前回 【咲安価】 京太郎「……変、身ッ!」 3クール目【仮面ライダー】

15: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 18:13:39.22 ID:+ka+IpTDo
前スレ>>984の判定:55(ゾロ目)

京太郎「……なあ、どうしたらいいと思う?」

カザリ「さあ」

カザリ「というか君、人間でしょ? 人間の事は人間が一番わかってるんじゃないの?」

京太郎「……だって俺、コミュ障だから」


 正確に言うのなら。コミュニケーション障害ではないけど。
 それでもブランクがあるから辛い。そんなところだ。

 それに、初対面の相手に話しかけて。
 貴方、今悩みはありませんかとか。欲望はありませんかとか。
 脱いでください、生体コネクタを確かめますとか。
 そういうのは、コミュニケーションと言うレベルではない。即座に通報だ。


カザリ「だったらさぁ……運命性の高い出会いでもしてみたら?」

京太郎「どうやって……?」

カザリ「昔の漫画とかに描いてあったんだけど……」


 言いながら、姿を変えるカザリ。
 お世辞にも柄が良いとは言えない格好に変化した。
 ああ、メダルの怪人だから。
 この程度の事は、造作もないのかもしれない。


カザリ「襲われてるところを助けるとか、古典的なので」

京太郎「待て。おい待て。お前、漫画とか――じゃなくて」

京太郎「そうやって人をだますのって、ちょっと……」

カザリ「じゃあ、黙ってみてるの? あの会長が払ってくれるにしても、メダルだってただじゃない」

カザリ「それに――それでもし間に合わないよりは、さっさと相手と打ち解けちゃった方がいいんじゃないの?」

京太郎「それ、は――」


 どうなのだろうか。その方がいいのか。
 だが、そんな行為は……引っかかる。

 そう、悩んでいる間に。カザリは京太郎の隣から、姿を消していた。


京太郎(――――あぁ)

京太郎(こうなったら止めるしかないよなぁ……)

京太郎(すみません! 本当にすみません!)

引用元: ・【咲安価】 京太郎「……変、身ッ!」 4クール目【仮面ライダー】 



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17: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 18:26:04.65 ID:+ka+IpTDo

カザリ「おねーさん、ちょっといい?」


 松実宥はその時、一人で帰宅していた。
 妹の松実玄は教師から呼び出されているというので、先に帰宅してほしいと言われて。
 正直なところ、最近、この街では物騒な噂が飛び交っている。
 そんな中一人で帰るというのが怖いと言うのもあれば。
 残った妹が同じ目にあったりするのは、嫌だなぁ……と。

 そういう理由で一緒に返ろうと思っていたのだが。そうはならなかった。
 故に、一人で帰宅する。
 まあ、人通りの多いところを通れば――安全の筈だ。

 そんな風に考えていて。そこで声をかけられた。
 初めはそれが、自分に向けられたものだとは……思わなかった。


宥「え、あ……はい。あの……なんですか……?」

カザリ「おねーさん、なんでそんな厚着してるの? 寒いの?」

カザリ「ちょっと寒いってのが分からないんだけどさぁ……教えてくれないかな?」

宥「え……あの……」


 そんな言葉と共に、腕を掴まれる。
 トラウマが――甦る。あの日の記憶が。

 同じく厚着をしている事をからかわれて。なじられて。
 それで、衣服を剥がされそうになっていた……そんな事だ。
 それと同じく、松実宥は恐怖を抱いた。
 あの時と違うのは――成長したために、女としての恐怖も覚えた事。

 あたりを見回す。通行人が目を反らす。
 あのとき自分を助けた、松実玄もこの場にはいない。
 また、いたとしても……あの時とは体格が違う、状況が違う。
 ひょっとしたら、妹にも大変な事が起こるのかもしれない。


カザリ「ねえ、いいよね?」

カザリ「色々、そういうのとか確かめたいしさぁ」

宥「ぁ、ぇ……や、やめ……」


 怖い――誰か。

 目尻に、涙が滲んだ。
 体が震える。ただの寒気ではないそれ。いつも感じているものよりも強い、それ。

 どうしようもない。そう思った、その時だ。


京太郎「――おい」

京太郎「いくらなんでも、いい加減にしろ。その辺にしとけよ」

21: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 18:37:18.87 ID:nE0+sCiuo

 そう呼びかける少年の手も、震えていた。
 松実宥は、それを見た。
 ただ、実際のところ――それは。
 怖いのに勇気を振り絞ったという訳ではない。


京太郎(ぐわあああああああああああ、マジすみません! マジすみません!)

京太郎(なんだよこれ! 仲間と組ながら自作自演で女の子ナンパしてるのと一緒じゃねーかよ!)

京太郎(すみません! 本当にすみません!)

京太郎(マジでこれ俺のせいだよなぁ……何やってんだよ俺……)


 少年は、吐き気を抑えていたのだ。

 カザリの言い分は分かるし――おそらくは自分の為に、いつまでもそのまま悩んでいたであろう自分の為に。
 敢えて先行したという形で、悪役を買って出た。
 そうなのだろう。

 だけれどもそれは――まぎれもなく京太郎が原因で。
 京太郎が余計に悩んでいたために、結果的にカザリを悪役にさせ。
 そして、この女性に恐怖を与えてしまった――そういう意味だ。

 何も言い訳ができない。
 イマジンから護る為、或いはグリードから護る為。ドーパントにしない為。
 そんな大義名分は立つが。
 大義名分の為に――彼女の心を踏みにじってしまってよいのかと言われれば、否だ。


 込み上げる吐き気と怖気。
 己のトラウマが刺激されて、同時に女性への多大な申し訳なさを感じる。

 辛うじてそれを――いくらなんでも遣り過ぎだという、カザリへの怒りで塗りつぶす。
 そうして怒れなければ。
 カザリのやっている事は無意味となるし、加えて、女性にも無駄にトラウマを与えたにすぎなくなるから。


カザリ「……なに、君? 彼氏?」

京太郎「通りすがりの他人だよ」

京太郎「お前、その辺にしとけって言ってるんだ」

京太郎「それ以上やるんだったら――」

カザリ「――だったら、どうするの?」


 瞬間、繰り出される拳。
 そこで認識した。この速度、この拳は、まぎれもなく本気のものだ。

 吐き気を抑えて、意識を切り替える。
 自作自演で、本当にただのどうしようもない事だとしても――。
 これに京太郎が打たれたのなら、背後の彼女は余計に恐怖を抱く。拭えない恐怖を。

 だから――護れ。いや、最悪……そんな最悪だけは食い止めろ。
 どの道もうマイナスで、これは明らかな罪だとしても……。これ以上は避けなければならない。

22: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 18:40:53.70 ID:nE0+sCiuo
直後、松実宥判定
1~10:どっちも怖い
11~40:「……」 ブルブル
41~70:「ありがとうございます」
71~99:(宥姉が恋に落ちる音)


ゾロ目:おや……宥姉の様子が……?

28: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 18:52:31.99 ID:nE0+sCiuo

京太郎「疾ッ」


 繰り出された拳を、右手で弾く。
 そのまま、体が泳いだカザリに踏み込み――肋骨に肘鉄。
 左拳。ダッキング。勝掛――顎先へとアッパー。

 繰り出される右ミドルを、両前腕で受ける。軽く曲げた腕で衝撃を殺し、そのまま右足を抱きかかえた。
 同時、左軸足を払いながら――上体を右手で押す。
 重心を軸として、頭部から地面へと打ちつけられるカザリ。
 人間に同じ事をしたら、脳挫傷で死ぬだろう。それぐらいの勢いだった。

 よろよろと身を起こしたカザリ――あの怒りの眼は真が入ってそう――が、その場を立ち去る。


京太郎「……あの、大丈夫ですか?」

宥「……」


 ガタガタと震えて、硬直していた。
 ……ああ、これは遣り過ぎた。つい怪人と戦うつもりで、重大な損傷を与える技を使ってしまった。
 心なしか、周囲の眼も厳しい。
 これは――化け物か、そこまでいかずとも、異種を見る目である。

 ……どうしよう。マジに吐きたい。

 ……これでもしこの経験が元となってドーパントとなったり、イマジンと契約したり。
 そのレベルの損害を与えているなら、二度と立ち直れないだろう。


 ……どうしよう。本当にどうしよう。

37: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 19:03:47.21 ID:LSfIQzbto

京太郎「……あの、大丈夫ですか?」

宥「……は、はい」


 誰かに絡まれるというのと。
 そして目の前で起こった本気の喧嘩――否、殺し合い。
 その恐怖に、ときめきなど感じる間もなく。
 松実宥は、衝撃で混乱していた。


京太郎「……やべ、警察来るな」

京太郎「あの……」


 伸ばした手が。
 ビクリと震えた体に、拒絶される。
 これも当然だろうと――京太郎は自嘲した。

 明らかに自分の責任であった。
 逆にこれが引き金となって、彼女の心に傷害を残す可能性も高いのだから。
 そう思うと――やはり吐き気が込み上げる。


京太郎「……すみません」

京太郎「……怖がらせてしまって、すみません」

京太郎「誰かと、一緒に帰れるんなら――そうじゃなくても誰か頼りになる人がいるんなら」

京太郎「連絡をとって、一緒に帰った方が……いいですよ」


 一刻も早く。
 胃の中のそれをブチ撒けたかった。
 この場にこれ以上留まれば、京太郎は彼女に恐怖を与えてしまうし。
 また、口を滑らせてしまうとも――限らない。

 そうなったら、カザリの行動もすべて無駄になる。
 それだけは、避けなければならなかった。


京太郎「それじゃあ……俺は、これで」

宥「あ、あの……」


 震えながら差し出される手に背中を向けて。
 京太郎は、夜の待ちへと逃げ去っていった。

41: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 19:11:40.64 ID:LSfIQzbto
【夜】

 そこからやや離れた公園で。
 元の姿に戻って腕を組むカザリと、頭を抱える京太郎。


カザリ「……君、やりすぎ」

カザリ「あれ、僕だから良かったけどさ……他の人間なら死んでたよ?」

カザリ「何考えてるの?」

京太郎「……悪い」

京太郎「やっぱり、戦いになるとテンパってな」


 二度ほど吐瀉して。
 額の汗を拭って、口を水で漱いで。
 怯えが現れた手のひらを、合わせて握りしめる。

 強くなったけど――。
 実際の有段者と違って、手加減ができない。
 ともすれば、相手を殺してしまう事もあり得るだろう。

 そう考えると。今更ながら恐ろしい。


カザリ「それで……どうだったの?」

京太郎「間違いなくあれ、俺の事を怖がってた」

京太郎「流石に……イマジンとかドーパントとかグリードに」

京太郎「そういうのに関わるレベルじゃない……とは思うけど」

京太郎「でも、俺は――あの人を怖がらせた」

京太郎「俺が……」

京太郎「悪いな……カザリ」

京太郎「お前のくれた……お前が悪役になってくれたのに」

京太郎「俺はそれを、生かせなかった……」

京太郎「本当に、悪い……」

カザリ「……」

カザリ「……ま、日を改めて話しかけたらまた違うんじゃないの?」

京太郎「……そう、だな」

51: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 19:19:44.27 ID:LSfIQzbto
【須賀京太郎の交友関係】
①カザリ (←協力関係)
「……何やってるんだか」 (→一応の協力関係・中々役に立つし一緒に居てもいいかな)

②神代小蒔 (←協力関係・一緒に戦う仲間・心の恩人・凄いボリュームだったな……)
「……む、胸に手が」 (→異性として意識・一緒に鍛えたいです)

③ウヴァ (←敵)
「お、俺のセルメダルが……! クソッ……!」 (→許さない・怒り)

④江口セーラ (←仲間・気持ちがいい性格・恩人であり師匠・あれ、可愛い……)
「……ミュージアムのライダー、か」  (→仲間・好感が持てる人物・褒められると恥ずかしい)

⑤大星淡  (←一緒に昼飯を食べる程度の恩人・バカ)
「もー! シイタケはやめてってば! バカ! バカデネブ!」  (→まあ、根性だけはイケてるじゃん。根性だけだけどね。あと料理も)

⑥新子憧 (←ちょっと怖がらせすぎたよなぁ……)
「……もしもし? 宥姉? どうしたの? うん、分かった。玄も連れてくね」  (→警戒・正直あれって異常よね?・気の毒な……)

⑦白水哩&鶴田姫子  (←いい加減にしろよ……!)
「……花田」
『……生きて、いるんですね』  (→気圧された)

⑧その他/ライダー関係者
 ・石戸霞  (←なんかお母さんっぽい)
 ・滝見春  (←黒糖の人)
 ・狩宿巴  (←眼鏡の人)
 ・薄墨初美 (←●女?)
 ・モモタロス (←うるさそうだな……)
 ・ウラタロス (←話が上手そうだな……)
 ・キンタロス (←『泣けるで』……?)
 ・リュウタロス (←子供みたいだな)
 ・鴻上光生  (←協力関係・気を許してはいない)
 ・伊達明  (←何で校医の人が……?)
 ・デネブ  (←なんて言うか、おかんっぽいよな)
 ・末原恭子  (←よし、間に合った!)

⑨連絡先を知らない/ライダー関係者でない
 ・鷺森灼   (←あまり、近づかないようにしてくれ)
 ・小走やえ  (←あれでいいんだ)
 ・戒能良子  (←通じてない電話に、話しかけるなんて……)
 ・佐々野いちご  (←杞憂ならそれで……いいよな)
 ・宮永照  (←俺に……近寄らないでくれ……!)
 ・松実宥  (←すみません……!)


【カザリから800年前の話を聞きました】
【カザリとスマートフォンを購入しました】
【この学園での麻雀部の事情についての情報を得ました】
【カザリから、仮面ライダーとドーパントの噂について聞きました Level.3】
【神代小蒔から、電王とデンライナーとイマジンに関する情報を得ました】
【江口セーラから、ガイアメモリとドーパント、ミュージアムと処刑人に関する情報を得ました】
【大星淡と弘世菫の口論(?)を聞きました】
【カザリから、舞姫と仮面ライダーとドーパントの噂を聞きました Level.3】
【戒能良子の一人芝居(?)を聞きました】
【大星淡が仮面ライダーゼロノスであると知りました!】
【大星淡は、ゼロノスカードを1枚消費しました!】
【京太郎は白水哩が舞姫を借りるところを目撃しました】
【大星淡とデネブの口論(?)を聞きました!】
【小蒔に励まされました!】
【鷺森灼からお礼を受けました!】
【新子憧は須賀京太郎を警戒しました!】
【大星淡から弁当のおかずを貰い(?)ました】
【鴻上会長とセルメダルに関して取り決めた契約を変更しました!】
【宮永照に出会いました!】
【大星淡がおかずを掻っ攫っていきました!】
【神代小蒔は須賀京太郎を異性として意識し始めました!】
【末原恭子は京太郎に好意を向けています!】
【白水哩、鶴田姫子に警告されました】
【花田煌(名前知らず)がミュージアムと接触していた事を知りました!】
【花田煌が2年生として在籍しない事を知りました!】
【白水哩からの精神的圧力を跳ねのけました!】
【松実宥と接触しました!】
【須賀京太郎の欲望値:17】
【技能の経験+3】
【セルメダル――合計、138枚】

64: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 19:42:32.67 ID:H7nE5dBro

京太郎「未確認みたいな……そんな奴は倒す!」

京太郎「頼むから近寄らないでください、背負えないんです」

京太郎「げぇえええ……おえぇぇぇぇえええ」

京太郎「俺の責任になるのも、俺が原因になるのもやめてくれよぉ……」

京太郎「そうならない為にも戦う! もうあんな思いはしたくないんだ!」

京太郎「あの、俺に近寄らないでください、ホント……つらいんです……」

京太郎「咲ぃ……優希ぃ……父さん、母さん……」

京太郎「てめえ、女の子を泣かせやがったな……!」

京太郎「ごめんなさい……俺のせいでごめんなさい……!」

京太郎「負けたまんまとか……弱いまんまとかは嫌だ……!」

京太郎「おぇえええええ……うぐぉぇえええええええ」


箇条書きマジック
これは(心)壊れてますわ……

73: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 20:05:45.89 ID:XqnYmkBRo
【朝】

 須賀京太郎は臆病者である。
 それが故に、他人とのかかわりを拒絶する。
 誰かが自分から離れてしまうのが怖い。誰かを自分が裏切ってしまうのが怖い。

 それは自分の父母であり、そして部活の仲間である。
 罪の証であった。京太郎の咎であった。
 己の行いによって人が死んだ。それが愛する父母であった。
 京太郎の心は――千々に乱れた。己が原因で、誰かを失ってしまった。誰かを殺してしまった。

 怖かった。
 そんな風に、皆が死んでしまうのが。再び自分が同じ事を繰り返してしまうのが。
 未だにその傷は、心の中で膿み続ける。


 せめて――死んでしまった彼らの分も、歩き出さなければならない。
 生きているのだから。死んでいる人間の分も。
 それは別に、前向きな気持ちではなかった。
 ただ、あの世に逝ったときに――あるかどうかしらないが――彼らから咎められるのが怖かったから。

 これ以上。誰かから責められたくない。
 そんな気持ちで、京太郎は歩き出した。


 何かの原因になりたくない。何かの理由になりたくない。
 怖いのは嫌だ。弱いのは嫌だ。
 だから強くなろうと思った――強くあらねばと考えた。

 オーズの力を手に入れた京太郎は、己の責任が増したと考える。
 オーズでなければグリードを倒せないのならば。
 それをしない事は、己が諦めているのと同じである。

 諦めて足を止めるのもまた、心底御免蒙った。
 そんな情けない自分にはなりたくなかったのだ。
 罪を背負ったとしても。そんな瑕があるとしても。
 心のどこかでは明確に、胸を張って生きたいと思っていた。

 また、許せないのだ。
 そんな強さを以って弱さを踏みにじる連中が。
 踏みにじられるのは、あの日の片岡優希であり、原村和であり、染谷まこであり、竹井久であり、宮永咲であり――自分だ。
 それを目の当たりにすると。
 今度こそはという思いと、絶対に許さないという怒りが湧いてくる。


 それに、カザリとの約束がある。
 神代小蒔や江口セーラという、ともに戦う仲間がいる。
 京太郎が弱ければ、大星淡は嘆いてしまう。京太郎が大星淡の不幸の原因となってしまう。

 だから――歩まなければならない。歩もうと思った。
 立ち止まってはならない。
 いつか終わるまで、歩き続けなければならない。


京太郎「……学校、いくか」

74: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 20:11:48.12 ID:XqnYmkBRo
【昼】

銀時「いや、だからさ」

銀時「俺も思ったんだよ。こんな勉強して社会にでて何の役に立つんだって」

銀時「お前らも思うよな?」

銀時「だから授業はやめよ――ぶべら」

銀時「チョークぅぅぅぅぅぅぅぅううううう!? 教師にチョークゥゥゥゥ!?」


 何やってんだろう、坂田先生。
 政治経済とか。逆に社会にでて役に立つんじゃないだろうか。


直後、コンマ判定
1~50:見知った人間と会話
51~80:誰かと出会う
81~99:何かイベントの……

ゾロ目:遭遇イベント

78: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 20:14:14.58 ID:XqnYmkBRo
>>75の判定:19
よって、見知った人間との会話


1:神代小蒔
2:江口セーラ
3:大星淡
4:新子憧


↓4

85: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 20:19:18.26 ID:XqnYmkBRo
>>82の選択:4(新子憧)

京太郎「……あ」

憧「ぅひゅ」


 毎回思うんだけどさ。
 その声ホント、どこから出てるの一体。
 しかも、自分から屋上に来てだし。


京太郎「……また、鴻上ファウンデーションからか?」

憧「……い、いや。そうじゃなくて……その」


 距離を取られている。
 明らかにそうだと思った。まあ、あれだけ驚かしたし。

 しかしやっぱり、相手がこっちを見て怯えてるのっていい気がしないよな。
 原因は自分だし。
 まあ、大事じゃないからこっちもあんまり気にはしてないけどさ。


憧「あの、えっと……その……」

京太郎「なんだよ。用がないなら俺に話しかけないでくれよ」

京太郎「お互い……その方が、いいだろ?」

憧「えーっと、だからさ」

87: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 20:21:59.95 ID:XqnYmkBRo
1:憧「宥姉の事、助けてくれたのあんたなんでしょ?」
2:憧「宥姉から、『ありがとう』って。あと、『ごめんなさい』って」
3:憧「宥姉に手は出さないでよね。あんた、危なそうだし……」
4:憧「あの……ミュージアムのライダーについてなんだけどさ」

↓4

95: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 20:31:49.34 ID:6PB2ubIHo
>>91の選択:2(SAN値が削れるよ! やったね京ちゃん!)

憧「宥姉から、『ありがとう』って。あと、『ごめんなさい』って」

憧「宥姉……って言っても判らないか」

憧「松実宥って、厚着してる三年生の先輩なんだけど」

憧「昨日、会ったんでしょ?」

京太郎「……」

京太郎「……さあな。覚えてない」


 それは嘘だ。
 しっかりと憶えている。
 京太郎が原因で、それに気を遣ったカザリがあんな行動をして。
 そして、京太郎が怯えさせてしまった――女性。


憧「人助けは日常茶飯事って事? まあ、別にいいけどさ」

憧「宥姉が……助けてくれてありがとう。本当に怖かったから、嬉しかったって」

憧「あと……折角助けてくれたのに、あんな風に驚いちゃってごめんなさいって」

憧「そう、伝えてほしいって言ってたわよ」

京太郎「……」

京太郎「……そうか」

京太郎「俺からも、伝言頼めるか?」

京太郎「できれば、そんな怖い事は全部忘れてくださいって」

京太郎「こっちこそ怖い思いをさせてすみません。これからは、気をつけて帰ってくださいって」

憧「それだけ?」

憧「会おうとか、あわよくばとか思わないの?」

京太郎「……」

京太郎「……合わせる面なんか、ねえよ」

憧「何か言った?」

京太郎「……なんでもない」

京太郎「これからは気を付けてくれって。なるべく、誰かと一緒に帰ってくれって」

京太郎「それだけは、ちゃんと伝えておいてくれよな……頼む」

憧「……ま、別にあんたに言われなくてもね」

憧「玄にはあたしから言っといたし、これからは大勢で変える事にするわよ」

京太郎「……そっか。サンキューな」

97: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 20:40:02.55 ID:6PB2ubIHo

京太郎「なあ……その人と、知り合いなのか?」

憧「そうだけど? どしたの」

憧「あ、紹介とかはしないわよ。言っとくけど」

京太郎「……言わねーよ、そんな事」

憧「……どうだか」

憧「そ、その……欲望が凄いって話だし……」

京太郎「……なぁ、どんな様子だった?」

憧「宥姉?」

憧「凄い驚いてて震えてたけど……助けて貰えてうれしかったって」

憧「あんたに謝りたいって言ってたわよ」

京太郎「……いや、それ以外に」

憧「他? 別に特には……。いつも通りだし」

京太郎「トラウマとか、そういうのになりそうか……?」

憧「んー」

憧「そりゃ、ビックリはしただろうけど……宥姉、ああ見えても強いし」

憧「ちょっと経てば、良くなるんじゃないの?」

京太郎「……そっか」

京太郎「――なら、よかった。本当に良かった」

憧(それぐらい、心配だったって事なのかな?)

憧(よっぽどのお人好し……なの? 会長とのやり取りを見る分じゃ、そうは見えなかったけど)

憧(まあ……ちょっと、あんたの事見直したわ。あたしも)


京太郎(……違う)

京太郎(俺が、俺が悪いんだ……)

京太郎(だから……礼なんて言わないでくれよ……。謝らないでくれよ……)

京太郎(そういうのの原因……全部、俺なんだよ……)

京太郎(後に引かないって聞いて……強いって聞いて……)

京太郎(それで、俺のせいじゃなくなるって……そんな風に考えちまう)

京太郎(そんなヤツなんだよ……俺は)


【新子憧からの好感度が上昇しました!】

99: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 20:45:07.17 ID:6PB2ubIHo
【放課後】

京太郎(俺……何やってるんだろうな、ホント)

京太郎(合わせる顔がない……皆に)

京太郎(真っ直ぐな目を向けられたら――信頼されたら)

京太郎(辛いんだ……俺はそんな人間じゃないって)


 昔、こんな感覚を味わった。確かに味わった。
 両親が死んで、部活の仲間と別れて。
 それから――その時に皆から向けられた同情の視線。

 自分にはそんな価値がない。違うんだと。
 叫びだしたくなったのを、憶えている。



1:普通に帰宅する
 (そのレスでコンマ判定へ)
 1~15:何事もない 16~74:誰かに出会う 75~99:イベント発生 ゾロ目:特殊イベント
 ※出会う人間も一緒にお書きください

2:誰かに連絡を取る (特訓・相談など)

↓4


>>1ならば 「1:カザリ」など。複数選択可能
>>>>2ならば 「2:神代小蒔」のようにお書きください
>>>>2については、連絡先を交換した相手のみとなります
>>>>2については現在、交友関係の①カザリ ②神代小蒔 ④江口セーラ ⑤大星淡 ⑥新子憧 ⑧ライダー関係者から指定可能です

104: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 20:53:42.68 ID:df9d2au1o
>>103の選択:2

京太郎「……もしもし、神代先輩ですか?」

小蒔『……』

京太郎「……もしもし?」

小蒔『……』

京太郎「……あのー、神代先輩?」

小蒔『……むっ』

京太郎「通じてますよね、電話」

小蒔『……通じてます』

京太郎「なら、返事くらいしてくれても……」

小蒔『……何か忘れてませんか?』

京太郎「……いや、ハンカチもティッシュも教科書も弁当もありますけど」

小蒔『……むむぅ』

小蒔『……名前』

京太郎「名前ですか? 須賀京太郎です。ちゃんと憶えてますよ」

小蒔『……』

小蒔『……小蒔さん』

小蒔『そう呼んでほしいって言いましたよね?』

京太郎「あー……そういえば」

京太郎「すみません、小蒔さん」

小蒔『はいっ! なんでしょうか……京太郎くん』

京太郎「えーっと……」

105: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 20:54:10.26 ID:df9d2au1o

1:模擬戦闘     (通常バトル形式の戦闘。まだ危ないので必殺技はお互い封印
              ただし戦闘で状態以上の条件>>3を満たしてしまうと怪我をする場合)

2:特訓
  A:技能を磨く
  B:打たれ強さを強化する
  C:スタミナを付ける
  D:精神を鍛える

 1~20:失敗
 21~50:経験+1 (経験+4で1上昇)
 51~70:経験+2
 71~99:経験+3

 ゾロ目:技能・HP・スタミナ・気力(選んだもの) +2


3:相談(更に選択肢)
 

↓4 &特訓の場合、そのコンマで判定

112: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 21:01:58.32 ID:rln36koSo
>>109の選択:1

京太郎「……ちょっと、色々と思うところがあって」

京太郎「実戦形式で、体動かしたいと思うんですけど……どうですか?」

小蒔『実戦形式、ですか?』

小蒔『はい、私は――』

モモタロス『久しぶりだな、オイ! 金髪ゥ!』

リュウタロス『お前、前におねーちゃん心配させてたから倒すけどいいよね? 答えは聞かないけど』

ウラタロス『最近、僕も出番がないし……ちょっとだけ本気を出そうかな』

キンタロス『俺の強さは、泣けるでぇ……!』

小蒔『ちょ、ちょっと……皆さん!』


 喧々諤々と。
 電話口の向こうが騒がしい。受話器を取り合っているようだ。


小蒔『とにかく、私は大丈夫ですよ』

小蒔『それで、場所はどうしましょうか?』

京太郎「ああ、それは――」


 それから前にセーラさんと戦った場所を指定して。
 カザリに連絡をとって、その場所に向かう事にした。

 悩むのはできる。しょげるのも出来る。腐るのも出来る。
 だけどそれは――鍛えながらでも、出来るはずだ。


 足を止めない。それが大事なのだから。

115: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 21:05:58.88 ID:rln36koSo
【オーズ タトバコンボ】  須賀京太郎
技能:33
HP:47/47
スタミナ:46/46
気力:72/72
ATK:40
DEF:40

(レンジ:至近距離~近距離)
・タトバコンボ:タトバコンボ時、スタミナ消費半減。
・欲望の王:戦闘ダメージゾロ目にて、グリードよりコアメダルを奪取
・メダジャリバー:レンジを近距離に変更。DEFが40以下の相手に対する与ダメージ+2
★オーズバッシュ:使用時の判定成功にて、レンジを『~超遠距離』に変更したうえで敵すべてに固定HPダメージ20。DEFを無視する
★王を統べる力:戦闘時【王を統べる力】を選択にて戦闘・撤退・追撃・奇襲判定+10。コンボ以外でのメダルを使用
           また、持つメダルによって、レンジも変更される。(至近~遠距離)
★コンボチェンジ:使用宣言時、次ターンより発動。
           メダルが揃っているとき、以下のコンボを使用可能。コンボチェンジの度にスタミナを固有値10消費
★スキャニングチャージ:使用宣言時、戦闘判定-10。
                判定成功にて、『ATK+オーズのスキルによる戦闘補正+秒数の合計+コンマの合計』の固定HPダメージ。DEFにて減衰可能

《ガタキリバコンボ》
 ATK:45 DEF:45
・毎ターンの消費スタミナ+5。レンジ:至近~中距離
・昆虫の王:戦闘判定+25。相手撤退判定-10。敵の数的優位による補正を無効化
★スキャニングチャージ:使用宣言時、戦闘判定-10。判定成功にて、『ATK+25+秒数の合計+コンマの合計』の固定HPダメージ。DEFにて減衰可能

※メダルと効果に関しては>>5参照



                          VS

 

116: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 21:09:41.56 ID:rln36koSo
 


【電王】 神代小蒔
技能:5
HP:31/31
スタミナ:31/31
気力:85/85
ATK:20
DEF:20

(レンジ:至近)
・イマジンズ:以下のフォームにおける場合、小蒔の戦闘技能+40。HP・スタミナ+10
 《ソードフォーム》=(レンジ:~近距離)。ATK+20・DEF+20。戦闘・追撃判定+10。初期のみ気力+30
 《ロッドフォーム》=(レンジ:~中距離)。ATK+15・DEF+20。戦闘判定+5、撤退・追撃・奇襲判定+15。相手の気力を毎ターン-10
 《アックスフォーム》=(レンジ:~近距離)。ATK+25・DEF+25。初期のみ気力+20
 《ガンフォーム》=(レンジ:~超遠距離)。ATK+25・DEF+20。戦闘・奇襲判定+10。追撃・撤退判定-10。ダメージを受ける度に気力-10
★フルチャージ:戦闘判定-10。『自分ATK-相手DEF』+『気力消費分/4』の固定HPダメージ。DEFによる減衰可能

119: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 21:17:40.31 ID:rln36koSo


京太郎「お待たせしました」

小蒔「……い、いえ、こちらも今来たところですから!」


ウラタロス(あんな事言ってるけど、もう30分は待ってるよね)

キンタロス(言わぬが華、思いやりっちゅーことやな。泣けるで……!)

