【艦これ】泣き虫雪風と釣り人提督 Part2 前編

486: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/05(水) 22:09:24.91 ID:gkzHyT2to
――― 給与体系どうなってんの? ―――

磯波「しばらく有休をいただいてもいいでしょうか……あ、いえっ、なんでもないです……」

提督「……有休とかどうとか以前にそもそも給料払ってたっけ?」

磯波「あ、はい。 毎月末に口座に支払われてます」

提督「えっ」

磯波「艦娘の給料は提督が管理しているのでは?」

提督「いや給与関連の資料なんざ見たことも聞いたこともない」

磯波「いったい、誰が……」

提督「猫吊るしだな」

猫吊「はーい呼びました?」

提督「磯波が有休とりたいと言ってるんだが」

猫吊「休めばいいんじゃないですかね? 軍人は休めるときに休むのも仕事のうちですし」

提督「テキトーだな」

猫吊「休まず出撃させて海の底に戻したいんですか?」

提督「いやいやそんな」

磯波「……じゃあ、休んでもお給料減らされたりしないんですか?」

猫吊「当たり前じゃないですか」

磯波「よかったぁ。では提督、お休み取りますね」

提督「あ、あぁ。ゆっくり休め」

猫吊「めでたしめでたし」


提督「……んなわけねーだろじゃあ俺の給料はどうなってんだよもらった覚え無いぞ」

猫吊「間宮で三食摂れて制服と住居まで支給されてるのに何文句言ってんですかこいつ」

提督「住居はもともとは俺のだろぉぉぉぉ!?」

猫吊「仕方ないですね、はいこれ」ジャラジャラ

提督「家具コインで嗜好品が買えるわけないでしょぉぉぉ!?」

引用元: ・【艦これ】泣き虫雪風と釣り人提督 Part2 



487: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/05(水) 22:10:29.84 ID:gkzHyT2to
磯波のおさげはいつもふたつ!!

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

488: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/05(水) 22:13:59.03 ID:dkw+vV57O
艦娘と戯れられるという最高の特権があるから現物支給でも仕方ないな
安価は五十鈴でお願いします

490: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/06(木) 22:10:57.28 ID:nKuQ5Pjlo
――― 対空はいくらあっても足りない ―――

五十鈴「ふふっ。十分だわ。……戦える!」

提督「これで改造完了、と」

鎮守府、工廠。近代化改修や改造などもここで行っている。

提督「じゃ、五十鈴、装備を外して保管頼むよ」

そう言って提督は先ほど改造した五十鈴とは別の五十鈴――五十鈴改二に声を掛ける。

五十鈴は五十鈴で慣れたもんだとばかりに自らの分身をポン、ポンと叩く。叩かれた少女の姿は消え、4枚のカードになる。五十鈴のカードに装備カード3枚。

艦娘は神霊である。故に同一艦娘が複数顕現しても問題はない。が、艦娘寮のスペースなどの問題で重複した艦娘は神霊を封じ込めたカードとして保管される。

五十鈴「それにしても提督、溜め込みすぎじゃない?」

カードを提督に手渡しながら、五十鈴がぼやく。これで既に五十鈴改のカードは8枚目である。

提督「一部の艦に改二が来るし改造したらさくっと改修も終わらせたいしな」

そう言いながら受け取ったカードをカード帳に仕舞いこむ。

五十鈴「それにしても、水偵外したのは失敗だったかなぁ……」

提督「あの頃はまさか水偵が最重要装備になるなんて思わなかったからなぁ」

五十鈴「防空対潜に特化するなら不要なんだけど……それでも楽しそうだし……」

提督「深海側は防空対潜の上に観測射撃可能な軽巡まで持ち出してきたしなぁ」

五十鈴「うぁぁぁぁ……」

491: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/06(木) 22:12:13.53 ID:nKuQ5Pjlo
五十鈴以外に最上、ちとちよ、伊勢型、摩耶は改(ちとちよは航)まで育ててから改修に回したほうが良さそうな気がする

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

492: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/06(木) 22:16:15.60 ID:gntPuqUCo
若葉

499: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/07(金) 22:27:47.22 ID:m8V16osmo
――― 見てるだけ ―――

これはAL/MI作戦終了後間もなくの話。鎮守府、執務室。

提督「……?」

雪風「どうしました、しれぇ?」

提督「いや、なんか視線を感じてな」

雪風「んー、窓の外見ても誰もいませんよ?」

提督「うーむ、初風か?」

雪風「初風お姉ちゃんは遠征中です」

提督「となると、青葉か? ちょっと回り探ってくるか」

雪風「雪風もお供いたします!」


??「フフ……」


鎮守府、埠頭。


提督「……おかしい。やはり誰かに見張られている気がする」

雪風「電探使ってみますね!」

Ping...Ping...Ping...

雪風「9時方向に多数の反応があります!!」

提督「工廠じゃん。修理中の艤装やカードにせず保管してる装備に反応してるだけだろ」

雪風「むー……」


??「フフッ……」

500: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/07(金) 22:29:00.58 ID:m8V16osmo
重巡艦娘寮、青葉型の部屋前


提督「青葉ァ!!」

衣笠「提督? 青葉がまた何か?」

提督「いや、なんかさっきからずっと視線を感じてな。青葉じゃないかと思ったんだが」

衣笠「青葉なら印刷所行ってると思うけど」

提督「じゃあいったい誰が……」


??「フフフ……」


駆逐艦娘寮。夕雲型の部屋前

提督「そういやもう一人しそうなのに心当たりあった」

雪風「しれぇの気のせいでは……?」

提督「巻雲も俺のこと監視してたはずだ」ガチャ

夕雲「あら提督、何か御用?」

そこには夕雲と……

巻雲「んふふ……夕雲姉さまぁ……Zzz」

絶賛お昼寝中の巻雲の姿があった。

提督「巻雲でもない、だと……!?」

雪風「かくかくしかじか」

夕雲「まるまるうまうま、というわけね。ちょっとそこで待ってて」

夕雲は得心したように頷くと、提督と雪風の横をすり抜け、部屋を出て行った。

提督「……あれ、さっきまであった視線が感じなくなった」

夕雲は程なく戻ってきた。早霜をつれて。

夕雲「きっとこの子の視線を感じてたのね」

早霜「私はこうして…いつも見てるだけ。見ています…いつでも……いつまでも」

提督「なにそれこわい、というか俺も雪風も全然見つけられなかったんだけど」

雪風「うー、しれぇは渡しません!」

早霜「安心して。見てるだけだから……」

提督「いやそれはそれでこわい」

501: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/07(金) 22:33:26.48 ID:m8V16osmo
実は早霜は触りまくっても怒らないタイプ

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

502: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/07(金) 22:50:21.41 ID:Y4kPJ36aO
敷波

505: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/10(月) 22:33:50.28 ID:umkOcQwOo
――― 備蓄の準備は出来てるか? ―――

鎮守府、執務室。海軍史に疎い提督は、たまに艦娘を呼んで作戦の概要などを聞いたりする。
70年以上前の話なのであいまいな部分とかもあったりするが何も情報がないよりは参考になるのだ。

敷波「アタシ呼び出すなんてどうしたのさ、司令官?」

提督「猫吊るしからの情報で近々渾作戦とやらをやるということになってな。話を聞こうと思ったわけだ」

敷波「さっき春雨呼んでなかった?」

提督「呼んで話を聞いてたはいいんだが途中で泣き出してな」

敷波「そりゃそうでしょうよ、渾作戦中に沈んだんだから……」

提督「うむ、彼女には悪いことをした」

敷波「まったく……」

提督「で、作戦の概要は聞いたんだが誰が参加したかなー、って」

敷波「そんなの聞いてどうすんのさ」

提督「もしかしたらこの作戦にゆかりのある艦娘が出るかもしれないかなーと思って」

敷波「未着任のだと浦波が来たらうれしいけどさー……前回思い出してみてよ」

提督「早霜と清霜だな……清霜は結局見つからなかったけど」

敷波「うん。だからさー、あんまり期待しちゃいけないと思うんだ」

提督「うーむ、それもそうか」


執務室前、廊下。

舞風「野分……野分ぃ……」

その隣で舞風は瀕死!!

野分も第三次渾作戦に出撃予定だったのだ!!

506: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/10(月) 22:35:13.71 ID:umkOcQwOo
時雨「この後提督は春雨を泣かせたかどで、しました」
夕立「したっぽい?」

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

507: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/10(月) 23:45:41.45 ID:1EG9TW8M0
加賀

511: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/11(火) 22:31:06.89 ID:yAqtPzORo
――― 二度とダメコン無しの大破進軍なんてしないよ! ―――

鎮守府、艦娘寮広間。

提督が最近入ってきた駆逐艦娘に、北方海域の話をしていた。

北方海域。そこには深海棲艦の大規模な泊地が存在した。

そこはフラグシップクラスのル級を複数配備するほどの一大泊地であった。

ここを叩かず南方に進めば日本の北半分を取られかねないほどに。

提督「あの日の出来事は忘れたことはない……」

~~~~~~

北方海域の攻略を困難にする要因は二つ。一つは類を見ない強力な敵艦隊。いま一つは荒れ狂う海流。

羅針盤が泊地から外れた方向を指すのはもはや日常茶飯事と言ってもいい。

提督たちはこの二つに存分に苦しめられていた。

提督「敵の攻撃で一人は大破し、もし大破なければ航路を逸れる。クソ●●野郎どもめ……」

精鋭を投入しても状況が変わることはなかった。まだ大和型もなく、観測射撃の技術も未習得の頃の話である。


そんなある日……。

北上『敵艦隊撃滅したよ。こちらの被害は……加賀さん大破。戻ります?』

提督「……」

遅々として進まない北方泊地攻略。提督の頭の中では恐るべき考えが渦巻いていた。

提督(北回りルート。ここで進めば敵泊地に確実に到達する)

提督(加賀は近代化改修用に保管したのがいる。このまま進めて沈めた場合、烈風と流星改2つと彩雲とここまでの練度を失うことになる)

提督(……あとは皆からの信頼か)

提督「……進撃、だ」

北上『うぇ!? 提督、正気!?』

いつもマイペースな北上もこのときばかりは冷静さを失っていた。

提督「あぁ。敵泊地を、落とせ」

北上『正気とは思えないよ。加賀さんはどうなのさ』

加賀『……提督が、そう仰るのなら』

通信機を介しているため表情はわからないが、その声は心なしか震えていた気がする。

提督「これは俺の決断だ。いくら恨んでも構わん。……だが、全力は尽くせ。生き延び、敵を屠る事に」

加賀『わかりました』

512: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/11(火) 22:32:02.74 ID:yAqtPzORo
提督「……そして北上たちはヲ級フラグシップ率いる泊地の敵艦隊に突入したわけだ」

浜風「その後はどうなったんですか?」

提督「加賀がどうなったか……。本当に、知りたいか?」

谷風「やっぱり、爆撃か何かを受けて……うぅ恐ろしいねぇ」

浦風「まぁ提督さんの顔見ればオチは見えとるけぇ、はよ話しぃや」

提督「へいへい。じゃあそのときの証人を呼びますか。おーい、加賀ー」

加賀「はい」

谷風「ふぁぁ、お化けー!!」

加賀「頭にきました」

提督「いや、まぁ落ち着け」

加賀「結論から言えば、戦闘開始から終了まで一発たりとてこっちに弾も魚雷も来ませんでした」

浜風「それはすごいです……」

浦風「やっぱり生き残ったんじゃのぉ」

提督「あの時は遠くで見ててもひやひやしたぞ」

加賀「……もしかしたら雪風のおかげだったのかもしれませんね」

提督「?」

加賀「出航前に『雪風がいなくてもしれぇのこと守れるよう幸運の女神のキスをあげます!』って頬に」

提督「あいつ、そんなことしてたのか……」

加賀「ええ」

提督「まぁこんなことがあったからもうダメコン無しでの大破進軍はしないことにした、ってわけさ」

加賀「でもダメコン載せての突貫は容赦なくやるようになりましたよね」

提督「それは、まぁ、その」

515: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/11(火) 22:57:34.58 ID:yAqtPzORo
弥生了解ー

516: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/12(水) 22:41:38.44 ID:HtsgqYINo
――― やはり怒っているのでは? 提督は訝しんだ ―――

弥生着任直後あたりの話。

弥生「初めまして、弥生、着任……」

提督「これで睦月型もあと3名か。……表情がすぐれないが、なんか気分でも悪いのか?」

弥生「あ、気を使わないでくれていい…です」

提督「そうか……まぁ調子悪かったら言えよ」

弥生「はい……」

~~~~~~

弥生「……」

提督「……やっぱり不機嫌なようにしか見えない」

睦月「弥生ちゃんはいつもあんな感じですよ?」

如月「そうそう」

提督「でもなぁ」

望月「本人に聞けばいいんじゃね?」

提督「それも一理あるな」

~~~~~~

提督「……弥生、怒ってるのか?」

弥生「え…? 弥生、怒ってなんかないですよ?」

提督「本当に?」

弥生「だから、怒ってないんですって……」

提督「……うーむ、本人はそういうけど腑に落ちぬ」

~~~~~~

所変わってキス島周辺海域。

弥生「いっ、たっ……!」

睦月「弥生ちゃん、大丈夫!?」

弥生「やってくれたね……怒ってなんかないよ、怒ってなんか……」


提督(……やっぱり怒ってるんじゃ……?)

517: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/12(水) 22:44:45.57 ID:HtsgqYINo
鉄と燃料は300K達成……もはや慢心はありえぬ(慢心)

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

518: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/12(水) 22:51:19.56 ID:EvYRYmoH0
瑞鶴

528: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/13(木) 22:54:27.61 ID:CJCHMIg9o
鎮守府、執務室。部屋にはただ二人。一人は提督、もう一人は猫吊るしである。

「……ついに来たか。渾作戦」

「ええ。これが最新情報です」

猫吊るしから受け取った書類に素早く目を通す。作戦は三段階に分かれると言う。

「ふむ、なるほど……。第二次攻略で秋月か……。第三次で海外の重巡かな」

「さぁ、どうでしょうね?」

「ふん、言を濁しやがって……」

特に表情を変えることなく応答する猫吊るし。

「第一次と第二次は同じ艦娘戦力の投入も可能……おい」

「はい、なんでしょう?」

「第三次はどうなんだ」

提督の詰問も猫吊るしの表情を変える事はなかった。だが……

「おい、あからさまにそっぽ向くな。おい」

少女はしぶしぶと言った感じで提督のほうに向き直る。手にした猫をぐるぐる振り回しながら。

「……答える気はないようだな」

「これ以上、追求しますか?」

「やめとくよ」

彼女が猫を振り回し始めるのは警告である。次はお前がこうなる番だ、という。

一度警告を無視して締め上げようとしたところ、自分が振り回されていた。その後ベッドで目覚めるところまでの記憶が丸ごと吹き飛んだ。

「……まぁともかく、やるしかない」

「続報は追ってお知らせしますね」


Kantai Collection 2014 Autumn Event コンカー・ザ・コンクエスト


近日公開未定!!

529: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/13(木) 22:55:46.64 ID:CJCHMIg9o
むしろやってない方をあげたほうが節約になるのでは

BB・SS
おわり

CV
千歳・千代田・大鳳

CA
妙高・足柄・利根・筑摩・(プリンツオイゲン?)

CL
名取・大淀

DD
卯月・文月・菊月・望月
白雪・深雪

初春
村雨・涼風
大潮・霰
黒潮・初風・谷風
夕雲・巻雲・長波・(清霜)
(秋月?)

other
明石・伊良湖

朝潮小ネタについてはイベント中ないしイベントが終わったら投げます

534: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/15(土) 21:57:22.31 ID:EKL7oAvwo
大規模作戦において、情報収集は何よりも大切である。

「対空の強化、ねぇ……」

資料をめくる。猫吊るしが適宜積み上げていく資料は読んでも読んでも追っつかないので適当に飛ばし読みをしていく。

「ふむ……新規実装は秋月にプリンツ・オイゲンに、朝雲に……野分」

その名を呟いた直後、執務室のドアがぶっ壊れそうな勢いで開いた!

そう、舞風である。

「提督、今なんて言いました?」

「秋月」

「もうちょっと後」

「プリンツ・オイゲン」

「後」

「朝雲」

「その次」

「野分」

「来るんですか!? 本当に来るんですか!?」

「えーと、資料によると、渾作戦で誘引された機動部隊を殲滅した暁に、とのことだが」

「提督、やりましょう! 是非やりましょう!! 完遂しましょう! 暁の水平線に勝利を刻み込みましょう!!」

舞風はそう叫ぶと赤い靴を履いたカーレンのごとく踊り狂いながら執務室を後にした。

「お、おう」

提督の返事は執務室に虚しくこだました。


かくして、渾作戦は幕を開けたのだった。

539: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/17(月) 22:48:07.67 ID:QwhBInwCo
次回予告!!

「雲龍……入れといてなんだが、メンツから外す」
「えっ」

「未確認の敵艦を発見! 巡洋艦クラスです!」
「……お供のフラ戦のほうが強そうじゃね?」

「別にすごく硬いとかもなかった」
「まぁ新型とはいえ重巡ですしね」

コンカー・ザ・コンクエスト 第一話「重巡リ級改の二の舞いってレベルじゃねーぞ」

現象が発生しなければ明日投下します

542: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/18(火) 22:39:09.28 ID:iKSM3+jJo
「朝起きたらぷかぷか丸が戦艦みたくでかくなってた件」

「ふふふ、これぞ水上打撃連合艦隊用艦娘移送母艦、ぷかぷか丸Drei!!」

装いを新たにしたぷかぷか丸を前に唖然としている提督に猫吊るしはドヤ顔で説明した。

「しかし連合艦隊ねぇ。んじゃ空母を二人入れて」

「ダメです。正規空母は複数不可です」

「めんどっちぃ制限だなぁ。じゃあこれは?」

「ダメ」

「うー」

543: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/18(火) 22:40:51.54 ID:iKSM3+jJo


コンカー・ザ・コンクエスト 第一話「重巡リ級改の二の舞いってレベルじゃねーぞ」


「主力艦隊担当、伊勢、日向、最上、三隈、羽黒、雲龍。護衛艦隊担当、大淀、初春、夕立、時雨、綾波、木曾」

ずらりと並ぶ12人の艦娘。

「そうか……航空火力艦の時代か……もが「初っ端から結構戦力出してるけど別働隊は大丈夫なの?」

扶桑から預かった瑞雲12型を手に浮かれている日向を遮るように伊勢が質問する。

「問題ない。AL/MIで部隊を三つに分けようが作戦を遂行できるほどに練度があるし、あの頃より更に向上している」

「むしろ第二艦隊のほうが心配じゃな。改二艦をこんなに出して大丈夫かや?」

「第二次作戦を見据えての構成だ。第一次作戦完了後、引き続き任務に当たってもらう。というかそっちが本番だな」


南西方面海域。

威風堂々と突き進む連合艦隊と、その後を追うぷかぷか丸。

「そもそも最初から12隻でいけるなら行けってもんだよなぁ」

「二艦隊同時運用ってのも大変なんですよ。羅針盤が荒れ狂いますし。今回だってミッドウェーで培ったノウハウをですね」

『敵艦隊発見、交戦開始します!』

猫吊るしのくだくだしい説明を遮るように大淀からの通信が入る。

「……ん? あれ? 主力艦隊から攻撃してないか? 前は護衛艦隊からだった気がするんだが」

「水上打撃艦隊は主力がまず交戦して戦力を削ることで、切り札である護衛艦隊の夜戦火力を護持する方式なんです」

「ふーん。しかし、敵弱いな?」

「まぁ向こうも哨戒に最新鋭を回す余裕はないんでしょう」

暢気に会話する提督と猫吊るし。

だが、敵艦はほとんど金色に輝くフラグシップであり、光ってない艦は手足が生えている。

もしここに新人の提督がいれば吐瀉物を撒き散らしたのち失禁は免れ得ないであろう。

このような状況下でも平常心を保っていられるのは一年以上に及ぶ最前線への出撃の賜物である。

544: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/18(火) 22:44:09.85 ID:iKSM3+jJo
深海棲艦、南方前衛主力艦隊。ネ級を初めとした水上打撃艦隊が手薬煉を引いて待っていた。

「艦娘達が来るって? いい度胸じゃん。ツ級の反省を生かしていきなりEliteでロールアウトしたネ級の力、見せてやろうじゃん!」

「偵察機より報告。敵艦隊接近中だ。戦闘準備指示を」

タ級が簡潔に報告する。ネ級の合図で単縦陣を取り、交戦体制にうつる。

「お、来た来た。賑やかな艦隊だねぇ……って倍ぐらいいるんd」

ネ級の言葉はそこで途切れた。どこからともなく飛んできた砲弾に首から上を吹き飛ばされたのだ。

「ク、クセモノダー!!」

タ級が急いで指揮を引き継ぐ。二番艦はリ級だが彼女には明らかに荷が重い。

だが、多勢に無勢。しかも木曾から放たれた魚雷がタ級を狙っていた。

545: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/18(火) 22:47:03.41 ID:iKSM3+jJo
「……あれ、帰投命令なんか出したか?」

ふと気が付くと艦娘たちがぷかぷか丸に帰投していた。

「なんか敵がいなくなっちゃったから」

「えー……。戦力ゲージどうなってる?」

伊勢の報告に半ば呆れながら猫吊るしに確認する。

「あ、ちゃんと減ってますね。1/4くらい」

「気づかないうちに沈めてたの?」

「艦載機を放って挨拶代わりに砲撃したら何か旗艦らしきヤツが沈んでてな。音的には重巡洋艦だったな。リ改あたりだろう」

提督の問いに日向が肩をすくめる。

「……今度はちゃんと確認しような?」

「まぁ、そうなるな」


「しっかし……四戦すると消費多いなぁ。三戦でいけないかな?」

ルートを確認しながら提督がぼやく。

「空母なしで軽巡いれると三戦でいけますよ」

提督のぼやきに速攻反応する猫吊るし。

「それを先に言え」

「今入った新情報です」

「まぁいい。神通を投入するか」

546: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/18(火) 22:48:17.47 ID:iKSM3+jJo
「雲龍……入れといてなんだが、メンツから外す」

「えっ」

「なんか空母入れないほうが羅針盤が安定するらしくてな」

「せっかくの本格的な実戦だったのに……」

「すまんな……まぁ後々活躍する機会もあるかもしれないし」

もちろんそういうことはなかった。なかったのだ……。


艦娘進撃中……


『未確認の敵艦を発見! 巡洋艦クラス!』

伊勢が報告する。提督も望遠鏡で艦影を確認する。リ級とは別の、赤く光る深海棲艦。

「……お供のフラ戦のほうが強そうじゃね?」


新しいからといって大したこともなく、至近弾すら来ることもなく敵艦が次々と沈んでいった。

「別にすごく硬いとかもなかった」

『新型とはいえ重巡ですしね』

三隈が鹵獲したネ級を甲板にどさりと下ろしながら、このぐらいどうと言うことはない、と言った感じで返事する。

とはいえエリタが装甲88、エリネが装甲89なので実際のところ下手な戦艦より硬い。慣れと言うのは恐ろしいものである。

なお、鹵獲されたネ級は雫だけ取り出されて解体されました。雫の中身は金剛型だったので回収に回されました。

547: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/18(火) 22:49:22.37 ID:iKSM3+jJo
次回予告!!

「駆逐のみで行くんだろう? 俺は詳しいんだ」
「軽巡使えますよ」

「夜戦……だと……」
「でも敵構成大したことないっぽい」

「あれ、春雨? こんなところで何を……」
「やらせは……しないよ!!」

いったいどうなってしまうのか!?

コンカー・ザ・コンクエスト 第二話「船尾の喪失=両太ももより下切断」

有害なツ級……

554: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/19(水) 22:53:53.91 ID:97gbqRrio
「第二次渾作戦……。かつて駆逐艦のみで行われたと言う……」

資料を閉じ、提督は猫吊るしを見据える。

「つまり、駆逐のみで行くんだろう? 俺は詳しいんだ。知能指数が高いからわかるんだ」

「軽巡使えますよ」

びしり、と指を突きつける提督に対し、猫吊るしは何言ってんだテメェという感情を込めながら返事をする。

「あ、そうなの? じゃ、遠慮なく大淀と神通出そう」

「どうぞご自由に」



コンカー・ザ・コンクエスト 第二話「船尾の喪失=両太ももより下切断」



555: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/19(水) 22:55:12.63 ID:97gbqRrio
「というわけで第一次に引き続いて、大淀、神通、初春、夕立、時雨、綾波の六名で突破してもらおう」

大淀以外は改二、大淀はもともと強いので戦力に不足なし。

「今度こそ活躍出来るっぽい?」

「もちろんだ」

「第一次では残党狩りぐらいだったしね。それも滅多に残らないし」

「いや、ホント第一艦隊だけで大体済んでたしなぁ」

先の海戦では、木曾を除く護衛艦隊は暇を持て余していた。つまりはここが活躍するチャンスと言うことである。

「潜水艦もいるらしいが……まぁエリカ程度だし対潜装備については別にいいか」


そんなこんなで出撃する提督ご一行。

「東ルートか……」

『敵艦隊発見! ツ級を旗艦とする軽巡艦隊です!』

「さくっとたたんでしまいましょ」


艦娘戦闘中……


「よーし、雷撃かまして離脱だ」

ツ級を残して雷撃をかます艦娘たち。だが、ツ級も最後っ屁とばかりに魚雷を放っていた。

KABOOOOM!!

