村上巴は普通の中学生である。
家は極道だが、なんの能力なければ、素手で侵略者を倒せるような力もない。
だから、この状況も正しいものである。
巴「グッ……」ハァ…ハァ…
『ユルサネェェェェェエ!!オレヲバカニシテェェェェ!!!』
巴「ちょっと、きついのう……」
息を荒くしながらポツリと呟いた。
家は極道だが、なんの能力なければ、素手で侵略者を倒せるような力もない。
だから、この状況も正しいものである。
巴「グッ……」ハァ…ハァ…
『ユルサネェェェェェエ!!オレヲバカニシテェェェェ!!!』
巴「ちょっと、きついのう……」
息を荒くしながらポツリと呟いた。
引用元: ・モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」
THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 3Chord for the Pops!
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492: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/20(木) 20:05:15.74 ID:6lkA6TxBO
自分が好きなドラマの撮影をしていると聞き、若い衆や親父に内緒でこっそり見に行ったのが不運だった。
撮影中にいきなり黒い泥の不定形なモノが現れ、暴れ始めたのだ。
そう。彼女は出会ってしまった。心の闇から産まれた怪物--カースに。
撮影中にいきなり黒い泥の不定形なモノが現れ、暴れ始めたのだ。
そう。彼女は出会ってしまった。心の闇から産まれた怪物--カースに。
493: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/20(木) 20:06:45.23 ID:6lkA6TxBO
彼女は曲がった事が嫌いだ。
故に、ヒーローでもなんでもないのに、人々が襲われてるのを黙って見過ごせる人間じゃない。
カタギに手を出す事や、筋の通らない事が大嫌いだ。
身体が自然に動く。
彼女は立ち向かう。せめて周りの人達が逃げる時間稼ぎになるならと。
撮影に使われた模造刀を手に取り、≪勇敢/無謀≫にも化け物にたちむかった。
幸いにも、彼女のおかげで、彼女以外の人間はもう既に逃げ切ることができた。
この場にいるのは………
彼女と化け物だけだ。
故に、ヒーローでもなんでもないのに、人々が襲われてるのを黙って見過ごせる人間じゃない。
カタギに手を出す事や、筋の通らない事が大嫌いだ。
身体が自然に動く。
彼女は立ち向かう。せめて周りの人達が逃げる時間稼ぎになるならと。
撮影に使われた模造刀を手に取り、≪勇敢/無謀≫にも化け物にたちむかった。
幸いにも、彼女のおかげで、彼女以外の人間はもう既に逃げ切ることができた。
この場にいるのは………
彼女と化け物だけだ。
494: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/20(木) 20:08:50.78 ID:6lkA6TxBO
ボロボロになったお気に入りの皮ジャン、肌は所々に擦り傷や痣ができている。
幸いにも大きな怪我はしてないが、このままじゃ危ないのは自分でもわかってる。
だが、状況は更に悪化する。
『コロシテヤルゥゥゥゥゥゥ!!!』
巴「なっ!?」
新たなカースがまた来たのだ。しかも一匹ではない。何匹もだ。
幸いにも大きな怪我はしてないが、このままじゃ危ないのは自分でもわかってる。
だが、状況は更に悪化する。
『コロシテヤルゥゥゥゥゥゥ!!!』
巴「なっ!?」
新たなカースがまた来たのだ。しかも一匹ではない。何匹もだ。
495: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/20(木) 20:10:06.41 ID:6lkA6TxBO
絶望
この二文字が頭をよぎった。
自分はこのままコイツらに殺されるんだ。その思考が頭をうめつくす。
自然と、足の力が抜け、地面にへたり込む。
巴「すまんのう……親父…みんな…」
諦めが口から漏れ出した。
このまま絶望に飲まれるしか、選択肢はないのだから…
496: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/20(木) 20:11:24.72 ID:6lkA6TxBO
『海よ!!』『空よ!!』
その絶望を裂くように、二つの頼りなさそうな叫びが聞こえた。
497: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/20(木) 20:13:09.38 ID:6lkA6TxBO
「「悪しき心を持つ邪悪な意志に立ち向かう」」
二つの影が空から舞い降りる。
「「自然を愛する優しき乙女に力を!」」
巴をカース達から守るように間にと。
乃々「全てを包み込み、安らぎを与える海!ナチュルマリン!!」
ほたる「全てを見渡し、恵みを与える空!ナチュルスカイ!!」
「「人々を守り、自然を守る戦士!!ナチュルスター!!」」
頼りないけど、頼もしいヒーローが!!
二つの影が空から舞い降りる。
「「自然を愛する優しき乙女に力を!」」
巴をカース達から守るように間にと。
乃々「全てを包み込み、安らぎを与える海!ナチュルマリン!!」
ほたる「全てを見渡し、恵みを与える空!ナチュルスカイ!!」
「「人々を守り、自然を守る戦士!!ナチュルスター!!」」
頼りないけど、頼もしいヒーローが!!
498: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/20(木) 20:15:52.67 ID:6lkA6TxBO
乃々「う、動かないでください…。今、治療するので」
乃々「海よっ!!」
そう言うと、マリンの腕から優しい光が放たれ、巴の身体を包み込む。
徐々に、徐々にと傷が治っていき、まるで母親の胎内にいるような安らぎが巴を包み込む。
ほたる「あの…大丈夫でしょうか?」
巴「……ああ、大丈夫じゃけん。アンタらのおかげじゃ」
乃々「あ、あの…ほたるさん。治療終わりました…。もう、帰りたいんですけど…」
ほたる「の、乃々ちゃん!ダメだよ!早く、カース達を倒さないと!
あ、貴女は早く逃げてください!ここは私達がやりますから!」
そう言うと、二人の少女はカースの軍団に立ち向かった。
乃々「海よっ!!」
そう言うと、マリンの腕から優しい光が放たれ、巴の身体を包み込む。
徐々に、徐々にと傷が治っていき、まるで母親の胎内にいるような安らぎが巴を包み込む。
ほたる「あの…大丈夫でしょうか?」
巴「……ああ、大丈夫じゃけん。アンタらのおかげじゃ」
乃々「あ、あの…ほたるさん。治療終わりました…。もう、帰りたいんですけど…」
ほたる「の、乃々ちゃん!ダメだよ!早く、カース達を倒さないと!
あ、貴女は早く逃げてください!ここは私達がやりますから!」
そう言うと、二人の少女はカースの軍団に立ち向かった。
499: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/20(木) 20:17:27.91 ID:6lkA6TxBO
だが、村上巴は逃げなかった。
----うちは何をしておるんじゃ?
黒い泥の化け物に襲われて、自分を助けてくれたのが同い年くらいの女の子。しかも、自分より弱そうで頼りなさそうで、心配で逆に守ってあげたくなるようなそんな二人に。
今、彼女達は化け物と戦ってるのだ。
自分は、このまま逃げることしかできないのか?
----助けられたのに、何もしないでうちは逃げるんか?
空を飛びながら、化け物達の攻撃をよけていき、一カ所に集めさせる白い服の少女を見ながら立ち上がる。
----そんな事して、うちは納得するか?
オドオドしながらも、鉄砲水のやうな大きな水流を作り出して、一カ所に集まった化け物達を派手に撃ち抜く青い少女を見ながら自分の無力差を噛みしめる。
----そんなのうちの筋が通らん!うちも一緒に戦いたいんじゃ。うちもコイツらみたいになりたいけぇ。
----うちは何をしておるんじゃ?
黒い泥の化け物に襲われて、自分を助けてくれたのが同い年くらいの女の子。しかも、自分より弱そうで頼りなさそうで、心配で逆に守ってあげたくなるようなそんな二人に。
今、彼女達は化け物と戦ってるのだ。
自分は、このまま逃げることしかできないのか?
----助けられたのに、何もしないでうちは逃げるんか?
空を飛びながら、化け物達の攻撃をよけていき、一カ所に集めさせる白い服の少女を見ながら立ち上がる。
----そんな事して、うちは納得するか?
オドオドしながらも、鉄砲水のやうな大きな水流を作り出して、一カ所に集まった化け物達を派手に撃ち抜く青い少女を見ながら自分の無力差を噛みしめる。
----そんなのうちの筋が通らん!うちも一緒に戦いたいんじゃ。うちもコイツらみたいになりたいけぇ。
500: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/20(木) 20:22:32.80 ID:6lkA6TxBO
ピカーン!!
巴「な、なんじゃ!?」
ほたる「えっ?」
乃々「な、なんですか?…帰っていいですか?」
突然、乃々とほたるの右手の人差し指の≪ナチュルリング≫が光出した。
それと同時に巴の右手の人差し指に光が放たれた。
それは、だんだん小さくなり、指輪となった。
そして、巴の頭に響き渡る声。
わかる。今、自分が何をすべきか……
501: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/20(木) 20:25:50.48 ID:6lkA6TxBO
巴「地よ!!」
巴「悪しき心を持つ邪悪な意志に立ち向かう」
巴「自然を愛する優しき乙女に力を!」
声高らかに彼女は叫んだ。
そして、光に包まれ、姿が変わり始める。
プリキュアのような橙のフリフリの衣装だが、頭の右上に和風な花の髪飾りがついている。それは樹をイメージしたような感じである。
巴「全てを支え、豊かを与える地!ナチュルアース!!」
新たなナチュルスターがここに誕生した。
巴「悪しき心を持つ邪悪な意志に立ち向かう」
巴「自然を愛する優しき乙女に力を!」
声高らかに彼女は叫んだ。
そして、光に包まれ、姿が変わり始める。
プリキュアのような橙のフリフリの衣装だが、頭の右上に和風な花の髪飾りがついている。それは樹をイメージしたような感じである。
巴「全てを支え、豊かを与える地!ナチュルアース!!」
新たなナチュルスターがここに誕生した。
502: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/20(木) 20:28:44.41 ID:6lkA6TxBO
ほたる「私達と同じ…ナチュルスター…」
乃々「これはあれですか?私、辞めていいんですか?」
巴「何を言うとるんじゃ!よくわからんが、うちも一緒に戦うけえのう。よろしく頼むのう」
戸惑う二人に対し、巴も内心戸惑いながらもニカッと笑う。
乃々「これはあれですか?私、辞めていいんですか?」
巴「何を言うとるんじゃ!よくわからんが、うちも一緒に戦うけえのう。よろしく頼むのう」
戸惑う二人に対し、巴も内心戸惑いながらもニカッと笑う。
503: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/20(木) 20:30:11.01 ID:6lkA6TxBO
『フザケンナァァァァァア!!!』
『ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ』
『ブンナグッテヤルゥッ!!!』
残っていたカース達が一斉に三人に襲いかかる。
巴「地よッ!力をかせえ!!」
そう言って巴が地面を殴ると、大地がヒビ割れ、カース達を飲み込む地割れが起こる。
ほたる「私達も行くよ!嵐よっ!雷よっ!力を貸して!!」
乃々「少しだけ…頑張ります…。波よっ!力を貸して!!」
『グガァァォォァォォァァァ!!!!!!』
あたり一帯に複数のカースの断末魔が木霊した。
『ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ』
『ブンナグッテヤルゥッ!!!』
残っていたカース達が一斉に三人に襲いかかる。
巴「地よッ!力をかせえ!!」
そう言って巴が地面を殴ると、大地がヒビ割れ、カース達を飲み込む地割れが起こる。
ほたる「私達も行くよ!嵐よっ!雷よっ!力を貸して!!」
乃々「少しだけ…頑張ります…。波よっ!力を貸して!!」
『グガァァォォァォォァァァ!!!!!!』
あたり一帯に複数のカースの断末魔が木霊した。
504: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/20(木) 20:32:36.96 ID:6lkA6TxBO
乃々「………わかってたんですけど……いつもより酷いんですけど…」
巴「……コレは酷いのう。うち達がやったんじゃけえ、申し訳ないんじゃ」
ほたる「すみません…すみません…裕美ちゃんにまた迷惑かけちゃう…」
結論から言うとカースの群れは全滅させた。
だが撮影現場は、草木がおおい茂り、近くの建造物は黒焦げてずぶ濡れで、いつもより被害がすごい事になっていた。
巴「……コレは酷いのう。うち達がやったんじゃけえ、申し訳ないんじゃ」
ほたる「すみません…すみません…裕美ちゃんにまた迷惑かけちゃう…」
結論から言うとカースの群れは全滅させた。
だが撮影現場は、草木がおおい茂り、近くの建造物は黒焦げてずぶ濡れで、いつもより被害がすごい事になっていた。
505: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/20(木) 20:34:50.20 ID:6lkA6TxBO
巴「コレで人を守れるとはいえ、恐ろしい力じゃのう……」
乃々「いい案があるんですけど、私が辞めれば…あ、えっと、すいません。嘘です。だから睨まないで欲しいんですけど…」
ほたる「あ、あの…」
そんなやり取りをしていると、ほたるが巴に話しかけてきた。
ほたる「私は白菊ほたるです。こっちの子は森久保乃々。貴女の名前はなんていうんですか?」
巴「うちは村上巴じゃ。よろしくな。ほたる。乃々」
ほたる「よろしくお願いします。巴ちゃん。えっと…今から私達のチカラの制御の特訓をしてくれてるイヴ非日常相談事務所に行くんだけど、巴ちゃんもきますか?」
巴「ええ、機会じゃ。うちも行くけえのう」
乃々「私はもう帰りたいんですけど……」
こうして、ナチュルスターは地空海と三人そろった。
嫌がる乃々を引っ張りながら三人はイヴ非日常相談事務所へいくのであった。
終わり
乃々「いい案があるんですけど、私が辞めれば…あ、えっと、すいません。嘘です。だから睨まないで欲しいんですけど…」
ほたる「あ、あの…」
そんなやり取りをしていると、ほたるが巴に話しかけてきた。
ほたる「私は白菊ほたるです。こっちの子は森久保乃々。貴女の名前はなんていうんですか?」
巴「うちは村上巴じゃ。よろしくな。ほたる。乃々」
ほたる「よろしくお願いします。巴ちゃん。えっと…今から私達のチカラの制御の特訓をしてくれてるイヴ非日常相談事務所に行くんだけど、巴ちゃんもきますか?」
巴「ええ、機会じゃ。うちも行くけえのう」
乃々「私はもう帰りたいんですけど……」
こうして、ナチュルスターは地空海と三人そろった。
嫌がる乃々を引っ張りながら三人はイヴ非日常相談事務所へいくのであった。
終わり
506: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/20(木) 20:36:16.83 ID:6lkA6TxBO
村上巴(13)
職業・中学生 ナチュルスターのナチュルアース
属性・プリ○ュア系のヒーロー
能力・地を司る力。自然物の強化。
攻撃にまわれば、地割れを引き起こしたり、地震をおこして、場をかき乱す。
何故か壊した場所から植物が生えたり、自然に優しい。
極道一家の一人娘の言う点を除けば普通の中学生だったが、自然の精霊に選ばれ、ナチュルアースに変身する力を手に入れる。
曲がった事や筋の通らない事が嫌いで、カタギ(一般人)を襲う侵略者やカースと戦う。
ほたるは尊敬していて、乃々はやる気のない態度に少し腹が立ちながらなんだかんだで認めている。
職業・中学生 ナチュルスターのナチュルアース
属性・プリ○ュア系のヒーロー
能力・地を司る力。自然物の強化。
攻撃にまわれば、地割れを引き起こしたり、地震をおこして、場をかき乱す。
何故か壊した場所から植物が生えたり、自然に優しい。
極道一家の一人娘の言う点を除けば普通の中学生だったが、自然の精霊に選ばれ、ナチュルアースに変身する力を手に入れる。
曲がった事や筋の通らない事が嫌いで、カタギ(一般人)を襲う侵略者やカースと戦う。
ほたるは尊敬していて、乃々はやる気のない態度に少し腹が立ちながらなんだかんだで認めている。
507: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/20(木) 20:40:43.79 ID:6lkA6TxBO
以上です。
実はナチュルスターは三人組でほたると乃々は決まってたんですが
あと一人を巴か魔法少女たくみんか悩んで、先に乃々とほたるを出した形です。
広島弁のこれじゃない感。謎の死人や怪我人はでない精霊パワーと色々ツッコミ所ありますが
生暖かい目でお願いします
そして…………裕美ちゃんガンバッテ
実はナチュルスターは三人組でほたると乃々は決まってたんですが
あと一人を巴か魔法少女たくみんか悩んで、先に乃々とほたるを出した形です。
広島弁のこれじゃない感。謎の死人や怪我人はでない精霊パワーと色々ツッコミ所ありますが
生暖かい目でお願いします
そして…………裕美ちゃんガンバッテ
521: ◆aNhdRejuFptS 2013/06/20(木) 22:57:57.80 ID:qyxdOyL00
初ssとなります。予告編だけですけど。
caution
・この作品はペ○ソナ4:ペ○ソナ2:オリジナル=6:1:3な
どちらかというと2次創作の改変シナリオに近いものです。
・初めてなのでキャラ崩壊が激しいと思います
・文才もあまりありません。ごめんなさい。
以上のことに抵抗感がある方はあまり見ないことをお勧めします。
あと、括弧は
「」通常セリフ
『』重要ワードorシャドウ召喚
《》幻影(ドッペル)セリフ
【】技
となっております。
caution
・この作品はペ○ソナ4:ペ○ソナ2:オリジナル=6:1:3な
どちらかというと2次創作の改変シナリオに近いものです。
・初めてなのでキャラ崩壊が激しいと思います
・文才もあまりありません。ごめんなさい。
以上のことに抵抗感がある方はあまり見ないことをお勧めします。
あと、括弧は
「」通常セリフ
『』重要ワードorシャドウ召喚
《》幻影(ドッペル)セリフ
【】技
となっております。
522: ◆aNhdRejuFptS 2013/06/20(木) 23:00:51.42 ID:qyxdOyL00
その日、私は『普通』から『異常』に変わった
普通から逃げたくて、抜け出したくて作った部活、「怪異調査隊」
その隊長、上条春菜がメガネの曇りをふき取るよりも真剣な顔で、こう言った。
上条「今回の議題は、この神代市に起きている怪異―――
―――『噂が真実になる怪異』です」
普通から逃げたくて、抜け出したくて作った部活、「怪異調査隊」
その隊長、上条春菜がメガネの曇りをふき取るよりも真剣な顔で、こう言った。
上条「今回の議題は、この神代市に起きている怪異―――
―――『噂が真実になる怪異』です」
523: ◆aNhdRejuFptS 2013/06/20(木) 23:01:25.58 ID:qyxdOyL00
迫りくる都市伝説、襲い来る悪魔、噂の陰に隠れた邪神――――
男「うわああぁぁぁぁああッ!!助、助けてくれッッッ!!誰か、誰かァッ!」
珠美「でででででっかいおばけでも、なな何かに触れるのなら、珠美の剣も当たるはずです!
かかかかかかかかか、覚悟ォォォォ!!!」
上条「圧し潰されろ!【トール・ハンマー】!」
宣告される「運命」、異常への片道切符―――
???「君は世界の危機に立ち向かわなければいけない。
それが「運命」。『無限(ワイルド)』の力を持つ人の宿命」
卯月「そんな…。私、『普通』のただの女子高生で…」
???「この世界に『普通』なんて在りはしないさ。みんな『特別』な何かを持っている。
善くも、悪くも…。」
男「うわああぁぁぁぁああッ!!助、助けてくれッッッ!!誰か、誰かァッ!」
珠美「でででででっかいおばけでも、なな何かに触れるのなら、珠美の剣も当たるはずです!
かかかかかかかかか、覚悟ォォォォ!!!」
上条「圧し潰されろ!【トール・ハンマー】!」
宣告される「運命」、異常への片道切符―――
???「君は世界の危機に立ち向かわなければいけない。
それが「運命」。『無限(ワイルド)』の力を持つ人の宿命」
卯月「そんな…。私、『普通』のただの女子高生で…」
???「この世界に『普通』なんて在りはしないさ。みんな『特別』な何かを持っている。
善くも、悪くも…。」
524: ◆aNhdRejuFptS 2013/06/20(木) 23:01:57.62 ID:qyxdOyL00
起き始める奇妙な殺人事件、恐怖におびえる町―――
凛「どうして、何で、アイツが殺されたの…!」
木場「いいかみんな、絶対に1人で帰るんじゃないぞ。
―――先生は少し、見回りをしてくるよ…」
夜中零時に現れる「マヨナカテレビ」、行方不明になった「学友」―――
上条「ここに晴ちゃんがいるんですね…」
凛「なんていうか…こう…メルヘンチックなところだね…」
珠美「あの晴殿の振る舞いからは想像もできないところですね…」
卯月(いたる所にぬいぐるみが置いてある…)
凛「どうして、何で、アイツが殺されたの…!」
木場「いいかみんな、絶対に1人で帰るんじゃないぞ。
―――先生は少し、見回りをしてくるよ…」
夜中零時に現れる「マヨナカテレビ」、行方不明になった「学友」―――
上条「ここに晴ちゃんがいるんですね…」
凛「なんていうか…こう…メルヘンチックなところだね…」
珠美「あの晴殿の振る舞いからは想像もできないところですね…」
卯月(いたる所にぬいぐるみが置いてある…)
525: ◆aNhdRejuFptS 2013/06/20(木) 23:03:07.01 ID:qyxdOyL00
対峙するもう一人の自分『幻影(ドッペル)』―――
???《剣道なんていくらやったってうまくならないし、修業は大変だし、
もういっそのこと辞めちゃおうよ!》
珠美「黙れ!珠美が…珠美が自分で選んだ道なのです!それを捨てるなど言語道断!」
??《女の子が女の子らしいことして何が悪いの?
やりたいこと、好きなだけやればいーじゃん!
あんただってホントはフリフリの服着たりしたいんでしょ~?》
晴「ふざけんな!そんな女々しいマネできるかよ!」
???《本当は弱くて、完璧なんかでもなんでもなくて―――
そんな『私』は私が思うところの『教師失格』ではないのかい?」
木場「お前に…お前に何がわかる…!私は、私は…!」
奪われた『友情』―――
未央「そうだよ、私がこの事件の犯人―――」
凛「な、んで…」
卯月「未央ちゃんは、そんなことする人じゃない!」
更に現れる敵、隠された秘密―――
卯月?「初めまして、私…」
卯月「あなたは一体…」
上条(何で!?卯月ちゃんはもう『シャドウ』を持っているはずなのに…!)
???《剣道なんていくらやったってうまくならないし、修業は大変だし、
もういっそのこと辞めちゃおうよ!》
珠美「黙れ!珠美が…珠美が自分で選んだ道なのです!それを捨てるなど言語道断!」
??《女の子が女の子らしいことして何が悪いの?
やりたいこと、好きなだけやればいーじゃん!
あんただってホントはフリフリの服着たりしたいんでしょ~?》
晴「ふざけんな!そんな女々しいマネできるかよ!」
???《本当は弱くて、完璧なんかでもなんでもなくて―――
そんな『私』は私が思うところの『教師失格』ではないのかい?」
木場「お前に…お前に何がわかる…!私は、私は…!」
奪われた『友情』―――
未央「そうだよ、私がこの事件の犯人―――」
凛「な、んで…」
卯月「未央ちゃんは、そんなことする人じゃない!」
更に現れる敵、隠された秘密―――
卯月?「初めまして、私…」
卯月「あなたは一体…」
上条(何で!?卯月ちゃんはもう『シャドウ』を持っているはずなのに…!)
526: ◆aNhdRejuFptS 2013/06/20(木) 23:03:45.66 ID:qyxdOyL00
『奇跡』を起こせるのは―――
卯月「お願い―――」
己の紡いだ―――
卯月「奇跡を起こして―――」
『絆(ヒカリ)』だけ―――
卯月「『 イ ザ ナ ギ 』―――!」
卯月「お願い―――」
己の紡いだ―――
卯月「奇跡を起こして―――」
『絆(ヒカリ)』だけ―――
卯月「『 イ ザ ナ ギ 』―――!」
527: ◆aNhdRejuFptS 2013/06/20(木) 23:04:24.27 ID:qyxdOyL00
日常でいろんな人と出会い―――
卯月「大丈夫ですか?」
お婆ちゃん「ああ、ありがとうね―――」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
変人「…………」
変人(ばれてへん、ばれてへん………」
卯月(……そっとしておこう……)
絆を紡げ―――!
??「君みたいな人がいっぱいの世界だったら、きっと世の中は平和なんだろうね…」
卯月「………」
>>??との間に確かな『繋がり』を感じる――
『道化師』のランクが上がった!
卯月「大丈夫ですか?」
お婆ちゃん「ああ、ありがとうね―――」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
変人「…………」
変人(ばれてへん、ばれてへん………」
卯月(……そっとしておこう……)
絆を紡げ―――!
??「君みたいな人がいっぱいの世界だったら、きっと世の中は平和なんだろうね…」
卯月「………」
>>??との間に確かな『繋がり』を感じる――
『道化師』のランクが上がった!
528: ◆aNhdRejuFptS 2013/06/20(木) 23:05:00.03 ID:qyxdOyL00
本拠地が学校ならではのイベントもたくさん。シリアスなだけじゃいられない―――!
卯月「うう…今回のテスト散々だったなぁ…」
未央「お疲れだね卯月!」
卯月「未央ちゃんはどうだった?」
未央「………聞く?」
卯月「…やっぱりいいや…」
凛「二人とも、ちゃんと勉強しないからそうなるんだよ?」
未央卯月「「そういう凛(ちゃん)はどうだったの!?」」
凛「…………」
未央(ああッ!凛の目が死んでるッ…!)
卯月(そっとしておこう…)
卯月「うう…今回のテスト散々だったなぁ…」
未央「お疲れだね卯月!」
卯月「未央ちゃんはどうだった?」
未央「………聞く?」
卯月「…やっぱりいいや…」
凛「二人とも、ちゃんと勉強しないからそうなるんだよ?」
未央卯月「「そういう凛(ちゃん)はどうだったの!?」」
凛「…………」
未央(ああッ!凛の目が死んでるッ…!)
卯月(そっとしておこう…)
529: ◆aNhdRejuFptS 2013/06/20(木) 23:05:42.33 ID:qyxdOyL00
阿鼻叫喚の―――
卯月「マズゴハァ!」
凛「気絶するほどおいしいって思ってもらえるなんて…ちょっと照れるな」
上条「マズゴハァって言いましたよね!今、マズゴハァって言いましたよね!?」
林間学校―――
未央「さ、珠ちゃん、肝試し逝ってらっしゃーい!」
珠美「無理無理無理無理無理無理無理無理絶対無理絶対無理です!!」
驚天動地の―――
木場「お前たち、体育祭まであと1週間―――分かっているな?」
凛「クラス対抗1位!学年対抗1位!」
未央「あらゆる競技で首位を独占し―――」
卯月「そして最後に―――」
クラス一同「我が赤団の総合優勝ッ!」
木場「その意気や良し!お前たち!私についてこい!」
体育祭―――
上条「じゅ、15段ピラミッドォォ!!?」
晴(あの人たち…スゲー”漢”だ…!!)
卯月「マズゴハァ!」
凛「気絶するほどおいしいって思ってもらえるなんて…ちょっと照れるな」
上条「マズゴハァって言いましたよね!今、マズゴハァって言いましたよね!?」
林間学校―――
未央「さ、珠ちゃん、肝試し逝ってらっしゃーい!」
珠美「無理無理無理無理無理無理無理無理絶対無理絶対無理です!!」
驚天動地の―――
木場「お前たち、体育祭まであと1週間―――分かっているな?」
凛「クラス対抗1位!学年対抗1位!」
未央「あらゆる競技で首位を独占し―――」
卯月「そして最後に―――」
クラス一同「我が赤団の総合優勝ッ!」
木場「その意気や良し!お前たち!私についてこい!」
体育祭―――
上条「じゅ、15段ピラミッドォォ!!?」
晴(あの人たち…スゲー”漢”だ…!!)
530: ◆aNhdRejuFptS 2013/06/20(木) 23:06:21.68 ID:qyxdOyL00
文化祭は―――
珠美「ヒャアアァァァァァァァァ!!!きゅう…」バタッ
男子生徒A「珠美ちゃんがまた気絶したぞー!!誰か救護係呼んでーー!」
危険が一杯―――
晴「何でオレがミスコンなんかに…」
上条「最高のメガネを着ければ、きっとグランプリに…!」
未央「ないわー」
「怪異調査隊」の表の顔「演劇部」は―――
卯月「真説・桃太郎、始まります!」
観客「」パチパチパチパチ…
卯月[ナレーター]「13xx年、人類は鬼の恐怖に包まれた!!」
観客「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」
学園一の問題部―――!?
上条[徳川綱吉]「ええい!メガネ類憐みの令じゃ!メガネ類憐みの令を発布するんじゃ!
コンタクトレンズに死を!!」
父兄((((私たちは何を見せられているんだ…!))))ガクガク
珠美「ヒャアアァァァァァァァァ!!!きゅう…」バタッ
男子生徒A「珠美ちゃんがまた気絶したぞー!!誰か救護係呼んでーー!」
危険が一杯―――
晴「何でオレがミスコンなんかに…」
上条「最高のメガネを着ければ、きっとグランプリに…!」
未央「ないわー」
「怪異調査隊」の表の顔「演劇部」は―――
卯月「真説・桃太郎、始まります!」
観客「」パチパチパチパチ…
卯月[ナレーター]「13xx年、人類は鬼の恐怖に包まれた!!」
観客「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」
学園一の問題部―――!?
上条[徳川綱吉]「ええい!メガネ類憐みの令じゃ!メガネ類憐みの令を発布するんじゃ!
コンタクトレンズに死を!!」
父兄((((私たちは何を見せられているんだ…!))))ガクガク
531: ◆aNhdRejuFptS 2013/06/20(木) 23:07:04.33 ID:qyxdOyL00
そして、そんな日常の先にある終わり―――
??「ここまで来るとは、少し驚いたぞ…」
卯月「あなたが『元凶』…!!」
推奨BGM:Pursuing My True Self
We're all trapped in a maze of relationships
(僕らはみんな 迷路みたいな人とのつながりに縛られて)
卯月「私は犯人を絶対に許さない…!」
Life goes on with or without you
(人生は続く 君がいてもいなくても)
未央(私は、やっぱり『いらない子』なのかな…)
I swim in the sea of the unconscious
(僕は無意識の海を泳いで)
上条「上条家20代目次期党首上条春菜の名に懸けて、この事件、解決して見せます!」
I search for your heart, pursuing my true self…
(君の心を探してる 本当の自分を追い求めて…)
卯月「人間は貴方のオモチャなんかじゃない――――!!!」
shadow ~未来(あす)を紡ぐ絆~
(できたら)今週日曜プロローグ投下予定
??「ここまで来るとは、少し驚いたぞ…」
卯月「あなたが『元凶』…!!」
推奨BGM:Pursuing My True Self
We're all trapped in a maze of relationships
(僕らはみんな 迷路みたいな人とのつながりに縛られて)
卯月「私は犯人を絶対に許さない…!」
Life goes on with or without you
(人生は続く 君がいてもいなくても)
未央(私は、やっぱり『いらない子』なのかな…)
I swim in the sea of the unconscious
(僕は無意識の海を泳いで)
上条「上条家20代目次期党首上条春菜の名に懸けて、この事件、解決して見せます!」
I search for your heart, pursuing my true self…
(君の心を探してる 本当の自分を追い求めて…)
卯月「人間は貴方のオモチャなんかじゃない――――!!!」
shadow ~未来(あす)を紡ぐ絆~
(できたら)今週日曜プロローグ投下予定
532: ◆aNhdRejuFptS 2013/06/20(木) 23:07:35.52 ID:qyxdOyL00
???「これだけは憶えていて。
人はたくさんの人と関わりあって、『絆』を生み、生きている。
―――その『絆』は、この世界の何よりも強く、輝いているということを―――」
533: ◆aNhdRejuFptS 2013/06/20(木) 23:08:05.82 ID:qyxdOyL00
Next
卯月「噂が本当になる?」
上条「今この町で噂になっているのは、『トンカラトン』ですね。」
凛「もう、夕方だ…!」
珠美(お、お化け…!!)
上条「この私に任せときなさい!」
??「あら?こんな教会に人が来るなんて、何日ぶりかしら?」
???「ようこそ、ベルベットルームへ…」
プロローグ:噂が現実になる街
卯月「噂が本当になる?」
上条「今この町で噂になっているのは、『トンカラトン』ですね。」
凛「もう、夕方だ…!」
珠美(お、お化け…!!)
上条「この私に任せときなさい!」
??「あら?こんな教会に人が来るなんて、何日ぶりかしら?」
???「ようこそ、ベルベットルームへ…」
プロローグ:噂が現実になる街
534: ◆aNhdRejuFptS 2013/06/20(木) 23:10:07.82 ID:qyxdOyL00
設定01:舞台と上条家
神代市
東京にあるそこそこ大きな都市
新宿から電車でおよそ1時間くらいの所にある。
学生が多く、学生層をターゲットにした店が多く並ぶ。
白夢学園
政府が、「あらゆる年齢の学生を一纏めにしたらどうなるか」を実験するために作り出した
巨大学園。小学校・中学校・高校・大学が一つになっている。
一度入学すれば大学まで受験なしで上がれるため、この学校に入学させるために
神代市に引っ越ししてくる家庭があるほど人気がある。
部活動の特色として、吹奏楽部以外の文化系部活動は、小中高大一纏めで部活ができるという
点がある。なお、小学生は親と担任の許可が必要。
上条家
日本3大魔術家系のうち、規模としては最も小さい家系。
だが、その功績は他の三大魔術家系に引けを取らない。
現党首(19代目)は上条杜氏。次期党首(20代目)は上条春菜。
女性が党首になるのは極めて異例である。
神代市
東京にあるそこそこ大きな都市
新宿から電車でおよそ1時間くらいの所にある。
学生が多く、学生層をターゲットにした店が多く並ぶ。
白夢学園
政府が、「あらゆる年齢の学生を一纏めにしたらどうなるか」を実験するために作り出した
巨大学園。小学校・中学校・高校・大学が一つになっている。
一度入学すれば大学まで受験なしで上がれるため、この学校に入学させるために
神代市に引っ越ししてくる家庭があるほど人気がある。
部活動の特色として、吹奏楽部以外の文化系部活動は、小中高大一纏めで部活ができるという
点がある。なお、小学生は親と担任の許可が必要。
上条家
日本3大魔術家系のうち、規模としては最も小さい家系。
だが、その功績は他の三大魔術家系に引けを取らない。
現党首(19代目)は上条杜氏。次期党首(20代目)は上条春菜。
女性が党首になるのは極めて異例である。
535: ◆aNhdRejuFptS 2013/06/20(木) 23:11:36.81 ID:qyxdOyL00
設定02:主人公と「シャドウ」
島村卯月
白夢学園高校生
クラス:1年1組
アルカナタイプ:愚者
スキル:シャドウ召喚
無限の可能性(ワイルド)
ある日まではすべてが普通だったどこにでもいる女子高生。
あらゆることが平均的、凡才で、『普通』ということにコンプレックスを感じていた。
ある日夢で訪れた「ベルベットルーム」で、自分のとても普通とは言えない
能力、運命、使命を宣告されることになる。
基本使用するシャドウは『イザナギ』
雷を操ることを得意とし、使役者の能力を上昇させることもできる。
風の力に弱い。闇の力を無効化する。
シャドウ
使役者の性質、心の中の秘められた力が、神や悪魔の姿を借りて具現化したもの。
詳細はまた追々。
アルカナタイプ
あらゆる人に必ずあるシャドウの形の方向性をある程度定めるもの。
愚者 / 魔術師 / 女教皇 / 女帝 / 皇帝 / 法王 / 恋愛 / 戦車 / 正義
隠者 / 運命 / 剛毅 / 刑死者 / 死神 / 節制 / 悪魔 / 塔 / 星 / 月
太陽 / 審判 / 世界 / 永劫 / 道化師
の24種類があり、更に「表」と「逆」の2種類がそれぞれにあり、合計48種類。
「世界」は特別で、「愚者(表)」か「愚者(逆)」のどちらかが元のアルカナタイプで、
かつ特殊な条件を満たしたものだけが「世界」のアルカナを獲得することができる。
表は「神」の性質をもちやすく、逆は「悪魔」の性質を持ちやすい。
無限の可能性(ワイルド)
ごく一部の限られた「愚者」のアルカナ持ちが生まれつき持っている特殊能力。
他のアルカナタイプの人物の絆を獲得したとき、その絆を紡いだ人物と同じ性質のシャドウを
使役することができる。
その能力は絆の強さに比例する。
島村卯月
白夢学園高校生
クラス:1年1組
アルカナタイプ:愚者
スキル:シャドウ召喚
無限の可能性(ワイルド)
ある日まではすべてが普通だったどこにでもいる女子高生。
あらゆることが平均的、凡才で、『普通』ということにコンプレックスを感じていた。
ある日夢で訪れた「ベルベットルーム」で、自分のとても普通とは言えない
能力、運命、使命を宣告されることになる。
基本使用するシャドウは『イザナギ』
雷を操ることを得意とし、使役者の能力を上昇させることもできる。
風の力に弱い。闇の力を無効化する。
シャドウ
使役者の性質、心の中の秘められた力が、神や悪魔の姿を借りて具現化したもの。
詳細はまた追々。
アルカナタイプ
あらゆる人に必ずあるシャドウの形の方向性をある程度定めるもの。
愚者 / 魔術師 / 女教皇 / 女帝 / 皇帝 / 法王 / 恋愛 / 戦車 / 正義
隠者 / 運命 / 剛毅 / 刑死者 / 死神 / 節制 / 悪魔 / 塔 / 星 / 月
太陽 / 審判 / 世界 / 永劫 / 道化師
の24種類があり、更に「表」と「逆」の2種類がそれぞれにあり、合計48種類。
「世界」は特別で、「愚者(表)」か「愚者(逆)」のどちらかが元のアルカナタイプで、
かつ特殊な条件を満たしたものだけが「世界」のアルカナを獲得することができる。
表は「神」の性質をもちやすく、逆は「悪魔」の性質を持ちやすい。
無限の可能性(ワイルド)
ごく一部の限られた「愚者」のアルカナ持ちが生まれつき持っている特殊能力。
他のアルカナタイプの人物の絆を獲得したとき、その絆を紡いだ人物と同じ性質のシャドウを
使役することができる。
その能力は絆の強さに比例する。
536: ◆aNhdRejuFptS 2013/06/20(木) 23:15:18.18 ID:qyxdOyL00
これにて初投下は終了となります。すごく緊張した…
次回はうまくいけば予告通り今週日曜の予定です。
次回はうまくいけば予告通り今週日曜の予定です。
538: ◆aNhdRejuFptS 2013/06/20(木) 23:17:18.98 ID:qyxdOyL00
追記
Pursuing My True Selfの和訳は転載自由なところから載せています
素敵な和訳ありがとうございました
Pursuing My True Selfの和訳は転載自由なところから載せています
素敵な和訳ありがとうございました
560: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/20(木) 23:53:20.82 ID:FvIAiESzo
日常編はまかせろー(バリバリ
カースとか他の子とかでてこないんでいつか誰かからませてくれると嬉しいかなーって
カースとか他の子とかでてこないんでいつか誰かからませてくれると嬉しいかなーって
561: ◆mtvycQN0i6 2013/06/20(木) 23:54:35.75 ID:FvIAiESzo
私が自分の能力に気がついたのはつい最近のことでした。
一週間前、教会に来ていた女性のグラスを割ってしまったのです。
しかもそのグラスは、女性の今は亡き大切な子の形見だったのです。
さらに、その女性はかなりヒステリックで、私も覚悟しました。
しかし、私は許されました。
以前から、私は怒られることがないな、と思っていました。
自分が良い子だから、とも思いましたが、あまりにも怒られませんでした。
しかし、この一件でわかりました。私には能力があると。
最近、特別な能力を持った人が増えてきているようですし、私もかもしれません。
『神の名の下に、なにをしても許される』
たぶん、これが私の能力
まだきちんとは試していません。
一週間前、教会に来ていた女性のグラスを割ってしまったのです。
しかもそのグラスは、女性の今は亡き大切な子の形見だったのです。
さらに、その女性はかなりヒステリックで、私も覚悟しました。
しかし、私は許されました。
以前から、私は怒られることがないな、と思っていました。
自分が良い子だから、とも思いましたが、あまりにも怒られませんでした。
しかし、この一件でわかりました。私には能力があると。
最近、特別な能力を持った人が増えてきているようですし、私もかもしれません。
『神の名の下に、なにをしても許される』
たぶん、これが私の能力
まだきちんとは試していません。
562: ◆mtvycQN0i6 2013/06/20(木) 23:55:08.43 ID:FvIAiESzo
「ごちそうさまでした」
「おい、休んでないで食器運べ」
この方は神父様。小さいときから私とこの教会に通っていました。去年、神父様になりました。
この教会はきっちりしたものではなく、日曜日に集まって歌を歌いおしゃべりをするだけの自由なところです。
自由すぎてお金に困り、私はインディーズのアイドルとしてCDも出しました。自由ですよね。事務所は教会です。
「ほら、早く持って来い」
「神父様、今日の予定は何ですか?」
「そうだなぁ、買い物にいくぞ」
━━━━━━━━━
そろそろ私の能力を試さなくてはいけませんね。
ちょうど手元に神父様から貰ったお茶のペットボトルがあります。
これを、そこにある交番に投げ込んでみましょう。われながらとんでもないことを思いついたものです。
あ、大事なことを忘れていました。
「おい、休んでないで食器運べ」
この方は神父様。小さいときから私とこの教会に通っていました。去年、神父様になりました。
この教会はきっちりしたものではなく、日曜日に集まって歌を歌いおしゃべりをするだけの自由なところです。
自由すぎてお金に困り、私はインディーズのアイドルとしてCDも出しました。自由ですよね。事務所は教会です。
「ほら、早く持って来い」
「神父様、今日の予定は何ですか?」
「そうだなぁ、買い物にいくぞ」
━━━━━━━━━
そろそろ私の能力を試さなくてはいけませんね。
ちょうど手元に神父様から貰ったお茶のペットボトルがあります。
これを、そこにある交番に投げ込んでみましょう。われながらとんでもないことを思いついたものです。
あ、大事なことを忘れていました。
563: ◆mtvycQN0i6 2013/06/20(木) 23:55:52.63 ID:FvIAiESzo
「お巡りさん、貴方は神を信じていますか?」
「えっ?えっと...信じていますけど」
一応確認です。神様を信じている人ならきっと大丈夫です。
ポイッ
「どうかされましたか?」
「い、いえ」
どうやら能力は本当みたいです。
...拾わなくちゃ
「ご、ごめんなさい」
「いえいえー」
「こら!なにやってんだクラリス!」
神父様には効果がないのでしょうか。
━━━━━━━━━
「えっ?えっと...信じていますけど」
一応確認です。神様を信じている人ならきっと大丈夫です。
ポイッ
「どうかされましたか?」
「い、いえ」
どうやら能力は本当みたいです。
...拾わなくちゃ
「ご、ごめんなさい」
「いえいえー」
「こら!なにやってんだクラリス!」
神父様には効果がないのでしょうか。
━━━━━━━━━
564: ◆mtvycQN0i6 2013/06/20(木) 23:57:27.29 ID:FvIAiESzo
━━━━━━━━━
買い物は順調に終わりました。
最近、いろいろと物騒なことが起こっているので心配でしたが、なにもなくてよかったです。
「神父様、そろそろ昼食の時間ですよ」
「お、そうか。じゃあどっかで食べるかな...牛丼にするか」
「牛丼...初めてです」
「え、うそっ」
「本当です」
世間知らずじゃないですよ、決して。
店内は良い匂いでいっぱいです。お腹が空いてきます。
食券を買って、席につくと、すぐに運ばれてきました。
...これは、なんでしょうか。
紅しょうが、と書いてありますね
...決して駄洒落ではありませんが...これは私の能力を試す良い機会のようです。
「うわっ、クラリス、そんなに紅しょうがのせるのか」
きっと、これだけの量を乗せれば高いに違いありません。
...もしもお金が足りなかったら...でも、今更紅しょうがを戻すわけにはいきません。
今は食べることに集中しましょう。
辛っ
━━━━━━━━━
買い物は順調に終わりました。
最近、いろいろと物騒なことが起こっているので心配でしたが、なにもなくてよかったです。
「神父様、そろそろ昼食の時間ですよ」
「お、そうか。じゃあどっかで食べるかな...牛丼にするか」
「牛丼...初めてです」
「え、うそっ」
「本当です」
世間知らずじゃないですよ、決して。
店内は良い匂いでいっぱいです。お腹が空いてきます。
食券を買って、席につくと、すぐに運ばれてきました。
...これは、なんでしょうか。
紅しょうが、と書いてありますね
...決して駄洒落ではありませんが...これは私の能力を試す良い機会のようです。
「うわっ、クラリス、そんなに紅しょうがのせるのか」
きっと、これだけの量を乗せれば高いに違いありません。
...もしもお金が足りなかったら...でも、今更紅しょうがを戻すわけにはいきません。
今は食べることに集中しましょう。
辛っ
━━━━━━━━━
565: ◆mtvycQN0i6 2013/06/20(木) 23:59:28.05 ID:FvIAiESzo
さて、審判の時間がきました。
神父様が会計に向かいます。あ、その前に...
「貴方は神を信じますか?」
「え?まあ、はい」
これで大丈夫なはずです。
「あ、会計お願いします」
「━━━━━円になります」
「あ、はいじゃあこれで━━━━━」
あ、どうやら終わったみたいですね...いったいいくらになったのでしょうか。
「よし、いくぞクラリス」
あれ、なにも言われません。
牛丼
大盛 440円
並盛 280円
紅しょうが(いっぱい) 0円
神父様が会計に向かいます。あ、その前に...
