4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/18(火) 14:53:53.01 ID:PIUep7Zf0
浜面「むぎのん♪」

麦野「はーまづらぁ♪」

絹旗「……」 イラッ

フレンダ「何事な訳よ」

絹旗「知りませんよ。朝いつも通り来たらこんな調子だったんですから」

滝壺「…………」 ガンガンガンガンッ

絹旗「滝壺さん、気持ちは超分かりますがテーブルに顔ドラムは女の子として辞めておいたほうがいいかと」

浜面「むぎのん♪」

麦野「は・ま・づ・ら♪」 ツンツン

絹旗「こいつら……」

引用元: 浜面「むぎのん♪」麦野「は・ま・づ・ら♪」絹旗「…」イラッ 




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6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/18(火) 14:59:14.16 ID:PIUep7Zf0
浜面「麦野、前から思ってたけど……お前って可愛いよな」

麦野「やだ浜面……恥ずかしい。でも浜面もすっごくカッコいいと思ってたの。
    初めて会った時から一目惚れよ……」

浜面「麦野……」

麦野「浜面……」

フレンダ「キ、キモい……」

滝壺「みんな今までありがとう。私死にます」

絹旗「滝壺さん。ファミレスのナイフで切腹は超至難の業ですよ」

フレンダ「いや、麦野って浜面好きなのかなーってちょっと思ってたけど、いくらなんでもこれはおかしい訳よ」

絹旗「ちょっと待ってください。何ですって?」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/18(火) 15:04:56.35 ID:PIUep7Zf0
フレンダ「え? だからこれはおかしいって」

絹旗「じゃなくてその前です」

フレンダ「ああ、前から麦野は浜面好きなのかなーってこと?」

絹旗「なんですと。聞き捨てなりませんね。超マジですか?」

フレンダ「超マジよ。麦野って浜面いると何か大人しくなったり舞い上がってる感じ無かった?」

絹旗「……言われてみれば……。浜面にはあまり棘がありませんでしたね……男がいる前で態度変える典型的なブリっ子ですか」

フレンダ「いやそこまで露骨じゃないけど。でもさすがにここまで露骨なこと無かったのに……」

滝壺「……二人を殺して私も死ぬ」

絹旗「だぁー! 滝壺さんちょっと落ち着いて! 浜面はどうでもいいですけど二人に死なれると私職を失います!」

滝壺「どいてきぬはたそいつら殺せない」 ジタバタ

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/18(火) 15:10:12.68 ID:PIUep7Zf0
麦野「ねぇ浜面……私が今何考えてるか当ててみて」

浜面「何だよ、意地悪せずに教えてくれよ」

麦野「浜面との結婚式は和式と洋式どっちがいいかなって」

浜面「馬鹿だな麦野。どっちもやればいいじゃねぇか」

麦野「そうよね。私ったら、テヘッ☆」

浜面「こいつぅ」 コツン

麦野「失敗失敗。うふふふふ」 イチャイチャ

浜面「ははははは」 イチャイチャ

絹旗「うげぇ、さぶいぼが……」

フレンダ「これはキモ過ぎて見てられねぇ訳よ。とりあえず二人は放っておいて原因を考えよう」

絹旗「最近何か変わったことありましたっけ?」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/18(火) 15:15:47.08 ID:PIUep7Zf0
フレンダ「見てる限りだと何も……」

滝壺「二人に訊いてみたらどうかな? お腹開いておかしなものでも食べたんじゃないか確認すると良いよ」

絹旗「黒壺さんになってますよ。自分のキャラを超お忘れなく。
    まあ一応試してみますか。ちょいとお二人さん、いいですか」

麦野「やだ浜面……絹旗が私達の仲を引き裂こうとしてる……怖い」

絹旗「お前が怖いわ」

浜面「何だと絹旗、許せん奴だ。小さい癖に」

絹旗「フレンダ、浜面の×××焼き切って下さい」

フレンダ「おっけー」

浜面「だぁー! 待て待て! 暴力駄目! 絶対! いじめかっこわるい!」

絹旗「じゃあ私の質問に答えてください。でないと、滝壺さんが死にます」

滝壺「死ぬよ」 フンスッ

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/18(火) 15:21:39.76 ID:PIUep7Zf0
浜面「わ、分かったよ。何だよ、今から麦野とデート行こうと思ってたのに」

