1 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/08/25(日) 20:30:17 8nCH/76o
エルヴィン「あぁ…最近な…」

リヴァイ「んなのは憲兵団の奴らの仕事だろ…なんでまた…」

エルヴィン「…思い出さないか?」

エルヴィン「お前が調査兵団に入った時のことを…」

リヴァイ「…」

エルヴィン「あれから何年経ったか…」

リヴァイ「…」


3 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/08/25(日) 20:36:50 8nCH/76o
………

青年「…」
ドン!
ゴロツキA「おい!おめぇどこに目ぇつけてんだぁ!」

青年「…うるせぇ」

ゴロツキB「チビのくせに…なめてんのか!」バキッ

青年「っ……今…俺ことをチビと言ったか…?」
ギラッ


4 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/08/25(日) 20:46:49 8nCH/76o
ゴロツキC「こいつ…ナイフ持ってやがる!」

青年「…」ブシャッ!

ゴロツキB「うがぁぁ!」ドサッ

ゴロツキA「うぁぁ!!こいつ…イカレてやがる!」

ゴロツキC「頚動脈を容赦無く…」

ゴロツキA「に、逃げろぉ…」
リヴァイ「待てよ…」ブシャッ

ゴロツキA「うぁぁぁぁ…」ドサッ

ゴロツキC「助けてぇぇぇ!」


6 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/08/25(日) 21:19:42 8nCH/76o
青年「…チッ…」

憲兵A「貴様ぁ!!人殺しだぁぁ!捕まえろぉ!」

憲兵B「おらぁ!」

少年「…」ブシャッ

憲兵B「そ…んな…」バタッ

憲兵C「よくもぉ!!」

青年「…殺す」

憲兵D「おらぁぁ!」

青年(後ろ…)

憲兵D「死ねぇ!!」バキッ

青年「ぅ…」ドサッ


7 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/08/25(日) 21:45:44 8nCH/76o
憲兵C「よくも!化け物め!」バキッバキッ!

憲兵A「死ね!人殺し!」ゴスッ

青年「…」(くだらねぇ人生だった…)

青年(この世界は…腐ってる…)

??「待たんか」


8 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/08/25(日) 21:51:23 8nCH/76o
憲兵A「!…指令!」

??「貴様らの上官は…事件が起き次第犯人を殺すように指導しとるのか?」

憲兵C「いえ…そういうわけでは…」

憲兵D「こいつは…Bも殺しています!しかも、全員頚動脈を!殺意があります!」

??「どかんか」

青年(…誰だ…こいつは…)


9 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/08/25(日) 22:03:16 8nCH/76o
??「貴様には裁かれる義務があるんじゃ…」

??「こやつを牢に連れていくんじゃ」

憲兵A「……ハッ!」

憲兵C「…おら…立て」

………


憲兵A「おら、入れ」バサッ

青年「…」

青年(痛ぇな…肋骨にヒビか…なんで俺は生きてる…)


10 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/08/25(日) 22:05:37 8nCH/76o
??「……ということじゃ…こやつはエルヴィン…お前に任せよう…」

エルヴィン「ハッ」

憲兵A「指令!」

??「下がって良いぞ」

??「こやつは調査兵団に委任することになった…」

憲兵A「こいつを生かすんですか…?」


11 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/08/25(日) 22:30:50 8nCH/76o
??「どうかの…それはエルヴィン次第じゃな」

憲兵A「こいつは…仇なんですよ…?」

??「お前は…名を何という?」

憲兵A「…ナイル・ドークです」

??「ナイルよ…お前には奴の目に何が見えた…?」

ナイル「…狂気でしょうか…」

??「ふむ…わしにはな…この世界への絶望と、変革の意思を奴から感じたのだ」


12 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/08/25(日) 22:49:10 8nCH/76o
ナイル「変革の…意思…?」

