1: ◆cgcCmk1QIM 19/12/04(水)21:19:34 ID:sPQ
【2019年12月中旬・岡崎泰葉私室】
白菊ほたる「お、お邪魔します」
岡崎泰葉「いらっしゃい。突然呼んじゃって悪かったね」
ほたる「ううん、そんなこと」
泰葉「アニバ見てたよ。凄く良かった」
ほたる「えへへ」
泰葉「かわいいなあもう」
ほたる「あの、それで今日は……?」
泰葉「うん、実はほたるちゃんに個人的にプレゼントしたいものがあって」
ほたる「プレゼント?」
泰葉「じゃーん、これです」
ほたる「これは……ケーキ!」
泰葉「その通り! 無理言って三村さんに作ってもらいました!」
ほたる「しかもロウソクが立ててあります!?」
泰葉「exactly!」
白菊ほたる「お、お邪魔します」
岡崎泰葉「いらっしゃい。突然呼んじゃって悪かったね」
ほたる「ううん、そんなこと」
泰葉「アニバ見てたよ。凄く良かった」
ほたる「えへへ」
泰葉「かわいいなあもう」
ほたる「あの、それで今日は……?」
泰葉「うん、実はほたるちゃんに個人的にプレゼントしたいものがあって」
ほたる「プレゼント?」
泰葉「じゃーん、これです」
ほたる「これは……ケーキ!」
泰葉「その通り! 無理言って三村さんに作ってもらいました!」
ほたる「しかもロウソクが立ててあります!?」
泰葉「exactly!」
2: ◆cgcCmk1QIM 19/12/04(水)21:22:30 ID:sPQ
ほたる「かわいい、おいしそう、嬉しい……でもあの、クリスマスにはだいぶ遠いです」
泰葉「そうだね」
ほたる「私の誕生日はその、4月で」
泰葉「19日ね。そっちはそっちで計画立ててるから楽しみにしてて」
ほたる「は、はい! ……でも、じゃあ、このロウソクつきのケーキは一体」
泰葉「ほたるちゃんの誕生祝い」
ほたる「泰葉ちゃん健忘症?」
泰葉「失敬な。ほたるちゃんの誕生日が4月19日だってことぐらい覚えてるよ」
ほたる「でも、じゃあどうして」
泰葉「私が祝いたいのは、『アイドル白菊ほたる』の誕生なの」
ほたる「え」
3: ◆cgcCmk1QIM 19/12/04(水)21:23:52 ID:sPQ
泰葉「私ね、ずっと思ってたの。ほたるちゃんは、ずっとアイドルしていく子だって。この世界でやっていく子だって」
ほたる「……はい」
泰葉「ほたるちゃんは挫けない。アイドルになりたいって思いを強く持ってる。どんなに打ちのめされても、また歩き出す執念がある……だからきっと、ずっとアイドルで居るんだろうなって」
ほたる「そうできたらいいなって、思ってます」
泰葉「だけどね。この間のアニバのほたるちゃんを見て、もしかしたら自分は間違ってたかも知れないって」
ほたる「……間違い、ですか」
泰葉「うん――気を悪くしないで聞いてね」
ほたる「は、はい」
泰葉「ほたるちゃんは今まで確かに、お仕事としてはアイドルをやってたけど――もしかしたらまだアイドルじゃなかったのかも知れないって思ったの」
ほたる「えっ、えっ」
ほたる「……はい」
泰葉「ほたるちゃんは挫けない。アイドルになりたいって思いを強く持ってる。どんなに打ちのめされても、また歩き出す執念がある……だからきっと、ずっとアイドルで居るんだろうなって」
ほたる「そうできたらいいなって、思ってます」
泰葉「だけどね。この間のアニバのほたるちゃんを見て、もしかしたら自分は間違ってたかも知れないって」
ほたる「……間違い、ですか」
泰葉「うん――気を悪くしないで聞いてね」
ほたる「は、はい」
泰葉「ほたるちゃんは今まで確かに、お仕事としてはアイドルをやってたけど――もしかしたらまだアイドルじゃなかったのかも知れないって思ったの」
ほたる「えっ、えっ」
