3: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/06(火) 00:10:46.95 ID:vVEt+9tD0
久「明日はみんなでお昼をたべましょう!」

まこ「なんじゃいきなり」

京太郎「何かありましたっけ?」

久「秋の大会に向けたミーティングよ?咲や和達は心配いらないけど須賀君はまだまだ不安が残るでしょ?」

優希「京太郎はタコスづくりの腕は成長しているけど麻雀の方ははまだまだだからな!」

京太郎「そんなはっきり言わなくても…」

咲「でも京ちゃん最近は上手になってきたと思うよ?」

和「振込も減ってきましたし無理なつっぱりも無くなりましたね」

京太郎「本当か!?俺も一回戦ぐらいは勝てるかなぁ」

まこ「そんなに卑屈にならんでもええと思うぞ?確かに成長はしとると思うし」

久「まぁ確実な一勝を勝ち取るためのミーティングね。というわけで明日の昼休みはお弁当を持って部室に集合!」

引用元: ・【咲‐Saki‐】京太郎「あまりのおいしさに口が勝手に…!」 



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5: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/06(火) 00:22:21.47 ID:vVEt+9tD0
和「みんなで食事ということはおかずを交換したりのするのでしょうか…?」

咲「明日はちゃんとしたお弁当つくってこなくちゃね」

優希「よし!明日は私も腕をふるって最高のタコスをつくってくるじぇ!京太郎もたくさんタコスを持ってこい!」

京太郎「それはいつものことだし構わねぇけど六人中二人がタコスを持ち寄るのはどうなんだ?」

優希「タコスならいくらあっても困らないじぇ!」

まこ「まぁ優希がいくらでも食べるしのぅ」

久「みんなのご馳走期待してるわよ?特にまこは早弁禁止!あと玉子焼きいっぱい持ってくること!」

咲和「!!」

京太郎優希「玉子焼き?」


6: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/06(火) 00:36:11.81 ID:vVEt+9tD0
久「まこの玉子焼きは絶品なのよ!」

咲「今まで食べた中で一番美味しい料理だよ!」

和「料理には自信がありましたがあの玉子焼きには勝てる気がしません…!」

京太郎「玉子焼きにそこまで!?」

優希「負けず嫌いののどちゃんがそこまで言うのか!これはとてつもない大物の予感…!」

咲「もし私のお弁当が染谷先輩の作ったものなら誘惑に負けて早弁をしてしまうぐらいには美味しいよ!」

和「学校に着く前に食べてしまってもおかしくない絶品です!」

久「毎日食べたいくらいよねぇ」

まこ「なんじゃ!?そんなにおだててもなんも出んぞ?」

久「そこは玉子焼き出すとこでしょ!」

咲「楽しみにしてるんですよ!?」

和「是非玉子焼きを!お願いします!」

優希「みんな私のタコスへの熱意に負けないぐらいの勢いだじぇ…」

京太郎「これだけ熱心だとさすがに気になってくるな…」

8: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/06(火) 00:49:49.65 ID:vVEt+9tD0
まこ「わかった!わかったから落ち着け!玉子焼き弁当箱いっぱいに詰め込んで持ってくるわ!」

和「本当ですか!?」

咲「絶対ですよ!?約束ですからね!?」

久「これで生きる楽しみが増えたわね」

優希「む~これは負けてられないじぇ!明日のタコスのために最高の材料を揃えてくるじょ!ではさらばだ!」

京太郎「あ!俺も行くから待てって!すいません今日はこれで失礼します」

久「気をつけて帰るのよ~」

まこ「タコス楽しみにしとるけぇね」

京太郎「はい!俺も玉子焼き楽しみにしてますんで!」

9: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/06(火) 01:02:46.34 ID:vVEt+9tD0
まこ「…なんかハードル上がりすぎじゃないかのぅ」

和「正直全然余裕で超えられると思いますが」

久「もっと自信を持ってもいいのよ?雀荘でもメニューにしちゃえばいいのに」

咲「たしかにお金取れるぐらい美味しいですよね」

まこ「やめんさい!背中が痒くなるわ…そんなことより久」

久「なにかしら?」

まこ「あんた料理できんかったろ?明日どうすんじゃ?」

咲「そういえば…」

和「以前みんなでタコスをつくった時に食品サンプルを持ってきましたね…」

久「もういいでしょその話は!…お、お母さんにつくってもらうから大丈夫よ」

まこ「少しくらい料理できたほうがええと思うがのぅ」

和「私でよかったら教えますよ?」

咲「わ、私も少しぐらいなら…」

久「…ありがと。でも明日には間に合わないしまた今度ね!それじゃ!」

10: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/06(火) 01:11:50.84 ID:vVEt+9tD0
まこ「…逃げよった」

和「たしかに今から少し練習しても間に合わないでしょうけど…」

咲「部長帰っちゃいましたし私たちも帰りましょうか」

まこ「じゃあ鍵はわしがかけとくけぇ、気をつけて帰りんさい」

咲「はい、お疲れ様です」

和「お疲れ様でした」

まこ「おつかれさん」

まこ「…さて、卵たくさん買って帰らんとのう」

12: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/06(火) 01:28:03.42 ID:vVEt+9tD0
翌日 昼休み 部室

久「やっほー!みんなそろってるかしら?」

まこ「ん、あんたが最後じゃ」

優希「タコスうまー」

和「どうして先に食べ始めてるんですか!」

京太郎「俺の持ってきたタコスもうないぞ…」

優希「呪われたタコスの血族のサガだじぇ…このままでは私自身がタコスになるところだった」

和「そんなオカルトありえません」

京太郎「相変わらず意味不明な設定だな」

咲「…京ちゃんのお弁当なくなっちゃったけど」

久「まぁみんなのお弁当があるんだからいいじゃないの。さぁまこ!玉子焼きを私に!」

咲「部長!ずるいですよ!私も染谷先輩の玉子焼き楽しみにしてたんですから!」

和「そうですよ!みんなに権利があるはずです!」

まこ「全員がたくさん食べられるように持ってきとるから安心せぇ」

まこ(…ミーティングするって話はええんかのぅ)


14: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/06(火) 01:39:00.21 ID:vVEt+9tD0
まこ「ほれ、京太郎」

久咲和「!?」

京太郎「へ?俺っすか?おかず交換できないですよ?」

久「そうよ!そんなのおかしいわ!」

和「等価交換!等価交換するべきです!」

咲「わ、私のお弁当じゃダメなんですか!?」

まこ「だから落ち着けっちゅうに!このままじゃ京太郎のお昼抜きじゃろうが!」

優希「うう、反省してるじぇ…」

京太郎「…ありがとうございます!それじゃあ遠慮なくいただきますね」

京太郎(やっぱ染谷先輩はいい人だなぁ…優しさが心に染み入るぜ)

17: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/06(火) 01:51:12.18 ID:vVEt+9tD0
久「むぅ、仕方ないわね…私たちもお弁当食べましょうか」

和「…そうですね、たくさん持ってきてくださったようですし」

咲「染谷先輩と比べられると自信ないですけど私も頑張って作ってきましたから是非食べてください」

優希「私も最高のをタコスをつくってきたからみんなに食べて欲しいじぇ!」

和「…ゆーきは自分でタコスをつくれるんですからわざわざ須賀君につくってもらわなくてもいいんじゃないですか?」

優希「のどちゃんはわかってないじぇ!人がつくったタコスだからいいのだ!」

咲「あ、ちょっとわかるかも。いつも自分でつくってると人の料理って嬉しいよね」

和「…たしかにお母さんがつくってくれる料理は嬉しいし美味しいですね」

咲「それはまた事情が違うような…」

優希「のどちゃんのお母さん忙しいからなー」

久「私は食べるの専門だからよくわかんないわねー」

18: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/06(火) 02:03:07.15 ID:vVEt+9tD0
まこ「んじゃほれ、口あけんさい」

京太郎「へ!?」

まこ「だってタコスしか持って来とらんかったようじゃし箸ないじゃろ?」

京太郎「あ」

まこ「ふふ、まぁ次があるようじゃったら気ぃつけんさい」

京太郎「すいません…でも本当にいいんですか?一応俺男ですよ?」

まこ「わかっとるって。そんな意識せんでも先輩後輩のちょっとしたスキンシップじゃろ」

久「!!」

久「咲、咲!ちょっとこっち!」

久「はい、あーん」

咲「ふぇ!?」

久「そんなに恥ずかしがらなくてもいいわ!ただの先輩後輩のスキンシップだから!」

咲「そ、そんなこと急に言われても…」

久「ほら!あーん」

咲「あ、あーん」

久「和も!あーんして!」

和「あ、あーん」

優希「部長部長!はい!タコスあーん!」

久「あーん…うん!美味しいわ!最高ね!」

20: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/06(火) 02:16:28.02 ID:vVEt+9tD0
京太郎「…部長、急にどうしたんですかね?」

まこ「…先輩後輩っちゅうのが気に入ったみたいじゃの。ほら、部室に一人の期間が長かったけぇ」

京太郎「なるほどなぁ。部長も結構可愛いとこありますねぇ」

まこ「普段は生徒議会長とかでしっかりしとるだけに意外な感じがするんかねぇ」

まこ「で、京太郎はスキンシップ受けてくれんのかのぅ?」

京太郎「うぅ…そんな言い方されたら断れないですよ」

まこ「先輩っちゅうのはずるいもんじゃ。ほれ、あーん」

京太郎「あ、あーん」

京太郎(…普段あんま意識しないけどこういうのはさすがに緊張するな)

京太郎(改めてこう見てみると、和や部長がいるから目立たないけど染谷先輩も十分美人だし)

京太郎(…手、綺麗だな。箸も凄い綺麗に持ってるしその指も細くて爪も丸くて可愛いっていうか)

21: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/06(火) 02:22:58.66 ID:vVEt+9tD0
まこ「…どうじゃ?」

京太郎「」

まこ「なんか言ってくれんと不安になるんじゃが…美味しくなかったかのぅ?」

京太郎「結婚してください」

まこ「!?」

咲「えぇ!?」

和「な!?」

優希「じょ!?」

久「ちょっと!?」





京太郎(あまりのおいしさに口が勝手に…!)




32: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/07(水) 21:09:34.86 ID:RHnQSD8M0
咲「血痕!?血で血を洗うミステリー!?」

久「まこは私の嫁よ!?」

和「染谷先輩はともかく須賀君はまだ結婚できないですよ!?」

優希「どの返しも期待してないじぇ」

まこ「い、いきなり何を言っとるんじゃ!?」

京太郎「あ、いやその!あんまりおいしいからついというかなんというか…」

まこ「そ、それならそうと普通においしいって言いんさい!」

咲「でもそういうことなら納得だよ」

久「気持ちはよくわかるわ」

和「仕方ないですね」

34: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/07(水) 21:20:02.72 ID:RHnQSD8M0
優希「…昨日から大好評だけど本当にそんなにおいしいのか?この玉子焼き」ヒョイパク

咲「あっ!」

和「ゆーき!抜け駆けはずるいですよ!」

京太郎「いやでも本当においしいだろ?!?」

優希「んーむ…」ヒョイパク

久「ちょっと!二個目はダメでしょ!」

優希「私はヒトの姿をたもつためにタコと名のつくものを食べ続けないといけないから仕方ないじぇ!」

久「それ玉子焼きでしょ!」

優希「その通り!タ ま コ ゛やきだじぇ~」

和「流石に無理がありますよ!」

咲「優希ちゃんはまだタコスがあるんだから遠慮してよ!」

ギャーギャー

まこ「はぁ…みんなのお弁当分けてもらうかの。ほら、食べさせてやるけぇこっちに来んさい」

京太郎「あ、ありがとうございます」

35: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/07(水) 21:33:04.21 ID:RHnQSD8M0
まこ「…ほ、ほれ」

京太郎「…もしかして先輩照れてます?」

まこ「うっさいわ!わしゃぁこの手の冗談は馴れとらんけぇ…」

京太郎「意識するなって言ったの先輩じゃないですか」

まこ「な、なにニヤニヤしとるんじゃ!もう食わせてやらんぞ!」

京太郎「あぁすいません!もう言いませんから勘弁してくださいよ」アーン

京太郎(…顔赤くしちゃって染谷先輩なのに可愛いじゃないか)モグモグ

京太郎(恥ずかしいなら無理しなくても…って俺が食べられないからか)モグモグ

京太郎(考えてみれば気まずくならないように普通に振る舞おうとしてくれたのかな?からかったりして悪いことしたな)

まこ「ん、京太郎食べたいもんあるか?」

京太郎「あ、じゃあそっちの野菜炒めを…」

36: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/07(水) 21:46:14.75 ID:RHnQSD8M0
京太郎(…なんかポロっと結婚とか言っちゃったけどこれはちょっと印象悪いんじゃないか?)アーン

京太郎(軽薄な奴だって思われてたらどうしよう…金髪もそういう印象になりやすいみたいだし)モグモグ

京太郎(というか!だいたい染谷先輩と結婚なんて…)モグモグ

京太郎(…毎日あの料理を食べられるって最高だな)

まこ「ん、お茶いるか?」

京太郎「あ、すいません。ありがとうございます」

37: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/07(水) 21:52:24.93 ID:RHnQSD8M0
京太郎(やっぱり染谷先輩優しいんだよなぁ…全国前の合同合宿の後お土産買ってきてくれたのも染谷先輩だけだし)ゴクゴク

京太郎(普段から気を使ってもらってるし女所帯でやってけるのは先輩のお蔭でもあるんだよな)アーン

京太郎(部長が忙しいから麻雀の方もほとんど染谷先輩に見てもらってるし…)モグモグ

京太郎(実力で劣る分練習中置いてかれがちな俺に声かけてくれるのも染谷先輩だし…)モグモグ

まこ「あ、こぼしとるぞ?気ぃつけんさい」フキフキ

京太郎「うわ、すいません!気を付けます…」

まこ「まったく、仕方ないのぅ」クスクス

京太郎「あ…」ドキッ


38: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/07(水) 21:59:22.47 ID:RHnQSD8M0
京太郎(いやいや!なんだよドキッて!染谷先輩相手に!)

京太郎(俺が好きなのはもっとこう優しくて家庭的な…)

京太郎(って染谷先輩めっちゃ優しい上に家庭的だろ!そうじゃなくて!)

京太郎(そう!胸!こう和みたいにダイナミックな巨 の女の子が…)

まこ「にしても…」

京太郎「え?」

まこ「やっぱりみんなで食べる食事が一番じゃのぅ。な、京太郎?」ニコッ

京太郎「あぅ」

39: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/07(水) 22:04:51.79 ID:RHnQSD8M0
京太郎(うわヤバいめっちゃ可愛いじゃなくてえっと違うんだよ俺はだからその)

京太郎(落ち着け!とりあえず落ち着け!俺が好きなのは家庭的で優しくて可愛くて胸の大きい女の子!)

京太郎(染谷先輩なんて胸は普通だしめちゃくちゃ優しくて料理も凄く上手で笑顔が可愛いだけだろ!)

京太郎(いやそりゃ胸を補って余りあるけど!つーか可愛いなおい!)

京太郎(いつも世話焼いてもらって染谷先輩いいなーとかたまに思ってたけど!むしろ毎日思ってたけど!)

京太郎(…あれ?俺ってもしかして染谷先輩のこと大好きじゃね?)

京太郎「え、あ、うわ」カァァ

まこ「ん?どうした?」

京太郎「おぉ俺!ちょっと用事思い出したんで!しっ、失礼します!」

40: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/07(水) 22:07:00.69 ID:RHnQSD8M0
まこ「…行ってもうた」

久「取り分が増えたわね!」モグモグ

咲「京ちゃんも用事だなんて運が悪いなぁ」モグモグ

和「ゆーき!食べすぎです!平等に分けるべきです!」モグモグ

優希「早い者勝ちだじぇ!」モグモグ

まこ「…あんたらなぁ」ハァ

42: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/08(木) 00:02:28.89 ID:V2HRBMVT0
京太郎(うわっ!うわっ!恥ずかしっ!恥ずかしっ!つーか俺鈍すぎだろ!)ダダダ

京太郎(なんだよ毎日染谷先輩いいなー可愛いなーとか思ってたじゃん!改めて考える前に気づくだろ普通!)ダダダ

京太郎(なに平然とあーんとかやっちゃってんの!?もっとときめけよ!キャッキャウフフな展開じゃんか!)ダダダ

京太郎(いやでも気づかなくても仕方ないだろ!?だって俺は…)ダダダ

ドンッ

「痛っ!って須賀か?今日は麻雀部で昼飯食うんじゃ…」

京太郎「俺は●●●●が好きなんだよ!」

「落ち着け!廊下だぞここ!」




43: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/08(木) 00:07:13.15 ID:V2HRBMVT0
屋上

「で?●●●●がなんだって?」

京太郎「ちげぇよ!俺は染谷先輩が好きだったって話で…」

「は?染谷先輩?好き?」

京太郎「あ!いや待て待て待て!ちょっと今の無し!」

「へぇ?染谷先輩ねぇ…インハイの放送見てたぜ?次鋒の人だよな?一個上だっけ?」クックックッ

京太郎「だからちょっと待てって!今整理中だから!」

「それにしても咲ちゃんという嫁さんがいながら…」

京太郎「嫁さん違います!前からしつこいぞお前!」

「はいはいわりぃわりぃ。で、どうしたん?」


44: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/08(木) 00:10:59.21 ID:V2HRBMVT0
「…つまり?目の前の染谷先輩が好きなことにふと気づいてテンパって逃げてきた、と」

京太郎「…おう」

「うわーもったいねーな!せっかくのイベントをみすみす逃して」

京太郎「うるせーな!しょうがないだろ!」

「…まぁ今後積極的にアプローチしてきゃいいじゃねぇか。同じ部活だしチャンスなんかいくらでもあるだろ?」

京太郎「む、むり」

「は?なんで?」

京太郎「だってちょっと意識しただけで顔も見れなくなったんだぞ!?は、話しかけるとか無理だって!」

京太郎「つーかあーんも俺には早かった!今思うと恥ずかしすぎる!」

京太郎「せめて!て、手を握るとかそういうところから段階を踏んで…」

「乙女か」ペシッ

45: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/08(木) 00:20:31.62 ID:V2HRBMVT0
「それぐらい頑張れよ…今時は小学生だって付き合ったりなんだりしてるって言うし」

京太郎「なにそれ小学生こわい」

「そういうお前はヘタレすぎ」

京太郎「うっせ!お前にはわかんねぇよ…中学の頃からモテてたし…俺だって彼女欲しかったよ!」

「いや、お前に彼女できなかったのはずっと咲ちゃんといたからだろ」

京太郎「え」

「みんなお前ら付き合ってると思ってたぞ」

京太郎「マジかよ…」

「中学生活ほぼ一緒だったじゃねぇか…つーか俺お前が好きなの片岡だと思ってたわ」

京太郎「は!?優希!?」

「乙女思考なお前のことだから昔の漫画みたいに

『私先輩のためにお弁当作ってきたんです!よかったら食べて貰えますか…?』

作戦を実行してるんだとばかり…」

京太郎「んなわけあるか!優希は友達でタコス作りは今ハマってるだけだって…だいたい俺は巨 が好きなの!」

「あれ?染谷先輩って巨 だったっけ?」

京太郎「いや、普通だけど…まぁそれでもす、好きになっちゃってたっていうか…」テレテレ

「うわーこいつうっざいわまじで」

46: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/08(木) 00:25:46.48 ID:V2HRBMVT0
キーンコーンカーンコーン

「…昼休み終わったし俺は戻るぞ」

京太郎「待てって!せめてなんかアドバイスを…」

「あ?もう告っちゃえよ」

京太郎「何めんどくさくなってんだよ!ちゃんと頼むって!お願いします!」

「大丈夫大丈夫照れてたんだろ?脈アリだって行ける行ける(たぶん)」

京太郎「ま、マジか?いやでもなんて言ったら…」

「かっこつけようとしてもどうせ本番でパニクって失敗するんだから諦めろって」

京太郎「酷いなお前!まぁ事実だけど!」

「普通で良いって。つかもうプロポーズしちゃったんだし今さらだろ」

京太郎「え、あ、いやあれはプロポーズっていうか!」

47: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/08(木) 00:51:47.64 ID:V2HRBMVT0
「…あーもうめんどくせぇなスマホ貸せよ」バッ

京太郎「あ、おい!何してんだよ!」

「んー?…ほらメールで呼び出しといたぞ。部活前に旧校舎裏な」クックックッ

京太郎「はぁ!?フラれたらどうすんだよ!?気まずくて部活出れねぇよ!」

「逆に考えるんだ…優しい染谷先輩はフッたら部活で気まずくなるから付き合ってくれると…」

京太郎「お前天才か!?…ってそんなんで付き合うことになっても嬉しくねぇよ!」

「今の状態じゃどうせまともに部活できねぇだろ?もう呼び出しちゃったし覚悟決めろよ。残念パーティーぐらいしてやっからよ。んじゃな」

京太郎「おいちょっと!…あーもうどうすっかな」

京太郎(…まぁ確かに今のままでまともに部活できるとは思えないしなぁ)

京太郎(…こうなったら腹くくって告白するしかない!染谷先輩にちゃんと伝えるんだ!)

