タイトル変更
・皐月&磯風『可愛いね』、投下します
フリルのついた服を着ていた模様
・皐月&磯風『可愛いね』、投下します
フリルのついた服を着ていた模様
引用元: ・【艦これ】浦風「姉さんが拗ねとる鎮守府」大鳳「最近私の影が薄い鎮守府」
艦隊これくしょん -艦これ- 「駆逐艦 浦風 -Ceylon Tea Party-」フィギュア
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売り上げランキング: 129,650
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633: ◆UeZ8dRl.OE 2015/04/30(木) 00:53:11.16 ID:QBDe6fQF0
(今度の秘書艦日はこれを着て司令官をびっくりさせちゃおっかな――アレ?)
夕暮れ時、皐月は買い物から鎮守府へと帰って来た。
そして、駆逐艦寮へ戻る途中、ある艦娘が寮の屋上に居るのを見つける。
その姿に遠目ではあるものの何か放っておけない雰囲気を感じ取り、彼女は部屋へとすぐには戻らず屋上を目指した。
階段を上がり扉を開けると、その艦娘はすぐに皐月に気付き、柵に背中を預けながら後ろへと振り返る。
「どうした皐月、こんな時間に屋上に用か?」
「そういう磯風こそ何してるのさ」
「私は、海を眺めていた」
「わざわざ屋上の鍵を借りて海を見に来たの?」
「何故か、そういう気分になった」
「ははっ、変なの」
歩み寄って隣に立ち、皐月は同じ様に柵へと背中を預けた。その直後、少し強めの風が吹き、二人は髪を押さえる。
「――如月」
「如月姉がどうかした?」
「如月が口癖の様に言う“髪が傷む”というのが、私にはよく分からない」
磯風の言っているのがただそのままの意味でないことは、皐月にもすぐに分かった。
必要以上に如月が髪を気にかけるのは深海棲艦との戦いの名残からであることを、妹の彼女が知らないはずもない。
「バッシバシに固まったり、焦げたり抜けちゃったり、結構大変だったんだよ。あんまり昔は気にしてなかったけど、今同じ様になったらボクもかなり気にするかも」
「入渠すればそれは治るのではないのか?」
「アレ、浸かってないと意味が無いんだよ。首から上はタオルに染み込ませて当てたりしなきゃいけなくってさ、すっごく面倒なんだ」
「……そういう知識も、私には無い。再び戦いが起こることを願ったりはしないが、お前達のその共有してきた時間と経験は、純粋に羨ましいと思っている」
「それってつまり、自分が仲間外れみたいで寂しいってこと? ははっ、磯風にもそういう可愛いところあったんだね」
「寂しい、か……だからなのかもしれないな。皐月、話に付き合ってくれて感謝する。――それと、可愛いという言葉は今のめかし込んだお前の方が相応しいぞ」
屋上から歩き去る磯風。その後ろで、皐月は照れ臭そうに笑うのだった。
夕暮れ時、皐月は買い物から鎮守府へと帰って来た。
そして、駆逐艦寮へ戻る途中、ある艦娘が寮の屋上に居るのを見つける。
その姿に遠目ではあるものの何か放っておけない雰囲気を感じ取り、彼女は部屋へとすぐには戻らず屋上を目指した。
階段を上がり扉を開けると、その艦娘はすぐに皐月に気付き、柵に背中を預けながら後ろへと振り返る。
「どうした皐月、こんな時間に屋上に用か?」
「そういう磯風こそ何してるのさ」
「私は、海を眺めていた」
「わざわざ屋上の鍵を借りて海を見に来たの?」
「何故か、そういう気分になった」
「ははっ、変なの」
歩み寄って隣に立ち、皐月は同じ様に柵へと背中を預けた。その直後、少し強めの風が吹き、二人は髪を押さえる。
「――如月」
「如月姉がどうかした?」
「如月が口癖の様に言う“髪が傷む”というのが、私にはよく分からない」
磯風の言っているのがただそのままの意味でないことは、皐月にもすぐに分かった。
必要以上に如月が髪を気にかけるのは深海棲艦との戦いの名残からであることを、妹の彼女が知らないはずもない。
「バッシバシに固まったり、焦げたり抜けちゃったり、結構大変だったんだよ。あんまり昔は気にしてなかったけど、今同じ様になったらボクもかなり気にするかも」
「入渠すればそれは治るのではないのか?」
「アレ、浸かってないと意味が無いんだよ。首から上はタオルに染み込ませて当てたりしなきゃいけなくってさ、すっごく面倒なんだ」
「……そういう知識も、私には無い。再び戦いが起こることを願ったりはしないが、お前達のその共有してきた時間と経験は、純粋に羨ましいと思っている」
「それってつまり、自分が仲間外れみたいで寂しいってこと? ははっ、磯風にもそういう可愛いところあったんだね」
「寂しい、か……だからなのかもしれないな。皐月、話に付き合ってくれて感謝する。――それと、可愛いという言葉は今のめかし込んだお前の方が相応しいぞ」
屋上から歩き去る磯風。その後ろで、皐月は照れ臭そうに笑うのだった。
634: ◆UeZ8dRl.OE 2015/04/30(木) 00:53:50.36 ID:QBDe6fQF0
――――磯風と皐月って、仲が良いの?
――――理由は知らんが、最近よく一緒に居るな。何にせよ、色々な艦娘同士に交流が生まれるのは良い傾向だ。
――――浜風がハラハラしながら後ろをついて回ってるようだけど……。
――――アイツは子離れ出来ない親か……。
――――理由は知らんが、最近よく一緒に居るな。何にせよ、色々な艦娘同士に交流が生まれるのは良い傾向だ。
――――浜風がハラハラしながら後ろをついて回ってるようだけど……。
――――アイツは子離れ出来ない親か……。
641: ◆UeZ8dRl.OE 2015/05/02(土) 00:13:30.40 ID:dIMR0tET0
「提督、いつものです」
「またか……で、今回は誰でどこにいる?」
「先程は瑞鶴のところに居ましたが、今は雲龍型の私室だと思います」
「分かった。加賀、ちょっと書類任せるぞ」
「空母ですので、あの子にも話をしておいて下さい」
「了解、飛龍と蒼龍にも声をかけておくことにする」
「葛城、おにぎり食べる?」
「葛城、一緒に歌を歌ってみませんか?」
「えーっと……何、この状況?」
「慣れなさい、ここはこんな感じだから」
姉妹の挨拶もそこそこに、葛城は姉からおにぎりとマイクを差し出される。
一緒についてきた瑞鶴が平然としているのを見て、彼女も一瞬でここではこういうのが普通なのだと察した。
「俺だ、入るぞ」
「提督もおにぎり、いる?」
「男女のデュエット曲も覚えました」
「おかかがあればもらう、カラオケはまた今度にしてくれ。それでお前が雲龍型の葛城……だよな?」
「そうよ、見て分かんないの?」
「……瑞鶴、そこの二人だと色々抜けるかもしれん。ついでだしお前が面倒見ろ」
「私はいいけど、葛城は?」
「是非!」
「じゃあ決ま――」
――――葛城が発見されました。
――――提督が口におにぎりを突っ込まれながら歌を歌わされました。
「またか……で、今回は誰でどこにいる?」
「先程は瑞鶴のところに居ましたが、今は雲龍型の私室だと思います」
「分かった。加賀、ちょっと書類任せるぞ」
「空母ですので、あの子にも話をしておいて下さい」
「了解、飛龍と蒼龍にも声をかけておくことにする」
「葛城、おにぎり食べる?」
「葛城、一緒に歌を歌ってみませんか?」
「えーっと……何、この状況?」
「慣れなさい、ここはこんな感じだから」
姉妹の挨拶もそこそこに、葛城は姉からおにぎりとマイクを差し出される。
一緒についてきた瑞鶴が平然としているのを見て、彼女も一瞬でここではこういうのが普通なのだと察した。
「俺だ、入るぞ」
「提督もおにぎり、いる?」
「男女のデュエット曲も覚えました」
「おかかがあればもらう、カラオケはまた今度にしてくれ。それでお前が雲龍型の葛城……だよな?」
「そうよ、見て分かんないの?」
「……瑞鶴、そこの二人だと色々抜けるかもしれん。ついでだしお前が面倒見ろ」
「私はいいけど、葛城は?」
「是非!」
「じゃあ決ま――」
――――葛城が発見されました。
――――提督が口におにぎりを突っ込まれながら歌を歌わされました。
645: ◆UeZ8dRl.OE 2015/05/02(土) 20:47:11.27 ID:dIMR0tET0
・プリンツ『接客のノウハウ』 、投下します
ドイツのパンなら間違えない
鳳翔と間宮は凄すぎて逆に聞けなかった模様
ドイツのパンなら間違えない
鳳翔と間宮は凄すぎて逆に聞けなかった模様
646: ◆UeZ8dRl.OE 2015/05/02(土) 20:47:52.45 ID:dIMR0tET0
~大鯨のアドバイス~
「接客のノウハウ、ですか?」
「う、うん」
「そうですね……お客様に笑顔で接すること、でしょうか」
「笑えばいいの?」
「はい、笑顔が一番だと私は思います」
「プリンツ、何度も言うけどお客様を攻撃しようとしちゃダメだよ?」
「笑顔なら許してくれるって大鯨が……」
※言ってません。
~早霜の場合~
「どうして、私に……?」
「接客向いてなさそうなのに、バーやってるし」
「まずはその発言が問題だと思うのだけれど……口は災いの元、発言に注意するのも大事では無いのかしら」
「そっか、ダンケダンケ!」
「無言で仕事は出来ないよ、プリンツ」
「だって話しちゃダメって早霜が……」
※言ってません。
~金剛のアドバイス~
「そんなのvery very easyデース。ちゃんとTea timeを取れば気分もrefresh出来て仕事も上手くいくはずネー」
「ティータイム? お茶飲めばいいの?」
「仕事休憩に飲む紅茶は極上の味がしマース!」
――ヒェー!? ミルクを泡立ててたら飛び散りましたー!
――比叡姉様、それに気合いはいれなくて大丈夫です。
――泡立ちは十分かと、三番テーブルに運んで下さい。
「……大丈夫なの?」
「これぐらいで慌ててたらやってられないネー」
「……それで? 疲れたらティータイムにしたいって言いたいのね?――注文がまともに取れるようになってから言いなさい!」
(ビスマルク姉様にティータイムが必要かも……)
「接客のノウハウ、ですか?」
「う、うん」
「そうですね……お客様に笑顔で接すること、でしょうか」
「笑えばいいの?」
「はい、笑顔が一番だと私は思います」
「プリンツ、何度も言うけどお客様を攻撃しようとしちゃダメだよ?」
「笑顔なら許してくれるって大鯨が……」
※言ってません。
~早霜の場合~
「どうして、私に……?」
「接客向いてなさそうなのに、バーやってるし」
「まずはその発言が問題だと思うのだけれど……口は災いの元、発言に注意するのも大事では無いのかしら」
「そっか、ダンケダンケ!」
「無言で仕事は出来ないよ、プリンツ」
「だって話しちゃダメって早霜が……」
※言ってません。
~金剛のアドバイス~
「そんなのvery very easyデース。ちゃんとTea timeを取れば気分もrefresh出来て仕事も上手くいくはずネー」
「ティータイム? お茶飲めばいいの?」
「仕事休憩に飲む紅茶は極上の味がしマース!」
――ヒェー!? ミルクを泡立ててたら飛び散りましたー!
――比叡姉様、それに気合いはいれなくて大丈夫です。
――泡立ちは十分かと、三番テーブルに運んで下さい。
「……大丈夫なの?」
「これぐらいで慌ててたらやってられないネー」
「……それで? 疲れたらティータイムにしたいって言いたいのね?――注文がまともに取れるようになってから言いなさい!」
(ビスマルク姉様にティータイムが必要かも……)
647: ◆UeZ8dRl.OE 2015/05/02(土) 20:48:59.27 ID:dIMR0tET0
~漣のアドバイス~
「むしろそれを売りに! その制服と天然系路線でktkrってなるご主人様(かねづる)をじゃんじゃん囲っちまうのね!」
「ふんふん、つまり今のままの私でいいってことね! 漣、ダンケグート!」
「(あ、曙ちゃん、アレ止めた方が……)」
「(もう手遅れよ、諦めなさい)」
(カニパン食べたい)
「レーベ、マックス、これどういうことなのかしら……」
「売上、プリンツ来てから雑費が増えたのに伸びてるね……」
「ふーん……まぁ、下がってないなら良いと思うけど」
「四番テーブル、グリュッケパンに、ピーターパン、後スカルミリョーネだよビスマルク姉様!」
「分かったわ、次七番テーブルにこれを運んでちょうだい!」
「Ja!――ってうわっ!?」
(((今日はまだ料理飛ばすの二回目か、頑張ってるなぁ……)))
色々な意味で看板娘街道爆進中のプリンツなのでした。
「むしろそれを売りに! その制服と天然系路線でktkrってなるご主人様(かねづる)をじゃんじゃん囲っちまうのね!」
「ふんふん、つまり今のままの私でいいってことね! 漣、ダンケグート!」
「(あ、曙ちゃん、アレ止めた方が……)」
「(もう手遅れよ、諦めなさい)」
(カニパン食べたい)
「レーベ、マックス、これどういうことなのかしら……」
「売上、プリンツ来てから雑費が増えたのに伸びてるね……」
「ふーん……まぁ、下がってないなら良いと思うけど」
「四番テーブル、グリュッケパンに、ピーターパン、後スカルミリョーネだよビスマルク姉様!」
「分かったわ、次七番テーブルにこれを運んでちょうだい!」
「Ja!――ってうわっ!?」
(((今日はまだ料理飛ばすの二回目か、頑張ってるなぁ……)))
色々な意味で看板娘街道爆進中のプリンツなのでした。
667: ◆UeZ8dRl.OE 2015/05/03(日) 22:38:35.32 ID:4MBGEQBm0
・Z3&谷風『おぅ、景気いいかい?』
・村雨『村雨』
・清霜『食生活で超弩級駆逐艦目指す』
・朝潮『いつでも受けて立つ覚悟です』
・陽炎s対Vsながもん『酔った駆逐艦に迫られて私はもうダメかもしれない』
・舞風『野分が最近何かそわそわしてる』
以上六本でお送りします
・村雨『村雨』
・清霜『食生活で超弩級駆逐艦目指す』
・朝潮『いつでも受けて立つ覚悟です』
・陽炎s対Vsながもん『酔った駆逐艦に迫られて私はもうダメかもしれない』
・舞風『野分が最近何かそわそわしてる』
以上六本でお送りします
671: ◆UeZ8dRl.OE 2015/05/06(水) 10:05:24.94 ID:WSN3RGqb0
・Z3&谷風『おぅ、景気いいかい?』、投下します
(外れに)当たらなければどうということはない
(外れに)当たらなければどうということはない
672: ◆UeZ8dRl.OE 2015/05/06(水) 10:05:57.02 ID:WSN3RGqb0
「景気? 売り上げなら伸びているけど」
「そりゃ結構なこった。いっつも景気悪そうな顔してっから赤字なのかと思ってたよ」
「ふーん……一度来れば分かると思うわ、ズッペぐらいならサービスするわよ?」
「おぅ、そいつはいいねぇ! そういう粋なのは谷風さん大歓迎!」
「じゃあ、私は開店準備があるから後で」
「いらっしゃいませ、こちらの席へどうぞ」
「三千円のお預かりで、三百八十円のお返しです」
「ご注文繰り返します! テーとカフィーとプリンツ・オイゲンですね!……って私!?」
(かぁーっ、開店三十分でコレはやるね)
「谷風、いらっしゃい。あそこの席が空いているから座って待っていて。パンのリクエストがあれば先に聞いておくけど」
「そんじゃマックスのオススメ三つ」
「私のオススメ? ふーん……まぁ、いいけど」
「そりゃ結構なこった。いっつも景気悪そうな顔してっから赤字なのかと思ってたよ」
「ふーん……一度来れば分かると思うわ、ズッペぐらいならサービスするわよ?」
「おぅ、そいつはいいねぇ! そういう粋なのは谷風さん大歓迎!」
「じゃあ、私は開店準備があるから後で」
「いらっしゃいませ、こちらの席へどうぞ」
「三千円のお預かりで、三百八十円のお返しです」
「ご注文繰り返します! テーとカフィーとプリンツ・オイゲンですね!……って私!?」
(かぁーっ、開店三十分でコレはやるね)
「谷風、いらっしゃい。あそこの席が空いているから座って待っていて。パンのリクエストがあれば先に聞いておくけど」
「そんじゃマックスのオススメ三つ」
「私のオススメ? ふーん……まぁ、いいけど」
673: ◆UeZ8dRl.OE 2015/05/06(水) 10:06:35.70 ID:WSN3RGqb0
「――マックス、他二つはいいとして、こりゃ何だい?」
「私のオススメだけど」
「お、おぅ……」
一品目、カリーブルストロール。カリーブルストをホットドッグの具に使ったもの。
二品目、カルトッフェルプッファーサンド。ハッシュドポテトみたいなものをパンで挟んだもの。
三品目、ボムベブロート。中身不明のパン、日によって具が変わる。通称“爆弾”。
「ズッペはツヴィーベルズッペ、お代わりは遠慮なく言って」
「でさぁマックス、このパンの中身は――」
「大丈夫よ、食べられるモノしか入れてないわ」
(何か不安だけど、出されたからには全部食べるのが粋ってもんだ!)
「いただきます!」
――――谷風、どうだった?
――――意外と色んな具が絡み合ってイケたし、谷風さん的には大満足だね!
――――(ふーん……当たりを引いたのね、まぁいいけど)
「私のオススメだけど」
「お、おぅ……」
一品目、カリーブルストロール。カリーブルストをホットドッグの具に使ったもの。
二品目、カルトッフェルプッファーサンド。ハッシュドポテトみたいなものをパンで挟んだもの。
三品目、ボムベブロート。中身不明のパン、日によって具が変わる。通称“爆弾”。
「ズッペはツヴィーベルズッペ、お代わりは遠慮なく言って」
「でさぁマックス、このパンの中身は――」
「大丈夫よ、食べられるモノしか入れてないわ」
(何か不安だけど、出されたからには全部食べるのが粋ってもんだ!)
「いただきます!」
――――谷風、どうだった?
――――意外と色んな具が絡み合ってイケたし、谷風さん的には大満足だね!
――――(ふーん……当たりを引いたのね、まぁいいけど)
681: ◆UeZ8dRl.OE 2015/05/06(水) 19:14:08.52 ID:WSN3RGqb0
「――ちょっと待って頂けますか元帥殿? どうしてまたうちなんです」
『先方のたっての希望だ。安心しろ、名目上は“交換”だがお前の鎮守府から誰かを送ることはない』
「当然だ。そんなことを要求しやがったら全力で無かったことにしてやる」
『行きたがっている艦娘に心当たりがあったんでな、こちらから送る艦娘は既に手配しとる。ちと向こうで何かやらかさんか心配じゃが……』
「はぁ……で、来るのは構いませんけど交換ならそのうち帰るんでしょうね?」
『それは当人次第じゃな。ドイツに行った艦娘も何人かはそのまま居着いて帰ってきよらんかったし、お前のところにも帰らんかった前例が居るだろうが』
「まぁ、それは、確かに」
『うむ、では頼んだ。着任はヒトフタマルマル予定じゃからもう着いとるかもしれんのぅ』
「おいちょっと待て、最初からそのつもり――クソッ、切りやがった……とりあえず、迎えに行かんと不味いよな」
(ここにあの本の作者が、是非会って話を聞かないと)
――――リットリオが着任してきました。
『先方のたっての希望だ。安心しろ、名目上は“交換”だがお前の鎮守府から誰かを送ることはない』
「当然だ。そんなことを要求しやがったら全力で無かったことにしてやる」
『行きたがっている艦娘に心当たりがあったんでな、こちらから送る艦娘は既に手配しとる。ちと向こうで何かやらかさんか心配じゃが……』
「はぁ……で、来るのは構いませんけど交換ならそのうち帰るんでしょうね?」
『それは当人次第じゃな。ドイツに行った艦娘も何人かはそのまま居着いて帰ってきよらんかったし、お前のところにも帰らんかった前例が居るだろうが』
「まぁ、それは、確かに」
『うむ、では頼んだ。着任はヒトフタマルマル予定じゃからもう着いとるかもしれんのぅ』
「おいちょっと待て、最初からそのつもり――クソッ、切りやがった……とりあえず、迎えに行かんと不味いよな」
(ここにあの本の作者が、是非会って話を聞かないと)
――――リットリオが着任してきました。
689: ◆UeZ8dRl.OE 2015/05/08(金) 22:39:01.48 ID:/B+awqgA0
・村雨『村雨』、投下します
雨天特化型
雨天特化型
690: ◆UeZ8dRl.OE 2015/05/08(金) 22:39:32.63 ID:/B+awqgA0
少し昔の、忘れられない、思い出したくもない夢を見た。
雨天での戦いに慣れていなかった私達の隊は敵本隊を発見するも、急な雨の影響で敵旗艦を後少しのところで撃破し損ねてしまった。
たった三分、然れど三分の雨が、作戦を失敗へと導いた。
――“村雨”を旗艦にしたのがいけなかったのか?
酷い言いがかりよね、名前で作戦が失敗するというのなら、台風や竜巻を意味する名前の子はどうしたらいいのかしら。
結局、私はその作戦以降縁起が悪いと艦隊から外され、不要になった艦娘を引き受けていると私達の間で噂されていたここへと異動になった。
――そして、私は提督と姉妹達に出会ったの。
雨天での戦いに慣れていなかった私達の隊は敵本隊を発見するも、急な雨の影響で敵旗艦を後少しのところで撃破し損ねてしまった。
たった三分、然れど三分の雨が、作戦を失敗へと導いた。
――“村雨”を旗艦にしたのがいけなかったのか?
酷い言いがかりよね、名前で作戦が失敗するというのなら、台風や竜巻を意味する名前の子はどうしたらいいのかしら。
結局、私はその作戦以降縁起が悪いと艦隊から外され、不要になった艦娘を引き受けていると私達の間で噂されていたここへと異動になった。
――そして、私は提督と姉妹達に出会ったの。
691: ◆UeZ8dRl.OE 2015/05/08(金) 22:40:01.36 ID:/B+awqgA0
「一番先に、村雨発見!」
「やぁ、良い雨だね」
何の因果か、着任日は雨。出迎えてくれた姉二人はレインコートを――ううん、時雨は何故か着てなかったんだっけ。
後で理由を聞いたら、雨を傘やレインコートで遮るなんて勿体無いって言われたのを今でも覚えてる。
「はいはーい、村雨、着任しました」
「じゃあ提督の部屋に案内するね!」
「こっちだよ」
廊下を濡らしながら、二人は執務室へと案内してくれた。
中へ入るとすぐ、大きくため息を吐いた提督が時雨に注意してたっけ。
「――何はともあれ村雨、着任を歓迎する。経緯は聞いているからお前への最初の命令を言っておく。“雨の中で勝てるようになれ”、以上だ」
その命令は“雨の中で勝てないような奴はいらない”、とも取れた。
でも、隣でにこやかな笑顔を提督に向けている二人を見て、“見返してやれ”と言われているのだと分かったの。
だから、自然と私はこう返していた。
――――村雨の、ちょっと良いとこ、すぐに見せたげる。
「やぁ、良い雨だね」
何の因果か、着任日は雨。出迎えてくれた姉二人はレインコートを――ううん、時雨は何故か着てなかったんだっけ。
後で理由を聞いたら、雨を傘やレインコートで遮るなんて勿体無いって言われたのを今でも覚えてる。
「はいはーい、村雨、着任しました」
「じゃあ提督の部屋に案内するね!」
「こっちだよ」
廊下を濡らしながら、二人は執務室へと案内してくれた。
中へ入るとすぐ、大きくため息を吐いた提督が時雨に注意してたっけ。
「――何はともあれ村雨、着任を歓迎する。経緯は聞いているからお前への最初の命令を言っておく。“雨の中で勝てるようになれ”、以上だ」
その命令は“雨の中で勝てないような奴はいらない”、とも取れた。
でも、隣でにこやかな笑顔を提督に向けている二人を見て、“見返してやれ”と言われているのだと分かったの。
だから、自然と私はこう返していた。
――――村雨の、ちょっと良いとこ、すぐに見せたげる。
692: ◆UeZ8dRl.OE 2015/05/08(金) 22:40:35.93 ID:/B+awqgA0
「残念、すぐに止んでしまったね」
「雨だと服が汚れるって怒られるし、止んでくれた方が夕立は嬉しいっぽい!」
「村雨姉さん、取り込んだ洗濯物畳んでおきました」
「うぅ……一枚転んでグチョグチョにしちゃった」
「一枚で済んだだけ良かったってもんさ」
「でもそれ、涼風のだよ?」
「え゛っ」
賑やかな鎮守府と、賑やかな姉妹達。
通り雨が運ぶのは嫌なことも当然あるけど、良いことも運んでくれると、私はもう知ってる。
「はいはーい、みんな外に注目!」
空に架かる七色のアーチを七人の姉妹で見ている内に、私はその日見た嫌な夢などすっかり忘れたのだった。
――――村雨、打電しておいたぞ。
――――打電? 誰に?
――――“雨天ニ目標ヲ無事撃破。貴公ノ育テタ艦娘ハ大変優秀ダ、感謝スル”。
――――提督も嫌味言ったりするんだ。
――――礼を言ったまでだ、どこにも嫌味なぞないさ。
「雨だと服が汚れるって怒られるし、止んでくれた方が夕立は嬉しいっぽい!」
「村雨姉さん、取り込んだ洗濯物畳んでおきました」
「うぅ……一枚転んでグチョグチョにしちゃった」
「一枚で済んだだけ良かったってもんさ」
「でもそれ、涼風のだよ?」
「え゛っ」
賑やかな鎮守府と、賑やかな姉妹達。
通り雨が運ぶのは嫌なことも当然あるけど、良いことも運んでくれると、私はもう知ってる。
「はいはーい、みんな外に注目!」
空に架かる七色のアーチを七人の姉妹で見ている内に、私はその日見た嫌な夢などすっかり忘れたのだった。
――――村雨、打電しておいたぞ。
――――打電? 誰に?
――――“雨天ニ目標ヲ無事撃破。貴公ノ育テタ艦娘ハ大変優秀ダ、感謝スル”。
――――提督も嫌味言ったりするんだ。
――――礼を言ったまでだ、どこにも嫌味なぞないさ。
698: ◆UeZ8dRl.OE 2015/05/09(土) 21:54:45.75 ID:iIh3vUzM0
タイトル変更
・清霜『涓滴岩を穿つ』、投下します
真っ直ぐにも種類がある
・清霜『涓滴岩を穿つ』、投下します
真っ直ぐにも種類がある
699: ◆UeZ8dRl.OE 2015/05/09(土) 21:55:20.57 ID:iIh3vUzM0
「武蔵さん、お願いします!」
「どこからでもかかって来い!」
イメージするのは、先日の朧と武蔵の一戦。
攻められれば退き、退けば攻める。自分の力ではなく相手の力を応用していく戦法。
拳は受け流し、絡めとる。掴まれれば巻き込む。
ただ強くなりたいと口にするだけでなく、しっかりと鍛練を積んだ彼女のそれは、武蔵と戦えていると言えた。
「いいぞ、その調子だ」
「……」
褒める武蔵を他所に、清霜は表情を曇らせていく。そして、ついには動きを止めて距離を取った。
「どうした清霜、まだ始めたばかりだぜ?」
「ごめんなさい、武蔵さん……でもね、何か違うの」
「ふむ、どう違うんだ?」
「確かに今のも強いしカッコいいと思う。――だけど、清霜はやっぱり武蔵さんみたいになりたい!」
武蔵に憧れ、少し変わっていて情けないところも見せる彼女に戸惑いつつも、先の演習ではやはりその堂々とした貫禄に胸が高鳴るのを清霜は感じた。
だからこそ、彼女は武蔵を目の前で負かした朧ではなく、武蔵を目指したいと口にする。
その目には、子供がただ憧れているのではないという真剣さが宿っていた。
「そうか……清霜よ、ならば私に憧れるのはやめておけ」
「え……?」
「――この戦艦武蔵を越えて見せろ。お前の望むやり方で、な」
ニヤリと笑った後、武蔵は再び構える。
一瞬動揺を見せた清霜も、すぐに表情を引き締め直し、拳を構えた。
「さぁ来い、私はここから一歩も動かんぞ!」
「はい! 清霜、行きます!」
「私もうかうかしていられないな」
「長月、嬉しそうですね」
「あぁ、そのうち手合わせ願いたい」
「今日のところは、大和で我慢してください」
「……この前のアレを見て、やはり姉なのだと痛感した」
「ナ、ナンノハナシデスカ?」
――――それで? 私達の力では到底大和型の装甲は貫けないと思うのだけれど、どうするの?
