1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 14:13:51.10 ID:eVFwcH4H0
ケイネス「街中でキャスターを捉え追跡したまではいいのだが……」

ケイネス「まさかアインツベルンの森に入って行くとはな」

ケイネス「仕方がない。ランサー」

ディル「はっ」

ケイネス「キャスターを追跡し駆逐しろ。セイバーと鉢合わせることがあれば、共闘に持ち込むのだ」

ディル「御意」

ケイネス「よし。私は単身でアインツベルンの城に乗り込む」

ケイネス「ふふふ……キャスター討伐の報酬は私が独占してやる」


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3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 14:17:07.27 ID:eVFwcH4H0
 森

ケイネス「か弱い結界だ。アインツベルンの魔術とはこんなものか」

ケイネス「まあ、一応は警戒もしておこう。何せアインツベルンは御三家様の一角だからな」

駅員「ウッキー!!」

ケイネス「……ぬ? サルか?」

駅員「もうすぐ汽車が出発するっキャ!」

ケイネス「?」

4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 14:19:21.59 ID:eVFwcH4H0
ケイネス(な、なんだ? サルが人語を……?)

駅員「さあさあ、早く乗るっキャ!」

ケイネス「貴様……何を言っている」

駅員「私は駅員ですっキャ! ウッキー!」

ケイネス「答えろ。貴様は何者だ。魔物の類かサル」

駅員「ウッキー!」

ケイネス「……」イラッ

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 14:21:00.15 ID:eVFwcH4H0
車掌「出発しまーす」

駅員「ああッ。早く早くお客さん!」

ケイネス「うわッ、やめろ! 私は客人などでは……」

駅員「よいしょっ」

ケイネス「ぬわぁ!」

 ~♪(汽車のBGM)

駅員「良い旅を!」


7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 14:24:23.89 ID:eVFwcH4H0
ケイネス(何ということだ……これはきっと敵の罠だ。私としたことが、こんな単純な罠に……)

ケイネス(クソッ! こんな汽車、ヴォールメン・ハイドラグラムで木っ端微塵にしてくれる!)

みしらぬネコ「やあ」

ケイネス「!?」

みしらぬ「珍しい旅人さんだね」

9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 14:27:56.77 ID:eVFwcH4H0
ケイネス(今度はネコだと!? アインツベルンめ、いったい何の魔術を……!)

みしらぬネコ「どうしたの? 凄く怖い顔」

ケイネス「……」

ケイネス(サルもそうだったが、奴等は基本的に敵意も殺意も皆無らしい)

ケイネス(否、それが作戦か。油断させたところを……窮鼠ネコを噛むとはこのことだな)

ケイネス(まあ、作戦が露呈したからには貴様らに勝機はない。ロード・エルメロイの恐ろしさをとっくり教えてやる)


11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 14:32:14.22 ID:eVFwcH4H0
みしらぬネコ「面白い旅人さんだなぁ。名前は何ていうの?」

ケイネス「……」

みしらぬネコ「あーっ、無愛想すぎるよ。オレだって生きてんだからね、無視は傷つくよ」

ケイネス「……」

ケイネス「冥土の土産に教えてやる。私はアーチボルト家九代目当主……」

ケイネス「ケイネス・エルメロイだッ!!」

ケイネス「Fervor,mei sanguis!」

12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 14:35:44.13 ID:eVFwcH4H0
みしらぬネコ「うわー! 何それ凄い! 何の手品!?」

ケイネス「Scalp!」シュパパパ

みしらぬネコ「ぅおッ、あぶなっ」スッ

ケイネス「避けただと!?」

みしらぬネコ「危ないでしょ! 暴力よくない! くらえネコパンチ!」

ケイネス「ぐわァ!!」

ケイネス(ヴォールメン・ハイドラグラムが何の苦もなく突破されただと……!?)

15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 14:40:02.91 ID:eVFwcH4H0
ケイネス(こ、ここここいつは何者だッ! まさか、これひとつがサーヴァントなのか!?)

ケイネス(確かに、幾ら私でもサーヴァントへ直接攻撃することは不可能だ。サーヴァントにサーヴァントで対抗する他ない)

ケイネス(待て。そう考えると、今の私は相当の窮地に陥っていることに……!)

ケイネス「令呪を以て命ずる! ランサー、今すぐこのバケモノを始末しろ!」

ケイネス「……」

ケイネス「ランサァアァアアアア!!!」

16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 14:43:30.89 ID:eVFwcH4H0
ケイネス「ランサーどこだ! まだ近くにいるだろう!! こんの役立たずめが!!」

ケイネス「出て来い! 令呪だぞ令呪!! ソラウ!! そうだ!! ソラウ助けて!!!」

みしらぬネコ「あの……大丈夫?」

ケイネス「ウオオオオオオオオオオ来るな来るな! 私の聖杯戦争はこんなところでは終われん!!」

みしらぬネコ「せーはいせんそー? ってなに?」

ケイネス「ウオオオオオオオぉぉぉぉ……? な、んだと……?」

みしらぬネコ「せーはいせんそー……ふむふむ、イナリ家具の掘り出しモノの名前かな?」

1
19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 14:47:39.36 ID:eVFwcH4H0
車掌「次はカワ村ぁ、カワ村でございます、ウッキー!」

ケイネス「かわむら……?」

みしらぬネコ「おっ。もうカワ村まで来たのか」

ケイネス(……なんだ……? 今までのは私の一人相撲か?)

