前回 【艦これ】泣き虫雪風と釣り人提督

1: ◆jf7rnHhSH2 2014/07/17(木) 22:53:50.12 ID:7J2iMPwVo
これまでのあらすじ:
妖怪猫吊るしに提督業を押し付けられた元釣り人は、雪風と愉快な仲間たちの協力により敵をサーモン海深部まで追いやった。
だが、北太平洋に新たな泊地が建設されているという。運命の五分間……

次回も許せないぜ!!

・雪風メイン……とはなんだったのか
・俺設定満載
・雪風がよく泣く
・思いついたネタ不定期に投げると思われます。投稿速度はあまり期待しないでね
・地の文つき
・小ネタとして艦娘とかを安価で取ってそれとは関係なく思いついたネタを突然投下したりする
・わかったか
・このスレは艦これSSとニンジャスレイヤーと鋼鉄少女を応援しています
・わかったか!!
 

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1405605220

引用元: ・【艦これ】泣き虫雪風と釣り人提督 Part2 



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2: ◆jf7rnHhSH2 2014/07/17(木) 22:56:38.75 ID:7J2iMPwVo
登場人物紹介

提督:
海のほう見てブツブツぼやいてたら艦娘の指揮を押し付けられた人。元漁業関係者らしいがそれらしきそぶりが少ない。
捕鯨と聞いてテンションが上がっていたことや銛を武器にしたことがあることから捕鯨業者の可能性がある。
提督としてはアイアンボトムサウンド攻略、霧の艦隊撃退、ピーコック島攻略など本業以上の有能さを発揮している

猫吊るし:
提督に提督業を押し付けた、いつも手に白い猫を吊るしている謎の少女。一説には妖精さんの一種とも。
艦娘の理不尽な点は大体こいつのせい。妹がたくさんいる。

雪風:
提督の最初の艦娘にして嫁。昔のことを思い出しては泣き出すが猫吊るし曰く、イレギュラー的なものらしい。
なんだかんだで鎮守府内で一番練度が高い。
提督から日常の業務について一通り教わっているため、提督代理も行おうと思えば行える。

大淀:
いわゆる任務娘。だいたい出番がない。艦娘型録に名前と艤装つきで載ったため晴れてカッコカリ解除。
なお同僚の明石(元アイテム屋娘)は春イベントにて一足先にカッコカリ解除されていた

未着任艦娘:
現在、大鯨(龍鳳)のみ。

3: ◆jf7rnHhSH2 2014/07/17(木) 23:00:32.41 ID:7J2iMPwVo
即落ちを回避するためにもレスが必要なのであざといことをします(いつもどおりだが)

小ネタ用艦娘とか安価下

4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/17(木) 23:05:21.95 ID:fla8P1LQo
立て乙です 子日

12: ◆jf7rnHhSH2 2014/07/22(火) 22:45:52.76 ID:XIFsxVWYo
―― 結び目を解く最短の方法は結び目を切断することである ――

子日「今日は何の日?」

提督「ノット」

子日「ねのひd……ちょっと提督さん! ノットって何!?」

提督「速度の単位に決まってるではないか。この資料に載ってたから思わず呟いただけだ」

子日「むー……」


子日「今日は何の日?」

提督「ノット」

子日「ねのひd……また!?」

提督「結び目の意味だ。ゴルディアスノットとか言うだろ。確か速度の単位のノットの語源にもなってたはず。たぶん」

子日「うー……」


子日「今日は何の日?」

提督「ノット」

子日「ねのh……今度はなんなの!?」

提督「ただの否定系だが」

子日「もー、提督さんいい加減にしてよー」(ポカポカ


さてここで思い返してもらいたい。子日は両手にサイコガンの如く単装砲を装備していることを。

そんな鉄の塊を装備した状態で人間をポカポカ叩き始めたらどうなるかを。


提督「アバッ!? アババッ!? アバババーッ!!」

子日「あっ」


自業自得である

13: ◆jf7rnHhSH2 2014/07/22(火) 22:46:31.79 ID:XIFsxVWYo
―― 朧といえば蟹だが中破時にヒトデが出現することを忘れてはならない ――

提督「しかし何で艤装に蟹が入ってるんだ」

朧「いつの間にか住み着いてるんですよね」

提督「……食えるのかな」

朧「止めといたほうがいいと思いますよ?」

提督「なぁに指を挟まれるような愚かな真似はしないさ。厚手の軍手をつけてと」

艤装の煙突から出てきた蟹に手を伸ばす。蟹は自分から乗ってきて腕を這い上がる。

提督「ほら楽勝楽勝」

そして肌がむき出しになったところを自慢のハサミで……はさむ!!

提督「グワーッ!? 腕グワーッ!!」

朧「だから止めといたほうがいいと言ったのに……」


自業自得である(天丼)

14: ◆jf7rnHhSH2 2014/07/22(火) 22:47:48.84 ID:XIFsxVWYo
というわけで新スレでも元気にやっていきましょう

小ネタ艦娘とか安価下

15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/22(火) 22:54:20.84 ID:OaVX/Jao0
那智で

16: ◆jf7rnHhSH2 2014/07/22(火) 23:00:04.04 ID:XIFsxVWYo
なっちーはダブってるなぁ

これはっとこう

戦艦・航戦
大和・武蔵
扶桑・山城
金剛・比叡・榛名・霧島
日向・陸奥

正規空母・軽空母・水母・揚陸艦・潜水母艦
蒼龍・飛龍
祥鳳・鳳翔・飛鷹・隼鷹・龍驤・瑞鳳
あきつ丸

重巡・航巡
古鷹・加古・衣笠
高雄・鳥海
最上・三隈・鈴谷・熊野
那智・羽黒

軽巡・雷巡
天龍・龍田
由良・鬼怒
球磨・北上・木曾
矢矧


駆逐艦
叢雲
綾波・朧
如月・長月
子日
夕立・五月雨
暁・ぷらずま・雷・響
陽炎・不知火・天津風・浜風

潜水艦・潜母
実装分全部消化済

未所持(134/135)
大鯨/龍鳳

というわけでさらに安価下

17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/22(火) 23:05:17.61 ID:IWdt9FML0
ぷらずまじゃない電

23: ◆jf7rnHhSH2 2014/07/24(木) 22:31:09.29 ID:0JwapE45o
―― 一番重いMVP台詞だと思う ――

鎮守府、近海。

はぐれ深海棲艦が定期的に湧いてくるこの海域は、駆逐艦娘や軽巡洋艦娘の実戦訓練場と化している。

また一隻、実戦訓練の的となったうえ鹵獲された深海棲艦がぷかぷか丸甲板に揚げられる……。

電「……戦争には勝ちたいけど命は助けたい、っておかしいですか?」

提督「そう思うぶんにはおかしいことは何もないな」

そう言いながら提督は深海棲艦の腹を切り開く。

提督「個人的に言えば敵を生かして後々拙い事になるなら処断も辞さないが」

電「司令官さんは、その、命を奪うことは恐ろしくないのですか?」

提督「一の敵の命を助けた結果、百の仲間の命を失うことのほうが恐ろしいな。要は状況判断だ」

言い切ると、割いた腹に腕を突っ込む。

提督「それに、もともと漁業という生きるために魚を捕って食ったり売ったりする仕事だったし」

腕を引き抜くとその手には雫と呼ばれる結晶がきらめく。

提督「今は深海棲艦を狩って生活のためにシーレーンやらなんやらを守る職だ。まぁ実際やってるのはお前たち艦娘だが」

電「……」

提督「ま、俺は提督だ。やることを指揮し、やるべきことに責任がある。人々の生活を守るという責任がな……!!」

電「カッコいいのです……!!」


所変わってオリョール

イク「酸素魚雷、六発発射するの!」チュドーン

提督「あー、一隻残ったか。放置で」

電「あの……さっき言ってたことは」

提督「節約のためなら大人は汚くなるのだ……。どうせすぐまた湧くだろうし問題ない」

24: ◆jf7rnHhSH2 2014/07/24(木) 22:32:10.98 ID:0JwapE45o
ぷらずまと絡ませてもよかったかなぁ

ともあれ小ネタ艦娘とか安価下

25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/24(木) 22:38:08.23 ID:fdJNV1Wao
初雪を…

28: ◆jf7rnHhSH2 2014/07/25(金) 21:51:22.58 ID:yKVVi9duo
―― このクソ暑い日に時系列的に冬の話 ――

明石「ご注文の品届けに参りましたー」

提督「ふふふ……。ついに、ついに来たか!!」

雪風「これ、なんですかしれぇ?」

提督「雀卓つきコタツよ!!」

ドンッ!!

雪風「しれぇ……」

提督「たまには息抜きも必要だ。適当にあと二人ほど連れてこよう」

~~~

提督「うん、連れて来たはいいが」

瑞鶴「提督に麻雀の趣味があったなんて意外ねぇ」←運42

時雨「それに提督から遊びに誘うのも珍しいよね」←運50

雪風「準備できました!!」←運60+ケッコン6+まるゆ分8

提督(俺の焼き鳥不可避ではないか?)

提督は訝しんだ。

提督「まぁ金銭を賭けるわけでもなし、やるか」

コタツに足を突っ込む

??「いたっ」

提督「コタツが喋った!!」

初雪「司令官、いきなり蹴らないでよ……」

初雪がコタツの中からひょっこり顔を出す。

提督「いつの間に入り込んだんだよ……」

初雪「書類届けに来たんだけど司令官いなくてコタツがあったからつい」

提督「気持ちはわからんでもないが全身入れるなせめて顔は出しとけ」

初雪「やだ、寒い」

提督「まぁすぐ出たくなるだろうからいいか」

初雪といえどさすがに4人が足を突っ込むと狭いのかコタツから這い出して提督にもたれかかる。

初雪「あー、楽ちん……」

提督「俺は座椅子じゃねぇぞ」

雪風(むー……)


このあと無茶苦茶ハコった。もちろん1回たりとて上がれなかった。

提督「知ってた」

初雪「下手の横好き?」

提督「確かにそんなに上手くはないがここまでされる謂れはない!」

雪風(ありますよ、しれぇ)(ほっぺぷくー)

29: ◆jf7rnHhSH2 2014/07/25(金) 21:52:52.71 ID:yKVVi9duo
突然の気まぐれにより瑞鶴と時雨も入れましたがリク勘定には入っていないのでごあんしんください

てなわけで小ネタ艦娘とか安価下

30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/25(金) 21:57:24.90 ID:u1nnKEDAO
多摩

34: ◆jf7rnHhSH2 2014/07/28(月) 20:58:45.46 ID:u/NyZxR/o
―― 数ヶ月待ったんですよ!? ねぇ!! ――

提督「ようやく榛名も改二だな……。ほれ、改二記念の指輪だ」

榛名「ありがとうございます。ところで提督、質問が有ります」

提督「なんじゃらほい」

榛名「榛名の練度が上限に達したのはいつですか?」

提督「ええと……三ヶ月前だ」

榛名「この書類を買ったのはいつですか?」

提督「……三ヶ月前だ。三つほどまとめ買いした」

榛名「もう一つ質問です。残り二つの書類はどこへ行きましたか?」

提督「君のような勘のい このネタ以前やったでしょ!?」

榛名「はい、榛名は大丈夫です」

提督「……そういえばあの時はあきつ丸だった」

37: ◆jf7rnHhSH2 2014/07/29(火) 22:37:00.28 ID:a29riGSco
―― 猫にマタタビは実際危険なので注意 ――

多摩「多摩です。猫じゃないにゃ」

提督「そりゃ艦娘だろうから猫じゃないのはわかるが語尾の『にゃ』はなんだよ」

多摩「口癖にゃ」

提督「半分ぐらい意識を猫に占拠されてやしないか?」

多摩「そもそも語尾に『にゃ』をつける猫なんていないにゃ」

提督「そりゃ猫が普通に言葉喋ってあまつさえあざとい語尾つけるところは見たことないが」

多摩「だから多摩は猫じゃないにゃ」

提督「なんつー理屈だよ……。そうだ、ちょっとこれ嗅いでみろ」

多摩「何にゃ……ふにゃぁ」(バタリ

提督「……うわ、これ効き過ぎ?」

雪風「何やったんですか、しれぇ?」

提督「マタタビ嗅がせた」

多摩「うにゃぁ……」

雪風「うわぁ……」

38: ◆jf7rnHhSH2 2014/07/29(火) 22:38:42.74 ID:a29riGSco
ついに開始日付が決まったか……

てなわけで小ネタ艦娘とか安価下

39: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/29(火) 22:45:58.68 ID:Jf46I6nV0
のしろ

41: ◆jf7rnHhSH2 2014/07/30(水) 22:05:25.46 ID:Q2st6W8ko
―― 初めてなので知らない人もいるかもしれないがこの鎮守府ではネームシップ会議と称したお茶会が行われている ――

提督「さて、今日のお茶会もといネームシップ会議だが……軽巡がまだかな」

金剛「確か今週は阿賀野型デース」

??「失礼します!」

提督「お、来たか……って能代じゃねーか。阿賀野はどうした?」

能代「阿賀野姉は、その……」

提督「まぁ大体寝てるか遊びに行ってるかしてんだろ」

能代「仰るとおりです……」

提督「んじゃ能代に軽巡の近況訊こうかね」

能代「え、でも、ちょっ」

提督「気にすんな気にすんな。ちったぁ肩の力抜いて息抜きしろって」

能代「でも会議のはずでは」

提督「建前だよ建前」

~~~~~~

能代「……といった感じですね」

提督「公私共に問題なしか」

能代「強いて言えば天龍さんが自分を前線に出すよう意見を具申してるぐらいですね。あと川内さん」

提督「『川内』で内容が全部わかる問題というのもそれはそれでなんかアレだな」

能代「そういえば阿賀野姉もこんな風に報告を?」

提督「まぁな。……いやここまで詳細には話してなかったけどな。特に問題は起きてないわ~、くらいで」

能代「それでいいのかしら……」

提督「逆に言えば阿賀野が慌て始めたらやばいということになるし」

能代「そういう事態にならないといいんですけど」

42: ◆jf7rnHhSH2 2014/07/30(水) 22:12:06.58 ID:Q2st6W8ko
関係ないが榛名って改二で布団に潜り込んでくるのか……

てなわけで小ネタ艦娘とか安価下

43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/30(水) 22:16:49.90 ID:oPbzQPcc0
酒匂ぴゃん

47: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/01(金) 22:23:50.46 ID:VczJBEzvo
―― 長門改二が初期装備なしになる可能性が微レ存……? ――

提督「よーし、これで酒匂も改だ」

酒匂「ぴゅう! やったぁ!」

提督「阿賀野型の改に必要な練度って地味に遠いんだよなぁ」


艦娘改装中……


提督「さてこれで阿賀野砲が増え……砲塔が!? 砲塔がない!?」

酒匂「司令ー! それ酒匂の台詞!!」

提督「というか何で無いんだよ。これ妖精=サンのケジメ案件では?」

妖精「そりゃ理由を言うのは簡単だけどねぇ。艦娘のトラウマ刺激して大泣きするところを見たい、とか言う鬼畜外道でもなければ普通はねぇ……?」

酒匂「?」

提督「じゃあいいや……」

妖精「というか装備余りまくってるんだから普通に渡せばいいじゃん。阿賀野砲とか実際使ってないでしょ?」

提督「そうだな」

妖精「それに武装解除時再現しただけで、デフォぶんぐらいは出ろと念じれば出るよ」

酒匂「ぴゃぁ! でたぁ」(ニョキ

提督「隠しとく意味あるのかよ」

妖精「リアリティって重要じゃん?」

48: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/01(金) 22:25:24.73 ID:VczJBEzvo
砲や魚雷を装備してなくても攻撃できるのは改装で装着するぶんとは別に固定装備があるから派

というわけで小ネタ艦娘とか安価下

49: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/08/01(金) 22:32:35.41 ID:T1vytVh70
お伊勢

52: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/04(月) 20:52:44.55 ID:eaS3rqRfo
―― カ号を飛ばして潜水艦を沈める装置 ――

提督「……というわけで鎮守府周辺の対潜水艦哨戒担当を伊勢に任せる」

伊勢「最近、近海に潜水艦がうろついてるそうですしね。了解です」

提督「というわけでカ号と瑞雲六三四だ。積んどけ」

伊勢「手数を増やすためには航戦は必須だもんね。ということは日向や扶桑さんたちとローテーションかな?」

提督「いんや、固定だ。少なくともお前がケッコンカッコカリ出来る練度になるまでは」

伊勢「それはまたどうして? はっ、もしかして私とケッコンしたいから」

提督「日向や山城に渡したら新装備やら活躍の場やらを取られたくないといって手放さすのに苦労しそうだし、扶桑は山城に渡してしまって以下同文だ」

伊勢「ものすごい偏見じみた理由ね……」

提督「それに一々載せかえるのが面倒だしな」

伊勢「そっちの理由だけでよかったんじゃ?」

53: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/04(月) 20:54:54.90 ID:eaS3rqRfo
1-5に航空戦艦は欲しいですね

というわけで小ネタ艦娘とか安価下

54: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/04(月) 21:10:44.12 ID:hF6WL2xAO
川内>絶対夜戦してよね!

57: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/04(月) 22:10:38.00 ID:eaS3rqRfo
―― PVネタは今のうちにやらないとね ――

提督「艦娘の活躍がアニメ化されるだと?」

猫吊「こことは別の世界のですけどね」

提督「どれどれ」

提督視聴中……

猫吊「どうでした?」

提督「イ級がでかかった」

猫吊「まぁここのイ級は殺人マグロぐらいの大きさですしね」

提督「その殺人という表現は必要なのか」

猫吊「赤城の航行シーンの雑コラが大量に作成されてますし注目度は大きいですよこれは」

提督「目の付け所間違ってるんじゃね?」

猫吊「ちゃんと顔の然るべき位置に二つついてますが」

提督「その目の付け所じゃねぇよ!!」

63: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/05(火) 22:09:35.91 ID:+ME5NsM3o
―― ここで川内改二と長良改の最大改修時ステータスを比べてみましょう ――

川内「夜戦しよう、夜戦!!」

提督「川内」

川内「夜戦!? 夜戦なの!?」

提督「夜戦の行える条件は?」

川内「雷撃後も敵が残ってた場合の追撃か最初から夜の場合だね!」

提督「で、然るに今回の戦果は?」

川内「駆逐ロ級二隻中二隻撃沈したよ!」

提督「その通りだ」

川内「だから夜戦しよ!!」

提督「敵がいねーのにできるかコラッ!!」

川内「ノーヤセン・ノーセンダイだよ!」

提督「わけわかんねーよ!!」

64: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/05(火) 22:11:50.34 ID:+ME5NsM3o
あの魚類です

というわけで小ネタ艦娘とか安価下

65: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/05(火) 22:17:46.35 ID:nx7YJRlAO
ぜがまし>速きこと、島風の如し

69: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/07(木) 20:41:37.04 ID:64b4efoyo
―― 2-4全域でドロップするとかとっても有情なホロレアなことですね? ――

島風「てーとく、ちょっと疑問があるんだけど」

提督「どうした?」

島風「この前てーとく一人で出撃したことあったよね」

提督「雪風が攫われたときだな。レ級との死闘の話でも聞きたいのか?」

島風「そうじゃなくて、あの時私全力で探したのに追いつけなかったんだよ?」

提督「そりゃ大一番まで追いつかれたくはなかったからな。彩雲に関しては諦めるとしても」

島風「ぷかぷか丸がそんなに早いなんて信じられない! かけっこしよ!!」

提督「あー? まぁもう内緒にする必要もないしいいか」

~~~~~~

鎮守府近海、ぷかぷか丸。島風は既に海上に出ている。いつもの連装砲ちゃんズはいない。甲板には提督ともう一人。

提督「というわけで鎮守府近海スプリントレース開催~」

山城「出番が来たと思ったらただの審判……不幸だわ……」

提督「暇そうだったんでな。艦載機飛ばせるし。ゴール地点での観測よろしくね」

島風「負けませんよ!!」

山城「では、私が空砲撃ったらスタートしてください。……よーい」

ドゥン、と鈍い音とともに二隻は海を滑り出した。

70: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/07(木) 20:42:35.38 ID:64b4efoyo
島風「てーとくおっそーい!!」

島風が後ろを向いて煽ってくる。

艦娘の利点の一つとして加速や小回りの利きが良いことがあげられる。これにより、細やかな回避や射撃が可能となるのだ。

提督「何か煽ってきてるけどフルパワー出せばいいだけだよね」ガチャコ

ただ、まっすぐ進むぶんには加速はともかく小回りは余り関係がない。それに武装はあらかた下ろしてある。あのときより速くなるはずである。

提督「さーて、あと何秒で追いつけるかな?」

舳先に出て望遠鏡を取り出し、島風の位置を確認する。

提督「……あれ? 島風が背負ってるのって……」

島風も何も対策してないわけではなかった。いつもの五連装酸素魚雷を下ろし、天津風の缶、つまりは新型高温高圧缶を装備していた。それも2つ。

提督「あいつもどうやら本気のようだな……」


遮る物は何もない直線コース。ぷかぷか丸はじりじりと島風との差をつめている。

島風が新型缶を持ち出してこなければとっくに抜かしているところである。

提督「さーて、これならゴール前には抜かせるかな?」

島風「おうっ!?」

後ろを振り向き、差をつめられていることに気づいた島風は更に加速!!

提督「あっ、まだ余力があったとは!」

今から更に加速は出来ないこともないが、追いつく前に島風はゴールしてしまうだろう。つまるところ、見送るしかないのだ。

だがここでトラブルが発生した。

島風「てーとく、おっそーおうっ!?」

ゴール間際でもう一度こっちを煽ってきた島風が派手にすっ転んだのだ!

車に跳ねられた実験用の人形の如く吹っ飛ぶ島風。敵の砲撃すら耐えうる艦娘といえども、40ノットを超える速度で転べば中大破は免れない。

止まったときにはあお向けで大の字になって目を回していた。

提督「やべ、山城、海に下りて島風回収してくれるか?」

山城「超高速で航行する艦船から飛び降りろとの理不尽な命令……不幸だわ」

提督「速度は落とすよ!?」

~~~~~~

入渠ドック

提督「全く無茶しやがって」

転んだ島風を回収したあと鎮守府へ戻ってすぐドックへ放り込んだ。

島風「でも私のほうが速かったでしょ?」

提督「それで転んで怪我したら元も子もないだろ」

島風「うー……」

提督「ま、そのなんだ。無事でよかった。速さを求めるのはいいけど無茶だけはするなよ」

島風「はーい」

71: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/07(木) 20:46:43.52 ID:64b4efoyo
鋼鉄少女の雪風とのクロスを書いてみたいと思うこともある

というわけで小ネタ艦娘とか安価下
なお明日からイベントなので特別企画が実施される可能性があります。春イベントの時みたいなあれですね。
アリューシャン炎上とかミッドウェー殺伐海域とかそんな感じのです。というわけですぐ消化されない可能性があります。

72: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/07(木) 20:47:29.89 ID:lzkEokpNo
乙ー
満潮

76: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/08(金) 21:02:39.14 ID:S/3HKhoeo
「ついにこの日が来たか……」

この夏!!(タダーン!!)

「うー、さびー」
「北太平洋も久しぶりですね」

艦娘たちの熱い戦いが!!(タダオーン!!)

「私の艤装が届きました。MI作戦はお任せください」
「いや練度ないだろお前」

太平洋を舞台に!!

「そうだな。ゴーヤとコンビを組むといい」
「「おかずじゃないです!」でち!」

今、始まる!!


Kantai Collection Summer 2014 Events 前編

ネオアリューシャン凍結


「姉たちの恨み、晴らさせてもらうわ……!!」
「貴様も姉どもの後を追うがいい!!」

夏とは思えぬ恐怖の冷気……

「……え、何、嵐…!? 早く帰らな…きゃ…あっ、嫌ぁぁぁぁぁぁ!!」

「あれは……艦娘? いや、違う?」

Coming Soon...

 Are you ready?
「準備はいいか?」

「当然よ、一人前のレディに決まってるじゃない!!」

「そっちのLadyじゃねーよ!!」

81: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/09(土) 22:38:05.38 ID:Okp8h2hgo
「ついにこの日が来たか……」

提督の机には書類の束。
日常業務の判子を押すための書類ではない。

敵泊地撃滅の指令書である。

黒電話の受話器を跳ね上げ、ダイアルを回す。
鎮守府内全域放送である。

『我が鎮守府に所属する全艦娘に告ぐ。全艦埠頭に集結せよ。繰り返す。我が鎮守府に……』

受話器を下ろし、再び書類に目をやる。

「MI作戦、か……」


Kantai Collection Summer 2014 Events 天の章

ネオアリューシャン凍結 #0 ウェルカム・トゥ・ザ・ノースポイント

埠頭に整列する艦娘。ザワザワ騒がしい。

「全艦集合って尋常じゃないわね」
「あれじゃない? 噂の」
「MO作戦?」
「それはもうやったでしょ」

艦娘たちも噂レベルで把握しているらしい。

提督が艦娘たちの正面に来て立ち止まる。右手には銛を握っている。

「……気をつけぃ!!」

先ほどの騒がしさが、静寂に取って代わる。緊張が高まる。

「休め」

咳払いを一つして、提督が話しだす。

「さて、噂はかねがね聞いていると思うが、敵泊地の撃滅任務が赤煉瓦から下された」

大淀がホワイトボードを運んでくる。白板には北太平洋の地図が描かれている。

二点記されたポイントに向かって、日本の位置からそれぞれ矢印を引く。

「さて、この二つの場所に覚えはないか? はい摩耶早かった」

即座に手を上げた摩耶を指す。

「北は、アリューシャンだろ?」

「正解だ。そしてもうひとつは」

震えながら上がる手。赤城の手だ。

「ミッドウェー……ですね」

「その通り。完全にこっちに喧嘩売りに来ている。
 珊瑚海といい、ソロモンといい、連中はかつての激戦地に湧いてくる傾向にある」

「まるであの戦いの再現……」

「そうだ。アリューシャン方面…AL作戦参加の艦娘とミッドウェー…MI作戦参加の艦娘に分ける。ALを抑え、MIを落とす」

「またあの時のようになるんじゃ……」

その言葉を否定するかのようにダン、と石突きの部分を地面に叩きつける。

「だが、我々は昔とは違う! 珊瑚海も勝った! ソロモンも勝った! ウェーク島も勝った! なればこそミッドウェーもひっくり返す!」

「全艦挙げての決戦か、胸が熱いな」

82: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/09(土) 22:39:04.00 ID:Okp8h2hgo
「ところで、全力を上げて鎮守府を空にしたら敵はどうすると思うはい夕立早かった」

「叩き潰しに来るっぽい?」

「だろうな。この二つの泊地すら、ただの陽動に過ぎないだろう」

「三正面作戦……ですか」

大和が不安げにつぶやく。

「二つの戦線を広げるのは愚者、三箇所で同時で戦おうとするものは狂人、となんかの本で読んだからな。心配になるのも分かる」

だが、と提督は続ける。

「鍛えた腕前、造った最新鋭の装備、そして敵を打ち破る智恵、全部ひっくるめればALとMIの首根っこ抑えた状態から叩き潰せる……はずだ!」

「参加艦はどうするんですか?」

「良い質問だ蒼龍。まずはALの泊地を抑えるために、衣笠、那智、扶桑、山城、飛鷹、隼鷹に行ってもらう。必要と判断したら増援を送る。

 MIは機動艦隊に長門型ないしは金剛型、一航戦、二航戦、護衛艦隊に神通、利根型二人、雪風、島風、ヴェールヌイ。

 本拠防衛は大和型、五航戦・大鳳を軸に行う」

銛をぐるぐる回し、水平線の向こうへ突きつける。

「暁の水平線に、勝利を刻むぞオラッ!!」

『おー!!』

83: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/09(土) 22:47:52.59 ID:Okp8h2hgo
次回予告!!

