女勇者「勇者になんて、生まれたくなかったんだよ?」 前編

5 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/17(日) 23:39:50.36 ID:XniUpB330
トテトテ

女勇者「ねぇ、晩御飯はどこで食べるの?」

戦士「うむ。勇者殿は何が食べたい?」

女勇者「んっと…なんでも良いけどねぇ」

戦士「明日になれば魔王の城に出発だ。今のうちに好きなものを食べておこう」

女勇者「うん!じゃあね、私…カレー食べたいなぁ」

戦士「よし。カレーならばさっき見た店にあったな。そろそろ戻るか」

女勇者「戻る?宿に?」

戦士「うむ。僧侶達も宿を取って待ってくれているはずだ」

女勇者「うんっ!」


9 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/17(日) 23:42:28.54 ID:XniUpB330
【宿】

女勇者「ただいまっ!」

僧侶「おかえりなさい。ご飯食べるお店は決まりましたか?」

女勇者「うん!さっき見たお店で、カレーが美味しそうなの」

僧侶「ふふ、勇者様はカレー大好きですもんね」ニコ

女勇者「えへへ…僧侶ちゃんも好きでしょ?」

僧侶「はい。もちろん大好きですよ」

戦士「あまり遅くなってもいけない。そろそろ行こうか」

僧侶「はぁい」

魔法使い「そうですね。行きましょう」


12 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/17(日) 23:46:11.21 ID:XniUpB330
【店】

女勇者「いただきまぁす!」はむっ

僧侶「ふふ、勇者様。そんなにあわてなくても大丈夫ですよ」

女勇者「わぁ。このカレー、ふっごくおいひいよ!」もきゅもきゅ

魔法使い「勇者様。お口にものを入れて喋ってはいけませんよ?」

女勇者「ごめんなさぁい…。でも、魔法使いちゃんも食べてみて?」

魔法使い「ええ。いただきます」 すっ ぱくっ

魔法使い「…本当。すごく美味しいですね」

女勇者「ね?美味しいでしょ?」



僧侶「戦士さん、少しお話があるんですが…よろしいですか?」

戦士「む?どうした僧侶」


15 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/17(日) 23:48:54.16 ID:XniUpB330
僧侶「さっき、この町の方に聞いたんですが…」

戦士「…あまりいい知らせではなさそうだな」

僧侶「ううん。そういうわけじゃないんです…」

戦士「?」

僧侶「魔王との戦いについてなんですけど…」

戦士「なにか問題でもあるのか?」

僧侶「勇者様のことなんです。戦士さん、こんな話を聞いたことありませんか?」

戦士「…なんだ」

僧侶「勇者様にしか使えない、魔法のことです」


20 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/17(日) 23:53:45.42 ID:XniUpB330
戦士「いや、聞いたことがない…。詳しく聞かせてくれ」

僧侶「そのぅ…なんでも、魔王を倒すには、勇者様のその魔法が必要なんだとか…」

戦士「…それは、たしかな情報なのか」

僧侶「わかりません。ただ、ここの町の広場で聞いたお話なんです。詩人さんみたいでしたけど…」

戦士「…しかし、勇者殿はあの状態だ。今日になってやっと回復魔法が使えるようになったような…」

僧侶「それなんですけど…」

戦士「うむ?」

僧侶「私、思うんです…。もしかしたら、勇者さまがここに来て魔法を使えるようになったのは、偶然じゃないのかも…」

戦士「…その魔法を覚えて、そして使えるようになるために…ということか」

僧侶「そうです。私の思い過ごしだといいんですけど…」


23 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/17(日) 23:57:50.20 ID:XniUpB330
戦士「…しかし、勇者殿はまだその魔法を使えるわけではないのだろう?」

僧侶「はい。でも、聞いた話では…この町には祠があって…」

僧侶「そこで、その魔法と関係のある何かがあるって…聞いたんですぅ…」

戦士「……」

僧侶「戦士さんは、どう思いますか?」

戦士「…俺は魔法のことはさっぱりわからない。だが、僧侶が塔で言っていたような…」

僧侶「精神力を消耗する…ですね。はい、もちろん…」

僧侶「それが強力な魔法であればあるほど、身体の負担は大きくなります」

戦士「その魔法は、魔王を倒すためには必ず必要なのか」


28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 00:02:27.48 ID:Se5xjmHY0
僧侶「必ずという訳ではありません。話では、魔王の力を抑えるとしか言っていませんでしたし…」

戦士「…そうか」

僧侶「…どうしたらいいですか?勇者さまにお話します?」

戦士「いや。やめておこう」

僧侶「ふぇ?」

戦士「俺達も十分に強くなったはずだ。勇者殿に負担をかけずとも、必ず勝てる」

僧侶「…!そうですよね!」

戦士「旅立つときに、俺達は約束しただろう。必ず勇者様をお守りすると」

僧侶「はいっ。魔法使いちゃんも、戦士さんと同じことを言ってました」

戦士「そうか…。魔法使いも、言わないでおこうと?」

僧侶「はい。みんな、やっぱり考えることは同じなんですね」

戦士「当然だ。ここまで苦楽をともにしてきた仲間なのだからな」


35 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 00:07:03.40 ID:Se5xjmHY0
女勇者「ねー、二人ともなんのお話してるの?」

戦士「うん?明日、頑張ろうという話をしていたんだ」

僧侶「はいっ。明日、必ず魔王を倒しましょうね!」

女勇者「うんっ!頑張る!私も、一生懸命てつだうからね!」

戦士「…無理だけは、絶対にしてくれるな。いいな?」

女勇者「むぅ…私だって強くなったんだよ?ほら、戦士くんの剣だってあるんだから」

戦士「ああ、そうだったな。…明日は、必ず皆で勝とう」

女勇者「そうだね!誰も欠けないで、平和を取り戻そうね!」

戦士「うむ。そのためにも、今日はしっかり食べて早く寝るんだぞ?」

女勇者「はぁい!」ニコ


39 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 00:11:04.99 ID:Se5xjmHY0

女勇者「ふぃぃ…もうお腹いっぱい…」ぽふぽふ

僧侶「私もですぅ…えへへ、ちょっと食べすぎちゃったかな」

魔法使い「ふふ、決戦前はそれくらいでちょうどいいですよ」

戦士「よし…そろそろ宿に戻ろうか」

女勇者「うんっ!」

戦士「すまん、会計を頼む」

店員「かしこまりました。4名さま、420Gになります」

女勇者「ごちそーさまー!」

店員「はい、ありがとうございました。ご健闘をお祈りしております」ニコ

女勇者「うんっ!ありがと!頑張ってくるね!」ぶんぶん

ガチャ

バタン


43 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 00:14:42.17 ID:Se5xjmHY0
トテトテ

トテトテ

女勇者「ねぇ、戦士くん」

戦士「うん?どうした?」

女勇者「明日勝ったらねぇ、約束してたの、行こうね?」

戦士「約束?」

女勇者「もー!忘れたの?」

戦士「ああ、カジノの話か。もちろん覚えている」

女勇者「そうだよぉ。平和になったら、またみんなで遊びに行くって約束したもん」

戦士「そうだったな。その約束、果たすためにも…明日は勝とう」

女勇者「うんっ!」ニコ

44 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 00:16:55.00 ID:Se5xjmHY0
トテトテ

女勇者「?」

魔法使い「どうしましたか、勇者様?こんな広場で立ち止まって」

女勇者「…?誰か居た?」

魔法使い「はい?」

女勇者「…んーん。誰かが見てるかと思ったの」

魔法使い「夜とは言えまだ早いですからね。人通りもありますよ」

女勇者「うん、そうだね。早く宿にもどろっ!」

トテトテ

トテトテ


50 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 00:20:32.30 ID:Se5xjmHY0
【宿】

女勇者「それじゃあ…おやすみなさぁい」

戦士「ああ、お休み。ゆっくり休みなさい」

魔法使い「明日はいよいよ決戦ですからね。万全の態勢で臨みましょう」

僧侶「そうですね。勇者さま、それじゃあ…いらっしゃい」

女勇者「えへへ…」もぞもぞ

僧侶「ふふ、甘えん坊さんですね」

女勇者「だって…僧侶ちゃん、ママみたいだもん」

僧侶「それは、喜んでいいのかなぁ…?」

女勇者「えへへ、お休み!」

僧侶「はい、おやすみなさい…」ニコ

51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 00:25:11.94 ID:Q3ixRqAI0 ?2BP(1450)

寝なきゃならんのに・・・ならんのに!

