琴葉「今回、私たちのオファーがあったじゃない？」

美奈子「楽しかったねー」

琴葉「うん。慣れないことだったから、大変だったけど」

美奈子「そんなことないよー。琴葉ちゃん、すっごく上手かったよ」

琴葉「ありがとう……それで、この時の感想を見てみたらね」

美奈子「うんうん」

琴葉「仕事の内容より、『ついに雪解け』『不仲とは言わせない』が多くて」

美奈子「うん？」

美奈子「なんで？　普段からしゃべるし、ご飯も食べてくれてるのに」

琴葉「私も気になったから調べてみたの。そうしたら、私もびっくりの事実が判明して」

美奈子「なに？」

琴葉「私たちって、お仕事の裏側というか、オフショットをみんなに見てもらってるじゃない？」

美奈子「そうだね。気付いたらカメラがある感じだね」

琴葉「本当にプライベートなところはカットもしてもらえるし」

美奈子「安心な環境だよね」

琴葉「うん。それで、もう6年くらいの付き合いになるじゃない？」

美奈子「うんうん」

琴葉「その間に、私たちが直接会話したところって、何回カメラにぬかれたと思う？」

美奈子「なるほど、それが少なかったってことなんだね」

琴葉「私も全部は見られてないけど……そうみたい」

美奈子「琴葉ちゃんの調べでは、何回かってわかってるの？」

琴葉「ええ。当ててみる？」

美奈子「うんっ。じゃあ……5回！」

琴葉「……残念っ」

美奈子「あちゃー、流石に少なすぎた？」

琴葉「……正解言うよ」

美奈子「うん」

琴葉「0回」

美奈子「そっかー……」



美奈子「えっ」

琴葉「私もびっくり」

美奈子「え、それ本当？」

琴葉「おそらく。私も信じられないから、いろいろ見返してみたんだけど……」

美奈子「ええ……あ、ほら、『ようこそ！学園天国』の時があるじゃん」

琴葉「そうね」

美奈子「続編もあったし、制作の裏側！みたいなカメラもあったよね」

琴葉「ええ」

美奈子「そこでしゃべってるところが撮られてない……ってことはないんじゃない？」

琴葉「それがないの」

美奈子「まじっすか」

琴葉「お互い役も良かったし、たくさん話し合いもしたのに」

美奈子「そうだよねー」

琴葉「一緒に映った時は、美奈子ちゃんがロコちゃんに焼きそばを振る舞っておしまい」

美奈子「……あー、そんな気もする」

琴葉「思えば、不仲説のきっかけはここだったかもしれない」

美奈子「そうなの？」

琴葉「あれだけ役で仲良くしてたのに、オフで会話してる姿が見えない、ってなると……」

美奈子「なるほどー。でもさ」



美奈子「私たちは悪くないよね」

琴葉「そうよね」

美奈子「あとは……ほら、ライブのMCとか。そこで仲良いところは見せてると思うけどなー」

琴葉「そうよね」

美奈子「5thのさ、かわいいポーズのところ見返した？」

琴葉「もちろん。あの時は助け船出してくれてありがとう」

美奈子「泥舟だったけどね」

琴葉「そんなことないよ。ほら、海美ちゃん、おもしろかったじゃない」

美奈子「あはは、そうそう。その後の紗代子ちゃんの『笑った人覚えてるからね』も」

琴葉「ふふっ。紗代子、目悪いのにね」

美奈子「オチもついたし、良かった良かった」



琴葉「ただ、これは仕事中のことだし」

美奈子「仲良くするのは当然と……厳しい」

琴葉「本当に仲良くても、表面的な付き合いだって深読みする人もいるみたい」

美奈子「大変な世の中だねー」

琴葉「あと、これは私のせいなんだけど……TAに参加できなかったのも影響してるみたい」

美奈子「ああ、そんなこともあったねー。たしかに、共演のチャンスだったね」

琴葉「あの時は本当にごめんね」

美奈子「仕方ないよ、先生の手伝いだったんだよね？　厳しい学校だよねー」

琴葉「……」




琴葉「美奈子ちゃん、ありがとう」

美奈子「？　どういたしまして」

琴葉「という感じで、どんどんあらぬ噂がたったと」

美奈子「困りものだね」

琴葉「他にも絡みが少ない人もいるけど……同じ18歳ってことも大きい気がする」

美奈子「たしかにー」

琴葉「同じユニットになれば、チャンスはたくさんあるんだけど」

美奈子「新曲とか、TDに期待って感じかな」

琴葉「そうね、一緒になったらよろしくね」

美奈子「もちろん！」

P「ただいま戻りましたー」

美奈子「あ、プロデューサーさん、おかえりなさいっ」

琴葉「おかえりなさい」

P「お、今日は2人だけか」

美奈子「そうですよー。さっきまで琴葉ちゃんとたっくさんおしゃべりしてたんですよ」

琴葉「ええ」

美奈子「あ、そうだ！　プロデューサーさん、お腹すいてませんか？」

P「そ、そうだな……小腹が満たせると嬉しいな」

琴葉「それならシ」
美奈子「まかせてくださいっ、さっきたっくさん焼売作りましたから。一口サイズですから、好きなだけ食べちゃってくださいっ」

P「そうか、それなら貰おうかな」

美奈子「わっほーい！10個でも20個でもいいですよ。おかわりはたっくさんありますからねっ」

P「ははは、ありがとう」

美奈子「さぁさぁ、じゃあ行きましょう！　あ、琴葉ちゃんも一緒にどう？」

琴葉「……ありがとう、いただくわ」

美奈子「それじゃプロデューサーさん、早く早く～」

P「お、押すなって」

美奈子「」

ﾜｯﾎｰｲ　ﾊﾊﾊ

琴葉「……」

琴葉(美奈子ちゃん……)

琴葉(私たち、不仲なんかじゃない……)



琴葉(ライバルね)

美奈子「琴葉ちゃんも早く早く～」

琴葉「今行くね」

琴葉(負けないよ、美奈子ちゃん)

琴葉「プロデューサー、一緒にしじみ汁もどうですか？　デザートにアイスもありますよ」

おわり