「貴方は神を信じますか?」
「え?まあ、はい」
これで大丈夫なはずです。
「あ、会計お願いします」
「━━━━━円になります」
「あ、はいじゃあこれで━━━━━」
あ、どうやら終わったみたいですね...いったいいくらになったのでしょうか。
「よし、いくぞクラリス」
あれ、なにも言われません。
牛丼
大盛 440円
並盛 280円
紅しょうが(いっぱい) 0円
570: ◆IRWVB8Juyg 2013/06/21(金) 00:10:47.64 ID:rLbMA/bao
それは今から14年前のこと。
地球にひそかに危機が迫っていました。
しかし、勇気ある女の子たちが力を合わせて戦い、平和を取り戻しました。
とても辛く苦しい戦いでしたが、友人たちとの絆と思いは不可能を可能にしたのです。
彼女たちに力を与えた小動物からは、成長するにつれその力は消えて行ってしまうと説明を受けました。
それでも戦いの中でお互いに感じたものや芽生えたものたちは決して変わらない。彼女たちはそう笑いました。
なんて素敵な関係だろう。彼女たちへと力を渡したのは間違いじゃなかった。
改めてそう、彼は思ったそうです。
実際それからもよき友人として、仲間として過ごすことができました。
できました、が――
地球にひそかに危機が迫っていました。
しかし、勇気ある女の子たちが力を合わせて戦い、平和を取り戻しました。
とても辛く苦しい戦いでしたが、友人たちとの絆と思いは不可能を可能にしたのです。
彼女たちに力を与えた小動物からは、成長するにつれその力は消えて行ってしまうと説明を受けました。
それでも戦いの中でお互いに感じたものや芽生えたものたちは決して変わらない。彼女たちはそう笑いました。
なんて素敵な関係だろう。彼女たちへと力を渡したのは間違いじゃなかった。
改めてそう、彼は思ったそうです。
実際それからもよき友人として、仲間として過ごすことができました。
できました、が――
571: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/21(金) 00:11:05.70 ID:f5X1QMuF0
じゃあその後にVS加蓮を
572: ◆IRWVB8Juyg 2013/06/21(金) 00:12:32.41 ID:rLbMA/bao
――時は流れ流れて、現代。
ある日突然「特別」が「特別」でなくなりました。
「片づけも大変だなぁ……」
イタズラ程度で済むことはともかく、怪獣や怪人などが暴れてものが壊れたあとは大変です。
『能力』で直したり、戻したりできる人もいるそうですが……全てを任せることはできないのですから。
だから自分のことは自分で。
彼女――三船美優はショップの前の掃除と片づけにおわれていました。
お店は決して繁盛しているわけではないけれど。
こんな世の中だからこそ、ほのかな癒しを求めてやってくる人たちもいるのだから。
「……うん、がんばらなきゃ」
誰に聞こえるわけでもない小さな声で自分を鼓舞すると、ある程度まとまったごみを袋へ。
単純に通りで暴れていったのでしょう、そこまで大きな被害もなく今日もお仕事はできそうです。
ある日突然「特別」が「特別」でなくなりました。
「片づけも大変だなぁ……」
イタズラ程度で済むことはともかく、怪獣や怪人などが暴れてものが壊れたあとは大変です。
『能力』で直したり、戻したりできる人もいるそうですが……全てを任せることはできないのですから。
だから自分のことは自分で。
彼女――三船美優はショップの前の掃除と片づけにおわれていました。
お店は決して繁盛しているわけではないけれど。
こんな世の中だからこそ、ほのかな癒しを求めてやってくる人たちもいるのだから。
「……うん、がんばらなきゃ」
誰に聞こえるわけでもない小さな声で自分を鼓舞すると、ある程度まとまったごみを袋へ。
単純に通りで暴れていったのでしょう、そこまで大きな被害もなく今日もお仕事はできそうです。
573: ◆IRWVB8Juyg 2013/06/21(金) 00:12:58.84 ID:rLbMA/bao
――おそらく、昨晩あたりにこのあたりで暴れたのは怪人か……能力を悪用する『人間』だろう。
美優はそう推理していました。
たくさんの『能力』や『異邦人』が現れてすごす中、当然すべての人が善人というわけにはいかないわけで。
悪用してお金を盗んだり、犯罪を起こす人もいるというのが事実です。
「ふぅ……あ、いけない」
思わず出たため息に、美優は口元へと手をやって反省をします。
そろそろ開店時間も近くなってきたようで、とりあえずお店を開けようと店内へと入っていきました。
店内の清掃は店長さんが済ませていました。
彼は昔馴染みで、美優のことをよく知っている相手です。
小さなお店だけれど、日常はとても幸せで2人はそれで満足していました。
美優はそう推理していました。
たくさんの『能力』や『異邦人』が現れてすごす中、当然すべての人が善人というわけにはいかないわけで。
悪用してお金を盗んだり、犯罪を起こす人もいるというのが事実です。
「ふぅ……あ、いけない」
思わず出たため息に、美優は口元へと手をやって反省をします。
そろそろ開店時間も近くなってきたようで、とりあえずお店を開けようと店内へと入っていきました。
店内の清掃は店長さんが済ませていました。
彼は昔馴染みで、美優のことをよく知っている相手です。
小さなお店だけれど、日常はとても幸せで2人はそれで満足していました。
574: ◆IRWVB8Juyg 2013/06/21(金) 00:14:03.10 ID:rLbMA/bao
「そういえば、今日はまーくんが遊びに来るんだっけ?」
店長さんが思い出したように言いました。
まーくんはおなじみのお客さん。小学生の男の子です。
お母さんのことが大好きで、よくお店へお使いへ来てくれます。
お父さんといっしょにサプライズの計画をしたり、とても仲のいい家族だなと美優は微笑ましく思っていました。
「そうですよ。だから、片づけもがんばったんですよね……?」
「……ははは、忘れてたよ。俺も年かな」
店長さんはそういって頭をぽりぽりかきました。
「……本当に忘れてたんですか?」
「なんとなく、しなくちゃいけないことがある気はしてたんだ。勘は衰えてないかな」
「もう……」
美優がくすりと笑います。
ゆったりとした時間が店内を流れていきました。
店長さんが思い出したように言いました。
まーくんはおなじみのお客さん。小学生の男の子です。
お母さんのことが大好きで、よくお店へお使いへ来てくれます。
お父さんといっしょにサプライズの計画をしたり、とても仲のいい家族だなと美優は微笑ましく思っていました。
「そうですよ。だから、片づけもがんばったんですよね……?」
「……ははは、忘れてたよ。俺も年かな」
店長さんはそういって頭をぽりぽりかきました。
「……本当に忘れてたんですか?」
「なんとなく、しなくちゃいけないことがある気はしてたんだ。勘は衰えてないかな」
「もう……」
美優がくすりと笑います。
ゆったりとした時間が店内を流れていきました。
575: ◆IRWVB8Juyg 2013/06/21(金) 00:15:21.68 ID:rLbMA/bao
――突然、外から爆音が響きました。
576: ◆IRWVB8Juyg 2013/06/21(金) 00:15:49.97 ID:rLbMA/bao
「っ……!?」
「なんだ……って、あれは!」
驚いて2人が外へ視線をやれば、そこにはなにやら怪しい人影が。
どうやら普通の人間ではなさそうです。
まだ時間としては昼前で人通りの少ない、こんな時間。
人を襲ったり、ものを盗んだりするには向かないだろうということは想像に難くありません。
ということは、無差別にあたりを破壊しようとしているか、能力が暴走しているか、あるいは――
「ウオオオォォォォォォォォォォン!!」
ビリビリと、聞いているだけで体が痺れるようなすさまじい咆哮があたりに響きわたります。
何らかの組織に属している怪人の場合はたいていその怪人に因縁のあるヒーローが駆けつけるのですが、今はその気配はありません。
つまり、探知できるヒーローのいない突発的な怪人。
理不尽な暴力があたりを襲おうとしていました。
「なんだ……って、あれは!」
驚いて2人が外へ視線をやれば、そこにはなにやら怪しい人影が。
どうやら普通の人間ではなさそうです。
まだ時間としては昼前で人通りの少ない、こんな時間。
人を襲ったり、ものを盗んだりするには向かないだろうということは想像に難くありません。
ということは、無差別にあたりを破壊しようとしているか、能力が暴走しているか、あるいは――
「ウオオオォォォォォォォォォォン!!」
ビリビリと、聞いているだけで体が痺れるようなすさまじい咆哮があたりに響きわたります。
何らかの組織に属している怪人の場合はたいていその怪人に因縁のあるヒーローが駆けつけるのですが、今はその気配はありません。
つまり、探知できるヒーローのいない突発的な怪人。
理不尽な暴力があたりを襲おうとしていました。
577: ◆IRWVB8Juyg 2013/06/21(金) 00:17:27.83 ID:rLbMA/bao
美優は考えます。
怪人や怪獣の中には一定のプロセスを踏まないで倒してしまうとあたりへ甚大な被害を及ぼしてしまうものがいること。
ひょっとしたら駆けつけるのが遅れてしまっているだけで、この怪人がそうではないとは言い切れないこと。
それから自分自身へとかかってしまう負担……これだけは、ほんの一瞬で流してしまいました。
――怪人が歩いていく方向に、まーくんがいることに気づいてしまったから。
美優が駆け出そうとしたその瞬間、黒い影がまーくんを抱きかかえ横へ飛びました。
直後に、まーくんがいたはずのところを怪人の拳が砕きました。
「……すごいパワーだな」
呆然とするまーくんを抱きかかえた男が思わずつぶやきます。
アスファルトは砕け、まともに当たれば命は簡単に奪われてしまうでしょう。
だからこそ、腕の中でふるえるまーくんへ向けて男は努めて冷静にこういいました。
「大丈夫だ、まーくん。このシビルマスクがついてるから!」
怪人や怪獣の中には一定のプロセスを踏まないで倒してしまうとあたりへ甚大な被害を及ぼしてしまうものがいること。
ひょっとしたら駆けつけるのが遅れてしまっているだけで、この怪人がそうではないとは言い切れないこと。
それから自分自身へとかかってしまう負担……これだけは、ほんの一瞬で流してしまいました。
――怪人が歩いていく方向に、まーくんがいることに気づいてしまったから。
美優が駆け出そうとしたその瞬間、黒い影がまーくんを抱きかかえ横へ飛びました。
直後に、まーくんがいたはずのところを怪人の拳が砕きました。
「……すごいパワーだな」
呆然とするまーくんを抱きかかえた男が思わずつぶやきます。
アスファルトは砕け、まともに当たれば命は簡単に奪われてしまうでしょう。
だからこそ、腕の中でふるえるまーくんへ向けて男は努めて冷静にこういいました。
「大丈夫だ、まーくん。このシビルマスクがついてるから!」
578: ◆IRWVB8Juyg 2013/06/21(金) 00:18:38.03 ID:rLbMA/bao
まーくんは、顔を上げて助けてくれた男の人のことを見ました。
普通のスーツに、少し飾りのついたヘンテコな仮面。
少なくとも『変身』のできるヒーローではないことは確かです。
すごく強い力のある『能力者』なら、独特の雰囲気を纏っているはずなのにそれもありません。
さっき怪人が砕いた欠片がぶつかって、流れている血は赤。普通の人みたいに、ケガをしています。
それでも。
ちっともかっこよくないはずなのに、まーくんは不思議と大丈夫な気がしました。
「……うん」
「よし、いい子だ……来い、怪人!」
シビルマスクはポンとまーくんを撫でたあと、逃げるように指示をして怪人に向かい合いました。
怪人も一見変質者にしか見えない乱入者を敵とみなしたのか向き合います。
普通のスーツに、少し飾りのついたヘンテコな仮面。
少なくとも『変身』のできるヒーローではないことは確かです。
すごく強い力のある『能力者』なら、独特の雰囲気を纏っているはずなのにそれもありません。
さっき怪人が砕いた欠片がぶつかって、流れている血は赤。普通の人みたいに、ケガをしています。
それでも。
ちっともかっこよくないはずなのに、まーくんは不思議と大丈夫な気がしました。
「……うん」
「よし、いい子だ……来い、怪人!」
シビルマスクはポンとまーくんを撫でたあと、逃げるように指示をして怪人に向かい合いました。
怪人も一見変質者にしか見えない乱入者を敵とみなしたのか向き合います。
579: ◆IRWVB8Juyg 2013/06/21(金) 00:19:28.55 ID:rLbMA/bao
あたりの人たちは先ほどのやり取りの間にどうにか避難したようで、障害物はすっかりありません。
特性の防災シャッターを閉めてヒーローコール。普段からの避難訓練の賜物です。
獲物が減ったことに機嫌を悪くしたのか怪人が唸り声をあげました。
スンスンと何回か鼻を鳴らすような動作をして目の前の弱そうな獲物以外に何かいないかと探ると、
後ろから何かが近づいてくることに気付いて振り返りました。
そこに立つのは1人の女性。
今、避難が完了したまーくんの知り合い。
シビルマスクとも、浅からぬ関係を持つ人です。
あぁ、どうせならこちらのほうが美味そうだ。
怪人はそう思って女性へと飛びかかろうとしました。
しかし――
「ハートアップ! リライザブル!」
特性の防災シャッターを閉めてヒーローコール。普段からの避難訓練の賜物です。
獲物が減ったことに機嫌を悪くしたのか怪人が唸り声をあげました。
スンスンと何回か鼻を鳴らすような動作をして目の前の弱そうな獲物以外に何かいないかと探ると、
後ろから何かが近づいてくることに気付いて振り返りました。
そこに立つのは1人の女性。
今、避難が完了したまーくんの知り合い。
シビルマスクとも、浅からぬ関係を持つ人です。
あぁ、どうせならこちらのほうが美味そうだ。
怪人はそう思って女性へと飛びかかろうとしました。
しかし――
「ハートアップ! リライザブル!」
580: ◆IRWVB8Juyg 2013/06/21(金) 00:20:12.36 ID:rLbMA/bao
まばゆい光が女性から――いえ。美優から、あふれ出します。
全身が光へ包まれ、そして凝縮し衣へと変化していくのです。
頭には美しいフォーテール。腕には滑らかな布のガントレット。
希望の証であるエンブレムは胸へ。そこを起点に胸部へと加護を伴うドレス。
さらに、ヘソ出しルックにミニのスカート。
「魔法少女……エンジェリックカインド!」
さらにはキメポーズ。
「きゃはっ☆」
「………………………」
思わず怪人が言葉を失います。
風が吹いて、近くにあったゴミがころころと転がりました。
全身が光へ包まれ、そして凝縮し衣へと変化していくのです。
頭には美しいフォーテール。腕には滑らかな布のガントレット。
希望の証であるエンブレムは胸へ。そこを起点に胸部へと加護を伴うドレス。
さらに、ヘソ出しルックにミニのスカート。
「魔法少女……エンジェリックカインド!」
さらにはキメポーズ。
「きゃはっ☆」
「………………………」
思わず怪人が言葉を失います。
風が吹いて、近くにあったゴミがころころと転がりました。
581: ◆IRWVB8Juyg 2013/06/21(金) 00:21:34.10 ID:rLbMA/bao
一瞬の空白のあと、シビルマスクが叫びます。
「いまだ、カインド! 一気に決めろ!」
「はいっ! カインディング……アローッ!」
エンジェリックカインドの腕に沿うように光の矢が現れると、ポウと小さな音だけを残して消えます。
怪人が戸惑いを覚えるのと、胸の違和感に気付いたのは同時でした。
「グ……ゥ……」
光の矢は怪人の胸へと深く突き刺さり、怪人の力の源とともに空へと溶けて消えていきました。
それを確認することなく、怪人は普通の人間へと姿を変え――いえ、戻って気絶してしまいましたが。
「……大丈夫でしょうか、店長」
「うん? ……たぶん、大丈夫さ。それより今はシビルマスクだぞ、カインド」
2人はコールを聞いてヒーローが現れる前にそそくさと店内へと隠れることにしました。
「いまだ、カインド! 一気に決めろ!」
「はいっ! カインディング……アローッ!」
エンジェリックカインドの腕に沿うように光の矢が現れると、ポウと小さな音だけを残して消えます。
怪人が戸惑いを覚えるのと、胸の違和感に気付いたのは同時でした。
「グ……ゥ……」
光の矢は怪人の胸へと深く突き刺さり、怪人の力の源とともに空へと溶けて消えていきました。
それを確認することなく、怪人は普通の人間へと姿を変え――いえ、戻って気絶してしまいましたが。
「……大丈夫でしょうか、店長」
「うん? ……たぶん、大丈夫さ。それより今はシビルマスクだぞ、カインド」
2人はコールを聞いてヒーローが現れる前にそそくさと店内へと隠れることにしました。
582: ◆IRWVB8Juyg 2013/06/21(金) 00:22:28.70 ID:rLbMA/bao
そのあとすぐに、近くにいた『アイドルヒーロー同盟』のアイドルが駆けつけましたがすでに事件は解決済み。
不思議なこともあったものだ、と思いつつ通りすがりのどこかのヒーローが助けてくれたのだろうということになりました
「……やれやれ、やっぱり俺も年かな」
「だいじょうぶですよ、店長は……私なんて……」
美優が両手で顔を覆います。
店長は頭をポリポリと何回かかいてから、ふぅと息を吐いて真面目な顔で美優のほうを向きました。
「……その、なんだ。似合ってるし可愛いし。平気だぞ、美優?」
「…………」
……美優の顔が一層赤みを増すことになりました。
不思議なこともあったものだ、と思いつつ通りすがりのどこかのヒーローが助けてくれたのだろうということになりました
「……やれやれ、やっぱり俺も年かな」
「だいじょうぶですよ、店長は……私なんて……」
美優が両手で顔を覆います。
店長は頭をポリポリと何回かかいてから、ふぅと息を吐いて真面目な顔で美優のほうを向きました。
「……その、なんだ。似合ってるし可愛いし。平気だぞ、美優?」
「…………」
……美優の顔が一層赤みを増すことになりました。
583: ◆IRWVB8Juyg 2013/06/21(金) 00:27:36.44 ID:rLbMA/bao
三船美優(26)
職業:アロマショップ店員、兼『魔法少女』
属性:魔法少女(26)
能力:魔法少女への変身および魔法の行使
中学校時代に魔法少女として戦い、友人たちと力を合わせて敵を撃退した経験のある『魔法少女』
魔法少女としての力は長くても中学の卒業までに消滅する……と、力を与えてくれた小動物に教えられて早幾年、
ついに魔法少女歴が魔法少女になっていなかったころよりも長くなってしまった。
名乗り口上は『きゃはっ☆』までがオートであり、本人の意思でキャンセルできない。
できることならば変身しないで済むのが一番だとは思っている。
店長
職業:アロマショップ店長
属性:おじさんヒーロー
能力:特になし。あえていうなら早着替え
14年前から美優を助けていたお兄さん。いわゆる元タキシード仮面様。
『背広マスク』を名乗っていたが流石に恥ずかしいのでちょっとなまらせて『シビルマスク』を名乗る。
能力は特にないため、ごく普通の人間よりは腕が立つ程度。
職業:アロマショップ店員、兼『魔法少女』
属性:魔法少女(26)
能力:魔法少女への変身および魔法の行使
中学校時代に魔法少女として戦い、友人たちと力を合わせて敵を撃退した経験のある『魔法少女』
魔法少女としての力は長くても中学の卒業までに消滅する……と、力を与えてくれた小動物に教えられて早幾年、
ついに魔法少女歴が魔法少女になっていなかったころよりも長くなってしまった。
名乗り口上は『きゃはっ☆』までがオートであり、本人の意思でキャンセルできない。
できることならば変身しないで済むのが一番だとは思っている。
店長
職業:アロマショップ店長
属性:おじさんヒーロー
能力:特になし。あえていうなら早着替え
14年前から美優を助けていたお兄さん。いわゆる元タキシード仮面様。
『背広マスク』を名乗っていたが流石に恥ずかしいのでちょっとなまらせて『シビルマスク』を名乗る。
能力は特にないため、ごく普通の人間よりは腕が立つ程度。
589: ◆lbKlS0ZYdV.M 2013/06/21(金) 00:31:55.94 ID:BaQ38HMEo
ガチャ…
聖「……ただいま」
礼子「おかえりなさい、聖」
礼子「…あら、ペロも一緒だったのね」
礼子「よしよし」ナデナデ…
黒猫(雪美)「…なー」スリスリ…
聖「ただいま……お母さん…」
礼子「新しい学校はどうだったかしら?」
礼子「上手くやっていけそう?」
聖「…はい、お友達も出来ました」
礼子「そう。ふふっ、それは良かったわ」
礼子「お夕飯、もう少しで出来るからお部屋でpの相手をして待っててもらえるかしら?」
聖「…はい」
聖「……ただいま」
礼子「おかえりなさい、聖」
礼子「…あら、ペロも一緒だったのね」
礼子「よしよし」ナデナデ…
黒猫(雪美)「…なー」スリスリ…
聖「ただいま……お母さん…」
礼子「新しい学校はどうだったかしら?」
礼子「上手くやっていけそう?」
聖「…はい、お友達も出来ました」
礼子「そう。ふふっ、それは良かったわ」
礼子「お夕飯、もう少しで出来るからお部屋でpの相手をして待っててもらえるかしら?」
聖「…はい」
590: ◆lbKlS0ZYdV.M 2013/06/21(金) 00:32:50.46 ID:BaQ38HMEo
ガラッ…
聖「……」
黒猫(雪美)「……」
シュン…!
雪美「……礼子は優しい」
聖「……」
聖「…記憶、書き換えたから」
聖「私と雪美は……昔から礼子さんとは…家族だって」
雪美「……」
雪美「……偽物の家族……」
雪美「でも……礼子は……優しい……」
聖「……うん」
聖「……」
黒猫(雪美)「……」
シュン…!
雪美「……礼子は優しい」
聖「……」
聖「…記憶、書き換えたから」
聖「私と雪美は……昔から礼子さんとは…家族だって」
雪美「……」
雪美「……偽物の家族……」
雪美「でも……礼子は……優しい……」
聖「……うん」
591: ◆lbKlS0ZYdV.M 2013/06/21(金) 00:33:33.61 ID:BaQ38HMEo
p「だー、あー」
聖「……」
雪美「…赤ちゃん、カワイイ……」
聖「うん……」
p「……」
p「ふぇ…くずっ…」
雪美「……?」
雪美「どうか……したの……?」
聖「…おねむ、かな」
p「ぐずっ…ぐずっ…」
聖「……」
聖「―― ―――♪」
p&雪美「…!」ピクッ…
聖「……」
雪美「…赤ちゃん、カワイイ……」
聖「うん……」
p「……」
p「ふぇ…くずっ…」
雪美「……?」
雪美「どうか……したの……?」
聖「…おねむ、かな」
p「ぐずっ…ぐずっ…」
聖「……」
聖「―― ―――♪」
p&雪美「…!」ピクッ…
592: ◆lbKlS0ZYdV.M 2013/06/21(金) 00:34:32.93 ID:BaQ38HMEo
聖「――― ―――♪」
p「……」
p「…むにゃ」
p「……すぅすぅ」
雪美「……」
雪美「…んっ」ゴシゴシ…
聖「……」
聖「…雪美まで、眠たくなっちゃった?」
雪美「……聖の……子守唄……」
雪美「…安心……する……」
シュン…!
黒猫(雪美)「……すぅすぅ」
聖「……」ぽんぽん…
p「……」
p「…むにゃ」
p「……すぅすぅ」
雪美「……」
雪美「…んっ」ゴシゴシ…
聖「……」
聖「…雪美まで、眠たくなっちゃった?」
雪美「……聖の……子守唄……」
雪美「…安心……する……」
シュン…!
黒猫(雪美)「……すぅすぅ」
聖「……」ぽんぽん…
593: ◆lbKlS0ZYdV.M 2013/06/21(金) 00:35:07.78 ID:BaQ38HMEo
聖「……」チラッ…
聖「(…今夜は星が綺麗)」
聖「 (こんなにも星は綺麗なのに…)」
聖「(この地球では…絶え間無く混乱状態が続いている…)」
聖「(だからこそ…ヒカルには…)」
聖「(この世界を平和に導く…光となって…)」
ガラッ…
礼子「聖、お夕飯出来たわよ」
礼子「…って、あら?pとペロはおねむなの?」
聖「今、眠ったところです…」
礼子「そう…なら起こしちゃかわいそうね」
礼子「先に二人で食べちゃいましょうか」
聖「……はい」
聖「(…今夜は星が綺麗)」
聖「 (こんなにも星は綺麗なのに…)」
聖「(この地球では…絶え間無く混乱状態が続いている…)」
聖「(だからこそ…ヒカルには…)」
聖「(この世界を平和に導く…光となって…)」
ガラッ…
礼子「聖、お夕飯出来たわよ」
礼子「…って、あら?pとペロはおねむなの?」
聖「今、眠ったところです…」
礼子「そう…なら起こしちゃかわいそうね」
礼子「先に二人で食べちゃいましょうか」
聖「……はい」
594: ◆lbKlS0ZYdV.M 2013/06/21(金) 00:35:47.86 ID:BaQ38HMEo
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
聖「……」モグモグ…
礼子「どう?美味しい?」
聖「……」モグ…ゴクン…
聖「とっても…美味しいです…」
礼子「なら良かったわ」
礼子「美しさを作るのはまず食事から…」
礼子「聖、あなたはこれから私みたいにどんどん綺麗になっていくわ」
聖「…よく、わかりません」
礼子「私みたいに素敵な旦那様を見つけなさいってことよ」
聖「……」
聖「(礼子さんの作った地球食を食べると…礼子さんみたいな見た目になるってことなのかな……)」
聖「(地球は素敵な…星だけど…)」
聖「(地球人の性質というものは……まだよくわからないな……)」
聖「……」モグモグ…
礼子「どう?美味しい?」
聖「……」モグ…ゴクン…
聖「とっても…美味しいです…」
礼子「なら良かったわ」
礼子「美しさを作るのはまず食事から…」
礼子「聖、あなたはこれから私みたいにどんどん綺麗になっていくわ」
聖「…よく、わかりません」
礼子「私みたいに素敵な旦那様を見つけなさいってことよ」
聖「……」
聖「(礼子さんの作った地球食を食べると…礼子さんみたいな見た目になるってことなのかな……)」
聖「(地球は素敵な…星だけど…)」
聖「(地球人の性質というものは……まだよくわからないな……)」
595: ◆lbKlS0ZYdV.M 2013/06/21(金) 00:36:36.65 ID:BaQ38HMEo
聖「ところで…お父さんは……?」
礼子「うん。今日もあの人は遅くなるみたいねぇ」
礼子「まぁ、転勤して間もないもの」
礼子「しばらくしたらきっと落ち着くわ」
聖「そう…ですか…」
聖「(彼女の元々の家族構成は夫と子が一人ずつ…)」
聖「(しかし夫は多忙なのか子が生まれてからも家を空けがち…)」
聖「……大変じゃ、ありませんか…?」
礼子「……」
礼子「そんな風に思ったりしないわ」
礼子「私は夫もpもペロも…」
礼子「そしてあなたも愛していますもの」
聖「……」
聖「(やっぱり…地球人のこと…まだよくわからないな……)」
礼子「うん。今日もあの人は遅くなるみたいねぇ」
礼子「まぁ、転勤して間もないもの」
礼子「しばらくしたらきっと落ち着くわ」
聖「そう…ですか…」
聖「(彼女の元々の家族構成は夫と子が一人ずつ…)」
聖「(しかし夫は多忙なのか子が生まれてからも家を空けがち…)」
聖「……大変じゃ、ありませんか…?」
礼子「……」
礼子「そんな風に思ったりしないわ」
礼子「私は夫もpもペロも…」
礼子「そしてあなたも愛していますもの」
聖「……」
聖「(やっぱり…地球人のこと…まだよくわからないな……)」
596: ◆lbKlS0ZYdV.M 2013/06/21(金) 00:38:41.98 ID:BaQ38HMEo
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
p「すぅすぅ…」
礼子「たくさんお昼寝したのに、夜もちゃんと寝付いてくれて助かるわ」
聖「…かわいい」
礼子「あら、あなただって可愛いわよ」
礼子「今も、昔もね」ナデナデ…
聖「……」
聖「(昔の私…)」
聖「(書き換えた彼女の記憶の中に…)」
聖「(昔の私はどう映っているのだろう……)」
礼子「それじゃあ、聖。おやすみ…」ちゅっ…
聖「…ん」
聖「…はい、おやすみなさい……」
礼子「…♪」フリフリ…
ガラッ…
聖「……」
p「すぅすぅ…」
礼子「たくさんお昼寝したのに、夜もちゃんと寝付いてくれて助かるわ」
聖「…かわいい」
礼子「あら、あなただって可愛いわよ」
礼子「今も、昔もね」ナデナデ…
聖「……」
聖「(昔の私…)」
聖「(書き換えた彼女の記憶の中に…)」
聖「(昔の私はどう映っているのだろう……)」
礼子「それじゃあ、聖。おやすみ…」ちゅっ…
聖「…ん」
聖「…はい、おやすみなさい……」
礼子「…♪」フリフリ…
ガラッ…
聖「……」
597: ◆lbKlS0ZYdV.M 2013/06/21(金) 00:39:48.06 ID:BaQ38HMEo
黒猫(雪美)「…すぅすぅ」
聖「……」ナデナデ…
聖「(星が綺麗で…静かな夜…)」
聖「(少し、お空のお散歩…しようかな…)」
聖「……んっ」パァァァァッ…
―――柔らかな光が私の身体を包み込み
聖「……」バサッ…!
―――背に白き翼を与えてくれる
聖「……」パタパタ…
聖「……」
―――ちょっと、お気に入り
聖「(それじゃあ…行こうかな…)」スッ…
聖「……」ナデナデ…
聖「(星が綺麗で…静かな夜…)」
聖「(少し、お空のお散歩…しようかな…)」
聖「……んっ」パァァァァッ…
―――柔らかな光が私の身体を包み込み
聖「……」バサッ…!
―――背に白き翼を与えてくれる
聖「……」パタパタ…
聖「……」
―――ちょっと、お気に入り
聖「(それじゃあ…行こうかな…)」スッ…
598: ◆lbKlS0ZYdV.M 2013/06/21(金) 00:40:39.43 ID:BaQ38HMEo
聖「……」パタパタ…
―――夜は好き
―――世界が静けさで包まれたみたいで
―――こんなにも、静かで素敵な夜なのに
「アーッハッハッハッハ!!」キーン…!
聖「…!」
レイナ「静かな夜はぐっすり眠りたい?」
レイナ「ぐっすり眠れなかったら次の日は寝不足で大変なことになっちゃうってことかしら!」
レイナ「つまり、次の日に皆が寝不足でフラフラしているところをこのレイナサマが畳みかければ…」
レイナ「世界征服なんて楽勝ってことよねッ!!」
レイナ「このレイナサマのスペシャル拡声器で夜な夜な叫び続けて…」
レイナ「この一帯の奴らを寝不足に仕立て上げてあげるわ!!」
レイナ「(まぁ、アタシも次の日寝不足になるわけなんだけど…)」
聖「……」
―――どうして、それを壊す者が現れてしまうのかな
―――夜は好き
―――世界が静けさで包まれたみたいで
―――こんなにも、静かで素敵な夜なのに
「アーッハッハッハッハ!!」キーン…!
聖「…!」
レイナ「静かな夜はぐっすり眠りたい?」
レイナ「ぐっすり眠れなかったら次の日は寝不足で大変なことになっちゃうってことかしら!」
レイナ「つまり、次の日に皆が寝不足でフラフラしているところをこのレイナサマが畳みかければ…」
レイナ「世界征服なんて楽勝ってことよねッ!!」
レイナ「このレイナサマのスペシャル拡声器で夜な夜な叫び続けて…」
レイナ「この一帯の奴らを寝不足に仕立て上げてあげるわ!!」
レイナ「(まぁ、アタシも次の日寝不足になるわけなんだけど…)」
聖「……」
―――どうして、それを壊す者が現れてしまうのかな
599: ◆lbKlS0ZYdV.M 2013/06/21(金) 00:41:25.62 ID:BaQ38HMEo
レイナ「けど、夜なら誰もアタシの邪魔は出来ない!」
レイナ「何故ならあのバカは夜はいくらうるさくても快眠だろうしね!」
レイナ「アーハッハッハ!これ以上に無い完璧な作戦ねッ!!」
聖「……どうして、そんなことをするの…?」パタパタ…
レイナ「はぁ?そんなの決まってるじゃないっ!!」
レイナ「この世界を征服するために…」
聖「……」パタパタ…
レイナ「……」
レイナ「…は!?」
レイナ「(こ、コイツ…今日、転校してきた望月…!?)」
聖「……世界征服」
聖「大きな…夢……」
聖「けれど…あなたのやり方は周りを不幸にする……」
聖「見過ごすわけには…いかない……」
レイナ「何故ならあのバカは夜はいくらうるさくても快眠だろうしね!」
レイナ「アーハッハッハ!これ以上に無い完璧な作戦ねッ!!」
聖「……どうして、そんなことをするの…?」パタパタ…
レイナ「はぁ?そんなの決まってるじゃないっ!!」
レイナ「この世界を征服するために…」
聖「……」パタパタ…
レイナ「……」
レイナ「…は!?」
レイナ「(こ、コイツ…今日、転校してきた望月…!?)」
聖「……世界征服」
聖「大きな…夢……」
聖「けれど…あなたのやり方は周りを不幸にする……」
聖「見過ごすわけには…いかない……」
600: ◆lbKlS0ZYdV.M 2013/06/21(金) 00:42:28.17 ID:BaQ38HMEo
レイナ「……」
レイナ「(ちょっ!?なんでコイツ、羽なんて生やしてんのよ!?)」
レイナ「(それにこのレイナサマに意見をしてくるなんてっ…)」
レイナ「…!」
レイナ「…そうか!」
レイナ「アンタもブライト・ヒカルの仲間ってことね!?」
レイナ「(通りで意気投合してると思ったわッ!!)」
聖「…仲間とは違う…かな……」
―――少なくとも、光は私のことを…まだ何も知らないから……
レイナ「アイツの仲間だっていうんなら、遠慮は無用よねッ!!」
レイナ「このスペシャル拡声器で張り上げた声を至近距離で聴いて耳を痛くしちゃいなさい!!」
聖「…!」
レイナ「行くわよ…!!あ―――」
レイナ「…!?」
レイナ「(…こ、声が出ない…!?)」パクパク…
聖「……」
レイナ「(ちょっ!?なんでコイツ、羽なんて生やしてんのよ!?)」
レイナ「(それにこのレイナサマに意見をしてくるなんてっ…)」
レイナ「…!」
レイナ「…そうか!」
レイナ「アンタもブライト・ヒカルの仲間ってことね!?」
レイナ「(通りで意気投合してると思ったわッ!!)」
聖「…仲間とは違う…かな……」
―――少なくとも、光は私のことを…まだ何も知らないから……
レイナ「アイツの仲間だっていうんなら、遠慮は無用よねッ!!」
レイナ「このスペシャル拡声器で張り上げた声を至近距離で聴いて耳を痛くしちゃいなさい!!」
聖「…!」
レイナ「行くわよ…!!あ―――」
レイナ「…!?」
レイナ「(…こ、声が出ない…!?)」パクパク…
聖「……」
601: ◆lbKlS0ZYdV.M 2013/06/21(金) 00:42:57.71 ID:BaQ38HMEo
聖「声が出せないって…辛いでしょう?」
レイナ「(…あ、アンタ…なにを…!?)」パクパク…
聖「けれど、あなたは人々から静けさを奪おうとした…」
聖「これは、その報い……」
レイナ「(ど、どうなってんのよ、これぇ…!?)」パクパク…
聖「朝には…治ると思うから……」
聖「これに懲りたら…静けさを奪うのは…もうやめて…」パタパタ…
レイナ「(あっ!?ちょ、待ちなさいよッ!?)」パクパク…
レイナ「(…望月聖)」
レイナ「(アイツ、かなりヤバい奴なんじゃないの…!?)」
レイナ「(…あ、アンタ…なにを…!?)」パクパク…
聖「けれど、あなたは人々から静けさを奪おうとした…」
聖「これは、その報い……」
レイナ「(ど、どうなってんのよ、これぇ…!?)」パクパク…
聖「朝には…治ると思うから……」
聖「これに懲りたら…静けさを奪うのは…もうやめて…」パタパタ…
レイナ「(あっ!?ちょ、待ちなさいよッ!?)」パクパク…
レイナ「(…望月聖)」
レイナ「(アイツ、かなりヤバい奴なんじゃないの…!?)」
602: ◆lbKlS0ZYdV.M 2013/06/21(金) 00:47:05.75 ID:BaQ38HMEo
望月礼子(旧姓 高橋礼子)(31)
職業:主婦
属性:妖艶
能力:美容に気を使った料理作り
望月聖と佐城雪美が寄生している一家の妻。
本来は夫と幼い息子の三人暮らしであったが、一家共々聖に記憶を操作され、聖や雪美のことを実の家族のように扱っている。
美意識が強く「オンナは30からが本番」だと語っている。
しかし夫は仕事が忙しく最近ご無沙汰らしい。
p(1)
職業:赤ん坊
属性:赤ん坊
能力:ぐずる
望月家の一人息子。
よくぐずる。
豆知識だが赤ん坊が眠たくなるとぐずりだすのは「俺、もうすぐ死ぬんじゃね?」と思ってしまうからである。
聖の子守唄を聴くと生きる希望が湧いてくるのか、よく眠る。
望月聖(人間の姿では13歳程度)
職業:地球では中学生
属性:聖なる乙女
能力:全貌は明らかにされてない
光と麗奈の中学校に転校してきた謎の少女。
光に力を与えた張本人だが、その真意は果たして…?
今回の一件で記憶操作、翼を生やす、声を奪う、という能力が明らかにされた。
佐城雪美(人間の姿では10歳程度)
職業:黒猫
属性:猫
能力:変化
聖の相棒ともいえる存在だがその関係性は不明。
聖と同じく望月家に寄生しているが「佐城」という名字はどこから来ているのだろうか?
望月家で人間の娘では無く、ペロという名の飼い猫として暮らしているのは猫の姿の方が楽だかららしい。
職業:主婦
属性:妖艶
能力:美容に気を使った料理作り
望月聖と佐城雪美が寄生している一家の妻。
本来は夫と幼い息子の三人暮らしであったが、一家共々聖に記憶を操作され、聖や雪美のことを実の家族のように扱っている。
美意識が強く「オンナは30からが本番」だと語っている。
しかし夫は仕事が忙しく最近ご無沙汰らしい。
p(1)
職業:赤ん坊
属性:赤ん坊
能力:ぐずる
望月家の一人息子。
よくぐずる。
豆知識だが赤ん坊が眠たくなるとぐずりだすのは「俺、もうすぐ死ぬんじゃね?」と思ってしまうからである。
聖の子守唄を聴くと生きる希望が湧いてくるのか、よく眠る。
望月聖(人間の姿では13歳程度)
職業:地球では中学生
属性:聖なる乙女
能力:全貌は明らかにされてない
光と麗奈の中学校に転校してきた謎の少女。
光に力を与えた張本人だが、その真意は果たして…?
今回の一件で記憶操作、翼を生やす、声を奪う、という能力が明らかにされた。
佐城雪美(人間の姿では10歳程度)
職業:黒猫
属性:猫
能力:変化
聖の相棒ともいえる存在だがその関係性は不明。
聖と同じく望月家に寄生しているが「佐城」という名字はどこから来ているのだろうか?
望月家で人間の娘では無く、ペロという名の飼い猫として暮らしているのは猫の姿の方が楽だかららしい。
603: ◆lbKlS0ZYdV.M 2013/06/21(金) 00:47:56.68 ID:BaQ38HMEo
おわりです
礼子さんの年齢だったら、ギリひじりんは娘でもおかしくないだろうと思って書いた
反省はしている
礼子さんの年齢だったら、ギリひじりんは娘でもおかしくないだろうと思って書いた
反省はしている
605: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/21(金) 00:49:29.05 ID:f5X1QMuF0
ネバーディスペアの隠れ家
とある一軒の家に4人の少女が暮らしていた。
現在は朝食の時間。食事ができない李衣菜は充電中である。
朝のニュースが流れるテレビ画面が、予告も無しに変わった。
『おはよう、きらり、夏樹、李衣菜、奈緒。こんな朝早くにすまんが、任務だ。』
画面には地球管理局の軍の小隊のリーダーが映し出される。
「あー!リーダーちゃん!おっすおっす!」
『…きらりは朝でも変わらんな。…それより任務なんだが…。』
彼の口から告げられたのは、エンヴィーという名を名乗る、人型のカースの討伐任務だった。
とある一軒の家に4人の少女が暮らしていた。
現在は朝食の時間。食事ができない李衣菜は充電中である。
朝のニュースが流れるテレビ画面が、予告も無しに変わった。
『おはよう、きらり、夏樹、李衣菜、奈緒。こんな朝早くにすまんが、任務だ。』
画面には地球管理局の軍の小隊のリーダーが映し出される。
「あー!リーダーちゃん!おっすおっす!」
『…きらりは朝でも変わらんな。…それより任務なんだが…。』
彼の口から告げられたのは、エンヴィーという名を名乗る、人型のカースの討伐任務だった。
606: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/21(金) 00:50:04.21 ID:f5X1QMuF0
「…エンヴィー?なんじゃそりゃ。」
『その名前が自称か他称かは知らんが、人型のカースらしい。他の嫉妬のカースを従えた強力なカースだそうだ。』
「人型?ドロドロした化け物じゃないんですか?」
『…完全に人型だそうだ。送信データの中に画像を添付しておいた。動きがすばやく少々ピンボケしているが、後で確認してくれ。』
「わかった。ところで、アタシ達に直接依頼するってことは今までなかったよな?」
「そーいえばそーだねー?リーダーちゃん、そんなに強いってことー?」
『ああ、地球のナチュルスター等、様々なグループと何度も戦闘したそうだが、全ての戦いで逃走され、我々も足跡を掴めていない。』
「あ、なるほどアタシの出番か。逃げても追いかけられるもんな。」
「完全に人型で、つかめるなら、私も出番が…!」
『そういうことだ。戦闘能力も高いそうだが…その二人の少女であるナチュルスターさえ倒せていないからな…。攻撃力以外が高い可能性もあるが。』
「防御能力が高いとかか。」
『そんなところだ。今までの襲撃地点から、次の襲撃地点を3つに絞った。君たちにはその3地点にてエンヴィーが襲撃するのを待ち伏せしてくれ。』
「「「了解。」」」「りょーかーい!」
『その名前が自称か他称かは知らんが、人型のカースらしい。他の嫉妬のカースを従えた強力なカースだそうだ。』
「人型?ドロドロした化け物じゃないんですか?」
『…完全に人型だそうだ。送信データの中に画像を添付しておいた。動きがすばやく少々ピンボケしているが、後で確認してくれ。』
「わかった。ところで、アタシ達に直接依頼するってことは今までなかったよな?」
「そーいえばそーだねー?リーダーちゃん、そんなに強いってことー?」
『ああ、地球のナチュルスター等、様々なグループと何度も戦闘したそうだが、全ての戦いで逃走され、我々も足跡を掴めていない。』
「あ、なるほどアタシの出番か。逃げても追いかけられるもんな。」
「完全に人型で、つかめるなら、私も出番が…!」
『そういうことだ。戦闘能力も高いそうだが…その二人の少女であるナチュルスターさえ倒せていないからな…。攻撃力以外が高い可能性もあるが。』
「防御能力が高いとかか。」
『そんなところだ。今までの襲撃地点から、次の襲撃地点を3つに絞った。君たちにはその3地点にてエンヴィーが襲撃するのを待ち伏せしてくれ。』
「「「了解。」」」「りょーかーい!」
608: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/21(金) 00:52:01.07 ID:f5X1QMuF0
一人でも大丈夫な2人は単独行動。後衛・前衛がはっきりしている夏樹と李衣菜はペアで行動を始めた。
地点A・住宅街・きらり
住宅街をきらりは一人で歩いていた。
平日だからか、人は少ない。主婦たちが井戸端会議をしているくらいだ。
「…つまんなーい。むぇー。」
きらりは久しぶりに一人になった。
買い物には最初こそ一人で行っていたが、最近は人ならざる部分を隠すことに慣れてきた2人が一緒に行ってくれる。
(…李衣菜ちゃんの頭のアレ、どうやったら隠せるかなー?)
…これは皆で考えなくては。
…家族っていいな。と少しきらりは思ってしまう。もう友達を通り越して家族だ。
リーダーちゃん以外に家族なんて初めて思ったかもしれない。
きらりは取りあえず、全ての家族の平穏が壊されないことを願った。
地点A・住宅街・きらり
住宅街をきらりは一人で歩いていた。
平日だからか、人は少ない。主婦たちが井戸端会議をしているくらいだ。
「…つまんなーい。むぇー。」
きらりは久しぶりに一人になった。
買い物には最初こそ一人で行っていたが、最近は人ならざる部分を隠すことに慣れてきた2人が一緒に行ってくれる。
(…李衣菜ちゃんの頭のアレ、どうやったら隠せるかなー?)
…これは皆で考えなくては。
…家族っていいな。と少しきらりは思ってしまう。もう友達を通り越して家族だ。
リーダーちゃん以外に家族なんて初めて思ったかもしれない。
きらりは取りあえず、全ての家族の平穏が壊されないことを願った。
609: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/21(金) 00:52:53.77 ID:f5X1QMuF0
地点B・某中学校付近・奈緒
「こっちこっちオアアアー!」
「うおおお!あやめの動き速えええええ!」
「行きますよ!忍者シュート!」
「頑張れ昼子ちゃーん!」
「フハハハ!未熟な忍者ごときのチャクラムで我が結界(ゴール)を割れるものか!」
捜索中だとはいえ、奈緒は中学校から目が離せなかった。…授業でサッカーをしているらしい。
奈緒には一定の範囲の記憶…そのなかでも学校という物の記憶が特にない。
宇宙管理局に保護された直後、知能テストがあったのだが…今思い出すと恥ずかしい位の点数だった。
そもそも文字も書けなかったのだが、一応今は年相応ではあると思う。
平和そうに校庭でサッカーをしている中学生が、どうか不幸になりませんようにと、思わずにはいられなかった。
「こっちこっちオアアアー!」
「うおおお!あやめの動き速えええええ!」
「行きますよ!忍者シュート!」
「頑張れ昼子ちゃーん!」
「フハハハ!未熟な忍者ごときのチャクラムで我が結界(ゴール)を割れるものか!」
捜索中だとはいえ、奈緒は中学校から目が離せなかった。…授業でサッカーをしているらしい。
奈緒には一定の範囲の記憶…そのなかでも学校という物の記憶が特にない。
宇宙管理局に保護された直後、知能テストがあったのだが…今思い出すと恥ずかしい位の点数だった。
そもそも文字も書けなかったのだが、一応今は年相応ではあると思う。
平和そうに校庭でサッカーをしている中学生が、どうか不幸になりませんようにと、思わずにはいられなかった。
610: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/21(金) 00:54:36.87 ID:f5X1QMuF0
地点C・国道付近・夏樹&李衣菜
李衣菜は頭のボルトをどう隠すか…結局隠せなかった。
まぁそんな格好していれば嫌でも目立ってしまうため、物陰で二人座っていた。
夏樹の目玉型ユニット…本体近くの2つを除いた4つが辺りを飛び回り、夏樹の視覚として情報を送る。
「…!あれか!」
「いたの!?」
「黒い翼の生えた女が飛行してこっち側に向かってきてる…二人に連絡してくれ。穴で迎えに行く。」
ユニットを呼び寄せつつ夏樹が言う。
夏樹の穴は、人の居ない場所には容易に作れるが、人の居る場所にはうまく作れない。
無関係な人を巻き込まないためと…元は政府の反逆用能力だからなのだろう。スパイ用か何かだったのかもしれない。
ある程度はイメージすればその周辺に行けるが、迎えに行くのなら正確な座標が必要なのだ。
「わか…!なつきち!気付かれた!こっちに来る!」
「!?」
李衣菜は頭のボルトをどう隠すか…結局隠せなかった。
まぁそんな格好していれば嫌でも目立ってしまうため、物陰で二人座っていた。
夏樹の目玉型ユニット…本体近くの2つを除いた4つが辺りを飛び回り、夏樹の視覚として情報を送る。
「…!あれか!」
「いたの!?」
「黒い翼の生えた女が飛行してこっち側に向かってきてる…二人に連絡してくれ。穴で迎えに行く。」
ユニットを呼び寄せつつ夏樹が言う。
夏樹の穴は、人の居ない場所には容易に作れるが、人の居る場所にはうまく作れない。
無関係な人を巻き込まないためと…元は政府の反逆用能力だからなのだろう。スパイ用か何かだったのかもしれない。
ある程度はイメージすればその周辺に行けるが、迎えに行くのなら正確な座標が必要なのだ。
「わか…!なつきち!気付かれた!こっちに来る!」
「!?」
611: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/21(金) 00:55:19.33 ID:f5X1QMuF0
エンヴィー…加蓮は嫉妬のカースドヒューマンである。
嫉妬。それは無限に膨らむ。自分の上に何かが存在する限り。
加蓮がカースドヒューマンになって数週間。なりたての頃より遥かにその力は増していた。
配下のカースは不定形なその姿から、黒い体に緑色の瞳の、嫉妬の象徴である巨大な蛇の姿になった。
加蓮自身もナチュルスターの攻撃を前より余裕をもって防げるようになっていた。
そして次の襲撃場所へと向かう途中に、不審な目玉型の機械を発見し、不審に思い、降下してきたのだ。
加蓮が着地すると同時に、地面から大量の蛇型カースが湧き出してきた。
嫉妬。それは無限に膨らむ。自分の上に何かが存在する限り。
加蓮がカースドヒューマンになって数週間。なりたての頃より遥かにその力は増していた。
配下のカースは不定形なその姿から、黒い体に緑色の瞳の、嫉妬の象徴である巨大な蛇の姿になった。
加蓮自身もナチュルスターの攻撃を前より余裕をもって防げるようになっていた。
そして次の襲撃場所へと向かう途中に、不審な目玉型の機械を発見し、不審に思い、降下してきたのだ。
加蓮が着地すると同時に、地面から大量の蛇型カースが湧き出してきた。
612: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/21(金) 00:56:23.58 ID:f5X1QMuF0
「こちら李衣菜!地点Cでエンヴィーと遭遇!余裕ができ次第なつきちが迎えに行くk…」
李衣菜が連絡を取ると、黒い泥で作られた矢が通信機を打ち抜いた。
「貴方達、何者?」
「…あんたがエンヴィーか。」
「…あ、そう。貴方たちも正義の味方ごっこ?…そういうの好きじゃないんだよね。」
夏樹の問いには答えず、蛇型カースをわらわらと自分の傍に集める。目が妖しい紫色に光ると、蛇型カースたちは一斉に襲い掛かった。
李衣菜が連絡を取ると、黒い泥で作られた矢が通信機を打ち抜いた。
「貴方達、何者?」
「…あんたがエンヴィーか。」
「…あ、そう。貴方たちも正義の味方ごっこ?…そういうの好きじゃないんだよね。」
夏樹の問いには答えず、蛇型カースをわらわらと自分の傍に集める。目が妖しい紫色に光ると、蛇型カースたちは一斉に襲い掛かった。
613: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/21(金) 00:57:18.17 ID:f5X1QMuF0
もちろん、緊急事態だとは伝わったようで、
「おい!李衣菜!どうした!?やべぇな…急がねぇと…!」
奈緒は虎に姿を変え、翼を生やして高スピードで空を駆け、地点Cへ向かった。
「李衣菜ちゃん…!?…行かなきゃ…!」
きらりも全力疾走で地点Cへと向かっていった。
「おい!李衣菜!どうした!?やべぇな…急がねぇと…!」
奈緒は虎に姿を変え、翼を生やして高スピードで空を駆け、地点Cへ向かった。
「李衣菜ちゃん…!?…行かなきゃ…!」
きらりも全力疾走で地点Cへと向かっていった。
614: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/21(金) 00:58:21.89 ID:f5X1QMuF0
夏樹と李衣菜は、加蓮に近づくことすら許されず、ただひたすらに蛇型カースと乱闘を繰り広げていた。
「だりー!電撃は節約しろよ!」
「わかってる!」
李衣菜は怪力を発揮して、蛇型カースの一体の尻尾を掴んではジャイアントスイングで周りを巻き込んでは投げ続ける。
夏樹は、レーザーの他にも、穴を利用して、カース同士で噛み合ったり、カースの体が穴の途中にある状態で穴を消すことで体を切断することで応戦していた。
核を壊すことを目的とせず、仲間が来るまでの時間稼ぎだ。
「だりー!これを使え!」
夏樹が攻撃の波が止まった一瞬の隙を見逃さず、道路の標識を李衣菜の近くまで送り、途中で斜めに切断した。
「ありがと!」
切断された標識を李衣菜が振り回すと、カースの体が次々と切断される。
さらに、切った部分を竹槍のように使い、カースを串刺しにする。
「…妬ましい。」
遠くから見ていた加蓮が嫉妬を露わにする。
圧倒的な力を見せつけられたのだ。友情を見せつけられたのだ。嫉妬が湧きあがる。
加蓮から黒い泥が溢れ出る。その全てを蛇にして、死角から二人に飛び掛かった。
ガキィン!