麦野「ヤダ浜面ったら、皆の前で。恥ずかしい」

浜面「ははっ、すぐに終わらせるから待ってろよマイハニー」

フレンダ「やっぱ全部解決したらこいつの×××もごう」

絹旗「超賛成です。んで浜面、最近何か変わったことありませんでしたか?」

浜面「変わったこと? ねぇよ。いつも通りイケメンじゃねぇか」

麦野「そうよ絹旗。浜面のかっこよさは三国一よ」

フレンダ「うぜぇ……」

絹旗「何でもいいです。変なもの食べたとか」

浜面「麦野は今すぐ食べたいけどな」

麦野「もう馬鹿浜面っ。あ・と・で♪」

滝壺「よし殺そう。今すぐ殺そう」

フレンダ「滝壺、ここはこらえて」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/18(火) 15:28:09.82 ID:PIUep7Zf0
滝壺「むぅ……」

絹旗「浜面、超真面目に答えて下さい。昨日も浜面はドリンクバー往復するだけの取るに足らない存在だったじゃないですか。
    麦野のお気に入りのワンピースにコーヒー飛ばして首飛ばされそうになってたじゃないですか。
    それが一夜明けてどうしてこんなことになるんです? 昨日解散してから麦野に会いましたか?」

浜面「いや、会ってねぇよ。まあ今思えばなんて馬鹿なことしたんだって思ってるけどな。
    麦野と二人きりで過ごす時間を見す見す手放すなんて……俺は何て馬鹿な奴なんだ。
    麦野、許してくれ」

麦野「いいのよ浜面。今日からずっと一緒にいればいいじゃない。
    もう離さないで。私を捕まえていて浜面!

浜面「麦野!」

滝壺「……」イライライライライライラ

フレンダ「話進まねぇー……」 

絹旗「もう少しの辛抱です。それじゃ昨日は解散してから何してましたか?」

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/18(火) 15:35:21.21 ID:PIUep7Zf0
浜面「昨日かぁ……あれ? そういや俺何したんだっけな……上手く思い出せねぇぞ」

フレンダ「お、そこに何か理由がありそうな訳よ」

絹旗「浜面! がんばって超思い出して下さい! 今日このまま家に帰したりなんかしたら麦野が妊娠しかねません」

滝壺「戦争だね」

麦野「私、浜面ならいいよ……?」

浜面「麦野……」

麦野「浜面……」

フレンダ「絹旗が余計なこと言うから」

絹旗「すみません。今のは私の超ミスです。さあ浜面、麦野のためにも思い出して下さい。
    あなた達は明らかに正気じゃないです。絶対昨日何かあったはずなんです」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/18(火) 15:43:49.77 ID:PIUep7Zf0
浜面「うーん……ちょっと待てよ……確か帰りがけスーパーによって買い物して……」

麦野「ヤダっ、言ってくれたらご飯なんか作ってあげるのに」

浜面「麦野の手料理か。そんなもの食っちまったら二度とファミレスでなんか飯が食えなくなっちまうぜ」

麦野「もうっ、浜面の意地悪……」

滝壺「……」 ガタガタガタガタ

絹旗「浜面ェ……早くしてもらえませんかねぇ……私もそろそろ我慢の超限界ってもんが近づいてるんですがねぇ……」 ブルブルブルブルブル

浜面「お、おう。んで、近道しようと思って路地裏に入って……」

絹旗「ふんふん」

麦野「もうっ、路地裏なんて危ないじゃない。そうだ、今日から一緒に住めbむぐっ!」

フレンダ「麦野ちょっと黙って!」

浜面「んで確かそこで……」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/18(火) 15:51:08.42 ID:PIUep7Zf0
――回想――

スタスタスタスタ…

浜面(くそっ麦野の奴。ちょっとコーヒー飛ばしたくらいでマジギレしやがって……いてぇ、死ぬとこだぞあの暴力女)

浜面(最近いいことねぇなぁ……滝壺は優しいけど他の連中は俺のこと道端の●●●くらいにしか思ってねぇんだろうし、
    特に麦野なんか何かにつけてテンション上げて攻撃してくるもんなぁ……ハァ)

浜面(あいつも女同士でくっちゃべってねぇで男の一人でも作ればいいのによ。
    はっ、無理かあの性格じゃ。けどあいつ見た目は最高なんだよなー……胸でかいし美人だし)

浜面(一回思う存分あの胸揉みしだいてみたいなぁ。……なんてな、無能力者の俺じゃ無理だ。
    叶いもしない望みを持つのは止めよう。とりあえず明日麦野にもっかい謝らねぇと……ハァ、気が重い……)

??「もしもし、そこのお兄さん」

浜面「あん? ……俺か?」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/18(火) 15:58:14.43 ID:PIUep7Zf0
??「ええ、辛気臭い顔で歩いているあなたよ。ため息なんかついて、どうかしたの?」

浜面(何だこいつ……フードで顔がよく見えねぇな……一応女みたいだけど、立   か?)