「こっちが航戦と軽空母主軸なのに攻撃隊形潜水艦を混ぜるとかきたない深海棲艦汚い」
「晴嵐や瑞雲を外せばいいのでは」

「夜戦のフラルか……」
「夜偵は既に飛ばしてある」

「フラヌが大量に来やがって」
「烈風の発艦準備、出来ました!!」

「この子がどうなってもいいのかぁ?」
「村雨……いや違う!?」

ネオアリューシャン凍結 ウェルカム・トゥ・ザ・ノースポイント #1

「……番号の置き場所間違えましたか、しれぇ?」
「うん」


84: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/09(土) 22:48:58.16 ID:Okp8h2hgo
磯風はいいですね。とてもいいですね。ぜひとも手に入れなければなるまい

88: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/12(火) 20:45:19.58 ID:hR1UOptCo
提督「うーさびー。へくちょ」

隼鷹「風邪かい? だらしないねぇ」

提督「俺はただの人だぞ。暑いところからいきなり北国に行けばこうもなるわ。へぶしゅ」

隼鷹「しかし北太平洋も久しぶりだねぇ……」


ネオアリューシャン凍結 ウェルカム・トゥ・ザ・ノースポイント #1


提督「そういうわけで先遣隊6人。ここを突破して北方攻略の橋頭堡を築く」

飛鷹「ミッドウェーの仇とりたかったなぁ」

提督「もっと取りたいのが4人もいるんだ。それにここを押さえることでMI方面への敵増援を抑えることが出来よう」

隼鷹「でも、確かに戦略的にはこの2作戦でがら空きにしたところに敵が来る可能性は高いだろうけどさー。どうして来るってわかるんだい?」

提督「猫吊るしから渡される書類にあるんだよ。アイツはクソッタレのxxxx野郎だが割と情報は信頼できる」

那智「重巡組は何故私と衣笠なんだ? 足柄が拗ねてたぞ」

提督「まぁ改二の青田買いとして那智重点的に育ててたし、夜戦装備外すのめんどい。足柄もあとで育てるから心配はいらん」

那智「本人にそういったらどうだ?」

提督「作戦が終わったらね」

89: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/12(火) 20:46:24.72 ID:hR1UOptCo

提督「さて、晴嵐の先制爆撃と主砲の火力に期待してるぜぇ。そのための扶桑しm……」

扶桑「山城、見て。敵の潜水艦を発見したわ」セイランブーン

山城「姉様のためにー!!」セイランブーン

提督「ああっ、火力が、火力が吸われる!!」

飛鷹「さぁ飛び立って!!」

隼鷹「いっけー!」

提督「こっちが航戦と軽空母主軸なのに攻撃隊形潜水艦を混ぜるとかきたない深海棲艦汚い」

衣笠「晴嵐や瑞雲を外せばいいんじゃない?」

提督「でも先制爆撃は敵駆逐艦多いからバカに出来ないんだよなぁ」

~~~~

提督「夜戦のフラルか……夜戦マスはいつも恐ろしい場所だったが」

那智「夜偵は既に飛ばしてある」

提督「夜偵があると心なしか当たりにくくなる気がするんだよなぁ」

~~~~

提督「フラヌが大量に来やがって。いくら最新鋭だからって増やしすぎなんだよ」

飛鷹「烈風の発艦準備、出来ました!!」

提督「よーし目に物見せてやれぃ!!」

90: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/12(火) 20:47:14.13 ID:hR1UOptCo
そんなこんなで敵主力前。敵旗艦が少女を羽交い絞めにしている

提督「あれは村雨……いや、違う?」

リ改「この子がどうなってもいいのかぁ? 助けは誰も来ないぜぇ?」

春雨「助けてぇ……」

提督「いるさ、ここにな!」

リ改「!?」

衣笠「ヒューッ!!」

リ改「げぇっ、コブラ!! ……じゃないじゃん」

衣笠「えー、似てない? 口元の辺りとか。あと手に砲があったりとか」

リ改「そもそもサイコガンは腕装着式の単s」ドゴーン

隼鷹「天山とかいいよねぇ」

会話中に友永天山を叩き込んだのだ! 非道!!

提督「よし、その子を回収してこの付近の島を拠点とする!!」

91: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/12(火) 20:48:23.08 ID:hR1UOptCo
次回予告!!

「ゼロ戦置いてけ……」
「いやゼロ戦どころか紫電改二すら持ってきてないし」
「……(図鑑ペラペラ)烈風置いてけ……」
「いやわざわざ調べんでも」

「帰れ……!!」          チ
「俺だって帰りたいんだよさっさとおっ死ね!!」

「支援攻撃するっぽい?」ダダダダダダ
「潜水艦相手に何やってんですかお前ら」

なかなか倒せない北方棲姫。提督の冒険はここで終わってしまうのか!?

ネオアリューシャン凍結 ウェルカム・トゥ・ザ・ノースポイント #2

「しれぇ、燃料13万切りました!!」
「ヌウゥ……!!」
「まだまだ余裕あるっぽい?」

96: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/13(水) 18:34:17.18 ID:TNVMWzjFo
インターミッションという名の小ネタ消化

――善良な提督はこんなことはしないようにしましょう――

提督「……と満潮入渠で、朝潮、大潮、荒潮は第三艦隊の駆逐と入れ替え」

満潮「ちょっ、私置いてけぼり!?」

提督「しょうがないだろ。艤装の損傷そこそこあったし」

満潮「こんなの、ドック入りにはまだ早いわ!」

提督「入渠任務消化しなきゃならんし」

満潮「バケツ使えばいいじゃない!」

提督「バケツならAL作戦組に使った」

満潮「あぁ、もう!」

~~~~~~

提督「なになに、この書類は……」

満潮「意味ありげにどうしたのよ」

提督「第三艦隊、任務中に敵艦隊の奇襲を受け、水母千歳以下六名……全滅……だと……。確かちとちよに名取に…第八駆の三人だったよな……」

満潮「!?」

提督「なんということだ……」

満潮「じょ、冗談でしょ!? 私のいない間に艦隊全滅とかやめてよね!?」

提督「……なーんてうっそぴょアバラッ」

「そ」の時点で繰り出された満潮の連装砲パンチは的確に提督のみぞおちに叩きこまれた

提督「ゴホゴホ重いジョークじゃないか」

満潮「言っていい冗談と悪い冗談があるわよ。で、本当はなんて書いてあったのよ」

提督が手に持ってる書類を奪い取る。

『満潮へ。いつも遠征任務お疲れ様。ツンツンなんで日頃の礼をする機会がなかったから後で間宮さんのところでおごっちゃる』

~~~~~~

満潮「こんなので私を懐柔できると思わないでよね!!」

提督「アイス食いながら言うセリフか?」

97: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/13(水) 18:36:07.31 ID:TNVMWzjFo
E-4で6回中5回北東に送られるとかひどすぎる

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

98: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/13(水) 18:40:57.25 ID:TNVMWzjFo
ageるの忘れてたので更に下

99: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/13(水) 18:48:12.76 ID:vn5N/kdTO
新艦でもいいなら春雨

102: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/15(金) 20:04:56.89 ID:Lw8rjO6Lo
提督「あれが敵の泊地か……」

隼鷹「ダッチハーバーのあったあたりかな」

提督「んじゃ艦隊編成変更、山城アウト、木曾イン」


ぷかぷか丸、甲板

山城「なんか編成外された……不幸だわ……」

提督「いや編成が重いとと羅針盤狂うからさぁ……おっ、通信がはいった」

木曾『あー、敵艦隊は沈めたけど飛鷹中破、隼鷹大破。たこ焼きが飛んできたかと思ったらこれだ』

提督「たこ焼きぃ?」

木曾『衣笠の観測機から資料が送られてくるはずだ』

提督「おっ、来た来た。……なんでこんなのが空を飛ぶのかわからないよ」

艦載機と思しき浮遊物体、それは牙の生えた白いたこ焼き(爆弾付き)としか言いようのないものだった


ネオアリューシャン凍結 ウェルカム・トゥ・ザ・ノースポイント #2


提督「というわけで、レーベとマックスを連れてきた」

レーベ「艦隊決戦かぁ……よし、やるぞ!」

提督「通商破壊でも艦隊決戦でもないぞ!! 泊地の撃滅だ! 一大作戦だぜ!!」

マックス「ふぅん……そう」

提督「ちったぁ興味を持ってくれよ大事な作戦なんだから」


提督「今回、戦艦及び正規空母を投入できない都合上、明らかに火力不足だ。そこで……」

夕立「夕立たちの出番っぽい?」

提督「道中、何食わぬ顔して支援したってくれ。他には時雨とちとちよをつける」

夕立「了解っぽい!」

103: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/15(金) 20:07:17.74 ID:Lw8rjO6Lo
提督「ここ、フラ軽空か潜水艦隊の二択なんだよなぁ……」

衣笠『意見具申、その場合は輪形陣で対応しましょ』

提督「よし、各位輪形陣をとれ!」

レーベ『敵潜水艦隊、発見しました!』

提督「あまり構うな、魚雷に直撃しなけりゃいい」


夕立「支援攻撃するっぽい?」ダダダダダダ

miss
miss
miss
miss

提督「潜水艦相手に何やってんですかお前ら」

~~~~~~

北方棲姫「ゼロ…置いてけ……」

提督「ゼロってゼロ戦か? ゼロ戦どころか紫電改二すら持ってきてないし」

北方棲姫「……(図鑑ペラペラ)烈風置いてけ……」

提督「いやわざわざ調べんでも」

~~~~~~

提督「さてと、あと一回かな」

艦娘戦闘中……


那智「……まだ動いてるな」

提督「仕留め損ねたか。まぁいい。もう一回やるまでだ」


艦娘戦闘中……すること十数回……


北方棲姫「……帰れ!! しつこい!!」

提督「俺だって帰りたいんだよさっさとおっ死ね!!」

このあと衣笠さんがキメてくれました

104: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/15(金) 20:09:04.26 ID:Lw8rjO6Lo
―― ??? ――

??「もうすぐ故郷に戻れるんだ…」

??「久しぶりに昔の服を着てみたけど…なんだか懐かしい気持ち」

??「…皆は、もういないけど…」

??「帰ったらお参りに行こうかな」

??「私は立派に成長しました、って」

??「今はもう引退した身だけど…」

??「―姉様がいたら褒めてもらえるかな…?」

??「……え、何、嵐…!? 早く帰らな…きゃ…あっ、嫌ぁぁぁぁぁぁ!!」

105: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/15(金) 20:09:50.44 ID:Lw8rjO6Lo
次回予告!!

「いよいよMI作戦ですね!!」
「期待してるところ悪いが、今回メンツから外す」
「えっ」

外される者!!

「私の艤装が届きました。MI作戦はお任せください」
「いや練度ないだろお前」

自らを過剰にアッピルする者!!

「ノコノコとまた来たのか……」
「初めてなんだが」
「私にとっては……初めてじゃない」

初めてじゃない宣言をする者!!!

「ここは……あの世?」
「ここが死人の世界に見えるのか?」

そして……

北太平洋殺伐海域 デス・フロム・アバヴ・ミッドウェイ #1

「大丈夫か心配になってきた。ネタ的に」
「海域攻略の心配しましょうよ!?」

112: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/18(月) 22:44:38.48 ID:CW5QJHHlo
―― インターミッション・2 二人のユキカゼ ――

世界が長く続けば、こういうこともある。

そう思えば、何があっても驚かない。

大事なことは、それを許容できるかどうかである。

113: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/18(月) 22:45:51.43 ID:CW5QJHHlo
「ご注文は震電改ですか? イヤーッ!!」「ンアーッ!?」「ご注文は震電改ですか? イヤーッ!!」「ンアーッ!?」

アリューシャン列島、ダッチハーバーの急造泊地。提督一行はここを拠点とする北方棲姫を撃破し、AL作戦を成功させた。

「いい加減そのへんにしてあげたら? さすがに可哀想になってきたよ」

北方棲姫のマウントをとって殴り続けていた提督を隼鷹がとめる。

「こいつなんか戦闘機持ってただろ? 殴れば震電改が出るんじゃないか?」

「悪いけどそれ、ゼロ戦だよ。しっかし、アクタン・ゼロまで再現するとかホント、過去の怨霊かもしれないねぇ」

そう言って隼鷹は徳利から酒を注いでグイ、と呷る。

「まぁ敵の正体はどうでもいいんだ。震電改くれれば。で、住民受け入れの準備は整ったのか?」

「そうそう、それを伝えに来たんだ。受け入れや移送の警護準備も整ったよ。飛鷹のおかげで」

「お前も働けよ。まぁよし、ここらの安全確保は頼んだぞ。俺は支援艦隊とともに鎮守府に戻ってMI作戦だ」

「いよいよかぁ。勝算は?」

「あるかどうかじゃない。勝つ。それだけだ」

「言うねぇ」

114: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/18(月) 22:49:03.26 ID:CW5QJHHlo
ぷかぷか丸、作戦室。

決戦の支援艦隊には大和が来ていた。北方棲姫撃滅のために、演習で調子の上がっていた大和を呼びつけたのだ。

他にも、雪風、加賀、飛龍、霧島、島風が来ている。海を駆けるのが好きな島風を除いて、甲板や室内で思い思いに休憩している。

分厚い作戦資料を読んでいる提督に、大和が声をかける。

「提督、AL作戦成功おめでとうございます」

「大したこたぁない、といいたいところだが割と苦戦したからな。ありがとな。つーかやったのは衣笠たちだろう」

「彼女たちには出港前にねぎらいましたから。いよいよMI作戦ですね」

「ミッドウェーか……。本来なら大和と武蔵を前線に出して温存がクソだということを証明したかったがな……」

顔を顰めながら提督は作戦資料の横の小冊子を開く。

「がら空きにすれば攻めてくる、といったがどのくらい有り得るか説を補強したくてな。東急遠征の子らにちょっと偵察を頼んでたんだ」

「これが、その資料ですか」

資料内容には、MIから南西方面に、夜闇にまぎれて移動するワ級の船団の姿や海路などが記されていた。

「ここらへんは拠点が築きにくく、抑え切れてない海域だ。遠回りしてまで撮った長良たちには感謝しないとな」

「つまり、来るんですね?」

大和の問いかけに頷く提督。

「あぁ、ほぼ確実にな。それも、大量に資材を必要とする……すなわち、奴らの真の主力が、だ」

115: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/18(月) 22:50:57.99 ID:CW5QJHHlo
ジリリリリン。ジリリリリン。

黒電話式の通信機が鳴り響く。見た目黒電話なのは提督の趣味である。受話器をとり、通信をつなぐ。

『おぅっ』

「島風か。敵の潜水艦でも発見したか?」

『ちっがーう、じゃなくて。なんか女の子が浮いてるの』

「はい? この夏でも寒い北海に?」

『うん。ちょっと引き上げてみたけど、意識を失ってるみたい』

「他には?」

『何か私たちの艤装みたいなのつけてる』

「それで浮いてたって? ……その子連れてこっちまで戻って来い。全速力でだ」

『おぅっ!』

提督は受話器を放り投げた。チン、という音とともに受話器が元の位置に納まり通信が途切れる。

「大和、布団と暖房の準備。あと念のため艤装修理装置の起動。俺は救命準備を整えてくる」

「了解しました」

~~~~~~

甲板に出る頃には既に島風は戻っており、雪風が少女の背中を押して水を吐かせていた。

「全く早いもんだ。容態はどうだ?」

「水は大体吐かせました。意識は……ちょっと呻いてまた失っちゃいました」

「担架で運んだほうがいいだろうな」

ちら、と島風のほうに目をやると、少女の艤装と思しき物を立てかけていた。

「それはあとで簡易ドックに運んでおこう。艦娘のと一緒かどうかはわからんが妖精さんがナントカするだろ」

棒と布で即席の担架を作り、三人で少女を部屋まで運ぶ。

「服の着替えは……俺が脱がすわけにもいかんし、雪風頼む。サイズ的に駆逐艦娘の寝巻きで大丈夫だろ」

116: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/18(月) 22:52:48.13 ID:CW5QJHHlo
少女を布団に押し込みしばらくして。

「まったく、何者なんだ? 大本営から渡された資料に載ってる艦娘については、少なくとも見た目は全部把握しているがその誰とも違う」

一人ごちる提督。

「でも、なんだか雪風と同じ匂い……というか雰囲気がします」

「そうかぁ? 確かにあの艤装、陽炎型っぽいところがあったが」

「う、うぅ~ん……」

「あ、目を覚ましそうです、しれぇ!」

布団の中の少女が身じろぎし、目を覚ます。きょときょと見回し、口を開く。

「ここは……あの世?」

「ここが死人の世界に見えるのか?」

「嵐に巻き込まれてさすがに死んだかなー、と思って」

てへへ、と少女は笑う。

「まぁ危うく死に掛けてたが」

はた、と何か気づいたような顔をする。

「……あれ、言葉が通じてる? 大東日の人?」

「大東日? 知らんな」

「えっ? じゃあ、ここは?」

「北方海域だよ。アリューシャンあたりから戻るとこだ。雪風、ちょっと地図をとってきてくれ」

「はい、しれぇ」

雪風が返事をして部屋を出る一方で、少女がびっくりしたような顔をしていた。

「ん、どうした? 雪風の名に何か心当たりでも?」

「心当たりというか、その……」

「ほれ、言ってみろ」

言葉を濁す少女にその先を促す。

「私の名前、いまは丹陽って言うんですが…」

今度は提督が目を丸くする番である。その言葉を引き継ぐように、

「元は雪風という名前でした、というんだろ?」

「は、はい。そうです!」

「……これはいったいどういうことだ……?」

117: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/18(月) 22:54:52.83 ID:CW5QJHHlo
あごを掻きながら思案しているところに、雪風が戻ってきた。

「しれぇ、地図をお持ちしました!」

「さんきゅ。おらよっと」

近くのテーブルの上に地図を広げ、北海の一点にピンを立てる。

「我々は今ここらを航海中だ。お前はどこら辺にいた?」

丹陽と名乗る少女にピンを渡す。少し思案した後、台湾近海にピンを立てる。

「この近くで航行してたんだけど、嵐に巻き込まれて……」

「……ちょっと待て」

「?」

「それが起きたのは、何年だ?」

「? 今何年かって事ですよね?」

少し間を置き、丹陽と提督が同時に口を開く。

「「1969年」」

しばしの沈黙。最初に口を開いたのは丹陽だった。

「な、何で訊いたんです?」

「今はとっくのとうに21世紀だからだよ」

「えっ!? 私、タイムスリップしちゃったんですか!?」

「時間軸だけならいいんだがな……。さっき大東日とか言ったか? この地図を見て心当たりのある国名はあるか?」

そう言われて丹陽は地図に目を通す。巻かれて見えていなかった西欧の部分も広げて確認していた。

「……ありません」

「だろうな。時間軸どころか空間もすっ飛ばされてるぞ。多分」

その言葉に目に見えて動揺する丹陽。

「ど、ど、ど、どうしよう!? 戻れないの!?」

「俺は知らん。あきらめろ。……と言いたい所だが一つだけ心当たりがある。とりあえず鎮守府に戻ってからだな」

~~~~~

「そうだ、自己紹介がまだだったな。俺はここの鎮守府の提督だ。まぁ司令とかなんとかいろいろ呼ばれてるが提督でいいや」

地図の鎮守府のあたりを指差しながら語る。

「で、このちっこいのが雪風だ。そりゃ同じ雰囲気するわな。世界線が違えど同じ雪風なんだから」

びし、と敬礼をしていた雪風が目を丸くする。

「え、この子も雪風なんですか、しれぇ?」

「どうもそのようだ。が、両方雪風だと頭がおかしくなって死ぬので彼女は丹陽と呼ぼう」

「丹陽ちゃん、よろしくです」

「よろしくね、雪風」

そう言って二人は握手した。

122: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/19(火) 22:28:40.12 ID:Io7vssReo
その後、現在の世界情勢と艦娘について話し、大和たちに丹陽を紹介した。

「この方がこの世界の大和さん……」

丹陽は目を輝かせている。何か思うことがあるのだろう。

飛龍と顔を合わせたときは泣き出した。曰く、自分たちの師であり、ミッドウェーで雷撃処分を行ったとのこと。

「たしか介錯したのは巻雲だったはずだよな?」

「えぇ……その筈ですが」

「世界線が変わると細かい点も変わるのかねぇ」


程なくして、鎮守府に帰還。埠頭には大淀がフル艤装装備で待っていた。

「AL作戦成功、おめでとうございます。大本営から私の艤装が届きました。MI作戦はお任せください」

「いや練度ないだろお前」

「ふふ、このカタログスペックを見ても同じことが言えますか?」

自信満々に言う大淀から資料を受け取る。

「雷装低いな?」

「まぁもともと積んではいませんでしたから。それより改造後のスペックですよ」

「んん、搭載機数12の……4スロ!?」

「はい、今ならおまけに司令部施設までついてきます」

「ぐぬぬ、育てるしかないというのか……?」

123: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/19(火) 22:30:58.62 ID:Io7vssReo


太平洋殺伐海域 デス・フロム・アバヴ・ミッドウェイ #1


鎮守府、埠頭。アリューシャンに出向している艦娘を除き、全員集まっている。

「こんなにたくさん……ミッドウェー前みたい」

「そうだ。ミッドウェーだ」

丹陽の呟きに提督が首肯する。

「え、でも、ミッドウェーって……」

「そう、そこでの大敗が元になって戦況は一気に悪化したといわれている。まぁ勝った所でどっかで躓いてただろうという話もあるが」

だが、と提督は言葉を続ける。

「昔は昔、今は今だ。敗北した理由と原因を一つ一つ潰して行けば残るのは勝利のみ。ましてや練度も装備も違う」


提督は埠頭前に積んだドラム缶の上に載る。

「気をつけぇーい!! 休め。えー、これよりMI作戦のために連合艦隊を結成する。呼ばれた艦娘は前に出ること」

「いよいよMI作戦ですね……!!」

赤城が一番気合が入っている。だが悲しいかな。

「第一艦隊旗艦、比叡。随伴艦は金剛、利根、加賀、青龍、飛龍。第二艦隊旗艦、大淀、随伴艦は雪風、島風、ヴェールヌイ、摩耶、筑摩」

「!? なんで!? 私抜きナンデ!?」

赤城が思わず叫び声をあげる。

「赤城が入っていない理由だが……どうも空母3+αでルートを固定できるらしくてな。すまんな。後の作戦に出撃できると思うからそれまで我慢してくれ」

「うう……ぐすん」

しょぼくれる赤城。

「というわけで装備と心身整えておけぃ!! 解散!」

124: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/19(火) 22:39:11.51 ID:Io7vssReo
「そういえば旗艦は大和さんじゃないんですか?」

「確かに連合艦隊総旗艦にふさわしい風格と強さはあるんだが……こっちでやることが残ってるからな」

「???」

頭に疑問符を浮かべる丹陽。

「さて、次はお前についてだが猫吊るしは」

「不可能を可能にするこの猫吊るしにお任せあれ」

「うひゃ!?」

猫吊るしと呟いた瞬間どこからともなく白い猫を持つ少女が湧いてきた。

「客人が驚いてるではないかこのxxxx……猫吊るし」

「なるほどなるほど要するにこの子が異世界から来たから元に戻す手はないかということですね」

「まだ何も言ってないがあってる」

相変わらずどこで情報を得たかわからないレベルで話が早い。

「この七つの海を統べるアンリ・マユと呼ばれたこの私にまっかせなさーい! 開発妖精ちょっと借りるね」

「アンリ・マユは確かゾロアスターかなんかの破壊神の名前だったと思うがどこのダークドメ」

突っ込みを入れたときには猫吊るしは既に去ったあとだった。

「……えーと、今の人は?」

「……俺にもよくわかってないが何かとにかくすごい。向こうは事情把握してるみたいだし、信じるしかない」

「それより呼びかけるとき何か言いかけたような」

「忘れなさい」

125: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/19(火) 22:42:32.46 ID:Io7vssReo
鎮守府、工廠。

先ほど呼ばれた艦娘が集まって装備の換装を行っている。

「ここで艦娘達の砲や艦載機を積むわけだ」

「ほへ~……。ゼロ戦とか九九艦爆とか積むわけですね!」

その丹陽の言葉を打ち消すように提督は手を振る。

「甘い甘い。その程度ではこの先生きのこれない」

「じゃあ彗星とか……天山とか?」

「半分正解だな」

問答しながら三人の空母に近づく。

「あら、提督。その子が飛龍が話してた子ね。確かに、どことなく似た感じがするわ」

「よろしくねっ!」

「こ、こんにちはっ!」

初対面の加賀・蒼龍と挨拶を交わす。

「そうそう、AL出征組みに貸与していた艦載機返すぞ」

提督は懐から三機の艦載機を取り出す。

「蒼龍の江草彗星、飛龍の友永天山、そして加賀には現状最高の艦戦、烈風改」

「確かに受け取りました」

各々艦載機を受け取り、矢に変じて格納庫に仕舞いこむ。

「艦載機が、矢になっちゃいました?」

「あいつらの発艦はすごいぞー。明日から嫌って程見られるからな」


水上艦のほうへ目を向ける。そちらも大体準備が終わったようだ。

「そっちの準備は大体出来たか?」

「あぁ、あとは水偵と電探ぐらいだ」

摩耶が返事をする。

「向こうから回収してきた夜偵と水観だ。これを使え。あと駆逐用の電探もな。おーい、雪風」

雪風を呼び、頭部の22号電探を外し、22号改四に付け替える。見た目はそう変わらないものの、性能は段違いである。

「しれぇ、ありがとうございます!」

「んじゃ今度は島風だな」

「おうっ」

島風に33号電探を取り付けてると、丹陽が声をかけてきた。

「こっちの世界の私…雪風は活躍してるのかな?」

「そりゃなぁ? 一大決戦の最前線に出して恥じぬレベルだし。な、雪風?」

「もちろんです! 明日はいいとこ見せちゃいます!」

126: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/19(火) 22:46:11.74 ID:Io7vssReo
翌朝!! 北太平洋!! ミッドウェー付近!!

