女勇者「強くてニューゲームっ♪」 前編
女勇者「強くてニューゲームっ♪」 後編
1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 22:41:31.03 ID:gKwBhsdwO
母「起きなさい、勇者。私のかわいい勇者」
ぽんぽん
母「勇者、おはよう…」
女勇者「あ、ママ。おはよー」
母「……今日はあなたの8歳の誕生日……」
女勇者「うん!ママ、プレゼントはなぁに?」
母「ごめんなさい。あなたは今日、旅立たなければならないの…」
女勇者「え?旅立つ?」
自殺したい女勇者に魔王が困らされています! 1 (ガルドコミックス)
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4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 22:43:32.24 ID:gKwBhsdwO
母「…こんなに幼いこの子が旅立たなければならないなんて…」
女勇者「ママ?泣かないで?…どうしたの?」
母「あなたはこれから、魔王を倒して世界を平和にしなければならないの…」
女勇者「?」
母「ああ、せめて…せめて、この子がもう少し大きくなるまで待ってはくれなかったの…?」
7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 22:46:31.36 ID:gKwBhsdwO
母「…ごめんなさいね、勇者。こんな母親を許してね?」
女勇者「…?なんで謝るのママ。泣いちゃやだよ…」
母「勇者に生んでごめんなさい…」ぽろぽろ
女勇者「ううん。私、勇者に生まれてよかったよ。ママの子供でよかった」
母「勇者…!」
女勇者「今日旅にでるんだよね。だいじょーぶ!私がんばるからね!」
9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 22:48:56.53 ID:gKwBhsdwO
母「強い子ね…。あなた、娘はあなたに似てこんなに強い子に育ったわよ…」
女勇者「私、がんばって早く帰って来るからね。ママ、待っててね!」
母「…うん、うん。約束ね」
女勇者「約束!ゆびきりげんまん、嘘ついたら針千本!」ぶんぶん
母「ふふ、針千本ね。…さぁ、勇者。まずは王様に会って、酒場で仲間を見つけなさい」
女勇者「わかったー!じゃあママ、行ってきまぁす!」
11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 22:53:04.78 ID:gKwBhsdwO
【お城】
王様「そなたが勇者か…。なるほど、聞いていた通り幼いな」
女勇者「おーさま?」
王様「いかにも。わしが王だ…」
女勇者「はじめまして!私は勇者です」ぺこ
王様「うむ。…そなたには申し訳ないと思っている」
女勇者「おーさまも?」
12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 22:56:12.88 ID:gKwBhsdwO
女勇者「どうしてー?王様、なんにも悪い事してないよ?」
王様「…わずか8歳という若さで、旅に出て貰わなければならない。本当に済まない」
女勇者「私もう8歳だもん、だいじょーぶだよ」ニコ
王様「…危険な目にも合うだろう。命を落としてしまうかも知れん」
女勇者「んー…それでも、私は勇者だもんね。大丈夫」
王様「魔王の勢力がこんなに早く伸びるとは思っていなかった…。…勇者よ」
女勇者「はぁい?」
王様「こんな事を頼めた義理ではないが…。必ず、生きて帰ってくれ」
女勇者「はーい」ニコ
13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 22:59:19.29 ID:gKwBhsdwO
【酒場】
女勇者「うわー…50Gももらっちゃったぁ。お小遣いいっぱい♪」
女勇者「あ、ここがさかばかな?」
トテトテ
トテトテ
ガチャ
女勇者「すみませーん、さかばですか?」
15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 23:03:48.50 ID:gKwBhsdwO
戦士「……君は、もしや勇者殿か」
女勇者「うん、今日旅にでるの!おじちゃんだれー?」
戦士「俺は戦士。…噂には聞いていたが、本当に幼いな」
女勇者「今日で8歳なの」ニコ
戦士「ふむ…。勇者殿、よければ俺がついていこう。君のような子供を一人で戦わせる訳にはいかない」
女勇者「ほんと!?仲間になってくれるのー?」
戦士「うむ。出来る限り力になろう」
16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 23:05:47.56 ID:gKwBhsdwO
戦士「幸いここには、勇者殿の力になってくれる仲間がたくさん居る」
女勇者「そうなの?仲間になってくれるかなぁ?」
戦士「なってくれるとも。声をかけてみると良い」
女勇者「うん!ねぇねぇお姉ちゃん」
魔法使い「はい?私ですか?」
18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 23:07:45.31 ID:gKwBhsdwO
女勇者「うん!お姉ちゃん、私と一緒に旅に行ってくれる?」
魔法使い「あなたはまさか、噂の勇者様ですか…?」
女勇者「そうだよ。私は勇者!今日8歳の誕生日なの」ニコニコ
魔法使い「…あなたが、魔王を倒す旅に…」
女勇者「魔王を倒すの!」
魔法使い「…わかりました。私もお供させていただきます」
女勇者「やったぁ!よろしくねお姉ちゃん!」
魔法使い「よろしくお願いします。私の事は、魔法使いと呼んで下さい」
女勇者「魔法使いちゃんだね。わかったぁ!」
21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 23:12:18.86 ID:gKwBhsdwO
僧侶「あ、あのぅ…」
女勇者「はーい?なぁに?」
僧侶「あなたが…勇者様なんですよね?」
女勇者「そうなの!勇者!」
僧侶「…私もお供させてくださいますか?」
女勇者「え!ホント!?」
僧侶「え、えと、勇者様がよろしければ…」
22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 23:14:21.73 ID:gKwBhsdwO
女勇者「えへへ、もう仲間いっぱいだぁー」
戦士「あらためてよろしく。勇者殿」
魔法使い「私達が、必ず勇者様をお守りいたしますからね」
僧侶「わ、わたしも頑張ります!よろしくお願いしまぁす!」
女勇者「うん!皆、がんばろーね!」
戦士「うむ。ではさっそく街の外に出よう」
僧侶「そうですねぇ。まずは実線でレベルを上げないと」
女勇者「じっせん?」
23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 23:16:23.35 ID:gKwBhsdwO
【フィールド】
戦士「勇者殿、魔物が出て来たら1番後ろに居るといい。戦闘は俺達に任せろ」
女勇者「?まものってなに?」
魔法使い「魔物とは、凶暴で人を襲う、魔王の手先ですよ」
女勇者「ふぅん?なんか怖いね」
僧侶「大丈夫ですよぉ。私達がお守りしますからね」
女勇者「わかったぁ。私もがんばるね!」
24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 23:18:05.26 ID:gKwBhsdwO
魔物があらわれた!▼
魔物「ぐるるる…」
戦士「!来たな。勇者殿、後ろへ」
女勇者「え?え?」
魔法使い「さぁ、勇者様!私達の後ろで隠れていて下さい」
僧侶「勇者様、私のところに居て下さい。大丈夫、怖くありませんからね?」
女勇者「何してるの?ねー、みんな何するのー?」
25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 23:20:06.02 ID:gKwBhsdwO
戦士「おりゃあああ!!」
ブンッ!
魔法使い「火炎魔法(小)!」
ぼぉぉ!