京太郎(…言うぞ、うん、たぶん、きっと…す、すす、好きだって!)

54: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/11(日) 02:03:48.78 ID:aj3BaZpn0
京太郎(にしてもぶっつけ本番じゃ確実に失敗する…)

京太郎(午後の授業の間にできる限りのパターンを想定して…)ガラッ

咲「あ、京ちゃん遅かったね。用事大変だったの?」

京太郎「え?あーちょっと時間かかっただけだよ」

咲「そっか。あのね、京ちゃんが行っちゃった後に今度の大会の話したんだけど…」

京ちゃん「そういやそのために集まったんだったな…すっかり忘れてたわ」

咲「男子の方はまだよくわかんないって部長が」

京太郎「おい!昨日俺のためにミーティングするって言ってなかったか!?」


55: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/11(日) 02:05:13.54 ID:aj3BaZpn0
咲「んーとね?取り敢えず男子は参加人数多いから特に強い人だけデータ集めておくって」

京太郎「あ、そこはやってくれてるのか…部長も受験の準備とかあるだろうに申し訳ないな」

咲「まぁ本当に強い人と当たったら勝てないから諦めろって言ってたけど」

京太郎「対策考えたりはしてくれないのかよ!?」

咲「稼げるとこで稼ぎなさいって言ってたよ。個人戦だし無理するよりはその方がチャンスあるって」

京太郎「…たしかに、咲とか天江さんみたいな化け物と張り合うよりは可能性ありそうだな」

咲「人を化け物とか言わないでよ!」

56: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/11(日) 02:07:19.21 ID:aj3BaZpn0
咲「もう…あ、あとこれ」ドサッ

京太郎「麻雀の本か?」

咲「うん。京ちゃん基礎はだいぶ出来てきたしそろそろオカルト理論とか知っといた方が良いって部長が」

京太郎「…オカルトに理論とかあるのか?ま、ありがとな」

咲「私もよくわからないんだけどね…勉強しても無駄にはならないだろうって。それにこれ書いた熊倉って人、オカルトの専門家で有名な雀士らしいよ?」

京太郎「へー…じゃあ取り敢えずこれでオカルト対策だな」

咲「和ちゃんは『意味がわかりません。牌効率の勉強をするべきです』って言ってたけどね」

京太郎「和は相変わらずだな…うちにも咲がいるんだから認めてもいいだろうに」ハハ


57: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/11(日) 02:08:45.65 ID:aj3BaZpn0
ガラッ

教師「授業始めるぞー」

京太郎「数学か…咲ー?ノート頼むなー」パラパラ

咲「…京ちゃん授業中に本は」

京太郎「あれー?文学少女の宮永さんは授業中にいつも本読んでたような気がするなー」

咲「うー…今日だけだよ」

京太郎「よろしく!」

京太郎(…清澄はインハイ優勝校だ。今度は午前で敗退なんて無様は晒せない)

京太郎(夏までとは違う!俺だって全国の空気を肌で感じてきた…努力だってしてる!)

京太郎(なにより麻雀って楽しいしな!よーし、燃えてきたぜ!)


58: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/11(日) 02:11:03.43 ID:aj3BaZpn0
放課後

咲「はい、ノート。その本午後の授業中ずっと読んでたみたいだけどどんな内容なの?」

京太郎「サンキュー!…オカルトの起源がどうとかなんとか」ヨクワカラン

和「だから私は牌効率の勉強をするべきだと…」

咲「あ、和ちゃん、優希ちゃん」

優希「楽しい部活の時間だじぇ!」

京太郎「よっしゃ部活の時か…ん…」

京太郎(しまったぁぁぁぁ!こ、告白!何も考えてねぇじゃねぇか!)

咲「ごめん、私掃除当番だからみんな先に行っててよ」

優希「それじゃあ仕方ないか…それじゃあ食堂でタコス買ってから行くじぇ!」

咲「え、優希ちゃんまだ食べるの?」

優希「タコスは別腹!いくらでも食べれるじぇ!」

和「いつもタコスしか食べてないじゃないですか!」

59: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/11(日) 02:13:37.14 ID:aj3BaZpn0
優希「それは言いっこ無しだじぇ…京太郎?どうした?」

京太郎(…このままだと和と優希と一緒に部室に向かうことになる)

京太郎(染谷先輩と会うのは旧校舎裏。そして部室は旧校舎。一緒に行ったら鉢合わせる可能性が…)

京太郎(さすがに見られたら恥ずかしいしなんとかしないと…)

和「須賀くん?どうかしましたか?」

京太郎「…いや、どうせタコス買ってくなら咲の掃除終わるの待ってもいいんじゃないか?咲一人じゃ旧校舎にたどり着けないかもしれないし」

咲「なっ!は、半年通ってるんだしさすがにもう迷わないよ!…た、たぶん」

和「…一緒に行きましょうか」

優希「…タコス買ったら教室まで迎えに来るじぇ」

咲「あぅ…ご、ごめんね?」

京太郎「じゃあ俺は用事あるから先に行くんで!」ダッ

優希「お前は待たないのか!」

和「須賀くん用事が多くて大変ですね」

咲「なんだかバタバタしてるけど大丈夫かな…?」


60: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/11(日) 02:17:00.40 ID:aj3BaZpn0
京太郎(あーもうどうしようこれ!つーか俺が呼び出したんだし先に着いてた方が良いよな?) ダダダ

京太郎(…やっぱり急過ぎるんじゃないか?昼ので印象悪くしてるかもしれないし)ダダダ

京太郎(…もしフラれたらしばらく立ち直れる気が)ダダダ

まこ「お、京太郎」

京太郎(先輩はえぇよ!)


61: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/11(日) 02:18:25.58 ID:aj3BaZpn0
まこ「旧校舎着く前に会ってもうたのぅ」

京太郎「い、いやぁよく考えたらそりゃそうなりますよねぇ」

まこ「旧校舎まで一本道だしのぅ…で、話ってなんじゃ?部室じゃいかんのか?」

京太郎「あ、はい。できれば二人で話したいんですけど…」

まこ「ほうか。それじゃ旧校舎裏まで回るかのぅ」

京太郎「すいません面倒かけてしまって…」

まこ「気にするこたぁない。かわいい後輩からの相談じゃけぇの」

京太郎「えっと、相談というか…」

まこ「ん?違うんか?」

京太郎「あー…まぁそんな感じです」


62: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/11(日) 02:19:46.71 ID:aj3BaZpn0
まこ「?…あ、京太郎腹減っとらんか?」

京太郎「え?…そう言われるとそんな気が」

まこ「お昼の途中で出てったからのぅ…弁当取り分けとったんじゃが」

京太郎「食べます!食べたいです!ありがとうございます!」

まこ「京太郎が食べんかったら自分で食べようと思っとったけぇ気にせんでええよ」

京太郎「じゃあいただきます!」

63: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/11(日) 02:25:44.23 ID:aj3BaZpn0
京太郎(いろいろあって忘れてたけど昼ほとんど食べれなかったし助かるな…しかも染谷先輩の手料理!)

京太郎(本当に先輩優しいなぁ…惚れなおすっていうか)

京太郎(にしてもここまで気を使ってくれるなんて…こりゃもう俺に気があるんじゃ)

京太郎(いやいや、楽観するな。ただ染谷先輩が天使のような心を持っているだけの可能性が…)

京太郎(…ちょっと待て!この箸って染谷先輩の、か、かかか間接)

まこ「どうした?無理して食べんでも…」

京太郎「いえ、食べます!食べますから!」


64: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/11(日) 02:27:18.20 ID:aj3BaZpn0
京太郎(落ち着けって!発想がキモいぞ俺!染谷先輩は気にしてないみたいだし普通に食べればいいんだよ!)モグモグ

まこ「いやぁそれ取っとくのも苦労したわ…久たちが凄い勢いで食べるもんじゃから」

京太郎「好きです!付き合ってください!」

まこ「!?」

京太郎(またしても…!あまりのおいしさに口が勝手に…!)

73: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/14(水) 02:17:34.67 ID:2eADCt4B0
京太郎(やっちまったぁぁぁぁ!昼にこれで失敗したばっかじゃねぇか!)

京太郎(なんもかんも弁当がおいしすぎるのが…いや、待てよ)

京太郎(告白という点では結構良かったんじゃないか?)

京太郎(シンプル・イズ・ベスト…変に言葉を飾って失敗するよりは素直に好意を伝えられたんだ)

京太郎(誠実な告白に染谷先輩も心を動かされたんじゃ…)

まこ「だ、だからそがぁな冗談はやめいって言うとるじゃろ!」

京太郎(やっぱり怒ってたぁぁぁぁ!)

京太郎(と、とにかく!誤解を解かないと…このまま嫌われるのだけは!)


74: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/14(水) 02:18:45.09 ID:2eADCt4B0
京太郎「い、いやこれは!違うんです!」

まこ「な、なにが違うんじゃ!そうやって人をからかって」

京太郎「本気ですから!」

まこ「え…」

京太郎「お、俺!ほ、本当に本気で染谷先輩のことが好きなんです!」

まこ「あ、ぅ…で、でも!いつもはそがぁな素振り見せんかったじゃろうが!」

京太郎「今日の昼に気づいたんですよ!自分でも鈍すぎるって思いますけど!」

京太郎「その…あ、あんなこと言っちゃったのもふざけてとかじゃなくて!自然と口から出ちゃって…」

京太郎「だからその、俺は普段意識してなかったんですけど!思い返してみたらいつも染谷先輩のこと考えてたんだなって…」

まこ「な、なにを」


75: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/14(水) 02:20:05.51 ID:2eADCt4B0
京太郎「先輩はいつもみんなのことをよく見てくれてて、その、とても優しくて気配りのできる人ですし」

京太郎「料理もめちゃくちゃ上手で!…えっと、麻雀も!夏の大会の時もかっこ良かったです」

京太郎「それに、先輩の笑った顔、その、凄くかわいいと、おもいます」

京太郎「あの、だからお、おれ」

京太郎「せ、せんぱいのことが、すき、です…」

76: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/14(水) 02:21:44.66 ID:2eADCt4B0
京太郎(恥ずかしい死ぬってか死んだ!顔めっちゃ熱い顔あげられねぇ)

京太郎(勢いで色々言ったけど全然まとまってないし…先輩も何も言ってくれないし…)

京太郎(やっぱりフラれるのか?いつも世話焼いてもらってるのだってもしかしたらもううんざりとか思われてたり…)

まこ「あ、あの」

京太郎「は、はい!」

まこ「ちょ、ちょっとまって」

まこ「い、いま顔真っ赤じゃけぇ…冷めるまで、ちょっと、まって…」


77: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/14(水) 02:23:55.23 ID:2eADCt4B0
京太郎「…………」

まこ「…………」

京太郎(かわいい…凄い照れてるし、脈アリだよな?)

京太郎(でもやっぱり、もうちょっとかっこつく告白したかったな…さすがにテンパり過ぎだったし)

京太郎(…俺は結構落ち着いてきたんだけど先輩はどうだろう)チラッ

まこ「…!?」

京太郎(あ、目あった)

まこ「こ、こっち見んで待ってんさい!」プイッ

京太郎「あ、すいません」

京太郎(チラチラこっち見てる染谷先輩かわいい)


78: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/14(水) 02:25:41.59 ID:2eADCt4B0
まこ「…きょ、京太郎」

京太郎「は、はい!」

まこ「あー、その、本気なんじゃな…?」

京太郎「も、もちろんです!」

まこ「あ、いや、わかっとるんじゃがのぅ…こんなこと言われたの初めてじゃけぇね」

京太郎「…ぁああの、それで」

まこ「う、うん…その、悪いんじゃが…」

京太郎「」ジワッ

まこ「あ、違う違う!最後まで聞きんさい!」

京太郎「え…」

79: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/14(水) 02:28:08.43 ID:2eADCt4B0
まこ「もう少し…一日でいいんじゃ。時間をくれんかのぅ」

まこ「京太郎のことは、あーその…こ、好意的に思っとる」

まこ「けど、その…そういうことかはちょっとわからんけぇ」

まこ「つ、付き合う…とかそういうんは中途半端な気持ちじゃ京太郎にも失礼じゃと思うし…えっと」

京太郎「…わかりました!その、俺、先輩のそういう真面目なところも好きですよ」

まこ「っ!も、もうわかったからええって!」

京太郎「いや、なんか一回言っちゃったしいっぱい言った方が良いかなって」アハハ

京太郎(いちいち照れてくれるから言いたくなるんだよなぁ…俺もすっげぇ恥ずかしいけど)


80: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/14(水) 02:31:48.17 ID:2eADCt4B0
京太郎「それじゃ俺今日は帰りますんで」

まこ「…部活出ないんか?」

京太郎「さすがにちょっと…その、ねぇ?」

まこ「ねぇ?って…その、それならわしが休むから」

京太郎「あ、いや大丈夫です!ちゃんともらった本読んで勉強しとくんで!」ダッ

京太郎(いま平常心で部活出るとか無理だし!部長あたりに突っつかれて自爆するに決まってる!)

81: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/14(水) 02:37:28.07 ID:2eADCt4B0
京太郎(…それにしても良かった!フラれたわけじゃなかった!いやむしろこれはもう行けるんじゃ…)ヨシ!マイマイマイ!ヒロガールー

京太郎「はい!もしもし?」

『そろそろフラれたか?』クックックッ

京太郎「まだフラれてねぇよ!さっきな…」







まこ「…実際どうすりゃええんかいのう」

久「そうね…私に玉子焼きくれたらいいと思う」

まこ「そうじゃのうて…って久!?」

久「お弁当残ってるんだからいいでしょ?」

82: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/14(水) 02:38:25.22 ID:2eADCt4B0
まこ「いつからおったんじゃ!?は、話聞いとったんか?」

久「ん?うふふ…まぁ悩んでるなら相談のってあげるわよ?」

まこ「…まぁええわ。聞かれとったんなら仕方ないし、少し整理したいから話聞いてくれるかのぅ?」

久「お姉さんに任せなさい!」

まこ「その、結構戸惑っとるんじゃ…いきなり京太郎に告白されて」

久「えぇ!?す、須賀くんに告白されたの!?」

まこ「聞いてなかったんかい!?」


83: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/14(水) 02:39:24.39 ID:2eADCt4B0
久「いやぁ私のキャラ的にこう…何でも知ってます的な?」

まこ「ああああ!もう!久っ!この阿呆!」

久「え?で?キスぐらいしちゃったのかしら!?」

まこ「しとらんわ!」

久「えっ?フッちゃったの?もったいない」

まこ「フッたわけじゃ…」

久「キープってこと?いやぁまこも結構悪い女ねぇ」モグモグ

まこ「あぁもう黙っとれ!弁当箱も没収!」

84: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/14(水) 02:40:23.31 ID:2eADCt4B0
久「酷いわ!私のお弁当…」

まこ「元々わしの弁当じゃろうが!…ほれ、部室行くぞ」

久「え?私に相談しないの?」

まこ「わしの問題じゃし自分で何とかするわ…あんたに話してもイライラするだけじゃ」

久「確かに私も悪かったけど!そこまで言わなくても…」

まこ「はいはいすまんね。みんなにも余計なこと言わんでねー」

久「ちょっと!私の扱い雑じゃない?…わかったわよもう」


85: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/14(水) 02:44:28.22 ID:2eADCt4B0
部室

ガチャッ

まこ「遅れてすまんのぅ」

咲「あ、先輩!遅かったですね」

優希「京太郎も先に行くって言ってたのに来てないし…」

まこ「あ、京太郎は欠席じゃ。急用じゃと」

和「須賀くん過労で倒れるんじゃ…先輩方もお二人で何かあったんですか?」

久「いやぁ実はまこが「久!」…何でもないわよ?」


86: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/14(水) 02:45:36.46 ID:2eADCt4B0
優希「…あからさまになんかあったじぇ」

咲「その、頼りないかもしれませんけど私たちで良ければ力になりますよ?」

和「いつもお世話になってますし…」

まこ「あー!京太郎が帰ってもうたから弁当余っとるんじゃった!誰か食べてくれんかのぅ!」

咲「任せてください!」

和「ありがとうございます!」

優希「いただきます!」

久「やったー!」

まこ「あんたはの分はなしじゃ」

久「そんな!」



87: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/14(水) 02:50:01.63 ID:2eADCt4B0
まこ「しばらくおとなしくしてんさい!余計なことばっか言いよって…」

久「わかったわよ!もう!意地悪!ケチ!」

優希「……」モグモグ

咲「美味しいね~」モグモグ

和「これは是非レシピを聞きたいですね」モグモグ

まこ「そんなに気に入ったんなら明日にでもメモして持ってくるわ」

和「本当ですか!?ありがとうございます!」

咲「あ、私も!私も欲しいです!」

久「うぅ…ひもじいよぅ」

優希「…部長!私の分の玉子焼きを差し上げるじぇ!」

咲和「!?」

久「本当に!?」


88: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/14(水) 02:52:09.33 ID:2eADCt4B0
和「ど、どうしたんですかゆーき!?」

咲「風邪でも引いたんじゃ…」

優希「二人とも失礼な!こんなに美味しい料理食べられないんじゃ部長がかわいそうだじぇ!」

久「優希…!」ジーン

優希「私の分を分けるから…それならいいんだじぇ?」

まこ「…まぁ、優希がええんなら」

久「…ありがとう優希!後輩ポイント一点!」

まこ「またわけわからんことを…」


89: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/14(水) 02:52:57.88 ID:2eADCt4B0
久「後輩ポイントは素敵な後輩に与えられます」

和「…貯めると何かあるんですか?」

久「…景品が貰えるとか?」

咲「いや、こっちに聞かれても…」

久「えーと…じゃあ優希は一点目なのでなでなでしてあげるわ!」

優希「やったじぇ!」ワーイ!

90: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/14(水) 02:54:45.15 ID:2eADCt4B0
久「どう?」ナデナデ

優希「おお…これはなかなか…」

和「……」

優希「ん?のどちゃんさては妬いてるじぇ?」

和「なっ!違います!わ、私は別にそんな…!」

まこ「…ほれ、いつまでも遊んどらんで!時間なくなるけぇの」

和「あ、すいません…」

咲「そうですね、そろそろはじめましょうか」


91: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/14(水) 02:57:32.43 ID:2eADCt4B0
優希「染谷先輩待って!はい、部長あーんするじぇ!」

久「あーん…やっぱりまこの玉子焼きは美味しいわねぇ」モグモグ

優希「…で、染谷先輩がどうかしたんだじぇ?」ニヤリ

久「それがなんと…須賀くんに告白されたんですって!」モグモグ

咲和優希「!?」

まこ「ちょ、久!」

久「あ、あまりのおいしさに口が勝手に…!」

101: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/16(金) 21:54:09.06 ID:OC/oNNwx0
久「…い、いやぁまさか須賀くんがまこに行くとはこの私の目をもってしても見抜けなかったわ」

咲「うわ」

優希「おぉう」

和「全然気づきませんでした…」

まこ「こら久!喋るなって言うたろうが!」

久「この玉子焼きがおいしすぎるのがいけないのよ!作ったまこの責任よ!」

まこ「なに逆ギレしとるんじゃ!」ペシッ

久「あたっ!…っていうかみんなも反応薄すぎ!怒られ損じゃないのよ!」


102: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/16(金) 21:55:41.16 ID:OC/oNNwx0
久「なにかないの!?『京ちゃんは私のものなのに…この泥棒猫!』とかそういう面白い奴!」ビシッ

咲「えぇ!?私ですか!?京ちゃんとは仲良いですけど別にそういうのは…」

咲「その…えぇっと、和ちゃんは?何かそういうのは」

和「特に無いですけど」

咲「だよね」

久「知ってた」

優希「そこまでバッサリだと京太郎が気の毒だじぇ…」


103: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/16(金) 21:57:57.42 ID:OC/oNNwx0
和「といいますか」

久「逆に『染谷先輩は私のものです!』キリッ的な!?」

まこ「さっきから反省の色が見えんのぅ」グリグリ

久「ちょ!痛い痛い!ごめんなさい!やめて!」

和「いえ、その…ゆーきは須賀くんのことが好きなんだと思ってました」

優希「…私か?」キョトン

咲「たしかに優希ちゃんと京ちゃん仲がいいよね。京ちゃんも甲斐甲斐しくタコス作ってくるし」

優希「そりゃまぁ京太郎のことは好きだけど…」

まこ「…!」

104: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/16(金) 21:59:38.95 ID:OC/oNNwx0
優希「なんというか…主人と専任シェフの関係?」

和「…わざわざタコス作りまで覚えてもらっているんですから、そんな言い方は良くないと思いますよ」

優希「…まぁ親友だと思ってるじぇ。あ、もちろんのどちゃんと咲ちゃんのことも!部長と染谷先輩も大好きだじぇ!」

咲「えへへ…親友だって」テレテレ

和「も、もちろん私もゆーきのこと親友だって思ってますよ」カァァ

久「…私も大好きよ!ハグしてあげちゃう!」ギュー

優希「おぉう…部長いいにおい…じゃなくて!染谷先輩!」

まこ「な、なんじゃ?」

105: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/16(金) 22:01:46.87 ID:OC/oNNwx0
優希「その、京太郎とは…?」

まこ「…明日返事をするつもりじゃ」

優希「私が言うことじゃないと思うけど…あいつ、良い奴だし前向きに考えてあげてほしいです」

優希「恋人でもない私に毎日タコス作ってくるようないい奴で!えーと、あのヘタレが告白したんだから本当の本気なんだと思うし…その」

まこ「…うん、わかっとるよ。わしなりにちゃんと考えるから安心せぇ」

優希「はい…あ、あと」

まこ「なんじゃ?」

優希「プライベートなことだったのに、部長に話させちゃって、ごめんなさい…」シュン

まこ「…もうええって、気にしてないわ」ナデナデ


106: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/16(金) 22:06:45.00 ID:OC/oNNwx0
久「ほら、優希!まこもこう言ってるんだから元気出して!」

まこ「悪いのは話した久じゃしなぁ?」グリグリ

久「あっ!だからそれ痛いって痛っいったたたた!」

和「ふふっ…それじゃあ、今度こそ練習始めましょうか?」

優希「うん!今日も頑張るじぇ!…あ、咲ちゃん」

咲「なぁに?優希ちゃん」

優希「せっかくだし、中学時代の京太郎のいい話とかないのか?」

咲「京ちゃんの?」

久「あ、良いわねそれ!まこも判断材料増えるし!面白い話とか恥ずかしい話とか」

まこ「いちいち茶化すのやめんさい!」

107: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/16(金) 22:10:21.28 ID:OC/oNNwx0
夜 雀荘『roof-top』

まこ「アツシボでーす」

「おぅ」

まこ(…あれから結局ずっとみんなで京太郎の話をしとったが結局悪い話はひとつも出なかった)

まこ(知り合ってから半年程とはいえ、部活で多くの時間を共有しとるし京太郎がいい奴だなんてみんなわかっとる)

まこ(実際わしから見ても…背は高いし、容姿だって整っとる方じゃないかのう?)