「だりー!電撃は節約しろよ!」
「わかってる!」
李衣菜は怪力を発揮して、蛇型カースの一体の尻尾を掴んではジャイアントスイングで周りを巻き込んでは投げ続ける。
夏樹は、レーザーの他にも、穴を利用して、カース同士で噛み合ったり、カースの体が穴の途中にある状態で穴を消すことで体を切断することで応戦していた。
核を壊すことを目的とせず、仲間が来るまでの時間稼ぎだ。
「だりー!これを使え!」
夏樹が攻撃の波が止まった一瞬の隙を見逃さず、道路の標識を李衣菜の近くまで送り、途中で斜めに切断した。
「ありがと!」
切断された標識を李衣菜が振り回すと、カースの体が次々と切断される。
さらに、切った部分を竹槍のように使い、カースを串刺しにする。
「…妬ましい。」
遠くから見ていた加蓮が嫉妬を露わにする。
圧倒的な力を見せつけられたのだ。友情を見せつけられたのだ。嫉妬が湧きあがる。
加蓮から黒い泥が溢れ出る。その全てを蛇にして、死角から二人に飛び掛かった。
ガキィン!
615: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/21(金) 00:59:45.69 ID:f5X1QMuF0
…はずだった。
「誰…?」
「間に合ったか…!」
「奈緒!」
「遅くなった!こっちは任せろ!二人は蛇の相手をしていてくれ!」
奈緒が変身を解き、空中から割り込んできたのだ。突然の乱入に、加蓮は思わず一歩下がる。
そして、乱入者を目と目が合った瞬間、気付いた。『彼女も私と同じ』だと。
それは奈緒も同様で、明らかに動揺している。
素質がないのに無理やり組み込まれた者と、その呪いと同調し取り込んだ者。
あまりに真逆だ。しかし、奈緒も加蓮も、お互いが真逆の存在とは夢にも思っていない。
「誰…?」
「間に合ったか…!」
「奈緒!」
「遅くなった!こっちは任せろ!二人は蛇の相手をしていてくれ!」
奈緒が変身を解き、空中から割り込んできたのだ。突然の乱入に、加蓮は思わず一歩下がる。
そして、乱入者を目と目が合った瞬間、気付いた。『彼女も私と同じ』だと。
それは奈緒も同様で、明らかに動揺している。
素質がないのに無理やり組み込まれた者と、その呪いと同調し取り込んだ者。
あまりに真逆だ。しかし、奈緒も加蓮も、お互いが真逆の存在とは夢にも思っていない。
616: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/21(金) 01:00:49.78 ID:f5X1QMuF0
「…お前の相手はあたしがやる。…殺しはしないから安心しな。」
「…へぇ、貴方は仲間がいるんだ。私と同じ癖に…!妬ましい…!」
お互いに肉体から黒い泥を溢れさせる。奈緒はそれを統一性のない動物達の姿に。加蓮はそれを大蛇と槍と盾の姿に。
翼を出して、二人は空中でぶつかり合った。
能力を完全に使いこなしているのは奈緒だが、加蓮は力で勝っている。
狼が蛇に噛まれ、盾を馬が破壊し…一歩も引かない状況。
しかし、全力で殺そうとして来る加蓮と、なるべく殺さないように手加減している奈緒。
確実に前者が競り勝っていた。
一瞬奈緒がバランスを崩したのを見逃さず、槍が奈緒の異形の左腕を貫いた。
「っ!」
貫かれ、皮一枚で繋がっていた腕を大蛇が食らう。
「さぁ、これでもまだ戦う?」
加蓮は勝利を確信したが、奈緒の腕を食らった大蛇が破裂し、食われた骨と肉が元の場所にくっつき再生した。
「…化け物。」
「好きに言え。」
とは言ったものの、少しばかり傷ついてはいる。
再生しても、痛みはあったし、血は戻ってきていない。少し血が減っているのを体で感じた。
「…へぇ、貴方は仲間がいるんだ。私と同じ癖に…!妬ましい…!」
お互いに肉体から黒い泥を溢れさせる。奈緒はそれを統一性のない動物達の姿に。加蓮はそれを大蛇と槍と盾の姿に。
翼を出して、二人は空中でぶつかり合った。
能力を完全に使いこなしているのは奈緒だが、加蓮は力で勝っている。
狼が蛇に噛まれ、盾を馬が破壊し…一歩も引かない状況。
しかし、全力で殺そうとして来る加蓮と、なるべく殺さないように手加減している奈緒。
確実に前者が競り勝っていた。
一瞬奈緒がバランスを崩したのを見逃さず、槍が奈緒の異形の左腕を貫いた。
「っ!」
貫かれ、皮一枚で繋がっていた腕を大蛇が食らう。
「さぁ、これでもまだ戦う?」
加蓮は勝利を確信したが、奈緒の腕を食らった大蛇が破裂し、食われた骨と肉が元の場所にくっつき再生した。
「…化け物。」
「好きに言え。」
とは言ったものの、少しばかり傷ついてはいる。
再生しても、痛みはあったし、血は戻ってきていない。少し血が減っているのを体で感じた。
617: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/21(金) 01:02:22.01 ID:f5X1QMuF0
その時だった。地上から声が聞こえた。
「奈緒ーっ!きらりが来たぞーっ!もっと上昇しろーっ!」
何の迷いもなく翼を動かして上昇する。地上に目を向けると、夏樹たちはすでに見えない。
恐らくすでに穴に入ったのだろう。
「W★きらりん☆ビーム!極太ばーん!」
遠くから極太の光線が飛んでくる。
太いが故に、物体を破壊する程のエネルギーはないが、光のパワーが襲い掛かり、カースは核ごと光になった。
「おっすおっすばっちし!」
「…な、なんなの…アレ…。」
加蓮はギリギリのところで回避したものの、仲間たちは皆消滅してしまっていた。
「…っ!あの力…!妬ましい…!」
しかし、形勢は一気に1対4だ。逃げなければならない。
加蓮が逃亡しようとした瞬間、上で飛んでいた奈緒が急降下しながら掴んできた。
「離せ!やめ、やめて!」
「逃がすわけにはいかないんだよ!」
そのまま縦に何回も回転しながら、きらりに向かって加蓮を投げつけた。
「頼んだぞ!」
「まかせてー!『きらりん☆ルーム』、かもーん!」
きらりが両腕を広げて大きく円を描くと、きらりと加蓮の姿が歪み、消えてしまった。
「うまくいったか?」
地上に着地すると同時に地面に穴が現れ、二人が飛び出してくる。
夏樹の問いに奈緒は少し神妙な表情で答えた。
「多分な。きらりなら…きっと。」
「奈緒ーっ!きらりが来たぞーっ!もっと上昇しろーっ!」
何の迷いもなく翼を動かして上昇する。地上に目を向けると、夏樹たちはすでに見えない。
恐らくすでに穴に入ったのだろう。
「W★きらりん☆ビーム!極太ばーん!」
遠くから極太の光線が飛んでくる。
太いが故に、物体を破壊する程のエネルギーはないが、光のパワーが襲い掛かり、カースは核ごと光になった。
「おっすおっすばっちし!」
「…な、なんなの…アレ…。」
加蓮はギリギリのところで回避したものの、仲間たちは皆消滅してしまっていた。
「…っ!あの力…!妬ましい…!」
しかし、形勢は一気に1対4だ。逃げなければならない。
加蓮が逃亡しようとした瞬間、上で飛んでいた奈緒が急降下しながら掴んできた。
「離せ!やめ、やめて!」
「逃がすわけにはいかないんだよ!」
そのまま縦に何回も回転しながら、きらりに向かって加蓮を投げつけた。
「頼んだぞ!」
「まかせてー!『きらりん☆ルーム』、かもーん!」
きらりが両腕を広げて大きく円を描くと、きらりと加蓮の姿が歪み、消えてしまった。
「うまくいったか?」
地上に着地すると同時に地面に穴が現れ、二人が飛び出してくる。
夏樹の問いに奈緒は少し神妙な表情で答えた。
「多分な。きらりなら…きっと。」
618: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/21(金) 01:03:49.27 ID:f5X1QMuF0
きらりによって加蓮は特殊な空間へと移動させられていた。
まるで神殿の様だ。…どう考えても縮尺が彼女の知っているような神殿の十倍以上の大きさでなければ。
「ここは…?」
「にゃっほーい!エンヴィーちゃん!きらりの世界によーこそよーこそー!」
「…貴方の結界か。」
「…エンヴィーちゃん、悲しそうなの。そんな心を見ていたらきらりもショボーンってなるの!だから、はぴはぴしよ?」
「意味わかんない。それに、一人で勝てると思ってるの?」
「勝つとか、負けるとかじゃないんだにぃ。ね?」
きらりの両手から光が放たれる。
二つの光が加蓮へ飛んでゆく。
「…なにこれ。」
しかし、その光は、加蓮に触れた瞬間にかき消されてしまった。
「ほえ?…な、なんでぇ?」
「その程度なの!」
茫然とするきらりに加蓮は飛び掛かる。そして泥を体から溢れさせ、体重をかけてきらりを押し倒す。
「その力、私の中に取り込んであげる…!」
まるで神殿の様だ。…どう考えても縮尺が彼女の知っているような神殿の十倍以上の大きさでなければ。
「ここは…?」
「にゃっほーい!エンヴィーちゃん!きらりの世界によーこそよーこそー!」
「…貴方の結界か。」
「…エンヴィーちゃん、悲しそうなの。そんな心を見ていたらきらりもショボーンってなるの!だから、はぴはぴしよ?」
「意味わかんない。それに、一人で勝てると思ってるの?」
「勝つとか、負けるとかじゃないんだにぃ。ね?」
きらりの両手から光が放たれる。
二つの光が加蓮へ飛んでゆく。
「…なにこれ。」
しかし、その光は、加蓮に触れた瞬間にかき消されてしまった。
「ほえ?…な、なんでぇ?」
「その程度なの!」
茫然とするきらりに加蓮は飛び掛かる。そして泥を体から溢れさせ、体重をかけてきらりを押し倒す。
「その力、私の中に取り込んであげる…!」
619: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/21(金) 01:04:21.55 ID:f5X1QMuF0
奈緒の時とは違うのだ。きらりは混乱する。そして、不意に故郷での女王の言葉が響いた。
母星が滅びる前日。きらりは、女王の手のひらに乗っていた。そして女王は優しく言った。
『きらり。貴方は私の…いえ、私たちの最後の希望。いいですか?よく聞きなさい。そして決して忘れてはいけません。』
彼女は子守歌を歌う様に、言葉を紡いだ。
母星が滅びる前日。きらりは、女王の手のひらに乗っていた。そして女王は優しく言った。
『きらり。貴方は私の…いえ、私たちの最後の希望。いいですか?よく聞きなさい。そして決して忘れてはいけません。』
彼女は子守歌を歌う様に、言葉を紡いだ。
620: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/21(金) 01:04:59.43 ID:f5X1QMuF0
汝、『憤怒』に捕らわれてはならぬ。あらゆる事象に『寛容』となれ。
汝、『高慢』になってはならぬ。友人に、家族に、仲間に『誠実』であれ。
汝、『暴食』をしてはならぬ。必要・不必要を『分別』し、必要以上の食物は、分け与えよ。
汝、『色欲』を知ってはならぬ。永久に穢れを知らぬ『純潔』であれ。
汝、『強欲』に心奪われてはならぬ。『自制』し、最低限の物だけで生きよ。
汝、『怠惰』に生きてはならぬ。するべきことは無限にあるのだ。『勤勉』に生きよ。
汝、『嫉妬』に身を焼いてはならぬ。自らの上に立つ者にも『慈愛』の心を忘れるな。
美しく生きよ。罪を心に宿したその時、我らは肉体を失うのだから。
美しく生きよ。全ての存在にとっての光になれ。
美しく生きよ。心に闇を持ち得ないのは我らだけなのだから。
汝、『高慢』になってはならぬ。友人に、家族に、仲間に『誠実』であれ。
汝、『暴食』をしてはならぬ。必要・不必要を『分別』し、必要以上の食物は、分け与えよ。
汝、『色欲』を知ってはならぬ。永久に穢れを知らぬ『純潔』であれ。
汝、『強欲』に心奪われてはならぬ。『自制』し、最低限の物だけで生きよ。
汝、『怠惰』に生きてはならぬ。するべきことは無限にあるのだ。『勤勉』に生きよ。
汝、『嫉妬』に身を焼いてはならぬ。自らの上に立つ者にも『慈愛』の心を忘れるな。
美しく生きよ。罪を心に宿したその時、我らは肉体を失うのだから。
美しく生きよ。全ての存在にとっての光になれ。
美しく生きよ。心に闇を持ち得ないのは我らだけなのだから。
621: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/21(金) 01:06:18.83 ID:f5X1QMuF0
『きらり、今は分からなくてもいいのです。けれど、知らなくてはいけない。きらり、光は完全に世界を覆うことはできません。影という闇が生まれるのですから。』
『この宇宙の人々の心もそう。我らと我らの対極に位置する闇の存在以外、心に必ず光と闇を持っているのです。』
『もし、闇に心を奪われた人々を助けたいのなら…覚えておきなさい。』
『闇に光を当てても、弱ければただ吸い込まれるだけ。強ければ闇は消えて光は存在を失ってしまう。闇が自分から光を放つように、わずかに心に残った光に、呼びかけるのです。』
「…よく、わかんない。」
『…それでいいのです。いつかは分かる日が来るでしょう。貴方は私なのだから。』
「…なら、きらりもじょーおー様みたいにおっきくなれる?」
『もちろんですよ。だから…きらり、貴方は生きるのです。一人は辛いかもしれませんが…生きるのです。』
「…きらり、一人はやだよぉ…」
『きらり、泣くことは世界が我らに唯一許して下さった負の感情…。本当に大切な時だけ流しなさい。』
「…うん。わかった。きらり、頑張るから…!」
『本当に…御免なさい。』
『この宇宙の人々の心もそう。我らと我らの対極に位置する闇の存在以外、心に必ず光と闇を持っているのです。』
『もし、闇に心を奪われた人々を助けたいのなら…覚えておきなさい。』
『闇に光を当てても、弱ければただ吸い込まれるだけ。強ければ闇は消えて光は存在を失ってしまう。闇が自分から光を放つように、わずかに心に残った光に、呼びかけるのです。』
「…よく、わかんない。」
『…それでいいのです。いつかは分かる日が来るでしょう。貴方は私なのだから。』
「…なら、きらりもじょーおー様みたいにおっきくなれる?」
『もちろんですよ。だから…きらり、貴方は生きるのです。一人は辛いかもしれませんが…生きるのです。』
「…きらり、一人はやだよぉ…」
『きらり、泣くことは世界が我らに唯一許して下さった負の感情…。本当に大切な時だけ流しなさい。』
「…うん。わかった。きらり、頑張るから…!」
『本当に…御免なさい。』
622: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/21(金) 01:07:19.22 ID:f5X1QMuF0
「…そっか。…ごめんねリーダーちゃん。きらり、約束破るね。」
「何を言って…きゃああ!」
きらりの体が虹色に光り、加蓮は吹き飛ばされる。
そして、光が収まった時…
「にょっっっわー!!!きらりん☆ハーフサイズモード!」
加蓮の目の前には、先ほどの約5倍の大きさになったきらりがいた。
この姿は本来の力の約十分の一の力が発揮できる。先ほどまでは百分の一だったのだから、その違いは分かるだろう。
完全にパニックになった必死に加蓮が逃げようとするものの、すぐに捕まってしまった。
「だいじょーぶ、だいじょーぶ。怖がらなくていいの。悲しまなくていいの…。」
きらりがその巨体で加蓮を優しく抱きしめる。
壊すことがないように、大切に。
「何を言って…きゃああ!」
きらりの体が虹色に光り、加蓮は吹き飛ばされる。
そして、光が収まった時…
「にょっっっわー!!!きらりん☆ハーフサイズモード!」
加蓮の目の前には、先ほどの約5倍の大きさになったきらりがいた。
この姿は本来の力の約十分の一の力が発揮できる。先ほどまでは百分の一だったのだから、その違いは分かるだろう。
完全にパニックになった必死に加蓮が逃げようとするものの、すぐに捕まってしまった。
「だいじょーぶ、だいじょーぶ。怖がらなくていいの。悲しまなくていいの…。」
きらりがその巨体で加蓮を優しく抱きしめる。
壊すことがないように、大切に。
623: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/21(金) 01:07:59.30 ID:f5X1QMuF0
「そんな事言って…!私のことなんてわからないくせに…!」
「うん、きらり、エンヴィーちゃんの事よく知らない。」
「じゃあなんで…!偽善者!こんな事をして何が楽しいの!?」
きらりはじっと加蓮を見つめる。悲しい心だ。彼女は悲しい心に捕らわれている。
きらりは、その「悲しい心」を詳しく知ることは決してできないけれど。
「でもね、きらりは…この小さな手にも収まりきらないこの世界を…はぴはぴにしたいの。きっとそのためにきらりはここにいるから。」
光りが再びきらりの両手から発せられる。
闇に消されてしまうような弱い光でもなく、闇を消滅させるような強い光でもない。
闇すら包み込む、優しい、浄化の光ともまた違う…抱擁のような光だ。
憐れみも、同情もない、100%の希望を望む心から生まれた光。
「うん、きらり、エンヴィーちゃんの事よく知らない。」
「じゃあなんで…!偽善者!こんな事をして何が楽しいの!?」
きらりはじっと加蓮を見つめる。悲しい心だ。彼女は悲しい心に捕らわれている。
きらりは、その「悲しい心」を詳しく知ることは決してできないけれど。
「でもね、きらりは…この小さな手にも収まりきらないこの世界を…はぴはぴにしたいの。きっとそのためにきらりはここにいるから。」
光りが再びきらりの両手から発せられる。
闇に消されてしまうような弱い光でもなく、闇を消滅させるような強い光でもない。
闇すら包み込む、優しい、浄化の光ともまた違う…抱擁のような光だ。
憐れみも、同情もない、100%の希望を望む心から生まれた光。
624: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/21(金) 01:08:36.57 ID:f5X1QMuF0
…嫉妬とは。本来の姿は憧れである。
憧れが、羨望が、心の闇によって歪んだ姿が嫉妬なのだ。そして、その闇がきらりの光に共鳴する。
「なに、これ…なん、で私…?」
加蓮は紫色の涙を流していた。自らの中のカースの呪いを吐き出すように。
今まで嫉妬というフィルターを通して見ていた世界から、急にフィルターのはずれた世界を見た。
今まで見ていないふりをしてきた事も、眼鏡をかけたようにはっきり見えるようになって。
自分はとんでもないことをしたのではないかと。
自分のせいで悲しむ人が居たのではないかと。
加蓮は、正常な心を取り戻しつつあった。
憧れが、羨望が、心の闇によって歪んだ姿が嫉妬なのだ。そして、その闇がきらりの光に共鳴する。
「なに、これ…なん、で私…?」
加蓮は紫色の涙を流していた。自らの中のカースの呪いを吐き出すように。
今まで嫉妬というフィルターを通して見ていた世界から、急にフィルターのはずれた世界を見た。
今まで見ていないふりをしてきた事も、眼鏡をかけたようにはっきり見えるようになって。
自分はとんでもないことをしたのではないかと。
自分のせいで悲しむ人が居たのではないかと。
加蓮は、正常な心を取り戻しつつあった。
625: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/21(金) 01:09:36.20 ID:f5X1QMuF0
「だいじょーぶ。悲しくてもね。みんなまた、はぴはぴできるんだよ?だから、だいじょーぶ。だいじょーぶ…。」
ただきらりは繰り返す。無責任にも見えるほどに、優しい言葉で加蓮の心を慰めながら。
「…ほん…とう…?こん…な、わた、しでも…?」
加蓮の中の核が、エネルギーを失い、少しずつ動きが鈍くなっていた。
心臓と一体化したそれの動きが鈍くなっているということは…加蓮の命が終わりに近づいているということで。
「…もう、無理…か、な?」
「…エンヴィーちゃん…」
「…もうエン、ヴィーじゃないよ。かれ、ん。わたし、加蓮。」
「かれんちゃんって事?きらりは、きらりだよ!」
加蓮は頷いた。もう息が苦しい。言葉を発するのもとぎれとぎれになってしまう。
「…もう、だめみたい。…あんな、力、だった、けど…自由に…外で生、活、できて、嬉しかったの。」
「皆に、迷、惑かけて、謝る事、もできなかった、けど…次、生まれ、変わったら…。」
ナチュルスターの二人組の事をふと思い出した。彼女達には救ってもらうことができなかったけれど…最後に、謝りたかった。
きっと彼女達も思いはきらりと同じだったから。
強い眠気に襲われ、そのまま加蓮は重い瞼を閉じた。
ただきらりは繰り返す。無責任にも見えるほどに、優しい言葉で加蓮の心を慰めながら。
「…ほん…とう…?こん…な、わた、しでも…?」
加蓮の中の核が、エネルギーを失い、少しずつ動きが鈍くなっていた。
心臓と一体化したそれの動きが鈍くなっているということは…加蓮の命が終わりに近づいているということで。
「…もう、無理…か、な?」
「…エンヴィーちゃん…」
「…もうエン、ヴィーじゃないよ。かれ、ん。わたし、加蓮。」
「かれんちゃんって事?きらりは、きらりだよ!」
加蓮は頷いた。もう息が苦しい。言葉を発するのもとぎれとぎれになってしまう。
「…もう、だめみたい。…あんな、力、だった、けど…自由に…外で生、活、できて、嬉しかったの。」
「皆に、迷、惑かけて、謝る事、もできなかった、けど…次、生まれ、変わったら…。」
ナチュルスターの二人組の事をふと思い出した。彼女達には救ってもらうことができなかったけれど…最後に、謝りたかった。
きっと彼女達も思いはきらりと同じだったから。
強い眠気に襲われ、そのまま加蓮は重い瞼を閉じた。
626: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/21(金) 01:10:30.86 ID:f5X1QMuF0
きらりの結界が解除され、3人はきらりに駆け寄った。
きらりは人間サイズに戻り、一糸まとわぬ姿の加蓮をお姫様抱っこしながら泣いていた。
「…きらり?」
奈緒が沈黙を破る。
「奈緒ちゃん…!かれんちゃんが…!」
ポロポロ、星のように光る涙を流しながら、きらりは話す。
「かれん?エンヴィーの本名か?」
「そうなの…でも、死んじゃった…!」
「…え?」
「ごめんね、ごめんね、きらり、悪い子だ…!」
「ああ!きらり、泣くなって!もっと詳しく教えてくれねぇと…!」
「そ、そうだよ!きらりがやった訳じゃないんでしょ?」
夏樹と李衣菜がきらりを落ち着かせようとし、奈緒が加蓮の腕をつかみ、脈をとる。
きらりは人間サイズに戻り、一糸まとわぬ姿の加蓮をお姫様抱っこしながら泣いていた。
「…きらり?」
奈緒が沈黙を破る。
「奈緒ちゃん…!かれんちゃんが…!」
ポロポロ、星のように光る涙を流しながら、きらりは話す。
「かれん?エンヴィーの本名か?」
「そうなの…でも、死んじゃった…!」
「…え?」
「ごめんね、ごめんね、きらり、悪い子だ…!」
「ああ!きらり、泣くなって!もっと詳しく教えてくれねぇと…!」
「そ、そうだよ!きらりがやった訳じゃないんでしょ?」
夏樹と李衣菜がきらりを落ち着かせようとし、奈緒が加蓮の腕をつかみ、脈をとる。
627: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/21(金) 01:11:49.44 ID:f5X1QMuF0
「…?…!生きてるぞ…?」
「ふえ?」
「ええ!?ちょちょちょ、ちょっと待って、私もやるから!」
「バカ、骨折ったらどうするんだよ、アタシが『診る』からちょっと待ってろ!」
夏樹が慌てて目玉型ユニットのめったに使ってない『診る』能力を起動。
「…生きてるな。ちょっと体力消耗してるぐらいか。」
「…どういうことー?」
「アタシが聞きたいっての。」
「…なぁ、一番心当たりあるあたしが言っていいか?…推測だけど。」
3人が奈緒を見る。
「…戦ったときに飲まれた、あたしの血のせいじゃないか?よく知らないけど、吸血鬼の血を飲んだら吸血鬼になるんだろ?」
「…取りあえず連絡とらないとな。この謎の現象もしらべねぇと。」
「…きらりも、よくわかんなーい。」
「…確かに一理あるkふぉが ! ?…………………ごめん。ずれた…。」
(…スルーされたってこういう事なのか…?)
「ふえ?」
「ええ!?ちょちょちょ、ちょっと待って、私もやるから!」
「バカ、骨折ったらどうするんだよ、アタシが『診る』からちょっと待ってろ!」
夏樹が慌てて目玉型ユニットのめったに使ってない『診る』能力を起動。
「…生きてるな。ちょっと体力消耗してるぐらいか。」
「…どういうことー?」
「アタシが聞きたいっての。」
「…なぁ、一番心当たりあるあたしが言っていいか?…推測だけど。」
3人が奈緒を見る。
「…戦ったときに飲まれた、あたしの血のせいじゃないか?よく知らないけど、吸血鬼の血を飲んだら吸血鬼になるんだろ?」
「…取りあえず連絡とらないとな。この謎の現象もしらべねぇと。」
「…きらりも、よくわかんなーい。」
「…確かに一理あるkふぉが ! ?…………………ごめん。ずれた…。」
(…スルーされたってこういう事なのか…?)
628: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/21(金) 01:13:09.74 ID:f5X1QMuF0
加蓮は、あり得ないはずの目覚めに驚愕していた。
見たこともない部屋に、やわらかいベッド。
そして、先ほどまで戦っていたはずの4人と、1人の男性がベッドの周りに立っていた。
起きたことに歓喜したのか数人が声を出したが、男性が彼女達を黙らせて声をかける。
「君は、北条加蓮だな?」
「…はい。」
「我々は君をどうするつもりもない。…君は自由の身だ。」
「…そう、ですか。」
「…少々混乱してるかもしれないが、よければ我々に教えてくれ。君がこれからどうしたいのか。」
加蓮は、少し考えて…彼を真っ直ぐ見据えて…口を開いた。
「…私は――」
見たこともない部屋に、やわらかいベッド。
そして、先ほどまで戦っていたはずの4人と、1人の男性がベッドの周りに立っていた。
起きたことに歓喜したのか数人が声を出したが、男性が彼女達を黙らせて声をかける。
「君は、北条加蓮だな?」
「…はい。」
「我々は君をどうするつもりもない。…君は自由の身だ。」
「…そう、ですか。」
「…少々混乱してるかもしれないが、よければ我々に教えてくれ。君がこれからどうしたいのか。」
加蓮は、少し考えて…彼を真っ直ぐ見据えて…口を開いた。
「…私は――」
629: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/21(金) 01:14:32.31 ID:f5X1QMuF0
北条加蓮の浄化に成功しました。
・カースを生み出す力を失いましたが、泥を生み出し、操作する能力は健在です。
・偶然ではあるものの、究極生命体(モドキ)の奈緒の血をわずかにではあるが取り込んだことで、奈緒と同じように浄化された核と共存しています。
・病気は完治した状態です。
・これからの行動は未定です。書いても大丈夫です。
リーダーP(LP)
きらりの所属する地球管理局の小隊のリーダー。
孤児のきらりを保護した張本人。本人も孤児だった過去があり、見捨てられなかった。
派生部隊のネバーディスペアに指令を下す役割もこなしている。
一年間の4人の地獄の特訓の教官もこなす、体育会系。
本人には特筆する能力はないが、様々な星の住人・力者が集まりやすい小隊のリーダーの経験が長いからか、それぞれの能力を生かしつつ、連携にも問題がないような戦法を叩きこむのが得意。
きらりには「決して大きくなってはいけない」と約束をしていた。
・カースを生み出す力を失いましたが、泥を生み出し、操作する能力は健在です。
・偶然ではあるものの、究極生命体(モドキ)の奈緒の血をわずかにではあるが取り込んだことで、奈緒と同じように浄化された核と共存しています。
・病気は完治した状態です。
・これからの行動は未定です。書いても大丈夫です。
リーダーP(LP)
きらりの所属する地球管理局の小隊のリーダー。
孤児のきらりを保護した張本人。本人も孤児だった過去があり、見捨てられなかった。
派生部隊のネバーディスペアに指令を下す役割もこなしている。
一年間の4人の地獄の特訓の教官もこなす、体育会系。
本人には特筆する能力はないが、様々な星の住人・力者が集まりやすい小隊のリーダーの経験が長いからか、それぞれの能力を生かしつつ、連携にも問題がないような戦法を叩きこむのが得意。
きらりには「決して大きくなってはいけない」と約束をしていた。
630: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/21(金) 01:15:36.13 ID:f5X1QMuF0
以上です。…戦闘描写難しいです。はい。
次書く時は別キャラでほのぼのしによう…
次書く時は別キャラでほのぼのしによう…
641: ◆3Y/5nAqmZM 2013/06/21(金) 02:10:56.39 ID:1W1YjQfYo
「・・・・・・はぁ」
夕暮れ時、とある雑居ビルのテナントに居を構える『安斎探偵事務所』にて。
若干16歳にしてたった一人でこの事務所を切り盛りする少女、安斎都はため息をついていた。
「・・・依頼である以上文句を言うつもりは無いんですけど。このところ犬猫探ししかやってない気がします・・・はぁ」
祖父が急逝し、事務所を継いでから一年。数十年この道のプロとして活躍してきた祖父と比べれば、自分などまだまだぺーぺーなのは彼女自身百も承知のつもりだった。
だがしかし、こうして目に見えて持ち込まれる依頼が減ってしまうと、どうしても気分が沈んでしまう。
「くよくよ悩んでるヒマがあったら行動で実力を示してみろ、っておじいちゃんなら言うんでしょうけど。そもそも実力を見せられる依頼が来ないんじゃお手上げですよ・・・はぁ」
ぐでーっ、と机に突っ伏して呻いていると、壁に掛けられた時計が終業時間を知らせるメロディを奏でだす。
「・・・っと、もうそんな時間ですか。戸締り戸締り、っと」
窓を施錠しようと立ち上がった、その時だった。
夕暮れ時、とある雑居ビルのテナントに居を構える『安斎探偵事務所』にて。
若干16歳にしてたった一人でこの事務所を切り盛りする少女、安斎都はため息をついていた。
「・・・依頼である以上文句を言うつもりは無いんですけど。このところ犬猫探ししかやってない気がします・・・はぁ」
祖父が急逝し、事務所を継いでから一年。数十年この道のプロとして活躍してきた祖父と比べれば、自分などまだまだぺーぺーなのは彼女自身百も承知のつもりだった。
だがしかし、こうして目に見えて持ち込まれる依頼が減ってしまうと、どうしても気分が沈んでしまう。
「くよくよ悩んでるヒマがあったら行動で実力を示してみろ、っておじいちゃんなら言うんでしょうけど。そもそも実力を見せられる依頼が来ないんじゃお手上げですよ・・・はぁ」
ぐでーっ、と机に突っ伏して呻いていると、壁に掛けられた時計が終業時間を知らせるメロディを奏でだす。
「・・・っと、もうそんな時間ですか。戸締り戸締り、っと」
窓を施錠しようと立ち上がった、その時だった。
642: ◆3Y/5nAqmZM 2013/06/21(金) 02:11:49.59 ID:1W1YjQfYo
ぴんぽーん、と、エレベーターが停止する音が、彼女の耳に届いた。そして、かつん、かつん、と、こちらへ向かって歩いてくる足音も。
(ふむ、二人・・・片方はまだ小さな子供ですね。もう一人も、成人しているかどうか位の女性でしょう)
足音だけでそれだけの事を割り出す。探偵としての彼女の資質は、決して祖父に劣るものではない。むしろ、『ある一点』においては、彼以上の可能性を秘めているのだ。
この階には、この事務所以外に何もない。依頼者以外の選択肢はそもそも存在しないと考えて良い。
(たとえ犬猫探しでも、依頼は依頼。終業時間だからといって、無碍につき返すわけにはいかないですね)
そう考えて、無意識に犬猫探し以外の依頼である可能性を排除していることに気がついて少々げんなりする。
それでも、こんこん、と遠慮がちなノックの音を聞いた瞬間に表情が引き締まるのは、彼女がプロであることの証明であると言えるだろう。
「どうぞ、お入り下さい。本日はどのようなご用件で・・・・・・」
いざ客人を迎え入れようとドアを開けた瞬間、目に映ったものを見て都は固まった。
「突然の訪問、失礼します。失せ物探しを代行して頂けると伺ったのですが・・・」
片や、背中に羽をあしらった水色のワンピースに、白いマフラーを付け、片手に弓を携えた少女。
片や、神々しさすら感じる神官のような出立ちに、身の丈以上の大きな杖を抱えた少女。
「・・・あ、あの、どうかなさいましたか?」
まるで漫画かゲームからそのまま飛び出してきたような二人の少女というあまりに予想外な出来事を前に、都の頭は考えることを放棄してしまっていた。
(ふむ、二人・・・片方はまだ小さな子供ですね。もう一人も、成人しているかどうか位の女性でしょう)
足音だけでそれだけの事を割り出す。探偵としての彼女の資質は、決して祖父に劣るものではない。むしろ、『ある一点』においては、彼以上の可能性を秘めているのだ。
この階には、この事務所以外に何もない。依頼者以外の選択肢はそもそも存在しないと考えて良い。
(たとえ犬猫探しでも、依頼は依頼。終業時間だからといって、無碍につき返すわけにはいかないですね)
そう考えて、無意識に犬猫探し以外の依頼である可能性を排除していることに気がついて少々げんなりする。
それでも、こんこん、と遠慮がちなノックの音を聞いた瞬間に表情が引き締まるのは、彼女がプロであることの証明であると言えるだろう。
「どうぞ、お入り下さい。本日はどのようなご用件で・・・・・・」
いざ客人を迎え入れようとドアを開けた瞬間、目に映ったものを見て都は固まった。
「突然の訪問、失礼します。失せ物探しを代行して頂けると伺ったのですが・・・」
片や、背中に羽をあしらった水色のワンピースに、白いマフラーを付け、片手に弓を携えた少女。
片や、神々しさすら感じる神官のような出立ちに、身の丈以上の大きな杖を抱えた少女。
「・・・あ、あの、どうかなさいましたか?」
まるで漫画かゲームからそのまま飛び出してきたような二人の少女というあまりに予想外な出来事を前に、都の頭は考えることを放棄してしまっていた。
643: ◆3Y/5nAqmZM 2013/06/21(金) 02:12:22.55 ID:1W1YjQfYo
「・・・あー、つまり、その持ち去られた『秘宝』を探して欲しい、と」
「えぇ、そうです。この世界に運ばれたことだけは確かなのですが、それ以上のことは何もつかめなかったもので。是非、ご協力いただければと」
いきなりの事に少々脳がオーバーフローを起こしたが、今のご時世、少々変わった服装の人など殊更珍しいものでもない。
すぐに気を取り直して彼女らを招きいれ、話を聞いてみれば、なんと彼女らはこの世界の人間ではないという。
法衣のような物々しい服装の少女は、異世界の妖精の国のお姫様。
もう一人、弓を持っていた少女は、お姫様の小さい頃からの世話役兼護衛の近衛兵。
二人は、妖精の国から何者かによって持ち出された『妖精の秘宝』なるものを探して、この人間の世界へやってきたのだとか。
そして、どこからかこの探偵事務所の噂を聞き、助けを求めてやってきたということらしい。
「ふむ・・・それで、その『秘宝』というのは、一体どのようなものなのですか?」
久々の犬猫探し以外の依頼、それも異世界のお宝を探す。退屈を募らせていた都にとって、この依頼を断るという選択肢は、話を聞いた時点で頭から抜け落ちていた。
それに、彼女には『とっておきの切り札』がある。『それ』があれば、もしかしたら一瞬で秘宝の在り処がわかるかもしれない。
わくわくする気持ちを、しかし依頼人の手前表情には出さないようにしながら、都は話の続きを促す。
「それが・・・わからないのです」
「・・・・・・え゛」
しかし、彼女を待ち受けていたのは、またしても予想外の返答だった。
「えぇ、そうです。この世界に運ばれたことだけは確かなのですが、それ以上のことは何もつかめなかったもので。是非、ご協力いただければと」
いきなりの事に少々脳がオーバーフローを起こしたが、今のご時世、少々変わった服装の人など殊更珍しいものでもない。
すぐに気を取り直して彼女らを招きいれ、話を聞いてみれば、なんと彼女らはこの世界の人間ではないという。
法衣のような物々しい服装の少女は、異世界の妖精の国のお姫様。
もう一人、弓を持っていた少女は、お姫様の小さい頃からの世話役兼護衛の近衛兵。
二人は、妖精の国から何者かによって持ち出された『妖精の秘宝』なるものを探して、この人間の世界へやってきたのだとか。
そして、どこからかこの探偵事務所の噂を聞き、助けを求めてやってきたということらしい。
「ふむ・・・それで、その『秘宝』というのは、一体どのようなものなのですか?」
久々の犬猫探し以外の依頼、それも異世界のお宝を探す。退屈を募らせていた都にとって、この依頼を断るという選択肢は、話を聞いた時点で頭から抜け落ちていた。
それに、彼女には『とっておきの切り札』がある。『それ』があれば、もしかしたら一瞬で秘宝の在り処がわかるかもしれない。
わくわくする気持ちを、しかし依頼人の手前表情には出さないようにしながら、都は話の続きを促す。
「それが・・・わからないのです」
「・・・・・・え゛」
しかし、彼女を待ち受けていたのは、またしても予想外の返答だった。
644: ◆3Y/5nAqmZM 2013/06/21(金) 02:13:01.22 ID:1W1YjQfYo
「一番新しい記録では『本の形をとっていた』とされていますが、その前は『杖』、またその前は『剣』というように、秘宝は『ひとつの決まった形』を持たないものなのです。
ときには、『意志を持った生物の形』をとっていたこともある、という記録もあります。
ですから、今も持ち去られた時と同じ形をしているかどうかはわかりませんし、そもそも持ち出された時点で『本』以外のものになっていた可能性も・・・」
「だ、誰が持ち去ったのかも、確か・・・」
「・・・えぇ、解りません。数日前、まるで消えてしまったかのように、気がついたときには無くなっていたのです」
得られた情報は、『秘宝が持ち出された(であろう)日付』と、『秘宝は形を変えるものである』という二つのみ。
資料が古すぎて解読できないらしく、『秘宝の本来の名前』ですら解らないという。
「・・・・・・いくら『アレ』でも、そんな情報だけじゃ何もわかりっこないですよぉぉぉ・・・・・・・・」
軽く涙目で頭を抱えて俯いてしまった都を見て、二人の妖精はおろおろとうろたえるばかりであった。
ときには、『意志を持った生物の形』をとっていたこともある、という記録もあります。
ですから、今も持ち去られた時と同じ形をしているかどうかはわかりませんし、そもそも持ち出された時点で『本』以外のものになっていた可能性も・・・」
「だ、誰が持ち去ったのかも、確か・・・」
「・・・えぇ、解りません。数日前、まるで消えてしまったかのように、気がついたときには無くなっていたのです」
得られた情報は、『秘宝が持ち出された(であろう)日付』と、『秘宝は形を変えるものである』という二つのみ。
資料が古すぎて解読できないらしく、『秘宝の本来の名前』ですら解らないという。
「・・・・・・いくら『アレ』でも、そんな情報だけじゃ何もわかりっこないですよぉぉぉ・・・・・・・・」
軽く涙目で頭を抱えて俯いてしまった都を見て、二人の妖精はおろおろとうろたえるばかりであった。
645: ◆3Y/5nAqmZM 2013/06/21(金) 02:14:00.20 ID:1W1YjQfYo
それから半年。安斎探偵事務所にて。
「いやー、ありがとうねぇ由愛ちゃん。見つけてくれただけじゃなくて遊び相手までしてもらっちゃって」
「い、いえ、そんな。私、お留守番しかできないですし、見つけてくれたのは都さんですから・・・」
「とんでもない!ほっといたらまたどっか行っちまっただろうし、由愛ちゃんが面倒見てくれてて助かったよ。都ちゃんにもよろしく言っといておくれねぇ。
ほらゴロー、由愛ちゃんにバイバーイ、って」
「んな゛ぁぁ・・・」
「は、はいっ。またなにかご用のときは、いつでもいらしてくださいね」
あの後しばらくして、何とか立ち直った都は、
「少々時間はかかるかも知れませんし、確実に見つけられるとも言い切れません。それでもよければ、お二人に協力させてください」
と、あの依頼を受けることにした。だが、そこでまた一つ問題が発生。二人は、とにかく秘宝の在り処を探すことだけを考えて行動していた。つまり。
「・・・・・・ところで、お二人はこれからどうされるのですか?どこか行くあては・・・」
あるはずもない。そもそも、妖精界と同じ服装で町じゅう練り歩いていた時点でお察しである。よく通報されなかったものだ。
そこで都が提案したのが、『助手としてこの事務所で働かないか』というものであった。
妖精二人にとっては、捜査の進展がすぐに解るし、働くことで依頼料の代わりとすることができる。
都としては、人手が増えることで今まで以上に仕事がやりやすくなるし、何かあったときの連絡の手間が省ける。
どちらにとっても好条件であるこの提案に、二人はありがたく乗らせてもらうことにした。
人間では聞き取れない本名の代わりに、『成宮由愛』と『水野翠』という名前を都にもらい、共に過ごしてはや半年。
「由愛様、ただいま戻りました」「ただいまですー」
「あ、おかえりなさい、都さん、翠さん。ゴローちゃん、飼い主さんが引き取りに来られましたよ」
「あぁ、そうですか。対応ありがとうございます。ゴロー、放っておくとすぐ逃げ出しちゃいますから・・・」
「うふふ、すっかり常連さんですものね、ゴローちゃん」
「み、翠さん、迷子の常連さん、ってあんまり良いことじゃないんじゃ・・・」
結局、秘宝についてはあまり進展はないが、焦ってどうにかなるものでもない。それに。
「いやー、ありがとうねぇ由愛ちゃん。見つけてくれただけじゃなくて遊び相手までしてもらっちゃって」
「い、いえ、そんな。私、お留守番しかできないですし、見つけてくれたのは都さんですから・・・」
「とんでもない!ほっといたらまたどっか行っちまっただろうし、由愛ちゃんが面倒見てくれてて助かったよ。都ちゃんにもよろしく言っといておくれねぇ。
ほらゴロー、由愛ちゃんにバイバーイ、って」
「んな゛ぁぁ・・・」
「は、はいっ。またなにかご用のときは、いつでもいらしてくださいね」
あの後しばらくして、何とか立ち直った都は、
「少々時間はかかるかも知れませんし、確実に見つけられるとも言い切れません。それでもよければ、お二人に協力させてください」
と、あの依頼を受けることにした。だが、そこでまた一つ問題が発生。二人は、とにかく秘宝の在り処を探すことだけを考えて行動していた。つまり。
「・・・・・・ところで、お二人はこれからどうされるのですか?どこか行くあては・・・」
あるはずもない。そもそも、妖精界と同じ服装で町じゅう練り歩いていた時点でお察しである。よく通報されなかったものだ。
そこで都が提案したのが、『助手としてこの事務所で働かないか』というものであった。
妖精二人にとっては、捜査の進展がすぐに解るし、働くことで依頼料の代わりとすることができる。
都としては、人手が増えることで今まで以上に仕事がやりやすくなるし、何かあったときの連絡の手間が省ける。
どちらにとっても好条件であるこの提案に、二人はありがたく乗らせてもらうことにした。
人間では聞き取れない本名の代わりに、『成宮由愛』と『水野翠』という名前を都にもらい、共に過ごしてはや半年。
「由愛様、ただいま戻りました」「ただいまですー」
「あ、おかえりなさい、都さん、翠さん。ゴローちゃん、飼い主さんが引き取りに来られましたよ」
「あぁ、そうですか。対応ありがとうございます。ゴロー、放っておくとすぐ逃げ出しちゃいますから・・・」
「うふふ、すっかり常連さんですものね、ゴローちゃん」
「み、翠さん、迷子の常連さん、ってあんまり良いことじゃないんじゃ・・・」
結局、秘宝についてはあまり進展はないが、焦ってどうにかなるものでもない。それに。
646: ◆3Y/5nAqmZM 2013/06/21(金) 02:14:46.34 ID:1W1YjQfYo
「それで、どうなったんですか?今回の依頼・・・」
「バッチリです!かなり派手に暴れまわっていたようですし、なにより『名前』がわかったのが何より大きいです」
祖父と親交のあったらしい、ある『組織』からの『ある人物に関する情報を集めて欲しい』という依頼。
依頼に来た当初は、(こんな小さな女の子に勤まるのか?)と猜疑的な目を向けていた組織の職員は、彼女の『力』に目を剥くことになった。
『本来の名前』と『カースとしての行動範囲』、『嫉妬のカースドヒューマン』という三つのキーワードだけで、『北条加蓮』に関するありとあらゆる情報を、たった一晩で割り出してしまったのだから。
「彼女・・・加蓮さん、でしたか。これから、どうなるのでしょうね・・・」
「・・・そればかりは、私たちにはどうすることもできません。手に入る限りの情報は渡しましたし、それをどう使うかは彼女たち次第でしょう」
『見通す者の目(サードアイ)』。断片的な情報から、関連する『大小ありとあらゆる情報』を探し出し、真実を露にする、都の持つ特殊能力。
この力があれば、いつかきっと、秘宝の在り処もわかるはずだろう。由愛も翠も、そう信じている。
・・・もっとも、まだ覚醒が不完全なようで、本来なら『持ち出された日付』だけでも現在の在り処がわかるはずなのは、幸か不幸か、三人ともまだ知らない。
「・・・と、そろそろ終業の時間ですね。由愛さん、窓の鍵の確認を。翠さん、ちゃちゃっと報告書を書いてしまいましょう」
そうして、一日の業務を終えようとしたとき、ぴんぽーん、とエレベーターが止まる音。
「あら?ご依頼の方でしょうか・・・」
「・・・由愛さん、お茶の用意を。翠さんも、報告書は明日に回して結構です」
『いつ何時でも、真実を求める誰かの為に働くのが探偵の仕事だ』。祖父が最初に教えてくれた探偵の心得を胸に、都は一度ゆるんだ気持ちを引き締め直す。
遠慮がちなノックの音に、次の依頼は一体どんなものだろうか、期待を胸にドアを開けて一言。
「ようこそ、安斎探偵事務所へ!今回はどういったご依頼でしょうか?」
「バッチリです!かなり派手に暴れまわっていたようですし、なにより『名前』がわかったのが何より大きいです」
祖父と親交のあったらしい、ある『組織』からの『ある人物に関する情報を集めて欲しい』という依頼。
