1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/06(火) 19:55:11.04 ID:sp4kuPBc0
ちひろ「ええ。最近、物騒ですからね」

ちひろ「小学生のアイドルには、プライベートでも防犯ブザーを持たせるようにしました」

モバP「へー、そうだったんですか」

モバP「まあ、いいことだと思いますよ」

モバP「防犯ブザーの効果は折り紙つきですからね」

モバP「見やすい位置に提げておけば、よからぬ輩も近づきませんよ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1399373710

引用元: モバP「防犯ブザー?」 



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2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/06(火) 20:04:28.40 ID:sp4kuPBc0
早苗「へー、詳しいね、君」

モバP「早苗さん!」

早苗「もしかして、防犯ブザーを鳴らされた経験があるとか?」

モバP「うっ……実はスカウトの際、何度か」

モバP「警察ってすごいですね。どこでもすぐに飛んできますから」

早苗「あっはっはっ! 日本の警察は優秀だからね!」

ちひろ「気をつけてくださいよ、プロデューサーさん」

ちひろ「留置場に迎えに行くのは、もうごめんですからね」

モバP「は、はい。すみません」

<アハハハハハ……

千枝「……」

3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/06(火) 20:06:09.90 ID:sp4kuPBc0
モバP「さーて、今日も仕事だ、仕事」

モバP「小道具を探してこいって話だったけど……」

モバP「この倉庫、いい加減に整理しないといけないな」ゴソゴソ

ギギー、バタン

モバP「ん? 扉が勝手に……って、千枝じゃないか」

モバP「どうしたんだ、こんなところで」

千枝「……」

4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/06(火) 20:09:50.16 ID:sp4kuPBc0
千枝「……」スッ

モバP「っ!?」

モバP「そ、それは防犯ブザー……!」

モバP「いったい、何を……!?」

千枝「プロデューサー……」

千枝「これ、鳴らしたらどうなりますか?」

モバP「け、警備の人が来る」

モバP「俺は捕まって、警察に引き渡されてしまう!」

5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/06(火) 20:11:56.02 ID:sp4kuPBc0
千枝「ですね」

千枝「だから、下手な動きはしないでくださいね」

千枝「プロデューサーはじっとしててください」

千枝「抵抗、しちゃダメですよ?」

モバP「な、何を……!?」

6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/06(火) 20:13:08.91 ID:sp4kuPBc0
千枝「……」カチャカチャ

モバP「や、止めっ!?」

千枝「……」ブザー

モバP「っ!?」ビクッ

千枝「……」

千枝「……」カチャカチャ

モバP「うう……」

7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/06(火) 20:16:28.91 ID:sp4kuPBc0
ギシギシギシ!

パンパンパン!

ギシギシ……

ギシギシギシギシ!

アアーッ! 

……

千枝「ふうっ」ツヤツヤ

モバP「ううっ、ううう……」ゲッソリ

8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/06(火) 20:18:54.77 ID:sp4kuPBc0
モバP「……間違っている」

モバP「千枝、どうしてこんなことを……」

千枝「……」ブザー

モバP「っ!?」ビクッ

千枝「……」ニッコリ

モバP「……」ガタガタ

9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/06(火) 20:22:00.03 ID:sp4kuPBc0
千枝「大丈夫ですよ」

千枝「プロデューサーが変なことをしなければ」

千枝「防犯ブザーなんて押しませんから」

千枝「安心してください」

モバP「し、しかし!」

千枝「それでは、また」

モバP「……くぅっ!」

11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/06(火) 20:24:55.49 ID:sp4kuPBc0
モバP(その日から俺は、千枝のいい玩具にされてしまった)

千枝「プロデューサー、んっ、早くしないと人が来ますよ」

モバP「く、くそっ!」

モバP(防犯ブザーの甲高い音を恐れ、千枝の言いなりになる日が続く)

千枝「上手ですよ、プロデューサー……」

モバP「う、ううう……!」

モバP(防犯ブザーにかけられた指を恐れ、俺は坂道を転がり落ちていく)

18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/06(火) 21:08:22.73 ID:sp4kuPBc0
モバP(俺はいったい、どこまで堕ちていくのか)

モバP(底の底をはいずり回っているような感覚)

モバP(だが、それは地獄の釜の縁に過ぎなかったのだ)

ありす「プロデューサー」

モバP「おう、ありすか。どうしたんだ?」

ありす「……橘と呼んでくださいって、私、言いましたよね?」

モバP「そうは言っても、名字って何だか余所余所しいしなあ……」

19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/06(火) 21:10:50.68 ID:sp4kuPBc0
ありす「そうですか。では」スッ

モバP「っ!? そ、それは……!?」

ありす「そうです、防犯ブザーです」ブザー

モバP「ううく……!」

ありす「ほら、橘って呼んでください」

モバP「や、止めるんだ、ありす」

ありす「橘って呼んでください!」ブザー

20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/06(火) 21:12:17.38 ID:sp4kuPBc0
ア、アリス! ヤメルンダコンナコトハ……

タチバナ!

