リツコ「ミサト、引っ越しして頂戴」 ミサト「え、2回目?」 前編

519 : ◆nru729E2n2:2013/02/26(火) 20:01:55 ID:8h53ZHGo
招かれたマヤ

彼女はミサトの家に入り驚愕の事実を知る

それはミサトの独裁か? それとも子供たちの暴走か?

次回『ミサトさん家は非常識?』

さてさて、次回もサービスサービスゥ♪


アスカ「誰が非常識だ!?」

シンジ「誰だって言及してないんだから怒らないでよ…」


525 : ◆nru729E2n2:2013/02/27(水) 19:23:07 ID:3gvhooho
PM6:32 葛城宅

マヤ(…いろいろあって夕飯ごちそうになったわけですが…)チラ

シンジ(夕食準備中)

カヲル(風呂掃除中)

綾波・アスカ・マリ(洗濯物仕分け&たたみ中)

ミサト(テレビ見ながら晩酌準備中)

マヤ「…って! 子供たちがいろいろやってるのに、葛城さんはなにしてるんですか!!」

ミサト「何って、子供たちの監督よ?」

マヤ「………いやいやいやいやいや!」

マヤ「いくら監督するったって、お酒準備して飲む準備万端ですよ!?」

マヤ「こう言う下宿とか合宿所みたいなところの場合、お酒は子供の前で飲まないのが普通じゃないんですか!?」

アスカ「ほっときなさいよ」

マリ「ぶちょーさんのお酒への執着はすごいよ?」

綾波「止めるの無理」

マヤ(子供たちが匙投げてるぅぅぅ………)

526 : ◆nru729E2n2:2013/02/27(水) 19:24:44 ID:3gvhooho
シンジ「マヤさんの言うことはもっともですけど、僕と共同生活始めた頃からこんなですから」

シンジ「気にしない方がいいと思います」

マヤ「シ、シンジ君まで…」

シンジ「それに飲んでる最中にお酒のストック切れたら、たとえ未成年者であっても買いに行かせますし」

マヤ「じ、自分じゃ行かないんですか!」

ミサト「………そういや行かないわね、飲んでる時は」

マヤ「えぇぇぇぇ…」

ミサト「ま、いいじゃないの。本人達も気にしてないみたいだし」

マヤ(そんなことあるの…?)チラ

シンジ・綾波・アスカ・マリ「…フゥ」

マヤ(……あれは気にしてないんじゃない)

マヤ(諦めてるんだ)

527 : ◆nru729E2n2:2013/02/27(水) 19:25:29 ID:3gvhooho
マヤ「…私、葛城さんは家でもしっかりしてると思ってました」

ミサト「それは偏見よ。人間だれしもONとOFFがあるんだから」

カヲル「たしかに、葛城さんのOFFの姿を見た事無いなら」(風呂掃除終わった)

カヲル「ショック受けても仕方ないかもしれませんね」

マヤ「幻滅です」

ミサト「ウワ、アンタ潔癖症ねー」

マヤ「否定はしません」

綾波「潔癖症?」

マリ「少しの不正や穢れも許せない人のことだニャ」

アスカ「要は融通が利かないのよ。いろいろ苦労するタイプよね」

マヤ「」orz


529 : ◆nru729E2n2:2013/02/27(水) 19:26:32 ID:3gvhooho
ミサト「しっかりなさい。潔癖症って言う人間性は悪いわけではないんだから」

マヤ「葛城さん…」パァァ…

ミサト「あなたは今の真っ白なあなたを貫きなさい」

マヤ「はい!!」

ミサト「んでもって、私が汚いことをいろいろ仕込んでやるからw」

マヤ「え?」

カヲル「なるほど。清廉潔白の物が少しずつ堕ちていく様は、確かに燃えます」

マヤ「ちょ!?」

ミサト「さすが変人のカヲル君、わかってるじゃない♪」

カヲル「お褒めいただき光栄ですよ」

マヤ「今の褒める事柄ですか!?」

530 : ◆nru729E2n2:2013/02/27(水) 19:27:45 ID:3gvhooho
アスカ「あいつはいつもああだから」

マリ「あたしらは見慣れてるもんねー」

綾波「今更」

マヤ「」

シンジ(職場と家にいる時の姿のギャップに苦しんでる…)

マヤ「…シンジ君。私、人間不信になりそう…」

シンジ「い、家ではあぁですけど職場ではきっちりしてるじゃないですか」

シンジ「どちらもミサトさんの姿ですよ。悪い人じゃないことは間違いないわけですし…」

マヤ「そ、そうね。人間4つの窓(明るい窓、暗い窓、隠され窓、見えない窓)持っているって言うものね!」

マヤ「たまたま今まで見えなかった窓が見え」チラ

ミサト・カヲル「」ニタニタ(男と男がくんずほぐれつしてる表紙の本をマヤに向かって見せる)

マヤ「見たくないィィィ~~!!(涙)」

531 : ◆nru729E2n2:2013/02/27(水) 19:28:42 ID:3gvhooho
13分後

マヤ「フケツフケツフケツフケツフケツフケt」ガタガタガタガタ…

アスカ「あーあー、ミサトってばなんてことしてくれるのよ…」(洗濯物片付け終わり)

マリ「あたしらまで疑われかねないじゃん」プンプン

綾波「最低」

ミサト「やりすぎました」(土下座)

カヲル「申し訳ない。つい布教活動に熱が入ってしまった」(土下座)

シンジ(布教活動って…(汗))

アスカ「まったく…って言うかこんな本、どっから持ってきたのよ?」

カヲル「僕の秘蔵品♪ BL雑誌"やらないか?"」

マリ「うわぁ…、こう言うの初めてみた…」ペラッペラッ

カヲル「すごいだろう?」ニヤリ


綾波「碇君?」

シンジ「な、なんでもない…(頭痛くなってきた)」orz

532 : ◆nru729E2n2:2013/02/27(水) 19:29:31 ID:3gvhooho
PM7:17

ミサト「それじゃ気を取り直して、全員合掌!」

一同「いっただきま~す」

ミサト「んぐッ! ッグッ! んぐッ!! ぶっはぁぁぁあぁぁぁ!!! くぅぅぅ! うまい!!」つビール

アスカ「今日はエビフライか」サクサク

マリ「わんこ君の料理はいつもおいしい♪」モクモク

綾波「そうね」モグモグ

カヲル「愛情が詰まってるからね」

シンジ「あ、ありがとう…別に特別な感情を込めてるけじゃないけど」

マヤ「シンジ君が何でこんなに正常なのか不思議でならないわ…」ブツブツ

533 : ◆nru729E2n2:2013/02/27(水) 19:30:46 ID:3gvhooho
シンジ「マヤさん、料理はお口に合いましたか?」

マヤ「…シンジ君の料理は前に一度食べてるから、心配しなくて大丈夫」

マヤ「むしろ私ももっと料理の腕を磨かないといけないなって思ったところ」

シンジ「そうですか、よかった」ニコ

アスカ「アンタね、料理のハードル挙げてるのわかってるの?」

シンジ「そうなの? 僕はレシピ通りに作っただけなんだけど…」

アスカ「男が女よりも料理がうまいなんて普通あり得な」
マリ「…隙あり!!」(アスカの皿のエビフライを取りにかかる)

パシッ!!(アスカ:箸できっちりガード)

アスカ「…隙なし」ニヤリ

マリ「グゥ…」

ミサト「アスカも箸の使いかたうまくなったわねぇ…」グビグビ

マヤ(えぇぇぇ…? 指摘すべき点はそこじゃないんじゃ…?)

534 : ◆nru729E2n2:2013/02/27(水) 19:32:04 ID:3gvhooho
カヲル「確かに1対1なら勝ったね」ヒョイ

アスカ「あ」

カヲル「でも漁夫の利は取られる、と」パク

アスカ「あああああ! あぁたぁしぃのエェビィフゥラァイィィィィ!!」

マリ「…君も人が悪いね。漁夫の利なんて」

カヲル「隙を見せる方が悪い」

アスカ「んな泥棒側の理屈が通るかっちゅーのーーーッ!!!」


ギャーギャーギャーギャー


ミサト「また始まったわね」

綾波「ええ…」

マヤ「…またって(汗)」

535 : ◆nru729E2n2:2013/02/27(水) 19:33:09 ID:3gvhooho
シンジ「しょうがないな…」(台所へ移動)

マヤ「シンジ君?」

シンジ「追加がほしい人は本数言って。まだあるから」(冷凍庫から大きいタッパを取り出す)

(タッパいっぱいにエビフライ(揚げる前))

アスカ「だったら最初からいっぱい揚げなさいよ!!」(追加3)

マリ「残っても仕方ないからじゃない?」(追加1)

カヲル「明日は学校ないし、お弁当にも使えないからね」(追加2)

綾波「考えてるから」(追加0)

ミサト「さすがシンちゃん♪」(追加2 山椒付き)

マヤ「………」

マヤ(…慣れたというか、たくましいというか)

マヤ(…シンジ君も変わったなぁ…)

536 : ◆nru729E2n2:2013/02/27(水) 19:34:16 ID:3gvhooho
夕食後

マヤ(なんかすっごいあわただしかったなぁ…)

マヤ(一人暮らし始めて以降、飲み会以外であんな馬鹿騒ぎ見たの初めてだっけ)

マヤ(…圧倒されるなぁ)

綾波「…あの」

マヤ「?」

綾波「どうぞ」つティーカップ

マヤ「あ、ありがとう…。紅茶? これ、あなたが?」

綾波「はい」

マヤ「へぇー、しかもティーカップの絵柄はピーター・ラビットだ」

マヤ「かわいいの持ってるじゃない」

綾波「メガネの人に勧められて買いました」

537 : ◆nru729E2n2:2013/02/27(水) 19:34:58 ID:3gvhooho
マリ「紅茶と言えばUK、UKを代表する世界的キャラクターと言えばピーター・ウサギっしょ?」

綾波「だそうです」

マヤ「そっか、ありがとう」

マヤ「それにしても、なんで紅茶を?」

綾波「碇君は料理担当」

マヤ「そうね」

綾波「私は大きな仕事を持ってない」

マヤ「うん」

綾波「だから、飲み物担当をやろう、って」

538 : ◆nru729E2n2:2013/02/27(水) 19:35:50 ID:3gvhooho
マヤ「…それは、自分から?」

綾波「………はい」

マヤ「へぇ…、そっかそっか。それじゃまだ修業中なのね?」

綾波「はい」

マヤ「それじゃ、味見させてもらうわね」

綾波「はい」

マヤ「」ゴク…

綾波「」ドキドキ

マヤ「…私にはちょっと苦いかな、でも上出来♪」

綾波「」///

539 : ◆nru729E2n2:2013/02/27(水) 19:36:43 ID:3gvhooho
PM9:51

マヤ「あ、もうこんな時間なんだ。いい加減帰らなきゃ」

シンジ「送って行きましょうか?」

マヤ「ありがとう。でも大丈夫よ」

ミサト「伊吹二尉! 命令です」

マヤ「え? い、いきなりなんですか?」

ミサト「今日は泊っていきなさい」

マヤ「ええぇぇ!? で、でも」

ミサト「祭りは最後まで楽しみなさい!」

マヤ「祭りって…」

ミサト「一人暮しなんだし、どうせ家に帰っても誰もいないんでしょ?」

ミサト「時間も時間でいろいろトラブルあったらまずいし、ね」

マヤ「しかし…」

540 : ◆nru729E2n2:2013/02/27(水) 19:39:00 ID:3gvhooho
アスカ「泊めるったって、どこに?」

ミサト「言い出したのは私だから私の部屋に」

アスカ「そう」ガシ(ミサトの右腕を拘束)

マリ「んじゃ部屋の掃除しなきゃね」ガシ(同じく左腕を拘束)

ミサト「あ」

アスカ「ったく、今日は仕事が多いわ…」ズルズル

マリ「この人の部屋掃除するのって毎回大変だもんニャぁぁぁ…」ズルズル

ミサト「アーレー(棒)」ズルズルズルズル

マヤ「え、えーと…」

シンジ「…予備の布団の用意をしよ」

綾波「…予備のパジャマ」

マヤ(言われるまでもなく動いてる…)

カヲル「30分程お待ちください、寝床の準備できると思いますので」

マヤ「そ、そう…」

541 : ◆nru729E2n2:2013/02/27(水) 19:40:28 ID:3gvhooho
PM11:43 ミサトの部屋

マヤ「な、なんか流れ流されこんな状況に…」

ミサト「いいのいいの、気にしない気にしない」カタカタ(PCのキーボード)

マヤ「ですが…、って、何をされてるんですか?」

ミサト「パイロット達の様子についての報告書」カタカタ

マヤ「こんな時間からですか!?」

ミサト「そんな長々とやらないわよ。よし、終わりっと」

ピンポーン (メール送信)

マヤ「は、速い…」

ミサト「こういうのって、一回でも出し忘れると後々めんどくさくなるからね…」

ミサト「日々やってかないと」

マヤ「そ、そうですか…」

ミサト「リツコが言っている"奇跡を待つより、地道な努力"ってやつよ」

ミサト「努力なんて程の事でもないけど、ね」

マヤ「………」

542 : ◆nru729E2n2:2013/02/27(水) 19:41:36 ID:3gvhooho
ミサト「? どしたの?」

マヤ「い、いえ何と言うか、さっきと態度が違って真剣だったので」

ミサト「そう?」

マヤ「なんか、いろいろ顔使い分けてずるいです」

ミサト「…ま、これも受け売りなんだけど"大人はずるいくらいが丁度良い"のよ」

マヤ「そういう物ですか…」

ミサト「そういう物よ。でさ、どうだった?」

マヤ「? 何がですか?」

ミサト「うちの子供達と一緒にいて、どうだった?」

マヤ「どうって言われても…」

ミサト「別に取って食おうなんて思ってないから、何言っても大丈夫だってw」

マヤ「………」

543 : ◆nru729E2n2:2013/02/27(水) 19:43:18 ID:3gvhooho
マヤ「…私は、今一人暮らしなので」

マヤ「家に帰っても誰もいません」

ミサト「うん」

マヤ「だから、家に帰って」

マヤ「今日みたいにみんなで集まって食事したりバカやったりって言うのは」

マヤ「とっても久しぶりでした」

ミサト「そう」

マヤ「…だから、楽しかったです。…ちょっと幻滅したところもありますけど」

ミサト「完璧なことなんてないのよ? "ちょっと"幻滅する程度ならそんなの数えるうちに入らないわ」

マヤ「…そうですね」クス

ミサト「こっちもお客さまには満足してただけたようで、良かった」

マヤ「はい!」

ミサト「また来週から、色々とよろしくね♪」

マヤ「はい! こちらこそ!!」

544 : ◆nru729E2n2:2013/02/27(水) 19:45:18 ID:3gvhooho
マヤ「次回お邪魔するときは先輩も連れて来ないと」

ミサト「リツコ来るかしらねぇ… あいつなんだかんだでNERVに籠りっきりだし…」

マヤ「その時は私も協力しますから」

ミサト「腹心に裏切られるとは…」

マヤ「かどわかしたのは誰ですか!?」


ミサトの部屋 ドアの廊下側


キャッキャ

アスカ「…とりあえず問題ないみたいね」

マリ「問題を起こすコンビでもないっしょ? 変な化学反応起こすようなタイプじゃないし」

綾波「二人とも大人」

カヲル「いろいろやりすぎたかと心配したけど」

シンジ「取り越し苦労でよかったね」


560 : ◆nru729E2n2:2013/03/07(木) 20:48:32 ID:mhJhq9vs
夕方 スーパー(帰宅時に夕食の材料買い出し)

アスカ「ねぇバカシンジ」

シンジ「…こう言う人の多いところでその呼び方はやめてほしんだけど…、何?」

アスカ「この国旗みたいな三色の"これ"はなに?」

シンジ「?」

アスカ「これよこれ!」

シンジ「ああ、菱餅のことか」

アスカ「菱餅?」

シンジ「雛祭りの時に食べる和菓子だよ」

アスカ「へー、これ食べれるんだ」

561 : ◆nru729E2n2:2013/03/07(木) 20:49:20 ID:mhJhq9vs
アスカ「んで、その"雛祭り"って言うのはなによ?」

シンジ「3月3日に女の子の成長を願ってやる行事なんだ」

シンジ「ちなみに男の子は5月5日だね」

アスカ「男のことなんてどーだっていいわ」

シンジ「…そうだね」

シンジ(…なんか、嫌な予感がする…)

アスカ「ドイツにはそんな行事ないけど?」

シンジ「日本独自の文化なのかな?」

シンジ「中国とかでそういう年中行事をやるって話も聞かないし」

アスカ「そーいう知識は中途半端なのね」イラ

シンジ「僕男だからあんまり知らないよ…」

562 : ◆nru729E2n2:2013/03/07(木) 20:50:15 ID:mhJhq9vs
アスカ「まぁいいわ。要は、"女の子の成長を願う祭り"なのよね?」

シンジ「そ、そういうことになる…の…かな?」

アスカ「よし、んじゃ3月3日は雛祭りのお祝いよ!!」

シンジ「えぇ!? い、いきなり言われても」

アスカ「何よ! アンタあたしを祝う気ないってーの!?」

シンジ「お祝いするって言ったって、ミサトさんのところにひな人形とかあるのかな?」

アスカ「ひな人形?」

シンジ「雛祭りの時に飾る人形なんだ」

アスカ「そんなのまであるの?」

シンジ「うん。大きい奴だと7段飾りとか」

アスカ「7段…? それどれぐらいの大きさ?」

シンジ「1段当たりアスカのクローゼットの一番下の引き出しぐらいの高さ」

シンジ「それが7段あるのを想像してみて」

アスカ「…ゴージャスね」

563 : ◆nru729E2n2:2013/03/07(木) 20:50:52 ID:mhJhq9vs
シンジ「うん。そんな大きさだから当然場所も取る関係で」

シンジ「最近は持ってる人も少ないと思う」

アスカ「ふーん…」

シンジ「ま、まぁ食事の点は頑張ってみるよ。菱餅とちらし寿司と…」

アスカ「バカシンジ」

シンジ「?」

アスカ「あたしちょっと寄るところがあるから、先に帰っていいわよ」

シンジ「そ、それは構わないけど、どこに行く気?」

アスカ「男はレディーの行動を詮索するな!」

シンジ「ハイハイ…」


アスカ「」スチャ シュルシュル(スマホ取り出し⇒電話)

アスカ「あ、もしもしヒカリ?」

564 : ◆nru729E2n2:2013/03/07(木) 20:51:44 ID:mhJhq9vs
葛城宅(アスカの帰宅を待たず夕食開始)

シンジ「…と、言うことがありまして」

ミサト「雛祭りかぁ…懐かしいわねぇ…」グビグビ

マリ「UKにもそんな風習は無いにゃ。ぶちょーさんもやったことあるの?」

ミサト「んーにゃ、私はなかったわ」

ミサト「大体うちの家系はそんな古臭い習慣を守るような家系でもなかったし」

綾波「………」モグモグ

カヲル「ま、男の僕には全く関係ない話ですか」

ミサト「ただアスカがなんかこそこそやってるのは気になるわね…」

マリ「姫の事だからまた好奇心で行動開始しちゃったんじゃニャいの~?」

シンジ「かもしれないね」

綾波「碇君、2号機の人はひな人形を見たの?」

565 : ◆nru729E2n2:2013/03/07(木) 20:53:00 ID:mhJhq9vs
シンジ「え? 見てないはずだよ。スーパーにそんなの置いてなかったし…」

ミサト「今時ひな人形なんて、どこの家庭にも置いてないわよ」

ミサト「せいぜい、催し物で展示されているのを見るぐらいしか手はないはず」

ミサト「後は昔ながらの家系が持ってるとか、ね」

綾波「貴重なもの、なんですか?」

ミサト「貴重よ。なんせ、生産拠点だった関東地域はほぼ壊滅してるじゃない」

ミサト「細々と生産続けるにしても、今の世代の人間はそれどころじゃないし…」

カヲル「たしかに、日々を生きることに手一杯ですしね」

マリ「…君、もしかして姫はひな人形を探しに行ったと?」

綾波「知らないことを知る。好奇心とはそういう物」

マリ「まぁね…。私の7段飾りってやつを見てみたいわ…」

タダイマー

シンジ「あ、アスカ帰ってきた」

566 : ◆nru729E2n2:2013/03/07(木) 20:53:49 ID:mhJhq9vs
ミサト「おかえりアスカ、ちなみにどこに行ってきたの?」

アスカ「ヒカリの家。ひな人形があるかどうか見に」

カヲル「電話して持ってるか聞けばよかったのに…」

アスカ「善は急げってやつよ!」

マリ「んで、結局7段飾りは拝めたのかニャ?」

アスカ「…ヒカリのところは持ってなかったわ」

綾波「行くだけ無駄」

アスカ「うるさいわよ!!」

シンジ「まぁまぁ…」

アスカ「ヒカリは三人姉妹だから持ってると思ったのに!」

ミサト「ハイハイ、そんな人ん家の事情に文句言わないの」

567 : ◆nru729E2n2:2013/03/07(木) 20:54:38 ID:mhJhq9vs
シンジ「でも後ひな人形を持ってそうなところとなると…」チラ

アスカ「」←ドイツ育ち

マリ「」←イギリス育ち

綾波「」←NERV育ち

ミサト「」←日本育ち、だが持ってない

カヲル「」←男なので不要

シンジ「う~ん、誰か持ってるのかなぁ…」


カヲル「………なんか、上の書き方だと僕が不要みたいじゃないか?」

アスカ「今更気づいた?」

マリ「姫、オブラートに包んで!」

カヲル「」

568 : ◆nru729E2n2:2013/03/07(木) 20:55:54 ID:mhJhq9vs
シンジ「…あ、そうだ」

綾波「?」

アスカ「持ってるやつ思い出した!?」

シンジ「い、いや…」

アスカ「はっきりしなさいよ!!」ガクガク(シンジの肩を掴んで前後に揺らす)

シンジ「あ、明日学校で確認するから!」

マリ「学校?」

カヲル「委員長は持ってないんだろ?」

ミサト「あ、なるほど。新しい彼女かww」

綾波・アスカ・マリ「」ギロ

シンジ「み、ミサトさん変なこと言わないでください!!」

アスカ「じゃあ誰に確認するのよ!!」

569 : ◆nru729E2n2:2013/03/07(木) 20:57:25 ID:mhJhq9vs
翌日 学校の教室

トウジ「ひな人形? ウチあるで」

アスカ「なんで男のあんたがそんなもの持ってるのよ!!」

トウジ「ワイのやない」

綾波「…どういうこと?」

マリ「君のじゃなかったら誰のかニャ?」

トウジ「ワイの妹、鈴原サクラのや!」バーン!(胸を張る)

カヲル「鈴原君には妹いたんだ。知らなかった」

トウジ「まぁ年も離れとるさかいの」

シンジ「トウジに妹さんがいるのは僕も聞いてたから」

トウジ「それについ一月ほど前まで入院しとったし」

シンジ「その原因は僕だしね…」

570 : ◆nru729E2n2:2013/03/07(木) 20:58:49 ID:mhJhq9vs
マリ「もしかして、犬よろしくわんこ君妹さんを襲っちゃったとか?」

アスカ「…バカシンジ、アンタまさか」

綾波「碇君…」

カヲル「君もこっち側の人間だったんだね…」ニヤリ

シンジ「おねがい、僕を置いて考えを巡らせないで。お願いだから僕の話を聞いて」

ケンスケ「シンジが初めてエヴァで出撃した時、建物の倒壊に巻き込まれてけがしたんだよ」

綾波「カメラの人?」

ケンスケ「それが原因でトウジはシンジを殴ったんだけど…」

ケンスケ「ま、今のなってはご覧のとおり仲直りしたってわけ」

マリ「な~んだ、要はただ怪我しただけじゃん」

トウジ「ただ怪我しただけ言うけどな、家族からすりゃ大問題やで?」

トウジ「おとんも損害賠償がーだの、保障がーだのそん時はいろいろ言いよったし」

トウジ「娘の体や将来を心配すんのは、親として当然やろ」

571 : ◆nru729E2n2:2013/03/07(木) 21:00:13 ID:mhJhq9vs
アスカ「フン! 守ってもらっておいてなんて態度よ!」

カヲル「それは守る側の理屈だよ。そもそも巻き込まれた人間からすれば」

カヲル「"こんなところで戦うな"とか"巻き込むな"ってなるだろうし」

アスカ「あたしたちは死ぬかもしれない戦いをしてるのよ!?」

マリ「でもさ、健康な人が脚一本なくしたり、脊髄損傷して全身マヒになってたらそれ言えないよ?」

マリ「守るんだったら、可能な限り被害を少なくしないと、結局守った側のうちらが非難の対象になるんだからね」

マリ「ま、今までそういうことを言われたことって一度もないけどさ」

マリ「"命があるだけマシ"って考えは、案外危険だと思うよ?」

アスカ「むぅぅぅぅ…」

トウジ「…まぁ、幸いサクラは怪我しただけで、今はぴんぴんしとるわ」

トウジ「…シンジ、あんときは殴って悪かった。守ってくれてありがとな」

シンジ「その話はもうしないって、トウジが言ったんじゃないか」ニコ

トウジ「せやったな、スマンスマン」ニカ

572 : ◆nru729E2n2:2013/03/07(木) 21:01:30 ID:mhJhq9vs
綾波「…良い話?」

ケンスケ「良い話っつーか…まぁ、仲直りした話」

綾波「そう」

トウジ「それはそうと、ひな人形見るんやったら今日内に来いや。見せたる」

アスカ「…家汚くないわよね?」

トウジ「己は見せてもらう立場でなんつー物言いやねん!」

アスカ「このあたしが、わざわざアンタの家に行くってーのよ! きれいにしとくのは当然でしょ!」

トウジ「見せろっつーたのはお前やないか! それが人にものを頼む態度か!!」

アスカ「ジャージのくせに生意気よ!!」

トウジ「なんやとぉぅ!!」

ギャーギャーギャー

573 : ◆nru729E2n2:2013/03/07(木) 21:02:13 ID:mhJhq9vs
マリ「アーアーアー、また始まった…」

カヲル「彼女ってなんであぁもけんか腰なんだろうね?」

綾波「ツンデレだから」

マリ「いや、その一言で片づけるのはどうかと…」

シンジ「と、とにかく今日はトウジの家に行ってひな人形を見せてもらおうよ」

アスカ「…良いわ、そんだけ言うんなら相当立派なものだろうし!」

トウジ「あったりまえやないかい! 目に物見せたるわ!!」


カヲル「…はてさて、どうなる事やら…」

574 : ◆nru729E2n2:2013/03/07(木) 21:03:09 ID:mhJhq9vs
放課後 鈴原宅

サクラ「鈴原サクラです! よろしゅう!」ニカ

マリ「おー♪ お兄ちゃんとは違って教育が行き届いててるね~(笑)」ナデナデ(サクラの頭をなでる)

サクラ「えへへ♪」

トウジ「妹をほめられるンはええが、ワシがけなされとるのが何とも…」

シンジ「でもやっぱり兄妹だね、口元がそっくり」

アスカ「あんた、こんなバカ兄貴みたいに育っちゃだめよ」

サクラ「まったくです、兄ちゃんはズボラでっから」

トウジ「誰がズボラや!」

575 : ◆nru729E2n2:2013/03/07(木) 21:03:47 ID:mhJhq9vs
マリ「君いくつ?」ナデナデ

サクラ「8歳!」

アスカ「ちっこいくせにしっかりしてるわね~」ナデナデ

キャッキャッ

トウジ「コラー! ワイを置いて話を進めるなー!!」

カヲル「やれやれ」

綾波(…兄妹)

綾波(同じ両親から生まれた遺伝子的にほぼ同じ存在)

綾波(妹)

綾波(自分よりも後に生まれた自分と同じ遺伝子を持つ存在)

綾波(………)

サクラ「あの…、どうかされました?」

綾波(………かわいい)ナデナデ

576 : ◆nru729E2n2:2013/03/07(木) 21:04:37 ID:mhJhq9vs
シンジ「で、ひな人形はどこにあるの?」

トウジ「おお、せやったせやった。それが目的やった」

カヲル「かわいい妹さんの登場にみんな意識を持っていかれてしまっていたからね」

トウジ「妹はやらんぞ!!」

カヲル「元より興味がないから大丈夫」

トウジ「さ、さよか…(そういやこいつは特殊やった…)」

シンジ「あ、あはは…(とりあえず愛想笑いしとこ…)」

アスカ「んで! その肝心のひな人形はどこにあるのよ!!」

サクラ「こっちです」テクテク

アスカ「いよいよね…」ワクワク

577 : ◆nru729E2n2:2013/03/07(木) 21:05:39 ID:mhJhq9vs
サクラ「これです!!」

ドーン!!(豪勢な七段飾り) ※参考画像↓
http://www.yugetsu.co.jp/product_hina/74-393.html

アスカ「ウワ…」

マリ「ヒュー! こりゃまた…」

綾波「人形がいっぱい…」

トウジ「…どないや」ドヤ

カヲル「なるほど、確かにドヤ顔するほどの価値はありそうだ」

トウジ「当たり前やないかい!」フフン

サクラ「兄ちゃんのじゃあらへんで、これ」

トウジ「んなんわかとるって」

シンジ「すごいねこれ…」

トウジ「準備とかかたづけとかも結構大変やけどな…」

578 : ◆nru729E2n2:2013/03/07(木) 21:07:13 ID:mhJhq9vs
………

シンジ「準備できたよ」つちらし寿司&吸い物(台所を借りて料理)

アスカ「遅い!」

マリ「だったら姫も手伝えばいいのに…」

綾波「一人でやるより、みんなで準備した方が効率的」

アスカ「…言ってくれるわね」

カヲル「まぁまぁ、出かけた先でまで喧嘩する必要はないだろ?」

マリ「そそ、なんてったって目の前にわんこ君お手製の雛祭り料理があるわけだしwww」

アスカ「フン! 今回は勘弁してあげるわ!」


サクラ「…兄ちゃん」

トウジ「ん?」

サクラ「この人たち、学校でもこんななん?」

トウジ「こんなやな…」

サクラ「さよか…」

579 : ◆nru729E2n2:2013/03/07(木) 21:08:54 ID:mhJhq9vs
イッタダキマース

サクラ「おいしい! 碇はん料理上手いですね」

シンジ「ありがとう」ニコ

トウジ「センセの料理は相変わらず見事なもんやねぇ…」

マリ「うちらこれ毎食食べてるからね」

カヲル「セカンドが骨抜きにされるのも納得だよ」

アスカ「誰が骨抜きよ!!?」

トウジ「己じゃw」

アスカ「このジャージがぁぁっ!!」

マリ「食べながら叫んでも説得力無いにゃ…」

綾波「」モグモグ

綾波(いつもの料理と味付け違うけど、おいしい…)

580 : ◆nru729E2n2:2013/03/07(木) 21:09:53 ID:mhJhq9vs
サクラ「でもこのひな人形、明日には片付けないと」

アスカ「? どういうこと」

トウジ「昔から言われとんねん。"ひな人形を片付けるのが遅れると結婚が遅れる"ってな」

マリ「へぇ…」

カヲル「それは初耳だ」

シンジ「その話は僕も聞いたことあるよ。結構有名だよね」

綾波「…葛城一佐は」

シンジ「え?」

綾波「葛城一佐はひな人形を片付けるのが遅れたから、結婚が遅れてる?」

アスカ「ミサトは持ってないんでしょ? それにそんな迷信信じてどうするのよ」

マリ「つかさ、それ言ったら赤城博士だって一緒じゃん」

カヲル「左近の晩婚化の流れをそんな迷信で片づけるのもどうかと思うけどね」

綾波「…そうね」

581 : ◆nru729E2n2:2013/03/07(木) 21:15:26 ID:mhJhq9vs
アスカ「でもミサト達が結婚しない理由がこれにあるってーのも…」

マリ「笑い話にはなるにゃww」

カヲル「葛城さんの場合、掃除、料理、洗濯まるで駄目じゃないか」

カヲル「あれじゃ嫁の貰い手なんていないよ。いくら美人でも」

シンジ「ミサトさんには加持さんいるし…」

アスカ「そしたらリツコ一人負けじゃないの!」

マリ「わんこ君赤城博士disったww」

綾波「あの人は仕事が恋人って言ってた」

サクラ「…私はそんな大人になりたくない」

トウジ「ワシはお前を嫁に出しとうない!!」

アスカ「このシスコン!」

トウジ「うるさいわい!」

アハハハハハ…

582 : ◆nru729E2n2:2013/03/07(木) 21:16:19 ID:mhJhq9vs
同時刻 NERV本部

ミサト「へっくし!!」

リツコ「クシュン!!」

ミサト「…何よ? つられてくしゃみなんて聞いたこと無いわよ?」グシグシ(鼻をこすりつつ)

リツコ「私だって一緒よ」チーン!(ティッシュで鼻をかむ)

ミサト「誰かあたしらの噂でもしてるのかしら?」

リツコ「かもね。こう言う時の噂って大抵良い内容ではないけど」

ミサト「結婚できないとか?」

リツコ「…やめてちょうだい」


592 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/17(日) 08:52:11 ID:fJyl.LnI

葛城宅 リビング



シンジ「…………」 ウ~ン…

シンジ「……よし」

シンジ「…………」 サラサラ…

ミサト「んー? シンジくん?」

シンジ「あ、ミサトさん」

ミサト「何してるの?」

シンジ「学校の宿題です」

シンジ「俳句をいくつか考えないといけなくて……」

593 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/17(日) 08:53:10 ID:fJyl.LnI

ミサト「ほうほう、それでリビングに?」

シンジ「なんて言うか、開放感があっていいかな、と思って」

ミサト「ちなみにどんな句を考えたの?」

シンジ「え!?」

シンジ「ちょ、ちょっと、恥ずかしいので……」 ///

ミサト「いいじゃない、聞かせてよ、シンちゃん」 クス

シンジ「…………」 ///

シンジ「じゃ、じゃあ、ちょっとだけ……」 ///

ミサト(いいビールのアテが出来たわね♪)

594 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/17(日) 08:54:22 ID:fJyl.LnI

シンジ「それじゃあ、詠みます」

ミサト「うん」


     まどろみの 中で香る 草木かな


シンジ「ど、どうでしょう?」

ミサト「うん、いいんじゃない?」

ミサト「なんとなくだけど、情景が浮かんできたわ」

ミサト「毎日暑くて、ぼーっとしてる中で」

ミサト「夏草の匂いを感じてる……ってトコかしら?」

シンジ「ええ、そんな感じです、ミサトさん」

595 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/17(日) 08:55:23 ID:fJyl.LnI

綾波「碇くん」

シンジ「綾波?」

綾波「とても上手」

シンジ「……え?」

綾波「俳句」

シンジ「ああ……さっきの聞いてたの」 ///

綾波「私には、かなり難しい」

綾波「考えても考えても」

綾波「言葉のその意味でしか表現できない……」

ミサト「へー、レイも考えたんだ?」

綾波「…………」 コクッ

シンジ「どんな風になったの?」

ミサト「私も聞かせて欲しいなー」

596 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/17(日) 08:56:09 ID:fJyl.LnI

綾波「じゃあ……」


     炎天下 それでも人は 生きている

     蒸し暑い 汗が吹き出す 止まらない


シンジ「…………」

ミサト「…………」

綾波「どう……かしら? 碇くん」

シンジ「う、うん……ちゃんと季語は入ってるね」

ミサト「そうねー。 わかりやすくて私は好きだなー」

綾波「…………」

綾波(……やっぱり、微妙?)