ウラタロス(……いや、違うと思うけど)

リュウタロス(あいつ、おねーちゃん待たせた。撃ってもいいよね?)

モモタロス(ごちゃごちゃウルセェんだよ! 倒しゃいいんだろ、倒しゃあ!)

ウラタロス(……大丈夫かな、これ)


 あの、工事現場。採掘場。
 一応、セーラさんにも連絡はしておいたし。
 周囲はカンドロイドで見張ってある。
 何かあったのならば――すぐさま、駆けつけられるはずだ。


カザリ「僕からアドバイスは……無理だね」

カザリ「あんまり、あの電王と戦った事はないしさ」

カザリ「ただ、言うなら」

カザリ「あの亀はどちらかと言えば慎重なタイプ」

カザリ「他は、自分の都合で動いてくるタイプ……かな」

カザリ「自分が厳しいなら守りに行くだろうし、自分が押してるなら攻めていくのは共通」

カザリ「ただ、なんていうか……後に備えるのが亀。他は、行けると思ったらそのまま押し切ろうとするはずだ」

カザリ「あと、あの竜は温存とか考えなさそうだね」

京太郎「オッケー、分かった」

121: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 21:19:30.89 ID:rln36koSo
>>117
プラットフォーム以外は上昇した姫様の技能で換算するから安心してほしい

>>118
特訓の時はこっちで決めるよ。Wの時と一緒


>必殺技の使用は不可能です
>レンジは京太郎の自由です

>スタートフォーム及び、開始レンジを決定してください


↓3

126: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 21:29:04.32 ID:rln36koSo
>>124 座ってなさい

京太郎「それじゃあ、小蒔さん――お願いします」

小蒔「こちらこそ、お願いしますね?」

モモタロス「くぅ~~~~~~~~~~来た来た来た!」

モモタロス「おい、小蒔! 俺が最初でいいよな? な?」

小蒔「あ、はい……」

小蒔「それでは……いきます」


小蒔「――変身っ!」

京太郎「――変、身ッ」


 ――《SWORD FORM》

 ――ライオン! パンダ! バッタ!


電王「俺……ようやく参上!」

電王「くぅ~~~~~~長かったぜ! 体がなまっちまってしょうがねえ」

電王「おい、金髪……悪いが俺は、最初からクライマックスだぜ?」



   o   o
   i  _i_
   ノ:レ////:\`、
  /::::::"|Y| |::::::::ヘ/`、
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 |::::::::ヽ] [/::::::::::::::::)  |
 ヽ::::::::::) (::::::::::::::::/_-7
  \::::ノ^ ヽ::::::/ //ヘ
   ▽ヘ三三ヘ、/ /:::::::⊃
  //`三三∧/_√_」
 (  (_ 〈` ̄ /二ー´
  ヽ   ̄ヘ//、 П  /
   )/◎/|ヘ \  ̄ー´
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}ー二 /  `:::::::\()//
(二_/    〉:::::::::/|/::::::
`´ヽ \  /ヘ::/:/  |::::
  |_ \/ノ ̄ ̄―-/::::
  \_/     \
     ̄ー_

128: 1 ◆7AOv0bhcoGiq 2013/02/16(土) 21:36:31.57 ID:rln36koSo


【オーズ ラパンタ】  須賀京太郎            【電王 ソードフォーム】 神代小蒔
技能:33                            技能:45(5)
HP:47/47                          HP:41/41
スタミナ:46/46                 VS    スタミナ:41/41
気力:72/72                         気力:115/115
ATK:42                            ATK:40
DEF:40                            DEF:40


>現在のレンジは【至近距離】です
>現在の方針は【通常方針】です

オーズ:33+コンマ+10+?  VS  電王:45+GMコンマ+10+?-(ライオネルフラッシュ)


>京太郎の行動を指定して下さい ↓3

135: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 21:43:30.51 ID:rln36koSo
>>131の判定
>#通常最初からクライマックス15
>通常 集中15

オーズ:33+39+10+30=112
電王:45+57+10+15-12=115
ダメージ:(3+1)+3/5+40-40=5

>オーズに5のダメージ!

>オーズはスタミナを3消費! 気力を30消費!
>電王はスタミナを5消費! 気力を15消費!



【オーズ ラパンタ】  須賀京太郎            【電王 ソードフォーム】 神代小蒔
技能:33                            技能:45(5)
HP:42/47                          HP:41/41
スタミナ:43/46                 VS    スタミナ:36/41
気力:42/72                         気力:100/115
ATK:42                            ATK:40
DEF:40                            DEF:40


>現在のレンジは【至近距離】です
>現在の方針は【通常方針】です

136: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 21:44:05.46 ID:rln36koSo
>>133 ヒギィ


【オーズ ラパンバ】  須賀京太郎            【電王 ソードフォーム】 神代小蒔
技能:33                            技能:45(5)
HP:42/47                          HP:41/41
スタミナ:43/46                 VS    スタミナ:36/41
気力:42/72                         気力:100/115
ATK:42                            ATK:40
DEF:40                            DEF:40


>現在のレンジは【至近距離】です
>現在の方針は【通常方針】です

139: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 21:51:02.21 ID:rln36koSo

電王「オラァ!」


 喧嘩殺法という奴だろうか。
 立ち筋は鋭い。未経験の人間が、ただ振り回しているのとは違う感覚を受ける。
 どこかの道場剣法ではない。
 これは、獣の剣と一緒だ。

 そして、剣と拳のレンジの差。

 集中しても、中々攻める事が難しい。
 防ぐ。それも困難に近い――。
 地力が違うと言うのを思い知らされるが――それでも。
 以前肩を並べて戦ったそのときよりは――追いついて、いるッ!


電王「おいおい、どうしたんだよ……こんなもんじゃねえだろ?」

京太郎「さぁ……どうっすかね」

電王「行くぜ、行くぜ、行くぜ――――ッ!!」


 しかし、これでもこちらは異常なほどに攻撃を喰らったという訳ではない。
 続けば、スタミナでは勝る。
 このまま攻めてくる――勢いのまま、攻め込んでくる気がする。

140: 1 ◆pkfI3WyLLdAe 2013/02/16(土) 21:52:59.92 ID:rln36koSo


【オーズ ラパンバ】  須賀京太郎            【電王 ソードフォーム】 神代小蒔
技能:33                            技能:45(5)
HP:42/47                          HP:41/41
スタミナ:43/46                 VS    スタミナ:36/41
気力:42/72                         気力:100/115
ATK:42                            ATK:40
DEF:40                            DEF:40


>現在のレンジは【至近距離】です
>現在の方針は【通常方針】です

オーズ:33+コンマ+10+?  VS  電王:45+GMコンマ+10+?-(ライオネルフラッシュ)


>京太郎の行動を指定して下さい ↓3

144: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 21:58:55.74 ID:rln36koSo
>>143の判定:83
>#攻撃集中40生意気な●●●●
>攻撃 集中40

オーズ:33+83+10=126
電王:45+92+10+40=187
ダメージ:(5+9)+61/5+40-40=27!

>攻撃と防御で相殺! オーズに27のダメージ!
>オーズはスタミナを8×2/2=8消費!
>電王はスタミナを18消費! 気力を40消費!




【オーズ タトバ】  須賀京太郎            【電王 ソードフォーム】 神代小蒔
技能:33                            技能:45(5)
HP:15/47                          HP:41/41
スタミナ:35/46                 VS    スタミナ:18/41
気力:42/72                         気力:60/115
ATK:40                            ATK:40
DEF:40                            DEF:40


>現在のレンジは【至近距離】です
>現在の方針は【通常方針】です

145: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 22:00:07.95 ID:rln36koSo
【オーズ タトバ】  須賀京太郎            【電王 ソードフォーム】 神代小蒔
技能:33                            技能:45(5)
HP:15/47                          HP:41/41
スタミナ:35/46                 VS    スタミナ:18/41
気力:42/72                         気力:60/115
ATK:40                            ATK:40
DEF:40                            DEF:40


>現在のレンジは【至近距離】です
>現在の方針は【防御方針】です

152: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 22:08:23.69 ID:n0pyrJ8Go

電王「オラオラオラオラァ!」

電王「どうした? こっちはまだまだ行くぜ――――ッ!」


 相手は攻めに来ている。
 ここは完全に――防ぐしかない。
 迫りくる電王の胸を蹴りつけ、距離を取る。
 まだ、素手で刀剣類の相手をするほどの実力はないのだ。
 ジャリバーが必要だ。


京太郎「カザリ!」

カザリ「分かった。これを使いなよ」

京太郎「――っし」


 ――タカ! ――トラ! ――バッタ!

 ――タ・ト・バ! タトバ! タットッバッ!


 トラクローとジャリバーを組み合わせて、電王の剣戟を防ぐ。

 上段――何とか反らす。
 下段切り上げ――済んでで躱す。
 横薙ぎ――トラクローで辛うじて。
 逆袈裟――間に合わない。


 オーズの胸部で、火花が散った。
 そのままよろけたところに、二撃・三撃と畳み掛けられる。
 これには堪らず、踏鞴を踏んだ。


小蒔(あの……あんまり無茶なのは……)

ウラタロス『先輩、小蒔ちゃん疲れてるよ?』

キンタロス『こりゃあ、早いとこ決めるか……そうじゃなかったら様子見やな』

リュウタロス『ハイハーイ! 次は僕がやるー!』

モモタロス『ああ、うるせえ! ごちゃごちゃ喋るんじゃねえ!』

153: 1 ◆42bVeS7g4yoM 2013/02/16(土) 22:10:26.00 ID:n0pyrJ8Go


【オーズ タトバ】  須賀京太郎            【電王 ソードフォーム】 神代小蒔
技能:33                            技能:45(5)
HP:15/47                          HP:41/41
スタミナ:35/46                 VS    スタミナ:18/41
気力:42/72                         気力:60/115
ATK:40                            ATK:40
DEF:40                            DEF:40


>現在のレンジは【至近距離】です
>現在の方針は【防御方針】です

オーズ:33+コンマ+10+?  VS  電王:45+GMコンマ+10+?

>京太郎の行動を指定して下さい ↓3

160: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 22:14:11.26 ID:n0pyrJ8Go
両方クリティカルとかワロタwwww


168: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 22:19:14.69 ID:n0pyrJ8Go
>>156の判定:99(100)
>#ガンフォーム 倒すけど攻撃59いいよね?
>ガンフォーム 攻撃 集中59

オーズ:33+100(99)+10+42=185
電王:45+100(00)+10+59=214
ダメージ:(2+6)+29/5+45-40=19

>クリティカルにて2倍! 更に攻撃方針にて2倍! 相手攻撃方針にて2倍!
>オーズに152のダメージ!




>だけどね
>両方クリティカルだから相打ちでもいいよね? 答えは聞かないけど

179: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 22:29:39.29 ID:n0pyrJ8Go
>>177 あっ


>>156の判定:99(100)
>#ガンフォーム 倒すけど攻撃59いいよね?
>ガンフォーム 攻撃 集中59

オーズ:33+100(99)+10+42=185
電王:45+100(00)+10+59-18=196
ダメージ:(2+6)+11/5+45-40=16

>クリティカルにて2倍! 更に攻撃方針にて2倍! 相手攻撃方針にて2倍!
>オーズに108のダメージ!


>まあ、相打ちやな……クリティカルだし。差があんまないし

183: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 22:37:50.03 ID:n0pyrJ8Go

リュウタロス『モモタロス、邪魔ー』

モモタロス『おい、テメエ! ハナタレ小僧!』

小蒔(……えっ?)


 ――《GUN FORM》!


 唐突に紫色の影が激突した。その途端に赤い影が吹き飛ばされ、電王が変形する。
 GUN=銃を告げる名前と共に、紫色のフォルムに変わった。
 そして――感じたのは純粋な敵意だ。

 子供が蝶の羽をもぐような。
 或いは顔に飛びかかった虫を潰すような。
 その程度であるが――致死的な、何かを感じた。
 肌が粟立った。背筋が凍りつく。
 このままでは――拙い。須賀京太郎は、下手をすれば死ぬかもしれない。


京太郎「カザリィ――ッ!」


 メダジャリバーを投げつけ。
 そして、受け取ったメダルと交換する。


 ――ライオン! ――カンガルー! ――バッタ!


 ライオネルフラッシュで、相手を怯ませる。
 感じる――敵意を。こちらを撃滅せんとする悪意を。
 だがそれが。
 メダジャリバーでの妨害と、ライオネルフラッシュでの攪乱が。
 相手の、さらなる敵意を引き出した――らしい。


電王「……お前、倒すけどいいよね? 答えは聞かないけど」


 ――《FULL CHARGE》。


 底冷えする声と共に。
 デンガッシャーの元へと集積するエネルギー。
 まさか――いや、まさに。
 こちらを、殺すつもり……なのか。
 考えなし、ただ無邪気――それが人の命を奪うだけの威力が足るものであると忘れて。
 その体が、神代小蒔のものと忘れて。
 リュウタロスは――引き金を弾いた。


京太郎「――――ッ」

京太郎「こ・の……バッカ野郎が――――ッ!!」


 ――《SCANNING CHARGE》!

191: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 22:43:33.62 ID:n0pyrJ8Go

 その状況を見ていた、Kさんは後にこう語る。


カザリ「あれ? ふざけてるよね……どういう躾をしてるのかな」

カザリ「もしオーズが咄嗟に技を出さなかったら、大変な事になってたんじゃないの?」

カザリ「それでメダルがどこかに行ったり、オーズが死んだらどうする気だったのかな?」

カザリ「ホント……ふざけてるよね」

カザリ「全く……それ以前にオーズもあんなのに攻撃され過ぎだし」

カザリ「そもそも、どうして模擬戦闘なんてやったのかな?」

カザリ「強くなりたいってのは分かるし、そりゃ僕もそうしてくれた方が有難いけどさ」

カザリ「それで怪我でもされたら困るんだよね」

カザリ「……まったく、何を考えてるのかなぁ」

カザリ「死なれたり、けがをされたら困るって言うのを分かってないよね」

カザリ「そう言えばこの間もさ……」


 ――あ、ハイ。もういいです。

199: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 22:58:25.58 ID:w4rcjtQfo

京太郎「や、べえ……」

京太郎「今のはマジにヤバかった……本当、心底驚いたぜ」

京太郎「肝が冷えるっつーかなんつーか……」

京太郎「こう、冬の朝に温まろうと思わず冷水になってるって気付かないでシャワー浴びたときみてーによォォォ……」

カザリ「何をぶつぶつ言ってるのさ。頭大丈夫?」

カザリ「怪我は?」

京太郎「いやまあ、平気だ」

京太郎「咄嗟に小蒔さんがコントロール取ってくれたのもあるし」

京太郎「一応、相殺できたしな」

カザリ「あ、そう」

カザリ「……まぁ、死んでなきゃそれでいいよ」

カザリ「戦えなくて、メダル集めに支障が出ても困るしね」

京太郎「大丈夫、分かってるって」


 色々グダグダと悩んでいたけど。
 そんなものが吹き飛ぶくらいに――大きな一撃だった。

 あの瞬間。
 京太郎は戦う事を選んだ。
 死の間際であっても、前に向かって――可能性にかけて進む事を選んだのだ。
 だからきっと本質のところでは。
 京太郎は、それを望んでいるのだ。


京太郎(まあ――とりあえず)

京太郎(こっちの負けって事になるのか? それまでボコボコにされてたし)

京太郎(リュウタロスのヤツ、色々ストレスたまってたんだろうな……)

京太郎(元の世界にも帰れない。本当の契約者もいない。で、おまけによくわからん怪人もいる)

京太郎(仕方ない――とは思うけどさ)

京太郎(とりあえず、一発ブン殴る。危うく死ぬところだったし)

京太郎(あれ、小蒔さんも責任感じるだろうしなぁ)


 一先ずは。
 イマジンたちから責められて。鬼のような形相――鬼巫女――小蒔から叱られるリュウタロス。
 その頭を思いっきり一発ぶん殴る。
 そう決めて、京太郎は立ち上がった。


【小蒔との戦いで必殺技が使用可能となりました!】
【最終戦前のHPを元に、技能の上昇を図ります】
【京太郎の技能が(12+15)/5=6上昇しました!】
【京太郎の技能が39となりました!】
【HP+2! スタミナ+2!】

203: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 23:03:55.79 ID:w4rcjtQfo
【オーズ タトバコンボ】  須賀京太郎
技能:39
HP:49/49
スタミナ:48/48
気力:72/72
ATK:40
DEF:40


強くなったなぁ……京ちゃん
スマンねリュウタ。本編では反省してたのにね
良太郎不在+帰れない+グリード+ヤミー+ドーパント+イライラ描写=パラレル

極めて本編に近いパラレルのせいか、それともこの回だけ脚本家が違ったんや!

208: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 23:13:21.04 ID:w4rcjtQfo
【夜】

カザリ「まったく、何を考えてるのかな……電王は」

京太郎「んー、まあな」

京太郎「確かに思い返したらマジに怖いし、そりゃあ頭に来たけどさ」

京太郎「こうして無事だし、強くなったし、あいつも謝ってたから今回はいいんじゃねーの?」

京太郎「一応、怪我も無いしな」

カザリ「……」

カザリ「……ま、二度とあんなことが起きないならね」

京太郎「起きない……って。きっと」

京太郎「今度はそうならないように、俺も気を付けるし」

京太郎「小蒔さんも気を付けてくれるだろ?」

京太郎「リュウタロスだって、小蒔さんがあそこまで傷付くなんて思っちゃなかったんだろうし」

京太郎「やらないって、次はさ」

カザリ「……君ってさ」

カザリ「ウジウジしてるのか、さっぱりしてるのか分からないよね」

京太郎「あー……まぁ」

京太郎「人の命にかかわってなかったし、ゲンコツ一発入れたし、相手も謝ったからな」

京太郎「当然次会う時は気まずいだろうし、流石に反省してくれなきゃ困るけど」

京太郎「ま、反省してくれるんなら……次に同じ事しないなら。二度とやらないなら」

京太郎「俺は、それでいいよ」

京太郎「失敗は……誰でもするからな」


カザリ(だれでも……ね)

カザリ(一応、電王の戦力も多少は把握できたかな)

209: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 23:17:40.19 ID:w4rcjtQfo
ということでまあ、とりあえず修行回
京太郎がいい具合に強くなってきた(一般人の限界の壁に近付いてきた)
これを超えたらいよいよたっくんルート突入できるね! シナリオも佳境に入ってくるしハードやで!


どうするー? 続きやるー?

214: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 23:22:08.45 ID:w4rcjtQfo
【朝】

京太郎「……っし!」

京太郎「身体動かしたりしてると、なんか悩みとか消えるところが我ながら単純だよな」

京太郎「なんつーか、そういう調子に乗りやすさとかって前と変わってないのかも」

京太郎「考える前に、雑用やってたりしたしな……」

京太郎「……」

京太郎「……よし、今日も一日頑張りますか!」

カザリ「……はぁ」

カザリ「朝からうるさいよ、君さぁ」

京太郎「おっ、悪い悪い」


 このままの流れならば――。

 敵は強くても、その根が見えなくても。
 何か上手くいくのではないか。大丈夫なのではないか。

 そんな風に考えられる。


 そんな風に、考えられて――いた。

216: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 23:25:41.26 ID:w4rcjtQfo
【昼】

京太郎(さて……と、今日はどうするか)

京太郎(松実宥さんは……まあ、新子のヤツがいるんなら多少は大丈夫か?)

京太郎(自宅とかで襲われたり、一人になってたりしたら困るけど)

京太郎(ま……考えようによっては、俺とカザリのアレのせいで、そうはならないだろうしな)



直後、コンマ判定
1~50:見知った人間と会話
51~80:誰かと出会う
81~99:何かイベントの……

ゾロ目:遭遇イベント

218: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 23:28:11.41 ID:w4rcjtQfo
>>217の判定:19 (書きながら思うんだけどこの京太郎なんかさやかちゃんみたいだよね)

よって、見知った人間との会話


1:神代小蒔
2:江口セーラ
3:大星淡
4:新子憧


↓4

225: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 23:30:15.15 ID:w4rcjtQfo
なぞのあわあわ人気


さやかの躁鬱+杏子の過去+まどかの無力感+マミさんのぼっち+ほむらのコミュ障

やだ……役満……

233: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 23:39:23.48 ID:w4rcjtQfo
>>222の選択:2

淡「あー、須賀ー」

京太郎「……お前か」


 屋上に上ってドアをあけるなり。
 こちらの姿を確認して、シイタケを突き出す大星淡。
 なんというか相変わらず、緊張感がなくてバカっぽい顔だ。


淡「ねー、今までどこ行ってたの?」

淡「おかげで毎日シイタケ食べなきゃいけなかったじゃん」

京太郎「俺のせいじゃないだろ」

京太郎「つーか……食べてたのか」

淡「あ、捨ててると思った?」

淡「捨てるわけないでしょ? だってデネブがせっかく作ってくれてるんだしさ」

淡「やめろって言ってるのに……もう」

京太郎「……ま、喰えてたのか。それならよかった」

京太郎「もう、俺に押し付けないで済むだろ」

淡「それとこれとは別」

淡「ほら、あげるよ」

京太郎「いらねーから。俺もシイタケそれほど好きって訳じゃねーし」

淡「い・い・か・ら・遠・慮・し・な・い・で……!」

京太郎「遠・慮・な・ん・て・し・て・ね・え・よ……!」


 ぐぐぐ、と。
 弁当箱に詰め込まんとする大星淡の箸を止める。
 両手で相手の内肘の辺りを抑えて。

 ああ、本当にこういうの懐かしいな……。


237: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/16(土) 23:42:34.81 ID:w4rcjtQfo
1:京太郎「ハハ、あーんしてくれたら食ってもいいけどな」
2:京太郎「分かった分かった。じゃあ、俺のおかずと交換な」
3:京太郎「お前は、なんで戦ってるんだ?」
4:淡「あれ……ちょっと強くなった?」
 

↓4

 
246: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 00:01:00.88 ID:2X7cAmCSo
>>241の選択:2

京太郎「あーもう、分かった。分かったって」

京太郎「じゃあ、俺のおかずと交換な?」

京太郎「押し付けられるのはふざけんなって感じだけど、交換ならまだいいだろ」

淡「えっ、いいの?」

淡「もしかして計算とかできない? それ、私にしか得がないんだけど」

京太郎「お前と一緒にすんなっつーの!」

淡「私計算できるから」

淡「逆に須賀と一緒にしないで欲しいなー」

京太郎「ほー」

京太郎「じゃあ、これ……授業聞いてれば解けるよな?」

京太郎「∂^2・u(x, t)/∂t^2 = c^2×{∂^2・u(x, t)/∂x^2} (0<x<1)」

京太郎「境界条件:u(0, t)=u(1, t)=0」

京太郎「初期条件:∂u(x,0)/∂t=0, u(x, 0)=x(1-x)」

京太郎「この時、u(x, t)= はどうなる?」

淡「えっ」

淡「……えっ」

淡「ええ……っ?」

京太郎「どうしたんだよ、ほらほら」

京太郎「計算できるんだよなー? なー?」

淡「……」

淡「えっと……」

淡(何言ってるのかわかんない)

淡(どうしよう……紙に書いてもらっても解ける気がしない……)

淡(寝てた間に……授業、そんなに進んじゃったの?)

淡(これ……ヤバいじゃん)

淡(どうしよう……)

京太郎(……)

京太郎(聞きかじった波動方程式。暗記しといてよかった)

京太郎(俺にも解けない。というかなにこれ)

258: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 00:10:48.38 ID:2X7cAmCSo

 他の人たちに比べて、気軽に接する事ができるのは。
 元々の関係が、そうだったからかもしれない。

 須賀京太郎は振り返っている――そしてどこかで、今の人間たちに役割を与えている。

 神代小蒔はあの日の原村和と接する気持であるし、江口セーラは染谷まこと接するような気持ち。
 大星淡は、片岡優希。

 思えば、そんな風に――過去を振り返ったような形で、接している。
 勿論、“彼女たち”と彼女たちは同じではない。それぐらいは理解している。
 どちらも、代えがたい人物なのだ。誰かの代わりなど存在しない。
 それでも――無意識のうちに。

 どこかで、そう見做しているというのは確かであろう。


淡「……分かんない。降参。私が悪かったから」

淡「答え、教えてくれる?」

京太郎「俺も知らん」

京太郎「というか、いくらウチが進学にも力入れてるからって……高校生で波動方程式なんて教えるかよ」

京太郎「クラスの奴が高嶺先生に聞いたのを、覚えてただけだって」

淡「……うー」

淡「バカ! バカ須賀!」

淡「だからおかずは全部貰う!」

京太郎「やめろっつーの!」

淡「やだよー!」


京太郎(まあ……誰かが嬉しそうに料理を食ってくれるのって、いいよな)

京太郎(あのまま平和だったら……案外、優希とか染谷先輩あたりにタコスを作ってたり)

京太郎(そういう未来も、あったのかな)


【大星淡の好感度が上昇しました!】

265: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 00:20:38.36 ID:2X7cAmCSo
【放課後】

鳴介「【同じ部屋の丸い窓の下で、虫の穴がところどころにあいている机に向って彼は母からナショナル読本を習っていた。】」

鳴介「【「シイゼエボオイ・エンドゼエガアル」と。母は静かに朗読した。】」

鳴介「【竹筒の置ランプが母の横顔を赤く照らした。】」

鳴介「【「スピンアトップ・スピンアトップ・スピンスピンスピン――回れよ独楽(こま)よ、回れよ回れ」と彼の母は続けた。】」

京太郎(えっ、なにこれは)


 笑いをこらえるのに必死だった。
 よく眉――あの太い眉――ひとつ動かさずに、鵺野先生は読めるもんだ。



1:普通に帰宅する
 (そのレスでコンマ判定へ)
 1~15:何事もない 16~74:誰かに出会う 75~99:イベント発生 ゾロ目:特殊イベント
 ※出会う人間も一緒にお書きください

2:誰かに連絡を取る (特訓・相談など)

↓4


>>1ならば 「1:カザリ」など。複数選択可能
>>>>2ならば 「2:神代小蒔」のようにお書きください
>>>>2については、連絡先を交換した相手のみとなります
>>>>2については現在、交友関係の①カザリ ②神代小蒔 ④江口セーラ ⑤大星淡 ⑥新子憧 ⑧ライダー関係者から指定可能です


278: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 00:33:33.99 ID:2X7cAmCSo
>>269の選択:花田煌

煌「もしもし……そこのあなた」

京太郎「……俺ですか?」


 放課後、いつものようにカザリと待ち合わせして帰ろうか。
 今日も松実先輩に動きはないのか。
 そんな風に考えていた――その時だった。

 最初、自分なのかと疑った。
 それは、お世辞にも人付き合いがいい方とは思えないというのが一点。
 次に、まあ、女の子から逆に声をかけられる事なんてそうそうない――というので一点。
 最後に、相手が見覚えない少女だったため、猶更であった。


 ――否。

 確かに、見覚えはない。
 だが、この姿は……あの、調べていた――“存在しない学園生”そのものではないだろうか。


京太郎(……ドライバーはあるけど、メダルがパンダとカンガルーだけ)

京太郎(ミュージアム、やっぱりあれは罠だったって事か)

京太郎(……落ち着け。まだそうと決まった訳じゃない)

京太郎(……顔には、出すな)

京太郎「何ですかね、ちょっと俺……この後用事があるんですけど」

煌「用事ですか! それはすばら!」

煌「ただ……後ろの人たちを巻き込む、すばらくない事になりますけど」

煌「それでもいいなら、どうぞ」


 笑いながら。
 ガイアメモリをチラつかせる彼女。

 ……京太郎に、その誘いを断る手段など存在してはいなかった。

 ひとまず。
 短縮ダイヤルで連絡を取る。

 カンドロイド――タカやタコ、バッタではあまり戦力にならなそうだ。
 いざとなったらライドベンダーで逃げ出す。
 それぐらいしか。

285: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 00:40:37.88 ID:2X7cAmCSo

京太郎「……それで、何の用ですかね?」

京太郎「この後デートなんで、遅刻とかは簡便なんですけど」

煌「すばら!」

煌「ですが……その心配はいりませんよ?」

煌「その後、その彼女も送ってあげますので――あなたの方が待つことになるでしょうけど」


 ――《CLAYDOLL》!


煌「ただし、地獄でですけど」


 音を立てて。
 その体に飲み込まれる、ガイアメモリ。
 つまりは……実に簡単な話だ。
 仮面ライダー=須賀京太郎を抹殺する。それだけの、単純な事。

 やはりあれは罠で……。
 そしてすぐに襲撃をかけてこなかったという事は。
 京太郎を泳がせていた。そういう事だろうか。

 手足が、震える。
 相手は怪人。こちらは生身。
 勝てる――のか?

