榛名「榛名恋愛相談所」前編
537: ◆ATK1PCranA 2014/11/21(金) 18:20:48.93 ID:OzWcYmJ80
~ある日の鎮守府・夕飯時~
雷「司令官!司令官!今日の私凄かったでしょ!」ドヤッ
提督「ああ、凄かった。よくやったぞ雷」ナデナデ
雷「ふぁ……司令官のなでなで気持ちいい……」
提督「そんで?ネ級eliteを撃沈させるどころか1ダメージも与えずに、ずっと随伴艦ばっか狙ってた連合艦隊旗艦さん?何か言いたいことはあるかい?」ジトッ
榛名「……」サッ
提督「目を逸らすなバカ戦艦」
榛名「ず、随伴艦を先に沈めた方が後で旗艦を集中砲火出来るじゃないですか」
提督「ああ確かにそうだなその通りだよ。随伴艦を先に攻撃するメリットは俺も認めよう。だが」
榛名「だ、だが……?」ビクビク
提督「問題はお前が狙うだけ狙って一隻も沈められなかったことにあるんだよ!」
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538: ◆ATK1PCranA 2014/11/21(金) 18:35:54.27 ID:OzWcYmJ80
提督「何?お前バカなの死ぬの?何でリ級とかイ級とかばっか狙った挙句外してんの?いや、ねえよ。流石に一回も当てれねえのはねえよ」
榛名「ひ、久しぶりの実戦で勘が鈍っていたというかですね……」
提督「ここんとこ毎日天龍と演習してただろうが。あいつとの演習に比べれば深海棲艦との戦闘なんて休憩してるようなもんだって言ったのはお前だぞ?」
榛名「うっ」
提督「あと、バレてないと思ってたのかもしれないが、お前が夜遅くまで自作の恋愛小説書いてたことも知ってるからな?どうせそのせいで寝不足でふらついて外したとかそんなところだろ?」
榛名「なっ!?な、なななななな何でこういう時だけ無駄に勘が良いんですか提督は!というか榛名の秘密の創作活動をなぜ知っているのですか!?誰にも言ってないのに!」
539: ◆ATK1PCranA 2014/11/21(金) 18:46:36.32 ID:OzWcYmJ80
提督「親切なパパラッチが教えてくれた」
榛名「青葉さんですか!まったくあの人はもう!プライバシーの侵害でいい加減訴えたいです!」プンプン
提督「それには俺も大いに同意だが、あいつあんなんでも優秀だから揉み消されるぞ。それと、説教はまだ終わってない。話を逸らそうとしても無駄だ」
榛名「バレましたか」チッ
提督「……お前は本当に性格がねじ曲がったな。出会ったあの頃の大人しくて素直で可愛らしい榛名はどこに行ったのやら」ヤレヤレ
榛名「あの横須賀鎮守府で半年も過ごせば、そりゃ少しは性格も捻じれますよ。主に天龍さんのせいで」
天龍「ん?呼んだか?」ヒョイッ
榛名「て、天龍さん!?い、いえ!別に呼んでませんが?」アワアワ
天龍「そうか?じゃあ気のせいだったのかな……」テクテク
541: ◆ATK1PCranA 2014/11/21(金) 18:55:16.54 ID:OzWcYmJ80
金剛「提督ぅー!そろそろご飯ですからその辺で許してあげてクダサーイ!」ダキッ
提督「いちいち抱き着かないと俺と話せないのかお前は!」グイグイ
金剛「ああん!提督、激しいデス!」ギュー
提督「変な言い方すんな!さっさと離れろ!」グイグイ
榛名「でも本音では?」
提督「もっと抱き着いてください。柔らかいものがいい感じに当たってるので」
金剛「イエース!提督の頼みなら仕方ないネー!」ギュウギュウ
提督「しまったあああああああああああ!!!!!!!!!!!墓穴掘ったあああああああああああああ!!!!!!!!!」
榛名「提督は変態ですね」クスクス
提督「お前が変なこと言うからだろうが!」
雷「むぅ~。私だって数年すればおっきくなるもん……」グス
提督「変な対抗心燃やすな!」
金剛「提督、大好きデス!」ギュー
提督「どさくさに紛れて何言ってんだ!?」
542: ◆ATK1PCranA 2014/11/21(金) 19:20:56.47 ID:OzWcYmJ80
金剛「ほらほら~どうデスカ?嬉しいデスカ?」ムギュ
榛名「やーいやーい提督の変態ー!見目麗しい秘書艦をグチグチ責めるからそういうことになるんですよーだ!」
雷「牛乳!牛乳はどこ!私も早くボインボインになーるーのー!」ブンブン
提督「……何だこのカオスな状況。酒飲んだわけでもねえのに……」
???「金剛姉さま!?何やってるんですか!?」タタッ
金剛「比叡デスカ。見ればわかる通り、提督に抱き着いてるんデース!」
比叡「抱き着いてるんデース!じゃないですよ姉さま!は、早く離れてください!」
金剛「何でデスカ?」キョトン
榛名「何でですか?」パシャパシャ
比叡「何で……って、は、破廉恥だからに決まってるじゃないですか!女神の如く美しい姉さまが、提督と触れ合って穢れたらどうするおつもりですか!あと榛名は撮影しない!」プンプン
金剛「比叡、あなた改二になったから提督にデレたんじゃないんデスカ?」
比叡「それはケッコンカッコカリした後の話です!それと私たちは厳密に言うとあれとは少し違うので関係ありません!」
提督「……なあ榛名。あいつら何言ってんの?比叡が言ったあれって何?」
榛名「提督、世の中に気にしなくてもいいこと、気にしてはいけないこともあるんですよ?」
提督「そっか……」
543: ◆ATK1PCranA 2014/11/21(金) 19:26:51.38 ID:OzWcYmJ80
比叡「と・に・か・く!晩御飯も出来たので姉さまは提督から離れて、運ぶのを手伝ってください!」
金剛「ちぇっ。仕方ありませんネ。提督、私ちょっと行ってくるデース」ノロノロ
比叡「ほら早く早く!」グイグイ
金剛「そんなに引っ張らないでクダサーイ。服が伸びちゃいマース」ズルズル
提督「……やっと解放された」
榛名「役得でしたね提督」
提督「……お前今日からしばらくアイス無しな」
榛名「ちょっ!?罰にしては重すぎませんかそれ!?」
549: ◆ATK1PCranA 2014/11/21(金) 22:09:59.67 ID:OzWcYmJ80
~小ネタ・戦艦大和、波動砲は撃てません!~
大和(どうも皆さんこんばんわ。艦隊決戦用に開発された日本海軍の切り札、戦艦大和です)
大和(最近大和見ねえなあ、と思っていた方もいらっしゃるでしょう。それもそのはず。何故なら私は今、呉鎮守府に来ているからです)
大和(ここに来ている理由は、視察とか研修とか色々あります。私は岩川鎮守府の工廠で生まれましたが、私の原型である戦時中の戦艦大和はこの呉の工廠で建造されました。私にとってここは第二の故郷と言ってもいいのかもしれません)
大和(まあ、だから今はある意味里帰り中みたいなもので、しばらくは平和な毎日が続いていました)
大和(ところで私はいったい誰に話しかけているのでしょう。頭がおかしくなってしまったのでしょうか)
大和(でも、それはそれで仕方がないと思います。だって――――)
大和「――――こんな惨状を見れば、誰だって現実逃避したくもなりますよ」ハア
大和(私が今いる大部屋には、数人の艦娘の身体が転がっています)
550: ◆ATK1PCranA 2014/11/21(金) 22:25:28.85 ID:OzWcYmJ80
大和(まず一人目。ドアから一番近くに転がっているのは時雨ちゃん。三つ編みを微妙にほどけさせて腕にクマのぬいぐるみを抱いたまま就寝。可愛いです)
大和(次に二人目。時雨ちゃんの隣で寝ている阿武隈ちゃん。北上さんにいじられる夢でも見てるのか、うなされています。可愛いです)
大和(三人目は春雨ちゃん。何だか光の加減で髪が白く見えるけど、安らかな寝息を立てているるので大丈夫のはずです。可愛いです)
大和(さて、とりあえずこの三人まではいいんです。可愛いですし)
大和(しかしここからの三人は酷い。これは本当に酷いです。この部屋を惨状足らしめている原因の100%はこの三人にあります)
551: ◆ATK1PCranA 2014/11/21(金) 22:32:41.78 ID:OzWcYmJ80
大和(四人目。陸奥さん。服のせいもあるんでしょうが、お腹を出したまま熟睡。腕の中には酒瓶)
大和(五人目。イムヤさん。この鎮守府の現最高権力者でもあります。完全にポニーテールをほどけさせた妙に色っぽい姿で寝ています。腕の中にはスマホと酒瓶)
大和(そして最後にして最悪の艦娘は――――)
長門「ぐー……ぐー……」
大和(この人、長門さんです)
大和(完全に泥酔した状態で眠っています。いびきとお酒の匂いでこの部屋の惨状度にかなり貢献しています。というか50%くらいはこの人のせいです)
552: ◆ATK1PCranA 2014/11/21(金) 22:56:22.01 ID:OzWcYmJ80
大和(宴会の途中で私が提督との連絡のために外に出ていた数十分の間に、このような惨状は出来上がっていました)
大和「元々イムヤさんと陸奥さんと長門さんはお酒が入っていましたし、時雨ちゃん阿武隈ちゃん春雨ちゃんは眠たそうでしたけど。それでもこの部屋のぐちゃぐちゃさはいったい……」
大和「まあ、考えていても仕方ないです。私も早く部屋に戻って寝なくちゃ――――」
ドゴオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!!!!!
大和「何!?今の音!?」
大和(砲撃……?いや、今のはどちらかというと――――)
伊168「今のは雷撃の音ね。しかも私たち艦娘が使っているのとは別の、深海棲艦が使っているものだわ」
大和「イムヤさん!?起きたんですか?」
伊168「そりゃあんだけでかい音が鳴れば起きるわよ。他の子たちはなぜか起きてこないけど」ヤレヤレ
大和「……どうします?」
伊168「もちろん行くわよ。あんな音が鳴り続けてたら安眠できないもの」ダッ
大和「ふふっ……そうですね」ダッ
伊168「何?何がおかしいの?」タタタッ
大和「いえ、ちょっと……今の言葉、提督も言いそうだなって思いまして」タタタッ
伊168「それはそうでしょうね。なんせ私は、あの提督の元で半年間過ごした第二次第一世代の一人だもの」タタタタ
大和「第二次第一世代……約百年ぶりにまた現れた深海棲艦に対抗するために再び作られた艦娘たちの中でも最初期に作られた艦娘たち。最強の艦娘たち、でしたっけ」タタタタ
伊168「そうよ。世界最強の生命体である天龍を筆頭とした最強の艦娘たち、その一人が私なの……って、話してる間に着いたわね」
553: ◆ATK1PCranA 2014/11/21(金) 23:15:24.43 ID:OzWcYmJ80
大和「あれは……まさか」
伊168「チッ……厄介なのが来てるわね」
レ級「……」
大和「戦艦レ級……最悪の深海棲艦じゃないですか」
伊168「砲撃から雷撃までこなすオールラウンドな戦艦。しかも何と言っても一番厄介なのは……」
レ級「……っ」ダンッ
伊168「その攻撃性と」バッ
レ級「……」ギュンッ
伊168「一度当てると決めた獲物は攻撃を当てるまで逃がさないっていう、異常なまでのハンター根性ね」ギュギュンッ
大和「イムヤさん!大丈夫ですか!?」
伊168「大丈夫大丈夫。eliteでもないただのレ級くらいならどうとでもなるわ。それより、早く被害者を探しなさい」バッ
大和「は、はい!」
大和「えーと、いるとしたらたぶんこの辺だと思うんだけど……」
???「うう……」
大和「いた!大丈夫ですか!?」
???「だ、大丈夫……じゃない、です」
大和「ですよね!い、今運びますからじっとしててください!」
???「あ、ありがとう。あなた、艦娘……?というかその顔、もしかして……大和?」
大和「?はい、そうです。私は大和型一番艦の艦娘、大和ですけど……」
???「ああ、そっか。あなたは、私の知ってる大和とは別の大和なのね……」
大和「ど、どういうことですか?あなたはいったい……」
???「私の、私の名前は――――」
554: ◆ATK1PCranA 2014/11/21(金) 23:23:04.88 ID:OzWcYmJ80
伊168「あれー?大和ー?どこ行ったのー?」
大和「あ、イムヤさーん!こっちです!こっち!」
伊168「ああ、こんなところにいたのね。それで?その子がレ級に襲われてた不幸な艦娘?」
大和「ええ、まあそういうことになるのではと……それで、結局あなたのお名前は何なんですか?」
???「もう、ちゃんと聞いて。いい?私の名前は――――」
浜風「陽炎型駆逐艦13番艦、浜風よ。久しぶり、そして初めまして、大和。そしてもう一人のあなたは……伊168、かしら?」
大和「え?陽炎型駆逐艦13番艦の浜風ってもしかして……」
伊168「……ドロップオンリー。今はもう失われた技術で建造された、第一次の艦娘」
555: ◆ATK1PCranA 2014/11/21(金) 23:32:12.92 ID:OzWcYmJ80
~翌日~
伊168「というわけで、今日からこの鎮守府に新しい仲間が増えるわ」
浜風「駆逐艦、浜風です。これより貴艦隊所属になります。よろしくお願いします」ペコリ
一同「おおー!」パチパチ
伊168「えー、浜風は第一次の艦娘なので、あなたたちより全然戦闘経験が豊富です。しっかり見習って学んで強くなって私に楽をさせてください。以上で挨拶終了!さあみんな!浜風の就任祝いに好きなだけ騒ぎなさい!」
一同「ひゃっほー!」ドンチャンドンチャン
伊168「私は浜風就任の書類書いて提出してくるから、後はよろしくね大和、浜風」
大和「え、私ですか!?」
浜風「就任したばかりの私にどうしろと?」
伊168「最低限、長門と陸奥が砲撃戦を始めないように見張ってるだけでいいわ。あんたたちも自由に飲んで食べて騒ぎなさい」
556: ◆ATK1PCranA 2014/11/21(金) 23:47:16.16 ID:OzWcYmJ80
大和「でも、浜風はこれでよかったの?艦娘としての役目を終えて、自由に生きることもできたはずなのに、また戦いに身を投じるようなことになっちゃって」
浜風「別にいいんですよ。私は、沈んだ仲間たちとの約束をまだ果たせてませんし」
大和「約束?」
浜風「武蔵とは次の武蔵とあなた……大和を守ることを。金剛とは提督を守ることを約束しました」
大和「そうなんだ……でも、この鎮守府には武蔵も提督もいないよ?私も本来の所属は岩川だし」
浜風「まあ、その辺のことは後々考えます。今はとりあえず、イムヤさんに恩を返したいですから」
大和「そっか。あなたがきちんと決めたなら、私はもう何も言わないよ。一緒にいられる時間はあと少ししかないけど、お互い頑張ろうね、浜風」
浜風「ええ、頑張りましょう。大和」
大和「よおーし!今日は久しぶりに私もいっぱい食べるわ!」タタッ
浜風「ふふっ……あんまり食べ過ぎて太っても知りませんよ」タタッ
浜風(大和。実はあなたには話さなかったけど、私がここで戦うことを決めたのにはもう一つ理由があるの)
浜風(この約百年間。ずっと海の底で眠ってた私を守っててくれた、彼女を守るため)
浜風(誰にもあなたの眠りは邪魔させないわ、大和)
562: ◆ATK1PCranA 2014/11/22(土) 10:36:40.54 ID:0ATO9Xgp0
~夕食~
提督「……なあ榛名。今俺たちの目の前にあるこの黒い物体はいったいなんだと思う?」ギギギ
榛名「主よ、何故私を見捨てたもうた」サッサッサッ
金剛「うう……失敗したネ。まさか私がいない間に比叡が料理するトハ……」ガックリ
比叡「な、何ですかみんなして!確かにちょこーっとだけ失敗してしまったので見た目は悪いかもしれませんが、味は大丈夫なはずです!」
提督「じゃあ聞くけどさ、お前これちゃんと味見した?」
比叡「いえ。私だけ先に食べるのもどうかと思ったので……」
金剛「私が作ったものは誰よりも先に食べるのに、どうしてこういう時だけ真面目なのデスカ……」
比叡「姉さまの作ったものは倫理より優先されますから!」キリッ
榛名「我が姉ながら恐ろしいまでのシスコンぶりですね」ハア
564: ◆ATK1PCranA 2014/11/22(土) 11:04:27.08 ID:0ATO9Xgp0
さっき気づいたけど比叡って『提督』じゃなくて『司令』って呼んでたわ。今回から直します
提督「まあ、どちらにせよ食べるしかないだろ。腹減ったし」
金剛「そ、それもそうデスネ。ならばここは姉として私が最初に食べマス!」
提督&榛名「おおー」パチパチ
比叡「……私の料理を爆弾みたいな扱いするのやめてもらえませんか?」
金剛「それでは……いただきマス」モグモグ
提督「ど、どうだ?体が急に爆発しそうになったりしないか?」
榛名「姉さま私は榛名ですよ?わかりますか?」
比叡「……もう泣いていいですか?」グス
金剛「あれ?別にどこかおかしいところはないデスネ?味もまともデス――――」バタン
提督&榛名「金剛(姉さま)-!」
565: ◆ATK1PCranA 2014/11/22(土) 11:30:08.07 ID:0ATO9Xgp0
金剛「……」チーン
提督「……金剛DEAD」
比叡「いや、流石に死んではいませんって!」
榛名「金剛姉さま……あなたに教わったこと、榛名はきっとずっと忘れません」
比叡「榛名も悪ノリしない!」
提督「じゃ、ふざけるのはこんくらいにして……次は榛名だな。頑張れ!」
榛名「何言ってるですか提督。次は提督の番でしょう?」
提督「いやいや、ここはどう考えてもお前が食べる流れだろう。妹だろ?姉の作った料理を他人より後に食べるなんてことはないよな?」
榛名「いえいえ、その理論で言うならやはり提督でしょう。上司として、部下が心を込めて作った料理は早く食べなくては。榛名は所詮ただの妹なので後でいいですよ?」
567: ◆ATK1PCranA 2014/11/22(土) 12:24:56.43 ID:0ATO9Xgp0
提督「いいからさっさと食え!」ガッ
榛名「むぐっ……ごくん」
提督「死ぬがいいバカ戦艦」
比叡「私の料理では死人は出ませんってば」
榛名「……あれ?意外と何ともありませんね?変な味もしませんし。代わりにまともな味もしませんけど」
提督「マジで?じゃあ金剛が倒れたのはいったい……」
比叡「ほらあ、やっぱり私の料理はまともだったんですよ」
榛名「ええ。これなら普通に食べられますよ。はい、提督もあーん」サッ
提督「……あの、榛名さん?俺はこっちですよ?」
榛名「ふふふ、美味しいですか?そうですか。よかったですね比叡姉さま。提督も美味しいって言ってくれましたよ」フフフ
比叡「榛名……?私はこっちだけど……」