597 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/17(日) 08:57:22 ID:fJyl.LnI

マリ「おりょ? ワンコくん、部屋じゃなくて、ここに居ましたか」

シンジ「マリさん」

綾波「メガネの人……もしかして、俳句?」

マリ「ご名答~」

マリ「ワンコくん、助けて~」

シンジ「……とりあえず、どんなのを詠んだの?」

マリ「こんな感じ」


     ひまわりが とっても元気に 咲いている

     朝顔が とっても元気に 咲いている


ミサト「……レイより酷いわね」

シンジ「ミ、ミサトさん……!」

598 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/17(日) 08:58:32 ID:fJyl.LnI

マリ「しょーがないにゃー」

マリ「言語圏が、全く違う国の言葉遊びなんだしー」

シンジ「…………」

ミサト「……という事は」

綾波「弐号機の人は……もしかしたら、もっと酷い?」

     トコ トコ トコ…

アスカ「あー、喉が渇いた」

アスカ「って、何? リビングに集まって……」

マリ「国語の宿題を相談してたにゃ」

アスカ「ああ……あれね」

599 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/17(日) 09:00:15 ID:fJyl.LnI

綾波「弐号機の人」

綾波「どんな俳句になったの?」

ミサト「私も興味あるなー」

マリ「あたしもー」

シンジ(僕も、ちょっとだけあるなぁ)

アスカ「えー? ……もう、しょうがないわね」

アスカ「耳の穴をかっぽじって、よぉーく聞きなさいよ?」


     クソ暑い ああクソ暑い クソ暑い

     蒸し暑い ああ蒸し暑い 蒸し暑い


ミサト「ぶふぉっ!?」

シンジ(これは……酷い……) プッ…クッ…

マリ・綾波(二人の反応からして、相当酷いみたいね……)

600 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/17(日) 09:01:22 ID:fJyl.LnI

アスカ「ちょ!? 何で吹き出してるのよ! ミサト!」

ミサト「だ、だって……アハハ……!」

アスカ「バカシンジも何、笑いをこらえてるのよ!?」

シンジ「イエ、ソンナコト、ナイデスヨ?」 プッ…クッ…

アスカ「ぐっ……! ギギギッ……!」 ///

     テク テク テク…

カヲル「? どうしたんだい? 何だか賑やかだね」

綾波「ホ の人」

マリ「今日の宿題の事でねー」

カヲル「ああ……俳句ね」

601 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/17(日) 09:02:45 ID:fJyl.LnI

アスカ「ホ ル! あんたのは、どんな俳句なの!?」

カヲル「な、なんなんだ、いきなり……セカンド?」

アスカ「いいから! あんたの俳句を詠んでよ!」

カヲル「あ、ああ……何だか解らないけど、詠めばいいんだね?」

カヲル「じゃあ……」


     夕立の 雲間に見ゆる 赤き海

     静寂に 移ろい行かぬ 蝉の声


ミサト「へー。 何かそれっぽいわね」

シンジ「うん、凄く上手いと思うよ、カヲルくん」

カヲル「ふふ、ありがとう、シンジくん」

綾波「ホ の人、とても上手」

マリ「私には、理解できないにゃ~」

602 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/17(日) 09:03:43 ID:fJyl.LnI

アスカ「あたしの方が、上手いわよ……」

マリ「さすがに私でも、それはないと思うにゃ」

アスカ「何ですって!?」

シンジ「まあまあ、落ち着いて、アスカ」

シンジ「俳句ってルールこそあるけど……」

シンジ「一番になる事が重要じゃないと思うよ?」

アスカ「じゃあ、なんだって言うのよ?」

シンジ「うーん……その辺は、説明が難しいんだけど」

カヲル「ふふ、セカンド。 僕は、リリ……人に『想像させる』事が、大事な事だと思うな」

603 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/17(日) 09:05:46 ID:fJyl.LnI

アスカ「想像させる事ぉ?」

カヲル「そうだよ」

カヲル「この五・七・五の短い言葉の中で」

カヲル「俳句を詠んだ情景や気持ち……」

カヲル「そういった、『何か』を想像させるのが、俳句の醍醐味じゃないのかな?」

ミサト「おおー。 何か説得力あるわね……」

綾波「……よくわからない」

マリ「要は、楽しんだ者勝ちって事だにゃ♪」

シンジ「マリさん……ざっくり行き過ぎです」

アスカ「情景や気持ちィ~?」

アスカ「何でそんなに回りくどい事しなきゃならないのよ……」

604 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/17(日) 09:07:41 ID:fJyl.LnI

カヲル「そうだね、他の表現方法だと……」

カヲル「そういうものは、絵画になったり、音楽になったりしているね」

マリ「ああ! なる程!」

マリ「そういうのを言葉にしたものが、俳句なのね!」

ミサト「そういえば、中世ヨーロッパには」

ミサト「吟遊詩人っていうのが居たわね」

綾波「吟遊詩人?」

605 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/17(日) 09:08:31 ID:fJyl.LnI

アスカ「今で言う新聞屋みたいなものよ」

アスカ「当時は、情報伝達物と娯楽が極端に少なかったから」

アスカ「遠くで起こった出来事や、誰かの武勇伝を」

アスカ「旅をしながら、面白おかしく音楽や振り付けで表現する人が居たの」

綾波「それが吟遊詩人……」

アスカ「そう」

シンジ「へえ……そういう人達がいたんだね」

606 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/17(日) 09:09:33 ID:fJyl.LnI

綾波「ホ の人」

綾波「参考までに、さっき詠んでくれた俳句」

綾波「どんな気持ちや情景だったのか、教えて欲しい」

マリ「いいね、それ!」

シンジ「うん、僕も聞きたいな」

アスカ「……聞いてあげるわ、ホ ル」

カヲル「そんな大した事じゃないけどね」 クス

カヲル「夕立上がりの空や、赤い海」

カヲル「いつまでも無くならない蝉の声の季節感の無さ」

カヲル「そんな、情景を少々ノスタルジックに詠んでみただけだよ」

607 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/17(日) 09:10:24 ID:fJyl.LnI

綾波「……やっぱり、よくわからない」

カヲル「難しく考えすぎなんじゃないかな?」

カヲル「今まで生きてきた中で」

カヲル「感動した事、ショックだった事、落ち着ける場所や存在……」

カヲル「心で感じた『何か』を、言葉で表現してみればいいんだよ」

綾波「心……」

マリ「ふう~ん……」

アスカ「…………」

シンジ「感じた事、か……」

カヲル「参考になったかな?」

608 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/17(日) 09:11:17 ID:fJyl.LnI

綾波「まだ、よくわからない」

綾波「けど……」

マリ「創作意欲は、湧いてきたにゃ♪」

アスカ「あたしも方向性は、見えたかな」

シンジ「ありがとう、カヲルくん。 参考になったよ」

カヲル「どういたしまして」 フフッ


ミサト(…………)

ミサト(夕暮れに……)

ミサト(仲間と過ごす 課題かな……)

ミサト(……って、これじゃ川柳ね) テへ

609 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/17(日) 09:12:03 ID:fJyl.LnI

綾波の部屋



綾波(…………)

綾波(私の心で感じた事……)

綾波(…………)

綾波(ポカポカした事……?)

綾波(…………)

綾波(……碇くんの事?)

綾波(…………)

綾波(この心を、言葉に……?)

綾波(…………)

綾波(やっぱり、難しい……) ///

610 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/17(日) 09:12:52 ID:fJyl.LnI

アスカの部屋



アスカ「……う~ん」

アスカ「心で感じた事……ねえ」

アスカ「…………」

アスカ「……そうだ」

アスカ「ネットを上手く使えば……」

アスカ「…………」 カタカタ…

アスカ「五・七・五……う~ん」

アスカ「あ――もう!」

アスカ「ややこしいわね!」

611 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/17(日) 09:13:50 ID:fJyl.LnI

マリの部屋



マリ「んっふっふっ♪」

マリ「楽しく楽しく、ポジティブに~♪」

マリ「ほいっほいっ、てってってっ~♪」

マリ「……あ、季語がいるんだっけ」

マリ「…………」

マリ「んー、やり直しますかー」

マリ「季語、季語っと……」

マリ「ほうほう、なるほどなるほど~ウッウッー」

612 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/17(日) 09:14:30 ID:fJyl.LnI

シンジの部屋



シンジ「心で、か……」

シンジ「カヲルくんは、やっぱりすごいな」

シンジ「…………」 ウ~ン…

シンジ「あれがいいかな?」

シンジ「でも……あれを言葉に、か……」

シンジ「僕にできるかな?」

613 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/17(日) 09:15:23 ID:fJyl.LnI

カヲルの部屋



カヲル「…………」

カヲル「思わず講釈してしまったけど……」

カヲル「なんて言うか、自分のハードルを上げてしまった気がする」

カヲル「…………」

カヲル「ま……普通にやればいいか」

カヲル「何をモチーフにするかは」

カヲル「もう決めてあるしね」

カヲル「ふふふ……」

614 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/17(日) 09:16:19 ID:fJyl.LnI

翌日 学校



トウジ「ほっほー……」

ケンスケ「へえー」


     天の川 きらめく星と 演奏会 (綾波作)

     川の字に 夢見心地の 涼風と (マリ作)

     彦星に 想いを寄せて 願い事 (ヒカリ作)


トウジ「どれも情景が浮かんで和むなぁ」

ケンスケ「女の子らしい作品だね」

615 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/17(日) 09:17:46 ID:fJyl.LnI

ヒカリ「綾波さんの作品、何だかロマンチックね」

マリ「星の中で聞く、虫たちの演奏会……想像するだけでもホンワカするにゃ」

綾波(……本当は、碇くんと二人だけの)

綾波(秘密の演奏会) ///

シンジ「マリさんのも仲良し感が、凄く伝わってくるね」

マリ「ぬふふ……よくぞ見抜いてくれました!」

マリ「それにしてもー、委員長のは、片思い感がビンビン伝わってくるわねー♪」

ヒカリ「べ、別に自分の事じゃないから!」 ///

一同(いや……もう丸分かりですからー)

トウジ「ふーん。 そうなんか」

一同(お前は、いい加減気づけ!)

616 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/17(日) 09:18:58 ID:fJyl.LnI

ケンスケ「僕のは今一歩、かぁ……」


     炎天下 無言の活躍 戦自研 (ケンスケ作)

     夏雲の 夕日に映える 日の光 (アスカ作)


アスカ「このあたしが……モブキャラと同列……」

ケンスケ「モブキャラ言うなぁ!!」

マリ「姫……それっぽく聞こえるけど、よくよく考えたら変なんだよね」

シンジ(これでも随分マシになったんだけど……)

トウジ「ケンスケは、もう少しミリオタ心を押さええーや」

ケンスケ「トウジに言われたくない」

617 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/17(日) 09:20:28 ID:fJyl.LnI

シンジ「それにしても意外なのが……」


     焼きそばや スイカもあるで たい焼きも (トウジ作)

     シンジくん 溢れる想い 美しく (カヲル作)


アスカ「あんたは、どこまで行ってもホ ルね!」

綾波「昨日の俳句と全然違う……」

マリ「季語すら入ってないにゃ」

カヲル「やれやれ……僕とした事が、ついうっかりだったよ」

シンジ「そ、そうなんだ……」 ハハハ……

ケンスケ「トウジ……こんな句を詠んで、よく僕のを批判できたよね?」

トウジ「細かい事はええやん。 気にすんなや……」

618 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/17(日) 09:21:25 ID:fJyl.LnI

トウジ「にしても、優秀賞はセンセか」

カヲル「さすがシンジくん」

シンジ「た、たまたまだよ……」 ///

ケンスケ「ははは、謙遜するなよ、碇」

ヒカリ「私も好きだな……こういうの」

ヒカリ(将来は……私も鈴原と、こんなふうに……えへへ) ///

マリ「んふふ~ほっこりするにゃ~」

アスカ「まあ……ちょっと照れくさいけど……」 ///

綾波「とても……ポカポカする」 ///

619 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/17(日) 09:22:57 ID:fJyl.LnI



     夕涼み 食卓囲む 笑顔かな (シンジ作)



     おしまい


629 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:02:36 ID:s5HywLko
…第三新東京市 某公園

三毛猫「ニャー」(もう日が暮れる…)
トラネコ「ニャ~」(ふぁあ~(あくび)、もう眠気が…)
白猫「ニャーニャー」(そろそろうちに帰るか)
黒猫「……」(今日の晩飯、マグロの刺身の俺は勝ち組♪)
カギシッポ猫「ニャー」(今日は縞  )

マリ「お、そろそろいい時間だニャ」

(マリ:時計確認 17:03)

マリ「さて、猫成分は十分補充できた事だし! 帰るか!」

630 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:03:43 ID:s5HywLko
道路沿い(公園⇒葛城宅)

マリ「お? あそこに見えるはわんこ君?」

マリ「お~い!  わ~んこく~ん!!」

シンジ「あ、マリさん」

マリ「今帰り? ってかすごい荷物…」

シンジ「今日の晩御飯と、明日のお弁当用の材料ですよ」(両手に大きなビニール袋)

シンジ「ついでにお米も切れそうなんでリュックの中に」(リュックを見せつつ)

マリ「…重くないの?」

シンジ「もう慣れましたから…」

マリ「そ、そう…」


マリ(わんこ君、君いろいろ感覚狂ってると思うニャ…)

631 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:04:43 ID:s5HywLko
シンジ「マリさんは?」

マリ「あたしは猫成分補充に」

シンジ「ホント猫好きですね…」

マリ「…体は猫でできている。体はモフモフの毛で心は肉球」

シンジ「…それ、もう人間じゃないですよね?」

マリ「…そうだね」

シンジ「まぁ、マリさんがとても猫好きなのはわかりました。いっそ猫になりたいぐらいに」

マリ「ニャー♪」

シンジ「…もうなってますね」

マリ「ばれたニャ♪」

632 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:05:29 ID:s5HywLko
マリ「でも猫憧れない? 毎日自分のペースでのんびり生きてさ」

シンジ「…確かに。子供の僕らはともかく」

シンジ「大人の時間に追われる生活とはかけ離れた世界にいますよね、猫って」

マリ「昔は人間だってのんびり生活してたんだろうけどね~」

ヒョイ!(マリ:道路沿いに建てられたガードレールに飛び乗る)

マリ「人間が進化して、技術が進歩して、社会が変化したおかげで」トコトコ

マリ「あんなに忙しく動き回るハメになってるんだと思うよ~」トコトコ

シンジ「マリさん危ないですよ」オロオロ

マリ「大丈夫大丈夫、運動神経には自信あるからさ♪」

633 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:06:27 ID:s5HywLko
(マリ:ガードレールの上を歩く シンジ:普通に道を歩く)

マリ「きれいな夕焼け…」

シンジ「そうですね、この所天気もよくなかったし」

マリ「ここ盆地だから空気も淀むしね」

シンジ「そうですね」

マリ「…夕焼けを歌った歌って何かあったっけ?」

シンジ「夕焼けの歌ですか…赤とんぼとか?」

マリ「お、また古いやついくねぇ…」

シンジ「すいません」

マリ「でもさ、あれあたし1番しか歌詞知らないんだけど?」

シンジ「…と言うかあの曲2番以降あるんですか?」

マリ「昔の童謡は無駄に長いから、あるはず」

シンジ「僕知りません」

マリ「私も」

シンジ・マリ「………」

634 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:07:50 ID:s5HywLko
マリ「………あ、この曲は歌いだしが夕方だ」

シンジ「?」

マリ「夕方丘に登って~♪ い~ち番高~い所に立って♪」
シュノーケル『奇跡』↓
http://www.kasiabc.com/kasi/2255/17934/?tubeid2=youtube

マリ「偶然ばかりで成り立つ物語♪ 少しでも気を抜くな綱渡り♪」クルクル(ガードレールの上で軽くステップ)

シンジ「マリさん危ないですってば!」

マリ「僕らは不純と♪ 矛盾を両手に♪ ひたハッ、ハッ、ハッ!?!?」(バランスを崩す)

シンジ「危ない!」

ガシッ!! (シンジ:咄嗟にマリの両足(ふともも)を両手で抱えて落下を阻止)

635 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:08:56 ID:s5HywLko
マリ「…おお…」

シンジ「マリさん大丈夫ですか!?」

マリ「わんこ君に両足を抱えられてる意外は何とも…」

シンジ「良かった…」

マリ「…君もなかなか大胆だね」

シンジ「え?」

マリ「問題、君の顔の前にあるのはあたしの体のどの部位ですか?」

フワ~リ(シンジの目の前で何かが風でめくりあがる)

シンジ「…あ」///

636 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:09:53 ID:s5HywLko
マリ「ま、この場合は緊急回避のためだし、仕方ないけど」

シンジ「ごめんなさい…」(土下座)

マリ「助けた君は謝る必要無いよ? あたしも不注意だった。ごめん」

シンジ「いえ…」

マリ「でもわんこ君意外に力持ちだね? 力強すぎてびっくりした」

シンジ「この間トウジにも似たようなこと言われました」

マリ「ま、成長期だからにゃ~」

シンジ「あ、あの…」

マリ「ん?」

シンジ「この件はみんなに内緒に…」

マリ「いいよ~、事故みたいなもんだしね~」

シンジ「ほ…」

637 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:11:06 ID:s5HywLko
PM17:29 葛城宅(帰宅)

シンジ「ただいま」

マリ「ただいみゃ~」

カヲル「おかえり。おや、彼女と一緒だったのかい?」

シンジ「帰り道で一緒になって」

マリ「ここへ来るルートは一本道だかんね、そりゃ時間が合えば一緒になるさ」

アスカ「ったく! 遅いわよバカシンジ!!」

シンジ「まだ5時半だよ? 今から夕食準備すれば6時半にはできるけど」

アスカ「そういう意味じゃないわよ!!」

シンジ「じゃあどういう意味?」

アスカ「それくらい察しなさいっての!!」

シンジ「えぇ…」

638 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:11:50 ID:s5HywLko
綾波「二号機の人、さびしかった?」

アスカ「なっ!?!?!? ん、ん、んなわけ無いでしょ!!」

マリ「姫顔が赤いよ~ww」ニヤニヤ

アスカ「うっさい!」

カヲル「赤いと言えば」

シンジ「?」

カヲル「シンジ君のズボン、膝頭あたりが赤いのはなんでだい?」

シンジ「え? ホントだ、なんで?」(ズボンの裾を上げる)

ダラー(血まみれ)

アスカ「ウワ…食事前になんつー物を見せるのよ!」

綾波「大丈夫。ただすりむいただけ、骨に異常はない」

マリ「君よくわかるね…」

綾波「怪我することには慣れてるから」

アスカ「イヤ慣れるな…」

639 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:12:35 ID:s5HywLko
シンジ「と、とりあえず着替えてお風呂場で洗浄して消毒だね」

カヲル「じゃあその役目はぼ」

アスカ「アンタの出る幕じゃない」

綾波「碇君一人で十分」

マリ「君がかかわると逆に被害が心配なんで却下!」

カヲル「」シュン



マリ「………」

マリ「…つか、傷ができた原因は…」

640 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:13:17 ID:s5HywLko
PM22:16 シンジ自室

シンジ「」(宿題中)

コンコンコン(ノック)

シンジ「? どうぞ」

ガチャ(ドアオープン)

マリ「ヤッホー」

シンジ「マリさん?」

マリ「宿題? わんこ君偉いね~」

シンジ「これぐらい普通ですよ…」

マリ「そ? あたし全然やって無いけどww」

シンジ「…ちゃんとやってください」

641 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:14:06 ID:s5HywLko
シンジ「それより、どうしたんですか? マリさんが訪ねてくるなんて珍しいですね」

マリ「…いや、その膝の件でちょっとね…」ポリポリ(頬をかく)

シンジ「ああ、これですか」(膝にはガーゼが当てられている)

マリ「うん、まぁ、なんだ、その…」

シンジ「気にしなくていいですよ。 たまたまガードレールのつなぎ目にあたって皮が剥けたですから」

マリ「でもさ」

アスカ『コネメガネー! ちょっと来て~』

マリ「あ、はーい! 今行く~! ゴメン、また後で来るよ!」(退出)

マリ『どうしたの?』
アスカ『ちょっとこれ見てよ』


シンジ「…なんだったんだろ? …考えてもはじまらないし、宿題しよ…」

642 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:15:21 ID:s5HywLko
PM23:39 シンジ自室(就寝直前)

シンジ「さて…」

コンコンコン(ノック)

シンジ「? どうぞ?」

マリ「何度もごめん…」(小声)

シンジ「別にかまいませんけど…なんで小声なんですか?」

マリ「姫とファーストとホ 君の就寝確認したから。起こしたくないし」

シンジ(聞かれちゃまずい内容の話…?)

マリ「えっと、今日はほんとにゴメン寝」(参考画像↓)
http://ecoring591127.files.wordpress.com/2011/12/0415091408a-7276551.jpg

シンジ「? え、ええっと、マリさん?」

マリ「いやだから、怪我させてゴメン寝」

シンジ「土下座なんてしなくていいですよ…」

マリ「…そうだった、わんこ君にはこの手の属性なかったね…恥の上塗り…」(姿勢を戻す)

643 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:16:35 ID:s5HywLko
シンジ「もしかして、わざわざそれを言いに?」

マリ「そーだよ。私を怪我させないために体張ったせいで君は怪我をした」

マリ「いわば"名誉の負傷"だよ?」

シンジ「言いすぎですよ…。咄嗟に手が出ちゃっただけですし…」

マリ「でも君は怪我をした。私を助けたせいで」

シンジ「気にしなくていいですって…」

マリ「やだ、気にする。姫は言葉にしないかもしれないけど、あたしは言葉にするよ」

マリ「さっきは助けてくれて、ありがとう」ニコ

シンジ「は、はい…」///

644 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:17:37 ID:s5HywLko
マリ「………わんこ君ってさ」

シンジ「?」

マリ「あんまり周りに感謝の言葉言われたことないの?」

シンジ「え? …いっぱいありますけど」

マリ「…そりゃ確かにいろいろあるよね。家事しかり、勉強しかり」

マリ「でもさ、な~んか言われ慣れてない感じがするんだよね」

シンジ「僕は、そんな大したことをしてませんから…」

マリ「…それだ」

シンジ「へ?」

マリ「それだよ」

645 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:18:53 ID:s5HywLko
マリ「わんこ君は、なんでそんな自信無さげなの? 自分に自信を持てないの?」

シンジ「僕は、いつも逃げてばかりいますから…」

マリ「逃げてる?」

シンジ「…戦うことから、エヴァに乗ることから、父さんと面と向かって話すことから」

シンジ「この間の三号機の時もそうです。マリさん達が背中を押してくれなかったら僕はきっと…」

シンジ「この間の大地震の時だって、口に出した言葉と心の言葉は正反対でしたし」

シンジ「実際のところ、自分の言い聞かせるために言ってましたよ」

マリ「………」

シンジ「ミサトさんと一緒に生活し始めた頃だって、家事はもともと分業でやってましたけど」

シンジ「見るに見かねたってところもありますけど、流れでほとんど僕がやるようになりました」

シンジ「明確な理由があるわけじゃない。ただ役が回ってきたから引き受けた」

シンジ「そうやって、僕は今までいろんなことから逃げてきました」

646 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:19:36 ID:s5HywLko
マリ「決断をしなかった…ってこと?」

シンジ「…そう、ですね。僕は何一つ決められないんです」

シンジ「いつも周りに流されて、いつも他人の顔をうかがって…」

シンジ「父さんがぼくを先生のところに預けた時だって、反抗することはできたのに」

シンジ「僕は、駄目なやつなんですよ…」

マリ「………」

シンジ「………」

マリ「………」

シンジ「………」

マリ「………わんこ君、それは違うと思うな」

647 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:21:02 ID:s5HywLko
シンジ「…違うって?」

マリ「わんこ君は駄目な奴じゃないと思う」

シンジ「僕は駄目な奴なんですよ…でなかったら」

マリ「わんこ君はあたしにできないことをやってる」

シンジ「…マリさんに、できない事?」

マリ「"役が回ってきたから引き受けた"って言ったね?」

マリ「確かにNOと言わないのはだらしなく見える」

マリ「けど、そのすべての役を引き受けて、それなりの成果を出すってすっごい事なんだよ?」

シンジ「すごくないですよ…」

マリ「すごいよ。気分屋のあたしにしたらすっごい事」

マリ「料理にしたってそうだけど、初めっからそんな上手なわけ無いじゃん?」

シンジ「先生のところで教わってましたから…」

マリ「教わったから何? 小学校1年生の国語や算数じゃないんだよ?」

マリ「君は今までどれだけ料理を作ったの? 何日? 何カ月? 何年? 実際に初めてやった日から数えてみなよ」

648 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:21:52 ID:s5HywLko
シンジ「…たとえそうだとしても」

マリ「…君は心から褒められたり、感謝されたことあんまりないんだね」

シンジ「…褒められるわけ無いじゃないですか、大したことやって無いのに!」

マリ「君は大きな成果を残してないかもしれないけど」

マリ「今までの成果を積み上げれば相当なものを持ってるよ」

マリ「何食わぬ顔で日々同じ成果を出すことがどれだけ大変か」

マリ「エヴァのシンクロテストで日々平均点を維持するの大変でしょ? それてと一緒」

シンジ「けど…」

マリ「あーもう、姫が苛立つ理由がわかってきたニャ」ボリボリ(頭をかく)

シンジ「ご、ごめん」

マリ「だからそれだってば!」

649 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:23:07 ID:s5HywLko
シンジ「え?」

マリ「君の場合、相手と話をしていて"けど"とか"だって"とか、とにかく否定的な言葉が出る!」

マリ「そんな言葉を言われたら、会話が続かない! 君は一方的に会話を打ち切ってる!」

マリ「これじゃ感謝の言葉を言おうにも、言えないじゃん!」

シンジ「………」

マリ「君のネガティブな性格が一番の要因だよ。そこが変われば、君はもっと良くなる」

マリ「君はもっと高く、もっと遠くへ飛べるよ」

シンジ「けどぼくは」

マリ「ほらまたネガティブ発言! 君はできるやつなんだって!!」

シンジ「いきなりそんなこと言われても…」

650 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:24:07 ID:s5HywLko
マリ「…よし、アプローチを変えよう。わんこ君は普段みんなになんて言われてるか知ってる?」

シンジ「し、知りませんけど…」

マリ「ホ 君は君の料理をいつもほめてる」

シンジ「それはいつものことですよ」

マリ「かもね。けどホ 君気づいてるよ? 君がいつもみんなの体調を見てメニュー決めてるって」

シンジ「!」

マリ「君のレパートリーがいくつあるかは知らないけど、メニューの組み合わせは毎食違うって」

マリ「わんこ君は栄養と体調を考えてるからすごいって、いつも言ってる」

マリ「本人の口からは、聞いたこと無いかもしれないけど」

シンジ「………」

651 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:25:46 ID:s5HywLko
マリ「ファーストは学校生活について。彼女は学校よりもNERVに行ってる時間が長いこともあって」