依頼に来た当初は、(こんな小さな女の子に勤まるのか?)と猜疑的な目を向けていた組織の職員は、彼女の『力』に目を剥くことになった。
『本来の名前』と『カースとしての行動範囲』、『嫉妬のカースドヒューマン』という三つのキーワードだけで、『北条加蓮』に関するありとあらゆる情報を、たった一晩で割り出してしまったのだから。
「彼女・・・加蓮さん、でしたか。これから、どうなるのでしょうね・・・」
「・・・そればかりは、私たちにはどうすることもできません。手に入る限りの情報は渡しましたし、それをどう使うかは彼女たち次第でしょう」
『見通す者の目(サードアイ)』。断片的な情報から、関連する『大小ありとあらゆる情報』を探し出し、真実を露にする、都の持つ特殊能力。
この力があれば、いつかきっと、秘宝の在り処もわかるはずだろう。由愛も翠も、そう信じている。
・・・もっとも、まだ覚醒が不完全なようで、本来なら『持ち出された日付』だけでも現在の在り処がわかるはずなのは、幸か不幸か、三人ともまだ知らない。
「・・・と、そろそろ終業の時間ですね。由愛さん、窓の鍵の確認を。翠さん、ちゃちゃっと報告書を書いてしまいましょう」
そうして、一日の業務を終えようとしたとき、ぴんぽーん、とエレベーターが止まる音。
「あら?ご依頼の方でしょうか・・・」
「・・・由愛さん、お茶の用意を。翠さんも、報告書は明日に回して結構です」
『いつ何時でも、真実を求める誰かの為に働くのが探偵の仕事だ』。祖父が最初に教えてくれた探偵の心得を胸に、都は一度ゆるんだ気持ちを引き締め直す。
遠慮がちなノックの音に、次の依頼は一体どんなものだろうか、期待を胸にドアを開けて一言。
「ようこそ、安斎探偵事務所へ!今回はどういったご依頼でしょうか?」
647: ◆3Y/5nAqmZM 2013/06/21(金) 02:15:36.88 ID:1W1YjQfYo
成宮 由愛(人間換算で13)
属性:妖精さん
能力:魔法(光属性)
異世界の妖精の国のお姫様。何者かに持ち去られた妖精の秘宝を取り戻すため、翠と共に人間の世界にやってきた。
引っ込み思案な性格を変えるために自分から秘宝の捜索に名乗りを上げたが、周囲からは正直かなり心配されている。
現在は翠と二人で安斎探偵事務所のお手伝いをしながら、秘宝の情報を探っている。
由愛という名前は人間世界での仮のものであり、本来の名前はこちらの世界では表現できない。
水野 翠(人間換算で18)
属性:妖精さん
能力:魔法(水属性)、弓術
妖精の国の近衛兵で、由愛の幼いころからの世話役でもある。由愛とは本物の姉妹同然の絆で結ばれている。
若くして近衛兵長の地位に立つ優秀な人物だが、たまにとんでもない天然っぷりを発揮して周囲を驚かせることも。
実際、こちらに来てしばらくの間、妖精の国と同じ格好で動き回っていた。よくどこからも咎められなかったものである。
由愛と同様に、翠の名前もまた仮名である。
安斎 都(16)
属性:探偵さん
能力:護身術ひととおり、『見通す者の目(サードアイ)』
祖父から看板を引き継いだ『安斎探偵事務所』二代目所長。迷子の猫探しから悪の秘密結社への潜入まで幅広く手掛ける(つもりの)探偵さん。
小柄ながら『情報を依頼人のもとまで持ち帰るまでが探偵の仕事』という祖父の教えから叩き込まれた護身術は、(披露する機会はなかったが)大の男顔負けの腕前。
また、断片的な情報からでも隠された真実を見抜くことができる『見通す者の目(サードアイ)』という特殊能力を持っている。
ただし、まだ完全に覚醒しきってはおらず、ある程度しっかりとした情報が必要なため、妖精の秘宝を奪った人物や在り処などは地道に調査中。
属性:妖精さん
能力:魔法(光属性)
異世界の妖精の国のお姫様。何者かに持ち去られた妖精の秘宝を取り戻すため、翠と共に人間の世界にやってきた。
引っ込み思案な性格を変えるために自分から秘宝の捜索に名乗りを上げたが、周囲からは正直かなり心配されている。
現在は翠と二人で安斎探偵事務所のお手伝いをしながら、秘宝の情報を探っている。
由愛という名前は人間世界での仮のものであり、本来の名前はこちらの世界では表現できない。
水野 翠(人間換算で18)
属性:妖精さん
能力:魔法(水属性)、弓術
妖精の国の近衛兵で、由愛の幼いころからの世話役でもある。由愛とは本物の姉妹同然の絆で結ばれている。
若くして近衛兵長の地位に立つ優秀な人物だが、たまにとんでもない天然っぷりを発揮して周囲を驚かせることも。
実際、こちらに来てしばらくの間、妖精の国と同じ格好で動き回っていた。よくどこからも咎められなかったものである。
由愛と同様に、翠の名前もまた仮名である。
安斎 都(16)
属性:探偵さん
能力:護身術ひととおり、『見通す者の目(サードアイ)』
祖父から看板を引き継いだ『安斎探偵事務所』二代目所長。迷子の猫探しから悪の秘密結社への潜入まで幅広く手掛ける(つもりの)探偵さん。
小柄ながら『情報を依頼人のもとまで持ち帰るまでが探偵の仕事』という祖父の教えから叩き込まれた護身術は、(披露する機会はなかったが)大の男顔負けの腕前。
また、断片的な情報からでも隠された真実を見抜くことができる『見通す者の目(サードアイ)』という特殊能力を持っている。
ただし、まだ完全に覚醒しきってはおらず、ある程度しっかりとした情報が必要なため、妖精の秘宝を奪った人物や在り処などは地道に調査中。
648: ◆3Y/5nAqmZM 2013/06/21(金) 02:17:23.44 ID:1W1YjQfYo
以上、早速加蓮関連のネタ、使わせていただきました
運び込まれてから目が覚めるまでの間を想定してます
都の能力、どうやって例を出したもんか悩んだもので・・・
秘宝や持ち去った人物に関しては正直何も考えてないので、自由に使っちゃってくださいー
運び込まれてから目が覚めるまでの間を想定してます
都の能力、どうやって例を出したもんか悩んだもので・・・
秘宝や持ち去った人物に関しては正直何も考えてないので、自由に使っちゃってくださいー
694: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/22(土) 00:04:40.28 ID:KTXuDela0
半日~1日位待つのが一応安牌ではあるけど…まあ、そこら辺はどうすんだろ
696: ◆TAACIbOrYU 2013/06/22(土) 01:05:40.16 ID:yh5cJ0LKo
―――――京都。
――とある豪邸。
――自宅の縁側でお茶を飲みながら、物思いに耽る少女がいた。
紗枝「ふぅ……」
――小早川紗枝。
――代々、妖怪退治を生業にしてきた小早川家。
――その小早川の、歴代最高の天才と名高い、次期当主。
――それが彼女、齢14の少女である。
――とある豪邸。
――自宅の縁側でお茶を飲みながら、物思いに耽る少女がいた。
紗枝「ふぅ……」
――小早川紗枝。
――代々、妖怪退治を生業にしてきた小早川家。
――その小早川の、歴代最高の天才と名高い、次期当主。
――それが彼女、齢14の少女である。
697: ◆TAACIbOrYU 2013/06/22(土) 01:06:05.79 ID:yh5cJ0LKo
――ある日、世界は様相を変えた。
――しかし、意外にも世界は思っていた以上にそれに寛容であった。
――何故なら、普通の人は知らずとも、以前より世界は不思議に満ちていたからである。
――即ち、世界各地にそういった不思議に対処できる用意があったということだ。
――聖地と呼ばれる場所、貴い地位にいる者、噂はあれど形の無い組織……。
――日本の古都京都もその一つである。
――妖怪、物の怪、幽霊。
――古くより、ここにはそれに対抗しうる勢力が存在していた。
――それらは永く、秘匿とされてきたが、
――『あの日』を境に陽の目を見ることも多くなってきた。
――そんな時勢、ここいらでにわかに注目を集めているのが彼女、小早川紗枝である。
――しかし、意外にも世界は思っていた以上にそれに寛容であった。
――何故なら、普通の人は知らずとも、以前より世界は不思議に満ちていたからである。
――即ち、世界各地にそういった不思議に対処できる用意があったということだ。
――聖地と呼ばれる場所、貴い地位にいる者、噂はあれど形の無い組織……。
――日本の古都京都もその一つである。
――妖怪、物の怪、幽霊。
――古くより、ここにはそれに対抗しうる勢力が存在していた。
――それらは永く、秘匿とされてきたが、
――『あの日』を境に陽の目を見ることも多くなってきた。
――そんな時勢、ここいらでにわかに注目を集めているのが彼女、小早川紗枝である。
698: ◆TAACIbOrYU 2013/06/22(土) 01:06:34.88 ID:yh5cJ0LKo
――『妖怪退治屋』
――そして『過去、類を見ないほどの実力者』
――紗枝は人生の殆どを奇異の目で見られて育った。
――それは家の中でも変わらなかった。
――しかし彼女は真っ直ぐ成長した。
――辛く、厳しい修行にも耐えた。
――めげず、挫けず、曲がらずに、何処に出しても恥ずかしくない、次期当主となった。
――『なんや、つまらんなぁ……』
――まだまだ幼い女の子が、人生に対してそんな達観を抱くほど、彼女は己を捨てて頑張った。
――だが、いずれ遠くない未来、彼女は破綻する。
――賢いものは、恐らくそうなるだろうと予見していた。
――しかし、彼らはそんなことを口にするわけにはいかなかった。
――小早川という大きな家柄が、それを許さなかったのだ。
――そして『過去、類を見ないほどの実力者』
――紗枝は人生の殆どを奇異の目で見られて育った。
――それは家の中でも変わらなかった。
――しかし彼女は真っ直ぐ成長した。
――辛く、厳しい修行にも耐えた。
――めげず、挫けず、曲がらずに、何処に出しても恥ずかしくない、次期当主となった。
――『なんや、つまらんなぁ……』
――まだまだ幼い女の子が、人生に対してそんな達観を抱くほど、彼女は己を捨てて頑張った。
――だが、いずれ遠くない未来、彼女は破綻する。
――賢いものは、恐らくそうなるだろうと予見していた。
――しかし、彼らはそんなことを口にするわけにはいかなかった。
――小早川という大きな家柄が、それを許さなかったのだ。
699: ◆TAACIbOrYU 2013/06/22(土) 01:07:03.32 ID:yh5cJ0LKo
周子「やっほ!」
紗枝「あ、周子はん!」
――そんな前途に暗雲の立ち込める小早川家に現れたのが、この九尾の狐である。
周子「やー久しぶりだねぇ、紗枝ちゃん」
紗枝「ほんまやで、もううちのことなんて覚えてへんのやろうかと……」
周子「まーったくもー、そんなわけ無いじゃーん!」
――周子が、スリスリと紗枝に頬ずりをする。
紗枝「うふふっ、くすぐったいで、周子はん」
周子「冷たくて気持ちーなぁ、紗枝ちゃんは」
――塩見周子、と人の名を名乗っているが、しかし彼女は妖怪である。
――それも1000年以上は生きている大妖怪で、
――そして小早川紗枝は妖怪退治屋だ。
――本来なら相容れない存在のはずだが……。
紗枝「あ、周子はん!」
――そんな前途に暗雲の立ち込める小早川家に現れたのが、この九尾の狐である。
周子「やー久しぶりだねぇ、紗枝ちゃん」
紗枝「ほんまやで、もううちのことなんて覚えてへんのやろうかと……」
周子「まーったくもー、そんなわけ無いじゃーん!」
――周子が、スリスリと紗枝に頬ずりをする。
紗枝「うふふっ、くすぐったいで、周子はん」
周子「冷たくて気持ちーなぁ、紗枝ちゃんは」
――塩見周子、と人の名を名乗っているが、しかし彼女は妖怪である。
――それも1000年以上は生きている大妖怪で、
――そして小早川紗枝は妖怪退治屋だ。
――本来なら相容れない存在のはずだが……。
700: ◆TAACIbOrYU 2013/06/22(土) 01:07:32.31 ID:yh5cJ0LKo
紗枝『あんた、妖怪やろ……?』
周子『そだよー?』
紗枝『妖怪退治屋のうちに何の用事があるん?』
周子『いやぁ、噂の歴代最強の退治屋さんに興味が沸いてさ』
紗枝『見ただけでわかる……、あんた、強いなぁ』
周子『いやぁ、それ程でも』
紗枝『……うちにはあんたを退治できひん』
周子『おや、私はそうは思わないんだけどねー』
紗枝『……もう、構わんでくれまへんか』
周子『んー、あなたがそう望むのなら仕方がない……』
紗枝『それなら早いとこ……』
周子『けどね、私があなたを気に入っちゃったんだよね』
紗枝『……』
周子『あなたはどう? 私のこと気に入らないかなー?』
紗枝『……うちは』
周子『そだよー?』
紗枝『妖怪退治屋のうちに何の用事があるん?』
周子『いやぁ、噂の歴代最強の退治屋さんに興味が沸いてさ』
紗枝『見ただけでわかる……、あんた、強いなぁ』
周子『いやぁ、それ程でも』
紗枝『……うちにはあんたを退治できひん』
周子『おや、私はそうは思わないんだけどねー』
紗枝『……もう、構わんでくれまへんか』
周子『んー、あなたがそう望むのなら仕方がない……』
紗枝『それなら早いとこ……』
周子『けどね、私があなたを気に入っちゃったんだよね』
紗枝『……』
周子『あなたはどう? 私のこと気に入らないかなー?』
紗枝『……うちは』
701: ◆TAACIbOrYU 2013/06/22(土) 01:08:03.17 ID:yh5cJ0LKo
紗枝「周子はんはもっとうちに構うべきどす!」
周子「もー、かーわいいなー紗枝ちゃんはー!」
紗枝「あぁ……、周子はんの香り、落ち着くわぁ……」
周子「相変わらず長くて綺麗な髪だねぇ、サラサラだし」
――仲良しだ。
――周りが引くくらい、この二人は仲良しなのだ。
――永年生きた大妖怪と、今更感漂う黴臭い妖怪退治屋。
――基本的に話の合う者が居ない二人が、
――種族を超えて意気投合するのにあまり時間はかからず、
――加えて、お互いの波長が妙に合うこともあり、
――紗枝と周子は友人……、若干それを超えた仲なのだった。
周子「もー、かーわいいなー紗枝ちゃんはー!」
紗枝「あぁ……、周子はんの香り、落ち着くわぁ……」
周子「相変わらず長くて綺麗な髪だねぇ、サラサラだし」
――仲良しだ。
――周りが引くくらい、この二人は仲良しなのだ。
――永年生きた大妖怪と、今更感漂う黴臭い妖怪退治屋。
――基本的に話の合う者が居ない二人が、
――種族を超えて意気投合するのにあまり時間はかからず、
――加えて、お互いの波長が妙に合うこともあり、
――紗枝と周子は友人……、若干それを超えた仲なのだった。
702: ◆TAACIbOrYU 2013/06/22(土) 01:08:41.44 ID:yh5cJ0LKo
紗枝「娘さんの……」
周子「んー?」
紗枝「娘さんの事は、もうええんどすか……?」
周子「あー、美玲のことかな……」
――紗枝は厳しく育てられてきた。
――人形の様に、極力感情を表に出さにように躾けられてきた。
――彼女の両親も、才能あふれる我が娘に、どう接したらいいかわからないようだった。
周子「私に子供なんていないって」
紗枝「いっつもその子の話ばっかしてはった」
周子「今はもう独り立ちしたというか」
紗枝「やっぱり娘さんなんや」
周子「いや、永い事生きてればね? そりゃ私も女だしね? 母親の真似事とかしたくなったりね?」
紗枝「うちも周子はんの子供がええ……」
周子「えー、本当にそう思ってる?」
紗枝「……ううん、ほんまは―――」
周子「……」
――周子に出会って、紗枝は感情に芽生えたようであった。
――殊更に、紗枝は周子に母性を求めていたようだったが、
――時を経るごとに、最近はその感情に違う側面が見えるようになった。
周子「んー?」
紗枝「娘さんの事は、もうええんどすか……?」
周子「あー、美玲のことかな……」
――紗枝は厳しく育てられてきた。
――人形の様に、極力感情を表に出さにように躾けられてきた。
――彼女の両親も、才能あふれる我が娘に、どう接したらいいかわからないようだった。
周子「私に子供なんていないって」
紗枝「いっつもその子の話ばっかしてはった」
周子「今はもう独り立ちしたというか」
紗枝「やっぱり娘さんなんや」
周子「いや、永い事生きてればね? そりゃ私も女だしね? 母親の真似事とかしたくなったりね?」
紗枝「うちも周子はんの子供がええ……」
周子「えー、本当にそう思ってる?」
紗枝「……ううん、ほんまは―――」
周子「……」
――周子に出会って、紗枝は感情に芽生えたようであった。
――殊更に、紗枝は周子に母性を求めていたようだったが、
――時を経るごとに、最近はその感情に違う側面が見えるようになった。
703: ◆TAACIbOrYU 2013/06/22(土) 01:09:10.64 ID:yh5cJ0LKo
紗枝「もうちょっと、周子はんがうちの側にいてくれはったらええのに……」
周子「……」
紗枝「ふふ……、いじわるやなぁ周子はんは、何も言うてくれへんのやね」
周子「ごめんね……」
――周子もまた、紗枝に特別な感情を抱いているようだった。
――先ほど言い訳として口にしたが、
――男と女、人間だろうと妖怪だろうと、大別すればその二つ。
――1000年以上生きた大妖怪の周子も、しかし、女性としての母性に抗えず、
――今までに色々な子の面倒を見てきた。
――美玲もそうだし、
――そして、紗枝もそう、
――だった。
――はずだ。
――美玲の事を、実の娘の様に育てきた。
――紗枝はどうだ……?
――少なくとも初めは、生意気な小娘だ、と
――その程度にしか思ってなかったはずだが……。
周子「……」
紗枝「ふふ……、いじわるやなぁ周子はんは、何も言うてくれへんのやね」
周子「ごめんね……」
――周子もまた、紗枝に特別な感情を抱いているようだった。
――先ほど言い訳として口にしたが、
――男と女、人間だろうと妖怪だろうと、大別すればその二つ。
――1000年以上生きた大妖怪の周子も、しかし、女性としての母性に抗えず、
――今までに色々な子の面倒を見てきた。
――美玲もそうだし、
――そして、紗枝もそう、
――だった。
――はずだ。
――美玲の事を、実の娘の様に育てきた。
――紗枝はどうだ……?
――少なくとも初めは、生意気な小娘だ、と
――その程度にしか思ってなかったはずだが……。
704: ◆TAACIbOrYU 2013/06/22(土) 01:09:38.22 ID:yh5cJ0LKo
紗枝「……邪魔やね」
周子「そうだねぇ……」
――カース。
――周子に言わせれば、『うっすい思念体』。
――紗枝に言わせれば、『妖怪の下位互換』。
――ここ、京都では、そんなカースの出現率はかなり低かった。
――その代わり。
天狗「おのれ、退治屋ども……」
天狗「よ く も 我 が 同 胞 を」
――昔からいる者。
――最近現れた者。
――いずれにせよ割と一般的に認知度の高い……、そうはいっても超常の存在、
――妖怪。
――京都には妖怪が現れる。
周子「そうだねぇ……」
――カース。
――周子に言わせれば、『うっすい思念体』。
――紗枝に言わせれば、『妖怪の下位互換』。
――ここ、京都では、そんなカースの出現率はかなり低かった。
――その代わり。
天狗「おのれ、退治屋ども……」
天狗「よ く も 我 が 同 胞 を」
――昔からいる者。
――最近現れた者。
――いずれにせよ割と一般的に認知度の高い……、そうはいっても超常の存在、
――妖怪。
――京都には妖怪が現れる。
705: ◆TAACIbOrYU 2013/06/22(土) 01:10:07.89 ID:yh5cJ0LKo
侍女「現れた妖怪は、天狗との報告が入りました」
紗枝「天狗さんか、少し厄介やなぁ……」
周子「手伝ってあげよっか?」
紗枝「周子はんはお客さんなんやから、そんなことさせられまへん」
周子「気にしなくていいのになー、私が行けば速攻だよ?」
紗枝「うち一人で平気どす」
周子「ま、そこまで言うならしょうがない」
――京都の古い街並みは、
――火を着ければあっという間に燃え、
――大きな地震が起きれば崩れるし、
――津波が来れば流されるだろう。
――しかし、こと不思議の力に関してはめっぽう頑丈にできている。
――どれだけ強い妖怪が現れても、ここでは建物が崩れるということが殆ど無い。
――そしてそれは退治屋、紗枝にとっても『割と無茶がきく』ということに他ならない。
紗枝「天狗さんか、少し厄介やなぁ……」
周子「手伝ってあげよっか?」
紗枝「周子はんはお客さんなんやから、そんなことさせられまへん」
周子「気にしなくていいのになー、私が行けば速攻だよ?」
紗枝「うち一人で平気どす」
周子「ま、そこまで言うならしょうがない」
――京都の古い街並みは、
――火を着ければあっという間に燃え、
――大きな地震が起きれば崩れるし、
――津波が来れば流されるだろう。
――しかし、こと不思議の力に関してはめっぽう頑丈にできている。
――どれだけ強い妖怪が現れても、ここでは建物が崩れるということが殆ど無い。
――そしてそれは退治屋、紗枝にとっても『割と無茶がきく』ということに他ならない。
706: ◆TAACIbOrYU 2013/06/22(土) 01:10:34.60 ID:yh5cJ0LKo
紗枝「あの辺やろうか?」
周子「んー、もうちょっとこっちじゃない?」
侍女「……」
――高位の能力者は割と感覚で喋るので、周りの者には理解できないことが多い。
紗枝「ほな、行ってきます」
周子「いってらー」
――紗枝が、とん、と足取りも軽やかに地を蹴り、宙に舞う。
――途端、目に見えない浮力が紗枝に働き、ふわっと数メートルの高さまで上昇し……、
―――――もの凄い速度で天狗の元へ飛び立った。
侍女「……相変わらず凄まじい力や」
――ぽつり、と侍女が言葉を漏らした。
――そしてちら、と隣を見る。
侍女「ほんま仲良しやなぁ、あの二人」
――そこに居たはずの客人の姿がいつのまにか何処にも見えなくなっていた。
周子「んー、もうちょっとこっちじゃない?」
侍女「……」
――高位の能力者は割と感覚で喋るので、周りの者には理解できないことが多い。
紗枝「ほな、行ってきます」
周子「いってらー」
――紗枝が、とん、と足取りも軽やかに地を蹴り、宙に舞う。
――途端、目に見えない浮力が紗枝に働き、ふわっと数メートルの高さまで上昇し……、
―――――もの凄い速度で天狗の元へ飛び立った。
侍女「……相変わらず凄まじい力や」
――ぽつり、と侍女が言葉を漏らした。
――そしてちら、と隣を見る。
侍女「ほんま仲良しやなぁ、あの二人」
――そこに居たはずの客人の姿がいつのまにか何処にも見えなくなっていた。
707: ◆TAACIbOrYU 2013/06/22(土) 01:11:00.90 ID:yh5cJ0LKo
周子「でも、ついてくるな、とは言われて無いよね」
紗枝「確かにそうやけど……、まったくもう、周子はんは」
――先刻別れたばかりの周子が、紗枝よりも先にもう目的地に到着していた。
天狗「狐? いや、それより……」
天狗「小早川の小娘か」
天狗「貴様にはだいぶ同胞をやられた」
天狗「容赦はせぬぞ!」
――二人の、というよりは紗枝の姿を確認すると、
――天狗は激昂し、臨戦の構えをとった。
紗枝「確かにそうやけど……、まったくもう、周子はんは」
――先刻別れたばかりの周子が、紗枝よりも先にもう目的地に到着していた。
天狗「狐? いや、それより……」
天狗「小早川の小娘か」
天狗「貴様にはだいぶ同胞をやられた」
天狗「容赦はせぬぞ!」
――二人の、というよりは紗枝の姿を確認すると、
――天狗は激昂し、臨戦の構えをとった。
708: ◆TAACIbOrYU 2013/06/22(土) 01:11:26.37 ID:yh5cJ0LKo
周子「怒ってるねー」
紗枝「そやねぇ」
――二人と天狗との間には、
――だいたい100メートルほどの距離があり、
――それは……、
天狗「ふっ……!」
―――――天狗の一足飛びによって、一瞬に詰められた。
――反応する暇など無い、
――もう既に天狗の攻撃の届く範囲だ。
――その拳は固く握られ、
――紗枝のわずか目と鼻の先に迫っていて、
――その結果、一瞬後に予想される惨劇は……
紗枝「そやねぇ」
――二人と天狗との間には、
――だいたい100メートルほどの距離があり、
――それは……、
天狗「ふっ……!」
―――――天狗の一足飛びによって、一瞬に詰められた。
――反応する暇など無い、
――もう既に天狗の攻撃の届く範囲だ。
――その拳は固く握られ、
――紗枝のわずか目と鼻の先に迫っていて、
――その結果、一瞬後に予想される惨劇は……
709: ◆TAACIbOrYU 2013/06/22(土) 01:12:19.35 ID:yh5cJ0LKo
天狗「―――ぬ」
――しかし、真上からの謎の力に阻まれ、
――天狗は、抗えぬ大質量に押しつぶされてしまった。
――その力の正体は振り下ろされた拳であった。
――大きな……、人一人程もある拳だ。
――紗枝の使役する式神、
――体長10メートルをゆうに超す『赤鬼』の拳である。
赤鬼「ふ ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ……」
紗枝「いやぁ、ちょっと危なかったなぁ」
周子「割とやるほうだったね」
――しかし、真上からの謎の力に阻まれ、
――天狗は、抗えぬ大質量に押しつぶされてしまった。
――その力の正体は振り下ろされた拳であった。
――大きな……、人一人程もある拳だ。
――紗枝の使役する式神、
――体長10メートルをゆうに超す『赤鬼』の拳である。
赤鬼「ふ ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ……」
紗枝「いやぁ、ちょっと危なかったなぁ」
周子「割とやるほうだったね」
710: ◆TAACIbOrYU 2013/06/22(土) 01:12:44.77 ID:yh5cJ0LKo
――唐突に始まったその勝負は、
――『赤鬼』の鉄拳制裁で、一瞬にして終わった。
紗枝「さて……」
――紗枝が懐からお札を取り出す。
――妖怪を封じる力の込められたお札だ。
――これは紗枝の特製であり、
――よほど強力な妖怪でも、触れれば一瞬で消滅してしまう。
―――――ちなみに周子は、これに触れてもちょっと火傷する程度で済む。
周子「終わってみれば、あっけなかったねー」
紗枝「今日はたまたま運が―――」
――『赤鬼』の鉄拳制裁で、一瞬にして終わった。
紗枝「さて……」
――紗枝が懐からお札を取り出す。
――妖怪を封じる力の込められたお札だ。
――これは紗枝の特製であり、
――よほど強力な妖怪でも、触れれば一瞬で消滅してしまう。
―――――ちなみに周子は、これに触れてもちょっと火傷する程度で済む。
周子「終わってみれば、あっけなかったねー」
紗枝「今日はたまたま運が―――」
711: ◆TAACIbOrYU 2013/06/22(土) 01:13:11.25 ID:yh5cJ0LKo
――その時、一陣の突風が吹いた。
――いや、突風と呼ぶには生ぬるい、
――神風とでも呼ぶべき風圧が周囲を襲った。
――それは、10メートル超、筋骨隆々の『赤鬼』の
――その見た目よりも、遥かに重たい質量を、
――上空へ吹き飛ばしてしまうほどの威力であった。
――いわんやただの少女をや、である。
――無論、これは天狗の反撃だが、
――今の風撃によって、
――紗枝と周子は、地上100メートルほどの高さにまで吹き飛ばされてしまった。
――いや、突風と呼ぶには生ぬるい、
――神風とでも呼ぶべき風圧が周囲を襲った。
――それは、10メートル超、筋骨隆々の『赤鬼』の
――その見た目よりも、遥かに重たい質量を、
――上空へ吹き飛ばしてしまうほどの威力であった。
――いわんやただの少女をや、である。
――無論、これは天狗の反撃だが、
――今の風撃によって、
――紗枝と周子は、地上100メートルほどの高さにまで吹き飛ばされてしまった。
712: ◆TAACIbOrYU 2013/06/22(土) 01:13:38.31 ID:yh5cJ0LKo
紗枝「……弱ったなぁ、今のでもぴんぴんしてはる」
周子「やっぱ手伝おうか?」
紗枝「いや、そういうわけにはいかへん」
周子「頑固なんだからー」
――既に二人は自由落下を始めている。
――どう考えても、普通の人ならこの高さから落ちれば死ぬ。
――しかし、幸い二人共普通の人では無いので、
――100メートルの高さから落ちることの脅威などどうでもよく、
――仕留め損ねた天狗に対しての思案を巡らしている。
周子「やっぱ手伝おうか?」
紗枝「いや、そういうわけにはいかへん」
周子「頑固なんだからー」
――既に二人は自由落下を始めている。
――どう考えても、普通の人ならこの高さから落ちれば死ぬ。
――しかし、幸い二人共普通の人では無いので、
――100メートルの高さから落ちることの脅威などどうでもよく、
――仕留め損ねた天狗に対しての思案を巡らしている。
713: ◆TAACIbOrYU 2013/06/22(土) 01:14:05.58 ID:yh5cJ0LKo
紗枝「しゃあない、『家宝』を使おか」
周子「おぉー」
――小早川家の妖怪退治屋としての歴史は古い。
――故に、曰く付きの武器なども多数所持している。
――それらは『家宝』として大切に保管されていて、
――有事の際にのみ、扱うことを許されていた。
――本来ならば当主の許可が必要なのだが、
――次期当主の位置におり、
――そして現当主より遥かに力の強い紗枝には、
――それらを自由に使う権利があった。
周子「おぉー」
――小早川家の妖怪退治屋としての歴史は古い。
――故に、曰く付きの武器なども多数所持している。
――それらは『家宝』として大切に保管されていて、
――有事の際にのみ、扱うことを許されていた。
――本来ならば当主の許可が必要なのだが、
――次期当主の位置におり、
――そして現当主より遥かに力の強い紗枝には、
――それらを自由に使う権利があった。
714: ◆TAACIbOrYU 2013/06/22(土) 01:14:34.84 ID:yh5cJ0LKo
紗枝「出し惜しみはせえへんよ」
――紗枝が、す……っと右手を伸ばすと、そこに一振りの太刀が現れた。
――彼女は無数の式神を使役しており、『赤鬼』もそれに含まれるが、
――そのうちの何かしらが、小早川邸にある『家宝』を彼女の元へ届けたのだろう。
周子「わお、すごいの持ってきたね、それで斬られたら私でも結構ヤバイかも」
紗枝「こんなん、周子はんの尻尾一本落とせるかどうかやろ」
周子「いやいや十分やばいじゃん」
――軽口をたたき合う二人だが、そろそろ高度が低くなってきた。
紗枝「青鬼はん!」
――紗枝がそう叫ぶと、地面に激突する直前で、ふわり、と先ほどの謎の浮力が彼女を覆った。
――攻撃に特化した式神が『赤鬼』だとすれば、
――『青鬼』は防御に特化した式神だ。
――『青鬼』は、紗枝をあらゆる脅威から守る。
――そんな『青鬼』に守られ、ゆっくりと紗枝が地上に降り立つ。
――それに引き換え、勢いを全く殺さず、
――位置エネルギーという物理法則を無視した動きで、ストン、と華麗に着地する周子。
――非常識ここに極まれり、である。
――紗枝が、す……っと右手を伸ばすと、そこに一振りの太刀が現れた。
――彼女は無数の式神を使役しており、『赤鬼』もそれに含まれるが、
――そのうちの何かしらが、小早川邸にある『家宝』を彼女の元へ届けたのだろう。
周子「わお、すごいの持ってきたね、それで斬られたら私でも結構ヤバイかも」
紗枝「こんなん、周子はんの尻尾一本落とせるかどうかやろ」
周子「いやいや十分やばいじゃん」
――軽口をたたき合う二人だが、そろそろ高度が低くなってきた。
紗枝「青鬼はん!」
――紗枝がそう叫ぶと、地面に激突する直前で、ふわり、と先ほどの謎の浮力が彼女を覆った。
――攻撃に特化した式神が『赤鬼』だとすれば、
――『青鬼』は防御に特化した式神だ。
――『青鬼』は、紗枝をあらゆる脅威から守る。
――そんな『青鬼』に守られ、ゆっくりと紗枝が地上に降り立つ。
――それに引き換え、勢いを全く殺さず、
――位置エネルギーという物理法則を無視した動きで、ストン、と華麗に着地する周子。
――非常識ここに極まれり、である。
715: ◆TAACIbOrYU 2013/06/22(土) 01:15:02.34 ID:yh5cJ0LKo
天狗「今のはなかなか効いたが……」
――効いた、という割にダメージは通ってないように見える。
天狗「しかし、次で仕留める!」
――言うやいなや、天狗は再び臨戦態勢を整えた。
紗枝「それは―――」
――ぞわりとした悪寒が、天狗を襲った。
――『後手に回った』
――そう思った時にはもう遅かった。
紗枝「こっちの台詞やで」
――効いた、という割にダメージは通ってないように見える。
天狗「しかし、次で仕留める!」
――言うやいなや、天狗は再び臨戦態勢を整えた。
紗枝「それは―――」
――ぞわりとした悪寒が、天狗を襲った。
――『後手に回った』
――そう思った時にはもう遅かった。
紗枝「こっちの台詞やで」
716: ◆TAACIbOrYU 2013/06/22(土) 01:15:32.30 ID:yh5cJ0LKo
――鞘から太刀が抜かれた。
――瞬間、
――ゆらり、と、
――粘っこい殺意が辺りを覆う。
――紗枝から発せられたものではなく、
――『家宝』の太刀から滲み出たものだ。
――それは、
――対峙する天狗に、恐怖を抱かせるのに十分であった。
―――――臆した。
――その一瞬だ。
――この勝負、何度も一瞬が明暗を分けてきた。
――しかし今回の『一瞬』は決定的だった。
――天狗と紗枝の間には100メートル程の距離があった。
――その距離を、全く詰めること無く、
―――――太刀は天狗を斬り裂いた。
天狗「―――あ?」
――間抜けな感嘆が、天狗の口から漏れた。
――それが、彼の最後の言葉だった。
――瞬間、
――ゆらり、と、
――粘っこい殺意が辺りを覆う。
――紗枝から発せられたものではなく、
――『家宝』の太刀から滲み出たものだ。
――それは、
――対峙する天狗に、恐怖を抱かせるのに十分であった。
―――――臆した。
――その一瞬だ。
――この勝負、何度も一瞬が明暗を分けてきた。
――しかし今回の『一瞬』は決定的だった。
――天狗と紗枝の間には100メートル程の距離があった。
――その距離を、全く詰めること無く、
―――――太刀は天狗を斬り裂いた。
天狗「―――あ?」
――間抜けな感嘆が、天狗の口から漏れた。
――それが、彼の最後の言葉だった。
717: ◆TAACIbOrYU 2013/06/22(土) 01:16:26.31 ID:yh5cJ0LKo
――二人が小早川邸に戻ると、お茶とお菓子が用意してあった。
――紗枝に使える侍女は気がきく子なのだ。
紗枝「あんな、周子はん……」
周子「んぅ?」
――もぐもぐと、紗枝の3倍は用意されたお菓子を頬張りながら、周子が応える。
紗枝「うち、その……」
周子「うん……」
――紗枝は、周子に特別な想いを抱いている。
――それは、
――親から受けることのなかった愛情、
――年の近い子との友情、
――異性に対する健全な恋慕、
――年頃の女の子が、普通に生活していれば、得られる感情。
――それらが綯い交ぜになった、
――狂おしいほどの激情。
――14歳の少女だからこそ抱く、
――単純な愛の渇望。
――それをきっと、幼さ故に、
――恋、なのだと、
――勘違いしているのだろう。
――紗枝に使える侍女は気がきく子なのだ。
紗枝「あんな、周子はん……」
周子「んぅ?」
――もぐもぐと、紗枝の3倍は用意されたお菓子を頬張りながら、周子が応える。
紗枝「うち、その……」
周子「うん……」
――紗枝は、周子に特別な想いを抱いている。
――それは、
――親から受けることのなかった愛情、
――年の近い子との友情、
――異性に対する健全な恋慕、
――年頃の女の子が、普通に生活していれば、得られる感情。
――それらが綯い交ぜになった、
――狂おしいほどの激情。
――14歳の少女だからこそ抱く、
――単純な愛の渇望。
――それをきっと、幼さ故に、
――恋、なのだと、
――勘違いしているのだろう。
718: ◆TAACIbOrYU 2013/06/22(土) 01:16:53.03 ID:yh5cJ0LKo
――それに対して、
――昔から周子は色々とやってきた、
――若いころは本当に好き勝手やった、
――たくさんの男を誑かした、
――身に余る贅沢をした、
――時に人の命も、手に掛けた……、
――当然その報いも受けた、
――それによる不幸も体験した、
――頂点とどん底をそれぞれ味わった、
――年を経るにつれ、だんだん角も取れ落ち着いてきた、
――なんとなく、後進を育ててみようと思うようになった、
――人間も妖怪も、
――男も女も、
――沢山育ててきた。
――昔から周子は色々とやってきた、
――若いころは本当に好き勝手やった、
――たくさんの男を誑かした、
――身に余る贅沢をした、
――時に人の命も、手に掛けた……、
――当然その報いも受けた、
――それによる不幸も体験した、
――頂点とどん底をそれぞれ味わった、
――年を経るにつれ、だんだん角も取れ落ち着いてきた、
――なんとなく、後進を育ててみようと思うようになった、
――人間も妖怪も、
――男も女も、
――沢山育ててきた。
719: ◆TAACIbOrYU 2013/06/22(土) 01:17:18.95 ID:yh5cJ0LKo
――そんな中に紗枝が居た、
――彼女は一際周子の心を惹いた、
――それは何故だろうか?
――思うに、
――周子は永く生き過ぎた。
――力を持ちすぎたのだ。
――死ぬことは容易ではなく、
――まして殺してもらう事など、もっと難しかった。
――そんな時出会った最強の退治屋の少女に、こんな期待を抱いた、
――このつまらない人生に、
――この下らない一生に、
――幕を引いてくれるのは、きっと彼女なのだと、
――永遠にも思える牢獄から私を解き放ってくれるのが彼女なのだと、
―――――小早川紗枝は私にとって特別なのだ。
――そう思えばこそ愛おしく、
――贔屓したくなるのは当然で、
――その上で、特別に自身を慕ってくれるというのがまたたまらなく可愛らしく、
――それが募りに募って、
――恋人に恋焦がれるかの様な想いを抱くようになった。
――彼女は一際周子の心を惹いた、
――それは何故だろうか?
――思うに、
――周子は永く生き過ぎた。
――力を持ちすぎたのだ。
――死ぬことは容易ではなく、
――まして殺してもらう事など、もっと難しかった。
――そんな時出会った最強の退治屋の少女に、こんな期待を抱いた、
――このつまらない人生に、
――この下らない一生に、
――幕を引いてくれるのは、きっと彼女なのだと、
――永遠にも思える牢獄から私を解き放ってくれるのが彼女なのだと、
―――――小早川紗枝は私にとって特別なのだ。
――そう思えばこそ愛おしく、
――贔屓したくなるのは当然で、
――その上で、特別に自身を慕ってくれるというのがまたたまらなく可愛らしく、
――それが募りに募って、
――恋人に恋焦がれるかの様な想いを抱くようになった。
720: ◆TAACIbOrYU 2013/06/22(土) 01:17:51.53 ID:yh5cJ0LKo
――この歪んだ『恋愛ごっこ』に気づいているのは、周子だけで、
――しかし、こんな耽美な関係もまた一興と感じており、
――同時に紗枝に対する申し訳無さもあり、
――いずれ訪れる、最期の日に思いを馳せながら、
――その後も、どうか紗枝が幸いであるように、と願わずにはいられなかった。
紗枝「もう、帰ってしまうんどすか?」
周子「うん、まぁ、『プロダクション』を放っておくわけにもいかないしね」
紗枝「そう、なんや……」
周子「うん……」
――二人の想いはすれ違っている。
――いつか、通じ合う日が来るのだろうか。
――それは、神のみぞ知る。
――しかし、こんな耽美な関係もまた一興と感じており、
――同時に紗枝に対する申し訳無さもあり、
――いずれ訪れる、最期の日に思いを馳せながら、
――その後も、どうか紗枝が幸いであるように、と願わずにはいられなかった。
紗枝「もう、帰ってしまうんどすか?」
周子「うん、まぁ、『プロダクション』を放っておくわけにもいかないしね」
紗枝「そう、なんや……」
周子「うん……」
――二人の想いはすれ違っている。
――いつか、通じ合う日が来るのだろうか。
――それは、神のみぞ知る。
721: ◆TAACIbOrYU 2013/06/22(土) 01:18:18.49 ID:yh5cJ0LKo
小早川紗枝
職業:妖怪退治屋次期当主
属性:はんなり京乙女
能力:代々受け継いだ妖怪退治の能力
京都に古より伝わる妖怪退治屋、小早川家の次期当主。
歴代最強の才能を持ち、子供の頃から英才教育を施されてきた。
その過程で、与えられることのなかった様々な感情を、周子に依存している部分がある。
職業:妖怪退治屋次期当主
属性:はんなり京乙女
能力:代々受け継いだ妖怪退治の能力
京都に古より伝わる妖怪退治屋、小早川家の次期当主。
歴代最強の才能を持ち、子供の頃から英才教育を施されてきた。
その過程で、与えられることのなかった様々な感情を、周子に依存している部分がある。
725: やっべ予約外し忘れてた ◆Nb6gZWlAdvRp 2013/06/22(土) 01:35:39.73 ID:LQBoREBFo
ビルの隙間をバイクが高速で駆け抜ける。運転している人物はライダースーツにフルフェイスメット、革手袋に安全靴まで履いた完全装備だ。素性を隠すかのように全身を固められているためその正体は知れないが、スーツによって強調されたボディラインで女性ということだけは判る。
前後を走る車は無く、対向車線は渋滞気味。やや離れた位置に見える黒い巨人、カースが原因だ。
距離が詰まってくると、妙な気配を感じ取ったのかカースがこちらを向く。
女はバイクの前輪を浮かしウイリー状態になると……ハンドルを手放した。
体をバイクから離し、空中で大の字になって
「 転 身 !! 」
と叫ぶと、ウイリーのまま走り続けていたバイクが突如バラバラになった。
その原型を想像できないほどに細かくなった部品は吸い寄せられるようにライダースーツに張り付いていき、装甲に変わる。タイヤのゴムですら、関節部を守るラバー素材となった。
そうして一呼吸の間に変身を終えると今度は膝を抱えて回転し、勢いそのままにカースの巨体目がけてドロップキックをお見舞いした。
前後を走る車は無く、対向車線は渋滞気味。やや離れた位置に見える黒い巨人、カースが原因だ。
距離が詰まってくると、妙な気配を感じ取ったのかカースがこちらを向く。
女はバイクの前輪を浮かしウイリー状態になると……ハンドルを手放した。
体をバイクから離し、空中で大の字になって
「 転 身 !! 」
と叫ぶと、ウイリーのまま走り続けていたバイクが突如バラバラになった。
その原型を想像できないほどに細かくなった部品は吸い寄せられるようにライダースーツに張り付いていき、装甲に変わる。タイヤのゴムですら、関節部を守るラバー素材となった。
そうして一呼吸の間に変身を終えると今度は膝を抱えて回転し、勢いそのままにカースの巨体目がけてドロップキックをお見舞いした。
726: ◆Nb6gZWlAdvRp 2013/06/22(土) 01:36:17.40 ID:LQBoREBFo
「オ゛ッ」
とカースが声にならない悲鳴と共に吹き飛ぶのを尻目に着地をしっかりと決め、
カミカゼ「覚悟完了、カミカゼ参上!」
ポーズと共にセリフを決める。セリフが響くとどこに隠れていたのやら、そちらこちらから野次馬が現れ「カミカゼー!」と声援をよこす。
もう慣れたものだから、簡単に手だけ振って応えてやると、カースが起き上がるのを確認して臨戦態勢を取る。
起き上がったカースはキッとカミカゼを睨み、
「ハラダタシイィ!」
と叫び横薙ぎに殴りつけた。カミカゼは質量差に負けて5~6メートルほど横に押されたが、攻撃はしっかりと防御している。
横滑りが止まったと見るやカミカゼは飛びかかり、カースの顔面を殴って再び倒れさせる。
とカースが声にならない悲鳴と共に吹き飛ぶのを尻目に着地をしっかりと決め、
カミカゼ「覚悟完了、カミカゼ参上!」
ポーズと共にセリフを決める。セリフが響くとどこに隠れていたのやら、そちらこちらから野次馬が現れ「カミカゼー!」と声援をよこす。
もう慣れたものだから、簡単に手だけ振って応えてやると、カースが起き上がるのを確認して臨戦態勢を取る。
起き上がったカースはキッとカミカゼを睨み、
「ハラダタシイィ!」
と叫び横薙ぎに殴りつけた。カミカゼは質量差に負けて5~6メートルほど横に押されたが、攻撃はしっかりと防御している。
横滑りが止まったと見るやカミカゼは飛びかかり、カースの顔面を殴って再び倒れさせる。
727: ◆Nb6gZWlAdvRp 2013/06/22(土) 01:37:11.72 ID:LQBoREBFo
野次馬からはワッと歓声が挙がるが、直後それらは悲鳴でかき消された。
異変に気付きカミカゼが振り返ると、野次馬のすぐ向こう側に新手のカース、しかもその足元には転倒した親子が居た。
新手の腕がゆっくりと持ち上がる。
カミカゼ「まずい!」
カミカゼは逃げる野次馬に気を付けながら親子の元へ駆ける。しかし先ほどまで相手取っていたカースが起き上がると、一直線にカミカゼに向かう。
カミカゼが親子の元へ辿り着くと、それを待っていたかのようにカースの腕が振り下ろされ、追ってきたカースも追従して腕を振るった。
――ズガン、と衝撃音が響き、静寂が訪れる。
異変に気付きカミカゼが振り返ると、野次馬のすぐ向こう側に新手のカース、しかもその足元には転倒した親子が居た。
新手の腕がゆっくりと持ち上がる。
カミカゼ「まずい!」
カミカゼは逃げる野次馬に気を付けながら親子の元へ駆ける。しかし先ほどまで相手取っていたカースが起き上がると、一直線にカミカゼに向かう。
カミカゼが親子の元へ辿り着くと、それを待っていたかのようにカースの腕が振り下ろされ、追ってきたカースも追従して腕を振るった。
――ズガン、と衝撃音が響き、静寂が訪れる。
728: ◆Nb6gZWlAdvRp 2013/06/22(土) 01:37:42.14 ID:LQBoREBFo
野次馬「カ……カミカゼー!」
カミカゼ「おう、呼んだか?」
悲痛な叫びが木霊するも、あっけなく返事が返ってくる。
カミカゼは両の腕でしっかりと攻撃を受け止めていた。
そしてカースの腕をがっしと掴むとその巨体を軽々と振り回し、二体纏めて斜め上へと放り投げた。
――説明しよう!