52 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 00:25:15.03 ID:Se5xjmHY0

ポロン…

女勇者「……ん」

女勇者「…ん~……」むく

女勇者「まま…?」ごしごし

ポロン…

女勇者「……何の音だろ…」

女勇者「…なんだろう?楽器…みたいな音…」

ポロン…

女勇者「……?……」すっ

女勇者「ふしぎ…なんだか、きもちいい音…」

トテトテ

トテトテ


57 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 00:33:58.49 ID:Se5xjmHY0
【最後の町・広場】

ポロン…ポロン…

女勇者「誰だろう?こんな夜中に…?」

トテトテ

トテトテ

詩人「…」ポロン……ポロン…

女勇者「お姉ちゃん、誰?こんな夜に何してるの?」

詩人「…」ポロン…ポロン…

女勇者「みんな起きちゃうよ?ねぇねぇ」

詩人「…大丈夫」

女勇者「?」

60 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 00:48:54.13 ID:Se5xjmHY0
女勇者「…お姉ちゃん?」

詩人「あなたに届けたい詩があったのです。こんな夜更けに失礼しました…」

女勇者「うた…?」

詩人「繰り返し、詠い継がれる詩を…」

詩人は静かに目を閉じ、女勇者に詠い聞かせた。▼


ポロン…

一人の少女を中心に

昼と夜が続くように

求める正義は廻り続ける




63 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 00:51:09.92 ID:Se5xjmHY0

女勇者「…お姉ちゃん、詩上手だねぇ」

詩人「ありがとう…。この詩を綴ったのは、一人の少女」

女勇者「?」

詩人「魔王を倒しに行くのでしょう?」

女勇者「うんっ。明日、皆で出発するの!」

詩人「この詩では…少女は祠へ向かう」

女勇者「ほこら?」

詩人「そう…。行きなさい。あなたの大切なものが、そこにある…」

女勇者「…?」

詩人「あなたの大切なものの一つ。それが全てではないけれど…」

詩人「…答えを構成する一つの要素。それだけでは不完全」

女勇者「うーん。よくわかんないけど…ありがとう!行ってみるね!」

詩人「…」ニコ


68 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 00:57:35.81 ID:Se5xjmHY0
【祠】

トテトテ

女勇者「うわぁ…こんなところがあったんだぁ」

女勇者「なんだろう?さいだん?」

トテトテ

女勇者「……あのおねえちゃんが言ってた、大切なもの…って、なんだろう?」

女勇者「…」

『守るべきものを守る力…』

女勇者「なんだか…声が聞こえる…?」

女勇者「誰だろう…?」


70 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 01:01:23.34 ID:Se5xjmHY0
『欲するものは…?』

女勇者「え?」

『欲するものは?』

女勇者「えっと……わかんない。ここに来いって言われたから…」

女勇者「私は…」

『…魔王を倒したいか』

女勇者「うんっ!」

『…仲間を守りたいか』

女勇者「うんっ!」


77 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 01:10:46.55 ID:Se5xjmHY0
女勇者「えっとねぇ…。私は、なにより皆をまもりたいなぁ」

女勇者「…今までずっと、私が弱いせいで…迷惑かけちゃったから」

女勇者「だから、私は…強さよりも、みんなを守る力がほしい!だめ?」

『…ならば授けよう』

女勇者「ありがとう!」

『力を伴わない正義は虚しい』

女勇者「ふぇ?」

『心だけでは、誰も救えない』

女勇者「……?」

『心しておくが良い…』

『……勇者よ、力を授けよう。勇者にのみ許される、究極の魔法を』

ぱぁぁ……

女勇者「…!」


女勇者は自己犠牲回復魔法を覚えた。▼


83 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 01:15:09.51 ID:Se5xjmHY0
【翌朝】

女勇者「…!」ぱち

僧侶「…すぅ……すぅ…」

女勇者「…あれ?朝…?」

女勇者「詩人のお姉ちゃん…?あれ?魔法は…?」

女勇者「……?」

女勇者「夢だったのかなぁ…」


85 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 01:18:31.91 ID:Se5xjmHY0
女勇者「でも、こんなにはっきり覚えてる」

女勇者「大切なものがそこにある…?なんだっけ」

女勇者「えっと…。力がない正義は虚しいだっけ?ん…心では誰も救えない?」

女勇者「うぅん…なんだったんだろう?」

僧侶「…ん…」

女勇者「あ、僧侶ちゃん。おはよ」

僧侶「ふあぁ…勇者さま?あれ…今日は早いですねぇ…」ごしごし

女勇者「うん。なんだか目が覚めちゃった」


89 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 01:23:21.02 ID:Se5xjmHY0
女勇者「えへへ、今日は私の方が早起きだったねぇ。おはよ」

僧侶「ふふ、負けちゃいましたぁ…おはようございます」ニコ

戦士「む。起きたか、二人とも」

魔法使い「おはようございます」

女勇者「うん!おはよう!戦士くんも魔法使いちゃんも早起きだねぇ」

魔法使い「ええ。もう日課のようなものですから」

戦士「俺も早朝稽古にな。もう日課だ」

女勇者「すごいなぁ。戦士くん、どんどん強くなっていくもんね」

戦士「…うむ。それも全て、今日という日のためだ」

魔法使い「いよいよですね…!」


99 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 01:30:20.05 ID:Se5xjmHY0
戦士「最後に確認しておこう。装備は十分か?」

僧侶「はい。大丈夫ですぅ」

魔法使い「問題ありません。勇者さまは?」

女勇者「うんっ!大丈夫!これでいいよ!」

戦士「よし!では行こう」

女勇者「ねぇ、みんな!」

僧侶「はい?どうしましたか?」

女勇者「ぜったい、ぜったい!誰も欠けないで、帰ってこようね!」

戦士「うむ。当然だ」

女勇者「それから、みんなでまた一緒にカジノ!ね?」

魔法使い「ふふ、そうですね…そのためにも、頑張りましょう」

女勇者「うん!では、出発ぅ!」


107 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 01:41:44.17 ID:Se5xjmHY0
【魔王の城】

女勇者「……」ごく…

戦士「大丈夫か?勇者殿」

女勇者「え、えへへ…ちょっとだけ怖いかな…」

戦士「心配するな。俺が居る」

女勇者「!」

戦士「僧侶も、魔法使いもだ。俺達は強くなった。もちろん勇者殿もだ」

女勇者「うん…!そうだね。しっかりしなきゃ!」

戦士「俺が必ずお守りする。安心するといい」

女勇者「ありがとう、戦士くん。私も頑張って手伝うからね!」

戦士「ああ。俺はこの日のために、強くなってきたつもりだ。任せてくれ」

女勇者「えへへ…かっこいいね、戦士くんは」

戦士「…勇者殿をお守りすると誓ったからな。しかも、自分の命を犠牲にすることなく…だろう?」

女勇者「うんっ!!」

109 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 01:47:11.93 ID:Se5xjmHY0
戦士「この長く続く通路も、相手に不安感を与えるためのものだ。敵の策略にまんまとはまってやることはない」