「まさか空母型のぷかぷか丸を作ってあったとはな……」

猫吊るしがいつの間にか用意した連合艦隊用母艦、ぷかぷか丸改二。

二艦隊が存分に休めるよう部屋の数も倍以上に拡張されている。

『司令! これより敵領海内に入ります!! 出撃命令を!』

比叡からの通信。全員準備は万全である。

「おーけい。連合艦隊、出撃せよ!!」

『気合! 入れて!! 行きます!!!』

「敵機動部隊は輪形陣にて凌げ。目標は敵主力空母、発見し次第戦闘隊形をとり、撃滅せよ!」


「おっ、敵機動部隊と交戦するぞ」

「あれが深海棲艦……」

ヲ級が艦載機を飛ばしてくる。アリューシャンで見かけた新型だ。

「な、何あの白いの!?」

「連中の新型艦載機だ。今までのとは比べモンにならん。だが……」

時を同じくして、加賀たちが矢を放つ。一の矢、二の矢、三の矢。

放たれた矢は艦載機に変じ、敵艦載機を撃ち落していく。

「まだ、制空権を奪われるほどではない」

容赦ない爆撃に随伴艦を次々と沈められ、敵艦隊はすごすごと撤退していく。

『第一、第二艦隊とも損傷軽微。まだいけます!』

「よし、敵主力はミッドウェー近辺にいるはずだ。索敵を怠るな」

『こちら加賀、敵主力をミッドウェー北にて発見』

「……ミッドウェーの近くを通ることになるな。島からの艦載機を警戒せよ!」

『了解』

127: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/19(火) 22:50:47.48 ID:Io7vssReo
ミッドウェー島付近

「あれが、ミッドウェー……」

甲板で島を見ていた丹陽が震えながら声を絞り出す。

島周辺は紅くて昏いオーラが漂っている。強力な深海棲艦が居る証拠である。

慣れていない者にとってはそれだけで畏れを抱き、最終的に発狂するとまで言われている。

確たる証拠はないものの、戦争の傷痕が具体的な形を成し人類に牙を剥いている、といわれる所以である。

『……ミッドウェーのほうから通信が入っています! つなぎますか?』

「よし、比叡。繋げ」

ザザッ、という雑音のあと、幽鬼の如き女性の声が通信機から響いてきた。

『ノコノコと、また来たのか……』

「俺はここらへん来るのは初めてなんだが」

『私にとっては……初めてじゃない。そして、あいつ等も……』

「加賀たちのことか」

『……? 一隻、足りないようだな……?』

「奥の手は最後までとっておくもんだ」

『出し惜しみして慢心して……沈め』

その言葉を最後に通信が途切れる。

「敵艦載機、来るぞ! 構いすぎるな!」

128: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/19(火) 22:52:33.73 ID:Io7vssReo
『何とか凌ぎきりました。まだ新型艦載機は全艦には配備されてないようですね』

「だが敵主力には配備されているだろう。気を抜くなよ」

『こちら飛龍、敵主力確認しました! 現在接近中!』

「おーし、全艦、戦闘隊形を取れ!!」

敵主力に近づく。敵の輪形陣中央に、空母型艤装の上に乗っている、女性の姿があった。

「こいつが、空母棲鬼……!!」

「空気がぴりぴりしてる……」

飛び交う艦載機。投下される爆弾や魚雷。だが互いに致命打に至ることはない。

『航空優勢です。あの艦載機量はさすがの鬼クラスですね』

淡々と通信を送る加賀。

大淀率いる第二艦隊が砲撃と魚雷で露払いを行い、比叡たち第一艦隊にて半壊した艦隊に止めを刺す。わかりやすい戦術である。

『気合! 入れて! 行きます!!』『全砲門……Fire!!』

金剛姉妹の砲撃が敵空母や戦艦を次々と打ち抜く。

「金剛型って……35.6cmだったような……小さくなってるとはいえあの威力って……」

感嘆のため息を漏らす丹陽。

「まぁ大和の46cm砲積んであるからな」

「えっ」

「さすがに本人ほどの火力は出ないがそこらの戦艦くらいなら持ってけるからな。だが……」

海の向こうを見やる。空母棲鬼は次々と艦載機からの爆弾や艦砲射撃を浴びているが、案外けろりとしている。

「嘘でしょ……?」

「鬼や姫クラスは、バカみたいに固いんだよ。こんなもんに背後から襲われたら速攻全滅だ」

「あんなの、どうやって倒すの?」

「闇夜に乗じた、至近からの砲雷撃戦」

丹陽への疑問に答えると同時に、空が夜の帳に包まれる。

「な、何!? さっきまでお日様出てたよね!?」

「連中の煙幕みたいなもんだ」

慌てることなく提督は通信機を取る。

「第二艦隊、旗艦大淀および各艦に告ぐ。敵を追撃し、確実に止めを刺せ」

『了解しました』

通信終了と同時に摩耶から夜偵が飛ぶ。逃げる鬼を六隻が確実に追い詰めていく。もはや鬼の逆転した鬼ごっこ。

「何度でも、沈んで、いきなさい……!」

空母棲鬼は悪あがきとばかりに残りの艦載機を飛ばすが、水柱を上げるのみ。

「沈むわけには!」

雪風の10cm高角砲が火を吹く。

「行きません!!」

返す刀でもう一撃。

バイタルパートを撃ち抜かれた空母棲鬼は大爆発を起こし、深い海の底へと沈んでいった。

129: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/19(火) 22:54:10.61 ID:Io7vssReo
次回予告!!

「今度こそ私の出番ですね!!」
「旗艦はあきつ丸だ。やっぱり出番はないぞ」
「あっ、あっ、あっ」
「……へっ!? 自分でありますか!?」

陸軍に出番を奪われる艦娘!!

「島風、雪風をつれて戻るんだ!」
「おうっ!」

「あれ、提督? ミッドウェーは?」
「羅針盤に邪魔された」

無慈悲な羅針盤!!

「この日のためにカタパルトを修理したのじゃ!」
「でもそれ三式弾だよね」

陸上特効!!

北太平洋殺伐海域 デス・フロム・アバヴ・ミッドウェイ #2 ~ライズ・オブ・ミッドウェイ・プリンセス~

「あれ、あきつ丸MVP?」
「第二艦隊が活躍すると第一艦隊は自動的に旗艦MVPになる仕様であります」
「わけがわからないよ」

134: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/20(水) 22:44:40.73 ID:bpKRnVxWo
鎮守府、埠頭。

「敵主力空母は我が連合艦隊の働きにより撃滅した。これで心置きなくミッドウェーを攻め落とせる。そこで、面子を入れ替える」

「今度こそ私の出番ですね!!」

期待を胸に拳を握る赤城。しかし……

「摩耶と入れ替えであきつ丸。ちなみに第一艦隊旗艦」

「……へっ、自分でありますか!?」

思っても見ない展開に驚くあきつ丸。

「あっ、あっ、あっ……」

その横で赤城は瀕死!!

「この作戦は強襲揚陸が必要になる作戦だからな」

「……本当の理由は何でありますか?」

ちらり、と倒れた赤城に目をやった後あきつ丸が核心を問うた。

「最初の羅針盤固定」

「羅針盤は強敵であります……」

納得してうなずくあきつ丸。

「一航戦の誇り、こんなところで失うわけには……」

その横で赤城は瀕死!!

135: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/20(水) 22:48:24.65 ID:bpKRnVxWo


北太平洋殺伐海域 デス・フロム・アバヴ・ミッドウェイ #2 ~ライズ・オブ・ミッドウェイ・プリンセス~


ミッドウェー近海、ぷかぷか丸改二。

「さて、やるべきことは簡単だ。島まで近づいたのち随伴の要塞などを掃討し、ありったけの三式弾をあのウィキペディア姫にぶち込む。それだけだ。総員、出撃!」

12名の精鋭が次々と海に飛び出す。

「ま、何とかなるだろ」

丹陽が提督の背中をつつく。

「あの……」

「ん、なんだ?」

「そういえば、何で私も付いていってるんでしょう?」

当然の疑問である。

「この作戦、誰もが知ってるとはいえ軍機聞いた者をほったらかすほどうちのセキュリティ体制甘くないよ?」

「えっ」

「悲しいけど、これ戦争なのよね。向こうへの外交ルートないから開戦するとかの手続きとってないけど」

鎮守府は一応軍組織の一部ということにはなっている。裁量権は割と広いが。

「というわけで軍機を知ってしまった貴方には目の届くところにいてもらったほうが都合が良いのだ」

「ええ……」

「勝手にうろついて深海棲艦に撃ち殺された、とか洒落にならないしねぇ。ま、艦内施設使い放題だしゆっくりしていってね!」

136: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/20(水) 22:49:07.72 ID:bpKRnVxWo
あきつ丸から通信が入る。

『敵潜水艦を発見! であります!』

「対潜陣形だな」

『了解であります! 各位、対潜陣形用意!』

「あいつも板についてきてるなぁ……」

通信機を下ろし、遠眼鏡で敵艦隊を見る。

「んん? 金色の……ソ級!? もう完成していたのかフラソ! あっ雪風危ない」

程なくして通信機が鳴る。

『雪風殿が大破したであります! 随伴艦をつけての帰投、意見具申するであります!』

「駆逐は他にヴェルと島風だったな。島風は無事か?」

『問題ないようであります』

「じゃあ島風、雪風をつれて戻るんだ!」

『おうっ!』

~~~~~

「じれ゙ぇ゙、ごべん゙な゙ざい゙……」

島風に肩を借りて戻ってきた雪風は開口一番、泣きながら謝った。

「いや、謝ることはない。無事でよかった」

小柄な体をぎゅう、と抱きしめる。

「まずはドック入って休憩だ。島風、調子はどうだ?」

「傷とかは全然平気だけど、疲れたぁ……」

「弾と燃料補充したらしばらく体やすめとけ。相手はミッドウェーだ。そう簡単に攻略できるモンでもない」

「はーい……」

ふらふらと自室に戻る島風。

137: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/20(水) 22:50:49.61 ID:bpKRnVxWo
「激戦ね……」

呟く丹陽。

「雪風は被弾のほとんどない幸運艦として有名だが深海棲艦はそんなこと知ったこっちゃないとばかりに当ててくるからな……」

「私もほとんど当たった覚えないけど……」

「もし海に出ようものなら連中は遠慮なく当ててくるだろうな。

 オカルト方面の話になるが、占いや風水の見地から深海棲艦を調べたとか言う資料があって、強力な深海棲艦は運がいいらしい。豪運すらひっくり返すほどにな」

「へぇ……」

「まぁそれでも俺達は勝ってるし、どこまで信じていいものやら」

肩をすくめて話を切った所で通信機が再び鳴る。

「敵艦隊に遭遇したか?」

『海流に流されてミッドウェーの北東沖まで出てしまったであります。敵機動部隊が手ぐすね引いて待っているであります』

「……そいつら捌いて撤退せよ」

チン、と受話器を下ろす。

「皆が帰投したら俺も休もう……」


自室に戻るために廊下を歩いていると島風と遭遇した。

「あれ、提督? ミッドウェーは?」

「羅針盤に邪魔された」

「おうっ……」

138: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/20(水) 22:52:31.89 ID:bpKRnVxWo
休憩してしばし後。艦隊は防衛ラインを突破し、島の目の前までたどり着いた。

「誘爆して……沈んでいけ……」

「よーし、その言葉、熨斗つけて返してやろう!! 全艦隊、突撃ぃ!!」

「この日のためにカタパルトを修理したのじゃ!」

自信満々の利根。

「でもそれ三式弾だよね」

「着弾観測に使うのじゃ……、ん、あれ、晴嵐からの通信が聞き取りづらいぞ?」

「おいぃ!?」


「さて、あきつ丸は暇してないかn……あれ」

第一艦隊の旗艦のいるべき位置に彼女の姿はなかった。

戦場を見回すと、中間棲姫の懐までもぐりこみ、姫本体に向かってシャベルを振り下ろしていた!!

「えいっ、やぁっ、こなくそっであります!!」

意外と効いている様だ。

「Hey!! 三式弾いくよ! あきつ丸、離れてクダサーイ!」

ヒット・アンド・アウェイによる容赦ない攻撃が続く。

「変わらない……限り……!!」

「悪いが、俺らは変わったんでね。昔の怨み持って愚痴愚痴言い続けるお前らに勝ち目など、ない!!」

利根の三式弾が、中間棲姫の艤装と身体を焼き尽くす。

「そんな……私が……堕ちると、言うの…?」

その一言が、中間棲姫の最期の言葉であった。

~~~~~~

同時刻鎮守府、一航戦の部屋

「!!」

ふて寝をしていた赤城が何かを感じて目を覚ます。

頬に手を当てると、頬が濡れているのを感じる。

「……どうして、かしら」

139: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/20(水) 22:53:23.17 ID:bpKRnVxWo
次回予告!!

「赤城、今こそお前の出番だ」
「本当ですか!?」

ついに一航戦、二航戦揃い踏み!!

「夜戦か……」
「南側ぐるりと回れば避けられそうですよ」

待ち伏せの回避!!

「火の塊となって……沈んでしまえ!!」
「それはこっちの台詞だ!!」

増派部隊との決戦!!

北太平洋殺伐海域 デス・フロム・アバヴ・ミッドウェイ #3 ~ナグモ・サンダーボルト~

「しれぇ↑」
「しれー↓」
「あぁ脳みそがとろける……」

141: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/20(水) 23:01:53.26 ID:bpKRnVxWo
そういえばインターミッション飛ばしてしまった
丹陽の正規空母の訓練見学というネタならあるが

なんか安価下でネタ募集(時間軸は多少前後してもおっけーね)

143: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/20(水) 23:12:36.80 ID:pP1g83AAO
デカブリスト(ヴェールヌイが練習艦になったやつ)呼ぶか

148: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/21(木) 22:54:51.72 ID:EWTQI7I3o
―― インターミッション・12月の革命者 ――

ぷかぷか丸改二、飛行甲板。今はミッドウェーにて停泊している。

「さて、ミッドウェー確保、と。敵は奪還しに来るかな。こっちの主力の釘付けのために」

東の水平線を眺めながら提督は一人ごちる。その時、後ろから声がかかる。

「司令官」

「どうした、ヴェル」

「丹陽は、その、別世界の雪風なんだよね」

「まぁ彼女が嘘ついてる様子も理由もないし、発言内容からするとそうっぽいし、何よりあのxxxx猫吊るしxxxが一目見ただけでわかったようだしな」

「えげつなく罵る割には猫吊るしの言うことは信用してるんだね」

その問いに提督はふん、と鼻を鳴らす。

「大事なこと抜かしたり理不尽なこと言ったり訳わからなかったりはするが嘘吐きではないからな。で、それがどうした」

「別世界の私も、こっちに紛れ込んでくることがあるのかな、ってふと思ったのさ」

「そうかもなぁ。有り得ないとは言い切れないなぁ」

「呼びました?」

突如割り込んでくる第三の声。猫吊るしである。

「……鎮守府で転移装置の開発してたんじゃなかったのか。いつの間に乗り込んでたんだ」

「たかだか4000キロちょい程度ですしこの程度私一人なら造作もないことですよ」

相変わらず無茶苦茶なことを言う猫吊るし。だが実際ポータルで作戦海域近海まで行き来しているので信じられないとはいえない。

「あと響には悪いけど可能性は低いかなぁと思うんですよ。別の世界っていうのは人々の思いから生まれるわけでそれをいえばこの世界もそうといえるけど
 こう別世界を渡るには人々の思いが重要でとにかくソ連に渡った後の響の情報が少なくて」

聞かれもしないのにべらべら喋り続ける猫吊るし。

「ヴェル、行こうか。そろそろ基地のテレビ電話の準備が整ったはずだ。暁たちと話せるだろう」

「今ならライブチャットと言った方がいいんじゃないかな、司令官」

そそくさとその場を去る二人。残された猫吊るし。

「まぁ要するに別世界の大和が宇宙戦艦とかになって紛れ込んでくることも十分ありうるわけです。……あれ、いない」

149: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/21(木) 22:56:00.71 ID:EWTQI7I3o
鎮守府空母寮、一航戦の部屋。

ここにいるのは赤城のみ。加賀はミッドウェーに出航中。

その赤城は虚ろな目をして机に突っ伏している。

一航戦の誇りとはなんだったのか。ピーコック島攻略の栄光はいまや昔。

編成の都合で置いてけぼりである。

……だが訓練なくして前線を張ることはできない。

体を起こして背を伸ばし、装備を整え、扉を開く。

「よぉ」

そこには提督が立っていた。

「迎えに来たぜ。赤城、今こそお前の出番だ」

「本当ですか!?」

「当然だ!」

「南雲機動部隊、出撃いたします!!」

150: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/21(木) 22:57:48.51 ID:EWTQI7I3o


北太平洋殺伐海域 デス・フロム・アバヴ・ミッドウェイ #3 ~ナグモ・サンダーボルト~


ミッドウェー急造泊地。加賀が東の空を見つめている。彩雲を飛ばして偵察をしているのだろう。

「よし、赤城を連れて戻った。ポータル便利すぎでしょう?」

「おかえりなさい。そのポータル、制約も多いですけどね」

加賀が振り向き、言葉を返す。

鎮守府付近としかつながらない、行き先に装置を用意する、など不便な点もあるが、この技術により迅速な行動が取れる。

「それで加賀、敵部隊の様子はどうだ?」

「そうね。ミッドウェー東に布陣しているわ。ちょっと地図をとってもらえるかしら?」

ミッドウェー近海の地図を広げる。

「敵主力がここ。それと最短ルートに暗夜煙幕を張った水上打撃部隊が待ち伏せているわ」

「夜戦か……だるいねぇ」

川内がここにいたら猛烈な抗議を受けたことだろう。

「加賀さん、遠回りは出来ないかしら? 南側ぐるりと回れば避けられそうですよ」

赤城が打撃部隊を避けるように南側に弧を描く。

「敵もそれを考えて外周には機動部隊を張っているわ。それと……」

「それと?」

「近海に多数の潜水艦部隊を張り巡らせているようね。まずはここを突破しないと」

「ふむ……」

「どうします、提督?」

「中央ルートは避けて南から攻めよう。お前たちなら並大抵の機動部隊は大した被害なしに追い散らせるはずだ」

151: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/21(木) 22:58:21.47 ID:EWTQI7I3o
ミッドウェー東。

「うーん、敵潜水艦は何か数集まると雷撃がへちょくなるんだよなぁ。我が水雷戦隊の敵ではない」

『こちら比叡。敵潜水艦隊、突破しました! 進撃しますか?』

「戻ろう。この海流だと敵の待ち伏せに遭遇するだろう」

『なんか気勢削がれますね……』

「意気揚々と出て魚雷喰らって大破するよりはマシだろう」

『了解しました……』

~~~~~~

「よしよし、あれが敵主力か……」

水平線の先に見える、ひときわ目立つ深海棲艦。遠くからでもわかるオーラ。ボロボロになった服と半壊した艤装。空母棲姫。

「あれって……ミッドウェーを攻める前に沈めたはずじゃあ……?」

丹陽が震え声で訊ねる。

「あぁ、確かにな。だが連中は再生力にも定評があるうえ、余計なものをパージしたぶん復活した今のほうが強いといえるだろう」

連合艦隊が接敵準備に入る。提督は通信機を取り、吼える。

「各位、準備はいいかぁ!? 戦闘隊形、全艦隊、突撃ぃ!!」

『敵艦載機、来ます! 第一次攻撃隊、発艦始め!!」

激しい航空戦が繰り広げられる。敵の白い艦載機は、母艦の半壊した滑走路を無視して次々と飛び出してくる。

「火の塊となって……沈んでしまえ!!」

『頭にきました』

「どうした加賀、被弾したか?」

『いえ、嫌な事思い出させられたので』

加賀はかつてミッドウェーの折に爆撃を喰らい、艦の大部分が炎上した末に沈没したという。

「昔は昔だ。今とは違う。どっちが血だるまに、いや火だるまになるか思い知らせてやれぃ!!」

152: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/21(木) 23:01:32.28 ID:EWTQI7I3o
とは言うものの、敵もさるもの。

『飛行甲板に直撃。そんな……馬鹿な』

『やられたっ…誘爆を防いで!』

「加賀に飛龍大破……くそ、艦載機の練度がフラヲ連中とは比べ物にならんな」

「ひっ、飛龍先生が!」

うろたえる丹陽。

提督は宥めるように彼女の頭を撫でる。

「大丈夫だ。赤城と蒼龍がカバーに入ってるし。……やはり決着は夜戦か。第二艦隊、追撃せよ!!」

魚雷と砲弾の雨あられ。

程なくして、空母棲姫は炎の中に消えていった。

「静かな…気持ちに…そうか…だから私は……」


ぷかぷか丸改二、司令室。帰還した艦娘から戦況の報告を受ける。

「やりました……けほっ」

「皆、よくやってくれた。これで敵もミッドウェーに手出しは出来まい。今はゆっくり休め」

ふと、加賀の顔を見ると、目から一筋の涙が流れている。

「加賀、泣いてるようだがどこか痛むのか?」

「いえ、そんなはずは」

いいながら目元を手の甲で拭う。確かに涙の跡が付いている。

「……なんででしょう。空母棲姫が沈んでいくとき、ちょっと心が痛みましたが泣くほどでは……」

(やはり、沈んだ艦の怨念が形をとったものなのか……?)

153: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/21(木) 23:02:26.27 ID:EWTQI7I3o
次回予告!!

「私、何も恩返しできてません……」
「別に気にすることはないぞ」

MI作戦の成功。それが地獄への門の鍵。

「敵艦隊、来襲! 深海棲艦が七分、海が三分!」
「警官の銃はニューナンブ、ってかぁ?」

主力不在を狙う敵艦隊!!

「ついに艦隊決戦か!! 胸が熱くなるな!!」
「敵艦隊、ロストしました」

史上最大の艦隊決戦!!

「大和、武蔵、大鳳、翔鶴、瑞鶴、そして旗艦は……」
「えっ、大和さんが旗艦じゃないんですか!?」

ついに動き出す大和型。そして……

「あと少し、力があれば……!!」
「武蔵よ、力が、欲しいか……!?」

武蔵の闇堕ち……!?

「私……また逝くのね…」
「総員、飛行甲板…」
「翔鶴、瑞鶴ー!!」

五航戦の壊滅……!?

 ディープスレイヤー
「深海殺しの銛、また使うことになるだろうな……」

地獄の釜の蓋が、今、開く!!


2014 Summer AL/MI Operation Final Chapter ホンド・ヘル・オン・アース ~キリング・ウェル・イズ・ザ・ベスト・リヴェンジ~


「分身する戦艦棲姫の心臓。これをとってきてください」
「何を言ってるんだお前は」

155: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/22(金) 22:16:54.44 ID:GEN9HnKmo
―― インターミッション4・鎮守府の空母寮にて ――

時は遡り、MI作戦突入前。提督と雪風は、丹陽を連れて鎮守府内の『旅行』を行っていた。

鎮守府、空母寮裏にて。

「空母道場……?」

丹陽の疑問に提督が答える。

「空母は特殊だからな。発着艦の動作とかをここでみっちりと訓練するわけだ。」

そう言って提督は引き戸を蹴り開ける。

「邪魔するぜー」

ざっと道場を見回す。

「一、二、五航戦に大鳳、全員揃ってるのか」

「えぇ。最終調整中です」

そう言って加賀は弓を引き、矢を放った。ビィン、と響く弦の音。その矢は、的の中心を射抜いていた。

「お見事」

ぱちぱちと手を叩き加賀をねぎらう。

「私はこの通り万全ですが、赤城さんが……」

そう言われて赤城のほうに目をやる。椅子に座って休憩中かと思ったが、よく見ると目が死んでいた。

「あかんこれ」

156: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/22(金) 22:17:33.10 ID:GEN9HnKmo
一方、二航戦。丹陽は飛龍に懐いていた。かつて元の世界で師事していたことと関係があるのだろう。

「艦載機、矢になっちゃったけど飛龍先生はどうやって発艦してるの?」

「そうね……、実際飛ばすとこ見たほうが早いか。蒼龍、クレー射撃準備、5発分お願い」

「おっけー。ちょっと待ってね」

飛龍の頼みで蒼龍が手元の装置を操作する。

飛龍は烈風の翼を模した矢羽を持つ矢を手に取り、弓を引く。

蒼龍がボタンを押す。風切り音とともに的となる皿が空を舞う。

矢が弓引く手から放たれ、虚空で数機の烈風へと変じる。

交錯したあと、皿は全てバラバラに砕け、烈風は悠々と飛龍の構えた甲板へと帰還し、再び矢に戻る。

「ひー、ふー、みー、しー、ご。よし、全機帰還、と」

「すごーい!!」

「加賀さんとかもっとすごいよ? 私も負けてられないけど」

矢を矢筒にしまい、丹陽に笑いかける。

「今度は私がやろうかな。飛龍、お願いー」

「はーい」

157: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/22(金) 22:18:28.77 ID:GEN9HnKmo
五航戦&大鳳。彼女らは、速射の練習を行っていた。

次々と起き上がる的に矢が刺さっていく。図星、とまでは行かないが、外した矢は見受けられない。

「ふぇぇ……いつ見てもすごいです…」

雪風が驚嘆のため息を漏らす。

矢を一通り撃ち終え、鶴姉妹は残心し、大鳳は甲板からカートリッジを取り出し、ボウガンにリロードする。

「提督さんの言う通りなら、敵を近づけさせるわけには行かないもんね」

矢を再び補充しながら瑞鶴が言う。

「こちらの防衛は私たちと、大和さんたちにお任せください」

ガチャリ、とカートリッジをセットした大鳳が後に続く。

「雪風ちゃん、提督のこと頼みましたよ?」

翔鶴はそう言いながら雪風の頭を撫でる。

「はい! 雪風がお守りします!」

五航戦の二人は再び矢を補充し、弓を構える。

「なんか敵空母が新しい艦載機を積んできたみたいだけど、昔とは違う。練度も、艦載機も十二分にある。今度は負けないわ!」

瑞鶴のその宣言とともに、一射目が的のど真ん中に叩き込まれた。


いずれもやる気充分、十二分。だがしかし、来襲したのは予想をはるかに上回る恐ろしい敵だった……!!

166: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/24(日) 23:03:11.14 ID:eWsYCmbTo
―― インターミッション・寝床 ――

これはMI作戦前のお話。二人の雪風を連れての旅行も、そろそろおしまいである。

「そして、ここが執務室だ」

ドアを開けると、執務机。

その後ろには『深海棲艦死すべし慈悲はない』『つぎも許せない』『きるぜむおーる』などと威圧的な字体で書かれた掛け軸が吊ってあった。

「しれぇ、これって……」

「今回の心意気を示すために一筆とったんだ。いいだろう」

雪風に問われてドヤ顔する提督。

「提督さんっていつもこんな感じなの?」

「しれぇ、たまに突拍子もない事しますからね……」


「うーむ、しかしどうしたものやら」

自分の椅子に座り、考え事をする提督。

「どうしたんですか、しれぇ?」

「いや、何。丹陽の寝床をどうするかと思ってな」

そう言って窓から艦娘寮を見やる。新規着任艦娘のために現在絶賛大規模改築中である。

「向こうはあの通り改築中だしな。……そうだ」

何を思いついたか提督は押入れを開け何かを取り出す。

「しれぇ、それは……」

「煎餅布団だ。大きめだし雪風たち二人入るには十分だろ」

「しれぇはどこで休むんですか?」

「ぷかぷか丸にハンモック吊って寝るさ。まぁ風呂は入渠ドック使ってくれや」

手をふりふり、執務室から出て行く提督。

「雪風、あとは任せたぞ~」

「あっ、しれぇ……」

バタム、と閉まる扉。

「しれぇなりに気を使ったんでしょうけど、雪風、ちょっと寂しいです……」


夜も更け、煎餅布団の中。寝間着については雪風のを借り受けた。

「いよいよ明日からミッドウェーです……」

「ミッドウェーって……その……」

「そうです。深海棲艦は何かに惹かれるようにあの戦いの主要な戦地を拠点にしてきてます。雪風は、護れなかった皆のことを思うと、心苦しいです…」

涙目になる雪風を丹陽は優しく抱きしめる。

「こっちの世界に迷い込んじゃった私が言うのも何だけど、今度こそ護れればいいんじゃないかな?」

「……うん」

ぐしゅ、と一泣きしたあと、雪風は丹陽の胸に顔を埋めた。

~~~~~

「へぶしゅ」

一方の提督。ハンモックの上で星空を見上げながらつぶやく。

「……ミッドウェーか。ハ! 深海棲艦の連中が歴史を再現しようというなら、それを蹂躙するまでよ!!」

172: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/25(月) 22:47:59.97 ID:F4nO+DiKo
ミッドウェー臨時司令部執務室。

