1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/11(日) 01:31:46.79 ID:1EzGUlL60
“GRAVITY DAZE”のキトゥンちゃんがストパンにお邪魔します

見切り発車ですがスペース失礼します
※ゲームのネタバレは、核心部分などを伏せて最小限にしたいですが、拙文なので一応注意してください

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1399739496

引用元: ・芳佳「ネヴィ?」 キトゥン「ネウロイ?」 




ストライクウィッチーズ 劇場版 501部隊発進しますっ! [Blu-ray]
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2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/11(日) 01:36:24.27 ID:1EzGUlL60
 
―空中都市 ヘキサヴィル―


旧市街オルドノワ 下層

土管の家先


キトゥン「…ん~~っ! 今日はいい天気かな(ここ、あんまり光届かないけど)」ノビー

シアネア「……」ボケー

キトゥン「! …シアネア、おはよう。 今日は早いんだね?」

シアネア「……おはよう、キトゥン…」


ピョンッ


ダスティ「…ニャア!」トテ

キトゥン「あ、ダスティ! お前もか……おはよう。 今日は何かあったっけ?」

ダスティ「ニャア」

ゲイド「お前さんが寝坊助なんじゃよ」

キトゥン「……ゲイド、おはよう」

ゲイド「なんかついでっぽく挨拶されたな……。 お隣さんには優しくするべきじゃないか?」

3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/11(日) 01:44:09.71 ID:1EzGUlL60
 
キトゥン「(…朝から僻むなぁ)ごめんごめん。 おじいちゃん、朝ごはんは食べた?」

ゲイド「当たり前じゃ。 とっくに昼だぞ」

キトゥン「……うそ? …あれ??」

シアネア「……」ウトウト

ゲイド「…キトゥンよ。 今日はもう寝てろ。 嫌な予感がする」

キトゥン「何言ってるの? 今日もお昼から約束があるんだから、遅れる訳にはいかないよ!」

ゲイド「……またアレか。 今はまだ無理じゃと思うがなぁ。 …想像主の声も聞いたんじゃろ?」

キトゥン「うん。 でも放ってはおけないし、クロウも心配してるから」

ゲイド「………年寄りの言うことは素直に聞いておいた方がいいぞ?」

キトゥン「……そんなこと言われても、わたしもう眠くないし…」

4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/11(日) 01:47:14.38 ID:1EzGUlL60
 
キトゥン「! そうだ、もうお昼なんだっけ!? ……いま何時!?」バタバタ

ゲイド「……お前さんからも引き留めてくれんか?」チラ

シアネア「…zz」

ゲイド「………寝てるのか」

キトゥン「どうしよ~! 列車に乗っても間に合わない!(クロウ絶対怒るよ…!)」ガーン

ゲイド「そいつを連れてちゃ結局“中には”乗れんじゃろうが」

ダスティ「………」

キトゥン「……しょうがない。 駅までのつもりだったけど、直接行くしかないか…」

ゲイド「センタリアレまでか? 力を使い過ぎて落っこちるなよ?」

キトゥン「(感覚的にはすでに“落ちて行く”んだけどね…)大丈夫! 最初の頃に比べて重力の力もかなり強くなってるから!」

ゲイド「………今日はわしらの手にも負えない事が起こるかもしれん。 …気をつけろよ?」

キトゥン「う、うん…(前もこんなこと言ってたような…)」

5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/11(日) 01:50:53.41 ID:1EzGUlL60
 
シアネア「…キトゥン」パチ

キトゥン「? なに、シアネア?」

シアネア「……また、夢の中の誰かがキトゥンに…」

シアネア「“忘れるな”って、…“あなたが行く先はかつての忘河ではない、役目を果たすまで夢を外れるな”って言ってたよ……」

キトゥン「……どういうこと?」

シアネア「……あ、猫ちゃんにもね? “従者の役目を終えるまで違わず守護者でいるように”……だって」

ダスティ「…ニャア!」

ゲイド「……」

キトゥン「(…相変わらず分かりづらいなぁ)……う~ん、とりあえず怪我とかしないように気をつければいいよね?」

6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/11(日) 01:54:58.38 ID:1EzGUlL60
 
キトゥン「(…相変わらず分かりづらいなぁ)……う~ん、とりあえず怪我とかしないように気をつければいいよね?」

キトゥン「…それじゃあ、いってきまーす! ……行くよ、ダスティ?」ブワッ

ダスティ「ニャア」ピョン


ビュゥウンッ


ゲイド「……無事に帰ってくるんじゃぞ? キトゥン…」

シアネア「…zz」


――――
――

7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/11(日) 01:58:52.67 ID:1EzGUlL60
 
旧市街オルドノワ 表層

噴水広場


ビュゥウン

ズタンッ


街人「うわあっ!?」ドテッ

キトゥン「わっ! …ごめんなさい、大丈夫ですか!?(危ない、気づかなかった!)」

街人「…じゅ、重力姫か。 びっくりしたぁ。 気をつけてくれよ!」スク

キトゥン「ホントにごめんなさいっ! 怪我とかしてない!?」

街人「ああ、平気だよ。 …ビュンビュン飛び回るのは勝手だけど、ちゃんと足元も見てくれよ?」

キトゥン「はい…。 気をつけます」

街人「まったく――」スタスタ


キトゥン「………はぁ。 ビックリした」

キトゥン「…やっぱり急ぐのはよくないね?」チラ

ダスティ「……」

キトゥン「街を出ればとばせるし直接行くなら時間も余裕あるから、先に屋台でご飯買っていこう」スタスタ

8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/11(日) 02:05:19.42 ID:1EzGUlL60
 
キトゥン「(…ホットドッグか。 多分クロウもお昼まだだよね?)……ホットドッグふたつくださーい!」

オージン「まいど――…てなんだぃ、キトゥンじゃねぇか!」

キトゥン「オージン!? ……あれ、ここホットドッグの屋台だよね? アイスクリーム屋は!?」キョロキョロ

オージン「あれはセンタリアレの屋台だろ? こっちじゃとっくに在庫売り切って、次の商売始めたよ」

キトゥン「(そこでホットドッグなのはなぜ?)…屋台ふたつ持ってるなんて、儲かってるんだ?」

オージン「この前の大騒ぎの一件以来、ネヴィも重力嵐も全然見なくなっただろ? おかげで外出する人が増えて、店も大賑わいよ!」

キトゥン「へぇ…。 でも今は空いてるね?」キョロ

オージン「馬鹿いうなよ! 今だって大忙しだぜ! ユジが戻るまでに次の配達分大急ぎで作らなきゃなんねぇんだ!」

キトゥン「え、配達…!?(お客で賑わってるんじゃないの?)」

キトゥン「……そっかぁ、がんばってねー?(ユジも大変だなー…)」

10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/11(日) 02:10:28.47 ID:1EzGUlL60
 
オージン「…キトゥン、お前暇そうだな?」ジロ

キトゥン「……は?」

オージン「丁度いいや、これ配達してくれ! お前ならひとっ飛びだろ?」ガサ

キトゥン「え? 何でわたしが??」

オージン「ほら急げ!」ズイッ

キトゥン「いや、わたし予定あるから――」

オージン「家の弁償まだだろ?」

キトゥン「うっ……(それを言われると…)」

オージン「わざわざ紹介してやったバイトの給料もガキに盗られやがって!」

キトゥン「…アレは盗まれた訳じゃなくて、人助けであげたのっ!」ムッ

オージン「なんでもいいから、さっさと配達行ってこい! ちゃんと代金貰ってこいよ?」

オージン「それから、帰りのついでに何件かそこらの奴から注文とって来い」

キトゥン「(なんでわたしがこんな目に…)…いってきま~す…」

11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/11(日) 02:20:16.50 ID:1EzGUlL60
――――
――



夢魅の館


アキ「ご苦労様」

キトゥン「……まさかアキの所だったとはね」

アキ「今日は不吉な予感がして、…外は危ないから家でテレビ観てるの」

キトゥン「…あいかわらず出不精だなぁ(ていうか、どうやって注文したんだろ…?)」

アキ「キトゥンも一緒に観よう? 外は危険だから」

キトゥン「なに言ってるの。 今日は特に天気も良くて気持ちいいよ? アキもちゃんと外に出なきゃ、身体壊しちゃうよ?」

アキ「いいの。 今日は本当に無理なの」

キトゥン「(ダメだこりゃ)……わかった。 それじゃあ、代金ちょうだい?」スッ

12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/11(日) 02:26:00.03 ID:1EzGUlL60
 
アキ「…今は持ち合わせがないから、代わりに占ってあげる」

キトゥン「(…まさかとは思ったけどやっぱり!)……アキ、そういうのはいいから。 わたしがオージンに怒られるんだから」

アキ「……」ブツブツ

キトゥン「ちょっと待って! 勝手に占わないでー!?」

アキ「……そんな…! キトゥンの運命が見えない…!?」

キトゥン「?」

アキ「うそ……なんで…? 靄すらかかってない……こんなの始めて…」ワナワナ

キトゥン「…よくわかんないけど、占えないならちゃんとお金払ってよね♪」

アキ「……」


――――
――

13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/11(日) 02:33:52.99 ID:1EzGUlL60
 
都街 ヴァン・ダ・センタリアレ

時計台ビル 上部


クロウ「……」

『クローウッ!』

クロウ「……ようやくか」


ビュゥウン

ズダンッ


キトゥン「…はぁ…はぁっ……ぜぇ…っ」クタ

クロウ「この馬鹿でかい時計が見えたか? …遅刻だぞ」

キトゥン「ご…ごめん……っ…。 ちょっと…ぜぇ……御使いを頼まれて…」ゼーハー

クロウ「……まぁいい。 早速いくぞ」

14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/11(日) 02:45:04.32 ID:1EzGUlL60
 
キトゥン「(え? うそ…!)ま、まって! わたし疲れちゃって……少し休んでからにしようよ!?」

クロウ「……お前の都合など知るか。 私は十分休んだ」ジロ

キトゥン「で…でもお腹は減ってるんじゃない? ほら、ホットドッグ食べよう! クロウの分もあるよ?」ガサ

クロウ「……」

キトゥン「え、えへへ……」

クロウ「………少しだけだぞ?」


――――
――

15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/11(日) 02:47:29.15 ID:1EzGUlL60
 
キトゥン「…みんなの様子はどう?」

クロウ「相変わらずだ。 悔しいが私ひとりにはどうにもできそうにない」

キトゥン「そっか……」

クロウ「お前の方こそ何かわからないのか? “アレ”の入口を見つけたのはお前だろ?」

キトゥン「うん、そうなんだけど…。 わたしにも今は特に出入口みたいなものは見えない」

クロウ「………なら、今日もセンタリアレの復興作業か」

キトゥン「…いいの? まだお昼過ぎだし、わたしも協力するよ?」

クロウ「助けようにも手段がわからないのだから仕方ない。 ……できることをやる方が有意義だ」スク

キトゥン「(クロウ……)…そうだね! まだまだネヴィに壊された痕が残ってるし」

クロウ「……ほら、もういいだろ? いくぞ」

キトゥン「うん。 …ねえ、思ったんだけどさ? ネヴィに破壊された街の区画って、前みたいに“異世界”にないかな?」スク

クロウ「……区画って、あの“怪物”に壊されて落ちた街の部分か?」

16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/11(日) 02:56:55.87 ID:1EzGUlL60
 
クロウ「……区画って、あの“怪物”に壊されて落ちた街の部分か?」

キトゥン「そう! 下に落ちていったってことは重力嵐に呑まれたんだろうから、ゲイドに頼んでまた異世界に行けば戻せないかな?」

クロウ「……難しいな。以前ヘキサヴィルを襲った重力嵐はこの都市を覆っているそれとは異質だった可能性もある」

キトゥン「……え? なんで?」

クロウ「もしお前の言うように、下の重力嵐も異世界に繋がっているとすれば、今頃あの老人の腹の中は汚水まみれに違いない」

キトゥン「なるほど(クロウ頭いいな…)」

クロウ「……一度下を見に行ってみるか」

キトゥン「え?(……なんだろう? このパターンにいい想い出がない…)」

クロウ「もしかしたらあの村――…もう違うか。 …あそこに落ちているかもしれない」

キトゥン「……さ、流石にもうあんな所までは行けないんじゃないかな?(正直、行きたくないな…)」

17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/11(日) 02:59:18.83 ID:1EzGUlL60
 
クロウ「私とお前だけなら問題もない。 今ほどに重力嵐が落ち着いてる時に、私は行き来していたんだ」

キトゥン「そうなんだ…」

キトゥン(……でも確かに、あそこに落ちてても不思議じゃないよね…?)

クロウ「よし、じゃあいくぞ?」シュタ


ビュゥウン


キトゥン「……うーん。 まぁ危なくなったら引き返せばいいし…、平気だよね?」

ダスティ「…ニャア」


――――
――

21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/11(日) 13:18:27.42 ID:1EzGUlL60
 
世界の柱 下層付近


ビュゥウン

フワッ


キトゥン「……やっぱり、重力嵐でこれ以上は降りられないよ」

クロウ「…チッ。 ……仕方ない、柱の入口を探そう」

キトゥン「えっ、そこまでするの!? 危ないよ!」

クロウ「崩れた区画を探すと言い出したのはお前だろう?」

キトゥン「そ、そうだけど……でも危険だし…。 よく考えたら、見つけたところでどうにもできないかなーなんて…」アハハ…

クロウ「怖いならお前は引き返せ。 無理強いはしない」

キトゥン「(クロウったら……まさかあの子達を助ける手がかりを…?)…ちょっと待――」



『ハーッハッハッハッハァ!!』


 

22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/11(日) 13:28:04.48 ID:1EzGUlL60
 
キトゥン「っ! なに!? …何の声!?」ビク

クロウ「…みろっ! 重力嵐が!?」


ゴォォオォオオオ

…ワラッ


キトゥン「ネヴィ…!?(こいつの雰囲気、どこかで…?)」

クロウ「………1匹か。 すぐに消してやるっ!」ビュゥウン

キトゥン「あっ! 待ってクロウ!?」


クロウ「はあっ!!!」ズォオ

ネヴィ「ーっ」


バキィッ


クロウ「ぐぁあっ!!」

キトゥン「クロウ!?」ビュン

23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/11(日) 13:46:41.34 ID:1EzGUlL60
 
キトゥン「大丈夫、クロウ!?」ガシッ

クロウ「ぐっ……なんだこいつ? 普通の雑魚じゃない!」

キトゥン「…多分、希少種だよ」

クロウ「希少種…!?」

キトゥン「見た目は普通のネヴィなんだけど、何か変って言うか……すごく強いんだよね」

クロウ「……確かに、異様な寒気を感じるな」

キトゥン「異世界で何度か闘ったけど、技もほとんど効かなくてかなり厄介な奴だった」

クロウ「なんだってそんな奴が急に!」

キトゥン「わからないけど、こっちに出てきた以上は倒しておかないと…! 街のみんなが危険だよ!」

クロウ「……よし、私が奴の気を逸らす。 経験のあるお前がその隙に倒せ」ブワンッ

キトゥン「わかった! 無理しないでね?」


ビュゥウン


クロウ「こっちだ!」

ネヴィ「!」


ビュン ビュン



キトゥン「……全力でいくよ、ダスティ!」チラ

ダスティ「ニャア!」

24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/11(日) 13:52:52.58 ID:1EzGUlL60
 
ネヴィ「ーっ」ビュォオン

クロウ「くっ! こいつ、速い…!!」


キトゥン「……」

キトゥン「(よし、今だ! 重力キック!)…やぁあああっ!!!」グワン


ズォォオォオッ


ネヴィ「!!」



キトゥン(よし、決ま――)


『ハァーッハッハッハァ』


キトゥン「!?」

25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/11(日) 13:59:24.43 ID:1EzGUlL60
 
ネヴィ「ー!」ズズ…

…ニュッ


キトゥン「っ!?(え…、腕?)」


ガシッ


クロウ「キトゥンッ!!!」

キトゥン「ちょ――」ガクン


ブンッ



キトゥン「きゃああああー!!?」ヒューーン



クロウ「キトゥーーーン!!」

ダスティ「ッ……ニャア!」シュバッ



ゴォォオォオオオ……


ォオォオオ…


オォ…



 

26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/11(日) 14:04:03.80 ID:1EzGUlL60
(・×・)<舞台が変わるゾ

27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/11(日) 14:08:35.63 ID:1EzGUlL60
 
―西暦1945年 某日―


ガリア共和國


芳佳「…はい、もう大丈夫ですよ?」

患者「ありがとうございま…っ、うっ!!」ガクッ

芳佳「あぁ! 急には立てませんよ!? えーっと……」

リーネ「芳佳ちゃん、…これ」

芳佳「あ、それ使える! ありがとうリーネちゃん! ………これを杖にしてください」

患者「ありがとうございました…」ヨロヨロ


芳佳「……ふぅ~。 この辺で大きい怪我の人達は大体済んだかな?」

リーネ「お疲れ様、芳佳ちゃん」

芳佳「……全員魔法で治せれば良いんだけどなぁ…。 私もお婆ちゃんやお母さんみたいにもっと上手くできれば…」

28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/11(日) 14:12:29.00 ID:1EzGUlL60
 
リーネ「芳佳ちゃんも十分凄いよっ! 急患の人や危篤状態の人の命も助けたし、…全員に魔法使ってたら流石に倒れちゃうよ?」

芳佳「うん……でも…」ショボン

シャーリー「おーい! 宮藤、リーネ?」バサッ

リーネ「あ…!」

芳佳「…シャーリーさん」

シャーリー「どうだ調子は? 患者が途切れたみたいだから様子を見に来たんだけど」

芳佳「はい、重傷の患者さんは一先ず終わりました」

リーネ「…シャーリーさん達の方はどうですか?」

シャーリー「んー…片付いてはいるはずなんだけど、あまりに瓦礫が多くてなぁ」ポリポリ

芳佳「そうなんですか…」

シャーリー「元々ネウロイに荒らされた痕が残ってた所に、昨日の大嵐だからなぁ…。 ペリーヌがガリアの人達を鼓舞してるけど、復興に挫折を感じてる人も正直いるよ」

リーネ「ペリーヌさん……」

29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/11(日) 14:17:05.30 ID:1EzGUlL60
 
シャーリー「……ま! あたしらはとにかく、できる事をやっていくしかないよ! それが一番の支援だ」ニコ

芳佳「…はいっ! 元気だして頑張りましょう!」

シャーリー「あっははは! なんか少佐に似てきたな、宮藤?」

芳佳「えっ、そうですか!?」

リーネ「うん。 すっごく頼りになる所とか」

芳佳「えぇー!? そうかなぁ、リーネちゃんやシャーリーさんの方が絶対頼りになるよぉ!」

シャーリー「あはは、自覚ない所が宮藤らしいな!」

シャーリー「……そうだ! ふたりともキリがいいなら休憩しないか? さっき街の人達からリンゴを貰ったから食べよう!」スッ

芳佳「わぁー! 美味しそーぅ!」

リーネ「あ、それじゃあ私はペリーヌさんを呼んで来ますね?」ステテ
 

30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/11(日) 14:32:13.28 ID:1EzGUlL60
 

数時間後


モブ兵「大尉! 荷物の積み込み完了しました!」ビシッ

シャーリー「ありがと。 宮藤達が戻るまでもうちょい待機しててよ」

モブ兵「はっ! 了解しました!」

シャーリー「…ペリーヌ、忘れ物ないか?」チラ

ペリーヌ「……」

シャーリー「………そう思い詰めるなって」

ペリーヌ「ですが…」

シャーリー「なんとか物流のための道も戻せたし、宮藤や基地員達のおかげで救助や治療もだいぶ進んだよ」

シャーリー「中佐の協力で501が直接支援できるのも今日限りだ。…辛いだろうけど、あたしらにも役目がある」

ペリーヌ「……せっかくネウロイを追い出せましたのに…、なんっ…なんでガリアばかり……うっ…」ウル

31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/11(日) 14:37:19.08 ID:1EzGUlL60
 
シャーリー「局地的な暴風災害は稀にあるさ。 あたしの国なんかしょっちゅうだよ…」

ペリーヌ「うっ……でも、こ…っこれから復興という………時でした…のにっ…ひくっ…」ポロポロ

シャーリー「……大丈夫だよペリーヌ。 まだ人がいるんだ、必ず復興できるよ」ギュ

ペリーヌ「っ……ぅ…」

シャーリー「よしよし」サスサス

ペリーヌ「も…もうしわけ…っありま…」

シャーリー「いいよ。 落ち着くまで好きにしな?」

ペリーヌ「…っ……はぃ…」

シャーリー「……」

ペリーヌ「……//」

『ペリーヌさーん!!』

ペリーヌ「!!?」ガバッ

シャーリー「おわっ! どうした、急に!?」


タッタッタッ


芳佳「ペリーヌさんっ!」

リーネ「だ、大丈夫ですか…!?」

シャーリー「お前ら…」

33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/11(日) 14:59:46.52 ID:1EzGUlL60
 
芳佳「ペリーヌさんがシャーリーさんにもたれ掛かってたのが見えたから…!」

リーネ「どこか具合悪いんですか!?」

ペリーヌ「な、何を言っておりますの? わたくしは別に何ともないですわ!」ツン

芳佳「…そ、そうですか? 本当に――」

ペリーヌ「平気と言ってるでしょうっ!?」クワッ

シャーリー「あはは! マジで誤解だから、安心しな?」

シャーリー「…それより、ふたりとも準備はいいか? 忘れ物ないな?」

リーネ「はい。 ただ…」チラ

芳佳「町の皆さんからお礼にってリンゴを沢山もらっちゃいました!」ゴッソリ

シャーリー「おお! 昼間のやつか」

ペリーヌ「ちょっ!? …宮藤さん! あなた、被災地にとって果物ひとつがどれだけ大切かわかっていまして!?」

芳佳「で、でも…どうしてもお礼がしたいって…」

34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/11(日) 15:04:08.67 ID:1EzGUlL60
 
シャーリー「まあまあ、…向こうの人達の気持ちだよ。 有難く受け取っておこう」

シャーリー「宮藤、それは輸送機に積むからこっちへ…」スッ

芳佳「はい。 よいしょっと」ゴソ

芳佳「…あっ!」


ポテンッ

ゴロゴロゴロ…


シャーリー「やべっ、一個落ちた」

芳佳「……まってー!」ダッ


タッタッタッ


リーネ「芳佳ちゃん!?」テテッ

ペリーヌ「もう! 何をやっていますのっ!?」ダッ


タッタッタッ


シャーリー「あー……ごめん、これ頼む! すぐ戻るから!」ゴソ

モブ兵「え? …あ、はいっ! 了解でありますっ!」

シャーリー「飛べる準備だけお願いなー」ダッ


タッタッタッ

 

35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/11(日) 16:16:20.57 ID:1EzGUlL60
 

ゴロゴロ…


芳佳「ま、まってぇー!」

リーネ「はぁっ…よ、芳佳ちゃーん」

ペリーヌ「なんでこうも下り坂が…」

シャーリー「おーい、お前らー! 待てってぇー!」


ゴロゴロゴロ…

ゴロゴロ…コロ…


コロコロ…

コロ…



…コツン

???「…」


芳佳「ぜぇ……はぁ…。 や、やっと行き止まり…」ヨロ

リーネ「…っ…? ここは……公園…?」ゼェ ハァ

シャーリー「……随分寂れてるな? 被災ってより元々こんなだったって感じだ」

ペリーヌ「…こんな所に公園があったなんて…!」

36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/11(日) 16:32:07.39 ID:1EzGUlL60
 
芳佳「えっとリンゴは………っ! 誰か倒れてる!?」

シャーリー「!」クルッ

リーネ「えっ!?」

シャーリー「…おい! 大丈夫かっ?」ササッ

???「…」

シャーリー「…………やばい、呼吸してない!」

ペリーヌ「ど、どうしましょう!?」

芳佳「まってください!!」

リーネ「芳佳ちゃん…」

芳佳(……まだ体温もあって顔色も…多分悪くない。 硬直もしてないし…)テキパキ

芳佳「(死んでない!)…まだ助かりますっ!」

ペリーヌ「宮藤さん…!」

シャーリー「魔法力は大丈夫なのか!?」

芳佳「やれますっ!!」バッ

芳佳「…っ(お願いっ……!)」フィィイン

???「…」


――――
――

38: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/12(月) 14:38:46.47 ID:Dx4l+3T50
 
(……ここは、どこ?)


(わたしはいったい…)


(………わたし? …わたしは……だれ?)


(…なにか…….忘れて――)


『忘れてはなりません』


(っ!)


『あなたは夢に戻るのです』


(…シアネ――)



キトゥン「――っ!!?」パチ
 
 

39: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/12(月) 14:52:08.59 ID:Dx4l+3T50
 
501JFWロマーニャ基地


ミーティング室


バルクホルン「なにっ!? 基地に入れたのか!?」ガタッ

シャーリー「うん、…まぁ…そうだよ。 今医務室に寝かせてる」

バルクホルン「一般人だぞ!? 軍の施設に連れ入れていいわけないだろっ!」

シャーリー「うん……。 一応、中佐達には先に許可とったけど…」

エイラ「…近くの病院へ預ければよかったじゃないか。 何でわざわざココに連れてきたんだ?」

バルクホルン「エイラの言う通りだ! お前は監督者としての役目もあったはずなのに何故止めなかった?」

シャーリー「違うんだ、聞けよ」

エーリカ「……ミーナが許可したって事は、なんか訳ありだね?」

シャーリー「そう。 ……宮藤の魔法で呼吸と脈は戻ったから、あたしらも病院で安静にさせようとしたんだ」

シャーリー「…けどパリの施設は殆どが半壊。 難民化した人達が少ない寝床を分け合ってるし――」

シャーリー「他、ガリア国内の病院もボランティアの野営も含めていっぱいなんだよ」

ペリーヌ「……」

40: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/12(月) 15:02:15.01 ID:Dx4l+3T50
 
エイラ「…そ、そっか……。 そんじゃしょうがねーよな?」

バルクホルン「ロマーニャの医療施設に預ける事は出来なかったのか? 帰路だろう?」フンス

シャーリー「……それもやったよ…。 でも、あまりいい顔されなかった」

エイラ「は? そうなのか?」

バルクホルン「……いくら異国民とはいえ、被災患者だぞ? 501のウィッチが連れていて、話を聞かないわけないだろ」

シャーリー「…………その子、褐色なんだよ」

バルクホルン「ッ!」ピクッ

エーリカ「……なるほど…」

エイラ「はぁ?? どーいうコトだ?」

41: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/12(月) 15:06:35.01 ID:Dx4l+3T50
 
バルクホルン「……これは歴史的に見て根深く複雑。 …語る上でも非常に慎重を要する問題だ、エイラ」

エイラ「…? ……つまりなんだよ?」

エーリカ「…差別だよ」

エイラ「ぇ…!」

ペリーヌ「……」

バルクホルン「我々の先祖が大昔に行っていた奴隷商売に端を発する、褐色系有色人種への差別だ」

エイラ「いや、でもさ? 何百年も前の話だろ?」

バルクホルン「勿論、ブリタニアを中心とした欧州での奴隷貿易はとっくに禁止されているし。 …輸出先だったリベリオン合衆国でも1世紀前に制度は廃止された」

バルクホルン「人身売買が日常にあった者などもう誰ひとりとして生きてはいない。 …だが、かつての人種偏見は僅かながらも人々に残り続けている」

エーリカ「…まぁ偏見なんてお互い様だし、誰かひとりを指して悪いなんて言えないけどね?」

エイラ「……」

42: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/12(月) 15:10:24.08 ID:Dx4l+3T50
 
バルクホルン「皮肉にもネウロイという人類共通の脅威が、私達のように異民族間の摩擦を緩和する助けになっているが。 目立たないだけで、やはり問題は根深いな…」

シャーリー「……ああ。 リベリオンもついこの間に公民権法ができたけど、それで全て綺麗になる感じはしないな…」

エイラ「……ロマーニャって“そういうやつ”多いのか? そんな感じしねーけど…」

シャーリー「…まぁ愛国心というか、ファミリー意識が高いらしいから…」

エイラ「ほぇー」

シャーリー「……ペリーヌには言ったけど、ルッキーニにはこの事言わないでいてくれないか? あいつ多分傷付くからさ」

エイラ「お、おう…」

バルクホルン「…了解した」

43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/12(月) 15:14:04.61 ID:Dx4l+3T50
 
エーリカ「……話戻すけどさー、それでその女の子をここへ連れて来たの?」

シャーリー「まぁね。 ……宮藤がキレちゃってさ? “預けておけませんっ”て意地になって」

バルクホルン「まったくあいつは…」

エーリカ「宮藤は頑固だからね~?」

シャーリー「事情を話したら中佐達は快諾してくれたよ」

バルクホルン「それはそうだろう。 ふたりとも人格者だ」

エーリカ「だね。 見られて困るものも無いし!」

バルクホルン「適当なことを言うな、ハルトマン」

ペリーヌ「……ですけど、今日のガリアへの支援活動でも無理を聞いて頂いて…。 わたくしのせいで少佐と中佐のおふたりに苦労をかけてしまって…」ションボリ

エイラ「…気にすんなよ。 別にペリーヌのせいじゃネーだろ?」

ペリーヌ「……エイラさん…」

44: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/12(月) 15:17:23.38 ID:Dx4l+3T50
 
バルクホルン「そうだな。 …その少女が倒れていたのも、恐らくは昨日の嵐が原因の筈だ」

シャーリー「……まあ、この辺の暴風災害にしては随分局地的だったよなぁー?」

バルクホルン「気象予報にも全く予兆は見られなかったそうだ。 もしかしたらネウロイの影響による異常気象の可能性もある」

エーリカ「今はそんな事考えたってわかんないよ! …ねぇトゥルーデ、その女の子見に行こうよ?」ピョン

バルクホルン「必要ない。 宮藤達に任せておけ」

エーリカ「えぇ~! いこうよぉー?」グイグイ

バルクホルン「やめろ! 離せっ!」

エイラ「私はサーニャの様子を見に――…!」ピタッ

エイラ「……つ、ツンツンメガネも来るか? サーニャとサウナ行くけど」チラ

ペリーヌ「……お気づかいありがとうエイラさん。 …わたくしは大丈夫ですわ…」

エイラ「そ、そうか…」

シャーリー(ルッキーニにも知らせとかねぇと…。 あいつ何してんだ?)