『まっ…まだ…戦える…はずです……!』

ツ級は狙い過たず綾波を大破させた。そして溶鉱炉に沈み行く某ターミネーターの如く、巨大な手の親指を立てながら沈んでいった。

「いや戦えないよ撤退撤退ー!」

556: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/19(水) 22:56:34.12 ID:97gbqRrio
修理と補充を行ない再挑戦、今度は北ルート。

『敵艦隊発見! リ級Eliteを旗艦とする重巡艦隊です!』

「敵弾には注意しろー」

などと言ってるそばから砲弾の当たる音。

『もぉ~、ばかぁ~! これじゃあ戦えないっぽいぃ!?』

「……中破か。夕立だし大丈夫大丈夫。後期駆逐ぐらいなら当たれば沈む。進もう」

『うー……』

割とこの辺ドライである。

『夕立ちゃん、こういうときは戦いにくいって言うんですよ』

神通がアドバイスするがそういう問題でもない。艦娘とはいえ痛いものは痛いのだ。


『夜戦煙幕を確認しました。夜偵発艦、探照灯起動』

「夜戦……だと……」

夜戦煙幕。日中でも暗所を作り出す深海棲艦の秘密兵器。撤退時に使用したり、要所の待ち伏せに使用したりと活用範囲は広い。

南方海域での大規模な煙幕に対抗するために、対夜戦装備もいくつか開発された。その一つ、探照灯の光が夜闇を切り裂く。

照らされるは見覚えのある敵艦。

『でも敵構成大したことないっぽい』

夕立の指摘どおり、夜戦がそれほど強くないとされる相手ばかりである。

重い一撃の打てない相手など夜戦で本領発揮する水雷戦隊の敵ではない。

「不意打ち用ではなく、何かを隠したかった……? この先に何が……?」

そして提督と艦娘たちは目標地点へ舳先を向ける。

557: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/19(水) 22:58:18.26 ID:97gbqRrio
「ここの嚮導艦隊を撃滅するのが目標だが……何かいたか?」

『……電探に感あり……あれは……?』

時雨が何かを発見したが言いよどむ。

「どうした、時雨?」

『あっちの岩陰に一隻。でも、何で春雨が……?』

確かに岩陰に特徴的な丸い帽子と束ねた長い髪のシルエット。腰から下は海面下に沈んでいるように見える

「春雨? 遠征に出てるはずだが」

『たしか、南西海域への遠征だったっぽい?』

『はぐれて動けなくなったのかな? ちょっと確認してみるよ』

「よし、大淀および他の艦は奇襲に備え時雨をバックアップせよ」

『了解です』

時雨がゆっくりと、春雨らしき艦に接近する。

『……春雨じゃ、ない!?』

時雨が気づくのと同時、

「やらせは……しないよ!!」

ザバァ、と全身を現す。春雨に似た深海棲艦はヒトの腿より下が存在しなかった。代わりに異形の艤装が取り付いている。

水面下に伏せていたのか他の深海棲艦も次々と浮上する。バックアップに回った艦娘ごと囲む格好である。

『くっ、囲まれました!』

「うん、様子がおかしいとは思った」

提督は納得したように頷くと、一つの命令を下した。

「航空支援部隊、やれ」

上空から降り注ぐ流星・彗星の群れ。艦娘達を取り囲んでいた敵艦を次々と撃沈していった。

「備えあれば憂いなし、だ。蒼龍、戦果はどうだ?」

『敵陣、半壊です。残りは水雷戦隊の皆さんにお任せします。ただ……』

「ただ?」

『あの敵旗艦と思しき艦、流星改の魚雷の直撃に耐えてました。ただの駆逐じゃなさそうです』

「だろうな。ヤツを仕留めれば勝ちだろう」

558: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/19(水) 22:59:08.67 ID:97gbqRrio
時雨たちは残った艦と交戦を開始していた。

「春雨ちゃんの姿に化けて出て来たっぽい!?」

「そうか……ここは春雨が沈んだ海。彼女の負の感情をより集めて作ったのかも……」

「いつだったか雪風ちゃん攫ってやろうとしたように?」

「かもね。こんなの量産されたら相当不味いことになるよ……!」

夕立と時雨は右へ、左へ砲弾や魚雷をかわしながら自分たちの妹に似た深海棲艦、駆逐棲姫に肉薄する。

岩場の先、洞穴の奥へ誘いこむように駆逐棲姫は引っ込んでいった。

「……これは僕たちが決着をつけるべき相手だ。いくよ、夕立。大淀さん、探照灯を」

「っぽい!」

「気をつけてね」

探照灯が奥に逃げ込んだ駆逐棲姫を照らし出す。一直線に突撃する二人。

「敵、魚雷を構えてるっぽい!」

「壁際までよける?」

「……夕立に任せて!」

そう言うと夕立は更に速度を上げ、庇うように時雨の前に出た。

「時雨ちゃん!」

「うん!」

その直後、夕立に魚雷が着弾し、大爆発を起こした。駆逐棲姫の口角が嗜虐的に歪む。

爆炎が晴れるとそこには水面に倒れる夕立。時雨の姿は、ない。不審に思い、首を傾げる。

559: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/19(水) 23:00:00.05 ID:97gbqRrio


「残念だったね」


彼女が声のした方……上を向くと、時雨のハンドキャノン二門が狙いを定めている。

時雨は夕立を飛び越え、上空から奇襲を行ったのだ!!

二発の発射音。脚部の艤装を完全に破壊された駆逐棲姫は浮力を失い、沈んでいく。


「……体を撃ちぬけなかったあたり、僕もまだまだ甘いね…」

そうつぶやくと時雨は、夕立に肩を貸し、ゆっくり洞窟の出口に進み始めた。

「夕立、大丈夫かい?」

「さすがに死んじゃうかと思ったっぽい……」

「戦闘は終わった。帰ろう」

「……うん!」

560: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/19(水) 23:00:38.02 ID:97gbqRrio
次回予告!!

「またあきつ丸か」
「何か不満なのでありますか?」

「今の、北上さんは見てた!?」
「北上さんは鎮守府で憩ってます」

「何度でも沈めてあげる……」
「それはこっちのセリフだよ何度出張るつもりだよxxxx 」

渾作戦に決着を!!

コンカー・ザ・コンクエスト 第三話「決戦! 水上打撃連合艦隊!!」

雪風の出番……

564: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/20(木) 19:16:56.61 ID:Qhzeaf2uo
なんかいきなり山城の改二が実装されるっぽいんですが。

565: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/20(木) 22:39:29.17 ID:IcL9s8k4o
>>564

提督「……との情報が入った。まさか作戦途中で突っ込んでくるとは思わなかったぞ」

山城「私の竣工日だし。これで、欠陥戦艦とは言わせないし!!」

提督「資材も十分。練度も十二分。さて改造をポチッとな」

担当妖精「進捗ダメです」

山城「……?」

提督「?」ポチッポチッ

担当妖精「ダメだっつってんだろ設計図持ってこいやスッゾコラー!!」

提督「忘れてたてへぺろ」

山城「不幸だわ……」

この後勲章と交換して何とか改造した。

566: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/20(木) 22:40:44.50 ID:IcL9s8k4o
「史実では中断された第三次渾作戦……」

「えぇ、敵の水上打撃部隊を完膚なきまでに叩き潰してください」

「そもそも本来そういう作戦だったか?」

「こういうのはノリですよノリ」

「それに猫吊るしよ、本来こういうブリーフィングはお前じゃなくて大淀がやるべき仕事なのでは?」

「大淀さんなら出撃してるから私が代理に決まってるじゃないですか」


コンカー・ザ・コンクエスト 第三話「決戦! 水上打撃連合艦隊!!」



567: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/20(木) 22:41:33.42 ID:IcL9s8k4o
鎮守府、執務室。猫吊るしによる提督へのブリーフィングが行なわれていた。

「と、いうわけでまだ東から直行するルートは把握できてませんが、強襲揚陸艦を用意し、

 雷巡1以下その他もろもろの条件を満たせば安定して敵主力地点に到達できます」

「ふーん。で、敵の総旗艦は? また未確認の新型か?」

「毎度お馴染み戦艦棲姫です」

「馴染みになりたくねーよばかあほxxxx !!」

「私に言っても仕方ないじゃないですか」

「まぁ面子を選定しようか」


提督選定中……


「というわけで、主力にあきつ丸、ビスマルク、陸奥、利根、筑摩、大鳳、護衛艦隊に川内、潮、響、島風、雪風、大井」

「雪風、いつでも出撃できます!」

艦首魚雷と五連装酸素魚雷を装備した雪風はまさに鬼神。万一逃しても後詰めの大井が仕留める構成である。

他の艦娘も装備を整え、最終確認を行なっている。

「長門姉さんが面子から外されてて拗ねてたけどいいのかしら。それになんで私なの?」

陸奥が疑問を呈する。

「そろそろ例の指輪使えるからだよ。加賀じゃなくて大鳳採用したのも同じ理由だ」

「そろそろとはいえ、まだまだ遠いけどね」

なお、長門には既に指輪を渡してある。

568: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/20(木) 22:45:39.01 ID:IcL9s8k4o
MI作戦に引き続き採用されたあきつ丸は驚きの表情をしていた。

「また、自分が作戦に参加を……!?」

「自分で選んでおいてなんだが、またあきつ丸か……」

「何か不満なのでありますか?」

「今回別に島に上陸するわけでもないのに何であきつ丸で羅針盤が固定できるのか腑に落ちねーんだよ!!」

「海軍のことは自分にはよくわからないであります……」

「まぁなんにせよ、制空抑えるには役立つからな。ほれ烈風3セットだ」

「ありがたい、のであります!」


そんなこんなで出撃。

「今の、北上さんは見てた!?」

「ハイパー北上さまは鎮守府で憩ってます」

などとなんかこじらせる一幕もあったが海流も荒れることなくあっという間に戦艦棲姫率いる艦隊に遭遇。

「へぇ……あれが噂の戦艦棲姫?」

帰還した偵察機をしまいながらビスマルクが呟く。

「そういやビスマルクは相対したことはなかったっけな」

「大和たちに出番持ってかれちゃったしね」

「ま、今回は損耗もない上、連合艦隊だ。数の暴力、思い知らせてやれ。全艦、抜錨!!」

569: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/20(木) 22:46:12.78 ID:IcL9s8k4o
『敵旗艦から通信、であります!』

接敵早々、あきつ丸から通信が入る。

「大した事いってないだろうがなんだって?」

『今つなぐであります』

程なくして、ノイズでざらついた音声が無線から聞こえてくる。

『何度でも、沈めてあげる……』

「それはこっちのセリフだよ何度出張るつもりだよxxxx 」

やはりたいしたことではなかった。


艦娘戦闘中……


『敵艦、五隻撃沈、一隻小破! あとは水雷戦隊の皆に任せるわ!』

主力艦隊の猛攻で残るは戦艦棲姫のみとなっていた。

「支援抜きでこれとか去年より楽だな……」

などとブツブツぼやいていると、

『さぁ、私と夜戦しよ!!』

「おい川内、何言ってるんだ。まだ昼だぞ」

『だいじょーぶだいじょーぶ、煙幕張るまでは多分生き残るから』

「いや出来れば雷撃で仕留めて欲しいが」

提督の望みも空しく、大破状態で追撃戦に突入。

『いやったぁぁぁぁぁぁ!! 待ちに待った夜戦だぁぁぁぁぁぁ!!』

戦闘区域から遠く離れた、提督のいるぷかぷか丸にまで響く鈍い打撃音。何があったかは推して知るべしである。

「……戦艦棲姫も落としたし、これで終わりかな」


「雪風の出番、ありませんでした……」

「もっと酸素魚雷撃ちたかった……」

570: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/20(木) 22:49:38.08 ID:IcL9s8k4o
次回予告!!

休む間もなく襲い掛かる新たなる敵!!

「機動部隊の迎撃を行なってもらいます」
「はいぃ?」
「というかこれがこの作戦の本来の目的ですし」

帰ってきた空母棲姫!

「またアイツかよ。いい加減にしろよ」
「だけど今回は、コレがあります!!」

ハイパーズすら驚愕する硬さ!

「んん? アレに耐えちゃうの?」
「ならもう1セット当てるまでよ!」

空母水鬼の恐怖……


コンカー・ザ・コンクエスト 第四話「最終決戦! 機動部隊を粉砕せよ!!」


雷巡たちの甲標的が敵僚艦を粉砕する……!!

「いやいや、敵旗艦粉砕しようよ」

575: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/21(金) 22:38:48.46 ID:5VsiVfQbo
――― 朝雲のデザインは好きだが次の機会を待とう ―――

渾作戦も終わり、掘りの面子を選定するため、艦娘寮へ様子を見に来た提督。

提督「うーん、やはり改でFuMO持ってくるオイゲンは確定として秋月も育てておきたい……野分はどうするか」

掘りの対象も決めなければならない。無為にだらだらやるのは資材の無駄である。

提督「清霜つれてくれば早霜も少しは大人しくなるかな……明石からも修理施設ねだられてるし」

朝潮「司令官!」

提督「朝潮じゃないか、どうした?」

朝潮「私たちの妹が新たに艦娘になったそうですね!」

提督「朝雲のことだな」

朝潮「いつ着任予定でしょうか!?」

提督「その件だが……あー、ちょっと待っててくれ」

朝潮「司令官が待てと言うなら、この朝潮、いつまででも待つ覚悟です!!」

提督「秋月は対空高いからなぁ。さっさと改にして溜まった五十鈴消化させるか……ブツブツ」


しばらく後、執務室。

提督「んー? E地点で明石? 本当かなぁ」

などと資料を調べているところにドアをバン、と開けて入ってくる闖入者。

満潮「司令官! 朝潮に何言ったのよ!!」

提督「何、って朝雲についてはちょっと待てと言ったんだが」

満潮「待機命令ととっちゃってずっと直立不動で立ちっぱなしよ!! 誤解解いて来てよ! 全く、融通利かないんだから……」

提督「えぇ……どうしてこうなった……」

満潮「ほら、早く!」

提督「いやいや歩けるから。押すなって」

この後ナントカ誤解を解いた。満潮には再度怒られた。

576: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/21(金) 22:41:49.10 ID:5VsiVfQbo
いや、鈴谷や浦風はもういいんだよ清霜や明石が出て欲しいんだよE-1のネ級よぉ……

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

577: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/21(金) 22:44:38.11 ID:qj4xlLIjO
野分

580: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/25(火) 22:51:07.57 ID:AK0HIRwko
「はー終わった終わった。渾作戦は第三次までだからな。野分とかを迎えてとりあえず一区切りだな」

戦艦棲姫を撃破し、母港に戻った提督たち。今までの死闘からすればあっけなさ過ぎるがつまりは成長していると言うことなのだろう。

……12隻による数の暴力だと言うことからは目をそむけて。

「はー、どっこいしょ。後は新型重巡虐t……げふんげふん解体して清霜とか探すかな?」

執務室の定位置に着席して資料を取り上げる提督。だが。

「何言ってるんですか。現実から目を逸らさないでください」

さっきまで影も形もなかったはずの少女。猫吊るし。

「敵水上打撃部隊を完膚なきまでに叩きのめしただろ」

「資料に書いてあったでしょう? 機動部隊もありますよ。というわけで機動部隊の迎撃を行なってもらいます」

「はぃぃ? 誤植かなんかじゃなかったの?」

「というかこれがこの作戦の本来の目的ですし。うまい事釣り出せましたね」

唖然とする提督をよそに猫吊るしは丸めた海図を開く。

「ここ、渾作戦完了に伴いポータルを設置しました。そして敵はパラオ方面からこう、来てます」

そう言いながら凸字状の駒を配置していく。

「そしてこれ。敵総旗艦は新型の空母戦力ですね。コレ、この機動部隊を叩き潰してもらいます」

「まったく、ゆっくり休めると思ったのにまた出撃か……」

「どうせ新たな艦娘探しに出る予定だったんでしょう?」

「まぁな」

「じゃ、いいじゃないですか。資材も大量にあるんでしょう? それに……」

猫吊るしが言葉を切ると同時、金髪の陽炎型駆逐艦娘が窓から飛び込んできた。

「提督ー!!」

そのまま胸倉に掴みかかり、高速で前後に揺さぶる。

「野分を、野分を見捨てるんですか!? ねぇ提督!?」

その艦娘の名は舞風。渾作戦開始から野分中毒症状が急速に悪化してきている。もはや限界一歩手前なのだ!!

そこに猫吊るしが追い討ちを掛ける。

「あなたの義妹がこんなに苦しんでると言うのに、見捨てるのですか?」

「俺の、方が、苦痛、なんだ、が、やめ、とめて」

後頭部に扶桑型の艦橋と見紛うたんこぶの山を生成しながら提督が息も絶え絶え返事をする。

「はいはい、そんなところ野分に見られたら笑われちゃいますよ」

「……はっ!? 提督、大丈夫!?」

猫吊るしの一言で我に返る舞風。提督も後頭部をさすりながらゆっくりと起き上がる。

「……大丈夫じゃないが、まぁいいや。俺の後頭部のためにもその新型とやらをさっさと潰そう」

581: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/25(火) 22:53:06.21 ID:AK0HIRwko


コンカー・ザ・コンクエスト 第四話「最終決戦! 機動部隊を粉砕せよ!!」



鎮守府、埠頭。

「さてと、海域情報もだいぶ詳しく入ってるし、コレを前提に可能な限り最強の戦力を送り込む」

第一艦隊に大和&武蔵、加賀に大鳳、神通に利根。第二艦隊に大淀、島風、雪風、そして雷巡の3人。

この鎮守府でも屈指の布陣である。

「ほへぇ、大和さんたちの上にあたしたち雷巡全員とか豪勢なもんだねぇ」

錚々たる陣容を見て北上が呟く。

「さすがにこの火力なら何者であろうとも夜戦までやって沈まないと言うことはまずないだろう」

「火力と言えば追加の五連酸素魚雷は? 副砲でいいの?」

「艦首と五連は雪風に積んでるし、まぁ雷巡3人なら連撃でも大丈夫だろう」

そんなこんなでぷかぷか丸の前。

「さて、準備も出来たし連合艦隊・機動部隊結成!」

提督が一声挙げるとぷかぷか丸がロボットアニメか戦隊モノの如く大仰な音を立てながら空母に変形した。夏に乗り込んだぷかぷか丸改二である。

「……つーか変形する必要とかあんの? 内装的にはほとんど変わらないし」

提督のぼやきは誰にも聞きとめられることはなかった。

582: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/25(火) 22:54:08.39 ID:AK0HIRwko
パラオ沖。

面子が面子である。加賀・大鳳の航空攻撃からの雷巡トリオの雷撃で交戦開始前から敵は半壊、全員の攻撃が終了する頃には残らず海の底に還していく。

だが、海流の合流点。そこには見覚えのある艦影が艦娘たちを待ち受けていた。

『しれぇ、あれは……』

「なっばっそんな」

驚愕し、打ち震える雪風と提督。

『空母棲姫……また出張って来たか!』

「またアイツかよ。いい加減にしろよ!」

武蔵が敵艦を特定する。それと同時に次々と放たれる、白い球体が牙を剥いたかのごとき艦載機。

『だけど今回は、コレがあります!』

大和が取り出したるは徹甲弾。それも一式徹甲弾。今まで使用していた九一式徹甲弾より精度も威力も上回る。

『護衛艦隊は敵の数を減らせ! 後は私たちが決める!』

武蔵の檄に応えるように護衛艦隊が突撃する。砲撃で牽制し、雷撃距離ぎりぎりから魚雷を叩き込んでいく。

『雷撃完了! 砲撃に備え離脱してください!』

大淀の指示で反転する艦娘たち。敵艦隊は既に空母棲姫を残すのみとなっている。だが敵の第三次攻撃隊が来るのは時間の問題である。

『全砲門、開けッ!!』

それを阻止するように、武蔵の一斉射撃が、徹甲弾が、空母棲姫の発艦口を叩き潰す。

『全主砲、薙ぎ払え!』

大和の追い討ちが、空母棲姫のバイタルパートを貫き、海の底へ叩き落した。

「敵艦隊、殲滅確認。各艦、全速前進!」

583: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/25(火) 22:55:55.12 ID:AK0HIRwko
『敵艦発見。ヲ級改が2隻、タ級フラ1、後期駆逐2、そして旗艦が……アンノウン。報告にあった最新の空母型深海棲艦と思われます!』

「あれが猫吊るしの言ってたヤツか……。追加資料によると空母水鬼と言うらしい。全艦、敵艦隊を粉砕し、暁の水平線に勝利を刻め!!」


艦娘戦闘中……


『夜戦煙幕確認。残敵、ヲ級2と空母水鬼。提督、追撃しますか?』

「オフコース!! 叩き潰せぃ!!」

二隻のヲ級には島風と木曾、大淀と雪風がそれぞれ狙いを定める。そして空母水鬼には大井・北上。

「……勝ったな」

余裕を持って暗視用スコープから戦況を確認する。ヲ級に関しては特に問題ない。

『ギッタギタにしてあげましょうかねぇ』

至近距離からの雷撃と砲撃のコンビネーション。だが、しかし。

『んん? アレに耐えちゃうの? 嘘でしょ?』

大したダメージを食らった様子もなく、悠然と航行を続ける空母水鬼。

『ならもう1セット当てるまでよ!』

続く大井の砲撃にすら耐え切って戦闘海域から離脱する。

「なんて硬さだ……全艦帰投。補充後、再度決戦を挑む」

584: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/25(火) 22:57:10.15 ID:AK0HIRwko
補修と補給を終えて再度の空母水鬼。

『敵艦隊……さっきと違います! ヲ級が装甲空母姫に!』

大淀の悲鳴にも似た報告。だが加賀は冷静だった。

『大淀さん、落ち着いて。敵艦載機は丸いヤツ?』

『……いえ、いつものヤツが混ざっています』

『どうやらまだ全艦配備できるほど手が回ってないみたいね』

その報告を確認し、烈風改、続けて烈風と流星改を空に放つ。大鳳と利根も加賀のあとを追うように艦載機を射出する。

ヲ級改のときより明らかに制空状況がいい。

更に追い討ちを掛けるように敵艦隊に支援砲撃が叩き込まれる。

「よし、姫の片方小破、タ級中破、駆逐撃沈ってところか?」


味方の意気は上がったが敵もさるもの。空母水鬼の艦載機が大井を中破せしめる。

「大井、大丈夫か?」

『北上さんが見てるのに、ここで一抜けなんて冗談じゃないわ!』

585: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/25(火) 22:58:04.47 ID:AK0HIRwko
庇う艦もなくなった今、大和型の砲撃は空母水鬼の艤装をごりごりと削り取っていく。だがまだ、沈まない。

そして日が暮れ行く。闇があたりを包み込む。

「……水雷戦隊、突撃ィ!」

提督の号令の下、六隻の艦娘が空母水鬼を追撃する。

大淀の探照灯が空母水鬼を照らし出し、夜偵が着弾地点を割り出す。

そこに突進するは島風と雪風。更に雷巡の3人が追う。

空母水鬼はデコイの如く残る艦載機をばら撒き、追撃を阻止しようとする。

探照灯の光の中を真っ正直に突き進む雪風。当然そこに艦載機の攻撃が集中する。

『雪風は……沈みません!!』

後ろをちらりと振り向き、追撃者が足を止めるのを確認した空母水鬼。だが……


『おっそーいー!』


暗がりから飛び出す島風。前に回りこんで振り向いた隙に敵の艤装に飛び乗ったのだ!

『五連装酸素魚雷、いっちゃってー!!』

至近距離から放たれた酸素魚雷は空母水鬼本体に直撃、大爆発とともに水底へ沈んでいった……。

586: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/25(火) 22:59:18.76 ID:AK0HIRwko
次回予告!!

「今回の作戦どうだった?」
「ま、当然か」
「当然の結果だ」
「作戦が悪いのよ……」
「なんでや大井!!」

行われる総括!!

「おらっ清霜出せ!!」
「私持ってない……」

理不尽な脅迫!!

「もう明石は1-5でいいかな……」
「次の改二は重巡です」
「はい消えた! 1-5行く選択肢消えたよ!!」

提督の戦いは終わらない……!!