榛名「ああ今度は提督が食べさせてくれるんですか?ありがとうございます」ニコッ
提督&比叡「……」
榛名「はむっ……段々美味しくなってきましたこのカレー。比叡姉さまは料理上手だったんですね」ニコニコ
提督「幻覚作用……か」フウ
比叡「は、ははははははは榛名!戻って!戻ってきて!」アワアワ
568: ◆ATK1PCranA 2014/11/22(土) 15:12:43.40 ID:0ATO9Xgp0
金剛「……」チーン
榛名「うふふ~」ニコニコ
提督「残ったのは俺だけ、か」
比叡「……やっぱり私の料理は美味しくないのかなあ」
提督「いや、美味い美味くない以前の問題だろこれは」
比叡「うう……」
比叡「仕方ありません。捨てましょうか、これ」
提督「は?何で?」
比叡「だって、これ以上被害者を増やすわけにもいきませんし」
比叡「そもそも、料理下手な私が料理をしようと思ったのが間違いだったんですよ。姉さまや榛名たちに喜んでもらおうと思って作ったのに、逆に色々危害を加えてしまいましたし」ハハハ
比叡「安心してください。私はもう料理はしませんし、このカレーも捨てますから」ポロポロ
提督「比叡……」
比叡「はい。何ですか?」
提督「てやっ!」チョップ
比叡「あ痛っ!」
提督「よっ……モグモグ」シュッ モグモグ
比叡「し、司令!?何やってるんですか!?」
提督「むぐむぐ……ごくん。見りゃわかんだろ、食事だ食事っ!?」カハッ
比叡「え!?吐血!?そんなに酷いんですか私の料理!」
569: ◆ATK1PCranA 2014/11/22(土) 15:24:09.64 ID:0ATO9Xgp0
提督「ああ、酷い。味は……悪くないっつーかそもそもしない。が、何かわからんが最悪だ」ゼエゼエ モグモグ
比叡「じゃあ何でまだ食べてるんですか……マズイってわかってるのに」
提督「どんなに不味くても、艦娘が作った料理は食べることにしてるんだよ」モグモグ カハッ
比叡「……さっきまであんなに嫌がってたくせに何言ってるんですか」
提督「いや、流石にこれは俺もちょっと覚悟を決める時間が必要だったというか……」モグモグ
比叡「……」
提督「……」モグモグ カハッ モグモグ カハッ
比叡「……」
提督「……完、食だな」バタッ
比叡「し、司令!?大丈夫ですか!?」
提督「あんまり大丈夫じゃない……」
比叡「そりゃそうですよね!ま、待っててください!すぐに医務室に!」ダッ
提督「ちょ、ちょっと待て……まだ、言ってない」
比叡「言ってないって……何をですか?」ピタ
提督「作ってくれてありがとな、ご馳走様」ニコッ
比叡「司令……」
提督「確かに死ぬほど不味かったけど、作ってくれたのは嬉しかったよ」
比叡「べ、別に司令のために作ったわけじゃ……」///
提督「それでも、だ……あ、やばい。意識が――――」
比叡「し、司令ー!」
その後提督と金剛と榛名は一晩中眠り、翌日には回復しましたとさ
比叡「司令って割といい人なのかな……?ってダメダメ!私には金剛姉さんというものが!」ブンブン
ついでにその日から比叡の部屋では時折バタバタという音が聞こえるようになりました
583: ◆ATK1PCranA 2014/11/22(土) 19:18:09.30 ID:0ATO9Xgp0
~ある日の鎮守府~
瑞鳳「よいしょっと……あれ?」
龍驤「ん?どうしたん瑞鳳?なんかあったんか?」
瑞鳳「いや、何かブラがきついような気がして……」
龍驤「……気のせいやな。アホなこと言っとらんでさっさと着替えんかい」
瑞鳳「気のせいじゃないわよ!本当にきついの!」
龍驤「……ホンマに?」
瑞鳳「うん」
龍驤「……」スタスタ
瑞鳳「え?龍驤何で近づいて……ひゃんっ」ビクン
龍驤「……」モミモミ
瑞鳳「やっ、んっ、りゅ、龍驤、やめっ、あんっ」
龍驤「ホンマや。ホンマに、ちょっとだけ大きなっとる……」ガーン
586: ◆ATK1PCranA 2014/11/22(土) 20:24:14.47 ID:0ATO9Xgp0
瑞鳳「ね?だから言ったでしょ?」
龍驤「む~瑞鳳の裏切り者!うち、あんただけは絶対に裏切らんって信じとったのに!」
瑞鳳「何だかすっごく失礼なことを言われたような気がする」
瑞鳳「でも、実際どうしよう。他のブラも同じサイズだし、新しいの買ってこようかな」
祥鳳「それなら提督と一緒に買いに行けばいいんじゃない?」ヒョコッ
瑞鳳「お姉ちゃん!?いつの間に後ろに!?てゆーか今何て言った!?」
587: ◆ATK1PCranA 2014/11/22(土) 20:52:09.40 ID:0ATO9Xgp0
祥鳳「今日はお休みなんだし、提督と一緒にお買い物に行って来ればいいじゃない。ついでに下着も提督に選んでもらってきなさい」
瑞鳳「いやいやいや!流石にそれは無理だよ!買い物くらいならともかく、提督にブラ選んでもらうなんて……」///
祥鳳「でも、それで提督の好みがどんなのわかる上にすぐに対応できるのよ?更に素敵なハプニングを起きて提督ともっと親密になれるかも……」
瑞鳳「提督の好み……すぐに対応……素敵なハプニング……」
龍驤「あの提督が出かけることを了解するとは思えへんけど……むぐっ」
祥鳳「龍驤ちゃん、ちょおおっと黙ってようか?」ニコッ
龍驤「むぐう!むぐううう!(わかった!わかったから!」
瑞鳳「……うん。決めた!私ちょっと提督のところ行ってくる!」ダタッ
祥鳳「いってらっしゃ~い」
龍驤(い、息が……死ぬ……)
588: ◆ATK1PCranA 2014/11/22(土) 21:58:09.81 ID:0ATO9Xgp0
~提督の部屋~
瑞鳳「提督!ってあれ?何してんの?」バンッ
提督「何って見ればわかる通り、出掛ける準備してるんだが?」
瑞鳳「え!?だ、誰と出掛けるの?」
提督「誰って……お前とに決まってるだろ」
瑞鳳「ほぇ?」
提督「さっき榛名の奴が『瑞鳳ちゃんが提督と出掛けたいそうですよ?』って言ってきてな。何か買いたいものがあるんだろ?」
瑞鳳「え?え?は、榛名?」キョトン
榛名「すみません。先ほど瑞鳳ちゃんたちの部屋を通りかかったときに偶然聞こえてしまいまして」クスクス
瑞鳳「ど、どこから聞こえててどこまで聞いてた……?」
榛名「それはもちろん……」スタスタ
榛名「瑞鳳ちゃんの胸が大きくなったのでブラがきつくなったってところから、この際だから提督好みのものを選んでもらってそれを買おうってところまで、ばっちり聞いてましたよ」ボソボソ
瑞鳳「やっぱりいいいいいいい!!!!!!!!」
589: ◆ATK1PCranA 2014/11/22(土) 22:29:16.91 ID:0ATO9Xgp0
瑞鳳「うう……恥ずかしい。でも、聞かれたのが榛名でよかった。青葉とかだったら確実に今頃鎮守府中に広まってただろうし」
榛名「それもそうですね」
提督「おい、何二人してこそこそと話してるんだ?もう準備終わったぞ?」
瑞鳳「あ、ちょ、ちょっと待ってて!私もすぐに準備してくるから!」ダタッ
榛名「榛名も手伝ってきますね」タタッ
提督「……それにしても、瑞鳳の買いたいものって何なんだ?榛名には行けばわかるって言われたが……」
提督「まあ考えても仕方ないか。瑞鳳が来るまで大人しく待ってよう」
595: ◆ATK1PCranA 2014/11/23(日) 22:05:11.65 ID:WsQgQXeI0
~瑞鳳の 準備が 完了 したよ~
榛名「提督ー?開けますよー?」
提督「おー」
ガチャッ
榛名「準備完了しましたよ」
提督「あれ?瑞鳳は?お前だけ来ても意味ないじゃん」
榛名「先に外で待ってますよ。何だか緊張しちゃったらしくて、なるべく提督と会うのを遅らせたいようです」
提督「なんじゃそりゃ」
596: ◆ATK1PCranA 2014/11/23(日) 22:27:20.42 ID:WsQgQXeI0
榛名「女の子には色々あるんですよ。ほら、いいからさっさと行ってあげてください」グイグイ
提督「お、おい!押すなって!行ける!一人で行けるから!」
榛名「ちゃんと紳士的にエスコートしてあげるんですよ?アドバイスを求められたら必ず答える、荷物はさり気なく全部持つ、絶対に途中で文句や弱音を言わない。いいですね?」
提督「わかってるよ。そんじゃ行ってくる」
スタスタスタ ガチャッ ワルイマタセタカ? ウ、ウウン!ゼンゼンマッテナイヨ! ソッカ。ジャアイコウゼ ウン!
祥鳳「……行きましたか?」
榛名「……行きました」
祥鳳「それじゃもちろん……」
榛名「榛名たちも行きましょう!」
祥鳳「わかったわ!ほら、龍驤ちゃんも行くわよ!」グイグイ
龍驤「何でうちまで行かなあかんねん……」
597: ◆ATK1PCranA 2014/11/23(日) 23:33:04.95 ID:WsQgQXeI0
~ショッピングモール~
提督「で、結局何を買いに来たんだ?」
瑞鳳「え!?え、ええと、それは後で買う時に教えるから!さ、先に色々見て回ろうよ!」
提督「ん?そうか?まあ、お前がそうするって言うなら俺は別にいいが」
瑞鳳「ほ、ほら!喫茶店に入ろ?まだ朝ご飯食べてなかったし!」グイグイ
提督「わかった!わかったから!引っ張るなって!……さっきは榛名に押され、今度は瑞鳳に引っ張られ。今日は何なんだろうな?ホント」ズルズル
榛名「どうやら提督たちは喫茶店で朝食を取るようですね」
祥鳳「追うわよね?」
榛名「もちろん!」
龍驤「うち、もうさ帰りたいんやけど……」
598: ◆ATK1PCranA 2014/11/23(日) 23:59:46.21 ID:WsQgQXeI0
~喫茶店~
店員「いらっしゃいませー。お二人様でよろしいですか?」
提督「はい……って、何!?」
瑞鳳「ど、どうしたの提督!」
店員「私の顔に何か付いてますか?」
提督「あ、あの、あなたってこの建物にある別のカフェで働いていませんでした?パフェが美味いことで評判の」
店員「いえ、私はここでしか働いたことはありませんが……」
提督「そうですか。でも、絶対に同じ顔なんだけどなあ」
店員「ああ、もしかしたらそれ私の姉妹かもしれませんね」
提督「姉妹?」
店員「ええ。私って姉妹がたくさんいるんですけど、みんな同じ顔なんですよ。だからきっとその人も私の姉妹です」
提督「そ、そうなんですか……突然変なこと聞いてすみませんでした」ペコリ
店員「いえいえ。それでは、席へご案内しますね?」
提督「はい、よろしくお願いします」
601: ◆ATK1PCranA 2014/11/24(月) 01:03:29.47 ID:4tXDMZcw0
~朝食後~
提督「美味かった……喫茶店にしてはあのカルボナーラのクオリティはかなり高かったぞ」
瑞鳳「サンドイッチも美味しかったよ。また今度来たいね?」ニコッ
提督「ああ、そうだな」
榛名「ああ!提督たちが行ってしまいました!て、店員さん!これお会計です!」
祥鳳「龍驤ちゃん!早く食べて!」
龍驤「ちょ、ま、むぐっ……ごくん。まだ残っとるし、うちはここで待ってるから先に行って――――」
榛名「さあ追いましょう!」ダッ
祥鳳「龍驤ちゃん行くわよ!」ダキカカエテ ダッシュ
龍驤「あ、待って!い、嫌や!まだオムライスもナポリタンも残っとるのにいいいいいいいいいいい!!!!!!!!」ダキカカエラレ
店員「ありがとうございましたー。またのご来店をお待ちしております」
602: ◆ATK1PCranA 2014/11/24(月) 01:17:16.44 ID:4tXDMZcw0
提督「次はどこに行くんだ?」
瑞鳳「うーん……あ、ちょっと本屋さんに行ってもいい?」
提督「別にいいぞ」
瑞鳳「じゃあ行こっか。本屋さんは確か……三階だったかな?」
榛名「二人はエスカレーターに向かっています。どうやら別の階へ移動するようです」
祥鳳「鉢合わせないように、私たちも後ろからついていきましょう」
龍驤「うう……うちの、うちのオムライスとナポリタン……」
榛名「それまだ言ってたんですか!?いいからさっさと行きますよ!」
603: ◆ATK1PCranA 2014/11/24(月) 01:37:38.21 ID:4tXDMZcw0
~本屋~
瑞鳳「……」キョロキョロ
瑞鳳「周囲に提督はいない……よし」
『現役艦娘が教える恋愛必勝術!~気になるあの人のハートを轟沈させましょう!~』
瑞鳳「ごくり……」ペラッ
瑞鳳「……」ペラペラ
???「あれ?瑞鳳ちゃん?」
瑞鳳「っ!?」ビクッ
???「やっぱり!こんなところで何やってるの?」
瑞鳳「あ、赤城さんですか……ビックリさせないでください……」
赤城「む~普通に話しかけただけなのに~」プクー
瑞鳳(可愛い)
赤城「まあいいわ。それで?瑞鳳ちゃんは何してたの?」
604: ◆ATK1PCranA 2014/11/24(月) 01:56:24.28 ID:4tXDMZcw0
瑞鳳「え!?えーっと、ですね……」
加賀「何々……『現役艦娘が教える恋愛必勝術!~気になるあの人のハートを轟沈させましょう!~』?いったい何を読んでるんですかあなたは」ヤレヤレ
瑞鳳「か、加賀さん!?」
赤城「あら加賀さん。お目当てのものは買えたの?」
加賀「ええ、首尾よく手に入れることが出来たわ」
瑞鳳「赤城さん、加賀さんと一緒に来てたならそう言ってくれればよかったのに」
赤城「言う前に合流しちゃったんだもの」
加賀「それで瑞鳳。あなたはこんなところまで来て何をやってるんですか。よりにもよって恋愛を本に頼るなど……しかも何ですかあのセンスのかけらもないタイトルは」
瑞鳳「う、確かにこの本のタイトルはかなりアレですけど。考えた人の頭を疑うレベルですけど!」
榛名「くしゅんっ……うう、誰かが噂してるんでしょうか」
祥鳳「榛名、なるべく静かにしないとダメよ?」
龍驤「む、胸を大きくする方法が載ってる本はどこにあるんや……」
605: ◆ATK1PCranA 2014/11/24(月) 02:12:27.02 ID:4tXDMZcw0
提督「おーい瑞鳳ー!買いたい本とかあったかー?って、赤城と加賀じゃないか」
赤城「提督も来てたんですか」
加賀「……瑞鳳と二人でデートですか?軍人の分際で?」
提督「加賀、お前はちょっと世界中の軍人に謝れ。分際とか言うな」
瑞鳳「で、でででででででででででデートというわけでは無いデスなのですよ!?」アワアワ
赤城「落ち着いて瑞鳳ちゃん。何だか色々混ざってるわ」
提督「そうだぞ、俺は単なる荷物持ち。例えるなら鞄みたいなもんだ」
加賀「そうですか……じゃあ私も今度その鞄を利用させてもらおうかしら」ボソッ
提督「何か言ったか?」
加賀「いえ、別に……」
赤城「あー!加賀さん加賀さん!大変です!もうそろそろ四階のレストランのビュッフェ始まっちゃいますよ!?」
加賀「……っ!提督、瑞鳳。私と赤城さんは急がなければならないのでもう行きます。それと提督。瑞鳳に変な気を起こしていやらしいことをしたら爆撃しますからね?主に下半身を」
提督「い、いえっさー……」
赤城「加賀さん早く!それじゃあ提督、瑞鳳ちゃん。また鎮守府で!」タタッ
加賀「……」タタッ
提督「……」
瑞鳳「……」
提督「……さて、そろそろ移動するか」
瑞鳳「……そうだね」
606: ◆ATK1PCranA 2014/11/24(月) 02:26:23.20 ID:4tXDMZcw0
提督「で、次はどこに行くんだ?」
瑞鳳「え、えっと、そろそろ目的のお店へ行こうかなあ~なんて」
提督「そうか。それは何階にあるんだ?」
瑞鳳「に、二階……」
提督「二階か……二階は服とか売ってるフロアだったか?」
瑞鳳「そうだよ」
提督「じゃ、お前が買いたい物って服だったのか。センスがない俺でも、似合ってるか似合っていないかくらいの判別は出来るしな」
瑞鳳「ま、まあそうだね。あはは……」
瑞鳳(い、言えないよお……服は服でも肌着、というか下着を買いに行くなんて)
提督「それじゃあ行くか。先導よろしく」
瑞鳳「りょ、了解」
榛名「目的のランジェリーショップへ向かうみたいです!追いますよ!」
祥鳳「ええ!」
龍驤「胸を大きくする本なかったんやけど……」ショボン
607: ◆ATK1PCranA 2014/11/24(月) 02:39:16.72 ID:4tXDMZcw0
~で、着きました~
提督「こ、ここは……」
瑞鳳「えっと、はい。つまりそういうこと何だけど……」
提督「……すまん瑞鳳。ここでは俺は力になれそうにない。というかそもそも出撃できない。何故なら出撃条件(要:女性)を満たしていないから」
提督「俺は適当にそこら辺ぶらついてるから、終わったら携帯に連絡してくれ。じゃ」クルリ
瑞鳳「ちょ、ちょっと待って!」
提督「……ナンデショウカズイホウサン」ギギギ
瑞鳳「そ、その……私は、提督に選んでほしいかなーて、思っちゃったりして……」
提督「いや本当無理です勘弁してください」
瑞鳳「て、提督が選んでくれたやつならどんなものでも構わないから!お願い!」
提督「……どんなものでも構わない、だと」
提督「……」※●●●妄想中
提督「よし!行こう瑞鳳!輝かしい未来が俺たちを待っている!」キリッ
瑞鳳「きゅ、急にやる気になった……何があったんだろう」
608: ◆ATK1PCranA 2014/11/24(月) 02:56:25.53 ID:4tXDMZcw0
~提督が選んだものに着替え中~
瑞鳳『て、提督。絶対に開けないでね?』
提督「開けねえよ開けるわけないだろ。そんなことしたら店員→加賀→憲兵→地獄→榛名のコンボを喰らうことは目に見えてるからな」
瑞鳳「地獄の後に榛名が来るって……どんだけ榛名のことが怖いの」
提督「本気で怒ったときのあいつは天龍より戦いたくない」
瑞鳳「ああ、そのレベルなんだ……」
~一方その頃~
榛名「何やってるんですかあの駄提督は!そこはよろけて試着室に乱入するパターンでしょうに!」
祥鳳「瑞鳳の下着姿が見たくないのかしら。だとしたら信じられないわね」
龍驤(こいつらもうあかんちゃうかな……)
榛名「ええいまどろっこしい!こうなったら榛名がやります!」
祥鳳「おお!原因が無いなら作ればいいじゃないの精神ね!」
榛名「こんなこともあろうかと、ウィッグとカラコンを用意しておいて正解でした」
龍驤(こんなんが第一艦隊の旗艦だなんて、世も末やなあ……)
~榛名☆変装☆完了~
榛名「それでは行ってきます!」
祥鳳「頑張って!」
スタスタスタスタ
榛名「おっとすいませんつい肩がー(棒)」ドン
提督「おわっ!?」ヨロッ
瑞鳳「え?提督?……きゃああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」
提督「す、すまん瑞鳳!わざとじゃないんだ!」
榛名・祥鳳(上手くいった……!)