カミカゼのスーツに搭載された謎テクは「決死の覚悟」をエネルギーに変えることができる為、窮地に陥るほど強力なパワーを発揮するのだ!
カミカゼは放り投げた二体の落下地点に先回りすると、拳を構える。
――滾る力が拳に集う!
――拳の唸りが風を生む!
カミカゼ「歯ぁ喰いしばれッ! 必殺! スマッシュハリケーン!!!」
カミカゼ「おう、呼んだか?」
悲痛な叫びが木霊するも、あっけなく返事が返ってくる。
カミカゼは両の腕でしっかりと攻撃を受け止めていた。
そしてカースの腕をがっしと掴むとその巨体を軽々と振り回し、二体纏めて斜め上へと放り投げた。
――説明しよう!
カミカゼのスーツに搭載された謎テクは「決死の覚悟」をエネルギーに変えることができる為、窮地に陥るほど強力なパワーを発揮するのだ!
カミカゼは放り投げた二体の落下地点に先回りすると、拳を構える。
――滾る力が拳に集う!
――拳の唸りが風を生む!
カミカゼ「歯ぁ喰いしばれッ! 必殺! スマッシュハリケーン!!!」
729: ◆Nb6gZWlAdvRp 2013/06/22(土) 01:38:18.38 ID:LQBoREBFo
カミカゼ必殺の拳によって錐揉み回転しながら再び打ち上げられた二体のカースは、上空で爆発四散した。
浄化され色を失った核の欠片はキラキラと太陽光を乱反射させながら散り、地表に届くことなく消滅する。
カミカゼは先の親子のところへ行くと、子供の頭にポンと手を置き、
カミカゼ「危ないから見物はこれっきりにしような」
というとわしゃわしゃと少々乱雑に撫でる。
感謝の意を述べる母親に背を向けると、カミカゼは変身を解いて元に戻ったバイクに跨り、ただただ黙って去っていった。
・
・
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浄化され色を失った核の欠片はキラキラと太陽光を乱反射させながら散り、地表に届くことなく消滅する。
カミカゼは先の親子のところへ行くと、子供の頭にポンと手を置き、
カミカゼ「危ないから見物はこれっきりにしような」
というとわしゃわしゃと少々乱雑に撫でる。
感謝の意を述べる母親に背を向けると、カミカゼは変身を解いて元に戻ったバイクに跨り、ただただ黙って去っていった。
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730: ◆Nb6gZWlAdvRp 2013/06/22(土) 01:38:50.24 ID:LQBoREBFo
ライダースーツを脱いでシャワーを浴び、私服に着替えた向井拓海が作業場を訪ねると、既に原田美世はバイクのメンテナンスを始めていた。
美世「お疲れー。今回はダメージ少なかったみたいだね、無事でなにより」
拓海「ばーか、アタシを誰だと思ってるんだよ、たかだか二体くらい余裕だっつーの」
美世「あたしとしては余裕なら無傷で返ってきてほしいんだけどね、あーほらこんなにサスが痛んで」
拓海「毎度思うんだけどよ、どーいう理屈で腕のダメージがサスにくるんだよ」
美世「知らない」
拓海「知らないっておまえ、作ったやつの言うことか?」
美世「だって作業中のことよく覚えてないんだし仕方ないでしょ? メンテはできてるんだから問題なしっ」
拓海「……あーそうかい。おまえがいいならそれでいいや」
美世「お疲れー。今回はダメージ少なかったみたいだね、無事でなにより」
拓海「ばーか、アタシを誰だと思ってるんだよ、たかだか二体くらい余裕だっつーの」
美世「あたしとしては余裕なら無傷で返ってきてほしいんだけどね、あーほらこんなにサスが痛んで」
拓海「毎度思うんだけどよ、どーいう理屈で腕のダメージがサスにくるんだよ」
美世「知らない」
拓海「知らないっておまえ、作ったやつの言うことか?」
美世「だって作業中のことよく覚えてないんだし仕方ないでしょ? メンテはできてるんだから問題なしっ」
拓海「……あーそうかい。おまえがいいならそれでいいや」
731: ◆Nb6gZWlAdvRp 2013/06/22(土) 01:39:19.15 ID:LQBoREBFo
会話を打ち切ると拓海は作業場の端に腰かけ、友人の仕事ぶりを見守る。
突然体が力に目覚めて、点検に預けたバイクを改造されて。なし崩し的に、やけっぱちに始めたヒーロー活動は、どうやら性に合ってたらしい。
いつ終えるともしれないこの生活がいつまでも続けばいいと、拓海は考えていた。
了
――次回予告――
美世「た、拓海! ヒーローに怪我させたって、何やってんの!?
責任取って同盟に加入……アイドル!?
ちょっと、もっかい最初から説明してよ!
あっじ、次回の特攻戦士カミカゼは
『アイドルヒーロー同盟』です!
覚悟、完了!」
※予告なく内容が変更されるおそれがあります
突然体が力に目覚めて、点検に預けたバイクを改造されて。なし崩し的に、やけっぱちに始めたヒーロー活動は、どうやら性に合ってたらしい。
いつ終えるともしれないこの生活がいつまでも続けばいいと、拓海は考えていた。
了
――次回予告――
美世「た、拓海! ヒーローに怪我させたって、何やってんの!?
責任取って同盟に加入……アイドル!?
ちょっと、もっかい最初から説明してよ!
あっじ、次回の特攻戦士カミカゼは
『アイドルヒーロー同盟』です!
覚悟、完了!」
※予告なく内容が変更されるおそれがあります
732: @検索 ◆Nb6gZWlAdvRp 2013/06/22(土) 01:40:54.04 ID:LQBoREBFo
向井拓海(18)
所属:学生→アイドルヒーロー同盟(予定)
属性:特撮系変身ヒーロー
能力:肉体強化(常時)
美世に魔改造された謎テクバイクによってカミカゼに変身するヒーロー。
欲望に任せ最低限のルールすら守れない悪党が気に入らないらしく、スジを通してやる!と割とノリノリで戦う。
能力は頑丈さや筋力など、総合的に人並み外れた領域に押し上げられるというもので、力に目覚めてからしばらくはコップを持つのも一苦労だったが、現在では箸で煎り豆を摘むことも容易い。
力に目覚めたのは抗争に美世を巻き込んでしまったのがきっかけで、人質となった美世の安全と引き換えに一方的に殴られていた最中、殴った木刀が折れる、パイプが曲がるといった事態が起こり能力が発覚。相手は恐れて逃げた。
カミカゼ
「決死の覚悟」をエネルギー源として戦う、ピンチはチャンスを地でいくヒーロー。
その特性上相手が強いほど強くなるため、秘めた実力は未知数。
制作者であるはずの美世ですら謎テクの原理を説明できない、そもそも改造中の記憶があやふやになっているなど、不審な点もある。
漢気溢れる戦い方とメカニカルかつタイトなスーツで一般男性の心を鷲掴みにしているが、本人に自覚は無い。
原田美世(20)
所属:整備工→アイドルヒーロー同盟(予定)
属性:一般人(?)
能力:無し
趣味が高じて車と付くなら三輪車から電車まで直せるようになったという変態的才能を持つメカニック。
拓海のバイクを点検している最中に図面が浮かび、気づいたら魔改造を終えていた。当然こっぴどく怒られたのだがあまり反省していない。
拓海とは旧知の仲で、人質にされちゃう程度には親しい。
カミカゼの戦闘スタイル故に心配が絶えず、メンテナンスに追われる日々を送る。
所属:学生→アイドルヒーロー同盟(予定)
属性:特撮系変身ヒーロー
能力:肉体強化(常時)
美世に魔改造された謎テクバイクによってカミカゼに変身するヒーロー。
欲望に任せ最低限のルールすら守れない悪党が気に入らないらしく、スジを通してやる!と割とノリノリで戦う。
能力は頑丈さや筋力など、総合的に人並み外れた領域に押し上げられるというもので、力に目覚めてからしばらくはコップを持つのも一苦労だったが、現在では箸で煎り豆を摘むことも容易い。
力に目覚めたのは抗争に美世を巻き込んでしまったのがきっかけで、人質となった美世の安全と引き換えに一方的に殴られていた最中、殴った木刀が折れる、パイプが曲がるといった事態が起こり能力が発覚。相手は恐れて逃げた。
カミカゼ
「決死の覚悟」をエネルギー源として戦う、ピンチはチャンスを地でいくヒーロー。
その特性上相手が強いほど強くなるため、秘めた実力は未知数。
制作者であるはずの美世ですら謎テクの原理を説明できない、そもそも改造中の記憶があやふやになっているなど、不審な点もある。
漢気溢れる戦い方とメカニカルかつタイトなスーツで一般男性の心を鷲掴みにしているが、本人に自覚は無い。
原田美世(20)
所属:整備工→アイドルヒーロー同盟(予定)
属性:一般人(?)
能力:無し
趣味が高じて車と付くなら三輪車から電車まで直せるようになったという変態的才能を持つメカニック。
拓海のバイクを点検している最中に図面が浮かび、気づいたら魔改造を終えていた。当然こっぴどく怒られたのだがあまり反省していない。
拓海とは旧知の仲で、人質にされちゃう程度には親しい。
カミカゼの戦闘スタイル故に心配が絶えず、メンテナンスに追われる日々を送る。
733: ◆Nb6gZWlAdvRp 2013/06/22(土) 01:42:20.99 ID:LQBoREBFo
投下しゅーりょー
光あたりカミカゼのファンだと思う。
俺、寝て起きて仕事したらG3の続きを書きためるんだ…
光あたりカミカゼのファンだと思う。
俺、寝て起きて仕事したらG3の続きを書きためるんだ…
738: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/22(土) 03:41:46.18 ID:lp+FxFFso
薫ちゃん書けた
『プロダクション』と蘭子昼子の設定をお借りしています。
『プロダクション』と蘭子昼子の設定をお借りしています。
739: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/22(土) 03:42:45.33 ID:lp+FxFFso
その昔……魔界において、覇権を巡る大きな争いがあった。
魔王率いる魔の血族と、竜王率いる竜の眷属との全面戦争である。
血で血を洗う終わりの見えない戦いは、最終的に魔族の勝利に終わるのだが……
これは、その戦争の末期のお話。
740: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/22(土) 03:43:54.59 ID:lp+FxFFso
小山のように巨大な生物の亡骸の前に、見るからに威厳を纏った男が立っている。
男は殺気を込めて口を開いた。
魔王「貴様達の拠り所である竜王も、もはやいなくなった」
魔王「竜の妃よ、其の種族……竜族は死に絶える運命なのだ」
竜の妃と呼ばれたこれまた巨大な生物は、自らの運命を悟りながらも毅然として言い放つ。
竜妃「我らは何物にも屈することはない、魔王が相手であっても」
魔王「……ならば、なぜ抗おうとしない?」
竜妃「竜王をも滅ぼすその力の前には、我は無力であろう……」
魔王「ほう……なかなか、潔いではないか」
竜妃「しかし、例え我らが滅びようとも、希望は残されている……」
魔王「何だと?」
魔王が竜妃の周囲を見渡すと、その足元に小さな竜を見つける。
竜妃「魔王といえど、我が子に手出しはさせない……この身にかえても!」
魔王「(我が子……だと?)」
『父上!』
魔王の脳裏に、一人娘の姿が去来する。
いかな魔王といえど、宿敵とはいえ幼子を手にかけるのは忍びないのだ。
741: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/22(土) 03:45:20.71 ID:lp+FxFFso
魔王「……チッ」
魔王「いいだろう……せめて苦しまぬよう、我が最大の魔術をもって一撃で仕留めてやろう!!」
魔王「母子共々な!!」ゴゴゴゴ
魔王が呪文の詠唱を始める。
魔術の発動まで、そう長くはかからないだろう。
竜妃「(どうやら……ここまでのようね)」
竜妃「(我が子よ、貴方には何もしてあげられなかった……ごめんなさい)」
竜妃「(せめてこの子には、平穏で健やかな未来を過ごして欲しい)」
竜妃「竜の神よ……我が祈り、聞き届けたまえ!!」
魔王「これで終わりだ! 闇に飲まれよ!!」
魔王の魔術と、竜妃の魔法の発動はほぼ同時だった。
742: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/22(土) 03:46:33.52 ID:lp+FxFFso
───────────────────────────────
時は流れて、現代・人間界
「えーっと……『プロダクション』の電話番号は……名刺……あったあった」
歳の頃は5~60くらいの白衣姿の男性が、どこかに電話をかけている。
ちひろ『お電話ありがとうございます、プロダクション事務員、千川でございます』
「あ、私、龍崎と申しますが、社長さんはおいででしょうか?」
ちひろ『龍崎って……あの龍崎博士ですか?』
白衣の男性は、龍崎と名乗った。
通話相手の反応からすると、割と名のある人間らしい。
博士「そんな風に呼ばれることもありますね」ハハハ
ちひろ『社長からお話は伺っております、ただいまお繋ぎしますね』
博士「お願いします」
社長『やあ、久しいね、私に連絡してくるということは、例の子の話かな?』
博士「うむ、今日にでも連れていこうと思うのだが、大丈夫かね?」
社長『構わないよ、プロデューサーにも伝えておこう』
博士「(プロデューサー……?)」
博士「それでは、昼過ぎにでも訪ねるよ」
社長『わかった、また後ほど』ピッ
743: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/22(土) 03:47:47.26 ID:lp+FxFFso
博士「薫! 薫ー!? お出かけするぞー!」
薫「お出かけ? お出かけするの?」ヒョコッ
博士が呼びかけると、10歳くらいの女の子がどこからともなく現れた。
博士「うむ、私の古い友人の所にな、薫も出かける準備をしなさい」
薫「わかった! えへへ! せんせぇとお出かけ楽しみだな!」
薫と呼ばれた少女は、博士との外出に期待を膨らませていらしい。
傍目から見れば仲の良い祖父と孫の様にも見える。
博士「それでは、そろそろ出ようか」
744: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/22(土) 03:48:56.27 ID:lp+FxFFso
──『プロダクション』に向かう道中──
博士「(薫を拾い、育て始めてしばらく経ったが……)」チラッ
薫「……」
博士「(私にも大分懐いてくれているようだ)」
薫「……?」キョトン
博士「(娘か孫がいるということは、このような感じなのだろうか)」ナデナデ
薫「!」エヘヘ
博士「(どうか、薫にはこのまま平穏に過ごしてもらいたいものだ……)」
そんなことを考えながら道を歩いていると、突然前方の地面から黒い塊が湧き上がった。
二人が咄嗟の出来事に驚いている間に黒い塊はますます高く盛り上がっていく。
博士「な……アイツは……!?」
薫「せんせぇ……あれ、なに?」
博士「(あれは……間違いない、あの日以来現れるようになったという、カースと呼ばれている化け物だ)」
745: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/22(土) 03:49:56.15 ID:lp+FxFFso
山高く盛り上がったカースは、獲物が居ないかと周囲を探る。
すると、数十メートル先に二人の人間を見つけた。
まだ小さい子供と既に若くはないであろう男……反撃の心配も無さそうだ。
博士「薫! 逃げなさい!! ……ぐああっ!!」
カースが枝分かれさせた自身の体を腕のように伸ばし、博士の体を捕らえた。
薫「せんせえ!!」
博士「ぐっ……薫、逃げるんだ……早く!」
薫「やだ! やだよ!! せんせえも一緒ににげるの!!」
博士「薫……言うことを……聞きなさい!」
薫「いやだあ!!」
薫が叫び声を上げると、辺りが暗くなり始めた。
上空にはいつの間にか、暗雲が立ち込めている。
746: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/22(土) 03:51:22.69 ID:lp+FxFFso
博士「(空が……荒れてきた!?)」
博士「(まずい……薫の力が暴走しかけている……このままでは……ッ!)」
博士「薫……いかん、その力を使っては……ダメだ!」
カースの腕により一層締め上げられながらも、博士は薫に呼びかける。
薫「いきなりでてきてなんなの! このバケモノ!!」
薫は、突如現れた目の前の不条理に対して怒りをぶつける。
その声に呼応するかのように暗雲から火の玉が降り注ぐ。
博士「ダメだ、薫……それ以上は……!!」
博士は力を振り絞って薫に呼びかけるが、その声は届いていないようだ。
薫「かえしてよ……!」
薫「せんせえをかえして!!」
薫の叫びとともに天上から降ってきた一際大きな火球が、カースを直撃する。
直後、辺りは爆炎に包まれた。
747: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/22(土) 03:52:32.17 ID:lp+FxFFso
──その頃・とある中学校──
蘭子「最近は平和だねー」
昼子「まったく、つまらん限りだ」
蘭子「(世界征服するなら昼子ちゃんの方から平和を乱すくらいしないとダメなんじゃないのかな?)」
ザワ.......ザワ.......
「何アレー?」
「なんか、向こうの方暗くない? 雨雲?」
昼子「なんだ? 人間どもが騒々しいぞ」
蘭子「昼子ちゃん、あっちの方の空、すごく暗くなってる……なんだか不気味だね」
748: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/22(土) 03:53:28.53 ID:lp+FxFFso
昼子「!? なっ……これは!!」
突然、ブリュンヒルデが大声を上げる。
蘭子は彼女がこのように取り乱す姿を今まで見たことが無かったため驚いた。
蘭子「ど、どうしたの?」
昼子「この魔力の波形……まさかそんな……あり得ぬ!」
そういうとブリュンヒルデは窓から身を乗り出し、暗雲の立ち込める方へ飛び去ってしまった。
蘭子「あっ! 昼子ちゃん、待ってよー!」
「昼子も蘭子どこいくの? もうお昼休み終わるよー?」
蘭子「私達今日は早退しまーす!」トテトテ
「ええーっ!?」
749: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/22(土) 03:54:45.25 ID:lp+FxFFso
カースが出現した周辺に立ち込めていた爆炎が晴れると、そこにはカースの姿は無かった。
本体のドロドロや核を含め、まるごと消滅してしまったらしい。
カースの腕から解放された博士は、よろめきながらも立ち上がると、薫のもとへ近づく。
博士「(今回は、薫に助けられたな……)」
博士「薫……大丈夫か? 立てるか?」
薫「うん……せんせぇも……大丈夫?」
博士「(カースに襲われたからか、あるいは力を解放したのが原因か)」
博士「(かなりショックを受けているようだな)」
博士「私はなんともないよ、さあ、行こう」
実際には体中の骨が軋んで鈍い痛みがあるが、顔には出さない。
薫をこれ以上不安にさせるようなことは控えたかった。
博士「(そろそろ野次馬が集まってくるだろう)」
博士「(能力を持たない爺と子供がカースを倒したと知れれば、厄介なことになりかねん)」
その筋の連中に見つかれば、根掘り葉掘り聞かれることになるだろう。
いかに珍妙不可思議な出来事が多発する世の中とはいえ、薫の正体はできれば隠しておきたかった。
750: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/22(土) 03:55:58.66 ID:lp+FxFFso
昼子「そこの人間ども、待て」
博士「!?」
突然背後から話しかけられ、肝を冷やす。
振り返るとそこには、10代半ばくらいの少女が立っていた。
博士「何か御用ですかな? お嬢さん」
少女のただならぬ雰囲気にのまれながらも、平静を装い対応する。
昼子「先ほどこのあたりで竜言語魔法の発動を感知した……行使したのはどちらだ?」
博士「(なんだ……? この娘は何を言っているのだ)」
少女は二人をねめつけると、おもむろに薫の方に近寄る。
昼子「なるほど……貴様か」
薫「……なあに? おねえちゃん」
昼子「人間に擬態するなどと……小癪な真似を!」ギリッ
薫「!?」ゾクッ
751: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/22(土) 03:56:47.38 ID:lp+FxFFso
博士「ま、待て! 薫に何をするつもりだ!」
昼子「薫……だと……? フン」
博士が薫を庇い身を乗り出すと、ブリュンヒルデは鼻で笑った。
昼子「人間よ、これは我が魔族とこの小娘、竜族の間の問題である、貴様らには関わり合いの無い事」
博士「魔族と竜族……? 君は!? この子のことを知っているのか!?」
昼子「何……? 貴様はこの娘の正体を知らないのか?」チラッ
薫「……」ビクビク
752: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/22(土) 03:58:08.23 ID:lp+FxFFso
ブリュンヒルデが薫に目をやると、博士の後ろで縮こまっている姿が目に入った。
自分の知っている竜族の姿とは似ても似つかない。
昼子「娘よ……貴様は竜族ではないのか?」
昼子「人間の後ろに隠れて怯えているなどと、恥ずかしくはないのか!」
薫「知らない! かおるは、おねえちゃんがなに言ってるのか全然わかんないよっ!」
昼子「白を切る気か、ならば先ほどの魔法は何だというのだ?」
薫「知らないよっ! かおるにも……わかんないよぅ」グスッ
昼子「……」
蘭子「昼子ちゃん! 何してるの!?」
ブリュンヒルデを追いかけてきた蘭子が飛び出してくる。
昼子「(蘭子か……手出しは無用!)」
ブリュンヒルデは念話で蘭子を制する。
蘭子「手出し無用って、こんな小さい子相手に、何言ってるの!」
昼子「(こやつは普通の人間ではない、我が魔族の宿敵である竜族の娘だ)」
蘭子「普通の人間じゃないって……そんな……」
753: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/22(土) 03:59:03.96 ID:lp+FxFFso
薫「うぅ……グスッ……ヒック」
蘭子「な、泣いちゃってるよ、この子!」
蘭子「宿敵とかよく分からないけど、小さい子を泣かせたらダメだよ!」
昼子「(この様子だとこの娘、本当に己の出自を知らないらしいな……)」
昼子「フン……興が醒めたわ」
蘭子「……」
昼子「竜族の娘よ、貴様には我が真名を教えておいてやる」
昼子「貴様ら竜族を滅ぼせし偉大なる魔王の一人娘! 悪姫ブリュンヒルデである!」
昼子「貴様が一族の仇を討とうというのであれば、いつでも相手になろう」
ブリュンヒルデは一方的にそう告げると、蘭子を連れて飛び去った。
博士は彼女の破天荒ぶりに呆気にとられていたが、思考が回復すると
薫の正体についてもう少し聞き出しておくべきだったと悔やむのだった。
754: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/22(土) 04:00:06.31 ID:lp+FxFFso
──プロダクション・応接室──
博士は『プロダクション』に着くなり社長を呼び出し、今まであった出来事を話した。
ピィ「その黒雲はここからも見えましたよ、かなりの規模の魔法だったみたいですね」
『プロダクション』所属の『プロデューサー』、ピィが相槌を打つ。
彼も社長から薫の話を聞いていたため、すんなりと会話に入ってくる。
社長「しかし、魔族と竜族とは……あの日以来不思議な出来事には事欠かないが、まるでおとぎ話ではないかね」
博士「薫は拾った当初は確かに、おとぎ話に出てくるドラゴンの姿そのものだった」
博士「詳しいことは分からないが、この我々が生活している世界とは別の世界……」
博士「魔族というくらいだから、そうだな……魔界と呼ばれるような場所から来たのではないかと、私は考えている」
人間界には古くから黒魔術と呼ばれる類の、悪魔召喚だの降霊術だのと言った怪しい行為は存在していた。
それらがインチキではなく、本当に異世界から異形の物を呼び出す方法であったとすれば
薫や、先ほどのブリュンヒルデの正体も納得できるというものだ。
755: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/22(土) 04:01:02.44 ID:lp+FxFFso
ピィ「その、薫ちゃんですけど、我が『プロダクション』に所属してもらうということで」
ピィ「よろしいですか?」
博士「ここには、『能力者』や、人とは似て非なる存在が多く集まっていると聞いている」
博士「薫もまた、人ではない存在だ……彼女が人間界で暮らしていけるかと言われると、難しいだろう」
博士「人間界で孤立するよりは、近しい境遇の者が集まるここで保護してもらった方が彼女のためになると思うのだ」
ピィ「なるほど……わかりました、ただ、最終的には彼女の意思を尊重する形になると思います」
博士「うむ……」
社長「ところで、その薫ちゃんは今どこにいるのかね?」
ピィ「えっと……周子と美玲に見てもらってますが……」
ピィがそう説明すると建物内が衝撃音とともに大きく揺れた。
ピィ社長博士「な、何事だ!?」
756: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/22(土) 04:01:55.05 ID:lp+FxFFso
──その少し前──
薫は『プロダクション』所属の妖怪二人、塩見周子・早坂美玲と喋っていた。
周子「あたしは周子、それで、こっちの小っちゃいのが」
美玲「ウチは小っちゃくないぞ! あー、ウチは美玲だ」
薫「しゅーこさんにみれいさんだね!」
薫「かおるは、かおるだよーっ!」
周子「あはは、元気がいいね、子供はそうでないとねー」
美玲「ピィから聞いたんだけど、かおるも変身できるんだって?」
薫「うーんと……かおるにはよくわからないんだけど、今のかおるのほうが、ほんとうの姿とは違うんだって」
薫「かおるのほんとうの姿は『りゅう』っていうらしいよ」
周子「龍?」
美玲「ふーん、なんだかよくわからないな」
周子「……」
757: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/22(土) 04:02:41.38 ID:lp+FxFFso
周子「ねーえ? 薫ちゃん?」
薫の『りゅう』という単語に興味を持った周子が問いかける。
薫「なあに?」
周子「ちょっと、変身してみせてよ」
薫「あ、えっと……せんせぇから、変身しちゃダメだーって言われてるの……」
周子「先生って、薫ちゃんを連れてきたおじさんのこと?」
薫「うん、せんせぇはね、すっごく優しいんだよ! だけど、怒ると怖いの」
薫「それに、『こーそくぐ』を使って、かおるが変身できないようにしてあるんだって」
周子「拘束具……?」
薫「この髪留めがそうなんだって、これを外さないと変身できないようにしてあるってせんせぇが言ってた」
周子「なるほどねえ……」
周子「ねえ、あたしがそれ外してあげるからさ、ちょっとだけ変身してみない?」
薫「え……? でもこれ、全然外れないよ? かおるもすこーしだけ、ためしたことあるんだ」
周子「大丈夫大丈夫! あたしこう見えても力持ちだから!」
周子「(それに、魔力的な物で封印されてたとしても、簡単に破れるだろうし)」
薫「うーん……少しだけなら、大丈夫かなあ……怒られないかな」
周子「もし怒られそうになったら、あたしも一緒に謝るからさ!」
美玲「ウチは知らないぞー……」
758: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/22(土) 04:03:20.80 ID:lp+FxFFso
薫「じゃあ……はい、おねがいします」
そう言うと薫は周子に頭を差し出す。
周子は恐る恐る薫の髪留めに手をかける。
周子「ん……外れたよ?」
薫「ほんとだ! じゃあ、いくよー?」
薫は気合いを入れると、全身を力ませる。
本能的に、竜の力の呼び出し方を知っているようだ。
薫「んんんんんんん! えいっ!!」カッ!
どんがらがっしゃーん!!
周子「」
美玲「」
759: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/22(土) 04:05:48.50 ID:lp+FxFFso
竜の姿に戻った薫は、部屋に入りきらないほどに大きく、予想以上の出来事に周子と美玲の2人は呆然とする他無かった。
薫(竜)「どう? かおる、変身した?」
周子「」
美玲「」
薫(竜)「あれ? おねえちゃんたち、どうしたの?」
周子「ふっ、あは、あはははは」
周子「こりゃー驚いた! 長年生きてきたけど、あなたみたいな妖怪見たことないわ!」ケラケラ
美玲「」ガクガクブルブル
薫(竜)「かおるはようかいじゃないよ? りゅうだって!」
周子「あたしの想像してた龍は、もっとこう細っこくてにょろにょろしてるヤツだったんだけど」アハハ
周子は今まで見たことの無い存在を前に、知らず大笑いをしていた。
美玲はというと、突然目の前に巨大な生き物が現れ、本能的に恐怖してるらしい。
760: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/22(土) 04:06:38.93 ID:lp+FxFFso
博士「か、薫!! なんで竜の姿に戻っているんだ!!」
薫たちの居る部屋に血相を変えて博士と他二名が飛び込んできた。
薫(竜)「あ……せんせぇ……」
博士「その姿にはなっちゃいかんと、あれほど言って聞かせただろうに!」
薫(竜)「うぅ……ごめんなさい」シュン
博士に叱られている薫を庇うように周子が口を開く。
周子「あー、すみません、博士……あたしが焚き付けたんです」
社長「やっぱり周子くんの仕業かね! 勘弁しておくれよ君ィ……」
ピィ「(これは……修繕費が……ちひろさん爆発するぞ……)」
博士「あぁ、二人とも申し訳ない……弁償はさせてもらう」
ピィ「いえいえそんな! 周子に働いて返して貰うので結構ですよ!」
周子「oh.......」
761: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/22(土) 04:07:45.54 ID:lp+FxFFso
博士「ところで薫、その姿からどうやって戻るつもりだ?」
薫(竜)「あ……」サーッ
ピィ社長周子「えっ?」
博士の発言を聞いて他の人間も思わず耳を疑う。
博士「お前にかかっていた変身魔法は、イヴさんに手伝ってもらったということを忘れたわけではあるまい」
薫(竜)「(やっちゃった……)」
ピィ「えっと……薫ちゃんて、もしかして」
社長「自分で自由に姿を変えられるわけじゃない……?」
博士「恥ずかしながら……」
ピィ社長「(マジかよ……)」
博士「仕方ない……薫は部屋に嵌って動けないし、彼女の方に来てもらうしかあるまいな」ポパピプペー
───────────────
────────
───
762: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/22(土) 04:08:54.25 ID:lp+FxFFso
──薫は無事に人型に戻れました──
博士「いやはや、二人とも申し訳なかった……」
ピィ「過ぎたことです、薫ちゃんも元に戻れましたし、万事OKですよ」
社長「うむ、その通りだ」
社長「しかし、当の本人が寝付いてしまったが……例の話はどうするかね?」
薫は竜化で疲弊したのか、ぐっすりと寝息を立てている。
それでなくても今日は色々あったのだ、起こすのは忍びない。
博士「そうだな……今日のところは、一旦お暇させて頂こうかね」
ピィ「それがいいでしょう、薫ちゃんも、今から話しても急なことで驚いてしまうでしょうし」
社長「我々はいつでも歓迎するよ、また来たまえ」
博士「うむ、ありがとう……いずれまた頼りに来るよ」
博士「(薫と、魔族とやらの関係も、調べねばならなくなったしな)」
博士「(もう少し、薫と共に生活するのも、悪くはないだろう……)」
763: @設定 ◆lhyaSqoHV6 2013/06/22(土) 04:12:33.64 ID:lp+FxFFso
※竜族
太古の昔、魔界において魔族と共に二大勢力として繁栄していた種族。
悪魔と並び人間界の神話や伝承に多く出てくるところからも、当時の勢力の規模が伺える。
魔族との戦争に敗れて以降は減少の一途を辿り、現代では両手で数えられるほどしか残っていないらしい。
※竜言語魔法
竜族の用いる魔法のような力。
便宜上魔法と呼んでいるが、その体系は魔法とも魔術とも全く異なる。
竜が口から炎や氷、雷を吐き出すのは物理的な物ではなく、
自らの魔力を言霊によって具現化しているものらしい。
高位の竜が行使する力は天災に匹敵するほどの威力を持っている。
龍崎薫(人間に換算すると9歳)
かつて魔界の覇権を巡り魔族と争った竜族の生き残り。
母竜が今際の際に使用した時空転移魔法により現代の人間界に飛ばされる。
時空転移の影響により、魔界に居た当時の記憶を失ってしまっている。
普段は変身魔法により、9歳くらいの人間の女児の姿をしているが、本来の姿はいわゆるドラゴンである。
龍崎博士の開発した髪留め型拘束具により、本来の姿に戻ったり、竜族としての力の行使を制限されているが、
感情が爆発するなどして拘束具のキャパシティ以上の魔力が溢れた際には、力が暴発してしまうことも。
龍崎博士(初老男性)
世界が変わった丁度その日に、庭先で倒れていた未知の生物『竜』を保護する。
研究対象として育てていたが情が移ってしまい、薫という名を与え実の子のように接するようになった。
研究過程で竜族の持つ強大な力を目の当たりにし、薫の処遇に悩むが、
『あの日』以来、薫以上に不可思議でより危険な存在が続々現れるために開き直り、考えることをやめた。
ちなみに、知人の大半が「先生」と呼ぶため、薫からの呼び方にもそれが現れている。
764: ◆lhyaSqoHV6 2013/06/22(土) 04:16:24.05 ID:lp+FxFFso
投下終了です
竜言語魔法って単語を出したいがために書きました
設定は某スゥームをパクr……インスパイアしたらしい
薫と出会う直前くらいから話を考えていたけど、薫の名前の由来を思いつかなかったので書けてない
誰かそれらしいアイデアを下さい…
あとブリュンヒルデの母云々てあったから魔王は男ってことにしたけど問題ないですかね?
竜言語魔法って単語を出したいがために書きました
設定は某スゥームをパクr……インスパイアしたらしい
薫と出会う直前くらいから話を考えていたけど、薫の名前の由来を思いつかなかったので書けてない
誰かそれらしいアイデアを下さい…
あとブリュンヒルデの母云々てあったから魔王は男ってことにしたけど問題ないですかね?
770: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/22(土) 07:36:53.34 ID:dreWztSk0
村上巴は朝から気分は最悪だった。
朝だからとか、乃々が相変わらずだからとか、ましてや通ってる学校でしょうもない事してるロボのせいでもない。
蘭子「巴ちゃん。おはよう」
昼子「フン、煩わしい太陽ね。巴。何か不機嫌そうね?」
あやめ「おはようございます。巴」
巴「おはようさん。蘭子先輩に昼子先輩にあやめ先輩」
三人に気づき頭を下げ思い挨拶をした。
朝だからとか、乃々が相変わらずだからとか、ましてや通ってる学校でしょうもない事してるロボのせいでもない。
蘭子「巴ちゃん。おはよう」
昼子「フン、煩わしい太陽ね。巴。何か不機嫌そうね?」
あやめ「おはようございます。巴」
巴「おはようさん。蘭子先輩に昼子先輩にあやめ先輩」
三人に気づき頭を下げ思い挨拶をした。
771: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/22(土) 07:38:09.88 ID:dreWztSk0
神崎蘭子と神崎昼子と浜口あやめは、巴が通う中学の先輩だ。
なんで仲良くなったのかは、この際おいて置いて、こうして通学路でよく会い学校まで話すのは日頃の日課でもある。
この学校の生徒達は自分が極道一家の娘としても気にせず接してくれる。
まあ、謎の忍者やヘンテコロボ。最近では悪魔みたいなヒーローがいるし、この異常が当たり前になった時代だ。
ヤクザなんかカワイイものであるが。
なんで仲良くなったのかは、この際おいて置いて、こうして通学路でよく会い学校まで話すのは日頃の日課でもある。
この学校の生徒達は自分が極道一家の娘としても気にせず接してくれる。
まあ、謎の忍者やヘンテコロボ。最近では悪魔みたいなヒーローがいるし、この異常が当たり前になった時代だ。
ヤクザなんかカワイイものであるが。
772: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/22(土) 07:39:48.09 ID:dreWztSk0
巴「対したことじゃないけえ、大丈夫じゃけん」
蘭子「けど、元気ないよ?」
昼子「うむ。何を隠してるか知らないが、この我には隠し事は通じないぞ?」
あやめ「そうです。困ってることがあるならいってください」
巴「……あそこの樹とそこの家の角と後ろの曲がり角…見てみい?」
蘭子「えっ?どこどこ?」
昼子「さっきからこちらを見ている人達ね。それがどうした?」
あやめ「怪しい人達ですね。わたくしが誰か呼んできましょうか?」
よく見ると、黒い服サングラスをかけたいかにも怪しい連中が、巴が指摘した場所にばれないように隠れていた。
巴「心配すなや……うちの若い衆じゃ」
溜息を履きながら、そうもらした。
「「「はい?」」」
コレには訳があった。
蘭子「けど、元気ないよ?」
昼子「うむ。何を隠してるか知らないが、この我には隠し事は通じないぞ?」
あやめ「そうです。困ってることがあるならいってください」
巴「……あそこの樹とそこの家の角と後ろの曲がり角…見てみい?」
蘭子「えっ?どこどこ?」
昼子「さっきからこちらを見ている人達ね。それがどうした?」
あやめ「怪しい人達ですね。わたくしが誰か呼んできましょうか?」
よく見ると、黒い服サングラスをかけたいかにも怪しい連中が、巴が指摘した場所にばれないように隠れていた。
巴「心配すなや……うちの若い衆じゃ」
溜息を履きながら、そうもらした。
「「「はい?」」」
コレには訳があった。
773: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/22(土) 07:41:34.02 ID:dreWztSk0
遡る事、一昨日の夜。
???「……今日、おんしらを呼んだのには訳がある」
何処かの古い武家屋敷。
そこの奥の間で、イカにもゴツく悪そうな連中が集まっていた。
片目に切り傷がある悪人面のボス格の男が、真剣な表情で場に集まった男達を見据えていた。
「それで、用件とは?」
一人の男が緊張した面持ちで、理由を問いた、
???「実はのう…………」
ゴクリッ…
場にいる全員が息を飲む。果たして、どんな事が言われるのか?
ついに抗争をしかけるのか?それとも何か大きな組織と取引をするのか?
そう場にいる全員が息を飲む。
???「……今日、おんしらを呼んだのには訳がある」
何処かの古い武家屋敷。
そこの奥の間で、イカにもゴツく悪そうな連中が集まっていた。
片目に切り傷がある悪人面のボス格の男が、真剣な表情で場に集まった男達を見据えていた。
「それで、用件とは?」
一人の男が緊張した面持ちで、理由を問いた、
???「実はのう…………」
ゴクリッ…
場にいる全員が息を飲む。果たして、どんな事が言われるのか?
ついに抗争をしかけるのか?それとも何か大きな組織と取引をするのか?
そう場にいる全員が息を飲む。
774: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/22(土) 07:42:43.85 ID:dreWztSk0
組長「巴が最近、つめたいんじゃぁぁぁぁぁぁぁぉぁ!!!!!」オロローン
775: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/22(土) 07:44:06.67 ID:dreWztSk0
「「「「………はい?」」」」
…………そう。ここはナチュルアースこと村上巴の家。村上組の屋敷である。
そして、彼こそ村上巴の父親にして村上組の組長である。
…………そう。ここはナチュルアースこと村上巴の家。村上組の屋敷である。
そして、彼こそ村上巴の父親にして村上組の組長である。
776: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/22(土) 07:45:05.49 ID:dreWztSk0
一瞬の沈黙のあと、若頭がおそるおそる手をあげた。
「えっ………と、親父。お嬢も中学生ですよ?思春期も真っ盛りだかr」
バカ親父「それでもワシは寂しいんじゃぁっ!!なんかワシに内緒で出掛けたり、帰りが遅かったりワシは心配じゃけんのぅ!」
「それって、彼氏がでk」
「おい、馬鹿。やめっ」
馬鹿親父「あぁっん!?巴に彼氏じゃあぁぁぁぁぁぁあ!?そんな馬鹿は指つめさせて、コンクリ流して、海に捨てといたるっ!うちの巴に手を出すようなアホンダラはワシが許せんっ!!!!!」
そして、だいの親馬鹿である。
組員たちもまた始まった。とか、嫌な予感がするな。とか、心の中で思っていると。
ダメ親父「というわけで、おんしら明日から巴を一日監視せい!!!彼氏なんかおったらワシが直々に出てやるけえの!!!!!」
この一言が原因で事の発端だった。
「えっ………と、親父。お嬢も中学生ですよ?思春期も真っ盛りだかr」
バカ親父「それでもワシは寂しいんじゃぁっ!!なんかワシに内緒で出掛けたり、帰りが遅かったりワシは心配じゃけんのぅ!」
「それって、彼氏がでk」
「おい、馬鹿。やめっ」
馬鹿親父「あぁっん!?巴に彼氏じゃあぁぁぁぁぁぁあ!?そんな馬鹿は指つめさせて、コンクリ流して、海に捨てといたるっ!うちの巴に手を出すようなアホンダラはワシが許せんっ!!!!!」
そして、だいの親馬鹿である。
組員たちもまた始まった。とか、嫌な予感がするな。とか、心の中で思っていると。
ダメ親父「というわけで、おんしら明日から巴を一日監視せい!!!彼氏なんかおったらワシが直々に出てやるけえの!!!!!」
この一言が原因で事の発端だった。
777: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/22(土) 07:46:55.67 ID:dreWztSk0
もちろん。その声は余りにも大きく、離れにいた巴にも聞こえていたのであった。
778: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/22(土) 07:48:07.35 ID:dreWztSk0
巴「……っていう訳じゃ」
蘭子「それはなんて言うか…」
昼子「我の父上でさえもそうはしない……と思いたいぞ」
あやめ「なんていいますか、それは……」
巴「だから気にすんな。ただの背景と思ってくればそれでええ。」
なんとも言えない親馬鹿に呆れる二人だが、巴が悩んでるのはそこじゃなかった。
巴(親父達にヒーローやってるってバレてしまうけえの……。バレてしまったら何を言われるかわからん。何よりあのフリフリの服を着てる所を見せたくないしのう…)
今はなんとかまいて、隣町のほたると乃々と合流しているが、いつバレるかわからない。
巴「腹をくくるしかないかのう」
蘭子「?……って、早くしないと遅刻しちゃうよ!」
昼子「何?急ぐぞ!蘭子!あやめ!巴!」
あやめ「遅刻はまずいです。いきましょう!」
そう言って慌てて走る三人に、巴も頭をかきながら追いかけるように走って行った。
終わり
蘭子「それはなんて言うか…」
昼子「我の父上でさえもそうはしない……と思いたいぞ」
あやめ「なんていいますか、それは……」
巴「だから気にすんな。ただの背景と思ってくればそれでええ。」
なんとも言えない親馬鹿に呆れる二人だが、巴が悩んでるのはそこじゃなかった。
巴(親父達にヒーローやってるってバレてしまうけえの……。バレてしまったら何を言われるかわからん。何よりあのフリフリの服を着てる所を見せたくないしのう…)
今はなんとかまいて、隣町のほたると乃々と合流しているが、いつバレるかわからない。
巴「腹をくくるしかないかのう」
蘭子「?……って、早くしないと遅刻しちゃうよ!」
昼子「何?急ぐぞ!蘭子!あやめ!巴!」
あやめ「遅刻はまずいです。いきましょう!」
そう言って慌てて走る三人に、巴も頭をかきながら追いかけるように走って行った。
終わり
801: ◆kaGYBvZifE 2013/06/22(土) 15:58:35.59 ID:jNweyzB/0
『異変』の日以来、良くも悪くも、地球は非常に賑やかになった。
闇の力をその身に宿した者、人ならざる者達と契約を交わした者、宇宙からの侵略者。
西に異世界からの来訪者がいれば、東に遠い未来から時を超えてやってきた者達がいる。
北に人の負の感情から生まれた者がいれば、南に突然変異のミュータントがいる。
そして、それらの悪に敢然と立ち向かう正義のヒーロー達がいる。
数え切れないほどの異形と、異能。
相容れぬ正義と悪の死闘。あるいは、正義と正義の摩擦。悪と悪のぶつかり合い。
それまでの常識は消し飛び、秩序が崩壊しかけてもなお、人は変わりつつある世界に順応し、
それぞれの生活を送っている。
そんな終わることのない混乱の只中で、逞しく生きている者もいた。
闇の力をその身に宿した者、人ならざる者達と契約を交わした者、宇宙からの侵略者。
西に異世界からの来訪者がいれば、東に遠い未来から時を超えてやってきた者達がいる。
北に人の負の感情から生まれた者がいれば、南に突然変異のミュータントがいる。
そして、それらの悪に敢然と立ち向かう正義のヒーロー達がいる。
数え切れないほどの異形と、異能。
相容れぬ正義と悪の死闘。あるいは、正義と正義の摩擦。悪と悪のぶつかり合い。
それまでの常識は消し飛び、秩序が崩壊しかけてもなお、人は変わりつつある世界に順応し、
それぞれの生活を送っている。
そんな終わることのない混乱の只中で、逞しく生きている者もいた。
802: ◆kaGYBvZifE 2013/06/22(土) 16:00:22.38 ID:jNweyzB/0
アスファルトの大地が大きな亀裂を走らせ、高層ビルをツタとコケが覆っている。
廃墟さながらの様相を呈する街に住み着いた虫や獣達が、自らの縄張りを主張しながら
気ままに、そして必死に日々を生きている。
やがてこの街にも復興のための作業員と救援物資が投下され、彼らは新たな棲み処を
追われることになるだろうが、そんな未来予想図は彼らの頭の中にはない。
ここを棲み処と定めたのも、今日一日を生存するための最適行動を選択しているにすぎないのだから。
自然界の使徒『ナチュルスター』が力を振るった後は、決まってこのような光景が広がることになる。
侵略者の猛威を食いとめるために自然の精霊が与えた力は、必ずしも人間に都合のいいものではない。
生息圏の拡大と生活環境の整備は人間側の理屈であって、それが精霊達を納得させうるものかどうかは
また別問題なのだ。
同様に、精霊の代弁者であるナチュルスターの行いに人々が必ずしも賛同するかといえば、
それも否であった。
ハッキリと言ってしまえば、いくら侵略者を退治してくれるとはいえ、一般人からすれば
迷惑この上ない話だったのだが……一部にはこの状況に利する者もいた。
例えば、今しがた背の高い草に埋もれた自動車のボンネットをこじ開けている少女がそうである。
廃墟さながらの様相を呈する街に住み着いた虫や獣達が、自らの縄張りを主張しながら
気ままに、そして必死に日々を生きている。
やがてこの街にも復興のための作業員と救援物資が投下され、彼らは新たな棲み処を
追われることになるだろうが、そんな未来予想図は彼らの頭の中にはない。
ここを棲み処と定めたのも、今日一日を生存するための最適行動を選択しているにすぎないのだから。
自然界の使徒『ナチュルスター』が力を振るった後は、決まってこのような光景が広がることになる。
侵略者の猛威を食いとめるために自然の精霊が与えた力は、必ずしも人間に都合のいいものではない。
生息圏の拡大と生活環境の整備は人間側の理屈であって、それが精霊達を納得させうるものかどうかは
また別問題なのだ。
同様に、精霊の代弁者であるナチュルスターの行いに人々が必ずしも賛同するかといえば、
それも否であった。
ハッキリと言ってしまえば、いくら侵略者を退治してくれるとはいえ、一般人からすれば
迷惑この上ない話だったのだが……一部にはこの状況に利する者もいた。
例えば、今しがた背の高い草に埋もれた自動車のボンネットをこじ開けている少女がそうである。
803: ◆kaGYBvZifE 2013/06/22(土) 16:01:01.04 ID:jNweyzB/0
少女は露出したエンジンを一瞥すると、いかにも期待外れだと言いたげな表情を作ってみせた。
特殊偏光グラスの眼鏡越しに見ても、彼女の期待する技術水準には達していなかったからだ。
「う~ん……やっぱり地上人の技術はなー。どうもイマイチ時代遅れ感があるんよね」
口ではそうぼやきつつも、手際良く使えそうな部品は取り外している辺りはちゃっかりしている。
「でもこの部品全部売れたら、とりあえず活動資金には……ふひひ……」
丈夫な麻袋に解体した部品を放り込みながら、少女は取らぬ狸の皮算用に耽る。
地上人に売っても大した金額にはならないかもしれないが、彼女の故郷では別だ。
異邦人の技術を欲しがる好事家などいくらでもいる。
特に軍関係の人間や、暇と金を持て余した貴族連中は上客になりうる。
近頃は地上侵略に乗りだそうなんて話も耳にするし、ひょっとしたら戦争が近いかもしれない。
だとすれば、彼女のビジネスチャンスもグッと拡大する。
危険と収入が正比例する、まさに理想的な状況だと言える。
彼女の名前はアコ。地上では土屋亜子と名乗っている。
地底世界『アンダーワールド』の、スカベンジャー兼行商人。それが彼女の肩書きのすべてであった。
特殊偏光グラスの眼鏡越しに見ても、彼女の期待する技術水準には達していなかったからだ。
「う~ん……やっぱり地上人の技術はなー。どうもイマイチ時代遅れ感があるんよね」
口ではそうぼやきつつも、手際良く使えそうな部品は取り外している辺りはちゃっかりしている。
「でもこの部品全部売れたら、とりあえず活動資金には……ふひひ……」
丈夫な麻袋に解体した部品を放り込みながら、少女は取らぬ狸の皮算用に耽る。
地上人に売っても大した金額にはならないかもしれないが、彼女の故郷では別だ。
異邦人の技術を欲しがる好事家などいくらでもいる。
特に軍関係の人間や、暇と金を持て余した貴族連中は上客になりうる。
近頃は地上侵略に乗りだそうなんて話も耳にするし、ひょっとしたら戦争が近いかもしれない。
だとすれば、彼女のビジネスチャンスもグッと拡大する。
危険と収入が正比例する、まさに理想的な状況だと言える。
彼女の名前はアコ。地上では土屋亜子と名乗っている。
地底世界『アンダーワールド』の、スカベンジャー兼行商人。それが彼女の肩書きのすべてであった。
804: ◆kaGYBvZifE 2013/06/22(土) 16:01:42.63 ID:jNweyzB/0
かつて地上人との戦争に敗れて地底へ逃れた者達の末裔が住まう場所。
それがアンダーワールドである。
アンダーワールドでは地上人の忘れ去った高度なテクノロジーを保全し、来るべき逆襲の日に備えてきた。
いずれは地上に攻め入り、光溢れる地上を取り戻すために。
そうした数千年に渡る技術の蓄積は、アンダーワールドに高度な文明を発達させた。
新技術の開発に余念がない技術者階級の者達は、大量の生産と消費、そして再利用を繰り返した。
そして、そのおこぼれを貰う形で生計を立てているのがスカベンジャーであった。
ジャンクヤードに廃棄された大量のゴミやガラクタを拾い、修理し、彼らに売りつけて金銭を得る。
そうした生活から自然と高い技術力を身に着けるに至っているものの、尊敬される職業ではない。
多くは下層階級出身の者がやる仕事であったし、その例に漏れず、亜子も下層民の出だった。
下層民に特有の気質として、金銭にがめつく上昇志向が強いことが挙げられる。
亜子もいっぱしのスカベンジャーとしてそうしたハングリー精神を忘れたことはなかったし、
ガラクタを安く仕入れて高く売るという商売を天職だと考えていた。
いずれは稼ぎに稼いで貴族の地位を買い、自治領主くらいには出世したいという夢もあった。
その矢先、地上にて『異変』が起きていることを知った。
宇宙人、未来人、異世界人といった異邦人が地球を――より正確に言えば地上を――攻撃している。
それに立ち向かって戦う地上人がいる。
この話を聞いたとき、亜子は飛び上がって喜んだものだった。
それがアンダーワールドである。
アンダーワールドでは地上人の忘れ去った高度なテクノロジーを保全し、来るべき逆襲の日に備えてきた。
いずれは地上に攻め入り、光溢れる地上を取り戻すために。
そうした数千年に渡る技術の蓄積は、アンダーワールドに高度な文明を発達させた。
新技術の開発に余念がない技術者階級の者達は、大量の生産と消費、そして再利用を繰り返した。
そして、そのおこぼれを貰う形で生計を立てているのがスカベンジャーであった。
ジャンクヤードに廃棄された大量のゴミやガラクタを拾い、修理し、彼らに売りつけて金銭を得る。
そうした生活から自然と高い技術力を身に着けるに至っているものの、尊敬される職業ではない。
多くは下層階級出身の者がやる仕事であったし、その例に漏れず、亜子も下層民の出だった。
下層民に特有の気質として、金銭にがめつく上昇志向が強いことが挙げられる。
亜子もいっぱしのスカベンジャーとしてそうしたハングリー精神を忘れたことはなかったし、
ガラクタを安く仕入れて高く売るという商売を天職だと考えていた。
いずれは稼ぎに稼いで貴族の地位を買い、自治領主くらいには出世したいという夢もあった。
その矢先、地上にて『異変』が起きていることを知った。
宇宙人、未来人、異世界人といった異邦人が地球を――より正確に言えば地上を――攻撃している。
それに立ち向かって戦う地上人がいる。
この話を聞いたとき、亜子は飛び上がって喜んだものだった。
805: ◆kaGYBvZifE 2013/06/22(土) 16:02:55.47 ID:jNweyzB/0
地上で戦いが起きている。
つまり、この混乱に乗じて異邦人のテクノロジーを手に入れることができる!
