逆にマジっぽいわよ……?」 

「そんなんじゃないですわ!ち、ちょっと私トイレにいってきますの!」 

「あ!ちょっと黒子!……一体どうしたってのよ?」 

黒子はトイレで一人頭を抱えていた。無意識のうちにあんな風になってしまうのだからたちが悪い。 
ここまで露骨だと流石にごまかしも効かない。 

「あー、なんだか重症ですわねこれ……」 


117 :少しだけ時間できた:2009/12/28(月) 15:29:52.11 ID:jR5aJLet0
自分でもはっきりしない感情があふれてくることが、 
それに飲み込まれそうになってしまうとこが、 
そして、あちらに自覚がないことが、悔しい。なんだかずっと空回っている気がしてすごく疲れる。 

「せっかくのお姉さまとのショッピングですのに……きりかえませんと……」 

深呼吸をして気持ちの整理をする。そして美琴のところへ戻ろうとした時、 
携帯がなった。ディスプレイをみると相手は初春だ。なんだか少し嫌な予感がする。 


118 :少しだけ時間できた:2009/12/28(月) 15:30:33.75 ID:jR5aJLet0
「はい、黒子ですの。どうしましたの?初春」 

「白井さん!学生さんから通報があって、スキルアウトの人たちが暴れているらしいんです! 
現場へ向かってください!!」 

「場所は!?」 

「第七学区内です!こちらでナビゲートします!」 

「了解ですの!」 

せっかくの休日だが、ジャッジメントの仕事では仕方ない。 
黒子は美琴のいるところへテレポートした。 

119 :少しだけ時間できた:2009/12/28(月) 15:31:14.48 ID:jR5aJLet0
「お姉さま!」 

「うわぁっ!何なのよアンタいきなり!」 

「すいませんが、ジャッジメントのお仕事が入ってしまいましたの。 
残念ですけど、買い物の続きはまた今度お願いしますわ!」 

「ち、ちょっと、黒子!……いっちゃった……」 


120 :少しだけ時間できた:2009/12/28(月) 15:32:18.80 ID:jR5aJLet0
美琴を後にして、現場へ向かう。 

「相手は何人ですの?初春!」 

「刃物を持った男がひとり!薬物か何かで身体能力をあげているみたいですが、 
その副作用で錯乱しているようです!!」 

「まったく、いつまで経ってもその手のお馬鹿さんはなくなりませんわね……!」 

現場へ到着すると上背のある男が刃物を振り回して暴れていた。 
休日で人が多いので早めに対処しなければ、被害が拡大してしまう。 

「ジャッジメントですの!武器を捨てておとなしく投降なさい…… 
ってこっちの話が聞こえる状態ではありませんわね」 

なにか大声で喚きながらこちらへむかってくる。 

121 :少しだけ時間できた:2009/12/28(月) 15:33:32.51 ID:jR5aJLet0
「怪我しても知りませんのよ……!」 

いつもどうり、金属矢を放って動きを止め、拘束しようとしたのだが、 

「っな!?」 

男の動きが予想以上に早かった。黒子は完全に意表を突かれ、 
金属矢をはずしてしまう。 

「そういえば、クスリかなにかをやっているって言ってましたわね!」 

テレポーターにとってスピードというのはかなり厄介なものである。 
自分の予測したところに対象物がなければ、意味がないのだ。 

「ちょっと厄介ですわね……」 


122 :少しだけ時間できた:2009/12/28(月) 15:34:18.16 ID:jR5aJLet0
相手の攻撃をかわすことはできるが攻撃の手段がないのでは、埒が明かない。 
それに周囲への被害の心配もある。早めに蹴りをつけたかった。 

「やはりダメージ覚悟で突っ込むしかないようですの」 

距離をつめればいくらでもやりようはある。 

「いきますわよ……!」 

まずは正面から突っ込んでいく。男はナイフで切りかかってきた。 
それを黒子はサイドステップでかわし、水面蹴りで男のバランスを崩す。 


123 :少しだけ時間できた:2009/12/28(月) 15:35:17.15 ID:jR5aJLet0
「よしっ!とった!!」 

しかし男はバック転で体制を立て直し、反動を使って蹴りを放ってきた。 
予想外の動きに黒子は反応が遅れ、もろに食らってしまい吹き飛ばされる。 

「っはあ!!げほっ!」 

動けないでうずくまっている黒子に男がゆっくり迫ってくる。そのとき― 

「おい!なにやってんだオマエ!!」 

まさかと思って顔をあげると、そこには上条当麻の姿があった。 
まるでマンガみたいな都合のよすぎる登場だ。狙ってやってるんじゃないか。と黒子は思った。 


146 :きりのいいとこまで書くよ:2009/12/28(月) 19:46:43.10 ID:jR5aJLet0
「白井!大丈夫か!?」 

「わ、私のことはかまいません。離れていてくださいな。一般の方を巻き込むわけには……」 

「おまえ思いっきりやられてたじゃねぇか! 
それにこんな状況でお前をおいて逃げるわけにはいかねえよ!!」 

そうしている間に男がこっちに突っ込んできた。黒子と当麻は攻撃を身をひねってかわし、 
一度距離をとる。どうやら考えている暇はなさそうだ。 

「いいですの、上条さん。私はあいつに触れることさえできれば、テレポートを使って倒すことができますわ。 
でも流石にこのリーチの差ではなかなか懐にはいることができませんの。 
それで、あなたにはあいつの注意をひきつけておいて欲しいんですの」 


147 :きりのいいとこまで書くよ:2009/12/28(月) 19:48:12.50 ID:jR5aJLet0
「よし、わかった!まかせとけ!」 

と言うやいなや、当麻は男へ突っ込んでいく。 

「うおおー!だあっ!!」 

いきなりの行動に男も反応が遅れた。当麻は男に組み付いてそのまま倒れこむ。 
しかし、やはり力技では男にかなうはずもなく、当麻はマウントをとられてしまった。 
顔面を立て続けに殴打される当麻。 

「そこまでですわ、このでくの坊!!」 

その隙に背後に回りこんでいた黒子は男の腕を掴み上空10メートルぐらいまでテレポートで飛ばす。 
そして地面にたたきつけられる男。行動不能になったところへ、金属矢で固定して終了。一瞬の出来事だった。 

「だいじょうぶですの!?上条さん!」 

「ああ……こういうの慣れてますから大丈夫ですよ……ははは」 


200 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/29(火) 02:14:09.67 ID:UQTltHpW0
「あだだだ!もうちょい優しく頼むよ、白井」 

「ご、ごめんなさいですの!」 

あの事件の後、犯人をアンチスキルに任せ、 
遠慮する当麻を無理矢理ジャッジメントの詰め所まで連れてきて、傷の手当てをしていた。 

「いやー、しかし結構殴られちまったな。すぐに腫れ引くかなこれ?」 

「す、すぐに治療すれば大丈夫だとは思いますけど……」 

当麻は顔をかなり殴られていたので、そこを治療していると、必然的に距離が近くなり、 
緊張した黒子の手元がかなりあやうくなっている。 


201 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/29(火) 02:15:07.09 ID:UQTltHpW0
「一応終わりましたけど……まだどこか痛みますか?」 

「いや、大丈夫だよ。あんがとな、白井」 

「い、いえ……あの、こちらこそ本当にすいませんですの。 
こんなことに巻き込んでしまって、迷惑……でしたわよね」 

「いやいや、いいんだよ。俺が自分の意思で白井を助けたいって思って行動したんだ。 
お前が責任を感じることじゃねーよ」 

「ですが……」 

「それに!こういうときはすいませんより、ありがとうって言葉が聞きたいな」 

「あ、それは本当に感謝してますの! 
上条さんが来て下さらなかったら、どうなっていたか分かりませんでしたわ」 

「ははは、結果オーライだろ!二人ともたいした怪我じゃなくってさ」 

当麻が元気そうで一応ほっとするが、一度緊張が解けると、いろいろと意識してしまう。 


203 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/29(火) 02:17:14.31 ID:UQTltHpW0
「あ!白井。お前顔すりむいてるじゃねーか!」 

「え?ああ、本当ですの。」 

たぶん蹴り飛ばされたときに受けた傷だろう。鏡を見ながら自分で治療しようとすると、 

「どれどれ、あーこりゃ消毒しないと痕残っちまいそうだな……ほれ、消毒液かしてみ」 

「ひあっ!?だ、大丈夫です!自分でできますのっ!」 

「いやいや、俺だけやってもらってんのにそういうわけにもいかないだろ。 
それにちゃんと処理しないで、せっかく綺麗な顔に傷残したってつまんないだろ。ほら、そっち座れよ。」 