――――が、頑張ればそのうち出来るもん!
――――そう……少し、その純粋さが羨ましいわ。私も強くなれば、変われるのかしら……。
「どこからでもかかって来い!」
イメージするのは、先日の朧と武蔵の一戦。
攻められれば退き、退けば攻める。自分の力ではなく相手の力を応用していく戦法。
拳は受け流し、絡めとる。掴まれれば巻き込む。
ただ強くなりたいと口にするだけでなく、しっかりと鍛練を積んだ彼女のそれは、武蔵と戦えていると言えた。
「いいぞ、その調子だ」
「……」
褒める武蔵を他所に、清霜は表情を曇らせていく。そして、ついには動きを止めて距離を取った。
「どうした清霜、まだ始めたばかりだぜ?」
「ごめんなさい、武蔵さん……でもね、何か違うの」
「ふむ、どう違うんだ?」
「確かに今のも強いしカッコいいと思う。――だけど、清霜はやっぱり武蔵さんみたいになりたい!」
武蔵に憧れ、少し変わっていて情けないところも見せる彼女に戸惑いつつも、先の演習ではやはりその堂々とした貫禄に胸が高鳴るのを清霜は感じた。
だからこそ、彼女は武蔵を目の前で負かした朧ではなく、武蔵を目指したいと口にする。
その目には、子供がただ憧れているのではないという真剣さが宿っていた。
「そうか……清霜よ、ならば私に憧れるのはやめておけ」
「え……?」
「――この戦艦武蔵を越えて見せろ。お前の望むやり方で、な」
ニヤリと笑った後、武蔵は再び構える。
一瞬動揺を見せた清霜も、すぐに表情を引き締め直し、拳を構えた。
「さぁ来い、私はここから一歩も動かんぞ!」
「はい! 清霜、行きます!」
「私もうかうかしていられないな」
「長月、嬉しそうですね」
「あぁ、そのうち手合わせ願いたい」
「今日のところは、大和で我慢してください」
「……この前のアレを見て、やはり姉なのだと痛感した」
「ナ、ナンノハナシデスカ?」
――――それで? 私達の力では到底大和型の装甲は貫けないと思うのだけれど、どうするの?
――――が、頑張ればそのうち出来るもん!
――――そう……少し、その純粋さが羨ましいわ。私も強くなれば、変われるのかしら……。
701: ◆UeZ8dRl.OE 2015/05/11(月) 10:40:58.02 ID:OAg66geY0
気付いたら一年経ってました
朝潮導入のみ投下、朝潮は何事にも真面目に取り組みます
朝潮導入のみ投下、朝潮は何事にも真面目に取り組みます
702: ◆UeZ8dRl.OE 2015/05/11(月) 10:41:35.18 ID:OAg66geY0
真面目で、融通が利かなくて、想定外の事態に滅法弱くて、臨機応変という言葉が苦手だった。
けれど、司令官はそんな私を認めてくれた。
――真面目に訓練を受けて、真面目に知識を積み重ねてきたのは、お前の長所だ。
――それはお前を裏切らない。想定外を想定しろ、自分の訓練と、知識と、仲間を信じろ。
――臨機応変という対応が難しいと感じるなら、自分に出来ること、知っていることをその場で全て思い出せ。予習復習は、得意だろ?
信じたいと思った。実際、信じられた。
敵の増援部隊が現れた時、いつもなら止まる思考回路が、いつもより速く動いていた。
尊敬出来る、私のたった一人の司令官。
――そして、“ただ真面目な艦娘”だった私の中に、“年頃の少女”である私を見つけてくれた、たった一人の――。
けれど、司令官はそんな私を認めてくれた。
――真面目に訓練を受けて、真面目に知識を積み重ねてきたのは、お前の長所だ。
――それはお前を裏切らない。想定外を想定しろ、自分の訓練と、知識と、仲間を信じろ。
――臨機応変という対応が難しいと感じるなら、自分に出来ること、知っていることをその場で全て思い出せ。予習復習は、得意だろ?
信じたいと思った。実際、信じられた。
敵の増援部隊が現れた時、いつもなら止まる思考回路が、いつもより速く動いていた。
尊敬出来る、私のたった一人の司令官。
――そして、“ただ真面目な艦娘”だった私の中に、“年頃の少女”である私を見つけてくれた、たった一人の――。
710: ◆UeZ8dRl.OE 2015/05/13(水) 23:19:25.75 ID:OWchazFa0
「――なぁ金剛、ここってお前達の店だよな?」
「そうデスネー」
「じゃああそこでパスタ作ってるのは誰だ?」
「知らないデース」
「ついでにもう一つ聞くが、そこでパスタ食ってる奴いつからいる?」
「お昼前にフラっと来たヨ?」
「そうか……探し回った挙句に余計に疲労の溜まる光景だな、これは……」
――姉さん、もうすぐお代わりが出来ます。
――Grazie! ローマのパスタはいつ食べても美味しいですね。
――――ローマもなぜか着任しました。
「そうデスネー」
「じゃああそこでパスタ作ってるのは誰だ?」
「知らないデース」
「ついでにもう一つ聞くが、そこでパスタ食ってる奴いつからいる?」
「お昼前にフラっと来たヨ?」
「そうか……探し回った挙句に余計に疲労の溜まる光景だな、これは……」
――姉さん、もうすぐお代わりが出来ます。
――Grazie! ローマのパスタはいつ食べても美味しいですね。
――――ローマもなぜか着任しました。
712: ◆UeZ8dRl.OE 2015/05/13(水) 23:35:45.35 ID:OWchazFa0
「大艇ちゃん!」
「連装砲ちゃん!」
「だーいーてーいーちゃーん!」
「れーんーそーほーちゃーん!」
「(あの子、どこの子なんでしょうか……?)」
「(知らないけど、島風と同レベルかもしれないわね……)」
「大艇ちゃんったら大艇ちゃん!」
「連装砲ちゃんったら連装砲ちゃん!」
「こうなったらどっちが可愛いか勝負するしかないかも!」
「絶対に負けないよー! 秋月と天津風もやるよね!?」
「えっ」
「そんな気はしてたわ……」
――――厚化粧(?)な艦娘が島風達と遊んでいるところを発見されました。
「連装砲ちゃん!」
「だーいーてーいーちゃーん!」
「れーんーそーほーちゃーん!」
「(あの子、どこの子なんでしょうか……?)」
「(知らないけど、島風と同レベルかもしれないわね……)」
「大艇ちゃんったら大艇ちゃん!」
「連装砲ちゃんったら連装砲ちゃん!」
「こうなったらどっちが可愛いか勝負するしかないかも!」
「絶対に負けないよー! 秋月と天津風もやるよね!?」
「えっ」
「そんな気はしてたわ……」
――――厚化粧(?)な艦娘が島風達と遊んでいるところを発見されました。
730: ◆UeZ8dRl.OE 2015/05/21(木) 09:58:42.73 ID:bmEWC6oe0
・陽炎達Vsながもん『酔った駆逐艦に迫られて私はもうダメかもしれない』、投下します
試合に負けて勝負に勝つ、K潮は善意に満ち溢れた良い子
試合に負けて勝負に勝つ、K潮は善意に満ち溢れた良い子
731: ◆UeZ8dRl.OE 2015/05/21(木) 09:59:17.77 ID:bmEWC6oe0
――それは、ほんの些細なイタズラから始まった。
(聞いた話によるとこの辺りだが……)
自然豊かな遠足の行き先などにも度々選ばれる公園。そこに数名の駆逐艦が集まって盛り上がっているという話を聞き、一応の監視兼リフレッシュの為に長門はその集まりを探していた。
「――あそこか」
遠目ではあったものの、陽炎と他に数名の艦娘が居るのを発見し、早足で歩み寄る。
段々と駆逐艦娘の元へ近付いていくうち、少し様子がおかしいことに長門は気付いた。
(これは一体どういうことだ……?)
彼女が目にしたものは、野分に膝枕されご満悦な舞風、あらぬ方向を三角座りで凝視したまま微動だにしない不知火、服の乱れた浜風に覆い被さる磯風と谷風、そして黒潮にコップを突きだしている目の据わった陽炎というなかなかな光景だった。
「あっ! ならとだ! みんら~ならとにとつげきー!」
「何だ、来て早々か? 私は一応監視のつもりで来たのだが、遊びたいと言われてビッグセブンが断るわけには……お前達、その奇妙な足取りはどうした」
長女の命令に従い、一斉に動き出す妹達。しかし、その動きは驚くほどぎこちなかった。
「目……合う……敵……」
「あの枕は磯風のものだ」
一番手と二番手は不知火と磯風。他の者と比べればこの二人の足取りはまだしっかりしており、それ故に接近するのも早かったからだ。
(もしや酔っているのか? いや、陽炎に限って酒を鎮守府外で飲むことを許しは――む?)
不知火に首を絞められ、磯風に軽いローキックをもらいながら、長門は視界の隅にこっそりと隠れようとする元凶を捉える。
しかし、次々と自分に手を伸ばし近付いてくる駆逐艦娘の可愛らしさがそれを追うという選択肢を彼女から奪い去っていった。
「皆で踊れば楽しい楽しい~」
「のわっちじゃないもん……のわっちじゃないもん……」
「ちゃんと言えるんですよぉ、勝って……兜の……兜……ひっく」
「かぁー目の前が揺れるぅ……」
各々何かを口走りながらまとわりつき、長門の身体を徐々に覆っていく。
そして、最後に一番もたつく足取りでやってきた陽炎が正面に立ち、ジト目でにらみつける。
「……また他の子ばっかり構って、私も構えっ!」
(これは異常……いや、しかしすぐに引き剥がすのは……だがビッグセブンとして……)
長門はそのうち、考えるのをやめた。
(聞いた話によるとこの辺りだが……)
自然豊かな遠足の行き先などにも度々選ばれる公園。そこに数名の駆逐艦が集まって盛り上がっているという話を聞き、一応の監視兼リフレッシュの為に長門はその集まりを探していた。
「――あそこか」
遠目ではあったものの、陽炎と他に数名の艦娘が居るのを発見し、早足で歩み寄る。
段々と駆逐艦娘の元へ近付いていくうち、少し様子がおかしいことに長門は気付いた。
(これは一体どういうことだ……?)
彼女が目にしたものは、野分に膝枕されご満悦な舞風、あらぬ方向を三角座りで凝視したまま微動だにしない不知火、服の乱れた浜風に覆い被さる磯風と谷風、そして黒潮にコップを突きだしている目の据わった陽炎というなかなかな光景だった。
「あっ! ならとだ! みんら~ならとにとつげきー!」
「何だ、来て早々か? 私は一応監視のつもりで来たのだが、遊びたいと言われてビッグセブンが断るわけには……お前達、その奇妙な足取りはどうした」
長女の命令に従い、一斉に動き出す妹達。しかし、その動きは驚くほどぎこちなかった。
「目……合う……敵……」
「あの枕は磯風のものだ」
一番手と二番手は不知火と磯風。他の者と比べればこの二人の足取りはまだしっかりしており、それ故に接近するのも早かったからだ。
(もしや酔っているのか? いや、陽炎に限って酒を鎮守府外で飲むことを許しは――む?)
不知火に首を絞められ、磯風に軽いローキックをもらいながら、長門は視界の隅にこっそりと隠れようとする元凶を捉える。
しかし、次々と自分に手を伸ばし近付いてくる駆逐艦娘の可愛らしさがそれを追うという選択肢を彼女から奪い去っていった。
「皆で踊れば楽しい楽しい~」
「のわっちじゃないもん……のわっちじゃないもん……」
「ちゃんと言えるんですよぉ、勝って……兜の……兜……ひっく」
「かぁー目の前が揺れるぅ……」
各々何かを口走りながらまとわりつき、長門の身体を徐々に覆っていく。
そして、最後に一番もたつく足取りでやってきた陽炎が正面に立ち、ジト目でにらみつける。
「……また他の子ばっかり構って、私も構えっ!」
(これは異常……いや、しかしすぐに引き剥がすのは……だがビッグセブンとして……)
長門はそのうち、考えるのをやめた。
732: ◆UeZ8dRl.OE 2015/05/21(木) 09:59:48.49 ID:bmEWC6oe0
「全く、私が来なければどうなっていたか」
「どっちにしても全員寝てしもたやろうから、誰か迎え呼べば良かっただけやん」
「そういう問題ではないだろう……」
「ここに陽炎が長門さんのことを好き言うてる部分を録音したテープがあんねやけど、欲しない?」
「それとこれとは別問題だが私も無闇に人を叱りつけたくはない。次からは飲ませるにしても鎮守府内でと約束すれば、この話は提督達には黙っておこう」
「流石長門さんや、話が早うて助かるわ」
――――ちょっ!? な、何なのよそれ!?
――――私の宝物の一つだが。
――――今すぐ消しなさいよ!
――――断る。
――――(暫くはこのネタでまた楽しめそうやなぁ)
「どっちにしても全員寝てしもたやろうから、誰か迎え呼べば良かっただけやん」
「そういう問題ではないだろう……」
「ここに陽炎が長門さんのことを好き言うてる部分を録音したテープがあんねやけど、欲しない?」
「それとこれとは別問題だが私も無闇に人を叱りつけたくはない。次からは飲ませるにしても鎮守府内でと約束すれば、この話は提督達には黙っておこう」
「流石長門さんや、話が早うて助かるわ」
――――ちょっ!? な、何なのよそれ!?
――――私の宝物の一つだが。
――――今すぐ消しなさいよ!
――――断る。
――――(暫くはこのネタでまた楽しめそうやなぁ)
737: ◆UeZ8dRl.OE 2015/05/24(日) 09:54:38.38 ID:dWul4xkF0
・舞風『野分が最近何かそわそわしてる』 、投下します
酔って甘えた、酔って甘えられた、win-winだった
酔って甘えた、酔って甘えられた、win-winだった
738: ◆UeZ8dRl.OE 2015/05/24(日) 09:55:13.32 ID:dWul4xkF0
野分の様子がおかしくなったのはほんの数日前、決まった時間に近づくと何だか落ち着かないといった感じで時計をしきりに見始める。そして、決まった時間にどこかへと出かけて行ってしまう。
一度行き先を聞いてみたけど、はぐらかすだけで答えてはくれなかった。
別に隠し事をされるのが嫌な訳じゃないけど、部屋を出ていくときのあの笑顔が私と居る時に見せるものとは違っていて、少し寂しく感じてしまった。
(――だからって尾行しちゃうのはやり過ぎかなぁ……)
建物の陰に身を潜めながら、野分をこっそりと追いかける。
向かっている方向は鎮守府の入り口とは反対方向なので、外で何か変な遊びに熱中しているということは無さそうだ。
(まぁそもそも野分に限ってそんな心配いらないよね)
少し安心したものの、やはりどこへ行っているのかは気になるので尾行は続行――。
「那珂ちゃんはーそれはダメだと思うなー」
「っ!?」
普段ならば気付けたし驚きもしなかったけれど、後ろめたいことをしているという意識が身体を強張らせる。
振り向けばいつも笑顔を絶やさない艦隊のアイドルが立っていて、人差し指を立てて“めっ”と言ってきた。
「こっ、これは違うんです。野分のことが心配で、その……」
「嘘は良くないよ?」
「うっ……私と居るより楽しい何かを見つけちゃったのかなって不安で……」
「うん、素直が一番! じゃあはい、コレ」
「へっ? いや、あの、那珂さん?」
そこで私はようやく気付いた。艦隊のアイドルが“ダメ”と言ったのは尾行ではなく、尾行のやり方であったことに。
一度行き先を聞いてみたけど、はぐらかすだけで答えてはくれなかった。
別に隠し事をされるのが嫌な訳じゃないけど、部屋を出ていくときのあの笑顔が私と居る時に見せるものとは違っていて、少し寂しく感じてしまった。
(――だからって尾行しちゃうのはやり過ぎかなぁ……)
建物の陰に身を潜めながら、野分をこっそりと追いかける。
向かっている方向は鎮守府の入り口とは反対方向なので、外で何か変な遊びに熱中しているということは無さそうだ。
(まぁそもそも野分に限ってそんな心配いらないよね)
少し安心したものの、やはりどこへ行っているのかは気になるので尾行は続行――。
「那珂ちゃんはーそれはダメだと思うなー」
「っ!?」
普段ならば気付けたし驚きもしなかったけれど、後ろめたいことをしているという意識が身体を強張らせる。
振り向けばいつも笑顔を絶やさない艦隊のアイドルが立っていて、人差し指を立てて“めっ”と言ってきた。
「こっ、これは違うんです。野分のことが心配で、その……」
「嘘は良くないよ?」
「うっ……私と居るより楽しい何かを見つけちゃったのかなって不安で……」
「うん、素直が一番! じゃあはい、コレ」
「へっ? いや、あの、那珂さん?」
そこで私はようやく気付いた。艦隊のアイドルが“ダメ”と言ったのは尾行ではなく、尾行のやり方であったことに。
739: ◆UeZ8dRl.OE 2015/05/24(日) 09:55:56.23 ID:dWul4xkF0
暖かな春の日の午後、トレンチコートにサングラスで木陰に隠れる私と那珂さん。正直、とても暑い。
「(これ着る必要はどこに?)」
「(新聞紙が手近になかったなんて、那珂ちゃん一生の不覚だよ!)」
何故かついてきたアイドルへの突っ込みはスルーされ、気にするのを諦める。
野分の行き先はもう大体見当がついたため、これ以上はこそこそする必要性もあまり無いけれど、とりあえず目的地に到着するまでは続けることにした。
「――やっぱり、ここだったんだ」
途中姿を隠す物が無くなりバレそうになりながらもなんとか気付かれずに到着したのは、あまり自分には縁の無い場所だった。
玄関からでは中の様子が窺えそうもないので、縁側のある方へと回り込む。
「舞風ちゃん、那珂ちゃんは向こうで待ってるね」
ここまで先導するようにしてついてきていた那珂さんの言葉を背に受けながら、家の中を覗き込む。
そこにはこちらに背中を向けている野分と、バッチリとこちらを見ながらニコニコと笑っている鳳翔さんが居た。
(も、ものすっごくバレてる……)
叱られるかと一瞬背筋に冷たいものが走ったけれど、こちらから視線を外すと鳳翔さんは野分へと話しかけ始めた。
「野分ちゃん、やっぱりそれ持って帰ったらどうかしら?」
「いえ、絶対にからかわれてしまいますので……」
「ふふっ、いっそ本人にそうしてあげたら喜ぶかもしれませんよ」
「それもちょっと……」
何をしているのかがすごく気になり、角度を変えて野分の手元を覗き込む。
そこには、予想外の物があった。
「――それ、私のぬいぐるみ?」
「えっ!? まいかっ!? いったぁ……」
急に立ち上がろうとしてちゃぶ台で足を打つ野分。それだけ驚いたってことみたい。
「ねぇねぇ野分、何で私のぬいぐるみを抱きしめてるの?」
「こっ、これは別に舞風って訳じゃ――」
「この前舞風ちゃんを抱きしめたらとても落ち着いたらしくて、本人に度々そうするのは恥ずかしいからぬいぐるみで我慢してるそうですよ」
「鳳翔さん!?」
「ほほぅ……ほぅほぅ、なるほどなるほど……のーわーきー」
「な、何?」
――――とても微笑ましい光景ですね。
――――那珂ちゃんもたまには甘えてみよっかなー。
――――舞風、ちょっと苦しい……。
――――ぬいぐるみで代用するなんて良くないぞー?
「(これ着る必要はどこに?)」
「(新聞紙が手近になかったなんて、那珂ちゃん一生の不覚だよ!)」
何故かついてきたアイドルへの突っ込みはスルーされ、気にするのを諦める。
野分の行き先はもう大体見当がついたため、これ以上はこそこそする必要性もあまり無いけれど、とりあえず目的地に到着するまでは続けることにした。
「――やっぱり、ここだったんだ」
途中姿を隠す物が無くなりバレそうになりながらもなんとか気付かれずに到着したのは、あまり自分には縁の無い場所だった。
玄関からでは中の様子が窺えそうもないので、縁側のある方へと回り込む。
「舞風ちゃん、那珂ちゃんは向こうで待ってるね」
ここまで先導するようにしてついてきていた那珂さんの言葉を背に受けながら、家の中を覗き込む。
そこにはこちらに背中を向けている野分と、バッチリとこちらを見ながらニコニコと笑っている鳳翔さんが居た。
(も、ものすっごくバレてる……)
叱られるかと一瞬背筋に冷たいものが走ったけれど、こちらから視線を外すと鳳翔さんは野分へと話しかけ始めた。
「野分ちゃん、やっぱりそれ持って帰ったらどうかしら?」
「いえ、絶対にからかわれてしまいますので……」
「ふふっ、いっそ本人にそうしてあげたら喜ぶかもしれませんよ」
「それもちょっと……」
何をしているのかがすごく気になり、角度を変えて野分の手元を覗き込む。
そこには、予想外の物があった。
「――それ、私のぬいぐるみ?」
「えっ!? まいかっ!? いったぁ……」
急に立ち上がろうとしてちゃぶ台で足を打つ野分。それだけ驚いたってことみたい。
「ねぇねぇ野分、何で私のぬいぐるみを抱きしめてるの?」
「こっ、これは別に舞風って訳じゃ――」
「この前舞風ちゃんを抱きしめたらとても落ち着いたらしくて、本人に度々そうするのは恥ずかしいからぬいぐるみで我慢してるそうですよ」
「鳳翔さん!?」
「ほほぅ……ほぅほぅ、なるほどなるほど……のーわーきー」
「な、何?」
――――とても微笑ましい光景ですね。
――――那珂ちゃんもたまには甘えてみよっかなー。
――――舞風、ちょっと苦しい……。
――――ぬいぐるみで代用するなんて良くないぞー?
756: ◆UeZ8dRl.OE 2015/05/24(日) 20:39:11.16 ID:dWul4xkF0
・雷『いかずち門?』
・陸奥愛宕那珂『鎮守府コレクション』
・飛鷹&暁『疲れるだけ』
・金剛&大鳳『結構似た者同士』
・大鳳&浦風『以心伝心』
・飲食店経営組『漣の企画が全力で私達の羞恥心にダイレクトアタックしてくる』
以上六本でお送りします
・陸奥愛宕那珂『鎮守府コレクション』
・飛鷹&暁『疲れるだけ』
・金剛&大鳳『結構似た者同士』
・大鳳&浦風『以心伝心』
・飲食店経営組『漣の企画が全力で私達の羞恥心にダイレクトアタックしてくる』
以上六本でお送りします
760: ◆UeZ8dRl.OE 2015/05/27(水) 16:08:21.60 ID:qwsIMAHQ0
・雷『いかずち門?』、投下します
奴は四天王の中では一番のレディー…?
奴は四天王の中では一番のレディー…?
761: ◆UeZ8dRl.OE 2015/05/27(水) 16:08:55.85 ID:qwsIMAHQ0
「雷、それは雷(かみなり)門だ」
「そうなの? いかずち門だったら良かったのに」
「先に言っとくが、菓子の方もかみなりおこしだぞ」
「そうなんだ。でも、面白そうだし買って帰ろーっと」
「俺は鳳翔とかに頼まれたし、煎餅買って帰るとするか」
「ねぇ司令官、暁にこれなんてどうかしら?」
「ん?……涙目になりながら無理して食うだろうからやめてやれ」
一味煎餅、一袋三百九十八円、税込。
「まぁ流石にこれは冗談として、やっぱり甘いものがいいわよね」
「ベタだし東京以外でも同じ様な物は買えるが、人形焼きとかいいんじゃないか?」
「横須賀で売ってる“艦娘焼き”みたいなもの?」
「それの元だよ。アレみたいになかなか袋に入ってないレア艦を見付けるみたいな楽しみ方は無いがな」
レア扱いとして中破状態案を出したら申請が通らず、衣装と台詞違いがレア扱いとなった艦娘焼き、一袋五百円。
以前何袋買っても扶桑が入っておらず、山城に不幸だわと言われた提督の財布へのダメージ五千円。
「そうなの? いかずち門だったら良かったのに」
「先に言っとくが、菓子の方もかみなりおこしだぞ」
「そうなんだ。でも、面白そうだし買って帰ろーっと」
「俺は鳳翔とかに頼まれたし、煎餅買って帰るとするか」
「ねぇ司令官、暁にこれなんてどうかしら?」
「ん?……涙目になりながら無理して食うだろうからやめてやれ」
一味煎餅、一袋三百九十八円、税込。
「まぁ流石にこれは冗談として、やっぱり甘いものがいいわよね」
「ベタだし東京以外でも同じ様な物は買えるが、人形焼きとかいいんじゃないか?」
「横須賀で売ってる“艦娘焼き”みたいなもの?」
「それの元だよ。アレみたいになかなか袋に入ってないレア艦を見付けるみたいな楽しみ方は無いがな」
レア扱いとして中破状態案を出したら申請が通らず、衣装と台詞違いがレア扱いとなった艦娘焼き、一袋五百円。
以前何袋買っても扶桑が入っておらず、山城に不幸だわと言われた提督の財布へのダメージ五千円。
762: ◆UeZ8dRl.OE 2015/05/27(水) 16:09:47.52 ID:qwsIMAHQ0
「さて、買い物も終わったし……ってしまった、先に買っちまった」
右手、煎餅の袋入り紙袋。左手、雷の右手。
「どうしたの司令官? 困ったことがあったなら私に任せて!」
左手、お土産どっさり。右手、司令官の左手。
「大丈夫だ、帰りに買う予定にしてたのを忘れてたってだけだよ。なぁ雷、本堂の方にも行ってみないか?」
「司令官が行きたいなら、どこにでもついていくわ」
「じゃあ悪いが付き合ってくれ」
「ねぇ司令官、お寺好きなの?」
「好んで巡ったりはしないが、行くのに抵抗は無い。たまに行きたいって言い出す奴もいるしな」
「ふーん。その妖精さんは?」
「知らん。俺達が行くってどこから知ったか知らんが、あのじいさんに頼まれて連れてきた」
「元帥のおじいちゃん、たまに謎よね」
「謎でいいんだよ、下手に知っちまった方が不味いこともある」
「さっきからずっと妖精さんが仁王さんのポーズしてるけど、何でかしら」
「妖精さんの思考も謎だらけだし、気にしたら負けだ」
「じゃあ、私達の考えてることは?」
「分かった方が良いことは、大体分かってるつもりだ」
「……うん」
「さてと、連れてきてどうしろとは言われてないし、適当に軽く見て回るか」
「じゃああっちから見て回りましょ!」
「ちょっと待て雷、引っ張るな、荷物が……」
――――四天王……私達だと雷天とか電天とかになるのかしら?