マリ「成績も正直芳しくないし、クラスで気軽に話せる相手もいない」

マリ「でも君は彼女の話をきちんと聞くし、勉強のことも話しやすいって言ってた」

シンジ「綾波の質問は、難しいことが多くないので」

マリ「正直ね、あの子にとっては勉強のことは二の次だと思う」

シンジ「…どういうことですか?」

マリ「彼女はね、君といて楽しいんだよ。だからここでこうやって共同生活をすることを承諾した」

マリ「ぶちょーさんと、姫とってなるとまた話は変わってきてたと思う」

マリ「もちろん命令であれば従うと思う。でも、"心"ってそんな簡単に割り切れるもんじゃないよ」

シンジ「綾波が…?」

652 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:27:04 ID:s5HywLko
マリ「次に姫、あれが一番天の邪鬼だよね」

マリ「バカだ下僕だいってるけど、結局姫もファースト同様、わんこ君のことを気にしてるんだよ」

マリ「だって君は、自分と同じでエヴァに乗る大変さも知っているから」

シンジ「それは綾波やマリさんやカヲル君だって」

マリ「姫が興味を持ったのは君だよ。事の発端がどうだったかはあたしも知らない」

マリ「でも姫は、ユーロからこっちに引っ越してきて、君と言う"同業者"を見つけた」

マリ「そいつが自分とはまったく違うタイプの人間だったもんだから、気になって仕方がない」

マリ「姫はエヴァに乗ることに肯定的、君は逆に否定的だ」

マリ「姫にとって、エヴァに乗ることは自尊心の柱と言ってもいいよ」

マリ「それを君は否定している。だから気に食わないし、気になる」

シンジ「…それって要するに嫌われてるってことじゃ…?」

マリ「"好き"の反対は"嫌い"じゃない。"無関心"だよ」

マリ「"嫌い"ってことは心に引っかかってるってこと、無関心なら興味もわかないしね」

マリ「君と姫は対極的な存在だ。だからこそ気になるんだよ。自分と違うから」

シンジ「………」

653 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:28:02 ID:s5HywLko
マリ「んでもってぶちょーさん、三十路前の女がペットと同棲だよ?」

マリ「フツーに考えてさみしいに決まってるじゃん」

マリ「君はね、ぶちょーさんにとって大事な"家族"なんだよ」

シンジ「家族…」

マリ「そ、家族。一緒に生活して当然の存在、苦労を共有する存在」

マリ「んでもって、幸せを共有する存在」

シンジ「僕は、そんな大層な」

マリ「君はそう思ってるかもしれないけど、あの人がどう思ってるかなんて君にわかる?」

マリ「君はそれを本人に聞いた? 聞いてないならその君の考えは正解じゃないよ」

654 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:28:58 ID:s5HywLko
マリ「むろん、今まで話をしたことは第三者であるあたしの意見」

マリ「ホ 君以外は言質をとったわけじゃないから、むろんハズレもあると思う」

マリ「でもさ、そういうのって当事者よりも第三者の方がよく見えるもんなんだ」

シンジ「………」

マリ「…少しは自分が周りに与えている影響を理解できた?」

シンジ「僕は…」

マリ「君は自分をマイナス方向に考えすぎなんだって…」

マリ「人は誰だって、プラスの影響とマイナスの影響を他人に与えてる」

マリ「わんこ君は、プラス面の事をまったく無視して自分の評価をしているもんだから」

マリ「そんな風に自己評価が下がるんだよ」

シンジ「でも…」

マリ「何? まだ納得できない?」

シンジ「僕は、父さんにあまりほめられたことが…」

マリ「…事の発端はそこか………」ガシガシ(強く頭をかく)

655 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:29:48 ID:s5HywLko
マリ(ゲンドウ君は親としての責務全うしてないもんねぇ…)

シンジ「父さんは…」

マリ「何? なんか思い当ることある?」

シンジ「父さんは、僕ではなく、もっと別の何かを見ているように思えるんです」

シンジ「僕にとってはそれが何かはわからないけど、父さんにとっては大事な物」

シンジ「息子の僕よりも優先していることが」

マリ「………」

シンジ「父さんにとって、僕はそれを実行するための道具でしかない」

シンジ「だから、アスカの時も」

マリ「ストップ。さっきも言ったけど、ネガティブに考えすぎだって」

シンジ「だけど…」

マリ「まぁ確かに、あのマダオさんがその辺の詳しいことを話してくれるとは私も思わない」

マリ「だからって、全然信用しないのはさすがに駄目じゃない?」

656 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:30:43 ID:s5HywLko
シンジ「…僕は父さんを信用できません」

マリ「信用していない相手から信用を勝ち取るなって、土台無理な話だよ?」

マリ「信用してほしいなら、まずこっちが信じてあげないと」

シンジ「………」

マリ「君と指令は親子でしょ? 利害関係とかそんな妙な関係じゃなく、」

マリ「もっと仲良くしたらいいのに。少しずつでもさ」

シンジ「少しずつ…」

マリ「そそ。あたしらだって、最初は多少ギクシャクしたけど、今は仲良くやってるじゃん?」

シンジ「…努力はしてみます」

マリ「うん♪」

シンジ「…保証はできませんけど」

マリ「…今のは減て~ん」ジトー

シンジ「えぇぇ…」

マリ「前向きになっただけでも良しとするか…」

657 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:31:38 ID:s5HywLko
シンジ「…なんか人生相談みたいになっちゃいましたね」

マリ「同い年に人生相談するってのも珍しいニャ」

シンジ「…すいまs」

マリ「謝るの駄目、今回君は何もしてないわけだし」

シンジ「…わかりました」

マリ「んじゃ、鼻歌レディーの私からこの歌を贈ろう」

シンジ「普通に歌ってる時点で鼻歌じゃないような…」

マリ「細かいツッコミは無し! 黙って聞く!!」

シンジ「…はい」

マリ「元歌は田村直美、『ゆずれない願い』」

シンジ「ゆずれない、願い…?」

マリ「君にもそういう物を持ってほしいって気持ちを込めて、ね」
田村直美 ゆずれない願い↓
http://www.youtube.com/watch?v=MtHPjgtHOBY

658 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:32:43 ID:s5HywLko
AM0:41 マリ自室(就寝直後)

マリ(…ゆずれない願い、か)

マリ("飛べないハードルを負けない気持ちでクリアしてきたけど"ってフレーズは)

マリ(わんこ君よりも姫に似合う言葉だよね…)

マリ(わんこ君を表すフレーズの歌ってなると、やっぱ坂本真綾の"ヘミソフィア")
坂本真綾 ヘミソフィア↓
http://www.youtube.com/watch?v=oqqwdIFdauA

マリ(ファーストなら"翼をください")

マリ(ホ 君なら…ポルノの"幸せについて本気出して考えてみた"?)
ポルノグラフティー 幸せについて本気出して考えてみた↓
http://www.youtube.com/watch?v=0jN4BFBCQi0

マリ(わんこ君への一途な想いって点ではまぁ…打倒か)

マリ(あたしは…?)

659 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:37:50 ID:s5HywLko
マリ(…よくわかんないや)

マリ(なんだかんだ言って、やっぱり自分が一番自分の事わからないんだよね…)

マリ(…変わっていく自分。それが良い方向なのか、悪い方向なのかは今はわかんない)

マリ(今できるのは、今正しいと思ったことをやるだけ)

マリ(幸い一人じゃないし! 間違ったら誰かが止めてくれる…よね?)

マリ(………1人じゃないって~ 不思議なことね~)
天地真理 1人じゃなって↓
http://www.youtube.com/watch?v=eAXxNa3sN44

660 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:39:28 ID:s5HywLko
同時刻 シンジ自室

シンジ(…僕はすごいやつなのかな?)

シンジ(料理なんていつもやってるし、エヴァに乗ることだって…)

シンジ(マリさんは少しずつでいいって言ったけど…)

シンジ(どうやればいいんだろ…?)

シンジ(…困った時は結局、誰も助けてはくれないんだ)

シンジ(いつも…いつも…)

シンジ(………)

シンジ(………)

シンジ(………)

シンジ(僕はいつも、つらい時誰にも相談してなかった…)

シンジ(誰にも言わず、ただ殻に閉じこもってるだけだった)

シンジ(綾波やアスカや、カヲル君達は、僕の問いにどうこたえるんだろう…?)

661 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:40:22 ID:s5HywLko

マリ『君はそれを本人に聞いた? 聞いてないならその君の考えは正解じゃないよ』


シンジ(…答えを知るのが怖い)

シンジ(…でも何も言わなきゃ、きっとみんな何も言ってくれない)

シンジ(………)

シンジ(逃げちゃだめだ)

シンジ(逃げちゃだめだ)

シンジ(逃げちゃだめだ)

シンジ(逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ…)

662 : ◆nru729E2n2:2013/03/21(木) 20:45:02 ID:s5HywLko


次回予告

自らの行動に自信を持てないシンジは
マリの言葉を確かめるべく、自ら行動を開始する

その先にあるものは厚い信頼か、それとも辛辣な言葉の刃か

次回『積み上げた物、積み上げていく物』

さ~て、次回もサ~ビスサ~ビスゥ!!




マリ「毎度即興で次回予告とかよくやるね…」

667 : ◆nru729E2n2:2013/03/22(金) 19:45:06 ID:r/9arg0s
AM 6:11

シンジ「」ショボショボ(起床)

ミサト「おはよ」

シンジ「…あれ? ミサトさん今日早いですね? 僕より早いなんて」

ミサト「まぁね…。ちょっち呼び出しあって」

シンジ「何かあったんですか?」

ミサト「さぁ? こっちだってさっき叩き起こされたばっかだし…」

シンジ「朝食とお弁当どうします?」

ミサト「ん~、食べたいのは山々なんだけど…」

シンジ「ご飯はもう炊けてますし、御味噌汁ぐらいならすぐできますよ?」

ミサト「そう? んじゃお願いしようかしら? でも6時半にはここ出ないと」

シンジ「ゆっくり食べる時間はなさそうですね、とりあえずミサトさんは自分の準備をしてください」

ミサト「助かるわ」

668 : ◆nru729E2n2:2013/03/22(金) 19:46:11 ID:r/9arg0s
AM 6:19
シンジ「はいどうぞ」

ミサト「シンちゃん手際が良いからほ~んと助かっちゃう~♪」ガツガツ

シンジ「あんまり急いで食べるとのどに詰まりますよ」

ミサト「これでも味わってるわよ?」

シンジ「そうは見えませんが」

ミサト「そこは心配無用よ♪」

シンジ「そうですか…、と、これを」つ弁当

ミサト「え? あの短時間で?」

シンジ「中身はあまり期待しないでください、簡単にできるやつだけを詰めてますので」

ミサト「…主夫の鏡だわ。女として、こんな自分が情けない…」ウル…

シンジ「人間適材適所ですよ」

ミサト「アリガト! そういうフォローってシンちゃん上手!」

シンジ(…今、良い所を言ってもらえた?)

シンジ(…ほかの皆は、なんていうのかな?)

669 : ◆nru729E2n2:2013/03/22(金) 19:47:05 ID:r/9arg0s
同日 学校

ケンスケ「へ?」

トウジ「センセの良い所?」

シンジ「う、うん…」

ケンスケ「って改めて聞かれてもなぁ…」

トウジ「つか、なんでいきなりそんなこと聞くん?」

シンジ「ちょっと…、ね。昨日考え事してて」

ケンスケ「そっか…」

トウジ「そうやなぁ…。まず一発目に上がるのは料理の腕やろ」

ケンスケ「後はエヴァのパイロットでみんなを守ってること、か?」

シンジ「そ、そうだよね…」

シンジ(このあたりの回答は予想通りだな…)

670 : ◆nru729E2n2:2013/03/22(金) 19:48:18 ID:r/9arg0s
トウジ「後は、内心恐くてしゃ―ない事でもヤル時はきっちりヤル所」

シンジ「え?」

ケンスケ「おまえさ、俺達をエヴァに乗せて戦ったことあったじゃん?」

トウジ「ワイらからすれば、あそこで逃げへんとか狂気の沙汰やで」

シンジ「あ、あれは命令違反をしただけで…」

トウジ「せやかて、あそこで逃げとったらさらに被害は広がっとったやろ」

ケンスケ「たしかに。シンジは命令違反で怒られたかもしれないけど、」

ケンスケ「それは大人の都合であって、守られる側からは感謝されることだと思うぜ?」

シンジ「………」

シンジ(ミサトさんには怒られたのに…?)

671 : ◆nru729E2n2:2013/03/22(金) 19:49:15 ID:r/9arg0s
ヒカリ「碇君のいい所?」

シンジ「うん、委員長はトウジ達と違う視点で物見てると思って」

ヒカリ「う~ん…」

シンジ「」ドキドキ

ヒカリ「よくわかんない」

シンジ「えぇ…」

ヒカリ「だって、私には3馬鹿トリオがつるんでるようにしか見えないもの」

ヒカリ「あ、今は渚君もいるから4馬鹿か」

シンジ「い、委員長も言うことは言うんだね…」

ヒカリ「…胸の奥に秘めてても相手には伝わらないもん」

シンジ「そ、そうだね…」

ヒカリ「でも、碇君は転校してきた当初に比べると笑うようになったよね」

672 : ◆nru729E2n2:2013/03/22(金) 19:50:33 ID:r/9arg0s
シンジ「笑ってる?」

ヒカリ「うん。当初は環境の変化になじめない事もあったと思うけど」

ヒカリ「いつも周りの目を気にしてビクビクしてた。親とはぐれた子犬みたいに」

シンジ「…自分じゃよくわからないや」

ヒカリ「"この子大丈夫かな?"って心配もしたけど、ほどなく鈴原たちと仲良くなって、」

ヒカリ「クラスにも溶け込んだみたいだし」

ヒカリ「今はアスカ達もいるしね」

シンジ「家じゃ、いろいろ大変だけどね」

ヒカリ「あ、そうだ。碇君って面倒みが良いんじゃないの?」

シンジ「?」

ヒカリ「特にアスカって我が強いから、家でも暴君なんじゃない?」

シンジ「ア、アハハハ…」タジタジ

ヒカリ「エヴァのパイロットって個性強いもんね…。みんなの相手は碇君じゃないと無理だよ」

シンジ「そ、そうなんだ…」

673 : ◆nru729E2n2:2013/03/22(金) 19:51:53 ID:r/9arg0s
綾波「碇君の良い所?」

シンジ「う、うん…」

綾波「なぜそんなこと聞くの?」

シンジ「な、なんとなく…」

綾波「そう」

シンジ「…で、綾波はどう思う?」

綾波「………」

綾波「………」

綾波「………」

綾波「………」

綾波「…少し、考えさせて」

シンジ(考えなきゃならないほど少ないのかな…?)

674 : ◆nru729E2n2:2013/03/22(金) 19:55:51 ID:r/9arg0s
綾波(碇君の良い所…)

綾波(料理が上手)

綾波(優しい)

綾波(チェロを上手に弾ける)

綾波(………)

綾波「…よくわからない」

シンジ「…そっか」

綾波「けれど」

シンジ「?」

綾波「碇君といると、みんな笑顔になる」

綾波「二号機の人も、メガネの人も、ホ の人も(…私も)」

綾波「碇君はみんなをつないでいる」

綾波「私たちの中心に、碇君がいる」

綾波「碇君がいないと、私の世界は沈んだ色になる」

シンジ(………)

675 : ◆nru729E2n2:2013/03/22(金) 19:56:57 ID:r/9arg0s
アスカ「アンタの良い所?」

シンジ「う、うん…」

アスカ「んなもん自分で考えなさいよ」

シンジ「わかんないから聞いてるんだよ」

アスカ「愚図ねぇ…」

シンジ「ゴメン…。でもさ」

シンジ「アスカってユーロでいろいろな人と会って、僕よりも世界を知ってるだろ?」

シンジ「そういう人の意見って、参考になるからさ」

アスカ「ふーん…」

シンジ(…やっぱり僕のこと嫌いなのかな…?)

676 : ◆nru729E2n2:2013/03/22(金) 19:58:06 ID:r/9arg0s
アスカ「あたしの目に見えるアンタの評価でいいのよね?」

シンジ「う、うん」

アスカ「酷い評価でも知らないわよ?」

シンジ「そ、そんなに酷いの?」

アスカ「酷いわ」

シンジ「」

アスカ「エヴァに乗ることが嫌っているし。愚図だし。のろまだし」

アスカ「そのくせ●●ハプニングはよく遭遇するし…」

シンジ(………酷い言われ様…)

アスカ「周りに気を使っていつも損ばっかりしてるし」

アスカ「あ、あと他人の評価気にしすぎ。他人は他人、自分は自分でしょ?」

アスカ「ホント、あたしと正反対」

シンジ(…1つはいい所出た、のかな?)

677 : ◆nru729E2n2:2013/03/22(金) 19:59:35 ID:r/9arg0s
カヲル「シンジ君のいい所?」

シンジ「うん…」

カヲル「そうだねぇ…。自分でわからないなら、体にわからせてあげようか?」ニヤリ

シンジ「………」(絶句)

カヲル「…冗談だよ」

シンジ「カヲル君の場合冗談に聞こえないよ…」

カヲル「君を思う気持ちに嘘偽りはないんだけどね」ニコ

シンジ(方向性が間違ってる…)

678 : ◆nru729E2n2:2013/03/22(金) 20:01:34 ID:r/9arg0s
カヲル「君は料理ができて、誰にだって優しくて、気配りができる人間だ」

カヲル「ただ裏を返せば八方美人で、他人の顔をうかがってるだけって言えないことも無い」

カヲル「その辺は程度の差と言うか、相手の感じ方で変わるから一概には言えないけど」

シンジ「そっか…」

カヲル「…なんでそんなことを聞くんだい?」

シンジ「…カヲル君にも言われたけど、僕は他人の顔をうかがって生活してる」

シンジ「みんなが本当はどう僕の事を思ってるのか、気になって」

カヲル「自分に自信が持てないのかい?」

シンジ「…よく、わからない」

カヲル「そうかい…」

シンジ「………」

カヲル「………」

679 : ◆nru729E2n2:2013/03/22(金) 20:03:36 ID:r/9arg0s
カヲル「君が本当に認めてもらいたい相手って、誰なのかな?」

シンジ「本当に認めてもらいたい相手…?」

カヲル「鈴原君達や委員長、ファースト、セカンド、フォース、そして葛城さんは、」

カヲル「それぞれ君のことを認めていると思う」

カヲル「君がそれで満足できないのは、本当に認めてもらいたい相手に認めてもらえてないからじゃないのかい?」

シンジ「………」

カヲル「それが誰なのかは僕にはわからない」

カヲル「でも、君はきっとわかっているはずだ」

カヲル「いくら外堀を埋めても、肝心の天守閣を落とさない事には、君はきっと、満足できない」

シンジ「………」

カヲル「…一つ忠告をしておくよ」

680 : ◆nru729E2n2:2013/03/22(金) 20:04:34 ID:r/9arg0s
カヲル「君は自分を変える必要があると思ってる。その事自体は否定しない」

カヲル「でも、急激な変化は周りと軋轢を生む。だから…」

シンジ「…だから?」

カヲル「少しずつ、今のいい所を増やしていけばいいんじゃないかな?」

カヲル「僕みたいな小僧が言うセリフじゃないけど、」

カヲル「自分が歩いてきた道をふと振り返ってみると、どれだけ自分が変わったかわかると思うよ」

カヲル「あせらずに歩いていれば、そのうち結果はついてくるさ」

シンジ「………」

681 : ◆nru729E2n2:2013/03/22(金) 20:05:38 ID:r/9arg0s
シンジ(みんなはいろんなことを言ってくれたけど)

シンジ(正直あまり実感が無い)

シンジ(カヲル君が言ってた"本当に認めてもらいたい相手"は)

シンジ(父さんだってことは、僕自身もわかってる)

シンジ(…一緒に生活していない父さんが僕を認めることってあるのかな?)

シンジ(父さんが僕を評価する判断材料になることは)

シンジ(エヴァに乗って使徒を倒すこと)

シンジ(僕の人格、特技、そう言う物はおそらく対象にならない)

シンジ(結局、僕はエヴァのパイロットと言う"存在"でしかないのかな…?)

682 : ◆nru729E2n2:2013/03/22(金) 20:06:18 ID:r/9arg0s
翌日 NERV本部 自販機前

冬月「少年」

シンジ「あ、副司令」

冬月「うかない顔だな」

シンジ「すいません」

冬月「君がそこでしばらく立ち呆けしていたので声をかけた。他意は無い」

シンジ「そうですか」

冬月「…悩み事かね?」

シンジ「…少し」

冬月「そうか」

シンジ「………」

冬月「………」

シンジ「………」

683 : ◆nru729E2n2:2013/03/22(金) 20:08:33 ID:r/9arg0s
冬月「………答えの無い問いか、堂々巡りか」

シンジ「え?」

冬月「はたまた、答えは出ているが納得できないか。そんなところか?」

シンジ「…お見通し、なんですね」

冬月「経験による推論だ。さしもの私も、君の悩みの内容まではわからん」

シンジ「父さんが、僕の事をどう思ってるのかな、…って」

冬月「碇が?」

シンジ「父さんとは話す機会も無いし、僕との会話はそんなに弾む物でもありません」

シンジ「父さんが、僕の事をどんなふうに想い、感じているのかが気になって…」

冬月「無愛想な男だからな。私も、あいつの本音を聞いたことなど数えるほどしかない」

冬月「まして、息子の話など出た試しも無いな…」

シンジ「そうですか…。…詳しいんですね、父さんの事」

冬月「あいつとはあいつが学生時代からの付き合いだからな」

684 : ◆nru729E2n2:2013/03/22(金) 20:09:54 ID:r/9arg0s
シンジ「父さんって、どんな学生だったんですか」

冬月「…一言で言うと、できた人間ではなかった」

冬月「今でこそ指令なんぞやっておるが、あの当時を知る者が今のあいつを見たら」

冬月「大成したものだと感心するに違いない」

シンジ「そうなんですか?」

冬月「男はくぐった修羅場の数で変わるものさ」

シンジ「………」

冬月「少年」

シンジ「は、はい」

冬月「結論から言おう」

685 : ◆nru729E2n2:2013/03/22(金) 20:11:58 ID:r/9arg0s
冬月「この世界には、日本だけ見ても1億を超える人間が存在する」

冬月「それはつまり、それだけ多様な考え方があると言うことだ」

冬月「だから当然、君の事を好意的にみる人間もいるし、そうでない人間もいる」

冬月「全ての人間に認めてもらうことなど、土台無理な話しだと思うわんかね?」

シンジ「それは、父さんは一生僕を認めないってことですか?」

冬月「その可能性もある」

シンジ「」

冬月「だが、変わる可能性も無くは無い。確率の上ではな」

シンジ「…ずいぶんいい加減なんですね」

冬月「人の心など、昔の季節の移ろいよりもはるかに変わりやすいものだ」

冬月「心とは、数式で表すことのできないものだ」

冬月「だからこそ、何かの拍子にころりと変わる」

冬月「一目ぼれもその類いだ」

686 : ◆nru729E2n2:2013/03/22(金) 20:13:32 ID:r/9arg0s
シンジ「…父さんが、僕を認めてくれる日が来るんでしょうか?」

冬月「それは君次第だ」

シンジ「僕、次第…?」

冬月「君自身があいつを変える、あいつに認めさせるという気持ちで行動すれば」

冬月「まだ見ぬ未来において、変わる可能性は残されている」

冬月「君の場合媚を売るのとは違うのだろう? 正攻法ならなおさらだ」

シンジ「…難しいですね、なんだか」

冬月「雲をつかむような話だからな。そう簡単にはいくまい」

冬月「目標を持った者全てが事を成したとは言わん」

冬月「しかし、目標を持たぬ者がそれを成す道理も、また無い」

シンジ「………」

冬月「…所詮は年寄りのたわごとだ、忘れてくれてかまわんよ」

687 : ◆nru729E2n2:2013/03/22(金) 20:14:19 ID:r/9arg0s
冬月「そろそろ仕事に戻る」

シンジ「すいません、時間をとらせてしまって」

冬月「かまわんよ。昔の教師としての血が騒いだにすぎん」

シンジ「…ありがとうございました」

冬月「その言葉時期尚早だ」

シンジ「?」

冬月「それは、君が事を成した後に言ってくれ」

シンジ「わ、わかりました…。いつになるかわかりませんけど」

冬月「うむ」

688 : ◆nru729E2n2:2013/03/22(金) 20:15:13 ID:r/9arg0s
冬月「」カツカツ…

冬月「」カツカツ…

冬月「」カツカツ…

冬月「…盗み聞きとは感心せんな」

???「わぉ、気づいてたんですか?」

冬月「あまり大人を甘く見ない事だ」

マリ「でも残念、あたしがしたのは盗み聞きではなく立ち聞きです!」

マリ「あ、今回話を聞いちゃったのは全くの偶然ですからね?」

冬月「…そういうことにしておこう」

689 : ◆nru729E2n2:2013/03/22(金) 20:17:06 ID:r/9arg0s
マリ「わんこ君、これからどうなりますかね?」

冬月「碇に認められるよう努力はするに違いないが、」

冬月「認めるつもりが果たしてあやつにあるかどうか…」

マリ「無駄な努力、ってことかニャ?」

冬月「無駄かどうかはわからん、努力の中で何かをつかむのはその人次第だ」

冬月「碇が振り向く時は、"少年"が"成年"になる時であることは間違いないがな」

マリ「なるほど」

冬月「それに」

マリ「それに?」

冬月「子にとって"親"はいつまでたっても"親"だ」

冬月「背中を追い越すことなど、到底できん」

マリ「…親子って難しいニャ」


冬月「それより、お前さんはその口調を何とかした方がいい」

冬月「はっきり言って、目上の者に対して失礼だ」

マリ「…うわ、いきなり駄目だしされたし」

690 : ◆nru729E2n2:2013/03/22(金) 20:18:51 ID:r/9arg0s
数日後

シンジ「アスカ~、早くしないと遅刻するよ~!」

アスカ「うっさい! そんなことわかってるわよ!!」(寝ぐせ修正中)

ミサト「だったらもう少し早く起きればいいのに…」

カヲル「二度寝の気持ちよさはよくわかりますけど」

綾波「規則正しい生活をしてれば何ら問題ないはず」

マリ「君の場合は髪短いからね、姫みたいな苦労しなくて済むじゃん?」

綾波「そうなの?」

シンジ「…アスカみたいな爆発状態にはならないよね」

アスカ「バカシンジのくせに、最近言うじゃないの!!」

691 : ◆nru729E2n2:2013/03/22(金) 20:20:55 ID:r/9arg0s
マリ(冬月副司令との話の後、わんこ君は徐々に普段の姿を取り戻しつつある)

マリ(ゲンドウ君との確執は消えたわけではないけれど、悩んでいる様子はない)

マリ(悩み始めると嫌な連鎖に陥るわんこ君にしては、とりあえず連鎖を止めることに成功したようだ)

マリ(何がきっかけで止まったかはわっかんないが、まぁとりあえずは問題ないみたい)

マリ(これが気を使ってなのか、明確な何かを持ってのことなのか…)

マリ(ここは後々答えが出ることだろう)

マリ(とりあえず、あたしもこの日常を楽しむ事にする)

マリ(人生は、楽しんだ者勝ちだしね♪)

シンジ「マリさん行きますよ~!」

マリ「あ、こら待て! 置いてかないで~~~っ!!」

692 : ◆nru729E2n2:2013/03/22(金) 20:29:23 ID:r/9arg0s

というわけで、今回投下分は終了となります。

もともとはシンジ×マリで絡ませたかったんですが、
なにを間違ったかシンちゃんの人生相談になってしまいました…。

シンジはTV、映画ともにウジウジの病気が発病しまくりだったので
ここで久々に発病してもらって、みんなから元気貰って回復する流れに…

他人って、

『自分が思ってるほど自分のこと見てくれてないし、
                  自分が思ってないところは見てくれている』

ってことを読み取っていただければ幸いです


698 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/03/30(土) 21:43:06 ID:dlk3AzJ6

放課後の学校



     ガララ…

アスカ「バカシンジー、ゴミ、捨てて来たわよ」

アスカ「学級日誌、書き終わった?」

シンジ「もう少しだよ、アスカ」

アスカ「早くしてよね」

シンジ「……はい、おしまい」

シンジ「お待たせ、アスカ」

アスカ「じゃあ、さっさと教室のカギ閉めて、職員室に日誌届けて帰るわよ」

シンジ「うん、そうだね」

699 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/03/30(土) 21:46:57 ID:dlk3AzJ6
参考動画

http://www.youtube.com/watch?v=rGtnAp8KZ_8

700 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/03/30(土) 21:47:43 ID:dlk3AzJ6

     ウメダ、イキノ、キップカッテ~♪

シンジ「ん?」

アスカ「何? この曲?」

シンジ「ケンスケの机から……かな?」

     ゴソゴソ……

シンジ「あった。 携帯からだね……ケンスケ、忘れ物かな?」 ピッ

シンジ「もしもし?」

701 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 21:48:58 ID:dlk3AzJ6

トウジ『おー、センセ。 出てくれたか』

シンジ「トウジ?」

トウジ『ケンスケの奴が携帯が無いって気がついてな』

トウジ『たぶん、学校やろ、とは思ってたけど……』

トウジ『もしかしたら日直のセンセが出るかも、と、かけてみたんや』

シンジ「ああ……そうなんだ」

トウジ『ケンスケ、どないするー?』

トウジ『…………』

トウジ『ほうか、分かった』

トウジ『あんな、センセ』

シンジ「うん」

702 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 21:49:44 ID:dlk3AzJ6

トウジ『とりあえず、それ持って帰って、明日返してくれへんか?って、言っとるわ』

トウジ『頼めるか?』

シンジ「ああ、構わないよ、それくらい」

トウジ『すまんの~センセ。 ケンスケ、ええって』

トウジ『んじゃ、また明日』

シンジ「うん、また明日」

     ピッ… ツー、ツー…

アスカ「ジャージ?」

シンジ「うん。 やっぱりこれ、ケンスケの忘れ物だって」

アスカ「ふ~ん……」

703 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 21:50:32 ID:dlk3AzJ6

アスカ「ところで、さっきの曲……アレ、なんなのかしら?」

シンジ「着メロってやつだよ」

シンジ「着信音を自分好みの曲に設定出来るんだ」

アスカ「そうなの?」

シンジ「そうなの……って知らなかったの?」

アスカ「携帯の着信音なんて、変える必要性を感じないもの」

シンジ「それは……まあ、そうだけど」

シンジ「でも、そういう設定を個別にしておくと、かかってきた時に」

シンジ「曲を聴いただけで、誰からか、わかる様になるから」

シンジ「結構便利だって、ケンスケ達は言ってた」

アスカ「個別って……電話番号ごとに設定できるの?」

シンジ「そうらしいよ? 僕も詳しくは知らないけど……」

アスカ「…………」

704 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 21:51:30 ID:dlk3AzJ6

葛城宅



     ガチャ

シンジ「ただいまー」

アスカ「待ってたわよ、バカシンジ」

シンジ「うん。 すぐ晩御飯、作るから」

アスカ「……そうね。 その後でいっか」

シンジ「……? 何?」

アスカ「ううん、いいの。 後で話すから」

シンジ「うん……」

シンジ(何か……嫌な予感がする……)