次回、コンカー・ザ・コンクエスト最終回!!「オワラナイ ウタゲノ オワリ」

明石と朝雲は犠牲になったのだ……古鷹改二の、その犠牲にな……

590: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/26(水) 22:35:10.33 ID:CTTn8X+eo
――― 世の中は理不尽で出来ている ―――

渾作戦が終了し、鎮守府も日常へ回帰しようとしていた。

すなわち、資材の貯蓄と練度の向上である。

プリ「ふぉいあー! ふぉいあー!!」

最優先で練度向上が行なわれていたのは新規着任した重巡洋艦、プリンツ・オイゲンである。

提督「コレでようやく改造か……長かった……」

プリ「ツェルベルス作戦時の艤装です。どうでしょう、似合います~?」

提督「あぁ。とてもいいぞ」

プリ「それにこの60口径の主砲、そしてFuMO25レーダー! すごいでしょう?」

提督「実に素晴らしい。と言うわけでコレをこうして……」

提督が指を鳴らすと工廠の妖精がいっせいに動き出し、武装を解除してしまった。

プリ「わ、何、何!?」

提督「こうじゃ!」

突然のことに戸惑ってるプリンツ・オイゲンには普通の20.3cm砲と21号電探と改造前から使ってたAr196が取り付けられ、某科学力が世界一なところの装備一式は……。

古鷹「やったね!」

そう、古鷹に取り付けられていた。

提督「重巡の火力を上げてMVPとるためには仕方のないことなのだ……改二も近いし」

プリ「ふぇぇ」

595: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/28(金) 22:52:03.31 ID:YCaWXKSAo
一連の作戦は成功を収めた。深海棲艦の水上打撃部隊および新型機動部隊は海中に没した。

英雄たちが母艦に戻ってくる。

ひょこっ、と左舷から兎の耳を模した黒いリボンを覗かせる。

そのままぴょん、と甲板上に飛び乗ったのは島風である。

「島風、戻りました!」

「雪風、帰投しましたぁ……」

大破してボロボロになった雪風を背負っている。いつも背負っている五連装酸素魚雷の発射管は連装砲ちゃんたちが運搬している。

「おかえり、よく頑張ったな」

ねぎらいの言葉をかけ、提督は雪風を抱き上げる。

「はふぅ……」

雪風も安心したかのように力を抜いてしな垂れかかる。

「とりあえず帰港するまでドックでゆっくりお休み」

「雪風ばっかりずっるーい! 私もー!」

「おぼふ」

突然提督の背中に飛び掛る島風。おんぶにだっこ状態である。

「あばばばばばば」

奇声を発しながら船内備え付けドックへふらふらと進んでいく……。

「おっそーいー!」

596: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/28(金) 22:55:46.19 ID:YCaWXKSAo


コンカー・ザ・コンクエスト 最終話「オワラナイ ウタゲノ オワリ」



ぷかぷか丸改二、作戦室。補給と応急手当を終え、連合艦隊の一同が集っている。……一人を除き。

雪風ではない。雪風は提督の膝の上に座って寝息を立てている。

「島風ちゃんがいないようですが……」

「甲板とか走り回ってるんじゃね。ここでうだうだやらせても彼女にとってはストレスにしかならんだろ」

大和の疑問に提督が答える。

「いいのでしょうか……? 彼女があの空母水鬼を仕留めたのでは?」

「いいんだよ。あいつぁ誰それを仕留めたとかそういうのより走り回るほうが好きなんだし」

「提督がそう仰るなら……」

提督はうむ、と頷く。

「ともあれ、皆の働きにより今回の作戦も無事完了することが出来た。残党連中がまだ残ってるだろうがしばらくは大人しくなるだろう」

雪風の頭を撫でながら続ける。

「……ぶっちゃけ今回の作戦どうだったよ? この中の大半は夏の作戦にも参加してたと思うが」

途中で面倒くさくなったのか口調を崩す。

「当然の結果だ」

「当然の勝利じゃ」

「ま、当然か」

などと余裕ありありの意見の中、むくれるものが一人。

「作戦が悪いのよ……」

「なんでや大井!?」

「まぁまぁ提督」

反応を予期してたのか宥める北上。

「せっかく大一番の作戦に出たのに活躍できなくてちょーっと機嫌が悪くなってるんだ。ね、大井っち?」

「え、えぇ。ごめんなさいね」

「そういやそうだな……」

鉄底海峡ではハイパーズの前の愛宕が戦艦棲姫を沈め、ピーコック島攻略では雷巡の出番はなく、本土迎撃戦では大井の出番はなかった。

今回も空母水鬼に止めを刺したのは島風である。……無論、大井が役に立ってないかというとそんなことはなく、雷撃でタ級を仕留めるなど活躍していた。

「ともあれ、皆の力あってこその勝利だ。帰ったら間宮さんに豪勢な料理作ってもらおう。勝ったのだしドンチャン騒ぎしても罰は当たるまいて」


その夜は大層なお祭り騒ぎとなった。

597: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/28(金) 22:58:01.99 ID:YCaWXKSAo
一夜明け……

鎮守府、埠頭。第一次の編成に近いが、軽空母がいたり、新規に着任したプリンツ・オイゲンや秋月などが参加していたりする。

「コレより残党狩りを行なう。ネ級Eliteを反復撃沈。その過程で清霜や明石を見つけ出す。何か質問は? はい時雨」

「明石さんは着任しているのでは?」

「正確には初期装備の修理施設のためなんだよなぁ……。せがまれてるんだよなぁ」

遠い目をする提督。

「まぁ明石はそこまで優先度は高くない。清霜を探そう。さもないと早霜に呪われる気がする」



艦娘戦闘中……



「ほら、ネ級だ」

日向が鹵獲したネ級を甲板にどさりと下ろす。

「うーん、吊り上げよう」

人型の深海棲艦の解体時はだいたい吊り上げてから腹を割く。もはやルーチンワークである。

「おらっ、清霜出せ!」

「いや、私持ってない……」

「問答無用!」

腹を包丁で割き、腕を突っ込み、引き抜く。その間、ジャスト3秒!!

「……うん、ダメ。改修に回そう」

「まぁ、そうなるな」

といったことを繰り返すこと二十数回……

「ウボァ」

「……んん? 感触が……違う? これは、清霜!?」

凄くいい笑顔を浮かべながらネ級の腹から『雫』を引っこ抜く。

そんな提督の後ろから陰鬱な声が。

「来て、しまったのね……ふふふふふ」

「!? 早霜、いつの間に!?」

「清霜を探すと聞いて……密かに乗り込んでたの」

「密航者かよ! まぁ三ヶ月ほど遅れたがコレで安心だな」

「ふふ、ふふふふふふ……」

「いや、その含み笑い怖いよ!」

598: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/28(金) 23:00:29.90 ID:YCaWXKSAo
数日後。提督たちは戦艦棲姫を鹵獲していた。

ボロボロになった艤装を外され吊るされる戦艦棲姫を前に提督は一人ごちていた。

「満潮と扶桑たちにばれたのはまずかったなぁ……」

~~~~~~

ことはちょっと前に遡る。朝潮を待たせた後の話である。あの後提督は満潮に問い詰められていた。

「で、司令官。朝雲がいつ来るかの回答は?」

「面倒だからなー。またの機会にしようかと」

「はぁ? 意味わかんない」

などと言い争いをしていたところに扶桑姉妹が通りがかったのだ。

「朝雲ちゃんは西村艦隊の一員だったわね……」

「再会を先延ばしにする……不幸だわ……」

~~~~~~

「とまぁ圧力に負けたので朝雲を出せ。出せばカイシャクしてやる。出さなかったら海に捨ててもう一回鹵獲する」

「朝潮型とか持ってたらガチロリ認定でしガハッ」

聞く耳持たず『雫』を取り出す。

「……まるゆじゃねーかガチロリどころかガチペドじゃねーか」

「何が入ってるか私たちでもわからないんだからしょうがないでしょ!? ゲホッゴホッ」

さすがに姫クラスは『雫』を抜かれてもまだ息がある。

「うっせぇ。さっさともってこいオラッ」

ドボン、と戦艦棲姫の身体をクレーンから外して海中へ投棄。不法投棄であるが咎めるものはいない。

「……朝雲のためとはいえ、さすがに連続出撃してると疲れるわ」

「ブラック労働……不幸だわ……」

「おまえらなぁ……とはいえ、実際、戦艦棲姫は疲労が溜まった状態で勝てる相手でもないしな」

599: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/28(金) 23:01:40.84 ID:YCaWXKSAo
「足なんざ飾りとか言いたいのかこのホバーめいた脚部艤装は」

提督たちは戦艦棲姫攻略部隊を休ませ駆逐棲姫を鹵獲していた。

「……僕が鹵獲しておいてなんだけど、あまり酷いことはしないで欲しいな……。春雨に重なりそうだから」

「照らしてから思いっきり魚雷叩き込んでたお前が言うか? 夕立がやるより酷いことになってたぞ。ともかく甲板から降りてろ」

北上のものには及ばないものの、艦首魚雷と五連装酸素魚雷の合わせ技は駆逐棲姫の装甲程度ならやすやすと貫くのだ。

一方の駆逐棲姫は何事かブツブツと呟いていた

「月が……月がきれい……」

「現実逃避してんじゃねーぞ今は昼だオラッ朝雲出せ」

「朝雲は白露型じゃない……」

「うっせぇお前の元が何かなんて関係ねーんだよ!!」

理不尽なことを言いながら腹を割き手を突っ込む。傍から見ると猟奇的犯罪者である。

「……ん、んん!? 出た!? マジで!?」

掴んだ雫の違和感。それこそが当たりだと提督に告げていた。

600: ◆jf7rnHhSH2 2014/11/28(金) 23:04:45.38 ID:YCaWXKSAo
鎮守府、工廠。

「どうも!夕雲型の最終艦、清霜です。到着遅れました、よろしくお願いです!」

「朝潮型駆逐艦、朝雲、着任したわ! 貴方が司令…かあ。ふうーん。ま、いいわ。私がやったげる!」

新たに着任した二人を前に提督は感慨深げに頷く。

「……これで、現存する全ての艦娘が着任したわけだ」

「提督、なんか忘れてませんか?」

後ろから声をかけるのは工作艦、明石。

「修理施設ねぇ……開発でナントカなんない?」

「なりません」

「大型建造で」

「出来ません」

けんもほろろの返事。

「仕方ない。鎮守府海域に出るうちに探すか……。最悪中部海域で掘ればいいし」

「吉報、待ってますよ!」


渾作戦は成功裏に終了を告げた。

次の戦いも勝てるかどうかはわからない。だが、艦娘との絆と、大量の資源と、要を押さえた情報があれば、なんとかなるだろう。

いつか全ての深海棲艦が駆逐されるその時まで、提督と艦娘たちは闘い続けるのだ……!!


2014年秋イベント編 コンカー・ザ・コンクエスト おわり

605: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/01(月) 22:39:07.69 ID:yHZWhvEqo
――― 関係ないがコレで青嵐三番隊が揃ったんだなぁ ―――

鎮守府、工廠。

野分「陽炎型駆逐艦、野分。参上しましムギュ」

舞風「うわぁぁぁん! 野分会いだがっだぁぁぁぁぁぁ!!」

雪風「ごべんなざいごべんなざいあの時雪風が行ってればびぇぇぇぇん」

両サイドから姉と妹に抱きつかれる野分。

提督「そうだな。よろしく」

野分「あの、さらりと流されましても」

提督「だって舞風は中毒症状起こしてたし雪風はいつものことだし。それに……」

野分「それに?」

提督「姉妹の感動の再会に割り込むのも忍びないし」

舞風「うわぁぁぁん!」

雪風「びぇぇぇぇ!!」

野分「あの、その司令」

提督「あ、野分はこのあと出撃だからそこの棚から長10cm砲とって装備しといてね。俺は他の出撃メンバー揃えてくる」

そう言って提督は工廠からすたこらさっさと立ち去った。

野分「司令? 司令!?」

残されたのは野分と、その両横で泣く姉妹のみであった。

606: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/01(月) 22:40:58.05 ID:yHZWhvEqo
――― 明石二隻目きました ―――

鎮守府近海。いまここは深海棲艦、それも潜水艦の名産地になっており、シーレーンに重大な打撃を受けている。

海上護衛にアスロックぶっぱとかしてたら速攻国庫が尽きるので、艦娘たちが定期的に潜水艦の掃討を行なっている。

日向「ヨ級を鹵獲したぞ」

どさり、と打ち上げられる深海棲艦。進む解体準備。もはや手馴れた作業である。

提督「こうも出ないと明石が出るようになったと言う情報が疑わしくなってくるんだよなぁ」

ぶつくさ言いながら流れ作業的にヨ級の腹を割く提督。胸に突っ込んだ腕が止まる。

龍驤「? どないしたん?」

提督「……ひゃっはぁぁぁぁ!! この感触、間違いなく工作艦だぁぁぁぁぁ!!」

勢いよく腕を引き抜き、満面の笑みを浮かべて取り出した『雫』を掲げる。それは虹色に輝いていた。


鎮守府、工廠。

提督「ほら、約束の修理施設だ!」

明石「提督……ありがとうございます!」

提督「いやよくよく考えたら報告するまでもなく知ってるわけだよな」

明石「まぁそれはそうなんですが。ついでに提督も修理しときます?」

提督「いんや、俺はどこも壊れちゃいないし。ま、改修とかで世話になるしこれからもよろしくな」

明石「えぇ、これからもよろしくお願いします」


明石(……いくら敵とはいえ女性型の深海棲艦を躊躇いもなく、と言うか嬉々として何百と解体してる時点でもう心が壊れてる気はするんですけどね)

607: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/01(月) 22:42:38.23 ID:yHZWhvEqo
他の艦これSSの提督を色々思い返してみたが特に反論が思いつきませんでした(白目)
あ、古鷹改二は間に合いました

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

608: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/01(月) 22:44:10.16 ID:9KzNdjd7o
朝雲

609: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/01(月) 22:48:04.40 ID:yHZWhvEqo
朝雲了解ー。実は朝雲のリクは期待してた。ネタ思いついてたので

イベ終わったのでまだ小ネタやってない艦娘最新版

BB/BBV・SS/SSV
おわり

CV/CVL
千歳・千代田・大鳳

CA/CAV
妙高・足柄・利根・筑摩・プリンツオイゲン

CL/CLT
名取・大淀

DD
卯月・文月・菊月・望月
白雪・深雪

初春
村雨・涼風
大潮・霰
黒潮・初風・谷風
夕雲・巻雲・長波・清霜
秋月

other
伊良湖

612: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/02(火) 22:12:31.92 ID:IMfP3NMho
――― デジャヴ ―――

提督「うーん」

朝雲「どうしたの、司令? 私のことジロジロ見て」

提督「いや、前にどっかで見た気がするんだよなぁ」

朝雲「ついこないだ着任したばっかじゃない」

提督「どうにも既視感がなぁ。……そうだ」

そう言うと提督は引き出しから何かを取り出す。

朝雲「?」

提督「ほれ、コレをかぶってみろ」

提督が取り出したのは白くて丸い水兵帽であった。

朝雲「これちょっとちっちゃくない?」

提督「こう左にかしぐように、そうそうそんな感じ」

位置を調整して改めて眺める。

提督「やはりそっくりだ」

朝雲「誰に?」

提督「おーい猫土下座カモーン」

提督の声に応えるように、ビダァァァァン、とものすごい音を立てながら平伏姿勢で現れたセーラー服姿の少女。

彼女の目の前にはいつの間にか正座した猫がいる。

少女はひとしきりぺこぺこ謝った後、何事も無かったかのように立つ。猫はいつの間にかどこかへ行ったようである。

猫土下座「呼びました?」

提督「お前ら姉妹なの?」

朝雲「いや初めてあったんですけどこの子!?」

猫土下座「私艦娘じゃないです」

提督「こんなにそっくりなのに……」

616: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/03(水) 22:48:25.44 ID:9XMuXIGxo
――― 食いたい(物理) ―――

清霜「あと何回改装したら、戦艦になれるのかなぁ……」

提督「無茶言うんじゃねーよ。木曾や扶桑姉妹みたいに改造で史実では為し得なかった艦種になることはあるけど駆逐艦から戦艦はさすがに無茶だろ」

清霜「えー」

提督「そもそもどんな戦艦になりたいんだよ。巡洋戦艦か? 航空戦艦か?」

清霜「それはもちろん超々弩級戦艦大和型クラスで」

提督「まぁ夢を大きく持つのは悪いことじゃねーが……。それに戦艦になるとだな」

清霜「戦艦になると?」

提督「秋雲に食われる」

清霜「!!」

陽炎型十九番艦、秋雲。彼女の趣味は絵描きである。KENZENなのから薄い本案件まで何でもござれである。

提督「アイツはつねづね『戦艦クラス…喰いたいなぁ』とか言ってるしな。戦艦になったと聞いたら真っ先に襲ってくるだろうな」

清霜「……///」

見る見るうちに清霜の頬が紅潮していく。

清霜「し、しれーかんちょっと用事思い出したからもういくね!!」

そう言って足早に立ち去る清霜。

提督「よしよし。秋雲には悪いがちょっとダシにしてもらった。コレでしばらくは大それた野望を抱くこともあるまい」

要するに人食い妖怪扱いである。ホント酷い提督ですね。


清霜「……んっ///」

617: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/03(水) 22:49:28.05 ID:9XMuXIGxo
【悲報】前スレ見たら黒潮リク消化済みだった

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

618: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/03(水) 22:55:39.43 ID:1/Y4z4/DO
村雨の ちょっといいとこ 見てみたい
(安価村雨でお願いします)

622: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/04(木) 22:32:49.45 ID:L4VX8RSuo
――― モーニングスターめいた何か ―――

村雨「村雨、いっきまーす!」

提督「おぉ、いってこーい」

鎮守府正面海域。ぷかぷか丸からツインテールの少女が飛び出す。

右手に連装砲、左手にアンカー付きの鎖を振り回して。

提督「……? あんな鎖あったっけ? 少なくとも初対面のときは見てないはず……」

提督の疑問をよそに、村雨はたまたまそこにいた駆逐イ級に向かって鎖を振り回したまま突っ込んでいく。砲撃距離に入っても右手の砲は下ろしたまま構えない。

村雨の接近に気づいたイ級は接近されまいと砲撃を行なうが、かすりすらしない。

村雨「村雨の、ちょっとイイトコ見せたげる!」

振り回される鎖の回転半径がどんどん大きくなっていく。次の瞬間……


グシャリ、と鈍い音が海原に響いた。

鎖の先端についていた錨が、イ級の脳天部分に叩き込まれていた。


ジャリ、ジャリ、と村雨は鎖を慎重に引っ張っていく。イ級は動く様子がない。即死したのだろう。

手元まで手繰り寄せ、絶命していることを確認すると適当にぐるぐる巻きにしてぷかぷか丸へ戻ってきた。

村雨「白露型駆逐艦の力、侮れないでしょう?」

提督「砲撃したほうが早くね?」

村雨「至近距離で闘う可能性もあるから今のうちに練習したほうがいいのよ」

提督「そういうもんか……? と言うかいつの間にそれ手に入れたんだよ」

村雨「なんか朝起きたら付いてたし艤装も新しくなってたわ」

提督「謎い……」

623: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/04(木) 22:33:45.07 ID:L4VX8RSuo
ナニをやってるんでしょうよ(意味深)

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

624: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/04(木) 22:43:14.11 ID:ORnmn78AO
大淀

627: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/05(金) 23:03:24.04 ID:DyF37AGto
――― 提督だって休みたい ―――

提督「大淀は連合艦隊の旗艦として設計されたんだよな」

大淀「はい」

提督「艦隊指揮や運営ができるってことだよな」

大淀「そうですね」

提督「……それ出来るんだったら俺いらなくね? 提督用意する必要なくね?」

大淀「いえ、でも」

提督「この鎮守府の運用ノウハウは雪風と大和には余さず伝えたし、初期の初期から見てきたお前も出来るはずだ」

大淀「そういうわけにもいかない事情があるんですよ。文民統制とか」

提督「事情など知ったことか俺だってたまには休みたいんじゃオラッ!!」


そう叫ぶと提督は窓から外へ飛び出した。


提督「ひっさびさの休暇じゃWRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!」

大淀「あっ、ちょっと提督!?」

残されたのは大淀と書類の山。雪風は現在遠征の臨時要員として出撃中。

大淀「……全く、仕方ないですね……」


実際なんら問題なかった。

628: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/05(金) 23:05:01.05 ID:DyF37AGto
雷はダメ男製造機とか他に属性いっぱいあるだろ!!

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

629: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/05(金) 23:09:44.17 ID:2AtRc+OGO
涼風

633: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/08(月) 22:27:31.49 ID:vo0zgtouo
――― (別の世界線なので)無理です ―――

提督「うーむ」

涼風「どうしたんだい提督?」

提督「おお、涼風ちょうどいいところに。特訓しようか特訓」

涼風「がってんだ! で、どんな訓練だい?」

提督「アウトレンジからの長距離雷撃」


野外演習場。要するにペイント弾や模擬魚雷などをぶっばするための場所。

涼風「ちょっと待ってよ長距離雷撃って」

提督「長距離から当てられるようになれば先制雷撃も可能。というか先制雷撃のために特訓するわけだ。講師もちゃんと用意している」

イク「イクが先生役なの! よろしくなの!」

涼風「ほ、本当にやるの!?」


本来魚雷は命中率を上げるために、目標に近づいてから発射するのが通例である。

甲標的などによるアンブッシュ以外では命中は望み得ない。外した流れ弾がたまたま命中したとかでもない限りは。


涼風「うぇ~、あんなちっさいのに当てるのか……」

提督「いつもと同じやつだぞ?」


水平線の向こうに見える標的艦。距離的には46cm砲で当たるか当たらないかといったところである。


イク「イクが手本を見せるの!」

そう言って海に飛び込みしばらく後……標的艦が盛大に爆沈した。

提督「おいおい酸素魚雷使ってどうするんだよ航跡の見える模擬魚雷使えよ」

イク「てへっ☆」

提督「まぁそんな感じで。『どんとしんく、ふぃーる』っていうしな」

涼風「……ええい、べらんめぇ! 涼風の本気、見せたげる!」

イク「じゃ、一緒に行くのね!」

涼風「えっ」


どぼん。

涼風の身体はイクと一緒に水面下に沈んでいった。


提督「……おいコラちょっと待て水上艦娘は沈めたらダメだろ今すぐ戻って来い!!」

634: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/08(月) 22:28:04.68 ID:vo0zgtouo
実は涼風って艦これRPGだと制海アビリティ習得できるから駆逐艦なのに先制雷撃ぶっぱ出来るんだよね……

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

635: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/08(月) 22:32:32.98 ID:Npyl45VAO
足柄

640: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/09(火) 22:14:58.09 ID:EUCyddkQo
――― 序盤艦娘が少ない鎮守府で100枚以上のカツ揚げたら誰が食うんだろ ―――

鎮守府、食堂。

基本的に間宮と伊良湖が厨房を取り仕切っているが、他の艦娘も利用できる。

自前の分の調理が主だが、鳳翔のように全員分の料理を行なう剛の者も数少ないながら存在する。

その数少ないうちの一人が、足柄である。

足柄「明日からマンスリー任務! ゲン担いで足柄特製カツカレー、じゃんじゃん作るわよぉ!!」

機嫌のいいとき――自分の活躍で大勝利したとき――と月末は足柄がカツカレーを作るのだ。

足柄「さぁ、油どんどん持ってきて! 次々揚げるわよ!」

間宮「はいはい」

せわしなく厨房を動き回る足柄。前から知ってる間宮はともかく新入りの伊良湖はてんてこまいである。

提督「おー、やってるやってる。足柄のカツカレー、食い応えあるからなぁ」

雪風「でもおいしいからつい食べすきちゃうんですよね」

足柄「さぁさぁみんな並んで! カツは揚げたてが美味しいのよ!」


足柄カツカレーの唯一にして最大の欠点、それは……


提督「……ぐぬぬ、おかわりをしたらこうなることはわかっていたのに、してしまった……!!」

雪風「しれぇ、大丈夫ですか……?」

二杯も食えば確実に胸焼けを起こすボリュームだと言うことである。しかもタチの悪いことに旨いのでついおかわりをしてしまうのだ。


足柄「何がいけないのかしら……」


なお駆逐艦娘や潜水艦娘たちは2杯を3人で分け合うなどの工夫をして食べ過ぎないようにしているとか。

641: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/09(火) 22:15:34.50 ID:EUCyddkQo
カツは好きです

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

642: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/09(火) 22:34:54.06 ID:eixaWs8+O
長波

647: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/10(水) 22:29:35.76 ID:rUweeULJo
――― 荷物を無闇に捨ててはいけません ―――

鎮守府正面海域。はぐれ駆逐がうろついているため、艦娘のウォーミングアップに最適とされている。

弱敵しか出ないことから深海棲艦の姥捨て山(海だが……)なのでは、と言う意見もあるが真偽は不明である。

この日もいつものようにウォーミングアップが行なわれていた。

長波『……雷撃、当たり! 敵駆逐艦撃沈!』

提督「だが軽巡への砲撃の当たりが浅かったな。追撃だ」

長波『了解!』

威勢のいい返事とともに、煙幕を張りながら逃げる深海棲艦達を追撃する。

長波『さあ、ドラム缶は捨てて、戦闘態勢!』

ボチャン

提督「……んん?」


さて、この鎮守府では駆逐艦娘は基本的に12.7cm連装砲、10cm連装高角砲、ドラム缶を搭載している。長波も例外ではない。

装備の積み替えの手間の都合上、ウォーミングアップでもドラム缶は載せたままである。そして先ほどの水音。それが何を意味するかは確定的に明らかである。


長波「艦隊が帰投したぞ!」

提督「……長波、ドラム缶はどうした?」

長波「……あっ!!」


この後必死で回収した。

649: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/10(水) 22:39:35.02 ID:NoT6KQVu0
秋月

652: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/11(木) 22:45:15.34 ID:TnzgbwAko
――― 艦娘達の努力の賜物 ―――

鎮守府にはいろんな施設がある。新規着任した艦娘は「旅行」を行なうことになっている。

提督は大体暇、もとい書類仕事がだるいので提督自ら案内役を買って出ている。

この日も提督は秋月に鎮守府の案内をしていた。

提督「つーわけでここが食堂だ。あの最奥にあるのが厨房。自分で料理作りたきゃ間宮か伊良湖に許可とりな。大体受け入れてくれるはずだ」

秋月「凄く広いですね……」

提督「そこらのレストランより広いし、200人は入るんじゃねーの。まぁちょうど夕食時だしなんか食うか」

そう言って手近な席に座る。

提督「ほれ、秋月も遠慮すんな。メニューはこれな。酒が欲しかったら夜更けごろからやってる鳳翔さんのところで頼みな」

秋月「あ、はい」

提督「そうだな……おーい、そこの妖精」

妖精「へいへーい」

提督「俺は白米大盛りと……」

秋月「大盛り……!? しかも、白米……!?」

提督「大中小選べるしたしか麦飯や五穀米も選べるぞ。あとステーキと」

秋月「!? そ、そんな! 贅沢過ぎませんか!?」

提督「西太平洋からインド洋までの敵泊地は大体潰したからな。輸送は案外何とかなってる」

秋月「じゃあ、お腹いっぱい食べてもいいんですか!?」

提督「あぁ、食え食え。着任祝いだ」


無論、駆逐艦娘なのでそんなに食べられないし、それをわかっていての発言である。

654: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/11(木) 22:51:50.12 ID:1sTs5EaJo
潮でー

657: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/12(金) 21:55:05.78 ID:heiZBPUio
――― おぐっ(電探を口に入れる音) ―――

綾波型十番艦、潮。終戦まで生き残った数少ない艦のひとりである。そんな彼女にも改二が実装された。

潮「少し…自分に自信が持てるようになると良いなって…思います」

提督「少々練度上げ過ぎたかも知れんが足りなくて改造できないよりはいいか……ん?」

潮改二。迷彩塗装の施された魚雷管や背部艤装。腰周りにつけられた爆雷。左腕の対空機銃。そして、主砲の12.7cm連装高角砲……

提督「……あれ、いつもの連装砲はどうした?」

第七駆逐隊は箱型の12.7cm連装砲をメインウェポンとして使用している。特に潮は桃色に塗装され、顔も描かれている特徴的なものである。

……壊れたときに表情が変化するため描かれていると言うには語弊があるかもしれないが。島風の連装砲ちゃんのようなものかもしれない。

潮「ええと、それはですね……」

そう言うと潮は背部艤装の右のほうから何かをゴソゴソと取り出した。それは……

潮「こうなりました」

迷彩艤装になった潮の連装砲。顔があることもあいまってフェイスペイントした傭兵みたいになっている。

提督「こっち使わないの?」

潮「普通に使うことは出来るんですけど…近代化改s補給すると」

連装砲「うまい、うますぎる!」

提督「なにこの渋いおっさんボイス」

潮「なんだか怖くて……」

658: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/12(金) 21:56:32.38 ID:heiZBPUio
吹雪型改二はどうなってしまうんだ!