――――暁に守護される側がかなり不安な気がするんだが、気のせいか?
右手、煎餅の袋入り紙袋。左手、雷の右手。
「どうしたの司令官? 困ったことがあったなら私に任せて!」
左手、お土産どっさり。右手、司令官の左手。
「大丈夫だ、帰りに買う予定にしてたのを忘れてたってだけだよ。なぁ雷、本堂の方にも行ってみないか?」
「司令官が行きたいなら、どこにでもついていくわ」
「じゃあ悪いが付き合ってくれ」
「ねぇ司令官、お寺好きなの?」
「好んで巡ったりはしないが、行くのに抵抗は無い。たまに行きたいって言い出す奴もいるしな」
「ふーん。その妖精さんは?」
「知らん。俺達が行くってどこから知ったか知らんが、あのじいさんに頼まれて連れてきた」
「元帥のおじいちゃん、たまに謎よね」
「謎でいいんだよ、下手に知っちまった方が不味いこともある」
「さっきからずっと妖精さんが仁王さんのポーズしてるけど、何でかしら」
「妖精さんの思考も謎だらけだし、気にしたら負けだ」
「じゃあ、私達の考えてることは?」
「分かった方が良いことは、大体分かってるつもりだ」
「……うん」
「さてと、連れてきてどうしろとは言われてないし、適当に軽く見て回るか」
「じゃああっちから見て回りましょ!」
「ちょっと待て雷、引っ張るな、荷物が……」
――――四天王……私達だと雷天とか電天とかになるのかしら?
――――暁に守護される側がかなり不安な気がするんだが、気のせいか?
768: ◆UeZ8dRl.OE 2015/05/31(日) 22:13:42.06 ID:z6uEBBuq0
・陸奥愛宕那珂『鎮守府コレクション』、投下します
衣装協力荒潮
爆発しても簡単には破れない
火遊び(意味深or主砲発射)
衣装協力荒潮
爆発しても簡単には破れない
火遊び(意味深or主砲発射)
769: ◆UeZ8dRl.OE 2015/05/31(日) 22:14:19.87 ID:z6uEBBuq0
「ぱんぱかぱ~ん、今日は鎮守府コレクションにお集まり頂きありがとうございまーす」
「司会兼企画発案者の那珂ちゃんだよーよっろしくー!」
「メイク担当の陸奥よ、よろしくね」
「そして私がぱんぱかぱ~ん兼ヘアメイク担当の愛宕よ」
「今日は艦娘の為のファッションショーだからー皆気兼ねせずに楽しんでね?」
「コンセプトは“即戦闘可能なお洒落”よ。仮にも軍属である私達が服の裾につまずくなんてことがあってはいけないわ」
「それじゃあ早速モデルの皆、お願いね~」
「最初はラフで動きやすいというのを追求したスポーティなスタイル。ホットパンツにTシャツ、パーカーとシンプルながら足に自信があれば破壊力は抜群ね」
――あ、あの、私じゃなくて長良姉さんで良かったんじゃ……。
「さぁどんどんいってみよー!」
「ホテルのバーカウンターに座っていてもおかしくない黒のドレス。少しタイトだけど走るのに支障が無い仕立てになってるわ」
――うっわマジでこういうの恥ずかしいんですけどぉ……。
「まだまだいくわよ~」
「今度は逆に幼さ全開! フリルとリボンいっぱいのホワイトロリータ! 色々仕込む場所もいっぱいだよ!」
――ほわ~何かヒラヒラ~。
「お次は皆の鎮守府の提督を落とすちょっと大胆なスタイルに着替えた陸奥さんの登場よ。胸と背中の辺りがぱんぱかぱ~んってなってるのと、足首から太ももまで入ったスリットがセクシーでしょ?」
「火遊びにはもってこいね」
「続いては艦隊のアイドル、那珂ちゃんのイチオシだよ! チューブトップにミニスカート、健康的だけど男の子の視線を集めちゃおっ!」
「最後は私よ~。ぱんぱかぱ~んと夏を先取り、あえてビキニじゃなく腰のくびれを強調出来るデザインにしたワンピースタイプの水着よ。どうかしら~?」
「今日はお試しだからこれだけだけどー要望が多かったらまた開催するね?」
「皆の健闘を祈っているわ。メイクの相談もいつでもオッケーよ」
「合言葉は“ぱんぱかぱ~ん”、覚えて帰ってね?」
――――……通販か?
――――(提督の好みとしてはスリットの入ったものでしょうか……)
――――(胸……最初のが一番私には合っているわね、トレーニングは欠かさないし……)
――――(提督さん的にあの白ロリはどうかねぇ?)
「司会兼企画発案者の那珂ちゃんだよーよっろしくー!」
「メイク担当の陸奥よ、よろしくね」
「そして私がぱんぱかぱ~ん兼ヘアメイク担当の愛宕よ」
「今日は艦娘の為のファッションショーだからー皆気兼ねせずに楽しんでね?」
「コンセプトは“即戦闘可能なお洒落”よ。仮にも軍属である私達が服の裾につまずくなんてことがあってはいけないわ」
「それじゃあ早速モデルの皆、お願いね~」
「最初はラフで動きやすいというのを追求したスポーティなスタイル。ホットパンツにTシャツ、パーカーとシンプルながら足に自信があれば破壊力は抜群ね」
――あ、あの、私じゃなくて長良姉さんで良かったんじゃ……。
「さぁどんどんいってみよー!」
「ホテルのバーカウンターに座っていてもおかしくない黒のドレス。少しタイトだけど走るのに支障が無い仕立てになってるわ」
――うっわマジでこういうの恥ずかしいんですけどぉ……。
「まだまだいくわよ~」
「今度は逆に幼さ全開! フリルとリボンいっぱいのホワイトロリータ! 色々仕込む場所もいっぱいだよ!」
――ほわ~何かヒラヒラ~。
「お次は皆の鎮守府の提督を落とすちょっと大胆なスタイルに着替えた陸奥さんの登場よ。胸と背中の辺りがぱんぱかぱ~んってなってるのと、足首から太ももまで入ったスリットがセクシーでしょ?」
「火遊びにはもってこいね」
「続いては艦隊のアイドル、那珂ちゃんのイチオシだよ! チューブトップにミニスカート、健康的だけど男の子の視線を集めちゃおっ!」
「最後は私よ~。ぱんぱかぱ~んと夏を先取り、あえてビキニじゃなく腰のくびれを強調出来るデザインにしたワンピースタイプの水着よ。どうかしら~?」
「今日はお試しだからこれだけだけどー要望が多かったらまた開催するね?」
「皆の健闘を祈っているわ。メイクの相談もいつでもオッケーよ」
「合言葉は“ぱんぱかぱ~ん”、覚えて帰ってね?」
――――……通販か?
――――(提督の好みとしてはスリットの入ったものでしょうか……)
――――(胸……最初のが一番私には合っているわね、トレーニングは欠かさないし……)
――――(提督さん的にあの白ロリはどうかねぇ?)
773: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/05(金) 00:06:40.39 ID:u68usdcU0
タイトル変更
・飛鷹&暁『雰囲気に酔う』、投下します
・飛鷹&暁『雰囲気に酔う』、投下します
774: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/05(金) 00:07:21.81 ID:u68usdcU0
「飛鷹さん、今日はどうされますか?」
「そうねぇ、そこのレミーマルタン一杯もらえる?」
「はい」
「暁はいつものをお願いするわ」
「えぇ、いつものですね」
「暁、貴女お酒飲めたの?」
「妹の響だって飲めるんだから、当然飲めるわ」
「へー、意外ね」
「お二人とも、どうぞ」
「ありがとう早霜。うーん、良い香り」
「ねぇねぇ飛鷹さん、暁にもどんな香りか確かめさせて」
「いいわよ、はい」
「……何か変な匂い」
「ふふっ、ちょっとまだ暁にはこれは早いのかもね」
「べ、別に飲もうと思えば飲めるんだから!」
「じゃあ私の奢りで一杯飲んでみる?」
「えっ……きょ、今日はあんまりいっぱい飲みたくないし、またの機会にさせてもらってもいい?」
「ならまた今度にしましょうか」
「う、うん……」
(どうしよう……鼻を近付けただけでクラクラしたのなんか飲めない……)
「ところで、暁の頼んだそれは何なの?」
「これは暁の為に早霜が特別に作ってくれた、大人のレディー専用の酔わないお酒よ。ねぇ早霜?」
「えぇ、それは暁さん専用のカクテルです」
「どんなのか気になるわね……私もそれ、一杯もらってもいい?」
「はい、すぐにお作りします」
「んくっ、んくっ、ふぅ……やっぱりこのカクテルが一番よね! 早霜、暁にももう一杯作ってちょうだい」
「そんなジュースみたいに飲んで大丈夫なの?」
「一人前のレディーにはこのぐらいへっちゃらよ」
「お二人とも、どうぞ」
(……? これ、ひょっとして……)
「甘くて美味しいし、これなら何杯でも飲めちゃうわ」
――――カクテルはカクテルでも、アレってノンアルコールカクテルでしょ?
――――以前、ワインを一口飲んだら倒れてしまったので、それ以来ずっとノンアルコールカクテルをお出ししています。
――――暁らしいわね……。それで、貴女は何杯飲むつもり?
――――眠くなるまでだよ。
――――(妹の方は顔色一つ変えずに飲んでるし、やっぱり姉妹でも色々違うもんね)
「そうねぇ、そこのレミーマルタン一杯もらえる?」
「はい」
「暁はいつものをお願いするわ」
「えぇ、いつものですね」
「暁、貴女お酒飲めたの?」
「妹の響だって飲めるんだから、当然飲めるわ」
「へー、意外ね」
「お二人とも、どうぞ」
「ありがとう早霜。うーん、良い香り」
「ねぇねぇ飛鷹さん、暁にもどんな香りか確かめさせて」
「いいわよ、はい」
「……何か変な匂い」
「ふふっ、ちょっとまだ暁にはこれは早いのかもね」
「べ、別に飲もうと思えば飲めるんだから!」
「じゃあ私の奢りで一杯飲んでみる?」
「えっ……きょ、今日はあんまりいっぱい飲みたくないし、またの機会にさせてもらってもいい?」
「ならまた今度にしましょうか」
「う、うん……」
(どうしよう……鼻を近付けただけでクラクラしたのなんか飲めない……)
「ところで、暁の頼んだそれは何なの?」
「これは暁の為に早霜が特別に作ってくれた、大人のレディー専用の酔わないお酒よ。ねぇ早霜?」
「えぇ、それは暁さん専用のカクテルです」
「どんなのか気になるわね……私もそれ、一杯もらってもいい?」
「はい、すぐにお作りします」
「んくっ、んくっ、ふぅ……やっぱりこのカクテルが一番よね! 早霜、暁にももう一杯作ってちょうだい」
「そんなジュースみたいに飲んで大丈夫なの?」
「一人前のレディーにはこのぐらいへっちゃらよ」
「お二人とも、どうぞ」
(……? これ、ひょっとして……)
「甘くて美味しいし、これなら何杯でも飲めちゃうわ」
――――カクテルはカクテルでも、アレってノンアルコールカクテルでしょ?
――――以前、ワインを一口飲んだら倒れてしまったので、それ以来ずっとノンアルコールカクテルをお出ししています。
――――暁らしいわね……。それで、貴女は何杯飲むつもり?
――――眠くなるまでだよ。
――――(妹の方は顔色一つ変えずに飲んでるし、やっぱり姉妹でも色々違うもんね)
778: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/05(金) 22:54:37.25 ID:u68usdcU0
全てを託すに値するか、見極めなければいけない。
もし見誤れば、あの子達を危険に晒してしまう。
自分が消えるだけならば、既に戦いの終わった今の世に思い残すことは無い。
その時が来たならば、私は躊躇うことなく死を選びましょう。
それで、あの子達が助かるのなら――。
「(いけませんねぇ、これは司令官に報告しないと)」
「(尾行って何かかっこいいよね、一度やってみたかったんだー)」
「(くれぐれもバレないようにお願いしますね?)」
「(分かってるって)」
(――青葉、久しぶりに本気見せちゃいます)
(こういうのは誰も知らないうちに処理するのが一番だよね、うん)
??の秘密について?葉と川?が調査を始めました。
もし見誤れば、あの子達を危険に晒してしまう。
自分が消えるだけならば、既に戦いの終わった今の世に思い残すことは無い。
その時が来たならば、私は躊躇うことなく死を選びましょう。
それで、あの子達が助かるのなら――。
「(いけませんねぇ、これは司令官に報告しないと)」
「(尾行って何かかっこいいよね、一度やってみたかったんだー)」
「(くれぐれもバレないようにお願いしますね?)」
「(分かってるって)」
(――青葉、久しぶりに本気見せちゃいます)
(こういうのは誰も知らないうちに処理するのが一番だよね、うん)
??の秘密について?葉と川?が調査を始めました。
779: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/05(金) 22:55:08.76 ID:u68usdcU0
――弥生はいつも無表情だった。
――卯月はいつもふざけて怒られていた。
――弥生は何を言われても、何をされても無表情なままだった。
――卯月は嫌なことがあるとすぐに逃げていた。
――どうして弥生はあんな風に我慢出来るんだろう。
――どうして卯月はあんなに自分に正直なんだろう。
――楽しくもない、ただ辛いだけの戦いなんて嫌。
――戦うのは辛いし怖いけど、守らないと。
――ずっと楽しく遊んでいたい。
――せめて、弥生みたいに卯月にはなって欲しくないから。
――でも、卯月の本当にしたいことは……。
――でも、出来ることなら……。
「相変わらずだな、あの二人は」
「おりょ? 弥生と卯月のこと?」
「あぁ、さっきあれだけぶっ飛ばしてぶっ飛ばされたってのに、どっちも一切気にしてないだろ」
「当然なのね。アレが二人の仲良しの秘訣にゃしぃ」
「遊びに来てる子供に悪い影響が無いといいんだがな……」
「卯月が……いっぱい……幸せ……」
「うーちゃんはサンドバッグじゃない……ぴょん……」
――出来ることなら、周りを気にせず二人で思いっきり遊んでみたい。
――卯月はいつもふざけて怒られていた。
――弥生は何を言われても、何をされても無表情なままだった。
――卯月は嫌なことがあるとすぐに逃げていた。
――どうして弥生はあんな風に我慢出来るんだろう。
――どうして卯月はあんなに自分に正直なんだろう。
――楽しくもない、ただ辛いだけの戦いなんて嫌。
――戦うのは辛いし怖いけど、守らないと。
――ずっと楽しく遊んでいたい。
――せめて、弥生みたいに卯月にはなって欲しくないから。
――でも、卯月の本当にしたいことは……。
――でも、出来ることなら……。
「相変わらずだな、あの二人は」
「おりょ? 弥生と卯月のこと?」
「あぁ、さっきあれだけぶっ飛ばしてぶっ飛ばされたってのに、どっちも一切気にしてないだろ」
「当然なのね。アレが二人の仲良しの秘訣にゃしぃ」
「遊びに来てる子供に悪い影響が無いといいんだがな……」
「卯月が……いっぱい……幸せ……」
「うーちゃんはサンドバッグじゃない……ぴょん……」
――出来ることなら、周りを気にせず二人で思いっきり遊んでみたい。
780: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/05(金) 22:55:39.66 ID:u68usdcU0
きっかけは、何気無いたった一言だった。
でもさ、あたしにはその一言が凄く嬉しかったんだ。
姉妹に比べれば女の子らしいところなんてこれっぽっちも無いし、別に気にもしてなかった。
だけど、いざ言われたらやっぱり意識しちゃうもんだよな。
しかも吹雪の失敗した料理にはっきり“不味い”って言ったし、思ったことをしっかり言う人だってことじゃん。
あっ、ちゃんとその時の料理は完食してたし、吹雪も次は頑張るって張り切ってたよ。
ってそうじゃなくて、あたしが言いたいのはさ……その、あたしもやっぱり女の子なんだなーってこと!
「深雪、ギブ、ギブ!」
「えー? まだかけたばっかだぜ?」
「俺の意識が欠けていくんだよ!」
「ちぇっ、せっかく対陸戦用深雪スペシャルが完成したからお披露目に来たってのに」
「俺で試すな、やるなら若葉とか武蔵とかにしろ」
「はいはい分かりましたー。じゃあこっちならいいよな?」
「おー、そっちの深雪スペシャルなら歓迎だ」
「いっぱい作ったからどんどん食べてくれよ!」
――――深雪、ちょっといいか。
――――司令官? 何か用?
――――これをたまたま寄った店で見付けてな、お前の好みかは分からんが、気に入ったならやる。
――――何であたしに?
――――? 似合うと思った以外に何があるんだ?
――――吹雪とか白雪じゃなくて?
――――あぁ、お前にだ。
――――……だったら、もらおっかな。
――――そうか、じゃあコレ。
――――あっ、ありがとな、司令官。
――――お礼は深雪スペシャルで頼む。
でもさ、あたしにはその一言が凄く嬉しかったんだ。
姉妹に比べれば女の子らしいところなんてこれっぽっちも無いし、別に気にもしてなかった。
だけど、いざ言われたらやっぱり意識しちゃうもんだよな。
しかも吹雪の失敗した料理にはっきり“不味い”って言ったし、思ったことをしっかり言う人だってことじゃん。
あっ、ちゃんとその時の料理は完食してたし、吹雪も次は頑張るって張り切ってたよ。
ってそうじゃなくて、あたしが言いたいのはさ……その、あたしもやっぱり女の子なんだなーってこと!
「深雪、ギブ、ギブ!」
「えー? まだかけたばっかだぜ?」
「俺の意識が欠けていくんだよ!」
「ちぇっ、せっかく対陸戦用深雪スペシャルが完成したからお披露目に来たってのに」
「俺で試すな、やるなら若葉とか武蔵とかにしろ」
「はいはい分かりましたー。じゃあこっちならいいよな?」
「おー、そっちの深雪スペシャルなら歓迎だ」
「いっぱい作ったからどんどん食べてくれよ!」
――――深雪、ちょっといいか。
――――司令官? 何か用?
――――これをたまたま寄った店で見付けてな、お前の好みかは分からんが、気に入ったならやる。
――――何であたしに?
――――? 似合うと思った以外に何があるんだ?
――――吹雪とか白雪じゃなくて?
――――あぁ、お前にだ。
――――……だったら、もらおっかな。
――――そうか、じゃあコレ。
――――あっ、ありがとな、司令官。
――――お礼は深雪スペシャルで頼む。
784: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/06(土) 21:36:54.36 ID:6qniaYDX0
・金剛&大鳳『結構似た者同士』、投下します
比叡と榛名と霧島のもちゃんと集めてたりする
比叡と榛名と霧島のもちゃんと集めてたりする
785: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/06(土) 21:37:26.94 ID:6qniaYDX0
「Hey大鳳、ご注文は何にするデース?」
「ダージリン」
「今ならランチサービスでサンドイッチと合わせて八百円ネー」
「じゃあそれでお願い」
「了解デース。比叡、サンドイッチお願いしマース」
――気合い! 入れて! 作ります!
(サンドイッチに気合いって必要かしら……)
「今日は浦風はどうしてるデース?」
「今頃磯風達と料理してるわ」
「Oh……」
「浦風から聞いた話ではだいぶ一般的な知識は身に付いたらしいから、もう大丈夫だとは思うわよ?」
「極端に甘いか辛いかダブルアタックっていうのは、なかなか舌と胃に来るものがあったネ……」
「あら、比叡の料理で慣れてるんじゃないの?」
「アレは味覚以前の問題だったデース……」
「お待たせしました! 比叡特製カレーサンドです!」
「ありがとう比叡」
「ダージリンもちょうど入ったネー」
「――ふぅ……まぁ、比叡だって今は色々な美味しい料理を作っているみたいだし、磯風もきっと大丈夫よ」
「そうなることを切に願いマース」
「ダージリン」
「今ならランチサービスでサンドイッチと合わせて八百円ネー」
「じゃあそれでお願い」
「了解デース。比叡、サンドイッチお願いしマース」
――気合い! 入れて! 作ります!
(サンドイッチに気合いって必要かしら……)
「今日は浦風はどうしてるデース?」
「今頃磯風達と料理してるわ」
「Oh……」
「浦風から聞いた話ではだいぶ一般的な知識は身に付いたらしいから、もう大丈夫だとは思うわよ?」
「極端に甘いか辛いかダブルアタックっていうのは、なかなか舌と胃に来るものがあったネ……」
「あら、比叡の料理で慣れてるんじゃないの?」
「アレは味覚以前の問題だったデース……」
「お待たせしました! 比叡特製カレーサンドです!」
「ありがとう比叡」
「ダージリンもちょうど入ったネー」
「――ふぅ……まぁ、比叡だって今は色々な美味しい料理を作っているみたいだし、磯風もきっと大丈夫よ」
「そうなることを切に願いマース」
786: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/06(土) 21:38:01.64 ID:6qniaYDX0
「ところで金剛、約束のモノは持ってきてくれたの?」
「当然ネー」
「じゃあ交渉成立ね」
「またcuteなのが撮れたら連絡しマース」
「えぇ、私もすぐに知らせるわ」
「お姉様、何を交換したんですか?」
「秘密のcollectionデース」
「それ、うちも見せてもろてえぇ?」
「当然ネー」
「じゃあ交渉成立ね」
「またcuteなのが撮れたら連絡しマース」
「えぇ、私もすぐに知らせるわ」
「お姉様、何を交換したんですか?」
「秘密のcollectionデース」
「それ、うちも見せてもろてえぇ?」
787: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/06(土) 21:39:02.90 ID:6qniaYDX0
――――全く、油断も隙もありゃせんねぇ。
――――うぅ……浦風怒ると怖いデース……。
――――(ちゃんと撮る許可を取ったのに寝ぼけてたから覚えてないなんて、不幸だわ……)
――――うぅ……浦風怒ると怖いデース……。
――――(ちゃんと撮る許可を取ったのに寝ぼけてたから覚えてないなんて、不幸だわ……)
791: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/08(月) 22:52:31.18 ID:2D5HRCql0
・大鳳&浦風『以心伝心』 、投下します
二人ともちょっと怖がり
人参大好き
二人ともちょっと怖がり
人参大好き
792: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/08(月) 22:53:03.35 ID:2D5HRCql0
「浦風、アレどこかしら」
「そこの引き出しの二番目に入っとるよ」
「ありがと浦風。そういえばあの店、この近くに出来るみたいね」
「そりゃぶち嬉しいんじゃ。姉さん、出来たら一緒に行こね」
「えぇ、もちろん」
「ところでお昼はどうするんじゃ? 冷蔵庫にアレとアレ残っとるけど」
「だったら付け合わせにこの前貰ったアレを炒めましょうか」
「うちはそれでえぇよ」
「じゃあそうしましょう」
「はい、浦風」
「ありがと姉さん」
「やっぱり伊良湖の作る最中は美味しいわね」
「お茶も鳳翔さんからの貰いもので良い香りじゃねぇ」
「この前借りてきたDVDでも見る?」
「どれを先に見るんじゃ?」
「こっちの『世にも奇妙な鎮守府~8~』から見ましょうか」
「6の『顔の無い艦娘』は怖かったなぁ……」
「浦風って、少し怖がりよね」
「姉さんだけには言われとうないんじゃ」
「わ、私はちっとも怖くなんかなかったわよ?」
「そう言いながらうちを後ろから抱き締めとるのは何でか言うてみ? ん?」
「あっ、ほら始まるわよ浦風、前見て前」
「そこの引き出しの二番目に入っとるよ」
「ありがと浦風。そういえばあの店、この近くに出来るみたいね」
「そりゃぶち嬉しいんじゃ。姉さん、出来たら一緒に行こね」
「えぇ、もちろん」
「ところでお昼はどうするんじゃ? 冷蔵庫にアレとアレ残っとるけど」
「だったら付け合わせにこの前貰ったアレを炒めましょうか」
「うちはそれでえぇよ」
「じゃあそうしましょう」
「はい、浦風」
「ありがと姉さん」
「やっぱり伊良湖の作る最中は美味しいわね」
「お茶も鳳翔さんからの貰いもので良い香りじゃねぇ」
「この前借りてきたDVDでも見る?」
「どれを先に見るんじゃ?」
「こっちの『世にも奇妙な鎮守府~8~』から見ましょうか」
「6の『顔の無い艦娘』は怖かったなぁ……」
「浦風って、少し怖がりよね」
「姉さんだけには言われとうないんじゃ」
「わ、私はちっとも怖くなんかなかったわよ?」
「そう言いながらうちを後ろから抱き締めとるのは何でか言うてみ? ん?」
「あっ、ほら始まるわよ浦風、前見て前」
793: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/08(月) 22:53:33.21 ID:2D5HRCql0
――人参美味しいぴょん。
「ね、ねぇ浦風、この人参って……」
「アレはただの大きい人参じゃ姉さん」
――皆、どこ行っちゃったんだぴょん?
「な、何でさっきから顔を映さないのかしら」
「ただの演出じゃ、心配いらんよ」
――司令官、卯月、人参食べられるようになったぴょん。
「」
(アレはケチャップアレはケチャップアレはケチャップアレはケチャップ……)
「最後の『猫になった多摩』は面白かったんじゃ」
「やっと元に戻ったと思ったら、球磨が熊になってしまうなんてね」
「さてと、姉さん次はどれにする?」
「『ぷちむす』」
「姉さんそれ好きじゃねぇ」
「だって可愛いんだもの、浦風も出てるし」
――――浦風がこのぐらいのサイズになったらずっと抱っこしていたいわ。
――――(今も大抵一緒の時は抱き締められとる気がするんじゃけど……)
「ね、ねぇ浦風、この人参って……」
「アレはただの大きい人参じゃ姉さん」
――皆、どこ行っちゃったんだぴょん?