 少なくとも向こうは、ダメージを負わせるつもりで来ている。
 いや、変身する前に、殺す気だろう。


京太郎「あー」

京太郎「悪いけど、天国行きって先約があるんだよ」

京太郎「殺される訳には、いかないぜ」

296: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 00:53:50.69 ID:2X7cAmCSo
【須賀京太郎】
技能:39
HP:49/49
スタミナ:48/48
気力:72/72
ATK:2
DEF:2

・生身:生身である。受けたダメージと同じだけのマイナス補正を得る


                       VS


【クレイドール・ドーパント】 花田煌
汚染値:51
適合値:85
技能:33(15)
HP:48/48
スタミナ:46/46
気力:70/70
ATK:30
DEF:45

(レンジ:至近距離~遠距離)
・このキャラクターは、高速との戦闘で更に-5の補正を受ける。
・土偶の記憶:HPが0になっても、死亡しないでHPが全快する
・土偶の記憶:???
・【汚染値】:汚染値が50を超えている場合、その差分/5を技能にプラスする。超えていない場合、技能は通常のものを用いる(+1)
・【適合値】:適合値/5を技能に追加する (+17)

305: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 01:04:27.78 ID:2X7cAmCSo

煌「おや――まだ目が死んでませんね」


 距離は――近い。
 互いにそろそろ、拳の射程距離と言うほど。
 メダルはない。
 携帯電話で呼びかけているから――時間さえ稼げば。それでどうにかなる。
 ……はずだ。


京太郎「……悪ィけどよ」

京太郎「俺は臆病者だし、ヒーローでもなんでもないけど」

京太郎「ライダーだから強いんじゃねーよ。ライダーだからお前らに立ち向かうんじゃない」

京太郎「精神的に……だ」

京太郎「俺は弱い。肉体的にも、精神的にも」

京太郎「だけどな……精神的に強くありたい。強さを目指したい」

京太郎「だから……単純に殺されると思ったら大間違いだぜ、ドーパント」

煌「すばら!」

煌「それなら、目以外の場所を殺してあげましょう!」

京太郎「……それもお断りだ」


京太郎「――来な、“怪人(バケモノ)”」

京太郎「人間の強さってのを教えてやるよ」

煌「すばら!」


 そんな事を言っても、手足が震えるのは変わりないけど。
 それでも――だ。
 あの時みたいに、道を退くのはもうやめだ。

308: 1 ◆A0tCKdAMuBhQ 2013/02/17(日) 01:10:24.08 ID:2X7cAmCSo
【須賀京太郎】                  【クレイドール・ドーパント】 花田煌
技能:39                     技能:33(15)
HP:49/49                   HP:48/48
スタミナ:48/48           VS   スタミナ:46/46
気力:72/72                  気力:70/70
ATK:2                      ATK:30
DEF:2                      DEF:45


>現在のレンジは【至近距離】です
>現在の方針は【通常方針】です

京太郎:39+コンマ+?  VS  クレイドール:33+GMコンマ+?

>↓3 京太郎の行動方針をお書きください

315: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 01:15:33.99 ID:2X7cAmCSo
>>311の判定:67
>#温存方針沈着すばら
>温存方針 沈着

京太郎:39+67=106
クレイドール・ドーパント:33+50=83
ダメージ:(3+2)+23/5+2-45=0

>クレイドール・ドーパントに0のダメージ!

>須賀京太郎はスタミナを6消費!
>花田煌はスタミナを5消費! 気力を15消費!



【須賀京太郎】                  【クレイドール・ドーパント】 花田煌
技能:39                     技能:33(15)
HP:49/49                   HP:48/48
スタミナ:42/48           VS   スタミナ:41/46
気力:72/72                  気力:55/70
ATK:2                      ATK:30
DEF:2                      DEF:45

>現在のレンジは【至近距離】です
>現在の方針は【通常方針】です

318: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 01:22:29.62 ID:2X7cAmCSo

 冷静に――だ。
 冷静にこのライダーの息の根を止める。変身などが行われる前に。
 先ほどの言葉などは、ハッタリ。
 そう考えていたのだが……。


京太郎「――疾ッ」


 繰り出した初撃が、見事に躱されて。
 それと同時に、膝頭を粉砕するような蹴りが襲い掛かったとき。
 ひょっとしたら、この相手は本気で変身せずに煌の事を倒そうとしれいるのではないか。
 そんな風に思えた。

 ――脳の中の演算装置が「否」を告げる。

 何らかの理由で変身できないだけだ。
 そうに違いないと。
 だから、冷静に対処しろ。


京太郎「クソ……流石に固いな」

京太郎「人間みたいにいかない、ってか」


 人が笑う行為と言うのは元々は威嚇である――そう言われる。
 だが、京太郎は違うと考えた。
 歯を食いしばった状態で。それでも息を吸い込もうとしたら、こうなるのだ。

 辛い事に耐えて。それでも戦うのを止めないのなら。
 きっと人は誰でも、こんな顔になるだろう。


 怖いが――それ以上に負けたくない。

 ここで立ち向かう事を止めたのなら。
 それはきっと、あの時のヤミーの親と同じになる。
 自分の手に入れた力を使って暴れまわる。精神的に何の成長をしていないとしても、強さに胡坐をかいて。
 そんなものは、ゴメンだ。

319: 1 ◆P8W67FpJoguV 2013/02/17(日) 01:25:27.23 ID:2X7cAmCSo
【須賀京太郎】                  【クレイドール・ドーパント】 花田煌
技能:39                     技能:33(15)
HP:49/49                   HP:48/48
スタミナ:42/48           VS   スタミナ:41/46
気力:72/72                  気力:55/70
ATK:2                      ATK:30
DEF:2                      DEF:45

>現在のレンジは【至近距離】です
>現在の方針は【通常方針】です

京太郎:39+コンマ+?  VS  クレイドール:33+GMコンマ+?

>↓3 京太郎の行動方針をお書きください

332: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 01:32:15.09 ID:2X7cAmCSo
>>322の判定:28
>#すばら沈着すばら
>沈着

京太郎:39+28=67
クレイドール:33+50=83
ダメージ:(2+7)+16/5+30-2=41

>須賀京太郎に41のダメージ!

>京太郎はスタミナを2消費!
>花田煌はスタミナを5消費! 気力を15消費!



【須賀京太郎】                  【クレイドール・ドーパント】 花田煌
技能:39                     技能:33(15)
HP:8/49                   HP:48/48
スタミナ:40/48           VS   スタミナ:36/46
気力:72/72                  気力:40/70
ATK:2                      ATK:30
DEF:2                      DEF:45

>現在のレンジは【至近距離】です
>現在の方針は【通常方針】です

348: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 01:42:44.73 ID:2X7cAmCSo

 関節のあるあらゆる生物には関節技が有効である――という話がある。
 ただしそれは、あくまでも。
 その関節を破壊するに足る威力を持っていた場合に限る。

 たとえばの話だが。一般的な成人男性がクレーン車を相手にしたとして。
 その関節を折れるか、と言われたら話は別だろう。

 同じく打撃技も通らない。それは実証済み。
 となると残るのは絞め技と投げ技になるのだが――。


京太郎(あれ、どこに首があるんだ?)

京太郎(絞め技は無理――だな)

京太郎(ってなると、投げ技か)


 クレーン車を投げる事は、不可能である。
 理由は単純。その重量。
 だが――だ。

 今目の前にいるこれはクレーン車ではない。
 五体を持ち、重心のある人型である。
 ならば――投げる事も、可能なのではないか。

 投げるのではなく、払うのだ。
 パワーよりもタイミング。技術。それが重要だ。


京太郎(タイミングを読め――アイツの思考を)

京太郎(あれは、そんなに早くはない……つまりその分、重い)

京太郎(だから猶更タイミングだ。奴自身が動いた瞬間、重心がブレた瞬間を狙う)

京太郎(その瞬間――前へ! 前へッ!)


 そしてクレイドールがその拳を突き出した瞬間。
 京太郎はその腕を取り、脚を払った。
 タイミングは万全。相手が動き出したその隙であった。
 ここには、間違いなく互いの技量差というものが存在していた――。


 ――しかし、である。

 地面に倒れ込んだクレイドールは。
 倒れてもなお、冷静に光弾を撃ち出した。

 下から、腹部に命中する光弾。
 それは、京太郎の身体を――宙へと跳ねあげた。

 ただの一撃である。
 しかしその一撃は、京太郎を瀕死に追い込むには、十分すぎるものだった。


京太郎「ガ、ァ……ッ」

京太郎(クソ……ッ! こんなところで、死ねるかよ……!)

350: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 01:45:12.54 ID:2X7cAmCSo
直後、コンマ判定
1~50:助け“は”来ない
51~70:誰かが助けに来る
71~99:おや、アンコちゃんの様子が……

ゾロ目:こころのーつよさー たったいまー ためさーれーるーとーきー

365: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 01:52:45.72 ID:2X7cAmCSo
さて……それじゃあアンクの中の人を決めようか



1:あんこちゃんあんあん(モブ)
2:咲キャラだろJK(そのキャラクターの名前も明記)

※ただし、清澄のキャラクターの選択は不可能
※新道寺勢の選択も不可能
※ライダーキャラの選択も不可能
※これまで怪人がらみとして登場したキャラクターの選択も不可能

選択可能高校:龍門渕・鶴賀・風越・姫松・宮守・永水・阿知賀・白糸台・千里山


↓5

403: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 02:07:39.19 ID:2X7cAmCSo
早漏多すぎィ!


※ただし、清澄のキャラクターの選択は不可能
※新道寺勢の選択も不可能
※ライダーキャラの選択も不可能
※これまで怪人がらみとして登場したキャラクターの選択も不可能

選択可能高校:龍門渕・鶴賀・風越・姫松・宮守・永水・阿知賀・白糸台・千里山

↓2~5 アンクの外側になるキャラ

421: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 02:12:45.17 ID:2X7cAmCSo
それじゃあ、これでお伺いを立てようか

01~20:佐倉杏子
21~40:二条泉
41~60:天江衣
61~80:弘世菫
81~00:宮永照

↓3 のコンマで判定。ただし反転

440: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 02:30:12.24 ID:2X7cAmCSo
>>424の判定:16(佐倉杏子&アンク)

 クレイドールの一撃で、打ち上げられて。
 京太郎は、茂みへと落下した。

 口の端を切ったのか。
 それとも内臓のどこかを損傷したのか、口の中から鉄の味がする。
 足が震えた。
 このまま攻撃を受けたら――死ぬ。それは分かっていた。
 だけども、立ち上がる。

 ここで立ち上がらない事は、それは。
 ただ死ぬよりも。もっと辛い事であるのだから。


「……おい」


 そんな時、背後から声がかかった。
 振り向くとそこに居たのは……釣り目がちで、腰よりも長い赤い髪を上で束ねた少女。
 ホットパンツ。パーカーの袖を広げて、アイスとリンゴを抱えている。

 しまった――と。

 そう思った。
 誰かを、巻き込んでしまった。京太郎が、ここで戦ったがために。
 そう考えると、猶更闘志が湧いてくる。
 なんとしても――この少女だけは逃がさなければならない。
 護らなければ、ならない。


京太郎「……ゴメン」

京太郎「ちょっとだけ危ないから、逃げてくれねーかな?」

京太郎「ここの――ここは」

京太郎「俺が、時間を稼ぐからさ」


 クレイドールの鈍重な足音が聞こえる。
 あいつはこのまま、こちらにトドメを刺しに来る――筈だ。
 ならば精一杯生き残って。時間を稼いで。この少女が逃げるだけの時間を作る。
 だが、立ち去る気配が見えない。
 こちらを心配しているのかもしれない。


京太郎「任せとけって……お兄ちゃんはな、ヒーローなんだよ」

京太郎「だから――悪いやつには、負けないのさ」


 思い浮かんだのは――。


 江口セーラ。
 結局、共に戦う約束をしておきながら、それも果たせそうにない。

 神代小蒔。
 一緒に強くなろうって、そう言ったのに……俺はここでリタイアです。

 大星淡。
 悪い。もう、シイタケ食べてやれなくなっちまった。

 カザリ。
 ゴメンな。お前のメダル集めるって――そう約束したのにさ。

442: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 02:39:14.66 ID:2X7cAmCSo

      /:./ /: : / : : : : : : : : : : : : : /: : : : : : : : :l: : : : : : : : : ヽ: : : : : :ヽ: : : : : : :ヽ\ :\
     /´  /: : /: /: : : : : : : : : : :/: : : : : : : : : ∧: : : : : : : : : '; : : : : : : : : : : ; : : : ハ \: ヽ
     /   /: : :/: / : : : : : : : : : / /: : : : : : : /: / l: : : : : : : : : : l: : : : : : : : : : ヽ: : : ハ   ヽ: }
       /: : //: : : : : : : : : :/:/ //: : : : : : :/ /   l: : : : : : : : : : } : : : : : : : : : : ハ: : : ヘ   V
       ': :/ /: : /: : : : : : :/:/ !:|: : : : : ://:/   l: : l: : : : : : : :j : : : : : : : : : : :ハ: : : }
       {: :l l: l :l : : : :\:/:/  !:l : : : : / {:/   l: : l: : : : : : : /: i: : : : : : : : : :} ヽ: : }
       {: :l l: l :l : : : :/:/ヽ{、_ハ: : : : l {:{    |: :ハ: : : : : :∧: :!: : : : : :i : : : }  ヽ: }
         V:l l: : :V: : : l :l  {  l\:_:{  {{    l: ハ: : : : / }: :} : : : : : i : : : !   V
          l :l !: Vハ: : :≧=z{z、_ ゝ: : { ̄ {  _j:レ┼: ┼--ト、!: : : : : : : : : ,′   }
        V |: :.{ V : V {イ.:::::j...テミ、:.{  ヽ   /  }: /   l: /ヽ: : : : /: : :/
          l: :.{  ,ヘ: :ハ ゞ::_:ソ  \       〒テレ==zz、レ l: :/ : : /: : :/
            l: : :\,| \;               {:...::::j:::ノ 〃´l /: : :/: : :/   は? お前馬鹿か?
           ,′: : : :ハ             ,        ̄ ̄   /:イ: : イ: : /    やっと見つけたオーズを前に、誰が逃げるか
         l : : : : : : :\                      /´ノ:/: !: /
         l: : l : : : : : : i :ー 、     ─ 、             /イ:/: : : : /
         ,': : ;' : : : : : : i : : : :>   ゝ  ノ    _ . . イ: : : : : : : : l
          /: :/l: : : : :/: : !: : : : : :|  ` ー--─┬: ´: : : :i : : : i : : : : : : : : !
       /: :/ /⌒∨: :/ ノ⌒ヽ:}        {: ⌒ヽ:_:ィ⌒\: : : : i : : l
        /: :/´   ヽー‐´   ├'        ゝヽ     }   \: :i : : :ヘ
        ,': :/     ヽ     l   ヽ  ,   ,′   j′     〉:ヽ: : :ヽ
     /: /∧      ヽ    l             l      /     /ヽ: ヽ: : :ヽ
    /: / ヽ       ヽ    ヽ         /     /    /  \ヽ: : :ヘ
  /:/    \      \   ヽー─--─ 7   /    /     \ヽ: ハ





446: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 02:48:59.47 ID:2X7cAmCSo

アンク「この分だと……カザリの奴も居ないみたいだしなァ」


 カザリ――そして、オーズ。
 その言葉に、背中が粟立った。

 護ろうとしていた少女は、グリードだった。
 カザリと同じく、人間に姿を変えたグリード。
 そこが今――この時に。
 変身も出来ず、クレイドール・ドーパントに襲われている。
 そんなタイミングで、襲来したのだ。


京太郎「マジかよ……ついてねえっつうか……なんつーか」

京太郎「分かった。お前もまとめて、相手をしてやる」

アンク「誰がお前と戦うなんて言った」

アンク「お前には、俺のメダルを返してもらうんだよ」


 意味が分からない――そう思っていると、クレイドール・ドーパントが視界に納まる。
 向こうもこちらを発見した。
 これはいよいよもって、不味い状況だろう。
 前門の虎、後門の何とやら……だ。


アンク「どうする? このままなら、お前は死ぬ」

アンク「ただ――俺はメダルを持ってる。コアメダルを」

アンク「お前が、俺のメダル集めに協力するんなら……貸してやってもいい」

京太郎「……」

京太郎「……待て、お前はどのグリードなんだ?」

アンク「……アンクだ」

アンク「お前らの知ってる方とは、別だけどな」


 これがあの時――カザリの言っていた、違和感。
 誰が盗み出したか判らないが。奪われたカザリのメダルの持ち主。
 そうしている間にも、クレイドール・ドーパントが迫ってきていた。


アンク「おい、どうするんだ?」

京太郎「……」

京太郎「よくわからないけど、分かった」

京太郎「お前もメダルが欲しい。俺も、今はメダルが必要だ――つまりはそういう事だよな?」

アンク「……あァ、そうだ」

京太郎「これは――カザリにも言ったけどな。条件がある」

453: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 02:57:46.65 ID:dNP7CFlIo

アンク「なんだ?」

京太郎「まず一つ。人命をメダルよりも優先させるな」

京太郎「二つ目。お前に協力はするけど……カザリを優先だ」

アンク「……チッ」

アンク「お前、俺に今そんな話をできる立場なのか?」

京太郎「……さぁ、な。見捨てられたらきっと俺は死ぬんじゃねーの」


 光弾が。
 脇の茂みを打倒した。
 どこかの木が、音を立てて弾ける。


京太郎「だけど――あっちのアンクのコアは5枚」

京太郎「俺たちが持ってるのが1枚」

京太郎「お前、多くても鳥のコア……3枚しか持ってないだろ」

京太郎「俺に死なれたら困るのは、お前も一緒って訳だよな?」

アンク「……チッ」


 交渉を考える相手は、組む事による利益を求めている。
 それは間違いない。ずっとこれまで交渉をしてきて――それは分かっている。回数こそは少ないが。
 だから、このアンクとも契約を結べる。
 こっちの利益、だけじゃなくて。

 これ以上、話す時間はない。
 段々と撃ち出されるエネルギー弾が、京太郎たちまで照準を合わせてきているのだ。


京太郎「俺が聞くぜ?」

京太郎「アンク――俺と組むなら、完全体にしてやる。メダル集めに協力してやる」

京太郎「ただ、ここで俺が死んだらお前は完全体にはなれない」

京太郎「どうするんだ、アンク?」

アンク「……俺に指図するな」

アンク(カザリ――か。アイツは裏切りそうだ)

アンク(……が、そうも言ってられないか)

アンク「俺が、お前と契約するんだ。お前に言われてじゃない」

アンク「おい、オーズ……分かったな?」

京太郎「……分かったよ、アンク」

京太郎「それと俺は、須賀京太郎だ。そう呼んでくれ」

454: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 03:00:35.33 ID:dNP7CFlIo


: : : : : : : : : : :/:/i:.:.:y ,/:/i:.;.;. : : : / __  //ヽ /:: : :///    /:,i:. : : :/: : : : : :.|
: : : :i: : : : : : ::イ:.:i:.;// iヘY:.; : : : /  ち>-、 ゞ、: /  /    /:'/: : : /:.: : : : : :.|
: : :.l: : : : : ::.;./:、:.i:|  i/ i:.:.: : : :/  |イ//ソ`ヽ: .X _ /    // /: : イ:.;.;. : : :/: /
: : :i: : : :i: : :.:/:.A:.i:i ヽr i|:.:. : :/   弋-,ノ  ,リ`      / /:/ /:.:. : : :/: /  おい、これを使え
: : i: : : :l: :.:.:l: :/ ヽ:、ヽヽ}:.:. : .!     、´            チソ ̄ 7:.:. : : /: /
: :i: : : : l: :.:.i: /  ヾ:.ヽ、 i: i:i:::     `´           ,JY`> /: ': :./:./    > ス´  ̄  ミ<
:/: : : :.:i: :.;i:.:/    _ヾ:. : : |:::::     ヽヽヽ        /J/ / /: .. -‐ 三‐- 、〃´  { `ヽ___ 。`ヾ、、
: : : : :.:.i :.;.i:.;|  / ̄,/  ヾ:::::.             、 し' >,´´ォ  !   ` .ミ v' !. r ´ミ、  、   マム
: : : :.:.:.:i:.:.:i.:.i     /     ::::.              ヽ, '. ' ,.ィ"ミ !  ,i!__. ,'  ヾヽ { ヽ `    `ゥ-ァ`《
: : : :.:./:i:.:.i―-- 、, /       \      , ― ァ    ヽ// // ミ | .//.;. ア′   マ;`ヾリ´ ., . ィ`シ ノ .}.|
: : :.;./;.;.i:.:| ヽ   ヽ、        \     ー '     i i マ/  彡!//./ /リ}  /} , ! く ./... -‐ ァ .ノリ
: :.;.;/:.:/i:.;|__.\    \      ,.へ、    _ _ ,  '| { ス  r'´ ,.´ < /// ,リ i } ィ:´::::::::::::::/ .ミく
:.;.;/‐'´ l:|   ` ヽ 、ヽ  ゝ、   /     ̄ ̄      . .{``メ.{ ! ゝ,,ィ//  ,.. < ´::::::::::::::::::::ノ.  __`゛.、
.:./    l:|       `ヽ、  \/             ∧ヾ   `゛、_   ;..<   `>´ ̄ ̄ ノr ´  フ ._゛v
/ ,    l , -- .、      \  A               ゞム  ,.. <´   `>      /, チ 〔  ノ..ヽマ
   ,ィ'´      ` ヽ 、   \ ヽ,             /  /´´     `>        ./{ !/   ,フイ ,.i.i ! }
// ,           \   \ヽ           , Y.⌒ヽゞミ y.    .、    , イヘヘ__ j . _ノ,,/ ./l l. !.i
, / /            ヾヽ  ヽ`、         / ゝ _ノ   ソ     >` く ハ ィ´ / ,' /彡' / ./ ,.リ.;
/ /               ヽヽ  ヽ`、       八 彡´ 川 ミッ´  >_´_     `≧.、 ィ 。リヽィ´ ./ //
./                 ヽ \  ヽ`、}    /三`ヽ._     > ´   `ヽ      }          /
                    ヽ\  ヾ、    /::::::::::::::::::`≡彡`ー 、       '.    ノィ ´ ̄ ̄ ̄ `ヽ
                     \\     /::::::::::::::::::::::./::::::::::::::::::ヽ     }  ,/ミ 、        ヽ


※アンクのこの場での所持メダル――タカ×1 クワガタ×1 サイ×1 コンドル×1
※黄色系メダルは保険の為に持ち歩いていません
※タカはアンクの意識コアである為、使用できません

455: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 03:03:19.03 ID:dNP7CFlIo
修正


※アンクのこの場での所持メダル――タカ×1 クワガタ×1 サイ×1 コンドル×1 バッタ×1
※黄色系メダルは保険の為に持ち歩いていません
※タカはアンクの意識コアである為、使用できません

461: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 03:09:02.50 ID:dNP7CFlIo
現在使えるメダルは……


コンドル(脚部):与ダメージを1.1倍する

クワガタ(頭部):レンジを【中距離】に変更。奇襲判定+5
バッタ(脚部):戦闘判定に勝利した場合、飛行の効果によって離された/詰められたレンジを2レンジまでリセットする

サイ(頭部):ゾウと組み合わせる事で、奇襲判定+10

パンダ(胴体):(レンジ~:至近距離)。ATK+2。防御方針の相手への最終的な(半減後の)与ダメージ+4
カンガルー(胴体/脚部):(レンジ~:至近距離)。胴体として使用した場合、ATK+2。攻撃方針の相手への最終的な与ダメージ+3
                脚部として使用した場合、2レンジ以上先からの、判定値差分が20以下の攻撃のダメージを受けない



【仮面ライダーオーズ】 須賀京太郎 
技能:40
HP:8/49
スタミナ:40/48
気力:72/72
ATK:40
DEF:40


>気力値を消費して、HPに変換する事が可能です
>変換の上限値はHP49/49。気力:31/72 まで形とします

>気力による回復量、スタートフォームを指定してください ↓3

467: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 03:14:36.84 ID:dNP7CFlIo
>>464の選択

>オーズのHPが41回復! 気力を41消費!


【ガタパンドル】 須賀京太郎                  【クレイドール・ドーパント】 花田煌
技能:40                              技能:33(15)
HP:49/49                            HP:48/48
スタミナ:40/48           VS            スタミナ:36/46
気力:31/72                           気力:40/70
ATK:42                              ATK:30
DEF:40                              DEF:45


>現在のレンジは【遠距離】です
>現在の方針は【通常方針】です

469: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 03:19:34.28 ID:dNP7CFlIo

京太郎「……さて」

京太郎「反撃、開始って奴だ」

京太郎「――――変身!」


 ――クワガタ! ――パンダ! ――コンドル!


 口元の血を拭って。
 その時に――自分が未だ笑っている事に気付いた。
 面白ェ……と高揚を感じている。そんな訳ではないが。
 ただ、さっきから食いしばり続けていたために。奥歯を噛み締め続けていたために。
 緊張して、この形から戻らなくなってしまったのだろう。


京太郎「……なぁ」

アンク「なんだ? さっさとあれをどうにかしろ」

京太郎「いや、分かってるけどな」

京太郎「ところでさ、アンク……お前、俺が胴体コア持ってなかったらどうする気だったんだ?」

アンク「……さぁな」


 アンクの噛みつぶしたような声。
 まあ、ある程度こちらを監視していた――のだろうけど。

 もしこれでパンダメダルとカンガルーメダルを持っていなければ。
 どうなっていたのか。


京太郎「さて……最初に言っとくぜ」

京太郎「俺は……かーなーり、強い」

煌「すばら!」

471: 1 ◆8zlCn3z3.I6z 2013/02/17(日) 03:21:47.04 ID:dNP7CFlIo


【ガタパンドル】 須賀京太郎                  【クレイドール・ドーパント】 花田煌
技能:40                              技能:33(15)
HP:49/49                            HP:48/48
スタミナ:40/48           VS            スタミナ:36/46
気力:31/72                           気力:40/70
ATK:42                              ATK:30
DEF:40                              DEF:45


>現在のレンジは【遠距離】です
>現在の方針は【通常方針】です

 オーズ:40+コンマ+10+?   VS  クレイドール・ドーパント:33+GMコンマ+?


>須賀京太郎の行動についてお書きください ↓3

477: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 03:32:23.39 ID:dNP7CFlIo
>>474の判定:63
>#爆発温存すばら
>温存 爆発

オーズ:40+63+10=113
クレイドール・ドーパント:33+0(4)=33

>クレイドールはファンブル
>オーズは距離を詰めました

>オーズはスタミナを6消費! 気力を20回復!
>クレイドール・ドーパントはスタミナを1消費! 気力を20回復!



【ガタパンドル】 須賀京太郎                  【クレイドール・ドーパント】 花田煌
技能:40                              技能:33(15)
HP:49/49                            HP:48/48
スタミナ:34/48           VS            スタミナ:35/46
気力:51/72                           気力:60/70
ATK:42                              ATK:30
DEF:40                              DEF:45


>現在のレンジは【中距離】です
>現在の方針は【温存方針】です

479: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 03:35:31.51 ID:dNP7CFlIo

アンク「おい、俺のコアだ……負けるんじゃねーぞ」

アンク「分かってるよな、京太郎」

京太郎「分かってるって……!」


 クレイドールが、重力弾を放つ――だが。
 それは、あらぬ方向へと逸れていった。

 先ほど会話しながらも思っていたが、狙いが正確ではない――というのは。
 ひょっとして、あの時の投げの影響だろうか。


 未だ照準が定かではない重力弾を躱しつつ――アンクに当たらないように注意して――距離を詰める。
 クワガタ、その射程に入った。


京太郎「さっきも言ったけど――あんま、人間を舐めるんじゃねーぞ」

煌「どうやら、そのようですね……!」

480: 1 ◆0DI3dMcvhukR 2013/02/17(日) 03:36:46.75 ID:dNP7CFlIo

【ガタパンドル】 須賀京太郎                  【クレイドール・ドーパント】 花田煌
技能:40                              技能:33(15)
HP:49/49                            HP:48/48
スタミナ:34/48           VS            スタミナ:35/46
気力:51/72                           気力:60/70
ATK:42                              ATK:30
DEF:40                              DEF:45


>現在のレンジは【中距離】です
>現在の方針は【温存方針】です


 オーズ:40+コンマ+10+?   VS  クレイドール・ドーパント:33+GMコンマ+?


>須賀京太郎の行動についてお書きください ↓3

484: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 03:45:15.63 ID:dNP7CFlIo
>>483の判定:70
>#温存爆発距離をとるすばら
>温存方針 爆発 距離を取る

オーズ:40+70+10+20=140
クレイドール・ドーパント:33+75=108
ダメージ:(2+3)+32/5+42-45=9

>温存方針にて、クレイドールへのダメージは4

>須賀京太郎はスタミナを3消費した! 気力を20消費した!
>クレイドールはスタミナを7消費した! 気力が20回復した!




【ガタパンドル】 須賀京太郎                  【クレイドール・ドーパント】 花田煌
技能:40                              技能:33(15)
HP:49/49                            HP:44/48
スタミナ:31/48           VS            スタミナ:28/46
気力:31/72                           気力:70/70
ATK:42                              ATK:30
DEF:40                              DEF:45


>現在のレンジは【中距離】です
>現在の方針は【温存方針】です

485: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 03:52:38.21 ID:jbvVuKUIo

煌「このままじゃ……!」

京太郎「――おい、逃がさねえよ」


 クワガタホーンから、電撃を発する。
 距離を取ろうとしたクレイドール目掛けた電撃で、その行動を中断させる。
 ここまでやられて、逃がすつもりなんてない。

 第一――だ。
 今までかつて、一度も敵を逃がした事なんてないんだ。


京太郎「お前――さぁ」

京太郎「ここで逃がしたら、他の人を襲うだろ?」

京太郎「俺の時と同じやり口でよぉ……」


 神代小蒔も、江口セーラも、大星淡も、新子憧も。
 それに――Wのあの二人も。

 みんなそれぞれの人生がある。
 変身していないときは、ただの少女だ。心が強くとも、か弱き少女だ。

 それに怪人が襲い掛かる――そんな場面を想像しただけで、腸が煮えくり返る。
 恐怖。いや、それ以上に。
 まぎれもない闘志がうちから発生するのを、京太郎は感じた。


京太郎「だからテメーは逃がさない」

京太郎「テメーは、ここで砕け散るんだよ。ガイアメモリごと、文字通りな」

煌「――ッ」


アンク(……なるほどな)

アンク(アイツ、直接戦うのは苦手か……だから逃げようとしている)

アンク(一度緊張を解いて……十分に気力が溜まってから)

アンク(それから――攻撃に映るってタイプか?)