女勇者「ふぇぇ…そんな意味があったんだぁ」

魔法使い「確かに、同じ景色が繰り返していると不安になりますね」

戦士「うむ。しかし、逆に考えてみろ。敵は我々に恐怖を感じて欲しいと思っているんだ」

魔法使い「!」

戦士「万全の状態で来られたくないと。敵の力量も我々と同等、もしくは俺達のほうが上だという証拠だ」

僧侶「そ、そうですね。ちょっとでも気休めになりますぅ…」

戦士「気は抜かないようにな。一本道は挟み撃ちされやすい」

僧侶「は、はさみうち!?」

戦士「うむ。しかし今の俺達ならば、並みの魔物に前後から襲われてもどうということはない」

僧侶「…そっかぁ。私達も、強くなってるんですもんね!」

112 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 01:53:05.85 ID:Se5xjmHY0
戦士「もうずいぶん歩いたが、敵の動きはないな…」

僧侶「そろそろかも知れませんね。準備しておかなきゃ…」

女勇者「…」トテトテ

魔法使い「…勇者様、どうかしましたか?先ほどから静かですが…」

女勇者「なんだろう…?怒ってる」

戦士「?」

女勇者「すごく悲しい気持ちで、私を怒ってる…」

魔法使い「…なにか、見えるんですか?」

女勇者「んーん。そうじゃなくって…誰だろう?会ったことあるひとだよ」

僧侶「……?」

コツ…

コツ…

コツ…


戦士「…!気をつけろ。前から来るぞ!」


115 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 01:55:32.07 ID:Se5xjmHY0
魔物「お久しぶりですね」

コツ…

コツ…

戦士「な!?」

僧侶「あ…あなたは……!」

魔法使い「どうしてここに…!?」

女勇者「え?え?…?」


魔物「覚えていただけたんですね。私は忘れもしなかった」

魔物「あなたたちに復讐するこの日を、夢にまで見ましたよ」

魔物「父を殺され、町を滅ぼされた恨みを、今ここで晴らしましょう」

魔物「私の町を滅ぼし、今もまだのうのうと世界平和を謳い続けるあなたたちを」

魔物「世界中の人々が許しても…あなたたちを自分を許しても」

魔物「私が、許させはしません」

119 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 02:01:25.26 ID:Se5xjmHY0
女勇者「あの時の…女の子?いけにえの…?」

魔物「そう。あなたが魔物の手から救い出してくれた、いけにえですよ」

魔物「貴方たちが去ってから数日、私たちの町は魔物に襲撃を受けました」

女勇者「違うんだよ?あのね?私は、ただ…」じわ…

魔物「黙ってください。見苦しい言い逃れなど、聞きたいわけではありません」

女勇者「私はただ……いけにえが…死んじゃうのが嫌だったんだよぅ…」ぽろぽろ

魔物「その…幼い、身勝手な正義のせいで…!!!」

魔物「男は殺され!!女は嬲られ!!!それはもう、見るに耐えない光景でした…!!」

魔物「私もあなたたちを呪いながら、死を覚悟した時…」

魔物「私にとって神にも見えるお方から、チャンスをいただいたのです…」

魔物「この惨事を招いた元凶に復讐するチャンスを、いただいたのです…!!」

女勇者「…う…ひぅ…ご、ごめんなさい…!!ごめんなさい…!!」ぽろぽろ



123 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 02:05:30.42 ID:Se5xjmHY0
女勇者「ごめんなさい…ごめんなさいぃぃ…!!」ぽろぽろ

魔物「あなたが泣いて悔やんだところで…父も、皆も、戻っては来ない…」

魔物「覚悟してください…!」

戦士「いかん!勇者殿!!!俺の後ろに下がっていろ!!」ぐいっ

女勇者「きゃぁ…っ!?」

戦士「魔法使い、僧侶!止むを得ない!行くしかない!」

女勇者「待って!戦士くん、まってよぅ!!」

魔物「ぐおぉぉおおおおおおお!!!!!」

戦士「うおおおおおぉおおお!!!!!」

ガキィン!!!


127 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 02:10:24.39 ID:Se5xjmHY0
僧侶「勇者様…我慢して…!」

戦士「ぬりゃああああ!!」

戦士の攻撃!

ズシャアア!!!

魔物に192のダメージ!▼

戦士「…勇者殿には、指一本触れさせんっ!!」

魔物「ぐぅ…!!…ぐがぁぁ!!!」

魔物は大きく息を吸い込み、火炎を吐き出した!

ぶぉぉぉぉぉ!!!

戦士「くっ…!」

戦士は29のダメージ!

魔法使いは86のダメージ!

僧侶は97のダメージ!

戦士は女勇者をかばった!

戦士は21のダメージ!▼

129 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 02:16:28.03 ID:Se5xjmHY0
魔法使い「冷気魔法(最大)!!」びゅおおおお!

僧侶「全体回復魔法(中)!」ぱぁぁぁ

戦士「ぬりゃあああ!!!」ばしゅ!!

女勇者「あぁ…うわぁ……!」

魔物「………ぁ……」

戦士「…はぁ…はぁ…。もう動けんようだな…。僧侶…」

僧侶「は、はい!」

戦士「…勇者殿に見せたくない…」

僧侶「…」こく

女勇者「いやだ…いやだよぅ…!」

女勇者「ねぇ、人を殺すの?私たち、世界の平和を取り戻すんだよ?なんで…」

僧侶「…ごめんなさい…!睡眠魔法(最大)…」

女勇者「…人を殺すの……?やめて…あげて……」

女勇者「………」

女勇者は眠ってしまった。▼


133 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 02:23:09.96 ID:Se5xjmHY0
戦士「……すまない」

魔物「パパぁ……パパぁ…!」

僧侶「うっ……うぅ…」ぽろぽろ

魔法使い「……」

魔物「ぐ……ぐがぁぁ!!」ばしっ!

戦士に4のダメージ!▼

戦士「…許しては……くれないのか」

魔物「許さない……!!!絶対に許さない…!!」

戦士「……」

戦士は剣を魔物に振り下ろした。

魔物「ぎ…あ……ぁ」

魔物「……ぱ……ぱぁ」

魔物を倒した。
10032の経験値を獲得。
戦士のレベルが上がった!
魔法使いのレベルが上がった!
僧侶のレベルが上がった!▼

142 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 02:35:34.17 ID:Se5xjmHY0
女勇者「…ん」ぱち

戦士「…起きたか、勇者殿」

女勇者「……!」がばっ

女勇者「…あの子は…?ねぇ、あの子は…?」

戦士「勇者殿。あの子は、倒さなければならなかった。わかってくれ」

女勇者「……そんな…いやだよぅ…」

僧侶「…」

女勇者「どこに…どこに居るの…?」

戦士「…あそこだ。見ないほうがいい」

女勇者「いや!!」

戦士「…勇者殿。先を急ごう」すっ

女勇者「離して!このままなんて行けないよぅ…!」

戦士「勇者殿…!」

女勇者「離してっ!!!」

戦士「…!」ぱっ


144 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 02:38:44.50 ID:Se5xjmHY0
女勇者「…」たったった

魔物「   」

女勇者「…う……」

魔物「   」

女勇者「ごめんね?本当にごめんね…ごめんなさい…」

魔物「   」

女勇者「ごめんなさい…」ぽろ…

魔物「   」

女勇者「ごめんなさい!ごめんなさい!…うわぁぁぁん!!」ぽろぽろ

魔物「   」

女勇者「ああああああぁん!!うぇぇええん…」ぽろぽろ

148 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 02:42:59.37 ID:Se5xjmHY0
魔法使い「……勇者様」