「な、何でさっきから顔を映さないのかしら」
「ただの演出じゃ、心配いらんよ」
――司令官、卯月、人参食べられるようになったぴょん。
「」
(アレはケチャップアレはケチャップアレはケチャップアレはケチャップ……)
「最後の『猫になった多摩』は面白かったんじゃ」
「やっと元に戻ったと思ったら、球磨が熊になってしまうなんてね」
「さてと、姉さん次はどれにする?」
「『ぷちむす』」
「姉さんそれ好きじゃねぇ」
「だって可愛いんだもの、浦風も出てるし」
――――浦風がこのぐらいのサイズになったらずっと抱っこしていたいわ。
――――(今も大抵一緒の時は抱き締められとる気がするんじゃけど……)
798: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/10(水) 17:41:46.56 ID:m1+cE+iS0
・飲食店経営組『漣の企画が全力で私達の羞恥心にダイレクトアタックしてくる』、投下します
一部艦娘のモノはお好きなモノをご想像下さい
一部艦娘のモノはお好きなモノをご想像下さい
799: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/10(水) 17:42:16.83 ID:m1+cE+iS0
鎮守府に現在ある飲食店は全部で六つ。
そのうち二つは一般人には開放されていない区画にあり、今回の会議には不参加である。
そして、犠牲者――もとい、漣に集められた店のオーナーは以下の三名だ。
「Hey漣ー、今回はどんなとんでもない企画を思い付いたんデスか?」
「企画によっては私は降りさせてもらうわ」
「前回みたいなのは私もちょっと……」
比較的まだ乗り気な金剛、警戒しているビスマルク、苦笑いの間宮。
それぞれに反応は違うが、そんなことは意にも介さず伊達眼鏡をクイッと上げながら漣は企画の説明を始める。
「えー、本日はお日柄も良く、晴れ晴れとしております。そして、私達の居るこの鎮守府は海に面していて、尚且つそれを最大限活かせる武器を持っています」
柄にもなく真面目な口調で話を進める漣。
しかし、既に三人は気付いていた。
漣の後ろに詰まれた段ボールに書かれてあるものが、自分達にこれから訪れる地獄だということを。
「――つまり、皆水着になっちまいましょうか」
そのうち二つは一般人には開放されていない区画にあり、今回の会議には不参加である。
そして、犠牲者――もとい、漣に集められた店のオーナーは以下の三名だ。
「Hey漣ー、今回はどんなとんでもない企画を思い付いたんデスか?」
「企画によっては私は降りさせてもらうわ」
「前回みたいなのは私もちょっと……」
比較的まだ乗り気な金剛、警戒しているビスマルク、苦笑いの間宮。
それぞれに反応は違うが、そんなことは意にも介さず伊達眼鏡をクイッと上げながら漣は企画の説明を始める。
「えー、本日はお日柄も良く、晴れ晴れとしております。そして、私達の居るこの鎮守府は海に面していて、尚且つそれを最大限活かせる武器を持っています」
柄にもなく真面目な口調で話を進める漣。
しかし、既に三人は気付いていた。
漣の後ろに詰まれた段ボールに書かれてあるものが、自分達にこれから訪れる地獄だということを。
「――つまり、皆水着になっちまいましょうか」
800: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/10(水) 17:42:55.37 ID:m1+cE+iS0
「榛名は大丈夫じゃないです!」
「No problemネー。似合ってマス榛名」
「金剛お姉様、私は? 私は似合ってますか?」
「当然デース。比叡のワンピースもvery cuteネ」
(榛名の貝殻ビキニは少々やり過ぎな気もしますが、売り上げの為ならやむ無しですね)
「榛名は……榛名は絶対に大丈夫じゃないです!」
「ねぇビスマルク、これは僕に何を求めてるのかな?」
「(マックス、どう返事をするべきかしら?)」
「(私に聞かないで)」
「ビスマルク姉さん、これってスク・ミズーとかいうもの?」
「そうだよプリンツ。三人のはハチ達が着ているスク水で、僕のは何故かビキニと水着パーカーだよ……」
「(恥ずかしがっているようだけど、あまりいつもの服と変わらない気もするわね)」
「(レーベの中では何かが違うんじゃないかしら。……まぁ、私は気にしないけど)」
「うわっ!? よく考えたらこれエプロンしないとズッペはねて熱いっ!」
「No problemネー。似合ってマス榛名」
「金剛お姉様、私は? 私は似合ってますか?」
「当然デース。比叡のワンピースもvery cuteネ」
(榛名の貝殻ビキニは少々やり過ぎな気もしますが、売り上げの為ならやむ無しですね)
「榛名は……榛名は絶対に大丈夫じゃないです!」
「ねぇビスマルク、これは僕に何を求めてるのかな?」
「(マックス、どう返事をするべきかしら?)」
「(私に聞かないで)」
「ビスマルク姉さん、これってスク・ミズーとかいうもの?」
「そうだよプリンツ。三人のはハチ達が着ているスク水で、僕のは何故かビキニと水着パーカーだよ……」
「(恥ずかしがっているようだけど、あまりいつもの服と変わらない気もするわね)」
「(レーベの中では何かが違うんじゃないかしら。……まぁ、私は気にしないけど)」
「うわっ!? よく考えたらこれエプロンしないとズッペはねて熱いっ!」
801: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/10(水) 17:43:29.32 ID:m1+cE+iS0
「間宮さん」
「な、なぁに伊良湖」
「目を背けても水着は消えないと思います」
「うっ……伊良湖は嫌じゃないの?」
「お菓子を作るのに支障はありませんので」
(この子、本当にお菓子作り以外興味ないんじゃないかしら……)
「大鯨ちゃんはど――」
「間宮さん、この水着どうでしょうかあ?」
「え? えぇ、淡い水色がとても良く合ってて可愛いと思うわよ?」
「ふふっ、提督と海へ行く約束をしたところだったので、とっても助かりましたあ」
(いつもの大鯨ちゃんならもう少し恥ずかしがってたんでしょうけど、笑顔がキラキラしてるわね……)
「――このまた胸元の開いてるのを、着るしかないのかしら……」
「は、恥ずかしいよぉ……」
「蟹をイメージした水着、嫌いじゃない」
「ちょっと待ちなさいよ漣! 私のこの水着何なのよ!?」
「ご注文通り“露出が少なくて派手じゃない水着”ですが、何か問題でも?」
「問題大ありよ! 何で私だけダイビングスーツなのよ! しかもご丁寧に酸素ボンベまで用意してるし!」
「肌の露出はほぼゼロ、飾りっ気もなく地味、ほらね?」
「ほらねじゃないわよ、このっ! このっ!」
「痛っ、酸素ボンベは鈍器じゃ痛っ、痛いですってば!? ならこっちだったら文句無いでしょ!」
「はぁ……はぁ……花柄の、ワンピース? こういうのがあるなら、最初から、出しなさいよ、全く……」
(よし、ミッションコンプリート! 胸にツンデレって浮かび上がる細工が仕掛けてあるのは注意深く調べないとバレませんし、これで当日はまた面白くなりそうですねー)
「(漣ちゃんがまた悪いこと考えてる顔してる……)」
「(朧は蟹が可愛いから満足、潮の牛柄も可愛い)」
なお、イベントは提督への虚偽申請が発覚した為、初日で中止となったそうな。
「な、なぁに伊良湖」
「目を背けても水着は消えないと思います」
「うっ……伊良湖は嫌じゃないの?」
「お菓子を作るのに支障はありませんので」
(この子、本当にお菓子作り以外興味ないんじゃないかしら……)
「大鯨ちゃんはど――」
「間宮さん、この水着どうでしょうかあ?」
「え? えぇ、淡い水色がとても良く合ってて可愛いと思うわよ?」
「ふふっ、提督と海へ行く約束をしたところだったので、とっても助かりましたあ」
(いつもの大鯨ちゃんならもう少し恥ずかしがってたんでしょうけど、笑顔がキラキラしてるわね……)
「――このまた胸元の開いてるのを、着るしかないのかしら……」
「は、恥ずかしいよぉ……」
「蟹をイメージした水着、嫌いじゃない」
「ちょっと待ちなさいよ漣! 私のこの水着何なのよ!?」
「ご注文通り“露出が少なくて派手じゃない水着”ですが、何か問題でも?」
「問題大ありよ! 何で私だけダイビングスーツなのよ! しかもご丁寧に酸素ボンベまで用意してるし!」
「肌の露出はほぼゼロ、飾りっ気もなく地味、ほらね?」
「ほらねじゃないわよ、このっ! このっ!」
「痛っ、酸素ボンベは鈍器じゃ痛っ、痛いですってば!? ならこっちだったら文句無いでしょ!」
「はぁ……はぁ……花柄の、ワンピース? こういうのがあるなら、最初から、出しなさいよ、全く……」
(よし、ミッションコンプリート! 胸にツンデレって浮かび上がる細工が仕掛けてあるのは注意深く調べないとバレませんし、これで当日はまた面白くなりそうですねー)
「(漣ちゃんがまた悪いこと考えてる顔してる……)」
「(朧は蟹が可愛いから満足、潮の牛柄も可愛い)」
なお、イベントは提督への虚偽申請が発覚した為、初日で中止となったそうな。
802: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/10(水) 17:43:58.64 ID:m1+cE+iS0
――――鳳翔さん、新作茶碗蒸しの味、見?
――――あ……瑞鳳、これは違うの。久しく着てなかったからまだ着れるか確かめようと思って、それで……。
――――(鳳翔さんって、意外に結構大胆な水着選ぶんだ……)
――――あ……瑞鳳、これは違うの。久しく着てなかったからまだ着れるか確かめようと思って、それで……。
――――(鳳翔さんって、意外に結構大胆な水着選ぶんだ……)
816: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/11(木) 16:44:36.62 ID:9Z4VHUGi0
・磯風『夢で分かるもの』
・多摩&北上『ゆるゆると』
・葛城『前向きに真っ直ぐに』
・大鯨『あなただから』
・『検品』
・大鳳『出会ってしまった少女』
以上六本でお送りします
・多摩&北上『ゆるゆると』
・葛城『前向きに真っ直ぐに』
・大鯨『あなただから』
・『検品』
・大鳳『出会ってしまった少女』
以上六本でお送りします
819: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/13(土) 14:28:18.69 ID:+7HC/v0j0
・磯風『夢で分かるもの』 、投下します
甘えたくなる時だってある
甘えたくなる時だってある
820: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/13(土) 14:28:53.32 ID:+7HC/v0j0
――雪風、どうした? 何故私に砲を向けている。
――違う、それはもう過去の話だ。
――くっ、身体が……動け、動けっ!
――雪風、雪風っ!
「っはぁ、はぁ……夢、か」
全身を襲う強烈な不快感と虚脱感。
いつもより動作の鈍い身体をゆっくりと動かし、額に貼り付いた髪を払いのけた後、その下ろした手が何かに当たるのを磯風は感じた。
「すぅ……すぅ……」
(相変わらず寝相があまり良くないな、雪風は)
自分の布団にまで転がってきていた雪風を見て、先程まで見ていた夢を彼女は思い出す。
それは、今の姿で再現された昔の姿の最後の記憶。
(話に聞いてはいたが、これを毎晩見るのは流石に遠慮願いたいな)
少し楽になった身体を起こし、雪風に布団をかけ直すと磯風は一人部屋を後にする。
日の出は徐々に早くなりつつあるものの、まだ空が白み始める時間には早く、廊下は音もなく静まり返っていた。
(こんな時間に起きている者など、居るはずも――む?)
何気無く窓から見下ろした先に見えた人影。不審者が侵入した可能性など皆無だとは分かっていても、その後を追って走り出すのを磯風が躊躇うことはなかった。
――違う、それはもう過去の話だ。
――くっ、身体が……動け、動けっ!
――雪風、雪風っ!
「っはぁ、はぁ……夢、か」
全身を襲う強烈な不快感と虚脱感。
いつもより動作の鈍い身体をゆっくりと動かし、額に貼り付いた髪を払いのけた後、その下ろした手が何かに当たるのを磯風は感じた。
「すぅ……すぅ……」
(相変わらず寝相があまり良くないな、雪風は)
自分の布団にまで転がってきていた雪風を見て、先程まで見ていた夢を彼女は思い出す。
それは、今の姿で再現された昔の姿の最後の記憶。
(話に聞いてはいたが、これを毎晩見るのは流石に遠慮願いたいな)
少し楽になった身体を起こし、雪風に布団をかけ直すと磯風は一人部屋を後にする。
日の出は徐々に早くなりつつあるものの、まだ空が白み始める時間には早く、廊下は音もなく静まり返っていた。
(こんな時間に起きている者など、居るはずも――む?)
何気無く窓から見下ろした先に見えた人影。不審者が侵入した可能性など皆無だとは分かっていても、その後を追って走り出すのを磯風が躊躇うことはなかった。
821: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/13(土) 14:29:28.75 ID:+7HC/v0j0
「司令、こんな時間に何をしている」
「磯風か。お前こそ寝間着でこんな時間に何してるんだ?」
「不審者の追跡だ」
「不審者?……それ、ひょっとして俺のことか?」
「こんな時間に司令が一人で護衛もつけずに出歩いているとは、普通思わんさ」
「一向に書類が片付かなくて息抜きの散歩してたんだよ。まだ起きてる奴も居るには居るが、わざわざ声をかけるのもどうかと思ってな」
比較的新顔である磯風にすら分かる事実として、提督に誘われてそれを煩わしく思う者などここでは皆無に等しかった。
無論、彼女も断ることなどありはしない。
「では、この磯風が付き合おう」
「良い子は寝る時間だぞ」
「良い司令は今すぐ執務に戻ろうな?」
「……磯風、散歩に付き合ってくれ」
「了解した」
静かな夜の鎮守府。聞こえるのは二人の足音と、海の音。
特に何を話すわけでもなく、ただただ二人はぐるりと鎮守府を巡る。
「――司令」
「どうした? 眠くなってきたか?」
「“夢”と上手く付き合っていくには、どうすればいい」
「夢、か……」
足を止め、二人は再び向き合う。
以前にもこうして磯風が急に質問をすることは何度かあったが、今回のそれは今までとは別の類いのものだった。
「気に病むな、とは言わない。ただ、今の雪風はお前が思っているよりも強いし、また会えたことを何より嬉しいと感じてる。それを忘れないことだ」
「私はまだ夢の内容について一言も口にしていないはずだが……」
「色々な艦娘からそれについては話を聞いたからな、大体分かるようになった」
「そういうものなのか? しかし、まぁ、感謝する」
「散歩に付き合ってもらった礼だ、気にしなくていい」
軽く返す提督に、磯風は暫く何か思案する素振りを見せた後、再び口を開いた。
「司令、今日は一緒に寝てもいいだろうか」
「磯風か。お前こそ寝間着でこんな時間に何してるんだ?」
「不審者の追跡だ」
「不審者?……それ、ひょっとして俺のことか?」
「こんな時間に司令が一人で護衛もつけずに出歩いているとは、普通思わんさ」
「一向に書類が片付かなくて息抜きの散歩してたんだよ。まだ起きてる奴も居るには居るが、わざわざ声をかけるのもどうかと思ってな」
比較的新顔である磯風にすら分かる事実として、提督に誘われてそれを煩わしく思う者などここでは皆無に等しかった。
無論、彼女も断ることなどありはしない。
「では、この磯風が付き合おう」
「良い子は寝る時間だぞ」
「良い司令は今すぐ執務に戻ろうな?」
「……磯風、散歩に付き合ってくれ」
「了解した」
静かな夜の鎮守府。聞こえるのは二人の足音と、海の音。
特に何を話すわけでもなく、ただただ二人はぐるりと鎮守府を巡る。
「――司令」
「どうした? 眠くなってきたか?」
「“夢”と上手く付き合っていくには、どうすればいい」
「夢、か……」
足を止め、二人は再び向き合う。
以前にもこうして磯風が急に質問をすることは何度かあったが、今回のそれは今までとは別の類いのものだった。
「気に病むな、とは言わない。ただ、今の雪風はお前が思っているよりも強いし、また会えたことを何より嬉しいと感じてる。それを忘れないことだ」
「私はまだ夢の内容について一言も口にしていないはずだが……」
「色々な艦娘からそれについては話を聞いたからな、大体分かるようになった」
「そういうものなのか? しかし、まぁ、感謝する」
「散歩に付き合ってもらった礼だ、気にしなくていい」
軽く返す提督に、磯風は暫く何か思案する素振りを見せた後、再び口を開いた。
「司令、今日は一緒に寝てもいいだろうか」
822: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/13(土) 14:30:04.53 ID:+7HC/v0j0
――――(どうしてこうなった……)
――――うん、悪くない寝心地だ。
――――朝にはちゃんと部屋に戻れよ?
――――あぁ、分かっている。
朝、探しに来た浜風が提督の横で寝間着のはだけている(汗が気持ち悪くて自分で緩めた)磯風を見て固まったのは、また別のお話。
――――うん、悪くない寝心地だ。
――――朝にはちゃんと部屋に戻れよ?
――――あぁ、分かっている。
朝、探しに来た浜風が提督の横で寝間着のはだけている(汗が気持ち悪くて自分で緩めた)磯風を見て固まったのは、また別のお話。
825: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/14(日) 14:25:08.47 ID:buCtwjJK0
・多摩&北上『ゆるゆると』、投下します
めんどくさがり&めんどくさがり
めんどくさがり&めんどくさがり
826: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/14(日) 14:25:49.03 ID:buCtwjJK0
秘書艦日を終え、部屋に戻った北上を待っていたのは扇風機の前で寝転がっている多摩だけだった。
一応は起きているようなので近付いてしゃがみ、彼女は姉へと声をかける。
「ただいま多摩姉、他の皆は?」
「朝帰りするような妹に育てた覚えは無いにゃ」
「いや、多摩姉と球磨姉に鍛えられはしたけど、育ててもらった覚えはないよ? で、他の皆はどうしたのさ」
「大井は木曾と鬼ごっこ、球磨は赤城さんと海鮮丼」
「大井っちは最近木曾にご執心だねー、球磨姉は赤城さんとご飯か……で、多摩姉は何で行かなかったの?」
「今日は暑いのにゃ」
冬は炬燵と陽当たりの良い屋根、夏は涼しい場所を求めてさ迷う多摩にとって、三十度を越す日に出歩くなど考えられなかった。
そんな姉を相変わらず猫だなと思いながら、話を一度そこで終えて冷蔵庫へと向かう。
「北上、ミルクココア」
「ホット?」
「何でホット飲まなきゃいけないのにゃ」
「妹のお腹冷やさないようにって気遣いですよー」
「そんな柔じゃないにゃ」
「じゃあ作るけど、多摩姉が昼御飯担当でいいよね」
「……手間なのじゃなければ」
「多摩姉特製ざるつけ麺」
「何でよりによってそれなのにゃ」
「いやほら、だって暑いし」
「それ作るのはもっと暑いし手間なのにゃ」
「まぁまぁこのアイスミルクココアでも飲んで、可愛い妹に美味しいもの作ってよ、ね?」
「……仕方無いにゃあ」
差し出された冷たいミルクココアを受け取り渋々承諾する姉に、何だかんだ自分達姉妹も妹には甘いなと北上は考える。
それと同時に、滅多にない二人きりの状況を堪能しようと思い立つ。
「――何してるにゃ」
「んー、たまには姉妹の親睦を深めてみるのもいいかなーって」
「暑い」
「じゃあ、えいっ」
「にゃあっ!? にゃ、にゃにするにゃ!?」
「ご注文通り、冷たい氷を首筋にピタッとしたまでですよー」
「……」
(――ありゃ? ひょっとしてちょっとまずった感じ?)
「北上、ちょっとこっち」
「多摩姉? 猫じゃないんだから襟首掴んで引き摺るのはやめてくんない? おーい、多摩姉ー?」
この後めちゃくちゃ氷を服の中に流し込まれた。
一応は起きているようなので近付いてしゃがみ、彼女は姉へと声をかける。
「ただいま多摩姉、他の皆は?」
「朝帰りするような妹に育てた覚えは無いにゃ」
「いや、多摩姉と球磨姉に鍛えられはしたけど、育ててもらった覚えはないよ? で、他の皆はどうしたのさ」
「大井は木曾と鬼ごっこ、球磨は赤城さんと海鮮丼」
「大井っちは最近木曾にご執心だねー、球磨姉は赤城さんとご飯か……で、多摩姉は何で行かなかったの?」
「今日は暑いのにゃ」
冬は炬燵と陽当たりの良い屋根、夏は涼しい場所を求めてさ迷う多摩にとって、三十度を越す日に出歩くなど考えられなかった。
そんな姉を相変わらず猫だなと思いながら、話を一度そこで終えて冷蔵庫へと向かう。
「北上、ミルクココア」
「ホット?」
「何でホット飲まなきゃいけないのにゃ」
「妹のお腹冷やさないようにって気遣いですよー」
「そんな柔じゃないにゃ」
「じゃあ作るけど、多摩姉が昼御飯担当でいいよね」
「……手間なのじゃなければ」
「多摩姉特製ざるつけ麺」
「何でよりによってそれなのにゃ」
「いやほら、だって暑いし」
「それ作るのはもっと暑いし手間なのにゃ」
「まぁまぁこのアイスミルクココアでも飲んで、可愛い妹に美味しいもの作ってよ、ね?」
「……仕方無いにゃあ」
差し出された冷たいミルクココアを受け取り渋々承諾する姉に、何だかんだ自分達姉妹も妹には甘いなと北上は考える。
それと同時に、滅多にない二人きりの状況を堪能しようと思い立つ。
「――何してるにゃ」
「んー、たまには姉妹の親睦を深めてみるのもいいかなーって」
「暑い」
「じゃあ、えいっ」
「にゃあっ!? にゃ、にゃにするにゃ!?」
「ご注文通り、冷たい氷を首筋にピタッとしたまでですよー」
「……」
(――ありゃ? ひょっとしてちょっとまずった感じ?)
「北上、ちょっとこっち」
「多摩姉? 猫じゃないんだから襟首掴んで引き摺るのはやめてくんない? おーい、多摩姉ー?」
この後めちゃくちゃ氷を服の中に流し込まれた。
827: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/15(月) 14:01:54.65 ID:kZYu5orV0
・葛城『前向きに真っ直ぐに』 、投下します
握り飯、歌、そしてボール
握り飯、歌、そしてボール
828: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/15(月) 14:02:27.43 ID:kZYu5orV0
「危ないっ!」
「なんぶふっ!?」
昇る朝日、徐々に白みゆく空、心地好い風。
――そして、提督の顔面を捉えた白と黒の球体。
「あっ、あなた大丈夫!?」
「け、結構痛かったが、大丈夫だ」
爆発、流れゴム弾、連装砲ちゃんに比べればダメージは軽微であり、提督はすぐに立ち上がった。
チカチカとする視界もそう時を置かずして元へと戻り、自分にぶつかった物とぶつけた者を確認する。
「誰かと思えば葛城か、何でこんな時間に一人でサッカーなんかしてたんだ?」
「それは、その、秘密よっ!」
「だったら天城と雲龍、後は瑞鶴にでも聞いてみるか」
「それだけは絶対にやめてっ!?」
「冗談だ。まぁ無理に聞く気は無いが、顔面にボールが飛んできた経緯ぐらいは説明してくれよ?」
「ご、ごめんなさい……実は――」
(空母に“ノーコン”……そりゃ気にするなってのは無理な相談か)
「子供達に悪気が無かったのも艦載機を操るのとは訳が違うっていうのも分かるんだけど、言われたままにしておけないなって思って、それで……」
「こんな時間に秘密の練習をしていた、と」
子供達に蹴り返したはずのボールがあらぬ方向へ飛んでいった。
これが五月雨などならいつものことで済まされるのだが、葛城にとっては早朝に人知れず特訓する程の大問題だった。
「蹴り方が悪いとかじゃないのか?」
「だったらあなた、ちょっとそこで見ててくれない?」
「別に俺はサッカーに詳しいわけでもないし、見てどこが悪いとか分からんぞ?」
「それでもいいわ」
言うや否や駆けていき、ボールを地面に置いて少し離れると、助走から綺麗にボールを蹴り上げる。
そして、お約束のように提督へとそれは吸い込まれていくのだった。
――――結局、葛城にはどういう風に指導したの?
――――インサイドで蹴れと言っといた。
――――じゃああの変な曲がり方をするボールはもう見られないのね、少し残念だわ。
――――大鳳、お前もあの漫画みたいな回転のかかったボール顔面に喰らってみるか?
――――……武蔵が蹴ったボールで中破、今となっては良い思い出よ。
「なんぶふっ!?」
昇る朝日、徐々に白みゆく空、心地好い風。
――そして、提督の顔面を捉えた白と黒の球体。
「あっ、あなた大丈夫!?」
「け、結構痛かったが、大丈夫だ」
爆発、流れゴム弾、連装砲ちゃんに比べればダメージは軽微であり、提督はすぐに立ち上がった。
チカチカとする視界もそう時を置かずして元へと戻り、自分にぶつかった物とぶつけた者を確認する。
「誰かと思えば葛城か、何でこんな時間に一人でサッカーなんかしてたんだ?」
「それは、その、秘密よっ!」
「だったら天城と雲龍、後は瑞鶴にでも聞いてみるか」
「それだけは絶対にやめてっ!?」
「冗談だ。まぁ無理に聞く気は無いが、顔面にボールが飛んできた経緯ぐらいは説明してくれよ?」
「ご、ごめんなさい……実は――」
(空母に“ノーコン”……そりゃ気にするなってのは無理な相談か)
「子供達に悪気が無かったのも艦載機を操るのとは訳が違うっていうのも分かるんだけど、言われたままにしておけないなって思って、それで……」
「こんな時間に秘密の練習をしていた、と」
子供達に蹴り返したはずのボールがあらぬ方向へ飛んでいった。
これが五月雨などならいつものことで済まされるのだが、葛城にとっては早朝に人知れず特訓する程の大問題だった。
「蹴り方が悪いとかじゃないのか?」
「だったらあなた、ちょっとそこで見ててくれない?」
「別に俺はサッカーに詳しいわけでもないし、見てどこが悪いとか分からんぞ?」
「それでもいいわ」
言うや否や駆けていき、ボールを地面に置いて少し離れると、助走から綺麗にボールを蹴り上げる。
そして、お約束のように提督へとそれは吸い込まれていくのだった。
――――結局、葛城にはどういう風に指導したの?
――――インサイドで蹴れと言っといた。
――――じゃああの変な曲がり方をするボールはもう見られないのね、少し残念だわ。
――――大鳳、お前もあの漫画みたいな回転のかかったボール顔面に喰らってみるか?