486: 1 ◆KNu03hc8czPL 2013/02/17(日) 03:55:10.05 ID:jbvVuKUIo
>……あ
>コンドルの倍化分を忘れてた
>4.4=5だ



【ガタパンドル】 須賀京太郎                  【クレイドール・ドーパント】 花田煌
技能:40                              技能:33(15)
HP:49/49                            HP:43/48
スタミナ:31/48           VS            スタミナ:28/46
気力:31/72                           気力:70/70
ATK:42                              ATK:30
DEF:40                              DEF:45


>現在のレンジは【中距離】です
>現在の方針は【温存方針】です


 オーズ:40+コンマ+10+?   VS  クレイドール・ドーパント:33+GMコンマ+?


>須賀京太郎の行動についてお書きください ↓3

493: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 04:07:43.84 ID:jbvVuKUIo
>>489の判定:13
>#攻撃方針気力15すばら
>攻撃方針 集中15

オーズ:40+13+10=63
クレイドール・ドーパント:33+5+15=53
ダメージ:(1+5)+10/2+42-45=5

>攻撃方針と温存方針で相殺!
>コンドルの効果により、クレイドール・ドーパントに6のダメージ!

>オーズはスタミナを1消費!
>クレイドールはスタミナを1消費! 気力を15消費!



【ガタパンドル】 須賀京太郎                  【クレイドール・ドーパント】 花田煌
技能:40                              技能:33(15)
HP:49/49                            HP:37/48
スタミナ:30/48           VS            スタミナ:27/46
気力:31/72                           気力:55/70
ATK:42                              ATK:30
DEF:40                              DEF:45


>現在のレンジは【中距離】です
>現在の方針は【温存方針】です


494: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 04:15:45.66 ID:3MEXjpNao

京太郎「だからって――」


 脳震盪気味になっていた頭が立ち直るにつれ。
 花田煌=クレイドール・ドーパントは、須賀京太郎へと正確な狙いを定める。
 逃げるか、否か。
 今はそんな状況ではあるが――しかし。攻撃をしない理由はない。

 見たところ、相手は半死人だ。
 先ほどのクレイドール・ドーパントの一撃を生身で受けた為に、満身創痍である……その筈なのだ。
 それだと言うのに……。


京太郎「――攻撃を許すなんて、一言も言ってない」


 発せられた電撃が、煌の体を苛む。
 先ほどの――生身で戦っているときのあの笑み。あの不敵さ。
 そして今感じる――この圧力。


煌(ちょ……ちょ、この人……!)

煌(実にすばらな圧力……! 恐ろしい……!)

煌(全然すばらくない……)


 これじゃあまるで――“悪魔(デモン)”ではないか。

 抵抗しても、逃げようとしても。
 どちらにしても何も許さずに、殺す。
 そう言いたげな、マスク越しにも感じる――剥きだしの牙。

 そういえば――悪魔と言うのも。
 人の体に獣の足。蝙蝠の羽にヤギの頭部。
 そんな風な姿であらわされる事が、多い。

 故にこの男は――正しく。
 神話や聖書に登場する、それと同じだった。


 頭部に埋め込まれた装置が煌の冷静さを保とうとするが。
 それすらも許さないほど――許されないほどの、圧倒的な恐怖。
 彼女は心が強い。故に折れる事がない。

 ただしそれは――本来の彼女。

 洗脳を受け、脳改造をされた彼女は……。
 そんな持ち味の大半を、失ってしまっていた。


煌(……あ、ああ)

煌(これは……全く、恐ろしすぎる……!)

496: 1 ◆2rFP.NgAhIgx 2013/02/17(日) 04:19:05.65 ID:3MEXjpNao
【ガタパンドル】 須賀京太郎                  【クレイドール・ドーパント】 花田煌
技能:40                              技能:33(15)
HP:49/49                            HP:37/48
スタミナ:30/48           VS            スタミナ:27/46
気力:31/72                           気力:55/70
ATK:42                              ATK:30
DEF:40                              DEF:45


>現在のレンジは【中距離】です
>現在の方針は【温存方針】です

 オーズ:40+コンマ+10+?   VS  クレイドール・ドーパント:33+GMコンマ+?


>須賀京太郎の行動についてお書きください ↓2

500: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 04:25:37.65 ID:3MEXjpNao
>>498の判定:80
>#全力で逃走! すばら54
>撤退方針 集中54

オーズ:40+80+10=130
クレイドール・ドーパント:33+65+54=152


>よって、クレイドール・ドーパントの撤退判定に移行します!
>オーズはスタミナを4消費!
>クレイドールはスタミナを6消費! 気力を54消費!


【ガタパンドル】 須賀京太郎                  【クレイドール・ドーパント】 花田煌
技能:40                              技能:33(15)
HP:49/49                            HP:37/48
スタミナ:26/48           VS            スタミナ:21/46
気力:31/72                           気力:55/70
ATK:42                              ATK:30
DEF:40                              DEF:45


501: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 04:27:47.19 ID:3MEXjpNao

>撤退は残りスタミナ+コンマで判定

>オーズ:26+コンマ+10   VS   クレイドール・ドーパント:21+GMコンマ


>↓2 オーズのコンマを判定します

505: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 04:29:16.93 ID:3MEXjpNao
京太郎とかいう魔王
誰も逃げ出せないよ……こいつからは

RXか……

508: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 04:32:27.54 ID:3MEXjpNao
>>503の判定:12

オーズ:26+12+10=48
クレイドール・ドーパント:21+19=40


>    たたかう
>    めいれい
>    どうぐ
>    ばしゃ
> エア にげる


>クレイドール・ドーパントは逃げ出そうとした
>しかし、オーズからは逃げられない!

510: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 04:43:58.03 ID:J45X+oDNo

 ライダーの撃破。
 最近、ドーパントを撃破するライダーの名前が一人上がった。
 それがオーズであった。
 それを元に――オーズの撃滅を図った。そのための、煌。

 変身をさせずに。速やかに殺す。
 その――筈であったのに。


煌(なに――これ)

煌(なんなんですか――これは)

煌(生身でドーパントとやりあって――変身させたら、相手にもなれないなんて――)


 気力を振り絞って――花田煌、クレイドール・ドーパントは逃走を図った。
 このまま戦っていても、勝てない。
 あれは手負いの獣である。それは、煌がそうしてしまったのだ。

 故に、戦略的撤退を図った。
 勝利できない場合は、逃走を図る――そうプログラムされている。
 だが、それだというのに。


京太郎「逃がさねえって、言ったはずだ……!」

京太郎「この、俺の前から――逃げられるなんて、そんな都合がいい事考えてるんじゃねぇよ、テメエ……!」


 粉じんが消えた先には赤い髪の少女がいるだけで。
 声と共に落下してきたのは、オーズ。
 鋭い蹴り――真空刃が、クレイドールの頭部を掠った。

 手負いである筈なのに。怪我をしているはずなのに。満身創痍の筈なのに。
 この気力は、この体力は……一体、どこからやってくるのだろうか。

 洗脳されてしまった煌は、まさに恐怖した。


 勝てない。
 攻撃できない。
 逃げられない。

 そいつに触れる事は――死を意味する。

 それが、オーズだった。

511: 1 ◆e4DQZpQTFL5a 2013/02/17(日) 04:47:53.65 ID:J45X+oDNo


【ガタパンドル】 須賀京太郎                  【クレイドール・ドーパント】 花田煌
技能:40                              技能:33(15)
HP:49/49                            HP:37/48
スタミナ:26/48           VS            スタミナ:21/46
気力:31/72                           気力:1/70
ATK:42                              ATK:30
DEF:40                              DEF:45


>現在のレンジは【至近距離】です
>現在の方針は【温存方針】です

 オーズ:40+コンマ+10+?   VS  クレイドール・ドーパント:33+GMコンマ+?


>須賀京太郎の行動についてお書きください ↓2

515: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 04:52:58.91 ID:J45X+oDNo
>>513の判定:39
>#やけくそ攻撃方針すばら

オーズ:40+39+10=89
クレイドール・ドーパント:33+65=98
ダメージ:(5+3)+9/5+30-40=0

>オーズに0のダメージ!

>オーズはスタミナを3消費した! 気力を20回復した!
>クレイドールはスタミナを12消費した!


【ガタパンドル】 須賀京太郎                  【クレイドール・ドーパント】 花田煌
技能:40                              技能:33(15)
HP:49/49                            HP:37/48
スタミナ:23/48           VS            スタミナ:9/46
気力:51/72                           気力:1/70
ATK:42                              ATK:30
DEF:40                              DEF:45

>現在のレンジは【至近距離】です
>現在の方針は【温存方針】です

519: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 05:01:02.80 ID:J45X+oDNo

煌「あ……ああ、あああ……」


 本来の彼女であれば。
 この程度の恐怖でも、内心を押し殺して不敵に微笑んだはずだ。
 先ほどまでの須賀京太郎と、同じように。

 だけれども――今の花田煌にはそれはできない。

 投薬による制限。機械によるコントロール。
 それによって、一定の行動の代わりに、殺されてしまった機能がある。感情がある。精神がある。
 故に、この花田煌では。

 目の前の化け物から――その恐怖から、逃れる術はなかった。


 必死に、恐怖を振り払うように。
 手を振り回して、オーズへと攻撃を加える。
 抵抗はない。このまま、思いっきり攻撃で押し切れば――。


京太郎「――なぁ」

京太郎「言ったよな、無駄だって。言わなかったか?」

京太郎「どっちにしても――それじゃあ、改めて言っとくぜ?」

京太郎「お前が――何をしても、無駄だ」

京太郎「テメーはここで、その趣味が悪いガイアメモリごと……ブッ壊されるんだよ」


 戦闘――不能。
 逃走――不可能。
 攻撃――無駄。

 生存――無理。無理。無理。無理。無理。無理。無理無理無理無理無理無理。

520: 1 ◆VyC1gVewinWK 2013/02/17(日) 05:02:55.38 ID:J45X+oDNo

【ガタパンドル】 須賀京太郎                  【クレイドール・ドーパント】 花田煌
技能:40                              技能:33(15)
HP:49/49                            HP:37/48
スタミナ:23/48           VS            スタミナ:9/46
気力:51/72                           気力:1/70
ATK:42                              ATK:30
DEF:40                              DEF:45

>現在のレンジは【至近距離】です
>現在の方針は【温存方針】です


 オーズ:40+コンマ+10+?   VS  クレイドール・ドーパント:33+GMコンマ+?


>須賀京太郎の行動についてお書きください ↓2

524: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 05:10:05.33 ID:J45X+oDNo
>>522の判定:59
>#もう防御しかないじゃんこれすばら
>防御方針

オーズ:40+59+10+20=129
クレイドール・ドーパント:33+38=61
ダメージ:(0+1)+68/5+42-45=12×1/2×1/2×1.1=4

>クレイドールに4+4=8のダメージ!

>オーズはスタミナを2消費! 気力を20消費!
>クレイドールはスタミナを7消費!



【ガタパンドル】 須賀京太郎                  【クレイドール・ドーパント】 花田煌
技能:40                              技能:33(15)
HP:49/49                            HP:29/48
スタミナ:21/48           VS            スタミナ:2/46
気力:31/72                           気力:1/70
ATK:42                              ATK:30
DEF:40                              DEF:45

>現在のレンジは【至近距離】です
>現在の方針は【温存方針】です

525: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 05:17:51.29 ID:J45X+oDNo

 もう、この男には勝てない。
 そう思った瞬間、脳の演算装置が下したのは――防御であった。
 あるいはそれは、花田煌本人もそう思ったのかもしれない。

 どんな手段をもってしても抗いようがない。
 他の全ての行動を試したのに通じないなら――もう、これしかない。
 そう思った。

 だけれども


京太郎「良いか? 二度も言わせんなよ」

京太郎「何をしても、無駄だ」


 迫りくる攻撃が、ガードを無理やりこじ開ける。
 撃ちこまれる拳の一撃一撃が重い。
 真空刃を纏って。さらに、電撃を得て。

 それが、クレイドールの肉体を粉砕していく。

 絶対に勝利できないと言うのを。
 記憶媒体に、メモリーに直接打ち込まれているかの如き衝撃。


 頭の中で火花が散った。
 それは、装置によって抑えられる限度を超えているもの。
 それに、クワガタの電撃が合わさっていた。

 花田煌はほぼ戦意を喪失した。
 更に、装置も――想定される限度を超えた感情。加えて、電撃によって限界を迎えようとしている。

 よしんばクレイドールの能力が合わさって復活したとしても。
 彼女の心に焼け付いた、この悪魔。


 ――否。

 悪魔のオーズ――魔王には。
 決して、抗えやしないだろう。

 立ち上がっても。再生しても。或いは逃走をはたしても。
 これは、ちゃちな装置などでは覆しようもないほどの――恐怖。

526: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 05:21:19.79 ID:J45X+oDNo

【ガタパンドル】 須賀京太郎                  【クレイドール・ドーパント】 花田煌
技能:40                              技能:33(15)
HP:49/49                            HP:29/48
スタミナ:21/48           VS            スタミナ:2/46
気力:31/72                           気力:1/70
ATK:42                              ATK:30
DEF:40                              DEF:45

>現在のレンジは【至近距離】です
>現在の方針は【温存方針】です

 オーズ:40+コンマ+10+?   VS  クレイドール・ドーパント:33+GMコンマ+?


>須賀京太郎の行動についてお書きください ↓2

531: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 05:26:19.22 ID:J45X+oDNo
>>528の判定:03 京太郎選手最後の最期でファンブル
>花田煌:方針なし 行動なし

オーズ:40+0(3)+10=50
クレイドール・ドーパント:33+79=112
ダメージ:(1+9)+62/5+30-40=13!

>オーズに13のダメージ!

>オーズはスタミナを0消費!
>クレイドール・ドーパントはスタミナを7消費!



【ガタパンドル】 須賀京太郎                  【クレイドール・ドーパント】 花田煌
技能:40                              技能:33(15)
HP:36/49                            HP:29/48
スタミナ:21/48           VS            スタミナ:0/46
気力:31/72                           気力:1/70
ATK:42                              ATK:30
DEF:40                              DEF:45


【WIN!】

534: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 05:34:47.90 ID:pyPy8YhAo

アンク「……アイツ、無茶苦茶だな」

アンク(……が、使える。このオーズは)


 それは――突然だった。
 本来ならば、ここまでは持つはずがない身体。
 重傷を負って、それでも戦い続けた肉体。

 撃ちこむ一撃の威力が弱かったのは。
 このダメージを気遣っての事。
 しかしそれでも、クレイドール・ドーパントには有効過ぎた。

 ――だが。
 その魔法が、切れた。


京太郎「……グ、ァ」


 仮にオーズのこの身体が装着型か。
 或いは、身体そのものを改造されても――人間で口に当たる部分が存在したのなら。
 須賀京太郎は、大量に吐血していただろう。

 それほどまでの、ダメージ。
 故に訪れた限界。

 上体が曲がり、膝が折れた。
 その瞬間を――我武者羅に放たれたクレイドール・ドーパントの一撃が捉えた。


 大きく、弾き飛ばされる。
 或いはそのクレイドール・ドーパントの一撃と言うのは。
 圧倒的な恐怖に対する。本来の花田煌なりの抵抗だったのかもしれない。

 それきり、最後の力を振り絞ったともいえる威力の攻撃を繰り出したクレイドールは。
 仰向けに倒れた。人間――花田煌の姿を以って。


 須賀京太郎は、勝利した。
 最後まで立っていたのは彼であり。
 紛れもなく圧倒していたのも彼である。

 しかし――だ。
 もしもここで、彼の体が限界を迎えなかったのなら。
 全ての選択肢が潰されてしまった煌の洗脳装置は機能を停止していただろうし。

 そうなれば――この先の、介入を許しはしなかっただろう。

536: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 05:39:20.89 ID:pyPy8YhAo


               ――《NAZCA》――

                              ,,,,,
                              .i  i
                              .i  i
                           i´ `i i  i
         _____           .i  i .i  j ,,,-、
        i        i          i  i .i  i i  .i
        i        i          i  i .i  i i  .i
        i        ヽ         i  .i .i  i i  .i
        i         ヽ        i  .i .i  i i  i
        i          .ヽ        i .i  i  i i  i
        i        iヽ  ヽ     __ i  i  i .i .i  i
        i     .i⌒i .i ヽ  `''''''ヽ/7 .i  i  i  i i  i
        i     .i .i  i  / /,,ニニゝ、ヽ  i  i  i  i i  i
        i     .i .i  i  i j .i   i i i i  i  i  `''´ .i
        i  i⌒i .i .i .i  ヽ v,,-,,,,/ノ /  i  i .i     .i
        i  j .i  i i  i //ヽ二´  ヽ i  .i .i     i
        i  j .i  i i  i ''´    ヽ  .ヽi  `´     i
        i  j .i  i i  i        ヽ          .i
        i  j .i  i i  i         ヽ         .i
        i  j .i  i i  i          ヽ        .i
        i  j .i  i i  i          .i        .i
        i  j .i  i i  i          .i        .i
        ヽ丿 .i  i .i  i          ヽ────‐''´
           .i  i .i  i
           .i  i  `‐´
           .i  i
            `-´


                ――《NAZCA》――

540: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 05:48:56.32 ID:pyPy8YhAo

 ――メモリが叫びを上げた。それは産声だった。

 上がる呱々の声。地球が呼応した。
 浮かび上がるNのヴィジョンと共に、集積する風の群れ。ある種の暴風が、その場を支配する。
 誰もが怯んだ。京太郎も、アンクも、草も花も木も区別なく。

 閉じかけていた花が開いた。草がこうべを垂れた。樹木が嘶いた。石はその身を砕き、雲は引きちぎれる。
 力の奔流が、場を吹き抜ける。竜巻が巻き起こり、装着者の体を包み込む。
 砕けた地面の破片すらも巻き込んで、空色の渦が空気を破って生まれる、哮り声。


 何が――と。
 そう思った瞬間に、一陣の風と共に現れた“ライダー”。
 倒れた、花田煌の傍に立つライダー。

 その首には二条のマフラーが。
 ボディの晴れ間の空色が夕日に変わっていくがごときグラデーションのマフラー。翼を思わせるそれ。
 騎士甲冑じみたマッシブな肉体。兜のようなバイザーとホーン。
 怒りを湛えた真っ赤な複眼と、悲しみを表す黒いライン。
 腹部には、Wに用いられていたそれを片側だけ削げ落としたかのごときガイアドライバー。


 その瞬間に――京太郎は感じた。
 これが。こいつこそが。
 Wの言っていた“ミュージアムのライダー”。
 セーラが言っていた“処刑人”である、と。

 こちらは既に満身創痍であるし。
 気力だけで持たせていた身体だって、ここで止まるかもしれない。
 勝てる見込みなんて、ないだろう。
 それでも――京太郎は立ち上がった。


京太郎(……クソッタレ。マジで、今日は呪われてるんじゃねーのか)

京太郎(だけどなぁ――いいぜ。来いよ。相手をしてやる)

京太郎(負けないって、逃げないって決めたんだよ……! こっちは……!)


 しかし、京太郎の思いとは裏腹。
 そのライダーが、花田の体を抱え上げる。
 京太郎には用はない。そうとでも告げるような背中。


京太郎「……おい、逃げるつもりかよ。あんた」

京太郎「そんな事を……許すと、思ってんのか」

アンク「おい! お前はもういい! 退いてろ!」

ナスカ「……」

542: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 05:58:20.03 ID:TkJvh7I7o

 ふい、と首を振って。
 剣を一線振るえば――京太郎のすぐそばの地面が、縦に切り裂かれた。

 風を飛ばした。そうとしか思えない。
 斬撃の鋭さ。そしてその身のこなし。

 お前じゃ――役者不足だと、そう言われているようだった。


 そして。
 京太郎が立ち上がろうと、飛びかかろうとするよりも先に。

 残像だけを残して――ナスカは、その場から消えた。


京太郎「クソ……逃げられ、た」

アンク「何のつもりだ、この馬鹿が!」

アンク「アイツの相手をしても、お前じゃ勝ち目がないだろうが!」


 アンクの激昂も尤もだな、と思った。
 だけれども――だ。
 相手が目の前に来てしまったのなら。それは戦わねばならない。
 あのミュージアムのライダー。
 それは、セーラの言葉が正しいとするなら処刑人。

 ミュージアムを狙った――ある意味京太郎と同じ立場だ――ドーパントを。
 それを、殺して回っている人間なのだ。


 だから。
 可能ならば、ここで止めなければならない。そう思ったのだ。
 ここで見逃してしまったのなら。
 その手はいずれ、京太郎のみならず――京太郎が関わった、見知っているライダーたちに及ぶ。

 だから。
 今このタイミングで、出会ったのなら。
 彼女たちを狙わせないためにも――倒しておかねばならなかったのだ。


 それには痛みによる麻痺。脳内快楽物質の増加があるだろう。
 京太郎に、本来それほどの闘争心などはない。
 実際のところ、一歩を踏み出すとしても――恐怖は覚えるはずなのだ。
 だけれども、今の京太郎は――いや、クレイドールと戦っていた京太郎は、最早恐怖など覚えていなかった。

 あまりの痛みの前では感情が消去される。
 それはある意味――今、花田煌を蝕んでいる装置と、同じだった。


アンク「……バカが」

アンク「今お前に死なれたら、俺が困るんだよ……!」


【京太郎の技能が+1されました! 現在41!】
【アンクの好感度がぐーんと上がりました!】
【京太郎は、仮面ライダーナスカと出会いました!】

543: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 05:59:09.13 ID:TkJvh7I7o




         「記憶と心と復讐鬼」



                              B-Part 終了


←To be continued...

544: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 06:06:11.91 ID:TkJvh7I7o
【須賀京太郎の交友関係】
①カザリ (←協力関係)
「……オーズ、どこ!?」 (→一応の協力関係・中々役に立つし一緒に居てもいいかな)

②神代小蒔 (←協力関係・一緒に戦う仲間・心の恩人・凄いボリュームだったな……)
「……いいですか、リュウタちゃん!」 (→異性として意識・一緒に鍛えたいです)

③ウヴァ (←敵)
「お、俺のセルメダルが……! クソッ……!」 (→許さない・怒り)

④江口セーラ (←仲間・気持ちがいい性格・恩人であり師匠・あれ、可愛い……)
「……」 (→仲間・好感が持てる人物・褒められると恥ずかしい)

⑤大星淡  (←一緒に昼飯を食べる程度の恩人・心地よいバカ)
「須賀の奴ぅ……」 (→まあ、根性だけはイケてるじゃん。根性だけだけどね。あと料理も・バカ!)

⑥新子憧 (←ちょっと怖がらせすぎたよなぁ……)
「……宥姉、一緒に帰ろう」  (→警戒・正直あれって異常よね?・気の毒な……)

⑦白水哩&鶴田姫子 (←いい加減にしろよ……!)
「……花田」
『……生きて、いるんですね』 (→気圧された)

⑧アンク (←一応の協力関係・契約……したしな。助けてもらったし)
「……チッ。バカが」 (→こいつ、それなりに使えるな……)

⑨その他/ライダー関係者
 ・石戸霞  (←なんかお母さんっぽい)
 ・滝見春  (←黒糖の人)
 ・狩宿巴  (←眼鏡の人)
 ・薄墨初美 (←●女?)
 ・モモタロス (←うるさそうだな……)
 ・ウラタロス (←話が上手そうだな……)
 ・キンタロス (←『泣けるで』……?)
 ・リュウタロス (←子供みたいだな)
 ・鴻上光生  (←協力関係・気を許してはいない)
 ・伊達明  (←何で校医の人が……?)
 ・デネブ  (←なんて言うか、おかんっぽいよな)
 ・末原恭子  (←よし、間に合った!)

⑩連絡先を知らない/ライダー関係者でない
 ・鷺森灼   (←あまり、近づかないようにしてくれ)
 ・小走やえ  (←あれでいいんだ)
 ・戒能良子  (←通じてない電話に、話しかけるなんて……)
 ・佐々野いちご  (←杞憂ならそれで……いいよな)
 ・宮永照  (←俺に……近寄らないでくれ……!)
 ・松実宥  (←すみません……!)


【カザリから800年前の話を聞きました】
【カザリとスマートフォンを購入しました】
【この学園での麻雀部の事情についての情報を得ました】
【カザリから、仮面ライダーとドーパントの噂について聞きました Level.3】
【神代小蒔から、電王とデンライナーとイマジンに関する情報を得ました】
【江口セーラから、ガイアメモリとドーパント、ミュージアムと処刑人に関する情報を得ました】
【大星淡と弘世菫の口論(?)を聞きました】
【カザリから、舞姫と仮面ライダーとドーパントの噂を聞きました Level.3】
【戒能良子の一人芝居(?)を聞きました】
【大星淡が仮面ライダーゼロノスであると知りました!】
【大星淡は、ゼロノスカードを1枚消費しました!】
【京太郎は白水哩が舞姫を借りるところを目撃しました】
【大星淡とデネブの口論(?)を聞きました!】
【新子憧は須賀京太郎を警戒しました!】
【大星淡から弁当のおかずを貰い(?)ました】
【鴻上会長とセルメダルに関して取り決めた契約を変更しました!】
【大星淡がおかずを掻っ攫っていきました!】
【神代小蒔は須賀京太郎を異性として意識し始めました!】
【末原恭子は京太郎に好意を向けています!】
【白水哩、鶴田姫子に警告されました】
【白水哩からの精神的圧力を跳ねのけました!】
【神代小蒔との戦いで、必殺技が使用可能です!】
【花田煌(名前知らず)がクレイドール・ドーパントと知りました!】
【仮面ライダーナスカと出会いました!】
【須賀京太郎の欲望値:17】
【技能の経験+3】
【セルメダル――合計、138枚】

558: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 16:26:11.16 ID:7j0gqxdAo
                                            ,.ー-‐.、
                                          ヽ、   ヽ  __
                                          /,..-ニ‐- '"_,..)
                                          ' ´/  , _ 、´
      .:_______.: . . . . . . . . . . . . . : '          ,. ''" ,. -‐/ _  ̄\
    .:/ / r─‐'‐ァ r─‐'ニニニニ7:.,ィ─ァ‐===‐‐二/   , ',. -一' ./..'/     .}
   .:/ /'  = フ'¨,r ュ,rフ/二二フ/  7´' ∠/ ∠¨_ / ,. '′  ,..,.  ,/    ./
   7 / /ク r'/ / 三/ /´//ー‐/ /-'´//─‐,≠/ /    {  \ヽ      i'
  /─'ー‐‐^ー―――^ー―´   '==='  'ー‐´       ー'´        `´\ ヽヽ   !
 /K A M E N  R I D E R _   _ .           ,.'⌒   `,. l   !  ー"ヽ  ヽ
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l l  //.          ! ゝ-‐'´ /l  .!  `ー-、   }
                         | |//         __. \  /  }  .}    ヽ/
                               l  、 ヽ   、-、 ,.-, ,' r‐、ヽ `ヽヽ  j  ノ
              ._______| |ヽ ヽ_ヽ.∨ /__.ゝ ー’ノ___゙、`'   / ___
               ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄〉 ./ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ }   ./  ̄ ̄ ̄
                                  / ./.               ヽノ
                                     ̄

559: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 16:28:00.93 ID:7j0gqxdAo
カウント・ザ・メダルズ、現在オーズが使えるメダルは?


『タカ』×2、『コンドル』×1
『クワガタ』×2、『カマキリ』×1、『バッタ』×2
『ライオン』×2、『トラ』×2、『チーター』×1
『サイ』×1
『パンダ』×1、『カンガルー』×1

560: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 16:29:05.20 ID:7j0gqxdAo





         第9話「力と怒りと???」



                              A-Part 開始

564: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 16:37:11.28 ID:7j0gqxdAo
>>562 こうもうしたか

これまでの仮面ライダー京は!


 天涯孤独、友人のいない須賀京太郎
 グリードと呼ばれる800年前の人口生命体カザリと出会った事でオーズの力を手に入れる!

 カザリとの契約によって戦いに身を投じる事になった京太郎は。
 仮面ライダー電王、神代小蒔。仮面ライダーアクセル、江口セーラ。仮面ライダーゼロノス、大星淡。仮面ライダーバース、新子憧。
 さまざまなライダーと出会い、自分自身もまた強くあろうと決意する。

 復讐に燃える仮面ライダーWとの出会いでミュージアムの脅威を感じ取った京太郎は、
 そのミュージアムへの調査をするうちに、罠にかかってしまう!
 変身不能ながらもクレイドール・ドーパントを圧倒したものの、一撃で重傷を負ってしまった京太郎。
 そんな彼の前に現れたグリード、アンクは――自分のメダル集めと引き換えに、彼にメダルを授けるのだった!