まこ(ああ見えて真面目で誠実、優しくて、気の遣える男じゃし…)

まこ(…それでも、わしは)

108: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/16(金) 22:11:28.85 ID:OC/oNNwx0
カランカラン

まこ「っと、いらっしゃい…藤田プロ」

靖子「いつもの出前特盛でお願い」

まこ「はい。…珍しいですね?こんな時間に」

靖子「おいしいカツ丼が食べたくなってね」

まこ(…うち、雀荘なんじゃがのう)


109: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/16(金) 22:13:59.04 ID:OC/oNNwx0
「あ、藤田プロ!見ましたよこの前の試合」

「八万点差をひっくり返すなんて流石『まくりの女王』ですな!」

靖子「ありがとうございます。…得意分野とはいえ毎回あんな点差から試合出されると大変ですよ」フフッ

「いやぁそれだけ期待されてるってことですよ」ハハハ

「よかったらサインいただけませんか?娘がファンでして」

靖子「えぇもちろん。娘さんのお名前は…」サラサラ

「あぁ藤田プロこっちの卓空いてますよ!相手してもらえませんかねぇ」

靖子「はい、よろしく」ニコニコ

110: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/16(金) 22:15:50.81 ID:OC/oNNwx0
まこ「カツ丼でーす。…人気ですねぇ相変わらず」

靖子「どうも。…まぁここはもはやホームだしな。長いこと通わせてもらってるし」ガツガツ

靖子「で、どうした?」ガツガツ

まこ「え?」

靖子「私で良かったら後で話ぐらい聞いてやるぞ?」ガツガツ

まこ「…そんなに顔に出てますかねぇ?」

靖子「ま、お前ともそこそこ長い付き合いだし…ちょっとした表情から気配ぐらい探れなきゃプロの世界じゃ生きていけないさ」ガツガツ

111: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/16(金) 22:19:01.19 ID:OC/oNNwx0
まこ(…この手のことは大人の女性に相談してみるのもええかもしれんのう)

まこ「それじゃあ、後で少しお時間いただけますか?」

靖子「構わないよ。あ、カツ丼おかわり。特盛で」

まこ「あ、はい」

まこ(…夜中に雀荘でカツ丼何杯も食べるってぇのは大人の女性としてどうなんかのう)

「相変わらず良い食べっぷりですねぇ、藤田プロ」

靖子「ここで食べるカツ丼はおいしくて…何杯でも食べれますよ」

まこ(…そこが人気の秘訣なんかねぇ)ワカラン


112: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/16(金) 22:21:25.50 ID:OC/oNNwx0
………

靖子「部活の後輩に告白されたぁ?」

まこ「…えぇ、まぁ」

靖子「…で、どうなんだ?好きなのか?嫌いなのか?」

まこ「そりゃ、憎からず思ってますけど…」

靖子「それならなにも悩むことはないだろ。付き合ってみれば良い」

まこ「でも…」

靖子「何か問題がある奴なのか?二股三股かけてるとか」

まこ「…あいつは、そんな奴じゃないです」

靖子「…それじゃあ、問題があるのはお前の方かな?」


113: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/16(金) 22:29:10.15 ID:OC/oNNwx0
まこ「…そう、ですね」

まこ「あいつは…誰からも好かれるような、優しくて、人懐っこい奴で」

まこ「夏の大会の間も、ずっとみんなのためだって雑用引き受けてくれて…」

靖子「…本当にいい奴なんだな」

まこ「はい…でも、あいつ、京太郎は部活で唯一の、男子で、初心者なのに、わしらは自分達のことで精一杯でろくに指導してやれんかったんです」

まこ「藤田プロのお蔭で開催できた四校合同合宿…あの時も一人だけ留守番で…」

まこ「そんな風に、あいつをないがしろにしてたわしが、あいつと付き合うとか…そういう資格は無いんじゃないかって思うんです」

靖子「…そこら辺を負い目に感じてるのか」

まこ「きっと、もっとちゃんとあいつのことを思ってくれる人が現れると思います…わしなんかより、ずっと」


114: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/16(金) 22:32:44.38 ID:OC/oNNwx0
靖子「…まぁそんなこと気にしなくていいんじゃないか?」

まこ「っ!そんなことって!」

靖子「そんなこと、さ」

靖子「その彼が、これまでの事をお前の言ったように考えて、気にしてるなら、好きだなんて言わないだろ?」

まこ「あ…」

靖子「もっと自分の気持ちに素直になっていいんじゃないのか?」

まこ「……」

靖子「だいたい、好いた惚れたに資格なんて要らないんだ…若いうちはな」

まこ「え?」

靖子「小鍛治さんなんかまだ適齢期なのに行き遅れのアラフォー扱いだぞ?」ハハハ

まこ「…あー」


115: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/16(金) 22:35:55.80 ID:OC/oNNwx0
靖子「まぁあの人は経歴が経歴だし相手見つけるのも大変だろうけど…ひとりでも生活には困らなそうだし」

靖子「…しかし実際女性雀士は晩婚化してるってデータもあるし他人事じゃない…いや、私はまだ若いし大丈夫だけどな?」ナ?

まこ「はぁ…」

靖子「あぁ…でも私も子供欲しいなぁ…衣みたいなかわいいのが」

まこ「あー…藤田プロは天江さんお気に入りですよねぇ」

靖子「かわいいからな。高校卒業したらうちのチーム来てくれないかなぁ…」

まこ「はぁ、そうですね…」

116: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/16(金) 22:39:25.55 ID:OC/oNNwx0
………

靖子「…まぁ、いい男なら今のうちに捕まえときゃいいんじゃないか?麻雀部の後輩なら雀荘やってくにも理解あるだろ?」

まこ「なっ!しょ、将来って…」

靖子「照れんな照れんな。…今度ここに連れてきなよ。私も一応プロだしな、指導の手助けぐらいしてやるさ」

まこ「え、でもお金とか…」

靖子「いいって、なんか結局私の愚痴とか聞かせちゃったしな」

靖子「…まだまだ時間はあるんだ。今までお前が放っておいたと思う分だけ余計に世話してやれよ」

まこ「…そう、ですね。そうします」


117: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/16(金) 22:40:52.66 ID:OC/oNNwx0
まこ「…今日はありがとうございました。だいぶ気持ちの整理がつきました」

靖子「気にするなって。…頑張りなよ」

まこ「はい、藤田プロも」

靖子「…私はまだ25だし大丈夫…決して、小鍛治さんルートには…早くいい男見つけないと…」ブツブツ

まこ「…なんかすいません」

靖子「あぁいや、いいんだ。じゃあな、またカツ丼食べに来るよ」

まこ「毎度ー」

まこ(…だからうちは雀荘なんじゃが)



123: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/20(火) 00:30:35.27 ID:RPudB75G0
翌日

チュンチュン

京太郎「…あ、れ?あさ…?」

京太郎「ねむ…」ゴシゴシ

京太郎「あー…」ボケー

京太郎(結局緊張してほとんど眠れなかった…)

京太郎(仕方ないから昨日の本読んでたけど…途中から神話やらなんやらの話が始まって…)

京太郎(…俺には難しすぎる…やっぱ才能無いのかなぁ)

京太郎(いや、大会までにある程度モノにしないと…もう、夏みたいな情けないのは御免だ)



124: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/20(火) 00:31:58.87 ID:RPudB75G0
カガヤイテーココイチバーン

京太郎「あー…もしもーし」

まこ『お、おはようさん。…あー、まだ寝とったかのう?』

京太郎「いまおきたとこです…」

まこ『ほ、ほうか。…えっと、でな?昨日の、話なんじゃが…』

京太郎「あい……って染谷先輩!?」ガバッ

まこ『お、おぅ!どうした?寝惚けとったか?』

京太郎「え、あ、いや大丈夫です!起きてます!」


125: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/20(火) 00:32:56.80 ID:RPudB75G0
まこ『ん、それでな…き、昨日の、返事、なんじゃが…』

京太郎「え、あ!い、今?今ですか!?」

まこ『いや、こういうのは、その、直接話すんがええと思っとるんじゃが…京太郎が電話で良ければ今でも構わんぞ?』

京太郎「う、えーと、い、今はちょっと心の準備が…」

まこ『…それじゃあ、昼休みでええかのぅ?場所は…昨日の、旧校舎裏で』

京太郎「は、はい!わかりました」

まこ『そ、それじゃあ、お昼にな』プツッ


126: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/20(火) 00:33:55.29 ID:RPudB75G0
京太郎「あー…びっくりしたぁ…」

京太郎(まさかいきなり電話が来るとは…)

京太郎(…まぁ染谷先輩のモーニングコールで目覚めたと考えればこれは一日の始まりとしては最高だな!)

京太郎(あ、でももしこの後フラれたら…)

京太郎「…いやいや!いきなり想像で落ち込んでどうすんだ!」

京太郎「朝一番に染谷先輩の声を聞けたことをラッキーだと思うんだ!…だいたい嫌われてたらわざわざ電話なんてしてくれないって!たぶん…」

京太郎「…よし!学校いくか!」

127: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/20(火) 00:34:36.11 ID:RPudB75G0
………

咲「あ、おはよう京ちゃん」

京太郎「おう、おはよう咲」

咲「…えっと、その、きょ、今日はいい天気だね!」

京太郎「…?そうだな」

咲「あー、っと…えーと」

京太郎「…どうした?なんか変だぞ?」

咲「あ、いや、別に何でもないよ!?染谷先輩とのこととか全然知らないし!」

京太郎「!?!?!?」

128: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/20(火) 00:36:06.13 ID:RPudB75G0
京太郎「え?あ、ちょっと!?うん、え!?」

咲「あ、違うから!知らないから!気にしないで!」

京太郎「そ、そうだよな!咲には関係ないしな!知ってるわけないよな!?」

咲「そ、そうだよ!京ちゃんが染谷先輩に告白したとか全然知らないし!」

ザワザワ

ソメヤセンパイ?エー?ミヤナガトツキアッテタンジャネーノ?

京太郎「」

咲「あ…ご、ごめんね?京ちゃん…」


129: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/20(火) 00:37:04.54 ID:RPudB75G0

………

京太郎(そうだよなー自分が弄られる可能性を考慮して逃げ帰ったけど…女子だけだったら相談してもおかしくはないよなー)

咲「あの…京ちゃん…?」

京太郎「つーかさ!何も大声で言いふらさなくてもいいだろ…」

咲「ご、ごめん!悪気は無かったんだけど…なんか私も緊張しちゃって…」

京太郎「あー恥ずかしいマジヤバイこれでフラれたらほんとヤバイ恥ずかしい死ぬ」

咲「ちょっと、少し落ち着いてよ…」

京太郎「落ち着けってだってお前!これちょっと、ねぇ!?」


130: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/20(火) 00:37:55.39 ID:RPudB75G0
咲「…そんなに心配しなくても大丈夫だと思うよ?」

京太郎「大丈夫って言われても…そんなん何を根拠に!?」

咲「んーと、染谷先輩は…なんていうか、すっごく京ちゃんのこと…気にかけてると思うな」

京太郎「…それは、俺が部内で唯一の男で、唯一の初心者だからだろ?」

咲「そうかもしれないけど…それでも、染谷先輩はちゃんと京ちゃんのこと気にしてたから、きっと京ちゃんの良いところ、よーくわかってくれてると思うよ?」

咲「…私は、京ちゃんはもうちょっと自分に自信を持っていいと思うな」

咲「私も和ちゃんも優希ちゃんも、部長に染谷先輩…部のみんなが、京ちゃんには感謝してるんだよ?」

咲「夏の大会の間、私達が麻雀のことだけ考えて過ごせたのは、京ちゃんがみんなのために、って一生懸命頑張ってくれたからだって」


131: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/20(火) 00:38:56.87 ID:RPudB75G0
京太郎「……でも」

咲「でも、じゃなくってさ」

咲「私は、誰かのために一生懸命になれるのって、とっても素敵なことだと思うな」

京太郎「……」

咲「んーと…あのさ?」

咲「…京ちゃんが自信持てない一番の理由って、麻雀のこと…だよね?」

京太郎「……!」

咲「自分だけが初心者だった事、気にしてるみたいだけど…最初は誰だって初心者なんだから、気にしなくて良いんだよ?」

京太郎「…カッコ悪いだろ?女子が全国優勝してるのに、唯一の男子の俺が、地区予選…それも午前の部で敗退なんてさ」

咲「始めて半年で全国レベルだなんて本当に一握りの人だけだよ…今からサッカー部に入って、冬は国立、なんて無理でしょ?」

咲「それに、自分で言うのもちょっとアレだけど…全国レベルの仲間が五人もいるんだから!ね?」

132: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/20(火) 00:40:31.89 ID:RPudB75G0
咲「京ちゃんはちゃんと上達してるよ?この調子でみんなと練習して、これからの大会で頑張ればいいんだよ」

京太郎「俺だってそのつもりだ!…そのつもり、だけど」

京太郎「……俺、全然勝てないし…本当に麻雀上手くなってるのかな…?」

咲「上手くなってるよ!みんなもそう言ってたでしょ?」

京太郎「でも…」

咲「京ちゃんってさ…一回へこむとめんどくさいよね」

京太郎「はぁ!?な、なんだよ!めんどくさいって!励ましてくれてんじゃなかったのかよ!?」

咲「京ちゃんが自分で自信持てなきゃ、私が何言ってもしょうがないでしょ」ハァ

咲「…で?いつ染谷先輩に返事もらうの?」

京太郎「え、と…昼休みだけど」

咲「先輩と会うときにそんな顔してたら、心配かけちゃうよ?…ほら、授業始まるよ」トテテ

京太郎「あ、おい、咲!」


133: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/20(火) 00:41:28.75 ID:RPudB75G0
京太郎「そんな顔、って言われても…」

京太郎(自分に自信が持てないのなんて仕方ないだろ…?俺は、結果を出せてないんだ)

京太郎(みんなが全国で強敵と戦ってる間、俺は見てるだけで…)

京太郎(せいぜい荷物持ったり、買い出し行ったり、タコス作ったり…)

京太郎(みんなはそれだけでも助けになったって言ってくれてるけど…)

京太郎(知識も経験も足りない俺は牌譜からデータを纏めたりとか、試合で直接役に立つことはできなかったんだぞ?)

京太郎(それなのに、それなのにみんなは、染谷先輩は俺のことを気にかけてくれて…)

京太郎(…俺は本当に上手くなってるのか?オカルトの本も結局よくわかんなかったし…)

京太郎(みんなが全国レベルの打ち手なのはわかってるけど、半年打ってて部内でトップ取ったこと無いし…)

京太郎(…本当は、俺が…男で、初心者の俺がいない方が、みんなには良かったんじゃないのか…?)


134: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/20(火) 00:42:25.94 ID:RPudB75G0

………

ザワザワ

咲「京ちゃん、京ちゃん」

京太郎「……?あ、やべぇ寝てた…」

咲「もうお昼だよ?」

京太郎「おう…」

咲「染谷先輩、待ってるんじゃないの?」

京太郎「…っと!悪いな咲、起こしてくれてサンキューな」

咲「頑張ってね」

京太郎「ん…行ってくる」

京太郎(考え込んでるうちに寝ちまったのか…)

京太郎(俺は……)

京太郎(…旧校舎、急いで行かなきゃな)

135: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/20(火) 00:43:03.43 ID:RPudB75G0
まこ「あ、京太郎」

京太郎「染谷先輩…すいません、遅くなっちゃって」

まこ「き、気にすることないわ…わしもいま来たとこじゃけぇ」

まこ(…なんか今の、デートの待ち合わせみたいでちょっと恥ずかしいのう)

まこ「あー、それでな?昨日の返事じゃが…」

京太郎「は、い…」

まこ「…どうした?なんか、元気無いのう」

京太郎「あー…なんと言うか」

京太郎「俺って…どうなんでしょうね?」


136: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/20(火) 00:43:54.47 ID:RPudB75G0
まこ「…?どういう意味じゃ?」

京太郎「…俺って必要なんでしょうか?」

まこ「いきなり何言っとるんじゃ…そんなん当然じゃろ?…誰かになんか言われたんか?」

京太郎「ちょっと咲と話して…色々考えたんですけど、なんか俺ってダメだなぁって」

京太郎「あ、咲に悪口言われたとかじゃ無いですよ?…ただ、俺って夏も何もできなかったですし」

まこ「何を言うとるんじゃ!京太郎はみんなのために細やかなことほとんど受け持ってくれたじゃろ?…みんな、感謝しとるよ?」

京太郎「…でも、麻雀にはなんの役にも立てなかったじゃないですか!」


137: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/20(火) 00:44:39.34 ID:RPudB75G0
まこ「んなこたぁない!麻雀に集中できたんは京太郎のお蔭だし精神的にも支えてもらった!」

まこ「…そんなこと言ったら、わしだって!大会に向けて活動を始めてからは京太郎のこと、ほとんど放置してもうたじゃろ?…本当にすまんかった」

京太郎「そんなの、優勝目指してたんですから!選手の先輩が自分の練習に力を入れるのは当然じゃないですか!」

まこ「そうだとしても!後輩をないがしろにしたんは、先輩として…」

京太郎「俺は!ないがしろにされたとも放置されたとも思ってませんよ!」

京太郎「そりゃあ、合同合宿の時とか留守番で寂しかったですけど…お土産買ってきてくれたりとか、先輩がちゃんと気にしてくれてるってわかってたから…」

京太郎「だから!俺、情けなくて…気にかけてもらってるのに、大会じゃ何もできない自分が…」


138: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/20(火) 00:45:33.23 ID:RPudB75G0
まこ「そんなに自分を卑下しなくてもええ!自分が清澄の優勝を陰から支えたんだ、って思ってええんじゃぞ?」

京太郎「…でも俺は、試合で結果を出せてないから」

まこ「…夏の大会で京太郎の努力が実を結ばなかったのはわしのせいじゃ!…適切な指導もできんかったし、注目選手のデータもろくに準備できんかったし…」

京太郎「うちの部は少人数なんですし、ある程度自分で準備するべきだったんですよ!…先輩のせいじゃないです!」

まこ「初心者の一年生に大会にどう臨めばいいのかも教えられんかったんじゃぞ!?わしの責任じゃ!」

京太郎「俺の大会だったんですから結果が出なかったのは俺の責任ですよ!」

京太郎「先輩が責任を感じることはないんです!次の大会こそは…俺が、俺の力で結果を出さないと…!」

まこ「…大会の結果が全てじゃないじゃろ?京太郎はちゃんと部活に貢献しとるんじゃからもっと自信を持って…」

京太郎「結果も出さずに自信なんか持てませんよ!」

まこ「…なんでそんなに大会の成績にこだわるんじゃ?成績に意味がないとは言わんが…」


139: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/20(火) 00:46:26.69 ID:RPudB75G0
京太郎「…俺、麻雀好きだから」