――――……武蔵が蹴ったボールで中破、今となっては良い思い出よ。
829: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/15(月) 14:02:58.22 ID:kZYu5orV0
「その後はどうだ? ノーコンの汚名は返上出来たか?」
「えぇ、しっかりとね。今はたまに一緒にサッカーして遊んでるんだから」
「そりゃ良かったな」
「最近はこれの練習をしてるのよ。“リフィーディング”、だっけ?」
「……リフティングな、ちゃんと間違えずに覚えとけ」
「あっそれよそれ、リフティング。私、何で間違えたのかしら?」
(単語のみ知識として持ってる感じか。まぁ葛城が意味を知ったところで問題はないし、放っておくとしよう)
「よっ、ほっ――あっ」
「へぶっ!?」
執務室でのリフティングは禁止されました。
「えぇ、しっかりとね。今はたまに一緒にサッカーして遊んでるんだから」
「そりゃ良かったな」
「最近はこれの練習をしてるのよ。“リフィーディング”、だっけ?」
「……リフティングな、ちゃんと間違えずに覚えとけ」
「あっそれよそれ、リフティング。私、何で間違えたのかしら?」
(単語のみ知識として持ってる感じか。まぁ葛城が意味を知ったところで問題はないし、放っておくとしよう)
「よっ、ほっ――あっ」
「へぶっ!?」
執務室でのリフティングは禁止されました。
830: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/16(火) 23:32:51.27 ID:PQE2RNS30
・大鯨『あなただから』、投下します
E:バケツ
E:バケツ
831: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/16(火) 23:36:20.38 ID:PQE2RNS30
家族連れ、カップル、友人同士、色々な人間が海へと入っていく様子を眺めながら、提督は荷物の側で一人ぼんやりとしていた。
時折女性を目で追ってしまうのは鎮守府の誰かに似ていたという理由だけで、普段恵まれ過ぎている環境に身を置く彼が鼻の下を伸ばすようなことはなかった。
「ごめんなさい、少し遅くなりましたあ」
「気にするな、平和な海をボーっと眺めてるのも悪くない」
「あの、提督……」
「――水着、よく似合ってるし可愛いぞ」
「本当、ですか?」
「嘘や世辞は苦手だ」
「ふふっ、とっても嬉しいです」
パッと花が咲いたように、大鯨は満面の笑みを見せる。
その笑顔は、提督に決断させるには十分な威力だった。
時折女性を目で追ってしまうのは鎮守府の誰かに似ていたという理由だけで、普段恵まれ過ぎている環境に身を置く彼が鼻の下を伸ばすようなことはなかった。
「ごめんなさい、少し遅くなりましたあ」
「気にするな、平和な海をボーっと眺めてるのも悪くない」
「あの、提督……」
「――水着、よく似合ってるし可愛いぞ」
「本当、ですか?」
「嘘や世辞は苦手だ」
「ふふっ、とっても嬉しいです」
パッと花が咲いたように、大鯨は満面の笑みを見せる。
その笑顔は、提督に決断させるには十分な威力だった。
832: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/16(火) 23:36:53.12 ID:PQE2RNS30
「なぁ、大鯨」
「はい、何でしょうかあ?」
「そのバケツって、いつも使ってるやつか?」
「違います。これは砂遊び用です」
大鯨曰く、水を運ぶ用、食料運搬用、物資運搬用と様々なバケツがあるらしく、提督は彼女へ贈り物をする時の選択肢にバケツを密かに増やした。
「提督、ひょっとして退屈されてますか?」
「いや、昔からボーっと眺めるのは割と好きだし苦にはならん。出来上がりを楽しみにしながらのんびりするさ」
「そんなに得意じゃありませんし、出来上がりに期待はしないで下さいね?」
泳ぐのもそこそこに砂で鯨を作り始めた大鯨の横で、提督は楽しそうにペタペタと砂を固めていく彼女を見つめる。
最初に鎮守府へ来た頃は少しオドオドとしていたのが嘘のように、今見ている横顔には暗さは微塵も感じられない。
「――大鯨」
「何でしょうかあ?」
「お前が望んでいるものを与えれば、“今”よりもお前は毎日を楽しめるか?」
「……楽しくなるのかは、正直分からないです」
砂を触る手を止め、少し考えながら大鯨は思いを口にしていく。
「ちょっぴり皆さんに嫉妬しちゃうかもしれません」
「少し、わがままを言って困らせてしまうかもしれません」
「――でも、一つだけ、これだけは絶対に分かります」
「提督とそうなれたら、私は今よりも幸せになれます」
「はい、何でしょうかあ?」
「そのバケツって、いつも使ってるやつか?」
「違います。これは砂遊び用です」
大鯨曰く、水を運ぶ用、食料運搬用、物資運搬用と様々なバケツがあるらしく、提督は彼女へ贈り物をする時の選択肢にバケツを密かに増やした。
「提督、ひょっとして退屈されてますか?」
「いや、昔からボーっと眺めるのは割と好きだし苦にはならん。出来上がりを楽しみにしながらのんびりするさ」
「そんなに得意じゃありませんし、出来上がりに期待はしないで下さいね?」
泳ぐのもそこそこに砂で鯨を作り始めた大鯨の横で、提督は楽しそうにペタペタと砂を固めていく彼女を見つめる。
最初に鎮守府へ来た頃は少しオドオドとしていたのが嘘のように、今見ている横顔には暗さは微塵も感じられない。
「――大鯨」
「何でしょうかあ?」
「お前が望んでいるものを与えれば、“今”よりもお前は毎日を楽しめるか?」
「……楽しくなるのかは、正直分からないです」
砂を触る手を止め、少し考えながら大鯨は思いを口にしていく。
「ちょっぴり皆さんに嫉妬しちゃうかもしれません」
「少し、わがままを言って困らせてしまうかもしれません」
「――でも、一つだけ、これだけは絶対に分かります」
「提督とそうなれたら、私は今よりも幸せになれます」
833: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/16(火) 23:37:24.21 ID:PQE2RNS30
「提督? て・い・と・く!」
「――ん? あぁ、大鯨か」
「あぁ大鯨か、じゃないです。今日の約束、ちゃんと覚えてますか?」
「鯨に乗ってハネムがふっ!?」
「新しいバケツ、どうでしょうかあ」
「つっ、使い方が間違ってるだろ……」
「と・に・か・く! 早く準備して下さいね?」
「分かった、分かったからちょっと待ってろ」
(全くいらんところが周りに似てきやがって……まぁ、でも、前よりももっと良い笑顔が見れるなら悪くはないか)
――――今日は二匹作ったのか。
――――はい、鯨の夫婦ですよ。
――――……鯨料理が食べにくくなるな。
――――……提督? あの、それなら――。
美味しい鯨料理が振る舞われました。
「――ん? あぁ、大鯨か」
「あぁ大鯨か、じゃないです。今日の約束、ちゃんと覚えてますか?」
「鯨に乗ってハネムがふっ!?」
「新しいバケツ、どうでしょうかあ」
「つっ、使い方が間違ってるだろ……」
「と・に・か・く! 早く準備して下さいね?」
「分かった、分かったからちょっと待ってろ」
(全くいらんところが周りに似てきやがって……まぁ、でも、前よりももっと良い笑顔が見れるなら悪くはないか)
――――今日は二匹作ったのか。
――――はい、鯨の夫婦ですよ。
――――……鯨料理が食べにくくなるな。
――――……提督? あの、それなら――。
美味しい鯨料理が振る舞われました。
841: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/23(火) 17:50:29.36 ID:8IXDUv/O0
・『検品』 、投下します
842: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/23(火) 17:51:19.56 ID:8IXDUv/O0
「司令官、箱が三つあるのは気のせいじゃないですよね」
「普通なら二つでいいんだがな……売れる、売れない、危険物で分けていくぞ」
吹雪と提督の前には、バザー出品用に集められた品物の山があった。
そのうち何割が売り物となるか一抹の不安を覚えながら、二人は仕分けを開始する。
「この辺のは初雪達のゲームだし、大丈夫かな」
「服も大概は問題ないだろ、私服以外が混じってたらマズイが」
「あっ……シオイのスク水、紛れ込んでました」
「突き返しとけ」
「他には――っ!?」
「? どうした吹雪」
「い、いえ、何でもありませんっ!」
「そ、そうか」
(誰の? これ誰の下着!? 何か透けてるっ!?)
「これは大丈夫、この筋トレグッズは大鳳か? 次は――吹雪、至急潮を呼んでくれ」
「潮ですか? 了解しました、すぐに呼び出します」
「こんなところに居たんだ……探したんだよ、ヲーちゃん」
「ヲ!」
「流石に売れんな」
「そういう以前の問題だと思います、司令官」
「普通なら二つでいいんだがな……売れる、売れない、危険物で分けていくぞ」
吹雪と提督の前には、バザー出品用に集められた品物の山があった。
そのうち何割が売り物となるか一抹の不安を覚えながら、二人は仕分けを開始する。
「この辺のは初雪達のゲームだし、大丈夫かな」
「服も大概は問題ないだろ、私服以外が混じってたらマズイが」
「あっ……シオイのスク水、紛れ込んでました」
「突き返しとけ」
「他には――っ!?」
「? どうした吹雪」
「い、いえ、何でもありませんっ!」
「そ、そうか」
(誰の? これ誰の下着!? 何か透けてるっ!?)
「これは大丈夫、この筋トレグッズは大鳳か? 次は――吹雪、至急潮を呼んでくれ」
「潮ですか? 了解しました、すぐに呼び出します」
「こんなところに居たんだ……探したんだよ、ヲーちゃん」
「ヲ!」
「流石に売れんな」
「そういう以前の問題だと思います、司令官」
843: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/23(火) 17:51:54.19 ID:8IXDUv/O0
「次は帽子か」
「響の使わなかったのがほとんどですね」
「結局どれもしっくり来ないって言ってたからな」
「こっちにあるのはオモチャみたいです」
「ラジコン系は日向として、原人コッツにミニテトリス、ギャオッピ……夕張の参考資料ってとこか」
「この“危険”ってラベルの付いたステッキみたいなのは……」
「危険箱に入れておけ、後で取りに来るように言っておく」
「このティーセットは金剛さんで、お茶碗とかは間宮さんか鳳翔さんですよね」
「その辺は問題ないはずだ」
「次は――司令官、これはどうしたら……」
「魚雷クッションに航空甲板ちゃぶ台、単装砲型チャッカマン、明石もまた色々と作ったもんだ……一応安全かどうか点検して、安全なら売っていいだろ」
結果、売れる4、売れない4、危険2の割合に収まりました。
「響の使わなかったのがほとんどですね」
「結局どれもしっくり来ないって言ってたからな」
「こっちにあるのはオモチャみたいです」
「ラジコン系は日向として、原人コッツにミニテトリス、ギャオッピ……夕張の参考資料ってとこか」
「この“危険”ってラベルの付いたステッキみたいなのは……」
「危険箱に入れておけ、後で取りに来るように言っておく」
「このティーセットは金剛さんで、お茶碗とかは間宮さんか鳳翔さんですよね」
「その辺は問題ないはずだ」
「次は――司令官、これはどうしたら……」
「魚雷クッションに航空甲板ちゃぶ台、単装砲型チャッカマン、明石もまた色々と作ったもんだ……一応安全かどうか点検して、安全なら売っていいだろ」
結果、売れる4、売れない4、危険2の割合に収まりました。
844: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/23(火) 17:52:30.14 ID:8IXDUv/O0
「で、売り子は誰になったんだ?」
「一番この辺だと顔が広い白雪と、逆に顔があまり知られていないユーと葛城に決まりました」
「何とも言えん組み合わせだな」
「白雪が一緒なら大丈夫ですよ、司令官」
「そうだとは思うが、一応後で見に行くぞ」
「了解しました」
「持ってけドロボー、合ってる?」
「ユー、それは買ってくれた方に言うにはおかしいです。お買い上げありがとうございました」
「えっと、これが千九百八十円で、こっちが三百六十円……二つで二千円です!」
「葛城さん、素直に電卓を使って下さい。いつも美味しい果物をありがとうございますお爺さん。二千円におまけ致しますね」
(意外にこれはこれで好評か)
(やっぱり白雪が居ると皆集まるなぁ。最近は私もだいぶ顔が広くなったと思うし、私がやっても集まる……よね?)
無事に完売しました。
売れた中に明石作万能(まな板から鉄まで何でもござれ)包丁が紛れ込んでいて回収騒ぎになったのは、また別のお話。
「一番この辺だと顔が広い白雪と、逆に顔があまり知られていないユーと葛城に決まりました」
「何とも言えん組み合わせだな」
「白雪が一緒なら大丈夫ですよ、司令官」
「そうだとは思うが、一応後で見に行くぞ」
「了解しました」
「持ってけドロボー、合ってる?」
「ユー、それは買ってくれた方に言うにはおかしいです。お買い上げありがとうございました」
「えっと、これが千九百八十円で、こっちが三百六十円……二つで二千円です!」
「葛城さん、素直に電卓を使って下さい。いつも美味しい果物をありがとうございますお爺さん。二千円におまけ致しますね」
(意外にこれはこれで好評か)
(やっぱり白雪が居ると皆集まるなぁ。最近は私もだいぶ顔が広くなったと思うし、私がやっても集まる……よね?)
無事に完売しました。
売れた中に明石作万能(まな板から鉄まで何でもござれ)包丁が紛れ込んでいて回収騒ぎになったのは、また別のお話。
850: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/25(木) 08:14:29.21 ID:9YYZHmUG0
・大鳳『出会ってしまった少女』、投下します
妖精さん
妖精さん
851: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/25(木) 08:17:05.89 ID:9YYZHmUG0
いつも通りの日常、いつも通りの風景を眺めながら、大鳳はいつものように遊戯場のベンチで時折寄ってくる子供達に自分達の話をして時を過ごす。
もう昔の話だと、しかし忘れてはいけないと、親が子に語り継ぐように話す彼女の顔は、とても穏やかなものだった。
そして、今日もまた一人の少女が彼女の元へと歩み寄る。
「こんにちは、お姉さん」
「こんにちは。あら、可愛い猫ね」
「可愛いんだけれど、イタズラが好きで困ってるの」
茶色いおさげに白い帽子、セーラー服を着た少女の腕には、三毛猫が抱かれていた。
拘束されているのが相当不満らしく、しきりに逃げ出そうとしているが、全く抜け出せず不満そうな表情をしている。
「それで、私に何か用かしら? 迷子という歳でも無さそうだけれど」
「うん、今日はお姉さんに話を聞こうと思って来たの」
「艦娘の話、でいいの?」
「ううん、“お姉さん達と保護してる深海棲艦の話”がいいな」
「っ……貴女、何者?」
「そうだなぁ、この子と一緒に居るのがほとんどだし、猫娘って呼んで」
見た目は可愛らしく身長は小学四年生程度、しかし、ひしひしと伝わってくる異様な雰囲気に大鳳は笑みを崩し、鋭い視線を送る。
それを意にも介さず、猫娘と名乗った少女は話を続ける。
「お姉さん達は、彼女達を許したの? いっぱい仲間を沈めたんだよ? 人をいっぱい殺したんだよ?」
「私にそれを聞いて、貴女はどうするつもり?」
「質問に質問で返さないでよお姉さん。でも、答えてあげるね。別にどうもしないから安心して、私は知りたいだけだから」
「……負の気持ちが以前の彼女達を産み出したのだとしたら、彼女達を憎み続けても同じことを繰り返すだけ。だから、私達は今の彼女達に危害を加える気は一切無いし、守ると決めたの」
「もし、また前みたいに人やお姉さん達を襲ったら?」
「その時は全力で止めるだけよ、その為に私達は今もこうして鎮守府で備えているんだから」
「ふーん、そうなんだ。ありがとうお姉さん、答えてくれて」
「今度は私の番よ。貴女は――」
「残念、時間切れ。今日は話してくれてありがと。またね、バイバイ」
「待ちなさっ……消えた?」
文字通り目の前から消えた少女の居た場所を見つめ、大鳳はただ呆然とするのだった。
もう昔の話だと、しかし忘れてはいけないと、親が子に語り継ぐように話す彼女の顔は、とても穏やかなものだった。
そして、今日もまた一人の少女が彼女の元へと歩み寄る。
「こんにちは、お姉さん」
「こんにちは。あら、可愛い猫ね」
「可愛いんだけれど、イタズラが好きで困ってるの」
茶色いおさげに白い帽子、セーラー服を着た少女の腕には、三毛猫が抱かれていた。
拘束されているのが相当不満らしく、しきりに逃げ出そうとしているが、全く抜け出せず不満そうな表情をしている。
「それで、私に何か用かしら? 迷子という歳でも無さそうだけれど」
「うん、今日はお姉さんに話を聞こうと思って来たの」
「艦娘の話、でいいの?」
「ううん、“お姉さん達と保護してる深海棲艦の話”がいいな」
「っ……貴女、何者?」
「そうだなぁ、この子と一緒に居るのがほとんどだし、猫娘って呼んで」
見た目は可愛らしく身長は小学四年生程度、しかし、ひしひしと伝わってくる異様な雰囲気に大鳳は笑みを崩し、鋭い視線を送る。
それを意にも介さず、猫娘と名乗った少女は話を続ける。
「お姉さん達は、彼女達を許したの? いっぱい仲間を沈めたんだよ? 人をいっぱい殺したんだよ?」
「私にそれを聞いて、貴女はどうするつもり?」
「質問に質問で返さないでよお姉さん。でも、答えてあげるね。別にどうもしないから安心して、私は知りたいだけだから」
「……負の気持ちが以前の彼女達を産み出したのだとしたら、彼女達を憎み続けても同じことを繰り返すだけ。だから、私達は今の彼女達に危害を加える気は一切無いし、守ると決めたの」
「もし、また前みたいに人やお姉さん達を襲ったら?」
「その時は全力で止めるだけよ、その為に私達は今もこうして鎮守府で備えているんだから」
「ふーん、そうなんだ。ありがとうお姉さん、答えてくれて」
「今度は私の番よ。貴女は――」
「残念、時間切れ。今日は話してくれてありがと。またね、バイバイ」
「待ちなさっ……消えた?」
文字通り目の前から消えた少女の居た場所を見つめ、大鳳はただ呆然とするのだった。
852: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/25(木) 08:17:44.14 ID:9YYZHmUG0
「目の前で消えた? そんなバカな話があるか――と、言いたいところだが、加賀、吹雪、どう思う?」
「子日のように特殊な状況下で転移することが可能な艦娘、という可能性が一番高いかと」
「でも、ヲーちゃん達のことを知っていた理由が分かりませんね……」
「えぇ、吹雪の言う通りそこが問題なの。それに、断言は出来ないけど、アレは艦娘じゃないと思うわ」
「では、何だというの?」
「……分からない。ただ、少なくともこれまで以上に警戒は強めるべきなのは確かよ」
「分かった、こちらでそれについては手を打っておく。後、この件は一部の者以外には口外しないように、いいな?」
「了解しました、司令官」
「警備担当と特務担当、待機艦隊には私から知らせておきます」
「……」
「どうした大鳳、何かまだあるのか?」
「……提督、これは私がそう感じただけで、確証のようなものは何も無いのだけど、あの女の子――」
――――どことなく、妖精さんに似ていたの。
「子日のように特殊な状況下で転移することが可能な艦娘、という可能性が一番高いかと」
「でも、ヲーちゃん達のことを知っていた理由が分かりませんね……」
「えぇ、吹雪の言う通りそこが問題なの。それに、断言は出来ないけど、アレは艦娘じゃないと思うわ」
「では、何だというの?」
「……分からない。ただ、少なくともこれまで以上に警戒は強めるべきなのは確かよ」
「分かった、こちらでそれについては手を打っておく。後、この件は一部の者以外には口外しないように、いいな?」
「了解しました、司令官」
「警備担当と特務担当、待機艦隊には私から知らせておきます」
「……」
「どうした大鳳、何かまだあるのか?」
「……提督、これは私がそう感じただけで、確証のようなものは何も無いのだけど、あの女の子――」
――――どことなく、妖精さんに似ていたの。
853: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/25(木) 08:18:30.11 ID:9YYZHmUG0
「……」
足下で走り回る自分達用ミニ艤装を開発した妖精さん。
「……」
その後ろを追う妖精さん作イ級ラジコン。
「……」
開発スペースではサバゲー用の特殊ペイント弾を製造中。
(無法地帯って、こういう状況にも使っていいのかしら)
勝手に魔改造や危険物を作られたり、艦娘を建造されるよりはマシだと提督が一定の資材を自由に使用していいと許可を出した為、終戦後の妖精さん達の日常はこの通りである。
実際のところ、妖精さんの技術力は艦娘よりも危険という認識をしている者も少なくはない。
にも関わらず、妖精さんへ対しての何かしらの排斥運動が確認されないのは、実行に移せない“何かの力”が存在するからである。
「夕張、妖精さん達が何なのか考えたことはある?」
「何度か考えたことはあるけど、謎な部分がありすぎるのと私にとっては良きパートナー達というのもあって、深く考えないようになっちゃったかな」
「貴方達、とっても仲良しだものね」
「はい、ずっと一緒に居るようなものですから」
頭と肩に飛び乗ってきた妖精さんにお菓子をあげながら、夕張は微笑む。
その様子を見て、大鳳も夕張の言う“良きパートナー”という認識が一番正しいと実感する。
先日の少女のことは気になりながらも、暫し夕張と共に暇そうな妖精さん達の相手を彼女もするのだった。
――――今度は誰に話を聞くのがいいかな、ねぇ、エラー。
足下で走り回る自分達用ミニ艤装を開発した妖精さん。
「……」
その後ろを追う妖精さん作イ級ラジコン。
「……」
開発スペースではサバゲー用の特殊ペイント弾を製造中。
(無法地帯って、こういう状況にも使っていいのかしら)
勝手に魔改造や危険物を作られたり、艦娘を建造されるよりはマシだと提督が一定の資材を自由に使用していいと許可を出した為、終戦後の妖精さん達の日常はこの通りである。
実際のところ、妖精さんの技術力は艦娘よりも危険という認識をしている者も少なくはない。
にも関わらず、妖精さんへ対しての何かしらの排斥運動が確認されないのは、実行に移せない“何かの力”が存在するからである。
「夕張、妖精さん達が何なのか考えたことはある?」
「何度か考えたことはあるけど、謎な部分がありすぎるのと私にとっては良きパートナー達というのもあって、深く考えないようになっちゃったかな」
「貴方達、とっても仲良しだものね」
「はい、ずっと一緒に居るようなものですから」
頭と肩に飛び乗ってきた妖精さんにお菓子をあげながら、夕張は微笑む。
その様子を見て、大鳳も夕張の言う“良きパートナー”という認識が一番正しいと実感する。
先日の少女のことは気になりながらも、暫し夕張と共に暇そうな妖精さん達の相手を彼女もするのだった。
――――今度は誰に話を聞くのがいいかな、ねぇ、エラー。
868: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/25(木) 23:37:41.00 ID:9YYZHmUG0
・『高速戦艦のカイ』
・雷『記念日』
・『まな板の逆襲R』
・五月雨『アレ? おっかしいなぁ……』(R-18)
・球磨&羽黒『動物』
・鳥海&香取『情報』
以上六本でお送りします
・雷『記念日』
・『まな板の逆襲R』
・五月雨『アレ? おっかしいなぁ……』(R-18)
・球磨&羽黒『動物』
・鳥海&香取『情報』
以上六本でお送りします
873: ◆UeZ8dRl.OE 2015/06/28(日) 10:50:02.21 ID:NyzWya2r0
「海? 行ってらっしゃい」
「……何で俺の方から誘うと毎回断るんだ、お前は」
「人前で肌を晒すのはあまり好きでは無いわ」
「だったら鎮守府のプールはどうだ?」
「お断りします」
「……そうか」
(……ここのプールなら管理者権限で貸し切りにしてしまえば、提督と二人きりで過ごせそうね)
断った理由、二人きりで過ごしたかったのと、他人に素肌を晒したくないから。
「……何で俺の方から誘うと毎回断るんだ、お前は」
「人前で肌を晒すのはあまり好きでは無いわ」
「だったら鎮守府のプールはどうだ?」
「お断りします」
「……そうか」
(……ここのプールなら管理者権限で貸し切りにしてしまえば、提督と二人きりで過ごせそうね)
断った理由、二人きりで過ごしたかったのと、他人に素肌を晒したくないから。
877: ◆UeZ8dRl.OE 2015/07/03(金) 08:06:44.57 ID:3INXMqsF0
・『高速戦艦のカイ』、投下します
新商品開発
新商品開発
878: ◆UeZ8dRl.OE 2015/07/03(金) 08:07:18.37 ID:3INXMqsF0
「それでは第一回、高速戦艦の会を始めマース!」
「(金剛お姉様、急にどうしたんでしょうか)」
「(親睦会的なものかと、主にあそこで微妙な距離感のある三人の為の)」
「(だからわざわざ“高速戦艦”に限定したのですね)」
「Heyビスマルクー、今日の為に色々なパンを用意してくれてThank youネー」
「礼には及ばないわ」
「リットリオとローマも彩り鮮やかなパスタをThank youデース」
「いえ、作ったのは全てローマですから」
「姉さんが作ると作りすぎてしまうもの」
「の、残したことは無いから別にいいじゃない」
「残さず……食べて……榛名は大丈夫です……」
「榛名? どうしました?」
(鈴谷よりは軽症のようだけど、榛名も軽いトラウマを抱えているみたいですね)
「――イタリア、ローマ、ちょっといいかしら?」
「……」
「……私達に、何か?」
「新しく作るパンのアイデアの為に、イタリアの一般的な食事というのを教えてもらいたいの。このパスタも食べるだけで凄く参考にはなったんだけど、良ければ材料や作り方も教えてちょうだい」
「べ、別にそれぐらいなら構わないけど……」
「Danke! 助かるわ。出来たら真っ先に試食してもらうわね」
「で、出来ればパスタとパンの組み合わせで一品……」
「いいわよ、このドイツが誇る超弩級戦艦ビスマルクに任せなさい」
「Grazie!」
「姉さんったら……」
「ローマ」
「貴女は確か、霧島? 貴女も何か用なの?」
「私のデータによると、かなりイケる口だそうですね」
「そ、そんなデータどこから……」
「細かいことは抜きにして、同じ眼鏡戦艦として今日はとことん飲みましょう」
「それは確か、ニホンシュというものね。いいわ、興味があったのは事実だし付き合ってあげる」
「(リットリオ、ローマはお酒強いんデスか?)」
「(あの子、飲み始めたらワインを数本空けるのが向こうではほとんどでした)」
「(だったら問題ないデース。この鎮守府には飲酒は絶対にoutな艦娘が居ますから、注意して下さいネー?)」
「カレーパスタもなかなかな出来です! 頑張った甲斐がありました!」
「榛名はこんなに普通にパーティーが出来るだけで満足です」
ひっそりとその中に清霜が紛れ込んで後日自慢して回ったのは、また別のお話。
「(金剛お姉様、急にどうしたんでしょうか)」
「(親睦会的なものかと、主にあそこで微妙な距離感のある三人の為の)」
「(だからわざわざ“高速戦艦”に限定したのですね)」
「Heyビスマルクー、今日の為に色々なパンを用意してくれてThank youネー」
「礼には及ばないわ」
「リットリオとローマも彩り鮮やかなパスタをThank youデース」
「いえ、作ったのは全てローマですから」
「姉さんが作ると作りすぎてしまうもの」
「の、残したことは無いから別にいいじゃない」
「残さず……食べて……榛名は大丈夫です……」
「榛名? どうしました?」
(鈴谷よりは軽症のようだけど、榛名も軽いトラウマを抱えているみたいですね)
「――イタリア、ローマ、ちょっといいかしら?」
「……」
「……私達に、何か?」
「新しく作るパンのアイデアの為に、イタリアの一般的な食事というのを教えてもらいたいの。このパスタも食べるだけで凄く参考にはなったんだけど、良ければ材料や作り方も教えてちょうだい」
「べ、別にそれぐらいなら構わないけど……」
「Danke! 助かるわ。出来たら真っ先に試食してもらうわね」
「で、出来ればパスタとパンの組み合わせで一品……」
「いいわよ、このドイツが誇る超弩級戦艦ビスマルクに任せなさい」
「Grazie!」
「姉さんったら……」
「ローマ」
「貴女は確か、霧島? 貴女も何か用なの?」
「私のデータによると、かなりイケる口だそうですね」
「そ、そんなデータどこから……」
「細かいことは抜きにして、同じ眼鏡戦艦として今日はとことん飲みましょう」
「それは確か、ニホンシュというものね。いいわ、興味があったのは事実だし付き合ってあげる」
「(リットリオ、ローマはお酒強いんデスか?)」
「(あの子、飲み始めたらワインを数本空けるのが向こうではほとんどでした)」
「(だったら問題ないデース。この鎮守府には飲酒は絶対にoutな艦娘が居ますから、注意して下さいネー?)」
「カレーパスタもなかなかな出来です! 頑張った甲斐がありました!」
「榛名はこんなに普通にパーティーが出来るだけで満足です」
ひっそりとその中に清霜が紛れ込んで後日自慢して回ったのは、また別のお話。
883: ◆UeZ8dRl.OE 2015/07/06(月) 13:12:39.09 ID:DJZ/RPcC0
・雷『記念日』 、投下します
見付けた新たな道
見付けた新たな道
884: ◆UeZ8dRl.OE 2015/07/06(月) 13:13:20.71 ID:u6LAvU/iO
「司令官、今日は何の日か覚えてる?」
「今日?……すまん、記憶に無い」
「覚えてなくても無理無いわ。今日はね、私が司令官に会った日なの」
「雷を建造した日、か。懐かしいな」
「何だかその言い方だと凄く歳を取ったみたいに聞こえるんだけど」
「俺は取ったぞ、今じゃ立派なおじさんだ」
「言うほど老けてないじゃない。でも、出会った時より立派になったのは確かかしら」
「中庭の草むしりしてる提督が立派か?」
「当然よ、だって私達の司令官だもん」
「ははは、それを否定は出来んな」
「――ねぇ、司令官」
「何だ?」
「私にとって誰かの力になれるのは凄く嬉しいことだしし、生き甲斐みたいに思ってるわ。だからね、戦いの終わった今、自分に出来ることをずっと考えてたの」
「それで、答えは見つかったのか?」
「――“鎮守府の何でも屋”、やってもいい?」
「……具体的な話をしないと、今すぐにやってもいいぞとは言えん」
「うん、分かってる。だから司令官に先にこれだけ聞いておきたかったの。どうすれば私は――ううん、私“達”は皆の役に立てるかしら?」
「大事なことは二つだ。一つは、今お前が自分で言い直したように何でも一人でやろうとせず、出来ないことは誰かを頼れ。もう一つは、相手の気持ちを相手の立場で考えてから依頼を受けろ。今の雷なら、分かるよな?」