龍驤(真剣に移籍したいわあ……)
609: ◆ATK1PCranA 2014/11/24(月) 03:27:13.84 ID:4tXDMZcw0
~その後もなんやかんやあったが省略~
瑞鳳「いっぱい買い物したあ~」キラキラ
提督「ほ、本当にたくさん買ったな……目的の物より衝動買いした物の方が多いっぽいが」
瑞鳳「提督、大丈夫?重くない?半分持つよ?」
提督「い、いやこれくらい大丈夫だよ」
瑞鳳「そう……?ならいいけど」
提督(本当はかなりきついけど、重いなんて言ったら後ろから尾けてきている榛名に後で何て言われるか……)
瑞鳳「えへへ……提督と一緒に出掛けるもの久しぶりだったから、今日はとっても楽しかったよ」
提督「そうか。それならよかった」
瑞鳳「提督の好みも知れたしね。うふふ、まさか提督にあんな 癖が……」
提督「おいやめろ。ありもしない事実をでっち上げるな。俺はノーマルだ」
瑞鳳「ふふ、提督がそう言うならそういうことにしといてあげる」クスクス
提督「何だよその含みのある言い方は」ウガー
瑞鳳「きゃー♪」ヒョイッ
提督「……にしてもあれだな。一応戦時中だってのにも関わらず、平和だなあ」
瑞鳳「まあ、百年前の第一次に比べて深海棲艦の攻撃も激しくないしね。出てきたしても私たちが倒してるし」
提督「そりゃそうなんだけどさ。こんだけ平和だとなんかなあ」
瑞鳳「平和なのが嫌なの?」
提督「そういうわけじゃないけどさ。こうやって買い物して、鎮守府で暮らしてって全部、労働の対価として国民の税金で賄われてるわけじゃん?それなのにこんだけ平和だと税金泥棒してるみたいで嫌だな、と」
瑞鳳「でも、さっきも言ったみたいにたまに深海棲艦が出たときはちゃんと撃退してるよ?」
提督「頻度が足りないんだよなあ。労働と報酬の釣り合いがとれてなさすぎるというかなんというか」
瑞鳳「ふーん」
610: ◆ATK1PCranA 2014/11/24(月) 03:40:34.52 ID:4tXDMZcw0
夕日に照らされる道の真ん中で、男の少し先を行く少女は振り返って言った。
瑞鳳「でも、私は好きだよ。この平和が」
仮にも戦争のために作られた兵器である少女がそんなことを言うのはおかしなことだ。何故なら、兵器は戦うことが存在意義なのだから。
きっと他の人間に聞かれたら、問答無用で不良品扱いされて解体だろう。だが、今聞いてるのは他の誰でもない。少女が心の底から恋している、優しくて甘い男だ。
男はいつものように、少しいたずらっぽい顔で尋ねる。
提督「その心は?」
男の問いに、少女は笑みを浮かべて答える。
瑞鳳「だって、大好きなみんなと一緒に楽しく過ごせるから」
瑞鳳「優しくて綺麗なお姉ちゃんと、ちょっとうるさいルームメイトと、天然で大食いな先輩と少し怖いけど本当は優しい大食いな先輩と、いつも相談に乗ってくれる友達と――――」
そこで一旦区切り、少女は男の方に向かって歩いていく。
そして、二人の距離が限界まで近づいたところで少女は言う。
満面の笑みを浮かべて。
瑞鳳「――――大好きな提督と、楽しい日々を送れるから」
提督「……」
少女の花の咲いたような笑みは一転し、決意を込めた表情になる。
瑞鳳「だから私はこの平和が大好きだし、全身全霊を懸けて守るよ。必ず」
提督「そうか」
提督「なら俺も、大切な部下が守りたいものを守れるよう、全力を尽くすとするかな」
ここで少女と男の想いは一つとなった。
615: ◆ATK1PCranA 2014/11/24(月) 18:17:21.76 ID:4tXDMZcw0
過去編の続きからです
天龍さんが加わってから初めての出撃。場所は沖ノ島海域。未だに榛名たちが一度も突破できていなかった海域です。そして榛名たちはそこで、信じられないような光景を見たのでした。
天龍「オラアッ!」ドーン
ヲ級flagship「……」プスプス
天龍「ふう……これで全部か?」
提督『あ、ああ……』
天龍「意外と弱かったな……まあ、オレが一番強いんだから仕方ないっちゃ仕方ないんだけどな」
榛名・伊168・響・翔鶴「……」ポカーン
衣笠「流石です天龍さん!」キラキラ
622: ◆ATK1PCranA 2014/11/27(木) 19:32:20.21 ID:Vc8kr2zR0
~ある日の鎮守府の朝~
伊58「てーとく、艦隊が戻ったよ。疲れたぁ~」
提督「お疲れゴーヤ。成果はどうだった?」
伊58「燃料が320と弾薬が270、家具箱(小)が一個でち!」
提督「おお!家具箱取ってきたのか!グッジョブだぜゴーヤ!」
伊58「えへへ~……この前てーとくが『そろそろ冬用家具が入荷する頃か……』って言ってたから……」テレテレ
提督「ご、ゴーヤ……お前ってやつは」ホロリ
提督「よおしゴーヤ!今日はお前もう休みでいい!補給受けたら好きに過ごせ!」
伊58「え!お休み?本当にいいの!?」
提督「ああ!俺が許す!」
623: ◆ATK1PCranA 2014/11/27(木) 19:52:47.74 ID:Vc8kr2zR0
伊58「やったあ!じゃあゴーヤ、補給受けに行ってくるね!」タタッ
提督「ゆっくり休めよ~」
提督「さて、俺も早く仕事に……」
榛名「提督」
提督「うお!は、榛名?いつからそこに?」
榛名「割とさっきからいました」
提督「マジで?全然気づかなった」
榛名「……まあ、そんなことはどうでもいいんです。突然ですが提督、今日の午前のお仕事はなくなりました」
提督「は?何言ってんだお前。一昨日の夜に第二次渾作戦が終わったから、これからしばらくはその後処理と第三次渾作戦の指揮で忙しいって言ったのはお前だろうが」
榛名「後処理の書類仕事は榛名一人でも出来ますし、作戦の開始は午後からですから、提督の午前のお仕事はありません」
提督「いや、お前ひとりに書類仕事やらせるわけにもいかないだろ」
榛名「いえいえ、提督は普段お仕事ばかりでお疲れなんですから休んでください。そう、例えば今日お休みの艦娘と親睦を深めるなどして」
624: ◆ATK1PCranA 2014/11/27(木) 19:58:43.22 ID:Vc8kr2zR0
提督「んー……折角だし、ゴーヤと遊んでくるかな。他の奴らはみんな仕事だからあいつも暇だろうし」
榛名「はい、それがいいと思いますよ?」
提督「じゃ、ちょっくら行ってくるわ。書類仕事もいいけど、午後の出撃の準備もしておけよ?」
榛名「了解です」
提督「……さて、ゴーヤはまだ補給室にいるかな」スタスタ
榛名「……」
榛名(イベント発生成功)ニヤリ
625: ◆ATK1PCranA 2014/11/27(木) 20:42:33.81 ID:Vc8kr2zR0
~補給室前~
伊58「お休み貰ったはいいけど、何しようかな~。みんなは普通にお仕事だろうし」
提督「おーいゴーヤ!」タタッ
伊58「てーとく?お仕事は?」
提督「榛名に休みを言い渡された。だからお前と遊ぼうと思ってな」
伊58「そうなの!?ゴーヤ、嬉しいでち!」ピョンピョン
提督「喜んでもらえて何よりだ。それで、何する?」
伊58「うーん……はっ!そうだ!ゴーヤ、提督と行きたいところがあったでち!」
提督「ん?どこだ?」
伊58「ついて来ればわかるでち!」タタッ
626: ◆ATK1PCranA 2014/11/27(木) 21:11:21.35 ID:Vc8kr2zR0
~海~
提督「で、海に連れてこられたわけだが。これからどうするんだ?いくらここが温暖な九州だからといって、流石にこの季節に泳ぐのは無理だと思うぞ?」
伊58「ゴーヤたちは艦娘だから大丈夫なんだけどね……でも大丈夫!今日は泳ぐわけじゃないから!」
提督「じゃあ何すんだ?潮干狩り?」
伊58「ううん!潜るんでち!」
提督「あー、そっか潜るのかあ……はあ!?潜る!?」
伊58「そうでち!」
提督「いやいやいや!無理だから!普通に息できなくて死ぬから!」ブンブン
伊58「大丈夫でち!夕張が作った、この何だかよく分からないドラム缶型の潜水艦を使えばいけるでち!」グッ
提督「あいつはまた変な物作りやがって!っていうかよく分からないものを使おうとするなよお前も!」
627: ◆ATK1PCranA 2014/11/27(木) 21:16:00.58 ID:Vc8kr2zR0
伊58「ごちゃごちゃ言ってないでさっさと乗り込むでち!」グイグイ
提督「わっ!おいやめろ!せめて安全確認を……」バタン
提督「……!……!」ダンダン
伊58「何をしようと何を言おうと無駄でち。それはまがりなりにも夕張が作ったものだよ?って聞こえるわけないか」
提督「……!……!」ダンダン
伊58「それじゃ、ゴーヤとてーとくの深海ツアー、早速行くでち!」ザブン
提督「……!……!」ザブン
628: ◆ATK1PCranA 2014/11/27(木) 21:27:48.71 ID:Vc8kr2zR0
~深海、でもそこまで深くない~
伊58「とうちゃ~く!それじゃ、このヘッドフォンを着けて……てーとく、そのマイクのマークのボタンを押すでち」ジェスチャー
提督「……?……けたが、これで何の意味が?」
伊58「てーとくー?聞こえるでちかー?」
提督「ご、ゴーヤ!?このスピーカーから聞こえてるのか?」トントン
伊58「そんなことよりほら!これがゴーヤがてーとくをここまで連れてきた理由でち!」
提督「ん……?ほう……」
伊58「綺麗でしょ?」
提督「ああ……魚の鱗に光が反射して……綺麗だな」
伊58「えへへー。ここ、ゴーヤのお気に入りの場所なんだ。とっても綺麗だから、提督にも見て欲しかったんでち!」
提督「そうなのか……ありがとな、ゴーヤ」
伊58「喜んでもらえてゴーヤも嬉しいでち!」
629: ◆ATK1PCranA 2014/11/27(木) 21:31:09.16 ID:Vc8kr2zR0
~しばらく経って~
伊58「そろそろ戻ろっか」
提督「俺は別にいいが、ゴーヤはもういいのか?」
伊58「うん!ゴーヤはいっつも見てるしね!今日はてーとくと一緒に来れただけで満足でち!」
提督「そうか。それじゃあ戻るか」フジョウ
伊58「うん!」フジョウ
提督「あ、そうだゴーヤ」
伊58「なあに?」
提督「……また連れてきてくれよな、ここ」
伊58「……」
伊58「了解でち!」ニコッ
636: ◆ATK1PCranA 2014/11/28(金) 22:13:56.12 ID:QmfMo5I60
~ある日の鎮守府の昼~
第三次渾作戦中
ヲ級flagship(新型艦載機)「……」ブウン ドオン
金剛「Shit!提督に貰った大切な装備が!」大破
榛名「姉さま!?ちっ……主砲!砲撃開始!」ドゴオン
ヌ級flagship「……」轟沈
リ級flagship「……」ドン ドン
赤城「くっ……一航戦の誇り……こんなところで失うわけには……」大破
榛名「赤城さんまで……!」
漣「どうする榛名!?相手はまだ三体残ってるし、こっちはもう漣たち二人だよ!」シュバッ
鈴谷「うう……」大破
加賀「……油断しました」中破
榛名「第二艦隊の被害状況は!?」
不知火「不知火が中破、それ以外は全員大破です……」中破
榛名「……撤退、ですね」シュッ ドン
漣「相手がそれを許してくれれば、ね」シュッ
637: ◆ATK1PCranA 2014/11/28(金) 22:20:55.38 ID:QmfMo5I60
榛名(こちらの残りの戦力は無傷の榛名と小破の漣さん。それと中破状態の不知火さんだけ)
榛名(対してあちらは制圧力の高いヲ級flagship、高火力のリ級flagship、普通の駆逐艦より遥かに厄介なハ級後期型)
榛名(勝利は元より撤退も難しそうですね)
提督『……い!おい!榛名!聞こえてるか!』
榛名「提督?何ですか?」
提督『何ですかじゃねえ!今すぐ撤退しろ!』
榛名「今その方法を考えてたところなんです、が!」シュバッ
提督『……くそっ!被害がデカすぎで撤退もままならねえのか……わかった!今から天龍連れてそっちに向かうから、もう少しだけ持ちこたえてくれ!』
榛名「了解、しました」
638: ◆ATK1PCranA 2014/11/28(金) 22:32:45.60 ID:QmfMo5I60
漣「うっっくぅ~、なんもいえねぇ~…」大破
榛名「漣さん!?大丈夫ですか!?」
漣「全然大丈夫じゃないZe☆かなりきっつい……」
不知火「すみません……不知火も、もう」大破
榛名「不知火さんまで!?」
榛名(どうしましょうどうしましょうどうしましょう)
榛名(せめて天龍さんが来るまで持ちこたえられれば……!)
639: ◆ATK1PCranA 2014/11/28(金) 22:36:34.53 ID:QmfMo5I60
ヲ級flagship(新型艦載機)「……」ブウウン
リ級flagship「……」チャキッ
ハ級後期型「……」ジャキッ
榛名「あ、やばいこれ詰みました」
榛名(最悪、天龍さんが来てくれるまで的になり続けましょう。他の皆さんを助けるためにも)
???「ふわあぁ~……何だか騒がしいっぽい?」
榛名「!?」クルッ
645: ◆ATK1PCranA 2014/11/28(金) 23:12:27.86 ID:QmfMo5I60
???「折角気持ちよくお昼寝してたのに、邪魔したのは誰っぽい?」
榛名「あ、あなたは、もしかして……」
???「んー?あなたは……もしかして榛名っぽい!?わー!久しぶりっぽい!」
榛名(間違いない。あの金髪、赤い目、そしてあの語尾。彼女は――――)
榛名「あなたは、白露型駆逐艦4番艦の……夕立さん、ですよね?」
夕立「うん!そうっぽい!そういうあなたは今代の榛名だよね?」
榛名「は、はい」
夕立「そっかそっか。で、あっちのは……ヲ級、リ級、ハ級っぽい?」
夕立「ふむふむ……ということは、あなたとそこで気絶(大破)してる人たちはあいつらに襲われて、かなりピンチっぽい?」
榛名「ええ。被害が大きすぎて、撤退もままならない程で……あと少ししたら援軍が来るはずなのですが……」
648: ◆ATK1PCranA 2014/11/28(金) 23:21:39.14 ID:QmfMo5I60
夕立「じゃ、これも何かの縁ってことで!夕立、助太刀するっぽい!」
榛名「え?で、でもそんな……悪いですよ。正式に軍に所属してるわけでもない方を戦わせるのは……」
夕立「そんなこと気にしちゃいけないっぽい。うかうかしてたら全滅するよ?」
榛名「うっ」
夕立「大丈夫大丈夫!このお礼は新鮮な果物とかでしてくれればいいっぽい!」
榛名「そう、ですか。では、お願いいたします」
榛名(この方が助太刀してくだされば、おそらくはいけるはずですし)
夕立「ん。承ったっぽい!それじゃあ――――」
夕立「『ソロモンの悪夢』駆逐艦、夕立。出撃するっぽい!素敵な悪夢を見せてあげる!」
榛名(第一次深海棲艦戦争の後期に活躍した駆逐艦夕立は、ある特徴を持っていたと言います)
夕立「せい、やあ!」ドゴオオオオオン
榛名(それは、榛名の尊敬するあの軽巡の方と同じ特徴)ドン
夕立「ふっ……はあ!」シュッ ヒョイッ バンッ
榛名(それは――――)ダン
夕立「これで――――ラストっぽい!」ドッカアアアアアアアアアアアアアアン
榛名(――――無敵。常勝無敗の最強の艦娘。ソロモンの悪夢、夕立)
夕立「ふぅ、終わったっぽい!意外と弱かったっぽい?」
榛名「あなたが強すぎるだけだと思いますが……」
650: ◆ATK1PCranA 2014/11/28(金) 23:32:06.06 ID:QmfMo5I60
夕立「あはは、そんなことは無いっぽい。これでも100年前に比べたら腕は落ちてるっぽい」パタパタ
榛名「落ちてそれとか……100年前の深海棲艦が可哀想になってきました」
夕立「それより何か食べるものないっぽい?いい加減に深海s……お魚は飽きたっぽい」
榛名「そろそろ榛名の提督が船に乗ってやってくるので、それに恐らく何か食料があるかと……と、噂をすれば」
提督「おーい!榛名ー!無事かー!」ブンブン
榛名「てーんりゅーさーん!榛名は無事でーす!」ブンブン
天龍「え?この流れでオレに振るのかお前」
提督「おいコラ榛名てめえ!何で俺を無視するんだよ!」
榛名「ああすみません。榛名にとっては提督より天龍さんの方が大事だったもので」シレッ
651: ◆ATK1PCranA 2014/11/28(金) 23:43:52.85 ID:QmfMo5I60
提督「お、お前ってやつは……」
榛名「冗談ですよ提督。援軍に来ていただきありがとうございます。まあ、戦闘自体はもう終わってしまいましたが」
提督「おおそうだよそうだよ。折角天龍連れて急いで来たのに敵全滅してんじゃん。どったん?」
榛名「ああ、それは――――」
夕立「提督さん?」
提督「ん?」
榛名「え?夕立さん?」
夕立「提督さん、っぽい?」
提督「えっと、榛名?誰こいつ」コソコソ
榛名「榛名たちを助けて、敵を倒しまくった夕立さんです。第一次最強で、ソロモンの悪夢って呼ばれた」コソコソ
提督「マジで?何でそんな大物がここに……」コソコソ
夕立「提督さん……やっぱり絶対に提督さんっぽい!てーとーくさーん!」ダッ
提督「うおうっ!?何か来たぞ!?」
榛名「きっと彼女の提督とあなたが似ていて、勘違いしているんでしょう」
夕立「てーとくさん!……沈めっぽい!」ラリアット!