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

659: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/12(金) 22:44:07.16 ID:yagX+Kib0
ふみゅう

664: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/15(月) 21:32:01.10 ID:V63uFrcSo
――― 案外過激な発言してない? ―――

睦月型駆逐艦七番艦、文月。脳みそをとろとろにとろかす、あまあまエンジェルボイスで有名である。

文月「司令官、なんですかなんですかぁ? えへへっ☆」

提督(雪風で慣れてなければ即死だった)

別の世界ではこの声に洗脳された提督たちによって宗教団体が設立されたほどだという。

提督「ウォーミングアップ行こうか」

文月「は~い。本領、発揮するよぉ」」

艦娘戦闘中……

文月「さあ、水雷戦隊の本領発揮だよぉ~!」

敵軽巡へのダメージが浅いため、追撃を指示。

文月「ねぇ、こいつら殺っちゃっていい?」

そう確認を取っている間に文月は既に砲弾を敵に叩き込んでいる。睦月型とはいえ、よほどの装甲でない限りは駆逐艦の夜戦は一発でも致命弾となる。

文月「作戦完了~、艦隊が帰投。お疲れ様~」

戦闘開始から終了までずっとこの脳とろボイスである。無邪気に敵艦を沈めるさまは最早見慣れたとはいえ本当にいいのか、と言う感じはする。

文月「? どうしたのぉ?」

提督「……いや、なんでもない」

666: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/15(月) 21:36:28.24 ID:qswU3c/AO
卯月>>ぷっぷくぷー

669: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/16(火) 22:27:52.29 ID:CQjNH1QHo
――― あぁ^~こころがぴょんぴょんするんじゃぁ^~ ―――

卯月「しれいかぁ~ん、遊んでくれないと~、つまらないぴょーん……ぷっぷくぷぅ~!」

提督「といってもなぁ。仕事中だし」

卯月「ウサギは寂しいと死んじゃうんだぴょん」

提督「実際のところ、別にそんなことはないらしいぞ」

卯月「うーちゃんはそうなんでっす!」

提督「だいたい姉妹だけでも9人いるだろ」

卯月「しれーかんと遊びたいんだぴょん!」

座ってる提督に覆いかぶさるように飛び掛る卯月。

提督「って飛び掛ってくんなおい」

卯月「しれーかん、表情が硬すぎるっぴょん! うーちゃんがくすぐって笑わせたげるぴょん!!」

提督「おいバカやめろ」

卯月「そんな事いわれてもやめないっぴょ~ん」

雪風「しれぇ、資料持ってきま……し……」


傍目駅弁体勢。それだけでどう思われるかは確定的に明らかである。


雪風「し、しれぇのばかぁ! うわぁぁぁん!」

卯月「およよ~?」

提督「あぁ! もう! 誤解されたじゃねーか!!」


この後必死で説得した。

670: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/16(火) 22:31:03.74 ID:CQjNH1QHo
一段と素敵~のあと別のセリフを挟むことで嘘だと言わせないライフハック

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

673: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/16(火) 22:40:07.81 ID:vPjAB9aA0
いらこ

676: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/16(火) 22:45:22.68 ID:CQjNH1QHo
不定期に未消化の出してるんで参考にどうぞ。未所持で分からない艦娘はいまのところないです

BB/BBV・SS/SSV・other
おわり

CV/CVL
千歳・千代田・大鳳

CA/CAV
妙高・利根・筑摩・プリンツオイゲン

CL/CLT
名取

DD
卯月・菊月・望月
白雪・深雪
初春
大潮・霰
初風・谷風
夕雲・巻雲

679: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/17(水) 20:16:21.78 ID:u7Ni5fjao
――― 運営は間宮と伊良湖の戦闘用艤装を可及的速やかに用意すべきそうすべき ―――

提督「伊良湖よ、鎮守府には慣れたか?」

伊良湖「はい、初めは戸惑いましたがだいぶ慣れました!」

提督「よし、じゃあ訓練がてら出撃しようか」

伊良湖「えぇ!? 私給糧艦ですよ!? 無理ですって!」

提督「明石だって工作艦だが出撃できるようになったぞ」

伊良湖「戦闘用の艤装がないから無理ですよぅ」

提督「やってみたらいけるかもしれないだろ」

ちなみに伊良湖はかつて12cm連装高角砲を二基積んでいたという。


というわけで鎮守府正面海域。

伊良湖はとりあえずもてる限りの15.5cm副砲を持たされていた。

伊良湖「うぅ、重いです……」

伊良湖も艦娘であるので、海面に立って航行することは出来る。その速度は20ノットにも満たないが。

提督「ほらほら、イ級が近づいてきてるぞ」

伊良湖「え、えと、どっちですか?」

提督「12時、正面方向……あ、撃ってきた」

伊良湖「きゃぁぁぁぁ!?」

提督「やべ、撤退、撤退ー!!」


鎮守府、ドック前。

伊良湖「うぅ~、無理だって言ったじゃないですかぁ……」

提督「すまんな、本当にすまん」


この後間宮さんにめっちゃ叱られた

680: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/17(水) 20:19:07.68 ID:u7Ni5fjao
いつか戦闘参加する日が来るのかなぁ

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

681: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/17(水) 20:24:39.54 ID:kpDRqIdMO
初風

685: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/19(金) 21:05:34.58 ID:JAhacDWZo
――― 公式四コマで「こんなときだけお姉ちゃん扱いはずるい」と言ってた意味がわかった ―――

提督「うーん? 腑に落ちん……」

初風「どうしたのよ、しかめっ面なんかして」

提督「初風は陽炎型七番艦で雪風は八番艦だろう? この資料だと雪風が四番目で初風が五番目に並んでるんだよ」

初風「親潮たちが未着任だからじゃないの?

提督「初風の後にその名前はあったぞ」

初風「ちょっと見せて」

提督「ほれ」

初風「……ふーん。なるほど。これ、竣工順ね」

提督「竣工順って、普通造り始めた順に完成するもんじゃないのか?」

初風「計画と完成がずれることって結構あるのよ。たとえば吹雪たちで一番早く竣工したのは磯波だし、暁型だと雷が一番早いわ」

提督「へー。ところで初風も着任可能になってから実際着任するまで相当かかったんだが。何人目と聞くまでもなくその後も出ないんだが」

初風「そ、そういうこともあるわよ」

686: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/19(金) 21:06:18.18 ID:JAhacDWZo
妙高が初風の首を刎ねてたこ焼き艦載機より強い飛行物体として運用してるSSを見たことがある

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

687: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/12/19(金) 21:14:41.23 ID:uRXOedaJ0
大鳳

692: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/22(月) 22:22:34.12 ID:g/j1R9L3o
――― なんと言うかすごい可哀想 ―――

大鳳「第六○一航空隊、発艦始め!」

提督「ただの烈風と流星改なんだが……」

大鳳「いいのいいの。こういうのは言ったもん勝ちよ!」

提督「そういうもんかね?」

大鳳「飛龍さんだって友永隊ってつけてるし」

提督「それもそうだな」


時は流れ……

飛龍「友永隊、機種転換完了!!」

提督「まさか友永隊が実際に出てくるとはなぁ」

大鳳「六○一空も期待が持てますね!」


更に時は流れ……

雲龍「改装……嬉しいわ」

提督「なんで設計図必要なんだよ艦種変換でもないし」

妖精「そりゃ積んでる艦載機が違いますからね」

雲龍「六〇一空の零戦に、六〇一空彗星、六〇一空天山も! あと彩雲」

提督「着任時機銃とロケランしか持ってきてなかったときとは大違いだな……ん? 大鳳どうした?」

大鳳「」ブワッ

提督「何故泣く」

大鳳「私が改装されたときはもらえなかったんですよ六○一空……!!」

提督「改二に期待しようぜ……」

693: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/22(月) 22:23:21.12 ID:g/j1R9L3o
こういう場面で泣く描写は「しわっ」のほうが好きだけどこのネタわかりづらい気もするからなぁ。
元ネタ? 誤爆元から察してください

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

694: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2014/12/22(月) 22:30:33.08 ID:c4gMaZ3g0
プリンツ

697: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/24(水) 20:14:07.27 ID:5avJxCEZo
――― 相似と合同はイコールとは限らない ―――

プリ「私は、重巡プリンツ・オイゲン。よろしくね!」

提督「ふーむ、傍目見た感じビスマルクそっくりだな。こう、ビス子を一回り小さくした感じで」

プリ「実際、ビスマルク姉様と見間違うことを想定して建造されましたから!」

提督「だから同型艦でないにもかかわらず姉様呼びなのか」

プリ「義姉様(ねえさま)のほうがニュアンス的には近いかな」

提督(ビスマルクはなんと言うか事あるごとに構ってもらいたがる感じだったが彼女もだろうか……)


プリ「ふぇっ、私がラッキーガールですって? 全然そんなことないよー!」

提督「……」


プリ「朝食かぁ…っへ? 私!? 分かった、任せといてっ!」

提督「……」


プリ「夕食はアイスバインのポトフにしてみました。スープにも味が染みだしていていいでしょ?」

提督「……」


プリ「どうしたの、提督?」

提督「いや、ビスマルクとは一味違ってるなぁ、と」

プリ「???」

698: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/24(水) 20:14:45.51 ID:5avJxCEZo
プリンツ・オイゲンも複数提督の呼び方があるんだなぁ……

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

700: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2014/12/24(水) 20:51:04.10 ID:RAvuViQbO
未出艦一覧は>>676にあるでよ
長良型繋がりで名取

702: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/25(木) 21:39:33.39 ID:bXMlW4tHo
――― わるいこだれだ ―――

鎮守府も世界の一部であるわけでクリスマスはやってくる。

一部の艦娘がクリスマス衣装になったり、家具にクリスマスツリーが入荷されたりとかそういったものだ。

名取「すっかりクリスマス一色ですねぇ」

提督「そうだな」

名取「駆逐艦の皆はプレゼント楽しみにしてますよきっと」

提督「そうかな」

名取「?」

提督「サンタはよい子にプレゼントを配るという」

名取「そうですね」

提督「我々は敵対者の命を奪っているわけだ。あいつらいくらでも復活するけど」

名取「……」

提督「両手を血に染めた我々にサンタがプレゼントをくれると思うか?」

名取「それは……」

提督「だが安心するがいい。そんな悪い子にもサンタはプレゼントをくれるという」

名取「えっ……?」

提督「そう! 死をプレゼントしてk」

長良「馬鹿なこと」ゲシッ

五十鈴「言わないの」ゴスッ

提督「」ガクッ

名取「ふぇぇ……」


なお同じことを雪風に言ったらマジ泣きされたそうな

704: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/25(木) 21:45:48.77 ID:bXMlW4tHo
安価出すの忘れてた

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

708: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2014/12/25(木) 22:11:34.44 ID:oPi7sdP+O
初春

712: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/26(金) 21:20:33.30 ID:7RckrN9fo
――― 頭のブーメランらしき物体いったい何なんですかね ―――

>>370の続き。初春はめでたく改二になったのであった。

初春「ふむ、また強くなったのぅ」

提督「……あれ、前は連装砲とか分離式じゃなかったか?」

初春「それなんじゃが……船体部分も付いた結果重くなっての。飛ばして攻撃するのが非効率的になったのじゃ。魚雷も付いたしの」

提督「髪も大増量してるし。綾波のときも凄かったがそれ以上だぞ……」

初春「ふふん、凄いじゃろう?」

提督「トップヘビー……」

初春「それは禁句じゃ」

提督「それに……」

初春「それに?」

提督「更に可愛くなったな!」

初春「なっ! ……妻帯者が濫りに婦女子に対してそのようなことを言うものではないぞ」コツン

提督「ITEッ」

初春「それにそんなところ雪風に見られてみぃ。わんわん泣き出すぞえ」

提督「まぁそれもそうか」

713: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/26(金) 21:21:54.96 ID:7RckrN9fo
朝雲実装から山雲実装までめっちゃ早いな!?(舞風→野分比)

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

715: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2014/12/26(金) 21:26:42.94 ID:9zuiAXlDO
妙高

719: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/27(土) 22:40:11.90 ID:zXAjJ122o
――― リランカよりはまし(震え声) ―――

あらすじ:提督は不憫でなく先見性があるので改二を見越して妙高型を重点的に育てていた

足柄「素晴らしいわ! みなぎってきたわ……ねえ! もちろん試し撃ちしてもいいのよね!?」

提督「二号砲三基持ってくるとかどういうことなの……。それはともかく、早速実戦できる任務があるわけだが」

足柄「任せなさい! 勝利を勝ち取ってきちゃうんだから!」

提督「それ重複表現じゃないかなぁ……」

~~~~~~

沖ノ島沖。空母無しの水上艦のみでもボスにたどり着けて、そこそこの難易度なので最近の出撃任務の大半はここに突っ込まれる風潮。

提督「駆逐旗艦が条件でよかったぁ。むやみやたらと雪風旗艦にしてたら任務条件満たさずもう一回とかよくあったからね」

大淀「そういうのはちゃんと確認してくださいね……」

足柄「さ、夜戦よ夜戦! 夜偵飛ばすわ!」

リ級改「調子に乗るなよ、小娘ェ……!!」シャッ シャッ シャッ

雪風「! 足柄さん!」

足柄「しまっ……」ボスッ 7damage

直撃コースかと思われたが明らかに当たりが浅い!

足柄「ふふ、この程度なの?」

提督「今、しまったって言いそうになってなかったか」

足柄「勝てばいいのよ!」

~~~~~~

足柄「艦隊が帰投。作戦が終わったみたい」

ぷかぷか丸の甲板にどさり、と投げ出される深海棲艦。

提督「どう見てもワ級です。本当にありがとうございました」

足柄「だって敵艦隊見つかんなかったんだから仕方ないじゃない」

提督「レーダー外して水観つけるか……」

720: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/27(土) 22:44:22.75 ID:zXAjJ122o
結局足柄改二ネタを先に思いついてしまった……
あと索敵値相当厳しいから重巡と軽巡に艦載機2スロ載せるぐらいは覚悟した方がいいです

未消化艦娘
BB/BBV・SS/SSV・CL/CLT・other
おわり

CV/CVL
千歳・千代田

CA/CAV
利根・筑摩

DD
菊月・望月
白雪・深雪
大潮・山雲・霰
初風・谷風
夕雲・巻雲

723: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/31(水) 22:20:41.41 ID:fuG2dV3Co
――― 艦娘の艦首ってどこだよ ―――

提督「そういやさ妙高よ」

妙高「何でしょうか」

提督「初風が妙高の近く通りすがるたび首をしきりに気にしてるんだが」

妙高「昔、彼女の艦首をバッサリと落としてしまいましたからね……」

提督「そこだよそこ」

妙高「?」

提督「阿武隈も北上にぶつかって艦首やられてるけど彼女の場合は前髪だ」

妙高「そういえばそうですね」

提督「那珂も艦首側からやられたはずだが気にするのは頭部。それに……」

妙高「それに?」

提督「艦首魚雷ってどこから魚雷出してんだよマジで。北上とかどこからともなく出してたけど」

妙高「まぁ……人それぞれなんじゃないですかね」

724: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/31(水) 22:21:56.22 ID:fuG2dV3Co
艦首魚雷は謎が多い装備トップクラスだと思う

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

725: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2014/12/31(水) 22:23:19.75 ID:6OAAbofiO
白雪

730: ◆jf7rnHhSH2 2014/12/31(水) 22:50:07.63 ID:fuG2dV3Co
――― 来年もよろしくお願いします ―――

提督「今年も終わりだなぁ」

雪風「いろいろありましたねぇ」

提督「全くだ。雪風とケッコンしたり雪風が攫われたりピーコック島叩き潰したり本土奇襲捌いたり敵の新鋭艦潰したり……」

雪風「ですね」

提督「それになんだかんだで現在艦娘になった艦はもはや全員揃っている」

雪風「山雲さんも割とあっさり見つかりましたしね」

提督「ま、いろいろあったが、世は並べて事も無し。来年もよろしくな雪風」

雪風「はい、頑張ります!」

735: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/03(土) 12:27:09.10 ID:rGCcwcSJo
――― 気づけば元帥 ―――

雪風「AL海域のツ級、掃討しました!」

提督「おつかれさま」

雪風「新年だというのに深海棲艦の攻勢は止みませんね……」

提督「奴らにはこっちの暦などどうでもいいんだろ……ん?」

猫吊「ちわー、三河屋でーっす」

提督「新年早々猫が俺の目の前を通り過ぎたので幸運が逃げた」

猫吊「酷いですね。プレゼントあげようというのに」

提督「お年玉か?」

猫吊「はい、元帥杖」

雪風「しれぇもついに元帥ですか!? すごいです!」

提督「俺しかいないのに元帥もクソもあるのか? いや軍属だから普通は総理が持ってるんじゃねーの?

猫吊「平行世界とのなんやかやを鑑みてランキングが上位に入った記念です。あ、万一ランク落ちても返さなくていいですよ」

提督「ホントどうでもいいな?」

猫吊「まぁ心配しなくともEO早期消化でそうなっただけなので。鈍器にでもどうぞ」

提督「ホントどうでもいいんだな!?」

738: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/06(火) 22:40:43.79 ID:TLsiCEm4o
――― 弾幕が薄い(致命打にならないとは言ってない) ―――

まだ鎮守府海域で試行錯誤していた頃の話。提督と艦娘たちは南西諸島沖で練度向上に努めていた。

雪風「敵艦隊、撤退していきます!」

提督「よし、追撃せよ!」

白雪「特型駆逐艦の力、ご覧くださいませ」

~~~~

雪風「砲雷撃戦、続行します!」

夜戦は暗夜煙幕を張って逃走する敵の懐に飛び込み、魚雷や砲撃で半壊した敵艦隊を介錯する、艦娘の本領といってもいい戦術である。


白雪「少々弾幕が薄い気がします」

軽巡洋艦を沈めながら白雪が呟く。

提督「そりゃ敵は半壊してるしこっちは接近して確実に当てに来てるんだから薄くても仕方ないんじゃねーの?」

呟きを耳ざとく拾った提督が突っ込む

白雪「こう、砲撃戦って感じしないじゃないですか」

提督「まぁそうだが砲撃戦をすることじゃなくて生還と敵の撃滅が目的だからな」

白雪「少し寂しいものがありますね」

739: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/06(火) 22:56:51.54 ID:TLsiCEm4o
なお元帥の位からは1日で落ちました

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

740: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/06(火) 22:57:46.55 ID:SFshszPJO
千歳

743: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/07(水) 21:30:50.66 ID:6qiRRYjqo
――― 深海側視点 ―――

ホ級「全く、上のほうも酷いよなぁ」

ロ級「日本近海は艦娘が出張ってきやすいから無闇に強力な艦は送れないって」

イ級「撃たれる方の身にもなってみろっての」

ホ級「……む、偵察艦がやられたらしい」

ロ級「また小娘か?」

ホ級「……【水偵自慢】だ」

~~~~

千歳「新開発の二座水上偵察機が自慢なの!」

ホ級「ギャー! 甲標的だー!」

千歳「新開発の二座水上偵察機が自慢なの!!」

ロ級「ギャー! 瑞雲だー!」

千歳「新開発の二座水上偵察機が自慢なの!!!」

イ級「ギャー! 砲撃だー!」


提督「お疲れぃ」

千歳「全部、水上機隊のおかげですから」

甲標的妖精(私は……?)