京太郎「部活のみんなも、染谷先輩のことも好きだから…」

京太郎「だから清澄が全国優勝した時はすっげぇ嬉しくて」

京太郎「…だけど、みんなに置いてかれたみたいで、寂しくて、悔しくて」

京太郎「俺も…みんなと一緒に戦えるぐらい麻雀上手くなって、大会で結果出して…」

京太郎「そうしないと俺も清澄高校麻雀部の一員なんだって、胸を張れない気がして…」


140: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/20(火) 00:47:22.09 ID:RPudB75G0
まこ「…そんなに気にしとったんか」

京太郎「…みんなが上手くなってるって言ってくれても、やっぱり勝ててないですから…自信、持てなくて」

京太郎「…すいません、ウジウジと愚痴っちゃって。先輩の前じゃカッコつけたいんですけどね…」

まこ「…半泣きで愚痴る姿は、正直カッコ良くはなかったのう」

京太郎「あー、ハハハ…すいません、情けなくて」

まこ「気にせんでええ…今まですまんかったのう、京太郎」

京太郎「?…なにがですか?」


141: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/20(火) 00:48:08.28 ID:RPudB75G0
まこ「京太郎が悩んでたのに、今まで気づいてやれんかった」

まこ「それに、やっぱり夏の大会に関してはちゃんと面倒見てやれんかったわしにも非があるからのう」

京太郎「そんな!俺は染谷先輩がいっぱい気を遣ってくれてるの感じてましたし、本当に気にしてませんから!」

まこ「あんたが気にしてなくてもわしが気にしとるんじゃ」

まこ「だから…これからはちゃんと、あんたの面倒見てやりたいんじゃよ」

京太郎「だ、だからそんなに気にしないでくださいよ!本当に大丈夫ですから!」

まこ「あー…だから、そうじゃなくてな?」

京太郎「え?…あの、どういうことですか?」

まこ「だ、だからな?」


142: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/20(火) 00:48:49.35 ID:RPudB75G0
まこ「…わしは、京太郎のことが、す、好きじゃ!これからは…先輩として、それから、こ、恋人として、京太郎のこと支えてやりたいと、思っとる」

143: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/20(火) 00:49:37.14 ID:RPudB75G0
京太郎「え」

まこ「…その反応は無いじゃろ。かなり恥ずかしかったんじゃが…」

京太郎「え、だってその…あ、ははは…え?マジですか?」

まこ「…別に嫌なら無理にとは言わんわ」

京太郎「嫌なわけ無いじゃないですか!嬉しいです!」

まこ「ん…まぁ、その、よろしく頼むわ」

まこ「…今までの分も、ちゃんと面倒見ちゃるからな」

京太郎「…先輩も本当に気にしなくて良いですから。俺にとって染谷先輩は凄くいい先輩ですから」

京太郎「それこそ先輩の方も、自信持ってくださいよ」

まこ「…ん、ありがとな」


144: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/20(火) 00:50:27.14 ID:RPudB75G0

………

ガラッ

咲「あ」

京太郎「なんだよ、あ、って」

咲「いや、別に?…おかえり」

京太郎「おう」

咲「…遅かったね?」

京太郎「いやー染谷先輩と弁当食ってたんだけど…」

咲「そっか!良かったね!」

京太郎「…お、おう。それでな」

咲「いいなー染谷先輩のお弁当…私も食べたかったなぁ」

京太郎「そっちかよ!もっとなんか、こう、あるんじゃねぇの?」

咲「だって京ちゃん、ソワソワしすぎ。話したいです!って顔してさ…凄く鬱陶しいノロケとか始めそうだし…」


145: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/20(火) 00:51:25.98 ID:RPudB75G0
京太郎「そりゃ悪かったな!どうせ俺はめんどくさい奴だよ!」

咲「うん、そうだね」

京太郎「…なんかお前容赦ねぇな。ちょっと傷つくぞ」

咲「そういうところが…うん、まぁいいや。…元気になったみたいだしよかったよ」

京太郎「…色々悩んでたこととか染谷先輩と話してさ、スッキリしたよ」

京太郎「朝は俺もちょっとナーバスになってたし…悪かったな、心配してくれてたのに」

咲「いいよ、気にしなくて…友達でしょ」

京太郎「…さんきゅ」

京太郎「あ、それでな?」

咲「…みんなも心配してたし部活の時に聞くよ」

京太郎「そうか?それじゃあそうするかなー」

咲「…同じ話二回も聞きたくないしね」ボソッ

京太郎「ん?なんか言ったか?」

咲「…別に?何も言ってないよ」

146: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/20(火) 00:52:16.65 ID:RPudB75G0

………

ガラッ

京太郎「こんちはー」

久「須賀くんおそーい!で、まことは?どうなったの?」

京太郎「いやーそれ聞いちゃいます?聞いちゃいますかー」

久「まこったら照れちゃって何も教えてくれないんだもの!相談に乗ってあげたって言うのに…」

まこ「あんたはなんの役にもたたんかったじゃろ…」

久「なに言ってんのよ!?ちゃんと助っ人送り込んであげたでしょー?」

まこ「あんた…!…藤田プロもこんなのに使われて大変じゃのう」ハァ

久「そんなに誉めないでよ、もう!…もっと感謝してもいいのよ?」

まこ「…ありがと。助かったわ」

久「どーいたしまして!」

147: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/20(火) 00:54:05.97 ID:RPudB75G0
和「それで?どうなったんですか?」ワクワク

優希「まぁこの様子を見ればわかるけどなー」

京太郎「実は…俺と、染谷先輩は…」

咲(…鬱陶しいなぁ)ハァ

和「焦らさないでください!」ドキドキ

優希「のどちゃん…ちょっと落ち着いて」

京太郎「このたび!めでたくお付き合いすることになりましたー!」イェーイ!

優希「おめでとー!」イェーイ!

和「おめでとうございます!」パチパチ

咲「良かったね、京ちゃん」

久「よっ!大統領!」パチパチ

京太郎「ありがとうございます!ありがとうございます!」

まこ「…どーも」


148: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/20(火) 00:56:21.38 ID:RPudB75G0
久「それで?それからどうしたのよ?」

京太郎「いやー染谷先輩が俺の分もお弁当作って来てくれてて…」

まこ「おい、京太郎!余計なことまで言わんでいいからな!?」

和「い、今の発言はお弁当以上のことがあったということでしょうか!?」ドキドキ

優希「…のどちゃんぐいぐい行くなー」

咲「…京ちゃんのことだから手を握ったとかだと思うよ」

京太郎「おい咲!あんまりヘタレだと思って馬鹿にすんなよ?俺だってやるときゃやるんだぞ!」

久「ぅえ!?が、学校でヤっちゃったの!?」

優希「じぇ!?や、ヤるってそういう…」カァァ

咲「え!?そ、それはさすがに段階をとばしすぎじゃあ…」カァァ

和「あわわわ…そ、そういうことはけ、結婚してから…いや、昨日須賀くんがプロポーズしてるんですから婚約者で…でもまだ高校生ですし…」

まこ「いやいやいや!やや、ヤるってなんじゃ!?ヤっとらんわ!」マッカッカー


149: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/20(火) 00:57:22.45 ID:RPudB75G0
久「まさかまこが『デザートはわ・た・し(はぁと』…とかやっちゃったとは」

まこ「そ、そんな恥ずかしいことするわけあるか!」

京太郎「い、いきなりそれはレベル高過ぎですよ!」

優希「あ、あの、もっと節度を持ったお付き合いを…」モジモジ

まこ「だからしとらんって!話を聞きんさい!」

和「にょ、女体盛りなんて破廉恥です!」

まこ「あんたは何を言っとるんじゃ!?」

咲「…じゃあ、ほっぺにちゅーとか?」

京太郎「だから馬鹿にすんなって!ちゃんと口に…」

まこ「きょ、京太郎!」


150: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/20(火) 01:00:19.70 ID:RPudB75G0
久「ほほぅ?」ニヤニヤ

優希「おおぅ…京太郎の癖に頑張ったじゃないか」ニヤニヤ

咲「うわ…まさか京ちゃんが…成長したね」ニヤニヤ

和「ちゅ、ちゅーしちゃったんですか!?」ドキドキ

まこ「きょ、京太郎!こ、この阿呆!」カァァ

京太郎「す、すいません!その、わざとじゃなくって!」

久「いやーまこのファーストキス須賀くんに取られちゃったかー」ニヤニヤ

咲「ごめんね京ちゃん…まさかいきなりキスする度胸があったなんて」ニヤニヤ

優希「めでたいじぇ!今日は赤飯だな!」ニヤニヤ

まこ「あーもう!全員ちょっと黙りんさい!ニヤニヤすんのもやめぇ!」カァァ

和「あ、あの!ファーストキスはレモン味って本当なんでしょうか!?」ドキドキ

京太郎「あ、いや、その…」

151: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/20(火) 01:00:58.43 ID:RPudB75G0




京太郎「すっごく甘い、玉子焼きの味だったよ」



カン!

158: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/21(水) 21:25:23.00 ID:zKZVavxY0
久「しばらく部活に出ない?」

まこ「ああ、京太郎も連れてくわ」

京太郎「え?俺ですか?」

久「んー、認めてあげたいけど…大会前だしデート休暇はちょっと…」

まこ「な、何を言っとるんじゃ!京太郎にはうちの雀荘を手伝ってもらおうと思って…」

和「実家のお手伝い…将来を見据えて、ということですね」

まこ「そんな話はしとらんわ!京太郎にはちゃんと経験を…」

優希「なるほど!お店に慣れておけばいつ婿入りしても安心だじぇ!」

まこ「だーかーら!話を…」

咲「染谷先輩は看板娘だし、常連さんにちゃんと挨拶しないと駄目だよ?京ちゃん」

京太郎「え、そんな、挨拶って…む、娘さんを僕にください!ってやつだよな!?えっと、菓子折りとか持ってった方がいいかな!?」

まこ「な、な、な!ち、違うわ!違う!そうじゃなくて…!」


159: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/21(水) 21:26:19.85 ID:zKZVavxY0

まこ「あー…コホン。よし、ちゃんと説明するからな?」

久「二人の関係を?お客さんにそこまで言わなくても…」

まこ「違うっつーに!黙っとれ!」

まこ「ハァ…ハァ…あー、京太郎はたしかに麻雀上手くなっとる…しかし今はその事に自信を持てないわけじゃ」

京太郎「はい…その、全然勝ててないですから」

和「?…以前ネト麻の成績見せていただいた時はそこそこの戦績を出していたように思いますが」

京太郎「……リアルで打って一位とったこと無いんだよ、俺」

まこ「普段部活でしか打っとらんからな…京太郎とそれ以外ではやっぱり経験に差があるからのう」

久「ふむ…つまり雀荘でいろんな人と打たせて自信つけさせてやろう、ってことね」


160: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/21(水) 21:27:15.08 ID:zKZVavxY0
まこ「客の実力は様々じゃが…まぁ今の京太郎なら全く勝てないってことは無いじゃろ」

京太郎「でも、もしそれで勝てなかったら…」

咲「…だからいちいち悪い方に考えないの」ハァ

和「麻雀はなかなか勝てないということも起こり得ますし、総合すれば悪い成績ではないのですから自信を持ってもいいのでは?」

優希「あんまりウジウジしてると染谷先輩に嫌われるじぇ?」

京太郎「ちょ、それは困る!」

久「何はともあれ打ってみてからでしょ。須賀くん、頑張ってきなさい!」

京太郎「はい!頑張ります!」

161: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/21(水) 21:27:50.88 ID:zKZVavxY0
………

雀荘『Roof-top』

京太郎「ここが先輩の…」

まこ「ん、更衣室はあっちじゃ。さすがに学校の制服じゃまずいしのう」

京太郎「あ、そういや前に咲と和が手伝いに行ったときはメイド服着たって聞きましたけど…」

まこ「なんじゃ?…まさかメイド服着たいんか!?」

京太郎「違いますよ!?いや、俺着替えとか持ってませんし…なんか制服みたいなのあるんですか?メイド服と合わせて執事服とか…?」

まこ「いや、メイド服は趣味で集めとるんじゃが…あー」

まこ「今日のところは父さんの服借りてくるからそれで我慢してもらえるかのう…?」

京太郎「特に無いんですね…大丈夫です。お借りします」


162: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/21(水) 21:28:50.15 ID:zKZVavxY0

まこ「ふむ…にしても執事服か。女性客取り込めるかもしれんし、京太郎が着たいなら準備してみるかのう」

京太郎「あ、いや!俺が執事なんて!無理ですよ!」

まこ「ほうか?京太郎は身長もあるし結構様になるんじゃないかと思ったんじゃが…」

京太郎「その、本物の執事さん知ってますし…なんというか、俺なんかがおこがましいというか」

まこ「…龍門渕の執事さんは、なんというか…規格外じゃったのう」

京太郎「タコスとか…今も色々お世話になってるんですけど、消えたと思えば現れ、現れたと思ったら消え…何もないとこからティーセットや自動卓出したりとか」

まこ「…そういうもんなんじゃろ。深く考えん方がええ」

163: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/21(水) 21:29:46.16 ID:zKZVavxY0

まこ「それじゃあ着替え取ってくるけぇね。これ、うちのルールだから目を通しておいてくれるかのう」

京太郎「あ、はい」

京太郎(ノーレート…お金賭けないなら取りあえずは安心だな…)

京太郎(…切り上げ満貫?嶺上解花の責任払いは無し…って咲じゃあるまいし関係ないかな?)

京太郎(…夏は何がなんだかよくわからないうちに終わっちゃったし知らない人と打つの、少し緊張するなぁ)

京太郎(お客さんは大人が多いし…煙草の臭いとか、部活とはやっぱり違う感じがする…)

まこ「待たせたの。ルールの方は平気かのう?」

京太郎「あ、はい!だい、じょ…ぶ、です」

まこ「ん?どうした?」

164: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/21(水) 21:30:51.45 ID:zKZVavxY0

京太郎「あ、いや…先輩も着るんですね、メイド服」

まこ「そりゃあ着るが……あー、もしかして変かのう?」

京太郎「ち、違っ!その、よく似合ってると!か、かわっ!かわ…い、い…です」カァァ

まこ「っ!あ、う…そ、そう…かのう?ありが…とう、な」カァァ

京太郎「い、いえ…その、はい…」

まこ「お、おう…」

京太郎「……」モジモジ

まこ「……」モジモジ

京太郎まこ「「あ、あのっ!」」

まこ「…な、なんじゃ!?」

京太郎「あ、いえ!先輩がお先にどうぞっ!」


165: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/21(水) 21:32:11.20 ID:zKZVavxY0

まこ「そ、その…」

京太郎「は、はい…」

まこ「えっと…は、早く着替えてきんさい!これ!服!」

京太郎「あ、はい!そ、そうですね!早く準備してお手伝いしないと!麻雀打たなきゃですよね!」

まこ「そ、そうじゃ!早く店出んとな!忙しいし!」

京太郎「えっと、じゃあ着替えて来ます!」バタバタ



まこ「うぅ…かわ、かわいいって」カァァ

まこ(昔から店には顔出しとるし、お客さんにかわいいなんてよく言われとるが…)

まこ(やっぱり、この、娘や孫に言う感じのとは違うニュアンスのが来ると…)

まこ(ぅあー……恥ずかしぃ)プシュー


166: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/21(水) 21:33:07.11 ID:zKZVavxY0

京太郎(あぁぁぁ!ビビった!なんだよいきなり!メイド服って!かわいいじゃないか!)

京太郎(咲と和はフリフリの着たって言ってたし…まぁ少なくともあと二着はあるんだよな…メイド服)

京太郎(フリフリの…うん、結構いいんじゃないか?先輩は今着てるやつの方が似合いそうだけど…)

京太郎(つーかどんなの持ってんだろう…趣味で集めてるって言ってたし三着ってことはないよな?)

京太郎(色んなのあるんだろうなぁ…もっとこう、際どいのとか…)

京太郎「…いや、いやいやいや!」

京太郎「…今日は真面目に麻雀しに来たんだし!そういう…ふ、不埒なことは」

京太郎(…帰ってから考えよう、うん)


167: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/21(水) 21:34:10.37 ID:zKZVavxY0

………

京太郎「よろしくお願いします!」

「お、まこちゃん新しいバイトいれたのかい?」

まこ「部活の後輩なんです。麻雀始めて半年なんで秋の大会前に場数踏ませてやろうと思いまして」

「それじゃあ、いっちょ揉んでやるか」

「夏はまこちゃんたち優勝してるし、兄ちゃんも頑張らなきゃなぁ」

京太郎「…はい!頑張ります!よろしくお願いします!」


168: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/21(水) 21:35:28.41 ID:zKZVavxY0

………

京太郎(しばらく打ってみたけど…)

京太郎(東場から攻めるタイミングが来ることに違和感が…)

京太郎(んー…行ってみるか?)

京太郎「えっと、リーチです!」

「おー、兄ちゃんはえーな」

京太郎(…リーチしないほうが良かったか?でもあまり回りに高い手の気配はしないんだよな)

京太郎「あ…ツモです。一発ついて3000・6000でお願いします」

「ハハ、流れ来てるね兄ちゃん。その調子で大会も頑張りなよ」

京太郎「うっす!ありがとうございます!」

京太郎(…跳満なんてリアルで和了ったの初めてだな)

京太郎(…なんかアレだな、普通に和了れてもちょっと怖いな)


169: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/21(水) 21:36:57.77 ID:zKZVavxY0

………

靖子「よっ、カツ丼特盛お願いね」

まこ「うぉっ!藤田プロ!?いつの間に…」

靖子「あんたが出てくるちょっと前にね。久から連絡来てさ」

まこ「…プロ雀士って案外暇なんですか?」

靖子「…この前試合あったし、たまたま時間があったんだよ」

靖子「で…あの子?あんたの彼氏」

まこ「かっ、彼氏って!」

靖子「ん?違うのか?」

まこ「あ、いや……まぁ、そう、なんですけど…」

靖子「へぇ…あんたってさ」

まこ「…なんですか?」

靖子「結構面食いだったんだね」ニヤニヤ

まこ「なっ!いや、別にそういうわけじゃ…!」

まこ「そりゃ外見もそこそこ整ってるとは思いますけど、ちゃんと中身も…ぁ」


170: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/21(水) 21:38:06.53 ID:zKZVavxY0

靖子「はいはい、ごちそうさま~」ニヤニヤ

まこ「ううぅ…藤田プロ」マッカッカ-

靖子「いちいち赤くなっちゃって…可愛いやつめ」

まこ「あーもう…勘弁してくださいよ…」

靖子「まぁちょっとぐらいからかわせてもらわないと割に合わないからね」フフッ

靖子「…それじゃあ、どんな感じか」

靖子「ちょっと見せてもらおうかしら…?」ゴッ

171: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/21(水) 21:39:05.59 ID:zKZVavxY0

京太郎「っ!?」ビクッ

「ん?どうした兄ちゃん」

京太郎「あ、えっと…なんでもないです」

京太郎(なんだ…今の……?)キョロキョロ

靖子「あ、一応感じるみたいね」

まこ「…いきなりそんな殺気飛ばさんで下さいよ」

靖子「ごめんごめん…まぁ反応してたし、見込みはあるんじゃない?」

靖子「彼、どんな打ち手なの?」

まこ「部員と打っとるとこしか見たこと無いですけど…最近はダマにもほとんど振らずにオリられるようになりましたし、気配を感じる力は強いと思います」

靖子「んー…まぁ普段からあんたたちみたいなのと打ってたらしっかりオリれないとすぐにトビだもんねぇ」

172: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/21(水) 21:40:38.31 ID:zKZVavxY0

………

靖子「ここ、入っていいかな?」

京太郎「ふ、藤田プロ!?」

「藤田プロ!どうぞどうぞ!よろしくお願いします」

まこ「カツ丼でーす」

靖子「ありがと。えーと、須賀くん?夏…県大会でちょろっと会ったよね?」ガツガツ

京太郎「うぇ!?あ、は、はい!お昼に少し…直接お話はしてないですけど」

靖子「そうだよね…顔見たら思い出したよ」ガツガツ

京太郎「…えっと、咲や和がお世話になったみたいで!あー部長の知り合いでここの常連さんだとか…」

靖子「そんな緊張しなくていいよ。…普通に打ってくれればいい、そのために来たんだからね」ガツガツ

京太郎「え?…ってことは、俺を?」

靖子「そうそう…ここの看板娘が自分の彼氏を見てほしいって言うからさぁ」ニヤニヤ

まこ「ふ、藤田プロ!」

「なんだ兄ちゃん!まこちゃんと付き合ってんのか!」

京太郎「え!?ぅわ、は、はい!えっと、その、先輩とは健全なお付き合いを…」


173: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/21(水) 21:42:09.87 ID:zKZVavxY0