提督「ぐえっ!」
652: ◆ATK1PCranA 2014/11/28(金) 23:49:37.39 ID:QmfMo5I60
榛名・天龍「「て、提督!?」」
提督「げほっ!ごほっ!」
夕立「人のこと沈めておいてよくもまあ、のこのこと顔を出せたっぽい!絶対に許さないっぽい!」プンプン
榛名「ああ……そういえば夕立さんの行方不明理由って……」
天龍「アホな提督が間違って大破進軍させたら敵の攻撃喰らって気絶して、しばらく轟沈扱いされてたからだっけか」
提督「お、お前ら、納得してないで早く説、明を……」ガクッ
夕立「夕立の苛立ちとかその他諸々を知って反省するっぽい!」
榛名「ゆ、夕立さん違うんです!この人は――――」
653: ◆ATK1PCranA 2014/11/29(土) 00:07:12.52 ID:yrzvQB/M0
~事情説明中~
榛名「――――というわけなんです」
夕立「えーっと、つまり、この人は夕立の知ってる提督じゃないっぽい?」
榛名「そういうことです」
夕立「……」
夕立「ご、ごめんなさいっぽいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!!!!!」
夕立「あまりにも似てたんでつい勘違いしちゃったぽい!本当にごめんなさいっぽい!」
提督「い、いやもういいけどさ。そんなに似てた?俺とその提督」
夕立「超似てるっぽい!パッと見区別がつかないっぽい!」
提督「そんなにか」
天龍「もしかしたら提督の親族なんじゃねーの?」
提督「そういえば俺の爺さんも昔は提督だったらしい」
榛名「絶対その人ですよ」
654: ◆ATK1PCranA 2014/11/29(土) 00:17:25.99 ID:yrzvQB/M0
提督「やっぱそうかなあ……だとしたらすまん夕立。俺の爺さんが迷惑をかけたかもしれん」
夕立「んー?いいっぽい?」
提督「え?そんなあっさり?」
夕立「だって実際のところそんなに怒ってないっぽい。そりゃ大破進軍させられた挙句に轟沈扱いされてそのままだったのは悲しいけど、そういうミスをする人だってこともそれで悲しんでくれた人だってことも夕立はわかってたっぽい」
提督「じゃあ何でさっきはあんな強烈なラリアットを?」
夕立「あれは100年間暇だったことに対する半ば八つ当たりみたいなものっぽい」
提督「八つ当たりで殺されかけたのか俺は」
天龍「気にすんな。そんなのいつものことだろ?」
榛名「その通りです」
提督「それがいつも通りって、俺って考えてみると割と不幸だな。山城とか陸奥のこと笑えねえわ」
夕立「まあ、だからとりあえず今回のことは水に流してほしいっぽい。夕立も100年前のことは忘れるから」
提督「まあ、お前がそれでいいっていうならいいが」
655: ◆ATK1PCranA 2014/11/29(土) 00:21:17.72 ID:yrzvQB/M0
夕立「やったっぽい!それじゃ、とりあえず約束の果物が欲しいっぽい!」
榛名「ああ、そういえばそんな話もありましたね。提督、食糧庫に果物あります?」
提督「林檎と梨なら」
榛名「じゃ、それを渡しちゃいましょう。妖精さん」
妖精さん『呼びましたか?』カキカキ サッ
榛名「食糧庫にある林檎と梨を持ってきてください。出来るだけ早く」
妖精さん『ラジャー』カキカキ サッ タタッ
656: ◆ATK1PCranA 2014/11/29(土) 00:32:39.07 ID:yrzvQB/M0
~持ってきた~
妖精さん『持ってきました』カキカキ サッ ビシッ
榛名「はい。ご苦労様です」
夕立「わあー!林檎と梨がいっぱいっぽい!久しぶりの陸地の食べ物っぽい!」
榛名「そんなに嬉しいんですか?」
夕立「そりゃ嬉しいっぽい!100年ぶりの果物っぽい!食べていいっぽい?」
榛名「どうぞ」
夕立「いっただっきまーす!」バクバクムシャムシャ
榛名「……」
夕立「……♪」バクバクムシャムシャ
榛名「……夕立さん」
夕立「……ん、ごくん。何っぽい?」
榛名「いっそ、榛名たちの鎮守府に来ませんか?」
夕立「?よく話が読めないっぽい」
榛名「だって、そんなに陸地の食べ物に飢えるほどなんですよね?それに海の上は暇だって」
夕立「確かにそうだけど……」
榛名「なら、私たちの鎮守府で働きませんか?別に出撃班じゃなくてもいいんです。うちの鎮守府には年がら年中工廠にこもって変なもの作ってる人もいますし」
夕立「うーん」
榛名「提督もいいって言うはずです。ですよね?」
提督「……」コクリ
657: ◆ATK1PCranA 2014/11/29(土) 00:37:37.09 ID:yrzvQB/M0
榛名「だから、来ませんか?岩川鎮守府へ。きっと皆さん歓迎してくれますし、夕立さんも気に入るはずです」
夕立「……」
榛名「夕立さん」
夕立「そのお誘いはすっごくありがたいけど……それはできないっぽい」
榛名「何故ですか?」
夕立「夕立にとっての鎮守府は、やっぱりあの提督と過ごした場所だけだから」ニコッ
榛名「そう、ですか」
夕立「そうっぽい!それに、会おうと思えばいつでも会える距離っぽい!お腹が減ったら遊びに行くっぽい!」
榛名「そうですか。ではその時を、楽しみにしてますね」
夕立「そうして欲しいっぽい!」
658: ◆ATK1PCranA 2014/11/29(土) 00:44:37.15 ID:yrzvQB/M0
~帰り道~
榛名「……」
提督「榛名?」
榛名「……」
天龍「榛名?」
榛名「……」
提督・天龍「榛名!」
榛名「は、はい!どうかしましたか!?」ビクウ
提督「いや、何かおまえが考え込んでるみたいだったから」
天龍「大方、さっきの夕立のことでも考えてたんだろ?」
榛名「うう……流石にお二人にはバレますか」
提督「当たり前だろ。これでもお前の上司だぞ?」
天龍「元同僚の考えてることくらいわかるさ」
659: ◆ATK1PCranA 2014/11/29(土) 00:53:33.19 ID:yrzvQB/M0
榛名「ははは……天龍さんはともかく提督がこんなところで鋭さを発揮したのは意外でした」
提督「どういう意味だそれは」
榛名「そのままの意味ですよ?」フフッ
天龍「それで?何でお前はさっきあんなに夕立を勧誘したんだ?」
榛名「それが、ですね。何だか懐かしい感じがしたんですよ、あの人にあった時」
提督「懐かしい感じ?」
榛名「ええ。何だか昔あったことあるような、そんな気がして。まあ、実際には会ったことなんてないんですけどね」
天龍「そいつはつまり……」
榛名「ええ。今の榛名個人の記憶ではなく、先代のいづれかの榛名。『榛名』という艦娘に引き継がれてきた記憶でしょう」
榛名「基本的に同じ艦娘の記憶は共有されたりはしませんが、それでもごく一部強い思いと共に残された記憶はうっすらとだけ引き継がれます。だから、何でしょうね。榛名があの人に執着したのは。まあ、見事に断られちゃいましたけど」
提督「榛名……」
提督「……もう一回」
榛名「へ?」
提督「今度、もう一回行ってみようぜ。あいつをスカウトしに、正式に任務として」
榛名「え?」
天龍「一度ダメだった程度で諦めるのは、オレはどうかと思うぜ?榛名」
榛名「え?え?」
提督「もう一回、また今度俺とお前と天龍と、みんなと行こうぜ」
榛名「……」
榛名「はいっ!」
665: ◆ATK1PCranA 2014/11/29(土) 19:02:46.90 ID:yrzvQB/M0
天龍さんが加わった後の私たちは、破竹の勢いで深海棲艦を撃滅していきました
天龍「今日の作戦は終了だな。ったく、楽勝過ぎてつまんねえ」
伊168「それを言うならイムヤ達なんてもっと暇よ」
響「なんせ何もやることが無いからね」
漣「少しは敵を回してくれたっていいと思うですしおすし」
天龍「悪い悪い。だがお前らに出番はやらん。何故ならオレが戦いたいからな!」キリッ
衣笠「その戦闘狂っぷりも流石です師匠!」キラキラ
天龍「誰が師匠だ」
翔鶴「うふふ。ほら、早く帰りましょう?提督と榛名が待っていますよ」
667: ◆ATK1PCranA 2014/11/29(土) 19:17:39.47 ID:yrzvQB/M0
~横須賀鎮守府~
漣「ただまー!」
響「ただいま」
伊168「ただいま」
衣笠「ただいま」
翔鶴「ただいま帰りました」
天龍「帰ったぜー」
提督「おう、おかえり」
漣「ご主人様!漣は疲れたのでお風呂入ってきます!」ダダダッ
伊168「私も行ってくるわ。響も行きましょ?」タタッ
響「わかったよ、イムヤ先輩」タタッ
翔鶴「私はお夕飯の用意してきますね?」
669: ◆ATK1PCranA 2014/11/29(土) 19:27:10.90 ID:yrzvQB/M0
天龍「じゃ、オレは適当に訓練でも……」
提督「あ、天龍はこのまま執務室へ来てくれ」
天龍「……また書類仕事か?オレたちが出撃してる間に榛名とやってたんじゃねえのかよ」
提督「今日はちょっと多めでな……頼む!」ペコリ
天龍「……」
天龍「はぁ~ったく、仕方ねえな。手伝ってやんよ」
提督「サンキュー天龍!」
天龍「その代り、今日の夕飯少し寄越せよ?」ニヤッ
提督「……りょ、了解なのです」
天龍「暁型駆逐艦、提督!ってか?笑えねえよ」カカッ
提督「笑ってんじゃねえかよ!」
672: ◆ATK1PCranA 2014/11/29(土) 19:46:06.67 ID:yrzvQB/M0
~執務室~
提督「戻ったぞー」
榛名「あ、提督……と、天龍さん?」ガリガリガリガリッ
天龍「よう榛名、とりあえず一回その手を止めたらどうだ?ペンが折れそうで見てて怖い」
榛名「いや、そんな余裕ありませんよ。これ全部明朝までに提出しなくちゃいけませんので」
提督「今日は多いって言ったろ?」ガリガリ
天龍「ここまで修羅場ってるとは思わなかったぜ。ま、乗りかかった船だしきっちりやるが」
榛名「え?天龍さんもやるんですか?」
天龍「ああ、提督に泣いて頼みこまれてな」
提督「嘘吹き込んでんじゃねーよバカ」
榛名「へえ……そうですか。提督は、榛名じゃ頼りないと……」ボソッ
提督・天龍「「ん?何か言ったか榛名」」
提督・天龍「「って、真似すんな!」」
榛名「……」ギリッ
榛名「いえ、お気になさらず。ほらほら、早くやらないと終わりませんよ?」
673: ◆ATK1PCranA 2014/11/29(土) 19:49:31.30 ID:yrzvQB/M0
天龍「ほい、これハンコ頼む」
提督「あいよ、次これな」
天龍「了解……あ、これとこれはファイリングしておくな?」
提督「ん、頼む」
榛名「あ、こっちもハンコお願いします」
提督「あいあい」
天龍「提督、これとこれとこれもよろしく」
提督「お前早すぎんだろ」
674: ◆ATK1PCranA 2014/11/29(土) 21:08:01.71 ID:yrzvQB/M0
天龍「……」カリカリカリカリ
榛名「……」カリカリカリカリ
提督「……」ペタコンペタコン
天龍「ん」パサッ
提督「ん」ペタコン
榛名「あ、提督これもお願いします」パサッ
提督「あいよ」ペタコン
天龍「……」カリカリカリカリ パサッ
提督「……」ペタコン
675: ◆ATK1PCranA 2014/11/29(土) 21:47:51.17 ID:yrzvQB/M0
~数時間後~
提督「やっと終わった……」グテー
榛名「お疲れ様です提督……」グター
天龍「途中夕食挟んだから結構かかったな」ケロッ
提督「それでも予定よりだいぶ早かったんだがな……お前のおかげだよ、天龍」
天龍「はっ!いいってことよ。またいつでも頼ってくれていいんだぜ?夕飯を献上するならな」
提督「……今度からは響辺りに頼もう」
榛名「あ、あの!提督!」
提督「ん?何だ?」
榛名「そ、その……は、榛名も頑張りましたよね!」
提督「あ、ああ。そうだな、榛名も頑張ったな?」
榛名「で、ですよね!あ、あの、でしたら、その……」
提督「……?」
榛名「は、榛名の頭を撫でt――――」
衣笠「しぃぃぃぃいいいいいいいいいいいしょおおおおおおおおおおおおおお!」バタン
天龍「うお!何だ!?敵襲か!?って、衣笠か。まったく人騒がせな」
衣笠「てへぺろっ」ペロリン☆
天龍「……はあ、で?何の用なんだ?」
衣笠「一緒にアイス買いに行きましょう!」
天龍「何で?」
衣笠「さっきみんなでじゃんけんしたら私が負けました」
天龍「そうか。だったらお前ひとりで行ってこい。あ、オレはパピコな?林檎のやつ」
衣笠「そんな冷たいこと言わないでくださいよー。寂しいんですよー」グイグイ
天龍「鬱陶しい!」
衣笠「お願いしますよー」ベタベタ
676: ◆ATK1PCranA 2014/11/29(土) 21:54:22.75 ID:yrzvQB/M0
天龍「があああああああ!!!!!!!わかった!一緒に行ってやるからさっさと離れろ!」
衣笠「本当ですか!やったね!衣笠ちゃん大勝利ー!」
天龍「お前の声でそのセリフは違和感しかねえよ……そんじゃ提督、榛名。ちょっくら行ってくるわ」
提督「おう。俺には爽買ってきてくれ。バニラ味の」
天龍「了解。榛名はどうする?」
榛名「え?あ、は、榛名は何でもいいです」
天龍「ん、わかった。じゃあ何か適当に買ってくるわ」
ガチャッ バタン
提督「衣笠ってあんな感じのキャラだったか……何か天龍が来てから性格変わった気が」
榛名「そうですね」
提督「そういえばさっき言いかけてたのって結局なんだったんだ?」
榛名「いえ、何でもないです。榛名は少し疲れましたので部屋に戻りますね」スタスタ
提督「?わかった、ゆっくり休めよ?」
榛名「はい」
ガチャッ バタン
榛名「……」
榛名「……やっぱり、榛名なんていらないんでしょうか」
681: ◆ATK1PCranA 2014/11/29(土) 22:37:55.91 ID:yrzvQB/M0
~その日の夜~
提督「ん……んん……?」
???「提督、提督」スリスリ
提督(何だろう、胸の辺りに何か、柔らかいものが……)
???「提督、大好きです、提督……」スリスリ
提督(そう、まるで女の子のほっぺたのような感触が……)
提督「……ん?」
???「え?」
提督「は、榛名?何やってんだお前」
榛名「え、えーっと……」ダラダラ
提督「俺の布団に潜り込んで俺の胸板に頬を擦り付けていたように見えたんだが……気のせいか?」
榛名「……気のせいじゃ、ありません」カアア
682: ◆ATK1PCranA 2014/11/29(土) 22:39:40.17 ID:yrzvQB/M0
提督「……」
榛名「……」///
提督「……で?」
榛名「……」///
提督「何でそんなことしてたんだ?」
榛名「そ、それはですね……」///
提督「ああ」
683: ◆ATK1PCranA 2014/11/29(土) 22:45:33.29 ID:yrzvQB/M0
僅かに開いたカーテンの隙間から漏れる月明かり。照らされるあなたの顔は、やっぱりどこまでも愛おしくて。
言ってしまう。伝えてしまう。引いてしまう。
大好きなあなたに。愛しいあなたに。
「榛名は――――いえ、『私』は――――」
あなたに恋する『私』は、もう止まれない。
「あなたが大好きなんです、提督。私はあなたを一人の男性として、愛しています」
言ってしまった。私のあなたへの気持ちを。
伝えてしまった。私があなたに抱いてる想いを。
引いてしまった。これが――――
――――これが、悲劇への引き金だとも知らずに。
685: ◆ATK1PCranA 2014/11/29(土) 22:59:26.90 ID:yrzvQB/M0
数日後。私はある海域にいました。
その海域の名は南方海域全面。新たに解放された海域です。
今日は私と提督だけがここに来ています。何故なら他の方が来られないからです。
漣さんは先日鎮守府の施設を一つ破壊してしまったため謹慎。
イムヤさんと響さんはお二人ともお休み。どこかへ出かけていきました。
翔鶴さんは近々開設される予定の呉鎮守府の視察。衣笠さんは武者修行の旅に出ると言ってここ数日いません。
天龍さんは――――
~~~~~
天龍「くっ、オレとしたことが……風邪をひくとは」ゴホゴホッ
~~~~~
風邪をひいて、現在は鎮守府のベッドで眠っているはずです
686: ◆ATK1PCranA 2014/11/29(土) 23:07:55.19 ID:yrzvQB/M0
そういうわけで榛名以外誰も出撃できない状態だったのですが、実戦訓練と偵察を兼ねて私と提督が二人で来ているのです。
提督「榛名、おそらくそろそろ敵が来る頃合いだ。気を引き締めておけよ?」
榛名「わかってますよ。私は大丈夫です!」
そんな会話を交わしていると、敵がやってきました。
提督「来たぞ!いいか榛名。今回はあくまで偵察が主目的だ。無理に倒そうとする必要はない」
榛名「でも、倒してしまっても構わないのでしょう?」
提督「それはまあ、そうだが」
榛名「大丈夫ですよ提督。あなたの秘書艦は、あの程度の敵には負けません」
提督「ああ、そうだな」ニコッ
榛名「はい!それでは行って参ります!」タッ
提督「気をつけろよ!異変を感じたらすぐに戻ってこい!」
こうして『私』と提督が一緒に出撃した戦いは始まりました。
それが、最後の共に過ごせた時間になるとも知らずに。
687: E-3道中で舞風ドロップ ◆ATK1PCranA 2014/11/29(土) 23:28:03.81 ID:yrzvQB/M0
榛名「はああああああああ!!!!!!!!!!!!」ドオン ドゴオン バゴオン
タ級flagship「……」撃沈
ヘ級flagship「……」撃沈
チ級elite「……」撃沈
榛名「やあああああああああ!!!!!!!!!!!」バーン ドーン
チ級elite「……」轟沈
ロ級flagship「……」轟沈
688: ◆ATK1PCranA 2014/11/29(土) 23:40:16.55 ID:yrzvQB/M0
榛名「ふう……とりあえず、これで終わりですかね。周りに敵影もありませんし」キョロキョロ
榛名「それでは、提督のところに戻りましょう♪」
榛名(敵が五体しかいなかったのは少しおかしい気もしますが……きっとこの海域はこんな感じなんでしょう)
692: ◆ATK1PCranA 2014/11/30(日) 18:12:19.70 ID:Od3mCAlP0
私が非自律船に戻ると、提督が甲板で迎えてくれました。
榛名「提督!私、勝ちましたよ!」ダキッ
提督「わぷっ!?おい、榛名離れろ!」ジタバタ
榛名「ふふふ、嫌です♪提督が私をいっぱい褒めてくれるまで離しませんっ!」
提督「褒める!褒めるから!」
榛名「じゃあ頭を撫でてください!」
提督「撫でようにも、抱き着かれたままだと腕が動かせないから離れろ!」
榛名「ぶ~、仕方ありません。一旦離れます」
提督「ふう……」
榛名「さあ提督!早く撫でてください!」ワクワク
提督「あーはいはい。わかったわかった……」
693: ◆ATK1PCranA 2014/11/30(日) 18:35:20.93 ID:Od3mCAlP0
提督が私に近づいて、その手をそっと私の頭に乗せようと――――
バシュッ
提督「っ!?」ドン
――――すると、何故か提督は私を突き飛ばしました。
榛名「痛っ!て、提督?何するんですか――――」
――――目の前に写るのは、どこまでも鮮やかな赤色と。
――――愛しいあなたの、顔でした。
榛名「て、提督!?提督!」タタッ
飛び散る血液で汚れたことにも気づかずに、私は提督へ駆け寄ります。
提督「……」
榛名「提、督」
提督の胸の辺りには大きな穴があいていて、そこから血がどんどん流れていきます。
確かめるまでもありません。提督は既に、死亡していました。
榛名「……っ!」
私が周囲を見回すと、そこには一体の深海棲艦がいました。
カ級elite。潜水艦です。
開幕魚雷が無かったのでてっきりいないと思っていたのですが、どうやら開幕雷撃はしなかっただけのようです。
――――榛名が油断した隙をついて、一発で仕留めるために。
694: ◆ATK1PCranA 2014/11/30(日) 18:41:00.34 ID:Od3mCAlP0
カ級elite「……」シュバッ
敵はもう一度魚雷を撃ってきましたが、目視さえできていればこんなものはどうってことありません。
榛名「……」
私の心は、激しい怒りと喪失感、そして絶望でいっぱいでした。
提督。提督。提督提督提督。
提督を、失った。
榛名「う、う」
榛名「うあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
私は41cm連装砲を構え、撃ちます。
榛名「沈め!沈め!沈めぇ!」ドン ドン ドン
通常、戦艦の砲撃では潜水艦を捉えられません。ですが、今回は相手が水面に顔を出していたので当てられました。
カ級elite「……」撃沈
695: ◆ATK1PCranA 2014/11/30(日) 18:45:31.87 ID:Od3mCAlP0
敵を倒した後の私に残ったのは、喪失感と絶望感だけでした。
榛名「あ、ああ……」フラフラ
私はおぼつかない足取りで提督の傍に寄ります。
榛名「提督……提督」ユサユサ
揺さぶっても、彼は起きません。 ――――何故?
声をかけても、彼は目覚めません。 ――――どうして?
