1: ◆IRWVB8Juyg 2013/06/16(日) 19:53:31.57 ID:z/8tSZ6ho
それは、なんでもないようなとある日のこと。
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。
それと同じ日に、宇宙から地球を侵略すべく異星人がやってきました。
地球を守るべくやってきた宇宙の平和を守る異星人もやってきました。
異世界から選ばれし戦士を求める使者がやってきました。
悪のカリスマが世界征服をたくらみました。
突然超能力に目覚めた人々が現れました。
未来から過去を変えるためにやってきた戦士がいました。
他にも隕石が降ってきたり、先祖から伝えられてきた業を目覚めさせた人がいたり。
それから、それから――
たくさんのヒーローと侵略者と、それに巻き込まれる人が現れました。
その日から、ヒーローと侵略者と、正義の味方と悪者と。
戦ったり、戦わなかったり、協力したり、足を引っ張ったり。
ヒーローと侵略者がたくさんいる世界が普通になりました。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1371380011
その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。
それと同じ日に、宇宙から地球を侵略すべく異星人がやってきました。
地球を守るべくやってきた宇宙の平和を守る異星人もやってきました。
異世界から選ばれし戦士を求める使者がやってきました。
悪のカリスマが世界征服をたくらみました。
突然超能力に目覚めた人々が現れました。
未来から過去を変えるためにやってきた戦士がいました。
他にも隕石が降ってきたり、先祖から伝えられてきた業を目覚めさせた人がいたり。
それから、それから――
たくさんのヒーローと侵略者と、それに巻き込まれる人が現れました。
その日から、ヒーローと侵略者と、正義の味方と悪者と。
戦ったり、戦わなかったり、協力したり、足を引っ張ったり。
ヒーローと侵略者がたくさんいる世界が普通になりました。
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引用元: ・モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」
THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS STARLIGHT MASTER COLLABORATION! 無重力シャトル
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歌:安部菜々(CV:三宅麻理恵)、城ヶ崎莉嘉(CV:山本希望)、新田美波(CV:洲崎綾)、相葉夕美(CV:木村珠莉)、多田李衣菜(CV:青木瑠璃子)
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2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/16(日) 19:54:25.50 ID:z/8tSZ6ho
・「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドスレです。
・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。
・一発ネタからシリアス長編までご自由にどうぞ。
・アイドルが宇宙人や人外の設定の場合もありますが、それは作者次第。
・投下したい人は捨て鳥でも構わないのでトリップ推奨。
・投下したいアイドルがいる場合、鳥付きで誰を書くか宣言をしてください。
・宣言後、1週間以内に投下推奨。失踪した場合はまたそのアイドルがフリーになります。
・投下終了宣言もお忘れなく。途中で切れる時も言ってくれる嬉しいかなーって!
・他の作者が書いた設定を引き継いで書くことを推奨。
・既に書かれているアイドルを別の設定で書くときはそのウマを書いてください。
・複数の設定が書かれているアイドルの場合はどの設定を引き継いでいるかも書くことを推奨。
・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。
・一発ネタからシリアス長編までご自由にどうぞ。
・アイドルが宇宙人や人外の設定の場合もありますが、それは作者次第。
・投下したい人は捨て鳥でも構わないのでトリップ推奨。
・投下したいアイドルがいる場合、鳥付きで誰を書くか宣言をしてください。
・宣言後、1週間以内に投下推奨。失踪した場合はまたそのアイドルがフリーになります。
・投下終了宣言もお忘れなく。途中で切れる時も言ってくれる嬉しいかなーって!
・他の作者が書いた設定を引き継いで書くことを推奨。
・既に書かれているアイドルを別の設定で書くときはそのウマを書いてください。
・複数の設定が書かれているアイドルの場合はどの設定を引き継いでいるかも書くことを推奨。
3: ◆IRWVB8Juyg 2013/06/16(日) 19:55:07.92 ID:z/8tSZ6ho
??「フッフッフ……今日の作戦はカンペキね。これならあのピカピカもアタシにひれ伏すこと間違いなしよ!」
??「フフフ……ハハハ、アーッハッハッハ、ゲホッ、ゴホゴホッ……ゼェ……ふぅ」
??「よし、作戦開始よ!」
光(アタシの名前は南条光! 14歳の普通の女の子――)
光(――だったんだけど。ある日突然空から降ってきた光にぶつかってからとんでもない力に目覚めちゃったんだ)
光「そう、その力は……」
キャーッ!
光「……悲鳴!? あっちだ!」
??「フフフ……ハハハ、アーッハッハッハ、ゲホッ、ゴホゴホッ……ゼェ……ふぅ」
??「よし、作戦開始よ!」
光(アタシの名前は南条光! 14歳の普通の女の子――)
光(――だったんだけど。ある日突然空から降ってきた光にぶつかってからとんでもない力に目覚めちゃったんだ)
光「そう、その力は……」
キャーッ!
光「……悲鳴!? あっちだ!」
4: ◆IRWVB8Juyg 2013/06/16(日) 19:55:39.48 ID:z/8tSZ6ho
「う、うわぁぁぁ! 俺のパンツが真っ黒に!」
「あ、洗った洗濯物が真っ黒になっちゃうなんて……! こ、これじゃあ世界中が不幸せになっちゃうよ……」
光「……ひどい、ここら辺に干してあった洗濯物が全部真っ黒になってる……!」
??「アーッハッハッハ! ハッ、ゲホッ、ンンッ。ふん、ざまぁみなさい!」
光「お、お前は……ミッシェル!」
レイナ「そこで区切るな! 『ミッシェルフ・レイナサマ』よ! ちゃんと呼びなさいよ!」
光「呼び方は気にするな!」ビシッ
レイナ「ええい、うっさいわね! とにかく、ここら辺の洗濯物はこのレイナサマの支配下にあるわ!」
光「どうしてそんなことをしたんだ!」
レイナ「そこの男が『洗濯物が真っ白になるみたいに世界が平和になったら』って言ってたのよ。つまり真っ黒なら世界征服したも同然ってことね!」
光「な、なるほど……!」
レイナ「フフン、この見事な頭脳プレイに恐れおののいたかしら? じゃあ降参しなさい!」
光「いや……アタシは諦めないぞ!」
「あ、洗った洗濯物が真っ黒になっちゃうなんて……! こ、これじゃあ世界中が不幸せになっちゃうよ……」
光「……ひどい、ここら辺に干してあった洗濯物が全部真っ黒になってる……!」
??「アーッハッハッハ! ハッ、ゲホッ、ンンッ。ふん、ざまぁみなさい!」
光「お、お前は……ミッシェル!」
レイナ「そこで区切るな! 『ミッシェルフ・レイナサマ』よ! ちゃんと呼びなさいよ!」
光「呼び方は気にするな!」ビシッ
レイナ「ええい、うっさいわね! とにかく、ここら辺の洗濯物はこのレイナサマの支配下にあるわ!」
光「どうしてそんなことをしたんだ!」
レイナ「そこの男が『洗濯物が真っ白になるみたいに世界が平和になったら』って言ってたのよ。つまり真っ黒なら世界征服したも同然ってことね!」
光「な、なるほど……!」
レイナ「フフン、この見事な頭脳プレイに恐れおののいたかしら? じゃあ降参しなさい!」
光「いや……アタシは諦めないぞ!」
5: ◆IRWVB8Juyg 2013/06/16(日) 19:56:11.78 ID:z/8tSZ6ho
レイナ「ふん……ならどうするのかしら?」
光「決まってるだろう……戦う! そして、世界を平和にする!」
レイナ「無駄よ、もう世界は暗黒に染まるわ!」
光「アタシが……照らして見せる! シャイニーングッ!」カッ
『説明しよう!』
『南条光は、ある日突然落ちてきた光にぶつかって変身能力を得たヒロイン……ヒーローである』
『心に正義を燃やし、叫ぶことによって全身に光り輝くアーマーを装着することができるのだ!』
『なお、このプロセスは1ミリ秒で完了する』
ヒカル「ブライト・ヒカル! 変身完了!」
レイナ「ふん。でも今更手遅れよ」
ヒカル「それはどうかな……輝け、アタシの正義の心!」
レイナ「な、なにっ……!?」
光「決まってるだろう……戦う! そして、世界を平和にする!」
レイナ「無駄よ、もう世界は暗黒に染まるわ!」
光「アタシが……照らして見せる! シャイニーングッ!」カッ
『説明しよう!』
『南条光は、ある日突然落ちてきた光にぶつかって変身能力を得たヒロイン……ヒーローである』
『心に正義を燃やし、叫ぶことによって全身に光り輝くアーマーを装着することができるのだ!』
『なお、このプロセスは1ミリ秒で完了する』
ヒカル「ブライト・ヒカル! 変身完了!」
レイナ「ふん。でも今更手遅れよ」
ヒカル「それはどうかな……輝け、アタシの正義の心!」
レイナ「な、なにっ……!?」
6: ◆IRWVB8Juyg 2013/06/16(日) 19:56:49.59 ID:z/8tSZ6ho
―――カッ!
レイナ「くっ……!? な、こ、これは……真っ黒にしてやった洗濯ものがどんどん白くなっていく……」
ヒカル「しつこい汚れも一発クリーンだ! アタシの光は悪を砕く!」
レイナ「そんな……バカな……」ガクッ
ワイワイ…
「お、落ちないと思ってた油シミが落ちてる!やったぁ!」
「パンツの柄が落ちて真っ白に!?」
ヒカル「ふふん、どうだ! これで悪の野望は砕かれたぞ!」
レイナ「くっ……覚えてなさいよ!」
ヒカル「ふっ……いつだって来い!」
レイナ「くっ……!? な、こ、これは……真っ黒にしてやった洗濯ものがどんどん白くなっていく……」
ヒカル「しつこい汚れも一発クリーンだ! アタシの光は悪を砕く!」
レイナ「そんな……バカな……」ガクッ
ワイワイ…
「お、落ちないと思ってた油シミが落ちてる!やったぁ!」
「パンツの柄が落ちて真っ白に!?」
ヒカル「ふふん、どうだ! これで悪の野望は砕かれたぞ!」
レイナ「くっ……覚えてなさいよ!」
ヒカル「ふっ……いつだって来い!」
7: ◆IRWVB8Juyg 2013/06/16(日) 19:57:19.00 ID:z/8tSZ6ho
光「ふぅ……さ、急がないと学校に遅刻しちゃう! ヒーローが遅れちゃダメだもんな」
タッタッタッタ……
麗奈「くっ……また負けた……」
麗奈「むきー! 悔しい! 次こそ負けないわよ!!」
麗奈「ってこのままじゃ遅刻しちゃうじゃない、急がなきゃ……」
『説明しよう!』
『小関麗奈はもともとイタズラ好きなごく普通の少女であったが』
『ある日突然降ってきた闇に飲まれ、世界征服をたくらむ極悪人と化してしまったのだ!』
麗奈「居残りなんてまっぴらごめんだわ! もうっ!」
『……極悪人なのだ』
タッタッタッタ……
麗奈「くっ……また負けた……」
麗奈「むきー! 悔しい! 次こそ負けないわよ!!」
麗奈「ってこのままじゃ遅刻しちゃうじゃない、急がなきゃ……」
『説明しよう!』
『小関麗奈はもともとイタズラ好きなごく普通の少女であったが』
『ある日突然降ってきた闇に飲まれ、世界征服をたくらむ極悪人と化してしまったのだ!』
麗奈「居残りなんてまっぴらごめんだわ! もうっ!」
『……極悪人なのだ』
8: ◆IRWVB8Juyg 2013/06/16(日) 19:57:46.84 ID:z/8tSZ6ho
光「あれ、麗奈?」
麗奈「げっ……南条……今いったはずじゃ……」
光「遅刻しそうなのか? 奇遇だなぁ、いっしょにいこうぜ!」
麗奈「あー、はいはいわかったわよ!」
『なお、南条光はミッシェルフ・レイナサマの正体を知らない』
『麗奈としても、極悪人としての意地があるため変身前を襲ったりしない、が』
『南条光個人として、小関麗奈を友人としてみなしているため関係性は浅くはない』
『極悪人なので慣れあう気はないが、いつか関係が利用できるかもしれないのでないがしろにはしないのだ』
『頑張れ、レイナサマ。世界征服の時は近い……かもしれない』
麗奈「げっ……南条……今いったはずじゃ……」
光「遅刻しそうなのか? 奇遇だなぁ、いっしょにいこうぜ!」
麗奈「あー、はいはいわかったわよ!」
『なお、南条光はミッシェルフ・レイナサマの正体を知らない』
『麗奈としても、極悪人としての意地があるため変身前を襲ったりしない、が』
『南条光個人として、小関麗奈を友人としてみなしているため関係性は浅くはない』
『極悪人なので慣れあう気はないが、いつか関係が利用できるかもしれないのでないがしろにはしないのだ』
『頑張れ、レイナサマ。世界征服の時は近い……かもしれない』
9: ◆IRWVB8Juyg 2013/06/16(日) 20:06:24.89 ID:z/8tSZ6ho
南条光(14)
職業:中学生、兼、ヒーロー
属性:等身大変身ヒーロー
能力:心に正義を燃やして叫ぶと変身できる。変身中は基本的に正体はバレないぞ!
ある日、空から落ちてきた光にぶつかって変身能力を手に入れた。
小関麗奈とは同じクラスの友人。
ヒーロー名は『ブライト・ヒカル』。自分で考えた。
小関麗奈(13)
職業:中学生、兼、悪のカリスマ(自称)
属性:世界征服をたくらむ極悪人(自称)
能力:イタズラ心を膨らませることによって暗黒の鎧を身にまとう。変身中は基本的に正体はバレないぞ!
ある日、空から降ってきた闇に飲まれて変身能力を手に入れた。
南条光は同じクラスの友人……?
変身後は『ミッシェルフ・レイナサマ』を名乗る。自分で考えた。
職業:中学生、兼、ヒーロー
属性:等身大変身ヒーロー
能力:心に正義を燃やして叫ぶと変身できる。変身中は基本的に正体はバレないぞ!
ある日、空から落ちてきた光にぶつかって変身能力を手に入れた。
小関麗奈とは同じクラスの友人。
ヒーロー名は『ブライト・ヒカル』。自分で考えた。
小関麗奈(13)
職業:中学生、兼、悪のカリスマ(自称)
属性:世界征服をたくらむ極悪人(自称)
能力:イタズラ心を膨らませることによって暗黒の鎧を身にまとう。変身中は基本的に正体はバレないぞ!
ある日、空から降ってきた闇に飲まれて変身能力を手に入れた。
南条光は同じクラスの友人……?
変身後は『ミッシェルフ・レイナサマ』を名乗る。自分で考えた。
10: ◆IRWVB8Juyg 2013/06/16(日) 20:10:51.51 ID:z/8tSZ6ho
以上、導入と「南条光」および「小関麗奈」でした
ヒーロー名は特になくても可。この2人は割とワイワイやってる小規模ヒーローと小悪党イメージなので名乗ってます
そもそも「変身」できなくてもいいです。無限のドーナツを生み出す能力でもいいです
もっと大きな犯罪に立ち向かうアイドルでもいいし、正体バレバレのアイドルヒーローでもいいです
地球に馴染む侵略者ネタでも、友人が特殊能力に目覚めた一般人でもいいです
ヒーロー名は特になくても可。この2人は割とワイワイやってる小規模ヒーローと小悪党イメージなので名乗ってます
そもそも「変身」できなくてもいいです。無限のドーナツを生み出す能力でもいいです
もっと大きな犯罪に立ち向かうアイドルでもいいし、正体バレバレのアイドルヒーローでもいいです
地球に馴染む侵略者ネタでも、友人が特殊能力に目覚めた一般人でもいいです
11: ◆IRWVB8Juyg 2013/06/16(日) 20:18:30.08 ID:z/8tSZ6ho
あと、ヒーロー(侵略者)の設定は地下帝国出身の地底人でも先祖代々伝わる忍術使いでも特に理由もなく鍛えてたらすっごく強くなったでもいいです
「普通じゃない環境にいるアイドル」が書かれているならそれでよしです
「普通じゃない環境にいるアイドル」が書かれているならそれでよしです
18: ◆yIMyWm13ls 2013/06/17(月) 01:16:05.82 ID:6nNoSSiyo
えと…なんて言えばいいんだろう……?
…ある時期からこの世界の人たちは少し普通から外れてしまいました。
普通から外れてしまったっていうのは分かりにくいかな…?
異世界からの侵略者とか地球を守る戦隊ヒーローとか…後は異世界からやってきた勇者とかがやってきて…。
なんか剣と魔法の世界って言うとロマンがないかな…?
師匠は『沢山の世界と繋がってしまった弊害かもしれませんね~♪』
なんて気軽に言ってたけどこのことが私達の世界に与えた影響はとっても大きくてそして……。
それは私たちが『特別』では無くなったということでした。
…ある時期からこの世界の人たちは少し普通から外れてしまいました。
普通から外れてしまったっていうのは分かりにくいかな…?
異世界からの侵略者とか地球を守る戦隊ヒーローとか…後は異世界からやってきた勇者とかがやってきて…。
なんか剣と魔法の世界って言うとロマンがないかな…?
師匠は『沢山の世界と繋がってしまった弊害かもしれませんね~♪』
なんて気軽に言ってたけどこのことが私達の世界に与えた影響はとっても大きくてそして……。
それは私たちが『特別』では無くなったということでした。
19: ◆yIMyWm13ls 2013/06/17(月) 01:17:09.99 ID:6nNoSSiyo
―
「イヴさん!事務所の壁が吹っ飛んで大穴空いてるよ!」
私はパタパタと派手な足音を立てながら綺麗にまんまるにくり抜かれた事務所の壁から中に入ります。
…一体何したらこんなことになるんだろう…?
「昨日この辺で少し戦いでもあったみたいですねぇ~♪」
平然と事務所のソファーに深く腰掛けながらマグカップに口を付けてコーヒーを啜るイヴさん。
「…苦っ♪」
苦いなら素直にお砂糖入れればいいのに…。
「イヴさん!事務所の壁が吹っ飛んで大穴空いてるよ!」
私はパタパタと派手な足音を立てながら綺麗にまんまるにくり抜かれた事務所の壁から中に入ります。
…一体何したらこんなことになるんだろう…?
「昨日この辺で少し戦いでもあったみたいですねぇ~♪」
平然と事務所のソファーに深く腰掛けながらマグカップに口を付けてコーヒーを啜るイヴさん。
「…苦っ♪」
苦いなら素直にお砂糖入れればいいのに…。
21: ◆yIMyWm13ls 2013/06/17(月) 01:19:18.11 ID:6nNoSSiyo
「裕美ちゃんは大げさですねぇ~♪」
「昨日の夜とかにこの辺で侵略者とヒーローあたりが戦ってただけですよきっと~♪」
「も、もうっ!イヴさんは適当なんだから…」
辺りを見回してみますが特に事務所が荒らされた形跡もなく事務所の壁に円形に空いた壁以外にダメージはありませんでした。
「瓦礫が事務所の中まで散らばってたんですよ~?」
「片付けるの大変なんだから壊したらきちんと片付けて行って欲しいですよねぇ~」
そういう問題じゃないと思うよ?
「昨日の夜とかにこの辺で侵略者とヒーローあたりが戦ってただけですよきっと~♪」
「も、もうっ!イヴさんは適当なんだから…」
辺りを見回してみますが特に事務所が荒らされた形跡もなく事務所の壁に円形に空いた壁以外にダメージはありませんでした。
「瓦礫が事務所の中まで散らばってたんですよ~?」
「片付けるの大変なんだから壊したらきちんと片付けて行って欲しいですよねぇ~」
そういう問題じゃないと思うよ?
22: ◆yIMyWm13ls 2013/06/17(月) 01:20:13.61 ID:6nNoSSiyo
「…この壁…どうしましょう…?」
私は呆然と事務所にまんまると空いた穴を見ながら呟きます。
「…裕美ちゃんなら出来ますよぉ~♪」
マグカップを両手で持ちながら笑顔でこちらを見てくるイブさん。
「…私がやるんですか…?」
「はい~♪」
「細かい制御は裕美ちゃんの十八番ですから~♪」
…ここまで信頼されてるなら…頑張ってみようかな…。
私は呆然と事務所にまんまると空いた穴を見ながら呟きます。
「…裕美ちゃんなら出来ますよぉ~♪」
マグカップを両手で持ちながら笑顔でこちらを見てくるイブさん。
「…私がやるんですか…?」
「はい~♪」
「細かい制御は裕美ちゃんの十八番ですから~♪」
…ここまで信頼されてるなら…頑張ってみようかな…。
23: ◆yIMyWm13ls 2013/06/17(月) 01:21:17.62 ID:6nNoSSiyo
私は胸ポケットからボールペンを取り出します。
「み、見ててね!師匠!」
「はいっ♪」
私の中にある力の水溜りから両手で力を掬い上げるようなイメージ。
そしてボールペンの先に力を集中させる。
『元ある形に戻れっ!』
私はイヴさんが片付けたのか事務所の端に積み上げられていた瓦礫に力を集中。
瓦礫の欠片が、粒たちがそれぞれ意思を持ったように己が元居た位置に飛んでいきます。
「み、見ててね!師匠!」
「はいっ♪」
私の中にある力の水溜りから両手で力を掬い上げるようなイメージ。
そしてボールペンの先に力を集中させる。
『元ある形に戻れっ!』
私はイヴさんが片付けたのか事務所の端に積み上げられていた瓦礫に力を集中。
瓦礫の欠片が、粒たちがそれぞれ意思を持ったように己が元居た位置に飛んでいきます。
24: ◆yIMyWm13ls 2013/06/17(月) 01:22:10.82 ID:6nNoSSiyo
「これで最後っ!」
最後の一欠片をパズルのピースのように壁に当てはめる。
『繋がりあえっ!』
ボールペンの先が一際眩しく光って壁に詰まった欠片同士が溶けるようにして繋がります。
「お見事ですぅ!流石私の一番弟子ですねぇ~♪」
イブさんが嬉しそうに両手をうちあわせます。
「…一番弟子も何も私しか弟子はいませんよね…?」
―
そう、私…『関裕美』と、そして私の師匠の『イヴ・サンタクロース』は魔法使いなのです。
最後の一欠片をパズルのピースのように壁に当てはめる。
『繋がりあえっ!』
ボールペンの先が一際眩しく光って壁に詰まった欠片同士が溶けるようにして繋がります。
「お見事ですぅ!流石私の一番弟子ですねぇ~♪」
イブさんが嬉しそうに両手をうちあわせます。
「…一番弟子も何も私しか弟子はいませんよね…?」
―
そう、私…『関裕美』と、そして私の師匠の『イヴ・サンタクロース』は魔法使いなのです。
25: ◆yIMyWm13ls 2013/06/17(月) 01:23:15.30 ID:6nNoSSiyo
「それにしても最近は魔法を堂々と使えて本当に便利ですよねぇ~♪」
ふよふよと私の前に宙に浮かんだマグカップがやってきます。
「…あんまり必要のないことに魔法を使うのは良くないと思うよ師匠……」
「師匠じゃなくてイブって呼んでくれないとせっかくコーヒー淹れてあげたのに下げちゃいますよ~?」
「す、すいません…イヴさん…」
私の手前まで飛んできたマグカップを丁寧に掴んで引き寄せる。
そしてボールペンで浮かんでいたマグカップの底の部分を突いて魔力を散らす。
「本当に裕美さんは魔力の扱いが器用ですよねぇ~♪」
「そ、そうかな…?」
少し照れます。
ふよふよと私の前に宙に浮かんだマグカップがやってきます。
「…あんまり必要のないことに魔法を使うのは良くないと思うよ師匠……」
「師匠じゃなくてイブって呼んでくれないとせっかくコーヒー淹れてあげたのに下げちゃいますよ~?」
「す、すいません…イヴさん…」
私の手前まで飛んできたマグカップを丁寧に掴んで引き寄せる。
そしてボールペンで浮かんでいたマグカップの底の部分を突いて魔力を散らす。
「本当に裕美さんは魔力の扱いが器用ですよねぇ~♪」
「そ、そうかな…?」
少し照れます。
26: ◆yIMyWm13ls 2013/06/17(月) 01:24:19.07 ID:6nNoSSiyo
「でも私たち魔法使いは長年ひっそりと暮らしていたのに奇妙な話ですよねぇ~」
「…そうだね、世界が変わる前なら私たちは現代の魔女狩りにあってもおかしくない身分だったから…」
異星人や異能持ちや変身ヒロインが大手を振って闊歩する時代になって私たちの存在もちっぽけなものになってしまいました。
「とっても賑やかになりましたねぇ~♪」
事務所の壁が吹っ飛んでるのは賑やかってレベルじゃないと思うよ?
「どうせなら魔法使いっぽいでっかい杖とか持って全身黒ずくめになってみますかぁ~?」
「流石にそれは夏場暑そうだからいいかな…」
なんだか凄く蒸れそうです。
「…そうだね、世界が変わる前なら私たちは現代の魔女狩りにあってもおかしくない身分だったから…」
異星人や異能持ちや変身ヒロインが大手を振って闊歩する時代になって私たちの存在もちっぽけなものになってしまいました。
「とっても賑やかになりましたねぇ~♪」
事務所の壁が吹っ飛んでるのは賑やかってレベルじゃないと思うよ?
「どうせなら魔法使いっぽいでっかい杖とか持って全身黒ずくめになってみますかぁ~?」
「流石にそれは夏場暑そうだからいいかな…」
なんだか凄く蒸れそうです。
28: ◆yIMyWm13ls 2013/06/17(月) 01:24:56.48 ID:6nNoSSiyo
「……残念ですぅ…」
「大体このボールペン型の杖くれたのってイヴさんだよね…?」
「…違いますよぉ?」
「これは知り合いから裕美ちゃんへのプレゼントですよぉ?」
「それに私は元々杖は使いませんからぁ~♪」
初耳です。
「その知り合いの人って……?」
「裕美ちゃんもいつか会うかもしれませんねぇ~♪」
こんないいものを貰ってしまって申し訳ないです。
「大体このボールペン型の杖くれたのってイヴさんだよね…?」
「…違いますよぉ?」
「これは知り合いから裕美ちゃんへのプレゼントですよぉ?」
「それに私は元々杖は使いませんからぁ~♪」
初耳です。
「その知り合いの人って……?」
「裕美ちゃんもいつか会うかもしれませんねぇ~♪」
こんないいものを貰ってしまって申し訳ないです。
29: >>27 この単語使うの久々すぎて忘れてた 2013/06/17(月) 01:27:08.77 ID:6nNoSSiyo
『主よ、私はそれどころではない』
事務所の奥からのそのそとやってくる白い塊。
『ブリッツェン!?』
恐ろしく堅い口調の鼻垂れトナカイ。
イヴさんの使い魔、『ブリッツェン』
使い魔としての魔力の影響でイブさんはもちろん同じく魔力を持つ私は会話のようなマネが出来ている。
昨日まで茶色だったブリッツェンの毛並みは真っ白になりまるで羊のようになっている。
『朝起きたらこのザマだ。事務所に開けられたその丸い穴とやらから入られたのだろう』
「…これはこれでアリな気がしますぅ~♪」
イヴさんはブリッツェンの真っ白になった毛並みにモフモフ。
事務所の奥からのそのそとやってくる白い塊。
『ブリッツェン!?』
恐ろしく堅い口調の鼻垂れトナカイ。
イヴさんの使い魔、『ブリッツェン』
使い魔としての魔力の影響でイブさんはもちろん同じく魔力を持つ私は会話のようなマネが出来ている。
昨日まで茶色だったブリッツェンの毛並みは真っ白になりまるで羊のようになっている。
『朝起きたらこのザマだ。事務所に開けられたその丸い穴とやらから入られたのだろう』
「…これはこれでアリな気がしますぅ~♪」
イヴさんはブリッツェンの真っ白になった毛並みにモフモフ。
30: >>27 この単語使うの久々すぎて忘れてた 2013/06/17(月) 01:28:46.06 ID:6nNoSSiyo
『…裕美よ、仕事の時間だ』
『『イヴ非日常相談事務所』としてのな…』
ブリッツェンが怒ってる…表情が変わってないのに…恐い…。
『…私の相談も当然…受けてくれるだろう…?』
「ブリッツェンもふもふ~♪」
イヴさんは割りとどうでも良さげだけど…。
「…えっと犯人を捕まえてくればいいのかな…?」
『然り』
……えっと…。
『『イヴ非日常相談事務所』としてのな…』
ブリッツェンが怒ってる…表情が変わってないのに…恐い…。
『…私の相談も当然…受けてくれるだろう…?』
「ブリッツェンもふもふ~♪」
イヴさんは割りとどうでも良さげだけど…。
「…えっと犯人を捕まえてくればいいのかな…?」
『然り』
……えっと…。
31: >>27 この単語使うの久々すぎて忘れてた 2013/06/17(月) 01:29:26.27 ID:6nNoSSiyo
「どうやって…?」
手がかりもなしに探すの…?
『窓の外を見てみろ』
…窓……?
―
『待て!ミッシェルフ・レイナ!』
『サマを付けなさいよ!サマを!』
『今日という今日こそ捕まえてやるぞ!』
『アンタにそれが出来るワケッ!』
―
手がかりもなしに探すの…?
『窓の外を見てみろ』
…窓……?
―
『待て!ミッシェルフ・レイナ!』
『サマを付けなさいよ!サマを!』
『今日という今日こそ捕まえてやるぞ!』
『アンタにそれが出来るワケッ!』
―
32: ◆yIMyWm13ls 2013/06/17(月) 01:31:16.30 ID:6nNoSSiyo
「なんか凄くそれっぽいのが居るね…」
『どう見てもアレだろう』
「…イヴさん、箒借りてくね…?」
「どうぞぉ~♪」
やるしかないみたいです。
『意思持つ箒よ、力を貸して!』
箒の持ち主のように掴みどころのない動きをして私の手元に飛んできます。
とりあえず箒を使って空から二人を追いかけてみることにしようかな…。
『どう見てもアレだろう』
「…イヴさん、箒借りてくね…?」
「どうぞぉ~♪」
やるしかないみたいです。
『意思持つ箒よ、力を貸して!』
箒の持ち主のように掴みどころのない動きをして私の手元に飛んできます。
とりあえず箒を使って空から二人を追いかけてみることにしようかな…。
33: ◆yIMyWm13ls 2013/06/17(月) 01:33:41.62 ID:6nNoSSiyo
「えっと…あれは変身ヒロインなんだよね…?」
私は空から恐ろしい速度で追いかけっこをする二人を見て呟きます。
『う、うわぁぁぁ! 俺のパンツが真っ黒に!』
『あ、洗った洗濯物が真っ黒になっちゃうなんて……! こ、これじゃあ世界中が不幸せになっちゃうよ……』
洗濯物くらいではならないと思います。
「えっと…これって悪さしてるうちに入るのかな…?」
「こういうのって乱入したら嫌がられちゃうパターンだよね…?」
「ど、どうしよう…」
これでも沢山の異能者や超人たちを見て来ました。
彼ら、彼女たちには暗黙の了解というやつが沢山あって地味にややこしいのです。
変身中は攻撃しちゃいけないとか。口上名乗ってる間とかも大人しくしてないといけなかったり…。
私は空から恐ろしい速度で追いかけっこをする二人を見て呟きます。
『う、うわぁぁぁ! 俺のパンツが真っ黒に!』
『あ、洗った洗濯物が真っ黒になっちゃうなんて……! こ、これじゃあ世界中が不幸せになっちゃうよ……』
洗濯物くらいではならないと思います。
「えっと…これって悪さしてるうちに入るのかな…?」
「こういうのって乱入したら嫌がられちゃうパターンだよね…?」
「ど、どうしよう…」
これでも沢山の異能者や超人たちを見て来ました。
彼ら、彼女たちには暗黙の了解というやつが沢山あって地味にややこしいのです。
変身中は攻撃しちゃいけないとか。口上名乗ってる間とかも大人しくしてないといけなかったり…。
34: ◆yIMyWm13ls 2013/06/17(月) 01:34:32.73 ID:6nNoSSiyo
『輝け、アタシの正義の心!』
『パンツの柄が落ちて真っ白に!?』
…やりすぎちゃってるみたいです。よ、よしっ!
『元ある形に戻れっ!』
『パンツの柄が戻った…!?』
成功したみたいです。
『パンツの柄が落ちて真っ白に!?』
…やりすぎちゃってるみたいです。よ、よしっ!
『元ある形に戻れっ!』
『パンツの柄が戻った…!?』
成功したみたいです。
35: ◆yIMyWm13ls 2013/06/17(月) 01:35:19.44 ID:6nNoSSiyo
―
『噴水の水にペンキを混ぜてやるわっ!』
『輝け、アタシの正義の心!』
『おい!噴水の水から柑橘系の匂いがするぞ!』
―
オ、オレンジジュースになってる!?
『水よ!清浄なる姿に還れ!』
『あれ、元に戻ってるぞ?』
ふ、ふぅ……。
『噴水の水にペンキを混ぜてやるわっ!』
『輝け、アタシの正義の心!』
『おい!噴水の水から柑橘系の匂いがするぞ!』
―
オ、オレンジジュースになってる!?
『水よ!清浄なる姿に還れ!』
『あれ、元に戻ってるぞ?』
ふ、ふぅ……。
36: ◆yIMyWm13ls 2013/06/17(月) 01:38:08.18 ID:6nNoSSiyo
―
『クーラーの設定を勝手に下げまくってやるわ!』
『輝け、アタシの正義の心!』
『なんか大量の植木鉢が置いてあるけどなんだこれ!?』
―
環境に配慮した結果!?何かズレてる気がするよっ!
『氷よ!寄り集まりて塊になれ!』
『なんだこの氷の塊…?今日はこれ出してるだけで涼しげだしクーラー切るか…』―
『クーラーの設定を勝手に下げまくってやるわ!』
『輝け、アタシの正義の心!』
『なんか大量の植木鉢が置いてあるけどなんだこれ!?』
―
環境に配慮した結果!?何かズレてる気がするよっ!
『氷よ!寄り集まりて塊になれ!』
『なんだこの氷の塊…?今日はこれ出してるだけで涼しげだしクーラー切るか…』
『クーラーの設定を勝手に下げまくってやるわ!』
『輝け、アタシの正義の心!』
『なんか大量の植木鉢が置いてあるけどなんだこれ!?』
―
環境に配慮した結果!?何かズレてる気がするよっ!
『氷よ!寄り集まりて塊になれ!』
『なんだこの氷の塊…?今日はこれ出してるだけで涼しげだしクーラー切るか…』―
『クーラーの設定を勝手に下げまくってやるわ!』
『輝け、アタシの正義の心!』
『なんか大量の植木鉢が置いてあるけどなんだこれ!?』
―
環境に配慮した結果!?何かズレてる気がするよっ!
『氷よ!寄り集まりて塊になれ!』
『なんだこの氷の塊…?今日はこれ出してるだけで涼しげだしクーラー切るか…』
37: ◆yIMyWm13ls 2013/06/17(月) 01:39:26.71 ID:6nNoSSiyo
『あの小悪党はまだ捕まらないのか?裕美』
「ごめんね?ブリッツェン…」
「も、もうちょっと……で終わるんじゃない……かな…?」
「た、多分…?」
『……』
そして私は今日も彼女たちのお節介を焼きながら勝負の決着が着くのを待っている。
END
「ごめんね?ブリッツェン…」
「も、もうちょっと……で終わるんじゃない……かな…?」
「た、多分…?」
『……』
そして私は今日も彼女たちのお節介を焼きながら勝負の決着が着くのを待っている。
END
47: ◆3Y/5nAqmZM 2013/06/17(月) 02:00:12.69 ID:MbdKhkOWo
・とある中学校にて
『はーっはっはっはっは!どうだおそれいったかー!!』ピピッ
「・・・あー、うん。まぁ、困るっちゃ困るんだけど」
『ふっふっふ、調理実習で使うたまねぎを全て長ねぎにすり替えてやったぞ!これではおいしいカレーは作れまい!』ピピッ
「うん、確かにたまねぎの入ってないカレーはなんか物足りないけどさ。なくてどうしても困る、って程でも」
『さぁさぁかかってこいヒロイン!!私は逃げも隠れもしないぞー!!』ピピッ
「・・・何でこう毎回やることが微妙にショボいんだろう、このロボ」
「胸のモニターで意思表示してくれるから、話が通じるのは良いんだけどねぇ」
「あと、何でヒーローじゃなくてヒロイン限定なんだろーね?」
―――そこまでです!!―――
『はーっはっはっはっは!どうだおそれいったかー!!』ピピッ
「・・・あー、うん。まぁ、困るっちゃ困るんだけど」
『ふっふっふ、調理実習で使うたまねぎを全て長ねぎにすり替えてやったぞ!これではおいしいカレーは作れまい!』ピピッ
「うん、確かにたまねぎの入ってないカレーはなんか物足りないけどさ。なくてどうしても困る、って程でも」
『さぁさぁかかってこいヒロイン!!私は逃げも隠れもしないぞー!!』ピピッ
「・・・何でこう毎回やることが微妙にショボいんだろう、このロボ」
「胸のモニターで意思表示してくれるから、話が通じるのは良いんだけどねぇ」
「あと、何でヒーローじゃなくてヒロイン限定なんだろーね?」
―――そこまでです!!―――
48: ◆3Y/5nAqmZM 2013/06/17(月) 02:01:47.15 ID:MbdKhkOWo
ロボ『むっ、来たか!!』ピピッ
「たとえ小さな悪事でも、誰かに迷惑をかけるというのなら!!」しゅたっ!!
アヤカゲ「このわたくし、正義の忍者アヤカゲが、あなたを成敗いたします!ニンッ!」
「おー、今回はニンジャだ」
「というかあのニンジャが来ることが一番多い気がするけど。ヒマなのかな」
「まぁこの辺りは比較的平和だしね。いいことなんじゃないかな」
ロボ『ええいまた貴様かアヤカゲ!毎度のことながら懲りないヤツめ!』ピピッ
アヤカゲ「それはこちらの台詞です!毎回毎回ひとさまに迷惑をかけて、いい加減心を入れ替える気はないのですか!」
ロボ『それが私の使命なのだ!たとえこの身が朽ち果てようと、私は使命に殉ずるのみ!』ピピッ
「朽ち果てようと、ってアイツ機械じゃん」
「ちょっと前にプールに落とされても平然と帰って行ったから防水対策もバッチリっぽいよね」
ロボ『そこ!外野うるさい!』ピピッ
「あ、ごめんごめん、ちょっと気になったもんだから。続けて続けて」
「たとえ小さな悪事でも、誰かに迷惑をかけるというのなら!!」しゅたっ!!
アヤカゲ「このわたくし、正義の忍者アヤカゲが、あなたを成敗いたします!ニンッ!」
「おー、今回はニンジャだ」
「というかあのニンジャが来ることが一番多い気がするけど。ヒマなのかな」
「まぁこの辺りは比較的平和だしね。いいことなんじゃないかな」
ロボ『ええいまた貴様かアヤカゲ!毎度のことながら懲りないヤツめ!』ピピッ
アヤカゲ「それはこちらの台詞です!毎回毎回ひとさまに迷惑をかけて、いい加減心を入れ替える気はないのですか!」
ロボ『それが私の使命なのだ!たとえこの身が朽ち果てようと、私は使命に殉ずるのみ!』ピピッ
「朽ち果てようと、ってアイツ機械じゃん」
「ちょっと前にプールに落とされても平然と帰って行ったから防水対策もバッチリっぽいよね」
ロボ『そこ!外野うるさい!』ピピッ
「あ、ごめんごめん、ちょっと気になったもんだから。続けて続けて」
49: ◆3Y/5nAqmZM 2013/06/17(月) 02:02:38.41 ID:MbdKhkOWo
アヤカゲ「こほん、では気を取り直して。―――どうしても、退くつもりは無いと?」
ロボ『愚問だな。このたまねぎを取り返したくば、私を倒してみるがいい!!』ピピッ
アヤカゲ「ならば、そのように致しましょう!秘儀、『隠密万華鏡』!」どろんっ!!
ロボ『ぬぅっ!?分身の術とはこしゃくな!!ヒーローならもっと正々堂々とだな!』ピピッ
アヤカゲs「「「ヒーローである前に、わたくしはニンジャです!ニンッ」」」ババッ
ロボ『ぬっ、この、わ、ちょ、わぁぁ』ピピピッ
アヤカゲs「「それそれそぉれっ!!」」ババババッ
ロボ『ぐぬぬ、相変わらず見事な身のこなし・・・敵ながら惚れぼれする』ピピッ
アヤカゲ「お褒めにあずかり恐縮です、ニンッ」
ロボ『・・・あ、あっ!いつの間にかたまねぎが取り返されてる!?』ピピピッ
アヤカゲ「分身に気を取られているうちに、ささっと取り返しておいたのです」
分身s「「ニンニンッ」」
ロボ『愚問だな。このたまねぎを取り返したくば、私を倒してみるがいい!!』ピピッ
アヤカゲ「ならば、そのように致しましょう!秘儀、『隠密万華鏡』!」どろんっ!!
ロボ『ぬぅっ!?分身の術とはこしゃくな!!ヒーローならもっと正々堂々とだな!』ピピッ
アヤカゲs「「「ヒーローである前に、わたくしはニンジャです!ニンッ」」」ババッ
ロボ『ぬっ、この、わ、ちょ、わぁぁ』ピピピッ
アヤカゲs「「それそれそぉれっ!!」」ババババッ
ロボ『ぐぬぬ、相変わらず見事な身のこなし・・・敵ながら惚れぼれする』ピピッ
アヤカゲ「お褒めにあずかり恐縮です、ニンッ」
ロボ『・・・あ、あっ!いつの間にかたまねぎが取り返されてる!?』ピピピッ
アヤカゲ「分身に気を取られているうちに、ささっと取り返しておいたのです」
分身s「「ニンニンッ」」
50: ◆3Y/5nAqmZM 2013/06/17(月) 02:03:26.85 ID:MbdKhkOWo
ロボ『こ、こうなっては仕方が無い、今日の所はこれで勘弁してやろう!!覚えていろ、正義の忍者アヤカゲ!』ピピッ
「あ、帰るんだったらこの長ねぎ持って帰ってねー。あってもたぶん使わないし」
ロボ『あ、これは失礼。・・・では、また会う日まで、首を洗って待っていろ!!』ピピピッ ガシャガシャガシャ
「ねぎの入った段ボール担いで、走って帰っていくヒト型ロボット・・・相変わらずシュールだなー」
「いいかげん飛行機能付ければいいのにねー。あ、ニンジャの人ありがとー」
アヤカゲ「いえ、この位は正義の忍者として当然のこと。調理実習、がんばって下さいね。ではわたくしはこれにて、ニンッ」どろんっ
「おぉ、煙のように消えていった」
「こっちはかっこよく決まったね」
「あ、あやめちゃんどこ行ってたの?」
あやめ「いやぁ、教室にエプロンを忘れてしまっていて。お恥ずかしい」
あやめ(どうやら、今回も正体がバレることはなかったようですね。ニンッ)
「あ、帰るんだったらこの長ねぎ持って帰ってねー。あってもたぶん使わないし」
ロボ『あ、これは失礼。・・・では、また会う日まで、首を洗って待っていろ!!』ピピピッ ガシャガシャガシャ
「ねぎの入った段ボール担いで、走って帰っていくヒト型ロボット・・・相変わらずシュールだなー」
「いいかげん飛行機能付ければいいのにねー。あ、ニンジャの人ありがとー」
アヤカゲ「いえ、この位は正義の忍者として当然のこと。調理実習、がんばって下さいね。ではわたくしはこれにて、ニンッ」どろんっ
「おぉ、煙のように消えていった」
「こっちはかっこよく決まったね」
「あ、あやめちゃんどこ行ってたの?」
あやめ「いやぁ、教室にエプロンを忘れてしまっていて。お恥ずかしい」
あやめ(どうやら、今回も正体がバレることはなかったようですね。ニンッ)
51: ◆3Y/5nAqmZM 2013/06/17(月) 02:04:12.57 ID:MbdKhkOWo
・その後、とあるマンションにて
ロボ『ただいま戻りました』ピピッ
「おぉ、お帰り」
「待ちかねたよロボー!!さぁ早くこっちに!ハリーハリー!!」
「少し落ち着きたまえ愛海。さ、ロボ、こっちに来るといい。映像の出力が終わったらメンテナンスしてやろう」
愛海「おっと、ごめんね晶葉ちゃん。ロボ、今回もお疲れ様!」
晶葉「・・・ふむ、よし。撮影に問題はなかったようだな。私はラボでメンテナンスをしてくるよ」
愛海「うん、じゃーあたしは早速コレを・・・うひひ♪」
晶葉「あまり大声で騒がないでくれたまえよ」
愛海「わかってるよー、大丈夫大丈夫・・・うひひひ♪」
晶葉「やれやれ・・・まぁ、ごゆっくりどうぞ」
愛海「おっけーおっけー・・・おぉ、今回はアヤカゲだー!!ふふふ、相変わらずちょっとキワドい忍者服がたまりませんなー♪」
ロボ『ただいま戻りました』ピピッ
「おぉ、お帰り」
「待ちかねたよロボー!!さぁ早くこっちに!ハリーハリー!!」
「少し落ち着きたまえ愛海。さ、ロボ、こっちに来るといい。映像の出力が終わったらメンテナンスしてやろう」
愛海「おっと、ごめんね晶葉ちゃん。ロボ、今回もお疲れ様!」
晶葉「・・・ふむ、よし。撮影に問題はなかったようだな。私はラボでメンテナンスをしてくるよ」
愛海「うん、じゃーあたしは早速コレを・・・うひひ♪」
晶葉「あまり大声で騒がないでくれたまえよ」
愛海「わかってるよー、大丈夫大丈夫・・・うひひひ♪」
晶葉「やれやれ・・・まぁ、ごゆっくりどうぞ」
愛海「おっけーおっけー・・・おぉ、今回はアヤカゲだー!!ふふふ、相変わらずちょっとキワドい忍者服がたまりませんなー♪」
52: ◆3Y/5nAqmZM 2013/06/17(月) 02:04:57.00 ID:MbdKhkOWo
晶葉「まったく、『ヒロインが戦ってる姿が見たいなら、敵役を自分で用意すればいいんじゃないかな!?』とは、改めて思うがとんでもない発想だね」
愛海「おー分身した!!うひひ、よりどりみどりー♪」
晶葉「聞いちゃいないな・・・まぁ、愛海が楽しそうでなによりだよ。さて、メンテナンスメンテナンス・・・」
愛海「あ、そうそう晶葉ちゃん」クルッ
晶葉「む?」
愛海「いつもありがとね、あたしの無茶苦茶に付き合ってくれて!」
晶葉「ッ・・・・・・まぁ、その。友達の頼みだし、な。いたずらの延長ですむくらいの事までなら、その、なんだ、協力しないでもない、と言ったのは私だし」
愛海「お、照れた?照れてるね晶葉ちゃん?もー可愛いんだからー♪」ガバッ
晶葉「わ、ちょっ、こらやめろ抱きつくんじゃない!?」
愛海「ふふふー、よいではないかよいではないかー!」
ヤメロ、コラ、ドコヲサワッテイルー
コレハシンアイノアカシダカラー
ロボ『・・・・・・あの、メンテまだですか?』ピピッ
愛海「おー分身した!!うひひ、よりどりみどりー♪」
晶葉「聞いちゃいないな・・・まぁ、愛海が楽しそうでなによりだよ。さて、メンテナンスメンテナンス・・・」
愛海「あ、そうそう晶葉ちゃん」クルッ
晶葉「む?」
愛海「いつもありがとね、あたしの無茶苦茶に付き合ってくれて!」
晶葉「ッ・・・・・・まぁ、その。友達の頼みだし、な。いたずらの延長ですむくらいの事までなら、その、なんだ、協力しないでもない、と言ったのは私だし」
愛海「お、照れた?照れてるね晶葉ちゃん?もー可愛いんだからー♪」ガバッ
晶葉「わ、ちょっ、こらやめろ抱きつくんじゃない!?」
愛海「ふふふー、よいではないかよいではないかー!」
ヤメロ、コラ、ドコヲサワッテイルー
コレハシンアイノアカシダカラー
ロボ『・・・・・・あの、メンテまだですか?』ピピッ
53: ◆3Y/5nAqmZM 2013/06/17(月) 02:05:52.70 ID:MbdKhkOWo
棟方 愛海(14)
職業:中学生、兼、悪役?
属性:女の子大好き
能力:特になし
とにもかくにも女の子が大好きなちょっと困った子。
『バトルヒロインがかっこかわいく戦ってる姿が見たい!』という願望から、
『じゃあ戦う相手を自前で用意すれば見放題じゃない!?』という斜め上の発想に辿りついてしまった。
ただし、苦笑いで済むレベルの事しかしない分別はついており、いざというときのフォローも欠かさないなど根っこは良い子。
池袋 晶葉(14)
職業:中学生、兼、ロボット博士
属性:天才少女、兼、巻き込まれ型苦労人
能力:ロボット製作技術
幼くも独学でロボットを作り上げた天才少女。愛海とは小さな頃からの親友。
愛海の頼みで(割としょうもない)悪事をはたらくロボットを作っている。
当人としては性能テストにもなるので許容しているが、行きすぎた行動をとりそうなときは時は止めに入るつもりでいる。
浜口 あやめ(15)
職業:中学生、兼、ニンジャヒーロー
属性:等身大ヒーロー(変身はしない)
能力:秘伝の忍術と恵まれた運動能力
小さな頃から修行をこなしてきた忍者の末裔。
様々な悪人たちから大切な日常を守るため、『正義の忍者アヤカゲ』として、陰に日向に活躍する。
『成敗』とでかでかと書かれた布で顔を隠しているため、正体はバレていない。つもり。・・・が、感の良い子には気づかれているかも?
職業:中学生、兼、悪役?