45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/12(月) 20:35:25.62 ID:Dx4l+3T50
 

医務室


キトゥン「……」ムク

キトゥン「………ここは…?」

キトゥン「…ベッドに布団?(すごいフカフカ…)」サワサワ

キトゥン「……わたし、確か…?」

キトゥン「…そうだ…! 変な腕に掴まれて重力嵐に――」

ルッキーニ「ねえ?」

キトゥン「ひゃっ!?」ビク

ルッキーニ「……」ジー

46: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/12(月) 20:40:25.36 ID:Dx4l+3T50
 
キトゥン「(…だ、だれ?)………ぁ、えっと…何か用かな…?」

ルッキーニ「…だれぇ??」

キトゥン「え…? ……わたしはキトゥン…だけど……」

ルッキーニ「……」ジー

キトゥン「ぅ……(なんなの、この空気?)」

ルッキーニ「……あたしはフランチェスカ・ルッキーニだよ」

キトゥン「あ、うん……そっか。 …よろしく」

ルッキーニ「ねえねえキトゥン?」

キトゥン「え? うん……な、なに?(いきなり呼び捨て…)」

47: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/12(月) 20:43:24.31 ID:Dx4l+3T50
 
ルッキーニ「ここでなにしてんのー?」

キトゥン「…えーっと、……わたしも知りたいんだよね? それ」

ルッキーニ「んにゃ?」ポカン

キトゥン「……」

ルッキーニ「……」

キトゥン「(うぅ…なんか気まずい)あ、あのさ? フラー……えと…ルッキーニちゃん? ここは何処だかわかるかな?」

ルッキーニ「うじゅ? ここ? …医務室だよ?」

キトゥン「(い、言われてみれば確かに病室っぽい…!)……センタリアレの病院かな?」

ルッキーニ「? せんたりあれ??」

48: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/12(月) 20:48:33.96 ID:Dx4l+3T50
 
キトゥン「あれ、違った? …えーっとじゃあ何処だろ? インダストリエかプレジューヌ?」

ルッキーニ「にゃ…? ……??」

キトゥン「……えっと、ルッキーニちゃん? お姉ちゃん迷子になっちゃったんだけど、ここは何処にある病院なのかな?」

ルッキーニ「……病院じゃないよ? ここはロマーニャの基地だよ」

キトゥン「……」キョトン

ルッキーニ「…あ、そだ! ねえねえキトゥン! 真っ黒でキラキラしたネコ知らない?」

キトゥン(ろまーにゃ? 基地…? どこそれ…何それ……!?)

ルッキーニ「? ねぇー、キートゥーン~! ねぇってばぁ?」ユサユサ

キトゥン「……」

49: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/12(月) 20:50:43.08 ID:Dx4l+3T50
 

ガチャ


リーネ「! る、ルッキーニちゃん!? 何してるの…!?」

芳佳「あ、起きてる! よかったぁー!」

キトゥン「!」

ルッキーニ「うにゃ? よしかぁー! りーねぇ! キトゥン起きてるよー?」

リーネ「…キトゥン……さん?」

芳佳「すごぉい! もう仲良くなったの!?」


キャイキャイ


キトゥン(……何がどうなってるの…?)
 

52: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/13(火) 20:26:46.05 ID:TD0A8YEn0
 
――――
――



キトゥン「えっ!? わたし死んでたの!?」

芳佳「あ、いえ! 呼吸はしてませんでしたけど大丈夫でした」

キトゥン「……(呼吸止まったんだ…)」

リーネ「芳佳ちゃんの魔法で……えと、…脈も弱かったんですけど戻す事ができました」オドオド

キトゥン「(魔法?)…よくわかんないけど、助けてくれたんだよね? ありがとう」

芳佳「元気になって良かったです! 特に悪い病気や怪我も無いみたいですし」

キトゥン「……ミヤフジヨシカちゃんって、結構若そうなのに医者なんだ? すごいね」

芳佳「えぇ? あ、そんな……私まだ勉強中でっ(何が何で治ったのかもわからないし)」ワタワタ

キトゥン「そうなんだ…(わたしより若そうなのに、偉いなぁ)」

53: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/13(火) 20:29:20.20 ID:TD0A8YEn0
 
芳佳「あと、それと……フルネームで呼ばなくても平気ですよ? 芳佳でいいです」

キトゥン「え!? …あ、ごめん。 わかった(フルネームだったのか…)」

キトゥン(うーん……ルッキーニちゃんの名前もやたら長かったから勘違いしちゃったな)チラ

リーネ「!」ビクッ

キトゥン「?」

リーネ「ぇと……あ、あのぉ…。 私もリーネで平気ですから…」

キトゥン「(人見知りってやつ…?)う、うん。 ありがとう」

ルッキーニ「あたしはルッキーニ! ここだとみんなそう呼ぶよぉ! ……とぁ!」ガバッ

キトゥン「きゃあ!?//」

リーネ「ルッキーニちゃん!?」

ルッキーニ「ん~……いまいち」モミモミ

54: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/13(火) 20:33:24.42 ID:TD0A8YEn0
 
キトゥン「なっ!(人の胸に抱きついといてその言い草!?)」

芳佳「そ、そうなんだ!」ゴクリ…

リーネ「芳佳ちゃん…」

ルッキーニ「でも芳佳よりはあるよー?」

芳佳「ちょっ! それは言わなくていいよぉ、ルッキーニちゃん!」


『貴女達。 医務室内では騒がないでね?』


芳佳「!」

ルッキーニ「ぎにゃ!?」

リーネ「……ミーナ中佐!」

ミーナ「特にルッキーニさん、いいわね?」スタスタ

ルッキーニ「ぁ、ぁぃ……」

キトゥン「……(今度は大人のひと?)」

55: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/13(火) 20:38:56.22 ID:TD0A8YEn0
 
ミーナ「ごめんなさい? 彼女に悪意は無いの」

キトゥン「あ、いえ! 気にしてないですから」

ミーナ「この軍事基地の責任者、第501統合戦闘航空団隊長のミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐です」

キトゥン「(また長い名前!?)……キトゥンです」

ミーナ「あら、可愛いお名前ね」ウフフ

ミーナ「……事情はどこまで飲み込めていますか? この子達から何か聞いたかしら?」

キトゥン「えっと……倒れていたところを助けてもらって、ここに運ばれたのは聞きました」

ミーナ「それだけ?」

キトゥン「え? ……はい、そうです」

ミーナ「……」チラ

芳佳「!!(な、何も他の事はしゃべってませんよ~!?)」ブンブン

58: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/13(火) 20:50:19.15 ID:TD0A8YEn0
 
ミーナ「……体調の方はいかがかしら?」 

キトゥン「あ、はい。 大丈夫です」 

ミーナ「そう、よかったわ。 …治療自体は救護の際に宮藤さんの魔法で完了しているそうですから、明日以降に自宅までお送りします」 

ミーナ「ただ、身体検査と身元の確認だけ一通りさせてもらいますので、それが終わるまでは此処にいてもらう事になります」 

キトゥン「み、身元……(そういえばわたしって、そういう所どうなってるんだろ…?)」 

ミーナ「ごめんなさい。 ここは軍事施設なので、念の為に必要なの。 ……個人情報の取り扱いには最新の注意を払います」 

キトゥン「! そうだ! ここは基地だって……本当なんですか?」 

ミーナ「ええ、そうですよ? パリの病院は被災の影響でどうしても態勢が調わなかったので、特別にここで受け入れました」 

リーネ(ミーナ中佐、やっぱりロマーニャの事はわざと伏せてる…?) 

芳佳「……」


57: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/13(火) 20:47:29.34 ID:TD0A8YEn0
 
キトゥン「ぱり? ……て、どの辺ですか?」

ミーナ「ガリアの首都です。貴女が倒れていた街ですよ?」

キトゥン「がりあ……?」

ミーナ「?」

キトゥン「……あの、皆さん軍人なんですよね?」

ミーナ「ええ。 そうですよ?」

キトゥン「ヴァン・ダ・センタリアレのユーリ・グノー司令官ならわたしのこと知ってる筈ですけど…?」

芳佳「……?」

リーネ「?」

59: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/13(火) 20:53:23.34 ID:TD0A8YEn0
 
ルッキーニ「ばんで……? なに??」

キトゥン「……ぇ? …えっと、わたし……シーキャット…です。 元だけど」

ミーナ「…………」

キトゥン「(あれ? 伝わってない?)……あ、そっか! ジェリーフィッシュはもう無いんだっけ?」

ミーナ「……リーネさん。 欧州周辺とガリア、それと世界地図を持ってきて頂戴」

リーネ「え?」

ミーナ「資料室か私の執務室に冊子になったものが有るから、持ってきてくれる?」チラ

リーネ「は、はい……」ステテ


ガチャ パタン

 

60: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/13(火) 20:56:48.84 ID:TD0A8YEn0
 
ミーナ「……」

芳佳「……ミーナ中佐?」

ルッキーニ「?」

ミーナ「キトゥンさん」

キトゥン「へ? は、はい…」

ミーナ「…………貴女はキトゥンさんで間違いはないのね?」

キトゥン「? …はい。 ヘキサヴィルではみんなそう呼びますけど(ちょっとは有名なつもりだったんだけどな…。なんか恥ずかしい)」

ミーナ「(偽名? いえ、それよりも…)……意識を失う前、貴女は何処にいましたか?」

キトゥン「……ヴァン・ダ・センタリアレ…の、下の方ですけど…?」

ミーナ「……」

61: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/13(火) 21:03:21.17 ID:TD0A8YEn0
 
キトゥン「(なんかまずかったかな?)その、……復旧作業の一環で行ったんです! 本当ですっ!」

ミーナ「(復旧?)貴女はそこで、嵐被災の復興作業をしていたのね?」

キトゥン「嵐……というか、あの“怪物”が壊した街の区画とか…探してて(重力嵐の被害はわたしが前に戻したし)」

ミーナ「……(怪物……ネウロイ被害の地? …ガリア国内の小さい町かしら?)」


ガチャ


リーネ「……失礼します…」イソイソ

リーネ「ミーナ中佐」スッ

ミーナ「ありがとう。 ご苦労様」

ミーナ「……」パラパラ

ミーナ「…………(やっぱり載ってない)」


リーネ「芳佳ちゃん、今どうなってるの?」ヒソヒソ

芳佳「私にもわからない」ヒソヒソ

62: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/13(火) 21:07:35.79 ID:TD0A8YEn0
 
ルッキーニ「?? ちゅーさ、どしたの?」

ミーナ「キトゥンさん。 地図は分かりますか?」

キトゥン「…はい」

ミーナ「……そのヴァン・ダ・センタリアレはどの辺にあるのか教えてくれますか?」バサ

キトゥン「えっと……」ジー

キトゥン「…………? んっ?(なにこれ…?)」

ミーナ「? 違ったかしら?」

ミーナ「(発見場所から考えて、少なくともガリア国内だと思ったけど)……じゃあ、この中のどの国かしら?」パラ

キトゥン「……??」ジー

ミーナ「…………なら、これは?」パラ

63: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/13(火) 21:10:34.82 ID:TD0A8YEn0
 
キトゥン「……あの、柱は何処ですか?」

ミーナ「柱?」

キトゥン「え? ……あの、真ん中の…」

ミーナ「(地軸のことかしら…?) 赤道がここ。 経度零がここで、……一応、地軸に当たる地点がこことここです」チョン チョン

キトゥン「えっ…? あの……すみません、よくわからないんですけど…?」

ミーナ「……!?」

ミーナ「(これはちょっと……。 参ったわね)……ありがとう。 質問責めにしてごめんなさいね? また後でお時間もらえるかしら?」パフン

キトゥン「は、はい。 まぁ…」

ミーナ「もう遅いですし、とりあえず今日はゆっくりしてください。 身体検査は明日行います」

ミーナ「それと、お腹が空いているようなら食事も用意できます。 お手洗いの際等と合わせて、何かあればドア越しに待機している者に言ってください」

キトゥン「(それって、見張りってこと?)……はい」

64: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/13(火) 21:12:24.14 ID:TD0A8YEn0
 
ミーナ「ごめんなさい、貴女を守る為でもあるの。 ……言ってくれれば散歩もできると思うから、窮屈でも我慢してね?」

キトゥン「(うっ、見透かされてた…)す、すみません」アセッ

ミーナ「うふふ、気にしないで? ここにいる間は楽にしていて平気よ」ニコ

キトゥン「はい…」

ミーナ「それじゃあ、私はこの辺で一度失礼します」

ミーナ「……貴女達にはちょっと話があるから、一緒にきて頂戴?」クル

芳佳「え? ……はい」

リーネ「ま、まさか…」

ルッキーニ「おこられるぅ……!?」ガーン

67: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/18(日) 15:11:24.85 ID:dqpa+TGL0
 

執務室


ミーナ「……」

芳佳「っ……」

リーネ「……」

ルッキーニ「ぁわわわ……」ガタガタ

芳佳(……大丈夫だよルッキーニちゃん! 私達も一緒だよ)ニギ

ルッキーニ「!(芳佳…!)」

ミーナ「……宮藤さん」

芳佳「は、はいっ!」ビクッ

ミーナ「貴方の治癒魔法は怪我等の外傷だけでなく、病気の類も治せるのよね?」

芳佳「え? ……はい、まぁ…」キョトン

68: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/18(日) 15:22:02.66 ID:dqpa+TGL0
 
ミーナ「……それは所謂、心の病にも効くのかしら?」

芳佳「はい? こ、心の病気!?」

リーネ「?」

ルッキーニ「…にゃ? お説教じゃないの…?」

ミーナ「別を言うなら精神病とか…そういった患者は、御実家の診療所にはいなかったの?」

芳佳「ど、どうだろう!? そういうのは流石にうちはやってませんし…」

ミーナ「そうよね…」

芳佳「……あ! でも昔通院してた人がそういう相談もしてた事があった気がします!」

芳佳「確か……お婆ちゃんは、神経系がどうとか疲労と血管が何だとかって多分言ってて、結局その患者さんの悩みは魔法で解決できたみたいでした」

ミーナ「……」

69: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/18(日) 15:30:31.16 ID:dqpa+TGL0
 
芳佳「でもお婆ちゃん、“医者は気の病だけは治せない、だから医者が必要なんだ”ってよく言ってました」

ミーナ「うふふ、面白い言葉遊びね」

芳佳「え? どういう意味なんですか?」

ミーナ「“病は気から”ってことよ」

芳佳「あっ、なるほど…!」

ルッキーニ「?? ……リーネわかる?」クイ

リーネ「えっ? えーっとね、つまり――」

ミーナ「でも、なるほど。 やっぱり治癒魔法も人体科学…いえ、人体物理に起因する疾患でないと治せないのね」

70: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/18(日) 15:53:09.33 ID:dqpa+TGL0
 
ミーナ「……そうなると、ちょっと厄介な事になったわ…」

芳佳「…どうしたんですか?」

ミーナ「……」

芳佳「…?」

ミーナ「……3人とも、聞いて頂戴?」

リーネ「ぁ、はいっ! ルッキーニちゃん、後でね?」ヒソ

ルッキーニ「ん……(結局よくわかんなかった…)」

ミーナ「キトゥンさんの事だけど……彼女、精神病状態にある可能性が高いわ」

芳佳「えぇ!?」

ミーナ「医務室での話を聞いた限り、妄想幻覚症状が出ていると判断できます。 彼女の言っていた地名や、…恐らくグノー司令官なる人物も存在はしません」

リーネ「そ、そうなんですか…?」

ミーナ「もしかしたらという可能性も否定できないけど、信憑性はハッキリ言って無いに等しいわ」

71: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/18(日) 16:31:55.87 ID:dqpa+TGL0
 
ルッキーニ「なんで? キトゥン嘘ついてるの?」

ミーナ「いいえ。 洞察した感じ、特にそういった様子はなかったわ。 多分、本人は真面目に話していたわね」

ルッキーニ「うじゅ? じゃあホントなんじゃないの??」

ミーナ「彼女、言葉は通じたでしょ? みた目相応の知性や能力も、特に問題はない様子だった……」

芳佳「えっと…それはそうですよ。 普通の女の人でしたよ?」

ミーナ「なのに常識的な地理……というより世界図そのものにすら戸惑った様子で、話が噛み合わなかったわ」

ミーナ「素人の私の立場で断定はできないけど、恐らく妄想性痴呆の類ね」

ルッキーニ「ちほー? ……ボケちゃったの、キトゥン?」

芳佳「えぇ! そんなぁ!?」

72: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/18(日) 17:29:25.88 ID:dqpa+TGL0
 
ミーナ「戦地下の兵士や戦争の被害者、又はその遺族にも僅かに発症した例があるわ。 身体的、心理的に激しいショックやストレスを受けた際の精神的な防衛作用の結果だとも言われているの」

リーネ「しょ、ショックを……?」

芳佳「……まさか、昨日の嵐で!?」

ミーナ「あくまでも推論よ。 詳しくは身体検査と合わせて調べることになると思うわ」

ミーナ(……問題は、今の状態だと身元の確認も難しいということね。 それが分からない限り彼女を帰すどころか、解放もできないわ)

芳佳「そんな…キトゥンさん……。 私がもっと力に成れれば…」シュン

ルッキーニ「よしか……」

リーネ「芳佳ちゃん…」

ミーナ「魔法は万能じゃないわ。 徒らに自分を責めるのはやめなさい、宮藤さん」

芳佳「……はぃ」

73: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/18(日) 17:34:15.45 ID:dqpa+TGL0
 
ミーナ「…今後彼女に接する機会がある時は、さっき話した点を理解したうえでお願いね? 下手に傷つけない様に注意して頂戴」

ルッキーニ「あーい」

リーネ「…わかりました」

芳佳「…はい……」

ルッキーニ「そいじゃ、あたしはこれでぇ~!(助かったー♪)」クルッ

ミーナ「それからルッキーニさん? 次に医務室で騒いだら、“ご期待”に答えますからね?」ニコ

ルッキーニ「ぎにゃーー!!」

芳佳「……」

78: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/20(火) 00:48:02.34 ID:19+mOycD0
 

翌日


宿舎 医務室


キトゥン「はあー。 なんか色々やらされて疲れちゃったなぁ(身体検査ってもっと短いのかと思ってたのに)」

キトゥン「………。 それにしても…(…結局ここ、どこなんだろう?)」

キトゥン「……」

キトゥン「…ゲイドー? 聞こえる―? ゲイド―!!」


ガチャッ


バルクホルン「どうかしたか?」

80: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/20(火) 00:55:04.94 ID:19+mOycD0
 
キトゥン「あ……いや、なんでもないです。 すみません… //」

バルクホルン「……? いい気分ではないだろうが、身分証明が済むまでは監視体制だ。 悪く思わないでくれ」ススッ


パタン


キトゥン「…………ゲイドってば~?」ヒソヒソ

キトゥン「……」

キトゥン「やっぱ異世界じゃ無いよね…。 普通に人もいるし」


キトゥン「…………」


キトゥン「ダスティー? おいで~、餌やるよー?」キョロキョロ


キトゥン「……(反応なし…)」

81: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/20(火) 01:16:02.91 ID:19+mOycD0
 
キトゥン「…まさか」

キトゥン「……ッ!」フン


しぃ~~ん……


キトゥン「…力が使えない!」

キトゥン「……もしかして、全部夢? (わたし、自分の名前も知らないし。 倒れてたみたいだし…)」

キトゥン(どうしよう…! もしそうだったら、ものすごく恥ずかしい)


キトゥン「…え? じゃあ、わたしは誰なの…?」

キトゥン「…………あれ? わた…し……の――」クラァ


『私が付き添うので、お散歩に連れて行ってもいいですか?』


キトゥン「――!?」ビクン

82: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/20(火) 01:21:35.10 ID:19+mOycD0
 
『……まぁ、いいだろう。 基地中央には近づくんじゃないぞ?』

ガチャ


芳佳「こんにちは、キトゥンさん!」ヒョコ

キトゥン「……芳佳?」ヨロ

芳佳「! …どうかしたんですか? なんだか辛そうですよ!?」ステテ

キトゥン「う、うん……。 なんか今、一瞬目眩したけど……もう大丈夫」フゥ

芳佳「(心の病気のせいなのかな……)きっと、検査で疲れちゃったんですよ! 気分転換に外の空気を吸いに行きましょう?」

キトゥン「……そうだね。 うん、ありがとう芳佳。 行こう!」

83: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/20(火) 01:31:57.03 ID:19+mOycD0
 

宿舎 入口


芳佳「今日は風も出ていて気持ちいいですよ!」

キトゥン「…!」キョロキョロ

芳佳「お洗濯物すぐに乾いちゃうなぁ」

キトゥン「……。 はぁ~…(きれいな空…!)」ポケー

芳佳「少し歩きましょう! あっちは海も見えていい景色なんですよ!」

キトゥン「うみ……?」


――――
――

84: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/20(火) 01:46:06.01 ID:19+mOycD0
 
キトゥン「……わぁ…! なにこれ……!?」

芳佳「ここは基地の正面から先が一望できるんです! 私も初めて見た時はワクワクしました」

芳佳「ほら、すぐ下にあるのがハンガー出口と滑走路です!」ビッ

キトゥン「……先が見えない。 あれ全部塩水なの…!?」

芳佳「え? ……もしかしてキトゥンさん、海を見るの初めてですか?」

キトゥン「うん、初めて“知った”。 …すごいね?」

芳佳「(……これも妄想性なんとかなのかな…?)えーっと…これはアドリア海っていう海で、私達はこの上を渡ってくるネウロイを撃退してるんです」

キトゥン「ネウロイ?」

芳佳「はい。 ……し、知りませんか?」

85: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/20(火) 01:49:21.65 ID:19+mOycD0
 
キトゥン「(…ネヴィのことかな?) えっと~、黒くて危ない奴だよね? 飛んだり飛ばなかったり色々いるけど」

芳佳「あ、はいっ! そうです、そうです!」ウンウン

キトゥン「そっか……まぁ軍だもんね、そりゃそうか(名前はちょっと違うみたいだけど、ネヴィの記憶は合ってるんだ…)」

芳佳「あ、あの…。 その……?」オズオズ

キトゥン「ん? どうしたの?」

芳佳「…キトゥンさんがここへ来る前にいた所にも、ネウロイは出てたんですか?」

キトゥン「……うん、まぁ。 わたしはそう思ってるんだけどね…」

芳佳「え…?」

キトゥン「んー…なんか、自分の記憶に自信が無くなってきたというか(力も使えないし…)」

キトゥン「全部夢だったんじゃないかなぁ……って」

86: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/20(火) 01:51:55.22 ID:19+mOycD0
 
芳佳「…………(これって治ってきてるって事なのかな? それとも悪化してるのかな…?)」

キトゥン「キトゥンっていうのも本当の名前じゃないし。 そもそも昔の記憶が無いんだよね、わたし…」アハハ…

芳佳「キトゥンさん…(ど、どうしよう! 何て答えるのが良いんだろ? わかんないよぉー!?)」

芳佳「え、えーっとぉ……」アセアセ


『うりゃ!』

ギュッ


芳佳「ふわっ!?」ビクッ

キトゥン「?」

ルッキーニ「……ん~、やっぱ芳佳のがザンネン~」ペタペタ

87: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/20(火) 01:55:35.85 ID:19+mOycD0
 
芳佳「ルッキーニちゃん!?」

ルッキーニ「やっほー芳佳、キトゥン! なにしてんのー?」ピョン

キトゥン「芳佳が、散歩にって言って外へ出してくれたの」

芳佳「もぉールッキーニちゃん! 後ろから急にビックリしたよ~!(しかもまた残念って)」プンプン

ルッキーニ「にゃはは、ごめんごめーん♪」

芳佳「うぅ……でも助かったけど」ボソ

ルッキーニ「うじゅ?」

キトゥン「どうしたの、芳佳?」

芳佳「え!? あ、いや……なんでもない! なんでもないですっ!」ワタワタ

ルッキーニ「? 変なよしかー」

88: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/20(火) 02:00:43.11 ID:19+mOycD0
 
芳佳「そ、それより! ルッキーニちゃんはここで何してたの?」

ルッキーニ「あ、そだ! 芳佳たち、ネコ見なかった!?」

キトゥン「猫…?」

芳佳「…見てないけど、どんな猫?」

ルッキーニ「真っ黒でー、キラキラしてんのっ! 昨日から追いかけてるんだけど、すぐ逃げられちゃうんだよね」ムー

芳佳「へぇー、キラキラしてるんだ…?」

ルッキーニ「ちっちゃーく星みたいになってるんだよ? 珍しいから捕まえてみたい!」

キトゥン「でも野生だったら、ちょっと可哀想じゃない? そっとしておいてあげれば?」

ルッキーニ「だいじょーぶ! ちゃんと逃がすもん」

キトゥン(じゃあ何で捕まえるんだろ…?)

89: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/20(火) 02:07:35.19 ID:19+mOycD0
 
ルッキーニ「芳佳とキトゥンも一緒に探そ!」クイクイ

芳佳「え、えぇ!? でも…」チラ

キトゥン「わたしは別にいいよ? 病人でもないし、少し体動かしたいかな――」

キトゥン「あ、ごめん。 芳佳が良ければだけど…」

芳佳「え? えっと、私もキトゥンさんが嫌じゃなければ別にっ」ワタワタ

ルッキーニ「よーっし決まりぃー! それじゃ3人でさーがそー♪」

キトゥン「…でも、この広い中から探し出すのは大変そうだね?」

芳佳「近くにいるのかな? …ねえ、ルッキーニちゃ――」


ウゥゥゥウゥゥ――――!!

 

94: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/24(土) 00:37:46.45 ID:KtZyTAtl0
 
芳佳「!?」

ルッキーニ「!」

キトゥン「へっ、なに!? うるさっ!! …なんの音?」ビクッ

芳佳「……警報? 一昨日出たばっかりなのに!」

ルッキーニ「芳佳! いくよっ!」ダッ

芳佳「あっ、ルッキーニちゃん…!」


シュタタタタッ


キトゥン「えーっと、芳佳? これって――」

芳佳「…キトゥンさん、ごめんなさい!」

キトゥン「――え?」

95: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/24(土) 00:43:51.85 ID:KtZyTAtl0
 
芳佳「危ないので宿舎に戻っていてください!」ダッ

キトゥン「え? なに、どうしたの!? …芳佳―!!」


タッタッタッタ



キトゥン「…………」ポツーン


ウウゥウゥゥ――


キトゥン「~~っ(なんか不安になる音だなぁ…)」ウルサ…

キトゥン「……」

キトゥン(“危ない”って……ネヴィが出たのかな?)

キトゥン「…あ、違うか。 ネウロイ……だっけ?」


キトゥン「……(ネヴィなら私も行きたいけど…)」

キトゥン「フンッ…!」グッ


キトゥン「…………」


キトゥン「……やっぱり、なんにも起きないよね」ハァ

96: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/24(土) 00:46:46.26 ID:KtZyTAtl0
 
キトゥン「ん…っ!」ツネリー

キトゥン「………痛い(てことは、今の私はマトモなのかな…?)」

キトゥン「どうしよう……なんかもう、わからなくなってきた」


ウゥゥウゥウゥ――


キトゥン「(…ヘキサヴィル。 ……シドー、アキ、ゲイド、シアネア)みんな夢だったのかな…」


キトゥン「(“キトゥン”も、重力の力も――)……クロウ」




キトゥン「……。 ……ダスティ…」ボソ



『ニャア!』


 

97: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/24(土) 00:49:25.38 ID:KtZyTAtl0
 
キトゥン「!?」バッ


ダスティ「ニャアッ」ピョン


キトゥン「………………だ――」



キトゥン「ダスティッ!!?」



ダスティ「……」クシクシ

キトゥン「お、お前……ダスティだよね…?」ヒョイ

ダスティ「~…」クァ~

キトゥン「(このふてぶてしさ、ダスティだ!)やったぁ!」ギュー

ダスティ「ッ! ニャアー!」バタバタ

98: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/24(土) 00:57:33.20 ID:KtZyTAtl0
 
キトゥン「もー! どこ行ってたの? 心配したんだよ!」


ウゥゥゥウゥ――


ダスティ「……ニャア!」ガリ

キトゥン「痛っ!?」

ダスティ「……」ピョンッ スタ

キトゥン「~~っ! ちょっと、いきなりなにすんの!?」


ダスティ「……」キラァア


ピカァアー


キトゥン「!」ブワァン
 

99: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/24(土) 01:08:21.30 ID:KtZyTAtl0
 
キトゥン「……これって、まさか!(力が戻ってる…?)」

ダスティ「ニャア」

キトゥン「…もう、いったいなにが何だか」


――あなたが渡るのは忘河ではない、重力姫――


キトゥン「――ッ!?」ビクッ

ダスティ「……」クシクシ


キトゥン「……」


キトゥン「…………そっか。 わたし、キトゥンだ」ボソ

キトゥン「…そうだよね? 今までが全部妄想だったなんて、絶対そんなわけないよ!」

ダスティ「~…」ノビー

キトゥン「ありがとうダスティ! わたし、どうかしてたみたい」

100: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/24(土) 01:14:16.02 ID:KtZyTAtl0
 
キトゥン「……でも、まだ分からないことだらけなんだよね?(ここが何処なのか、とか…)」

ダスティ「…!」ピクッ

ダスティ「ニャア」

キトゥン「どうしたの、ダスティ? ……上?」チラ

キトゥン「! 誰か飛んでいった!? ……まさか芳佳達?」


『中佐! いました、あそこです!』


キトゥン「!」クル


――バタバタバタッ


モブ兵「拘束しますか!?」

ミーナ「やめなさいっ!! 民間人ですよ!?」ビッ

101: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/24(土) 01:17:53.82 ID:KtZyTAtl0
 
ミーナ「あなた達はスクランブル配置に戻りなさい。 協力ご苦労様」

モブ兵達「……はっ、失礼します」バタバタ

キトゥン「……?(えーっと、…名前の長い……確か隊長って言ってた――)」

ミーナ「キトゥンさん。 宮藤さんは?」

キトゥン「え? えーっと、うるさい音がしてすぐ何処かへ走って行っちゃいました…」

ミーナ「そう。 あなたを放置して……」ハァ

ミーナ(…おそらく、先行して出ていった中にいるわね)チラ

キトゥン「あの、今なにが起きてるんですか…?」

ミーナ「アドリア海域にネウロイが出現したのでスクランブルがかかりました。 今の所基地に危険はありませんが、民間人のあなたはすぐに避難してください」

キトゥン(やっぱりネヴィが…!)