567: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 16:49:10.91 ID:7j0gqxdAo
【放課後】

京太郎「……ッ、ぁ、ぐ、ぅ」


 震える手で、ベルトからメダルを抜き去って、コンドルとバッタのメダルを、アンクへと手渡す。
 その間も、京太郎に襲い掛る耐えがたい苦痛。
 戦いが終わったのなら、もう用はないだろうと。
 分泌していた脳内麻薬が、本来の適正値まで、下がってきているのだ。

 口元を覆った手に、血が吹きかかる。
 唇を切った、それだけではないらしい。


アンク「おい、お前……」

京太郎「大、丈夫だ……」

京太郎「……って、言いたいところだけど……。これ、ヤバイかもな」

アンク「おい! お前……俺のメダルの事はどうした!」

アンク「勝手に死ぬんじゃねーぞ! この馬鹿が!」


 崩れそうになりそうな膝。
 胸倉をつかむアンクの力で、何とか倒れずに済んでいる――そんな状況だ。
 視界が、だんだんと遠ざかってくる。
 分かってる。そう呟こうとした、その時だった。


カザリ「……オー、ズ」


 息せき切ってという表現はおかしいが。
 いつもの待ち合わせ場所に居なかった京太郎に不穏を感じたカザリは、探し回っていた。
 そこで、目の前で展開される光景である。

 血を吐き、今にも崩れ落ちそうな京太郎。
 パーカーの少女。ただし、その腕は少女には不釣り合いな赤い腕――『アンク』。
 それが、京太郎を締め上げている。

 この状況からカザリの考えた事はひとつだ。
 そして彼は――分が悪いと逃げるのではなく、グリード体へと姿を変えた。


 相手は一体。
 こちらのコアメダルは5枚。
 やり合うには不利。しかし、京太郎を奪って逃げだす事ぐらいなら可能だ。

 ここでオーズに死なれたら、まだメダル集めも半ばであるし。
 残りの結託したグリードから、総攻撃を受けてしまう。
 勿論、そんな事情や状況判断も存在したが。

 この時彼の心の大半を占めていた感情は――怒りだった。

 両手の爪を鈍色に光らせて。
 その鬣を靡かせて。
 アンクを睨み付け、カザリが疾走する――。

570: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 17:05:04.08 ID:7j0gqxdAo

カザリ「アンクゥゥゥゥゥウウ!!!」

アンク「――ッ! カザリか……!」


 咄嗟に京太郎を手放し、右腕で防御を図るアンクだが。
 コアの違い。それが如実に表れる。
 一撃を受けるだけで飛び散るセルメダル。
 明らかに分が悪い。アンクも同じく、臍を噛んだ。


アンク「ふん、遅かったなァ……カザリ」

カザリ「……その分だと、あの君は演技をしてたって事でいいのかな」

アンク「……さあな」


 爪と右腕を交差させ、互いににらみ合う。
 直後、不自然さを感じるカザリ。
 カザリのコアを取り込んだアンクが、これほどまでに力が弱いのだろうか――と。
 そして、そんな違和感を覚えるカザリ目掛けて。
 これが勝機だと感じたアンクは、右膝で蹴りを打ち出し、距離を取る。

 虫の息の京太郎を背後に庇いつつ、様子を窺うカザリ。
 同じく。ここは攻めるべきか、引くべきか。
 改めて機会を窺った方が良いのかとアンクも逡巡する。

 が……。


京太郎「……カザリ、タンマ。ちょっ、と……待ってくれ」

カザリ「……オーズ。黙っててよ。余計に喋ったら、それ、死ぬよ」

京太郎「ああ、だから……余計じゃ、ないんだ、って……」

京太郎「その、アンクは……俺を、助けてくれた……。あっ、ち……とは、別モンだ」

アンク「フン」

アンク「……ただで助けた訳じゃないがな」

京太郎「とにかく、その……アン、クがメダルを貸して、くれたから……俺は、無事なんだ」

京太郎「だから……争わ、ないで……くれよ」

京太郎「頼、む……」


 別物と。
 そう言っていた意味は分からないが。この間の推論に基づくに、その可能性もあり得た。
 あの――カザリを攻撃しメダルを奪った――アンクは、以前のアンクの如き狡猾さや記憶を持っては居なかった。
 それならば。
 どう見ても以前のアンクのこちらと、何らかの原因で分離した。
 中々に信じがたい話だが、自分たちはグリード。そんな事もあるか、と結論付ける。


カザリ「……」

アンク「……おっと、俺はお前のメダルをここには持っちゃいない」

アンク「俺を襲ったら、お前のメダルは手に入らなくなるぞ?」

カザリ「……ッ」

571: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 17:19:19.96 ID:7j0gqxdAo

 あの狡猾なアンクの事だ。
 出まかせではあるまい。カザリと遭遇してそのままメダルを奪われる事を警戒してどこかに保管する。
 それぐらいの事は、やる。
 故に――まだ自分のメダルが揃うとは限らない。
 まだ、オーズの力が必要なのだ。

 だから、カザリは爪を収めた。


京太郎「あり、がとな……カザリ」

カザリ「……だから、黙っててよ」

アンク「それでいい」


 勿論、このままアンクを締め上げて。
 コアメダルを奪い尽くしてギリギリまで追い詰めて、その場所を吐かせても良かった。
 だけれども、そうなったら“道連れ”や“嫌がらせ”程度の気持ちで、意地でも場所を言わない事もあり得た。
 そうなったなら――時間をかけたのならオーズは死ぬ。

 コアメダルも手に入らず、オーズも失うとなっては。
 あまりにも、カザリの分が悪くなる。そんな賭けは御免だ。


アンク「そこの人間と契約したんだがなァ」

アンク「メダルを貸してやる代わりに、俺のメダル集めに協力させるって」

アンク「お前、俺のコア……持ってるだろ?」

アンク「早く渡せ」

カザリ「……また勝手な契約を」


 命がかかっている状況だったのだろうから、仕方ないとはいえ。
 流石にこう、横合いから割り込まれるのは面白くなかった。

 メダルを渡したら――向こうも戦力不足である為ありえないだろうが――そのまま逃走される可能性もある。
 その後、カザリたちがアンクの鳥系コアを集めるたびに。
 黄色いコアと引き換え、などと言って。

 この男は……と。
 背後で倒れ伏す、須賀京太郎を睨み付ける。


京太郎「……おい、アンク」

京太郎「た、だし……カザリ優先って……言っ、た、はずだし……」

京太郎「とりあえず、今は……そういうの、抜きにして……」

京太郎「マジで……救、急車……呼んで……くれ。これ……ヤバイ」

アンク「……フン」

カザリ「……ああ、君死にかけだっけ」

573: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 17:34:33.80 ID:7j0gqxdAo

 搬送された患者の容体は重体に近かった。
 内臓を損傷。外傷性の出血ショック。
 緊急搬送。手術は予断を許されない状況となった。


 そんな中。
 オペ室の前で、佇む二人。
 腕を組んで壁に寄りかかるカザリと、アイスを食べるアンク。

 傍を通る看護師は似てない兄妹だな、と思った。

 本来なら警察に連絡が行くべきものである。明らかに事件性があるのだから。
 ただ、江口セーラへと――嫌々ながら連絡を取り――手を回し。
 鴻上光生にも、伝えておいた。

 これで表ざたにはならないだろう――と、フォローに追われたカザリは、溜息を漏らした。
 今度は、リンゴをしゃくる音が響く。


カザリ「……どういうつもり?」

カザリ「僕たちが何か食べても、味なんて感じないでしょ」

アンク「……さぁな」


 それで会話を打ち切って。
 また、リンゴを頬張るアンク。
 それに加えて、外見が少女と言うのも気になった。
 基本的に外見と言うのは、主人格に依存する傾向にある。
 故にウヴァは男であるし。メズールは女だ。

 まさか、アンクが変な趣味に目覚めたとは思えない。
 ――なんて想像をするあたり、カザリもだいぶ現代に染まってきているが。

 大方は京太郎に気を許させるためのものだろうか。
 が、それにしても甚だ調査不足だ。そう言わざるを得ない。
  房が貧相である。年齢もまだ幼い。
 京太郎のベッドの下で発見した本とは、大違いだ。

 なお、カザリの名誉の為に言っておくとしたら。
 別に掃除をしようとか、家探しをしようと思った訳ではない。
 何かしら現代の知識に繋がるものや、京太郎の弱み――交渉に使えそうなもの――はないか。
 それを探していた際に、発見したのだ。


カザリ「ところで、僕のいない間に何があったのさ」

アンク「お前なら……監視してて、わざとこうでもしたんじゃないのか?」

カザリ「……まさか。今オーズに死なれたら、困るんだ」

アンク「……どうだかな。裏切り者のお前が」

カザリ「……裏切ったのは、そっちの方じゃないかな」

アンク「先に王に情報を喋ったのはお前の方だ」

カザリ「それは断られて。最後に僕たちを裏切ったのは、君の方だけどね」

577: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 17:51:36.65 ID:ztsNoGrzo

 カザリは考えた。

 メダルが少なく、何らかの事情で人格が分離してしまったアンク。
 たとえばミュージアムとか。或いは鴻上ファウンデーションに掛け合って、今回のオーズ襲撃を企んだ。
 そして、オーズが追い詰められたそのところで登場し。
 メダルを渡す事で契約を果たし、自分のメダルを集めさせながらオーズに取り入って。
 最終的に自分のそれ以外のメダルを奪おうとしている――ミュージアムならそれが見返りなのだろう――と。


 アンクは考えた。

 このカザリが、まさかのうのうと人間を協力者にして居るはずがないと。
 自分が完全体となるだけでは飽き足らず、他のグリードも倒し。その後、用済みになったオーズを始末するだろうと。
 コアが揃えば、カザリは裏切る。
 だから、こちらの持っている猫系コアは何が何でも渡せない。
 ある程度までアンクのメダルが揃い、その、別のアンクをオーズが撃破するまでは。


 お互いともに。
 双方の裏切りを警戒し、それ故に空気は険悪そのものと化していた。
 元々グリードには信頼関係というものがない。
 利害の一致で同じ方向を目指す事はあっても、互いの事を思いやったり、手を取ったりとは無縁だ。

 そして。
 過去に於いてアンクが“王”――当時のオーズ襲撃を提案した時に、他のグリードを裏切ってカザリはそれをオーズに伝えた。
 グリードの中でも、特に油断ならないのがカザリだ。
 アンクはそう思っていた。
 同じくカザリも。
 結局のところ裏切り者の自分を始末せずに泳がせておいて協力を呼びかけ。
 最後の最後で、実は“王”と通じていた――そんな事実と共にカザリたちを裏切り攻撃したアンク。

 どちらも互いを警戒に足る相手である。
 そう考えていた。


カザリ「……それで、何があったのさ」

アンク「あぁ……あの馬鹿が、ドーパント――だったか?――に襲われてたんだよ。生身で」

アンク「死にかけてたから、メダルを貸して助けてやった」

カザリ「随分恩着せがましくいうんだね」

カザリ「どうして、君がドーパントの事を知っているのかな? 何が目的なのかな?」

アンク「フン」

アンク「お前のメダルとかを奪いに行ったときにな、そこに資料があったんだよ」

アンク「目的は――お前と同じだ。俺たちグリードが目指すのはそこしかない。判るだろ?」

カザリ「……さぁ」

カザリ「案外、また裏切るのを楽しむつもり……とか」

カザリ「そういう感情に目覚めてる事もあるかもと思ってね」

アンク「……フン」

581: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 18:02:26.27 ID:ztsNoGrzo

 手術室のランプが消えた。
 鴻上光生曰く、木野薫――という凄腕の名医に頼んだから、大丈夫だそうだが。
 それにしても、あの怪我だ。
 本当に大丈夫なのか、知れたものではない。

 中から、一人だけ医師が出てくる(この医師は助手を必要としないらしい)。


カザリ「オ――いや、京太郎は無事ですか?」

アンク「あの馬鹿、死んでないだろうなァ?」

薫「手術は成功だ」


 後の詳しくは、本来の医師に訊け。
 そう言いたげに、二人を振り切って木野薫医師はその場を立ち去った。
 入れ替わりにバツの悪そうな顔をした医師と看護婦が手術室を訪れ、京太郎の無事が確認されるまで。
 二人は無言で、睨み合っていた。


カザリ「……まぁ」

アンク「細かい話は、京太郎の馬鹿が目覚めてからだな」


 ひとまず、今日のところは。

 交渉の細かい内容。お互いの事情などについては。
 それで打ち切って、物事の核心である須賀京太郎の判断を待つ。

 そう、二人は合意した。

601: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 19:27:31.95 ID:yH5ajZaqo
【朝】

 どうも、須賀京太郎です。
 病室の空気が最悪です。


京太郎「……あの」

カザリ「……」

アンク「……」


 右。にらみ合う形で、腕を組んで壁に背中を預けるカザリと。
 左。不機嫌そうにリンゴを頬張る少女――アンクだったか。

 一触即発。
 自分を挟んで、そんな場面に立ち会えるなんて、思いもよらなかった。
 願わくばこれが。
 すばらなおもちを持った美少女なら――駄目だ。
 きっと胃が痛くなってゲロってしまうにゃ。


カザリ「……ああ、やっと起きたの?」

アンク「フン、待たせすぎだ。いつまで寝てるんだよ、馬鹿が」


 起きるなり、腹部に引き攣るような、鉛を流されたような鈍痛。
 それから――ああ、生身でドーパントに襲われたのだった。
 そう、ようやく理解した。

 あたりを見回す。
 ここは個室らしい。尿道にカテーテルが入っている。


カザリ「あの会長のところから、念のためってね」

カザリ「……今度は何を取られるんだか」


 カザリが嫌味交じりの注釈を入れる。
 心なしか、いつもより機嫌が悪そうだ。それはもう一人も同じだが。
 アンク――だ。

 咄嗟とはいえ、あの場で契約を交わしてしまった。
 まあ、カザリとしては面白くないのだろう。きっと。
 カザリを優先する事は最低条件として告げてはいたが――それもどうかはわからない。

 とりあえず、このアンクはカザリのコアメダルを2枚所持しており。
 そして、アンクもオーズ――こちらの協力を必要としている。
 それだけは確かだ。


京太郎「……あー」

カザリ「……なに?」

アンク「……なんだ?」

京太郎「尿道の違和感が凄いんで、ナースコールしていい?」

カザリ「……好きにしたら?」

アンク「……チッ」

611: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 19:41:40.91 ID:MuTBo5ayo

 とりあえず。
 カテーテルが外された。

 麻酔が切れてからも、およそ2日ほど寝込んでいたらしい。
 その間、カザリとアンクはこの病室を離れなかったようで。
 世間話が好きそうな看護師さんはその事について興味津々だったが、
 適当に笑って返していたら、あまりに不機嫌そうなアンクと笑顔で殺気を放つカザリに気圧されて部屋を後にした。


京太郎「アンク……だったよな」

アンク「……なんだ?」

京太郎「お前とも約束したけどさ、事情を教えてくれないか?」

京太郎「こっちも情報が必要なんだ。他にもグリードとかミュージアムとかイマジンもいるし」

京太郎「お互い、その事について整理した方がいいだろ?」

アンク「……一々、俺に指図すんじゃねえ」

京太郎「ああ、悪ィな」


 それからアンクは話し始めた。
 気が付いたら腕だけであった事。別の自分がいる事。
 そちらに大半のコアメダルを奪われている事。
 色々と探し回って、それから鴻上ファウンデーションを突き止めた事(京太郎とカザリ・新子憧を辿ったらしい)。
 そして、そこで研究用ではなかったコアメダルを奪った事。

 内訳についてはカザリのもの×2、コンドル、バッタだそうだ。
 クワガタとサイについては、先に目覚めたその時に手近にあったものを奪ったそうである。

 こちらに求める事は二点。
 あのアンクの打倒。それからメダル集めに協力する事。

 こちらへの見返りは。
 メダルの貸し出し。と、自分が完全体になった際にカザリのコアを返す事――らしい。
 勿論これには、カザリが口を尖らせた。


カザリ「ちょっと待ってよ」

カザリ「君、完全体になったら……僕のコアメダル返すつもりなんてないでしょ」

アンク「……返してやる。俺が完全体になれたらな」

カザリ「裏切り者の君なんて、信用できないんだけどなぁ」

アンク「お前こそ。よく言うな」

アンク「どうせ、そのオーズを使い切ったら後ろから刺すつもりなんだろう?」

カザリ「何をいってるのかな……それは、そっちの方じゃないの?」

カザリ「王と通じてた裏切り者なのにさ」

アンク「お前に言われる筋合いはない」

617: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 19:54:36.65 ID:MuTBo5ayo

 やだ。
 何も食べてないのに胃が痛い。
 これは最初は固形物は無理だ。そう、ビタミンも豊富な玄米あたりのおかゆが食べたい。
 絶対固形物食べたらゲロっちまう。

 ちなみに割とどうでもいい情報だが――新子憧から聞いた――奈良の方では、お雑煮を食べないで味噌汁を食べるらしい。
 元々日常的に味噌汁を食べる習慣がなく。
 代わりに、味噌汁を正月に食べるそうな。
 だから、三食に味噌汁が付くのは贅沢と言われるらしい。
 汁ものとしては茶がゆが一般的なそうだ。

 尤もこれは古い人たちの話で、最近はそうでもないようだが。


 ……なんて。
 現実逃避しても仕方ないよな。


京太郎「ちょっと待ってくれよ、話が見えないって!」

カザリ「ああ、アンクが裏切り者って事」

アンク「それはお前の方だろうが」

カザリ「君に言われたくないなぁ……」

アンク「こっちもお前に言われるなんてふざけるな」

カザリ「君さぁ……!」

アンク「なんだ……!」

京太郎「……あの、悪いけどさ。本当に事情を話してくれって」

京太郎「戦うのは俺だし、病人気遣ってくれよ!」

カザリ「……ふん」

アンク「……チッ」

カザリ「アンクはさ、僕たちと王を倒すって話だったのに……最後の最後で裏切って王に付いたんだよね」

カザリ「だから、僕たちは封印された」

アンク「その計画を王に喋ったのは、お前が最初だったなァ……カザリ」

アンク「何喰わない顔で王を倒す、なんて言ってたよなぁ?」

カザリ「それは君も一緒じゃないかな?」

京太郎「な、なあ……分かった。事情は分かったからその辺で……」

カザリ「とにかく、アンクを信用したら駄目だよ。いつ裏切るか判らないから」

アンク「それは、俺の台詞だ。お前こそ完全体になったら他の全員を出し抜くつもりなんだろ?」

カザリ「……!」

アンク「……!」

619: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 20:05:49.21 ID:MuTBo5ayo

 そのまま。病室での睨み合い。
 どうやらお互いがお互いを信用していないらしい。
 事情もまあ……どっちも否定はしてないから、本当なのだろう。

 これが女の子二人で。
 私と彼女のどっちが大事なの――というシチュエーションならば。
 二人とも大事だよ、なんてお茶を濁せるのだが。
 こんな場面では、絶対に不可能だろう。


 しかし。
 カザリとは最初に出会って、ここまで一緒に戦ってきた。
 そのメダルを集めるって約束もあるし。
 だから、カザリを信用してやりたいのは事実だ。
 実際、最初に約束をしたというのもあって――カザリを優先させるつもりではいる。

 ただ。
 あの状況、アンクが居なければ死んでいたのも本当ではあるし。
 下手をして京太郎が負けたら、他のグリードに自分のメダルが奪われるかもしれない。
 そんな状況で数少ない自分のコアを貸してくれたというのも事実だ。

 そして。
 このやり取りを見るに、どちらも京太郎の事を必要としているのだろう。
 それは確かだ。


 犬猿の仲という言葉があるが。
 やはり、鳥と猫も相性が悪いようだ。
 本来ならこうではない――筈だ。お互い、頭が回るグリードらしいし。
 って事は、まあ、裏切りってのもお互いが懸念しているのだろう。

 両方を取るのならば。
 この裏切りについて――その危険をある程度納得させなければならない筈だ。
 裏切らないような備えとか。
 或いは裏切ったときにどうする……とか。


 ただ、あんまり合理的だったり打算的な事を言っても……。
 やっぱりそれで、カザリなんかは気分を害しそうではあるし。


 さて、なんと言ったものかな。

622: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 20:11:34.75 ID:MuTBo5ayo
1:「優先するのはカザリだ。ただ、アンクも手伝うから」
2:「裏切ったらブン殴って連れ帰る。それじゃあ駄目か?」
3:「今回みたいに襲われると困るし……二人のメダルを俺が預かっとくってのは?」
4:「……でも、今回は他にライダーいるしな」

↓4

633: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 20:30:52.84 ID:ddOSzfH4o
>>626の選択:2

京太郎「裏切ったら、俺がブン殴って連れ帰る。それじゃあ駄目か?」

京太郎「なるべく……考えたくないけど、責任をもってさ」

カザリ「殴る暇もないかもしれないよ?」

アンク「そもそもお前、変身できないだろ」

京太郎「ぐっ……それは」

京太郎「でも、そんなのは俺がちゃんと気を付けときゃいい話だし」

京太郎「一気に全部メダルがなくなるわけじゃないから変身はできるだろうし」

京太郎「出来なくても、今回のドーパント相手みたいに殴るのは素手でもできる」

京太郎「あんまり頼りたくないけど、他にもライダーがいる」

京太郎「だから、連れ戻せると思うしそのつもりなんだけどな……」

アンク「……コイツ馬鹿か?」

カザリ「……ああ、僕も改めてそう思う」

京太郎「そこまで言うか!?」

カザリ「そりゃ、言うでしょ」

アンク「言われないと思ったのか、馬鹿が?」


 蔑んだ目線が、集中する。
 あ、胃が痛い。お腹すいたし、おかゆ食べたい。

 どうやら、須賀京太郎=大馬鹿。
 そんな認識が二人の中で定着してしまったらしい。


 確かにそりゃ、裏切りとか考えたら……どっちの言う事も本当だと思うし、主張も分かる。
 元々、そういうのは気にするタイプでもある。
 だけど、なんていうか……さ。
 こう、身内になった奴の裏切りを過度に警戒するってのも、信頼してないみたいで嫌なんだよな。

 信じて裏切られる方がいいだなんて思わない。
 やっぱり裏切られたら悲しいし、それが人の命に係わるなら許す理由はない。
 だけれども――だからって、常に疑ってるのが好きって訳でもないんだよな。

 信じるかどうかわからない、疑ってかかるべき相手もいる。
 だけど――この二人に関しては。
 疑うよりも、信じたいと思ったのは本当なんだ。
 だから、一発は殴る。裏切ったのならそれは咎める。
 そうだとしても――あんまり、常に疑っておくってのも、嫌なんだよな。


カザリ「……はぁ」

637: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 20:40:29.86 ID:ddOSzfH4o

カザリ「……しかたないなぁ」

カザリ「今回みたいに襲われても困るし、お互いのコアを1枚預けておく」

カザリ「それでどう?」

アンク「……チッ」

アンク「それは分かったけど、俺のコアを返せ」

カザリ「じゃあ、僕のコアも返してよ」

アンク「俺の方が足りないんだよ!」

カザリ「そんなの僕には関係ない」

アンク「他に俺のコアを持ってこい!」

カザリ「君、要求が多すぎないかな?」

アンク「死にかけてたのを助けたんだ! お前が離れてて死にかけてたオーズをな!」


 あらやだ怖い。
 どうしよう。空気が怖いよ。


京太郎「あのー」

京太郎「と、とりあえず俺も危ないからメダル持ってたいんだけど」

アンク「ウヴァのでいいだろ」

カザリ「ウヴァのでいいね」

京太郎「ウヴァ……」

アンク「ただ、コイツが負けたら全部取られるのも困る」

カザリ「それは確かに……」

カザリ「まあ、今ウヴァは4枚だから……2枚預けとく?」

アンク「それでいいか」


 そして手渡されるクワガタとバッタ。
 なんだか、ちょっとウヴァの事が可哀想になってきた。

644: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 21:10:58.73 ID:oi2Ylv5Ho

 それから、とりあえず以下のように決まった。

 ・手に入れたメダルはそのコアの持ち主に返す
 ・ただしカザリとアンクでお互いそれぞれ1枚のメダルを持つ。
 ・完全体になるとき=お互いのメダルが揃った時に交換。
 ・それ以外に京太郎に1枚メダルを預ける。
 ・ウヴァのメダルについては京太郎が2枚。アンクが2枚。カザリが1枚。
 ・奪取されるときに逃げ切れるか否かの問題で、ガメルのメダル(サイ)はカザリが持つ。


 つまり分布にするとこうだろうか。

 ・カザリ――→京太郎(タカ・トラ・バッタ)
 ・カザリ――→アンク(カマキリ)
 ・アンク――→京太郎(クワガタ)
 ・アンク――→カザリ(サイ)

 京太郎=(タカ・トラ・クワガタ・バッタ・パンダ・カンガルー)
 カザリ=(ライオン×2・トラ×1・チーター・サイ)
 アンク=(タカ・コンドル・カマキリ・バッタ)

 パンダとカンガルーに関してはお互い、『そんな得体のしれないもの御免だ』。
 との事で、京太郎が変わらず所持する事に決まった。


 意外にも今回、カザリが多くのメダルを放出する形となったが。
 カザリ曰く、「僕との約束をちゃんと憶えているんならそれでいい」との事だ。
 ただし故に必然的に、セルメダルに関してのカザリの取り分は多くなる。

 それは当然だろう。
 もとより京太郎も、そのつもりであった。

 アンクのコアに関しては。
 手に入ったら、カザリが受け取るだろう。現状、カザリだけがコアメダルを押さえられている形となるのだから。
 流石にそれでアンクだけが取るのは、京太郎も許さない。
 不公平であるからだ。

 あのロストアンク――そう呼ぶ事にした――奪い取ったのなら、直ぐにアンクに渡す事にはならない。
 一旦、京太郎預かりの形となる訳だ。

647: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 21:14:36.71 ID:oi2Ylv5Ho

京太郎「……これ、俺が結構持つ事になるんだよな」

カザリ「盗まれないでよね。それと、アンク」

カザリ「早く、僕のコアを返してよ」

アンク「俺のコアと引き換えだ!」

カザリ「僕はもう京太郎に1枚預けてるんだよ」

アンク「それは俺も一緒だろうが!」

カザリ「で、君が僕のコアを2枚持ってる。これは不公平でしょ」

アンク「俺の方がメダルが少ないんだ。お前が裏切ったとき危ないだろうが」

カザリ「裏切るのは君の方でしょ?」

アンク「ハッ、どうだかな」

カザリ「だったら、せめて1枚返してくれないかな?」

アンク「断る」

アンク「お前が後ろからついてくるとも限らないしな」

アンク「俺のコアがお前と並ぶまで、お前には渡さない」

カザリ「どうして後から出てきてそんなに偉そうなのかなぁ」

アンク「先に出ておいてオーズを死にかけさせるヤツに言われてもなァ」

カザリ「……」

アンク「……」

京太郎(やっべえ……超胃が痛い)


【カザリの好感度が上がった!】
【アンクの好感度が上がった!】

651: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 21:20:39.05 ID:oi2Ylv5Ho
これ、クレイドール・ドーパントからお腹に攻撃受けてるから胃が痛いのも仕方ないよね
あと脾臓とか大変な事になってるね京ちゃん
治ってないうちに戦うたびに寿命が削れるよ! やったね京ちゃん!

おめでとう! ついにSAN値だけでなく寿命も削れるライダーになれたんだ!

ハーレム(非人・命に直結)の主人公になれたんだから仕方ないよね!