属性:女の子大好き
能力:特になし
とにもかくにも女の子が大好きなちょっと困った子。
『バトルヒロインがかっこかわいく戦ってる姿が見たい!』という願望から、
『じゃあ戦う相手を自前で用意すれば見放題じゃない!?』という斜め上の発想に辿りついてしまった。
ただし、苦笑いで済むレベルの事しかしない分別はついており、いざというときのフォローも欠かさないなど根っこは良い子。
池袋 晶葉(14)
職業:中学生、兼、ロボット博士
属性:天才少女、兼、巻き込まれ型苦労人
能力:ロボット製作技術
幼くも独学でロボットを作り上げた天才少女。愛海とは小さな頃からの親友。
愛海の頼みで(割としょうもない)悪事をはたらくロボットを作っている。
当人としては性能テストにもなるので許容しているが、行きすぎた行動をとりそうなときは時は止めに入るつもりでいる。
浜口 あやめ(15)
職業:中学生、兼、ニンジャヒーロー
属性:等身大ヒーロー(変身はしない)
能力:秘伝の忍術と恵まれた運動能力
小さな頃から修行をこなしてきた忍者の末裔。
様々な悪人たちから大切な日常を守るため、『正義の忍者アヤカゲ』として、陰に日向に活躍する。
『成敗』とでかでかと書かれた布で顔を隠しているため、正体はバレていない。つもり。・・・が、感の良い子には気づかれているかも?
59: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/17(月) 02:45:46.16 ID:eyoQD45t0
夕美「ナナちゃん!お疲れさまー!」
菜々「夕美ちゃんも、お疲れ様です!」
相葉夕美と安部菜々。彼女たちは結構有名なアイドル。
菜々「夕美ちゃんも、お疲れ様です!」
相葉夕美と安部菜々。彼女たちは結構有名なアイドル。
60: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/17(月) 02:46:34.88 ID:eyoQD45t0
今日もライブを終えて、楽屋で二人でお話し中。
着替えも済ませて、メイクもとって、ドリンクを飲みながらちょっとした『世間話』。
夕美「…最近ね、首都周辺の植物達、前より少し元気そうで安心したんだ!」
菜々「…ほう、それは何よりですねー!エコカーとかのおかげですかね?」
着替えも済ませて、メイクもとって、ドリンクを飲みながらちょっとした『世間話』。
夕美「…最近ね、首都周辺の植物達、前より少し元気そうで安心したんだ!」
菜々「…ほう、それは何よりですねー!エコカーとかのおかげですかね?」
61: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/17(月) 02:48:09.66 ID:eyoQD45t0
夕美「かもね。『本星』の方もお喜びみたい。…でもやっぱり全体的に見ると…。」
菜々「…あの『計画』、実行するんですか?」
夕美「まさか!宇宙管理局様に許可とらないといけないから…。それに今からやったら最低でも10年は準備期間がいるよ。」
菜々「ですよねー!ナナに情報が入っていないのかと!」
夕美「ナナちゃんはウサミン星の上級ウサミンでしょ?そんなナナちゃんが地球にいるのに『計画』実行したらこっちの星が危ないよ!」
菜々「アハハ…さすがに地球に200年も監察員として住んでいるとウサミン星で貴族だったの忘れそうで…。」
夕美「…私はまだ20年も住んでないなぁ…18年くらいかな?つまり大先輩!」
菜々「でも夕美ちゃんはナナより年上じゃ…?」
夕美「確かにそうだけど…1000年位は人格とか記憶とか無いに等しいよ?」
菜々「それでも年齢はたしかに年上d…!」
ドォーン!と、菜々の言葉を遮って地面が揺れる。
菜々「…あの『計画』、実行するんですか?」
夕美「まさか!宇宙管理局様に許可とらないといけないから…。それに今からやったら最低でも10年は準備期間がいるよ。」
菜々「ですよねー!ナナに情報が入っていないのかと!」
夕美「ナナちゃんはウサミン星の上級ウサミンでしょ?そんなナナちゃんが地球にいるのに『計画』実行したらこっちの星が危ないよ!」
菜々「アハハ…さすがに地球に200年も監察員として住んでいるとウサミン星で貴族だったの忘れそうで…。」
夕美「…私はまだ20年も住んでないなぁ…18年くらいかな?つまり大先輩!」
菜々「でも夕美ちゃんはナナより年上じゃ…?」
夕美「確かにそうだけど…1000年位は人格とか記憶とか無いに等しいよ?」
菜々「それでも年齢はたしかに年上d…!」
ドォーン!と、菜々の言葉を遮って地面が揺れる。
62: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/17(月) 02:49:05.48 ID:eyoQD45t0
『グォォォォォ!憎い!俺より優れた奴が憎いぃぃぃぃ!』
『私の○○君ヲォォォ!何故ウバッタアアアアアアアアア!』
窓の外を見ると、気味の悪い、巨大な黒い不定形な化け物が、叫びながら腕のような部分で地面を揺らしていた。
急に地面から湧いてきた化け物に逃げ惑う人々。
菜々はポケットの携帯端末を取り出し、画面を確認する。
菜々「憤怒の『カース』です!付近のアイドルヒーローは菜々達のみ!」
夕美「え、嘘!?二人だけ!?」
菜々「はい!行きましょう!ヒロインパワーを見せつけるのです!」
夕美「…仕方ないなぁ!」
『私の○○君ヲォォォ!何故ウバッタアアアアアアアアア!』
窓の外を見ると、気味の悪い、巨大な黒い不定形な化け物が、叫びながら腕のような部分で地面を揺らしていた。
急に地面から湧いてきた化け物に逃げ惑う人々。
菜々はポケットの携帯端末を取り出し、画面を確認する。
菜々「憤怒の『カース』です!付近のアイドルヒーローは菜々達のみ!」
夕美「え、嘘!?二人だけ!?」
菜々「はい!行きましょう!ヒロインパワーを見せつけるのです!」
夕美「…仕方ないなぁ!」
63: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/17(月) 02:49:51.84 ID:eyoQD45t0
菜々「ピピッ!ウサミン星人No-2017-77、変身許可を要請します!」
夕美「地よ、草花よ、私に守る力を貸して…!」
菜々「ウサミン・ウサミン・メルヘンチェンジ!」
夕美「感じる、大いなる大地の力…!メタモルフォーゼ!」
夕美「地よ、草花よ、私に守る力を貸して…!」
菜々「ウサミン・ウサミン・メルヘンチェンジ!」
夕美「感じる、大いなる大地の力…!メタモルフォーゼ!」
64: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/17(月) 02:50:32.46 ID:eyoQD45t0
『説明しよう!安部菜々はウサミン星からの観察員!娯楽という文化の無いウサミン星人に娯楽を与え、精神疾患とされていた人格を肯定した偉人!』
『人々の負の感情から生まれた魔物、「カース」や、悪い宇宙人から地球の文化を守るためにメルヘンパワー(自称)を母星からのエネルギーで増幅させて変身する!』
『人々の負の感情から生まれた魔物、「カース」や、悪い宇宙人から地球の文化を守るためにメルヘンパワー(自称)を母星からのエネルギーで増幅させて変身する!』
65: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/17(月) 02:51:13.90 ID:eyoQD45t0
『さらにもう一人!相葉夕美は人格を持つ植物!地球の環境を監視するために名も無き植物の星から地球人に化けてやって来た!』
『普段から植物と対話し、植物を操る事もできるが、植物達から一時的にエネルギーを借りることで、身体能力や普段の能力も向上するのだ!』
『普段から植物と対話し、植物を操る事もできるが、植物達から一時的にエネルギーを借りることで、身体能力や普段の能力も向上するのだ!』
66: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/17(月) 02:52:11.63 ID:eyoQD45t0
菜々「ラビッツムーン!見参!宇宙の星々に変わってオシオキです!」
夕美「私は自然の恋人であり、処刑代理人…ナチュラル・ラヴァース!」
夕美「私は自然の恋人であり、処刑代理人…ナチュラル・ラヴァース!」
67: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/17(月) 02:53:07.89 ID:eyoQD45t0
菜々はぴっちりしたスーツの上にフリフリの魔法少女服を合わせた、全体的にピンク色と白のサイバーな戦闘服。耳はウサミン星人の特徴である長くてツルツルした白い耳が隠されずに出ている。
夕美は植物そのものをイメージした、緑と白でまとまった薔薇と蝶がモチーフの魔法少女のような服を着ていて、髪は伸びてさえいないものの、鮮やかな緑色に染まっている。
夕美は植物そのものをイメージした、緑と白でまとまった薔薇と蝶がモチーフの魔法少女のような服を着ていて、髪は伸びてさえいないものの、鮮やかな緑色に染まっている。
68: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/17(月) 02:54:48.86 ID:eyoQD45t0
夕美「…地球人は…どうでもいいけど!植物を攻撃するのは許さないよ!」
菜々「夕美ちゃん…もっと素直になっていいんですよ?」
夕美「…地球人なんて、好きじゃないもん。それより早く倒そう?」
『ユルサネエエエエエエエ!俺のコレクション捨てやがってアノババアアアアア!』
菜々「確かに、耳にも目にも悪いですもんね!ウサミン・カッター!」
菜々が叫ぶと同時に右足がきらめいて衝撃波が飛び出し、黒い体を真っ二つに切断する。切断された下半身は霧散して消えるが、上半身からドロドロと黒いものがそれを補う様に出てきてしまう。
菜々「夕美ちゃん…もっと素直になっていいんですよ?」
夕美「…地球人なんて、好きじゃないもん。それより早く倒そう?」
『ユルサネエエエエエエエ!俺のコレクション捨てやがってアノババアアアアア!』
菜々「確かに、耳にも目にも悪いですもんね!ウサミン・カッター!」
菜々が叫ぶと同時に右足がきらめいて衝撃波が飛び出し、黒い体を真っ二つに切断する。切断された下半身は霧散して消えるが、上半身からドロドロと黒いものがそれを補う様に出てきてしまう。
69: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/17(月) 02:55:33.40 ID:eyoQD45t0
夕美「ナナちゃん、敵が大きすぎるみたい!核はどこだかわかる?」
夕美が腕から木を生やし巨大なハンマーのように叩き付けながら聞く。
カースには核があり、それを破壊しない限り周囲の人々の感情から再び復活するのだ。
菜々「探します!補助を!ウサミン・アナライズ…!」
菜々が今度は耳をきらめかせてその場に棒立ちになる。ゴーグルのようなものが現れ、サーチを始める。
棒立ちになった菜々を狙ってカースが腕を伸ばすが、夕美が地面を叩くと、アスファルトを裂いて大量の花が咲き、腕に絡みつき離さない。
さらに、足で地面を叩くと、大量の竹の束が飛び出し、もう片方の腕を妨害する。
夕美が腕から木を生やし巨大なハンマーのように叩き付けながら聞く。
カースには核があり、それを破壊しない限り周囲の人々の感情から再び復活するのだ。
菜々「探します!補助を!ウサミン・アナライズ…!」
菜々が今度は耳をきらめかせてその場に棒立ちになる。ゴーグルのようなものが現れ、サーチを始める。
棒立ちになった菜々を狙ってカースが腕を伸ばすが、夕美が地面を叩くと、アスファルトを裂いて大量の花が咲き、腕に絡みつき離さない。
さらに、足で地面を叩くと、大量の竹の束が飛び出し、もう片方の腕を妨害する。
70: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/17(月) 02:56:25.60 ID:eyoQD45t0
ピピーッ!と大きな音が鳴り響き、菜々が叫ぶ。
菜々「こちらから見て左の腕!人間で言う二の腕に核が!」
夕美「了解!丁度掴んでいた方だね!」
腕に絡みついていた植物がさらに固くなり、さらに大きくなる。
夕美「やっちゃえ!」
肩と肘のあたりに草の蔓を集中させる。そしてそのまま、引きちぎった!
菜々「こちらから見て左の腕!人間で言う二の腕に核が!」
夕美「了解!丁度掴んでいた方だね!」
腕に絡みついていた植物がさらに固くなり、さらに大きくなる。
夕美「やっちゃえ!」
肩と肘のあたりに草の蔓を集中させる。そしてそのまま、引きちぎった!
71: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/17(月) 02:58:05.53 ID:eyoQD45t0
引きちぎられた二の腕から、真っ赤な顔位の大きさの核が飛び出す。
菜々がアナライズを解除して飛び出し、核に向かって技を放った。
菜々「ムーンウェーブ!」
菜々を中心に地面に魔法陣の様に光が発生し、そのまま光の柱となって核を貫いた。
菜々「お仕事完了☆」キラッ
夕美「うん、本部にも討伐連絡送ったよ。」
菜々「じゃあ、帰りましょうか!」
菜々がアナライズを解除して飛び出し、核に向かって技を放った。
菜々「ムーンウェーブ!」
菜々を中心に地面に魔法陣の様に光が発生し、そのまま光の柱となって核を貫いた。
菜々「お仕事完了☆」キラッ
夕美「うん、本部にも討伐連絡送ったよ。」
菜々「じゃあ、帰りましょうか!」
72: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/17(月) 02:59:21.75 ID:eyoQD45t0
夕美「ハァ…ただでさえライブもして疲れてたのに、カースが出るなんて…。」
菜々「運が悪かったとしか…。」
夕美「ねぇ、前から思っていたんだけど…なんで皆、変身すると名乗りがいるの?そもそも私は服装に意味がないから変身する必要ない気が…。」
菜々「お約束!って奴ですよ~!それに、ユニットでやってるナナ達で、菜々だけ変身するってアンバランスですし♪」
夕美「…それに、戦闘中にあんなこと言うし…」
菜々「あんなこと…?ああ!」
菜々は、にっこり笑って言った。
菜々「夕美ちゃんは、アイドルしてから、地球人さんたちの事、そこまで嫌いじゃないでしょう?」
夕美「…そんなこと…。」
菜々「ナナ、夕美ちゃんの事、あのプロダクションのアイドルになる前、秋葉で踊りを踊っている時から知ってますもん♪」
夕美「…。」
菜々「ナナ、アイドル諦めてましたけど…あの舞台で楽しそうに踊る夕美ちゃんを見て…今、ここにいるんですもん。」
夕美「ナナちゃん…。」
菜々「さぁ、辛気臭い話は無しです!女子寮に帰りましょー!」
夕美「あ、待ってよー!」
菜々「運が悪かったとしか…。」
夕美「ねぇ、前から思っていたんだけど…なんで皆、変身すると名乗りがいるの?そもそも私は服装に意味がないから変身する必要ない気が…。」
菜々「お約束!って奴ですよ~!それに、ユニットでやってるナナ達で、菜々だけ変身するってアンバランスですし♪」
夕美「…それに、戦闘中にあんなこと言うし…」
菜々「あんなこと…?ああ!」
菜々は、にっこり笑って言った。
菜々「夕美ちゃんは、アイドルしてから、地球人さんたちの事、そこまで嫌いじゃないでしょう?」
夕美「…そんなこと…。」
菜々「ナナ、夕美ちゃんの事、あのプロダクションのアイドルになる前、秋葉で踊りを踊っている時から知ってますもん♪」
夕美「…。」
菜々「ナナ、アイドル諦めてましたけど…あの舞台で楽しそうに踊る夕美ちゃんを見て…今、ここにいるんですもん。」
夕美「ナナちゃん…。」
菜々「さぁ、辛気臭い話は無しです!女子寮に帰りましょー!」
夕美「あ、待ってよー!」
73: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/17(月) 03:01:19.63 ID:eyoQD45t0
※アイドルヒーロー同盟
相葉夕美と安部菜々含む一部のアイドルは、公式的に悪と戦うアイドルヒーローとして活動をしている。
「…ヒロインでしょ?」との質問には「最初のころは男性アイドルが多かったので…。」との事。
各アイドルには携帯端末が配られており、お互いの位置がわかるようになっている。
カースや、常習犯な悪役達が現れると連絡が入り、それを退治することを一種のパフォーマンスとしている。
一部の人間からは批判があるそうだが…今のところ死者はいないようだ
もちろん、アイドルでもこのチームに入ってない子もいる。
ちなみに二人は地球人として登録してある。もちろん二人だけの秘密。
相葉夕美と安部菜々含む一部のアイドルは、公式的に悪と戦うアイドルヒーローとして活動をしている。
「…ヒロインでしょ?」との質問には「最初のころは男性アイドルが多かったので…。」との事。
各アイドルには携帯端末が配られており、お互いの位置がわかるようになっている。
カースや、常習犯な悪役達が現れると連絡が入り、それを退治することを一種のパフォーマンスとしている。
一部の人間からは批判があるそうだが…今のところ死者はいないようだ
もちろん、アイドルでもこのチームに入ってない子もいる。
ちなみに二人は地球人として登録してある。もちろん二人だけの秘密。
74: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/17(月) 03:02:30.42 ID:eyoQD45t0
相葉夕美(2000~?+18)
名も無き星からやって来た宇宙人。本当の姿は意思を持った植物型生命体。人間に化けている。
現在アイドル活動兼、アイドルヒーローもやっている。
環境破壊をした地球人を嫌っているようで、普段はアイドル中の相葉ちゃんより少々口が悪い。…だが、アイドルとして生きているうちに、少々情が湧いている模様。
母星の計画とは、地球初期化計画であり、開発は進んでいるものの、実行するには至っていないようだ。
…しかし、これ以上環境が悪化すれば…?
職業: アイドルヒーロー
属性: 宇宙人(出身・名も無き星)
能力: 植物との対話、植物操作、(何もないところから植物を生やす&急成長は変身時のみ。)
補足:力を使いすぎると、省エネモードに突入し、ぷちどるのような姿になってしまう。
鳴き声は無し。頭の上に咲く花の花言葉でのみ会話する。
安部菜々(???・3桁の模様)
ウサミン星人。作中で説明があった通り、母星ではかなりの大金持ち。
ウサミン星人の本来の姿は、ジョ○ョのスタンド、D○Cをかなりシンプルにした感じ。
菜々は今のところ、本気を出しても耳ぐらいしか意地でも本来の姿には戻らないようだが。
夕美とは親友。彼女のおかげでアイドルを目指していられたから。
職業: アイドルヒーロー
属性: 宇宙人(出身・ウサミン星)
能力: 母星との交信(イメージ具現化は変身時のみ。ウサミン・○○は今まで見たアニメからイメージすれば基本的に発動できる。)
名も無き星からやって来た宇宙人。本当の姿は意思を持った植物型生命体。人間に化けている。
現在アイドル活動兼、アイドルヒーローもやっている。
環境破壊をした地球人を嫌っているようで、普段はアイドル中の相葉ちゃんより少々口が悪い。…だが、アイドルとして生きているうちに、少々情が湧いている模様。
母星の計画とは、地球初期化計画であり、開発は進んでいるものの、実行するには至っていないようだ。
…しかし、これ以上環境が悪化すれば…?
職業: アイドルヒーロー
属性: 宇宙人(出身・名も無き星)
能力: 植物との対話、植物操作、(何もないところから植物を生やす&急成長は変身時のみ。)
補足:力を使いすぎると、省エネモードに突入し、ぷちどるのような姿になってしまう。
鳴き声は無し。頭の上に咲く花の花言葉でのみ会話する。
安部菜々(???・3桁の模様)
ウサミン星人。作中で説明があった通り、母星ではかなりの大金持ち。
ウサミン星人の本来の姿は、ジョ○ョのスタンド、D○Cをかなりシンプルにした感じ。
菜々は今のところ、本気を出しても耳ぐらいしか意地でも本来の姿には戻らないようだが。
夕美とは親友。彼女のおかげでアイドルを目指していられたから。
職業: アイドルヒーロー
属性: 宇宙人(出身・ウサミン星)
能力: 母星との交信(イメージ具現化は変身時のみ。ウサミン・○○は今まで見たアニメからイメージすれば基本的に発動できる。)
79: ◆TAACIbOrYU 2013/06/17(月) 03:41:41.55 ID:oQgPoRXdo
てく てく
藍子「んっ……、いい天気」
―――彼女の名は高森藍子。
てく てく
にゃあ~
藍子「あ、猫さん……、ふふっ」
―――近所を散歩することが趣味の彼女は、どこにでもいるちょっとおしゃれな16歳の少女……。
にゃあ、にゃあ
藍子「どこへ行くのかな?」
―――彼女自身……、また彼女の周りの人も、当然そう思っている。
藍子「んっ……、いい天気」
―――彼女の名は高森藍子。
てく てく
にゃあ~
藍子「あ、猫さん……、ふふっ」
―――近所を散歩することが趣味の彼女は、どこにでもいるちょっとおしゃれな16歳の少女……。
にゃあ、にゃあ
藍子「どこへ行くのかな?」
―――彼女自身……、また彼女の周りの人も、当然そう思っている。
80: ◆TAACIbOrYU 2013/06/17(月) 03:42:15.09 ID:oQgPoRXdo
藍子(何となく……、ついていってみよう)
てく てく
―――しかしある日を境に高森藍子は、ちょっと普通ではない特別な能力に目覚めていた。
少女A「あーもームカつく! 宿題忘れたくらいでさ!」
少女B「ね、あんなに怒んなくてもいいじゃんねー」
てく てく
藍子(変な模様……、ふふっ、可愛い)
―――それは……。
少女A「……まー、でも宿題やって来なかった私が悪いんだけどさ」
少女B「……そうだね、うん、あたしも次からちゃんとやってこようかな」
―――『周りの人を癒し、優しい気持ちにする能力』
てく てく
―――しかしある日を境に高森藍子は、ちょっと普通ではない特別な能力に目覚めていた。
少女A「あーもームカつく! 宿題忘れたくらいでさ!」
少女B「ね、あんなに怒んなくてもいいじゃんねー」
てく てく
藍子(変な模様……、ふふっ、可愛い)
―――それは……。
少女A「……まー、でも宿題やって来なかった私が悪いんだけどさ」
少女B「……そうだね、うん、あたしも次からちゃんとやってこようかな」
―――『周りの人を癒し、優しい気持ちにする能力』
81: ◆TAACIbOrYU 2013/06/17(月) 03:42:58.38 ID:oQgPoRXdo
―――元来より、藍子は争いを好まぬ優しい性格の持ち主だった。
―――物腰も柔らかく、独特のふんわりとした雰囲気の漂う少女で、友人たちからの評判も良かった。
―――そんな彼女は、そもそも能力が目覚める以前から周りに癒しを振りまく存在だったので。
―――その能力を発現した後も誰も、本人でさえそれに気づかないでいる。
―――「なんか最近藍子の癒し力がパないよね」くらいの認識である。
てく てく
てく てく
藍子(……見失っちゃった)
藍子(そういえば、あんまりこの辺は来たこと無いなぁ)
藍子「そうだ、ちょっと1枚……」スッ
―――そう言うと藍子は、首からぶら下がっているトイカメラに手を掛けた。
―――何気ない、ちょっとした一瞬をカメラに収める。彼女のもう一つの趣味である。
パシャッ
??「ぎにゃあああぁぁああぁぁぁッ!?」
藍子「!?」ビクッ
―――彼女は、何があるでもない景色を、特に何も考えずに、何となく撮っただけである。
―――しかしそのシャッター音に反応するように、そばの空き地から奇声が発せられ
―――それと同時に女の子が目の前に現れた。
―――物腰も柔らかく、独特のふんわりとした雰囲気の漂う少女で、友人たちからの評判も良かった。
―――そんな彼女は、そもそも能力が目覚める以前から周りに癒しを振りまく存在だったので。
―――その能力を発現した後も誰も、本人でさえそれに気づかないでいる。
―――「なんか最近藍子の癒し力がパないよね」くらいの認識である。
てく てく
てく てく
藍子(……見失っちゃった)
藍子(そういえば、あんまりこの辺は来たこと無いなぁ)
藍子「そうだ、ちょっと1枚……」スッ
―――そう言うと藍子は、首からぶら下がっているトイカメラに手を掛けた。
―――何気ない、ちょっとした一瞬をカメラに収める。彼女のもう一つの趣味である。
パシャッ
??「ぎにゃあああぁぁああぁぁぁッ!?」
藍子「!?」ビクッ
―――彼女は、何があるでもない景色を、特に何も考えずに、何となく撮っただけである。
―――しかしそのシャッター音に反応するように、そばの空き地から奇声が発せられ
―――それと同時に女の子が目の前に現れた。
82: ◆TAACIbOrYU 2013/06/17(月) 03:43:32.60 ID:oQgPoRXdo
麗奈「だっ! だだっ……!」
麗奈「誰っ!?」
藍子「ごっ、ごめんなさいっ! 驚かせてしまったみたいで!」
麗奈「聞いたわね!?」
藍子「えっ?」
麗奈「撮ったわね!?」
藍子「あ、あの……っ」
麗奈「アタシの秘密の計画を知ったわね!!??」
藍子(秘密……? 計画……?)
―――世界征服は、ただの行き当たりばったりでは達成できない。
―――今回そう考えた小関麗奈……、もといミッシェルフ・レイナサマは
―――誰にも見つからなそうな空き地……、のように見える隠れ家で
―――ちょっと大掛かりなイタズラ……、ではなく、秘密の計画を練っていた。
―――その矢先にカメラのシャッター音である。
麗奈「誰っ!?」
藍子「ごっ、ごめんなさいっ! 驚かせてしまったみたいで!」
麗奈「聞いたわね!?」
藍子「えっ?」
麗奈「撮ったわね!?」
藍子「あ、あの……っ」
麗奈「アタシの秘密の計画を知ったわね!!??」
藍子(秘密……? 計画……?)
―――世界征服は、ただの行き当たりばったりでは達成できない。
―――今回そう考えた小関麗奈……、もといミッシェルフ・レイナサマは
―――誰にも見つからなそうな空き地……、のように見える隠れ家で
―――ちょっと大掛かりなイタズラ……、ではなく、秘密の計画を練っていた。
―――その矢先にカメラのシャッター音である。
83: ◆TAACIbOrYU 2013/06/17(月) 03:44:00.28 ID:oQgPoRXdo
麗奈「あなた……! 正義の手先ね!?」
―――そう思うのも無理からぬ話であろう。
―――……本当に無理からぬ話であろうか?
―――正直、レイナサマの前でこんなことを言うと怒られるので普段は言わないが
―――多分、普通の人はそんなことを考えないと思う。
―――しかしレイナサマは普通の人ではないので
―――悪い意味ではない
―――決して悪い意味で言ったわけではなく
―――世界征服を成し遂げる器を持った者が普通でないのは当たり前で
―――そんなレイナサマであるからこそ、こういった事態には敏感に反応してしまうのは当然であり……
―――……。
―――話が逸れたが
―――簡単に言うと、藍子は麗奈の怒りを買ってしまったようである。
―――そう思うのも無理からぬ話であろう。
―――……本当に無理からぬ話であろうか?
―――正直、レイナサマの前でこんなことを言うと怒られるので普段は言わないが
―――多分、普通の人はそんなことを考えないと思う。
―――しかしレイナサマは普通の人ではないので
―――悪い意味ではない
―――決して悪い意味で言ったわけではなく
―――世界征服を成し遂げる器を持った者が普通でないのは当たり前で
―――そんなレイナサマであるからこそ、こういった事態には敏感に反応してしまうのは当然であり……
―――……。
―――話が逸れたが
―――簡単に言うと、藍子は麗奈の怒りを買ってしまったようである。
84: ◆TAACIbOrYU 2013/06/17(月) 03:44:38.41 ID:oQgPoRXdo
麗奈「……消すしか無いわね」スッ
藍子「えぇっ!?」
―――大きく出た。
―――『消すしか無い』とは大きく出た。
―――言ってから麗奈も気付いた。
麗奈(『消す』は言いすぎた……)
―――しかしもう遅い。
―――一度言った言葉は取り下げられない。
―――そんなことをするのは悪の美学に反する。
―――消すしか無い。
―――もう、目の前の少女を消すしか道は無い。
―――しかし。
藍子「あ、あの……。大丈夫?」
藍子「顔色も悪いし、凄い汗……」
藍子「具合が悪いのなら、少し休んだほうが……」
麗奈「う……っ」
麗奈(な、何か……)
麗奈(何か……)
麗奈「はぁ……」
麗奈「やっぱいいわ……」
藍子「?」
―――悪の美学はあっさり屈した。
―――言うまでもなく、この心変わりは藍子の能力である。
藍子「えぇっ!?」
―――大きく出た。
―――『消すしか無い』とは大きく出た。
―――言ってから麗奈も気付いた。
麗奈(『消す』は言いすぎた……)
―――しかしもう遅い。
―――一度言った言葉は取り下げられない。
―――そんなことをするのは悪の美学に反する。
―――消すしか無い。
―――もう、目の前の少女を消すしか道は無い。
―――しかし。
藍子「あ、あの……。大丈夫?」
藍子「顔色も悪いし、凄い汗……」
藍子「具合が悪いのなら、少し休んだほうが……」
麗奈「う……っ」
麗奈(な、何か……)
麗奈(何か……)
麗奈「はぁ……」
麗奈「やっぱいいわ……」
藍子「?」
―――悪の美学はあっさり屈した。
―――言うまでもなく、この心変わりは藍子の能力である。
85: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/17(月) 03:45:13.82 ID:oQgPoRXdo
麗奈「で、アンタどこまで聞いてたの?」
藍子「えっと、何を?」
麗奈「惚けんじゃないわよ! アタシの秘密の計画よ! 聞いてたんでしょ!?」
藍子「聞いてないけど……」
麗奈「……」
藍子「……」
麗奈「と、撮ったでしょ!? カメラで!」
藍子「あの電柱を……」
麗奈「……」
藍子「……」
麗奈「……本当に知らないの?」
藍子「うん……」
麗奈「……」
藍子「……」
―――アホー、アホー。
―――カラスの鳴き声である。レイナサマを罵倒したわけではない。
―――断じて違う。
藍子「えっと、何を?」
麗奈「惚けんじゃないわよ! アタシの秘密の計画よ! 聞いてたんでしょ!?」
藍子「聞いてないけど……」
麗奈「……」
藍子「……」
麗奈「と、撮ったでしょ!? カメラで!」
藍子「あの電柱を……」
麗奈「……」
藍子「……」
麗奈「……本当に知らないの?」
藍子「うん……」
麗奈「……」
藍子「……」
―――アホー、アホー。
―――カラスの鳴き声である。レイナサマを罵倒したわけではない。
―――断じて違う。
86: ◆TAACIbOrYU 2013/06/17(月) 03:45:53.17 ID:oQgPoRXdo
麗奈「帰る」
藍子「あっ、ちょっと待って!」
麗奈「何よ、まだなんか用?」
藍子「あそこに喫茶店があるし、どうせなら一緒に」
麗奈「いやいや……」
―――所変わって喫茶店。
麗奈「いやいやいや……」
藍子「嫌だった……?」
麗奈「いや、嫌という意味のいやじゃなくって……」
藍子「あ、お金なら私が出すから大丈夫」
麗奈「そういう問題じゃ無いわよ!!」
麗奈「何でさっき出会ったばっかのアンタなんかと!! このアタシが!! お茶しなきゃなんないのよ!!」
麗奈「ナンパ!? ナンパなの!?」
麗奈「女の子が好きな人なの!?」
藍子「ふふっ、麗奈ちゃんって面白い子だね」
麗奈「あー!!! もー!!! アンタといると調子が狂うのよ!!!」
藍子「あ、やっぱり具合悪いの……?」
麗奈「そーいう所が!!!」
―――完全に藍子のペースである。
―――麗奈のペースなんてものがあるのかは知らないが。
藍子「あっ、ちょっと待って!」
麗奈「何よ、まだなんか用?」
藍子「あそこに喫茶店があるし、どうせなら一緒に」
麗奈「いやいや……」
―――所変わって喫茶店。
麗奈「いやいやいや……」
藍子「嫌だった……?」
麗奈「いや、嫌という意味のいやじゃなくって……」
藍子「あ、お金なら私が出すから大丈夫」
麗奈「そういう問題じゃ無いわよ!!」
麗奈「何でさっき出会ったばっかのアンタなんかと!! このアタシが!! お茶しなきゃなんないのよ!!」
麗奈「ナンパ!? ナンパなの!?」
麗奈「女の子が好きな人なの!?」
藍子「ふふっ、麗奈ちゃんって面白い子だね」
麗奈「あー!!! もー!!! アンタといると調子が狂うのよ!!!」
藍子「あ、やっぱり具合悪いの……?」
麗奈「そーいう所が!!!」
―――完全に藍子のペースである。
―――麗奈のペースなんてものがあるのかは知らないが。
87: ◆TAACIbOrYU 2013/06/17(月) 03:46:34.57 ID:oQgPoRXdo
麗奈「あぁもうっ!! わかったわよ!! お茶すればいいんでしょ!!」
藍子「ごめんね? 無理言って……」
麗奈「ふんッ……! 言っとくけど遠慮なんてしないわよ! たっかいやつ頼んでやるんだから!」
藍子「うん、気にしないで好きなの頼んで」
麗奈「じゃあこの……、BIGチョコレートパフェ」
藍子「えっと、私はー……」
麗奈「……ちょっと、本当にいいの?」
藍子「え?」
麗奈「720円もするわよこれ」
藍子「本当だっ、高いねー」
麗奈「……それだけ?」
藍子「ふふっ」
麗奈「何よ」
藍子「麗奈ちゃんって優しいんだね」
麗奈「~~~~ッッ! アッ、アンタはまた……ッ!」
麗奈「もう知らないッ! 本当に頼んでやるんだから!」
藍子「ごめんね? 無理言って……」
麗奈「ふんッ……! 言っとくけど遠慮なんてしないわよ! たっかいやつ頼んでやるんだから!」
藍子「うん、気にしないで好きなの頼んで」
麗奈「じゃあこの……、BIGチョコレートパフェ」
藍子「えっと、私はー……」
麗奈「……ちょっと、本当にいいの?」
藍子「え?」
麗奈「720円もするわよこれ」
藍子「本当だっ、高いねー」
麗奈「……それだけ?」
藍子「ふふっ」
麗奈「何よ」
藍子「麗奈ちゃんって優しいんだね」
麗奈「~~~~ッッ! アッ、アンタはまた……ッ!」
麗奈「もう知らないッ! 本当に頼んでやるんだから!」
88: ◆TAACIbOrYU 2013/06/17(月) 03:47:03.75 ID:oQgPoRXdo
―――麗奈がBIGチョコレートパフェを、藍子はカプチーノをそれぞれ注文し
―――程なくテーブルに二人の頼んだ品が並べられた。
―――カプチーノに描かれた模様に小さな感嘆をあげ、トイカメラを手にする藍子を見ながら
―――ふと思い出したように麗奈が口を開いた。
麗奈「そういえば」
藍子「ん?」
麗奈「テレビでカメラ好きのお笑い芸人が言ってたわ」
麗奈「カメラにわかは空だの犬だの猫だのおしゃれなカプチーノだのばっかり撮るって」ハムッ
藍子「……」ズーン
麗奈「あ、美味しいわねこれ!」
―――麗奈は特に悪気があって言ったわけでは無かったので
―――今の発言で藍子がちょっぴり落ち込んだことには気付いてないようだ。
―――程なくテーブルに二人の頼んだ品が並べられた。
―――カプチーノに描かれた模様に小さな感嘆をあげ、トイカメラを手にする藍子を見ながら
―――ふと思い出したように麗奈が口を開いた。
麗奈「そういえば」
藍子「ん?」
麗奈「テレビでカメラ好きのお笑い芸人が言ってたわ」
麗奈「カメラにわかは空だの犬だの猫だのおしゃれなカプチーノだのばっかり撮るって」ハムッ
藍子「……」ズーン
麗奈「あ、美味しいわねこれ!」
―――麗奈は特に悪気があって言ったわけでは無かったので
―――今の発言で藍子がちょっぴり落ち込んだことには気付いてないようだ。
89: ◆TAACIbOrYU 2013/06/17(月) 03:47:39.58 ID:oQgPoRXdo
藍子「……」フー フー
麗奈「……」モグモグ
―――何となく会話が止まり。二人の間に沈黙が流れる。
―――麗奈は何か言おうかと考えて、しかし不思議とこの静寂が心地いいとも感じており
―――結局黙ってパフェを食べ続けた。
麗奈(何かコイツといると、すごい……、落ち着く……)
麗奈(癪だけど、不思議な感じ……)
―――麗奈はぼんやりと藍子を眺めてみた。
―――率直に言って可愛い。美少女と言っていい。
―――しかし、ただ可愛いだけではなく、それ以上に優しい印象を受ける。
―――見ているだけでなんだか安心してしまう。
―――まるで木漏れ日の下で昼寝をしているように、気持ちが穏やかになっていく。
麗奈「アン……、藍子」
藍子「ん? なぁに?」
麗奈「その……、藍子なら、とッ! 特別にアタシの下僕にしてあげても! いいわ、よ……?」
藍子「げぼく……、あっ、お友達、ってことでいいのかな?」
麗奈「ま、まぁそうとも言うわね! アタシ以外の連中は!」
藍子「ふふっ、それじゃあ私と麗奈ちゃんは今日からお友達っ!」
麗奈「ん……、うん、ともだ……、下僕ね!!」
麗奈「……」モグモグ
―――何となく会話が止まり。二人の間に沈黙が流れる。
―――麗奈は何か言おうかと考えて、しかし不思議とこの静寂が心地いいとも感じており
―――結局黙ってパフェを食べ続けた。
麗奈(何かコイツといると、すごい……、落ち着く……)
麗奈(癪だけど、不思議な感じ……)
―――麗奈はぼんやりと藍子を眺めてみた。
―――率直に言って可愛い。美少女と言っていい。
―――しかし、ただ可愛いだけではなく、それ以上に優しい印象を受ける。
―――見ているだけでなんだか安心してしまう。
―――まるで木漏れ日の下で昼寝をしているように、気持ちが穏やかになっていく。
麗奈「アン……、藍子」
藍子「ん? なぁに?」
麗奈「その……、藍子なら、とッ! 特別にアタシの下僕にしてあげても! いいわ、よ……?」
藍子「げぼく……、あっ、お友達、ってことでいいのかな?」
麗奈「ま、まぁそうとも言うわね! アタシ以外の連中は!」
藍子「ふふっ、それじゃあ私と麗奈ちゃんは今日からお友達っ!」
麗奈「ん……、うん、ともだ……、下僕ね!!」
90: ◆TAACIbOrYU 2013/06/17(月) 03:48:36.43 ID:oQgPoRXdo
―――藍子の能力は
―――部屋でアロマを焚いたり……。
―――静かな喫茶店でコーヒーを飲んだり……。
―――横になりながらヒーリング音楽を聞いたり……。
―――可愛らしい子猫に触れたり……。
―――自然に囲まれて新緑を眺めたり……。
―――そんなちょっとしたことに感じる安らぎや癒し、優しい気持ちを、周りの人に与えられる
―――そういう人になりたいと願って。願い続けて。
―――ある日、叶った。
―――そうやって得た素敵な能力である。
藍子「あ、やっと笑ってくれた」
麗奈「む……」
藍子「麗奈ちゃん笑ったほうが絶対可愛いっ!」
麗奈「またそういう……!」
―――藍子にこの能力が備わったことはきっと、とても幸福なことなのだろう。
―――部屋でアロマを焚いたり……。
―――静かな喫茶店でコーヒーを飲んだり……。
―――横になりながらヒーリング音楽を聞いたり……。
―――可愛らしい子猫に触れたり……。
―――自然に囲まれて新緑を眺めたり……。
―――そんなちょっとしたことに感じる安らぎや癒し、優しい気持ちを、周りの人に与えられる
―――そういう人になりたいと願って。願い続けて。
―――ある日、叶った。
―――そうやって得た素敵な能力である。
藍子「あ、やっと笑ってくれた」
麗奈「む……」
藍子「麗奈ちゃん笑ったほうが絶対可愛いっ!」
麗奈「またそういう……!」
―――藍子にこの能力が備わったことはきっと、とても幸福なことなのだろう。
91: ◆TAACIbOrYU 2013/06/17(月) 03:49:08.57 ID:oQgPoRXdo
藍子「そうだ、携帯の番号交換しようかっ!」
麗奈「フンッ! 特別だからね! ありがたく思いなさいよ!」
藍子「それじゃあ……」
―――と、お互いに携帯電話を手にとった時。
―――麗奈が異常に気付いた。
麗奈「うわッ!? メールが沢山来てる!?」
藍子「えっ?」
麗奈「……全部南条から」
藍子「お友達?」
麗奈「え……、もうこんな時間!?」
藍子「……本当だ、あれから随分経ってる」
―――その昔、アインシュタインが相対性理論について、わかりやすくこう例えたという。
―――『美人と一緒にいる時の1時間は1分に思えるがストーブの上に座った時の1分は1時間に思える。』
―――これは藍子のそばにいるとよく起きる事態で、彼女の能力の唯一の弊害と言えるかもしれない。
麗奈「フンッ! 特別だからね! ありがたく思いなさいよ!」
藍子「それじゃあ……」
―――と、お互いに携帯電話を手にとった時。
―――麗奈が異常に気付いた。
麗奈「うわッ!? メールが沢山来てる!?」
藍子「えっ?」
麗奈「……全部南条から」
藍子「お友達?」
麗奈「え……、もうこんな時間!?」
藍子「……本当だ、あれから随分経ってる」
―――その昔、アインシュタインが相対性理論について、わかりやすくこう例えたという。
―――『美人と一緒にいる時の1時間は1分に思えるがストーブの上に座った時の1分は1時間に思える。』
―――これは藍子のそばにいるとよく起きる事態で、彼女の能力の唯一の弊害と言えるかもしれない。
92: ◆TAACIbOrYU 2013/06/17(月) 03:49:44.53 ID:oQgPoRXdo
高森藍子(16)
職業:高校生
属性:ゆるふわ森ガール
能力:周りにいる人を癒し、優しい気持ちにする
ある日突然、小さな頃からの願いが叶うという形で能力に目覚める。
ただし、能力自体が地味であること、元から藍子が癒し系だったことなどもあり
誰もその能力に気づいていない。藍子本人も気づいてない。
職業:高校生
属性:ゆるふわ森ガール
能力:周りにいる人を癒し、優しい気持ちにする
ある日突然、小さな頃からの願いが叶うという形で能力に目覚める。
ただし、能力自体が地味であること、元から藍子が癒し系だったことなどもあり
誰もその能力に気づいていない。藍子本人も気づいてない。
102: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/17(月) 17:02:52.75 ID:WaWYWr1PO
ヒーローと侵略者がはびこる、この世界。
侵略者が暴れ、ヒーローがとめる。
それが当たり前のこの世界。
そして、この街にも日夜、侵略者から街を守る二人のヒーローが……
乃々「いきなりで申し訳ないんですけど、あの、私、ヒーローやめたいですけど……」
ほたる「だ…だめですよ!乃々ちゃん!辞めないでください!」
乃々「いや、だって、あの、その、えっと…」
なんか解散しそうな雰囲気になっていた。
侵略者が暴れ、ヒーローがとめる。
それが当たり前のこの世界。
そして、この街にも日夜、侵略者から街を守る二人のヒーローが……
乃々「いきなりで申し訳ないんですけど、あの、私、ヒーローやめたいですけど……」
ほたる「だ…だめですよ!乃々ちゃん!辞めないでください!」
乃々「いや、だって、あの、その、えっと…」
なんか解散しそうな雰囲気になっていた。
103: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/17(月) 17:05:12.01 ID:WaWYWr1PO
説明しよう!
彼女達は自然を司る精霊により選ばれた正義の味方である。
変身アイテム『ナチュルリング』を使う事により、自然の力で平和を守る優しき戦士『ナチュルスター』に変身するのである。
乃々「ヒーローなんてむーりぃー」
このいかにもネガティブそうな少女は森久保乃々。海の力を司る『ナチュルマリン』に変身する。
海の力は傷ついた人々を癒やし、安らぎを与える。時には荒れ狂う波の如く侵略者を飲み込む。
ほたる「む、無理じゃないですよ!」
それを止めてる、いかにも幸薄そうな少女は白菊ほたる。空の力を司る『ナチュルスカイ』に変身する。
空の力は侵略者の攻撃から人々を護り、安心を与える力。時には荒れ狂う天候の如く侵略者を吹き飛ばす。
彼女達は自然を司る精霊により選ばれた正義の味方である。
変身アイテム『ナチュルリング』を使う事により、自然の力で平和を守る優しき戦士『ナチュルスター』に変身するのである。
乃々「ヒーローなんてむーりぃー」
このいかにもネガティブそうな少女は森久保乃々。海の力を司る『ナチュルマリン』に変身する。
海の力は傷ついた人々を癒やし、安らぎを与える。時には荒れ狂う波の如く侵略者を飲み込む。
ほたる「む、無理じゃないですよ!」
それを止めてる、いかにも幸薄そうな少女は白菊ほたる。空の力を司る『ナチュルスカイ』に変身する。
空の力は侵略者の攻撃から人々を護り、安心を与える力。時には荒れ狂う天候の如く侵略者を吹き飛ばす。
104: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/17(月) 17:08:15.09 ID:WaWYWr1PO
乃々「ヒーローなんて私達以外いっぱいいるじゃないですか、その人たちに全部任せたいんですけど…」
ほたる「けど、私達がいないと街の人達守れないですし…」
乃々「確かにそうですど、怪我人は出てない代わりに、街を余計破壊してるんですけど…」
ほたる「うぅ……すいません…」
………そう。先ほどの説明で気づいた人もいると思いますが、彼女達は人を守る事や癒す事は得意なんです。
だけど、攻撃に転ずると周りに被害がでてしまうのだ。
例えば、一人倒せばいいのに津波や大嵐が襲ってきて、周りの建造物を破壊するのである。
自然の力って恐ろしいね。
ほたる「けど、私達がいないと街の人達守れないですし…」
乃々「確かにそうですど、怪我人は出てない代わりに、街を余計破壊してるんですけど…」
ほたる「うぅ……すいません…」
………そう。先ほどの説明で気づいた人もいると思いますが、彼女達は人を守る事や癒す事は得意なんです。
だけど、攻撃に転ずると周りに被害がでてしまうのだ。
例えば、一人倒せばいいのに津波や大嵐が襲ってきて、周りの建造物を破壊するのである。
自然の力って恐ろしいね。
105: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/17(月) 17:10:52.65 ID:WaWYWr1PO
乃々「昨日は銀行強盗の車を止めようとして、ほたるさんが雷おとしたら辺り一帯停電しちゃったですし…」
ほたる「すいません……すいません…」
乃々「お、落ち込まないでください!わ、私も火事を消そうとしたら無事な所まで海水まみれにしましたし……ヒーローなんてむーりぃー…」
ほたる「の…乃々ちゃん。け、けど取り残された赤ちゃん助けて、私達、お母さんに感謝されたじゃないですか!」
乃々「………そうですど…」
ほたる「すいません……すいません…」
乃々「お、落ち込まないでください!わ、私も火事を消そうとしたら無事な所まで海水まみれにしましたし……ヒーローなんてむーりぃー…」
ほたる「の…乃々ちゃん。け、けど取り残された赤ちゃん助けて、私達、お母さんに感謝されたじゃないですか!」
乃々「………そうですど…」
106: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/17(月) 17:12:30.26 ID:WaWYWr1PO
ほたる「私、昔から疫病神とかお前がいると迷惑とか色々言われてきたんです。
だから、最初ヒーローに選ばれてから、どうして私なんかが…って思ってました。余計に被害増やしちゃうし、嫌われちゃうんじゃ......って
けど……それでも私に、私達に感謝してくれてる人がいるんです。ありがとうって言ってくれる人達がいるんです。
今の私たちは沢山迷惑かけてしまうけど、それでも助かってる人はいるんです。
だから……乃々さん。私のわがままですけど、辞めないでくれませんか?」
そう言う、ほたるの目はいつもの幸薄そうな暗い目ではなかった。
何処か少し希望に満ち、光をともした目で乃々を見ていた。
だから、最初ヒーローに選ばれてから、どうして私なんかが…って思ってました。余計に被害増やしちゃうし、嫌われちゃうんじゃ......って
けど……それでも私に、私達に感謝してくれてる人がいるんです。ありがとうって言ってくれる人達がいるんです。
今の私たちは沢山迷惑かけてしまうけど、それでも助かってる人はいるんです。
だから……乃々さん。私のわがままですけど、辞めないでくれませんか?」
そう言う、ほたるの目はいつもの幸薄そうな暗い目ではなかった。
何処か少し希望に満ち、光をともした目で乃々を見ていた。
107: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/17(月) 17:15:54.38 ID:WaWYWr1PO
乃々「……むーりぃー………って、言いたいですけど」
いつものような弱気でオドオドとした感じで、ほたるの目を見つめているが
何処か少しやる気をおびたような感じがしていた。
乃々「ほんの少しだけ…頑張ってみます…
別に…….ほたるさんの為じゃないですし…」
ほたる「!!……ありがとうございます!乃々ちゃん!」ギュッ
乃々「だ、抱きつかないでください!あ、暑苦しいんですけど!むーりぃー」///
無邪気に喜んで抱きつくほたると顔を赤くしながら慌てる乃々。
なんだかんだで、乃々は優しいのであった。
いつものような弱気でオドオドとした感じで、ほたるの目を見つめているが
何処か少しやる気をおびたような感じがしていた。
乃々「ほんの少しだけ…頑張ってみます…
別に…….ほたるさんの為じゃないですし…」
ほたる「!!……ありがとうございます!乃々ちゃん!」ギュッ
乃々「だ、抱きつかないでください!あ、暑苦しいんですけど!むーりぃー」///
無邪気に喜んで抱きつくほたると顔を赤くしながら慌てる乃々。
なんだかんだで、乃々は優しいのであった。
108: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/17(月) 17:17:33.16 ID:WaWYWr1PO
キュピーン!!キュピーン!!
そんな事をしていると二人のつけてる『ナチュルリング』が光出した。
それは近くで誰かが悪さをしている事を意味するのである。
ほたる「乃々ちゃん!」
乃々「早く帰りたいんですけど…」
乃々「海よ!!」ほたる「空よ!!」
乃々「悪しき心を持つ邪悪な意志に立ち向かう」
ほたる「自然を愛する優しき乙女に力を!」
そう言うと二人の姿が光に包まれ、変わり始める。
そんな事をしていると二人のつけてる『ナチュルリング』が光出した。
それは近くで誰かが悪さをしている事を意味するのである。
ほたる「乃々ちゃん!」
乃々「早く帰りたいんですけど…」
乃々「海よ!!」ほたる「空よ!!」
乃々「悪しき心を持つ邪悪な意志に立ち向かう」
ほたる「自然を愛する優しき乙女に力を!」
そう言うと二人の姿が光に包まれ、変わり始める。
109: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/17(月) 17:19:29.32 ID:WaWYWr1PO
乃々は、まるでプリキュアのような青いフリフリの衣装で、両耳の所に貝殻の飾りがついている。それはまるで水をイメージしたような感じである。
ほたるの衣装もプリキュアのような白いフリフリの衣装で、背中や靴には白い翼がくっついている。それはまるで雲をイメージしたような感じである。
乃々「全てを包み込み、安らぎを与える海!ナチュルマリン!!」
ほたる「全てを見渡し、恵みを与える空!ナチュルスカイ!!」
「「人々を守り、自然を守る戦士!!ナチュルスター!!」」
110: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/17(月) 17:21:41.91 ID:WaWYWr1PO
乃々「………なんで、まだそこに行ってないのに、決め台詞いうんですか?」
ほたる「えっと…なんとなくです。それよりいきましょ?」
そう言うと乃々を片手で抱きかかえるように持ち上げ
乃々「えっ?……ちょっとまっ」
ほたる「いきます!!」
風に包まれ、猛スピードで空を飛び、誰かを助ける為に飛び去って行った。
むーりぃーーー!!という叫び声を残していきながら。
今日も彼女達は、被害を増やしていきながらも人々を守る為に侵略者に立ち向かっていく!