??「ふふっ、そう警戒しなくていいわ。私はここで人生に疲れた人を癒すお仕事をしているの」

浜面「ああ、悪いけど金はねえんだ。それと、ここら最近アンチスキルの見回りが多いから買ってくれる奴なかなかいないと思うぞ」

??「失礼ね。そんな下世話なものではないのに。今日は暇だから特別にタダで相談に乗ってあげるけど、一ついかがかしら」

浜面「タダなんて言葉俺は信用しねえことにしてるんだ。特にこんな路地裏じゃな」

??「あらどうして? 無償の厚意が信じられないというなら、何か報酬を要求させてもらってもいいけれど」」

浜面「癖でな。何か裏があるんじゃねぇかって疑っちまうんだよ。気を悪くしたならごめんな、けど他を当たってくれ」

??「素直で可愛いわね。 気に入ったわ。相談していきなさい。『友達』でしょ?」

浜面「え……?」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/18(火) 16:02:06.29 ID:PIUep7Zf0
――――

絹旗「それで、どうしたんですか?」

フレンダ「ま、まさか女買ったの?」

浜面「いや、そういうのじゃなかったよ。でもその後何かそいつの言うこと断る気になれなくってさ、そのままやけに高そうなホテルに連れてかれた」

滝壺「ホテ」

麦野「ホテルですって!? 浜面! どういうこと!? 私のこと弄んだの!? ひどい……」

浜面「ち、違うぞ麦野! 仕事はいつもホテルの中でやってるらしくてさ……いや、本当に話してただけなんだ!」

麦野「本当に……?」 ウルッ

浜面「も、もちろんだ! 俺は麦野以外の女なんて興味ねえ!」

滝壺「!?」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/18(火) 16:06:56.09 ID:PIUep7Zf0
麦野「本当に?じゃあ私ともホテル入ってくれる?」

浜面「もちろんじゃねぇか。来いよ、どこまでもクレバーに抱きしめてやる」

麦野「はーまづらぁ♪」

浜面「むぎのん♪」

滝壺「……」 ブツブツブツブツ

フレンダ「何もしてないのに滝壺に鈍いダメージがどんどん蓄積していく訳よ……」

絹旗「超耐えてください。全て終わったらみんなで浜面をフルボッコにしましょう」

滝壺「ひとつ積んでは父のため……ふたつ積んでは母のため……」 シャー シャー

フレンダ「滝壺が包丁研ぎ始めた訳よ……」

絹旗「いよいよド修羅場ですか。浜面、続きをお願いします」

浜面「お、おう。んでそのままホテル行って相談始めたんだけど……」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/18(火) 16:11:34.30 ID:PIUep7Zf0
??「ふぅん。じゃああなたはもう少し職場の人と仲良くなりたいという訳ね」

浜面「仲良くっていうか、もう少し俺に優しくしてほしいなあ」

??「遠慮しなくていいわ。もっと本音をブチ撒けてしまいなさい。
    本当はちょっと仕返ししてやりたいんでしょ?」

浜面「い、いや……その」

??「ふふっ、優しいのね。でも私、あなたの望みを叶えてあげられるのよ」

浜面「なんだって……?」

??「あなたと険悪なその人との距離、あなたの好きなだけ縮めてあげられるってこと」

浜面「お前、能力者か……」

??「さあどうかしら。あなたが望むなら、その人をあなたの御奉仕メイドにだって出来るけれど、どうする?」

浜面「ゴクリ……」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/18(火) 16:20:01.38 ID:PIUep7Zf0
??「あら、いやらしい顔になっているわよ。言ってみなさい。あなたに尽くすことだけが生きがいの健気で薄幸な女に変えてあげるから」