102: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/24(土) 01:22:09.14 ID:KtZyTAtl0
 
ミーナ「宿舎に男性は入れないから、私が医務室まで――」

キトゥン「ごめんなさいっ! 私も行きます!」

ミーナ「――えっ?」

キトゥン「…ダスティ、行くよ!?」

ダスティ「ニャア」

ミーナ「ちょっと、何を言って――」


ブワァン


ミーナ「ッ!?」グラ

ミーナ「きゃ……!」ドテン

キトゥン「わっ! ごめんなさい!!」フワフワ

ミーナ「(……浮いてる!?) キトゥンさん、あなた…!」

103: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/24(土) 01:25:34.73 ID:KtZyTAtl0
 
キトゥン「えっと……い、行ってきます!」ブワッ

ダスティ「…」ピョンッ

ミーナ「あ、ちょっと! 待ちなさい!!」


ビュゥウーーン



ミーナ「…!?(嘘……何の装備も無しで…!??)」

ミーナ「ッ……」スク

ミーナ「…………まずいわ。 緊急事態よ!!」ダッ

104: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/24(土) 01:27:00.05 ID:KtZyTAtl0
こんな調子でどんどん読み難くなるけど、つづく

106: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/24(土) 22:02:58.21 ID:KtZyTAtl0
 

アドリア海上空



ビュゥウウンッ


キトゥン「うわぁー! すっごい!!」ビュゥウン

キトゥン「ずーっと先まで続いてるよ! どうなってるの、海って…?」

キトゥン「……(というか…)」キョロ

キトゥン「どうしよう、…地面が見えなくなっちゃった」

ダスティ「……」

キトゥン「…さっき見えた人達が飛んでいった方向を追って来たけど――」

キトゥン「ネヴィはどこにいるんだろ? 同じ景色ばかりで混乱しそう…」

107: ※注釈 2014/05/24(土) 22:17:25.22 ID:KtZyTAtl0
※かなり今更ですけど、キトゥンの言う「異世界」は原作中の「異次元世界」のことです



「異次元」って言わせればよかった……

108: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/24(土) 22:19:14.88 ID:KtZyTAtl0
 
ダスティ「…ニャアー」

キトゥン「ん? ダスティ?」

ダスティ「……ニャア!」

キトゥン「…………なにお前、ひょっとして位置わかるの?」

ダスティ「ニャア」

キトゥン「……また落ちてるクッキー嗅ぎつけたんじゃないよね? こんな時にやめてよ?」

ダスティ「………」ビュゥン

キトゥン「あっこら、待て! …ダスティ!」


――――
――

109: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/24(土) 22:31:06.17 ID:KtZyTAtl0
 

アドリア海域

ネウロイ侵攻地点



――ブゥゥウン


美緒「っ……」フィィイン

美緒「…! 敵発見! X-12型、距離約2000」

バルクホルン「またあいつか。 厄介だな」

シャーリー「え゛っ、本当に2キロですか!? ……とすると、前よりかなりデカイですよ?」ジィー

ルッキーニ「シャーリー、あたしのミルスコープ返してぇ!」

バルクホルン「…リベリアンの目測に誤りが無いとすると少し厄介だな、少佐?」

美緒「むぅ……(即出の人数が揃った故に先行したが、迂闊だった)」

110: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/24(土) 22:47:39.11 ID:KtZyTAtl0
 
美緒(新型ネウロイの強化硬度に加え、奴はコアが移動する。 ……火力が足りないか)

美緒「(……仕方ない) 宮藤! お前はバルクホルンに付け」

芳佳「えっ!? でも、それじゃあ坂本さんのシールドは誰が――」

美緒「返事はどうした!!」

芳佳「ッ! は、はいぃ!」

美緒「シャーリー隊とバルクホルン隊は車掛で目標に波状攻撃! コアの逃げ道を減らせ」

美緒「私が烈風丸でコアを斬る」スラァ

「「了解!」」

美緒「回復の隙を与えるな? できるだけ奴の図体を削れ」

バルクホルン「了解した。 いくぞ宮藤、遅れるな?」ジャキ

芳佳「わ、はい!」

シャーリー「……この人数で簡単に言ってくれるよなぁ」ヤレヤレ

ルッキーニ「別にやっつけちゃってもいいんでしょ~?」

111: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/24(土) 23:48:03.61 ID:KtZyTAtl0
 
美緒「よし、各隊散開! 行動開――」


ガザザッ

『先行のウィッチ隊、応答してください! …坂本少佐!』ガザ


美緒「!?」

バルクホルン「ミーナ?」

美緒「……どうした中佐? 悪いが接敵寸前だ、手短に頼む」スッ

ミーナ『収容保護中だった民間人がそっちに向かっています!! ネウロイとの接触を阻止してくださいっ!』

シャーリー「え゛!?」

美緒「(民間人だと…?)何を言っている? ここは海上だ」

美緒「…! まさかウィッチなのか!? ストライカーを奪――」

ミーナ『違うわっ!! 生身よ!!!』

112: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/24(土) 23:53:30.84 ID:KtZyTAtl0
芳佳(民間人って、まさか……?)

ルッキーニ「…しょーさー、ネウロイ来てるよー?」



ネウロイ「――」ゴォォォ



バルクホルン「少佐、どうする!?」

美緒「くっ…! 今は考えている暇はない。 問題が起きる前に、速やかにネウロイを撃破だ」

ミーナ『待って坂本少佐! 間に合わないわ!!』

シャーリー「ユニット無しのウィッチじゃ、ここに着く前に終わりますって中佐!」

ルッキーニ「てか、ここまで飛べるの? 途中で落っこちてんじゃない?」

シャーリー「……そっちのがやべぇな。 早いとこ終わらせて探しに行かねぇと」

芳佳「あ、あの! その民間人ってもしかして――」

バルクホルン「お前達ッ! 無駄話は終わってからにしろ! 敵が来る」

ミーナ『ちょっと、待ちなさい! 聞いて!!』

115: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/25(日) 00:15:16.63 ID:EIUcj+xK0
 
美緒「すまない中佐、戦闘を開始する。 ……全機行動開始ッ! 今のうちに叩くぞ」

「「了解!」」

ミーナ『違うの、美緒!! あの速度ならもうそっちに――』

バルクホルン「…? 待ってくれ少佐。 何か――…いや、誰かがこちらに接近してくるぞ!?」

美緒「何っ? 後続か!」


バルクホルン「………違う。 通信がとれない」


シャーリー「おまっ…!! あれって……!?」


ルッキーニ「えぇええー!!?」ガビーン


美緒「……何だ…?」


芳佳「…………キトゥンさん!?」




ビュゥウウン



キトゥン「やぁぁあっ!!」ズォォオ


 

116: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/25(日) 01:00:57.10 ID:EIUcj+xK0
 

ガァンッッ


ネウロイ「!」


キトゥン「~~ッ!? いったぁー!」フワッ

キトゥン「……何、このネヴィ!? 硬いっていうか……なんか知ってるのと違う?」


ネウロイ「~~!」ビーム


キトゥン「きゃあっ!!? ……なに? ビックリした!」ヒュン


ネウロイ「~―!」ビー


キトゥン(あれだけ“距離”使ってキックしたのに…。 やっぱり弱点にあてないとダメか)ビュゥン

キトゥン「…………でも弱点どこ? こいつ、目玉ついてないよね?」

117: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/25(日) 01:10:29.53 ID:EIUcj+xK0
 
キトゥン(…ていうか、おっきいなぁ……!)


ネウロイ「~!!」ビビー


キトゥン「わぁっ!? あぶな! …ちょ、ちょっとま……っ!」ビュン ビュン

キトゥン(どうしよう……はやくも打つ手なしの予感…!)

キトゥン「…でもどこかに弱点があるはず。 探さなきゃ!」ビュゥゥン





シャーリー「……おいおい。 なにやってんだよ、あの子…!?」

美緒「一体どういうことだ……? あれは何者だ…??」

芳佳「き、キトゥンさんだ!! バルクホルンさん、あれ!」ビッ

バルクホルン「…リベリアンが連れ込んだ民間人だと? なぜこんな所で飛んでいる!?」

シャーリー「おい、聞こえてるぞバルクホルン! ……少佐どうします? あの子、ネウロイの標的になってますけど」

118: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/25(日) 01:35:47.92 ID:EIUcj+xK0
 
ルッキーニ「助けよっ! シャーリー!」チャキ

芳佳「バルクホルンさん、私達も行きましょう!」

美緒「…よせぇ! 撃つな!!」

ルッキーニ「なんでぇ!?」ムッ

バルクホルン「万一にでも民間人に中ったらどうする」

ルッキーニ「あてないよ!」

シャーリー「中てちまったら軍法会議だぞ? ていうか最悪殺しちまう」

ルッキーニ「あてないもんっ!!」

美緒(……宮藤の連れてきた被災者か。 自力で飛んでくるとは…!)フィィン

美緒「(見覚えのない魔法力発光…。 むしろネウロイに近いか?)……我々のように通信もしていないから話すことも出来んな」

バルクホルン「あれだけ動き回られたら、下手に攻撃はできないぞ」

芳佳「で、でも……!」

美緒「(そもそもストライカーも履かずに……あれはウィッチなのか?)…中佐が慌てるわけだ」

119: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/25(日) 01:39:50.77 ID:EIUcj+xK0
 
シャーリー「わからないことだらけですね…。 で、どうします? 早く手を打たないと」

美緒「……シャーリーは民間人を補足・保護し、戦線を離脱しろ」

シャーリー「へ?」

美緒「急げ、一刻を争う! ネウロイは我々と後続に任せろ」

シャーリー「(かなり無茶な動きしてるけど、捕まえられっか…?)……了解!」ブゥゥウン

美緒「…残りはネウロイの注意を引きつける! 近接時以外で銃火器は使うな、保護対象に中たる危険がある」

バルクホルン「少佐、“鈍器”の使用は?」フィィイン

美緒「許可する。 臨機応変に判断しろ」

バルクホルン「了解」

美緒「宮藤も保護対象を追え!」

芳佳「え?」

美緒「お前のシールドが必要だ(…その力は私でなく、皆を護るために使え)」

芳佳「……はい!」

美緒「よし、編隊解除! 各自散開!」ブゥゥン

124: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/25(日) 23:22:45.02 ID:EIUcj+xK0
 

ネウロイ「~~!」ビー


キトゥン「…どうしよう。 ぜ~んぶまっくろ、弱点っぽいとこがないよ!」ビュゥゥン

キトゥン(どこか一箇所だけならスクラッチトルネードで決めちゃうんだけどな……)


ネウロイ「―!」ビー


キトゥン「う~! しつこいなぁ!」ビュン



ネウロイ「~~!!」ビビー



キトゥン「え…!?(うそっ、先を読まれて――)」




――ブゥウウンッ



芳佳「キトゥンさぁああんっ!!!」フィィイン



ッパァァアン


125: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/25(日) 23:43:25.35 ID:EIUcj+xK0
 
キトゥン「~~ッ! …………あれ?」パチ

芳佳「うぐ……。 大丈夫ですか…っ!?(ビームが、お…重い!)」パァァ

キトゥン「…芳佳……?」


シャーリー「――わりぃ宮藤! シールドが間に合ってよかった!」ブゥウン

キトゥン(だ、誰!?)

シャーリー「こんな言い方はアレだけど、止まってくれたおかげで追いつけた。 ここは危ないからあたしと戻ろう!」ガシ

キトゥン「え? …でもネヴィが!」

シャーリー「(ネヴィ?)悪いけど、あんたがいると戦闘が出来ないんだ。 怪我する前にはやく――」

芳佳「ぐぅ…っ!!」パァァ

キトゥン「芳佳っ!?」

シャーリー「敵はどういうわけかあんたを狙ってる! 宮藤を思うなら早く逃げるよ?」グイ

キトゥン「そんな……(わたしのせいで…?)」

126: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/26(月) 00:01:04.36 ID:6AsgJFmp0
 
シャーリー「ほら、早く! まだ飛べるんだろ!?」グイグイ

キトゥン「うぅ…」チラ


芳佳「ぁぐ…っ……はぁ…っ!」パァァ


キトゥン(……ダメだ、ほっとけないよ! このネヴィを倒さなきゃ!)

シャーリー「…しかたない、担いで行くぞ? ごめんな」ギュ

ダスティ「……」

キトゥン「え? ……ちょ!? や――」

シャーリー「少佐―! こちらイェーガー、対象を捕まえた。 これより離脱する!」

ダスティ「………ニャア!」キラァア

キトゥン「! ダスティ?」

シャーリー「うぉっ! 何だこいつ!? ……ね、猫ぉ!?」


ピカァァアアア――
 
  

127: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/26(月) 00:03:17.63 ID:6AsgJFmp0
 
――――
――



【???空間】



キトゥン(…!)ハッ


キトゥン(………)

キトゥン(…あれ? なに、ここ?)キョロ

キトゥン(……私さっきまでネヴィと――)


――目を開けなさい――


キトゥン(!?)


――夢を戻しなさい――


キトゥン(……またこの声!?)
 

128: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/26(月) 00:06:09.42 ID:6AsgJFmp0
 

――そして戻りなさい、夢へ――


キトゥン(なに言ってんの…?)


――混沌を祓い、秩序を……その力で――


キトゥン(……そうだ! ここって確か前に下端の村で…!)


――存在は気付き。あなたは再び眠れる力で、気付くのです――


キトゥン(ちょっと、シアネ――……! 声が出ない!?)パクパク


――さぁ、目覚めなさい。 夢の外れへ――


キトゥン(え、待って! 言ってることが全然――)



ピカァアアアアー



キトゥン(――ま、まぶしい! なんなの、さっきから!?)クラクラ

 

129: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/26(月) 00:07:45.95 ID:6AsgJFmp0
 

――
――――


キトゥン「――ッ!!」ハッ


シャーリー「~~! まっぶしっ…! なんだよ、いったい!?」グシグシ

キトゥン「……い、今の?」

ダスティ「ニャア」

キトゥン「…………お前が見せたの?」

ダスティ「……」クイクイ

キトゥン「…なに? 行けってこと?」

ダスティ「……」ビュゥン

キトゥン「あっ! ダスティ!?」

130: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/26(月) 00:10:04.23 ID:6AsgJFmp0
 
芳佳「くっ……キトゥンさん…、早く逃げて……!」パァァ

キトゥン「芳佳…!」


(『敵はあんたを狙ってる!』)


キトゥン「(……やってやる!)芳佳、ありがとう! 絶対やっつけるから」ビュゥン

芳佳「えぇ!? キトゥンさん…!」

シャーリー「しまった! ちっくしょ……おい!!」

133: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/29(木) 03:19:40.41 ID:Yj9PLWcg0
 

キトゥン「こっちだぞぉー!」ビュゥウン



ネウロイ「!」

ネウロイ「~~!」ゴゴゴ



キトゥン「……よし、芳佳への攻撃が止んだ」チラ

キトゥン「本当にわたしの事狙ってるんだ…(なんとか倒す方法を見つけないと――)」

キトゥン「――!」

キトゥン「…なんだろう、あれ?(ぼや~っと何か、赤いものが……?)」ジィー

キトゥン「ネヴィの……なか?(…あそこが弱点な気がする)」

キトゥン(というか、もうあそこ以外にそれっぽい所がないし)

134: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/29(木) 03:21:57.94 ID:Yj9PLWcg0
 
キトゥン「…ダスティ!」

ダスティ「……」

キトゥン「“息つぎ”したら一気にきめるよっ!」

ダスティ「…ニャア」


――ブゥウウン

シャーリー「待てって! こらっ!」バッ



キトゥン「(上昇!) さすがに“呼吸”がしんどい……っ!」グン


ビュゥウウンッ



シャーリー「ッ!?」スカ

シャーリー「………マジかよ? 何だ今の軌道!?」

135: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/29(木) 03:28:03.74 ID:Yj9PLWcg0
 

キトゥン「…この辺で(力を解かなきゃ…)」フワ



ヒューーーーン↓



キトゥン(……もう少し)





ネウロイ「―~!!」ビー



キトゥン「!」


パァァアン


シャーリー「ぐっ……やらせねぇぞ…!!(…何だ!? 重てぇっ!)」パァア

136: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/29(木) 03:31:33.14 ID:Yj9PLWcg0
 
キトゥン「――よし、“戻った”!!」ブワァン

キトゥン(……でも、また助けられちゃったな)ビュゥウン





シャーリー「急上昇したり落ちたり……あの子、なに考えてんだ!?」


美緒「――シャーリー、急げっ! 敵の勢いが増してきた!」


シャーリー「わかってますけど、どうにも動きが読めないんです!」


美緒「…わかった。 私も娘を追う、お前は回り込め」

美緒「バルクホルン、宮藤、ルッキーニ!! お前たちは今しばらく敵を惹き付けろ!」

137: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/29(木) 03:38:59.06 ID:Yj9PLWcg0
 
キトゥン「まず、あいつの弱点まで攻撃が届かなきゃいけないよね?」

キトゥン「(……お腹っぽいところが柔らかい、とかないかな?)下にまわって…!」ビュゥウン


キトゥン「やぁああ!!(重力キィック!)」ズォォオ


ガァンッ


キトゥン「……ダメだ! 硬くて中に届かない!」

キトゥン「…なら、横っぱらならどうだっ!」ビュゥウン





美緒「……あの娘の突撃線、まさかコアが視えているのか?」フィィン

美緒(魔眼持ち…!? ……いやそんなことより、コアを狙っているならば――)

美緒「………」

139: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/29(木) 03:45:53.29 ID:Yj9PLWcg0
 
美緒「(やってみるか…)…シャーリー! 補足は中止だ!! 捕まえずに、万が一に備え対象の護衛に専念しろ」


シャーリー「はぁ!? なに言ってるんです、少佐!?」


美緒「私に案がある。 2分預けろ!」

美緒「……全機! ネウロイへの接近と保護対象の動きに注意だ!」ブゥゥウン





キトゥン「――どこを攻撃しても無理だ…!」

キトゥン「(……疲れるんだけど、こうなったら)スクラッチトルネードやるよ?」チラ

ダスティ「ニャア」

140: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/29(木) 03:51:48.98 ID:Yj9PLWcg0
 

ネウロイ「~~!」ビビー



キトゥン「(あたるもんかっ!)……ダスティ!! いくよ!?」ヒラッ

ネウロイ「ッ…!」ブワァン



……ギュオォォオォオオォオ



キトゥン「たぁぁああーっ!!!」ギュオオ



ネウロイ「!」



バギィィ゛イィイ゛インッッ



ネウロイ「―ッーーー!!」


ネウロイ「~~…」


ネウロイ「 」
 

141: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/29(木) 03:58:30.14 ID:Yj9PLWcg0
 
ビュゥウンッ


キトゥン「……っ…はぁっ…」フワ

キトゥン「…ぜぇ……っは…。 そ、そんな…!?」



ネウロイ「 」


ネウロイ「 …」ググ


ネウロイ「……~ーー!」




キトゥン「弱点が……移動…っ……ぜぇ…(呼吸がもう!)」

キトゥン(まずいっ…、今度こそやられる!)ゼーハー



ネウロイ「~――」ビ


『――烈風ぅうう斬っっ!!!』

 

142: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/29(木) 04:03:13.12 ID:Yj9PLWcg0
 


ズォォオアアア




…パキィ


ネウロイ「」


バリィインッ


パラパラパラ……





キトゥン「…………え?」

美緒「……やれやれ、間一髪だったか」ブゥウン

キトゥン「…??」ポカーン

143: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/29(木) 04:06:29.45 ID:Yj9PLWcg0
 
美緒「お前が攻撃してくれたおかげで、逃げるコアを先読みして討つことが出来た。 礼を言うぞ?」

キトゥン「え……? えと…、はい。 …どういたしまして」

美緒「…しかしなんだ。 お前には色々と聞きたい――」

キトゥン「!?」ガクン

キトゥン(……あ、力が“切れた”!)


ヒューーーーン↓


美緒「!? …おい!」




ガシッ


シャーリー「…った~く! 変なウィッチだなぁ、あんた。 発作的に魔力切れ起こすのか?」ブゥゥウン

キトゥン「あ、ありがとうございます…(なにか柔らかいものがあたっている…!)」

シャーリー「少佐―? 今度こそ捕まえましたー」アハハ


美緒「……ああ、見えている。 よくやった」

150: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/31(土) 22:58:55.01 ID:eQofk2Sz0
 
――――
――



『キトゥンさーんっ!』

『シャーリー!』


ブゥゥウン


芳佳「…キトゥンさん!」

シャーリー「ここにいるぞ?」ギュ

キトゥン(なんだろう…、何故か心も苦しい。 この格差…)ズーン

芳佳「!? (む、胸まくらーっ!!)」

ルッキーニ「ああ~~!? それあたしのーぉ!!」ムー

151: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/05/31(土) 23:13:46.65 ID:eQofk2Sz0
 
美緒「……ふぅ。 少々肝を冷やしたが、終わってみればいつも通りか」

バルクホルン「――少佐」ブゥウン

美緒「…バルクホルンか。 御苦労だったな、助かったぞ」

バルクホルン「それはいいのだが。 …今戦ったネウロイ、本当にX-12型なのか?」

美緒「どういう事だ…?」

バルクホルン「攻撃の威力もそうだが、装甲強度が従来のの比ではなかった。 アレは本当に私達の知っているネウロイだったんだろうか?」

美緒「………ふむ、確かに気になるところではある。 図体も3割ほど大きかったしな」

美緒「しかし奴は既にいない。 気にしすぎても逆に毒になるぞ?」

バルクホルン「確かにそうだが…!」

美緒「中佐にはその点も含めて、私から報告しておくから心配するな。 その前に、今は……」チラ

バルクホルン「……あの戦闘介入した少女か」

美緒「ああ。 恐らく中佐が後続を率いて、そろそろ到着する頃合いだが…」

バルクホルン「状況と結果も合わせて、怪しいことこの上ないな」

美緒「……然るべき対応になるか」

バルクホルン「…準備しておこう」ブゥウン

153: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/01(日) 00:17:46.90 ID:YxN62aZs0
 

バルクホルン「シャーリー」ブゥウン

キトゥン(……あ、見張りの人!)

シャーリー「どした?」

バルクホルン「その少女の身柄を預かる。 お前は宮藤とルッキーニを連れて先に帰投しろ」

シャーリー「なんだそれ? やらしいな」ニヤニヤ

バルクホルン「黙れ、真面目な話だ!」

シャーリー「……なんで?」

バルクホルン「…察しろ。 面倒が起きる前に宮藤を連れて行け」ヒソヒソ

シャーリー「…………あー、そういうこと?」

バルクホルン「じきにミーナも来る」

154: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/01(日) 00:24:26.68 ID:YxN62aZs0
 
シャーリー「…わかった。 ほいよ」ズイ

キトゥン「(…あれ? わたしモノ扱い!?)……あのぉ~?」

シャーリー「こいつ恐いけど、悪いやつじゃないから。 大丈夫だよ」ポンポン

バルクホルン「おい」

シャーリー「宮藤、ルッキーニ! あたしらは先に帰るぞー?」

ルッキーニ「あーい! お腹空いた~!」

芳佳「…え? あの、キトゥンさんは…?」

ルッキーニ「少佐たちと話した後で一緒に来るから。 あたしらは先に戻るよ?」

芳佳「……。 …はい」

バルクホルン「心配するな。 早くいけ」

シャーリー「……バルクホルン」

バルクホルン「何だ?」

シャーリー「宮藤のこと思ってやんなら、手荒にすんなよ?」ヒソヒソ

バルクホルン「…努力はする」

155: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/01(日) 00:41:56.64 ID:YxN62aZs0
 
シャーリー「……うし! 帰るぞぉー」

ルッキーニ「シャーリー、芳佳―? 戻ったらお菓子食べよーよっ!」

芳佳「……」


ブゥゥウン




バルクホルン「…………」

キトゥン「…えーっと、あの…? わたし、もう大丈夫です。 離してください…?」モゾモゾ

バルクホルン「……ひとつだけ忠告しておこう。 抵抗はするな」

キトゥン「えっ…??(……早速恐いんだけど、この人!)」

美緒「――バルクホルン! 後続が到着した」ブゥゥン

 

157: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/01(日) 00:59:10.18 ID:YxN62aZs0
 

ブゥゥウン


エーリカ「お待たせー! …って、もう終わってるよね~」

ペリーヌ「少佐、お怪我はありませんか!?」

リーネ「………ぁ…! ほ、本当にキトゥンさんが…!?」

ミーナ「……バルクホルン大尉、そのまま彼女を離さないで」

バルクホルン「了解」

キトゥン「…?」


ミーナ「………キトゥンさん。 ゲリラ闘争による軍事への無断介入の疑いで、貴女を拘束します」


キトゥン「えっ…!?」
 

158: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/01(日) 01:01:24.72 ID:YxN62aZs0
 
美緒「……」

リーネ「…!!」

ペリーヌ「そ、そんな…! ……ゲリラって…!? それじゃあまるでテロリス――」

エーリカ「しっ…! 今はやめといた方がいいよペリーヌ?」

キトゥン「……あの。 意味がわからないんですけど?」ムッ

ミーナ「……」

キトゥン「…帰してくれるんじゃないんですか?」ググ…

バルクホルン「おい、抵抗するな」グイィ

キトゥン「いたっ!!? …ちょっと!!」

美緒「……バルクホルン」

バルクホルン「わかっている」

159: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/01(日) 01:05:46.43 ID:YxN62aZs0
 
キトゥン「~ッ……ん…!!(いったいなんなの! この人達!?)」グッグッ

ミーナ「残念ですが、貴女の正体と目的を確認するまでは自由にできません。 抵抗はやめなさい」

キトゥン(……も~~、あったまきた!!)ブワァン

バルクホルン「!??(何だ!?)」グン

リーネ「!」

美緒「!! …よせっ!」


ジャキッ


キトゥン「――っ!」ピタッ

ミーナ「……やめなさい」チャキ

エーリカ「ごめんね? トゥルーデは不器用なだけだからさ。 いじめないでよ?」チャキ

バルクホルン(くっ! 嬉しくないぞ、ハルトマンめ…!)ヨロ

160: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/01(日) 01:11:38.84 ID:YxN62aZs0
 
ペリーヌ「…え、えぇ! ハルトマン中尉…、ミーナ中佐……!?」

美緒(……銃を向けたということはミーナの奴、本気だな。 宮藤を帰して正解だった)

ミーナ「手荒な事はしたくないの。 …お願いだから従って頂戴」

キトゥン「ぅ……!」タジ

リーネ「ッ…」ブルブル

美緒「(…やれやれ)キトゥン…と言ったか?」

キトゥン「?」

美緒「宮藤がお前を心配している」

キトゥン「……芳佳が?」

美緒「ああ。 …一先ずは我々と共に来て欲しい。 あいつも待っている」

キトゥン「…芳佳……」

美緒「……」

キトゥン「……わかりました」

161: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/01(日) 01:12:26.77 ID:YxN62aZs0
つづく

164: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/01(日) 20:10:01.13 ID:YxN62aZs0
 

ロマーニャ基地


執務室



ミーナ「……~」グッタリ

美緒「大丈夫か? 剣を振るったのは私なんだが?」

ミーナ「…ごめんなさい。 自分でも、少し状況について行けてなくて」ギシ

美緒「心配するな、私もだ。 ……思わぬ拾い物をしてしまったな?」

ミーナ「ええ……」

美緒「しかし、アレはやり過ぎだったのではないか? お前らしくない」

ミーナ「安全装置は入れてたわ。 ハルトマン中尉も唯の威嚇よ」

美緒「そういう事ではなくな…」

ミーナ「わかってるわ、美緒。 ………万が一悶着が起きたら、どうなるかわからない相手だったから」

ミーナ「……最悪、手に負えない事態にだって…」

165: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/01(日) 21:43:36.55 ID:YxN62aZs0
 
美緒「んー……。 その事なんだが、ミーナはどう思う?」

美緒「正直私には、あの娘が我々と同じウィッチだとは思えんのだが?」

ミーナ「そうね……。 魔力増幅も無しで、基地からあの空域まで飛べるわけない筈なのに…」

美緒「どころか、あいつは我々顔負けの飛び回りをして強化ネウロイとまで討ち合った。 箒すら持たずにな」

ミーナ「…………」

美緒「それと戦闘も素人ではない。 空戦技術はわからんが、動きを見た限り恐らく命を張ってきた人間…」

美緒「――…もしくは人間ではないか」

ミーナ「……どういうこと?」ピク

美緒「いや、邪推だが…。 あいつが飛んでいる時の姿がどうもな…」

166: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/01(日) 22:48:41.26 ID:YxN62aZs0
 