終わり
余談だが、何故か彼女達が破壊した建物とかから植物が生えたり、生き物たちの住処になったりしてるため、自然と共存する街として有名になっているのを彼女たちは知らない。
コレも自然の精霊の計算通り……なのかもしれない
ほたる「えっと…なんとなくです。それよりいきましょ?」
そう言うと乃々を片手で抱きかかえるように持ち上げ
乃々「えっ?……ちょっとまっ」
ほたる「いきます!!」
風に包まれ、猛スピードで空を飛び、誰かを助ける為に飛び去って行った。
むーりぃーーー!!という叫び声を残していきながら。
今日も彼女達は、被害を増やしていきながらも人々を守る為に侵略者に立ち向かっていく!
終わり
余談だが、何故か彼女達が破壊した建物とかから植物が生えたり、生き物たちの住処になったりしてるため、自然と共存する街として有名になっているのを彼女たちは知らない。
コレも自然の精霊の計算通り……なのかもしれない
111: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/17(月) 17:23:35.84 ID:WaWYWr1PO
森久保乃々(14)
職業・中学生 ナチュルスターのナチュルマリン
属性・プリ○ュア系ヒーロー
能力・海を司る力。人々の傷を癒やしたりできる。
攻撃にまわれば、津波を引き起こしたりし、敵を飲み込む。
何故か壊した場所から植物が生えたり、自然に優しい。
白菊ほたる(13)
職業・中学生 ナチュルスターのナチュルスカイ
属性・プリ○ュア系のヒーロー
能力・空を司る力。風を操り、空を飛び、攻撃を吹き飛ばし、人々を護る。
攻撃にまわれば、雷と風を操り荒れ狂う嵐の如く、敵を吹き飛ばす。
何故か壊した場所か植物が生えたり、自然に優しい。
二人とも、普通の中学生だが、侵略者に襲われてるところを自然の精霊により、ナチュルスターに変身する力を手に入れた。
ほたるは、自分が周りを不幸にしてると思い込み、誰かを幸せにしたい為に、みんなの為に戦うけど、どこか危なかっしい。
乃々は、面倒くさいし恐いし疲れるし辞めたいけど、危なかっしいほたるがほっておけないから、毎回辞めたいと言いながらもなんだかんだで結局やる
そんな二人のヒーローである。
職業・中学生 ナチュルスターのナチュルマリン
属性・プリ○ュア系ヒーロー
能力・海を司る力。人々の傷を癒やしたりできる。
攻撃にまわれば、津波を引き起こしたりし、敵を飲み込む。
何故か壊した場所から植物が生えたり、自然に優しい。
白菊ほたる(13)
職業・中学生 ナチュルスターのナチュルスカイ
属性・プリ○ュア系のヒーロー
能力・空を司る力。風を操り、空を飛び、攻撃を吹き飛ばし、人々を護る。
攻撃にまわれば、雷と風を操り荒れ狂う嵐の如く、敵を吹き飛ばす。
何故か壊した場所か植物が生えたり、自然に優しい。
二人とも、普通の中学生だが、侵略者に襲われてるところを自然の精霊により、ナチュルスターに変身する力を手に入れた。
ほたるは、自分が周りを不幸にしてると思い込み、誰かを幸せにしたい為に、みんなの為に戦うけど、どこか危なかっしい。
乃々は、面倒くさいし恐いし疲れるし辞めたいけど、危なかっしいほたるがほっておけないから、毎回辞めたいと言いながらもなんだかんだで結局やる
そんな二人のヒーローである。
129: (仮) ◆TAACIbOrYU 2013/06/17(月) 19:45:39.72 ID:oQgPoRXdo
ピィ(俺の名前はピィ)
ピィ(ピィだ)
ピィ(そう名乗れと言われているので、こう名乗るしか無い)
ピィ(一応本名を聞かれても答えられない、ということになっている)
ピィ(現在所属している組織『プロダクション』での決まりなのだそうだ)
ピィ(組織のリーダーである社長がそう言うのだからそうなのだろう)
ピィ(しかし同期の千川ちひろさんは本名を名乗っている)
ピィ(社長に聞くと『そりゃあ君、役職の違いだよ』らしい)
ピィ(この辺、なんだかいい加減だ)
ピィ(俺が『プロダクション』に所属したのは、ほんの1週間ほど前だ)
ピィ(前の職を失った俺が就職活動をしていたところを社長直々にスカウトされた)
ピィ(曰く『ティンときた』らしい)
ピィ(というか、そもそもこの『プロダクション』が設立されたのも1週間前で)
ピィ(ここには現在俺とちひろさんと社長の3人しかいない)
ピィ(そんな『プロダクション』で、俺がどんな仕事をするのかというと―――)
ピィ(ピィだ)
ピィ(そう名乗れと言われているので、こう名乗るしか無い)
ピィ(一応本名を聞かれても答えられない、ということになっている)
ピィ(現在所属している組織『プロダクション』での決まりなのだそうだ)
ピィ(組織のリーダーである社長がそう言うのだからそうなのだろう)
ピィ(しかし同期の千川ちひろさんは本名を名乗っている)
ピィ(社長に聞くと『そりゃあ君、役職の違いだよ』らしい)
ピィ(この辺、なんだかいい加減だ)
ピィ(俺が『プロダクション』に所属したのは、ほんの1週間ほど前だ)
ピィ(前の職を失った俺が就職活動をしていたところを社長直々にスカウトされた)
ピィ(曰く『ティンときた』らしい)
ピィ(というか、そもそもこの『プロダクション』が設立されたのも1週間前で)
ピィ(ここには現在俺とちひろさんと社長の3人しかいない)
ピィ(そんな『プロダクション』で、俺がどんな仕事をするのかというと―――)
130: (仮) ◆TAACIbOrYU 2013/06/17(月) 19:46:13.66 ID:oQgPoRXdo
ピィ「ふぅ~……っ、やっと終わったぁ……」
ピィ「くっそぉ……、なんだよこのリストの量は」
ピィ(ピィCに、山のようなリストの内容を打ち込む作業)
ピィ(まさに苦行だった……)
ピィ(だが俺の仕事はまだ始まってすらいない)
―――ある日、世界は変わった。それも劇的に。
―――この世には不思議な事というのがあったのだ。
―――偶然なのか、必然なのか、誰も知らない。
―――ただ、その日
―――世界中で、一斉に、その不思議な事が起こった。
―――日常は非日常に変わった。
―――謎の生物が跋扈するようになった。
―――摩訶不思議な現象が発生するようになった。
―――とりたてて
―――能力者。
―――彼らの誕生は、大きく世界を動かした。
―――千差万別、多種多様。
―――年端もいかぬ子供が、明日をも知れぬ老人が
―――宗教の敬虔な信徒が、邪悪な野望を抱くテロリストが
―――人を幸せにする能力に、人に害を成す能力に
―――どこか遠い所で、自分のすぐ隣で。
―――突然目覚めた。
―――更に混乱を招いたのが、それに乗じた存在。
―――『その日』より以前、はるか昔から代々特別な力を持っていた者。
―――そもそも、人ならざる者。
―――今までずっと隠れ住んでいた者。
―――彼らが一斉に正体を現したことで、事態は更にややこしくなった。
―――もう、世界はてんやわんやだった。
ピィ「くっそぉ……、なんだよこのリストの量は」
ピィ(ピィCに、山のようなリストの内容を打ち込む作業)
ピィ(まさに苦行だった……)
ピィ(だが俺の仕事はまだ始まってすらいない)
―――ある日、世界は変わった。それも劇的に。
―――この世には不思議な事というのがあったのだ。
―――偶然なのか、必然なのか、誰も知らない。
―――ただ、その日
―――世界中で、一斉に、その不思議な事が起こった。
―――日常は非日常に変わった。
―――謎の生物が跋扈するようになった。
―――摩訶不思議な現象が発生するようになった。
―――とりたてて
―――能力者。
―――彼らの誕生は、大きく世界を動かした。
―――千差万別、多種多様。
―――年端もいかぬ子供が、明日をも知れぬ老人が
―――宗教の敬虔な信徒が、邪悪な野望を抱くテロリストが
―――人を幸せにする能力に、人に害を成す能力に
―――どこか遠い所で、自分のすぐ隣で。
―――突然目覚めた。
―――更に混乱を招いたのが、それに乗じた存在。
―――『その日』より以前、はるか昔から代々特別な力を持っていた者。
―――そもそも、人ならざる者。
―――今までずっと隠れ住んでいた者。
―――彼らが一斉に正体を現したことで、事態は更にややこしくなった。
―――もう、世界はてんやわんやだった。
131: (仮) ◆TAACIbOrYU 2013/06/17(月) 19:46:44.47 ID:oQgPoRXdo
社長『君にはプロデューサーをやってもらいたい』
ピィ『プロデューサー……?』
社長『世の中には今、能力者と呼ばれている子たちがいるね』
ピィ『はい』
社長『色んな能力がある』
ピィ『空を飛んでいる人とか、もう珍しく無いですよね』
社長『その能力者たちの中には、上手く能力を扱いきれていない者もいるかもしれない』
ピィ『……』
社長『使い方を間違っている者もいるかもしれないし、使い方がわからない者もいるかもしれない』
社長『能力があるが故に疎まれているかもしれない、不便を被っているかもしれない』
社長『私はね、そんな子たちに手を差し伸べられるような、そんな組織を立ち上げたつもりだ』
社長『そして、君には彼らのプロデュースをしてもらいたいんだ』
ピィ『そんな大役……』
社長『なぁに、気負わなくたっていいさ。私だって何度も転んでは立ち上がってきたんだ』
社長『この組織も姿を変え、形を変え、倒産と設立を繰り返してきたものだ』
ピィ『社長……』
社長『さしあたって、1週間以内に能力者をスカウトできないと倒産する』
ピィ『早っ!! ヘタすると1周間でまた無職じゃないですか!!』
社長『そこは君ィ、頑張ってくれたまえよ』
ピィ『わ、わかりました……』
ピィ『プロデューサー……?』
社長『世の中には今、能力者と呼ばれている子たちがいるね』
ピィ『はい』
社長『色んな能力がある』
ピィ『空を飛んでいる人とか、もう珍しく無いですよね』
社長『その能力者たちの中には、上手く能力を扱いきれていない者もいるかもしれない』
ピィ『……』
社長『使い方を間違っている者もいるかもしれないし、使い方がわからない者もいるかもしれない』
社長『能力があるが故に疎まれているかもしれない、不便を被っているかもしれない』
社長『私はね、そんな子たちに手を差し伸べられるような、そんな組織を立ち上げたつもりだ』
社長『そして、君には彼らのプロデュースをしてもらいたいんだ』
ピィ『そんな大役……』
社長『なぁに、気負わなくたっていいさ。私だって何度も転んでは立ち上がってきたんだ』
社長『この組織も姿を変え、形を変え、倒産と設立を繰り返してきたものだ』
ピィ『社長……』
社長『さしあたって、1週間以内に能力者をスカウトできないと倒産する』
ピィ『早っ!! ヘタすると1周間でまた無職じゃないですか!!』
社長『そこは君ィ、頑張ってくれたまえよ』
ピィ『わ、わかりました……』
132: (仮) ◆TAACIbOrYU 2013/06/17(月) 19:47:15.09 ID:oQgPoRXdo
ピィ「……で、これがこの辺で確認されている能力者たち、か」
―――たった今、ピィCに打ち込み終えたリストを無造作に手に取る。
―――ただの目撃情報だけではなく、割りと仔細なデータがそこには載っていた。
ピィ(こんなもん、どうやって調べたんだ……)
―――気になったので以前社長に尋ねたことがあるが。
社長『そりゃまあ、私は顔が広いからね。『お友達』もたくさんいるのさ』
―――と、意味深なことを言ってはぐらかされてしまった。
ピィ「えーっと、とりあえず……」
ピィ「ブライトヒカル、ミッシェルフ・レイナサマ……」
ピィ「……基本こういうのって自称だよな」
―――この二人はどうやらお互いを意識しあっている能力者らしい。
―――ミッシェルフ・レイナサマが能力でいたずら……、本人は世界征服だと公称しているらしいが。
―――そんないたずらを、ブライトヒカルが止めに入ることが多いそうだ。
―――たった今、ピィCに打ち込み終えたリストを無造作に手に取る。
―――ただの目撃情報だけではなく、割りと仔細なデータがそこには載っていた。
ピィ(こんなもん、どうやって調べたんだ……)
―――気になったので以前社長に尋ねたことがあるが。
社長『そりゃまあ、私は顔が広いからね。『お友達』もたくさんいるのさ』
―――と、意味深なことを言ってはぐらかされてしまった。
ピィ「えーっと、とりあえず……」
ピィ「ブライトヒカル、ミッシェルフ・レイナサマ……」
ピィ「……基本こういうのって自称だよな」
―――この二人はどうやらお互いを意識しあっている能力者らしい。
―――ミッシェルフ・レイナサマが能力でいたずら……、本人は世界征服だと公称しているらしいが。
―――そんないたずらを、ブライトヒカルが止めに入ることが多いそうだ。
133: (仮) ◆TAACIbOrYU 2013/06/17(月) 19:48:28.93 ID:oQgPoRXdo
ピィ「なお? このいたずらはあまり悪質なものではなく、洗濯物が黒くなったりする程度……」
ピィ「悪質じゃねーか!」
ピィ「はぁ……」
ピィ「……正体までわかってんのか」
―――二人が出現した際に必ず近くにいる少女。
―――恐らく高い確率でこの南条光と小関麗奈であろう。
ピィ「恐らく、なんて書いてあるけど、名前がまんま入ってるじゃんか……」
ピィ「13歳と14歳……」
ピィ「……」
―――やってることは子供でも、能力は能力だ。
―――使い方を謝れば、きっと恐ろしいことになる。
―――そしてそれを悪用しようとする者も、世の中にはいるのだろう。
―――俺のすべき仕事はその逆だ。
ピィ「悪質じゃねーか!」
ピィ「はぁ……」
ピィ「……正体までわかってんのか」
―――二人が出現した際に必ず近くにいる少女。
―――恐らく高い確率でこの南条光と小関麗奈であろう。
ピィ「恐らく、なんて書いてあるけど、名前がまんま入ってるじゃんか……」
ピィ「13歳と14歳……」
ピィ「……」
―――やってることは子供でも、能力は能力だ。
―――使い方を謝れば、きっと恐ろしいことになる。
―――そしてそれを悪用しようとする者も、世の中にはいるのだろう。
―――俺のすべき仕事はその逆だ。
134: (仮) ◆TAACIbOrYU 2013/06/17(月) 19:49:09.82 ID:oQgPoRXdo
ピィ「えー、次々……」
ピィ「イヴ・サンタクロース」
ピィ「この子は……、あぁ『元から』か」
―――以前から能力を持っていて、それを隠していた者達は、力の使い方を弁えていることが多い。
―――だから、そういう人の元には他の能力者が集ってくることもある。
ピィ「で、それがこの関裕美か」
―――イヴ・サンタクロースが所長を務める『非日常相談事務所』に所属しており
―――能力の系統は魔法。
ピィ「魔法、ってだけ言われても……、随分ざっくりした分け方だな」
ピィ「というかこの二人は既に組織に所属しているんだな」
ピィ「……そんな人のことまで調べなくてもいいんじゃないか?」
ピィ「イヴ・サンタクロース」
ピィ「この子は……、あぁ『元から』か」
―――以前から能力を持っていて、それを隠していた者達は、力の使い方を弁えていることが多い。
―――だから、そういう人の元には他の能力者が集ってくることもある。
ピィ「で、それがこの関裕美か」
―――イヴ・サンタクロースが所長を務める『非日常相談事務所』に所属しており
―――能力の系統は魔法。
ピィ「魔法、ってだけ言われても……、随分ざっくりした分け方だな」
ピィ「というかこの二人は既に組織に所属しているんだな」
ピィ「……そんな人のことまで調べなくてもいいんじゃないか?」
135: (仮) ◆TAACIbOrYU 2013/06/17(月) 19:49:45.38 ID:oQgPoRXdo
ピィ「まぁいいや、次は」
ピィ「ニンジャヒーローアヤカゲ……」
ピィ「ニンジャヒーローて……」
―――『成敗』と書かれた布で顔を隠し、悪事に対処している能力者。
―――身体能力が高く、姿を追い切れないため正体は不明だが
―――顔の隠し方が甘いので、数人の顔見知りからこの少女なのではないか、と予想されている子はいる。
ピィ「それがこの浜口あやめ、ね」
ピィ「忍者の末裔? この子も『元から』なのか」
ピィ「で、そのアヤカゲと度々対峙しているロボット」
ピィ「……の発明者、池袋晶葉」
ピィ「能力、ロボット製作」
ピィ「のう……、りょく……?」
―――能力の定義は曖昧だ。
―――別段誰かが決めてるわけじゃない。
―――わかってても、このプロフィールにはびっくりした。
ピィ「ニンジャヒーローアヤカゲ……」
ピィ「ニンジャヒーローて……」
―――『成敗』と書かれた布で顔を隠し、悪事に対処している能力者。
―――身体能力が高く、姿を追い切れないため正体は不明だが
―――顔の隠し方が甘いので、数人の顔見知りからこの少女なのではないか、と予想されている子はいる。
ピィ「それがこの浜口あやめ、ね」
ピィ「忍者の末裔? この子も『元から』なのか」
ピィ「で、そのアヤカゲと度々対峙しているロボット」
ピィ「……の発明者、池袋晶葉」
ピィ「能力、ロボット製作」
ピィ「のう……、りょく……?」
―――能力の定義は曖昧だ。
―――別段誰かが決めてるわけじゃない。
―――わかってても、このプロフィールにはびっくりした。
136: (仮) ◆TAACIbOrYU 2013/06/17(月) 19:50:12.56 ID:oQgPoRXdo
ピィ「あ、でも一人で二足歩行ロボとか作れるんだ、すげぇ……」
ピィ「ロボ作れんのかー……」
ピィ「……この子欲しいな」
ピィ「メモっとこ」
―――池袋晶葉。
―――ロボットが作れる事以外にも、天才的な頭脳の持ち主であるとも書いてあった。
ピィ「いや、ロボットが作れるならそりゃ天才だろう」
ピィ「むしろ能力:天才の方がいいんじゃないか?」
ピィ「あ、ひょっとしてロボ作る以外のことがてんでダメだったりするのかな」
ピィ「……なんか、可愛いなそれ」
ピィ「……」
―――会ったこともない14歳の少女に勝手な妄想をして、一方的に萌えを抱き始めた。
―――俺はもう、ダメかもしれない。
ピィ「ロボ作れんのかー……」
ピィ「……この子欲しいな」
ピィ「メモっとこ」
―――池袋晶葉。
―――ロボットが作れる事以外にも、天才的な頭脳の持ち主であるとも書いてあった。
ピィ「いや、ロボットが作れるならそりゃ天才だろう」
ピィ「むしろ能力:天才の方がいいんじゃないか?」
ピィ「あ、ひょっとしてロボ作る以外のことがてんでダメだったりするのかな」
ピィ「……なんか、可愛いなそれ」
ピィ「……」
―――会ったこともない14歳の少女に勝手な妄想をして、一方的に萌えを抱き始めた。
―――俺はもう、ダメかもしれない。
137: (仮) ◆TAACIbOrYU 2013/06/17(月) 19:51:11.51 ID:oQgPoRXdo
ピィ「気を取り直して……」
ピィ「ラビッツムーン、ナチュラルラヴァース」
ピィ「『アイドルヒーロー同盟』に所属している……」
ピィ「だから既に組織に所属してるじゃねーか!」
ピィ「しかも超大手だし! 引き抜けってか!?」
―――『アイドルヒーロー同盟』
―――所属する能力者を『アイドルヒーロー』と称し、公式的に悪と戦う事を目的としている。
―――専用の携帯端末が全員に配られるなど、体系だった組織で、設備も整っている。
―――ようはうちとは大違いの大組織なのだ。
ピィ「プロフィールも公式で発表されてること以外書かれてないし……」
ピィ「本名は安部菜々、相葉夕美……」
ピィ「以上」
ピィ「……」
ピィ「えっと、この辺じゃない能力者のもあるのか」
ピィ「ナチュルマリン、ナチュルスカイ」
ピィ「合わせてナチュルスター……」
ピィ「これは、二人組なのか」
―――本名、森久保乃々、白菊ほたる。
―――海を操る能力と、天候を操る能力を持つ。
―――その他癒しの能力などもある。
―――特筆すべきは、その攻撃方法にあり。敵の規模に関わらず……。
ピィ「津波を起こしたり、嵐を起こしたりする為、彼女らが戦うと建物などに被害が出る……」
ピィ「これは……、何というか……」
ピィ「恐ろしいな……」
ピィ「規模がでかいのが恐ろしいな……」
ピィ「ラビッツムーン、ナチュラルラヴァース」
ピィ「『アイドルヒーロー同盟』に所属している……」
ピィ「だから既に組織に所属してるじゃねーか!」
ピィ「しかも超大手だし! 引き抜けってか!?」
―――『アイドルヒーロー同盟』
―――所属する能力者を『アイドルヒーロー』と称し、公式的に悪と戦う事を目的としている。
―――専用の携帯端末が全員に配られるなど、体系だった組織で、設備も整っている。
―――ようはうちとは大違いの大組織なのだ。
ピィ「プロフィールも公式で発表されてること以外書かれてないし……」
ピィ「本名は安部菜々、相葉夕美……」
ピィ「以上」
ピィ「……」
ピィ「えっと、この辺じゃない能力者のもあるのか」
ピィ「ナチュルマリン、ナチュルスカイ」
ピィ「合わせてナチュルスター……」
ピィ「これは、二人組なのか」
―――本名、森久保乃々、白菊ほたる。
―――海を操る能力と、天候を操る能力を持つ。
―――その他癒しの能力などもある。
―――特筆すべきは、その攻撃方法にあり。敵の規模に関わらず……。
ピィ「津波を起こしたり、嵐を起こしたりする為、彼女らが戦うと建物などに被害が出る……」
ピィ「これは……、何というか……」
ピィ「恐ろしいな……」
ピィ「規模がでかいのが恐ろしいな……」
138: (仮) ◆TAACIbOrYU 2013/06/17(月) 19:51:43.72 ID:oQgPoRXdo
ピィ「はぁ、さて、と……」
ピィ「とりあえず大体見終わったし、スカウトに行くか」
ピィ「とりあえず池袋晶葉とー……」
ピィ「……」
ピィ「後はノープラン」
ピィ「どうしたものかなー」
ピィ「うーん……」
―――俺が一人でうんうん唸っていると、女性から声をかけられた
ちひろ「ピィさんが見つけちゃえばいいんですよ」
ピィ「居たんですか」
ちひろ「ずっと」
―――彼女は千川ちひろ
―――俺と同期でこの『プロダクション』に入った事務員である。
―――彼女も能力者の一人であり、その能力は元気の出る謎ドリンクを生成すること。
―――ちひろさんの作るドリンクは、びっくりするほど疲れが取れるのでありがたいのだが
―――ちゃっかりお金を取られるので、飲み過ぎには注意しなければならない。
ピィ「とりあえず大体見終わったし、スカウトに行くか」
ピィ「とりあえず池袋晶葉とー……」
ピィ「……」
ピィ「後はノープラン」
ピィ「どうしたものかなー」
ピィ「うーん……」
―――俺が一人でうんうん唸っていると、女性から声をかけられた
ちひろ「ピィさんが見つけちゃえばいいんですよ」
ピィ「居たんですか」
ちひろ「ずっと」
―――彼女は千川ちひろ
―――俺と同期でこの『プロダクション』に入った事務員である。
―――彼女も能力者の一人であり、その能力は元気の出る謎ドリンクを生成すること。
―――ちひろさんの作るドリンクは、びっくりするほど疲れが取れるのでありがたいのだが
―――ちゃっかりお金を取られるので、飲み過ぎには注意しなければならない。
139: (仮) ◆TAACIbOrYU 2013/06/17(月) 19:52:14.55 ID:oQgPoRXdo
ピィ「見つけるって、何をですか?」
ちひろ「もちろんっ、能力者ですよ」
ピィ「まさか、まだ見つかってない能力者を……?」
ちひろ「はいっ! きっとピィさんならできます!」
ピィ「いやいや、買いかぶりすぎですよ」
ちひろ「わたし、ピィさんには、そういうことができる才能があると思います」
ピィ「俺は能力者じゃ無いですよ?」
ちひろ「知ってます。能力じゃなくて才能です!」
ちひろ「巷じゃ能力能力言ってますけど、その人が元々持っている才能というものが最近蔑ろにされてる気がします」
ピィ「才能ありきの能力とかもあるけど……」
ちひろ「それは一旦置いといて」
ピィ「まぁ、わかりましたよ。俺にはまだ見つかってない能力者を見つけられる才能があるってことですね?」
ちひろ「はいっ!」
ピィ「あー、もー……、しょうがない! じゃあ見つけて来ますよ!」
ちひろ「今日中に見つけられなかったら倒産ですからね!」
ピィ「そうだった……」
ちひろ「いってらっしゃーい!」
ピィ「行ってきます」
ちひろ「もちろんっ、能力者ですよ」
ピィ「まさか、まだ見つかってない能力者を……?」
ちひろ「はいっ! きっとピィさんならできます!」
ピィ「いやいや、買いかぶりすぎですよ」
ちひろ「わたし、ピィさんには、そういうことができる才能があると思います」
ピィ「俺は能力者じゃ無いですよ?」
ちひろ「知ってます。能力じゃなくて才能です!」
ちひろ「巷じゃ能力能力言ってますけど、その人が元々持っている才能というものが最近蔑ろにされてる気がします」
ピィ「才能ありきの能力とかもあるけど……」
ちひろ「それは一旦置いといて」
ピィ「まぁ、わかりましたよ。俺にはまだ見つかってない能力者を見つけられる才能があるってことですね?」
ちひろ「はいっ!」
ピィ「あー、もー……、しょうがない! じゃあ見つけて来ますよ!」
ちひろ「今日中に見つけられなかったら倒産ですからね!」
ピィ「そうだった……」
ちひろ「いってらっしゃーい!」
ピィ「行ってきます」
140: (仮) ◆TAACIbOrYU 2013/06/17(月) 19:52:56.73 ID:oQgPoRXdo
ピィ(と、言ったはいいものの)
ピィ(そんな才能なんてものが俺に備わっているとは思えないんだけどなぁ……)
ピィ(地道にやるしかないか……、ん?)
??「♪~」
―――半ば投げやりになりながら、道を歩いていると、一人の少女を見つけた。
―――可愛い。
―――俺の中の才能があの子はきっと能力者だと囁いている。
―――ような気がするので、ちょっとお茶にでも誘ってみよう。
―――これはナンパでは無い、スカウトだ。
ピィ「君! ちょっといいかな?」
??「はい?」
ピィ「僕はこういうものなんだけど……、あれ、名刺……」
??「えっと……」
ピィ「あったあった、はい!」
??「『プロダクション』のピィさん……?」
ピィ「ちょっと話だけでも聞いてくれないかな? ちょうどそこに喫茶店もあるし」
??「とりあえず、話だけなら……」
ピィ「ありがとう! そういえばまだ名前を聞いてなかったね?」
??「あっ、私……」
藍子「高森藍子といいます」
ピィ(そんな才能なんてものが俺に備わっているとは思えないんだけどなぁ……)
ピィ(地道にやるしかないか……、ん?)
??「♪~」
―――半ば投げやりになりながら、道を歩いていると、一人の少女を見つけた。
―――可愛い。
―――俺の中の才能があの子はきっと能力者だと囁いている。
―――ような気がするので、ちょっとお茶にでも誘ってみよう。
―――これはナンパでは無い、スカウトだ。
ピィ「君! ちょっといいかな?」
??「はい?」
ピィ「僕はこういうものなんだけど……、あれ、名刺……」
??「えっと……」
ピィ「あったあった、はい!」
??「『プロダクション』のピィさん……?」
ピィ「ちょっと話だけでも聞いてくれないかな? ちょうどそこに喫茶店もあるし」
??「とりあえず、話だけなら……」
ピィ「ありがとう! そういえばまだ名前を聞いてなかったね?」
??「あっ、私……」
藍子「高森藍子といいます」
141: (仮) ◆TAACIbOrYU 2013/06/17(月) 19:53:32.52 ID:oQgPoRXdo
『プロダクション』
あらゆる能力者の支援を目的に設立された組織。
具体的な方針はまだ定まっていないが、能力の正しく健全な使用
また、それによる社会支援などを検討している。
組織に所属することによる拘束などは仕事がある時以外は無く
気が向いたら来て、好きなときに帰って良い、溜まり場のような場所である。
ピィ
職業:プロデューサー
属性:成人男性
能力:無し
『プロダクション』に所属するプロデューサー。社長にピィと名乗るように言われている、理由は謎。
Pではなくピィ。ぶっちゃけ今後他のPが現れるかもしれないので予防線を張っただけ。
能力は無いが、能力者を見つける才能に長けている。
社長
職業:社長
属性:中年男性
能力:無し
組織『プロダクション』の社長。心優しい人物。
独自の情報網があり、様々な能力者のプロフィールを提供してくれる。
千川ちひろ
職業:事務員
属性:運営の天使
能力:元気の出る謎ドリンクを生成すること
『プロダクション』に所属する事務員。あまり黒くない。
彼女の提供してくれるドリンクはものすごい効き目だが、お金を取られる。
でもそんな高くないので、皆さんじゃんじゃん買ってあげてくださいね!
あらゆる能力者の支援を目的に設立された組織。
具体的な方針はまだ定まっていないが、能力の正しく健全な使用
また、それによる社会支援などを検討している。
組織に所属することによる拘束などは仕事がある時以外は無く
気が向いたら来て、好きなときに帰って良い、溜まり場のような場所である。
ピィ
職業:プロデューサー
属性:成人男性
能力:無し
『プロダクション』に所属するプロデューサー。社長にピィと名乗るように言われている、理由は謎。
Pではなくピィ。ぶっちゃけ今後他のPが現れるかもしれないので予防線を張っただけ。
能力は無いが、能力者を見つける才能に長けている。
社長
職業:社長
属性:中年男性
能力:無し
組織『プロダクション』の社長。心優しい人物。
独自の情報網があり、様々な能力者のプロフィールを提供してくれる。
千川ちひろ
職業:事務員
属性:運営の天使
能力:元気の出る謎ドリンクを生成すること
『プロダクション』に所属する事務員。あまり黒くない。
彼女の提供してくれるドリンクはものすごい効き目だが、お金を取られる。
でもそんな高くないので、皆さんじゃんじゃん買ってあげてくださいね!
150: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/17(月) 23:54:00.01 ID:eyoQD45t0
それなりに大きく、四方を壁で囲まれた場所に少女が一人立っている。
天井のスピーカーから男性の声が流れる。
『射撃訓練開始。』
夏樹「…了解。」
夏樹は普通の少女ではない。彼女の周りに複数の目玉型ユニットが浮かんでおり、周囲を旋回している。
夏樹の背後にターゲットが出現した次の瞬間、ユニットの一つが光線を放ち、貫いた。
次々と出現してくるそれらを、夏樹自身は全く動かずにクリアする。
最後に目の前に現れた巨大なそれに、二つのレーザーが当たるも壊れない。
夏樹は最後の最後に手袋をした両手を動かした。
夏樹「バン!」
そして最後のターゲットは破壊され、夏樹は持っていなかったはずの拳銃を両手に持っていた。
『お見事だ。さぁ、次の訓練を開始する…』
天井のスピーカーから男性の声が流れる。
『射撃訓練開始。』
夏樹「…了解。」
夏樹は普通の少女ではない。彼女の周りに複数の目玉型ユニットが浮かんでおり、周囲を旋回している。
夏樹の背後にターゲットが出現した次の瞬間、ユニットの一つが光線を放ち、貫いた。
次々と出現してくるそれらを、夏樹自身は全く動かずにクリアする。
最後に目の前に現れた巨大なそれに、二つのレーザーが当たるも壊れない。
夏樹は最後の最後に手袋をした両手を動かした。
夏樹「バン!」
そして最後のターゲットは破壊され、夏樹は持っていなかったはずの拳銃を両手に持っていた。
『お見事だ。さぁ、次の訓練を開始する…』
151: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/17(月) 23:54:47.25 ID:eyoQD45t0
夏樹「ハァ…」
「疲労しているのか?あの娘との面会を中止するか?」
夏樹「…するわけないじゃん。」
「ならばもっと素早く無駄のない行動をしろ。」
夏樹「はいはい。」
李衣菜「なつきち!」
夏樹「よぉ、だりー。」
牢屋の中にいたのは、つぎはぎだらけの肌の、頭にボルトが刺さった、眼帯の少女。夏樹の親友である。
李衣菜「今日も訓練お疲れ様!」
夏樹「ん、ありがと。そっちは何かあったか?」
李衣菜「えっと、今日はね…」
「疲労しているのか?あの娘との面会を中止するか?」
夏樹「…するわけないじゃん。」
「ならばもっと素早く無駄のない行動をしろ。」
夏樹「はいはい。」
李衣菜「なつきち!」
夏樹「よぉ、だりー。」
牢屋の中にいたのは、つぎはぎだらけの肌の、頭にボルトが刺さった、眼帯の少女。夏樹の親友である。
李衣菜「今日も訓練お疲れ様!」
夏樹「ん、ありがと。そっちは何かあったか?」
李衣菜「えっと、今日はね…」
153: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/17(月) 23:55:40.81 ID:eyoQD45t0
…木村夏樹と多田李衣菜、彼女達は交通事故で搬送されているところを悪質な宇宙人に誘拐された。
四肢が使い物にならなくても辛うじて生きていた夏樹は改造人間に。
ほぼ即死状態だった李衣菜はフランケンのような怪物に。
彼らはどうやらどこかの政府に反逆を目論んでいるらしく、その駒として使われるらしい。
数日に一度の牢屋越しの会話。彼女、李衣菜は、夏樹にとってのある種の人質である。
二人の首には首輪が巻かれており、研究員の意思で好きに電流を流したり、爆破させることができる。
夏樹は空間を移動できる穴を自由に生成する能力を持っており、その能力で自在に武器を取り出せるのだが…その気になれば脱走も反逆もできる。
しかし、それでは李衣菜は殺されてしまうのだ。無許可で牢屋を出た瞬間に、銃を向けた瞬間に…一度死んで、また死ぬのだ。理不尽に。
それは李衣菜にとっての夏樹でもあった。怪力と電流攻撃を搭載された李衣菜でも、逆らうことができないのだ。
四肢が使い物にならなくても辛うじて生きていた夏樹は改造人間に。
ほぼ即死状態だった李衣菜はフランケンのような怪物に。
彼らはどうやらどこかの政府に反逆を目論んでいるらしく、その駒として使われるらしい。
数日に一度の牢屋越しの会話。彼女、李衣菜は、夏樹にとってのある種の人質である。
二人の首には首輪が巻かれており、研究員の意思で好きに電流を流したり、爆破させることができる。
夏樹は空間を移動できる穴を自由に生成する能力を持っており、その能力で自在に武器を取り出せるのだが…その気になれば脱走も反逆もできる。
しかし、それでは李衣菜は殺されてしまうのだ。無許可で牢屋を出た瞬間に、銃を向けた瞬間に…一度死んで、また死ぬのだ。理不尽に。
それは李衣菜にとっての夏樹でもあった。怪力と電流攻撃を搭載された李衣菜でも、逆らうことができないのだ。
154: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/17(月) 23:56:48.56 ID:eyoQD45t0
夏樹「…そういえばさ、だりーはあの扉、知ってるか?」
李衣菜「あの扉?」
見張りはこちらの会話に興味はないようだ。こっそりと話を続ける。
夏樹「アタシの牢屋の近くに、分厚い扉があって…連れてこられたばっかりの時、小学1年生位の女の子が入れられた所なんだけど…。」
李衣菜「あ、あの扉!それがどうかしたの?」
夏樹「いや、最近あの扉の中に毎日いろいろ入れられていてさ…なんか聞いてたりしないか?」
李衣菜「うーん、特に何も…あの口が軽い監視の時にさりげなく聞いておこうか?たしかあと三日であの人の番だし。」
夏樹「怪しまれない程度にしておけよ?」
李衣菜「大丈夫!そのふらふぃ、ふ、ふが…。」
夏樹「げ、声帯補助装置ずれたか?」
李衣菜「ふが、ふがっふふぉが…ふぅ、急にずれたからびっくりしたぁ…」
夏樹「まったく…びっくりさせやがって…ん、そろそろ時間か…。」
ピピピピピピピピ…
夏樹がつぶやくと同時に監視員が持っていたタイマーが鳴り、欠伸をしていた監視員が真面目な顔に戻る。
「…あ、時間か。…ほら時間だ!面会時間は終わりだ!」
夏樹「はいはい、わかってるって。じゃあな、また次の面会まで頑張れよ!」
李衣菜「なつきちもね!」
名残惜しい別れ。監視員に背を押され、李衣菜の牢屋のあるスペースの自動ドアの外に出る。
自分の牢屋のあるスペースの自動ドアをくぐって自分の牢屋に入り、牢屋のカギをかけられ、冷たいベッドに横になる。
両腕に目玉型ユニットをしまうと完全に視界が無くなる。両目はもう義眼だから光を拾えない。
そのまま目を閉じて更なる暗闇の中へ落ちてゆく。これがもう慣れてしまった日常…だった。
あの日が来るまでは。
李衣菜「あの扉?」
見張りはこちらの会話に興味はないようだ。こっそりと話を続ける。
夏樹「アタシの牢屋の近くに、分厚い扉があって…連れてこられたばっかりの時、小学1年生位の女の子が入れられた所なんだけど…。」
李衣菜「あ、あの扉!それがどうかしたの?」
夏樹「いや、最近あの扉の中に毎日いろいろ入れられていてさ…なんか聞いてたりしないか?」
李衣菜「うーん、特に何も…あの口が軽い監視の時にさりげなく聞いておこうか?たしかあと三日であの人の番だし。」
夏樹「怪しまれない程度にしておけよ?」
李衣菜「大丈夫!そのふらふぃ、ふ、ふが…。」
夏樹「げ、声帯補助装置ずれたか?」
李衣菜「ふが、ふがっふふぉが…ふぅ、急にずれたからびっくりしたぁ…」
夏樹「まったく…びっくりさせやがって…ん、そろそろ時間か…。」
ピピピピピピピピ…
夏樹がつぶやくと同時に監視員が持っていたタイマーが鳴り、欠伸をしていた監視員が真面目な顔に戻る。
「…あ、時間か。…ほら時間だ!面会時間は終わりだ!」
夏樹「はいはい、わかってるって。じゃあな、また次の面会まで頑張れよ!」
李衣菜「なつきちもね!」
名残惜しい別れ。監視員に背を押され、李衣菜の牢屋のあるスペースの自動ドアの外に出る。
自分の牢屋のあるスペースの自動ドアをくぐって自分の牢屋に入り、牢屋のカギをかけられ、冷たいベッドに横になる。
両腕に目玉型ユニットをしまうと完全に視界が無くなる。両目はもう義眼だから光を拾えない。
そのまま目を閉じて更なる暗闇の中へ落ちてゆく。これがもう慣れてしまった日常…だった。
あの日が来るまでは。
155: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/17(月) 23:57:43.78 ID:eyoQD45t0
訓練から帰る途中。今日は李衣菜との面会もない日。
ドォォォォンと、響くような音が鳴った。
夏樹「…?なんだ?」
ビービー!ビービー!
「はい、こちら…な!?侵入者!?母星の軍か?…宇宙管理局!?了解!直ちにこいつを向かわせる!」
白くて長い耳を動かして振り返ってくる。
「おい、侵入者だ!直ちに撃退命令を下す!」
夏樹「…了解。」ダッ
「あのフランケン娘にも連絡は行っているからな…ふふ、政府の奴らめ…我らの技術力を甘く見ない方がいい…」
ドォォォォンと、響くような音が鳴った。
夏樹「…?なんだ?」
ビービー!ビービー!
「はい、こちら…な!?侵入者!?母星の軍か?…宇宙管理局!?了解!直ちにこいつを向かわせる!」
白くて長い耳を動かして振り返ってくる。
「おい、侵入者だ!直ちに撃退命令を下す!」
夏樹「…了解。」ダッ
「あのフランケン娘にも連絡は行っているからな…ふふ、政府の奴らめ…我らの技術力を甘く見ない方がいい…」
156: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/17(月) 23:58:12.32 ID:eyoQD45t0
きらり「きらりん☆ビーム!」
チュドーン
管理局軍「壁が壊れたぞ!突撃―!」ドドドドド
きらり「にょわー!」ドドドド
管理局軍・L「誘拐された被験体の少女たちは無力化するだけでいい!研究員は逃がすな!」
チュドーン
管理局軍「壁が壊れたぞ!突撃―!」ドドドドド
きらり「にょわー!」ドドドド
管理局軍・L「誘拐された被験体の少女たちは無力化するだけでいい!研究員は逃がすな!」
157: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/17(月) 23:58:56.85 ID:eyoQD45t0
李衣菜「なつきち!こっちこっち!相手の死角っぽい!」
夏樹「…あれが侵入者か…どうする?」
李衣菜「…助けてもらえないかな?」
夏樹「…今は無理だな。首輪を何とかしないと…」
きらり「…ほえ?」
夏樹「!」ヒュン
管理局軍・L「きらり、どうした?」
きらり「あ、リーダーちゃん!あっちに女の子がいたのー!目があったら消えちゃってきらりすっごくびっくり!照れ屋さん?モジモジ?うっきゃー!」
管理局軍・L「…きらり、少し声の大きさを考えてくれ…。」
きらり「はーい!」
夏樹「…あれが侵入者か…どうする?」
李衣菜「…助けてもらえないかな?」
夏樹「…今は無理だな。首輪を何とかしないと…」
きらり「…ほえ?」
夏樹「!」ヒュン
管理局軍・L「きらり、どうした?」
きらり「あ、リーダーちゃん!あっちに女の子がいたのー!目があったら消えちゃってきらりすっごくびっくり!照れ屋さん?モジモジ?うっきゃー!」
管理局軍・L「…きらり、少し声の大きさを考えてくれ…。」
きらり「はーい!」
158: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/17(月) 23:59:42.64 ID:eyoQD45t0
夏樹「あっぶねぇ…」
李衣菜「予告なしにワープ穴作らないでよぉ…」
夏樹「あーゴメンな。あのデカいの、目からビーム出してたから撃たれるかと思って焦った…。で、ここはどこ…」
「でかいのって、もしかしてきらりの事―?」
夏樹「」
李衣菜「」
きらり「きらりん☆」
李衣菜「予告なしにワープ穴作らないでよぉ…」
夏樹「あーゴメンな。あのデカいの、目からビーム出してたから撃たれるかと思って焦った…。で、ここはどこ…」
「でかいのって、もしかしてきらりの事―?」
夏樹「」
李衣菜「」
きらり「きらりん☆」
160: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/18(火) 00:00:22.19 ID:anvFtjww0
夏樹「な、なんで…」
きらり「きらりね、二人が消えたところで、会いたいなーって思ったら、きらりんぱわーがビビッ!てなって、ばびゅーん!ってここに来てたの!」
夏樹「消えきってなかった微かな穴の残骸か…!」
きらり「…?首に着けてるの、なんだかはぴはぴじゃないにぃ…?」
李衣菜「さ、触っちゃダメ!爆発しちゃうから!」
夏樹「おい馬鹿、相手は敵だぞ!?」
きらり「…よーし!」コォォォォ
きらり「W★きらりん☆ビーム!極小圧縮ばーん!」ヒュヒュン!
夏樹「」
李衣菜「」
きらり「これでもうだいじょーぶ!首輪はきらりがヒュンヒュンポロン♪な感じで切ったの!」
李衣菜「…嘘、こんなあっけなく…?」
夏樹「だ、だりー!アタシ達もう自由だ!」
李衣菜「うん…!」
きらり「うんうん!はぴはぴで、きらりんぱわーがゴゴゴゴ!滾ってきたぁ!いってきまー!」ダッダダダダダダダ
きらり「きらりね、二人が消えたところで、会いたいなーって思ったら、きらりんぱわーがビビッ!てなって、ばびゅーん!ってここに来てたの!」
夏樹「消えきってなかった微かな穴の残骸か…!」
きらり「…?首に着けてるの、なんだかはぴはぴじゃないにぃ…?」
李衣菜「さ、触っちゃダメ!爆発しちゃうから!」
夏樹「おい馬鹿、相手は敵だぞ!?」
きらり「…よーし!」コォォォォ
きらり「W★きらりん☆ビーム!極小圧縮ばーん!」ヒュヒュン!