ホ級「もうやだこいつら」ゴボゴボ

744: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/07(水) 21:32:15.52 ID:6qiRRYjqo
1-1の連中からするとちとちよはまるでレ級です

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

745: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/07(水) 22:02:57.99 ID:tl0Og2OUO
もっちー

747: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/08(木) 22:51:57.52 ID:F7jQEw1so
――― 近づくと実際当たりやすい ―――

望月「射線は…まぁいっかぁ…適当でも……」

などというものの、実際直撃しているし明らかにオーバーキルである。

提督「テキトーな割にはちゃんと当ててるんだよなぁ」

望月「んぁ~? みんなこんなもんじゃない?」

提督「まっさかぁ」

~~~~

提督「実際どうなんだよ」

雪風「撃ったら何か大体当たります!」

提督「何かって何だよ……」

~~~~

提督「夜戦といえば川内だが」

川内「ガーッと詰め寄ってギューンと来てドカーンだね!!」

提督「わからん。さっぱりわからん」

~~~~

提督「潜水艦は……」

ゴーヤ「ゴーヤの魚雷はおりこうさんでち!」

提督「……」

~~~~

提督「夜戦に強くなったビスマルク……」

ビス「ふふん、提督も私の凄さがわかってきたみたいね。もっと褒めてもいいのよ!?」

提督「>そっとしておこう」

ビス「あ、こらちょっと待ちなさい!?」

~~~~

提督「うん、テキトーだった」

望月「わざわざ訊きに行ったのかよ……」

748: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/08(木) 22:52:42.49 ID:F7jQEw1so
やる気と実際のダメージが比例するとは限らない

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

749: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/08(木) 22:54:29.40 ID:7YFp/OFvO
山雲

753: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/13(火) 06:49:09.86 ID:mNLgD5NEo
――― あれ実際誰なんでしょうねぇ ―――

山雲「この後もね~、朝雲姉と、デートなんです~。楽しみぃ~。 タイとか曲がってない~? そわそわする~」

提督「大丈夫じゃね?」

山雲「これでいいかなぁ~。いってきま~す」

提督「いってらっさい……んん?」

山雲が執務室を出た直後、机の上に備え付けた簡易連絡ランプが光った。

提督「オレンジ……近海に潜水艦接近中、か。えーと連絡連絡と」

『対潜装備持ちの駆逐艦へー。鎮守府近海に敵潜水艦発見の報あり。近海を哨戒し、発見し次第二度と近づく気にならなくなるレベルで掃討せよ』

~~~~~~

朝雲「あら、最上どうしたの?」

最上「さっきの館内放送聞いたかい?」

朝雲「外にいたから聞いてなかったけど……」

最上「潜水艦の掃討任務が出てる。確か朝雲が三式セット持ってたはずだよね」

朝雲「あっちゃぁ、山雲との約束があるときに敵が来るなんて……あれ、山雲?」

山雲「あれ、その人……だれ? 仲…良さそう……あれ? 涙が……あれ?」ダッ

朝雲「山雲? 山雲!?」

~~~~~~

山雲「…司令さん、朝雲姉が、知らない男の人と……」

提督「鎮守府敷地内に部外者がいるってことかよまた問題発生じゃねぇか。でそいつの特徴は覚えてるか?」

山雲「結構若くて~……茶色の服で~……短パンでした」

提督「……何か思い違いしてるようだが」

山雲「あの…え、それは…違う…の?」

提督「どう見ても最上です本当にありがとうございました。そういや旅行で重巡寮いった時最上は留守だったから見てなかったかもしれんな」

山雲「えっ」

提督「朝雲とはレイテで一緒だったし仲いいのもむべなるかな、と言うかお前もだろ」

山雲「そゆこと? な、な~んだ~!」

後日時雨の後姿見て同じような勘違いをしたのはまた別の話

754: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/13(火) 06:49:41.97 ID:mNLgD5NEo
あの口調は癖になりますね

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

757: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/13(火) 07:00:13.64 ID:9r1LSPCOo
そっか……じゃあ、利根で。

……って、これ連取になっちゃうのかな?
ダメだったら他の人ので。

760: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/13(火) 22:36:22.57 ID:mNLgD5NEo
――― 直ってしまったのか……? ―――

MI島攻略中の話。

利根「このときの為に、カタパルトは整備したのじゃ!」ドゥン

提督「この間まで直ってなかったような気がするが直ったのか……」

利根「当然じゃ! 昔の二の轍は踏まんぞ!」

提督「発艦が遅れた為に発見できたという説もあるようだが」

利根「そ、それは塞翁が馬というヤツじゃ。今回は偵察機の皆にも雲の下を見逃さぬよう厳命しとる」

提督「ならいいんだが……」


提督(……あの台詞言ってるとき、観測着弾できてない気がするんだよなぁ。本当に直ったのかなぁ……?)

利根「まだまだ、筑摩には負けん!」ドゥンドゥン

761: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/13(火) 22:38:58.09 ID:mNLgD5NEo
利根より筑摩のほうが身長高そう

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

762: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/13(火) 22:39:38.48 ID:VXdWrkRLO

764: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/13(火) 22:43:18.02 ID:mNLgD5NEo
霰了解ー あと8回分か……

未消化艦娘
BB/BBV・SS/SSV・CL/CLT・other
おわり

CV/CVL
千代田

CA/CAV
筑摩

DD
菊月
深雪
大潮
谷風
夕雲・巻雲

766: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/14(水) 22:49:37.11 ID:Z8rSZm6/o
――― 全18巻 ―――

霰「霰です……。んちゃ、とかは言いません……。よろしく……」

提督「一つ気になるんだが……」

霰「何……?」

提督「元ネタ、明らかに沈んでた頃の話だろ。何で知ってるんだよ」

霰「言霊の問題……。登場人物の『アラレ』という名前が……駆逐艦『霰』と共鳴して……人々の間に漂う意識から情報が流れ込む……」

提督「要するに名前が一緒だから知ってるってことか」

霰「うん、そう……」

提督「まぁ装備変えるか」


艦娘装備中……


霰「……んちゃ」

提督「普通に『んちゃ』って言ってるじゃねーか!!」

767: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/14(水) 22:50:21.47 ID:Z8rSZm6/o
二輪車(リアカー)

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

768: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/14(水) 23:07:07.60 ID:LqrT5XGNo
千代田

775: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/18(日) 21:30:43.84 ID:HXUzaC3qo
――― 違うそうじゃない ―――

千代田「足りない……千歳お姉が足りないよ~」

提督「……言ったな?」

千代田「?」


数日後、工廠。

提督「これから千代田に近代化改修を施すわけだが」

千代田「ってちょっとこれ……」

ずらりと並ぶ5人の千歳。

提督「ん? 千歳が足りないんだろう? さぁ存分に取り込むがいい!!」

千代田「いやそういう意味じゃなくて」

提督「それポチッとな」

\近代化改修に成功しました/

提督「さぁもう一回分おかわりあるぞ!」

千代田「そうじゃないってばぁ!!」

776: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/18(日) 21:31:25.63 ID:HXUzaC3qo
これで空母系統も終了か……

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

777: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/18(日) 21:33:38.69 ID:LkdpV+ivO
夕雲

780: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/20(火) 21:56:21.55 ID:JxLe0gL7o
――― 世にも奇妙な物語が元ネタ ―――

夕雲「第一艦隊のネーミング、変えてみたらどう? おもしろい艦隊名だと何気に大本営にチェックされるらしいわよ?」

提督「マジか」

夕雲「あの猫吊るしてる子が言ってたから間違いないと思うわ」

提督「俺に直接言えよ……」

夕雲「それでどうするのかしら? 変えちゃう?」

提督「変えるにしてもなぁ。うーん……よし、これだ」


\ずんどこべろんちょラビリンス/


夕雲「時々提督のセンスがわからなくなるわ……」

提督「よしコレで決定……あれ、あれれ? 変わらない?」

夕雲「やっぱり名前のセンスがちょっとダメなんじゃないかしら?」

提督「ぐぬぬ」


原因が文字数長すぎだったということに気づくのはずっと後になってからだった

781: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/20(火) 21:59:08.15 ID:JxLe0gL7o
もう残りだいぶ少なくなってきてるのでは

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

782: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/20(火) 22:01:03.93 ID:gyM9XmzYO
始めて以来ずっと第一艦隊のまんまだなあ
安価とれてたら菊月で

787: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/21(水) 22:45:01.31 ID:AECRdns4o
――― 多分再利用されてる ―――

おなじみ鎮守府近海。

菊月「悪いが、ここが貴様らの墓場だな!」

ホ級「ウボァー」

菊月「運が悪かったな!」

提督「うーむ」

菊月「どうした、司令官?」

提督「こいつらいくらでもわいて来るだろ?」

菊月「そうだな」

提督「お前らが沈めるだろ? 一部鹵獲してるけど」

菊月「それがどうしたんだ?」

提督「週50回出撃で月に600隻ぐらいこの海底に沈んでることになるんだがそんな墓場あったら怖いなぁって」

菊月「少し怖気がしてくるな……」

提督「ちょっとゴーヤ辺りにどうなってるか見てもらうか」

~~~~

ゴーヤ「無理でち」

提督「潜水艦だろう!? 数百メートルぐらいドボンと行っちゃえよ」

ゴーヤ「ゴーヤの安全潜行深度はせいぜい百メートルでち。そんなに深いところ行けるわけないでち」

788: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/21(水) 22:45:28.43 ID:AECRdns4o
――― 第十一駆逐隊、抜錨!! ―――

執務室に並ぶ吹雪、白雪、初雪、深雪。

提督「諸君らに朗報だ。吹雪改二記念に第十一駆逐隊編成&出撃任務が来たということだ」

編成&出撃任務。いわば大本営による艦隊練度のテストである。

提督「そしてこの編成任務完了後、オリョール海と鎮守府近海の対潜掃討を行なってもらう!」

吹雪「頑張ります!」

白雪「頑張っていきましょう」

初雪「ん゛……頑張る」

深雪「早く戦いたいぜー!」

提督「では、任務完了、と」

猫吊「進捗ダメです」

提督「は?」

猫吊「進捗ダメです」

提督「十一駆はこの面子だろ?」

猫吊「説明はよく読みましょ。いつだったか軽巡旗艦で消化すべき任務を雪風旗艦でやったでしょ?」

そう言われて提督は書類を見直す。

提督「吹雪、初雪、白雪、"叢雲"の4隻で構成され……深雪じゃないの!?」

なお1942年の第十一駆逐隊がこの構成なんだそうな。

提督が艦娘たちのほうを見るとそこには打ちひしがれている深雪とそれを慰める他三人の姿が!!

深雪「ううっ……せっかく実戦で活躍できると思ったのに……」


この後「深雪をぬか喜びさせるなんて馬鹿じゃないの!? 馬鹿じゃないの!!?」と提督をどつきながら罵ってた叢雲の姿が見られたという。

789: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/21(水) 22:46:24.43 ID:AECRdns4o
深雪先に思いついたから書いてしまったぜ

残り四人は思いつき次第書きます。
残り:巻雲・筑摩・大潮・谷風

791: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/22(木) 22:28:03.99 ID:rTwvnVK4o
――― 次女に当たるはずなのだが ―――

提督「なぁ巻雲よ」

巻雲「なんでしょう、司令官さま?」

提督「巻雲は夕雲型二番艦だからいわば次女だよな」

巻雲「そうですよ! ふふーん!」

提督「ぶっちゃけ清霜より年下に見えるぞ」

巻雲「えー、何でですか!」ペフペフ

提督「明らかに一回りちっこいし夕雲に甘えまくってるし…こら余った袖で叩くな」

巻雲「そんなことないですー!」

提督「ふーん……」

~~~~~

翌日早朝

提督「えーと、旗艦あきつ丸、随伴が阿武隈、夕雲、長波、早霜、清霜。以上艦隊決戦支援任務遠征班」

あきつ丸「夕雲型でありますか……巻雲殿は?」

提督「入渠中だし留守番だ」

夕雲「提督? 何か悪いこと考えてません?」

提督「入渠中だからな。仕方ない」

~~~~~

巻雲「夕雲姉さん! 巻雲戻りまし……あれれぇ?」

夕雲型の部屋には当然誰もいない。隣も。

巻雲「夕雲姉さん、どこですか~?」

そこに通りがかる秋雲。

秋雲「あぁ、夕雲たちなら遠征行ったよ」

巻雲「ふぇぇ……いつごろ帰ってくるかなぁ?」

秋雲「あきつ丸も呼ばれてたし……ボーキ遠征だったら5時間ぐらいかな?」

巻雲「よーし、巻雲、留守番頑張っちゃいます!」

~~~~~

巻雲「掃除して……洗濯して……ふぇ~……忙しい~」

5時間経過……

巻雲「正直すごく寂しいけどそろそろ夕雲姉さんたちが帰ってくるはずです! 埠頭まで迎えに行きます!」


鎮守府埠頭。当然帰ってくるわけがない。

巻雲「……あれれ~?」

提督「どうした巻雲」

巻雲「夕雲姉さんたちを迎えようと……」

提督「あと10時間は帰ってこないぞ」

巻雲「えっ」フラフラ パタリ

提督「えっ、ちょ、おま」


夕雲たちの帰投後、提督は夕雲に説教されましたとさ

792: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/22(木) 22:29:23.51 ID:rTwvnVK4o
――― 右が前? ―――

提督「利根型は連装主砲4基を前甲板に集中させ、後部をカタパルトとすることにより偵察機を多く設置できたというが……」

筑摩「えぇ。それが利根型の特徴です」

提督「右アームに主砲ガン積み、左アームがカタパルトってことは右側が正面なのか……?」

筑摩「そうするとスノーボードみたいな進み方になってしまいますね」

提督「よく『右舷、砲雷撃戦始めます』って言ってるがそれに従うと背中側が右舷ということになるのだが……」

筑摩「……右が右舷ということにしましょう。そのほうがわかりやすいですし」

提督「いいのかそれで」

797: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/23(金) 22:29:33.57 ID:BL3aiaeto
――― 魚雷概念、艦砲概念 ―――

大潮「小さな身体に大きな魚雷! お任せください!」

提督「うーん、ちょっと魚雷発射管見せて?」

大潮「はい、どうぞ!!」

提督「ん~……」

唸りながら魚雷を指でつまんで太さを測る。

提督「雪風~」

雪風「なんでしょう?」

提督「ちょっと後ろ向いて魚雷発射管見せて」

雪風「はい!」

同じように雪風の魚雷の太さを測る。

提督「……雪風のヤツのほうが大きいように見えるが?」

大潮「大丈夫です!」

提督「何がどう大丈夫なんだよ」

大潮「ええっと……」

猫吊「困ったときの猫吊るし!!」バキャ

提督「天井突き破って出てくんな」

猫吊「詳しい説明は省きますがコレが艦砲だとか魚雷だとか魂レベルで定義してるからいろいろ形式が違っても同じくらい威力出るんですよ」

提督「へー」

猫吊「もちろん装備自体の性能に本人の力量も足されますからその辺で差は出ますけどね」

提督「だから同じ装備でも物理的に使いまわせるのか……」

798: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/23(金) 22:31:02.29 ID:BL3aiaeto
――― 江戸っ子(大阪出身) ―――

谷風「ちくしょーめ! がってん!」

提督「谷風、江戸っ子みがあるよなぁ……」

谷風「お呼びかい、提督?」

提督「谷風も涼風と同じくえーと……浦賀の出なのか?」

谷風「いんや? 藤永田出身だよ?」

提督「藤……永田……?」

谷風「大阪の造船所だよ」

提督「大阪だと……!? なのに江戸っ子だと……!?」

谷風「それ言ったら龍驤さんも似たようなもんでしょ?」

提督「それもそうだがやっぱ腑に落ちない」

谷風「浦賀も厳密に言えば江戸じゃないしね」

提督「そうか……そうか」

799: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/23(金) 22:32:09.17 ID:BL3aiaeto
これで一周終わりましたね
小ネタとか長いのとかいろいろありましたが好きな話とかありましたか?

それはそれとして小ネタ艦娘とか安価下

800: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/23(金) 22:37:55.63 ID:hrzN0EALo
乙です 由良

806: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/26(月) 22:57:58.85 ID:XveryyuAo
――― 世界で一番柔らかいカタパルト ―――

由良「私のカタパルトって…邪魔、かなぁ?」

提督「カタパルトって川内とかが腕につけてる、偵察機飛ばすあれだろ?」

由良「はい」

提督「どこにもないように見えるが」

由良「ありますよ」

そう言うと懐から水上偵察機を取り出し、ポニーテールの根元部分に慎重に取り付けた。

由良「妖精通信システムオールグリーン、カタパルト準備よし。発艦まで5……4……」

カウントダウンと同時に由良の長いポニーテールが風もないのにたなびき始めた。

由良「3……2……1……0!」

ポニーテールの毛先からまっすぐ飛び立つ水偵。空中を二、三度旋回した後、偵察に向かっていった。

提督「そこだったのかよ!!」

由良「邪魔かなぁ?」

提督「いや、大丈夫なんじゃね?」

807: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/26(月) 22:59:23.51 ID:XveryyuAo
見てくれる人がいるというのは嬉しい事だ

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

808: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/26(月) 23:03:37.25 ID:V8meha1hO
おつおつ
由良の髪の毛は縛ってる所に連装砲らしきもの付いてるし実際謎
安価とれてたら雪風で

811: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/28(水) 22:35:34.92 ID:OP+q6Ag6o
――― 別にインモラルな要素はない。いいね? ―――

深夜の鎮守府。一部の艦娘は24時間寝なくても大丈夫というが、心と体が有る以上、睡眠は必要なのである。

煎餅布団。ハネムーン記念に獲得した家具。

提督になる前から使っていたベッドはあるが、使わないのは勿体無いということで提督は布団を貰って以来コレを使っている。

提督「さて、寝るか。雪風おいで」

雪風「はーい」

ベッドは一人分なので少々手狭だが、この煎餅布団は二人で同衾することを念頭にデザインされている。

雪風は布団の中でもぞもぞ動き、提督の胸元まで潜り込む。

雪風「しーれぇっ。えへへっ」

提督「よしよし」

雪風の頭を優しく撫でる。それにあわせて雪風がぎゅっと抱きついてくる。

コレをやらないと翌朝胸の辺りが涙まみれになるのだ。

雪風「しれぇ」

提督「なんだ?」

雪風「大好き……」

提督「俺も雪風のこと好きだよ」

雪風「はふ……」

艦船の魂から創りだされた存在とはいえ、艦娘も一皮むけば普通の少女なのだ。

ぎゅぅ、と抱きしめると心臓の鼓動を感じる。

提督(雪風が悲しまないで済むようにしないとな。そのためにこの戦にケリをつける。話はそれからだ)

戦いはまだまだ続く。提督の目的が果たされる日はいつになるやら。

812: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/28(水) 22:36:57.85 ID:OP+q6Ag6o
なんかの参考のために刀剣乱舞はじめたけど回想システムと自動任務受注いいですね。艦これにも輸入して欲しい

あと小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

813: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/28(水) 22:37:13.52 ID:BsGSjNd9O
秋月

817: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/29(木) 20:55:06.29 ID:iXhDxQ1oo
――― 当初は秋月型が出る前に畳まれる可能性を考えていたと思しき点 ―――

秋月「秋月型防空駆逐艦、一番艦、秋月。ここに推参致しました。お任せください!」

提督「これは、10cm連装高角砲か……」

秋月「はい、長10cm砲ちゃんです! 12.7cm連装砲と違って、対空性能が高いんですよ!」

提督「うむ、知ってるぞ。うちの駆逐艦の皆、標準装備だからな」

秋月「えっ」

提督「ほれ、見てみぃ」

提督が指差す先には談笑しながら歩く吹雪と白雪。その手には10cm連装高角砲!!

秋月「ホントだ……」

そこに来る遠征帰りの駆逐隊。

初霜「艦隊、帰投しました!」

提督「初霜か。おつかれさん。これで東急7回だから補給したら休め」

初霜「了解したわ!」

睦月「睦月、補給感激ぃ~」

ぞろぞろと去っていく艦娘たち。その手に持っている砲は……長10cm砲!!

秋月「まさか睦月型にまで実装してるなんて……」

提督「ふふーん」

そんな二人の横をビュン、と駆け抜ける一陣の風。

島風「おっそーいー!」

天津風「ちょっと待ってよー! というか連装砲ちゃん達、置いてけぼりでいいの!?」

島風「後からついてくるからだいじょーぶ!」

二人の艦娘と三基の連装砲はあっという間に遠ざかる。

秋月「その……あの子たちも……」

提督「妖精の技術って凄いよなぁ。頭部だけ長10cm砲にとっかえちまうなんてな」

そう、連装砲ちゃんたちも連装砲くんも、長10cm砲カスタムが施されていたのだ!!

秋月「……ま、まぁ私は高射装置つきですし」

その声は震えていた。

818: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/29(木) 20:56:46.16 ID:iXhDxQ1oo
鋼鉄少女嵐出たから買ったんですよ。翔鶴、瑞鶴に三川艦隊まで出てました。
朝雲も神通の部下として前々から出てたことに今更気がつきました。読んでた当時は未実装だったからなぁ。
あと読み直したら飛龍の介錯してたの野分でしたてへぺろ

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

>>815
なんか思いついた時にやります(震え声)

819: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/29(木) 21:19:34.13 ID:aTsqFipqo

821: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/29(木) 21:24:37.76 ID:iXhDxQ1oo
既出リストはまだ作るには及ばないかなーと

>>819の響でいきます

823: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/30(金) 21:27:51.50 ID:Uk/+Ecclo
――― 抑止力 ―――

提督「うーむ」

響「どうしたんだい、司令官?」

提督「いや、ちょっと疑問に思うことがあってな」

響「?」

提督「そもそも艦娘は深海棲艦から国を守る為に現世に降ろされたわけだが、反乱起こしたら既存の政府なんて容易に制圧できるんじゃないのか?」

響「過激だね」

提督「こーんな考えようによっては危ない集団、一介の民間人に……いや今の立場上は軍属なんだろうけど、まぁその、任せていいのかと」

響「そもそも、私たちの武器は人に向けてもゴムボール軽くぶつけた程度の威力しか出ないよ」

提督「え? 深海棲艦には穴あけたり爆散したりするレベルで効いてるけど。下手すれば近代兵器以上に効いてるし」

響「深海棲艦には、ね」

提督「??」

響「あの猫吊るしてる子が言ってたけど艦娘の存在と妖精さんの力が合わさって、深海棲艦に致命打を与えるとか」

提督「……んん? いつだったか艦娘用の装備ガン積みで一人出撃したことがあったが、妖精降ろした後でも普通に攻撃通ってたぞ」

響「ぷかぷか丸にも艦魂はあるはずだし、整備している妖精さんの力はすぐに消えるもんじゃない。それに、女神も乗ってたはず」

提督「そうか……」

響「ところで、どうして反乱とか物騒な話を?」

提督「響見てたらデカブリストって単語を思い出してな。革命→反乱ってわけさ」

響「……司令官、ちょっと手を貸してくれないか」

提督「いいけど」

提督が差し出した手の親指付け根と人差し指付け根の中間点をぎゅっと挟み込む。実際痛いので試してみよう!

提督「ん゙に゙ゃ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙」

響「司令官はちょっと短絡的過ぎる」

824: ◆jf7rnHhSH2 2015/01/30(金) 21:28:40.34 ID:Uk/+Ecclo
なお普通の武器で反乱起こしても猫吊るしがいる限り勝ち目はありません

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

825: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/30(金) 21:29:24.13 ID:rkT17H/JO
朝潮

833: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/02(月) 21:39:02.43 ID:2ddnESafo
――― 部屋割り ―――

鎮守府、執務室

いつも通り書類仕事に精を出す提督

提督「うーん、コレがこうだからブツブツ」

そこにノック音。

朝潮「駆逐艦、朝潮です! 遠征任務の報告書をお持ちしました!」

提督「あぁ、開いてるから入っていいぞ」

朝潮「失礼します」

ちらり、と朝潮の手にある報告書の束を確認すると再び作業に戻る。

提督「書類はそこ置いといてくれ」

朝潮「ここですね」

山と詰まれた書類に慎重に積み重ねる。ふと、提督の書類に目をやると……

朝潮「駆逐隊について……?」

提督「そうそう。うちの寮の部屋割り。新しい子が来たら配置換えをする必要が出てくるからなぁ。特に駆逐艦娘」

朝潮「固定じゃなかったんですね」

提督「まぁ基本駆逐隊ごとに2~4人1組で部屋振ってるからなぁ。朝潮たちは第八駆逐隊だから固定だけど途中参入とかでひとりあまった場合どこに突っ込むかとか考えるわけよ」

朝潮「なるほど……」

提督「16駆なんかだと雪風が俺の部屋で寝るようになったから代わりに島風入れたりとかな。天津風いるし」

朝潮「じゃあ山雲が来たときに喜んでたのは……」

提督「あぁ、朝雲と一緒の部屋にすればいいし、舞風の再来にならなくてすんだのもある」

834: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/02(月) 21:40:15.79 ID:2ddnESafo
軽巡以上はだいたい同型艦で組んでる設定

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

835: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/02(月) 21:40:56.80 ID:+w5oXyDuO
如月

839: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/03(火) 21:53:22.07 ID:rC6jict3o
――― 壁ドン ―――

如月「司令官、ちょっとお願いがあるの」

提督「なんだ?」

如月「如月に『壁ドン』を……やってほしいの」


壁ドン。女を口説くときの手管の一つであり、乙女は強気押しにドキドキ来るとかそういうもんらしい。


提督「ふーん? まぁいいけど。んじゃそこの壁際にたって」

如月「えぇ」

提督「歯ぁ食いしばって」

如月「え?」

戸惑う如月をよそに提督は掌を構え、腕を後ろに引く。

提督「発剄用意……」

その手の延長線上は如月の顔の横ではなく、鳩尾。

如月「!!」

ドンッ

如月が横に飛び退くのとほぼ同時に、提督の腕が強く突き出された。

如月「し、司令……官……?」

提督「ん? 壁ドンして欲しかったのでは?」

如月「思ってたのとちょっと違うかなぁ……って」

提督「えぇ? 対象を壁に叩き付ける事でダメージを倍化させるアレじゃないの?」

如月「違うわよぉ」

提督「じゃあ隣がうるさいときに不快感を露骨に示す……」

如月「それも違うわ……」

提督「まぁ知っててやってるんだけどな。だいたい……」

ドンッ

提督「俺の女になれよ」

如月「!!」

提督「……な~んてやってるところを雪風に見られたら誤か……い……」

ふと横を見るとそこには雪風が!!

雪風「じれ゙ぇ゙の゙ゔわ゙ぎも゙の゙ー!!」ダッ

提督「誤解されたー!! おい追うぞ如月! ……如月?」

如月「」ポヤーン

提督「うあああああ!!」


この後誤解をとくのに四苦八苦したがそれはまた別の話

840: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/03(火) 21:55:26.81 ID:rC6jict3o
如月って壁ドンとかに憧れそうな気がする(偏見)

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

841: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/03(火) 21:56:04.75 ID:fNs2QiD3O
五月雨

844: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/04(水) 22:16:41.68 ID:vkbqBAZGo
――― 多分艦娘中一番長い ―――

五月雨「五月雨っていいます! よろしくお願いします。護衛任務はお任せください!」

提督「よろしく」

五月雨「もうドジっ子なんて言わせませんから!」

提督(超長い髪、そしてドジっ子宣言……絶対フラグ立つぞこれ)

~~~

鎮守府南西海域、実戦訓練中……

提督「雷撃距離まで接近! トドメヲサセー!!」

駆逐艦による一斉雷撃。五月雨も背中の魚雷発射管を傾け、雷撃体勢に入る。

五月雨「たぁー!!」

発射される魚雷。だがそのうちの一つのスクリューが五月雨の髪に引っかかり……

五月雨「あっ!?」

提督「あやや?」

雪風「五月雨ちゃん!?」

そのまま五月雨ごと敵に突貫していく魚雷!!

五月雨「助けてぇ~~!!」

そのまま敵艦に直撃し、上がる火柱。

五月雨「もうっ! ……なんでぇ!?」


大破状態で発見された五月雨はそのままドックに直行することになった。

長くてきれいな髪の毛も酷い状態である。

五月雨「もうだめぇ……。ちょっとお休みしますね……」

数分後、完全に治った五月雨の姿が! 髪の毛も元に戻ってる!!