ザワザワ

「そうか…まこちゃんも男作る年かぁ…」

まこ「あ、いやその…」カァァ

「わしらのアイドルに手を出すたぁふてぇ野郎だ!」

京太郎「あ、うわ、す、すいません!」

「くたばったじいさんの分も殴ってやらねぇといかんなぁ」

京太郎「え!?あの、お、お手柔らかに!?」

ザワザワ

靖子「いやーやっぱり人気者だねぇ、あんた」

まこ「ちょっと!別にそんな…言わんでもええでしょう!?」

靖子「須賀くんも早くここに慣れた方がいいんじゃない?ここに永久就職でしょ?」ニヤニヤ

まこ「ぅあーもう!こっちのことより自分の事気にしたらどうです!?」


174: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/21(水) 21:43:33.00 ID:zKZVavxY0

靖子「わ、私はまだプロ雀士としてもこれからだし…時間は全然あるし…そんな、必死にならなくても大丈夫、な筈…」ブツブツ

「見合い相手の紹介でもしましょうか?」ハハハ

靖子「え、あー…いや、まだ、まだ大丈夫です…」

まこ「ほれ!京太郎もいつまでも騒いどらんで!せっかく藤田プロ来てくださったんだから打ちんさい!」

京太郎「は、はい!すいません!」

「なんだ兄ちゃんもう尻に敷かれてんのか!」

京太郎「あーまぁ頭上がらないですね…惚れた弱味と言いますか…」

「ほら、藤田プロ…小鍛治プロや瑞原プロみたいな例もありますし…」

靖子「ぐぅ…それを言われると…たしかにちょっと不安はあるんですけど…」


175: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/21(水) 21:44:25.40 ID:zKZVavxY0

………

京太郎「いやぁ…結局ほとんど打てませんでしたね」ハハハ

まこ「何を笑っとるんじゃ!藤田プロだって毎日暇なわけじゃないんじゃぞ!?」

靖子「まあ落ち着けって。少しは打ったし、だいたいわかったよ」

京太郎「…!」

まこ「どうですかね?京太郎は…」

靖子「危機察知能力が高い。何度か意地悪な待ちに取ってみたりもしたが、しっかり回避してたな…どの程度感じるんだ?」

京太郎「えっと…張ったかなーと思ったらだいたい当たってると思います…危険牌はなんとなく、こう、寒気がするというか…」

靖子「ふむ、精度もかなり高い、と……まぁ、今のままでもそこそこの成績が出ると思うぞ?」

まこ「本当ですか!?」

京太郎「あ、ありがとうございます!」

靖子「でも、今のままじゃそこそこ止まり…上位入賞は無理だな」

京太郎まこ「……!」


176: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/21(水) 21:45:25.21 ID:zKZVavxY0

靖子「今日は一回もトップなかったよね?」

京太郎「は、はい…二位は多かったんですけど」

靖子「なんというか…勝ち方を知らないのかな?攻めるときもなんだか…おっかなびっくりというかさ」

京太郎「……」

靖子「そういう攻め方じゃ牌は応えてくれないよ。勝って結果を出したいんだろう?」

京太郎「それは!当然、勝ちたいです!」

靖子「そういう気迫がもっと欲しいかな…部活内で打ってる時は実力差や経験差もあって、負けても仕方ない、なんて思うこともあっただろう」

靖子「でも、真剣勝負の場ではそんな甘えは許されない…気持ちで負けた奴は絶対に勝てない」

靖子「どんなに絶望的な状況でも、決して諦めないこと、それが"まくり"の、そして勝利の条件だ」


177: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/21(水) 21:46:10.87 ID:zKZVavxY0

まこ「……」

京太郎「……」

靖子「…なんだよ、なんか言えよ」

まこ「あ、いや藤田プロなのにちょっとかっこよかったんで…」

靖子「ちょっと!どういう意味!?」

まこ「なんか、久にやり込められてる印象が強いというか…」

京太郎「せんべい買うと出てくる印象が強いというか…」

靖子「失礼な奴等だな…つーかプロ麻雀せんべいのは気のせいだって!封入率操作の事実はないから!」

靖子「なんで私のブログに『また藤田プロのカード出たんですけど…』とかコメントすんだよ!しかも週に二、三回も!メーカーに言えよ!」


178: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/21(水) 21:46:57.20 ID:zKZVavxY0

靖子「…まぁとにかくだ。守備に関しては問題は無いだろう。」

靖子「もっと気持ちを強く持って打ちなさい。絶対に勝つって気持ちがないと、大事な場面で競り負ける」

京太郎「…はい!肝に銘じておきます」

まこ「今日は、ありがとうございました」

靖子「気にすんなって。立場上あんまり表立って応援出来ないけど、期待してるよ」

京太郎「ありがとうございます!頑張ります!」

靖子「じゃ、またカツ丼食べに来るから」

カランカラン

京太郎「……あの、先輩」

まこ「なんじゃ?」

京太郎「ここって雀荘じゃ…」

まこ「…もうカツ丼屋でええよ」


187: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/23(金) 23:21:53.09 ID:OAD4enY60

キーンコーンカーンコーン

京太郎「よっしゃ!咲、学食行こうぜ」

咲「ん、いいけど…」

京太郎「なんだよ?」

咲「…たまには染谷先輩と二人で食べたら?」

京太郎「いいんだよ。最近放課後は『Roof-top』だから、昼飯時ぐらいしかみんなと会えないだろ」

京太郎「それに、優希にタコスやらなきゃだしな」フフッ

咲「その顔…今日は自信作みたいだね」

京太郎「おう!今回は素材にもこだわってみてな?」


188: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/23(金) 23:24:00.21 ID:OAD4enY60

咲「もう…タコス作りよりも麻雀の練習頑張りなよ」

京太郎「タコスだって重要だろ?うちのエース様のコンディションを大きく左右するんだからさ」

咲「まぁそうなんだけど…実際麻雀の方はどうなの?成果は出てる?」

京太郎「ん…まあまあかな?前よりは自信あるよ」

咲「そっか…よかったよ」

京太郎(実際、『Roof-top』に通いはじめて一週間程経ったが…かなり自分に自信を持てるようになった)

京太郎(大きく勝つことはないけど、守備に関しては藤田プロの御墨付きをもらったことで、自分の感覚をかなり信頼できるようになったし…)

京太郎(…ただ、やっぱりなかなかトップを取れない)

京太郎(部活で打つ時は基本攻めない…攻めれない、が正しいか)

京太郎(…つまり攻撃の練習不足なんだよな。だから自信を持って攻めれない…今は色々試してみてるけど…)

咲「京ちゃん、どこまで行くの?」

京太郎「どこまでって…学食に決まってんだろ」

咲「…通りすぎてるよ」

京太郎「…わりぃ、考え事してた」


189: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/23(金) 23:26:01.81 ID:OAD4enY60

京太郎「まさか咲に道について言われる日が来るとは…」

咲「さすがにもう校舎内じゃ迷わないよ!」プクー

京太郎「…この前、図書室探してさまよってるの見たって奴がいたけど」

咲「ち、違うもん!あの時は一階多く昇っちゃっただけで…」

「よっ!相変わらずの仲良し夫婦だな」クックックッ

咲「嫁さん違います!」

京太郎「俺も恋人できたっつーの!誤解を招くからやめろって!」

「わりぃわりぃ、もう癖でよ…お前ら見るとついな。麻雀部のみんな、あっちの奥の方に居たぞ」

咲「…ほんとだ!ありがとう」

「いえいえ。…にしても今日も弁当箱二つ持ってたぜ?いい嫁さんだなぁ」クックックッ

京太郎「まあな!いやあ染谷先輩マジで料理上手くてさ…この前も…」

「……」ゲシッ

京太郎「痛っ!なんだよ!?」

「いや、ノロケられるのはそれはそれでウザくて…」

咲「先輩いるときはヘタレてるくせに…いないときは全力でノロケるよね」


190: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/23(金) 23:27:22.81 ID:OAD4enY60

京太郎「だ、だって染谷先輩に直接「可愛いです」って言うのと、お前らに「染谷先輩可愛いよな」って言うのじゃなんというか、消費エネルギーにかなりの差があるだろ!?」

京太郎「つーか聞いてくれよ…この前さ、帰りに夕飯頂いたんだけどな?それがもう美味しいのなんのって!やっぱアレかな?愛情が籠ってると違うよな?あ、先輩のお母さんも先輩に似て美人でさ…「まこをよろしくね?」とか笑顔で言われちゃって!いやもう任せてくださいってかこちらこそよろしくお願いしますっていうかさ!つーか将来先輩もこんな感じになるのかなーとか思ったらちょっとドキドキしちゃって…」

「俺もうパン買ったし行くわ」

咲「うん、ありがとねー」

京太郎「って聞けよ!?」


191: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/23(金) 23:28:46.42 ID:OAD4enY60

………

咲「こんにちはー…すいません待たせちゃいましたか?」

久「ぜーんぜん?面白いもの見れたし」

京太郎「え?なんかあったんですか?」

優希「なかなかのショーだったじぇ」

和「えっと、その、微笑ましかったと言いますか…」ポッ

まこ「……」ツップシー

京太郎「染谷先輩?いったい何が…」

まこ「…うっさい、あほ」

咲「あー…聞こえてましたか」

優希「あんな大声じゃ聞かない方が難しいじぇ」

久「お昼時の食堂であれだけ盛大にノロケたらしばらくネタにされるわね」ニヤニヤ

京太郎「あ…っ!す、すいません…」カァァ


192: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/23(金) 23:30:37.91 ID:OAD4enY60

和「それでは…みんな揃いましたし、お昼にしましょうか?」

優希「うむ!もう腹ペコだじぇ~」

久「ほら、まこ?須賀くんにお弁当渡さないと」

まこ「…ああ、そうじゃな」ムクッ

久「羨ましいわね~…愛情たっぷりの愛妻弁当」

まこ「…ぅあー」ツップシー

咲「ほら、京ちゃんが自重しないから…」

京太郎「今後気を付けます…」

和「それに、やっぱり好意は直接お伝えした方がいいと思いますよ」

京太郎「…努力します」


193: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/23(金) 23:33:08.25 ID:OAD4enY60

京太郎「優希、ほれ、タコス…今日のは自信作だからさ!食べてくれよ!」

優希「お…うん。いただくじぇ」

まこ「咲、京太郎。さっきまで他校と練習試合したいって話をしとったんだがな?」

咲「練習試合…ですか?」

久「そ!夏の大会終わってから結構他校から申し込みも来てるのよね…ただ」

京太郎「ただ?」

久「んー、やっぱり相手は女子部ばっかりでね…うちは他校を招待できる設備が無いし…」

京太郎「…なんなら女子だけでも」

まこ「それじゃあ意味ないじゃろ?うちとしては京太郎に打たせたいんじゃし…」

久「同じ麻雀部の仲間なんだし、またお留守番ってのもね」

和「夏ほど緊急の状況ではないですし、須賀くんも打てる条件で相手を選ぶべきだと思いますよ」

京太郎「みんな…ありがとうございます!」ジーン

優希「…なぁ、京太郎」

京太郎「あ、どうだ?タコスなかなかうまくできてるだろ?」

優希「タコス、明日から作ってこなくていいぞ」

京太郎「」


194: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/23(金) 23:34:03.35 ID:OAD4enY60

和「ゆ、ゆーき!?どうしたんですか!?えっと、救急車呼びますか!?」

咲「きょ、京ちゃん塩と砂糖間違えたとかやってない!?優希ちゃんがタコス要らないなんて…」

まこ「ちょ、優希…ダメじゃ!京太郎のダメージがでかすぎる!」

久「どうしたの!?まさか間違って食品サンプル持ってきたとか…」

京太郎「部長と一緒にしないでくださいよ!」

咲「あ、復活した」

195: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/23(金) 23:35:39.74 ID:OAD4enY60

久「な、なによ…そんなに言わなくたっていいじゃない…」イジイジ

まこ「…あー、うん、ドンマイ」

京太郎「ゆ、優希?待ってくれよ…何がいけなかったんだ?トルティーヤには健康を気遣って玄米とか使ったし、水だって自然回帰水に変えた…もちろんこのタコスに電子レンジは使用していない!」

京太郎「な、何が…うぅ…俺を捨てないでくれぇ…」ポロポロ

咲「な、泣いてる…」ヒキッ

和「…修羅場ですね」ドキドキ

優希「あ、いや、タコスはおいしいじょ?文句なしだじぇ!」

京太郎「じゃ、じゃあどうして!?」

優希「だって…染谷先輩に悪いじぇ…」


196: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/23(金) 23:36:55.90 ID:OAD4enY60

まこ「…わしか?」

京太郎「どういうことだ?」

優希「…京太郎だって染谷先輩が毎日別の男にお弁当作ってたら嫌だろ?」

京太郎「……想像したら死にたくなった」ズーン

まこ「…わしは気にしとらんぞ?優希はタコスを食べて頑張れるんじゃし、京太郎も趣味で作ってるところあるし…」

優希「でも…やっぱりこういうことはしっかりするべきだと思うじぇ」

久「優希はいい子ねぇ」ナデナデ

京太郎「でも、それじゃあタコスはどうするんだよ?」

優希「…しばらくは自作と学食ので食いつなぐつもりだ」

咲「優希ちゃんのタコス、おいしいもんね」

和「でも、朝とか起きれるんですか?お寝坊さんですし、お昼の分は作るの大変なんじゃ…?」


197: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/23(金) 23:39:58.09 ID:OAD4enY60

優希「う…それを言われると…でも、自分で決めたことだしな」

京太郎「…わかった。それでも、せめて大会の時とか、大事な日にはタコス作らせてくれないか?やっぱほら、俺もみんなに世話になりっぱなしじゃさ」

優希「だけど…」

まこ「まあ、そこら辺をおとしどころにしてええじゃろ。京太郎もこう言っとるし、優希だってわしには大切な後輩じゃ」

優希「…うん!ありがとう染谷先輩!」

まこ「こっちこそ、気ぃ遣ってくれてありがとな」

久「あっさり修羅場終わっちゃって残念ね?和」

和「はい…って何を言わせるんですか!丸く収まってよかったですよ!」

咲「和ちゃん、最近こう…なんというか、元気だよね」


198: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/23(金) 23:41:06.23 ID:OAD4enY60

優希「しかし、専属シェフを失ったのは痛いじぇ…」

京太郎「お前がクビにしたんだろ?」

優希「いや、わたし的には寿退職だと思っているんだが…」

京太郎「ま、まだ結婚してねぇよ!」

久「良かったわねまこ!須賀くんが将来もらってくれるってよ?」

まこ「…もう知らん。勝手にやっとれ」カァァ

優希「やはりタコス職人を育成していくしかないか…」

咲「育成って言ってもタコス作り覚えて毎日作ってくれる人なんてそういないんじゃ…」

和「そういう意味では須賀くんはかなり稀少な存在ですね」

優希「ふぅむ……よし!京太郎!誰かいい男紹介しろ!」

京太郎「はぁ!?」


199: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/23(金) 23:42:22.63 ID:OAD4enY60

優希「いや、実際染谷先輩と京太郎が付き合い始めたしみんなもちょっと気になるだろ?」

和「こ、恋バナですか!?」ドキドキ

咲「わ、私は特にそういう相手はいないけど…たしかにちょっとは考えたよ」

久「んー、私は今はみんなと一緒に麻雀打ったりが楽しいし卒業するまではいいかなー」

優希「まぁそこそこ興味あるだろ?私はセクシーでキュートだから男子からのお誘いも多いのだが…」

京太郎「ハッどの口が言ってんだよ」

咲「でも、実際優希ちゃん人気あるよ?元気いっぱいでかわいいし…」

和「その、男子のお友達も多いですよね」

優希「まぁな!…だがしかし、私にも選ぶ権利はある!どうせならスペック高いほうがいいじぇ!」

京太郎「正々堂々そういうこと言っちゃうか…」


200: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/23(金) 23:43:36.79 ID:OAD4enY60

京太郎「…一応聞くけど、どういう相手がいいんだ?」

優希「まず、タコスが作れること!」

まこ「いきなり範囲を狭めすぎじゃないかのう」

優希「む…じゃあ、タコス作りは後々仕込むとして…」

優希「んー、私の身近な男と言えば同じ部活の京太郎だしな…じゃあ京太郎より背が高くて」

咲「京ちゃん180越えてるよ…?」

優希「京太郎よりイケメンで」

久「須賀くんも一応平均以上じゃない?」

優希「京太郎より優しく、気配りができて」

和「須賀くんは毎日タコス作ってくれるほどには優しくて、気も遣える方だと思いますが…」

優希「えーと…じゃあ京太郎より運動神経抜群で100mを6秒で走り、170キロの豪速球を投げるとか」

久「唐突に人間から離れたわね」

優希「言うだけタダだじぇ!」


201: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/23(金) 23:44:46.35 ID:OAD4enY60

優希「まぁそんな人間いるはずがないし…」

京太郎「いや、紹介できるけど…」

優希「はぁ!?」

和「そんなオカルトあり得ません!」

咲「えっと、それは…実在する人物なのかな?」

京太郎「いやいや!さすがに実在の人物しか挙げねぇよ!?」

久「中学生の頃に考えた設定とか?」

京太郎「違いますよ!俺中二病とかなってませんし!絶対になってませんし!!そういう黒歴史とかないですから!!!」

京太郎「ちゃんと実在の…みんなも知ってる人ですよ!」

まこ「ん…?もしかして」

京太郎「ハギヨシさんです」


202: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/23(金) 23:47:57.98 ID:OAD4enY60

咲「えっと…?」

和「…ああ、龍門渕の執事さんですね」

久「…まぁたしかにだいたい当てはまりそうだけど…170キロの豪速球投げるの?」

京太郎「いや、さすがにそれはわからないですけど…少なくとも170キロのボールより速く動けると思いますよ、ハギヨシさん」

まこ「…出たり消えたりするって話じゃしのう」

優希「ふむ…じゃあとりあえずアタックしてみるじぇ!」

京太郎「マジで!?ハギヨシさん紹介って…冗談だったんだけど」

咲「その、年の差もあるし…ハードル高くないかな?」

久「いいんじゃない?面白そうだし」ワクワク

和「恋愛は障害が多い方が燃えるって言いますし…」ドキドキ

まこ「…なんかするにしても迷惑かけん程度にな?」

優希「わかってるじぇ!」

京太郎「…え?本気なのか?えっと、じゃあとりあえず電話とかするか?」

優希「…いや、私も龍門渕にはつてがあるしな!ここは自分で行くじぇ!」サッ


203: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/23(金) 23:50:34.14 ID:OAD4enY60

プルルル

純『もひもひ?』ングング

優希「ノッポ!久しぶりだな!」

純『んぐっ…おう、タコス娘!元気そうだな』

優希「元気は私の数多い長所のひとつだからな!…ところで今週末は暇か?」

純『んーどうした?新しいタコス屋でもできたのか?』

優希「秋の大会前に練習試合でもどうだ?前哨戦といこうじぇ!」

純『へぇ…いい度胸してるじゃねぇか?ちょっと待ってな……おーい!透華ー!?』



和「執事さんのお話ではないのですか…?」

優希「まぁ、物事には順番と言うものがあるじぇ」

京太郎「いきなり練習試合申し込むのもどうなんだ?」

優希「…それは,ほら!私とあいつの仲だしな!…練習試合の相手探してたし…ダメでしたか?」

久「良いに決まってるでしょ!龍門渕が相手してくれるならみんなにとってもいい練習になるしね」

咲「衣ちゃんたちと打つの久しぶりだね」

まこ「優希、京太郎のことは…」

優希「私にお任せだじぇ!」

204: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/23(金) 23:53:18.29 ID:OAD4enY60

………

純『わりぃ、待たせたな』

優希「いや、こっちもいきなりで悪かったじぇ…で、どうだ?」

純『透華に言ったら二つ返事でオーケー出たよ。衣も楽しみにしてる。で、場所はとかは…』

優希「もちろんこちらから出向かせてもらうじぇ!…というか、うちは卓も一つしかないしあまり環境が…」

純『ん、わかった…っておい、透華!なんだよその荷物!?は?今から?違ぇよ週末だって!…』

優希「…あー、大丈夫か?」

純『ああ、わりぃ…何を勘違いしたのか今からそっち行くとか言い出して…ちょ、おい!衣!泣くなって!違う違う中止じゃなくて日程が…』

優希「……大丈夫か?」

純『……おう、智紀と国広くんに任せてきたしたぶん大丈夫』

優希「あ、でな?うちには男子部員が一人いるんだけど…」

純『…あー、須賀だっけ?夏にハギヨシさんとタコス作ってた奴だよな?それがどうしたんだ?』

優希「あいつも秋の大会出るから連れていきたいんだけど…」

純『別に連れて来ればいいんじゃ…ああ、そっか。待ってろ…透華!ちょっと…』


205: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/23(金) 23:54:21.79 ID:OAD4enY60