夏樹「」
李衣菜「」
きらり「これでもうだいじょーぶ!首輪はきらりがヒュンヒュンポロン♪な感じで切ったの!」
李衣菜「…嘘、こんなあっけなく…?」
夏樹「だ、だりー!アタシ達もう自由だ!」
李衣菜「うん…!」
きらり「うんうん!はぴはぴで、きらりんぱわーがゴゴゴゴ!滾ってきたぁ!いってきまー!」ダッダダダダダダダ
161: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/18(火) 00:00:58.23 ID:anvFtjww0
夏樹「…!そういえば、あの扉の奥の女の子!」
李衣菜「!…えっと、きらり?って人に知らせた方がいいのかな?」
夏樹「…取りあえず追いかけるか…そもそも帰り方が分かんねぇし…。いくぞ。」ヒュン
李衣菜「だからいきなり穴を足元に作らないdふぉ…ふがぁぁぁぁ…」ヒューン
李衣菜「!…えっと、きらり?って人に知らせた方がいいのかな?」
夏樹「…取りあえず追いかけるか…そもそも帰り方が分かんねぇし…。いくぞ。」ヒュン
李衣菜「だからいきなり穴を足元に作らないdふぉ…ふがぁぁぁぁ…」ヒューン
162: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/18(火) 00:01:32.40 ID:anvFtjww0
「所長!二体の首輪の反応が消えました!」
「何?…仕方ない。我らの作った究極生命体を開放するしかないな…」
「!?あ、あ、あいつは危険です!今は遠隔操作で餌を与えているから大丈夫なだけで!あいつは我々が手綱を握れる相手ではありません!」
「うるさい!いまは管理局の連中を全滅させることだけを考えろ!」
「何?…仕方ない。我らの作った究極生命体を開放するしかないな…」
「!?あ、あ、あいつは危険です!今は遠隔操作で餌を与えているから大丈夫なだけで!あいつは我々が手綱を握れる相手ではありません!」
「うるさい!いまは管理局の連中を全滅させることだけを考えろ!」
163: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/18(火) 00:02:42.58 ID:anvFtjww0
管理局軍「リーダー!研究員全員が一つの扉に向かっています!」
管理局軍・L「非常口か!?」
夏樹「…いや、違うと思うな。」
管理局軍・L「…君はこの施設の被験者か?」
夏樹「…そうだ。テレポートみたいなことができる。さっきアンタ達の仲間のきらりって奴に助けてもらった。」
李衣菜「ふふがふ!」
管理局軍・L「そうか。…ならばあの扉の向こうには何がある?」
夏樹「…直接見たことはないけど、女の子やいろんな動物が中に入れられていたのを見たんだ。」
管理局軍「…どうします、リーダー?」
きらり「リーダーちゃーん!行くの?行かないの?どっちどっち?」
管理局軍・L「我々の任務は誘拐された被験者の保護と研究員の捕獲だ。どちらにしろ行かなくてはならない。」
きらり「よぉーし!じゃあきらり先頭ねー!」
きらりが分厚い扉を開く。その扉の中には…地下へと伸びる階段のみがあった。
相談の結果、きらりを先頭に、リーダー、夏樹、李衣菜、その後ろに管理局軍全員が入ることとなった。
管理局軍「…いいんですかリーダー?あの二人まで連れてきて…」
管理局軍・L「本人の希望だ。それにあの年上の方はテレポート能力を持っている。いざとなれば避難してくれるはずだ。」
管理局軍・L「非常口か!?」
夏樹「…いや、違うと思うな。」
管理局軍・L「…君はこの施設の被験者か?」
夏樹「…そうだ。テレポートみたいなことができる。さっきアンタ達の仲間のきらりって奴に助けてもらった。」
李衣菜「ふふがふ!」
管理局軍・L「そうか。…ならばあの扉の向こうには何がある?」
夏樹「…直接見たことはないけど、女の子やいろんな動物が中に入れられていたのを見たんだ。」
管理局軍「…どうします、リーダー?」
きらり「リーダーちゃーん!行くの?行かないの?どっちどっち?」
管理局軍・L「我々の任務は誘拐された被験者の保護と研究員の捕獲だ。どちらにしろ行かなくてはならない。」
きらり「よぉーし!じゃあきらり先頭ねー!」
きらりが分厚い扉を開く。その扉の中には…地下へと伸びる階段のみがあった。
相談の結果、きらりを先頭に、リーダー、夏樹、李衣菜、その後ろに管理局軍全員が入ることとなった。
管理局軍「…いいんですかリーダー?あの二人まで連れてきて…」
管理局軍・L「本人の希望だ。それにあの年上の方はテレポート能力を持っている。いざとなれば避難してくれるはずだ。」
164: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/18(火) 00:03:22.93 ID:anvFtjww0
地下へと伸びる階段は、薄暗い明かりに照らされている。
降り切ると広場のようになっていて、その広場の壁に大きな鉄の扉があった。
地面をよく観察すると、研究員たちの物らしき足跡が一直線にその扉に伸びていた。
きらり「ここ?」
管理局軍・L「二人は下がっていてくれ。突撃用意!」
しかし、突撃する前に扉が所長によって開けられる。
「ようこそ。我らの最高傑作のショーに!」
所長は他の研究員達の下へ優雅に戻りながら語りだす。
あっけにとられたのか、それとも情報が欲しいのか、管理局軍は手出しをしない。
そして高校生くらいだろうか、ボロボロの白いワンピースの少女が目隠しをされ、足枷と手錠で壁と繋がれていた。
普通の人間と違うところは、見える限りでは虎の耳と左手、それに蛇の尻尾のみだ。
降り切ると広場のようになっていて、その広場の壁に大きな鉄の扉があった。
地面をよく観察すると、研究員たちの物らしき足跡が一直線にその扉に伸びていた。
きらり「ここ?」
管理局軍・L「二人は下がっていてくれ。突撃用意!」
しかし、突撃する前に扉が所長によって開けられる。
「ようこそ。我らの最高傑作のショーに!」
所長は他の研究員達の下へ優雅に戻りながら語りだす。
あっけにとられたのか、それとも情報が欲しいのか、管理局軍は手出しをしない。
そして高校生くらいだろうか、ボロボロの白いワンピースの少女が目隠しをされ、足枷と手錠で壁と繋がれていた。
普通の人間と違うところは、見える限りでは虎の耳と左手、それに蛇の尻尾のみだ。
165: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/18(火) 00:03:50.71 ID:anvFtjww0
「やれ。」
そう所長が言うと、研究員達は彼女の足枷と手錠を外す。
そして最後に所長が目隠しを外す。
管理局軍・L「総員警戒態勢!」
少女が目を開ける。真っ赤な瞳が辺りを見渡し…研究員を捕えた瞬間
「おなか、すいた」
部屋中が黒で染まった。
そう所長が言うと、研究員達は彼女の足枷と手錠を外す。
そして最後に所長が目隠しを外す。
管理局軍・L「総員警戒態勢!」
少女が目を開ける。真っ赤な瞳が辺りを見渡し…研究員を捕えた瞬間
「おなか、すいた」
部屋中が黒で染まった。
166: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/18(火) 00:04:31.88 ID:anvFtjww0
…いや、目玉型ユニットで視覚を得ている夏樹だけが状況を把握していた。
夏樹「…!?」
黒いドロドロしたものが少女の体から湧き上がり、食らう様に研究員達に襲い掛かかり、部屋中をその黒で覆い尽くしたのだ。
そして、部屋中の壁に、無数の目玉が浮かび上がった。
統一性もない、無数の動物の瞳。
李衣菜「ヒィ!」
管理局軍「な、何事だ!?」
ギラギラ、ピカピカ光る目玉。皮肉にもそれが明かりの代わりとなって部屋中の様子を映し出した。
部屋の壁には研究員が…まるで壁から生えたような生き物たちに丸呑みにされていた。
少女自身もまるでその黒に溶けてしまいそうに見えた…実際、体の半分ほどがその黒に浸食されているのだが。
夏樹「…!?」
黒いドロドロしたものが少女の体から湧き上がり、食らう様に研究員達に襲い掛かかり、部屋中をその黒で覆い尽くしたのだ。
そして、部屋中の壁に、無数の目玉が浮かび上がった。
統一性もない、無数の動物の瞳。
李衣菜「ヒィ!」
管理局軍「な、何事だ!?」
ギラギラ、ピカピカ光る目玉。皮肉にもそれが明かりの代わりとなって部屋中の様子を映し出した。
部屋の壁には研究員が…まるで壁から生えたような生き物たちに丸呑みにされていた。
少女自身もまるでその黒に溶けてしまいそうに見えた…実際、体の半分ほどがその黒に浸食されているのだが。
167: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/18(火) 00:05:03.12 ID:anvFtjww0
黒からはたくさんの生き物が食らおうと襲い掛かってくる。
少女はその様子を…本当に見てるのか定かではない、死んだ瞳で見ていた。
「おなか、すいたよぉ…ちがう、すいてなんかない…」
ボソリ、ボソリと呟きながら。
しかし、その部屋のほとんどの人間が壁や床、天井から湧き続ける動物たちの対処に追われ、聞こえていない。
少女はその様子を…本当に見てるのか定かではない、死んだ瞳で見ていた。
「おなか、すいたよぉ…ちがう、すいてなんかない…」
ボソリ、ボソリと呟きながら。
しかし、その部屋のほとんどの人間が壁や床、天井から湧き続ける動物たちの対処に追われ、聞こえていない。
168: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/18(火) 00:05:49.81 ID:anvFtjww0
きらり「…」
そんな中、きらりは自分に噛みついてくるそれらを振り払いながら少女に駆け寄った。
きらり「だいじょーぶ?怖いの?」
「…おねぇちゃん、だれ?」
見た目よりも幼い言葉遣いで彼女は問う。
きらり「きらりは、きらりだよ!君は?」
「…なお。かみや、なお。」
急に、動物たちの動きが鈍くなる。
きらり「そっかー!なおちゃんって言うんだぁ!はぐはぐしてもいいー?」
なお「…うん。」
きらり「うっきゃー!なおちゃんかわいー!!はぴはぴが、なおちゃんにもいきますよーに!」
きらりの両手から、光が放たれる。そしてその光が部屋を覆い尽くしていた黒の動きを完全に止めた。
なお「…あったかい…。」
きらり「なおちゃん?」
部屋の中の黒が彼女に収束して、彼女の体を蝕んでいた黒も消え去った。
丸呑みにされていた研究員もそのままの姿で地に伏せている。
すぐさま管理局軍が駆け寄り拘束し、全てが終わった。
そんな中、きらりは自分に噛みついてくるそれらを振り払いながら少女に駆け寄った。
きらり「だいじょーぶ?怖いの?」
「…おねぇちゃん、だれ?」
見た目よりも幼い言葉遣いで彼女は問う。
きらり「きらりは、きらりだよ!君は?」
「…なお。かみや、なお。」
急に、動物たちの動きが鈍くなる。
きらり「そっかー!なおちゃんって言うんだぁ!はぐはぐしてもいいー?」
なお「…うん。」
きらり「うっきゃー!なおちゃんかわいー!!はぴはぴが、なおちゃんにもいきますよーに!」
きらりの両手から、光が放たれる。そしてその光が部屋を覆い尽くしていた黒の動きを完全に止めた。
なお「…あったかい…。」
きらり「なおちゃん?」
部屋の中の黒が彼女に収束して、彼女の体を蝕んでいた黒も消え去った。
丸呑みにされていた研究員もそのままの姿で地に伏せている。
すぐさま管理局軍が駆け寄り拘束し、全てが終わった。
169: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/18(火) 00:06:36.43 ID:anvFtjww0
これが約一年前の事。今、彼女たちは地球で暮らしていた。
『グオオオオオ!俺が!一番!強いんだヨォォォォォォォォ!』
奈緒「夏樹!周辺の住民は?」
夏樹「避難完了だ!思いっきりやろうか!」
李衣菜「おっけー!」
きらり「おにゃーしゃー!」
奈緒が虎の姿になり、きらりを乗せながらカースを錯乱。
きらり「きらりん☆ビーム!」
錯乱した隙だらけのカースにきらりと夏樹が攻撃を打ち込み続ける。
夏樹「だりー!今だ!」
夏樹が作った穴に飛び込み、カースの真上から李衣菜が飛び込む。
李衣菜「くらえ!」
黒いドロドロの体に思い切り李衣菜が放電する。その体に電気に反応して輝く部分があった。
奈緒「見つけた!」
きらりを降ろした奈緒が左の虎の手で切り裂く。カースの黒い体と黄色い核が見事に粉々になった。
きらり「よーし!大成功―!リーダーちゃんも喜んでくれるよね!」
『グオオオオオ!俺が!一番!強いんだヨォォォォォォォォ!』
奈緒「夏樹!周辺の住民は?」
夏樹「避難完了だ!思いっきりやろうか!」
李衣菜「おっけー!」
きらり「おにゃーしゃー!」
奈緒が虎の姿になり、きらりを乗せながらカースを錯乱。
きらり「きらりん☆ビーム!」
錯乱した隙だらけのカースにきらりと夏樹が攻撃を打ち込み続ける。
夏樹「だりー!今だ!」
夏樹が作った穴に飛び込み、カースの真上から李衣菜が飛び込む。
李衣菜「くらえ!」
黒いドロドロの体に思い切り李衣菜が放電する。その体に電気に反応して輝く部分があった。
奈緒「見つけた!」
きらりを降ろした奈緒が左の虎の手で切り裂く。カースの黒い体と黄色い核が見事に粉々になった。
きらり「よーし!大成功―!リーダーちゃんも喜んでくれるよね!」
170: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/18(火) 00:07:09.17 ID:anvFtjww0
菜々「プロデューサーさん!ネバーディスペアが高慢のカースを狩ったようです。」
『何!?ハァ…あの子達、アイドルやってくれないかなぁ…』
菜々「…無理だと思いますよ?」
『それは分かるが…こう、うちの営業のある種の妨害になってるというか…同盟の偉い人があの子たちの悪口ばかり言うからさ…』
夕美「…汚い人。」ボソッ
菜々「しーっ!夕美ちゃん!?それはマズイですから!もっとオブラートに包んで!」
『…ネバーディスペア…いったい何者なんだ…?』
彼女たちは、今日もどこかで絶望を狩る。
『何!?ハァ…あの子達、アイドルやってくれないかなぁ…』
菜々「…無理だと思いますよ?」
『それは分かるが…こう、うちの営業のある種の妨害になってるというか…同盟の偉い人があの子たちの悪口ばかり言うからさ…』
夕美「…汚い人。」ボソッ
菜々「しーっ!夕美ちゃん!?それはマズイですから!もっとオブラートに包んで!」
『…ネバーディスペア…いったい何者なんだ…?』
彼女たちは、今日もどこかで絶望を狩る。
171: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/18(火) 00:07:53.09 ID:anvFtjww0
※ネバーディスペア
意味は「絶望するなかれ。」
時々ネバーディスペアーズとも呼ばれている。
4名の女性からなるグループということしかよく分かっていないらしい。
カースを中心に、悪人の討伐も行う。
基本的に、カースは本業の人、悪人には最もふさわしい正義の味方がいた場合、5分待ってこなかった場合のみ討伐を開始するというポリシーがあるが、非常時は例外。
宇宙管理局の送り込んだ最強部隊…らしい
アイドルヒーロー同盟の上層部からは目の敵にされている。
「5分以内に来ない方が悪いだろ?」
意味は「絶望するなかれ。」
時々ネバーディスペアーズとも呼ばれている。
4名の女性からなるグループということしかよく分かっていないらしい。
カースを中心に、悪人の討伐も行う。
基本的に、カースは本業の人、悪人には最もふさわしい正義の味方がいた場合、5分待ってこなかった場合のみ討伐を開始するというポリシーがあるが、非常時は例外。
宇宙管理局の送り込んだ最強部隊…らしい
アイドルヒーロー同盟の上層部からは目の敵にされている。
「5分以内に来ない方が悪いだろ?」
172: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/18(火) 00:08:26.73 ID:anvFtjww0
木村夏樹
職業: ネバーディスペアのメンバー
属性: 改造人間
能力: 空間移動の穴を作る
交通事故で死にかけたところを誘拐され、そのまま改造された少女。
四肢は全て作りものとなっている。そのため、長袖で手袋をしていることが多い。足のジェットで高く飛んだりできる。
目は義眼で、六つの目玉型ユニットを操作して視界を得ている。そのためある程度遠くの状況も把握できる。
目玉型ユニットからはレーザーを発射でき、さらに穴を管理局の武器庫へとつなげることで一種の人型武器庫にもなれる。もちろん許可は得ている。
目玉型ユニットは、睡眠時のみ、腕の収納スペースに保管される。
穴の発動範囲は無限ではあるが、腕が通るサイズはともかく、人が通れるサイズとなると、札幌から東京が限度。さらにこのレベルだと倒れそうになるほど疲労する。
多田李衣菜
職業: ネバーディスペアのメンバー
属性: フランケンガール
能力: 放電&怪力
交通事故で死亡し、死体を誘拐されそのまま生き返ることを強いられた少女。
体はつぎはぎだらけで、体内に埋め込まれた声帯補助装置ずれるとまともに喋れない。
頭には二つのボルトがついていて、右側のボルトは延長コードが付いたコンセントになっている。
延長コードは200キロ程の重量にも耐え、かなり長く、戻す時は李衣菜の意思で巻き取れるため、鈍器やロープ代わりによく使われている。
放電は彼女のバッテリーを使用するため、ここぞというときのみ使用。一応、専用コンセントで一時間充電すれば三日は動ける。
右目だった部分には機械が埋め込まれており、縫われている。そのため眼帯をしている。
ボルトが邪魔でヘッドフォンを付けられないので仕方なくイヤホンで音楽を聴く。
職業: ネバーディスペアのメンバー
属性: 改造人間
能力: 空間移動の穴を作る
交通事故で死にかけたところを誘拐され、そのまま改造された少女。
四肢は全て作りものとなっている。そのため、長袖で手袋をしていることが多い。足のジェットで高く飛んだりできる。
目は義眼で、六つの目玉型ユニットを操作して視界を得ている。そのためある程度遠くの状況も把握できる。
目玉型ユニットからはレーザーを発射でき、さらに穴を管理局の武器庫へとつなげることで一種の人型武器庫にもなれる。もちろん許可は得ている。
目玉型ユニットは、睡眠時のみ、腕の収納スペースに保管される。
穴の発動範囲は無限ではあるが、腕が通るサイズはともかく、人が通れるサイズとなると、札幌から東京が限度。さらにこのレベルだと倒れそうになるほど疲労する。
多田李衣菜
職業: ネバーディスペアのメンバー
属性: フランケンガール
能力: 放電&怪力
交通事故で死亡し、死体を誘拐されそのまま生き返ることを強いられた少女。
体はつぎはぎだらけで、体内に埋め込まれた声帯補助装置ずれるとまともに喋れない。
頭には二つのボルトがついていて、右側のボルトは延長コードが付いたコンセントになっている。
延長コードは200キロ程の重量にも耐え、かなり長く、戻す時は李衣菜の意思で巻き取れるため、鈍器やロープ代わりによく使われている。
放電は彼女のバッテリーを使用するため、ここぞというときのみ使用。一応、専用コンセントで一時間充電すれば三日は動ける。
右目だった部分には機械が埋め込まれており、縫われている。そのため眼帯をしている。
ボルトが邪魔でヘッドフォンを付けられないので仕方なくイヤホンで音楽を聴く。
173: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/18(火) 00:09:04.38 ID:anvFtjww0
神谷奈緒
職業: ネバーディスペアのメンバー
属性: キメラ
能力: 獣化、肉体変化
6歳のころに誘拐され、無理矢理成長させられる薬を飲まされ、見た目は17歳、頭脳は子供に。究極生命体を作るための被験体にされた。
初期はキメラ化計画が行われ、様々な生物の遺伝子を肉体に組み込まれる。虎の耳と手、蛇の尻尾はその後遺症。
しかし、対猛獣訓練の時に怯えて何もできず、食われたが、肉が腹を突き破り骨の元に戻って再生したことで恐怖に耐えられず発狂。地下の奥深くに閉じ込められた。
その後、カースの核のかけらを埋め込む実験が行われ、暴食のカースの核が埋め込まれたことにより、どんなに満たされなくなってしまう。
現在は、きらりの浄化により正気に戻り、暴食の効果も消えたが、記憶をほとんど失い、自分を本当に17歳だと思い込んでいる。いまだに手術関係の事はトラウマらしい。
そして、核の影響で、組み込まれた動物を黒い泥で構成することで武器にしたり変身に近いことができる。
本気を出したり発狂すると、SAN値を削りそうな姿になる。
普段は虎耳を大きめのヘッドフォンで隠している。
素直じゃないのは相変わらずのようだ。
諸星きらり
職業: ネバーディスペアのリーダー
属性: 宇宙人(出身・M-KRY182星雲)
能力: サイズ変更、(10センチ~18メートル)はぴはぴぱわー注入
本来の大きさは18メートル。現在の慎重になったせいで約百分の一のパワーしか出せていない。
自分や他人の幸福を力に変える種族で、不幸な人々ばかりだと力を発揮できない。
そのせいで、住んでいた星は宇宙戦争で負のスパイラル式に敗北。孤児だったきらりは宇宙管理局に拾われ、訓練を受け、兵士となっている。
リーダーと言っても、形式上で、みんなとは等しい関係。
また、他人の感情に敏感で、少しでも不幸な人が居なくなることを願っている。
メンバーの中で一番人間らしいので、買い物などは彼女しかしていない。
ちなみに大柄な見た目に反して、きらりん☆ビームの精度は異常に高かったりする。
職業: ネバーディスペアのメンバー
属性: キメラ
能力: 獣化、肉体変化
6歳のころに誘拐され、無理矢理成長させられる薬を飲まされ、見た目は17歳、頭脳は子供に。究極生命体を作るための被験体にされた。
初期はキメラ化計画が行われ、様々な生物の遺伝子を肉体に組み込まれる。虎の耳と手、蛇の尻尾はその後遺症。
しかし、対猛獣訓練の時に怯えて何もできず、食われたが、肉が腹を突き破り骨の元に戻って再生したことで恐怖に耐えられず発狂。地下の奥深くに閉じ込められた。
その後、カースの核のかけらを埋め込む実験が行われ、暴食のカースの核が埋め込まれたことにより、どんなに満たされなくなってしまう。
現在は、きらりの浄化により正気に戻り、暴食の効果も消えたが、記憶をほとんど失い、自分を本当に17歳だと思い込んでいる。いまだに手術関係の事はトラウマらしい。
そして、核の影響で、組み込まれた動物を黒い泥で構成することで武器にしたり変身に近いことができる。
本気を出したり発狂すると、SAN値を削りそうな姿になる。
普段は虎耳を大きめのヘッドフォンで隠している。
素直じゃないのは相変わらずのようだ。
諸星きらり
職業: ネバーディスペアのリーダー
属性: 宇宙人(出身・M-KRY182星雲)
能力: サイズ変更、(10センチ~18メートル)はぴはぴぱわー注入
本来の大きさは18メートル。現在の慎重になったせいで約百分の一のパワーしか出せていない。
自分や他人の幸福を力に変える種族で、不幸な人々ばかりだと力を発揮できない。
そのせいで、住んでいた星は宇宙戦争で負のスパイラル式に敗北。孤児だったきらりは宇宙管理局に拾われ、訓練を受け、兵士となっている。
リーダーと言っても、形式上で、みんなとは等しい関係。
また、他人の感情に敏感で、少しでも不幸な人が居なくなることを願っている。
メンバーの中で一番人間らしいので、買い物などは彼女しかしていない。
ちなみに大柄な見た目に反して、きらりん☆ビームの精度は異常に高かったりする。
200: ◆3Y/5nAqmZM 2013/06/18(火) 20:17:44.46 ID:dFXfvjwbo
ずっと、ひとりぼっちだった。
生まれたときから、みんなとちがったから。
ひとりでエサが取れるようになったら、すぐに群れからおい出された。
それから、ずっと、たったひとりで。
「―――――お、気がついた?」
高いがけから落っこちて、たぶんこのまま死んじゃうんだろうな、って。
そう思ってたのに。
「じっとしててよー?そりゃーもう色んなとこボロボロだったんだから、しばらく安静にね」
なんで、ウチはまだ生きてるんだろう?それに、コイツはいったい誰だろう?
怪我と疲れのせいで頭がぼーっとしていても、それがとても気になった。
生まれたときから、みんなとちがったから。
ひとりでエサが取れるようになったら、すぐに群れからおい出された。
それから、ずっと、たったひとりで。
「―――――お、気がついた?」
高いがけから落っこちて、たぶんこのまま死んじゃうんだろうな、って。
そう思ってたのに。
「じっとしててよー?そりゃーもう色んなとこボロボロだったんだから、しばらく安静にね」
なんで、ウチはまだ生きてるんだろう?それに、コイツはいったい誰だろう?
怪我と疲れのせいで頭がぼーっとしていても、それがとても気になった。
201: ◆3Y/5nAqmZM 2013/06/18(火) 20:18:19.74 ID:dFXfvjwbo
「『誰だコイツ』って顔してるから名乗らせてもらうけど、あたしは塩見周子。おせっかい焼きの妖怪さんだよん♪」
しゅーこ。コイツは、シューコっていうのか。『ようかい』っていうのは何なのかよくわからない。
「ん、わかんなかった?んー、実際見せたほうが早いかな・・・」
そういってシューコが、ぱちん、と指を鳴らすと、その頭からぴょこんと耳が生えてきた。
それと、腰からはふさふさしたしっぽが何本も。びっくりして後ずさろうとして、傷が痛んですっころんだ。
「わわ、ごめんごめん、いきなり姿が変わってびっくりした?痛かったでしょ」
確かにびっくりしたけど、気になったのはそこじゃない。
よしよし、となでてくる手をふりはらって、ウチは意識を集中する。
「・・・おー、もうそんだけコントロールできるんだ。誰かに教えてもらったんでもなさそうだったけど」
やっぱり、この状態は体がつるつるしてへんな感じがする。でも、こうしないと言いたいことが伝わらないし。
「・・・・・・ウチも、その『ようかい』なのか?」
それが、ウチが狼の姿から変身して、初めてしっかり口にした言葉だった。
しゅーこ。コイツは、シューコっていうのか。『ようかい』っていうのは何なのかよくわからない。
「ん、わかんなかった?んー、実際見せたほうが早いかな・・・」
そういってシューコが、ぱちん、と指を鳴らすと、その頭からぴょこんと耳が生えてきた。
それと、腰からはふさふさしたしっぽが何本も。びっくりして後ずさろうとして、傷が痛んですっころんだ。
「わわ、ごめんごめん、いきなり姿が変わってびっくりした?痛かったでしょ」
確かにびっくりしたけど、気になったのはそこじゃない。
よしよし、となでてくる手をふりはらって、ウチは意識を集中する。
「・・・おー、もうそんだけコントロールできるんだ。誰かに教えてもらったんでもなさそうだったけど」
やっぱり、この状態は体がつるつるしてへんな感じがする。でも、こうしないと言いたいことが伝わらないし。
「・・・・・・ウチも、その『ようかい』なのか?」
それが、ウチが狼の姿から変身して、初めてしっかり口にした言葉だった。
202: ◆3Y/5nAqmZM 2013/06/18(火) 20:19:31.75 ID:dFXfvjwbo
それからシューコは、妖怪のことや変身したあとの体のことを―――こっちは『人間』っていうらしい―――いろいろ教えてくれた。
シューコが言うには、ウチは人狼の『先祖返り』っていうやつらしく、何回練習しても耳と左目が狼のまんまになってしまうのは、ウチがぶきっちょなわけではないそうだ。
人間の姿の方がいろいろ便利だから、ということで、耳は服についてた『ふーど』っていう帽子で、左目は眼帯を付けて隠すことにした。
それからしばらくして、片目が見えないことにも慣れて、たんすに小指をぶつけることも少なくなってきたころ。
「シューコッ!!またウチがとっといたずんだ餅かってに食べただろッ!!!」
「あーごめんごめんおなかすいちゃってつい」
「棒読みにもほどがあるぞっ!?ぜったい反省してないだろっ」
こんな風にちょっとしたことで喧嘩できるくらい、他の誰かと話すことにも慣れてきたころだった。
「おぉ、周子くん、ここにいたかね」
いきなり知らないおじさんがやって来たもんだから、びっくりしてシューコの後ろに隠れてしまった。知らない人は、やっぱりまだこわい。
「・・・ずいぶん、怖がらせてしまったかな?」
「あはは、ちょっと人見知りなだけだよ。・・・ほら、自己紹介して。大丈夫、このおじさん優しいから」
おじっ、と言っておじさんが固まった。どうしたんだろう。
まぁ、あやしいヤツならとっととシューコが追い払ってるはずだし、悪いヤツじゃないのは本当だろう。
「・・・・・・美玲」
でもやっぱりこわいので、ちょっと顔をのぞかせて、ぼそっと名前だけ名乗った。
美玲。名前がないのは不便だ、っていってシューコがつけてくれた、シューコからもらったもので一番すきなもの。
シューコが言うには、ウチは人狼の『先祖返り』っていうやつらしく、何回練習しても耳と左目が狼のまんまになってしまうのは、ウチがぶきっちょなわけではないそうだ。
人間の姿の方がいろいろ便利だから、ということで、耳は服についてた『ふーど』っていう帽子で、左目は眼帯を付けて隠すことにした。
それからしばらくして、片目が見えないことにも慣れて、たんすに小指をぶつけることも少なくなってきたころ。
「シューコッ!!またウチがとっといたずんだ餅かってに食べただろッ!!!」
「あーごめんごめんおなかすいちゃってつい」
「棒読みにもほどがあるぞっ!?ぜったい反省してないだろっ」
こんな風にちょっとしたことで喧嘩できるくらい、他の誰かと話すことにも慣れてきたころだった。
「おぉ、周子くん、ここにいたかね」
いきなり知らないおじさんがやって来たもんだから、びっくりしてシューコの後ろに隠れてしまった。知らない人は、やっぱりまだこわい。
「・・・ずいぶん、怖がらせてしまったかな?」
「あはは、ちょっと人見知りなだけだよ。・・・ほら、自己紹介して。大丈夫、このおじさん優しいから」
おじっ、と言っておじさんが固まった。どうしたんだろう。
まぁ、あやしいヤツならとっととシューコが追い払ってるはずだし、悪いヤツじゃないのは本当だろう。
「・・・・・・美玲」
でもやっぱりこわいので、ちょっと顔をのぞかせて、ぼそっと名前だけ名乗った。
美玲。名前がないのは不便だ、っていってシューコがつけてくれた、シューコからもらったもので一番すきなもの。
203: ◆3Y/5nAqmZM 2013/06/18(火) 20:20:39.07 ID:dFXfvjwbo
「ふむ、美玲くんか。『美しいさま』を表す字が二つ、うんうん、名前通りの可愛らしい子だね」
名前を褒められて、それを考えてくれたシューコのことも褒められたみたいでうれしくなる。
悪いヤツじゃないっていうの、ちょっとなら認めてやってもいいかもしれない。
「それで、わざわざどうしたの、社長さん?」
「おぉ、そうだそうだ。周子くん、君に是非頼みたいことがあってね」
「うん?また何か始めたの?」
「うむ。今回の『プロダクション』は、なかなか期待できそうでね。周子くんには、そこでカウンセラーのようなことをやってもらいたいんだよ」
「え、カウンセラー?あたしそんな難しいことできないよ?」
「いやいや、あまり難しく考えなくてもいいんだ。能力を持つがゆえに疎んじられたり、傷つけられた子たちの話し相手になってもらえれば、というだけの話さ」
「うーん、そう言われてもねぇ」
「できれば、また周子くんの力を借りられればと思ったんだが・・・」
・・・なんか難しい話みたいだけど、ちょっと気になった。
「シューコ」
「ん?どったの美玲?」
「えっと、今の話ってさ。『前までのウチ』みたいなヤツのことを助けてあげられる、ってことで良いのか?」
「あー、うん、まーだいたいあってるかな。もしかしたら、美玲よりもっとふさぎ込んじゃった子もいるかもしんないけど」
やっぱり、そういうことみたいだ。だったら―――
名前を褒められて、それを考えてくれたシューコのことも褒められたみたいでうれしくなる。
悪いヤツじゃないっていうの、ちょっとなら認めてやってもいいかもしれない。
「それで、わざわざどうしたの、社長さん?」
「おぉ、そうだそうだ。周子くん、君に是非頼みたいことがあってね」
「うん?また何か始めたの?」
「うむ。今回の『プロダクション』は、なかなか期待できそうでね。周子くんには、そこでカウンセラーのようなことをやってもらいたいんだよ」
「え、カウンセラー?あたしそんな難しいことできないよ?」
「いやいや、あまり難しく考えなくてもいいんだ。能力を持つがゆえに疎んじられたり、傷つけられた子たちの話し相手になってもらえれば、というだけの話さ」
「うーん、そう言われてもねぇ」
「できれば、また周子くんの力を借りられればと思ったんだが・・・」
・・・なんか難しい話みたいだけど、ちょっと気になった。
「シューコ」
「ん?どったの美玲?」
「えっと、今の話ってさ。『前までのウチ』みたいなヤツのことを助けてあげられる、ってことで良いのか?」
「あー、うん、まーだいたいあってるかな。もしかしたら、美玲よりもっとふさぎ込んじゃった子もいるかもしんないけど」
やっぱり、そういうことみたいだ。だったら―――
204: ◆3Y/5nAqmZM 2013/06/18(火) 20:21:14.10 ID:dFXfvjwbo
「―――だったら、ウチ、それやりたい」
「・・・へ?ちょ、ちょっと美玲?」
「だって、だって!!それって、すっごく良いことだろッ!?ウチ、シューコと話して、名前もらって、それで、えと、えっと!」
言いたいことがいっぱいでてきて、うまく言葉にならない。それでも、シューコもおじさんも、ウチの考えがまとまるのを待ってくれた。
「えっと・・・ウチ、生きていていいんだって、シューコに会って初めてそう思ったんだ!だから、前までのウチとおんなじヤツがいるなら、そいつのこと助けてあげたいんだ!」
生まれてすぐ、みんなからのけものにされてきたウチが、初めて生きていることを嬉しいと思ったのは、シューコがいたからだ。
ウチも、そうやって、『誰かが生きていていいと思える人』になれるなら、それってすごいことだと思った。―――ウチはヒトじゃなくて狼だけど。
「・・・美玲にそこまで言われちゃうと、ちょっとノーとは言えないよねぇ・・・・・・」
しばらく考え込んでいたシューコが、苦笑いしながらそう言った。っていうことは・・・
「おぉ、引き受けてくれるかね!いやぁ助かったよ」
「んーん、あたしやんないよ?やるのは美玲」
・・・・・・ん?
「・・・へ?ちょ、ちょっと美玲?」
「だって、だって!!それって、すっごく良いことだろッ!?ウチ、シューコと話して、名前もらって、それで、えと、えっと!」
言いたいことがいっぱいでてきて、うまく言葉にならない。それでも、シューコもおじさんも、ウチの考えがまとまるのを待ってくれた。
「えっと・・・ウチ、生きていていいんだって、シューコに会って初めてそう思ったんだ!だから、前までのウチとおんなじヤツがいるなら、そいつのこと助けてあげたいんだ!」
生まれてすぐ、みんなからのけものにされてきたウチが、初めて生きていることを嬉しいと思ったのは、シューコがいたからだ。
ウチも、そうやって、『誰かが生きていていいと思える人』になれるなら、それってすごいことだと思った。―――ウチはヒトじゃなくて狼だけど。
「・・・美玲にそこまで言われちゃうと、ちょっとノーとは言えないよねぇ・・・・・・」
しばらく考え込んでいたシューコが、苦笑いしながらそう言った。っていうことは・・・
「おぉ、引き受けてくれるかね!いやぁ助かったよ」
「んーん、あたしやんないよ?やるのは美玲」
・・・・・・ん?
205: ◆3Y/5nAqmZM 2013/06/18(火) 20:21:42.74 ID:dFXfvjwbo
「・・・・・・え!?う、ウチひとりでやるのかッ!?」
「いんや、もちろんお手伝いくらいはするよ?でも、あくまでこれは美玲のお仕事。そういう条件なら受けるけど、どうする、社長さん?」
「ふむ・・・ティンと来た!良いだろう、その方向で話を進めよう!周子くんがサポートについてくれるなら、万が一ということもないだろうしね」
・・・なんだろう、なんか大変なことになっちゃった気がする。けど、やりたいって言いだしたのはウチだし、その気持ちに嘘はない。
「とりあえず、一度うちの事務所まで来てもらえるかな?プロデューサーの彼とも顔合わせをしておいた方がいいだろう」
・・・嘘じゃないんだけど。
「・・・みれいー?しがみつかれたまんまだと、あたし動けないんだけどー?」
やっぱり、知らない人に会うのは、まだちょっとこわい。
「いんや、もちろんお手伝いくらいはするよ?でも、あくまでこれは美玲のお仕事。そういう条件なら受けるけど、どうする、社長さん?」
「ふむ・・・ティンと来た!良いだろう、その方向で話を進めよう!周子くんがサポートについてくれるなら、万が一ということもないだろうしね」
・・・なんだろう、なんか大変なことになっちゃった気がする。けど、やりたいって言いだしたのはウチだし、その気持ちに嘘はない。
「とりあえず、一度うちの事務所まで来てもらえるかな?プロデューサーの彼とも顔合わせをしておいた方がいいだろう」
・・・嘘じゃないんだけど。
「・・・みれいー?しがみつかれたまんまだと、あたし動けないんだけどー?」
やっぱり、知らない人に会うのは、まだちょっとこわい。
206: ◆3Y/5nAqmZM 2013/06/18(火) 20:22:45.22 ID:dFXfvjwbo
美玲(生後半年~1年)
属性:妖怪さん(人狼)
能力:狼への変身
先祖返りで妖怪化してしまったがゆえに、生まれてすぐに群れから追い立てられてしまった狼さん。
瀕死のところを周子に助けられた。
やや人見知りだが、自分が疎まれていたぶん他人には優しくしてあげたい、と考える良い子。
どういうわけか『プロダクション』のカウンセリング担当になってしまった。
塩見 周子(自称1000年くらい)
属性:妖怪さん(おきつねさま)
能力:変化、お札を使った呪術、狐火などなど
かなりの歳月を生きてきた大妖狐。本来は銀の体毛の美しい狐だが、普段は人間の姿をとっており、滅多に戻ろうとしない。
社長とは旧知の仲だったり、長生きしている分顔が広い。
人をからかって面白がるちょっと意地悪な部分もあるが、基本的に人間大好きで友好的な妖怪さん。
属性:妖怪さん(人狼)
能力:狼への変身
先祖返りで妖怪化してしまったがゆえに、生まれてすぐに群れから追い立てられてしまった狼さん。
瀕死のところを周子に助けられた。
やや人見知りだが、自分が疎まれていたぶん他人には優しくしてあげたい、と考える良い子。
どういうわけか『プロダクション』のカウンセリング担当になってしまった。
塩見 周子(自称1000年くらい)
属性:妖怪さん(おきつねさま)
能力:変化、お札を使った呪術、狐火などなど
かなりの歳月を生きてきた大妖狐。本来は銀の体毛の美しい狐だが、普段は人間の姿をとっており、滅多に戻ろうとしない。
社長とは旧知の仲だったり、長生きしている分顔が広い。
人をからかって面白がるちょっと意地悪な部分もあるが、基本的に人間大好きで友好的な妖怪さん。
214: ◆yIMyWm13ls 2013/06/18(火) 20:53:03.31 ID:dVngJW7Po
―
「裕美ちゃんは『カース』って知ってますかぁ~?」
イヴさんが何か手紙のようなものを広げながらポツリと尋ねてきます。
…カース?
「えっと、ごめんなさい、ちょっと分からないかな?」
「それがですねぇ…出るみたいなんですよぉ…そんな化け物が…」
…ば、化け物…!?
「『カース』正体不明の化け物、不定形であることが多い、周囲の人間の感情と密接に関わっていること以外現状不明」
「核となる部分があり、その部分を砕かない限り蘇り、核以外への有効打は調査中…」
「『高慢』『憤怒』『色欲』『怠惰』『暴食』『強欲』『嫉妬』などそれぞれ七罪に関する名称が付けられているってことみたいですよぉ~」
「なんでそんなに詳しく知ってるの…?」
「これですぅ~♪」
そう行ってイヴさんは封筒ごと読んでいた手紙を私に差し出しました。
イヴ非日常相談事務所様
○月△日 『アイドルヒーロー同盟』 プロデューサー
「裕美ちゃんは『カース』って知ってますかぁ~?」
イヴさんが何か手紙のようなものを広げながらポツリと尋ねてきます。
…カース?
「えっと、ごめんなさい、ちょっと分からないかな?」
「それがですねぇ…出るみたいなんですよぉ…そんな化け物が…」
…ば、化け物…!?
「『カース』正体不明の化け物、不定形であることが多い、周囲の人間の感情と密接に関わっていること以外現状不明」
「核となる部分があり、その部分を砕かない限り蘇り、核以外への有効打は調査中…」
「『高慢』『憤怒』『色欲』『怠惰』『暴食』『強欲』『嫉妬』などそれぞれ七罪に関する名称が付けられているってことみたいですよぉ~」
「なんでそんなに詳しく知ってるの…?」
「これですぅ~♪」
そう行ってイヴさんは封筒ごと読んでいた手紙を私に差し出しました。
イヴ非日常相談事務所様
○月△日 『アイドルヒーロー同盟』 プロデューサー
215: ◆yIMyWm13ls 2013/06/18(火) 20:53:39.57 ID:dVngJW7Po
「…なんでアイドルヒーロー同盟から…?」
「あんなでっかいところとうちって関わりあったかな…?」
というかこんな大事なこと郵便で送って良かったの…?
「一応私たちって魔法系統に関してはエキスパートですからぁ~♪」
「…どういうこと?」
意味が分かりません。
「ヒーローだって私たちとそっくりのタイプだって居るってことですよぉ~♪」
「それって魔法使いって意味?」
「格闘みたいにしゅっしゅーって戦うヒーローも居るんですから水や風、炎とか雷を操るヒーローだって居ますよ~?」
しゅっしゅーってなんだろう…?
「少なくとも後者のヒーローは私たちに近いですね~それに私たちより力が強いことが多いです~♪」
「…そんなに強いの?」
「所謂ヒーローの様に突然発現するタイプの異能は力が強いことが多いですねぇ~♪」
「でもそれと私たちに何の関係があるの?」
力が強いならなおさら私たちはお払い箱じゃないかな?
「あんなでっかいところとうちって関わりあったかな…?」
というかこんな大事なこと郵便で送って良かったの…?
「一応私たちって魔法系統に関してはエキスパートですからぁ~♪」
「…どういうこと?」
意味が分かりません。
「ヒーローだって私たちとそっくりのタイプだって居るってことですよぉ~♪」
「それって魔法使いって意味?」
「格闘みたいにしゅっしゅーって戦うヒーローも居るんですから水や風、炎とか雷を操るヒーローだって居ますよ~?」
しゅっしゅーってなんだろう…?
「少なくとも後者のヒーローは私たちに近いですね~それに私たちより力が強いことが多いです~♪」
「…そんなに強いの?」
「所謂ヒーローの様に突然発現するタイプの異能は力が強いことが多いですねぇ~♪」
「でもそれと私たちに何の関係があるの?」
力が強いならなおさら私たちはお払い箱じゃないかな?
216: ◆yIMyWm13ls 2013/06/18(火) 20:54:59.50 ID:dVngJW7Po
「私たち魔法使いは幼い頃から魔力の存在に気づいてて基本的に慣れちゃってるじゃないですか~?」
「うん…」
そういえば魔法自体は割りとすんなりと覚えられたな……。
「それがですよぉ~?私たちの数倍の力がいきなりどーんと目覚めちゃったらどうなりますかぁ?」
「…扱いきれない…?」
「流石裕美ちゃんですねぇ、正解ですぅ~♪」
「肉体系のヒーローならともかく魔法系のヒーローは暴発すると大惨事ですからぁ~♪」
「まぁ、その関係で『アイドルヒーロー同盟』からもちょくちょく相談があるんですよぉ~♪」
「私知らなかったよ?」
「制御のお話もありますから今度からは裕美ちゃんにも頼ることになりますから安心してください~」
「…でもこの情報をわざわざ送ってきてくれたってことはそれなりに危険なんでしょうねぇ…」
急に真面目な顔をするイヴさん。
「…そういうのをヒーロー数人がかりで倒すんだよね…?」
「はい~♪」
「…一人の時にそういうのに会いたくはないよね…」
「うん…」
そういえば魔法自体は割りとすんなりと覚えられたな……。
「それがですよぉ~?私たちの数倍の力がいきなりどーんと目覚めちゃったらどうなりますかぁ?」
「…扱いきれない…?」
「流石裕美ちゃんですねぇ、正解ですぅ~♪」
「肉体系のヒーローならともかく魔法系のヒーローは暴発すると大惨事ですからぁ~♪」
「まぁ、その関係で『アイドルヒーロー同盟』からもちょくちょく相談があるんですよぉ~♪」
「私知らなかったよ?」
「制御のお話もありますから今度からは裕美ちゃんにも頼ることになりますから安心してください~」
「…でもこの情報をわざわざ送ってきてくれたってことはそれなりに危険なんでしょうねぇ…」
急に真面目な顔をするイヴさん。
「…そういうのをヒーロー数人がかりで倒すんだよね…?」
「はい~♪」
「…一人の時にそういうのに会いたくはないよね…」
217: ◆yIMyWm13ls 2013/06/18(火) 20:55:58.45 ID:dVngJW7Po
―
『ナゼ…?ナゼワタシダケ……?』
私の目の前には不定形の泥のような化け物。
『ナンデ……ナンデェェェェ!』
「…私、なんでご丁寧にフラグなんて建てちゃったのかな…」
「これが『嫉妬』のカースかな…言動がそれっぽいし…」
カースは体から黒いもやを噴出しながら近づいてきます。
私は慌ててポケットからボールペンを取り出し先端をカースに向けます
『か、風よっ!』
『ウゴ、ウゴォォォォ!』
『イヤダ…!ワタシハキエナイ……キエナイ!』
カースの泥のような体から突如触手のような腕が生えて私に迫ってきました。
「わわっ!?」
風魔法の余波を使って大きく後ろにステップをして避けます。
『ナゼ…?ナゼワタシダケ……?』
私の目の前には不定形の泥のような化け物。
『ナンデ……ナンデェェェェ!』
「…私、なんでご丁寧にフラグなんて建てちゃったのかな…」
「これが『嫉妬』のカースかな…言動がそれっぽいし…」
カースは体から黒いもやを噴出しながら近づいてきます。
私は慌ててポケットからボールペンを取り出し先端をカースに向けます
『か、風よっ!』
『ウゴ、ウゴォォォォ!』
『イヤダ…!ワタシハキエナイ……キエナイ!』
カースの泥のような体から突如触手のような腕が生えて私に迫ってきました。
「わわっ!?」
風魔法の余波を使って大きく後ろにステップをして避けます。
218: ◆yIMyWm13ls 2013/06/18(火) 20:56:53.36 ID:dVngJW7Po
『氷よ!寄り集まりて塊になれっ!』
出来た!これで次は…!
『風よ!』
風魔法で生成した氷の塊を一斉にカースに放ちます。
『グギィ…!』
「き、効いた!?」
『イタイイタイイタイイタイイタイ……』
『イヒッ♪アハ!アハハハハハ!』
「ひっ!?」
き、気持ち悪いっ!?
こんなことならイヴさんから戦闘用の魔法習っておくんだったよ!
出来た!これで次は…!
『風よ!』
風魔法で生成した氷の塊を一斉にカースに放ちます。
『グギィ…!』
「き、効いた!?」
『イタイイタイイタイイタイイタイ……』
『イヒッ♪アハ!アハハハハハ!』
「ひっ!?」
き、気持ち悪いっ!?
こんなことならイヴさんから戦闘用の魔法習っておくんだったよ!
219: ◆yIMyWm13ls 2013/06/18(火) 20:58:08.44 ID:dVngJW7Po
「私じゃ力不足かも…」
ただでさえ魔力のキャパシティが少ない私じゃ一人じゃ厳しいかな…。
「ここは一旦逃げてイヴさんに助けを…」
その時でした。
『海よっ!』 『空よっ!』
緊迫した空気に割り込んでくるオドオドした二つの声。
『悪しき心を持つ邪悪な意志に立ち向かう』
『自然を愛する優しき乙女に力を』
『全てを包み込み、安らぎを与える海!ナチュルマリン!!』
『全てを見渡し、恵みを与える空!ナチュルスカイ!!』
『「人々を守り、自然を守る戦士!ナチュルスター!!』
『い、一般人に手を出すなんて許しませんよっ!』
…派手な登場シーンをこなして現れる二人の女の子、どうやら私は変身ヒロインに奇妙な縁があるようです。
…それにしても私一般人…一般人かぁ…。地味に凹むかな…。
ただでさえ魔力のキャパシティが少ない私じゃ一人じゃ厳しいかな…。
「ここは一旦逃げてイヴさんに助けを…」
その時でした。
『海よっ!』 『空よっ!』
緊迫した空気に割り込んでくるオドオドした二つの声。
『悪しき心を持つ邪悪な意志に立ち向かう』
『自然を愛する優しき乙女に力を』
『全てを包み込み、安らぎを与える海!ナチュルマリン!!』
『全てを見渡し、恵みを与える空!ナチュルスカイ!!』
『「人々を守り、自然を守る戦士!ナチュルスター!!』
『い、一般人に手を出すなんて許しませんよっ!』
…派手な登場シーンをこなして現れる二人の女の子、どうやら私は変身ヒロインに奇妙な縁があるようです。
…それにしても私一般人…一般人かぁ…。地味に凹むかな…。
220: ◆yIMyWm13ls 2013/06/18(火) 20:59:20.90 ID:dVngJW7Po
「あの、あの人グネグネしてて怖いんですけど……帰りたいんですけど……」
「の、乃々ちゃん!?今あの黒いのからなんか生えてきましたぁ…」
……なんだかこの二人不安です…。
『イナクナレ!ミンナイナクナッテシマエ!』
化け物は二人に向かって触手を伸ばします。
『氷よ!寄り……』
…間に合わない…!こうなったらイチかバチか…!
私は彼女たちを庇うように飛び込みボールペンの先端に魔力を集中させて飛んできた触手の先端に合わせてボールペンを振りぬきます。
「ギギャッ……!?」
ボールペンの先端に触れた部分から触手が真っ二つに引き裂かれていきます。
で、出来た…!
まさか魚肉ソーセージのフィルムがうまく剥がせなくてついイライラして思いつきで作っただけの魔法が役に立つなんて…。
「た、助かったんですか…?帰れるんですか…?」
…私はむしろ生きて帰れる自信が無くなってきたよ…二人を放って逃げられないし…。
「の、乃々ちゃん!?今あの黒いのからなんか生えてきましたぁ…」
……なんだかこの二人不安です…。
『イナクナレ!ミンナイナクナッテシマエ!』
化け物は二人に向かって触手を伸ばします。
『氷よ!寄り……』
…間に合わない…!こうなったらイチかバチか…!
私は彼女たちを庇うように飛び込みボールペンの先端に魔力を集中させて飛んできた触手の先端に合わせてボールペンを振りぬきます。
「ギギャッ……!?」
ボールペンの先端に触れた部分から触手が真っ二つに引き裂かれていきます。
で、出来た…!
まさか魚肉ソーセージのフィルムがうまく剥がせなくてついイライラして思いつきで作っただけの魔法が役に立つなんて…。
「た、助かったんですか…?帰れるんですか…?」
…私はむしろ生きて帰れる自信が無くなってきたよ…二人を放って逃げられないし…。
221: ◆yIMyWm13ls 2013/06/18(火) 21:02:14.52 ID:dVngJW7Po
『ミンナモウイラナイ!イナクナッチャエ!』
再度触手を伸ばしてくるカース。
「っ!」
私は横薙ぎにペンを振るい再び触手を切断します。
「…体の中心に真っ黒な魔力の塊が見える…多分あれが核かな…」
『氷よ!寄り集まりて塊になれっ!』
…これじゃ足りない…。さっきはこれじゃ駄目だった…!
「もっと……もっと…!」
必要最低限の魔力を残して残りの力を全て氷の生成に向けます。
『アナタタチイナクナレバワタシガイチバン!イチバン!』
私に向けて大量の触手を飛ばしてくるカース。
「させません!い、行きます!」
そう言って私の前に飛び出すナチュルスカイと名乗る女の子。
『嵐よっ!雷よっ!力を貸して!』
『アグ……アガアアアアア!!』
「危な……え…?」
そこから先はカースの悲鳴がこだまする地獄絵図でした。
再度触手を伸ばしてくるカース。
「っ!」
私は横薙ぎにペンを振るい再び触手を切断します。
「…体の中心に真っ黒な魔力の塊が見える…多分あれが核かな…」
『氷よ!寄り集まりて塊になれっ!』
…これじゃ足りない…。さっきはこれじゃ駄目だった…!
「もっと……もっと…!」
必要最低限の魔力を残して残りの力を全て氷の生成に向けます。
『アナタタチイナクナレバワタシガイチバン!イチバン!』
私に向けて大量の触手を飛ばしてくるカース。
「させません!い、行きます!」
そう言って私の前に飛び出すナチュルスカイと名乗る女の子。
『嵐よっ!雷よっ!力を貸して!』
『アグ……アガアアアアア!!』
「危な……え…?」
そこから先はカースの悲鳴がこだまする地獄絵図でした。
222: ◆yIMyWm13ls 2013/06/18(火) 21:04:03.88 ID:dVngJW7Po
―
「…どうするんですかこれ……どうしようもないんですけど…」
辺りの建物は暴風と雷の力で軽く二十年分は劣化したのではないかという有様。所々落雷の焦げ跡が見えます。
それにしても弱点の核とか無視でカースをまるごと消し飛ばすってイヴさんが言ってた通り凄い力……。
「ごめんなさい、ごめんなさい!」
涙目でペコペコと頭を下げ続けるナチュラルスカイ。
「私がきちんと直しておくから大丈夫…大丈夫だから…」
私は特に活躍せずに役目を終えた巨大な氷の塊を消しながら彼女の背中をぽんぽんと叩いてあげる。
…うわ、なんかすっごい建物に蔦絡まってる…自然系の魔法なのかなこれ……。
『…元ある形に戻れ!』
…駄目だ。さっきの氷で今日は魔力がもうないよ…。
…これ全部直すのに何日掛かるかな…?
「…どうするんですかこれ……どうしようもないんですけど…」
辺りの建物は暴風と雷の力で軽く二十年分は劣化したのではないかという有様。所々落雷の焦げ跡が見えます。
それにしても弱点の核とか無視でカースをまるごと消し飛ばすってイヴさんが言ってた通り凄い力……。
「ごめんなさい、ごめんなさい!」
涙目でペコペコと頭を下げ続けるナチュラルスカイ。
「私がきちんと直しておくから大丈夫…大丈夫だから…」
私は特に活躍せずに役目を終えた巨大な氷の塊を消しながら彼女の背中をぽんぽんと叩いてあげる。
…うわ、なんかすっごい建物に蔦絡まってる…自然系の魔法なのかなこれ……。
『…元ある形に戻れ!』
…駄目だ。さっきの氷で今日は魔力がもうないよ…。
…これ全部直すのに何日掛かるかな…?