705 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 21:52:13 ID:dlk3AzJ6

ミサト「ごちそうさまー」

ミサト「シンちゃん、いつもありがとう。 美味しかったわ♪」

シンジ「いえ」 ///

カヲル「ごちそうさま」

カヲル「食器、洗うの手伝おうかい? シンジくん」

シンジ「あ、うん。 頼めるかな?」

カヲル「ふふ、わかった」

綾波「……ごちそうさま」

綾波(食器洗い、手伝おうと思ったけど……ホ の人に先を越された) クスン…

マリ「ごちそうさまにゃ♪」

アスカ「ごちそうさま」

706 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 21:52:49 ID:dlk3AzJ6

     カチャ カチャ…

マリ「ほいほい、みんなー」

マリ「食後に麦茶はどうですかー?」

綾波「メガネの人、ありがとう」

アスカ「あたしも、もらうわ」

マリ「ホ ルとワンコくんの分も入れとくねー」

シンジ「あ、はい、マリさん。 いただきます」

カヲル「すまないね」

マリ「いえいえ」

707 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 21:53:30 ID:dlk3AzJ6


―――――――――――


アスカ「さて……と」

アスカ「バカシンジ」

シンジ「ん? 何?」

アスカ「モブキャラの携帯、持ってきて」

シンジ「……何をする気だよ」

アスカ「別に~? ただ……」

アスカ「モブキャラの着メロ……どんな設定になってるか」

アスカ「知りたいと思わない?」 ニヤリ☆

シンジ「アスカ……」

マリ「なになに~? 何の話~?」

アスカ「えっとね……」

708 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 21:54:22 ID:dlk3AzJ6


―――――――――――


マリ「ほうほう、それは面白そうにゃ」

アスカ「でしょでしょ?」 ニシシ♪

シンジ「二人とも……これは面白がってやる事じゃないよ」

アスカ「いーじゃない、これくらい」

アスカ「携帯忘れるアイツが悪いのよ」

シンジ「アスカ……」

カヲル「まあまあ、シンジくん。 僕もちょっと興味あるし……」

カヲル「彼なら、そんなに変な設定をしないだろう……大丈夫だよ」

シンジ「カヲルくん……」

シンジ「……わかった」

709 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 21:55:38 ID:dlk3AzJ6

シンジ「それにしても……みんな、いつの間にケンスケと番号交換したの?」

マリ「この前、ジャージくんと泊まりに来た時にゃ」

シンジ「ああ……あの時に」

アスカ「その場のノリでね」

綾波「……使ってないけど」

ミサト「実は私も……」 テへへ///

シンジ「綾波にミサトさんまで……」

カヲル「さて……それじゃ、トップバッターは誰から行く?」

アスカ「あたしから行くわ」

アスカ「モブキャラ……変な曲にしてたら、タダじゃ置かないんだから……」 ピッ

710 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 21:56:53 ID:dlk3AzJ6
参考動画

http://www.youtube.com/watch?v=k4w_9XTMc4w

711 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 21:58:02 ID:dlk3AzJ6

アスカ「…………」

シンジ「あ……ワーグナーだね」

カヲル「ワルキューレの騎行か……なる程」

マリ「わかりやすいけど……ひねりも何にも無いにゃ」

ミサト「マリ……相田くんは、ウケ狙いで着メロ入れてないわよ」

ミサト「それだけ、ドイツって存在感あるのね~」

綾波「…………」

マリ「そんじゃ次、誰が行く?」

712 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 21:58:59 ID:dlk3AzJ6

ミサト「あたし、行こっかな?」

アスカ「ダメ。 ミサトはオチ担当」

ミサト「ちょ、ちょっとアスカ……オチって……」

アスカ「そうねえ……エコヒイキ、あんた行きなさい」

綾波「私?」

アスカ「深い理由は無いわよ」

アスカ「ただ、予想がつかないから、もの凄く興味あるわ」

シンジ(ある程度は、出来るけど……)

カヲル(相田くんが、どんな曲にするのかは……確かにそうだね)

綾波「……わかったわ」 ピッ

713 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 22:00:44 ID:dlk3AzJ6
参考動画

http://www.youtube.com/watch?v=5giru8UIEeQ

714 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 22:01:58 ID:dlk3AzJ6

マリ「およ!?」

カヲル「アメー○ング・グレイス……」

シンジ「元は、イギリス民謡だっけ?」

ミサト「……うん、いい曲よねー」

アスカ「…………」

アスカ(これをエコヒイキにチョイスって……どういう感性してんのよ、あいつ……)

綾波(…………)

綾波(とても……綺麗な曲……)

715 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 22:02:54 ID:dlk3AzJ6

マリ「ちょっと意表を突かれたけど、合わない事は無いと思うにゃ」

シンジ「僕はいいと思うけど」

カヲル「確かにファーストっぽい曲ではあるかな?」 クス

綾波「……私らしい?」

アスカ「気にする事は無いわよ」

アスカ「あくまでモブキャラの、あんたに対するイメージってだけだから」

綾波「私のイメージ……カメラの人の……」

ミサト「単純に相田くんが、この曲を好きってだけかもしれないしね」 クス

ミサト「さぁーて、お次は?」

マリ「あたしが行ってみるにゃ♪」 ピッ

716 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 22:04:20 ID:dlk3AzJ6
参考動画

http://www.youtube.com/watch?v=Ouqm5-dmDD0

717 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 22:04:58 ID:dlk3AzJ6

     チッ、チッチッチッ、オッパァーイ! ボインボイン~

マリ「…………」

シンジ「…………」 ///

カヲル「…………」

アスカ「…………」

綾波「…………」

ミサト「……まあ、思春期の男の子だし」

マリ「……女性としては、喜ぶべき、かなー」

アスカ「いやぁーね、男って……」

718 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 22:05:56 ID:dlk3AzJ6

シンジ「なんか……すみません」 ///

綾波「碇くん」

シンジ「ん?」

綾波「碇くんも、メガネの人の●●●●、見てる?」

シンジ「ぶふぉっ!?」 ///

アスカ「な、何言ってるのよ! エコヒイキ!」 ///

アスカ「あんな脂肪の塊! 見てるわけないでしょ!」 ///

綾波「本当? 碇くん?」

シンジ「もももももも、もちろんさ!」 ///

マリ(あら~、ワンコくんもやっぱり男の子なんだにゃ。 知ってたけど♪)

シンジ「じゃ、じゃあ、次! 僕が行くね!」 ///ピッ

719 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 22:07:14 ID:dlk3AzJ6
参考動画

http://www.youtube.com/watch?v=j2rKhKa29CY

720 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 22:08:19 ID:dlk3AzJ6

     ホシクズノウミノナカ~ タダヨウ、ユメ~モトメ~

ミサト「あ……これ知ってる。 夢○年だわ」

シンジ「そうなんですか? ……いい曲ですね」

アスカ(ミサトが知ってるって事は……古い曲?)

マリ「……わぁ。 これ、歌詞がグッとくるね?」

カヲル「うん……シンジくんらしい曲だ」

綾波「…………」

綾波(寂しげで、孤独感があるけど……とても、力強さを感じさせる曲)

綾波(うん……碇くんらしい曲……) ///

721 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 22:09:03 ID:dlk3AzJ6

ミサト「懐かしいわ~、この曲がテレビアニメで流れてた頃」

ミサト「日本は、本当に平和だったわ」

シンジ「セカンドインパクト前の曲ですか……」

ミサト「それにしても相田くん、どうしてこんな曲知っているのかしら?」

カヲル「それについては、謎だね」

アスカ「あ」

マリ「うん? 姫、どうかしたかにゃ?」

アスカ「ちょっと思いついた事があって……」 ピッ ピッ ピッ…

アスカ「あ? ヒカリー? うん、そう」

アスカ「少し変な事聞くけど……ヒカリはモブキ……相田ケンスケと番号交換してる?」

アスカ「うん……うん……」

アスカ「じゃあ、今、かけてくれない? ああ、理由は明日、話すから」

アスカ「お願いね」 ピッ…

722 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 22:10:00 ID:dlk3AzJ6
参考動画

http://www.youtube.com/watch?v=QOMuShJSvfY

723 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 22:11:06 ID:dlk3AzJ6

     コノソラノ~ユクハテニ~ マダミエヌ~ミライノナミ~ガアリ~

アスカ「…………」

シンジ「なんか……切ない曲だね」

マリ「悪いわけじゃなく……重いって感じ?」

ミサト「いい曲だとは思うけど……」

カヲル「相田くん……委員長らしいと言えば、らしいけど……」

綾波(まるで……今の世の中(エヴァ世界)の刹那を歌っているみたい)

綾波(でも……とてもいい曲)

724 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 22:11:47 ID:dlk3AzJ6

カヲル「それじゃあ、次は僕が行ってみるかな?」

アスカ「まあ……あんたの曲は、聞かなくても大体予想つくけどね」

シンジ「ア、アスカ……まだ、わからないだろ?」

マリ「そうは言ってもね~」

綾波「付いたイメージは、なかなか変えられない」

カヲル「ファースト……さらっと酷い事言うね……」

カヲル「元々は君達が勝手に付けたイメージなのに」

アスカ「あんたの行動や言動が、それを全否定してるわよ」

ミサト「それじゃ、行ってみてくれる?」

カヲル「はいはい」 ピッ

725 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 22:13:05 ID:dlk3AzJ6
参考動画

http://www.youtube.com/watch?v=6Sosfh60448

726 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 22:14:07 ID:dlk3AzJ6

     ユラリ、ユラリ、ユレテ、イール  オトコ、ゴコロ、ピーンチ☆

カヲル「…………」

綾波「やっぱり……」

マリ「ウホッ!……で」

アスカ「アッー!な、展開の曲だったわね」

シンジ(……ごめん、カヲルくん)

シンジ(擁護できないや……)

ミサト(こんな曲が存在するのね……)

ミサト(恐るべし……くそ○そテ○ニック)

727 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 22:14:59 ID:dlk3AzJ6

アスカ「さ、トリを飾るのは、ミサトよ」

ミサト「こ、この曲の後でやるの……なんか嫌だわ」

マリ「気持ちは分かるけど、聞きたいにゃ」

綾波「カメラの人の、葛城三佐のイメージ曲……」

綾波「興味、ある」

シンジ「だ、大丈夫ですよ、ミサトさん」

シンジ「ケンスケは、ミサトさんの事、尊敬してたし……」

ミサト「……そ、そう?」

シンジ「もちろんです」

カヲル(シンジくん、ナイスアシストだ)

ミサト「じゃあ……行くわよ」 ピッ

728 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 22:16:04 ID:dlk3AzJ6
参考動画

http://www.youtube.com/watch?v=DnQVbQz--hE

729 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 22:17:01 ID:dlk3AzJ6

     サケガノメル サケガノメル サケガノメルゾー♪

アスカ「ブハハハ!」

ミサト「」 チーン…

マリ「まあ……この前のお泊りでも、豪快に飲んでたしねー」

綾波「とても美味しそうだった」

シンジ(……ミサトさん、すみません)

シンジ(期待させる様な事、言って……)

カヲル「まあ……仕方ないよね」

730 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 22:18:01 ID:dlk3AzJ6

翌日の朝

学校



ヒカリ「そういう事だったの……」

アスカ「まあ、いい暇つぶしになったわね」

ヒカリ「ところで私のは、どんな曲だった?」

アスカ「いい曲だったわよ? ヒカリっぽくて」

ヒカリ「ふうん……」


ケンスケ「おはよう、碇ー」

シンジ「! お、おはよう、ケンスケ」

ケンスケ「昨日はごめん、助かったよ」

シンジ「う、うん……はいこれ、携帯」

ケンスケ「おっ、ありがとう、碇」

731 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 22:18:52 ID:dlk3AzJ6

ケンスケ「さてと、今日の一時限目は……と」

綾波「カメラの人」

ケンスケ「ん? 綾波……?」

綾波「ありがとう」

ケンスケ「……はい?」

綾波「じゃ……」

ケンスケ「????」

ケンスケ(何のお礼?)

732 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 22:19:40 ID:dlk3AzJ6

NERV指令所



ミサト「はあ……」

リツコ「どうしたの? ミサト」

リツコ「今日は、ため息が多いわね」

ミサト「ちょっちねー……考えさせられたんだわ、これが……」

リツコ「考えさせられる?」

ミサト「んー」

ミサト「お酒……止めようかなーって」

リツコ「無駄な努力ね」

ミサト「真面目な話だってば……」

733 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 22:21:02 ID:dlk3AzJ6

リツコ「あなたがお酒を? ありえないわ」 クスクス

ミサト「うっ……否定出来無い」

リツコ「くだらない事を言ってないで、予算超過報告書と補充スタッフの選定」

リツコ「それからNERVスタッフの訓練内容や期間・場所の」

ミサト「リツコ……みなまで言わないで……仕事はちゃんとするから……」

リツコ「わかればよろしい」

リツコ「じゃ、私は、パイロットの訓練内容を作成するから」

ミサト「はーい」

ミサト(…………)

ミサト(とは言うものの……)

ミサト(せめて……子供達の目の前で飲むのは止めよう) ハア…

734 : ◆UXF8J5hp4A:2013/03/30(土) 22:21:33 ID:dlk3AzJ6



     だが、家に戻ってそれを思い出したのは

     みんなの前でビールを1本空けた後だった。

     ……ミサトは、止めるのを止めた。



     おしまい


739 : ◆nru729E2n2:2013/03/31(日) 23:29:43 ID:P3iZgKDY
NERV 会議室

アスカ「さて、アンタ達に集まってもらったわけだけど」

カヲル「ホントいきなりの招集だね、しかも会議室まで使って」

ミサト「おまけにあたしとシンちゃんとカヲル君? 一体どういう人選よ?」

シンジ「綾波とマリさんは?」

アスカ「エコヒイキとコネメガネは今回外したわ」

シンジ「なんで?」

アスカ「あいつらは、今回の"ターゲット"だからよ」

シンジ・ミサト・カヲル『ターゲット?』

740 : ◆nru729E2n2:2013/03/31(日) 23:30:28 ID:P3iZgKDY
アスカ「そ、ターゲット」

ミサト「…アンタ、また善からぬことを企んでるんじゃないでしょうね?」

シンジ「き、聞いた後(アスカが)が怖いですけど、ちなみにどんな?」

ミサト「ズバリ、シンちゃんをゲットするために邪魔なライバルを消去するとか?」

カヲル「シンジ君ゲットの最大の障壁は僕ですよ!」

ミサト「同性である時点でシンジ君は恋愛感情を抱かないので、その意見は却下します」

カヲル「」

アスカ「…あ、アンタ達、 本人の目の前でよくそんなこと言えるわね!?」

ミサト「だって、あの二人がシンジ君ゲットの障壁であることは間違いないわけだし」

アスカ「そんな変なことは考えてないっちゅーの!!」プンプン

741 : ◆nru729E2n2:2013/03/31(日) 23:31:15 ID:P3iZgKDY
シンジ「ふ、二人とも落ち着いて…。今回の発起人はアスカなんですから、」

シンジ「まずはアスカの話を聞かないと事が進まないじゃないですか」

アスカ「そうよ!! まずはこのあ・た・しの話を聞きないってば!!」

ミサト「しょーがないわねぇ…」

カヲル「それじゃ、5文字で説明よろしく」

アスカ「パーティー」

カヲル「…は?」

アスカ「だから、パ・ー・テ・ィ・ー!」

ミサト「…おお、ぴったし5文字」

シンジ「感心するところはそこじゃないと思いますけど…」

742 : ◆nru729E2n2:2013/03/31(日) 23:32:01 ID:P3iZgKDY
アスカ「バカシンジ、アンタの誕生日は6月だったわよね?」

シンジ「そ、そうだけど…?」

アスカ「ホ ルは9月」

カヲル「そうだけど…、どうしてそれを君が知っているんだい?」

アスカ「んでもってあたしは12月」

ミサト(あたしの誕生日はどうなったのかしら~? あたしも12月なんだけど~)

アスカ「そしてここが問題、エコヒイキとコネメガネは3月!」

アスカ「しかも二人は一日違いの30日と31日生まれ!! ここまで言えばわかるでしょ!!?」

シンジ「…要するに」

カヲル「彼女たちの誕生日を祝う」

ミサト「バースデ―パーティーをやろうってわけ?」

アスカ「その通り!!」ドヤァ

743 : ◆nru729E2n2:2013/03/31(日) 23:32:46 ID:P3iZgKDY
カヲル「ああ、そういうことか」

ミサト「そういやアスカの誕生日は盛大に祝ったもんね~、サプライズで」

アスカ「そうよ!! このあたしにサプライズを仕掛けたんですもの!!」

アスカ「仕掛け返されても文句ないわよね!!?」

シンジ(素直に"前回のお礼にパーティー開くわよ"って言えばいいのに…)

ミサト「それで二人を除いたこのメンツでやるわけか」

カヲル「けど準備するには頭数が足りない気がするな」

シンジ「今回は2人抜けるね」

アスカ「応援はすでに手配済みよ?」ニヤリ

シンジ「委員長?」

カヲル「委員長だね」

ミサト「洞木さんね」

アスカ「」

744 : ◆nru729E2n2:2013/03/31(日) 23:33:31 ID:P3iZgKDY
アスカ「ア、アンタ達…」

ミサト「違った?」

アスカ「ち、違わないけど…」モジモジ

カヲル「ならいいじゃないか」

アスカ「…なんか、あたし友達いないみたいに思われてない?」

シンジ「僕はそんな風には思わないけど…」

アスカ「そ、そうよね!!」

カヲル(友達少ない事、気にはしてるんだね…)

ミサト(…"私は一人で平気"なんて言ってた時期が懐かしいわ)

アスカ「と、とにかく! これで前回の人数と準備に携わる人数は同じよ!」

アスカ「やれるわよね?」

シンジ「ま、まぁ何とかなると思うけど…」

カヲル「後は君の協力度合い次第だね」

ミサト「アスカ次第ね」

アスカ「」

745 : ◆nru729E2n2:2013/03/31(日) 23:34:09 ID:P3iZgKDY
ミサト「レイはもちろん、マリもなんだかんだで手伝ってたもの」

ミサト「アスカがあの二人くらい働いてくれたら何ら問題ないわ」

アスカ「あたしを誰だと思ってるのよ! やれるわよ!!」

シンジ(負けず嫌いだなぁ…)

カヲル(そういう意味じゃ誰よりも扱いやすいけど)

ミサト「オッケー、んじゃ頑張ってね♪」

シンジ「ミサトさんも頑張ってくださいね」

カヲル「仕事が忙しいのは仕方ないですが、ある程度はやっていただかないと」

ミサト「が、頑張ります(汗)」

アスカ(あの様子だと、ミサトあたしの時はたいして働いてないわね)

746 : ◆nru729E2n2:2013/03/31(日) 23:34:49 ID:P3iZgKDY
シンジ「それで、どんなパーティーにするの?」

アスカ「派手に行くわよ!」

カヲル「具体的には?」

アスカ「派手に!!」

ミサト「アスカ、派手なのはわかったから、具体的に話して」

ミサト「どんな飾り付けして、どんな料理出して、どこでやるとか」

ミサト「派手派手言ってるだけじゃ、あなたのイメージが全然つかめないの」

ミサト「状況報告やイメージ・レベル合わせって言うのは大事なんだから」

ミサト「今回のリーダーはあなたよ? カヲル君もシンジ君もあなたの手先となって動くの」

ミサト「あなたのイメージを共有しない事には、動きたくても動けないじゃない」

アスカ「わ、わかってるわよ…」

747 : ◆nru729E2n2:2013/03/31(日) 23:35:38 ID:P3iZgKDY
シンジ「え、えっと、僕からいろいろ質問するからアスカ答えてよ」

アスカ「ハァ? なんで?」

シンジ「料理関係は僕が担当することになるだろうし、紙に書き出してみる」

アスカ「う、うん」

シンジ「それじゃあ…」


シンジ「ケーキはどんなのが良い?」
アスカ「そうね…エコヒイキとコネメガネのプラグスーツの色をイメージで白とピンク」


カヲル「葛城さん」ヒソヒソ

ミサト「ん~?」

カヲル「ここだけの話、大丈夫でしょうか? ファーストはともかく、もう一方は勘が良さそうですし」ヒソヒソ

ミサト「大丈夫よ。たぶん」ヒソヒソ

748 : ◆nru729E2n2:2013/03/31(日) 23:36:12 ID:P3iZgKDY
カヲル「その根拠は何ですか?」ヒソヒソ

ミサト「気づくかもしれないけど、自分のためにやってくれてるってわかったら、」ヒソヒソ

ミサト「普通邪魔するわけないじゃない」ヒソヒソ

ミサト「主賓はほかならぬ自分なわけだし」ヒソヒソ

カヲル「だといいのですが…」ヒソヒソ


シンジ「ろうそくも買わなきゃね」
アスカ「吹き消すやつね…どこで売ってるのよ?」
シンジ「スーパーとかで売ってると思うから探してみるよ」


カヲル(バレずに事が運ぶか、失敗するか、はたまた黙認されるのか)

カヲル(さてさて、一体どうなる事やら…?)

749 : ◆nru729E2n2:2013/03/31(日) 23:36:50 ID:P3iZgKDY
翌朝 葛城宅
マリ「ところでさ」

アスカ「ん~?」

マリ「昨日あたしとファーストちゃん以外みんな帰りが遅かったけど、なんかあったの?」

アスカ「べ、べつに~」ギクゥゥゥッ!!

シンジ(アスカ顔に出てるって…)

ミサト(ホンットわかりやすいなぁ)

カヲル(以前お泊まり会で鈴原君とババ抜きでビリ決め対決した時からわかってはいたけど)

マリ「…姫」

アスカ「な、何よ?」

マリ「何か企んでる?」

アスカ「何を企むっていうのよ!!」ギクギクゥゥゥッ!!

750 : ◆nru729E2n2:2013/03/31(日) 23:37:30 ID:P3iZgKDY
マリ「"私、何か企んでます"って、顔に書いてあるけど?」

綾波「…特に顔に文字は書かれてない」

シンジ「顔に書いてあるっていうのは、表情から読み取れるってことだよ」

綾波「そうなの?」

カヲル「そうそう」

ミサト「アスカはわかりやすいもんね~」

マリ「ほれほれ~白状しなさいって~」ウリウリ~

アスカ「冤罪だっつーの!!」

綾波「冤罪?」

シンジ「"やってないのにやったことになってる"ってことだよ」

カヲル「"誤認逮捕"と思ってもらえばいいと思うよ」

綾波「二号機の人、逮捕されるようなことしたの?」

アスカ「そういう意味じゃないっての!!」

751 : ◆nru729E2n2:2013/03/31(日) 23:38:15 ID:P3iZgKDY
学校 休み時間

マリ「君はどう思う?」

綾波「? 何が?」

マリ「朝の姫の事だよ。あれは絶対何か企んでるね」

綾波「そう」

マリ「おりょ? 気にならない?」

綾波「別に」

マリ「へー…」

綾波「………」

マリ「………」

綾波「………」

マリ「……ホントは?」

綾波「………気に、ならないわけじゃない」

752 : ◆nru729E2n2:2013/03/31(日) 23:39:02 ID:P3iZgKDY
マリ「な~んだ、だったら一緒に調べてみない?」

マリ「姫がなにを企んでるかを、さ」

綾波「気にはなるけど、そこまでする気にはならない」

マリ「なんで? 気になるんでしょ?」

綾波「二号機の人にだって、隠したことはあると思うから」

マリ「隠したい事? 具体的に何を?」

綾波「自分の弱いところ」

マリ「…い、イヤあのね、今回はそういうことじゃなくて」

綾波「私たちは、二号機の人に隠し事をしたことがある」

マリ「え? 私たちって、あたしも?」

綾波「」コク

マリ「なんかやったけ?」

753 : ◆nru729E2n2:2013/03/31(日) 23:39:57 ID:P3iZgKDY
綾波「12月4日、二号機の人の誕生日に」

マリ「…あー、サプライズパーティー」

綾波「」コクコク

マリ「あんとき姫泣かせちゃったんだよねぇ…喜びの涙だったと思うけど」

綾波「二号機の人はツンデレ」

マリ「…ツンデレは間違いないけど、ここで使うべきなのかどうかはちょっと疑問だな」

綾波「ツンデレは正反対の言葉を言うだけで、本気で嫌がったりはしていない」

綾波「二号機の人が隠し事をするということは」

綾波「それが言えない状況だったから」

マリ「ん~? 要するに、朝いたメンツに関係することだったから言えニャかった?」

綾波「………多分」

754 : ◆nru729E2n2:2013/03/31(日) 23:40:28 ID:P3iZgKDY
マリ(…この子、姫のことよく見てると言うか、信頼してると言うか…)

マリ(普通はもっと疑うもんだけどニャ…)

綾波「だから私は調べないし、協力を要請されたら協力する」

綾波「でも、二号機の人が何も言わないのであれば、私は干渉しない」

マリ「ドライだね~、普通はもっといろいろなこと気にするよ?」

綾波「そうなの?」

マリ「少なくともあたしは気にするよ?」

綾波「なぜ?」

マリ「なぜって…気になるから?」

マリ「自分の知らない事に興味を示すのは普通のことだって」

マリ「それが、もしかしたら"自分に関係すること"かもしれないし」

755 : ◆nru729E2n2:2013/03/31(日) 23:41:11 ID:P3iZgKDY
綾波「"自分に関係すること"?」

マリ「さっきの君の姫の行動の推測はかなり的を得てると思う」

マリ「姫の場合、何か隠す場合は"自分のプライドを汚すような不都合なこと"、」

マリ「"相手にとってあまりにもショックなこと"と、」

マリ「"自分がそういうことをする柄じゃない事"の3つってあたしは考えてる」

マリ「んで、今回の件に関してはあたし的には最後の3番目、」

マリ「"自分がそういうことをする柄じゃない事"なんじゃなかろうかと」

綾波「根拠は?」

マリ「これは、あたしの経験則」

綾波「経験則?」

マリ「要するに、勘」

756 : ◆nru729E2n2:2013/03/31(日) 23:41:47 ID:P3iZgKDY
綾波「そう」

マリ「ウワ反応薄ーい」

綾波「そうでもない」

マリ「そなの? 全然そうは見えないニャ」

綾波「直観の全てを認めているわけではないけど、」

綾波「そういうことは時々驚くほど的確に当たるから」

マリ「君は勘が良い方?」

綾波「いいえ、でもみんなたまに当ててるから」

マリ「君が見た限りあたってるからってことか。ま、君がそれでいいならいいけどさ」

綾波「…結局、調べるの?」

マリ「モチのロン! あたしは気になったことは調べずにいられないタチなのだ!!」フンゾリ

綾波「胸を張ることじゃないと思う」

マリ「気にしなさんなって♪」

757 : ◆nru729E2n2:2013/03/31(日) 23:42:19 ID:P3iZgKDY
マリ「さて、姫は一体なn」(カレンダーが目に入る)

マリ「………?」(首をかしげる)

綾波「? メガネの人?」

マリ「姫の隠し事、あたし達が隠したこと、姫のSuprise Birthday Party…」

綾波「?」

マリ「姫がそんなことされて、やり返さないはずがない…」

マリ「あの場にいたのはあたし、わんこ君、ファースト、ホ 君、ぶちょーさん」

マリ「仮にあたしに関係するとしたら…」

綾波「…メガネの人?」

758 : ◆nru729E2n2:2013/03/31(日) 23:43:21 ID:P3iZgKDY
マリ「君」

綾波「何?」

マリ「誕生日いつ?」

綾波「3月30日」

マリ「あたしは3月31日」

綾波「それがなに?」

マリ「姫は、あたしらの誕生日に何かやろうとしてるんじゃないかニャ?」

綾波「そうなの?」

マリ「確証はないよ。でも、姫の性格から考えて、」

マリ「やられっぱなしじゃまず済まさないはず」

綾波「そうね」

マリ「だよね」


マリ(妙なところで意見があった…)

759 : ◆nru729E2n2:2013/03/31(日) 23:44:03 ID:P3iZgKDY
数日後 3月30日 PM8:41 NERV⇒葛城宅(徒歩で帰宅中)

マリ「だー! 残しすぎだっつーの!! 何時だと思ってんのー!」

綾波「私は気にしない」

マリ「さいですか…。しかし、あたしらが居残り組なるってのも、珍しいニャ」

綾波「そうね」

マリ「シンクロテストの結果が悪いからって、りっちゃん先生もいろいろカウンセリングして来るし…」

綾波「あの人は、仕事が恋人だから」

マリ「それ、相当さびしい大人だよ?」

綾波「そうなの?」

マリ「そうだよ」

綾波「そう」

マリ「………」

綾波「………」

760 : ◆nru729E2n2:2013/03/31(日) 23:44:53 ID:P3iZgKDY
マリ「でさ、」

綾波「何?」

マリ「例の姫の隠し事の件、誕生日がらみならなんか今日動きあるよね?」

綾波「それはあなたの予測、実際には今のところ何の動きも無い」

マリ「さらりとそういうこと言わないでよ~!」

マリ「誕生日だって言うのに誰も祝ってくれないってさびしいじゃ~ん!!」

綾波「別に」

マリ「…もしかして、今まで誕生日を祝ってもらったこと、ないの?」

綾波「無いわ」

マリ「………君って、いろいろ苦労してるんだね」

綾波「そうなの?」

マリ「君の場合、ほかの人が体験しているはずの事を体験してないのが多すぎるんだってば!!」

761 : ◆nru729E2n2:2013/03/31(日) 23:45:57 ID:P3iZgKDY
葛城宅 到着

綾波「ただいま」

マリ「たっだいま~」

シーン・・・・・・・・・

綾波「…返事がない」

マリ「これはいよいよIt's Show Timeかな?」

綾波「ショータイム?」

マリ「そそ、ここを抜けて、リビングに入ると」(二人でリビングへ入室)

パン! パンパンパパン!!