僧侶「勇者様、大丈夫ですからね。怖くない怖くない」
ぎゅっ
女勇者「ねぇ、僧侶ちゃん!なんでおじちゃん、あの子を切ったの?痛くないの!?」
僧侶「勇者様…」
女勇者「あのまものの子が悪い事したの?痛いんだよ、ねぇ、切ったら痛いんだよ?」
魔法を倒した!▼
28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 23:23:00.43 ID:gKwBhsdwO
トテトテ
女勇者「…うわぁ。うわぁ……」
女勇者「痛そう…痛い?大丈夫?」
女勇者「お返事しないの?ねぇ、まものさん?」
戦士「……勇者殿」
女勇者「おじちゃん…?この子、動かなくなっちゃった」
29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 23:24:53.21 ID:gKwBhsdwO
戦士「…魔物は、倒さなければいけないんだ。勇者殿」
女勇者「…倒すと死んじゃうの?」
戦士「………そうだ」
女勇者「この子、死んじゃったんだね…」
戦士「…そうだな」
僧侶(やっぱり…やっぱり勇者様は…)
僧侶(旅に出るには…戦いに出るには幼すぎますよね…)
30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 23:27:32.13 ID:gKwBhsdwO
女勇者「…しょうがないの?しょうがないんだよねぇ?」
僧侶「!」
女勇者「この子をやっつけないと、人間が危ないもんね」
戦士「…そうだ」
女勇者「ねえ、おじちゃん。この子にとっても、同じじゃないの?」
戦士「え?」
女勇者「私たちに勝たないと、そこの草むらにいるこの子の赤ちゃんやっつけられちゃうから…」
ガサッ
魔法使い「!本当に…草むらに子供が…」
魔物「がう…」ビクビク
31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 23:31:28.16 ID:gKwBhsdwO
僧侶「ゆ、勇者様?どうしてこの赤ちゃんがそこに隠れているとわかったんですか?」
女勇者「え、だって…」
戦士「まさか、気配で気付いたのか?この年で?」
女勇者「んーん。気配とかはよくわかんないけどねぇ?」
女勇者「さっきのまものさんがおじちゃんに斬られてから動かなくなるまで、じっと草むらを見てたから…」
戦士「!そうだったのか…」
女勇者「うん。…すっごく、かわいそうだった」
女勇者「…守れなくてごめんねって、言ってるみたいだったよ…?」
戦士「…」
32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 23:33:40.26 ID:gKwBhsdwO
魔法使い「…この子をどうしますか、勇者様」
女勇者「え?」
魔法使い「逃がしてやるか、それとも…ここで倒していきますか」
魔物「がう…!がるる…」
女勇者「…私が決めるの?」
34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 23:36:27.44 ID:gKwBhsdwO
戦士「そうだ。勇者殿が決めると良い。俺達は勇者殿に従おう」
女勇者「わかんないよ、私には…」
戦士「……」
女勇者「どうしたら良い?かわいそうだよ…?」
戦士「…そうだな。…この魔物を生かすも殺すも、勇者殿次第だ。それが勇者殿の意思であり、正義だ」
女勇者「正義?…なに?」
39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 23:41:11.62 ID:gKwBhsdwO
戦士「正義とは、正しい事を正しいと信じる事だ」
女勇者「んー?正しい事を正しい…?」
戦士「なにが正義かは、俺にはまだ答えられないが」
女勇者「そっかぁ…。うん。じゃあ、逃がしてあげようよ。良いでしょ?」
戦士「それが勇者殿の意思であり、正義ならばそうしよう」
女勇者「うん!」
40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 23:44:58.24 ID:gKwBhsdwO
僧侶「ねぇ、戦士さん…」
戦士「む?」
僧侶「やっぱり、勇者様にはまだ戦いは早過ぎるんじゃあ…」
戦士「うむ。…そうだな。出来る事ならば、この歳から血を見て欲しくない」
魔法使い「でしたら、私達が戦えば済む話です」
戦士「俺達が戦い、勇者殿には出来る限り戦闘には参加させない…という事か」
42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 23:54:45.88 ID:gKwBhsdwO
魔法使い「そうですね。勇者様にはまだ…早過ぎます」
戦士「そうだな。いくら勇者に生まれたとは言え、まだ8歳。命を賭けるには幼な過ぎる」
僧侶「やっぱりそうですよね。私達が、勇者様をお守りしましょう」
女勇者「ねぇねぇ、何お話してるの?」
戦士「勇者殿。…勇者殿はこれから、戦闘には参加しないでくれ」
女勇者「え?」
戦士「魔法とは俺達が戦おう。勇者殿は後ろで居てくれれば良い」
女勇者「いや!」
43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/15(金) 23:58:05.83 ID:gKwBhsdwO
戦士「なに?」
女勇者「だって、おじちゃん達は戦うんでしょー?」
僧侶「…そうですけど、勇者様はまだ8歳になったばかりなんですよ?」
女勇者「うん。だけど、私は勇者だもん」
魔法使い「勇者様…」
女勇者「私だけが戦わないで逃げてるのはやだよ。私だって、がんばるから」
戦士「…」
女勇者「やらなきゃいけない事を誰かにやってもらうのは、正義じゃないでしょ?」
45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 00:02:58.14 ID:wXh2I2XqO
女勇者「だから、私も戦う。ね、良いでしょ?」
戦士「…わかった」
僧侶「戦士さん!」
戦士「勇者殿はやはり勇者だ。幼くして、勇者としての自覚と責任を持っている」
女勇者「じかく?」
戦士「勇者殿」
女勇者「ん?なぁにおじちゃん?」
戦士「勇者に生まれてしまった事を、後悔しているか?」
46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 00:06:53.53 ID:wXh2I2XqO
女勇者「んーん、全然!」
戦士「…そうか」
女勇者「うん!」ニコ
戦士「よし。わかった。しかし、勇者殿。これだけは守ってくれ」
女勇者「?」
戦士「勇者殿は望んで勇者に生まれた訳ではない。辛かったり、戦いが嫌になったらいつでも言ってくれるか?」
女勇者「えへへ、大丈夫だよぅ。でも…わかった!約束するね!」
戦士「うむ。我々はそれを、絶対に責めたりはしないからな」
64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 07:18:43.68 ID:wXh2I2XqO
【次の街】
トテトテ
戦士「ここが次の街か。少し休息を取ろう」
僧侶「はぁい…。疲れちゃいましたぁ」
魔法使い「そうですね。勇者様、疲れていませんか?ずいぶん歩きましたけど…」
女勇者「大丈夫大丈夫!私、歩くの大好きだからね」トテトテ
戦士「む?」
女勇者「うわー…。私、おうちの近くでしか遊んだ事ないから、こんなに遠くに来るのはじめてー」
トテ…トテ…
戦士「…勇者殿、足を怪我したのか?」
65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 07:21:24.60 ID:wXh2I2XqO
女勇者「え?ううん、してないよ?」
戦士「足を引きずっているではないか。少し見せてみなさい」
女勇者「やだよぅ…大丈夫だもん」
戦士「良いから。怒らないから、靴を脱いで見せてくれ」
女勇者「はぁい…」
もぞもぞ
すぽっ
戦士「…靴擦れしているな。靴が大きかったのか?」
女勇者「うん、ちょっとだけ…」
66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 07:24:50.53 ID:wXh2I2XqO
女勇者「あのね?…私、こんなちゃんとした靴はいた事なかったから…」
戦士「僧侶、回復してやってくれ」
僧侶「はぁい。勇者様、回復しましょうね」
女勇者「え、大丈夫なの。本当だよ?」
戦士「勇者殿、無理はしないと約束しただろう?」
女勇者「うん…したけどぉ…」
67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 07:28:06.50 ID:wXh2I2XqO
僧侶「回復魔法(小)」
ぱぁぁ…
女勇者「わぁ。痛くない…」
僧侶「ふふ、だって回復魔法なんですから。魔法は初めて?」
女勇者「うん!なんか変な感じ…」
僧侶「すぐに慣れますよぅ。それよりも、お怪我したらちゃんと言わないとダメですよ?」なでなで
女勇者「うん…。みんな、迷惑かけてごめんなさい…」しゅん
70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 07:33:31.82 ID:wXh2I2XqO
魔法使い「勇者様」
女勇者「はい。なぁに、魔法使いちゃん」
魔法使い「私達は、誰も迷惑だなんて思っていませんよ」
女勇者「…本当?」
魔法使い「えぇ、もちろんです。何故そんな事を思うのですか?」
女勇者「だってぇ…」
魔法使い「だって?」
女勇者「私だけ、こんなちっちゃくて弱いから…おじちゃん達はすごく強いのに」
女勇者「私は勇者なのに、頑張れないから…迷惑かな?って思ったの」
魔法使い「ふふ、そんな事ですか」