??「ナイルよ…貴様はいづれ大物になる…わしは目をみればわかる…」

ナイル「…ありがとうございます」

??「わしの目はどんな占いよりも当たるのじゃ」二カッ

ナイル「…」

??「わしを信じれんか…?」

ナイル「いえ!」


14 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/08/25(日) 23:04:15 8nCH/76o
??「よい…下がってくれるか?」

ナイル「…わかりました…」チラッ
エルヴィン「…」
ナイル(調査兵団…ろくな成果もあげられない奴らが…)

ナイル「失礼します…」

??「エルヴィンよ、こやつは任せてよいな?」

エルヴィン「はい」



18 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/08/25(日) 23:09:32 8nCH/76o
??「では頼む…わしは少し野暮用があってな…」

エルヴィン「ハッ…お気をつけて…」

エルヴィン「…」

青年「…」

エルヴィン「君の名前を聞いていなかったな…」

青年「…」


19 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/08/25(日) 23:11:57 8nCH/76o
エルヴィン「話す気はないか…」

青年「…」

エルヴィン「私はエルヴィン」

エルヴィン「これでも調査兵団の団長を務めている」

青年「…」

エルヴィン「また明日来よう…」
タッタッ…
青年「…」

青年「…くだらねぇ」


20 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/08/25(日) 23:13:26 8nCH/76o
……
エルヴィン「やぁ…」

青年「…」

エルヴィン「名前を教えてくれないか?」

青年「…」

エルヴィン「…また来よう」

青年「…」

……

エルヴィン「やぁ」

青年「…」

エルヴィン「名前を…」
青年「お前…暇なのか…?」


21 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/08/25(日) 23:21:06 8nCH/76o
エルヴィン「…これでも団長なのだが…」

青年「そうじゃねぇ…毎日毎日、ここに来て、他にやることないのかって聞いてんだ…」

エルヴィン「…やることはないな…」

青年「お前らは…壁の外で巨人と戦ってるんだろ?…そんなんでいいのか?」

エルヴィン「…」

エルヴィン「君は…この世界をどう思う…?」

青年「…腐ってる…」

エルヴィン「…」


22 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/08/25(日) 23:23:24 8nCH/76o
青年「この世界は…この壁の中は醜くて、汚れていて…吐き気がする…」

エルヴィン「それは…なぜだい?」

青年「自分の利害でしか、人は動かねぇ…」

青年「あの時もそうだった…」

エルヴィン「君は、何かの為に命を賭すことが出来るのか?」

青年「…さぁな…」

エルヴィン「私は出来ない」

青年「…」

エルヴィン「私はそんなお人好しには出来ていない…」

エルヴィン「俺は生き延びる為に戦う…」



24 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/08/25(日) 23:34:47 8nCH/76o
 

青年「……聞いてねぇよ……」

エルヴィン「すまん…少し…熱くなってしまった…忘れてくれ」

エルヴィン「また来よう」

青年「…」

……

エルヴィン「やぁ」

青年「…」

エルヴィン「昨日の続き…だが…」

エルヴィン「君は巨人をどう思う?」

青年「…人類の敵と答えれば満足か?」


25 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/08/25(日) 23:37:39 8nCH/76o
エルヴィン「では、君は人と巨人…どちらが悪だと思…」
青年「人だ」

エルヴィン「…」

青年「人間はクズだ…」

エルヴィン「…君は何故人を忌み嫌うんだ?」

青年「お前には関係ねぇだろ」

エルヴィン「…確かにそうだか」

エルヴィン「君はこのままでいいのか?」

青年「…」

エルヴィン「その人間に一矢報わず、死んでも構わないのか?」

青年「…」

エルヴィン「君の過去になにがあった…」


26 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/08/25(日) 23:39:16 8nCH/76o
青年「…」

エルヴィン「…また来よう…」
タッタッ…

青年「…」

(…お前の所為で!!家族はめちゃくちゃだ!)

(貴方はどうして生まれて来たの…ねぇ!どうしてよ!!)

(お前さえ居なければ全て上手く行ってた筈なのに…!!)

(死ね!死ね死ね死ね死ね!あんたなんか私の子供じゃない!!)