???「Happy Birthday!!」

綾波「………」(クラッカーの紙ひもまみれ)

マリ「…ま、こうなるわけ」(クラッカーの紙ひもまみれ)

762 : ◆nru729E2n2:2013/03/31(日) 23:46:36 ID:P3iZgKDY
ミサト「あらら、やっぱばれてたみたいね」

カヲル「セカンドが顔に出すからいけないんだよ」

アスカ「何よ!! あたしのせいだってーの!?」

ヒカリ「アスカやめなよ…」

トウジ「せやせや、せっかくのめでたい席やしの」

ケンスケ「っとか何とか言って、トウジは碇の作った料理食べたいだけだろ?」

サクラ「シンジはんのケーキにありつけるって聞いて涎だらだらだったです」

トウジ「二人してなんやねん!!」

シンジ「い、一応褒められたという事で受け取っておくよ…」

763 : ◆nru729E2n2:2013/03/31(日) 23:47:37 ID:P3iZgKDY
マリ「確証はなかったけど…」

綾波「予想通りだった」

マリ「若干予想外な人が交じってるけど」チラ

トウジ「誰の事や?」

ケンスケ「俺らの事だと思うよ、たぶん」

トウジ「なんやてぇ!?」

マリ「怒んない怒んない、わざわざ来てくれてありがと♪ ほら、君も」

綾波「あ、ありがとう」

サクラ「どういたしましてです!」

ケンスケ「ま、式波の時もやったしね」

トウジ「クラスメイトやし、そない固くなるなや」

綾波「わ、わかった」

764 : ◆nru729E2n2:2013/03/31(日) 23:48:30 ID:P3iZgKDY
マリ「んでぇ? 今回の発起人は姫かニャ?」

アスカ「そ、そうよ!! 悪い!?」

マリ「んニャ~、別に?」

綾波「メガネの人と話をしてた。二号機の人が何か隠してるって」

トウジ「顔に出るからのww」

アスカ「ジャージが言えた義理か!」

シンジ(どっちもどっち…)

綾波「それで、二号機の人は"自分がそういうことをする柄じゃない事"してるんじゃないかって」

アスカ「………」

マリ「まぁ、姫の事だから前回仕掛けれたサプライズのお返しだと思ったんだけどね」

765 : ◆nru729E2n2:2013/03/31(日) 23:49:24 ID:P3iZgKDY
アスカ「そ、そうよ!! これは仕返しよ!!」

アスカ「か、勘違いしないでしょね!! アンタ達のために計画したわけじゃないんだからね!!」///

ケンスケ「こ、これこそツンデレ王道の殺し文句!」

マリ「姫はツンデレだからね♪」

綾波「ツンデレ」

トウジ「ツンデレww」

ミサト「ツンデレツンデレwww」

アスカ「ア、アンタ達ィィィィ!!」

ヒカリ「ア、アスカストップ~!!」


シンジ「話が進まない…」

766 : ◆nru729E2n2:2013/03/31(日) 23:50:11 ID:P3iZgKDY
カヲル「さて、気を取り直してろうそくの火を吹き消して」

綾波「? なぜ?」

サクラ「バースデーケーキのろうそくは年齢と同じ本数をケーキに立てて、」

サクラ「それを祝ってもらう人が吹き消すのがルールなんです!」

綾波「そう」

シンジ「ホントは一つずつケーキを準備したかったんだけど…」

アスカ「二つも食べたら太るじゃないの!!」

シンジ「と言うわけで」

綾波「私は構わないわ」

マリ「あたしも問題なーし。わんこ君のお祝いの気持ちがこもっていれば」

アスカ「あたしも手伝ったんだからね!」

ミサト「最後に上のイチゴ乗せただけじゃないの…」

アスカ「ミサト~!(怒)」

767 : ◆nru729E2n2:2013/03/31(日) 23:51:05 ID:P3iZgKDY
ギャーギャーギャー

マリ「まったく、素直じゃないんだから…」

綾波「………」

マリ「? どしたの」

綾波「…こう言う時、どんな顔すればいいかわからないの」

マリ「うれしいときはどうすべきかなんて、君はもう答え知ってるとおもうけど?」

綾波「…こう?」ニコ

マリ「そうそう♪」ニッ

綾波「ありがとう」

マリ「You're welcome! ささ、せーのでろうそく吹き消すよ♪」

綾波「わかった」

マリ「せーの!」

マリ・綾波「フー!」(蝋燭全部吹き消す)

768 : ◆nru729E2n2:2013/03/31(日) 23:51:42 ID:P3iZgKDY
シンジ「おめでとう」

アスカ「…おめでと」

カヲル「おめでとう」

ミサト「おめでと!」

トウジ「めでたいのぅ…」

ケンスケ「おめでとさん」

ヒカリ「二人とも、誕生日おめでとう」

サクラ「おめでとうです!!」

ペンペン「クェクェ!!」

マリ「へへ、なんか照れるねw」

綾波「…みんな」


綾波・マリ「ありがとう」

769 : ◆nru729E2n2:2013/03/31(日) 23:52:17 ID:P3iZgKDY
綾波(ハッピーバースデー)

綾波(初めて言われた言葉)

綾波(この世に生を受け、重ねた年月を祝う言葉)

綾波(胸がポカポカする言葉)

綾波(メガネの人)

綾波(ハッピーバースデー)

綾波(そして私)

綾波(私にハッピーバースデー)


779 : ◆nru729E2n2:2013/05/01(水) 17:31:42 ID:Awuize/g
…NERV本部 シンクロテスト管理室…

リツコ「アスカ、聞こえる?」

アスカ『聞こえてるわよ』

リツコ「今のところは問題ない?」


…ロッカールーム(アスカ着替え中)…

アスカ「たかがプラグスーツを着ただけじゃない。何があるってーの?」ゴソゴソ

リツコ『あなたの場合、もうずいぶん実機搭乗はおろか、』

リツコ『テストもやっていないのよ?』

リツコ『ブランクがあるんだから、あまり気負わず、焦らないようにね』

アスカ「このあたしに限って、そんなことあるわけないでしょ!」プシュ(プラグスーツ収縮)

780 : ◆nru729E2n2:2013/05/01(水) 17:32:24 ID:Awuize/g
…シンクロテスト管理室…

リツコ「って、本人は言ってるけど?」

ミサト「…やっぱ、アンタとしては心配?」

リツコ「当然」

ミサト「そりゃそうよね…」

リツコ「使徒に浸食された体、そして心、」

リツコ「これが彼女にどういう影響を与えるかなんて」

リツコ「誰にもわからないわ」

ミサト「…式波・アスカ・ラングレー。使徒に取り込まれ、そして生還した唯一の人間」

リツコ「おまけにマルドゥックの報告書に名のある第二の少女」

リツコ「ここまで希有な存在って言うのも、ホントに稀ね」

ミサト「…そんなモルモットみたいな言い方、…しないで」

781 : ◆nru729E2n2:2013/05/01(水) 17:33:45 ID:Awuize/g
アスカ『こっちは着替え終わったわよ』

マヤ「了解、それではプラグの前で待機をお願いします」

アスカ『え、まだ乗らないの?』

リツコ「今回はいろいろなデータをとるから、その準備に手間取ってるのよ」

リツコ「後1~2分待って頂戴」

アスカ『ったく、仕方ないわね~』

リツコ「……どう?」

マヤ「脳波、呼吸、心拍数全て異常無し」

マヤ「……今のところは、ですが」

ミサト「今のところは、ね」

リツコ「これがこのまま順調に行くことを、願うばかりね…」

782 : ◆nru729E2n2:2013/05/01(水) 17:34:49 ID:Awuize/g
…プラグ前…

リツコ『待たせたわねアスカ、こちらの準備が整ったから、乗り込んでちょうだい』

アスカ「わかった」


アスカ(使徒に取り込まれて1カ月、)

アスカ(さらにマグニチュード9.0の地震で生き埋めになったあの日から2カ月)

アスカ(幸いNERVの施設そのものは大した被害も無かったが)

アスカ(周辺のいろいろな場所の復旧や修理のおかげで)

アスカ(あたしの復帰を確認するためのテストの日程は延びに延びていた)

アスカ(まぁその間、バカシンジやエコヒイキ達と、くだらなくも)

アスカ(年相応の時間の使い方をしたような気もするが…、それは今は置いておく)

アスカ(あたしはもともと"ここ"にいるべき人間なのだ)

アスカ(エヴァンゲリオン二号機)

アスカ(ここはあたしにとって、玉座なのだから)

783 : ◆nru729E2n2:2013/05/01(水) 17:36:06 ID:Awuize/g
マヤ『それじゃアスカ、プラグに入って、シートに座って頂戴』

アスカ「りょ~かい」

マヤ『パイロットの搭乗を確認、搭乗口閉鎖します」


プシュー(徐々にドアが閉まる)


アスカ(…なんだろ?)

アスカ(入り口が閉まっていくだけなのに)

アスカ(たかが装甲板一枚で隔てられるだけなのに)

アスカ(ものすごく)

アスカ「ちょ、ちょっと待て! 扉を閉めないで!!」

784 : ◆nru729E2n2:2013/05/01(水) 17:37:33 ID:Awuize/g
…シンクロテスト管理室…

リツコ「マヤ」

マヤ「搭乗口の閉鎖を一時ストップします!」


ピタ…(搭乗口が閉まりかけでストップ)


リツコ「アスカ、どうしたの?」

アスカ『い、いや、なんか久しぶりだから緊張するっつーか…』

ミサト「なによ~。アンタ、ユーロじゃもう何百時間も訓練してるじゃないの」

ミサト「たかが三カ月乗らなかったからって、緊張しちゃうわけ?」

アスカ『う、うるさい!!』

リツコ「ミサト茶化さないの」

ミサト「は~い…」

785 : ◆nru729E2n2:2013/05/01(水) 17:39:06 ID:Awuize/g
リツコ「アスカ。まじめな話、少しでも気持ちが悪いとか、」

リツコ「何か体に変調があれば、今みたいにすぐに言ってちょうだい」

リツコ「こちらはプラグスーツやインタフェース系統であなたの状態をモニタリングしてるけど、」

リツコ「あなたほどあなたの体の事をわかってあげることはできないから」

アスカ『わ、わかってるっつーの』

マヤ「……」

リツコ「…解析できた?」

マヤ「プラグはまだエヴァに挿入されていませんから浸食などは当然ありません」

マヤ「ただ先ほどのアスカには心拍数、および呼吸の上昇、脳波にも乱れがありました」

ミサト「つまり…」

リツコ「拒否反応ね」

786 : ◆nru729E2n2:2013/05/01(水) 17:41:00 ID:Awuize/g
…プラグ内部…

アスカ(以前は全然感じなかったのに)

アスカ(プラグ内ってこんなに息苦しいんだ…)

アスカ(シートのあるただの装甲板の筒の中に、私はいる)

アスカ(まるで、外はもう宇宙のような死の世界みたい…)

アスカ(…体に力が入らない)

アスカ(…呼吸が苦しい)

アスカ(モニターも接続されてないから、周りの様子も見えなくて)

アスカ(どうしようもないほど)

アスカ(とてつもなく)

アスカ(恐い……)

787 : ◆nru729E2n2:2013/05/01(水) 17:42:13 ID:Awuize/g
マヤ「心拍数さらに上昇、脳波乱れています。このまま実験を続けるのは…」

リツコ「まって。プラグのメインモニターを起動して、周りの風景を見せてあげて」

マヤ「りょ、了解…」

ミサト「…大丈夫なの?」

リツコ「これが単なる閉所恐怖症なら、これで症状は幾分緩和されるわ」

マヤ「メインモニター接続します」


アスカ(モニターが繋がった…)

アスカ(周りの風景がよく見える…)

リツコ『アスカ、大きく息をして、できるだけ遠くを見て』

アスカ「ハァ…ッ、ハァ…ッ、ハァ…ッ、ハァ…」

リツコ『アスカ!』

アスカ「うっさい! 今やってる!!」

788 : ◆nru729E2n2:2013/05/01(水) 17:43:32 ID:Awuize/g
ミサト「…余裕なさそうね」

リツコ「見ればわかるわよ、そんなこと」

マヤ「シンジ君の時は、2回目の搭乗時にはこんな風にはなりませんでしたけど」

ミサト「これ、個人差ってレベルの話じゃないわよね?」

リツコ「何らかの心理的要因があるのは間違いないようね」

マヤ「パイロット、心拍数、呼吸共に通常値よりも高い値ではありますが、」

マヤ「安定はしてきました。脳波の乱れは相変わらずですが…」

リツコ「今日はここまでね」

ミサト「アスカ、聞こえる? 今日は上がっていいわ」

アスカ『え、えぇ? まだ何にもやってないじゃない!?』

789 : ◆nru729E2n2:2013/05/01(水) 17:44:52 ID:Awuize/g
…プラグ内…

アスカ「あたしはまだやれるわよ!!」

ミサト『余裕のない顔でそんなセリフを言われても、』

ミサト『管理責任者としては許可できません』

アスカ「でも」

リツコ『技術部からも同意見よ、今日のあなたは本調子じゃないみたい』

リツコ『後日、改めてテストを行います。日程は追って連絡するので、指示を待つように』

アスカ「…わかった」


ブゥン…(モニターが消え、再び装甲板が姿を現す)


アスカ「…余裕がない、か」

アスカ「あたしからプライドと自信と余裕をとったら、一体何が残るのよ?」

アスカ「…最悪」

790 : ◆nru729E2n2:2013/05/01(水) 17:46:50 ID:Awuize/g
復帰テストに失敗したアスカ。

自尊心の柱を失った彼女に皆が言葉を失う中、

その裏でゲンドウにより、第二の少女の抹消が検討される。

『もう必要ない』

その言葉はナイフとなり大きな傷をつける

次回『プライドと自信と余裕と』

さ~て、次回もサービスサービスゥ!!


綾波「次回は出してくれないと暴れフガ」

カヲル「それ別の人だからちょっと自重しようね…」(綾波の口を押さえる)

マリ「別の人って、誰?」

シンジ「…知らないよ」

794 : ◆nru729E2n2:2013/05/02(木) 18:45:03 ID:vSsdWmsA
…NERV司令室…

リツコ「…以上が、今日行った第二の少女のテストの結果です」

冬月「よもや、乗る以前の問題とはな…」

ゲンドウ「原因は?」

リツコ「第9使徒に取り込まれた際の恐怖と、先日の地震で生き埋めになった時の恐怖、」

リツコ「この二つがトリガーとなった可能性があります」

冬月「……たしか、その際に彼女の友人も一緒だったな」

リツコ「はい。右腕を骨折し、さらに出血もありました」

冬月「生身で使徒に襲われ、地震の恐怖し、さらに自分の無力さを痛感させられる」

冬月「"泣きっ面に蜂"とはこのことだな」

ゲンドウ「………」

795 : ◆nru729E2n2:2013/05/02(木) 18:46:22 ID:vSsdWmsA
冬月「赤城博士、君は彼女はまだ使えると思うかね?」

リツコ「我々には技術があります。無理やり乗せようとすれば乗せることは可能です」

リツコ「しかし、それを行えば、おそらくほかの子供たちに影響がでます」

冬月「モチベーションの低下か…」

リツコ「彼女がエヴァから下ろすにしても、結果は同じだと思われます」

リツコ「彼女は彼らの中で、リーダーのような存在ですので」

冬月「現状を打破するためには、自ら立ってもらわなければならないわけか…」

ゲンドウ「だが、我々はそれを悠長に待っていられるほど時間を持ってはいない」

冬月「…そうだな」

リツコ「承知しています」

ゲンドウ「赤城博士、場合によっては第二の少女を凍結することも検討するように」

リツコ「わかりました」

ゲンドウ「使えぬ手札は切らねばならぬ。たとえそれが、子供であってもな」

796 : ◆nru729E2n2:2013/05/02(木) 18:46:59 ID:vSsdWmsA
…17:32 葛城宅…

アスカ「…ただいま」

シンジ「おかえり。早かったね」(夕食準備中)

アスカ「別に」

シンジ(…機嫌が悪い。僕またなんか怒らせるようなことしたかな…?)

アスカ「コネメガネとかは?」

シンジ「マリさんはなんか雑誌を買いにさっき出て行ったよ。カヲル君は付き添い」

シンジ「ミサトさんと綾波はまだNERVから帰ってきてないけど」

アスカ「アッソ・・・」

シンジ「…なんか、あったの」

アスカ「あんたが気にするようなことじゃない」

シンジ「そ、そっか…」

アスカ「」ムスー

シンジ(やっぱり機嫌が悪い…)

797 : ◆nru729E2n2:2013/05/02(木) 18:48:10 ID:vSsdWmsA
アスカ「…ねぇ」

シンジ「な、何?」

アスカ「お風呂って、もう掃除終わってるの?」

シンジ「カヲル君が行く前にやってたよ。帰ってからやるのも大変だし、」

シンジ「何時に戻れるかもわからないからって」

アスカ「そう。んじゃ先に入るわ」

シンジ「まだお湯入れてないけど…」

アスカ「蛇口捻ればお湯出るんだから、溜めながら入る」

シンジ「アスカがそれで良いなら、良いけど…」

アスカ「フン!」

アスカ:(着替えを取りに自室へ)

シンジ「やっぱり、今日の搭乗テストで何かあったんだろうなぁ…」

シンジ「昨日は"明日からはエースの復活よ!!"って、元気いっぱいだったのに…」

798 : ◆nru729E2n2:2013/05/02(木) 18:49:00 ID:vSsdWmsA
…浴室…

アスカ「」(湯船の中)

アスカ(…今日は調子が悪いわけじゃなかった)

アスカ(昨日の夕食も、今朝の朝食もガッツリ食べた)

アスカ(熱もないし、便秘とかもなかった)

アスカ(時期的に生理ももちろんない)

アスカ(要するに、体には何の異常もない)

アスカ(でも…)

アスカ(精神的なところで問題があった)

アスカ(…たぶん、閉所恐怖症)

アスカ(狭い空間にいることに極度の恐怖を感じる)

アスカ(………)

アスカ(…このあたしが)

アスカ(……このあたしが、こんなことになるなんて)

799 : ◆nru729E2n2:2013/05/02(木) 18:49:44 ID:vSsdWmsA
マリ『たっだいま~!』
カヲル『ただいま』


アスカ(コネメガネたちが帰ってきた)

アスカ(普段から調子の良いあいつらでも、あたし見たく調子を崩したりするのかな…?)

アスカ(…ないな。あったとしても、あいつらなら周りに悟られないようにうまくやる)

アスカ(私はジャージの鈴原みたく、態度や感情が表に出すぎる)


綾波『ただいま』
ミサト『たっだいま~今日の晩御飯な~に~?』


アスカ(そういう意味じゃ、エコヒイキも便利よね…)

アスカ(以前に比べれば感情が表に出るようになったとはいえ、)

アスカ(今でも時々わかんないもんなぁ…)

アスカ(あれなら失敗して落ち込んでも、わかんないし)

アスカ(…そもそもあいつは失敗するのかな?)

アスカ(…いつもは他人の長所なんて気にも留めないのに)

アスカ(今日のあたしは、ホントにどうかしてる)

800 : ◆nru729E2n2:2013/05/02(木) 18:51:00 ID:vSsdWmsA
マリ『あれ、姫は?』
シンジ『アスカは今お風呂です』
マリ『そっか~。んじゃワンコ君、ちょ~~ちお風呂場一緒に覗こうか♪』
シンジ『ちょ、ちょっと!?』
マリ『え、ワンコ君は姫に 情しないの?』
ミサト『ま!』///
シンジ『それ答えなきゃだめですか? どう答えても僕の負けな気がしますけど!?』

アスカ(…●●シンジ)

アスカ(あいつの場合、思考がマイナス一辺倒だから)

アスカ(失敗してもそんなに気にならないんだろうなぁ…)

アスカ(失敗したら"あ~やっぱりだめか"で)

アスカ(成功しても"ここがだめだ"って小さいこと気にして)

アスカ(大きな失敗しても、普段から気にしてなさそうだし)

アスカ(自信がないから博打もしない)

アスカ(だから、大きな成功もなければ、大きな失敗もない)

アスカ(それが、あいつの特徴よね)

801 : ◆nru729E2n2:2013/05/02(木) 18:52:12 ID:vSsdWmsA
カヲル『ところで、彼女はどれぐらい前からお風呂に?』
シンジ『えっと…あれ? もう一時間近く入ってる』
綾波『二号機の人の平均入浴時間は40~45分』

アスカ(…1時間?)

アスカ(そんなに長いことお風呂入ってたっけ?)

アスカ(まだ体洗ってないし)

アスカ(髪の手入れもしてないし)

アスカ(いい加減動かないと)

グググ…

アスカ(…ヤバイ)

アスカ(体がうまく動かない)

アスカ(このあたしが考え事してたせいで湯あたり?)

アスカ(一度ならず二度も馬鹿みたいな失敗を?)

802 : ◆nru729E2n2:2013/05/02(木) 18:53:19 ID:vSsdWmsA
カヲル『彼女、浴室でぐったりしてたりしないよね?』
マリ『そんなのあるわけないじゃん。開けた途端、"バカシンジー!!"って」
マリ『怒り6割、うれしさ3割、恥じらい1割くらいの叫びあげるに決まってるジャン』
シンジ『うれしさ3割の意味がわかりませんよ…』
綾波『二号機の人はツンデレだから』
ミサト『見られてうれしいなんて、それじゃただの露出狂じゃないw』

アスカ(今日のあたしは、そんなことを言うほど余裕ないわよ…!)

アスカ(早く湯船からあがって体を冷やさないと…!)

アスカ(頭クラクラする…! 平衡感覚もおかしい…!)

アスカ(何だって今日はこんななのよ…!)

アスカ(このあたしが、あいつらの前でこんなみっともない姿さらせるわけないじゃない!)

アスカ(動け!)

アスカ(動けあたしの体!)

アスカ(湯船から体を出すだけでしょ!!)

アスカ(あ)クラァ…

803 : ◆nru729E2n2:2013/05/02(木) 18:55:02 ID:vSsdWmsA
ドサッ!!

一同「!?」

シンジ「…今の?」

カヲル「まず、間違いないだろうね」

マリ「悪いほうに予感が当たったか…」

ミサト「ぼさっとしてないで、シンジ君とカヲル君は氷嚢を3つ準備して!」

ミサト「レイはバスローブをとってきて脱衣所へ! マリ、二人掛かりでアスカを浴室から出すわよ!」

マリ「仰せのままに、司令官様」

綾波「了解」


アスカ(………)

アスカ(ミサトとコネメガネがあたしの体を浴室から引きずり出して)

アスカ(ソファーの上に横たえた)

アスカ(両脇の太い血管と、頚動脈を冷やしてもらったおかげで

アスカ(思考がだんだんクリアになってきた)

804 : ◆nru729E2n2:2013/05/02(木) 18:56:45 ID:vSsdWmsA
アスカ(…でも一日に2回もこんなミス…)

アスカ(余裕はおろか、あたしのプライドも自信もズタズタよ)

アスカ(何より悔しいのは、それを引き起こした原因は自分にあるってこと)

アスカ(みんな私を心配そうに見てる)

アスカ(あたしはそんな心配そうな目を向けられるような人間じゃない)

アスカ(いつも完璧で、完全で…)

アスカ(…でも)

アスカ(今のあたしはいつものあたしじゃない)

アスカ(誰にも見せていない仮面の下の弱いあたしが、)

アスカ(みんなの前に出ちゃってる)

アスカ(泣き虫で、さびしがり屋で、とてつもなく弱い)

アスカ(あたしの大嫌いな部分、みんなに見られちゃった…)

805 : ◆nru729E2n2:2013/05/02(木) 18:58:26 ID:vSsdWmsA
連なる失敗にアスカは俯きしゃがみこむ

理想と現実の板ばさみに苦しむ彼女に

選ばれし子供たちはそれぞれに言葉を送る

天界から伸びる蜘蛛の糸のように

それは彼女を救う一条の光となるのか?

次回『4つの窓』

さ~て、次回もサ~ビスサ~ビスゥ!!


マリ「蜘蛛の糸?」

シンジ「芥川龍之介だよ」

綾波「本読んで」

アスカ「あたしに言うな! あっちに言え!」つマリ

カヲル「意外と元気だね…」


809 : ◆nru729E2n2:2013/05/04(土) 09:41:40 ID:..6Y7WpU
マリ「ヒ~メ~、生きてる~?」ペシペシ(アスカの頬を叩く)

シンジ「マリさん、寝てる人に対してそんな…」

マリ「この場合、湯あたりしてあたしらに迷惑をかけた姫が悪いもん♪」ペシペシ

綾波「かわいく言っても駄目」

マリ「あたしは元からかわいいから問題なし♪」ペシペシ

カヲル「自分で言うなんて…。君も変わってるね…」

マリ「変人の君に変わってるって言われると、なんかイヤ」ペシペシ

アスカ「………」

アスカ「…コネメガネ」

マリ「ん? お、やっと起きた。とりあえず大丈夫?」

アスカ「アンタ、後で…」

マリ「後で?」

アスカ「後で、8発、殴らせなさい…」

カヲル「…以外に元気だね」

810 : ◆nru729E2n2:2013/05/04(土) 09:42:31 ID:..6Y7WpU
ミサト「そんな前から気づいてるなら早く反応しなさいよ…」

アスカ「気づいてたけど、反応するのが億劫だったの」(上体を起こす)

シンジ「大丈夫?」(冷えた水の入ったカップを差し出す)

アスカ「…何とか、ね」(カップを受け取る)

綾波「二号機の人」

アスカ「ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ、フゥ…。何よ?」

綾波「らしくない」

アスカ「………」

綾波「今日の二号機の人、いつもの二号機の人と違う」

アスカ「……あたしだって、いろいろあるのよ」

綾波「そう」

アスカ「そうなの」

一同「………」

811 : ◆nru729E2n2:2013/05/04(土) 09:44:10 ID:..6Y7WpU
アスカ「なんでみんなして黙るのよ?」

シンジ「いや、なんていうか…」

綾波「こう言う時、どう反応していいかわからないの」

マリ「何があったかは知らないから、深入りできないし」

カヲル「と言っても、おおよその原因は想像つくんだけど」

アスカ「ミサト」

ミサト「? 何?」

アスカ「昼間の件、みんなに話したの?」

ミサト「まさか。そんな時間があったわけないじゃない」

ミサト「帰ってきたらアスカ湯あたりで倒れちゃうし…」

アスカ「そう…」

シンジ「で、でも…」

アスカ「ん?」ギロ

シンジ「昨日の今日だから、さ。カヲル君も言ったけど、想像はつくよ。…再搭乗のテスト、だよね?」

アスカ「………」

812 : ◆nru729E2n2:2013/05/04(土) 09:44:52 ID:..6Y7WpU
マリ「わんこ君突っ込むね~。あたし怖くて突っ込めなかったのに」

カヲル「セカンド、今の無言は肯定と取っていいのかい?」

カヲル「ちなみに黙秘権は無しだ。今回の件は僕らエヴァパイロット全員に関係する」

カヲル「君の復帰如何で、また状況が変わってくるからね」

アスカ「………」

カヲル「無言は肯定と取るって言っただろ?」

アスカ「…いいわよ。変に勘繰られるよりも、」

アスカ「自分でありのままを話した方が、まだ楽だわ」

綾波「無理には聞かない」

アスカ「こっちが話すっってーんだから、黙って聞け!」

綾波「わかった」

ミサト(アスカ…)

813 : ◆nru729E2n2:2013/05/04(土) 09:45:37 ID:..6Y7WpU
アスカ「結論から言うと、あたしは今日テストでミスをした」

アスカ「…ミスをしたっつーか、テストまで行けなかった」

シンジ「なんで? 体調は問題なかったんだよね?」

アスカ「体調は、ね」

アスカ「でも、私のここには問題があるのよ」(バスローブの胸部を強く握る)

綾波「胸?」

アスカ「Herz※、HEART、心よ」
※ドイツ語で『心』

マリ「なんで? ようやく復帰できるのに」

アスカ「気持ちの高揚感はあったわ。あそこは私の玉座、私が座るべき特等席だから」

アスカ「でもね、あれとほぼ同じ場所であたしはとんでもない体験をした」

カヲル「第9使徒との接触…かい?」

アスカ「…ええ」

814 : ◆nru729E2n2:2013/05/04(土) 09:46:13 ID:..6Y7WpU
シンジ「使徒に取り込まれたことで、アスカ、エヴァに乗れなくなったの?」

アスカ「違うわよバカシンジ、話を最後まで聞けっつーの」

シンジ「ご、ごめん」

アスカ「ったく……。…これだけなら、まだ自分でも納得できるんだけどね」

マリ「まだなんかあるの?」

アスカ「…この間の地震。あれであたし、ヒカリと生き埋めになったじゃない?」

カヲル「委員長は確か骨折と裂傷を負ったっけ?」

アスカ「そう。その時、あたしがいた空間は暗くて、狭くて、そして」

アスカ「ヒカリの血の匂いでいっぱいだった。」

綾波「………」

アスカ「ヒカリはドンドン顔色悪くなるし、元気も無くなるし」

アスカ「その時あたしは、結局ヒカリと話をして、ヒカリの意識をつなぎとめておくのが精いっぱいだった」

アスカ「それ以外、何もできなかったのよ」

815 : ◆nru729E2n2:2013/05/04(土) 09:47:07 ID:..6Y7WpU
シンジ「アスカ…」

アスカ「わかる? 目の前で友達が怪我して、痛いの我慢してあたしを気遣ってるのよ?」

アスカ「五体満足で、せいぜい擦り傷程度しかないあたしをよ?」

ミサト「………」

アスカ「結果的にあたし達は助かった。ヒカリの腕も治った」

アスカ「でも、あたしはその時の光景が忘れられない」

アスカ「そして、その光景と使徒に襲われた時の光景が一緒になって襲ってくるのよ」

アスカ「プラグで、モニター接続されるまでの間、………ずっと」

マリ「それ、モニター接続されて外の風景が見えればおさまるの?」

アスカ「…わかんない。結局、今日はプラグに乗って、モニター接続するまでしかやらなかったから」

カヲル「使徒に襲われると言う異常な体験、地震の時の恐怖、」

カヲル「そして目の前の友人を助けられない無力感」

カヲル「心に傷を残すには、十分すぎる材料だね」

816 : ◆nru729E2n2:2013/05/04(土) 09:48:11 ID:..6Y7WpU
ミサト「アスカ」

アスカ「…何? 泣きごと言うなってーの?」

ミサト「違うわ。今の痛々しいあなたを見て、そんなことを言えるわけないじゃない」

アスカ「じゃあ何よ?」

ミサト「リツコと今後の事を話したの。碇指令は、もしこのままの状態が続くようであれば、」

ミサト「あなたをパイロットから外すっておっしゃってたそうよ」

アスカ「そう。……使えない駒は切り捨てる、ってわけね?」

シンジ「そ、そんな…」

マリ「ま、ドライに考えりゃそーなるよねぇ…」

シンジ「マリさん!」

マリ「気にしなさんな。女って、男と違ってリアリストだからさ」ヒラヒラ~

マリ「頭では理解できるって話」

マリ「納得するかどうかは別問題だから」

817 : ◆nru729E2n2:2013/05/04(土) 09:49:45 ID:..6Y7WpU
ミサト「もちろん、あたしもリツコもあなたの今までの頑張りを知ってるから」