「当然よ。この雷様にはそのぐらい簡単に決まってるじゃない」
「なら、問題ない。ちゃんとした申請書を出して来さえすれば、加賀達も受理するはずだ」
「分かったわ。……ありがと、司令官」
「礼を言われる程のことはしてないぞ」
「いいの、私が言いたいんだから」
「こら、背中に体重をかけるな雷。結構腰にくる」
「何それ、重いって言いたいの? ひどーい」
「酷くない、酷くないから一度体勢をだな……」
「嫌」
「雷様ー?」
「いーやー」
――――私を呼び起こしてくれて、ありがとう、司令官。
「今日?……すまん、記憶に無い」
「覚えてなくても無理無いわ。今日はね、私が司令官に会った日なの」
「雷を建造した日、か。懐かしいな」
「何だかその言い方だと凄く歳を取ったみたいに聞こえるんだけど」
「俺は取ったぞ、今じゃ立派なおじさんだ」
「言うほど老けてないじゃない。でも、出会った時より立派になったのは確かかしら」
「中庭の草むしりしてる提督が立派か?」
「当然よ、だって私達の司令官だもん」
「ははは、それを否定は出来んな」
「――ねぇ、司令官」
「何だ?」
「私にとって誰かの力になれるのは凄く嬉しいことだしし、生き甲斐みたいに思ってるわ。だからね、戦いの終わった今、自分に出来ることをずっと考えてたの」
「それで、答えは見つかったのか?」
「――“鎮守府の何でも屋”、やってもいい?」
「……具体的な話をしないと、今すぐにやってもいいぞとは言えん」
「うん、分かってる。だから司令官に先にこれだけ聞いておきたかったの。どうすれば私は――ううん、私“達”は皆の役に立てるかしら?」
「大事なことは二つだ。一つは、今お前が自分で言い直したように何でも一人でやろうとせず、出来ないことは誰かを頼れ。もう一つは、相手の気持ちを相手の立場で考えてから依頼を受けろ。今の雷なら、分かるよな?」
「当然よ。この雷様にはそのぐらい簡単に決まってるじゃない」
「なら、問題ない。ちゃんとした申請書を出して来さえすれば、加賀達も受理するはずだ」
「分かったわ。……ありがと、司令官」
「礼を言われる程のことはしてないぞ」
「いいの、私が言いたいんだから」
「こら、背中に体重をかけるな雷。結構腰にくる」
「何それ、重いって言いたいの? ひどーい」
「酷くない、酷くないから一度体勢をだな……」
「嫌」
「雷様ー?」
「いーやー」
――――私を呼び起こしてくれて、ありがとう、司令官。
888: ◆UeZ8dRl.OE 2015/07/10(金) 00:48:37.03 ID:0ViFVMpy0
・『まな板の逆襲R』 、投下します
成長した彼女達のある意味逆襲
成長した彼女達のある意味逆襲
889: ◆UeZ8dRl.OE 2015/07/10(金) 00:49:11.98 ID:0ViFVMpy0
人によって、他人を評価する基準や判断材料が違うのは当たり前のことだ。
容姿、性格、家柄、年収、仕事、趣味、他にも多種多様なものを総合して人は他人を見ている。
その一つとして、彼女達は身体のある一部分に対しての評価をとても気にしていた時期があった。
しかし、今の彼女達は以前と同じ様には気にしてはいない。
では、今はどうなっているかというと――。
容姿、性格、家柄、年収、仕事、趣味、他にも多種多様なものを総合して人は他人を見ている。
その一つとして、彼女達は身体のある一部分に対しての評価をとても気にしていた時期があった。
しかし、今の彼女達は以前と同じ様には気にしてはいない。
では、今はどうなっているかというと――。
890: ◆UeZ8dRl.OE 2015/07/10(金) 00:49:43.21 ID:0ViFVMpy0
「あー……暑いわ―……」
「龍驤、アイス食べる?」
「おーナイスや大鳳、ありがとな」
「ちょっと大鳳、私のは?」
「ちゃんと瑞鳳のもあるわ」
「ひかひアレやな。蒸れるっひゅうんも大変ほうやな」
「食べながら話すの行儀悪いわよ?」
「たははーつい口から離すんも億劫なってもうてん。以後気を付けるわ」
「まぁでも確かに大変そうよね。祥鳳お姉ちゃんも練習後は念入りにケアしてるし」
「愛宕なんか足元に落とした物が一歩下がらないと見えないって言ってたわ」
「ピッチリとした服だと飛鷹みたいに入らなくなって慌てて買い直すなんてこともあるし」
「そういやさ、瑞鶴と葛城はどこ行ったん?」
「瑞鶴は終わってから倒れられたら迷惑だって水用意して待機、葛城はそれについて行ったんじゃない?」
「相変わらずあの子加賀にベッタリやなホンマ、葛城もやけどようやるわ」
「私にとっての浦風みたいな――」
「「それはない」」
「言い切る前に否定しないでくれない?」
空母による着ぐるみ艦載機ショー、多少人員選考に偏りがあったのはスポンサーの意思(汗に蒸れた女子の 間が好き)だとかいうことは決してない、多分。
「龍驤、アイス食べる?」
「おーナイスや大鳳、ありがとな」
「ちょっと大鳳、私のは?」
「ちゃんと瑞鳳のもあるわ」
「ひかひアレやな。蒸れるっひゅうんも大変ほうやな」
「食べながら話すの行儀悪いわよ?」
「たははーつい口から離すんも億劫なってもうてん。以後気を付けるわ」
「まぁでも確かに大変そうよね。祥鳳お姉ちゃんも練習後は念入りにケアしてるし」
「愛宕なんか足元に落とした物が一歩下がらないと見えないって言ってたわ」
「ピッチリとした服だと飛鷹みたいに入らなくなって慌てて買い直すなんてこともあるし」
「そういやさ、瑞鶴と葛城はどこ行ったん?」
「瑞鶴は終わってから倒れられたら迷惑だって水用意して待機、葛城はそれについて行ったんじゃない?」
「相変わらずあの子加賀にベッタリやなホンマ、葛城もやけどようやるわ」
「私にとっての浦風みたいな――」
「「それはない」」
「言い切る前に否定しないでくれない?」
空母による着ぐるみ艦載機ショー、多少人員選考に偏りがあったのはスポンサーの意思(汗に蒸れた女子の 間が好き)だとかいうことは決してない、多分。
891: ◆UeZ8dRl.OE 2015/07/10(金) 00:50:13.74 ID:0ViFVMpy0
「のぅ筑摩」
「何ですか利根姉さん」
「先日いんたあねっととやらでとある記事を見付けたのだ」
「どんな記事ですか?」
「うむ、女子の胸は平均的に大きく育つようになっておるらしいのじゃ」
「そ、そうなんですか。知りませんでした」
「そうか、これでまた一つ勉強になったな筑摩。――ところで筑摩」
「はい、何ですか?」
「お主が新しく買ったぶらじゃあのサイズは幾つだったかのぅ?」
「Dですよ、利根姉さん」
「ほほぅ、Dであったか……吾輩もちと勉強になったぞ、“F”は“D”と読むのだな」
「・・・・・・利根姉さん?」
「何じゃ筑摩」
「姉さんの胸も形が良くてとても素敵ですよ」
「……寝る」
(姉さんが胸のことで拗ねてしまうなんて困りましたね……でも、拗ねている姉さんも可愛らしくていいかもしれません)
やっぱり平均という数字には少し気分が沈んだ利根と、やっぱり姉は可愛いとしか思わない筑摩。
「何ですか利根姉さん」
「先日いんたあねっととやらでとある記事を見付けたのだ」
「どんな記事ですか?」
「うむ、女子の胸は平均的に大きく育つようになっておるらしいのじゃ」
「そ、そうなんですか。知りませんでした」
「そうか、これでまた一つ勉強になったな筑摩。――ところで筑摩」
「はい、何ですか?」
「お主が新しく買ったぶらじゃあのサイズは幾つだったかのぅ?」
「Dですよ、利根姉さん」
「ほほぅ、Dであったか……吾輩もちと勉強になったぞ、“F”は“D”と読むのだな」
「・・・・・・利根姉さん?」
「何じゃ筑摩」
「姉さんの胸も形が良くてとても素敵ですよ」
「……寝る」
(姉さんが胸のことで拗ねてしまうなんて困りましたね……でも、拗ねている姉さんも可愛らしくていいかもしれません)
やっぱり平均という数字には少し気分が沈んだ利根と、やっぱり姉は可愛いとしか思わない筑摩。
892: ◆UeZ8dRl.OE 2015/07/10(金) 00:52:20.82 ID:0ViFVMpy0
他に見たい艦娘のがあれば↓1~3で書きます
893: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/10(金) 00:56:25.37 ID:DiHN7ZaxO
秋月
894: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/10(金) 00:57:22.89 ID:Svcv9D3yO
春雨
895: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/10(金) 00:57:32.16 ID:Gx1jum2iO
朝潮
900: ◆UeZ8dRl.OE 2015/07/10(金) 15:22:09.12 ID:0ViFVMpy0
「長波さん、ご一緒してもよろしいですか?」
「いいぜ、わざわざ聞かなくても勝手に座んなよ」
「ありがとうございます」
「秋月はおにぎりと沢庵だけか。そんなんで足りんの?」
「いえ、これぐらいにしておかないと――」
「秋月、このカツ一枚どうぞ」
「玉子焼き、あげる」
「この鮭一切れやるクマ」
「皆さん、いつもありがとうございます」
(なんだこの餌付け状態……)
「――ふと気付くと、頼んだ量より増えているんです。かといって、断るのも悪い気がしまして……」
「ふーん、まぁ貰えるなら貰っとけばいいんじゃないか。じゃああたしもこの野菜天一つやるよ」
「あ、ありがとうございま――長波さん、天かす落ちましたよ?」
「ん? あー、服に入ったっぽいからそのうち出てくるって」
「いけません! 米粒一つ、天かす一つだとしてもまだ食べられるモノを無駄にしてはダメです!」
「ちょ、ちょっと待て秋月、分かった、分かったから手を突っ込むな!」
「大丈夫、まだ大丈夫です」
「いや、そういう問題じゃ――ひうっ!?」
無事天かすは見付かりました。長波は夏でも胸元の開いた服を着なくなりました。
「いいぜ、わざわざ聞かなくても勝手に座んなよ」
「ありがとうございます」
「秋月はおにぎりと沢庵だけか。そんなんで足りんの?」
「いえ、これぐらいにしておかないと――」
「秋月、このカツ一枚どうぞ」
「玉子焼き、あげる」
「この鮭一切れやるクマ」
「皆さん、いつもありがとうございます」
(なんだこの餌付け状態……)
「――ふと気付くと、頼んだ量より増えているんです。かといって、断るのも悪い気がしまして……」
「ふーん、まぁ貰えるなら貰っとけばいいんじゃないか。じゃああたしもこの野菜天一つやるよ」
「あ、ありがとうございま――長波さん、天かす落ちましたよ?」
「ん? あー、服に入ったっぽいからそのうち出てくるって」
「いけません! 米粒一つ、天かす一つだとしてもまだ食べられるモノを無駄にしてはダメです!」
「ちょ、ちょっと待て秋月、分かった、分かったから手を突っ込むな!」
「大丈夫、まだ大丈夫です」
「いや、そういう問題じゃ――ひうっ!?」
無事天かすは見付かりました。長波は夏でも胸元の開いた服を着なくなりました。
903: ◆UeZ8dRl.OE 2015/07/10(金) 23:04:37.89 ID:0ViFVMpy0
「村雨、いくよー!」
「はいはーい」
(……弾んでる)
「姉ノ胸見テ楽シイノカ?」
「ク、クーちゃん何を言ってるの?」
「ジット見テイタダロ。特ニ村雨」
「うっ……村雨姉さんの胸、大きいなぁって思って……」
「五月雨ト涼風ヲ見テミレバイイ。安心スルゾ」
「クーちゃん、それは二人に失礼だよ」
「シカシ、姉妹デモ成長ノ差トイウノハ結構大キイモノダナ。春雨ガ一番後ニ来タカラカ? ソレトモアイツトケッコンナンチャラシテルカラカ?」
「どうなのかな? 小さいままの子も居るし、それが関係してるのかはよく分からないかも……」
「何々? 二人して私のことを見ながら何の話をしてるのかしら~?」
「あっ、えっと、その」
「胸ヲ大キクスル秘訣ガ知リタイソウダ」
「クーちゃん!?」
「胸を大きくする秘訣かぁ……好きな人に揉んでもらう、なんてど~う?」
「も、揉んっ!?」
「ダッタラ村雨ニ揉ンデモラエバイイ」
「ちょっ待っ、何でそうなるの? ここは提督に――」
「そ、それなら少し恥ずかしいけど大丈夫……かな?」
(えっ、何この雰囲気)
この後姉妹で揉み合い(主に被害は村雨)になり大変なことになった。
なお、通りすがりの提督に白露は五月雨が引っ張ったせいで水着が取れて見られた模様。
「はいはーい」
(……弾んでる)
「姉ノ胸見テ楽シイノカ?」
「ク、クーちゃん何を言ってるの?」
「ジット見テイタダロ。特ニ村雨」
「うっ……村雨姉さんの胸、大きいなぁって思って……」
「五月雨ト涼風ヲ見テミレバイイ。安心スルゾ」
「クーちゃん、それは二人に失礼だよ」
「シカシ、姉妹デモ成長ノ差トイウノハ結構大キイモノダナ。春雨ガ一番後ニ来タカラカ? ソレトモアイツトケッコンナンチャラシテルカラカ?」
「どうなのかな? 小さいままの子も居るし、それが関係してるのかはよく分からないかも……」
「何々? 二人して私のことを見ながら何の話をしてるのかしら~?」
「あっ、えっと、その」
「胸ヲ大キクスル秘訣ガ知リタイソウダ」
「クーちゃん!?」
「胸を大きくする秘訣かぁ……好きな人に揉んでもらう、なんてど~う?」
「も、揉んっ!?」
「ダッタラ村雨ニ揉ンデモラエバイイ」
「ちょっ待っ、何でそうなるの? ここは提督に――」
「そ、それなら少し恥ずかしいけど大丈夫……かな?」
(えっ、何この雰囲気)
この後姉妹で揉み合い(主に被害は村雨)になり大変なことになった。
なお、通りすがりの提督に白露は五月雨が引っ張ったせいで水着が取れて見られた模様。
904: ◆UeZ8dRl.OE 2015/07/10(金) 23:05:27.13 ID:0ViFVMpy0
「浜風、今日は折り入ってお願いがあります」
「何でしょうか? 私に出来ることであれば協力します」
「――“ で挟む”という行為は、どのようにすればよいのか教えてください」
「・・・・・・すいません、よく聞き取れなかったのでもう一度お願いします」
「 で挟む、とはどうすればよいのでしょうか」
「それを、何故私に?」
「夕雲に聞いてみたところ、浜風が適任だと言われました」
(これは私への嫌がらせと受け取っても差し支えない話ですね。後で抗議に行かなければ)
「その……申し訳無いですが、私もそういった行為についての知識はあまり持ち合わせていません」
「そうですか……では、二人で今から学んでみるというのはどうでしょうか」
「……はい?」
「荒潮に借りた雑誌に“男性を喜ばせるのは女性の務め”という一文がありました。朝潮、司令官の為ならばどんなことも受けて立つ覚悟です!」
(磯風も大概常識や世俗については疎かったですが、朝潮さんも相当のようですね……)
「まずは自分の身体では確認が困難な部位をお互いに――」
この後、浜風の一般的な●知識講座が始まりました。
「何でしょうか? 私に出来ることであれば協力します」
「――“ で挟む”という行為は、どのようにすればよいのか教えてください」
「・・・・・・すいません、よく聞き取れなかったのでもう一度お願いします」
「 で挟む、とはどうすればよいのでしょうか」
「それを、何故私に?」
「夕雲に聞いてみたところ、浜風が適任だと言われました」
(これは私への嫌がらせと受け取っても差し支えない話ですね。後で抗議に行かなければ)
「その……申し訳無いですが、私もそういった行為についての知識はあまり持ち合わせていません」
「そうですか……では、二人で今から学んでみるというのはどうでしょうか」
「……はい?」
「荒潮に借りた雑誌に“男性を喜ばせるのは女性の務め”という一文がありました。朝潮、司令官の為ならばどんなことも受けて立つ覚悟です!」
(磯風も大概常識や世俗については疎かったですが、朝潮さんも相当のようですね……)
「まずは自分の身体では確認が困難な部位をお互いに――」
この後、浜風の一般的な●知識講座が始まりました。
905: ◆UeZ8dRl.OE 2015/07/11(土) 23:15:06.62 ID:lea4pDFb0
「阿武隈! 阿武隈はどこ!?」
「この五十鈴にこんなイタズラをして、どうなるか身体に教えてあげるわ」
「ちゃんと畳んだままどこかにしまってくれてたらいいんだけど……」
「別に私はこれでも問題ない、うん」
「身体を張ったイタズラマジパない。っていうか上だけじゃなく下までないとか私も困るー!」
「ふふーん、今頃皆阿武隈Tシャツ着てる頃かなー」
「阿武隈っちーそんなところで何ニヤけてんの?」
「北上さん!?」
「相変わらず可愛くないねぇそのTシャツ。もう皆書けるようになってるだろうから着なくてもよくない?」
「べ、別に好きで着てるだけだし北上さんには関係ないでしょ」
「ふーん、大井っちが名前アピールいい加減ウザいって言ってたけど、好きで着てるなら仕方無いよねー」
「え゛っ」
「まぁ嘘だけど」
「ちょっ、北上さん!」
「阿武隈っちはからかうとホント面白いねー」
(……酸素魚雷、撃っちゃダメかしら)
なお、阿武隈の字が身体の凹凸ではっきり読めない姉妹が大半だった挙げ句、自分の名前を千回書くお仕置きを喰らった模様。
「この五十鈴にこんなイタズラをして、どうなるか身体に教えてあげるわ」
「ちゃんと畳んだままどこかにしまってくれてたらいいんだけど……」
「別に私はこれでも問題ない、うん」
「身体を張ったイタズラマジパない。っていうか上だけじゃなく下までないとか私も困るー!」
「ふふーん、今頃皆阿武隈Tシャツ着てる頃かなー」
「阿武隈っちーそんなところで何ニヤけてんの?」
「北上さん!?」
「相変わらず可愛くないねぇそのTシャツ。もう皆書けるようになってるだろうから着なくてもよくない?」
「べ、別に好きで着てるだけだし北上さんには関係ないでしょ」
「ふーん、大井っちが名前アピールいい加減ウザいって言ってたけど、好きで着てるなら仕方無いよねー」
「え゛っ」
「まぁ嘘だけど」
「ちょっ、北上さん!」
「阿武隈っちはからかうとホント面白いねー」
(……酸素魚雷、撃っちゃダメかしら)
なお、阿武隈の字が身体の凹凸ではっきり読めない姉妹が大半だった挙げ句、自分の名前を千回書くお仕置きを喰らった模様。
908: ◆UeZ8dRl.OE 2015/07/16(木) 21:38:50.61 ID:KokE68T50
「――アイスキャンディーを食べるようにって聞いたんですけど」
そう言って、五月雨は何が違ったのだろうと首を傾げる。
危うく声にならない悲鳴を上げそうになった提督からすれば、その情報が誰からもたらされたかが非常に気になった。
「誰に聞いた」
「漣ちゃんです」
選択肢として並べてはいけないワースト3の名前を聞き、提督は深くため息を吐く。
そして、毛布にくるまったまま少し心配になったのか様子を窺っている五月雨を安心させようと抱き寄せた。
「そういうことを覚えようとするなとは言わんが、相手はちゃんと選べ」
「はい、分かりました」
屈託の無い笑顔を向けられ、このままこうしてるだけでもいいかと提督は頭を撫でる。
しかし、それが少し不満だったのか、毛布越しではまだ感じ取れないなだらかな胸部を押し付ける様に、五月雨は強く彼に抱き着いた。
「……身体は小さいですけど、私だってちゃんと提督の相手を務められます」
最初はくすぐったいと暴れた結果、蹴られ悶絶。
二度目はキスしようとして勢い余って頭突きになり、鼻血が止まらず中断。
三度目の正直となるか、二度あることは三度あるとなるか、多少の不安を抱えつつも、提督は身体を覆う毛布を脱がしていくのだった。
そう言って、五月雨は何が違ったのだろうと首を傾げる。
危うく声にならない悲鳴を上げそうになった提督からすれば、その情報が誰からもたらされたかが非常に気になった。
「誰に聞いた」
「漣ちゃんです」
選択肢として並べてはいけないワースト3の名前を聞き、提督は深くため息を吐く。
そして、毛布にくるまったまま少し心配になったのか様子を窺っている五月雨を安心させようと抱き寄せた。
「そういうことを覚えようとするなとは言わんが、相手はちゃんと選べ」
「はい、分かりました」
屈託の無い笑顔を向けられ、このままこうしてるだけでもいいかと提督は頭を撫でる。
しかし、それが少し不満だったのか、毛布越しではまだ感じ取れないなだらかな胸部を押し付ける様に、五月雨は強く彼に抱き着いた。
「……身体は小さいですけど、私だってちゃんと提督の相手を務められます」
最初はくすぐったいと暴れた結果、蹴られ悶絶。
二度目はキスしようとして勢い余って頭突きになり、鼻血が止まらず中断。
三度目の正直となるか、二度あることは三度あるとなるか、多少の不安を抱えつつも、提督は身体を覆う毛布を脱がしていくのだった。
916: ◆UeZ8dRl.OE 2015/07/20(月) 11:42:44.21 ID:a3gU88cC0
・球磨&羽黒『動物』、投下します
彼女達の望み
彼女達の望み
917: ◆UeZ8dRl.OE 2015/07/20(月) 11:43:32.67 ID:a3gU88cC0
「提督、何で球磨を呼んだクマー?」
「あの、私何か失礼をしてしまったでしょうか?」
「ちょっとある噂を耳にしてな、どこかの国で行われた違法サルベージを動物の被り物をした二人組が妨害したそうだ」
「何の話だか分からないクマ」
「わ、私もなな、何の話だかさっぱり……」
(羽黒の反応からして黒か)
「いや、知らないならいいんだ。ただ、二人がたまたまその時揃って長期外出していたから気になってな」
「単なる偶然だクマー」
「そ、そうです」
「あぁ、疑って悪かった。しかし、熊は分かるが烏の被り物をしてたのは何故だ?」
「球磨にはさっぱり分からんクマ。でも、なんとなく名前が理由だと思うクマー」
(羽黒だから烏か、なるほど……)
「司令官さん、あの……」
「何だ?」
「やっぱり、そういった問題行動を起こした艦娘の所属する鎮守府の責任者は処分されてしまうんでしょうか?」
「犯罪行為を防いだとはいえ何のお咎めも無し、とはいかんだろうな。まぁ仮にうちの艦娘がそんなことをしたとして証拠を残すようなヘマはしないだろうし、無事に帰ってくるなら構わんさ」
「優秀な球磨ちゃんはヘマなんてしないクマ」
「……ありがとうございます、司令官さん」
「好きなことをしろ、その方針は今だって変わってない。それだけの話だ」
「じゃあ今から三人で出掛けるクマー」
「球磨さん、急にお誘いしたら司令官さんにご迷惑じゃ……」
「今さっき好きなことをしろって言われたばかりクマ」
「言ったな、確かに。その代わり俺からも要求はさせてもらおうか」
「変なこと言ったら羽黒と海に沈めてやるクマ」
「あ、あの、あまり恥ずかしいことは……」
「お前等俺を何だと思ってるんだ……」
――――あんまりジロジロ見ないで欲しいクマー。
――――司令官さんになら、私は見られても……。
――――(いつか草花も兵器に宿る……この場合は海草や魚ってところか)
――――提督、お腹空いたしそろそろ行くクマー。
――――私もどんなお料理があるのか、ちょっと気になります。
――――あぁ、じゃあ何か食べに行くか。
「あの、私何か失礼をしてしまったでしょうか?」
「ちょっとある噂を耳にしてな、どこかの国で行われた違法サルベージを動物の被り物をした二人組が妨害したそうだ」
「何の話だか分からないクマ」
「わ、私もなな、何の話だかさっぱり……」
(羽黒の反応からして黒か)
「いや、知らないならいいんだ。ただ、二人がたまたまその時揃って長期外出していたから気になってな」
「単なる偶然だクマー」
「そ、そうです」
「あぁ、疑って悪かった。しかし、熊は分かるが烏の被り物をしてたのは何故だ?」
「球磨にはさっぱり分からんクマ。でも、なんとなく名前が理由だと思うクマー」
(羽黒だから烏か、なるほど……)
「司令官さん、あの……」
「何だ?」
「やっぱり、そういった問題行動を起こした艦娘の所属する鎮守府の責任者は処分されてしまうんでしょうか?」
「犯罪行為を防いだとはいえ何のお咎めも無し、とはいかんだろうな。まぁ仮にうちの艦娘がそんなことをしたとして証拠を残すようなヘマはしないだろうし、無事に帰ってくるなら構わんさ」
「優秀な球磨ちゃんはヘマなんてしないクマ」
「……ありがとうございます、司令官さん」
「好きなことをしろ、その方針は今だって変わってない。それだけの話だ」
「じゃあ今から三人で出掛けるクマー」
「球磨さん、急にお誘いしたら司令官さんにご迷惑じゃ……」
「今さっき好きなことをしろって言われたばかりクマ」
「言ったな、確かに。その代わり俺からも要求はさせてもらおうか」
「変なこと言ったら羽黒と海に沈めてやるクマ」
「あ、あの、あまり恥ずかしいことは……」
「お前等俺を何だと思ってるんだ……」
――――あんまりジロジロ見ないで欲しいクマー。
――――司令官さんになら、私は見られても……。
――――(いつか草花も兵器に宿る……この場合は海草や魚ってところか)
――――提督、お腹空いたしそろそろ行くクマー。
――――私もどんなお料理があるのか、ちょっと気になります。
――――あぁ、じゃあ何か食べに行くか。
919: ◆UeZ8dRl.OE 2015/07/22(水) 08:57:32.45 ID:dKYVNU660
・鳥海&香取『情報』 、投下します
艦娘だって守られたい
艦娘だって守られたい
920: ◆UeZ8dRl.OE 2015/07/22(水) 08:58:12.15 ID:dKYVNU660
「香取さん、少しお時間よろしいでしょうか」
「えぇ、いいですよ」
「単刀直入にお伺いします――その眼鏡はどこで買われたんですか?」
「これは大本営で作成した特注品です」
「なるほど……因みに強度はどの程度ですか?」
「一応戦闘も考慮して、拳銃程度でしたら防げる強度と聞いています。実際に試したことはありませんが」
(デザインは好みの問題として、強度については妖精さん達の作ったものの方が良さそうですね)
「鳥海さん、私からも二、三質問しても構わないでしょうか」
「はい、私で答えられることでしたら」
「ありがとうございます。ではまず、この鎮守府について不満に思っていることなどはありますか?」
「特には何も……強いて挙げるとすれば、本を読む方が意外と少ないので、あまりそういった話が出来ないことですね」
「参考までに、どのような本がお好きなのでしょうか」
「『植物図鑑』、『図書館戦争』、『レインツリーの国』です」
「ほぅ……恋愛寄りの話がお好きということですね」
「はい、後は推理小説を少し読むぐらいです」
「私で良ければ、今度本についてお話しましょう」
「それはとても楽しみですね、是非お話しましょう」
「ではひとまずこの話はこれまでとして、提督にここは直して頂きたいと思っているところはありますか?」
「御自身を過小評価されているところと、少し艦娘に対して過保護なところ、でしょうか」
「過保護……具体的にはどのようなところが?」
「綾波が着けている小型発信器の装着を全員に義務付けようとしたり、出掛ける場合は行き先と帰る予定時刻を必ず記入する様にしたり、年頃の娘を持つ父親というのが一番説明するのに適していますね」
(噂以上の溺愛ぶりですね……それを困った顔で語りながらも幸せそうなのは、互いに理解し合っているからこそということでしょう)
「――香取さんも、ここに来たからにはその中の一人にもう数えられているのを忘れないで下さい。司令官さんの悲しむ顔を、見たくはありませんから」
「……肝に銘じておきます」
――――殿方に守っていただく、艦娘という身なれどそのシチュエーションにはやはり心が高鳴ります。
――――王道ですけど、だからこそ憧れてしまいます。
――――(……私には、きっとそんな瞬間は訪れないのでしょうね)
「えぇ、いいですよ」
「単刀直入にお伺いします――その眼鏡はどこで買われたんですか?」
「これは大本営で作成した特注品です」
「なるほど……因みに強度はどの程度ですか?」
「一応戦闘も考慮して、拳銃程度でしたら防げる強度と聞いています。実際に試したことはありませんが」
(デザインは好みの問題として、強度については妖精さん達の作ったものの方が良さそうですね)
「鳥海さん、私からも二、三質問しても構わないでしょうか」
「はい、私で答えられることでしたら」
「ありがとうございます。ではまず、この鎮守府について不満に思っていることなどはありますか?」
「特には何も……強いて挙げるとすれば、本を読む方が意外と少ないので、あまりそういった話が出来ないことですね」
「参考までに、どのような本がお好きなのでしょうか」
「『植物図鑑』、『図書館戦争』、『レインツリーの国』です」
「ほぅ……恋愛寄りの話がお好きということですね」
「はい、後は推理小説を少し読むぐらいです」
「私で良ければ、今度本についてお話しましょう」
「それはとても楽しみですね、是非お話しましょう」
「ではひとまずこの話はこれまでとして、提督にここは直して頂きたいと思っているところはありますか?」
「御自身を過小評価されているところと、少し艦娘に対して過保護なところ、でしょうか」
「過保護……具体的にはどのようなところが?」
「綾波が着けている小型発信器の装着を全員に義務付けようとしたり、出掛ける場合は行き先と帰る予定時刻を必ず記入する様にしたり、年頃の娘を持つ父親というのが一番説明するのに適していますね」
(噂以上の溺愛ぶりですね……それを困った顔で語りながらも幸せそうなのは、互いに理解し合っているからこそということでしょう)
「――香取さんも、ここに来たからにはその中の一人にもう数えられているのを忘れないで下さい。司令官さんの悲しむ顔を、見たくはありませんから」
「……肝に銘じておきます」
――――殿方に守っていただく、艦娘という身なれどそのシチュエーションにはやはり心が高鳴ります。
――――王道ですけど、だからこそ憧れてしまいます。
――――(……私には、きっとそんな瞬間は訪れないのでしょうね)
932: ◆UeZ8dRl.OE 2015/07/22(水) 22:14:53.01 ID:dKYVNU660
・『食事会』
・時津風『おーい!』
・大鳳&浦風『ナンパ』
・由良&時雨&白露『噛み合わない』
・雲龍『にぎる』
・春雨『司令官……?』
以上六つでお送りします
・時津風『おーい!』
・大鳳&浦風『ナンパ』
・由良&時雨&白露『噛み合わない』
・雲龍『にぎる』
・春雨『司令官……?』
以上六つでお送りします
934: ◆UeZ8dRl.OE 2015/07/23(木) 05:26:23.61 ID:OfYxz1yK0
・『食事会』、投下します
こうして徐々に艦娘同士の輪が拡がっていく
こうして徐々に艦娘同士の輪が拡がっていく
935: ◆UeZ8dRl.OE 2015/07/23(木) 05:26:59.40 ID:OfYxz1yK0
「へー、ここが赤城さんオススメのお店かー」
「前に飛龍と一緒に連れてきてもらって以来、しょっちゅう二人で来るぐらい気に入っちゃった」
「是非今度取材させて頂きたいですね、帰り際ちょこっと取材交渉してみよっと」
「相変わらずそれが最優先なんだな、お前」
「美味しいお料理、楽しみですねー」
「日向さん、綾波の監視手伝ってくれてありがとうございました」
「気にするな、試作品のテスト飛行にもなった」
「それでは皆さん、入りましょうか」
――いらっしゃい! おー赤城さんか。いつも贔屓にしてくれてあんがとさん!