みしらぬネコ「キミはここで降りるの? それとも、もっと先まで行くのかな?」

ケイネス「ぬ? あ、ああ! 私はここで降りよう」

ケイネス(早くアインツベルンの森に戻らなければ……。敵陣とはいえあの森が愛しいぞ)

21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 14:49:31.22 ID:eVFwcH4H0
駅員「カワ村ぁ、カワ村へようこそ。ウッキー!」

ケイネス「ま、また貴様か!!」

駅員「? 誰ですキャ?」

ケイネス「ッ!? ……違うサルか……?」

駅員「よく分からないけど、歓迎いたしますキャ! カワ村は良いところですキャ!」

ケイネス「……」

22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 14:52:37.32 ID:eVFwcH4H0
車掌「出発いたします! ウッキー!」

ケイネス「……」

ケイネス「ふむ。また趣のある森へと来てしまった」

たぬきち「ちょっと、ちょっと! そこの人ーっ!!」

ケイネス「……今度は何だ?」

たぬきち「ふぅ! 間に合っただも!」

ケイネス(タヌキか)


27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 14:55:23.17 ID:eVFwcH4H0
ケイネス「何か用か?」

たぬきち「あなたはアレだなも! さっき連絡があったコトミネさんだなも!」

ケイネス「? いや、私はコトミネではない。ケイネス・エルメロイ・アーチボルトだ」

たぬきち「あれ? そうだっただも? すみません、人違いでした」

ケイネス「フン、気にするな。私は行くぞ」

たぬきち「コトミネさん遅いだも……」

ケイネス(コトミネ……)

ケイネス(ん? コトミネ……?)

35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 15:07:44.45 ID:eVFwcH4H0
ケイネス(確か監督役、そして聖杯戦争の初っ端、脱落した者の名もコトミネではなかったか?)

ケイネス(ますますわけが分からん。何故アインツベルンの森から出た汽車がコトミネに……)

ケイネス(あの汽車や不可思議な動物共も魔術的なモノ……奴等は繋がっていた、ということか?)

クワトロ「ぁあ、こんにちわぁ」

ケイネス「む」

クワトロ「はじめましてだねぇ」

ケイネス(今度はカエルか……)


38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 15:10:53.36 ID:eVFwcH4H0
ケイネス「丁度いい。貴様に聞きたいことがある」

クワトロ「んん? なにぃ? ところでキミ名前はぁ?」

ケイネス「私はケイネスだ。――コトミネという名を知っているか?」

クワトロ「ことみねぇ? う~ん、ちょっと分からないなぁ」

クワトロ「……あ、でもさっきたぬきちくんの店でそんな名前を聞いたような……」

ケイネス(たぬきち? たぬき、ち……さっきのタヌキの名か)

クワトロ「本人ならよく知ってると思うなぁ」

ケイネス「そうか。そのたぬきちとやらの店はどこだ?」

クワトロ「地図見せたげる~。ここだよぉ」

39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 15:13:51.29 ID:eVFwcH4H0
ケイネス「恩に着る」

クワトロ「うん~じゃあねぇ」

ケイネス(ここの連中は親切なようだ。ソラウとは大違いだな……)シュン

ケイネス(……そろそろたぬきちの店だ)

ケイネス(それにしても、タヌキが店を開いているなど妙な話だな)

ケイネス「お、ここか。……何て貧相な店構えだ」

42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 15:16:44.97 ID:eVFwcH4H0
ケイネス「邪魔するぞ」

綺礼「あっ」

ケイネス「あっ」

綺礼「……」

ケイネス「……」

たぬきち「おーっ! さっきのケイネスさんだも! いらっしゃいだも!」

ケイネス「あ、ああ」

ケイネス(何故、言峰綺礼が作業着を着てパイプイスに腰掛けているのだ……!?)


