1: ◆RZFwc/0Dpg 2019/12/06(金) 23:39:49.86 ID:Lobcqndao
~一日目・朝(事務所)~


P「……」カタカタカタ

時子「……」ペラッ…ペラッ

P「時子さん」

時子「……」

P「……」

時子「何よ」

P「これからしばらくの間、飯行くときはそばだと思う」

時子「……あぁん?」

P「今そんな気がした」

時子「この愚図は、また訳の分からないことを言い出して……。仕事より先に病院に行くべきじゃないのかしら」

P「あっはっは、辛辣ぅ~!」



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引用元: 【モバマス】時子「時(子)そば」 



2: ◆RZFwc/0Dpg 2019/12/06(金) 23:40:30.12 ID:Lobcqndao
~一日目・昼(富士そば前)~


時子「──朝言ってたこと、本気だったのね」

P「ん? どうした?」

時子「普段の軽口ではなく、真面目に忠告するけれど……女性と外食するときは店選びに気を遣いなさいな」

P「あはは、悪いな。そういうの疎くって」

時子「疎いとかそういう次元かしら……まぁいいわ、入るわよ」

P「あっ時子さん、先に食券買わないと」

時子「……あぁ、そうなの」


3: ◆RZFwc/0Dpg 2019/12/06(金) 23:41:22.27 ID:Lobcqndao

時子(雑多で狭い……こんな店初めてだから新鮮ね)