4: ◆cgcCmk1QIM 19/12/04(水)21:24:26 ID:sPQ
泰葉「あはは、アイドルだけどアイドルじゃないなんて、訳がわからないよね」
ほたる「はい……」
泰葉「でも、自分でも心当たりがあるんじゃない?」
ほたる「……」
泰葉「自分がアイドルになっていいのかって。自分がアイドルでいいのかって。ずっと自問してたでしょう」
ほたる「それは……そうです」
泰葉「ほたるちゃんはアイドルになりたいって執念がある。どんなに悩んでも、アイドルに帰ってくる。挫けない。立ち上がってくる。私はそれが、ほたるちゃんのアイドルとしての強さだと思ってたけど――」
ほたる「――」
泰葉「それはつまり、まだ自分を本当にはアイドルと認められてなかったってことだったんだよね」
ほたる「……その通りです」
泰葉「やっぱりかあ」
5: ◆cgcCmk1QIM 19/12/04(水)21:25:18 ID:sPQ
ほたる「私がアイドルでいいのかって。いつもそこで足踏みしていた気がします。諦められたら楽なのに、でも、諦められなくて。何度も、何度も――」
泰葉「うん――それでね。私は思ったの」
ほたる「何を、ですか?」
泰葉「ほたるちゃんが今まで見せていた強さ。私たちがほたるちゃんのアイドルとしての強さだと思っていたものは、実は『アイドルの卵としての強さ』だったんじゃないか、って」
ほたる「卵として……ですか」
泰葉「うん。アニバを見ててね。突然、ああそうかって解かった気がするんだ」
ほたる「……」
泰葉「考えてみればこれまでほたるちゃんは確かに強かったけど、それでも――ある日突然折れて、いなくなっちゃいそうな恐さがあった。不安定だった」
ほたる「それは確かにその通りだと思います」
泰葉「だけど、アニバのほたるちゃんはこれまでと違った。見てるだけで解かった。すごく自然体でアイドルの自分を受け入れてた。これまでの自分と、今の自分を綺麗に飲み込んでた」
ほたる「――なんだかあの日は、違ったんです。ちょっと説明しづらいんですけど」
泰葉「ほたるちゃんはね、あの日、『アイドルの卵』から、本当の意味で『アイドル』になったんだと思う」
6: ◆cgcCmk1QIM 19/12/04(水)21:25:58 ID:sPQ
ほたる「私が……アイドルに」
泰葉「考えてみればね。役者の世界でも、本当に長くやってく人は自然体だったよ。情熱と執念をきれいに飲み込んで、普通の顔で笑ってる人だった――ほたるちゃんは卵の殻を破って、アイドルとしての強さ、アイドルとしての心を手に入れたんだ」
ほたる「……」
泰葉「だから、お祝い。個人的にね。アイドル白菊ほたるの誕生日を、祝ってあげたいの」
ほたる「……」
泰葉「きっと長い付き合いになるだろうから、ね?」
ほたる「……はい!」
泰葉「ふふ。もしかしたらあれだよ。ほたるちゃんは一生アイドルしてるかも知れないよ」
ほたる「そうだったら本当に嬉しいんですが……!」
泰葉「本当になって欲しいことは、口に出すといいよ。私の知ってる俳優さんなんか、一生やるって言ったばっかりに大河俳優になってもカブで長距離旅行させられたりしてたんだから」
ほたる「それ呪いっぽくないですか!?」
7: ◆cgcCmk1QIM 19/12/04(水)21:26:21 ID:sPQ
泰葉「あはは、いいじゃない。きっと、一人じゃないんだから」
ほたる「――」
泰葉「私も、みんなも一緒なんだから、ね」
ほたる「……はい!」
泰葉「ハッピーバースデー、ほたるちゃん。おめでとうを言わせて――今までの貴女に。そして、これからの貴女に」
(おしまい)
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