女勇者「えぅ…えぐ……」ぽろぽろ

魔法使い「…こうするしかなかったんです…わかってください…」

女勇者「…わか…ってる…」ぽろぽろ

魔法使い「え…?」

女勇者「だから……私も…ちゃんと…」ぽろぽろ

女勇者「私がしたことを、責任を…ちゃんともって行くの…!」

戦士「!」

女勇者「……私だけ、見ないでなんて行けない…」

女勇者「皆だけじゃなくて、私も…ちゃんと……」

女勇者「私は……勇者なんだから……」

僧侶「勇者さま…」ぽろぽろ

152 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 02:48:25.74 ID:Se5xjmHY0
女勇者「…ごめんね。もう大丈夫」ぐしぐし

戦士「…もう少し休んで行こう。まだ落ち着いていないだろう」

女勇者「んーん。平気。泣いちゃってごめんなさい」

僧侶「…」ふるふる

女勇者「…うん、大丈夫。みんな、行こっ!」

戦士「…勇者殿…。うむ、そうだな。先を急ごう」

女勇者「うんっ!早く、戦いをおわらせようね!」

女勇者「もう、この子みたいな思いをする人は、いやだもん…」

魔法「…そうですね。もうこんな思いをする人を出さないためにも、急ぎましょう」

すたすた

トテトテ

241 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 11:27:42.52 ID:QkoGcofM0
女勇者「…早く、魔王を倒さなきゃ…!」

すたすた

トテトテ


魔王の側近「くっくっく。お待ちしておりましたよ」

女勇者「!」

魔王の側近「まさかあなた達があの半人半魔を倒してしまわれるとは…」

魔王の側近「あの娘には相当の実力を与えたと思っていたのですがね」

女勇者「まさか、あの子を魔物にしたのって…」

魔王の側近「いかにも。あなた達人間もなかなかに非常な生き物のようですね」

魔王の側近「それとも…やはり半魔の出来損ないには貴方達の相手は務まらなかったか…」

戦士「貴様!!」ぎり…!

僧侶「許せない…!!!」ぐっ

魔法使い「…あの子の命を、純粋な心を弄んだ…!」

女勇者「……!」わなわな

244 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 11:33:54.82 ID:QkoGcofM0
魔王の側近「くっくっく。何を怒っているのです?貴方達がしたことは正しい」

女勇者「…」

魔王の側近「今までも何千もの魔物を殺してきたではありませんか?」

魔王の側近「それが、貴方達の言うところの『正義』なのでしょう?」

女勇者「!」

魔王の側近「さぁ、かかっておいでなさい。私が、その愚かしい正義を打ち砕いてみせましょう」

女勇者「…許せない」じわ…

戦士「勇者殿」

女勇者「許せない…!許せないよぅ…!!」ぽろぽろ

魔王の側近「はぁっはっはっは!!勇者が、怖気づいて泣くのですか?」

女勇者「…どうしよう、戦士くん…!あいつが憎いよ…!!憎い…!」ぽろぽろ

戦士「…俺もだ」

女勇者「こんな気持ちが…!!正義なの…!?だって、私ね…こんなにも、あいつを…!!」ぽろぽろ

245 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 11:38:38.08 ID:QkoGcofM0
女勇者「こんな気持ちになるのが…正義なの…!?」ぽろぽろ

戦士「勇者殿。正義とは、正しいことを正しいと信じることだ。言っただろう」

女勇者「でも…でもぉ…!!」ぎりぎり

戦士「自分の正義を疑うな。もう二度と、あの子のような思いをさせたくないんだろう」

女勇者「…!」

戦士「今は戦うしかない。心を決めろ、勇者殿」

女勇者「…うん!あいつを……倒さなくちゃ…!」

魔王の側近「くっくっく。泣き言は終わりましたか?」

戦士「外道め…!」

魔王の側近「では…はじめましょう。魔王様には、指一本触れさせません!」


魔王の側近は両手を掲げて詠唱を始めた。
悪の気が側近の両手に集まっていく!▼



247 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 11:45:15.57 ID:QkoGcofM0
僧侶「なんて邪悪な気…!!びりびりしますぅ…!」

魔法使い「いけない…!僧侶さん、みんなに防御魔法を!」

僧侶「はい!」

僧侶は目を閉じ、詠唱をはじめた。▼

僧侶「ブツブツブツブツ……!」

魔王の側近「くっくっく。遅い!」

魔王の側近は溜まった邪気を戦士たちめがけて解き放った!

魔王の側近「暗黒魔法(最大)!!」

ぶぉぉぉぉん!!!

僧侶「ひ…!」

魔法使い「巨大すぎる…!!戦士さん、全体魔法ですっ…!」

戦士「いかん!!勇者殿、俺の後ろへ!!」ぐいっ

女勇者「ひゃぁ…!」




249 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 11:49:22.86 ID:QkoGcofM0
僧侶に103のダメージ!

僧侶「あああああぁっ!」

魔法使いに89のダメージ!

魔法使い「うっ…!!」

戦士に70のダメージ!

戦士は女勇者をかばった!

戦士に81のダメージ!▼

戦士「ぐああああああ…!!」

女勇者「…!!」

魔王の側近「くっくっく。他愛もない。勇者が仲間に庇われているような様では勝負は見えましたね」

女勇者「戦士くん、大丈夫?戦士くん!」

戦士「あ、ああ…問題ない」

女勇者「…回復魔法(小)!」ぱぁぁ

戦士のHPが21回復した。▼

250 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 11:55:28.08 ID:QkoGcofM0
戦士「俺のサポートはかまわん!勇者殿はとにかく自分の身を守ってくれ」

女勇者「でも…!戦士くん、腕が…!」

戦士「大丈夫だ。まだ剣は握れる」

女勇者「…!」

戦士「僧侶!サポートを頼む!いくぞ、魔法使い!」

魔法使い「はいっ!」

僧侶「ブツブツブツ…!」

僧侶「主よ、悪しき者の纏いし衣を剥ぎ取り給え!」

僧侶「守備力低下魔法(大)!」

ひゅうん…

魔王の側近「くっ…!」

戦士「ぬぅおおおおおお!!」

戦士の攻撃!

ごしゃああああ!!

魔王の側近に212のダメージ!▼


252 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 12:00:02.25 ID:QkoGcofM0
魔法使い「火炎魔法(最大)!!冷気魔法(最大)!!」

魔王の側近「な…!?同時に…!?」

魔法使い「爆発魔法(最大)!!」

魔王の側近に256のダメージ!