「……っ!!」 

もう黒子に何も考える力は残ってなかった。 
いわれた通りにいすに座り、当麻の指が顔に触れるたびに声を我慢することでいっぱいいっぱいいだった。 


206 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/29(火) 02:19:02.53 ID:UQTltHpW0
「よし、こんなもんだろ。もういいぞ、白井」 

「おーい、白井さーん。もう終わりましたよー」 

「ふぇ!?あ、ああ、ありがとう……ですの」 

時間の感覚がなかったので終わった事にも気づかなかった。 
3分のような気もしたし、30分だった気もする。 

「よし、じゃあ送ってくから帰ろうぜ。ちなみにお前も一応怪我人なんだから、 
拒否権はないぞ」 

「わ、分かりましたわ。あの、あ、ありがとうですの……」 

「気にしない気にしない。ほら行くぞ」 



207 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/29(火) 02:25:08.18 ID:UQTltHpW0
「今日は重ね重ね本当にありがとうですの」 

「おう、役に立てたかどうかは疑問だけどな……じゃーな、ゆっくり休めよ。白井」 

ここでそのまま分かれたら、何もなかったことになってしまうかもしれない。 
ふとそう思った黒子は無意識のうちに当麻のシャツを掴んでいた。 

「お、どうした白井。なんか忘れ物か?」 

「あ、あの、後日改めてお礼をしたいので、連絡先を教えてほしいんですの……」 

自分でもびっくりするぐらいのファインプレーだった。 
顔を見ないで、消え入るような声でなければ。 



208 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/29(火) 02:28:34.17 ID:UQTltHpW0
「あー、そうゆうのは、ちょっと遠慮するわ」 

「……そう、ですわよね。少し押し付けがましかった……ですわよね」 

「でもな、白井。お礼とか関係なしに、フツーにお茶とか遊びに行くんだったら大歓迎だぞ。 
あ、上条さんは年中無休で貧乏学生だから奢ったりはできねーけどな」 

死ぬ思いでつっこんでみたらものすごいカウンターでKOされた。 

「ほら、赤外線」 

「は……い……」 

「よしっ、と。んじゃなんかあったら連絡しろよ。基本暇だからな。じゃなー」 

「あ、さよならですのっ!め、メールしますのー!!」 

見えなくなるまで手を振り続ける。メールすると言ったとき、 
振り向いて笑ってくれたように見えたのは乙女ビジョンによる錯覚だったのかもしれない。 


233 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/29(火) 06:20:54.75 ID:OAf/v9e60
黒子「ところでお姉様、その…何と言いましたか、上条と呼ばれた殿方はどう言った存在でして?」 

美琴「…え、え!?――ど、どうって…。」 

黒子「お姉様を誑かすその存在、この私が成敗して差し上げましょう、と言っておりますの。」 

姉と慕う美琴への不順な想いで動く黒子。 
その瞳へ宿る愛情と言う名の焔は鎮火する事さえ知らず、強く握った拳を顔の前へ持ち上げた。 

黒子「行きますわよー!」 


―――Story1. <空間移転vs幻想殺し> 


336 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 02:04:43.46 ID:elfcaFoS0
美琴に今日のことをどうやって説明しようかと考えながらドアをくぐる。 

「ただいまですの……」 

「あ、おかえ……ってアンタ傷だらけじゃないの!? 
いきなりいなくなるし……何があったのよ?」 

「ちょっと元気のいい不良を相手にしただけですわ、 
お姉さま。ご心配なさらずに」 

「レベル4のアンタがそんなにてこずったわけ?」 

「ええ、まあちょっと相性が悪かっただけですわ」 

「ふーん。そんなもんか……あ、顔の絆創膏ずれてるわよ。 
直したげるから、こっちきなさい」 

「ああっ!こ、これはこのままでいいんですのっ!」 



338 :今回はデレ少な目:2009/12/30(水) 02:07:48.17 ID:elfcaFoS0
思わずテレポートしてまで距離をとってしまう。 
せっかく当麻がが張ってくれた物だ。 
美琴にだって触って欲しくない。いや、美琴だからこそ触って欲しくない。 

「そ、そんなに必死で逃げなくてもいいじゃない……」 

「あ、あーそうですわ!汗もかきましたし、私お風呂にいってきますの!」 

返事も聞かないうちに部屋を飛び出てしまった。 
とっさに口から出た言い訳とはいえ、本当に入らないと格好がつかないので、 
とりあえず風呂にいくことにする。 


339 :でもきっとハッピーエンドにするから:2009/12/30(水) 02:12:23.44 ID:elfcaFoS0
「はあー、今日は色々あってすごく疲れましたの……」 

湯船の中で一日を振り返る。 
まるでヒーローのように助けに来てくれたときの背中。 
優しく絆創膏を貼ってくれた指先。また遊ぼうと言ってくれた時の笑顔…… 

「全部上条さんのことではありませんの……」 

恥ずかしくなったので、誰に見られている訳ではないけど 
湯船に顔を半分沈めて隠れる。 


341 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 02:21:14.47 ID:elfcaFoS0
「で、でも仕方ありませんわ。あんなことされたら誰だって、 
その……す、好きになってしまうに決まっていますの……!」 


あの時、当麻が助けに現れた瞬間。もう黒子は完全に、 
ああ、この人に恋に堕ちたんだな。と自覚したのだった。 

いや、堕とされた。と言った方が正しいかもしれない。 
美琴に対して抱く好意とはまったく別物だった。 


「あー、お姉さまに言った方がよろしいですわよね…… 
なんて説明すればいいんでしょう」 


美琴が当麻に好意を寄せていたことは前から知っていた。 
その美琴にどう伝えればいいのだろう。このまま隠していてもいつかはきっとばれる。 
だったら、いっそのこと― 



345 :ゆっくり投下を心がけております:2009/12/30(水) 02:28:49.89 ID:elfcaFoS0
風呂から上がって部屋へ戻ると、美琴はベットに横になり、 
雑誌を読んでいた。 

「ずいぶん長風呂だったわねー」 

「あの……お姉さま、すこしお話がありますの」 

「どうしたの?なんかあったの?」 

「あ、あのですね、ええと……」 

言おう。言ってしまえば、楽になる。 

「じ、じつは、私好きな殿方ができたんですのっ……!!」 

「へぇー、黒子に好きな人ねえー……って、 
うえぇ!?ま、マジで言ってんの!?」 

「おおマジですわっ!」 

「だれだれ!?ウチの学校の子?年上?年下?ねえねえ!」 



349 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 02:37:36.30 ID:elfcaFoS0
「かっ、上条さんですの!!」 

「えー?そんな子ウチの学校にいたっけ?」 

「お姉さまのご友人の、上条当麻さんですの」 

「えーっと、ははは……嘘でしょ?」 

「本気ですわ、お姉さま……」 

みるみる美琴の顔が曇っていく。 
ああ、別に美琴のことを悲しませたいわけじゃないのに。胸が苦しくなる。 



355 :>>351 そうなのか……海原とかいたから勘違いした 指摘ありがとう:2009/12/30(水) 02:44:21.50 ID:elfcaFoS0
「そ、そうなんだー。ちょっとびっくりしすぎてリアクション取れないわよ……はは」 

「応援してくださいますか?お姉さま!」 

「も、もちろんよ!可愛い後輩の初恋だもんね。 
ちゃんと応援したげるからまかせなさいっての!」 

「ありがとうございます!黒子、がんばりますのっ!」 

「そうね……がんばりなさいよ!あはは……」 


359 :ハッピーエンドだけは曲げない:2009/12/30(水) 02:54:42.46 ID:elfcaFoS0
その後黒子は逃げるようにベットに入ってしまった。 
顔を合わせていると罪悪感で押しつぶされそうになるから。 

胸が痛む。でもこの胸の痛みは当麻を、 
好きな人を想っているときの締め付けなれるような痛みとは違う。 


「黒子は悪い子ですの……」 


そうだ。完全に意識してやったことだ、全部。 
黒子が好きだと言ったら、面倒見のいい美琴は自分の感情を殺してでも、 

黒子の恋を応援してくれるだろう。100パーセントこうなると分かっていてしかけた。 
大好きなお姉さまを裏切った。美琴は決してそんなことは思っていないだろうが、 
その事実が黒子を苦しめる。いっそのこと怒って、嫌ってくれたらどれほど気が楽だろう。 


「おやすみなさい、お姉さま……」 


363 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 03:08:43.84 ID:elfcaFoS0
あれ以来美琴は本当に相談に乗ってくれたり、当麻のことを話してくれたりした。 
そのたびに黒子の心は痛んだ。美琴はもっと苦しいはずなのに…… 