私/榛名のせいだ。
私が油断したから。きちんと敵の殲滅を確認しなかったから。私が。私が。私が。
――――私が、提督を殺したんだ。
696: ◆ATK1PCranA 2014/11/30(日) 19:35:40.38 ID:Od3mCAlP0
しかし、ここで一つの奇跡が起きました。
絶望に染まり、返事のない提督に呼びかける私の前に、ある存在が現れました。
???『その男を助けたいのか?』カキカキ
榛名「だれ、ですか……?」
???『私か?私は――――』カキカキ
第一次深海棲艦戦争の時にも何度か目撃された。最高の妖精にして最悪の災害。
エラー娘『私の名前は、エラー娘だ』カキカキ
彼の妖怪は手に持った不思議なマジックペンで猫の腹に文字を書き、私に伝えてきます。
エラー娘『望むなら、私がその男を救ってやろう』カキカキ
榛名「そんなことが、出来るんですか……?」
エラー娘『もちろん。私に出来ないことは無い』カキカキ ドヤッ
榛名「本当に、提督を助けてくれるんですか?生き返らせてくれるんですか?」
エラー娘『ああ』カキカキ
701: ◆ATK1PCranA 2014/11/30(日) 20:31:55.88 ID:Od3mCAlP0
エラー娘はそれだけ言うと、提督の身体に近づきその上に猫をかざしました。
エラー娘「通信エラーが発生しました。お手数ですが、掲示板TOPからSSの再開をお願いします」ニャー
エラー娘がそう言うと、提督の胸があった辺りに『Error』という文字が出現しました。
最初はたった一つだけだったそれは、凄まじい速さで数を増やしていき、提督の身体を覆い尽くしました。
数十秒そのままでしたが、やがて徐々にエラーは消えていき、すべて無くなりました。そして、
榛名「これ、は……」
提督の身体にあった傷も、すべて消えていました。
エラー娘『これでこの男はもう大丈夫だ』カキカキ
704: ◆ATK1PCranA 2014/11/30(日) 20:42:15.45 ID:Od3mCAlP0
榛名「ありがとうございます!本当に、ありがとうございます!」
私の胸は感謝の気持ちでいっぱいでした。だって、提督が生き返ったんです。私のせいで死んでしまった、提督が。
精一杯感謝の気持ちを伝える私を見て、しかしエラー娘は言い(書き?)ました。
エラー娘『気にすることはない。この行為は後々面白いことになりそうだからな。それに、誰もタダでやるとは言ってない』カキカキ
榛名「え?」
エラー娘『悪いが、代償は取りたてさせてもらうぞ?こっちもボランティアじゃないんでな』カキカキ
そしてエラー娘は提督にやったのと同じように、私の前に猫をかざしました。
エラー娘「通信エラーが発生しました。お手数ですが、掲示板TOPからSSの再開をお願いします」ニャー
その言葉を聞いた途端、私の視界がぐにゃりと歪んで横倒しになりました。
榛名「あ、うあ、あ……」
エラー娘『ほう、これがお前の一番大事なものか。くくっ、そうかそうか。いつの時代も、それだけは変わらないということか――――』カキカキ
目の前に映る猫に書かれた文字の記憶を最後に。
何か大切なものがなくなっていく感覚と共に。
『榛名』の意識は途切れました。
706: ◆ATK1PCranA 2014/11/30(日) 20:57:48.80 ID:Od3mCAlP0
その後のことは、まるで現実感のない夢のようなものでした。
目を覚ました榛名は提督の胸が上下していることに安堵してから、船を動かして鎮守府へ戻りました。
鎮守府へ戻った後も色々ありましたが、説明すると長くなるので一場面だけ紹介しましょう。
漣「あなたの慢心で、一度ご主人様が――――提督が死んだ。これに間違いはない?」
榛名「……はい、ありません」
漣「そう」
ッパーン!
榛名「……っ」
漣「……」
衣笠「ちょっ、漣?」
漣「衣笠さんは黙っててください。漣は、この人だけは許せません」
衣笠「で、でも」
天龍「やめろ。衣笠」バッ
衣笠「師匠……」
榛名「……」
漣「榛名、あなたがしたこと、やってしまったこと。それを他の誰が許したとしても、漣だけは絶対に許さない」
榛名「は、い……」
漣「それだけわかってくれたらもういい。それじゃ」スタスタ
衣笠「ど、どこに行くの漣」
漣「訓練場です。天龍さん、付き合ってもらえます?」
天龍「別にいいが……何するつもりだ?」
漣「そうですね……とりあえず、地獄を見ようと思います。漣は榛名と同じくらい、肝心な時に主を守れなかった駄目イドも絶対に許さないので」
天龍「そうか……わかった」スタスタ
707: ◆ATK1PCranA 2014/11/30(日) 21:37:13.08 ID:Od3mCAlP0
医務室へ運び込まれた提督はしばらく眠ったままでしたが、数日後には目を覚ましたました。
そして、その日の夜。
コンコン
提督「どうぞー」
榛名「……失礼します」
提督「おお榛名か。昼にみんな来たときには来てなかったから、もしかして来ないんじゃないかとビビってた」
榛名「……」
提督「おいおい黙るなよ。俺のガラスのハートが砕けちゃうぞ?」
榛名「……」
提督「……」
榛名「……」
提督「……はあ」
708: ◆ATK1PCranA 2014/11/30(日) 22:00:42.17 ID:Od3mCAlP0
提督「なあ榛名」
榛名「何ですか、提督」
提督「別に俺は怒っちゃいねえし恨んでもねえよ?」
榛名「……」
提督「むしろ感謝してる。俺が無様に死んだ後、ちゃんと生き延びてくれたこと。それと、俺が死んで悲しんでくれたこともな」
榛名「提、督」
提督「ありがとう榛名。生きててくれて。俺の死を悲しんでくれて」
榛名「提督……榛名は、榛名は!」ダキッ
719: ◆ATK1PCranA 2014/12/01(月) 20:34:45.57 ID:zJO264RP0
小ネタ・提督マジおこ☆
~この話は本編と何の関係もありません。出てくるキャラ、設定、その他諸々、一切合財関係ありません~
提督「……」ゴゴゴ
白露「……」ビクビク
皐月「……」ビクビク
長門「……」ビクビク
那珂「……」ブルブル
球磨「……」ブルブル
鈴谷「……」ブルブル
金剛「……あの、提督?」オソルオソル
提督「ん?何だ?金剛」ニッコリ
金剛「ひっ……あ、あの、て、提督は何で怒っていらっしゃるのデスカ?」ビクビク
提督「んー?俺は別に怒ってなんてないぞ?金 剛」ニッコリ
金剛「で、でも、あの、そのデスネ……」ガクガク
提督「まあでも、それでも俺が怒ってるように見えるっていうなら、それはきっと……」
提督「わざわざ弾薬パックを買ってまで補給してやったのに何もせずに資源だけ消費してきた支援艦隊と」
提督「最後の最後で攻撃を外しやがったどこぞの高速戦艦のせいじゃないかな?なあ、白露、皐月、長門、那珂、球磨、鈴谷、金剛」ニッコリ
艦娘たち「す、すみませんでしたああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」
提督「いやね、俺も悪かったと思うよ?いくら資源と時間が無いからって、キラ付けはするべきだっただろうさ」
提督「資源と時間が無くなったのだって、俺の指揮が悪かったせいでE-1とE-2の突破が遅れたからだし」
提督「だから、お前らにすべての責任があると言わないよ?俺だって悪かったし、お前ら以外にもダメなやつらはいっぱいいた」
艦娘たち「……」
提督「でもな?お前らが肝心なところで重大なミスをやらかしたのには違いが無いんだよ。わかるな?」
艦娘たち「い、イエス……」
提督「だからな、俺はお前らに正当な処罰を下さなくちゃならんのだよ。じゃなきゃ、他の奴らに示しがつかない」
艦娘「……」ガクブル
提督「というわけで、解 体 処 分 かな?」ニッコリ
720: ◆ATK1PCranA 2014/12/01(月) 20:48:50.90 ID:zJO264RP0
艦娘たち「それだけは本当にマジで勘弁してください!」
金剛「て、提督!他の子たちはともかく私はこの鎮守府の中でも高レベルで主力ネ!私を解体してまた同じくらいまで他の子を育てるのは面倒くさいヨ!?」
那珂「な、那珂ちゃんはE-2で艦隊を率いて、駆逐棲姫の撃破に貢献したよ!?E-1でも頑張ったし!」
球磨「く、球磨だって那珂と同じくらい頑張ったクマー!」
鈴谷「す、鈴谷はもう少しで航巡になるよ?また一から育てなおすのきっついよ?」
白露「あ、あたしは今まで遠征で資源をいーっぱい持って帰ってきてたよ!?」
皐月「ぼ、僕だって遠征は頑張ってきたよ!?」
長門「わ、私はレア艦だぞ?世界のビックセブンだぞ?また建造かドロップで手に入るのはいつになるかわからないぞ?」
提督「うん、一回黙れお前ら。言い訳は見苦しいぞ?」
艦娘たち「……」
提督「まあ、俺も鬼じゃないさ。今までお前ら(長門以外)がいかに頑張ってきたのかも知ってる。だからまあ、チャンスをやろうじゃないか」
艦娘たち「ちゃ、チャンス……?」ゴクリ
提督「冬イベ、死ぬ気で頑張れ。また同じような失態を晒したら即解体だからな?」
艦娘たち「い、イエッサー!」
提督「よろしい」
729: ◆ATK1PCranA 2014/12/01(月) 21:11:23.00 ID:zJO264RP0
榛名「……」グスッ
提督「……もう大丈夫か?」
榛名「……はい。お見苦しいところをお見せしてしまい、申し訳ありませんでした」
提督「別にいいさ。美少女の涙はむしろご褒美だ」
榛名「もう、提督ったら……そんなことばかり言っていると、本当に大切な時に大切な人に信じてもらえませんよ?」クスクス
提督「おっと、こいつは手厳しい。でもま、大切な秘書艦からの折角の忠告だからな。肝に銘じておくよ」ハハッ
榛名「……それじゃあ、榛名はそろそろ帰りますね。提督の無事も確認できましたし」スタスタ
提督「そうか、見舞いありがとな」
榛名「いえ、部下として、当事者として当然のことをしただけですよ」ガチャッ
提督「そうか……そういえば、榛名」
榛名「はい?」クルッ
提督「一人称、『榛名』に戻したんだな」
榛名「……ええ。何だか、そうした方がいい気がしまして」
提督「電波か?」ククッ
榛名「どちらかというと神のお告げです」フフッ
榛名「それでは提督。失礼します」バタン
榛名「……提督への恋愛感情がなくなった榛名が、『私』を名乗る資格はありませんから」ギュッ
730: ◆ATK1PCranA 2014/12/01(月) 21:18:32.52 ID:zJO264RP0
榛名が提督のお見舞いに行った翌日、榛名は提督の主治医である先生に呼び出されました。
榛名「それで?何の用です?提督が休んでる分の仕事をやらなくてはいけないのでさっさと帰りたいのですが」
先生「かっかっか。そんなこと言って、あの坊主の身に何かあったんじゃないかって心配なのが丸見えだぜ?戦艦ちゃん」
榛名「……帰りますね」
先生「こんなことくらいで怒らない怒らない。人間、もうちょっと余裕持って生きた方が得だぜ?」カカッ
榛名「……榛名は人間ではなく艦娘です」プイッ
先生「いやいやキミは人間だろう。だからこそ、あの坊主は体を張ってキミを救ったんだから」
榛名「……」
735: ◆ATK1PCranA 2014/12/01(月) 21:29:37.15 ID:zJO264RP0
榛名は正直に言ってこの人が苦手でした。いつもいつも人を小ばかにした態度で煙に巻くところが特に。あとやたら巨 なのも。
先生「ま、おふざけはこのくらいにして……実際、あの坊主の身体のことはキミには教えておいた方がいいと思ってね」
榛名「提督に何かあったんですか!?」
先生「どうどう。落ち着けよ戦艦ちゃん。別にいますぐ命に関わるようなことじゃあない」
榛名「……」
先生「まあ、あのエラー娘に何とかしてもらったって時点で色々おかしなことが起きるのは想像の範囲内だったんだけどね。現状判明してるだけで、あの坊主の身体には二つの異変がある」
榛名「二つの異変、ですか?」
先生「ああ、一つ目は異常なまでの回復能力だね。これを見てくれ」ピッ
榛名「これは……提督ですね」
先生「そうだ。失礼ながら、あの坊主が寝ている間に撮影させてもらったよ」
榛名「当然、提督の許可は……」
先生「取っていないに決まってるだろう?」
榛名「ですよね……」ハア
736: ◆ATK1PCranA 2014/12/01(月) 21:42:04.29 ID:zJO264RP0
先生「まあそんなことは今は些細なことだ。ほら、ここからが大切なところだ」
榛名「……これは」
先生「ちょいとメスで切ったんだがね。けっこう深く傷つけたんだが、見ての通りさ」
榛名「『Error』……」
先生「傷を負った瞬間にその文字が傷を覆い、数瞬後には元通り。なかなかにぶっ飛んだ能力だ」
榛名「これは、あの時と同じです」
先生「そうだろうね。状況を鑑みるに、エラー娘は『治療』ではなく『改造』を行ったんだろう。傷そのもの治す、またはなかったことにするのではなく、体を改造・改竄してどんな傷でもたちまち治せるようにした」
先生「まったく、出る結果は同じでも過程が違い過ぎたらそれは別物だと私は思うんだがね」
738: ◆ATK1PCranA 2014/12/01(月) 21:47:05.06 ID:zJO264RP0
榛名「……それで、これが一つ目だっていうなら二つ目はいったい何なんですか?」
先生「ん?二つ目?ああ、こっちは別に大したことじゃないさ」
先生「ただちょっと、脳の一部がぶっ壊れてるだけの話だよ」カカッ
榛名「……」
先生「……」
榛名「……それって」
先生「それって?」
榛名「それって、すっごくやばいことじゃないですかああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」
先生「……すぐ近くで大声出して叫ぶのはやめてくれ。耳がキーンとした」キーン
榛名「え?脳?脳ってあれですよね?頭ですよね?」
先生「うん、頭蓋骨の中にあるあの脳さ」
榛名「それが一部ぶっ壊れてるってどういうことですか!?」
739: ◆ATK1PCranA 2014/12/01(月) 21:54:28.53 ID:zJO264RP0
榛名「いや、ちょっと待ってください。そもそも提督はどんな傷でも回復できる体になってるんですよね?じゃあ何で脳が壊れてるんですか?」
先生「さあ?それは私に聞かれても困るよ」
榛名「それを調べるのがあなたの仕事じゃないんですか!?」
先生「それはどっちかっていうと科学者・研究者の領分な気もするけどねえ……でも、一つ推測は立ってるよ」
榛名「……どんな推測ですか?」
先生「そもそもこれはエラー娘の生態に関わる推測なんだけどね……どうやら彼の妖怪は、人の複雑怪奇な感情というものをほとんど理解しているが、ただ一つ恋愛感情だけは理解できていないらしい」
榛名「恋愛感情を……?」
先生「ああ。だからなのかもしれないね。あの坊主の脳の一部――――感情を司る部分の中でも更に恋愛に関してのところだけが綺麗に壊れてる」
先生「ま、言っちまえば、誰に恋することも誰を愛することもなく、誰に恋されてるのかにも気づけず誰の愛も理解できない」
先生「そう言うふうになっちまったってことさ」
740: ◆ATK1PCranA 2014/12/01(月) 22:00:28.60 ID:zJO264RP0
榛名「……」
先生「ああちなみに言っておくが、壊れてるのは恋愛に関する部分だけだから、親愛は普通に芽生えるし、可愛い女の子に 情もする。彼女欲しいとも思うだろうね」
榛名「……それらは、直せる方法はないんですか?」
先生「うん?今言った二つの異常についてかい?」
榛名「はい」
先生「それは私としては何とも言えないんだが……あえて言うなら、前者は無理。後者は限りなく低いが可能性はある、かな?」
先生「まず前者は現時点では本当にどうしようもない。唯一解決できる手段があるとすれば、再びエラー娘に頼ることだけだ」
先生「次に後者だが、これは可能性だけはある。0.01%以下だろうけどね」
榛名「教えてください。その方法を」
741: ◆ATK1PCranA 2014/12/01(月) 22:05:51.46 ID:zJO264RP0
先生「まず大前提として、今のあの坊主の回復能力でもそれは回復できない。その理由はさっき説明したとおりだ」
先生「だが、人間の脳には面白い機能が付いていてね。自分の知らないものを学習しようとするんだよ」
先生「だから恋愛感情を向けられ続ければ、あるいは」
先生「脳がその必要性を認めて、それを受けいれるだけの分の部分を拡張するかもしれない」
榛名「……」
先生「私に言えるのはそのくらいだよ。そしてこれで私の話も終わりだ」
榛名「そうですか」
先生「何だい冷たいなあ。まあいいや。ほら、さっさと出て行ってくれたまえ。私にはまだまだ仕事が山積みだし、キミの仕事があるんだろう?」
742: ◆ATK1PCranA 2014/12/01(月) 22:28:36.06 ID:zJO264RP0
~それから数か月後~
提督「見ろよ榛名!漣!これが今日から俺たちが暮らすことになる岩川鎮守府だ!」
漣「新しい住居兼仕事場に着いただけでテンションあげないでくださいご主人様。ぶっちゃけうざいです」
提督「お前俺に辛辣すぎじゃね?泣くよ?」
提督「なあ榛えもん。漣がいじめてくるんだけど」
榛名「誰が榛えもんですか。変なあだ名をつけないでください」
提督「じゃあ何がいいんだ?コロ助か!?」
漣「どっちかって言うと、ドラえもんに対応するのはキテレツの方だと思いますよ?」
榛名「いやそれはどっちでもいいです心底」
743: ◆ATK1PCranA 2014/12/01(月) 22:57:50.51 ID:zJO264RP0
天龍「おいおい、わざわざ引っ越しの手伝いに来てやったってのに、ずいぶん余裕そうじゃねえか」
提督「て、天龍?あれ?お前何でここにいんの?」
天龍「引っ越しの手伝いに来たって言ってんだろうが」
提督「そういうことじゃなくて、どうやってここに来たのかって意味だったんだが」
天龍「ああそういう意味か。簡単な話だ、海の上走ってきた」
提督「……いつも通りの規格外っぷりだな」
745: ◆ATK1PCranA 2014/12/01(月) 23:18:04.53 ID:zJO264RP0
漣「ご主人様。早くしないと漣が一番最初に入っちゃいますよー!」
提督「何だと!?待て漣!一番最初に入るのは俺だ!」ダッ
天龍「あ、おい!ちょっと待てって……って、遅かったか。あの落ち着きのなさはいい加減何とかすべきじゃねえか?」
榛名「榛名もそれには同意です」
天龍「まあ、ちょうどいいっちゃいいか。なあ榛名」
榛名「はい?何ですか?」
天龍「お前これからどうすんだ?」
榛名「どうする、とは?」
746: ◆ATK1PCranA 2014/12/01(月) 23:46:11.08 ID:zJO264RP0
天龍「そのまんまの意味だよ。あいつの体、治すんだろ?」
榛名「そうですね……とりあえず、恋愛相談所でも始めようかと思ってます」
天龍「恋愛相談所?」
榛名「はい。提督に恋する女の子の相談に乗ってあげたり、一緒に悩んだりする」
榛名「そんな恋愛相談所を、始めようかと」ニコッ
天龍「そうか。頑張れよ」
榛名「はい、榛名頑張ります!」
天龍「オレの方でも、エラー娘に関する情報を探してみる」
榛名「よろしくお願いします」
天龍「ああ、任せとけ」グッ
提督『おーい!二人共何やってんだー!荷解き始めるぞー!』
天龍・榛名「「……」」
天龍「やれやれ。何をやるにしてもまずは」
榛名「引っ越しを完了させなきゃいけないというわけですか」
こうして榛名と提督の出会いから始まった物語はプロローグを終えました。
747: ◆ATK1PCranA 2014/12/01(月) 23:56:45.55 ID:zJO264RP0
暗い海にただ一人、その少女は立っていた。
長い黒髪を風にたなびかせ、巫女風の衣装が濡れることもいとわずに。
少女はただ立ち続け、誰かを探していた。
そしてある一点を見つめると、綺麗に整った顔を歪め笑った。
???「見ぃつけたぁ♪」ニコッ
それは、とても邪悪な笑みだった。
782: ◆ATK1PCranA 2014/12/03(水) 17:43:08.38 ID:g5a2QjwL0
~横須賀鎮守府~
天龍「ただいまー」ズルズル
島風「あ、おかえり天龍。遅かったね」オッソーイ!
天龍「本当は一週間くらいで帰るはずだったんだけどな……どこかの誰かがちょいちょい書くのサボってたから約一ヵ月も滞在しちまったぜ」
島風「ごめんちょっと何言ってるかわからない」
愛宕「あら?天龍帰ってきたの?」パンパカパーン
天龍「ああ。オレがいない間は色々苦労を掛けたな、愛宕」
愛宕「そう思うならもうちょっと早く帰ってきてほしかったけどね……それより、その人はどうしたの?」
提督「……」チーン
天龍「久しぶりに横須賀を見たいって言うから一緒に連れてきたんだが、海上を走ってる途中で失神した」
愛宕「え?その状態で海を渡ってきたの?」
天龍「まあな。速度出してたから海面にはぶつかってないはずだ」フフン
島風「さすが天龍、速いのね!」ハッヤーイ!