44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 15:19:01.84 ID:eVFwcH4H0
たぬきち「コトミネさん、ちょっと待っててだも! 準備があるだなも!」ササッ

綺礼「ハイ」

たぬきち「ケイネスさん。悪いけど買い物ならまた後でにしてだも!」

ケイネス「分かった」

綺礼「……」

ケイネス「……」

綺礼「何故、貴様がここにいる?」

ケイネス「私のセリフだ!」


47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 15:21:39.98 ID:eVFwcH4H0
ケイネス「まあこの際それはいい。私には聞きたいことが山ほどあるのだ」

綺礼「何だ」

ケイネス「この……カワ村だったか? カワ村の住民や汽車に乗っていた動物共は何なんだ!」

綺礼「彼らは、とても心優しい。人間とは大違いだ」

ケイネス「そういうことを聞いているのではないッ!」

綺礼「ここはどうぶつの森だ」

ケイネス「……」

ケイネス「どうぶつの森だと……!?」


51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 15:27:34.39 ID:eVFwcH4H0
ケイネス「ふざけているのか? そのままではないか!」

綺礼「ふざけてなどいない。ここはどうぶつの森という世界なのだ」

ケイネス「世界……だと? 冬木はどうした? ここは日本の冬木市であろう!」

綺礼「ある種の固有結界だ。この空間を作り出した術者がいる。聖杯戦争のマスターの中にな」

ケイネス「何……! まさか、貴様かッ?」

綺礼「私ではない」

ケイネス「フン。その固有結界にむざむざと入ってしまったというわけか、私達は」

綺礼「かのロード・エルメロイが、見習い修了程度の魔術しか心得ていない私と同程度か」

ケイネス「精々粋がっておけ。それと貴様、その服装だと引越し業者にしか見えんぞ」

52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 15:31:52.93 ID:eVFwcH4H0
綺礼「これは店長に着ろと言われたのだ。ここで働く身となっては是非もない」

ケイネス「……貴様、今何と言った?」

綺礼「私はここで働く身なのだ」

ケイネス「聖堂教会に勤める神父が、固有結界の中でオンボロ商店のアルバイトだと? 滑稽の極みだな」

綺礼「ここから出る方法が見つからぬ内は、とりあえず金を蓄えておく他ない」

ケイネス「戯言を。ここは固有結界だ。何をしようが、それは外の世界に影響しまい」

綺礼「何を考えている? ロード・エルメロイ」

ケイネス「決まっているだろう。片っ端から住民を襲い、ここから出る方法を模索するのだ」


56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 15:36:18.85 ID:eVFwcH4H0
綺礼「人情に欠けた輩だな。時計塔の講師というのは」

ケイネス「何とでも言うがいい。貴様、敵の固有結界に閉じ込められているという危機感を持て」

綺礼「幸いにもこの中に我らの敵と思わしき生物はいない。まるで日本の片田舎だ」

ケイネス「日本という国は醜い。私が綺麗になるまで掃除してやる」

綺礼「……」

ケイネス「戯れ合いはここまでだ。精々虚無の生活を楽しむがいい」

綺礼「……」

綺礼「ここに私の求める愉悦が在るのなら、喜んで閉じ込められよう……」


58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 15:39:23.07 ID:eVFwcH4H0
 外

ケイネス(固有結界……それはサーヴァントの持つ宝具による力だ)

ケイネス(だが奴は、聖杯戦争に参加しているマスターの術だと言った)

ケイネス(……ありえるものか? それとも私を欺いたのか?)

シドニー「あ、こんにちは」

ケイネス「ぬ」

シドニー「えへへ」

60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 15:42:17.44 ID:eVFwcH4H0
シドニー「初めまして。引っ越して来た方ですか? 私はシドニーです」

ケイネス「……ケイネス・エルメロイ・アーチボルトだ」

シドニー「かっこいいお名前ですね。これからよろしくお願いします」

ケイネス「あ、ああ……」

ケイネス(やけに可愛らしいコアラだな)

シドニー「あっ。ケイネスさん、よかったらこれどうぞ」

ケイネス「む、何だこれは」

62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 15:45:13.51 ID:eVFwcH4H0
シドニー「リンゴです♪ この村の特産品なんですよっ」

ケイネス「……どれどれ」ガブッ

ケイネス「!!」

ケイネス(何だ……こんなリンゴ……いや、こんな美味い食べ物、口にしたことがない……!!)

シドニー「どうですか?」ニコニコ

ケイネス「……ああ、とても美味い。ありがとう」

シドニー「よかったぁ」


64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 15:48:41.29 ID:eVFwcH4H0
ケイネス(ああ、どんなに良い腕前の料理人も、これに敵う味は作り出せぬであろう)

ケイネス(これは自然の味、そのものなのだ。人間の手が加えられたものではない)

ケイネス(……バカな。ここは固有結界だ。全て幻想、偽りなんだ……)

シドニー「ケイネスさんっ!」

ケイネス「ッん?」

シドニー「まだ引っ越して来たばかりですから、村のこと分からないでしょう?」ガシッ

ケイネス「ぬぉっ、ま、まてっ」

67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 15:51:28.09 ID:eVFwcH4H0
 たぬきち商店

たぬきち「――ふぅ。コトミネさんはよく働いてくれて助かるだも!」

綺礼(……ここも、外と同じか……)

たぬきち「最後の仕事だなも! 村の掲示板に、この店について宣伝してほしいだも!」

綺礼「分かりました」


69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 15:53:15.71 ID:eVFwcH4H0
 掲示板