「最近お姉さまにはお世話になっていますし、お菓子でも買って帰るとしますか……」 


ジャッジメントの仕事の帰りにせめてこれくらい、と思ってコンビニによることにする。 


「甘いもののほうがよろしいですわね……」 


目に付いたお菓子類を手当たりしだいかごに入れていく。お嬢様買いである。 




365 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 03:17:10.43 ID:elfcaFoS0
「あーあー、そんなに菓子ばっか買い込みやがって、太ってもしらねーぞ」 

「どなたで……って、か、上条さん!?違うんですの、 
これはお姉さまと一緒に食べようと…… 
というか何でこんなところにいらっしゃるんですの?」 


一気に心拍数が跳ね上がる。 


「いやー、ちょっと寮から遠いけどさ、俺よく散歩がてらこのコンビニ来るんだよなー。 
お前もこのコンビニよく来んのか?」 

「そ、そうですわね、大体ここですわ」 


嘘だ。ジャッジメントの仕事の帰りにたまたま寄っただけで、 
いつもはもっと寮に近いところを使う。 
でも次からはいつもこのコンビニを使うことに決めた。我ながらいじましい。 



367 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/30(水) 03:24:56.64 ID:elfcaFoS0
「今日もこんな時間までジャッジメントの仕事か?大変だな白井も」 

「ええ。でも自分で選んだ道ですので、大変ですけど辛くはありませんのよ」 

「ほえー、やっぱお前は年下なのにしっかりしてるよ。えらいえらい」 

「うひゃあっ!?ななな、なんですの!?」 

「何って頭撫でただけだけど……嫌だったか?」 

「あ、その、嫌では……ないですの……」 


489 :>>487 ごめんね:2009/12/31(木) 02:04:34.86 ID:kXUHhjmu0
「そういや、顔の傷も跡になんなかったみたいだな、 
よかったよかった」 

「あ……すぐに手当てしてくださった上条さんのおかげですわ。 
ありがとうございます」 

「おうよ。……おっと、暗くなってきたし、遅くならないうちに帰るとしますか」 

「それもそうですわね……」 

ああ、まだ帰りたくない。もっと話していたい。と思うことくらいは許されるだろうか 



494 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 02:13:04.92 ID:kXUHhjmu0
「んじゃ、例のごとく送ってくよ」 

「えっ!?そんな、毎回悪いですの!」 


と言いつつ笑顔全開になってしまった。 
ちょっとしたことで一喜一憂する自分にあきれる。 


「いいんだよ、俺が好きでやってんだから。ほらいくぞ」 

「あうぅ……」 


人助けが好きなだけだ。勘違いするな。 
と自分に言い聞かせる。 



496 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 02:23:19.02 ID:kXUHhjmu0
歩きながら、当麻がふと、たずねてきた。 


「そういや、最近ビリビリの様子がおかしいんだよな。 
白井同じ部屋なんだろ?何か心当たりとかないか?」 


バリバリあるんだけど、しかも自分のせいなんだけど、 


「ええと……どうでしょう。具体的にはどんな風に様子がおかしいんですの?」 

「なんかスゲー避けられてるようなきがするんだよ。 
ほら、以前だったら俺を見つけた瞬間に勝負しろ、とか言って 
ころかまわずビリビリしてたんだけどよ、 
今日なんて俺のとこ見た瞬間走って逃げちまったんだよ。……なんかしたのかなー、俺」 


黒子には美琴の気持ちが手に取るように分かった。決して自分の気持ちに気づいてはいけない、 
もし気づいたとしても伝えることはできない。なら離れるしかないじゃないか。 
美琴は黒子のことを想ってくれているのに。このままじゃだめだ。 



497 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 02:30:14.49 ID:kXUHhjmu0
「白井、どうかしたか?」 

「上条さん。ひとつ聞きたいことがあるんですの」 

「なんだよ、あらたまって」 

「どうして上条さんは困ってる人を助けようとすたるんですの?」 

「またいきなりだな……どうしてって言ってもな……理由なんて無いよ。 
困ってる人がいたら助ける。体が勝手に動いちまうしな。それに、嫌なんだよ」 

「いや?」 

「何もしないでただ人が不幸になるのを見るのが、さ」 



499 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 02:37:04.24 ID:kXUHhjmu0
ああ。やっぱりこの人はどこまでもまっすぐだ。 
全部正面から向き合って自分に嘘をつかない。そんな人だから好きになったんだけど。 
でも今の自分にはまぶしすぎる。この人のように、この人につりあう様な人間になりたい。 
……なら変わらなくちゃ。そう思った。 


「どうしてこんなこと急に聞くんだよ?」 

「いえ、何でもありませんわ。丁寧に答えてくださってありがとうございます」 

「いや、まあいいんだけど……」 


早く美琴に会いたかった。会って、全部話して、 
許してもらえるか分からないけど、それでも前に進めるのなら、今よりマシだ。 


500 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 02:38:04.25 ID:kXUHhjmu0
「上条さん。色々ありがとうございました」 

「おう、じゃあ気をつけて帰れよ。また今度な」 

「さよならですのー」 


気をつけるも何も寮は目と鼻の先なのだが。 


黒子は当麻が見えなくなるまで見送った後、 
ひとつ深呼吸をして部屋へと向かった。美琴の待っている部屋へ。 



502 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 02:45:32.42 ID:kXUHhjmu0
「お姉さまっ!!」 

「きゃあっ!?アンタもっと静かに入ってきなさいよ!びっくりしたじゃない、もう」 

「ごめんなさいですの!お姉さま!」 

「……はい?」 

「私、お姉さまに謝らなければならないことがありますの」 

「えっと……ぱっと考えただけでもひっかかる案件が何個もあるんだけど、 
なんのこと?」 

「上条さんの、ことですの」 

「え……?」 


もうここまできたら一気にいくしかない。 


503 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 02:51:28.96 ID:kXUHhjmu0
「私はお姉さまがずっと上条さんに興味、いいえ、 
好意を抱いていたことを知っていました。 
私が最初に上条さんに抱いた感情は間違いなく嫉妬でしたわ。 
どうしてお姉さまはこんな方に夢中になっているのでしょうか。と。 
でも、上条さんのことを知っていくうちにだんだんとお姉さまの意中の人としてでなく、 
一人の男性として好意を抱いてしまいましたの」 

「それで私に相談した……と」 

「ただ単に相談したわけではありませんでしたわ。 
優しい優しい美琴お姉さまは可愛い後輩のためなら、 
きっと自分の気持ちを殺してでも後輩のためにしてあげる……と。 
明確に意識していましたの」 

「……」 


美琴の悲痛な沈黙がキツい。でもここでやめてしまったら何の意味も無くなる。 

504 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 02:53:18.88 ID:kXUHhjmu0
「黒子はとても悪いことをしてしまいました……こんなことをして、お姉さまに嫌われてしまっても仕方ないですわ……」 

「アンタねぇ……」 


美琴が立ち上がりこちらへ向かってくる。ああ、怒られる。 
と思ったら頭にポンと手が乗った。 


「考えすぎよ……バカ。」 

「……ふぇ?」 


505 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 02:54:35.09 ID:kXUHhjmu0
「確かに私はあのバカに興味と言うか好意と言うか、 
その……アレな感情を抱いていたことは認めるわよ! 
でもねえ、それってものすごく曖昧だったっていうか、逃げてたのよ! 
自分で認めてしまうことが悔しくて……ホント、私らしくなかったわね。 
んでね、アンタがあいつのことを好きって言ったとき初めて気づいたの、 
あー、私コイツんとこ好きだったのかも。ってね。だからね、アンタの勝ちなの! 
そのアンタの自分の欲求に素直なところに私は負けたのよ!!」 

「お、ねえさま……?」 

「だから、黒子。アンタの恋なんだから、あんたの好きなようにしなさい。私にかまわないでさ」 


もう限界だった。安心したのとか、嬉しかったのとか、全部ごちゃ混ぜになって涙になって溢れた。 


「お姉さま!お姉さま!おねえさまー!!」 


508 :さるさん食らった:2009/12/31(木) 03:02:09.64 ID:kXUHhjmu0
「うわっ!……ったくもうつまんないことで一人で悩んで溜め込んで…… 
疲れるわよ、そんな生き方」 

「お姉さまに……ひどいことして、グスッ嫌われたと、えぐっ思ったんですのー!」 

「そんなことで、嫌いになるわけ無いじゃない。私の……その、大事な後輩なんだからさ」 

「お姉さま……やっぱり黒子はお姉さまのことも大好きですのー!!」 





599 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 21:20:54.83 ID:KWG4bWXe0




黒子「ああんっ!お姉様っ!今日こそこの黒子の唇に熱いベーゼをっ!」 

御坂「やめいっ!」ヘブシッ 

黒子「ふふふふふ、この程度ではへこたれませんわ!」ムクリ 

御坂「げっ、あんた最近タフになってきてない……?」 

黒子「それはもう!お姉様が遠回しに鍛えてくださっていると思えば!」 

御坂「うっ……」 



御坂「……ってことがあって」 

初春「それは……えーと」 

600 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 21:23:25.49 ID:KWG4bWXe0
御坂「最近あの子の眼がマジなのよ!あ、いや昔からマジだけど、貞操の危機を感じるレベルで!」 