青年「……チッ……」


27 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/08/25(日) 23:42:35 8nCH/76o
……
エルヴィン「やぁ…」

青年「…」

エルヴィン「…今日はダメだな…私は戻るよ…」
タッ
青年「……待て」

エルヴィン「…」

青年「俺は…人として扱われ無かった」

青年「俺は化け物と蔑まされ生きてきた…」

エルヴィン「…」

青年「俺はいつもゴミ扱いだ」


28 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/08/25(日) 23:59:21 8nCH/76o
青年「俺はゴミを見るたびあの日を思い出す…」

エルヴィン「あの日…というのは聞いてもいいのか?」

青年「家族に殺されかけた…」

エルヴィン「…」

青年「いきなりナイフで襲って来てな…」

青年「返り討ちにした…」

エルヴィン「…」

青年「俺は人が嫌いだ…敵でしかねぇ…」

エルヴィン「…そうか…」


29 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/08/26(月) 00:07:20 Et35CTnM
エルヴィン「君は…人の瞳に何を見る?」

青年「…狂気」

エルヴィン(狂気…か…)

青年「わりぃな…昔話に付き合わせて…」

エルヴィン「君は巨人を見たことがあるか?」

青年「…いや」

エルヴィン「あいつらの目には何が映っていると思う?」

青年「…人…餌…か?」


30 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/08/26(月) 00:19:31 Et35CTnM
エルヴィン「君の目で確かめるといい」
チャラチャラ…ガチャ!
青年「おい…俺は犯罪者じゃないのか?」

エルヴィン「君の処遇は私に一任されているんだ、心配しなくてもいい」

………

青年「…」

エルヴィン「…」

巨人「うがぁぁぁ!!」

青年「壁の向こうには…こんな奴らが…」

エルヴィン「…もう一度聞こうか…」

エルヴィン「君には何が映ってる?」


31 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/08/26(月) 00:43:19 Et35CTnM
青年「懐かしい…光景が映ってやがる…」

(あんたなんか…あんたなんか!!!)

(くたばれ!!クズ野郎!!)

青年「こんなやつをお前らは狩っているのか」

エルヴィン「あぁ」


32 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/08/26(月) 00:46:27 Et35CTnM
青年「…俺にも狩らせろ」

エルヴィン「…それは人の為になるということだぞ」

青年「矛盾って訳か」

青年「構わねぇ、ゴミは掃除する為にあるんだからな…」

エルヴィン「そうか…調査兵団へようこそ」

エルヴィン「…君の名前を教えてくれないか?」

青年「名前なんてねぇ、捨てたんだ…ゴミと一緒にな…」


33 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/08/26(月) 00:54:35 Et35CTnM
エルヴィン「リヴァイ…」

青年「あ?」

エルヴィン「古の文献に載っていた言葉で『矛盾』という意味だ」

青年「…」

リヴァイ「…おもしれぇ」

………

エルヴィン「懐かしいな…」

リヴァイ「昔話なら帰るぞ、用は無いんだろ?」


34 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/08/26(月) 00:56:23 Et35CTnM
エルヴィン「まぁ待て、リヴァイ」

リヴァイ「あ?」

エルヴィン「…いや、なんでもない」

ペトラ「失礼します!兵長!」

リヴァイ「なんだ…会議中だぞ…」

ペトラ「その…オルオが喧嘩を止めようとして…」

リヴァイ「喧嘩?」

ペトラ「その…流行りのゴロツキ同士の…」

リヴァイ「…チッ」


35 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/08/26(月) 00:57:28 Et35CTnM
ペトラ「…」

リヴァイ「ペトラ案内しろ…俺が黙らせる」

リヴァイ「エルヴィン…いいな?」

エルヴィン「あぁ…」

エルヴィン(お前の周りにあるのは本当にゴミなのか…?)
エルヴィン「フフッ…」

リヴァイ「…エルヴィン」

リヴァイ「今の俺の周りはどうやら片付いてるらしい…」

エルヴィン「長年の掃除の甲斐があったな…」

END