すまんけど、ちょっと呼び出し喰らっちゃったんで一時間半ぐらい離席するねー

660: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 23:33:26.74 ID:ZoNn/BRCo
ちな病院での行動は
昼・放課後ともに変わらず


1:誰かに連絡を取る/誰かに出会う
(①カザリ ②神代小蒔 ④江口セーラ ⑤大星淡 ⑥新子憧 ⑦白水哩&鶴田姫子 ⑧アンク)
2:誰かに遭遇する(怪人絡みではないキャラ)
 1~15:何事もない 16~74:誰かに出会う 75~99:イベント発生 ゾロ目:特殊イベント


ってな感じになります
2については、原則は病院に居そうなキャラに限るけど
病院に居る理由作るんで一般人出してくれてもええよ。一緒に名前書いてなー
ただし、ヤミーの親・イマジンの契約者・ドーパントとして出現が確定した人間(やえとか)は駄目やで
宥姉はギリオッケー。まだ何も起きてないからね

夜はコンマ判定
で、何かあったらまぁ……戦闘やろなぁ……寿命削って


てな感じだから覚えといてなー

665: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 23:37:52.02 ID:ZoNn/BRCo
>>663
一応あんま上がらんね
これだけ好感度があったから、「自分のメダルを出す」ってので妥協してくれたんやし

それじゃあ、始めようかー

672: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 23:43:44.67 ID:ZoNn/BRCo
そら、生身で致死の一歩手前(実に85%近く)のダメージ与えられて
圧倒してた最後の最後でファンブったら、ああ、内臓損傷してるんだろうなぁ……って感じになるよ

まあ、SAN値と一緒でフレーバーだからあんま気にしないでね
今、フェイスレスが歯車に挟まれた時の鳴海兄ちゃんみたいなもんだから

679: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/17(日) 23:50:29.97 ID:ZoNn/BRCo
【入院生活一日目/昼】

京太郎「……あぁ」

京太郎「点滴だけだと、味気ないなぁ……」

京太郎「あー、料理作りたい。料理作りたい」


 一応学校には連絡は取った。
 後で診断書を送る。ちょっとした事故だ、と言っておいた。
 体育の加藤先生は偉く心配していたし、アドルフ先生も慌てていた。

 この分だと最低でも一週間ほど入院。しばらくは激しい運動も絶対厳禁だそうだが。
 そうも、言ってられないんだよな……。

 カザリとアンクは部屋に泊まり込み。
 個室である事、鴻上会長が手を回してくれている事から、許可が下りているらしい。



1:誰かに連絡を取る/誰かに出会う
(①カザリ ②神代小蒔 ④江口セーラ ⑤大星淡 ⑥新子憧 ⑦白水哩&鶴田姫子 ⑧アンク)
2:誰かに遭遇する(怪人絡みではないキャラ)
 1~15:何事もない 16~74:誰かに出会う 75~99:イベント発生 ゾロ目:特殊イベント


※一緒に人名または番号をお書きください
>>2の場合はそのレスでコンマ判定


↓4

688: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 00:00:12.78 ID:Kv3WIquqo
>>683の選択:1(小蒔)

 ああ、神代先輩――小蒔さんにも連絡しておかなきゃな。
 セーラさんから聞いてはいるだろうが。

 携帯の着信、凄い事になってるし。


京太郎「……もしもし、須賀です。今、大丈夫ですか?」

小蒔『――ッ! きょ、京太郎さんですか?』

モモタロス『金髪か!?』

キンタロス『襲われたっちゅー話やったけど、平気か?』

ウラタロス『大丈夫? 相手の特徴とか教えてくれる?』


 案の定と言うか。
 耳が痛くなるほどに電話口から吐き出される――声/声/声/声/声。

 どうやら、変身前に襲撃を受けたという事もあって。
 向こうも注意してくれている、らしい。それはよかった。


 ……と、そう言えば。
 一人ばかり、足りないような。


リュウタロス『……おねーちゃん、変わってもらっていい?』

小蒔『あ……はい』


 と、リュウタロスもしっかり居るようだ。
 その声は心なしか、暗い。いつものような元気さや無邪気さが感じられない。


リュウタロス『……ねえ』

リュウタロス『その怪我……もしかして、僕のせい?』

京太郎「――――」


 どうやら彼は、リュウタロスは。
 京太郎の怪我に――自分の責任があるのではないか。
 そう考えて、沈んでいたらしい。

692: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 00:03:06.23 ID:Kv3WIquqo

1:「いや――悪いやつに、やられただけさ」
2:「これはこっちのミスだから、気にすんなって」
3:「ゲンコツでその話は終わったろ? それより、おねーちゃんをちゃんと護ってな」
4:「大丈夫。別の奴だ。そっちも気をつけろよ」


↓4

700: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 00:14:04.73 ID:Kv3WIquqo
>>696の選択:4

京太郎「大丈夫、別の奴だ。そっちも気を付けろよ?」

リュウタロス『でも……僕があんな事しなかったら……』


 そっちに過失はない。
 そう言ったつもりだったが、どうやら通じなかったらしい。
 リュウタロスのあの攻撃が直接京太郎の怪我に繋がった。
 こちらはそういう意図かと思って返したが。

 間接的にも責任があったんじゃないか。
 向こうは、そのつもりで問いかけてきていたようだった。


京太郎「……あー」

京太郎「気にすんなよ。俺も仮面ライダーなんだ」

京太郎「知ってるだろ? ライダーってのは、強いんだ」

京太郎「リュウタロスが元居た世界でもそうだったんじゃないのか?」

リュウタロス『……』

リュウタロス『……良太郎は、弱かったけど強かった』

京太郎「な?」

京太郎「ライダーは、悪いやつには負けないんだ。だから、俺も全然平気だ」

京太郎「リュウタロスは悪くない。それより、そっちも気を付けてな?」

リュウタロス『……わかった』


 どうやらまだ煮え切らないようだけど。
 多少なりとも、気は晴れてくれた……のだろうか。そうだといいが。

 話しながら、痛みを堪えようとすると脂汗が浮く。
 何とか声に出さないように、笑いを浮かべながら喋った。


小蒔『……京太郎さん』

京太郎「小蒔さん、今リュウタロスに言った通りです」

京太郎「俺の怪我に、あなたが責任を感じる必要なんかないんです」

京太郎「それに――ひょっとしたら逆に、俺のせいで迷惑をかける事になるかもしれない」

京太郎「俺の面ァ、割れてたんです……だから、どっかでそっちに何かあるかも」

京太郎「そうなったら……すみません。だから、十分気を付けてください」

小蒔『……』

小蒔『……そんなになってまで、他人の心配をするんですか?』

702: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 00:17:01.53 ID:Kv3WIquqo
1:小蒔『……もっと、自分の事を考えた方がいいんじゃないですか?』
2:小蒔『……京太郎さんは、強いんですね』
3:小蒔『……それは素敵だと思います。でも――』
4:小蒔『……だから、私も心配をかけないように頑張ります』


↓4

709: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 00:20:27.42 ID:Kv3WIquqo
意外やろうけどな
実は削られないの、2なんや

716: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 00:28:31.82 ID:Kv3WIquqo
>>706の選択:4(連投は同一IDが同一人物とるのだけやで今のところ)


京太郎「……いや、他人の心配っていうか」


 結局のところ――巡り巡って自分の為なんだし。
 他人の心配と、言えるのだろうか。
 変身前の姿が割れてしまったのは京太郎だ。
 そして、その京太郎の動きが見張られているのならば。
 そこから、小蒔たちへと被害が及び――。

 そうして、小蒔たちに何かあったのなら、京太郎の責任となる。
 自分の責任になるのは怖い。そんな責任はとれない。
 だからこれは、心配しているんじゃなくて――尻拭いをさせてる、のではないだろうか。
 どちらかと、言うなら。


小蒔『……だから、私も心配をかけないように頑張ります』

京太郎「……小蒔さん?」

小蒔『京太郎さんが心配しちゃうなら――自分の事に集中できないなら』

小蒔『その分、周りの私たちが強くなっちゃえばいいんですよね!』

小蒔『私たちが強くなったらほら、もう、心配しないで済みますよ』

小蒔『そうすれば――どちらかだけがいっぱい心配するんじゃなくて』

小蒔『お互いに、お互いの分。対等になるでしょう』

小蒔『だから――私も強くなるように、頑張りますね!』

小蒔『それじゃあ!』

京太郎「あっ……」


 それきり、電話が切れた。
 張り切っている――ようだったけど。
 何か変な事でも、起こらないといいな……。


【神代小蒔の好感度が上昇しました!】

718: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 00:32:22.38 ID:Kv3WIquqo
1→SAN値ゴリゴリ
2→京太郎が否定しても姫様が肯定しまくってあげる。ちょっと癒される
3→姫様が京太郎の現状を警戒。京太郎にちょっと異常的なニュアンスを。削れる
4→姫様は頑張り屋さんです

723: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 00:35:27.42 ID:Kv3WIquqo
【放課後】

京太郎「……はぁ」

京太郎「あの人、張り切り過ぎてブッ倒れたりしないかな?」

京太郎「そういう意味で心配だ」


 イマジンがいるから、生身でもどうにかなるだろうけど。
 そう思うと、まあ……他のライダーよりは平気なのだろう。





1:誰かに連絡を取る/誰かに出会う
(①カザリ ②神代小蒔 ④江口セーラ ⑤大星淡 ⑥新子憧 ⑦白水哩&鶴田姫子 ⑧アンク)
2:誰かに遭遇する(怪人絡みではないキャラ)
 1~15:何事もない 16~74:誰かに出会う 75~99:イベント発生 ゾロ目:特殊イベント


※一緒に人名または番号をお書きください
>>2の場合はそのレスでコンマ判定
※連投(同一人物・同一ID)や条件以外の場合は安価上か安価下

↓4

729: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 00:49:08.76 ID:a935HEJ6o
>>727の選択:1(白水哩&鶴田姫子)

 コンコン、と病室のドアが叩かれた。
 近くに居たカザリとアンクが、それぞれドアと窓を警戒する。

 まさか、丁寧にノックをしてから襲撃をかけてくる――何て事はないだろうが。
 警戒するに越したことはない。
 京太郎もドライバーを腰に当て、いつでも戦闘できるように体を起こす。

 一応――だが。
 爆弾で病院ごと吹き飛ばされたり、狙撃を受けない為にも。
 タカ・カンドロイドとタコ・カンドロイドとバッタ・カンドロイド。
 それで定点観測はしているが……。


姫子「えーっと、お邪魔しますー……」


 そろりと顔を出したWと一緒に居た姫子と言う人物。
 それが入室した途端に、天井に身を寄せていたアンクが――飛びかかった。


姫子「ひゃっ」

アンク「オイ、誰だ……お前は」


 あー、そのあたりカザリから聞いていないのだろうか。
 どうやら、カザリも余計――と考えたのか――な説明はしていなかったらしい。
 アンクはこちらを監視していたとそう言っていたが。

 どうにも、校内の事にまで目を向けてはいなかったようだ。
 思えば、こちらとは外で会った事はない――はずだ。
 会っていても、確か遠巻きから尾行されていただけ。
 ああ、そう思うとアンクが警戒するのも無理はないだろう。

 怪人の手を剥きだしに、喉を締め上げようとするアンク。
 アンクなりに警戒している。それは分かったが……。


京太郎「アンク! その人は大丈夫だって!」

京太郎「心配は嬉しいけど! 離してやってくれ!」


 言い終わるが早いか。
 横からの前蹴り――ヤクザキック――で跳ね飛ばされる、アンク。

 三白眼気味な、部長と呼ばれるもう一人――あの、仮面ライダーWの変身者。


哩「退け。姫子に何ばすっと」

姫子「……お、驚いた」

730: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 01:02:44.01 ID:a935HEJ6o

 実録。暴力団の抗争。
 タイトルを付けるとしたらそんなところだろうか。北九州は無法都市と聞くし。
 こちらも、爆破や狙撃などの心配をしているし。

 目つき悪い堅気っぽくないのが一人いるし。みんな殺気立ってるし。


アンク「お前……!」

京太郎「アンク! 抑えろって!」

アンク「……チッ」


 不満げに自らを蹴り飛ばした張本人を一瞥。
 それからアンクは、背を向けた。
 カザリがからかうように肩に手を置くのを振り払って、入れ替わりで窓際へ。

 そんな二人を見て胸を撫で下ろし、改めてWとそのお供を見る。


京太郎「……よく、ここが分かりましたね」


 ある意味怪しいとしたらこの二人か。
 あの、ナスカというライダーが持っていたベルトは二人のものに近似している。
 恨みようから考えるのなら、この二人がミュージアムと繋がっているとは到底思えはしないものの、
 彼女たちがそうでなくても、情報網が巨大なら――そのどこかから漏れるのも、不思議ではない。

 そうも思える。


哩「……調べたけん」


 それきり、病室を見回す彼女たち。
 どうやら――盗聴器の警戒をしているらしい。

 それも確かめた。
 そう告げると、安心したように腕を解いた。
 というか。
 盗聴器の心配の必要をするヒーローが、どこにいるんだろうか。


 彼女たち――白水哩・鶴田姫子というらしい――の鶴田姫子が言うようには。
 京太郎を校内で見かけなかった事。
 それを不審と思って、京太郎のクラスメイトに問いかけたらしい。

 そして入院している――という事実が判明した時。
 なにがしか、ドーパントなどとの繋がりがあるかもしれない。
 そう考えて、こちらを調べたのだとか。

732: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 01:07:42.90 ID:a935HEJ6o
1:「この間のあの特徴の人物と戦いました」
2:「ミュージアムのライダー、会いましたよ」
3:「そっちの事情、教えてくれませんかね」
4:「調べたって……どうやって」

↓4

738: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 01:20:32.48 ID:Z5v+IjxSo
>>736の選択:1

京太郎「……この間の、あの特徴の人物と戦いました」

哩「!」

姫子「花田と!?」


 詰め寄ってこようとする二人を、手で制する。
 カザリとアンクも、何かあったら飛びかかれる。そんな体勢だ。


京太郎「……知り合い、なんですね。ミュージアムのドーパントと」

姫子「……それは」

哩「いいから、言え。花田ばどうした」

京太郎「だったら、黙って聞いててくださいよ。落ち着いて話せない」

京太郎「その――花田さんですか?――彼女は、ドーパントだった。恐らくはミュージアムの」

京太郎「学園生を人質に取るように俺を呼び出して、殺そうとしてきた」

京太郎「一応、何とかオーズの力で倒しましたけど……」

京太郎「ナスカ――ミュージアムのライダーに、回収されました」

京太郎「こんなところです」

アンク「……俺が居なかったら、こいつは殺されてたなァ」

アンク「生身で攻撃されたから、こうなってるんだよ」


 追撃を与えるように、或いはさっきの蹴りへの意趣返しだとばかりに。
 補足をして、攻め立てるアンク。
 声には出してはいないが、カザリだって二人を睨みつけている。
 明らかに――明確な敵対まではいかずとも――敵意をむき出しである。

 それに対し白水哩と鶴田姫子は、苦虫を噛み潰したような表情で――。


哩「すまん……っ!」

姫子「……ごめんなさい」


 京太郎が拍子抜けするぐらい。
 或いはこちらが申し訳なるぐらい。
 それぐらいの勢いで頭を下げて、そのまま戻らない。

 流石のカザリも今までの態度からは想像のできないこの行動に、あっけにとられたようだが……。
 すぐさま立ち直って。


カザリ「謝って済む問題だと、思ってるのかな?」

哩「そいは……」

カザリ「とりあえずまずは、最低でも君たちの事情は話してもらわないとね」

739: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 01:22:41.49 ID:Z5v+IjxSo
直後、白水哩&鶴田姫子の事情説明判定

1~30:最低限の事情を話す
31~70:ある程度の事情を話す
71~99:結構な事情を話す
ゾロ目:すべての秘密を話す

745: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 01:36:56.93 ID:LfQlcyFNo
>>740の判定:4(最低限)

哩「私らは、新道寺の麻雀部やった」

京太郎「……新道寺?」

哩「黙ってきいとれ」

哩「私――白水哩と」

姫子「私、鶴田姫子」

哩「他に……三人。花田もその内の一人」

哩「そいがこの学園に呼ばれた新道寺の麻雀部」

京太郎「……」


 なるほど。部活仲間か。
 しかし――その花田煌、クレイドール・ドーパントは学園に在籍してはいなかった。
 そうなると彼女の言葉とは矛盾が出てくる。

 が、ここは黙って先を促すとしよう。


哩「新道寺は九州。ここまでが遠い――そいけん」

哩「私らは、何があっても良いように早くこの学校に来とっと」

姫子「そこで――あれが、起きたとです」

哩「私たちは――知らんかったが――ミュージアムの私設に拉致ばされた」

姫子「それで訳が分からんまま、実験ばされとっとです」

姫子「メモリの適性」

哩「私たちは、その麻雀の打ち筋ば考えられて」

姫子「……詳しい話は分からんですけど、『肉体と魂の分離融合』ばされとっとです」

哩「そいで、実験が続いたある日」

姫子「チャンスがあったんで、ミュージアムの施設から脱走ばしとっとです」

哩「……他の三人ば、置き去りにして」


 ギリッと。
 自らの無念さを噛み締めるように、奥歯を擦り減らす白水哩。
 その拳は白くなって、爪が食い込み血が零れぬばかりまでに、握りしめられていた。


 ああ――。
 この二人も、須賀京太郎と同じなのだ。
 京太郎は、自分のあの日の後悔を引きずっている。
 白水哩と鶴田姫子もあの日の後悔を引きずっている。

 違うのは――怒りを向ける対象が、いるかいないかだ。

747: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 01:53:36.71 ID:MF1pbu91o

 須賀京太郎の胸に刻まれた仇は――京太郎自身と未確認生命体。
 白水哩と鶴田姫子の脳裏に焼き付く仇は――彼女たち自身とミュージアム。

 京太郎の仇は、京太郎を残してこの世にはいない。
 未確認生命体は、この世界から駆逐された。
 二人の仇は、未だのうのうと暮らしている。
 彼女たちの居場所を奪って。幸せを奪って、この街に不幸をばら撒いて。

 それにもともと彼女たちは。
 臆病な京太郎とは違って、戦う人種だったのだろう。
 故に、自らを苛みながらも――その怒りを外に向けた。


京太郎「……」

哩「やけん……。ミュージアムば倒すのは私たちぞ、私たちと新道寺の仇ば自分で取る」

哩「いつでん、復讐の事ば考えとった。人生ば奪った奴に、過去に決着ば付けんとならん」

姫子「ずっと……そう考えとっと。ドーパントば、倒して」

哩「お前は邪魔だった。仇の、横取りばされるのが許せんけん、だからああした」

哩「やけど――」

哩「――頼む!」

哩「今更都合がいい。そう思うかもしれんけど、こんな方法しかなか」

姫子「私からも、お願いします」

姫子「なんでもします。やけん、花田とライダーの情報ば、下さい」


 土下座、だった。
 それぐらい、二人は必死だった。
 これまでの諍い。自分たちの態度。
 そんなものを忘れて――いや、気が済まないなら報いを与えてもいい。
 それでも、どんな情報でもいいから欲しい、と。


京太郎「……はぁ」

京太郎「何でもするって、いいましたよね?」

757: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 02:11:09.85 ID:DdYUGCPWo

哩「する。どんな事でん、する」

姫子「復讐ばするな、仇ば取るな……そんな命令じゃない限りは」

京太郎「……んな事、言いませんよ。気持ちは俺もわかる」


京太郎(そうだ――未確認生命体がいるなら。あの日に帰れるなら)

京太郎(俺は、あいつらを一匹残らず駆逐する。何があっても――どうあっても、殺す)

京太郎(だから、気持ちは分かる)

京太郎(自分自身に決着をつける為にも、奴らに報いを与える為にも……)

京太郎(父さんと母さん、咲たちを殺したあいつらの――息の根を、残らず止める)

京太郎(奴らがのうのうと暮らしている事など、許せる筈がない)

京太郎(何故父さんたちが殺されて――アイツらが、生きているのか)

京太郎(そう思って当然だ。そんな不条理は正されねばならない)

京太郎(……だからと言って、他の全てを捨てれるかと言われたら、どうか判らないし)

京太郎(他に襲われている人がいるなら、それを助ける。繰り返さない為にも。俺と同じ思いをさせない為にも)

京太郎(でも――そうだとしても)

京太郎(俺は、そんな存在を許さない。一分一秒たりとも、息をしている事が許せない)

京太郎(だから――この人たちは、俺だ。俺なんだ)

京太郎(形が違っていたのなら、きっと俺もこうなっていた……そのはずだ)


 痛いほどわかった。その激情。
 京太郎が戦う時に、いつもの如き臆病さよりも憤怒が先に出てくるのもそのためだ。
 心底、その手の輩が許せない。未確認のような事をする奴らが。
 それも、戦う理由の一つであった。


京太郎「まず一つ」

京太郎「この間も言ったように、あんな態度はやめて下さい。無駄に敵を作るだけだ」

京太郎「まぁ……もう、改めてくれてるようでよかったっすけど」

京太郎「二つ目」

京太郎「今すぐにとは言いませんけど……」

京太郎「復讐する事よりも――誰かを同じ目に遭わせないように、人を護る事を考えて……考えられるようになってください」

京太郎「三つ目」

京太郎「ミュージアムが仇だってのは分かった。戦いたいってのも」

京太郎「だけども――敵は強大だ。だから、協力しましょう。連絡先を教えます」

764: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 02:25:23.74 ID:Kw786/1Bo

京太郎「あなたたちの反応を見るに……多分、花田さんだって俺を殺そうとする人じゃない」

京太郎「恐らくは、ガイアメモリによる汚染……そっち関係の調整だ」

京太郎「だから――メモリを砕く。ミュージアムごと」

京太郎「一先ず、そう行きませんか?」

京太郎「復讐も大事だけど、花田さんたちを助ける――そっちの方が優先、そのつもりですよね」


 二人が、頷いた。
 自分でも同じだ。
 父が、母が、咲が、優希が、和が、竹井久が、染谷まこが捉えられているのなら。
 その相手にも思い知らさねばならないが、まずは彼女たちの命を優先する。


京太郎「だから、協力しましょう。その点に関しては、できるはずだ」

京太郎「『花田さんたちを助ける』『ドーパントから人を護る』『ミュージアムを潰す』」

京太郎「この3つをやらなきゃならないのが辛いところですが、協力すれば負担は軽くなるはずだ」

京太郎「俺からの要求はこの3つです」

京太郎「逆に、そっちから何かないっすか?」

京太郎「協力関係なんだし――俺だけが、一方的に喋って終わりじゃどうにも締まりが悪いっすから」

哩「……」

姫子「……部長」

哩「……名前」

京太郎「えっ?」

哩「名前ば、まだ聞いとらん」

哩「お前の名前ば教えてほしい」

京太郎「……ああ」

京太郎「――須賀京太郎、仮面ライダーオーズ」

京太郎「よろしく!」


哩「……改めて」

哩「私は、白水哩」

姫子「鶴田姫子です。よろしくお願いするとです」


767: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 02:31:08.01 ID:Kw786/1Bo

京太郎「……あと、出来たら看病とかしてもらえると嬉しいなーって」

京太郎「あーんとかトイレまで手を貸してくれたりとか……ハハ」

哩「……姫子」

姫子「帰りましょうか、部長」

京太郎「ちょっとォォォ!!」

京太郎「……痛てぇ! 叫ぶと痛てぇ!」


 それからあわやナースコール寸前まで悶絶して。
 まあ、場の空気が砕けたのはよかったのではないだろうか。

 お互いに情報を交換した。
 ドーパント、ヤミー、イマジン、ミュージアム。
 他のライダーにも紹介する、と。

 あの、ナスカというライダー。
 彼女たちは幾度か戦った――目撃した事があるらしい。

 高速で移動する。そしてドライバーを以っていて、マキシマムドライブ――必殺技だ――を使うと。
 命からがら逃げだしていた、らしい。


 まだ、色々向こうも喋ってない事もあるだろうが。
 ライダー同士、助け合いができる。

 それは、とっても嬉しい事なのではないだろうか……。


【白水哩&鶴田姫子の好感度が上昇しました!】
【彼女たちと連絡先を交換しました!】
【彼女たちと、情報を交換しました!】

768: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 02:33:19.57 ID:Kw786/1Bo



         第9話「力と怒りと3つのカウント」



                              A-Part 終了

←To be continued...

770: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 02:43:01.74 ID:7xgdeSI6o
【須賀京太郎の交友関係】
①カザリ (←協力関係・裏切ったら殴って連れ戻すからな)
「……連れ戻す、か」 (→協力関係・役に立つ・メダル1枚くらいなら預けてもいいか)

②神代小蒔 (←協力関係・一緒に戦う仲間・心の恩人・凄いボリュームだったな……)
「あ、脚が……攣りました」 (→異性として意識・肩を並べたい)

③ウヴァ (←敵)
「お、俺のセルメダルが……! クソッ……!」 (→許さない・怒り)

④江口セーラ (←仲間・気持ちがいい性格・恩人であり師匠・あれ、可愛い……)
「……京太郎、大丈夫やろか」 (→仲間・好感が持てる人物・褒められると恥ずかしい)

⑤大星淡  (←一緒に昼飯を食べる程度の恩人・心地よいバカ)
「きょーたろー……死なないよね? 大丈夫だよね? ねえ、デネブ……?」 (→まあ、根性だけはイケてるじゃん。根性だけだけどね。あと料理も・バカ!)

⑥新子憧 (←ちょっと怖がらせすぎたよなぁ……)
「……宥姉、一緒に帰ろう」  (→警戒・正直あれって異常よね?・気の毒な……)

⑦白水哩&鶴田姫子 (←協力関係・同情)
「……オーズか」
「……バカとですかね、この男は?」 (→協力関係)

⑧アンク (←協力関係・ただし、カザリを優先するぞ?)
「……やっぱり、こいつバカだな」 (→こいつ、使えるが……バカか?)

⑨その他/ライダー関係者
 ・石戸霞  (←なんかお母さんっぽい)
 ・滝見春  (←黒糖の人)
 ・狩宿巴  (←眼鏡の人)
 ・薄墨初美 (←●女?)
 ・モモタロス (←うるさそうだな……)
 ・ウラタロス (←話が上手そうだな……)
 ・キンタロス (←『泣けるで』……?)
 ・リュウタロス (←子供みたいだな)
 ・鴻上光生  (←協力関係・気を許してはいない)
 ・伊達明  (←何で校医の人が……?)
 ・デネブ  (←なんて言うか、おかんっぽいよな)
 ・末原恭子  (←よし、間に合った!)

⑩連絡先を知らない/ライダー関係者でない
 ・鷺森灼   (←あまり、近づかないようにしてくれ)
 ・小走やえ  (←あれでいいんだ)
 ・戒能良子  (←通じてない電話に、話しかけるなんて……)
 ・佐々野いちご  (←杞憂ならそれで……いいよな)
 ・宮永照  (←俺に……近寄らないでくれ……!)
 ・松実宥  (←すみません……!)


【カザリから800年前の話を聞きました】
【カザリとスマートフォンを購入しました】
【この学園での麻雀部の事情についての情報を得ました】
【カザリから、仮面ライダーとドーパントの噂について聞きました Level.3】
【神代小蒔から、電王とデンライナーとイマジンに関する情報を得ました】
【江口セーラから、ガイアメモリとドーパント、ミュージアムと処刑人に関する情報を得ました】
【大星淡と弘世菫の口論(?)を聞きました】
【カザリから、舞姫と仮面ライダーとドーパントの噂を聞きました Level.3】
【戒能良子の一人芝居(?)を聞きました】
【大星淡が仮面ライダーゼロノスであると知りました!】
【大星淡は、ゼロノスカードを1枚消費しました!】
【小蒔に励まされました!】
【鷺森灼からお礼を受けました!】
【新子憧は須賀京太郎を警戒しました!】
【鴻上会長とセルメダルに関して取り決めた契約を変更しました!】
【宮永照に出会いました!】
【神代小蒔は須賀京太郎を異性として意識し始めました!】
【末原恭子は京太郎に好意を向けています!】
【松実宥と接触しました!】
【神代小蒔との戦いで、必殺技が使用可能です!】
【京太郎は、仮面ライダーナスカと出会いました!】
【白水哩・鶴田姫子と情報を交換しました!】
【須賀京太郎の欲望値:17】
【技能の経験+3】
【セルメダル――合計、138枚】

772: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 02:47:10.81 ID:7xgdeSI6o
(要求を)三つ数えたのは、まあ元ネタ(罪を数えろ→フィリップ・マーロウ「三つ数えろ」)的に
今のところ、サブタイの意味はそんな感じやねー

哩姫のデレが早いのは原作がそうだからってのと
自分たち以外全員殺されたと思ってたところに、すばら先輩が生存してたからやね
京太郎が許したのは、同じ立場なら自分も多分同じ事をするだろうから。あとは……まぁ


ところで全身改造とかロマンだよね
初代だと、完全に怪人になっちゃってた人の変身装置と洗脳装置を蹴り砕いて戻してたけど

786: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 03:12:59.62 ID:JCYF4kxio
【夜】

京太郎(……あの二人とも、協力できる)

京太郎(やっぱり……二人でミュージアムと戦うなんて、無茶だもんな)

京太郎(ミュージアム、か)

京太郎(俺を消そうとしてきたって事は、よっぽど邪魔か計算外だったって事だ)

京太郎(この調子で戦えば――刺客としてまた、新道寺の人が来るかも)

京太郎(或いは、あのナスカとかいうライダーも)

京太郎(そこでどうにかできたんなら……きっと)

京太郎(いや、俺を狙ってくるんなら――俺が、どうにかしなきゃいけない問題なんだよな)

京太郎(あの人たちの悩みを聞いちまって、俺にはどうにかできる力がある)

京太郎(俺には――オーズの力がある)

京太郎(俺がやらないと、あの人たちを見捨てる……その事に繋がる)

京太郎(俺が誰かを殺す事になるのは……もう嫌だ。俺のせいで誰かが死ぬのは……)

京太郎(だったら――俺が)

京太郎(俺が、戦わなきゃ……やらなきゃいけないんだ)


 ベッドにもぐって考え込む。
 早く、この傷を治さなければならない。
 一日二日で回復しないにしても、それでも――早く戦えるようにならなければいけない。

 松実宥、鷺森灼に関しては鴻上会長に連絡を取っておいた。
 ミュージアムと鴻上ファウンデーション。どこかで繋がっているかもしれない。
 だが、鴻上ファウンデーションと手を結ぶオーズに仕掛けてきたという事は、あってもそれほど協調路線じゃない。

 だから、組織に対しては、組織が心強い。

787: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 03:15:22.37 ID:JCYF4kxio
直後、判定
1~20:病室襲撃
21~40:動き出す魔の手
41~70:病院周りは平穏
71~99:平穏です

ゾロ目:特殊イベント

792: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 03:20:32.09 ID:JCYF4kxio
>>788の判定:78(平穏です)
【朝】

京太郎「こう……俺もパッと治らないかな、怪我とかさ」

カザリ「セルメダル入れてみる?」

京太郎「あー、いや。それは勘弁」


 どうやら京太郎が目覚めるより先に。点滴が交換されていたらしい。
 消化器系に損傷があったとの事なので、しばらく経口摂取は難しそうだ。
 口寂しい。


アンク「……なんだ?」

京太郎「いや、美味そうに食べてるな……ってな」

京太郎「一口欲しくなる」

アンク「自分で買え」


 にべもなく断られた。
 リンゴを齧るアンク。
 いつも、何かを口にしているような気がする。口寂しいのだろうか。


カザリ(……どういう事かな)

カザリ(ガメル、みたいな事をしているとは思えないし)

793: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 03:23:31.28 ID:JCYF4kxio
【入院生活二日目/昼】

京太郎「……暇だな」

京太郎「なんか、体動かしたくなるよなぁ……」

アンク「やめとけ、馬鹿が」

カザリ「暫くはおとなしくしてなよ」

京太郎「でもなぁ……」


1:誰かに連絡を取る/誰かに出会う
(①カザリ ②神代小蒔 ④江口セーラ ⑤大星淡 ⑥新子憧 ⑦白水哩&鶴田姫子 ⑧アンク)

2:誰かに遭遇する(怪人絡みではないキャラ)
 1~15:何事もない 16~74:誰かに出会う 75~99:イベント発生 ゾロ目:特殊イベント


※一緒に人名または番号をお書きください
>>2の場合はそのレスでコンマ判定
※連投(同一人物・同一ID)や条件以外の場合は安価上か安価下


↓3

801: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 03:34:32.81 ID:JCYF4kxio
>>797の選択:1(セーラ) ※をよく読もう! 怪人絡みは無理だ! ゲロで下にずれる!