提督「何でもう治ってるんだ……」

845: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/04(水) 22:18:08.74 ID:vkbqBAZGo
1スレ目最初の方で雪風魚雷管手に持って撃ってたけど普通に横向けて射出できるんだねあれ……(いつ静見ながら)

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

846: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/04(水) 23:14:13.63 ID:P0oTjmHcO
由良、那智あたりと並んで長いよね
金剛とか那珂の纏めてる勢も解いたらいい勝負しそう
安価とれてたら加古でお願いします

851: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/05(木) 22:21:55.38 ID:84LvYgMAo
「ふーん、トラック泊地ねぇ」

資料を繰りながら流し読みする提督。

「ちょっと詳しそうな子に話聞いてみっか」

手元の資料から艦娘として着任している艦の名をざっとメモし、執務室を出る。


Avengers Of Truk Anchorage ~Prologue~


埠頭に出ると那珂が歌の練習をしていた。寮でやられても困るので晴れの日は大体外で歌っている。

「いつも元気なこったな。おーい、那珂ちゃーん」

「キラーン☆ 提督、お仕事ですか?」

「そうだ。トラック泊地襲撃についてなんだが」

トラック泊地襲撃。その言葉を引き金に那珂の顔から感情というものが抜け落ちた。

「あのね、提督。アイドルにも思い出したくない過去ってあるの。わかってね?」

「お、おう」

それだけ言うと寮のほうに引っ込んでいってしまった。

「ぬぅ」

852: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/05(木) 22:22:22.63 ID:84LvYgMAo
しばらく後……

「ぐぬぅ。舞風も文月も脈無しだった。おまけに野分と長月にめっちゃ怒られた」

駆逐艦寮から出てくる提督。舞風は顔色が急激に悪化し、文月は堰を切ったように泣き出した。

「トラック泊地にいったい何が……」

「あ、提督さんみーっけ」

そこに駆け寄ってくるのは阿賀野。

「おお、こっちもちょうど阿賀野の事探してたんだ」

「その前にちょっと帽子取ってくれる?」

「ん? あぁ、ほれ」

帽子を脱ぐ、と同時に

「えいっ☆」

顔面に手刀を叩き込まれた

「あべしっ」

「むー、頭まで届かなかったー」

「何だよ、いきなり」

帽子を被り直しながら尋ねる。

「神通さんから聞いたよ。トラック泊地のこと聞いて回ってる、って」

「うむ。それで阿賀野に用があったんだが」

「いーい? よく聞いてよ」

そういう阿賀野にいつもの暢気さはなく、真剣な表情をしていた。

853: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/05(木) 22:22:51.22 ID:84LvYgMAo
「……と、言うわけなのよ」

「実に酷い話だな……」

阿賀野の話は実に悲壮なものだった。

「全く、こういう話を軽々しく聞こうだなんて。阿賀野も怒っちゃうよ?」

「そうだな。二の舞にはしたくないもんだな」

「ところで提督さん、何でわざわざ聞こうと思ったの?」

「理由は言ったさ。二の舞にならないように、って」

その一言で阿賀野の眉間にしわが寄る。

「まさかあいつら、トラック泊地を狙ってるというの!?」

「そうだ。あの辺の制海権はもはや取られたも同然、間一髪で臨時のポータル設置が間に合ったから接続作業が終わり次第反攻に出る」

いったん言葉を切る。

「そう、反攻だ。昔と今とは違うこと、そして俺たちに喧嘩を売ることがいかに高くつくか、わかるまで何度でも思い知らせてやる。覚悟はいいか?」

「……今度こそ、阿賀野型の本領、発揮しちゃうんだから!」

かくして、トラック泊地をめぐる攻防戦の火蓋は切って落とされた……。

857: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/09(月) 22:41:29.83 ID:UwADsjIio
東京急行組の天龍からの報告書に曰く、深海棲艦の挙動がおかしい。

「まー、おかしいって言うか連中は拠点を失うと自縛霊みたいに決まったところ回遊するだけだろ?」

「うむ、そうだな。おかげでキス島での実戦訓練が捗る」

「ここ最近、南方の港にちょっかい掛けてくるヤツらが増えてる。それに、偵察と思しき潜水艦も増えてる」

「そいつは不味いな。具体的にはどこら辺だ?」

机の上に南方の海図を広げる。諸島の多い南方でシーレーンを断たれれば大問題である。

「そうだな……ピン借りるぞ。ここと、ここと……」

己の記憶を元に、次々とピンを立てていく。

「で、攻撃されてるところは?」

「そうだな、ラバウルとか……あとこの辺だな」

言いながら×マークのコマを置いていく。刳り貫くように孤立する諸島。

「……ここは……」

「トラック諸島、だな」

トラック諸島。南方海域における要衝の一つ。ここを乗っ取られることがあれば南方海域のシーレーンの喉元に刃を突きつけられるも当然。

「既存の南方ポータルからはちょっと遠いな……。猫吊るしに相談しとくか。天龍、南方遠征組に今回のこと周知しとけ。動きがあったら報告だ」

「了解。しっかし……」

「なんだ?」

「元は漁師だろう? 提督業も板についてきたもんだな、と」

「……元の職業のこと忘れそうだよ、うん」

858: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/09(月) 22:43:41.42 ID:UwADsjIio
Avengers Of Truk Anchorage ~Episode 0~


数週間後。埠頭に艦娘が集結している。

整列したのを確認し、提督は咳払いをする。

「えー、おほん。我々はこれより、トラック泊地にポータルから乗り込み、そこを拠点として深海棲艦どもの掃討を行なう」

大淀がホワイトボードを押してくる。ホワイトボードにはトラック諸島周辺の地図が張られている。

「まず第一段階として、トラック周辺の潜水艦どもに海底の土をなめさせる。連中の指揮を張ってるヤツを仕留めれば後は烏合の衆だ」

トラック北東に鬼の顔をしたコマを張り、ぐりん、ぐりん、と矢印を引く。

「ま、ここらへんにいるって話だ。そこに向かってついでに道中の潜水艦とかも始末する」

「潜水艦に囲まれてるなんて、まるであの時の再現じゃない……」

那珂が呟く。その声にいつもの明るさはない。

「だが昔は昔、今は今、だ。今は対抗できるだけの力がきっちりあるわけで」

そう言いながら東のほうにもう一つ鬼のコマを張る。

「潜水艦を片付けたら、次は空襲しようと目論む連中をわからせる。物理的に」

張ったコマのほうにぐいっと矢印を引く。

「その先はどうなるの?」

阿賀野が真剣な表情で問う。

「空襲部隊だけで終わるわけがない。連中の主力をぶっ潰すまでだ」

工廠から妖精が三式ソナー・爆雷を次々と運んでくる。

「まずは周囲の安全の確保、次に空襲部隊の撃滅。そして本隊を捻り潰す。簡単な話だ。

 雪風、那珂、阿賀野、島風、舞風、野分。第一次作戦はこの面子で行く。抜錨せよ!!」

その言葉とともにポータル開放ボタンを押す。埠頭の先にポータルが開……かない!!

「……あれ?」

何度かボタンを押しなおしても反応なし。そこにやってくる猫吊るし。

「あー、向こうの避難民の誘導が終わるまで待ってね」

「入れた気合どうしてくれんだよ!?」

「提督が殴るわけでもないでしょ。ゆっくり待ってね!」

結局避難が終わるまで2時間かかった。

859: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/09(月) 22:47:08.68 ID:UwADsjIio
次回予告!

「あれが補給用のワ級か……」
「破壊します?」
「対潜用装備でいっぱいいっぱいだ。それに沈めてもまた補充してくるだろ」

「この陣形……単縦だと!?」

「これ以上……やらせはしない!」

次回、Avengers Of Truk Anchorage ~Episode 1~

まぁ多分イベント終わるまでには完結します(震え声)

863: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/12(木) 22:07:26.26 ID:vfLTSHoEo
「だいぶ時間がかかったがやっとトラック泊地に着いたか」

ポータルを抜けるとそこは閑散とした港。人っ子一人いない。

「……まぁ避難済みならしょうがないわな」

雪風たちは出撃に向けて最終調整をしている。爆雷の装填、ソナーの動作確認。

野分は一足先に着水して耳を澄ませている。

「……司令」

「どうした、野分?」

「潜水艦、うようよ居ますよ。近海に回遊している奴らの比じゃない位に」

「音紋の特定は行けるか?」

「静かに。ちょっと待ってください」

目を瞑り、耳を澄ます野分。

「……聞き慣れない音がします。ソ級、でしょうか」

「ま、誰だろうがやることは変わらん。全部まとめて水底に叩き付けてやれ! 抜錨!」

864: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/12(木) 22:09:32.41 ID:vfLTSHoEo


Avengers Of Truk Anchorage ~Episode 1~ サブマリン・スイーパーズ


「うわぁ、うようよいるぅ……」

トラック泊地から一歩出ればそこは深海棲艦の領域。ソナーのピンを打つまでもなく、そこらかしこに連中が息を潜めていることが感じられる。

「島風ちゃん、つらいかもしれないけどここは急いだら危ないからね」

「うー……」

不満そうにしながらもゆっくりと進んでいく。

「那珂ちゃんは聴く方じゃなくて聴かせるほうなんだけどなぁ」

などと文句を言いながらもソナーでスクリュー音に耳を傾ける。

「……! 十時の方向、雷撃きます!」

野分の警告に全員が反応し、回避行動を取る。

「あっぶな~!」

阿賀野のすぐそばを魚雷が通り過ぎていく。

くるり、と踊るように舞風が戻ってくる。

「野分、今の魚雷、普通のより速くなかった?」

「確かに普通の潜水艦より殺意にあふれていたような……」

「敵艦隊はっけ~ん……嘘、単縦組んでる!?」

単縦陣。隊列の組み方は艦娘や深海棲艦の砲雷撃、対空、対潜などに影響するという。

一定の陣を組むことで呪術的影響を及ぼすという話だが、「単縦は砲雷撃戦の威力が安定する」など直感的にわかること以上の効果は明らかにされていない。

「みんな、単横陣組んで! 爆雷投擲用意~!」

那珂の一声で隊列を組みなおし、次々と魚雷の発射点付近に爆雷を打ち込む。

「それ、ワン、ツー!」

「五連装酸素魚雷、いっちゃってー!」

「島風ちゃん魚雷投げちゃダメー!」

程なくして、深海棲艦の残骸が浮かび上がる。

「よーし、次いくよー!」

865: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/12(木) 22:21:00.82 ID:vfLTSHoEo
「あれ、水上艦がいるわね?」

偵察機を飛ばしていた阿賀野が呟く。

『敵編成はどんなもんだ?』

「輸送艦とその護衛ね」

『まったく、ご苦労なこった』

「やっちゃう?」

おつまみを一品追加するかの様な気軽さで問う阿賀野。だがここで無駄に損耗してもいいことはない。

『護衛は適当に片付けとけ。護衛補充の間に引き返している間に潜水艦殲滅すればいい』


「全く、MI後の奇襲といい、今回のトラック襲撃といい、敵の動きもどんどん人間味を帯びてきてやがる……」

水平線の向こうに見える砲火。金色に輝くワ級を沈めることは容易ではない。対潜特化装備の状況下ではなおさらである。

そうこうしているうちに敵艦隊撤退の報せが入る。

『敵主力、発見しましたー』

「よしよし。全艦突撃ぃ!」

866: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/12(木) 22:21:34.13 ID:vfLTSHoEo
「ここらへんだったよね、阿賀野ちゃん」

「じゃ、ピン打ってみましょ」

三式水中探信儀から放たれる音紋が、敵艦隊を捉える。

「ひぃ、ふぅ、みぃ、し……11時の方向に四隻発見、魚雷装填音! みんな気をつけて、来るわよ!」

幾つもの雷跡が艦娘達の間を掠めていく。

「先ほどのに比べれば然したることはないですね」

「さ、みんな! ライブの前にお邪魔虫を片付けちゃおう!」

那珂の号令とともに次々と爆雷が放たれる。

浮かび上がる金色――今は輝きを失って黄土色に見えるが――のソ級。この潜水艦たちを束ねていると思しき、いわば総旗艦。

「そのまま浮いてくるの、珍しいわね……」

「雪風が鹵獲してきます!」

そう言うと雪風はそっと浮上したソ級のもとへと近づく。反応はない。ただ、空気が泡となり海面に浮かんでいく音のみ。


シャッ

867: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/12(木) 22:24:41.33 ID:vfLTSHoEo
「!!」

微かな異音を聞いた野分は連装砲を雪風のほうへと向ける。

「ど、どうしたの野分!?」

舞風の問いへの答えは、砲撃音だった。

炸裂音とともに雪風の目の前で上がる水柱。

「ひゃぶっ!?」

まともに塩水の洗礼を受ける雪風。


「まだ魚雷を発射する余力を残してたなんて……間に合ってよかった」

「びっくりしたぁ……。それならそうと早く言ってよー」

そう言って舞風は大げさに安堵のため息をついた。


「はふ、ソ級は……いない?」

海水を振り払ってもう一度見直すと、ソ級は既に姿を消していた。

ソナーに耳を澄ますと、大きな塊が沈んでいくのを感じ取れた。

「先ほどの爆発の余波で沈んだんでしょうか……」

ともあれ、これでトラック周辺の海域の対潜掃討は完了である。

次は……敵の空襲部隊である。下地は整った。反撃の時は来たれり。

868: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/12(木) 22:27:27.34 ID:vfLTSHoEo
次回予告!

「ちょっと様子見で行くか?」
「ル級、Flagship、Two! 真っ向からの勝負ネー!」

無慈悲な道中のル級!

「どうしたものか……」
「那珂ちゃんにおまかせ!」

アイドルの奇策……!

「夜戦でも、止めを刺しきれません……」
「ノーカラテ、ノーカンムスだ。この本にもそうある」

夜戦の極意……!

次回、Avengers Of Truk Anchorage ~Episode 2~ 弾幕の嵐を抜けて
乞うご期待!

873: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/14(土) 21:16:33.67 ID:fQPVyyVno
――― バンバンバンバンバレンタイン ―――

「しーれぇっ、えへへ」

屈託のない笑みを浮かべながら執務室に雪風が入ってくる。手は後ろに隠している。

「どーした雪風」

予測はつくが一応訊く。

「艦娘みんなを代表して、バレンタインのチョコレートです!」

そう言って雪風は後ろ手にして隠していたチョコを差し出す。

「ありがとう。あとでみんなにもお礼を言わんとな。……ところで、代表といったがやっぱ秘書艦だからか?」

「じゃんけんで決めました! 最後は雪風と初霜ちゃんとの一騎打ちでした!」

「……艦娘においては甚だ不平等な決め方じゃないかなそれ」

雪風に聞こえないようポツリと呟く。

「? なんか言いましたか、しれぇ?」

「んーん、なんでもない。それより雪風、ちょっとおいで」

「なんでしょう?」

トコトコ近づいてくる雪風。その小さな体をぎゅっと抱きしめる。

「わわっ、しれぇ!?」

「今日は確かにバレンタインデーだが、もう一つ大事なことを忘れちゃいないか?」

「? ……そうだ! しれぇとケッコンして今日で一周年です!」

「はい、正解」

雪風を抱き上げて口づけをする。

「はふ……」

「こういう機会でもないとこう、照れちゃって言いづらいけど……雪風、愛してるよ」

「しれぇ、雪風もです……」

878: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/16(月) 22:47:32.59 ID:zYupIrM3o
トラック泊地周辺の潜水艦は駆逐した。足元を気にしながら上空への注意を払うことは困難である。

つまりは、敵の襲撃前に潜水艦を始末することは必須といってもいい。

防波堤に腰掛けて空を見ている少女が一人。

「龍驤、敵の様子はどうだ?」

「潜水艦のほうは大人しゅうなったけど、東のほうからぎょうさん来てるで」

「機動部隊か」

「せやな。潜水艦追っ払ったぐらいで止めるつもりはないみたいや」

「んじゃ、ちょっと様子見で行くか? 龍驤は敵の監視を続けてくれ」

「わかったで。……っと、戻ってきたみたいやな」

龍驤は巻物を広げ、彩雲と指揮連絡機を着艦させる。紙に戻った式をしまい、新たな偵察機を飛ばす。

「手馴れたもんだな」

「いやいや、まだまだやで」

879: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/16(月) 22:50:26.89 ID:zYupIrM3o


Avengers Of Truk Anchorage ~Episode 2~ 弾幕の嵐を抜けて


『ル級、Flagship、Two! 真っ向からの勝負ネー!』

金剛から入る報告。フラ戦との殴り合いはもはや日常茶飯事レベルである。

アウトレンジからの航空攻撃、甲標的による雷撃、46cm砲による先制攻撃。殺られる前に殺れ、はもはや基本方針である。

「しかし可能なら避けては通りたいもんだよなぁ」

練度を幾ら上げようが当ててくるときは当ててくるのが深海棲艦である。

『敵本隊を発見。これより交戦に入ります』

「様子見とはいえ、手加減する必要はない。可能な限り叩き潰せ。オーバー」


「けほっ……」

「おかえり雪風」

雪風が大破、大井、北上が小破した他は損害軽微。そこまではよかった。

~~~~

『敵艦隊、撃滅しました……嘘、援軍!?』

本隊を沈めたものの、新たな艦隊が向かってくるのを大鳳が発見し、撤退することになったのだ。

~~~~

「こちらの艦載機もだいぶ落とされました。撤退はやむを得ませんね」

加賀が残りの戦闘機を着艦させながら呟く。

「回遊タイプでなく目的を持ってる以上、有限ではあるはず……」

「じゃ、どうすんのさ?」

北上の疑問。

「決まってるだろ。向こうの大将を引きずり出して、潰す」

880: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/16(月) 22:52:35.01 ID:zYupIrM3o
トラック泊地、臨時鎮守府。

ポータルですぐ行き来できるとは言え、当然泊地側に置いたほうが即応しやすいということで作戦中は基本的にトラック側で執務を行なっている。

「……面倒くせぇなぁ」

海図を見ながら愚痴る提督。支援艦隊を送る場合、主力への到達率が重要になるが、フラ戦に追い払われたら元も子もないのだ。

「南側に行ければいいんだが、どうしたものか……」

偵察によると水上打撃部隊が主で航空戦力が少ないらしい。だが海流は北東へ流れている。

どうしたものかと悩んでいると、ノック音がする。

「開いてるぞ」

「失礼しまぁす!」

部屋に飛び込んで来たのは那珂。

「どうした?」

「提督さん、ルートに悩んでるようだけど、そこは那珂ちゃんにおまかせ!」

そう言って手渡してきたのは数枚の資料と一枚のメモ紙。

資料には羅針盤制御の検証が、メモには那珂が書いたと思しき艦隊編成の具申が綴られていた。

「軽巡1、駆逐3か……。戦艦と航巡はいいとして雪風と……秋月と吹雪?」

「ほら、この構成だと主力とぶつかるとき厳しくなりそうでしょ? だから対空に優れる子がいいかなー、って」

「物は試しだ。やってみるか!」


具申通りの艦隊を組んだ結果、羅針盤の妖精たちは嘘のように大人しく南を指し示し始めた。

羅針盤妖精たちは艦隊編成と海流を考慮に入れて舳先を向けるべき方角を決めているという。

「さぁ、かかってらっしゃい!」

「その艦、貰ったぁ!」

水上打撃部隊同士の交戦において、制空権を確保できる航空巡洋艦の有無は、戦況の明暗を分ける。

哨戒線を突破し、艦娘たちは南側からの進撃ルートを切り拓いた。

肝心の敵機動部隊との交戦も、支援艦隊からの砲撃と夜戦によって突破していった。そして……。

881: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/16(月) 22:55:58.32 ID:zYupIrM3o
「敵艦隊、見ゆ! ヲ級の……改じゃ!」

『敵大将のお出ましだな。ヤツの首を取れば勝ちだ!』

だが、敵もさるもの。背水の陣とばかりに旗艦を守りに来る。

「くっ……仲間を盾にしてまで生き残るとはの!」

大型艦の攻撃を凌ぎ、撤退に入るヲ級改。そこに追随する吹雪。

「当たってぇ!」

懐に飛び込んだ吹雪の攻撃を、その身体ごと杖で薙ぎ払う。

「きゃぁっ!?」

海面を数度跳ねた後、急いで体勢を立て直すが、既に交戦可能距離から遠くに逃れた後であった。


トラック泊地。艤装の修理と燃料弾薬の補充で、出張してきた妖精さんたちは大わらわである。

「うぅ~、すみません司令官……」

せっかくのチャンスを生かせなかったことを悔やんでか、頭を下げる吹雪。

「まぁトドメを刺し損ねたのは仕方ない。次やればいい。が……夜偵使えないのは厳しいよなぁ」

「夜戦、どうすれば決められるでしょうか……」

「……ノーカラテ、ノーカンムスだ。この本にもそうある」

そう言いながら提督は読んでいた本を振る。表紙には【完全無計画】【与太話】などと威圧的な字体で書かれている。

「あの……それフィクションですよね?」

「この世界のフィクションは別世界線の真実だ。って猫吊るしが言ってた」

ぽん、と本を閉じる。

「ともかく、極限まで接近して絶対ぶっ殺すレベルの強い意志を以ってすれば大体殺せると思うよ。至近砲撃ぶっぱした俺が言うんだから間違いない」

「あれは無茶すぎます!」

882: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/16(月) 22:57:54.36 ID:zYupIrM3o
再度の出撃。道中は全く問題にならず、敵本隊も夜戦まで持ち込んだ。

雪風やビスマルクたちの砲撃を僚艦を盾にして防ぎ、撤退しようとするところも同じである。

奇しくも、再び逃げるヲ級を吹雪が追う構図となった。

「今度こそ……!」

敵のバイタルパートに長10cm砲の狙いをつける。ヲ級の青く燃える左目が吹雪を睨む。

ぎりぎりまで近づく。発砲。先ほどと同じく振るわれる杖。

だが、杖から伝わるのは砲弾を弾いた感触のみ。直後、喉元に突きつけられる砲身。

「私が、やっつけちゃうんだから……!」

接射。深海棲艦といえど、至近距離から艦娘の砲撃を喰らって生きていられる可能性は無に等しい。

吹雪の一撃を受け、ヲ級改の首から上は粉みじんに吹き飛んだ。

「……はぁ、はぁ……」

トリガを引く瞬間の、ヲ級の怯えたような目。自らの弾が頭部を砕く音。遠距離での砲撃とも、雷撃とも違う感触。

元は艦船――それも敵を沈めるための――だったというのに、動悸が止まらない。何か、自分が別のもの、なってはいけないものに変質していくようなどす黒い感情。

心配そうな顔をしながら雪風が近づいてくる。

「吹雪ちゃん、大丈夫?」

「大丈夫、ちょっと、疲れただけだから……」

息切れを隠し切れない吹雪に、ぎゅっ、と抱きつく雪風。

「……吹雪ちゃん、帰ろう?」

「……うん!」

883: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/16(月) 22:59:22.31 ID:zYupIrM3o
次回予告!

連合艦隊、出撃する!

「機動部隊でいいか」

復活する戦艦棲姫!

「いい加減にしろよ……」

そして奥に潜むモノは……!?

「あの髪型は……!」

次回、Avengers Of Truk Anchorage ~Episode 3~ 敵の主力を打ち砕け!!

「ところでクリア後のこの一番右の、E-5のやつじゃね?」

887: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/18(水) 22:42:47.34 ID:mWCK5U00o
トラック泊地、埠頭。機動部隊撃滅の報から一夜明け、次なる作戦のブリーフィングを行なっている。

「足場は確保した、頭の上のハエも追っ払った」

すなわち、トラック空襲の悲劇を防いだことになる。が……。

「だがソレで終わりではない。後に控える後詰めを片付けるまでが仕事だ。そうだろう?」

ホワイトボードに張られた海図には、緑の矢印と、先が砕けた赤の矢印が描かれている。

「龍驤、説明を」

「任せとき」

提督からレーザーポインタを受け取り、説明を始める。

「ウチらはこのトラック周辺の制海権と制空権を確保した。だけど敵部隊はあれだけやなかった」

泊地から真東の方向にいくつかのコマを貼り付ける。

「彩雲の報告によると、強力な水上打撃部隊を用意しとるみたいや。未確認の新型もおるらしいで。多分それが総旗艦や」

「そいつらを沈めなければ再びトラックは火の海となるだろう。これを連合艦隊で迎え撃つ!!」

888: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/18(水) 22:46:17.63 ID:mWCK5U00o


Avengers Of Truk Anchorage ~Episode 3~ 敵の主力を打ち砕け!!