………

純『学校じゃなくて龍門渕の屋敷で打てば問題ないってよ』

優希「龍門渕のお屋敷!?お邪魔していいのか…?」

純『おう、普通に遊びに来ればいいよ。無駄に広いし五人くらいたいした問題じゃねぇってよ』

優希「…京太郎も連れてくから六人だぞ?」

純『ん?部員増えたのか?』

優希「何をいってるんだ?私とのどちゃん、咲ちゃんに染谷先輩、部長に京太郎で六人だじぇ!」

純『あぁ、竹井も来るのか。もう引退してるんじゃないのか?受験の準備とか大丈夫なのか?』

優希「あ」

純『ん?』

咲「…もう十月になるのに部長毎日部活に来てますね」

和「そういえば、他の部活は引退や引き継ぎがあったとかって聞きましたが…」

久「…私は生徒議会長で内申もいいし、勉強もできるし、インハイで優勝してる上にかわいいから推薦とかで楽勝だし…」

まこ「あんた結構本番弱いし心配じゃのう…」

京太郎「一応染谷先輩に部長職引き継いで準備しといた方が…」

久「別にいいでしょー!?私はみんなと麻雀したいのー!」バタバタ


206: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/23(金) 23:57:11.91 ID:OAD4enY60

純『…どうした?大丈夫か?』

優希「あ、悪い悪い!大丈夫だじぇ…あ、そういえばその京太郎が最近染谷先輩と付き合いはじめてなー」

まこ「ちょ!優希!」

久「いいじゃないのよ、事実なんだし」

純『お、なんだよ染谷の奴やるじゃねぇか』

優希「そっちはそういう話はないのか?ノッポも男一人だしモテるだろ?」

純『俺は女だ!…まあ、男はハギヨシさん一人だけどよ」

優希「京太郎が世話になったようだし私からも礼を言わねばな!…しかしそれならハギヨシさんとやらはかなりモテるんじゃないのか?」

純『屋敷のメイドに大人気だな…でも職場で恋愛する気は無さそうだし、休暇取ってるのも見たことないし…そういう相手はいねぇんじゃねぇの?』

優希「ってことは女子の人気はノッポが独り占めかー」

純『だから俺は女だ!だいたい女に言い寄られてもどうすりゃいいんだよ…そりゃ食い物はもらうけどよ…』

優希「やっぱり人気なのか…というか自慢か?」

純『自慢じゃねぇって!どうせなら俺だってちゃんと男と…』


207: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/24(土) 00:00:12.00 ID:rsqtb2mn0

………

純『あ、それで日曜な?透華が清澄まで迎え出すってよ。』

優希「え?でもそこまでしてもらうのも悪いし…」

純『いいから。透華も言い出したら聞かねぇし…ハギヨシさんが車で行くって言ってたから通常の半分ぐらいでこっち着くだろ』

優希「…いやいや、今の発言はおかしくないか?」

純『いや、でもハギヨシさんだし…そういうもんなんだよ』

優希「…それじゃあ仕方ないな、うん」

純『じゃあまたな。週末楽しみにしてるぜ?ぼろ負けしても泣くなよ?』

優希「フッ…誰に物を言っているんだ?そっちこそ覚悟しておけ!またな!」プツッ



優希「お昼前にお迎え出してくれるそうです。お昼となんなら夕飯も準備しておくって言ってましたけど…」

和「さすがにそこまでしてもらうのは悪いのでは…」

久「まぁいいじゃない!龍門渕のお屋敷で食事なんて…相当良いもの出てくるわよ」

まこ「恥ずかしいからあんまがっつかんでよ?」

咲「…私もちょっと楽しみかも。お父さんに晩御飯用意しといてあげなきゃ」


208: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/24(土) 00:01:07.01 ID:rsqtb2mn0

京太郎「…で、どうすんだよ?ハギヨシさんのことは」

優希「とりあえず恋人はいなそうって話だじぇ」

京太郎「いやだから…本気なのか?」

優希「とりあえずタコスのこととか世話になってるしちゃんと挨拶しようとは思ってるけど…話したこともないしなんとも言えんなー」

京太郎「あー、俺も改めてお礼言っとかなきゃな。にしてもノリでハギヨシさんにアタックとか言うからマジでビビったわ…」

優希「まぁ本当にいい人で好きになっちゃったらアタックするけどなー」

京太郎「…まじか」


213: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/31(土) 01:19:29.80 ID:ezbJaDr90

翌日

久「緊急女子会召集!」

京太郎「へ?」

優希「ほんとに急だじぇ」

咲「いきなりですね…何かありましたか?」

和「女子会って、あの女子会ですか!?」ドキドキ

久「というわけで須賀くん今日はお昼別でよろしく!」

京太郎「え?え?」

久「まこの作ったお弁当も私がもらいます!」

まこ「京太郎、ほれ弁当」

京太郎「あ、ありがとうございます」

久「ちょっと!どうしてそうなるのよ!」


214: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/31(土) 01:20:18.67 ID:ezbJaDr90

まこ「こっちの台詞じゃ!女子会うんぬんはともかく…京太郎の弁当取り上げる意味がわからん」

久「だって、私が食べたいから…」

京太郎「あまりにも理不尽ではないでしょうか!?」

咲「でも、京ちゃんだけ毎日染谷先輩のお弁当食べててるのはずるいよね」

和「それこそ理不尽なのでは…」

京太郎「別にいいだろ!?その、付き合ってるんだから!」

まこ「…とりあえず食べたいんならわしのわけちゃるから」

優希「染谷先輩ちょっと照れたじぇ?」

まこ「そ、そういうんは口にせんでええから!」

和「とにかく、女子会だそうですので須賀くんは早くどこかへ行ってください!」ワクワク

京太郎「和さん酷い!」


215: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/31(土) 01:21:23.79 ID:ezbJaDr90

優希「ほら、のどちゃんはちょっと、そういうのに憧れが強いだけだから…」

京太郎「いや、うん、いいけどね?ちょっと傷つくっていうか…」

久「そんなことより!まこは早く私に玉子焼きちょうだいよ!」

咲「そんなことだって」アハハ

京太郎「かなり傷ついたんですけど!」

まこ「あーもう…じゃあ取り分けてやるから」

久「やだ!食べさせて!」アーン

まこ「はぁ?阿呆なこと言っとらんで…」

久「はーやーくー」アーン

まこ「…ほれ」

久「あーん」モグモグ

京太郎「……」

久「お~い~し~い~」フフン

京太郎「こっち見て勝ち誇った顔すんのやめてくれません?」イラッ

216: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/31(土) 01:22:10.52 ID:ezbJaDr90

久「ほら、須賀くんは早くどっか行って!私はまこと食べさせ合いとかしちゃうけど!」

京太郎「…ずるいですよ!俺だって染谷先輩とやりたいのに!」

咲「京ちゃん、その言い方だとちょっと…」

和「須賀くん早く!女子会!女子会しますから!」ワクワク

京太郎「わかったよちくしょう!」ダッ

優希「のどちゃん…なんというかこう、もう少し手心というか…」

まこ「あんま苛めんでやれよ…で、今回は急にどうしたんじゃ?」

久「いやーまこってさ」

まこ「わしか?なんじゃ?」

久「実際どれくらい須賀くんのこと好きなわけ?」

まこ「はぁ!?」


217: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/31(土) 01:22:55.81 ID:ezbJaDr90

まこ「い、いきなり何を言っとるんじゃ!?」

久「いやー須賀くんは分かりやすいし結構好き好きアピールしてるけど…まこってそうでもないじゃない?」

咲「最近の京ちゃんの話題、半分ぐらい染谷先輩ですよ」

まこ「え、その……ふ、普通に好きじゃけど…?」

和「普通…ですか?」

優希「染谷先輩も照れ屋だからなー」

久「照れないで好きって言いなさいよー!もうちゅっちゅしてるんだし」

まこ「な、な!?ちゅっちゅて!それにそんなんまだ一回しかしとらんし…」

久「え!?最初に一回キスしただけなの?普段何してるのよ!?」

まこ「その、うちに行くときに…て、手ぇ繋いだり、とか?」カァァ

和「そんな、男の子と手を繋ぐだなんて…」ポッ

咲「京ちゃんヘタレだから当分それ以上は無理なんじゃ…」

優希「一回ちゅーしちゃったんだからもっと頑張ればいいのになー」


218: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/31(土) 01:23:47.76 ID:ezbJaDr90

久「…このままだと不味いわよ」

まこ「な、なにがじゃ?」

久「須賀くんとの関係よ!このままじゃ破局の可能性があるわ!」

まこ「!?」

咲「部長…また適当なこと言って煽って…」

久「適当じゃないわよ!っていうかまたって何よ!?」

和「でも、客観的に見ても須賀くんは染谷先輩のこと大好きなように見えますが…」

久「いい?男子なんてどうせいやらしいことしか考えてないんだから手を繋ぐだけ、なんて関係を続けていたら須賀くんだって心変わりしてもおかしくないわ!」

優希「また偏見たっぷりの意見が出てきたじぇ…」

和「…まぁ、一部は同意しますが」


219: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/31(土) 01:24:50.41 ID:ezbJaDr90

久「とにかく、今週末までにステップアップ…もしくはしっかりまこからも好意を伝えられるようにならないと危険よ!」

まこ「…週末?」

久「そう、今週末には龍門渕との練習試合が入ったのよ?あそこは魅力的な娘が多いからね!」

咲「たしかに…えっと、あの眼鏡の…」

和「沢村さんですか?」

咲「うん。ほら…●●●●大きいし」

優希「京太郎は巨 好きだからなー」

久「ほら、もうピンチよ!?一週間じゃ胸は大きくならないし!」

まこ「大きなお世話じゃ!」


220: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/31(土) 01:25:44.59 ID:ezbJaDr90

久「でも、真面目な話須賀くんって天江さんとか結構好きそうじゃない?咲や優希みればわかるけど世話好きだし」

咲「なんですか?その私が世話焼かれてるみたいな…」ムッ

優希「むしろ私たちが世話してやってるじぇ!」

久「天江さんも同じような反応しそうよねー」ケタケタ

咲「…でも、胸という観点から見ると衣ちゃんや国広さんは除外されるんじゃないかな?」

優希「その基準なら龍門渕のおねーさんもだな」

和「…あの、井上さんは」

優希「ノッポは流石にないだろ!」

久「須賀くんの趣味には合わないんじゃない?」

咲「…いや、意外とアリかも」

まこ「…!?井上がか?」


221: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/31(土) 01:26:28.24 ID:ezbJaDr90

咲「その、京ちゃんが昔言ってた好みのタイプって、かわいい、優しい、家庭的で、巨 、なんですけど…」

久「凄く分かりやすいわねー」

優希「…ノッポの奴、料理はかなりの腕だし、実は●●●●大きいじぇ」

久「え?そうなの?」

咲「合宿のとき温泉で一緒になったんですけど…どうやらかなり着痩せするタイプみたいで…」

優希「あの身長、足の長さ、細さで実は胸もあるとか…」

咲「敵だよね」チッ

優希「許されないじぇ」ケッ

和「えーと、でもかわいいというより美人というか、かっこいい系とかそういう感じじゃないですか?」


222: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/31(土) 01:26:56.77 ID:ezbJaDr90

咲「むしろそこだよ!ほら、昨日優希ちゃんが電話でそれをネタにからかったときも『俺は女だ!』って大声で言ってたしそれを気にしてるんだよ!?」

久「つまりアレね?ギャップ萌えってやつね」

咲「そうです!普段男らしい井上さんのふと見せる女性らしい一面に京ちゃんもドキッとしちゃうかも…!」

和「ギャップ…アレですね?不良の男の子が雨の中捨て猫を拾うアレですね!?」

優希「一昔前の少女漫画みたいなシチュエーションだな…まぁのどちゃんらしいか。でもそれだと男女逆じゃないか?」

咲「昔から使われてる手法だと思えば不自然じゃないよ」

久「なるほど…つまりこういうことね!」


223: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/31(土) 01:28:30.05 ID:ezbJaDr90

………

ザァァァ

純「」テクテク

純(…あ、捨て猫)

子猫「」ニャー

純「…お前も、一人ぼっちなのか…?」

子猫「」ニャー

純「……来いよ、ミルクぐらいやるからさ」

子猫「」ニャー

ザァァァ


224: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/31(土) 01:29:35.67 ID:ezbJaDr90

久「これを見て須賀くんが惚れちゃう…って井上さんテンプレ台詞めっちゃハマってない!?」

和「アリですね」ドキドキ

咲「これは女子にモテるっていうのも納得しちゃいますね…」ドキドキ

優希「染谷先輩ヤバイじょ!ノッポに京太郎取られちゃうかも…!」

まこ「いやいや!完全に井上が男役になっとるじゃろ!?なんじゃ!?次の日から京太郎が弁当でも作って持ってくんか!?」

咲「あ、京ちゃんそれやりそう」

優希「ノッポはかなり食べる方だし有効な攻め手かも…」

久「…ちょっと待って!井上さんが男役に…もしかしたら例の執事さんと須賀くんがくっついちゃうって可能性は…」

咲「そ、そんな展開が…!?」

和「だ、男性同士なんてそんなオカルト…!」

まこ「待て待て待て!アンタやっぱ煽っとるだけじゃろ!?」


225: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/31(土) 01:30:31.21 ID:ezbJaDr90

久「……いや、執事さんはさすがに冗談よ?」

和「…今の間はなんなんでしょうか」

久「と、とにかく!龍門渕には強敵がいっぱいいるんだからまこもしっかり須賀くんの心を掴んでおかないと駄目よ!」

まこ「…で、結局何を企んどるんじゃ?」ジトッ

久「企むって…まぁいいわ、じゃあヒント!前にまこの家の雀荘が生き残るために、って会議をしたわよね?」

咲「えーと、京ちゃんは本や植物にはあまり関心はないと思いますよ?」

久「いや、もっと色々話し合ったでしょ?」

優希「なるほど!風船で気を引くのか!」

まこ「いや、風船で男女の仲は深まらんじゃろ…」

和「あ!今ちょうど話題に挙がった猫でしょうか?」

久「惜しい!前回とは違って今回は本物の猫ではなくこちらを使います!」サッ

まこ「……なんで懐から猫耳と尻尾が出てくるんじゃ?」

226: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/31(土) 01:31:06.28 ID:ezbJaDr90

久「こんなこともあろうかと!ドンキで見つけたから買っておいたのよ、何かに使えると思って」

和「かわいいですね、猫耳」

優希「咲ちゃんちょっと付けてみたらどうだ?」

咲「ええ!?さすがに恥ずかしいよ…」

まこ「…さっき、今回使うって言ったかのう?」

久「その通り!猫耳メイド誘惑大作戦よ!」

まこ「…一応聞いとくが、もしかしてわしがそれ付けるんか?」

久「そりゃ私がやったって意味無いでしょ?」

まこ「そりゃまあその通りじゃが…」

久「それじゃあまこが納得したところで明日のお昼に部室で決行ね」

まこ「あ、明日!?部室で!?」


227: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/31(土) 01:31:40.56 ID:ezbJaDr90

まこ「おかしいじゃろ!なんで部室で」

久「だって放課後雀荘行ってからとかじゃあ私が見れないじゃないのよ」

まこ「なんでアンタに見られながらそんな恥ずかしいことしないといかんのじゃ!だいたい学校でなんて誰かに見られたら…」

優希「でも、旧校舎には余程じゃないと人なんて来ませんよ?」

まこ「優希!?」

和「それもそうですね…他人に見られることはないですから頑張ってください!」

まこ「え、あ、いや…」

まこ(…和は善意で言っとるだけに言い返し辛いのう)

咲「あ、あの…」

久「ほらほら、咲も言ってやんなさい!」

咲「別にその…猫耳?とかそういうのにこだわらなくても、染谷先輩がなにかしてあげれば京ちゃんは喜ぶと思いますよ?」


228: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/31(土) 01:32:07.06 ID:ezbJaDr90

まこ「…そうかのう」

咲「そうですよ!」

まこ「……じゃあとりあえず猫耳は却下で別の考えるかのう」

久「なんでよ!一生懸命考えて準備までしてきたのに!」

まこ「うっさいわ!なんか別にやれることはあるじゃろ!」

久「…じゃあなにか案のある人!」

和「……えーと」

優希「……急に言われても難しいじぇ」

咲「……あはは」

久「はい、決定!じゃあまこは明日メイド服持ってきてね!萌え萌えキュンな奴!」

まこ「待ちんさい!」

229: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/31(土) 01:32:48.88 ID:ezbJaDr90

まこ「もうちょっと考えてる時間取ってもいいじゃろ!?」

久「でもほら、明日決行だし」

まこ「別に明日じゃなくても…」

優希「でも早くやらないと龍門渕との練習試合になっちゃうじぇ」

まこ「……わかった。明日服持って来ればええんじゃな」ハァ

まこ(こうなったら久は話聞かんし適当に話合わせておいて明日衣装忘れたとか言って話をうやむやに…)

和「でも明日いきなりだと衣装の準備とかきっちりできるでしょうか?」

久「あ、それじゃあ今日は放課後まこの家行ってみんなで準備しましょうか。そのまま本番でいいでしょ」

まこ「え」

優希「それは良い考えだじぇ!善は急げと言うしな!」

咲「それじゃあ今日は部活は…」

久「準備終わったらそのまま雀荘で打てばいいのよ!」

和「それなら問題はないですね!」

久「じゃあ、そういうことで!頑張りましょうね、まこ!」ニヤニヤ

まこ「」


230: ◆c6nLNbFPW6 2014/05/31(土) 01:33:32.93 ID:ezbJaDr90

まこ「……あー、店でやるんはお客さんもおるし恥ずかしいんでさすがに」

久「別に実家なんだからまこの部屋でやればいいんじゃない?」

優希「さすが部長だじぇ!」

久「それにほら、自室ならそのままニャンニャンできるし…」

和「なるほど、猫だけに…」

まこ「阿呆か!あんたらが見とる前でんなことするわけが」

咲「つ、つまり見ていなければ…」カァァ

まこ「ま、まだ早いわ!こ、今後どうなるかはともかく今いきなりそんなんは無理じゃ!」

久「じゃあそこら辺は今後須賀くんに頑張ってもらうとして…」

和「今日は染谷先輩が頑張りましょう!」

まこ「……はい」


235: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/03(火) 22:43:17.47 ID:zusLClCO0

………

京太郎「あれ?今日はみんなも『Roof-top』行くんですか?」

まこ「…おう」

久「準備があるから須賀くんはしばらく一人で雀荘の方出ててね」

京太郎「準備…ですか?」

咲「色々あるんだよ」

優希「レディは準備に時間がかかるものだじぇ!」

和「楽しみにしていてくださいね」

京太郎「?」


236: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/03(火) 22:44:03.23 ID:zusLClCO0

京太郎「…それにしても、今日は久しぶりにみんなと打てるかもな」

咲「うん、なんだか久しぶりだね。最近は京ちゃんずっと雀荘だったから」

和「毎日かなりの局数をこなしているそうですね」

優希「どの程度腕を上げたか見てやるじぇ!」

久「いろんな人と打ってみてどう?」

京太郎「新鮮で楽しいですよ。戦績はまあ、そこそこですけど…」

まこ「安手で隙を突く和了が多いから大きく稼げず…ってのが多いかのう」

久「部内で打つときも須賀くんは安手で和了ることが多かったわね…まあゆっくり手作りしてたら和了れないんだけど」

和「ちゃんと勝つための手作りをしないとダメですよ?」

優希「いいか?東場は手が入ってくるから…」

咲「嶺上牌に合わせて手作りを…」

京太郎「無茶言うなって!」


237: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/03(火) 22:45:14.02 ID:zusLClCO0

京太郎「ったく、これだからオカルト麻雀な奴は…」ハァ

優希「冗談にきまってるだろー?なぁ咲ちゃん」

咲「え?…あ、うん!冗談だよ冗談!」

久「咲も優希も、すぐに後輩が入ってくるんだからちゃんと教えてあげられるようにならないとダメよ?」

優希「……技術的なことは染谷先輩とのどちゃんに任せるじぇ!」

和「丸投げですか」

咲「わ、私もちょっと…」

京太郎「いい加減人見知り治せよ…」

まこ「夏以来雑誌やらの取材も来とるのにちっとも改善せんのう」

久「大会の時は結構マイペースだったのにねぇ」

咲「麻雀打つのとお話するのじゃ違いますよぅ…」


238: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/03(火) 22:46:39.24 ID:zusLClCO0

まこ「まあ咲の人見知りは少しずつ治してくとして、京太郎も後輩に指導できるようになってもらわんとのう」

京太郎「俺もですか!?…ってそれが当然ですよね。でも未経験者はともかく、経験者相手には余計なお世話なんじゃ…」

久「須賀くんはちゃんと打てるようになったんだし、みんなに教わったようにしてあげれば大丈夫よ」

和「でも、私は部長にエトペンを抱いて打て、とかツモ切りの練習をしろって言われたときは驚きました…」

優希「私も麻雀の合宿で算数ドリルをやることになるとはおもわなかったじぇ」

まこ「それはアンタがあまりにもアレじゃったからなぁ…」

咲「でも、いろんなことしたけど部長に言われてやったことで無駄だったことなんてないよね」

京太郎「ああ!俺も効率的な荷物の纏め方とか掃除のテクニックとか教えてもらったのすげぇ助かったし」

久「やぁねーもう!今は麻雀の話でしょ!」

京太郎「……」

久「なんで目をそらすのよ!?」


239: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/03(火) 22:48:18.78 ID:zusLClCO0