P「お冷や持ってきたぞー、それじゃ頂きます!」

時子「……頂きます」

P「時子さんはかき揚げそばかー。いいね」

時子「こんな店じゃ何食べても変わらないわよ。貴方は──ヴッ、何よそれ!」

P「これか? コロッケそばだよ」

時子「コロッケ……そば……!?」



4: ◆RZFwc/0Dpg 2019/12/06(金) 23:42:09.63 ID:Lobcqndao

時子「う……正気なのかしら」

P「年に数回あるんだよなぁ」ズルズル

時子「……な、何が」

P「しばらくはコロッケそばしか食べたくない。っていう時期が」

時子「っ!! 貴方まさか今朝言ってたのって──」

P「しばらくは、富士そばに通うぞ」ニヤァァ

時子「!!!!」


5: ◆RZFwc/0Dpg 2019/12/06(金) 23:42:51.00 ID:Lobcqndao

◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇


つかさ「へー、時子さん富士そば行ったのか? 意外だな。ふふふ……」

時子「何が可笑しいのかしら? 悪いけど今機嫌が良くないのよ」

つかさ「いいじゃんか! ギャップって消費者にもウケるぜ?」フフ

時子「……ハァ」



6: ◆RZFwc/0Dpg 2019/12/06(金) 23:43:28.59 ID:Lobcqndao

~一日目・夜(撮影所)~


スタッフ「本日の撮影は以上になります! お疲れ様でしたー」

時子「お疲れ様、ありがとう」

P「時子さんお疲れ様! 良いの撮れたじゃないか」

時子「当然よ、世辞を言うのならもっと語彙力を磨くことね」

P「精進しますとも。もう遅いし飯済ましてから帰るか?」

時子「そう……ね。一応聞くけれど……」

P「よし、富士そばだな」ニッコリ

時子「!!!!」



7: ◆RZFwc/0Dpg 2019/12/06(金) 23:44:05.49 ID:Lobcqndao

そば屋「はいいらっしゃい、肉ね! うどんとそば選べますが」

時子「蕎麦で」

そば屋「あいよっ」

P「流石だなぁ時子さん。2回目でもう慣れてる」

そば屋「はい肉そばお待ち!」

時子「嬉しくないわよ……あっ、ありがとうございます」



8: ◆RZFwc/0Dpg 2019/12/06(金) 23:45:01.48 ID:Lobcqndao

時子「頂きます」

P「頂きます!」

時子「本当に、2食続けてそれ食べるのね」

P「コロッケそば? 当たり前だよ」ズルズル

時子「信じられないわ……何よその組み合わせ」

P「かーっ、分からんかぁ」

時子「……」

P「かーっ、分からんかぁぁぁ」

時子「……」ゲシィィッ

P「いてぇっ、食事中に足踏むなよ!」

時子「食事中だからそれで済んでるのよ。感謝なさい」モグモグ



9: ◆RZFwc/0Dpg 2019/12/06(金) 23:45:43.58 ID:Lobcqndao

◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇


のあ「そう……富士そばに行ったの。その高みに登り詰めたのね」

時子「笑えない冗談よ全く……というより、貴女もあの店のこと知っているのね。意外だわ」

のあ「コロッケそばは……至高。」

時子(こいつもそちら側かっっ!!)


10: ◆RZFwc/0Dpg 2019/12/06(金) 23:46:16.85 ID:Lobcqndao

~二日目・早朝(時子宅)~


ピンポーン

時子「んんっ。誰よこんな早くから……」ガチャッ

P「おっす、おはよう時子さん」

時子「」

P「?」

時子「……おはよう……ございます」

P「うん。おはよう」

11: ◆RZFwc/0Dpg 2019/12/06(金) 23:46:50.75 ID:Lobcqndao

時子「……今日の撮影は11時からだったわよね?」

P「おう、それで合ってるぞ」

時子「……」

P「……」

時子「──えっ、何で?」

P「ほら朝飯食べないといけないし」

時子「は? 自分でその位済ますわy……えっ!!」

P「富士そば、行かないとな」ニッコリ

時子「!!!!」



12: ◆RZFwc/0Dpg 2019/12/06(金) 23:47:25.33 ID:Lobcqndao


時子「……」ズルズル

P「……」ズルズル

時子「朝にそばも、悪くないわね」

P「……」

時子「……何か言いなさいよ」

P「……」ズルズル

時子「……そんなに美味しいの、コロッケそば?」

P「……」ズルズル

時子「私を無視するなんて良い度胸してるじゃない。それとも只の馬鹿なのかしら?」

P「……」ズルズル

時子「……何よ。そんなゲテモノばかり食べてるから馬鹿になるのよ」


13: ◆RZFwc/0Dpg 2019/12/06(金) 23:47:57.80 ID:Lobcqndao

◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇


法子「そんなこと言いながら、時子さんも付き合ってあげるんだから、優しいですよねぇ」アハハ

時子「……違うのよ、法子」

法子「えー? どういうことですか?」

時子「気付いたら店にいるの……気付いたら勝手に『きつねそば、ワカメ抜きで』って言ってるのよ……!!」

法子(時子さんも大概おかしいよね……)