綺礼「……」

綺礼「現実にも、虚無にも、私の求める愉悦はないのか……」カキカキ

『嗚呼、求めるモノは何処に――』

綺礼「よし。これでアルバイトは終わりだ」


71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 15:56:17.55 ID:eVFwcH4H0
シドニー「ここが郵便局です! たぬきちさんにローンを支払ったり、貯金したりもできます!」

ケイネス「ほうほう」

シドニー「すぐそこにあるのは、見ての通りゴミ捨て場です!」

ケイネス「ゴミ捨て場の周囲に大量の花が咲いているのだが……」

シドニー「あっ。あれはこの村のトキオミさんっていう方が植えたんですよ」

ケイネス「フム。トキオミか……トキオミ……? どこかで聞いた名だな」


74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 15:58:39.25 ID:eVFwcH4H0
シドニー「ささっ、次行きましょう! えへへ、ほら早く早くっ」

ケイネス「ハハハ、そんなに急ぐな。時間はたっぷりあるのだ……」

ケイネス「……、時間は……」

ケイネス(そうだ……こうしている間にも聖杯戦争は続いている)

ケイネス(ランサーは今もキャスターと戦い、もしかしたらセイバーとも死闘を繰り広げているかも知れない)

ケイネス(……)

77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 16:02:13.93 ID:eVFwcH4H0
シドニー「海ですよ」

ケイネス「海だな」

シドニー「スズキという魚がとてもよく釣れます。『またお前かーっ!』って叫んでる人も結構いますよ」

ケイネス「釣りか……。ソラウの●●画像スレに釣られた経験しかないな……」

シドニー「?」

ケイネス「何でもない。次の案内を頼む」

シドニー「はいっ!」


80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 16:05:50.91 ID:eVFwcH4H0
シドニー「博物館です。入ってみましょうか!」

ケイネス「おお。こんな立派な建物が……」

フータ「zzz」

ケイネス「館主らしきフクロウが寝ているぞ」

シドニー「夜行性の方なんです」

ケイネス(習性は反映されているのか)

シドニー「虫コーナー行ってみましょう」


83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 16:09:15.70 ID:eVFwcH4H0
ケイネス「おお、広――」

ケイネス「ぬわァッ!!? 何だこの黒いのは!!」

アナウンス『お客様にお願いいたします』

アナウンス『館内を這っているゴキブリは、トキオミ様から寄贈された大切なモノです』

アナウンス『踏みつけてしまわないよう注意してください』

ケイネス「これが例のゴキブリか! トキオミという奴はこんな不潔な生き物を……!」

シドニー「まぁまぁ。見た目は気持ち悪いですけど、カみたいに刺したりしませんよ」

ケイネス「そ、そうか。なら良い」

シドニー「ほら、クモですよ! これもトキオミさんの寄贈です!」

ケイネス「八本も足が……恐るべしトキオミ」

84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 16:12:31.73 ID:eVFwcH4H0
シドニー「ふぅー……楽しかったですね!」

ケイネス「ああ。化石コーナーにはひとつも展示されていなかったが」

シドニー「トキオミさんいわく『売りたくなってしまうんだッ!!』だそうです」

ケイネス「売るのか?」

シドニー「化石はたぬきちさんが高く買い取ってくれるんですよ」

ケイネス「あのタヌキはいったい何の商売をしているんだ」

85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 16:14:22.82 ID:eVFwcH4H0
 海

綺礼「ふぅ。一段落ついたな」

時臣「~♪」

綺礼「!?」

時臣「おっ、引いてる引いてる……!」

時臣「おりゃあああッ!」

時臣「……ッ、またお前かーっ!!」

時臣「くそッ、どうしてこうスズキばかり……」

綺礼「こんにちは」

時臣「ひゃあああッ!!?」

88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 16:17:57.74 ID:eVFwcH4H0
時臣「きっききききっきれいれいれい!!? どどどどどうしたこんなところで!! ハッハッハ!!!」

綺礼「少年のような顔でした。我が師の意外な一面を見ることになるとは」

時臣「……何故キミがここにいるのだ」////

綺礼「知らぬ間に入り込んでしまいまして……。師はどうしたのです? やはり迷い込まれましたか?」

時臣「いや、私は……フフ、そろそろ潮時か」

綺礼「?」


92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 16:23:24.41 ID:eVFwcH4H0
綺礼「まさか、ここはあなたの固有結界なのですか?」

時臣「さすがだよ綺礼。サーヴァントにしか成しえない固有結界を、私の発動したものと見抜くとは」

綺礼「いったいどうやって……」

時臣「恥ずかしながら、ギルガメッシュを呼び出す際に少々術を失敗してね、部屋の片隅にこれが残されていた」

綺礼「……? これは、鈍器ですか?」

時臣「鈍器ではない。決して鈍器ではない。俗に言うゲーム機という奴だ」

綺礼「ゲーム機? この鈍器が?」

時臣「鈍器ではない」

96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 16:27:52.14 ID:eVFwcH4H0
時臣「どうやら未来の玩具を招き寄せてしまったらしいんだ」