223: ◆yIMyWm13ls 2013/06/18(火) 21:05:07.94 ID:dVngJW7Po
―
「なるほどぉ~、そういういきさつでうちに連れてきたんですかぁ~♪」
「うん、ちょっとこのままじゃ危ないかなって思って…暫くの間力のコントロールを教えようと思って…」
「…少しだけ頑張るって言いましたけど正直もう帰りたいんですけど…」
「乃々ちゃん!これが終われば私たち一人前ですっ!」
「た、多分ですけど……」
……完全にコントロール出来たら恐ろしい強さになりそうだけど…。
「せめて範囲をお家一軒分くらいまで狭められればまだ……うん…」
それだけでも被害は大分減ると思う…。
「て、掌サイズで十分なんですけど…そんなに目立ちたくないんですけど……」
あれを掌サイズまで圧縮したら私の『魚肉ソーセージカッター』の比じゃないよね…。
「なるほどぉ~、そういういきさつでうちに連れてきたんですかぁ~♪」
「うん、ちょっとこのままじゃ危ないかなって思って…暫くの間力のコントロールを教えようと思って…」
「…少しだけ頑張るって言いましたけど正直もう帰りたいんですけど…」
「乃々ちゃん!これが終われば私たち一人前ですっ!」
「た、多分ですけど……」
……完全にコントロール出来たら恐ろしい強さになりそうだけど…。
「せめて範囲をお家一軒分くらいまで狭められればまだ……うん…」
それだけでも被害は大分減ると思う…。
「て、掌サイズで十分なんですけど…そんなに目立ちたくないんですけど……」
あれを掌サイズまで圧縮したら私の『魚肉ソーセージカッター』の比じゃないよね…。
224: ◆yIMyWm13ls 2013/06/18(火) 21:05:39.67 ID:dVngJW7Po
「私まだ直接お二人の力見てないんですよねぇ~♪」
「良かったら使ってみて貰えませんかぁ~?」
「は、はいっ!行きますよ!乃々ちゃん!」
「うぅ…どうしてもって言うならちょっとだけ頑張りますけど… 」
『悪しき心を持つ邪悪な意志に立ち向かう』
『自然を愛する優しき乙女に力を』
『全てを包み込み、安らぎを与える海!ナチュルマリン!!』
『全てを見渡し、恵みを与える空!ナチュルスカイ!!』
『「人々を守り、自然を守る戦士!ナチュルスター!!』
「凄~い!格好良いですぅ~♪」
ニコニコしながらパチパチと手を叩くイヴさん。
「そ、そうですか…?は、初めて褒められた気がします…えへへ…私は嵐と雷が操れるんです!」
「行きますっ!」
…えっ?ここで…?
『嵐よっ!雷よっ!力を貸して!』
―
街を直す前に最優先で事務所直さなくっちゃ…。
「良かったら使ってみて貰えませんかぁ~?」
「は、はいっ!行きますよ!乃々ちゃん!」
「うぅ…どうしてもって言うならちょっとだけ頑張りますけど… 」
『悪しき心を持つ邪悪な意志に立ち向かう』
『自然を愛する優しき乙女に力を』
『全てを包み込み、安らぎを与える海!ナチュルマリン!!』
『全てを見渡し、恵みを与える空!ナチュルスカイ!!』
『「人々を守り、自然を守る戦士!ナチュルスター!!』
「凄~い!格好良いですぅ~♪」
ニコニコしながらパチパチと手を叩くイヴさん。
「そ、そうですか…?は、初めて褒められた気がします…えへへ…私は嵐と雷が操れるんです!」
「行きますっ!」
…えっ?ここで…?
『嵐よっ!雷よっ!力を貸して!』
―
街を直す前に最優先で事務所直さなくっちゃ…。
225: ◆yIMyWm13ls 2013/06/18(火) 21:07:07.38 ID:dVngJW7Po
関裕美
職業 魔法使い
属性 器用貧乏、魔力キャパシティは小さい。
能力 木火土金水の基本属性とベーシックな魔法の行使。
これまでひっそりと暮らしてきた魔法使いの一人。
イヴ・サンタクロースの唯一の弟子であり、『イヴ非日常相談所』所属。
自身の魔力の少なさに自覚があるので力を控えて魔法を使うことが多い。
修復 ゼロから作り出す訳ではなく壊れた物の欠片や代用品でくっつけるだけ。残念ながら日々上達せざるを得ない。
風生成 相手を吹っ飛ばしたり魔法を吹っ飛ばしたり、簡易的に飛べる。
氷生成 氷作るだけ。
『魚肉ソーセージカッター』ペン先に魔力を集中しただけ。地味に魔力消費も少なく破格の威力。そして絶望的な技名。
イヴ・サンタクロース
職業 魔法使い
属性 不明。魔力キャパシティは裕美が水溜りならイヴは市民プール程度。
能力 不明。弟子以上には魔法は使える。
これまでひっそりと暮らしてきた魔法使いの一人。
関裕美の魔法の師匠。
「イヴ非日常相談所」所長。
世界が変わったことに関しては『とっても賑やかになりましたねぇ~♪』程度の認識。
自分から積極的に戦うことはないが割りと適当な性格なので成り行きで普通に戦ってしまう。
職業 魔法使い
属性 器用貧乏、魔力キャパシティは小さい。
能力 木火土金水の基本属性とベーシックな魔法の行使。
これまでひっそりと暮らしてきた魔法使いの一人。
イヴ・サンタクロースの唯一の弟子であり、『イヴ非日常相談所』所属。
自身の魔力の少なさに自覚があるので力を控えて魔法を使うことが多い。
修復 ゼロから作り出す訳ではなく壊れた物の欠片や代用品でくっつけるだけ。残念ながら日々上達せざるを得ない。
風生成 相手を吹っ飛ばしたり魔法を吹っ飛ばしたり、簡易的に飛べる。
氷生成 氷作るだけ。
『魚肉ソーセージカッター』ペン先に魔力を集中しただけ。地味に魔力消費も少なく破格の威力。そして絶望的な技名。
イヴ・サンタクロース
職業 魔法使い
属性 不明。魔力キャパシティは裕美が水溜りならイヴは市民プール程度。
能力 不明。弟子以上には魔法は使える。
これまでひっそりと暮らしてきた魔法使いの一人。
関裕美の魔法の師匠。
「イヴ非日常相談所」所長。
世界が変わったことに関しては『とっても賑やかになりましたねぇ~♪』程度の認識。
自分から積極的に戦うことはないが割りと適当な性格なので成り行きで普通に戦ってしまう。
230: ◆kaGYBvZifE 2013/06/18(火) 21:27:33.37 ID:6iFNGoPA0
『数十年前のことだ。
ある一人の偉大なウサミン星人が、母なるウサミン星へ膨大な量のデータを持ち帰ってきた。
それは、この惑星において娯楽と呼ばれるものだった。
……そう。テクノロジーではなく、カルチャーだ。
ウサミン星は銀河系有数の超科学を有しながらも、
ひとりひとりの人格を肯定し尊重する文化に欠けていたのだ。
確固たる自我と個性を持つべきなどという主張は精神疾患であるとさえ言われた。
結果、極端な管理社会……君達の言葉で言うところのディストピアが形成されていた。
この太陽系第三番惑星の調査結果が公表されるや、大きなセンセーションが巻き起こった。
人はもっと自由であるべきだ、抑圧から解放されるべきだという論調も強まった。
この地球に比べればまだ未熟かもしれないが、ウサミン星独自の文化の萌芽が生まれた。
しかしその結果、ウサミン星の治安は悪化の一途を辿り、犯罪も激増した。
ウサミン中央政府を打倒せんとする反政府運動も起こり、辺境の小国や地方領地では戦争が相次いだ。
さらには他星を侵略するためウサミン星を去った者達もいた。
それらの動きを抑え込むべく政府は弾圧を強化し、多くの犠牲者が出てしまった。
自由とは、何者にも抑圧されず心が解き放たれていることだ。
必然、無軌道に走り道を踏み外す者が現れるのも自明のことだったのだ。
我々ウサミン星人は自由の素晴らしさを知りながら、その恐ろしさに思いが至らなかった。
そして、人々の負の感情、マイナスエネルギーから生まれる魔物――
『カース』をも生み出すまでに至った。
私はウサミン星を救うため、かの偉大なるウサミン星人が愛した地球へやってきた。
勝手な願いだというのは百も承知している。しかし、だからこそ頼みたい。
君に、ウサミン星を救ってほしいのだ』
ある一人の偉大なウサミン星人が、母なるウサミン星へ膨大な量のデータを持ち帰ってきた。
それは、この惑星において娯楽と呼ばれるものだった。
……そう。テクノロジーではなく、カルチャーだ。
ウサミン星は銀河系有数の超科学を有しながらも、
ひとりひとりの人格を肯定し尊重する文化に欠けていたのだ。
確固たる自我と個性を持つべきなどという主張は精神疾患であるとさえ言われた。
結果、極端な管理社会……君達の言葉で言うところのディストピアが形成されていた。
この太陽系第三番惑星の調査結果が公表されるや、大きなセンセーションが巻き起こった。
人はもっと自由であるべきだ、抑圧から解放されるべきだという論調も強まった。
この地球に比べればまだ未熟かもしれないが、ウサミン星独自の文化の萌芽が生まれた。
しかしその結果、ウサミン星の治安は悪化の一途を辿り、犯罪も激増した。
ウサミン中央政府を打倒せんとする反政府運動も起こり、辺境の小国や地方領地では戦争が相次いだ。
さらには他星を侵略するためウサミン星を去った者達もいた。
それらの動きを抑え込むべく政府は弾圧を強化し、多くの犠牲者が出てしまった。
自由とは、何者にも抑圧されず心が解き放たれていることだ。
必然、無軌道に走り道を踏み外す者が現れるのも自明のことだったのだ。
我々ウサミン星人は自由の素晴らしさを知りながら、その恐ろしさに思いが至らなかった。
そして、人々の負の感情、マイナスエネルギーから生まれる魔物――
『カース』をも生み出すまでに至った。
私はウサミン星を救うため、かの偉大なるウサミン星人が愛した地球へやってきた。
勝手な願いだというのは百も承知している。しかし、だからこそ頼みたい。
君に、ウサミン星を救ってほしいのだ』
231: ◆kaGYBvZifE 2013/06/18(火) 21:28:45.29 ID:6iFNGoPA0
……などという突拍子もない長話を、長くて白い耳を生やした
2メートルを超す巨躯の怪人にまくし立てられて平静を保っていられるほど、
奥山沙織という女性は世間ずれしていなかった。
大学に進学して上京したばかりの時分、突如として街に湧き出した怪物――
『カース』の群れに襲われたところを自称ウサミン星人に救われた沙織は、
そのままウサミン星人の宇宙船へと連れていかれ、先の話を聞かされたのである。
通信機や端末のモニターで埋め尽くされた狭い部屋で、沙織とウサミン星人は向かい合っていた。
何故自分のような垢抜けない、パッとしない、取り柄のない、訛りもなかなか取れない女に
そのような大それたことを頼むのだと問うと、ウサミン星人はこう言うのだ。
『君には他の者にはない力がある。ウサミン星を救うためにはそれが必要なのだ』
「そ、そんなこと……わだす、力なんてねーです」
『いいや、君にしかできないのだ。君だけにしか』
ウサミン星人は沈痛な声音で、絞り出すように言う。
『無論、君が身体能力の面ではごく一般的な地球人女性だということは承知している。
君を危険に晒すつもりはない。ただ、その能力を貸して欲しい』
「能力って……わだすの力って何なんですか?」
『現時点では理解が及ばないかもしれん。人為的に能力の覚醒を早めてやらなければ……』
沙織は、度の強い眼鏡越しにウサミン星人の瞳を見つめた。
地球人を超える理知を宿した一対の瞳。
苦渋と焦り、誇らしさ、そして穏やかさがない交ぜになった複雑な色をした瞳。
正直に言って、ウサミン星の話が本当かどうか、自分などに本当にウサミン星が救えるかどうか、
自分にはわからない話だときっぱりと断じる気持ちがあった。
ただわかるのは、目の前の異邦人が、見も知らぬ地球人の女にそんな重責を負わせることに
忸怩たる思いを抱いているんだろうということだった。
2メートルを超す巨躯の怪人にまくし立てられて平静を保っていられるほど、
奥山沙織という女性は世間ずれしていなかった。
大学に進学して上京したばかりの時分、突如として街に湧き出した怪物――
『カース』の群れに襲われたところを自称ウサミン星人に救われた沙織は、
そのままウサミン星人の宇宙船へと連れていかれ、先の話を聞かされたのである。
通信機や端末のモニターで埋め尽くされた狭い部屋で、沙織とウサミン星人は向かい合っていた。
何故自分のような垢抜けない、パッとしない、取り柄のない、訛りもなかなか取れない女に
そのような大それたことを頼むのだと問うと、ウサミン星人はこう言うのだ。
『君には他の者にはない力がある。ウサミン星を救うためにはそれが必要なのだ』
「そ、そんなこと……わだす、力なんてねーです」
『いいや、君にしかできないのだ。君だけにしか』
ウサミン星人は沈痛な声音で、絞り出すように言う。
『無論、君が身体能力の面ではごく一般的な地球人女性だということは承知している。
君を危険に晒すつもりはない。ただ、その能力を貸して欲しい』
「能力って……わだすの力って何なんですか?」
『現時点では理解が及ばないかもしれん。人為的に能力の覚醒を早めてやらなければ……』
沙織は、度の強い眼鏡越しにウサミン星人の瞳を見つめた。
地球人を超える理知を宿した一対の瞳。
苦渋と焦り、誇らしさ、そして穏やかさがない交ぜになった複雑な色をした瞳。
正直に言って、ウサミン星の話が本当かどうか、自分などに本当にウサミン星が救えるかどうか、
自分にはわからない話だときっぱりと断じる気持ちがあった。
ただわかるのは、目の前の異邦人が、見も知らぬ地球人の女にそんな重責を負わせることに
忸怩たる思いを抱いているんだろうということだった。
232: ◆kaGYBvZifE 2013/06/18(火) 21:33:11.48 ID:6iFNGoPA0
ウサミン星がおかしくなったのも、不幸な偶然の一致だったのだろう。
すべては故郷をよくしようという善意から発したに違いない。
しかし、突然にもたらされた違う価値観に触れ、様々な行き違いがあるうちに、
その願いは呪いに変わってしまった。
話を聞く限り、個人の力ではどうしようもないところまで来てしまっているのは明らかだ。
けれど、それでも一人で地球までやってきて自分を見出したウサミン星人を見ていると、
放っておけないと感じる気持ちも、沙織の中には確かにあった。
「あの……ウサミン、さん? わだす、やっぱり難しい話はわかんねーですし、
自分にそんな大それた力があるなんて、信じられねーです……」
『……そうか。そうだろうな』
「でも、その」
『?』
「試しに一回だけだったら、やってみても……いいけんど……」
すべては故郷をよくしようという善意から発したに違いない。
しかし、突然にもたらされた違う価値観に触れ、様々な行き違いがあるうちに、
その願いは呪いに変わってしまった。
話を聞く限り、個人の力ではどうしようもないところまで来てしまっているのは明らかだ。
けれど、それでも一人で地球までやってきて自分を見出したウサミン星人を見ていると、
放っておけないと感じる気持ちも、沙織の中には確かにあった。
「あの……ウサミン、さん? わだす、やっぱり難しい話はわかんねーですし、
自分にそんな大それた力があるなんて、信じられねーです……」
『……そうか。そうだろうな』
「でも、その」
『?』
「試しに一回だけだったら、やってみても……いいけんど……」
233: ◆kaGYBvZifE 2013/06/18(火) 21:34:13.22 ID:6iFNGoPA0
――――――――――
それから二ヶ月後。
街に再びカースの群れが出現した。
赤い核を持つ憤怒のカースと、紫の核を持つ嫉妬のカースが
流体の身体を振るわせ呪詛を撒き散らしながら人々を襲う。
痛みは更なる痛みを求め、呪いは更なる呪いを生み、
連鎖的により大きなマイナスエネルギーが生まれ、カースは湧き出し続ける。
その時、ウサミン星人の宇宙船が急速に高度を下げると同時にステルスを解除して
厚い雲の合間から姿を現し、音もなくビル街の上空に静止した。
ブリッジでは、まるでアイドルの衣装のような装飾を施した
ニューロ・インターフェース・スーツに身を包んだ沙織が、
マイクを握り締めながら緊張しきりの様子で立ちつくしていた。
野暮ったい眼鏡はコンタクトにして、眉毛も整えて、おさげ髪をほどいて、
化粧もした姿はいっぱしのタレントのようだった。
『カースを確認した。行けるか?』
「だ、だ、だ、大丈夫ですっ。ま、負げねっすっ!」
『落ち着け。リラックスして、精神を集中させなければ能力は使えん。
大丈夫だ。君に危険が及ぶことはない』
「わ、わかってますけんど……緊張しちまって……」
『自信を持ってくれ。この二ヶ月間の訓練を思い出すんだ……さあ、始めよう』
「はいっ、い、いぎますっ!」
234: ◆kaGYBvZifE 2013/06/18(火) 21:35:07.06 ID:6iFNGoPA0
ウサミン星人がコンソールを操作すると、スピーカーからゆったりとしたメロディが流れ出す。
優しく、牧歌的で、心を落ち着かせてくれる、沙織も耳にしたことのあるメロディ。
それは地球から持ちこまれ、歌詞が翻訳されウサミン星で大ヒットを記録した曲だった。
沙織は深呼吸をして、目を閉じ、やがて歌い出す。
恐怖と緊張をどうにか心の脇に追いやって、祈りだけを胸に抱いて、
「――――――……♪」
生きる勇気と希望を訴えるその歌を、一心に歌いあげた。
宇宙船の外では、沙織の姿がホログラム投影装置で映し出され、
外部スピーカーから流れだす歌声が地上に響き渡っていた。
やがて、沙織の歌声から発せられる不可視の波動が、彼女の内奥から湧き出す思いを
肯定するように、その一帯に七色のオーロラをきらめかせた。
広がっていくオーロラに触れたカースは液状の身体を弛緩させ、動きを止めた。
きらきらと輝く共鳴の光が、呪いの滞留するカースの核を浄化していく。
いかように生きようとも満たされぬ人生。
それを埋め合わせたいと思うあまり、無尽蔵に湧き出す呪詛。
誰もが抱くねじ曲がった願い、凶暴に渦巻くエネルギーの胎動を、落ち着かせていく。
「――――――……♪ …………♪」
歌声に聞き入るように動きを止めていたカースの身体が、支えを失ったように流れ落ち、
色を失って透き通ったガラス玉のようになった核が地面の上に転がり落ちる。
気づけば、その場に湧き出した全てのカースは浄化されて力を失っていた。
そして曲が終わると同時に虚空に投影されたホログラムは掻き消え、
宇宙船もステルスを起動して姿を隠し、何処かへ飛び去っていった
優しく、牧歌的で、心を落ち着かせてくれる、沙織も耳にしたことのあるメロディ。
それは地球から持ちこまれ、歌詞が翻訳されウサミン星で大ヒットを記録した曲だった。
沙織は深呼吸をして、目を閉じ、やがて歌い出す。
恐怖と緊張をどうにか心の脇に追いやって、祈りだけを胸に抱いて、
「――――――……♪」
生きる勇気と希望を訴えるその歌を、一心に歌いあげた。
宇宙船の外では、沙織の姿がホログラム投影装置で映し出され、
外部スピーカーから流れだす歌声が地上に響き渡っていた。
やがて、沙織の歌声から発せられる不可視の波動が、彼女の内奥から湧き出す思いを
肯定するように、その一帯に七色のオーロラをきらめかせた。
広がっていくオーロラに触れたカースは液状の身体を弛緩させ、動きを止めた。
きらきらと輝く共鳴の光が、呪いの滞留するカースの核を浄化していく。
いかように生きようとも満たされぬ人生。
それを埋め合わせたいと思うあまり、無尽蔵に湧き出す呪詛。
誰もが抱くねじ曲がった願い、凶暴に渦巻くエネルギーの胎動を、落ち着かせていく。
「――――――……♪ …………♪」
歌声に聞き入るように動きを止めていたカースの身体が、支えを失ったように流れ落ち、
色を失って透き通ったガラス玉のようになった核が地面の上に転がり落ちる。
気づけば、その場に湧き出した全てのカースは浄化されて力を失っていた。
そして曲が終わると同時に虚空に投影されたホログラムは掻き消え、
宇宙船もステルスを起動して姿を隠し、何処かへ飛び去っていった
235: ◆kaGYBvZifE 2013/06/18(火) 21:36:17.75 ID:6iFNGoPA0
「……はぁぁぁ~」
どっと疲れを感じた沙織は、ぺたん、とその場にへたり込んだ。
こんなにまで集中力を要したのはこれまでの人生で初めてかもしれなかった。
早鐘を打つ心臓を持て余しながら、沙織は今までにない昂揚感に身を震わせた。
『素晴らしかったぞ、沙織。見事カースを浄化してみせたな』
「あ、ありがとう、ごぜーます」
差し出された手を取り、ふらつきながら立ち上がる。
人前で歌うこと自体ひどく緊張するのに、その上、能力を使ったのだから、消耗するのは当然だ。
『君の精神感応波、サイコフィールドは周囲の生物の精神を同調させる。
君の歌声に込められた祈りがカースの核に働きかけ、マイナスエネルギーを浄化させたのだ』
「あの浄化したカースはどうなるんです?」
『核が浄化された以上、もう暴れ出すことはあるまい。後始末は他の者に任せよう』
「そうですか……でも、歌のレッスンって結構ハードですね」
『サイコフィールドを拡散する最も効果的な媒体が歌だったからな……
かなりのハードスケジュールだったが、君は見事やり遂げてくれた。ありがとう』
「そんな、頭なんか下げなくてもいーですよ。……わだすも楽しかったです」
ここ二ヶ月の間、沙織はウサミン星人とともに能力の開発と歌唱力レッスンに励んでいた。
基礎体力をつけるためのトレーニングも行っていたため、時間がかかったのである。
どっと疲れを感じた沙織は、ぺたん、とその場にへたり込んだ。
こんなにまで集中力を要したのはこれまでの人生で初めてかもしれなかった。
早鐘を打つ心臓を持て余しながら、沙織は今までにない昂揚感に身を震わせた。
『素晴らしかったぞ、沙織。見事カースを浄化してみせたな』
「あ、ありがとう、ごぜーます」
差し出された手を取り、ふらつきながら立ち上がる。
人前で歌うこと自体ひどく緊張するのに、その上、能力を使ったのだから、消耗するのは当然だ。
『君の精神感応波、サイコフィールドは周囲の生物の精神を同調させる。
君の歌声に込められた祈りがカースの核に働きかけ、マイナスエネルギーを浄化させたのだ』
「あの浄化したカースはどうなるんです?」
『核が浄化された以上、もう暴れ出すことはあるまい。後始末は他の者に任せよう』
「そうですか……でも、歌のレッスンって結構ハードですね」
『サイコフィールドを拡散する最も効果的な媒体が歌だったからな……
かなりのハードスケジュールだったが、君は見事やり遂げてくれた。ありがとう』
「そんな、頭なんか下げなくてもいーですよ。……わだすも楽しかったです」
ここ二ヶ月の間、沙織はウサミン星人とともに能力の開発と歌唱力レッスンに励んでいた。
基礎体力をつけるためのトレーニングも行っていたため、時間がかかったのである。
236: ◆kaGYBvZifE 2013/06/18(火) 21:36:54.30 ID:6iFNGoPA0
「わ、わだすなんかが、あんなアイドルみてーな格好して……なんか、こっぱずかしいです」
『ウサミン星のデータ・アーカイブから再現した。とても似合っている』
「え、えへへ……でもこの服、やたらめったら重たいですけど」
『必要な機能を搭載すればこうもなる。我慢して欲しい』
宇宙船の各種システムと沙織の脳をリンクさせるニューロ・インターフェース・スーツは
偉大なるウサミン星人が地球から持ち帰ったデータを元に、歌唱に最も適した調整をされている。
アイドル風の過剰な装飾のひとつひとつが、実は重要な機能を担う電子部品なのだ。
重さからすればステージ衣装というより宇宙服か潜水服と言ってもいいかもしれない。
これでは、歌うのはともかく踊るのは難しいだろう。
けれど、子供の頃に憧れたアイドルになれたみたいで、沙織はとても嬉しく思っていた。
いつしか忘れて、あるいは諦めていた夢が、もう一度戻ってきたようで。
『カースを浄化することができたのなら、君の能力は本物だ。これできっとウサミン星も救われる』
心底からの安堵を吐露するウサミン星人に、沙織もまたにっこりと微笑んだ。
沙織の精神感応波による同調でウサミン星の人々の闘争本能を一時的に沈め、
ウサミン星の混乱を食いとめることが彼の計画だった。
そのためには広範囲への精神同調能力を持った者を捜し出すことが急務であり、
結果、ウサミン星人は沙織を見出したのである。
訓練次第では、惑星全域にサイコフィールドを展開することも可能なはずなのだ。
『ワープ航法による旅なら二週間ほどでウサミン星に着ける。君さえよければ、
すぐにでもウサミン星に行って、皆に君の歌を……』
『ウサミン星のデータ・アーカイブから再現した。とても似合っている』
「え、えへへ……でもこの服、やたらめったら重たいですけど」
『必要な機能を搭載すればこうもなる。我慢して欲しい』
宇宙船の各種システムと沙織の脳をリンクさせるニューロ・インターフェース・スーツは
偉大なるウサミン星人が地球から持ち帰ったデータを元に、歌唱に最も適した調整をされている。
アイドル風の過剰な装飾のひとつひとつが、実は重要な機能を担う電子部品なのだ。
重さからすればステージ衣装というより宇宙服か潜水服と言ってもいいかもしれない。
これでは、歌うのはともかく踊るのは難しいだろう。
けれど、子供の頃に憧れたアイドルになれたみたいで、沙織はとても嬉しく思っていた。
いつしか忘れて、あるいは諦めていた夢が、もう一度戻ってきたようで。
『カースを浄化することができたのなら、君の能力は本物だ。これできっとウサミン星も救われる』
心底からの安堵を吐露するウサミン星人に、沙織もまたにっこりと微笑んだ。
沙織の精神感応波による同調でウサミン星の人々の闘争本能を一時的に沈め、
ウサミン星の混乱を食いとめることが彼の計画だった。
そのためには広範囲への精神同調能力を持った者を捜し出すことが急務であり、
結果、ウサミン星人は沙織を見出したのである。
訓練次第では、惑星全域にサイコフィールドを展開することも可能なはずなのだ。
『ワープ航法による旅なら二週間ほどでウサミン星に着ける。君さえよければ、
すぐにでもウサミン星に行って、皆に君の歌を……』
237: ◆kaGYBvZifE 2013/06/18(火) 21:37:40.38 ID:6iFNGoPA0
ウサミン星人がそう言いかけたその時、ディスプレイのひとつに明滅する警告表示が浮かんだ。
『またカースの反応だと? 南東に50㎞の地点か……』
「そこって、さっきの街のすぐ隣の市じゃ」
『カースは人の負の感情、マイナスエネルギーから生まれる。人の多い場所に出現するのは道理だ』
そして、欲動のままに他者を害し、呪詛を紡ぎ続ける。
決して果てることなく世界を呪い続ける。それがカースの習性なのだ。
「……ウサミンさん、行ぎましょ」
『何を言っている! 君はまだ能力の行使に慣れていない。体力の消耗は無視できん』
「でも、わだすにカースを止める力があるなら……おねげーします!」
『沙織……』
「わだす、自分に何の取り柄もねーって思ってて……実際、今までそうだったんです。
でも、今は人のために使える力があるから。困ってる人がいるなら放っておけねーんです!」
『……わかった。だが、無理はしてくれるな』
沙織の決然とした眼差しに、ウサミン星人は、自分の判断が間違っていないことを確信した。
この純朴な優しさがあればこそ、彼女はウサミン星を救いうるのだ。
他者のための祈り、願いを込めた歌こそが、同胞達の荒んだ心を変えてくれるはずだから。
ウサミン星人は静かに頷き、そっと虚空に出現したバーチャル・コンソールに触れる。
進路変更を指示された宇宙船は、不可視の機体を傾げさせ旋回軌道を取った。
怪物を浄化する歌姫の噂が巷間に取り沙汰されるようになるのは、それからすぐのことだった。
『またカースの反応だと? 南東に50㎞の地点か……』
「そこって、さっきの街のすぐ隣の市じゃ」
『カースは人の負の感情、マイナスエネルギーから生まれる。人の多い場所に出現するのは道理だ』
そして、欲動のままに他者を害し、呪詛を紡ぎ続ける。
決して果てることなく世界を呪い続ける。それがカースの習性なのだ。
「……ウサミンさん、行ぎましょ」
『何を言っている! 君はまだ能力の行使に慣れていない。体力の消耗は無視できん』
「でも、わだすにカースを止める力があるなら……おねげーします!」
『沙織……』
「わだす、自分に何の取り柄もねーって思ってて……実際、今までそうだったんです。
でも、今は人のために使える力があるから。困ってる人がいるなら放っておけねーんです!」
『……わかった。だが、無理はしてくれるな』
沙織の決然とした眼差しに、ウサミン星人は、自分の判断が間違っていないことを確信した。
この純朴な優しさがあればこそ、彼女はウサミン星を救いうるのだ。
他者のための祈り、願いを込めた歌こそが、同胞達の荒んだ心を変えてくれるはずだから。
ウサミン星人は静かに頷き、そっと虚空に出現したバーチャル・コンソールに触れる。
進路変更を指示された宇宙船は、不可視の機体を傾げさせ旋回軌道を取った。
怪物を浄化する歌姫の噂が巷間に取り沙汰されるようになるのは、それからすぐのことだった。
238: ◆kaGYBvZifE 2013/06/18(火) 21:42:25.85 ID:6iFNGoPA0
奥山沙織
19歳
職業:大学生
歌によって自分の脳波を周囲の生物に同調させる精神感応能力。
言わば自分の感情を周囲に振りまく能力。媒体は必ずしも歌である必要はない。
ウサミン星人P
?歳
荒廃したウサミン星を救うため地球へやってきた。
故郷に文化をもたらした偉大なるウサミン星人(安部菜々)のことを尊敬している。
ウサミン星人の設定を勝手に広げてみました。
SRおぐやまさんはよ
19歳
職業:大学生
歌によって自分の脳波を周囲の生物に同調させる精神感応能力。
言わば自分の感情を周囲に振りまく能力。媒体は必ずしも歌である必要はない。
ウサミン星人P
?歳
荒廃したウサミン星を救うため地球へやってきた。
故郷に文化をもたらした偉大なるウサミン星人(安部菜々)のことを尊敬している。
ウサミン星人の設定を勝手に広げてみました。
SRおぐやまさんはよ
264: ◆lbKlS0ZYdV.M 2013/06/18(火) 23:18:26.09 ID:fMuM0kGLo
正義のヒーローや悪のカリスマといえど、常日頃から争いばかりを行っているわけでは無い。
彼女たちも変身を解いてしまえば、中学生の女の子。
学生生活というものがある。
光「もうすぐ期末テストか~。麗奈、勉強してるか?」
麗奈「アンタねぇ、このアタシが学校のオベンキョーなんてつまらないことに興味あると思ってる?」
光「でも、勉強しないとテストで悪い点を取っちゃうぞ?」
麗奈「アンタ、バカのくせになにイイコぶっちゃってんのよ」
麗奈「オベンキョーなんてしなくたって良い点数を取る方法なんていくらでもあるじゃない!」
光「もしかしてカンニングか?卑怯な真似はダメだぞ!」
光「それにこの前のテストの時、思いっきりバレてたじゃないか!」
麗奈「あ、あれは…予想以上にカンニングペーパーの量が多くなっちゃって…」
ガラッ…!
先生「よーし、みんな席につけー」
光「おっ、先生。麗奈、また後でな!」
麗奈「はいはい…」
彼女たちも変身を解いてしまえば、中学生の女の子。
学生生活というものがある。
光「もうすぐ期末テストか~。麗奈、勉強してるか?」
麗奈「アンタねぇ、このアタシが学校のオベンキョーなんてつまらないことに興味あると思ってる?」
光「でも、勉強しないとテストで悪い点を取っちゃうぞ?」
麗奈「アンタ、バカのくせになにイイコぶっちゃってんのよ」
麗奈「オベンキョーなんてしなくたって良い点数を取る方法なんていくらでもあるじゃない!」
光「もしかしてカンニングか?卑怯な真似はダメだぞ!」
光「それにこの前のテストの時、思いっきりバレてたじゃないか!」
麗奈「あ、あれは…予想以上にカンニングペーパーの量が多くなっちゃって…」
ガラッ…!
先生「よーし、みんな席につけー」
光「おっ、先生。麗奈、また後でな!」
麗奈「はいはい…」
266: ◆lbKlS0ZYdV.M 2013/06/18(火) 23:19:02.63 ID:fMuM0kGLo
先生「それじゃあHRを始めるぞ」
先生「と、その前に…今日は突然だけどみんなに紹介したい子がいる」
先生「転校生だ」
ワイワイガヤガヤ…
麗奈「転校生?また変な時期に入って来たものね」
光「おぉ、転校生かー!どんな奴なんだろうなー!」ワクワク…
先生「ほら、静かに」
先生「…よし。それじゃあ入ってきて」
ガラッ…
麗奈「ん…?」
光「お…?」
先生「と、その前に…今日は突然だけどみんなに紹介したい子がいる」
先生「転校生だ」
ワイワイガヤガヤ…
麗奈「転校生?また変な時期に入って来たものね」
光「おぉ、転校生かー!どんな奴なんだろうなー!」ワクワク…
先生「ほら、静かに」
先生「…よし。それじゃあ入ってきて」
ガラッ…
麗奈「ん…?」
光「お…?」
267: ◆lbKlS0ZYdV.M 2013/06/18(火) 23:19:55.67 ID:fMuM0kGLo
聖「……」
光「(…綺麗な子だなー)」
先生「…じゃあ、望月さん」
聖「…はい」
聖「望月聖、です…」
聖「皆さん…よろしくお願いします…」ペコッ…
麗奈「……」
麗奈「(これから夏本番だってのに…)」
麗奈「(なんだかアイツの周りだけ雪でも降ってるのかって雰囲気ね…)」
麗奈「(その雰囲気に呑まれたのか知らないけど教室全体が一気に静まり返っちゃたわね…)」
光「(…綺麗な子だなー)」
先生「…じゃあ、望月さん」
聖「…はい」
聖「望月聖、です…」
聖「皆さん…よろしくお願いします…」ペコッ…
麗奈「……」
麗奈「(これから夏本番だってのに…)」
麗奈「(なんだかアイツの周りだけ雪でも降ってるのかって雰囲気ね…)」
麗奈「(その雰囲気に呑まれたのか知らないけど教室全体が一気に静まり返っちゃたわね…)」
268: ◆lbKlS0ZYdV.M 2013/06/18(火) 23:20:46.49 ID:fMuM0kGLo
先生「…さて、望月さんはお家の方の都合で突然の転校ってことになってしまってな」
先生「まだ慣れないことも多いだろうから、みんな仲良くしてあげるように」
先生「それじゃあ、望月さんの席は…」
光「先生!アタシの隣、空いてるぞ!」
先生「おっ、そうか」
先生「望月さん。あそこに髪の長い小さい奴がいるだろ?」
光「むっ!?アタシはチビじゃないぞ!?140㎝あるんだからっ!」
麗奈「(十分チビじゃないの)」
先生「あー悪かった悪かった…」
先生「アイツの隣の席に座ってもらっていいかな?」
聖「……はい」スタスタ…
先生「まだ慣れないことも多いだろうから、みんな仲良くしてあげるように」
先生「それじゃあ、望月さんの席は…」
光「先生!アタシの隣、空いてるぞ!」
先生「おっ、そうか」
先生「望月さん。あそこに髪の長い小さい奴がいるだろ?」
光「むっ!?アタシはチビじゃないぞ!?140㎝あるんだからっ!」
麗奈「(十分チビじゃないの)」
先生「あー悪かった悪かった…」
先生「アイツの隣の席に座ってもらっていいかな?」
聖「……はい」スタスタ…
269: ◆lbKlS0ZYdV.M 2013/06/18(火) 23:21:29.21 ID:fMuM0kGLo
聖「……」スッ…
光「あ、アタシは南条光」
光「よろしくなっ!聖!」
聖「……ひかる」
聖「素敵な…名前…」
光「え?へへっ、そうかなっ…!」
聖「うん…名前通りの……人…」
聖「これからも……光となって…この世界に平和を、導いて……」
光「…うん?」
光「(光…?平和に導く…?)」
光「……」
光「(あっ…!)」
光「(もしかして、聖も特撮ヒーローごっことか好きなのかな!?)」
光「あ、アタシは南条光」
光「よろしくなっ!聖!」
聖「……ひかる」
聖「素敵な…名前…」
光「え?へへっ、そうかなっ…!」
聖「うん…名前通りの……人…」
聖「これからも……光となって…この世界に平和を、導いて……」
光「…うん?」
光「(光…?平和に導く…?)」
光「……」
光「(あっ…!)」
光「(もしかして、聖も特撮ヒーローごっことか好きなのかな!?)」
270: ◆lbKlS0ZYdV.M 2013/06/18(火) 23:22:07.20 ID:fMuM0kGLo
光「あぁ、任せとけ!」
光「この世界の平和はアタシが守るっ!」
麗奈「…げっ!?」
麗奈「げほっげほっ…!!」
麗奈「(な、なに言っちゃってんのアイツ!?)」
麗奈「(自分の正体とかバラしちゃっても良いわけ!?)」
聖「……」
聖「うん……期待してる…」
麗奈「(アイツもなに普通に返してるのよ…)」
麗奈「(全く…南条ほどじゃないとはいえ変な奴が転校してきたもんね…)」
先生「あー南条。世界の平和も良いけど、授業の方も大切にしてもらえるか?」
光「あ、はーい」
光「この世界の平和はアタシが守るっ!」
麗奈「…げっ!?」
麗奈「げほっげほっ…!!」
麗奈「(な、なに言っちゃってんのアイツ!?)」
麗奈「(自分の正体とかバラしちゃっても良いわけ!?)」
聖「……」
聖「うん……期待してる…」
麗奈「(アイツもなに普通に返してるのよ…)」
麗奈「(全く…南条ほどじゃないとはいえ変な奴が転校してきたもんね…)」
先生「あー南条。世界の平和も良いけど、授業の方も大切にしてもらえるか?」
光「あ、はーい」
271: ◆lbKlS0ZYdV.M 2013/06/18(火) 23:22:41.67 ID:fMuM0kGLo
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
キンコーンカーンコーン…
光「よっし!放課後だ!」
光「なぁ、聖!一緒に帰ろうっ!」
聖「ごめんなさい……」
聖「私…寄らなきゃいけないところ…あるから……」
光「む…そっか…」
光「まぁ、転校したてだし色々あるんだろうな!」
聖「……ごめんなさい」
光「なに、気にするなっ!」
光「また今度一緒に帰ろうな!」
聖「…うん」
光「それじゃあ、また明日!」
光「おーい、麗奈!しょうがないから一緒に帰ろうぜー!」
麗奈「しょうがないってなによ!?」
キンコーンカーンコーン…
光「よっし!放課後だ!」
光「なぁ、聖!一緒に帰ろうっ!」
聖「ごめんなさい……」
聖「私…寄らなきゃいけないところ…あるから……」
光「む…そっか…」
光「まぁ、転校したてだし色々あるんだろうな!」
聖「……ごめんなさい」
光「なに、気にするなっ!」
光「また今度一緒に帰ろうな!」
聖「…うん」
光「それじゃあ、また明日!」
光「おーい、麗奈!しょうがないから一緒に帰ろうぜー!」
麗奈「しょうがないってなによ!?」
272: ◆lbKlS0ZYdV.M 2013/06/18(火) 23:23:24.99 ID:fMuM0kGLo
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
聖「……」テクテク…
黒猫「…なー」ピョン…
聖「…!」
聖「……雪美…お迎えに来てくれたの?」
黒猫「……」
シュン…!
雪美「……そば、いないと……心配……」
聖「大丈夫……何も問題…無かったから…」ナデナデ…
雪美「……♪」
雪美「……どうだった?」
聖「……」
聖「……」テクテク…
黒猫「…なー」ピョン…
聖「…!」
聖「……雪美…お迎えに来てくれたの?」
黒猫「……」
シュン…!
雪美「……そば、いないと……心配……」
聖「大丈夫……何も問題…無かったから…」ナデナデ…
雪美「……♪」
雪美「……どうだった?」
聖「……」
273: ◆lbKlS0ZYdV.M 2013/06/18(火) 23:24:02.20 ID:fMuM0kGLo
聖「…うん」
聖「間違いは…無かった」
聖「私の能力……彼女ならきっと正しく使ってくれる……」
雪美「……」
雪美「…聖」
聖「…どうしたの?」
雪美「……歌、聞きたい」
雪美「おうち帰って……聞かせて……」
聖「……」
聖「うん…帰りましょう…」
聖「間違いは…無かった」
聖「私の能力……彼女ならきっと正しく使ってくれる……」
雪美「……」
雪美「…聖」
聖「…どうしたの?」
雪美「……歌、聞きたい」
雪美「おうち帰って……聞かせて……」
聖「……」
聖「うん…帰りましょう…」
274: ◆lbKlS0ZYdV.M 2013/06/18(火) 23:25:52.73 ID:fMuM0kGLo
望月聖(人間の姿では13歳程度)
職業:地球では中学生
属性:聖なる乙女
能力:詳細不明
南条光が変身能力を手に入れるキッカケとなった空から落ちてきた光の正体。
光の能力を自分の能力と語っているが、彼女自身が何者なのかは謎に包まれている。
少なくとも人間とは別の生物であることは間違いないだろう。
現在は地球で暮らすために、とある一般家庭の記憶を操作して中学生の娘としてその家に寄生している。
佐城雪美(人間の姿では10歳程度)
職業:黒猫
属性:猫
能力:変化
人間に変化する黒猫。
望月聖に懐いているが、その関係性は不明である。
望月聖と共に記憶操作された家庭で飼い猫として寄生している。
職業:地球では中学生
属性:聖なる乙女
能力:詳細不明
南条光が変身能力を手に入れるキッカケとなった空から落ちてきた光の正体。
光の能力を自分の能力と語っているが、彼女自身が何者なのかは謎に包まれている。
少なくとも人間とは別の生物であることは間違いないだろう。
現在は地球で暮らすために、とある一般家庭の記憶を操作して中学生の娘としてその家に寄生している。
佐城雪美(人間の姿では10歳程度)
職業:黒猫
属性:猫
能力:変化
人間に変化する黒猫。
望月聖に懐いているが、その関係性は不明である。
望月聖と共に記憶操作された家庭で飼い猫として寄生している。
275: ◆lbKlS0ZYdV.M 2013/06/18(火) 23:27:35.03 ID:fMuM0kGLo
おわりです
やっぱりヒーロー物には変身するキッカケとなったキャラが欲しいなって感じで、光属性でぱっと思いついたのが聖でした
雪美は趣味です
やっぱりヒーロー物には変身するキッカケとなったキャラが欲しいなって感じで、光属性でぱっと思いついたのが聖でした
雪美は趣味です
280: ◆cAx53OjAIrfz 2013/06/19(水) 00:06:37.55 ID:b0tu+TxA0
世界はまだまだ不可思議で、不思議な事象に包まれている。
米国のSCP群の発見や、露国のZone発現、目の前の自称女神様、最近の家業のトントン具合。
だがそんな事よりも今眼の前で起こっている現象、詰まりは茄子が食べ散らかしたプリンだ。
П「おい、プリンは美味かったか?」
茄子「ええ、美味しかったです」
П「そうかそうか」
茄子「痛い痛い痛い!お尻つねらないで!」
П「このアマ、勝手に居付くは人のプリン食い荒らすわ、ケツやら胸は肥えるやら何なんだ!」
茄子「ふふふ……豊穣の神様ですから!」
П「」
ケツにスパーンと平手打ちを打ち込むと、腹立ち紛れに財布を取り出す。
後ろでもう!ぉこですよ!と言ってる食い意地の貼ったアマに、俺は激おこだよと言い返したかったが。
おやつの時間まで時間がない、俺は自転車をかっ飛ばして自宅の女子寮から町中に飛び出した。
米国のSCP群の発見や、露国のZone発現、目の前の自称女神様、最近の家業のトントン具合。
だがそんな事よりも今眼の前で起こっている現象、詰まりは茄子が食べ散らかしたプリンだ。
П「おい、プリンは美味かったか?」
茄子「ええ、美味しかったです」
П「そうかそうか」
茄子「痛い痛い痛い!お尻つねらないで!」
П「このアマ、勝手に居付くは人のプリン食い荒らすわ、ケツやら胸は肥えるやら何なんだ!」
茄子「ふふふ……豊穣の神様ですから!」
П「」
ケツにスパーンと平手打ちを打ち込むと、腹立ち紛れに財布を取り出す。
後ろでもう!ぉこですよ!と言ってる食い意地の貼ったアマに、俺は激おこだよと言い返したかったが。
おやつの時間まで時間がない、俺は自転車をかっ飛ばして自宅の女子寮から町中に飛び出した。
281: ◆cAx53OjAIrfz 2013/06/19(水) 00:09:43.58 ID:b0tu+TxA0
П(一日の平穏とは、穏やかな時間調節と、余裕のある時間配分からなるのだ……)
П(それがもう歪みまくりだよ!もう!)
近くの女子校はまだ授業中なのか、下校する生徒すらいない。
…筈だが、通り道に遠目にドロの塊のような、何ともチープなボスが二人のフリフリのドレス少女に魔法か何かで
ボコられてるのが見えた。
П(……え?この先しかお菓子屋無いぞ…まあ、少しは時間がある)
П(アレが本当に女児的アニメの1話ボスなら、もうすぐ終わるはず…)
元きた道を戻り、逆方向に進めば間違い無くオヤツには間に合わず、平穏は失われてしまう。
乃々「ぁあああああ!制御むぅーりぃー!」
ほたる「あっ!?そこのお兄さん、あぶなーい!!!」
П「」
予定調和とでも言うべきか、前方から飛んできたヘドロ山盛り太郎の土手っ腹を超高圧の水流が貫いた。
勿論背後にいる人はヘドロ山盛り太郎に隠れて、見えてないままヘドロ山盛り太郎を貫通。
目の前に大量の、鉄砲水と巻き込んだ粗大ごみが飛び踊る、勿論巻き込まれれば死ぬ。
П(それがもう歪みまくりだよ!もう!)