初春「は、はい……。それで、私に頼み事ってなんでしょう?」 

御坂「これ、なんとかならないかしら……。初春さんなら黒子の脳とかいじれないの?」 

初春「の、脳……ですか?それはさすがに……あっ」 

御坂「何かあるの!?」 

初春「木山先生に頼めばなんとかしてくれるかもです」 

御坂「そ れ だ」 

601 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 21:25:07.86 ID:KWG4bWXe0
初春「と、いうことで頼んでみたんですが」 

御坂「どうだった?」 

初春「脳をいじるのは止めた方がいいと」 

御坂「ですよねー」 

初春「でも、任せてください!ユニークなアイデアを頂きました!」 

御坂「おお!」 

初春「要は白井さんが男の人にホの字になればいいわけですよね?」 

御坂「え?いやちょっと違……」 

初春「ね?まっかせてください!うふふふふ」(……面白そうだから私一人でやらせていただきますよ、御坂さん……) 

御坂「あっ!ちょっと!……行っちゃった」 

602 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 21:28:54.00 ID:KWG4bWXe0
――某自販機前―― 
黒子「初春ーっ!ごめんなさい、遅くなって……って、まだ来ていないんですのね」 

黒子「全く、自分で呼び出しておいて遅れるとは……。とりあえず電話を掛けてみましょう」 

prrrrrrrrrrrrr 

初春『あ、もしもし!ごめんなさい白井さん』 

黒子「初春!誘っておいて遅れるとは、」 

初春『あの、それがちょっと事情がありまして、今からナビゲートするので現場まで来てくれますか?』 

黒子「ああ、そういうことなら。分かりましたわ」 

初春『今自動販売機前ですよね?そうしたら、まずは向かって左に折れて――』 

――十分後―― 

黒子「……」 

初春『あ、あのごめんなさい!もうちょっとですから!なかなかうまくバッティングしてくれなくて』 

黒子「バッティング?」 

初春『あ、いえいえ何でもありません!なんなのかなあ……。道草多すぎるよこの人……』ボソボソ 

黒子(電話代が……、まあいいですけど) 

603 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 21:33:27.22 ID:KWG4bWXe0
黒子「これで何もなかったら承知しませんわよ」 

初春『うう……。(どうしよう。何かいい言い訳を……。そうだ!)すいません。実は御坂さんの頼み事で』 

黒子「お、お姉様の!?」 

初春『は、はいっ!』 

黒子「なんでそれを先に言わないんですの!」 

初春『すいませーん!』 

黒子「そうと決まれば張り切って歩きますわよ!おねえさまー!」 

初春『あっ!そこ右です!』 

黒子「右ですわね!とある黒子の超旋回(フライングキャメル)!」ズザー 

??「おうわっ!」 



606 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 21:39:12.08 ID:KWG4bWXe0
黒子「きゃっ!」 

初春『キターーーーーーーーーー!』 

黒子「いたた……。失礼しましたわ。大丈夫ですの?」 

上条「ってー。……あ、ああ大丈夫です。そちらこそ……って、あんたは……」 

黒子「るっ、類人猿!?」 

上条「確かアイツんとこの……」 

黒子「白井ですわ!白井黒子ですの!」 

上条「ああそうそう、白井白井」 

黒子「なんですの!?そのやる気のない感じは……」 

上条「で、大丈夫か?」 

黒子「……裂傷もありませんし、打撲もしてませんわ」 



607 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 21:41:53.11 ID:KWG4bWXe0
上条「そうか。なら良かった。……頭は?」 

黒子「頭?打ってませんけど」 

上条「いやいや、そうじゃなくてですね。普通の曲がり角で急にスケートを始めるその頭はヘブシッ!」 

黒子「失礼ですわね!」 

上条「いや、どう考えてもおかしいのはそっちヘブシッ!」 

黒子「こ、このことはお姉様には……ってお姉様の用事の途中でしたわ!携帯電話!」 

――たたっ 
初春「白井さーん!!」 

黒子「初春!どうしてここに?……しかもその道、さっきまで私が歩いていた道なんですけれど。それにそのPCは」 

610 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 21:47:31.77 ID:KWG4bWXe0
初春「大丈夫ですか?怪我とかないですか?」サワサワ 

黒子「ちょっと、私の話を」 

上条「あれ、初春さん」 


609 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 21:45:08.11 ID:KWG4bWXe0
初春「わーきのうのかみじょうさーん」 

上条「知り合いだったのか……。あ、ジャッジメントだから当然か」 

初春「かみじょうさんもだいじょうぶですかー?」サワサワ 

黒子「初春!?その男と知り合いなんですの!?…………あなたという人は!お姉様に飽きたらず初春にまで!」 

上条「ちょ、落ち着け白井!落ち着いてください!」 

初春「そーですよー。ぶつかったの白井さんじゃないですかー」 

黒子「…………」 

黒子「……初春」 

初春「はい?」 

612 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 22:00:44.04 ID:KWG4bWXe0
?黒子「まさか、お姉様の用事とは、この類人猿と激突することだったのではないでしょうね」 

初春「ままっまままさか!」 

黒子「ではなんですの?まさかお姉様の依頼というところから方便……」 

初春「ち、違います!本当です!」 

上条「あのー」ポツーン 

黒子「繰り返します。ではなんですの?」 

初春「そ、そのっ、言えないんです!本当は御坂さんからの依頼ってことも言わないでくれって……。一週間後に分かるからって」 

黒子「一週間?」 

613 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 22:11:39.25 ID:KWG4bWXe0
初春「そうです一週間です!何か白井さんのためのイベントを開くんじゃないですか?」 

黒子「お姉様が、私のために……?」 

初春「それで、今日はできるだけ帰りを引き延ばしてくれと」 

黒子「お姉様が……?」 

上条「おーい」ポツーン 

初春「その、御坂さんには言わないでくださいね」 

黒子「……かっ」 

初春「白井さん?」 

黒子「かかかかっ、感激ですわー!おおおおお姉様ががががが」 

初春「ニヤリ」 

614 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 22:16:11.25 ID:KWG4bWXe0
初春「たっ、大変です上条さん!」 

上条「え!?このタイミングでですか!?さんざん無視しといて!」 

黒子「がががががg」 

初春「こうなった白井さんは誰にも止められません!力を貸してください!」 

上条「……はぁ。で、何をすれば」 

初春「そうですねー。錯乱状態の白井さんをちょっとおぶって夜風に当ててあげて公園まで散歩した後に落ち着いてきた白井さんが上条さんの背中で暴れ始めると思うので 
そうしたらそっとベンチにおろしてあげて温かいコーヒーを一本ほど差し入れてあげて表情が柔らかくなり始めたら寮まで送ってあげればいいと思います!」 

上条「は?え、ちょっと」 

初春「それでは私は用事があるので!白井さんのぶんのおしごとものこってるしー」たたっ 

上条「ええええええええええ!?」 
黒子「ががががががががががが」 

上条「不幸だー!」 

615 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 22:20:56.33 ID:KWG4bWXe0
――二十分後、夜、公園自販機周辺―― 
上条「おーよしよし。よかったねー。おねえさまに気に入られてよかったねー」 

黒子「ががががggg…………はっ!?」 

上条「お、回復したか」 

黒子「え……、ここは――」 

上条「大変だったんだぞ。初春さんはお前を置いて行っちゃうし、お前はお前で虚ろな目をして歩き出そうとするし」 

黒子「人肌――大きい背中――なんかゴツゴツした――」 

上条「もう歩けるか?大丈夫なら何か飲み物でも……」 

黒子「殿方の背中!?それに手がお尻に」バッ 

上条「あん?」 

黒子「え?転移できな……」 

上条「ああ、今降ろすぞ」 

黒子「どなたですの?」 

上条「まだ寝惚けてんのか。ほれ。降りて顔見ろよ」 

黒子「――っ」 

上条「……ん?おかしい。やけに大人しいな」 

616 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 22:26:57.73 ID:KWG4bWXe0
上条「あれれ……?初春さんの忠告から何か忘れてるような……」 
『白井さんが上条さんの――背中で暴れ始めると思うのでそうしたら――そっとベンチにおろしてあげて』 
上条「やべ、順番間違えた!」 