綺礼「……ニンテンドーゲームキューブ」

時臣「そう。そして、中にはどうぶつの森と書かれたディスクという円盤」

時臣「そこのパワーボタンと呼ばれる白いスイッチを押し、固有結界が発動する」

綺礼「そんなことが……」

時臣「まさかとは思ったが、事実だ」

時臣「おそらく二次元の世界に自身を具現化させようとした魔術師がこれを作ったのだろう」

綺礼「……」


98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 16:33:27.95 ID:eVFwcH4H0
時臣「そろそろ、終わりにしよう。聖杯戦争という現実に目を向けなければ」

綺礼(……村に荒らされた形跡はない。ロード・エルメロイ……)

綺礼「少し時間を頂けますか」

時臣「ん?」

綺礼「気になることが」

時臣「分かった。では、今夜零時にこの結界を取り去る」

綺礼「感謝します」

99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 16:36:26.74 ID:eVFwcH4H0
綺礼「……」

綺礼「ん? ……オノが落ちている」

綺礼「ふむ、それにしてもこの村は邪魔な木が多い」

綺礼「……」

 カンッ カンッ ズドドド……

綺礼「オォウ、三発で倒れてしまうとは」

100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 16:37:19.15 ID:eVFwcH4H0
 カンッ カンッ ズドドド……


 カンッ カンッ ズドドド……


 カンッ カンッ ズドドド……


 カンッ カンッ ズドドド……


103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 16:39:43.72 ID:eVFwcH4H0
 カンッ

綺礼「む。ミノムシか?」

綺礼「……」

 カンッ ズドドド……

綺礼「フフフ」

クワトロ「ウワァー!! 木が!! 木がない!!!」

綺礼「!」

綺礼「しまった、切り過ぎた」


106 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 16:42:54.51 ID:eVFwcH4H0
 交番

ケイネス「いやぁ、良かった良かった。まさか水銀を落とすとは」

シドニー「うっかりさんですね」アハハ

おまわりさん「良かったでありますね!」

ケイネス「うむ。苦労かけたな」

シドニー「」

ケイネス「ん? どうしたシドニーよ」

シドニー「」

ケイネス「? ……え」

シドニー「」

ケイネス「木……が……ない……」

110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 16:49:25.78 ID:eVFwcH4H0
シドニー「え、え、え……」

クワトロ「やめてぇえええっっ!!」

シドニー・ケイネス「!?」

綺礼「ハッハッハ! 虫網で、住民を、叩く。ハッハッハ!」

ケイネス「!! おい神父! 何をやっている!」

綺礼「ん? ああ、ロード・エルメロイか。久しいな」

ケイネス「さっき会ったばかりであろうが!」

綺礼「そうだったかな? いやはや、何もかも懐かしく感じる」



112 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 16:55:14.54 ID:eVFwcH4H0
ケイネス「許さぬぞッ……!!」

綺礼「ほう、やる気か? 今ならばロード・エルメロイも片手で葬ることができそうだ」

ケイネス「調子に乗るな外道が! Fervor,mei sanguis!」

綺礼(と、言っても私はこいつには勝てない。だが私には秘策がある)

綺礼(時臣師の元へ戻らねば……)ダダッ

ケイネス「ire:sanctio!」


116 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 17:00:24.71 ID:eVFwcH4H0
綺礼(木を全て切ったのが手痛いミスか。まあ、海はそう遠くもない)

ケイネス「待て! ネズミめが!」

綺礼「生憎だが、私はこの村の汚い連中と違ってヒトなのでね」

ケイネス「きっさっまぁああああああ!!! ッぅお!?」ズボッ

ケイネス「ぐわァア!!? な、何だッ!!」

綺礼「フフフ……落とし穴の種だ! フハハハ!!」

綺礼「果たして幾つ仕掛けたかな?」


120 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 17:06:18.45 ID:eVFwcH4H0
ケイネス「くッ……小細工を……!」

綺礼(時臣師は……あそこか)

綺礼「我が師よ! 助太刀をお願いします!」

時臣「ん、どうした綺礼!? って何だこの無残な村の姿は!?」

綺礼「奴です! あのロード・エルメロイの仕業です!」

時臣「何ッ……おのれぇぇえええ!!」

ケイネス「貴様はアーチャーのマスターか! フン、友好関係を築いていたわけだな!」

時臣「来い、ロード・エルメロイ!」


124 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 17:10:16.54 ID:eVFwcH4H0
綺礼「というわけで、先にタイを釣った方が勝ちです」

時臣「行くぞ!」シュッ

ケイネス「行けぇ!」シュッ

綺礼「いかにスズキが多いとはいえ、タイもなかなか釣りやすい魚です」

ケイネス「……」

時臣「……」

綺礼「先に釣るのはどちらなのでしょうか」



126 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 17:14:03.53 ID:eVFwcH4H0
ケイネス「!」キュピーン

時臣「ッ?」

ケイネス「……」スッ

時臣「何だそれは?」

ケイネス「携帯電話だ。ソラウに持たされた」

時臣「……?」

綺礼(何をする気だ……?)