ミーナ「あれは過度の魔法力発光だと思うわ。 自前の魔法力であれだけ飛べるのだとしたら、その発散量や消費スピードもかなりのものな筈よ」

ミーナ「航空ユニットと同じで、大気中のエーテルと反応した高魔法が可視化しているんじゃないかしら?」

美緒「……」

ミーナ「…? 美緒?」

美緒「…………私には、ネウロイ化に見えた」

ミーナ「……変なことを言わないで」ガク

美緒「一年前の事件を忘れたか? ウォーロックがネウロイに染まった彩を思い出してみろ」

ミーナ「確かに似てるわね。 貴女が言うといやに説得力があるけど――」

ミーナ「でも大丈夫よ、確認したわ。 ネウロイの反応は終始ひとつだけ……貴女が斬った1機だけよ」

167: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/01(日) 23:19:02.71 ID:YxN62aZs0
 
美緒「む、…そうか。 とちってしまったな、すまない」

ミーナ「いいえ、お互い様よ?」ウフフ

美緒「……一先ずは安心だが、そうなるとやはりあの娘の正体は謎だな」ムゥー

ミーナ「ドクターの検査報告を待つしかないけど…。 アフリカ地域の魔術式を持ったウィッチなんじゃないかと、私は考えてるわ」

美緒「…アフリカ?」

ミーナ「ええ。 私達の大多数が使うドルイド式やローマ式、扶桑式は共通するところが多いけど、アフリカの一部地域には特殊な方式の魔法術が存在しているじゃない?」

ミーナ「……それに、キトゥンさんの肌の色。 …地図に名前が記していない土地の出身なんだとしたら、有り得る筈よ?」

美緒「待て待て、ミーナ。 特異や例外で片付けるにしては規格外すぎる」

美緒「あれをウィッチと言うには少々無理がある。 さっきも言っただろう?」

ミーナ「そうね。 ただ、私もさっきはああ言ったけど、ウィッチ以外に考え様もないし…」

ミーナ「それに本来ユニットを使わなくても、一部のウィッチは訓練次第で自在飛行や身体強化は可能じゃない?」

 

169: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/01(日) 23:32:14.93 ID:YxN62aZs0
 
美緒「程度を考えろ。 どれだけの素質と才能を持って、どれだけ血汗を流せばあそこまでに成るというんだ?」

ミーナ「あら? “ウィッチに不可能はない”んでしょ?」クス

美緒「あのなぁ…」

ミーナ「うふふ、ごめんなさい。 でも可能性は有ると思うの」

美緒「……では娘と一緒に飛んでいた黒猫が使い魔か何かで、そういった術式を使っていると…?」

ミーナ「使い魔を必要としない魔術式の記録もあるから、ああいった形で使役する方式もあるのかもしれないわ」

美緒「んー…しかしなぁ」ムムー

ミーナ「……まぁ、ここであれこれ言っても仕方ないわね」

美緒「………。 そうだな」


コンコンッ


『中佐、アレッシア・コルチです。 検診の報告をお持ちしました』
 

170: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/02(月) 00:01:55.58 ID:bqocyKPr0
 
美緒「……来たか」

ミーナ「有難うございます、入ってください!」


ガチャ パタン


コルチ「失礼します」ツカツカ

ミーナ「急がせてしまってすみません、ドクター」

コルチ「いえ、構いません。 幸いなことに近頃は暇でしたし」ウフフ

美緒「ウィッチドクターに暇をさせようと、我々も日々鍛えていますから」ワッハッハ

ミーナ「……それでドクター。 例の子の検査結果を伺ってもよろしいですか?」

美緒「む、どうした? やけに急ぐな?」

ミーナ「ドクターに休暇をあげたいんでしょ?」

美緒「…意地の悪い」フム

171: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/02(月) 00:21:59.46 ID:bqocyKPr0
 
コルチ「うふふ、恐れいります。 では先ず結果から簡単に――」

コルチ「……患者に現在目立った怪我病気はなく、健康状態は非常に良好です。 また、それを疑わしめるような病理的症状も見られません。 ウィルスなどを持ち込んだ可能性はないです」

ミーナ「わかりました」

美緒「…倒れていた原因は何だったのですか?」

コルチ「昨日も言いましたが、何らかの身体ダメージがあったのだとしても、発見時の宮藤さんの処置で既に完治しています」

コルチ「反って情報は取れなくなったので、それが何であったかは結局わかりません」

ミーナ「…宮藤さんもわからないのよね?」

美緒「そうだな。 宮藤の魔法は優秀だが、あいつ自身で診断・施術を施すわけではない。 あくまでも治癒を働きかける魔法だ」

コルチ「でも彼女。 昨日のガリア支援の野営診療で大活躍したそうですよ?」ウフフ

172: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/02(月) 00:36:09.58 ID:bqocyKPr0
 
ミーナ「……せめて事件性さえ無い事が分かればよかったんだけど…」

美緒「何者かの仕業で倒れていたと?」

ミーナ「万が一よ(…もしくは自演によるものか)」

コルチ「発見時に目立った外傷が全くなかったというのも、被災害時の状態としては不自然と言えなくもないです」

ミーナ「……」

美緒「今考えても答えは出んな。 …次へ行くか、中佐?」

ミーナ「…ええ。 そうね」

コルチ「……では、魔法力診断の結果ですが――」

美緒「…!」

ミーナ「……」

173: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/02(月) 00:53:47.38 ID:bqocyKPr0
 
コルチ「やはり彼女に魔法力はありません。 ごく普通の女の子です」

ミーナ「………えっ?」

美緒「ドクター、申し訳ないがここの判断は極めて重要です。 一切の間違いは許されません」

コルチ「私も中佐からお話を聞いて驚きましたし、再三の見直しをしましたけど…」

コルチ「……彼女は私の知る限り、ウィッチでは有り得ません」

ミーナ「そんな…!?」

美緒「あてが外れたな」

ミーナ「………信じられないわ…!」

美緒「いや。 たとえウィッチであったとしても、とても信じられたものでは無い」

ミーナ(……なら彼女のあの力は何だっていうの…?)

174: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/02(月) 01:03:14.29 ID:bqocyKPr0
 
美緒「…ネウロイという線を考えることは可能ですか、ドクター?」

コルチ「それは専門外ですけど…。 リトヴャク中尉の固有魔法で判断はできるはずです」

コルチ「知っての通り、彼女の短波感知ならネウロイが出している波長を完璧に感じ分けますから」

美緒「ふむ……」

美緒「…ミーナ」チラ

ミーナ「ええ。 ……そっちはお願いするわ。 私は残りの報告を聞いておくから」グッタリ

美緒「……結論を出す前に一言頼むぞ?」

ミーナ「…お互いにね……」ハァ

175: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/02(月) 01:06:02.90 ID:bqocyKPr0
 
美緒「……」チラ

コルチ「!」ピク

コルチ「ふふ…(必要なら診ておきますから)」ウィンク

美緒「…」コク

美緒「では中佐、後でな。 済み次第戻る」スタスタ


ガチャ パタン


コルチ「…中佐?」スッ

ミーナ「………私の心配はいいので、先へ進めましょう。 ドクター」

コルチ「あら!(…お見通しだったみたいですよ坂本少佐?)」ウフフ


――――
――

185: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/04(水) 01:51:51.57 ID:YQJPRHlN0
 

宿舎 空き部屋(仮監禁房)



サーニャ「……」フィィン

キトゥン「…………」

美緒「……」


ドンッ ドンドンッ


『少佐! ワタシも入れろ!! サーニャー!!』ドンドン

『さかもとさぁーん! キトゥンさーんっ!』

『えぇいっ! お前達、廊下で騒ぐな!!』

『あははは! お前もうるせーぞ?』

『なんであたしら入っちゃダメなのー? 中でなにしてんの?』

186: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/04(水) 01:54:35.27 ID:YQJPRHlN0
 

美緒「…………ふぅー…」イラ



美緒「……渇っっ!!!」カッ


サーニャ「!?」ビク

キトゥン「ひっ…!?」ビクッ



しーーん……



美緒「走りたければ後で監督してやる、名乗り出ろ」

 

187: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/04(水) 01:58:09.72 ID:YQJPRHlN0


しぃーーーん……


『……宮藤がうるさいからだぞー?』ヒソヒソ

『そ、そんなぁ…。 エイラさんだってドアを――』

『やめろ、もう喋るな。 …散れ、散れ』ヒソヒソ

『シャーリ~。 こわぃ…』グス

『おーおー、よしよし。 早いとこ逃げるぞ?』ヒソヒソ


バタバタバタ…



美緒「……5人全員だな? よし…」ボソ

キトゥン「っ……(ひぇ~! こ、恐い…!)」ドキドキ

サーニャ「……」

188: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/04(水) 02:03:55.61 ID:YQJPRHlN0
 
美緒「続けてくれ、サーニャ」

サーニャ「……はい」フィィィン

キトゥン「…?(……ていうか、さっきからいったい何やってるんだろ? これ)」

サーニャ「……」フィィン


キトゥン「……」

サーニャ「………」フィィン


キトゥン「(ず、ずーっと見つめられると緊張するなぁ…)//」

サーニャ「……」フィィン

189: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/04(水) 02:05:31.52 ID:YQJPRHlN0
 
キトゥン(……こうなったら、わたしも見つめ返してみよう。 退屈だし)ジー

サーニャ「!」フィン

キトゥン「…ん~~(綺麗な目してるなぁ…この子)」ジィー

サーニャ「………っ ///」チカチカ

キトゥン(あ、照れた? かわいい…!)

美緒「む! 何かわかったか!?」

サーニャ「ぁっ……ぃえ…。 な、なんでもありません…! //」

美緒「…集中しろよ?」

サーニャ「は、はぃ……すみません」フィィン

キトゥン(あちゃー、怒られちゃった。 ごめん…)

190: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/04(水) 02:07:08.18 ID:YQJPRHlN0
 
サーニャ「…………」シュルル

美緒「…どうだ?」

サーニャ「……違うと思います」

キトゥン(え、何が…!?)

美緒「そうか…。 ネウロイではないか」

サーニャ「はい」

キトゥン「……は? …えっ? ちょ、あの…!?」

美緒「ご苦労サーニャ、先に出ていろ。 この件に関しては中佐を除いて他言無用だ、いいな?」

サーニャ「はい…。 失礼します」スク

191: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/04(水) 02:10:12.70 ID:YQJPRHlN0
 
キトゥン「あっ…!(いかないで! この人とふたりきりは気まずい…!)」

サーニャ「…」チラ

サーニャ「……」

サーニャ「………」トテトテ


ガチャ パタン


美緒「ふむ……(違ったか。 …まぁその方が有難くはあるが)」ジロー

キトゥン「え…、えっと……」

美緒「ん? おっと、すまない。 不躾に眇めてしまった」

キトゥン「あの~、私がネヴ――…ネウロイだとかどうとかって…?(怒りたいけど、ちょっと恐い…)」

美緒「ああ、申し訳ない。 我々も命がけ故に、最悪も想定しなければならんのでな」

192: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/04(水) 02:12:20.78 ID:YQJPRHlN0
 
美緒「…とは言え、非礼に過ぎた疑いだ。 すまなかった」ペコ

キトゥン「……はい…、まぁ…(あれ? 恐いけど、やっぱりいい人なのかな?)」

美緒「いろいろ不満もあるだろう。 元々こちらの人間が一方的に巻き込んだのだから」

美緒「しかし今となっては、腑に落ちないのはこちらも同じだ。 今しばらくだけ時間を貸して欲しい」

キトゥン(……今わたしって捕虜?だか犯罪者だかなんだよね? やさしいなぁ…)

美緒「こちらから危害を加える意思は決して無い。 いいな?」

キトゥン「は、はぁ……。 わかりました」

美緒「…よしっ!!」ベシッ

キトゥン「あぃたっ!(あれぇー!? 今、危害加えないって――)」

美緒「わっはっは! それにしてもお前の戦い、中々の物だったぞ?」ワッハッハ

キトゥン「え、ええ。 はい、…どうも…」サスサス

193: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/04(水) 02:14:33.13 ID:YQJPRHlN0
 
美緒「…願わくば、見方であって欲しいものだ」ウム

キトゥン「?」

美緒「ついでに色々聞いてしまいたいんだが、疲れただろう? また改めて来ることにする(先にミーナと話をまとめる必要もある事だし)」

キトゥン「あの…、わたしここ出られないんですよね?」

美緒「……せめて食事は男飯でなく、こちらのを出そう。 宮藤の作る料理は基地内で最も美味いぞ?」

キトゥン「へぇー…!(はぐらかされた? でもおいしいご飯は嬉しい!)」

美緒「腕を振るうように言っておこう」スタスタ


ガチャ パタン


キトゥン「……芳佳、そんなに料理上手なんだ~!」フーン

キトゥン「…………」

キトゥン「男飯って、……朝食べたやつかな?(それなりに美味しかったけど)」ムムー

197: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/07(土) 23:41:03.07 ID:ED5/EtPO0
 
 
執務室


ミーナ「――ええ。 私の憶えには無いんだけど、聞いたことないかしら?」

ミーナ「…………そう。 …なら、ひとつ目の質問はどうかしら?」

ミーナ「………」

ミーナ「…素人意見で申し訳ないけど、設計図じゃわからないの?」

ミーナ「………そう。 つまりは、わからないという事ね? ……いえ、責めている訳じゃないの。 ごめんなさい」

ミーナ「…………ええ。 例の物も貴方宛てですぐに送りますから、そっちはできる限り秘匿にして頂戴?」

ミーナ「ありがとう。 …それじゃあ、お願いするわね」

ミーナ「……」カチャ


ミーナ「……はぁ、我ながらおかしな考えよね…。 まるでガリレオだわ(…それとも“狼女”かしら)」

198: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/08(日) 00:09:07.20 ID:Jn6OP3S60
 
ミーナ(キトゥンさんを中心に話がややこしくなり始めている…、嫌な予感がするわ)


コンコンッ

『中佐、いるか? 坂本だ』


ミーナ「! …入って平気よ」


ガチャ


美緒「…む! ドクターは戻ったか。 報告は終わったんだな?」パタン

ミーナ「ええ」

美緒「……」スタスタ

ミーナ「…ネウロイはいた?」

美緒「すまん。 私の見当違いだった」

199: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/08(日) 00:36:35.93 ID:Jn6OP3S60
 
ミーナ「謝る事なんてないわ。 …私も多分、人の事言えないと思うから」

美緒「? …どうした?」

ミーナ「……」スッ

美緒「…これは?」ペラ

ミーナ「精神面の病理検査で行ったカウンセリング記録よ…」

美緒「体のいい調書か」

ミーナ「いいえ、それを取ったのは今朝。 …昨日聞いたキトゥンさんの話に妄想性障害の危険を感じたから、私がお願いしておいたの」

美緒「わっはっは! 今日は随分と言う事が大胆だな? あの若さで痴呆か!」ワハハ

美緒「――……ミーナ。 少し休め」ポン

200: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/08(日) 00:41:37.34 ID:Jn6OP3S60
 
ミーナ「違います! …とにかくそれを読んでみて頂戴」

美緒「…? ……」ペラ

ミーナ「彼女、ここで目覚める前は“そういう”生活だったそうよ?」

美緒「…………」ヨミヨミ

ミーナ「……」

美緒「………空中都市…? …重力嵐?」ペラ

美緒「…………。 ……成る程、大戦すら知らんときたか…」

美緒「…納得した」パサ

ミーナ「斜め読みよりも、出来れば熟読して欲しかったわ」

美緒「これを真面目に読んでどうする? なかなか凝った話なようだが、お前の疑い通り妄想だ」

201: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/08(日) 00:44:37.85 ID:Jn6OP3S60
ミーナ「半日前までなら、私もそう思っていたでしょうね…」

美緒「…………おい、まさか…?」

ミーナ「先に言っておくけど、私はいたって正気よ。 真面目に考えてるからね?」


美緒「……」

ミーナ「………」ハァ


美緒「…わかった。 聞こう」

ミーナ「ありがとう、美緒」ホッ

美緒「…お前がこれを――」ヒョイ

美緒「作り話ではないと言う根拠は何だ?」ヒラヒラ

202: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/08(日) 00:45:56.19 ID:Jn6OP3S60
 
ミーナ「……作り話にしては、出来過ぎているのよ」

美緒「………~?」ペラ

ミーナ「例えば、その辺りに書かれていること…。 あの子が住んでいるらしい街や、自分の家、生活での出来事なんかについて細かく聞いているけど」

ミーナ「内容そのものは聞き覚えのないファンタジーよ。 でもそれを語る本人の言葉はかなり明確で現実的じゃないかしら?」

美緒「むぅ……」ヨミヨミ

ミーナ「直接診問したドクターも、まるで体験してきたかのように詳しく答えるものだからって驚いたそうよ?」

ミーナ「本人が知っているつもりらしい事にも、逆に知らないつもりな事にも迷いなくそう答えたらしいわ」

美緒「成る程…。 確かに己を作っているのだとすれば、懲りすぎだ」

ミーナ「さらにそのお話の世界は、本人にとって特別都合のいい物という事でもないの」

美緒「……そうなのか?」ペラ

ミーナ「ひと通り読めばわかるわ」

203: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/08(日) 00:50:48.60 ID:Jn6OP3S60
 
ミーナ「妄想者自身の欲や願望、そういった意識・無意識の影響が露骨に表れるのが妄想や幻想よ? でも恐らく彼女はこれに逃避してるわけでもなければ、懺悔してるわけでもないの」

美緒「んー…、言いたい事はわかる――」

美緒「…が、類推を詰めても結局は同じだ。 あいつの正体が天才作家だと言いたいのでは無いのだろう?」

ミーナ「勿論よ。 これだけだったなら、彼女はただの奇特患者。 …私達が気にする所じゃないわ」

ミーナ「でも美緒? 彼女、今日飛んだのよ?」

美緒「……」

ミーナ「魔法力も持たないのにアドリア海の中央空域まで飛んで、ネウロイと戦ったのよ?」

ミーナ「元々、私達が今悩むべきなのはそれよね? でも正体を知るうえで彼女の話がポイントになるのだとしたら……」

美緒「飛躍してはいないか? 事実は確かにあるが、奇天烈な妄想を正当化する根拠にはならん」

美緒「あの力を持つ故の空想、と考える方が現実的だろう?」

204: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/08(日) 00:54:27.20 ID:Jn6OP3S60
 
ミーナ「いいえ。 さっき話した、妄想にしては特異性な部分と合わせて考えると――」

ミーナ「彼女の話は真実であり、そしてそれが彼女の能力にも繋がっている…と言えるんじゃないかしら?」

美緒「……ミーナ、落ち着け。 基本的なことを忘れているぞ? 言いたくはないが、我々ほどの年齢なら当たり前にわかる事だ」

美緒「この伽話のような世界など、存在しない」ヒラヒラ

ミーナ「…そうね。 私も子供じゃないから当然、そんな事はわかるわ」

美緒「しかしお前は矛盾している」

ミーナ「………」

美緒「……」

ミーナ「…ええ、確かにそう。 ……そうなんだけど…違うのよ、恐らく…」

205: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/08(日) 00:58:35.37 ID:Jn6OP3S60
 
美緒「……おい、しっかりしろミーナ? こっちも流石に不安に――」スス

ミーナ「美緒?」ジッ

美緒「な、なんだ…!?」

ミーナ「……お願いだから真面目に聞いてね? …キトゥンさん、彼女は――」

ミーナ「私たちの“知らない所”から来たんじゃないかしら?」

美緒「………何だと??」

ミーナ「……」

美緒「おいおい…。 あの虎は屏風から出てきたと言うのか?」

ミーナ「悪いけど、とんちを効かせたつもりはないわ」

美緒「…本気か?(というより本当に正気か…ミーナ?)」ピト

ミーナ「ちょっと! やめて ///」バッ

206: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/08(日) 01:02:30.92 ID:Jn6OP3S60
 
ミーナ「……記録の4枚目、読んでみて?」

美緒「ん?」

ミーナ「中辺りから、…プレシャスジェムという単語が出てくるでしょ?」

美緒「……うむ、ここか」ペラ

美緒「…………」ヨミヨミ

美緒「……燃料鉱石か何かか? この説明では要領を得んな」

ミーナ「はい、これ」ゴソ

美緒「む? 何だこれは?」

ミーナ「プレシャスジェムよ。 ……多分」

美緒「何っ!?」

207: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/08(日) 01:05:10.78 ID:Jn6OP3S60
 
ミーナ「収容時に彼女が所持していたものよ。 ちなみに他は財布と思われる巾着袋の中に、見慣れないコインが数枚」チャラ

ミーナ「それから買い物のメモらしき紙が一枚」ピラ

美緒「……“シャンプーと石けん(とくばい!)←帰り買いだめ”…?」

ミーナ「お風呂が好きみたいね?」

美緒「…まぁ、これはいい(普通のメモだろう)」

美緒「謎の硬貨も気になるが、この鉱石はいったい…!?」マジマジ

ミーナ「記録のキトゥンさんの話では、これを動力源にして街の生活機械を動かしたりするそうよ?」

美緒「こんなもの、見たことも聞いたこともないぞ?」

208: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/08(日) 01:08:24.47 ID:Jn6OP3S60
 
ミーナ「ええ。 私達のような素人目に見たって、装飾用の宝石にしか見えないわ」

ミーナ「……けど」フィィン ピョコ


キラァーン


美緒「!?」

ミーナ「触ってみて?」シュルル

美緒「……」ペタ

美緒「…温い」ペタペタ

ミーナ「魔法に反応して、エネルギーが発散しているみたい。 こんな宝石は流石に知らないわ」

ミーナ「彼女の居た、私たちの知らない世界の知らない物質が、ここにあるのよ!」


美緒「………つまり…!」


ミーナ「…キトゥンさんは、異世界からやって来ているわ!」

 

209: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/08(日) 11:12:29.58 ID:Jn6OP3S60
――――
――



宿舎 廊下


ミーナ「――だと思うの。 だからさっきの物質は信頼できる筋に送って、秘密裏に調べてもらうわ」ツカツカ

美緒「…………」スタスタ

ミーナ「…ちょっと、話聞いてた?」

美緒「ああ…」ドンヨリ

ミーナ「今更悩まないで。 馬鹿馬鹿しい話なのはわかってるけど、これ以外に辻褄が合う考えがないのよ」

美緒「……故に頭を痛めている」

ミーナ「らしくないわよ! とにかく本人の所へ行きましょう」ホラホラ





シャーリー「……なーんかいつもと逆な感じだな? 中佐達」ポカーン

ルッキーニ「シャーリー、早くお風呂いこー!」グイグイ

210: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/08(日) 11:14:41.76 ID:Jn6OP3S60
 
美緒「…むぅ、異世界人………異世界人とは…」ブツブツ

ミーナ「宇宙人よりましでしょ?」

美緒「……何を言っているんだお前は…。 どっちも大して変わらん…」

ミーナ「あら、そんなことないわよ?」

美緒「?」

ミーナ「案外、宇宙よりも私達の身近にあるんじゃないかしら? …異世界というより異空間だけど」

美緒「………その発想はなかったな。 考えたこともなかった」

ミーナ「さっき詳しそうな所に連絡して聞いてみたけど、結局わからなかったわ」

美緒「…あの鉱石もそこへ送るのか?」

ミーナ「(話聞いていたのね)ええ。 難しいとは思うけど」

美緒「……わかった。 部屋に着くまでに私も整理をつけよう…」スタスタ

ミーナ「…丁度着いたわ、坂本少佐」トマッテ

211: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/08(日) 11:17:03.90 ID:Jn6OP3S60
 

仮監禁房


キトゥン「……」

キトゥン「…………暇!」ガーン

キトゥン「…わたし、いつまで閉じ込められるんだろ?(ていうか解放されるの、これ?)」

キトゥン「……」

キトゥン(普通の部屋っぽいし、出られそうだな…。 当たり前のように窓もあるし)コンコン

キトゥン「………あ、でも芳佳の料理は食べてみたい!」


ダスティ「ニャア!」ヒョコ


キトゥン「……残念。 お前はキャットフードだよ」グリグリ

ダスティ「………」

212: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/08(日) 11:18:32.26 ID:Jn6OP3S60
 
キトゥン「ていうか、お前今まで何処にいたの? いつも突然いなくなって…」

ダスティ「……」ヘナ

キトゥン「…どうしたの? 疲れた?(力使い過ぎちゃったのかな…?)」コチョコチョ

ダスティ「~…」ゴロゴロ


『――念のため、他の人は入れないで?』


キトゥン「――?」グリ

ダスティ「ッ! ニャアーッ!」バッ

キトゥン「あっ! ごめんダスティ! 痛かった!?」

213: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/08(日) 11:21:07.01 ID:Jn6OP3S60
 

『何かあるのか?』

『…かなり仮定を含む話をする。 誤解があっては面倒だ』

『ウィッチーズの中から外に漏れる事はないと思うけど、一応よ。 トゥルーデも出来れば聞かないようにして?』

『……了解』


ガチャ パタン



ダスティ「…」プイ

キトゥン「あー、拗ねちゃった…。 デリケートな奴だなぁ」コイコイ

ミーナ「……キトゥンさん?」

キトゥン「えっ? …あ!?(いつの間に!?)」ビクッ

美緒「先刻の続きだ。 すまんが時間を貰うぞ?」

キトゥン「は、はい(見られてたよね、多分…!)」

214: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/08(日) 11:22:47.05 ID:Jn6OP3S60
 
ミーナ「……それじゃあ早速で悪いけど、また幾つか答えて欲しいわ」

キトゥン「…言っておきますけど。 わたし、ネヴィでもあなた達の言うネウロイとかでもありませんから!」ツン

美緒「すっかり嫌われたな、ミーナ?」チラ

ミーナ「貴女への皮肉まじりよ?」ニコ

キトゥン「あ、ごめんなさい…!」

美緒「ん?」

ミーナ「え?」

キトゥン「その、ケンカは…」オズオズ

美緒「! ……わっはっは! おかしなやつだ」

キトゥン「え…?」

ミーナ「うふふ、喧嘩してるわけじゃないから心配しなくても平気よ? ありがとう」

215: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/08(日) 11:25:35.84 ID:Jn6OP3S60
 
美緒「優しい奴だな!」ワッハッハ

キトゥン「ぅ…!//(は、恥ずかしい!)」

ミーナ「……さてと。 気持ちも解れた所で、改めて質問いいかしら?」

キトゥン「…。 ……はい(あまり気は乗らないなぁ)」

ミーナ「キトゥンさん、貴女はここが何処なのかわかりますか?」

キトゥン「? ……基地?」デショ?

ミーナ「いえ、そうではなくて。 この基地が在る場所は何処なのかわかりますか?」

キトゥン「…いいえ」

ミーナ「では、どの辺か検討はつきますか?」

キトゥン「……全然(朝もこんなことやったよ…)」

216: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/08(日) 11:30:10.82 ID:Jn6OP3S60
 
ミーナ「つまり、気付いたら全く見知らぬ所へいた……という事ね?」

キトゥン「まぁ…。 そんな感じです」

ミーナ「…正直に答えてください。 今、何をしたいですか?」

キトゥン「………えーっと、家に帰ってお風呂に入りたいんですけど…(いい加減に)」

キトゥン(…あれ? その前に、何か忘れているような――……芳佳のごはん? ………いや、違う)ウーン

ミーナ「……なるほどね(この子も私達と同じ、ということは…)」

美緒(これは、ますます言い辛いな)

ミーナ「…………」

ミーナ「(…ダメね。 ハッキリ言う以外に思いつかないわ)キトゥンさん、落ち着いて聞いて下さいね?」

キトゥン「はい(なんだろ?)」

217: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/08(日) 11:32:21.38 ID:Jn6OP3S60
 
美緒「……」

ミーナ「……多分、ここは貴女が居た世界とは違います」

キトゥン「!?」

ミーナ「所謂その……い、異世界というもの…かしら? //」

美緒(結局恥ずかしがっているじゃないか!)

キトゥン「…そっか、やっぱり異次元世界だったんだ!」

ミーナ「ええ。 ………えっ、えぇ!?」

美緒「…普通に受け入れたな?」

キトゥン「うーん、てことはやっぱりおじいちゃんの仕業かな…?」

キトゥン(でもちょっとおかしな感じだよね? 不可侵領域とかいうわりに人がいるし)

美緒「こちらへ来たことに心当たりがあるのか?」

218: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/08(日) 11:35:26.12 ID:Jn6OP3S60
 
キトゥン「えっと……自称神様の友達に何度か連れて行かれて…」

ミーナ(驚いた! 異世界を経験済みだなんて…!?)