愛宕(だから失神したのねこの人)
783: ◆ATK1PCranA 2014/12/03(水) 17:56:05.92 ID:g5a2QjwL0
天龍「とりあえずこいつは医務室のベッドにでも寝かせてこようと思うんだが……」
愛宕「いいんじゃない?」
島風「一昨日掃除したばっかりだから綺麗だよ!」
天龍「じゃ、ちょっと置いてくるわ。その後夕飯作るから――――」
愛宕「あ、今日の夕飯は作らなくていいわよ?」
天龍「?何でだ?お前だって毎日作ってたんだから、休んでいいんだぞ?」
愛宕「そうじゃなくて今日は――――」
ビスマルク「愛宕!お野菜ちゃんと切れたわよー!」タタッ
天龍「び、ビスマルク?お前今キッチンから……」
ビスマルク「あら、天龍じゃない。帰ってたの?」ヒラリ
天龍「……なあ愛宕、島風。何でビスマルクはエプロンなんて着けてんだ?コスプレか?」
愛宕「あはは、嫌ね天龍」ガシッ
島風「エプロンを着ける理由なんて一つに決まってるでしょ?」ガシッ
天龍「おい、何で二人ともオレの腕を掴むんだ?離せ!何か嫌な予感がするんだ!」ジタバタ
愛宕「恨むなら拘束術を教えた自分を恨みなさい」
島風「男らしく腹を括ろうよ天龍」
天龍「オレは女だ!」
784: ◆ATK1PCranA 2014/12/03(水) 18:07:49.17 ID:g5a2QjwL0
磯風「騒がしいな……何かあったのか?」ヒョイッ
叢雲「料理中なんだから静かにしなさいよ」ヒョイッ
天龍「……」
愛宕「今日はあの子たちが作ってくれるからゆっくり待ってましょう?」
島風「私はもう遺品整理済ませたよ?」
天龍「何であいつらに作らせてんだよ……」
愛宕・島風「「だって気が付いたら睡眠薬で眠らされて部屋の隅に寝かされてたし」」
天龍「……」orz
790: ◆ATK1PCranA 2014/12/03(水) 21:30:03.05 ID:g5a2QjwL0
~数十分後~
提督「ん……」ガバッ
提督「んー……んー?」キョロキョロ
提督「見覚えがあるような気がするけどここどこだ?」
ガチャッ
磯風「失礼する……何だ、起きていたのか」
提督「え?誰?」
磯風「ん?ああ、自己紹介がまだだったな。横須賀鎮守府第一艦隊所属、陽炎型駆逐艦12番艦の磯風だ。よろしく頼む」
提督「あ、親切にどうも……俺は岩川鎮守府勤務の提督です。よろしく」
磯風「知ってるよ。天龍からいつも聞いてるからな」ククッ
提督「天龍から……って、そうだ。俺あいつと一緒に横須賀に……」
793: ◆ATK1PCranA 2014/12/03(水) 21:44:37.50 ID:g5a2QjwL0
提督「そういやこの部屋も……」
磯風「ここは医務室だ。横須賀鎮守府のな」
提督「ああ!そうだそうだ思い出した!どっかで見たことあるような気がしたんだよ!」
天龍『おい磯風ー!まだ起こせないのかー!?』
磯風「おっと。懐かしむのも結構だが、早く食堂に行かないか?このままでは磯風が怒られてしまう」
提督「ん、わかった。でも何で食堂?」ヨイショ
磯風「『どうせ今日はもう帰れないだろうから泊まらせる』と言われたのでな、貴方の分も作ったのだ」スタスタ ガチャッ スタスタ
提督「そりゃどうも……って、ん?駆逐艦磯風?夕飯?料理?何故だろう、俺式危険探知機が猛烈に反応してる気が――――」スタスタ
795: ◆ATK1PCranA 2014/12/03(水) 21:53:27.90 ID:g5a2QjwL0
~食堂(と書いて戦場、もしくは死地)~
天龍「……」ダラダラ
愛宕「……」ダラダラ
島風「……」ダラダラ
ビスマルク「……~♪」ワクワク
叢雲「……」イライラ
磯風「待たせたな」スタスタ
提督「ばんわー」スタスタ
天龍「よ、よく来たな提督。まあとりあえず座ってくれ。磯風もな」
磯風「うむ、わかった」
提督「俺はどこに座れば?」
天龍「前と同じで」
提督「おっけー」
796: ◆ATK1PCranA 2014/12/03(水) 23:03:26.32 ID:g5a2QjwL0
提督「美味そうな料理だな。来る途中で磯風に『今日の料理はマズイかもしれない。いやたぶんマズイ』って言われたんだが、全然そんなことなさそうだぞ?」
天龍(見た目はな)
愛宕(あの3人の作る料理って、そもそも完成しないか、出来ても見た目が悪い上にマズイか)
島風(もしくは見た目は美味しそうなのに、見た目が悪い時よりマズイか)
天龍(どれだったとしてもマトモなもんが喰えねえ)
800: ◆ATK1PCranA 2014/12/04(木) 18:50:50.11 ID:rkDTonJV0
ビスマルク「ねえ!もう食べていいのよね!?いいのよね!?」
天龍(こいつは味覚がアレだから料理下手)
叢雲「何で塩と砂糖って色が同じなのよ。間違えやすいじゃない……」
愛宕(この子は不器用なうえにうっかりさんだから料理下手)
磯風「はあ……せめて少しくらい料理の腕が上達してもいいのではないだろうか……」
島風(磯風ちゃんは味覚もセーフ、不器用でもないしうっかりさんでもないんだけど……)
磯風「艦娘の特性とはいえ……流石に落ち込む」ズーン
天龍・愛宕・島風(元になる艦と歴代の同型艦がメシマズだからなあ……)
801: ◆ATK1PCranA 2014/12/04(木) 19:44:25.25 ID:rkDTonJV0
提督(さっきから天龍含める三人がやたら静かなうえに、磯風と……あれは叢雲か?がぶつぶつ言ってんだが)
提督(というか空気が尋常じゃない。戦場もビックリの緊張感が漂ってる)
ビスマルク「Mahlzeit!(いただきます)!」
天龍「お前は一回落ち着け」
愛宕「と、とりあえず食べる前に自己紹介を済ませておかない?ほら、親しさは食事に大切だと思うし!」
島風(愛宕さんが露骨な時間稼ぎに出た)
天龍「そ、それはいいな!よし、じゃあまずは愛宕から頼むな!」
島風(そして天龍が乗っかるという)
803: ◆ATK1PCranA 2014/12/04(木) 20:11:22.92 ID:rkDTonJV0
愛宕「私は高雄型重巡洋艦、二番艦の愛宕よ。よろしくね♪」
島風「じゃ、次は私で。島風型駆逐艦の一番艦、島風だよ。一番艦って言ってるけど、島風型は私しかいないからあんまり意味が無い気がするんだよね」
天龍「磯風はもうしたんだよな……じゃあ次は叢雲で」
叢雲「え!?私!?仕方ないわね……吹雪型駆逐艦5番艦の叢雲。よろしくしなくていいわ」
天龍「お前はもうちょっと愛想良く出来ねえのか……まあいいや。じゃ、ビスマルク」
ビスマルク「わかったわ。Freut mich(はじめまして)、ドイツが誇るビスマルク級超弩級戦艦のネームシップ、ビスマルクよ。ちなみに将来の夢は天龍のお嫁さんになることなの」
提督「……」
天龍「……まあ、こういう奴なんだ。あまり気にしないでくれ」
提督「わ、わかった」
804: ◆ATK1PCranA 2014/12/04(木) 20:21:08.72 ID:rkDTonJV0
天龍「それじゃ、最後は提督だな」
提督「おう。岩川鎮守府勤務の提督だ。よろしくな」
艦娘たち「「「「よろしく~」」」」
ビスマルク「さて、自己紹介は終わったんだし、もう食べていいわよね!」
天龍「……なあビスマルク。お前オレの分まで食べねえか?」
愛宕・島風「「!?」」
天龍「オレはあまり腹減ってねえし、食べたいならやるよ」
愛宕(天龍の裏切り者!あのビスマルクがあなたに何か貰えるってなれば……)
島風(……絶対に貰おうとするに決まってるじゃん!)
天龍「なあ、どうだ?」
ビスマルク「いいえ、いらないわ。それはあなたが食べて?」
天龍・愛宕・島風「「「!?」」」
天龍(あのビスマルクが)
愛宕(天龍の誘いを)
島風(断った!?)
ビスマルク「だって今日のは自信作なんですもの。あなたに食べてもらって、美味しいって言ってもらいたいじゃない?」
805: ◆ATK1PCranA 2014/12/04(木) 20:43:48.37 ID:rkDTonJV0
天龍「お、おう……」ヒクヒク
ビスマルク「天龍、あーん」
天龍「何でそうなった!?」
ビスマルク「こうでもしないと食べてくれないでしょ?」
天龍「それは否定しない」
806: ◆ATK1PCranA 2014/12/04(木) 21:02:42.56 ID:rkDTonJV0
~結局天龍は食べさせられました~
天龍「……」チーン
ビスマルク「あら?どうしたの天龍。美味しすぎて気絶してしまったのかしら」モグモグ
提督「……」
愛宕「……」
島風「……」
叢雲「……」
磯風「……」
艦娘たち(ビスマルク除く)+提督(((((あれはやばい)))))
提督(見た目は普通に美味そうな料理だったというのに……あの天龍が気絶はかなりやばいぞ!?)
807: ◆ATK1PCranA 2014/12/04(木) 21:18:03.45 ID:rkDTonJV0
愛宕「あ、私ちょっと用事があったの思い出したわ」ガタッ
島風「私も手伝うよ」ガタッ
叢雲「ちょっ!?あんたたち!?」
愛宕・島風「……っ!」タタッ
叢雲「待ちなさい!逃げんじゃないわよ!」ガタッ
磯風「……」ガシッ
叢雲「……ねえ磯風。私の肩を掴んでるその手を離してもらえないかしら。あの二人を連れ戻してこなきゃいけないの」
磯風「これ以上の逃亡者は流石に危険なのでな。悪いがその要求は受け入れることはできなさそうだ」
816: ◆ATK1PCranA 2014/12/06(土) 17:01:10.94 ID:ZiBloSVh0
叢雲「……いいから離しなさいよ。大丈夫、私はちゃんとあの二人を連れて戻ってくるわ」グググ
磯風「……残念ながらその言葉を信用できる根拠が無いんだ。諦めてくれ」グググ
叢雲・磯風「……」バチバチ
提督「あれ?意外と普通に食える?」
叢雲・磯風「!?」クルッ
提督「こっちの煮物も、その味噌汁も、普通に食えるな」
叢雲「煮物……美味しかったの?」
提督「ああ」
磯風「味噌汁も?」
提督「うむ」
817: 何気なく空母レシピ回したら瑞鳳きてビビった ◆ATK1PCranA 2014/12/06(土) 17:06:19.31 ID:ZiBloSVh0
叢雲「こ、こっちのおひたしは!?」
提督「もぐもぐ……うん、美味い」
磯風「この卵焼きはどうだ!?」
提督「……ごくん。すごい美味い」
叢雲・磯風「……」
叢雲・磯風「「やったああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!」」
叢雲「つ、ついに美味しい料理を作ることが出来たわ!」
磯風「食べても気絶しない料理が作れた!」
叢雲「こ、これでもう島風に残念なものを見る目で見られなくて済む……」
磯風「メシマズ艦なんて言われずに済む……」
提督「お、おーい?お前らー?」
叢雲・磯風「ハッ」
818: ◆ATK1PCranA 2014/12/06(土) 17:25:33.89 ID:ZiBloSVh0
磯風「す、すまない。つい舞い上がってしまった……」シュン
提督「いや、それは別にいいんだけどさ。何、お前らメシマズ艦呼ばわりされてたの?」
叢雲「ま、まあ……実際、私たちの料理を食べて『美味しい』って言われたのは今日が初めてよ」
提督「そうなのか?幻覚作用ないし、口に入れても爆発しないし……」
磯風「それはもう料理じゃなくて兵器だろう……」
提督「いるんだよ、そういう料理を作る奴が……まあ、そんなわけでそいつのに比べればお前らの料理はプロ並みの美味さだ」
821: ◆ATK1PCranA 2014/12/06(土) 18:11:55.17 ID:ZiBloSVh0
叢雲「ほ、褒め過ぎよ……えへへ」ニヘラ
叢雲(こ、今度もう一回作って島風に持っていこうかな……い、いや!別にあの子のためなんかじゃないけど!そ、そうでもしないとあの子が私の凄さを理解できないだろうし!)///
提督「何か叢雲が突然、にやけたり不機嫌そうな顔になったり赤面したりし始めたんだが……?」
磯風「気にするな。どうせ島風のことでも考えているんだろう」
提督「この鎮守府は本当に百合が多いな」ハア
磯風「言っておくが磯風はノンケだ」
提督「そりゃ良かった。磯風は好きな男とかいんの?」
磯風「いや、今は特にいないが……戦時中だしな」
提督「そうなのか?もったいない、お前可愛いんだから彼氏なんて作ろうと思えばすぐに作れるんだろうに」
磯風「か、可愛っ!?」カアアア
磯風「い、いきなり何を言っているんだ貴方は!」///
822: ◆ATK1PCranA 2014/12/06(土) 18:30:54.81 ID:ZiBloSVh0
提督「?」
磯風「い、磯風は艦娘で、戦うために作られて……か、可愛いとかそういうのは……!」///
提督「いやでも実際に可愛いし」
磯風「だ、だからそういうことを……うう……」///
磯風「うあああああ!!!!!!!!」ダッ
提督「ちょっ!?磯風!?」ダッ
磯風(恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!!!)タタタ
提督「は、速い……」ゼエゼエ
823: ◆ATK1PCranA 2014/12/06(土) 18:36:15.60 ID:ZiBloSVh0
~その頃食堂では~
叢雲「……で、でもあなたがそこまで言うならまた作ってあげても……はっ」
叢雲「あ、あれ?磯風たちはどこに行ったのかしら?」クビカシゲ
ビスマルク「ひらふぁい(知らない)」モグモグ
叢雲「食べながら喋るのはやめなさい行儀が悪いから……まあいいわ。私も早く食べちゃいましょ」パクッ
叢雲「うっ……」バタンキュー
叢雲(な、何このハンバーグ……ま、マズイ……)バタッ
ビスマルク「もぐもぐ……あら?いつの間にか私が作った料理しか残ってないわね?他のは食べられちゃったのね」
叢雲、DEAD!
826: ◆ATK1PCranA 2014/12/06(土) 19:14:41.89 ID:ZiBloSVh0
~廊下とかそんな感じのところにて~
磯風「こ、ここまでくれば……」ゼエゼエ
提督「逃げ切れると、思ったか?」
磯風「はうっ!?」ビクン
磯風「な、何故ここに……!?」
提督「舐めんな。昔作っておいた秘密通路を駆使して先回りしたんだよ」
提督「で?何で急に逃げ出したんだ?」
磯風「い、言わなければいけないか?」
提督「もちろん」
磯風「な、何故?」
提督「俺が気になるから」
磯風「暴君だー!」
827: ◆ATK1PCranA 2014/12/06(土) 19:29:51.20 ID:ZiBloSVh0
提督「ほら、さっさと言っちまえよ。言った方が楽になれるぜ?」グヘヘ
磯風「何だか顔が悪役っぽいぞ。しかも三流の」
提督「だが言ってるセリフは取り調べ中の刑事さん」
磯風「……ふふっ」
磯風「貴方は面白い人だな」
提督「え?今ので笑うの?面白かったか?何、俺のセンスがおかしいの?」
磯風「恥ずかしかったんだ」
提督「はい?」
磯風「だから、恥ずかしかったんだ」
提督「何が?いつ?そもそも何のこと?」
磯風「何のことって……貴方が聞いたのだろう。磯風が先ほど逃げ出した理由だ」
提督「ああ、それ」ポン
828: ◆ATK1PCranA 2014/12/06(土) 19:36:16.20 ID:ZiBloSVh0
磯風「磯風は今まで、その……女の子として扱われたことがあまり無くてな。鎮守府のみんなは仲間とは思ってても、やはり女ばかりだからなのだろうな。あまり意識されないんだ。お偉いさんには会ったこともないし、敵に至ってはそもそも喋らないからな」
磯風「でも、貴方は磯風を、ちゃんと女の子として扱ってくれた。可愛いと言ってくれた。それが嬉しくて、そして恥ずかしかったんだ」///
提督「……なるほど」
磯風「ほらどうだ。ちゃんと言ったぞ?折角だから聞いた感想を言ってみろ」
提督「え?えーっと、その、なんだ。やっぱお前、可愛いな」ポスッ ナデナデ
磯風「にゅっ!?きゅ、急に頭を撫でるな!お、驚くだろう!」///
提督「いやー、何だかこうしたくなって」ナデナデ
磯風「むー……そういえば、何で貴方はそんなに磯風が逃げ出した理由を聞きたかったのだ?」
提督「あ?言わないとダメ?」
磯風「もちろんだ」
提督「何故に?」
磯風「磯風が気になるからだ」
829: ◆ATK1PCranA 2014/12/06(土) 19:41:41.59 ID:ZiBloSVh0
提督「……なら、仕方ないな」ククッ
磯風「うむ、仕方ないからさっさと言うのだ」
提督「……謝らなきゃと、思ってさ」
磯風「謝る?」
提督「もし俺がお前を傷つくてしまって、それでお前が逃げたんだしたら、謝らなきゃいけないと思ったんだよ」
磯風「……」
提督「何だ。笑いたければ笑えばいいさ。どうせ俺の勝手な加害妄想だよ」プイッ
磯風「……ははっ」
磯風「あははははははははははははははははははははは!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
提督「おい、笑いたければ笑えとは言ったが、そこまで笑うなよ泣くぞ畜生」
磯風「あはっ!は、腹が痛い……やっぱり貴方は面白い人だな」
提督「いい加減ぶっ飛ばすぞメシマズ駆逐艦」
磯風「でも、磯風の料理は不味くなかったのだろう?」
提督「まあな」
830: ◆ATK1PCranA 2014/12/06(土) 19:47:13.31 ID:ZiBloSVh0
磯風「……司令、磯風の頭をもう一度撫でてくれ」
提督「別にいいが……何?気に入ったのか?」ニヤニヤ
磯風「ああ」
提督「……っ」カアアア
提督「そ、そうか」///
磯風「ん?どうしたのだ司令。顔が赤いぞ?」ニヤニヤ
提督「こ、この……お前なんてこうしてやる!」ワシャワシャ
磯風「もっと優しく撫でろー!」
提督「これで充分だ」
磯風「……貴方はいじわるだな、司令」
提督「先にからかってきたのはお前だろうが」
提督「それと、何でさっきから司令って呼ぶんだよ。俺はお前の上官じゃないぞ?『提督』でいいって」
磯風「いいんだよ、これで。磯風の気分の問題だ」
提督「何じゃそりゃ……」
磯風「いいから休まずに撫でろ司令」
提督「はいはい……」ナデナデ
831: ◆ATK1PCranA 2014/12/06(土) 19:52:51.87 ID:ZiBloSVh0
磯風「ふみゅ~」トローン
磯風(ふふっ、さっきのは冗談でもからかいでもなく、磯風の本音なのだがな。司令のなでなでは気持ちいい)
提督「なあ磯風、まだ撫でなきゃダメか?手が疲れてきたんだが」
磯風「ダメだ。磯風がいいと言うまで撫でろ」
提督「面倒くせー駆逐艦だな、お前」
磯風「そんな磯風が可愛いのだろう?」
提督「否定はしない。肯定もしないけどな」
磯風(いつか貴方を、『提督』と。名前で呼べるようになるまで)
磯風(貴方は磯風にとって『司令』だ。だから早く、磯風に貴方の名前を呼ばせろよ?)