近くの女子校はまだ授業中なのか、下校する生徒すらいない。
…筈だが、通り道に遠目にドロの塊のような、何ともチープなボスが二人のフリフリのドレス少女に魔法か何かで
ボコられてるのが見えた。
П(……え?この先しかお菓子屋無いぞ…まあ、少しは時間がある)
П(アレが本当に女児的アニメの1話ボスなら、もうすぐ終わるはず…)
元きた道を戻り、逆方向に進めば間違い無くオヤツには間に合わず、平穏は失われてしまう。
乃々「ぁあああああ!制御むぅーりぃー!」
ほたる「あっ!?そこのお兄さん、あぶなーい!!!」
П「」
予定調和とでも言うべきか、前方から飛んできたヘドロ山盛り太郎の土手っ腹を超高圧の水流が貫いた。
勿論背後にいる人はヘドロ山盛り太郎に隠れて、見えてないままヘドロ山盛り太郎を貫通。
目の前に大量の、鉄砲水と巻き込んだ粗大ごみが飛び踊る、勿論巻き込まれれば死ぬ。
282: ◆cAx53OjAIrfz 2013/06/19(水) 00:11:42.66 ID:b0tu+TxA0
П『前方の浮かぶゴミ山に、鉄砲水が収まるまで自転車ごと俺が乗り、水上に浮かび続ける』
次の瞬間、自転車が鉄砲水の押す風圧に少し浮き、自転車の下に敷かれるようにペットボトルが入った袋が敷かれ
。
Пの体はGに体を軋ませながら、水鉄砲の上をゴミ袋に乗っかりつづける。
П「ガァアアアア!」
体内の酸素を一気に押し出され、滅茶苦茶な浮力が下から自転車ごと全身に襲いかかり。
1分程ゴミと流され、自宅付近まで押し戻された。
当たりは茶色く変色し、酷い所では壁にヒビが入っている。
何とか無傷で自転車から降り立ち、地面に四つん這いになって息を整える。
すると申し訳なさ半分、驚き半分という顔で、髪をロールさせた少女と、オカッパの少女がコチラを見ている。
П「」
ほたる「あ、あのすみません!」
乃々「ご、ごめんなさい……あ、あの大丈夫ですか…?」
П「ガアァアアアア!」
飛びかかり、驚いたロール髪の女の子に普通に組み伏せられ、驚いて二人は逃げていった。
23歳の社会人が、少女に力負けし、逃げられる無様な様だった。
П「……プリン買いに行こう」
力負けした際服に着いた泥をはたき落とし、少しフレームの歪んだ自転車の跨りお菓子屋に向かう。
次の瞬間、自転車が鉄砲水の押す風圧に少し浮き、自転車の下に敷かれるようにペットボトルが入った袋が敷かれ
。
Пの体はGに体を軋ませながら、水鉄砲の上をゴミ袋に乗っかりつづける。
П「ガァアアアア!」
体内の酸素を一気に押し出され、滅茶苦茶な浮力が下から自転車ごと全身に襲いかかり。
1分程ゴミと流され、自宅付近まで押し戻された。
当たりは茶色く変色し、酷い所では壁にヒビが入っている。
何とか無傷で自転車から降り立ち、地面に四つん這いになって息を整える。
すると申し訳なさ半分、驚き半分という顔で、髪をロールさせた少女と、オカッパの少女がコチラを見ている。
П「」
ほたる「あ、あのすみません!」
乃々「ご、ごめんなさい……あ、あの大丈夫ですか…?」
П「ガアァアアアア!」
飛びかかり、驚いたロール髪の女の子に普通に組み伏せられ、驚いて二人は逃げていった。
23歳の社会人が、少女に力負けし、逃げられる無様な様だった。
П「……プリン買いに行こう」
力負けした際服に着いた泥をはたき落とし、少しフレームの歪んだ自転車の跨りお菓子屋に向かう。
283: ◆cAx53OjAIrfz 2013/06/19(水) 00:14:25.43 ID:b0tu+TxA0
П「売り切れ?」
店員「それがそのう……先程BIGチョコレートパフェを購入なされたお客様が、最後のお菓子の在庫でして……」
П「」
店員「申し訳ありません…最近何分、物騒なものでカース溜まりが出来たみたいでして、今日の分の材料もまちまちでして…」
俺は見た目よりも遥かに老けたような疲労した顔で、トボトボと近所の自転車修理屋に修理を依頼し。
家に帰宅した。
П「」
茄子「あのПさん、これ…作ってみたんですけど」
と、目の前で水羊羹を手渡された、俺は疲労から皿の上の水羊羹にむしゃぶりついた、俺は泣いた。
茄子「けど、Пさんそれだと、買い物に行った意味ないですよね(笑)」
俺は茄子の胸を怒りのまま いた、 声が頭にきたのでケツをまた引っ叩いた。
時間は17時を過ぎ夕飯の時間だが、今日は何もしたくない。
何故俺は一々そんな細やかな時間配分なんぞに拘っているのか、ダルさが体を覆いウトウトとし始める。
近くのキッチンからは、まな板を軽やかに包丁が叩く音が響き、茄子の鼻歌が響く。
ふと早死した母親のことを思い出す、母親との何でもないような日の午後は、果たしてこんな感じだったのだろう
か。
店員「それがそのう……先程BIGチョコレートパフェを購入なされたお客様が、最後のお菓子の在庫でして……」
П「」
店員「申し訳ありません…最近何分、物騒なものでカース溜まりが出来たみたいでして、今日の分の材料もまちまちでして…」
俺は見た目よりも遥かに老けたような疲労した顔で、トボトボと近所の自転車修理屋に修理を依頼し。
家に帰宅した。
П「」
茄子「あのПさん、これ…作ってみたんですけど」
と、目の前で水羊羹を手渡された、俺は疲労から皿の上の水羊羹にむしゃぶりついた、俺は泣いた。
茄子「けど、Пさんそれだと、買い物に行った意味ないですよね(笑)」
俺は茄子の胸を怒りのまま いた、 声が頭にきたのでケツをまた引っ叩いた。
時間は17時を過ぎ夕飯の時間だが、今日は何もしたくない。
何故俺は一々そんな細やかな時間配分なんぞに拘っているのか、ダルさが体を覆いウトウトとし始める。
近くのキッチンからは、まな板を軽やかに包丁が叩く音が響き、茄子の鼻歌が響く。
ふと早死した母親のことを思い出す、母親との何でもないような日の午後は、果たしてこんな感じだったのだろう
か。
284: ◆cAx53OjAIrfz 2013/06/19(水) 00:16:45.57 ID:b0tu+TxA0
眠りに落ちかけた瞬間、耳に障る大声が家を騒ぎ立てる。
玄関にハーイとチャイムを茄子が確認しに行くと、馴染みの婦警の声が鼓膜を揺さぶる。
無視を決め込んでリビングで寝転んでいると、ドスドスドスと足音が接近し。
早苗「おはろーП君」
П「でたな、妖怪ロリババア」
肘打ちが腹に食い込んだ、何すんだクソアマという声すら掠れて出ない。
早苗「ふー、昔から変わらぬ友情を評し、話を続けるわよ?」
勝手にしろ、どっちにしろ今は息が吸えず返事はできない。
早苗「実は町中に、変質者が出たって噂…実は私は違法滞在している宇宙人って話を聞いたわ」
問題なのは、ソースが不明なのに毎度毎度驚くべき精度で話を持ってくるこいつ。
そのせいで俺は毎度毎度、碌でもない目に遇っているのだ。
早苗「という訳で、П君力を貸してもらうわよ」
その前にここに泊めてやっている家賃を支払えと言いたかったが、口を塞ぐ。
次は恐らく、背負い投げがきそうと思ったからだ。
玄関にハーイとチャイムを茄子が確認しに行くと、馴染みの婦警の声が鼓膜を揺さぶる。
無視を決め込んでリビングで寝転んでいると、ドスドスドスと足音が接近し。
早苗「おはろーП君」
П「でたな、妖怪ロリババア」
肘打ちが腹に食い込んだ、何すんだクソアマという声すら掠れて出ない。
早苗「ふー、昔から変わらぬ友情を評し、話を続けるわよ?」
勝手にしろ、どっちにしろ今は息が吸えず返事はできない。
早苗「実は町中に、変質者が出たって噂…実は私は違法滞在している宇宙人って話を聞いたわ」
問題なのは、ソースが不明なのに毎度毎度驚くべき精度で話を持ってくるこいつ。
そのせいで俺は毎度毎度、碌でもない目に遇っているのだ。
早苗「という訳で、П君力を貸してもらうわよ」
その前にここに泊めてやっている家賃を支払えと言いたかったが、口を塞ぐ。
次は恐らく、背負い投げがきそうと思ったからだ。
285: ◆cAx53OjAIrfz 2013/06/19(水) 00:18:16.00 ID:b0tu+TxA0
П「で、何でお前が居るんだ」
茄子「え?だって相棒ですよ?」
早苗「まあまあ、なすちゃんが居ると、やけに仕事の回りがいいし、良いじゃない」
П「良くない」
茄子「かー・こー・でー・すー!」
何でも女子寮付近で、少女を狙ってウロチョロする変質者らしいが……
すぐ見つかるはずもない、と家を出て少し歩いたところ。
茄子「あ、Пさん、アレじゃないですか?」
П「そんな簡単に居るわけ……」
うさ耳「この辺りに、ヘヘヘ……」
П「んう!?、変質者だー!!!」
茄子「やだかわいい…」
うさ耳をつけた、白髪交じりの研究者風の変質者が通りをニヤつきながら歩いていた。
茄子、やっぱりお前少しおかしいぞ。
うさ耳「誰だ貴様!」
早苗「見つかっちゃったじゃない!」
П「うさ耳だなんて聞いてねぇぞ、このバカ!」
うさ耳「や、野郎、この耳をバカにしやがって……!来い!1号!」
うさ耳男の後ろから、ギギギと錆びついた音が鳴り響きロボと、狼の混合品のようなバケモノが踊り出る。
機械を組み込んだにもかかわらず、サビの音以外は俊敏に駆け回れるようで、近くの家の塀を軽々飛び越えてきた
。
П「コイツぶっ殺しちゃって良いのか?」
うさ耳「何を言ってやがる、お前を先に殺してから女を実験道具にして」
П『周辺のゴミを跳ねまわり、蓋然性を含んで犬を撃ち殺せ』
茄子「え?だって相棒ですよ?」
早苗「まあまあ、なすちゃんが居ると、やけに仕事の回りがいいし、良いじゃない」
П「良くない」
茄子「かー・こー・でー・すー!」
何でも女子寮付近で、少女を狙ってウロチョロする変質者らしいが……
すぐ見つかるはずもない、と家を出て少し歩いたところ。
茄子「あ、Пさん、アレじゃないですか?」
П「そんな簡単に居るわけ……」
うさ耳「この辺りに、ヘヘヘ……」
П「んう!?、変質者だー!!!」
茄子「やだかわいい…」
うさ耳をつけた、白髪交じりの研究者風の変質者が通りをニヤつきながら歩いていた。
茄子、やっぱりお前少しおかしいぞ。
うさ耳「誰だ貴様!」
早苗「見つかっちゃったじゃない!」
П「うさ耳だなんて聞いてねぇぞ、このバカ!」
うさ耳「や、野郎、この耳をバカにしやがって……!来い!1号!」
うさ耳男の後ろから、ギギギと錆びついた音が鳴り響きロボと、狼の混合品のようなバケモノが踊り出る。
機械を組み込んだにもかかわらず、サビの音以外は俊敏に駆け回れるようで、近くの家の塀を軽々飛び越えてきた
。
П「コイツぶっ殺しちゃって良いのか?」
うさ耳「何を言ってやがる、お前を先に殺してから女を実験道具にして」
П『周辺のゴミを跳ねまわり、蓋然性を含んで犬を撃ち殺せ』
286: ◆cAx53OjAIrfz 2013/06/19(水) 00:20:30.50 ID:b0tu+TxA0
乾いた音がした後、金属音の弾き合う音がして犬の頭が吹き飛び肉片が崩れ落ちる。
うさ耳「やる…?」
П『周囲のゴミを跳ねまわり、あのおふざけうさ耳男の耳と足を撃ち抜け』
もう一度乾いた音がした後、再び金属音がはじけあい、両耳と右足のスネに穴が開く。
うさ耳「あ…え…?」
膝に穴があき、力が入らず変質者が地面に崩れ落ちる。
П「んで、コイツは殺すのか?」
早苗「だめよ、勿論宇宙連合とか何とかに書類送検らしいから」
うさ耳「え…?何で、銃位、ロボは避けれる…え…?」
П「もう少し運動するべきだったなぁ?え?何なら母星にでも助けを呼ぶか?エリ・エリ・レマ・サバクタニってか?」
茄子「うわっ…イタソー」
早苗(やっぱりなすちゃん、肝が座ってるわ……)
П「まあさっきの鉄砲水で弾を弾く金属片が散らばってたのが幸いか、多分あの犬、銃弾くらいは直線だと避けると思ったからな」
П「取り敢えず止血のためにお前の足、化学薬品で焼くから」
うさ耳「え?」
茄子「はいどうぞ」
動物用の止血剤を布にこすりつけ、変質者の傷口に力いっぱいこすり付ける。
夜中に声にならない悲鳴が響きわたった。
うさ耳「やる…?」
П『周囲のゴミを跳ねまわり、あのおふざけうさ耳男の耳と足を撃ち抜け』
もう一度乾いた音がした後、再び金属音がはじけあい、両耳と右足のスネに穴が開く。
うさ耳「あ…え…?」
膝に穴があき、力が入らず変質者が地面に崩れ落ちる。
П「んで、コイツは殺すのか?」
早苗「だめよ、勿論宇宙連合とか何とかに書類送検らしいから」
うさ耳「え…?何で、銃位、ロボは避けれる…え…?」
П「もう少し運動するべきだったなぁ?え?何なら母星にでも助けを呼ぶか?エリ・エリ・レマ・サバクタニってか?」
茄子「うわっ…イタソー」
早苗(やっぱりなすちゃん、肝が座ってるわ……)
П「まあさっきの鉄砲水で弾を弾く金属片が散らばってたのが幸いか、多分あの犬、銃弾くらいは直線だと避けると思ったからな」
П「取り敢えず止血のためにお前の足、化学薬品で焼くから」
うさ耳「え?」
茄子「はいどうぞ」
動物用の止血剤を布にこすりつけ、変質者の傷口に力いっぱいこすり付ける。
夜中に声にならない悲鳴が響きわたった。
287: ◆cAx53OjAIrfz 2013/06/19(水) 00:23:23.87 ID:b0tu+TxA0
П「はい、銃」
早苗「はいはいどーも、コレ新品とお仕事代」
勿論早苗が捕まえたというアリバイ工作だ、俺が撃ったと思われれば俺は犯罪者、早苗も共犯者だろう。
П「全く、お前もコレを自分の手柄にしちゃうんだからひでぇよなぁ」
早苗「文句言わないの、はい茄子ちゃん、お土産」
茄子「あ、ありがとうございま~す♪」
中身のまんじゅうか何かだったようで、茄子はホクホク顔だった。
П「じゃあ俺はもう帰るぜ、ここの地価が落ちないよう頑張れよポリ公、後家賃払え」
早苗「はいはいあんたもね」
そう言うと、早苗は気絶した変質者を引きずって去っていった。
畜生また家賃を流された、このままだとあの婦警に資産を全部食われかねんぞ。
П「……」
犬の死骸を、家の庭に引きずり地中に埋め、木の棒で十字を立てる。
茄子「優しいんですね」
П「こんなの女子寮前に転がってたら、ここらの地価が下がっちまうだろ」
П「……晩飯は?」
茄子「勿論、和食ですよ」
П「……」
何となく、好みを把握されてむしゃくしゃしたので、もう一度お尻を抓ってから帰路に向かった。
後ろからも~素直じゃないんだから、という声が癪に障ったが、今度は無視した。
早苗「はいはいどーも、コレ新品とお仕事代」
勿論早苗が捕まえたというアリバイ工作だ、俺が撃ったと思われれば俺は犯罪者、早苗も共犯者だろう。
П「全く、お前もコレを自分の手柄にしちゃうんだからひでぇよなぁ」
早苗「文句言わないの、はい茄子ちゃん、お土産」
茄子「あ、ありがとうございま~す♪」
中身のまんじゅうか何かだったようで、茄子はホクホク顔だった。
П「じゃあ俺はもう帰るぜ、ここの地価が落ちないよう頑張れよポリ公、後家賃払え」
早苗「はいはいあんたもね」
そう言うと、早苗は気絶した変質者を引きずって去っていった。
畜生また家賃を流された、このままだとあの婦警に資産を全部食われかねんぞ。
П「……」
犬の死骸を、家の庭に引きずり地中に埋め、木の棒で十字を立てる。
茄子「優しいんですね」
П「こんなの女子寮前に転がってたら、ここらの地価が下がっちまうだろ」
П「……晩飯は?」
茄子「勿論、和食ですよ」
П「……」
何となく、好みを把握されてむしゃくしゃしたので、もう一度お尻を抓ってから帰路に向かった。
後ろからも~素直じゃないんだから、という声が癪に障ったが、今度は無視した。
288: ◆cAx53OjAIrfz 2013/06/19(水) 00:27:25.89 ID:b0tu+TxA0
鷹富士茄子(一応神様なので年齢は不詳)
職業:偉い神様
属性:自由な女神
能力:因果自動調整、ご利益(学業成就、豊穣金満、幸運をもたらす)
昔から居たらしい、昔は海の向こうに住んでいたが、最近こっちにやってきた。
因果関係を歪めて、自分の思い通りに物事を動かせるが。
何処かの王様が滅茶苦茶やって、世界から追放されたのを見てそういうことはしないと決めたらしい。
Пの能力に興味を持って、Пの家に上がり込むことにした(Пは嫌がったが、結果的に泊めざるを得なくなった)。
Пのオヤツを時折勝手に食べているが、神様への捧げ物と言うことで善行扱いになるため、Пは怒るに怒れない。
片桐早苗(28歳)
職業:婦警
属性:正義のピットブル
能力:???
Пの近所のお姉さんだったが、幼い頃から観察の結果誰よりも先にПの能力に気づく。
世界同時多発的超常現象群が起きるまでは忘れていたが、事件解決のため時折Пの能力を借り。
対価として、Пが厄介事に巻き込まれた時は手伝う約束をする。(一方的に)
П(読み:ペー)(23歳)
職業:女子寮の管理人
属性:ひねくれ者
能力:1回の善行による1つの因果の指定操作
1回善い行いをすると、1つ因果を指定して操作することが出来る、また6回分までストックすることが出来る。
生まれも育ちも今の女子寮、元々はアパートだったが、家主のПの父親が急死、母親は居らず一人親だったので。
困っていたところ茄子が飛び込んで来て『何とかしてもらったところ』、近くの学校から女子寮にしては如何かと持ちかけられ、女子寮に変更。
昼間は箒を掃き、夜に近所の婦警に能力を買われ仕事の手伝いをする生活になった。
また、離れにまた一軒新しいアパートを立てる夢を持つ。
職業:偉い神様
属性:自由な女神
能力:因果自動調整、ご利益(学業成就、豊穣金満、幸運をもたらす)
昔から居たらしい、昔は海の向こうに住んでいたが、最近こっちにやってきた。
因果関係を歪めて、自分の思い通りに物事を動かせるが。
何処かの王様が滅茶苦茶やって、世界から追放されたのを見てそういうことはしないと決めたらしい。
Пの能力に興味を持って、Пの家に上がり込むことにした(Пは嫌がったが、結果的に泊めざるを得なくなった)。
Пのオヤツを時折勝手に食べているが、神様への捧げ物と言うことで善行扱いになるため、Пは怒るに怒れない。
片桐早苗(28歳)
職業:婦警
属性:正義のピットブル
能力:???
Пの近所のお姉さんだったが、幼い頃から観察の結果誰よりも先にПの能力に気づく。
世界同時多発的超常現象群が起きるまでは忘れていたが、事件解決のため時折Пの能力を借り。
対価として、Пが厄介事に巻き込まれた時は手伝う約束をする。(一方的に)
П(読み:ペー)(23歳)
職業:女子寮の管理人
属性:ひねくれ者
能力:1回の善行による1つの因果の指定操作
1回善い行いをすると、1つ因果を指定して操作することが出来る、また6回分までストックすることが出来る。
生まれも育ちも今の女子寮、元々はアパートだったが、家主のПの父親が急死、母親は居らず一人親だったので。
困っていたところ茄子が飛び込んで来て『何とかしてもらったところ』、近くの学校から女子寮にしては如何かと持ちかけられ、女子寮に変更。
昼間は箒を掃き、夜に近所の婦警に能力を買われ仕事の手伝いをする生活になった。
また、離れにまた一軒新しいアパートを立てる夢を持つ。
289: ◆cAx53OjAIrfz 2013/06/19(水) 00:32:20.19 ID:b0tu+TxA0
終わりです
茄子さん、滅茶苦茶食い意地はってる、SRのセリフを見返しながら俺は思った
早苗さんも、酒好きで滅茶苦茶カロリーを摂取する
成る程、こりゃあ出るとこが出るわけだ、という訳で茄子さん、早苗さんでした
茄子さんと早苗さんを抱きしめたい
茄子さん、滅茶苦茶食い意地はってる、SRのセリフを見返しながら俺は思った
早苗さんも、酒好きで滅茶苦茶カロリーを摂取する
成る程、こりゃあ出るとこが出るわけだ、という訳で茄子さん、早苗さんでした
茄子さんと早苗さんを抱きしめたい
293: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/19(水) 00:49:46.71 ID:WAA2MJ4z0
神崎蘭子。彼女は普通の女子中学生である。決して魔王のような言葉では喋らない。
…少しオカルト好きなところを除けば。
オカルトと言っても好みはかなり偏っており、悪魔や魔術の本ばかり読んでいる。
そんな彼女は、異変が起こったその日にある能力を身に着けた。
…残念ながら彼女が望んだような『魔の力』ではなかったが。
…少しオカルト好きなところを除けば。
オカルトと言っても好みはかなり偏っており、悪魔や魔術の本ばかり読んでいる。
そんな彼女は、異変が起こったその日にある能力を身に着けた。
…残念ながら彼女が望んだような『魔の力』ではなかったが。
294: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/19(水) 00:50:22.51 ID:WAA2MJ4z0
彼女の能力は『どんな文章も読み解く能力』。
英語も仏語も独語も、挙句の果てには入手さえできれば異星の言語さえ脳内で自動で和訳して読むことができる。
暫く落ち込んだ彼女であったが、少しポジティブに考えて…外国語のオカルト本を読むことにした。
図書館にはオカルト本は少なかったが、とある古本屋に気まぐれで立ち寄った時、まるで自分を呼んでいるかのように目が離せなくなった一冊の本があった。
恐らく伊語で書かれたその本の名前は和訳して『魔の世界』。
ぱらぱらとめくり、内容には彼女の知識にない事ばかり書いてあるのを確認すると、すぐさまレジに持っていく。
「こ、この本買います!」
「あ、はい…350円になります…。」
思ったより安い。彼女は舞い上がるような気分で自宅へと帰って行った。
英語も仏語も独語も、挙句の果てには入手さえできれば異星の言語さえ脳内で自動で和訳して読むことができる。
暫く落ち込んだ彼女であったが、少しポジティブに考えて…外国語のオカルト本を読むことにした。
図書館にはオカルト本は少なかったが、とある古本屋に気まぐれで立ち寄った時、まるで自分を呼んでいるかのように目が離せなくなった一冊の本があった。
恐らく伊語で書かれたその本の名前は和訳して『魔の世界』。
ぱらぱらとめくり、内容には彼女の知識にない事ばかり書いてあるのを確認すると、すぐさまレジに持っていく。
「こ、この本買います!」
「あ、はい…350円になります…。」
思ったより安い。彼女は舞い上がるような気分で自宅へと帰って行った。
295: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/19(水) 00:50:49.53 ID:WAA2MJ4z0
その頃、とある魔界
「父上!父上!」
「姫様、何事ッスか!?」
部下の言葉は気にもせず、姫と呼ばれた少女は城の廊下を駆けてゆく。
「父上!父上!」
「姫様、何事ッスか!?」
部下の言葉は気にもせず、姫と呼ばれた少女は城の廊下を駆けてゆく。
296: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/19(水) 00:51:50.19 ID:WAA2MJ4z0
「父上!何故…こんな仕打ちを我に!」
「娘よ…何が言いたい?」
「何故、攻撃魔法の練習を禁止する!魔術教師に問い詰めたら父上が禁止していると聞き、真意を問いに来たのだ!我に才能がないからか!?」
姫が怒りを露わにしながら父に問いかける。
「…娘よ、汝は戦う必要はないのだ。」
「父上、貴方が言うことが理解できませぬ…!魔族とは!悪魔とは!人々を恐怖に陥れて初めて存在が確立されるのに!」
あくまでも冷静な父に対し、姫は怒りを隠しきれない。
「娘よ…何が言いたい?」
「何故、攻撃魔法の練習を禁止する!魔術教師に問い詰めたら父上が禁止していると聞き、真意を問いに来たのだ!我に才能がないからか!?」
姫が怒りを露わにしながら父に問いかける。
「…娘よ、汝は戦う必要はないのだ。」
「父上、貴方が言うことが理解できませぬ…!魔族とは!悪魔とは!人々を恐怖に陥れて初めて存在が確立されるのに!」
あくまでも冷静な父に対し、姫は怒りを隠しきれない。
297: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/19(水) 00:52:25.89 ID:WAA2MJ4z0
「あの日以来だ!人間が力を身に着けてから!異星の者が現れてから!父上はもう魔族の事なぞどうでもいいのか!」
「…もう、世界に今までのような魔族は必要ではないのだ…ただそれだけだ。」
「…」
その言葉を聞いた次の瞬間、姫は魔王の間を飛び出していた。
「魔王様、追いかけなくてもいいんスか?」
配下の魔物の問いに父…魔王は首を振った。
「まだ…若いな。さすが我が娘よ。」
「…もう、世界に今までのような魔族は必要ではないのだ…ただそれだけだ。」
「…」
その言葉を聞いた次の瞬間、姫は魔王の間を飛び出していた。
「魔王様、追いかけなくてもいいんスか?」
配下の魔物の問いに父…魔王は首を振った。
「まだ…若いな。さすが我が娘よ。」
298: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/19(水) 00:53:33.04 ID:WAA2MJ4z0
人間界
蘭子は、ご機嫌モードのまま、買った本の中に会ったとある術を試そうとしていた。
願いが叶う呪文と悪魔が下僕となる呪文を合わせ、魂を取られないようにする理論で作られた魔術らしい。
カーテンを閉め、紐で作った円の中心に本を置き、自分の血が付いた紙(偶然紙で手が切れたのでその血を使用)をその上に。
満を持して、黒いコートを装備し雰囲気を作り、円の周りをゆっくり歩きながら呪文を唱える。
…ちなみに本に書かれた魔術を行うのは初めてである。今までは必要な道具にいろいろとアレなものが多かったのだ。
「…我が名は神崎蘭子。黒き衣を纏いし者。魔の世界に住む者よ、血の契約を、主従の契約を結び、我が願い叶えたまえ…!」
そして…あり得ないはずの事が起こったのだ。本が光を放ち、目の前に翼を持った少女が現れたのだ。
蘭子は、ご機嫌モードのまま、買った本の中に会ったとある術を試そうとしていた。
願いが叶う呪文と悪魔が下僕となる呪文を合わせ、魂を取られないようにする理論で作られた魔術らしい。
カーテンを閉め、紐で作った円の中心に本を置き、自分の血が付いた紙(偶然紙で手が切れたのでその血を使用)をその上に。
満を持して、黒いコートを装備し雰囲気を作り、円の周りをゆっくり歩きながら呪文を唱える。
…ちなみに本に書かれた魔術を行うのは初めてである。今までは必要な道具にいろいろとアレなものが多かったのだ。
「…我が名は神崎蘭子。黒き衣を纏いし者。魔の世界に住む者よ、血の契約を、主従の契約を結び、我が願い叶えたまえ…!」
そして…あり得ないはずの事が起こったのだ。本が光を放ち、目の前に翼を持った少女が現れたのだ。
299: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/19(水) 00:54:02.55 ID:WAA2MJ4z0
「フフフ…ハァーッハッハッハ!ひれ伏せ!我こそが第5魔界を統一する偉大なる魔王の一人娘!悪姫ブリュンヒルデであるぞ!」
300: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/19(水) 00:54:30.42 ID:WAA2MJ4z0
「…む?」
「…え!?」
二人はお互いの顔を見合わせた。服装や髪形は違うものの、鏡を見たかのようにそっくりだったのだ。
「貴様、ドッペルゲンガーか?」
「え?ち、違います!私は人間です!」
「…え!?」
二人はお互いの顔を見合わせた。服装や髪形は違うものの、鏡を見たかのようにそっくりだったのだ。
「貴様、ドッペルゲンガーか?」
「え?ち、違います!私は人間です!」
301: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/19(水) 00:55:01.71 ID:WAA2MJ4z0
「…そうか。…ふむ、貴様はなかなかの魔術のセンスがあるようだな。」
「ほ、本当ですか!?」
蘭子は悪姫の言葉を聞いて再び舞い上がる。まぁ確かにこんな魔術を成功させるのだから嘘ではないだろう。
「…だが、肝心の魔力がない。放水する時にホースはかなり放水できる物でも、タンクに水がほとんど無いようなものだな。」
「…そうですか。」
「…貴様の願いは何だ?我ができることは何でも叶えてやろう。」
「ほ、本当ですか!?」
蘭子は悪姫の言葉を聞いて再び舞い上がる。まぁ確かにこんな魔術を成功させるのだから嘘ではないだろう。
「…だが、肝心の魔力がない。放水する時にホースはかなり放水できる物でも、タンクに水がほとんど無いようなものだな。」
「…そうですか。」
「…貴様の願いは何だ?我ができることは何でも叶えてやろう。」
302: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/19(水) 00:55:50.54 ID:WAA2MJ4z0
悪姫の問いに落ち込んでいた蘭子が顔を上げて呟くように言った。
「…すごい魔術が使えるようになりたかったんです。」
「…何故だ?」
「世界は今、宇宙人とか急に超能力に目覚めた人たちがいっぱいいるんです。そんな中で魔術師として悪い人たちと戦えたらなぁ…って。」
「…貴様、なかなか見所があるな。あんな連中が堂々と歩いてる中、魔術…そう、悪魔の技術に見惚れるとは。」
悪姫は少し思案して一つの提案をした。
「…願いをかなえるのは無理だが…貴様なら、我の思想が分かるかもしれんな。」
「…?」
「我は今日からこの人間界に住む!目的はそう!魔術による世界征服!」
「え!?」
そこまで求めていません!と言おうとするが口が動かない。
「…もちろん、我もまだ父上に比べれば未熟。そこでだ。貴様が我が部下となり、二人で一人の魔術師になるのだ!共に歩め!敬語は無しだ!」
「ええっー!?」
「…すごい魔術が使えるようになりたかったんです。」
「…何故だ?」
「世界は今、宇宙人とか急に超能力に目覚めた人たちがいっぱいいるんです。そんな中で魔術師として悪い人たちと戦えたらなぁ…って。」
「…貴様、なかなか見所があるな。あんな連中が堂々と歩いてる中、魔術…そう、悪魔の技術に見惚れるとは。」
悪姫は少し思案して一つの提案をした。
「…願いをかなえるのは無理だが…貴様なら、我の思想が分かるかもしれんな。」
「…?」
「我は今日からこの人間界に住む!目的はそう!魔術による世界征服!」
「え!?」
そこまで求めていません!と言おうとするが口が動かない。
「…もちろん、我もまだ父上に比べれば未熟。そこでだ。貴様が我が部下となり、二人で一人の魔術師になるのだ!共に歩め!敬語は無しだ!」
「ええっー!?」
303: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/19(水) 00:56:39.93 ID:WAA2MJ4z0
そして数日後
「蘭子ー!昼子ー!おはよう!」
「うん、おはよう!」
「フン、煩わしい太陽ね!」
悪姫…人間名・神崎昼子は、記憶操作の魔術を使い、蘭子と双子であると周囲に刷り込んだ。
そして…
「蘭子ー!昼子ー!おはよう!」
「うん、おはよう!」
「フン、煩わしい太陽ね!」
悪姫…人間名・神崎昼子は、記憶操作の魔術を使い、蘭子と双子であると周囲に刷り込んだ。
そして…
304: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/19(水) 00:58:16.76 ID:WAA2MJ4z0
『フハハハ!どうだ!大量の水を学校中に撒いてやったぞ!』ピピッ
「…通り雨が降ったようなものだな…」
「…今日は午後から体育のクラス、あったけ?」
「ないな…もう昼休みだぜ?タイミング悪いというか…」
「というか今日は部活ないしな。テスト準備期間で。」
「あ、テメェ!嫌なこと思い出させるなよー!」
『さぁさぁかかってこいヒロイン!!私は逃げも隠れもしないぞー!!』ピピッ
「今日も出ましたね…!早く行かなくては…!」
――ハーッハッハッハッ!――
「む!先を越されましたか…。でも誰が…?」
『来たか!』ピピッ
「ひれ伏せ!我こそが第5魔界を統一する偉大なる魔王の一人娘!悪姫ブリュンヒルデであるぞ!」
「…通り雨が降ったようなものだな…」
「…今日は午後から体育のクラス、あったけ?」
「ないな…もう昼休みだぜ?タイミング悪いというか…」
「というか今日は部活ないしな。テスト準備期間で。」
「あ、テメェ!嫌なこと思い出させるなよー!」
『さぁさぁかかってこいヒロイン!!私は逃げも隠れもしないぞー!!』ピピッ
「今日も出ましたね…!早く行かなくては…!」
――ハーッハッハッハッ!――
「む!先を越されましたか…。でも誰が…?」
『来たか!』ピピッ
「ひれ伏せ!我こそが第5魔界を統一する偉大なる魔王の一人娘!悪姫ブリュンヒルデであるぞ!」
305: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/19(水) 00:59:06.49 ID:WAA2MJ4z0
空中には悪魔の姿をしたブリュンヒルデ。屋上には正体がばれないように黒いローブを羽織った蘭子がいる。
「あ、今まで見たことのないヒロイン!」
「マジだ!ていうか飛んでる!すげぇ!」
『初めて会うな!だが、誰であろうと容赦はしないぞ!』ピピッ
「それはこちらとて同じ事!忌々しい機械め!人間が悪魔を恐れなくなった原因の一つ!」
「…ひ、昼子ちゃん…!」
(あまり喋るな、蘭子よ。貴様に拡声魔法がかかってないからといって、正体がばれるのが嫌なら声はあまり出さない方がいい。)
(あ、うん…。脳内で会話するのまだ慣れなくて…。)
「あ、今まで見たことのないヒロイン!」
「マジだ!ていうか飛んでる!すげぇ!」
『初めて会うな!だが、誰であろうと容赦はしないぞ!』ピピッ
「それはこちらとて同じ事!忌々しい機械め!人間が悪魔を恐れなくなった原因の一つ!」
「…ひ、昼子ちゃん…!」
(あまり喋るな、蘭子よ。貴様に拡声魔法がかかってないからといって、正体がばれるのが嫌なら声はあまり出さない方がいい。)
(あ、うん…。脳内で会話するのまだ慣れなくて…。)
306: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/19(水) 00:59:47.32 ID:WAA2MJ4z0
「ここには我が家臣もいるのだ!大いなる魔術の力、記憶しろ!」
『…二対一か?忍者といい、またこしゃくな!』ピピッ
「知るか!『合唱魔術の発動を宣言する!』」
手を振り上げたブリュンヒルデが魔術を唱えるのに合わせて蘭子も唱える。
「「水よ!大いなる我が力に従い、その静寂なる身を激動に身を任せ我が敵を排除せよ!」」
「「スプラッシュ!」」
呪文が終わるのと同時に、プールの水がまるで意思を持ったかのように動き出し、ロボに襲い掛かる。
『何ィ!?』ピピッ
激流に耐えきれず、ロボは遠くの川まで水流ごと流されていった。
数十秒後、プールの水はロボを川に放置して元ある場所にしっかり戻ってきた。
「フハハ!我が世界征服計画の第一歩になれたのだ!光栄に思うがいい!フハハハハハ!」
「何あれ…かっけぇ…」
「悪魔なのか…すげぇ…」
「人間どもよ!さらばだ!闇に飲まれよ!」
「あ、待って待って!」
飛び去るブリュンヒルデに蘭子がしがみつき、飛んでいった。
…のは幻影で、本当は再び人間に擬態し、蘭子は着替えて教室に戻って行った。
『…二対一か?忍者といい、またこしゃくな!』ピピッ
「知るか!『合唱魔術の発動を宣言する!』」
手を振り上げたブリュンヒルデが魔術を唱えるのに合わせて蘭子も唱える。
「「水よ!大いなる我が力に従い、その静寂なる身を激動に身を任せ我が敵を排除せよ!」」
「「スプラッシュ!」」
呪文が終わるのと同時に、プールの水がまるで意思を持ったかのように動き出し、ロボに襲い掛かる。
『何ィ!?』ピピッ
激流に耐えきれず、ロボは遠くの川まで水流ごと流されていった。
数十秒後、プールの水はロボを川に放置して元ある場所にしっかり戻ってきた。
「フハハ!我が世界征服計画の第一歩になれたのだ!光栄に思うがいい!フハハハハハ!」
「何あれ…かっけぇ…」
「悪魔なのか…すげぇ…」
「人間どもよ!さらばだ!闇に飲まれよ!」
「あ、待って待って!」
飛び去るブリュンヒルデに蘭子がしがみつき、飛んでいった。
…のは幻影で、本当は再び人間に擬態し、蘭子は着替えて教室に戻って行った。
307: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/19(水) 01:00:33.74 ID:WAA2MJ4z0
『…博士、戻りました…』ピピッ
「ロボ、どうした!?ビショビショじゃないか!防水は完璧だから大丈夫だとは思うが…」
「え?またプールにでも落ちたの?」
『…プールに襲われました』ピピッ
「「は?」」
「ロボ、どうした!?ビショビショじゃないか!防水は完璧だから大丈夫だとは思うが…」
「え?またプールにでも落ちたの?」
『…プールに襲われました』ピピッ
「「は?」」
308: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/19(水) 01:02:24.79 ID:WAA2MJ4z0
神崎蘭子(14)
職業:中学生…兼悪姫の従者
属性:魔力不足の魔術系ヒロイン
能力:悪姫との合体魔法
言葉は中二病ではないが、その分オカルトに熱中している中学生。
魔力はないが、魔術の発動に関してはかなりの才能を持つ。
自分と瓜二つの悪魔、ブリュンヒルデに従者にされ、振り回されている。
…ちなみに悪魔が下僕となる呪文は、悪魔の下僕になるドM用呪文である。
…我が下僕的な言い回しだったそうだ。哀れ、蘭子ちゃん。
あらゆる言語の文を読むことができるが、喋ることはできない。読もうとすると自動変換されるだけなのだ。
魂の契約を悪姫と結んでおり、脳内でテレパシーができる。
…ちなみに一人だとほとんど無力である。
神崎昼子・本名、悪姫ブリュンヒルデ(???)
職業:中学生…本業は世界征服を狙う悪姫
属性:才能不足の悪魔
能力:蘭子との合体魔法、補助系魔法
かなり魔力に恵まれているが、攻撃魔術の才能がなかった哀れな悪魔。
補助や操作系魔術はあとちょっと経験を積めば世界征服できなくもないほどの才能があるが、本人が派手好きなため、あまり使われない。
レベルは魔界基準で1000とちょっとぐらい。転生は一回もしていない。
母を知らず、父親に育てられた。よく喧嘩をするが、父の事を愛しているからこそ、名乗りに彼の紹介も入れている。
悪魔の威厳が無くなってきたこの状況を良しとせず、世界征服をすることで悪魔の威厳を取り戻そうとしている。
その為、宇宙人等、別の場所から来た存在を嫌うが、妖怪などは逆に行為を抱く。
職業:中学生…兼悪姫の従者
属性:魔力不足の魔術系ヒロイン
能力:悪姫との合体魔法
言葉は中二病ではないが、その分オカルトに熱中している中学生。
魔力はないが、魔術の発動に関してはかなりの才能を持つ。
自分と瓜二つの悪魔、ブリュンヒルデに従者にされ、振り回されている。
…ちなみに悪魔が下僕となる呪文は、悪魔の下僕になるドM用呪文である。
…我が下僕的な言い回しだったそうだ。哀れ、蘭子ちゃん。
あらゆる言語の文を読むことができるが、喋ることはできない。読もうとすると自動変換されるだけなのだ。
魂の契約を悪姫と結んでおり、脳内でテレパシーができる。
…ちなみに一人だとほとんど無力である。
神崎昼子・本名、悪姫ブリュンヒルデ(???)
職業:中学生…本業は世界征服を狙う悪姫
属性:才能不足の悪魔
能力:蘭子との合体魔法、補助系魔法
かなり魔力に恵まれているが、攻撃魔術の才能がなかった哀れな悪魔。
補助や操作系魔術はあとちょっと経験を積めば世界征服できなくもないほどの才能があるが、本人が派手好きなため、あまり使われない。
レベルは魔界基準で1000とちょっとぐらい。転生は一回もしていない。
母を知らず、父親に育てられた。よく喧嘩をするが、父の事を愛しているからこそ、名乗りに彼の紹介も入れている。
悪魔の威厳が無くなってきたこの状況を良しとせず、世界征服をすることで悪魔の威厳を取り戻そうとしている。
その為、宇宙人等、別の場所から来た存在を嫌うが、妖怪などは逆に行為を抱く。
309: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/19(水) 01:03:23.16 ID:WAA2MJ4z0
※魔法と魔術
魔法は基本的に人間の魔法使いが使うもので、魔術は悪魔が使うもの…とここではさせていただきます。
魔法よりも詠唱が長いことが多いが、その分威力はけた違い。
また、魔法よりも攻撃的な術が多いです。
しかし、魔法を身に着けた悪魔も結構多かったり。時間短縮大事だよね。
※合唱魔術
この二人の場合、蘭子が『ホースの質がいいのに水が無い』
悪姫が『水は大量にあるがホースが粗悪品(※攻撃魔法の場合)』
合唱することにより、蘭子のホースで悪姫の水を使用することが可能となります。
その場合、魔術の威力は合唱補正もあってかなりの事に。
今回はプールの水を使用しましたが、水を作り出すことも可能です。
使用した魔法・魔術一覧
スプラッシュ
水の束が相手に向かってゆく魔術。その場にある水を使えば魔力の節約になる。
拡声魔法
拡声器を使ったかのように声を大きくできる魔法。
幻影魔法
幻影を見せる魔法。悪姫は高クオリティの幻影を2時間は維持できる。
記憶操作魔法
悪姫はかなりの範囲の人間に発動可能。
魔法は基本的に人間の魔法使いが使うもので、魔術は悪魔が使うもの…とここではさせていただきます。
魔法よりも詠唱が長いことが多いが、その分威力はけた違い。
また、魔法よりも攻撃的な術が多いです。
しかし、魔法を身に着けた悪魔も結構多かったり。時間短縮大事だよね。
※合唱魔術
この二人の場合、蘭子が『ホースの質がいいのに水が無い』
悪姫が『水は大量にあるがホースが粗悪品(※攻撃魔法の場合)』
合唱することにより、蘭子のホースで悪姫の水を使用することが可能となります。
その場合、魔術の威力は合唱補正もあってかなりの事に。
今回はプールの水を使用しましたが、水を作り出すことも可能です。
使用した魔法・魔術一覧
スプラッシュ
水の束が相手に向かってゆく魔術。その場にある水を使えば魔力の節約になる。
拡声魔法
拡声器を使ったかのように声を大きくできる魔法。
幻影魔法
幻影を見せる魔法。悪姫は高クオリティの幻影を2時間は維持できる。
記憶操作魔法
悪姫はかなりの範囲の人間に発動可能。
310: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/19(水) 01:04:14.57 ID:WAA2MJ4z0
以上です。
蘭子ちゃんが熊本弁じゃないのは悪姫とのバランスをとるためです…少し申し訳ない
蘭子ちゃんが熊本弁じゃないのは悪姫とのバランスをとるためです…少し申し訳ない
317: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/19(水) 01:10:27.29 ID:szuPG70u0
私は今日も窓から外を眺めていた。
昨日は綺麗な歌声が聞こえたな…
なんだか、心が安らぐのを感じる。
けど、自分の今の事を考えると、また暗い気持ちが出て来た。
昨日は綺麗な歌声が聞こえたな…
なんだか、心が安らぐのを感じる。
けど、自分の今の事を考えると、また暗い気持ちが出て来た。
318: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/19(水) 01:11:34.94 ID:szuPG70u0
日が変われば、何もかも変わらない日常。
いつもと変わらない風景。
いつもと変わらない音。
いつもと変わらない匂い。
変わるのは……私の病状だけ……
319: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/19(水) 01:12:45.76 ID:szuPG70u0
私は小さい頃から病弱だった。
外で遊ぶ事もなかった。
友達もできた事もなかった。
家族と一緒に出かける事もなかった。
成長するにつれて、学校に行くようにもなったが、学校での思い出なんてなかった。
あるのは病院にいる時の思い出しかない。
外で遊ぶ事もなかった。
友達もできた事もなかった。
家族と一緒に出かける事もなかった。
成長するにつれて、学校に行くようにもなったが、学校での思い出なんてなかった。
あるのは病院にいる時の思い出しかない。
320: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/19(水) 01:14:05.77 ID:szuPG70u0
病院で仲がいい子達もできた。
けど、みんないなくなった。
元気になって退院して、それっきり。
お見舞いも連絡もない。
きっと、私の事なんて忘れてるんだろうな。
もちろん。退院しない子もいる。
………みんな亡くなったけどね。
そして………私も………
けど、みんないなくなった。
元気になって退院して、それっきり。
お見舞いも連絡もない。
きっと、私の事なんて忘れてるんだろうな。
もちろん。退院しない子もいる。
………みんな亡くなったけどね。
そして………私も………
321: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/19(水) 01:15:20.53 ID:szuPG70u0
「ゴホッ……ゴホッ………!!」
自分の体調は自分でわかる。
自力で歩く事も、起き上がる事もできない。
いつからだろう……両親が来なくなったのは?
いつからだろう……病室から出なくなったのは?
いつからだろう……窓から外を眺めるようになったのは?
いつからだろう……みんなが羨ましくなったのは?
自分の体調は自分でわかる。
自力で歩く事も、起き上がる事もできない。
いつからだろう……両親が来なくなったのは?
いつからだろう……病室から出なくなったのは?
いつからだろう……窓から外を眺めるようになったのは?
いつからだろう……みんなが羨ましくなったのは?
322: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/19(水) 01:17:36.04 ID:szuPG70u0
私は思う。どうして私だけ苦しんでるの?
私は思う。どうして私だけ一人なの?
私は思う。どうして私だけここにいるの?
私は思う。どうして私だけこんな重い病気なの?
私は思う。どうして私だけ一人なの?
私は思う。どうして私だけここにいるの?
私は思う。どうして私だけこんな重い病気なの?
323: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/19(水) 01:18:31.34 ID:szuPG70u0
羨ましいな…すぐ退院する人達が……
羨ましいな…家族に愛されてる人達が……
羨ましいな…周りに恵まれてる人達が……
羨ましいな…普通に生きてる人達が……
羨ましいな…家族に愛されてる人達が……
羨ましいな…周りに恵まれてる人達が……
羨ましいな…普通に生きてる人達が……
324: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/19(水) 01:20:09.74 ID:szuPG70u0
ヒューン!!!……ポテッ……コロコロ………
ん?なんだろう?この丸いのは……
歪んだ球体……紫色に輝いて……不気味だけど……綺麗と思ってしまった…
そう思ってると、その丸いのは急に光出すと、私の所へ飛んできた。
不思議と恐怖はなかった。どうせ、私は長くないんだ。何が起こっても動じはしない。
抵抗もできないし。
ん?なんだろう?この丸いのは……
歪んだ球体……紫色に輝いて……不気味だけど……綺麗と思ってしまった…
そう思ってると、その丸いのは急に光出すと、私の所へ飛んできた。
不思議と恐怖はなかった。どうせ、私は長くないんだ。何が起こっても動じはしない。
抵抗もできないし。
325: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/19(水) 01:22:03.01 ID:szuPG70u0
私が何も抵抗しないでいると、それは私の胸の所に来た。
ズブッ……ズブッ……ズブズブ………
そう気味の悪いと共に、それは私の体に入って来た。
不思議と痛みも苦しみもなかった。
寧ろ、身体が軽くなるのを感じる。
それと共に聞こえてくる。嫉妬に満ちた声が……
ズブッ……ズブッ……ズブズブ………
そう気味の悪いと共に、それは私の体に入って来た。
不思議と痛みも苦しみもなかった。
寧ろ、身体が軽くなるのを感じる。
それと共に聞こえてくる。嫉妬に満ちた声が……
326: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/19(水) 01:23:11.89 ID:szuPG70u0
妬ましい….妬ましい…妬ましい…妬ましい…妬ましい…妬ましい…妬ましい…妬ましい…妬ましい…妬ましい…妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましいネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイネタマシイ!!!!!!
327: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/19(水) 01:24:29.27 ID:szuPG70u0
………そうね。みんなが羨ましい。
起き上がるはずのない身体が動いた。
幸せな人が、愛されてる人が、友達がいる人が、家族がいる人が、健康な人が、苦労をしてない人が…
黒い泥のようなモノが私の背中から出て翼になる。
なら、皆にしらしめてあげようか?
窓に手をかざすと、窓ガラスが粉々にくだけた。
それを妬んで、羨ましがって、足掻いても、足掻いても、掴めない。
私はそこから飛び去った。
そんな不幸で、愚かな人間がいるのを。
起き上がるはずのない身体が動いた。
幸せな人が、愛されてる人が、友達がいる人が、家族がいる人が、健康な人が、苦労をしてない人が…
黒い泥のようなモノが私の背中から出て翼になる。
なら、皆にしらしめてあげようか?
窓に手をかざすと、窓ガラスが粉々にくだけた。
それを妬んで、羨ましがって、足掻いても、足掻いても、掴めない。
私はそこから飛び去った。
そんな不幸で、愚かな人間がいるのを。
328: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/19(水) 01:26:04.23 ID:szuPG70u0
教えてあげよう。嫉妬に包まれて、それでしか生きる希望がわかない愚かな人間がいるのを。
ここに一人の≪カース≫が誕生した。
329: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/19(水) 01:31:57.71 ID:szuPG70u0
乃々「波よっ!力を貸して!!」
ほたる「嵐よっ!雷よ!力を貸して!!」
『グッ……グガァァォォァォォァァァ!!!』
加蓮「くっ……」
私は黒い盾を生成し、なんとか防ぎながら、仲間達が津波に飲み込まれ、嵐と雷に吹き飛ばされてるのを見ていた。あぁ…その力…妬ましい…羨ましい…
ほたる「嵐よっ!雷よ!力を貸して!!」
『グッ……グガァァォォァォォァァァ!!!』
加蓮「くっ……」
私は黒い盾を生成し、なんとか防ぎながら、仲間達が津波に飲み込まれ、嵐と雷に吹き飛ばされてるのを見ていた。あぁ…その力…妬ましい…羨ましい…
330: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/19(水) 01:32:52.25 ID:szuPG70u0
加蓮「相変わらず、ふざけた破壊力ね!!妬ましい…!」
乃々「なんで貴女はいつも無事なんですか……もう帰りたいんですけど…」
ほたる「こんな事はもう辞めてください!そんな事しても誰も幸せなんかになれません!」
加蓮「そんな事を言えるなんて、相変わらず貴女達は幸せ者ね…ナチュルスター」
こっちだって、防ぐので精一杯なのに、元気そうにして私を説得する……妬ましい…羨ましい!!
乃々「なんで貴女はいつも無事なんですか……もう帰りたいんですけど…」
ほたる「こんな事はもう辞めてください!そんな事しても誰も幸せなんかになれません!」
加蓮「そんな事を言えるなんて、相変わらず貴女達は幸せ者ね…ナチュルスター」
こっちだって、防ぐので精一杯なのに、元気そうにして私を説得する……妬ましい…羨ましい!!
331: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/19(水) 01:33:58.79 ID:szuPG70u0
ほたる「それは違います!私だって…」
加蓮「違う?何が違うの?お説教は聞き飽きたっ!!貴女みたいのを偽善者っていうのよ!」
ほたる「……っ!!……」
乃々「あの、ほたるさん。無駄だと思うんですけど?イヴさんが言うには彼女はもう……」
ナチュルスカイが辛そうに顔を歪め、ナチュルマリンがそれを心配そうにしている。
ああ、妬ましい…この友情がっ!
加蓮「違う?何が違うの?お説教は聞き飽きたっ!!貴女みたいのを偽善者っていうのよ!」
ほたる「……っ!!……」
乃々「あの、ほたるさん。無駄だと思うんですけど?イヴさんが言うには彼女はもう……」
ナチュルスカイが辛そうに顔を歪め、ナチュルマリンがそれを心配そうにしている。
ああ、妬ましい…この友情がっ!
332: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/19(水) 01:35:03.17 ID:szuPG70u0
加蓮「今日は引き上げてあげる!そして、覚えときなさい!!世界には貴女達みたいのに嫉妬する人間がいるっていうのを!!」
ほたる「救ってみせます!!そんな人達も……貴女もっ!!エンヴィー!!」
私は飛び去りながら、心に誓う。
世界に教えてあげるっ!私の……私達の嫉妬を!!!