ア、アリスゥー!

タチバナァー!

ブザー……

ありす「ふう」ツヤツヤ

モバP「う、うう」ゲッソリ

21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/06(火) 21:14:26.58 ID:sp4kuPBc0
モバP「橘……こんなこと、よくない」

モバP「いけないことだよ、橘」

ありす「そうですか」

ありす「では、また明日。同じ時間に、ここで待っていますからね」

ありす「必ず来てくださいね」

モバP「ダ、ダメだ!」

モバP「俺は行かない! 俺は、俺は……!」

ありす「……」ブザー

モバP「っ!?」ビクッ

22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/06(火) 21:16:23.84 ID:sp4kuPBc0
ありす「逃げたら押しますからね」

ありす「公衆の面前で、これを」

モバP「そ、そんなことをしたらっ!」

ありす「そうです、プロデューサーは困ってしまいます」

ありす「そうなりたくなければ……分かりますね?」

モバP「……は、はい」

ありす「よろしい」

24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/06(火) 21:17:41.71 ID:sp4kuPBc0
ありす「それでは、プロデューサー」

ありす「また、明日」

ガチャ、バタン

コッコッコッコッ……

モバP「……」

モバP「……くそおおおおおお!!」ダンッ

25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/06(火) 21:19:23.93 ID:sp4kuPBc0
モバP(逆らえない)

モバP(逆らえない)

モバP(大人は防犯ブザーに逆らえない)

モバP(どこかポップなあのシルエットに……)

モバP(身も心も、凍りつく)

28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/06(火) 21:22:57.41 ID:sp4kuPBc0
モバP(子どもを無敵の『被害者』に変える武器)

モバP(大人をか弱い『加害者』に変える兵器)

モバP(防犯ブザー)

モバP(あれは確かに、子どもを守るものだ)

モバP(他の何を犠牲にしようとも)

モバP(子ども『だけ』は、守られるだろう……)

31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/06(火) 21:29:51.24 ID:sp4kuPBc0
~数か月後~

雪美「P……いっしょにお昼寝する……」ブザー

モバP「はい……」

莉嘉「Pくん、Pくん! 明日、デートに連れてって!」ブザー

モバP「はい……」

桃華「Pちゃま。ここに判子を押してくださいませ」ブザー

モバP「はい……」

こずえ「おふく……きせて……」ブザー

モバP「よろこんでー……」

34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/06(火) 21:37:48.79 ID:sp4kuPBc0
モバP(今の俺は、プロデューサーじゃない)

モバP(小学生アイドルの奴隷だ)

モバP(防犯ブザー一つに怯え、子どもに服従する召使いだ)

モバP(拒否は許されない。辛く苦しい日々が続く)

37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/06(火) 21:51:47.18 ID:sp4kuPBc0
千枝「ゴムなんて外しましょうね?」クスクス

モバP「だ、ダメだ。それだけは、それだけは」

舞「あれー? もう一枚、何か被ってますよー???」

モバ「止めるんだ……止めろ、止めてくれ……」

ありす「ほら、もっと橘って呼んでください!」ハァハァ

モバP「た、橘ァーッ!」

………………

…………

……

40: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/06(火) 21:54:21.25 ID:sp4kuPBc0
ザアアアアアア……

モバP「……」

モバP「……」

モバP「……何の用だ、晶葉」

晶葉「……」

モバP「……」

41: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/06(火) 21:58:12.40 ID:sp4kuPBc0
晶葉「助手、これを使え」スッ

モバP「これは……?」

晶葉「小型EMP装置。強力な電磁パルスで、機械を狂わせることができる」

晶葉「これを使えば、防犯ブザーも無力化できるはずだ」

モバP「お、おおお……!?」

42: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/06(火) 22:01:16.65 ID:sp4kuPBc0
晶葉「遅くなってすまなかった」

晶葉「だが、小学生たちに悟られるわけにはいかなかったのだ」

晶葉「他の研究を行うふりをして……この数ヶ月、必死に小型化に取り組んだ」

モバP「うん……うん……!」

晶葉「よくここまで耐えてくれた」

晶葉「これからは、もう大丈夫だ」

晶葉「これさえあれば、防犯ブザーなど恐るるに足りない」

モバP「うん……!」

43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/06(火) 22:05:01.38 ID:sp4kuPBc0
晶葉「さあ、行け! 助手よ!」

晶葉「あんなちゃちな『おもちゃ』など、全て粉砕してしまえ!」

晶葉「そして、中学生以上のアイドルとの時間を取り戻すのだ!」

モバP「ああ!」

モバP「俺は、もう、迷わない」

モバP「歪んでしまった小学生たちは――」

モバP「この俺が正す!!!!」

45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/06(火) 22:07:26.86 ID:sp4kuPBc0
~事務所・ちびっこルーム~