咲「……私、部長が京ちゃんに麻雀教えてるの見たことないような」

久「気のせいよ!?そりゃたしかにインハイ前は放置気味だったかもしれないけど!人数揃う前に基本ルールとか教えたのは私でしょ!?」

京太郎「……?」キョトン

久「なんでキョトンとしてるのよ!?」

咲「……」

和「……」

まこ「……」

優希「タコスうま~」モグモグ

久「え?え?」ジワッ

240: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/03(火) 22:49:08.53 ID:zusLClCO0

京太郎「やだなぁ冗談ですよ冗談!いつもお世話になってますし部長には凄く感謝してますよ!」

咲「部長が慌てるのって珍しいですね」

和「四月から一緒にやってるんですから、ちゃんとわかってますよ?」フフッ

まこ「アンタはすぐに調子乗るんじゃからたまには痛い目見た方がええわ」ヤレヤレ

優希「……タコス食べますか?」

久「……食べる」モグモグ


241: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/03(火) 22:49:51.80 ID:zusLClCO0

………

久「……もう!須賀くんのくせに生意気よ!さては、お昼にまこ取ったの根に持ってるわね!」

京太郎「はぁ!?ななななに言ってんですか!?」

和「根に持ってたんですか…」

優希「器の小さい奴だなー」

京太郎「はぁ!?ちげーし!別に根に持ったりしてねーし!」

咲「京ちゃん分かりやすすぎるよ…」

京太郎「ちげーし!染谷先輩とお弁当食べさせあったのとか妬いてないし!羨ましくないし!」

まこ(……結局そんなことせんかったがのう)

久「ほら、悔しかったら別にいつも通りまこと手を繋いでもいいのよー?」

京太郎「なんで知ってるんですか!?つ、繋ぎませんよ!みんなもいますし!」

久「じゃああたしがまこと手ぇつーなごっ!」ギュッ

京太郎「あ…」


242: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/03(火) 22:50:54.87 ID:zusLClCO0

まこ「……なんじゃ急に」

久「えー?だってほら、須賀くんは遠慮するみたいだから」

まこ「……まぁええけど」

久「やった!」

京太郎「くっ…!」

咲「悔しがるくらいなら最初から素直にしてれば…」

優希「というか人間には手が二つあるじぇ」

京太郎「染谷先輩!逆側!逆側いいですか!?」

まこ「ん、まあ別に…」

久「残念!もう片手は鞄持ってます~」フフン

京太郎「ぐぅぅぅ~!」ダンダン

咲「地団駄踏むのやめてよ…」

和「あの、鞄持ってあげればいいのでは…」

京太郎「染谷先輩!鞄持ちます!」


243: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/03(火) 22:52:03.93 ID:zusLClCO0

京太郎「~♪」

久「むぅ…」

まこ「あんたらは何を張り合っとるんじゃ…?」

京太郎「だって部長が…」
久「だって須賀くんが…」

京太郎「……さては、部長の方こそ俺に染谷先輩とられて妬いてますね?」

久「……何のことかしら?そういう須賀くんこそ私とまこの積み重ねた絆に嫉妬してるんでしょう?」

京太郎「べ、別に?これからまだまだ時間ありますし?部長は一足先に卒業ですけど」

久「は?別に学校離れたぐらいで私たちの友情は揺るぎませんけど?」

まこ「……わしを挟んで喧嘩すんのやめてくれんかのう」



和「……」ソワソワ

優希「……のどちゃん!私たちも手ぇ繋ぐじぇ!咲ちゃんも!」ギュッ

咲「わわわっ」

和「…ふふふっ」ニコニコ


244: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/03(火) 22:52:54.24 ID:zusLClCO0

まこ「あーお二人さん?もうすぐ店に着くことだし、恥ずかしいからせめてあっちの三人みたいに仲良くしてくれんかのう?」

京太郎「あっ!部長のせいで染谷先輩と全然お話できなかったじゃないですか!」

久「こっちの台詞よ!」

まこ「……京太郎!」

京太郎「はい!なんですか?」

まこ「アンタは先に行って店出とれ」

京太郎「そんな!俺も先輩と一緒に…」

まこ「行きんさい」

京太郎「……行ってきます」シュン

久「いってらっしゃ~い」フフン

京太郎「……勝ったと思うなぁ!」ダッ


245: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/03(火) 22:53:35.36 ID:zusLClCO0

まこ「……アンタもいちいち京太郎煽らんくてもええじゃろ」

久「だって私もまこのこと好きだし」

まこ「……」

久「なに照れてるのよ?」ニヤニヤ

まこ「…照れとらんし」

咲「……今回の企画は京ちゃんのためみたいなところもありますけど」

久「ええ、須賀くんにまこを取られちゃって少し寂しいけど…まこが幸せならそれでいいのよ」

まこ「久、あんた…」

久「ついでに面白ければ面白いほどいい!」

和「台無しですね」

優希「部長らしいじぇ」


246: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/03(火) 22:54:21.64 ID:zusLClCO0

………

咲「あ、見えてきましたね」

まこ「今日は店じゃなくて裏の方から入りんさい」

咲「はい…お邪魔します」

優希「お邪魔しまーす!」

和「失礼します」

久「お邪魔します……それじゃあ始めましょうか」

優希「先輩の部屋どっこだー!」バタバタ

まこ「走るなって!そこの右の部屋じゃ」

………

和「……素敵な服がいっぱい」パァァ

優希「…本当にメイド服集めてるんですね」

まこ「雀荘のために、って集めてたら半ば趣味になってもうて…まあ、わしには似合わんし集めとるだけじゃが」


247: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/03(火) 22:55:20.08 ID:zusLClCO0

久「そんなことないわよ?もっと自信を持ちなさいって!」

和「あ、あの…いくつか試着してみてもいいでしょうか?」ワクワク

まこ「構わんよ。和ならどれでも似合うじゃろ」

優希「のどちゃん、その前に染谷先輩の衣装選びだじぇ!」

和「あ、そうですね!すいません、つい…」

咲「相手は京ちゃんだし…こう、胸元の開いたやつとか?」

まこ「……わしには見せるほどの胸が無いんじゃが」

咲「私よりはあるじゃないですか!」ゴッ

優希「やめろ咲ちゃん!落ち着いて!」

久「…じゃあとりあえず胸は盛るとして」

和「盛るって……パンとか詰め込むんですか?」

久「いや、こう…脇とか背中の方から肉を寄せて…」

咲「なるほど」フムフム

優希「咲ちゃん目がマジだじぇ…」


248: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/03(火) 22:55:58.08 ID:zusLClCO0

久「というわけでまこはとりあえず脱ぎなさい!」

まこ「……あいよ」

久「勝負下着とか持ってる?」

まこ「し、下着見せるようなとこまでやらんわ!」

久「それは残念!…あ、本番で失敗したら困るし、まこは今から語尾に『にゃー』ね」

まこ「…やっぱりそれは恥ずかしいんじゃけど」

久「にゃーは?」

まこ「いや、だから…」

久「にゃーは?」

まこ「…やっぱりそれは恥ずかしいにゃ」

久「やだもう!まこったらかわいい!」

和「アリですね」

咲「染谷先輩かわいいです」

優希「かわいいじぇ!」

まこ「うぅ……」カァァ


249: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/03(火) 22:56:50.01 ID:zusLClCO0

久「じゃあ、こうぐいっと寄せて…下着に詰め込んで…」

まこ「…ちょっとそんな無理せんでも……いいんじゃにゃいか?」

久「いやいや、須賀くんもでかい方が喜ぶって!」

まこ「にしても胸元の違和感が……凄いにゃ」

久(まこったら律儀ねぇ)

咲「……優希ちゃん、私たちも 間ぐらい作れちゃうんじゃないかな?」

和「あ、あの…咲さん?染谷先輩の衣装を」

咲「ちょっと●●●●大きい人は黙ってて!」

和「す、すいません…」シュン

優希「咲ちゃんちょっと!のどちゃん元気だして!大丈夫だから!」


250: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/03(火) 22:57:53.60 ID:zusLClCO0

………

久「とりあえずメイドだしやっぱり『お帰りなさいませ、ご主人様』かしら?」

まこ「……お帰りなさいませ、ご主人様」

優希「先輩、にゃを忘れてるじぇ」

まこ「……お帰りにゃさいませ、ご主人様」

久「その調子よ!和、衣装の方は?」

和「これでどうでしょうか?」フリフリー

まこ「……いや、ちょっとフリフリしすぎじゃないかのう。スカートも短すぎる気が………するにゃ」

咲「とりあえず着てみましょうよ、きっと似合いますから!今の染谷先輩は巨 だから大丈夫ですって!」

優希「……咲ちゃん、そんなに胸のこと気にしてたのか」

咲「うちの家系を見るに絶望的なんだよ!お姉ちゃんも記者さんに『これは鉄板だろ!』とか言われてたし!」

和「それは胸のことではないと思うんですが…」


251: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/03(火) 22:58:56.98 ID:zusLClCO0

久「っていうか優希はそれほど気にしてない感じね?」

優希「私だって気になりますけど…いつも隣にのどちゃんいるからちょっと大きくなったぐらいじゃ」

まこ「たしかにのう…」

優希「私の体型で胸だけでかくなってもバランス悪くないかなーとか」

久「インハイで戦った北海道の子とか凄かったわねぇ…」

優希「それに、これはこれで需要あるはずだし…」

咲「まって!優希ちゃん!」

優希「咲ちゃん…?」

咲「優希ちゃんは嘘をついてるよ!本当に…心からそう思ってるの!?」

優希「……咲ちゃん」

咲「諦めていいの!?私たちだってまだチャンスはあるはずだよ!」ポロポロ

優希「咲ちゃん…」ポロポロ

和「あ、あの…」オロオロ

久「和がなに言っても逆効果だからこっち来ましょうねー」


252: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/03(火) 23:00:14.78 ID:zusLClCO0

優希「私…嘘ついてたじぇ…本当は●●●●ほしいじょ……」ポロポロ

咲「いいんだよ…それが当然なんだよ……この際偽物でもいいんだよ」ポロポロ

まこ「おう、偽物でも は じゃ!!」

優希「いいこと言うじぇ!!」ダキッ

咲「染谷先輩!」ダキッ

久「一件落着ね!」

和「……落着したならよかったです」

………

咲「……すいません染谷先輩、取り乱してしまって」

優希「申し訳ないじぇ…」

まこ「気にせんでええ…あんたらが元気になってよかったにゃ」

和「みんな着替えたことですし、須賀くん呼んできましょうか?」

久「心の準備はいいかしら?」

まこ「……あ、ちょっと待ってくれるか?」スッ


253: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/03(火) 23:02:21.36 ID:zusLClCO0

咲「眼鏡、外しちゃうんですか?」

久「イメチェンもいいけど…須賀くんが眼鏡っ娘萌えの可能性もあるわよ?」

まこ「いや、この眼鏡な?……元は、おじいちゃんの形見なんじゃ」

和「…大切なものなんですね」

まこ「ん…この眼鏡で自分の分までいろんな景色を見てこい、って言われてな」

優希「……?それが眼鏡外すのとどう繋がるんですか?」

まこ「……なんか、こんなことやってるのをおじいちゃんに見られてるみたいで恥ずかしいっちゅうか…」

久「まこって本当かわいいわね…」

咲「その、コンタクトとかあるんですか?」

まこ「コンタクトは持っとらんのう…そのうち作っとくか」

和「ちゃんと見えてますか?」

まこ「ん、みんなの顔は一応見えとるし大丈夫じゃ」

久「よし!それじゃあ作戦開始ね!」

優希「咲ちゃん!京太郎呼びにいくじぇ!」

咲「うん!」


254: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/03(火) 23:03:49.31 ID:zusLClCO0

………

「今日は兄ちゃんだけかい?」

京太郎「いや、むしろ部活のみんなが来てるんですよ。準備するから先に出てろって言われまして…」

「インターハイ優勝チームと打てるなんて楽しみだねぇ」

「俺は女子高生と打てるだけで楽しみだよ」ハハハ

「まったくだ」ハハハ

咲「京ちゃん!」トテトテ

優希「交代するじぇ!奥で休んでていいぞ」

京太郎「おー、さん、きゅ…」

咲「…どうしたの?」

優希「さては見とれてしまったかー?」

京太郎「あ、いや…」

京太郎(……お前らがどうした)

咲「?」ボイーン

優希「?」バイーン


255: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/03(火) 23:04:48.82 ID:zusLClCO0

京太郎(なんだこれ…明らかにおかしいだろ!?突っ込み待ちか!?)

「おー嬢ちゃんたち、よろしくなー」デレデレ

「秋の大会も清澄応援してるよ」デレデレ

咲「ありがとうございます!」ボイーン

優希「よろしくお願いします!」バイーン

京太郎(客のおっちゃん達デレデレなんだけど!?え、なんだ?俺がおかしいのか?)

咲「ほら、京ちゃん?奥で染谷先輩待ってるよ」

優希「後で打ってやるからとりあえず一旦下がるじぇ」

京太郎「お、おう…よろしく…」


256: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/03(火) 23:05:59.01 ID:zusLClCO0

………

和「あ、須賀くん!こっちの部屋です」

京太郎「え?でもそっちって染谷先輩の部屋じゃ…?」

久「今日は特別に入れてあげるわ」

京太郎「いや、部長の部屋じゃないでしょ…和、すげぇ似合ってるな」

和「ありがとうございます!この前来たときはフリフリのだったので今回は普段染谷先輩が来てらっしゃるタイプのをお借りしたんですよ」ウキウキ

久「ちょっと?私は無視?」

京太郎「あーいや、部長って美人ですし、似合ってるんですけど…なんか違和感というか」

久「まぁ私はどちらかというと奉仕される側だしね」

京太郎「なるほど」

久「ちょっと!?冗談だから納得しないでよ!」

京太郎「……つーか、なんなんですか?咲と優希のアレは…」

久「……メロンパンとか、いろいろよ」

和「ゆーきと咲さんが今日は限界に挑戦すると……」

京太郎「何やってんだあいつらは…」


257: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/03(火) 23:06:53.70 ID:zusLClCO0

久「なんというかアレよ、一日巨 体験?」

京太郎「後で余計に惨めな気持ちになるんじゃ…」

和「二人ともすごく楽しそうでしたが…」

久「外から見てわからなきゃ本物と変わらないのよ!」

京太郎「いや、アレは正直バレバレ…うん、まあいいか」

久「そんなことより!ほら、中入って!」

和「染谷先輩がお茶用意してくれてますよ」

京太郎「それじゃあ…失礼しまーす」ガチャ



まこ「お、お帰りにゃさいませ、ご主人様」マッカッカー

京太郎「」


258: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/03(火) 23:08:41.32 ID:zusLClCO0

まこ「あの、その…お茶の準備ができてますにゃ」

久「まこ!もっと元気に!かわいらしく!」

まこ「お茶の準備ができてますにゃんっ♪」マッカッカー

和「どうですか!?須賀くん!完璧ですよね!?」

京太郎(なんだ…なんだこれ…染谷先輩がメイド服に猫耳尻尾つけて俺をご主人様って呼んでる…?)

京太郎(あ、眼鏡かけてない…それでも美人だけど!スカート短っ!つか先輩こんなに●●●●でかかったっけ●●●●●●●●)

まこ「うぅ…反応無いしやっぱり失敗だったんじゃ…わし似合っとらんしこんな恥ずかしい格好…」ジワッ

久「大丈夫よ!とりあえずその恥ずかしさを全力で表現して!」

まこ「うぅ…こ、こんな格好…は、恥ずかしいにゃ…」

和「涙目!上目遣い!紅潮した頬!完璧です!素敵です染谷先輩!」パシャパシャ

まこ「ちょ!写メとるんはやめんさい!」

久「ちょっと須賀くんなんとか言いなさいよ!」

京太郎「って部長!染谷先輩に何やらせてんですか!?そりゃかわいいですけど!最高ですけど!」

久「!?ブフォッちょ、須賀くんブフッ何やって…!」

京太郎「こっちの台詞ですよ!何笑ってんですか!?」

和「大変!須賀くん鼻血出てますよ!?」

京太郎「え?」タラー


259: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/03(火) 23:10:24.76 ID:zusLClCO0

………

まこ「ティッシュまだいるか?」

京太郎「……すいません、もう大丈夫です」

久「ブフッわ、私、初めて興奮してフヒッ鼻血出す人見たわ…」

和「そんなに笑ったら須賀くんがかわいそうですよ、部長」

久「ご、ごめんなさフヒッ…なんかもうブフッ…ツボっちゃって」

和「…私は部長と一緒にお店の方に出ますので!染谷先輩は須賀くんの看病をお願いします!」グイッ

久「ちょっと引っ張らなブフッは、鼻血出してる…」

ガチャ バタン

まこ「……気にせんでええよ?」

京太郎「……すいません」ズーン


260: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/03(火) 23:11:17.93 ID:zusLClCO0

京太郎「でも、その…今日はどうしたんですか?すごく、かわいいですけど」

まこ「ん…今日の昼にみんなと話してな」

京太郎「また部長ですか?俺は嬉しいですけど…その、無理しなくていいですよ?」

まこ「……いいや、たしかに言い出したのは久じゃけど…やるって決めたんはわしじゃしな」

まこ「京太郎は…その、わかりやすく好意を示してくれるけど…わしはそういうの苦手で、あまり…好き、って言えてないじゃろ?」

まこ「だからどんな形にせよ…ちゃんとそういう気持ちが伝えられたらって前から思ってて…まあちょうどよかったから久に乗せられてみたんじゃ」

京太郎「……先輩、俺すごく嬉しいです」


261: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/03(火) 23:12:06.04 ID:zusLClCO0

まこ「でも、これはさすがにないじゃろ?フリフリも似合っとらんし耳やらにゃーやら自分でやってて恥ずかしかったわ」

京太郎「そんなことないで すよ!いつものも良いですけどフリフリも似合ってます!ミニスカートも眼鏡外したのも新鮮でいいです!」

京太郎「猫も良いですよ!っていうか全部良かったですよ!?少なくとも俺は鼻血出ましたよ!」

まこ「そ、そうか?……喜んでもらえたなら良かったわ」

京太郎「ありがとうございます…その、俺、先輩のこと好きですから」

まこ「ん…わしも、京太郎のこと好きじゃよ」

京太郎「……」テレテレ

まこ「……ふふっ」テレテレ


262: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/03(火) 23:13:01.61 ID:zusLClCO0

京太郎「それにしても…」

まこ「なんじゃ?」

京太郎「そりゃあ、たしかに大きいのは好きですけど…咲や優希みたいにパン詰めたんですか、それ?」

まこ「それ…?…ってどこ見とんじゃこの助平め」カァァ

京太郎「しょうがないじゃないですか!そんなに胸元開いてたら見ちゃいますって!いつもよりでかいですし!」

まこ「ったく……でも、わしはパンとかは詰めとらんぞ?」

京太郎「そうなんですか?」

まこ「ん、まぁいわゆる…寄せて上げてってやつじゃな」

京太郎「……そんなに変わるもんなんですねぇ」

まこ「だからまじまじと見るなって!…そんなに信用できんなら確かめてみるか?」

京太郎「え?」



まこ「だから……ちょっと、触ってみる、か?」




263: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/03(火) 23:14:01.83 ID:zusLClCO0



京太郎(このあと滅茶苦茶鼻血出して触る前に貧血で倒れた)



270: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/05(木) 22:19:25.95 ID:1L34HCaJ0

週末

京太郎「おはようございます!すいません遅くなりました」

まこ「ん、おはよ」

久「まだ時間あるからブフッ…大丈夫、よ?」

京太郎「もう勘弁してくださいよ!いつまで笑ってるんですか!?」

久「だってあのだらしない顔ブフッ…しかも、その後でまたフヒッ…鼻血出して倒れるとかもう」プルプル

優希「面白い場面を見逃して残念だじぇ」

咲「興奮して鼻血ってよほどだよね…」

和「ちゃんと止まってなかったんですか?それとも何かあったとか…?」

まこ「…ちゃんと止まってなかったんじゃろ」

京太郎「うん…何もなかったよ……何も…」ズーン


271: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/05(木) 22:20:13.66 ID:1L34HCaJ0

京太郎(本当になんて勿体ないことを…あんなチャンス当分来ないぞ!?)

京太郎(…この際言ってみるか?『染谷先輩!●●●●触らせてください!』)

京太郎(……いや、無理!ビンタで済めばいいけど嫌われたくないし!)