終わり
余談だが、エンヴィーは普段は普通の人間の姿で、アルバイトしながら生活して、嫉妬を集めているのであった。
333: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/19(水) 01:38:28.10 ID:szuPG70u0
北条加蓮/エンヴィー(16)
所属・フリーター
属性・嫉妬のカースと一体化した人間
能力・黒い泥の操作。翼や蛇の形の触手。槍や盾の形にも変化できる。
嫉妬のカースを作り出す。集めた嫉妬によって強さが変わる。
元は病弱な少女だったが、彼女の多くの人への嫉妬により、引きつけられてきた徐化されてない核と一体化したことにより、カースになった。
姿は、黒い泥で構成されたドレスを身に纏い、露出した肌には紫の蛇のような模様がひしめいている(Fateの黒桜みたいな感じ)。顔の上半分はバイザーみたいので隠している。
普段は人間の時の名前と姿で正体を隠しながら、アルバイトをして生活している。
戸籍上では北条加蓮は失踪扱いされてるが、両親は届け出を出していない。
何故なら両親は彼女の病気で長くないのをわかっていて、彼女を見捨てたのだから……
そして皮肉にも彼女の病気はカースの核が心臓と一体化したことにより治った。
だがそれは、彼女が徐化されたらどうなるか……………
所属・フリーター
属性・嫉妬のカースと一体化した人間
能力・黒い泥の操作。翼や蛇の形の触手。槍や盾の形にも変化できる。
嫉妬のカースを作り出す。集めた嫉妬によって強さが変わる。
元は病弱な少女だったが、彼女の多くの人への嫉妬により、引きつけられてきた徐化されてない核と一体化したことにより、カースになった。
姿は、黒い泥で構成されたドレスを身に纏い、露出した肌には紫の蛇のような模様がひしめいている(Fateの黒桜みたいな感じ)。顔の上半分はバイザーみたいので隠している。
普段は人間の時の名前と姿で正体を隠しながら、アルバイトをして生活している。
戸籍上では北条加蓮は失踪扱いされてるが、両親は届け出を出していない。
何故なら両親は彼女の病気で長くないのをわかっていて、彼女を見捨てたのだから……
そして皮肉にも彼女の病気はカースの核が心臓と一体化したことにより治った。
だがそれは、彼女が徐化されたらどうなるか……………
334: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/19(水) 01:40:47.01 ID:szuPG70u0
以上です。
なんか変な所があると思いますが、生暖かい目でお願いします。
こんな闇落ち加蓮ちゃんを書きたかったんだ。
好きにやられ役として使ってください!
なんか変な所があると思いますが、生暖かい目でお願いします。
こんな闇落ち加蓮ちゃんを書きたかったんだ。
好きにやられ役として使ってください!
344: ◆kaGYBvZifE 2013/06/19(水) 02:27:19.20 ID:rXE7FPtg0
鷺沢文香の休日は、その大部分が伯父の経営する古書店の店番に費やされる。
年季の入ったヒノキ材のレジカウンターに座り、日がな一日ハードカバーの本を開いて
じっとしていることも珍しくない。
大学の友人達に遊びに誘われることもあるが、騒がしい場所が苦手ということもあり、
彼女は暇な時は大抵ここにいる。
余談だが、ページをめくる指と、数秒感覚の瞬き以外は微動だにしないその姿から、
近所の小学生の間では、あの女の人は幽霊か魔女かロボットかという賭けが横行しているらしい。
その話は文香自身の耳にも入っていたが、彼女は殊更に憤るわけでもなく、
さもありなん、という心持ちだった。
しかし、文香の読んでいる本の内容を知っている者は誰もいない。
試しに彼女の後ろから本を覗き込んでみても、それは全てのページが白紙なのだ。
大多数の人間は、白紙の本をじっと眺める彼女を変わり者と断じてしまうが、
その「変わり者」という人物評はあながち誤りではない。
そのハードカバーには、彼女にしか読めないものが刻々と綴られているのだから。
年季の入ったヒノキ材のレジカウンターに座り、日がな一日ハードカバーの本を開いて
じっとしていることも珍しくない。
大学の友人達に遊びに誘われることもあるが、騒がしい場所が苦手ということもあり、
彼女は暇な時は大抵ここにいる。
余談だが、ページをめくる指と、数秒感覚の瞬き以外は微動だにしないその姿から、
近所の小学生の間では、あの女の人は幽霊か魔女かロボットかという賭けが横行しているらしい。
その話は文香自身の耳にも入っていたが、彼女は殊更に憤るわけでもなく、
さもありなん、という心持ちだった。
しかし、文香の読んでいる本の内容を知っている者は誰もいない。
試しに彼女の後ろから本を覗き込んでみても、それは全てのページが白紙なのだ。
大多数の人間は、白紙の本をじっと眺める彼女を変わり者と断じてしまうが、
その「変わり者」という人物評はあながち誤りではない。
そのハードカバーには、彼女にしか読めないものが刻々と綴られているのだから。
345: ◆kaGYBvZifE 2013/06/19(水) 02:28:02.94 ID:rXE7FPtg0
(――西暦19XX年。ウサミン歴4581年。
辺境惑星調査観測員ナナによってウサミン星に地球の文化に関するデータがもたらされる。
その功績を讃え、一部の者達はナナを≪グレート・マザー≫と呼び始めた……)
(――西暦19XX年。ウサミン歴4600年。
ウサミン星宇宙軍がクーデターを実行。首都ウサミンシティは完全に掌握され
軍事独裁政権が樹立。しかし市民の抵抗運動が多発し400万人に及ぶ死者が出る……)
(――西暦20XX年。ウサミン歴4608年。
軍内部にて他星を侵略し植民地を獲得すべしとする『征星論』が台頭。
一部のタカ派将校は艦隊を率いて外宇宙へ遠征……)
白いページの上には、本来地球人に知る由のないウサミン星の歴史が綴られている。
他の誰にも読めない、彼女だけに読める文字で。
彼女の瞳が不可視の文字を追うごとに、次々と新しい情報が浮かび上がっていく。
ウサミン星のことだけではない。
彼女はすべての事物の歴史を紐解き、すべての運命を知る。
現在・過去・未来の情報のすべてを閲覧し、すべての人の意義、存在理由、カルマを読むことができる。
それは、宇宙の歴史すべてを記録したデータバンク――アカシックレコード。
彼女は、アカシックレコードへのアクセスを許された数少ない人間だった。
辺境惑星調査観測員ナナによってウサミン星に地球の文化に関するデータがもたらされる。
その功績を讃え、一部の者達はナナを≪グレート・マザー≫と呼び始めた……)
(――西暦19XX年。ウサミン歴4600年。
ウサミン星宇宙軍がクーデターを実行。首都ウサミンシティは完全に掌握され
軍事独裁政権が樹立。しかし市民の抵抗運動が多発し400万人に及ぶ死者が出る……)
(――西暦20XX年。ウサミン歴4608年。
軍内部にて他星を侵略し植民地を獲得すべしとする『征星論』が台頭。
一部のタカ派将校は艦隊を率いて外宇宙へ遠征……)
白いページの上には、本来地球人に知る由のないウサミン星の歴史が綴られている。
他の誰にも読めない、彼女だけに読める文字で。
彼女の瞳が不可視の文字を追うごとに、次々と新しい情報が浮かび上がっていく。
ウサミン星のことだけではない。
彼女はすべての事物の歴史を紐解き、すべての運命を知る。
現在・過去・未来の情報のすべてを閲覧し、すべての人の意義、存在理由、カルマを読むことができる。
それは、宇宙の歴史すべてを記録したデータバンク――アカシックレコード。
彼女は、アカシックレコードへのアクセスを許された数少ない人間だった。
346: ◆kaGYBvZifE 2013/06/19(水) 02:29:29.31 ID:rXE7FPtg0
先日、街に現れた怪物――カースが特殊な能力を持つ少女達に蹴散らされたのをテレビで見た。
その日のうちに文香は、彼女達全員の名前、年齢、趣味に始まる秘密のすべてを知った。
都内の総合病院から一人の少女が謎の失踪を遂げたという事件をネットのニュースサイトで見た。
北条加蓮がカースと一体化し、仮初めの命と引き換えに世界を呪い続ける運命を垣間見た。
白いウサミミの怪人の目撃情報が数多く寄せられていると、常連のオカルト好きから聞いた。
そして文香は今、10万光年の彼方にあるウサミン星の歴史を紐解いている。
しかし文香は、アカシックレコードを最後まで読み進めることはせず、
適当なところで切り上げてアクセスを遮断することにしている。
自分自身の未来を閲覧したことも、当然一度だってありはしない。
アカシックレコードに書かれていることはただひとつの誤謬もなく、また覆りようのない真実だ。
すべての人や宇宙の過去と現在と未来のすべてが記録されているということは、
すべての人には抗いがたい宿命が存在するということになる。
普通の人間には絶対的に認識不可能であるがゆえに、個人の主観からすれば人生に運命や宿命など
存在しないことになるが、アカシックレコードの読み手である文香にとってはそうではない。
ひょっとしたら、アカシックレコードの読み手である文香自身の行動や意志までも、
アカシックレコードに記録されている通りに支配されているのか。
だとすれば、人間の一生に歴史の駒以外の意義などなくなってしまう。
そう考えたとき、ページをめくる手がぴたりと止まってしまう。
未来を読むことに対する表現しようのない恐ろしさに駆られて、本を閉じてしまう。
いっそアカシックレコードを金儲けに利用してやろうか、と、ちらと考えたこともあったが、
その考えすらアカシックレコードに記録済みなのではないか? と思うと、
途端にバカバカしくなってしまうのだった。
その日のうちに文香は、彼女達全員の名前、年齢、趣味に始まる秘密のすべてを知った。
都内の総合病院から一人の少女が謎の失踪を遂げたという事件をネットのニュースサイトで見た。
北条加蓮がカースと一体化し、仮初めの命と引き換えに世界を呪い続ける運命を垣間見た。
白いウサミミの怪人の目撃情報が数多く寄せられていると、常連のオカルト好きから聞いた。
そして文香は今、10万光年の彼方にあるウサミン星の歴史を紐解いている。
しかし文香は、アカシックレコードを最後まで読み進めることはせず、
適当なところで切り上げてアクセスを遮断することにしている。
自分自身の未来を閲覧したことも、当然一度だってありはしない。
アカシックレコードに書かれていることはただひとつの誤謬もなく、また覆りようのない真実だ。
すべての人や宇宙の過去と現在と未来のすべてが記録されているということは、
すべての人には抗いがたい宿命が存在するということになる。
普通の人間には絶対的に認識不可能であるがゆえに、個人の主観からすれば人生に運命や宿命など
存在しないことになるが、アカシックレコードの読み手である文香にとってはそうではない。
ひょっとしたら、アカシックレコードの読み手である文香自身の行動や意志までも、
アカシックレコードに記録されている通りに支配されているのか。
だとすれば、人間の一生に歴史の駒以外の意義などなくなってしまう。
そう考えたとき、ページをめくる手がぴたりと止まってしまう。
未来を読むことに対する表現しようのない恐ろしさに駆られて、本を閉じてしまう。
いっそアカシックレコードを金儲けに利用してやろうか、と、ちらと考えたこともあったが、
その考えすらアカシックレコードに記録済みなのではないか? と思うと、
途端にバカバカしくなってしまうのだった。
347: ◆kaGYBvZifE 2013/06/19(水) 02:30:16.02 ID:rXE7FPtg0
(……人は運命に逆らえない。より正確に言えば、運命に逆らおうとする行為自体が、
既に定められていることなのだから……)
(……本当に?)
(……でも……私には、それを確かめる勇気はないから……)
「すみません!」
深く思索に耽っているところ、出し抜けに声をかけられ、世界がぴしりと引き締まったような気がした。
ふっと声のした方に目をやると、古びた魔術の本を持った銀髪の少女が目を輝かせながら、
「こ、この本買います!」
と言ってきた。
ここでやっと文香は、ああ、と得心が行った。
そういえば自分は伯父の古書店の店番をしていたのだ。
「あ、はい……350円になります……」
会計をしている間も、少女はその本を読みたくてたまらないような様子だった。
きっと魔術とか、そういうオカルト趣味に傾倒しているのだろうと思い
まああのくらいの年頃にはよくある話だと、未成年の自分を棚に上げて年寄りじみた感想を抱く。
嬉しそうに店を後にする少女の背中に視線を注ぎながら、
(……あの子もきっと、自分の運命を知らない。知る由もない……
でもその方が……ずっとずっと、幸せなのかも……)
と、ぼんやり考えるのだった。
既に定められていることなのだから……)
(……本当に?)
(……でも……私には、それを確かめる勇気はないから……)
「すみません!」
深く思索に耽っているところ、出し抜けに声をかけられ、世界がぴしりと引き締まったような気がした。
ふっと声のした方に目をやると、古びた魔術の本を持った銀髪の少女が目を輝かせながら、
「こ、この本買います!」
と言ってきた。
ここでやっと文香は、ああ、と得心が行った。
そういえば自分は伯父の古書店の店番をしていたのだ。
「あ、はい……350円になります……」
会計をしている間も、少女はその本を読みたくてたまらないような様子だった。
きっと魔術とか、そういうオカルト趣味に傾倒しているのだろうと思い
まああのくらいの年頃にはよくある話だと、未成年の自分を棚に上げて年寄りじみた感想を抱く。
嬉しそうに店を後にする少女の背中に視線を注ぎながら、
(……あの子もきっと、自分の運命を知らない。知る由もない……
でもその方が……ずっとずっと、幸せなのかも……)
と、ぼんやり考えるのだった。
348: ◆kaGYBvZifE 2013/06/19(水) 02:31:31.42 ID:rXE7FPtg0
鷺沢文香
19歳
職業:大学生
アカシックレコードの読み手。
全宇宙の過去・現在・未来を記録していると言われるアカシックレコードへのアクセス権を持つ。
ただし、彼女自身の意向から未来の情報は読みたがらない。
19歳
職業:大学生
アカシックレコードの読み手。
全宇宙の過去・現在・未来を記録していると言われるアカシックレコードへのアクセス権を持つ。
ただし、彼女自身の意向から未来の情報は読みたがらない。
353: ◆kaGYBvZifE 2013/06/19(水) 04:59:17.61 ID:rXE7FPtg0
【カースドヒューマン】
カースの核と一体化して異能の力を得た人間。
融合したカースの属性に応じて、特定の感情や欲望が増幅されている。
能力は個々人の素質やカースの属性によって異なるが、
共通の能力として自らの属性のカースを生みだすことができる。
融合した核の破壊、あるいは浄化は、多くの場合、カースドヒューマンの死を意味する。
加蓮の設定を他に流用するならこんな感じでしょうか。
あと杏は絶対スロースのカースドヒューマンだと思った。
カースの核と一体化して異能の力を得た人間。
融合したカースの属性に応じて、特定の感情や欲望が増幅されている。
能力は個々人の素質やカースの属性によって異なるが、
共通の能力として自らの属性のカースを生みだすことができる。
融合した核の破壊、あるいは浄化は、多くの場合、カースドヒューマンの死を意味する。
加蓮の設定を他に流用するならこんな感じでしょうか。
あと杏は絶対スロースのカースドヒューマンだと思った。
368: ◆kaGYBvZifE 2013/06/19(水) 20:30:03.51 ID:rXE7FPtg0
泰葉、幸子、杏
3人のカースドヒューマンの日常です
3人のカースドヒューマンの日常です
369: ◆kaGYBvZifE 2013/06/19(水) 20:30:40.91 ID:rXE7FPtg0
北条加蓮という少女の謎の失踪は、ほんの数日間だけ人々の関心を寄せはしたが、
次から次へと溢れていく新しいニュースが彼女の存在を押し流してしまったようだった。
とはいえ、末期の心臓病で余命幾許もないと診断されて、主治医はおろか両親さえ
諦めてしまったような重病人が忽然と姿を消し、しかも誰一人として目撃者のいない
不可解な状況は、一部の噂好きの興味の対象になった。
主のいないベッドと、内側から破られた窓ガラスだけが、第三者の想像の翼を羽ばたかせるのである。
無論、彼女の失踪事件の真相を知る者は、極めて少数派である。
加蓮がマイナスエネルギーの化身『カース』と一体化し、仮初めの命を得たことを知る者は……。
カースと一体化して異能の力を得た人間。
それは後に『カースドヒューマン』と呼ばれた。
次から次へと溢れていく新しいニュースが彼女の存在を押し流してしまったようだった。
とはいえ、末期の心臓病で余命幾許もないと診断されて、主治医はおろか両親さえ
諦めてしまったような重病人が忽然と姿を消し、しかも誰一人として目撃者のいない
不可解な状況は、一部の噂好きの興味の対象になった。
主のいないベッドと、内側から破られた窓ガラスだけが、第三者の想像の翼を羽ばたかせるのである。
無論、彼女の失踪事件の真相を知る者は、極めて少数派である。
加蓮がマイナスエネルギーの化身『カース』と一体化し、仮初めの命を得たことを知る者は……。
カースと一体化して異能の力を得た人間。
それは後に『カースドヒューマン』と呼ばれた。
370: ◆kaGYBvZifE 2013/06/19(水) 20:33:15.03 ID:rXE7FPtg0
――――――――――
ひとつ、またひとつ。
意識の届くいっぱいにまで広げた感知野からこぼれ落ちていく存在を認識し、
岡崎泰葉は断末魔の思惟が脳を圧迫する感覚にいら立った。
湧き上がった怒りのままに、脇のパイプベッドの支柱に拳を打ちつける。
16歳の少女の細腕からは想像もつかない膂力が発揮され、彼女の手首ほどの太さの鉄柱が
ぐしゃぐしゃにひしゃげて曲がった。
まただ。また、自分の眷属のカースが消滅した。
正義の味方づらをした連中が、自分の邪魔をする。
この胸に渦巻く怒りを晴らすのを妨げる。ムカつく。腹立たしい。イライラする。
沸き立つ怒りを抑えて深呼吸しながら、泰葉は思考する。
思うに、今回はカースを一箇所に集中させすぎた。次は戦力を分散配置してみようか。
「……これからは、もっと考えて戦わせないと……」
ぽつりと呟き、泰葉は隠れ家のひとつを後にした。
後に残ったのは、真っ二つに砕かれたテーブル、四肢をちぎられたテディベア、穴だらけの壁、
液晶の割れたテレビ、ぐしゃぐしゃに曲がりくねったベッド。
『憤怒』のカースドヒューマンの暴威が行き過ぎた後に残るのは、およそこのようなものである。
371: ◆kaGYBvZifE 2013/06/19(水) 20:33:51.96 ID:rXE7FPtg0
『クッククク……腹立たしいよなぁ、泰葉ちゃん?
あの●●監督を八つ裂きにするチャンスだったのになぁ。惜しい惜しい』
苛立ちを抱えた胸の内奥から、泰葉を挑発するように囁く猫撫で声が響いた。
「……うるさい」
『おお、怖い怖い……だが恥じるこたぁねぇ。お前はうまくやってるよ……』
「うるさい!」
不愉快な『声』が、白いシーツに広がる染みのように泰葉の心から顔を覗かせる。
泰葉は『憤怒』のカースと一体化したカースドヒューマンだが、その中でも特殊なケースと言えた。
人間がカースと一体化する経緯は様々だが、多くの場合、力を失いかけたカースの核が
あてどもなく彷徨っているうちに強い負の感情に引き寄せられ、人間がカースを受け入れることで
融合を果たしカースドヒューマンが生まれる。
その際、カースが元々有していた人格や感情はカースドヒューマンのそれに上書きされ、
統合されるのだが、彼女の場合、融合したカースの悪意が自我という形を保ったまま、
彼女とひとつになったのである。
彼女にとって不愉快なことは、この『憤怒』は時折こうして泰葉の意識に表出し、
人を小馬鹿にしたような態度で泰葉を煽ってくるということだった。
あの●●監督を八つ裂きにするチャンスだったのになぁ。惜しい惜しい』
苛立ちを抱えた胸の内奥から、泰葉を挑発するように囁く猫撫で声が響いた。
「……うるさい」
『おお、怖い怖い……だが恥じるこたぁねぇ。お前はうまくやってるよ……』
「うるさい!」
不愉快な『声』が、白いシーツに広がる染みのように泰葉の心から顔を覗かせる。
泰葉は『憤怒』のカースと一体化したカースドヒューマンだが、その中でも特殊なケースと言えた。
人間がカースと一体化する経緯は様々だが、多くの場合、力を失いかけたカースの核が
あてどもなく彷徨っているうちに強い負の感情に引き寄せられ、人間がカースを受け入れることで
融合を果たしカースドヒューマンが生まれる。
その際、カースが元々有していた人格や感情はカースドヒューマンのそれに上書きされ、
統合されるのだが、彼女の場合、融合したカースの悪意が自我という形を保ったまま、
彼女とひとつになったのである。
彼女にとって不愉快なことは、この『憤怒』は時折こうして泰葉の意識に表出し、
人を小馬鹿にしたような態度で泰葉を煽ってくるということだった。
372: ◆kaGYBvZifE 2013/06/19(水) 20:34:43.43 ID:rXE7FPtg0
『悔しいよなぁ、腹立たしいよなぁ……? 俺はお前さんの成功を祈ってるぜぇ……』
「うるさい! 消えて! さっさと私の中から出て行って!」
『クッククク……おやおや、泰葉ちゃんはご機嫌ナナメ。それじゃあ退散しましょうかねぇ』
「……!」
『憤怒』の気配が消え、泰葉の精神の内奥へ身を潜めたことを確認する。
寒気がするような猫撫で声だけならまだしも、全身にまとわりつく汚泥のような
生理的嫌悪感を伴うのだから始末に負えない。
まったく、厄介な同居人ができてしまったものだ。
これに関する限りは、怒りよりも慨嘆が先に立つ思いである。
そうでなくとも、自分には手のかかる同居人が二人もいるというのに、この上あんな
可愛げのない奴と一生を共にするかもしれないと考えると、実に憂鬱で、腹立たしいのだ。
イライラを持て余したまま、靴底で地面を蹴りつけながら、泰葉は別の隠れ家へ向かった。
少なくともそこにいる同居人達は、例の『憤怒』よりは格段に可愛げのある連中だ。
バカな子ほど可愛いというが、手のかかる妹のようなものと思えば、精神衛生上もいいのかもしれない。
泰葉は隠れ家にしている郊外の小さなマンションへ入っていき、
「――ただいま」
表面上落ち着き払った声音とともに、ドアを開けた。
「うるさい! 消えて! さっさと私の中から出て行って!」
『クッククク……おやおや、泰葉ちゃんはご機嫌ナナメ。それじゃあ退散しましょうかねぇ』
「……!」
『憤怒』の気配が消え、泰葉の精神の内奥へ身を潜めたことを確認する。
寒気がするような猫撫で声だけならまだしも、全身にまとわりつく汚泥のような
生理的嫌悪感を伴うのだから始末に負えない。
まったく、厄介な同居人ができてしまったものだ。
これに関する限りは、怒りよりも慨嘆が先に立つ思いである。
そうでなくとも、自分には手のかかる同居人が二人もいるというのに、この上あんな
可愛げのない奴と一生を共にするかもしれないと考えると、実に憂鬱で、腹立たしいのだ。
イライラを持て余したまま、靴底で地面を蹴りつけながら、泰葉は別の隠れ家へ向かった。
少なくともそこにいる同居人達は、例の『憤怒』よりは格段に可愛げのある連中だ。
バカな子ほど可愛いというが、手のかかる妹のようなものと思えば、精神衛生上もいいのかもしれない。
泰葉は隠れ家にしている郊外の小さなマンションへ入っていき、
「――ただいま」
表面上落ち着き払った声音とともに、ドアを開けた。
373: ◆kaGYBvZifE 2013/06/19(水) 20:35:13.53 ID:rXE7FPtg0
「あ、泰葉さん。おかえりなさい」
泰葉を出迎えたのは、小柄な中学生くらいの少女だった。
名前は輿水幸子。彼女もまた、カースと一体化したカースドヒューマンだった。
「相変わらず眉間に皺を寄せて、いけませんね! カワイくありませんよ!」
「……そう? でも、こういう性格なの」
「泰葉さんもカワイイんですから、気をつけた方がいいですよ!
まあ、ボクほどではありませんけれどね」
「……」
幸子はいつも一言多い。
しかもその一言は、大抵の場合自分を飾ったり持ち上げたりする内容だ。
さすがは『傲慢』のカースドヒューマンといったところだろうか。
「それよりも聞いてください! 杏さんがまたお掃除当番をサボるんですよ!
いえ、それどころか、せっかく注意してあげたボクにカースをけしかけるんです!
まったく本当にしょうがない人ですよね! カワイくて寛容なボクでなければ怒ってるところです!」
「はいはい。私からも言っておくから」
「当然ですよ! ボクが泰葉さんみたいに怒ってばっかりいたらカワイくないですからね。
カワイイボクがカワイくなくなるなんて、この世界にとってどれだけの損失かわかりませんよ!」
一事が万事この調子。徹頭徹尾に渡って自分の可愛さ愛らしさを強調するものだから、
幸子と会話をするのにはそれなりに慣れがいる。
泰葉を出迎えたのは、小柄な中学生くらいの少女だった。
名前は輿水幸子。彼女もまた、カースと一体化したカースドヒューマンだった。
「相変わらず眉間に皺を寄せて、いけませんね! カワイくありませんよ!」
「……そう? でも、こういう性格なの」
「泰葉さんもカワイイんですから、気をつけた方がいいですよ!
まあ、ボクほどではありませんけれどね」
「……」
幸子はいつも一言多い。
しかもその一言は、大抵の場合自分を飾ったり持ち上げたりする内容だ。
さすがは『傲慢』のカースドヒューマンといったところだろうか。
「それよりも聞いてください! 杏さんがまたお掃除当番をサボるんですよ!
いえ、それどころか、せっかく注意してあげたボクにカースをけしかけるんです!
まったく本当にしょうがない人ですよね! カワイくて寛容なボクでなければ怒ってるところです!」
「はいはい。私からも言っておくから」
「当然ですよ! ボクが泰葉さんみたいに怒ってばっかりいたらカワイくないですからね。
カワイイボクがカワイくなくなるなんて、この世界にとってどれだけの損失かわかりませんよ!」
一事が万事この調子。徹頭徹尾に渡って自分の可愛さ愛らしさを強調するものだから、
幸子と会話をするのにはそれなりに慣れがいる。
374: ◆kaGYBvZifE 2013/06/19(水) 20:35:56.05 ID:rXE7FPtg0
幸子はくるりと身を翻すと、開いた五指を虚空にかざす。
すると、ビー玉くらいの大きさの黄色い核が出現し、フローリングの床の隙間から染み出した
黒い泥が核を中心に凝集し、不定形の身体を成す。
同様にして、数体のカースが次々と生み出されていく。
生み出された眷属のカースは、幸子の周りで尊いものを崇めるかのように跪く。
「さあ皆さん。世界で一番カワイイのは?」
『幸子! 幸子! 幸子!』
『幸子ガ世界一! 幸子コソ正義!』
『ヤッパリ幸子ガなんばーわん!』
小人のようなサイズのカースが、幸子を讃える言葉を惜しみなく捧げる。
傍目から見れば滑稽な光景だが、
「ふふーん! そうでしょうそうでしょう! やっぱりボクが一番カワイイんです!」
幸子は眷属に傅かれて可愛さを称賛され、満足げな表情を隠そうともしない。
可愛いものだ、と泰葉は思う。
こうして自分を手放しに肯定され、飽くことない虚栄心を満足させることが、彼女の『傲慢』なのだ。
すると、ビー玉くらいの大きさの黄色い核が出現し、フローリングの床の隙間から染み出した
黒い泥が核を中心に凝集し、不定形の身体を成す。
同様にして、数体のカースが次々と生み出されていく。
生み出された眷属のカースは、幸子の周りで尊いものを崇めるかのように跪く。
「さあ皆さん。世界で一番カワイイのは?」
『幸子! 幸子! 幸子!』
『幸子ガ世界一! 幸子コソ正義!』
『ヤッパリ幸子ガなんばーわん!』
小人のようなサイズのカースが、幸子を讃える言葉を惜しみなく捧げる。
傍目から見れば滑稽な光景だが、
「ふふーん! そうでしょうそうでしょう! やっぱりボクが一番カワイイんです!」
幸子は眷属に傅かれて可愛さを称賛され、満足げな表情を隠そうともしない。
可愛いものだ、と泰葉は思う。
こうして自分を手放しに肯定され、飽くことない虚栄心を満足させることが、彼女の『傲慢』なのだ。
375: ◆kaGYBvZifE 2013/06/19(水) 20:36:46.96 ID:rXE7FPtg0
「あなたが可愛いのはわかったから。杏さんはどこにいるの?」
「え? ああ、寝室で寝てますよ。夜遅くまでゲームしてたみたいですし」
「また? ……わかった。ありがとう、幸子ちゃん」
そそくさとその場を離れた泰葉は、リビングを通って寝室へ向かった。
もしあの場に留まっていたら、なし崩し的に幸子を讃える会(仮)をグランドフィナーレまで
見物しなければならなかったところだ。
流石に幸子に対して腹立たしさは湧いてこないにしても、疲れるのには違いない。
泰葉は寝室のドアを開けようとドアノブに手をかけるが、
「……あれ?」
ごく一般的なはずのドアノブはしかし、ピクリとも動かない。
どうやら内側から押さえられているようで、部屋の主がなにか細工をしたのは明白だ。
数分の間、動かないドアノブと格闘した泰葉だったが、やがてほつれた糸がちぎれるように
『憤怒』の衝動が彼女を突き動かしていた。
「……ッ!」
業を煮やした泰葉はドアノブから手を離し、ドアそのものに拳を突き入れた。
厚みのある木製の防火ドアは易々と突き破られ、次いで液体の中に手を突っ込む感触があった。
泰葉はさらに深く腕を伸ばし、ソフトボール大の歪んだ球体を掴み取った。
そして、ぐっ、と力を込めると、その球はいとも容易く粉砕された。
その後すぐに液体が重力に沿って流れ落ちる感触を確かめると、泰葉は改めてドアノブを回す。
今度は、いとも呆気なくドアが開かれた。
「え? ああ、寝室で寝てますよ。夜遅くまでゲームしてたみたいですし」
「また? ……わかった。ありがとう、幸子ちゃん」
そそくさとその場を離れた泰葉は、リビングを通って寝室へ向かった。
もしあの場に留まっていたら、なし崩し的に幸子を讃える会(仮)をグランドフィナーレまで
見物しなければならなかったところだ。
流石に幸子に対して腹立たしさは湧いてこないにしても、疲れるのには違いない。
泰葉は寝室のドアを開けようとドアノブに手をかけるが、
「……あれ?」
ごく一般的なはずのドアノブはしかし、ピクリとも動かない。
どうやら内側から押さえられているようで、部屋の主がなにか細工をしたのは明白だ。
数分の間、動かないドアノブと格闘した泰葉だったが、やがてほつれた糸がちぎれるように
『憤怒』の衝動が彼女を突き動かしていた。
「……ッ!」
業を煮やした泰葉はドアノブから手を離し、ドアそのものに拳を突き入れた。
厚みのある木製の防火ドアは易々と突き破られ、次いで液体の中に手を突っ込む感触があった。
泰葉はさらに深く腕を伸ばし、ソフトボール大の歪んだ球体を掴み取った。
そして、ぐっ、と力を込めると、その球はいとも容易く粉砕された。
その後すぐに液体が重力に沿って流れ落ちる感触を確かめると、泰葉は改めてドアノブを回す。
今度は、いとも呆気なくドアが開かれた。
376: ◆kaGYBvZifE 2013/06/19(水) 20:37:16.73 ID:rXE7FPtg0
「普通、ドアが開かないからってドアを突き破る? 映画じゃあるまいしさー」
寝室からは、気の抜けた声が泰葉を出迎えた。
ベッドの上で、黒い泥をクッションのように纏わりつかせている、小学生くらいに見える少女。
彼女こそ、『怠惰』のカースドヒューマン、双葉杏である。
「杏さん。幸子ちゃんに言われたときくらい働いたらどう?」
「だが断る」
「幸子ちゃん、カースをけしかけられたって言ってたけど?」
「だってうざかったんだもん。杏は働かないためだったら何だってやるよ」
杏が気だるげに首をもたげると、ベッドのそばに控えていた緑の核のカースが歩み寄り、
彼女の口にオレンジ味の飴を入れた。
他にも2体のカースが、まるで召使いのように慌ただしく動いている。
杏がクッションにしているのもカースの泥の身体で、身体を預けてみれば案外気持ちいいらしい。
先程泰葉が破壊したカースも、この寝室に誰も入れないために杏が差し向けたものだろう。
「……いくら『怠惰』だからって、そこまで徹底しなければいけないものなのかしら」
「せっかくカースと一体化したんだもん。そうそう簡単には死ななくなったんだし、
しばらくだらけさせてくれたって罰は当たらないよ」
「そう言い始めて今日で何日めだと思う?」
「今の杏達に必要なのは、過去の日記帳じゃなくて未来のカレンダーだよ」
寝室からは、気の抜けた声が泰葉を出迎えた。
ベッドの上で、黒い泥をクッションのように纏わりつかせている、小学生くらいに見える少女。
彼女こそ、『怠惰』のカースドヒューマン、双葉杏である。
「杏さん。幸子ちゃんに言われたときくらい働いたらどう?」
「だが断る」
「幸子ちゃん、カースをけしかけられたって言ってたけど?」
「だってうざかったんだもん。杏は働かないためだったら何だってやるよ」
杏が気だるげに首をもたげると、ベッドのそばに控えていた緑の核のカースが歩み寄り、
彼女の口にオレンジ味の飴を入れた。
他にも2体のカースが、まるで召使いのように慌ただしく動いている。
杏がクッションにしているのもカースの泥の身体で、身体を預けてみれば案外気持ちいいらしい。
先程泰葉が破壊したカースも、この寝室に誰も入れないために杏が差し向けたものだろう。
「……いくら『怠惰』だからって、そこまで徹底しなければいけないものなのかしら」
「せっかくカースと一体化したんだもん。そうそう簡単には死ななくなったんだし、
しばらくだらけさせてくれたって罰は当たらないよ」
「そう言い始めて今日で何日めだと思う?」
「今の杏達に必要なのは、過去の日記帳じゃなくて未来のカレンダーだよ」
377: ◆kaGYBvZifE 2013/06/19(水) 20:38:00.72 ID:rXE7FPtg0
ドヤ顔で言い放つ杏に、泰葉はもう呆れて言葉もないといった風情だ。
これで自分よりも年上なんだから……と、幸子とは別の意味で怒る気にもならない。
実際、彼女を殺すことは容易ではない。
『怠惰』の属性ゆえか、自堕落を貫き通すための進化を遂げたのか、杏は怪我をしても
すぐに再生できるし、病気などにかかろうはずもない。それどころか風呂に入る手間を惜しむあまり
新陳代謝すら任意に停止することができる。
三人のカースドヒューマンが出会ったのは実際のところまったくの偶然で、
この奇妙な共同生活も単独で行動しているよりは同族同士で固まっていた方がいいだろうという
判断に基づくものなのだが、結局、自身の欲動のままに、それぞれが自分勝手に生きているわけだ。
それこそがカースの、そしてカースドヒューマンのあるべき姿なのかもしれないが……。
しかし、これも案外悪いものではない。勝手な思い込みかもしれないが、泰葉は素直にそう思う。
この手のかかる同居人達といる時は、あの不愉快な『憤怒』の声も、身を焦がす怒りも、
気にしている暇はなくなるのだから。
「とりあえず、今日の食事当番は私だから。何か食べたいものとか、ある?」
「なんでもいいよ」
「なんでもいいはなんでもないって言葉、知ってる?」
泰葉の問いには答えず、杏はベッドから這い出してこようとはしない。
風穴の開いたドアの向こうからは、幸子がカース達に向けて独演会をしているのが聞こえる。
まともに家事のできそうな者は、今のところ自分だけらしい。
やはり自分がしっかりしないとダメなのかと、泰葉はほんの少しだけ腹立たしく、
そして何故だか、ほんの少しだけ楽しく思うのだった。
これで自分よりも年上なんだから……と、幸子とは別の意味で怒る気にもならない。
実際、彼女を殺すことは容易ではない。
『怠惰』の属性ゆえか、自堕落を貫き通すための進化を遂げたのか、杏は怪我をしても
すぐに再生できるし、病気などにかかろうはずもない。それどころか風呂に入る手間を惜しむあまり
新陳代謝すら任意に停止することができる。
三人のカースドヒューマンが出会ったのは実際のところまったくの偶然で、
この奇妙な共同生活も単独で行動しているよりは同族同士で固まっていた方がいいだろうという
判断に基づくものなのだが、結局、自身の欲動のままに、それぞれが自分勝手に生きているわけだ。
それこそがカースの、そしてカースドヒューマンのあるべき姿なのかもしれないが……。
しかし、これも案外悪いものではない。勝手な思い込みかもしれないが、泰葉は素直にそう思う。
この手のかかる同居人達といる時は、あの不愉快な『憤怒』の声も、身を焦がす怒りも、
気にしている暇はなくなるのだから。
「とりあえず、今日の食事当番は私だから。何か食べたいものとか、ある?」
「なんでもいいよ」
「なんでもいいはなんでもないって言葉、知ってる?」
泰葉の問いには答えず、杏はベッドから這い出してこようとはしない。
風穴の開いたドアの向こうからは、幸子がカース達に向けて独演会をしているのが聞こえる。
まともに家事のできそうな者は、今のところ自分だけらしい。
やはり自分がしっかりしないとダメなのかと、泰葉はほんの少しだけ腹立たしく、
そして何故だか、ほんの少しだけ楽しく思うのだった。
378: ◆kaGYBvZifE 2013/06/19(水) 20:43:54.18 ID:rXE7FPtg0
岡崎泰葉
16歳
『憤怒』のカースドヒューマン。主な能力は怪力。
過去になにかあったらしく、眷属のカースに主にテレビ局や出版社を襲わせる。
岡崎先輩が枕とかないから(震え声)
輿水幸子
14歳
『傲慢』のカースドヒューマン。主な能力は小型カースの精密操作。
基本的には自分の可愛さを語り、そして眷属に自分を称えさせている。
杏同様、比較的人畜無害なタイプのカースドヒューマン。
双葉杏
17歳
『怠惰』のカースドヒューマン。主な能力は身体変化。
働かないために全力を注ぐニートの鑑。そのために眷属を酷使している。
ひたすらだらけ続けることが目的のため無害。
憤怒P
?歳
泰葉と融合したカースの人格。煽りのプロ。
猫なで声で泰葉の神経を逆なでしたり、悪事をそそのかしたりする。
16歳
『憤怒』のカースドヒューマン。主な能力は怪力。
過去になにかあったらしく、眷属のカースに主にテレビ局や出版社を襲わせる。
岡崎先輩が枕とかないから(震え声)
輿水幸子
14歳
『傲慢』のカースドヒューマン。主な能力は小型カースの精密操作。
基本的には自分の可愛さを語り、そして眷属に自分を称えさせている。
杏同様、比較的人畜無害なタイプのカースドヒューマン。
双葉杏
17歳
『怠惰』のカースドヒューマン。主な能力は身体変化。
働かないために全力を注ぐニートの鑑。そのために眷属を酷使している。
ひたすらだらけ続けることが目的のため無害。
憤怒P
?歳
泰葉と融合したカースの人格。煽りのプロ。
猫なで声で泰葉の神経を逆なでしたり、悪事をそそのかしたりする。
418: ◆TAACIbOrYU 2013/06/20(木) 02:49:00.73 ID:tyshxi7ro
「私、人が殺せるんです」
――開口一番、目の前に座っている女性が物騒なことを呟いた。
―――――ここは『プロダクション』。
――能力者の支援、その他諸々などを行うことを目的として設立された組織である。
――……と、いっても立ちあがったばかりの新興組織で
――ちゃんと理念通りに機能しているとはまだまだ言いがたい。
――そんな我ら『プロダクション』だが、
――そもそも今のところ、俺が直接スカウトしてくるか、
――もしくは社長が連れてくるなりしないと、能力者はここへは辿り着けない。
――……はずなのだが、
――どうやってか、彼女は自力でここまで、
――まるで馴染みの店に顔を見せるような気楽さで、突然ふらっとやってきて、
――唖然とする我々に一言、こう言った。
―――――「ここなら悩みを聞いてもらえるんですよね?」と。
――開口一番、目の前に座っている女性が物騒なことを呟いた。
―――――ここは『プロダクション』。
――能力者の支援、その他諸々などを行うことを目的として設立された組織である。
――……と、いっても立ちあがったばかりの新興組織で
――ちゃんと理念通りに機能しているとはまだまだ言いがたい。
――そんな我ら『プロダクション』だが、
――そもそも今のところ、俺が直接スカウトしてくるか、
――もしくは社長が連れてくるなりしないと、能力者はここへは辿り着けない。
――……はずなのだが、
――どうやってか、彼女は自力でここまで、
――まるで馴染みの店に顔を見せるような気楽さで、突然ふらっとやってきて、
――唖然とする我々に一言、こう言った。
―――――「ここなら悩みを聞いてもらえるんですよね?」と。
419: ◆TAACIbOrYU 2013/06/20(木) 02:49:39.31 ID:tyshxi7ro
ピィ「えぇ、っと……、人が殺せる、というのは?」
楓「……」
楓「何か、壊れても問題の無いものはありますか?」
ピィ「この、もうインクの出なくなったペンなら……」
楓「それを、ここに置いてもらえますか」
――彼女は、トントンと、テーブルの真中を指さした。
ピィ「……わかりました」
――得心の行かないまま、言われた通りペンをテーブルに置く。
――置いた。
―――――真っ二つになった。
――真ん中から綺麗に真っ二つになった。
――真っ二つになったペンががさらに真っ二つになり、真っ四つになった。
――真っ四つが、今度は縦に真っ二つになり、真っ八つになった。
――最後に、真っ八つになったペンがみじん切りにされ、見事に『ペンだった物』になった。
―――――ペンだ。
――決して頑丈ではないが、それなりに硬いものだ。
――そのペンが、切れ目も綺麗に小さなサイコロみたいになってしまった。
――1秒掛かったかどうかだ。
――その短い間に、ペンがゴミに……
――インクが切れてたから既にゴミと呼んでもよかったが……
――ゴミになってしまった。
――何より、楓さんはその間、一切手を触れていない。
――身じろぎ一つしていない。
――これが……。
――今のが……。
楓「……」
楓「何か、壊れても問題の無いものはありますか?」
ピィ「この、もうインクの出なくなったペンなら……」
楓「それを、ここに置いてもらえますか」
――彼女は、トントンと、テーブルの真中を指さした。
ピィ「……わかりました」
――得心の行かないまま、言われた通りペンをテーブルに置く。
――置いた。
―――――真っ二つになった。
――真ん中から綺麗に真っ二つになった。
――真っ二つになったペンががさらに真っ二つになり、真っ四つになった。
――真っ四つが、今度は縦に真っ二つになり、真っ八つになった。
――最後に、真っ八つになったペンがみじん切りにされ、見事に『ペンだった物』になった。
―――――ペンだ。
――決して頑丈ではないが、それなりに硬いものだ。
――そのペンが、切れ目も綺麗に小さなサイコロみたいになってしまった。
――1秒掛かったかどうかだ。
――その短い間に、ペンがゴミに……
――インクが切れてたから既にゴミと呼んでもよかったが……
――ゴミになってしまった。
――何より、楓さんはその間、一切手を触れていない。
――身じろぎ一つしていない。
――これが……。
――今のが……。
420: ◆TAACIbOrYU 2013/06/20(木) 02:50:23.73 ID:tyshxi7ro
ピィ「今のが貴女の能力……」
楓「はい」
――無意識に俺は、生唾を飲み込んでいた。
楓「理屈はわかりませんが、物が切れます」
楓「手足を動かすように簡単です」
楓「小さな物が切れます、大きな物も切れます。」
楓「柔らかい物が切れます、硬い物も切れます。」
楓「近くの物が切れます、遠くの物も切れます、」
楓「私の意思にそって切れます。」
楓「生き物も切れます、蚊を切った事があります」
楓「恐らく人も切れます」
楓「―――人を殺せます」
ピィ「なる……、ほど……」
――馬鹿みたいな返事しかできなかった。
楓「はい」
――無意識に俺は、生唾を飲み込んでいた。
楓「理屈はわかりませんが、物が切れます」
楓「手足を動かすように簡単です」
楓「小さな物が切れます、大きな物も切れます。」
楓「柔らかい物が切れます、硬い物も切れます。」
楓「近くの物が切れます、遠くの物も切れます、」
楓「私の意思にそって切れます。」
楓「生き物も切れます、蚊を切った事があります」
楓「恐らく人も切れます」
楓「―――人を殺せます」
ピィ「なる……、ほど……」
――馬鹿みたいな返事しかできなかった。
421: ◆TAACIbOrYU 2013/06/20(木) 02:51:05.30 ID:tyshxi7ro
ピィ「それ、で……」
ピィ「それで、人を殺したいと思ったことはありますか?」
――何を馬鹿みたいな事を聞いているんだろう。
――正直……、
――どうしていいかわからない。
――率直に言って怖い。
――この人の機嫌を損ねたら、俺は死ぬかもしれないのだ。
――楓さんの眉根に少し皺が寄る。
―――――ああ、怒らせてしまった。
楓「……そりゃあ、ムッとした時とかは、ちょっとだけ思いますよ?」
楓「でも、本当にちょっとだけですよ?」
――子供が拗ねるような口調だった。
ピィ「ぷっ、ふふっ……」
――……その可愛らしい仕草に、何だか肩の力が抜けてしてしまった。
――なるほど、この人は人を殺せるような人じゃないんだ。
――馬鹿みたいだ。
――俺は何を怯えていたんだろう。
――そもそもこの人はここに相談しにやってきたのだ。
――まったく、変に緊張する必要なんか無かったのに。
ピィ「それで、人を殺したいと思ったことはありますか?」
――何を馬鹿みたいな事を聞いているんだろう。
――正直……、
――どうしていいかわからない。
――率直に言って怖い。
――この人の機嫌を損ねたら、俺は死ぬかもしれないのだ。
――楓さんの眉根に少し皺が寄る。
―――――ああ、怒らせてしまった。
楓「……そりゃあ、ムッとした時とかは、ちょっとだけ思いますよ?」
楓「でも、本当にちょっとだけですよ?」
――子供が拗ねるような口調だった。
ピィ「ぷっ、ふふっ……」
――……その可愛らしい仕草に、何だか肩の力が抜けてしてしまった。
――なるほど、この人は人を殺せるような人じゃないんだ。
――馬鹿みたいだ。
――俺は何を怯えていたんだろう。
――そもそもこの人はここに相談しにやってきたのだ。
――まったく、変に緊張する必要なんか無かったのに。
422: ◆TAACIbOrYU 2013/06/20(木) 02:51:39.75 ID:tyshxi7ro
楓「私、何かおかしなことを言いましたか?」
ピィ「いえ……、すいません、失礼しました」
ピィ「ごほん……、それでは、本題に入りますが」
ピィ「今日楓さんがここにいらっしゃったのは、その能力についての悩みを解決したい……」
ピィ「ということでよろしいですか?」
楓「はい」
ピィ「楓さんは、『あの日』以降、能力に目覚めたタイプですよね?」
楓「その通りです」
ピィ「……なるほど」
――能力について、悩みを抱えている人のほとんどは、
――突然その力に発現した人である。
――考えてみれば当然だ。
――『あの日』までは、我々と同じ、至って普通の生活を営んでいた人たちなんだから。
――そんな普通の人達が、突然、自分の意思に関係なく、普通から外れる……、
――いや、外されるのだ。
――その苦痛は、いかほどのものであろうか。
――何度も考えたことがある。
――もし、ある日突然、俺に何か常軌を逸した異能が備わったとしたら。
――俺は今、どうしていたのだろうか……。
―――――考えた所で仕方がない。
――今の俺は、今の俺にできることをするだけだ。
ピィ「いえ……、すいません、失礼しました」
ピィ「ごほん……、それでは、本題に入りますが」
ピィ「今日楓さんがここにいらっしゃったのは、その能力についての悩みを解決したい……」
ピィ「ということでよろしいですか?」
楓「はい」
ピィ「楓さんは、『あの日』以降、能力に目覚めたタイプですよね?」
楓「その通りです」
ピィ「……なるほど」
――能力について、悩みを抱えている人のほとんどは、
――突然その力に発現した人である。
――考えてみれば当然だ。
――『あの日』までは、我々と同じ、至って普通の生活を営んでいた人たちなんだから。
――そんな普通の人達が、突然、自分の意思に関係なく、普通から外れる……、
――いや、外されるのだ。
――その苦痛は、いかほどのものであろうか。
――何度も考えたことがある。
――もし、ある日突然、俺に何か常軌を逸した異能が備わったとしたら。
――俺は今、どうしていたのだろうか……。
―――――考えた所で仕方がない。
――今の俺は、今の俺にできることをするだけだ。
423: ◆TAACIbOrYU 2013/06/20(木) 02:52:14.88 ID:tyshxi7ro
ピィ「具体的に、今どんな悩みをお持ちなのかお聞きしてもよろしいですか……?」
楓「……」
楓「人を殺すということは、本来簡単なことでは無いと思います」
楓「特に私は女性ですから、力もあまりありません」
楓「素手では話にならないでしょうし」
楓「刃物を使っても、急所を的確に突く必要があります」
楓「拳銃でもあれば、別でしょうが」
楓「こんなご時世でも、この国ではそうそう手に入る物ではありませんよね」
楓「でも、私はそんな物に頼らなくても、人を殺せます」
楓「―――殺せてしまうんです」
楓「刃物や銃に頼るより、よっぽど簡単で、確実なんです」
楓「さっきお見せした通り、一瞬で終わります」
楓「手を動かす必要も、声を発する必要もありません」
楓「私の意思一つで発動します」
楓「そして何より、……強力です」
楓「……」
楓「人を殺すということは、本来簡単なことでは無いと思います」
楓「特に私は女性ですから、力もあまりありません」
楓「素手では話にならないでしょうし」
楓「刃物を使っても、急所を的確に突く必要があります」
楓「拳銃でもあれば、別でしょうが」
楓「こんなご時世でも、この国ではそうそう手に入る物ではありませんよね」
楓「でも、私はそんな物に頼らなくても、人を殺せます」
楓「―――殺せてしまうんです」
楓「刃物や銃に頼るより、よっぽど簡単で、確実なんです」
楓「さっきお見せした通り、一瞬で終わります」
楓「手を動かす必要も、声を発する必要もありません」
楓「私の意思一つで発動します」
楓「そして何より、……強力です」
424: ◆TAACIbOrYU 2013/06/20(木) 02:52:43.77 ID:tyshxi7ro
楓「自身気になって、どこまでできるのか試した事があります」
楓「能力者の争いで廃墟になったビルに、この力を試しました」
楓「信じられますか?」
楓「ビルが真っ二つになって、崩れてしまったんですよ」
楓「以来、恐ろしくなってしまって、それ以上のことは試していません」
楓「……さっき言いましたよね?」
楓「この力で人を殺そうとしたことがあるか? と」
楓「もし……」
楓「もし、本当はそんな気なんて無かったとしても」
楓「ほんの僅か、殺意を抱いてしまった相手に」
楓「そんな状況でも、この能力を使うことだけは、絶対にない……」
楓「無いんです」
楓「そう、言い切れる自信が」
楓「怖いんです」
楓「息をするように、簡単にこの恐ろしい能力が使えてしまうことが」
楓「悲しいんです」
楓「さっきのあなたのように、私の能力を知った目の前の人の怯える姿が」
楓「能力者の争いで廃墟になったビルに、この力を試しました」
楓「信じられますか?」
楓「ビルが真っ二つになって、崩れてしまったんですよ」
楓「以来、恐ろしくなってしまって、それ以上のことは試していません」
楓「……さっき言いましたよね?」
楓「この力で人を殺そうとしたことがあるか? と」
楓「もし……」
楓「もし、本当はそんな気なんて無かったとしても」
楓「ほんの僅か、殺意を抱いてしまった相手に」
楓「そんな状況でも、この能力を使うことだけは、絶対にない……」
楓「無いんです」
楓「そう、言い切れる自信が」
楓「怖いんです」
楓「息をするように、簡単にこの恐ろしい能力が使えてしまうことが」
楓「悲しいんです」
楓「さっきのあなたのように、私の能力を知った目の前の人の怯える姿が」
425: ◆TAACIbOrYU 2013/06/20(木) 02:53:09.57 ID:tyshxi7ro
―――――甘かった。
――俺の仕事が、何だって?