71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 07:39:06.03 ID:wXh2I2XqO
魔法使い「良いですか、勇者様。よく聞いてね?」
女勇者「…うん」
魔法使い「勇者様はたしかにまだ幼いです。子供です。でもそれは悪い事ですか?」
女勇者「…ううん。ちがうね」
魔法使い「そう。誰だって最初は子供なんです。私達だって子供でした」
女勇者「そうなの?おじちゃんも?」
戦士「…」
魔法使い「ふふ、確かに戦士さんの子供時代なんて想像できませんが」
魔法使い「でもね、勇者様。私達が勇者様くらいの頃は、勇者様みたいに強くはなかった」
女勇者「私?弱いよ?だって、剣も振れないし、盾も鎧も持てないもん」
魔法使い「それは仕方がない事です。勇者様が強いのは、心」
女勇者「こころ?」
72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 07:43:34.91 ID:wXh2I2XqO
魔法使い「そう、心です」
女勇者「…うーん?よくわかんない」
魔法使い「今はまだわからなくて良いんです。でも勇者様は、心に強さを持っている」
女勇者「そうなの?」
魔法使い「えぇ。そんな勇者様だからこそ、私達は命を賭けてでもあなたをお守りする決意をしたのです」
女勇者「…」
魔法使い「だからね、勇者様。あなたはなんにも迷惑だなんて思わなくて良いのです」
魔法使い「私達は勇者様を信じてお手伝いするんですから。だから、迷惑だなんて思わないで?」
魔法使い「…ね?」ニコ
女勇者「…うんっ!」
74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 07:47:20.82 ID:wXh2I2XqO
戦士「では行こうか。勇者殿、足はまだ痛むだろう」
女勇者「うん、ちょびっとだけ」
戦士「そうか。…ほら」
女勇者「ふぇ?おじちゃん?」
戦士「疲れただろう。背中におぶさると良い」
女勇者「…うん!」
すっ
戦士「よし、では宿に向かおう」
すたすた
女勇者「えへへ、おじちゃん」
戦士「む?」
女勇者「ありがとうね」ぎゅっ
戦士「うむ。構わん」
すたすた…
76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 07:55:14.45 ID:wXh2I2XqO
【宿】
戦士「一人部屋と三人部屋を頼む」
女将「わかりました。一晩で12Gになります」
戦士「うむ」
女勇者「やだ!」
僧侶「勇者様?」
女勇者「おじちゃんも一緒が良いな。ねぇ、僧侶ちゃん!良いでしょ?」
戦士「いや、それは…」
女勇者「やだぁ…!一緒が良いもん…」
僧侶「良いじゃありませんか、戦士さん。私達は平気ですよぉ」
戦士「しかし…」
79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 08:03:26.34 ID:wXh2I2XqO
女勇者「おじちゃん、お願い。ね?」
僧侶「戦士さん。勇者様は、この歳でママと離れないといけないんですよ?」
戦士「!」
僧侶「私達で代わりになるとは思いませんけど、勇者様の事を1番に考えてあげましょう?」
魔法使い「そうですね。私もそれが良いと思います」
戦士「…」
戦士「4人部屋を頼む」
女将「はい、わかりました」
女勇者「わぁい!」
85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 08:09:43.76 ID:wXh2I2XqO
戦士「それでは3人とも、風呂に入ってくるといい」
僧侶「先に入っても良いんですか?」
戦士「うむ。勇者殿を入れてやってくれ」
魔法使い「わかりました。勇者様、お風呂に行きましょうか」
女勇者「うん!おじちゃんは?」
戦士「俺は後から入ろう。やる事があるのでな。先に入りなさい」
女勇者「はぁい。行って来ます!」
トテトテ
87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 08:13:43.00 ID:wXh2I2XqO
戦士「行ったか。…俺も出かけるとしよう」
すたすた
すたすた
女将「あら?お出かけですか?」
戦士「ああ。少し店までな。まだ開いているだろうか」
女将「大丈夫だと思いますよ。ここを出て少し歩けば店が固まった場所があります」
戦士「そうか。助かる」
すたすた
89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 08:16:49.54 ID:wXh2I2XqO
【武器屋】
主人「いらっしゃい。何の用だい?」
戦士「武器を見せて欲しいのだが」
主人「おうよ。あんた、腕が立ちそうだな。ウチは良いのが揃ってるぜ」
戦士「…8歳の子供が装備出来るものはあるか」
主人「は?なんだって?8歳?」
戦士「そうだ」
主人「あんた、そんな子供に戦わせようってのかい、感心しねぇな」
90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 08:20:36.83 ID:wXh2I2XqO
戦士「その子は戦わねばならんのだ。自分の身を守る為に持たせてやりたい」
主人「うーん…しかしなぁ。どれも子供に扱える代物じゃねぇぞ?」
戦士「重いのか」
主人「こん棒でさえ2キロ近くある。8歳にゃ、とてもじゃないが無理だ」
戦士「女の子にも扱えるような武器はないのか」
主人「女の子ぉ!?」
170 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 20:01:23.89 ID:wXh2I2XqO
戦士「うむ。女の子だ」
主人「…あんた、自分が何言ってるかわかってるか?」
戦士「承知している」
主人「……そうかい。事情がありそうだな」
戦士「……ああ。その8歳の女の子というのはな」
主人「…」
戦士「勇者だ」
174 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 20:06:02.18 ID:wXh2I2XqO
主人「なんだって!?…本当かいそりゃ」
戦士「うむ。出来る事ならば、俺も戦わせたくはない」
主人「…そりゃそうだ。まさか、勇者様がそんな子供だったなんて」
戦士「勘違いしないで欲しい。勇者殿は確かに幼いが、勇者としての器を持つ人だ」
主人「そうかい。…よし、わかった」
戦士「む?」
主人「勇者様が武器を扱えないなら、あんたが守ってやりな。腕には自信があるんだろ?」
戦士「当然だ。俺が生きている限り、勇者殿はお守りする」
主人「よっしゃ、あんた。これを持っていきな」すっ
175 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 20:09:41.98 ID:wXh2I2XqO
戦士「これは?」
主人「ここで用意出来る1番良い剣だ。品は保証するよ」
戦士「しかし、こんなに立派な剣を買える程の持ち合わせは…」
主人「良いんだ。お代はいらねぇ。そのかわり、しっかり勇者様を守ってやってくれ」
戦士「かたじけない。ありがたく頂く」
主人「おうよ。がんばってな」
戦士は新たな剣を手に入れた。▼
177 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 20:13:11.85 ID:wXh2I2XqO
戦士「ありがたい。必ず勇者殿をお守りしよう」
すたすた
戦士「…勇者殿にも、何か用意しなければな」
すたすた
戦士「勇者殿が身につけているただの服では、戦いは無理だ」
すたすた
戦士「せめて防具だけでも何か用意してやらねばな」
すたすた
180 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 20:16:37.99 ID:wXh2I2XqO
【防具屋】
ガチャ
戦士「邪魔する」
主人「いらっしゃいませ。何をお求めでしょうか」
戦士「重くない防具をくれ」
主人「はい?」
戦士「出来るだけ軽く、頑丈なものはないか?」
主人「軽い物となりますと…こちらになりますが」
181 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 20:20:06.57 ID:wXh2I2XqO
戦士「ドレスか、服か…」
主人「はい。こちらが比較的軽い物ですね。動きやすく、かつ頑丈です」
戦士「…では、ドレスをくれ」
主人「畏まりました」
戦士「ああ、それから注文があるのだが」
主人「なんでしょう?」
戦士「それを、子供用に繕ってやってくれないだろうか」
184 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 20:22:59.35 ID:wXh2I2XqO
主人「わかりました。何歳くらいのお子さんですか?」
戦士「今日で8歳になるのだが、その割に体はかなり小さい」
主人「畏まりました。少々お待ち下さい」
戦士「うむ。わがままを言って済まないな」
主人「いえいえ。お子さんも、こんなプレゼントをいただいたら喜ばれますよ」
戦士「…そういう訳でもないのだが」
185 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 20:26:35.80 ID:wXh2I2XqO
【宿屋の風呂】
わしわし…
僧侶「勇者様、目を開けちゃだめですよぉ」
女勇者「んー…」
僧侶「ふふ、そんなにおもいっきり目をつぶらなくても…」
女勇者「だって、目に入ったら痛いんだよー?」
僧侶「もう、勇者様ったら。お家でもママと一緒に入ってたんですか?」
女勇者「うん…。時々ね?時々だよ?」
僧侶「クス…はい、時々ですね」
わしわし…