浜面「な、何でそこまでしてくれるんだよ。……お前にメリットが何かあるのか?」

??「慎重ね。意外とお猿さんじゃないのかしら。そうね……いくつか理由はあるけれど、私の力はとても不可解なものなの。
    人の心を動かす力なのだけど、心と言うのはこの学園都市の科学を以てしても未だ全てを解明することは出来ない、
    言わば人類最後の未踏峰。
    私は検証したいのよ。人と人が愛し合う故に憎みあったり、自分の気持ちに素直になれなかったり、あるいは他人を欺いたり。
    さまざまな心の動きを観測することで私は自分の能力がどんな効果を示すのかを知りたい。
    そういう意味では、その検証結果こそが私にとっては貴重な報酬になるってわけ」

浜面「……お前、何者なんだ」

??「心理定規。名前は名乗らないわ。あなたにとって重要なのは私の能力だけだものね」

浜面「やっぱ能力者か……」

定規「もっとも、理由としては『面白いから』というのも一つあげられるけれど」

浜面「……」

定規「さあ、選ぶのはあなたの自由よ。どうする?」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/18(火) 16:26:29.93 ID:PIUep7Zf0
浜面(ど、どうしよう……滝壺を俺の彼女に……いやいや、いつも優しくしてくれる滝壺にそんな得体のしれない能力の対象にするわけにはいかねぇ)

浜面(やっぱここは麦野だろ。絹旗やフレンダだってたまに映画連れてってくれたり鯖缶くれたりするもんな……。
    俺のこと一番嫌ってるのは多分麦野だろうし。今までやられた恨みを返すには丁度いいチャンスだ)

定規「悪い顔。でも私も人に褒められた人間じゃないから、どうぞその望みを口にしなさい。
    あなたの欲望の捌け口でも作ればいいじゃない」

浜面「じゃ、じゃあ麦野と両想いにしてくれよ」

定規「ふーん、両想いね……」

浜面「あ、ああ。あいつ俺に冷たいから、もうめちゃくちゃ甘えてくる可愛い奴にしてくれねぇかな。
    見た目だけなら一番タイプだしさ、そうすりゃ付き合ってみてもいいかなー……なんて」

浜面

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/18(火) 16:32:32.69 ID:PIUep7Zf0
途中で送信してしまった。


浜面(麦野に「付き合ってやる」なんて……言ってみてぇ……殺されるだろうけど)

定規「いいわよ。麦野さんね、あとは彼女の居所を教えてもらえれば明日の朝には従順な雌奴隷になってるはずよ。
    よっぽど不可思議な心を有していない限りは」

浜面「い、いやそんな雌奴隷とかじゃなくていいんだって。
    ほんと普通に可愛げある奴になってくれればいいからさ」

定規「あら、案外ピュアなのねあなた。まあいいわ、そういう微調整のほうが私も練習になるし」

浜面「ほ、本当にそんな上手くいくのか……?」

定規「この学園都市に『ありえない』なんて有るのかしら。
    信じるか信じないかは明日見れば分かることよ。上手くいかないこともあるし、それでもあなたには特にデメリットは無いから安心しなさい」

浜面「じゃ、じゃあ頼むわ……」

定規「ええ、私もどこかで見ているから、明日の朝はあなたたちは『両想い』よ。楽しみにしていてね」

33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/18(火) 16:41:58.10 ID:PIUep7Zf0
――――

浜面「って感じだ……」

絹旗「心理定規。超聞いたことがあります。相手の心の距離を操る能力者ですね。
    浜面がそのことを忘れていたのは、きっと帰りがけに彼女を取るに足らない『他人』として距離設定されたからでしょう。
    思い出そうと思えば思い出せるけど、さほど印象には残らないって感じですか」

フレンダ「女の心弄ぶなんて、浜面私らなんか比較にならない超外道な訳よ……」

浜面「すまねぇ……思い出してみりゃ俺最低な奴だな……」

麦野「そんな……」

フレンダ「でも何で両想いにしたの? 麦野に優しくしてほしいなら片思いでよかったのに」

浜面「そこまで深く考えてなくてさ。麦野と両想いの恋人みたいな関係っていいかなってなんとなく思っただけだし」

滝壺「すぐ元に戻してもらおう。今すぐ。ほら早くっ」

絹旗「どこかで見ていると言ってたならこの店内にでもいるんじゃないですかね?」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/18(火) 16:47:04.09 ID:PIUep7Zf0
麦野「やだっ!」