美緒「何者だ、その友人とやらは?」

キトゥン「それが、自分のこと創造主とか言ってる変わったおじいちゃんなんですけど…。」

キトゥン「――あ! 一応、頭はハッキリしてます。 オムツもまだだし」

美緒「……(この娘、物証がなければ本当に保護施設行きなんだが…)」

ミーナ「…自分が何故こちらに来たか、理由はわかりますか?」

キトゥン「ぇ? …………なんでだろう? わかりません」

ミーナ「なら事故の可能性は? こちらに来る直前の記憶を思い出してみて?」

キトゥン「…~~………(確かクロウとごはん食べた後に…――)」ムゥ~

219: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/08(日) 11:39:22.35 ID:Jn6OP3S60
 
キトゥン「(――あ!!) そうだ! ネヴィと戦って…!」ピコーン

美緒「…ネヴィ?」

ミーナ(検診記録にもあった単語ね)

キトゥン「それで……変な腕に投げられて重力嵐の中に――」

ミーナ「嵐? ……と言うとまさかっ、昨日の災害!?」

美緒(もしそうなら、異世界の干渉でガリアの人々は死傷を負ったという事か)

キトゥン「!! そうだ、クロウ!? 街の人たちも皆……! 戻らなきゃ!!」バッ

美緒「おい!? 待てっ、落ち着け」ガシ

ミーナ「…戻るって言ったって貴女、帰り方はわかるの?」

キトゥン「う…っ!」ギクッ

220: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/08(日) 11:40:31.22 ID:Jn6OP3S60
 
ミーナ「……わからないのね(予想はしていたけど、困ったわ)」

ミーナ「結局、ここがキトゥンさんにとって何処であって、どうやって来たかもわからない…」

美緒「故に目的もなく、帰り方もわからん……か」ムゥ

美緒「…心底笑い飛ばしたいが、妄言でないことは確かだからな」

ミーナ「私だって、夢であって欲しいわよ」ハァ

キトゥン(……なんか、めちゃくちゃ言われてるような?)

ミーナ「………いいかしら? キトゥンさん」チラ

キトゥン「まぁ、…はい」

ミーナ「ネウロイと戦ってみせた貴女のその力は、いったい何?」

美緒「……」

221: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/08(日) 11:42:49.43 ID:Jn6OP3S60
 
キトゥン「え? …えーっと、重力です」

ミーナ「!?」

美緒「…何?」

ミーナ(やっぱり……! それならあの時の事や、聞いた話にも納得がいくわ)

ミーナ(けど、まさか本当にそんな事が…!? ウィッチならともかく、そんなことをすれば体が無事じゃ――)モヤモヤモヤ

キトゥン「あの…? も、もしも~し?」

美緒「……中佐」ツン

ミーナ「――えっ? …ああ、ごめんなさい」アタフタ

美緒「聞くより実だ。 実際に見せてもらおう」

ミーナ「え、ええ…。 そうね。 お願いできるかしら?」

222: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/08(日) 11:44:58.70 ID:Jn6OP3S60
 
キトゥン「ここで…ですか?」

美緒「無理か?」

キトゥン「いえ、まぁ……平気ですけど(見せるったって、何すればいいんだろ?)」

キトゥン「……ダスティー?」キョロ


ダスティ「zzz…」


キトゥン「……まぁいっか。 別にいなくてもできるし」

キトゥン「じゃあ、とりあえず――」ブワン

ミーナ「……」

美緒「……」

キトゥン「……」フワフワ

223: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/08(日) 11:47:41.04 ID:Jn6OP3S60
 
ミーナ「…あまりピンとこないわね?(一度見ているし…)」

美緒「ああ」

キトゥン「(えー…)…えぇっと、じゃあ」フッ… スタ

キトゥン「わたしの近くに寄ってくれますか?」

ミーナ「…?」ツカツカ

美緒「このぐらいか?」スタスタ

キトゥン「ぃよっと…」ブワァン


フワァッ


ミーナ「!!」

美緒「お!?」

224: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/08(日) 11:50:54.48 ID:Jn6OP3S60
 
キトゥン「一応…、こういうこともできます」

ミーナ「これは…! 重力を操って私達を持ち上げてるの!?」

美緒「無重力という奴だな? 初めて体験したぞ! わっはっは!」

ミーナ「飛んでいる時とは違う感じ――きゃっ!?」グルン

美緒「わっはっは! 何をしている中佐? ズボンが丸見えだぞ?」

キトゥン(……いや、ていうか“パンツ”が見えてるんですけど…!!?)

ミーナ「ば、バランスが取れないのよっ!///」グルグル

美緒「体幹の鍛え方が甘いな?」フワフワ

ミーナ「貴女と一緒にしないでっ!!//」

キトゥン「(うーん、隊長さんの方が普通な気がする)えーっと、じゃあ……下ろしますよ?」

225: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/08(日) 11:54:16.52 ID:Jn6OP3S60
 

――フッ…


美緒「ふむ」スタ

ミーナ「ぁうっ!?」ドテッ

キトゥン「うわっ……ごめんなさい!(またやってしまった!)」

美緒「大丈夫か中佐?」

ミーナ「…ええ」イタタ

キトゥン「あの、…こんな感じでいいですか?」

美緒「んー……今一つ何かないか?」

ミーナ「で、出来れば安全なものでお願いします…」ムクリ

226: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/08(日) 11:56:51.04 ID:Jn6OP3S60
 
キトゥン「(……偶にいるんだよね、見世物と勘違いする人)ええっと、じゃあー…」スタスタ

キトゥン「ふっ!」ピョン


ブワン

…スタッ


ミーナ「あらっ!?」

美緒「おお!」

キトゥン「…こんな感じで、壁とか天井とかも歩けます」スタスタ

美緒「……すごいな? どうなっているんだ?」ムムゥ

ミーナ「多分、足元の方向へ重力のベクトルを変えているのよ」

美緒「横方向へ引力をかけているのか?」

227: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/08(日) 11:58:21.03 ID:Jn6OP3S60
 
ミーナ「いいえ、それだと本来の重力の干渉を受けるわ。 彼女は間違いなく重力そのものを操ってる…!」

美緒「しかし、髪は下に垂れているぞ?」

ミーナ「恐らく効果範囲を自身の体表面ギリギリに留めているんじゃないかしら? スカーフや髪の毛は範囲外ということ…」

ミーナ(とんでもない力だわ! ウィッチが同じ事をやるとしたら、膨大なエネルギーと魔法技術が必要よ。 それにもし力学演算でもして制御してるのだとしたら、処理能力も人外レベル…!?)

ミーナ「(……とにかく私達には“ありえない”こと!)…確定ね。 キトゥンさんは異世界人よ」ボソ

美緒「さて、参ったな。 これからどうする?」

ミーナ「……」

キトゥン「…あの~もう降りていいですか?(ここにきて、定期的に放置されてる気がする)」


――――
――

240: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/21(土) 17:16:52.08 ID:f4dPZ3VR0
 

ミーティングルーム


芳佳「ん~……」パタパタ

リーネ「…芳佳ちゃん?」

芳佳「――ぇ? あっ、ごめんリーネちゃん! なにか言った?」

シャーリー「……あの子の事が気になるんだろ、宮藤?」

ルッキーニ「あのこ―って、キトゥンのこと?」

芳佳「はい……。 坂本さん真剣な顔だったから、なにかあったのかなって…」

芳佳「…バルクホルンさんも中に入れてくれないし」ショボン

リーネ「えっと…、それは……(軟禁されてるなんて、私の口からは言えない!)」ドギマギ

シャーリー「ん~。 そんな調子でもしっかり夕飯の準備は済ませるんだからすげぇよなー」

リーネ「あ、あの…シャーリーさん(フォローしてください!)」

241: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/21(土) 17:20:26.42 ID:f4dPZ3VR0
 
ルッキーニ「…芳佳はキトゥンのとこに行きたいの?」

芳佳「え…? ……うん」

ルッキーニ「じゃあ行けばいいじゃん!」ムクリ

シャーリー「……なに言ってんだお前?」

ルッキーニ「にゃ!」ピョン


スタンッ


ルッキーニ「…いこっ!」グイ

芳佳「えぇ!? でも、ルッキーニちゃん!」ヨロ

シャーリー「また少佐に怒鳴られるぞー?」オーイ?

芳佳「そ、そうだよルッキーニちゃん! それにバルクホルンさんが――」

ルッキーニ「なんで? お風呂もダメなの?」

242: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/21(土) 17:23:43.54 ID:f4dPZ3VR0
 
芳佳「…へ?」

リーネ「……お風呂にキトゥンさんがいるの…?」

ルッキーニ「キトゥンって昨日からまだお風呂入ってないよね? ●●●●触ったときなんか泥臭かったから、きっとお風呂だよ!」

シャーリー(~っ! ルッキーニ理論すぎる!)クスクス

芳佳「……そ、そうかな? 私はあんまり分からなかったけど…」

リーネ「…ルッキーニちゃん。 そういうの、本人の前では言っちゃだめだよ……?」オズオズ

ルッキーニ「シャーリーもいこー!」

シャーリー「え? あたしはもういいよ」

ルッキーニ「えぇ~~!?」

シャーリー「いや、ていうか…あたしらさっき行ってきたじゃん。 また入るのかよ?」

ルッキーニ「だって、今度は芳佳も一緒だよ?」

243: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/21(土) 17:46:44.60 ID:f4dPZ3VR0
 
シャーリー「…まぁ、ルッキーニが良いなら別にいいけど。 あたしはパス」

ルッキーニ「む~~! ………じゃあリーネッ!」グイ

リーネ「えっ!?」ヨロ

ルッキーニ「いこーっ!!」グイグイー

芳佳「え、えぇ!? ルッキーニちゃん! 本当にキトゥンさんいるの?」

リーネ「お、お洋服が伸びちゃう…っ!」


バタバタバタ


シャーリー「……風呂なんか入れさせてもらえる状況じゃ無いよなぁ(ハルトマンから聞いた話じゃ)」

シャーリー(ん~…。 でもマジでいたら、あたしも一度ちゃんと話してみたいな)

246: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/21(土) 18:32:23.79 ID:f4dPZ3VR0
 

宿舎 お風呂


キトゥン「……」カポーン

美緒「……ふぅ…。 随分と気をもんだせいか、湯が沁みるな」チャプ

キトゥン「………」


キトゥン(…な、なんでこんな事に……!?)


美緒「…どうした? もう泳がないのか?」

キトゥン「う゛っ! …すみません。 こんなに広くて気持ちいいお風呂は初めてで…//」ブクブク…

美緒「露天風呂も初めてだと言っていたな? なら、あれだけはしゃぐのも無理はないか」

美緒「……自負はあったが、素直に喜んでもらえると誘った甲斐が有るというものだ!」ウム

247: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/21(土) 18:37:46.33 ID:f4dPZ3VR0
 
キトゥン(わたしん家のも半分野外みたいなものだけど、こんな解放感は全くないよ…!)ザバァ

キトゥン「…………」ペタペタ

キトゥン「……海ってすごいですね?」

美緒「ふふっ、わかるか?」

キトゥン「なんだか…訳もなく涙が出そうっていうか、……感動します!」

美緒「本当は日の出時の景色が格別なんだが、この時間も悪くはない」

美緒「…風情を楽しむのもひとつの嗜みだ。 大切にしろ?」チャプ

キトゥン「~………(すごいなぁ…!)」ボケー

美緒「あまり長く居ると湯冷めするぞ?」

キトゥン「――あ、はい(確かに、ちょっと寒い。 …戻ろう)」クル

248: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/21(土) 19:28:26.87 ID:f4dPZ3VR0
 
キトゥン「……」ペタペタ

キトゥン「よいしょ…」チャプン

キトゥン「んぅ~~♪(きもちい~!)」

美緒「……本当に風呂好きの様だな」フフ

キトゥン「…え?」

美緒「いや、すまん。 実はお前の所持品を拝見した」

キトゥン「所持品…?」

美緒「こちらと同じ時間が流れていれば、石鹸の特売はもう終わってしまったか?」フゥー

キトゥン「え? ………あっ! わたしの…!?」バシャ

美緒「すまないな。 押収した所持品はひとつを除き、後で返却させる」

249: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/21(土) 19:45:19.73 ID:f4dPZ3VR0
 
美緒「…もっとも、あの硬貨は使えんと思うがな」ワハハ

キトゥン「しまった! お財布…っ!!」ガーン

美緒「心配するな。 こっちでは価値のない銭だ、誰も盗らん」

キトゥン「(そういう問題…?)………そういえば、自分で言うのもアレですけど――」チャプ

キトゥン「わたしのこと、解放しちゃっていいんですか? なんかダメだったんですよね、わたし?」

美緒「あれはもう気にする必要はない。 何も無かったという事で処理するからな(ミーナが)」

キトゥン「えっ、そうなんですか?(やった!)」

美緒「お前の存在を記録に残すことはできん。 異世界の確かな証明など、今の我々には面倒なだけだ」

キトゥン「はあ……(事情はよくわかんないけど、やっぱり軍隊ってめんどくさそうだな)」

250: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/21(土) 19:57:14.13 ID:f4dPZ3VR0
 
美緒「だが、完全に自由と言う訳にはいかない。 当面、私と中佐以外にお前の正体は丸秘だ」

美緒「中佐も言ったが、お前は引き続きここで我々の監督下に置かれるぞ?」

キトゥン「はい、まぁ……帰る所もないし」

美緒「…とはいえ、あれだけ派手に力を披露してしまったからな。 このまま身元不明の一般人を保護する名目では怪しまれるだろう」

美緒「今後の対応を決めるまでは“客人のウィッチ”として、ここで生活してもらう」

キトゥン「(つまり、なんだかんだで面倒みてくれるってことだよね?)…ありがとうございます」

美緒「ん? ……くっふふ、ここで礼を言うか!」ワッハッハ

キトゥン「?」

美緒「ま、そういうことで――」バシャ

美緒「お前も今日から、同じ釜の飯を食う同胞〈はらから〉だ!」ベシッ

253: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/21(土) 20:22:45.89 ID:f4dPZ3VR0
 
キトゥン「あだっ!?(ま、またー!?)」

美緒「……扶桑海軍原隊少佐、ストライクウィッチーズの坂本美緒だ。 改めて、よろしく頼む!」ニッ

キトゥン「あ! えーっと……、キトゥンです! よろしくお願いします、ミオさん」

美緒「うむ。 …わっはっはっは!!」ザバァ

キトゥン「えっ…、えぇ!?(この人、すごくいい人なんだけど全然掴めないよっ!)」

美緒「いや、なに。 私を“美緒さん”などと呼ぶ者は久しぶりでな? 存外こそばゆい」フフ

キトゥン「え? あれ? ……すみません。 芳佳が同じ出身だって言ってたから、てっきり後が名前なのかと…!」

美緒「ああ、美緒が名前で合っている。 ただ、今は周りに私を名で呼ぶ者など僅かだ」チャプン

キトゥン「(そうなんだ…)……なんだか寂しいなぁ」

美緒「習慣の違いさ。 私とお前、“同じ”人間であってもな? 私は特に不満もないさ」

キトゥン「……」ブクブク

254: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/21(土) 21:07:59.57 ID:f4dPZ3VR0
 
美緒「ウィッチという建前だが、お前は軍属ではない。 好きに呼んでくれて構わん」

キトゥン「…はい、美緒さん」

美緒「ふっ…」


『ほらぁー!! いたー!』

『ええぇぇ!? うそぉー!!』

『ま、まってぇ~!』


キトゥン「!」

美緒「……賑やかになってきたな。 続きはまたの機会にしよう」

255: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/21(土) 22:07:58.01 ID:f4dPZ3VR0
 

――テテテテテッ


ルッキーニ「あたしサンジョー!! とぉ~~――」チラ


美緒「……」カポーン


ルッキーニ「――ッ!!? ぎじゅじゅ…!(少佐!?)」キキーッ

芳佳「――わ!? ルッキーニちゃん急にっ!!」ドン

ルッキーニ「うにゃあ!!?」ヨロ


ザッバーーン


キトゥン(……えぇー…!)

美緒「…正体がばれんように注意しろ?」ヒソ

キトゥン「! はいっ」ピク

256: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/21(土) 22:23:06.09 ID:f4dPZ3VR0
 
リーネ「大丈夫!? 芳佳ちゃん、ルッキーニちゃん!」ペテテ


ザバァー


ルッキーニ「――っぶあ! ……うぇ゛~~、はな゛に゛入っだ~」ツーン

芳佳「うぅ……私も…」ツーン

美緒「ああいう時は止まる方が反って危険だ。 二度とするなルッキーニ?」

ルッキーニ「だ……だっでぇ…(少佐がいたんだもん)」ツーン

美緒「ばつが悪くなるような事なら始めからやるな。 今後飛び込みは禁止する」

ルッキーニ「……ぁ゛ぃ」

芳佳「ふが…」

リーネ「芳佳ちゃん、痛くない?」ザポン

芳佳「……い、痛い…」ツーン

257: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/21(土) 22:40:16.94 ID:f4dPZ3VR0
 
キトゥン「芳佳、鼻から息を吹いてみたら?」

芳佳「あ、うん(…湯船じゃ汚いよね)」ザバァ



芳佳「……」ペタペタ

芳佳「…ふんっ! ふんんっ…っ!!」

芳佳「ふぐ…、ちょっとよくなったかも。 ありがとうキトゥンさ――」グシグシ


芳佳「――て、そうだ! キトゥンさんっ!?」バッ



キトゥン「ん?」ピュー

ルッキーニ「うぁっぷ!? うじゅあ~!」キャッキャ

美緒「ほぉー、水鉄砲か! 懐かしい」



芳佳「……」ツーン

リーネ「芳佳ちゃん、とりあえず風邪引いちゃうから浸かろう?」チョイチョイ

258: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/21(土) 22:41:00.29 ID:f4dPZ3VR0
まったりつづく

261: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/23(月) 18:17:10.26 ID:Y9+j1AI50
 
――――
――



台所(食堂)


キトゥン「…ん! 食欲をそそるいい匂いが…」クンクン

美緒「……我々が一番乗りか」

芳佳「じゃあ坂本さん達の分、配膳しますから!」テテッ

リーネ「芳佳ちゃん、私も盛り付け手伝う…!」テテッ


キトゥン(どんな料理が出てくるんだろう)

美緒「…先に席へ着かせてもらおう。 好きなところへかけろ」

キトゥン「は~い(…この辺でいいや)」ガタ

美緒「…――」ガタ


美緒「!」ピタッ

262: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/23(月) 19:00:16.46 ID:Y9+j1AI50
 
美緒「……茶ぐらい私が淹れるか」

キトゥン「え?」

美緒「お前はそこで待っていろ」クル

キトゥン「はあ…」


スタスタスタ――


キトゥン「……」


『あれ? どうしたんですか、坂本さん? ……あっ、いいですよ! やりますから、そんな…!』


キトゥン(なんか予想通り…)


キトゥン「……! そういえばルッキーニがいつの間にかいないじゃん!(ダスティみたいな子だなー!)」キョロキョロ

ダスティ「ニャア」ヒョコ

キトゥン「…………呼んでないよ(いつの間にエスパーになったの、こいつは?)」

263: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/23(月) 19:37:30.32 ID:Y9+j1AI50
 
キトゥン「ていうか、お前もお風呂入ればよかったのに」

ダスティ「……」

キトゥン「…ご飯、わたしのちょっと食べる?」

ダスティ「…!」ピクッ

ダスティ「ッ…」ダッ

キトゥン「あ! ちょっと、どこ行くの!?」

キトゥン「……あんなに落ち着きなかったかな?(居候なんだから、あんまり荒らさないで――)」

『よぉ! 隣いいか?』ガタ

キトゥン「え? はい、空いてます…」チラ

シャーリー「よっと」トスン

キトゥン「…あ!」

264: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/23(月) 20:28:02.62 ID:Y9+j1AI50
 
シャーリー「なんか普通にいるからさ、びっくりしたよ。 部屋出られたんだ? よかったな~!」

シャーリー「――ん? 髪がしっとりしてる……、もしかしてホントに風呂入ってたのか!?」

キトゥン「えっと、昼間の……?(あの大っきくてやわらかい…)」

シャーリー「あたしはシャーロット・E・イェーガー。 シャーリーでいいよ!」

キトゥン「…はい。 よろしくお願いします」

シャーリー「あはは! そりゃ自分だけアウェイじゃ気使うよな! …あたしは気にしないから、フランクにいこうよ?」ポンポン

キトゥン「う…うん。 ありがとう(いい人!)」

シャーリー「あたしさ、キトゥンとちゃんと話してみたかったんだよね」

キトゥン「えっ?」

シャーリー「ガリアでキトゥンを見つけた時、あたしも居たんだよ」

266: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/23(月) 21:31:09.48 ID:Y9+j1AI50
 
キトゥン「…そうだったの!」

シャーリー「いろいろ落ち着いてから、軽く挨拶でもしようかと思ってたんだけど……なかなか面白いことになっちまったからさ?」

キトゥン「面白いって……、銃向けられて閉じ込められたんだけど!」ムッ

シャーリー「違う違う! そっちじゃなくて、お前さ! まさかウィッチだったなんて思わなかったからマジで驚いたよ」

シャーリー「しかもユニットなしであんだけ飛べるなんてな!」

キトゥン「え? ……えーっと、うん。 まぁね…(とりあえずそういう設定でいくんだよね?)」

シャーリー「なあ! どんな魔法使ってんだ? 魔術式はどこの?」ワクワク

キトゥン「へっ? ……それは~(そんなの知らないよ!?)」


スタスタスタ


美緒「詳しいことは夜のミーティングで説明がある。 今はまず食事だ」コト

キトゥン「! 美緒さん(助かった!)」

267: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/23(月) 21:48:36.72 ID:Y9+j1AI50
 
シャーリー(み、美緒さんて…!?)ズコ

美緒「緑茶は飲めるか?」コト

キトゥン「ありがとうございます(……う! このお茶、なんかすごい色…!)」

美緒「熱いからな、啜って飲むといい」トスン

美緒「ん……」ズズズ

キトゥン「…へぇー(真似してみよう。 ……こうかな?)」ズズ…

シャーリー「あたしも、いただきまーす」スッ

美緒「それは宮藤とリーネの分だぞ?」

シャーリー「え? じゃあ、あたしのは?」ピタ

美緒「少々遅かったな」

268: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/23(月) 22:12:03.39 ID:Y9+j1AI50
 
シャーリー「…贔屓はよくないですよ~少佐? あたしも後輩なんですから」ニヤニヤ

美緒「お前はとうに一人前だ。 安心していいぞ」ズズズ

シャーリー「………へーい」

キトゥン「(美緒さん、つよっ!)…シャーリー、これ飲む?」

シャーリー「いんや、大丈夫。 どっちかってと、あたしはライスでもミルク派だから」

シャーリー「……それに多分~」キョロ

『あーー! シャーリーいたぁー!!』

シャーリー「ほら来た」

キトゥン「…ルッキーニ!(声おっきぃ!)」

269: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/23(月) 22:54:24.92 ID:Y9+j1AI50
 

スタタタター


ルッキーニ「せっかく呼びに行ったのに~! なんで先に来てるのー!?」ムー

シャーリー「無茶言うなって! …でもありがとう、こっち空いてるぞ?」ガラ

ルッキーニ「うん♪」テテテ

シャーリー「――と、待ったルッキーニッ! あたしとお前の飲み物がない!」ビッ

ルッキーニ「うじゅ? オッケー、ジュース~~!」スタター

シャーリー「おーい! あたしはミルクなー?」


ドタドタ

『わぁっ!? ルッキーニちゃん!? ダメだよ摘み食いしちゃ! 今持って行くから………あっ違う、ジュースは昨日そっちに――』


シャーリー「どうです? 少佐」ニッコリ

美緒「私の言った通り、心配いらんな」

シャーリー「あれっ? そうなっちゃいます?」ガク

270: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/23(月) 23:07:56.26 ID:Y9+j1AI50
  
キトゥン(…うーん。 わたしにはよくわからないやり取りをしてる…?)ズズー

美緒「……キトゥン。 食事が済んだら預かっている物を返すから、私と共に来てくれ」

シャーリー「あれ? 紹介していかないんですか?」

美緒「食事の時間は皆疎らだ、付き合わすのは酷だろう。 改まった話はミーティングの際に中佐がやる」


テテテー


ルッキーニ「シャーリー! はーい!」コト

シャーリー「お! サンキュー」

リーネ「お待たせしましたー」イソイソ

芳佳「すみません、お刺身がなかなか綺麗に盛り付けできなくて…」ヨイショ

美緒「おお、刺身かっ! 気張れとは言ったが、まさか刺身が出るとは」

キトゥン「サシミ……?(なんだろこれ?)」

シャーリー(……この扶桑式の生魚肉って、未だにどんな感じで食っていいのかわかんねーんだよなぁ)

271: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/24(火) 00:06:15.77 ID:mAxqe20X0
 
ルッキーニ「ほらっ! 見てシャーリー! タコもあるんだよ?」ワーイ

シャーリー「え゛!?」

芳佳「タコの刺身もあるって知ってからルッキーニちゃん、ずっと食べたいって言ってて」エヘヘ

ルッキーニ「やったー♪ たのしみ~!」

美緒「ほぅ…、筑前煮〈がめ煮〉の芋が里芋ではないな?」マジマジ

リーネ「あ、それはジャガイモです。 まだいっぱいあったので…」

芳佳「よーく煮込んだので、ジャガイモでもとろみはちゃんと出てますよ! それに野菜もやわらかくなりましたし」

シャーリー(う゛!? こっちにはあの木の枝のようなやつ〈ゴボウ〉が…!)ガーン

キトゥン「……わぁー、いい匂いがする!」

美緒「覚悟しろキトゥン? これは恐らくかなり美味い」フフフ

芳佳「さ、坂本さんっ! そんな、私自信ないですよぉ~!」

ルッキーニ「ねぇ~ライスまだー?」チンッ チン

リーネ「あ、うん。 今よそるね?」パタパタ

275: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/25(水) 18:00:44.51 ID:fzSDDROj0
 

夕食後

ミーティングルーム



キトゥン「……」


ミーナ「――というわけで、事故のショックで少し混乱してはいましたが、とりあえずは大丈夫です」

ミーナ「でも、彼女の記憶はまだ完全に戻ってはいません。 先日の災害の被害者なので、ガリア住民だとは思いますが、ハッキリした身元はまだわかっていません」

ペリーヌ「まさかガリアにこのようなウィッチがいたなんて…!」

エーリカ「……名前わかってるじゃん?」

ミーナ「キトゥンさんの名は所謂、愛称……それも略称などの元の名前からとった類のものでないので、そこから調べることは無理です」

バルクホルン「しかしこのぐらいの歳のウィッチならば軍に――」

ミーナ「いいえ、彼女は軍人ではありません」

シャーリー「……へぇ~!」

バルクホルン「馬鹿な!? 今この時代の欧州で、あれだけ飛べるウィッチが放っておかれる訳がない!」ガタ

エーリカ「まー、そうだねぇー」

276: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/25(水) 18:04:51.76 ID:fzSDDROj0
 
ミーナ「そこは偶々なのか、別の理由があったのかはわかりませんが、軍の目からは逃れていたと考えるべきです」

ミーナ「……考えてもみなさい、バルクホルン大尉? 生身でネウロイと戦えるほどのウィッチの話題がここにいる誰の耳にも届かず、メディアにすら載らないと思う?」

バルクホルン「………確かに、そうだが…」

ミーナ「但し民間人とは言っても、確かに彼女もウィッチです。 それも極めて特殊な」

ミーナ「…そういった点も考慮して地中海本部へ打診を求めた結果、具体的な対応を決めるまで引き続きうちで保護するよう指示が出ました」

美緒「……」

ミーナ「ただ、男性基地員への体裁を保つために……階級を持たないウィッチである彼女も私達ウィッチーズの下で生活してもらいます」


大尉以下一同「「!!」」

 

277: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/25(水) 18:45:46.16 ID:fzSDDROj0
 
ミーナ「軍事行動時は別にしても、普段の生活はこの宿舎で共に過ごすことになります」

エイラ「……アレ、でもさ? その子、無断介入で拘束されてたんじゃないのか?」

ミーナ「それも地中海本部との協議の結果、キトゥンさんが色々と特別な例なので一時的に保留になりました」

エイラ「ふーん」

ミーナ「………質問はもういいかしら?」

シャーリー「…キトゥンの魔術式はなんですか? あたしらとやっぱ違うんですか?」ハーイ

キトゥン「……」

ミーナ「ええ、そうね。 魔方陣も展開しないし、一般的な魔術式でないことは間違いないと思います」

ミーナ「でも、これもハッキリしたことは本人の記憶と共に闇の中です」

ルッキーニ「…あたしも足出して飛んでみたいな~!」

シャーリー「箒使うか?」

278: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/25(水) 19:28:34.45 ID:fzSDDROj0
 
ルッキーニ「そーじゃなくってぇ! こう、自由にバビューーンって」シュッ

キトゥン(ふふっ、ルッキーニっておもしろいなぁ。 明るく元気で、かわいいよね)クス

バルクホルン「……とにかく、その少女の使う魔法の詳細は謎という事か?」

ミーナ「概ねはね。 ……他に、今聞きたい事は?」キョロ


ミーナ「………では私からはもうひとつだけ――」

ミーナ「この件は軍組織にとっても非常に稀有な事態で、地中海本部を含む上層部も慎重に取り扱う方針でいます」

ミーナ「更に、彼女が公的に民間人であることと、また彼女個人の問題としても極めてデリケートな話です」

ミーナ「…なので、この件に関する必要以外での口外、情報漏洩は厳禁とします。 いいですね?」キリッ

一同「「了解」」


美緒「…………(もっともらしい嘘とはいえ、こうも毅然と捲し立てられると皆信じざるを得んな。 流石ミーナだ)」

キトゥン(わたしの事って美緒さんと隊長さんしか知らないんだよね? てことは軍の本部がどうとかってのは嘘か…! …わたしが信じそうになっちゃった!)ドキドキ

279: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/25(水) 19:50:27.54 ID:fzSDDROj0
 
ミーナ「……はい! じゃあ、改めてキトゥンさんから自己紹介をしてもらいましょう」ウフフ

キトゥン(…わ!? この人、急に雰囲気変わっちゃった!)

