椿芽「あ、でもこっちのチャンネルでも鬼を知らない国の人がいっぱい居るし知らなくても当然だよね」


椿芽「とりあえず鬼っていうのを絵に描いて説明してみるね」


小春「ご足労おかけしてすみません…」


ｶｷｶｷ


椿芽「ええっと、鬼は…」


椿芽「こんな感じで角が生えてて…虎柄のパンツを履いてて…トゲトゲの付いた棍棒を持ってて…」


小春「…あっ！それならキラルチャンネルでも見た事ありますよ！」


椿芽「そっか、じゃあこっちと名前が違うだけなんだね」


小春「はい、キラルチャンネルでは"ロンブルバルト"って呼ばれてました」


椿芽「ロンブルバルト！？」

小春「という事は節分ってキラルチャンネルでいう所の"カラミティ・アゲインスト"なんですね！」


椿芽「"カラミティ・アゲインスト"！？」


小春「一般的にはカラアゲって呼ばれてますね」


椿芽「私の知ってるカラアゲと違う！」


小春「でも名前が違うだけでやってる事は同じだと思いますよ？」


椿芽「じゃあ鬼…ロンブルバルトも豆を投げつけて撃退するの？」


小春「あっ、投げつけるのは豆じゃなくて石ですね」


椿芽「撃退法が現実的すぎる！」


椿芽「大丈夫！？ロンブルバルト役の人大丈夫なの！？」


小春「ロンブルバルト役の人はエーテルでバリアを張ってるんで多分大丈夫だと思いますよ？」


小春「まぁなんやかんや毎年１０人ぐらい病院送りになってますけど」


椿芽「それ大丈夫って言わないよね！？」

翠「なになに？面白い話？」ﾇｯ


椿芽「あ、翠さん」


小春「今は椿芽さんとカラアゲの話してたんだ」


翠「あー、カラアゲか、懐かしいね」


翠「去年のカラアゲではバリアに弾かれた石で右足折ったなぁ」


椿芽「そっち！？病院送りってそっち側の被害だったんですか！？」


翠「それぐらいリスク無いと厄除けにならないからね、うん」


小春「殺るか殺られるか、それがキラルチャンネルの掟です」


椿芽「キラルチャンネルはサバンナか何かなんですか？」

翠「でも石投げる以外もありますから」


翠「一般的なのはその年ごとの方角を見ながら"ンドゥルンドゥルン"食べたりとか…」


椿芽「ンドゥルンドゥルン！？」


椿芽「もうその単語が一般的じゃないよ！」


椿芽「多分恵方巻きの事なんだろうけど！ンドゥルンドゥルン！」


小春&翠「恵方巻き…？」


椿芽「あ、恵方巻きっていうのは色々な具材を入れた太巻きの事で…」


翠「あー、ンドゥルンドゥルンですか」


椿芽「やっぱり合ってた！合ってたけど納得いかない！」

小春「まぁそんな感じで」


小春「あとはパポポペの頭を玄関に飾ってロンブルバルトが来ないようにするぐらいですね」


椿芽「パポポペの頭って何！？多分イワシの頭の事なんだろうけど！」


翠「いや、豚の頭ですね」


椿芽「チラガー！！！」


椿芽「沖縄！？沖縄なの！？」


椿芽「いや、沖縄でも玄関に飾ったりはしないだろうけど！」


翠「なんかこう…豚の頭が飾ってある家だと"ここの住民ヤベぇ奴だな"ってロンブルバルトが避けてくれるらしくて」


椿芽「なんでロンブルバルトの方が常識的な感性なんですか！？」

椿芽「つまり要約すると…」


椿芽「ロンブルバルトに石を投げつけて厄除けをしたり…」


椿芽「年ごとの方角を見ながらンドゥルンドゥルンを食べたり…」


椿芽「玄関にパポポペを飾ってロンブルバルトが寄ってこないようにするのが…」


椿芽「カラミティ・アゲインスト…つまりキラルチャンネルの節分って事なんだね」


小春&翠「はい」


椿芽「個々のワードが強すぎる！」


椿芽「自分で言ってて混乱してくるよ！」


翠「そんな変わった風習かなぁ？」


小春「普通だよね？」


椿芽「文化の違いって恐ろしい…」


伊緒(鬼っ娘)「…あっ！椿芽！やっと見つけた！」ﾌﾟﾙﾝ


伊緒(鬼っ娘)「そろそろ節分の準備しないとだよ！」ﾌﾟﾙﾝ


椿芽「あっ！そうだった！すぐ着替えてくるね！」


小春「えっ、着替えるってあの下着とほぼ変わらない服にですか？」


椿芽「うん、エテルノの節分では鬼役の人はあれを着るのが風習なんだ」


小春「えぇ…」


翠「変わった風習…」


椿芽「カラアゲが普通の人達には言われたくないよ！」


END