黒子「この類人猿があああああぁぁぁぁ!」 

上条「のわっ!そんなもの当たったら上条さん脳天割れちゃいますよ!?」 

黒子「お尻に残る温もりが気持ち悪いんですのぉぉぉぉ!」ベシベシ 

上条「打撃も禁止!いたいいたいいたい!」 

黒子「あいたっ」 

上条「は?」 

黒子「……さりげなく反撃を返すなんて、なかなかやりますわね」 

上条「待て。上条さんは何も手を出していないですよ」 

黒子「あら?しかし、私の右肩が確かに……」 

上条「いや、右肩を殴ってたのは白井の方じゃねえか」 

黒子「え?ええ、それは間違いないですわ」 

上条「まだ疲れてんのかな。ちょっとそこで待ってろよ。コーヒー買ってくるから」 

黒子「……ええ」 

617 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 22:36:56.16 ID:KWG4bWXe0
上条「ほい」 

黒子「――ありがとう、ですの」 

上条「おい、早く受け取れよ。熱いんだけど」 

黒子「熱い?熱いですわよね」 

上条「だからほれ。受け取れって」 

黒子「――上条当麻」 

上条「ん?」 

黒子「確認しますわ。あなたは今、左手で缶を二本持っている。そしてそれは両方ともあったか~い」 

上条「おお。そうだな」 

黒子「では、私はその内の一本を右手で受け取りますわ」 

上条「ほう。何かの奇術の仕込みか?」 

黒子「違いますわ――私がそれを受け取ったとき、あなたの右手に何か変化があるか、意識していてくださる?」 

上条「右手……。幻想殺しのことか?」 

黒子「そんな大仰な話ではありませんの。いいから感じてみてください」 

上条「あ、ああ」 


619 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 22:44:37.78 ID:KWG4bWXe0
黒子「では、受け取りますわよ」 

上条「おう」 

黒子「ひょいっ」 

上条「おわっ!?熱っ!?右手熱っ!」 

黒子「――やはり」 

上条「やはりって何だよ!?」 

黒子「私は今、缶を持っていない左手も熱い」 

黒子「それに、さっきの殴り合い――」 

上条「いや、俺は殴ってないって」 

黒子「あなたの右肩を殴った途端、私の右肩にもダメージが来ましたわ」 

上条「え?おいおい……」 

黒子「正確にはダメージではなくて『痛み』のみ。痛みの割に痣にはなっていないんですの」 

黒子「だから例えば、こうしてあなたの頬をつねれば――」プニプニ 

黒子「プニプニ……じゃなくて私の頬にもつねられた感が襲ってくる」 

上条「じゃあ、俺がお前の頬をつねれば」 


622 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 22:52:11.05 ID:KWG4bWXe0
黒子「それはさせませんわ」ヘブシッ 

上条「いてえ!不公平だろ!」 

黒子「……私も結構痛かったんですの」 

上条「じゃあ自分でつねってくれよ」 

黒子「ほへへいいでふの?」 

上条「ほうほう……じゃなくてそうそう」 

黒子「……これで、実証されましたわね」 

上条「実証って、お前――」 

黒子「――『神経接続』」 

上条「……はぁ?」 

黒子「繋がってしまったんですの、私達。おそらく、今日ぶつかったときに――不本意ながら」 

上条「いや、意味分からんが……。また厄介事か……不幸だ」 



624 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 22:57:09.13 ID:KWG4bWXe0
黒子「あら、『また』?」 

上条「ここんとこ毎日だ。もう勘弁してくれって感じなんだが……」 

黒子「そう……意外と場数を踏んでらっしゃるのね」 

上条「そういうお前も冷静じゃないか」 

黒子「当たり前ですわ!私は誇り高きジャッジメントの一員!これくらいのトラブルで――」 


初春『しかし、彼女たちは気付いていなかった。これは大いなる悲劇の序曲だということに』 
木山『なあ……さすがに不憫だと思うのだが……』 
初春『大丈夫です。一応一週間って言っちゃいましたけど、一晩繋がれば効果大です!』 
木山『あいにく、男女の機微には疎いものでな……。まあ、君もそれほど経験が豊富にはみえn――』 
初春『……うふふっ』 
木山『いや、失言だった。撤回しよう』 
初春『まあ、ちょっとでも御坂さんの電撃が当たれば壊れる機械になってますから、安心ですよ。上条さんと御坂さんのエンカウント率結構高いですから』 
木山『そううまく行くとも思えないのだが……』 
初春『白井さんに圧倒的に足りないのは男性との共有体験です!この「心が繋がる?体が繋がる?キャッ///神経接続マシーン!LV.3」でそのあたりのブランクを一気に埋めないと!』 
木山『そういうものなのか……』 
佐天『ういはるーっ。何見てるのー?』 
初春『佐天さんはダメですっ!』 
佐天『えー』 

625 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 23:01:08.91 ID:KWG4bWXe0
――数十分後、ベンチ―― 
黒子「しかし、よりによってこんな類人猿と接続するなんて」 

上条「そうだな。どうせ繋がるなら豊満なオルソラとかヘブシッ!」 

黒子「あいたっ!きゃっ!くっ!」 

上条「いてえ!なんかすごい痛いですよ!?」 

黒子「――どうやら感覚の往復は三回までみたいですわね」 

上条「実験ならもっと優しくやってくれませんかね、と上条さんは」 

黒子「問答無用ですわ。それに、貧相な体の方がお姉様と重ねやすいし気にしていませんの」 

上条「……さいですか」 

黒子「三回ってことは、LV.3ってことみたいですわね」 

上条「レベルがあるものなら、俺の右腕で何とかなりそうなものだけどな。それに、三回往復するってどういう仕組みだ?」 

黒子「鏡と鏡を向かい合わせに並べて、真ん中に立ったときと同じですの」 

上条「……ふむ」 

黒子「あなたの痛みが私の痛みになる。私の痛みが再びあなたの痛みに戻る。このとき、あなたの最初の痛みは消えていないから、単純計算で戻ってきたときのあなたの痛みは2倍。それが私に来る。 
この時点、2往復で3倍。次にあなたに戻った時は1+1+3で5倍。最後に私に来たとき、1+3+5で8倍。多分ここでおしまいですから、正確には二往復半ですわね」 


628 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 23:05:01.08 ID:KWG4bWXe0
上条「お互いを3回ずつ痛みが襲うわけか……。不幸だな」 

黒子「不幸ですわ。あなたがどういう災難に恵まれているのかは知りませんけど、この問題が解決するまでは下手に戦闘に顔を出さないほうがいいですの」 

上条「8倍じゃなあ……」 

黒子「今日はもう遅いですし、早く帰ってさっさと休みましょう」 

黒子「……あ」 

上条「何だよ。露骨に嫌そうな顔して」 

黒子「……不本意ですが、今日は本当に不本意なことばかりですが、あなたの連絡先を教えてもらってもよろしくて?」 

上条「あー、そうか。知らないと困るもんな」 

黒子「そうですの。我が侭言っていられる状況ではないし、仕方なく!」 

上条「……そんな力説されると上条さん凹みますよ」 

黒子「いいから!お願いします、ですの」 

上条「うわぁ……妙に距離感のある赤外線通信……」 

黒子「そうですの……。ライバルの連絡先を周到な計画で手に入れるできる女だと思えば……」 

629 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 23:07:29.58 ID:KWG4bWXe0
上条「っと。よし、よろしくな、白井」 

黒子「えっ?あ、ええ……」 

上条「帰るか。送ってくぜ」 

黒子「いえいえっ!そんなところをお姉様に見られてしまっては……」 

上条「でも、もう遅いぜ?女の子が一人で歩く時間じゃないだろ」 

黒子「女の……、っ!男連れで歩く時間でもありませんわ!」 

上条「ヘブ……あれ?殴らないのか?」 

黒子「…………コーヒー、ごちそうさまでした。今度何かお返ししますわ」 

上条「ん、ああ。いいっていいって」 

黒子「いいから!それではまた明日、こちらから連絡しま……ぴきゃぁっ!!?」 

上条「……げっ!?まさか……」 


初春『寒い夜、温かいコーヒー。一時だけ暖まった体に吹き付ける冷たい風……』 
木山『着ると暑いが脱ぐと寒い』 
初春『来ました!尿意です!』 
木山『許せ二人とも……。本来はこのような感覚は除外できるはずだったのだが、彼女の電話攻勢による催促が……』 
佐天『ういはるーっ。鼻血でてるよー。今拭いてあげる……って、なんでモニター隠すの?』 
初春『あっちで拭きましょう!あっちで!……ああっ、でもこの瞬間のやりとりを見ていたい……!佐天さん!自分で拭きます!』 
佐天『えー』 


631 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 23:14:01.84 ID:KWG4bWXe0
黒子「……」 