「編成はまぁ……機動部隊でいいか。第一艦隊は金剛霧島に、とねちく、加賀・大鳳。第二艦隊は雪風、島風、ビスマルクに那珂に秋月、後羽黒」

手早く編成を決め、出撃準備を整える。

「もはや何も言うことはあるまい。暁の水平線に勝利を刻めぃ!!」


歴戦の艦娘たちにとってもはやそこらのフラグシップの寄せ集め程度の敵前衛艦隊など敵ではない。だが、しかし。

「敵艦隊発見……あれは……戦艦棲姫」

幾度となく対峙して来た黒き巨塔。

『また行く手を阻むか……いい加減にしろよ……』

「だけど、みんなの力を合わせれば敵わない相手じゃない! 第一次攻撃隊、発艦始め!」

大鳳のボウガンの引き金が引かれるとともに、戦闘が始まった。


結果から言うと、大勝であった。よくよく考えれば渾作戦にて連合艦隊で打ち砕いているのだ。苦戦する道理はない。

「やりました」

戦艦棲姫の撃沈を確認し、艦載機の着艦シークエンスに入る加賀。

「これなら何がきてもNo Problemネー!」

意気揚々と最深部に突き進む。

889: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/18(水) 22:47:14.47 ID:mWCK5U00o
「報告ー! 敵旗艦に那珂ちゃんがいまーす……ってえぇ!?」

偵察機を飛ばして敵編成を確認していた那珂が素っ頓狂な声をあげる。

『んな莫迦な、とも言えんな。渾作戦のときに春雨そっくりの深海棲艦がいただろう。おそらく、その亜種だ」

更に接近。偵察機から送られてくる映像は、凶悪な面構えをした那珂そのものであった。

『おそらくは、ここで沈んだ那珂やその乗員の負の感情を練りこんで作ったもんだろうな。春雨の件といい、雪風攫って来た時より進歩してやがるぜ』

「うぇ~。なんか嫌な感じー……」

『文句言ったところで詮無いわな。来るぞ、戦闘隊形用意!』


胸像めいた上半身、深海棲艦の禍々しさをもつ下半身。軽巡棲鬼は不気味な笑みを浮かべながら砲撃を撃ちこんでくる。

それに呼応して随伴艦もいっせいに動き出す。

砲弾が飛び交い、魚雷が走る。艦載機から爆弾が降り注ぎ、高角砲が空を穿つ。

敵味方入り乱れる大乱戦。単純戦力で倍の相手に一歩も引けを取らない。

「Burning...Looooooove!!」

金剛の徹甲弾が軽巡棲鬼に直撃、炸裂する。

「……まさか、そんな!? あの角度、直撃したはず……!!」

レーダー反応を見て霧島が驚愕する。軽巡棲鬼のシニョンが解け、胸元の服らしき部分は大きく損傷したものの、それだけであった。

『その程度か……』

憎しみと侮蔑の込み入ったような声。肉食の魚を模したと思しき下部ユニットの顎が更に開かれる。

『二度と浮上できない……深海に……沈めッ!!』

軽巡棲鬼が吼え猛ると同時、暗夜煙幕が辺りを包み込む!!

890: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/18(水) 22:49:19.10 ID:mWCK5U00o

「那珂ちゃんセンター! 一番の見せ場です! みんな、カバーよろしくね!」

それを迎え撃つように那珂が立ちふさがる。アイドルを自認しているとはいえ、川内型の血は争えない。近距離での激しい砲撃が繰り広げられる。

一方、カバーに入る雪風たちの前にはヲ級とタ級が立ちふさがる。

決断するは羽黒。

「雪風ちゃんと秋月ちゃんはヲ級を! ビスマルクさんと島風ちゃんはタ級をお願い! その隙に私が突破します!」

「Ja!! 任せといて!」

闇夜を飛び回る艦載機を高角砲で制し、戦艦とその護衛艦で同じ戦艦に当たる。砲火が暗闇の中で瞬く。

那珂と軽巡棲鬼は更に距離を狭めて撃ち合っていた。

「これで、決めちゃうんだから!!」

至近距離からの魚雷。普通なら逃れる術もなし。普通なら。

加速。那珂の予想を遥かに上回る速さで接近、魚雷が広がる前に側面へ回りこみ、左右の連装砲の照準を合わせる。

「やっちゃった……!?」

急いで振り向くが、迎撃には間に合わない!!



「私が、護ります!」


二度の、砲撃音。



下部ユニットを砲塔ごと砕かれ、炎に包まれて沈み往く鬼の姿がそこにあった。

「間に合いました……」

「ふぅ~羽黒ちゃん、ありがとー!」

『やれやれ、これでトラックも平和になるか……。全艦、帰投せよ』

通信を聞き、安堵する提督。


『進むが……いいさ……その、先には……』


891: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/18(水) 22:55:24.00 ID:mWCK5U00o
次回予告!

「なんかすごいのが来とるでぇ……」

新たなる機動部隊!!

「ここは一つ私達が何とかしないと……!」

独断専行!!

「火の塊となって……沈んでしまえ!!」

蘇る悪夢……!!

次回、Avengers Of Truk Anchorage ~Episode 4~ 先に待つのはさらなる地獄!!

「あれ、これ第二"破"になってやがる」

899: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/23(月) 22:34:24.36 ID:eGWLfevro
トラック沖にて軽巡棲鬼率いる艦隊を撃破。これでトラックにも平和が戻る。誰もがそう思った。

……一通の通信が来るまでは。


「よーし、帰るとするか」

艦隊を収容し、ぷかぷか丸の舳先をトラック泊地に向ける。

艦娘たちは全員艤装を解除し、思い思いに休憩を取っている。

「んぁ~。今回も何とかなったな、雪風」

「頑張りました!」

雪風がふと空を見上げると偵察機が一機、ぷかぷか丸を追うように飛んでいることに気づいた。

「しれぇ、彩雲が来てます!」

「加賀か大鳳の収容し損ないか? どっちでもいいからちょっと飛行甲板持って来るよう言ってきてくれ」

「わかりました!」


飛行甲板を持ってデッキに上がった加賀が、はぐれ彩雲を収容する。妖精が降りると機体が式紙に変わった。

「この機体……龍驤のね。どうしたのかしら」

紙切れになった彩雲を丸めると、懐からメモを取り出して加賀に渡した。

「龍驤も回りくどいな。無線封鎖下じゃあるまいし」

「……これは」

提督は軽口を叩いていたが、メモに目を通した加賀の目つきが鋭くなる。

「提督。可能な限り速やかに泊地に戻り、艦隊の再編成を」

加賀が提督に見せた文面。それは加賀の意見具申が正しいと断言できるものであった。


『更ナル敵ノ後続部隊ヲ確認セリ。空母棲姫含ム多数ノ機動部隊、東北東ヨリ接近中』

900: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/23(月) 22:35:08.82 ID:eGWLfevro


Avengers Of Truk Anchorage ~Episode 4~ 先に待つのはさらなる地獄!!


トラック泊地、埠頭。猫吊るしが両手に書類を抱え、龍驤とともに待っていた。

「その顔、ウチの連絡は見てくれたようやな」

「まぁな。敵陣はどんな感じだ?」

「フラヲやフラヌのペアを基幹とした連中がぎょうさんうろついとる。艦載機が新型でない分マシやけどな。それに、なんかすごいのが来とるでぇ……」

「空母棲姫も来ているとか」

その言葉に龍驤は深くうなずく。

「ふーむ、猫吊るし、潮目はどうなんだ?」

「こちらの資料をどうぞ」

渡された資料には駆逐2隻と低速戦艦を軸にすれば正面突破が可能であることを示していた。

「……雪風と、防空に秋月と加賀、主火力に扶桑山城、そして決定打を浴びせるための北上で行くか。……支援砲撃も欲しいところだな」

ちら、と西の空を見る。明日も好天であることを示すかのように、夕日が眩しい。

日が暮れると艦載機はほとんど役に立たなくなる。それに、大きな戦の後で疲れもある。

「出撃は明日だな……」

901: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/23(月) 22:36:12.86 ID:eGWLfevro
翌朝!

「補給用資材よし、バケツの積み込みよし。あとは……」

ぷかぷか丸に資材を積み込んでいく。

「徹甲弾は九一式でいいのでしょうか……?」

「そうだな……。扶桑、大和と武蔵が一式を受け取って山城と一緒に装填しとけ」

「わかりました」


「加賀、彩雲を下ろして爆戦だ。後は烈風601と烈風改を積もう。空母棲姫に対抗するならこのぐらいやらんとな」

「いい判断ね」


「雪風、秋月。秋月砲の準備はいいか?」

「ばっちりです、しれぇ!」

「予備の砲身も十分そろえました!」


「提督、こっちも準備できたよ」

「よっしゃ、全員乗り込め! 出撃だ!!」

902: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/23(月) 22:37:57.79 ID:eGWLfevro
トラック泊地、埠頭。ぷかぷか丸を見送るは那珂。明るい声で頑張ってと声援をひとしきり送った後。

「あ~あ、今日はオフかなぁ……」

一抹の寂しさとともに待機所へ戻ろうとしたところに突如肩を掴まれる!

振り向くと歯をむき出しにし、口の端をつり上げた、長髪の少女の顔が!

「ひゃぁ、け、軽巡棲鬼!?」

身を翻し、距離をとり、戦闘態勢をとる。

「ちょ、ちょっと待ってよ阿賀野よ。あ・が・の」

腕をばたばた振って止める。その手には何か紙が一枚握られている。

「ふぅ~、びっくりしたぁ。どうしたの、阿賀野ちゃん?」

「そうそう、せっかくのトラック泊地の防衛なのに、あたしたち活躍出来てないでしょ? ここは一つ私達が何とかしないと……!」

そう言って持っていた紙をバッと開く。トラック諸島東の海流図。

「南回り見てよ、ほらここ」

南を大回りして敵補給線を通過して敵主力に当たるルート。その分岐条件は……。

「トラック泊地に縁ある者……?」

その一文と一緒に走り書きで、阿賀野・那珂・野分&舞風、と記されていた。

903: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/23(月) 22:38:36.06 ID:eGWLfevro
「うーん、行きたいのは山々だけど、いいのかなぁ……」

腕を組み、悩む那珂。

「ふふーん。これでも最新鋭けーじゅんなのよ? 言質も抜かりないわ」

マイクレコーダーを取り出し、再生する。

『あぁ? ワ級潰し? イージーワークスだろ。そっちの判断に任せるぜ』

「うわぁ……確かに補給線にワ級はいるけど。あと旗艦バッジは?」

「そこも抜かりなし!」

胸元から取り出す第三艦隊の旗艦バッジ。

「遠征終わったところだしちょっと借りちゃった」

「あとはメンバーだけど……私たちじゃちょっと火力不足じゃない?」

那珂の疑問に応えるよう、物陰からひょいと顔を出す二人の航巡、利根と筑摩。

「そうでもないですよ?」

「我輩たちに任せるがよいぞ!」

ふふん、と腰に手を当てて胸をそらす阿賀野。

「ちゃーんと説得してきたんだから!」

904: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/23(月) 22:40:01.31 ID:eGWLfevro
一方その頃、トラック沖では……。

『火の塊となって……沈んでしまえ!!』

「着弾観測……いけるかしら」

「敵艦載機は私が抑えます。雪風、秋月。迎撃準備を」

「はい!」
「了解です!」

「んー、ヌ級落としたよ。でも前衛が厄介だねぇ……」

一進一退の攻防を繰り広げていた。

「姉様、さすがに硬すぎません?」

「実際対面するのはこれが初めてだけど……見た目半壊してるのにピンピンしてるわね」

「これは夜戦に持ち込むしかないかな……」

北上の呟きとともに、辺りが暗くなり始める。

905: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/23(月) 22:42:35.48 ID:eGWLfevro
「夜でも遠慮無く艦載機を飛ばしてくるなんて……!」

「こんなに暗くては対空砲火も難しいです!」

「あれ本当に艦載機何ですか姉様? 生き物だったりしません?」

艦載機を飛ばして牽制しながら徐々に離脱していく空母棲姫。

「うー、至近に飛び込もうにもあの丸いのが邪魔だよぅ」

「雪風の方も厳しいです……。なんとか足止めできればいいんですが……あれ、あの艦隊は……?」

空母棲姫の更に向こうから、艦隊が近づいてくる。識別灯から艦娘のものと分かる。

戸惑った空母棲姫に向かって砲火。水柱が夾叉する。

「此処から先は通行止めじゃ! 大人しく深海の底へ沈むが良い!」

「那珂ちゃんセンター! みんな、派手にいっくよー!!」

姫の進行方向に降り注ぐ弾の嵐、嵐、嵐。

その足止めがあれば十分だった。

「酸素魚雷、装填よし。全門ぶちかますよー!」

闇夜の海中を奔る酸素魚雷。もはや空母棲姫に逃げ場はない。

そして雪風もまた狙う。空母棲姫の心臓めがけて砲を撃つ!!


大爆発。


北上の魚雷の起爆と、雪風の砲弾が空母棲姫の胸を貫いたのはほぼ同時刻であった。

906: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/23(月) 22:48:12.80 ID:eGWLfevro
次回予告!!

「何でお前らここにいるんだよ」
「補給艦任務のもののついでですー」

苦しい言い訳!!

「なんだありゃぁ……」

さらなる強敵!!

「勲章などいらん。やれるならやってみろよ」
「そんなに私の力が見たいのですか」

非情なる決断!!


Avengers Of Truk Anchorage ~Final Episode~ この悪夢に決着を!!

913: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/24(火) 22:45:03.96 ID:ENVUBoTbo
――― 隼鷹←わかる 武蔵←まぁわかる イク・加古・朝霜←ファッ!? ―――

鎮守府、執務室。この部屋からの眺めはとてもよいと評判である。

提督「どうせ家具コイン余ってるからと那智や千歳にせっつかれて勢いで設置してしまったがこれは……」

バーカウンターと、所狭しと並ぶ酒、酒、酒。

提督「俺、酒呑まねぇんだけどなぁ……」

そこに入ってくる加古。

加古「提督ー、新しい書類だよー、って……おぉぉ……どしたんだいこれ?」

提督「いやぁ、模様替えにちょっとな。……何人かちゃっかりボトルキープまでしてやがるぞ」

加古「いいねぇ、これ。ちょっと呑んでっていい?」

提督「別にいいけど他人のボトル呑んでいざこざ起こすなよ。名前書いてないのは自由に呑んでいいから」

加古「ふぁ~い」


21時

加古「いやぁ、旨いねぇ」

提督「まだ呑んでるのか……」


23時

加古「んんっ、ぷはぁ~」

提督「まだ呑んでる……」


1時

提督「いやもういい加減帰れよ」

加古「……Zzzz」

提督「ね……眠りながら酒注いで呑んでる!!」

914: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/24(火) 22:49:34.87 ID:ENVUBoTbo
――― 稀に美味しい菱餅 ―――

提督「いやぁ、大漁大漁。これが菱餅ってヤツだな」

赤城「提督が深海棲艦から菱餅を奪うサマ……もはや追い剥ぎなのでは?」

提督「そりゃ新装備貰えるとなったら多少必死になっても仕方ないだろう? お前らこそ何でここにいるんだよ」

赤城「菱餅が食べられると思って」

加賀「気分が高揚します」

提督「まぁいいや。とりあえず食うか。ほれ雪風も食おうぜ」

雪風「はい!」

提督「じゃ、いっただきまーす」

パクッ

雪風「美味しいですね、しれぇ。……しれぇ?」

提督「まずい」

加賀「まずいわ」

赤城「まずいです」

雪風「……?」

提督「ちょっと雪風の食わせてくれ」

雪風「あ、はい」

提督「……こっちは美味しい」


提督「……まさか」

運営電文:(中略)稀に美味しい【菱餅】を回収することが可能となります。(後略)

提督「稀に美味しい菱餅ってそういうことかよ!!」

915: ◆jf7rnHhSH2 2015/02/24(火) 22:50:33.11 ID:ENVUBoTbo
アプデで思いついたので書かずにはいられなかった。菱餅は後5つ……

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

916: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/24(火) 22:56:30.27 ID:/rTGDSQEO
加古は常に二日酔いだから寝続けている可能性が……?
安価とれてたら舞風

920: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/01(日) 22:35:33.96 ID:kvzryjO+o
トラック沖。ぷかぷか丸甲板。

「何でお前らここにいるんだよ」

「補給艦任務のもののついでですー」

詰問する提督にすっとぼけたように応える阿賀野。

「バシーに行ってるか潜水艦をオリョールに送ってるもんだと思ったが」

「トラック沖の南にもいたのよ。補給線断てば皆への援護になるし」

「で、もののついででこっちまで来たってことかよ。クッソ危険な敵領海の最前線に。えぇ?」

「それについてはその……ごめんなさい」

しゅんとうなだれる阿賀野。

「……まぁ、あのアシストもあって主標的たる空母棲姫は沈められたし、今回は不問にしよう」

「もし沈められてなかったらどうなったんだろう……」

「アイドルが続けられない身になるレベルの懲罰が待ってたろうな」

「ヒッ」

那珂の呟きを耳ざとく捉えて付け足す。

921: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/01(日) 22:36:55.65 ID:kvzryjO+o


Avengers Of Truk Anchorage ~Final Episode~ この悪夢に決着を!!


トラック泊地に戻ると龍驤と猫吊るしが待っていた。猫吊るしはいつもの通りだが、龍驤は眉間に皺を寄せていた。

「どうした、龍驤。空母棲姫なら黙らせてきたぞ。それとも昼に食ったたこ焼きの中身がイカだったか?」

「……冗談言う気分やない。そろそろ彩雲が帰ってくる頃やから、実際キミに見てもらわんとな」

龍驤の後ろで猫吊るしがモニタの準備を整えていた。

「敵の援軍か?」

「せや。十中八九間違いないで」

帰還した彩雲を巻物に着艦させ、モニタからケーブルを彩雲につなぐ。映し出される深海棲艦の艦隊。

多くの深海棲艦。その奥に映る戦艦棲姫。それも二体。だが、それだけではない。

「なんだありゃぁ……」

戦艦棲姫より更に一回り、いや二回りはある新型の深海棲艦。

「戦艦水鬼ですね」

提督の頭の上に乗ってこともなげに言い放つ猫吊るし。

「資料はあんのか?」

「えぇ、主砲が20インチ、戦艦棲姫と違い昼夜連撃仕様、火力も装甲も耐久も戦艦棲姫を凌駕するとんでもないヤツですよ」

「あんなんどうすりゃえぇねん……」

頭を抱えてうずくまる龍驤。

「俺も同じ気持ちだよ……どうすりゃいいんだよ……」

922: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/01(日) 22:38:23.29 ID:kvzryjO+o
「ひとつ、手がなくもないですが」

ぼそりと呟く猫吊るし。

「あるのか!?」

「実はここまで頑張ったあなたのために勲章を造ったんですけどね。非常時に資源と資材に変えられる凄いの」

「いやそれはどうでもいいよ!!」

「どうでもいいならなおさら話が早いです。私がこれのパワーを解放することでトラック沖海域全体に特殊な結界を張って敵の力を弱めることが出来るのです」

「何で今までやらなかったんだよ」

「そりゃパワー練りこむのに時間かかりますし、やれといわれてポンポン撃てるようなもんでもないですし。それに勲章ですよ? 欲しくないです? 一生モンの名誉ですよ?」

「勲章などいらん。やれるならやってみろよ」

「そんなに私の力が見たいのですか」

そう言い放つと猫吊るしは猫を提督のほうに放り投げる。

「うぉっと!?」

そのまま桟橋の先まで歩いていき、手にした勲章を掲げ、握り潰す。

みしり、メキ、という船底がへし折れるような音。先ほどまで晴れ渡っていた空が暗雲に包まれる。風もないのに逆巻く波。

「サーバーエラーガハッセイシマシタオテスウデスガ……」

猫吊るしの言葉を最後まで聞き取る前に、衝撃波によって意識ごと吹っ飛ばされた。

923: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/01(日) 22:41:23.45 ID:kvzryjO+o
「……しれぇ、大丈夫ですか、しれぇ!?」

目を開けるとそこには涙目の雪風。

「あ、あぁ」

半ば引き起こされるようにして立ち上がる。何か後頭部が痛い。

「えーと、何で倒れてたんだっけ」

「深海棲艦弱体化させたところですよ。ほらさっさと退治してきなさい」

いつの間にかいた猫吊るしにどやされる。

「本当に弱ったのか?」

「もちろんですとも。敵艦隊の大半が弱体化、総旗艦も2割ぐらいスペックダウンしてるはずです」

「はずってのが気にかかるが……まぁいい。艦隊の選定に取り掛かろう」


「第一艦隊は金剛に、大和、武蔵、霧島、利根、大鳳。金剛に司令部載せて大鳳は対空重視。他は効率よく火力を出せるように」

工廠から必要な装備を持ってきて最終チェックを行なう。

「第二艦隊は雪風に、吹雪、ビスマルク、大井、北上、大淀。夜戦に突入したら大淀が探照灯と夜偵で援護する。逃さず仕留めろ」

念には念を入れる。相手が弱くなったからとて手加減をする道理はない。

924: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/01(日) 22:41:58.41 ID:kvzryjO+o
「主砲、斉射、撃てーッ!!」

大和の砲撃が、復活した軽巡棲鬼の腹、いや胴体に大穴を開ける。残った部分も折れ曲がり、上半身が下半身と泣き分かれになる。

「全く歯応えがない」

武蔵の放った主砲が、ル級の掲げた砲塔ごと本体を打ち砕く。フラ戦の群れを相手取っても全く進軍速度は衰えない。

「油断は禁物ネー! DemonClassが近づいてるヨ!」

「霧島偵察機3番、空母棲鬼を確認!」

「制空権、取りきれません!!」

「なぁに、あの頃より我輩たちの練度も上がっておる。一気呵成に攻め立てようぞ!」

幾重にも渡る深海棲艦の輪を突破していく艦娘たち。

最終防衛ラインであろう空母棲鬼も難なくすり潰して抜ける。

「敵主力、発見しました! 報告のあった戦艦棲姫は……見当たりません!」

『どういう仕組みだよ……。あいつ何やったんだよ……』

「あれが……戦艦水鬼!」

大鳳の敵旗艦の確認と同時に、無線に割り込む声。

『忌々しい……ガラクタどもめ……!!』

「何か返答しますか?」

『そうだな』

顎に手を当てしばし思案する。

『誰が真のガラクタかわからせてやろう! その憎悪ごと水底に還してやれ! 全艦、突撃!!』

925: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/01(日) 22:43:54.58 ID:kvzryjO+o
戦艦水鬼の力を二割ほど弱めた、と猫吊るしはのたまった。だが、それの真偽が付かないレベルの強さを誇っていた。

「51cm砲を……防いだ!?」

大和の渾身の一撃すら背部艤装にある巨大な右腕で防御。本体へのダメージを最小限にとどめた。

「あの衝撃を喰らってなお、立っていられるとはの……」

「だが何度も浴びせれば貫けるはずだ。撃てーっ!」

次々と砲火を浴びせる。だが防御した姿勢のまま、20インチの砲を艦娘たちに向ける。


鈍い重低音。音が届いたときには既に大和が吹っ飛ばされていた。

艤装の重さなど知ったことかとばかりに体を海面に叩きつけられながらすっころがる。

「大和を一撃で……!?」

「うっへぇ、ほんとに弱体化してんの?」

驚愕するビスマルクに呆れる北上。

「今こそチャンスじゃ! 第一艦隊に照準を合わせているうちに懐に飛び込んで、ケリをつけるのじゃ!!」

「……はい! 第二艦隊、追撃します!!」

雪風を先頭に、第二艦隊の面々が戦艦水鬼へと突進する。

「Feuer!!」

「お願い、当たって!」

「海の藻屑となりなさいな!」

「40門の酸素魚雷、二回行きますよー」

「そう、これが本当の大淀型の力よ!」

ありったけの砲雷撃を叩きこむも、両腕を振り回して致命打を与えさせない。

そうこうするうちに戦艦水鬼が煙幕を出して逃走を始める。

926: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/01(日) 22:46:33.44 ID:kvzryjO+o
「でも、あれだけやればあたしと大井っちの夜戦距離での連携で沈められるはずだよ」

「その前に私が沈めちゃうかもね」

「そういうことは沈めてから言いなさいな」

軽口を叩き合うビスマルクとハイパーズ。


「大淀さん、探照灯の準備はいいですか?」

「えぇ。夜偵のデータリンクも準備完了です」

「さぁ吹雪ちゃん。行きましょう」

「……はい!」

「砲雷撃戦……続行します!」

雪風の号令とともに大淀の探照灯が闇を引き裂き、戦艦水鬼を照らしだす。

そのまま牽制の砲撃を放ちながら右へ左へと翻弄し、狙いを定めさせない。

「雪風たちで戦艦水鬼の防御をこじ開けましょう!」

その言葉に吹雪はコクリと頷く。

照らしだされる戦艦水鬼の姿。左腕で大淀の砲撃をいなしていく。二人の駆逐艦はその側面に回りこむ。

「……行きますよ」

そう言うと雪風は頭上から魚雷を呼び出す。

53cm艦首酸素魚雷。直径こそいつも使っている61cm酸素魚雷より小さいが、火薬の量では上回る最強の艦娘用汎用魚雷。

「沈むわけには、行きません!!」

戦艦水鬼に航跡もなく近づく魚雷。これで決まるかと思われた瞬間、艤装の右腕が僅かに振り上げられた。

「そんな、気づかれた!?」

海面に腕を思い切り叩きつけ、魚雷を防御! 上がる水柱。焦げる手の甲。殺意の籠もった眼差しで攻撃者の方を見る。

「本当に、忌々しい……!!」

20インチの砲塔を雪風の方に向け、照準を合わせる。

その一瞬の隙、振り下ろした艤装右腕の陰から何者かが飛び出す。

10cm連装高角砲を両手で握り、砲身の先を戦艦水鬼本体の胸に向ける。

「お願い! 当たってください!!」


上がる火柱。沈む巨影。

「……あら、沈んじゃってる?」

「ホントだ。全く駆逐艦ときたら……」

「他の子にトドメ持ってかれるの、コレで何度目かしら……」

927: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/01(日) 22:47:33.86 ID:kvzryjO+o
次回、Avengers Of Truk Anchorage ~Epilogue~ そして菱餅へ…… に続く。