法子「ま、まぁまぁ。とりあえずドーナツ食べましょ? ほら」

時子「……ありがとう、頂くわ」



14: ◆RZFwc/0Dpg 2019/12/06(金) 23:48:34.23 ID:Lobcqndao

~二日目・昼(撮影所)~


スタッフ「それではお昼休憩ですー、再開は1時間半後でお願いしまーす!」

時子「お疲れ様」

P「お疲れ様ー、よくあそこのアドリブ対応したな」

時子「予想の範疇よ。見くびらないで頂戴」

P「はっはっは、流石だな。さてお昼だけど……」

時子「今日は私が出すわ」

P「えっ? 別に良いのに」

時子「時折飴を与えるのが良い主人よ。何でも良いわ、貴方の好きなものを……」

P「富士そば」

時子「いや、貴方こういう時くらい」

P「──富士そばから、逃げるな。」

時子「!!!!」



15: ◆RZFwc/0Dpg 2019/12/06(金) 23:49:17.85 ID:Lobcqndao


時子「……」ズルズル

P「……」ズルズル

時子「いや……『逃げるな』っていうのは可笑しいんじゃないかしら」

P「……」ズルズル

時子「貴方本当に大丈夫なの? こんな生活してたら身体壊すわよ」

P「……」ズルズル

時子「病院。行ってみた方がいいんじゃないの」

P「……」ズルズルズルズルズルズル

時子「……」



16: ◆RZFwc/0Dpg 2019/12/06(金) 23:50:00.69 ID:Lobcqndao

◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇


くるみ「はぅぅ……時子しゃん、何でくるみの胸に顔を埋めてるんでしゅかぁ?」

時子「くるみ、私は頭に栄養のいってないような女は嫌いよ」

くるみ「うぐっ、ご……ごめんなしゃいぃぃ」グスッグスッ

時子「胸が揺れるわ、五月蝿く泣くのを止めなさい」

くるみ「んぐっ……くるみ泣かないもんっ。だから意地悪しないでぇ」

時子「……ごめんなさい。これじゃあ八つ当たりね」

くるみ「ふぇっ? げ、元気出して下しゃい時子しゃぁん!」

時子「……ハァ」

心「なんだこの状況☆」



17: ◆RZFwc/0Dpg 2019/12/06(金) 23:50:36.85 ID:Lobcqndao

~二日目・夜(帰り道の車内)~


P「いやー無事クランクアップしたなぁ! 良い作品になったと思うぞ」

時子「貴方その仕事では普通に話すの、逆に気持ち悪いのだけれど……どこでスイッチ切り替わってるのよ」

P「今日は折角だし、何か美味しい物食べに行くかー。何か食べたい物あるか?」

時子「っ! ……そ、そうね。そこまで言うなら付き合ってあげるわ。ワインの揃っているフレンチにでも連れて行きなさい」

P「うーん。そしたら富士そばと富士そばと……あと富士そばとかもあるなぁ。時子さんはどれが良い?」

時子「………そしたら……富士そばが……いいわ」


18: ◆RZFwc/0Dpg 2019/12/06(金) 23:51:16.18 ID:Lobcqndao


時子「……」ズルズル

P「……」ズルズル

時子「いや、いい加減にしなさいよ!!!」

そば屋「あの、お客様お静かに……」

時子「すみません」

P「……」ズルズル


時子「貴方頭おかしいんじゃないのっ!?」

そば屋「あの、他のお客様もいらっしゃるので……」

時子「すみません」

P「……」ズルズル


時子「そのズルズルするのやめなさいよ!! ズルズルやめなさいっ!!!」

そば屋「お客様、本当にそろそろ……」

時子「うるっっさいわね! 会話のテンポが悪くなるのよ、口を挟まないで頂戴!!」

そば屋「えぇぇ……」


19: ◆RZFwc/0Dpg 2019/12/06(金) 23:51:58.21 ID:Lobcqndao

P「……」ズルズル

時子「私が悪いのかしら? 何か怒っているのなら話しなさい」

P「……」ズルズル

時子「そのズルズルするのやめなさい!!」

P「……」ズルズル

時子「ね? 病院行きましょう? きっと何かの病気よ」

P「……」ズルズル

時子「無理矢理でも連れていくわよ、ほらっ立ちなさい!」グイグイ

P「……」ズルズル

時子「なんっなのよ……何よこの力! びくともしないじゃない」グイグイ

P「……」ズルズル

時子「あ"ぁ"ぁ"ぁ"!!! 頭がおかしくなるわ!!」

P「……」ズルズル



20: ◆RZFwc/0Dpg 2019/12/06(金) 23:52:34.59 ID:Lobcqndao

◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇


小梅「ふふっ……サイコホラー、かな?」

涼「あー。見なかったことにしようぜ二人とも……時子さんの為にも」

奏「事実は映画よりも奇なり、って所かしら。うふふ」

──────────
──────
──


21: ◆RZFwc/0Dpg 2019/12/06(金) 23:53:07.06 ID:Lobcqndao

~七日目・朝(富士そば)~


P「……」ズルズル

時子「……」ズルズル



22: ◆RZFwc/0Dpg 2019/12/06(金) 23:53:39.71 ID:Lobcqndao

~十八日目・昼(富士そば)~


P「……」ズルズル

時子「……」ズルズル

P「……」ズルズル

時子「……コロッケそば。意外と悪くないわね」


23: ◆RZFwc/0Dpg 2019/12/06(金) 23:54:13.38 ID:Lobcqndao

~二十四日目・夜(富士そば)~


P「……」ズルズル

時子「……」ズルズル


24: ◆RZFwc/0Dpg 2019/12/06(金) 23:54:47.20 ID:Lobcqndao

~四十三日目・朝(富士そば)~


P「……」ズルズル

時子「……」ズルズ…

時子「はっ!」

時子「……ここ、ポイントカードとかないのかしら」ズルズル


25: ◆RZFwc/0Dpg 2019/12/06(金) 23:55:31.53 ID:Lobcqndao

──
──────
──────────
~七十二日目・昼(富士そば)~


P「……」ズルズル

時子「……」ズルズル

そば屋「……」

時子「うふっ……うふふふふ……」

そば屋「!?」

時子「あっはははははは!!!」

そば屋「お、お客様……?」


26: ◆RZFwc/0Dpg 2019/12/06(金) 23:56:03.82 ID:Lobcqndao

P「……」ズルズル

時子「ときこ! わたしときこ!!」

そば屋「……そうですか」

時子「ときこ! ときこポークソテーたべたい!」

そば屋「うちはその……そば屋なので」

時子「ときこおそばもすきだよ!!」

そば屋「あ……ありがとうございます」

P「……」ズルズル

時子「ときこです! よろしくおねがいします!!」

そば屋「こちらこそ……いつもご贔屓にして頂いて」

時子「でもときこ、ポークソテーもたべたいなあ!!!」

そば屋「あの本当……勘弁してもらえませんか」

P「……」ズルズル


27: ◆RZFwc/0Dpg 2019/12/06(金) 23:56:39.69 ID:Lobcqndao

◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇


乃々「ひ、ひぃぃぃぃっ!!!」

乃々「何か、見てはいけないものを見た気がするんですけど……!!」

乃々「あばばばば……時子さんのこんな姿見たと知られたら……」

乃々「もりくぼは……デスくぼにされてしまうぅぅ!!」ガクガク

乃々「うぅぅ、怖いぃ……。た、助けて美玲ちゃん……輝子ちゃん……」ガタガタ


28: ◆RZFwc/0Dpg 2019/12/06(金) 23:57:19.69 ID:Lobcqndao

~??日目・朝(時子宅)~


時子「蕎麦が来るぅぅっ!!!」ガバァッ

時子「……あら?」

時子「……」

時子「──ふ、ふふふ」

時子「そりゃあ、夢よね。×ヶ月も蕎麦しか食べない生活なんて……人間に出来るはずがないわ」

時子「……」

時子「蕎麦まみれにされる夢だなんて。私疲れてるのかしら」ハァ


ピピッ、ピピッ


時子「もうこんな時間。支度して事務所へ行かないと」


29: ◆RZFwc/0Dpg 2019/12/06(金) 23:57:52.68 ID:Lobcqndao

~事務所~


ガチャッ

時子「お早う」

ちひろ「おはようございまーす♪」カタカタ

P「おはよう、時子さん」カタカタ

時子「様を付けなさい。学ばない豚ね」

P「よし、恒例のやり取りもオッケー!」

時子「チッ……全く」

ちひろ「相変わらず仲が良いですねぇ」

時子「もし本気で言ってるのなら、眼科を紹介するわよ」

ちひろ「ふふふふふ♪」


30: ◆RZFwc/0Dpg 2019/12/06(金) 23:58:35.02 ID:Lobcqndao


P「……」カタカタカタ

時子「……」ペラッ…ペラッ

P「──時子さん」

時子「……」

P「……」

時子「何よ」

P「これからしばらくの間、飯行くときはそばだと思う」

時子「……あぁん?」

P「今そんな気がした」

時子「この愚図は、また訳の──はっ!」

P「……」ズルズル

時子「!!?」




【終わり】