ミーナ「キトゥンさん、簡単でいいのでお願いできる?」ニコ

キトゥン「は、はい……(どっちが本当なんだろう…? 銃向けられたし、複雑だな)」

ミーナ「あら? ……私の顔に何か付いているかしら?(もしかして、寝不足で隈が出てる…!?)」

キトゥン「うぁっ! い、いえ! なんでもないです…!」ステテ


キトゥン「……」スタ


キトゥン「………えっと…、キトゥンです。 …お邪魔かもしれませんが、よろしくお願いします」

 

280: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/25(水) 20:30:04.75 ID:fzSDDROj0
 
バルクホルン「……~」

エーリカ「……(まーた気難しい顔しちゃって、トゥルーデったら)」チラ

エイラ「………(褐色って見るの初めてかもしれないぞ、……別に普通だよな? 何がそんなにダメなんだ??)」ジロー

サーニャ「……(お友達になれるかな…?)」

ペリーヌ「……っ(ガリア国民の方なら、わたくしが護って差し上げなくては…!)」


キトゥン(…うっ! やっぱり歓迎されてない空気が…――)タジ


芳佳「わぁーい! ようこそ、キトゥンさん!!」パチパチ

リーネ「~!」パチパチ


キトゥン「……芳佳! リーネ!」

281: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/25(水) 21:27:01.55 ID:fzSDDROj0
 
シャーリー「これからよろしくな!」パチパチ

ルッキーニ「やたー! 暇なときあそぼー?」ピョンピョン


キトゥン「シャーリー、ルッキーニ…!」

美緒「心配するな、ここに悪い奴はいない」ポン

ミーナ「もう、美緒ったら。 そういう裏を返した言い回しは誤解を生むわよ?」

ミーナ「……皆いい子達だから安心してね? キトゥンさん」

キトゥン「美緒さん……、隊長さん」

ミーナ「ミーナでいいわ、よろしくね。 わからないことは遠慮なく聞いて頂戴?」ニコ

キトゥン「はい…。 ミーナさん(やっぱりいい人かも…)」ジーン

ミーナ「…あらあら(少しは打ち解けてもらえたかしら?)」ウフフ

282: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/25(水) 22:33:32.85 ID:fzSDDROj0
 
美緒「よぉーし! これで我らストライクウィッチーズも12人だ!!」デーン

キトゥン「………はい??」

芳佳「わぁ~!」パチパチ

芳佳「――…て、ええぇえ!!?」ガビーン

ペリーヌ「そ、そんな少佐っ!?」

シャーリー「偶数はいいなー! 編隊が組みやすくなる」アハハ

ルッキーニ「ダメ! シャーリーはあたしとだよっ!?」

エーリカ「……えっ、本当に?」チラ

バルクホルン「そんなわけないだろ」キッパリ


ミーナ「…ちょっと“美緒さん”?」ジロ

美緒「わっはっは! 冗談だ」

キトゥン(こ、この人って……)ガク

283: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/25(水) 22:54:19.93 ID:fzSDDROj0
 
ミーナ「はぁー……(さっさとお終いにしましょう)」

ミーナ「…はい、では皆聞いてください」パンパン


しぃーーん…


ミーナ「ありがとう」

キトゥン(……すごい…!)

ミーナ「本日の連絡は以上です。 繰り返しますが、ネウロイの出現周期が不規則かつ頻繁化してきています。 徒な休暇や外出の申請は自重してください」

一同「「了解」」

ミーナ「はい、では解散! ご苦労様」パン

284: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/25(水) 22:57:37.96 ID:fzSDDROj0
 

ガヤガヤガヤ


キトゥン「……えーっと…、わたしはこれからどうすればいいんだろ?」キョロキョロ


ミーナ「――キトゥンさん、ちょっとこっちへいらっしゃい?」


キトゥン「? はーぃ…」スタタ


ミーナ「お疲れ様。 本当にいろいろあったけど、今日はもう休めるわよ」

キトゥン「(なんだ、よかった)…またお風呂に入ってもいいですか?」

ミーナ「うふふ、活動時間内なら自由に使っていいわ。 でもその前に、貴女の部屋についてだけど…」

キトゥン「…あっ、そっか!」

ミーナ「貴女は民間人だし、本当ならプライベートルームを用意してあげたいけど――」

キトゥン「あの…、べつに閉じ込められてた部屋でもいいですよ?(部屋としては、普通に悪くなかったし)」

285: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/25(水) 23:13:39.89 ID:fzSDDROj0
 
ミーナ「……いえ、そうじゃなくてね?」キョロキョロ

キトゥン「?」

ミーナ「…さっき聞いていた通り、貴女は私と坂本少佐以外には秘密を抱えたまま、此処で異世界暮らしをしなくちゃいけないから――」ヒソヒソ

ミーナ「何かあった時や、秘匿事項に関する話を自然にできる環境を作る必要があるの」

キトゥン「? ……そうなんですか?」

ミーナ「私達としても、貴女をこのままにしておく訳にはいかないから……出来れば貴女を無事に帰すために、積極的に話し合う必要もあるわ」ヒソヒソ

キトゥン「!」

ミーナ「かと言って、キトゥンさんが私や坂本少佐と頻繁に姿を消してコソコソするのは難しいから…」ヒソヒソ

ミーナ「……そ・こ・で♪」ニコ

キトゥン「!?」

290: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/27(金) 10:29:45.70 ID:vL+81zIV0
 

消灯前


坂本の部屋



キトゥン「………」

美緒「…寝床は、今日の所はこれで我慢してくれ」ヨイセッ


キトゥン「な、…なんでこんな事にっ!?」ガビーン


美緒「おい、もう遅い。 あまり騒ぐな」

キトゥン「あ……ごめんなさぃ」

ダスティ「ニャアー!」

美緒「……お前もだ」ヒョイ

ダスティ「ッ! ニャアッ!」ジタバタ

キトゥン(…お前は夜行性だもんね?)アハハ…

291: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/27(金) 11:26:18.72 ID:vL+81zIV0
 
美緒「こら、静かにしないか」

ダスティ「~~!」ジタジタ

美緒「………うむ、そうか。 仕方ない」スタスタ

キトゥン「?(窓…?)」


美緒「……」カチャ

美緒「行って来い」ポーイ


『ニャアー……――』



美緒「…よし」パタム

キトゥン「……えー…(ダスティ……ごめん!)」

292: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/27(金) 12:46:32.64 ID:vL+81zIV0
 
美緒「では寝るか」スタスタ

キトゥン「…あれ? 美緒さん、そっちで寝るんですか?」

美緒「ああ。 私はいつもここで寝ている」イソイソ

キトゥン「え…でも、じゃあこっちのお布団は…?」

美緒「私の話を聞いていなかったのか? お前の寝床だ」ヌギッ

キトゥン「あれ? えぇ?」ドギマギ

美緒「すまないな。 明日にはちゃんとベッドを借り入れる、…今日はそれで勘弁してほしい」シュル

キトゥン「あっ、あの…ごめんなさい。 そうじゃなくって――」アセ

キトゥン「美緒さん……そんな隅っこで寝るんですか? こっちいっぱい余ってますけど…(ていうか、なんか脱いでるし!)」

美緒「こちらの世界には“起きて半畳、寝て一畳”という言葉がある。 畳1枚あれば十分だ」ファサ

キトゥン(タタミ? ……て、この変な絨毯みたいなのかな? 美緒さんの所にも1枚だけ敷いてあるし)

293: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/27(金) 13:27:24.79 ID:vL+81zIV0
 
美緒「お前も早く着替えろ。 寝間着も布団と共に用意してあるだろう?」クイ

キトゥン「え? あ、ホントだ」

キトゥン「(わたし、裸で寝ちゃう派だけど……流石に人前ではね) …じゃあ、お言葉に甘えて――」スッ…

美緒「まてっ、キトゥン。 止まれ」

キトゥン「――え?」ピタ

美緒「……床の間〈畳が敷いてある所〉に上がる際は、必ず靴を脱げ」キッ

キトゥン「あ…ぅ……、ごめん…なさぃ(急に怖くなる~っ!!)」

キトゥン「……よいしょ」ヌギ

美緒「…それでいい。 それから、掛け軸の下にある刀には決して触れるんじゃないぞ? いいな」

キトゥン「……はーぃ(ていうかこれ、どうやって着るんだろ…?)」ズーン


――――
――

294: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/27(金) 14:17:40.41 ID:vL+81zIV0
 

消灯後



キトゥン「……」モゾ

美緒「……」

キトゥン「…あの、美緒さん……起きてますか?」

美緒「もう消灯だ。 寝ろ」

キトゥン「………急に相部屋になっちゃって、迷惑じゃないですか…?」

美緒「……」


キトゥン「……」

美緒「………」


キトゥン「……ごめんなさい。 寝ます…」モゾ

美緒「…私は別段、迷惑な事などない。 寧ろお前が心配だ」

295: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/27(金) 14:32:48.84 ID:vL+81zIV0
 
キトゥン「へ…?」

美緒「私も中佐から話は聞いていた。 私か中佐の部屋の二択だったのだろう?」

美緒「……こんな殺風景な所で気が詰まるようなら、明日に中佐の元へ移るといい」

キトゥン「そ、そんな…」

美緒「……」

キトゥン「……わたし、自分で選んだんです。 美緒さんが平気なら、この部屋がいいですっ」ムッ

美緒「…そうか。 やはり中佐にもかなわんな」フッ

キトゥン「え、何がですか?」

美緒「……いい加減にお終いだ。寝るぞ?」モゾ

296: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/27(金) 14:51:52.26 ID:vL+81zIV0
 
キトゥン「そんな~、気になるんですけどっ?」ムク

美緒「…私の部屋に来た以上、朝は誰よりも早いからな?」

キトゥン「えぇ゛!?」ガーン

美緒「静かにしろ。 ………私はもう眠る。 お休み、キトゥン」

キトゥン「…えぇっと……いつも何時に起きて…?」ヒソー

美緒「……」

キトゥン「あ、あのー……?」

美緒「………」

キトゥン「……」

美緒「…………」シーン

キトゥン「ぅ……(…ね、寝ようっ!)」バサッ


美緒「……」


美緒(…キトゥン。 ミーナはお前に“何か”を期待しているのだろう。 故に私の近くに置いたんだ)

美緒(自分と同室を選ばれたなら、それはそれでお前を御し易いという打算も有りながら……ミーナは恐らくお前が私を選ぶことをわかっていた)

美緒「………」ギュ…

美緒(……悟られてはいないつもりだったのだが、“色々”とバレているかもしれんな。 ミーナには…)

297: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/27(金) 21:09:19.51 ID:vL+81zIV0
――――
――

 

翌朝



キトゥン「…zz」

キトゥン「えへへ……いやぁ~…お礼みゃん……て……zzz…」ムニャムニャ


――テテテッ


キトゥン「………こんにゃ……ん~……食べられにゃ…?」モゴモゴ


ボフンッ


キトゥン「zz……? …ッ…」モガ

キトゥン「……ッッ!? ~~ッ!!」

キトゥン「――っぶはぁ!!?」ガバッ


ダスティ「ニャア!」ポテ

298: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/27(金) 21:48:54.86 ID:vL+81zIV0
 
キトゥン「……?? なに…!? え?」ゼーハー

キトゥン「………なんかすっごく苦しかった気がするんだけど…!」キョロ


チュンチュン…


キトゥン「…まぶしい? ……ぁれ…?」


キトゥン「…………?」ポケー

キトゥン「……そっか。 ここ、わたしの家じゃないんだった…」

キトゥン「……」

キトゥン「…………ん~…(まだ眠いぃ…)」グシグシ

ダスティ「……」トテトテ

キトゥン「…あ、ダスティ……おはよう」

299: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/27(金) 22:06:03.68 ID:vL+81zIV0
 
キトゥン「……(…ん? というか――)」

キトゥン「――! さっき変な起こし方したのお前でしょっ!?」

ダスティ「…~」ゴロゴロ

キトゥン「まったく…(疲れは取れたみたいだから、いいけど)」

キトゥン「…お前は今から寝るの? 羨ましいね」

ダスティ「~~」スリスリ

キトゥン「お、タタミ気に入った? …でもここ美緒さんの部屋だから、昨日みたいに困らせてると居られないよ?」

ダスティ「……」ガリッ

キトゥン「あっ!! ちょっと、なにやってんのお前っ!?」バッ

ダスティ「…ニャア!」

300: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/27(金) 22:27:55.38 ID:vL+81zIV0
 
キトゥン「……うっ! 傷になってる…!」

キトゥン「…これ、まずいよね? だって昨日靴で上がろうとしたら怒られたし…」サスサス

ダスティ「……」

キトゥン「ダスティー…、ホント頼むよ~。 わざわざ他所でヤンチャしなくていいからさ?」

キトゥン「……はぁー。 …布団空けるからこっちで寝て」ポフ

ダスティ「…」

キトゥン「お前のお陰で完全に目が覚めちゃったよ…」クツハキ

キトゥン「わたしちょっと部屋出るけど、もう爪研いじゃダメだからね! それとそこの刀――…は、あれ? 無いや」

キトゥン(美緒さんが持って行ったのかな? ……そもそもどこ行ったんだろ?)

キトゥン「…ま、いいか。 ……とにかく留守番頼んだよ、ダスティ?」ピシッ

ダスティ「…~」クァ~

307: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/28(土) 14:16:12.79 ID:tm/a8/u90
 

宿舎 廊下


キトゥン「う~ん、気持ちいい朝だなぁ。 やっぱり人間はお日様浴びないとね」スタスタ

キトゥン「…わたしが寝坊するのも、家の日当りが悪いからだよきっと。 今度クロウにそう説明しよう!」

キトゥン(……それにしても、誰もいないなぁ…。 そういえば今何時なんだろう? 皆まだ寝てるのかな?)

キトゥン「――ん? あれは…!」


サーニャ「……」ヨロヨロ


キトゥン「…たしか、白くてアンテナの……サーニャちゃんって言ってたよね?(なんか足取りが不安な感じだけど…?)」

308: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/28(土) 14:25:52.86 ID:tm/a8/u90
 
サーニャ「……!」ピク

キトゥン「あ…、おはよう!」

サーニャ「……ぉ………ぃま…」モニョモニョ

キトゥン「…ぇ? なに?」

サーニャ「……」ペコ

サーニャ「…」ヨロヨロ~


キトゥン「……行っちゃった…(瞼が半分閉じてたけど……徹夜明け?)」


――――
――

309: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/28(土) 14:46:10.48 ID:tm/a8/u90
 
キトゥン「――ここだっ! ……やっと思い出した(セーフ!)」スタタ


ドンッ


キトゥン「きゃっ!?」ヨロ

バルクホルン「おっと! ………お前か、大丈夫か?」

キトゥン「あ、はい。 …すみません(げっ! 恐くてキツイ……ゲルトルー…なんとかさんっ!?)」ガーン

バルクホルン「朝からそそっかしい奴だな。 宿舎の廊下は不用意に走ってはいけない決まりだ、わかったか?」 

キトゥン「……すみませーん…」シュン

バルクホルン(……? 何故怯える? …これでは私が民間人を糾弾している様ではないか!)

バルクホルン「…しかし起床前にちゃんと目覚めたのは感心だ。 その調子で励め!」デン

キトゥン「は、はあ…」

バルクホルン(…?? 褒めた筈だが……空振ったか? 何故だ!?)

325: ※補填※ 2014/06/28(土) 23:44:27.65 ID:tm/a8/u90
 
 
キトゥン「あのぉ…、今ってまだ起きる時間じゃないんですか?」オズオズ

バルクホルン「ん? ああ、もうそろそろ起床のラッパが鳴るだろう。 それまでに起きていれば問題ない」

キトゥン「……ふーん、ラッパが…」

バルクホルン「ちなみに起床とは、直ちに活動できる状態を言う。 その恰好〈寝間着〉ではダメだぞ?」ビッ

キトゥン「あ、はーい…(また説教臭くなった)」

バルクホルン「起床時刻後間もなくで朝食だが、そのままで行くなよ? …さっさと“済ませて”着替えてこい」

キトゥン「……あっ! そうだった!(トイレ!!)」スタタタ

バルクホルン「おい、走るな!」  

312: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/28(土) 16:29:43.59 ID:tm/a8/u90
 

そんなこんなで 昼間



キトゥン「芳佳からお誘い受けたけど、一体なんだろう?」スタスタ

キトゥン「…ここかな?」コンコン


『……はーい、今開けまーす!』

ガチャ


リーネ「…ぁ!」

キトゥン「こんにちはぁ~…」

『リーネさん、どなたですのー?』

リーネ「あ、その……キトゥンさんです」

ペリーヌ「まぁ! いらっしゃい、どうぞお入りになってくださいな」ヒョコ

キトゥン「え? あ、はい」

313: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/28(土) 17:04:52.92 ID:tm/a8/u90
 
――――
――


トリオの部屋


リーネ「はい、どうぞ」コト

キトゥン「ありがとう、リーネ」

ペリーヌ「調度紅茶を淹れていた所でしたの。 ローマンカモミールにフルーツを混ぜたものですけど、宜しければお試しくださいな」

キトゥン「…へー(全然わかんない)」

リーネ「アイスティーのストレートが一番美味しいから、そのままで飲んでくださいね?」

キトゥン「うん。 …いただきまーす」

キトゥン「……」チューチュー

キトゥン「…んー! 美味しい!?」

リーネ「やったね、ペリーヌさん?」ニコ

314: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/28(土) 18:02:04.45 ID:tm/a8/u90
 
ペリーヌ「ええ。 わかっていたとはいえ、わたくし達以外の客観的な意見が聞けてよかったですわ」ウフフ

キトゥン「?」

リーネ「ペリーヌさんは紅茶にとっても詳しくて、自分でブレンドもするんです。 私も時々一緒にお手伝いしたりするんですよ?」

キトゥン「へぇー! なんか素敵…!(かっこいい!)」

ペリーヌ「お、おほほ! 別に褒められるほどのことでは……貴族の嗜みですわ!//」

キトゥン「え!? ペリーヌさんって貴族なの!?」

リーネ「はい。 ガリアの貴族、クロステルマン家のご令嬢さんです」

ペリーヌ「ふふ、見えませんでした?」

キトゥン「あっ! いや、そういう意味じゃ…っ!」

ペリーヌ「いいんですのよ。 既に落ちぶれた家ですもの」フフ

リーネ「そ、そんな。 ペリーヌさん…」

キトゥン「……」

315: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/28(土) 18:35:09.04 ID:tm/a8/u90
 
ペリーヌ「い、いやですわ…ちょっと! 別に湿っぽくなる話でもないでしょっ!」アセアセ

キトゥン(いろんな人がいるんだなぁ…)

ペリーヌ「コホンッ! …と、ところで、キトゥンさんは何か用があってお越しになったのではなくて?」

リーネ「あ、そうですね!(すっかり遊びに来てくれたつもりでもてなしちゃった)」

キトゥン「……えっと、芳佳に“後で私の部屋に来てねー!”って言われて…。 ここでいいんだよね?」

リーネ「そっか…芳佳ちゃんのお客さんだったんだ」

ペリーヌ「まったく間の悪い……約束があるならひと言伝えておくのが礼儀という物ですのに。 あの子ったら…」

リーネ「し、仕方ないよ! いきなり連れて行かれちゃったし、そういう時間もなかったんだよ」

ペリーヌ「……お優しいですわね、リーネさんは」カチャ

キトゥン「…芳佳、なんか用事?」

316: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/28(土) 19:27:47.47 ID:tm/a8/u90
 
ペリーヌ「昨日、貴女の部屋〈仮独房〉の前で騒いだ方々と一緒に、ランニングへ出かけましたわ」コクコク

キトゥン「……あ! あれかー!」

リーネ「調度キトゥンさんが来るちょっと前に、坂本少佐が連れて行っちゃいました…」

キトゥン「う~ん……美緒さんさすが、有無を言わさないなぁ」チュー

ペリーヌ「なっ…!!?」ポロ


カシャーーンッ


リーネ「ひゃっ! ペリーヌさん!?」

キトゥン「わっ!? ……大丈夫!?(高そうなカップがっ!)」

ペリーヌ「あ……あ、あっぁぁ貴女っ! …今、何とおっしゃいまして…?」ワナワナ

キトゥン「え…? ……“大丈夫?”って…」

ペリーヌ「そっちじゃありませんわっ!!」

キトゥン「ひぇっ!? (急にどうしたのー!?)」

317: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/28(土) 20:05:09.31 ID:tm/a8/u90
 
ペリーヌ「あ、あなっあな…貴女は……っ!! さっ…坂本少佐のことを今……な、なんと…!?」

キトゥン「ぇ? ……あっ!(そっか! 皆より偉い人だから…!?)」

キトゥン「すみません。 昨日、美緒さんとお風呂入った時に“軍人じゃないからいいよー”って言われて――」

ペリーヌ「ふぁぁあ!?? ふたりきりで入浴ですってぇ!!?」ガーン

リーネ「あ、あのぉ…ペリーヌさん……とりあえず片付けを…。 お洋服もシミになる前に洗わないと…」

キトゥン「一応部屋も一緒だし、いいかなーって思ってたんですけど…――」

ペリーヌ「はぎゃあっ!?!!? い……いっし、いし……一緒のぉ!!?」ガシャーン

リーネ「ペリーヌさん!? あ、あの……気を確かに…!」サスサス

ペリーヌ「おっおお落ち着きなさいペリーヌ・クロステルマン…。 こ…この方はガリアの民、この方はガリアの民、この方は――」ブツブツ

キトゥン(?? ……不思議な人だなぁ)

ペリーヌ「わたくしが護るべき方です……取り乱しては――」ブツブツ

318: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/28(土) 20:21:43.27 ID:tm/a8/u90
 
――――
――



基地 野外



美緒「どうしたー! まだまだ好きなだけ走っていいぞ!! 遠慮せずに声も出せーっ!!」

芳佳「はぁいぃいっ!! ……ふぁい、お~! ふぁい、お~!」フラフラ

エイラ「み、宮藤のやつ…慣れてやがる……ぐへぇ~…」ヨロヨロ

ルッキーニ「も疲れだぁ~~~!!」タッタ

シャーリー「まぁ、懲罰だからしかたねーな。 ……終わりを知らされないで走るのはしんどいけど」タッタッ

バルクホルン「………ぐぅぅ…、何故私まで…っ」タッタッ




キトゥン「…やっぱり軍人ってわたしには向かないな」ウン

319: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/28(土) 20:26:44.84 ID:tm/a8/u90
 

『ほーらー! トゥルーデしっかりー!』


キトゥン「? ……あそこにいる子…!」




エーリカ「ダッシュだ~っしゅ! 宮藤のお尻ばっかり見てないで、本気だしてよぉ~?」

芳佳「えぇぇ!? ///」サッ

バルクホルン「だまれぇええ!!! ハルトマンッ!!」




キトゥン「えっと名前は……そうだ、エーリカちゃん!」

320: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/28(土) 20:33:27.15 ID:tm/a8/u90
 
エーリカ「あー面白い! 危うく寝過ごす所だったよ」アハハー


キトゥン(ミーナさんと一緒に銃向けられたのが気まずくて、まだちゃんと話はできてないんだよね…。 自己紹介はされたけど)ススス…

キトゥン「(……せっかくだし、改めて挨拶しておこう)あ、あのー…」

エーリカ「――ん? …おお? 人気者の登場!」

キトゥン「…えっ! 人気…?」

エーリカ「みんな昨日からキトゥンの話で持ち切りだよ? ミーナはもちろん、トゥルーデやサーニャンも気にしてるみたいだし」

キトゥン「……トゥルーデ…?」

321: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/06/28(土) 20:42:13.70 ID:tm/a8/u90
 
エーリカ「昨日、アドリア海でキトゥンのこと捕まえてた“優しいお姉ちゃん”だよー」アレアレ

キトゥン「…優しいお姉ちゃん?」チラ




芳佳「……ば、バルク…ホルンさんっ。 …ぜぇっ……その、私のお尻なんか見ても… ///」サササ

バルクホルン「ちっ、違う!! 誤解だ宮藤ぃ!!」

シャーリー「…お前、そんな元気なら宮藤の前走ればいいじゃん」

ルッキーニ「………しゃ~りぃ……まって…」ヨロヨロ

美緒「よぉーし、いい度胸だ! まだまだ余裕の様だなお前達っ! ペースを上げろぉー!!」ビシビシッ

エイラ「オイ! 大尉達が漫才やってる限りおわんねーぞぉ!」ヤメロー!




キトゥン「……シャーリー?(優しい&お姉さん…?)」

エーリカ「よりも胸は小さい方の、髪結んでる」

328: (・×・)<※>>321の続きだゾ 2014/07/02(水) 00:48:54.96 ID:8jN38ihK0
 
キトゥン「あっ、ゲルトルー……さん?」ゴニョゴニョ

エーリカ「そうそう。 あと“ト”で完成だよ」

キトゥン「ゲルトルートさん…(言えた)」

エーリカ「…………あれ、なんの話だっけ?」

キトゥン「え?」

エーリカ「まぁ私の話はいいや! …で、なにか用?」

キトゥン「えっ? あ……えーっと、改めてよろしくと思って…」

エーリカ「うん、よろしくねー。 エーリカ・ハルトマンだよ」

329: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/02(水) 01:03:14.33 ID:8jN38ihK0
 
エーリカ「…キトゥンは軍人じゃないし、ていうかそんなの関係ないけど、好きに呼んで!」

キトゥン「(……よかったぁ、全然仲良くなれそう)うん、よろしくね! エーリカちゃん!」マエカガミ

エーリカ「!」


エーリカ「…………」


キトゥン「(…あ、あれ?)……どうしたのかな…?」

エーリカ「…キトゥンさ? 私のこと、子供だと思ってない?」ジトー

キトゥン「……」


キトゥン「…………えっ!?(違うの!?)」
 

330: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/02(水) 01:28:34.18 ID:8jN38ihK0
 
エーリカ「私、シャーリーと同い年なんだけど?」

キトゥン「っ! うそっ!?」ガビーン

エーリカ「どっちかというと、ルッキーニ寄りの扱いだったよね……今?」

キトゥン「うっ! …だ、だって色々と……大きさがっ!?」

エーリカ「あー! ひっどいなぁ~、シャーリーのは特別じゃん!」

キトゥン「いや、それだけかな……? …あっでも、わたしもそっちを信じたいかも…!」ペタペタ

エーリカ「キトゥンと比べれば、私もほとんど変わらないじゃん?」エッヘン

キトゥン(えっ!! そんな!?)ガーン

エーリカ「だから私の事も呼び捨てで……ね、キトゥン!」

331: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/02(水) 01:43:54.41 ID:8jN38ihK0
 
キトゥン「……わかった。 ごめんね、エーリカ(好きに呼んでって言ったのに…)」

エーリカ「キトゥンは、サーニャンの所にはもう行った?」

キトゥン「え? サーニャン……サーニャちゃん?」

エーリカ「そうそう、サーニャン。 キトゥンと友達になりたいと思ってるから行ってあげてよ?」

キトゥン「…そうなの?」

エーリカ「多分ね」

キトゥン「(勘!?)そ、そう……。 じゃあ行こうかな…、芳佳もまだ終わらなそうだし」

エーリカ「部屋にいると思うけど、寝てたらごめんねー」

キトゥン「寝てるの!?」

332: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/02(水) 02:03:04.87 ID:8jN38ihK0
 

エイラーニャの部屋前



キトゥン「……ここだよね? 可愛い名札が付いてる」コンコン


キトゥン「………」


しぃ~~ん…


キトゥン「…寝てるのかな?」コンコンッ


しぃ~ーーん…

 

333: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/02(水) 02:23:56.33 ID:8jN38ihK0
 
キトゥン(……あんまり何度もやると迷惑だよね?)

キトゥン「……」

キトゥン「…行こう」クル


サーニャ「――ぁ…!」ピク

キトゥン「!」


サーニャ「……そこ、私とエイラの部屋…」

キトゥン「(いたー!)う、うぅんっ! ちょっと…」アハハ

サーニャ「…?」

336: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/02(水) 22:37:40.61 ID:8jN38ihK0
 

エイラーニャの部屋



サーニャ「……」

キトゥン「ということで、その……改めてよろしくお願いします…」

サーニャ「…はい」


キトゥン「……」

サーニャ「……」


キトゥン「~~っ!(大した用もないのに来たから、変な空気になってしまったっ!)」

サーニャ「…すみません。 ……お部屋、散らかってて…」

キトゥン「え? いや、平気平気! そんな事ないからっ(雰囲気似てるけど、アキん家の方が酷いし)」

337: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/02(水) 23:08:55.38 ID:8jN38ihK0
 
キトゥン「……この部屋は、なんで閉め切ってるの?」クライ…

サーニャ「…私は、ナイトウィッチだから……」

キトゥン「(? どういう事だろ…? わかんない!)へぇー、そっかぁ…」

サーニャ「日の光が眩しいと、うまく寝付けないから….」

キトゥン「(…あ、夜勤ってことか! それで今朝あんな眠そうに)大変だね?」

サーニャ「ううん…。 独りの時も多いし、簡単じゃないけど……でも、皆が安心して眠る為だから…」

キトゥン「……」

サーニャ「それに…皆、優しくしてくれるから……私も力になりたいって…」

キトゥン「っ…(な、なんて健気! 偉いっ!)」ジーン

キトゥン「…サーニャ!」ニギ

サーニャ「!?」

338: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/02(水) 23:42:42.55 ID:8jN38ihK0
 
キトゥン「わたしで力になれる事があれば、遠慮なく言ってね?」

サーニャ「…は――」

キトゥン「友達として!」

サーニャ「! ……ぅ、うん…!」

キトゥン「重い物とか運んだりするのは得意だから!」

サーニャ「……ありがとう…キトゥンさん」

キトゥン(暗い時間に飛ぶのって、結構大変なんだよね…)ウンウン

サーニャ「……」


バタムッ


エイラ「うなぁあ~~っ!! やってられるかぁー!」ヨロヨロ

キトゥン「! …あ、終わったんだ」

サーニャ「……エイラ、どうしたの?」

339: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/03(木) 00:17:01.66 ID:M6Lm+VQ30
 
エイラ「~はぁ……ふぅ…っ…」

キトゥン「昨日、美緒さんが怒ってたでしょ? それでさっき走らされてたみたい」

エイラ「!?」ギラ

サーニャ「そっか、…おかえり」

エイラ「…オマエぇぇ! サーニャに手出すなぁ!!」ガバッ

キトゥン「きゃ!? なにっ!?」


ドタンッ


エイラ「はぁ……ぜぇっ…」グデー

キトゥン「あ、あの!? ちょっと……どいて…(うぅ…! すごい汗!)」

340: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/03(木) 00:49:25.77 ID:M6Lm+VQ30
 
サーニャ「エイラ!? ……お客さ――」ピクッ


サーニャ「……」


サーニャ「……お友達に失礼よ?」

エイラ「んむぅ!? …ワタシの知らないうちに、…ぜぇ……親密…にっ!??」ガーン

サーニャ「…うん」

エイラ「“うん”~~っ!?」ガガーン

サーニャ「? ……うん」

キトゥン(なんか勘違いされてる気がする!)