磯風(でもまあ、今はまだ……)
磯風「おい、肯定もしないというのはどういう意味だ」
提督「そのままの意味さ」
磯風「ふんっ!」ドスッ
提督「ぐはっ……み、鳩尾に、ジャストミート……」
磯風(この関係を、楽しもう……)
846: ◆ATK1PCranA 2014/12/09(火) 16:41:33.52 ID:0pe21pR90
~ある日の鎮守府~
提督「ビバップな浮遊感♪」
提督「夜が次第に乱反射して♪」
提督「ツービートで光って♪」
提督「たまには愚痴っちゃっていいかな♪」
提督(よく晴れた今日。俺は昼間から仕事もせずに一人でカゲプロメドレーやりながら釣りをしていた)
提督(何故かというと――――)
~~~~~
榛名『この前の大規模作戦の影響でやることないので適当にどっか行っててください。掃除の邪魔です』
提督『あっはい』
~~~~~
提督(――――こんなことがあったからだ)
847: ◆ATK1PCranA 2014/12/09(火) 16:52:13.78 ID:0pe21pR90
提督「……にしても釣れねえなあ。メドレってるのが悪いのか?うるさくて魚が寄ってこないのか?」
提督「仕方ない……次は普通にアニソンメドレーを――――」クイッ
提督「っ!?」グイグイ
提督「きたあああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」
提督(――――釣りにおいて最も大切なこと。それは体重移動だ)
提督「それさえ出来りゃあ、釣れねえものはねえ!(たぶん)」グイッ
提督「っしゃああああああああああおらあああああああああ!!!!!!!!!」ザッバア
ヲ級「……」
提督「……」
ヲ級「……ヲッ!」
提督「……何がどうした」orz
848: ◆ATK1PCranA 2014/12/09(火) 17:03:37.94 ID:0pe21pR90
~執務室前~
榛名(執務室のお掃除をしに来たら部屋の中から音が聞こえてきた)
榛名「提督!掃除の邪魔だからどっか行っててくださいって――――」バタン
提督「そう、そこだ。そこでメラゾーマを――――」
ヲ級「神様、強イ……」ピコピコ
榛名「……」
提督「……」ダラダラ
ヲ級「テートク?ドウシタノ?」
榛名「提督、これはどういうことですか?」
提督「違うんです。聞いてください」
榛名「……」チャキ
提督「マジすんませんでした!でも友好的だし可愛いしいいかなって……やめて!無言で主砲の照準合わせんのはマジ勘弁してください!」
857: ◆ATK1PCranA 2014/12/11(木) 17:59:51.69 ID:bynqzIAu0
榛名「じゃあまずはこのヲ級をどこで拾ってきたのかを聞きましょうか」
提督「はい……海で釣りしてたら釣れました」セイザ
ヲ級(何デ私モ正座サセラテルンダロウ……?)セイザ
榛名「釣れたって……いったいどんな餌付けてたらこんなの釣れるんですか」
提督「えっと、確か……林檎だったかな?」
榛名「それで魚を釣ろうとしていたあなたの思考回路に驚きです」
ヲ級「林檎、美味シカッタ……」ホワーン
榛名「……夕立さんといい、このヲ級といい、海で生活していると果物に異常な執着を示すようになるんでしょうか」ハア
858: ◆ATK1PCranA 2014/12/11(木) 18:15:46.45 ID:bynqzIAu0
榛名「まあ、ヲ級が釣れてしまったこと自体は狙ってやったわけではないようなので許しましょう。ですが、何故その後すぐに海に帰さずに連れて帰ってきたんですか?」
提督「いや、勝手について来たんだよ」アセアセ
榛名「ほう……ヲ級ちゃん、本当はどうなんですか?」ニコッ
ヲ級「……ホント、ダヨ。私ガ勝手ニツイテキタ」プイッ
榛名「……」
提督「ほらな?」
榛名「……ヲ級ちゃん?正直に答えたらこの三ツ矢サイダーの飴をあげましょう。ピーチ味です」
ヲ級「テートクニ抱キカカエラレテ連レテコラレマシタ」ビシッ
提督「なっ!?ヲ級てめえ裏切りやがっ――――」
榛名「提督?覚悟は、出来てますね?」ニコオ
提督「ま、待て榛名!話せばわか――――ぎゃあああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
ヲ級(飴美味シイ……モウ一個、イヤ二五個クライ……」
859: ◆ATK1PCranA 2014/12/11(木) 18:23:24.13 ID:bynqzIAu0
~提督?知らないなあ……おや、こんなところに生ゴミが~
提督「……」ミンチ? ミンチ!
榛名「……ふう、仕置きはこんなところでしょうか」ゲシゲシ
ヲ級(ト言イツツ死体蹴リシテル……)
榛名「さて、とりあえずあなたはこのまま海にお帰りなさい。このままじゃいつここの子たちに襲われるかわからないですよ?」
ヲ級「デモ、マダ神様ニ勝ッテナイ……」ショボン
榛名「……防水加工して持っていっていいですから。PS2ごと」ハア
ヲ級「ホント?」キラキラ
榛名「ええ。ついでに果物もいくつか持っていっていいですよ」
ヲ級「アリガトウ!榛名大好キ!テートクノ次ニ!」ギュッ
榛名「はうっ!」
榛名(か、可愛い!敵とはいえこの可愛さはすべてを許してあげたくなってしまいます!ああもう可愛いなあ!抱きしめようかなあ!prprしちゃおうかなあ!)
860: ◆ATK1PCranA 2014/12/11(木) 18:34:24.75 ID:bynqzIAu0
榛名「って、あなた提督のこと好きなんですか?」
ヲ級「ウン。テートクハ、私ヲ見テモ悲鳴ヲ上ゲナカッタカラ」ニコッ
榛名「……」
榛名(考えてみれば、この子たちもちゃんと心を持っているんですよね……感情もあるし、言葉も話す――――)
榛名(あれ?話す?でも深海棲艦は普通言葉を話さない筈なんじゃ……)
榛名「痛っ!?」ズキン
ヲ級「榛名?大丈夫?」
榛名「え、ええ。大丈夫です……」
榛名(い、今の頭痛は何だったのでしょう。執筆で夜更かししたからでしょうか……?)
榛名(で、えーと何でしたっけ?そうそう、深海棲艦も心があるんだから、拒絶されたり畏怖されれば傷つきもするってことを考えていたんでした)
ヲ級「榛名?本当ニ大丈夫?オ薬飲ム?」
榛名「いえ、平気ですからお気にせず。それとヲ級ちゃん。今日はもう帰らないとダメですが、またたまにならここに来ていもいいですよ?」
ヲ級「ワカッタ!アリガトウ!」ニコニコ
榛名「でも、誰にも気づかれちゃダメですからね?」クスッ
ヲ級「ウン!」タタッ
861: ◆ATK1PCranA 2014/12/11(木) 18:50:28.02 ID:bynqzIAu0
榛名「行きましたか……敵でも、少しでも一緒に過ごしてみれば可愛く見えるものですね」
榛名「敵とはいえ……敵とはいえ?」
榛名(何でしょう。榛名の頭の奥の片隅の引き出しの左下辺りが妙に刺激されるような――――)
ヲきゅ?『?名。私?ア?タハ、?ツデモ?緒???ネ……』ニコッ
榛?『はい、?????名は??ま?も、????ッ?一??す』ニコッ
榛名(この記憶は……?)
???『おっと、それ以上はいけない。一日に二度もセーフティを発動させるなんて、そんなことしたら脳みそがイカれるからな』
榛名(誰っ!?いや、この声は――――)
???『今はまだすべて忘れたまま眠るがいいさ』ニャー
榛名(ダメ、今、意識を失ったらまた忘れて――――)バタン
金剛「提督ー?榛名ー?夕飯の時間ですヨー?」ガチャッ
提督「ん?ああ、金剛か。丁度いいところに来た。このバカを運ぶの手伝ってくれ」ヨイショ
金剛「榛名、寝てるんですカ?珍しいですね、こんな時間かラ」
提督「さっき目が覚めたら床で寝てやがったんだよ。やれやれ、世話の焼ける秘書艦だぜ」
金剛「その割に顔が穏やかですよ、提督」フフッ
提督「……お前の目が節穴なだけだろ」プイッ
金剛「そうですネ。そういうことにしておきまショウ」クスッ
榛名「んん……高雄さん……瑞鶴さん……陸奥さん……春雨さん……ヲ級ちゃん……」
榛名「――――勇者、さん――――」
896: ◆ATK1PCranA 2014/12/13(土) 20:46:37.74 ID:un33q1On0
~ある日の鎮守府~
夕立「夕立さんが遊び来たっぽいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!」ダダダダダ
榛名「へ?夕立さ――――わぷっ」ギュウッ
夕立「榛名!こんにちわっぽい!」ギュッ
榛名「こ、こんにちわ」
夕立「約束通り遊びに来たっぽい!」
榛名「は、はい。ありがとうございま……す?」
提督「何で最後が疑問形なんだよ」スタスタ
897: ◆ATK1PCranA 2014/12/13(土) 20:53:05.17 ID:un33q1On0
夕立「あ、提督さん!こんにちわっぽい!」
提督「おう、こんにちわ」
榛名「それで、今日はどうします?来て頂いたのに外出というのもどうかと思いますし、室内で遊びます?」
提督「それがいいんじゃないか?なんせこの鎮守府、遊ぶための施設ならいくらでもあるからな」
榛名「……ここって本当に鎮守府なんですよね?」
提督「……気にしたら負けってことだろ、たぶん」
夕立「私、久しぶりにボーリングとかやってみたいっぽい!」
提督「じゃあ遊戯室に行くか」
榛名・夕立「「おー!」」
899: ◆ATK1PCranA 2014/12/13(土) 20:56:50.00 ID:un33q1On0
夕立「提督さん、美味しいっぽい!」モグモグ
榛名「提督は無限に回復するから食べ放題ですね!」モグモグ
こうですかわかりません
900: ◆ATK1PCranA 2014/12/13(土) 21:08:17.29 ID:un33q1On0
~遊戯室~
提督「いやあ楽しかったなあボーリング!」
榛名「ええそうですね!とても楽しい白熱した勝負でしたね!」
夕立「あれ?遊んだ記憶が……」
提督「何言ってるんだ夕立!俺達は今の今まで楽しくボーリングをしていたじゃないか!」
夕立「でも何だか一気に時間が飛んだような……」
榛名「気のせいです気のせいです!ほら見てください!もう十二時です!夕立さんが来たのは十時前!」
夕立「うーん……ま、気にしても仕方ないっぽい!それより私はお腹がすいてきたっぽい!」
榛名「提督でも食べます?」
提督「ごめんお前が何言ってるかちょっとわからない」
夕立「今はお肉の気分じゃないから遠慮するっぽい!パン食べたい!」
提督「肉の気分だったら食う気だったのか」
榛名「じゃあ普通に食堂に行きましょうか」
901: ◆ATK1PCranA 2014/12/13(土) 21:14:43.23 ID:un33q1On0
~食堂~
熊野「あら提督?お昼ですの?」
提督「お、今日の食事当番は熊野か。ラッキーだぞ夕立。熊野の嫁力は魔人ブウ編におけるベジータの戦闘力に匹敵する」
夕立「それはすごいっぽい!もしかして提督さんのお嫁さんっぽい?」
熊野「お、お嫁っ!?ち、違いますわよ!?」///
提督「はっはっはそうだぞ夕立。俺が熊野みたいな可愛い女子と結婚できる、わけが、ない、じゃないか……」ズーン
榛名「自分で言って落ち込むのやめてください面倒くさいんで」
熊野「か、可愛っ!て、提督ったらもう……」///
夕立「なんとなくだけど、この鎮守府における艦娘と提督さんの関係がわかったっぽい」
902: ◆ATK1PCranA 2014/12/13(土) 21:25:37.38 ID:un33q1On0
夕立「とりあえずもう何でもいいから食べたいっぽい!このままだと提督さんの骨がなくなるっぽい!」
提督「それが肉を食った後に骨も食うって意味なのか骨だけ食うって意味なのかによって対応が……不思議と変わらない。何故だ」
榛名「どちらにしても食べられるからじゃないですか?」
夕立「そこの提督さんにべた惚れのお嬢様っぽい重巡さん!今日のお昼ご飯はなあに?」
熊野「熊野特製サンドイッチですわ。あと提督にべた惚れなんかじゃありませんから」
夕立「提督さんと熊野はお似合いっぽい!」
熊野「べた惚れなんかじゃないのでそんな言葉では喜びませんから」ニヘラ
夕立(すっごいわかりやすいっぽい……こんなにわかりやすいのは百年前に別の鎮守府にいた響くらいのものっぽい)
903: ◆ATK1PCranA 2014/12/13(土) 21:31:46.04 ID:un33q1On0
~昼食後~
夕立「熊野のサンドイッチ美味しかった!」
榛名「おお、夕立さんが『っぽい』とつけなかったってことは、これは本気でもの凄く美味しかったってことですよ」
提督「俺達は今歴史的瞬間に立ち会っているな」
夕立「二人ともアホなこと言ってないで早く次になにするか決めるっぽい!」
榛名「と言いましても……夕立さんは何かしたいものあります?」
夕立「いたストスペシャル」
提督「今PS2ねえんだよなあ……」
榛名「他には?」
夕立「バスケしたいっぽい!」
提督「バスケコートへレッツゴー」
榛名「何でバスケコートなんてあるんですかこの鎮守府……」
提督「半年くらい遅い発言だな」
榛名「ぶっちゃけ広すぎて未だに全体を把握できてません」
提督「俺もだ」
904: ◆ATK1PCranA 2014/12/13(土) 21:38:01.49 ID:un33q1On0
~バスケコート~
雷「あれ?提督じゃない。どうしたの?」
提督「お前らこそ何やってんの?」
漣「見ればわかる通りバスケです」
文月「すくーぷしゅーと~!」
電「全然出来てないのです……」
雪風「雪風はダブルクラッチに挑戦です!」
榛名「それは流石に無理じゃないですか……?」
夕立「ふむ……そうだ!じゃあ今から試合をするっぽい!」
雷「試合?」
夕立「そっちはその5人、こっちは提督さんと榛名と私の3人っぽい!」
漣「へえ、5対3ですか……いいんですか?」
夕立「これくらいハンデないと面白くないっぽい!」
漣「……潰す」ゴゴゴ
雷「岩川ロウキューぶの力見せてあげるわ」ゴゴゴ
905: ◆ATK1PCranA 2014/12/13(土) 21:42:23.61 ID:un33q1On0
~試合後~
漣「……」チーン
雷「負けた……わ」ガフッ
電「お姉ちゃん!?」ガビーン
文月「だいじょうぶだよ電ちゃん。これはかまってちゃんのおーばーりあくしょんだから」
雷「ぐはっ!」チーン
電「お姉ちゃーん!?」
雪風「悪意のない罵倒って怖いです……」
906: ◆ATK1PCranA 2014/12/13(土) 21:46:52.61 ID:un33q1On0
夕立「意外と粘られたっぽい!」
提督「お前一人でほぼ圧勝だったけどな」
榛名「……」チーン
提督「そしてその動きに無理に付き合った榛名も燃え尽きたか」
夕立「ねえねえ!次は何するっぽい!?」
提督「そうだなあ……榛名は身体を使った遊びがいいって――――」
榛名「何言おうとしてくれてんですか!?」ガバッ
提督「あ、起きた」
夕立「って、いけない!もうこんな時間っぽい!」
提督「ん?何?何か用事でもあんの?」
夕立「ログホラが始まるっぽい!」
提督「迅速に動け。人間に不可能はない」ダッ
榛名「速さが足りません速さが」ダッ
夕立「急がなきゃっぽい!」ダッ
907: ◆ATK1PCranA 2014/12/13(土) 21:55:12.04 ID:un33q1On0
~視聴後~
提督「やはりレイドはいいな……」
榛名「デミグラスさんの株も上がりましたね……」
夕立「艦娘じゃなくて付与術師になりたかったぽい……」
提督「お前はむしろ暗殺者」
榛名「じゃあ提督が付与術師ですね」
夕立「榛名は神祇官っぽい」
908: ◆ATK1PCranA 2014/12/13(土) 21:58:58.95 ID:un33q1On0
提督「で、どうする?夕飯食ってく?」
夕立「そうするっぽい。今から住処に戻っても何も獲れないし」
榛名「……あの」
夕立「ん?なあに?」
榛名「やっぱり、この鎮守府に来てもらうわけにはいかないんでしょうか」
提督「っ!?」
提督(このタイミングでいくか……!)
夕立「その言葉に対する返事は前に会った時にしたっぽい」
榛名「時間が過ぎれば人の考えは変わります」
夕立「そうかもしれない。でも、私の返答は変わらないっぽい」
榛名「どうしても、ダメなんですか?ここならいつでもすぐに遊べる、テレビも一緒に見れる、ご飯も一緒に食べられます」
夕立「そういうことじゃ、ないっぽい」
909: ◆ATK1PCranA 2014/12/13(土) 22:07:15.56 ID:un33q1On0
榛名「……ここが、あなたの鎮守府ではないからですか」
夕立「そう。私にとっての『私の鎮守府』は、あの提督さんがいて、他の子たちがいたあの場所でしかあり得ない」
榛名「……なら、新しく作り直せばいいじゃないですか。ここがあなたの鎮守府だって言えるような、そんな風にしていけば――――」
夕立「それは認められないっぽい」
榛名「どうして!」
夕立「私が、あの頃のことを忘れたくないから」ニコッ
榛名「――――っ!」
夕立「確かにこの鎮守府で新しい居場所を作るのも悪くないっぽい。でも、それをすればきっと、私はあの頃のことを『思い出』にして、いつか忘れてしまうっぽい」
夕立「私の心は、想いは、『楽しい時』を『楽しかった時』にしても忘れないほど、強くはないっぽい」
榛名「夕立、さん」
夕立「だからやっぱりここに住むのは無理――――」
提督「別にいいじゃねえか。忘れちまっても」
910: ◆ATK1PCranA 2014/12/13(土) 22:13:54.70 ID:un33q1On0
夕立「!」
提督「忘れたくない時間を忘れないために。立派な理由だ。人によっては過去にしがみつくなとか、後ろを向き続けても仕方がないとか言うかもしれないが、少なくとも俺はその心を立派だと思う」
夕立「なら!」
提督「でもな、それでもやっぱり今回のお前は間違ってるよ。楽しい時間を過ごしたら、楽しかった時間を忘れてしまう?しかもその理由がお前の心が強くないからだと?」
夕立「……」
提督「ふざけんな。俺の大切な部下たちを助けてくれたお前が、強くないわけないだろうが」
夕立「提督さん……」
提督「それでも忘れてしまうとしたら、それは忘れるべき記憶で、忘れたい記憶なんだよ」
提督「だから、忘れることを怖がって前に進むのをやめるんじゃねえ」
夕立「提督、さん……」ポロポロ
提督「後ろ向きで過去を見つめたまま、バックで歩いて前へ進めよ夕立」
夕立「でも、でも!」
提督「それでもまだ文句があるって言うなら……そうだな」
提督「忘れちまう記憶と引き換えてもお釣りがくるくらい、楽しい時間を過ごせばいいんじゃね?」
911: ◆ATK1PCranA 2014/12/13(土) 22:18:53.17 ID:un33q1On0
提督「それくらいなら俺でも手伝ってやれるだろうしな?」ニコッ
夕立「……!」キュン
榛名「もちろん、榛名もお手伝いしますよ?なんてったって夕立さんは命の恩人ですからね?」
夕立「……あはは」
夕立「ここまで徹底的に逃げ道を塞がれたら、もう進むしかないっぽい」
榛名「じゃあ!」
夕立「うん。私はこれから、この岩川鎮守府に所属するっぽい」
榛名「夕立さん!」ギュッ
夕立「わにゃっ……榛名!嬉しいけど、息が、息が……」ジタバタ
提督「百合百合しいなお前ら」
夕立「じょ、冗談言ってないで助けて欲しいっぽい!」
提督「それも『楽しい時間』の一つだろ?よかったな、記憶の風化がまた一歩進んだぞ?」
夕立「それ全然よくないっぽい!」
912: ◆ATK1PCranA 2014/12/13(土) 22:24:38.04 ID:un33q1On0
提督「はははそうか。悪い悪い」
夕立「も~!後で覚えてるっぽい!」
提督「いや待て何する気だお前!」
夕立「意地悪な人に対するお仕置き!」
提督「それたぶん死刑だ!」
ギャーギャーワーワー
夕立(ふふふっ♪ここのみんなが何で提督さんに惚れてるのか、わかっちゃったっぽい)
夕立「……でも、私は誰にも譲る気はないっぽい?」
夕立(だって――――)
夕立(私は、過去も現在も楽しもうとしてる我儘な子っぽい!)