滝壺「あァっ!?」

絹旗「ああ……滝壺さんがヒロインとしてやってはいけない表情に……」

麦野「浜面のこと大好きなこの気持ちが、消えてなくっちゃうなんて絶対に嫌よ!
    このままでいいじゃない! 私、浜面のこと好きだよ? 浜面は私のこと嫌い?」

滝壺「むぎの、その気持ちは作られた偽物なんだよ。
    むぎのは浜面のこといつも散々いじめてたじゃない。それなのにそんなの……ずるい」

麦野「偽物だって構わない!」

滝壺「!?」

麦野「私は浜面が好き! 愛してる! 今この気持ちがあればそれでいいの!
    あなたたち、邪魔する気? だったら……お前ら全員殺して浜面を手に入れるっ!」

滝壺「望むところだよ……むぎのに浜面は渡さない……」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/18(火) 16:53:25.37 ID:PIUep7Zf0
ザワザワザワザワ…

フレンダ「あわわわ……ど、どうする訳よ。完全なド修羅場になっちゃったよ!?」

絹旗「ちょっと浜面! あなたの責任なんですから超なんとかしてください!」

浜面「な、何とかって言われたって……いや無理だろ……特に麦野なんか絶対止められねぇ……」

フレンダ「他のお客もみんなこっち見てる訳よ。ヤバいってこれー……」

??「お客様、他のお客様のご迷惑になりますので、お静かに願えますか?」

絹旗「す、すみません。超そうしたいところなんですけど……」

浜面「お、お前! 心理定規!」

定規「楽しそうなことになってるわね、浜面くん」

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/18(火) 17:00:49.08 ID:PIUep7Zf0
フレンダ「結局、何でウェイトレスの格好……」

定規「私のバイト先だもの。今日で辞めるけど」

絹旗「監視のためにわざわざバイトになったんですか?」

定規「ええ、店長や店員と『仲間』になれば私がここにいてもおかしくないでしょう?
    お客だと近くの席が空いてない時困るじゃない。ちなみに服は着てみたかっただけよ」

浜面「そ、そんなこといいからこれなんとかしてくれ!」

定規「あら、あなたが望んだことじゃないの。二人の女が自分のために争っているのって、男冥利に尽きると思わない?」

浜面「死人が出そうなんだよ! ほら麦野も滝壺も止めてくれ!」

麦野「浜面は黙っておいてくれる? この根暗がアンタに普段から色目使うから悪いのよ。
    醜い豚に付きまとわれて可哀想な浜面。安心しなさい。すぐ焼却処分してあげるから」

滝壺「ヒステリーはみっともないよむぎの。ストーカーって犯罪なの知ってるかな?
    浜面、むぎのの能力乗っ取って無力な女の子にしてあげるからね。そしたら私達と一緒になんかいられない」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/18(火) 17:05:40.76 ID:PIUep7Zf0
定規「あらあら。余裕の無い女の争いってこうも醜いのね」

絹旗「誰の所為ですか……」

フレンダ「たとえ元に戻ったとしてこの二人の関係は修復不可能な気がしてきた訳よ……」

麦野「もとになんて戻らないわ。この私が浜面と添い遂げる」

滝壺「修復なんて必要ないよね。だって今日でむぎのとお別れなんだから」

浜面「お前らいい加減にしろ!!」

麦野「……」

滝壺「……」

浜面「分かったよ。俺がいるからいけないんだな……」

絹旗「浜面……?」

浜面「心理定規、二人が俺のことを憎むように距離設定してくれ」

麦野滝壺「「!?」」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/18(火) 17:10:32.24 ID:PIUep7Zf0
定規「そうするのはとても簡単なことだけど、何のために?」

浜面「二人で仲良く俺のことを憎んでくれ。
    そうすりゃ丸く収まるだろ」

定規「あなたは死んでしまうかもしれないのよ?」

浜面「麦野の心を操ろうとした俺が招いた種だ。責任はとる。他人の心をどうにかしようなんて、俺は最低のクズ野郎だ」

定規「胸が痛いわね。って彼が言ってるけど、どうするあなた達?」

麦野「嫌っ! 浜面のこと憎みたくない! お願い浜面! 私が好きだって言ってよ!」

滝壺「ごめんねはまづら……もう喧嘩しないから、そんな悲しいこと言わないで……」

浜面「……」

定規「あらもう喧嘩はおしまい? つまらないわ」

絹旗「あんた、いい加減にしないと私超怒りますよ?」 ガシッ

定規「つっ……痛いわ。やめてよ、『恋人』じゃない」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/18(火) 17:15:22.01 ID:PIUep7Zf0
絹旗「…………」 ギリッ…