魔王の側近「ぐぁぁ…!!」ふらっ…

戦士「よし!たたみ掛けろぉ!!!」


魔王の側近を倒した。▼


263 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 12:20:08.88 ID:QkoGcofM0
戦士「はぁ……!はぁ……!」

女勇者「大丈夫…?ねぇ、だいじょうぶ?」

戦士「うむ…。勇者殿は、怪我はないか…?」

女勇者「私は平気だよぅ。でも、戦士くんも僧侶ちゃんも、怪我が…」

僧侶「えへへ、私は平気ですぅ。これくらい慣れっこですから」

女勇者「でも…痛いでしょ?血がいっぱい…」

僧侶「これくらいの傷なら、治りますから…。勇者様、腕にお怪我が…」

女勇者「え?これくらい平気だよ。ちょっと火傷しちゃっただけだから」

僧侶「いけませんよ。すぐに治療しないと。腕を出してください」すっ

女勇者「だめ…。先に戦士くんと、僧侶ちゃんの怪我を…」

僧侶「良いんですよ。勇者様をお守りするのが最優先ですから」ニコ

女勇者「でも…」

僧侶「回復魔法(中)」ぱぁぁ


269 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 12:25:56.03 ID:QkoGcofM0
女勇者「…どうして、最初に私の回復なの?」

僧侶「私たちは、勇者様を無事にお守りすること誓いましたからね」

女勇者「私、なんにも役に立ててないのに…。なんで…?」

戦士「勇者殿。それは気にすることではない」

女勇者「戦士くん…?」

戦士「勇者殿は、俺たちと違って望んで戦っているわけではない」

女勇者「…戦士くん達は、好きで戦ってるの?」

戦士「そうではない。俺達は、逃げたければ逃げられるのだ」

女勇者「…」

戦士「勇者殿は、そうではない。いわば正義を強制された人」

戦士「その年にして、戦うことを義務付けられた人。勇者であるがゆえに」

女勇者「私だって、義務だから戦ってるわけじゃないもん…」

戦士「それでもだ。俺達は、そんな勇者殿をお守りするためにここまで貴女についてきた」


273 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 12:33:32.21 ID:QkoGcofM0
魔法使い「勇者様がもし勇者として生まれなければ、ここい居ることはなかったでしょう?」

女勇者「…それは」

魔法使い「もしもの話をしても仕方がないですが…」

魔法使い「普通にお母様のもとで、毎日を平穏に送れたかもしれない…普通の少女として」

女勇者「…普通の女の子として…」

魔法使い「いつか言っていたでしょう?普通の女の子だったらなぁ…って」

女勇者「…うん。でも、もしそうだったら、こうしてみんなと一緒に居られなかったもん…」

魔法使い「そうですね。でも、こうして私達は出会えた」

魔法使い「勇者様が私達を仲間だと思ってくれるのであれば…」

女勇者「うん!もちろんだよ。戦士くんも、僧侶ちゃんも、魔法使いちゃんも…みんなやさしい仲間!」

魔法使い「ふふ、ありがとうございます。ですから、私達は…」

魔法使い「せめて、この旅が終わってからは、普通の女の子として生きてもらいたい」

魔法使い「だからこそ、私達は貴女をお守りするのです」

女勇者「…魔法使いちゃん」


276 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 12:44:01.43 ID:QkoGcofM0
僧侶「えへへ…だから、勇者さまは心配しなくても良いんですよ」

女勇者「そう…なのかなぁ」

僧侶「そうですよぅ。だって、私達は勇者さまをお守りするために集まったんですから」ニコ

戦士「うむ。そして、俺達はそのために強くなった」

戦士「魔王と戦えるほどに。それはきっと…」

戦士「魔王を倒すためよりも、勇者殿を守るためだ」

女勇者「私を守るために…強くなったの?」

戦士「そうだ。わかってくれるな?」

女勇者「うん。わかった!…みんな、本当にありがとうね…」

女勇者「弱い私なんかに、ここまでついてきてくれて」

僧侶「…」ニコ

女勇者「でもね?私にも、正義はちゃんとあるんだよ?」

魔法使い「もちろんです。私達今までずっと、勇者様の成長を見てきたのですから」

女勇者「えへへ。だから、一個だけお願い聞いてくれる?」

戦士「なんだ?言ってみなさい」



281 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 12:55:40.28 ID:QkoGcofM0
女勇者「私も、みんなを守りたいの」

戦士「…」

女勇者「あのね?私ね…みんな大好きだから…」

女勇者「みんなが私を守りたいって思ってくれるのと同じくらい、私もみんなを守りたい!」

僧侶「…勇者様」

女勇者「弱い私だけど…きっと、なにか役に立てることがあるから。だから…」

女勇者「私も、自分の正義をがんばってつらぬきたいなぁ」

魔法使い「…」

女勇者「強制されたからとかじゃなくって。これが私の正義だと思うの。だめ?」

戦士「…勇者殿の気持ちはわかった」

僧侶「そうですね。私達にも正義があって、勇者様にも正義がある…」

魔法使い「二つの正義に優劣なんてありませんもんね」ニコ

287 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 13:13:35.22 ID:QkoGcofM0
女勇者「えへへ、ありがとう」

戦士「うむ。俺たちも全力で勇者殿を守る。勇者殿も、もしもの時は守ってくれ」

女勇者「うん!がんばって、みんなで魔王を倒そうね!」

僧侶「はいっ。そして、世界に平和を…」

魔法使い「皆で力を合わせれば、必ず勝てますよね」

女勇者「勝てるよ!」

戦士「よし…それぞれ回復は済んだか?」

僧侶「はい!」

魔法使い「大丈夫です」

女勇者「はぁい!」

戦士「うむ。パーティーの士気も最高だ。行こう」

僧侶「…この扉の向こうに魔王が…!」

魔法使い「いよいよ、最後の戦いですね…!」

ギシ…

キィィィ…


293 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 13:25:50.04 ID:QkoGcofM0
【最終決戦】

魔王「来たな、幼き勇者よ」

魔王「よくぞ…ここまでたどり着いた」

女勇者「……すごい…体が…震える…!」

戦士「強い!今までの魔物とは比べ物にならない…!」

僧侶「……空気が、震えてる」

魔法使い「……負けません!」

魔王「貴様らを侮っていた事を謝ろう。たかが子供と侮っていた」

魔王「この勇者を守りながら、ここまでたどり着いた。人間ながら、賞賛に値する」

戦士「当然だ。そして、貴様も倒す!」

魔王「よかろう。もはや言葉は不要」

魔王「かかって来るが良い。勝てば正義、負ければ滅びる。余こそが貴様らの倒すべき…」

魔王「敵だ!!!」

女勇者「…負けないもんっ!」ぐっ

294 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 13:30:16.74 ID:QkoGcofM0
魔王「破壊を」

魔王の邪気が空を覆っていく…!
邪気が雷雲となり、悪魔の雷(いかずち)が起こる!▼

戦士「天井が震えている…!来るぞ!」

僧侶「神よ…この者達を護りたまえ。魔法防御(全体)」

ぱぁぁ…


戦士は魔法攻撃に強くなった!

魔法使いは魔法攻撃に強くなった!

僧侶は魔法攻撃に強くなった!

女勇者は魔法攻撃に強くなった!▼


魔王「無駄な事。そのような脆い防御で防げるものではない」

バリバリバリバリィッ…!!

悪魔の雷(いかずち)が戦士達を襲った!


299 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 13:38:45.93 ID:QkoGcofM0
戦士に82のダメージ!

魔法使いに131のダメージ!

僧侶に120のダメージ!

戦士は女勇者をかばった!

戦士に89のダメージ!

僧侶「くぅぅ…!全体回復魔法(大)!」ぱぁぁぁ

戦士「魔法使い!攻めてくれぇ!!」

魔法使い「はい!勇者様、私と一緒に!」

女勇者「う、うんっ!!」




301 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 13:39:48.28 ID:QkoGcofM0
魔法使い「はぁぁ…!火炎魔法(最大)!!」

ぼぉぉぉお!!!

魔王「ぬ…!小癪な、小娘」

魔王は魔法を振り払い、魔法使いに腕を振り下ろした!

女勇者「…えいっ!!!」ぶんっ!!

女勇者の攻撃!   

ガキンッ!

魔王「くっ!?」

魔王に29のダメージ! 

魔王の攻撃は外れた!▼


306 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 13:46:04.67 ID:QkoGcofM0
戦士「よし!僧侶、サポートを頼む!」

僧侶「はい…!」

僧侶「守備力強化魔法(大)!」

ぐぐぐ…

戦士「ぬりゃあああああ!!!」

戦士の攻撃!

会心の一撃!!

ずしゃあああああ!!!!