186 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 20:29:20.03 ID:wXh2I2XqO
僧侶「はい、おしまいです」
女勇者「ありがとー、僧侶ちゃん!」
僧侶「どういたしまして」ニコ
女勇者「ねぇ、僧侶ちゃんはいくつ?」
僧侶「私ですか?17ですよ」
女勇者「じゃあね、魔法使いちゃんはー?」
魔法使い「私は19になります」
187 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 20:33:00.01 ID:wXh2I2XqO
女勇者「そーなんだ!じゃあなんで魔法使いちゃんは年上なのに、僧侶ちゃんより小さいの?」
魔法使い「!」
僧侶「ゆ、勇者さま…」かぁぁ
女勇者「おっきくなったら膨らむんだよね?ねぇ、なんでー?」
魔法使い「勇者様」
女勇者「はぁい?」
つねっ
女勇者「ふぇ?あぁに?」
魔法使い「悪い事を言うのはこのお口ですか?」
ぎゅう
女勇者「…ご、ごえんあはい……」
192 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 20:42:43.30 ID:wXh2I2XqO
僧侶「変じゃないですよぅ。勇者様は勇者様ですから」
女勇者「んー。なんか変な感じ」
魔法使い「勇者様は仲間であり、私達のリーダーですからね」
女勇者「じゃあわたしも、魔法使い様って呼んでいい?」
魔法使い「ふふ、それはどうかと思いますよ」クス
僧侶「みんな、勇者様を慕って様とか殿とか呼ぶんです。勇者様が気にする必要ないですよ」
女勇者「そうなのかなぁ…?」
194 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 20:46:19.09 ID:wXh2I2XqO
女勇者「僧侶ちゃん達は、ちゃんって呼ばれてイヤ?」
僧侶「いいえ。うれしいくらいです」ニコ
女勇者「本当?じゃあ、おじちゃんも戦士くんって呼んでも良いかな?」
魔法使い「きっと喜ぶと思いますよ。戦士さん、ああ見えて若いんですから」
女勇者「えへへ、じゃあ帰って来たら戦士くんって呼んじゃおう」ニコニコ
205 :1:2009/05/16(土) 21:43:23.71 ID:KjaZkCw/0
女勇者「ねぇ、もう出るー」
僧侶「そうですねぇ。じゃあ、あと10数えたら出ましょうか」
魔法使い「勇者様、一緒に数えましょう。いち、にぃ」
女勇者「さーん、しーい、ごー…」
僧侶(…本当は、寂しいんだろうなぁ…)
僧侶「ろーく、しーち、はーち」
魔法使い「くー、じゅう!」
女勇者「おわり!出よ!」
僧侶「はい。もう戦士さんも帰ってきてるかも知れませんしね」
女勇者「うん!そういえば、どこ行ってたんだろうねー」
ざぱぁっ
トテトテ
トテトテ
206 :1:2009/05/16(土) 21:47:10.19 ID:KjaZkCw/0
トテトテ
ガチャ
戦士「お、出たのか」
女勇者「うん!戦士くん、おかえりなさい!」ニコ
戦士「ただいま。…ん?」
女勇者「えへへ」
戦士「なんだ、その…戦士くん、というのは」
女勇者「えっとねぇ、戦士くんって呼びたいの。いや?」
戦士「…そうか。嫌ではない」
女勇者「本当?うん、じゃあ戦士くんね!」
戦士「……」
僧侶(ふふ、喜んでるなぁ)
207 :1:2009/05/16(土) 21:53:28.09 ID:KjaZkCw/0
戦士「勇者殿、今日は8歳の誕生日といったな」
女勇者「うん!今日でわたしも8歳だよ」
戦士「誕生日プレゼントはもらったのか?」
女勇者「えっとねぇ…えへへ」
戦士「…もらっていないのか」
女勇者「今日、旅立つことになっちゃったからねぇ」
戦士「そうか。…これは、誕生日プレゼントだと思ってくれ」
女勇者「え?」
戦士「こんなものしかあげられなくて申し訳ないが…これからの役に立つだろう」
女勇者「うわぁ!プレゼント!戦士くん、ありがとう!開けていい?ねぇ、いいかな?」
戦士「ああ、開けてみなさい」
208 :1:2009/05/16(土) 21:57:10.63 ID:KjaZkCw/0
ぱかっ
女勇者「うわぁ…!!これ、ドレス?」
戦士「うむ。防具屋で売っていた質素なものだが」
女勇者「私、ドレスなんて着たことないよ」
戦士「そうか。着てみるといい。似合うといいが」
女勇者「うんっ!えへへ、戦士くん!ありがと!」
戦士「喜んでもらえてなによりだ」
女勇者「ねぇ、僧侶ちゃん!これ着せてー」
僧侶「はい。ふふ、良かったですねぇ勇者様」
女勇者は皮のドレスを装備した。
女勇者 皮のドレス E
防御力 3 → 5
211 :1:2009/05/16(土) 22:04:10.71 ID:KjaZkCw/0
女勇者「どう?かわいい?」くるくる
魔法使い「ええ。よくお似合いですよ勇者様」
僧侶「はい。すっごく可愛いですぅ」
女勇者「えへへ…戦士くん。ありがとう!ずっとずっと、大事にするからね!」
戦士「ああ…。これだけ喜んでくれて良かった」
僧侶「さぁ、勇者さま。明日も早いですから、今日はもう脱いでお休みしましょう?」
女勇者「えー。やだよぅ」
僧侶「ほらほら、わがまま言わないんですよ?明日になったらそれを着て旅立ちましょう」
女勇者「むぅ…寝るときもこれがいいなぁ…」
魔法使い「まぁ、いいんじゃないでしょうか?せっかくのプレゼントなのですし」
戦士「そうだな。明日からはきちんと寝間着で寝るんだぞ?勇者殿」
女勇者「はぁい!やったぁ!」
213 :1:2009/05/16(土) 22:09:19.64 ID:KjaZkCw/0
女勇者「じゃあ、もう寝るね?おやすみなさぁい」
僧侶「はい、おやすみなさい」ニコ
魔法使い「おやすみなさいませ、勇者様」
戦士「おやすみ」
女勇者「えへへ…戦士くん、ありがと!」
戦士「そう何度も礼を言われるのも困ったものだな」
僧侶「ふふ、良いじゃないですか。喜んでくれて」
戦士「そうなのだが…」
魔法使い「二人とも、お静かに…しっ」
戦士「ん?」
女勇者「くぅ……すー……」
214 :1:2009/05/16(土) 22:15:40.32 ID:KjaZkCw/0
僧侶「もう寝ちゃったんですかぁ…。寝つきがいいですね」
戦士「疲れていたのだろう。勇者殿にとって、今日という日はあまりに重い」
僧侶「そうかも知れませんね。あれ?戦士さん、どこに行くんですか?」
戦士「うむ。少し稽古を」
魔法使い「こんな夜更けにですか?」
戦士「日課でな。それに、やらなければならない」
戦士「勇者殿をお守りするには、俺達が強くならないといけないからな」
僧侶「!」
216 :1:2009/05/16(土) 22:24:33.82 ID:KjaZkCw/0
魔法使い「…戦士さんの言うとおりですね」
僧侶「私も…ちょっとだけ魔法の練習してこようかな」
戦士「ちょっとまってくれ」
僧侶「ふぇ?」
戦士「勇者殿がもしも目を覚ましてしまったとき、一人ではかわいそうだろう」
戦士「それでなくても母親から離れて寂しいはずだ。二人はそばにいてやってくれ」
僧侶「そうですね…わかりました」
魔法使い「戦士さんも、遅いですから気をつけてくださいね?」
戦士「うむ。では行ってくる」
218 :1:2009/05/16(土) 22:31:21.89 ID:KjaZkCw/0
【翌日】
僧侶「ふわぁ…。よく寝たぁ…ん?」
僧侶「きゃっ!」
僧侶「び、びっくりしましたぁ~…どうして勇者さまが私のベッドに…?」
女勇者「すぴー…すぴー…」
僧侶(それにしても可愛い寝顔だなぁ…)
僧侶(こうして見ると、ほんとにただの女の子みたい…)なでなで
女勇者「すー…う、ぅ…?」
僧侶「あ…起こしちゃった…」
219 :1:2009/05/16(土) 22:36:13.21 ID:KjaZkCw/0
僧侶「おはようございます、勇者さま」ニコ
女勇者「ふぇ……ママ…?」
僧侶「うふふ、違いますよぅ。私は僧侶。寝ぼけてるんですか?」
女勇者「…あ…おうちじゃない…」
僧侶「どうしたんですか?怖い夢でも見ました?」
女勇者「んん…」ごしごし
女勇者「うん。ちょっとだけ…ごめんね?」
僧侶「良いんですよ。ママじゃなくてごめんなさい」
女勇者「んーん。…おはよう、僧侶ちゃん」ぐしぐし
僧侶「はい、おはようございます」ニコ
221 :1:2009/05/16(土) 22:38:43.34 ID:KjaZkCw/0
戦士「勇者殿、起きたか。おはよう」
女勇者「あ、戦士くん。おはよ」
戦士「うむ。起きてすぐで悪いが、そろそろ出発しなければ。用意しよう」
女勇者「はぁい…。ふわぁ…」
僧侶「さぁ、勇者さま。がんばって起きましょう。顔を洗わなきゃ」
女勇者「うん」むくっ
すたっ
トテトテ
トテトテ
224 :1:2009/05/16(土) 22:42:42.47 ID:KjaZkCw/0
【数日後】
女勇者「あ、あれが次の町?」
魔法使い「そのようですね。あそこは魔法が盛んな町なんですよ。占いなどで有名ですね」
女勇者「わぁ。占いって私はじめてー」
僧侶「私もですぅ。楽しみだなぁ」
魔法使い「そうですね。占い師は珍しいですから」
戦士「よし、先を急ごう。とりあえず町に着いたら散策だ」
女勇者「うん!お腹もすいたー」
僧侶「ふふ、じゃあまずご飯も食べましょうね」
トテトテ
トテトテ
227 :1:2009/05/16(土) 22:48:19.94 ID:KjaZkCw/0
【占い師の町】
がやがや
女勇者「わぁ…人がいっぱいだねぇ」
魔法使い「本当ですね。今までのどの町よりも人が多そう」
僧侶「みんな占いしてもらいに来てるんでしょうか?」
魔法使い「どうでしょう?とにかく行ってみますか?」
戦士「勇者殿、どうする?先に休憩を取ってもいいが」
女勇者「うーん…どうしよ?どうしたらいいかなぁ」
女勇者「…」きゅるるる
戦士「…よし、先に食事にしよう。散策はその後だ」
僧侶「クス…そうしましょう」