上条「……」 

黒子「……」 

上条「……」 

黒子「……」 

上条「……我慢してる場合じゃないだろ」 

黒子「……ふん、あなたが先に行ってきたらどうですの?」 

上条「お前のせいだろコレ!」 

黒子「いいえ違います。あなた発祥です」 

上条「八倍の尿意を我慢させられる身にもなってくれ……」 

黒子「(私もギリギリになってきましたわ……)……っ。わ、分かりました、同時に!同時にですわよ!」 

上条「お、おう。善処する」 

632 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 23:16:45.35 ID:KWG4bWXe0
――トイレ―― 
上条「電話しながら用を足すとか……」 

黒子『いいですの!?合図したらすぐに切らないと承知しませんわよ!』 

上条「分かってるよ。恥はかかせられないからな」 

黒子『こんなタイミングで気遣ってくれなくても結構ですの!……じゅ、準備はよろしくて……?』 

上条「お、おお」 

黒子『テンカウントで行きますわよ。無心で!無心で!』 

上条「待って長い長い!5から始めて!」 

黒子『そ、その通りですわね。……では、5』 

上条「4」 

黒子『3』 

上条「2」 

黒子・上条「1!」 

633 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 23:18:35.35 ID:KWG4bWXe0
初春『以下、キュアレモネードのイメージでお楽しみください』 
木山『はじけるレモンの香りだな……。子どもたちが変身するときに言っていたぞ。まるでトイレの芳香剤の様だ……』 
初春『さしずめ私は、知性の蒼き泉でしょうか』 
木山『それもトイレっぽいぞ』 
初春『……』 
佐天『ういはるーっ。ごはんできたよー』 
初春『ありがとうございます佐天さん……って、鍋ですか!?張り込み中に鍋ですか!?』 
佐天『えへへ、木山先生が来てくれたから張り切っちゃった』 
木山『暑くなりそうだし脱ぐか……』 
初春『佐天さん、いいですか?私は今、大事なお仕事の最中なのです』 
佐天『うんうん。だから食べて体力付けないと!』 
初春『監視をおろそかにするわけにはいかないのですよ!だからよそってください佐天さん!つくね多めで!』 
佐天『えー』 



636 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 23:22:10.95 ID:KWG4bWXe0
――帰り道―― 
上条「……爽快感も八倍か」 

黒子「……」 

上条「いや、待てよ?この場合お互いの感覚が同時に出発点になってるから、ちょっと計算が違ってくるのか」 

黒子「……」 

上条「初期の時点で俺が1、白井が1だぁ?ると片道でお互いが2になって……」 

黒子「……」 

上条「一往復で1+1+2=4がまた相手に、あ、これ倍になってくのか?1+1+2+4+8+16=32……だと……?」 

上条「これで合ってるか?白井」 

黒子「……」 

上条「……白井?」 

黒子「……うっ、ぐすっ……」 

上条「げっ!?」 

黒子「……こんな……こんな恥辱……っ」 

上条(頬が熱い……。泣いてるのか) 

黒子「あなたは何も感じませんの!?自分の、は、排泄の感覚を他人と共有するなんて……」 

637 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/12/31(木) 23:27:07.68 ID:KWG4bWXe0
上条「……まあ、確かに。でもな白井」 

黒子「デモもクーデターもありませんわ!お嫁に行けない身体にされて……っ!」 

上条「まあ、聞けって。……お前で良かったよ、白井」 

黒子「……はあ?」 

上条「他の奴だったら……間違いなく最初に尿意に襲われたときにパニックになってたからな。お前がすげー冷静に対処してくれて助かったんだぜ? 
お前から見て俺がどうだか知らないけどさ、少なくとも、あれで俺はお前を信頼した。信じることにした。だから俺は動じないぜ」 

黒子「……べ、別にあれくらい……。私だって切羽詰まっていましたし」 

上条「だからこそだ。まだ若いのにすげーよ! 
俺は信じてるぜ?お前と一緒なら、すぐに解決するってな」 

黒子「…………この男は……」 


初春『あの展開からフラグに持って行くとは』 
木山『お前は反省しろ』 
初春『正直すいませんでした』 
木山『しかし男らしいな。惚れてしまいそうだ』 
初春『いや、かなり間抜けな話ですよこれ』 
木山『火照ってきた……。脱ぐか』 
佐天『ちょ、ちょっと木山先生!初春なに見てるの!?アブナイ系!?』 
初春『違いますよ!仕事です、お仕事!』 
佐天『そ、そうかぁー……。ホントに?』 
初春『本当です!今いいところなんですから!あ、しらたきください』 
佐天『えー』 


661 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/01(金) 01:09:31.49 ID:jC100eFU0
黒子「……全く、あなたのその思考回路には呆れてものも言えませんわ」 

上条「前向きにやってくのが一番だぜ?とりあえず明日、学校サボって心当たりを回るか」 

黒子「ダメですの!ちゃんと学校には行きなさい!」 

上条「え?いいのか?一刻も早く……」 

黒子「……何度目の不本意かは忘れましたが、私もこの身、あなたに委ねます」 
黒子「お姉様のことといい、今回の件といい……あなたには少なからぬ因縁があるようですしね。これを機に、色々と分析させていただきますわ」 

上条「……お手柔らかに頼むぜ」 

黒子「さあ?それはあなたの態度次第ですの。お姉様に手出ししたり、初春に手出ししたりしなければ」 

上条「いや、それは向こうから勝手に仕掛けてくるんだが」 

黒子「そういえば、初春とは昨日知り合ったと言っていましたっけ」 

上条「ああ。なんか学校でPCを使わせてもらってたら、急にハッキングに遭ってな」 

黒子「ハッキング?」 

上条「そこにたまたま通りがかった初春さんが颯爽と」 

黒子「いやいやいやいや」 

上条「ん?なんか不自然なところあったか?」 

黒子「あー……、何でもないですの」 


663 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/01(金) 01:16:00.07 ID:jC100eFU0
上条「……そか。ま、よろしくな白井」 

黒子「こちらこそ、ですわ上条当麻。短い付き合いになるでしょうけど」 

上条「ははっ、だといいな」ポンポン 

黒子「っ、気軽に頭に触れないでくださる!?」 

上条「おー、俺って結構拳圧があるんだな」 

黒子「むきーっ!」 

上条「お、殴るのか?殴ると自分も痛いぞ?」 

黒子「くっ……。少しおだてるとこの男……。はっ!そうですわ!自分を痛めつければ!」ベシベシ 

上条「しまった!ぐああああああああああっ!」 

黒子「きゃうっ!?……っ、はぁ……はぁ……。私は五倍……あなたは八倍ですの……」 

上条「……すまん。正直見くびってた」 

黒子「……ふふっ」 

上条「……ははっ」 

黒子「なかなか、新鮮な感覚ですわね」 

上条「だろ?前向きに行こうぜ」 

664 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/01(金) 01:21:54.84 ID:jC100eFU0
黒子「ふふっ。そうですわね。それでは改めて」 

上条「ああ。また明日連絡するよ」 

黒子「ええ。お待ちしていますわ」 


初春『きゃー!きゃー!きゃー!』 
木山『――かくして、波乱に富んだ彼らの一日は終わった。しかしまだ困難は残っている。それは排べnぐっ!?――』 
初春『きゃー!きゃー!きゃー!』 
木山『……現実から目を背ける気か……』 
初春『でもでも、いい感じでしたよ!?御坂さんの思惑が達成されるのももうすぐです!』 
木山『いや……、彼女には黙っておいた方が』 
初春『それはもちろんですよ!彼女の雷撃が鍵なんですから!』 
木山『……あ、そう』 
佐天『なになにー?御坂さんがなんてー?』 
初春『えっ!?……あ、佐天さん、お鍋洗ってくれました?』 
佐天『えー』 

665 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/01(金) 01:35:00.59 ID:jC100eFU0
――風呂―― 
上条「――とは言ったものの」 

黒子『今日一日で電話代が……』 

上条「風呂だ」 

黒子『お風呂ですわね』 

上条「怪しまれないか?通話しながら入って。そっち二人部屋なんだろ?」 

黒子『その点は心配には及びませんわ。お姉様にさえ気をつければ。一緒に入るのは避けましたし』 

上条「まあ、風呂場でアイツを刺激したら白井が感電死しそうだしな」 

黒子『いえ、そうではなくて。……本当に気付いてないんですのね』 

上条「ん?何が?」 

黒子『結構ですわ。そちらの方が都合がいいですし』 

上条「それで、俺は風呂を出てから身体を洗う派なんだが。自宅の風呂だし寝床だし」 

黒子『寝床?』 

上条「いや、それは置いておいてだ。寮の風呂じゃそういうわけにもいかないか」 

黒子『そうですわね……。合わせてくださる?』 

上条「おう。いいぜ」 



667 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/01(金) 01:42:41.03 ID:jC100eFU0
木山『先刻二人が別れた時点で――観測終了の宣言と共に彼女は寝てしまった』 
木山『つまり今、ここには私一人……』 
木山『ふっ、ふふふふふふ。惜しいことをしたな……。当然録画だ。自分用に』 
木山『さて、脱ぐか……』 

