美也「準備するのは、将棋とトランプだけですよ～。お二人とも、将棋のルールは覚えてますか？」

エレナ「ミヤに教えてもらったから、大丈夫だヨ！」

エミリー「私も、お花見の席で教えていただいて……少し不安ですけど、指せると思います」

美也「それは良かったです～。基本的なルールは、将棋と同じですが、指す前にトランプを引くんですよ～」

エレナ「全部使うノ？」

美也「いえ、使うのは1から9までです～。エミリーちゃん、他のカードは抜いてくれますか？」

エミリー「はい……お道化者も抜くのですか？」

美也「そうですね～、今回はジョーカーも抜いておきましょ～」

美也「もうなんとなくわかると思いますが、指す前にカードを引いて、その筋にしか駒を動かせない、というルールですぞ～」

エレナ「筋っテ？」

美也「縦のラインを筋と言いまして、先手から見て右から1筋、2筋……と数えるんですよ～」

エレナ「なるほど！つまり、縛りプレイだネ」

美也「ただし、王手をかけられた場合は、トランプを引かずに対応できますよ～」

エミリー「なんだか、難しそうですね」

美也「そんなことありませんよ～一度やってみましょ～」

※セルフ安価です。指そうとするレスで、0以外の一番右の数字をトランプで引いた数字にします。
※トランプは美也が観戦しながら時々シャッフルしています。
※局面図はこちらを使わせていただきます。http://sfenreader.appspot.com/ja/create_board.html
※数日に渡ってゆっくりゆっくりやります。