京太郎「あー」

京太郎「Wの人たちとも知り合ったし……また色々迷惑かけちゃったし」

京太郎「セーラさんにも連絡しておいた方がいいよな」


 携帯電話をプッシュ。
 ああ、そう言えば。アンクにもスマートフォン買ってやった方がいいか。
 ここから出たら、買ってやらないとな。


京太郎「――もしもし? セーラさんですか?」

セーラ『ああ、京太郎か』

セーラ『色々大変やったって聞いたけど……忙しくて、そっちに行けへんですまんな』

京太郎「いやあ、しょうがないっすよ」

京太郎「でも、セーラさんが看病してくれたら全快する……かも」

セーラ『なっ!?』

セーラ『あ、アホ! 何ゆうとるんや!』

セーラ『恥ずかしいわ……』

京太郎「ハハハ……でも、本当にすみません。色々と迷惑かけちゃったみたいで」

セーラ『気にせんでも、ええわ』

セーラ『その……な』

セーラ『俺たち、仲間やないか。そういう、水臭い抜きで頼む』

京太郎「そうでしたね」

セーラ『それで、今日はどうしたんやー?』

京太郎「ええ、実は――」


 Wと出会った事。
 Wが、自分の麻雀部の部員を助けたいと思っている事。
 その為にミュージアムと戦うつもりである事。
 Wに変身するその人と、協力関係になった事。

 それらを、話した。


セーラ『部員の為……か』

京太郎「まあ、話してくれるまで色々ありましたけど……気持ち、よく分かりますからね」

セーラ『京太郎も、そういう事あるんか?』

京太郎「いやー、まあ……」

806: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 03:38:34.38 ID:JCYF4kxio
1:「いや……まあ、誰でも同じ事になったらそう思うんじゃないですか?」
2:「それより、セーラさんはどうして戦ってるんですか?」
3:「俺、仲間がそうなったら……復讐しますよ。絶対」
4:「護りたいもの。護りたかったもの……そんなの、誰にでもありますから」

↓4

813: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 03:52:39.47 ID:Tp+VhvKto
>>810の選択:3

京太郎「俺、仲間がそうなったら……復讐しますよ。絶対」


 父親が、母親が、宮永咲が、片岡優希が、原村和が、染谷まこが、竹井久が。
 カザリが、アンクが、神代小蒔が、江口セーラが、大星淡が、新子憧が、白水哩が、鶴田姫子が。

 そんな目に遭って――そして。
 相手が生きているのならば。間違いなく、そいつらの五体を引き裂き、首を破壊する。


 思ったよりも軽い口調であったが。
 自然と、胸のあたりを握る手に力が入る。
 想像しただけで――止め処ない怖さと怒りが湧き上がってくるのだ。

 自分自身を許せない/離れてしまうのが怖い/会えなくなるのが恐ろしい。
 相手を殺さねばすまない/生きている事が認められない/因果を応報させなくてはならない。

 確実に――そう、確実に。
 報いを与えてやらねばならない。然るべき報いを。


セーラ『……意外やなぁ』

セーラ『京太郎、あんまり物事に拘らんタイプかと思ってたけど』

京太郎「そんな事ないですよ」

京太郎「いっつもくだらない事考えてますし、色々悩んでますし……」

京太郎「それに……』

京太郎『仲間は――くだらない事なんかじゃ、ないですからね」

セーラ『まあ、そうやなー』

セーラ『……それにしても』

セーラ『危なっかしい、奴やな……』


京太郎「ん、今何か言いましたか?」

セーラ『ん?』

セーラ『いや、そうなら猶更殺されてはやれんなーって』

セーラ『京太郎がそうなるんやったら、俺が死ぬわけにはいかんやないか』

セーラ『せやから、俺は京太郎の為にも死ねんなって』

京太郎「……死ぬとか、言わないでくださいよ」

京太郎「悲しく、なりますから……心配しちゃいますから」

セーラ『ん? 心配すんなって』

セーラ『俺は死なん。不死身の江口セーラや』

815: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 04:00:58.19 ID:Tp+VhvKto

セーラ『だから、安心してももっと頼ってなー』

セーラ『お前ひとりで抱えきれん荷物でも、俺が背負ってやるから』

京太郎「ハハッ、セーラさんらしい」

京太郎「……本当、絶対死なないでくださいよ」

京太郎「あなた一人の、命じゃないんですからね」

セーラ『……あぅ』

セーラ(その言い方、まるで夫婦やないか……)

セーラ(ふ、ふふふふふふふふふふ夫婦!?)

セーラ(アカンアカン! 早い! まだ、早いやろそれは!?)

セーラ(あぅぅ……あうぅぅ)

京太郎「……?」

京太郎「セーラさん、どうかしました?」

セーラ『ななな……なんでもないわ、アホ!』

京太郎「アホって……」

セーラ『アホはアホや! 京太郎のスケベ! 変態!』

京太郎「えっ、俺、そこまで罵倒される事言いました!?」

セーラ『知らんわ、この阿呆!』


 それっきり、電話が切られた。
 まあ、恐らくは……そろそろ授業の時間に差し掛かるためだろう。
 尚、どこかで収穫を逃してしまった眼鏡のT・Sさんが「次は京セラ新婚もの……」と腐念を発していたのを、
 京太郎とセーラはアギトばりの超感覚で悪寒としてとらえ、震えあがった。


セーラ(……京太郎がそんなタイプやったなんて)

セーラ(俺が、しっかり面倒見てやらんとな……)

セーラ(アイツ、自分を追い詰めて破滅しそうなタイプなんやなぁ)


【江口セーラの好感度が、ぐーんと上がった!】

819: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 04:09:37.44 ID:Tp+VhvKto
【放課後】

京太郎「……なんであそこまで怒られたのかわかんねー。なんにもわかんねー」


 仲間がいなくなったら――いなくなることに耐えられない。
 仲間が死んだら――もうそんな事は起きてほしくない。
 仲間が殺されたら――――そうなった原因を許せない。

 それは、須賀京太郎の本音だ。


 思えば……本音と言うのは。
 あまり、誰かに打ち明けた事はなかったかもしれない。特にこういう方面に関して。
 精々がカザリだろうか。

 そう考えるのなら。
 大分、江口セーラとは打ち解けてきたのだろう。


 ――が、故に。

 彼女を失う事となっては……きっと、耐えられない。
 それほどまでに彼女は京太郎の中でも比重が大きくなってきているのだ。



1:誰かに連絡を取る/誰かに出会う
(①カザリ ②神代小蒔 ④江口セーラ ⑤大星淡 ⑥新子憧 ⑦白水哩&鶴田姫子 ⑧アンク)

2:誰かに遭遇する(怪人絡みではないキャラ)
 1~15:何事もない 16~74:誰かに出会う 75~99:イベント発生 ゾロ目:特殊イベント


※一緒に人名または番号をお書きください
>>2の場合はそのレスでコンマ判定
※連投(同一人物・同一ID)や条件以外の場合は安価上か安価下


↓3

824: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 04:22:20.47 ID:h+msOm9Io
>>822の選択:1(大星淡)

 ――それは。

 唐突に、やってきた。


淡「きょーたろー!」


 勢いよく開かれるドア。手すりを兼ねたドアノブにぶつかって吹き飛ぶアンク。
 後ろから聞こえるデネブの声――「淡、廊下を走っちゃいけない!」=注意。

 ドアを開けて室内に入るなり、京太郎の胸倉を掴み上げる淡。
 そのまま、前後に揺さぶられる。
 これは質問ではなく尋問だ。尋問ではなく拷問だ。

 糖が足りない頭が、ぐわんぐわんと揺れる。
 ひょっとしたら傷口が開くかもしれない。


淡「大丈夫!? 生きてる!? 死んでないよね!?」

京太郎「……今大丈夫じゃなくなったし、死にそう」

淡「……ぁ、ごめん」

京太郎「……冗談だよ。俺は元気だ」

京太郎「正直酔って戻しそうだけどにゃ」

淡「にゃ!?」


 と思ったけど、胃の中身はないんだったか。
 良かった。この状況で戻したら壮絶なトラウマ確定であろう。
 ……少なくとも、呂律が回らなくなったんだし。

 そういう意味とか。
 たとえば振り回されたせいで、傷口が開いてしまったなら。
 多分、淡が気にするだろうから……こんな言い方してしまったけど。
 やはり、相手が自分が原因で暗い顔をするのは――見ていて気分がいいものではない。

 どうにも以前の人間関係――片岡優希――に似ているものがある為、そのあたりの接し方がおざなりになるが。


京太郎「つーか今お前、『きょーたろー』って」

淡「……あ」

淡「ごめん、やだった?」

京太郎「いや、別に良いって……俺も淡って呼ぶ事にするから」

淡「ちょっと、気安く呼ばないでよ!」

京太郎「えっ? 怒るの!?」



827: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 04:32:16.81 ID:h+msOm9Io

淡「……冗談。でも怒ってるのはホント」

淡「生身で怪人と戦うなんてバカじゃないの? 心配したんだよ?」

淡(できるなら、昨日すぐに来たかったけど……)


京太郎「……馬鹿、って言われてもな」

京太郎「それしか、出来ない状況だったわけだし……」

淡「それでもバカ。どう考えてもバカ」

アンク「あぁ……馬鹿だな」

カザリ「どう考えても馬鹿だね」

京太郎「俺、総攻撃かよ!?」

淡「だって弱いし……」

アンク「馬鹿だもんな」

カザリ「直ぐボロボロになるしね」

京太郎「……なぁ、怒って良いか?」

淡「だってホントじゃん」

アンク「事実だろ」

カザリ「それ以外に言いようがないよね?」

京太郎「クソッ……どうして病人をこんなに攻撃するんだよ。ひでーヤツらだ」


京太郎「それになぁ」

京太郎「俺、あの時より強くなったんだぜ? だからいつまでも弱い弱い言うなよ」

淡「だって私より弱いもん」

淡「私、かーなーり強いから」

京太郎「そりゃあ……あれを見てれば分かるけどよ」


 既にこちらが戦っていたとはいえ。
 見事な手際で、イマジンを撃破したのだ。一方的に。
 おそらく、今の京太郎よりも――まだ強い。


淡「それで、体大丈夫なの?」

京太郎「……ああ、大丈夫だって」

淡「ホント?」

828: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 04:35:34.00 ID:h+msOm9Io
1:「そういう、お前の方こそ大丈夫なのかよ?」
2:「大丈夫だって。シイタケ食ってやる約束してるしな」
3:「ああ、心配すんなよ。お前が戦わなくても……大丈夫だからさ」
4:「あれ、そんなに心配してくれるのか?」

↓3

832: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 04:40:47.81 ID:h+msOm9Io
>>831の選択:1

直後判定
1~20:「ん? あはは、私は大丈夫だよ? きょーたろーより、強いからさ」
21~40:「……うん、大丈夫だよ。昨日、お見舞いに来れなくてごめんね」
41~70:「……実はね」
71~99:「ん? ノートならちゃんと取ってあげてるよ?」
ゾロ目:あわあわ先生。まさかの全て打ち明ける

836: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 04:49:47.55 ID:y8Uwp9ako
>>833の判定:68

京太郎「そういう、お前の方こそ大丈夫なのかよ?」

京太郎「俺の方は無事だけどさ、お前は……何かなかったのか?」

淡「……」

淡「……うん、実はね」

淡「ホントは……昨日、きょーたろーのお見舞いに来てあげたかったんだけどさ」

淡「ちょっと、戦ってて……無理だったんだ」

淡「ゴメンね」

京太郎「――ッ」

京太郎「俺が……俺が、いなかったせいか……?」

京太郎「それとも、お前もミュージアムから!?」

京太郎「お前、怪我は!? 戦いたくないって、言ってなかったのか!?」


 大星淡から告げられた事実に。全身の毛穴が慄き、肌が粟立った。
 口腔が渇き、冷や汗が流れる。
 手元が、カタカタと震えた。思考が回らずに。怒鳴りつけるように、思いついた言葉を発した。


 須賀京太郎が――倒れていたから。
 だから、大星淡は戦わなければならなくなった?

 須賀京太郎と接触してしまったから――。
 だから、大星淡は狙われた?


 それは――そんなのは。
 やめてくれ……耐えられない……。

 自分が、こいつを危険に晒してしまったなんて。
 自分のせいで、こいつがあれほど嫌がっていた戦いに身を投じなければならなくなったなんて。
 そんな……そんな事。
 そんな事があったら――どうすればいいんだ。
 どうやって、責任を取ったらいいんだ……。


淡「……」

839: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 04:52:11.95 ID:y8Uwp9ako
直後、コンマ判定
1~20:ミュージアム
21~40:ドーパント
41~70:イマジン
71~99:ヤミー

ゾロ目:グリード
グリードなら、コアメダル奪取

845: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 05:11:14.12 ID:6KO76Yj1o
>>840の判定:77(グリード)

淡「……前にきょーたろーが言ってた、グリードってのと戦った」

京太郎「グリード……!?」

京太郎「お前、それで無事なのか? 怪我はないか!?」

淡「……はい、これ」


 そして。
 淡から手渡される――2枚のコアメダル。
 青色のコア。シャチとタコだった。


アンク「……女、お前中々使えるな」

カザリ「まさか……メズールからコアを奪うなんてね」


 これには、カザリとアンクが驚いた。いや、喜んだ。
 勿論京太郎もそうであるが――それにしても。

 メズールのコアは、8枚。つまりグリードで一番手ごわいであろう相手だったはずだ。
 そんな相手と戦って――淡は、無事なのか。
 それに彼女は、戦いを嫌っていた。
 それなのに、戦いをさせてしまうなんて……。


淡「……きょーたろー」

淡「言っとくけどね、きょーたろーより私の方が強いから心配するなんて筋違いだし」

淡「むしろ、あの場面にきょーたろーがいるよりも、私一人で戦った方がよかった」

淡「それに……私、ぴんぴんしてるじゃん。普通に考えたら、怪我なんてしてるわけないでしょ」

淡「もっと落ち着きなよ」

京太郎「……でも、お前」

京太郎「戦うのが嫌だって……そう言ってたじゃないかよ」

淡「……」

淡「……なんできょーたろーがそれを知ってるのか知らないけどさ」

淡「確かに、私は戦うのが嫌だった。なんで私が戦わなくちゃならないのって……そう思ってた」

淡「でもね……」

淡「私にも、戦ってもいいかなって。守ってあげてもいいかなって」

淡「そう思えるようにも……なったんだよ?」

淡「それともきょーたろーはさ」

淡「そんな、私の気持ちを無視して――戦うなって、引っ込んでろって言うの?」

846: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 05:21:20.25 ID:6KO76Yj1o

京太郎「ぁ、違――っ」

京太郎「それ――は」

京太郎「……俺は、ただ」

京太郎「……」

淡「……」

淡「……ごめん。言い過ぎた」

淡「でも、私の気持ちはホントだから」

淡「別に、戦いが好きじゃないし……やっぱり嫌だけどさ」

淡「私、戦う事には――不満はないよ?」

京太郎「……」

淡「……だからさ」

淡「きょーたろーが、そんなに背負わなくてもいいの」

淡「きょーたろーは、私の心配をするよりも……自分の体の事、考えなよ」

京太郎「……背、負う?」

淡「……」

淡「……とにかくっ」

淡「京太郎は弱いんだから、まずは自分の体の心配をしなさい! 以上!」

淡「ノートはちゃんと睡眠学習で取ってあげてるから、心配しないでさ」

京太郎「……それ、取ってるって言えない、だろ」

淡「とーにーかーくー」

淡「きょーたろーは休んでればいいの! それで、また私とお昼をいっしょにすればいいの!」

淡「次会う時は、私が好きなおかず作って会いにくればいいんだってば」

京太郎「……あ、ああ」

淡「それじゃーねー」

淡「おやすみだにゃ」


 ちょっと悪戯っぽく言って。
 大星淡は、病室を立ち去った。


【シャチ・コア、タコ・コアを手に入れました!】
【大星淡の好感度がぐぐ~んと上昇しました!】
【大星淡が、ゼロノスカードを2枚消費しました! 合計3枚!】

849: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 05:29:28.86 ID:6KO76Yj1o
【須賀京太郎の交友関係】
①カザリ (←協力関係・裏切ったら殴って連れ戻すからな)
「……ゼロノス、か」 (→協力関係・役に立つ・メダル1枚くらいなら預けてもいいか)

②神代小蒔 (←協力関係・一緒に戦う仲間・心の恩人・凄いボリュームだったな……)
「まずは柔軟から始めないと……」 (→異性として意識・肩を並べたい)

③ウヴァ (←敵)
「お、俺のセルメダルが……! クソッ……!」 (→許さない・怒り)

④江口セーラ (←仲間・気持ちがいい性格・恩人であり師匠・あれ、可愛い……)
「……京太郎も危ういやつやな」 (→仲間・好感が持てるが心配な人物・こいつの為にも死ねんな)

⑤大星淡  (←一緒に昼飯を食べる程度の恩人・心地よいバカ・お前……)
「……これは、私がやりたい事だからさ。守られるより、守りたいんだ」 (→京太郎だけに背負わせない・今度のお昼楽しみにしてるよ?)

⑥新子憧 (←ちょっと怖がらせすぎたよなぁ……)
「……オーズ、大丈夫なのかな」  (→警戒・正直あれって異常よね?・気の毒な……)

⑦白水哩&鶴田姫子 (←協力関係・同情)
「……花田たちば救う」
「……はい、部長」 (→協力関係)

⑧アンク (←協力関係・ただし、カザリを優先するぞ?)
「……バカの周りには、使える奴が集まるのか?」 (→こいつ、使えるが……バカか?)

⑨その他/ライダー関係者
 ・石戸霞  (←なんかお母さんっぽい)
 ・滝見春  (←黒糖の人)
 ・狩宿巴  (←眼鏡の人)
 ・薄墨初美 (←●女?)
 ・モモタロス (←うるさそうだな……)
 ・ウラタロス (←話が上手そうだな……)
 ・キンタロス (←『泣けるで』……?)
 ・リュウタロス (←子供みたいだな)
 ・鴻上光生  (←協力関係・気を許してはいない)
 ・伊達明  (←何で校医の人が……?)
 ・デネブ  (←なんて言うか、おかんっぽいよな)
 ・末原恭子  (←よし、間に合った!)

⑩連絡先を知らない/ライダー関係者でない
 ・鷺森灼   (←あまり、近づかないようにしてくれ)
 ・小走やえ  (←あれでいいんだ)
 ・戒能良子  (←通じてない電話に、話しかけるなんて……)
 ・佐々野いちご  (←杞憂ならそれで……いいよな)
 ・宮永照  (←俺に……近寄らないでくれ……!)
 ・松実宥  (←すみません……!)


【カザリから800年前の話を聞きました】
【カザリとスマートフォンを購入しました】
【この学園での麻雀部の事情についての情報を得ました】
【カザリから、仮面ライダーとドーパントの噂について聞きました Level.3】
【神代小蒔から、電王とデンライナーとイマジンに関する情報を得ました】
【江口セーラから、ガイアメモリとドーパント、ミュージアムと処刑人に関する情報を得ました】
【大星淡と弘世菫の口論(?)を聞きました】
【カザリから、舞姫と仮面ライダーとドーパントの噂を聞きました Level.3】
【戒能良子の一人芝居(?)を聞きました】
【大星淡が仮面ライダーゼロノスであると知りました!】
【小蒔に励まされました!】
【鷺森灼からお礼を受けました!】
【新子憧は須賀京太郎を警戒しました!】
【鴻上会長とセルメダルに関して取り決めた契約を変更しました!】
【宮永照に出会いました!】
【神代小蒔は須賀京太郎を異性として意識し始めました!】
【末原恭子は京太郎に好意を向けています!】
【松実宥と接触しました!】
【神代小蒔との戦いで、必殺技が使用可能です!】
【京太郎は、仮面ライダーナスカと出会いました!】
【白水哩・鶴田姫子と情報を交換しました!】
【江口セーラが京太郎の歪みに気付きました!】
【大星淡は、ゼロノスカードを3枚消費しました!】
【須賀京太郎の欲望値:17】
【技能の経験+3】
【セルメダル――合計、138枚】

870: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 17:14:51.13 ID:8z11XtDPo
スマートブレイン学園の出資者はねー
スマートブレイン、鴻上ファウンデーション、ゼクト、人類基盤史研究所とかかな

まあ、オルフェノクとかワームとかアンデッドは別のストーリーだと登場しないから安心していいよ



ちなシャウタとプトティラ

《シャウタコンボ》
 ATK:45 DEF:45
・毎ターンの消費スタミナ+5。レンジ:至近~中距離
・水棲の王:戦闘判定+10。10以下の戦闘ダメージを無効化
★スキャニングチャージ:使用宣言時、戦闘判定-10。判定成功にて、『ATK+10+秒数の合計+コンマの合計』の固定HPダメージ。DEFにて減衰可能

《プトティラコンボ》
 ATK:55 DEF:55
・成功するまで変身の度に暴走判定をする。レンジ:至近~遠距離
・恐竜の王:戦闘判定+15。飛行を得る
・欲望の破壊者:コンマゾロ目時、またはダメージゾロ目時に相手のコアメダルを破壊する
・メダガブリュー:与える全てのダメージに秒数のどちらか大きい方を上乗せする
★プトティラノヒッサツ:使用時の戦闘判定-10。判定成功にて90の固定HPダメージを相手に与える。DEFによる減衰が可能
★スキャニングチャージ:使用宣言時、戦闘判定-10。判定成功にて、『ATK+15+秒数の合計+コンマの合計』の固定HPダメージ。DEFにて減衰可能

880: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 17:33:39.31 ID:8z11XtDPo




       Interlude 「アンクと少女と無理心中」




881: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 17:38:23.68 ID:8z11XtDPo









 ――トリさんが赤いからかな。青くないとだめなんだね……。





882: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 17:54:35.33 ID:tYZmk4Bpo

 いつの日か、そう言われた事を。
 アンクは、ハッキリと憶えている。

 グリードは夢など見ない。思い出す事はあっても、人のように夢などを見やしない。
 だからこれはアンクの、記憶に明確に刻まれた言葉なのだろう。


「……俺は」


 現代に目を覚ましたグリード=アンクは、まず戸惑った。

 コアメダルを奪われて。
 決して満たされないグリードとしてこの世に現れてから。
 かつて存在していた美しい羽は失われて、アンクの体はごつごつとした、見る影もない醜悪なものと化していた。

 岩を砕くどころか何を啄む事もできなくなった嘴。
 美しいものを収める事すらできない瞳。
 太陽まで羽ばたく事ができない羽。

 どれも屈辱だった。悲しかった。以前のような己の姿とは違うそれが。

 だが――しかし。
 今の彼は、それよりも酷い。
 そんな嘴や目すらなく、翼と言うなら手の甲にあるただのシンボルがごときそれのみ。
 鳥の王ですらなく、おまけにグリードですらない。
 アンクは、ただの右腕だけの存在としてこの世に復活したのだ。


(なんだ……これは。俺は、どうしたんだ……)


 怒りよりも戸惑いが勝った。
 グリードの姿を気に入っていた訳ではない。むしろ、不満しかなかった。
 それでもこの――今の身体に比べるのなら、遥かにマシであろう。

 どうすればいいのか判らない。
 何故己の身にこれが起きたのかさえ知れない。

 ただ一つ、言える事がある。
 王によってコアメダルを奪われ封印されたアンクは、何らかの要因でこの世に舞い戻った。
 然るに、他のグリードも目覚めるであろう。

 今のこの体では、他のグリードに対抗はできない。
 裏切り者。彼らはそう考えているはずだ。アンクの事を。
 アンク自身はそもそも誰に加担した訳でもないと考えているが、同時にまた、己が裏切り者である事を自覚している。
 ただ、だからと言ってのうのうとやられる訳には行かない。

 セルメダルをすべて失って、仮初めの肉体が崩れ去ったとしても。
 アンクたちグリードは死ぬ事がない。そもそも生きてはいないのだから。
 ただ、その一枚のコア。意識が宿ったコアの内で。
 永遠に欲望が満たされる事のない悪夢――地獄を見るだけとなる。


(そんな事は、御免だ)


 故に手近に存在していたメダルを数枚掴むと。
 アンクは、他のグリードが目覚めるよりも先に、その場から逃げ去る事を決意した。

883: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 18:08:49.28 ID:tYZmk4Bpo

 アンクがその場にいない事で。
 別のグリード内の裏切り者、カザリに対する糾弾が起き。
 そしてその過程で、隠されていたアンクのコアが目覚め。新たなる人格が誕生した事など、知る由もない。
 ただ、アンクは逃げ出した。
 それだけだ。

 他のグリードに見つからないように息を潜めながら。アンクは、己自身の事を考えた。
 他のコアがどこにあるのか。それが分からない。
 それでもせめて、セルメダルさえあれば、あの体になれるかもしれない。

 そう考えて、ヤミーを作ろうか。
 試してみたが、それも上手くはいかない。
 炎を出す事もままならない。翼など、言わずもがな。
 どうやら――アンクの持つ大半の機能は、使えなくなってしまっているらしい。


 かつて奪われた己の力に比べるのならば。
 こんな事は、些事である。どちらにせよ満たされないグリードである事には変わりない。
 ただ、今のアンクは脆弱そのものであった。

 己のコアメダルを取り戻す。セルメダルを集める。
 そうは考えたものの、具体的な手段など思いつかない。
 オーズの力があり、或いはその装着者がいるのなら別だろうが。
 アンクが気付いたその時には、他のグリードの復活も開始されていた。
 故に、オーズのベルトを持ち去る暇さえなかった。


(俺は……)


 落とす肩すらもない。
 ただの右手。己は今やそれでしかないのだ。
 惨めだった。
 かつて大空を翔け、すべての鳥類から尊敬と畏怖の眼差しを向けられた――そんな姿など、どこにもない。
 この、大きく変化した環境の中。
 アンクは、一人で放り出されたのだ。脆弱なグリードとして。


「……トリさん? お化け? 右手?」


 そんな時だった。
 唐突に、声がかけられたのは。
 幼い声であった。見れば――この姿でもものを見れる――そこに居たのは、赤い髪の少女。
 小さい。
 元々少女であるというのもあるが、十分な栄養を与えられていない。
 そう判断するに足るものである。

 アンクに怯える訳でもない。
 目を輝かせて。どちらかと言えば、興味深々と言った様子で。
 馬鹿な人間なのだろう。ただ、目は見えているようだ。


「……俺は鳥じゃない。お化けでもない」

「じゃあ、右手のトリさん?」

「……うるさい。あっちへいけ」

884: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 18:23:02.31 ID:UvvbdlgRo

「ちょっと、モモ! どこいってるのさ……って、化け物!?」


 もう一人。その少女を探して現れた、勝気な目の少女。
 髪の色から察するに、アンクに声をかけた少女の姉であろう。
 こちらは、アンクを見て驚いていた。これが正常な反応だと思った。
 それにしても、騒がしい。


「あんた……あたしの妹に、何する気なんだよ」


 それからその少女はアンクから妹を遠ざけるように間に立ち、その背に庇う。
 グリードという事は知らなくとも、化け物を見たのだから、これが当然の反応だろう。
 それにしても、やはり人間と言うのは煩わしい。
 それでも今の自分では、こんな人間一人の相手をするのも不可能に近いであろう。


「俺に用はない。お前の妹から話しかけてきたんだ」

「う、腕が喋った!?」

「……俺は腕じゃない」


 噛み殺すようにそう呟く。
 だが実際、今のアンクはただの腕だ。
 羽ばたく事もできず、天に上がる事もできず、ヤミーも作れず、炎も出せない。
 ただの右腕だった。
 王でも、グリードですらもない。


(なんなんだ、俺は……。俺は、どうなっているんだ)


 頭の中で繰り返しても、答えなどない。
 ただ、今のアンクは弱い。それは確実である。
 このまま、この場に居たのなら――目の前の少女に、破壊されるだろうちっぽけな存在。

 立ち去るか。

 逃げてばかりと言うのが、アンクのプライドに障る。
 だが、以前の王の如きプライドがあってもしょうがない事だし。
 自分自身、その点では後先を考えない人間を見習ってもいい――そう過去に考えていた。
 ここでまた、コアだけの存在になっても仕方がない。
 故にアンクはその場を後にしよう。そう思った。

 その時だった。


「トリさん、お家がないの?」

「ちょっと、モモ……!」

「だったら、一緒に来ない?」


 先ほどの少女から差し出される、右手。
 しばし考えて、決めた。今の自分では――逃げ惑うのすらうまくいかないのだと。

885: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 18:38:49.55 ID:jFdqGdC6o

 彼女の姉は渋ったものの。
 それでも妹が引かない事を見るに、やがて折れた。

 自分たちの前以外では決して姿を現さない。

 それを条件に、アンクは彼女たちの家へと連れて行かれる事になった。
 勝手なもんだ、バカバカしいとも思う。
 それでもこのまま他のグリードから逃げ続けるのも難しいので、精々利用してやろう。そう考える事にした。


 この時代の基準と言うのは分からないが――。
 アンクから見て、その家は貧しい家だった。
 昔過ごしていた時代の下級民の暮らしとそうは変わらないような生活。
 あの二人が痩せているのも道理である、そう思った。

 どうやら、この家は教会であるらしい。
 ただ、寂れていた。
 かつてアンクと他のグリードが、あの“王”と戦った場所のように。


 そしてやはり人間は愚かだな、と思った。
 この姉妹の父親は、とんでもない愚物であったのだ。
 人の世を憂いて、新たな教義を追加した。それが故に、元の教会から破門になったらしい。
 実に愚かで――詰まらない悪人だ。

 アンクは鳥の王であった頃、全ての鳥を束ねていた。
 弱き者は生きるために、強き者の庇護を必要としていたのだ。
 そしてアンク自身、それに大して不満はなかった。彼らを護る事に。

 この姉妹の父親と言うのは、無自覚の悪人であった。
 ただのそれよりも、なお性質が悪い。言うなれば、この世で最も邪悪であろう。
 自分は正しい事をしていると思っている。
 そしていつか自分が報われる――今、何故、そんな自分が報われないか――とも考えている。
 くだらない類の、屑だ。


 王である――或いは仲間で在ったり、父親であるのならば。
 まずは、己の下の者を護るべきなのだ。己を必要とするものを。
 故に王は民を護る。盟約を誓ったものを護る。
 もしアンクに子供がいるのなら、王としての責務と同時に、その子供を全力で守ったであろう。

 だが、この男は違う。
 己を求めているとも限らない人々の為に、勝手に思い込んで行動をする。
 挙句に――真に自分を必要とする、子供や家族を置き去りにして。

 自らが蒔いた種に手を加えず踏みにじり、それ以外に――己のやりたい事にばかり目を向ける。
 それでいて善人面をしているのだ。
 これまで見た人間の中でも、最上級に愚かしい類の存在である。
 悍ましさこそ覚えはしないが、心底この男を、アンクは侮蔑した。