229 :1:2009/05/16(土) 22:53:24.21 ID:KjaZkCw/0
・
・
・
僧侶「わぁ。このリゾット美味しいですぅ」もきゅもきゅ
女勇者「ねぇ、見て。私のハンバーグも美味しいよ?」
僧侶「ホント、美味しそうですねぇ」
女勇者「えへへ、一口あげる。はい、あーん」
僧侶「ありがとうございます。あーむ」ぱくっ
女勇者「ね?美味しいでしょ?」
僧侶「ええ、とっても。私のも一口あげましょうか?」
女勇者「うん!ちょうだい!あーん」
僧侶「熱いからちょっとお待ちくださいね。ふー…ふー…」
僧侶「はい、あーん」
女勇者「あむ…」
僧侶「どうですか?美味しい?」
女勇者「……あつい……」じわ
232 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 23:00:22.19 ID:wXh2I2XqO
魔法使い「勇者様、占ってもらうのはなにがいいですか?」
女勇者「ふぇ?うーん、なんだろう」
魔法使い「考えてないんですか?」
女勇者「一個だけ決まってるけどね!」
魔法使い「まぁ。それは?」
女勇者「えっとねぇ、世界を平和にできますか?って」
魔法使い「ふふ…勇者様は本当に勇者様ですね。でも、それは私達の頑張り次第ですよ」
女勇者「そうだね!頑張らなくちゃ!」
魔法使い「あとは?もうないんですか?」
女勇者「あ、あと一個だけ決まってる!」
234 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/16(土) 23:10:43.18 ID:wXh2I2XqO
女勇者「えっと…私、みんなが大好きだからね?」
女勇者「戦士くんも、魔法使いちゃんも、僧侶ちゃんも!」
魔法使い「ありがとうございます。私も、勇者様が大好きですよ」ニコ
女勇者「えへへ…。だからね、こう聞くんだよ」
女勇者「みんなと、ずっと一緒に居られますか?」
304 :1:2009/05/17(日) 08:41:04.07 ID:XniUpB330
魔法使い「ずっと一緒に…ですか」
女勇者「うんっ!ずっと一緒がいいの」
魔法使い「ふふ、そうなるといいですね」
女勇者「きっとそうなるよね?」
魔法使い「ええ、きっと。そのためにも、早く世界を平和にしないとね」
女勇者「うんっ!」
戦士「さて…そろそろ食べ終わったか、勇者殿?」
女勇者「終わったー!ごちそうさま!」
戦士「よし。それでは町に行こうか。占いも行かないとな」
女勇者「あ、ちょっと待って戦士くん」
戦士「む?」
女勇者「えっとねぇ、アイスも食べたいなぁ。いい?」
戦士「…では、食べ終わったら出発しよう」
女勇者「えへへ、戦士くんは優しいなぁー」ニコニコ
306 :1:2009/05/17(日) 08:45:54.18 ID:XniUpB330
【占いの館】
ガチャ
女勇者「ここが占いのお店?」
戦士「そうだ。邪魔をする」
婆「いらっしゃい…。おや、珍しいお客さんだね…」
戦士「?」
婆「まぁ座りなさい…」
女勇者「はぁい。しつれいしますっ」ぽふっ
婆「お嬢ちゃん、その年で旅してるのかい…大変だねぇ…」
女勇者「うんっ。楽しいけどね!みんな一緒だから!」
婆「ふぉっふぉっ…そうかいそうかい。良いことじゃ。どれ、わしが占ってみようか…」
女勇者「おねがいしまぁす!」ニコニコ
310 :1:2009/05/17(日) 08:51:09.27 ID:XniUpB330
婆「……」
女勇者「……」
婆「……」
女勇者「……」わくわく
婆「なんじゃ…これは…?」
女勇者「ふぇ?」
婆「そなたは、何者じゃ…」
女勇者「わたし?わたしは勇者なの!」
婆「……勇者様じゃったか。不思議な色を持っておるな」
女勇者「え?なにか変なものついてる?」きょろきょろ
311 :1:2009/05/17(日) 08:59:15.55 ID:XniUpB330
婆「人には誰しもそれぞれ色がある…。後ろにおるお仲間にも…」
女勇者「そうなの?みんな何色?」
婆「僧侶は桃色…慈愛に満ち満ちた優しい色じゃ」
僧侶「えぇ、ピンクですか!えへへ、嬉しいなぁ」
婆「魔法使いは蒼。凛々しさと聡明さを兼ね備えた、強い色…」
魔法使い「私、凛々しい…ですか?」
婆「戦士は真紅。闘争心だけでなく、誰かを守る強さを持っておる…」
戦士「俺は赤か。では、勇者殿は?」
婆「…わしには見えぬ。ただ、1色ではない」
女勇者「?」
婆「何色も何色も塗り重ねられ…それぞれが同調しあってひとつの色となっておる」
婆「その中には、暗く悲しい色もあるようじゃ…」
女勇者「ふーん…?よくわかんない」
313 :1:2009/05/17(日) 09:03:59.18 ID:XniUpB330
女勇者「じゃあね、聞きたいことがあるの。いい?」
婆「なんでも言ってごらんなさい…」
女勇者「みんなと、ずっと一緒に居られる?」
婆「ふむ…少し待ちなされ…」
女勇者「…」
婆「……?」
女勇者「?」
婆「こりゃ…わしの腕も鈍ってきたかの…?」
女勇者「え?どうしてー?」
婆「そなたに言っておく…占いなど、所詮占いでしかない」
女勇者「うん、そうだね」
婆「年寄りの婆の言うことだと思って、怒らずに聞いておくれ…」
315 :1:2009/05/17(日) 09:15:36.77 ID:XniUpB330
婆「そなたは…世界から取り残される…いや、世界を取り残すのかの…?」
女勇者「んー?何?どういうこと?」
婆「こんな可笑しな答えは初めてじゃ…ただ、興味深い…」
女勇者「おかしなこたえ…」
婆「そなたは全てを見るじゃろう…美しいもの、醜いもの、すべてを…」
婆「同じ物語を何度も何度も、繰り返し引き継がれる記憶…」
婆「探しなさい…求める正義、求めざる正義を…」
女勇者「ねぇ、戦士くん。なんか難しいこと言ってるよ?なに言ってるの?」
戦士「…いや、すまない。俺にも少し…」
婆「ふぉっふぉ。わしにもわからんよ。耄碌した婆の言うことじゃ」
婆「わしも引退かのぅ…?ふぉっふぉっふぉ」
316 :1:2009/05/17(日) 09:21:07.94 ID:XniUpB330
婆「たいした話でもないのに、よくここまで付き合ってくれたねぇ…」
女勇者「ううん、楽しかったよ!ね?」
僧侶「ふふ、そうですねぇ。よくわからなかったけど」
魔法使い「人に色なんてあったのかぁ。おもしろいですね」
戦士「うむ。結局、勇者殿は何色なのだろうな」
女勇者「わたし、ピンクが良かったなぁ…」
僧侶「私の色ですね。ふふ、勇者様はまだ透明なんですよきっと」
女勇者「そうなのかなぁ…?」
婆「ふぉっふぉ。それでは、気をつけての」
女勇者「うん!ありがとー!またね、おばあちゃん!」
ガチャ
バタン!
320 :1:2009/05/17(日) 09:28:45.63 ID:XniUpB330
【数日後・物語中盤】
女勇者「ふぅ……ふぅ……疲れたぁ…」
戦士「大丈夫か?もうすぐ次の町だ」
女勇者「大丈夫。でもここ、痛いよぉ…」さすさす
僧侶「勇者さま、ごめんなさい。MPがあったら回復するんですけど…」
女勇者「ううん、だいじょうぶ。へいきだよ」
僧侶「町に着いたら、すぐに手当てしましょうね」
女勇者「うん…」さすさす
トテトテ
トテトテ
322 :1:2009/05/17(日) 09:32:29.25 ID:XniUpB330
【新しい町】
女勇者「着いた…すっかり夜になっちゃったね…」
僧侶「戦士さん、勇者様をよろしくおねがいします。わたし、薬草買ってきますね!」
戦士「うむ。よろしく頼む。勇者殿、先に宿に戻っていようか」
女勇者「……」
戦士「勇者殿?」
女勇者「痛い……戦士くん、だっこ…」
戦士「…わかった。ほら、行こう」
女勇者「…ん」
すたすた
すたすた
323 :1:2009/05/17(日) 09:35:53.60 ID:XniUpB330
すたすた
すたすた
魔法使い「戦士さんも怪我をなさってるのに…大丈夫ですか?」
戦士「俺は平気だ」
魔法使い「もし疲れたり痛み出したら代わりますよ」
戦士「いや…もう、勇者殿も寝てしまっているようだしな」
魔法使い「…本当」
女勇者「すぅ……すぅ……」
魔法使い「かわいそうに…早く手当てしてさしあげないと…」
戦士「…まずは宿で休ませよう。僧侶が帰ってくれば回復もできる」
すたすた
すたすた
327 :1:2009/05/17(日) 09:45:13.70 ID:XniUpB330
【宿屋】
主人「いらっしゃいませ。3名様でしょうか?」
魔法使い「いえ、4人です。空いていますか?」
主人「大丈夫ですよ。…!そちらのお子さんの怪我は…?」
戦士「うむ…魔物に噛み付かれてしまってな」
主人「ひどい怪我だ…どうぞ、こちらの薬草をお使いになってください」
戦士「おお、ありがたい」
主人「お部屋は2階になります。どうぞごゆっくり」
戦士「うむ。行こう、魔法使い」
魔法使い「はい…」
すたすた
すたすた
328 :1:2009/05/17(日) 09:49:28.61 ID:XniUpB330
すっ
女勇者「すぅ……すぅ……」
戦士「…血は止まったようだな」
魔法使い「はい。勇者様の傷ついたお姿は、何度見ても心苦しいですね…」
戦士「……俺達が、もっと強くならなくては」
魔法使い「…そうですね」
戦士「…魔法使い、勇者殿を頼む」
魔法使い「わかりました。また、稽古ですか?」
戦士「ああ。…今日も、俺があそこで一撃で倒せていたなら、勇者殿に怪我をさせることもなかった」
魔法使い「…それは、私達も同じことですよ」
戦士「…」
戦士「では行って来る。僧侶にもよろしく言っておいてくれ」
ガチャ
バタン!
329 :1:2009/05/17(日) 09:52:32.74 ID:XniUpB330
【町の外】
魔物が現れた。▼
戦士「俺がもっと強くならなくては…!」
ばしゅっ
ズバァッ!
戦士「強くならなくては、誰も守ることなどできん!」
ズバァッ!
ばきっ
ぐさっ
戦士「もっと強く…!」
ぐしゃっ!