ケイネス「2ちゃんねるにスレ立て……『名前をタイにして書き込んだらソラウの●●画像zipやるよ』と」

時臣・綺礼「!?」

130 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 17:16:41.38 ID:eVFwcH4H0
ケイネス「見ろ、もう三人もタイという奴からの書き込みが来た! タイ釣れたぞ!」

綺礼(何言ってんだこいつ)

時臣「……どういうことだ?」


時臣「おっ、引いてる。それっ! やった! タイだ!」

綺礼「時臣師の勝ち」

ケイネス「はぁ!!?」


132 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 17:20:48.05 ID:eVFwcH4H0
ケイネス「何を言っている! ふざけるな!!」

綺礼「ふざけているのはお前だ。まさかロード・エルメロイがくだらんダジャレ好きの親父だったとはな」

ケイネス「理屈は通っているであろう!」

綺礼「屁理屈だ」

綺礼「とにもかくにも、この勝負は時臣師の勝ちだぞ」

ケイネス「そ、そんなッ……私はッ……」

綺礼「残念だったな」

134 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 17:23:34.81 ID:eVFwcH4H0
シドニー「ケイネスさん……」オロオロ

ケイネス「シドニー!」

シドニー「うぅ、カワ村が……カワ村がぁ……」

ケイネス「よしよし、元気を出せ。木は何度でも蘇るさ」

時臣(この男、本当に木を切った張本人なのか?)

綺礼「……」

時臣(まさか、とは思うが……言峰綺礼……)

クワトロ「いたいよぉぉ」

時臣「ん、キミは……」

135 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 17:26:23.32 ID:eVFwcH4H0
時臣「どうかしたのかい?」

クワトロ「ぅぅう、そこの作業着のおじさんに頭を叩かれたんだよぉぉ」

時臣「! 綺礼っ」

綺礼「……はい」

時臣「本当なのか?」

綺礼「……」

時臣「……そうか。残念だよ綺礼」

綺礼(戯れが過ぎたか……確かにこの村、台風一過のような惨状に……)

136 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 17:30:29.90 ID:eVFwcH4H0
綺礼「師よ、そのゲームキューブにはリセットボタンなるものもついていますよね?」

時臣「ん? ……ああ、確かにあるな」

綺礼「それを押せば、また村は初期の状態に戻るはずです」

時臣「そうなのか?」

綺礼「はい」

綺礼(データをセーブしていなければの話だが)

時臣「……だが、それでは私が博物館に寄贈したゴキブリやクモは……」

綺礼「消えますね」


139 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 17:34:02.91 ID:eVFwcH4H0
時臣「……」

綺礼(この遠坂時臣という男、私とは違って娯楽の楽しみ方を心得ている)

綺礼(どうぶつの森という固有結界は未来のゲームそのもの。だが私は破壊と暴力からしか愉悦を得られなかった)

綺礼(それに比べて遠坂時臣は、虫取りや釣りに悦を得ているのだ)

時臣「……この村が元に戻るのであれば、それが最善だな」

時臣「キミの傷も元に戻るよクワトロ」

クワトロ「ほんとぉ!?」


141 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 17:37:19.12 ID:eVFwcH4H0
ケイネス「ちょっと待ってくれ」

時臣「何だ?」

ケイネス「そのリセットボタンとやらは、シドニーと私の出会いも消してしまうのか?」

綺礼「そうだな」

ケイネス「……私はシドニーが好きだ」

シドニー「えっ!?」////

綺礼(お前には妻がいるだろうに)

時臣「ひゅーひゅー」

綺礼「口笛が吹けないのなら無理に吹かなくても」

時臣「すまん」


144 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 17:41:18.69 ID:eVFwcH4H0
ケイネス「シドニー……リンゴ、ありがとう」

シドニー「ぇ、ぁ、ぁぅぅ」/////

ケイネス「さらばだ。リセットだけでなく、私は元の世界に戻らねばならない」

シドニー「……」

時臣「再びここに戻ることが出来るのは、聖杯戦争に生き残った者だけだ」

綺礼(私は暇なときに何度でもリセットして木を切りに来るつもりだが)

時臣「僅かな別れか、永遠の別れか、それはロード・エルメロイ次第だ」

ケイネス「言うではないか。私のランサーをあまり舐めないで頂きたい」

時臣「キミこそ、私の黄金のサーヴァントを見て戦意喪失しただろう?」

145 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 17:44:26.00 ID:eVFwcH4H0
綺礼(それにしても、私が悪いという流れが去っている。この馴れ合った空気は性に合わんな)