「いえ、こちらこそいつも美味しい料理をありがとうございます。座敷八名、大丈夫でしょうか?」
――当たり前よ! おい、八名様いつものところに案内しな!
「(いつものところ?)」
「(お得意様用の部屋があって、空いてたら赤城さんはそこを使えるの。特に予約が無ければ私達も使っていいんだって)」
「(そりゃまたすげぇな……)」
「(これは赤城さんのコネを使えば取材が捗りますねー)」
「(あまりそういうものに頼るのは感心しないぞ)」
「(二階もあるんですねー)」
「(ちょっ、案内されてんの一階なのに何で階段上ろうとしてんのさ!?)」
「注文はどうしましょう。それぞれ好きなものを頼みますか?」
「私は赤城さんのオススメにしよっかな。瑞鶴先輩から赤城さんに任せるのがベストだって聞いたし」
「私はいつものとじカツ定食、後野菜の天ぷら盛り合わせ」
「あたしはどうっすかなぁ……鮪の漬け丼とミニせいろそばにすっか」
「青葉も赤城さんのオススメにします。裏メニューなんてものもあったりしません?」
「そうですねー……じゃあこの鶏そぼろ定食にします」
「あたしは天丼と生醤油ぶっかけうどん」
「鰻重、上」
「では、注文しますね」
「前に飛龍と一緒に連れてきてもらって以来、しょっちゅう二人で来るぐらい気に入っちゃった」
「是非今度取材させて頂きたいですね、帰り際ちょこっと取材交渉してみよっと」
「相変わらずそれが最優先なんだな、お前」
「美味しいお料理、楽しみですねー」
「日向さん、綾波の監視手伝ってくれてありがとうございました」
「気にするな、試作品のテスト飛行にもなった」
「それでは皆さん、入りましょうか」
――いらっしゃい! おー赤城さんか。いつも贔屓にしてくれてあんがとさん!
「いえ、こちらこそいつも美味しい料理をありがとうございます。座敷八名、大丈夫でしょうか?」
――当たり前よ! おい、八名様いつものところに案内しな!
「(いつものところ?)」
「(お得意様用の部屋があって、空いてたら赤城さんはそこを使えるの。特に予約が無ければ私達も使っていいんだって)」
「(そりゃまたすげぇな……)」
「(これは赤城さんのコネを使えば取材が捗りますねー)」
「(あまりそういうものに頼るのは感心しないぞ)」
「(二階もあるんですねー)」
「(ちょっ、案内されてんの一階なのに何で階段上ろうとしてんのさ!?)」
「注文はどうしましょう。それぞれ好きなものを頼みますか?」
「私は赤城さんのオススメにしよっかな。瑞鶴先輩から赤城さんに任せるのがベストだって聞いたし」
「私はいつものとじカツ定食、後野菜の天ぷら盛り合わせ」
「あたしはどうっすかなぁ……鮪の漬け丼とミニせいろそばにすっか」
「青葉も赤城さんのオススメにします。裏メニューなんてものもあったりしません?」
「そうですねー……じゃあこの鶏そぼろ定食にします」
「あたしは天丼と生醤油ぶっかけうどん」
「鰻重、上」
「では、注文しますね」
936: ◆UeZ8dRl.OE 2015/07/23(木) 05:27:39.44 ID:OfYxz1yK0
「――ペンギン好きな艦娘?」
「はい、赤城さん知りませんか? 何かあのフォルムが堪らなくって、特にイワトビペンギンが可愛いと思うんです」
(おにぎり、歌、葛城はペンギンにサッカーか……個性派な姉妹になっちゃったなー)
「ペンギンならゴーヤちゃんが好きって聞きましたー。はうぁ~鶏そぼろ、美味しいです」
「ホント? じゃあ今度ゴーヤのところへ行ってみようかしら。――嘘何この玉丼、間宮さんのとはまた違った感じで美味しい……」
「シンプルな料理だからこそ、一番このお店の味を分かって頂けたと思います」
「あ、赤城さん、青葉のこれは……?」
「裏メニューの“赤城丼”です。少々量は減らして頂きましたが、乗っている天ぷらは十分なボリュームだと思います」
(青葉、今までで一番辛い取材になるかもしれません……)
「綾波、私のと一口ずつ交換しよ」
「それはいい考えですね~はい、あーん」
「いや、そういうのはしなくていいから……」
「蒼龍さん、その天ぷら一つ貰ってもいいか?」
「いいわよ、元々皆で分けようと思って頼んだし」
「サンキュー蒼龍さん、じゃあ遠慮なく」
「たまには鎮守府以外で食事をするのも悪くないな」
「次は是非伊勢さんを連れていらして下さい」
「まぁ……そうなるだろうな」
「――それにしても、話に聞いてはいたんだけど赤城さんの頼んだ料理の量、凄いなぁ……」
「そう? 今日は皆と話すのが主だから、量は控えたつもりだったんですけど」
「料理がテーブルに乗りきらないと頻繁に店員さんが来て落ち着かないから計算して頼む、食べる速度もちょうど全員が食べ終わるのに合わせる、私が凄いって思うのはむしろそっちかな」
「蒼龍さん、それホント? やっぱり凄いんだなー赤城さんって」
「私はただ、楽しく食事がしたいだけですから」
「(こんなに優しくて気を遣ってくれる人なら、演習とかでもきっと優しいはずよね。今度お願いしてみよ)」
「ちょっと調子に乗って食べ過ぎちまったかなー。おい青葉、大丈夫か?」
「く……苦しいけどこれで取材はバッチリです」
「敷波、この白玉餡蜜を二人で半分こしませんか?」
「た、頼みたいなら勝手に頼めば?……あたしもちょっと気になってたし」
後日、葛城は赤城の真の凄さを体感しました。
「はい、赤城さん知りませんか? 何かあのフォルムが堪らなくって、特にイワトビペンギンが可愛いと思うんです」
(おにぎり、歌、葛城はペンギンにサッカーか……個性派な姉妹になっちゃったなー)
「ペンギンならゴーヤちゃんが好きって聞きましたー。はうぁ~鶏そぼろ、美味しいです」
「ホント? じゃあ今度ゴーヤのところへ行ってみようかしら。――嘘何この玉丼、間宮さんのとはまた違った感じで美味しい……」
「シンプルな料理だからこそ、一番このお店の味を分かって頂けたと思います」
「あ、赤城さん、青葉のこれは……?」
「裏メニューの“赤城丼”です。少々量は減らして頂きましたが、乗っている天ぷらは十分なボリュームだと思います」
(青葉、今までで一番辛い取材になるかもしれません……)
「綾波、私のと一口ずつ交換しよ」
「それはいい考えですね~はい、あーん」
「いや、そういうのはしなくていいから……」
「蒼龍さん、その天ぷら一つ貰ってもいいか?」
「いいわよ、元々皆で分けようと思って頼んだし」
「サンキュー蒼龍さん、じゃあ遠慮なく」
「たまには鎮守府以外で食事をするのも悪くないな」
「次は是非伊勢さんを連れていらして下さい」
「まぁ……そうなるだろうな」
「――それにしても、話に聞いてはいたんだけど赤城さんの頼んだ料理の量、凄いなぁ……」
「そう? 今日は皆と話すのが主だから、量は控えたつもりだったんですけど」
「料理がテーブルに乗りきらないと頻繁に店員さんが来て落ち着かないから計算して頼む、食べる速度もちょうど全員が食べ終わるのに合わせる、私が凄いって思うのはむしろそっちかな」
「蒼龍さん、それホント? やっぱり凄いんだなー赤城さんって」
「私はただ、楽しく食事がしたいだけですから」
「(こんなに優しくて気を遣ってくれる人なら、演習とかでもきっと優しいはずよね。今度お願いしてみよ)」
「ちょっと調子に乗って食べ過ぎちまったかなー。おい青葉、大丈夫か?」
「く……苦しいけどこれで取材はバッチリです」
「敷波、この白玉餡蜜を二人で半分こしませんか?」
「た、頼みたいなら勝手に頼めば?……あたしもちょっと気になってたし」
後日、葛城は赤城の真の凄さを体感しました。
939: ◆UeZ8dRl.OE 2015/07/27(月) 07:05:22.12 ID:Oc5VVFYP0
ここに居るのは何故かって聞かれても、よぅ分からんとしか答えようがないわ。
それなりに実力はあると自負しとるし、色んな鎮守府へも行ったけど、長居したことは滅多になかったんや。
旧友の鳳翔は元帥のところでしっかりやってるって聞いとったし、ウチもどこかで腰を据えようかと何度も考えたけど、結局一ヶ月もしたら違う鎮守府へ移っとった。
そんで最初に戻るけど、何でここに居るんやと言われたら、何となくや。
“しっくり来たから”、って表現が一番正しいかもしれんね。
居るんは揃って曲者揃い、喧嘩して鎮守府は壊すし暇があれば全員お祭り騒ぎ、ホンマありえへん鎮守府やけど、何でか居心地が良いって思ってもうたんよ。
それにほら、今は離れるに離れられへん理由も出来てもうたし……。
――その話は絶対にせぇへんからね。
――――龍驤、確か今日だったよな?
――――あの話はいい加減忘れてぇや。
――――断る、お前をからかえる数少ないネタだ。
――――ホンマえぇ性格しとるね、キミ。
――――良い意味で受け取っておく。
それなりに実力はあると自負しとるし、色んな鎮守府へも行ったけど、長居したことは滅多になかったんや。
旧友の鳳翔は元帥のところでしっかりやってるって聞いとったし、ウチもどこかで腰を据えようかと何度も考えたけど、結局一ヶ月もしたら違う鎮守府へ移っとった。
そんで最初に戻るけど、何でここに居るんやと言われたら、何となくや。
“しっくり来たから”、って表現が一番正しいかもしれんね。
居るんは揃って曲者揃い、喧嘩して鎮守府は壊すし暇があれば全員お祭り騒ぎ、ホンマありえへん鎮守府やけど、何でか居心地が良いって思ってもうたんよ。
それにほら、今は離れるに離れられへん理由も出来てもうたし……。
――その話は絶対にせぇへんからね。
――――龍驤、確か今日だったよな?
――――あの話はいい加減忘れてぇや。
――――断る、お前をからかえる数少ないネタだ。
――――ホンマえぇ性格しとるね、キミ。
――――良い意味で受け取っておく。
942: ◆UeZ8dRl.OE 2015/07/28(火) 06:40:42.40 ID:3azAys7+0
・時津風『おーい!』 、投下します
戦艦寮は毎日賑やか
戦艦寮は毎日賑やか
943: ◆UeZ8dRl.OE 2015/07/28(火) 06:41:09.55 ID:3azAys7+0
マルロクマルマル、戦艦寮到着。
マルロクマルゴ、第一目的地到着。
「おはよー! 朝だよ朝朝ー!」
「Oh……朝から時津風は元気デスネー……」
「ひえっ!? な、何ですか!? 敵襲ですか!?」
「比叡姉様落ち着いて下さい、時津風ちゃんです」
「……」
「んー? どしたの霧島さん、元気無いね?」
「霧島は朝覚醒するまで時間がかかるんデス。そのうちいつも通り動き出すネー」
「そうなんだ。じゃあ時津風がしゃきっとするお手伝いしちゃいますかー」
「あっ、その状態の霧島は――」
マルロクヒトマル、霧島に両手で顔を掴まれ、互いの額が当たりそうな近さで数秒真顔で見つめられる。
マルロクサンマル、少し赤い目でスコーンを頬張り調子を取り戻す。
マルナナマルマル、朝食を終え次の目的地へと移動。
マルナナマルゴ、第二目的地到着。
「遊びに来たよー!」
「あら、あらあら」
「陸奥、ジュースとお菓子を大至急準備だ。時津風、このビッグセブン長門が居る限り退屈はさせないと約束しよう」
「陸奥さん、この前みたいに時津風もお化粧するするー」
「いいわよ、ちょっと待っててね」
(化粧、か……)
マルナナフタマル、陸奥にメイクをしてもらう。
マルナナヨンマル、陸奥にメイクをしてもらった長門を見て心底驚く。
マルハチマルマル、次の目的地へと移動。
「何々~? 何食べてるの?」
「ラザニアよ」
「ローマ、お代わり」
「姉さん……」
「時津風も一口食べる食べるー」
「いいですよ、はい」
「――美味しーい!」
「そう、Grazie」
マルハチサンマル、食べすぎたので小休止。
ヒトマルマルマル、イタリアの膝枕から起床。
ヒトマルマルゴ、次の目的地へと移動。
「何? 私達に何か用?」
「暇だから遊びに来たんだー」
「山城、ここに遊べるようなものあったかしら?」
「時雨達が置いていったトランプならありますよ、姉様」
「トランプ? やるやるー」
「三人で出来るものというと――」
ヒトマルサンマル、のんびりとトランプ遊びをする。
ヒトヒトマルマル、白露型の乱入でトランプ大会に発展。
ヒトフタマルマル、時雨の優勝にてお開き。
ヒトフタマルゴ、良い香りに誘われて次の部屋へ移動。
「ねぇねぇレーベ、この人誰?」
マルロクマルゴ、第一目的地到着。
「おはよー! 朝だよ朝朝ー!」
「Oh……朝から時津風は元気デスネー……」
「ひえっ!? な、何ですか!? 敵襲ですか!?」
「比叡姉様落ち着いて下さい、時津風ちゃんです」
「……」
「んー? どしたの霧島さん、元気無いね?」
「霧島は朝覚醒するまで時間がかかるんデス。そのうちいつも通り動き出すネー」
「そうなんだ。じゃあ時津風がしゃきっとするお手伝いしちゃいますかー」
「あっ、その状態の霧島は――」
マルロクヒトマル、霧島に両手で顔を掴まれ、互いの額が当たりそうな近さで数秒真顔で見つめられる。
マルロクサンマル、少し赤い目でスコーンを頬張り調子を取り戻す。
マルナナマルマル、朝食を終え次の目的地へと移動。
マルナナマルゴ、第二目的地到着。
「遊びに来たよー!」
「あら、あらあら」
「陸奥、ジュースとお菓子を大至急準備だ。時津風、このビッグセブン長門が居る限り退屈はさせないと約束しよう」
「陸奥さん、この前みたいに時津風もお化粧するするー」
「いいわよ、ちょっと待っててね」
(化粧、か……)
マルナナフタマル、陸奥にメイクをしてもらう。
マルナナヨンマル、陸奥にメイクをしてもらった長門を見て心底驚く。
マルハチマルマル、次の目的地へと移動。
「何々~? 何食べてるの?」
「ラザニアよ」
「ローマ、お代わり」
「姉さん……」
「時津風も一口食べる食べるー」
「いいですよ、はい」
「――美味しーい!」
「そう、Grazie」
マルハチサンマル、食べすぎたので小休止。
ヒトマルマルマル、イタリアの膝枕から起床。
ヒトマルマルゴ、次の目的地へと移動。
「何? 私達に何か用?」
「暇だから遊びに来たんだー」
「山城、ここに遊べるようなものあったかしら?」
「時雨達が置いていったトランプならありますよ、姉様」
「トランプ? やるやるー」
「三人で出来るものというと――」
ヒトマルサンマル、のんびりとトランプ遊びをする。
ヒトヒトマルマル、白露型の乱入でトランプ大会に発展。
ヒトフタマルマル、時雨の優勝にてお開き。
ヒトフタマルゴ、良い香りに誘われて次の部屋へ移動。
「ねぇねぇレーベ、この人誰?」
944: ◆UeZ8dRl.OE 2015/07/28(火) 06:41:37.05 ID:3azAys7+0
「何を言ってるの? ビスマルクだよ」
「ビスマルクさん? んなバカな」
「ふーん、見慣れているから気にしていなかったけど、確かに部屋着のビスマルクはすぐに分からないかもしれないわ」
「い、いいじゃない別に。戦いも無いんだから多少気を抜いていても許されるはずだわ!」
「そうだそうだービスマルク姉さんは例え休日のオーエスの恰好でもカッコイイんだから」
「それを言うならOLだよプリンツ」
「後、フォローにはなってないわね。まぁ、どっちでもいいけど」
「ビスマルクさん、新作パンあったら時津風が試食しちゃうよー」
「ちょうどいいわ。三人以外の意見も聞きたかったし、これなら食べてもいいわよ」
「わーい、嬉しい嬉し――?」
ヒトフタサンマル、赤と緑と紫色をしたパンを食べる。味は悪くないが見た目が悪いと全員でダメ出しをする。
ヒトサンマルマル、最後の目的地へ移動。
「いらっしゃい時津風ちゃん。危ないからその辺の刀は触らないでね、意識乗っ取られるかもしれないから」
「さ、触らない、絶対に触らない……」
「何だ、今日も遊びに来たのか?」
「うん、また時津風にも飛ばさせてー」
「あまり無理な操縦をしないと約束するなら、いいぞ」
「約束するするー」
「では外で待っていろ、私も準備したらすぐに行く」
「はーい」
「ふぅ……あまり子供の相手は得意ではないのだが」
「そう言いながら嬉しそうじゃん日向ー」
「……まぁ、こういうのも悪くはないな」
――おーい、日向さんまだー!? ねえ、ねえってばー!
「ほら、呼んでるじゃん」
「あぁ、行ってくる」
ヒトサンサンマル、日向と瑞雲型ラジコンで遊び始める。
ヒトナナマルマル、満足して駆逐艦寮へと帰る。
――――アレ? アンタ大和さん達の部屋には行かなかったの?
――――大和さん達、また部屋壊したから明石さんのお手伝いなんだって。
――――(あの人達も懲りないわねー……)
「ビスマルクさん? んなバカな」
「ふーん、見慣れているから気にしていなかったけど、確かに部屋着のビスマルクはすぐに分からないかもしれないわ」
「い、いいじゃない別に。戦いも無いんだから多少気を抜いていても許されるはずだわ!」
「そうだそうだービスマルク姉さんは例え休日のオーエスの恰好でもカッコイイんだから」
「それを言うならOLだよプリンツ」
「後、フォローにはなってないわね。まぁ、どっちでもいいけど」
「ビスマルクさん、新作パンあったら時津風が試食しちゃうよー」
「ちょうどいいわ。三人以外の意見も聞きたかったし、これなら食べてもいいわよ」
「わーい、嬉しい嬉し――?」
ヒトフタサンマル、赤と緑と紫色をしたパンを食べる。味は悪くないが見た目が悪いと全員でダメ出しをする。
ヒトサンマルマル、最後の目的地へ移動。
「いらっしゃい時津風ちゃん。危ないからその辺の刀は触らないでね、意識乗っ取られるかもしれないから」
「さ、触らない、絶対に触らない……」
「何だ、今日も遊びに来たのか?」
「うん、また時津風にも飛ばさせてー」
「あまり無理な操縦をしないと約束するなら、いいぞ」
「約束するするー」
「では外で待っていろ、私も準備したらすぐに行く」
「はーい」
「ふぅ……あまり子供の相手は得意ではないのだが」
「そう言いながら嬉しそうじゃん日向ー」
「……まぁ、こういうのも悪くはないな」
――おーい、日向さんまだー!? ねえ、ねえってばー!
「ほら、呼んでるじゃん」
「あぁ、行ってくる」
ヒトサンサンマル、日向と瑞雲型ラジコンで遊び始める。
ヒトナナマルマル、満足して駆逐艦寮へと帰る。
――――アレ? アンタ大和さん達の部屋には行かなかったの?
――――大和さん達、また部屋壊したから明石さんのお手伝いなんだって。
――――(あの人達も懲りないわねー……)
949: ◆UeZ8dRl.OE 2015/07/30(木) 07:11:46.51 ID:GF26Z7Ww0
・大鳳&浦風『ナンパ』、投下します
普段友好的な人や鎮守府の仲間としか話さないので多少罵詈雑言への耐性が低い子が多い
普段友好的な人や鎮守府の仲間としか話さないので多少罵詈雑言への耐性が低い子が多い
950: ◆UeZ8dRl.OE 2015/07/30(木) 07:12:28.42 ID:GF26Z7Ww0
大鳳と浦風は提督と共に、海水浴場へと来ていた。
三人なのはひとえに浦風に新しい水着を着せたいという大鳳の企みからである。
「姉さん、本当にうちが一緒で良かったん?」
「えぇ、今日は三人で楽しみたい気分だったし、気にせず浦風も一緒に海を満喫しましょ」
「(お前等二人で来れば良かったんじゃないか?)」
「(提督を口実に使わないと、浦風が新しい水着を買いそうになかったんですもの)」
「(相変わらずブレないな、お前も……)」
二人がひそひそ話するのを、首を傾げながら見ている浦風。
今は上からTシャツを着ているが、その下から水玉のビキニが顔を覗かせていた。
一方の大鳳はというと、モノキニで惜しみ無く腹筋を見せている。
「とにかく、ここでこうしていても時間が勿体無いわ。準備運動をしてさっさと海に入りましょうか」
「そうじゃねぇ。せっかくの海じゃ、目一杯遊ばんと」
「明日筋肉痛で動くのが辛くならない程度に頼む」
軽く身体をほぐした後、三人は荷物をビニールシートもどき内部に収納して海へと向かう。
口実とは口にしたものの、やはり提督と来るのも楽しみにしていた大鳳は彼の手を引き、その足を急かした。
それを後ろから眺める浦風も、姉の嬉しそうな姿に笑顔を見せるのだった。
三人なのはひとえに浦風に新しい水着を着せたいという大鳳の企みからである。
「姉さん、本当にうちが一緒で良かったん?」
「えぇ、今日は三人で楽しみたい気分だったし、気にせず浦風も一緒に海を満喫しましょ」
「(お前等二人で来れば良かったんじゃないか?)」
「(提督を口実に使わないと、浦風が新しい水着を買いそうになかったんですもの)」
「(相変わらずブレないな、お前も……)」
二人がひそひそ話するのを、首を傾げながら見ている浦風。
今は上からTシャツを着ているが、その下から水玉のビキニが顔を覗かせていた。
一方の大鳳はというと、モノキニで惜しみ無く腹筋を見せている。
「とにかく、ここでこうしていても時間が勿体無いわ。準備運動をしてさっさと海に入りましょうか」
「そうじゃねぇ。せっかくの海じゃ、目一杯遊ばんと」
「明日筋肉痛で動くのが辛くならない程度に頼む」
軽く身体をほぐした後、三人は荷物をビニールシートもどき内部に収納して海へと向かう。
口実とは口にしたものの、やはり提督と来るのも楽しみにしていた大鳳は彼の手を引き、その足を急かした。
それを後ろから眺める浦風も、姉の嬉しそうな姿に笑顔を見せるのだった。
951: ◆UeZ8dRl.OE 2015/07/30(木) 07:13:02.36 ID:GF26Z7Ww0
「――そろそろ休憩しましょうか」
「もう一日分動いた気がするぞ……」
「うちが冷たい物でも買ってくるけぇ、提督さんと姉さんは座っとってえぇよ」
「いいわよ浦風、私が行くわ」
「こういう時ぐらい俺が行くべきだろ、買いに行く程度なら問題ないしな」
「あっ……提督さん一人で大丈夫じゃろうか?」
「ちょっとそこの海の家に行くぐらいなら大丈夫よ浦風」
(大丈夫じゃって自分で言うといて視線を提督さんから外さん辺り、姉さんも心配性じゃなぁ……)
海とは反対方向を向いて座る二人、見失うことなど決してない背中を見つめながら、互いにここがダメだとかここは満場一致で全員認めているといった話に花を咲かせる。
そんな彼女等を狙う者達が居ることに、三人まだ気付いては居なかった。
「もう一日分動いた気がするぞ……」
「うちが冷たい物でも買ってくるけぇ、提督さんと姉さんは座っとってえぇよ」
「いいわよ浦風、私が行くわ」
「こういう時ぐらい俺が行くべきだろ、買いに行く程度なら問題ないしな」
「あっ……提督さん一人で大丈夫じゃろうか?」
「ちょっとそこの海の家に行くぐらいなら大丈夫よ浦風」
(大丈夫じゃって自分で言うといて視線を提督さんから外さん辺り、姉さんも心配性じゃなぁ……)
海とは反対方向を向いて座る二人、見失うことなど決してない背中を見つめながら、互いにここがダメだとかここは満場一致で全員認めているといった話に花を咲かせる。
そんな彼女等を狙う者達が居ることに、三人まだ気付いては居なかった。
952: ◆UeZ8dRl.OE 2015/07/30(木) 07:13:28.99 ID:GF26Z7Ww0
(列が混んでて少し遅くなったな、急いで戻るか)
――おい、何だあの人だかり?