上条「……さて、どこから洗いますか」 

黒子『当然頭からですの』 

上条「だな。って、そうか。今髪の毛下ろしてるのか」 

黒子『ええ。それが何か?』 

上条「背中がちくちくする」 

黒子『……確かに、八倍になると気になるかも知れませんわね』 

上条「お、これはシャンプーハットか」 

黒子『殿方は気楽そうで羨ましいですの』 

上条「まあ、女の子に比べればなあ……。じゃあ、濡らすぞ」 

黒子『あ、ちょっと待ってくださる?スピーカーモードにしますわ』 

上条「おお、そうだな。耐水性だが俺もそうするか」 

黒子『……じゃ、行きますわよ』 



669 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/01(金) 01:49:05.21 ID:jC100eFU0
上条「お前の推論によると、温度は何度往復してもその温度、なんだよな……?40℃が八倍になったらたまらねえぞ」 

黒子『いえ、大丈夫のはずですわ。コーヒー缶の時も、コーヒー缶の温度が上がったわけではなかったでしょう?』 

上条「そうだな。痛覚を刺激しなければ大丈夫か」 

黒子『そういうことですの』 

上条「よし。ざばざばーっと」 

黒子『ざばざばー』 

上条「うわ、すげえ違和感」 

黒子『いいからシャンプーを』 

上条「よし。一気に」 

黒子『て い ね い に!ガシガシやったら許しませんわ!』 

上条「頭皮のマッサージなんだから、ちょっとくらい強めの方がいいじゃねえか」 

黒子『じゃあ、ちょっと味わってみてくださる?今から頭皮のツボを押しますわ』 

上条「おう!……って、いてえ!裸足で健康コース歩いてる時みたいにいてえ!」 

黒子『……しかも、痛いだけでコリがほぐれるほど強く押せていないんですの』 

上条「身にしみてよく分かりましたよ……」 

670 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/01(金) 01:51:38.07 ID:jC100eFU0
木山『いい雰囲気じゃないか。異様ではあるが』 
木山『しかし私が望んでいるのは……身体だ』 
木山『……少し飛ばすぞ……』 

上条「……腕と背中は泡だらけだ」 

黒子『……』 

上条「次は上半身前面だな。いいかー?」 

黒子『ちょ、ちょっと待ってくださいまし!』 

上条「何だ?また何かコツでもあるのか?」 

黒子『……あ、いえ……』 

上条「どうした?」 

黒子『…………』 

上条「気になることがあんなら、遠慮なく話してくれよ。こうなったら一蓮托生だし、それにさっき言っただろ?信頼してるって」 

黒子『……っ。しかし……』 

上条「ま、何でも話せってわけじゃないけどさ」 

671 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/01(金) 01:54:04.93 ID:jC100eFU0
黒子『…………うですわよ』 

上条「ん?」 

黒子『他言無用ですわよ!行きますわ!』 

上条「お、おう!って……、これは……この感覚は……っ!」 

黒子『あ……っあ……ふ』 

上条(は……八倍っ……) 

黒子『は……早く洗い終えて……っあ!くださいまし……っ』 

上条「うっ……すまん、急ぐぞ」 

黒子『~~~っっ!!て、丁寧にっ!』 
 

上条「あ」 

黒子『え?』 

上条「」 

黒子『』 

上条「●った」 


674 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/01(金) 01:57:22.80 ID:jC100eFU0
?黒子『きゃああああああぁぁぁぁっ!?……っあん!』 

『黒子ー、どうしたー?』 

黒子『な、何でも……っ!ぁ、ありませんわお姉様!』 

黒子『ななななな何ですのこの感覚!?』 

上条「……面目ない」 

黒子『いいから!いいから早く鎮めて!』 

上条「いや、こうなっちまったらしばらく無理だ」 

黒子『いっ、今のうちに洗いきりますのよ!ちょっとくらいの刺激には耐えてみせなさい!』 

上条「お……おお!」 


黒子『あああん!』 
上条「こんちくしょおおお!」 



676 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/01(金) 01:58:36.94 ID:jC100eFU0
木山『……』 
佐天『……』 
木山『……ほう。これは』 
佐天『……』 
木山『……私の技術も捨てた物ではないな……』 
佐天『……』 
木山『……』ヌギッ 
佐天『……』ジーッ 
木山『!!??』 
佐天『あ、あはは……』 
木山『い、いつから……』 
佐天『上条さんが「あ、そういえば風呂に入るときはどうするんだ?白井に連絡しておくか」と言ったあたりから』 
木山『……読者よりも前からか……』 
佐天『……木山先生』 
木山『……ダビングだ。ダビングで手を打とう……』 
佐天『えへへ///』 

677 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/01(金) 02:00:04.35 ID:jC100eFU0
黒子『……っ、あっ、あうっ……』ビクンビクン 

上条「……はぁ、はぁ……な、何とか洗い終えたな……」 

黒子『……足の指の間が弱点ですのね』 

上条「なっ!?お、お前こそ脇が敏感じゃねえか!」 

黒子『っ!?やはり不埒なことを考えて……いいからそれを鎮めなさい!』 

上条「興奮してるのはそっちだろうが!」 

黒子『そんなはずありませんわ!』 

上条「…………」 

黒子『…………』 

上条「……寝るか」 

黒子『ええ……』 


684 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/01(金) 02:10:43.82 ID:jC100eFU0
>>679 
ないけどあるような感覚?のイメージです。 


黒子『いいですの!?身体は許しても心は……!!』 

上条「『出すぞー』って言えばいいのか?」 

黒子『お姉様のものです!』 

上条「……あれ、そういえばビリビリは大丈夫なのか!?」 

黒子『あ』 


――黒子・御坂部屋―― 
黒子(あの男……まだ治まらないんですの?●●に違和感が……) 

黒子「た、ただいま上がりました。お姉様。黒子めは疲れているのでお先に休んでも――」 

御坂「……あんた、お風呂で何してたの?」 

黒子「!!?……い、いえ、ちょっと独り言を」 

御坂「なんか絶叫してたじゃない。仕事でどこか痛めた?ちょっと見せてみなさいよ」 

黒子「だ、大丈夫ですの!お姉様に心配していただけるだけで充分ですわ!」 


690 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/01(金) 02:23:11.19 ID:jC100eFU0
?御坂「まったく……あんたねえ、肝心な時だけ私に頼らなくてどうするのよ」 

黒子(ゆっ、夢のような言葉……!しかし、こんな状況じゃなければ……) 

御坂「何?前屈みになっちゃって……胸とかなの?パジャマめくるわよ」 

黒子「だ、大丈夫ですから!」 

黒子(お姉様の美 の感触が五倍に……!させませんわ!共有なんてさせられない……っ!)ヒュン 

御坂「あ、逃げた」 

黒子「その、あの、一晩寝れば治りますから!」バサッ 

御坂「ふーん……」 

御坂(黒子が私から離れるなんて……。初春さん、うまくやったのかしら) 

木山『寝たか……』 
佐天『ねえ、木山先生』 
木山『……まだ何か……?』 
佐天『あたしもあれ欲しいなー、なんて』 
木山『……ダメだ……。三人につけると感覚が鋭敏になりすぎる……』 
佐天『……ちぇー』 
木山『諦めたほうがいい……』 
佐天『…………』 


692 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/01(金) 02:32:59.73 ID:jC100eFU0
?――翌朝、風紀委員会―― 
黒子(……こんな時に限って強化週間だなんて……) 

初春「しーらいさん!」コチョコチョ 

黒子「ひゃあっ!?佐天さん!?……じゃなくて初春!?」 

初春「どうしたんですか?いつもは凛としていて隙のない感じの白井さんが……。うりゃ!」ツンツン 

黒子「にゃあっ!?」 

prrrrrrrrr! 

上条『朝から何すんだーっ!』 

黒子「わ、私は悪くないですわ!……って!あなたこそまた荒ぶっているんですの!?鎮めてくださいまし!」 

上条『あー、これは生理現象だから、ちょっと待ってな』 

初春「誰と電話してるんですかー?うりうり」 

黒子・上条「くあっ!!?」 

初春「あっ、今朝買ったロック用の氷が手から滑っちゃいました!そして白井さんの背中に!」 

黒子「ちょ、やめ……!ああん!」 

上条『おいこら!氷で感じてんじゃねー!』 


697 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/01(金) 02:41:15.77 ID:jC100eFU0
?黒子(昨日結局処理しないで寝てしまったから……。感覚がいつもより……!) 