341: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/03(木) 01:15:35.50 ID:M6Lm+VQ30
 
エイラ「クッッソォ~~!! サーニャにちょっかい出すなー! コノコノーー!」グリグリ

キトゥン「や! ちょっ…!? ベトベトする!!」

エイラ「コノ~コノ~~!」ハァハァ

キトゥン「きゃーー!!」ジタバタ

サーニャ(すごい絵図…)


エイラ「――ン!?」ピタッ

キトゥン「……な、なに…!?」


エイラ「………案外ムネないな?」サワサワ


キトゥン「……大きなお世話っ!//」ベシベシッ
 

342: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/03(木) 01:41:40.67 ID:M6Lm+VQ30
 
――――
――



サウナ室



キトゥン「……ここに水をかけるの?」

エイラ「そうそう。 かけ過ぎんなよ? 最初は3~4杯くらいでイイかんな?」

キトゥン「ふーん…」パシャ


ジュゥゥウゥウウ

モワモワァ~


キトゥン「わっ! 熱っ!?」

サーニャ「キトゥンさん…!」

エイラ「焼石近くの蒸気は熱いから気をつけろよ~?」

キトゥン「さ、先に言ってー!」

343: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/03(木) 02:05:33.27 ID:M6Lm+VQ30
 
エイラ「……やっぱりキトゥンじゃダメだな。 ワタシがやってやる」ズイズイ

サーニャ「…火傷してない? 後で芳佳ちゃんに見せにいかないと…」

キトゥン「あ~、ビックリした…」

エイラ「はじめは皆ちょっとビックリするんだ。 でもそんだけで、実際は大したこと無いさ」ビシャ


ジュゥゥウウウゥ


キトゥン「……これが本当に気持ちいいの?」

エイラ「なんだよ、お前も風呂好きなのかー? サウナをバカにすんなよ?」ハラリ

サーニャ「エイラ、そうじゃなくて。 キトゥンさん、初めてだから…」

エイラ「ならそこに座ってろ? 今に気持ちよくなるから…っな!」バサッ

344: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/03(木) 02:37:06.92 ID:M6Lm+VQ30
 
キトゥン「……」

エイラ「…フンッ! ……フッ!」バサバサ

キトゥン「……タオルで何やってるの、あれ?」

サーニャ「焼石から出た水蒸気を充満させてるの。 …もうすぐ暑くなってくるよ?」

キトゥン「へぇー……要するに、暑い部屋が気持ちいいってこと?」

サーニャ「うん…。 おもいっきり汗をかいてスッキリするの」

キトゥン(これ以上汗かいて干涸びないかな、エイラ?)

エイラ「オイ、こっち向け! サービスしてやるぞ!」

345: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/03(木) 02:41:22.16 ID:M6Lm+VQ30
 
キトゥン「え?」

エイラ「ソラッ!」バサッ

キトゥン「…っ!(熱い空気が!?)」

エイラ「どーだ? 気持ちイイだろ!」バサバサ

サーニャ「エイラは扇ぐのが凄く上手なの」

エイラ「っ! まっ、ま~なぁ~! ウヘヘ~//」バサバサバサ

キトゥン「わぁー! ちょっと、熱い! 熱い!!」


――――
――

346: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/03(木) 02:57:04.55 ID:M6Lm+VQ30
つづく

349: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/03(木) 19:38:41.11 ID:M6Lm+VQ30
 
エイラ「…ふーん。 重力の固有魔法か、なんか凄そうだな?」

サーニャ「それで昨日も…?」

キトゥン「……まぁーね…。 結局美緒さん達に助けられちゃったけど」

エイラ「てゆうか、その“美緒さん”ってのなんだよ? ペリーヌ辺りがヒステリー起こすぞ?」

サーニャ「……」

キトゥン「え、ペリーヌさん? …………ああ、大丈夫! ちゃんと誤解は解いたから」

エイラ「解けたのか……スゲーな…」

サーニャ「エイラ、ペリーヌさんだって立派な人なんだから……そんな…」

エイラ「んー、まぁサーニャに嫌味言ってた頃に比べりゃ格段にマトモになったな」

キトゥン(…すごい言われ様)

350: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/03(木) 20:06:20.11 ID:M6Lm+VQ30
 
サーニャ「あれはっ………確かに、少し意地悪だっけど…」

サーニャ「でもそれは、ガリアがネウロイに進行されてて…!」

エイラ「サーニャ……なんて優しいんだ~!」デレー

サーニャ「エイラ、ちゃんと聞いて…」

キトゥン「……ガリアって、わたしが倒れてた所だっけ? あの黒い奴に襲われてるの?」

エイラ「去年まではな。 ワタシ達が解放したから今はネウロイなんていないぞ? …ていうかお前そんな事も知らないのか!?」

サーニャ「……キトゥンさん、記憶が…?」

キトゥン「えっ!? ………そ、そうなの~! 困っちゃうよね~ほんとっ!」アハハ

サーニャ「…?」

エイラ「記憶喪失してんのになんか明るいな…?」

351: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/03(木) 20:50:20.56 ID:M6Lm+VQ30
 
キトゥン「……そっか。 ペリーヌさん、確かガリアって国の貴族だから…」

エイラ「あん時はかなり追い詰められてたなー。 サーニャをいじめて良い理由には絶対なんねーけど」

サーニャ「エイラ!」

キトゥン「…でも、そのネウロイは追い出せたんでしょ? よかったじゃん!」

エイラ「……まぁワタシらは、そりゃそーなんだけどな」パタパタ

キトゥン「?」

サーニャ「ネウロイを追い出す事は出来たけど、ガリアの国内は殆ど荒らされて……人や動物も沢山亡くなったの」

キトゥン「ぇ…」ドキ

エイラ「ワタシらは救国の英雄扱いでイイけど、そこでこれから暮らしていかなきゃなんない人にとっては素直に喜べる事でもないんだよなー。 死んだ奴も生き返んないし」

352: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/03(木) 21:32:17.15 ID:M6Lm+VQ30
 
サーニャ「ペリーヌさんは自分の国や被災した人々の為に、私財を投げうって復興活動を支援してるの…」

エイラ「キトゥンを見つけたのも、ウチの部隊で瓦礫処理を手伝った帰りだったんだぞ? ワタシ達は行ってないけどな」

キトゥン「……」

エイラ「ま、ペリーヌの中じゃガリアの戦いはまだ終わってねー……ていうか、これから本番だな」

サーニャ「エイラ! 他人事じゃないわ!」ムー

エイラ「ご、ごめんサーニャっ! その……そういうつもりで言ったんじゃ――」

キトゥン(…同じだ。 ヘキサヴィルと……ネヴィや重力嵐に襲われた街と!)

キトゥン「っ……」

エイラ「…オ、なんだ? 下向いちゃって。 もう限界か?」

サーニャ「……無理しない方がいいよ、キトゥンさん?」

キトゥン「う、うぅん……大丈夫…っ」グシグシ

353: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/03(木) 21:41:54.60 ID:M6Lm+VQ30
 
キトゥン「でも…そうだね。 そろそろ出ようかな…、喉乾いちゃった」

エイラ「なんだよぉ〜、こっから更に暑くすんのに…」チャポ

エイラ「…ソレ!」ジュゥウ

サーニャ「エイラ、私もそろそろ…」

エイラ「えっ! ウソだろサーニャ!?」

サーニャ「私達に気を使わないで、エイラはゆっくりしていて平気よ」

エイラ「ソンナァーー!!」

キトゥン「それじゃあエイラ、お先に」トテトテ

サーニャ「飲み物、エイラの分も用意しておくから」トテトテ

エイラ「まっ! 待ってくれワタシも――」ズル

エイラ「ァヴッ!?(と、トントに後髪を引っ張られている気がする…!)」ドテ

354: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/04(金) 12:24:59.95 ID:36/fChSe0
 

更衣室


キトゥン「…サウナって出た後がすごく気持ちいいね! なんか不思議!」フキフキ

サーニャ「うん…」

エイラ「はぁ……トントの“せい”で忘れてたランニングの疲れが…(“精”霊だけに…)」


キトゥン「…!」チラ

サーニャ「……」フキフキ


キトゥン「…………サーニャってさ、なんか色々と綺麗だよね?(いいなぁ)」マジマジ

サーニャ「ぇ…!」ビクッ

エイラ「あ? あたりまえだろ、サーニャだぞ?」

キトゥン「昨日、見つめ返した時は眼も綺麗だったし…」

エイラ「オィィイィイッ!!! ナニやってたんだよぉ!!?」ウガー

355: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/04(金) 12:39:01.91 ID:36/fChSe0
 
キトゥン「髪とか肌も、こうやって見るとビックリするよ」

サーニャ「…… ///」

エイラ「サーニャが…照れてる……ダト…?」

エイラ「キトゥン~~~ッ!!」ムムムー

キトゥン「えっ! なに!? 別に、ただそう思ったってだけなんだけど…!?」


エイラ「……ナンダト…?」


キトゥン「……エイラ?」

エイラ「…ナンテコッタ。 思ったことを素直に言えば、サーニャはこんなに可愛くなるのか!?」

キトゥン「……なに言ってるの?」

エイラ「(よ、よぉし…)サーニャっ! 可愛いぞ!!」ズイ

サーニャ「え、エイラまで…っ!? やめて//」

356: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/04(金) 12:45:15.59 ID:36/fChSe0
 
エイラ「やめるもんか! わ、ワタシはサーニャが――」

エイラ「…サーニャの事がっ! す……すす、すぅっ……っ!!///」ワナワナ

キトゥン「……」

キトゥン「…!(えっ!? なに、急に? …告白!?)」


エイラ「~~~////」

キトゥン「…」ゴクリ


エイラ「………~~っ……ダメだっ!! うわぁぁあん!!」

キトゥン(あちゃー! 諦めちゃったー!!)

サーニャ「…? エイラ? //」

エイラ「………きっとまだ時じゃないんだ、ウン。 そうだ、言えないんじゃないぞ?」ブツブツ

キトゥン(言い訳を始めた…)

357: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/04(金) 12:56:46.77 ID:36/fChSe0
 
サーニャ「…エイラ、よくわからないけど大丈夫?」サスサス

エイラ「ごめんサーニャ、今のは気にすんな」


キトゥン「(急になんだったんだろ、今の?)…エイラ、早く着替えないと風邪ひくよ?」

エイラ「あ! 待った、キトゥン!」

キトゥン「え?」

エイラ「ワタシは服を着るけど、オマエは着ちゃダメだ!」

キトゥン「……なんで?」ジト

エイラ「ちょっと素っ裸が見たい」ハシッ

キトゥン「はぁ!?(なに言い出すのこのひと―!?)」

サーニャ「……」

358: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/04(金) 13:10:28.56 ID:36/fChSe0
 
エイラ「ワタシ、褐色肌のヤツって見るの初めてだからさ? ちょっとよーく見せてくれよ、ナ?」グイグイー

キトゥン「やっ、ちょっと!? タオル剥ぎ取らないでよ!?」

エイラ「イイじゃん、イイじゃ〜ん。 チ○ビとかワタシらと同じなのかなー?」

キトゥン「変態ー!!///」キャー

サーニャ「……」ジー

キトゥン「さ、サーニャも見てないで助けてくれると嬉しいんだけど…//」

サーニャ「……綺麗…」

キトゥン「え!? な、なにっ!//」

エイラ「ンー、わかる! …なんていうか、白より体のラインがこう……●●いよな?」

キトゥン「…………エイラって中身おっさんでしょ?」サイテー

363: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/06(日) 00:16:49.24 ID:MjB6y6Hb0
 

宿舎 空き部屋


美緒「……んー、やはりひとりでは無理か」

美緒「仕方ない、誰か手の空いている者を――…む!」


『部屋に戻ってタロットやらないか? ワタシが占ってやるよ』

『う〜ん、占いは間に合ってるかなぁ』

『ナンダトー!』

『…ふふ』


美緒「おい、キトゥン!」


キトゥン「! …美緒さん?」

エイラ「ん? なんだ?」

サーニャ「?」

364: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/06(日) 00:38:39.79 ID:MjB6y6Hb0
 
キトゥン「…はい、なんですか?」スタスタ

美緒「悪いが少し手伝ってくれ」

キトゥン「いいですよ」

美緒「お前達も手が空いているなら手伝って欲しい」

サーニャ「…はい」トテトテ

エイラ「なにすんだ?」スタスタ

美緒「キトゥン。 このベッドをお前専用に借用するから、私の部屋まで運ぶぞ?」

キトゥン「え? あ、そっか!」

エイラ「……は? キトゥンって少佐の部屋に泊まってんのか?」

サーニャ「…!」

キトゥン「うん、そうだよ?」

365: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/06(日) 01:11:00.63 ID:MjB6y6Hb0
 
美緒「男手が欲しい所なんだが、ここでは私達でやる他ない。 骨は折れるが、自分で使う物だ……私と一緒に運ぶぞ?」

キトゥン「……」

美緒「そら、そっちを持て。 …4人で隅を持ち上げる」

エイラ「力仕事かよぉ〜、サーニャは勘弁してくれ少佐」

サーニャ「エイラ…私は別に……」

キトゥン「……いいですよ美緒さん。 わたし、ひとりで持っていきますから」

美緒「…気概は買うが、よせ。 怪我をする」

キトゥン「大丈夫ですよ! 危ないから皆下がっててね」

美緒「! おい、まさか――」

キトゥン「それっ」ブワン


グンッ


366: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/06(日) 01:45:40.71 ID:MjB6y6Hb0
 
エイラ「オオ!? なんだ!?」

サーニャ「……ベッドが浮いてる…!」

美緒「成る程な、本当に便利な力だ。 …だが――」

キトゥン「それじゃ持っていきまーす」スタスタ

美緒「こら、待てっ! そのままでは…!」


ガツンッ


キトゥン「…ぁ」

エイラ「出入口狭いから、気をつけないとぶつけるぞ?」

キトゥン「……エイラ、先に言ってぇ…」

367: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/06(日) 02:21:22.16 ID:MjB6y6Hb0
 



坂本の部屋


美緒「――さて。 少し早いが、寝支度をするか」スク

キトゥン「……」

ダスティ「~…」スリスリ

美緒「…お前も今夜は静かだな。 結構なことだが、床の間に上がる時は泥を落とせ」

ダスティ「……」ゴロゴロ

キトゥン「……ダスティ、やめて」グイ

ダスティ「ニャアー」

368: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/06(日) 02:24:10.83 ID:MjB6y6Hb0
 
キトゥン「…美緒さん、あの…」

美緒「ん?」

キトゥン「………実は…その、タタミの事なんですけど…」

美緒「……ほぉー。 面白そうな話だな? 聞こう」トスン


キトゥン「……」

美緒「……」ジッ


キトゥン「っ……。 そ、その…ごめんなさいっ!!」バッ

美緒「……」

キトゥン「~~っ」

美緒「…要領を得んな。 何を詫びるかちゃんと言え」クス

369: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/06(日) 02:27:34.51 ID:MjB6y6Hb0
 
キトゥン「…………そこの、タタミの引っ掻きキズ…」

美緒「ああ、これか? 昼に気づいたんだが、いつの間につけてしまっのか……まったく残念だ。 泣けてくる」サスサス

キトゥン「ぅ…っ!」

美緒「…で、これがどうかしたのか?」チラ

キトゥン「……ぁの、実はそれ…今朝うちのダスティがつけちゃったんです」

ダスティ「…~」クァ~

美緒「……ほ~ぅ…」

キトゥン「本当にごめんなさいっ!! すぐに謝りたかったんですけど、その……タイミングが無くて…!」

ダスティ「……」ゴロゴロ

キトゥン「お前も謝るのっ!」ムギュ

ダスティ「っ! ニャア~!」ジタジタ

370: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/06(日) 02:30:43.79 ID:MjB6y6Hb0
 
美緒「……そうか、お前達が」ジロ

キトゥン「っ……」

ダスティ「……」


美緒「…………ふっ――」ニヤ


美緒「はっはっはっは! …よし、許す!!」

キトゥン「……え?」

ダスティ「…ニャア」ダッ

美緒「よくぞ言ったなキトゥン。 私はお前を……いや、お前の相棒の悪戯を許そう」

キトゥン「……よかったぁ~…(絶対怒られると思った)」ヘナヘナ

371: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/06(日) 02:33:33.64 ID:MjB6y6Hb0
 
美緒「友の為に自身が正面から責任を負う事は、思ってもそう簡単に出来はしない。 お前は他を思いやり、己に誠実でいられる人間だ」

キトゥン「(そ、そんな大げさな事かな…?)……ありがとうございます」ポカーン

美緒「部屋を共にする仲だ、信用に足る相手か確認はしておきたかったのでな。 改めてお前を友として迎えよう!」ウム

キトゥン「はあ……(もしかして最初からタタミの事知ってたの?)」

美緒「ふふっ、しかし…。 思った通り、キトゥンは他を護れる素質を持つ者だな。 ……どこか宮藤と似ている」フフフ

キトゥン「へ? な、なんですか急に?」

美緒「ドクターとの問診記録を読んだ。 お前も我々と同じように、人々や街を護っていたのだろう?」

キトゥン「……まぁ、はい。 一応」

372: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/06(日) 02:34:51.14 ID:MjB6y6Hb0
 
美緒「謙遜するな。 お前が素人でないことなど、私にはひと目でわかる」

キトゥン(この人が言うと、冗談に聞こえないんだよねぇ…)

美緒「……」

美緒「あまり自覚は無いか。 ……だが、お前が含蓄するものから学べることもあるかもしれん」スク

キトゥン「……はい?(なんの話?)」

美緒「…消灯までまだ時間があるな、茶を淹れよう。 少し話を聞かせてくれ」スタスタ


――――
――

381: >>1 2014/07/08(火) 00:43:58.24 ID:93m5cryc0
 
美緒「…呼吸?」

キトゥン「自分の中でそう例えてるだけなんですけどね。 実際に息が苦しくなることはないです」

キトゥン「重力の力を使い続けてると途中で切れちゃうので、そうなる前に一度使うのを止めて“息つぎ”をするんです」

美緒「そうか、それで昨日の戦闘も時折能力を断っていたんだな」

キトゥン「はい。 ……そこを狙われてちゃって、結局シャーリーに助けられたんですけど」

美緒「…息つぎをせずに、力が切れたらどうなる?」

キトゥン「少しの間、休む必要があります」

美緒「……それだけか?」

キトゥン「え? はい…。 …あ、あと結構疲れます」

382: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/08(火) 01:10:55.73 ID:93m5cryc0
 
美緒「……息つぎさえ出来ていれば、力は永続的に使えるのか?」

キトゥン「…どうなんだろう? 今の所は……はい…」

美緒「……」

キトゥン「……あっでも! わたしが疲れるのでやっぱり無理ですっ!」

美緒「…お前の飛び回りを見たが、あれだけの飛行に対して息つぎの時間があんな僅かでいいのか?」

キトゥン「少し前までは全然でした。 ちょっと力使ったらすぐ切れちゃったし――」

キトゥン「息つぎで余力が“戻る”のも遅くて……今と違って空中で切れたら絶望的でした」

美緒「成る程、元々はその程度の運用効率だったという訳か。 …能力の出鱈目さを考えれば当然だろう」

美緒「しかしお前は鍛錬を積み、ここまで能力を昇華させた……と」

キトゥン「(特に修行をしたわけじゃないんだけど)……えっと、…そんな感じ…です。 多分」ポリポリ

383: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/08(火) 01:23:19.43 ID:93m5cryc0
 
ダスティ「……」トテトテ

美緒「……大した奴だ」ヒョイ

キトゥン(あ…!)

ダスティ「! ニャア!」ジタジタ

美緒「私もキトゥンを見習わねばな」フキフキ

キトゥン「(ダスティの足拭いてる…!)そ、そうですか…?」

美緒「…ふふ、あやかりたい程だ」ポイ

ダスティ「ニャアー」ゴロン

キトゥン「……」

美緒「もうひとつ、気になっていた事があるんだが……いいか?」

キトゥン「あ、はい。 …なんですか?」

384: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/08(火) 01:41:32.71 ID:93m5cryc0
 
ダスティ「~…」スリスリ


美緒「お前はネウロイのコアが視えるのか?」

キトゥン「コア…?」

美緒「ネウロイの弱点だ。 昨日お前が討ち損じ、私が斬った赤い結晶がそれだ」

キトゥン「……あーっ、やっぱりあそこが弱点だったんですね!?」

美緒「ネウロイの体内にあるアレが、お前には視えていたのか?」

キトゥン「んー…ぼんやりと、赤いのがあるなぁってぐらいで。 ハッキリとは…」

キトゥン「でもなんとなく“あるんだろうな”っていう……感じというか、確信みたいのはあったかも」

美緒「…それもお前の能力なのか?」

キトゥン「うーん……前にも似たような事があったんですけど、わたしが操った訳じゃないし――」

キトゥン「昨日も、こいつが変なもの見せてから勝手に視えるようになったみたいで…」クリクリ

ダスティ「~~」ゴロゴロ

385: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/08(火) 01:59:07.76 ID:93m5cryc0
 
美緒「ふむ、私の魔眼とは違うようだな。 眼で視えるより前……何か別の力で知覚し、その結果視界に捉えているのかもしれん」

キトゥン「……そういえばあの時の声が…」ウーン

美緒「何だ?」

キトゥン「……“存在は気づき”?」ダッケ?

美緒「!」

キトゥン「私にはよくわかんないですけど。 夢に戻れーとか」

キトゥン「……てこんな事、美緒さんに言ってもしょうがないですよね?」アハハ

美緒(存在は気づき……か。 どこかで聞いた覚えが…)ムゥ

キトゥン「?」

美緒「………」

キトゥン「(どうしよう、美緒さん考え込んじゃった!)…あの――」


『消灯時間だ! 部屋に戻れー!』


キトゥン「!」

387: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/08(火) 02:15:09.70 ID:93m5cryc0
 
『えー、今日はアッチの木で寝たいのに~』

『ならばさっさと行け! そして寝ろ! ……お前達もだ』

『は、はいっ! …ルッキーニちゃんまたね? 行こうリーネちゃん』

『うん、おやすみなさいっ!』

『あーん! 続きが気になる~!』

『ルッキーニ少尉っ!!』




キトゥン(…廊下が楽しそう。 わたしも混ざればよかった)ポケー

美緒「……我々も寝よう。 消灯だ」スク

美緒「湯呑は盆の上に置いておけ。 明日起きたら片す」

キトゥン「そんな、自分で洗いますよ?」

388: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/08(火) 02:21:22.13 ID:93m5cryc0
 
美緒「ふっ……私より早く起きれたならば、やらせてやろう」スタスタ

キトゥン「……美緒さん、いったい何時に起きてるんですか…?」

美緒「そうだな。 …今朝、お前は寝坊はしなかったようだが――」

美緒「私は2時間ほど早くには起きていたと思うぞ?」

キトゥン(む、無理!)ガーン

美緒「どうした?」フフフ

キトゥン「…あのぉ~、そんなに早く起きて……いったい何するんですか…?」

美緒「知りたければ、お前も日の出と共に起きることだ」

キトゥン「……」ドヨーン

美緒「手洗いが不要なら、寝床へ行け。 明かりを消すぞ?」

391: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/08(火) 02:29:48.69 ID:93m5cryc0
 

早朝


キトゥン「zzz…」

キトゥン「…ん~……も~…シドーってばドジすぎぃ………へへ……zz」ムニャ


???「……計算外だな」ユラ…


キトゥン「………っ、~~?」

???「まさか記憶を維持しているとは…」

キトゥン「…ん……なに…?」ムクリ

???「お姫様には再び一から楽しんでもらいたかったのだが、飼猫まで付いて来てしまったか。 …つくづく私の期待を裏切る」

キトゥン「ぇ…? …………はぃ…??」グシグシ

キトゥン「――…わっ!!?」ビクゥ

???「お目覚めかな?」

392: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/08(火) 02:34:24.75 ID:93m5cryc0
 
キトゥン「ちょ……なんであんたがっ!?」

???「お前は時を逸り過ぎた。 結局、またも自分の都合で行動した…」

キトゥン「はぁ…? な、なにそれ?」

???「お前は箱の時を待てなかったんだよ、重力姫。 ……それが善だなどと、可愛いのいい正義に酔ってな」

キトゥン「……よくわかんない事ごちゃごちゃ言ってるけど、つまりケンカ売ってる?」ムカ

???「フォーマットには失敗したが、仕方が無い。 異世界の郷に従わぬのなら、私もお前に倣うとしよう…」

???「――踊ってもらおうか、……夢の外で…!」スゥ

キトゥン「っ!? なにす――」


コォォオォ

 

393: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/08(火) 02:37:05.94 ID:93m5cryc0
 
キトゥン「…や――」


『ニャアーッ!』シュダ


???「っ!? ぐっ…!」



ピカァァアアア――


 

394: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/08(火) 02:38:42.82 ID:93m5cryc0
 

――
――――


坂本の部屋


キトゥン「――っ!!」ガバッ

キトゥン「…………」

キトゥン「……ゆ、夢…?」


キトゥン「……」


モソ…


キトゥン「!」ビクッ


ダスティ「……」ヒョコ

395: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/08(火) 02:39:35.23 ID:93m5cryc0
 
キトゥン「……おはよう、ダスティ」ホッ

ダスティ「ニャア」

キトゥン「…はぁ~~ぁ(夢見最悪……なんであいつが出てくるの?)」

ダスティ「……」

キトゥン「…ていうか、外があんまり明るくないなぁ(たしか時計は…)」モソ

キトゥン「………うそっ、すごい!? わたしこんな早起きした事ないよ!」


キトゥン「……」チラ


キトゥン「っ!!(でも美緒さん、もういないしっ!)」ガーン

396: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/08(火) 02:41:12.78 ID:93m5cryc0
 
キトゥン「……早過ぎでしょ。 いったい何やってるの??」


(『知りたければ、お前も日の出と共に起きることだ』フッ)


キトゥン「…気になる。 まだ眠いけど見に行こう!」バサッ

ダスティ「…~」クテ

キトゥン「お前はわたしの代わりに二度寝を頼むよ?」

ダスティ「……」

401: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 19:44:56.60 ID:OV7Z9z7y0
 

宿舎 廊下


キトゥン「……と、部屋を出たものの――」スタスタ

キトゥン「…美緒さん、どこにいるのか知らないや」

キトゥン「この宿の外とか、あんまり勝手に歩くと怒られそうだなぁ」

『あら、…キトゥンさん! どうしたの?』

キトゥン「! ……ミーナさん!」クル


――ツカツカツカ


ミーナ「随分早いわねぇ。 まだ6時前よ?」

キトゥン「あはは…そのぉ~、目が覚めちゃって」

402: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 20:32:05.19 ID:OV7Z9z7y0
 
ミーナ「慣れない環境だとそうよね……体調を崩さないように気を付けた方がいいわ」

キトゥン「あ、ありがとうございます…(基本的には優しいんだよね、ミーナさん)」

ミーナ「それにしても……うふふ」クス

キトゥン「?」

ミーナ「美緒の寝間着よねそれ? 似合ってるわ、素敵よ」ウフフ

キトゥン「…そ、そうですか! ……えへへ」クイクイ

ミーナ「でもそれだと逆ね。 右前になってるわ」グィ

キトゥン「えっ?」

ミーナ「ごめんなさい、いいかしら?」シュル

キトゥン「きゃ!?//」

ミーナ「大丈夫よ、こんな時間に起きているのなんて私と美緒くらいだから。 誰も見てないわ」テキパキ

キトゥン(いや、でも半分外だし……なんだか照れくさい//)

403: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 21:06:20.46 ID:OV7Z9z7y0
 
ミーナ「うふふ、起きたまま出てきたわね? 皺だらけ…」ピシピシ

キトゥン「……」

ミーナ「帯締めるから、腕を上げて?」

キトゥン「…はい」バンザーイ

ミーナ「…よいしょ」クイッ

ミーナ「……」ギュッ

キトゥン「ぅ…!?」

ミーナ「どう? きつくないかしら?」

キトゥン「す、すこし…」

ミーナ「あらっ、ごめんなさい!」シュル

キトゥン「…ふぅ」

404: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 21:46:34.70 ID:OV7Z9z7y0
 
ミーナ「………」

ミーナ「…このぐらいかしらね?」ギュ

ミーナ「帯まわりの皺を両脇に寄せて、…前後ろをピッチリさせるといいわ」ピシッピシ

ミーナ「……はい、どうかしら?」ポン

キトゥン「…わぁ、きれい! 美緒さんより速いかも!」

ミーナ「そんなことないわよ? 私だって坂本少佐に教わったんだから……本格的な扶桑服の着付けは無理だし」ウフフ


キトゥン「……(なんか締め付けが強いとシャキっとする!)」クイクイ

ミーナ「…」


ミーナ「………髪もグシャグシャね?」

405: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 21:50:59.05 ID:OV7Z9z7y0
 
キトゥン「あはは~、本当に起きたままなんで //」ポリポリ

ミーナ「触ってもいいかしら?」

キトゥン「え? …はい、まぁ」

ミーナ「手櫛でわるいんだけど、簡単に……ね?」サワ

キトゥン「…あのっ、別に平気ですよ!?」アワアワ

ミーナ「ダメよ? 女の子なんだから。 外を出歩くなら、それなりの身だしなみにしないと」クシクシ

ミーナ「うふふ、可愛く結っちゃって…。 意識は出来てるんだから、怠けちゃダメよ?」

キトゥン「は、はい…(ちょっと歩くだけなのに)」

ミーナ「……」スッスッ

ミーナ「………(前髪の分け目はこの辺りかしら?)」チョイチョイ

キトゥン(すごく真剣だ…!)