地上に送り込まれているスパイの暗躍によって、地上のテクノロジーはアンダーワールドのそれから
500年は遅れていることが既にわかっている。
無論、それでも地上人の機械を欲しがる好事家は多かったのだが、いわんや地球外の技術である。
金に糸目はつけないという顧客がどれだけいることだろう。
聞くところによれば、魔法を使う者達さえいるという。メルヘンやファンタジーじゃあるまいし!
いてもたってもいられなくなった亜子はすぐさま旅支度を整えると、自分の伝手を惜しみなく使って
役人に多額の賄賂を贈り、地上行きの権利を買ったのであった。
がめつい小役人にずいぶんとふっかけられたが、それを補って余りあるほどのお宝が
この地上世界には溢れていた。
危険ではあったが、それに見合うだけの見返りは確かにあったのだ。
「それに、あの情報にあったお宝を手に入れれば……フヒヒ、一攫千金大逆転やー♪」
そして現在。
亜子はこの緑に覆われた街の捨てられた建物を拠点にしながら、あるものを探している。
それは……
つまり、この混乱に乗じて異邦人のテクノロジーを手に入れることができる!
地上に送り込まれているスパイの暗躍によって、地上のテクノロジーはアンダーワールドのそれから
500年は遅れていることが既にわかっている。
無論、それでも地上人の機械を欲しがる好事家は多かったのだが、いわんや地球外の技術である。
金に糸目はつけないという顧客がどれだけいることだろう。
聞くところによれば、魔法を使う者達さえいるという。メルヘンやファンタジーじゃあるまいし!
いてもたってもいられなくなった亜子はすぐさま旅支度を整えると、自分の伝手を惜しみなく使って
役人に多額の賄賂を贈り、地上行きの権利を買ったのであった。
がめつい小役人にずいぶんとふっかけられたが、それを補って余りあるほどのお宝が
この地上世界には溢れていた。
危険ではあったが、それに見合うだけの見返りは確かにあったのだ。
「それに、あの情報にあったお宝を手に入れれば……フヒヒ、一攫千金大逆転やー♪」
そして現在。
亜子はこの緑に覆われた街の捨てられた建物を拠点にしながら、あるものを探している。
それは……
806: ◆kaGYBvZifE 2013/06/22(土) 16:03:26.52 ID:jNweyzB/0
「亜子ちゃーん!! 言われたのを拾ってきたよーっ!!」
出し抜けに轟いた大音声に、電線にとまっていた鳥達が驚いて一斉に飛び立った。
音源は十数メートル離れた先だが、こんなバカみたいな大声を張り上げる地上人を亜子は他に知らない。
ガラクタの満載された段ボール箱を抱えながら駆け寄ってきた協力者に、亜子は白々しい
作り笑いを向けた。
「お疲れさん、茜。いつもいつもすまんなぁ」
「ううん、大丈夫っ!! これくらいの荷物、いつも部活で運んだりしてるし!」
「いやいや、アタシがこうしてやってけるのは茜のおかげだし。感謝しとるよ」
「えへへ……私も役に立てて嬉しいよ!! なんたって世界平和のためだもんね!!」
そう言って、協力者――日野茜は、真夏の太陽のような笑顔を見せた。
亜子の冬の木枯らしのような空々しい笑みとはまったく対照的なのは、言うまでもなかった。
地上に出てガラクタ拾いをしていた亜子は、この広大な地上でより効率的に活動していくためには
協力者が不可欠であることを知っていた。
しかし、同じアンダーワールド出身者に頼むわけにはいかない。
同業者と手を組んだところで背中から撃たれるかもしれないし、警察や役人に見つかっても面倒な
ことになる。自分はあくまでも非合法な手順と手段でもって地上に来たのだから。
となれば、亜子が「バカそうな現地民を騙して利用しよう」という結論に至るのも無理からぬことだった。
出し抜けに轟いた大音声に、電線にとまっていた鳥達が驚いて一斉に飛び立った。
音源は十数メートル離れた先だが、こんなバカみたいな大声を張り上げる地上人を亜子は他に知らない。
ガラクタの満載された段ボール箱を抱えながら駆け寄ってきた協力者に、亜子は白々しい
作り笑いを向けた。
「お疲れさん、茜。いつもいつもすまんなぁ」
「ううん、大丈夫っ!! これくらいの荷物、いつも部活で運んだりしてるし!」
「いやいや、アタシがこうしてやってけるのは茜のおかげだし。感謝しとるよ」
「えへへ……私も役に立てて嬉しいよ!! なんたって世界平和のためだもんね!!」
そう言って、協力者――日野茜は、真夏の太陽のような笑顔を見せた。
亜子の冬の木枯らしのような空々しい笑みとはまったく対照的なのは、言うまでもなかった。
地上に出てガラクタ拾いをしていた亜子は、この広大な地上でより効率的に活動していくためには
協力者が不可欠であることを知っていた。
しかし、同じアンダーワールド出身者に頼むわけにはいかない。
同業者と手を組んだところで背中から撃たれるかもしれないし、警察や役人に見つかっても面倒な
ことになる。自分はあくまでも非合法な手順と手段でもって地上に来たのだから。
となれば、亜子が「バカそうな現地民を騙して利用しよう」という結論に至るのも無理からぬことだった。
807: ◆kaGYBvZifE 2013/06/22(土) 16:04:18.69 ID:jNweyzB/0
この街で茜と偶然出会った亜子は、口から出まかせを駆使して茜に手伝いをさせていた。
自分は異世界人で、地上世界に持ちこまれた妖精の秘宝を探している。
その秘宝があれば、地上を脅かす侵略者を撃退して平和を守ることができる。
秘宝はヒーローや侵略者の誰かが持っているかもしれないので、秘宝を探し出すために
戦闘のあった場所でガラクタ拾い――もとい実地検分をしなければならない。
ただし、このことは誰にも話してはいけない。ひょっとしたら、秘宝のことを耳聡く聞きつけた
侵略者が、私を狙うかもしれないから……。
……とまあ、概ねこのような趣旨の話をじっくりと話して聞かせ、茜の協力を取り付けたのである。
無論、妖精界の秘宝を探しているのは確かだったし、可能なら見つけ出して確保したかったが、
平和利用などする気は毛ほどもないのもまた事実である。
どこぞの好事家にせいぜい高値で売りつけることしか考えてはいない。
何も知らない現地民を騙して働かせることは、スカベンジャーの道徳則に何ら反しないのだ。
「向こうの広場でなんかピカピカしてるのを見つけたんだけど、これって何かな!?」
「これは……プラズマブラスターやん! エイリアンの武器かな……これはすごいで!」
「じゃあこれは!? iPodか何かかな?」
「ありゃー! これってマイクロフュージョンバッテリーやんか! 超小型核融合電池!
なるほど、これでブラスターに電力を供給するんか」
「おおっ! なんだかよくわからないけど、とにかくすごいんだね!!」
「当たり前やん! 携行できるプラズマ兵器なんてアンダーワールドにもなかったよ!」
茜は専門的なことはさっぱりわからないが、その方が亜子にとっては都合がいい。
拾ったものをとにかく亜子のところに持ってきてくれるし、下手に勘ぐられるよりはマシだ。
自分は異世界人で、地上世界に持ちこまれた妖精の秘宝を探している。
その秘宝があれば、地上を脅かす侵略者を撃退して平和を守ることができる。
秘宝はヒーローや侵略者の誰かが持っているかもしれないので、秘宝を探し出すために
戦闘のあった場所でガラクタ拾い――もとい実地検分をしなければならない。
ただし、このことは誰にも話してはいけない。ひょっとしたら、秘宝のことを耳聡く聞きつけた
侵略者が、私を狙うかもしれないから……。
……とまあ、概ねこのような趣旨の話をじっくりと話して聞かせ、茜の協力を取り付けたのである。
無論、妖精界の秘宝を探しているのは確かだったし、可能なら見つけ出して確保したかったが、
平和利用などする気は毛ほどもないのもまた事実である。
どこぞの好事家にせいぜい高値で売りつけることしか考えてはいない。
何も知らない現地民を騙して働かせることは、スカベンジャーの道徳則に何ら反しないのだ。
「向こうの広場でなんかピカピカしてるのを見つけたんだけど、これって何かな!?」
「これは……プラズマブラスターやん! エイリアンの武器かな……これはすごいで!」
「じゃあこれは!? iPodか何かかな?」
「ありゃー! これってマイクロフュージョンバッテリーやんか! 超小型核融合電池!
なるほど、これでブラスターに電力を供給するんか」
「おおっ! なんだかよくわからないけど、とにかくすごいんだね!!」
「当たり前やん! 携行できるプラズマ兵器なんてアンダーワールドにもなかったよ!」
茜は専門的なことはさっぱりわからないが、その方が亜子にとっては都合がいい。
拾ったものをとにかく亜子のところに持ってきてくれるし、下手に勘ぐられるよりはマシだ。
808: ◆kaGYBvZifE 2013/06/22(土) 16:04:52.59 ID:jNweyzB/0
特に今回はいいものを拾って来てくれた。
このプラズマブラスター一式をどこかの軍隊や研究所に売れば、安く見積もっても
屋敷が買えるくらいの金にはなるに違いない。
(その上、これまでに集めたガラクタを修理して、キチンとした売り物にできれば……
フヒャヒャヒャ、もう笑いが止まらんわ!)
しかし、まだまだ課題は多い。
まずは拠点に集めたガラクタを運ぶための足が必要だし、商路の確保も急務と言える。
ガラクタのキャラバンとして本格始動するためにはボディガードも雇っておきたいところだ。
とはいえ、今しばらくはガラクタ拾いと修理に精励することになるだろう。
いずれ得られるであろう巨万の富も、今はまだ絵に描いた餅というわけである。
「それからね、亜子ちゃん!! あっちに墜落したUFOがあったんだよ!!」
「ホンマに!? もう茜ったら、それを先に言わんかい!」
「もしかしたら、UFOの中に妖精の宝物があるかも!! 早く行って見てみよう!!」
「せやな、世界平和のためやもんな! ……ホントはアタシのためやけど」
「うぅ~っ、燃えてきたーっ!! 亜子ちゃん、一緒に走ろうっ!!」
「え? いや、そんなに急がんでもええやんか」
「さあさあ遠慮せずにっ!! UFOのところまでダッシュだよっ!!」
弾丸のような勢いで駆けだした茜にうんざりする内心をおくびにも出さないまま、
亜子も麻袋を担いで走り出した。
生き馬の目を抜く地上世界で生き延びるために、今日もスカベンジャーは忙しなく働いている。
このプラズマブラスター一式をどこかの軍隊や研究所に売れば、安く見積もっても
屋敷が買えるくらいの金にはなるに違いない。
(その上、これまでに集めたガラクタを修理して、キチンとした売り物にできれば……
フヒャヒャヒャ、もう笑いが止まらんわ!)
しかし、まだまだ課題は多い。
まずは拠点に集めたガラクタを運ぶための足が必要だし、商路の確保も急務と言える。
ガラクタのキャラバンとして本格始動するためにはボディガードも雇っておきたいところだ。
とはいえ、今しばらくはガラクタ拾いと修理に精励することになるだろう。
いずれ得られるであろう巨万の富も、今はまだ絵に描いた餅というわけである。
「それからね、亜子ちゃん!! あっちに墜落したUFOがあったんだよ!!」
「ホンマに!? もう茜ったら、それを先に言わんかい!」
「もしかしたら、UFOの中に妖精の宝物があるかも!! 早く行って見てみよう!!」
「せやな、世界平和のためやもんな! ……ホントはアタシのためやけど」
「うぅ~っ、燃えてきたーっ!! 亜子ちゃん、一緒に走ろうっ!!」
「え? いや、そんなに急がんでもええやんか」
「さあさあ遠慮せずにっ!! UFOのところまでダッシュだよっ!!」
弾丸のような勢いで駆けだした茜にうんざりする内心をおくびにも出さないまま、
亜子も麻袋を担いで走り出した。
生き馬の目を抜く地上世界で生き延びるために、今日もスカベンジャーは忙しなく働いている。
809: ◆kaGYBvZifE 2013/06/22(土) 16:11:50.72 ID:jNweyzB/0
土屋亜子
15歳
職業:スカベンジャー
地底世界アンダーワールド出身。一攫千金を夢見て地上へやってきた。
戦闘はからっきしだが、機械の修理、交渉、潜入などにかけては高い能力を備える。
彼女も妖精界の秘宝を探し求めている。
日野茜
17歳
職業:高校生
亜子の口車に乗せられてスカベンジング(ゴミ拾い)の手伝いをしている。
特殊能力は一切持っていない一般人。
亜子が世界平和のために秘宝を探していると信じきっている。
※
アンダーワールドの地底人は、地上人に比べて目が弱いため特殊偏光グラスの眼鏡やゴーグルをつけている。
ゴミ拾いの『スカベンジャー』、ならず者の『アウトレイジ』、技術者階級の『テクノロジスト』、
貴族階級の『ジェントルマン』、支配者の『オーバーロード』など様々な階級に分かれている階級社会でもある。
15歳
職業:スカベンジャー
地底世界アンダーワールド出身。一攫千金を夢見て地上へやってきた。
戦闘はからっきしだが、機械の修理、交渉、潜入などにかけては高い能力を備える。
彼女も妖精界の秘宝を探し求めている。
日野茜
17歳
職業:高校生
亜子の口車に乗せられてスカベンジング(ゴミ拾い)の手伝いをしている。
特殊能力は一切持っていない一般人。
亜子が世界平和のために秘宝を探していると信じきっている。
※
アンダーワールドの地底人は、地上人に比べて目が弱いため特殊偏光グラスの眼鏡やゴーグルをつけている。
ゴミ拾いの『スカベンジャー』、ならず者の『アウトレイジ』、技術者階級の『テクノロジスト』、
貴族階級の『ジェントルマン』、支配者の『オーバーロード』など様々な階級に分かれている階級社会でもある。
810: ◆kaGYBvZifE 2013/06/22(土) 16:13:32.45 ID:jNweyzB/0
正義とか悪とかではなく、自身の生活や欲望のために動く連中もいるということで。
騒ぎに巻き込まれる中立者にしたり、正義と悪双方に物を売る死の商人にするなりご自由にどうぞ。
騒ぎに巻き込まれる中立者にしたり、正義と悪双方に物を売る死の商人にするなりご自由にどうぞ。
815: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/22(土) 16:44:08.92 ID:9Cv04Os00
バスが田舎道のバス停に停車する。
もはや乗客は一人だけで、その一人が大きな荷物を持ってバスを降りた。
「鈴帆おねーさん!ひさびさでごぜーますね!寂しかったですよ!」
バス停から降りた少女に、ウサギのようなキグルミを着た子供が駆け寄る。
「仁奈ちゃん、スマンばいね…期末テストがあってなぁ…。だけん、今日は午後から一緒に街に買い物いっちゃるけん、機嫌ば治してくれん?」
「本当ですか!お買い物!仁奈、お買い物楽しみです!」
ぴょこぴょこ跳ねるのと一緒に着ぐるみの耳も揺れる。そして、仁奈の後ろから、老婆が歩いてくる。
「鈴帆、仁奈ちゃんにすっかり懐かれとるばい。」
「ばっちゃん!」
「おばーちゃんも一緒にお迎えに来やがったでごぜーますよ!」
「期末テストはどげんやったか?」
「ちゃんと勉強しとーばい。平均以上は余裕ばい!」
「よかよか。赤点なぞ、とらんほうがよかね。」
もはや乗客は一人だけで、その一人が大きな荷物を持ってバスを降りた。
「鈴帆おねーさん!ひさびさでごぜーますね!寂しかったですよ!」
バス停から降りた少女に、ウサギのようなキグルミを着た子供が駆け寄る。
「仁奈ちゃん、スマンばいね…期末テストがあってなぁ…。だけん、今日は午後から一緒に街に買い物いっちゃるけん、機嫌ば治してくれん?」
「本当ですか!お買い物!仁奈、お買い物楽しみです!」
ぴょこぴょこ跳ねるのと一緒に着ぐるみの耳も揺れる。そして、仁奈の後ろから、老婆が歩いてくる。
「鈴帆、仁奈ちゃんにすっかり懐かれとるばい。」
「ばっちゃん!」
「おばーちゃんも一緒にお迎えに来やがったでごぜーますよ!」
「期末テストはどげんやったか?」
「ちゃんと勉強しとーばい。平均以上は余裕ばい!」
「よかよか。赤点なぞ、とらんほうがよかね。」
816: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/22(土) 16:45:33.71 ID:9Cv04Os00
そのまま少し歩いて、祖母の自宅へと着く。
「おばーちゃん!仁奈のおサイフ、どこでごぜーますか?」
「ああ、それならそこの棚のいっちゃん下よ。」
「…あった!鈴帆おねーさん!肩たたきとか、お皿洗ったりとか、畑のお手伝いとか…その仁奈のおこづかい全部ここにあるですよ!これだけあればパフェ食べれますか!?」
仁奈がウサギのようながま口サイフをもってくる。
「んー…っと810円!十分あるばいね!」
「わーいパフェ!おねーさんにもちゃんと一口あげてやります!」
鈴帆と仁奈が仲良く準備をしているのを祖母はニコニコと眺めていた。
「おばーちゃん!仁奈のおサイフ、どこでごぜーますか?」
「ああ、それならそこの棚のいっちゃん下よ。」
「…あった!鈴帆おねーさん!肩たたきとか、お皿洗ったりとか、畑のお手伝いとか…その仁奈のおこづかい全部ここにあるですよ!これだけあればパフェ食べれますか!?」
仁奈がウサギのようながま口サイフをもってくる。
「んー…っと810円!十分あるばいね!」
「わーいパフェ!おねーさんにもちゃんと一口あげてやります!」
鈴帆と仁奈が仲良く準備をしているのを祖母はニコニコと眺めていた。
817: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/22(土) 16:46:33.33 ID:9Cv04Os00
ここは、都市の郊外にある、田舎の里である。
本来ならば、都市に近いここも、開発が進み、ビルが建ち、交通が発達しているのが普通なのだろうが、ここは普通ではなかったのだ。
ここの里の住人は、はるか昔から妖怪と共存している。
里には大きな山があり、そこには妖怪が住んでいるのだ。
里の者は、山のふもとの小さな祠に収穫を捧げ、妖怪はその見返りに、外敵から里を自らの山を守るついでに守ってくれているのだ。
そしてその妖怪たちは、この里が人間に開発されることを拒否したのだ。
その為、ここは都市からバスで一時間という距離にもかかわらず、本当に山奥の田舎のような姿を保っているのだ。
そして、ここにいる仁奈という少女も、妖怪の類である。
しかし、山に昔から住み着いていた妖怪ではなく、鈴帆が祖母に会いに行く途中の道で行き倒れのように倒れていたのだ。
山の妖怪たちにはもうすでに決まった縄張りがあるため、鈴帆の祖母がとりあえず引き取ることにしたのだ。
それからというものの、祖母の足腰の調子がよくなり、お隣の爺さんの病気が治り、お向かいの婆さんはかなりの高齢だというのに元気だ。
里の者たちは皆、仁奈の事を受け入れている。そして仁奈はそれが嬉しいのだ。
遠いところから数年前に越してきた鈴帆の祖母も受け入られているほどに、この里は寛容なのだ。
そして里に頻繁に遊びに来る鈴帆が、仁奈サイズのキグルミを作って着せたところ、仁奈は大喜びして、それ以来キグルミばかり着ているのだ。
本来ならば、都市に近いここも、開発が進み、ビルが建ち、交通が発達しているのが普通なのだろうが、ここは普通ではなかったのだ。
ここの里の住人は、はるか昔から妖怪と共存している。
里には大きな山があり、そこには妖怪が住んでいるのだ。
里の者は、山のふもとの小さな祠に収穫を捧げ、妖怪はその見返りに、外敵から里を自らの山を守るついでに守ってくれているのだ。
そしてその妖怪たちは、この里が人間に開発されることを拒否したのだ。
その為、ここは都市からバスで一時間という距離にもかかわらず、本当に山奥の田舎のような姿を保っているのだ。
そして、ここにいる仁奈という少女も、妖怪の類である。
しかし、山に昔から住み着いていた妖怪ではなく、鈴帆が祖母に会いに行く途中の道で行き倒れのように倒れていたのだ。
山の妖怪たちにはもうすでに決まった縄張りがあるため、鈴帆の祖母がとりあえず引き取ることにしたのだ。
それからというものの、祖母の足腰の調子がよくなり、お隣の爺さんの病気が治り、お向かいの婆さんはかなりの高齢だというのに元気だ。
里の者たちは皆、仁奈の事を受け入れている。そして仁奈はそれが嬉しいのだ。
遠いところから数年前に越してきた鈴帆の祖母も受け入られているほどに、この里は寛容なのだ。
そして里に頻繁に遊びに来る鈴帆が、仁奈サイズのキグルミを作って着せたところ、仁奈は大喜びして、それ以来キグルミばかり着ているのだ。
818: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/22(土) 16:47:05.98 ID:9Cv04Os00
「仁奈ちゃんはきっと座敷童たいね。」
「皆を笑顔にするけんね。」
「そーでごぜーますか!仁奈はみんなを笑顔にできてるですか!」
ぴょこぴょこと仁奈が嬉しそうに跳ねる。
二人でそんな仁奈を眺めつつ笑いあった。
「皆を笑顔にするけんね。」
「そーでごぜーますか!仁奈はみんなを笑顔にできてるですか!」
ぴょこぴょこと仁奈が嬉しそうに跳ねる。
二人でそんな仁奈を眺めつつ笑いあった。
819: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/22(土) 16:47:42.30 ID:9Cv04Os00
午後、バスに揺られ、二人は都市についた。
「…そんで、今度の文化祭、光っちとヒーローショーするばい。仁奈ちゃんとばっちゃんも見に来るとよか。」
「おお!絶対行くですよ!」
二人で手を繋いで手芸店へ向かう。まずはキグルミの材料を買うのだ。
「カンガルーがいいです!絶対つえーでごぜーます!」
「なら、ウチが母さんカンガルーで、仁奈ちゃんが子供カンガルー…腹のポケットに入れれば大爆笑間違いなしたい!」
「ふぉおおお!それ、すっごくいいですよ!仁奈、子供カンガルーの気持ちになりたいですよ!」
「んじゃ、頑丈につくらんとな!」
「…そんで、今度の文化祭、光っちとヒーローショーするばい。仁奈ちゃんとばっちゃんも見に来るとよか。」
「おお!絶対行くですよ!」
二人で手を繋いで手芸店へ向かう。まずはキグルミの材料を買うのだ。
「カンガルーがいいです!絶対つえーでごぜーます!」
「なら、ウチが母さんカンガルーで、仁奈ちゃんが子供カンガルー…腹のポケットに入れれば大爆笑間違いなしたい!」
「ふぉおおお!それ、すっごくいいですよ!仁奈、子供カンガルーの気持ちになりたいですよ!」
「んじゃ、頑丈につくらんとな!」
820: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/22(土) 16:48:41.29 ID:9Cv04Os00
手芸店で布を購入した後、仁奈の希望でパフェを食べにファミレスへ。
「びっぐチョコレートパフェです!仁奈はこれを頼むですよ!」
「ならウチは…この抹茶ケーキにするけん、仁奈ちゃん注文しちゃってん。ウチ、ちょっとトイレ…」
「はい!」ピンポーン
仁奈は問題なく注文を済ませ、席で鈴帆を待った。
窓際の席なんだからと、外の様子を見つめる。平日だからか、人は少なく、道路をまばらに車が走っている。
ふと、反対側の歩道に、黒い泥が少しづつではあるものの、大きくなっているのが見えた。
(…?なんでごぜーましょう。なんだかいやーなカンジです…。)
反対側の歩道には人が全くおらず、誰も泥に気付いていない。
「…えいっ!」
仁奈は半分無意識に指をその黒い泥に向けていた。
「びっぐチョコレートパフェです!仁奈はこれを頼むですよ!」
「ならウチは…この抹茶ケーキにするけん、仁奈ちゃん注文しちゃってん。ウチ、ちょっとトイレ…」
「はい!」ピンポーン
仁奈は問題なく注文を済ませ、席で鈴帆を待った。
窓際の席なんだからと、外の様子を見つめる。平日だからか、人は少なく、道路をまばらに車が走っている。
ふと、反対側の歩道に、黒い泥が少しづつではあるものの、大きくなっているのが見えた。
(…?なんでごぜーましょう。なんだかいやーなカンジです…。)
反対側の歩道には人が全くおらず、誰も泥に気付いていない。
「…えいっ!」
仁奈は半分無意識に指をその黒い泥に向けていた。
821: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/22(土) 16:49:22.28 ID:9Cv04Os00
その次の瞬間だった。
『不幸にも』通っていた車の目の前に猫が通り、車が大きく曲がってしまう。
『不幸にも』その車は大きな水たまり程度の大きさのカースの方向へと向かう。
『不幸にも』カースの核は、車に轢かれて粉々に砕けてしまった。
そして『幸いにも』猫を含み、死者は一人もいなかった。車にも傷一つ無い。
「仁奈ちゃーん!すまんたいね、トイレ混んでたけん…って事故!?」
「だいじょーぶでごぜーますよ?みんな無事でやがりますから!」
仁奈はただ純粋にニコニコ笑っていた。
『不幸にも』通っていた車の目の前に猫が通り、車が大きく曲がってしまう。
『不幸にも』その車は大きな水たまり程度の大きさのカースの方向へと向かう。
『不幸にも』カースの核は、車に轢かれて粉々に砕けてしまった。
そして『幸いにも』猫を含み、死者は一人もいなかった。車にも傷一つ無い。
「仁奈ちゃーん!すまんたいね、トイレ混んでたけん…って事故!?」
「だいじょーぶでごぜーますよ?みんな無事でやがりますから!」
仁奈はただ純粋にニコニコ笑っていた。
822: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/22(土) 16:50:34.17 ID:9Cv04Os00
上田鈴帆(14)
職業: 中学生
属性: 笑顔大好きキグルミ芸人
能力: 無し
皆の笑顔が大好きな裁縫が得意な中学生。
ばっちゃんの住んでいる里に慣れているからか、妖怪への理解はある。
仁奈を妹のように思っており、可愛がっている。
ちなみに光たちと同じ中学。隣のクラスだが去年は同じクラスだった。
しょっちゅうキグルミの材料を買いに仁奈と一緒に商店街へ行っている。
仁奈(?)
属性: 妖怪さん(座敷童?)
能力: 不幸を厄としてため込み、誰かに押し付ける
里に来る前の記憶がない妖怪。
他人の「病気が悪化する」「怪我をする」「不慮な事故で死亡」等の不幸を厄としてため込むことができ、結果として皆を幸福にできる。
しかし、「病気で死亡」等、運が関係無い運命は厄にできない。
また、厄をため込むと厄の大きさに比例して体が重くなっていき、誰かを不幸にしない限りは軽くなれない。
最悪、重くなりすぎて地に飲まれてしまうと、厄が解き放たれ、大地ごと呪われてしまう危険性もある。
仁奈はそこまで自分の力を理解してはおらず、無意識のうちに好きな人達の不幸を取り込んで、敵と見なした物に全ての厄をぶつけている。
職業: 中学生
属性: 笑顔大好きキグルミ芸人
能力: 無し
皆の笑顔が大好きな裁縫が得意な中学生。
ばっちゃんの住んでいる里に慣れているからか、妖怪への理解はある。
仁奈を妹のように思っており、可愛がっている。
ちなみに光たちと同じ中学。隣のクラスだが去年は同じクラスだった。
しょっちゅうキグルミの材料を買いに仁奈と一緒に商店街へ行っている。
仁奈(?)
属性: 妖怪さん(座敷童?)
能力: 不幸を厄としてため込み、誰かに押し付ける
里に来る前の記憶がない妖怪。
他人の「病気が悪化する」「怪我をする」「不慮な事故で死亡」等の不幸を厄としてため込むことができ、結果として皆を幸福にできる。
しかし、「病気で死亡」等、運が関係無い運命は厄にできない。
また、厄をため込むと厄の大きさに比例して体が重くなっていき、誰かを不幸にしない限りは軽くなれない。
最悪、重くなりすぎて地に飲まれてしまうと、厄が解き放たれ、大地ごと呪われてしまう危険性もある。
仁奈はそこまで自分の力を理解してはおらず、無意識のうちに好きな人達の不幸を取り込んで、敵と見なした物に全ての厄をぶつけている。
823: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/22(土) 16:51:27.26 ID:9Cv04Os00
以上です。方言難しい…
でもこのふたりのほのぼのが書きたかったからいいんだ…
でもこのふたりのほのぼのが書きたかったからいいんだ…
825: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/22(土) 17:28:26.86 ID:KTXuDela0
おつー
ニナチャーンの末が恐ろしい…
上田しゃんは親代わりでごぜーますね!
ニナチャーンの末が恐ろしい…
上田しゃんは親代わりでごぜーますね!
827: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/22(土) 18:13:33.26 ID:KTXuDela0
ドーンハンマーは使えないわよ
829: ◆yIMyWm13ls 2013/06/22(土) 19:24:44.39 ID:SZ7ZrINmo
―
「こんにちわー!」
お昼過ぎの少し眠くなっちゃう時間帯、私が丁度あくびを噛み殺していた時に二人は訪ねて来ました。
「こんにちは、薫ちゃん、久しぶりだね。あと…あれ、博士…?」
「ごめんね、今ちょっとイヴさんは巴ちゃんの力のトレーニングに……」
私がそう言うと博士は小さく微笑む。
「いや、君でいいんだ、イヴさんに聞いたらと口を濁されてしまったからね」
「えっと…私に聞きたいことって…一体何を聞きたいのかな?」
…師匠が口を濁す?
「単刀直入に聞くと魔族と竜族の関係についてだ」
「魔族と竜族の関係……」
「薫ちゃんのが竜族なのは知ってるからともかくなんで魔族なの?」
沈痛な面持ちで語りだす博士。
「ブリュンヒルデと名乗る魔族に…会ってしまったのだ……」
「薫に仇を討つなら相手になると言っていたよ…」
「私には一体なんのことだか…」
「…そっか」
…イヴさんが言わなかったのも分かるかな…。
…言わなかったのは分かるけど…私は……。
「こんにちわー!」
お昼過ぎの少し眠くなっちゃう時間帯、私が丁度あくびを噛み殺していた時に二人は訪ねて来ました。
「こんにちは、薫ちゃん、久しぶりだね。あと…あれ、博士…?」
「ごめんね、今ちょっとイヴさんは巴ちゃんの力のトレーニングに……」
私がそう言うと博士は小さく微笑む。
「いや、君でいいんだ、イヴさんに聞いたらと口を濁されてしまったからね」
「えっと…私に聞きたいことって…一体何を聞きたいのかな?」
…師匠が口を濁す?
「単刀直入に聞くと魔族と竜族の関係についてだ」
「魔族と竜族の関係……」
「薫ちゃんのが竜族なのは知ってるからともかくなんで魔族なの?」
沈痛な面持ちで語りだす博士。
「ブリュンヒルデと名乗る魔族に…会ってしまったのだ……」
「薫に仇を討つなら相手になると言っていたよ…」
「私には一体なんのことだか…」
「…そっか」
…イヴさんが言わなかったのも分かるかな…。
…言わなかったのは分かるけど…私は……。
830: ◆yIMyWm13ls 2013/06/22(土) 19:25:21.15 ID:SZ7ZrINmo
「うん、教えてあげるね…」
「本当かっ!?」
「ありがとーお姉ちゃん!」
私がそう言うと目を輝かせる博士と薫ちゃん。
…薫ちゃんはともかく…やっぱり博士も研究畑の人間だね…。
「…遥か昔の魔界、魔族と竜族の二大勢力の戦争があったみたいなんだ」
「その結果、魔族は勝利し、残された竜族は着実に減らしていったみたい…」
「…みんなしんじゃったの…?」
「薫、辛いなら聞く必要ないんだぞ?」
「…ううん…かおる、きちんと聞かなくちゃだめな気がするんだ…」
「…続けるね…?」
説明するのも辛いなぁこれ…。
「本当かっ!?」
「ありがとーお姉ちゃん!」
私がそう言うと目を輝かせる博士と薫ちゃん。
…薫ちゃんはともかく…やっぱり博士も研究畑の人間だね…。
「…遥か昔の魔界、魔族と竜族の二大勢力の戦争があったみたいなんだ」
「その結果、魔族は勝利し、残された竜族は着実に減らしていったみたい…」
「…みんなしんじゃったの…?」
「薫、辛いなら聞く必要ないんだぞ?」
「…ううん…かおる、きちんと聞かなくちゃだめな気がするんだ…」
「…続けるね…?」
説明するのも辛いなぁこれ…。
831: ◆yIMyWm13ls 2013/06/22(土) 19:26:36.70 ID:SZ7ZrINmo
「しかし不思議な話だ…昔魔界で起きたハズの話がなぜこちらの世界に伝わっているんだ?」
流石博士、察しがいい。
「うん、そもそもこの話自体は魔界の悪魔から伝わった話なんだ」
「まかいのあくま?」
私の服にキュッとしがみつこうとする薫ちゃんの手をそっと握ってあげる。
「ありがとう…お姉ちゃん…」
…可愛い…。
……じゃないじゃない…。
「正確には悪魔と契約した人間かな?」
「…分かりやすそうなのだと悪魔憑きって言って分かるかな?契約の代償はさまざま、珍しいのだと悪魔への完全服従とかもあるけどね…」
「完全服従か恐ろしい話だな…」
流石博士、察しがいい。
「うん、そもそもこの話自体は魔界の悪魔から伝わった話なんだ」
「まかいのあくま?」
私の服にキュッとしがみつこうとする薫ちゃんの手をそっと握ってあげる。
「ありがとう…お姉ちゃん…」
…可愛い…。
……じゃないじゃない…。
「正確には悪魔と契約した人間かな?」
「…分かりやすそうなのだと悪魔憑きって言って分かるかな?契約の代償はさまざま、珍しいのだと悪魔への完全服従とかもあるけどね…」
「完全服従か恐ろしい話だな…」
832: ◆yIMyWm13ls 2013/06/22(土) 19:27:18.18 ID:SZ7ZrINmo
「変な悪魔だと契約した瞬間にペロッっと魂ごと食べられちゃうかもしれないからそんな契約殆どないけど…」
「…竜と契約した人間は居ないのか?」
「ごめん、もしかしたら出来るのかもしれないけど私は知らないかな…」
「…そうかそれと…裕美くんは薫の力についてどう思う…?」
「…薫ちゃんの魔法、竜言語魔法は互換性がないから私にはなんとも…」
「ごかんせー?」
「魔法でも魔術でもない…って言っても分からないよね…」
「うーん…ちょっと見てて貰えるかな?」
私は窓を思いっきり開いて誰も居ない方向の壁に向けてボールペンを向ける。
「…竜と契約した人間は居ないのか?」
「ごめん、もしかしたら出来るのかもしれないけど私は知らないかな…」
「…そうかそれと…裕美くんは薫の力についてどう思う…?」
「…薫ちゃんの魔法、竜言語魔法は互換性がないから私にはなんとも…」
「ごかんせー?」
「魔法でも魔術でもない…って言っても分からないよね…」
「うーん…ちょっと見てて貰えるかな?」
私は窓を思いっきり開いて誰も居ない方向の壁に向けてボールペンを向ける。
833: ◆yIMyWm13ls 2013/06/22(土) 19:29:21.40 ID:SZ7ZrINmo
『水流よ!』
私はスタンダードな水魔法を壁に打ち付ける。
「これが魔法…大事なのはこの後なんだけど……」
そう言って私はボールペンを一振り。
「せんせぇ!すごーい!お水が浮いて動いてるー!」
「あはは、次のは魔力消費が激しすぎるから私じゃちょっとお風呂場からお水借りなくちゃ厳しいからね…」
「い、いくよっ!」
『水よ!大いなる我が力に従い、その静寂なる身を激動に身を任せ我が敵を排除せよ!』
『スプラッッシュ!』
先ほどとは桁違いの水量の水が壁を深く抉る。
「これが…魔術…」
私は肩で息をしながら説明を続行する。
「私たちの使う魔法は一部を除いて魔術の簡易版として生まれたって感じかな?」
「でもこの通り魔力を持ってさえいれば使える…もっとも人間の魔力じゃ殆ど使えないも同然だけど…」
「私も補助として水自体は用意しちゃったしね…」
「…魔術とは随分と攻撃的なものに見えるな」
驚いた顔をして真剣な声色で話す博士。
私はスタンダードな水魔法を壁に打ち付ける。
「これが魔法…大事なのはこの後なんだけど……」
そう言って私はボールペンを一振り。
「せんせぇ!すごーい!お水が浮いて動いてるー!」
「あはは、次のは魔力消費が激しすぎるから私じゃちょっとお風呂場からお水借りなくちゃ厳しいからね…」
「い、いくよっ!」
『水よ!大いなる我が力に従い、その静寂なる身を激動に身を任せ我が敵を排除せよ!』
『スプラッッシュ!』
先ほどとは桁違いの水量の水が壁を深く抉る。
「これが…魔術…」
私は肩で息をしながら説明を続行する。
「私たちの使う魔法は一部を除いて魔術の簡易版として生まれたって感じかな?」
「でもこの通り魔力を持ってさえいれば使える…もっとも人間の魔力じゃ殆ど使えないも同然だけど…」
「私も補助として水自体は用意しちゃったしね…」
「…魔術とは随分と攻撃的なものに見えるな」
驚いた顔をして真剣な声色で話す博士。
834: ◆yIMyWm13ls 2013/06/22(土) 19:29:58.16 ID:SZ7ZrINmo
「というより魔法自体が必要以上に攻撃的にする必要が無かっただけかな?」
「必要が無かった?」
「だって私たち魔法使いは基本的に社会に溶け込んでたり隠遁生活してたんだよ?」
「そもそも戦う魔法なんて必要なかったから……」
「暑いから氷作って涼む、寒いから熱魔法と風魔法でヒーターとかそんな感じかな?」
「…凄く普通だな」
「あはは、そんなものだよ?」
「かおるもこおりつくれるー?」
「…氷山なら作れるかも?」
作られても困るけど。
「必要が無かった?」
「だって私たち魔法使いは基本的に社会に溶け込んでたり隠遁生活してたんだよ?」
「そもそも戦う魔法なんて必要なかったから……」
「暑いから氷作って涼む、寒いから熱魔法と風魔法でヒーターとかそんな感じかな?」
「…凄く普通だな」
「あはは、そんなものだよ?」
「かおるもこおりつくれるー?」
「…氷山なら作れるかも?」
作られても困るけど。
835: ◆yIMyWm13ls 2013/06/22(土) 19:30:27.34 ID:SZ7ZrINmo
「…しかし結局薫を守る手段は見つからず仕舞いか、情けない…」
ガックリと肩を落とす博士。
「…せんせぇ……」
薫ちゃんが博士を心配そうに見る。
ここまで話しちゃったんだ。途中で投げ出す気はない。
「博士にこれをあげるね?」
懐から小さな巾着を取り出す。
「…びーだま?せんせぇいいなー!」
巾着の口から出てきた硝子玉を覗きこんで羨ましそうな顔する薫ちゃん。
ガックリと肩を落とす博士。
「…せんせぇ……」
薫ちゃんが博士を心配そうに見る。
ここまで話しちゃったんだ。途中で投げ出す気はない。
「博士にこれをあげるね?」
懐から小さな巾着を取り出す。
「…びーだま?せんせぇいいなー!」
巾着の口から出てきた硝子玉を覗きこんで羨ましそうな顔する薫ちゃん。
836: ◆yIMyWm13ls 2013/06/22(土) 19:32:30.34 ID:SZ7ZrINmo
「これは…?」
「赤に炎の魔法、青に氷の魔法、薄い水色に水の魔法、緑に植物の魔法、黄色に雷の魔法…それと透明のビー玉に薫ちゃん用の変身魔法が込めてあるよ」
「…強く念じれば誰でも発動するけど、込められた魔法は使い捨てだから大事に使ってね?」
「いいのかい?」
「…使わなかった日の魔力をストックしてあるだけだから気にしないで欲しいな」
きっとこれから先も薫ちゃんと暮らしていくなら必要になるから…。
「でも出来るだけ戦う事態なんて起きないほうがいいけどね…」
「私のような年寄りにこれを使いこなすのは無理さ、透明のビー玉以外は全て薫に預けるよ」
「うん…かおるがせんせぇをまもるよ!」
巾着袋を握りしめながら薫ちゃんは真剣な顔で宣言する
「…そっか、頑張ってね薫ちゃん…」
「ぜったい……かおるがせんせぇもお姉ちゃんもみんなまもるから!」
「赤に炎の魔法、青に氷の魔法、薄い水色に水の魔法、緑に植物の魔法、黄色に雷の魔法…それと透明のビー玉に薫ちゃん用の変身魔法が込めてあるよ」
「…強く念じれば誰でも発動するけど、込められた魔法は使い捨てだから大事に使ってね?」
「いいのかい?」
「…使わなかった日の魔力をストックしてあるだけだから気にしないで欲しいな」
きっとこれから先も薫ちゃんと暮らしていくなら必要になるから…。
「でも出来るだけ戦う事態なんて起きないほうがいいけどね…」
「私のような年寄りにこれを使いこなすのは無理さ、透明のビー玉以外は全て薫に預けるよ」
「うん…かおるがせんせぇをまもるよ!」
巾着袋を握りしめながら薫ちゃんは真剣な顔で宣言する
「…そっか、頑張ってね薫ちゃん…」
「ぜったい……かおるがせんせぇもお姉ちゃんもみんなまもるから!」
837: ◆yIMyWm13ls 2013/06/22(土) 19:33:10.94 ID:SZ7ZrINmo
終わり。
薫ちゃんにビビっと来たので他の人も使いやすくしてみた。
遠慮無く竜化してどうぞ。
水魔法 生み出した、又は周囲から利用した水流をぶつける
スプラッッシュ >>390 参照。詠唱あり、威力が強いが魔力消費も激しい。
付与魔法 物に魔法自体を付与、効果を付与の二種類がある。付与される物体は強い思いが込められているものほど強く魔法を付与出来る。
薫ちゃんにビビっと来たので他の人も使いやすくしてみた。
遠慮無く竜化してどうぞ。
水魔法 生み出した、又は周囲から利用した水流をぶつける
スプラッッシュ >>390 参照。詠唱あり、威力が強いが魔力消費も激しい。
付与魔法 物に魔法自体を付与、効果を付与の二種類がある。付与される物体は強い思いが込められているものほど強く魔法を付与出来る。
851: ◆cAx53OjAIrfz 2013/06/22(土) 21:28:37.36 ID:KTXuDela0
世界同時多発的超常現象群によって、世界の常識は覆された。
世界には未知の不思議が、魔法が、神様が、悪魔が、異形が、宇宙人が溢れかえった。
世界中で緊急状態が発令された、世界中で銃火器の制限が少し解除された。
だが、思っていた以上に平穏は粘り強く、且つ丈夫に世界にへばりついていた。
П「特殊分類問題群が大脱走、研究事務所の核爆発によって判明」
茄子「あら、物騒な話ですねぇ」
П「お前ら神様は一体何をしてるんだ、最近は悪魔だの、ヒューマンカースだの、何かよくわからない宇宙人だとかはびこりすぎだろ」
茄子「そんなこと言われてましてもー、それに特殊分類問題群はアメリカの話ですから私達日本の神様には関係ありませんよ?」
手に持っていた神様の新聞(茄子の購読紙)を机の上に放り投げつつ、食後のお茶を啜る。
П「うーん、昆布茶」
茄子「あ、後で買い物行ってきますね?」
П「コンビニか」
茄子「勿論です」
茄子は何か鼻歌、それもやけにスローテンポで昔京都旅行で聞いたような、歌を歌いながら出て行った。
Пは苦い顔で見送った、何か最近茄子がインターネットでの買い物にハマっているらしく、外人らしき人物と謎のチャットを繰り広げて居たのがちらっと見えたからだ。
П(……嫌な予感しかしない)
世界には未知の不思議が、魔法が、神様が、悪魔が、異形が、宇宙人が溢れかえった。
世界中で緊急状態が発令された、世界中で銃火器の制限が少し解除された。
だが、思っていた以上に平穏は粘り強く、且つ丈夫に世界にへばりついていた。
П「特殊分類問題群が大脱走、研究事務所の核爆発によって判明」
茄子「あら、物騒な話ですねぇ」
П「お前ら神様は一体何をしてるんだ、最近は悪魔だの、ヒューマンカースだの、何かよくわからない宇宙人だとかはびこりすぎだろ」
茄子「そんなこと言われてましてもー、それに特殊分類問題群はアメリカの話ですから私達日本の神様には関係ありませんよ?」
手に持っていた神様の新聞(茄子の購読紙)を机の上に放り投げつつ、食後のお茶を啜る。
П「うーん、昆布茶」
茄子「あ、後で買い物行ってきますね?」
П「コンビニか」
茄子「勿論です」
茄子は何か鼻歌、それもやけにスローテンポで昔京都旅行で聞いたような、歌を歌いながら出て行った。
Пは苦い顔で見送った、何か最近茄子がインターネットでの買い物にハマっているらしく、外人らしき人物と謎のチャットを繰り広げて居たのがちらっと見えたからだ。
П(……嫌な予感しかしない)
852: ◆cAx53OjAIrfz 2013/06/22(土) 21:30:10.57 ID:KTXuDela0
家を出て鼻歌を歌いながら街とは逆方向のコンビニエンスストアに向かって、鼻歌を歌いながら歩いて行く。
ここのコンビニエンスストアは人が少なく、店員も面白い人が居るので何となく使うことにしている。
茄子「こんにちは!」
加蓮「……いらっしゃいませ~」
この人はどうやら、何かが体の中に入り込んで馴染んでいた人間のようです、Пさんの女子寮に寝泊まりしていると思われます。
どうやら日常の真っ昼間では暴れたりするようではないですし、そこまで危害性は薄いので放置します。
加蓮(……平日のこんな時間にこんなコンビニ使うんじゃないわよ……)
このようにアンニュイに、且つ明らかにイライラしているにもかかわらず、ちゃんと仕事をしているというのが哀愁を誘います。
私はふとこおら、ぽてちが食べたくなり、普段持たされている財布から小銭を確認しました。
茄子(あ、細かいのが多い)
ふとそう思いながら、お昼のオヤツと引き取り代金を手渡す。
加蓮(この中身は何なんだろう……やけに重いけど……)
茄子(ふふふ…それは内緒ですよー)
加蓮「え?」
茄子「3548円…ですよね?」
加蓮「え?あ、はい…?」
やけに重たい(勿論普通の人間基準ならば)1立法cmの箱に入った荷物を特殊軽量化バックに入れて、家に向かって歩く。
Пさんには黙っていたが、神様に各地の役割分担はあるが、必ずしも海外に知り合いの神様が居ない、とは言ってはいないのだ。
茄子(ふふふ…これは超全自動分解改良装置、コレでПさんの能力を使えば素敵な物ができるでしょうね)
ここのコンビニエンスストアは人が少なく、店員も面白い人が居るので何となく使うことにしている。
茄子「こんにちは!」
加蓮「……いらっしゃいませ~」
この人はどうやら、何かが体の中に入り込んで馴染んでいた人間のようです、Пさんの女子寮に寝泊まりしていると思われます。
どうやら日常の真っ昼間では暴れたりするようではないですし、そこまで危害性は薄いので放置します。
加蓮(……平日のこんな時間にこんなコンビニ使うんじゃないわよ……)
このようにアンニュイに、且つ明らかにイライラしているにもかかわらず、ちゃんと仕事をしているというのが哀愁を誘います。
私はふとこおら、ぽてちが食べたくなり、普段持たされている財布から小銭を確認しました。
茄子(あ、細かいのが多い)
ふとそう思いながら、お昼のオヤツと引き取り代金を手渡す。
加蓮(この中身は何なんだろう……やけに重いけど……)
茄子(ふふふ…それは内緒ですよー)
加蓮「え?」
茄子「3548円…ですよね?」
加蓮「え?あ、はい…?」
やけに重たい(勿論普通の人間基準ならば)1立法cmの箱に入った荷物を特殊軽量化バックに入れて、家に向かって歩く。
Пさんには黙っていたが、神様に各地の役割分担はあるが、必ずしも海外に知り合いの神様が居ない、とは言ってはいないのだ。
茄子(ふふふ…これは超全自動分解改良装置、コレでПさんの能力を使えば素敵な物ができるでしょうね)
853: ◆cAx53OjAIrfz 2013/06/22(土) 21:33:34.89 ID:KTXuDela0
家に到着し、Пは茄子が変な荷物を持っていることに気づき、今すぐ部屋から出て行こうか考え込んだ。
だが、この悪霊めいた―神様から逃れられた試しが有っただろうか?いや無い。
茄子「ふふふ…Пさん、今から世にも不思議な機械をご覧に入れましょう」
П「返して来なさい」
茄子「返す場所は核で吹き飛びましたよ?」
П「あ”!?もしかして今朝の新聞の場所か!?」
茄子「ふふふ…ではご紹介いたしましょう…これが超全自動分解改良装置です!」
そう言って居間の真ん中にダンボール状の……一見ただの普通のダンボールの蓋をとった瞬間、『中身がぐんぐんと広がり』始めたのだ!