敵増援部隊は壊滅した。ミッドウェー確保は成った。

「だが、銃後が大事なのだ。ハワイなどへの物資の輸送、北太平洋海域の哨戒、取り戻した拠点の引渡し……。

 そもそも二箇所も深海棲艦に占拠されてんじゃねーよxxxxめブツブツ」

うだうだ文句を言いながらも書類にサインをしていく提督。

「しれぇ。お茶入りました」

「あんがとよ、雪風。こっちも、書類書き終わったところだ」

湯飲みを受け取り茶を啜る。

「しれぇは……鎮守府へ戻っちゃうんですか?」

「あぁ。まだひと悶着あるはずだしな。……心配すんな。ちゃっちゃと片付けて迎えに戻るさ」

「しれぇ、行く前に雪風を抱っこしてください」

「お安い御用だ。よっと」

雪風を軽々と抱き上げる提督。

「幸運の女神のキスです!」

持ち上げられた雪風はその状態から提督に抱きつき、口付けをした。

「んんっ」

その時、丹陽が司令室に入ってきた。

「提督さん、いつごろ出発でs……!?」

結果思いっきりキスシーンを目撃することに。

「あわわわわわへぶっ」

視線に気づいた雪風は慌てて身をよじって抜け出し、床に転がる。

「動揺しすぎだ、雪風」

ぐい、と雪風の身体を引き起こす提督。

「え? え? え?」

丹陽はまだ脳の処理が追いついてないらしい。

「あー、なんだ。その。俺と雪風は夫婦関係だから問題ないし、幼な妻と思えばインモラル要素は何もない。いいね?」

「アッハイ」

「というわけでヒトフタマルマル出航だ。あと二時間半か……」

そそくさと話を流す提督。

173: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/25(月) 22:48:56.22 ID:F4nO+DiKo
ぷかぷか丸改二前。もうすぐ出航時間である。

「というわけで俺は鎮守府に戻るが……何か言伝とかはあるか?」

「はい」

加賀が手を挙げる。テレビ電話もといライブチャットがあるし、赤城もいるから特に無いかと思ってたが意外である。

「誰に伝えるんだ?」

「えぇ。五航戦の子達に『私たちが帰ってきたときに鎮守府が壊滅してたら決して許さないから全力で護りなさい』と」

「直接言えばよくね?」

「直接言ったら余計な勘違いを生み出しかねませんから」

「そんなもんかね」

気恥ずかしいのか、という個人的意見はすんでの所で飲み込んだ。

「それじゃ、後のことは頼んだぞ」

174: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/25(月) 22:50:04.08 ID:F4nO+DiKo




2014 Summer AL/MI Operation Final Chapter ホンド・ヘル・オン・アース ~キリング・ウェル・イズ・ザ・ベスト・リヴェンジ~ 前編




175: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/25(月) 22:52:11.80 ID:F4nO+DiKo
鎮守府、埠頭。ちょうど龍驤が彩雲を着艦させているところだった。

「深海棲艦の様子はどうだ?」

「まだ来ぃへんな。でも……海が静か過ぎるんや。こりゃ南西諸島のほうから来るで」

「今のうちに準備整えた方がいいだろうな。続けて監視頼む。ポータルの接続もやっといてくれ」

「了ー解」

工廠のほうへ向かう提督。あとを追う丹陽。

「さーて、猫吊るしの様子見て工廠の奴らに装備準備整えさせて、と。お前が帰れる日もそう遠くない」

「私、何も恩返しできてません……」

「別に気にすることはないぞ」

問題ない、というように手をひらひらと振る。

「そういえば私の装備は……」

「それなら明石のとこだろう。工廠の隣だ。そろそろ直ってるんじゃないか?」

「ちょっと見てきます!」

そう言って丹陽はとてとてと駆け出す。

176: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/25(月) 22:54:15.64 ID:F4nO+DiKo
工廠内部。なにやら怪しい装置の前で猫吊るしが作業の監督を行っていた。