夕立「提督さん!少しでいいから齧らせるっぽい!」
提督「させるか!って、速っ!ちっ、目で追えなっ!」ワタワタ
夕立「隙あり!」
提督「のわあああああああああ!!!!!!!!!!!」チュッ
提督「え?」
夕立「ふっふっふ……ほっぺにキス、しちゃったっぽい」///
提督「……」プスプス
榛名「あ、これは無言でショートしてますね。オーバーヒートでしょうか」
922: ◆ATK1PCranA 2014/12/16(火) 22:41:12.90 ID:GAQD/SA70
~ある日の鎮守府~
提督「……そうだ京都行こう」トオイメ
榛名「いきなり何を言い出してるんですか」
提督「だって仕事が終わらねえんだもん。どう考えても無理だってこの量。何?死ねと?」
榛名「自分で取ってきた仕事のくせに何ナメたこと言ってるんですか。ぶっ飛ばしますよ?」
提督「いや、まさか那珂の出演するアニメの打ち合わせが今日になるとは思いもしなくてさ」ハハハ
榛名「なんてタイトルでしたっけ?」
提督「確か……艦隊、なんちゃら?だった気がする。一月からだってさ」
榛名「一月から始まるアニメの打ち合わせを今日やるとかアウトですよね?」
提督「気にすんな」
923: ◆ATK1PCranA 2014/12/16(火) 22:44:24.64 ID:GAQD/SA70
提督「というわけで仕事が終わらないので手伝ってくれたまえ羽黒くん」
羽黒「え?え?」オドオド
榛名「急に席を立ったと思ったら何やってるんですか提督」
提督「応援を呼んできた」
羽黒「お、応援すればいいんですか?ふ、フレー!フレー!し・れ・い・か・ん・さん!」
提督「……羽黒。可愛いけどそっちの応援じゃないから。仕事を手伝ってくれって意味だよ」
羽黒「あ、そ、そっちの方でしたか……すみません」シュン
924: ◆ATK1PCranA 2014/12/16(火) 22:48:18.44 ID:GAQD/SA70
~仕事中~
提督「……」カキカキ
羽黒「……」カキカキ
榛名「……」カキカキ
榛名(し、静かすぎる……)ズーン
榛名(静かすぎて怖いくらいなんですけどこの部屋。普通、提督が艦娘と仕事したらキャッキャウフフなイベントが起きるはずなのに、今回はその兆しさえないんですけど)
榛名(こ、ここは榛名の軽いトークで場をなごませて、なんとかフラグを建てなければ――――!)
925: ◆ATK1PCranA 2014/12/16(火) 22:54:38.72 ID:GAQD/SA70
榛名「そ、そういえば提督。今日のお夕飯は何でしょうね!?」
提督「……」カキカキ
榛名(無・反・応!ですがこれはまだ予想の範囲内。提督がダメなら、羽黒さんに振るだけ――――!)
榛名「は、羽黒さんは何だと思います!?」
羽黒「……」
榛名(知ってました……どうせこんなことだろうと分かってましたよ……)ズーン
榛名(はあ、諦めて仕事しよ……)カキカキ
提督「……」カキカキ
羽黒「……」カキカキ
榛名「……」カキカキ
提督(さっき榛名が何か言ってたが……結局なんだったんだ?)カキカキ
羽黒(さ、さっきは反応してあげられなくて悪いことしちゃったな……次は頑張ろう)カキカキ
926: ◆ATK1PCranA 2014/12/16(火) 23:03:24.29 ID:GAQD/SA70
~仕事終了~
提督「……よし、これで終了」
榛名「やっと終わりましたか……」
羽黒「お、お疲れ様でした……」
提督「おう、お疲れ。悪いな二人とも。夜中まで付き合せちゃって」
榛名「いえ、榛名は秘書艦なので業務内ですから」
羽黒「わ、私も司令官さんのお役にたてたのならそれで……」
提督「そうか。じゃ、お礼に渡そうと思っていたこの二枚の間宮アイス無料券は無しの方向で」
榛名「業務内とはいえ、残業代くらいは欲しいですね」
羽黒「あ、アイス……」
提督「冗談だよ冗談。ほら、他の奴らには内緒だぞ?」
榛名「当然の権利ですからお礼は言いません」プイッ
羽黒「あ、ありがとうございます」ペコリ
933: ◆ATK1PCranA 2014/12/19(金) 21:32:03.99 ID:yHOz4dB40
~ある日の鎮守府~
提督「は?武蔵が風邪引いた?」キョトン
榛名「ええ。熱も結構あるようで、今日は休ませるべきかと」
提督「そうか、あの武蔵が……って、よく考えたらあいついつも上半身ほぼサラシだけだしな」
榛名「提督、折角ですしお見舞いに行ってみてはどうですか?どうせ暇ですし」
提督「それもそうだな。よし、行くか!」
榛名「いってらっしゃいませー」
提督「え?お前は来ないの?」
榛名「はい。ちょっと横須賀に呼ばれまして。泊まりで出かけてきます」
提督「その話初耳なんだけど」
榛名「今初めて言いましたからね」
提督「休暇申請は?」
榛名「休暇取らなくても仕事無くて暇ですし」
934: ◆ATK1PCranA 2014/12/19(金) 21:40:49.27 ID:yHOz4dB40
提督「……はあ。分かった、行ってこい。最低でも明後日までには帰ってこいよ?」
榛名「はい。提督こそ、私がいない間は気を付けてくださいね。最近、色々妙な噂が流れてますので」
提督「通り魔事件だったか?でも、あれって実害は無いんだろ?」
榛名「確かに今までの被害者は全員何もされなかったようですが、提督が襲われた時もそうとは限りません」
提督「了解。肝に銘じておくよ」
榛名「それと、艦娘に●●●●なことして憲兵さんにご迷惑を掛けないように」
提督「誰がするか」
榛名「プラトニックな行為なら何も言いませんから」
提督「だからしないって」
榛名「それでは行ってきます」
提督「いってらー」
935: ◆ATK1PCranA 2014/12/19(金) 22:02:17.28 ID:yHOz4dB40
提督「さて、そんじゃ俺も武蔵の部屋に行きますか」
不知火「それでは不知火も」ニュッ
鈴谷「じゃ、私も」ニュッ
提督「お前らどっから出てきた」
不知火「司令あるところに不知火ありです」
鈴谷「榛名に頼まれたんだよ。『榛名がいない間、提督のことをよろしくお願いします』って」
提督「……あのバカ。余計な心配だっつーの」クスッ
936: ◆ATK1PCranA 2014/12/19(金) 22:13:42.59 ID:yHOz4dB40
~武蔵の部屋~
コンコン
提督「入るぞー」ガチャッ
不知火「失礼します」
鈴谷「やっほー」
武蔵「……」スゥスゥ
提督「……寝てるな」
不知火「……寝てますね」
鈴谷「……寝てるね」
提督「……俺、おかゆ作ってくるから。不知火は濡れタオル、鈴谷は身体拭いてやれ」
不知火「……了解」ビシッ
鈴谷「……ラジャー」ビシッ
939: ◆ATK1PCranA 2014/12/20(土) 19:30:35.94 ID:1UR220n20
~数十分後~
武蔵「んん……」ガバッ
提督「起きたか。おはよう、武蔵」
武蔵「……」ポケー
不知火「寝ぼけているようですね」
武蔵「……」キョロキョロ
鈴谷「はい、メガネ」サッ
武蔵「……」スチャッ
武蔵「……ッ!?」
武蔵「な、何でお前たちがここにいるんだ!?」
提督「看病に」
不知火「同上」
鈴谷「右に同じ」
940: ◆ATK1PCranA 2014/12/20(土) 19:36:05.16 ID:1UR220n20
提督「つーか熱あんだろ?安静にしろよ」
武蔵「あ、安静にしてなどいられるか!へ、変な寝癖とかついてないよな!?」
提督「大丈夫だよ……たぶん」
武蔵「今たぶんって言ったよな!?言ったな!?」
提督「どうどうどう、落ち着け武蔵。クールにクールに」
武蔵「む、むう……」
不知火「体調は大丈夫なのですか?」
武蔵「うむ、寝る前に比べれば大分良くなった」
鈴谷「お腹減ってない?」
武蔵「減っている」グウー
提督「じゃ、おかゆ持ってくるな」
武蔵「提督が作ったのか?」
提督「ああ。嫌だったか?」
武蔵「そ、そんなことはない」///
941: ◆ATK1PCranA 2014/12/20(土) 19:47:20.74 ID:1UR220n20
提督「ほい、卵粥」
武蔵「か、感謝する」///
鈴谷「いいなー。鈴谷も提督の手作りご飯食べたい」
不知火「し、不知火は別に司令の手作りの料理が特別食べたいわけではありませんがお腹が減りました」
提督「……何か作ってこいと?」
鈴谷・不知火「……」グッ
提督「……」スタスタ
942: ◆ATK1PCranA 2014/12/20(土) 19:55:17.57 ID:1UR220n20
~~~~~
鈴谷「卵粥美味っ!」モグモグ
不知火「おいひいへふ」モグモグ
提督「それは良かった」
武蔵「て、提督」
提督「ん?何だ?」
武蔵「……おかわり」サッ
提督「……」スタスタ
~食べ終わったよ~
不知火「ご馳走様でした」
鈴谷「ごっさま!」
提督「てゆーか武蔵の看病しに来たんじゃねえのお前ら。何で飯食ってのんびりしてんだよ」
武蔵「いや、食事は大勢で取った方が楽しいからな。充分元気になったよ」
提督「まあ、お前がそう言うならいいが」
鈴谷「デザート無い?」
不知火「ケーキでいいです」
提督「やっぱお前ら出てけ」
943: ◆ATK1PCranA 2014/12/20(土) 20:08:07.59 ID:1UR220n20
PiPiPi
鈴谷「ん?誰からだろ」ピッ
熊野『すずやああああああああああ!!!!!!!!!』
鈴谷「うわっ!うるさっ!」
熊野『「うるさっ!」じゃありませんわよ!あなた私に掃除を押し付けてどこほっつき歩いてるんですの!?』
鈴谷「あ、忘れてた」
熊野『いいからさっさと戻ってきなさい!大晦日にゆっくりしたいから早めに掃除しよう、って言い出したのはあなたでしょう!?』
鈴谷「わかった!わかったからそんなに怒らないでよ!」ブチッ
鈴谷「……というわけで私はもう戻るね」
提督「……お前もうちょっと熊野を労わってやれよ」
鈴谷「努力はしてるよ~」スタスタ
944: ◆ATK1PCranA 2014/12/20(土) 20:18:43.56 ID:1UR220n20
PiPiPi
不知火「今度は不知火ですか」ピッ
雷『あ、不知火?今から駆逐艦全員でケーキバイキング行くんだけど行く?』
不知火「ケーキバイキングですか……」
雷『うん、って、ちょっ、電やめなさい!』
電『費用は経費で落とせるのでタダなのです!』
提督「おい待て」
雷『……ふう、ようやく取り返せた。それで、どうする?』
不知火「行きます」
提督「経費では落とさせないからな!?」
不知火「経費では落とせないので、司令のポケットマネーから出してくれるそうです」
提督「何言ってるんだ!?」
雷『え?本当?でも、それはちょっと悪いような……』
電『司令官さんの使い道のないムダ金でパーティなのです!』
提督「これだからぷらずまは!」
雷『だから携帯奪うのやめなさい!……ごめんね不知火。それじゃ、今から玄関に集合で』
不知火「わかりました」
提督「……」プイッ
不知火「……司令」
提督「わかったよ!金だろ!?カード持ってけ!」
不知火「ありがとうございます」スタスタ
945: ◆ATK1PCranA 2014/12/20(土) 20:40:12.69 ID:1UR220n20
提督「……ったく、騒がしい奴らだぜ。大丈夫か?武蔵」
武蔵「ああ、大丈夫だ……ふふっ」
提督「どうした?」
武蔵「いや、上官である貴様が部下である艦娘たちに振り回されているのが少し、面白くてな」ククッ
提督「いいんだよ、俺とお前らは『仲間』なんだから」
武蔵「そうか、仲間か」
提督「ああ。頼りたいときは限度を考えて頼ればいいし、振り回したいときは加減して振り回せばいい」
武蔵「無制限に、ではないのだな」ククッ
提督「俺にだって限界はあるからな」
946: ◆ATK1PCranA 2014/12/20(土) 20:49:36.54 ID:1UR220n20
武蔵「それじゃ、限度を考えた上での頼みがあるのだが」
提督「何だ?」
武蔵「着替えるのを、手伝ってくれないか?」
提督「無理です捕まるんで憲兵さんに」
武蔵「まあそう言うな。私は通報したりしない」
提督「監視カメラとパパラッチ」
武蔵「青葉は出掛けているんじゃなかったか?」
提督「そういやそうだった」
武蔵「起きたのにいつまでも寝巻のままというのもどうかと思ってな。頼む」
提督「……はあ。わかった、やる」
武蔵「感謝する」フッ
947: ◆ATK1PCranA 2014/12/20(土) 20:53:43.49 ID:1UR220n20
提督「じゃ、やるぞ」メカクシ
武蔵「うむ、頼んだ。私もせめて座り続けることは努力しよう」
提督「座り続けるのにも努力が必要とか、体調良くなったっての絶対ウソだろ」シュッ
武蔵「寝る前に比べれば、と言っただろう」
提督「元はどんだけ酷かったんだよ……」サッ
948: ◆ATK1PCranA 2014/12/20(土) 20:56:34.70 ID:1UR220n20
提督「流石に下着は自分でやれよ?」
武蔵「下着?」
提督「……え?」
武蔵「?」
提督「お前もしかして、着けてないの?」
武蔵「上はな」
提督「え?マジで?」
武蔵「サラシを着けていたんだから見ればわかるだろう」
提督「それはそうだけど。下は?」
武蔵「そっちは履いてる」ドヤッ
提督「ドヤ顔で言うことじゃねえよ」
949: ◆ATK1PCranA 2014/12/20(土) 21:02:39.02 ID:1UR220n20
提督「それじゃ、とりあえずもっかい寝ろ」
武蔵「わざわざ着替えたのにか?」
提督「どう考えても起きていていい体調じゃないからな。上官命令だ、寝ろ」
武蔵「了解したよ、提督」フッ
提督「ならばよし」
武蔵「……」
提督「……」
武蔵「……」
提督「……」
武蔵「……すぅすぅ」
提督「寝たか。そんじゃ今のうちに色々と――――」ギュッ
提督「ん?袖に何か……」
武蔵「……」ギュッ
提督「……ったく」
950: ◆ATK1PCranA 2014/12/20(土) 21:13:17.88 ID:1UR220n20
~数時間後~
武蔵「ん、んう……」ガバッ
武蔵「……」キョロキョロ
武蔵「……っ!?」
提督「……」スゥスゥ
武蔵「そう、か。ずっと傍にいてくれたんだな」
提督「……」スゥスゥ
武蔵「……今日はありがとう。相棒」コツン
提督「……」スゥスゥ
958: ◆ATK1PCranA 2014/12/22(月) 20:20:45.06 ID:TJpu3lxc0
~ある日の鎮守府~
コンコン
鈴谷「しっつれいしまーす!」ガチャッ
榛名「おや鈴谷さん。どうしたんですか?」
鈴谷「んー、ちょっと提督に用事があって来たんだけど……」
鈴谷「……何あれ?」
提督「緋弾のアリアAAアニメ化ご決定おめでとうございます!」バンザーイ
榛名「……昨日の夜にニュース記事見つけてから頭がバグってるようなんです。直します?」
鈴谷「お願い」
榛名「あいあいさー」スタスタ
榛名「せいやっ!」バシッ
提督「ぐはっ!」
提督「はっ!俺は今までいったい何を!?」
榛名「直りました」
鈴谷「ぐっじょぶ!」グッ
959: ◆ATK1PCranA 2014/12/22(月) 20:24:55.21 ID:TJpu3lxc0
提督「あれ?鈴谷?何しに来たんだ?」
鈴谷「今日のお風呂掃除の当番、提督と鈴谷なんだよ」
提督「……ああ~」ポンッ
鈴谷「とゆーわけで連行」グイッ
提督「俺まだ仕事残ってんですけど」
鈴谷「徹夜ガンバ!」スタスタ
提督「ですよねー」ズルズル
榛名「いってらっしゃいませー」
960: ◆ATK1PCranA 2014/12/22(月) 20:30:23.00 ID:TJpu3lxc0
~大浴場~
提督「じゃ、やりますか」
鈴谷「はい、ブラシ」
提督「あざーっす」
鈴谷「……」ゴシゴシ
提督「……」ゴシゴシ
鈴谷「……」ゴシゴシ
提督「……」ゴシゴシ
鈴谷(あ、あれ?よく考えたら提督と二人きりになったのって、告白の返事が返ってきたとき以来じゃ――――)
提督「どうした鈴谷。手が止まってるぞ?」
鈴谷「ふぁ、ふぁにゃっ!?」ビクン
963: ◆ATK1PCranA 2014/12/22(月) 20:37:11.51 ID:TJpu3lxc0
提督「そんなビックリするか……地味に傷つくぞ」
鈴谷「提督がいきなり声掛けるからじゃん!誰だってビックリするよ!」
提督「それもそう……か?」
鈴谷「そうなの!」
~~~~~
鈴谷「まったくもう、提督のバカ……」カタン
鈴谷「カタン?」ズルッ
鈴谷「わにゃっ!?」ビターン
提督「鈴谷!?大丈夫か!?」タタッ
鈴谷「うう、いったあ……って、なんかヌメヌメするぅ!」
提督「シャンプー倒しちゃったみたいだな。まったく、鈴谷は本当に馬鹿だなあ」
鈴谷「馬鹿言うな!」
提督「ほれ、手を貸してやるから立ち上がれよ」サッ
鈴谷「……」ギュッ
提督「それじゃ引っ張るぞ――――」
鈴谷「てやっ!」グイッ
提督「のわ!?」ビターン
964: ◆ATK1PCranA 2014/12/22(月) 20:55:38.30 ID:TJpu3lxc0
提督「何すんだアホ!」
鈴谷「人のこと馬鹿とか言った罰だよ!」
鈴谷「それっ!ヌメヌメ攻撃!」ヌメヌメ
提督「や、やめろっ!マジで気持ち悪い!」
鈴谷「それそれ~」
提督「やめろっつってんだろが!こうなったら……うらあ!」ヌメヌメ
鈴谷「うわ!気持ち悪っ!」
提督「『一発やられたら百発やり返せ』。俺の知り合いに教わった言葉だ」
鈴谷「その人最低だね!?」
965: ◆ATK1PCranA 2014/12/22(月) 21:06:08.89 ID:TJpu3lxc0
提督「ふははは。我がヌメヌメ攻撃の前にひれ伏すがいい……!」ヌメヌメー
鈴谷「負ける!わけには!いかないんだから!」ヌメヌメー
二人「「あははははははははははははははははは!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」ヌメヌメ!
???「二人とも、何やってるんですの?」ガラガラ
二人「「へ?」」クルリ
二人「「げっ!」」
熊野「お夕飯が出来たから呼びに来て差し上げましたのに、お二人はお風呂掃除中に仲良く何をやってらしたんですの?」ニッコリ
提督「ち、違うんだ熊野!元はといえば鈴谷の馬鹿が――――」
鈴谷「ちょっ!責任押し付けないでよ!提督がビックリさせるから――――」
熊野「だまらっしゃい。言い訳は見苦しいですわよ?」ニコニコ
966: ◆ATK1PCranA 2014/12/22(月) 21:15:44.33 ID:TJpu3lxc0
熊野「さて、二人とも。覚悟は出来てますわね?」カチャッ
提督「出来てないかもしれないなーって」
鈴谷「思っちゃったりもして」
熊野「……」ガシャン
熊野「――――少し反省してくださいな?」ドーンッ
~その頃食堂では~
ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
榛名「は~お茶が美味しいですね。ユニゾンの悲鳴がまたいい味出してますねぇ」ホッコリ
電「悲鳴最高なのです!」
漣「メシウマ!」
夕立「この鎮守府ある意味ブラックっぽい」
続きます。
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