П「お、おぉおああ!?」
茄子「じゃじゃーん!」
そうして目の前に現れたのは、人一人入れそうな公衆電話ボックスめいた箱が両脇についた、中心に5つの手動変更メモリのついた機械(?)だった。
П「バカヤロー!部屋を壊す気か!」
運動不足が祟って大した威力のない蹴りが、茄子のお尻に当たりベシッと地味に痛そうな音を出す。
茄子「あう、イタタ…後で移動しますから大丈夫ですよ…気を取り直して、まずここにぽてちが一袋あります!それを左側のボックスに入れます」
П「……おい、コレ爆発しないだろうな?」
茄子「勿論そんなはずは……無いですよ?そして真ん中のメモリをVery Fineに設定……と」
П「おいなんだそのメモ書き、ほんとうに大丈夫だろうな」
茄子「……スイッチオーン!」
П「おい聞けよ!」
だが、この悪霊めいた―神様から逃れられた試しが有っただろうか?いや無い。
茄子「ふふふ…Пさん、今から世にも不思議な機械をご覧に入れましょう」
П「返して来なさい」
茄子「返す場所は核で吹き飛びましたよ?」
П「あ”!?もしかして今朝の新聞の場所か!?」
茄子「ふふふ…ではご紹介いたしましょう…これが超全自動分解改良装置です!」
そう言って居間の真ん中にダンボール状の……一見ただの普通のダンボールの蓋をとった瞬間、『中身がぐんぐんと広がり』始めたのだ!
П「お、おぉおああ!?」
茄子「じゃじゃーん!」
そうして目の前に現れたのは、人一人入れそうな公衆電話ボックスめいた箱が両脇についた、中心に5つの手動変更メモリのついた機械(?)だった。
П「バカヤロー!部屋を壊す気か!」
運動不足が祟って大した威力のない蹴りが、茄子のお尻に当たりベシッと地味に痛そうな音を出す。
茄子「あう、イタタ…後で移動しますから大丈夫ですよ…気を取り直して、まずここにぽてちが一袋あります!それを左側のボックスに入れます」
П「……おい、コレ爆発しないだろうな?」
茄子「勿論そんなはずは……無いですよ?そして真ん中のメモリをVery Fineに設定……と」
П「おいなんだそのメモ書き、ほんとうに大丈夫だろうな」
茄子「……スイッチオーン!」
П「おい聞けよ!」
854: ◆cAx53OjAIrfz 2013/06/22(土) 21:35:05.31 ID:KTXuDela0
薄汚れたような、機械が奇妙な歯車を回す音を立てて始動し始める。
何となく不安にかられ、一応脳内で対策を考えていると所謂歯車がゴリゴリ音を鳴らす音が止み始め……
П「……これは」
茄子「ふふふ…75gの『普通の』ぽてちが、75gの『リッチコンソメ』ポテチに早変わり!」
П「なんだこの、スゴイような凄くないような装置」
茄子「うーん、これだけでは凄さが少しわかりづらいですねー」
と、悩んでいる所に台所からガサゴソという変な異音が聞こえる。
ロボ『ふふふ…この家の食料の一部を玉ねぎに変えてやる…』ピッピッ
П『あのクソロボットを撃ちぬいて機能停止させろ』
次の瞬間手元からパシュンという乾いた音が響き、台所のよくわからないロボットの恐らく頭部、と思われる所に銃弾が突き刺さる。
ロボ『アガガ…ガガ…ガッピー!!』プスン
П「…なんだこのロボ」
茄子「うーん…ロボット?…あ、そうだПさん、この機械を使いましょう!」
П「……ほんとに大丈夫だろうな?」
手に持てる…驚くべき軽さのロボを挿入ボックスに投げ込み、メモリを回そうとして考えこむ。
П「Very Fineじゃなくて、COARSEでやってみるか」
茄子「あ、1:1以下のメモリは……」
メモリを回して機械を起動する、よく見ると機械の下部の無数の歯車が不審な起動音を立てて回っているのが見える。
茄子「あー……」
П「え?」
何となく不安にかられ、一応脳内で対策を考えていると所謂歯車がゴリゴリ音を鳴らす音が止み始め……
П「……これは」
茄子「ふふふ…75gの『普通の』ぽてちが、75gの『リッチコンソメ』ポテチに早変わり!」
П「なんだこの、スゴイような凄くないような装置」
茄子「うーん、これだけでは凄さが少しわかりづらいですねー」
と、悩んでいる所に台所からガサゴソという変な異音が聞こえる。
ロボ『ふふふ…この家の食料の一部を玉ねぎに変えてやる…』ピッピッ
П『あのクソロボットを撃ちぬいて機能停止させろ』
次の瞬間手元からパシュンという乾いた音が響き、台所のよくわからないロボットの恐らく頭部、と思われる所に銃弾が突き刺さる。
ロボ『アガガ…ガガ…ガッピー!!』プスン
П「…なんだこのロボ」
茄子「うーん…ロボット?…あ、そうだПさん、この機械を使いましょう!」
П「……ほんとに大丈夫だろうな?」
手に持てる…驚くべき軽さのロボを挿入ボックスに投げ込み、メモリを回そうとして考えこむ。
П「Very Fineじゃなくて、COARSEでやってみるか」
茄子「あ、1:1以下のメモリは……」
メモリを回して機械を起動する、よく見ると機械の下部の無数の歯車が不審な起動音を立てて回っているのが見える。
茄子「あー……」
П「え?」
855: ◆cAx53OjAIrfz 2013/06/22(土) 21:37:37.82 ID:KTXuDela0
歯車の回転が止まり、中からはバラバラに成ったよくわからない機械部品の山が出てきた。
П「…え?」
茄子「まったくもー人の話を聞かないんですから」
П「え?俺が悪いの?……しょうがねぇな」
ロボだったものをもう一度ちり取りで掃き取り、挿入箱に投げ込む。
П「設定は…Very Fineでいいか」
茄子「じゃあ、私は向こうでぽてちを食べてますねー」
П(まさか壊したから賠償とかはないだろうな……)
メモリを回してスイッチを入れ起動する、中からギゴゴゴと歯車の音がし起動し、徐々に音が小さくなっていく。
П「…『最低限、元のロボの形をして動くようになれ』」
段々と歯車の回転音が消え、ドアが開くと……
П「…あれ?何もないぞ?」
妙なことに素材ごと中身が消えており、排出ボックスからは何も見つけ出せなかったのだった。
П「……見なかった事にしよう」
何となく気味が悪くなり、自宅の女子寮の掃除に出かけたのだった。
П「…え?」
茄子「まったくもー人の話を聞かないんですから」
П「え?俺が悪いの?……しょうがねぇな」
ロボだったものをもう一度ちり取りで掃き取り、挿入箱に投げ込む。
П「設定は…Very Fineでいいか」
茄子「じゃあ、私は向こうでぽてちを食べてますねー」
П(まさか壊したから賠償とかはないだろうな……)
メモリを回してスイッチを入れ起動する、中からギゴゴゴと歯車の音がし起動し、徐々に音が小さくなっていく。
П「…『最低限、元のロボの形をして動くようになれ』」
段々と歯車の回転音が消え、ドアが開くと……
П「…あれ?何もないぞ?」
妙なことに素材ごと中身が消えており、排出ボックスからは何も見つけ出せなかったのだった。
П「……見なかった事にしよう」
何となく気味が悪くなり、自宅の女子寮の掃除に出かけたのだった。
856: ◆cAx53OjAIrfz 2013/06/22(土) 21:39:25.13 ID:KTXuDela0
晶葉「…?ロボの電波はあるのに、姿が何処に」
シュウゥウゥゥ…クロークモード、オフという合成音声が流れ、見た目は自分が作った筈の、ロボットが姿を表した。
ロボ『只今帰還致しました!次のご命令を!』ピピピッ
晶葉「うわぁっ!?」
ロボ『映像記録になります!』ピピッ
次の瞬間、ロボの目から投影映像が壁に映し出される。
晶葉「ろ、ロボ!?」
明らかに自分の手入れした範疇を越して帰ってきたことに驚愕し、その映像の中に謎の家の映像を見つけるのだった。
晶葉(……能力者…?いや、だが発動の片鱗が見えない……第一映像の機械は何だ?)
その日晶葉は明らかに改造されたロボ(大体が改良だったが)を一度調査し、謎の家が気がかりになるのだった。
晶葉「……なんだこの規格」
勿論未知の、よくわからない規格も多数散見され、コレもまた晶葉の頭を悩ます原因となるのだった。
シュウゥウゥゥ…クロークモード、オフという合成音声が流れ、見た目は自分が作った筈の、ロボットが姿を表した。
ロボ『只今帰還致しました!次のご命令を!』ピピピッ
晶葉「うわぁっ!?」
ロボ『映像記録になります!』ピピッ
次の瞬間、ロボの目から投影映像が壁に映し出される。
晶葉「ろ、ロボ!?」
明らかに自分の手入れした範疇を越して帰ってきたことに驚愕し、その映像の中に謎の家の映像を見つけるのだった。
晶葉(……能力者…?いや、だが発動の片鱗が見えない……第一映像の機械は何だ?)
その日晶葉は明らかに改造されたロボ(大体が改良だったが)を一度調査し、謎の家が気がかりになるのだった。
晶葉「……なんだこの規格」
勿論未知の、よくわからない規格も多数散見され、コレもまた晶葉の頭を悩ます原因となるのだった。
857: ◆cAx53OjAIrfz 2013/06/22(土) 21:42:09.22 ID:KTXuDela0
今日はここまで、もしかしたら色々スレとの設定ズレとか起きてるかも……
設定
女子寮
Пの実家、とある学校からお願いされて女子寮へとクラスチェンジした。
駅から歩くため、意外と利用料金は安い。
特殊分類問題群
正式名称:Special Classified Problems
物や、場所、人型など様々な形で存在し、時に人間に牙をむき。
時には人間を助ける。
超全自動分解改良装置
中に大量の歯車を持つ、複雑な機構を持つ機械、誰が何のために作ったのかは不明。
ROUGH・COARSE・1:1・FINE・VERY FINEの5つのメモリがあり、それぞれ1:1は同種、同質の物質への変換。
ROUGHは物質の完全な粉砕、COARSEは物質の解体、FINEは質の向上、VERY FINEは最上級の質の向上をもたらす、が。
基準はこのSCPの基準なので、からずしも変換する人の都合の良い物になるとは限らない。
(例)普通のぽてちをコンソメに変換したが、必ずしも皆コンソメが好きとは限らない。
尚、生物を入れると超高速で動き回るようになるが、その後すぐに不調を起こし『老衰死』する。
設定
女子寮
Пの実家、とある学校からお願いされて女子寮へとクラスチェンジした。
駅から歩くため、意外と利用料金は安い。
特殊分類問題群
正式名称:Special Classified Problems
物や、場所、人型など様々な形で存在し、時に人間に牙をむき。
時には人間を助ける。
超全自動分解改良装置
中に大量の歯車を持つ、複雑な機構を持つ機械、誰が何のために作ったのかは不明。
ROUGH・COARSE・1:1・FINE・VERY FINEの5つのメモリがあり、それぞれ1:1は同種、同質の物質への変換。
ROUGHは物質の完全な粉砕、COARSEは物質の解体、FINEは質の向上、VERY FINEは最上級の質の向上をもたらす、が。
基準はこのSCPの基準なので、からずしも変換する人の都合の良い物になるとは限らない。
(例)普通のぽてちをコンソメに変換したが、必ずしも皆コンソメが好きとは限らない。
尚、生物を入れると超高速で動き回るようになるが、その後すぐに不調を起こし『老衰死』する。
858: ◆TAACIbOrYU 2013/06/22(土) 21:59:01.22 ID:yh5cJ0LKo
おつー
◆cAx53OjAIrfzさんの設定や台詞のセンスとか、
◆kaGYBvZifEさんの巧みな文章に嫉妬して我が家にカースが現れそうなんですがギギギ...
◆cAx53OjAIrfzさんの設定や台詞のセンスとか、
◆kaGYBvZifEさんの巧みな文章に嫉妬して我が家にカースが現れそうなんですがギギギ...
860: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/22(土) 22:08:05.12 ID:9Cv04Os00
今日も今日とてカースは街に現れる。
3体ものカースが街で暴れていた。強欲、色欲、嫉妬だ。
『カネエエエエエエ!』
『ヤラナイカアアアアアアア!』
『ネタマシイイイイイイ!』
「ナチュルアースが来てないんですけど…帰りたいんですけど…」
「違う街の学校なんだから来るのに時間がかかるんだと思う…今までも二人だったんだし、ね?」
「うう…色欲だけはお断りしたいんですけど…」
「そ、それは…私も…そうだけど…もう変身はしちゃったし…」
「色欲だけはむぅーりぃー…。」
色欲のカース。数は少ないが発する言葉、姿、攻撃等、全てが●●であり、どんなヒーローでも嫌悪感を抱かずにはいられないカースである。
『ヤラセロォォォォォォ!』
「気持ち悪いんですけど…泣きそうなんですけど…。」
3体ものカースが街で暴れていた。強欲、色欲、嫉妬だ。
『カネエエエエエエ!』
『ヤラナイカアアアアアアア!』
『ネタマシイイイイイイ!』
「ナチュルアースが来てないんですけど…帰りたいんですけど…」
「違う街の学校なんだから来るのに時間がかかるんだと思う…今までも二人だったんだし、ね?」
「うう…色欲だけはお断りしたいんですけど…」
「そ、それは…私も…そうだけど…もう変身はしちゃったし…」
「色欲だけはむぅーりぃー…。」
色欲のカース。数は少ないが発する言葉、姿、攻撃等、全てが●●であり、どんなヒーローでも嫌悪感を抱かずにはいられないカースである。
『ヤラセロォォォォォォ!』
「気持ち悪いんですけど…泣きそうなんですけど…。」
861: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/22(土) 22:09:00.56 ID:9Cv04Os00
その時だった。
「地よ、草花よ、私に守る力を貸して…!感じる、大いなる大地の力…!メタモルフォーゼ!」
向こう側の建物の屋上に、輝きを放つ姿があった。
「あ、あれは…!」
「ア、アイドルヒーロー…!」
「私は自然の恋人であり、処刑代理人…ナチュラル・ラヴァース!」
テレビにもよく出ている有名なアイドルヒーローだ。どうやら相方はいないようだが、これで戦況に希望が出てきた。
「の、乃々ちゃん!ナチュラルラヴァースさんに加勢しましょう!」
「え、でもテレビで撮影されてるから邪魔したら訴えられると思うんですけど…。」
「…乃々ちゃん、意外と知られてないけど、色欲のカースとの戦いは放送コードに引っかかるから撮影されないんです。」
「え…?」
「だから私たちが出ても何の問題もないんですよ!」
ほたるが乃々の腕をつかむと、夕美の所へ飛んでいった。
「地よ、草花よ、私に守る力を貸して…!感じる、大いなる大地の力…!メタモルフォーゼ!」
向こう側の建物の屋上に、輝きを放つ姿があった。
「あ、あれは…!」
「ア、アイドルヒーロー…!」
「私は自然の恋人であり、処刑代理人…ナチュラル・ラヴァース!」
テレビにもよく出ている有名なアイドルヒーローだ。どうやら相方はいないようだが、これで戦況に希望が出てきた。
「の、乃々ちゃん!ナチュラルラヴァースさんに加勢しましょう!」
「え、でもテレビで撮影されてるから邪魔したら訴えられると思うんですけど…。」
「…乃々ちゃん、意外と知られてないけど、色欲のカースとの戦いは放送コードに引っかかるから撮影されないんです。」
「え…?」
「だから私たちが出ても何の問題もないんですよ!」
ほたるが乃々の腕をつかむと、夕美の所へ飛んでいった。
862: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/22(土) 22:10:03.26 ID:9Cv04Os00
「…これを一人でやれって…無茶ぶりだなぁ…しかも色欲まで…撮影スタッフがいないからこっちとしてはいいんだけど…」
「ナチュラルラヴァースさん!」
「…?貴方たちは?」
「わ、私はこの周辺を守っている、ナチュルスカイです!」
「ええ、えっとナチュルマリンです…。」
「私たち、協力できないかと思って…!」
取りあえず着地して、夕美に共戦を提案する。しかし、夕美は二人をじっと見つめていた。
「それはありがたいけど…その力、どこで…?」
「え?自然の精霊にこの力はもらったもので…。」
「…ふーん。すごいね、精霊に気に入られるなんて。こんな地球にも精霊がまだ生きていたなんて。人なんかに頼らないといけないくらい結構弱っているみたいだけど。」
はぁ、と溜息をつきながら夕美は二人をまだ見つめる。テレビの時とは大違いだ。
「え?」
「なんでもないよ。…その様子を見るとまだ力は制御できてないんでしょ?」
「えっと…い、一応ですけど修業はしているので…で、でも嫌なら撤退しても…」
「…ううん、制御できてなくてもいいよ。私植物大好きだし。」
「あ、はい…。」
そういうと、夕美は屋上から飛び降り、ちょうど真下にいた嫉妬のカースを竹で貫き、運よく貫かれなかった核を腕から生やした丸太のような木で破壊し、それらを支えにして降り立った。
「おいで。」
「は、はいっ!」
ほたるも乃々を掴んで隣に飛び降りた。
「ナチュラルラヴァースさん!」
「…?貴方たちは?」
「わ、私はこの周辺を守っている、ナチュルスカイです!」
「ええ、えっとナチュルマリンです…。」
「私たち、協力できないかと思って…!」
取りあえず着地して、夕美に共戦を提案する。しかし、夕美は二人をじっと見つめていた。
「それはありがたいけど…その力、どこで…?」
「え?自然の精霊にこの力はもらったもので…。」
「…ふーん。すごいね、精霊に気に入られるなんて。こんな地球にも精霊がまだ生きていたなんて。人なんかに頼らないといけないくらい結構弱っているみたいだけど。」
はぁ、と溜息をつきながら夕美は二人をまだ見つめる。テレビの時とは大違いだ。
「え?」
「なんでもないよ。…その様子を見るとまだ力は制御できてないんでしょ?」
「えっと…い、一応ですけど修業はしているので…で、でも嫌なら撤退しても…」
「…ううん、制御できてなくてもいいよ。私植物大好きだし。」
「あ、はい…。」
そういうと、夕美は屋上から飛び降り、ちょうど真下にいた嫉妬のカースを竹で貫き、運よく貫かれなかった核を腕から生やした丸太のような木で破壊し、それらを支えにして降り立った。
「おいで。」
「は、はいっ!」
ほたるも乃々を掴んで隣に飛び降りた。
863: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/22(土) 22:10:58.79 ID:9Cv04Os00
「いーい?これから耳を塞いでね。あと、核だけ破壊してくれればいいから。核の破壊だけは苦手なんだ。」
そう言って、夕美はにっこり笑うと
『この星の自然よ!愛しきものたちよ!大いなる我が力に従い、力を!我に自然の害悪を排除する力を!』
夕美の両腕に緑色の光が集まってゆく。
「な、なんですかこれ…?」
「イヴさんたちの魔法…に似てるけど違う…?」
『ナチュラル・リセットバズーカ!!』
緑色の光が束となってカースに襲い掛かる。大地をかすめ、建物に当たり、カースの黒い部分が剥がれるように消えてゆく。
『ギャアアアアアアアアアアアアアアア!』
『イテエエエヨオオオオオオオオオオ!』
耳を思わず防ぐほどの咆哮。今までここまでの悲鳴を上げることはなかったのに。
つまりそれだけ痛みがあるということ。そして核だけが飛び出す。
「さ、壊しちゃって♪」
「はい!嵐よっ!雷よっ!力を貸して!」
ほたるが叫ぶと小さな嵐のようなものが発生し、見事に核だけを破壊した。
「や、やった!上手くコントロールできてる!」
「お、おおお…これなら歩く自然災害という風評被害が無くなる…。」
「うんうん、お見事。じゃあ、私はもう行かないと。…ごめんね?」
「え?」
そういうと夕美は駆けて行ってしまった。
そう言って、夕美はにっこり笑うと
『この星の自然よ!愛しきものたちよ!大いなる我が力に従い、力を!我に自然の害悪を排除する力を!』
夕美の両腕に緑色の光が集まってゆく。
「な、なんですかこれ…?」
「イヴさんたちの魔法…に似てるけど違う…?」
『ナチュラル・リセットバズーカ!!』
緑色の光が束となってカースに襲い掛かる。大地をかすめ、建物に当たり、カースの黒い部分が剥がれるように消えてゆく。
『ギャアアアアアアアアアアアアアアア!』
『イテエエエヨオオオオオオオオオオ!』
耳を思わず防ぐほどの咆哮。今までここまでの悲鳴を上げることはなかったのに。
つまりそれだけ痛みがあるということ。そして核だけが飛び出す。
「さ、壊しちゃって♪」
「はい!嵐よっ!雷よっ!力を貸して!」
ほたるが叫ぶと小さな嵐のようなものが発生し、見事に核だけを破壊した。
「や、やった!上手くコントロールできてる!」
「お、おおお…これなら歩く自然災害という風評被害が無くなる…。」
「うんうん、お見事。じゃあ、私はもう行かないと。…ごめんね?」
「え?」
そういうと夕美は駆けて行ってしまった。
864: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/22(土) 22:11:29.33 ID:9Cv04Os00
「あ…ああ…」
「どうしたの?乃々ちゃん…?」
ほたるは絶句した。
振り返ると夕美の攻撃が当たった所が…まるで未開拓地になっていたのだ。
大地は花畑に、建物は木々になり替わっており、もはや文明のかけらすら残っていない。人が居たらどうなっていたことか…想像しただけで寒気がした。
「なな、なんですかこれ…?」
「わ、私たちがやらかした後でもここまでひどくないんですけど…」
そして、避難していた住民が戻ってくる。
「な、なんじゃこりゃぁ!」
「また、ナチュルスターか…」
「ナチュルスターなら仕方ない。」
「ナチュルスターなら許さざるを得ない。」
「め、名誉棄損なんですけど…でも訴えたら負けそうなんですけど…」
「…あの人の力こそ…どこから…?」
「どうしたの?乃々ちゃん…?」
ほたるは絶句した。
振り返ると夕美の攻撃が当たった所が…まるで未開拓地になっていたのだ。
大地は花畑に、建物は木々になり替わっており、もはや文明のかけらすら残っていない。人が居たらどうなっていたことか…想像しただけで寒気がした。
「なな、なんですかこれ…?」
「わ、私たちがやらかした後でもここまでひどくないんですけど…」
そして、避難していた住民が戻ってくる。
「な、なんじゃこりゃぁ!」
「また、ナチュルスターか…」
「ナチュルスターなら仕方ない。」
「ナチュルスターなら許さざるを得ない。」
「め、名誉棄損なんですけど…でも訴えたら負けそうなんですけど…」
「…あの人の力こそ…どこから…?」
865: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/22(土) 22:12:21.43 ID:9Cv04Os00
その頃、菜々は仮病を使い、手紙で接触してきたウサミン星人とのコンタクトをとっていた。
「ナナ様…こんにちは。」
目の前に立っているのは全身つやつやで真っ白な、完全にウサミン星人の体をした男。
対して菜々は、人間の耳をウサミンの耳に変えているだけだった。
「ナンバーをどうぞ。ナナはNo-2017-77です。そちらも。」
「…申し訳ない。私のナンバーはNo-2525-49です。」
「アフターナンバーが30~69。中級ウサミンと認識しました。問題は?」
「ないです。ナナ様。」
ここはウサミンPの宇宙船。その中の、人間への長期間の宇宙旅行のリラックス効果を目的に、植物園のようになっている休憩スペースだ。
現在宇宙船はステルスをかけた状態で、とあるビルの屋上付近を浮遊していた。
「ナナ様…こんにちは。」
目の前に立っているのは全身つやつやで真っ白な、完全にウサミン星人の体をした男。
対して菜々は、人間の耳をウサミンの耳に変えているだけだった。
「ナンバーをどうぞ。ナナはNo-2017-77です。そちらも。」
「…申し訳ない。私のナンバーはNo-2525-49です。」
「アフターナンバーが30~69。中級ウサミンと認識しました。問題は?」
「ないです。ナナ様。」
ここはウサミンPの宇宙船。その中の、人間への長期間の宇宙旅行のリラックス効果を目的に、植物園のようになっている休憩スペースだ。
現在宇宙船はステルスをかけた状態で、とあるビルの屋上付近を浮遊していた。
866: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/22(土) 22:13:12.41 ID:9Cv04Os00
「ウサミン星人と接触するのは数十年ぶりですね。しかも私は報告をした後すぐこちらへ戻りましたから…懐かしいです。」
「質問をしてもよろしいでしょうかナナ様。最初の旧式の挨拶は何故…?」
「…旧式?」
菜々は首をかしげる。自分のいない間に挨拶が変わるなどあり得るのだろうか?
「ナナ様?おかしいですよ。接触なんて政権交代しても政府が使者を一定期間ごとに送っていますし…。」
「…は?使者?政権交代…?」
菜々の瞳が忙しく揺れる。その時だった。休憩室の小さな植物達が風もないのにカサカサ揺れた。
「質問をしてもよろしいでしょうかナナ様。最初の旧式の挨拶は何故…?」
「…旧式?」
菜々は首をかしげる。自分のいない間に挨拶が変わるなどあり得るのだろうか?
「ナナ様?おかしいですよ。接触なんて政権交代しても政府が使者を一定期間ごとに送っていますし…。」
「…は?使者?政権交代…?」
菜々の瞳が忙しく揺れる。その時だった。休憩室の小さな植物達が風もないのにカサカサ揺れた。
867: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/22(土) 22:14:42.13 ID:9Cv04Os00
―見ちゃった、カサカサ
―聞いちゃった、カサカサ
―言ってやろう、カサカサ
―あの人に言ってやろう、カサカサ
ウサミンの優秀な耳はわざとらしい植物の会話まで拾った。本来は聞こえないはずなのに、わざと聞こえるように喋っているのだ。
「な、なんなんだ…?」
「なぜ植物が騒ぐんですか…?…!」
菜々が目を見開いて何かに気付く。しかし、今度は別の大きな植物達がサワサワ揺れる。
―お怒りだ、サワサワ
―お怒りだ、サワサワ
―あの人がお怒りだ、サワサワ
そして全ての植物達が叫ぶように揺れる。
―お怒りだ!お怒りだ!
―ユミ様がお怒りだ!愚かなウサミンにお怒りだ!
―聞いちゃった、カサカサ
―言ってやろう、カサカサ
―あの人に言ってやろう、カサカサ
ウサミンの優秀な耳はわざとらしい植物の会話まで拾った。本来は聞こえないはずなのに、わざと聞こえるように喋っているのだ。
「な、なんなんだ…?」
「なぜ植物が騒ぐんですか…?…!」
菜々が目を見開いて何かに気付く。しかし、今度は別の大きな植物達がサワサワ揺れる。
―お怒りだ、サワサワ
―お怒りだ、サワサワ
―あの人がお怒りだ、サワサワ
そして全ての植物達が叫ぶように揺れる。
―お怒りだ!お怒りだ!
―ユミ様がお怒りだ!愚かなウサミンにお怒りだ!
868: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/22(土) 22:15:33.51 ID:9Cv04Os00
カサカサ、サワサワ、異常現象にウサミンPは菜々を庇うように立つ。
「…あーあ。またか…。」
しかし、入り口の無いはずの背後に、その少女は立っていた。
「夕美ちゃん…?」
「ナナちゃん、ごめんね?」
夕美の指が菜々に触れた瞬間、菜々は急に逆らえない程の眠気に襲われ、そのまま眠り込んでしまった。
「貴方は…名も無き星の…!」
「…なんで、ナナちゃんに話しちゃうのかなぁ…?ナナちゃん、絶望するんだよ?いつもいつも!」
怒りを隠すそぶりもなく、目を妖しく輝かせて夕美は語り掛ける。
「今まで全部、いきなり誘拐して『グレートマザー!我らと共に自由な世界へ!』だってさ。愚かだよね。」
近づいてきて、指を顎に当てて聞く。
「…あなたは違うみたいだけど。さぁ何を言いたい?」
「…あーあ。またか…。」
しかし、入り口の無いはずの背後に、その少女は立っていた。
「夕美ちゃん…?」
「ナナちゃん、ごめんね?」
夕美の指が菜々に触れた瞬間、菜々は急に逆らえない程の眠気に襲われ、そのまま眠り込んでしまった。
「貴方は…名も無き星の…!」
「…なんで、ナナちゃんに話しちゃうのかなぁ…?ナナちゃん、絶望するんだよ?いつもいつも!」
怒りを隠すそぶりもなく、目を妖しく輝かせて夕美は語り掛ける。
「今まで全部、いきなり誘拐して『グレートマザー!我らと共に自由な世界へ!』だってさ。愚かだよね。」
近づいてきて、指を顎に当てて聞く。
「…あなたは違うみたいだけど。さぁ何を言いたい?」
869: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/22(土) 22:16:24.05 ID:9Cv04Os00
「貴方が…ナナ様の記憶を…?」
「…そうだよ。だって親友だもの。」
当たり前でしょう?と微笑む。
つまり、今まで菜々が母星の危機を知らなかったのは彼女が情報を菜々が手に入れる前に奪ったか、手に入れても消したのか。どちらかなのだろう。
今日は仕事が忙しく、ポストの中身を見る余裕がなかったのは幸運の様だ。
…つまり、菜々は知らぬうちに親友に情報規制を受けていたのだ。
「…ねぇ、これなんだかわかる?」
夕美は手のひらに乗せた小さないくつもの種を取り出して聞いた。
「これね、ウサミン星人。」
「…は?」
「かなり力は使うけどね、生き物を植物に変えるの。」
背筋が凍りそうになる。つまり暗に自分の力を示しているわけで。
「…さて、答えてもらおうかな。何故ナナちゃんに真実を告げるの?絶望させたいの?『自分のせいで母星に酷い事が起きている』って知って、正常でいられるって思ってたの!?」
「…それは、それが彼女にもきっと必要な事だから!」
「…なんで?」
「貴方は…ナナ様が絶望したらすぐに記憶操作したのでしょうね。」
「…そうだけど…。」
「…お願いします、私の命を犠牲にしてもかまいません。ナナ様が、絶望を乗り越えるまで…見守ってください。親友なのでしょう?」
夕美の動きが完全に止まる。
「…親友はそういう物なの?」
「はい。」
「…そっか、うん。…分かった。」
夕美はにっこり笑って言った。
「ナナちゃんは、私が見守ります!それが親友の役目なら!」
「…そうだよ。だって親友だもの。」
当たり前でしょう?と微笑む。
つまり、今まで菜々が母星の危機を知らなかったのは彼女が情報を菜々が手に入れる前に奪ったか、手に入れても消したのか。どちらかなのだろう。
今日は仕事が忙しく、ポストの中身を見る余裕がなかったのは幸運の様だ。
…つまり、菜々は知らぬうちに親友に情報規制を受けていたのだ。
「…ねぇ、これなんだかわかる?」
夕美は手のひらに乗せた小さないくつもの種を取り出して聞いた。
「これね、ウサミン星人。」
「…は?」
「かなり力は使うけどね、生き物を植物に変えるの。」
背筋が凍りそうになる。つまり暗に自分の力を示しているわけで。
「…さて、答えてもらおうかな。何故ナナちゃんに真実を告げるの?絶望させたいの?『自分のせいで母星に酷い事が起きている』って知って、正常でいられるって思ってたの!?」
「…それは、それが彼女にもきっと必要な事だから!」
「…なんで?」
「貴方は…ナナ様が絶望したらすぐに記憶操作したのでしょうね。」
「…そうだけど…。」
「…お願いします、私の命を犠牲にしてもかまいません。ナナ様が、絶望を乗り越えるまで…見守ってください。親友なのでしょう?」
夕美の動きが完全に止まる。
「…親友はそういう物なの?」
「はい。」
「…そっか、うん。…分かった。」
夕美はにっこり笑って言った。
「ナナちゃんは、私が見守ります!それが親友の役目なら!」
870: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/22(土) 22:17:15.42 ID:9Cv04Os00
「…よかった。」
世間知らずの宇宙人…地球人のほとんどがそうだが…でなければ彼女が何者なのかは常識だ。
自然が全ての生物を支配する、名も無き星。
彼女…大精霊ユミは、その自然の王である世界樹の配下の一人で、植物をつかさどっている。
名も無き星の精霊は、様々な星に潜入しており、執着心が強く、そして世間知らずだ。
大精霊なのだからもう少しまともな人格だったはずなのだが…この地球の環境が悪いからだろうか?
すると、夕美はポンッと音を立てて、小さなぬいぐるみのような姿になった。今日の力をほとんど使い果たしたのだろう。
「…」
(今日は取りあえずこの二人を保護しよう…。)
頭にゼラニウムを咲かせて菜々に寄り添い眠る、小さな夕美を見つめてウサミンPは思った。
(…取りあえず今は学校だが今日も歌う為にここに来る沙織になんて説明すれば…)
世間知らずの宇宙人…地球人のほとんどがそうだが…でなければ彼女が何者なのかは常識だ。
自然が全ての生物を支配する、名も無き星。
彼女…大精霊ユミは、その自然の王である世界樹の配下の一人で、植物をつかさどっている。
名も無き星の精霊は、様々な星に潜入しており、執着心が強く、そして世間知らずだ。
大精霊なのだからもう少しまともな人格だったはずなのだが…この地球の環境が悪いからだろうか?
すると、夕美はポンッと音を立てて、小さなぬいぐるみのような姿になった。今日の力をほとんど使い果たしたのだろう。
「…」
(今日は取りあえずこの二人を保護しよう…。)
頭にゼラニウムを咲かせて菜々に寄り添い眠る、小さな夕美を見つめてウサミンPは思った。
(…取りあえず今は学校だが今日も歌う為にここに来る沙織になんて説明すれば…)
871: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/22(土) 22:18:11.89 ID:9Cv04Os00
相葉夕美
名も無き星の大精霊だが、地球の環境が悪いせいで力はほとんど失われている。
それでも変身すれば魔術を真似だけで自分流にアレンジして使えるなど、割と高スペック。
カメラの前とそれ以外で戦法も性格が変わるタイプ。精霊は自由でないと。
また、初めての友達である菜々と植物への執着はすさまじく、完全に怒らせれば命を植物に変えられる。
本体は母星の世界樹に生えている花全て。それらが全て散った時、命が終わる。
ナチュルスター達に興味がある模様。
名も無き星の大精霊だが、地球の環境が悪いせいで力はほとんど失われている。
それでも変身すれば魔術を真似だけで自分流にアレンジして使えるなど、割と高スペック。
カメラの前とそれ以外で戦法も性格が変わるタイプ。精霊は自由でないと。
また、初めての友達である菜々と植物への執着はすさまじく、完全に怒らせれば命を植物に変えられる。
本体は母星の世界樹に生えている花全て。それらが全て散った時、命が終わる。
ナチュルスター達に興味がある模様。
872: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/22(土) 22:18:54.74 ID:9Cv04Os00
以上です。今まで書きたかったネタを放出できた…
879: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/23(日) 00:43:48.51 ID:qgAsbwRwo
―
『ついてない』
今の俺を表現するにはこの言葉以外は思いつかない。
「…カインドも居ないのにな…」
目の前には二体のカース。
放っておけば街中に被害を及ぼすだろう。
「…くっ!」
二体のカースは交互に触手による攻撃を加えてくる。
「クソッ!」
避けきれなかった触手を当たる前に思い切り上に蹴り飛ばす。
『グァァ!?』
反撃を予想していなかったであろうカースから苦悶の声があがる。
『ついてない』
今の俺を表現するにはこの言葉以外は思いつかない。
「…カインドも居ないのにな…」
目の前には二体のカース。
放っておけば街中に被害を及ぼすだろう。
「…くっ!」
二体のカースは交互に触手による攻撃を加えてくる。
「クソッ!」
避けきれなかった触手を当たる前に思い切り上に蹴り飛ばす。
『グァァ!?』
反撃を予想していなかったであろうカースから苦悶の声があがる。
880: ◆yIMyWm13ls 2013/06/23(日) 00:44:42.41 ID:qgAsbwRwo
『ユルサナイ!ユルサナイィィ!』
蹴り飛ばしたほうのカースが激昂して体当たりをしてくる。
「あぐっ!?」
為す術もなく吹っ飛ばされる俺。
「こんなところで倒れてて何がシビルマスクだ…」
…14年前に戦ったやつらはもっと強かった。
『ユルサナイィィィィィ!』
二体のカースが同時に触手を飛ばしてくる。
「はは、歳には勝てないかぁ…」
畜生!……畜生…!
蹴り飛ばしたほうのカースが激昂して体当たりをしてくる。
「あぐっ!?」
為す術もなく吹っ飛ばされる俺。
「こんなところで倒れてて何がシビルマスクだ…」
…14年前に戦ったやつらはもっと強かった。
『ユルサナイィィィィィ!』
二体のカースが同時に触手を飛ばしてくる。
「はは、歳には勝てないかぁ…」
畜生!……畜生…!
881: ◆yIMyWm13ls 2013/06/23(日) 00:45:37.45 ID:qgAsbwRwo
『雷よ!』
頭の中に渋く、低い声が流れこんでくると同時に突然割り込んできたものにぶつかり二体のカースが吹っ飛ぶ。
「…なんだこいつ…?」
目の前には二本の角を生やし、鼻水を垂らしやたら目に輝きを秘めた良く分からない生き物。
『…トナカイだ』
トナカイらしい。
『…通じてるのか?』
小首をかしげる自称トナカイ。
「あ、あぁ…なんか頭の中に直接流れ込んでくるみたいだ…」
『…能力も力も持っていないようだが…まさか…』
『何かの力を持つ存在と長い期間共に過ごしたことはあるか?』
…あー…。
頭の中に渋く、低い声が流れこんでくると同時に突然割り込んできたものにぶつかり二体のカースが吹っ飛ぶ。
「…なんだこいつ…?」
目の前には二本の角を生やし、鼻水を垂らしやたら目に輝きを秘めた良く分からない生き物。
『…トナカイだ』
トナカイらしい。
『…通じてるのか?』
小首をかしげる自称トナカイ。
「あ、あぁ…なんか頭の中に直接流れ込んでくるみたいだ…」
『…能力も力も持っていないようだが…まさか…』
『何かの力を持つ存在と長い期間共に過ごしたことはあるか?』
…あー…。
882: ◆yIMyWm13ls 2013/06/23(日) 00:46:08.87 ID:qgAsbwRwo
「あるな。14年ほど」
美優と、もっとも現在進行形だが。
『なるほど、影響されたか…』
…影響…?
『今はそれどころではないか』
吹っ飛んだ二体のカースが混ざり合いひとつになる。
『…核が二つになったか、少々面倒だな』
「…地道に一つづつ破壊していくしかなさそうだ」
俺がそういうとトナカイは少し驚いた顔をする。
…多分驚いた顔なんだろう。
……恐らく…。
『その芯の強さ、気に入ったぞ』
なんかトナカイに褒められた。
『私に乗るといい』
…えっ。
美優と、もっとも現在進行形だが。
『なるほど、影響されたか…』
…影響…?
『今はそれどころではないか』
吹っ飛んだ二体のカースが混ざり合いひとつになる。
『…核が二つになったか、少々面倒だな』
「…地道に一つづつ破壊していくしかなさそうだ」
俺がそういうとトナカイは少し驚いた顔をする。
…多分驚いた顔なんだろう。
……恐らく…。
『その芯の強さ、気に入ったぞ』
なんかトナカイに褒められた。
『私に乗るといい』
…えっ。
883: ◆yIMyWm13ls 2013/06/23(日) 00:47:24.35 ID:qgAsbwRwo
―
『雷よ!』
トナカイは雷を帯びた角を振り回しカースを抉る。
「落ちる!?落ちるー!?」
必死で背中に捕まる俺。
『…私の角を引き抜け!』
こうなりゃヤケだ。やってやる。
「うらっ!」
カースを抉ったほうの角を思いっきり引っ張る。
「…抜けたけど凄い放電してるなこれ」
ゴム製の手袋で良かった…。
『…その割には冷静ではないか』
うぉっ、引きぬいた瞬間に新しいの生えてきた…。
「…まぁこれでも人生経験豊富なおじさんだからな、トナカイ」
『ブリッツェンだ。ドイツ語で雷の意味がある』
なるほど雷、そういうことか。
「…シビルマスクだ」
『…精々振り落とされないように頼むぞ』
「…上等だ」
『雷よ!』
トナカイは雷を帯びた角を振り回しカースを抉る。
「落ちる!?落ちるー!?」
必死で背中に捕まる俺。
『…私の角を引き抜け!』
こうなりゃヤケだ。やってやる。
「うらっ!」
カースを抉ったほうの角を思いっきり引っ張る。
「…抜けたけど凄い放電してるなこれ」
ゴム製の手袋で良かった…。
『…その割には冷静ではないか』
うぉっ、引きぬいた瞬間に新しいの生えてきた…。
「…まぁこれでも人生経験豊富なおじさんだからな、トナカイ」
『ブリッツェンだ。ドイツ語で雷の意味がある』
なるほど雷、そういうことか。
「…シビルマスクだ」
『…精々振り落とされないように頼むぞ』
「…上等だ」
884: ◆yIMyWm13ls 2013/06/23(日) 00:47:52.04 ID:qgAsbwRwo
ブリッツェンが角で何度もカースを抉る。
何度も何度も何度も。
何度も何度も何度も。何度も何度も何度も。何度も何度も何度も。
そして…抉られた泥の隙間から。
「見えた!左上肩のあたり!」
『雷よ!』
俺が指示した場所をブリッツェンが抉る。
そして抉られた隙間から見えた一つ目の核に
「せいっ!」
引きぬいた角を突き立てる。
耳障りな音を立てて核が砕ける。
何度も何度も何度も。
何度も何度も何度も。何度も何度も何度も。何度も何度も何度も。
そして…抉られた泥の隙間から。
「見えた!左上肩のあたり!」
『雷よ!』
俺が指示した場所をブリッツェンが抉る。
そして抉られた隙間から見えた一つ目の核に
「せいっ!」
引きぬいた角を突き立てる。
耳障りな音を立てて核が砕ける。
885: ◆yIMyWm13ls 2013/06/23(日) 00:48:33.81 ID:qgAsbwRwo
「『一つ目っ!』」
核が一つになったことによりカースがどろどろと溶けて小さくなる。
『グゾォォォォ!』
「見苦しいぞ、泥んこ!」
ブリッツェンがカースの前まで全力で走る。
「大人しく消えてろ!」
ブリッツェンに乗ったまますれ違いざまにカースの胴体を思い切り引きぬいた角で振りぬく。
それと同時に振りぬいた角が一際激しく放電する。
『アグァ!アグァァァァァ!』
カースの断末魔と核の破砕音が同時に響いた。
核が一つになったことによりカースがどろどろと溶けて小さくなる。
『グゾォォォォ!』
「見苦しいぞ、泥んこ!」
ブリッツェンがカースの前まで全力で走る。
「大人しく消えてろ!」
ブリッツェンに乗ったまますれ違いざまにカースの胴体を思い切り引きぬいた角で振りぬく。
それと同時に振りぬいた角が一際激しく放電する。
『アグァ!アグァァァァァ!』
カースの断末魔と核の破砕音が同時に響いた。
886: ◆yIMyWm13ls 2013/06/23(日) 00:49:06.96 ID:qgAsbwRwo
―
「て、店長!?大丈夫ですか!?」
お店の前には傷だらけの店長。
「ははっ、ちょっとカースが二匹ほど出てきてなぁ…ちょっとだけ危なかったよ…」
「一人でやっつけちゃったんですか!?」
二匹出てきたのに…?