定規「あら? お嬢ちゃん、私の言葉が聞こえない? 『恋人』を傷つけるなんて……ちょ、ちょっと痛いっ!」

絹旗「私、実はあなたみたいな人をぶん殴って屈服させるのが大好きなドSなんです。
    さあ、豚のように鳴かせてあげます。愛し合いましょう」

定規「ぐぅっ! わ、分かった! 元に戻すわ! だから離して! 手首が折れちゃう!」

浜面「早くしろ」

定規「どういうこと……?」

麦野「…………うっ」

フレンダ「麦野、大丈夫!?」

滝壺「フレンダ、ソファに寝かせてあげて」

フレンダ「う、うん……」

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/18(火) 17:21:24.09 ID:PIUep7Zf0
浜面「もとに戻ったんだろうな?」

定規「ええ……間違いなくね。何なのもう……あなたそんな趣味があるの?」

絹旗「まさか、私はノーマルですよ」

浜面「あ? じゃあ何で『恋人』なのに……」

絹旗「はぁ? 恋人が間違ったことをしていたら、正してあげるのが真の愛というものじゃないですか」

フレンダ「お、大人っ!? 中学生のくせにっ!」

浜面「最愛の名前は伊達じゃねぇってことか……」

定規「なるほど、相手の全てを肯定するのが愛情では無いと言うことね。
    ……罪悪感で胸が痛いわ。でもまあいいデータが観測できて満足よ」

浜面「懲りてねぇなお前……」

定規「冗談よ。人間の心って面白いわ」

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/18(火) 17:24:35.14 ID:PIUep7Zf0
麦野「う……うーん……」 ムクリ

滝壺「むぎの!」

浜面「大丈夫か!」

麦野「あれ……何だろ……ッッッ!」

浜面「? ど、どうした!」

麦野「! や、やだっ!」

浜面「む、麦野?」

定規「言っとくけど何もしてないわよ」

絹旗「これは超照れてるだけですね」

フレンダ「むぎのー? 浜面に何て言ってたか覚えてるー?」

麦野「う、うるせぇっ! 忘れなさい! 今すぐ忘れないとブチ殺すわよ!!」

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/18(火) 17:28:37.07 ID:PIUep7Zf0
滝壺「むぎの……私麦野に根暗って言われた……」

麦野「う、ご、ごめん……ほ、本音じゃないのよ? あれはこの女の能力の所為なんだから……」

定規「むっ、心外だわ。私は心の距離設定は出来るけれど、それによってどんな言動をとるかは本人次第なのに」

麦野「っつかはーまづらぁっ!! テメェよくも私にこっぱずかしいラブコメやらせやがったなゴミクズがぁっ!!
    テメェ×××鉄板焼きにされる覚悟できてんだろぉなぁ!?」

浜面「あ、ああ! できてる!」

麦野「なっ……」

浜面「ごめん麦野。俺が全部悪い……好きにしてくれ……」

麦野「……くぅっ……」

フレンダ「お、困ってる困ってる」

絹旗「面白いからもう少し見ておきましょう」

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/18(火) 17:32:28.30 ID:PIUep7Zf0
浜面「滝壺もごめんな。お前らが喧嘩になったのも俺の所為だ。麦野じゃなくて俺を責めてくれ」

滝壺「二人がもとに戻ったなら私はそれでいいよ」

浜面「滝壺……」

滝壺「でも、ちょっと悲しかったな……」

浜面「ごめん」

滝壺「ううん……」

麦野「…………」

定規「ふふっ、いい話があるんだけど……」

麦野「いらねぇよ」

定規「チッ、残念。あー、そう言えばこんな話があるんだけどー」

絹旗「何ですか今度は?」

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/18(火) 17:35:13.88 ID:PIUep7Zf0
定規「私ね、麦野さんの心理操作する時ちょっと浜面くんとの心の距離を覗かせてもらったの」