(やはり、人間は愚かだ)


 それを信じる家族も。
 ただの、馬鹿の集まりとしか思えなかった。
 実際、洗脳でもされているような阿呆の類なのだろう。

 親を選べない――子供を除いては。

886: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 18:56:19.17 ID:jFdqGdC6o

「どうしたの、トリさん? お腹すいたの?」


 かと思えばこの子供のように。
 自らが飢えて居ながらも、その食物を差し出すものがいる。
 こちらは、自分に責任はない。もっと救われたいという欲望を抱いても、良いのではないだろうか。
 そう思うほどに。
 人間は不思議だな、と思った。


「……いらん。お前が食え」

「トリさん、お腹すかないの?」

「俺に食事は必要ない」


 それは真実であった。
 グリードは、何を食べても味と言うものが感じられない。
 味だけではない。光も、音も、臭いも、感触も……何もかもが狂っているのだ。
 故に満たされない。
 永遠に満たされる事がない存在、それがグリードなのだ。


「ふーん。じゃあ、お腹すいたら言ってね」


 幼いのか、理解していない風に感じる。
 そんな少女を眺めながら、やはりアンクは、己が満たされない存在となった事。
 今やそんなグリードですらない事を、恨んだ。

 夢で見た――かつて満たされていたときに――風景を手に入れる。己が失ってしまったものを取り戻す。
 アンクは、改めて自分自身にそう誓った。
 そのためには少なくとも己のコアメダル。セルメダルが必要だった。


(かならず、手に入れてやる)


 右手を握りしめる。
 まずはこの世の中に対応しなければならない。
 そして、いるのならオーズを。或いは、オーズのベルトを手に入れなければならない。
 あのような王ではなく。アンクのメダルを集めを助けるような存在を。



 それからアンクは調べた。
 オーズがこの世に再び出現した事。
 それを行ったのは、あのカザリである事。
 どうやら、カザリと協力して奴のメダルを集めようとしている事。
 そして――己のコアメダルが、新たな人格を持ったグリードを成立させている事。

 あの姉妹の家で雨宿りをしながら、アンクは、そんな情報を集めていった。
 ある日だった。


「お前、何か欲望はないのか?」

887: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 19:10:53.02 ID:jeF1lElMo

「欲望?」

「……やりたい事や、欲しいものなんかだ」


 ある夜だった。
 しきりに話しかけてくる少女に辟易しながら、アンクは問いかけた。

 もし自分がヤミーを作り出せるようになったのなら。
 その時は、この少女の欲望を叶えてやってもよいかもしれない。
 一宿一飯の礼と言う訳ではないが、そんな風に思っていた。


「えーっと……ね」

「なんだ?」

「お姉ちゃんとかお父さんの話してること、むずかしくてよくわからないけど……」

「……」

「また、みんながお腹いっぱい食べれて。それで、みんな笑ってくれたらいいな」

「……そうか」

「うん、トリさんも一緒だよ? りんごとか、食べようね」


 こんな状況でまで、他人の心配か。
 そう思ったが、口には出さなかった。

 ヤミーを作れるようになったのなら、この少女の欲望を叶えてやろう。
 今度は失敗などしないで。
 望むだけ、腹いっぱいに食わせてやる。
 アンクは、己自身に誓った。


(その為にも、コアが必要だ。俺のコアが……)


 それからアンクは、少女たちの家を離れて。
 己のコアを探す事に集中した。

 あのオーズ。カザリが何故未だ素直に従っているのか分からないが、鍵はあのオーズだ。
 これまで以上に、オーズへの注意を深めた。
 奴と出会う人間、その全てに注目する。
 そうしていればもしかしたら、己のメダルに巡り合う機会が増えるかもしれない。


「カザリ、だから半分持ってくれって」

「君が買ったんでしょ? 僕は食べるなんて一言も言ってないし」

「そりゃあ、そうだけどよ……お前、まだ気が向かないのか?」

「そうだね。君がもっとメダルを集めてくれたら、分からないけど」

「あー。分かった、分かったって」

888: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 19:25:52.37 ID:vRzTTrYJo

 買い物袋を抱えて歩く、カザリとオーズ。
 オーズは、相変わらず間抜けな面をしている。先代のオーズ――“王”とは大違いだ。
 だからこそカザリの事を、信用している風でもあるのかもしれない。

 カザリも何故、おかしな行動をしないのか気になった。
 だが、きっと、アンクと同じ理由であろう。そうでなければオーズの復活など許すはずがない。
 カザリは慎重――言い換えれば臆病なのだ。
 よほど追い詰められた。であるがゆえに、オーズの封印を解除した。

 恐らくは。
 そのメダルが十分に集まりきったのなら。
 オーズを殺して、他のグリードのコアメダルを奪う。それぐらいはする奴だ。


(その前に……なんとしても俺のコアを集めなければ)


 ますますアンクの置かれた立場は悪くなった。
 カザリのコアが集まる前に、自分のコアを集める。
 しかし、あの別の自分は――グリードの群れの中に入っている。

 どちらにしてもオーズが必要だった。
 なんとしても自分のコアを手に入れ、カザリのコアメダルを得て復活を阻止し、そして、オーズと交渉しなければならない。


 あのオーズが出会っていた人間を辿り、また後を追って……。
 何枚かのついでと一緒に、ようやく、自分のコアメダルを1枚取り戻した。
 そんな日の事だった。

 アンクは上機嫌だった。
 自分のコアのみならず、カザリのコアや他のグリードのコアも手に入れられた。
 うまく使えば、オーズとも交渉ができる。
 あとは、タイミングだ。

 そして、しばらくぶりにあの少女たちの家に戻った。
 心なしか、いつもよりも雰囲気が明るい。
 食卓に並ぶ料理の数も、いつもより遥かに多い。
 何があったのか、そう思った。


「あ、トリさん……どこ行ってたの?」

「……別にお前には関係ないだろ。それより、どうした?」

「えーっとね、お父さんの話を聞きたいって人がいっぱい来たんだー」


 不思議な事があるものだ。

 この時アンクは、そう思った。
 ただ、オーズを調べるうちに分かったのだが。やはり人間の欲望と言うのには変わりないし。
 また、時代が変遷するにして、悩みと言うのも様々になったらしい。

 逆に、この少女のような欲望の持ち主は、珍しいだろう。


「はい、これトリさんの分」

「……なんだ、これは」

889: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 19:38:11.05 ID:Tdg7CvCLo

「りんご。おいしいよ」

「……俺の事はいいから、お前が食え」

「ううん。わたし、いっぱい食べたよ?」


 確かに言われてみれば血色がいい。
 どうやら本当に、満腹になったのだろう。
 そして、アンクの返答に関わらず、押し付けられるリンゴ。


「どう?」

「……ふん、まぁまぁだな」

「そう? おいしいと思うけどなー」


 味など分かるわけがないのだから、食べても意味がない。
 だが不思議と、不快な気分にならなかった。

 自分が欲望を叶えてやろう。

 そんな風に考えてはいたが――どうやらその必要はなくなったらしい。
 だとしても、だ。
 結局アンクのやる事に変わりはない。
 己のメダルを集めて、オーズに協力させ、まずは完全体になる。
 そこから先は――。


(俺は、力を取り戻してやる)


 あの、夢のように。どこまでも、どこまでも大空へと羽ばたいてやる。この星を超えて。太陽にまで。
 そうしたら、その時は。

 あのときの少女と――この少女を。
 背中に乗せてやっても、いいだろう。
 その時は、背中いっぱいに、リンゴを持って行ってやろう。

 あの美しいものをまたこの目に収める。
 アンクはその手を握りしめる。


 ドーパントだの、イマジンだの。
 メダルを奪い返したときに、そんなものが資料としてあった。

 厄介だ。
 これでは欲望の奪い合いだ。

 そうであるがゆえに、他のグリードも様子を見計らっているのだろう。
 逆に言うならこれは、チャンスかもしれない。特に今、明らかに不利なアンクにとっては。
 そしてあのオーズはそれらとも戦っている。

 だから。その時を見計らって、オーズに取り入る機会もある筈だ。
 奴らとて、メダルが必要なのだから。

 そんな風にオーズたちを監視して帰った――ある日であった。

890: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 19:51:24.04 ID:/Vuh41sro

「……なんだこれは」


 燃え盛る、炎に包まれた教会。
 その外で一人佇む、少女の姉。
 その顔には力がなく――全身には、返り血を浴びていた。


「おい、お前……なにがあった!」

「あたしの……せいだ。あたしが、あんな事を願わなかったら……」


 茫然自失の様態で。
 膝をついて、涙を流す少女。
 ぽつりぽつりと、言葉が語られる。それはアンクがこの家から離れていたときの出来事。


 彼女は化け物に……白い化け物に、「皆が父の話を聞きに来て欲しい」とそう頼んでしまった。
 やがてその化け物は――繭や卵のようなものから孵って、人の「関心」を集めてきた。
 そうして彼女の家は、食べ物に不自由しないほど潤った。
 父の手前、そんな化け物を自分の欲望が生み出したなどと言える筈もない。
 なるべく家に寄りつかせずに、暮らしていたが……。

 それがついに、露見してしまったとの事だ。

 そうして、彼女の父親は狂った。
 目の前の少女を化け物を従える魔女と罵り、妻ともう一人の娘を道連れに――自殺した。

 その化け物とは、ヤミーだ。
 アンクが本来ならば生み出せる、鳥のヤミー。

 おそらくは向こうもこちらを感じて――コアメダルを探して。
 アンクの気配が残るこの家に来て、そのついでにヤミーを生み出したのであろう。


「……おい、離れるぞ。このままじゃ、お前も燃える」

「あたしが……あんな事を願わなかったら……。そうすれば父さんも母さんも……モモも」

「……おい! いいから離れるんだよ!」


 そう、アンクが怒鳴りつけた、その瞬間であった。
 自らの宿主の危険を察知した――コンドルヤミーが。
 己の主人のコアメダルを持つアンクを見つけて、襲い掛かってきたのは。

 ――糞ッ。

 舌打ちをするが、回避は難しい。
 コアが二枚。ただの右腕の体では。
 しかし――アンクは、そのコアを奪われる事はなかった。


「お前……!」


 目の前で放心していた、その少女が。アンクを庇うように前に立って、胸を貫かれていた。
 直後、ヤミーの体がセルメダルへと変化し始める。少女が、親が、死に向かっている為である。

891: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 20:07:42.64 ID:/Vuh41sro

 腕が引き抜かれた。
 赤い――赤い宝石のような穴が穿たれた少女の胸。鼓動が、小さくなっていく。

 このままなら、少女は死ぬ。
 咄嗟にアンクは、少女の体に憑依をしていた。
 そうすれば辛うじて死ぬ事はないし、また、アンクとしても入れ物を得る事になる。

 セルメダルに変わろうとしているコンドルヤミーが、少女と融合したアンクを前に戸惑う。
 それ目掛けて手刀を繰り出し、ヤミーの体をただのメダルに変えた。
 元々弱っていた。
 だから、こんなアンクでも倒す事が出来たのだ。


 足元に転がっていた、リンゴを拾い上げる。
 歯を当てて食いちぎり、飲み込む。
 人間の体を得たアンクは、同時に味覚を得るのだ。

 だが――この食べ物は。
 思っていたそれよりも、心なしか味気ない気がした。




 それから。


 アンクは今、オーズを観察している。
 ドーパントの一人と、生身で戦うオーズ。
 カザリが傍にいない――何を企んでいるのかしらないが――為に、変身はできないらしい。
 それでも必死に、異形の怪物相手に食い下がっている。

 これは、またとないチャンスだ。そう思った。
 同時に、ここでオーズに死なれたら困るとも考えた。

 自分自身のメダルをすべて集め。そしてその後、他のグリードのメダルも手に入れる。
 完全体になってもやはり、感覚は乏しい。
 だが――すべてを集めたのならば。完全体のその先になれば、より高く。より速く羽ばたける筈だ。

 そんなオーズが、怪人の攻撃を受けて跳ね飛ばされる。
 アイス――あの後食べた。気に入った――をほおばりながら、アンクは木から飛び降りた。


 やや離れた茂みに、オーズである少年は居た。
 全身が擦り切れて、口からは血を流して。
 ただ息をするのも辛いと――そんな様子で、横たわっている。

 これはひょっとしたら、不味いかもしれない。
 立ち上がるその体は小刻みに震えており、命の危機を思わせる。

 故にアンクは、半ば焦りながら声をかけたのだが……。
 男はアンクを一瞥すると、ぎょっと顔を歪めた。

 アンクがグリードで、この機に襲撃を懸けられるとでも思ったのか。

 そう考えたがどうにも、その先の言葉を考えるには、違うらしい。
 あげく、何を思ったのだか。

 アンクを庇うように、前に立った。
 どこかで、誰かがやっていたのと――同じように。  

892: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 20:13:10.72 ID:/Vuh41sro

 それから男――少年が。
 歯を食いしばって、笑顔でアンクに呼びかけた。


「任せとけって……お兄ちゃんはな、ヒーローなんだよ。だから――悪いやつには、負けないのさ」


 こいつは馬鹿だと思った。
 どう見ても満身創痍で、このまま闘えば死ぬだろう。
 オーズに変身したところでもどうなるか判らない。
 だから、カザリと行動を共にしているのかもしれない。


(……今、お前に死なれたらこっちが困るんだよ)


 自分の方が大変だと言うのに、それでも誰かを心配する。
 そんな姿は、愚か以外の何物でもない。
 やはり人間の中には、その手の馬鹿もいるらしい。

 仕方がない、と。
 ここでお前に死なれては困るのだと。

 そんな気持ちが不機嫌さとなって現れて。
 アンクは――少年、須賀京太郎に呼びかけた。






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       {: :l l: l :l : : : :/:/ヽ{、_ハ: : : : l {:{    |: :ハ: : : : : :∧: :!: : : : : :i : : : }  ヽ: }
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          l :l !: Vハ: : :≧=z{z、_ ゝ: : { ̄ {  _j:レ┼: ┼--ト、!: : : : : : : : : ,′   }
        V |: :.{ V : V {イ.:::::j...テミ、:.{  ヽ   /  }: /   l: /ヽ: : : : /: : :/
          l: :.{  ,ヘ: :ハ ゞ::_:ソ  \       〒テレ==zz、レ l: :/ : : /: : :/
            l: : :\,| \;               {:...::::j:::ノ 〃´l /: : :/: : :/   は? お前馬鹿か?
           ,′: : : :ハ             ,        ̄ ̄   /:イ: : イ: : /    やっと見つけたオーズを前に、誰が逃げるか
         l : : : : : : :\                      /´ノ:/: !: /
         l: : l : : : : : : i :ー 、     ─ 、             /イ:/: : : : /
         ,': : ;' : : : : : : i : : : :>   ゝ  ノ    _ . . イ: : : : : : : : l
          /: :/l: : : : :/: : !: : : : : :|  ` ー--─┬: ´: : : :i : : : i : : : : : : : : !
       /: :/ /⌒∨: :/ ノ⌒ヽ:}        {: ⌒ヽ:_:ィ⌒\: : : : i : : l
        /: :/´   ヽー‐´   ├'        ゝヽ     }   \: :i : : :ヘ
        ,': :/     ヽ     l   ヽ  ,   ,′   j′     〉:ヽ: : :ヽ
     /: /∧      ヽ    l             l      /     /ヽ: ヽ: : :ヽ
    /: / ヽ       ヽ    ヽ         /     /    /  \ヽ: : :ヘ
  /:/    \      \   ヽー─--─ 7   /    /     \ヽ: ハ



                                                   ――了/或いは始まり

907: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 22:28:18.64 ID:S49dZjdmo
『黄金の精神』とは――

端的に言うなら、『正しい道で前に進もうとする意志』
希望を持った意思であって、絶望の諦観からではない歩みである
また、真実に向かおうとする意思だったり、死んだ者から何かを受け継ごうとする事でもある
結果だけでなく過程を大事にする事というのは、結果が駄目でも過程が正しい/正しくなろうとするなら、
駄目でもその先や次につながる為である
その気持ちで困難に立ち向かうのが『覚悟』である


『漆黒の殺意』とは――

自らの『道』を阻むものを、明確なる『殺意』の元殺害する事である
結果的に死ぬとか事故とかじゃなくて、『相手が死ぬと分かっていて殺そうとする』事である
正当なる防衛ではなく殺人
ジャイロは正当防衛なら殺人も仕方なしだったので『対応者』呼ばわりされた

社会的価値観との乖離と言われていたように
普通の社会だと傷害罪や殺人罪になるので気をつけよう
禁止されているが、それすらも必要な事があるので『殺意』を以って行う、って感じだね


ペッシがゲス野郎呼ばわりされたのは
あの瞬間、あいつが仲間の為ではなく『ただブチャラティに嫌がらせをするため』に仲間を殺そうとしたから
結果としてはそれもチームを助ける事になるのだが、過程が違うから『黄金の精神』ではない
おまけに嫌がらせであったのでゲスと言われてしまった


京太郎を黄金の精神と漆黒の殺意に目覚めさせよう(提案)

913: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 22:41:11.62 ID:KqEEBBnfo
【入院生活二日目/夜】

京太郎「……」


 額に手を当てた。
 あれほど戦いを厭っていた大星淡が戦いに身を投じた。
 それは喜ばしい事なのかもしれない。どんな形にせよ、『納得』ができたというのなら。

 だけれども――だ。

 あの時の、あの屋上での会話が忘れられない。
 あいつは戦いを嫌っていたはずなのだ。理不尽な運命に嘆いていた。
 あれは間違いなく……あいつの本音であった、はずなのに。

 どんな、心境の変化なのだろうか。


 ――いや、違う。
 須賀京太郎が恐れているのは彼女の事でありながら、なお一層自分の事だった。

 もしも、だ。

 この須賀京太郎の為に、嫌がっていた淡が戦わなければならなくなったとしたら。
 戦いへの恐怖や嫌悪を押し殺して戦闘に身を投じなければならないとしたら。
 それは――須賀京太郎が原因と、そう言えるのではないだろうか。

 それで、淡が傷付く事があるのなら……。

 そんな不幸もすべて、京太郎の責任なのだ。
 またしても。


京太郎「……うっ、ぐ、ぇ」


 胃が何度も蠕動した。
 中身がなくとも、胃液だけが込みあがってくる。

 嫌だ。

 自分のせいで、誰かが戦わなくちゃならないなんて嫌だ。
 誰かを失ってしまうなんて、傷つけてしまうなんて嫌だ。
 頼むから――やめてくれ。そんなのには、耐えられないんだ。


京太郎(……『私の心配するな』、って)

京太郎(違うんだよ……俺は)

京太郎(俺は、初めから……俺の事しか、考えてないんだよ……!)

京太郎(頼むから自惚れであってくれ……)

京太郎(アイツが、須賀京太郎の為に戦っているなんてのが思い込みであってくれ……)

京太郎(そんなのには、耐えられない……)

京太郎(嫌だ――。許して、くれ……)

914: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 22:42:23.43 ID:KqEEBBnfo
直後、判定
1~20:病室襲撃
21~40:動き出す魔の手
41~70:病院周りは平穏
71~99:平穏です

ゾロ目:特殊イベント

926: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 22:54:05.93 ID:GR7zz1d/o
>>915の判定:13(襲☆撃)

 ――それは。

 唐突に、やってきた。


カザリ「オーズ!」


 カザリの叫び声とともに、窓のあたりが吹き飛んだ。
 焼け焦げるカーテン、舞い上がる粉塵。
 少し遅れて、スプリンクラーが作動する。

 その、開けた穴の外には――。


ロストアンク「見つけた……僕だ……!」


 左の翼を生やした、グリード――ロストアンク。
 苦虫を噛み潰したようなアンクの表情。
 立ち上る黒煙。


カザリ「君は……厄介事まで、運び込んだって事かな」


 カザリがチラリとドアを見た。
 距離としてはそう遠くないが――背を向けたその瞬間、炎が叩き込まれる事は目に見えているし。

 何よりも、だ。
 病院の中に逃げ込んだのならば――それは。
 構わず襲い掛かってくる、ロストアンクの前に犠牲者を差し出すのと同じ事である。


 須賀京太郎がこの場に居る為に、病院の皆が巻き添えになる。
 そんな現実に耐えられるはずがなかった。
 ベルトを装着した今も、胃が混乱している。
 考えただけで、吐き戻しそうだった。


京太郎「……だったら、止めるしかないだろ」

京太郎「カザリ、アンク……俺がこいつを外に追い出して、病院から離れる」

京太郎「だから、その間に……他の人の批難とか」

京太郎「お前らが逃げるとか、そういうの……頼むぜ」

京太郎「あと、誰かに連絡を取っといてくれたら助かる」


 逃げ場がないのならば。
 もう、戦うしか道はない――――たとえ勝てずとも。
 時間を稼ぐ。一撃を叩き込んで逃げる。
 そうするほか、無い。

936: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 22:59:11.66 ID:GR7zz1d/o
【オーズ タトバコンボ】  須賀京太郎
技能:41
HP:49/49
スタミナ:48/48
気力:72/72
ATK:40
DEF:40

(レンジ:至近距離~近距離)
・タトバコンボ:タトバコンボ時、スタミナ消費半減。
・欲望の王:戦闘ダメージゾロ目にて、グリードよりコアメダルを奪取
・メダジャリバー:レンジを近距離に変更。DEFが40以下の相手に対する与ダメージ+2
★オーズバッシュ:使用時の判定成功にて、レンジを『~超遠距離』に変更したうえで敵すべてに固定HPダメージ20。DEFを無視する
★王を統べる力:戦闘時【王を統べる力】を選択にて戦闘・撤退・追撃・奇襲判定+10。コンボ以外でのメダルを使用
           また、持つメダルによって、レンジも変更される。(至近~遠距離)
★コンボチェンジ:使用宣言時、次ターンより発動。
           メダルが揃っているとき、以下のコンボを使用可能。コンボチェンジの度にスタミナを固有値10消費
★スキャニングチャージ:使用宣言時、戦闘判定-10。
                判定成功にて、『ATK+オーズのスキルによる戦闘補正+秒数の合計+コンマの合計』の固定HPダメージ。DEFにて減衰可能

《ガタキリバコンボ》
 ATK:45 DEF:45
・毎ターンの消費スタミナ+5。レンジ:至近~中距離
・昆虫の王:戦闘判定+25。相手撤退判定-10。敵の数的優位による補正を無効化
★スキャニングチャージ:使用宣言時、戦闘判定-10。判定成功にて、『ATK+25+秒数の合計+コンマの合計』の固定HPダメージ。DEFにて減衰可能


※現在の所持メダル タカ×1、クワガタ×1、カマキリ×1、バッタ×1、ライオン×2、トラ×2、チーター×1、パンダ×1、カンガルー×1
※ただし、猫科系メダルは同時に2枚までしか使用不可能
※タトバ以外からでもスタートできます

タカ(頭部):トラと組み合わせる事でゾロ目コンマでコアメダル奪取。
       グリード以外に対してはダメージをゾロ目コンマの数値(33なら3、00なら10)追加
コンドル(脚部):与ダメージを1.1倍する

ライオン(頭部):ライオネルフラッシュ。自身のコンマ値の合計またはコンマの1・10位の数字(大きいもの)を相手判定値から差し引く
トラ(胴体):タカと組み合わせる事でゾロ目コンマでコアメダル奪取。
       グリード以外に対してはダメージをゾロ目コンマの数値(33なら3、00なら10)追加
チーター(脚部):高速を得る

クワガタ(頭部):レンジを【中距離】に変更。奇襲判定+5
カマキリ(胴体):レンジを【近距離】に変更
バッタ(脚部):戦闘判定に勝利した場合、飛行の効果によって離された/詰められたレンジを2レンジまでリセットする

シャチ(頭部):水流によりレンジを【中距離】に変更。追撃・奇襲判定+5
タコ(脚部):距離を詰める、距離を取るで2レンジ移動可能

サイ(頭部):ゾウと組み合わせる事で、奇襲判定+10

パンダ(胴体):(レンジ~:至近距離)。ATK+2。防御方針の相手への最終的な(半減後の)与ダメージ+4
カンガルー(胴体/脚部):(レンジ~:至近距離)。胴体として使用した場合、ATK+2。攻撃方針の相手への最終的な与ダメージ+3
                脚部として使用した場合、2レンジ以上先からの、判定値差分が20以下の攻撃のダメージを受けない



938: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 23:00:51.47 ID:GR7zz1d/o
※現在の所持メダル
タカ×2(1枚使用不能)、コンドル×1
クワガタ×2、カマキリ×1、バッタ×2
ライオン×2(1枚使用不能)、トラ×2、チーター×1
サイ×1
シャチ×1、タコ×1
パンダ×1、カンガルー×1

940: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 23:02:23.78 ID:GR7zz1d/o


                     VS



【ロストアンク】
コアメダル:7枚(タカ×1、クジャク×2、コンドル×2、ライオン×1、チーター×1)
状態:《セルメダル不足状態》
技能:61
HP:45/45(51)
スタミナ:45/45(51)
気力:50/50
ATK:46(51)
DEF:46(51)

(レンジ:至近距離~中距離)
・グリード:コアメダルの枚数によって技能値及びHP・スタミナ・ATK・DEFが変動
      コアメダル1枚時、技能・HP・スタミナの基礎値を25、ATK・DEF基礎値を20として、以後コアメダル1枚につき+5
      これらの補正に関して、他者のコアメダルを使用した場合、+3
・グリード:セルメダルの枚数によってHP・スタミナ・ATK・DEFが変動
      戦闘中受けたダメージの分セルメダルを落とす。ダメージの5分の1、HPとスタミナの上限値を低下させる。(5ダメージ毎にカウント)
 《セルメダル不足状態》:上記の効能により、基礎HP値から10分の1以上のHP・スタミナの上限値が減衰する事で発動
                ATK・DEF-5
 《セルメダル十分状態》:HP・スタミナ・ATK・DEFを基礎値として運用する
 《セルメダル多分状態》:HP・スタミナの基礎値から5以上HP・スタミナの上限値が増加する事で発動
                ATK・DEF・戦闘判定+5。以降、基礎値の上昇1に対してATK・DEF・戦闘判定+1ずつ上昇させる
・鳥の王:技能+10。ATK・DEF+5。飛行を持たない敵へのマイナス判定を-10に変更。自分の戦闘判定勝利時に複数に攻撃を与える
・完全体:???

956: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 23:12:29.94 ID:GR7zz1d/o

カザリ「……わかったよ。本当に君はなんていうか」

アンク「おい、勝手に死ぬなよ」


 アンクとカザリを背後に庇って、ロストアンクとの間に立つ。
 これに勝てるのか。
 そんな事は分からないけど……少なくとも。

 ここで誰かを犠牲に生き延びる。アンクを見捨てる。コアメダルを差し出す。
 そんな選択肢など、存在しない。

 たとえ自分が万全の体調でも勝てるか判らない相手であるが。
 そうだって、ここでそんなものを肯んずるなんて不可能だ。 


京太郎「……さあな、努力はするさ」


 辛くても、苦しくても。怖くても。
 いや、辛いからこそ。苦しいからこそ。怖いからこそ。

 ――だから、にっこり笑って前を見るしかない。

 ただで死んでなどやるものか。
 その腕の一本、羽の一本でも毟り取ってやる。
 炎なんて――ふざけたもの、見せやがって。
 こんな場所を、狙いやがって。


カザリ「……緊急だし、僕のコアを貸すよ」

カザリ「だから、死んだり……取られたりしないでよね」

カザリ「京太郎」



【ラトラーターコンボが使用可能になりました!】

958: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 23:13:20.68 ID:GR7zz1d/o

《ラトラーターコンボ》
 ATK:45 DEF:45
・毎ターンの消費スタミナ+5。レンジ:至近~近距離
・百獣の王:戦闘・撤退・追撃判定+20。高速を得る
・ライオディアス:コンボチェンジ成功時、固定HPダメージ20。更に秒数の合計分、追加ヒット
★スキャニングチャージ:使用宣言時、戦闘判定-10。判定成功にて、『ATK+20+秒数の合計+コンマの合計』の固定HPダメージ。DEFにて減衰可能

963: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/02/18(月) 23:16:00.35 ID:GR7zz1d/o

《ガタキリバコンボ》
 ATK:45 DEF:45
・毎ターンの消費スタミナ+5。レンジ:至近~中距離
・昆虫の王:戦闘判定+25。相手撤退判定-10。敵の数的優位による補正を無効化
★スキャニングチャージ:使用宣言時、戦闘判定-10。判定成功にて、『ATK+25+秒数の合計+コンマの合計』の固定HPダメージ。DEFにて減衰可能

※構成メダル効果
クワガタ(頭部):レンジを【中距離】に変更。奇襲判定+5
カマキリ(胴体):レンジを【近距離】に変更
バッタ(脚部):戦闘判定に勝利した場合、飛行の効果によって離された/詰められたレンジを2レンジまでリセットする


《ラトラーターコンボ》
 ATK:45 DEF:45
・毎ターンの消費スタミナ+5。レンジ:至近~近距離
・百獣の王:戦闘・撤退・追撃判定+20。高速を得る
・ライオディアス:コンボチェンジ成功時、固定HPダメージ20。更に秒数の合計分、追加ヒット
★スキャニングチャージ:使用宣言時、戦闘判定-10。判定成功にて、『ATK+20+秒数の合計+コンマの合計』の固定HPダメージ。DEFにて減衰可能


※構成メダル効果
ライオン(頭部):ライオネルフラッシュ。自身のコンマ値の合計またはコンマの1・10位の数字(大きいもの)を相手判定値から差し引く
トラ(胴体):タカと組み合わせる事でゾロ目コンマでコアメダル奪取。
       グリード以外に対してはダメージをゾロ目コンマの数値(33なら3、00なら10)追加
チーター(脚部):高速を得る

 

次回 【咲安価】 京太郎「……変、身ッ!」 5クール目【仮面ライダー】