「…あー、ある意味『一人』ではあるかもなぁ…」
…どういう意味でしょう?
「いや、たまには乗馬もいいかもな、うん、あれトナカイだけど」
「…本当に大丈夫ですか?」
……あれ?
「て、店長!?大丈夫ですか!?」
お店の前には傷だらけの店長。
「ははっ、ちょっとカースが二匹ほど出てきてなぁ…ちょっとだけ危なかったよ…」
「一人でやっつけちゃったんですか!?」
二匹出てきたのに…?
「…あー、ある意味『一人』ではあるかもなぁ…」
…どういう意味でしょう?
「いや、たまには乗馬もいいかもな、うん、あれトナカイだけど」
「…本当に大丈夫ですか?」
……あれ?
887: ◆yIMyWm13ls 2013/06/23(日) 00:50:23.89 ID:qgAsbwRwo
「そのうねうねした棒ってなんですか?」
店長はその棒を杖にしてゆっくりと立ち上がりました。
「これか?これな…俺の戦友がくれたんだ」
…戦友…?
「四足歩行のな」
余計訳が分からなくなりました。
「見てろよー、ほっ!」
バチリと棒から電撃が弾けます。
「だからその棒なんなんですか!?」
「だから戦友から…」
…これじゃ堂々巡りです。
店長はその棒を杖にしてゆっくりと立ち上がりました。
「これか?これな…俺の戦友がくれたんだ」
…戦友…?
「四足歩行のな」
余計訳が分からなくなりました。
「見てろよー、ほっ!」
バチリと棒から電撃が弾けます。
「だからその棒なんなんですか!?」
「だから戦友から…」
…これじゃ堂々巡りです。
888: ◆yIMyWm13ls 2013/06/23(日) 00:51:05.17 ID:qgAsbwRwo
終わり。
ブリッツェン
職業 トナカイの使い魔
属性 雷、イケメン
能力 雷を宿した角での攻撃
イヴ・サンタクロースの使い魔。
雷を宿した角で攻撃をする。角は引っこ抜ける。
すぐに角自体は生えるが長い年月を共に過ごした角ほど武器として強力になる。
薫ちゃんで竜騎士もありだな→そういやブリッツェン活躍してないな→なぜか美優さん抜きのシビルマスク単体で活躍
どうしてこうなった。
ブリッツェン
職業 トナカイの使い魔
属性 雷、イケメン
能力 雷を宿した角での攻撃
イヴ・サンタクロースの使い魔。
雷を宿した角で攻撃をする。角は引っこ抜ける。
すぐに角自体は生えるが長い年月を共に過ごした角ほど武器として強力になる。
薫ちゃんで竜騎士もありだな→そういやブリッツェン活躍してないな→なぜか美優さん抜きのシビルマスク単体で活躍
どうしてこうなった。
906: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/23(日) 17:05:08.20 ID:qTR+7PqvO
別設定はなしていいのでは?
さて、ほたると柊志乃で投下します。
若干、加蓮より暗いかもしれないがご了承ください
さて、ほたると柊志乃で投下します。
若干、加蓮より暗いかもしれないがご了承ください
907: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/23(日) 17:06:34.99 ID:qTR+7PqvO
白菊ほたるは疫病神と言われていた。
それは、別にナチュルスターをやっているからってわけではない。
謎の不思議パワーとか精霊の力とかで変身後は誰も彼女が白菊ほたるとは気づかない。
じゃあ、何故呼ばれてたか?
それは、別にナチュルスターをやっているからってわけではない。
謎の不思議パワーとか精霊の力とかで変身後は誰も彼女が白菊ほたるとは気づかない。
じゃあ、何故呼ばれてたか?
908: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/23(日) 17:07:13.86 ID:qTR+7PqvO
とある一軒家。そこに彼女は住んでいた。
ほたる「……おはよう。お父さん。お母さん。」
彼女の一日は両親への挨拶から始まる。
だけど、彼女以外には人影も何もない。
何故なのか?
それは仏壇があるのを見れば誰だって察するだろう。
ほたる「……おはよう。お父さん。お母さん。」
彼女の一日は両親への挨拶から始まる。
だけど、彼女以外には人影も何もない。
何故なのか?
それは仏壇があるのを見れば誰だって察するだろう。
909: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/23(日) 17:08:15.48 ID:qTR+7PqvO
母親は亡くなった。彼女を産む時に母体に負担を抱えてしまい、そのまま帰らぬ人に。
父親は亡くなった。産まれてきた我が子を必死で育てようと働いて、過労死した。
彼女は写真でしか知らない。自分の両親を……
父親は亡くなった。産まれてきた我が子を必死で育てようと働いて、過労死した。
彼女は写真でしか知らない。自分の両親を……
910: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/23(日) 17:11:03.74 ID:qTR+7PqvO
昔の話をしよう。
両親が亡くなり、幼き彼女は親戚のうちへ預かる事になった。その家は彼女が来てから、父親の会社は傾いた。母親は事故を起こした。そして、一家は離散した。
次の親戚もその次も彼女を預かってから偶然にも不幸が起こった。
「この……疫病神っ!」
物心ついた時からそう言われ続けた。それは決して彼女のせいではなかった。
ただ……悪い偶然が重なった。それだけだ……
親戚からの罵声、暴力。彼女はそれらを受けながら思った。
---自分はいらない子だ……
---なんで、私は産まれたの?
---すみません…すみません…すみません…
両親が亡くなり、幼き彼女は親戚のうちへ預かる事になった。その家は彼女が来てから、父親の会社は傾いた。母親は事故を起こした。そして、一家は離散した。
次の親戚もその次も彼女を預かってから偶然にも不幸が起こった。
「この……疫病神っ!」
物心ついた時からそう言われ続けた。それは決して彼女のせいではなかった。
ただ……悪い偶然が重なった。それだけだ……
親戚からの罵声、暴力。彼女はそれらを受けながら思った。
---自分はいらない子だ……
---なんで、私は産まれたの?
---すみません…すみません…すみません…
911: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/23(日) 17:12:39.97 ID:qTR+7PqvO
私がいなくなれば……いいのかな?
小さな少女が死ぬ覚悟をするのも、そんな環境だったからだろう。
ボロボロの身体。フラリフラリと外を彷徨う幼き少女は光のない瞳で、死を選んだ。
近所からも関わらないように言われてる為か、誰も幼き彼女を止める者もいなかった。
912: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/23(日) 17:13:57.80 ID:qTR+7PqvO
---私が産まれたから、お母さんはいないのかな?
---私がいたから、お父さんはいないのかな?
---私がいなくなれば、皆幸せになれるかな?
もう彼女に待ってるのは死しかなかった。
---私がいたから、お父さんはいないのかな?
---私がいなくなれば、皆幸せになれるかな?
もう彼女に待ってるのは死しかなかった。
913: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/23(日) 17:14:53.11 ID:qTR+7PqvO
???「あら?こんな所で何してるの?カワイイお嬢ちゃん」
それが、今の白菊ほたるの始まりだった。
914: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/23(日) 17:15:47.32 ID:qTR+7PqvO
時は戻って現代。
仏壇に手を合わせたほたるはもう一人の同居人を起こしにいった。
ほたる「志乃さん。朝ですよ。起きてください」
志乃「ふふ、おはよう。ほたるちゃん」ニコッ
ほたる「おはよう。志乃さん」ニコッ
空のワインボトルがたくさん置いてある部屋。そこの中央のソファーで寝ているこの家の主が微笑みながら眼を開いた。
仏壇に手を合わせたほたるはもう一人の同居人を起こしにいった。
ほたる「志乃さん。朝ですよ。起きてください」
志乃「ふふ、おはよう。ほたるちゃん」ニコッ
ほたる「おはよう。志乃さん」ニコッ
空のワインボトルがたくさん置いてある部屋。そこの中央のソファーで寝ているこの家の主が微笑みながら眼を開いた。
915: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/23(日) 17:17:22.07 ID:qTR+7PqvO
ほたる「ダメですよ。お酒ばっかり飲んでは…。もし、志乃さんになにかあったら」
志乃「うふふ。大丈夫よ。私は死なないわよ。最初に言ったわよね?貴女が望めば私は一緒にいてあげるって」
心配するほたるを他所に彼女は微笑みながら、ほたるを撫で、近くにあるワインボトルをあけ、グラスにそそいだ。
その光景に「もうっ…」と飽きれながらも、自分は生きてて大丈夫なんだと、ほたるは実感する。
志乃「うふふ。大丈夫よ。私は死なないわよ。最初に言ったわよね?貴女が望めば私は一緒にいてあげるって」
心配するほたるを他所に彼女は微笑みながら、ほたるを撫で、近くにあるワインボトルをあけ、グラスにそそいだ。
その光景に「もうっ…」と飽きれながらも、自分は生きてて大丈夫なんだと、ほたるは実感する。
916: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/23(日) 17:19:43.88 ID:qTR+7PqvO
柊志乃は謎が多い。
彼女が最初に出会った時も、何故か外でワイングラスを片手に持ち、ワインを飲んでいたのだから。
何故か彼女と始めてあったのに、幼いほたるは自分の事を彼女に話してしまい。
何故か彼女はほたるを養子にした。
その時に彼女はほたるにこう言った。
「貴女は生きてていいのよ?」
そして、彼女ら、何故かほたるの父親と母親の写真と仏壇も一緒に持ってきていた。
彼女が最初に出会った時も、何故か外でワイングラスを片手に持ち、ワインを飲んでいたのだから。
何故か彼女と始めてあったのに、幼いほたるは自分の事を彼女に話してしまい。
何故か彼女はほたるを養子にした。
その時に彼女はほたるにこう言った。
「貴女は生きてていいのよ?」
そして、彼女ら、何故かほたるの父親と母親の写真と仏壇も一緒に持ってきていた。
917: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/23(日) 17:20:36.87 ID:qTR+7PqvO
柊志乃が何者か……それはほたるにもわかっていない。
仕事が何しているのかもわからない。
ただ、ほたるにとって柊志乃はもう一人の母親であり、恩人である。
始めて、自分を必要と言ってくれた人。
始めて、抱きしめてくれた人。
始めて、温もりを与えてくれた人。
彼女がいなかったら、白菊ほたるは存在していなかったか、人を呪う存在になっていたかである。
918: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/23(日) 17:21:35.88 ID:qTR+7PqvO
志乃「うふふ。それより今日は乃々ちゃんと友達の家行くのでしょ?」
クイッとワインを飲みながら、時計を指差す。
ほたる「あっ…いかないと。じゃあ、志乃さん。行ってきます」
慌てて出かけるほたるを見て、志乃は本当の母親のように見送った。
パタンッ!
クイッとワインを飲みながら、時計を指差す。
ほたる「あっ…いかないと。じゃあ、志乃さん。行ってきます」
慌てて出かけるほたるを見て、志乃は本当の母親のように見送った。
パタンッ!
919: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/23(日) 17:22:28.23 ID:qTR+7PqvO
志乃「うふふ、ヒーロー活動頑張ってね。ほたるちゃん」
柊志乃は謎が多い。
志乃「さて、周子さんのところに遊びに行こうかしら?ふふ、それとも美優ちゃんのところにからかいに行こうかしら?」
ただ、言えるのは彼女は普通の人間ではない事だけは確かだ。
終わり
柊志乃は謎が多い。
志乃「さて、周子さんのところに遊びに行こうかしら?ふふ、それとも美優ちゃんのところにからかいに行こうかしら?」
ただ、言えるのは彼女は普通の人間ではない事だけは確かだ。
終わり
920: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/23(日) 17:24:02.58 ID:qTR+7PqvO
柊志乃(自称31)
職業・不明
属性・謎の女性。飲んだくれ
能力・不明
ほたるの育ての親であり、謎に包まれた女性。それは養子のほたるでさえも把握してない。
今のほたるの誰かを幸せにする考えも彼女に自分は生きてて大丈夫と言われたからである。
ほたるとの最初の出会いも何故かワインボトルとワインが入ったグラスを持っていた。
ほたるがナチュルスカイをやってる事を何故か知っていて、交流関係も色々とある。そもそもお金はどこから稼いでるのかもわからない。
果たして彼女は何者なのか?
921: ◆I2ss/4dt7o 2013/06/23(日) 17:29:25.86 ID:qTR+7PqvO
以上です。
巴の話の前にほたるの話書こう→あれ、かなりの惨劇になった……手直し手直し→……あれ?虐待とか両親死亡確定?ヤバイ……救いない…→そうだ!志乃さんだそう!そして皆が弄れるように謎のキャラにしよう→どうしてこうなった?
という訳です…志乃さんについては深く考えてないので、実は魔法少女とか、実は宇宙人とか、実は妖怪とか好きに考えていただいて大丈夫です!
巴の話の前にほたるの話書こう→あれ、かなりの惨劇になった……手直し手直し→……あれ?虐待とか両親死亡確定?ヤバイ……救いない…→そうだ!志乃さんだそう!そして皆が弄れるように謎のキャラにしよう→どうしてこうなった?
という訳です…志乃さんについては深く考えてないので、実は魔法少女とか、実は宇宙人とか、実は妖怪とか好きに考えていただいて大丈夫です!
962: ◆yIMyWm13ls 2013/06/24(月) 00:36:54.33 ID:EgppnLbDo
―
「へぇ、なかなか面白いものを持ってきたね」
薄暗い私の『製作室』その部屋の中で私ことリンとアコとの久々の邂逅が密かに行われていた。
私の前には一人の『スカベンジャー』、数少ない地上でのアンダーワールドからの知り合いだ。
…もっとも…私は大分昔から地上に住み着いていてアコと会うのも久しぶりなんだけど…。
「リン、お一つどうです?」
アコ……商魂逞しいところ相変わらず変わってないな…。
手渡されたプラズマブラスターと……これは……。
「『超小型核融合電池』…?」
プラズマブラスターなんかの比じゃない…こっちのほうが私は気になる…。
ここまで小型化出来るなんて…。中どうなってるんだろう……。
「…アコ、ただの『テクノロジスト』の私にそんなにお金がある訳ないでしょ」
…超小型核融合電池だけでいくらするのやら…。
「…やっぱり商路の確保が優先やなー」
…やっぱり最初から私を取引相手には考えて無かったんだね。
「へぇ、なかなか面白いものを持ってきたね」
薄暗い私の『製作室』その部屋の中で私ことリンとアコとの久々の邂逅が密かに行われていた。
私の前には一人の『スカベンジャー』、数少ない地上でのアンダーワールドからの知り合いだ。
…もっとも…私は大分昔から地上に住み着いていてアコと会うのも久しぶりなんだけど…。
「リン、お一つどうです?」
アコ……商魂逞しいところ相変わらず変わってないな…。
手渡されたプラズマブラスターと……これは……。
「『超小型核融合電池』…?」
プラズマブラスターなんかの比じゃない…こっちのほうが私は気になる…。
ここまで小型化出来るなんて…。中どうなってるんだろう……。
「…アコ、ただの『テクノロジスト』の私にそんなにお金がある訳ないでしょ」
…超小型核融合電池だけでいくらするのやら…。
「…やっぱり商路の確保が優先やなー」
…やっぱり最初から私を取引相手には考えて無かったんだね。
963: ◆yIMyWm13ls 2013/06/24(月) 00:38:08.82 ID:EgppnLbDo
「あ…でもこれ欲しいかな…」
私はアコの持ってきたガラクタから傷ついて完全に壊れてしまっているプラズマブラスターを取り出す。
「…それ、持って来といてなんなんやけどぶっ壊れてて完全にジャンク……」
「うん、ジャンクだから欲しいんだよ」
…まだこのプラズマブラスターには命を吹き込める…。
「そのくらいだったら物々交換の方がワンチャンある気がするわ…」
「ってな訳で何かありまへん?」
物々交換かぁ…。あぁ、そういえば…。
私はアコの持ってきたガラクタから傷ついて完全に壊れてしまっているプラズマブラスターを取り出す。
「…それ、持って来といてなんなんやけどぶっ壊れてて完全にジャンク……」
「うん、ジャンクだから欲しいんだよ」
…まだこのプラズマブラスターには命を吹き込める…。
「そのくらいだったら物々交換の方がワンチャンある気がするわ…」
「ってな訳で何かありまへん?」
物々交換かぁ…。あぁ、そういえば…。
964: ◆yIMyWm13ls 2013/06/24(月) 00:39:07.22 ID:EgppnLbDo
「これなんてどうかな?」
私は懐から巾着を取りだし中からいくつかのビー玉を取り出す。
「…ただのビー玉やないですか?これは…」
ビー玉を覗きこんで訝しげな顔をするアコ。
「…ううん、ちょっと見てて」
そう言って私は緑のビー玉を一つ掴み上げて窓の外に放り投げる。
『草木よ!』
その瞬間窓の外で投げたビー玉を種子にしたかのように、一本の巨大な樹が生える。
「こいつは驚きましたわ…」
それを見て唖然とするアコ。
私は懐から巾着を取りだし中からいくつかのビー玉を取り出す。
「…ただのビー玉やないですか?これは…」
ビー玉を覗きこんで訝しげな顔をするアコ。
「…ううん、ちょっと見てて」
そう言って私は緑のビー玉を一つ掴み上げて窓の外に放り投げる。
『草木よ!』
その瞬間窓の外で投げたビー玉を種子にしたかのように、一本の巨大な樹が生える。
「こいつは驚きましたわ…」
それを見て唖然とするアコ。
965: ◆yIMyWm13ls 2013/06/24(月) 00:39:50.59 ID:EgppnLbDo
「これをどこで手に入れたんです……?」
「これは私が昔作った『杖』の持ち主の成長記録みたいなものかな…?」
「『杖』…?」
「昔作ったんだ、魔法使い用の杖」
「なるべく現代社会に溶け込みやすいものって言われてさ、たまたま胸ポケットに差してたボールペンを改造してみたんだ」
「…なるほど、それなら違和感もないわぁ…」
「うん、そんな手抜き品だったんだけどお礼がしたいって言われて送られてきたんだ」
「杖…つまり魔法のビー玉ってことかいな」
「そう、使い捨てだからさっきのも結構貴重なんだよ?」
「これは私が昔作った『杖』の持ち主の成長記録みたいなものかな…?」
「『杖』…?」
「昔作ったんだ、魔法使い用の杖」
「なるべく現代社会に溶け込みやすいものって言われてさ、たまたま胸ポケットに差してたボールペンを改造してみたんだ」
「…なるほど、それなら違和感もないわぁ…」
「うん、そんな手抜き品だったんだけどお礼がしたいって言われて送られてきたんだ」
「杖…つまり魔法のビー玉ってことかいな」
「そう、使い捨てだからさっきのも結構貴重なんだよ?」
966: ◆yIMyWm13ls 2013/06/24(月) 00:40:21.10 ID:EgppnLbDo
「こ、これはえぇもんです!」
「これが地上の魔法か…!」
興奮気味で色とりどりの硝子球を覗きこむアコ。
「でも全部持って行かないでね」
一応釘を差しておく。
「…あ、当たり前やんかぁ~!」
…怪しい…。
「赤に炎の魔法、青に氷の魔法、薄い水色に水の魔法、緑に植物の魔法、黄色に雷の魔法が入ってるから気をつけて扱ってね?」
「しかし、こない貴重なもんまで出して一体そのガラクタどうする気なん?」
「これさ、フォルムが気に入っただけだからプラズマブラスターであることはそんなに大事じゃないんだ」
「…まぁフォルムは大事やね、仕方ない」
こういうところで気が合うからアコは嫌いになれない。
「これが地上の魔法か…!」
興奮気味で色とりどりの硝子球を覗きこむアコ。
「でも全部持って行かないでね」
一応釘を差しておく。
「…あ、当たり前やんかぁ~!」
…怪しい…。
「赤に炎の魔法、青に氷の魔法、薄い水色に水の魔法、緑に植物の魔法、黄色に雷の魔法が入ってるから気をつけて扱ってね?」
「しかし、こない貴重なもんまで出して一体そのガラクタどうする気なん?」
「これさ、フォルムが気に入っただけだからプラズマブラスターであることはそんなに大事じゃないんだ」
「…まぁフォルムは大事やね、仕方ない」
こういうところで気が合うからアコは嫌いになれない。
967: ◆yIMyWm13ls 2013/06/24(月) 00:41:10.90 ID:EgppnLbDo
「その魔法のビー玉もなんだけどさ、最近は珍しいものが良く手に入ってさ…」
そう言って私は巾着から少し歪んだ球体を取り出す。
「これは魔法のビー玉やないん?」
「これはね……『カース』の核だよ」
私がそう言うとアコは少し驚いた顔をする
「カースの核ぅ!?でもそんなもん素手で掴んだら…!」
「…そう、侵食される…」
…普通はね。
「これはね、浄化されてるんだ」
「浄化って一言に言われても反応に困るなぁ」
…うーん、確かにそうかも。
そう言って私は巾着から少し歪んだ球体を取り出す。
「これは魔法のビー玉やないん?」
「これはね……『カース』の核だよ」
私がそう言うとアコは少し驚いた顔をする
「カースの核ぅ!?でもそんなもん素手で掴んだら…!」
「…そう、侵食される…」
…普通はね。
「これはね、浄化されてるんだ」
「浄化って一言に言われても反応に困るなぁ」
…うーん、確かにそうかも。
968: ◆yIMyWm13ls 2013/06/24(月) 00:42:44.04 ID:EgppnLbDo
「…精神感応系の能力者がまっさらにしたカースの核って言えばいいかな?」
「それでもよくそんな恐ろしいもん素手で持てますなぁ…」
「…鍛えてるから?」
「んなの関係あるかい!」
「まぁ、それはともかくカースの特性って知ってる?」
「七罪の名前が付いてること、核を壊すまで復活する…くらいしか知らんなぁ…」
「うん、カースの核は周囲から黒い感情を吸って自己修復や回復するんだ」
「…それならまっさらな浄化すれたカースの核はどうだと思う?」
「…もしかして前向きな感情を糧にするんか?」
…引っかかると思った。
「残念ハズレ。清濁問わず全ての感情を取り込むよ」
「…それって危なくないん?」
「それでもよくそんな恐ろしいもん素手で持てますなぁ…」
「…鍛えてるから?」
「んなの関係あるかい!」
「まぁ、それはともかくカースの特性って知ってる?」
「七罪の名前が付いてること、核を壊すまで復活する…くらいしか知らんなぁ…」
「うん、カースの核は周囲から黒い感情を吸って自己修復や回復するんだ」
「…それならまっさらな浄化すれたカースの核はどうだと思う?」
「…もしかして前向きな感情を糧にするんか?」
…引っかかると思った。
「残念ハズレ。清濁問わず全ての感情を取り込むよ」
「…それって危なくないん?」
969: ◆yIMyWm13ls 2013/06/24(月) 00:43:49.44 ID:EgppnLbDo
「これはリミッターを掛けて持ち主以外からは感情を吸えないようにしてあるから大丈夫」
「まぁもし私が思いっきり負の感情抱えたら一気にカースになって私ごと取り込まれちゃうけど」
「全然大丈夫ちゃうやないか!」
「大丈夫、私が持つのは探究心だけだから!」
「自慢にならんわっ!」
「……まぁ見ててよ」
私は慣れた手つきでプラズマブラスターに細工を始める。
アンダーワールドの『テクノロジスト』…舐めないで欲しい。
「…はぁ、どうでも良くなりましたわ…」
夢中でプラズマブラスターを弄り始める私を呆れた目で見るアコ。
「まぁもし私が思いっきり負の感情抱えたら一気にカースになって私ごと取り込まれちゃうけど」
「全然大丈夫ちゃうやないか!」
「大丈夫、私が持つのは探究心だけだから!」
「自慢にならんわっ!」
「……まぁ見ててよ」
私は慣れた手つきでプラズマブラスターに細工を始める。
アンダーワールドの『テクノロジスト』…舐めないで欲しい。
「…はぁ、どうでも良くなりましたわ…」
夢中でプラズマブラスターを弄り始める私を呆れた目で見るアコ。
970: ◆yIMyWm13ls 2013/06/24(月) 00:44:45.66 ID:EgppnLbDo
―
「…こんな感じかな…?」
プラズマブラスターへの細工を終えて私は顔を上げる。
「相変わらず仕事の早いことですなぁ…」
そんなに褒めないで欲しい。
「多分いけると思うんだけど…」
そう言って私はプラズマブラスターの引き金を引き、唱える。
『氷よ!』『氷よ!!』
立て続けに二発。
軽い反動の後にプラズマブラスターから二発の力の塊が飛び出し、被弾した製作室の壁が凍りつく。
「…こんな感じかな…?」
プラズマブラスターへの細工を終えて私は顔を上げる。
「相変わらず仕事の早いことですなぁ…」
そんなに褒めないで欲しい。
「多分いけると思うんだけど…」
そう言って私はプラズマブラスターの引き金を引き、唱える。
『氷よ!』『氷よ!!』
立て続けに二発。
軽い反動の後にプラズマブラスターから二発の力の塊が飛び出し、被弾した製作室の壁が凍りつく。
971: ◆yIMyWm13ls 2013/06/24(月) 00:45:53.11 ID:EgppnLbDo
「…出来た…!『魔法銃』」
「こいつはまたどえらいもんを…」
「カースの周囲の感情を取り込んで力を蓄える性質と魔法を込めたビー玉…」
「要はビー玉自体の魔力を使わないで魔法の発射口に出来ればって思ったんだ!」
「ビー玉を取り替えれば色んな魔法が擬似的に使えるよ!」
「……うん、満足した。これあげるね?」
「は?」
そんなこいつアホかみたいな目で見ないで欲しい。
「これ、使う時にくれぐれもカースの核に飲み込まれないようにね?」
「それとまた面白そうな素材が見つかったら持ってきて欲しいな」
「…リン、アンタやっぱり偉くはなれんわ…」
…うん、知ってる。
「…それにしてもやっぱり地上は面白いものに溢れてて飽きないね」
今日も私は地上で『テクノロジスト』として生きている。
「こいつはまたどえらいもんを…」
「カースの周囲の感情を取り込んで力を蓄える性質と魔法を込めたビー玉…」
「要はビー玉自体の魔力を使わないで魔法の発射口に出来ればって思ったんだ!」
「ビー玉を取り替えれば色んな魔法が擬似的に使えるよ!」
「……うん、満足した。これあげるね?」
「は?」
そんなこいつアホかみたいな目で見ないで欲しい。
「これ、使う時にくれぐれもカースの核に飲み込まれないようにね?」
「それとまた面白そうな素材が見つかったら持ってきて欲しいな」
「…リン、アンタやっぱり偉くはなれんわ…」
…うん、知ってる。
「…それにしてもやっぱり地上は面白いものに溢れてて飽きないね」
今日も私は地上で『テクノロジスト』として生きている。
972: ◆yIMyWm13ls 2013/06/24(月) 00:46:54.97 ID:EgppnLbDo
終わり。
渋谷凛
職業 テクノロジスト
属性 製作者
能力 なし
地底世界アンダーワールド出身。何年も前に地底の技術に飽々して地上に昇った。
名前はリン。地上では渋谷凛と名乗っている。未知の技術に触れることやアイテム作りが生き甲斐だと感じている。
特殊偏光グラスではなく独自に開発したコンタクトレンズを使っている。
Item 魔法銃
現在の所有者 土屋亜子
浄化されたカースの核をエネルギーとして魔法のビー玉に込められた魔法を再現する。
取り付けられたビー玉の種類を取り替えることで魔法の種類も変わる。
…邪悪な心の持ち主が使うと…?
予め撒いておいたボールペンの製作者フラグとアンダーワールドの親和性の高さに愕然。
渋谷凛
職業 テクノロジスト
属性 製作者
能力 なし
地底世界アンダーワールド出身。何年も前に地底の技術に飽々して地上に昇った。
名前はリン。地上では渋谷凛と名乗っている。未知の技術に触れることやアイテム作りが生き甲斐だと感じている。
特殊偏光グラスではなく独自に開発したコンタクトレンズを使っている。
Item 魔法銃
現在の所有者 土屋亜子
浄化されたカースの核をエネルギーとして魔法のビー玉に込められた魔法を再現する。
取り付けられたビー玉の種類を取り替えることで魔法の種類も変わる。
…邪悪な心の持ち主が使うと…?
予め撒いておいたボールペンの製作者フラグとアンダーワールドの親和性の高さに愕然。
983: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/24(月) 01:54:03.24 ID:eXeLsawt0
とある平行世界。妖怪が人類の天敵となっていた世界。
妖怪たちの長は、人類の精鋭部隊に敗れ去ろうとしていた。
『我、死ストモ…我ガ執念ハ消エズ…!』
「ま、まだ生きてるの!?」
「もう一回ぶち込め!早く!」
人間たちが呪文を唱えると、聖なる力が集まってゆく。
『我ガ妖力、失ワレル事無シ…!』
妖怪の長が妖力を放出しようとするものの、完全に人間の攻撃に間に合わない。
最後の足掻きのように出した攻撃と聖なる力がぶつかり合い、衝撃が完全に消えた時、妖怪の長は消滅していた。
妖怪たちの長は、人類の精鋭部隊に敗れ去ろうとしていた。
『我、死ストモ…我ガ執念ハ消エズ…!』
「ま、まだ生きてるの!?」
「もう一回ぶち込め!早く!」
人間たちが呪文を唱えると、聖なる力が集まってゆく。
『我ガ妖力、失ワレル事無シ…!』
妖怪の長が妖力を放出しようとするものの、完全に人間の攻撃に間に合わない。
最後の足掻きのように出した攻撃と聖なる力がぶつかり合い、衝撃が完全に消えた時、妖怪の長は消滅していた。
984: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/24(月) 01:54:31.79 ID:eXeLsawt0
ごみ捨て場。そこには捨てられた着物があった。
ある呉服店で遥か昔から受け継がれ続けてきた伝統の着物…だった着物。
不幸にも一番若い娘に捨てられてしまった、持ち主を失った着物。
そこに空からまるで流れ星のような何かが降り、強い光を放った。
ある呉服店で遥か昔から受け継がれ続けてきた伝統の着物…だった着物。
不幸にも一番若い娘に捨てられてしまった、持ち主を失った着物。
そこに空からまるで流れ星のような何かが降り、強い光を放った。
985: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/24(月) 01:54:57.14 ID:eXeLsawt0
とある休日。とあるライブハウスでライブを終えたバンドグループが休憩中。
「ねぇねぇ、アンタこういう話題好きでしょ?」
突然、バンドグループのドラマーが、ボーカルの少女に笑って言った。
「何の話?」
「都市伝説だよ!正体不明の着物女!街に神出鬼没に現れ、出会ってしまえば呪われるって噂よ!」
「えー?どうせ正体は宇宙人とか能力者とかそんなところでしょー?」
ベースの少女が茶化す。そんなものだ。最近は都市伝説等はそういう輩の仕業と決めつけられてしまう物だった。
「まぁ、そんなもんだろ…あ、アタシそろそろバイトいかねーと。急にシフト入れられたんだった…。」
「えーもうそんな時間!?って私もバイトじゃん!今日もお疲れー!」
「お疲れ!」
「ねぇねぇ、アンタこういう話題好きでしょ?」
突然、バンドグループのドラマーが、ボーカルの少女に笑って言った。
「何の話?」
「都市伝説だよ!正体不明の着物女!街に神出鬼没に現れ、出会ってしまえば呪われるって噂よ!」
「えー?どうせ正体は宇宙人とか能力者とかそんなところでしょー?」
ベースの少女が茶化す。そんなものだ。最近は都市伝説等はそういう輩の仕業と決めつけられてしまう物だった。
「まぁ、そんなもんだろ…あ、アタシそろそろバイトいかねーと。急にシフト入れられたんだった…。」
「えーもうそんな時間!?って私もバイトじゃん!今日もお疲れー!」
「お疲れ!」
986: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/24(月) 01:56:05.41 ID:eXeLsawt0
松永涼。彼女はとあるバンドのボーカルだ。
普段は学生生活や、アルバイトをすることもあるが、彼女が最も楽しんで生きている時間は歌っている時なのである。
バイトを終わらせ、独り暮らしをしているアパートに歩いてゆく。
「急に一人シフトから外れたってどういうことだよ…休みたかったってのに…。」
真夜中の人通りの少ない道を、たった一人で歩いている。不審者なんて能力者の悪人が現れてからはめったにいない。
しかし、不幸にも少女を襲ったのは、超常現象の類、カースだった。
街灯に照らされた黒い泥のようなそれは、どんどん膨れ上がる。こんな時、彼女のような人間に用意された選択肢は二つ。
全速力で逆方向へ逃げるか…
「…こ、これが…カース…?」
『能力』で抵抗しつつ逃げるかである。
普段は学生生活や、アルバイトをすることもあるが、彼女が最も楽しんで生きている時間は歌っている時なのである。
バイトを終わらせ、独り暮らしをしているアパートに歩いてゆく。
「急に一人シフトから外れたってどういうことだよ…休みたかったってのに…。」
真夜中の人通りの少ない道を、たった一人で歩いている。不審者なんて能力者の悪人が現れてからはめったにいない。
しかし、不幸にも少女を襲ったのは、超常現象の類、カースだった。
街灯に照らされた黒い泥のようなそれは、どんどん膨れ上がる。こんな時、彼女のような人間に用意された選択肢は二つ。
全速力で逆方向へ逃げるか…
「…こ、これが…カース…?」
『能力』で抵抗しつつ逃げるかである。
987: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/24(月) 01:56:53.86 ID:eXeLsawt0
涼は近くに粗大ごみが捨てられているのを見てすぐさま能力を使う。
『アイツが来た瞬間にバリケードになれ!』
一瞬声を張り上げるだけ。しかし答えるようにごみが一瞬光る。
彼女の能力…それは『声を操作し、その声で物体を操作する能力』。
張り上げた声はカースにも、付近で眠る住民の耳にも届いていない。彼女が声を操作してごみだけに聞こえるようにしたのだから。
そして、全速力でカースと逆方向へ走る。カースの出現を感知したヒーローが登場するまで逃げなくてはならない。
しかし真夜中、道には彼女しかいないわけで、カースが狙うのは彼女しかいない。
『グオオオオオオオ!』
咆哮しながら接近してくる。しかし、ある地点に到達した瞬間、粗大ごみ達が大きなバリケードとなり、カースを妨害する。
その隙に急いで裏路地へと駆け込む。しかし、それと同時にバリケードが派手な音を立てて崩壊した。
『ギャオオオオオオオオオオオオオ!!』
「は!?」
彼女がカースと遭遇するのは初めてだ。当然、テレビのアイドルヒーローたちが闘っている姿は何度かチラリと見たことはあるものの、その脅威が自分に襲い掛かるとは夢にも思っていなかったのである。
「早すぎるだろ…!」
かなり大きな物や、頑丈そうな物まであったのにすぐに破壊された。その力自分に襲い掛かったら…。
(これじゃまるでホラー映画の初期の犠牲者じゃねーか!)
そんな考えを捨てて、全力で走るしかなかった。
『アイツが来た瞬間にバリケードになれ!』
一瞬声を張り上げるだけ。しかし答えるようにごみが一瞬光る。
彼女の能力…それは『声を操作し、その声で物体を操作する能力』。
張り上げた声はカースにも、付近で眠る住民の耳にも届いていない。彼女が声を操作してごみだけに聞こえるようにしたのだから。
そして、全速力でカースと逆方向へ走る。カースの出現を感知したヒーローが登場するまで逃げなくてはならない。
しかし真夜中、道には彼女しかいないわけで、カースが狙うのは彼女しかいない。
『グオオオオオオオ!』
咆哮しながら接近してくる。しかし、ある地点に到達した瞬間、粗大ごみ達が大きなバリケードとなり、カースを妨害する。
その隙に急いで裏路地へと駆け込む。しかし、それと同時にバリケードが派手な音を立てて崩壊した。
『ギャオオオオオオオオオオオオオ!!』
「は!?」
彼女がカースと遭遇するのは初めてだ。当然、テレビのアイドルヒーローたちが闘っている姿は何度かチラリと見たことはあるものの、その脅威が自分に襲い掛かるとは夢にも思っていなかったのである。
「早すぎるだろ…!」
かなり大きな物や、頑丈そうな物まであったのにすぐに破壊された。その力自分に襲い掛かったら…。
(これじゃまるでホラー映画の初期の犠牲者じゃねーか!)
そんな考えを捨てて、全力で走るしかなかった。
988: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/24(月) 01:58:09.21 ID:eXeLsawt0
走って走って時折振り返る。完全に振り切れているわけではないようで、道に捨てられていた物がカースに破壊されていく音が恐怖を煽る。
どのくらい走っただろうか、ライブで何時間も歌ったほどで、決して少なくないと自負していたはずの体力も限界が近いようだ。
あと何回角を曲がればいい?あとどれぐらい走ればいい?
近づいてくる破壊音から少しでも遠ざかろうとはするものの、足はさっきのようにはもう動かなくなっていた。
なんとか角を右に曲がり、少し先に少女がいることに気付く。
着物姿の少女だ。しかし、涼の頭に友人の都市伝説の話はもうすでに頭になく、ただひたすらに叫んでいた。
「カースが来る!早く逃げな!」
しかし、少女は首をかしげるばかり。
そして少女の背後の道からカースが現れた。
「な!?」
涼は思わず少女の手を引くが、涼に追いついたカースが道を塞いだ。
「挟み撃ちかよ…」
絶体絶命だ。自分の能力ではこの状況を切り抜けることは不可能だ。
どのくらい走っただろうか、ライブで何時間も歌ったほどで、決して少なくないと自負していたはずの体力も限界が近いようだ。
あと何回角を曲がればいい?あとどれぐらい走ればいい?
近づいてくる破壊音から少しでも遠ざかろうとはするものの、足はさっきのようにはもう動かなくなっていた。
なんとか角を右に曲がり、少し先に少女がいることに気付く。
着物姿の少女だ。しかし、涼の頭に友人の都市伝説の話はもうすでに頭になく、ただひたすらに叫んでいた。
「カースが来る!早く逃げな!」
しかし、少女は首をかしげるばかり。
そして少女の背後の道からカースが現れた。
「な!?」
涼は思わず少女の手を引くが、涼に追いついたカースが道を塞いだ。
「挟み撃ちかよ…」
絶体絶命だ。自分の能力ではこの状況を切り抜けることは不可能だ。
989: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/24(月) 01:58:48.15 ID:eXeLsawt0
…自分はここで死ぬのか?涼はもはや腰が抜けていた。
「…これは何?」
着物の少女が問いかけた。
「…カースはカースだろ?…知らないのか?」
「うん、よくしらないんだ。あずきのお仲間じゃないのは確かみたいなんだけど…危険なの…?」
そう彼女が聞いた瞬間、一体のカースの腕がその少女を腕のような部分で掴んだ。
思い切り力を入れているのがよく分かる。
涼は思わず声にならない悲鳴を上げた。あんな大きな腕に掴まれて無事でいるはずがない!
しかし、それに続くかのようにもう片方のカースも彼女を掴みにかかった。
「…これは何?」
着物の少女が問いかけた。
「…カースはカースだろ?…知らないのか?」
「うん、よくしらないんだ。あずきのお仲間じゃないのは確かみたいなんだけど…危険なの…?」
そう彼女が聞いた瞬間、一体のカースの腕がその少女を腕のような部分で掴んだ。
思い切り力を入れているのがよく分かる。
涼は思わず声にならない悲鳴を上げた。あんな大きな腕に掴まれて無事でいるはずがない!
しかし、それに続くかのようにもう片方のカースも彼女を掴みにかかった。
990: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/24(月) 01:59:26.79 ID:eXeLsawt0
「や、やめろおおおおおおおお!」
思わず叫んだ瞬間だった。カースの腕が少女から引きはがされたのだ。
しかし少女は空中に浮かびつつ顔はうなだれたように下を向いている。
そして…
「でろでろでろでろ、ばぁ~!!!」
顔を上げた少女の顔を見て、涼は先ほどとは別の声にならない悲鳴を上げた。
先程までの普通の少女ではなく、大きな一つ目に、長い舌を出した妖怪そのものだったからだ。
「ただで済むと思わないでよ!」
そう叫ぶと彼女は両手を万歳するかのように振り上げた。
すると、巨大な半透明の手が現れ、カースたちを思い切り掴んだ。
「潰し返してあげる!!」
思い切り泥上のカースを掴む。そして掴んで動かなくなったカースを地面に叩き付けると、その手を握り、カースに叩き付ける。
ドォォォォン と地響きのような音が響いた。
地面と泥ごと核が砕け、カースが消滅する。それと彼女が空中から落ちるのはほぼ同時だった。
思わず叫んだ瞬間だった。カースの腕が少女から引きはがされたのだ。
しかし少女は空中に浮かびつつ顔はうなだれたように下を向いている。
そして…
「でろでろでろでろ、ばぁ~!!!」
顔を上げた少女の顔を見て、涼は先ほどとは別の声にならない悲鳴を上げた。
先程までの普通の少女ではなく、大きな一つ目に、長い舌を出した妖怪そのものだったからだ。
「ただで済むと思わないでよ!」
そう叫ぶと彼女は両手を万歳するかのように振り上げた。
すると、巨大な半透明の手が現れ、カースたちを思い切り掴んだ。
「潰し返してあげる!!」
思い切り泥上のカースを掴む。そして掴んで動かなくなったカースを地面に叩き付けると、その手を握り、カースに叩き付ける。
ドォォォォン と地響きのような音が響いた。
地面と泥ごと核が砕け、カースが消滅する。それと彼女が空中から落ちるのはほぼ同時だった。
991: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/24(月) 02:00:10.77 ID:eXeLsawt0
駆け寄り、無事を確認する。
「おい…おい…!」
少女の顔は先ほどの普通の顔に戻っており、気を失っているようだった。
「どうしようか…」
涼は何度も思案したが、結局、完全に疲労した自分の体にムチうち、自分の家に連れて帰ることにした。
「…一応、命の恩人だしな…」
「おい…おい…!」
少女の顔は先ほどの普通の顔に戻っており、気を失っているようだった。
「どうしようか…」
涼は何度も思案したが、結局、完全に疲労した自分の体にムチうち、自分の家に連れて帰ることにした。
「…一応、命の恩人だしな…」
992: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/24(月) 02:00:44.04 ID:eXeLsawt0
翌日。
「涼さん!涼さん!」
涼は誰かの呼び声で目が覚めた。…あの少女だ。
「おはよう!取りあえず朝ごはん作っておいたからねっ!」
「…元気だな…。」
テーブルに朝ごはんが用意されているのをボーっと見て、ハッとした。
「っていうかなんで人の家の台所勝手につかってるんだ!?」
「え?だってあずき、拾われたからここの家の物になったのかなーって。」
「…」
「涼さん!涼さん!」
涼は誰かの呼び声で目が覚めた。…あの少女だ。
「おはよう!取りあえず朝ごはん作っておいたからねっ!」
「…元気だな…。」
テーブルに朝ごはんが用意されているのをボーっと見て、ハッとした。
「っていうかなんで人の家の台所勝手につかってるんだ!?」
「え?だってあずき、拾われたからここの家の物になったのかなーって。」
「…」
993: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/24(月) 02:01:50.56 ID:eXeLsawt0
涼は着替えて朝食をとるとすぐに問答を始めた。まとめると、こうだ。
・あずきは付喪神で、捨てられて妖怪になった着物。
・捨てた人は恨んではいないが、目標は世界で和服を制服にすること!(世界和服制服大作戦!)
・最近妖怪になったらしく、世間知らずなのもそのせい。
・気を失ったのはまだ力を完全に制御できていないから。飛ぶのはやりすぎた。反省している。
・もともとは物だったから拾われた家に尽くすのは当たり前!
そこまで聞いて涼は頭を抱えた。拾ったつもりはない。かといってまた捨てるのも罪悪感がある。
「…名前はどこで?」
「ここの涼さんの所有物さんたちが教えてくれたの!」
「…よし、最後の質問だ。あの壁の切断された跡はなんだ?」
「…ちょっと包丁を使ったときに力を抑えきれずに…壁ごと切れちゃって…ごめんなさい」
…涼は再び頭を抱えた。これからどうしようか。
とりあえず解決策が見つかるまで、奇妙な同居人に悩まされることになりそうだ。
・あずきは付喪神で、捨てられて妖怪になった着物。
・捨てた人は恨んではいないが、目標は世界で和服を制服にすること!(世界和服制服大作戦!)
・最近妖怪になったらしく、世間知らずなのもそのせい。
・気を失ったのはまだ力を完全に制御できていないから。飛ぶのはやりすぎた。反省している。
・もともとは物だったから拾われた家に尽くすのは当たり前!
そこまで聞いて涼は頭を抱えた。拾ったつもりはない。かといってまた捨てるのも罪悪感がある。
「…名前はどこで?」
「ここの涼さんの所有物さんたちが教えてくれたの!」
「…よし、最後の質問だ。あの壁の切断された跡はなんだ?」
「…ちょっと包丁を使ったときに力を抑えきれずに…壁ごと切れちゃって…ごめんなさい」
…涼は再び頭を抱えた。これからどうしようか。
とりあえず解決策が見つかるまで、奇妙な同居人に悩まされることになりそうだ。
994: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/24(月) 02:02:50.93 ID:eXeLsawt0
松永涼(18)
職業: 大学生、バンドのボーカル、アルバイト
属性: 世話焼き苦労人
能力: 声の操作とその声を使用した物の操作
ボーカルをしてはいるが、歌を歌う時は能力を使うことはない。
幸か不幸か、偶然とはいえあずきを拾ってしまった。
かといって捨てることもできず、妖怪などに詳しい人はいないかと探している。
ちなみにアルバイト先は今のところ加蓮と同じコンビニである。
能力は物体操作系の魔法に動きの精密動作では負けるものの、時間差や条件付きで命令が可能。
…ちなみに能力を使えば付喪神であるあずきを完全にコントロールできることを知らない。
あずき(1歳未満)
属性: 大妖怪…の力を手に入れてしまった付喪神
能力: 巨大な手の操作、物との会話、物の強化…etc?
捨てられて半分妖怪になりかけていた時に平行世界から流れてきた大妖怪の妖力を浴びてしまった付喪神。
制御はできていないが、そこらへんの妖怪なら道を開けるほどの妖力を持っている。
本来の姿は一つ目+長い舌だが、普段は少女の姿をしている。
着物だったせいか、洋服はそこまで好きではなく、世界のいろんな人が毎日着物を着ればいいのにと思っている。
現在は涼の家の家事をして何とか家に留まろうとしている(プロジェクトR!)
職業: 大学生、バンドのボーカル、アルバイト
属性: 世話焼き苦労人
能力: 声の操作とその声を使用した物の操作
ボーカルをしてはいるが、歌を歌う時は能力を使うことはない。
幸か不幸か、偶然とはいえあずきを拾ってしまった。
かといって捨てることもできず、妖怪などに詳しい人はいないかと探している。
ちなみにアルバイト先は今のところ加蓮と同じコンビニである。
能力は物体操作系の魔法に動きの精密動作では負けるものの、時間差や条件付きで命令が可能。
…ちなみに能力を使えば付喪神であるあずきを完全にコントロールできることを知らない。
あずき(1歳未満)
属性: 大妖怪…の力を手に入れてしまった付喪神
能力: 巨大な手の操作、物との会話、物の強化…etc?
捨てられて半分妖怪になりかけていた時に平行世界から流れてきた大妖怪の妖力を浴びてしまった付喪神。
制御はできていないが、そこらへんの妖怪なら道を開けるほどの妖力を持っている。
本来の姿は一つ目+長い舌だが、普段は少女の姿をしている。
着物だったせいか、洋服はそこまで好きではなく、世界のいろんな人が毎日着物を着ればいいのにと思っている。
現在は涼の家の家事をして何とか家に留まろうとしている(プロジェクトR!)
995: ◆zvY2y1UzWw 2013/06/24(月) 02:04:00.77 ID:eXeLsawt0
以上です
涼さんは誰かのお世話が似合うと思ったらこうなっていた…
涼さんは誰かのお世話が似合うと思ったらこうなっていた…
次回 モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part2
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