美也「それでは、振り駒です」

ｼｬｶｼｬｶ……ｶﾗﾝｶﾗﾝ

美也「エミリーちゃんの先手ですな～」

エレナ「オッケー！」

エミリー「わかりました」

美也「それでは、よろしくお願いします～」

エミリー「よろしくお願いいたします」

エレナ「ヨロシク！」

エミリー「それでは、西洋かるたを……」

エミリー「8ってことは……えっと、ここ、ですか」

美也「おおっと～、選択肢がひとつですな～」

エミリー「しかも、あまり良くない手ですよね？」

美也「普通の将棋ならそうですな～。でも、トランプ将棋なら、わかりませんよ～」

エミリー「そうなんですか？　まずはこう、ですね」

▲8六歩

エレナ「フフッ、次はワタシの番だネ」

美也「は～い」

エレナ「トランプを引いテ……」

エレナ「ワタシも8、ということは、こうダ！」

△8四歩




エミリー「これは大変ですね」

美也「どうでしょ～か？」

エミリー「次は……」

エミリー「7、なので……いろいろありますよね？」

美也「はい～。歩以外にも、金や銀、飛車も動かせますね～」

エミリー「……でも、ここはやっぱりこうでしょうか」

▲7六歩




エレナ「やっぱりネ。それじゃ、ワタシは……」

エレナ「4……って、ココ？」

美也「またまた、いろいろ行けますな～」

エレナ「歩だと取られちゃ……あ、トランプだったネ」

美也「そうですよ～。エミリーちゃんが4を出さないと取れませんね～」

エレナ「でも……こう、かナ？」

△4二金

エミリー「ここで……えっ、8ですか」

美也「よく出ますな～」

エミリー「この一手ですけど……」

▲8五歩




美也「ふふふ。普通なら、後手から突くところですな～」

エレナ「エミリー、チャレンジャーだネ！」

エミリー「仕方なかったんです……」

エレナ「よーし、8引くヨー！」

エレナ「残念、1だったヨー」

△1四歩




エミリー「私も8狙いですね」

エミリー「1です」

▲1六歩




美也「お見合いですな～」

エレナ「次こそ、えいッ」

エレナ「2！ってことは……ココ？」

△2四歩




美也「ふふっ。お互い、弱いところから攻めてますな～」

エミリー「不思議な感じですね」

エミリー「出ましたね、8です」

エレナ「アチャー」

▲8四歩




美也「次に成れたら、大逆襲ですぞ～」

エレナ「ムムムー」

エレナ「7、ということは、こうかナ？」

△7二銀




エミリー「私、歩しか動かしてませんね」

エレナ「ホントだネー」

エミリー「8ということは」

▲8三歩成




美也「おお、角頭からの大逆襲ですな～」

エレナ「大ピンチ！　ワタシも8出さなきゃ！」

エレナ「2」

美也「ふふふ」

エレナ「スッ、ピシッ」

△2五歩




エミリー「ふふっ、かっこいい手付きですね」

エレナ「これで流れがこないかナー」

エミリー「9ですか……うーん、これは難しいですね」

美也「たしかに、いろいろありますな～」

エミリー「……せっかくなので、普通の将棋ではやらない手で行ってみます」

▲9二と




エレナ「ワオ、エミリー、大胆だネ」

エミリー「えへへ」

エレナ「7だっタ」

△7四歩




美也「ふふっ、これは、先に8を引いた方が優勢になりそうですな～」

エミリー「はいっ」

エミリー「私も7ですね……なるほど、このままだと角を取られるとすぐに取り返せないんですね」

エレナ「8引きたいナ」

エミリー「……ちょっと緩和します」

▲7七角




美也「安全策ですね」

エレナ「それなら、桂馬取っちゃうヨー！」

エレナ「やった！8！」

△8九飛成




エミリー「一転、不利になってしまいました」

美也「まだまだこれからですよ～」

エミリー「9なので、香車をいただきます」

▲9一と




エレナ「ガンガン攻めちゃうヨー！」

エレナ「3……ウーン……」

美也「ここも手が広いですな～」

エレナ「……閃いタ！　エミリー、勝負だヨ！」

△3六桂




エミリー「なんと」

美也「おお～、おもしろい」

エレナ「エミリーの3が早いか、ワタシの2が早いか、だヨ！」

エミリー「えっと……3です」

エレナ「ハウワッ」

▲3六同歩




エミリー「少し申し訳ない気もします」

美也「エレナさん、ドンマイですぞ～」

エレナ「そうだヨネ、次は、4！……4？」

美也「3択ですよ～」

エレナ「……これデ」

△4四歩

エミリー「私は9なので……王手します」

▲9五角




エレナ「ワワッ！これはピンチだヨー」

美也「トランプは引かなくて大丈夫ですよ～王手ですから、好きに防いでください～」

エレナ「あ、そっか、そうだったネ。じゃあ……」

△7三桂

エミリー「8ですか……えっと、こうでしょうか」

▲8四桂




美也「普通の将棋なら筋が悪そうですけど、トランプ将棋だと有効な気がしますな～」

エレナ「ワタシは5！　初めて出タ？」

美也「そうですね～。6もまだですね～」

エレナ「ラッシュもあるかもネ」

△5四歩

エミリー「次は3でした……跳ねてみますね」

▲3七桂




エレナ「そこはワタシがあけさせたトコ」

美也「お手伝いになっちゃいましたな～」

エレナ「次は9だから……エイッ！」

△9四歩




エレナ「またスピード勝負だヨ！」

エミリー「逃げられますように……」