綺礼「そろそろ、リセットボタンを押してもよろしいでしょうか」

時臣「私は構わない」

ケイネス「……私もだ」

シドニー「ケイネスさんっ」

ケイネス「大丈夫だ。必ず会いに来る。たとえキミが記憶を喪っていてもな」

シドニー「うぅっ……」ブワッ

綺礼(とんだ茶番だ)


147 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 17:46:45.85 ID:eVFwcH4H0
綺礼「それでは……」

クワトロ「ばいばいっ」

シドニー「ケイネスさんっ、絶対会いに来てくださいねっ!! 私も大好きですッ!!」

ケイネス「(´;ω;`)」

時臣「またゴミ捨て場に花を植える作業だな……」

綺礼「……」カチッ

 プツン……



150 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 17:51:08.69 ID:eVFwcH4H0
ケイネス「……ハッ」

ディル「ご無事ですか、ケイネス殿!」

ケイネス「ランサー……」

ディル「ご報告があります。キャスター、セイバー、ライダー、バーサーカーは脱落しました」

ケイネス「……な、に?」

ディル「ケイネス殿の消息が絶ってから三日……聖杯戦争は大きく動きました。残す敵はアーチャーだけです」

ケイネス「おお……おおっ!」


154 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 17:54:31.37 ID:eVFwcH4H0
綺礼(よく考えたら、リセットではなくパワーボタンでも良かったんだな。二度手間だった)

時臣「まさか、ロード・エルメロイと私以外は脱落していたとは……」

綺礼「アサシンの件は未だに露呈せず、ですね」

時臣「ああ。早急に決着をつけ、聖杯を手にした後、どうぶつの森をやろう」

綺礼(どっぷりハマっているな。魔術師に向いていないんじゃあるまいか)

時臣「さぁ綺礼。支度だ。アサシンを全員連れて行く。――英雄王、いらっしゃいますか!」

綺礼「……」

時臣「……」

時臣「……あれ?」


156 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 17:57:55.54 ID:eVFwcH4H0
時臣「英雄王! アーチャー! ギルガメッシュ!」

綺礼(何も言わず三日も留守してたらそりゃ愛想つかされる。よりによって聖杯戦争の最中に)

時臣「くゥ! このままではアサシンだけでランサーを仕留めなければいけない……!」

綺礼「総動員で奇襲をかければあるいは……」

時臣「そうだな。それが一番良い。だが……だが……! 英雄王なら確実なのだ……!」

綺礼(本当に肝心なときに足下を見ない人だ)


160 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 18:04:04.92 ID:eVFwcH4H0
ケイネス(まさか三日も経っていたとは……あの固有結界は現実よりも時の刻みが遅かったのか?)

ケイネス(しかし、ディルムッド・オディナ……私が三日間、何をしていたのか問いもせず……)

ランサー「……」

ケイネス「ランサー」

ランサー「はい」

ケイネス「何も聞かぬのか」

ランサー「主は訳あって席を外していたまでのこと。それが敵の撃破に関係ある事柄なら、それは問うまでもありません」

ケイネス(ごめん……許婚いるのにコアラの女の子と遊んでた……)



163 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 18:06:47.21 ID:eVFwcH4H0
ディルがランサーになってた


ケイネス「……とにかく、アーチャーとの決戦だ。準備は万端だろうな」

ディル「はっ。いつでも行けます」

ケイネス「よし! 気合を入れて行け! 正念場だぞ!」

ディル「はいっ!」

ケイネス「やるぞ!!」

ディル「オォッ!!」


165 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 18:08:51.61 ID:eVFwcH4H0
綺礼「……師よ、本当に良いのですか? もし失敗したら……」

時臣「そのときは……そのときだ」

綺礼「はい……」

綺礼「やれ、アサシン」

女アサシン「はい」







女アサシン「はぁッ!」シュッ

ディル「甘いぞ!」カキーン


167 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 18:12:42.80 ID:eVFwcH4H0
女アサシン「くッ……」

ディル「アサシンか。何か裏があるとは思っていたが、まさか二人目が現れるとはな」

アサシン2「甘いのは貴様だ」スッ

ディル「ハァッ!」カキーン

アサシン3「残念だったな」

アサシン4「我らは群のサーヴァント」

アサシン5「たった四、五人ではないのだ」

アサシン6「その首、貰った!」

ディル「ぐあぁあッ……!!」

168 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 18:15:00.13 ID:eVFwcH4H0
ケイネス「ランサー!!」

ディル「け、いね、す、どの……」

ケイネス「しっかりしろ!」

ディル「申し訳……ありま、せぬ……必ずや……せ、いは、い……を……」

ケイネス「もう良い。お前はよくやった! ディルムッド・オディナ、お前は騎士として立派であったぞ!!」

ディル「……ッ……ありがたき……しあわ、せ……」シュゥゥゥ

ケイネス「ディルムッドオオオオオオオ!!!」



171 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 18:16:59.78 ID:eVFwcH4H0
時臣「……」