初春「あれれ~?白井さんの電話の相手ってもしかして……」 

黒子「え……」ビクッ 

固法「ちょっと、コナン君じゃないんだから。そこの二人、真面目にやりなさい!」 

黒子「そ、そうですわ!初春、ちょっとあっちへ……」 

初春「分かりましたー!」 

黒子「っはぁ……」 

上条『予断を許さない状況だな……』 

黒子「本当ですの。やはりあなたの言うとおり、早めに除去するべきですわね……」 

上条『心当たりならあるぞ。両生類みたいな人だが』 

黒子「いえ、その前に木山先生に接触してみましょう。時間は……」 

上条『あー、それなんだが』 

黒子「なんですの?」 

上条『朝メシ、どうするんだ?お前の所は寮のメシが出るのか知らないが、味覚が混ざったら大変なことになるぞ』 

黒子「……もっともですわ。では、例の自動販売機前に集合して朝を食べに行きましょう」 



702 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/01(金) 02:49:55.30 ID:jC100eFU0
?――どっかの適当なカフェ―― 
黒子「…………」 

上条「…………」 

黒子「せーの、ですの」 

上条「うりゃ!」ガブッ 

黒子「……っ!タマネギが……!!」 

上条「お前の舌幼すぎるだろ!ピーマンめっちゃ苦いぞ!」 

黒子「失礼な!あなたこそ味覚が麻痺してるんじゃないですの!?」 

初春「あれ?お二人さん」 

佐天「あ……、白井さん、と上条さん」 

黒子「げっ!?」 

上条「お、おはよう。初春さん、と……そちらは?」 

佐天「佐天です。佐天涙子」 

上条「そっか。よろしくな」 

佐天(ヤバい……。昨日あんなところ見ちゃったから……) 

初春「今朝食ですか?二人一緒に」 

703 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/01(金) 02:59:17.74 ID:jC100eFU0
?黒子「こ、これには……マリアナ海溝よりも深い事情があるんですの」 

佐天「そ、そうですか」(これは照れる……) 

初春「あれ?でも二人は犬猿の仲だったと思うんですけど……」 

黒子「そ、そんなことありませんわ!ねえ!?」 

上条「ああ。思ったより頼れる奴だしな」 

黒子「ちょ……素でそういうことを……」 

初春「じゃあ、これを差し入れしますよ!本当は佐天さんと二人で食べるつもりだったんですけど」 

佐天「えー」 

黒子「こ、これは……」 

上条「イカの活刺し……だと……?」 

黒子「う、初春……。一体どこからこんなものを……」 

初春「さっき、馴染みの魚屋さんがくれたんです!『学校行く前にイカ臭くなっとくと頭の花に優しいぜ!』って」 

佐天「いや、それは苦しい」 

上条「いや、刺身なんて滅多に食べれないからいただこう」 

黒子「しょ、正気ですの!?これだから苦学生は……!」 


705 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/01(金) 03:06:59.52 ID:jC100eFU0
?上条「さて、醤油に浸して……。おお!すげえ!うねうね動くぞ!」 

黒子「ひっ……!」 

初春「あれ?白井さんイカ苦手なんですか?」 

黒子「そ、そんなことありませんわ!この白井黒子に死角などありませんの!」 

上条「……脇」ボソッ 

黒子(自分の手の甲をつねる) 

上条「ぐあああああ!」 

佐天「か、上条さん!?」 

上条「いや、大丈夫大丈夫。さ、食うぞ白井」 

初春・佐天「…………」ドキドキ 

黒子・上条「せーの!」 

黒子「~~~~っ!きゅ、吸盤が……!」 
 

黒子「……んっ、ふくっ!」 


709 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/01(金) 03:17:47.44 ID:jC100eFU0
?上条(熱い……!唾液分泌しすぎだろ!)ジロッ 

黒子(あなたが舌を這いずり回らせるからいけないんですの!)ギロッ 

上条(早く噛み切れよ!)ジーッ 

黒子(噛もうとする度に逃げられてるのはそっちじゃありませんの!)ナンノコレシキ! 

初春「とうとう、視線で会話する術を学びましたか……」 

佐天(……あたしも欲しいなー) 

初春「あ、二人とも声が漏れてる……」 

佐天「さすがに手こずりすぎだよね」 

初春「無意識にいじくりまわしてるんでしょうか」 

上条(……おい!なんか 首が) 

黒子(あなたこそまたですの!?三度目ですわこの変態!) 

上条(変態はどっちだよ!ってかヤベー。早く処理しないと……) 

黒子(悔しいですけど、それには同意ですわ……) 

上条(女の子もするんだな……。上条さんには分からない神秘の世界ですよ……) 

黒子(…………っ!好きで話したんじゃありませんわ!) 


711 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/01(金) 03:27:00.73 ID:jC100eFU0
?黒子「……っはー。はっ!?お、おいしかったですの!初春!」 

上条「あれ?二人ともいないぞ」 

黒子「あ、手紙が……」 

『ごちそうさまでした』 

黒子・上条「…………」 

黒子「なっ、なななななっ……」カァァ 

上条「どういう意味だ?食ったのこっちじゃねえか」 

黒子「えっ」 

上条「えっ」 

黒子「……正気で言ってるんですの?」 

上条「ん?ああ」 

黒子「そ、そうですの……」 

黒子(何故でしょう。少し残念ですわ……って!違う違う違う!しっかりしなさい黒子!) 

上条「それはそうと、早く行こうぜ。木山先生だっけ?」 

黒子「え、ええ!その通りですわ!このままじゃおかしくなってしまうかもですの!」 

712 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/01(金) 03:38:51.13 ID:jC100eFU0
?上条「待ち合わせ場所はここでいいのか?まだ朝の九時だけど」 

黒子「電話したところによりますと、『昨晩の激しい実験の影響で今起きた。その原因については分かっているので支度する』とのことですわ」 

上条「そうか。何とかなりそうだな」 

黒子「ええ。そうですわね」 

上条「でもさ、何となく寂しいよな。まだまだ慣れてないけど、ようやく受け入れられたってのになあ」 

黒子「……それは私も思ってましたわ」 

上条「……この一日ですげえ体力使ったけど、本当に良かったよ、白井で」 

黒子「…………」 

上条「普段とは別の一面も見れたしな。お前、意外と可愛いところあるんだ」 

黒子「……っ!私も……」 

上条「ん?」 

黒子「私も……あ、あなたとなら、もう少しだけ繋がっていてもいいかな、って思えるんですの。上条当麻――いえ、」 

黒子「と、当麻さんっ!///」 

上条「っ!」 

黒子「張り合ってる振りしながら、最後は私に譲ってくれる……。あなた、優しすぎますわ」 


714 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/01(金) 03:50:05.30 ID:jC100eFU0
?黒子「そして……少しだけ卑怯」 

上条「白井……お前……」 

黒子「……さ、もうすぐ木山先生がいらっしゃいますわ。こちらもなんて説明するのか準備しないと」 

上条「……別に、バックレてもいいんじゃないか?」 

黒子「……え?」 

上条「先生には悪いけどさ、もう数日くらいどっか――そうだな、俺の家にでも身を隠してさ。お互いの感覚を、飽きるまで味わった後でもいいと思うぜ?」 

上条「というか、俺がそうしたいし。ま、白井が情欲を抑えられるか心配だけどな」 

黒子「し、失礼ですわね!私だってそのくらい……!」 

上条「うりゃうりゃ」ツンツン 

黒子「んあっ!…………もう!責任とってもらいますわよ!」 

上条「望むところだ!刺激の強さに気絶すんなよ?」 

黒子「それはこっちの台詞ですわ!お姉様と繋がるために鍛えたテク、味わってくださいまし!」 



木山「その願い……叶えてしんぜよう」デデーン 

上条・黒子「……え?」 

 
720 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/01(金) 04:05:20.19 ID:jC100eFU0
?――数日後―― 
上条「くっ!…… !黒子っ!」 

黒子「ひゃあっ!?当麻様っ、こそっ、もう限界なんですの!? 」 

上条・黒子「っ、あっ、ああああああああああああああああああああっ!!」 


初春「お二人、行為の最中にだけ呼び名が変わるんですね」 

佐天「日常だといつもケンカしてるけどね。でも、上条さんの方からも突っかける人ってのは珍しい、か」 

木山「データと映像はばっちりだ……。どれ、次は私が……」 

佐天「え、ちょ、次はあたしが予約してあるんですよ!?その後も上条さんの知り合いの方々が次々と!」 

初春「……これ、御坂さんにはどう説明しよう……。ちょっと調子のりすぎました……」 

初春「あ!そうです!データを改竄して御坂さんを次の予約に……」 

佐天「ダメーっ!」 


黒子「いつか、お姉様と三人でやってみたいですわね、当麻さん」 

上条「それは……うーん。不幸か……な?」 
――おわり――