「どうだ、出来上がったか?」

「九分通り完成です。ただ、一つ材料が足りなくてですね」

珍しく困ったような顔をする猫吊るし。

「何だよ」

「分身する戦艦棲姫の心臓。これをとってきてください」

唐突にわけのわからないオーダーを出される。

「何を言ってるんだお前は。世界樹かなんかの依頼じゃねぇんだぞ」

「これコアに使わないと装置が耐え切れないんですよ」

「だいたいそんなやつ見たこともないし実在するかもわからないしもしそんなやつがいたら世界の制海権は終わりだ」

~~~~~~

明石の修理用工廠。明石が艤装を積んでからは艤装の修理などはこちらで行うようになった。

「はい、丹陽さん。修理できましたよ。だいぶ年季入ってるけど航行には問題ないわ」

「ありがとうございます、明石さん。……ちょっと試運転してきますね」

「そうね。行ってらっしゃい」

桟橋に出る。呼吸を整え、集中する。

「艤鎧……装着!!」

着水し、装備を確認する。稼働状況は全く問題ない。

ポータルの近くには龍驤のみ。そして彼女は彩雲と交信しているのか空を仰ぎ見ている。

丹陽はそっと、ポータルに身体を潜らせる。

「砲はなくとも、偵察ぐらいなら……!」

178: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/25(月) 23:00:30.34 ID:F4nO+DiKo
南西諸島ポータル付近。

「ひ~ん」

命からがら逃げてきた丹陽。幸運にも、被弾などは一切なかった。せいぜい塩水をかぶった程度である。

「もうこんなところまで来てるなんて……早く知らせないと……!?」

急ブレーキをかける丹陽。すぐ先に、深海棲艦がいるのだ。戦艦タ級フラグシップ。

ミッドウェーで数度見かけたが、身体の大きさに見合わぬ破壊力と、高速機動性、そして弾着精度を兼ね備えた鬼神、そう言い表すのがふさわしい相手。

つまりは気づかれてはいけない相手であるが、既に手遅れである。丹陽のほうに近づきながら砲塔を調整している。その顔は獲物を見つけたときの肉食獣の如く笑っている。

前に進めば死、後ろに戻れば死、左右に振ってもいずれ追いつかれ死は免れ得ない。

(あ……ああ……)

提督の言っていたことを思い出す。

『勝手にうろついて深海棲艦に撃ち殺された、とか洒落にならないしねぇ』

(ごめんなさい……)

後悔の念とともに目を瞑り、しゃがみこむ。ガシャリ、と砲弾の装填音が聞こえる。


砲弾の放たれる轟音。

179: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/25(月) 23:01:18.82 ID:F4nO+DiKo


一秒。


二秒。


三秒。


……痛みはない。身体も動く。瞑っていた目を開け、ゆっくり立ち上がる。

水平線の向こうには、艤装を大きく打ち抜かれ、傾斜するタ級。そして……。

「あ、あれは……!!」

「戦艦大和、推して参ります!!」

再びの轟音。46cm三連装砲から放たれたその一撃はタ級の上半身を丸ごと吹き飛ばしていた。

180: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/25(月) 23:01:54.75 ID:F4nO+DiKo
ぷかぷか丸、甲板。

「まーったく。何してんだよお前は。あいつらは危険だってわかるだろうが」

「ごめんなさい……」

「何はともあれ無事でよかった。即座に大和を送れたのは僥倖だった」

ぽんぽん、と丹陽の頭を撫でる。

「それで、敵陣容はどうだ?」

龍驤に尋ねる提督。

「水上打撃部隊中心の構成や。例の煙幕張ってて、回避するならぐるりと回りこまなあかん」

「あ、あと、あのミッドウェーの東で見かけた大きいのがいました!」

龍驤の報告に割り込む丹陽。

「ミッドウェー東というと、空母棲姫か?」

「多分それです!」

「クソッタレ……ヤツが総旗艦か?」

「いや、そうやない」

提督の推測を龍驤が否定する。

「海流の終端に戦艦棲姫がおった。……なんか前に見たのと感じが違うけど大将はこいつやろな」

「となると、総力戦だな……」

「もう面子は決まってるんやろ?」

「まぁな。大和、武蔵、大鳳、翔鶴、瑞鶴、そして旗艦は……」

「えっ、大和さんが旗艦じゃないんですか!?」

驚きの声を上げる丹陽。龍驤はさもありなん、といった顔をしている。

「重雷装巡洋艦、北上」

「ほーい」

間延びした返事とともに現れたのは、腕や足に大量の酸素魚雷発射管を装備した、白いセーラー服を着たお下げの少女だった。

「とぼけた顔してるけどあれ見た目だけやで。この鎮守府随一の大物殺し(ジャイアントキリング)や」

丹陽に囁く龍驤。本人はさほど気にした様子もなく、弾の装填を行っている。

全員準備を終え、一列に並ぶ。

「さて、準備はいいな? 我々の目標はただ一つ、敵を完膚なきまでに叩きのめし、この海が連中のモノでないことを思い知らせることだ!! 出撃し、敵を撃滅せよ!!」

提督の声とともに、鎮守府の奥の手たちは、一斉に海に飛び出した。

184: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/26(火) 22:51:20.87 ID:XKSSHWDXo
「んー、やはり大和型は圧倒的だなぁ」

大和と武蔵の艤装にずらり並んだ46cm三連装砲。そこから放たれる九一式徹鋼弾が次々と敵を貫いていく。

金剛たちにも46cm三連装砲の搭載は出来るが、敵の艤装がひしゃげるのと、敵が艤装ごと丸い穴を開けて消失するのとではだいぶ違う。

敵の砲撃も雨粒の如く弾き返す。まさに海を往く暴君である。

「こんなにすごいのに、どうして……」

これほどのものがありながら何故勝てなかったか

「お銭(ぜぜ)も資源も有限だからだよ。そっちの世界は知らんが、あいつら常用してたら速攻枯れるレベルでコストかかるんだよ……」

前世でもコストかかりすぎてまともに運用できなかったし、物量の前には無意味だしな、と付け加える。

「大体うちは戦艦ってだけなら長門、陸奥、霧島、榛名、伊勢、日向、ビスマルクとそうそうたる面子が残ってるんだよ。そこらの連中ならこれでも過剰火力だ」

「それでもあえて大和さんたちを出す……ということは」

「そう、出さざるを得ない相手だ、ってことだ」

185: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/26(火) 22:51:58.57 ID:XKSSHWDXo




2014 Summer AL/MI Operation Final Chapter ホンド・ヘル・オン・アース ~キリング・ウェル・イズ・ザ・ベスト・リヴェンジ~ 中編





186: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/26(火) 22:52:56.16 ID:XKSSHWDXo
『提督、暗夜煙幕張られてるけど正面から突っ込む? 回り込む?』

北上から通信が入る。

「回り込んだら空母棲姫だろ。危険度はどっちもどっちだな。潮目はどうなってる?」

『あぁ~……思いっきり煙幕のほうだよ』

「仕方ないな。突っ込むしかねぇ。敵には余り構うな」

『構うな、といわれてもねぇ……向こう、殺る気まんまんだよ?』

「なるべく一撃で黙らせるしかないな。特に駆逐」

『こっち空母3だからなぁ……まぁやれるだけやるけど』


だが、敵艦隊は想像以上に悪辣だった。

大量の後期駆逐。夜間では艦載機の発艦も出来ず、次々と魚雷が発射される。狙われたのは、五航戦の二人。

『もうっ、私がここまで被弾するなんて!』

『やられました! 艦載機、発着艦困難です!』

海域を抜ける頃には二人はズタボロであった。

『こちら北上。海域抜けたけど瑞鶴、翔鶴大破。撤退します?』

二人ともボロボロで、今にも倒れて海の底へ真っ逆さまに落ちてしまいそうである。

しかし、提督は眉一つ動かさず、命を下した。

「いんや、進軍だ」

北上は大破した二人をちらり、と横目に見る。

大破状態で進めば艦娘と言えど沈むのは世の道理。だが、この非情な通信を聞いても、鶴姉妹の表情は変わらない。

矢折れ刀尽きるとも最期まで闘う、と言う意志に満ちた瞳。

「……ここで、やらなきゃ、加賀さんに嗤われちゃうわ……」

瑞鶴がかすれた声で呟く。

「それに……敵主力が、もうそこまで来てます」

翔鶴が震える手で指した先には、巨大な腕と砲の生えた艤装を背にした、角の生えた黒髪の女性。戦艦棲姫である。

187: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/26(火) 22:53:48.90 ID:XKSSHWDXo
随伴艦のヲ級が新型艦載機を飛ばしてくるのが見える。

「敵艦載機を、なるべく落とします! 皆さんは残りを!!」

弦の切れた弓を応急修理し、烈風を次々と放つ。正確さは二の次。物量で落とす。

大鳳も烈風改、江草彗星、友永天山を続けざまに飛ばす。

「敵艦載機、撃墜!」

「駆逐一隻撃沈!」

航空戦を優位に運ぶ。さらに……

『綾波、敵主力捕捉しました!』

「よし、全弾ぶちまけろ!!」

『主砲、斉射、始めぇ!!』

綾波を筆頭に、夕立、霧島、榛名、千歳、千代田の支援艦隊が、敵艦隊に砲弾の雨を降らせた。

「ル級2、駆逐1落ちたか。よしよし」

『甲標的魚雷命中。ヲ級も落ちたよ』

北上からの通信。接敵前からもはや丸裸である。

「莫迦な……莫迦な!!」

戦艦棲姫との対決など幾度となく行ってきた。もはやイージーワークなのだ……!!

「武蔵、行くわよ! 一つ! 二つ!!」

「三つ!! 四つ!!」

大和姉妹の砲撃は、戦艦棲姫を跡形なく消滅させた。

188: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/26(火) 22:57:47.59 ID:XKSSHWDXo
『こちら北上、敵旗艦、撃沈……したのかなぁ?』

撃沈の様子を確認したにもかかわらず、疑問を呈する北上。

「ああ。いくら大和型投入したからってこんなにあっさり決着が付くとは思えない。大和、やったと思えるか?」

念を入れて尋ねる提督。

『……おかしいわね。観測機からは一切の残骸が見えないとの報告が来てるわ』

深海棲艦と言えど、破壊されれば残骸やら中の体液やらが浮かび上がるはずである。それが一切ないのだ。

すると突然、巨大な渦巻きが発生し始めた。それも二つ!!

様子を見守っていると、それぞれの渦の中心から、再び戦艦棲姫が現れたではないか!!

「ふふん。今のは私の、質量を持った残像よ。でもさすがに遠隔コントロールは難しいわね」

そう言いながら何の前触れもなく、二隻の戦艦棲姫は砲撃を行った。


着弾点には、翔鶴、そして瑞鶴。一瞬の出来事だった。

「私……また逝くのね…」
「総員、飛行甲板…」

「翔鶴、瑞鶴ー!!」

提督の叫びも虚しく、16インチの弾丸は、彼女らを深い海の底へと誘った……。

193: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/27(水) 22:50:03.62 ID:NP3UfaEgo




2014 Summer AL/MI Operation Final Chapter ホンド・ヘル・オン・アース ~キリング・ウェル・イズ・ザ・ベスト・リヴェンジ~ 後編





194: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/27(水) 22:51:03.40 ID:NP3UfaEgo
「……マジで分身するとはな。あん畜生最初から知ってたな」

『アッハハハ!! 脆いものね!! 皆、皆沈んでしまえばいい!!』

二人揃って嘲笑する戦艦棲姫。

『テイトクとやら、いるんでしょう? 聞きなさい。今ここで降伏して私たちに下るならあなたの命だけは保障してあげるわぁ』

『さもなくば、ミ・ナ・ゴ・ロ・シ、だけどねぇ!!』

サラウンドで響く戦艦棲姫の降伏勧告。

「……なに、あれ……」

怖気づく丹陽と裏腹に、二人の空母を沈めてなお提督の表情が変わることはない。

通信機の電波出力ダイアルを最大にまで回してマイクのスイッチを入れる。

「お断りだ。そのクソ降伏勧告を駆逐イ級に食わせて帰ってその腐れ砲塔しゃぶって頭弾けろこの錆びた鉄塊の隙間から生まれたxxxx xxxが」

『じゃあ、沈みなさい。あの二隻のように!!』

口汚く罵りつつ、戦艦棲姫の話をばっさり切り捨てる。それを聞いた戦艦棲姫は砲の照準をぷかぷか丸に合わせる。それが何を意味するかは明らかである。

「させるかっ!!」

その動きに即座に反応したのは武蔵であった。戦艦棲姫たちの射線上に割り込み、全門斉射。

他の三人も援護するように砲撃や艦載機を繰り出す。

戦艦棲姫の片方はその動きに呼応し、もう片方の陰から応戦した。

海上のそこらかしこで盛大に火柱が上がる。

「まだだ…まだこの程度で、この武蔵は…沈まんぞ!」

16インチ三連装砲の斉射を受けて艤装も服もボロボロになりながらもなお、武蔵は海面に立っていた。

大和や大鳳も無傷とは行かず、服の一部が破れ、艤装が軋んでいる。実質無傷なのは北上のみ。

一方の戦艦棲姫は、盾になった方が小破、もう片方はほとんど無傷であった。

『……ふん、ざまぁないわね』

砲をこちらに向けて警戒しながら徐々に遠ざかっていく。

195: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/27(水) 22:54:49.81 ID:NP3UfaEgo
水平線の向こうで日が沈む。闇夜が来る。今を逃せば、戦艦棲姫は更に戦力を増強して戻ってくるだろう。

ザザ、と通信が入る。

『提督、聞こえる?』

「北上か。どうした」

『あいつ逃げてくけどどうする?』

「ここで逃したら厄介だ。追撃できるか?」

『アタシだけならなんとかなるかな』

「しかし、両方相手にするのはさすがに辛かろう」

『多分だけどあいつ、陰に隠れてるほうが本体だと思うんだよね。あれ潰せばなんとかなるんじゃないかなー』

「本体を倒せば分身は潰える、ってことか。そうじゃなかった場合が怖いが」

『それは倒してから考えよっ。ほんの一瞬でいい。隙、作れない?』

「と言ってもなぁ……」

『ちょっと目を逸らす程度でいいから』

「……うまく行かなくても怒るなよ」

提督は艦橋に立てかけていた銛を手に取り、発射装置に取り付けた。

 ディープスレイヤー
「深海殺しの銛、また使うことになるとはな……」

中二病臭い事を言っているが何のことはない、過去二度深海棲艦に向けてぶっ放した銛である。別にそれが致命打にはなっていない。

「乾坤一擲、当たるも八卦当たらぬも八卦だ」

照準を合わせる。狙いは戦艦棲姫の心臓。分身がカバーに入れない方角からの一撃。

「いけっ!!」

風を切って銛が戦艦棲姫目掛けて突き進む。しかし……。

ドスッ、と鈍い音ともに銛が刺さる。彼女の巨大な艤装の右手の甲に。

『そこまで死にたいの? いいわ、今一度沈めてあげる』

防御した右手を退け、戦艦棲姫は砲を構えた。いや、構えようとした。

196: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/27(水) 22:57:18.50 ID:NP3UfaEgo



戦艦棲姫が腕を退けたら目の前に何の感情も浮かべていない重雷装巡洋艦がいた。




197: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/27(水) 22:59:09.92 ID:NP3UfaEgo
パァン、と奇妙な破裂音がした。

戦艦棲姫の左足首には甲標的の魚雷、右脇腹には61cm五連装酸素魚雷、左肩には14cm単装砲砲弾、そして額には53cm艦首酸素魚雷。

そして目の前の重雷装巡洋艦は消え失せていた。

いや、正確には前方宙返りをしながら戦艦棲姫を飛び越していたのだ。魚雷と砲弾を撃ち込んだ反動で飛び上がったというのか!!

198: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/27(水) 23:00:05.01 ID:NP3UfaEgo
戦艦棲姫が状況を把握してきっかり一秒後、彼女を中心に凄まじい火柱が上がった。それと同時に分身も消え失せた。

北上は片膝立ちの姿勢で見事着水した。

こつん、と北上の頭に何かが当たる。彼女はそれが海に落ちる前に素早く掴み取った。

「ん、何だこれ? アイツのドロップ?」

199: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/27(水) 23:01:22.79 ID:NP3UfaEgo
「……やったか。全艦帰投せよ」

火柱を見て帰投命令を出す提督。

「でも、翔鶴さんと、瑞鶴さんが……」

丹陽が今にも泣きそうな顔をして俯く。

「ちょっと後ろ見てみ」

「え?」

丹陽が振り向くとそこには白い髪を眼前に垂らした女性が船に這い上がってくるところだった!!

「お、お化けー!!?」

わたわた慌てふためく丹陽を優しく抱きとめるのは……

「ただいま、提督」

「おかえり。そしてすまんな、翔鶴」

瑞鶴もあとを追うように甲板へ上がる。

「ただいまっ。提督さん、これ心臓に悪いよ!?」

「瑞鶴もすまんな。心臓に悪いのは知ってる」

何故二人が無事だったか?

そう、二人ともダメコンこと応急修理要員を連れてきていたのだ!!

「え? え?」

とまどう丹陽。

「俺は何の考えもなしに仲間を死なせたりはしないよ?」

ネタばらしといわんばかりに提督は肩を大げさにすくめる。

「でもあれホント死ぬほど怖いわよ!? と言うか何で沈むまで何もしてくれないのあの子達!?」

瑞鶴はなんだかんだと騒ぎ立てる。

「瑞鶴、落ち着いて。それは別に提督のせいじゃないわ」

翔鶴はそっと瑞鶴の頭を撫でる。だが、その手はわずかに震えていた。

「まぁ、なんだ。お疲れ様だ。今はゆっくり休め」

そう言って二人を休憩室に押し込む。

200: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/27(水) 23:02:26.16 ID:NP3UfaEgo
甲板に戻ると他の四人もちょうど戻ってきたところだった。

「おかえり。瑞鶴や翔鶴もだが皆よくやってくれた」

皆ほっとしたような顔を浮かべている。武蔵を除いては。

「ん、武蔵どうした。傷が痛むのか?」

「……いや、なに。もう少し力があれば、ここまで苦戦することはなかったんじゃないかと思ってな」

その言葉に提督はニヤリ、とする。

「力が、欲しいか……?」

「何だ、やけに思わせぶりだな。どっかの小説じゃあるまいし何が出来ると」

武蔵の言葉を最後まで聞かずに、提督は青い箱を武蔵の手に押し付けた。

「……これは」

そう、ケッコンユビワである。

「俺は強くなれるっつーならケッコンカッコカリの遠慮はしないよ?」

「雪風が聞いたら悲しむんじゃないか?」

「雪風はもう知ってるよ」

「そうか……」

武蔵は納得したように指輪をはめる。

「これからもよろしく頼むぜ、相棒?」

201: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/27(水) 23:03:18.32 ID:NP3UfaEgo
次回予告!!

「あら、新規着任した皆さん、ごきげんよう」
「すっかりバカンス気分になってるじゃねーか」

いっときの平和が訪れた。だが、まだ終わらない!!

「貴方のその覚悟が見たかった」
「ふざけんなこのスカム野郎」

提督の怒り!!

「あの、輸送任務は……」
「ドラム缶を持とうなんざ百年早い。代わりに爆雷を持て!」

無慈悲な鬼教官!!

「司令官、なにか忘れてないかしら……?」
「さて、何のことやら?」
「私の妹……」

行方しれずの夕雲型末妹!!

「皆さん、今までありがとうございました!」
「向こうでも元気でやれよー!」

そして、別れ!!



2014 Summer AL/MI Operation Epilogue アンダー・ザ・ホワイト・サン



「今夏の掘り運はダメだなこれ」
「早霜さんと大鯨さん出てきたのが絶頂期でしたね」

204: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/28(木) 22:40:46.83 ID:iY4nOAq0o
ぷかぷか丸、甲板。深海棲艦の総大将が討ち取られたことにより、本土侵攻部隊は総崩れとなり、近海に陣取っていた深海棲艦たちは撤退を開始した。

後は戻るだけである。

「そうそう、提督」

後ろから声をかけてきたのは北上だった。

「何だ?」

「はい、これ」

北上が渡してきたのは黒焦げて半ばからへし折れた銛と、握りこぶし大の結晶……『雫』だった。

「ドロップはともかく銛も回収してたのか」

「まぁねー。何はともあれ助かったよ。ありがとね」

手を振り振り船室へ戻る北上。

「……銛、直すか」

205: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/28(木) 22:41:56.51 ID:iY4nOAq0o



2014 Summer AL/MI Operation Epilogue アンダー・ザ・ホワイト・サン



鎮守府、埠頭。

遠征およびアリューシャン・ミッドウェーに行った者以外、ずらり勢ぞろいしていた。手にクラッカーをもつ艦娘も見受けられる。

ぷかぷか丸はゆっくり港に近づいていく。

「まーた大層なことやりやがって」

ぶつくさ言う提督だが、

「提督、口ではそう言っても顔にやけてるじゃん」

北上に突っ込まれる。

「まぁな。いい仲間に恵まれたもんだよ……ん?」

桟橋から飛び降り、ぷかぷか丸のほうへ高速で突進する艦娘。左舷に垂れ下がった縄梯子を掴み、その勢いで甲板へ跳躍!!

「きったかみさぁぁぁぁぁぁん!!」

敬愛する姉の名を叫びながら飛び降りてきたのは球磨型四番艦、大井である。

「北上さんが決めたんですって? すごいじゃない!」

「も~、大井っちってばぁ~」

イチャイチャし始めるが提督は特に気にする様子はない。

「ま、いつものことだしな……」

206: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/28(木) 22:43:25.92 ID:iY4nOAq0o
一通りの歓迎を受けた後、工廠に入る。

そこには猫吊るしが立っていた。

「まずはおめでとうございます。で、心臓は?」

「アイツのドロップでいいんだろ? ほれ」

先ほど渡された『雫』を猫吊るしのほうへ放り投げる。

「うん、確かに。建造妖精さんかもーん」

ノータイムで建造妖精にたらいまわし。

「おおー、まごう事なきほんものだー」

「これで磯風が呼べる」

「呼べるな」

「呼ぼう」

わきゃわきゃ言いながら建造ドックへ引っ込む妖精たち。

「……あれ? 装置の作成に必要とか言ってなかったか?」

「私は頼まれれば無料で大掛かりな装置を作るマシーンではない。おかしいと思いませんか?」

「お前自分から造ると言ってただろ」

提督の突込みを無視して猫吊るしは言葉を続ける。

「本土を、そして海を護ると言う貴方のその覚悟が見たかった」

「ふざけんなこのスカム野郎。異世界に放り込まれた少女の命運を俺の覚悟に任せんな」

「まぁでも実際勝ったじゃないですか。終わりよければ全て良しってね」

そう言いながら猫をぶんぶん振り回す。

「で、実際出来上がってるのか?」

「もうちょっと時間がかかるんで新規着任艦娘の修練でもしたらどうですかね」

207: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/28(木) 22:44:28.84 ID:iY4nOAq0o
ミッドウェー。艦娘達はここを拠点に北太平洋の諸島にて輸送や哨戒を行なっている。……はずなのだが。

春雨、大鯨、時津風、雲龍、磯風、早霜を連れてミッドウェーに来た提督は、浜辺ですごく寛いでいる水着姿の南雲機動部隊の姿を目撃してしまった!!

「あら、新規着任した皆さん、ごきげんよう」

赤城が手を振って歓迎する。

「すっかりバカンス気分になってるじゃねーか」

「敵空母がすっかり鳴りを潜めましたからね……」

そう言って赤城は空の向こうを見やる。

つられて上を向くと、彩雲が哨戒を行なっていた。

「なんというイージーワークス」

「まぁそういうことです」

「そうもいかないんだな、これが」

「え?」

ばっさり否定する提督に素っ頓狂な声を上げる赤城。

「まだこの近くうろついてる潜水艦どもを相手にちょっと鍛錬積ませようと思ってな。機動部隊組むのに手伝ってもらうぞ、赤城」

そう言って赤城の手をとる。

「え、そんな急すぎます」

「待ってくれる敵などおらん! まぁ大鯨が改造されるまでの辛抱だ」

ずりずり引っ張られていく赤城。彼女の休息の時はもう少し先になりそうである。

208: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/28(木) 22:45:22.83 ID:iY4nOAq0o
ぷかぷか丸改二、司令室。集まるは急造の機動部隊。

「今回は、対潜部隊の付き添いに参加するだけで練度が上がる謎システムをフル活用する。何か質問は?」

ミッドウェー周辺はいまだに潜水艦部隊がうろついている。これの撃退は急務である。

「あの、輸送任務は……」

「ドラム缶を持とうなんざ百年早い。代わりに爆雷を持て!」

質問をしようとした春雨に爆雷とソナーを押し付ける。

「司令官、なにか忘れてないかしら……?」

早霜がジト目でにらみつけながら意味深なことを言う。

「さて、何のことやら?」

「私の妹……」

「知らない子ですね?」

そう、清霜はついに発見できなかったのだ。早霜にぺこぺこ叩かれるが仕方ない。

209: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/28(木) 22:46:15.63 ID:iY4nOAq0o
「撃って撃って撃ちまくれぇ!!」

「撃ち方、はーじめー!!」

「ふっ、バカみたい」

「しっかり護衛しないと……」

ソ級フラグシップとはなんだったのか。

次々と現れては爆雷を喰らっては沈み行く潜水艦たち。イムヤたちが見たら失神ものであろう。

「あっ、煙幕張って逃げるよ!!」

「残敵を掃射する! 磯風に続け!!」

闇夜の中でも何故かまともに爆雷が当たる。

その間第一艦隊は少女たちが爆雷をぶつけるのを見守るだけである。

手持ち無沙汰なのか雲龍は式紙の数を確認している。

「なんと言うか実戦感がないわね……」

「改造したら速攻珊瑚海へ出撃だから安心しろ。最前線だぞ」

ぼやく雲龍に振りかかる無慈悲な予定。

「それはそれでちょっと……」

210: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/28(木) 22:47:12.43 ID:iY4nOAq0o
鎮守府、工廠。

何か物々しい装置を背に、猫吊るしがドヤ顔をしている。

「ついに出来ましたよ、異世界転移装置! 時間も空間もぶっ飛んだときからミリ単位制御!! 悪用防止のため一回こっきり!!」

「戻る手段もないのに使う気ねーからよ」

「念のためです」

つまりは、丹陽が帰るということである。

彼女は知り合った一人ひとりと握手をしている。

雪風など人目をはばからず泣いている。いつものことだが。

「提督さん、いままでありがとうございました」

「前にも言ったが礼を言われることなぞしちゃいねぇよ」

そういった提督の顔面に猫がぼふんと叩きつけられる。

「あー、こいつこういうスカしたスカム野郎なんで気にしなくていいですよ」

「何しやがるこの野郎」

猫を引き剥がして投げ返しながら猫吊るしに問う。

「いやいや本当は寂しいんでしょう。わかりますよ、その顔見れば」

猫吊るしは気にした様子もなく猫をキャッチしながらニヤニヤ顔で言う。

「まぁ寂しいのは事実だが顔に出てたか?」

「ただのカマかけです」

「……xxxx !!」

騙されたと知って口汚く罵る提督。それを尻目に猫吊るしは装置のスイッチを入れる。

「さ、転移装置作動させますよ。そこの台に乗ってくださいな」

丹陽は台に乗り、振り返って手を振った。

「皆さん、今までありがとうございました!」

「向こうでも元気でやれよー!」

その言葉を最後に、彼女は光とともに、去っていった。

「……これで、終わったか」

「いえいえ、一区切りではありますが、深海棲艦との戦いはまだまだ続きますよ?」


こうして、夏の一大作戦は終わり、鎮守府に日常が戻った。


深海棲艦との終わりなき戦い。いつ終わるかは誰にもわからない。

211: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/28(木) 22:48:55.47 ID:iY4nOAq0o
―― おまけ・NGシーン ――

提督「いよいよラストダンスだ。戦艦を足して火力を増強だ。正規空母にかわりちとちよを入れる」

長門「ついに艦隊決戦か!! 胸が熱くなるな!!」

空母棲姫マス突破

提督「千歳が大破したがダメコンつけてるから問題ない。往くぞ!!」

千代田「敵艦隊、ロストしました」

提督「えっ」

空母棲姫マス再突破

提督「千代田が大破したがダメコンつけてるから問題ない。往くぞ!!」

千歳「敵艦隊、ロストしました」

提督「」


( ゚д゚)


(゚д゚ )


(゚д゚)


長門「こっちみんな」

このあと正規空母3構成に戻してめちゃくちゃ出撃した

212: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/28(木) 22:50:29.75 ID:iY4nOAq0o
AL/MI作戦編、完!!

時津風や磯風に出会った時雪風泣きまくったと思います。小ネタの春雨はのちのちやります

217: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/29(金) 19:42:30.74 ID:ehZYmxAxo
―― 遠征とは言ったが護衛とは一言も言ってない ――

提督「春雨よ。改造も終わり近代化改修もだいたいなされた。と言うわけでいよいよ遠征だ。爆雷ソナーの時間は終わりだ。ほれ、連装砲だ」

春雨「ありがとうございます!」

提督「この遠征は春雨が旗艦で行ってもらう。できるな?」

春雨「はい、頑張ります!」キラキラ


春雨「白露型五番艦春雨、出撃です!」

彼女の随伴艦は、綾波、ちとちよ、霧島、榛名であった。

春雨(私の初めての遠征だから強い人を一緒につけたのかな? 司令官も心配性ね……)


南方海域、珊瑚海。

春雨「え? え? あれ? 本当にこっちであってるんですか?」

綾波「間違ってないと思いますよ~」

海図を見ると確かに指定地点である。他の4人は全員戦闘準備を整えている。

春雨「え、あの、護衛対象は……?」

綾波「主力艦隊ならそろそろ来ると思いますよ。たしか比叡さん、金剛さん、北上さん、加賀さん、雲龍さん、龍驤さんですね」

最近改になった雲龍を除けば全員一線級のツワモノである。護衛など本来必要ない。

春雨「そもそもこの任務って……」

綾波「艦隊決戦支援任務ですよ」

それを聞いた春雨の顔から血の気がさっと引いた。

春雨「そ、そんな……」

綾波「あ、主力艦隊来ましたね、準備しましょう。緊張しなくても大丈夫ですよ、実際霧島さんたちの攻撃がメインですから」

震える春雨を尻目に、綾波も砲撃準備に入った。


支援砲撃開始から鎮守府に戻り自室のベッドに倒れこむまで春雨は震えっぱなしだったという。

218: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/29(金) 19:43:31.13 ID:ehZYmxAxo
イベントも終わったので通常運転に戻ります

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

219: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/29(金) 20:02:37.36 ID:JFf89uxlo
乙です
安価なら時雨

221: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/29(金) 20:13:48.23 ID:ehZYmxAxo
時雨はまだだったね了解ー

消化済み分
戦艦系統
大和・武蔵
扶桑・山城
金剛・比叡・榛名・霧島
伊勢・日向
陸奥

空母などの艦載機もち
蒼龍・飛龍
祥鳳・鳳翔・飛鷹・隼鷹・龍驤・瑞鳳
あきつ丸

重巡系統
古鷹・加古・衣笠
高雄・鳥海
最上・三隈・鈴谷・熊野
那智・羽黒

軽巡系統
天龍・龍田
由良・鬼怒
球磨・多摩・北上・木曾
川内
能代・矢矧・酒匂

駆逐艦
如月・長月
初雪・叢雲
綾波・朧
暁・響・雷・電・ぷらずま
子日
時雨・夕立・春雨・五月雨
満潮
陽炎・不知火・天津風・浜風
島風

潜水艦
実装分全部消化済

未所持(141/142)
清霜

227: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/31(日) 11:22:40.93 ID:u/363UwQo
――― 雨は止む! 止むとは言ったが(以下略) ―――

シトシト降りの雨の鎮守府。出撃は出先の天候も考慮するのでそれすなわち出撃中止ということはないが今日は特に予定もない。

時雨「いい雨だね」

提督「布団を干そうと思った矢先でなければな」

外を見て眉をひそめる提督。

時雨「雨は、いつか止むさ」

提督「まぁそれもそうか」

翌日。雨は降り続いている。

提督「まだ降ってるが」

時雨「秋の長雨というからね」

一週間後。雨は降り続いている。と言うか天候が悪化している

提督「……晴れ乞いの儀式するかxxxx 」

時雨「台風が近づいているみたいだよ。外でたら危ないんじゃないかな?」

提督「なんで布団干させてくれないんだ畜生」

時雨「ドラム缶に布団入れて南方海域かどこかで遠征のついでに干してもらってくればいいんじゃないかな」

提督「……その手があったか、というか先に言えよ!!」

228: ◆jf7rnHhSH2 2014/08/31(日) 11:23:48.72 ID:u/363UwQo
一航戦や五航戦はいろんなスレで活躍しているがゆえに他の艦娘が選ばれてた説

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

229: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/31(日) 11:27:13.68 ID:mo9Cbir0O
長門

234: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/01(月) 19:08:35.07 ID:nu3bs0wRo
――― 留守番役の憂鬱 ―――

これまでのあらすじ:MI作戦完遂!! 一方鎮守府では……

鎮守府艦娘寮、長門型の部屋。

陸奥「MI作戦、敵増援部隊も撃破完了したそうよ」

長門「結局、私たちの出番はなかったか……」

陸奥「まぁ、数の暴力だしねぇ」

長門「だが、提督の言う本土侵攻部隊があるとすれば、艦隊決戦が……!!」

陸奥「大和型の二人が出るんじゃないかしら?」

長門「まぁ待て。戦艦が三人以上必要になる可能性もなくはない。そうすれば私にも出番はある。41cm三連装砲も貰ったしな」


そんなこんな言い合っていると、鎮守府内に緊急出動用のサイレンが鳴り響く。

つまりは、敵が来ているという事である。


長門「いよいよ艦隊決戦か……腕が鳴るな」

提督『あー、鎮守府内の艦娘全員に告ぐ。南西海域から敵が近づいている。

   またなんか客人がこのクソアブネェ時に南西海域に飛び出したと言う情報が入っているxxxx 。

   というわけで丹陽の保護および敵主力の撃滅、これを主力艦隊の任務とする』

長門「くるぞくるぞ……」

提督『主力艦隊は旗艦北上、随伴大和・武蔵・大鳳・翔鶴・瑞鶴。支援艦隊は綾波・夕立・千歳・千代田・霧島・榛名。以上十二名工廠に集合』

長門「……」

提督『また、呼ばれなかった者たちも万一の事態に備え、哨戒を怠らないこと。繰り返す……」