魔王「ぬぅぅ…!!」

魔王に412のダメージ!!▼

戦士「いけるぞ…!!」

魔王「甘い…!!!攻撃後に隙を見せるなど…」

魔王は拳を握り締め、戦士の体をたたきつけた!

戦士「がっ…」

戦士に209のダメージ!!

307 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 13:49:22.27 ID:QkoGcofM0
戦士「…う…腕がやられた…!!」

女勇者「回復魔法(小)!」ぱぁぁ

戦士「勇者殿…!」

女勇者「回復魔法(小)!回復魔法(小)!」ぱぁぁ…

戦士「…よし。剣は握れる!恩に着るぞ、勇者殿!」だっ!

女勇者「うんっ!戦士くん、私も行くよ!いいでしょっ?」

戦士「…うむ!勇者殿は右から頼む!」

女勇者「はいっ!!」

たったった


313 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 13:54:57.77 ID:QkoGcofM0
魔王「ふ…どこから何人でかかろうと同じこと。一人ずつ潰せば良い」

戦士「ぬりゃああ!!!」

女勇者「やぁーっ!」

魔王は身を翻し、なんと女勇者の方向に向かって突進した!▼

戦士「な…!」

女勇者「うぅ…!?」

魔王「ふははは!この勇者の一撃など恐るるに足らん!」

魔王「貴様の攻撃では挟み撃ちになどならんのだっ!」

勇者の攻撃!

ガキンッ!

魔王に16のダメージ!

魔王「この程度!所詮ガキの戯れよ…!」

魔王は右手に邪気を溜め、そのまま女勇者に振りかざした!

女勇者「ひっ…!」


317 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 13:59:26.30 ID:QkoGcofM0
女勇者「うわ…うわぁあ…!!」」

魔王に140のダメージ!!▼

魔王「な…!?」

魔法使い「私たちを忘れてもらっては困ります。私たちは4人で一つ…!」

僧侶「勇者様、いまのうちに…!こっちへ!」

女勇者「…ふぇ?あ…うんっ!」

魔王「くっ……ちょこまかと…!」

戦士「俺に背中を向けるとは、愚かな!魔王!」

戦士の攻撃!
戦士は剣を高く振り上げ、魔王の背中に突き立てた!!

ドスゥ!!

魔王「ぐぅおおおおお!!!!」

魔王に326のダメージ!


324 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 14:08:08.85 ID:QkoGcofM0
魔王「ふぅ…ふぅ…!」

戦士「はぁ……はぁ…!」

僧侶「戦士さん、回復を…!回復魔法(最大)!」ぱぁぁ

戦士「…かたじけない!」

戦士「魔王!!貴様を倒す!!」

魔王「馬鹿な…!!ほざけ、人間ごときが…!!」

魔王は立ち上がり、右手を天に掲げた!

魔王は自分の生命力を削って、自らの右手に邪気を集め始めた!

戦士「…最後の一撃か!」

女勇者「戦士くん!私も行く!」

僧侶「戦士さん、サポートはお任せください!」

魔法使い「援護します!必ず魔王に隙を作ってみせます!」

戦士「よし!行くぞ…!!!」


329 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 14:15:01.38 ID:QkoGcofM0
魔王は自らの命を乗せた一撃を放った!▼

魔王「おおおおおおおおオォォォッ!!!」

魔法使い「火炎魔法(最大)!冷気魔法(最大)!」ゴゴゴゴ……

魔法使い「爆発魔法ォ(最大)!!!」

ズガァァァン!!!
魔王の右腕に直撃!▼

僧侶「素早さ上昇魔法(最大)!」

ピュイイイイン…!!

戦士の素早さが大幅に上がった!

女勇者の素早さが大幅に上がった!

魔法使い「はぁ、はぁ……!攻撃力倍増魔法!!」

グィィィン!!!

戦士の攻撃力が2倍になった!

女勇者の攻撃力が2倍になった!

戦士「行くぞ、勇者殿っ!」

女勇者「うんっ!」


332 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 14:20:21.64 ID:QkoGcofM0
魔王「馬鹿な!馬鹿なっ…!!」

女勇者「やぁぁぁあああ!!」

戦士「うおぉぉおおおお!!」

女勇者と戦士は左右から同時に魔王に斬りかかる!

ズガァアアアアン!!!

二人の剣は魔王の体に深く突き刺さった!!▼

魔王「が……!」

女勇者「……はぁ、はぁ」

戦士「……はぁ…!はぁ…!」




ガクッ…

魔王「……見事だ、人間」


337 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 14:25:03.35 ID:QkoGcofM0
戦士「やった…のか?」

僧侶「私たちの絆が…勝ったんですね…!!」

魔王「…絆か。それが貴様ら人間の強さか…!」

女勇者「…勝ったの?私たち、勝ったの?」

魔法使い「ええ…!ついに、魔王を…倒しましたよ…!!」

女勇者「終わったんだ……終わったんだね…!」

魔王「見事だ。貴様ら人間の絆…強さ……見くびっていた…」

魔王「そして…」




魔王「それこそが、弱さでもある…!!」


341 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 14:30:58.40 ID:QkoGcofM0
戦士「なに!?」

魔王「混乱魔法(最大)!!!」

ぐら…

戦士「ぐ……」

戦士は混乱してしまった!▼



女勇者「戦士くん!?」

魔王「ふははは…油断したな…!余が膝をついたことで…!」

魔法使い「卑怯な…!」

僧侶「は、早く正気に…戻さないと!」

魔王「無駄だ。余のかけた魔法はそう簡単に解けるものではない…」

魔王「余の命も僅かだが…貴様らのうち一人でも戦えねば勝機はある…!」

魔法使い「くっ…戦士さん!正気に戻って!!」


349 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 14:38:25.72 ID:QkoGcofM0
戦士「く…!勇者殿、どこだ!?」

女勇者「戦士くん!ここ!見えるでしょ!?」

戦士「俺の後ろに下がっていろ!勇者殿!!」

女勇者「戦士くん!!」

魔法使い「だめです!勇者さま、今の戦士さんには聞こえていません!」

女勇者「そんな…戦士くん、お願い!元にもどってよう…!!!」


戦士「そうだ。勇者殿は必ず俺が守る!!後ろに隠れていろ!」

戦士「大丈夫。心配するな。俺たちはあなたをお守りするためにここまで強くなった!」

戦士「必ず俺達が守り抜いてみせる!」

戦士「覚悟しろ、魔王!!」

シャキン!

女勇者「え…?」


364 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 14:50:30.46 ID:QkoGcofM0
魔王「ふははは…皮肉なものよ…!」

魔王「守るべきものの幻を背に、守るべきものに剣を向ける…」

魔王「絆など…!崩れてしまえば弱さに変わる…その絆が…強ければ強いほどに……!!」


戦士「行くぞ…!!ぬりゃああ!!」

女勇者「うぅ…!!」

戦士の攻撃!

キィン!
キィン!

ガキィン!

女勇者「戦士くん…っ!やめて…!!」

戦士「うおぉぉぉぉぉおお!!!」

女勇者「戦士くん!!!!」

戦士は女勇者の体を思い切り叩き切った!

ズシャアアア…!!

女勇者に192のダメージ!!!▼

370 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 14:57:56.32 ID:QkoGcofM0
僧侶「勇者さまぁーー!!!!」

女勇者「……っ」

どさっ

戦士「…とどめだ、魔王!!」

魔法使い「…もうだめ!!火炎魔法(最大)!!」

魔法使いは戦士に魔法を放った!