綺礼「……」

時臣「……」

綺礼「これで、ロード・エルメロイを殺す意味はなくなりましたね」

時臣「……」

綺礼「よくやったアサシン。作戦通りだ」

時臣「……」

綺礼「魔術師も、敵の魔術師に情けをかけるものなのですね」

時臣「ふふふ……」


177 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 18:23:46.14 ID:eVFwcH4H0
綺礼「令呪を三画、『ランサーを確実に排除せよ』という命令に使用しただけでも、あの力ですか」

時臣「少なからず効力はあるからな。……英雄王ならば、ロード・エルメロイ諸共消し去っていただろう」

綺礼「逆に助かりましたね」

時臣「……さて」

綺礼「聖杯の儀式ですか?」

時臣「いや、どうぶつの森」

綺礼「……」



184 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 18:30:02.72 ID:eVFwcH4H0
ケイネス「……」

ケイネス「私はディルムッドの忠誠心を舐めていた……」

ケイネス「ディルムッド伝説の先入観で、奴には忠誠心がないものと決め付けていた……」

ケイネス「……」

ケイネス「アサシンは、言峰綺礼の差し金……なのに私を殺さないとなると……」

ケイネス「遠坂邸、か」


187 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 18:35:08.81 ID:eVFwcH4H0
時臣「来たか」

綺礼「来ましたね」

ケイネス「……サーヴァントを殺されたんだ。貴様らと馴れ合うつもりはないが……」

ケイネス「シドニーには、挨拶を交わしておきたい」

時臣「ああ」

綺礼「……」カチッ




189 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 18:40:03.32 ID:eVFwcH4H0
ケイネス「……ぅ」

ギル「ははははははは!! 愉快だ愉快! もっと飲め!」

たぬきち「だもだもだもwwwww今日は朝まで付き合うだもwwwww」

ケイネス「あ、アーチャー!?」

時臣「英雄王!? な、何を!?」

ギル「ん? ああ時臣か! いやいや何とも風情のある村ではないか!!」

時臣「今まで何を……?」

ギル「お前が姿を見せなくなったから、しばし冬木から身を退いていたのだ! この世は醜くも美しい!」

190 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 18:43:13.36 ID:eVFwcH4H0
時臣「……お、お気に召したようで何よりです」

綺礼「師よ、既に聖杯戦争は終わっています。もうギルガメッシュに用はないのでは」コソコソ

時臣「いや、まあ、そうだが……こんな楽しそうにしている人を自害させるのは気が引ける」

ケイネス「シドニーはどこだ……?」バッ

ギル「ほら時臣! 綺礼! 飲め! この褌タヌキはなかなか飲みっぷりが良いぞ!」

綺礼・時臣「はぁ……」



192 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 18:45:54.06 ID:eVFwcH4H0
ケイネス「シドニー! シドニー!」

村長「何を探している?」

ケイネス「誰だッ?」

村長「僕はカワ村の村長だ。衛宮切嗣という名前だが」

ケイネス「エミヤ……? ともかくシドニーを知っているか?」

村長「ああ。そこにリンゴの木がたくさんあるだろう。その先だ」

ケイネス「すまない。恩に着る!」

村長「走るな、危ないぞ」



194 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 18:49:27.30 ID:eVFwcH4H0
ケイネス「はぁ……はぁ……」

シドニー「?」

ケイネス「……ふぅ。こんばんは」

シドニー「こんばんは」

ケイネス「(´;ω;`)」

シドニー「!?」

シドニー「ど、どうしたんですかっ……?」アセアセ

ケイネス「シドニーィイイイ」ダキッ

シドニー「ひぁっ。……あなた、あたたかいですね」

ケイネス「私は、ケイネス。ケイネス・エルメロイ・アーチボルト」

シドニー「かっこいいお名前ですね! 私はシドニーです」

ケイネス「よろしくな、シドニー……」



198 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 18:53:17.08 ID:eVFwcH4H0
綺礼「……」

ギル「ははははははは!!」

時臣「うぇひひひひひひ」

たぬきち「だもだもだもだもwwwwww」

綺礼「……」

綺礼「衛宮切嗣……お前はどこにいる」

ギル「お? 何か言ったか綺礼?」

綺礼「いや、何でもない。私も飲もう」

ギル「今日はノリが良いな。さあ、来い。クワトロとかいうカエルが素となった酒だ! 美味であるぞ!」

綺礼「その酒は遠慮したい」

199 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/05(月) 18:56:17.15 ID:eVFwcH4H0
 海

綺礼「……」

村長「……」

綺礼「! お前は」

村長「! 言峰……綺礼」

綺礼「……」

村長「……」

綺礼「いや、やめておこう。私は、お前を殺す意味を見失った」

村長「それは、聖杯戦争が終わったからか?」

綺礼「違う。ともかく、いいのだ」

綺礼「私は木を切っていれば……それだけで満足だ」

村長「……何だそれは」

 完