フレンダ「何それ面白そう!」

定規「ええ、病みつきになるくらい面白いわ」

麦野「ちょ、ちょっと……何言う気よ……」

フレンダ「いいからいいから、それでそれで?」

定規「ふふっ、そうしたら、傑作よ。
    彼女の浜面くんへの心の距離……『恋人』に対するもの以上だったわ」

麦野「ッッッッッッ!!!!!???????」

浜面「なん……だと……?」

滝壺「……ふーん」

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/18(火) 17:40:18.68 ID:PIUep7Zf0
麦野「なっ……あっ……アンタねぇ……! でまかせ言ってんじゃないわよ!」

定規「嘘じゃないわ。あなたと浜面くんの先ほどまでの心の距離は『恋人』。
    でも、最初からあなたは浜面くんにゼロに限りなく近い親しさを感じてた」

絹旗「へぇ~、ほぉ~、そうですかへぇ~」 ニヤニヤ

フレンダ「それはそれは」 ニヤニヤ

麦野「がっ……ばっ……バカじゃないの!」

定規「つまり浜面くん。普段の麦野さんがあなたにそっけなく当たるのは『好きさ余って憎さ100倍』とでもいうのかしら。
    うふふ、愛ね」

浜面「な……あ……」

定規「私の能力なんて初めから必要なかったのよ。さ、それを踏まえて、第二ラウンドと行きましょう」 ニコッ

麦野「く……うぐ……」

63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/18(火) 17:44:00.44 ID:PIUep7Zf0
浜面「む、麦野……?」

滝壺「聞き捨てならないね。どういうことかな」

麦野「し、知らねぇよ! ばーか! ばーか! アンタのことなんか何とも思ってないんだからアホ面ぁ!  
    いやああああああああああああああ!!!!!!!」

フレンダ「あ、逃げた」

絹旗「超逃げましたね」

定規「ふふっ、勝ったわ」

浜面「お前な……」

定規「何他人事みたいな顔してるの? あなた、今から大変よ?
    二人の女の子から想われて、修羅場のド真ん中で朽ち果てればいいのよ」

浜面「お前俺になんか恨みでもあんのかよ……」

70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/18(火) 17:49:54.72 ID:PIUep7Zf0
定規「ふふっ、別に無いわ。むしろ私の能力の可能性を見せてくれたあなたへのお礼ね。
    男らしく、しっかりと相手を選びなさい。それじゃね」

フレンダ「結局、好き放題かき回していってくれた訳よ……」

浜面「くそう……ま、まあでも麦野が俺のこと嫌ってるわけじゃないって知れたのは収穫だったかもなー、なんて」

滝壺「はまづら……」

浜面「ん? た、滝壺……? どうしたんだそんな怖い顔して。ほ、ほらいつもの可愛い顔はどこいっちゃったのかなー……あ、あはは……」


滝壺「ブ  チ  コ  ロ  シ  確  定  だ  ね  」


浜面「滝壺さん、落ち着け、もう一度じっくり話をぎゃぁああああああああああああああああああ!!!!」

フレンダ「あーあ……まあとりあえず元通りになってよかった。麦野迎えに行かなくちゃ。
      ……あれ? 結局、絹旗はどこ行った訳よ?」

74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/01/18(火) 17:56:49.68 ID:PIUep7Zf0
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定規「やれやれ。ちょっと予定とは違ったけど。なかなか面白い結末が見れてよかったわ。
    次は男同士をくっつけて遊んでみようかしら。ホ が嫌いな女子なんていないものね」 クスクスッ

絹旗「……」 ユラッ

定規「あら絹旗さん……だったかしら。どうかした? ふふっ、もしかしてあなたも浜面くんと両想いに……あら?」

絹旗「……」 ガバッ!

定規「……ちょっ、な、何するの! 抱き着かないちょうだい! 私そんな趣味は……!」

絹旗「超やだなぁ……何言ってるんですかぁ」

定規「え?」

絹旗「『恋人』じゃないですか」 ニコッ

定規「しまっ……戻すの忘れてtむぐっ…んー! んー!」 チュゥウウウウウウウウウ

絹旗「さあ、二人で超愛し合いましょう。私達のラブストーリーは始まったばかりですよ、心理定規さん♪」

定規「いやあああああ!!!!!!! 誰かぁあああああああああああああ!!!!!!!!!!」


―おしまい―