406: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 22:18:49.20 ID:OV7Z9z7y0
 
ミーナ「…はい! とりあえずはこれで、恥ずかしくないわ」ニコ

キトゥン「……ありがとうございます(ちょっと鏡みたい…)」

ミーナ「こんな所で少しお行儀が悪かったかしらね?」

ミーナ「キトゥンさん、暇なら私の部屋でゆっくりして行く? お茶でも淹れようかしら」

キトゥン「あ、いえ…。 実は、美緒さんを探してて…」

ミーナ「美緒を?」

キトゥン「毎日こんなに朝早く起きて何してるのかなぁと思って」

ミーナ「……多分、今日も自主訓練でしょうね」

キトゥン「うわ…!?」ガーン

ミーナ「彼女の習慣なのよ。 宮藤さんを連れて指導している時もあるわ」

キトゥン(芳佳も大変だなぁ)

407: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 22:40:22.81 ID:OV7Z9z7y0
 
ミーナ「さっき見てきたら宮藤さんも起きてるみたいだから、今朝はとりあえず安心ね」ハァー

キトゥン「? 安心ってどういうことですか?」

ミーナ「……」

キトゥン「…?」

ミーナ「…私達ウィッチには、ウィッチでいられる寿命があってね? 二十歳を過ぎるころには殆どが魔法力を失うの」

キトゥン「そうなんですか(という事は、皆20歳以下なんだ?)」

ミーナ「坂本少佐はもう二十歳を迎えていて、魔法力の減衰も始まっているわ。 シールドも張れないし、ネウロイと戦うなんて本当なら到底無茶なのよ」

キトゥン「……え? でも、この間だってやっつけたじゃないですか?」

ミーナ「少佐は抗っているのよ。 ウィッチである自分に抗って、ウィッチであり続けようと必死なの」

ミーナ「烈風丸も、そんな彼女の想いが生んだひとつの答えなのかもしれないわね」

408: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 22:43:11.77 ID:OV7Z9z7y0
 
ミーナ「……でもその矛盾が、余計に彼女の首を絞めてもいるから…」ギュ

キトゥン(ミーナさん? …なんだか辛そう)

ミーナ「ここだけの話、私達に隠れてかなり無茶な特訓もしているわ」

キトゥン「この時間にですか?」

ミーナ「ええ、独りの時はね。 宮藤さんが寝ていれば、いつも私がこっそり様子を見に行くのよ」

キトゥン(それでミーナさんもこんな早くに…!)

ミーナ「キトゥンさんが同室になれば少しは気にするかと思ったけど、昨日も結局……」

キトゥン「……」

ミーナ「ごめんなさい、こんなこと聞かされても困るわね?」ニコ

キトゥン「あ、いえ…」

ミーナ「いつもの場所にいると思うけど、見てくる?」

409: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/12(土) 11:39:51.52 ID:IPX4Jh5z0
 

浜辺


芳佳「えぃ! やぁ!」ブンブン

美緒「宮藤、振りが雑になっているぞ? 引き戻しも甘い! ひと振りずつ丁寧にだっ!」ペシッ

芳佳「はいっ!」ブン

美緒「これは剣術の修練ではない! その意味を考えろ」

芳佳「はい! …………よくわかりません!」ブン

美緒「ならば振り続けろ!」

芳佳「はいぃ!」ブンブン

美緒「足も動かせ」




キトゥン「……すごいね。 朝から」ノゾキ

410: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/12(土) 11:43:26.10 ID:IPX4Jh5z0
 
美緒「! 誰だ?」チラ


キトゥン「!?」ドキッ


美緒「……キトゥンか?」

芳佳「――ぇ? キトゥンさん!?」ピタ

美緒「そんな所でどうした? こっちへ来い」


キトゥン(ばれちゃった…!)ガサ


キトゥン「おはようございまぁーす…」スタスタ

芳佳「おはようごさいます、キトゥンさん!」

美緒「本当に起きてくるとはな、驚いたぞ? わっはっは!」

キトゥン「あはは、偶々です」ポリポリ

411: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/12(土) 11:47:00.60 ID:IPX4Jh5z0
 
美緒「だが寝巻きのまま外をうろつくのは感心できんな」

キトゥン「ぁ、すみません…」

芳佳「でも浴衣の着方上手ですね! 綺麗に着直してありますよ!?」

美緒「宮藤、あれは襦袢だ」

キトゥン「…これはさっきミーナさんにやってもらったの」エヘヘ

芳佳「へぇー! ミーナ中佐上手―!」

美緒「肌襦袢ではないから、みてくれは問題ないが……一応下着の一種だぞ?」

キトゥン「え゛っ!?」

芳佳「え? でも、襦袢は“見せ下着”だっておばあちゃんが言ってましたよ!?」

美緒「まぁな。 中佐も浴衣だと思ったのだろうし、黙っていれば平気か」

キトゥン「………」

412: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/12(土) 11:53:19.11 ID:IPX4Jh5z0
 
美緒「…しかしそうか、此処も中佐から聞いたんだな?」

キトゥン「…は、はい」

美緒「ミーナも早起きだな。 多忙なのだから睡眠ぐらいしっかり取ればいいものを」

キトゥン「……(余計なことは言わないでおこう)」

芳佳「坂本さん! 私も昨日の疲れが抜けてません!」ハイ!

美緒「…そうか。 よし、更に汗をかいて活を入れるぞ!」

芳佳「えぇー! なんでそうなるんですかぁ!?」ガーン

美緒「今寝たら、お前は起きられないだろう?」

芳佳「そんなぁ~」ヘナヘナ

キトゥン(そりゃ昨日あんなに走ってたもんね?)

413: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/12(土) 12:30:10.76 ID:IPX4Jh5z0
 
美緒「だらしのない奴だ。 ……まあいい、宮藤は少し休んでいろ」

芳佳「えぇ!? いいんですか!!」

美緒「……何を驚いている?」

キトゥン「やったね、芳佳」

美緒「…キトゥン! せっかくだ、お前も少し体を動かしていけ」

キトゥン「え?」

美緒「私と立ち合いだ、付き合え」

芳佳「坂本さん!?」

キトゥン「えっ! そんな……こんな格好で嫌です(どっちみち嫌だけど)」

美緒「ほんの軽くだ。 裾と袖は私が縛ってやろう」

キトゥン「えー…」


――――
――

416: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 13:10:48.18 ID:MiJGp07M0
 
キトゥン(なんでこんなことに…)


芳佳「キトゥンさん! 頑張ってくださーい!」

美緒「剣術の心得は無いだろう? 武器は使わん」ポイ

美緒「素手空拳で試合う。 勝ちも負けもない、互いに攻撃を避け、防ぎ、中てるを行う」

キトゥン「…い、いつ終わるんですかそれ?」

美緒「程のいい時点で私が止める。 参ったなら降参してもいいが――」グッグッ

キトゥン「……」

美緒「下手な手抜きはするな。 軽くとは言ったが、手刀も中々に痛いぞ?」スッ

キトゥン(まるで罰ゲーム…)

417: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 13:27:59.82 ID:MiJGp07M0
 
美緒「準備はいいか? 構えていない様だが」

キトゥン(……え~い、もうっ! さっさと終わらせよう!)グッ

美緒「…宮藤! 合図を頼む」

芳佳「あ、はい!」



美緒「……」


キトゥン「……」ゴクリ



芳佳「はじめーっ!」



美緒「――っ…」ダッ

キトゥン「わっ!?」

418: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 13:38:16.98 ID:MiJGp07M0
 
美緒「ふぅっ――」シュッ

キトゥン「ッッ!」バッ


スカッ


美緒「!」

キトゥン「~ッ、…ビックリした!」ザザッ

美緒「……いい反応と身のこなしだ。 やはり私の見立て通り」

キトゥン(速いとか、そういうの以上になんか……怖いっ!)

美緒「どうした? お前も打ってこい」チョイチョイ

キトゥン「ぇ……でも…」

美緒「わっはっは! 心配するな、中る事などまずない」

キトゥン「!」ムッ

419: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 13:43:25.00 ID:MiJGp07M0
 
美緒「(ふふっ…)私を掠めでもすれば、終わりにしてやる。 なんなら勝ちをつけてやってもいいぞ?」ワハハ

キトゥン「………わかりました! 怪我しても知りませんからねっ!!」ダッ

美緒「よし、来いっ!」


キトゥン「やぁ!」シュッ

美緒「!(蹴りか!)」スカ

キトゥン「ふん! やぁっ!」シュシュッ

美緒(多段蹴りが速いな、やはり戦い慣れている。 ここは返さず引――)ササッ

キトゥン「…っ」

美緒「(――! 呼吸が空いた)…は!!」シュッッ

キトゥン「ッ!」バッ

420: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 13:51:31.16 ID:MiJGp07M0
 
美緒「……」

キトゥン「っ……はぁ…」フゥー


美緒(……間合いが甘かったか。 手刀と蹴りでリーチの差が出ているな)

キトゥン(どうしよう…、本当にあたらない!)




芳佳「…キトゥンさんすごい! 坂本さんと互角だ!」

芳佳(バック転で避けるなんて、漫画だけかと思ってた…!)ドキドキ

『ニャアー』

芳佳「?」チラ

ダスティ「……」トテ

芳佳「あ、猫だ(かわいい)」

422: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 16:51:30.70 ID:MiJGp07M0
 

キトゥン「たっ! やぁ!」シュシュッ

美緒「攻撃のリズムがワンパターンだぞ、キトゥン!」サッ

美緒「…それでは簡単に割り込めるっ!」シュッ

キトゥン「ぅ…!?」カスッ

美緒(…とは言え、長襦袢にハイヒールにも拘らず砂地でこれだけできるのは予想以上だ)

美緒「(よし、だいたいわかった。 一度決めてから〆るか)……未熟ながら講導館剣術門下の腕前、そろそろ披露しよう!」シュダ

キトゥン「!!」

美緒「シッッ!!」ヒュッ

キトゥン「ひゃ!?」サッ

美緒「はぁっ!!」シュシュッ

423: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 17:00:15.41 ID:MiJGp07M0
 
キトゥン「くっ…!」


美緒「――!」


美緒「甘い!!」ガッ

キトゥン(足を…!?)グラ


美緒「(悪いな、少し痛いぞ?)ッ――」シ

キトゥン「っ!!」ブワン


シュンッ


美緒「――!? (外した!?)」スカッ

キトゥン「やぁっ!」

美緒「な…!?(後ろ!!?)」

425: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 17:05:47.92 ID:MiJGp07M0
 

ビュッ――


キトゥン「っ…」ザザッ


美緒「……」



キトゥン(…う~、やっぱり外した。 もうどうしようもないんだけど!?)ゼェー

美緒「……終了だ、キトゥン」スッ

キトゥン「…………へ?」

美緒「僅かだが、今のは頬を掠めた。 避けきれなかったようだ」ツンツン

キトゥン「うそ!? やった!」

426: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 17:10:56.72 ID:MiJGp07M0
 
美緒「しかし能力を使っただろう? …残念だが、勝ちはやれんな」

キトゥン「ぁ……バレてました?」ギク

美緒「体制が崩れたあの状態から、急に体が横に流れるわけないだろう」

美緒「そのまま急旋回して後ろをとる所まで含めて常人業ではない。 おまけにいつの間にか跳躍して中段から顔めがけて蹴り下ろすとは」フッ

キトゥン「す、すみませんでした。 つい、うっかり……なんというか」

美緒「わかっている、体が動いてしまったのだろう? 熟練者にはある事だ、気にするな」ワッハッハ

『坂本さぁーん! キトゥンさぁーん!』


タッタッタッ


芳佳「終わったんですか? すごかったですね!」ステテ

美緒「ああ。 キトゥンは空戦だけでなく地上戦にも長けていたな」ウム

キトゥン「!? ……ちょっと芳佳、その抱えてるやつ…!」

427: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 17:12:58.11 ID:MiJGp07M0
 
芳佳「はい! 猫です!」

ダスティ「ニャア」

芳佳「えへへ~」スリスリ

ダスティ「……」

キトゥン(ダスティ!)ガビーン

美緒「…よし、感謝するキトゥン。 いい刺激になった」

キトゥン「あ、いえ。 どういたしまして」

美緒「今日からまた、私もお前に倣って更に精進するとしよう!」ワハハ

キトゥン「……」


(『ウィッチである自分に抗って、ウィッチであり続けようと必死なの』)
(『…でもその矛盾が、余計に彼女の首を絞めてもいるから』)


キトゥン(……あまり張り切りすぎないで欲しいなぁ)

430: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 19:50:19.50 ID:MiJGp07M0
 

昼間

トリオの部屋


キトゥン「ん~~…」モゴモゴ

ペリーヌ「ちょっとキトゥンさん? スプーンを咥えたままそのようにするのは行儀が悪いですわ」

ペリーヌ「そもそも、ティースプーンは口に含むものではありません。 貴女もガリアの淑女なら――」

キトゥン「~~(美緒さん、大丈夫かなぁ?)」モゴモゴ

ペリーヌ「聞こえていましてっ!」

リーネ「ぺ、ペリーヌさん。 大きな声を出すのもあまりお行儀よくは…」

ペリーヌ「なんですか! リーネさん!?」キッ

リーネ「ぁ、その……ごめんなさぃ」

431: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 20:25:32.33 ID:MiJGp07M0
 
芳佳「…キトゥンさん、どうかしたんですか?」ユサユサ

キトゥン「ぇ? …あ、なに? ごめん、聞いてなかった!」

芳佳「なにか悩み事ですか?」

キトゥン「あーっと、悩みってわけじゃないんだけどね。 ちょっと考え事してて、あはは~」

芳佳「力になれないかもしれないけど、私でよければ聞きますから!」

キトゥン「そっ、そんなんじゃないってば!」ワタワタ

ペリーヌ「宮藤さんも相変わらずですわね。 今朝までは自分の悩み事の話をしていたのに」ハァー

リーネ「その悩みもガリアの人達の事だもんね?」

芳佳「…だって、私は皆に……ペリーヌさんにも笑顔でいて欲しいですから!」

ペリーヌ「そっ、そういう恥ずかしい台詞はよしなさいっ! //」プイ

432: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 20:30:17.22 ID:MiJGp07M0
 
キトゥン「……なんの話?」

リーネ「芳佳ちゃんの提案で、近いうちにもう一度ガリアに行けないかなって。 昨日から3人で話していたんです」

芳佳「治療した人達の容体も気になりますし、その……キトゥンさんも何か思い出すかもしれないと思って」

キトゥン「へ? わたしも!?」

ペリーヌ「ええ。 貴女を見つけたあの日、例の公園の近くにいた方を見つければ何かわかるかもしれませんし」

リーネ「復興のお手伝いもまた少し協力出来たらなって…」

キトゥン「そ、そっか。 あはは、そうだね…(記憶はバッチリあるんだけど)」

キトゥン(……でも確かに、記憶はともかく、色々謎なことやヘキサヴィルへ帰る手掛かりが見つかるかも!)

キトゥン「(ネウロイに襲われた国の人達もほっとけないし!)…その考え、わたしも賛成!」

芳佳「ほんとですか! やったー!」

リーネ「よかったね、芳佳ちゃん」ニコニコ

433: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 20:33:53.14 ID:MiJGp07M0
 
ペリーヌ「“やった~”は結構ですけどっ! 実行するにはまだ問題がありますわ」

ペリーヌ「外出申請は控えるよう言われて早速、わたくし達が4人もガリアに行くことが許可されるわけありませんわ」

ペリーヌ「加えて言えば、キトゥンさんを連れ出してよろしいのかどうかも不明ですし」

芳佳「…またガリアの復興支援で行けばいいよね?」

リーネ「芳佳ちゃん、それは無理だと思う…」

芳佳「えぇ? どうして?」

ペリーヌ「先日の派兵だってかなりの無理をして頂いたのに、“またお願いします”なんて言えるわけないでしょう!」

ペリーヌ「501からの正式な支援はすぐには難しいですわ。 わたくし達が個人的に出向くしかありません」

芳佳「で、でもガリアまで外出なんてミーナ中佐は…」

リーネ「……許可してくれないよね…」

ペリーヌ「ロマーニャを護る役目も、決して疎かにはできませんもの。 仕方がありませんわ」

434: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 20:35:39.99 ID:MiJGp07M0
 
キトゥン「…んー、ちゃんと理由はあるんだし、言うだけ言ってみない? ミーナさんならしっかり聞いてくれそう」

ペリーヌ「た、確かにそうでしょうけど……」

芳佳「そうだね! うんっ!!」ガタッ

リーネ「きゃ! 芳佳ちゃん?」

芳佳「それじゃあ、早速言いに行こう!」

キトゥン「よし!」ガタッ

リーネ「え? あの……今から?」


芳佳&キトゥン「そうだよ!」


ペリーヌ(困りましたわ、キトゥンさんも宮藤さんタイプのようですわね)ガク

435: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 20:37:13.29 ID:MiJGp07M0
 

執務室


ミーナ「気持ちはわかるけど……そうねぇ…」

芳佳「お願いします!」

ミーナ「そういう場合、貴女達だけで行かせる訳にもいかなくなるわ。 士官クラスの上官を付けてウィッチが4人も留守にするのは駄目よ」

リーネ「……」

ペリーヌ「……」

芳佳「でも、この前は…!」

ミーナ「宮藤さん? 私は意地悪で言っている訳じゃないの。 わかるわよね?」

芳佳「……はい」

436: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 20:39:18.71 ID:MiJGp07M0
 
キトゥン「ミーナさん、わたしからもお願いします! 帰る方法の手がかりが見つかるかもしれないし」

ペリーヌ「方法?」

ミーナ(キトゥンさん、それ以上はやめなさい)ジロ

キトゥン「!?」

ペリーヌ「?」

ミーナ(…このまま食い下がられたらキトゥンさんがボロを出しかねないわね…。 それに――)

ミーナ「……確かに、貴女の記憶の手掛かりにはなるかもしれないわ?」ンー

ミーナ「上からの指示もあるけど、出来るならキトゥンさんは早く家に返してあげるべきだし…」

437: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 21:02:48.41 ID:MiJGp07M0
 
芳佳「! じゃあ…!?」

ミーナ「………」

ミーナ「…宮藤さんとキトゥンさんの動機はわかったわ。 それで、リーネさんとペリーヌさんだけど――」

リーネ「わ、わたしはその……芳佳ちゃんのお手伝いとか…」

ペリーヌ「はい、ガリア復旧活動の支援です!」

ミーナ「……私も貴女達の志には共感するわ。 だからこそ、また改めて派兵する機会を作ります」

ペリーヌ「えっ! しかしそんなこと…?」

ミーナ「必ず作ります」

ミーナ「…だから、今回は自重できないかしら?」

リーネ「ぅ…」

438: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/13(日) 21:22:16.89 ID:MiJGp07M0
 
ペリーヌ「…リーネさん、わたくしも残念ですがこう言われてしまっては――」

リーネ「で、でもっ! 野営の診療テントとか……だ、誰が設置するんですか!?」

ペリーヌ「ちょっとリーネさん!?」

ミーナ「輸送機の操縦者を含めて幾人かの基地員が随行します。 補助は彼らに任せなさい」

リーネ「……」

芳佳「リーネちゃん…」

キトゥン「……」

ミーナ「宮藤さんとキトゥンさんに監督者の士官を加えた3人で行ってもらいます。 いいですね?」

リーネ「……了解」

ミーナ「監督者と日程は私の方で指定しますから、ふたりは指示を待って頂戴」

芳佳「…はい」

キトゥン「はーぃ」

443: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/18(金) 01:50:29.99 ID:NKHtRcq80
 

宿舎 廊下


キトゥン「一応目的は果たせたけど、なんか後味悪くなっちゃったね?」スタスタ

芳佳「うん…」スタスタ

キトゥン「…仕方ないよ芳佳。 ふたりの分もガリアの人達助けてあげよう?」

芳佳「…………そうだよね。 うん!」

キトゥン「たしか瓦礫の片付けとかあるんでしょ? そういうのわたし得意だから!」

芳佳「はい! 頑張りましょう!」

『なんの話してーんのっ?』


ムギュ


キトゥン「ひゃっ!?//」ビクッ

芳佳「ルッキーニちゃん!」

444: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/18(金) 01:55:46.99 ID:NKHtRcq80
 
ルッキーニ「ん~♪ 今日はいい匂いだ~」スンスン

キトゥン「(今日は?)…ルッキーニ、ビックリするからそれやめてよ」

ルッキーニ「ねーねー、お風呂入ったの?」

芳佳「朝ごはんの前に坂本さんと一緒に入ったよ。 危うく行水になっちゃうところでしたよね?」

キトゥン「…あー、ホント危なかったね…アレは」

ルッキーニ「……ふーん、だから今日はにお――」

『おーい、ルッキーニ! 何やってんだよお前ー!!』

ルッキーニ「にゃ! シャーリー!」


タッタッタッ


シャーリー「お前さぁ……人に手伝わせといてサボるなよ…」ガク

ルッキーニ「ちがうよぉ~! 今から聞き込みしようと思ってたんだもーん!」

445: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/18(金) 01:58:24.38 ID:NKHtRcq80
 
キトゥン「聞き込み?」

芳佳「なにかあったんですか?」

シャーリー「いや、別に事件とかじゃないから。 …ちょっとルッキーニの探し物をさ?」

芳佳「何探してるの、ルッキーニちゃん?」

キトゥン「……(…あれ? これってなんか前にも――)」

ルッキーニ「あのねーぇ、こないだの黒猫! さっき見つけて追いかけてたの!」

芳佳「えぇ! まだ追いかけてたの!?」

キトゥン(やっぱり!)

シャーリー「ていうかあの猫、キトゥンの使い魔だろ? この前一緒に飛んでたじゃん。 あたしにフラッシュかました奴」

キトゥン「あ、それは……ごめん!」

シャーリー「ん? あはは! 別にキトゥンのせいじゃないよ」

446: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/18(金) 02:01:11.80 ID:NKHtRcq80
 
シャーリー「でも当事者には仕返ししないとなぁ~。 ……肉球フニフニしてやるか!」

キトゥン(ダスティも大変だ…)

芳佳「キトゥンさんの猫って……朝の、あの猫?」

キトゥン「そうそう、気儘でなまいきな奴。 一応ダスティって言うんだけど」

芳佳「キトゥンさんの使い魔だったんだ!?」

キトゥン「使い魔? ……まぁ、確かにそんな感じなのかな?(ちょっとかっこいいかも!)」

シャーリー「おもしろいよなぁ、体外で使役するなんてさ?」

芳佳「なんか本当に使い魔って感じがしていいですね!」

キトゥン「…芳佳達にもいるの、使い魔?」

芳佳「はい! いますよ」

447: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/18(金) 02:03:24.18 ID:NKHtRcq80
 
シャーリー「…本当になんにも知らないんだな?」フィィン ピョコ

キトゥン「!?」

シャーリー「これだよ」チョイチョイ

キトゥン「そっ、それ〈獣耳〉本物だったんだ!? てっきりかわいい衣装かなんかかと――」

シャーリー「あははは! そんなふざけたことはしねぇよ」シュルル

キトゥン「ぇ…」


シャーリー「でもいいな、それ?」

ルッキーニ「あたしはパンサー!」ガオー

シャーリー「…宮藤は犬の格好してさ?」クスクス

芳佳「えぇ! は、恥ずかしいですよぉ!」

キトゥン「……(わたしは近いことした経験あるよ、芳佳)」

448: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/18(金) 02:05:43.16 ID:NKHtRcq80
 
ルッキーニ「よしかー! ワンっていってぇ? ワンッ!」

芳佳「え、えぇ? ……わん」

ルッキーニ「ガオー!!」ダキ

芳佳「えぇぇ!? どういう事っ!?」

ルッキーニ「よしか~! ワンだってばぁー?」

芳佳「わ、わん!?」

ルッキーニ「ガオー!」ギュー


キトゥン(和むなぁ…)


シャーリー「……そんじゃあたしは用があるから、またな?」ポン

キトゥン「あ、うん」

449: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/18(金) 02:09:23.82 ID:NKHtRcq80
 
ルッキーニ「――あっ! 待ってシャーリー、猫まだ捕まえてないよ!?」

シャーリー「ちぇ、覚えてたか…。 あたしユニット弄りに戻りたいんだけど?」

ルッキーニ「ん~~~やだ~~!」グリグリ

芳佳「る、ルッキーニちゃん! 私はシャーリーさんじゃな……くすぐったいっ//」

シャーリー「駄々こねんなって」

ルッキーニ「~……」

シャーリー「明日また付き合ってやるよ?」

ルッキーニ「……芳佳のムネ、かたぃ…」ギュ

芳佳「ルッキーニちゃん!??」

450: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/18(金) 02:12:44.84 ID:NKHtRcq80
 
キトゥン「(ん~…ここはひとつ、ダスティ呼んでみるか)…ねぇ、誰かビスケット持ってない?」

シャーリー「? なんだよ急に……腹減ったのか?」

ルッキーニ「………あたしも食べたぃ…」ギュー

芳佳「ルッキーニちゃん。 私、動けないから…そろそろ…」モゾモゾ

キトゥン「えっと、そうじゃなくて。 ダスティ――使い魔呼ぶからさ?」

シャーリー「…? クラッカーならあるけど――」ゴソ

ルッキーニ「!」ピク


ルッキーニ「…ちょうだーい!」ピョン

シャーリー「おいおい」

ダスティ「ニャア」ピョン

シャーリー「うぉあ!? ビックリした!」

451: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/18(金) 02:15:08.71 ID:NKHtRcq80
 
キトゥン「ほら来た。 こいつ、いやしんぼだから」

芳佳「あはは(ルッキーニちゃんみたい)」

ダスティ「……」

キトゥン「なに? 不服? 間違ってないでしょ?」ジト

ダスティ「……」

シャーリー「ほら、ルッキーニ。 今チャンスだぞ?」ポイ


ダスティ「…………」プイ


シャーリー「あれ? 食わねぇ!」

キトゥン(ダスティもこういう所、人間くさいよね…)

ルッキーニ「捕まえたー!!」ウジュー

ダスティ「!」

452: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/18(金) 02:17:17.86 ID:NKHtRcq80
 
ルッキーニ「やたー!」ギュ

ダスティ「~!」ジタジタ

ルッキーニ「ほら、見て! キラキラカッチョイイ~!」

シャーリー「ホントだな? 改めて見ると結構かわいいじゃん」ニギ

シャーリー「…肉球もやわらかい」フニフニ

ダスティ「ニャアー!」ジタジタ

芳佳「あの、ふたりとも! あまり乱暴しちゃ駄目ですよ!?」

キトゥン(うーん…、ダスティがかつてないほど人気!)

453: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/18(金) 02:19:43.97 ID:NKHtRcq80
 

ダスティ「…っ――」フッ

ルッキーニ「にゃ?」

シャーリー「! 消えた!?」


ダスティ「――……」ユラ…

芳佳「わぁ!? え?」

ダスティ「……」ヨジヨジ

芳佳「わわっ! あの…?」

キトゥン「……芳佳のこと気に入ったの?」

ダスティ「ニャア」

芳佳「そ、そうなの? ……えへへ」ナデナデ

454: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/18(金) 02:22:16.74 ID:NKHtRcq80
 
ルッキーニ「あ~、芳佳! かえしてー!」

シャーリー「宮藤、そいつを渡してくれ? まだフニフニし足りねぇ!」

芳佳「ぅ、えっと…」

ダスティ「……」

ルッキーニ「うじゅじゅ~~…」ジリ

シャーリー「ぐへへ~~…」ジリジリ

芳佳「に、逃げよう! ダスティちゃん!!」ダッ

ルッキーニ「うじゃ! 逃げたっ!」

シャーリー「くそっ! 待てぇー!」


バタバタバタ――


キトゥン「……」

キトゥン「あの調子なら夜は寝そうだね(よかった、よかった)」チラ


キトゥン「――!」


キトゥン「…ん? なんだろう、あんな所に誰かいる…?」ジー

455: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/18(金) 02:25:48.41 ID:NKHtRcq80
 

???「…」



キトゥン「……芳佳達を見てる…? ていうか、あれ…男の人だよね?」

キトゥン(兵隊の人? でもそれっぽくないし……それにここ、確か女の子しか――)

キトゥン「!!」ハッ

キトゥン「…ま、まさか覗き!! ストーカーとか!?」



???「…」



キトゥン(やっぱり向こうの方を見てる! …芳佳達以外、特に眺めるような物もないよね!?)キョロ

キトゥン「…よーし! わたしが捕まえて問い質してみよう!」チラ

キトゥン「――…!?」


……


キトゥン「…………あ、あれ? いない…!?」

キトゥン「…うそ! あれっ?」キョロキョロ

キトゥン「……」

キトゥン(見間違いだったかな…??)


次回 芳佳「ネヴィ?」 キトゥン「ネウロイ?」 後編