ミサト「そんなことをしたくないっていうのが本音よ。でも現実問題として…」

カヲル「使徒は待ってくれない。サードインパクトが起これば、世界が終わる」

アスカ「…良いんじゃない? この際、使えない人間はフェードアウトして、」

アスカ「残った人員でやりくりつけるのも」

マリ「あのさ~姫」

アスカ「?」

マリ「その台詞次吐いたら、マジでぶん殴るからね」ギロ

アスカ「…なんでアンタが怒るのよ?」

マリ「姫、エヴァのパイロットってーのは車のボルトみたく替えておしまいじゃないんだよ」

マリ「自分でわかるっしょ? どんだけ1人のパイロット育てるのに時間と金かかるか」

アスカ「………経済的な話? この金の亡者」

マリ「NERVサイドの意見として、ね。あたしは弱音吐く姫が嫌なだけ」

マリ「それに、あたしま~た別の人と人間関係築くっていうのめんどいし?」

マリ「姫みたいにイジリがいのある奴じゃないと、やる気でないよ?」

818 : ◆nru729E2n2:2013/05/04(土) 09:50:26 ID:..6Y7WpU
綾波「二号機の人」

アスカ「今度はアンタ?」

綾波「どうして、そのこと、言ってくれなかったの?」

アスカ「これはあたしの問題よ。他人にべらべらしゃべるような問題じゃないわ」

アスカ「大体、こんな症状があるのに気づいたのは今日だし」

綾波「二号機の人は、自分の弱さを見せない」

アスカ「………」

綾波「ほかの人には見えないから、強く見える。けど、」

綾波「見えないだけで、それに対して耐久力があるわけじゃないと思う」

綾波「むしろ、痛くて、泣きたくて、つらいことを必死でこらえていた」

綾波「それが露見した今のあなたは、とっても傷だらけ」

綾波「私は、そこまで耐えられない」

アスカ「…ズタボロなのは認めるわ」

819 : ◆nru729E2n2:2013/05/04(土) 09:51:26 ID:..6Y7WpU
カヲル「でも案外、登録抹消って言うのも、彼女のこれからの人生を見る上ではいいかもしれないよ?」

マリ「およ? 意外な意見?」

カヲル「あくまで意見として、ね」

カヲル「僕も、ファーストもそうだけど、今までの人生で多くの時間をエヴァのために割いてきた」

カヲル「でも使徒との戦いが終わったら、そこから僕はどうすべきなのかって、」

カヲル「時々考えることもあるんだ」

アスカ「何よそれ…?」

カヲル「使徒との戦いは永遠じゃない。戦いである以上、どちらかが勝ってどちらかが負ける」

カヲル「負けたら人類は滅ぶ。勝てば、そこらから僕らの人生は続いていく」

カヲル「それをどう生きるのか。君は考えたことあるかい?」

アスカ「……ないわ」

カヲル「僕は、普通に生きてみたい」

シンジ「普通に?」

820 : ◆nru729E2n2:2013/05/04(土) 09:52:15 ID:..6Y7WpU
カヲル「そう、普通に」

カヲル「普通に学校に行って、普通に大人になって、普通に誰かを好きになって、」

カヲル「普通にその人と子孫を残し、普通に世代をつないで、普通に死にたい」

カヲル「今この時が異常だと思えるほど、普通で、変わらない日々を送りたいと思う」

カヲル「僕らエヴァのパイロットであっても、そういう権利はあるはずさ」

カヲル「むしろ、こんな異常な生活をしているんだから、それをする権利を行使すべきだと思う」

カヲル「セカンドの場合、そのタイミングがたまたま早く来ただけなんじゃないかなって、ね」

アスカ「…あたしに一般人Aの立ち位置になれってわけね?」

カヲル「君がランクダウンだと思うんだったらそれでも構わない」

カヲル「パイロットの立場を上位に置くか、一般人の立場を上位に置くかは」

カヲル「その人次第だからね」

アスカ「………」

カヲル「一生かけて作る"人生"と言う名の小説の主人公は自分自身、」

カヲル「それを書くのも自分。今後の展開を決めるのも、君自身だ」

821 : ◆nru729E2n2:2013/05/04(土) 09:53:32 ID:..6Y7WpU
シンジ「アスカは頑張ったと思う。僕よりもずっと」

アスカ「…七光りで選ばれたアンタとあたしは違うわ」

シンジ「そうだね。だから素直にすごいと思う」

シンジ「多分今までの事を振り返ってみれば、僕よりもずっと大変だっただろうし」

シンジ「だから、さ。もう楽になっていいんじゃないかな」

アスカ「………楽に?」

シンジ「この間マリさんとも話したんだけど、僕は物事を駄目な方に考えがちだ」

シンジ「できないって逃げて、駄目だって言ってやらなくて」

シンジ「そうやっていろんなことから逃げてる」

アスカ「………」

シンジ「でも、周りの人はそんな逃げてる所ばかりじゃなくて、頑張ってる姿を見てるんだよ」

シンジ「僕には、アスカはむちゃくちゃなハードルを目標にして、」

シンジ「何が何でもそれを達成する。そんな風に見える」

822 : ◆nru729E2n2:2013/05/04(土) 09:54:39 ID:..6Y7WpU
アスカ「…買いかぶりすぎよ。あたしだって、できない事はあるわ」

マリ「でもさ、姫の場合は擦り傷作ろうが骨を折ろうが」

マリ「何が何でもそれを達成しようって感はあるよ。プライドにかけて」

カヲル「プライドが高いと大変だね。結局納得できないからやりきっちゃうんだ」

綾波「けど、それが二号機のいいところ」

シンジ「触発されちゃう事っていっぱいあったよね?」

マリ「うん」

カヲル「まったく、困ったことに」

綾波「」コクコク(頷く)

アスカ「…アンタら」

ミサト「驚いた? 自分の信頼度を知って」

アスカ「あきれてんの!!」

823 : ◆nru729E2n2:2013/05/04(土) 09:55:53 ID:..6Y7WpU
アスカ「あーもう、いろいろ考えてるのが馬鹿馬鹿しくなってきた…」

シンジ「僕みたいにうじうじするのはアスカの柄じゃないよ」

マリ「姫は元気印!ってね♪」

カヲル「ただうるさいだけだろ?」

綾波「ホ の人失礼」

カヲル「ずっとホ の人って言われる僕の身にもなってほしいな」

マリ「つか君もいい加減名前で呼んでよ。他人行儀にもほどがある」

綾波「そうなの?」

シンジ「僕に聞かないで…」

ワイワイ

アスカ「…ったく、本人ほっといて談笑とか、よくやるわね」

ミサト「拗ねないの♪」(アスカの頭に手を置く)

アスカ「ベ、別に拗ねてなんか…」///

824 : ◆nru729E2n2:2013/05/04(土) 09:56:35 ID:..6Y7WpU
ミサト「口では皆あんなこと言ってるけど、あなたのこと心配してるんだからね」ナデナデ

アスカ「とてもそんな風には見えない」

ミサト「それは、あなたが色メガネかけてみてるからよ」ナデナデ

ミサト「素直になれば、もっとあなたの世界は広がるわ」ナデナデ

ミサト「…今までがあるから、いきなりは無理かもしれないけど」ナデナデ

アスカ「フン…」

ミサト「誰かを救うのは、結局、お金や権力じゃなくて、別のだれかなのよ」ナデナデ

ミサト「もちろん、あなたが誰かを救うことだってあるわ」ナデナデ

アスカ(…あたしはあたしを救えないってことね)

ミサト「殻に閉じこもってちゃ、何も始まらない。助けてほしい時は、手を伸ばしなさい」ポンポン

アスカ「…いい加減、頭弄るのやめてくれない?」

ミサト「嫌よ、これは今まで耐えてきたあなたへのご褒美なんだから」ポンポン ナデナデ

アスカ「………子供扱いすんな」ムスー

ミサト「背伸びしない♪」ポンポン ナデナデ

アスカ「………」ムスー ///

825 : ◆nru729E2n2:2013/05/04(土) 09:57:23 ID:..6Y7WpU
アスカ(事の顛末を知っても、アイツらは普段とあまり変わらなかった)

アスカ(あたしが思っているよりも気にしていないってことなのかもしれない)

アスカ(…人は4つの窓を持っているって話を聞いたことがある)

アスカ(明るい窓、自他共に知る"自分"と言う名の窓)

アスカ(暗い窓、自分が隠したい部分)

アスカ(隠された窓、自分が知らない、他人にしか見えない自分」

アスカ(見えない窓、自分も、他人も知らない全く未知の自分)

アスカ(少し振り返ってみれば、こいつらはあたしが普段から)

アスカ(隠しておきたい落ち込んでいる姿をおそらく見ていたのだろう)

アスカ(自分では隠しきっていたつもりでも、他人には見えていたんだ)

アスカ(そう思うと、今更こうやって必死に自分を繕っているのが、)

アスカ(ものすごく滑稽だ)

826 : ◆nru729E2n2:2013/05/04(土) 09:58:35 ID:..6Y7WpU
アスカ(でもそれは、おそらくあいつらも同じことだろう)

アスカ(あいつらの失敗をあたしはたくさん知ってる)

アスカ(隠しているのか、隠す気も無いのかは知らないけど、)

アスカ(きっと、あたしもあいつらとおんなじなんだ)

アスカ(馬鹿で、不器用で、仲間思いで、あったかくて)

アスカ(あいつらが少し近く感じられて、)

アスカ(なんか)

アスカ(いきなりだけど)

アスカ(胸の奥で)

アスカ(無駄に緊張していた心から)

アスカ(力が抜けるのを感じた)

827 : ◆nru729E2n2:2013/05/04(土) 09:59:54 ID:..6Y7WpU
再度テストに向かうアスカは、乗り越えるべき壁を見上げる

恐怖と言う障壁を乗り越えない限り、彼女は先へ進めない

シンジ、レイ、マリ、カヲルの力を借りて、

アスカは再び立ち上がる

次回『再起動(RESTART)』

真紅の稲妻、駆け抜けろ! 二号機!


シンジ「サービスじゃなくなってる?」

綾波「この次回予告どこから?」

カヲル「ガンダ○だね」

マリ「○ンダムね」

アスカ「あたしはジョニー・ラ○デンかってーの!!」

830 : ◆nru729E2n2:2013/05/05(日) 21:15:51 ID:VGBZmSTE
再テスト翌日

リツコ「…昨日の今日で、よくやる気になったわね」

アスカ「"鉄は熱いうちに叩け"って言うでしょ!」

リツコ「言いたいことはわかるけど、そのことわざ間違ってるわよ」

アスカ「…マジ?」

ミサト「ウンウン」

シンジ「熱意も伝わったけど…」

アスカ「…んじゃ、な、何て言うのよ?」

ミサト「鉄は熱いうちに"打て"」

アスカ「叩くも打つも同じじゃないのぉ!!」フガー!!

リツコ「そういうことは先人たちに言ってちょうだい」

831 : ◆nru729E2n2:2013/05/05(日) 21:17:01 ID:VGBZmSTE
リツコ「それで、どういう風の吹きまわし? たった一日で克服できる状況でもないと思うけど?」

ミサト「昨日うちでまた恥かいちゃって…」

アスカ「今のあたしに、失うものはなにも無いわ!!」

リツコ「大げさねぇ…」

アスカ「あたしにとっては大事なの!!」

リツコ「その場のノリだけでやっていけるほど、簡単じゃないのよ?」

リツコ「それわかってる?」

アスカ「だから"背水の陣"を敷いたのよ」

リツコ「"背水の陣"ねぇ…」

シンジ「」

綾波「」

マリ「」

カヲル「」

リツコ「…これが?」

アスカ「そうよ!!」

832 : ◆nru729E2n2:2013/05/05(日) 21:17:36 ID:VGBZmSTE
綾波「…どういうこと?」

マリ「よーするに、あたしらに失敗する姿を見せたくないっていうこと」

綾波「見せたくないなら、連れてこなければいい」

カヲル「まったくもってその通りだけど、そこが彼女らしいところさ」

カヲル「あえて僕らを連れてきて、そのうえで失敗する姿を見せないよう努力する」

カヲル「ここで失敗しようものなら、彼女のアイデンティティは崩壊するからね」

ミサト「退路を断ったわけよ、アスカ的には」

シンジ「これでうまくいくんですかね?」

アスカ「うまくいくかどうかは問題じゃない!!」

アスカ「上手くや・る・の!! 悩むのはあとで悩む!!」

シンジ「…なんか」

綾波「二号機の人らしい」

マリ「よ~やくらしくなってきたじゃん♪」

カヲル「威勢だけじゃなきゃ良いけどね…」

アスカ「やってやるわよ! 見てなさい!!」

833 : ◆nru729E2n2:2013/05/05(日) 21:18:51 ID:VGBZmSTE
プラグ前

アスカ「い、行くわよ!」スタスタ

シンジ「…緊張してるね」

綾波「右足と右手、左足と左手が同時に出てる」

マリ「漫画とかでは見るけど、実物初めてみたわ」

カヲル「駄目そうだなぁ…」

アスカ「」ピタ

シンジ「あ、止まった」」

綾波「もう乗り込むだけ」

マリ「なぜ乗り込まない…?」

カヲル「さぁ…?」


管理室

リツコ「…やはり無理そうね」

ミサト「少し待ちなさいよ、あの子も必死なんだし」

リツコ「…滑稽だけど、待ってあげるわよ」

834 : ◆nru729E2n2:2013/05/05(日) 21:19:47 ID:VGBZmSTE
アスカ(大丈夫、これは実験、エヴァに乗り込むわけじゃない)

アスカ(大丈夫、テストよ。全く、一切、これっぽっちも問題ない)

アスカ(大丈夫、プラグは安全。あたし以外いないから誰も怪我をしない)

アスカ(大丈夫)

アスカ(大丈夫)

アスカ(大丈夫)

アスカ(大丈夫)

アスカ(大丈夫)

アスカ(大丈夫、大丈夫、大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫ダイジョ)

シンジ「アスカ!」

アスカ「!?!?!?!?」

835 : ◆nru729E2n2:2013/05/05(日) 21:21:01 ID:VGBZmSTE
アスカ「い、いいきなり何よ!? こっちがせ、精神統一してる最中に!?」

シンジ「い、いやアスカがあんまり乗り込まないもんだから…」

アスカ「アンタあたしを信用できないよ!?」

シンジ「そういうわけじゃなくて、心配だから…」

アスカ「………」

アスカ「………」

アスカ「………」

アスカ「…アンタ」

シンジ「な、何…?」

アスカ「顔の位置そのままで、動くんじゃなわよ?」

シンジ「?」

アスカ「」ガンミ

シンジ(な、なんか僕、悪いことしたかな…?)

836 : ◆nru729E2n2:2013/05/05(日) 21:21:58 ID:VGBZmSTE
アスカ(締まらない顔、状況を理解していない事が丸わかりな目、無警戒な態勢)

アスカ(このあたしが、こんなやつに心配されてる?)

アスカ(こんなバカそうなやつに、心配なんてされてなるもんですか!)

アスカ(こいつのこの間抜け顔しっっっっかり目に焼き付けて、エネルギーにしてやる)

アスカ(あたしは、こっんなやつに心配されるような人間じゃないのよ!!)

アスカ「」メラメラメラメラ

シンジ(な、なんか殺気を感じる…)

綾波「二号機の人何してるの?」

マリ「ん~、たぶん自分の心をファイヤーしてるんだと思う」

綾波「ファイヤー?」

カヲル「闘志を燃やしてるんだよ、きっと…」

837 : ◆nru729E2n2:2013/05/05(日) 21:22:58 ID:VGBZmSTE
アスカ「後ろの3人!!」(シンジをガン見したまま)

綾波「何?」

マリ「ん~?」

カヲル「どうしたんだい?」

アスカ「アンタ達もあたしのこと心配してるの!? 失敗するって思ってる!?」

綾波「心配はしてる。失敗するとは思ってない」

マリ「失敗した方が面白いかな~って言うのは少しあるニャ」

カヲル「別に僕は君がこのテストに成功しようが失敗しようが、興味ないよ」

アスカ(エコヒイキの分際で、あたしの心配なんて100年早いわよ!!)

アスカ(コネメガネの奴、内心人の不幸を指さして笑ってるわね!!)

アスカ(興味がない!? アンのホ 、昨日なんて言ったかもう忘れてる!?)

アスカ(許せん! 失敗なんかしてやらない!! 絶対に成功させてやる!!!)

838 : ◆nru729E2n2:2013/05/05(日) 21:23:35 ID:VGBZmSTE
アスカ「行ってくる!!」

シンジ「ア、アスカ!」

アスカ「何よ!!!」

シンジ「が、頑張って」

アスカ「バカシンジの分際で、あたしの心配なんて1000年早いわよ!!」プイ

アスカ「」(プラグ乗り込み)


管理室

リツコ「…怒りをエネルギーに変えたわね」

ミサト「ったく、素直じゃないんだから…」ボリボリ(頭をかく)

リツコ「かわいく"私を励まして"って言えた柄じゃないのよ、あの子は」

ミサト「昨日"助けてほしいときは手を伸ばせ"って言ったのに」

リツコ「それを素直に聞くような子じゃないでしょ?」

ミサト「おっしゃる通りで…」

839 : ◆nru729E2n2:2013/05/05(日) 21:25:24 ID:VGBZmSTE
プラグ内(モニタ接続前)

アスカ「舐めんじゃないわよ…!」

アスカ「あたしはこんなところで終わらない…!」

アスカ「負けられないのよ…!」

アスカ「止まってらんないのよぉぉ!!」


ヴゥン…(モニタ接続、明るくなる)


アスカ「………」

アスカ「………よし、勝った」


管理室

マヤ「脳波正常、呼吸、心拍数共に許容範囲内です!」

リツコ「まったく、不安の乗り切り方が男らしいわねぇ…」

ミサト「…あー、それに関しては同意せざる負えないわ…」

840 : ◆nru729E2n2:2013/05/05(日) 21:29:31 ID:VGBZmSTE
ミサト「アスカー、聞こえる?」

アスカ『よーく聞こえてるわよ。さっきの失礼な発言を含めて、ね』

ミサト「だって、今時あんな暑苦しい男ってなかなかいないんだもの…」

アスカ『…き、今日は機嫌が良いから許すけど、今度言ったら怒るわよ!!」

リツコ(なんだかんだ言って不安だったようね…)

マヤ(顔に安堵が出てますね。本人には言えませんけど)

リツコ「アスカ、今日はいけるわね?」

アスカ『当然!』

リツコ「それじゃ、昨日行う予定だった分を再開します」

アスカ『了解!!』

841 : ◆nru729E2n2:2013/05/05(日) 21:31:36 ID:VGBZmSTE
試験後(プラグから出た後)

ミサト「お疲れ様」つタオル

アスカ「ありがと」(タオルを受け取る)

シンジ「よかった、これでアスカは復帰ですね」

ミサト「まぁ後は指令がなんていうかだけど、この分なら問題ないでしょ」

カヲル「たった一回の成功体験で、どうにかなる物ですかね?」

アスカ「0勝10敗と1勝10敗は全く別物よ!!」

マリ「ハイハイ…」

綾波「勝ちは勝ち」

アスカ「そうよ! エコヒイキもたまには良いこと言うわね♪」

綾波「」(何か言いたそうな眼)

アスカ「何よ?」

綾波「別に」

アスカ「言いたいことがあるなら、はっきり言いなさいよ!」

マリ「まぁまぁ…」

842 : ◆nru729E2n2:2013/05/05(日) 21:33:38 ID:VGBZmSTE
シンジ「…でもさ、」

カヲル「なんだい?」

マリ「ん? 何々?」

綾波「?」

アスカ「何よ?」

シンジ「アスカは、元気な方がアスカらしいよね?」

カヲル「うるさいけどね」

マリ「あたしは反応がないとつまんない」

綾波「二号機の人はうるさい」

アスカ「ア、アンタ達ねぇっ!」プルプル(怒りで震える)

綾波「でも、それが日常だったから」

アスカ「」

843 : ◆nru729E2n2:2013/05/05(日) 21:34:57 ID:VGBZmSTE
綾波「二号機の人、おかえりなさい」

アスカ「…2回目そのセリフ? まぁ、"ただいま"は言っとくわ」ニヤリ

マリ「お、少しデレたww」

アスカ「で、デレてないってば!!」///

アスカ(あたしは、勝負に勝った)

アスカ(あたしはプライドを取り戻し、自信を取り戻し、余裕を取り戻した)

アスカ(ようやく、あたしはあたしに戻ることができた)

アスカ(正直言うと、一人ではここまでやれなかったと思う)

アスカ(ヒカリが誕生日の時に言った"仲間といると幸せは倍、悲しみは半分"って言葉)

アスカ(こう言うのを言うのかなって、少し実感する)

アスカ(普段はホンッッッットに頼りにならないけれど、やっぱりいてくれた方がいい)

アスカ(今回はあたしが助けてもらった)

アスカ(だから今度は、あたしが助けてあげなきゃね)

アスカ(…ホ ルが言った、"使徒との戦いが終わった後"に、みんなで笑って話せるように)

844 : ◆nru729E2n2:2013/05/05(日) 21:36:10 ID:VGBZmSTE
Fin








アスカ「」(ラジカセをいじる)

シンジ「? アスカ何してるの?」

アスカ「エンディングテーマを流すのよ!」

シンジ「なんの曲?」

アスカ「これよ!」つ林原めぐみ JUST BEGUN(ニコニコより転載)↓
http://www.nicovideo.jp/watch/nm8897167


855 : ◆bzsEWmV1PI:2013/06/01(土) 10:02:23 ID:5My9rugs
シンジ「あれっ?」カチッカチッ

カヲル「どうしたんだい?シンジ君?」

シンジ「ウォークマンが急に聞こえなくなって」カチッカチッ

カヲル「電池ではないのかい?」

シンジ「一昨日替えたばっかりだから、たぶん違うと思うんだけど……」カチッカチッ

アスカ「あんたのそれ、古いやつなんだから壊れたんじゃない?」

シンジ「……」カチッカチッ

マリ「まぁ年季の入り方は凄いよね。古いやつ?」

シンジ「うん。父さんが使ってたやつなんだ……」カチッカチッ

綾波「……」

シンジ「……」カチッカチッ

856 : ◆Ovse8wOJAk:2013/06/01(土) 10:06:49 ID:5My9rugs
アスカ「あー、もううざったいわねー。壊れたんだったら新しいのに買い替えなさいよ」イラッ

シンジ「……直せないかな?」カチッカチッ

マリ「ん~、流石に古いから無理なんじゃないかにゃ~?」

アスカ「あんたいつまでも辛気くS……」

アスカ(これは、チャンス到来!?。あいつはあたしの誕生日の時、あそこまで準備して知らないふりしてこのあたしを笑い者にしやがったから、ここであの時の借りを倍にして返してやるか)ニヤニヤ

マリ「どうしたの姫?」

アスカ「……なんでもない。ちょっと出掛けてくるわ」ギー バタン

マリ「?」


859 : ◆Ovse8wOJAk:2013/06/02(日) 06:44:59 ID:gXQ2Y7no
アスカ「さて、とりあえず仲間を探すか」

ピピピッ
プルルルルッ
ガチャ

ミサト「はい、葛城ミサトよ~ん」

アスカ「もしもしミサト~?今平気?」

ミサト「あらアスカ~?大丈夫だけど。なんかあったの?」

アスカ「あのさ~、シンジのウォークマン壊れたらしいんだけど直せない?」

ミサト「あらシンちゃんのウォークマン?技術的な事はリツコに聞かないとわかんないわ~。聞いてみる?」

アスカ「よろしく」

ミサト「リツコ~、アスカが電話代わってほしいって~」

アスカ(電話の口、押さえながら呼びなさいよ、ずぼらなんだから)

860 : ◆Ovse8wOJAk:2013/06/02(日) 06:46:01 ID:gXQ2Y7no
リツコ「……代わりました、赤木です。珍しいわねアスカから電話なんて?何か用かしら?」

アスカ「あのさ~、シンジのウォークマン、壊れたらしいんだけど直せない?」

リツコ「シンジ君のウォークマン?いきなり言われても無理ね。どの辺がどう壊れてるのか、電気系統なのか部品の消耗なのか。部品だって合うのがあるかわからないし。」

アスカ「じゃあウォークマン持っていけば見てくれるわけ?」

リツコ「そうね。出来ない事は無いと思うわ。たださっきも言ったけど部品の交換の場合すぐには無理よ」

アスカ「わかった、今から持ってそっちに行くから」

ピッ

アスカ「よし!後はシンジからウォークマンを奪うだけ」

ギー バタン

861 :b27c4f445337x3:2013/06/02(日) 14:34:38 ID:gXQ2Y7no
シンジ「…」

綾波「…」

マリ「ほら、元気だしなよワンコ君」

カヲル「そうだね。まだ聴けないって決まったわけではないよ」

ガチャ

アスカ「バカシンジ!いつまでもウジウジしてんじゃないわよ。あんた、もうすぐ誕生日でしょ?このあたしが新しいの買ってやるからその壊れたウォークマン、捨てなさいよ」

マリ「わぉ、姫いきなりの大胆発言?」

アスカ「そ、そんなんじゃないわよ///。そ、そうよこれは、ご主人様が奴隷の士気を上げるための餌よ餌。いつまでもウジウジされるとうんざりするだけよ」

シンジ「‥でもこれは」

アスカ「あーもう、デモもストライキもない!あたしが捨ててやるわ。こっちによこしなさい」パシッ

シンジ「あっ」

アスカ「じゃあ出掛けるついでに捨ててくるわ」バタン

シンジ「待って!アスk……行っちゃった。」


863 :b27c4f445337x3:2013/06/03(月) 19:18:50 ID:pgNBfzNM
カヲル「シンジ君?大丈夫かい?」

シンジ「カヲル君ありがとう。まぁ、アスカの言うこともわかるからね。しかたないよ」

マリ「にしても姫よくワンコ君の誕生日をさらっと言ったよね。てっきりサプライズで何かするかと思ったんだけどにゃ~」

カヲル「あぁ、そうだね、彼女の場合何かやりだしてもおかしくないからね。でもこれで彼女が何を買うかわかったし、みんなも同じ物を買わないようにしよう」

マリ「そうだそうだそうしよ~」

864 :b27c4f445337x3:2013/06/03(月) 19:19:27 ID:pgNBfzNM
綾波「碇君、誕生日、プレゼント……パンと弾けて紙の紐が出るあれ、私もメガネの人も部屋に入っときもらった」

シンジ「あ、綾波?」

マリ「ファーストそれはプレゼントではないにゃ」

綾波「?」

カヲル「もっとうーんそうだな、シンジ君が喜びそうな物の事さ」

綾波「……碇君が喜ぶ物」

カヲル「まぁ僕は僕自信をシンJフンガ」パン

マリ「ハイハイわかったわかった。とりあえず変態発言はまだ早いよ。そんなもの貰ったってワンコ君喜ばないし」

カヲル「……君の手で口を塞ぐと言う行為、もはや張り手だね」ヒリヒリ

シンジ「はははっ」

マリ「おっ?少しは元気出たかにゃ?」

シンジ「うん、二人ともありがとう」

カヲル「シンジ君の為さ。まぁプレゼントに関してはシンジ君のいないときに話をしようじゃないか」

綾波「…」コクッ

865 : ◆Ovse8wOJAk:2013/06/04(火) 07:16:03 ID:N7OGE4fU
アスカ(とりあえず奪取成功。後はまだ仲間が足りない。あの4人には教えず、パーティーを主催するにはまず場所はどこにするか。料理はあたしは出来ないから別の方法でなんとかするとして……)

マヤ「あら?あれアスカじゃない?アスカー」フリフリ

アスカ「マヤ?こんな所でなにしてるの?」

マヤ「先輩に言われて少し買い出し」

アスカ「リツコも人使い荒いわね」

マヤ「ふふふっ、そんなことも無いんだけどね」

ピッ プシュー

マヤ「アスカは何でNERVに来たの?」

アスカ「これをリツコに直して貰いに来たのよ」カチャ

マヤ「ん?これっていつもシンジ君が使ってるウォークマン?」

アスカ「そ、いきなり壊れたらしいのよ。それでリツコなら直るかな~って」

マヤ「ふふふっアスカは優しいのね」

アスカ「そ、そんなんじゃないわよ、あいつもうそろそろ誕生日だから、その…」

マヤ(やっぱりアスカは優しいのね)

アスカ「あ、この事は他のパイロットには内緒にしときなさいよ、みんなに内緒で驚かせてやるんだから」プシュー


867 : ◆Ovse8wOJAk:2013/06/04(火) 22:14:17 ID:N7OGE4fU
ミサト「来たわねアスカー」

リツコ「あらアスカ早いわね」

アスカ「リツコはい、これが例の品物よ」

リツコ「随分古い型ね。とりあえず預かっとくわ」

アスカ「6月6日までに直る?」

リツコ「6月6日?日時まで指定?」

ミサト「な~るほど。そーゆー事ねん。アスカはシンちゃんの誕生日に間に合わせたいわけだ」

アスカ「あたしの誕生日の時の借りを返したいだけよ、倍にしてね」ニャッ

ミサト「倍ってまたパーティーでもやるつもり?」

アスカ「そ。まぁでもまだ計画段階なんだけどね。料理とかの問題も山積み」
ミサト「あたしもアスカも他の3人も料理はできないし…」

アスカ「他のやつにも教え無いでやりたいんだけど」
ミサト「えっ?結構難しいわよ、それ」

アスカ「わかってるわよそんなこと。だから協力者が必要なの」

ミサト「協力者?」

868 : ◆Ovse8wOJAk:2013/06/04(火) 22:15:39 ID:N7OGE4fU
アスカ「そう、当日早い時間に誰も家に入れないようにしたり、料理を作ってくれたりする人」

ミサト「あらじゃあそれなら、時間を稼ぐ役目はあたしやってあげる。当日のシンクロテストは朝からにすれば準備はできるわね。まぁもちろんアスカもテストには参加してもらうけど、そのあと他の4人はあたしが引き止めておくわ」