戦士「ぐぅあああ!!何を…!?」

戦士に180のダメージ!!▼

戦士「く…!?魔法使い!?気でも違ったか!?」

僧侶「戦士さん…!!!」

戦士「俺達で勇者殿を守ると!誓ったではないか!!」

魔法使い「火炎魔法(最大)!!」ぼぉぉぉぉお

戦士「我々の誓いは…!?魔法使い…!!」

魔法使い「火炎魔法ぉぉぉぉ(最大)!!!」ぼおぉぉぉお!!!!

戦士「な…ぜだ…!!」



377 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 15:04:32.86 ID:QkoGcofM0
僧侶「勇者さま…!回復魔法(最大)!!」ぱぁぁ

女勇者「……ひゅ………ひゅ………」

僧侶「回復魔法(最大)!!!回復魔法(最大)!!!回復魔法ぉぉぉ(最大)!!!」

女勇者「………ひゅ……ひゅ……」

女勇者「…ぁ………ぁ……」

僧侶「傷が…!傷が…ふさがらないよぅ…!!!」

魔法使い「…戦士さんは、もう大丈夫…!もう起きられないはずです…!!」


魔王「馬鹿な…!!貴様ら、なぜ…なぜ混乱もせず…仲間を平気で傷つけられるのだ…!?」

魔法使い「平気…!?」

魔王「貴様ら…戦士に、全滅させられる…はずでは…」

魔法使い「…平気で…戦士さんを倒したとお思いですか…!」

魔王「…!」

魔法使い「私が、どんな気持ちで戦士さんを…!!!」

390 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 15:19:12.44 ID:9Y8JypViO
魔法使い「…許しません」ぽろぽろ

魔王「…馬鹿な…貴様ら人間に、そんな事が…」

魔法使い「…私達は、勇者様を守る為にここまで強くなった」

魔法使い「それは戦士さんも同じ…。勇者様をお守りするには、こうするしか…」

魔法使い「…いえ。もう少し早く決断するべきだった。戦士さんを倒すと」

魔王「……!」

魔法使い「これが絆。私達の、勇者様を守るための絆…!」


393 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 15:21:38.98 ID:9Y8JypViO
魔法使い「…あなただけは、絶対に許さない!」

魔法使いは自分の持てる魔法力を全て解き放った。

魔法使いの魔法が魔王の頭上から降り注ぐ!

魔王「ぐ…ぐぁあああああ!!!!!」



魔王を倒した…。▼


396 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 15:26:40.61 ID:9Y8JypViO
魔法使い「はぁ…はぁ……はぁ…」がくっ

魔法使い「勇者様…勇者様は…?戦士さんは…?」

ふら…ふら…

僧侶「…魔法使いさん…傷が…!傷が塞がらないよぅ…!どうしよう…!」

魔法使い「……どうして、こんな事に……!」

僧侶「止まらない…!血が止まらないんです……っ!」ぽろぽろ

女勇者「……ひゅ………ひゅ……」


404 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 15:34:12.03 ID:9Y8JypViO
魔法使い「……戦士さんは…」

戦士「……」

僧侶「戦士さんも……全身火傷だらけで…どうしようもなくって…!」ぽろぽろ

魔法使い「……せっかく…せっかく、魔王を倒したのに…」

女勇者「……て…」ぱくぱく

僧侶「!勇者さま、聞こえますか?勇者さま!!」

女勇者「…ち………って…」ぱくぱく

僧侶「なんですか?勇者さま、何が言いたいんですか…?!」



415 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 15:55:03.64 ID:9Y8JypViO
女勇者「お…ちに………って」
ぱく…ぱく…

魔法使い「!!」

僧侶「何ですか?勇者様、なんですか…!?」ぽろぽろ

魔法使い「『おうちにつれてって』…」

僧侶「え?」

魔法使い「僧侶さん…瞬間移動魔法はまだ使えますか?」

僧侶「あ…あと一回くらいなら、なんとか……」

魔法使い「…連れて帰ってあげましょう。お母様の所へ」

僧侶「…はい。わかりました」


戦士「……」魔法使い「戦士さんは私が。僧侶さんは、勇者様を…」

僧侶「わかりました…。勇者、帰りましょうね…」

勇者「……ひゅ……ひゅぅ……」

僧侶「…最初の町へ。瞬間移動魔法…」


418 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 16:00:28.06 ID:9Y8JypViO
【最初の町】

僧侶「帰って来ましたよ、勇者さま…」

女勇者「…」ぱく……ぱく……

魔法使い「……」



勇者の母「勇者…?」

僧侶「!」

魔法使い「勇者様の…お母様…?」

419 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 16:07:05.83 ID:9Y8JypViO
勇者の母「勇者!!」だっ

女勇者「……ひゅ……」


勇者の母「あぁ…!!勇者……!!」ぎゅ

女勇者「ま……ま……」

勇者の母「…ごめんなさい……!!ごめんなさい……!!」ぎゅぅ…!

女勇者「ただい…ま…」

勇者の母「…お帰りなさい…。勇者…私を許して……!」

女勇者「ま…ま?なかないで……?」

勇者の母「…痛かったでしょう…?怖かったでしょう…?…ごめんなさい…!」ぽろぽろ

女勇者「……帰った…よ…?がんばったよ…?」

勇者の母「ええ…。よく頑張ったわ…!!だからもう…しゃべらないで…!」

女勇者「……」ニコ

426 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 16:21:10.61 ID:9Y8JypViO
女勇者「……そう…ちゃ……ま…」

僧侶「…はい。勇者さま…?」

魔法使い「……う…ぅ…!」

僧侶「魔法使いさん…聞いてあげましょう…」

魔法使い「はい…ごめんなさい……」

すっ

僧侶「なんですか、勇者さま…?聞いてますよ…?」

勇者「あの…ね?戦士くんが…起きたら…」

僧侶「え?」


430 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 16:29:07.14 ID:9Y8JypViO

僧侶「…わかりました。必ず…」

魔法使い「…必ず伝えます…」

女勇者「……」ニコ

僧侶「…」

魔法使い「…」

女勇者「ママ……ママ…いる…?」

勇者の母「ここに…すぐ傍にいるわよ。どうしたの…?」

女勇者「抱っこ……」

勇者の母「…ええ。いらっしゃい…」ぎゅ



女勇者は母親の腕に抱かれ、静かに目を閉じた。

女勇者の命が光となり、身体から浮かび上がる…。▼

女勇者「……自己犠牲回復魔法」


441 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 16:40:39.34 ID:9Y8JypViO
女勇者の身体から小さな光は、
弱々しく輝きながら仲間達に降り注ぐ。



魔法使いの傷が回復した。

僧侶の傷が回復した。

戦士は生き返った。



女勇者は力尽きた。▼

443 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 16:44:33.15 ID:9Y8JypViO
戦士「……俺は……?」むく

戦士「っ!!」がばっ

戦士「魔王は!?勇者殿は…!?」

僧侶「…」

魔法使い「…」

勇者の母「…う…うぁぁぁ……!!!」

女勇者「   」

戦士「勇者殿?」

女勇者「   」

戦士「なんだ…?どうなっている!?」

女勇者「   」

戦士「勇者殿!!!」


449 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 16:47:31.42 ID:9Y8JypViO
戦士「俺は…守れなかったのか…?」

戦士「勇者殿を守れなかったのか…!!」

戦士「…!!!」ぎり…

戦士「うおおおおおおお!!!!」

戦士「くそ…!!」

戦士「くそ!!!」

戦士「勇者殿…済まない!!」

戦士「うおおお…っ!!!」


僧侶「戦士さん…!」

456 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 16:57:44.11 ID:9Y8JypViO
戦士「……俺は…何と言う事を……!!」