エミリー「2、ですか。それなら、桂馬を……いえ、こちらですね」

▲2三香




エレナ「目がチカチカしてきタ」

美也「トランプ将棋の醍醐味です」

エレナ「ここで5……スッピシッ」

△5五歩




エレナ「関係ない手ほど、かっこヨク」

エミリー「ふふふ」

エミリー「1です。では、私も」ｽｯﾋﾟｼｯ

▲1五歩




エレナ「カッコイイ！」

美也「きれいな手付きですよ～」

エミリー「ありがとうございます♪」

エレナ「また5だから、トツゲキ！」

△5六歩




エミリー「これは結構厳しいですよね」

美也「成られたら大変ですね～」

エミリー「2、あっ、2です！」

▲2二香成




美也「ついに大駒が駒台に乗りましたね～」

エレナ「ピンチだヨー」

エレナ「5か9きテ！……1だっタ……」

△1五歩




美也「流れが来るまで辛抱ですよ～」

エミリー「あ、6ですね」

エレナ「初めて出たネッ」

エミリー「……こうでしょうか」

▲6八角




エレナ「アチャー、逃げられちゃったヨー」

エレナ「2だから、取るネ」

△2二銀




エレナ「持ち直したヨー」

美也「そうですよ～、まだまだこれからです」

エミリー「8ですね。……こんな感じでしょうか」

▲8一と




エレナ「ジワジワ～」

美也「マムシ攻めと言いますね～」

エレナ「9！なら、こうカナ？」

△9九龍




エレナ「戦闘力が上がってるヨ！」

美也「53万ですか～？」

エミリー「ふふふっ」

エミリー「あ、待望の7を引きました！」

▲7二桂成




エレナ「大ピンチ！」

美也「これは困りましたね～」

エミリー「また9……ハイ！」

△9五歩




エレナ「ワタシの5はどこで眠ってるのカナ？」

美也「たしかに、と金が出来たらおもしろそうですな～」

エミリー「8です……と、を引くよりも、速度重視で行きます」

▲8六角




エレナ「すっごく攻められてるヨー！」

エレナ「ふぅぅ……スッッピシッッ」

△1六歩




美也「一番大きなモーションでしたな～」

エレナ「ホントはもっとカッコイイ手でやりたいナ」

エミリー「ふふふっ」

エミリー「5です」

エレナ「ああ、次だったのか、惜しイ！」

美也「ふふふ」

エミリー「……歩を取る手もありそうですけど、積極的に行きます！」

▲5三銀

エレナ「これは、次4を引かれたら負けチャウ？」

美也「そうですね～。でも、3から7を出せば一旦は防げますよ～」

エレナ「さっきから1と9ばっかりだから、そろそろ引くよネ……ヨイショー！」

エレナ「……フラグ回収したヨー」

美也「あらら」

△9六歩




エレナ「さぁ、出せるなら出すがヨイ！」　

エミリー「ふふっ……参ります！」

エミリー「8でした」

エレナ「セーフッ」

エミリー「今度こそ、こうですね」

▲8二と




エレナ「悪化してル！」

美也「厳しいですな～」

エレナ「今度こそ！……あ」

美也「おやおや～3連続9ですね～」

エレナ「これじゃあ銀河鉄道だヨ」

エミリー「ふふふ」

△9七歩成

エミリー「私は6ですので……」

▲6一成桂




エレナ「王手だし取るヨー」

△6一同玉




エミリー「6を引いたら勝ちですね」

エレナ「そうだネ」

エミリー「あ、6です」

エレナ「ア」

エミリー「……」ｽｯﾋﾟｼｯ

▲6二金




エレナ「……」ｼｬｷｯ

美也「……」

エレナ「参りましタ」ﾍﾟｺｯ

エミリー「ありがとうございました」ﾍﾟｺｯ

美也「すごい、最速の寄せでしたよ～」

エミリー「えへへ、運が良かったです」

美也「それだけでなく、▲8四桂や▲8六角、▲5三銀と強気の手が光ってましたよ～」

エミリー「ありがとうございます」

エレナ「強かったナ……ワタシは桂馬が良くなかっタ？」

美也「いえいえ、△3六桂、トランプ将棋特有の、おもしろい手だと思いますよ～。飛車を逃げられても、桂を成っていく手がありますし」

エレナ「ミヤが言うならまちがいないネ。今回は運が悪かっただけってトコ？」

美也「そうですね～。仕方なかったと思いますよ～。ところで、お二人とも、トランプ将棋はいかがでしたか～？」

エミリー「おもしろかったですよ。普通の将棋では見慣れない手もあって、新鮮でした」

エレナ「スリル満点だったヨ！　普通の将棋だとミヤとはハンディいるけど、これならハンディなしで良い勝負できるカモ？」

美也「そうですね～。早速やりましょうか？」

エレナ「それじゃあ……ミヤとエミリーで、トランプ将棋名人戦！ってどうカナ？」

エミリー「私で良いんですか？」

エレナ「うん、今日はエミリーの方がツイてそうだし、ワタシは見ておくネ」

エミリー「わかりました……美也さん、お手合わせお願いします」

美也「ぜひぜひ～よろしくお願いします～」

……

エミリー「ああっ」

美也「運が良いですな～」

……

エミリー「また取られてしまいました……」

美也「ふふふ」

……

……

エミリー「もう持ち駒が……」

美也「なくなってしまいましたね～」

……

エミリー「うう……勝機があるとしたら、これしか……」

美也「ふふふ」

……

▲美也ー△エミリー




美也「負けました～」

エミリー「あ、ありがとうございました」

エレナ「ミヤに勝っちゃった！すごいネ！」

おわり