京太郎(……それにしても良かったな、この前の染谷先輩のコスプレ)

久「……須賀くん今やらしいこと考えてたでしょ?」

京太郎「え?あ、いやそんなことないですよ!?」

久「だって今ブフッ…この前と同じ顔して…ま、また鼻血出さないでよ…?」

京太郎「だ、出しませんよ!」

まこ「……京太郎」

京太郎「ち、違いますよ!ちょっと染谷先輩のこと考えてただけで…」

優希「朝っぱらから染谷先輩でやらしいこと考えてたのかー」

咲「時と場所をわきまえなよ…」

和「須賀くん…は、破廉恥ですよ?」


272: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/05(木) 22:21:23.24 ID:1L34HCaJ0

京太郎「……えーと、俺!今日はタコス一杯作ってきたんだけどみんな食べませんか?」

咲「あからさまに話しそらしたね」

久「図星なのね」

優希「む…しかし、たしかにおいしそうなタコスの匂いが…」

和「おひとつ頂いたらどうですか?」

優希「いやいや、この前少し遠慮するって決めたし…」

まこ「どうせ沢山あるんだから食べときんさい。試合でちゃんと打てなくても困るじゃろ?」

京太郎「つーかお前が食べる計算で作ってるし食べてもらえないと困るって」

優希「…それじゃあ、少しだけ」モグモグ

優希「タコスうま~」フニャ

和「ゆーきは本当に美味しそうに食べますね」フフッ

咲「…なんだか私もお腹すいてきたよ」

京太郎「咲も食べてくれよ!先輩方もどうぞ」

まこ「ありがとな…うん、またおいしくなっとる」モグモグ

久「ありがと!…でも龍門渕さんがお昼ご飯用意してくれてるんでしょ?食べ過ぎると後悔するわよ~」


273: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/05(木) 22:22:32.86 ID:1L34HCaJ0

京太郎「って噂をすれば…あれじゃないですか?」

咲「……黒塗りのリムジンなんて初めて見たよ」

キキッ ガチャ

ハギヨシ「おはようございます。お待たせいたしました」

京太郎「ハギヨシさん!お久しぶりです!」

ハギヨシ「お久しぶりですね、お元気そうでなによりです」

久「わざわざお迎えまで出していただいてありがとうございます」

ハギヨシ「いえ、透華お嬢様の御下命ですので……皆様どうぞお乗りください」

274: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/05(木) 22:23:18.60 ID:1L34HCaJ0

………

京太郎「ハギヨシさん!今日タコス作ってきたんで後で食べてみてもらえますか?」

ハギヨシ「ええ、もちろん。お手並み拝見といきましょうか」フフッ

優希「夏からうちの京太郎が世話になってたみたいで…」

ハギヨシ「いえいえ、私も須賀くんに教えることで改めてタコスについて造詣を深めることができましたから」

京太郎「……俺、ハギヨシさんに教わったのにいまだに優希よりおいしく作れないんですよね…タコス」

ハギヨシ「おや…私が言うのもなんですが、須賀くんはかなりの腕前だと思うのですが」

優希「年季が違うじぇ!私は昔からタコスに情熱を注いで来たからなー」

京太郎「もしかしたら、タコスに関しては優希の方がハギヨシさんより上かもしれませんよ…?」

ハギヨシ「おや、それは聞き捨てなりませんね…透華お嬢様の執事として負けるわけにはいきません」

優希「タコスに関しては私も負けられないじぇ!」

京太郎「それじゃあ今度みんなでタコス作って…」

ハギヨシ「それなら今日、御屋敷の厨房を…」


275: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/05(木) 22:24:15.72 ID:1L34HCaJ0

ワイワイ

咲「京ちゃんたち楽しそうだね」

和「タコスの話題だけでよく会話途切れませんね…」

まこ「優希は結局どうするんかいのう」

久「タコスについて存分に語り合ってるわね…まあなにかあっても須賀くんがフォローするでしょ」

咲「……もっとお堅い感じの人かと思ってたけどかなりフレンドリーな感じですね」

和「身元もしっかりした方ですしこれならゆーきを任せられますね!」

まこ「いろいろ気が早すぎるわ」

ハギヨシ「あ、そろそろ到着しますよ」

久「嘘!?さっき乗り込んだばかりじゃ…」

咲「車の速度と移動時間がどうやっても計算合いませんよ!?」

和「距離的にあり得ないのでは…」

まこ「……時間を縮める能力でもあるんかのう」


276: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/05(木) 22:25:29.04 ID:1L34HCaJ0

………

透華「ようこそいらっ「咲ー!ののかー!待ちわびたぞー!」パタパタ

和「お久しぶりです」

咲「衣ちゃん!」

衣「ちゃんではなく」

透華「……ようこ「ノッポー!今日はボッコボコにしてやるじぇ!」

純「はっ!今から大口叩いてっと後で恥かくぜ?」

透華「……よ「おはようございます!今日はよろしくお願いします!」

智紀「……ああ、染谷さんの彼氏の」

まこ「な、なんで知っとるんじゃ」

一「この前片岡さんから電話来たときに純くんがねー」

透華「……なんなんですの!?私の出番が…」

久「あ、龍門渕さん、本日はお招きいただきありがとうございます」ペッコリン


277: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/05(木) 22:26:25.79 ID:1L34HCaJ0

透華「……ようこそいらっしゃいましたわ!本日は我々龍門渕高校麻雀部がお相手しますわ!」

衣「衣は咲とののかと打ちたい!」

まこ「とりあえずお昼頃まで打とうかのう?」

智紀「…二人ずつで三卓たてられる」

和「こちらは六人いますがそちらは…」

ハギヨシ「及ばずながら私が参加させていただきます」

久「それじゃあとりあえず咲、和に天江さんと…」

透華「私が入りますわ!……原村和!今日こそ真のアイド「わーい!咲、ののか!最初っから本気で行くぞー!!」

咲「うん、私も負けないよっ!」

和「私も全力を尽くさせていただきます」

透華「……ええ、別に構いませんわ…本番は大会なのですから今日少しぐらい目立たなくとも…」ブツブツ


278: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/05(木) 22:27:16.29 ID:1L34HCaJ0

一「それじゃあボクたちは…」

純「とりあえずタコス娘と…須賀、打ってみるか?」

京太郎「いいんですか?」

純「今日はそのために来たんだろ?…ハギヨシさん入ってもらえます?」

ハギヨシ「ええ、それでは遠慮なく」

優希「よろしく頼むじぇ!」

久「じゃあ国広さんに沢村さんよろしくね」

智紀「よろしく…」

一「身内以外の人と打つの久々だし楽しみだなー」

まこ「わしも最近打っとらんかったから久しぶりじゃなぁ」


279: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/05(木) 22:28:28.14 ID:1L34HCaJ0

………

純「須賀はどの程度打てんの?」

優希「攻撃はまだまだだが普段私たちと打ってるし、なかなかだと思うぞ!…ハギヨシさんは結構打たれるんですか?」

ハギヨシ「私はなかなか牌に触る機会が無いもので…透華お嬢様のお相手をすることもありますが、皆様ほどの力は…」

京太郎「って言ってもハギヨシさん何やっても高水準だからなあ…」

ハギヨシ「ふふ…龍門渕の名に傷がつかないように頑張ります」

京太郎「それじゃあ、よろ―っ!?」ビクッ



咲「いくよ、衣ちゃん」ゴッ

衣「負けないぞー!」ゴッ

280: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/05(木) 22:29:35.59 ID:1L34HCaJ0


京太郎「――うぇ…っぷ…」

優希「どうした?大丈夫か!?」

ハギヨシ「体調が優れないようでしたら部屋を用意しますが…」

京太郎「あ、いえ…大丈夫、です」

優希「大丈夫って顔色じゃないぞ!?」

純「……あいつらにあてられたのか」

京太郎「……あんな強い気配を間近で感じたのははじめてで…すい、ません」

純「いや、気にすんな…衣も宮永も怪物の頂点みたいなやつらだし…つかはじめてってあいつとあんま打たないのか?」

優希「部室で打つときは咲ちゃんはあんな風にトップギアに入れることは滅多にないじぇ」

純「…まぁ普通はそうか。衣は結構フルパワーで来るからさ」


281: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/05(木) 22:30:35.55 ID:1L34HCaJ0

ハギヨシ「須賀くん、無理せずに少し休まれたら…」

京太郎「いえ、せっかく龍門渕の方と打てるのに…」

ハギヨシ「……あまり無理をしないでくださいね」

純「……ハギヨシさん、とりあえず部屋移しましょう。あいつらと同じ部屋じゃ須賀が持たねぇや」

ハギヨシ「では、隣の部屋に卓を用意しておきます」スッ

優希「消えた!?」

純「いつものことだから気にすんな……大丈夫か?歩けるか?」

京太郎「は、はい…」

純「透華、わりぃ俺ら隣の部屋で…」

透華「……」シーン

純「うわ…もう冷えてやがる」

優希「っておい!京太郎!」

京太郎「」バタッ


282: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/05(木) 22:31:39.95 ID:1L34HCaJ0

………

京太郎「………あ、れ?」

ハギヨシ「須賀くん!…大丈夫ですか?」

京太郎「あ、はい…俺って……」

ハギヨシ「はい、あのまま倒れてしまって…今、皆さんに声をかけてきます。心配しておられましたから」スッ

京太郎「うぇ…だる……ってもう16時!?一局も打ってねぇのに!」

ガチャ

まこ「京太郎!大丈夫か!?」

京太郎「あ、先輩……もうこんな時間じゃないですか!?俺も打ちたいんですけど!!」

まこ「いきなり倒れたやつがなに言うとんじゃ!」

久「みんな心配したのよ?」

優希「結構元気そうじゃないか…安心したじぇ」

咲「ごめんね京ちゃん…」

京太郎「いや、咲のせいじゃないだろ?気にすんなよ」

和「もう起きても大丈夫なんですか?」

京太郎「あー……ちょっとだるいけど問題ないよ」


283: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/05(木) 22:35:18.43 ID:1L34HCaJ0

京太郎「っていうか!せっかく龍門渕さんに招待してもらったのにすいません!」

透華「お気になさらず…大事なくてなによりですわ」

一「こっちこそちょっと迂闊だったから…ごめんね?」

智紀「私たちの感覚が麻痺していた。いきなり衣と宮永さんの気を受けたら体調崩すのも当然…」

衣「まあ有象無象には耐えれずとも仕方がない」フフン

純「謝るとこだろ…勝ち誇った顔やめろよ」

衣「ごめんなさい……」グスッ

純「リクエストに応えないでください」

一「……で、どうする?須賀くんは打ちたいみたいだし、またみんなで打とっか?」

京太郎「打ちたいです!お願いします!」

まこ「本当に大丈夫なんか?無理せんでも…」

京太郎「大会前ですしこの機会に何か掴みたいんです!」

久「…まぁこう言ってることだし、そんなに心配ならまこがついててあげなさい」

まこ「…ん、そうじゃな」


284: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/05(木) 22:35:48.88 ID:1L34HCaJ0

………

智紀「そういうわけで私たちが相手する…」

純「話しを聞いた感じじゃ、俺たちが一番力になってやれそうだしな」

京太郎「ありがとうございます!…でも、いいんですか?お二人が俺と打つメリットって…」

智紀「私たちは須賀くんが倒れてる間に結構打った」

純「もう時間もないし自分のことだけ考えろって」

京太郎「……はい!よろしくお願いします!」

まこ「すまんのう…助かるわ」


285: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/05(木) 22:36:58.73 ID:1L34HCaJ0

………

純「チー……だいたい気配がわかるって聞いたけど?」タンッ

京太郎「はい……えっと、今のチーで手、進んでませんよね?」

純「おう……なんで鳴いたかわかるか?」

京太郎「……えっと、染谷先輩の気配が強まってた気がしたんですけど…」

純「うん、今の鳴きで染谷の流れを切ったわけだ」

まこ「それポンじゃ…京太郎、わかるか?」タンッ

京太郎「えっと…今のでたぶん先輩の手かなり安くなってますよね?ってことは…」

まこ「ん、このままだと井上が和了るように見えたんじゃが…」

京太郎「……あれ、これもしかして沢村さん和了ります?」タンッ

純「わかってんなら鳴かせてくれよ…」タンッ

智紀「ツモ…1000・2000」


286: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/05(木) 22:38:33.31 ID:1L34HCaJ0

智紀「安目だと感じ辛い…?」

京太郎「そう、ですね……うちは高火力選手が多いんで…安いのって言うと、咲がいきなり嶺上ツモのみとか和了るんで察知前に速攻喰らったりとか…」

純「まあ仕方ないか……とりあえず気配が見えて、自分でどうにもできないときは他家利用も考えて…」

まこ「……わしは記憶と照らし合わせて判断してるから感性で見てる京太郎には説明し辛くてな…井上が指導してくれて助かるわ」

智紀「須賀くんも攻撃に関しては基本デジタルだしそっちで力になればいい…」

まこ「……そうじゃな。秋はなんとか勝たせてやりたいんじゃがのう」

純「鳴きで他家の流れを切るんだよ……さっきから見せてるしなんとなくわかるだろ?」

京太郎「はい、たぶん…?」

純「頼りねぇ返事だな……まぁいいや、染谷んちの雀荘で打ってるって聞いたし大会までそっちで練習しときな」

京太郎「はい!頑張ります!」


287: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/05(木) 22:39:48.09 ID:1L34HCaJ0

純「あとさ、さっきから気になってたんだが……お前他家の気配はだいたい察知できてるっぽいけど、もしかして自分に来てる流れとか全然見えてないのか?」

京太郎「あー……正直、全然わからないです」

智紀「須賀くんは防御の意識が高いみたいだから内側にセンサーが向いてないのかな…?」

まこ「やっぱり初心者のうちからわしらと打ち続けたのが原因かのう…攻めるよりも振らない、トバないことに重点を置く形になっとったから…」

純「こういうのは本人の意識の影響が強いって言うしな…」

京太郎「……藤田プロにも言われました…心を強く持て、勝利への気持ちが大事だって」

純「結局そこだよな、俺だって端から見たら変な鳴きしてんのはわかってるが…それが正しいと思ってるし牌も応えてくれてる……清澄で言うなら竹井の悪待ちもその類いだろ?」

智紀「須賀くんがこれだ、っていう攻め手がないならやっぱり基本的なことから…定石なら自信持てるでしょ?」

京太郎「基本から……」

智紀「ここまで見た印象では、攻めるときにどうも和了りを急ぎすぎる傾向にある」

純「自分の流れが見えてないから無理に急いで手が安くなったりしてたんだろうな」

まこ「そうじゃな、無理せずに定石通り…それなら信頼できるじゃろ?」

京太郎「……そうですね、俺にできることからしっかりやってけば自信に繋がりますよね」

純「よし!それじゃあ次が今日最後の授業だな」


288: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/05(木) 22:42:19.32 ID:1L34HCaJ0

………

純「今日須賀が倒れたことからも、強い気配に敏感すぎることがわかった」

智紀「耐性をつけておかないと、大会本番で倒れる可能性がある」

京太郎「……なるほど」

純「ってわけで、先生方よろしく!」



透華「さあ、私が指導して差し上げますわ!」

咲「せ、先生って言われても…」

衣「なんでも聞きなさい」キラキラ



京太郎「……なんか、俺死ぬんじゃないですかね?」

一「普段清澄の人と打ってるんなら大丈夫だと思うよ?……ボクは耐性ないところにいきなり衣と打たされたときは暫く牌触れなくなったけど」

京太郎「いやそれ大丈夫じゃないような…」

ハギヨシ「万一倒れてしまっても龍門渕の医療スタッフは優秀ですから、ご安心ください」ニコッ

京太郎「麻雀打つのになんで医療スタッフが待機してるんですか!?」


289: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/05(木) 22:43:05.18 ID:1L34HCaJ0

………

京太郎(なんだこれ吐きそう…つか気配が強すぎてどこがどうなってんのか全然わからねぇ…!)タンッ

衣「ロン!24000!」

京太郎(まだ三巡目なんですけど!?つーか東一局で残り1000点しかねぇ!)

透華「……須賀さんの特訓ということですし、とりあえずトビ無しで半荘打ちましょうか」

咲「そうですね…京ちゃん、頑張って!」

京太郎(あ、これ死んだな)


290: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/05(木) 22:44:09.99 ID:1L34HCaJ0

まこ「……京太郎、大丈夫じゃろうか」

一「やっぱり彼氏が心配?」

和「染谷先輩と須賀くんはとても仲がよろしいですから」

久「この前なんかメイド服で…」

智紀「興味深い」

まこ「ちょ!余計なことは言わんでええから!」



ハギヨシ「む……このタコスは」

優希「どうですか?」

ハギヨシ「いや、これは…私の負けですね…是非ご指導いただきたく…」

優希「そんな、ハギヨシさんのタコスも相当の…」

純「どっちもうまいけどなぁ」モグモグ

優希「こらノッポ!どうしてお前が食べてるんだ!」

純「俺はやっぱり作るより食べる方が好きなんだよね」モグモグ


291: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/05(木) 22:46:14.37 ID:1L34HCaJ0

………

京太郎「お、終わった…」フラフラ

まこ「京太郎!無事じゃったか…」

ハギヨシ「お疲れさまでした」

京太郎「なんとか最後まで打ちましたよ…」

久「かなり時間かかったわねぇ」

京太郎「天江さんが海底何度も和了ったり咲が連荘して…後半龍門渕さんが豹変してからまた連荘して…って感じで」

優希「さすがの私も同情するじぇ…」

純「……和了れたか?」

京太郎「……焼き鳥っす」ハハハ

一「……よく心折れないね」

京太郎「麻雀ってそういうゲームですし…」

和「聴牌すらできないこともままある競技ですからね」

智紀「……須賀くんも違う意味で感覚が麻痺しているだけな気がする」


292: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/05(木) 22:48:10.65 ID:1L34HCaJ0

衣「楽しかったー!衣は満足だ!」パタパタ

咲「また一緒に打とうね」

衣「うん!約束だー!」ワーイ!

京太郎「ありがとうございました、天江さん…龍門渕さんは?」

衣「ハギヨシが寝室につれてったぞ?」

咲「だいぶ疲れちゃったみたいで…京ちゃんよりもフラフラしてたよ」

京太郎「……ハギヨシさん、今ここにいませんでした?」

一「?だってハギヨシさんだよ?…ボク、透華の様子見てくるよ」タタタ

ハギヨシ「清澄の皆様、本日はお疲れさまでした。よろしければディナーの準備をいたしますが…」スッ

和「!?」ビクッ ダキッ

優希「ぐぇっ!?……の、のどちゃん… 圧でし、死ぬ……」ジタバタ

まこ「あ、そんなこれ以上ご迷惑おかけするわけにも…」

久「……まぁ須賀くんが倒れたり色々迷惑かけちゃったし、今日は遠慮しておきましょうか」

ハギヨシ「それでは、お帰りの準備ができましたら声をおかけください」


293: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/05(木) 22:48:56.86 ID:1L34HCaJ0

………

京太郎「今日は本当にありがとうございました!」

智紀「気にしないで。こちらも清澄のみんなと打てて勉強になった」

純「男子は直接の敵にならないしな。大会も応援してるぜ」

久「私も大会には出れないし龍門渕の応援もさせてもらうわ。清澄の次に、だけど」

和「次に会うのは秋の大会ですね」

一「その時は手加減しないよ?全力で相手してよね」

優希「もちろんだじぇ!」

咲「ありがとうございました…衣ちゃんは?」

純「……ウトウトしてたから寝かしてきた」

一「ちゃんと挨拶できなくてごめんね?」

智紀「透華も謝っていた…」

まこ「こちらこそ、今日はお世話になってばかりで申し訳ない…龍門渕さんにもよろしく伝えてくれ」

ハギヨシ「では、帰りも私が送らせていただきます」

294: ◆c6nLNbFPW6 2014/06/05(木) 22:50:37.00 ID:1L34HCaJ0

………

久「すいません、自宅まで送ってもらってしまって…」

ハギヨシ「いえ、もう日も沈んでしまっていますしお気になさらず」

久「ありがとうございました。じゃあみんな、また学校で!」

………

まこ「みんなお疲れさん。今日は…京太郎は特に、しっかり休んでな」

京太郎「はは…心配かけてしまってすいませんでした」

まこ「ハギヨシさん、今日はありがとうございました」

ハギヨシ「いえ、本日はお疲れさまでした」

………

和「本日はどうもありがとうございました」

ハギヨシ「こちらこそありがとうございました。透華お嬢様たちも今日を大変楽しみにしていましたので…」

咲「あ、私もここで降ります、夕飯の材料買っていかなきゃ…」

ハギヨシ「よろしければお近くのスーパーまでお送りしますが…」

咲「いえ、すぐ近くなので大丈夫です。今日はありがとうございました」ペッコリン

和「ゆーき、須賀くん、おやすみなさい」

咲「また明日ね」

京太郎「お疲れ様!」

優希「のどちゃん、咲ちゃん、また明日!」



次回 霞「初霞日和」初美「ですよー」 後編