アスカ「サンキューミサト助かるわ」

ミサト「いいのよ別に」

アスカ「後は料理か」

リツコ「あらそれならリョウちゃんでいいんじゃない?」カチッ シュボ

ミサト「さすがリツコ博士、ナイスアイデア。ちょっち加持君に電話してみるわ」

ピッピッピッピッ

869 : ◆Ovse8wOJAk:2013/06/04(火) 22:16:21 ID:N7OGE4fU
アスカ「あとウォークマンか」チラッ

リツコ「あと一週あれば何とかなるでしょ」プカー

アスカ「頼んだわよ、それがないと驚き半減なんだから」

リツコ「わかったわ」

アスカ「よし後はヒカリに事情を説明して……」

ミサト「アスカ、加持君の方はOKだって」

アスカ「よし!これで当日が来るのを待つだけね、それじゃよろしく」ニヤニヤ

ミサト「まかせといて」

プシュー

870 : ◆Ovse8wOJAk:2013/06/04(火) 22:19:41 ID:N7OGE4fU
リツコ「アスカも変わったわね」

ミサト「そうね、こっちに来たときは、あたしあたしだったものね」

リツコ「もしかしてあなた、あの家で何かやってるのかしら?」クスクス

ミサト「あんたね~、何冗談言ってるの、変わったって言ったってあの子達はただ、人の温かみってやつを知らなかったのよ」

リツコ(やっぱり一番変わったのは貴女かもしれないわね)クスクス

871 : ◆Ovse8wOJAk:2013/06/05(水) 20:35:11 ID:W7lLQbPE
アスカ「とりあえずヒカリに連絡してみよ」

ピッピッピッ
プルルル
ガチャ

ヒカリ「はい洞木です」

アスカ「もしもしヒカリ~?あたしだけど」

ヒカリ「あっアスカ?どうしたの」

アスカ「ちょっと聞きたいんだけど6月6日ヒマ?」

ヒカリ「うん、用事は入って無いけど」

アスカ「じゃあさミサトん家でバカシンジの誕生日パーティーするんだけどさ、参加がてらに準備の手伝いしてもらえない?」

872 : ◆Ovse8wOJAk:2013/06/05(水) 20:36:16 ID:W7lLQbPE
ヒカリ「え?いいけど他の人達は?」

アスカ「一切教えないで驚かせてやろうかと思って」

ヒカリ「わかったわ」

アスカ「ありがとヒカリ」

ヒカリ「ううん、あっ鈴原と相田には連絡した?あの二人碇君と仲がいいから来てくれると思うけど」
アスカ「まだしてない」

ヒカリ「じゃあ私の方から連絡しておくわ」

アスカ「ありがと、悪いわねヒカリ」

ヒカリ「大丈夫、当日は何時に何処にいけばいい?」

アスカ「じゃあ13時にミサトの家に来てくれる?」

ヒカリ「わかった、とりあえず小さめのケーキでも作って行くね」

アスカ「何から何まで悪いわねヒカリ」

ヒカリ「ふふふっさっきっからそればっか。じゃあ当日の13時位に行くから」

アスカ「うん待ってるから」ピッ

アスカ「よし!あとは当日上手くいくか、いややるのよアスカ」


874 : ◆Ovse8wOJAk:2013/06/06(木) 19:30:11 ID:tA7pEn9c
……そして当日……

ミサト「みんなあがって良いわよ、お疲れ様」


アスカ「あ~あ、いっつもいっつもシンクロテストシンクロテストでイライラするわ、使途はいつ来るのよ」

カヲル「……」

マリ「まぁまぁ、姫は立ち直ったばっかなんだから無理は良くないって」

アスカ「無理なんかしてないってぇの」

シンジ「でも使徒が来ない方が安心出来るじゃないか」

アスカ「はぁ~?使徒が来ないとあたしの華麗な動きが披露出来ないじゃないの」

プシュー

875 : ◆Ovse8wOJAk:2013/06/06(木) 19:31:02 ID:tA7pEn9c
ミサト「みんなお疲れ様、ちょっちシンジ君とレイマリとカヲル君残ってくれる?」

シンジ「?」

綾波「?」

マリ「?」

カヲル「?」

アスカ「あたしは?」

ミサト「アスカは帰って良いわよ~ん、他の子にちょっち試したいことがあるから」

アスカ「はっ、あたしがいなくても出来る位の、どうせくだらない事でしょ、つまんなそうだから帰わよ」

シンジ(アスカ怒ってるな、帰ったら大変そうだな)

プシュー

876 : ◆Ovse8wOJAk:2013/06/06(木) 19:35:11 ID:tA7pEn9c
シンジ「ミサトさん、試したいことって何ですか?」

ミサト「内容はリツコから説明があるから聞いて、もうすぐ来ると思うから」

プシュー

ミサト「リツコ遅い」

リツコ「あらごめんなさいね」

ミサト「っでこれからの内容の説明してくれない?」

リツコ「ったくしょうが無いわね、この前話し合ってもらった新しい武器の件でとりあえずシュミレーターが出来たから試して欲しいの」

ミサト「で、アスカの言ってた剣の二刀流はシステムに入って無いからアスカには席を外してもらったわけ」

877 : ◆Ovse8wOJAk:2013/06/06(木) 19:35:38 ID:tA7pEn9c
マリ「全面否定されたら姫、怒りそうだにゃ」

ミサト「それだけじゃないんだけどね、カヲル君の案を考慮したら、アスカ後方支援には絶対回らないでしょ」

リツコ「このテストは全員が色んなポジションについてほしいから敢えて外させてもらいました」

マリ「なるほど~、みんな色々考えて行動してるな~」

ミサト「てな訳で一時間後にシュミレーションを開始するからそれまで各自体を休めといて」

シンジ「はい」

綾波「了解」

マリ「は~い」

カヲル「はい」

ミサト(アスカそっちは上手く頼んだわよ)

878 : ◆Ovse8wOJAk:2013/06/06(木) 20:01:00 ID:tA7pEn9c
……その頃……


アスカ「ごめんヒカリ、お待たせ」

ヒカリ「ううん大丈夫、今来た所」

アスカ「あれ?三バカの二人は?」

ヒカリ「昼は用事が有るみたいでパーティーの時は来るかもって言ってたわ」

アスカ「ちっ、使えないわね、まぁいいわ二人で準備してもそうかからないから」

ヒカリ「そう。それならいいんだけど」

プップー

アスカ「加持さ~ん」

加持「ようアスカ、っと…」

ヒカリ「洞木ヒカリです、宜しくお願いします」

加持「あぁよろしく」

879 : ◆Ovse8wOJAk:2013/06/06(木) 20:01:33 ID:tA7pEn9c
アスカ「あれ?加持さん料理は?」

加持「こっちで仕上げようかと思ってね、準備だけしてきた」

ヒカリ「だからアスカは私に料理を頼まなかったのね」

アスカ「加持さんの料理美味しいんだから~」

加持「おいおいあんまりハードル上げないでくれよ。で主役のシンジ君は後どのくらいで到着予定だい?」

アスカ「うーん、2時間後だから15時位かな」

加持「あらもう料理の最終段階に入らないと不味いな」

アスカ「じゃあ加持さんは料理よろしく、あたしとヒカリは家の中を軽く飾り付けするから」

加持「オーケイわかった。そっちも急げよ」

880 : ◆Ovse8wOJAk:2013/06/06(木) 20:13:49 ID:tA7pEn9c
……そして……

シンジ「だたいまアスカ」

シーン

シンジ(やっぱり怒ってるのかな)

ガチャ

パーンパーン

ミサト「シンちゃんお誕生日おめでとう」

ヒカリ「おめでとう」

加持「おめでとう」

リツコ「おめでとう」

シンジ「……?」ポカーン

アスカ「バカシンジ、何そんなところに突っ立てるのよ、とっとと入ってきなさいよ」

シンジ「えっあっえっ……」

881 : ◆Ovse8wOJAk:2013/06/06(木) 20:15:00 ID:tA7pEn9c
アスカ「あっはっは、まだ状況把握が出来てないわ。あっはっは、お腹痛い」

ミサト「ごめんねシンちゃん。アスカがこっそり準備を進めてたのよ」

マリ「なるほどそう言う事か~」

カヲル「これは一本とられたね」

アスカ「あっはっは、3人共バカ面してるわ、あっはっは」

綾波「……?」

アスカ「はぁはぁ、とりあえず席に着きなさいよププッ

シンジ「あっ、うん」

882 : ◆Ovse8wOJAk:2013/06/06(木) 20:15:26 ID:tA7pEn9c
ミサト「じゃ、改めてシンちゃんお誕生日おめでとう」

アスカ「仕方ないわね、おめでと」

加持「おめでとう」

リツコ「おめでとう」

綾波「おめでとう」

マリ「おめでと~」

カヲル「おめでとう」

ヒカリ「おめでとう」

シンジ「ありがとう」

883 : ◆Ovse8wOJAk:2013/06/06(木) 20:43:01 ID:tA7pEn9c
シンジ「ってみんな知らないって事はこれみんなアスカがやったの?」

アスカ「あたしは案だけよ、他はみんながやってくれた」

マリ「おっ、姫控えじゃん」

アスカ「当たり前でしょ、誰がバカシンジの為に一生懸命になるかっての」

ミサト「またまた~、走り回ってたじゃない」

アスカ「なっまっみっ、ミサト何言ってるのよ」

マリ「まあまあ姫。あっそうだワンコ君にプレゼントをあげよう、みんな持って来よう」

884 : ◆Ovse8wOJAk:2013/06/06(木) 20:55:33 ID:tA7pEn9c
ガチャ

ミサト「あらあら、シンちゃんモテモテね~」

シンジ「止めてくださいよミサトさん」

ガチャ

マリ「みんな持ってきた??じゃあ私から行くにゃ、はい」

シンジ「ありがとう、開けていい?」

マリ「モチロン」

ビリビリ

シンジ「フライパンのセット?」

マリ「だってこれからも美味しい料理作ってほしいじゃん」

シンジ「はははっ」(これって自分の為じゃないかなかな)

885 : ◆Ovse8wOJAk:2013/06/06(木) 20:57:10 ID:tA7pEn9c
マリ「じゃあ次はファースト」

綾波「これ」ススス

シンジ「ありがと」ビリビリ

シンジ「マグカップ?」

綾波「飲み物、私の担当だから。これからもずっと私のいれた紅茶飲んで欲しい」

リツコ「あらあら」

ヒカリ「///」

アスカ「あ、あんた何言ってんのよ」

綾波「?」

886 : ◆Ovse8wOJAk:2013/06/06(木) 21:10:54 ID:tA7pEn9c
マリ「へ~、やっと自分の気持ちがわかって来たのかにゃ?」ニヤニヤ

綾波「?」

カヲル「いや、わかってないって顔だね」

マリ「そう言うホ 君は何かにゃ?」

カヲル「僕はゲイだよ」ドヤッ

アスカ「それはもう良いわよ」

マリ「いいから出しなよ」

カヲル「はいシンジ君、プレゼントだよ」

シンジ「ありがとう」ビリビリ

シンジ「なぜエプロン…」

カヲル「決まってるじゃないか。それは肌に直接当たっても良いように綿100%に拘った、裸エプロン専y」
ミサト「今のタイミングで言ったら出て行って貰うわよ」

887 : ◆Ovse8wOJAk:2013/06/06(木) 21:25:15 ID:tA7pEn9c
マリ「じゃあ最後は姫よろしく」

アスカ「みんなも知ってると思うけどウォークマンよ」

シンジ「ありがとう」ビリビリ

シンジ「あっ、これ前にアスカが捨てたはず…」

リツコ「それはアスカに懇願されたから直しておいたの」

アスカ「はっバカシンジの誕生日プレゼントになんかにお金を掛けたくなかっただけよ」

シンジ「アスカ………」

アスカ「そんなに泣きながら喜ばなくたって、あれ?ナイテナイ?」

シンジ「うん」

アスカ「何で泣かないのよ、このあたしが考えたのに」

………ワハハハ

888 : ◆Ovse8wOJAk:2013/06/06(木) 21:26:44 ID:tA7pEn9c
シンジ(アスカ、みんなありがとう。こんなに嬉しい誕生日は初めて味わった。これからもみんなで一緒に生活出来たらいいのにな)




アスカ(バカシンジおめでとう、今回は倍とまでは行かなかったみたいだから次は覚えてなさいよ、次こそギャフンと言わせてやるんだから。………おめでとう………)

889 : ◆Ovse8wOJAk:2013/06/06(木) 21:31:57 ID:tA7pEn9c
これにて終わりにさせて頂きます。消化不良ですみません。



892 : ◆UXF8J5hp4A:2013/06/15(土) 17:15:03 ID:GKGGjAK6


     チュンチュン チュン…


日向「…………」

日向(……誰でも経験がある)

日向(眠りから覚めたら、ここってどこだっけ?と、思う事)

日向(だけど……)

日向(真面目に、本当に、記憶がブッ飛んでて)

日向(ここがどこか、わからない……)

日向(…………)

日向(見たところ、リビングの様だが……) チラ

     腕時計 (日曜日)午前10:09

日向(……もうこんな時間だ)

893 : ◆UXF8J5hp4A:2013/06/15(土) 17:16:14 ID:GKGGjAK6

日向(そして)

日向(今の状況も謎だ)

日向(隣には青葉二尉)

日向(そして、その隣には、葛城三佐にやたらと馴れ馴れしい)

日向(加持リョウジとかいう、階級がひとつ上の諜報員が眠っている……)

日向(…………)

日向(確か……昨夜……)

日向(青葉二尉と飲みに行ったのは覚えている)

日向(…………)

日向(記憶があやふやだが、仕事の愚痴とか言った様な……?)

日向(…………)

日向(ともかく、青葉二尉を起こして、事情を聞いてみよう)

894 : ◆UXF8J5hp4A:2013/06/15(土) 17:17:21 ID:GKGGjAK6

日向「……おい、青葉二尉、青葉二尉」

     ユサ ユサ

青葉「……ん」

青葉「……ふああああ」

青葉「…………」

青葉「あれ? 日向二尉?」

青葉「どうして……?」

日向「僕もそれが知りたいんだけど……」

青葉「…………」

青葉「確か昨日……日向二尉と飲みに行って……」

日向「それは僕も覚えてる」

青葉「碇指令の悪口やらなんやら言い合って……」

日向「え」

895 : ◆UXF8J5hp4A:2013/06/15(土) 17:18:23 ID:GKGGjAK6

青葉「日向二尉、いろいろ溜まってたんだろうな……」

日向「そ、そんな事、僕は言ったのか?」

青葉「ああ」

青葉「あいつはヅラだ、とか、無茶な命令ばっか出しやがって、とか」

日向「…………」

青葉「女性職員も何でタイトミニなんだよ! レ○プして欲しいのかよ!とか」

日向「もういい! もういいから!」 ///

日向「それよりもここは、ドコなんだよ!?」

??「……葛城の家だよ」

日向・青葉「!?」

リョウジ「おはよう……お二人さん」

896 : ◆UXF8J5hp4A:2013/06/15(土) 17:19:30 ID:GKGGjAK6

日向「加持一尉……」

青葉「すみません、起こしちゃいましたか」

リョウジ「ま……少しうるさかったからな」

日向「す、すみません……」

リョウジ「いや、構わないよ」

青葉「それで、葛城三佐の家……というのは?」

リョウジ「前に来た事があってね……おっと、勘ぐりはやめてくれよ?」

リョウジ「チルドレンの様子見で、って事だよ」

日向「それで、ですか」

リョウジ「そう。 だからこの部屋が、葛城の家のリビングだと判断できる」

青葉「えと……俺達はどうして葛城三佐の家のリビングで寝ていたんですか?」

897 : ◆UXF8J5hp4A:2013/06/15(土) 17:20:51 ID:GKGGjAK6

リョウジ「俺の記憶じゃ……」

リョウジ「仕事帰り、ベロベロに酔っ払った君達に絡まれて」

リョウジ「無理やりハシゴ酒に付き合わされたんだ」

日向・青葉「」

リョウジ「二人共、相当うっぷんが溜まっていたんだろうね……」

リョウジ「葛城はお前のものじゃないぞ、とか」

リョウジ「階級がひとつ上だからって偉そうにするな、とか」

日向・青葉「た、大変失礼しましたぁっ!!」 土下座ッ!!

     ただひたすら、土下座ッ!!

リョウジ「いやいや、気にするな……と言っても無理かもしれないが」

リョウジ「酒の席の上での事なのはわかっている。 これからは酒量に気をつける事だね」

日向・青葉「本当にすみませんでした……」

898 : ◆UXF8J5hp4A:2013/06/15(土) 17:21:57 ID:GKGGjAK6

リョウジ「と、言いつつ……俺もこの辺りで記憶が飛んでいるな……」

リョウジ「どうやら、俺も相当飲んだらしい。 人の事は言えないな」

日向「…………」

青葉「…………」

リョウジ「…………」

日向「えと……話を総合すると」

日向「僕たち三人は、記憶を失うほど酒を飲んで、酔っ払っていたわけですよね……」

リョウジ「そうなるな」

青葉「……という事は」

青葉「か、葛城三佐に、ものすごい迷惑をかけた、か、可能性が……」

リョウジ「想像に難くないな……」

899 : ◆UXF8J5hp4A:2013/06/15(土) 17:22:53 ID:GKGGjAK6


     ガララ……


日向・青葉・リョウジ「!!」

シンジ「……あ」

シンジ「お、おはようございます、皆さん」

日向「お、おはよう……シンジくん」

青葉(…………)

リョウジ(引きつった笑顔……)

リョウジ(どうやら相当、暴れたみたいだな……俺達)

シンジ「……ところで、加持さん」

リョウジ「ん?」

900 : ◆UXF8J5hp4A:2013/06/15(土) 17:23:51 ID:GKGGjAK6

シンジ「体は大丈夫ですか?」

リョウジ「は?……そういえば、みぞおちの辺りが妙に痛いな」

シンジ「そ、そうですか……」

リョウジ「…………」

リョウジ「シンジくん」

リョウジ「恥ずかしながら……ここにいる俺達三人は」

リョウジ「ここでの記憶がまるで無いんだ」

シンジ「…………」

リョウジ「良かったら、話してくれないだろうか?」

シンジ「…………」

シンジ「わかりました」

901 : ◆UXF8J5hp4A:2013/06/15(土) 17:25:25 ID:GKGGjAK6




     シンジは、ひとつ大きく息を吸って吐き

     意を決して、ゆっくりと話し始めた





902 : ◆UXF8J5hp4A:2013/06/15(土) 17:26:37 ID:GKGGjAK6


―――――――――――


     ピンポーン♪


ミサト「んー?」

ミサト「今頃誰かしら? はーい」

     ピッ(インターホン)

ミサト「こんな遅くにだr」

????『葛城ぃ~wwwここ開けてくれ~www』

ミサト「!? その声、か、加持君!?」

リョウジ『開けないとぉ~www暴れるぞぉ~wwwうひひひひ!www』

     ドンドンドンッ!

903 : ◆UXF8J5hp4A:2013/06/15(土) 17:27:44 ID:GKGGjAK6

ミサト「ッ! あの酔っぱらいが!……しょうがないわね」

     ガチャ!

ミサト「こら! 加持君! 何時だと思っている……」

     ドサドサッ!

ミサト「!?」

ミサト「ひ、日向君に青葉君!?」

日向「あ、ろぉーもぉwww葛城しゃんさぁ~www」

青葉「こりゃどーもぉ~www」

リョウジ「という訳なんだァwwwつーことでwww」

リョウジ「泊めてくれよぉぉwwwハハハハハハwww」

ミサト「」

904 : ◆UXF8J5hp4A:2013/06/15(土) 17:28:39 ID:GKGGjAK6

ミサト「と、とにかく……この酔っぱらいどもを何とか運ばないと……」

シンジ「どうしたんですか? ミサトさ……!?」

ミサト「シンジくん、いいところに!」

ミサト「ついでにみんなも呼んで!」

ミサト「この酔っぱらい共をリビングに運ぶから!」

シンジ「わ、わかりました!」

―――――――――――

マリ「うっひゃあ……お酒くっさいにゃ」

日向「うひひひひひwww両手に花だァwww」

綾波「…………」

905 : ◆UXF8J5hp4A:2013/06/15(土) 17:29:34 ID:GKGGjAK6

ミサト「ほら、アスカ、しっかりそっち持って」

アスカ「…………」

リョウジ「いやあ、ミサトもアスカも優しいねぇwww惚れ直したよぉ~www」


青葉「んだよぉ……俺の相手は男かよぉwww」

シンジ「ほ、ほら、ひゅ……じやなくて、青葉さん、しっかり歩いて!」

カヲル「まったく……どうしようもない大人だね」


―――――――――――


ミサト「はあ、はあ……ど、どうにか、運べたわね……」

シンジ「ほ、骨が折れました……」

906 : ◆UXF8J5hp4A:2013/06/15(土) 17:30:44 ID:GKGGjAK6

ミサト「もう日付が変わってるし……後は私がするから、みんなはもう休んでて」

カヲル「やれやれだね」

マリ「見たくない大人の一面だったにゃ……」

アスカ「……きっとこれは悪い夢よ」

綾波「…………」

シンジ「ボクも手伝いましょうか?」

ミサト「んー……そうして欲しい気持ちもあるけど」

ミサト「これ以上大人に幻滅して欲しくないからいいわ……」

一同(もう遅い気が……)

シンジ「ま、まあ、そういう事なら」

     ガバッ!

ミサト「!? 日向君!?」

907 : ◆UXF8J5hp4A:2013/06/15(土) 17:31:43 ID:GKGGjAK6

日向「一番!www日向マコト!wwwモノマネをします!www」

日向「滅殺!www」

シンジ「あ! ガン○ムseedのク○トだ!」

マリ「す、すごい、似てる!」

日向「僕は……僕はねぇ!www」

綾波「そんなに似てるの?」

カヲル「そっくりだよ」

アスカ「ふぅ~ん」

日向「どうだい?www似てただろ?www」 ふふん♪

カヲル「ガ○ダムseedなら、僕もできるキャラがいるよ」

908 : ◆UXF8J5hp4A:2013/06/15(土) 17:32:36 ID:GKGGjAK6

カヲル「止めるんだ! シン!」

シンジ「わ! アス○ン・ザラだ!」

綾波「似てるの?」

シンジ「めちゃくちゃ似てるよ!」

マリ「ほほう、ホ ルも持ちネタがあったのかにゃ」

カヲル「……そういう君も?」

マリ「忘れてたぁ? あたしも赤なのよ?」

シンジ「ルナ○リアだ!」

マリ「ぬふふ♪」

綾波「これも似てるの?」

シンジ「栗貫以上だよ!」

綾波(……だれ?)

909 : ◆UXF8J5hp4A:2013/06/15(土) 17:33:55 ID:GKGGjAK6

青葉「やるじゃないかwww日向二尉もチルドレンもwww」

青葉「じゃあwww俺も……ん、んんっwww」

青葉「月○蝶であーる!www」

シンジ「ター○Aのギン○ナム!」

青葉「俺は不可能を可能にする男だぜ?www」

シンジ「ム○・ラ・フラガ!」

青葉「ク――クックックックッ……www」

シンジ「ケロ○軍曹のク○ル曹長!」

青葉「URYYYYYYYYYYYYYYYYッ!!www」

シンジ「ジョ○ョのディ○!」

ミサト(シンジくん……何でそんなに詳しいの……?)

910 : ◆UXF8J5hp4A:2013/06/15(土) 17:35:00 ID:GKGGjAK6

リョウジ「こりゃあ俺も負けてられないなwww」

ミサト「は、張り合わなくていいから」

リョウジ「んんっ……大佐がなんだ!www俺は大佐を超えてやる!www」

シンジ「逆シャ○のギュ○イ・ガス!」

リョウジ「真面目に不真面目!www」

シンジ「かいけつゾ○リのゾ○リ!」

リョウジ「ガミ○スに下品な男は不要だ……www」

シンジ「宇宙戦艦ヤ○ト2199のデ○ラー総統!」

リョウジ「ルルル、ルパァ~ン!www」

シンジ「ル○ン三世の銭○警部!」

カヲル「最後のは似てないんじゃ?」

911 : ◆UXF8J5hp4A:2013/06/15(土) 17:36:04 ID:GKGGjAK6

シンジ「声優陣を一新した、新しい○形警部にそっくりだよ!」

マリ「へ~」

綾波「……」 ネム……

アスカ「……」 zzz

ミサト「さぁ、もうそのくらいにしなさい、酔っぱらい共」

ミサト「明日の休日、キチッとお仕置きしてあげるからね……」

日向「おお~、怖い怖いwww」

青葉「問題ないのであ~る!www」

リョウジ「まあまあwww」

リョウジ「そういや、葛城www」

ミサト「……なによ」

912 : ◆UXF8J5hp4A:2013/06/15(土) 17:36:52 ID:GKGGjAK6

リョウジ「お前さんにも得意なモノマネがあったじゃないか?www」

ミサト「……!!」

リョウジ「あれ、やってくれよ、葛城www」 ///

シンジ「どんなモノマネですか?」

カヲル「ぜひ見てみたいね」

マリ「やってみてよ、ぶちょーさん」

ミサト「あ、あんたたち、何を言って……」

日向「いいじゃないですかぁ、葛城三佐ぁwww」

青葉「ブレイコーですよぉwwwブレイコーwww」

     ヤーレ! ヤーレ! ヤーレ!

ミサト「ぐぬぬ……わ、わかったわ」

ミサト「や、やるから、やった後、早く寝なさいよ……ったく」

913 : ◆UXF8J5hp4A:2013/06/15(土) 17:37:50 ID:GKGGjAK6

ミサト「あーあー……ん、んんっ……」



ミサト「月に変わって、お仕置きよ♥」 きゃぴ♥///



一同「…………」

ミサト「…………」

リョウジ「ブハハハハハハwww」

日向「さ、最高www最高ですぅwww」

青葉「お仕置きwww月に変わってwww」


ミサト「」

914 : ◆UXF8J5hp4A:2013/06/15(土) 17:39:25 ID:GKGGjAK6

シンジ(……元ネタ何か解らないけど)

カヲル(正直……)

マリ(三十路前の女がやるのには、キツいネタだにゃ……)


     ブハハハハハハ ギャハハハハ


ミサト「」

ミサト「……」

ミサト「…………」 ゴゴ

ミサト「…………」 ゴゴゴ…

     ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

915 : ◆UXF8J5hp4A:2013/06/15(土) 17:40:22 ID:GKGGjAK6
BGM
http://www.youtube.com/watch?v=rW0tymSP6Vs

916 : ◆UXF8J5hp4A:2013/06/15(土) 17:41:20 ID:GKGGjAK6



     ブ   チ   ッ   !!



シンジ「え」

カヲル「ん?」

マリ「ほえ?」



ミサト「こ@jらl:犠打khkぴbだp;!!」



シンジ「ミ、ミサトさん!?」

917 : ◆UXF8J5hp4A:2013/06/15(土) 17:42:19 ID:GKGGjAK6

リョウジ「葛城www怒ったwww」

カヲル「ちょ、落ち着いて!」

日向「うはwwwテラカワイソスwww」

マリ「酔っぱらいはもう黙るにゃー!」

青葉「パターン赤www赤鬼ですwww」



ミサト「あんhgs;。、だfggfしゃ――!!」



     ボグンッ!!



シンジ(……あ)

カヲル(豪快なアッパーが……)

マリ(キレーにリョウジのみぞおちに……)

918 : ◆UXF8J5hp4A:2013/06/15(土) 17:43:19 ID:GKGGjAK6

リョウジ「」

リョウジ「う」

リョウジ「ぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ」


マリ「ひゃああああああああっ!?」

シンジ「ミ、ミサトさん! 気持ちは痛い程わかりますけど!」

シンジ「落ち着いてぇ!」

カヲル「ファースト! セカンド! 緊急事態だ! 起きて!」


日向「あはははははwww」

青葉「うひゃひゃひゃひゃひゃwww」


ミサト「ぎ、p;こfdぁbz・@;まtyds!!」

919 : ◆UXF8J5hp4A:2013/06/15(土) 17:44:28 ID:GKGGjAK6







     わあああああああああっ……







920 : ◆UXF8J5hp4A:2013/06/15(土) 17:45:21 ID:GKGGjAK6


―――――――――――


リョウジ「」

日向「」

青葉「」

シンジ「……という感じで」

シンジ「何とかミサトさんをなだめて」

シンジ「僕たちで加持さんのゲ○の処理をしてたら」

シンジ「日向さんと青葉さんも もらいゲ○して……」

リョウジ「」

日向「」

青葉「」

921 : ◆UXF8J5hp4A:2013/06/15(土) 17:46:22 ID:GKGGjAK6

シンジ「片付け終わったら、夜が明けてました……」

リョウジ「す、済まなかった、シンジくん」

日向「申し訳ない……」

青葉「本当にごめん、シンジくん……」

シンジ「いえ……もう済んだ事ですからいいです」

シンジ「けど」

シンジ「出来れば、今の内に……」

シンジ「ミサトさんが起きる前に、帰ってもらえませんか?」

リョウジ「う、うん、そうだ、その通りだ」

日向「は、早いとこ、退散しましょう」

青葉「シンジくん、このおわびは、必ずするから!」

922 : ◆UXF8J5hp4A:2013/06/15(土) 17:47:10 ID:GKGGjAK6


     ガララ…


リョウジ「」

日向「」

青葉「」

シンジ(……あちゃー)


ミサト「…………」

ミサト「……知らなかったの?」

ミサト「作戦部長からは、逃げられないのよ……」 ゴゴゴ……


リョウジ・日向・青葉(ひ、ひいいいいいいいいいっ!!)

923 : ◆UXF8J5hp4A:2013/06/15(土) 17:47:45 ID:GKGGjAK6



     ……その後、起きてきた綾波がたずねた。

     あの三人はどこ?と……



     シンジは、言葉少なに遠い目をしながら

     帰ったよ……とだけ言った。



     おしまい


930 : ◆nru729E2n2:2013/06/22(土) 23:57:19 ID:TFmGFQQk
土曜日 葛城宅(AM10:31)

天気:快晴


アスカ「…暑いわね」ジトー

綾波「そうね」ムシムシ

マリ「UK(イギリス)育ちにこのジメジメ感はちょっと…」グデー

カヲル「月は温度差が激しかったけど、湿度は無かったな…」アセダク

シンジ「ミサトさんに話はしたけど、業者が来るのは明日って言ってたし…」ジメジメ

アスカ「…要するに」

マリ「今日一日は」

綾波「この暑さに耐えなきゃいけない」

カヲル「状況ってわけだね」

シンジ「…うん」


今日の出来事その1:リビングのエアコンさんがお亡くなりになられました(よーするに壊れた)

931 : ◆nru729E2n2:2013/06/22(土) 23:58:11 ID:TFmGFQQk
マリ「食事時以外はそれぞれの部屋に籠ってりゃいいかもしれないけど」

カヲル「さすがに食事時はそうも言ってられないよね…」

アスカ「ご飯もそれぞれ部屋で食えばいいじゃない…」

シンジ「それもどうかと…」

綾波「さみしい」

マリ「…まぁ、気持ちはわからんでもないけどにゃ…」

カヲル「食事云々もあるけど、今日一日どこかで暑さを凌がなきゃね」

アスカ「んなこと言ったって…」

シンジ「どこで暑さを凌ぐの?」

一同「………」

932 : ◆nru729E2n2:2013/06/22(土) 23:58:46 ID:TFmGFQQk
マリ「ゲーセン?」

アスカ「タバコ臭いから却下」

綾波「NERV本部?」

シンジ「休みの日まであそこに行くのはちょっと…」

カヲル「呼び出しならともかく、ね」

アスカ「ヒカリん家?」

マリ「人ん家の電気を無断で使う気? その線も却下じゃない?」

アスカ「んじゃどーすんのよ…」

カヲル(セカンドが湿度のせいで元気がない…)

933 : ◆nru729E2n2:2013/06/22(土) 23:59:25 ID:TFmGFQQk
シンジ「暑さが凌げる場所って言うと…」

アスカ「涼しくて」

マリ「汗をかかなくて」

カヲル「できれば少し体を動かしたいよね、訓練も最近やってないし」

アスカ「アンタって以外に体育会系ね…」

カヲル「ほら、シンジ君を襲う際に体力いるからさ♪」

マリ「目的がおかしいって!」

シンジ(…もう、愛想笑いしかできない)


綾波「………」

934 : ◆nru729E2n2:2013/06/23(日) 00:00:04 ID:nOfaE1To
綾波(暑さを凌ぐ場所)

綾波(涼しい場所)

綾波(汗をかかない=湿度が低い)

綾波(もしくは汗を流せる場所)

綾波(ホ の人の要望は体を動かせる場所)

綾波(………)

綾波(涼しくて、汗を流せて、体を動かせる)


綾波「…プール」

一同「え?」

935 : ◆nru729E2n2:2013/06/23(日) 00:00:46 ID:nOfaE1To
アスカ「アンタ、今なんて?」

綾波「プール」

綾波「涼しくて、汗を洗い流せて、体を動かせる」

綾波「プールならすべての条件を満たしている」

マリ「…わお、君って時々冴えてるよね♪」

カヲル「なるほど。水泳なら全身運動だからもってこいだね」

シンジ「綾波ナイスアイデアだよ」

綾波「ア、ありがとう」///

936 : ◆nru729E2n2:2013/06/23(日) 00:01:28 ID:nOfaE1To
アスカ「そうと決まれば善は急げよ!」

マリ「ちょい待ち、プールに行くのはいいけど、まだ問題あるよ」

アスカ「ハァ? なんの問題があんのよ?」

カヲル「プールって、第三新東京市にあったっけ? 学校以外で」

綾波「」スチャ つスマホ

綾波「市営プールがある」シュルシュル

シンジ(…綾波がなんだかんだいってスマホ一番使いこなしてるんじゃ…?)