――能力者の支援?
――安全で健全な能力の使用法の提案と指導?
――それによる社会貢献や能力者への偏見の払拭?
――それ以前の問題じゃないか。
――普通ではない力を扱える。
――それだけのことで、こんなに悩んでる人がいるのに。
――俺はこの人に何ができる?
――何て言葉をかけてあげればいいんだ?
――俺は……。
――俺の仕事が、何だって?
――能力者の支援?
――安全で健全な能力の使用法の提案と指導?
――それによる社会貢献や能力者への偏見の払拭?
――それ以前の問題じゃないか。
――普通ではない力を扱える。
――それだけのことで、こんなに悩んでる人がいるのに。
――俺はこの人に何ができる?
――何て言葉をかけてあげればいいんだ?
――俺は……。
426: ◆TAACIbOrYU 2013/06/20(木) 02:53:48.42 ID:tyshxi7ro
藍子「お茶のおかわりはいりますか?」
楓「あ、それじゃあもらおうかしら……」
ピィ「あぁ、藍子……。俺にもくれるか?」
藍子「はいっ」
――絶妙なタイミングで藍子がお茶を汲みに来てくれた。
――……少し、落ち着いた。
――相変わらず、独特の魅力を持った娘だ。
――彼女の優しい佇まいは、一緒にいるだけで心が安らぐ。
――おかげで、冷静な思考ができるだけの余裕が生まれた。
――そのおかげで思い出した。
――そう、そういえば、と、ふと目を隣にやる。
――最初からずっといたが、緊張してるのか未だに一言も発していないので、すっかり存在を忘れてた。
――この『プロダクション』のカウンセラーを任された少女。
藍子「美玲ちゃんも、よかったら」
美玲「い……、いらない……」
――早坂美玲。
――彼女の意見も聞いてみようか。
楓「あ、それじゃあもらおうかしら……」
ピィ「あぁ、藍子……。俺にもくれるか?」
藍子「はいっ」
――絶妙なタイミングで藍子がお茶を汲みに来てくれた。
――……少し、落ち着いた。
――相変わらず、独特の魅力を持った娘だ。
――彼女の優しい佇まいは、一緒にいるだけで心が安らぐ。
――おかげで、冷静な思考ができるだけの余裕が生まれた。
――そのおかげで思い出した。
――そう、そういえば、と、ふと目を隣にやる。
――最初からずっといたが、緊張してるのか未だに一言も発していないので、すっかり存在を忘れてた。
――この『プロダクション』のカウンセラーを任された少女。
藍子「美玲ちゃんも、よかったら」
美玲「い……、いらない……」
――早坂美玲。
――彼女の意見も聞いてみようか。
427: ◆TAACIbOrYU 2013/06/20(木) 02:55:48.50 ID:tyshxi7ro
美玲「無理ッ!」
ピィ「えぇー……」
――即断された。
美玲「ウ、ウチには、ハードルが高すぎるというか、なんというか、いや、だって……」
――今後、こういう仕事もあるだろうと同席させてみたはいいが、
――完全にビビってしまったようだ。
――それも仕方ない。
――元より人見知りの気があるようだし、
――なにより俺だってビビってる。
――美玲は何か、よく聞き取れないが、
――ハードルが高いとかなんとか言っている。
――俺もそう思う。
――初仕事にしては、超弩級だ。
――だが、そんなことを言い訳にするわけにはいかない。
――何故なら、これが俺の仕事だからだ。
――そして、美玲には、そのフォローをしてもらう必要があるから。
藍子「美玲ちゃん、頑張ってっ!」
――……そして、藍子には、更にそのフォローをしてもらう必要がありそうだ。
ピィ「えぇー……」
――即断された。
美玲「ウ、ウチには、ハードルが高すぎるというか、なんというか、いや、だって……」
――今後、こういう仕事もあるだろうと同席させてみたはいいが、
――完全にビビってしまったようだ。
――それも仕方ない。
――元より人見知りの気があるようだし、
――なにより俺だってビビってる。
――美玲は何か、よく聞き取れないが、
――ハードルが高いとかなんとか言っている。
――俺もそう思う。
――初仕事にしては、超弩級だ。
――だが、そんなことを言い訳にするわけにはいかない。
――何故なら、これが俺の仕事だからだ。
――そして、美玲には、そのフォローをしてもらう必要があるから。
藍子「美玲ちゃん、頑張ってっ!」
――……そして、藍子には、更にそのフォローをしてもらう必要がありそうだ。
428: ◆TAACIbOrYU 2013/06/20(木) 02:56:34.77 ID:tyshxi7ro
晶葉「おーい、私にもお茶をくれないかー」
藍子「あっ、ごめんね!」
――こっちの事など気にもとめず、いつの間にか来ていた晶葉がお茶をねだった。
―――――思えばここも随分賑やかになったものだ。
――あの日、外に能力者をスカウトをしに出かけた時、
――何となく、……可愛かったのでつい、……声を掛けた藍子。
――結果的に能力者では無かったが、『プロダクション』について饒舌に語っていたら、
藍子『それ、素敵ですね!』
藍子『私も何かお手伝いさせてもらえないでしょうか?』
――と、妙に興味を持たれてしまい、今はここでお手伝いとして時々来てもらっている。
――不思議な魅力を持つ娘で、時間を忘れてついつい話し込んでしまい。
――今日中に誰かスカウトしてこなければクビ、だというのに成果もあげられないまま、
――夜遅くまで16歳の少女と世間話に花を咲かせてしまった。
藍子「あっ、ごめんね!」
――こっちの事など気にもとめず、いつの間にか来ていた晶葉がお茶をねだった。
―――――思えばここも随分賑やかになったものだ。
――あの日、外に能力者をスカウトをしに出かけた時、
――何となく、……可愛かったのでつい、……声を掛けた藍子。
――結果的に能力者では無かったが、『プロダクション』について饒舌に語っていたら、
藍子『それ、素敵ですね!』
藍子『私も何かお手伝いさせてもらえないでしょうか?』
――と、妙に興味を持たれてしまい、今はここでお手伝いとして時々来てもらっている。
――不思議な魅力を持つ娘で、時間を忘れてついつい話し込んでしまい。
――今日中に誰かスカウトしてこなければクビ、だというのに成果もあげられないまま、
――夜遅くまで16歳の少女と世間話に花を咲かせてしまった。
429: ◆TAACIbOrYU 2013/06/20(木) 02:57:19.41 ID:tyshxi7ro
――とりあえず藍子を連れて、『この娘の癒しオーラが半端ないので、能力者のメンタルケアとしてどうでしょう?』
――みたいな言い訳を考えて『プロダクション』に帰ってみると、
――はなからそうするつもりだったのかは知らないが、
――既に、社長が『ここのカウンセラーにする』と連れてきた美玲がいたのだった。
――まさかのダブルブッキングである。
――その時終始ケラケラと笑っていた、社長や美玲と一緒にいた少女、
――なんでも塩見周子というらしいが……、
――妙に彼女のことが気に掛かったことを、今でも思い出す。
――18歳だと聞いたが、どうもそうは思えないほど落ち着いていて、
――彼女も何らかの能力者なのだろうか、と眺めていると、突然こちらに意味深な笑顔を向けてきたり、
――何かひっかかるものが、ずっとあるのだが、
――もっとよく知りたいと思っても、なかなかエンカウント率が低い上、
――彼女自身、焦らし上手らしく、モヤモヤが日々募るばかりだ。
――みたいな言い訳を考えて『プロダクション』に帰ってみると、
――はなからそうするつもりだったのかは知らないが、
――既に、社長が『ここのカウンセラーにする』と連れてきた美玲がいたのだった。
――まさかのダブルブッキングである。
――その時終始ケラケラと笑っていた、社長や美玲と一緒にいた少女、
――なんでも塩見周子というらしいが……、
――妙に彼女のことが気に掛かったことを、今でも思い出す。
――18歳だと聞いたが、どうもそうは思えないほど落ち着いていて、
――彼女も何らかの能力者なのだろうか、と眺めていると、突然こちらに意味深な笑顔を向けてきたり、
――何かひっかかるものが、ずっとあるのだが、
――もっとよく知りたいと思っても、なかなかエンカウント率が低い上、
――彼女自身、焦らし上手らしく、モヤモヤが日々募るばかりだ。
430: ◆TAACIbOrYU 2013/06/20(木) 02:57:55.06 ID:tyshxi7ro
晶葉「ここに来るメリットは藍子がいることとお茶が美味しいことくらいだな」
――ふてぶてしくそんなことを言うのは、天才少女池袋晶葉。
―――――藍子をスカウトした日。
――本来なら、近所の能力者をまとめたリストを見ていた俺が、
――気に入った、と、スカウトしに行く予定だった少女だ。
――……結局、その次の日に彼女の家に訪問しに行ったのだが。
――断られた。
――曰く、興味が無い、時間も無い、素性が知れなくて怪しい。
――にべもない。
――しかし、俺は頼み込んだ。
――決して怪しい者ではない、ウチに所属することによる拘束も無い、
――何だったらたまに来てくれさえすれば所属しなくてもいい。
――余計怪しまれた。
――ふてぶてしくそんなことを言うのは、天才少女池袋晶葉。
―――――藍子をスカウトした日。
――本来なら、近所の能力者をまとめたリストを見ていた俺が、
――気に入った、と、スカウトしに行く予定だった少女だ。
――……結局、その次の日に彼女の家に訪問しに行ったのだが。
――断られた。
――曰く、興味が無い、時間も無い、素性が知れなくて怪しい。
――にべもない。
――しかし、俺は頼み込んだ。
――決して怪しい者ではない、ウチに所属することによる拘束も無い、
――何だったらたまに来てくれさえすれば所属しなくてもいい。
――余計怪しまれた。
431: ◆TAACIbOrYU 2013/06/20(木) 02:58:33.92 ID:tyshxi7ro
――最早脈ナシ、と諦めて帰ろうとした時、ふと彼女の作ったロボが目に入った。
――純粋にかっこいいと思った。
――別に彼女の気を引くつもりなど無かった。
――『こいつ、かっこいいな』と、称賛の言葉がつい口から漏れた。
――そこから晶葉の態度が変わった。
――『お前は話のわかる奴だ』と。
――そうして晶葉には『本当に、なんとなく気が向いた時で構わない』という条件でウチに来てもらえることになった。
――世の中諦めない心というのは肝心だ。
――……しかし、同時に、おまけもついてきた。
――『う ひ ひ』
――棟方愛海だ。
――晶葉の友人である彼女を拒める理由は無かった。
――しかし無能力者である。
――藍子のような魅力もない。
――更には女の子にセクハラを働く。
――何の役にもたたない。
――俺はそんな彼女を、
――『あのね、大きさじゃないんだよ』
―――――師匠と呼び慕うことになるのだ。
――純粋にかっこいいと思った。
――別に彼女の気を引くつもりなど無かった。
――『こいつ、かっこいいな』と、称賛の言葉がつい口から漏れた。
――そこから晶葉の態度が変わった。
――『お前は話のわかる奴だ』と。
――そうして晶葉には『本当に、なんとなく気が向いた時で構わない』という条件でウチに来てもらえることになった。
――世の中諦めない心というのは肝心だ。
――……しかし、同時に、おまけもついてきた。
――『う ひ ひ』
――棟方愛海だ。
――晶葉の友人である彼女を拒める理由は無かった。
――しかし無能力者である。
――藍子のような魅力もない。
――更には女の子にセクハラを働く。
――何の役にもたたない。
――俺はそんな彼女を、
――『あのね、大きさじゃないんだよ』
―――――師匠と呼び慕うことになるのだ。
432: ◆TAACIbOrYU 2013/06/20(木) 02:59:28.88 ID:tyshxi7ro
楓「ふふっ……」
――彼女たちとの出会いを思い出して感傷に浸っていた俺を、楓さんの笑い声が呼び戻した。
――そうだった、兎にも角にも、楓さんの悩みを解決するのが今一番重要なことだった。
楓「ここは賑やかですね」
楓「すごく、温かい場所……」
――しかし、俺がどうこうするまでもなく楓さんの表情は穏やかだった。
楓「私、ここにいてもいいですか?」
楓「ここだったら、きっと私……」
ピィ「……! えぇ、もちろん」
――ああ、どうやら俺一人で焦る必要なんて無かったらしい。
――俺にはもう、こんなにも頼れる仲間がいるのだ。
ピィ「我々は……」
ピィ「『プロダクション』は貴女を歓迎します」
――彼女たちとの出会いを思い出して感傷に浸っていた俺を、楓さんの笑い声が呼び戻した。
――そうだった、兎にも角にも、楓さんの悩みを解決するのが今一番重要なことだった。
楓「ここは賑やかですね」
楓「すごく、温かい場所……」
――しかし、俺がどうこうするまでもなく楓さんの表情は穏やかだった。
楓「私、ここにいてもいいですか?」
楓「ここだったら、きっと私……」
ピィ「……! えぇ、もちろん」
――ああ、どうやら俺一人で焦る必要なんて無かったらしい。
――俺にはもう、こんなにも頼れる仲間がいるのだ。
ピィ「我々は……」
ピィ「『プロダクション』は貴女を歓迎します」
433: ◆TAACIbOrYU 2013/06/20(木) 03:00:11.72 ID:tyshxi7ro
高垣楓(25)
属性:ダジャレ鎌鼬お姉さん
能力:あらゆるものを切断する能力
ちょっとミステリアスなお姉さん。
あまりにも強力な能力に目覚めてしまった為、持て余している。
ダジャレ
言わせようと思って
何も思いつかなかった。
属性:ダジャレ鎌鼬お姉さん
能力:あらゆるものを切断する能力
ちょっとミステリアスなお姉さん。
あまりにも強力な能力に目覚めてしまった為、持て余している。
ダジャレ
言わせようと思って
何も思いつかなかった。
434: ◆TAACIbOrYU 2013/06/20(木) 03:01:24.26 ID:tyshxi7ro
以上です
美玲と周子、晶葉をお借りしました
美玲と周子、晶葉をお借りしました
436: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/20(木) 04:52:56.34 ID:4uOOxLWZo
世界が変わってしまった『あの日』以来、地球は多くの悪意ある存在から狙われることとなった。
時を同じくして現れた特殊な能力を持った人間が、その侵略者と戦い撃退することが日常となっていた。
既存の人類には、強大な力を持つ侵略者を相手取る事は敵わず、
地球の平和の維持は、侵略者と同等の力を持った善意ある者達に任せるほかなかったのである。
しかし、力を持たない人々もただ手をこまねいているわけではなかった。
通称『GDF』
世界規模の厄災に人類が対抗すべく、国家という枠組みを取り払い結成された超越武装組織である。
地球の平和を守るため、今日も彼らに出撃命令が下される……
437: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/20(木) 04:55:51.94 ID:4uOOxLWZo
司令「三人共ご苦労、新たな任務だ」
会議室のような部屋で、スーツ姿の男が口を開く。
部屋には男の他に、三人の少女が居た。
椿「……」
詩織「……」
志保「……」
司令「先日、我々の"友人"から、ある情報が入った」
司令「某県の山中にある廃棄された工場跡に賊が潜伏しているらしい」
椿「(友人……?)」
詩織「(賊……?)」
司令「今回の任務は、この連中の確保だ」
司令「なるべく生きたまま確保されるのが望ましいが……」
司令「もし抵抗があった場合は、武器の使用も許可する」
司令「作戦の詳細は追って説明があるだろう」
司令「明朝0200時より作戦開始だ……以上、解散!」
指令官とみられる男はそれだけを一方的に告げると部屋から出ていった。
残された少女達は怪訝そうに顔を見合わせる、今回の任務はやけに事前の情報が少ないのだ。
しかし、任務を放棄するわけにもいかない、少し引っかかる物を感じつつも少女達も部屋を後にするのだった。
438: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/20(木) 04:59:02.63 ID:4uOOxLWZo
とある山中の茂みの中に、二つの人影があった。
一つは双眼鏡を手にし、もう一つは大型のライフルを構えている。
椿「距離450、風は……無し」
椿「詩織ちゃん、いけますか?」
双眼鏡を覗いていた少女、江上椿が尋ねる。
彼女はいわゆる観測手と呼ばれる役割らしい。
詩織「問題無いわ……」スゥッ
ライフルを構えた方、詩織と呼ばれた少女はそう言うと息を止め、引鉄に指をかける。
パスッ!
その凶悪な外見に反し、詩織が構えた得物から放たれた銃声と思しき音は、ひどく気の抜けたものだった。
椿「殺傷確認、流石ですね」
それでも、彼女らの視線の先──双眼鏡とスコープ越しに見ていた標的は、血飛沫を上げながら崩れ落ちた。
詩織「これで5匹目……大体、屋外の制圧は済んだかしら」
椿「そのようですね、本部に連絡しておきます」
詩織「お願い」
439: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/20(木) 05:01:13.68 ID:4uOOxLWZo
詩織は今撃った獲物について思案していた。
目標の建造物の周辺を警戒するかのようにうろついてた、犬や狼のような生物。
今まで、あのような生き物は見たことが無かった。
あの日から出現するようになった怪異の類だろうか。
椿「それでは、私は志保ちゃんと合流して、建物内部の制圧に向かいますね」
話しかけられ思考を中断する。
今は任務中なのだ、雑念はミスの元になる……気を引き締めなければ。
詩織「了解、私はここで引き続き監視を続ける……何かあれば連絡するから」
椿「お願いします……それでは、また後ほど」ガサガサ
440: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/20(木) 05:02:30.28 ID:4uOOxLWZo
椿「志保ちゃん、お待たせしました」
志保と呼ばれた少女が片手を上げて応える。
志保「こっちは特に問題ないですよ、見張りっぽい生き物も全滅したみたいです」
椿「詩織ちゃんの狙撃のおかげですね」
志保「まったく、味方ながら恐ろしい限りです」
詩織『志保さん、聞こえてるわよ……』
志保「あ、あはは……冗談ですよぉ!」
建物に近づく間、手持無沙汰なのか志保が口を開いた。
志保「……今回の目標、コールサイン『ラビットイヤー』でしたっけ」
志保「噂では……異星人らしいですよ」
椿「異星人!?」
志保「はい、出撃前にいろいろ聞いて回ってみたんです」
志保「あくまで噂の範疇を出ない話ばかりでしたけど……」
椿「……」
441: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/20(木) 05:05:37.03 ID:4uOOxLWZo
あの日以来……いや、もっと以前から、人類は異星人の存在を認知していた。
しかし、実際に地球上に降りてきていて、活動しているなどという話は聞いたことが無かった。
志保「さっきの犬みたいな妙な生き物だって、地球上では見たことありませんからね」
志保「もしかしたら、そういうことなのかもしれませんね」
相手が異星人ともなれば、先の司令の妙な態度にも納得がいく。
かつて相対したことのない標的を前に、二人に緊張が走る。
志保「まあ、何が相手であろうと、GDFは敵に後ろを見せませんからっ!」
椿「そうですね……それに、目標の正体がなんであるのか、実際に見て見ないことには何とも」
442: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/20(木) 05:10:09.91 ID:4uOOxLWZo
話している間に、建物は目と鼻の先まで近づいていた。
周囲を警戒してみるが、特に敵性存在の反応は見られない。
椿「それでは、行きましょうか」
志保「椿ちゃん、ちょーっと待った!」グイッ
椿「ぐえっ! な、何するんですか!」ゲホゲホ
志保「バカ正直に扉から入るなんて、罠に掛かりに行くようなものです!」
椿「でも……他に入口なんて……」
志保「入口が無いのなら、作ればいいじゃないっ!」
そう言うと志保は、背中に担いでいたロケットランチャーを構えた。
椿「ちょっとちょっと! 何する気ですか!」
志保「ですから入口を……あ、後ろ立たないで下さいね、ヤケドしますよ!」
椿「(そうでした、志保ちゃんてばパッションチームなんでした!)」
椿「(今まで隠密行動でやってきたんだけどなぁ……まあ、しょうがないですね)」
諦めの境地から取り留めもない思考に耽っていると、大きな爆発音が聞こえてきた。
建物の外壁には先ほどまでは無かった大きな穴が開いていた。
志保「ね? 簡単でしょ!」ドヤァ
椿「……」
443: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/20(木) 05:11:35.74 ID:4uOOxLWZo
志保の空けた穴から建物内に侵入したものの、予想された抵抗は一切なく、敷地内の捜索を終えてしまった。
志保「どういう事ですかね……賊の形跡といったら、外に居たワンコくらいですけど」
椿「うーん……私達が来るのを察知して、既に逃げてしまったとか……」
考えあぐねていると、詩織から通信が入った。
詩織『地上部分に目当ての物が見つからない時は、地下を探すのがセオリーよ……』
志保「……地下施設ね、なるほど」
椿「(こういう時の詩織ちゃんはアテになるんですよね、さすがクールチーム)
志保「あ! こっちに落とし戸がありましたよ!」
椿「これが異星人の仕業だとすると、随分アナログですね……」
志保「とりあえず、降りていくしかないか……」
444: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/20(木) 05:14:05.12 ID:4uOOxLWZo
地下に降りた二人の前に、目を疑うような光景が飛び込んできた。
地上部分とは明らかに異なる構造物が広がっているのだ。
床や壁面、天井部が、暗い色の金属のような物質で出来ている。
椿「ここは……?」
志保「これ、あれですよ……昔見た、SF映画の宇宙船の中とかそういう感じです」
椿「……」
似たような光景の場所であれば、地球上を探せば他にもあるだろう。しかし場所が場所である。
人の立ち寄らない山奥の廃墟の地下に、このような施設が広がっているのだ。
誰の目から見ても明らかに怪しい。
椿「これ……上に居た動物ですよね……?」
志保「うわ……なにこれ……」
辺りを見回すと、部屋の中には巨大な水槽のような容器が多く置かれていた。
中には地上で見かけた犬のような生物が浮いている。
地上で見たものとの相違は、足が6本だったり、頭が3つあったり、体の一部が金属で覆われている個体が見られたことだ。
志保「ここは、異星人の研究施設……なんですかね」
椿「ここまで来ると、もう異星人の存在を信じるしか無さそうです」
445: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/20(木) 05:16:33.68 ID:4uOOxLWZo
志保「うっ……これって……ひょっとして」
志保の視線の先の容器には、ヒトの形をした物体と、歪な球状の物体が一緒に収められていた。
椿「……」
志保「さっき聞いた噂の中には、人類に敵対的な宇宙人の中には、人を攫っていくようなヤツもいるって話もあったんです」
椿「人を攫って、生体実験をしているとでも……?」
志保「これは、その証拠じゃないですか?」
椿「……」
二人は事の大きさに衝撃を受けた。
異星人が地球を狙っているなどという話は、今までは眉唾物だと笑い捨てていたが、
それらの悪意ある異星人は実際に身近に存在していて、人類に害を及ぼしていたというのだ。
椿「宇宙人だろうと何だろうと、地球に仇なす存在は対処しないといけませんね」
地球の平和を守るという使命を負っている彼女達が、このような蛮行を許しておけるはずがなかった。
この施設に隠れているであろう異星人共を、なんとしても捕らえねばと決意を固める。
446: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/20(木) 05:21:42.61 ID:4uOOxLWZo
────────────────────────────────────
その頃、同施設内のある部屋で、件の異星人達が檄を飛ばし合っていた。
うさ耳A「どうだ?B、他の支部との連絡はついたのか?」
うさ耳B「まったく音沙汰なしだ……」
うさ耳C「連絡途絶からもう(彼らの時間で)三日だぞ!? 明らかに異常が起きている!」
うさ耳B「マザーシップに応援を要請をしよう! このままじゃ孤立するだけだ!」
うさ耳A「ダメだ、マザーシップへの相互通信は控えろと厳命されている」
うさ耳A「当局の連中が嗅ぎ回っているからな、奴らに目を付けられたらそれこそおしまいだ」
うさ耳C「じゃあどうするっていうんだ! ここに長居をすれば、原住民どもに見つかる可能性も高まるんだぞ!」
うさ耳A「事態が好転するのをただひたすら待つしかあるまい、下手を打つわけにはいかん」
うさ耳C「クソッ! どうしようもないのかよ!」
うさ耳A「落ち着け! 取り乱すんじゃない」
うさ耳B「……俺達このまま、ここで一生取り残されたままになるんだ……」
うさ耳B「思えば最初から貧乏くじ引いてばかりだった……こんな未開惑星に送られるなんて、左遷同然じゃないか」
うさ耳A「B! バカな事を言うのはよせ! 希望を捨てるんじゃない!」
────────────────────────────────────
その頃、同施設内のある部屋で、件の異星人達が檄を飛ばし合っていた。
うさ耳A「どうだ?B、他の支部との連絡はついたのか?」
うさ耳B「まったく音沙汰なしだ……」
うさ耳C「連絡途絶からもう(彼らの時間で)三日だぞ!? 明らかに異常が起きている!」
うさ耳B「マザーシップに応援を要請をしよう! このままじゃ孤立するだけだ!」
うさ耳A「ダメだ、マザーシップへの相互通信は控えろと厳命されている」
うさ耳A「当局の連中が嗅ぎ回っているからな、奴らに目を付けられたらそれこそおしまいだ」
うさ耳C「じゃあどうするっていうんだ! ここに長居をすれば、原住民どもに見つかる可能性も高まるんだぞ!」
うさ耳A「事態が好転するのをただひたすら待つしかあるまい、下手を打つわけにはいかん」
うさ耳C「クソッ! どうしようもないのかよ!」
うさ耳A「落ち着け! 取り乱すんじゃない」
うさ耳B「……俺達このまま、ここで一生取り残されたままになるんだ……」
うさ耳B「思えば最初から貧乏くじ引いてばかりだった……こんな未開惑星に送られるなんて、左遷同然じゃないか」
うさ耳A「B! バカな事を言うのはよせ! 希望を捨てるんじゃない!」
────────────────────────────────────
447: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/20(木) 05:24:05.94 ID:4uOOxLWZo
施設内の全てを捜索し終え、椿達は異星人が居る部屋の前まで来ていた。
志保「ここが最後の部屋になるけど……」
「────!! ───!」
「───!!」
椿「室内から怒声が聞こえてきますね、目標はこの中なんでしょうか」
志保「これ何語? やっぱり宇宙人の言語なのかな?」
椿「詩織ちゃんはわかりますか?」
詩織『私も聞いたことが無いわ……地球の主要な言語のいずれも該当しない』
椿「ということは、やっぱり地球外の言語ですか……」
志保「それはそれとして、奴さん……なんだか焦っているみたいですね」
椿「おかげで、私達の侵入にも気づかないままなんでしょう、好都合です」
志保「……それじゃ、突入準備しますよ」
戦闘に備え、今一度火器や装備品の点検をする。
椿「今までの施設の設備から推測すると、この扉も恐らく自動ドアでしょう」
志保「近寄って、扉が開いたら中にフラッシュバンを投げ込んで下がる……と」
椿「ええ、それでいきましょう」
志保「……よし、行きます!」
448: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/20(木) 05:26:56.76 ID:4uOOxLWZo
打ち合わせを終え、いよいよ室内に突入する。
想定通り、扉は自動で開いた。
うさ耳ABC「!!?」
自分らの進退について熱くなっていた異星人達は、闖入者の出現に思考が追い付いていない様子だった。
志保「地球へようこそ! これ、つまらないものですが!」ポイッ
その隙を見逃さず、志保が閃光手榴弾を室内に投げ込む。
直後、部屋の外にいる二人ですら耳を覆いたくなる程の炸裂音が連続して響いた。
音が止むと同時に、二人は部屋に再突入を果たす。
椿「クリア!」
志保「こちらも……クリア!」
二人は室内の制圧に成功した。
不意を衝けたのが大きかったのだろう、戦闘になることもなく、目標も無傷で捕らえることができた。
椿「なるほど……これがラビットイヤーですか」
志保「確かに、これはウサギ耳ですね……」
三体の異星人は、先の閃光と爆音で気を失ってしまったらしい。
目を覚まさないうちに手錠と目隠しをし、猿ぐつわを噛ませる。
449: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/20(木) 05:29:11.05 ID:4uOOxLWZo
椿「本部、応答願います、こちらキュート2-8」
椿「目標の確保に成功しました」
本部『了解、迎えを寄こす、その場で待機されたし』
椿「ふぅ……とりあえず、何事もなく済んでよかったですね」
志保「しっかし、こうして改めて見ると、本当に宇宙人ていたんだなあって」
志保「感慨深いというか、なんだか空恐ろしいというか……」
椿「どうです? 記念写真でも撮りましょうか」
志保「あはは……じゃあ、後で一枚お願いします」
詩織『(私も見てみたいわ……ウサギ耳)』
450: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/20(木) 05:30:10.63 ID:4uOOxLWZo
椿「しかし気になるのは、上層部の考えですね」
椿「今回の任務で、私達のような末端にまで異星人の存在が知れ渡ったわけですけど」
詩織『確かに、上は今まで存在を知っていながら、ひた隠しにしてきたのよね……』
詩織『それが、今更こんな任務をあてがってくるのは、どういうことかしら……』
椿「私達の知らないところで、事が大きく動いているような気がして……」
椿「なんだか不気味です……」
そう言うと、三人は黙り込んでしまった。
GDFの活動は、地球に対して害をなす全ての存在に対処することである。
その対象にはもちろん、地球外生命体も含まれているわけだが、
こうして実際に相対してみて、自らの使命の重大さに不安を抱いてしまう。
恐らく今後は、今回のように異星人も相手にしなければならなくなるのだろう。
451: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/20(木) 05:32:26.05 ID:4uOOxLWZo
志保「ま、まあ、深く考えたところで、私達は任務に従うしかないわけですから!」
志保「相手が何であろうと、地球の平和を守るために戦うのみですよっ!」
椿「……確かに、そうですね」
志保「それに、このウサギ耳なんかより、カースの相手をする方がよっぽど大変ですから」
志保「異星人がなんぼのもんじゃいってことです!」
こういう時、志保のパッションぶりには助けられる。
本人も決して思慮が浅いわけではないが、小難しく考えることを好まないのだ。
志保「とにかく! 今回与えられた任務は完遂したわけですから」
志保「帰ったら、甘ーいパフェでも食べて、ゆっくり休みましょう!」
椿「ふふっ……そうですね! 私も、お餅をつつきたくなってきました」
志保「詩織ちゃんも! 帰ったらお茶しましょうね!」
詩織『そうね……楽しみにしておくわ』
一つの任務を終えれば、またすぐに次の指令が下るだろう。
彼女達に真の休息が訪れるのは、まだまだ先の話になりそうだ。
明日の地球の平和を守るために、頑張れGDF!
452: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/20(木) 05:40:01.39 ID:4uOOxLWZo
※GDF
正式名称は『Gaia Defence Force』
世界の法則が乱れた『あの日』以来、多発するようになった大規模犯罪や、大きな損害をもたらす超常現象(取り分け、カースと呼ばれるものが有名)
そして、地球に対し悪意を持つ存在の侵略等に対抗するため、国際連合主導のもと結成された超法規公安組織。
あの日以来表立って活動し始めた"能力者"の手によらず、既存の人類の力により地球を守ることをよしとする気風がある。
構成員は特殊な能力を持っていないが、高度に訓練されているため戦闘能力は高い(がしかし、モブ隊員はやられ役に回ることも多い)。
また、"友好的な"異星人より提供された技術を用いて開発された装備を多数保有しており、武装の面でも一般的な軍事組織とは一線を画した存在である。
ちなみに、GDFの陸戦部隊は
割と何でもできる万能部隊のキュートチーム
冷静沈着で狙撃や偵察、隠密行動に向くクールチーム
高い近接戦闘能力を有する斬込隊長のパッションチーム
以上の三つに大別される
453: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/20(木) 05:42:08.84 ID:4uOOxLWZo
江上椿(19)
職業:武装組織の構成員
属性:万能と呼べば聞こえが良い器用貧乏
能力:特になし
GDF陸戦部隊キュートチーム所属の(無能力者という意味での)一般人。
よく共に行動する三人組のなかではまとめ役になる事が多い。
常にカメラを携帯しており、戦場の様子なども写真に収めている。
餅が好物で、戦闘糧食として切り餅を持ち歩いている。
(現地では餅を焼く機会があまりないためよくカビを生やす)
瀬名詩織(19)
職業:武装組織の構成員
属性:クールビューティー時々お茶目
能力:特になし
GDF陸戦部隊クールチーム所属の(無能力者という意味での)一般人。
よく共に行動する三人組のなかでは参謀役になる事が多い。
常につば広の帽子を被っており、トレードマークになっている。
カナヅチという致命的な欠点を持つため、作戦行動に制限がかかることがしょっちゅう。
槙原志保(19)
職業:武装組織の構成員
属性:ウェイトレス系トリガーハッピー
能力:特になし
GDF陸戦部隊パッションチーム所属の(無能力者という意味での)一般人。
よく共に行動する三人組のなかではムードメーカーとして慕われている。
甘い物が好物で、パフェを特に好む。あわよくば現場にも持ち込もうとする。
ボンキュッボンな体系が仇となり、潜入任務等には向かない。
454: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/20(木) 05:45:54.00 ID:4uOOxLWZo
終わりです
人類側にも汎用やられ役は必要だと思ったので…
初登場なので活躍させてみましたが、GDFは基本的にやられ役です
ヒーロー・ヒロインアイドルの引き立て役としてお使い頂ければ幸い
人類側にも汎用やられ役は必要だと思ったので…
初登場なので活躍させてみましたが、GDFは基本的にやられ役です
ヒーロー・ヒロインアイドルの引き立て役としてお使い頂ければ幸い
456: ◆Nb6gZWlAdvRp 2013/06/20(木) 05:50:46.14 ID:PLFf7qzTo
駅前の大通りを鼻歌混じりに歩く。
今回の新作ドーナツは大当たりだった。
ついついいつもより20個も多く買ってしまったものだから、両手に感じる感触はちょっとずしりとくる。
けれどこの重さはあたしの幸せの象徴だから苦にならない。
買い物も済ませたし日も陰り始めている、悪党やらカース? とやらが出てこない内に早く帰って食べる順番を吟味しよう――と、帰路につこうと目を向けた先、数メートル離れた位置にある噴水から暗い暗い藍色の液体が噴き出すのを目の当たりにして、あたしの頭は真っ白になった。
噴き出した液体は排水溝から流れたりせずに段々とうず高く盛り上がっていき、やがて泥を捏ねて作ったかのような不格好で巨大な人型になると、頭の辺りにパックリと穴が開き、
「 喰 ワ セ ロ オ ォ ォ ォ ! ! 」
吼えた。
「ひっ」
唐突に響き渡った声に怯み、手に持った荷物を落として二歩三歩と後ずさる。
ビュオッと目の前を何かが通り過ぎ、落とした荷物が消える。
ぎこちない動作で巨人を見上げると、穴の辺りに手を持っていき、そこからポロポロと見覚えのあるものが穴に落ちていった。
――もし、後ずさるのが遅かったら。荷物を落としていなかったら。
考えがそこに至ると、足の力が抜けてへたり込んでしまう。
逃げなければ、とは思うけど立ち上がることすらできない。
今回の新作ドーナツは大当たりだった。
ついついいつもより20個も多く買ってしまったものだから、両手に感じる感触はちょっとずしりとくる。
けれどこの重さはあたしの幸せの象徴だから苦にならない。
買い物も済ませたし日も陰り始めている、悪党やらカース? とやらが出てこない内に早く帰って食べる順番を吟味しよう――と、帰路につこうと目を向けた先、数メートル離れた位置にある噴水から暗い暗い藍色の液体が噴き出すのを目の当たりにして、あたしの頭は真っ白になった。
噴き出した液体は排水溝から流れたりせずに段々とうず高く盛り上がっていき、やがて泥を捏ねて作ったかのような不格好で巨大な人型になると、頭の辺りにパックリと穴が開き、
「 喰 ワ セ ロ オ ォ ォ ォ ! ! 」
吼えた。
「ひっ」
唐突に響き渡った声に怯み、手に持った荷物を落として二歩三歩と後ずさる。
ビュオッと目の前を何かが通り過ぎ、落とした荷物が消える。
ぎこちない動作で巨人を見上げると、穴の辺りに手を持っていき、そこからポロポロと見覚えのあるものが穴に落ちていった。
――もし、後ずさるのが遅かったら。荷物を落としていなかったら。
考えがそこに至ると、足の力が抜けてへたり込んでしまう。
逃げなければ、とは思うけど立ち上がることすらできない。
457: ◆Nb6gZWlAdvRp 2013/06/20(木) 05:51:25.80 ID:PLFf7qzTo
「タリナイ……モット喰ワセロ……」
巨人がこちらを見た、気がした。
左右から悲鳴が上がる。どうやらあたし以外にも逃げれなくなった子が居るらしい。
巨人はあたしたちが逃げ出せないと悟ったのか、恐怖を煽るかのようにゆっくりと体を曲げて口を近づけてくる。
「そこまでだ!!!」
力強い声が響き、巨人がビクリと動きを止める。
眼前まで迫っていた口が離れていき、巨人は体を捻って反対側を向いた。
声の主は巨人の向こうに居るらしい。口上を述べているようだが、恐怖が過ぎ去ったばかりで弛緩したあたしの頭には入ってこない。
「ハラガ、ヘッタンダヨォ!」
巨人は腕を振り上げて乱入者に攻撃を仕掛けた。かと思ったら、胸のあたりが弾け飛んだ。
「一丁上がりっ」
巨人の胸を一撃で突き破り、得意げに声を上げる乱入者の正体は逆光で見えなかった。
その周囲にキラキラと何かが輝いているように見え、眩しさに腕で目を庇うと――それらはあたしの肌を裂き、
巨人がこちらを見た、気がした。
左右から悲鳴が上がる。どうやらあたし以外にも逃げれなくなった子が居るらしい。
巨人はあたしたちが逃げ出せないと悟ったのか、恐怖を煽るかのようにゆっくりと体を曲げて口を近づけてくる。
「そこまでだ!!!」
力強い声が響き、巨人がビクリと動きを止める。
眼前まで迫っていた口が離れていき、巨人は体を捻って反対側を向いた。
声の主は巨人の向こうに居るらしい。口上を述べているようだが、恐怖が過ぎ去ったばかりで弛緩したあたしの頭には入ってこない。
「ハラガ、ヘッタンダヨォ!」
巨人は腕を振り上げて乱入者に攻撃を仕掛けた。かと思ったら、胸のあたりが弾け飛んだ。
「一丁上がりっ」
巨人の胸を一撃で突き破り、得意げに声を上げる乱入者の正体は逆光で見えなかった。
その周囲にキラキラと何かが輝いているように見え、眩しさに腕で目を庇うと――それらはあたしの肌を裂き、
458: ◆Nb6gZWlAdvRp 2013/06/20(木) 05:51:58.30 ID:PLFf7qzTo
その内ひとつは、あたしの口の中に入った。
459: ◆Nb6gZWlAdvRp 2013/06/20(木) 05:53:10.52 ID:PLFf7qzTo
あの後、ヒーローは手早くあたしたちの手当てを済ませると、「しくじってゴメンな」と言い捨てて逃げるように去ってしまい、あたしたちは別の人が呼んだ救急車で運ばれて簡単な検査を受けた。
結果は異常なし。念のため再度肌の手当てを受けて、心配して駆け付けた両親に連れられて病院を出た。
そこには丁度あたしと一緒にとばっちりを被った二人の少女が居て、タイミング良く目が合った。
――クゥ、とお腹が鳴った気がした――
・
・
・
抑えきれない空腹感を抱えたあたしはこっそりと部屋を抜け出し、深夜の駅前を訪れた。
KEEP OUTのテープを潜り、あたしが襲われた場所へ辿り着くと、既にそこには二人が居た。
「こんばんわ」
と当然のように笑みを向けると、二人からも挨拶と笑みが返ってくる。
「三人揃うの待ってたんだよ?」
「パンより食べたいものができたのなんて初めてだったのに、おあずけは辛かったんだよ?」
「ごめんね、みんなが寝るのを待ってたら遅くなっちゃった」
「じゃ、揃ったことだし、あたしはこれ以上待てないよ」
「うん、私も辛いしそろそろ――」
「「「いただきます」」」
結果は異常なし。念のため再度肌の手当てを受けて、心配して駆け付けた両親に連れられて病院を出た。
そこには丁度あたしと一緒にとばっちりを被った二人の少女が居て、タイミング良く目が合った。
――クゥ、とお腹が鳴った気がした――
・
・
・
抑えきれない空腹感を抱えたあたしはこっそりと部屋を抜け出し、深夜の駅前を訪れた。
KEEP OUTのテープを潜り、あたしが襲われた場所へ辿り着くと、既にそこには二人が居た。
「こんばんわ」
と当然のように笑みを向けると、二人からも挨拶と笑みが返ってくる。
「三人揃うの待ってたんだよ?」
「パンより食べたいものができたのなんて初めてだったのに、おあずけは辛かったんだよ?」
「ごめんね、みんなが寝るのを待ってたら遅くなっちゃった」
「じゃ、揃ったことだし、あたしはこれ以上待てないよ」
「うん、私も辛いしそろそろ――」
「「「いただきます」」」
460: ◆Nb6gZWlAdvRp 2013/06/20(木) 05:53:45.34 ID:PLFf7qzTo
声を揃えて言った後、三人で同時にしゃがみ込む。
うかつに触れないが故に放置されたそれらは、未だ消えていなかった。
破片の一つを摘みあげ、躊躇いなく口に放る。舌の上で転がしてみるが、味はしない。
奥歯を使って噛み潰すと、それは角砂糖を噛み砕いた時のようにするりと解け、トロリと融けた。
液化したそれを嚥下すると、食道を通って全身に染み渡っていくのを感じる。
それはあたしに満足感をもたらすと同時に、より強い空腹を生みだす。
――足りない、もっと欲しい。
色を失った破片は暗がりでは見つけにくいはずだが、あたしたちは難なく見つけては口に放る。
散らばった破片を食べつくすのに、長い時間はかからなかった。
最後の破片が口の中に消えた直後、頭の中に何かが繋がるような感じがして、あたしは唐突に二人のことを理解した。
どうやらあたしが一番年下だったみたいだけど、こうしてあたしたちが『わたし』になった以上、気にする必要はないだろう。
自分を呼ぶのに敬語は要らない。
「あ~、お腹すいた。パンをいっぱい食べたいなあ」
とみちるがこぼすと、
「ケーキの方が良いと思うよ」
とかな子が言う。
「あたしはドーナツを薦めるよ」
とあたしも加わり、三者三様バラバラの意見が出揃うと、誰ともなく笑いだす。
「でも、今からじゃロクなもの無いかも」
「あ、そっか……じゃあ、明日にする?」
「そうだね、明日の朝一番、焼きたてを食べようよ」
「明日が待ち遠しいね」
「「「それじゃあ、また明日」」」
簡潔に別れを済ませると、別々の方に歩きだす。
あぁ、早く明日にならないかな。
つづく……?
うかつに触れないが故に放置されたそれらは、未だ消えていなかった。
破片の一つを摘みあげ、躊躇いなく口に放る。舌の上で転がしてみるが、味はしない。
奥歯を使って噛み潰すと、それは角砂糖を噛み砕いた時のようにするりと解け、トロリと融けた。
液化したそれを嚥下すると、食道を通って全身に染み渡っていくのを感じる。
それはあたしに満足感をもたらすと同時に、より強い空腹を生みだす。
――足りない、もっと欲しい。
色を失った破片は暗がりでは見つけにくいはずだが、あたしたちは難なく見つけては口に放る。
散らばった破片を食べつくすのに、長い時間はかからなかった。
最後の破片が口の中に消えた直後、頭の中に何かが繋がるような感じがして、あたしは唐突に二人のことを理解した。
どうやらあたしが一番年下だったみたいだけど、こうしてあたしたちが『わたし』になった以上、気にする必要はないだろう。
自分を呼ぶのに敬語は要らない。
「あ~、お腹すいた。パンをいっぱい食べたいなあ」
とみちるがこぼすと、
「ケーキの方が良いと思うよ」
とかな子が言う。
「あたしはドーナツを薦めるよ」
とあたしも加わり、三者三様バラバラの意見が出揃うと、誰ともなく笑いだす。
「でも、今からじゃロクなもの無いかも」
「あ、そっか……じゃあ、明日にする?」
「そうだね、明日の朝一番、焼きたてを食べようよ」
「明日が待ち遠しいね」
「「「それじゃあ、また明日」」」
簡潔に別れを済ませると、別々の方に歩きだす。
あぁ、早く明日にならないかな。
つづく……?
461: 検索 ◆Nb6gZWlAdvRp 2013/06/20(木) 05:54:46.87 ID:PLFf7qzTo
G3
核の破片を誤飲して暴食のカースドヒューマンになった三人の総称。
初期の侵食が浅すぎたため検査をすり抜けてしまった。
彼女たちが暴れると小麦粉の値が上がる。
共通の特徴として、カースを生みだすことが出来ず、逆に他のカースを喰うことで一時的にパワーアップできる。食べ物をモチーフとした装備(カースと同じ物質)を作って戦う点が挙げられる。
一つの核を分散する形でカースドヒューマンとなったため個々の力は弱いが、三人で一体という認識から生まれる非常に強い仲間意識のもと、連携を得意とする。
侵食も分散されているため、浄化後に生存できる可能性が高い。
大原みちる(15)
所属:学生
属性:暴食のカースドヒューマン
能力:パンをモチーフにした装備の生成
グラトニーB(Bread)
コロネドリルやクロワッサンブーメランなど、攻撃に秀でている。
元から人並み外れた食欲をもっていたためか、三人の中で最も食への執着が強い。
三村かな子(17)
所属:学生
属性:暴食のカースドヒューマン
能力:菓子をモチーフにした装備の生成
グラトニーC(CakeとかCookieとか)
スポンジ生地のような盾を作ったりクッションとして利用したり、クッキーやクラッカーを投てきしたりとオールラウンダー。
三人に上下関係はないが年齢のためかまとめ役になりがち。
椎名法子(13)
所属:学生
属性:暴食のカースドヒューマン
能力:ドーナツをモチーフにした装備の生成
グラトニーD(Doughnut)
ドーナツを足に装着して車輪のように回転させ高速移動したり、チャクラムのように投げたりする遊撃役。
一番小さいけど一番動く頑張り屋さん。
核の破片を誤飲して暴食のカースドヒューマンになった三人の総称。
初期の侵食が浅すぎたため検査をすり抜けてしまった。
彼女たちが暴れると小麦粉の値が上がる。
共通の特徴として、カースを生みだすことが出来ず、逆に他のカースを喰うことで一時的にパワーアップできる。食べ物をモチーフとした装備(カースと同じ物質)を作って戦う点が挙げられる。
一つの核を分散する形でカースドヒューマンとなったため個々の力は弱いが、三人で一体という認識から生まれる非常に強い仲間意識のもと、連携を得意とする。
侵食も分散されているため、浄化後に生存できる可能性が高い。
大原みちる(15)
所属:学生
属性:暴食のカースドヒューマン
能力:パンをモチーフにした装備の生成
グラトニーB(Bread)
コロネドリルやクロワッサンブーメランなど、攻撃に秀でている。
元から人並み外れた食欲をもっていたためか、三人の中で最も食への執着が強い。
三村かな子(17)
所属:学生
属性:暴食のカースドヒューマン
能力:菓子をモチーフにした装備の生成
グラトニーC(CakeとかCookieとか)
スポンジ生地のような盾を作ったりクッションとして利用したり、クッキーやクラッカーを投てきしたりとオールラウンダー。
三人に上下関係はないが年齢のためかまとめ役になりがち。
椎名法子(13)
所属:学生
属性:暴食のカースドヒューマン
能力:ドーナツをモチーフにした装備の生成
グラトニーD(Doughnut)
ドーナツを足に装着して車輪のように回転させ高速移動したり、チャクラムのように投げたりする遊撃役。
一番小さいけど一番動く頑張り屋さん。
462: ◆Nb6gZWlAdvRp 2013/06/20(木) 05:55:44.91 ID:PLFf7qzTo
終わり
やばい個々の設定が針金程度しかないし結構書いたと思ったのになんだこれ短い
やばい個々の設定が針金程度しかないし結構書いたと思ったのになんだこれ短い
469: 検索 ◆Nb6gZWlAdvRp 2013/06/20(木) 09:30:13.95 ID:oVdz7a6xo
追記ー
『わたし』
三人が自分たちを指す時に使う言葉。
体内のカースを指しているような節もある。
・三人は侵食が遅いだけで、侵食しないわけではない
・もしも個々が一級の戦力を得るまでに侵食が進んだら…
・もしも三人が一つになるようなことがあったら…
・Aが空いているのは偶然ではない
ヒーロー
モブのヒーローが居ても良いじゃないってことで男性をイメージしてるけど、後付けで実は○○だったってことで因縁付けられるよう極力描写を削ってあるので使いたい人が居たらご自由にどうぞ。
『わたし』
三人が自分たちを指す時に使う言葉。
体内のカースを指しているような節もある。
・三人は侵食が遅いだけで、侵食しないわけではない
・もしも個々が一級の戦力を得るまでに侵食が進んだら…
・もしも三人が一つになるようなことがあったら…
・Aが空いているのは偶然ではない
ヒーロー
モブのヒーローが居ても良いじゃないってことで男性をイメージしてるけど、後付けで実は○○だったってことで因縁付けられるよう極力描写を削ってあるので使いたい人が居たらご自由にどうぞ。
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