長門「」グデーン

陸奥「あらあら」

長門「……しかし、ここで腐ってるわけにもいかん。見回りに行ってくる」

陸奥「いってらっしゃい」


なお鎮守府付近まで辿り着く根性があったのはいつもの1席だけの駆逐だけだった模様

235: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/01(月) 19:09:14.66 ID:nu3bs0wRo
侮るなよ、では? 提督は訝しんだ。

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

236: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/01(月) 19:13:03.59 ID:5knxhFiAO
フッブキーン
>>私がやっつけちゃうんだから!

239: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/02(火) 22:17:04.89 ID:UBvtRe5co
――― やっつける敵がいなければやっつけることは出来ない ―――

吹雪着任直後ぐらいの話。

提督「今回は吹雪旗艦で出撃してもらう」

吹雪「!? 本当ですか、司令官!?」

提督「あぁ、もちろんだ。装備を整え、出撃するのだ。僚艦にはすでに出撃の件を伝えてある」

吹雪「私がやっつけちゃうんだから!」フンス


そして出撃。


飛鷹「敵艦隊、発見したわ!」

吹雪(よーし、頑張って司令官にいいとこ見せないと!!)


ここはキス島周辺。


隼鷹「よーし、攻撃隊、発艦しちゃって!!」


僚艦は飛鷹、隼鷹、千歳、千代田。そして……


千歳「敵艦、残り1!」

ゴーヤ「魚雷さん、お願いします!」


ゴーヤにより最後の一隻もあっけなく撃沈。キス島出撃地点北ではよくあること。


吹雪「あ、あの」

隼鷹「なぁに、気にすることはないさ。一緒に出撃するだけでもいい経験になる。実戦に参加する、この空気が大事なんだよ」

何か言いたそうな吹雪に、艦載機を着艦させながら語る隼鷹。

隼鷹「そうすればいつか晴れ舞台に立つときが来るってモノさ!」

吹雪「……はい! 頑張ります!」


……その後、隼鷹は改二となり、吹雪はドラム缶を背に遠征業務に従事していた。

吹雪「アルェー……」

白雪「駆逐艦が活躍しようにもここは層が厚すぎますからね……」

ドイツ艦のZweiを除いても、提督の嫁である雪風を筆頭に、島風、ヴェールヌイ、綾波、夕立、時雨と、一艦隊まるごと組めるほどに強い駆逐艦が揃っているのだ。

私は改二なりたい。強くそう思う吹雪であった。


白雪(そのダジャレ、既に使い古されてますよ)

吹雪(この子、脳内に直接……!!)

240: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/02(火) 22:17:56.05 ID:UBvtRe5co
――― 旅行とは言ったが休暇とは言ってないし仕事がないとも言ってない ―――

デイリー任務の一つとして、補給艦三隻撃沈がある。やらなくてもいいがやると資材が貰えるアレである。

それを容易く黒字に出来るのは潜水艦娘である。また、制海権任務や他ウィークリー任務や燃料回収などもあって、潜水艦娘はこき使われると言う共通認識が艦娘のいる多数の世界で広まっている。

この鎮守府も例外ではない。喜ぶべきことか悲しむべきことか、伊号潜水艦娘の練度は非常に高い。改二がきても安心ね、と断言できるくらいに。

そして、今日もまた……。


提督『あーあー、本日は晴天なり本日は晴天なり。以下の伊号潜水艦は……』

ゴーヤ「またオリョクルでちね」

イムヤ「早く埠頭行きましょ」

提督『……執務室に集合のこと。イムヤ、ゴーヤ、イク、はち、しおい。繰り返す……』

ゴーヤ「!?」

イク「直接じゃないなんて何か裏がありそうなのね」


鎮守府、執務室。

提督の後ろの壁には『ワ級殺すべし』『制海権』『輪形陣許せないぜ』などと威圧的な文言の並ぶ掛け軸がかかっている。

提督「全員揃っているな? 新しい艦娘を紹介しよう」

ゴーヤ「その前に一つ質問いいでちか?」

提督「どーぞ」

ゴーヤ「何でゴーヤたちだけを呼んだの?」

提督「彼女を見りゃわかるよ。ほれ、カモーン」

大鯨「こんにちわあ。潜水母艦、大鯨です」

五人「!!」

提督「というわけでプロジェクト『三泊四日大鯨と行く南方海域の旅』をプレゼント!! いつも頑張っているお前らへの労いだ!!」

五人「やったぁぁぁぁぁぁぁ!!」


南方海域。広い海に魚雷の発射音と深海棲艦の爆沈音が響く。

大鯨「魚雷はまだまだありますからねぇ」

大鯨が全弾発射し終えた潜水艦娘に魚雷を補充していく。新規着任とは思えぬ器用な手つきである。

魚雷再装填、索敵、発射、撃沈、補給……。もはや完全にルーチンワークである。

しおい「そういえばあったね……。30時間長期遠征の任務……」

はち「3セットで90時間……。確かに3泊4日だけど……」

イムヤ「というか大鯨さん、軽空母に改装されてなかったっけ……?」

大鯨「私はきっと、三人目だから……ホントは二人目だけど」

ゴーヤ「あー、だいたいわかったでち」

イク「例の作戦終わっててーとくが捕鯨の発作起こさなくなったのはそういうことだったのね……」

潜水艦娘達の苦労は続く……。

だが忘れてはならない。潜水艦娘達がオリョールの強襲揚陸部隊や空母を撃破したり、南方に出て敵艦を撃沈することで陸海空の安全が確保されていることを……!!



まるゆ「そういえばまるゆは……?」

提督「すまんな、この遠征6人用なんだ。5人で条件満たせるらしいけど」

まるゆ「そんなぁ……」

241: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/02(火) 22:19:06.15 ID:UBvtRe5co
>>234
席じゃなくて隻でした。
あと駆逐ロ級とハ級のことも忘れないであげてください。

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

242: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/02(火) 22:32:19.10 ID:p8KBTmpI0
夕張

245: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/03(水) 22:19:01.21 ID:aluoQZ/Xo
――― オンリーワンがオンリーワンでなくなったとき ―――

鎮守府、工廠。艦娘の使用する兵装および使用しない兵装はここに山と積まれている。なおそろそろ満杯。

その片隅ですすり泣きながら砲の手入れをするものがいた。

夕張「ううっ……ぐすっ」

提督「手入れが辛いなら妖精にやってもらえばいいのでは」

夕張「他に辛いことがあるから装備の手入れで気を紛らわせてるんです……」

提督「俺でよければ話聞くぞ?」

夕張「……私って他の軽巡洋艦と違って耐久面が柔らかい代わりに4スロットありますよね」

提督「小さな船体に対し積めるだけ積む方法を模索するための実験艦だったことの反映だろうな」

夕張「えぇ。防御面に不安はありますが昼に対潜、夜に連撃とかしたり、15.5副*3に魚雷でパワフルな夜戦力」

提督「うん。対潜と夜間連撃の組み合わせは実に美味しい」

夕張「で、大淀さん着任したでしょう?」

提督「MI作戦ではお世話になりました」

夕張「彼女も4スロ、しかも私と違って水上機積める!!」

提督「3号3号夜偵探照灯とか昼夜問わずオラオラな組み合わせとかできるね」

夕張「その上耐久力も改二軽巡に負けず劣らず! こんなのライバルどころか勝てっこないじゃない! うわーん!!」

提督「まぁ落ち着け。魚雷や爆雷の扱いに関しては夕張に分があるじゃないか。対潜も出来るし夜戦の火力自体は同じ装備なら夕張のほうが上だ」

夕張「……そうですね! 長所を伸ばしていけばいいんです! さ! 新装備試しましょ!!」

鼻歌を歌いながら砲をがっつり持って工廠を出て行く夕張。


提督(……そういや大淀って生き残り組で運高いんだよな。カットインを考慮したらどうなるか……いや、よそう。夕張が元気になったのに冷や水を浴びせることはない)

246: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/03(水) 22:20:36.16 ID:aluoQZ/Xo
夜偵もうひとつぐらい欲しいな……

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

247: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/03(水) 22:22:46.78 ID:8nl0ma6AO
大井っち
>>重雷装艦出撃します!

250: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/04(木) 21:12:38.49 ID:h7AlXqJ8o
――― 描写外にだってドラマはあるのです ―――

時はMI作戦後、敵艦隊の来襲が確認されたとき。

提督「よーし、全員装備は整えたな?」

北上「潜水艦組から艦首・五連魚雷とってくるとか本気だね、提督」

提督「当然だ」

翔鶴「彩雲多すぎません?」

提督「深海棲艦は神出鬼没だからな」

大鳳「烈風改に友永江草……この鎮守府でも最強の部隊じゃないですか!」

提督「中破でも攻撃できる大鳳が適任だ。30スロがあるしな」


なんだかんだで主力艦隊と支援艦隊の準備を終え、提督と13人の艦娘達はぷかぷか丸に乗り込む。

北上「重雷装巡洋艦北上、出撃しまーす」

……今、13人といったか?

大井「重雷装艦大井、出撃します!」

提督「なんでや!! 大井は呼んでないだろ!?」

大井「北上さんが出るなら私も出るでしょう?」

提督「今までそういう運用してたのは確かだけど今回は違う」

大井「そんな! 北上さんと私の仲を引き裂くつもりなの!?」

提督「いやそういうわけじゃないが……仕方ないブツブツ」

後ろを向き何事か思案する提督。

提督「大井、お前にはもっと重要な任務を与える」

大井「鎮守府に迫りくる敵艦隊の主力撃破以上に重要な任務なんてあるんですか?」

提督「それはな……敵主力を見事討ち取った北上を温かく迎えることだ!! これに関してお前以上にうまくやれる者などいない!!」

大井「!!」

提督「というわけで鎮守府で待っててね」

大井「はい!」


提督(……まぁ大和か武蔵が沈めちまうかもしれないけどなー)

だが実際に北上が討ち取ったので心配は無用であった。

251: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/04(木) 21:14:39.58 ID:h7AlXqJ8o
MI・Exの話ではカギ括弧前に話者の明示をしなかったけど誰のセリフかわからなくなることはなかったかな? とちょっと気にしている

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

252: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/04(木) 22:01:01.81 ID:71l6fVWZo
初霜

256: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/05(金) 21:24:02.94 ID:JAghvyOSo
――― ガキのつかい ―――

提督「もしかしたら改二が来るんじゃないかと思ってちまちま練度上げてた初霜、もう65だな……」

初霜「そうですね」

提督「つまり、この作戦が出来る……!! 初霜、お前が旗艦だ!」

初霜「ええっ、私がですか!?」

提督「本来は神通や夕立が旗艦担当だったが……この作戦の後継者となるだろう……!!」



南方海域。艦娘達が海を往く。


先頭を進むは初霜。

あとを追うは睦月型の子ら。

物資を満載したドラム缶を背に、島々を駆け巡る。


初霜(あれ、戦艦の護衛とかじゃなくて物資輸送なの……? でもこれも大事な仕事よね)


人呼んで東京急行。深海棲艦から自衛可能な艦娘による輸送は下手に通常の船を送るよりはるかに安全である。

その代わり、旗艦はもとより、メンバー全体で高い練度が必要とされる。

東京急行弐は駆逐艦だけで遂行可能だが、これまで練度の高い駆逐艦娘は雪風か、島風か、改二勢しかいなかった。

提督「これで東京急行しながら夕立たちを主力作戦に送れるな……。次は天龍たちを東京急行の旗艦を勤められるようにするか……」

割と打算的な提督であった。

257: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/05(金) 21:25:24.51 ID:JAghvyOSo
なんか英語Wikiの初霜のページ、服装と性格が書かれてるぶん他の艦娘より詳しいんだよなぁ

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

258: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/05(金) 21:31:35.66 ID:+SficGA/o
ワンワン時津風

260: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/08(月) 20:38:47.77 ID:eoykQzETo
――― しずま氏の駆逐艦娘はどれもとてもいい。そうでしょう? ―――

鎮守府、執務室。深夜。

提督は何らかの資料らしきものを読み耽っている。雪風は既に布団に入って寝息を立てている。

時津風「はーぁ、疲れた疲れたー。艦隊戻りま……ん?」

時津風が執務室に入ってくると同時に提督は引き出しを開け、読んでいた資料を丸ごと叩き込み、再び閉めて施錠した。この間ジャスト1秒!!

鍵を右手に握り締め、顎の下で手を組む。

提督「おお時津風か遠征お疲れ様書類はそこに置いとけばいいぞ」

あからさまに棒読みである。

時津風「あのー……しれー? 何してんのー?」

提督「資料を読み終わったところだが?」

時津風「隠すことないじゃーん。わたしにも見せてよー、しれー」

提督「ダメだダメだ。お前らには見せられん」

時津風「しれー、わたしに隠し事とかよくない。よくないなぁー!」

提督「そう言われてもこれだけは見せられないな」

時津風「雪風にも?」

提督「当然だ」

時津風「じゃあ実力行使ー!」

提督「戦艦棲姫とどつきあった俺に肉弾戦を挑もうなど百年早いわ!!」


なお事実と比べて100倍ぐらいに誇張されています。


時津風「しれーと格闘戦すると疲れるー……。最後まで隠し通すなんて……」

提督「ぜー、ぜー……俺も疲れたからいい加減寝させろ。ほら自室へ戻った戻った」

時津風「まぁいいや。後で雪風たちと一緒に、しれーのいない間に探ろーっと」

提督「……後悔するなよ」ボソ

時津風「今何か言った?」

提督「空耳じゃね?」

261: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/08(月) 20:39:28.89 ID:eoykQzETo
翌日。提督は潜水艦組とオリョールへ行っている。つまり、チャンスである。

時津風「しれーが引き出しに何か隠してるのみたんだって!」

天津風「気にすることないんじゃないの?」

時津風「でもわたしが部屋に入った瞬間引き出しに仕舞って鍵掛けて、どんなにせがんでも見せてくれなかったんだよ! 気になる気になる!」

初風「提督も男だしその……えr……春画かなにかじゃないの?」

雪風「しれぇが隠し事……雪風の事信じてないんでしょうか……」

初風「まぁ、その、恥ずかしいものだったら見せられないかも知れないし」

時津風「鍵は持ってってるみたいだけど、針金でちょちょいの、ちょいっと」

カチャリ、という音とともに、引き出しの錠前が解かれる。時津風が中に入っていた書類の束を取り上げる。見た目普通の書類である。

時津風「何かな何かなー、ふむf


時津風の声が止まり床に倒れるのと、書類の束がばさりと落ちるのとはほぼ同時だった。

初風「!? 時津風、時津風!?」

天津風「いったい何が書いてあっt

時津風の落とした書類に目を向けた天津風も同様に倒れた。


雪風「ふぇ!? な、何!? 雪風の、雪風のせいなの!?」

初風「バカいってないで早く明石さん呼んできて!! 私は書類片付けるから!」

雪風「は、はい!!」

ぱたぱたと駆け出す雪風。

初風はぎゅっと目を瞑り、手探りで書類を集め始めた。

初風「妙高姉さんに比べれば怖くない、妙高姉さんに比べれば怖くない……」

幸いそれほど散らばっておらず、目を瞑ったまま引き出しに入れて、閉じたところで目を開けた。

ちょうど雪風が明石を連れて戻ってきたところであった。


明石「大丈夫、二人ともちょっと気を失ってるだけで命に別状はないわ。ベッドに運んで休ませればよくなるわ」

雪風「よ、良かったぁ~……」グスッグスッ

初風「書類は元に戻したし、一安心ね」

ちらり、と提督の机に視線を向ける。

明石「さ、二人を部屋まで運びましょ。わたしが天津風ちゃん運ぶから二人は時津風ちゃんお願い」

初風「えぇ、そうね……」

あの書類のことは忘れよう、という風にかぶりを振り、時津風を雪風と持ち上げる。

雪風「んしょ、っと」

初風(こうしてトラウマが増えていくのね……)


あの書類にいったいどんな秘密が隠されているのか……彼女たちが知る由はない……。

262: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/08(月) 20:40:51.54 ID:eoykQzETo
あの意味深な時報なんなんでしょうね

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

265: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/08(月) 20:58:02.08 ID:XVBhm5oAO
マックスでどーよ

272: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/09(火) 22:07:56.14 ID:qo6iXuEWo
――― 三ヵ月半にわたりビスマルクが出てこなかった。これは厳然たる事実だ ―――

鎮守府、工廠。ドイツ艦娘をつれて大型建造をすることによりビスマルクが建造できるという通知が着てから早二ヶ月。

提督「おかしい……。何故だ。何故来ない!?」

マックス「資材の割合の問題じゃない?」

提督「いや、普通の大和レシピでいいはずなんだ俺は詳しいんだ俺は間違ってないはずなんだ」

マックス「ふぅん」

提督「というわけで今日も艦娘達が集めた資材を投入する仕事が始まるお……」

マックス「噂のビスマルクとは、艦隊を組んでみたいと思うけど……こんなに資材使って大丈夫なの?」

提督「とはいっても他に手はないし……ん? 5時間? よしバーナーもってこい!!」


一方その頃!!

ラバウル沖の海上に浮かぶ謎の軟体生物から鎮守府に向けて謎の光線が放たれた!!!


視点は戻り鎮守府、工廠。

提督「来るか、来るか……!?」

バーナーの放射を終え現れた艦娘は……!!


陸奥「長門型戦艦2番艦の陸奥よ。よろしくね」

提督「グワーッ!? 長門型グワーッ!?」

マックス「ふぅん……」


時は5月半ばの話。提督がビスマルクと出会うのはまだ先のことである……。

273: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/09(火) 22:18:59.83 ID:qo6iXuEWo
海外でもりむ陸奥かの存在は知られているらしい。MutsnailだとかMutslugだとかで

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

274: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/09(火) 22:27:05.24 ID:kddl2fh5O
青葉

277: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/10(水) 22:50:31.20 ID:j4jVBoHPo
――― 機密漏洩はよくない、よくないねぇ ―――

鎮守府、司令室。掛け軸には「ヌ級殺すべし」「黙秘権」「い号作戦完遂」などと書かれた威圧的な掛け軸が飾られている。

主が不在のときに部屋に忍び込む、一人の少女。

青葉「青葉、見ちゃいました! 謎の書類を見て運び込まれる16駆の子たちの姿を!」

今日はワ級虐待^h^h撃沈のためにオリョールとバシーへの出撃がある。

そして、秘書艦である雪風は僚艦の見舞いのため不在。つまりは千載一遇のチャンスである。

青葉「初風さんの話によると目を瞑ってみないようにして回収したという話ですし見たら危ない類ですねきっと」

提督の机へそっと近づき、引き出しをゆっくりと開ける。

青葉「なんか相当分厚いらしいですし最初の数枚引っこ抜いてスキャナかなんかでコピーしましょう」

表紙と思しきページを捲り、数枚ほど目を合わせないように抜き取り、脇下に挟むように持つ。

青葉「これは面白い特ダネになりそうですよ……!!」

口の端が自然と吊り上がる。はやる心を抑えながら執務室から出るために扉を開ける。

扉を開けて一歩進まないうちに、ぼふ、と何かにぶつかる。

提督「よぉ。俺の部屋で何をしてたんだい?」

そう、南西諸島にいるはずの提督が、扉の前で立っていたのだ!!

青葉「ななな何でもありませんよ司令官ところで南西諸島に行ってたのでは?」

提督「いや別に俺が見なくても大丈夫そうだから一人代表決めて勝手にやらせてる」

青葉「そうでしたか。じゃあ私はこれで……」

そそくさと去ろうとする青葉の肩を提督はがっしりと掴む。

提督「それは名取の台詞だろ? ところでその脇下に挟んでいるのは何かなー?」

青葉「しゅ、取材のためのメモ紙です!!」

提督「へー、機密書類をメモ紙代わりに使おうとしてたのか。斬新な命乞いだね?」

青葉「!?」

提督「時津風たちが来る事はわかってたから待機してたんだがお前の姿がチラッと見えてな。せっかくだから何かするまで待ってたわけよ。そしたら案の定だ」

青葉「あ、あは、あはは……」

提督「でも俺は心が広いからね! この書類に目を通すだけで許すよ! やさしくってごめーんね!! 返事は『はい』か『Yes』だよ! 今すぐ選んでね! ゆっくりしないで選んでね!」

青葉「」ガクガクブルブル

もはや意識と書類を置いていくしかないのか……。


なおその後、青葉は意識不明状態から回復して取材活動に励んでいる模様

278: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/10(水) 22:52:26.34 ID:j4jVBoHPo
>>276
大和レシピで! 240K以上の燃料使ったんですよ!! 最低値で出されたら今までの苦労は何だったのかじゃないですかーヤダー!!

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

279: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/10(水) 22:53:08.22 ID:FsS4iYGAO
レーベ

284: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/11(木) 20:02:38.02 ID:yXwl7oWio
――― 機密漏洩してるじゃないですかーやだー!! ―――

鎮守府、工廠。ビスマルク建造のために日々資材が消費されている頃の話。

提督「うん、レーベ。ひとつ訊きたい事がある」

レーベ「ん、何かな?」

提督「大和型は古来、大日本帝国海軍の最終兵器として秘密裡に建造された最終兵器だ。実際どうだったかはともかく」

レーベ「最終兵器って表現重複してない?」

提督「それは今はどうでもいい。つまり、第一級の機密なわけだよ。建造に関わったものも担当以外の情報はとめられてたと聞くし」

レーベ「うん」

提督「しかるに、これだ」

提督が指差すは建造ドックの完成予定時刻。そこには7:57:42と刻まれ、カウントダウンが進んでいくところであった。

提督「どうしてドイツ艦いるのに大和型が出来ちゃうのぉぉぉぉぉぉぉぉ!? ビスマルク持ってきてよ!? 大和型の機密とかどこ行っちゃったの!?」

レーベ「実際建造してるのは妖精さんたちだから……。うん」

ちらり、とドックの中を見やる。なにやら大勢の妖精による怪しげな儀式が行なわれている。

レーベ「僕のせいじゃないよ……多分」

バーナーで炙ればすぐ終わるのにバーナー使用まで律儀に踊り続ける妖精達の意図はレーベには理解出来ないことであった。提督も理解してないが。


なお出来上がった大和は武装解除されて今も保管されているという。

285: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/11(木) 20:03:34.77 ID:yXwl7oWio
時間軸がしっちゃかめっちゃかですがいつものことです

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

286: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/11(木) 20:05:48.72 ID:nPXXj9V4O

288: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/12(金) 22:12:44.51 ID:PcShwbH7o
――― メイドな雪風ください ―――

漣「綾波型駆逐艦、『漣』です、ご主人様」

提督「俺はいつお前の夫になったというのだ」

漣「チッチッ、マイマスターのほうですよ、ハズバンドじゃなくて」

提督「まぁ上官と部下ということには書類上とかでもなってるけど、ご主人様とはまたぶっ飛んでるなぁ」

漣「実際主従関係なわけですし、それに……」

提督「それに?」

漣「ご主人様も男の人ですし、メイドとかに憧れ持ちません?」

提督「まぁ無いと言えば嘘になるが、服装とかどう見ても女子sy…中学生だろう」

漣「細けぇこたぁいいんですよ、ご主人様!」


雪風「……」


翌日、雪風がメイド服になっていた。が、出撃時いつもの服に着替えねばならないので3日ほどで元に戻った。

289: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/12(金) 22:15:18.82 ID:PcShwbH7o
3-5最終形態、水雷戦隊だと面倒なことになるなこれ

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

290: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/12(金) 22:24:16.88 ID:uhtgbMO3O
摩耶

294: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/14(日) 20:28:14.11 ID:9kXjUem1o
――― 3-5実装記念 1st contact ―――

提督「北方海域のEO?」

猫吊「はい」

提督「どうせフラレが満載なんだろあぁやだやだ」

猫吊「どこのデマのでっち上げ情報ですかそれ」

提督「違うというなら資料よこせよオラッ」

猫吊「ふっふーん、そう言うだろうと思って既に用意してありますオラッ」バサッ


資料黙読中……


提督「駆逐艦オンリーでボスまで最短ルート? しかも見た感じ道中そこまで手強そうではない」

猫吊「はい」

提督「招集するか……」


一方、深海のどこか、深海棲艦の拠点

北方棲姫「うー、あいつ絶対許せない!!」

港湾棲姫「まぁまぁ」

フラル「なんか不機嫌ね北方ちゃん」

北方「何あいつ理不尽すぎる!!」

港湾「まぁ『震電改よこせ』と言いながらボコボコに殴られれば、ねぇ?」

フラル「だいたいわかったけど戦艦棲姫はどこだい? 最新鋭の軽巡が出来たから報告しようと思ったんだけど」

港湾「まだ療養中よ。……しかしついに出来たのね」

フラル「レ級以来の傑作だ。ソまで造ってるから次はツかな」

港湾「そういえばテストはしたのかしら?」

フラル「まぁそれも兼ねて、だな」

港湾「とりあえず繋ぐわね。ナースコールで」

プルルルル、ガチャ

戦艦棲姫『こちら戦艦棲姫。怪我人を起こすとかどんな用事?』

フラル「これこれしかじか」

戦艦棲姫『そうね。まだ諦めたわけじゃないって誇示するためにも北方のALあたりでテストしましょうか。詳細は任せるわ』

フラル「了解」

ガチャ

フラル「まぁ長期的にやることになるだろうから輸送艦のワ級はいるわよね。後はどうするかブツブツ」

北方「私も連れてけ」

フラル「新鋭艦の実験だっていうのに貴方が出たら実験にならなくなるでしょ萎縮しちゃうでしょ」

北方「ぶー」

フラル「むくれたってダメ」

北方「ル級嫌い!! 帰れ!!」ダッ

フラル「帰れってここがいわば自宅なんだけど」

295: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/14(日) 20:30:01.31 ID:9kXjUem1o
北方、AL海域

フラル「北方ったらあんなところに拠点造っちゃって……」

北方「烈風置いてけ烈風置いてけー」

フラル「ま、いいや。相手が空母連れてきたら北方のところまで送るようにしましょう」


後ロ級「敵きましたぜ。南から」

フラル「うん、南から? 北方経由じゃなくて?」

後ロ級「全部駆逐艦クラスですぜ。舐めプ?」

フラル「どれどれ…… !!」

フラルが遠眼鏡で確認する。確かに近づいてくる駆逐艦が六隻。
雪風、島風、ヴェールヌイ、綾波、夕立、時雨。改二ないし改時点で改二に匹敵する駆逐艦ばかりである。
白露型の二人が中破しているがおかまいなしである

フラル「バカタレ!! どう見ても本気布陣じゃないか!!」

後ロ級「えー、二人ほど中破してるし大丈夫じゃないですかね?」

フラル「こっちの半分は新人と輸送艦だぞ!! 寝ぼけてんのか!?」

ツ級「あっ、突っ込んできましたあっロ級の片方沈みました」

フラル「ええいもう! 反撃だ反撃!!」


艦娘戦闘中……


ツ級「」ブクブク

フラル「」ゴボゴボ

綾波「殺~りました~」

時雨「失望したよ」

提督「まぁ夜戦までやればこんなもんだろ。こっちもだいぶやられたし帰投だ帰投」

雪風「了解しました!」

提督「……しかし、どれが最新鋭だったんだ?」


北方「……来ない。何故だ」

護衛要塞「空母連れてきたらこっちに誘導するようになってるんですけどね、海流」

299: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/16(火) 22:42:06.83 ID:WWh2ut0Bo
――― 3-5実装記念 Last Dance ―――

あらすじ:ランボー 怒りのほっぽちゃん


AL海域、ほっぽAL泊地

北方「……来ない」

護衛要塞「散々来るなと言っておいてそれは酷いんじゃないですかね」

北方「うっさい、たこ焼き」

たこ焼き「いや貴女までたこ焼き扱いしないでくださいよ!?」

ザザー『あっ制空権取られましたうわー連撃いたいーゴボゴボ』

北方「艦載機積んでるのに何故こない! 烈風置いてけ!!」

たこ焼き「水上爆撃機じゃないd」

北方「しゃらっぷ、たこ焼き!!」

たこ焼き(理不尽だー!)


AL海域、北方増援主力部隊

フラル「えぇっ、道中の制空権取られてるって?」

フラタ「うん、そういうわけで貴女はその駆逐艦ごとお払い箱ね」

フラル「そんなぁ」

フラタ「ついては南側にフラヌを用意しました」

フラル「何隻?」

フラタ「一隻」

フラル「あいつ制空権取るの苦手でしょ?」

フラタ「さすがに瑞雲とやらに遅れはとらないでしょ。まぁ見てなさい」


雪風「敵にフラヌがいます!」

利根「困ったのぅ。晴嵐ではどうしようもない」

提督『敵陣形は?』

雪風「輪形陣です!」

提督『じゃあどうでもいいな』


艦娘戦闘中……


ヴェル「無駄だね」

フラヌ「制空権とったのに何故」ゴボゴボ

フラリ「火力が、火力がちょこっと足りないのかしら」ズブズブ

300: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/16(火) 22:44:44.70 ID:WWh2ut0Bo
後二級「敵艦隊来ます、航巡1、駆逐5!」

フラタ「敵被害状況は?」

後二級「小破1のみです!」

フラル「私のときは中破2は出てたけど?」

フラタ「ナンデ!?」


*輪形陣だと火力や雷装が下がるため、最後の雷撃が怖くない上、連撃されてもあまり通らなかったりするのだ!!


艦娘戦闘中……


ツ級「あのクソ髪の長いの大破させたのに……」ブクブク

フラタ「あの痴女何であんなに夜戦火力高いのよ……」ゴボゴボ

島風「だって速いもん!」

提督「よーし、これでノルマ完了。帰るぞ皆」

鎮守府、執務室

猫吊「というわけでまた来月もやってくださいね」

提督「xxxx !!」


深海のどこか、深海棲艦の拠点

フラル「というわけでまた来月やりましょう」

ツ級「意味あるんですかね?」

フラル「大体あなたまだエリートにすらなってないでしょう。特訓よ特訓」

304: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/17(水) 22:40:09.18 ID:I3U7iE1/o
――― 摩耶といえば火垂るの墓なことですね? ―――

鎮守府、執務室。

摩耶「提督ー、先ほどの作戦結果の報告…書…」

提督「ん」ボーリボーリ ゴクッ

提督の口から明らかに何か硬いものを噛み砕いている音がする。

提督「あぁ、お疲れさん」

嚥下し、何事もなかったようにねぎらう提督。

摩耶「今何食ってたんだ?」

提督「あぁ、ドロップだよ。飴玉のほうな」

取り出したビンには『おはじき』と書かれていた。

提督はビンの蓋を開け、一粒取り出し口に放り込み噛み砕き始める。

摩耶「それドロップじゃなくておはじき……」

提督「ほれ、お前にもあげよう」

そう言って書類を受け取り代わりにビンの中身を握らせた。

提督「四粒あるから姉妹で分けるといい」ボリボリ

摩耶「……おはじき…じゃなさそうだな」

一粒口に含んでみる。甘味が口の中に広がる。どう見てもサクマドロップスです本当にありがとうございました。

摩耶「お、おう、ありがとな」


そそくさと退室する摩耶。飴を味わいながら寮に戻る途中でふと気づく。

摩耶「……つーか飴は舐めるもんであっていきなり噛み砕くのはおかしいだろ!?」

305: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/17(水) 22:41:03.88 ID:I3U7iE1/o
実際のところサクマドロップスじゃなかった気がするけど気にしないでください

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

306: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/17(水) 22:46:24.39 ID:kVQsbBkAO
愛宕>>ぱんぱかぱーん

308: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/19(金) 22:06:41.02 ID:HO1cs5wbo
――― 去年はとても活躍してくれました ―――

重巡洋艦『愛宕』。艦娘としての彼女は明るく朗らかな性格で、とても優しそうに見える。

提督「が、まぁ実際、あのアイアンボトムサウンドでの闘いで、三回も敵将のトドメ刺してるんだよなぁ。泊地に、飛行場に、そして……」