カヲル「場所わかる?」

綾波「地図も載ってる。問題ない」

アスカ「おっし!」ガッツポーズ

937 : ◆nru729E2n2:2013/06/23(日) 00:02:11 ID:nOfaE1To
カヲル「…そういえば」

綾波「?」

カヲル「失礼だけど、君達は水着持ってるのかい?」

シンジ「僕はあるけど」

アスカ「…フフフ」

マリ「…ククク…」

シンジ「? フ、二人とも?」

アスカ「フフフフフフフフ!!」

マリ「ククククククククク!!」

カヲル「…ついに暑さでネジが飛んだか」

アスカ・マリ「アンタじゃないんだから、んなわけあるか!!」

カヲル「僕を変人扱いしないでほしいな」キリ

シンジ(少なくとも普通じゃないよね…)

938 : ◆nru729E2n2:2013/06/23(日) 00:02:59 ID:nOfaE1To
アスカ「まさかこんなにも早くこの時が来る何て思ってなかったけど!」

マリ「思ってなかったけど!!」

アスカ「こんなこともあろうかと!」

マリ「こんなこともあろうかと!!」

綾波「…もあろうかと」

アスカ・マリ「先週新作の水着を3人で買っておいたのだ!!!」ドヤァ

綾波「…のだ」

シンジ「」

カヲル「なんてご都合主義…」

939 : ◆nru729E2n2:2013/06/23(日) 00:03:59 ID:nOfaE1To
マリ「いやさ、どっかに泳ぎに行く際にさすがにスクール水着は無いよねーって話しててニャ」

アスカ「んじゃ買いに行くかってことになったわけ。ついでにエコヒイキを連れて」

綾波「そう」

カヲル「まったく、一部の人には絶大な人気あるのに、スクール水着」

マリ「いや、さすがにないっしょ…」

想像図↓
ttp://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/p/pema/20110829/20110829181107_original.jpg
ttp://evang.web.fc2.com/img/evangelion/rei-asuka/0030-org7082.jpg

綾波「碇君はスクール水着の方が良かった?」

シンジ「ベ、別にどっちでもいいけど…」

マリ「ほら見ろ、少なくともわんこ君はそっち側の人間じゃないぞ」

カヲル「さすがは僕のシンジ君」ドヤ

アスカ「いつからアンタの所有物になった!」

940 : ◆nru729E2n2:2013/06/23(日) 00:05:23 ID:nOfaE1To
なんやかんやで10分後

綾波「それじゃあ、15分後に出発で」

アスカ「わかったわ」

マリ「りょーかい」

カヲル「確認した」

シンジ「準備はすぐ終わると思う」


シンジ(そういえばこうやって全員でまとまって動くのって久しぶりだな…)

シンジ(3人ともどんな水着を着るんだろう…)

シンジ(…普段の部屋着を知ってるからあんまり特別な感情湧かないや)

941 : ◆nru729E2n2:2013/06/23(日) 00:06:21 ID:nOfaE1To
5人はコンクリートジャングルを抜け

オアシス(プール)にたどり着く

燦々と降り注ぐ太陽

飛び散る水しぶき

パイロット達のささやかな休暇がいま幕を開ける


次回『Little Sea Vacation』

さ~て、次回も(ポロリで)サ~ビスサ~ビスゥ!


マリ「ポロリだって、頑張って姫」

アスカ「なんであたしなのよ!! この場合アンタでしょ!!」

綾波「…ポロリって?」

シンジ「綾波は知らなくていいから…」

カヲル「いや彼女もポロリ要員だろ」

945 : ◆nru729E2n2:2013/06/23(日) 22:59:18 ID:nOfaE1To
PM0:49 気温30.1度

第三新東京市 市営プール 受付

アスカ「ったく、来るだけで汗だくになったわ…」

マリ「日焼け止め塗ってきたから大丈夫だとは思うけど…、ちょっち心配ニャ」

カヲル「その点キミは準備が良かったね」

綾波「そうね」(装備:麦わら帽子)

シンジ「それじゃ、中に入ろうか」


受付のおっちゃん「いらっしゃい」

946 : ◆nru729E2n2:2013/06/23(日) 23:00:05 ID:nOfaE1To
シンジ「すいません、中学生5人」

おっちゃん「あいよ…。んで、そっちの穣ちゃん方はなにをしてるの?」

シンジ「え?」(振り返る)


カヲル「…なんで、ぼくはこんな状態なのかな?」ジタバタ

マリ「よく考えたらさ、更衣室ってで二人きりだよね、君達」(背中から羽交い絞め)

マリ「わんこ君とホ 君一緒にしたら、いろいろとまずそうじゃん?」

カヲル「僕だって公衆の面前でそんなこフガ」(猿轡される)

アスカ「しないと言い切れないから今対策をしてんじゃないの!」(簀巻きにする)

綾波「着替えが終わるまでの我慢」

カヲル「フガー!!(納得できーん!!)」


シンジ「」

おっちゃん「………ずいぶん、変わったお友達だね」

シンジ「ハ、ハハハ… スイマセン」

947 : ◆nru729E2n2:2013/06/23(日) 23:00:49 ID:nOfaE1To
シンジ着替え後 ほかは着替え中

シンジ「…なんか、プールに入る前からドッと疲れた…」(普通の海パン)

シンジ「それにしても…」

ガラーン

シンジ「誰もいない…、完全に貸し切り状態だ…」

シンジ「ウォータースライダーみたいな遊泳具は無いけどこれなら…」


アスカ「コネメガネのって、トップ(上)もボトム(下)も布地が少なすぎるんじゃないの?」
マリ「姫のだって、胸の       あいてるじゃん」
マリ「●●いね♪」
綾波「●●い」
アスカ「やかましわ!!」

参考画像↓
ttp://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/p/pema/20110829/20110829181106_original.jpg

シンジ「あ。アスカ達着替え終わったみたいだな」

948 : ◆nru729E2n2:2013/06/23(日) 23:01:27 ID:nOfaE1To
マリ「いやー、お待たせ!」

アスカ「ったく、何しけた面してんのよ!」

綾波「大丈夫?」

シンジ「うん、大丈夫。ただ…」

綾波・アスカ・マリ『ただ?』

シンジ「ただカヲル君、最初からあの調子で大丈夫なのかなって…」

アスカ「」

マリ「」

綾波「」

シンジ「…この点にはみんな言い返すことできないよね…」

アスカ「…やっぱあいつ留守番させときゃよかったかしら…」

マリ「無理無理…。むしろ目の届く範囲に置いておいた方が確実っしょ」

綾波「」コクコク

949 : ◆nru729E2n2:2013/06/23(日) 23:02:07 ID:nOfaE1To
カヲル「シンジ君!!」

シンジ「あ、カヲ」

カヲル「女性陣ばっかり見てないで僕も見てくれ!!」ズカズカ

シンジ「ウワ…」

アスカ「予想ドーリといえば予想ドーリだけど…」

マリ「…黒のブーメラン」

綾波「」(驚きで硬直)

カヲル「これが水着の正しい姿だよ!!」バーン!!

シンジ「」

アスカ「」

綾波「」

マリ「」

カヲル「ああ…、シンジ君の視線が突き刺さる…(悦)」

アスカ(…いろいろ突っ込みたいけど)

マリ(関わりたくねぇ…)

950 : ◆nru729E2n2:2013/06/23(日) 23:03:01 ID:nOfaE1To
アスカ「…悦に浸ってるホ はほっとくとして」

マリ「25mプールが一個だけかぁ… これじゃ人が来ないのも納得だね」

シンジ「最近はエアコンも普及しているし、家にいて暇つぶしにも事欠かないし」

綾波「みんな運動不足」

マリ「御説ごもっとも」

アスカ「あたしらは普段から体育の授業とかあるから運動不足じゃない!」

シンジ「そ、そういうことを気にする年齢でもないと思うけど…」

マリ「ということはあれかい? わんこ君はぶちょーさんは運動不足だっていうのかニャ?」

アスカ「事実運動不足よ。移動は車だし、家では酒びたりだし」

綾波「ストレス解消に運動は良いと、授業で習った」

シンジ「それでできれば苦労しないよ」

マリ「習慣にならなきゃキツイだけだかんねー」

アスカ「普段から気をつけてやるのよ、いきなりやってできるわけないわ」


カヲル「………」///(悦中)

951 : ◆nru729E2n2:2013/06/23(日) 23:03:57 ID:nOfaE1To
10分後

シンジ「準備運動は終わったね」

アスカ「泳いで手足ツッたじゃ格好付かないし」

綾波「体育の授業と一緒」

マリ「ほら、いつまで悦に浸ってんの」ペシペシ

カヲル「ハ!? ス、済まない。ついついシンジ君の視線が気持ちよくて…」

アスカ「そいつ悦に浸らせっぱなしでよかったんじゃない?」

マリ「かといって、さっきの表情で放置してたら、それこそ変質者扱いだよ?」

綾波「家では変質者」

シンジ「綾波バッサリ言い過ぎ…」

マリ「いや、あたしもそれは同意なんだけど…」

カヲル「褒め言葉、ということで受け取っておくよ」

アスカ「皮肉だから今の…」

マリ「…んまぁ、そういうわけだから、身内からそういうの出したくないわけで…」

952 : ◆nru729E2n2:2013/06/23(日) 23:04:52 ID:nOfaE1To
カヲル「そこまで言うなら言わせてもらうけど」

アスカ「なによ?」

カヲル「君達もそんな挑発的な水着はどうかと思うな」

綾波「あなたに言われる筋合いはない」

カヲル「君はまぁ問題ないよ。スタンダードなタイプのビキニだから」

綾波「そう」

マリ「ほほう? つまりあたしの姫の水着に文句があると?」

アスカ「このホ ブーメラン! …あたしらに喧嘩売るとはいい度胸じゃない!」

カヲル「君たちは自分の年齢を考えて水着を買った方が良い」

カヲル「デザインに懲りすぎだよ」

シンジ(…確かに、二人とも露出がすごいよね)

シンジ(とても中学生には見えない…)

953 : ◆nru729E2n2:2013/06/23(日) 23:05:43 ID:nOfaE1To
カヲル「まず君の場合」

マリ「ニャ?」

カヲル「中学生にしては発育が良すぎるんだよね。特に胸」

マリ「自慢のバストニャ♪」プルン

アスカ「威張るなっつーの! つか揺らすな!!」

カヲル「そのスタイルを強調するのはいいけど、その年でマイクロビキニはちょっと…」

カヲル「どこかのジュニアアイドルじゃないんだからさ」

アスカ「…確かに子どもには見えないわね」

マリ「見た目は子供、頭脳は大人! それの名フガ」

アスカ「言わせるかーっ!!」(口ふさぐ)

954 : ◆nru729E2n2:2013/06/23(日) 23:06:29 ID:nOfaE1To
カヲル「逆に君の場合は」

アスカ「何よ!! こっちはいろいろ忙しいのに!」

カヲル「デザインが大人過ぎる。その水着を着るには、君はまだ妖艶さが足りない」

アスカ「な…」

カヲル「身長伸ばして、胸…だけじゃ足りないな。全身もっと脂の乗った体に」

アスカ「こ、このブーメラン!」

カヲル「そんなんじゃ、ほんとに胸がポロリしかねないぞ?」

アスカ「………」

アスカ「………」

アスカ「ホ のくせに」

アスカ「言わせておけばぁぁぁぁぁっ!!(怒)(怒)(怒)」

955 : ◆nru729E2n2:2013/06/23(日) 23:07:09 ID:nOfaE1To
カヲル「そんな風にいちいち反応するから子供なんだよ」(逃げの一手)
アスカ「変人のアンタに言われたくないっつーのぉぉッ!! プールの底に沈めてやるぅぅぅ!!」(追撃)
マリ「あ、それならあたしも手伝うよ!」(援護)

ザバーン バシャーン

シンジ「………」

綾波「………」

シンジ(プールに入る前からこれだよ…)

綾波「碇君」

シンジ「…何?」

綾波「ホ の人は、あの水着着ていいの?」

シンジ「? なんで?」

綾波「二号機の人とメガネの人はそれぞれ自分で似合うと思う物を着てる」

綾波「でもホ の人はそれを否定した」

シンジ「そうだね」

956 : ◆nru729E2n2:2013/06/23(日) 23:07:54 ID:nOfaE1To
綾波「水着を売ってる店の人に聞いたけど、大概は自分で気にいった物を選ぶ」

綾波「あの人も自分で気に入った物を選んだはず」

シンジ「男通しで水着売ってる所に行ったりは普通しないしね。たぶん自分で選んでると思うけど」

綾波「なら、なぜあの人は二人の水着を否定したの? 自分で選んだのに、なぜいけないの?」

シンジ「そ、そうだな…」ウーン…

綾波「」

シンジ「」ウーン…

綾波「」

シンジ「…きっと、もっと二人に似合う水着があるからだよ。年相応の」

綾波「年相応?」

シンジ「カヲル君は二人にもっと似合う水着があるって言ってるんだよ。たぶん」

957 : ◆nru729E2n2:2013/06/23(日) 23:08:49 ID:nOfaE1To
綾波「…碇君なら」

シンジ「僕なら?」

綾波「碇君なら二人、私も含めて三人の水着を選ぶならどうするの」

シンジ「ど、どうって…」///

綾波「教えて」

シンジ「そ、そんなこと言ったって…」

シンジ(三人の水着姿を想像しろって言われても…)

シンちゃんの3人に似合う水着のイメージ↓
ttp://blog-imgs-31-origin.fc2.com/r/o/o/room666/20090630234238.jpg

シンジ「す、少なくとももう少し露出の少ない物を選ぶと思う…」

綾波「そう」

958 : ◆nru729E2n2:2013/06/23(日) 23:09:32 ID:nOfaE1To
シンジ「…しょ、正直さ」

綾波「何?」

シンジ「あ、綾波が、そういうビキニタイプをを着てくるとは思ってなかった」

綾波「似合わない?」

シンジ「に、にゃってるよ! ただ意外だったで 」

綾波(碇君が珍しく噛んだ…)

綾波(碇君が焦ってる?)


マリ「ほーらーそこ二人! 君らも入んなよー! 水もひんやりしてて気持ちいいよー!」
カヲル「さぁ行こう! 僕らの花グボボボ!!?」
アスカ「アンタは沈んでろってば!」


シンジ「い、行こう綾波!」

綾波「…ええ」



BGM ↓
ttp://www.youtube.com/watch?v=HbrDvE1xQGg

959 : ◆nru729E2n2:2013/06/23(日) 23:10:24 ID:nOfaE1To
しばらく後

綾波「第一のコース、綾波レイ」

アスカ「第二のコース! エースのアスカ!!」

シンジ「だ、第三のコース、えっと、碇シンジです」

マリ「第四のコース! 謎多きメガネっ子マリ!!」

カヲル「第五のコース! シンジ君のカヲル!」

アスカ「第一回、パイロット対抗25mクロール競争!」

マリ「レディ…」

カヲル「ゴォォォォォォッ!!!」


バシャバシャバシャ…

960 : ◆nru729E2n2:2013/06/23(日) 23:11:35 ID:nOfaE1To
その又しばらく後

アスカ「バカシンジ!」ポ~ン!(レシーブ)

シンジ「次綾波お願い!」ポ~ン!(レシーブ)

綾波「メガネの人」ポ~ン!(トス)

マリ「ホ 君くらえぇぇぇ!!」バシーン!!(水面から飛び上がりスパイク)

カヲル「ムベッらっ!?」ボカ~ン!

マリ「よッしゃ! 一機撃破!!」

シンジ「…ビーチボールとはいえ、そんな思いっきりスパイクしなくても…」

シンジ「というか撃破数競ってないし…、そもそも撃破でもない…」

綾波「ホ の人の顔面ディフェンス」

アスカ「アハハハハハッ!! 変なの!!」(指差しつつ爆笑)

カヲル「むしろプールに入っててどうやったらあんなに打点が高くできるんだよ…」ヒリヒリ

961 : ◆nru729E2n2:2013/06/23(日) 23:12:31 ID:nOfaE1To
そのさらにしばらく後

カヲル「前方宙返り!!」ピョン! クルリ

ザブーン!

マリ「側転からの伸身2回ひねり」ピョン! クルクル

バシャーン!!

アスカ「側転! ロンダート(側方倒立回転跳び1/4ひねり)からの!!」ピョン! ピョン!!

アスカ「ストライク○ィザァァァァド!!」バーン!!

ドバシャーン!!


綾波「ストライクウィ○ード?」

シンジ「なんか、先週見たみたい…テレビの特撮番組で」

綾波「ラ○ダーキック…」

962 : ◆nru729E2n2:2013/06/23(日) 23:13:24 ID:nOfaE1To
夕方(帰り道)

アスカ「あー楽しかった!」

マリ「姫はしゃぎすぎ~」

綾波「メガネの人もはしゃいでた」

シンジ「みんな結構はしゃいでたと思うけどな」

カヲル「僕は、シンジ君のほぼ裸体を見えただけでも満足さ」

シンジ「」

綾波「」

アスカ「」

マリ「」

カヲル「?」

アスカ「いろいろ言いたいけど」

マリ「ダルいから突っ込まない」

カヲル「oh… これが放置プレイというやつか」

963 : ◆nru729E2n2:2013/06/23(日) 23:14:17 ID:nOfaE1To
アスカ「でも夕方にもなるとさすがに涼しくなるわね」

マリ「泳いで体温下がってるのもあるけどやっぱ日の光の強さは違うニャ」

シンジ「いつもこのくらいの気温ならいいんだけど」

綾波「」コクコク

カヲル「気温の差があるのはいいね。暖かさと涼しさのありがたみが感じられて」

綾波「急にまじめにならないで、どんな顔すればいいかわからないわ」

カヲル「い、一体僕を何だと思ってるんだよ」

アスカ「変人」

マリ「非人間」

シンジ「ちょ、ちょっと変わった人」

カヲル「」

964 : ◆nru729E2n2:2013/06/23(日) 23:15:18 ID:nOfaE1To
マリ「今度ぶちょーさんとかも一緒に連れてこなきゃね」

アスカ「ミサトが来るかしら? 仕事を抜きにしてもあんまり活動的な方じゃないと思うけど」

シンジ「以前雪合戦したみたいに来てくれると思うけど…」

カヲル「でも次の日は筋肉痛で大変そうだね」

綾波「…でも」

シンジ「?」

アスカ「あ?」

マリ「んにゃ?」

カヲル「え?」

綾波「…大勢の方が、楽しい」

シンジ「…そうだね。気が向いたら、また来よう」

マリ「んじゃ、そのまえに我が家へ帰りますか!!」

アスカ「んでバカシンジ今日の晩御飯何?」

シンジ「今日はね…」

ワイワイ…

965 : ◆nru729E2n2:2013/06/23(日) 23:16:10 ID:nOfaE1To
シンジ(これは何気ない僕らの一日)

シンジ(楽しかった一日)

シンジ(願わくば、これがずっと続きますように)


Fin
EGソング↓
ttp://www.youtube.com/watch?v=1BbwDeucdqc


976 : ◆UXF8J5hp4A:2013/07/13(土) 11:40:50 ID:4xgF3GwU

     テク テク テク…

???「……」

???「……!」

???「お前は……フィフス」

カヲル「やあ、キール議長」

キール「…………」

キール「相変わらず……人間のセキュリティは無力だな」

カヲル「そんな事はないよ? 誰にも知られずにここに来るのは骨が折れる」

キール「…………」

キール「それで? 私に何か用かね?」

カヲル「少し聞きたい事があってね」

977 : ◆UXF8J5hp4A:2013/07/13(土) 11:41:42 ID:4xgF3GwU

キール「ふむ?」

カヲル「今回のシナリオ」

カヲル「いままでのモノより、かなりペースが遅いように感じるのだけど」

カヲル「どうなっているんだい?」

キール「…………」

キール「人類補完計画に変わりはない」

カヲル「…………」

キール「……だが」

カヲル「だが?」

キール「今までは、急ぎすぎたのではないか?」

キール「そう感じるようになったのだ」

カヲル「へえ……」

978 : ◆UXF8J5hp4A:2013/07/13(土) 11:42:29 ID:4xgF3GwU

キール「ふふふ……私がこんな事を言うのは、可笑しいかね?」

カヲル「いや……意外には思うけどね」

キール「…………」

キール「思い起こせば」

キール「君がキッカケだったやもしれぬ」

カヲル「僕が?」

キール「使徒……ヒトと違う生命体でありながら」

キール「ヒトの言語を使い、文化を学び、理解しようとするその姿勢」

キール「私は……君ほどにそれをやって来たのだろうか?と……」

カヲル「…………」

979 : ◆UXF8J5hp4A:2013/07/13(土) 11:43:13 ID:4xgF3GwU

キール「死海文書や様々な文献を研究し、人類補完計画に没頭してきたが……」

キール「私は……他の事に全く目を向けて来なかった事に気がついたのだ」

カヲル「…………」

キール「フィフス……私も同じだ」

キール「ヒトとして……いや、一個体として」

キール「人間を学ばねばならん、とな」

カヲル「そうかい」 クスッ

キール「ふふふ……」

     ハハハ…

キール「時に――」

キール「沖○艦長をどう思うかね?」

カヲル「そうだね、受け、だと思うな」

キール「わかっているな、フィフス」 フフフ

980 : ◆UXF8J5hp4A:2013/07/13(土) 11:44:31 ID:4xgF3GwU

カヲル「そりゃそうだよ」

カヲル「艦長職なんて激務を病持ちでこなしているんだ」

カヲル「攻めなんて出来る訳がない」

キール「実に同感だ」

キール「私としては、沖○艦長(受け)×真○(攻め)なんて、いいカップリングだと思うのだが」

カヲル「悪くないね」

カヲル「僕としては沖○艦長(受け)×徳○機関長(攻め)もねっとりしてていいと思うけど」

キール「年代的に気が合いそうだし、アリだな」

キール「若い連中はせっかちそうだし……」

カヲル「回数はこなせると思うけど?」

キール「内容が重要なのだよ」

     ハハハ…

981 : ◆UXF8J5hp4A:2013/07/13(土) 11:46:07 ID:4xgF3GwU

カヲル(…………)

カヲル(シンジくん……)

カヲル(もしかしたら僕たち)

カヲル(戦わなくて済むかもしれない)

カヲル(…………)

カヲル(まだまだ不安定だけどね……)

カヲル(もうしばらく、君と、君たちと、一緒に居られるみたいだ)

カヲル(……いつか、終わるとしても)

カヲル(僕は、嬉しく思うよ)


 ――今という時間を、ね――



990 : ◆nru729E2n2:2013/08/11(日) 20:57:31 ID:skG.Ging
リツコ「それでは、会議を始めます」

ミサト「まさに勢ぞろいね…」

マヤ「………」

マコト「………」

シゲル「………」

シンジ「あ、あの…」

アスカ「アンタは黙ってなさい」

綾波「………」

マリ「突然会議っ聞いて呼び出されてきてみれば…」

カヲル「こういう会議も、また珍しいものだね」


会議名『第一回 引っ越しスレテコ入れ会議』

991 : ◆nru729E2n2:2013/08/11(日) 20:59:57 ID:skG.Ging
ゲンドウ「………」(いつものポーズ)

冬月「赤城博士、今回はなにを話し合うと言うのだね?」(いつもの立ち位置)

リツコ「この引っ越しスレはもうすぐ2スレ目を使い切ります」

リツコ「それで、3スレ目以降どうやったらもっと発展した形になるかを話し合うのです」

リョウジ「確かに、最近はネタの投下も滞りがちだ」

ヒカリ「感想も、滞りがちですしね…」

トウジ「せやかて、そないに簡単におもろいネタって思いつくもんやないやろ?」

ケンスケ「だから、どうやったらもっと活性化するかを考えるんだろ?」

マリ「んで、どーすんの?」

アスカ「アンタも頭を使いなさいっつーの!!」

マリ「あたしの頭ヨーグルトなもんで」

綾波「…ガ○リィ?」

992 : ◆nru729E2n2:2013/08/11(日) 21:00:53 ID:skG.Ging
シンジ「あの、3スレ目、行くんですか?」

綾波「根強いファンは、いる」

カヲル「ここまできたら、やるしかないんじゃないかい?」

マヤ「しかし、問題は山積です」

マコト「もともと書いてた>>1も、最近は生活サイクル変わってなかなか書けないみたいですし」

シゲル「ただサボってるような気もするけど…」

冬月「人の生活は日々変わる。昔のままではいられない物だ」

ゲンドウ「計画に支障はない」

トウジ(…なんの計画?)

ケンスケ(俺に聞くなよ!)

ヒカリ(静かにしなさい!!)

993 : ◆nru729E2n2:2013/08/11(日) 21:01:47 ID:skG.Ging
リョウジ「とりあえず、今までの路線を継承するかどうかが第一の焦点じゃないか?」

ミサト「…アンタにしては建設的な意見ね」

リョウジ「おれだって、お前のボディーブローで吐瀉物まき散らしたまんま終われないんでな」

リツコ「私はまだメインの話を考えてもらったことすらないし」

マヤ「…先輩を差し置き、申し訳ございません」

リツコ「大丈夫よマヤ」ニコ

マヤ「先輩…」

リツコ「ぜんっぜん気にしてないから」ゴゴゴゴゴゴ

マコト(オーラが怒ってる…!)

シゲル(触らぬ神にたたりなしだな、こりゃ)

994 : ◆nru729E2n2:2013/08/11(日) 21:02:27 ID:skG.Ging
シンジ「でも、基本路線を変えたらもうこのスレの存在意義がなくなるんじゃないですか?」

アスカ「日常ネタでやってきたんだし、それがこのスレの売りでしょ?」

綾波「ポカポカするのが、このスレ」

マリ「なんだかんだで君が一番似合うよね、そのポカポカ」

カヲル「僕のホ キャラぶりは少し自制してほしい…」

冬月「君から変人を取ったら何も残るまい」

ゲンドウ「ホ をやれ、出なければ帰れ」

カヲル「…一蹴しすぎだよ」

ミサト「ゴメン、ここは碇指令の意見に納得せざるえないわ」

一同『うん』


カヲル「」

995 : ◆nru729E2n2:2013/08/11(日) 21:03:14 ID:skG.Ging
ヒカリ「そもそも、テコ入れって具体的に何をするんですか?」

ケンスケ「名前に"2"とかなんかサブタイトルをつけるとか?」

トウジ「いやいやそこは"G"やろ、ガン○ァァァァフガ」(指パッチンしつつ)

マリ「さすがにその台詞はスレチだよ~」(トウジの口をふさぐ)

カヲル「でもそういうことをしないのであれば、後はホントに路線を変更するしか」

ミサト「たとえば?」

リョウジ「…女性陣が全員脱ぐとか?」

リツコ「リョウちゃん最低」

マヤ「不潔です」

ミサト「短絡的すぎるでしょそれ!」

リョウジ「…オーケーオーケー、予想通りの反応ありがとう」ショボ-ン

996 : ◆nru729E2n2:2013/08/11(日) 21:04:21 ID:skG.Ging
マコト「であれば、追加キャラを出すとか?」

シゲル「たとえば?」

マコト「鋼鉄のガールフレンド、霧島マナとか」

シンジ「新劇重視なのに、そういうところから持ってくるのもどうなんですか?」

アスカ「そもそも>>1は鋼鉄のガールフレンドやってないからキャラ知らないじゃないの!」

マリ「まぁ、その辺はかける人間が描けば…」

カヲル「後よくあるのは碇ユイを出したり、MAGIに人格持たせたり」

綾波「これ以上、碇君争奪戦のメンバーを増やされるのも、少し、困る」

ヒカリ「…そんなのやってたっけ?」

トウジ「センセはモテるからしゃ―ないわ」

ケンスケ「碇、末永く爆死してくれ」

シンジ「僕のせいじゃないのに…」

997 : ◆nru729E2n2:2013/08/11(日) 21:07:40 ID:skG.Ging
リツコ「新キャラを追加しようにも、職人の不在も大きいわよね」

ミサト「一様テンプレで職人さん募集してるけど、やっぱブームが終わるとねぇ」

マヤ「今は、進撃の巨人ネタスレッドがいっぱいあります」

冬月「いかにして、職人に目を向けてもらい、ネタを投下してもらうか、か」

ゲンドウ「問題ない」

冬月「しかし碇、現実はそう甘くないぞ?」

ゲンドウ「エヴァのネームバリューはすでに1995年から続いている」

ゲンドウ「一過性のポッとで如きに負けるなどありえん」

リョウジ「そうは言いますが…」

ミサト「て言うか、巨人組をdisりすぎですって!」

マヤ「読者の皆さま、ただいま不適切な発言がありましたので」

マコト「お詫びして訂正いたします」

シゲル「ごめ~んチャイ❤」テヘ

冬月「…こ奴、謝る気皆無だな」

998 : ◆nru729E2n2:2013/08/11(日) 21:09:08 ID:skG.Ging
ワイワイワイワイ

アスカ「…議論の着地点が見えないわ」

マリ「んだね~」

カヲル「次スレお待ちの皆様方のレスのおかげで、このスレももうあとわずか」

シンジ「どうするんだろ…?」

綾波「………」

綾波「」スチャ つタブレットPC シュルシュル…

綾波「…私たちは死なないわ」

アスカ「は?」

綾波「私がみんなを守るもの」

999 : ◆nru729E2n2:2013/08/11(日) 21:10:11 ID:skG.Ging
シンジ「綾波勝手に立てちゃだめだよ…」

マリ「んでも立てたもんは仕方ないので」

アスカ「続きは向こうでやるわよ!!」

カヲル「さて移動移動と…」

綾波「というわけで皆さま」

シンジ「このスレ、みんなからの要望で続くことになりましたので」

マリ「よろしくニャ!!」

アスカ「あたしの活躍、しっかり目に焼き付けなさいよ!!?」

カヲル「僕とシンジ君の愛の瀬を…」

1000 : ◆nru729E2n2:2013/08/11(日) 21:11:34 ID:skG.Ging
トウジ「んなんやるわけあるかい!!」

ケンスケ「俺らもメイン張りたいな~」

ヒカリ「もう、アンタ達ってホント元気ね」

リツコ「若いっていいわね… 需要があって」

ミサト「アンタが言うとわりと差し迫って聞こえるわ」

加持「いやはやまったく、今後はどうなる事やら…」

マヤ「先輩…」

マコト「俺らの話ってあるのかな?」

シゲル「それは神のみぞ知るってね…」

冬月「全ては、作者のシナリオ通りか…」