戦士「この剣で…勇者殿からいただいたこの剣で……!!!」

戦士「……!!!」チャキ

僧侶「戦士さん!!」がばっ

戦士「離してくれ、僧侶。俺は…勇者殿を守れなかったばかりか…」

戦士「正義をもなくしてしまった…!!」

戦士「もはや…」

魔法使い「戦士さん!!」

戦士「…」

魔法使い「勇者様から、伝言があります…」

459 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 17:06:52.58 ID:9Y8JypViO
戦士「…勇者殿から…?」

魔法使い「はい。瀕死の状態…喋る事もままならない状態で、あなたに伝えて欲しいと…」

魔法使い「必死に話していました。聞いてくれますね…?」

戦士「うむ…」

魔法使い「勇者様は…自己犠牲回復魔法で、私達を助けてくださいました」

戦士「…そう…なのか。あの、勇者にしか使えないという……」


513 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 19:23:16.78 ID:9Y8JypViO
魔法使い「…勇者様は、私達に…ありがとうと」

戦士「……」


女勇者『ごめんね…?』

女勇者『最後まで、迷惑かけちゃって…』

女勇者『…えへへ、こんな事言ったら怒られちゃうかな』

女勇者『あのね…本当はね?』

女勇者『勇者になんて、生まれたくなかったんだよ?』


518 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 19:28:18.76 ID:9Y8JypViO
女勇者『本当は……戦いたくなかったし…』

女勇者『綺麗な服を着てみたりも…したかったなぁ……』

女勇者『……でも』

女勇者『戦士くん…僧侶ちゃん…魔法使いちゃん…』

女勇者『みんなに会えて…みんなが一緒に居てくれたからねぇ…』

女勇者『私、勇者に生まれてよかったなって…思えるなぁ…』


525 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 19:33:39.06 ID:9Y8JypViO
女勇者『戦士くんの正義を教えてくれて…』

女勇者『…ずっと、守ってくれて……』

女勇者『えへへ…。やっと、私が守る番だねぇ』

女勇者『……』

女勇者『ねぇ、戦士くんが起きたら……伝えてね……』



魔法使い「今まで、ありがとう」

戦士「…………」


532 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 19:40:47.54 ID:9Y8JypViO
戦士「…勇者殿。俺は…守れなかったんだ」

女勇者「   」

戦士「…大切なものを守り抜けずに……何が正義か……」

女勇者「   」

戦士「……母上。…勇者殿を、一度だけ抱かせてはもらえないだろうか」

勇者の母「はい…。抱いてやって下さい」

戦士「…」すっ

女勇者「   」ぶらん…

戦士「…なんと小さい……なんと冷たい身体だ……」



536 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 19:46:48.43 ID:9Y8JypViO
戦士「勇者殿。済まなかった」

ぎゅ…

戦士「守ってやれなくて…済まなかった……!」

ぎゅ…

戦士「……」

僧侶「戦士さん。違うでしょ…?」

戦士「……ああ。……勇者殿」

女勇者「   」ぶらん…



戦士「今まで、ありがとう」


543 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 19:57:16.56 ID:9Y8JypViO
勇者の母「戦士様。僧侶様。魔法使い様」

戦士「…」

勇者の母「本当に…ありがとうございました」

僧侶「お母さん……」

勇者の母「あなた達に会わなければ…この子は、世界を救えなかったでしょう」

魔法使い「…」

勇者の母「…私からも、お礼申し上げます。ありがとうございました…」

戦士「…勇者殿を、お守りできませんでした。申し訳ありません」

勇者の母「…いいえ。最後に一つ、わがままを聞いていただけませんか?」


546 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 20:04:47.22 ID:9Y8JypViO
【町外れの丘】

勇者の母「ここが良いですね…」

戦士「…良い場所だ」

僧侶「本当。綺麗……」

魔法使い「これが、私達の望んだ世界……」

戦士「…勇者殿にも見せてやりたかった。母上、ここで良いですか?」

勇者の母「はい。ここで眠らせてあげて下さい…」


549 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 20:10:44.20 ID:9Y8JypViO

戦士「もしも生まれ変わるなら…今度は、幸せに生きて欲しい」

僧侶「…そうですね。今度は、普通の女の子として…」

魔法使い「…勇者様はきっと、もう一度勇者に生まれたいと思いますよ」

勇者の母「はい。だって…こんなに素晴らしいお仲間と一緒に居られたんですから…」

戦士「…そうだな。その時はどうか、勇者殿にも…この景色を見てもらいたい…」



僧侶「…………………」すっ


551 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 20:18:16.37 ID:9Y8JypViO
戦士「?…どうした、僧侶」

僧侶「……勇者様の為に、お祈りを」

魔法使い「お祈り…ですか?」

僧侶「…はい」




僧侶は女勇者の墓の前に膝をつき、
目を閉じて祈りはじめた。▼


僧侶『主よ…。私の声をお聞き下さい』

僧侶『…どうか、勇者様の魂をお救い下さい』

僧侶『勇敢で、憐れな勇者様をお救い下さい…』

僧侶『どうか、彼女が本当の正義を見つけられるよう…』

僧侶『勇者様を、お救い下さい』


556 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 20:25:53.39 ID:9Y8JypViO
勇者の母「…皆さん、本当にありがとうございました」

僧侶「…」ぺこ

魔法使い「…これから、どうするおつもりですか?」

僧侶「私は…教会に戻ります。迷える人々と…そして、勇者様のために」

魔法使い「…そうですか。私も故郷に戻ります。平和になった世界を、一緒に過ごそうかと」

僧侶「戦士さんは…?」

戦士「俺は…旅に出る」

僧侶「え…また旅に?」


560 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 20:35:41.73 ID:9Y8JypViO
戦士「うむ。正義とは何かを…見つけたい」

魔法使い「正義…」

戦士「力が足りなかったせいで、俺の正義は貫けなかった」

戦士「結局、思いだけでは守る事は出来なかった」

戦士「…だから俺は、正義を見つけたい。今度は、剣を置いて」

魔法使い「剣を置くんですか…?」

戦士「…俺には、もう必要ない。二度と握る事はないだろう」

僧侶「…剣が要らない世界になった事も、戦士さんや勇者様の正義があったからですよ」

戦士「…」



565 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 20:39:21.45 ID:9Y8JypViO
戦士「それでは…僧侶、魔法使い」

戦士「ここで、パーティーを解散しよう」

僧侶「はい。それでは…。皆さん、元気で…」

魔法使い「失礼します。また、いつか…。今度は、戦いではない場所で」

勇者の母「…皆様、本当にありがとうございました…」




568 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 20:43:34.32 ID:9Y8JypViO

戦士「皆、行ってしまったな」

戦士「…勇者殿。これでもう我々は、再び会う事はないだろう」

戦士「俺も、勇者殿や仲間達と旅が出来てよかった」

戦士「…ありがとう」

すた…

すた…

『ありがとう』

戦士「…?」

すた…

すた…





ポロン…



573 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/18(月) 20:56:35.82 ID:9Y8JypViO
剣が眠る墓の前で
吟遊詩人は謡い伝える

始まりと終わりを知りながら

戦い続けた少女の物語を

朝と昼が繰り返すように

戦い続けた少女の物語を

大きな疵とドレスを身に纏い

戦い続けた少女の物語を

少女が最後に得たものは

深紅の剣

桜色の愛

藍色の理

無色の正義

吟遊詩人は謡い伝える

この詩を綴ったのは一人の少女…



575 : ◆r3yksmPHg2 :2009/05/18(月) 20:57:56.56 ID:9Y8JypViO
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【SCENARIO】   ○○ ○○

【WRITER】   ○○ ○○

【CHARACTER DESIGN】   nanashi

【SPECIAL THANKS】   VIPPER

【PRESENTED BY】   ◆r3yksmPHg2

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 ニア強くてニューゲーム
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