~~~~~~

サーモン海最深部。

アイアンボトムサウンドの主と思われていた飛行場姫。だが真の敵は更に奥にいた。

戦艦棲姫。

その圧倒的耐久力と圧倒的火力は提督と艦娘達の心胆を心底寒がらせしめた。

更に、自然回復により資材を連続投入する短期決戦を余儀なくされていた。

だが、その戦いも決着が付こうとしていた。


提督「よし、あとはアイツだけだ。金剛たちが攻撃をひきつけてるおかげでハイパーズは無傷同然。後は愛宕もか」

北上『連撃準備おっけー』

大井『こちらも準備完了です』

愛宕『いつでもいけるわ、うふふ』

提督「戦艦棲姫が撃ったら体勢を立て直して逃げる前に仕留めろ。愛宕が撃って足止めしたら北上と大井で挟み撃ちでトドメだ」

愛宕『了解しましたぁ』


戦艦棲姫「沈みなさい……!」

比叡『お姉様に貰った大切な装備が……!!』

提督「よっし、突撃ぃ!!」


愛宕は離脱を試みる戦艦棲姫に回り込み、20.3cm連装砲を向ける。夾叉でもいい。数秒足止めすれば雷巡の二人が引導を渡すだろう。

愛宕『喰らいなさい!!』


愛宕の放った弾は、戦艦棲姫のバイタルパートを的確に直撃し、大爆発を引き起こした。

戦艦棲姫「いつか……静かな、そんな…」ゴボゴボ


北上「あ、あれ、えっと、沈んでる?」

愛宕「やりすぎちゃったかしら?」

大井「せっかく準備万端整えてたのに。残念ね」

~~~~~~

提督(あの頃からだなぁ。重巡強いと思えるようになったのは)

愛宕「あら、提督。どうしました? ぼーっとしちゃって」

提督「いや、なんでもねーよ」

312: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/21(日) 09:46:02.49 ID:KDJPfpqJo
復活したっぽい 浦風了解ー

313: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/22(月) 22:42:47.60 ID:yNGfcGSqo
――― 方言についてはおかしくても気にせんといてーな ―――

鎮守府、執務室。浦風は提督の前に立っていた。

提督は顎の下で腕を組み、眉を顰め浦風を睥睨している。

彼の背後には「威圧感」と大書された掛け軸が吊るされている。

提督「……浦風よ、何故呼ばれたかわかるか?」

浦風「いんや? うち何も悪いことしとらんよ?」

提督「それはそうだろうな。理由など伝えていないのだから」

浦風「それで、本題はなんやのん?」

その言葉に提督は顰めてた眉を戻し、組んでた手を広げる。

提督「よーするにアレだ。こう、なんつーか威圧感のある喋り方を教えて欲しいわけだ」

浦風「提督さんが言いたいんは広島弁のことやろうけど、そういう風に考えられんのは心外やね」

提督「そ、そうか」

浦風「それに……」

提督「それに?」

浦風の視線が下へ向く。提督の顔から、提督のひざの上に座って眠りこけている雪風へと。

浦風「幼子を乗せて喋っても威圧感も何もあらへんよ?」

提督「浦風のほうが雪風の妹じゃなかったか?」

浦風「外見的な問題やね」

314: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/22(月) 22:43:49.37 ID:yNGfcGSqo
「やめろ!俺は雪風に弱い!」提督が駆逐艦に弱いと考えている!艦これSSの悪影響だ!

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

315: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/22(月) 22:47:21.44 ID:O1N6RKlKO
阿武隈

317: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/24(水) 22:45:21.60 ID:DlN+pqvDo
――― 艦娘だから大丈夫なんであって普通の人間がやったら絶対手首ぽっきり逝く ―――

阿武隈「やる時はやるんだから!!」ドゥン、ドゥン

ロ級「ウボァー」


阿武隈「ただいま、提督!」

提督「あぁ、おかえり。……んー」

阿武隈「提督、どうしたの?」

提督「阿武隈……とすぐ上の姉二人もだが手首の辺りに砲塔あるだろ?」

阿武隈「うん」

提督「そんなところから撃ったら手首や腕がバッキバキに折れそうだと思うんだが」

阿武隈「あたしたちそんなに柔じゃないですよ。砲撃程度で腕折れてたら砲弾当たった時点で死んじゃうし」

提督「まぁそれもそうか」

阿武隈「あと、あのいつも猫吊るしてる子が『戦闘前には妖精さんが載ってることを確認するように』って話してたんですけど」

提督「うん? まぁ大体装備から離れることはメンテ中以外ないってぐらいだから気にすることでもなさそうだが」

阿武隈「載ってなかったらどうなるのかな?」

提督「……撃てなかったりするんじゃないかな。ちょっと試してみるか」

そう言って提督は阿武隈の左手首の単装砲を小突き始めた。

提督「おーい、飴玉やるから起きろ」

のそのそと、眠たげな目をした妖精さんが這い出してくる。20.3cm連装砲担当の妖精である。

何故単装砲から20.3cm連装砲妖精が出てくるかはここでは省く。

飴玉に釣られた妖精を手元へひったくり、飴玉を口に突っ込む。

提督「よーし、ちょっと撃ってみてくれ。一応海の向こうのほうにな」

阿武隈「阿武隈、ご期待に応えます!」

提督「いや、そこまで気合入れなくても」

ドゥン!! と砲撃音が鳴る。だが、弾道がヘロヘロでまともに飛んでいない。阿武隈のほうを向く。

阿武隈「あ、わっ、とっ、へぶっ」

阿武隈は砲撃の反動でバランスを崩し、しりもちをついていた。

提督「大丈夫か?」

阿武隈「いたたぁ……なんかすっごく反動来ました……。左腕もなんかずきずきするし……」

提督「……気をつけろというわけだ。帰ったら風呂入って療養しとけ。あと妖精返しとく」

阿武隈「はぁい」

318: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/24(水) 22:47:25.08 ID:DlN+pqvDo
前髪ぐしゃぐしゃしたいという欲望は抑えた!!

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

319: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/24(水) 22:53:08.63 ID:MhADiZ1eO

323: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/25(木) 22:21:31.03 ID:H81Zyecwo
――― 曙を使ったことない人はぜひ一度MVP取らせて「くそてーとく♪」を聞きましょう ―――

曙「特型駆逐艦、曙よ。って、こっち見んな! このクソ提督!」

提督「何で初対面でいきなり罵られなければならんのだ」

曙「ふん! そんなこともわからないからクソ提督なのよ!」

提督「初対面で何もかもわかったような口聞かれてもねぇ。大体お前はどうなんだよ。実は口だけでしたーとかないよな」

曙「私を試そうって言うの?」

提督「それが手っ取り早かろうな。ちょっと艦隊組んで出撃してもらおうじゃないか」

曙「ふふーん、言ったわね?」


艦娘出撃中……

なんだかんだで曙は普通に活躍し、MVPをとった。


曙「大勝利よ! 私に充分感謝しなさい、このクソてーとく♪」

提督「ん、あぁ、見てなかった」

曙「ちょっとどういうことよ! このクソ提督!!」

提督「こっち見んな、って言うから意図的にお前の頑張りから目を逸らしたんだが」

曙「そうやって揚げ足取ってるからクソ提督なのよ!! というかこっち見て話しなさいよ!」

提督「こっち見んなと言ったりこっち見ろとせわしないやっちゃあっ痛っばっ砲塔で殴んのやめあっあっ」

324: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/25(木) 22:24:09.64 ID:H81Zyecwo
あぁいう性格なのは前世で非難されまくったからだという話がありますね

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

325: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/25(木) 22:27:16.08 ID:OzKJuW7mO
あがのん

329: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/26(金) 22:13:18.91 ID:igfvdSXEo
――― 確かに戦艦に魚雷載せてる時期もあったけどまさかそんな ―――

鎮守府、執務室。

提督は大本営からの最新の資料を検めていた。

提督「ほっほーん、ビスマルクのDrei来たか。練度について不足はないだろうし改装設計図もすぐ用意できる」

内容を音読しながら資料を捲っていく。

提督「魚雷発射管が装備できて新型の水偵と主砲を持ってく……ん? 魚雷?」

本来有り得ない単語に資料を捲っていた手を止める。

提督「魚雷!? 魚雷だと!? 徹甲弾の間違いではないのか!?」

なお、しばらく前から高速戦艦にも徹甲弾の装備は可能になっている。

提督「しかしこれは大きな変化だぞ……」

駆逐艦や巡洋艦は砲のほかに魚雷を持つ。砲撃と比べ弾速が遅いため、近距離での戦闘にしか使えないが威力は高い。

特に砲撃と雷撃を織り交ぜての白兵戦を行なう夜戦では雷装の有無が破壊力に直結する。

戦艦は夜戦においては強大な火力で雷装のなさをカバーするが重巡・雷巡には一歩劣る。

その戦艦に雷装が載るとしたら……!?

提督「これは速攻で試すしかないな!!」


艦娘改装中……


提督「あれ、改装前より服が黒くなってね?」

ビス「こっちの染料で染めなおしたからね」

333: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/27(土) 16:11:08.71 ID:i45A0YLzo
――― 前世のことをくよくよしたって始まらない! ―――

提督「……>>332、だそうだが?」

青葉「ま、まぁその頃の青葉は一介の艦艇でしたし」

そっぽを向いて口笛を吹こうとしているが音が出ていない。

提督「秋雲然り、夕立然り、乗員の行動・記憶も船魂、ひいては艦娘の自己形成に関わるという。青葉もまた然りだったな」

青葉「いや、まぁその……ちょっと用事思い出しましたー!!」

提督「あっ、逃げた」


その後、青葉におごってもらったということで単純に喜んでたりどういう風の吹き回しだろう、と不可解な顔をしてたりする艦娘たちの姿が見られたという

337: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/29(月) 22:26:40.68 ID:guGtQU7/o
――― オリョクルから解放された伊号潜水艦を待ち受けていたのは更なる地獄だった ―――
中部海域。先の作戦で消耗したところに更なる楔を打ち込み、制海権拡大を図る。

猫吊「ま、そういう作戦です。そして第一の作戦が……」

提督「潜水艦作戦ねぇ……」

ドヤ顔している猫吊るしを片目に見ながら受話器を取り上げ、全館放送で呼びかける。

提督『以下の伊号潜水艦は埠頭に集合のこと。イムヤ、ゴーヤ、イク、はち、しおい。繰り返す……』


ゴーヤ「またオリョクルでちね」

はち「あそこの揚陸部隊を撃退するのは大事だってわかるけど……」

イク「同じ敵ばっかりで飽きちゃうのね!」

提督「と、思うだろ?」

イムヤ「わっ、びっくりさせないでよ!?」

しおい「いきなり後ろから現れるなんて、ねぇ」

提督「そんな変質者を見るような目をすんな。これ、返してやらんぞ?」

しおい「あっ、晴嵐!!」

提督が取り出したるは2機の水上爆撃機、試製晴嵐。

イムヤ「いったいどういう風の吹き回しなの?」

提督「あぁ、簡単な話だ。新しい海域に行くんだよ」

五人「!!」

提督「その第一歩として敵の哨戒線を潜水艦で叩きのめす、というわけだ。各人いっそうの努力を期待する!」


中部海域。島々からは遠く、深海棲艦が現れて以来、人類が長いこと舳先を進ませられなかった場所。

そこにいる相手も、一筋縄ではいかない相手であった。


ゴーヤ「こんなの聞いてないでち」

爆雷を喰らって黒焦げになっているゴーヤがぶつくさ文句を言う。

提督「俺もここは初めて見る海域だしな」

イムヤ「哨戒線突破して敵回遊中の空母入り艦隊に打撃を与えるだけって話だったけど対潜警戒厳しいじゃない」

提督「まぁ俺にはどうしようもないんで何とかして抜けてくれ」

イク「無茶振りなのね……」

艦娘戦闘中……

提督「よーし、敵の回航中空母艦隊に打撃を与えた。作戦成功だ」

イク「でもヲ級は残ってるのね……」

提督「随伴艦の補充に戻ってる間に次の海域へのポータルを設置する手筈だ。問題ない」

しおい「わーん、晴嵐さん全部落とされたー!!」

提督「ほら、泣くな。帰ったら補充するから」


鎮守府、執務室

提督「さーて潜水任務は達成できたかな」

もちろん達成できていなかった。

猫吊「あそこの空母と随伴艦全部沈めてくださいね。3回」

提督「ザッケンナコラー!!」

水上艦を入れてもいいという情報が入ったのはその後の話であった……

341: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/30(火) 22:49:03.58 ID:+UHtwQxno
――― 「とってもとっても高性能」という台詞は実在します ―――

鎮守府、執務室。

阿賀野「午後3時です。スヤスヤスヤァ……」

提督「まだ昼間だってのに普通に寝やがったぞこいつ」

通信用黒電話を取り上げ、ダイアルを回す。通話先は阿賀野型一号室。

能代『はい、こちら能代です』

提督「こちら提督。なんか阿賀野と茶会の約束でもしてるんじゃないか?」

能代『えぇ、そうです。阿賀野姉どこ行ったのかしら』

提督「執務室で寝てるぞ。あっ、眠ったまま椅子から転がって布団に潜り込みやがった。器用だなこいつというか靴ぐらい脱げよ」

能代『あぁ、もう阿賀野姉ったら。迎えにいきますんで』

提督「いや、起こしてそっち行かせるから」

能代『多分私が来るまでに起こすのは無理だと思いますので待っててください』ガチャ

提督「あっ、切られた」

布団のほうを見る。阿賀野は枕に頭を乗せて布団をかぶって完全に睡眠体勢である。

阿賀野「Zzz」

提督「しかし俺に起こせないとかナメられたモンだな?」

阿賀野の頬をつまんで捻る。やわらかい。反応なし。

阿賀野「スヤァ……」

耳たぶをぐいぐい引っ張る。反応なし。

阿賀野「んーむにゅ……」

提督「さすがに暴力振るったり もんだり【検閲】したりするのはないよな。起きたり見られたりしたときコトだし」

ぶつくさ言いながら家具の中から金属で出来た箱を持ってきて阿賀野の耳元に置く。

提督「そーれっと」

そこらにあった棒でガンガン箱を打ち鳴らす。

グワングワンうるさい音が出るが阿賀野は意に介さない。

提督「ええ~?」

能代「だから無理だといったでしょう、提督」

いつの間にか後ろに能代がいた。

提督「来てたのか」

能代「阿賀野姉起こしますんですみませんがちょっと部屋出ててください」

提督「ここ俺の部屋なんだが」

能代「ちょっと他人には見せられないので」

なんだかんだで締め出される。直後、ドン、という鈍い音。

扉が開くと阿賀野が能代に肩を借りて出てくるところだった。

阿賀野「う~、その起こし方はやめてっていってるじゃな~い」

能代「だって普通の起こし方じゃ起きてくれないから」

阿賀野「え~?」

能代「あ、提督! 私たちはこれで失礼します!」

提督「お、おう」

どうやって起こしたんだ……。そんな疑問を喉元で飲み込む提督であった。

342: ◆jf7rnHhSH2 2014/09/30(火) 22:51:55.52 ID:+UHtwQxno
阿賀野初めて拾った時は声の高さにめっちゃ驚いた。能代は普通だったから余計に。

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

343: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/09/30(火) 22:54:14.71 ID:xrEK209AO
まるゆ

348: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/01(水) 22:39:50.62 ID:mjQEtS86o
――― 表の顔と裏の顔 ―――

大鯨「今晩のおかずは、フーカデンビーフですよぉ」

イムヤ「わーい!」

大鯨。元が潜水母艦であることから、潜水艦娘達に慕われている。

だが、彼女にはそんな潜水艦娘達には見せられぬ裏の顔があった。


鎮守府近海。定期的にシーレーンを脅かす潜水艦が湧いてくる海域。

「航空母艦、龍鳳。抜錨します!」

九七式艦攻、三式指揮連絡機、カ号観測機が緑色の和服を着た少女の弓から次々と放たれる。

爆弾が、爆雷が、深海棲艦の頭上に降り注ぐ。

龍鳳「……敵カ級、撃沈確認しました。敵残存艦なしです」

提督「よっしゃ、次の地点へ行こうか」

そう、龍鳳は対潜専門軽空母として闘っているのだった。


龍鳳「ふぅ。活躍できるのはうれしいけどあの子達にはこの姿はちょっと見せられませんね」

提督「まぁ慕ってる相手がサブマリンキラーとかちょっとヒくかも知れないしなぁ……」

龍鳳「ええ。ですから内緒にしといてくださいね?」

提督「軽空母改装されてることは知ってるはずだが」

龍鳳「対潜してることがばれなければ大丈夫です」


実のところ鎮守府近海に出撃している時点でバレているのだが特に関係が壊れるとかないようなので提督は気にしないことにした。

350: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/01(水) 22:44:11.81 ID:/OK9904nO
睦月

354: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/02(木) 22:42:13.37 ID:mi9EgzXjo
――― そういえばここ三ヶ月演習以外でつかってなかったてへぺろ ―――

鎮守府、埠頭。出撃前の艦娘は大体ここに集合する。

先頭に立つは大口径主砲を載せた艤装を持つ、金髪碧眼の艦娘。ビスマルクである。

ビス「また演習? 今日の演習は終わったはずでしょ? それにいつもと面子が違うし」

提督「ククク……そう、演習は終わった。すなわち、実戦だ」

ビス「!!」

提督「それも……中部海域の最前線! MS諸島だ!! Dreiの力、見せてもらうぞ!!」

ビス「艦隊戦か……腕が鳴るわね!!」


MS諸島。ここを足がかりに中部海域の制海権を奪取、確保する。それに先立って、敵攻略部隊を撃退するのが今回の作戦である。

艦隊もビスマルクを筆頭に、雪風・島風、利根・筑摩、加賀と海流を見越した上での全力構成である。

ビス「あれが目標のワ級フラグシップ……」

加賀「随伴はヲ級フラグシップ、ツ級エリート、ニ級後期2……そして……」

旗艦を護衛するように立ちはだかり、青い焔を灯した目で海原を睥睨する深海棲艦。

雪風「ル級フラグシップの……改、です!!」

やや震える声で雪風がその名を告げる。

その強さを論じることそのものが馬鹿馬鹿しい強さのレ級を除けば、汎用深海棲艦――つまりは姫・鬼クラスでない――最強の艦、ル級改。
輸送艦の護衛に躊躇いもなく戦艦を投入する。襲えば割に合わぬしっぺ返しを食らわせてくる。これが深海棲艦の強さの一つと指摘する識者もいるらしい。

だが、ビスマルクは怖気付くことはない。

ビス「私の初陣の〆としてはちょうどいい相手ね。さぁ、かかってらっしゃい!」

挑発されたル級が突っ込んでくる。次の瞬間、ル級の上半身が丸ごと消え失せていた。
下半身は慣性に従いしばらく進んだ後、海面に倒れ伏し、そのまま沈んでいった。

提督「ル級改を……一撃、だと……!?」

浮き足立つ敵随伴艦。そんな相手を艦娘達は着実に沈めて行く。残るはワ級とニ級一隻ずつのみ。

加賀『ワ級含む敵、撤退していきます。提督に意見具申。追撃許可を』

提督「よーし、やっちまえー!!」


ビス「逃がさないわよ……甘く見ないで! Feuer!!」

ビスマルクの放った砲弾は、ワ級の位置から大きく逸れ、ニ級への至近弾としかならなかった。

ビス「あ、あれ、おかしいわね……」

提督「魚雷を使え魚雷を!」

ビス「でもこれ装填とか難しいのよ!? そもそも実戦で使うの初めてだし!!」

などとやっている間にワ級は利根が沈めていた。


ビス「えっ私MVPじゃないの!? そんな!?」

提督「残念ながら利根だな……」

355: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/02(木) 22:43:27.81 ID:mi9EgzXjo
――― 長女としての威厳 ―――

睦月「睦月をもっともっと褒めるが良いぞ! 褒めて伸びるタイプにゃし~。えへへへへ……」

提督「よしよし。しかし、アレだな……」

睦月「アレってなんですか?」

提督「睦月型思い返してみたがどうも長女に見えん」

睦月「ええっ!?」

提督「色気振りまきまくってるのもあるが如月のほうが上に見える」

睦月「むー、如月ちゃんは確かに大人っぽいですけど……」

提督「長姉なんだしもうちょっと姉らしい威厳のある振る舞いを……」

ふと、提督の脳裏に艦娘達の声がよぎった。

??「ちょっと脚の筋肉がつきすぎちゃって……」
??「フフ、怖いか?」
??「とってもとっても高性能~」
??「クマー」
??「はーやーくーやーせーんー!!」

提督「……いやなんでもない忘れて」

睦月「??」

356: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/02(木) 22:44:32.63 ID:mi9EgzXjo
NGワード:クマーを抜けば

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

357: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/02(木) 23:00:15.27 ID:FlorUhju0
明石

365: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/03(金) 22:22:20.40 ID:Hg8wzMBbo
――― 修理施設あと一個欲しいけどそもそも泊地修理ほとんど使ってないんだよなぁ ―――

工作艦、明石。当鎮守府においてはドックと工廠は彼女の管轄である。あとアイテム屋も。

また、明石自身の艤装を使用することにより、他の艦娘の艤装も修理が出来る。画期的!!

明石「でも修理機能使うには旗艦バッジ必要なんですよね……」

提督「何でこんなしち面倒くさい仕様なのやら。第一艦隊は常に出撃に備える必要があるし他三艦隊は遠征に回してるしで修理の余裕がない」

明石「しかも大量にバケツ溜め込んでましたよね」

提督「泊地修理にしても待つことには違いないからなぁ……。バケツぶっ掛けたほうがはやいっていうね」

明石「それに……この泊地修理、まだ100%の力発揮できてないんですよ」

提督「ほぅ?」

明石「もう一つ、泊地修理施設があれば!! 100%の力を発揮できるんです!」

提督「でもなぁ。結局同時修理できる艦が増えるだけで早くなる訳じゃないんだろう?」

明石「並べ替えの手間とか省けますよ!」

提督「明石のドロップのある場所、難度高い海域だしそもそも取れるとは限らないしなぁ」

明石「五隻同時ですよ! それだけの価値はありますって!」

提督「そもそも泊地修理しないしなぁ」

明石「私にも活躍の場くださいよー! これを機会と思ってー!」

366: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/03(金) 22:26:05.31 ID:Hg8wzMBbo
実のところ入渠任務消化のために入渠せず残す必要があるからなぁ。でもやっぱり4つ目は欲しいなぁ

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

367: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/03(金) 22:35:18.35 ID:gRiB9olWO
若葉

370: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/06(月) 22:25:52.40 ID:hVE/FRydo
――― え? 彩樹艦の改二!? まじで!? ―――

鎮守府、執務室。提督は大本営からの最新の資料を検めていた。

提督「次の改二は……日本駆逐艦で、初めて次発装填装置を載せて、秋生まれ、秋戦没のネームシップか……」

書類片手に大日本帝国海軍の資料を開く。

提督「朝潮……3月没だから違う。陽炎と夕雲は初めて載せたというには新しすぎる。
   白露も生没ともに秋ではない。睦月と吹雪、暁はそもそも次発装填装置が出る前、綾波はもうやった……」

本を捲る手が止まる。そのページは、初春型一番艦、初春。

提督「日本駆逐艦ネームシップ。生まれは竣工日として9月末、没日は11月半ば、どちらも秋。そして資料には初めて次発装填装置を載せたとある」

バン、と本を閉じる。既に手は演習・出撃の予定表にかかっている。

提督「よーし、練り直しだ!! あと改二については当日まで内緒にしとこう」


今日の演習出撃表

旗艦:初春 随伴艦:……

初春(妾の遠征予定中止と演習・出撃予定……いよいよ改二かのぅ)

睦月(改二かにゃ?)
吹雪「」
綾波(改二でしょうか)
暁(れ、レディはあわてないんだから!)
白露(改二かぁ。いいなぁ)
朝潮(改二ですね)
陽炎(改二ね、きっと)
夕雲(改二でしょうね)
島風(私の改二おっそーい!)
レーベ(Dreiまだかなぁ)

どう見てもバレバレです本当にありがとうございました。

371: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/06(月) 22:27:09.86 ID:hVE/FRydo
――― 24時間戦えますか ―――

若葉「24時間寝なくても大丈夫」

提督「バブル期のリーマンじゃねーんだからさー」

若葉「本当だ」

提督「大体の艦娘は人並みに眠ってるぞ?」

若葉「大丈夫だ」


遠征は深夜に行なわれることもある。遠征先で休息を取ってから帰港することも珍しいことではない。


阿武隈「みんな、出発するよー」

若葉「そうか」


旗艦の阿武隈が休憩終了を告げる。その間若葉は哨戒を行なっていた。

子日「ふわぁ……今日も若葉寝てなかったね」

初春「まぁの。あやつは頑張り屋じゃからの。でも全く眠ってないわけではないぞ。ほれ」

初春が扇子で若葉を指す。普通に航行しているようだがよく見ると片目を瞑っている。

初春「特に異常がないときはあのように半分眠ってるのじゃ。イルカからヒントを得たとか言ってたのぅ」

子日「寝ぼけてるようなものでしょ? 大丈夫かなぁ」

初春「大丈夫じゃ。ほれ、見てみぃ」

初霜が若葉に近づくと、微かに軌道変化して間合いを取った。

初春「脳が眠っていても身体が反応しとる」

子日「……そうなのかなぁ?」


実のところ、昔ぶつかったことによるトラウマから条件反射で距離をとっているのだが気づくものはいなかった。

372: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/06(月) 22:29:33.66 ID:hVE/FRydo
楽しみだなぁ

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

373: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/06(月) 22:31:23.69 ID:YHRqXJpF0
秋雲

376: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/07(火) 22:37:45.70 ID:NwWDy/cYo
――― 17時の時報参照 ―――

週明けのオリョール海。幾多ものワ級やヲ級やヌ級、その他随伴艦が次々と沈む。つまりはオリョクルである。

提督「……で、何でお前まで付いてきてるんだよ秋雲」

秋雲「いや、だって何か空母が沈むところ無性に描きたくなることがあってねぇ。い号消化中なら最適じゃん?」

そう言いながら秋雲は素早く筆を走らせる。魚雷の直撃から轟沈まで一分とかからないが、既にあたりをつけて細部の描写に入っている。

提督「なんつーか、こう、ネクロフィリアじみてないか?」

秋雲「ま~、前世の記憶が、こう訴えかけて来るんだよねぇ。それに……」

左舷を振り向くと潜水艦娘が帰投してきたところである。

イク「敵旗艦鹵獲してきたの!」

どさり、と甲板に置かれるヲ級の身体。手早く吊るされる。

提督「よーし、今日のドロップは何かなー」ザクッ

秋雲「傍目スタイルいいねーちゃんの身体に手ぇ突っ込んで中身抜き取るほうがインモラルだと思うよ?」

提督「仕方ないじゃんなんか強い艦はヒトガタとるし!」

378: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/07(火) 22:44:48.32 ID:ZKyj5GAXO
長良

381: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/08(水) 22:54:47.59 ID:JJA5nnmqo
――― メンタルモデル形式だったら身体の鍛え方が機関動作反応に如実に影響するとかあるのかね ―――

長良「今日の走り込み、終わりました!」

提督「走りこむのはいいんだが、それって航行に関係あんの? スィーって滑ってくだろ?」

長良「むしろそうだからこそ足腰を鍛えるのが大事です!」

提督「そうには見えないが」

長良「スキーやスケートでも足腰しっかりしてないと大変なことになるんですから!」

提督「ふーむ、そう言われるとそうかもしれないな」

長良「でしょう?」

提督「……待てよ。お前ら艦船だろ。何で山や氷上のスポーツについて知ってるんだよ」

長良「ほら、船魂って乗船してた人々の記憶とかもあるから」

提督「うーむ、納得いくようないかないような……」

387: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/09(木) 22:32:59.64 ID:q1fTJrDQo
――― 間宮や伊良湖も明石みたいに出撃していい頃だと思う ―――

間宮食堂。もともと提督の家の台所だったところを大幅に改築した、艦娘の胃袋を掴む鎮守府随一の重要拠点である。

なお、鳳翔さんの店は空母寮にて開かれている。

この食堂、着任艦娘の数に比例するように順次拡張されている。つまりは、規模が大きくなるということであり。

間宮「この鎮守府も大きくなりましたねぇ」

提督「そうだな。駆逐・軽巡で回してた頃が懐かしい」

間宮「それで、私と私の妖精さんたちでは手が足りなくなってきたので……」

提督「なんか艦娘を数名手伝いに回して欲しいとか?」

間宮「いえ、猫吊るしさんから新しい娘を喚んでいただきまして」

提督「いつの間に……」

伊良湖「給糧艦、伊良湖です! 得意料理はモナカです」

提督「これで跡継ぎが出来たわけでついに間宮も実戦投入されるわけか」

間宮「て、提督、ただの給糧艦に何を期待してるんですか!?」

提督「じゃあ伊良湖が」

伊良湖「私も非戦闘艦ですって」

提督「まるゆや明石も頑張ってるじゃないか。給糧艦だって頑張ればナントカなるはず」

間宮「なーりーまーせーんー!」

388: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/09(木) 22:37:15.46 ID:q1fTJrDQo
伊良湖も出したけど間宮案件として処理します

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

389: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/09(木) 22:42:57.94 ID:9M7DLZEAO
神通

393: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/12(日) 20:36:20.98 ID:wJJc/onQo
――― 訓練に関しては鬼よ ―――

神通。川内型三姉妹次女。夜になるとハイテンションになる姉と昼間からテンションの高い妹に挟まれてることもあって落ち着いた印象がある。

提督「……だが、第二水雷戦隊に所属してた駆逐艦娘に話を聞くとそのような評判は一切聞かれないのだが」

神通「そうですね……私達の訓練の様子、ご覧になります?」

提督「そうだな。見てみよう」


室内演習場。遮光カーテンを引き、照明を落とせば昼でも夜戦さながらの演習が出来る鎮守府屈指の施設。

一方には神通、もう一方には山城が向かい合っている。

神通「こちらは準備完了です」

山城「はぁ……演習場の前歩いてたら訓練に駆り出された上例の訓練……不幸だわ……」

        チキンレース
長波「おー、血饉零擦やるのかー」

提督「知っているのか長……いやいやチキンレースぐらい俺だって分かるよ!?」

長波「えー、そこは乗るところだろ?」

雪風「では行きますよ……さん、にぃ、いち、ごー!!」


雪風の合図とともに双方探照灯点灯、互いに光を浴びせながら全速力で突っ込んでいく。

ものすごい勢いで縮まる二人の距離。そしてぶつかる寸前! 互いに面舵を切りつつペイント弾による至近からの砲撃!!


神通「……カタパルトに掠ってしまいましたね」

山城「砲塔二基に左腰直撃……はぁ、不幸だわ……」

互いに被害状況を確認する。直撃弾を三発浴びた山城に対し、カス当たりのみの神通。

神通「山城さん、今回はどうもありがとうございました」

山城「あ、いえ、こちらこそ」

神通は山城に一礼した後、駆逐艦娘のほうに振り向き、

神通「では皆さんもやってみましょう。慣れれば簡単ですよ」

そう言いながらペイント弾を再装填する。つまりは神通とやりあうということである。

長波「一番槍は避けたいなぁ……」

神通「希望者がいないようなので……長波さん、やりましょうか」

長波「ひっ」

そう言うとすっと長波を引っさらっていく。

提督「すさまじいなぁ……」

神通「提督も挑戦してみます?」

提督「遠慮しとく。そもそも水面走れないし」

神通「それは残念です……」

394: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/12(日) 20:39:11.15 ID:wJJc/onQo
さ、サボってたわけじゃないよ!? 3-5任務とか消化するのに苦戦してただけで

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

395: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/12(日) 20:46:44.91 ID:LGp3jXRqO
ビスマルク

398: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/14(火) 22:06:04.92 ID:YbkvMECmo
――― 日本の戦艦もかつては魚雷を積んでたのだ ―――

ドイツ生まれの戦艦、ビスマルク。第三改装にして魚雷搭載。かつて彼女の妹に当たるティルピッツは魚雷を搭載し、それになぞらえてビスマルクDreiにも搭載された。

提督「……と、使用済み改装設計図に書いてあった」

ビス「そうね。私も生き残ってればこんな風になったのかもね」

提督「衣装が日本の軍艦色になって思いっきり日本になじみ始めてるが」

ビス「しょうがないじゃない。そういえば酸素魚雷搭載してもらったけど他の戦艦には魚雷積まないの?」

提督「調べたところ昔は積んでたらしいんだが……」

ビス「うんうん」

提督「後に撤去されてるんだよ」

ビス「なんで?」

提督「有効射程が戦艦の砲撃距離と比べて短いのと、あとは誘爆したら危ないからだそうだ」

ビス「誘爆……?」

提督「酸素魚雷の威力はヤバイからなー。自分の近くで爆発したらそれこそ致命傷モノだ。
    実際艦娘だからこそ扱えるんであって実際の艦船の場合弱点を増やすことになるんだよ。硬いのが自慢の戦艦のメリットを潰すことはない」

ビス「……何か急に怖くなってきたわね」

提督「扱いに気をつけないと艦娘でもドカーン、といくかもしれんぞ。ドカーンと。何せ酸素魚雷だからな。威力は普通の魚雷の比じゃない」

ビス「……ち、ちょっと工廠行って来るわね」

提督「おー、いってらっしゃい」


その後、魚雷発射管を気にするビスマルクの姿がたびたび見られたという。

399: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/14(火) 22:07:36.41 ID:YbkvMECmo
艦これと全く関係ないけど実在性ミリオンアーサーも応援していこうと思います(ぐるぐる目)

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

400: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/14(火) 22:21:33.79 ID:0C4iHYWOo
阿賀野