魔物を倒した。
戦士のレベルがあがった!▼
・
・
・
戦士「もっと強くならねば…!」
330 :1:2009/05/17(日) 09:55:36.60 ID:XniUpB330
【宿屋】
ガチャ…
魔法使い「おかえりなさい。ありがとうございます」
僧侶「遅くなっちゃってすみません。お店開けてもらうのに時間かかっちゃって…」
魔法使い「いえ。勇者様も今は眠っておられますから」
僧侶「勇者さま…」
女勇者「すぅ…すぅ…」
僧侶「…」
僧侶「私のMPも回復しましたから、魔法で回復しますね」
僧侶「回復魔法(大)…」
ぱぁぁぁ
女勇者「すぅ……すぅ……」
332 :1:2009/05/17(日) 10:01:04.83 ID:XniUpB330
【翌朝】
女勇者「ままぁ……ママぁ……」
僧侶「……ふぇ…?」
女勇者「…ママ……あれ?」
僧侶「あ…勇者さま、おはようございます」
女勇者「えへへ…おはよ」
僧侶(勇者さま、毎朝起きる時にうなされてますね…)
僧侶(寂しいでしょうに…私達の前ではほとんどそんな姿を見せない)
僧侶(もっと、私達に甘えてもいいのになぁ…)
335 :1:2009/05/17(日) 10:04:30.39 ID:XniUpB330
女勇者「う~ん」ごしごし
僧侶「ふふ、まだ眠いでしょう?もう少し寝ててもいいんですよ?」
女勇者「ねむぅい…」ぐしぐし
僧侶「今日はこの町にいるみたいですからね。ゆっくり寝ましょう?」
女勇者「うん…」
僧侶「…お体は、もう大丈夫みたいですね」
女勇者「うん、だいじょぶ…」
僧侶「よかった。じゃあお休みなさい」ぽんぽん
女勇者「ん…」
僧侶「勇者様」
女勇者「ん?」
僧侶「…」ぎゅ…
女勇者「……えへへ。僧侶ちゃん、ママみたい…」
337 :1:2009/05/17(日) 10:06:56.16 ID:XniUpB330
ガチャ
戦士「ふぅ…。ん?勇者殿はまだ寝ておられるのか」
僧侶「はい。一回起きたんですけど、眠いって」
戦士「そうか。昨日は疲れただろうしな」
僧侶「はい。戦士さんは、どこ行ってたんですかぁ?」
戦士「俺か?俺は稽古だ」
僧侶「ふぇ?!き、昨日の晩からですか?」
戦士「うむ」
僧侶「ひぇぇ…す、すごいですね」
343 :1:2009/05/17(日) 10:25:33.04 ID:DPKUg6p0O
僧侶「大丈夫なんですか?あまり無理しないで下さいよぅ…」
戦士「ああ。今日は一日この町に滞在するしな。大丈夫だ」
僧侶「でも…。ほら、怪我してるじゃないですか」すっ
僧侶「回復魔法(大)」
ぱぁぁぁ
戦士「…済まない」
僧侶「戦士さん、あまり自分を責めないで。勇者様が怪我をされたのは、戦士さんのせいじゃないですよ?」
戦士「うむ。…しかしまぁ、面白い情報も聞けたしな」
僧侶「面白い?」
戦士「ああ。たまには息抜きも必要だろう」
347 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 10:31:12.82 ID:DPKUg6p0O
戦士「この町は夜になると、カジノが開く」
僧侶「カジノ…って、なんですか?」
戦士「大衆向けの賭場だ。なかには強力な武器などの景品もあるらしい」
僧侶「へぇ、面白そうですね。勇者様の傷も癒えたし、夜になったら行きたいなぁ」
戦士「子供のうちから賭博など覚えて欲しくはないが、たまの息抜きだ。これくらい許されるだろう」
僧侶「ふふ、そうですね」クス
406 :1:2009/05/17(日) 13:24:38.82 ID:XniUpB330
【夕方】
女勇者「うーん…できないよぅ」
魔法使い「だめですよ。詠唱は魔法の初歩の初歩なんですから」
女勇者「だってぇ…魔法使いちゃん達はえいしょー?してないよ?」
魔法使い「私達も頑張って修行しましたからね。ほら、勇者様。もう一回」
女勇者「えーっと…ブツブツブツ」
ガチャ
魔法使い「あ、戦士さんに僧侶さん。お帰りなさい。どちらへ行かれてたんですか?」
戦士「うん?ちょっと下見にな」
魔法使い「下見?」
戦士「ああ。たまには息抜きも必要だろう。勇者殿、稽古はそのへんにして、遊びに行こうか」
女勇者「え?あそび!?」
412 :1:2009/05/17(日) 13:31:55.40 ID:XniUpB330
トテトテ
女勇者「ねぇ、どこ行くの?お買い物?」
戦士「いや…勇者殿は買い物が良かったか?」
女勇者「んーん。どこでも良いの。ずっと遊びに行ってないから嬉しいなぁ」
戦士「そうか…息抜きも必要だからな」
女勇者「えへへ。戦士くん、なにして遊ぼうか?」
女勇者「ボール遊びにしようかな?それとも鬼ごっこ?」
女勇者「ままごとも良いかなぁ。家族ごっこ」ニコニコ
戦士「ままごと…は遠慮しておこう」
女勇者「えー…私がお母さんで、僧侶ちゃんは子供で」
戦士「着いたぞ。ここだ」
女勇者「ここ?うわぁ…ピカピカしてるね。おっきぃ建物…」
418 :1:2009/05/17(日) 13:44:40.84 ID:XniUpB330
【カジノ】
女勇者「うっわ!すごい!人もいっぱい!」
戦士「はじめてだろう。俺も遊ぶのははじめてだ」
女勇者「私も。見るのもはじめて!」
戦士「今までためたお金で余裕もあることだしな。ほら、これで遊んでくるといい」
女勇者「わぁ、500Gも?!すごいねぇー…あ、あれは僧侶ちゃん?」
戦士「ああ、僧侶も先に遊んでいる。勝てば強い武器ももらえるようだから、頑張ってな」
女勇者「はぁい!僧侶ちゃーん」トテトテ
戦士「たまには、こういうのも悪くないだろう。俺も遊ぶか」
422 :1:2009/05/17(日) 13:49:58.98 ID:XniUpB330
女勇者「僧侶ちゃん、どう?楽しい?」
僧侶「……うぅぅ……どうして2のダブルアップでAが出るんですかぁ…ひどい…」
女勇者「ねぇ、僧侶ちゃんはなにしてるの?」
僧侶「ふぇ?!あ、ああ、勇者さま。いらっしゃったんですね」
女勇者「うん!今日は遊ぶんだって!これはなに?」
僧侶「これはポーカーと言って、配られたカードで役を作るんですよ。勇者さまもやりますか?」
女勇者「うん!教えておしえて!」
僧侶「ふふ、わかりました。ベットはどうします?」
女勇者「これ!」
僧侶「あ、500G。まだメダル買ってないんですね。じゃあ私のメダル10枚あげますから、これで勝負です」
女勇者「うん!」
424 :1:2009/05/17(日) 13:54:47.01 ID:XniUpB330
さっさっさっさっさ
女勇者「わぁ。見てみて、僧侶ちゃん。ぜんぶ一緒!」
僧侶「本当。フラッシュですね。ふふ、さすがに運がいいですぅ。ダブルアップしますか?」
女勇者「だぶる?何?」
僧侶「次のカードが、配られたカードより強いか弱いかを予想するんですよ」
女勇者「へぇ…。当てたらどうなるの?」
僧侶「もらえるメダルが倍に倍になっていくんです」
女勇者「すっごいね!やるやる!」
僧侶「はい。じゃあ、ダブルアップお願いします」ニコ
さっ
女勇者「J。見て、Jだって」
僧侶「Jは11っていう意味ですよ。ちなみにQは12、Kは13です」
428 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 13:58:44.14 ID:XniUpB330
僧侶「次のカードはどう思いますか?」
女勇者「Kだと思う!」
僧侶「へ?そうじゃなくって、上か下か…」
さっ
女勇者「ほら、Kだよ!」
僧侶「わぁ…お見事ですぅ…。もう一回?」
女勇者「やるやる!次はKより上か下かってことだよね?」
僧侶「はい」ニコ
女勇者「上!」
僧侶「…え」
さっ
僧侶「…ジョーカー…すごい」
433 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 14:02:40.52 ID:XniUpB330
・
・
・
女勇者「見てみて、こんなにいっぱい!!何枚だろうこれ?」
僧侶「1600枚…ですね」
女勇者「ねぇ、すごい?これすごい?」
僧侶「ふぇぇ……すごすぎですぅ…!!」
女勇者「はい、あげる!」
僧侶「え?えぇぇ!?」
女勇者「これ、僧侶ちゃんのだもんね。私も自分のメダル買ってくるー」
トテトテ
僧侶「あ、あはは…」
443 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 14:13:39.05 ID:XniUpB330
女勇者「すいませーん。これでメダルくださいなー」
バニーガール「あら。こんなところに来たらダメでしょうお嬢ちゃん」
女勇者「えー。いいもん。戦士くんたちと遊びにきたんだよ?」
バニーガール「保護者の方と一緒なのね。はい、交換しましょう」
女勇者「これでおねがいしまーす」
バニーガール「500Gで、25枚ね。はいどうぞ」
女勇者「ありがとー!えへへ、今日は遊ぶんだよ!」
バニーガール「ふふ、いいわね。がんばって」
女勇者「うん!さっきも当てたから頑張る!」
バニーガール「お嬢ちゃんに、運命の女神様が微笑みますように」ちゅっ
女勇者「なぁにそれ?投げキス?」
バニーガール「おまじないよ。ここではね、運命の女神様に嫌われちゃうと大変なの」
女勇者「ふぅん。ありがとー!」
トテトテ
444 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 14:17:59.45 ID:XniUpB330
トテトテ
戦士「……」
女勇者「戦士くん、どうしたの?」
戦士「俺は…自分の未熟さを猛烈に反省していたところだ」
女勇者「…どうしたの?そんな顔しないで?」
戦士「勝負事は何においても、引き際が大切だということを…なぜ失念したんだ…!」
戦士「これしきの勝負に勝てなくて、何が戦士か…!」
女勇者「そんなに落ち込まなくても大丈夫だよぉ。遊びなんでしょ?」
戦士「む?そうなのだが…」
449 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 14:26:05.32 ID:XniUpB330
女勇者「戦士くん、戦士くん」
戦士「うむ?」
女勇者「戦士くんに、運命の女神さまが微笑みますように」ちゅっ
戦士「……」
女勇者「おまじないなんだってー。知ってる?」
戦士「…勇者殿、恩に着る。もう一度立ち上がろう」
女勇者「えへへ、がんばって!」
すたすたすた
戦士「すまないが、もう1勝負。レートはさっきの倍だ」
女勇者「おー!頑張って戦士くん!」
451 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 14:32:48.37 ID:XniUpB330
女勇者「んん…いっぱいあって迷うなぁ。どれが楽しいんだろう」きょろきょろ
トテトテ
女勇者「あれ?なんだろうあの人だかり」
トテトテ
ざわざわ
がやがや
魔法使い「…スロットも面白いですね」
ガチャン!