ありす「おやおや、プロデューサー。どうしました?」

千枝「約束の時間はまだですよ?」

桃華「それとも、もう我慢できなくなりまして?」

雪美「P……節操なし……」

モバP「……」

46: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/06(火) 22:10:48.32 ID:sp4kuPBc0
舞「どうしたんですか、プロデューサー。黙ってばかりじゃ」

モバP「――お前たち」

アイドルたち「!?」

モバP「俺はお前たちを愛している」

モバP「憎んじゃいない。恨んじゃいないんだ」

モバP「いけないのは、防犯ブザー」

モバP「お前たちに与えられた、過剰なまでの力だったんだ」

47: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/06(火) 22:12:56.19 ID:sp4kuPBc0
ありす「……それで? プロデューサーは私たちをどうしたいのですか?」

モバP「言っただろう?」

モバP「俺は、お前らをどうこうするつもりはない」

モバP「防犯ブザーだ」

モバP「俺は防犯ブザーを壊しに来たんだ」

千枝「――ふふっ」

48: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/06(火) 22:14:55.21 ID:sp4kuPBc0
千枝「プロデューサー」

千枝「それ、どうやるのですか?」

千枝「防犯ブザーはここにいるみんなが持っています」

千枝「それを一つ一つ? 不可能ですよ」

モバP「いや、不可能じゃない」

千枝「……?」

モバP「この――小型EMP装置があれば」

アイドルたち「っ!!!!」

49: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/06(火) 22:18:07.06 ID:sp4kuPBc0
千枝「だ、誰か! プロデューサーを止めて!」

ありす「は、はい!」

モバP「――遅い」

モバP(これで、全てが終わる)

モバP(防犯ブザーが招いた過ちを止める)

モバP(俺たちはみんな、昔みたいな関係に戻る)

モバP(これはそのための――)

モバP(幕引きだ)

50: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/06(火) 22:20:05.72 ID:sp4kuPBc0
――カチッ――

………………

…………

……









ビーッ! ビーッ!! ビーッ!!! ビーッ!!!!

モバP「!?!?!?」

52: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/06(火) 22:22:52.20 ID:sp4kuPBc0
モバP「そ、んな……!?」

モバP「この装置から、お、音が……!」

モバP「EMP……こ、これはブザーを止めるための装置で……!?」

早苗「ブザー音はここね!」バァン!

モバP「っ!?」

早苗「P君……君、ついにやっちゃったのね」

早苗「神妙にお縄につきなさい」ガシッ

モバP「そ、そんな! 違う!?」

千枝「いやあ! プロデューサー! プロデューサー!」

55: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/06(火) 22:30:02.28 ID:sp4kuPBc0
早苗「来なさいっ!」グルグル

モバP「むぐうっ!?」

ありす「プロデューサー!? プロデューサーにひどいことしないでください!」

瑞樹「もういいのよ。もう大丈夫だからね」

茄子「あの人はちゃんと遠いところへ連れていきますから」

桃華「そんな!?」

ワーワーワーワー

ワーワー……

61: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/06(火) 22:46:09.84 ID:sp4kuPBc0
晶葉「ふふふ、しょせんは小学生だな」

晶葉「餌を与えればすぐに飛びついて……」

晶葉「後先考えずに、欲望のままに使用してしまう」

晶葉「『本当に使えば、プロデューサーと永遠に離れ離れになる』」

晶葉「そのようなもの、猿でも使わないぞ」フフフ

62: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/06(火) 22:47:35.05 ID:sp4kuPBc0
早苗「戻ったよー」

晶葉「首尾はどうだ?」

早苗「ばっちし。これで、P君は法的に小学生に近づけなくなったよ」

早苗「これからは、中学生以上のプロデュースしかできないってさ」

晶葉「ふふふ、そうかそうか」

63: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/06(火) 22:51:35.66 ID:sp4kuPBc0
茄子「うまくいきましたね」

瑞樹「そうね。あの子たちには悪いけど……」

早苗「色恋沙汰は、小学生にはまだ早いって」カラカラ

晶葉(露骨に助手に接近する小学生たち)

晶葉(それをパージして、ライバルを減らす)

晶葉(分かりやすい策だけに、みながこぞって協力してくれた)

晶葉(くくく……次にパージされるのは、自分たちだとも知らずにな)

65: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/06(火) 22:53:54.30 ID:sp4kuPBc0
晶葉(助手との時間は、私だけのものだ)

晶葉(誰にも渡さんぞ。たとえ、どんな手段を使おうともな)

早苗(――なんて、考えているんだろうな)

茄子(ふふふ、でも、甘いです)

瑞樹(誰が脱落するかは――)

アイドルたち(まだ、誰にも分からない)

71: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/06(火) 23:00:03.45 ID:sp4kuPBc0
おしまい

手ごわそうという意味では、やはり茄子さん一強か
まゆが反則技を使うか、はたまた小学生組が復活するか
モバPの明日はどっちだ