406: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/15(水) 20:50:13.14 ID:o6EJlG9vo
――― こないだのメンテで実装された任務の話 ―――

鎮守府、執務室。

提督「ふふーん、あのクソxxxx リランカ任務も消化できたしもう何も怖くない」

猫吊「潜水任務から目を逸らしながら何言ってんですか」

提督「ほ、本気になればあのマンスリー任務だってクリアできるし報酬と消費資材のリスクリターンが見合わないだけで(震え声)」

猫吊「さよけ。ほれ、追加の任務ですよ」

提督「そういや任務については大淀の役目じゃなかったか?」

猫吊「艦隊勤務になったから私が代役してるんですよ」

提督「ふむ、長門型と扶桑型でカレー洋主力2回撃滅……」


ナントカ倒した


提督「次は低速戦艦3と軽巡1含めて南方海域前面の主力撃滅か……まぁ大淀なら潜水艦も問題ないかな」


何回かルート逸れたがナントカ倒した


猫吊「あ、今の任務マンスリーです。来月以降もよろしく」

提督「やだよルート固定できないじゃん次から放置放置」

猫吊「で、最後の任務です」

提督「……AL海域主力撃滅?」

猫吊「はい。非航空の戦艦2と軽空母1入りで」

提督「うんうん、楽勝楽勝」

407: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/15(水) 20:50:59.96 ID:o6EJlG9vo
提督「……とでも言うと思ったかッ!! ふざけんなこれ実質北ルート固定じゃねーか!!」

猫吊「中央に行く手もありますよ?」

提督「もっと有り得ねーし北方のヤローは避けられないだろ!!」

猫吊「一応あれも見た目的に少女ですが」

提督「言葉のアヤだこまけぇこたぁいいんだよ!!!」

猫吊「で、やらないんですか?」

提督「資材貰うだけじゃ全く釣り合わんしやらんやらん」

猫吊「……一式徹甲弾、2つ目」

提督「……うぐっ」


一式徹甲弾。今まで使用されていた九一式徹甲弾を上回る最新武装。開発不可。

任務は逃げないが戦力強化の為に獲得したいのも事実。


提督「やるしかないというのか……」

猫吊「任務に忠実で何よりです」


北方AL海域。ツ級のEliteは既に中部海域に配備されているが、ここの海域をうろつく深海棲艦はまだまだいる。


提督「だいたいxxxxども何やってんだよ夏に取り返したのに更に取り返されてるとか俺たちの苦労なんだったの」

大和「深海棲艦が現れ始めたころ結構な戦力出して損害受けたらしいですし……」

提督「ま、いいや。ここのツ級含む艦隊を一回完膚なきまでに叩き潰せばおしまいだし」

武蔵「しかし……私が言うのもなんだが、火力が過剰なのでは?」

艦隊の構成は大和、武蔵、利根、筑摩、木曾、隼鷹である。

提督「むしろ防御重視だ。北方棲姫の前を通り抜ける必要があるからな」


艦娘進g『カエレ!!』


鎮守府、ドック前。

ボロボロの艤装を背に黒焦げになって煙を上げながら入渠を無言で待つ艦娘達。

提督「……ぐぬぬ。あの空母どもきついし更に北方棲姫だ。今日はいったん休んで明日改めて考えるか……」

408: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/15(水) 20:52:20.75 ID:o6EJlG9vo
鎮守府、執務室。せんべい布団内。雪風は提督に抱きついて寝息を立てている。提督も寝ている。

提督(Zzz...)

磯風(司令……聞こえるか。磯風だ。雪風を通じて遠征先から念話で話しかけている)

提督(Zzz...)

磯風(守りに入ってはダメだ。攻めの姿勢だ。制空権を取られた? 逆に考えるんだ。制空権ぐらいあげちゃってもいいさ、と)

提督(Zzz...)

磯風(なぁ司令。司令……?)


翌朝

提督「筑摩、木曾外して北上、大井入れる。殺られる前に殺っちまえばいいよね」

大和「提督、いったい何が……?」

提督「いや、なんか第二次攻撃来る前に落とせばいいみたいな考えが湧いてな」

隼鷹「じゃあこっちの艦載機どうすんのさー」

提督「爆戦と彩雲下ろして烈風とダメコン積もう」

隼鷹「……その手使っちゃう? 話聞いただけでも背筋凍りそうなんだけど」

提督「まぁ安全のためだ。うん」


艦娘進撃中……


ボロボロの艤装を背に黒焦げになって煙を上げながら入渠を待つ艦娘達。

昨日と違うところはやり遂げた、晴れ晴れとした顔であることである。

提督「一回で済んだ上隼鷹も無事。よかったよかった」

ちょうどその時、遠征に出ていた艦隊が帰投した。そのメンバーの中にいた磯風は提督を見つけるとニヤリと笑って親指を立てた。

提督にはそれが何を意味するかはよくわからなかったがとりあえずサムズアップを返しておいた。

411: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/16(木) 22:12:38.78 ID:ul9J1iRFo
――― マンスリー1-4任務は軽巡三隻なので川内型が最適 ―――

那珂「ねー提督ー。なんかお仕事とかないのー? 那珂ちゃん退屈ー」

提督「そんな事いわれてもねぇ」

    エンセイ
那珂「地方巡業すらないしー」

提督「改二でレベル上がったからなぁ。練度低い方優先したいし」

しおい「作戦おーっしまい! 艦隊、帰投しました!」

那珂「潜水艦の子はいいなぁ。仕事に事欠かないし」

提督「これでろ号完了。……那珂よ、仕事したいといったな?」

那珂「お仕事、あるんですか!?」

提督「ああ」

そう言うと提督はニヤリと笑った……


所変わって南西諸島防衛線。名産は鉄。

ヲ級(全くこんな僻地に飛ばされて、というか連中の目と鼻の先じゃんここ。今ならこっちに目が向いてないはずだから取り返せるって言ってもさー)

このあたりはかつて艦娘達が蹂躙しつくし、制海権を抑えた場所である。だが、深海棲艦はいくらでも湧いてくる。

ヲ級(危険手当とか付かないかなー。最前線一歩手前よ、ここ)

などと自軍の給料やら何やらについて考えているヲ級の耳に波を切る音が聞こえてくる。

ヲ級(え、ちょっとまってマジで艦娘来たの!?)

更に海の向こうから聞こえる鬨の声。

??「早く夜戦ー!!」
??「那珂ちゃんセンター! 一番の見せ場です!」
??「砲雷撃戦、開始します!」

ヲ級「え、え、ちょっとちょっと! ぜ、全艦戦闘用意! 第一次攻撃隊、発艦!!」


提督「いやぁみんなヤル気だねぇ」

夕立『敵航空隊がきたっぽい?』

提督「適当に落として敵艦を沈めてしまえ。帰る場所がなければどうすることも出来まい」

雪風『艦隊をお守りします!』

島風『おっそーいー!』


改二の軽巡3に、鎮守府内でも屈指の実力を持つ駆逐3である。エリートすらいない機動部隊など彼女らの手にかかれば赤子の手を捻るよりたやすく沈められる。

ヲ級「バカナーッ!!」(ゴボゴボ

那珂「お仕事しゅーりょー!! おつかれさまー!!」

川内「夜戦しよ!! 夜戦!!!」

神通「姉さん、もう敵艦はいませんよ……」


那珂「那珂ちゃん久しぶりに頑張っちゃったな! このお仕事ウィークリー?」

提督「いや、マンスリーだそうだが」

那珂「えー、もっと回数増やそうよー」

提督「俺に言われてもねぇ……」

412: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/16(木) 22:14:08.07 ID:ul9J1iRFo
うちだと改二にするとレベルの都合上遠征ローテーションから外れることになるのだ……

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

413: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/16(木) 22:20:37.10 ID:hiYepi9yO
瑞鶴

418: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/17(金) 21:34:10.48 ID:vV2JtEj3o
――― MVP取らせるためあえてのソナー爆雷なし ―――

那珂「>>417って意見があるけど」

提督「悪いな、それは雷巡の仕事だ」

那珂「えー?」

提督「戦艦が動く前にフラタぶっ殺せる可能性あるからね。他に的が逸れてもそれはそれで戦艦がフラタ狙う可能性上がるし」

那珂「そんなのつまんなーい」

提督「それと大体の軽巡は遠征用に待機させてるからねぇ。それに雷巡……というか木曾に経験値ある程度回したいのもあるし」

那珂「むー」

提督「しかしボーキギャンブルか……ありかもなぁ。なんか掘れる量多いし」

419: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/20(月) 22:39:54.59 ID:5jfF1X//o
――― 鶴翼の絆3巻発売おめでとうございます ―――

瑞鶴「提督ぅ、何か瑞鶴ちょっと退屈なんだけどぉ……ふて腐れるぞぉ~」

提督「とは言ってもなぁ。軽巡・駆逐の遠征準備とリランカでの潜水艦虐t……掃討ぐらいだし」

瑞鶴「潜水任務」

提督「うっ」

瑞鶴「サーモン海北方」

提督「うぐっ」

瑞鶴「やんないの?」

提督「……無駄な損耗はしないに越したことはない。次の大規模作戦に備えて資材備蓄中だし」

瑞鶴「さっき資材庫見てきたら鋼鉄が溢れてたんだけど……ところで何読んでるの?」

提督「鶴翼の絆の3巻。他の世界の艦娘運用とか見て参考にしろって猫吊るしが言ってた」

瑞鶴「この前の沖ノ島みたいなのはやらないの?」

提督「とは言ってもなぁ。2巻はアイアンボトムサウンドだったし、これピーコック島+AL/MI作戦だぜ? やろうにももう済んだ話なんだよなぁ……」

瑞鶴「うーん、少なくとも二度三度と行きたくなるような海域じゃないわよね……」

提督「……あっ、いいところで終わった! 次巻も読ませようという魂胆というわけか……!!」

瑞鶴「こんな提督でホント大丈夫なのかしら……」

420: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/20(月) 22:42:36.30 ID:5jfF1X//o
大丈夫じゃない、問題だ

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

421: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/20(月) 23:06:11.45 ID:VCgu/5VAO
まあ翔鶴

425: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/21(火) 22:20:32.57 ID:xoKd3h9go
――― ポートモレスビー何回やるつもりだよ ―――

翔鶴「提督? あの…そろそろポートモレスビーを…あの…その…」

提督「まぁ確かにあるけどさぁ。何回やるつもりだよこれ」

ポートモレスビー。かつてMO作戦と称された南方侵攻作戦。その名は現在、南方遠征の名称にも使われている。

ちなみに時間当たりのボーキ取得量は第三位と実は案外高い。鋼鉄も手に入る。

翔鶴「そもそも私、この遠征参加したことないんですが……」

提督「軽空母使ったほうが安いし……。まぁ資源には余裕あるし瑞鶴と行ってみるか?」

翔鶴「いいんですか?」

提督「あぁ、行ってこい」


南方海域

猫吊「ようこそMO作戦遠征へ。いつもならすぐ始めるところだけど初参加の艦娘がいるのでブリーフィングします」

翔鶴「本格的なのね」

猫吊「我々はこのポータルから出航し、ここらへんを回遊する孤立した機動部隊を探して奇襲します」

ボードに張られた地図の中央一帯を囲うように丸を描く。

瑞鶴「なるほどねぇ」

続けて猫吊るしは航空機マークを書き矢印を引く。

猫吊「ヲ級やヌ級が主力なので艦載機が来ると思いますがガシガシ落としてください」

その後片っ端から×マークをつけていく。

猫吊「あと別働隊が援護に回ってくると思うので手早く片付けて迎撃してください。敵艦隊を片付け終えたら第一次作戦完了です。第二次はまた後ほど」

翔鶴「第一次……?」

瑞鶴「ま、このくらい私たちなら楽勝よね、翔鶴姉!」

426: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/21(火) 22:22:14.51 ID:xoKd3h9go



艦娘作戦遂行中……


衣笠「逃げても無駄よ!」

最後の一隻が衣笠の放った砲撃により沈んでいく。

翔鶴「艦載機の子達も、随伴艦の皆さんも本当に頑張ってくれました!」

猫吊「おつかれさまー。では第二次作戦のブリーフィングしまーす」

瑞鶴「そういえば第一次だったわね」

猫吊「さっき大量に落とした艦載機、あれ回収します。撃墜されたこっちの艦載機も見つけたら回収してください」

そう言いながら猫吊るしは艦娘たちにU字磁石らしきものが釣り針代わりに付いた釣竿らしきものを渡していく。

猫吊「釣った艦載機は空母の人に渡してください。重くなるけどナントカしてください」

随伴の駆逐艦娘たちは既に竿を振るって釣りに興じている。会話内容から誰が一番釣れるか競争しているらしい。

翔鶴「えっ、えっ……?」

衣笠「回収した敵艦載機を解体して資源にして南方の復興に当てるらしいよ。その一部をこっちの報酬として回すって寸法」

衣笠は慣れた様子でまだ水面に浮かんでいる艦載機を回収していく。

瑞鶴「そのために機動部隊に襲撃を……?」

猫吊「もちろん海域の制圧も兼ねてますよ。いくらでも湧いてきますからね。警戒は怠らないでくださいね」

翔鶴「そもそもそちらが主目的なのでは……?」


作戦完了、帰投後鎮守府

提督「遠征、どうだった?」

翔鶴「うーん、なんか思ってたのと違うような……」

提督「まぁ人生そんなもんだ」

427: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/21(火) 22:24:29.88 ID:xoKd3h9go
密林で注文するのも手

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

428: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/21(火) 22:29:59.41 ID:rou7upxhO
皐月

430: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/22(水) 22:21:53.66 ID:SyCwgdnGo
――― 後期型が実装される前から足とか生えた深海駆逐のイラストがあったのはご存知の通り ―――

水上偵察機が強化される以前の日の事……。いつものように遠征前のウォーミングアップのために鎮守府の近海警備を行なっていた。今回は皐月の番である。

皐月「ボクとやり合う気なの? かわいいねぇ!」

イ級?「……きゅ?」

現れたのはいつものイ級より一回り小さく、風体も丸っこく、小動物のように鳴く生物だった。

皐月「……あれ?」


提督「……で、そのまま鹵獲してきたのか」

皐月「いや、なんかこう、攻撃するの躊躇っちゃうよ……」

提督「ふーむ……」

イ級?「きゅっ」

皐月からイ級らしきものを受け取り、検める。

提督「手触りは駆逐の連中と同じっぽいがこいつ足が生えてるな……」

そう言いながら下腹部を撫でる。

イ級?「きゅ~」

皐月「ホントだ。おもしろーい」

提督「まぁ別に害はなさそうだし記念写真とってリリースするか。皐月、こいつ抱きかかえて」

皐月「まっかせてよ!」


その時撮った、皐月がイ級らしき生物を抱きかかえている写真は、今も皐月の部屋に飾られている。

だがこの時、提督たちは知る由もなかった。このイ級らしき生物こそが、駆逐後期型のプロトタイプだと……!!

431: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/22(水) 22:22:39.18 ID:SyCwgdnGo
くちくいきゅう可愛いですよね

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

432: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/22(水) 22:33:04.34 ID:uOCuCLxao
乙です 雲龍

435: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/23(木) 22:22:56.51 ID:J0UqSO3Uo
――― 式神形式の正規空母 ―――

雲龍「雲龍型航空母艦、雲龍、推参しました」

提督「ふむ……。軽空母か」

雲龍「えっ、違います。正規空母です」

提督「そんな莫迦な。飛鷹未満の搭載量、飛鷹型とかと同じ式神形式の艦載機。龍驤改二みたいな偏った艦載機構成! どう見ても軽空母!」

雲龍「いえでも実際正規空母ですし……」

提督「だが軽空母ならこの三式指揮連絡機が載るはずだ! さぁ装備させて己が軽空母だと覚r……さと……のらない……」

雲龍「わかってもらえましたか?」

提督「はい。ところで」

雲龍「なんでしょう?」

提督「明らかに艦載機1機当たりの容量は式神<矢の束なのに弓矢使ってる正規空母のほうが何で搭載量多いの?」

雲龍「それは前世の経歴もありますけど……空母の艦娘は矢なり式神なり媒体から艦載機を発艦するでしょう?」

提督「そうだな」

雲龍「妖精さんが乗り込むわけですが精神感応で繋がってるため、余りに多いと扱いきれないんですよ」

提督「もっとわかりやすく」

雲龍「MP切れ」

提督「訓練とかでどうにかならないのか?」

雲龍「改造以外ではちょっと……」

提督「ままならんな……」

436: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/23(木) 22:24:22.08 ID:J0UqSO3Uo
イ・ロはフラグシップに毛が生えた程度だがハ・ニは主砲魚雷カットイン構成で素雷装80とか行くからな……

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

437: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/23(木) 22:28:34.92 ID:/bgfo3WXO
夜戦の後期駆逐艦の怖さといったら
安価は霞で

439: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/24(金) 22:34:40.62 ID:/yIvM290o
――― でかい目玉な深海棲艦いないんだよねぇ ―――

ある日のこと……

霞「用があるなら目を見ていいなさいな」

提督「ふむ……」


別の日、執務室……

霞「作戦が終了しt……何これ!?」

霞が目にしたもの。それは、大きな目玉が付いた異形の肉塊らしきもの。その目は提督のほうを向いている。

提督は霞が入ってきたのを確認すると目玉のほうを向いた。

提督「おお、霞か。報告書はそこに置いてくれ」

いつも通りの応答である。目玉のほうを向いていること以外は。

霞「何なのよこれは!!」

提督「お前はこの前、『目を見て話せ』って言ってたよな。猫吊るしと相談してビh……鈴木土下座ェ門を用意してもらったんだ」

ビホルd……鈴木土下座ェ門はでかい目玉の付いたモンスターである。Googleの画像検索とかすれば大体わかるであろう。

提督「つまりどう見ても目であるこいつを見ながら話をすればいい。簡単な話だ」

霞「そういう意味じゃないわよこのクズ司令官!!」

提督「いい考えだと思ったんだがなぁ」

霞「どこがよ!」

提督「だけどこれよく出来てるだろ?」

そう言いながらビホr……鈴木土下座ェ門を霞のほうへ向ける。その時ビホルダ……鈴木土下座ェ門の目が光った!!

霞「きゃっ!?」

ビホルダーの有名な能力として目から光線を発射するというものが挙げられる。霞がビホルダーから放たれた光をまともに浴びたその時!!

440: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/24(金) 22:36:29.51 ID:/yIvM290o

……特に何も起こらない!!

そっと光の当たる範囲から抜け出し、ビホルダーに近づく。

霞「な、何なのよ……」

よく見るとこのビホルダーはただのぬいぐるみであった。

提督「中に探照灯仕込んであるんだ。イカすだろう?」

霞「何馬鹿なことやってんのよ、びっくりしたじゃない!」

提督「たまには驚かすのも悪くないと思ってな! ハッハッハ!」

この後めちゃくちゃ罵られた

441: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/24(金) 22:38:41.91 ID:/yIvM290o
このスレはDIEHARDTALESも当然応援しています。あと今回のメンテがらみの小ネタをやるかもしれません。
質問はありませんね? いじょうです。

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

442: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/24(金) 22:47:18.63 ID:Xc6eoF5Mo
白露

445: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/26(日) 22:03:06.92 ID:9IKd08FVo
――― 設計図使う価値ありますよこれは ―――

提督「扶桑よ」

扶桑「何でしょう、提督?」

提督「良いニュースと悪いニュースがある。どっちから聞きたい?」

扶桑「……では良いニュースから」

提督「良かったな!! 扶桑!! お前改二だ!! 改二になれるぞ!!」

ドバン
山城「提督!? 本当ですか!? 姉様!! 良かったですね!!」

扶桑「え、えぇ、そうね」

提督「お前な、外から壁ぶちぬいて現れるなよ。しかもここ二階だぞ」

山城「そんなことどうだっていいじゃないですか。運も上がるんでしょう?」

提督「三割増しだそうだ。それに冬前には山城の改二も来るんじゃないかな」

山城「これでもう不幸型戦艦などとは言わせないわ!!」

提督「……ところで悪いニュースだが」

扶桑「なんか嫌な予感がします」

提督「改造に際して練度は足りてるんだが改装設計図が必要でしかも勲章ひとつ足りないんだよねー」

山城「サーモン海のEO残ってましたよね!? 姉さまのためにもすぐ行きましょハリーハリーハリー!!」

提督「ぐぇぇぐるじい艤装載ぜだ状態でマヴンドどっで首じめんな」

扶桑「山城、落ち着いて」

山城「あっはい姉様」

提督「ぜーぜー。幸いなことに勲章がもらえる任務があってな」

山城「姉様のためならなんでもやりますわ!!」

提督「今『なんでも』といったな?」

山城「もちろん!!」

提督「なら、わかってるね?」


この後西村艦隊で無茶苦茶5-1行った

448: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/27(月) 22:16:50.81 ID:3CWVT/Q2o
――― 何も背負ってない駆逐艦はかなり少ない ―――

白露「白露型駆逐艦一番艦、白露です! はい、一番艦ですっ!」

提督「元気な子だな」

白露「一番ですから!!」

提督「それって関係あるのか?」

白露「もちろん! 一番元気だし!!」

提督「……しかし、何かが足りないような……?」

白露「?」

提督「いや、ただの考え事だ」


時は下り……


白露「ふっふーん! 私新しくなっちゃった!!」

ある日、白露の艤装がリニューアルされたのだ!!

提督「……また猫吊るしか!!」

白露「どーぉ? いい感じでしょ!」

提督「……なんかおかしいと思ってたが、白露、お前後ろに缶だか煙突だか背負ってたっけ?」

白露「あ、そういえば追加されてるね! いっちばーん!!」

提督「いや一番じゃないだろお前の妹は何かしら背負ってるだろ!? 一番は一番でも一番最後だろ!?」

白露「あっ(xxx目)」

提督「あっ、言い過ぎた、すまん……」

449: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/27(月) 22:18:05.68 ID:3CWVT/Q2o
――― ついうっかり存在を忘れる5-1潜水艦 ―――

提督「まぁ南方海域なわけだがここはあえて扶桑に徹甲弾+ふつーの偵察機」

扶桑「何故です?」

提督「あそこの海域ボスはたまに潜水艦がいるからな。制空はもがみくに任せて砲撃に集中してもらう」

扶桑「なるほど」

提督「で、二巡目に行く前に三式ソナー爆雷ガン積みした満潮に潜水艦を沈めてもらう。パーフェクトプランってヤツだ」

扶桑「あの、一巡目は……」

提督「瑞雲が航空戦で駆逐とか沈めてくれるのを祈ってあとは諦める」

扶桑「大丈夫かしら……」


南方海域前面、一マス目


扶桑「偵察機より報告、敵艦隊発見しました」

提督「よーし、全員単縦陣をとれ!! 突撃ィ!!」


カ級エリ「ドーモ、カ級Eliteです。カンムス沈むべし」

提督「アイエエエ!? サブマリン!? サブマリンナンデ!?」

満潮「私なんでこんな部隊に配属されたのかしら……」


この後普通に突破したがボスに潜水艦がいなかったうえ夜戦カスダメばかりでSランクを取り損ねたのはここだけの話

450: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/27(月) 22:21:06.15 ID:3CWVT/Q2o
瑞雲とかを載せなければ攻撃が潜水艦に吸われることはないのだ!!

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

454: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/27(月) 22:35:23.13 ID:QI8qLgugO
吹雪は普通のコモンよりも若干レアらしいね
安価は磯風で

456: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/28(火) 22:25:59.34 ID:ER78rLTJo
――― 昔は昔、今は今 ―――

ミッドウェー。本土を急襲してきた敵艦隊を撃破した後、新規着任艦の練成のために再びこの地に舞い戻った。

その面子には磯風と時津風も当然入っていた。雪風が彼女らと再会してどんな反応を示したかは言うまでもない。


提督「うん、わかっちゃいたけど今回は特に凄かったな」

磯風「まぁ仕方あるまい。私の介錯をしたわけだからな」

提督「……そのこと、恨んじゃいないか?」

磯風「何故恨まなければならない?」

提督「そりゃまぁ、撃たれるわけだし」

磯風「今でこそ血肉を持った人の形をとってるが、前世は鋼鉄の塊だぞ。気にしたって仕方あるまい」

提督「なら、いいんだが……」

磯風「もし、恨んでいると言ったら、司令はどうするつもりだった?」

提督「……どうだろうな。無為に拳を振り上げても解決しない。その恨みに対し俺に何が出来るわけでもない」

磯風「そう、もう過ぎ去ったことだ。今ひとたびこの世に生を受け、かつての仲間たちと再会できたことを喜び、与えられた任を全うするのみ」

提督「何つーか硬いなぁ。もっと肩の力抜いたらどうだ」

磯風「そうか?」

提督「ほれ笑って笑って」

ぐいー、と磯風の頬を摘んで押し上げる

磯風「なにをふる、ひれー」

提督「そうそうそんな感じ」

この後容赦なきお仕置きを受けることになったがそれはまた別の話

457: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/28(火) 22:26:36.94 ID:ER78rLTJo
ついったーの運営アイコンの磯風いいねぇ

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

460: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/28(火) 22:44:13.86 ID:PZdb/UoCO
舞風

462: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/29(水) 22:05:07.33 ID:KFso4XaQo
――― あと野分がくれば鋼鉄少女艦隊できるんだけど ―――

舞風「陽炎型駆逐艦舞風ですー。同じ陽炎型の野分とは仲良しよ」

提督「今はまだ艦娘にはなってないようだが、早くくるといいな」


冬……

提督「ほー、新しい駆逐艦娘か……」

舞風「野分かなー?」

「弥生、着任……」
「卯月でぇ~す。うーちゃんって呼ばれてま~す!」

提督「違ったな」

舞風「ちぇ~っ」


春……

提督「ほー、新しい駆逐艦娘か……」

舞風「吹雪型とかだったりしない?」

提督「陽炎型だそうだ」

舞風「野分来ないかなー」

「谷風だよ。これからお世話になるね!」
「あたし、天津風の出番ね」
「初風です、よろしく」
「うち、浦風じゃ! よろしくね!」
「駆逐艦、浜風です」

提督「とり損ねた分もふくめて一気に来たなぁ」

舞風「野分は……?」

提督「いないな」


夏……

提督「ほー、新しい駆逐艦娘か……」

舞風「野分、いる……?」

提督「5人中2人が陽炎型だそうだ」

舞風「お願いです、今度こそ野分を……」

提督「俺に言われてもなぁ」

「春雨です、はい」
「早霜…着任しました」
「時津風……出るよ」
「陽炎型駆逐艦十二番艦、磯風」


舞風「」

提督「清霜でないなぁ……おい、舞風? おーい?」

463: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/29(水) 22:05:56.94 ID:KFso4XaQo
舞風がかわいそうなので野分はよ

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

464: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/29(水) 22:08:04.28 ID:IRn1/4CbO

三日月

467: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/30(木) 22:36:31.91 ID:DGYSwa/lo
――― まさか三日月と初霜の区別が付かない人はいないだろうが ―――

三日月「司令官、ちょっと悩み事があるんですが聞いてもらえますか?」

提督「どうした? 個性的が過ぎる姉妹たちのことか?」

三日月「いえ、そうじゃなくて……。よく初霜ちゃんと間違えられるんですよね。初霜ちゃんも私と間違えられてるようで」

提督「そりゃ間違えるやつの見る目がないだけだろ。俺はわかるぞ」

三日月「本当ですか?」

提督「当たり前だ。何ならつれて来て見るがいい」


……艦娘呼出中……


提督「さーて俺は椅子に座って後ろを向いている。どっちがどっちだか当ててやろう」

初霜「そういえば昔は床の軋みでどの艦娘か当ててたりしてたけど」

三日月「直しちゃったからねぇ。あ、振り向いて大丈夫です」

くるり、と椅子を180度回転させる。

提督「単装砲しか持ってないほうが三日月。初霜は連装砲も持ってる。艤装外しとけ」

提督は再度後ろを向く。

提督「それに魚雷管の位置も違うしな。腰が初霜、三日月は足首だ。全く、見間違える奴らの気が知れん」

三日月「じゃあ、艤装解除して……」

初霜「振り向いて大丈夫です」

クルリ

提督「黒セーラーが三日月、ブレザーが初霜。裸になれとは言わんが雷か電あたりから服借りてきたらどうだ」

クルリ

三日月「案外見てるんですね……」

提督「案外とは何だ案外とは」

468: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/30(木) 22:38:05.54 ID:DGYSwa/lo
……艦娘着替え中……

三日月「これなら!」

初霜「どうです?」

クルリ

提督「赤目が初霜、金目が三日月。カラコン……はないからそこのサングラスでも使うか?」

クルリ

初霜「すごくよく見てますね、提督」

三日月「そうね……。あ、準備できました」

クルリ

提督「アホ毛付いてるほうが三日月、髪の毛後ろで束ねてるほうが初霜」

クルリ

三日月「もうこうなったら意地ですね」

初霜「お風呂場借りますね」

ザバザバ

提督「だんだん本来の目的から離れてる気がするぞ……」


三日月「これならどうです司令官!」

初霜「これなら提督でもさすがにわかりっこありません!」

提督が振り向くとそこにはヨ級じみて濡れた髪の毛を垂らした少女が二人。

提督「……今司令官呼びしたほうが三日月、提督呼びしたほうが初霜。そもそも初霜のほうが声高い」

三日月「さすが司令官ですね。じゃあ……」

初霜「これが最後の問題です!」

二人がパネルを出す。そこには駆逐艦の写真が二つ。名前があったと思しき部分は修正が施されている。

三日月「どっちが『三日月』で」

初霜「どっちが『初霜』でしょう?」

提督「うぐっ」

三日月「あ、ヤマカンはダメですよ? 理由も添えてくださいね?」

提督「……ぐぬぬ」

474: ◆jf7rnHhSH2 2014/10/31(金) 22:21:39.52 ID:DX6owjOJo
――― 怒らせてはいけないのだ ―――

荒潮「あらあら、うふふ」

提督「荒潮って何つーか、怒らせると恐そうなんだよなぁ」

荒潮「そーぉ?」

提督「怒らせたら恐いと思われる駆逐艦娘で五指に入りそうなくらい」

荒潮「他には誰が入ってるのかしら?」

提督「荒潮以外には……夕立だろ、綾波だろ、弥生だろ、あとは……不知火かな」

荒潮「へぇ~」

提督「あくまでイメージなだけで実際恐いかどうかは別だぞ」

荒潮「第一印象と実際が違うってこともよくあるわよね」


所変わって鎮守府海域近辺。

荒潮「そこね」ドコーン

提督「よーし、魚雷ぶっ放したら戻っていいぞ」

だがここでアクシデント。ホ級の魚雷が荒潮に当たったのだ。

荒潮「あらあら。痛いじゃない……」

煙幕を張りながら撤退するホ級。

荒潮『撤退中の軽巡洋艦の追撃、意見具申しまぁす』

提督「……まぁいいけど危なくなったら退けよ」

荒潮『はぁい』

拘束から解き放たれた猛犬のように煙幕に飛び込む荒潮。

荒潮「逃げられないって言ったでしょ? 仕方ないわねぇ」

砲撃音とは思えぬ、肉がちぎれ、硬いものが砕ける音が無線から響き渡る。

荒潮『敵艦、撃沈しましたぁ。鹵獲します?』

提督「……いや、いい。帰投して遠征の準備するように」

荒潮『了解でぇす』


彼女は怒らせないようにしよう。提督はそう決意した。

479: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/04(火) 21:51:07.11 ID:JJ86evI0o
――― 1-4の話 ―――

これまでのあらすじ:

提督と雪風と愉快な仲間たちは戦艦ル級率いる艦隊を退治し、製油所沿岸に平穏を取り戻した。
戦艦ル級……油断ならぬ強敵であった。

しかし、南西海域防衛線に現れた軽空ヌ級・空母ヲ級による爆撃により艦隊は大打撃を受け、撤退せざるを得なくなった。
この苦難に対し、猫吊るしは『ヌ級に勝てばヲ級に対抗できる正規空母を与えよう』と言う無茶振りをしてきた。
そして、新たに建造された飛鷹とともにヌ級を撃沈し、帰還した提督の前に現れたのは……。

赤城「航空母艦、赤城です。空母機動部隊を編成するなら、私にお任せ下さいませ」

提督「こちらこそよろしく。……これでヲ級に対抗できる、と言うんだな?」

猫吊「もちろん。航空攻撃の強さは飛鷹の活躍で分かったでしょ。二人もいれば余裕余裕」

提督「……余裕なのはいいが艦載機が足りないんだが」

猫吊「造れよ」


そんなこんなで装備を整え、南西諸島防衛線、主力部隊遭遇地点。


雪風『敵艦隊、発見しました!』

提督「よし、赤城と飛鷹は第一次攻撃隊を発艦! 他のものは敵艦載機に備えよ!」


飛び交う艦載機。空母がいないときより明らかに敵の攻撃が和らいでいる。

赤城『敵駆逐2、撃沈しました』

提督「そのまま一気に攻め立てろ!」


艦娘戦闘中……


赤城『空母ヲ級、撃沈』

雪風『敵艦隊、撃滅しました!』

提督「素晴らしい。帰ったら宴会だな」

赤城『この勝利で慢心していては駄目。索敵や先制を大事にしないと……』

提督「ふむ、それもそうだな」

赤城『……って頭の中で何かが』

提督「……急に不安になって来たぞ」


帰投後、資材庫


提督「これで艤装の修繕と補給完ry……ボーキがごっそり減ってるんですけど?」

猫吊「当たり前じゃないですか。空母の艦載機は消耗品。補充にボーキがいります」

提督「飛鷹だけのときはこんなに減らなかったけど?」

猫吊「そりゃ正規空母のほうがたくさん積んでる分消費も多いに決まってるじゃないですか。消耗減らしたかったらなるべく制空権とってね」

提督「ぐぬぬ」

480: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/04(火) 21:53:47.27 ID:JJ86evI0o
最初から4スロある正規空母ならだいたいボーキぽこじゃか食います(震え声)

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

481: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/04(火) 22:00:01.00 ID:eZHs08P5O
磯波


次回 【艦これ】泣き虫雪風と釣り人提督 Part2 後編