――何かナンパした男達がナンパした相手と揉めてるらしいぞ。
(あの方向、まさか……)
提督の脳裏をよぎったのは、浦風に絡んで大鳳のスイッチが入ってしまった惨状。
やり過ぎることはないにしても、やり過ぎではない範囲なら多少の怪我を負わせてもおかしくはない。
近くにあったテーブルに買った物を置き、二人の元へと彼は走り出した。
「ちょっとすいません、通して下さい。おい大鳳、何があったか知らんがそのぐらいに――」
「うちの前で姉さんと提督さんを貶したなぁこの口か? ん?」
――ご、ごめんなひゃい……。
「浦風、もうその辺にしておきましょ、ね?」
「・・・・・・」
予想と違ったこと、自分の知らない浦風の一面を見たこと、どう収拾をつけるか、色々な思考が頭の中を駆け巡り、提督は暫しその光景を見つめながら突っ立っていた。
そして、最終的に彼が行き着いた考えは、“溶けるし、かき氷を取りに戻ろう”というものだった。
――――(浦風っていつも怒るとあんな感じなのか?)
――――(アレでもまだ抑えてた方じゃないかしら)
――――(……浦風も怒らせないように気を付けるとしよう)
――――何じゃ? うちの顔に何かついとる? 恥ずかしいけぇそういうことははよ言うて欲しいんじゃ。
笑顔で両頬を片手で掴んだ(まま持ち上げた)だけの浦風は優しい良い子デス。
――おい、何だあの人だかり?
――何かナンパした男達がナンパした相手と揉めてるらしいぞ。
(あの方向、まさか……)
提督の脳裏をよぎったのは、浦風に絡んで大鳳のスイッチが入ってしまった惨状。
やり過ぎることはないにしても、やり過ぎではない範囲なら多少の怪我を負わせてもおかしくはない。
近くにあったテーブルに買った物を置き、二人の元へと彼は走り出した。
「ちょっとすいません、通して下さい。おい大鳳、何があったか知らんがそのぐらいに――」
「うちの前で姉さんと提督さんを貶したなぁこの口か? ん?」
――ご、ごめんなひゃい……。
「浦風、もうその辺にしておきましょ、ね?」
「・・・・・・」
予想と違ったこと、自分の知らない浦風の一面を見たこと、どう収拾をつけるか、色々な思考が頭の中を駆け巡り、提督は暫しその光景を見つめながら突っ立っていた。
そして、最終的に彼が行き着いた考えは、“溶けるし、かき氷を取りに戻ろう”というものだった。
――――(浦風っていつも怒るとあんな感じなのか?)
――――(アレでもまだ抑えてた方じゃないかしら)
――――(……浦風も怒らせないように気を付けるとしよう)
――――何じゃ? うちの顔に何かついとる? 恥ずかしいけぇそういうことははよ言うて欲しいんじゃ。
笑顔で両頬を片手で掴んだ(まま持ち上げた)だけの浦風は優しい良い子デス。
953: ◆UeZ8dRl.OE 2015/07/30(木) 07:19:46.22 ID:GF26Z7Ww0
~『加賀岬』~
「加賀、お前の歌が完成したらしいぞ」
「言っている意味がよく分からないのだけれど」
「曲名は『加賀岬』だそうだ」
「そう、お断りします」
「決定事項だ。どうしても嫌なら那珂とデュエットするか?」
「……あまり期待はしないで下さい」
――那珂ちゃん全艦娘アイドル化計画、第一フェイズ始動。
(案外ノリノリで歌ってるように見えるのは俺の気のせいか?)
~うしおとヲー~
「ヲーちゃんどうしたの、顔にペンで模様なんて書いたら拭き取るの大変だよ?」
「ヲ! ハンバッカ食ベタイ!」
「はんばっか? はんばっかって何? お菓子か何か?」
「無イナラ潮ヲ食ベル!」
「きゃっ!? ヲーちゃんくすぐったいよ、もう」
(潮はどっちかっていうと真由子って感じですよねー。ぼのぼのが麻子、朧は……オマモリサマ?)
ヲーちゃんが変なことを覚えていたら大体漣の読んでる漫画のせい。
「加賀、お前の歌が完成したらしいぞ」
「言っている意味がよく分からないのだけれど」
「曲名は『加賀岬』だそうだ」
「そう、お断りします」
「決定事項だ。どうしても嫌なら那珂とデュエットするか?」
「……あまり期待はしないで下さい」
――那珂ちゃん全艦娘アイドル化計画、第一フェイズ始動。
(案外ノリノリで歌ってるように見えるのは俺の気のせいか?)
~うしおとヲー~
「ヲーちゃんどうしたの、顔にペンで模様なんて書いたら拭き取るの大変だよ?」
「ヲ! ハンバッカ食ベタイ!」
「はんばっか? はんばっかって何? お菓子か何か?」
「無イナラ潮ヲ食ベル!」
「きゃっ!? ヲーちゃんくすぐったいよ、もう」
(潮はどっちかっていうと真由子って感じですよねー。ぼのぼのが麻子、朧は……オマモリサマ?)
ヲーちゃんが変なことを覚えていたら大体漣の読んでる漫画のせい。
957: ◆UeZ8dRl.OE 2015/08/01(土) 22:05:20.25 ID:VY3dXV/Y0
・由良&時雨&白露『噛み合わない』 、投下します
イタズラはするし暴走はするけど、常識人な時雨
イタズラはするし暴走はするけど、常識人な時雨
958: ◆UeZ8dRl.OE 2015/08/01(土) 22:06:08.72 ID:VY3dXV/Y0
たまたま街中で出くわし、そのまま喫茶店で少し話でもしようかとなった三人。
ここでまず三人のタイプを確認してみよう。
「一番先に、メニューチェック!」
会話も行動もその場の勢い任せ、白露。
「ここは何が美味しいのかな?」
基本的に物静か、でも最近ちょっといたずらっ子気味な時雨。
(あの店員さん、亀に似てる)
マイペース女王、朝起きて携帯を忘れて通勤快速に乗り遅れて鈍行に乗っても全く気にしないであろう由良。
この三人の間で会話のキャッチボールが可能か、答えはこれから示される。
「白露、決まった?」
「コレと~コレ!」
「由良さんはどうするの?」
「ナポリタン」
「ひょっとして、お昼まだだったのかな?」
「お昼はカルボナーラにしたから」
(由良さん、意外によく食べるんだね……)
「店員さん、注文お願いしまーす!」
「白露、僕はまだ決めてないんだけど……いいさ、このケーキセットにするよ」
――ご注文をどうぞ。
「デビルパフェとイチゴオレ!」
「ケーキセット、チーズケーキとオレンジペコで」
「ペペロンチーノ」
――かしこまりました。
「――ナポリタンじゃなかったの?」
「二人が甘いものを頼んでたから」
(前々から思っていたけど、由良さんも何を考えているのかよく分からないところがあるね)
「よーし、今日はとことん三人でガールズトークするよー」
「いいよ、じゃあまずは提督を誘惑する時の服について話そうか」
「はい! ライブした時の服!」
「今のは冗談のつもりだったんだけど……」
「紫のネグリジェ、透けてるやつ。ペペロンチーノよりアラビアータの方が良かったかも」
「時雨は裸に雨ガッ――」
「白露、僕の魚雷に興味があるの? いいよ、帰ったら演習場に行こうか」
「私の単装砲も見る? 気になるよね、ね?」
――失礼します。デビルパフェとイチゴオレ、チーズケーキとオレンジ・ペコ、ペペロンチーノお持ちしました。ご注文の品は以上でお揃いでしょうか?
「うん、揃っているよ」
――かしこまりました、ごゆっくりどうぞ。
「一番先に、いっただきまーす!」
「いただきます。――時雨、どうしたの?」
「……帰ったらそのネグリジェ、少し見せてくれないかな?」
ここでまず三人のタイプを確認してみよう。
「一番先に、メニューチェック!」
会話も行動もその場の勢い任せ、白露。
「ここは何が美味しいのかな?」
基本的に物静か、でも最近ちょっといたずらっ子気味な時雨。
(あの店員さん、亀に似てる)
マイペース女王、朝起きて携帯を忘れて通勤快速に乗り遅れて鈍行に乗っても全く気にしないであろう由良。
この三人の間で会話のキャッチボールが可能か、答えはこれから示される。
「白露、決まった?」
「コレと~コレ!」
「由良さんはどうするの?」
「ナポリタン」
「ひょっとして、お昼まだだったのかな?」
「お昼はカルボナーラにしたから」
(由良さん、意外によく食べるんだね……)
「店員さん、注文お願いしまーす!」
「白露、僕はまだ決めてないんだけど……いいさ、このケーキセットにするよ」
――ご注文をどうぞ。
「デビルパフェとイチゴオレ!」
「ケーキセット、チーズケーキとオレンジペコで」
「ペペロンチーノ」
――かしこまりました。
「――ナポリタンじゃなかったの?」
「二人が甘いものを頼んでたから」
(前々から思っていたけど、由良さんも何を考えているのかよく分からないところがあるね)
「よーし、今日はとことん三人でガールズトークするよー」
「いいよ、じゃあまずは提督を誘惑する時の服について話そうか」
「はい! ライブした時の服!」
「今のは冗談のつもりだったんだけど……」
「紫のネグリジェ、透けてるやつ。ペペロンチーノよりアラビアータの方が良かったかも」
「時雨は裸に雨ガッ――」
「白露、僕の魚雷に興味があるの? いいよ、帰ったら演習場に行こうか」
「私の単装砲も見る? 気になるよね、ね?」
――失礼します。デビルパフェとイチゴオレ、チーズケーキとオレンジ・ペコ、ペペロンチーノお持ちしました。ご注文の品は以上でお揃いでしょうか?
「うん、揃っているよ」
――かしこまりました、ごゆっくりどうぞ。
「一番先に、いっただきまーす!」
「いただきます。――時雨、どうしたの?」
「……帰ったらそのネグリジェ、少し見せてくれないかな?」
959: ◆UeZ8dRl.OE 2015/08/01(土) 22:06:34.32 ID:VY3dXV/Y0
――――凄いね時雨、透け透けだよ、透け透け!
――――コレを着るのには、かなり勇気がいるね。
――――それ、夏場は薄くて涼しいから寝やすいの。
――――コレを着るのには、かなり勇気がいるね。
――――それ、夏場は薄くて涼しいから寝やすいの。
966: ◆UeZ8dRl.OE 2015/08/08(土) 22:51:44.61 ID:D4XLm3Gc0
・雲龍『にぎる』 、投下します
ただいま修行中
ただいま修行中
967: ◆UeZ8dRl.OE 2015/08/08(土) 22:52:13.11 ID:D4XLm3Gc0
おにぎり、中に具を入れたりシンプルに塩味にしたり海苔を巻いたりはたまた何の味付けもせずに食べるもの。
雲龍の唯一の得意料理であり、常に彼女の部屋には様々な産地の米がストックされている。
しかし、とある一本のテレビ番組が雲龍に衝撃を与えた。
「提督、これを食べてみて」
「……雲龍、まずは上から退け」
寝起きの提督に跨がりながら、雲龍は皿を口元へ突き出していた。
それをやんわりと押し退け、まだ浮上しきっていない意識を彼は頭を振って揺り起こす。
「……で、何でこんな朝っぱらからお前はそんなものを用意してここへ来たんだ?」
「ネタは鮮度が命と聞いたから」
(誰だ協力したのは……って赤城しか居ないか、そっち方面で融通が利くのは)
色ツヤの良い鮪、そしてその下には程好い大きさに握られたご飯、傍らには醤油とワサビ。
つまり、雲龍が用意していたのは寿司である。
「早く食べて」
「分かった、分かったから口に押し込もうとするな、自分で食える」
グイグイと迫ってくる雲龍から皿を奪い、まずは何も付けずに口にする。
そして、提督はすぐにその寿司の問題点に気付いた。
「――握り過ぎだな」
「握り過ぎ?」
「あぁ、形は確かに寿司の形になってるが、俵型のお握りにネタが乗ってるような感じだ。お握りを握るのと同じ感覚では寿司はうまく出来んぞ」
「そう、分かった」
「まぁわざわざ俺の為に作ってくれたのは有り難いし、これも不味いわけじゃ――ってどこ行った?」
「――というわけで、寿司の握り方を教えて欲しいの」
「私は作る方はそこまで得意じゃありませんから、専門の人を紹介しますね」
「ありがとう、このお礼は必ずする」
「いえ、お礼なんていいんですよ。貴女の生き生きしている姿を見られるのは嬉しいですから」
「……私は、美味しいと言わせたいだけ」
(雲龍も可愛らしい表情を見せるようになりましたね。提督が逃げられなくなるのも時間の問題でしょうか?)
雲龍の唯一の得意料理であり、常に彼女の部屋には様々な産地の米がストックされている。
しかし、とある一本のテレビ番組が雲龍に衝撃を与えた。
「提督、これを食べてみて」
「……雲龍、まずは上から退け」
寝起きの提督に跨がりながら、雲龍は皿を口元へ突き出していた。
それをやんわりと押し退け、まだ浮上しきっていない意識を彼は頭を振って揺り起こす。
「……で、何でこんな朝っぱらからお前はそんなものを用意してここへ来たんだ?」
「ネタは鮮度が命と聞いたから」
(誰だ協力したのは……って赤城しか居ないか、そっち方面で融通が利くのは)
色ツヤの良い鮪、そしてその下には程好い大きさに握られたご飯、傍らには醤油とワサビ。
つまり、雲龍が用意していたのは寿司である。
「早く食べて」
「分かった、分かったから口に押し込もうとするな、自分で食える」
グイグイと迫ってくる雲龍から皿を奪い、まずは何も付けずに口にする。
そして、提督はすぐにその寿司の問題点に気付いた。
「――握り過ぎだな」
「握り過ぎ?」
「あぁ、形は確かに寿司の形になってるが、俵型のお握りにネタが乗ってるような感じだ。お握りを握るのと同じ感覚では寿司はうまく出来んぞ」
「そう、分かった」
「まぁわざわざ俺の為に作ってくれたのは有り難いし、これも不味いわけじゃ――ってどこ行った?」
「――というわけで、寿司の握り方を教えて欲しいの」
「私は作る方はそこまで得意じゃありませんから、専門の人を紹介しますね」
「ありがとう、このお礼は必ずする」
「いえ、お礼なんていいんですよ。貴女の生き生きしている姿を見られるのは嬉しいですから」
「……私は、美味しいと言わせたいだけ」
(雲龍も可愛らしい表情を見せるようになりましたね。提督が逃げられなくなるのも時間の問題でしょうか?)
968: ◆UeZ8dRl.OE 2015/08/08(土) 22:52:52.49 ID:D4XLm3Gc0
――――雲龍姉様、コレは?
――――包丁を使う練習。
――――今度は大根ばっかかぁ……。
――――大丈夫、お刺身もあるから。
――――包丁を使う練習。
――――今度は大根ばっかかぁ……。
――――大丈夫、お刺身もあるから。
969: ◆UeZ8dRl.OE 2015/08/08(土) 22:56:52.66 ID:D4XLm3Gc0
・春雨『司令官……?』 、投下します
口の悪い頭の上のキューピッド
口の悪い頭の上のキューピッド
970: ◆UeZ8dRl.OE 2015/08/08(土) 22:57:22.98 ID:D4XLm3Gc0
――私は、思わず走り出していた。
帽子に乗せているクーちゃんが何か言っているけど、頭には入らない。
何で足が勝手に走り出しちゃったのか、どうしてこんなに胸が熱いのか、誰でもいいから教えて欲しかった。
「きゃっ!? ちょっと、危ないでしょ!」
「あっ……村雨、姉さん……」
「春雨? どうしたの、何かあった?」
大好きな姉の顔を見て、身体中を駆け巡っていた感情が目から溢れ落ちていく。
そんな私を優しく抱き締めてくれた村雨姉さんの腕の中で、少しずつ自分に起こった出来事を伝えていった。
「――つまり、提督が“春雨はいらない”って言ってたのが聞こえて思わず走り出しちゃった、と」
「うん……」
(これはもしかしなくても春雨が提督を意識してるってことかしら~? でも、何でいらないなんて言ってたんだろ。まぁどうせつまらない理由よね)
「オイ、春雨」
「クー、ちゃん?」
「戻ッテ直接何デアンナコト言ッタカ聞イテミロ」
「え……」
「同ジ顔デソンナウジウジサレタラ正直鬱陶シイ。サッサト理由ヲ聞イテスッキリシテコイ」
頭を帽子越しにバシバシ叩かれ、早く行けと促される。
村雨姉さんが一瞬止めようとしてくれたみたいだけど、何かに思い至った風な様子で優しく笑みを浮かべた。
「大丈夫よ春雨。私達の提督はちょーっと頼りないところもあるけど、私達の事をいっつも考えてるような人だから」
「村雨姉さん……うん、分かった。春雨、行ってきます」
「はいはーい、何ならそのまま朝帰りでもいいからねー」
「っ!?」
振り向いて走り出した途端背中からの一言に頭を壁にぶつけ、クーちゃんから文句を言われながら再び走り出す。
未だにあんなに胸が苦しくなった理由は分からないけれど、司令官を信じる勇気を分けて貰えたから、もう怖くは無かった。
――――スープ春雨を作ったと言われて持ってこられたのがコーンスープだった。だからこう言ったんだ。“コーンスープに春雨はいらんだろ”、とな。どうだ? 誤解は解けたか?
――――……ます。
――――?
――――春雨はいります! 絶対いります!
――――お、おぅ……そうか、すまん……。
――――(ヤレヤレ、ドッチモコレカラ大変ソウダナ、端カラ見ル分ニハ面白イガ)
帽子に乗せているクーちゃんが何か言っているけど、頭には入らない。
何で足が勝手に走り出しちゃったのか、どうしてこんなに胸が熱いのか、誰でもいいから教えて欲しかった。
「きゃっ!? ちょっと、危ないでしょ!」
「あっ……村雨、姉さん……」
「春雨? どうしたの、何かあった?」
大好きな姉の顔を見て、身体中を駆け巡っていた感情が目から溢れ落ちていく。
そんな私を優しく抱き締めてくれた村雨姉さんの腕の中で、少しずつ自分に起こった出来事を伝えていった。
「――つまり、提督が“春雨はいらない”って言ってたのが聞こえて思わず走り出しちゃった、と」
「うん……」
(これはもしかしなくても春雨が提督を意識してるってことかしら~? でも、何でいらないなんて言ってたんだろ。まぁどうせつまらない理由よね)
「オイ、春雨」
「クー、ちゃん?」
「戻ッテ直接何デアンナコト言ッタカ聞イテミロ」
「え……」
「同ジ顔デソンナウジウジサレタラ正直鬱陶シイ。サッサト理由ヲ聞イテスッキリシテコイ」
頭を帽子越しにバシバシ叩かれ、早く行けと促される。
村雨姉さんが一瞬止めようとしてくれたみたいだけど、何かに思い至った風な様子で優しく笑みを浮かべた。
「大丈夫よ春雨。私達の提督はちょーっと頼りないところもあるけど、私達の事をいっつも考えてるような人だから」
「村雨姉さん……うん、分かった。春雨、行ってきます」
「はいはーい、何ならそのまま朝帰りでもいいからねー」
「っ!?」
振り向いて走り出した途端背中からの一言に頭を壁にぶつけ、クーちゃんから文句を言われながら再び走り出す。
未だにあんなに胸が苦しくなった理由は分からないけれど、司令官を信じる勇気を分けて貰えたから、もう怖くは無かった。
――――スープ春雨を作ったと言われて持ってこられたのがコーンスープだった。だからこう言ったんだ。“コーンスープに春雨はいらんだろ”、とな。どうだ? 誤解は解けたか?
――――……ます。
――――?
――――春雨はいります! 絶対いります!
――――お、おぅ……そうか、すまん……。
――――(ヤレヤレ、ドッチモコレカラ大変ソウダナ、端カラ見ル分ニハ面白イガ)
992: ◆UeZ8dRl.OE 2015/08/23(日) 21:59:22.06 ID:VTJUsU510
余ったので子ネタ投下
~もしも正規空母の子供達が艦載機レースをしたら~
「やりました」
「じょうじょうね」
「しょーかくねぇ、ごめんね……」
「いいのよずいかく、つぎがんばりましょ」
「わたしのほうがはやかったもん!」
「わたしのほうがはやかったよ、ねぇたもんおじいちゃん」
「まけちゃった……もっともっとわたしじしんをきたえないと!」
「あのかんさいき、ほしい」
「あまぎはアレがほしいです」
「じゃあわたしはアレ!」
ちび加賀、無表情で一位だから誉めろと提督を見つめる。
ちび赤城、頑張ったらお腹が空いたので母親にご飯を要求。
ちび瑞鶴、ちび翔鶴の艦載機に自分の艦載機をぶつけてしまいしょんぼり中。
ちび翔鶴、ほわほわ笑顔で妹を慰める。
ちび蒼龍、ちび飛龍と同着が不服で突っ掛かる。
ちび飛龍、虚空を見つめておじいちゃんと呼ぶ。
ちび大鳳、筋トレ開始。
ちび雲龍、新しい自分用の艦載機をねだる。
ちび天城、夕張の作った新型カタパルトをねだる。
ちび葛城、ちび夕張の作った対空ミサイルをねだる。
提督、夕張親子に説教中。
~もしも正規空母の子供達が艦載機レースをしたら~
「やりました」
「じょうじょうね」
「しょーかくねぇ、ごめんね……」
「いいのよずいかく、つぎがんばりましょ」
「わたしのほうがはやかったもん!」
「わたしのほうがはやかったよ、ねぇたもんおじいちゃん」
「まけちゃった……もっともっとわたしじしんをきたえないと!」
「あのかんさいき、ほしい」
「あまぎはアレがほしいです」
「じゃあわたしはアレ!」
ちび加賀、無表情で一位だから誉めろと提督を見つめる。
ちび赤城、頑張ったらお腹が空いたので母親にご飯を要求。
ちび瑞鶴、ちび翔鶴の艦載機に自分の艦載機をぶつけてしまいしょんぼり中。
ちび翔鶴、ほわほわ笑顔で妹を慰める。
ちび蒼龍、ちび飛龍と同着が不服で突っ掛かる。
ちび飛龍、虚空を見つめておじいちゃんと呼ぶ。
ちび大鳳、筋トレ開始。
ちび雲龍、新しい自分用の艦載機をねだる。
ちび天城、夕張の作った新型カタパルトをねだる。
ちび葛城、ちび夕張の作った対空ミサイルをねだる。
提督、夕張親子に説教中。
993: ◆UeZ8dRl.OE 2015/08/23(日) 21:59:49.05 ID:VTJUsU510
~もしも軽空母に子供が出来たら~
「おかあさま、にぎりかたはこれでよいでしょうか」
「うぅ……たまごやきこげちゃった……」
「かあさまたち、のみすぎです」
「ふとってふくがはいらなくなってもしりませんよ?」
「ちとせねぇ、なにのんでるの?」
「こどもでものめるおさけ」
「なにいうてんのおかん、おめかししたってどうがんはどうがんやん」
「おかあさん、なんでたたかうときはふくはんぶんぬぐのですか? さむくありませんか?」
ちび鳳翔、料理を母から教わり二代目お艦目指して邁進中。
ちび瑞鳳、玉子焼きの修行中。でも、好物は母親の作る茶碗蒸し。
ちび隼鷹、酒飲みな親達をたしなめる。親に似ず(?)真面目。
ちび飛鷹、ちび隼鷹共々親達をいつも叱っている。鷹が好き。
ちび千代田、ちび千歳にべったり。たまに母親とちび千歳を奪い合っている。
ちび千歳、早くお酒を飲めるようになりたいと思っている。嫌いじゃないが大きい千代田は苦手な模様。
ちび龍驤、母親のボケと無駄な努力にツッコミを入れる日々。
ちび祥鳳、弓大好きっ子。ただし親のマネは恥ずかしいのでしない。
「おかあさま、にぎりかたはこれでよいでしょうか」
「うぅ……たまごやきこげちゃった……」
「かあさまたち、のみすぎです」
「ふとってふくがはいらなくなってもしりませんよ?」
「ちとせねぇ、なにのんでるの?」
「こどもでものめるおさけ」
「なにいうてんのおかん、おめかししたってどうがんはどうがんやん」
「おかあさん、なんでたたかうときはふくはんぶんぬぐのですか? さむくありませんか?」
ちび鳳翔、料理を母から教わり二代目お艦目指して邁進中。
ちび瑞鳳、玉子焼きの修行中。でも、好物は母親の作る茶碗蒸し。
ちび隼鷹、酒飲みな親達をたしなめる。親に似ず(?)真面目。
ちび飛鷹、ちび隼鷹共々親達をいつも叱っている。鷹が好き。
ちび千代田、ちび千歳にべったり。たまに母親とちび千歳を奪い合っている。
ちび千歳、早くお酒を飲めるようになりたいと思っている。嫌いじゃないが大きい千代田は苦手な模様。
ちび龍驤、母親のボケと無駄な努力にツッコミを入れる日々。
ちび祥鳳、弓大好きっ子。ただし親のマネは恥ずかしいのでしない。
999: ◆UeZ8dRl.OE 2015/08/27(木) 16:21:41.37 ID:Py4qINVU0
「埋メル!」
「埋メルナト言ッテイルノニ……」
「埋メルナト言ッテイルノニ……」
1000: ◆UeZ8dRl.OE 2015/08/27(木) 16:22:56.54 ID:Py4qINVU0
「陽炎、これはどういう訓練なのだ?」
「夏の海ではしゃいだバカを埋める訓練よ」
「夏の海ではしゃいだバカを埋める訓練よ」
次回 【艦これ】大鳳「衣食住に娯楽の揃った鎮守府」浦風「深海棲艦も居るんじゃ」
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