ぐるるるるるる
ばしっ!ばしっ!ばしっ!
ギャラリー「おおおお!」
魔法使い「また揃いました…。これで元手の100倍はいったでしょうか」
じゃらじゃらじゃらじゃらじゃら
魔法使い「すみません。メダルの入れ物をもうひとつ持ってきていただけますか?」
女勇者「うわぁ…すごいなぁ、魔法使いちゃん。戦士くんに見せてあげたい」
454 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 14:37:25.09 ID:XniUpB330
・
・
・
女勇者「あー、遊んだねぇ。面白かったぁー…」
戦士「うむ。俺も良い息抜きになった」
僧侶「えー?戦士さん、すっからかんだったじゃないですかぁ」
戦士「……かたじけない」
魔法使い「勇者様はすごかったですね。運がいいのでしょうか」
僧侶「ううん。たぶん、そうじゃないと思います」
戦士「?」
僧侶「勇者様は、純粋にゲームを楽しんでましたから。私達みたいに、欲がないんですよ」
僧侶「ね。戦士さん?」ニコ
戦士「…う、うむ」
455 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 14:41:58.51 ID:XniUpB330
女勇者「見て、これ。景品でもらったの!」
戦士「これは…?」
女勇者「えっとねぇ、戦士くん用の剣でしょ?僧侶ちゃん用の盾、魔法使いちゃん用の帽子!」
僧侶「わぁ…これ、私達にくれるんですかぁ?」
魔法使い「…!」
戦士「この剣は…たしか20000枚で交換のものでは?」
女勇者「うん!戦士くんしか使えないから、あげる!」
戦士「勇者殿、自分用のものはなにかもらったのか?」
女勇者「え?あ…。えへへ、忘れちゃった」
465 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 14:59:09.28 ID:XniUpB330
女勇者「でもいいの。私、持っててもほとんど使えないから」
魔法使い「…」
女勇者「本当は、武器も好きじゃないしね。…えへへ、勇者がこんな事言っちゃ怒られちゃうかなぁ」
戦士「…すまない。ありがたく使わせてもらう。勇者殿」
女勇者「うんっ!」
戦士「さぁ、帰ろう。明日からは切り替えてまた頑張らねばな」
女勇者「そうだね!ね、戦士くん」
戦士「うむ?」
女勇者「今日は遊びにつれてきてくれてありがと!楽しかったぁ」ニコニコ
戦士「ああ。また、いつか遊びに来よう」
466 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 15:00:17.85 ID:XniUpB330
女勇者「えへへ、いつも遊んでばっかりじゃダメだけどねぇ」
僧侶「そうですね。じゃあ、こうしましょう。次は、世界が平和になってから」
女勇者「平和になってから?」
僧侶「はい。そしたら皆で、今度はゆっくり遊びましょうよ。ね?」
女勇者「そうだね!楽しみだなぁ。戦士くんも、そのときは勝てたらいいね!」
戦士「…うむ。次こそはかならず」
467 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 15:05:01.74 ID:XniUpB330
【物語終盤】
戦士「ぬりゃあああ!!!」
ばしゅっ!!
魔物を倒した。▼
女勇者「…」
僧侶「ふわぁ…。戦士さん、見る見る強くなっていきますねぇ」
魔法使い「ええ。毎日、夜遅くまで一人で稽古なさってますからね」
僧侶「すごいときは朝方まで…。尊敬しますぅ…」
戦士「大丈夫か、勇者殿?」
女勇者「うん、平気。戦士くんが強いから、私、ぜんぜん役にたてないね」
戦士「それで良い。勇者殿が戦わなくて済むのなら、それに越したことはない」
女勇者「うん…。ごめんね、勇者なのに」
471 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 15:16:56.08 ID:XniUpB330
戦士「良いんだ。さぁ、先を急ごう」
女勇者「うんっ!」
トテトテ
トテトテ
僧侶「あ…もしかして、次の目的地ってあれですか?」
魔法使い「そのようですね。世界一高い塔…」
僧侶「すごいですね。頂上がほとんど見えないです…」
戦士「ここに、最強の剣が眠っているのだな」
女勇者「みたいだね!みんな、頑張って手に入れなきゃね!」
戦士「うむ。ここの魔物は手ごわそうだ。みな、心してかかろう」
僧侶「はい!」
女勇者「はぁい!」
478 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 15:26:14.40 ID:XniUpB330
【塔】
戦士「僧侶、最後列で勇者殿のアシストをしてやってくれるか?」
僧侶「はい!」
戦士「魔法使いは俺と前線で戦ってもらうことになる。かまわんか?」
魔法使い「ええ、もちろんです。ここまで来て迷いはありません」
戦士「うむ。俺とて、命など惜しくはない。では行こう!」
女勇者「あ…戦士くん」
戦士「うむ?どうした勇者殿?」
女勇者「あのね?怒らないでね?」
戦士「なんだ?言ってみなさい」
479 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 15:28:25.62 ID:XniUpB330
女勇者「私が弱いせいだけど…でもね?私を守るために死なないで?」
戦士「!」
女勇者「命は惜しくないとか、言わないで?わたし、みんな大好きだから…」
女勇者「誰も死なないで、平和にしたいなぁ…」
女勇者「…一番弱い私が、こんなこと言ってごめんね?怒らないでね?」
戦士「いや。勇者殿の言うとおりだ」
魔法使い「…そうですね」
戦士「俺達は自分の身は自分で守れる。そして、勇者殿も守れる」
魔法使い「ええ。私達も、ここまで頑張ってきたんですから。強くなったんですよ」
戦士「だから、勇者殿はそんなことは気にしなくて良いんだ。自分の心配を一番にしなさい」
女勇者「うんっ!」
481 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 15:31:52.10 ID:XniUpB330
【2階】
戦士「さすがに…手ごわい敵が多いな。みんな無事か!?」
僧侶「はいっ!大丈夫です!」
女勇者「…うん!大丈夫…!」
魔物の攻撃!
魔物は鋭いつめを振りかざし女勇者に襲い掛かった!▼
戦士「あぶない!!!」
ガシィッ!!
戦士に51のダメージ!▼
女勇者「う…うっ…!」
戦士「ぬああああ!!!!」
戦士の攻撃!
ズバァ!!!