だいぶ長引いてしまった……

931: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/03(火) 21:09:17.40 ID:uOlb5I9ao
――― 鶴翼の絆4巻では舞風が活躍していました ―――

鎮守府沖。見渡す限りの水平線。そこに金髪まばゆい一人の少女が立っていた。

舞風「提督ぅー、こんなところまで連れ出して何するんですか?」

提督「特別訓練、略して特訓だ!!」

舞風「特訓??」

提督「実は別世界線での艦娘の話の続きがあってな。そこでは舞風が艦戦を指揮して」

舞風「私が旗艦に?」

提督「あ、船のほうの艦船じゃないぞ。戦闘機のほうな。艦戦を指揮して舞い躍るように敵航空機を迎撃してたんだ」

舞風「素敵ですね」

提督「ということであっちから正規空母が一人平均50*9でざっと450機の烈風を飛ばしてくるから、向こうから飛んでくる軽空母隊の流星改や彗星や烈風をナントカ捌いてね」

舞風「えっ」

提督「んじゃ俺は戦闘区域から退避する。頑張れ!!」

舞風「えっ、ちょ、ちょっと待ってよ!?」

提督「もう双方発艦済みらしいから無理!!」



舞風「」プシュー(黒こげ)

提督「Oh...」


この後無茶苦茶ボーキ減った

932: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/03(火) 21:10:43.52 ID:uOlb5I9ao
冬イベント艦は朝霜含めて着任済みなのでごあんしんください。エピローグは多分次回やります

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

933: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/03/03(火) 21:39:29.48 ID:iO5K0Ev8O
新規艦は一周目扱いになるのか二周目になるのかどっちなんだろうか
安価なら陽炎でお願いします

937: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/05(木) 22:40:44.73 ID:SyRkZX8go
鎮守府、執務室。

戦艦水鬼の撃沈後、深海棲艦は嘘のように大人しくなり、トラック泊地の危機は去った。

新たに着任した艦娘たちの練度を上げ、いつもの日常に戻る。……そう思っていた矢先。

「菱餅とは何ぞや……?」

提督が読んでいた資料にでかでかと描かれている菱餅。確かに桃の節句は近いし時節物だが。

要するに一部の深海棲艦から菱餅というものを得られるということであるらしい。

「ネジと交換できるといってもなぁ……」

だが、提督は見てしまった。

「3つ集めれば家具職人、10個で熟練見張員……!?」


Avengers Of Truk Anchorage ~Epilogue~ そして菱餅へ……

938: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/05(木) 22:42:53.31 ID:SyRkZX8go
鎮守府近海、南西諸島防衛線。

「月初めぐらいしかあいつ等来ないからヒマだわー」

ヌ級の頭上に座ってボヤくヲ級。そんな彼女の元に届く通信。

「あら、哨戒部隊から? はーい」

『ず、瑞雲が! 瑞雲の群れが!!』

「は? 航空巡洋艦でも出してきたの? 敵艦隊構成は?」

『いません! 瑞雲しか見えnうわぁぁぁ』

爆音とともに通信が途切れる。瑞雲。艦娘の使う水上爆撃機。基本的に航空巡洋艦や航空戦艦が用いる機体。

遠くから飛ばすにしろ、重巡クラス以上の相手の姿が見えないということは有り得ないはず。

間をおかず、再び通信が入る。護衛空母部隊からのものだ。

『こちら瑞雲部隊と交戦、敵艦の姿は見えず』

「そんな莫迦な。もっとよく探してみなさい」

返ってきたのはやはり爆音。

「……明らかに近づいてるわね。全艦戦闘準備」

ヌ級の頭から飛び降りて着水し、艦載機を飛ばしてあたりを探る。

「……おかしいわね。西から来てるならここらへんを通るはず」

艦載機の進路を南に向けたその刹那。突然十数機の瑞雲が水面から飛び出した!!

「なっ、海中から!?」

慌てて艦載機に戻るよう指示を出すが、遅い。駆逐艦は瑞雲の爆撃で沈められ、随伴艦のヌ・ヘ・リ級も爆沈。

無論、瑞雲にこれほどの威力の爆弾を積んでいるはずもなし。

「て、撤退しなきゃ……!!」

ほうほうのていで逃げ出すヲ級。だがそこは既に魚雷の射線上であった。

939: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/05(木) 22:45:56.47 ID:SyRkZX8go
「はっちゃん、やっちゃった?」

「ワァオ!! 大漁、大漁!」

「うーん、持ってないでち」

「残念ですね、でっち」

「でっちじゃないでち!」

「せーらんさん持っていきたかったなぁ」

「次、いくのー!」


沈み逝くヲ級はスク水姿の少女たちに散々体をまさぐられた挙句、深海へ投棄された。

940: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/05(木) 22:47:36.78 ID:SyRkZX8go
北方海域、アルフォンシーノ方面。四隻の正規空母が敵艦隊に雨霰と爆撃を行なう。

仕留め損ねは木曾の魚雷とビスマルクの徹甲弾が沈めていく。

「提督さーん、ヲ級鹵獲したわよ」

「よーし、よくやった瑞鶴」

鹵獲したヲ級をいつも通り吊るして、

「オラッ、菱餅出せ!!」

過激なことを言いながら頭部の艦載機格納部分を切り開く。艦載機に混じってちょこんと置かれている三段のひし形。

「あったあった」

菱餅を慎重に取り出し、ヲ級の拘束を解いて海に投げ捨てる。キャッチアンドリリースである。

「なんだか残酷なような気がします……」

「なぁに、別世界じゃ北方棲姫をボコボコにして奪うのがトレンドらしいしこれぐらいやさしいもんだ」

「正直あまり変わらないような……」

翔鶴の突っ込みを無視して羅針盤を回す。向きは北東。

「よし、次行くぞ!!」


こうして、二つの海域は特に理由もなく無慈悲な艦隊によって荒らされたのであった。とっぴんぱらりのぷう。

941: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/05(木) 22:50:36.66 ID:SyRkZX8go
この世界線ではほっぽちゃんは襲われないのでやさしい世界線です(ヲ級たちから目を逸らしながら)

943: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/10(火) 22:21:43.54 ID:CiF/pi5uo
――― かげばつも早5巻か…… ―――

提督「『陽炎、抜錨します!』も早5巻か……」

陽炎「またどっかの海域行くの?」

提督「そうだな。5巻はキス島らしい。駆逐艦オンリー艦隊にはお誂え向きの場所だ」

陽炎「えー、エリ戦凌がなきゃならないんでしょ?」

提督「羅針盤もあるしな。まぁ潮改二になってるし、皐月も長月もいつの間にやらそこらの改二基準レベル以上になってるし大丈夫だろ」


~~~艦娘招集中……~~~


提督「……うん、四人しかいないな」

霰「うん……」

潮「あの……」

曙「皐月も長月も東京急行に行ってていないでしょ!! ちゃんと把握しときなさいよこのクソ提督!!」

提督「てへぺろ」

陽炎「じゃあキス島出撃は」

提督「無期限延期」

944: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/10(火) 22:22:55.78 ID:CiF/pi5uo
そもそも瑞の海、鳳の空のメンバーで2-4攻略もしてないのに気が早いよね(羅針盤から目を逸らしながら)

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

なお既出表

DD
如月/響/五月雨/朝潮/陽炎・舞風/秋月

CL/CLT
由良

CA/CAV
加古

他の艦種
まだ

945: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/03/10(火) 22:35:02.44 ID:NbBoJh8do
飛鷹

947: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/12(木) 22:49:59.98 ID:si2lXzfGo
提督「んがぐぎぎぎ……たまには散歩して体ほぐすか」

鎮守府、艦娘空母寮。今日はなんか騒がしい。隼鷹が酒を飲んで暴れてるというわけでもなさそうである。

提督「何だ何だどうした」

飛鷹「あっ、提督。見てよこの子たち」

飛鷹の指差す方には大量の妖精たち。

提督「あれは紫電改二と彗星と流星の妖精だな。他のも混ざってるが」

飛鷹「出番がなくて暇だからってみんなして談話室の机やソファを占領しちゃって」

妖精たちは「出番よこせ」「役立ちたい」「アンタイセイ」などという札を持って何かを訴えている。
問題は各々言っていることに統一性がないので何を言ってるかよくわからないことだが。

提督「まぁよくもこんなに」

飛鷹「そもそも使ってないのに何でこんなに溜め込んでるのよ」

提督「ほら、艦載機の改修が来たら使うかもしれないし……」

しかしそれで妖精たちがへそを曲げてる現状、何とかしなければならない。

提督「……そうだ」


~~~~~~~~~~~~~


隼鷹「んん? 提督が談話室にいるなんて珍しいじゃん」

提督「まぁな」

飛鷹「ちょっと暇を持て余した妖精たちの有効活用をね」

隼鷹「ふーん?」

提督と飛鷹の間には盤があり、その上に多数の妖精が並べられている。ふむ、と呟いたあと、提督は二人の妖精の頭をつついた。
最初につつかれた妖精が二番目につつかれた妖精に近づく。ぽん、とハイタッチしたあと最初の妖精が盤から降りた。

提督「ぐぬぬ」

飛鷹「ふふーん、じゃあ私の番ね」

隼鷹「へぇ、軍人将棋?」

提督「まぁな。妖精も軍人みたいなもんだし」

隼鷹「軍人将棋って陸軍じゃなかったっけ? あたしたちがやっていいのかなぁ?」

提督「あきつ丸とかもいるし何を今更。細かいことは」

飛鷹「この子をこっちに、っと」

提督「あっそこはだめぇ!?」

948: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/12(木) 22:53:41.07 ID:si2lXzfGo
人類は衰退しました平常運転のある挿絵がとても可愛かったので

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

949: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/03/12(木) 22:59:58.42 ID:IgUHNzsF0
熊野

954: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/15(日) 20:45:14.72 ID:Tw3SyunCo
――― 妖精たちのインフラストラクチャー ―――

熊野「17時。熊野はエステの予約がありますの。そろそろ失礼させてもらっていいかしら?」

提督「ん、あぁもうそんな時間か。もうあがりだな。いってらっしゃい」


提督「……待てよ、そもそもこのへんにエステサロンなんてあったか?」

非常口(窓)から外へ出て、気付かれないように熊野の後を追うことにする。


熊野「ふんふふ~ん♪」


提督「……おかしい。そっちは倉庫以外なにもないぞ。街の方へ行くんじゃなかったのか……?」

今は使われていないはずの倉庫群のある方へと熊野は向かっていく。

提督「ヤクの密売とかしてんじゃないだろうな。刑事ドラマではよくある話だ」

冗談交じりに呟きながら後を追う。


結論から言うと、倉庫群ではなくなっていた。

提督「どうしてこうなった……」

駅前のアーケードの模倣みたいになっていた。倉庫の一つ一つが何らかの店になっている。

店は妖精たちがやっているようだ。倉庫と倉庫の間を多数の妖精たちがせわしなく駆けまわっている。

艦娘の姿も少ないながら見かける。そして熊野も倉庫……だったものの一つに入っていく。

提督「ここに入ったか……」

入り口の上の看板には「え す て さ ろ ん」と大書してある。

提督「つーか本当にエステサロンなのか……?」

建物の中にそっと体を滑り込ませる。

受付の妖精には「提督として視察しに来た」と言いくるめて熊野のいる部屋をそっと覗いてみた。


そこにはクラシックをBGMにマッサージ椅子に座ってゆったりくつろいでる熊野の姿が!!

熊野「ん゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛~」

提督「……めっちゃリラックスしてる」

よく見ると妖精がマッサージ椅子のリモコンを操作している。

提督は何も言わず扉をそっと閉じ、今回のことは自分だけの胸に秘めておくことにしたのであった。

だが彼は知らなかった。鎮守府にいる艦娘の大半がここのお世話になっていることを……!!

955: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/15(日) 20:46:30.76 ID:Tw3SyunCo
さすがに妖精たちが街に繰り出すわけには行かないので港内に街を作ってしまったのだ。ついでに鎮守府関係者への第三次産業も

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

956: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/03/15(日) 21:00:58.15 ID:Imk2lXIuO
エステとは何だったのか
安価なら扶桑姉様

958: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/16(月) 22:19:46.53 ID:GZJq4Gh4o
――― 後継が手強過ぎる ―――

提督「改二も来た。ケッコンカッコカリもした」

扶桑「そうですね……」

提督「火力も戦艦時代超えてるし艦載機配分も按配よくなった」

扶桑「はい、それでも……」

提督「それでも?」

扶桑「伊勢、日向には負けたくないの……!」

提督「運も大幅に上昇したじゃないか」

扶桑「伊勢たちはまだ改二じゃないのよ。追い越されるのも時間の問題です……!」

提督「いやしばらく来ないとは思うけど。来るなら夏かなぁ……」

扶桑「それに運も全然追いつけてないの……!」

提督「そこらへんはまぁ、うん」

959: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/16(月) 22:20:14.05 ID:GZJq4Gh4o
艦隊司令部施設与えたら喜びそうな艦娘第一位

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

960: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/03/16(月) 22:54:47.03 ID:EeqmNP9g0
山雲

964: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/17(火) 22:14:47.83 ID:I2ojxF1qo
――― 自分ちが勝手に改造されていく感覚 ―――

山雲「夕食は、山雲が作りますねー。家庭菜園で作った、自家製野菜のカレーよー。おいしーのー♪」

雪風「山雲ちゃんのカレー楽しみですね、しれぇ!」

提督「……一点気になることがあるんだが」

山雲「なんでしょー?」

提督「この辺に家庭菜園できるような土地があったか?」

山雲「ありますよー。お野菜取りに行くから司令さんも一緒にご覧になりますー?」

提督「そうだな」


~~~艦娘移動中……~~~


駆逐寮裏の広場。

山雲「ここでーす」

山雲が手を広げて指し示す先にはそこそこの面積の畑が出来ていた。

提督「……おかしい。渾作戦の頃にはこんなのはなかったはずだが」

山雲「収穫しましょー。雪風ちゃん、手伝ってくれるー?」

雪風「はい、頑張ります!」

提督「……というかここつい最近までコンクリだったはずだろ!? どうして畑になってんだよっつーかもう野菜生えてるとかどういうことだよ一体!?」


なおカレーはとても美味しかった。

965: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/17(火) 22:17:56.50 ID:I2ojxF1qo
大体猫吊るしと妖精さんのせい

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

966: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/03/17(火) 22:33:08.89 ID:IOwWEVDDo
漁師→提督→農家
安価は比叡でお願いします

968: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/18(水) 22:56:03.39 ID:oPKezlq8o
――― ジュウコンも楽じゃない ―――

鎮守府、執務室

提督「艦娘の練度向上も順調。次は誰を育てるか……」

??「ひえぇぇぇぇぇぇぇぇ~!!」

奇声とともに執務室に飛び込んできたのは金剛型の二番艦、比叡。

比叡「し、し、司令、金剛お姉様とケ、ケ、ケッコンするって本当ですか!?」

提督「ケッコンカッコカリだろ」

比叡「雪風ちゃんというものがありながらそんな!?」

提督「それはゴーヤと北上のケッコンカッコカリの時点で指摘しような?」

比叡「じゅ、ジュウコン!? そんな破廉恥な!?」

提督「何を勘違いしてるかは手に取るようにわかるがお前も指輪もらえる練度だからな? ほれ指輪だ」

比叡「で、でも……私の心は……お姉様にっ!」

提督「というかさっきの質問だが。『する』じゃなくて『した』だからな」

比叡「!?」

提督「入れ違いになってたのかね。さっきめっちゃテンションMAXで出て行ったんだが」

比叡「い、いつの間に!?」

提督「だからさっきだってば」

比叡「結婚式とか披露宴とかも!?」

提督「いや普通に指輪渡しただけだ。というかお前もつけろって」

比叡「薬指はお姉様のためにとって」

提督「はまればどこだっていいよ。明石によると左薬指のサイズに合わせてるそうだが」

比叡「おお……力がわいてきます!」

提督「よし、用事は以上だ。退室したまえ」

比叡「はいっ!」


比叡が退室して数秒後。再び駆け足で飛び込んできた。


提督「どうした忘れ物などないだろう」

比叡「ごまかされませんよ司令! 金剛お姉様の話はまだ済んでません!」


この後金剛が仲裁に入るまでまでめっちゃもめた。

975: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/23(月) 22:30:20.55 ID:nW+cNm+Uo
――― 改二艦のゆううつ ―――

吹雪「ついに改二です! 深海棲艦なんて私がやっつけちゃうんだから!」

??「ちょっといいかい」

吹雪「!? あぁなんだВер…」

響「響でいいよ。今の名前だと声の妖精さんが過剰反応しそうだし」

吹雪「またメタな……それで、どうしたの?」

響「改二になった駆逐艦娘は必ず来なければならない場所があってね」

吹雪「?」

響「こっちだよ」

招かれるままついていくとそこは廊下の袋小路。物置ぐらいしかなく本来来る用事もない場所。

響「ここの壁を押すと」

くるりと壁が回転し、響が壁の向こうに吸い込まれていった。吹雪が目を丸くしていると壁が再び半回転し、響が手招きする。

響「ほら早く、見つからないうちに」

吹雪「何これ……」

中に入ると通廊になっており、しばらく進むと下り階段。降りた先にはドアが一つ。響がノックすると扉からの問いかけ。

??「暗証番号をどうぞ」

響「13Nov09」

??「認証確認ー」

ガチャリ、と錠前が外れ、ドアが内側に開く。

響「声紋と暗証番号を組み合わせた二重のセキュリティ。この隠し通路に気づいても選ばれた者以外は入れない。機械によるハッキングも不可能」

扉を閉めた吹雪がドアノブに目をやると、妖精さんがぶら下がっていた。

吹雪「原始的……」

976: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/23(月) 22:31:35.69 ID:nW+cNm+Uo
部屋の中には大きな机が一つ、十数脚の椅子。天井には裸電球。そして幾人かの艦娘。

綾波と潮はお茶を飲みながら雑談し、初春と初霜は花札に興じている。

夕立と時雨はレーベ、マックスと一緒にトランプをしている。

そして吹雪と彼女をここまで連れてきたヴェールヌイ。

皆、駆逐艦の中でも相当の熟練者だ。

吹雪「こ、ここは……?」

時雨「改二駆逐用の談話室さ」

吹雪の疑問に答えるは時雨。

吹雪「いつの間にこんな部屋が……」

時雨「遠征は練度向上を兼ねてるから、改二まで底上げされた僕たちにはお呼びがかからない」

響「そこで、姉妹艦が遠征でいないときに気兼ねなく話せる場所を作ろうってことで用意したのさ」

吹雪「司令官にも内緒で……?」

夕立「提督さんも多分気づいてないっぽい?」

時雨「明石さんの妖精買収して造ってもらったから知ってるのは彼女たちと僕たちだけさ」

吹雪「いいの、それ……?」

時雨「女の子にも秘密は必要なんだよ。それに改二になって変わった所とかの相談も乗ってるよ」

普通に談話室でやればいいと思う吹雪であったが口には出さなかった。

977: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/23(月) 22:37:35.12 ID:nW+cNm+Uo
次スレのタイトルどうしようかなぁ(釣り人分が激減しているので。いや元から殆どないが)

小ネタ艦娘とか安価下既出さらに下

978: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/03/23(月) 22:50:13.55 ID:05+qa2lK0
青葉

986: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/24(火) 22:14:02.57 ID:8AEWnvxao
――― 今日は何の日? ―――

鎮守府、執務室。

提督「北方任務と東方任務面倒だなぁ……せめて羅針盤固定させてくれよブツブツ」

そこに入ってくるは提督の秘書艦、雪風。

雪風「しーれぇっ、えへへっ」

提督に近づいて胸に飛び込む。

雪風「しれぇ、今日は何の日かわかりますか?」

そのまま肩を抱き寄せ問いかける。

提督「子の日かな?」

雪風「しれぇ~」

頬を膨らませて提督の顔を軽くはたく。

提督「冗談冗談。んじゃ今日は二人で出かけるとするか」

雪風「はい!」

提督「その前に準備が必要だな……」

~~~~~~

重巡寮、青葉型の部屋。

青葉「……今日は3月の24日……。青葉、いい事思いついちゃいました!」

衣笠(青葉がなんかフラグ立ててる……)

青葉「青葉取z…出gいややっぱ取材に行ってきます!」

衣笠「いってらっしゃーい。お土産よろしくねー」

987: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/24(火) 22:15:29.32 ID:8AEWnvxao
鎮守府近くの市街地。

青葉「ふふーん、駆逐艦の子たちから司令官と雪風が二人でデートに出かけるという情報の裏は取りました!」

艤装を解除しローファーに履き替えれば傍目普通の女子高生である。念のため髪の結び方も変えて、一目で青葉と気づかれないよう工夫を凝らしている。

青葉「デートスポットになりそうな場所もそう多くないですし、あの身長差カップルなら見逃すこともないでしょう」

あくまで自然に振る舞い、ばれないようにを心がける。

青葉「あの司令官のプライベートを記録するまたとないチャンス! いい記事になりそう!」

思わず顔がにやける。

青葉「おっと、いけないいけい平常心平常心。さーって司令官はどっこかなぁ~」

~~~~~~~

所変わって鎮守府海域、ぷかぷか丸。

提督「さーて、釣るぞー」

雪風「しれぇ、さっき駆逐寮に寄ったのは何故ですか?」

提督「ミスディレクション。青葉辺り嗅ぎ付けてくるかもしれないから念のため」

雪風「ふむぅ」

提督「雪風も釣ってみるか? ほれ、釣竿」

雪風「これ、しれぇの、使っていいんですか?」

提督「あぁ。昔使ってた竿がもういっちょあったはずだ。俺はそれ使うよ」

取り出したるは原始的な、竿に針のついた糸をつけたもの。

提督「……まぁ大丈夫だろ」

~~~~~~~

青葉「あれぇ……? 司令官も雪風ちゃんも見当たりません……行き違えたかなぁ?」

988: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/24(火) 22:16:17.77 ID:8AEWnvxao
提督「ぬぅ。全く魚がかからぬ……」

唸る提督と比べて雪風は、

雪風「わわわっ、また来ました!」

提督「よし、慎重に引いてけ」

がっぽがっぽ釣れている。

提督「全く、この調子だとクーラーボックスが先に埋まってしまうかもしれんな。5個ぐらいあったと思うが」

雪風「雪風、お腹空いちゃいました」

提督「んじゃおにぎり食うか」

~~~~~~~~

青葉「うーん、こっちの店にもいない……。お昼時なのに……間宮さんのところに戻ったのかなぁ……?」

989: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/24(火) 22:17:30.59 ID:8AEWnvxao
青葉「くっ騙されました! まさか海の方に出ているだなんて!」

昼食がてら鎮守府の食堂に戻り、ついでに聞き込みをした結果、『出撃予定ないのにぷかぷか丸が港にない』という情報を得た青葉。

港を見ればわかるのだが、『デートしに行った(市街地に行くとはいってない)』という情報に騙されたのだ。先見性がなく不憫である。

青葉「そうと決まれば取zいや出撃です!」

艤装を身に纏い、埠頭から着水、そのまま水平線に向けて加速する。まさに執念。

~~~~~~~~

提督「坊主過ぎる」

昼下がりになっても状況は変わらず。

雪風「また当たりました!」

提督「俺の立場ないなぁ……」

---

青葉(そーっと、そーっと)

ぷかぷか丸から降ろされた錨の鎖を慎重に登る青葉。立てる音を最小限に。まるでスパイ映画のエージェントの如く。

二人の後ろ、死角になる場所からそっと顔をのぞかせる。

青葉(ちょっと出遅れましたがばっちり記事にしちゃいますよ!)

---

提督「んじゃ、気を取り直してっと」

雪風の釣った魚をクーラーボックスにいれ、自分の竿を握り締め、勢いよく振り降ろす。

ビン、と糸が張り詰める。だが着水していない。

提督「……?」

そもそも糸が海の方へ向かっていない。ぐい、と竿を引っ張る。


青葉「痛っ!?」

後ろから聞こえる声。糸を辿ると針が引っかかって転んでいる青葉の姿。

雪風「あれ、青葉さん?」

提督「……青葉がこんなところで何をしているのかなぁ?」

青葉「……青葉、見られちゃいました」(テヘペロ

提督「……」

指を鳴らしながらゆっくり近寄る提督。

尻餅をつきながら後ずさる青葉。


<アオバワレェ!!

<ワレアオバァ!!


雪風「青葉さんも取材するならするといえばいいのに……」

990: ◆jf7rnHhSH2 2015/03/24(火) 22:18:35.25 ID:8AEWnvxao
青葉「きゅぅ……」

提督「さて、そろそろ帰るか。これだけ獲れば間宮さんたちも喜ぶだろう」

雪風「今日はしれぇと一緒にいられて楽しかったです!」

提督「ま、雪風の進水日だしな」

雪風「ところで」

提督「ん? なんだ?」

雪風「那珂ちゃんと羽黒さんも同じ進水日なこと、ご存知でしたか?」

提督「……あっ」


この後帰ってめちゃくちゃ祝った


次回 【艦これ】泣き虫雪風と釣り人提督 Part3