魔物を倒した。▼
484 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 15:36:08.53 ID:XniUpB330
女勇者「はっ…はっ…!」ドキドキ
戦士「危なかったな。もう少しでまともに食らうところだった」
女勇者「はっ…!はっ…!」
魔法使い「大丈夫ですからね、勇者様。落ち着いて、落ちついて…」なでなで
女勇者「はぁ…!はぁ…!」
魔法使い「よしよし。もう大丈夫。こわくない、こわくない…」なでなで
女勇者「んぐっ…はぁ……はぁ……」
僧侶「戦士さん、今の攻撃で、腕から血が…回復魔法(最大)」
ぱぁぁぁ
戦士「…すまない。俺もまだまだ未熟だ…」
487 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 15:42:40.23 ID:XniUpB330
【15階】
女勇者「ふぅ…ふぅ…今、何階くらいだろう…?」
戦士「たしか15階だな。勇者殿、大丈夫か?」
女勇者「ひぃ…ひぃ…だ、だいじょうぶ…!」トテトテ
戦士「辛くなったら言うのだぞ?」
女勇者「だいじょうぶ。戦闘じゃ役にたてないから…せめて、自分であるかないと…」
戦士「…」
女勇者「んしょ…よいしょ…っ」トテトテ
女勇者「あっ!?」
ドテッ
僧侶「勇者さま…!だいじょうぶ?回復魔法(小)…」ぱぁ
女勇者「…えへへ、ごめんね僧侶ちゃん。みんな、ごめんね…」
魔法使い「戦士さん。ここで休憩をとりませんか?私達も回復しましょう」
戦士「うむ。そうだな…まだまだ先は長そうだ。ここで休憩にしよう」
488 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 15:45:58.00 ID:XniUpB330
女勇者「……ねぇ、僧侶ちゃん」
僧侶「はい?なんですか?」
女勇者「回復魔法の詠唱、もう一回おしえて…?」
僧侶「え?もう一回ですか?前はどうしても出来なかったのに…」
女勇者「私だって、みんなと比べたらぜんぜんだけど、ちょっとはレベルも上がってるから…」
女勇者「だから、今ならできるかなって思って…。だめ?」
僧侶「…勇者さま、そんなに無理なさらなくてもいいんですよ?」
僧侶「魔法の詠唱は、精神力を消耗しますから…」
女勇者「でも…私がよわいせいで、皆にずっと迷惑かけてるんだよ…?」
女勇者「自分の回復くらい、自分で出来るようになりたいよぅ…」
491 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 15:49:20.14 ID:XniUpB330
僧侶「わかりました。しんどくなったら、すぐにやめてくださいね?」
女勇者「うんっ!ありがとう!」ニコ
僧侶「いいですか?ブツブツブツブツ…」
女勇者「ブツブツブツブツ…」
僧侶「そして、回復したい箇所か方向に手をかざして」すっ
女勇者「こう?これでいい?」すっ
僧侶「はい。それから、回復魔法(小)」
ぱぁぁぁ
女勇者「回復魔法(小)!!」
ぱぁ…
戦士「おお!」
女勇者「できた?ねぇ、僧侶ちゃん!今できたよね?」
495 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 15:53:37.59 ID:XniUpB330
僧侶「はい!できましたよ、いま!すごいじゃないですか!」
女勇者「えへへ、やったぁ。私も魔法使えるよ、魔法使いちゃん!」
魔法使い「ええ、見てましたよ」ニコ
女勇者「これで私も回復できるよね?戦士くん、怪我してない?」
戦士「今のところは…いや、そういえばさっき手を切ってしまったな」
女勇者「本当?私が治してあげる!」
戦士「そうか。かたじけない」
女勇者「あれ?戦士くん、自分の剣手のひらで触ったでしょー?」
戦士「うん?そうだったかな」
女勇者「えへへ、おっちょこちょいだね!いくよ?回復魔法(小)!」ぱぁ…
戦士の傷が回復した。▼
498 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 15:58:28.45 ID:XniUpB330
女勇者「嬉しいなぁ。僧侶ちゃんも魔法使いちゃんも、怪我したら私に言ってね?」
僧侶「ふふ…ありがとうございます。よろしくお願いしますねぇ」
魔法使い「私も怪我しやすいので、お願いします」ニコ
女勇者「えへへ…回復魔法(小)!」し…ん
女勇者「あれ?」
女勇者「回復魔法(小)~!」
MPが足りない。▼
僧侶「もう、勇者さまったら。はしゃいでそんなに使うから…」
女勇者「えー?もう出来ないの?もっと治してあげたいのに…」
戦士「よし。そろそろ回復も済んだだろう。あまりゆっくりもしていられない」
魔法使い「そうですね。出発しましょう」
女勇者「うんっ!」
503 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 16:08:39.67 ID:XniUpB330
・
・
・
【塔・最上階】
戦士「……ふぅ…ふぅ…」
魔法使い「やっと……最上階……」
僧侶「……もう、MPも体力も…ありません……」
女勇者「………」ふら…ふら…
戦士「…勇者殿、大丈夫か…?」
女勇者「うん……うん」ふら…ふら…
戦士「もうすぐ目的の剣があるはずだ。それまで頑張れるか…?」
女勇者「だいじょうぶ…あるけるよ…」ふら…ふら…
504 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 16:18:10.55 ID:XniUpB330
すたすた
ふら…ふら…
戦士「!あれが…あの台座に刺さっているのが」
僧侶「最強の剣…でしょうか…?」
魔法使い「綺麗……」
女勇者「……わぁ……」
僧侶「やっと、ここまで来ましたねぇ…」
戦士「うむ。かなり厳しい戦いだった。さぁ、勇者殿」
女勇者「…ふぇ?」
戦士「早くあの剣を手に入れよう」
女勇者「え……わたし?」
506 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 16:23:43.42 ID:XniUpB330
戦士「うむ。もちろんだ」
僧侶「私達は、ここまで勇者さまについて来たんですから」
魔法使い「どうぞ、勇者さま」
女勇者「でも…わたしじゃ、使えないから…戦士くんが取って?」
戦士「…勇者殿が頑張ったから、俺達はここまで来れた」
戦士「たまには、自分に褒美をあげてやってくれないか」
女勇者「…うん。じゃあ、私が取るけど…。戦士くんにあげるね?」
戦士「もし使えないようならそうしよう。だがな、勇者殿も強くなっている」
女勇者「そうかなぁ…?」
戦士「ああ。さっきも、初めて魔法が使えたではないか」
女勇者「……そっか。そうだねぇ。じゃあ、取ってくる」
ふら…ふら…ふら…
女勇者「ホントに…綺麗な剣だなぁ…。なんか、見てると悲しくなる…」
すっ
シャキン!
507 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 16:28:26.00 ID:XniUpB330
女勇者「!」
戦士「おお…。抜けば、より一層美しい…」
女勇者「うわぁ…軽い」
びゅっ
僧侶「え?あんなに大きい剣が、軽い…?」
女勇者「うん。なんだか、羽根を持ってるみたい。すごく軽いよ…?」
びゅんっ!
魔法使い「これが、最強の剣…。すごいですね」
戦士「ああ。だが…」
魔法使い「…?」
戦士「なんだ…?あの剣を見ていると、なぜか悲しくなるような…」
女勇者「わぁ。見てみて、戦士くん。わたしにも剣が振れてるよっ」
びゅんっ!
びゅんっ!
510 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 16:32:11.22 ID:XniUpB330
女勇者「でも…わたし、こんな剣持ってていいのかな…?弱いのに…」
戦士「もちろんだ。勇者殿も、ここまでともに戦ってきたではないか」
女勇者「…ねぇ、戦士くん?」
戦士「む?」
女勇者「やっぱり、この剣は戦士くんが使ったほうがいいよね?」
戦士「いや。俺には、勇者殿からいただいたこの剣がある」
女勇者「でも、きっとこの剣の方が強いよ…?」
戦士「良いんだ。勇者殿にはこの剣は触れないし、俺もこの剣に愛着があるからな」
戦士「その最強の剣は、勇者殿が使ってくれ」
512 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 16:36:15.22 ID:XniUpB330
女勇者「…わかった。でも、最強の剣も、私が使ったら最強じゃなくなっちゃうね」
戦士「…」
女勇者「そうだ!」
戦士「む?」
女勇者「この剣、戦士くんが私に使わせてくれたから…戦士の剣にしよう」
戦士「戦士の剣…?名前をか?」
女勇者「うん。かっこいいでしょ?」
戦士「うーむ…。そうか…?」
僧侶「ふふ、いいじゃないですか、戦士の剣。勇者様がそうしたいなら」
戦士「うむ。そうだな」
女勇者「えへへ…よろしくね、戦士の剣!」
女勇者は戦士の剣を装備した。
女勇者 戦士の剣 E
攻撃力 14 → 109
517 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 16:43:16.31 ID:XniUpB330
【最後の町】
トテトテ
女勇者「ここが、魔王の城までの最後の町だねぇ」
僧侶「そうなりますね。しっかり準備を整えましょうね、勇者様」
魔法使い「戦士さん。今日には出発しないんですよね?」
戦士「うむ。今日は一日休養をとって、明日万全の態勢で挑もう」
女勇者「きょうはお休み?」
戦士「ああ。とりあえず今日はこの町をゆっくり散策しよう」
女勇者「うん!」
518 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/17(日) 16:47:38.87 ID:XniUpB330
魔法使い「では、私と僧侶は宿を取ってきますね」
僧侶「戦士さんと勇者さまは、お食事が出来そうなところを探しておいてくれますか?」
女勇者「はぁい」
戦士「了解した。行こう、勇者どの」
女勇者「うんっ!」
トテトテ
トテトテ
女勇者「わぁ…いろんなお店があるねぇ」
戦士「そうだな。最後も近い分、強力な武器や防具も揃っているのだろう」
女勇者「へぇ…でも、私はこの剣があるから武器はあらないね!」
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